dream with you
1 名前: 投稿日:2009/08/20(木) 23:59
以前別ジャンルで書いてました、鳥と申します。
こちらでは初めまして。

現メン好きです。
6期はもっと好きです。
ちなみに藤本さん含めてます。
更新は気まぐれです。
2 名前:& ◆tNsswMEkss 投稿日:2009/08/21(金) 00:01
スレを立てた勢いでいっちゃいましょうw



一本目、田亀+藤。
3 名前:& ◆EDbtWiT8Hc 投稿日:2009/08/21(金) 00:04

「…ちゃん、田中ちゃーん」


夢の世界に落ちかけていたところを引き戻される。
ゆっくりと目を開けると、こっちを覗きこむ先輩と目が合った。

机に突っ伏していた体を起こし、そのまま伸びをする。
先輩はニコニコと笑っていた。

「おはよ」
「…何か用ですか」
「いや、別に何も。廊下歩いてたら田中ちゃんが気持ち良さそうに寝てたから起こしてみた」
「いい夢見れそうだったのに」
「こんなとこで寝る方が悪いんですー」

ここは廊下側の後ろの席。
それなりに人は通るから、先輩が言うこともあながち間違ってはいない。

「ここがれなの席やけん、しょうがなかとです」
「屋上行けばいいじゃん。ってかもう放課後なんだから帰って寝なよ」
「…絵里に待っててって言われたんですよ」

そう言った途端、面白いものでも見つけたかのように先輩の顔が輝いた。
4 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:09

「あぁ、えりりんね。委員会とか?」
「いや、なんか集まりが…」

ふいに遠くから誰かが走ってくる音が聞こえた。
この教室にはれな達以外誰もいないし、最後の授業が終わって結構経つから近くの教室にも誰もいないだろう。
それに、足音にも聞き覚えがある。

きっと彼女だ。


「あれっ?藤本先輩だぁ」

教室の前で立ち止まり、廊下に立っていた先輩に声をかける絵里。
やっぱり彼女だった。

「おー、亀井ちゃんじゃん」
「どうしたんですか?こんな所で」
「田中ちゃんが気持ち良さそうに寝てたから起こしてみたとこ」

そう言ってれなの頬を軽くつついた。
すぐに絵里が唇を尖らせ、教室に入ってれなに抱きついてくる。
5 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:10

「絵里のれーなにちょっかい出さないでくださーい」
「相変わらずラブラブだね」
「絵里、暑いから離れて」
「またまた、テレちゃって。このこのぉ」

先輩はニヤけながら、今度は肩をつついてきた。
ちょっとだけ痛い。

「だってぇ、絵里れーなのこと大好きですもん」

ラブラブと言われて嬉しかったのか、彼女はさらに密着してくる。
同時に襲ってくる熱さと暑さ。

「れーなだって絵里のこと好きでしょ?」
「…暑いのに抱きついてくる絵里は好きじゃない」

顔を覗き込んでくる彼女にそっぽを向いて答えた。
先輩は一瞬だけハッとしたような顔になったが、すぐにまたニヤニヤ顔に戻っていた。

「むー。絵里は暑くないもん」
「れなが暑いって言っとるやろうが」
「やだぁ」
6 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:13

「カメー!」


腕を解こうともがいてる内に、少し遠くから声が聞こえた。

「ヤバッ、ガキさんだ!」

あんなに言っても離れてくれなかった腕は、するりと抜けていった。
同時に彼女の熱も離れていく。

「ゴメンね、れーな。もうちょっと待っててね」

絵里は申し訳なさそうに言うと、慌てて教室を出て行った。
廊下を覗くと、パタパタと走っていく彼女の向こうに黒髪でストレートの女の人が立っていた。
絵里がこちらに振り返り、手を振ってくる。

「亀ちゃん、またねー」

絵里に応えるように先輩が手を振ったので、れなも軽く手をあげて応えた。
彼女の傍に立っていた黒髪の先輩が律儀にも軽く礼をしてきたので、慌てて頭を下げる。

「これから教室行ってホームルームでしょ?まったく、どこ行ったかと思ったでしょーが」
「だってぇ、れーなに早く会いたかったんだもん」
「あと少しで終わるんだから我慢しなさい」
「はぁい」

絵里の頭を軽く叩く黒髪の先輩。
7 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:16

去って行く二人の会話から察するに、体育館かどこかでやっていた集会が終わって教室に戻る途中で絵里が抜け出してここへ来たらしい。
彼女と一緒にいた先輩が絵里がいないことに気付き、探しに来たのだろう。

廊下を覗いていた体を戻して、顔を横に向けて机にうつ伏せた。
あとはホームルームだけらしいし、10分ぐらいで来るはずだ。

…お腹空いた。
帰りどっか寄ろうかな。

ぼんやりとそんなことを考えていると、絵里達が去った後も廊下を見ている先輩がぽつりと呟いた。

「亀ちゃんはホント田中ちゃんが大好きなんだねぇ」
「…みたいですね」

改めて言われても困る。
照れ隠しに、素っ気なく答えた。

「…田中ちゃんはさ、ちゃんと好きって言ってる?」
「はい?」

驚いて先輩を見ると、意外にも少し苦笑した様子で振り向いた。
その表情にまた驚く。

「亀ちゃんに、好きって。言ってる?」
「……」
8 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:18

どうしても照れが入ってしまって、普段そんなことは言えていない。
もちろん、彼女のことは好きなのだが。


「田中ちゃん」


答えられずに顔を伏せると、真剣そうな声が耳に届いた。
逃げられない雰囲気にゆっくりと顔を上げる。

声の通り、真剣な顔でれなを見る先輩。

「ちゃんと好きって言ってあげなよ、亀ちゃんに」
「……」
「照れるのは分かるけど。…不安になっちゃうよ」

先輩の顔が少しだけ苦しそうな表情になった。
その目は、窓枠にぶら下がった傘に向けられている。

「…はい」


なぜ、急にそんなことを。
もしかして先輩は――
9 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:20

「藤本先輩は」
「うん?」
「先輩は、さゆに」

「れいなー!!」


…また邪魔された。
なんというバッドタイミング。

「あ、亀ちゃん。早かったね」
「れーなのために飛んで来ましたからっ!」
「…あぁそうありがとう」

かなりの棒読みになってしまったが、不機嫌を隠せないのはしょうがない。
そんなれなの様子も気にせず、絵里が腕を引っ張ってきた。

「待たせてゴメンね、帰ろ?」

聞きたいことは聞けなかったが、まあいつか聞けるだろう。
ふうと溜息をついて、鞄を持った。

「はいはい。…っと、戸締り…」
「あ、窓とドア閉めるだけっしょ?美貴やるから、二人はもう帰りなよ」
「え、でも教室のカギ職員室に持ってくの面倒くさくないですか?」
「どうせ美貴の教室の分もあるし、どっちみち寄らなきゃいけないから」

そう言うと先輩はポケットからもう一つのカギを取りだして、軽く振って見せた。
この廊下を通ったのは、職員室に向かう途中だったのだろう。
10 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:22

「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
「藤本先輩やっさしー。さっすがっ!」
「でしょ?あ、田中ちゃん」

教室を出ようとしたところを、肩を掴まれて耳元で囁かれる。


「好きって言ってあげなよ」


ニヤニヤと笑う先輩。

「じゃーね、さよーならっ」

そのままの勢いで背中を押される。

「さ、さよなら」
「先輩またねー!」

明るく言って、手を握ってくる絵里。
11 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:24

「どうしたの?れーな。顔真っ赤」
「…う、うるさかっ!」

近づいてくる彼女のせいで顔は更に赤くなるけれど、それには気付かないふりをした。


今日ぐらいは、素直に言ってもよかね。


握る手に少しだけ力を込める。

握り返してくる手から伝わる体温が、すごく心地よく感じた。





―END―
12 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:25



13 名前:伝わる熱とこの思い 投稿日:2009/08/21(金) 00:25



14 名前: 投稿日:2009/08/21(金) 00:28
>>2>>3で名前欄ミスってしまいました、すみません。
火狐で書くとああなりましたorz
次から気をつけます!


うああああ。
久々に文を書いたので、なんだか緊張しております。
生温かい目で見守って頂ければ幸いです。
15 名前: 投稿日:2009/08/21(金) 01:03
調子にのってもう一本。
「伝わる熱とこの思い」の続編みたいなものです。
藤道+田亀。


ホントはこっちの方が書きたかったっていうw
16 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:04


傘を忘れた。


明日は朝から雨らしいから、学校まで取りに行くことにした。

ピンクのうさちゃんの傘。
可愛いのはもちろんのこと、プレゼントされた物ということもあってかなり気に入っている。

学校までまた戻るのは面倒くさかったけど。

『シゲさんに似合うと思って』

誕生日でもないのにいきなりプレゼントしてくれた、彼女のことを考えると。
学校までの道のりは、案外短く感じた。


どんなことを思って買ってくれたんだろう。
さゆみのこと、可愛いって思ってくれたかな。

17 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:05

なんてことを考えていたら、玄関で親友二人、もといバカップルに出会った。

「お、さゆ」
「あれ?さゆだ。どうしたの?」
「ちょっと傘忘れちゃって」
「マジ?でも教室もう閉まっとるかも…」
「かも?」
「藤本先輩にお願いしてきたの。やってくれるって」

絵里の口からは、意外な人物の名前が飛び出した。
思わず顔に出そうな動揺を、出来るだけ隠す。

「…藤本さんが?」
「でも今さっきやけん、まだ間に合うっちゃない?」
「うん、ちょっと行ってくる」
「あ、さゆっ!」

行こうとしたら、れいなに腕を掴まれた。
18 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:06

「どうしたの?」
「あー…」

ちらりと絵里を見るれいな。

「絵里。すぐ行くけん、先行っとって」

絵里は不思議そうな顔をしていたが、すぐに笑顔になった。

「わかった。さゆ、またね」
「うん、バイバイ」

ゆっくりと歩いて行く絵里を見送ると、れいなは真面目な顔でこっちを見た。
しかし言いにくいことなのか、視線だけがせわしない。

「…で、何?」
「そのー…」

少しの沈黙の後。
ふう、と下を向いて息をつくと、意を決した様に顔を上げた。
19 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:08

「さゆ、最近藤本先輩に好きって言っとうと?」
「…は?」
「やけん、好きって」
「…どうしたの、いきなり」

少しばつが悪そうに、視線を外すれいな。

「さっき、先輩とそんな話になって。そん時、すごい寂しそうな顔しとったから、先輩」
「……」
「ちゃんと言った方がよかよ。…って、れなもさっき言われたんやけどね」

そう言って苦笑いをしたれいなは、背は小さいのになんだか大人に見えた。


「…と」
「ん?」
「ありがと。…教えてくれて」
「…よかよ」

いつものようにニカっと笑うと、「また明日」なんて言いながら走って行った。
その笑顔がすごく可愛かったのは内緒にしておこう。
20 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:09



教室はまだ電気が付いていた。

廊下の窓枠にかかっていたピンクの傘。
朝来てすぐにれいなの席で喋った時にかけた後、そのまま忘れてしまっていたことを思い出した。

傘を取り、教室に入る。
彼女は窓際の席に座り、外を見つめていた。

「行儀が悪いですよ」

声をかけると、彼女は驚いた顔をして振り向いた。

「シゲさん。どしたの?」
「傘忘れちゃって。明日雨みたいだから、取りに来たんです」

手元の傘を軽く揺らす。

「あぁ、なるほど。…それ、やっぱりシゲさんのだったんだ」
「え?」
「田中ちゃんの席のとこにかけてた?」
21 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:10

頷くと、彼女は少し寂しげな顔で笑った。
その表情に、一瞬胸が締め付けられるような苦しさに襲われた。

同時に先程のれいなの言葉を思い出す。


『すごい寂しそうな顔しとったから、先輩』


その時も、こんな顔をしていたのだろうか。


自分のことを話すときは、いつだって笑顔でいてほしいのに。


22 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:12

「…さっき、れいなと何か話したんですか?」
「へ?あぁ、ちょっとね。何で知ってんの?」
「玄関でれいな達と会ったんで」
「面白いよね、田中ちゃん。からかうとすぐ顔赤くなるし」

言いながら、再び窓の外を見る藤本さん。

「そうですね」

答えて、さゆみも彼女の傍に寄っていく。
傘は隣の席にかけておいた。

「亀ちゃんも可愛いし。あの二人、見てて飽きないわ」
「…さゆみは?」
「ん?」


「さゆみも、可愛いですか?」


少しドキドキしながら問うと、彼女はこっちを見てふんわりと優しく笑ってくれた。
23 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:13



「シゲさんは、世界で一番可愛いよ」


胸がぎゅっとなる。

さゆみの前では、いつもその笑顔でいてほしい。


「さゆみも…好きです」
「え…」
「藤本さんのこと、世界で一番」


恥ずかしくて顔が上げられない。


「ちゃんと好きですから、藤本さんのこと」


普段は言えないけれど。
本当は、いつもそう思ってる。
24 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:14

目の前にあった彼女の手をそっと握る。
少しでも伝わってほしいと思いを込めて。

そのままゆっくりと抱き締められて、一気に体温が上昇する。

「美貴も好きだよ」
「…さゆみ以外を好きになったら許さないの」

背中に手を回して可愛くない口調で答えると、彼女はふはっと息を出して笑った。


「そんなシゲさんも好き」


笑顔と同じぐらいふんわりとしたキス。


愛しさを込めて、2回目は自分から重ねた。




―END―
25 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:15



26 名前:桃色の傘と思い 投稿日:2009/08/21(金) 01:15



27 名前: 投稿日:2009/08/21(金) 01:17
コメントでsageるの忘れてました。
なんたる不覚。


やっぱり藤道だよなぁと思う今日この頃w
28 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2009/08/21(金) 09:53
自分も6期が大好きなので今日作家さんの小説を読むことになって嬉しいです。
これからも宜しくお願いします。
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/22(土) 00:36
みきさゆ!みきさゆ!
そして若干の美貴れな!さゆれな!
…あ、絵里ちゃんもw今後が楽しみです。
30 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/22(土) 02:38
みきさゆだー!大好きです!
みんなかわいらしいですねー次回も期待してます。
31 名前: 投稿日:2009/09/04(金) 00:01
更新します。


ある歌から一部分を抜き出し、その部分をテーマに小説を書いてみようのコーナー。
あくまで歌詞の一部分を基にしてるので、小説の世界観と歌全体の世界観が合うとは限りません。
(というかほぼ合わないはず)


一曲目、亀→田。
32 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:06


好きな人に、振られた。


友達としてしか見れないと言われた。
ありきたりな振られ方。



普段は赤点なんか取っても落ち込まないけれど、さすがにこれは我慢出来なかった。


泣きたいのになぜか泣けず。
部屋で一人、気分が落ちていたその時。
携帯に新着メールを知らせる音楽が鳴った。

このメロディは、あいつ。
近所に住んでる幼馴染で小さい頃からずっと一緒にいる、アホなあいつ。


今はメール出来る気分じゃないのにな、なんて考えながらもとりあえず携帯を開く。
33 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:08



  Frm: えり
  sub: (-_-#)
  ――――――――――
  聞いてよ、れーな!
  最近の子どもってマジ
  で生意気!

  えり今公園にいるんだ
  けど、さっき砂場で落
  とし穴に引っかかった
  の!
  近くでちっちゃい男の
  子が笑っててさぁ…え
  り、マジでキレちゃっ
  たんだけど!

  しかもその子逃げたか
  ら追いかけてたら、途
  中でスコップ踏んで転
  んだし!
  もうマジありえなくな
  い?!


34 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:09



思わず吹き出してしまった。


落とし穴に引っかかるって、小学生か。
むしろ今時そんなのに引っかかるやつなんておらんのに。



「人が落ち込んどるっていうのに…相変わらずアホやね、絵里は…」




いつの間にか苦しい気持ちが消えてしまっていた。



代わりに出てきたのは、涙だった。

35 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:09



36 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:11



泣いたら少しスッキリした。


まだ悲しい気持ちは完全に無くなっていないし、好きな気持ちもあるけれど。


自分が振られたという事実はちゃんと受け止められた。

少しだけ、前向きになれた気がする。



それも、アホなあいつのおかげ。




まだ、公園にいるのだろうか。

お礼ぐらいは言っておこう。



着ていたジャージ姿のまま、家の近くにある公園に向かった。

37 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:12

絵里はブランコに一人座り、携帯をじっと見つめていた。



「絵里」



呼ぶと、驚いた顔で勢いよく立ち上がった。



「れーな!どうしたの?」

「…絵里が引っかかった穴を見とこうと思って」



笑いながら言うと、絵里はむすっとした表情で少し遠くの砂場を指差した。

なるほど。
そこには穴が開いていて、いかにも誰か落ちました、という感じが出ている。
38 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:14


「絵里はアホやね、ホント」

「むぅー…可愛いアホだもん」

「アホは認めるんだ」



思わず苦笑いをする。

絵里はつられて笑いながらも、どこか心配そうな表情でれいなを見ていた。




今日れいなが告白するということを彼女は知っていた。


結果が心配で、でも聞けなくてあんなメールを送ったのだろう。



直球で聞けない彼女の優しさが、傷ついた心にはくすぐったかった。

39 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:15


「ダメだった」



苦笑いの表情を崩さず、出来るだけ平然を装った。


…つもりだが、実際どうだったのかは分からない。
絵里の顔がみるみる歪んでいくのを見ると、決して上手く笑えてはいなかったんだろうなと思う。


なぜそんな顔をするのか。


そんな疑問を口にしようとしたその時。
あたたかい温もりに包まれた。



「そんな顔しないで、れーな」



…それはこっちの台詞やけん。


言おうと思っていた言葉を先に言われ、少し戸惑った。
40 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:16





「えりが、そばにいるから」






「ずっとれーなのそばにいるよ」




41 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:18

更に力を込めて抱き締められ、自分より背の高い彼女の肩に顔が押し付けられた。

少し苦しかったけど、何も言わないでおいた。



「…ありがと」



背中に腕を回して、言いたかった感謝の言葉を口にした。

自分が思ってる通りの音量にはならなかったが、彼女にはちゃんと聞こえたらしい。
応えるように頭をポンポンと叩いてくれる手が心地よかった。





絵里がそばにいてくれるなら、れなは退屈しないですむかもしれんね。





空が夕焼けに染まる。

優しい風と温度に包まれながら、れいなは漠然とそんなことを考えていた。

42 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:18




『くだらなくて笑える メール届いた Yeah
 なぜか涙止まらない Ah ありがとう』



I WISH/モーニング娘。



43 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:21



44 名前:近くの落とし穴 投稿日:2009/09/04(金) 00:21



45 名前: 投稿日:2009/09/04(金) 00:24
近くにいすぎると、案外気付かない。
そんな距離感を出せていたらいいなあ。

2、3レスで終わらせるはずだったのに、なぜかこんなに長くなりましたorz



田亀ばっかでごめんなさいw
ちなみに次書いてるのも田亀っていうw

orz
46 名前: 投稿日:2009/09/04(金) 00:37

>>28
やっぱり6期ですよね!ww
これからも読めて良かったと思ってくださるような小説が書けるように努力していきます。
こちらこそよろしくお願いします。
レスありがとうございました!


>>29
ちょw
えりりんをはぶらないであげて下さいw

みきさゆはガチ!みきれなは舎弟!さゆれなはSとN!(コラw)

これからも頑張ります。
レスありがとうございました!


>>30
みきさゆファンが意外にいるみたいで凄く嬉しいです!
みんなを可愛く書くのが密かな目標なので、そう言って頂けるなんて至福の極みです。
今回はみきさゆではありませんが、どうぞ田亀も楽しんでいってください。
レスあるがとうございました!
47 名前: 投稿日:2009/09/04(金) 00:44

すごく今更な話ですが、訂正箇所を発見したのでお知らせします。


>>20の5行目

彼女は窓際の席に座り、外を見つめていた。
  ↓
彼女は窓際の机に座り、外を見つめていた。


席に座ってるのに行儀悪いって無いですよねw
机です、机。

今更ですみませんorz


从*・ 。.・)<みなさん、脳内補完をお願いしますなの
48 名前:wait 投稿日:2009/09/07(月) 00:19
>>45
れいなを慰めてあげる絵里の行動や言葉がいいですね。
田亀が大好きなので次の小説も楽しく待っています。
49 名前: 投稿日:2011/10/08(土) 01:19
お久しぶりです、鳥です。
生きてます。ちゃんと生きてました。
いきなりですが更新しちゃいます。

田亀です。
久々なのにちょっと暗め。
ごめんなさい…!
50 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:20
「れーな」

「ん?」

「なんでもなぁい」


「れーなぁ」

「んー?」

「…んーん、なんもない」


「れーなっ」

「なんよ」

「んへへ、呼んだだけ」

「…もう」


ね、れーな知ってる?
絵里がこうやって聞くのはね、ちゃんとそばにいるって確かめたいからなの。
声が聞きたいだけなの。

ちゃんと返事してくれるれーなのこと、大好きだよ。
 
51 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:20
 

「れーなに嫌われちゃったかも」

お昼下がり。
事務所近くの喫茶店でさゆをお茶に誘った。

何か相談するときはいつもここ。
それは絵里が卒業してからもずっと変わらない。
座るのはいつも同じ、店の一番奥のテーブル。

「何かしたの?」

いつものミルクティーをストローで一口飲んで尋ねるさゆ。
絵里もいつものオレンジジュースをごくり。

「わかんない。けど怒ってる気がするの」
「何それ」
「だってなんか機嫌悪かったんだもん」
「たとえば?」
「…メール返ってこなかったりとか、返ってきても素っ気なかったりとか」
「仕事中だったんじゃない?」
「そのときもあったかもしれないけど…なんか不安なの」

最近涙もろくなってるなぁ。
話しながられーなを想うだけで涙が出るなんて。
 
52 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:22
 

いつも大変そうなれーなをそばで支えたいと思ったのは絵里で、
冷たくするかもしれないと答えたれーなにそれでもいいと言ったのも絵里で。

自分で決めたことなのに、いざそうなっちゃうとやっぱり不安で。
昔と違って会うことも少なくなったせいか不安は募る一方で。


いつ離れていくのか、なんて考えてばかりいる。
もしかしたらもう離れてるのかもしれない、なんて思ってばかりいる。


弱いなぁ、絵里。

 
53 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:22

「大丈夫だよ」


考えれば考えるほど零れそうになる涙を一生懸命耐えてたら、さゆが頭を撫でてくれた。
もっともっと泣きそうになって、顔を上げられずにいる絵里に優しく声をかけてくれる。

「れいなだってちゃんと絵里にそばにいてほしいって思ってるよ、きっと」
「…きっとなんだ」
「さゆみはれいなじゃないかられいなの気持ちなんて分かんないもん」
「そうだけどさぁ…」

小さく鼻をすすって顔を上げる。
きっと絵里が泣きそうになってることなんて気付いてるはずなのに、何も言わないでいてくれるさゆが好き。
 
54 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:24

「もし気持ちが離れてたとしても、れいなならそれをちゃんと言ってくれるよ。きっと」
「もうきっとはいいよー。希望じゃんそれー」
「だからちゃんとれいなに聞けってこと」
「それが出来たら苦労しないよぉ…」
「さゆみはれいなじゃないんだから。本人に聞くのが一番なの」
「…」
「こわいなら、今は何もしない方がいいかもね」
「…じゃあそうする」


冷えたオレンジジュースをごくり。
泣きそうで、少し熱くなった気持ちを冷ましてくれる。


「大丈夫だと思うけどなぁ、さゆみは」


ストローで氷をかき混ぜながら、なんでもないようにさゆがぽつりと言った。
 
55 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:25

だって。
こわいじゃん。


「離れよう」って、「もういらない」って言われたら。思ってたら。
絵里、いつも脳天気だけど、これでもネガティブなんだよ?


ひざの上でぎゅっと手を握る。
それが見えていたのかのように、さゆがつぶやいた。


「れいな、絵里の話とか微妙に反応してるんだけどなぁ」
「さゆみとフクちゃんが絵里の話してる時とかね、れいなは雑誌読んでたり携帯いじってたりしてるけど」
「よく見るとね、手が止まってるの。かわいいなぁ、絵里のことちゃんと好きなんだろうなぁって」


こらえきれずに頬を滑る涙を、さゆが拭ってくれる。


「だいじょーぶだよ、絵里」


声が出せなくて、うん、と頷いた。

ありがとう、さゆ。
 
56 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:26
 


最近少し肌寒くなってきたけど、布団の中は温かい。
彼女のぬくもりがそばにあるということだけで安心する。

こうやって会ってくれるだけでも、いい方なのかもしれないね。
いっつもマイナス思考な絵里を許してね、れーな。



「れーな」

「んー?」

「…なんでもなぁい」


「田中さーん」

「んー?」

「なんでもなかー」
 
57 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:26

「れーなぁ」

「なんよ」

「好き」

「…どうしたと?急に」

「…なんか言いたくなったの」

「…」

「好きだよ、れーな」

「…知っとぉよ」

「れーなは?」

「さぁ」
 
58 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:27


そういうこと言うからこわくなっちゃうんだよ。
好きじゃないなら、はっきり言ってくれればいいのに。

絵里、頑張って覚悟するのに。


背を向けると、また泣いちゃいそうになる。
泣いてばっかなんて嫌なんだけど。
れーなに重いって思われたくないんだけど。


こわいよ、れーな。

ごめんね、絵里の方が年上なのにね。
支えるって言いながら弱いなんて、意味ないよね。


離れた方がいいのかな。

 
59 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:28



「そばにいて」


思いに答えるようにぎゅっと抱きしめられた。
腰に回された手が温かい。


「好きとか分からんけど…絵里にはそばにいてほしい」


「…好きとか分かんなくていいから…そばにいて」


声になったかは分からないけど、れーなにはちゃんと聞こえたようで。
手を重ねると、抱きしめる力が強くなった。
 
60 名前:呼んだだけ。 投稿日:2011/10/08(土) 01:30



ね、れーな。
好きだよ。

絵里、頑張って強くなるから。
そばにいてね。



零れた涙は、音も無く枕に吸い込まれた。





―END―
 
61 名前: 投稿日:2011/10/08(土) 01:38
以上、「呼んだだけ。」でした。

田中さんの名前を呼びたいだけの亀井さんっていうのは前から書きたかったのに、なぜかシリアスに走ってしまいましたorz
その行為自体はかわいいはずなのにどうしてこうなった!

自分の作品を読み直して思ったのは、好きって言えない田中さんと健気な亀井さんが多いなぁってこと。
もっと別のパターンも書きたいです頑張ります。

久しぶりの更新でちょっとドキドキしてるのでsageでひっそりと。
次は堂々とageで書けるようなもの書きたいです頑張ります。
62 名前: 投稿日:2011/10/08(土) 01:43
>>48 waitさん
亀井さんの言葉や行動は出来るだけ本人っぽさが出るように頑張ってます。
次の田亀も楽しんで頂ければ幸いです!
レスありがとうございました!


今更ながら>>46>>30さんにレスしてるやつが「あるがとうございました」ってなってるのに気付いた…orzorz
誤字ごめんなさい。
改めまして>>30さん、ありがとうございました。
63 名前: 投稿日:2011/10/08(土) 02:03
これ田亀っていうか田亀+道ですね。
遅かれながら訂正しておきますすみません。
 
64 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/10/10(月) 22:38
おかえりなさい
これからも楽しみにしてます
やっぱり6期いいですね
亀はんかわいいよ亀はん

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