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カオリンクエスト

カオリンクエスト2-6

場所は彩の祠。石川も修行が終わり、牧場へ帰る準備をしていた。

石川「本当に今までありがとうございます」
彩「いいのよ、これが私達のすべきことだったんだし」
石川「あの…。また魔王を倒したら遊びに来てもいいですか?」
彩「もちろん大歓迎よ。…そういえばあなた、勇者一行の一人なのよね」
石川「はい…」
彩「昔、年下で幼馴染の子が勇者になりたいって言ってたのを思い出すわ。
   優しい子で、全然戦いには向いてなかったんだけど…。
   確か私が遠くに引越しするときに言ってくれたのよ。『私も夢を叶えるから彩っぺも夢を叶えてね』って…。
   あれから会ってないな…。ひょっとして、本当に勇者になってたりしてね」
石川「いいお友達だったんですね…一応勇者さんは女性ですよ」
彩「まぁ、いいわ。昔の話をしたって何の意味もないし…。そろそろ出発の時間じゃない?」
石川「そうですね。…それじゃあ彩さん、ありがとうございました」
彩「あ、ちょっと待って!」

彩は目を閉じると、そのままゆっくりと歌いだした。

「どこにだってある花だけど 風が吹いても負けないのよ
 どこにだって咲く花みたく 強い雨が降っても大丈夫
 ちょっぴり『弱気』だって あるかもしれないけど
 たんぽぽのように光れ」

彩「この歌はね、私が引越しするときにあの子が歌ってくれた歌なんだ…。
   思えば、いつもこの歌に励まされてたな…」
石川「いい歌ですね…」
石川がそういうのと同時に、彩は石川を抱きしめていた。
彩「苦しくなったらいつでもおいで。待ってるわよ」
石川「わかりました…。それじゃ今度こそさようならー!」
石川は彩の祠を去っていった。

彩「勇者、か…。今あんたはどうしてるの?圭織…」

石川が祠を発って少しすると、アヤカが祠から出てきた。
アヤカ「もう行ったんですね…」
彩「ええ…。今のあの子なら魔王との戦いでも十分に通じると思うわ」
アヤカ「そうだ、そろそろ薪を拾ってくる時間ですね」
彩「そうね、もうこんな時間か…」
アヤカ「じゃあ薪拾い行ってきますね」
彩「いってらっしゃい、ご飯の準備して待ってるわ」
アヤカは森の奥へ進んでいった。
彩「さて、野菜切らなきゃ…」
彩は祠の中へ戻った。

真矢、防具叩き売りに疲れ睡眠中。

薪拾いに森の奥まで来たアヤカ。

アヤカ「(石川さん、本当に強くなって…。あれならひょっとして魔王も…)」
石川のことを考えながら薪拾いをしていると、瞬間、周りの空気が変わった!
アヤカ「(…何?この強烈な威圧感は…。まさか裏切りが魔王に知られた?)」
しかし、アヤカの目にはそれ以上に恐ろしいものが映っていた。
???「あれ?OFFで栗拾いに来てたら…」
???2「アヤカがこんなところで何してるアルか?」
アヤカ「し…信田さん…。それに、ルルさん…」
信田「なんだか、魔力が暖かくなってるわね。印象も変わって…」
ルル「そういえばアヤカって、裏切り者として手配されてたんじゃなかったアルか?」
信田「ああ、そうね…。だからこんなに魔力に暖かみが感じられるわけだ」
アヤカ「それで…私を殺しに来たんですか?」
信田「さっき言ったじゃない。OFFだから大自然の中の栗拾いに来ただけだって…」
ルル「でもアヤカは悪いことしてるアルよ。お仕置きが必要アルね」
信田「まあ魔王の肩持つわけじゃないけど…。ここで会ったのもひとつの縁ってやつね。始末しよっか」
アヤカ「私は…まだ死ぬわけにはいかない!彼女と再戦を誓ったんだから…!」
信田「そう…。それじゃ始めましょうか。ルル、私一人でやるから下がってて」

アヤカと信田はお互いに目を合わせて構えた。

3分後…。信田の前でアヤカが倒れていた。

信田「わかった?これが純粋な力の差って言うの」
アヤカ「くっ…(強すぎる…)」
ルル「で、どうするアルか?頃すか生かしておくか決めるアル」
信田「決まってるじゃない…。生かしておくわよ」
アヤカ「…なぜ、殺さないんですか…」
信田「OFFだってのに好き好んで人殺しするわけないでしょ。それに…あんた弱すぎるし」
ルル「うちの四天王はみんな頃しなんて嫌いアル。強い奴と戦えればそれで幸せな軍団アルよ」
アヤカ「さすがは…最強の四天王ですね…。私達とは器からして違う…」
信田「器ねぇ…。あ、そろそろ城からお呼びがかかるわ。ルル、帰りましょう」
ルル「そうアルね、戻るアル」
信田「はぁ…。勇者一行の一人はあんたごときに苦戦したの?笑い話ね…」
ルル「ワタシは大戦時の勇者一行のうちの誰かと戦いたいアルね、強そうアル」
そのまま信田とルルはその場を立ち去った。

そして暫くの間、アヤカの頭の中には信田の一言が強烈に頭に残っていた。
『あんた弱すぎるし』
アヤカ「やっぱり私では勝てないのか…。石川さん、あなたは絶対に負けないで…」
そう言ってアヤカは意識を失った。その後アヤカが彩に見つけられたのは1時間後のことだった。


誰か、笑ってる声がする。。。。だれ?
誰か、呼んでる。かおりを呼んでる。。。。だれ?
みんな?かおりの剣?
違う。。。誰だろ?でも、、、懐かしい。

丸一日寝て、飯田は目を覚ました。
つじ「ゆうしゃさまがおきたのれす〜!!」
勇者飯田「あ、おはよ。」
飯田は目をこすった。
保田(作業中)「あ、起きたみたいね。」
よっすぃー(作業中)「私ちょっと声かけてきます。」
保田「あ、ちょっと仕事はどうすんのよ!」

その夜

ジリリリリン、ジリリリリン、ジリリリリン
静かな牧場の夜に音が響き渡る。
ナッチー「電話だべ!!」
勇者飯田「ど、、、どうしよう?」
ナッチー「したっけ出ないわけにいかないべさ。」
勇者飯田「人の家なのにいいのかなあ?」
保田「まあ、牧場娘の二人は夕食の後片付け中だし、
   ヨシターケさんは寝てるのか今いないし、いいんじゃない?」
中澤「ちゃんとした対応ができればええんちゃう?」
ナッチー「決まりだべさ、ナッチーが出るべ。」
勇者飯田「え?ナッチーが出るの?」
保田「そそう無いようにね!」
中澤「商売相手には腰低くするんやで!
   、、なんやそれにしてもずいぶん嬉しそうやな、、。」

ごま、よっすぃー早めの就寝。

ジリリリリ、、、ガチャッ電話を取るナッチー。
つじ(ドキドキ。。。)
ナッチー「ハッロー、モシコーン!」
いきなりハイテンションで切り出すナッチー、ずっこける一同。
?「も、、、、もすもす〜?」
ナッチー「あーーー!梨華ちゃん!なんだべー、みんな心配してたんだんだべ!
    ココナッツにやらちまったんだべさーっていって。アハハッ」
つじ「ずいぶんたのしそうれす。にこにこしてるれす。」
Д<「ちっとも心配してるようには見えへんな。」
保田(石川?大丈夫だったのかしら?)
石川@電話「あ、、、あの〜、ナッチー?」
ナッチー「こっちも大変だったんだべ〜。ココナッツに襲われて。
    ナッチーが大活躍で撃退したんだべ。
    したっけ、今度は新手の二人組みがやってきたっしょ!」
つじ「やっぱりたいへんだったようにきこえないれす。」
Д<「ニコニコニコニコ、、何があんなに楽しいんやろな?」
ナッチー「その片割れがなんとごまの、、」
中澤「やめえや!」
パシッ!ナッチーをはたいて電話をうばう中澤。
ナッチー「いったー、何するべさー!!」
中澤「その出かたやめえや!ったく。
   それにまず相手の用件を聞かなきゃあかんやろ!
   もしもし〜。石川?」
ナッチー「ひどいべさ〜。」
保田(ほ。やっと会話が先に進むわね。)

石川「あ、中澤さんですか〜。こんばんわ〜。チャーミー石川です〜。」
石川、最後の点検のため、チャーミースーツ着用中
中澤「(ちゃーみー??)で、どないしたんや?みんな心配しとったんやで!」
石川「チャーミーも大変でした〜。彩さんのところについたら敵がきたんです〜。
   だから、チャーミーは、、、、」
中澤「(積もる話もあるやろなぁ)」
5分経過
中澤「・・・・・」
石川「そこでチャーミーは、、」
中澤「(ムカムカ#)」
更に10分経過、、。
石川「そんなわけでやっとチャーミーは、、、」
中澤「(やっと終わるんやな。)ほー。そんで?(冷静に冷静に。)」
石川「そこで、やったー勝った!、、、、って思ったんですけど今度はチャーミーが、、」
中澤「(ブチッ!←擬態語)チャーミー、チャーミーって自分なんやねん!!!
   だいたい自分な!いったいいつから、、、」
つじ「ひ〜。なかざわさんがついにきれたのれす!」
保田「まったく、見てらんないわね。ちょっと貸しなさいよ。」
パシッ!中澤から電話を奪う保田。
中澤「ちょ、かしや!言いたりんわ!」
矢口「ゆうこはだまってなよ〜!」
中澤「はなさんかーい、、、モガモガ」
中澤の口をおさえ引っ張る矢口。

保田「わたしよ。」
石川「あ、師匠!お久しぶりです〜。」
保田「で、あんたココナッツに襲われたらしいけど、大丈夫なのね?」
石川「チャーミーは大丈夫です。みんなも大変だったんじゃないですか〜?」
保田「(ちゃーみー?そんなふうに教えた覚えは無いわね。)
   ああ、こっちは大丈夫よ。心配は要らないわ。
   で、何やってるの?いつ頃帰ってくるの?」
石川「チャーミーは、彩さんのところでずーっと修行してました。
   それがですねえ、アヤカさんとシバちゃんと、、」
保田「その話は後で聞くわ。で、修行は終わったの?」
石川「あ、はい。今日で終りました〜。聞いてくださいよ〜、最後はですねえ、、」
保田「それも後で聞く。じゃ、戻ってくるのね?」
石川「はーい。明日、歩いて戻ります。待っててくださいね。」
保田「あ、明日ね。じゃ、みんな待ってるから、なるべくはやくね。」
石川「待っててくださいよ〜、先に行っちゃわないでくださいね〜。」
保田「はいはい。待ってるわよ。じゃ、切るわよ。じゃあね。」
石川「あ、、そうですね〜。」
残念そうに話す石川。
保田「石川」
石川「はい?」
保田「一人で大変だったでしょ。ご苦労様。」
石川「は、、はい〜。」
ガチャ。電話は切られた。思わず涙ぐむ石川。
Д<「お〜。終わったで。扱いなれてるわ。」
つじ「さすがやすださんれす。」
飯田(いいお師匠様だね〜。)
ジーっと保田を見つめる飯田。
保田「な、、、なによ〜。かおり。」
照れ笑いをし、椅子に座る保田。
保田(ほんと、長い間頑張ってたわね。今度、修行の成果でも見せてもらおうかしら。)


魔王の城

魔王つんく「・・・というわけや、自分等、頼むで」
信田「・・・・・御自分で逝ってらしたらどうです?魔王様(冷笑)」
魔王つんく「な、何やと!?誰に向かって・・・」
稲葉「はぁ・・・・別にウチらあんたに忠誠を誓ったわけでもなんでもないで」
ルル「魔王サンの下にいれば、強い奴と戦えるから味方してるだけアルね」
魔王つんく「・・・(怒)・・・お前等クビや!!!どこにでも逝ってしまえ!!」
小湊「あら?いいのかしらそんなこと言って。勇者討伐も失敗続き・・・
   大魔王様になんて言われるかしら・・・」
魔王つんく「ぐ・・・それは・・・」
信田「まあ、いいわ、クビでもなんでも。どうせ勇者一行とは一戦交えるつもりだし」
ルル「よかったアルね、魔王さん。首は繋がったアルね」
稲葉「ほな、逝こか。魔王さん、今まで世話んなったわ。おおきに」
小湊「せいぜい御身体には気をつけて(冷笑)」

魔王城から出ていく4人。


石川が帰ってきた。
石川「ただいま戻りましたぁ!!」
辻「おかえりなさい・・・な・・・なんれすかそのかっこうは!?」
中澤「自分、その格好・・・」
石川「チャーミー石川でーす
勇者飯田「梨華ちゃん・・・(可愛い)」
石川「このチャーミースーツは、防具職人の彩さんがチャーミーの為に作ってくれたんです!」
矢口「ふ・・・ふーん、よ、良く似合ってるね・・・」
よっすぃー「な、何かアニメのキャラクターみたいだね・・・」
石川「(よっすぃーさん)ありがとうございます!!!」
Д<「それ、褒め言葉ちゃうで・・・」
ナッチー「(ボソッ)・・・センス悪いべ・・・」
Д<「・・・・・(オマエモナー)」

保田「で、修行の成果はどうなの?」
石川「はい。それはもう・・・チャーミーはココナッツのアヤカさんとのそれはもう激しい特訓を・・・」
保田「ああ、いいわ、実戦で見せてもらうわ」
辻「さすがやすらさん、はなしがながそうなのでうまくおわらせたのれす」
石川「・・・・・(お話したいのに・・・)」

次の日。
朝早くから、矢口は特訓をしていた。
矢口「アチョー!!」
石川「あ、矢口さん、お早うございます。熱心ですね。石川も見習わなくちゃ」
矢口「あ、梨華ちゃん、お早う。・・・今日は『チャーミー』って言わないんだね」
石川「あ・・・あれは、なんだかチャ−ミ−ス−ツを着るとああなっちゃうんです」
矢口「へえ、そうなんだ。オイラも厚底履くとやる気が出るからそれと同じようなモンかな。キャハ!」
練習を続ける矢口。それを見ている石川は、彩の歌った歌をふと口ずさんだ。

石川「どこにだってある花だけど 風が吹いても負けないのよ♪」

矢口「!」
矢口の動きが止まった。

石川「どうしたんですか、矢口さん?」
矢口「梨華ちゃん・・・その歌・・・」
石川「あ、、、これは彩さんに教えてもらった歌なんですけど、矢口さん知ってるんですか?
   もしかして・・・矢口さんが彩さんの言ってた幼馴染みの人!?」
矢口「・・・・・違うよ。おいらは彩っぺの幼馴染みじゃないよ。」
石川「そうですか・・・。・・・・!?どうして『彩っぺ』って呼び方を知ってるんですか?」
矢口「!!・・・・・そ、それは・・・・」
石川「そういえば、矢口さんは、どうして飯田さんと一緒に旅をしようと思ったんですか?」
矢口「お・・・黄金の厚底が欲しかったからだい!!」
石川「でも、それはもう手に入ったじゃないですか。それなのに何故・・・」
矢口「つ・・・強い奴と戦う為だい!!」
石川「何か理由があるんですね?」
矢口「それは・・・今は言えないよ。とにかく、オイラはカオリを助けて頑張っていく。それだけだい!!」
石川「わかりました。もうこれ以上は何も聞きません。一緒に頑張りましょう!」
矢口「梨華ちゃん・・・。・・・さっきの歌は「タンポポ」っていうんだよ。」
石川「可愛い歌ですよね。気に入っちゃいました。」
矢口「そっか。一緒に歌おうか」
石川&矢口「どこにだってある花だけど 風が吹いても負けないのよ♪」
Д<「自分等、朝っぱらから何歌ってんねん・・・でも・・・いい歌やな・・・」
石川「おはよう、あいぼん。あいぼんもこの歌気に入った?」
Д<「うん。何かやる気が出る歌やな・・・何でやろ・・・」

そのころ、まだ勇者飯田は爆睡中。

シバタ「・・・あたしも帰ってきたのに・・・放置なんてひどいよう(泣)」

ヤスターケ牧城では、勇者飯田一行が出発を明日に控え今後についての会議を開いていた。

保田「で、実際よっすぃーもこうやって仲間になったわけだし、次はどうしようか?」
Д<「どうするもなにも、もう魔王なんか楽勝なんちゃう?」
吉澤「・・・・・魔王なら、ですけどね・・・・」
ナッチー「やっぱり、今回は魔王以上の存在の匂いがするべ」
矢口「それ以前にボンバーなんたらってのもいるんでしょ?一緒に蹴散らしちゃおうよ!キャハ!」
辻「そうなのれす!いまのわたしたちにはてきはいないのれす!」
中澤「自分等、アホなこといってるんやないで。ボンバーは魔王よりよっぽど厄介な相手や。」
ごま「中澤さん、ボンバ−知ってるの?」
中澤「知らいでか。あいつらは超有名やで。元々戦闘のプロ中のプロが4人集まってんのや。洒落にならん強さや。」
保田「だいたい魔王の城が何処にあるかも分からないじゃない」
石川「で、これからどうしましょうか?このままここにずっといてはヨシターケさんの迷惑になるし
   あさみさんやりんねさんとお別れするのも辛いけどやっぱり前に進まなきゃって思うんですけど
   やっぱり石川はすぐネガティブになっちゃって・・・」
一同「・・・はじまった」
保田「そうね、とにかく目的地を決めましょう。カオリはさっきから黙ってるけど、何か案はある?」
勇者飯田「う〜ん、さっきからカオリとんちを巡らせてるんだけど良い案はなかなか出ないよ」
辻「いっきゅうさんれすね!!!いいらさん、がんばるのれす!!!」
勇者飯田「・・・・・!!!電波が・・・・・」
Д<「な、なんか受信してるで・・・」
勇者飯田「オ・・・・オキ・・・ナ・・・ワ・・ア・・イラ・・・ンド・・・」
中澤「オキナワアイランド!?北の果てから南の果てまで逝くんかいな?」
ナッチー「ナッチーは暑いところは苦手ッしょ。北国生まれだから・・・」
Д<「・・・・・(太ってるからや)」
石川「とにかくじっとしててもしょうがないじゃないですか!北から南まで逝けば
   途中で何かが見つかるかも知れないですし、ポジティブにいきましょう!!
   まずはそこから道は開ける、石川はそんな気がするんです・・・だって」
保田「(石川の会話を遮って)そうね。とにかく前に進みましょう!」
一同「賛成!!」

言った側から大雪にみまわれ、身動きできなくなる一行。

辻「すごいゆきなのれす。
  きっとむろらんしてぃからでると、おはなしのつづきをかけなくなるひとがいるのれす!」
Д<「そういうことは分かってても言ってはアカン。梨華ちゃんのせいにしとき!」
辻「へい」


早速よっすぃーと勇者飯田の修行が再開された。
よっすぃー「本来こんな雪の中で修行するのはよろしくないんですが…。
       時間がないのでそんなことも言ってられなくなりましたね」
勇者飯田「時間ないよね〜、雪が止んだら出発だから…」
よっすぃー「ということで、そろそろ本気で修行に入ってもいい時期だと思います」
勇者飯田「え…?今までの修行は本気じゃなかったの?」
よっすぃー「これまでの修行は飯田さんに合わせて行なっていました。でも、もう時間がない。
       本来の私のペースでやっていくつもりです」
勇者飯田「そうだったんだ…。でもカオリは大丈夫。本気の修行にも耐えてみせるよ!」
よっすぃー「そう言ってもらえると嬉しいです。じゃあ、始めましょう…。剣を構えて下さい」
勇者飯田「うん」
勇者飯田は剣を抜き、構えをとってよっすぃーと見合った。よっすぃーも構えをとった。

そして次の瞬間、勇者飯田は凍りついた。
勇者飯田「(何…?この物凄い威圧感…。動けない…)」
勇者飯田はよっすぃーの放つ異様な殺気と威圧に押されていた。
よっすぃー「まずは…この一撃を受けてみてください」
よっすぃーは瞬時に距離を詰めると、一気に抜刀した!
それに反応して勇者飯田も剣でガードする!
勇者飯田「…くうっ!」
勇者飯田はガードには成功したが、勢いよく数メートルほど吹っ飛んだ!
受身を取れずにそのまま倒れる勇者飯田。
そして勇者飯田が目を開けたとき、よっすぃーは倒れている勇者飯田に構えをとっていた。

よっすぃー「本来なら…今ので死んでいますよ?」
勇者飯田「…」
よっすぃー「まずはガードに腰が入っていません。あれでは攻撃を受けても意味がないです。
       そして最初の反応。あの反応速度が限界だったら次は死にます。
       あと吹っ飛ばされたら片手の受身をしっかりとって下さい。あと…」
勇者飯田「…(さっきの一瞬のことからこんなに欠点を見出せるんだ。すごい…)」
勇者飯田に指摘を入れていると、ふいによっすぃーの表情が変わった。
よっすぃー「…あ…ごめんなさい!いきなりこんな厳しいこと言っちゃって…。
       それに前触れもなく吹っ飛ばしたりして…!本当にごめんなさい!」
勇者飯田はよっすぃーの豹変ぶりに多少驚いたが、今度は勇者飯田が話し始めた。
勇者飯田「よっすぃー…」
よっすぃー「…はい…」
勇者飯田「カオリは大丈夫だよ。いきなり厳しくなって驚いちゃったけど…。
      よっすぃーが厳しいのはカオリを心配してくれてるからでしょ?
      よっすぃーのペースについていくのは大変だと思うけど頑張るから…。
      よっすぃーだって時間がないって言ってたじゃん。だからどんどん厳しく修行しよ!」
よっすぃー「飯田さん…」
勇者飯田「ほら、続けようよ!カオリ耐えて見せるから!これで皆を守れるような力がつくなら
      何があっても弱音を吐いたりしないよ!」
よっすぃー「…はい!それじゃあ続けますよ、覚悟してください!」
勇者飯田「どんとこい!」
よっすぃーと勇者飯田の厳しい修行は再開された。

よっすぃー「(教える立場の私が励まされるなんて…。前もこんなことがあったな。
       保田さんに言われたように心理面をもっと鍛えるべきかも…)」


中澤「ふう、しかし凄い雪やな。」
ナッチ−「北国ではこれくらいあたりまえっしょ。裕ちゃんは寒がりだべ」
中澤「年をとると寒さに弱く・・・って何言わせんねん!」
バシッ!!
突っ込みを入れる中澤。
ナッチー「痛ったー、裕ちゃん、そんなに怒んなくても・・・」
その時、ナッチーの懐からポロっと何かが落ちた。
中澤「ん?何やねん、これ」
ナッチー「あああ!!!返すっしょ!!それは・・・」
中澤が拾い上げてみると、一枚の写真だった。
純朴で、やせ気味だが可愛らしい少女が写っていた。
中澤「誰やねん、これ。めっちゃ可愛いやんか。こりゃ即お持ち帰り級やで」
ナッチー「・・・・・それ、ナッチーだべ・・・」
中澤「そうかそうか・・・・って、ほんまかいな!?」

ナッチー「・・・・・昔の事だべ」
中澤「なんや色々ありそうやな。いっちょウチに話してみい」
ナッチーは語り出した。

それはまだ魔王軍の恐怖が世界を支配しようとしていた頃。
ムロランシティには1人の戦士がいた。
不良上がりで女癖は悪いが、実力は折り紙付きの戦士「オシオ」だ。
ナッチーはこの戦士オシオに憧れる1人の少女だった。

中澤「なるほど。恋する乙女は綺麗というしな・・・」

そしてオシオが魔王征伐の旅に出る前日、ナッチーはオシオの家に呼ばれた。

中澤「おお!?いきなりそんな・・・若さって怖いわぁ!」
ナッチー「呼ばれて一緒にプレステしただけっしょ!!」
中澤「ほんまいかいな(疑)」

そして、一晩明けて、オシオは旅立った。
ナッチーは祈った。オシオが無事に帰ってきてくれる事を。
しかし、ムロランシティにオシオが帰ってくる事はなかった。

ナッチー「それ以来、ナッチーは食べる事だけが幸せになったんだべ。
     愛する人がいなくなった悲しみは、食べる事でしか癒されないべ。」
中澤「ま・・・まあ気持ちは良く分かるわ。(でもここまで変わらんでも・・)」
ナッチー「ナッチーはナッチーからオシオさんを奪った魔王を許さないべ!!」
中澤「そうや!その意気や!」
ナッチー「じゃ、その写真返して欲しいべ。ナッチーの大切な思い出だべさ」
中澤「ああ、しかし可愛いなあ・・・って・・・この後ろにちっちゃく写ってるこの娘は・・・」
ナッチー「・・・?ナッチー自分の事しか見てなかったからわからないべ。
     何か写ってるんだべか?」
中澤「ほら、これ・・・」
写真には、美しい黒髪で、大きく目を見開いた少女が写っていた。
ナッチー「これ、カオリだべ!!なんで?」
中澤「こっちが聞きたいわ。」
ナッチー「そういえば、カオリと初めて会った時も、ナッチーとホッカイドー弁で話してたべ」

深まる勇者飯田の謎。


よっすぃーと勇者飯田が修行に出かけている時、牧場に人がやってきた。

???「毎度〜、お酒届けに来ましたよ〜」
りんね「あ、マスターさん。いつもどうも〜」
ナッチー「ん、お客さんだべか?」
中澤「ここにお客さんやなんて、珍しいなー。…って、みっちゃんやないの!」
ミチーヨ「ん…?あれ、裕ちゃん!?なんでここにおるの?」
中澤「みっちゃんこそ、こんなところまで酒届けに来たんか?」
ミチーヨ「店も再建したし、ここらで出張酒場でもやろうと思ってたんよ」
ごま「あ、あの時の剣士かつマスターさん!久しぶり〜」
ミチーヨ「へ?あんた誰や?」
中澤「ああ、その子はあの時のアザラシや」
ミチーヨ「相変わらず冗談きついなぁ、裕ちゃん。もっと笑える冗談言いや」
中澤「いやあ、話すと長くなるなぁ…」
ミチーヨ「ところで勇者さんがおらへんけど、どうしたん?」
中澤「一度にそんな沢山聞かれてもわからんて…。まずはごまの説明からやな」

りんね「あの〜、お酒を…」

ミチーヨ「大変だったんやなぁ、そんなに魔王軍に狙われてるんか…」
中澤「ホンマ、四天王相手にした時は氏ぬかと思ったわ」
ナッチー「そうだべ」
保田「ま、私は余裕だったけど」
石川「私は四天王の人とお友達になりました!」
矢口「(それは何度聞かされたことか…)」
ミチーヨ「ココナッツ四天王はうちも知ってるけど、あれに勝つなんてたいしたもんや」
ごま「ところでミチーヨさん、四天王つながりでボンバー四天王って知ってますか?」
ごまのその言葉を聞いたとき、ミチーヨの顔つきが変わった。

ミチーヨ「知ってるけど…何や?」
中澤「次はその連中と戦うと思うんやけど、みっちゃん何か情報ない?」
ミチーヨ「…そうやな、魔王軍と敵対してる限りあの連中とも戦うんやな」
矢口「あのさぁ、やっぱり強いの?そのボンバー四天王って」
ミチーヨ「かなり強いなー。元は別々の場所から集められたエリート集団やし」
中澤「それは初耳やな…」
ミチーヨ「役に立つかどうか知らんけど、ボンバーの情報なら多少教えられるで?」
保田「興味あるわ、聞かせて。私も名前しか聞いたことなくて…」
ミチーヨ「じゃあ言ってくわ。あくまでうちも聞いた話やけど…」

ミチーヨ「まずは異種族の戦士、ルル。チャイナ大陸出身の実力派や」
中澤「チャイナ大陸はうちも知ってるわ。シャンハイ言う街があるんやろ?」
ミチーヨ「その通りや。で、強い相手を求めて自分の故郷を去ったらしいで。
      あらゆる武器を瞬時に使いこなせる、と聞いたなぁ」
ごま「チャイナ大陸と言ったら武器で有名だもんねー。ヌンチャクとかもあそこが作ったんっだけ?」
矢口「そこの武器使いの中で敵がいなくなったから大陸を出たんだろうな」
保田「一大陸で最強、か…。よっすぃーと同じようなもんね」
Д<「説明だけで強さがよくわかるなぁ」
ミチーヨ「それで魔王軍のことを知り、入ったんやろうな。かといって魔王に取り入ってるわけでもない。
      それはボンバー四天王全員に言えることやけどね」
ナッチー「で、なんで異種族なんだべ?チャイナ大陸と言っても種族まで違うとは思えないべ」
ミチーヨ「チャイナ人と言っても、純血チャイナ人は少ないらしいで。で、ルルは純血らしいわ。
      それが珍しいから『異種族』と呼ばれてるみたいや。」

ミチーヨ「次に魔法拳士信田美帆。この名前聞いたことあるの、いるんちゃうか?」
保田「あ、それって確か昔の世界女子格闘選手権の…」
ミチーヨ「そう、天才格闘少女や。その後は『ファイヤーガール』と呼ばれる集団に入った。
      その優れた身のこなしには誰もが圧倒されるらしいで」
中澤「あー、あれはうちも憧れてたわ…。あの人が四天王やなんて信じられへんなー」
ミチーヨ「そしてその体さばきを買われて魔王にスカウトされたらしいわ。
      今は昔以上の体さばきを持ってるらしいからなぁ…。年齢の垣根なんてないんやろうな」
中澤「それはうちも羨ましいわ。歳食うと動きが鈍なってなぁ…」
Д<「うちらの気にする話やないな」
辻「そうれすね」
中澤「おのれら、それはどういう意味や!」
辻「ひ〜、しわが増えるのれす」
中澤「なんやと!こういう時までふざけよってからに…!」
Д<「それ、逃げるで〜」
部屋を出て行く中澤とお子様二人。
ミチーヨ「…まぁ、続きいこか」
保田「…どうぞ」

ミチーヨ「残り二人やな。次は召還士稲葉貴子。こいつは…って、圭ちゃんどうしたん?」
保田「いや、知人と名前が同じだなぁって…。まあいいわ、続けて」
ミチーヨ「わかった…。で、稲葉はさっき言った通り稲葉は召還士や。それも一度に何体も召還可能らしいわ」
ごま「でも召還ってさ、生身の人間が行なうには負担が大きすぎるよ。私でも恐くてできないもん」
保田「もちろん私もやらないわよ。あれは命削るし負担でかいからね」
ミチーヨ「ま、それができるから四天王なんやろ。とりあえず昔はOPDていうチームに所属してたらしいで」
      その中でも特に天才肌で、何でもそつなくこなすと聞いたなー」
保田「天性の召還士、か…。なるべく相手にしたくないわね」
石川「あのー…石川の氷とかとは違うんですか?その召還って」
保田「全く違うわよ。物質じゃなくて意志のあるものを呼んでるんだから」
ごま「それだけに負担が大きいから、よほどのことがない限り使わないよ。
    召還で戦うなんて考えるだけで恐いしね…」
矢口「よくわからないけど、凄いんだな…」

ミチーヨ「で、最後に小湊美和やな。戦闘スタイルがまた…」
保田「…あの、みっちゃん…。それって名前間違ってないよね?」
ミチーヨ「名前は確かやで。何でそんなこと気にするんや?」
保田「いや、なんでもない…。ごめん、続けて」
ミチーヨ「変やなぁ、圭ちゃん…。ま、ええわ。とりあえず続けるで。
      戦闘スタイルは東洋の踊りらしくて、武器は二丁の扇子…やったかな?」
ごま「ふ〜ん、変わってるね」
保田「…」
ミチーヨ「あと詳しいことは知らへん。戦う姿が舞うように見えるとは聞いたなぁ…」
石川「ロマンチックですね〜」
ナッチー「感心するところじゃないと思うべ…」
矢口「ま、これで4人全員のことがわかったね。余計恐くなったけどさ…」
ミチーヨ「うちも役に立てて嬉しいわ。…お、そろそろうちも帰る時間や」
ごま「うん、ありがとー。また酒場行くよ」
ミチーヨ「おおきに。じゃあ裕ちゃんによろしく言っといてや」
ミチーヨは牧場から去っていった。

ごま「いい情報聞けたなぁ…、で、圭ちゃんさあ、何で黙ってるの?」
保田「…へ?い、いや、なんでもないわよ。ちょっと眠いだけ」
ごま「ふ〜ん」
保田「(驚いたな…、あの二人って四天王だったんだ。やけに威圧感があると思ってたけど…)」

保田「そういえばみっちゃんってさ、お酒届けに来たんじゃなかったっけ?」
りんね「そうですよ!皆さんが話し出したからお酒の銘柄聞く暇なかったじゃないですか〜」
ごま「あはは、ごめ〜ん。ちょっと懐かしくてさー」
矢口「とりあえず今ので敵を身近に感じたよ。これからの修行に身が入るね!キャハ!」
ナッチー「そういえば矢口、まだナッチーと勝負してないべ?今から勝負するべ!」
矢口「よーし、対四天王の修行も兼ねて勝負だ!表に出ろっ!」
矢口とナッチーは外へ出て行った。
保田「ねぇ石川、まだあんたの力をよく見てないんだけど…。今から見せてくれない?」
石川「…ということはお師匠さんと勝負ですか!?そんな急に…」
保田「いいじゃない。ていうか1対1で私に勝てないようじゃこの先やっていけないわよ」
石川「う〜ん…」
保田「とにかく私達も修行よ、表に出なさい。四天王に勝ちたいでしょ?」
石川「はい、わかりました…。手加減してくださいよ?」
保田「するわけないでしょ。じゃあ行くわよ」
石川「そんな〜!あ、ちょっと待ってくださいよ〜!」
石川と保田も外へ出て行った。

ごま「それじゃ〜私は…、寝よう」


ちょうどそのとき、中澤が戻ってきた。
中澤「は〜、子供はええなあ。うちもう疲れたわ。ほんまに」
りんね「はっ、しまった。」
中澤「?、何をこそこそやってるんや?」
りんね「い、いいえー。」
中澤「そうや、酒!!!酒やな!しかもさっき銘柄わからんゆうてたな!」
りんね「(地獄耳?)あ、いいんですよ。(これはやばい。)」
中澤「ちょっと、貸しいや!スーパーソムリエールのうちがばっちりあてちゃる!」
りんね「(そりゃワインだって)あ!」
中澤「ごっごっごっ」
りんね「利き酒ってそんなにいっき飲みするもんじゃ、、、しかもラッパで」
中澤「ぷはーー。なんや、ごっつ美味いなー。水みたいに飲めるで。」
りんね「ちょっと、わかったんですか?っていうかもう返してください。」
中澤「いやや、飲むんや!飲まなきゃやってられんわ!
   あんな子供達にまで馬鹿にされて、、、うちもうたえられんわ。。。」
りんね「・・・・・・・(やっちゃった、、、。もうしっかりつかんで離さない。
   早くも目つきがおかしい、、。)」

10分後
中澤「矢口!!矢口はおらんのかい!?」
りんね「矢口さんなら外ですよ。(お酒また頼もう)」
中澤「なんや、つれないなー。そや、圭坊はどこや?一緒に飲むで!
   ヨシターケさんも飲むで!」
りんね「保田さんも修行です。ヨシターケ様は雪かきしてます。
   昼間っから飲んだくれてるのは中澤さんだけですよ。」
中澤「なんや。置いてけぼりかい。。。年寄はいっつもこうなんや。」
りんね「そんなこと言って、泣いてないでくださいよー。(こっちが困るじゃん)」
中澤「ぐすっ、泣いてなんかあらへん!うちも行く!うちも行くで!!」
ガタッ、立ちあがる中澤
りんね「はいはい。じゃ、お酒はもう終りにしましょうね。ってちょっと!」
中澤は酒を抱えたまま雪の中、外に出て行った。千鳥足で。。
りんね「(あのお酒、、もう戻って来ないね。。。)」


ボカスカボカスカ。決着つかず。
矢口「やるな!ナッチー!」
ナッチー「そっちも中々っしょ。でもナッチーの方が上だべ。まだ雷を使ってないべさ。」
矢口「そんならこっちだってまだ体力が赤くなってないもんね!」

?「やぐちーーーー!やーーぐちーーーーーーー!!!!」

ナッチー「なんか声がするべさ」
矢口「(ゾクゾク)、、、こ、、、この声は!!ゆ、、、ゆーこが来る!!
   あのお酒、飲んだな!!は、早く隠れないと、、!?」
ナッチー「なんだべ!?そんなこと言って勝負から逃げ出そうったってそうはいかないべ!!」
矢口「違うよっ!生命の危機なんだよ!ナッチーも危ないよ。早くしないとゆーこが来るよ!」
ナッチー「あ、ゆうちゃん!どうしたんだべ?」
矢口「キャー!!呼ぶなよぉナッチー」

中澤「お!おったおった。やぐち〜。ナッチーも。」
ざっざっざっ、、、雪の中迫り来る中澤。
矢口「に、、に、に、、逃げるよナッチー」
走りだす矢口。しかし、
ナッチー「は、、速いべさ!!」
中澤は千鳥足のまま凄いスピードで矢口へと間を詰めた。
ナッチー「矢口より速いなんてびっくりだべ!」
ガシィ!中澤は矢口をとらえた。
矢口「いゃーーーーー!!」
中澤「なんや、露骨に嫌がらんでもええやないか!!」
矢口「な、、なんだよゆーこ、何しに来たんだよーー??」
中澤「???、、そーや、うちは何しにきたん?」
矢口「おいらに聞くなよー。」
中澤「ま、、、ええわ。」
矢口「その目つき!、、まさか、、、、いゃーー!」
中澤「大丈夫大丈夫。なんにも怖いことあらへん。」
矢口「わ、酒くさ、、、あ、キャーーーー!ング、、、」
ナッチー「(ガーーーーン!!)」
ナッチーはしばし立ちつくした。

矢口はぐったりとした。
中澤「あら?なんやーーー、もう終りなんかい。」
どさ。中澤は矢口をはなした。
ナッチー「(ブルブル、、、)」
中澤「ふっ、まだまだやな。矢口。んー、しかし、おさまりつかんなー。」
くるっと振りかえる中澤。にっこり微笑む。
中澤「ナッチー?こっちおいで!」
ナッチー「はっ、、、、い、嫌だべさ。に、、、逃げるべさ。」
ナッチーは逃げ出した。しかし回りこまれた。
ナッチー「しまったべさ!」
中澤「怖がらなくてもええよー。すぐ終わるからね〜。」
ナッチー「こうなったら立ち技最強格闘技「スモウ」のハリテを食らうべさ!」
スカッ、ふらふら、スカッ、ふらふら。
ナッチー「全然あたらないべさー。」
泣き入るナッチー。
中澤「うー、、、まわるまわる〜。うぷ。。。。うぇ〜。」
ナッチー「き、、、汚いべさ!」
中澤「うぅー、リバーシブル、リバーシブル。。。
   なんの。ローマ人は飲むために吐き、吐くために飲む!!」
中澤は抱えた酒を天に掲げた。そしてそれを逆さにした。
中澤「ごっごっごっ」
ナッチー「ひ〜。」
ガシッ!中澤はナッチーをとらえた。
ナッチー「う、、、動けない。。。。いゃーーー!!」
中澤「大丈夫。すぐ済むすぐ済む。」
中澤はうっとりとした目つきでナッチーをみつめた。

部屋の中でマターリしている辻とあいぼん・・・すると
『キャーーーーーーーーーーーー』
『いゃーーーーーーーーーーーー』
辻「なんか・・・ひめいがきこえたのれす!!」
Д<「まさか・・・敵かいな!行くで!!」

辻とあいぼんは外へ飛び出した。
二人が見たものは・・・

ぐったり倒れている矢口とナッチー。
辻「やぐちさん、どうしたのれすか?」
Д<「うぅ、酒くさいで」

矢口「ゆ・・・ゆ・・・危ない・・・逃げろ・・・ガクッ」
矢口は再び気を失った。

Д<「なんか・・・嫌な予感がするけど・・・」

すると再び、『キャーーーーーーーーーーーー
と、雪崩が起きそうな強烈な悲鳴が聞こえた。

辻「・・・」
Д<「・・・」
辻「りかちゃんれす!!」

辻とあいぼんが悲鳴のするほうへ駆けつけると・・・。

石川「キャーーキャーーキャーー
中澤「自分何やねん、そのピンクのスーツは!!可愛すぎるねん!!」
石川「キャーーキャーーキャーー
中澤「その声もたまらんわ!!」

辻「・・・」
Д<「・・・」
保田「ったく、せっかく修行の成果を見ようと思ったのに!」

この追いかけっこはしばらく続いたが・・・
正気に戻った中澤はまったく覚えていなかったという。

保田「・・・つまり、裕ちゃんが酔っ払うと、全ての能力があがるってわけね」
石川「・・・でも、敵味方の見境無く・・・」
保田「・・・やられちゃうわね」
石川「そういえば、お師匠様はやられてませんね(ぼそっ)」
保田「失礼しちゃうわね!!」


それから数時間後
中澤「・・・・・頭いたぁ・・・・」
保田「あ、正気に戻ったわね。大丈夫?」
中澤「んん・・・・ちょっとつらいけど、大丈夫や・・・って、圭坊、今何時?」
保田「え?夜の8時だけど?どうかしたの?」
中澤「あかん!!急がな!!」
中澤は部屋を飛び出していった。
保田「え?待ち合わせでもあるの?・・・って、行っちゃった・・・」

牧場近くの森の中

平家「う〜さぶ。裕ちゃんいつまで待たせんねん。約束は6時やったのに・・・ぶつぶつ」
中澤「ああ〜みっちゃん、堪忍や!!」
平家「ふう、やっと来おった・・・遅いわ!!何してたん!?」
中澤「えっと・・・まあ、いろいろあって・・・」

平家「全く酷い話やで。あんたに言われてボンバーの秘密を探らされて・・・そのうえこんな・・・」
中澤「ああ、みっちゃん、ほんま堪忍や。ウチはあんたの忍者としての技量を見込んで・・・」
平家「まあ、ええわ。裕ちゃん等を助ける事は、世界を助ける事やさかいに。」
中澤「・・・・・それで・・・・例の物は・・・・」
平家「・・・・・持ってきたで。これをまた使うちゅうことは・・・」
中澤「もう、本気でやらなあかんちゅうことや。
   今使ってるなまくら刀じゃ、ウチのメンバーでは足手まといになってしまう。
   なんせ、伝説のバトルマスターよっすぃーまでいるからな。」
平家「そやな。で、これや。」
そういうと平家は、近くの木の上に飛び上がり、一本の太刀を中澤に手渡した。
刃渡りは2メートル近くあり、日本刀というには大きく、長すぎる豪刀である。
中澤「・・・・・こいつを持つのも、久し振りやな」
平家「一文字流免許皆伝、中澤裕子復活やな・・・」
中澤「・・・・・あとは、酒さえあれば、敵はおらんで!」
平家「ちょお!お酒はやめえや!あんた酔っぱらっとる時は強いけど・・・
   とにかく、お酒だけはやめてえな。逆に迷惑になるで、ほんまに。」
中澤「そうかなあ、酒飲むと、ウチごっつ強くなるんやけど」
平家「強くなるにしても問題外や・・・さて、ウチはもう行くわ」
中澤「みっちゃん・・・おおきに。」
平家「・・・・・また何かわかったら報告するわ・・・へっくしょん!」

そういうと平家は森の中に消えていった。

牧場で。

保田「あ、裕ちゃん帰ってきた。どこに行ってたの?」
中澤「ああ、ちょっと。」
ナッチ−「!?なんだべ!?その刀?なまらでっかいべ!!」
石川「力持ちのナッチーさん用の刀ですか?」
中澤「いや、ウチのや。」

よっすぃー「・・・・!!それは・・・備前国友安造合戦用斬馬刀!!
      中澤さん・・・あなた・・・」
中澤「お、流石よっすぃー。刀には詳しいな。でもウチも貰い物だからわからんのよ」
よっすぃー「そ、そうですか・・・まさか中澤さんは・・・」
中澤「あ(焦)、ああ、そうや、矢口おるか?矢口!」
よっすぃー「(・・・中澤さんって・・・)」

矢口「げ!ゆーこ!!」
中澤「ん?どうしたんそんな顔して・・・」
矢口は中澤の顔を見ると涙ぐんで部屋から出ていってしまった。
中澤「なんやねん!ウチなんか悪い事したんか?」
辻「・・・・・れいぷみたいなものれすからね」
Д<「矢口はん、案外打たれ弱いんやな。意外や」

中澤「(・・・やばいやばい。よっすぃーはウチの正体に気付いてる。)」

中澤「そういえばよっすぃー、いつ戻ってきたんや?」
保田「そうね。いつもならもっと遅くまで修行してるのに」
よっすぃー「ちょっと前ですよ。飯田さんがノビちゃったんで戻ってきました」
保田「ふ〜ん、それで圭織はもう厩舎で休んでるってわけね」
よっすぃー「そういうことです。…あ、それじゃあ私も失礼します」
よっすぃーはその場を去った。

ナッチー「圭織がノビるほどの修行をしたんだべか」
辻「たいへんなしゅぎょうだったんれすね」
保田「…ねぇ裕ちゃん、あっちって厩舎のある方向じゃないよね?」
保田はよっすぃーの歩いていった方向を指差して言った。
中澤「そらそうや。あっちにある建物言うたら牧草小屋だけやで?」
保田「そうよね、ありがと…」
そう言って保田はよっすぃーの歩いていった方向に向かった。
Д<「なんや、あの人。よくわからんなぁ」
ナッチー「圭ちゃんのことはいいから、早く飯にするべ。で、裕ちゃんはどうするべ?」
中澤「ああ、うちは軽く運動してから戻るわ。さき行っててや」
ナッチー「わかったべ」
ナッチー達は厩舎に向かっていった。

中澤「さあて…。久々やけどよろしく頼むで、相棒」
中澤は刀を持って、一人で修行を始めた。


よっすぃーは牧草小屋に一人で居た。いや、正しくは二人だろう。
よっすぃーは自分の中のもうひとつの人格『吉澤』と会話をしていた。

よっすぃー「だから…私達は共闘できないの?」
吉澤「(しつこい…。私はお前の戦い方に共感できない。だから共闘なんて不可能)」
よっすぃー「戦うこと自体は楽しいんでしょ?だったら、お互いに戦いを…」
吉澤「(戦うことは殺すことへの布石。違うと言うのか?)」
よっすぃー「違う!あんたは戦うことだけを純粋に楽しめないの!?」
吉澤「(奇麗事を並べても同じだ、お前も刀を持っている限りは命を懸けあいをしているんだ)」
よっすぃー「だからと言って殺すことだけを目的にするなんて…!」
吉澤「(殺さなければ殺される、それは常識だ。現にあのハワイ女との戦い…)」
よっすぃー「…どうしたの?急に黙って」
吉澤「(…前を見てみろ)」
よっすぃー「前を……! や、保田さん!」
保田「へぇ、それがあんたなりの答えってやつね。いいじゃない」
よっすぃー「…はい…。でも思ったようにはいかないです」
保田「そりゃそうね、強情な子だから…。で、悪いけど吉澤に代わってくれない?」
よっすぃー「えっ!?」
保田「あの子とはゆっくり話したことがないからさ…。お願いできる?」
よっすぃー「いいですけど…。気をつけて下さいね?」
保田「わかってるわよ」
よっすぃー「(…出て来て)」
よっすぃーがうつむくと、その瞬間周りの空気が一変した!
保田「ご登場ね…」
吉澤はゆっくりと顔を上げた。
吉澤「お久しぶり、保田さん」

保田「久しぶりね、何年ぶりなのかしら」
吉澤「…で、なんでわざわざ私を起こしたの?」
保田「あのさぁ、あんた…。まだ恐がってるの?」
それを聞いて吉澤は表情を曇らせた。
吉澤「恐がってる…?」
保田「あんたは殺すのが楽しいんじゃなくて殺されるのが恐い。だから相手を殺す。
    戦うことが殺すことの布石なんじゃなくて、恐怖を消すために殺す。違う?」
吉澤「…あんた、死にたいの?」
保田「図星でしょ?恐怖から逃げる方法が見つからないからあんたは人を…」

保田が言葉を続けようとした時、吉澤は保田に向かって刀を抜いていた!
しかし保田は同時に飛び退き吉澤の居合いを回避していた。

吉澤「続けるな、殺すぞ…!」
保田「やっぱり…。抜刀にキレがなかったわよ。恐怖心がないとまともに刀は振れない?」
吉澤「黙れ!」
保田「あんたは自分のことを『無人島に居たときの吉澤の意志』と思ってるみたいだけど、違うわ。
    もしそうだとしたら、あんたはよっすぃーから体を奪った途端に見境なく人を殺すはず。
    よっすぃー自身は気付いていないけど、あんたはよっすぃーの持つ恐怖心の塊。
    それは命を失う恐怖。それを逆に殺すことで解消する。余計に本体のよっすぃーはあんたを恐れる。
    そのサイクルが続いているから、あんたは半永久的に恐怖心と戦わなければいけない。
    …こんなところでしょ、吉澤さん?」
吉澤「…」
保田「あんたとよっすぃーの両方が納得できる道、それは共闘しかないんじゃないかな。
    でないと例のサイクルが続いて、本当に殺人狂になるわよ、あんた」
吉澤「…うるさい!私は私の思ったようにやる!誰にも口出しはされない!」
吉澤はそう言って深くうつむいた。同時に、また周りの空気が一変した。

よっすぃー「…あ、保田さん…。どうでしたか?彼女と話してみて」
保田「ああ…、あんたはあっちの話を何故か聞けないのよね。まぁ結局ダメだったわ。
   あそこまで強情だと私もまいっちゃうわよ」
よっすぃー「そうですか…。でも、ありがとうございます。また話し合ってみます」
保田「そう…。頑張ってね」
よっすぃー「はい。…それじゃあ今日はもう寝ることにします。明日も早いので」
保田「思えば圭織の修行してるのよね。それじゃ早めに寝た方がいいわよ」
よっすぃー「わかりました、じゃあおやすみなさい…」
保田「うん、おやすみ」
よっすぃーは厩舎に戻っていった。
保田「(よっすぃー、これはあんたの問題。正面から自分自身にぶつかって、本当の答えを出して。
    そして『もう一人の自分』を助けてあげて…)」
保田も厩舎にゆっくりと向かっていった。