-BQ-
1 名前:みら 投稿日:2009/10/18(日) 10:34
こちらで新しく短編集を始めようと思います。
リクエスト形式で、BQオンリー。
詳しくは前スレの草板you are my friendを参照に。

では、まずリクのあったあいかんを。
2 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:35


「ねー愛理、知ってる?」


鏡を見て前髪を整えていると、不意に桃子に話しかけられた。
鏡越しに桃子を見ると、何かを持っているのが分かる。
くるりと振り返ってみると、それは銀色の紙に包まれたチョコレートだった。


「なにを?」
「ふふ、良いこと教えてあげる。こっちおいで」
「…いいこと?」

桃子の悪戯な笑みと不可解な言葉に、愛理は鏡を置いて立ち上がる。
こんな時の桃子は、たいていろくなことを考えていない。
雅に教え込まれたことが一瞬頭を過ぎったが、立ち上がってからではもう遅い。
愛理が手を伸ばして催促すると、にっこりと笑った桃子は愛理の手のひらにチョコレートを握らせる。
桃子の隣に座って銀紙を開こうとすると、桃子が口を開いた。

3 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:35


「チョコレートってさ、媚薬になるんだって」
「びやく?」
「そう。簡単に言うと、えっちの薬、かな」
「…はっ?」

舌の上に広がる甘さを味わう手前、桃子の放った言葉に愛理は耳を疑う。


「何、それ」
「まーまー、そんなに警戒しないでよ。言ったでしょ、良いことだって」
「ぜんっぜん良くない。もも、変なこと言わないでよ」

べたべたと腕に絡みつく桃子を振り払ってそう言うと、桃子もチョコレートを口に放り込んだ。
第一、桃子の言うチョコレートに纏わる話など愛理は一度も耳にしたことが無い。
年上の言うことだからとはいえ、そんな話は信じる気にはなれなかった。

次第に口の中で溶けていくチョコレート。喉を通ると、甘さがぐっと増した気がした。

4 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:36


「これ、信じる価値あると思うんだけどなー」
「ないでしょ。もも、なんであたしにそんな話するの?」
「え、アドバイスのつもりだったんだけど」
「アドバイス?」

桃子はにやにやと笑いながら、銀紙をぺらぺらと愛理の目の前に翳す。
それはまるで愛理の反応を楽しんでいるようだった。
早く雅が戻ってくればいい。そうすれば、桃子もこれ以上の悪戯はしないはずだ。
こういう話は得意ではない。とくに、桃子が言うから妙に厭らしい話に聞こえてしまう。
年上の余裕があるのだろうか、桃子も愛理にはやけに得意げだ。


「これ、栞菜にあげてごらん」


テーブルの上に置いた手のひらの上に、赤い銀紙に包まれたチョコレートを渡される。
愛理はそのチョコレートと桃子の顔を交互に見て、思わず頬が熱くなるのを感じた。
5 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:36


「もー、なんでそうなるの!」
「えー、良いアドバイスでしょ?」
「良くないっ!」
「まあまあ、いいから食べさせてみなよ。今度、感想聞かせてね」

そう言ってさっさと楽屋を出て行ってしまった桃子を見送って、愛理は手のひらのチョコレート
を見つめ返した。
桃子の言う「良いこと」という話は本当にろくでもない。素直に聞いたのが馬鹿馬鹿しいと思えた。
雅に言いつけようにも、こんな話を雅にしても笑われるだけだ。
逆に雅にもからかわれてしまうかもしれない。こんな子どもじみた話で、顔を赤くしている自分がいる。


6 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:37


――本当に、栞菜がこれを食べたら


頭に過ぎった映像を掻き消して、愛理はカバンのポケットにチョコレートをしまった。
この後の仕事で、栞菜に会うことになる。愛理はやっと桃子の言った言葉の意味を理解した。

くだらない。だって、これはただのチョコレートだ。

愛理が食べたところで、桃子の言ったような副作用は全く現れていない。
それに桃子も雅もこのチョコレートを食べていた。よりによって、栞菜にだけ効くとは思えない。
それでも、嘘だと分かっている話が頭から離れてくれない。
桃子の余計な一言が無ければ、ただのくだらない話だと思うことが出来た。
愛理はポケットに入ったチョコレートを指先で弾いて、次の仕事へ向かう準備に取り掛かった。



7 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:37


「おはよ、愛理」


予定よりも早く仕事場に着いて、暇を持て余していたころ。
扉を開けて二番目に到着したのは、栞菜だった。
いつものように挨拶をされるがうまく返事が出来ず、愛理は栞菜の目を見つめたまま頷く。
それがよほどぎこちない仕種だったのか、それを見た栞菜が腹を抱えて笑った。

今頃桃子はどうしているだろう。桃子も、雅や梨沙子と一緒に次の仕事場へ向かっているはずだ。
おそらく愛理に言ったことなど全て忘れて、あのチョコレートを食べているに違いない。
桃子に植え付けられた余計な思考が邪魔をして、愛理はそれを食べることが出来ない。
愛理の横に腰をおろした栞菜にそんなことを言えるはずもなく、愛理はカバンを膝の上に乗せて
横目で栞菜の様子を伺う。
栞菜はいつも通りだ。愛理の隣に座って、手を繋ぐ。いつもと違うのは愛理のほうだ。


8 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:39


「あー、なんかおなかすいた」
「え?」
「愛理、なんか持ってない?今日お菓子持ってくるの、忘れちゃったんだよね」
「…えーっと」

栞菜は愛理に甘えるように体を寄せて、お菓子を催促する。
愛理はカバンの肩紐を強く握り締めて、ポケットを開く。今はこのチョコレートしか持っていないのだ。
どうせなら桃子と雅が食べていたクッキーを持ってくれば良かった。
あの場で食べてしまったことを後悔しながら、ポケットの中にあるチョコレートを見下ろす。
栞菜はそれを見つけると、赤い銀紙を広げだした。


「これ、食べていい?」
「だ、だめ!」
「へ?」
「あ、えっと…それ、おいしくないから」
「そお?これと同じのえりかちゃんにもらったけど、おいしかったよ」

つまらない嘘をついたが、栞菜には通用しない。
それもそうだ。これと同じチョコレートを、つい最近メンバー全員と食べたことを愛理は思い出す。
愛理も食べたじゃん、と言い返されて、何も言えなくなる。
9 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:39

ただのチョコレート。そんなことは百も承知だが、桃子が邪魔をする。
効果があるかどうか、桃子は知っているのだろうか。感想を求めていたことから、きっと知らないはずだ。
そうなると、愛理が実験台にされていることになる。納得のいかないこの流れに抗うには、栞菜に
このチョコレートを食べさせて、全てが作り話だということを証明しなければいけない。


「…いいよ。それ、食べて」


ぼそぼそと呟くと、栞菜が待ってましたとばかりにチョコレートを口に放り込む。
繋いだ手が熱い。栞菜ではなく、自分の手が熱いのだ。
何かが起こってしまったら、どうすればいいのか。
栞菜がチョコレートを食べている間、愛理は気が気ではない。


10 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:40


「…なんか、へんな感じしない?」
「は?なにが?」
「それ食べて、変な気分になってない?」

愛理は栞菜の両手をとって、慌てて尋ねる。
明らかに不審そうな顔をされたが、愛理はそれどころではない。
こんなことで桃子に対抗するようなことはしたくないが、ムキになるのも仕方が無い。
栞菜はとりあえず首を横に振って、舌の上に転がっていたチョコレートの欠片をごくんと飲み込んだ。


「…あー、よかった」
「愛理、もうチョコないの?」
「うん」
「ふーん。じゃ、愛理の分、ないじゃん」

桃子にもらったチョコレートはひとつだけだった。
それを栞菜が食べてしまったので、当然愛理の分は残されていない。

何事もなかったことを安堵して栞菜の手を離すと、今度は栞菜に腕を引き寄せられる。
抱きしめられる直前に目に映った栞菜の目つきは、桃子とよく似ていた。
ここで気付いては、もう遅かった。
愛理は慌てて栞菜の腕から逃れようとするが、桃子のように簡単には離れてくれない。
11 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:41


「チョコ、食べたくない?」


目の前にいる栞菜から香るチョコレートの甘さに、頭がくらくらする。
重なった唇から割って入る栞菜の舌は、まるでチョコレートのようだった。
唇を舐められて、愛理も自身の唇を舐める。さっき食べたチョコレートの味がした。

『えっちの薬、かな』

桃子の言葉がキスの間中、頭から離れない。
ここに逃げ場はない。というより、愛理は栞菜のキスから逃げる気にはなれなかった。

栞菜に求められることが嫌というわけではない。
ただ、桃子にからかわれたのが気に食わなかっただけだ。
チョコレートを食べさせただけで栞菜の性欲が高まるなら、それに付き合うまでだと愛理は思う。
いつ誰が来るとも分からない楽屋で押し倒されても、栞菜を拒むことは出来ない。


12 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:42



「…っ、は、あ」
「愛理、いつもよりえっちだね」
「そ、んな…ことない」
「あるよ。 なにが欲しいか、言ってごらん」

はだけた服から覗く愛理の鎖骨を舐めて、栞菜がそう尋ねる。
薄れていきそうな視界の中に、栞菜の悪戯な笑みがはっきりと映し出される。


「…えっち、して」


これがもし、チョコレートの副作用なら。
桃子にどう報告すればいいのだろう。
効き目が現れたのは栞菜ではなく、自分なのかもしれない。
チョコレートの甘い香りに酔いながら、素肌を滑る舌の感触に愛理は目を閉じた。



13 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:42
14 名前:chocolate chips 投稿日:2009/10/18(日) 10:42
15 名前:みら 投稿日:2009/10/18(日) 10:45
桃子を書くのが楽しかったです。
ていうか、こういう桃子を書きたかっただけっていう笑
一応、ももあいかんになるのかな?微エロですので、ご注意を。

リクエスト募集してます。何か希望があれば、どうぞ。
最初に言っておくと、とっくまは書けませんorz
よく知らないのがいけないんです。ごめんなさい。
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/18(日) 11:35
やっぱりあいかんイイですね!
ホント愛理かわいい(*´Д`)
栞菜の愛理の事なら
何でもわかってる感じが好きですw
あと、桃子の悪戯な顔が
はっきりと頭に浮かびますw


それから…
大変申し訳ないんですが
草板のスレに
みらさんが終了宣言した後に
書き込んでしまいました(T_T)
本当にすいません!!m(_ _)m
感想等を推敲してたら
結局書き込みに時間がかかってしまいました。
たぶん、みらさんが書き込むよりも早く
文章作成し始めてたのに…orz
本当に申し訳ないです。
もし気が向いたら
あちらのスレに書き込んでしまった
感想読んでやって下さい。
厚かましくてすいません!!(><;)
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/18(日) 14:17
あいかん最高!!
早速のリクすいません。。みやあいりが読みたいですw
18 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:09


冷たいグラスを片手に、雅は窓ガラスの外を見下ろしていた。
唇についた牛乳を舐めとる。窓に額をつけて、降り続く雨の冷たさを感じる。
こんな豪雨の中、どうやって愛理の家まで来たのかを思い返してみる。
仕事が終わって携帯を見てみると、一本の留守電に、何件かメールが入っていた。

電話を耳にあてると、有無を言わせず用件を言われ、やれやれと頭を抱える。
雅はすぐに切れてしまった携帯をポケットに突っ込んで、タクシーに乗り込んだ。
渋滞の最中、メールの返事をしようか迷った末に連絡は入れなかった。
入れたところで、早く来てと急かされることは目に見えていた。


19 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:10

通い慣れた愛理の部屋は綺麗に整頓されており、自分の部屋とはまるで
違うと雅は思う。
ぐるりと部屋を見回して窓ガラスにごつんと頭をぶつける。
雨音が激しさを増して、空はごろごろと雷音を響かせて不機嫌な模様だ。
乾き切らない髪をかきあげて、空と同じように不機嫌な顔をした愛理が風呂から戻ってきた。

「おかえり」
「ん」

グラスを手渡すと、喉が渇いていたのか愛理がぐいぐいと牛乳を飲み干す。
雅は自身の唇を指でつついて、愛理の唇に牛乳がついていることを教える。
すると、それを無視するかのように愛理の体が雅にぶつかってくる。
思いの外強くぶつかってきたその体を抱いて、バランスを崩して不恰好に雅がベッドに沈む。
見上げた愛理の顔には、ふにゃふにゃとした笑みが広がっていた。

20 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:10

「自分でとりなよ、もう」
「いいじゃん」
「もー、グラス割れたらどうすんの。危ないでしょ」
「へーきだよ」

雅は愛理の唇を指でなぞる。満足そうに笑う愛理との距離はとても近い。
能天気な返事をされて顔をしかめると、瞼にキスをされた。
次々と顔中に降ってくる唇の感触がくすぐったく感じられて、止めるように
背中を叩いて促す。
それでも愛理のキスは止まない。
それどころか、目を開くと愛理は何かをねだるかのような表情をしていた。


「ね、みや」
「なに?」
「どうして、来てくれたの?」


吐息が聞こえそうな距離まで詰め寄って来た愛理の頬を撫でると、神妙な声で尋ねられる。
外は見ての通り大雨を通り越して台風がやってきたかのような天候だ。
雅は愛理を自分の横に寝かせて、肩まで布団をかけてやる。
まるで幼い子どもをあやすかのように、出来るだけ優しい声で愛理に答える。

21 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:12


「愛理が呼んだから。それだけだよ」

他に理由などない。愛理が自分を必要とすれば、すぐに会いに行く。
本能的なものだと雅は思う。疲れた体を早く休めたい気持ちはあるが、それよりも
愛理を優先しなければいけないという思いがいつの間にか雅の中に植えつけられていた。


「みやなら、来てくれると思った」


愛理が会いたい人は、他にもいる。
代替の利く存在だとしても、構わなかった。

22 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:12

愛理の寂しさを紛らわすことが出来れば、それで良い。
風呂上りで火照った頬に触れて、喉元を指でなぞるとじれったそうに愛理が小さな声を上げる。
愛理が雅の体を引き寄せて、触れるだけのキスをする。
耳元を指先でなぞると、くすぐったさか愛理が八重歯を見せて笑った。

キスをするたび、体を重ねる度に思いは募る。
愛理が本当に求めているものは、雅が与えるものとはどれも形を異にしている。
心から満足させることなど出来はしない。それでも愛理は雅に笑いかけてくれる。


一言、好きと言えたら楽だろうか。
どんなに愛理に触れようとも、その気持ちが伝わっているのかどうか、雅には分からない。
華奢な体を抱きしめると、愛理も雅を抱き返す。けれど、それが答えになるわけではない。


「ねえ、愛理」
「ん」
「栞菜と、どんなことしてたの?」

単調な声でそう尋ねると、愛理の瞳がはっきりと雅を捉える。
まるで感情のないその声に、愛理は戸惑っているようにも見えた。
23 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:12


「栞菜は、どんな風に触ってた?」


するりと愛理のパジャマの裾に手を入れて、雅は乾いた声で愛理に尋ねる。
答えは返ってこない。びくんと震えた体からパジャマを取り払うと、その白い肌にキスを落とす。
今まで聞かれたことのない質問に愛理が困惑していることは雅にも分かっていた。

それでも、知りたかった。
愛理を満足させてあげたいという気持ちが、雅の中で抑えきれないほどに膨れ上がっている。



24 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:13


「…下も、脱がせて」


掠れた声で、やっと愛理が口を開いた。
それに応じるように下着ごとパジャマを下ろしてしまおうとするが、膝が邪魔をして上手く
脱がすことが出来ない。

「愛理、足」

いつもより冷めた調子の声は、逆らうことを許さない。
愛理は素直に膝を上げて雅にパジャマを脱がされる。
外気に触れて冷たく感じる下半身を縮めるようにして足を閉じようとすると、雅
の体がその間に割り込んでくる。


25 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:13


「で、次は?」
「…ね、みや。そんなの、いいから」
「良くないよ。栞菜なら、どうしてた?」


手首を掴んで、指先にキスをする。
愛理の吐息を頬に感じて、触れたいという欲求が疼きだす。
嫌がるように首を振る愛理の肩を掴んで尚も尋ねると、聞き取れないほど小さな
声で愛理が呟く。

「…な、めて」
「どこを?」
「いま、脱いだところ」

太腿を撫でて、中心を焦らすようにして愛理に触れていく。
頬を赤く染めてやっとのことで吐き出した愛理の言葉は、しっかりと雅の耳に届いていた。
栞菜は愛理に触れて、どんなことをしたのか。
それを忠実に守ることで、愛理は満足してくれる。雅はそう信じていた。
濡れて滑りやすくなった中心部に指を埋めると、愛理の腕が雅に伸びてくる。
キスを求められているのだと分かって唇を寄せると、すぐに小さな舌が雅を掴まえる。
深いキスのあと、愛理の膝を叩いてもっと開くようにと促すと、繋いだ手を強く握られた。


26 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:14


「愛理、すごい濡れてる。栞菜のこと、思い出しちゃった?」
「ち、がっ…」
「そんなにして欲しい?」
「して…っ、みやに、して欲しい」

繋いだ手を離さずに、愛理の濡れ切った箇所へ舌を伸ばす。
びくびくと跳ねる腰を抱いて深くまで舌を埋めると、愛理の甘い声が部屋を満たす。
小刻みに突起を舌先で突くと、それに合わせて愛理の喘ぐ声が聞こえる。
唇の周りがべたべたとしてきたところで顔を上げると、すぐに愛理にキスをねだられる。

「き、もち…かった」
「そう?」
「みやが、するから」

べたついた雅の唇を舐めながら、愛理は甘えた声でそう言った。
ぺろぺろと唇を舐めまわす舌を唇で挟み込むと、もっととねだる仕種で愛理の腕が雅の首に回る。

27 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:14


愛理が欲しいのは、栞菜だ。
そう言い聞かせていたのに、愛理を愛おしいと思う気持ちは止まない。
愛理が望んでいることをしてあげても、甘い言葉をもらうことで期待は増していく。


「好き、みや」


――ねえ、信じていいの?


十分に濡れ切ったそこへ指を二本埋めると、愛理が今までで一番甘い叫びを上げる。
体を起こして膝の上に愛理を跨らせると、指を埋めたまま首筋を舐め上げる。
愛理は体の中でうごめく雅の指が与える快感に我慢が出来ず、自然と腰が動いてしまう。
水音をたてて厭らしく果てていく体を抱きしめてベッドに倒れると、いっそう強い力で
愛理が雅を抱きしめる。


28 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:14


「…どこも、行かないでね」
「え?」
「みやは、どこにも行っちゃだめ」


涙ぐんだ声が聞こえて、雅は静かに目を閉じた。
頷くわけでも首を横に振るわけでもない。隙間無く愛理を抱きしめて、背中を撫でてやる。
約束なんて出来はしない。きっと、それがいつか愛理を傷つけることになる。
きっとそれは、かつて栞菜が愛理にしてしまったことなのだろうと雅は思った。

どこにも行かないよ。
愛理が望むなら、あたしはずっとここにいる。

そう言えずに涙で濡れた頬にキスをして、雅はもう一度目を閉じた。

29 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:15
  

30 名前:アカイイト 投稿日:2009/10/18(日) 22:15


31 名前:みら 投稿日:2009/10/18(日) 22:24

从・ゥ・从<ガーッと更新だよ!
州;´・ v ・)<微エロっていうかエロの部類です…たぶん


リクエストを頂くとやる気が湧きます。
書き上げた後、愛理とみーやんは報われないほうがイイと思いました。
設定が雑すぎるのですが、お好きなように想像してもらえればいいかと。
前スレでいただいたエロ愛理、じゃなかったみやあいり(裏)でしたw
えっちいシーンを書くのは難しいorz


>>16
いえいえ、私が先に森にスレを立てたのが間違いでしたorz
草のほうにも感想をいただけて、本当に嬉しいです!
猫愛理のお話も今考えているところなので、少しの間お待ちください。
もし細かい設定等のご要望がありましたら是非お願いします^^

>>17
読んでくださってありがとうございました。
みやあいりですね、了解ですー。人気だなあww
32 名前:みら 投稿日:2009/10/18(日) 22:29
あと、前回のchocolate chipsについて。

小説を書く上で栞菜の設定に凄く悩まされました。
アンリアルで書くよりもリアルの方が書きやすいという私の勝手な理由で
栞菜が現メン在籍という形で書き上げたものです。
おや?と思われた方もいらっしゃるかもしれないので、一応。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/19(月) 14:49
新スレおめでとうございます(^O^)/
作者さんの書くやじうめ読みたいです。前回のみたいなもどかしい感じでW
34 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/21(水) 00:46
更新お疲れ様です。
新スレ乙!2作とも良かったです。
何か好みが被っちゃってシツコイけど、みやあいり良いなぁ。
リクではないけど、またみやあいり読みたいです。
35 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 21:51



「ねーみや」
「んー?」
「一緒に寝ようよ」


明日のライブを控え、早めに眠った桃子の寝顔を眺めながら愛理が呟く。
身の回りを整頓していた雅がふと愛理を見る。瞳はとろんとしていて、とても眠そうだ。

「え、せまいじゃん。愛理、危ないから一人で寝たほうがいいよ」
「みや、寝相悪いの?」
「ももには負けるけど、わりと」
「大丈夫。ねえ、いいじゃん」

なにが大丈夫なのか。そう尋ねたかったが、有無を言わせず愛理がのそのそと
雅のベッドへ入ってきた。
寝返りを打った拍子に愛理を蹴ってしまうおそれがある。自分の寝相の悪さは
自覚しているから、愛理と眠ることは出来れば止めたい。
それでもベッドに入ってきた愛理を押し返すことは気が引けて、仕方なく間隔を
あけるようにして雅も横になる。
36 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 21:52

「℃-uteっていつも二人で寝てんの?」
「うん。落ち着くよ、こっちのほうが」
「ふーん」
「それに、あったかいし」

愛理はころん、と体を横にして雅の方を向く。
手を握られて雅も素直に握り返すと、愛理が空いていた間隔を詰めた。

電気を消してしまったから、愛理の顔は雅にはよく見えない。
暗闇に慣れる前に眠りに落ちてしまうからそれは気にならないが、すぐ近くで香る愛理の匂いが
呼吸とともに雅の中へ吸い込まれる。
すうすうと桃子の寝息が聞こえる。愛理はまだ眠らないようだ。


「愛理、寝ないの?」
「…んー、目冴えちゃったかも。みや、寝る?」
「うちはまだ平気かな」
「そっか。でも、あんまり喋ってると、もも起きちゃうね」

寝起きの桃子は機嫌が悪い。それを一番知っているのは雅だ。
こそこそと話している間は問題無いが、次第に声が大きくなってしまうのはいけない。
さっきまで眠そうな顔をしていた愛理の目はぱっちりと開いているようだった。

37 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 21:56


肩に愛理の温度を感じる。
額をくっつけられているのだと分かって、雅はこそばゆそうに肩をすくめた。
愛理は人と話すときの距離がとても近い。それは癖であって、無意識の行動だということ
は雅も他のメンバーも分かっている。
肩にかかる吐息が熱い。寝返りを打とうにも、愛理を退けなければならない。

「みや、いい匂いする」

くんくんと鼻を雅の首に押し付けて、愛理が小声で呟く。
こんなことをされてはくすぐったくて仕方が無い。
雅は愛理の頭を押してどくように促すが、へらへらと笑うばかりで愛理に止める気はないようだ。
いい匂いもなにも、いつもと同じ匂いのはずだ。変わった石鹸やシャンプーは使用していない。
距離が近いせいか、愛理の甘えた声がいつもより数倍濃いものに聞こえる。

暗くて周りが見えないせいか、それを良いことに愛理の体がぴったりと雅に寄り添ってくる。
右半身だけが温かい。それは、隣に愛理がいるから。
38 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 21:57

雅が姿勢を変えようともぞもぞと動くと、不意に頬に何かが触れた。
最初は愛理の手があたったのだと思った。しかし、愛理の手はきちんと布団の中にしまわれている。
それに、愛理の腕は雅の腕に絡み付いている。

「愛理っ!」
「みや、しーっ」

愛理は人差し指を唇にあてて、桃子を起こさないように静かにしろと雅に促す。
布団をすっぽりと被って雅を黙らせると、愛理がくすくすと笑い出す。


「ももが起きたらどうすんの!」
「みやとちゅーしただけで、ももが起きるわけないじゃん。みやがおっきい声出すから」
「…ホテルでこういうことしないって言った」
「あたしは言ってないもん」

駄々をこねた子どものように愛理がそう言うと、雅は息苦しさからか布団から顔を出す。
愛理の一緒に寝ようという誘いも、体をくっつけて甘えてくる仕草もまだ許せた。
だからと言って桃子がいる前でキスをされては困るのだ。
たとえこの暗がりで、桃子が眠っているとしても。

39 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 21:58
前にも同じようなことがあった。桃子のいない楽屋で、同じように愛理が雅にキスをした。
いつ桃子が返ってくるか分からない楽屋で、そのようなことをするわけにはいかない。
その時に注意したことを愛理は覚えていないのだろうか。それとも、とぼけているのか。

「…愛理、だめだって」
「もも、寝てるよ」
「そうだけどさ」
「ねえ、みや」

背中に愛理の腕が回って、甘えるように愛理が雅に抱きついてくる。
だめ、と何度言っても、愛理にはこうして押し切られてきた。
それは雅が愛理に対して甘いからであり、それは常々桃子から指摘されていることでもある。
口では否定しているが、実際に愛理を目の前にすると強いことは言えない。

だからこうして愛理が甘えてくるのだ。
首筋に感じる愛理の吐息に身を捩ると、愛理の唇が耳たぶに触れた。


40 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 21:58


「っ…キス、だけだって」
「じゃあ、していいの?」
「…そうじゃなくて」
「みや、意地悪」


焦らしているつもりはない。理性に負けて、愛理にキスをしてしまえば歯止めがきかなくなる。
桃子に気付かれるという恐れ以上に、雅はそのことが気がかりなのだ。
愛理に耳たぶをかぷっと噛まれて、雅はたまらずその肩を押さえつける。
雅は隣で聞こえる桃子の寝息に耳を澄ます。愛理は暗がりの中、きょとんとした顔で雅を見上げていた。


「…声、出さないって約束して」


そう言って滑らかな肌に触れて薄く開いた唇にキスをすると、愛理が照れた様子でこくんと頷いた。
愛理の唇から甘い声が漏れるのも、時間の問題かもしれない。
ベッドに投げ出された愛理の手をとってそこをぺろりと舐めると、もう一度意地悪と囁かれた。




41 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 22:01


「みや、昨日愛理と寝てた?」
「へっ?あ、え、うん」
「…みーやんて、結構あれだよね。うんうん」
「なっ、なに?!あれって何!」
「べっつにー。ねー、あいりーん」

ル* ’ー’リ <…
州*´・ v ・)ノ   ノノl;∂_∂'ル<…起きてたのかよ



42 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 22:02

43 名前:secret,secret 投稿日:2009/10/22(木) 22:02

44 名前:みら 投稿日:2009/10/22(木) 22:08
リクエストいただいたみやあいりでしたー。
うちのみやびちゃんはどこまでもへたれのようです。
愛理はいつでも誘い受けだとゆいたい!w
書いてるうちにgdgdになってしまいました、ごめんなさいorz

>>33
ありがとうございますー。
やじうめですね、了解しました!
梅さんはもどかしいことをさせたらナンバーワンだと思います←

>>34
みやあいりイイですよねー。愛理って結構年上に懐きまくってるイメージがあります。
とはいえ、グループ内に年上が多いというだけですがw
45 名前:みら 投稿日:2009/10/25(日) 20:51
梅さん卒業おめ!
更新ではありませんが、とりあえず笑
46 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/26(月) 22:29
更新はやいですな〜。
ここで、最近みやあいり好きになりました。ボノの3人の絶妙な距離感も好きですけども。
CPでは無いですが、この3人が出てくるようなお話読みたいです。
これからも楽しみにしてますV
47 名前:みら 投稿日:2009/10/27(火) 20:10
単発です
48 名前:I say ×× 投稿日:2009/10/27(火) 20:11

もし魔女にでもなって魔法が使えたなら、時間を止めてしまいたい
伝えなきゃいけないことが多すぎて、きっと10分そこらじゃ足りないんだろうけど


「えり、行こう」
「うん」


ごめんね、舞美
あたしはみんなと一緒に行けないんだ
そこのつきあたりで、あたしは左に曲がるの
舞美は、みんなと右に行くんだよ

49 名前:I say ×× 投稿日:2009/10/27(火) 20:11


「また、会えるよね?」
「うん。会えるよ、絶対」
「約束だよ」
「うん。約束する」

大丈夫、行き止まりにはなってないと思うから

うん、大丈夫
ちゃんと、戻ってくるから

指切りを交わして舞美は太陽みたく明るい笑顔を見せた
手を繋いで、どこまでも行けたらいい
何も怖くなかった 隣には、いつも舞美がいたから

でもね、舞美
もうそろそろ、魔法が解けちゃうから
あたし、行かなきゃいけない

50 名前:I say ×× 投稿日:2009/10/27(火) 20:12


飛び込んだ世界は輝くに満ちていて、とても美しい
その色に染まっていくほど、思いは強くなった
あたし、勝手かな …うん、勝手だよね
許してくれるかな


「またね、舞美」
「うん。あとでね」


繋いでいた手を解いて、舞美に背を向けた
一本道は別れ道に変わって、長く細く続いている
振り返ると、そこにはもう舞美の姿はなかった
あたしよりずっと速く走れるその脚で、風切ってどんどん前を進んでいく
ばかだなぁ、もう


51 名前:I say ×× 投稿日:2009/10/27(火) 20:13


「ありがとう、舞美」


結局、肝心なこと、言えなかったじゃん
少しは待ってくれたっていいのにさ

時間は再び時を刻む
魔法は解けた 効き目はとても短くて、儚い魔法

もう二度と、使えない魔法



52 名前:I say ×× 投稿日:2009/10/27(火) 20:13

53 名前:I say ×× 投稿日:2009/10/27(火) 20:13
 
54 名前:みら 投稿日:2009/10/27(火) 20:16
リクに沿わないやじうめでごめんなさいorz
次回更新時にまた違うやじうめをうpしようと思います。
すみませんでしたorz


>>46
Buono!のDVDを見てみると、やたら愛理が雅ちゃんにべたべたしてる
んでそれを見てたら手が勝手に(黙
Buono!主体で何か考えてみようと思います。リクエストありがとうございました!



55 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/01(日) 22:06
みやあいり良かったです。
ボノ見たい。
また、リアル設定で「ももみや」何かも読みたいです。
56 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/17(火) 20:46
みやあいり良い!!!
最近この二人は本当にべたべたですね。
もっとみやあいり読みたいです。
エロでも良いです〜(恥ずかしい>///<)
57 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/11/21(土) 17:45
みらさんのあいかん、みやあいりが大好きです。
あの・・・
良ければブログの行き方教えてください。
58 名前:みら 投稿日:2009/11/27(金) 15:05

>>55
みやあいり大人気笑
ボノは今執筆中なので、後日に上げたいと思います。
ももみやですねー了解しました。

>>56
愛理は雅ちゃんにべたべたしすぎなのです。桃子にもべたべたしてあげてとゆいたい!w
お、裏のみやあいりですね。了解です。

>>57
なんて嬉しいお言葉!ありがとうございます。
更新速度といい内容といい、こんな底辺なブログでよければおいでませ笑
ttp://d.hatena.ne.jp/zenzen77/
59 名前:みら 投稿日:2009/11/27(金) 15:06
リクエストのやじうめは明日あたりに更新できるかと。
なら明日レス返ししろという話なんですがorz
60 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:07

「舞美、焼けたよー」

えりかは香ばしいクッキーの香りが漂うキッチンを後にして、リビングのソファに座っていた
舞美に呼びかける。
ところが、そこに舞美の姿は無い。代わりに、何か用かとばかりに二匹の犬達がぱたぱた
と尻尾を振ってえりかのところへやって来る。
おかしいな。さっきまでいたのに。
犬の頭を撫でつつソファへ近寄ると、そこには確かに小さく縮こまって眠る舞美がいた。

クッキーが食べたい。言い出したのは舞美のほうからだった。
お菓子作りが趣味のえりかにとって、クッキーを作るのは容易いことだ。
そんな舞美の思いつきで、休日に二人でクッキーを作ることになった。
二人で、とは言っても、舞美が手を加えたのは生地の型をとるだけで、その他の作業はすべて
えりかが行った。
舞美だって、お菓子を作るのは不得意ではないと思っていた。
「あたし、クリームブリュレしか作れない」と土壇場になって告白されて、えりかがそれに驚かないわけがない。
焼きあがったクッキーの香りにも気付くことなく、舞美はすやすやと眠っている。

61 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:07

「舞美、クッキーいらないの?」
「…んぅー」
「もう、食べたいって言ったの舞美じゃんよー」

ぽんぽんと頭を軽く叩いても、舞美が起きる気配はない。
寝言のように何かを呟いた後、むずがゆそうに眉間を寄せた。
えりかはほんの悪戯心で、舞美の頬をむにゅむにゅと人差し指で押してみる。
それでも起きない。何故だか嬉しそうに頬を緩ませて、「えりぃ」と名前を呼ばれた。

「…かわいーね、舞美は」

思わず、思ったことをそのまま口にしてしまった。
舞美が起きていたら、きっと頬を赤くして誤魔化すように笑われるんだろう。そう思った。
白い肌に、長い睫、薄いピンク色した唇。どれをとっても、えりかの知っている舞美のほんの一部だ。
この体のパーツひとつひとつが、舞美を構成している。
寝顔を見ているうちに、えりかはその触れたことのない場所に触れてみたいと思った。

62 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:08

もし、クッキーを作ってとねだってきたのが、舞美でなかったら。
即座に「いやだ」と断っていただろうとえりかは思う。作るのにそれなりに時間も手間もかかるのだ。
それでも、舞美なら。喜ぶ顔が見たい、美味しそうにクッキーを食べる舞美を見たいと思う。

――材料は揃ってるから。えり、よろしく!

そう言ってた舞美に思い切り肩を叩かれても、文句は言えなかった。
えりかは惚れた弱みというものを思い知った。

63 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:08

ただ、その気持ちが一方通行であることが苦しい。
こうして舞美の家を訪れてクッキーを作るということが、決して特別なことではないように思える。
親しい友人なら、当たり前のことだ。とくに恋人同士のすることではないとえりかは思う。
具体的なことを求めれば、舞美を困らせることになることは分かっていた。

いつでも優しい舞美でいて欲しい。気の合う友達のまま、一緒にいられればいい。
そう思っていても、隣で眠る舞美に触れたいという欲求は止まらない。
いつからこんな気持ちが芽生えたのか、もう思い出せないくらい記憶は遠くにある。
さらさらとした舞美の黒髪を撫で、色づいた唇に指で触れる。柔らかな感触が心地よい。
引き寄せられたように身を屈めて、ぐっと舞美との距離が縮まる。
えりかはソファに押さえつけた舞美の手首にキスを落として、胸元に額を押し付けた。

香ばしいクッキーの香りが、食欲を誘う。
ぐう、とえりかのお腹が鳴ったと同時に、舞美が薄目を開いた。


64 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:08

「ん…え、り?」
「わっ! お、おは、おはよ」
「あ、焼けた?クッキー、焼けたの?」
「へ?あ、うん。今さっき、うん」
「やった!ね、早く食べよー」

舞美がソファから飛び起きると、床に伏せをしていた二匹の犬も喜んでぱたぱたと尻尾を振る。
おまえたちの分はないんだよ、とばかりにえりかは犬を睨みつけた。
額を押し付けた胸元からは、いつもの舞美の匂いがした。
まだわずかに香るその匂いは、クッキーの香ばしい香りに掻き消されそうになる。
オーブンから出したばかりのクッキーを早速口に放り込んだ舞美の笑顔が、やけにえりかの心を揺さぶる。

もう少し、目を覚ますのが遅かったら。
舞美に何をしていただろう。手首だけでなく、指で触れていた唇にまでキスをしてしまっていたかもしれない。
もしかして、その時から舞美は既に起きていたのではないかとえりかは思う。
熱くなった頬を押さえてえりかもキッチンへ向かうと、舞美に焼きたてのクッキーを口元に差し出される。
65 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:09

「はい、あーん」
「…あー」

人の気も知らないで。そんなことを思いながら、素直に口を開ける。
さくさくとしたクッキーは香ばしく、とても美味しい。けれど、何だか物足りなかった。
焼きあがったクッキーを皿へ移そうと鉄板に手を伸ばす。すると、横からがっしりと腕を掴まれた。

「へ?」
「ありがと、作ってくれて」
「あー…ううん、あたしも、食べたかったし」
「ほんと、えりは優しいなー」

触れた鉄板は人肌並に温かい。先ほど触れた舞美の唇と、同じくらいの温度だった。

優しいと言われて、嬉しくないわけではない。けれど心から喜べる言葉ではなかった。
舞美に優しくするのに、理由などない。単純に舞美を好きだから自然にそうしたいと思える。
それが伝わらないもどかしさは、えりかにしか分からない。
星型のクッキーを一口齧って、口の中に広がる甘さを舌で味わう。
舞美はまだえりかの腕を掴んで離さない。ふと横を向くと、舞美がゆっくりと寄りかかってきた。

66 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:09

「…ほんと、優しいね。えりは」

その言葉の意味を、どうしても尋ねることが出来なかった。
舞美はすりすりとえりかの胸元に頬を寄せて、ただ微笑んでいるだけだった。
鉄板をテーブルに置いたまま、えりかは寄りかかる舞美の肩に遠慮がちに手を置く。
そうすることしか、出来なかった。

舞美が起きていても起きていなくても、あの続きをしてしまうことは簡単なのかもしれない。
キスがしたい。そう思っているのは自分だけでなく、舞美もそうだと思いたい。
そんな自惚れが出来るほど舞美との距離が縮まっているとは言えないけれど、今なら
勇気を出せるような気がした。


67 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:10

「あのさ、舞美」
「ん?」
「あたし、舞美のこと――」

壁を壊して、その向こう側に広がる景色を見たいと思う。
暖房の効いた部屋の中はぽかぽかとしていて、えりかの眠気を誘った。
高揚した気分でも、どこか怖れていることがある。その続きから逃げるわけにはいかないと思った。

静かに耳を傾ける舞美の横で、二匹の犬がちょこちょこと走り回る。
たった一言、舞美に好きだと告げたかった。



68 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:10
 
69 名前:君に告げる 投稿日:2009/12/13(日) 21:10

70 名前:みら 投稿日:2009/12/13(日) 21:13
やっとこさやじうめを消化。片想いってムズカシイ。
リクエスト下さった方へ…大変お待たせして申し訳ないですorz
リl|;´∀`l|<こんなので良いのか不安すぎる

次回はももみやかな?
まったり更新ですが年内にあと一度は更新したいです
71 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:53

何が正しくて、何が間違っているのかの区別がつかなくなってきた。
愛理は栞菜の視線を感じて振り向くと、髪を撫でられて頬をつままれる。
背中を指先で辿られ、思わず身を捩った。
制服を着ているから、指先のさやかな動きなどあまり感じるはずがないのに、栞菜
の声に合わせて背中が震えだす。
今日も、栞菜の「悪戯」が始まった。

「ちょっと、ねえっ」
「ん?」
「栞菜、ふざけすぎ」

首筋に額をこすりつけられて、くすぐったさから愛理は栞菜の肩をぱしんと叩く。
それが離れろという合図だと知りながら、栞菜は口角を上げて愛理を見上げる。
スカートの上からするりとお尻を撫でられて、愛理の体がびくりと跳ねる。
そこを触り続ける栞菜の手を掴んで引き離そうとするが、今度は簡単には離れなかった。

72 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:54

「ふざけてなんか、ないけど」
「嘘。へんなとこ、触んないでってば」

栞菜のスキンシップが激しいことには慣れているつもりだった。
それでも、近頃はどうもおかしい。
栞菜が愛理に触れることは日常茶飯事のことだ。愛理の手に、髪に、頬に栞菜が触れる。
そのことにくすぐったさを感じて逃げようとすると、必ず栞菜はそれを許さない。
こうして至近距離で見つめ合っても、栞菜はただ笑うだけだった。
そして、愛理の嫌がることを無理にしようとする。
もっとも、栞菜に触れられることが本当に嫌なのかどうかさえ、愛理自身でも分からなかった。

首元のリボンをするりと外されて、気がつけばシャツのボタンは上からふたつ外されている。
愛理は驚いて栞菜を見下ろすと、黒目がちの瞳が何かを訴えかけていた。

73 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:54

「愛理、好き」

突拍子もない告白に、愛理は反射的に栞菜の手首を掴んだ。
胸元でぎゅっと栞菜の手を握って、俯き加減に呟く。

「…それも、嘘でしょ」

明らかに疑いを持った表情でそう言われて、栞菜は静かに笑って首を横に振る。
信じられるわけがなかった。
栞菜のこういう行動は、愛理のみならず栞菜の懐いている人物にも同様に見られることだと知っているからだ。
栞菜は掴みどころのない性格をしていると愛理は思う。自由過ぎて、勝手なところがある。
けれど、その告白を真実だと思いたい気持ちもあった。

74 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:54

「嘘じゃないよ。愛理、可愛いもん」
「可愛かったら、誰でもいいんだ?」
「そうじゃないよ。愛理が一番可愛い」
「…そんなこと、聞きたいんじゃない」

ぴしゃりとそう言い放って、握り締めた栞菜の手を解放する。
その手は愛理の腰に回って、愛理は栞菜の小さな体にぐっと引き寄せられた。

可愛いと言われることは嬉しかった。それはもちろん、栞菜にそう思われていることが嬉しいのだ。
それでも、その言葉は自分だけに向けられるものではない。
可愛い子は栞菜の周りにもたくさんいる。その中で一番だと言われても、実感も自信も皆無だ。
まして、それが愛理を好きだという理由になるのなら、栞菜のことを一層疑いたくなる。

「じゃあ、どうしたら信じてくれるかなー」

ぐるぐると考えを巡らせていると、栞菜がぱっと愛理から離れて室内をぶらぶらと歩き出す。
栞菜も栞菜で、何か答えを見つけ出そうとしているようだった。
それでも栞菜は愛理よりずっと気楽そうに見える。鼻歌をうたいながら、窓の外を眺めだす始末だ。

75 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:55

ときどき、愛理は栞菜のことが分からなくなる。
一個下の自分に気兼ねなく甘えて、頼ってくれる栞菜のことを愛理も慕っている。
それでも猫のように気まぐれな栞菜は、こうして愛理の傍を離れて気ままな行動をとる。
それが愛理を不安にさせているということを、栞菜はおそらく知らない。
愛理が栞菜によって浅くまぶされた期待に酔っているうちに、栞菜は何処かへ行ってしまう。
真面目な顔で好きだと言ったそばから、この調子だ。

わがままを言っても、栞菜は受け止めてくれる。愛理はそれを知っていた。
でも、今まで言わなかった。言えなかったのだと思う。
離れた栞菜の元へ近寄って、期待したような顔の栞菜を見下ろす。
くりくりとした黒目がちの栞菜の瞳が、愛理を映している。
その瞳に写る自分の顔は、ひどく歪んで見えた。すぐに目を逸らすと、栞菜の手が伸びてくる。

「愛理は、あたしのこと嫌い?」

愛理はシャツの袖をくいくいと引っ張られて、栞菜のされるがままになる。
答えたくない質問だった。
76 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:55

「嫌い」
「えー、ショック!」
「嘘。でも、変なことばっかりするのはやだ」
「嫌なの?」
「嫌だよ」

即答すると、栞菜は苦笑して愛理のシャツから手を離した。
本気で嫌いだと言ったわけではない。もちろん、栞菜もそれを分かっている。
それでも、栞菜に体を触られるのはどこかむずがゆく、到底素直に喜べるものではない。
だからといって、思い切り栞菜を突き放すのは何故か気が引けた。
さっきのようにお尻を触ってくる栞菜は嫌いだ。でも、栞菜から離れたくないとも思う。

まるで真逆な考えが愛理を占有し、ほかのことを考える余裕を与えてくれない。
愛理の後に回ったと思った栞菜が、不意に後から愛理を抱きすくめる。

77 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:55

「こういうのも、嫌?」

嫌だと言いたい。けれど、本心がそれを許さなかった。
耳元で喋る栞菜の吐息がかかって、くすぐったい。

「…や、じゃないけど」
「けど?」

背中に栞菜の体温を感じる。とくとくと、心臓の一定のリズムが伝わる。

「…他の子にこういうことしたら、やだ」

好きだと言われることが本当は嬉しいだなんて、栞菜には言えない。
知られたくないと愛理は思う。栞菜を好きだという気持ちは、言葉にしたくない。
それなのに湧いてくる独占欲や嫉妬心は抑えられない。

スキンシップを好む栞菜のことだから、こういったことは愛理に限ったことではないはずだ。
栞菜が誰かに触れて、悪戯な瞳で心を乱す。
そんなことをする相手は、自分だけであって欲しいと思う。
78 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:56


「したら嫌いになる?」
「ん、なるかも」
「でも、あたしは愛理のこと好きだよ」
「…またそーいうこと言う」
「いいよ、信じてくれなくったって。でも、ほんとだからね」

念を押すように、栞菜は言う。振り返ると、今度は正面から抱きしめられた。

「全部、愛理だけだから」

特別になりたい。栞菜の一番近くにいたい。
現実に叶っていることなのに、夢を見ているようだった。
栞菜の言うことが本当なら、信じてみたいと思う。
小さな体をぎゅっと抱き返すと、栞菜が嬉しそうに笑った。


79 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:56

80 名前:ベクトル 投稿日:2009/12/13(日) 22:56

81 名前:みら 投稿日:2009/12/13(日) 22:57
おまけのあいかんでしたー
自己供給にお付き合いさせて申し訳ないorz
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/15(火) 21:08
ももみやでツンデレみやびちゃんをお願いします
83 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/16(水) 05:03
あいかん超かわいいーーーー!!
いくらでもお付き合いしますてwww
84 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/18(金) 01:33
小説すごい面白いです!
ほのぼのやじうめとかヘタレな夏焼さんとかw

頑張ってください( ´艸`)
85 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:11


指きりげんまん、嘘ついたら針千本飲ます。
指切った。


「って、残酷過ぎると思わない?」

桃子は自身の小指をぴっと立てて、愛理の顔の前へ持っていく。
撮影の合間、雅はまだ楽屋に戻ってこない。先に撮影を終えた愛理が桃子の隣に座っていた。
桃子の唐突な質問にも、愛理は穏やかにこくんと頷く。

「確かに。針千本は多すぎるよね」
「そういう問題じゃなくってさ…たとえでしょ、それは」
「まあそうだけど。もも、誰かと約束したの?」

目の前にある桃子の指に自分の小指を絡めて、愛理が尋ねる。
小さな桃子の小指は愛理のより幾分短い。それが可愛らしいと思える。
桃子は愛理と指きりをしながら、まあねと答えた。

86 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:12

雅が戻ってくるまでにまだ時間がある。愛理の指を解いて、桃子は膝に手を置いた。

「みーやんと」

桃子がそう答えると、愛理はさらに身を寄せて桃子の肩に顎を乗せる。
くすぐったいが、嫌な感じはしない。愛理は無意識に人に甘える癖がある。
それが可愛いと思うし、妹のように思える。
桃子にとってのもう一人の妹役は、もっとひねくれているけれど。

「みやと?どんな?」
「それは秘密っ」
「もも、ずるい。あたしだけ仲間はずれじゃん」
「愛理は知らなくていいのー」

ぐりぐりと愛理の額を人差し指で押すと、愛理は眉間を寄せて桃子から離れる。
愛理は額を手で押さえて、うらめしそうな目で桃子を見た。

87 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:13
雅と交わした約束が何だったのか、愛理に教える気にはなれなかった。
もう何年も前の話だ。雅だって、この約束を覚えているか分からない。
それに、今更この話を掘り起こしたところで年下の愛理に笑われるのは目に見えている。
年上の威厳を保つためには、愛理に秘密にするしかなかった。


「愛理、呼ばれてる」


後から声をかけられて、愛理がくるりと雅のほうを向く。
撮影は思ったより早く終わったようで、次は愛理の番だった。
桃子は愛理と繋いでいた手を解くと、一瞬だけ雅が自分の顔を見たような気がした。
桃子も雅の顔を見上げてみたが、ぷいとすぐに顔を逸らされる。
愛理がいなくなり、桃子の隣は誰もいなくなる。
わざわざ遠くのイスへ腰かけた雅の元へ寄ると、雅は足を組んで桃子と少しだけ間隔を空けた。

88 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:13

「早かったね、みーやん」

ぽん、と組んだ膝を叩いてそう言うが、雅はこくんと頷いただけだった。
雅はそばにあったペットボトルのストローを口に咥えて、カバンの中から携帯を取り出す。
その水は桃子のもので、雅の水はその隣に置いてある。
わざわざ桃子の水を飲む必要などないはずだ。

「みーやん、それももの」
「いいじゃんどっちだって」
「いつもももがみーやんの飲むと、怒るのに」
「別に怒ってないじゃん。注意するだけでしょ」

いつもよりやけに棘のある声。それに、雅はなんだか機嫌が悪そうだ。
何があっても、雅が愛理に対して感情を露にすることはない。
その代わり、その苛立ちを桃子にぶつけるのがいつもの事だった。

「ねえ、なに怒ってるの?」

怒ってない、と言いたげに、雅は水を机にどんと置く。
89 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:13

雅は桃子の顔を見ようとしない。桃子は距離を詰めて雅の顔を覗き込む。
迷惑そうな表情をしたが、無理に桃子を顔の前から退けようとはしない。
どう見ても雅は桃子に対して怒っているようだ。けれど、理由が分からない。
問い詰めればもっと機嫌を悪くするかもしれない。桃子はそう思って、大人しくイスに腰掛ける。
気まずいわけではないが、ここに愛理がいれば場の空気が和むのにと思う。
愛理がいて、雅が不機嫌になることはない。良いバランスだと桃子は思った。

「愛理、まだかな」
「今行ったばっかじゃん」
「そうだけど。愛理戻ってこないと、ご飯食べられないし。みーやんもお腹空いたでしょ?」
「空いたけど。でも愛理はいないんだから、我慢するしかないじゃん」

もっともなことを言われて、桃子はがっくりと肩を落とす。
冷たいにも程がある。今日はやけに冷めた雅の態度に、桃子は心が折れそうになる。

90 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:14

「あいりん、早くーう」

声は届くはずがない。愛理はカメラの前で次々と愛らしいポーズをとって、かわいく微笑んでいるだけだ。
雅はその間、桃子の横顔をじっと見ていた。言いたくても、言えないことがある。
雅はストローを歯で強く噛みながら、募る苛立ちをなんとか散らそうとしていた。
桃子はそれに気付いて、雅から水を奪い取る。

「あー、もものストロー潰れちゃったじゃん」
「…ごめん」
「ま、いいけどさ。みーやんのストローと交換する」
「うん。ごめん、もも」
「…みーやん、素直すぎてキモチ悪い」
「ももに言われたくないっ!」

冗談交じりに雅の肩を突くと、ようやく言い合いが始まって雅に笑顔が戻る。
なんてことのないただの口げんかで、いつも雅とは笑い合っている。
わざと仕掛けた悪口で雅が笑顔になり、桃子はすぐ傍にある雅の手をぎゅっと握る。
拒まれはしなかったが、握り返されることはない。

91 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:14

雅が謝ることは珍しい。いつもなら開き直って、あれこれと文句を言うはずだ。
それが気になって、桃子はイスから立ち上がり雅の前に膝をつく。
握った手に力を込めると、雅が桃子から視線を逸らす。様子がおかしいことは確かだった。

「ね、さっきからどうしたの。怒ったり笑ったり、みーやん変だよ」

聞かないようにはしていたが、一緒にいれば理由を聞きたくなるのも仕方が無かった。
雅には笑っていて欲しい。真顔でいると何だか怖いし、理由も聞かされず不機嫌になられても困るのだ。
すると、雅が桃子の羽織っていたパーカーの袖をぎゅっと握る。
手のひらでその手を包み込むと、ようやく俯いていた雅の顔を見ることができた。


「……だって、ももが」

不満げな声が聞こえて、桃子は静かに耳を傾ける。


92 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:15


「ももが、何?」
「やっぱなんでもない」
「えぇっ?みーやん、今更逃げるなんてずるいよ」
「こんなこと、ももに言いたくないから」
「じゃあ不機嫌になるのやめてよ。もも、どうしていいかわかんなくなるし」

桃子の言い分に間違いはない。雅は言い返すことが出来ず、下にいる桃子を見下ろす。
桃子のいつもより強気な口調に、雅は何かを懇願するように桃子の指先を思わず強く握った。
雅が不機嫌になって、困るのは間違いなく桃子だけだ。

苛立ちをぶつける相手は桃子しかいない。他のメンバーにそんなことは出来ないからだ。
そこで意味も分からず冷たくされた桃子が戸惑わないわけがない。
悪いとは思っている。けれど、隠すことは難しい。

「みーやん。話して?」

穏やかな桃子の言い方に、伏せていた目を開ける。
黙っていても仕方が無いと思った。
桃子にどう思われるかが怖くて言えなかったけれど、思いを口にしなければこの先も桃子を困らせることになる。
目線の先には愛理がいる。撮影はまだ終わりそうになかった。
93 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:16

「愛理がいいの?」
「え?」
「ももは、そんなに愛理がいいの?」

萎んだ言葉尻に同じ事を聞き返されて、口に出すのが億劫になる。
けれど最後までそう言い切ると、案の定桃子に目を丸くされてしまった。

つまらない嫉妬をした。同じグループにいる仲間と桃子が仲良くするのは当たり前の事だ。
雅だって愛理と仲が良いのに、桃子は同じようにしてはいけないなんて勝手すぎる。
それを分かっていながら愛理に対して嫉妬心を抱いていた事を、桃子には言いたくなかった。
それに、桃子に愛理と自分どちらかを選ばせる気はない。
雅は桃子の特別であることに変わりはないのだから、愛理と比べる必要などないはずだった。
それなのに焦りは募る。愛理と繋いでいた手も、桃子の視線の先に愛理がいることもずるいと思う。
94 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:17

「ごめん、みーやん」

雅が撮影から戻ってきたとき、確かに雅は桃子を一瞬だけ見ていた。
その視線が意味するものが、今やっと分かった。
雅が悪いわけではない。それに、自分が悪い事をしたという気もない。
けれど、謝らずにはいられなかった。雅に不快な思いをさせたことに変わりはなかった。


「あいりんがももに甘えるの、嫌?」
「別に嫌なわけじゃない」
「なら、みーやんは怒らなくてもいいじゃん」
「……ももが愛理に甘えるのは、嫌」

不満を露にした雅はいつもより素直で、どこか子どもっぽい。
それが可愛くて屈んだ姿勢から雅の頬に手を伸ばす。赤く染まって、熱い。
それが嫌だったのか手を払われてしまったけれど、繋いだ手が解かれることはない。

95 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:17
愛理が無意識に桃子に甘えることは雅も分かっている。同じように、雅にも甘えるからだ。
年上が二人いることで安心できるのだろうと思う。だから止めさせることなど出来ない。
愛理のことは好きだ。だからこそ、つまらない嫉妬を愛理に向けたくない。
桃子から愛理に何か行動を起こすことが気に入らなくても、愛理に非はないのだ。

「わかった。もう、しない」

昔、桃子とある約束をしたことを雅は思い出す。
桃子が覚えているかは知らない。けれど、忘れて欲しくないと思う。

「約束、したもんね」

桃子が雅を好きで、雅も桃子を好きだと思う気持ちに気付いた時。
雅のほかには何もいらないと思えた。桃子にとって必要最低限なものは、雅以外に何も無い。
だから約束をした。離れることがないように、指きりをした。
渋々小指を差し出した雅に抱きついて、邪魔だと罵られたことも桃子は覚えている。
桃子を押しのけながら、雅が嬉しそうに笑っていた事も。

96 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:18


「もも、みやっ、おなかすいたーっ」


撮影を終えてどたどたと走ってきた愛理が雅の背中にぶつかる。
腰に抱きつかれて、うまく身動きが出来ない。隣で桃子が笑いながら、雅の手をぎゅっと握る。
やっぱり、愛理を憎むことは出来ない。こんなにも可愛らしい妹分を失うなど、勿体無いと雅は思う。


「今日もおいしくー」
「「「いただきまーす!」」」

昼食の間、桃子は雅の隣に座った。
雅がそうさせわわけではない。桃子が自ずから隣を選んだのだ。
繋いだ手を解いてお弁当に手をつける。隣で笑う桃子が、今日は何故だか可愛く思えた。


97 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:18

98 名前:君と約束 投稿日:2009/12/30(水) 12:18
 
99 名前:みら 投稿日:2009/12/30(水) 12:21
リクエストのももみやでしたー。
…ていうかこれBuono!だろって突っ込みはなしでorz
みやびちゃんはもっとツンデレにさせたいのですけども(´;ω;`)


>>82
了解ですー。次回はもっとツンツンデレデレにしてやりますとも!w

>>83
可愛い子と可愛い子のコンビは最強なのです。あいかんは不滅(`;ω;´)

>>84
ありがとうございますー。これからも精進したいです。

100 名前:みら 投稿日:2009/12/30(水) 12:23
今年はもう更新できないかな?とか思ってたけど何とかリクエストをうpできました。
今年は革命元年旋風で推しメンを失い途方にくれたヲタの方も多いと思います。
私はこれからも物書きでその寂しさを埋めていきたいと思います笑

つたない文章ですが、来年もよろしくお願いいたします。
幻のほうも来年からはどんどん進めて行きたいと思いますが、まったり更新で…
では、良いお年を!
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/01/05(火) 19:13
更新お疲れ様です
みや可愛いいいいい
愛理の妹オーラ半端ないですね!

はい、革命で途方にくれたものですがってかまだくれてますがorz
今年もよろしくお願いします←初コメですが
102 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:36



『Proof of love』



103 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:36


「みやー」


耳にくっつくような、特徴のある声。
夢にまどろんでいる中でも、それが桃子の声であることがすぐに分かった。
化粧を落として気が抜けたせいで、うたた寝をしてしまっていたのだ。
まだ開ききらない目を開けて、雅はぼやけた視界に映る桃子の顔を見上げる。
相手は桃子だと分かっていても、目の前にいるのが誰であるかが脳に伝わらない。

「ね、みやってば。風邪引くよ」
「……んー」

なかなか起きないのを良いことに、桃子が口角を上げて雅に近付く。
雅のうなじに、ふっと息を吹きかけた。


首にかかる吐息にぞくりと体が反応する。
雅の寝ぼけた脳内に、すぐさま『危険』を知らせる警笛が鳴り響いた。


104 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:37


「っ…もも!!」


桃子が飛び退くより先に1、雅がソファから起き上がった。
露になったうなじをおさえて、過剰なほどの反応を示した雅に桃子は目を丸くする。
ほんの悪戯だ。こんなことはいつも繰り返しているし、雅に怒られるほどのことをしたつもりはない。
しかし、怒られていることに反抗するよりも、桃子が見てしまったものをどう取り消そうかが問題だった。

短くボブに切りそろえられた雅の髪がはらりと揺れて、うなじの少し下側に見えたもの。
雅はそこをおさえて、真っ赤な顔で桃子を睨んでいた。

まずいことをした。桃子は直感的にそう思った。



「や、うん。ごめんごめん、みや、なかなか起きないからさ」
「……見た?」
「え?」
「今の、見た?」


雅は確認するように桃子に詰め寄る。
寝ぼけていたのが嘘のようにはっきりとした物言いに、桃子は後ずさりして視線を泳がせる。

105 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:53

ライブで出来た痣のはずがない。
そもそも、首の後に痣を作るようなパフォーマンスなど一切行っていない。
それは紛れもなく、誰かが意図的に残したものだと分かる。雅のうなじに、誰かが痕を残した。

楽屋は静まり返っていた。相当疲れていたのか、雅の目は少し充血している。
それとも、今桃子がしたことによって知られてしまったことを恥ずかしく思っているのかもしれない。
沈黙は長かった。肩を掴む雅の手を優しく振りはらって、桃子が咳払いをする。


「……見たよ」


予想通りの返事に、雅は首の後ろを手のひらでなでつける。
誰がそこに痕をつけたのか。聞くまでもなく、桃子には分かることだった。


「もも以外に見つかってたら、どうする気だったの?」
「…しらないよ、そんなの」
「もー、面倒なことになったら怒られるのももなんだからねっ」
「分かってる」
「分かってないよ、みや」

桃子はそう言って握り締めていたタオルを丸め、雅に投げつけた。
本気で投げたわけではない。なのに、雅は顔をしかめて桃子を睨んでいた。
106 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:54

「…ももには、迷惑かけないから」

痛々しいほどに残る痕は、愛理との関係を主張しているものだった。
見間違いではなかった。けれど、これ以上の言い合いは今後の仕事にも支障をきたすかもしれない。
そう思った桃子は、喉元まで出かかった言葉をごくんと飲み込みカバンを掴む。


「そう思うなら、ソレ、どうにかしなよ。明日までに」


雅にぴしゃりとそう言いのけて、楽屋を出た。
時間が経てば自然と消えてしまうもの。だからこそ、放っておけない事態なのだと桃子は思う。
雅は分かっていない。それがメンバー以外の誰かに見られて、何か大事にされては困るのだ。
それに、近頃の雅はどこかおかしい。
いくらなんでも、あんなに無防備でいては桃子以外に見つけられてもおかしくはなかったはずだ。

ほどほどにしてほしいと、桃子は思う。
雅はなんでも甘く考えている。仕事のことも、愛理とのことも。

107 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:55

** ***


「もしもし、愛理?」

見られた相手が幸いにも桃子でよかったと雅は思う。
いや、良いことではない。厄介なことになったという事実に変わりはなかった。
けれど、口止めしなくとも、桃子がこのことを誰かに教えることはない。そう確信していた。
無事に全ての仕事を終えた後、部屋に鍵をかけて、愛理の番号を呼び出す。

「みや?どうしたの、こんな時間に」
「ももに、見られた」
「…何を?」
「愛理、昨日つけたでしょ。首のうしろ」

電話口の愛理は、相変わらずとぼけた調子でふにゃふにゃと笑っている。
もとはといえば、ことの発端は全て愛理のせいなのだ。
つい強い口調になってしまったが、桃子に見られたことでただごとではなくなってしまった
のだから、キスマークをつけた張本人を責めずにはいられない。

108 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:56


「痕つけちゃダメって、言ったじゃん」
「でも、みや気付かなかったじゃん」
「…あのねぇ」
「あんなところにつけたのに、よく気付いたね、もも」

くすくすと電話の向こうで笑う愛理に、雅はがっくりと肩を落としてベッドの上に倒れた。
愛理に何を言っても無駄だ。仕事は真面目にこなすくせに、プライベートではいつもこうなのだ。
隙だらけに見えても抜け目がなく、掴みどころのない性格をしている。

「笑ってる場合じゃないよ…明日になったら、消えてるといいけど」
「ダメ。そんなの」
「はあ?」
「あたしのものだって、証拠じゃん。みやはあたしのだもん。そうでしょ?」

愛理は笑うのを止めて、雅に尋ねる。
それは甘えるような、耳に残るくすぐったい声だった。


109 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:56


「……だからって、こんなの、困る」


愛理にそう言われることは、嬉しい。
けれど単純に喜んでいられる場合ではない。愛理の可愛い言い方に、何故か腰が低くなる。

「とにかく、もうだめだからね」
「…はーい」
「怒られるのはうちなんだからっ」

どこかで聞いた台詞だ。電話を切ったあとも、うなじの痕が気になって首の後ろをなでさする。
自分ではどうなっているか分からないから、余計に気になってしまう。
明日になったら、消えているかもしれない。そんな確信のない期待と共に、雅はベッドにもぐりこんで静かに目を閉じた。


110 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:57

** ***



愛理は雅のさらさらとした髪を解いて、うなじに触れる。
桃子は撮影中で、こちらの様子に気付いていないようだった。


「あちゃー、まだ残ってるねえ」
「誰のせいだと思ってんの!」
「…分かってるよぅ。でも、そんなに怒らなくたって」
「怒りたくもなるよ……ももとは気まずくなるし、うちが怒られるし」
「そんなにももに見られたのがまずかったの?」
「ももじゃなくても、まずいよ。…あーもう、この話止めっ」


雅は思ったより怒っていて、困惑しているようだった。雅の髪を撫でていた手を振り払われて、愛理はしかたなくその手を膝に置いた。
雅にしてしまったことは、もう訂正できない。痕が消えるまで、待つしかない。
確かに以前雅に同じことをして、怒られたことがある。その時はうなじではなく、鎖骨に赤々と印を残してしまったことで、それはもうこっぴどく怒られた。

111 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:58

「…ももに、変に思われるじゃん」

ぴくり、と愛理の眉がわずかに反応する。
さっきから雅は桃子のことばかり気にしている。確かに、リーダーである桃子に見つかったことはまずいことだ。それは愛理も十分分かっている。
けれど、雅に痕をつけたのは愛理だ。雅は自分のものだということを分からせるために、痕を残した。


「いいじゃん。ももに、どう思われたって」


だから、見えないところに痕をつけた。
それを目ざとく見つけた桃子に対して、言いようのない感情が生まれる。
愛理は雅の手をとって、自身の膝に置く。冷えた雅の手が膝小僧をなぞり、こそばゆい。


「そんなにももが気になるの?」
「…そうじゃなくて。愛理、もういいから」
「よくない」

苛立ちに似た感情は、嫉妬に近かった。
112 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 18:59


「ちょっ、愛理、どこ行くの!」
「トイレ。行くから、ついてきて」


愛理は雅の腕を掴んで、ずんずんと廊下を歩く。桃子の撮影が終わるまで、時間はたっぷりあった。
意地になってはいけないと分かっている。桃子のことでいちいち口を挟んでは、雅を困らせる。
けれど止まれなかった。雅の怒ったような顔を見つめて、トイレの個室へ押し込む。
もちろん愛理も一緒に入った。驚いた顔をする雅に抱きついて、壁に背中を押し付けた。


こんなにも自分が嫉妬深いとは思わなかった。雅を好きだと自覚しても、しばらくはその感情に気がつくことができなかったのに、桃子を含めて一緒に仕事をしていると嫌でもその感情に悩まされる。
雅は自分のものだと、周りに主張したくなる。けれど、そんなことは許されない。
雅のうなじを指でなぞり、がぶりと噛みつく。ひゃっ、と声を上げた雅に構わず、歯を立てた。
113 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 19:00

「ちょ、あいりっ」
「痛くしてないよ」
「そうじゃなくてっ…もう、そういうの、だめだって!」
「みやに触っちゃダメなの?」
「そうじゃなくて」
「みやに触っていいの、あたしだけだよ」

桃子が何をしたわけでもないのに、焦る気持ちは止まらない。雅が自分のことではなく桃子のことばかり考えているのではないかと、疑ってしまう。
とどまることを知らないこの気持ちに拍車がかかって、独占欲が胸いっぱいに広がっていく。
生地の薄い衣装は雅の体温を直に伝えて、その素肌に触れたくなる。
シャツの裾を引っ張って腰に手のひらを押し付けると、腰に回っていた雅の手が愛理の肩を掴んだ。

114 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 19:00

「だめ、絶対ダメ!」
「なんで?ここ、人あんまり来ないよ?」
「見られたらどうすんの」
「聞かれることはあっても、見られることなんてないよ。みやが静かにしてれば、ばれない」
「…っどういう意味!」
「ほんとのことだもん」

愛理がそう言うと、強張っていた体から力が少しづつ抜けていく。
へなへなと倒れこみそうな雅の体を支えながら、唇を重ねる。雅が身を引いて逃げ出そうとするが、愛理の力は思っていたより強い。振り払おうとする腕も、敵わなかった。

「好き、みや」

直球すぎる愛理の愛情表現に戸惑う暇もなく、重なった唇から湿った感触が伝わる。
小さな舌が口内に侵入すると、抵抗していたはずの体がくたりと力尽きて愛理のされるがままになる。何度も重なる唇と、止まらない愛理の囁く声に全身がぞくぞくとする。
下から覗き込んでくる愛理は上目遣い気味に雅を見上げていて、愛理の華奢な体を振り払うことは出来なかった。
115 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 19:01


「ん、あっ…は、あ」
「痕、つけないから。気持ちよくしてあげるね、みや」


愛理の熱い舌が喉元を這い、ショートパンツを無理矢理下にずらされる。
確かに桃子が戻ってくるまでにはたっぷり時間があっても、雅には全く余裕がない。
自分が雅を追い詰めている。そう思うだけで、愛理の中のなにかが満たされていった。
濡れ切った下着の中に手を入れると、すぐに雅が声を上げる。雅の肩に額を埋めて、愛理は
おそるおそる指を動かす。
あてがった二本の指は簡単に雅の中に埋まり、水音を立てた。

「ん、んっ…ね、あ、いりっ」
「もうイきそう?」
「う、ん……声、出ちゃ…あ」
「みや、こっち見て。あたしの目見て、イって」

誰にも染まらせたくない。雅には、自分だけを見て欲しい。
雅は言われた通りに愛理の首に腕を伸ばし、愛理の目を見る。唇を寄せると、迷わず愛理が舌を伸ばしてキスをした。
指を引き抜いて濡れた突起に指を力強く押し当てると、愛理はびくんと揺れた雅の体を抱いてもう一度「好き」と囁いた。

116 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 19:02


** ***


「愛理さ、もものこと嫌いなの?」


じゃばじゃばと洗面台で手を洗う愛理に、雅が乱れた呼吸で尋ねた。
雅は乱れた髪を直しながら、横目で愛理を見る。怒ったような顔がこちらを向いた。


「そんなわけ、ない」
「…じゃあ、なんで怒ってたの」
「……だって、みや、もものことばっか」
「そんなことないよ」
「あるの!」

強い口調でそう言われて、雅は持っていたタオルを愛理に引ったくられる。

117 名前:Proof 投稿日:2010/02/04(木) 19:03

「……みやは、あたしのだもん」

拗ねた愛理に、体中がかゆくなるような甘い声でそう言われてしまった。
当たり前だ。他人はもちろんのこと、桃子に体を触られるなんて後免こうむる。

「…だからって、キスマークなんかつけちゃだめだよ。分かってる?」
「分かってる。もう、しない」
「ホントぉ?」
「ホント。みやが浮気しそうになったら、つけるかもだけど」
「はぁっ?」

勘弁してくれと顔を歪めると、愛理が八重歯を見せて笑った。相変わらず可愛いその笑顔に頬が緩んでしまうが、今の言葉はあながち冗談には聞こえない。
にこにこしながら鏡に向かってピースをする愛理の背中と、鏡越しに映る愛理の笑顔に、雅はがっくりとうなだれる。

…かんべん、してよ。
そう思いながらも、飛びついてくる愛しい塊を抱きしめて、桃子の待つ撮影場所へ急いだ。


118 名前:Proof of love 投稿日:2010/02/04(木) 19:04

end
119 名前:みら 投稿日:2010/02/04(木) 19:08
今年最初の更新はリクエストをいただいていたみやあいり(裏)でした〜。
これまた微妙な展開になってすみませんorz
桃子を出した意味があんまりなかった気もします。反省。そしてタイトルミスも重ねてお詫びします。
不完全燃焼すぎるので、いつかまた再挑戦したいと思いますww
愛理攻めだとなんか難しいな…


>>101
愛理は愛されてます。ももみやから絶大な愛をもらって成長しています(違
今年は何の革命も起きないといい…な…
コメントありがとうございます!励みになりますー。
120 名前:みら 投稿日:2010/02/04(木) 19:10
あ、今回裏なのでsageでおねがいしますー。
次回はツンデレ雅ちゃんw しばしお待ちを!
121 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/02/07(日) 21:45
強気攻めの愛理初めて見たかも!
これは新鮮でおいしくいただきましたw
再挑戦は、へタレ攻めのみやびちゃんで是非w
喜んで受けになる愛理を楽しみにしてますw
122 名前:みら 投稿日:2010/02/08(月) 20:14
えー、自己満足短編ということでちょっとアレなお話をうpります。
リクエストのももみやより先にこっちに手をつけたことをお許しください。
ブログでやれよ!って話なんですが、裏っぽいのはここで消化していきたいと思うので。
123 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:15

チョコレートより甘いもの、なーんだ?
124 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:16





「舞美ちゃん、食べる?」
「……た、べる」
「…無理しなくていいよ?」

ぺたり、と溶けたチョコレートが指先につく。舞美はそれを見て、悩ましげに眉間に皺を寄せた。
バレンタインには好きな人にチョコレートをあげる。よくわからない風習だと愛理は思う。
それに倣って愛理もチョコレートを作った。けれど、結局のところ舞美はそれを口にする事ができない。

舞美はチョコレートが食べられない。
それを知っていたら、クッキーやタルトなど、舞美の好きなものを作ってあげたのに。
付き合っていても、全てを知り得ることは難しい。逆に、申し訳ないことをしてしまった。
食べられないものをあげても仕方が無い。喜んでくれるのは有難いことだったが、食べて
もらえないことが少し悲しくもあった。

125 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:16


「ごめんね、愛理」

申し訳なさそうに、叱られた犬のような表情をして、舞美が呟く。
そんな舞美が可愛くて、愛理は笑って首を横に振った。

「そのかわり、さ」

愛理は解いたラッピングのリボンを元通りにしながら、舞美の声のままに顔を上げる。
にこにこと笑う舞美がすとんと腰を下ろして、愛理の肩に顎を乗せる。
いつもより近い距離にいる舞美が、なんだか別人のように感じられた。
話す時に顔を近付ける癖がある。そういう自分の癖とは、何かが違う舞美の行為。
頬に押し付けられた唇の感触に、熱くなった顔を覆いたくなる。
けれどその手は舞美に解かれてしまって、ぎゅっとあたたかい手のひらが愛理の頬を包んだ。


「愛理、ちょーだい?」


触れてくる指先に、声に。ただ飲まれてしまいたいと思う。


126 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:17


「愛理、チョコの味する」
「…やだ?」
「ううん。これなら、平気」

思ったより上手く作れたせいで、つまみ食いが多くなった。
唇の端についた甘い欠片をぺろりと舐めて、目を細める舞美の顔を見上げてまた頬が熱くなる。
すぐにおりてくる唇が、おそるおそるかたく閉じていた愛理の唇をこじあけてくる。
襟首をぎゅっと掴むと、すぐに唇が離れて舞美の優しい手のひらが頬を撫でた。

舞美のしたいことを叶えてあげたいと思うし、期待に応えたいと思う。
けれど、段々深くなっていくキスに小さく声を上げて、舞美に合わせてただ舌を伸ばすことしか出来ない。
127 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:18

ちゅ、と音をたてて喉元に顔を埋める舞美の肩につかまって、天井を見上げた。
いつもと変わらない、何の変哲もない白色の天井が歪んで色あせて見える。
舌が這うたび、視覚も聴覚も舞美のほしいままにされてしまっているような気がする。
なにをすれば舞美が喜んでくれるのか分からないけれど、今はこのままされるがままになっていたほうが良いのかもしれない。
シャツの裾から入ってきた手が下着を脱がそうとする。咄嗟に舞美の肩をぐっと強く押しのけると、素肌に触れていた舞美の手が離れた。

「……触っちゃダメ?」

ふるふると首を横に振る。けれど、舞美の表情に浮かぶ不安の色は消えない。
拒む理由などない。
もっと触れて欲しいと思うし、自分と同じように舞美にもどきどきして欲しいと思う。

どうしていいか分からないのは、自分だけじゃない。

128 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:18


「…もっと、して」


ぎゅっと抱きしめた体から、あたたかい何かが注ぎ込まれる。
舞美にしがみつくようにして、ごそごそとシーツの中で舞美の手の動きに応える。
おなかの上にキスを落とされて、露になった肌が外気に触れて少し寒い。
すぐに肌を撫でてくる手のひらで体は熱くなるけれど、心臓の音を聞かれてしまうのではないかと
思うほど舞美を近くに感じる。
ぎこちない手つきでも、こそばゆい感覚と気持ちよさが混ざり合って息の上がったからだが震える。

「愛理、濡れてる」
「…だ、って」
「ね、気持ち良いの?」

嬉しそうに微笑む舞美に、表情を歪めて小さく頷いた。
129 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:23
自分でもいやというほど感じていた違和感。指先がそこをなぞり、その水音に耳を塞ぎたくなる。
ベッドの下にするりと落ちた下着を見送って、やけにすうすうとした下半身に意識が集中する。
それが何も身に着けていないせいだと今更気が付く。太ももを這う手と唇を舐める舌を受け入れて、冷たいシーツをぎゅっと握り締めた。
疼く下半身を刺激する舞美の指が少しでも奥へ沈むと、意識と関係なく声が漏れ出す。
濡れた突起を探りながら、指が入り口のあたりを行き来する。舌が胸の上をなぞり、シーツの上で体をくねらせる。

どうしたらいいか、分からなくなる。追い詰められて、逃げ場がなくなる。
逃げたいわけではない。もっと、触れて欲しいと思う。



130 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:24

131 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/08(月) 20:24

从・ゥ・从<ガーッと続くよ
132 名前:みら 投稿日:2010/02/08(月) 20:27
ももみやを期待されていた方、スミマセン。
今週中に続きうpしちゃいたいと思います。
ちょっと早いバレンタインのプレゼントということで(違

>>121
愛理攻めは書いてて私も新鮮でした。どうしてやろうかと思いましたがw
へたれみやびちゃんの挽回劇ですね、了解しましたwww

133 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/02/12(金) 00:49
自分の中で遅いやじうめブームがきてしまったので、やじうめが読みたいです!!
134 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/26(金) 14:38


* **


「ん、ああっ、はぁ…ぁ」
「愛理、痛いの?」
「ち、が…ん、へーき」

心配げに顔を覗き込んでくる舞美から目を逸らして、手の中に握り締められたシーツに
さらにきつく力を込める。
きっと痛みもそのうち消える。だから拒めなかった。それよりも、もっと先を知りたい。
ずくんと奥に響く鈍い痛みが断続的に続いて、後から腰の砕けるような快感が押し寄せる。
突起を撫でる指先を掴んで声を押し殺すが、舞美がそれを許さない。
触れてほしいのに、思うままにいかない。恥ずかしさと痛みから、舞美の顔を見ることができなかった。
濡れた指が太腿を張って、すぐにまた水音を立てる。厭らしく舞美を求めている自分をより恥ずかしく思う。

135 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/26(金) 14:39



「見な…いで、おねがい」
「なんで?かわいいのに」
「そ、んなこと…っ」
「かわいいよ、愛理。もっと声、聞きたい」

こんな愛理、あたししか知らないでしょ?

そう言って愛理の脚をぐいと開かせ、舞美が指を滑らせる。
細く長いその指が入り込むたびに、中が強張って指を外へ押し出そうとする。
体を屈めた舞美の背中が見えなくなったと思うと、下半身にぬるりとした感触が走る。
言いようのない感覚に腰を引くと、舞美の舌が愛理の突起を強く撫でた。
136 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/26(金) 14:39


「だっ…め、ねえっ、舞美ちゃっ…あっ」
「いーから、じっとしてて。ダイジョウブだから」
「だいじょぶじゃ、ないよぉっ…」

ぴくぴくと痙攣するように跳ねる腰を押さえつけて、逃げられなくなる。
指でなぞられるのとも違う、例えようのない生ぬるい舌の感触は嫌いではない。
むしろ、もっと欲しいと思えた。けれど意識を手放してしまいそうで、怖くなる。
時折突起を強く舐めあげられて、舞美の頭を掴んで押しやるけれど退いてはくれない。
遠のいていきそうな意識の中で、舌の代わりに押し当てられた指の動きがさらに愛理をゆさぶる。

「ね、もぉ…あっ、あっ」

びりびりとしびれるような感覚が体中を走って、くたりと人形のように手足が動かなくなる。
顔を上げると、舞美に汗でびっしょりの体を抱きしめられた。


137 名前:ハッピーハッピー・バレンタイン 投稿日:2010/02/26(金) 14:39


今日だけじゃなくて、この先もずっと。
ずっと、愛理と一緒にいられたらいいな。
意地悪くそう囁く舞美の腕に頬を擦り付けて、愛理は微かに香るチョコレートの香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

138 名前:みら 投稿日:2010/02/26(金) 14:40

バレンタイン?いつの話?
ごめんなさいorz
139 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:41



スキだって言っちゃえばいいのに
ももだって、みーやんのこと――


140 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:41

『好きからはじまる恋のうた』
141 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:42



曲がり角で桃子と別れてから、交差点を過ぎた頃になってようやく息が落ち着いてきた。
冗談ならいつものように怒ったふりをして、最後には笑い合いながら済ませることが出来たのに。
あんなに真剣な顔をした桃子を見たのは、これが初めてだった。
雅は額に浮かぶ汗を手の甲で拭って、ようやく駅に到着した電車に飛び乗る。
真冬だというのに一人で汗を大量にかいていること事態恥ずかしいことだったが、今はそれどころ
ではない。

明日から、桃子にどんな顔をして会えば良いのか。
胸に秘めていた思いを言い当てられて、その上桃子を置いて一人で駅まで走ってきたことを後悔する。
桃子を好きだということ。それは知られてはいけないことだと、無意識のうちにそう思っていた。
帰り道、桃子にもらったホッカイロをぎゅっと握る。汗ばんだ手のひらにはりつくそれは、思った以上に熱を持っていた。


142 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:42

** ***


どうして桃子なのか。その答えを見つけるために、どれだけ時間をかけたことだろう。
結局答えは見つからないまま、気付けば桃子と過ごす時間は次第に増えていき、居心地の良い関係を保ってきたつもりだった。
けれどそれは予想以上に壊れやすく、脆くてはかない関係だったのだと雅は思う。
雅はそうならないように注意していたのに、それを壊しにかかってきたのは桃子の方だった。

「ねえっ、みーやん」

痺れを切らした桃子が雅の後を追いかけてきた。
今日も桃子に一緒に帰ろうと誘われて、全力で廊下を駆け抜けて逃げてきたところだったのに。
がしりとカバンを掴まれて、駆け出した脚からがくんと力が抜ける。

143 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:43


「なんで逃げんの」
「…別に逃げてないし。急いでるから、ごめん」
「昨日は?昨日も急いでたから、もものこと置いて帰ったの?」
「それは……ごめん」
「ごめんじゃ分かんないよ」

納得できないといった顔で桃子が雅を見上げる。そして、いつもの様に雅が桃子を見下ろす。
小さな体をしているくせに、口にするのは雅を戸惑わせる言葉ばかりだ。
カバンから手を離した桃子の手がぶらりと揺れて、今度は雅の手を掴む。
思わず体ごと引っ込めると、桃子がむっとした顔で雅を見た。
144 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:44

「……みーやん、分かりやすすぎ」
「なっ…わ、分かってるじゃん!」
「ねえ、ももの勘違いなの?」
「なにが」
「…みーやんは、もものこと好きなんだとばっかり思ってたけど。それって、ももが自惚れてるだけ?」

いつになく弱弱しい声で桃子が尋ねる。そのくせ、言っていることはとても自分勝手だ。
汗ばんで冷えた手。緊張すると、いつも手が冷たくなってしまう。
桃子と帰るときは夏だろうが冬だろうが四六時中そうなってしまうから、いつも桃子の持っていた
ホッカイロを無理矢理ポケットに入れられる。いらない、と言っても、桃子は毎日ホッカイロをくれた。
その冷えた手をぎゅっと握られて、雅は桃子から顔を逸らす。

145 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:45

自惚れていたのは、こっちのほうだ。
桃子の学年の誰より、桃子と時間を過ごしていたのは雅だ。
学年が違っているのに、桃子は雅に会いに来て、一緒に帰ろうと誘ってくれる。
入学式早々声をかけてきたこの小さな先輩に心を奪われたなど、口が裂けても言いたくはなかった。

「……好きって言ったら、ももはどうするの」

今更逃げる手は残されていない。ぼそりとそう呟くと、桃子がふうと息をつく。

「そしたら、ももがみーやんのものになってあげる」
「はぁっ?なんでそう上からなのっ」
「だってもものほうが年上だもん」
「そんなの今更関係ないじゃん。普通逆でしょ、普通」
「ってことは、みーやん…もものものになってくれるの?」

しまった、と思ったころにはもう遅かった。
桃子のにやついた顔を見下ろして、雅の頬が赤く染まっていく。
146 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:45

どうして桃子なんだろう。理想と現実はまるで逆で、驚くほどに自分の趣味の悪さを思い知らされる。
わがままで自分勝手で、他人の心に土足でずかずかと上がりこむような人を好きになるなど雅にとって起こりうるはずのない、事実だった。

「だいたい、ももはどうなの、ももは!」
「え?好きだよ。ももはみーやんがだーいすきだよ?」
「……なんでそんなにさらっと言えるかなぁ」
「みーやんが素直じゃない分だけ、ももは素直でいようと思って。そのほうがバランス良くない?」
「良くない」
「じゃあ、言ってよ。みやの口から、ちゃんと聞きたいな」

少しでも変わることが出来れば、きっともっと桃子を好きになって、収集がつかなくなってしまうのではないかと思う。
それは困るから、口にはしたくないし自分のプライドが許さない。
けれど、桃子がこの関係を変えたいと望むなら。この先も、二人でこうしていられるなら。
桃子はくるりと踵を返して駅の方へすたすたと歩いていく雅のカバンをぐいと引っ張る。

147 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:46

「ちょ、みーやん!また逃げる気っ?」
「違うってばっ。手!」
「え?」
「……手、繋ぐから、かして」

一度解いたその手は、桃子がどんなに憎たらしくてもやっぱり離したくない。
ぼそぼそと呟いた言葉ににんまりと嬉しそうな顔をした桃子に飛びつかれて、また頬が熱くなる。

熱くなるなら頬じゃなく、手のひらがいいのに。雅はそんなことを思いながら、桃子と駅へ向かう。
いつになったら、本当の気持ちを素直に伝えられるだろう。
二人で過ごす時間はたくさんあるけれど、桃子は待っていてくれるだろうか。
もしかしたら他にお気に入りの子を見つけて、そっちへ行ってしまうかも分からない。
そんな不安はいつまでもついて回るものだし、これからも桃子は雅を悩ませてばかりだろう。
それでも、帰り道の間、二人の手が離れることはなかった。



148 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:46

149 名前:好きからはじまる恋のうた 投稿日:2010/02/26(金) 14:46

150 名前:みら 投稿日:2010/02/26(金) 14:47
前回のやじすずの続きとリクエストのももみやでした。
ツンデレって難しい。研究しますorz


>>132
やじうめですね了解しましたー。
151 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/02/27(土) 00:53
ももみや!ももみや!
152 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/04/06(火) 15:27
作者さんの書くみやあいりがまた読みたいですw
153 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/04/09(金) 23:14
待ってます

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