シバタ「ふう、酷い目にあったわ。まあ、いいわ、おやつにしようっと」
シバタはベーグルサンド@ゆで卵を取り出した!
シバタ「いただきまーす!」
その瞬間、小さな影がシバタの目の前を横切った!!
シバタの手からベーグルサンドはなくなっていた!!
シバタ「え〜ん!一体誰よ?何であたしばっかりこんな目に遭うの〜(泣)」
近くの木の上では、件のリスが頬袋を膨らませ、ベーグルサンドを食べていた。
ナッチー「ん?食べ物の匂いがするべ!!ベーグルサンド!!」
保田「そーいえば、よっすぃーはベーグルが大好物だったっけ・・・まさか!
ナッチー、その匂いどこから・・・あ・・・」
ナッチーは保田が言い終わるより早く、「匂い」目指して走っていった。
辻「おっかけるのれす!!」
勇者飯田「カオリが主役なのに・・・」
4人が駆けつけると、そこには妖精シバタの姿があった。なにやら木の上に向かって叫んでいる。
シバタ「返してよー!私のべーグルサンド〜!」
辻「あ、さっきの妖精さんれす」
ナッチー「ところで、べーグルサンドはどこだべ?」
シバタ「あの木の上にいるリスが盗ったんです〜(泣)」
シバタの指した指の先にはべーグルサンドを頬張っているリスの姿があった。
保田「あのリス、やっぱり…」
保田は懐からプッチペンダントを取り出すと、リスに向かって投げつけた。
保田「よっすぃー、これを首にかけて!」
リスは見事にそれをキャッチし、首にかけた。
辻「リスのこうどうじゃないれす…」
保田「あれで元に戻るといいんだけどね」
しかし、リスに変化はなかった…。
保田「やっぱりペンダントだけじゃ戻らないのかしら…」
だが次の瞬間、5人の視界からリスの姿が消えた!
勇者飯田「よっすぃー消えちゃったよ!」
ナッチー「でもべーグルサンドの匂いは消えてないべ」
シバタ「あ、皆さん後ろを見てください!」
一同が後ろを振り返ると、いつのまにかそこにリスが立っていた。
リス「久しぶりですね、保田さん」
保田「よっすぃー、喋れたの?」
よっすぃー「いえ、ペンダントの力のお陰で喋れてるんですよ」
保田「そうなの、今まで喋れなくて大変だったのね…」
よっすぃー「保田さんもまだ呪いが解けてないんですね。大丈夫ですか?」
保田「呪いは解けてるっつーの!なんで皆飽きもせずに言ってくるのよ!」
よっすぃー「ははは、冗談ですよ〜」
保田との積もる話(?)を終えると、よっすぃーは飯田に目を向けた。
よっすぃー「あなたが…勇者さん?」
勇者飯田「そうだよ、カオリは勇者。前の勇者さんがよっすぃーに会えって言ったから会いに来たの」
よっすぃーは一瞬考えるような表情をすると、飯田に言った。
よっすぃー「わかりました。つまりさやかさんはあなたを鍛えろっていうメッセージを残したわけですね」
勇者飯田「うん、そうだと思う。カオリまだ上手に剣使えないもん」
保田「でもよっすぃー、リスのままじゃ剣持てないでしょ?」
よっすぃー「一応リス化の呪いを解く薬の作り方はわかりますよ。ただ喋れなかったし
リスだったので材料が集らなくて困ってたんです…」
保田「薬の材料わかるの?だったら元に戻るのも難しくないわね」
よっすぃー「材料は確か…」
よっすぃーは一同に薬の材料を伝えた。
辻「ええと、じゃがいもにぎゅうにゅうに・・・」
ナッチー「ジンギスカンに…って、牧場にあるものばっかりだべ!」
勇者飯田「これって、薬なの…?」
保田「…とりあえず一度牧場に戻りましょうか。他の皆はおいてきちゃったし…」
4人と一匹はひとまず牧場へ戻ることにした。
シバタ「わたしのべーグルサンド…。皆忘れてる…」
一方、牧場。仕事を終えた矢口達がぐったりしていた。
矢口「だーっ疲れた!もう動けないよ〜!」
中澤「この歳にこの仕事は辛いわ…」
Д<ホンマむちゃくちゃにこき使いよるな。お客さんが神様やとか言ってへんかったか?
石川「でも食事がただならいいんじゃないですか〜?」
ごま「zzz…(疲労により睡眠中)」
全員で話していると、ヨシターケがやってきた。
ヨシターケ「お疲れさん、とりあえず食事だ。たっぷり食え」
案の定全員が飛び起きた。
矢口「よっしゃ〜!」
中澤「やっとビールが飲めるで…」
わいわいと騒いで食事を始める4人。しかし、ごまだけは食事を摂っていなかった。
石川「あれ?ごま食べないの?」
Д<なんや、食わんのならもらうで。
ごま(この気配は…ご飯。それと、この懐かしい感じは…)
その時、牧場を抜けていた他のメンバーが戻ってきた。
勇者飯田「ただいま〜!」
矢口「ただいまじゃねぇ〜よ!すごく疲れたんだぞ!」
石川「一体今までどこに…って、そのリスは?」
中澤「森で迷ってたうちらを助けてくれたリスやんか」
保田「あ、皆に紹介しておくわね。私の肩に乗ってるこのリスがバトルマスターよっすぃー」
よっすぃー「どうも、初めまして皆さん」
中澤「やっぱりこのリスがそうだったんか…。気配が普通の動物と違ってたで」
そう中澤が話した瞬間、いきなりよっすぃーに向かってごまが飛び込んできた!
ごま「きゅ〜ん!きゅ〜ん!(よっすぃー!よっすぃー!)」
しかし、ごまのタックルを喰らったのはよっすぃーではなく保田だった。
保田「何するのよ!」
ごま「きゅ〜ん…?きゅっきゅきゅ〜…(あれ…?さっきまでいたのに…」
勇者飯田「あれ、よっすぃーいつの間に?」
よっすぃーは瞬時に勇者飯田の肩の上に避難していた。
よっすぃー「あ、今のタックル…もしかしてごま!?」
ごま「きゅきゅん、きゅっきゅ〜。(そうだよ、よっすい〜)」
よっすぃー「見るからに重度の呪い…。苦労してるんだね」
ごま「きゅ〜んきゅきゅ(よっすぃーもね)」
石川「人の言葉を喋るリスとただのアザラシが会話してる…」
保田「よっすぃーは野生で身に付けたのかしら、アザラシの言葉」
中澤「森にアザラシはまずおらへんて」
勇者飯田「そうだ!皆が今食べてるものを少しずつわけてほしいの」
Д<仕事しとらんのに何言ってんねん。
辻「よっすぃーをにんげんにもどすのにひつようなのれす」
保田「そういうことなの、お願いできる?」
矢口「おう、わかったよ。そういうことなら…。ほら、じゃがバター」
中澤「うちはチーズと酒やな」
石川「わたしはバターコーンを…」
Д<しかたあらへんなぁ・・・。ほれ、ジンギスカンや。
勇者飯田「よっすぃー、どう?こんなもんでいいのかな」
よっすぃー「そぅとぅOKですよ。ありがとうございます」
保田「じゃあ調合に入りましょうか。でも調合法がわからないわね…」
よっすぃー「それもちゃんとわかってますよ」
ごま「きゅきゅ〜ん、きゅ〜ん(私も知ってるよ〜)」
中澤「それってリス化解除の薬なんか?だったらうちにもわかるで」
保田「あら、実は博識なのね」
中澤「伊達に長いこと生きとらんわ」
勇者飯田「じゃあ薬の調合は3人に任せるとして、カオリ達はどうしよう」
よっすぃー「休んでてくれて結構ですよ。それほど難しい作業ではないですから」
矢口「じゃあとりあえずおいら達は飯を食おうか」
ナッチー「じゃがバターなかなかいけるべさ」
矢口「あ、こらナッチー!おいらのじゃがバターだぞ!」
石川「まあまあ矢口さん、私達は仲間じゃないですか〜」
勇者飯田(……。嫌な予感がする…)
場所は変わって、牧場の近くの巨木のてっぺん。
???「あそこの牧場ね…。ユキ、準備はできてる?」
??「ええ、できてますよ。でも千夏さん、動物で奇襲をかけるなんてちょっと…」
千夏「ん?卑怯だって言うの?」
ユキ「いえ、ただ動物で人を襲わせるっていうことに抵抗があって…」
千夏「一応私達は魔王の手下なんだから我慢しなさい。ほら、『鳴きウサのユキ』の力を見せてちょうだい。
ユキ「わかりました…。我が声を聞きし動物達よ、我と共に鳴け!ラビットナンバーワン!」
ふと、よっすぃーがプッチペンダントを落とした。
石川「あら、よっすぃーさん、プッチペンダント落としましたよ・・・」
プッチペンダントを拾った石川。中の写真を見る。
石川「(・・・・・可愛い)」
保田「石川、早くよっすぃーにペンダントかけてあげなさい。喋れないままよ」
石川「え、そうだったんですか?最初に言って下さいよ〜」
保田「何のためにリス状態でペンダントかけてると思ってたのよ…」
石川はよっすぃーの首にプッチペンダントをかけた。
よっすぃー「ふう、ちょっと焦りました。あ、拾ってくれてありがとう」
石川「そ、そんなこと…」
Д<何を赤くなっとるんや…。
中澤「なあよっすぃー、ここの調合はどんな風にしたらええの?」
よっすぃー「えっと、そこはですね…」
その時、急にりんねとあさみが部屋に飛び込んできた!
りんね「た、大変です!」
辻「どうしたんれすか?」
あさみ「牧場の動物達が急に暴れだしたんです!」
りんね「普段はおとなしい子達なのに…」
保田「突然ね…。じゃあそうなった原因とかはわかる?」
りんね「全くわかりません…。今はヨシターケ様が食い止めてくれているみたいです」
矢口「一人であんなに多くの動物の暴動を食い止めるなんて無茶な…」
勇者飯田「ここにいても意味がないから、みんなで動物を止めに行こう!」
保田「それなら薬の調合役の3人はここに残っていたほうがいいわね」
ごま「きゅ〜ん?(なんで〜?)」
保田「全ての動物の原因不明の暴動でしょ?動物達を食い止める時に下手をしたら
薬の材料がなくなるわよ。ここにある材料だって最低限の量なんだから…」
中澤「そうやな、それならウチらはここに残ってるわ」
勇者飯田「それじゃあ行こう!りんね、あさみ、案内して!」
よっすぃー、ごま、中澤を残して、一行は動物の暴動が起こっているという場所へ向かった。
りんね「ここを出てすぐのところです、急いでください!」
りんねは外へ出る扉を開けた!
あさみ「ここでヨシターケ様が…あっ!」
次の瞬間、一行の前には倒れたヨシターケと多くの動物、そして2人の女性の姿があった。
千夏「意外と早く出てきたわね、勇者さん」
保田「あなた達は…魔王の手先ね?」
ユキ「そうです。荒っぽいことは嫌いなんですけど、命令だから仕方ないんです」
矢口「じゃあ動物達を操ったのも…」
千夏「そういうこと、でも動物の操作はこの子が全てやってるんだけどね」
勇者飯田「今すぐ止めさせてやる!行くぞー!」
勇者飯田は剣を手に取った!
千夏「そっちこそ止めた方がいいわよ。ここには罪のない動物達だっているんだから」
勇者飯田「あ、そうか…」
勇者飯田は剣を収めた。
ユキ「まずは私からお相手します。鳴きウサのユキの力、とくとご覧あれ!」
Д<ババくっさいセリフやなー。さすが演歌歌手や。
いきなりユキに50のダメージ!
ユキ「ほ・・・ほっといて下さい!では行きますよ!」
ユキ「我が声を聞きし動物達よ、我と共に鳴け!」
その声と同時に馬が飛び掛ってきた!
矢口「させるかっ、アチャー!」
矢口は飛び蹴りを放った!馬に35のダメージ!
しかしなお馬はつっこんできて体当たりをかました!矢口に25のダメージ!
矢口「いってぇ〜…。普通の馬ならこの飛び蹴りで決まるのに…」
ユキ「操作されている動物は簡単にはやられませんからね、気を付けて下さい」
保田「喰らえ、衝撃波!」
保田はユキに向かって衝撃波を放った!
ユキ「え…?」
衝撃波はユキに直撃した!ユキに120のダメージ!
保田「やったかしら…?」
しかしユキは衝撃波が直撃したにもかかわらず、すぐに立ち上がった!
ユキ「私の忍耐力をなめちゃいけませんよ!」
保田「さすが演歌歌手…。忍耐力だけは並じゃないわね」
ユキ「我が声を聞きし動物達よ!我と共に鳴け!」
しかし、何も起こらなかった…。
辻「これはしっぱいれすか?」
Д<なんや、もう魔力切れなんか?
ユキ「……来た」
ユキがそう言ったとき、一同の背後に大きな熊が立っていた!
保田「ちょっと…熊なんてあり?」
勇者飯田「ううん、これは野生の熊かー。剣で攻撃していいのかな、それとも…」
考えている勇者飯田の前で熊は手を振りおろした!
辻「あぶないのれす!」
勇者飯田「あ…」
しかし、勇者飯田にダメージはなかった。
勇者飯田「……あれ?熊の攻撃が当たってない…」
勇者飯田が前を見ると、そこにはベアクローを受け止めたナッチーが立っていた!
ナッチー「熊…。食ったことないけどうまそうだべ。絶対に食ってやるべ!」
ナッチーは熊と1対1の格闘を始めた!
ユキ「そんな…。こんな人がいたなんて聞いてない…」
熊相手に互角以上の戦いを繰り広げるナッチー。
辻「きんたろうさんれす・・・」
Д<「伝説の再来やな・・・」
ナッチー「おとなしくナッチーの胃に入るべ!!うりゃ!!」
ナッチーは熊に強烈なボディブローをお見舞いした!
思わず前屈みになる熊。
そこですかさず懐に入り熊の腕を掴むと、
やおら熊を一本背負い投げでぶん投げた!!
泡を吹いて気絶する巨熊。
ナッチー「ふう・・・良い運動になったべ。」
石川「凄い!ナッチーさんは格闘センスも抜群なんですね!!
まるでお相撲・・・フガフガ」
全てを言い終わる前に口を塞がれる石川。
保田「余計な事言うんじゃないわよ!!」
Д<「自分、何気にウチよりも毒舌やな・・・」
ユキ「な・・・なんてこと!?まさか熊が負けるなんて・・・」
保田「(そうだ・・・石川の天然毒舌、使えるかも・・・)
石川、あんた、吹雪が使えるんだったわよね。」
石川「はい、この吹雪の杖を使えば・・・」
保田「ちょっと、はぐれあいぼんとトークして。」
石川「トークですか?おしゃべりしていいんですか?やった!」
Д<「・・・ウチに変な役やらせんといてや・・・」
石川「ミニポポトーク!!」
Д<「・・・かったるいわ〜」
石川「そんなこといわないでよ〜。キティちゃ〜ん!」
周辺の気温が3度下がった!
保田「・・・この調子ね。あとはちょっと私の魔力を足してあげれば・・・」
辺りの温度がみるみる下がっていく!
石川「ねえ、ちょっと寒くなってきてない?」
Д<「・・・ガチガチ・・・やりすぎやわ・・・」
あたりは一面の銀世界に変わり、動物達はすべて凍えて動けない!
保田「ここまで強力な寒さ・・・何気に最強かも・・・ガチガチ」
千夏「何だ、こんなことができるやつがいるなんて、聞いてないぞ!」
ユキ「動物達、寒さで弱ってる・・・」
千夏「ええい、根性のない奴らめ!」
千夏は動けない馬に蹴りを入れた!
ユキ「やめてください!動物達に罪はありません!!」
千夏「うるさい!勝てなければ、我々はリストラされるんだぞ!」
ユキ「でも・・・」
保田「そこのあんた、さっきから口ばっかりで何にもしてないわね。」
辻「そういえばそうれす。あのおねいさん、なんにもしてないれす!」
ナッチー「働かざるもの食うべからずだべ。」
千夏「ぐっ・・・私だって、戦闘くらいできるわよっ!!」
千夏の攻撃!保田はすばやくかわした!
辻「へろへろれす・・・」
保田「仕方ないわね。衝撃波!!」
保田の衝撃波!!千夏に150のダメージ!!
千夏をやっつけた!!
千夏「・・・リ、リストラされる・・・」
保田「そこのあんたは?かかってくる?」
ユキ「・・・私達の負けです・・・好きにしてください」
保田「あら、往生際がいいのね。みんな、どうする?」
矢口「別に〜。うらみがあるわけでもないし」
りんね「動物達さえ元に戻してくれれば・・・」
あさみ「あとヨシターケ様も・・・」
石川「ヨシターケさんのケガは治せますよ!」
石川はベホイミをとなえた。ヨシターケのキズが回復した!
ヨシターケ「あたたた・・・氏ーぬかと思ったべや。」
ユキ「すいませんでした、命令とはいえとんでもないこと・・・」
ヨシターケ「まあ、しょうがないべ。許してやるべ。」
辻「おおらかなのれす・・・」
ナッチー「北国の人間はおおらかだべ。大食いだべ。」
Д<「大食いはナッチーだけやと思うけどな・・・」
ナッチー「とりあえず、晴れろだべ!!」
ナッチーは雲を吹き飛ばした。太陽の光であたりの雪は融けだした!!
ユキ「これで、動物達も元通りです・・・」
勇者飯田「ねえ、これからどうするの?」
ユキ「負けてしまった私達はリストラです・・・行くところがありません・・・」
勇者飯田「そっか・・・」
ヨシターケ「なあ、俺の知ーり合いのところさ行がねえか?
俺の知り合いのイツーキってやつが歌手ば探してんだげど、
おめえさならピッタリだべ。」
ユキ「・・・本当にいいんですか?」
ヨシターケ「イツーキには俺が話ばつけとっからさ。」
ユキ「・・・ありがとうございます・・・」
千夏「・・・リストラは私だけ・・・そんな・・・」
千夏「そんなこと…させるもんですか!」
千夏は近くにいた辻を捕らえてナイフをつきつけた!
辻「ひ〜、たすけて〜なのれす」
保田「全く往生際の悪い奴ね…」
矢口「でも、これってやばい状況だよな」
千夏「もう後がない…もう後がない…」
Д<逝っとるわ、やばいで。
保田「下手に刺激したら辻が危ないわ。かといってこのままじゃ逃げられる…」
勇者飯田「ほら、落ち着いてよ〜。ねえ笑って?」
千夏「うるさい!私にはもう後がない、こうするしか…」
矢口「説得は無理か、これは本当にやばいぞ」
石川「こんなときに正義のヒーローなんかが来てくれたら…」
その時、勇者飯田達の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた!
???「千夏さんでしたっけ?もう止めたほうがいいですよ」
勇者飯田「この声はよっす…あれ?あなた誰?」
保田「よっすぃーの本当の姿よ、どうやら薬作りは成功したみたいね」
よっすぃー「ええ、見ての通り人間に戻りましたよ」
石川「ペンダントの中の顔と同じ…。可愛い」
勇者飯田「そうだ、裕ちゃんとごまは?」
よっすぃー「二人とも疲れて休んでます。私は人間に戻ったことで疲れが消えちゃいました」
Д<それはそうと、今はやばい状況やで。
千夏は辻の首にナイフをつきつけたままぶつぶつとつぶやいている。
千夏「後がない…後が…」
よっすぃー「だから来たんですよ。とりあえずここは私に任せてください」
よっすぃーは千夏にゆっくりと歩み寄った。千夏ははっとして叫んだ!
千夏「それ以上近づくな!近づいたらこいつを…」
よっすぃー「ええ、この距離で十分です」
そう言ってよっすぃーは腰に提げてある刀に手を近づけた。
次の瞬間、金属音と共に千夏の持っていたナイフは空高く舞い上がった!
それと同時によっすぃーの脇には辻が抱えられていた。
よっすぃー「飯田さん、今です!」
勇者飯田「え?あ、わかった!」
勇者飯田は剣を振りかざした、衝撃がほとばしる!
千夏に200のダメージ!千夏は意識をなくした!
矢口「やっと終った…」
ナッチー「よくわからなかったけど、長かったべ」
保田「さすがね、よっすぃー。『青春刀』の切れ味が落ちてないみたいで安心したわ」
よっすぃー「ええ、久しぶりに刀を持ったから自身なかったんですけどね…」
勇者飯田「そうだよっすぃー、さっき何をしたの?ナイフを飛ばしてたけど」
よっすぃー「居合い抜きですよ、見えなかったんですか?」
勇者飯田「そうだったの?全然見えなかったよー」
辻「つじにもさっぱりだったのれす。いきなりかかえられてたのれす」
保田「まあこのメンバーであれが見えるのは恐らく私とごまと裕ちゃんだけね…」
よっすぃー「それはともかく、これで一件落着ですね」
石川「そうですね。これからどうしますか?」
勇者飯田「カオリは、もう少し牧場に残ってから出発したほうがいいと思う」
保田「私もそれに賛成ね。理由はどうあれ牧場をボロボロにしちゃったし…」
矢口「それじゃヨシターケさん、もうちょっとの間よろしくな!」
ヨシターケ「すまんなぁ、感謝の言葉もねぇよー…」
よっすぃー「じゃあ飯田さん、明日から私たちは剣術の修行をしますよ」
勇者飯田「あ、忘れてた。そういえばそれが目的だったね」
よっすぃー「ということで、今日はもう休みましょう」
中澤「はあ、寝てて出番逃すなんて思ってへんかったわ…」
ごま「きゅ〜ん(私みたいだね)」
一夜明けて・・・
一行は牧場に留まり、再建の手伝いをしていた。
そんな中、勇者飯田とよっすぃーは・・・
よっすぃー「ほら!振りが大きすぎますよ!」バチン!
勇者飯田「痛った〜・・・よっすぃー、手加減してよ〜」
よっすぃー「ダメです!そんなことでは魔王は倒せませんよ!」
竹刀を使って剣術の稽古をしていた。
保田「ようやくメンバーはそろったけど・・・これからどうすれば・・・」
ごま「きゅきゅ〜ん?(ねえ、あたしも元に戻らなきゃダメ?)」
保田「当たり前じゃない!!でも・・・呪いの解除法が分からないわね・・・」
ごま「きゅーん・・・(よっすぃーも知らないって言ってたし・・・)」
休憩中・・・ベーグルを頬張りながら
よっすぃー「その剣は、勇者の剣ですか?」
勇者飯田「そうだよ。カオリの剣。」
よっすぃー「おかしいですねえ・・・さやか様の持っていた剣とは、
微妙に形が違うんですよ・・・ちょっと見せてもらっていいですか?」
よっすぃーは勇者の剣を調べた!
よっすぃー「・・・間違いなく勇者の剣です。でも、こんなところに宝石はついてなかった・・・」
よく見ると、剣の柄の部分に巨大な青い宝石がくっついている。
勇者飯田「そうなんだ。カオリぜんぜん気がつかなかった」
よっすぃー「すごくキレイな宝石ですね・・・嘘・・・」
なんと、宝石には二人の少女の姿が映し出されている!
よっすぃー「これは・・・ごま・・・それにさやか様!!!」
勇者飯田「???ごまって、あのアザラシの?」
よっすぃー「知らなかったんですか?ごまは私達の仲間の大魔導士ですよ。
一ヶ月に一回だけ呪いが解けるんです。」
勇者飯田「嘘・・・」
しばらくして・・・
保田「へえ、灯台元暗しってやつね」
ごま「・・・きゅーん(・・・さやか様)」
勇者飯田「でもー、どうやって呪いを解くの?」
よっすぃー「わかりません・・・」
ヨシターケ「うお〜い、ご飯にするべ〜・・・ん?なした?深刻な顔しで」
一行は事情を説明した・・・
ヨシターケ「よぐわがんねえけど大変だな・・・そだ、銀杏の仙人のとこさ行ってみれ。
こっから東に行ったところに、でっけえ銀杏の木があっでよ。そこにいる仙人さんは
何でも教えてくれるって評判だべ。」
ヨシターケ「それと、昨日オレの怪我治してくれたねえちゃん」
石川「はい?私ですか?」
ヨシターケ「あの戦いをオレもぼんやりとだが見てた。
おめえはもっと強くなる素質がある。
銀杏の仙人の木の近くに『彩』というねえちゃんが住んでる。
ついでに行ってみるどいい。」
石川「『彩さん』ですか・・・?わかりました。有り難うございます」
勇者飯田「彩・・・なんかカオリ、その人知ってる気がする・・・」
中澤「なんにしても、銀杏仙人とやらのとこには行かなければならへんし
ついでにそこも寄ってみよか。」
矢口「この調子で行けば、魔王なんて楽勝かもね!キャハ!」
吉澤「はい。正直言って、現在のパーティでも、魔王と十分戦えると思います。
でも・・・」
Д<「でも?なんやねん。ハッキリ言ってーな」
吉澤「呪いをかけられていただけに感じるんです。
もしかして、魔王よりも・・・」
保田「やっぱりアンタもそう思ってたんだ。魔王の復活自体解せない部分が多いしね。」
ごま「きゅきゅ、きゅ〜ん。(じゃあ、まさか・・・)」
つじ「なんなのれすか?つじにはまったくりかいれきません」
保田「そうね。そろそろ、私達がどうして呪いをかけられていたのか、
そして勇者さやかが消えたのかを話さないといけないわね。」
吉澤「私達4人が、3年前倒した魔王『つんく』こいつは邪神の復活を目論んでいました。
魔王は魔界とこの世界とを繋ぐ『穴』をつくりだそうとしていました。」
つじ「もし、そうなってたらどうなるんれすか?」
保田「この世の終わりよ。魔界には魔王なんて比べ物にならないやつらがうじゃうじゃしてるわ。
そんなのが一気に攻め込んでくるわ。」
中澤「でも、そうなる前にアンタらが魔王を倒したんやろ?一件落着やんか」
吉澤「いえ。私達にかなわないと悟った魔王は、
まだ不完全ではありましたが『穴』を開いたのです」
保田「その穴からは、次々に強力な魔物が出てきた。私達は必死に戦ったわ。
でも、いくら倒しても倒してもきりがなかった。」
ゴマ「・・・・・」
吉澤「そこで、私達は自分の力とひきかえにその穴を閉じようとしたのです。」
〜〜〜3年前〜〜〜
ゴマ「もう!いくら倒しても・・・」
保田「弱音はいてる暇はないわよ!」
よっすぃー「不完全な穴だから何とか私達でも倒せる奴等なのが不幸中の幸いですね」
ゴマ「でもこれじゃきりがないわ。なんとかしなくちゃ」
勇者さやか「・・・ねえ、みんな・・・お願いがあるの・・・」
保田「・・・分かってるわよ。水臭いわね。」
よっすぃー「もう、覚悟は出来てます。」
ゴマ「さやか様となら、私、なんでもできる!」
4人は全ての力を『穴』に向かって放出した!!
少しづつ閉じていく『穴』・・・
保田「・・・なんとかなりそうね・・・」
よっすぃー「私達だって死にたくはありませんもの!」
ゴマ「でも・・・ちょっと・・・キツイかな・・・」
その時、生き絶えたかと思っていた魔王が・・・
魔王つんく「ヒヒヒ・・・そうはさせるか・・・」
『穴』を閉じるのに全神経を集中させている4人は、魔王の攻撃を避けられない!
保田「畜生!あと少しなのに!!」
よっすぃー「ち・・・力が・・・」
薄れていく意識の中、3人が見たものは口元に笑みを浮かべながら息絶えた魔王。
そして、勇者さやかの姿だった・・・
勇者さやか「えへへ、最後にドジっちゃったね。
まあ、ここはリーダーであるこの私、市井さやかがなんとかしますんで・・・」
保田「・・・馬鹿言ってんじゃないわよ・・・私達は・・・」
よっすぃー「・・・1人だけカッコつけるなん・・て・・ずるい・・・です・・・」
ゴマ「嫌・・・さやか様・・・やだよう・・・」
勇者さやか「じゃあね。皆と一緒で、楽しかったよ!」
〜現在〜
保田「こうして私達の意識が戻った時には、
3人は世界のどっかに吹っ飛ばされて・・・」
吉澤「しかも、魔王の攻撃で姿を変えられていたってわけです」
ゴマ「・・・・・」
勇者飯田「・・・凄い人だったんだ、前の勇者さんは」
つじ「かんどうしてしまったのれす」
中澤「実力も、精神も、ホンモノの勇者やったんなあ・・・
でも、カオリの剣の時に、その勇者さやかの声が聞こえたっちゅうことは」
矢口「世界のどっかに、勇者さやかはまだ生きてるってことじゃん!キャハ!!」
石川「でも、話を最初に戻すと、魔王が復活したって事は・・・」
保田「また、『穴』が開いて、何らかの存在が魔王を復活させたとしか考えられないわ」
ナッチー「でも、ここでそんなこと気にしててもしょうがないべ!
まずは腹ごしらえして、先に進むべ!!」
Д<「自分今ええこと言った!!」
ゴマ「きゅーん・・・(そうよね、今はさやか様が選んだ、この『勇者カオリ』を信じよう)」
さあ、今夜は熊鍋だべ!byナッチー
昨日もじゃん!by矢口
ナッチーが倒したでっけえ熊が残ってるがらなあ。byヨシターケ
元の姿に戻すべくゴマをつれて保田、彩に出会うべく石川が牧場をたち、3日が過ぎた。
よっすぃーと勇者飯田は修行に明け暮れ、残る5人は仕事に明け暮れていた。
Д<「あーもーだるいわ〜。牛の世話、馬の世話、犬の世話、
復興しても全然仕事減らんねん。」
矢口「ゆ〜こも働けよう!!」
中澤「うちはもうダメや〜。としには勝てんわ」
中澤ダウン。
ナッチー「晩飯が楽しみだべさ」
Д<「1時間前に昼飯食ったばっかやで」
りんね「矢口さん、今日のお客さんが来たんでちょっと手伝ってもらえます?」
矢口「あさみちゃんは?、、、銀杏仙人とこに案内してるんだったっけ。
牧場大変だなー。」
Д<「そういえば一人、姿が見えへんな〜」
ナッチー「辻なら最近、羊の放牧の方にばっかり行ってるべ。
羊は牧羊犬に任せて、辻もこっちに来た方がいいっしょ。
あいぼんにつれてきてほしいべさ。」
Д<「んじゃ、ちょいと行ってくるわ〜」
Д<「つじ〜!つじ〜!!」
つじ「んめぇ〜めぇ〜〜!!」
羊1「めぇぇぇめぇ〜」
羊2「めぇえ」
羊の群れをかき分けて進むと、埋もれて辻がいた。
Д<「あ、おったおった。この羊の海、見つからんと思ったで。辻〜?」
つじ「あ、はぐれあいぼん。」
Д<「もうはぐれやない。」
つじ「どうしたんれすか?こんなところへ」
Д<「どうもこうもない、仕事さぼってる辻をつれに来たんや!」
つじ「さぼってないれすよみんなとしゃべっていたのれす。
みんないいこたちなんれすよ」
Д<「それをサボりっちゅうんや!もう帰るで!」
つじ<「それをさぼりっちゅうんや!もーかえるで」
Д<「真似せんでええねん。ん??ちょっとまちいや??
あんた、羊と喋れるんかい??」
つじ「そうれすよ。なんとなくやってみたらしゃべれたのれす。」
Д<「・・・・(絶句)」
つじ「みんなとってもやさしいんれすよ。
あいぼんもいっしょにしゃべるのれす。しょうかいするれす」
Д<「い、、いやあ、うちはええわ。喋れんし。」
つじ「そうれすか。まあ、そんなわけれ、
つじはこっちにいるのれす。まいにちみんなのせわをするのれす」
Д<「あ、、、あんなあ、辻、そんなに入れこんで、
ジンギスカンって何の肉か知ってるんか?」
あいぼんがそう言ったとたん、3秒ほど時がとまった。
つじ「・・・・うっ、、」
突然言葉を詰まらせ、涙ぐむ辻。その場にしゃがみこんだ。
追って、あいぼんもしゃがみこんだ。
Д<「あ、、あかんこと言ってしまってん。ご、、ごめんな辻。」
つじ「こ、、このこたちのおにくなのれす。つじはもうたべたくないのれす!」
Д<「あ、、、でもなあ辻、そんなこと言い出したら何も食べられへんで??
そもそも生き物の世界ってのはそうやってやな、、、」
つじ「わかってるのれす!!」
Д<「・・・、、、つじ?」
つじ「わかっているのれす。れすけど、、、、けど、、、」
Д<「そうやね。頭ではわかっていても割り切れんことってあんねん。」
つじ「うっ、、」
辻の目から涙があふれた。
つじ「このこたちはしらないのれすよ。」
Д<「??」
つじ「にんげんにみるくをあげること、けがわをあげること、
そのかわりえさをもらって、ぼくじょうであそべること
それはしっているのれす。」
Д<「みんなから聞いたんやな?」
つじ「れも、れも、、、たまに、なんびきかつれていかれるなかまたちが
どこへいったのかしらないのれす。
にんげんがたべていることはしらないのれす。」
Д<「・・・。そう言われてみれると、確かにわからんわな〜」
つじ「にげることもたたかうこともれきないのれす。
みをまもることはれきないのれす。」
Д<「・・・・」
つじ「それって、いいんれすか?
そんなりふじんな、、、そんなの、にんげんらけじゃないんれすか??」
Д<「む、、、難しいこといいよるな〜。
食べるために育てるなんて確かに人間ぐらいかもしれんなあ。」
つじ「うっ、、うっ、、、、かわいそうなのれす。」
そのとき、1匹の羊が辻の頬をなめた。
羊3「めぇええ」
つじ「ぐすっ、、、めぇえぇえ」
Д<「なんやって?」
つじ「ろうしたの?れすって。みんならいすきれすっていいました。」
言いながら辻はその羊の首に抱きついた。羊の耳元でつぶやく。
つじ「ごめんね。」
あいぼんは立ち上がり大声でさけんだ。
Д<「頑張れっ!辻!!」
ナッチー「まったくもう、あいぼん遅いべさ!!ナッチー一人で大変だべさ。」
Д<「それにしても、陸地がまったく見えへん。羊の海で遭難したかもしれんわ。」
その夜、今までどおり、
辻はジンギスカンを食べるのであった。少し複雑な表情で。
勇者飯田の剣の修行、ある日のこと。
よっすぃー「いいですね、なかなか上手になってきましたよ」
勇者飯田「うん、ありがとう。カオリも自分でそう感じる」
よっすぃー「それじゃあ次の課題は…」
勇者飯田「そうだ!カオリ、よっすぃーと剣術で戦ってみたい!」
よっすぃー「ええっ!?あの、それはちょっと…」
勇者飯田「何で?よっすぃーも言ったじゃん、カオリは上達したって」
よっすぃー「それはそうですけど、まだ剣術のみに関しては…。
そうだ!飯田さんが勇者の剣で戦うのならいいですよ」
勇者飯田「カオリは勇者の剣で?それって平等じゃないよ。カオリおかしいと思うな」
よっすぃー「私も自分の刀を使うから大丈夫ですよ。それに剣術だけの勝負だったら
正直まだ飯田さんの技術には不足しているところがあるから勝負がすぐにつくと思います」
勇者飯田「厳しいなー、よっすぃーは。それじゃあお言葉に甘えてカオリの剣でいくよ?」
よっすぃー「ええ、どうぞ。遠慮なく剣を振ってくださいね」
勇者飯田「わかってる、カオリ全力でやるからよっすぃーも手加減しちゃダメだよ!」
よっすぃー「はい、それでは始めましょうか」
勇者飯田「いくぞ、ひっぱれー!」
勇者飯田は剣を振りかざした!衝撃がよっすぃーを襲う!
よっすぃー「うん、振り方が以前より良くなってますね」
そう言いながらよっすぃーは刀に手を近づけ、刀を抜くと共に衝撃を切り裂いた!
勇者飯田「剣の衝撃が斬られちゃった…」
勇者飯田があっけにとられている瞬間によっすぃーは姿を消していた!
勇者飯田「あれ?よっすぃーが…」
よっすぃー「抜刀が見えるようになったんですか、本当に上達が早いですね…」
勇者飯田の背後からよっすぃーの声が聞こえてきた!振り向きざまに剣を振る勇者飯田!
しかし、そこによっすぃーの姿はなかった!
勇者飯田「嘘、またいない…」
次の瞬間、勇者飯田の首にはよっすぃーの刀が軽く据えられていた。
よっすぃー「私の勝ちですね」
勇者飯田「うん、カオリの負け…。でもよっすぃー、本当に速いね」
よっすぃー「長いこと修行してきましたからね」
勇者飯田「そっかー・・・。やっぱり強くなるには修行が一番なんだね。
よっすぃー、明日もよろしく!」
よっすぃー「ええ、わかりました。それじゃあまた同時刻にここで修行を」
勇者飯田がいなくなると、よっすぃーは一人で考えていた。
よっすぃー(本気で抜刀したのに判断されてた…。それだけあの人の上達が早いの?
高速移動を判断される日も遠くないのかも…。
ひょっとしたらあの人、さやか様以上の…。って、考えすぎかな)
「私もご飯食べに行こうっと!」
その頃石川は。
「ああ、よっすぃーさんと一緒にきたかったなあ・・・
そうすれば今頃二人っきりで・・・ポッ」
延々と独り言。この年は動物達が異常に早く冬眠に入ったとか。
一方、銀杏の木に向かう保田とごま。
保田「銀杏の仙人…。噂には聞いたことがあるけど実在したなんてね」
ごま「きゅきゅっきゅーん(あたしも本当にいるなんて思ってなかったよ)」
保田「問題は本当にあんたの呪いを解く方法を知ってるかどうか…」
ごま「きゅきゅ〜…。きゅ、きゅきゅーんきゅっきゅー
(そうなんだよね〜…。ところで圭ちゃん、魔力であたしを浮かせて運ぶのやめてよー)」
保田「いちいち持ってられないわよ、重いんだから」
ごま「きゅ〜…。きゅ、きゅきゅーっきゅ?(も〜…。あ、あれが銀杏の木じゃない?)」
保田「そうみたいね…。近寄ってみましょう」
保田とごまは銀杏の木に近づいた。
保田「何もないけど…」
ごま「きゅー、きゅっきゅ?(うーん、何かあるんじゃないの?)」
すると突然銀杏の木が2人を吸い込み始めた!
保田「ちょっと、これ一体何なのよ!」
ごま「きゅきゅーん!(すごい吸引力だよー!)」
たちまち2人は銀杏の木に吸い込まれてしまった。
保田「う〜ん…ここは?」
???「ここは銀杏の庵、あなた達は私に聞きたいことがあって来たのでしょう?」
ごま「きゅきゅーん?きゅ、きゅー…(どうしてわかったの?あ、もしかして…)」
銀杏仙人「その通り、私が銀杏の仙人です」
保田「あんがい楽に会えるものなのね…。で、聞きたいことなんだけど…」
銀杏仙人「どうやらそこのアザラシの方の呪いを解く方法が知りたいようですね」
保田「! 何でわかったの…?」
銀杏仙人「普通の雰囲気ではないですからね。魔力が肌に伝わってきます」
保田「さすがは噂の仙人…」
ごま「きゅきゅーきゅっきゅ〜ん(難しいことはいいから早く呪い解いてよ〜)」
後日談
つじ「にわとりさんともはなせるようになったのれす!」
Д<「またなんとなくやったら話せたんか?」
つじ「そうなのれす。そんなわけれ、つじはにわとりさんもたべるのをやめるのれす。」
Д<「・・・。もう勝手にしいや!」
つじ「はぐれあいぼんがおこったのれす!じょうだんなのれす。」
Д<「はぐれやないーー!!」
石川「ふう、いつになったら『彩さん』のところにたどり着けるのかしら」
その時!石川は何かにつまずいてすっ転んだ!
石川「いったぁーい・・・もう!あら、宝箱だわ」
石川は『でんでん太鼓』を手に入れた!
石川「あら、可愛い。でんででん・・・でんでん・・・」
その頃、石川のいるところから少し離れた所に、祠があった。
男「おい、彩、そろそろ休んだらどうだ?
もうお前1人の身体じゃ・・・」
彩「わかってるわ、真矢さん。でももうすぐ来るのよ。私には分かるわ。
私の作った、この『チャーミースーツ』を着るに値する娘が来る。
今の私には、これくらいしか力を貸せる事はないから・・・」
真矢「そうか。お前がそう言うのなら止めないよ。」
彩「ありがとう。愛してるわ、ダーリン」
・・・『チャーミースーツ』とは?
場所は変わって、魔王の間。
魔王「うまい具合に勇者の一行が4分割されたな…」
部下「はい、仰せの通り四天王を差し向けました」
魔王「ふふふ…、戦力が分散した状態であのボンバー四天王を倒せるかな?」
部下「え、ボンバー?ココナッツ四天王じゃないんですか?」
魔王「へ?ちょっと待て、私はボンバー四天王を差し向けろと言ったはずだが」
部下「…間違えちゃいましたね」
魔王「まあいい、今からでも遅くないだろう。ボンバー四天王を呼んでこい」
部下「それがOFFだと勘違いして、どこかに行っちゃったみたいです」
魔王「・・・」
部下「・・・」
魔王「お前一人差し向けてやろうか?」
部下「だ、大丈夫ですよ!ココナッツ四天王はボンバーには及ばないにしても実力は確かですから!」
魔王「まったく…。ボンバーは帰ってきたら説教だな」
銀杏の庵にて。
銀杏仙人「その重度の呪いを解く方法はただ一つ『儀式』ですね」
ごま「きゅきゅきゅ…(儀式…)」
保田「それも考えたんだけど、方法が明確じゃないし失敗したらごまも危険なのよね…」
銀杏仙人「大丈夫、私は方法を知っていますから。それほどの魔力があれば儀式にも耐えられますよ」
ごま「きゅきゅ〜…きゅ〜ん?(耐えられるって…、痛いの?)」
銀杏仙人「重い呪いですからね、少々我慢してもらいますよ」
保田「…ところで仙人さん、ごまの言葉がわかるの?」
銀杏仙人「はい、大抵の動物語は習得しています」
保田「本当にいろいろと頼りになる人ね…」
銀杏仙人「じゃあ儀式に移りましょう。ごまさんでしたっけ?そこの魔方陣の中心に行ってください」
ごま「きゅ〜ん…(はぁ〜い…)」
ごまは魔方陣の中心に立った。
銀杏仙人「それでは始めます。儀式は3日くらい続くので我慢しててくださいね」
ごま「きゅきゅ〜ん!?きゅ、きゅきゅ…!(3日間!?ちょ、ちょっと…!)」
魔方陣は青白い光の膜に包まれた!
銀杏仙人「これで常に魔力を集中し続けていれば、最後には強力に凝縮された魔力によって呪いを追い出せます」
保田「そんな辛い儀式をいきなりスタートで3日間…。ごまが耐えられるのかしら」
銀杏仙人「心配しなくてもいいと思いますよ。彼女の力はあなたもよくわかっているはずです」
保田「そうね。ごまを信じて待つのが一番ってことか…」
ごま「きゅ〜…きゅきゅ〜ん…(眠い…お腹空いた…)」