矢口「乱舞奥義ももう一歩だったなあ。これを煮詰めつつ、次の技を考えないと。」
Д<「もうこっそりやるんはやめてやー。うるさくて寝れんねん。」
つじ「となりのもりにはいってやるといいれす。」
矢口「そんなの怖くて出来ないよっ!」
Д<「モシャスッ!」
ドロロンッ!矢口に化けるあいぼん。
Д<「矢口は大人だー!」
つじ「あはは、あいちゃんそっくりれす。たしかにさっき、そうきいたのれす!」
矢口「うぅっ、、」
中澤「やめえや!大人だろうが夜中に森に入ったら遭難するで!」
Д<「う、、、そ、、そりゃそうやな。」
矢口「ゆうこっ!!」
ガシッ!中澤にしがみつく矢口。
中澤「おー、よしよし。」
喜ぶ中澤。
牧場
ココナッツ四天王を退けた勇者一行は、
石川と保田とごまの帰還を待ち、今だに牧場にいた。
お昼
矢口「は〜、いつになったらここから出られるんだろ?ねえ、かおり?」
勇者飯田「・・・・・・・・・」
矢口「かおり〜、あれ?、、かおり〜??」
勇者飯田「・・・・・ハッ、、、ごめん、何?」
矢口「またボーーーーっとして。最近特に多いんじゃない?」
よっすぃー「そうなんですよ。なんだか修行にも身が入らないみたいで。モグモグ」
相変わらずべーぐるとゆで卵ばかり食べているよっすぃー。
勇者飯田「・・・・・・・」
矢口「あ、まただ。。もー、いいかげんにしてよー。」
つじ「いいらさん、うつくしいれす。」
憧れの目で飯田を見る辻。
Д<「モシャスッ!」
勇者飯田に変身するあいぼん。
焦点のあわない見開いた目で瞬きしながらボーっとしている。
つじ「あはははぁ。そっくりれす〜。」パチパチパチ(拍手)
矢口「きゃはははは。あーっはははは。そっくり〜。あー、おかし〜。」
勇者飯田「何よ〜、かおりそんな顔してないよ〜。矢口笑い過ぎ〜。」
突然喋り出す勇者飯田。
保田「はっ!!」
ブン、ブン!
保田は外で刀を振っていた。接近戦を少しでも克服するためである。
保田(う〜ん、やっぱ一朝一夕には無理かなあ。。型は覚えたけど。
あ、そろそろごまが人間に戻る時間だ。60時間、、長かった。
あの子ちゃんと起きてるかしら?)
60時間前と同じ心配をし、庵に向かう保田。
ちょうどそのとき銀杏の庵の中から声がした。
銀杏仙人「保田さん来てください!儀式が終わりました!」
保田は中に入った。
保田「やー、長かったねえ。」
銀杏仙人「そ、、、、そうですねえ。」
庵の中で正座しながら苦笑いする仙人
保田「?、どうかしたの?」
銀杏仙人「あ、その、、儀式なんですが、、、。」
保田「終わったんでしょ?ごまは?」
銀杏仙人「そこです。で、儀式なんですが、」
仙人は布団の中を指差した。
保田「やっぱり疲れて寝ちゃったのね。
ま、時間もくっちゃったし、連れて帰ってから寝かせるわ。
この子のルーラで牧場までひとっ飛び。
こら、ごま、起きなさい!帰るわよ!」
保田は布団をめくった。ガバッ!
保田「!!」
銀杏仙人「失敗しました。ごめんなさい!」
そこには前と変わらぬあざらしが、、、。
15分前
魔方陣の中に、既に人間の姿に戻ったごまがいた。
ごまはしゃがんでいる。しかしほとんど目が開いていない。
銀杏仙人「もう少し、もう少しです。」
ごま「ねむいー、限界。ねむいー。お腹減った。ねむいー。」
銀杏仙人「まだ目を開けておいてくださいよ。ほんとにもう少しの辛抱ですから。」
ごま「こんなことしてまで人間に戻るの〜?」
銀杏仙人「今更何言ってるんですか?保田さんがあなたを信じて待ってますよ。」
ごま「圭ちゃーん。ねむい〜。」
銀杏仙人(限界ですねえ。もう意識がハッキリしてないです。励まし続けるしか無いですね。)
ごま「圭ちゃんどこいったのー?」
銀杏仙人「外で修行してますよ。あなたも頑張ってください。」
ごま「うーん、そっかー。、でも、もう頑張れない〜。眠い〜。」
銀杏仙人「あ、あと2分です。終わったら好きなだけ寝てください。」
ごま「あはっ!あと2分。あと1分50秒、あと1分40秒」
銀杏仙人「そんなに10秒は早く無いです。」
ごま「む〜、、。でももうすぐ、もう少ししたら、もう少ししたら、あはっ」
銀杏仙人(意識はあるね。)
銀杏仙人「10秒、9、8、」
ごま「6、5、4、あはっ、終わるよ〜。嬉しいよ〜。」
銀杏仙人「2、1、0!!」
ごま「ぐ〜」
銀杏仙人「終わった〜。。。え?」
1秒差でごまは眠りに着いていた。そして、姿はあざらしに、、、。
ごま「zzz、、、(やったー!さやか様!よっすぃー!圭ちゃん!!人間に戻ったよ〜!!)」
話を聞いた保田は、ワナワナと掛け布団を持つ手を震わせて叫んだ。
保田「馬鹿かあんたはーーーー!!」
ごま「!!??、あ、なんだ??
圭ちゃんか。ちょっとー、圭ちゃん大声出さないでよ〜」
保田「あ、起きた。って、、ええ??」
そこには人間の姿のごまが目をこすっていた。
ごま「今寝たとこだったのに、、ゆっくりさせてよ〜。」
と言うと、またあざらしの姿に戻った。
銀杏仙人「そのー、呪いが不完全に解けて、普段は人間なんです。でも、
極度に眠くなるとあざらしの姿に戻るようになっちゃったみたいなんです。」
保田は再び叫んだ。
保田「大馬鹿ーーーー!!」
呪いと呪い解きの儀式が混ざり合ってしまった。
どうやら、完全に元に戻れる日は遠いようだ。
アヤカ「どうしたんですか?こんなことじゃ今日の修行は終われませんよ!」
シバタ「梨華ちゃんがんばれー!」
石川「チャ−ミ−ス−ツ着ないで修行は無理ですよう、死んじゃいます・・・」
彩「仕方ないでしょ、チャーミースーツ以前にあなた自信を鍛えなきゃいけないんだから」
石川「ひ〜、よっすぃーさん助けに来てえ・・・」
チャーミースーツを着ないとやっぱりへたれな石川。
魔王の城
魔王「一体どうなっておるのだ!ココナッツまで恥を晒しおって!!」
側近「申し訳ありません・・・」
魔王「こうなったらボンバーを・・・」
側近「しかし、今は手駒が足りません・・・万一やられでもすればこの城は裸同然・・・」
魔王「ならば、どうするのだ!!」
???「まあまあ、魔王様・・・落ち着いて、ひゃっひゃっひゃっひゃ」
魔王「ワーダ博士か・・・何の用だ?」
ワーダ博士「ひゃっひゃっひゃっひゃ・・・手駒が足りないのではありませんか?」
魔王「貴様の洗脳術がすぐ解けるからだ!!」
ワーダ博士「おっと、これは失礼・・・しかし、今度の男は自らの意志で魔王軍に心を売り渡した・・・
しかも勇者パーティーの肉親・・・勝利は当然ですな。ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・」
魔王「なるほど、悪魔に魂を売った人間の戦士か・・・それは面白そうだな。」
ワーダ博士「強力な魔法使いもセットで!ひゃっひゃっひゃっひゃ・・・」
銀杏の庵をあとにする保田とごま
保田「本当にお世話になりました」
ごま「ありがとうございました」
銀杏仙人「すいません、失敗してしまって・・・」
ごま「まあ、ふだん人間なら大丈夫ですよ。」
銀杏仙人「それが、気をつけて欲しいことがあって・・・眠りに極度に弱くなってるんです。
もしラリホーを唱えられたら、ちょっとやそっとのことでは目が醒めません・・・」
ごま「・・・」
保田「分かりました・・・ありがとうございました・・・」
変わって、よっすぃーと勇者飯田の修行場。
勇者飯田「それっ、とりゃっ!」
よっすぃー「そう、そこで左を狙う!下段が空かないように!」
いつものように修行を続けていた。
勇者飯田「よっすぃー次は何するの?…って、よっすぃー?」
よっすぃー「…あ!すいません!次はですね…」
勇者飯田「……(よっすぃー、やっぱりまだ少し気にしてるなぁ…)。」
よっすぃー「次は…。あ、何か来ましたね」
勇者飯田「え、何かって?また敵が来たの?」
よっすぃー「いえ、この気配は…」
と、よっすぃーが言うのとほぼ同時に、何か巨大なものが空から降ってきた!
勇者飯田「なにこれ!隕石!?」
よっすぃー「やっと戻ってきたんですね…」
?「圭ちゃん、もう少し加減してルーラやってよ〜」
?「私のルーラはスピード重視なんだから、我慢しなさい」
勇者飯田「圭ちゃん!それと、そっちは…」
保田「こっちはごまの人間バージョンよ」
よっすぃー「戻ったんですね。よかった…」
ごま「う〜ん、それがね〜…」
保田「完全に戻ったワケじゃないの。ちょっと失敗しちゃってね…」
勇者飯田「可愛いね〜。それに筋肉も目立ってないし…。いいなぁ〜」
ごま「うれし〜。ありがと〜」
保田「……。とにかく、それで一応メンバーは揃ったってことか…」
よっすぃー「そうですね。しかもここにいるのって対戦時のメンバーとほとんど同じじゃないですか?」
ごま「そういえばそうだね。懐かしいな〜…」
保田「つまりその気になれば魔王を倒せるメンバーってことね」
よっすぃー「確かに、魔王なら倒せますね。多分…」
ごま「昔話はおいといてさ、牧場に行こうよー。みんないるんでしょ?」
保田「そうね、牧場に行きましょうか」
ごま「よーし、牧場行ったらいっぱい食べるぞ〜!」
よっすぃー「そればっかりなんだから…。変わってないね、安心したよ」
ごまとよっすぃーは一足先に牧場に向かった。
勇者飯田「あ、圭ちゃん。ちょっと話が…」
保田「ん、何?簡単なことに限り聞いてあげるわよ」
勇者飯田「その、『吉澤』が…」
保田「!! まさか、覚醒したの?」
保田「よく殺されなかったわね」
勇者飯田「うん、説得したら何とか収まってくれた。でもあの時の目、本当に恐かったよ…」
保田「で、その覚醒したときってココナッツ四天王が来たとき?」
勇者飯田「う〜ん、よくわからないけど…。敵は異国の人だったかな」
保田「やっぱり…。それで相手は殺された?」
勇者飯田「ううん。吉澤がとどめをさす直前に私が止めたから…」
保田「そう…。だからよっすぃーの気配が暗めだったわけね」
勇者飯田「うん、まだ気にしてるみたい…。どうすればいいのかな」
保田「私も困ってたわ、昔は。覚醒しちゃった後はよっすぃーホントに暗くなっちゃうもの。
しかも呪いが解けてからの初戦で…。どうしよう」
勇者飯田「………」
保田「まあ、ここは私に任せて。あんたまで暗くなったら困るじゃない」
勇者飯田「本当?よっすぃー、またあんな笑顔見せてくれるかな?」
保田「そうなることを私も祈ってるわ。じゃあ私達も牧場に行きましょうか」
そして勇者飯田と保田も牧場に向かった。
そして場所は牧場。
矢口「へ〜、確かに可愛いなぁ」
中澤「それに筋肉もあるなぁ。魔力も肌からにじんでくるのがわかるわ…」
ごま「みんな、そんなに誉めないでよ〜」
ナッチー「でもアザラシの方がよかったべ。人は食えないべさ」
Д<「シャレになっとらんで」
パーティーが話していると、勇者飯田と保田が牧場に戻ってきた。
勇者飯田「ただいま〜!」
矢口「おう、おかえりー」
ごま「もう、何やってたの〜?」
保田「……ねぇ、よっすぃー。ちょっと私に付き合ってくれない?」
よっすぃー「え?どういうことですか?」
保田「ちょっと近くの街まで…。にぎわってていい街だと思うわよ」
よっすぃー「いいですけど…。何で私だけなんですか?」
保田「いや、ただ久々にゆっくりよっすぃーと1対1で話したいなー、と思っただけよ」
よっすぃー「わかりました。それじゃあ行きますか?」
保田「うん、行こう」
中澤「なんや、二人だけで街に行くんかい。うらやましいわー…」
Д<「大戦時の勇者一行はサボり癖があるんやなぁ」
勇者飯田「いいじゃない!二人で話したいって言ってるんだしさ」
ナッチー「まあ飯を食われるわけじゃないから構わないべさ」
中澤「ま、そこまで言うんならよほどの理由があるんやろうな。二人でゆっくりしてきいや」
保田「うん、ありがと。それじゃよっすぃー、行きましょう」
勇者飯田「……(圭ちゃん、よろしくね)」
保田「……(任せておきなさい)」
保田とよっすぃーは、牧場近くの街へ向かった。
辻「これでごまさんもきりきりはたらけるれすね」
Д<「そーやな。強大な魔力を仕事に利用すれば効率アップするで〜」
ごま「私の魔法をそんなのに使うの〜?」
勇者飯田「……(圭ちゃん、頼んだよ…)」
保田とよっすぃーが街へ向かってすぐ、牧場を臨む丘の上
???「あれが勇者一行か、たいしたことなさそうだな」
???「肝心の勇者がまだ剣の修行中だもんね」
???「そんなことに興味はない。俺の関心は最強の剣、ただそれだけだ」
???「行きましょう、ユウキ」
ユウキ「行くか、ソニン」
ソニン「(あの大魔導士ごまの弟が、まさか魔王軍とは思うまい・・・)」
ソニン「どうする?奇襲をかける?」
ユウキ「奇襲は勝ち目のない相手がするものだ。俺たちに負ける要素があるか?」
ソニン「それもそうね。」
ユウキは牧場の門を一刀両断!
門は大きな音を立てて崩れ落ちた。
矢口「な、な、なんだ〜?」
辻「てきれすか?」
慌てて外へ飛び出す一行
ユウキ「あんたが勇者か。あんたを頃して、その世界最強の剣、いただくぞ!」
ソニン「まあ邪魔はしないと思うけど、念のため他の皆さんには手出しできないようにさせてもらうわ」
ソニン「アストロン!!!!」
辻は鉄の塊になった!あいぼんは鉄の塊になった!矢口は鉄の塊になった!
ナッチーは鉄の塊になった!中澤は鉄の塊になった!
ナッチー「おかしいべ・・・体が動かねえべ・・・」
中澤「くっそー、身動き取れへんやん」
ソニン「安心して。動けない代わりに一切の攻撃も魔法も効かないから。
・・・あらあら、さすが大魔導士ね。上手くかわすなんて」
ごま「私にはそんな魔法、効かないわよ!それにそっちは二人がかりでしょ!」
ソニン「それもそうね。まあ、鉄の塊になってたほうが幸せだったかもね・・・」
ユウキ「ソニン、ごちゃごちゃうるさいぜ。もう頃していいのか?」
勇者飯田「カオリ、氏なないもん!」
石川&シバタ&アヤカ「ただいま〜。」
彩「お帰り。」
この日の修行を終り、家に戻った石川達。
彩「どう、今日は成果上がった?」
シバタ「はぁ、今日もダメダメ〜。」
石川「ダメです〜、まだ全然勝てませんー。もう泣きそうですぅ。」
アヤカ「でも、毎日着実に進歩してますよ。成長早いと思いますよ。」
彩「そっか。まあ成果は焦らず、ゆっくり出していきなさい。
はい、夕食の準備できてるよ。どうぞ。」
石川「気持ち悪くて食べられないです〜。」
彩(ムカッ#)
シバタ「あ、彩さん、激しく修行した後ですから。
彩さんの料理は美味しくて私は大好きですよ。(ナイスフォロー)」
彩「あ、うん、いいよ。後ででも。・・・・・・・・・」
しばらく妖精のシバタを見つめる彩。
アヤカ「私は頂きます〜。」
シバタ「私も冷める前に食べちゃいます。頂きます〜」
彩「どうぞ。めしあがれ〜。」
石川「う〜ん、、」
疲労でうなる石川。
彩「ところでさー」
アヤカとシバタは振り向いた。石川はグロッキー。
彩「前から気になってたんだけど、あなたは何者なの?」
シバタ「あ、あたしですか?」
アヤカ「私も聞きたいです。聞いていた勇者パーティーに、あなたはいなかったですから。」
シバタ「そういえば自己紹介してなかったですね。ごめんなさい。
私は、ムロランシティのそばのメロン谷の妖精、シバタです。」
彩「あぁ、あそこの。」
石川「妖精のシバちゃんです〜。石川のお友達です〜。とっても仲がいいんですよ〜。」
食卓に突っ伏しながら石川が続けた。
彩「あんたは休んでなって。しゃべんなくていいから。」
彩は苦笑いをした。
この時、会話は終わってしまったが、彩は気になっていた。
彩(あの戦いの時、いきなり途中で現れて、、、、なんにもしてなかった。
でも、この子(<石川)は勝った。チャーミースーツのおかげが大きいんだけど、
なんだか、シバタには何か、、、)
シバタ「ごちそうさま〜」
アヤカ「あたしも、ごちそうさま〜。」
彩「あ、お粗末さま。」
二人のお皿を片付ける彩。そして考えつづけた。
彩(何かある気がする。全身に少しだけまとう冷気?のような独特のオーラ。
普通の妖精には無かったと思う。
私は、ゆっくり成果を出せなんて言ってるけど、
実は石川の成長は驚くほど早い、ううん、早すぎると思ってる。
今日こっそり見たら、もうスーツ無しでもアヤカと互角に近かった。
アヤカだってまだ成長期、本人の気づかぬうちにかなり成長しているはずなのに。
あの妖精の存在が、もしかして石川の成長を早めている原因なのかしら?
修行中も応援してるだけなのに。
妖精のシバタ、、、、シバちゃん。名前なんかどうでもいいか?
いや、それも気になる。そう、どこかで聞いたような、、、。)
次の日、彩は二人と一匹を修行に送り出すと、
彩「さ。頑張って探すぞ!」
彩は家に残る古い文献を探り始めた。
しかし、午前いっぱい、何も出てこなかった。
彩「あー、じれったい。でも気になるのよねえ。
妖精であたれるとこは大体あたったつもりなんだけどーーー、いらつく!むかつく!」
あとは、その他の文献をしらみつぶしにあたって行くだけの状況。
さすがに、彩はあきらめようと思った。
いよいよ昼食の準備をしようと思ったその時、
彩「あれ?この本なんだっけ?『伝説』?
あんまり妖精と関係ない?でもま、最後だし見るか。あら?!」
目次には、伝説の精霊、聖霊の項目があった。
彩(ま、まさか、、ねえ、、そんなえらそうなのに、、、)
彩は半分期待してそのページを開いた。
彩「やっぱ無いよね。」
最後の方にすすむ。伝説の聖霊の中でも最高峰のもの。。。無いに決まっている。
彩「ふーむ、あ、、、ああぁ!!えぇっ?」
あった。彩は思わず目を疑った。
・・・・・・・・・・
昼食の準備をすませ、3人を呼び、いつもどおり食べさせる。
また修行に戻ろうとする3人のうち、彩はシバタのみを呼びとめた。
シバタ「なんですか?あ、二人は先行ってて〜。」
彩「ちょっとそこに座って。」
シバタ「もう座ってます。」
彩「昨日、あんたに重要なこと聞き忘れてたわ。」
シバタ「な、、、なんです?」
緊張するシバタ。
彩「なんで、あんたはあの戦いの場に突然現れたの?
最初、あの子、、石川が来た時、あんたはいなかったね。
その後、戦いが始まって、石川がおされてたとき突然現れた。」
シバタ「あ、実は私も不思議なんですよ。
会ったのはもっと前なんですけど、その時はほとんど何も無くて別れたんです。
で、今回は偶然この辺を通りかかったんですけど、
何故か、「助けて」っていう梨華ちゃんの声が聞こえた気がしたんです。
最初は別に恩も無いし、声は聞こえたけどどこにいるのかわかんなかったしで、
別にいいかって思ったんですけど、、、」
彩「うん。」
シバタ「そういえば、最初に会ったとき、梨華ちゃんに友達になろうって言われて、
なるって答えたなあ。って思い出して、しょうがないからちょっと見に行くかって。
でも、適当に飛んだってどうせ見つかるわけ無いと思ったのに、
なんか引き寄せられるようにすぐ見つかりました。
で、助けにきたよーって出たんだけど、何にもできそうにないんで応援してました。」
ちょっと笑うシバタ。
彩「んー、それで?」
シバタ「それだけですよー。あ、でも今ではその偶然にもすこし感謝してます。
だって、梨華ちゃんといると楽しいし、落ち着くし、とにかく居心地いいんです。
すっかりほんとに友達になっちゃいました。」
照れくさそうに言う。
彩「だから、今でもこうやって修行にくっついてるのね。」
シバタ「そうです。梨華ちゃんも喜んでくれてるし。」
彩「なんだか納得。じゃ、話はこれだけ。修行の応援に行っていいよ。」
シバタ「はい。行きますね。」
彩「あ、もう一言いい?」
シバタ「はい?」
彩「あの子のことお願いね。これからもついててやって。」
シバタ「ん?なんだかよくわかんないけどわかりました。
なんて、嫌がられなければそのつもりだったりします。じゃ、行ってきまーす。」
彩「行ってらっしゃい。」
シバタは外に飛び立った。
彩(ほんとに納得できちゃった。
でも、偶然、、、か。わかってないんじゃない?
私には神のつくった運命って気さえするなあ。
それこそ偶然どころか自然に、あの子達は引かれあったんだから。
最初は感だったけど、今は確信だ。
詳細ったってこの絵、古いしボロボロだしよくわかんないけど、
どことなくあの子に似てる。名前もね。ここまで偶然が重なればね。)
彩が手元に開いた、伝説という名の本にはこう記されていた。
シヴァ
世界最強の聖霊の一人、氷の聖霊、もしくは冷気をつかさどる神。女性。
その力は世界に広がる七つの海を瞬く間に氷に変えると言われる。
伝説のみの存在と言われるが、近日、その姿を詳細に書き記した古代の絵が発見された。
彩(たぶん、あの子はシヴァの血を引いてる。石川の持つ、同じ冷気に引かれたんだ。)
彩は本を閉じた。
彩(そして、その力を呼び覚まして、召還してやれるのは、きっと、
すばらしい信頼関係を築いた、つまり契約した、石川の魔力だけなんだ。
でも、本人達はまーーったく自覚ないけど。)
彩は一人でにやついた。
彩(ま、自分たちで覚醒できるまで、わかってないままほっといてあげよ。
どうせ、シヴァの力を借りるには石川の魔力はまだまだ足りないし、
今はその力にあまえる気が起こってはだめだし。
シバタの存在が石川の成長を早めてる、まだそれで十分。)
彩は早くも夕食の準備に取りかかった。とっておきのご馳走にするつもりだった。
彩(それにしても、お互いに影響しあえる良いパートナーを見つけたなあ。羨ましいぐらい。
私にとってはダンナが一番だけどねえ。なんちゃって。)
ちなみに真矢氏は防具を売りに出張中。
ソニン「じゃあ、さっさと終わらせましょうか、メラゾーマ!!」
勇者飯田「カオリにそんなの効かないモン、えい!!」
勇者飯田はよっすぃー直伝の居合いで火球を切り裂いた!!
その火球の後ろからユウキが!!!
ユウキ「あっけねえ、これで終わりだ」
しかし余裕の勇者飯田。難無くユウキを一撃をさばく。
そして間合いをとったところにゴマの強烈な魔法!
ごま「イオナズーン!!あはっ!!」
ソニンに96のダメージ!ユウキに93のダメージ!
ソニン「キャア!!」
ユウキ「ウワッ・・・こいつら強いじゃねえか」
勇者飯田「ナイスフォローだよ、ごまちゃん」
ごま「えへへ・・・」
戦いが始まって約3分。
ユウキ&ソニンも善戦はしているものの
レベルアップした勇者飯田&ごまが圧倒的な戦力で戦闘を進めていた。
ユウキ「ハァハァ・・・畜生!!!」
勇者飯田「カオリ思うんだけどさあ、諦めて降参した方がいいんじゃない?」
ユウキ「ふざけるな!!」
ごま「うーん、じゃあ仕方ないなあ。
しばらくおとなしくしててもらいましょう!!
マヒャ・・・」
ソニン「ひいっ・・・!!」
ユウキ「・・・・・やるつもりかよ・・・・『姉ちゃん』・・・」
ごま「・・・・・!?」
ユウキ「ソニン、今だ!!!」
ごま「姉ちゃんって、あんた、まさか・・・」
ソニン「ラリホーマ!!!」
ごま「・・・・え?・・・・まさか・・・生き別れた・・・ユウ・・・キ・・・すーすー・・・」
ごまは眠ってしまった!!ごまはアザラシのゴマになってしまった!!!
勇者飯田「え〜!?ラリホー効いちゃうのぉ!?それに『姉ちゃん』って何〜?
カオリごまちゃんの弟さんには手が出せないよ・・・」
ユウキ「それはそれは気ィ使ってもらってすいませんねえ・・・勇者さん!」
ユウキの不意打ち!!勇者飯田に58のダメージ!!
ソニン「大魔導士さえいなければ思う存分魔法が使えるわ・・・ベギラマっ!!」
勇者飯田に61のダメージ!!
勇者飯田絶体絶命のピンチ!!
丘の上で戦況を見守るワーダ博士
ワーダ博士「ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・・
どうやら勝負あったようだな。これで俺様は社長・・・じゃなかった、
将軍の地位を手に入れてやるぞ!!ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・」
・・・・・・・
サンドバッグ状態の勇者飯田・・・立っていられるのが不思議な状態
ユウキ「ちくしょう、どんなに斬りつけても倒れねえ!」
ソニン「炎も冷気も爆発もまともにくらっているのに・・・」
勇者飯田「ハア・・・ハア・・・ごまが起きるまでカオリが倒れちゃダメなんだから・・・」
ユウキ「こうなったら、一気に片をつけるぞ、ソニン!」
ソニン「アレ、ね。わかったわ!」
ユウキは剣を鞘に収め、構えを取った。
ソニンも手を合わせ、魔力を集中し始めている。
勇者飯田「・・・すごい魔力・・・あれに打撃が加わったら、倒れちゃうかも・・・」
???「カオ!!!カオ!!!」
勇者飯田「・・・空耳かなあ、みんな鉄になってるし、ごまは寝てるし、
圭ちゃんとよっすぃーは街に出てるし、梨華ちゃんはまだ帰ってきてないし・・・」
???「あたし!カオリの剣だよ!」
勇者飯田「カオリの剣・・・。でも、今のカオリじゃあの攻撃を防げないよ・・・」
カオリの剣「あの攻撃は強力な分、隙が大きいの!だから、攻撃が来る直前に
カウンターを仕掛ければ、何とかなるよ!!」
勇者飯田「・・・・・・やってみる」
ユウキが抜刀した剣めがけてソニンが魔法を放ち、
魔法の力を借りて相手を斬るユウキ&ソニンの必殺技!
ユウキ&ソニン「イーイージャンプストラッシュ!!」
カオリの剣「今よ!あの子が剣を抜くその瞬間に隙ができるの!」
勇者飯田「オッケー!」
勇者飯田のカウンター攻撃!
「アイーーーーーーン!!!」
ユウキに150のダメージ!ソニンに187のダメージ!
ソニンをやっつけた!
ユウキ「うぐっ、攻撃はやめるもんか!」
ユウキの攻撃!勇者飯田に56のダメージ!
ユウキと勇者飯田はともに力尽きてしまった!
勇者飯田「ひ、引き分けなの・・・?」
ユウキ「ち、ちくしょう・・・」
ソニンが意識を失った事で、アストロンをかけられていたメンバーが元に戻った。
ナッチー「ふう、一時はどうなる事かと思ったっしょ。」
辻「ききいっぱつだったのれす」
矢口「でも、こいつ、ごまちゃんの弟なんでしょ?何で魔王側についてんの?」
その時、やっとゴマが目を覚まし、ごまの姿に戻った。
ごま「う〜ん、まだねむい・・・」
Д<「お、気がついたみたいやな」
中澤「向こうさんも気がついたみたいやで」
ユウキ「・・・・・・」
辻「てきのおんなのひとはまだしろめをむいているのれす」
勇者飯田もまだ意識を取り戻していない。
Д<「で、自分は何で魔王の手下になってんねん?」
ユウキ「・・・・・」
ごま「黙ってちゃわかんないよ。3年前にいきなり姿を消して以来音信不通だったじゃん」
ユウキ「ごめんよ、姉ちゃん、俺・・・」
その時、丘の上。
ワーダ博士「うぬぬぬぬ・・・しくじりおって。
どうやら洗脳も解けてしまったらしい。このまま勇者側につかれては面倒な事になる。
仕方ない、まだ開発途中じゃがあれを使うか・・・」
ワ−ダ博士は銃のようなものを取り出し、照準をユウキに向けた。
ワ−ダ博士「わしの切り札じゃ!ひゃひゃひゃ!」
ダーン!!!
銃声。
銃弾はまだ横たわっていたユウキの腹部に命中した!!
ごま「ユウキ!!!」
中澤「ちっ!丘の上か!油断してたわ!!」
一斉に丘の上を見るパーティ。そこにはワーダ博士が立っていた。
ワ−ダ博士「ひゃひゃひゃ、そんな怖い顔で睨まんでくれよ。
ワシは魔王軍参謀のワ−ダ博士じゃ。せっかく姉弟の感動の対面をプレゼントしてやったんじゃ。
もっと喜んだらどうじゃ?それに・・・オマケ付きじゃ」
Д<「何言ってんねん!!今けちょんけちょんにしてやるわ!!」
ワ−ダ博士「おお怖い怖い。じゃが、わしより先に、そっちを気にしたほうが良いンじゃないかい?」
その時ユウキの身体に異変が!!!
ワーダ博士「ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・いでよ、破壊の化身!」
博士の声に反応するように、ユウキはすっくと立ち上がった。
ごま「ユウキ・・・?」
しかしユウキは応えない。
ワーダ博士「そりゃっ!!」
ユウキ「ウ・・・ウガーッッッ!!!」
ユウキは突然モンスターに姿を変えた!
ごま「う・・・嘘・・・・」
中澤「やばいっ、こいつはマジでやばいで!!!」
ワーダ博士「ほうほう・・・実験は大成功だわい。ひゃっひゃっひゃっひゃっ!!
人間から強大な力を持つ魔物を作り出す、このわしの研究の集大成じゃ!!」
ごま「ユウキ!!!あたし、あたしよ!!!お姉ちゃんよ!!!」
中澤「だめや!あれはもうあんたの弟やない!!」
Д<「このままやとみんなやられてまうで!!」
ユウキの強大な攻撃の前に、パーティーは防戦一方。
中澤とナッチーが攻撃を試みるものの、ほとんどダメージを与えることが出来ない。
中澤「こんなん・・・聞いてないで」
ナッチー「・・・くじけてしまいそうだべ・・・」
辻「つじのうたもきかないのれす・・・」
Д<「ウチの言霊攻撃もあかん・・・なんせ聞く耳持ってないからな・・・」
矢口「相手がでかすぎて、オイラの攻撃もダメだ・・・」
ごまはというと・・・ショックで我を忘れている様子・・・
辻「ごましゃんがたたかってくれればいいのれすけど・・・」
Д<「さすがに・・・なあ・・・」
ごまの心の中
ごま『嘘・・・嘘・・・せっかく生き別れの弟に会えたと思ったのに・・・どうして?』
そのとき、ごまの心に直接ささやきかける声が聞こえた。
???「ごま・・・あの子を元にもどしてやれるのはあんただけなんだから。」
ごま『だ、誰?あたしの中に直接話し掛けられるのは・・・まさか・・・』
???「相当暴走しているみたいだね。急がないとあの子の生命を全部燃やし尽くしちゃうよ!」
ごま『・・・』
ごまは、すっくと立ち上がりユウキ(怪物)に向き直った。
中澤「あんた、何する気や!?」
ごま「大丈夫、みんな元に戻るから・・・」
ごまはユウキに向かって魔法力の全てを放出した!!
辺り一面は強烈な光に包まれる!!!
数分後・・・
Д<「・・・・・・・げふぉっ!!げふぉっ!!一体、何がどうなっとんねん・・・」
辻「み、みんなぶじれすか?」
ナッチー「矢口の姿が見えねえべ・・・」
中澤「ここやここや」
矢口「おいっ!!ゆうこっ!!どさくさにまぎれて『たかいたかい』してんじゃねえ!!!」
辻「ゆうしゃさまも、ここにいるのれす・・・」
Д<「・・・・あれ!あれ見てみい!!!」
あいぼんが指した先には人間の姿に戻ったユウキが倒れていた。
ソニン「うん・・・あれ?・・・ユウキ?」
ソニンはホイミを唱えた。ユウキの体力が回復した。
ユウキ「・・・いててて・・・俺、どうしてたんだろう・・・」
Д<「あんた、変な化け物に姿を変えられてたんや。」
ユウキ「化け物だと?そういえば、博士に撃たれてからなんかおかしくなって・・・」
Д<「それはそうと・・・」
ユウキ「何だ?何かおかしいのか?」
Д<「あの・・・丸見えやで。」
ユウキが怪物化したとき、よろいや服はすべて砕け散っていたのだ(北斗の拳状態)。
ユウキ「やべっ!!!」
辻「はずかしいのれす・・・」
中澤「若いカラダというのもなかなかええモノやなあ・・・」
矢口「おいゆうこっ!!ジロジロ見るなっ!!真っ赤になってるぞっ!!」
ユウキ「それはそうと・・・姉ちゃんは・・・」
中澤「そういえば、ごまが見当たらんな・・・」
Д<「あれだけ強烈なエネルギーや、どこかに吹っ飛ばされてもうて・・・」
ユウキ「・・・」
???「ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・それまでだ!!」
中澤「あいつや!!」
ソニン「博士・・・」
ワーダ博士「どういうわけか小僧を元に戻したようだな。
しかーし!!相当体力を消耗しているはず!!勇者も大魔導士もおらん!!」
辻「つかれてても、おじいさんにはまけないのれす!!」
矢口「オイラたちはあんまり疲れてないぞ!!キャハッ!!」
ワーダ博士「ひゃっひゃっひゃっひゃっ、おめでたい奴らめ。
ユウキに使った変身銃は完全ではない。より完成度を高めるために実験台が必要だったのじゃ。」
ユウキ「くっ・・・」
ワーダ博士「さらにじゃ!!完成したこいつを、機械で強化して永久に体力の尽きないわしが使ったら、
永久に破壊しつづける最強の戦士が生まれるのじゃ!!いくぞ!!」
ワーダ博士は自分に変身銃を撃ちこんだ!!
ワーダ博士「ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・これが最強の戦士・・・
あれ?ありゃりゃりゃ?体が動かないぞ!?」
中澤「あんた、知っとるか?」
Д<「機械ゆうのは、水に弱いよなあ。」
辻「きづかなかったみたいれすね。」
ナッチーは大きな雨雲をワーダ博士のうえに呼び寄せていた!!
どしゃ降りによって、ワーダ博士の体はところどころ錆び、ショートしている!!
ワーダ博士「あが、あががががが、まさか、そんな・・・・
そんなことがあるわけがないぞ、わしは、魔王軍最高の頭脳・・・」
中澤「さーて」
Д<「このじいさん」
矢口「いっちょ」
ナッチー「やっちまうべか?」
辻「へいっ!!」
一同「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!!!!」
ワーダ博士「ひでぶっ!!!!!」
・・・ワーダ博士=再起不能
ソニン「あたしたち・・・ただの実験台だったの?ひどすぎる・・・」
ユウキ「ちくしょう・・・いつもこうだ!!!俺を利用するだけ利用しやがって・・・」
中澤「そういえば、さっきの話、途中やったな。」
Д<「なんで魔王の手下になっとったんや?」
ユウキ「俺は・・・強くなりたかっただけさ」
よっすぃー「・・・それで、話って何ですか?」
保田「あんた・・・吉澤に戻ったんだって?」
よっすぃー「・・・・・・・・・はい・・・・・」
黙り込む二人。その時。
*「きゅ〜ん!!!!」
よっすぃー&保田「!?」
空から何かが降ってきた!!!
どしーん!!!
その何かは保田を直撃した!!
保田「むぎゅ・・・」
よっすぃー「保田さん、大丈夫ですか!?って・・・ごまじゃない!?」
ごま「むぎゅ・・・」
保田「いいから・・・早くこいつをどけて・・・氏ぬ・・・」
ごま、いきさつの説明中…。
ごま「……ということがあったの」
保田「またあの牧場、襲われたのね…。呪われてるのかしら」
よっすぃー「魔王軍も躍起になってきたってことですね」
ごま「えーと、二人がいるっていうことはここが街なの?」
保田「そう、ムロランシティよ。まだ着いたばっかりだけどね」
ごま「じゃあ食べ物もあるんだね!よぉし、行ってきまーす!」
ごまは人ごみの中へ消えていった。
保田「全くあいつは…。吹っ飛ばされてきたのにねぇ」
よっすぃー「いいんじゃないですか?弟さんの心配もなくなったみたいで…」
街を歩きながら話している二人…。
保田「で、話を続けるけどさ…。とりあえず『吉澤』にはどういう感情を抱いているの?」
よっすぃー「恐いです…。ためらいもなく人を斬るなんて考えられないですよ…」
保田「確か『人を斬る感覚』を薄めるために父親から教わった技を捨てて居合いを始めたのよね」
よっすぃー「でもあっちの私にとっては『的確に殺す戦法』になっていて…」
保田「…うーん、でもそれは戦いに私的感情を持ち出してるあんたにも原因があるわね」
よっすぃー「わかってます、甘い考えだっていうことは。でも…」
二人はとある鍛冶屋の前を通った。
保田「あんた、久々に刀研いでもらったら?大戦前でしょ?最後に研いだの」
よっすぃー「そういえば…。痛んでるかもしれないですね」
保田「じゃあ、ちょっと磨きやってもらいなよ。私はそこの酒場にいるから」
よっすぃー「わかりました…」
その時保田が背を向けながら、よっすぃーに言った。
保田「あんたは恐いかもしれないけど、そんなあんたを信頼してる人間だって沢山いるのよ。
そのことは忘れないで」
そして保田は酒場へ入っていった。
よっすぃー「保田さん…」
保田が酒場に入ったと同時に、大きな声が聞こえてきた。
男1「なめてんのかてめえ!俺達を誰だと思ってやがるんだ!」
保田「荒くれ関係かつ酒場でいざこざ…。前にもあったわね」
男2「俺達は噂の『BSデジタラー』だぞ!ただですむとは思うなよ!」
保田「(そんな噂は聞いたことが…)」
???「そっちからつっかかってきて、何言ってるの?」
???2「あんた達こそ、ただで済むとは思えないんやけど…」
男1「こ・・・この野郎!」
男は女に向かって殴りかかった!
保田「やばっ、助けないと。でもこの距離じゃ届かない…」
保田がそう思った瞬間、男が勢いよく空中へ吹っ飛んだ!
保田「へ…?」
???「そっちが悪いんですよ?」
男2「やりやがったな!」
そしてその言葉と同時にまた一人、男が宙に舞った。
???「未熟!」
そして酒場に、どっと歓声がまきおこった。
客1「いいぞねぇちゃーん!」
客2「強いじゃねぇか、あんた!」
保田「へぇ、強い…。それにしても、あれが武器なのかしら」
男1「動くな!動いたらこの女を殺すぞ!」
保田「(意識があったのね、この男。…あれ?私が人質になってる)」
???2「おかしな真似を…」
男1「うるせぇ!とにかく今から仲間を呼んでやる!これでお前等も…」
保田「うるさいのはあんただってば」
男1「何だと!?てめ…」
言葉の途中で男は倒れ伏した。
保田「おとなしく寝とけばよかったのに…」
そこでまた、歓声がどっとまきおこった。
客1「あんたも強いなぁ、姉ちゃん!」
客2「今日は面白いねぇ、こんなたくましい姉ちゃんが見れるなんて珍しいぜ!」
歓声が収まった時、保田と2人の女性はすっかり打ち解けていた。
保田「あなたのその武器って、扇子?中途半端にでかいけど…」
???「ええ、扇子よ。戦闘用に改良したんだけどね」
???2「この子もともと東洋マニアやから、舞踊を戦闘に持ってきてんのよ」
保田「へぇ…。あ、申し遅れたわね、私は圭。下の名前だけど、よろしく」
???「よろしく。私は美和っていうの」
???2「貴子(あつこ)や。よろしく」
そして少し時間が経ち、よっすぃーが酒場に入ってきた
よっすぃー「終わりましたよ〜。何だかさっき騒がしかったですね」
保田「あ、おかえりなさい」
美和「こっちの人は?」
保田「えっと、こっちは…。ひとみっていうのよ」
よっすぃー「(小声で)保田さん、何で知られてない方の名前を使うんですか?」
保田「(小声で)勇者一行だなんて知れたら大変でしょ?これはお忍びの基本よ」
美和「あ、それって東洋の『刀』でしょ?ちょっと見せてくれない?」
よっすぃー「え?はい、いいですけど…」
美和はよっすぃーの刀を受け取った。
美和「…すごい!この刃…深みがあるし弾力も十分!これってもしかして『青春刀』かしら?」
よっすぃー「わかるんですか!?聞いた話では刀工前嶋の作品だって…」
美和「そう!初期は『青春刀・光』だったっけ?悲しみを背負った刀というエピソードが…」
よっすぃー「この青春刀は明るさいっぱいの刀だって聞いたことがありますね」
貴子「また東洋マニアぶりが出てきたわ…」
保田「あの子も刀マニアだから…。あの二人、気が合うかもね」
貴子「わざわざOFFでこんなところに来てよかったわ。まったりできとるで」
保田「私もこんなに落ち着いたのは久しぶりね…」
貴子「これも何かの縁や!二人で飲むでぇ!」
保田「賛成!」
4人は酒場で酔っ払いながらも話し続けていた。
美和「傷つけるのが恐いぃ?相手だって殺す気できてるんらから、手を抜くのは失礼れしょう!」
よっすぃー「そぉ〜うれすよねぇ〜。あっちも全力なんれすよねぇ〜」
貴子「なんかひとみひゃん、話し方おかひぃでぇ〜」
保田「おまえもにゃ〜!」
2時間後…。
美和「そろそろお別れね…」
よっすぃー「ホントに時間が過ぎるのは早いですね」
貴子「もう会えんかもしれんなぁ。うちらは忙しいしあんたらは旅の途中やろ?」
保田「どこかで会えるわよ。なんだかそんな気がするから…」
美和「うん、私もそう思う。本当にまた会えるかもね」
貴子「それじゃあ再会を願って、さよならやな」
よっすぃー「ええ、さようなら」
保田「じゃあね」
美和と貴子は街を出て行った。
保田「面白い人達だったわね」
よっすぃー「ええ、美和さんにあのこと相談したらいろいろアドバイスくれたし…」
保田「戦闘の玄人的発言が多かったわ。あの二人、ひょっとしたら私達より強いかもね」
よっすぃー「そうですよね…。でも、これで胸のつっかえが取れました」
保田「それじゃあ、私達も牧場に戻ろうか?」
よっすぃー「でも、ごまが…」
保田「あ、忘れてた。全く本当に困った奴…」
そして街を出た美和と貴子。
美和「彼女たち、明らかに気配が違ったわね。常に隙を見せなかったわ」
貴子「あの若さであの威圧感やからなぁ。かなり強いで、あの子ら」
美和「実際、もう会いたくないわね。一応は人間の敵という肩書きがあるし…」
貴子「まあ『魔王軍最強』のラベル貼られてるしなぁ、うちら4人は」
美和「そういえば、ここ最近ココナッツ四天王が勇者一行にやられたらしいわよ。メールに入ってた」
貴子「当然やろ。ココナッツで倒せたらうちらは一人で十分になるで」
美和「そうだなぁ、やっぱりあの子と東洋対決してみたいわ。この二丁の扇子であれとぶつかり合えると思うと…」
貴子「小湊ぉ、東洋の神秘っぽいな妄想はやめてや。もう聞き飽きたわ」
美和「ごめんごめん、とりあえず城に戻りましょう。魔王さんもそろそろキレるだろうし…」
変なところで失礼します。読んでてわかりにくいと思いますが、
「美和と貴子はよっすぃー&保田が勇者一行であるとはわかっていない」です。
保田「そういえばあの子、眠くなると、、、」
よっすぃー「今ごろ、どっかのお店で動けなくなってるでしょうね。」
ゴマ「zzz、、、きゅ〜ん
(ユウキ、あんた生意気だったけど、お姉ちゃんに手を上げるとは何事なのよ?)」
店員「ちょ、、、ちょっと、店長〜!!お客さんがアザラシになって!」
店長「なに言ってんだ?誰かが忘れいったペットだろ。
困ったお客もいるもんだ。」
店員「い、、いや、さっきまでそこでパクパク食べてたお客さんなんですってば!」
その時、店の扉が開いた。ウィーン
保田「やーっと見つけたわ。思ったとおりね。まったくっ!#」
よっすぃー「すいませ〜ん。うちのゴマが。」
ゴマを抱えるよっすぃー。
店長「あ、お姉ちゃん達のだったのね、忘れ物は困りますよ〜。」
店員「ところでこれ、お勘定なんですけど。。」
保田「げ!これ、あたし達の飲み代より高いじゃないの!」
ユウキが魔王軍に加担した理由を聞きそびれていたごまはやけ食いしていた。
ユウキ「俺は・・・姉ちゃんより強くなりたかった。ただ、それだけだ。」
中澤「それだけやと、何も魔王軍に入る必要ないやんけ・・・」
ユウキ「俺は何も世界を滅ぼそうとか・・・思ってたわけじゃないぜ」
・・・・・
3年前の勇者さやかと魔王の戦いのときには、すでにごまは大魔導士として
その名を轟かせていた。しかし、剣士の修行をしていた弟が居たことはあまり知られていない。
ごま「あま〜い!!」
ユウキ「んぐっ!!・・・はぁ、はぁ、姉ちゃん強すぎるよ」
ごま「当然よ、あたしは勇者様の片腕よ。強くなくちゃあダメダメ」
ユウキ「そんなこと言って、魔王が怖くねえのかよ?」
ごま「・・・怖いよ。でも、みんなと一緒だから大丈夫・・・」
ユウキ「(俺は・・・我慢できねえ・・・)」
その日から、ユウキの剣の修行はより激しいものとなった。
ごまが家に帰ってくるのは多くても月に一回。
勇者一行の旅は辛く激しいものであった。
ごまが久しぶりに家に帰ってきた日・・・。
ユウキ「姉ちゃん!!勝負だ!!!」
ごま「何よ、イキナリ!?でも、あんたそぅとぅ腕を上げたわね。」
ユウキ「姉ちゃん、もし・・・もし、俺が勝ったら」
ごま「・・・」
ユウキ「もう勇者のパーティーには行かないでくれ」
ごま「ダメよ、あたしは世界のために・・・」
ユウキ「いやだ!!世界がどうなろうと知ったこっちゃねえ!!!
姉ちゃんが危ない目にあうのは、もう嫌なんだ!!!」
ごま「・・・わかったわ」
ユウキ「いくぞ!!」
ユウキは剣を逆手に構えると、凄まじいスピードで剣を繰り出した!!
ごま(速い・・・でもこの技には・・・)
ごま「スキあり!!!」ごまのエルボーがみぞおちを直撃!!!
ユウキ「ぐおっ!!!」
ごま「ユウキ・・・強くなったわね。でも、剣を逆手に構えると攻撃力が増す分、
カラダの半分の防御がお留守になるの。」
ユウキ「ちくしょう・・・ちくしょう・・・どうしても、行くっていうのかよ」
ごま「ごめんなさい・・・。あたしは・・・行かなきゃいけないの」
去っていくごま。
ユウキ「くそーーーー!!!くそーーーーー!!!!!」
しばらくして、ごまが久しぶりに家に帰ると、そこには誰も居なかった。
ごま「あれ?ユウキ・・・」
家にはメモがあった。
『俺はもっと強くなるために旅に出る。
いつか、姉ちゃんより強くなって見せる』
ごま「ユウキ・・・」
-------
よっすぃー「・・・ごま、寝ながら何か呟いてますけど・・・っていうか、重い」
保田「なんか切ない夢でも観てるのかしらね・・・。」
ユウキ「それからの俺は、激しい修行に明け暮れた。
最強の剣と、それを使いこなす力を求めて旅を続けた。
そんな時、風の噂に魔王が倒されたことを聞いたのさ」
----
街の人「しかし、この勇者一行ってのは偉いよなあ・・・
自分を犠牲にして俺たちを助けてくれたらしいじゃないか」
ユウキ「何だと!!!?」
街の人「あんた、知らないのかい?勇者一行が魔王の城に乗り込んでから、
魔物がピタリといなくなったんだ。でも、肝心の勇者一行がいつまで待っても帰ってこない。」
ユウキ「・・・」
街の人「まあ、魔王も強かったんだろう、相打ちに・・・」
ユウキ「もういい!!!」
駆け出すユウキ・・・。
ユウキ(正義にとらわれて、自分で命を捨てやがって・・・姉ちゃん・・・
そうなるくらいなら・・・俺は・・・俺は・・・)
ユウキ「俺はそのあとぐれて、賞金稼ぎや裏の仕事など何でもやった。」
ソニン「そんなとき、あたしとワーダ博士に出会った・・・」
----
ワーダ博士「ひゃっひゃっひゃっ・・・お前、どこに行く?」
ユウキ「俺は修羅、戦いつづけて逝くだけだ」
ワーダ博士「ならば、ひと働きしてみんか?
お前なら魔界最強の戦士になれるぞい、ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・」
ソニン「大魔導士とのコンビってのはどう?」
ユウキ「甘いな。大魔導士なんてえのは一人しか知らねえよ。
まあいい、どうせ地獄へ逝くんだ、修羅の道を極めてみるか。」
----
ユウキ「ワーダが魔王軍の参謀だってのはあとから知った。
でも、どうでもよかったんだよ。戦うことさえ出来ればな。」
中澤「ごまが生きてることはしっとったんか?」
ユウキ「勇者を討伐に行くとき、博士から聞いた。」
ソニン「あたしは止めたんだけど・・・」
ユウキ「逆に、姉ちゃんを楽にさせてあげたかった。もう戦わなくてもいいように・・・。
結局、負けた上に命まで助けてもらったけどな。」
ユウキとソニンはそこまで言うと立ち上がり、ルーラで去ろうとしていた。
ユウキ「俺はもう魔王軍には戻らねえ。だけど、勇者と姉ちゃんには
いつか勝って見せる。それが俺の執念だ。今度は小ざかしい技を使わずに、
正々堂々と勝負してやる。」
ソニン「それまで、あなた達は負けないでね。一つだけ、魔王軍には
最強の四天王がまだ残っているわ。ココナッツなんかとは比べ物にならない・・・」
ユウキ「だけど、負けんじゃねえぞ。お前らを倒すのは、この俺だ・・・」
ソニン「じゃあ、ね。ルーラ!!!」
Д<「いってもうたな、フリチンのまま・・・」
辻「はずかしくて、はなしがみみにはいらなかったのれす・・・」
中澤「それはともかくやな・・・四天王が動くとなると厄介やで。」
矢口「ココナッツだってやっつけたじゃん。」
中澤「あほ、ボンバーは・・・もっとやばいのや。」
保田とよっすぃー(とごま)が牧場に戻ってきたのはその夜とっぷりとふけた頃だった。
勇者飯田がまだ目を覚まさないこともあって、重苦しい雰囲気である。
よっすぃー「ごま、拾ってきましたよ」
保田「話はごまから大体聞いたけど・・・強敵だったみたいね?」
矢口「カオがよお、まだ目を覚まさなくて・・・」
保田「ちょっと待ってて・・・ベホマ!!!」
勇者飯田の体力は回復した。しかし勇者飯田は目を覚まさない・・・。
保田「疲れてるみたいね・・・ちょっと眠らせておきましょう。」
翌日
よっすぃー「起きませんねえ、飯田さん。」
保田「そーねー。まあみんな昨日の疲れで起きて来ないけど。」
よっすぃー「飯田さんはずっとですからね。大丈夫でしょうか?」
保田「よっぽど疲れてたんじゃない?さすがに今日は私らが働くしかなさそうね。
あ〜あ。私も二日酔い気味なのにな〜。」
よっすぃー「飯田さん、こないだから何か変だったから。」
保田「え?そうなの?ボーっとしてるだけじゃなくて?」
よっすぃー「ボーっとしながらですけど、
何か考えこんでるみたいだったんです。心配です。」
保田「あー、そりゃあんたの事でしょ。
あんたが悩んでるからって、私に頼んだの。」
よっすぃー「そうだったんですか!」
保田「いい人って感じなのよね。お人良しって言うか。」
よっすぃー「そうですよね。私は吉澤になってしまったとき、助けられましたから。」
保田「あんたもね。優しすぎるのよ。
結局お互い心配しあって沈んでただけなんじゃないの?
私の出るまくなんて、無かったのかもしれないね。」
よっすぃー「うーん、でも、、、違うと思うんです。。。。。」
保田「ん、何が?そんな奴だと思わない?
それより変わり者っていう方が目立ってて気づきにくいんだけどさ。
ほんと、なんで勇者なんかやってるんだろ?」
よっすぃー「あ、そうですよ。それなんです。。不思議に思うでしょ。
私、聞いてみたんです。でも、、、覚えてないんですよ。
こないだからそれを悩んでると思うんです。
何故勇者になったのか。それどころか、自分の過去をぜんぜん。。」
保田「え、、、それっていったい?、、ハードディスクの初期化でもしたのかしら?」
よっすぃー「・・・・(む〜。)」
保田「冗談よ。ごめんねっ。」
よっすぃー「面白くないです。」
保田「わかってるわよっ!」