心行くまま短編集。(再)
- 1 名前:如月 投稿日:2009/06/05(金) 23:39
- いしごまメインの短編(予定)です。
気ままにふわふわと書ければ良いなと思っております。
基本的に1話完結で、特に表記が無ければ話と話に繋がりはありません。
お暇つぶしになれば幸いです。
よろしくお願いします。
- 2 名前:如月 投稿日:2009/06/05(金) 23:44
-
「あ。」
後藤が口の中でこぼした呟きに、石川は振り返って答える。
「ん?」
「いや、枝毛。」
「え。やだなぁ・・・切って切って」
「枝毛って切っていいもんだっけぇ?」
床に直に寝転んで、後藤は石川の毛先をちらちらと弄る。
ソファには腰かけずに、こちらも床に座り込んでそのソファに寄りかかる石川。
後藤を好きにさせながら雑誌に目を戻した。
「えー・・・じゃあ切らないでどうするの?」
「あれ?切らない方がいいのは白髪・・・?」
「知らないよー」
「白髪は抜くなって言うんだっけ?増えるんだっけな」
「・・・白髪はどうでもいいから私の枝毛なんとかしてよぅ」
ほとんど独り言になっている後藤の言葉に律儀に返しながら、石川は雑誌の流し読みを終える。
「ごっちん?」
「んー?」
「・・・切ってってば」
- 3 名前:+++有効利用=しびれる+++ 投稿日:2009/06/05(金) 23:45
-
飽きもせずに石川の髪の毛を触っている後藤を、石川が再び見下ろす。
「腕疲れない?」
「いやぁ、切ったら増えるってのはないだろうけど、なんかハサミが良くないんだったような・・・」
会話にならない現状はさて置き。
いつまでも腕を伸ばした状態のままで自分の髪に触れ続けるものだから、後藤の二の腕が心配になる。
石川は引き締まった後藤の肩から肘までを指先で、つ、と撫でた。
「お前も可哀想にね。せっかく綺麗なのに、持ち主がこれじゃあねぇ・・・」
「ん?」
「ごっちんの二の腕に同情してるの。もっと有効な使われ方したいだろうにーって。」
「二の腕の有効活用って何さ。」
「えー、んー・・・」
まともに返されるとは思わなかった。
石川は少し真剣に考えてみるが、一瞬でバカバカしくなる。
ぷい、と前に向き直り、体育座りになって膝に頬を預けた。
- 4 名前:+++有効利用=しびれる+++ 投稿日:2009/06/05(金) 23:46
-
「わかんないけど。少なくともそんな、寝転がったまま垂直に腕伸ばして人の枝毛触るんじゃなくって・・・」
言葉を途中で途切る。
後ろから抱きすくめられたからだ。
やわらかく。
石川の視線の先には、少し柔い後藤の二の腕の内側が晒されていた。
「・・・・・なに?」
「あれ、こういうことかと思ったんだけど。」
違った〜?と嘯きながら、後藤はきゅーっと石川を強く抱えた。
「起き上がる音しなかった。ごっちん猫みたい。」
「・・・石川さん、期待してた反応とだいぶ違ってごとーは困惑してます。」
「いいなぁ・・・」
目の前の二の腕に触れる。
「・・・ごっちんあったかい。」
「え、ねぇ、ちょっと。」
「眠いね・・・」
「えー。え、梨華ちゃん、ちょっと。ねぇって。これから出掛けるんじゃ・・・」
腕枕まで時間の問題。
徐々に力の抜けていく石川の体を抱きながら、後藤はがくりと項垂れた。
- 5 名前:+++有効利用=しびれる+++ 投稿日:2009/06/05(金) 23:46
-
+++有効利用=しびれる・オワリ+++
- 6 名前:如月 投稿日:2009/06/05(金) 23:54
- 何事も無かったかのようにいしごま。
本当は外で健全にデートする話だったのにおかしなものです。
お付き合い下さった方、ありがとうございました。
- 7 名前:名無し飼育さん 投稿日:2009/06/05(金) 23:58
-
キャーーーーーーーーー!!!
お帰りなさい!!また如月さんのいしごまが読めるなんて…幸せです(*^_^*)
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/06(土) 23:20
- お帰りなさい!
また如月さんのお話読めると思ってなかったので嬉しいです。
やっぱりいいですねぇ…。次回も楽しみに待ってます。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/06(土) 23:40
- 見覚えのあるスレタイに惹かれて開きました!
如月さんだ〜!本当にうれしいです。またよろしくお願いします。
- 10 名前:如月 投稿日:2009/06/09(火) 22:37
- ある意味、男×石川さん
ふみまろネタです。
いきなりいしごまから外れてしまった。
- 11 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:40
-
その福与かな頬に触れたい
滑らかな首筋に触れたい
柔らかな胸元に触れたい
清らかな指先に触れたい
君が恋しい
- 12 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:42
-
「文麿さま?」
僕を覗き込む、その瞳が愛らしい。
全幅の信頼を寄せて。
すべてを委ねてくれていると知っているから。
僕はこれ以上、君のそばにはゆけない。
「なに?」
「どうかされました?難しいお顔。」
無邪気に伸ばされるその、手を。
腕を。
掴んで。
引き寄せて。
そのまま。
- 13 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:46
-
「・・・なんでもないよ。今日はちょっと風が強いね。」
「桜もビックリしちゃいますね。」
「せっかく咲いたのにね。」
桜の花弁が散るのを見て、涙を流すのかと思った。
落葉にも心を痛めて泣く人なのだから。
しかし春の風に舞う桜を、彼女は笑顔で眺めていた。
「悲しくないの?」
「へ?」
「桜が、散ってしまうのは。」
「・・・・・ああ、」
僕の言わんとしているところが分かったようだ。
からかっていると思われただろうか。
少し恥ずかしげに、彼女は頬を染めた。
- 14 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:47
-
「いじわるですね、文麿さま。」
「ごめん。そういうつもりじゃ・・・」
「・・ふふ、分かってます。」
小さな子供のように笑う。
少し明るめな髪の色が、青と桃色に映える。
「良いんです。今日は、あたたかいでしょう?」
揺れる毛先が、ふわりと彼女の頬を撫でる。
「雨に濡れて散っていく桜は見たくないけど。風に浮かぶなら気持ち良さそう。」
- 15 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:47
-
ふわふわと笑って。
花びらにまで穏やかに心を同調させて。
桃色の笑顔は、ただひたすらに甘く薫る。
恋しい
恋しい
君が恋しい
いっそ乱暴なまでに、君と触れ合えたなら。
- 16 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:48
-
「石川さん」
「? 文麿様?」
「・・・好きだよ」
- 17 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:48
-
はにかむ笑顔の、その奥までも僕は見たい。
- 18 名前:+++散る散るサクラ+++ 投稿日:2009/06/09(火) 22:49
-
+++散る散るサクラ・ヲワリ+++
- 19 名前:如月 投稿日:2009/06/09(火) 22:52
-
>>11-18
『散る散るサクラ』
もう三年前とかに書いてたものを少し直してみました。
文麿さまと石川さんには明治昭和の匂いを感じます。
純文学系。
- 20 名前:如月 投稿日:2009/06/09(火) 23:02
-
>>7 名無し飼育さん様
おぶおぶご無沙汰しております。
た、ただいま!
真っ先のレスにおっかなびっくりしつつとても嬉しいです。
ありがとうございます・・・!恐縮です!!
また読んでいただけるこちらの方こそ幸せです。
>>8 名無飼育さん
たたただいまです・・・!
恥ずかしながら戻ってまいりました。
フェードアウトしている間も、いしごまのことはずっと大好きで、
いつかまた書ければ良いなぁと思っておりました。
テイストはあまり変わってませんが、またお付き合いいただければ幸いです。
>>9 名無飼育さん
あわわ恐縮です・・・
変なスレタイにしててラッキー!!
こちらこそ、何卒よろしくおねがいいたします。
それでは、読んでくださった方、お目汚しを。
ありがとうございました。
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/14(日) 01:13
- 文麿さまと石川さん最高。
純文学という表現わかります!久しぶりにDVD見たくなりました。
- 22 名前:如月 投稿日:2009/06/21(日) 23:31
-
やぐなちです。(あれ?)
あと辻も出てます。
石川さんも。
…あれ?いしごま…
- 23 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:32
- 「あのぅ…真里ちゃん。」
「んん!?」
「いや、なんでそんな硬くなって…さっきからコーヒー6杯目だよ?」
「う、だ、大丈夫。」
辻としては、矢口の安否を確認したかったわけではない。
コーヒーを6杯も飲んでまで、なぜ自分を引き留めたいかということ。
直接顔を見て話ができることは嬉しいし、別に問題はないのだが。
肝心の矢口自身は時々窓の外を見て、どこか上の空だ。
「あのー。ねぇ、さっきから外見てますけど。だれか来んの?」
目に見えてギクリとする矢口を、不思議そうに辻が見つめる。
不思議そうに見つめる傍ら、手元の冷たさに気付いてハッとする。
ふるーりーが溶けてしまいそうだ。
慌てて口に運ぶ。
- 24 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:33
-
「まちあわへ?つじいていいんれすか?」
ばかでかいスプーンをもごもごさせながら、辻は下から覗き込むように矢口を見上げる。
「…食うか喋るかどっちかに。」
「うぇーだって真里ちゃん話がすすまないんだもおー」
「待ち合わせっていうか、まぁそうなんだけど…」
「もーうじれったいなあ!なに!どうしたんですか!」
ふるーりーの容器をガッと掴んで、ゆるくなった中身を口に流し込む。
ごくごくとアイスを飲み干す辻を、矢口は呆気にとられながら眺めた。
「お、お腹壊すよ」
「だいっじょーぶ!こっちは気にしないで、話して話して。ホラ。やっぱ誰かくるんですか?」
それならもう帰るよ?
と辻の瞳が言うので、矢口が慌てて止める。
- 25 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:33
- 「いて、いて辻ちゃん。大丈夫、なっちだから。」
「…なちみ?」
「そう…なんか急に呼び出されたんだよ。」
「いつ?」
「昨日。昨日の夜。」
「なんて?」
「近いうち予定空いてるかって。」
「メール?」
「いや、電話。」
「ふむ…」
「で、お互いスケジュール確認したらしばらくはこの時間しかかぶってなくてさ」
「急きょ、」
「そう…じゃあ今日でってことになって…」
消えゆく語尾と比例してみるみる不安そうな顔になっていく矢口。
焦る辻。
「え、どしたどした」
「ダメだ!!」
「えっ、なにが…」
バッと勢いよく携帯を取り出し、ボタンを押す。
耳に当てるあたり、メールではなく電話だ。
- 26 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:34
- 「…」
「…」
「……」
「……」
ところが矢口がなかなか話しださないものだから、辻は小首をかしげる。
「…なちみ出ないの?」
「時報。」
「……え?」
「時報聞いてるの…1時23分36秒をお知らせします…」
「もー!!!」
「なにしてるの?」
流れ的に完全に電話の相手安倍だと思い込んでいた辻。
予想をはるか斜め上に飛ばれ、怒り半分呆れ半分、戸惑いプラスアルファで絶叫したところで。
背後から慣れた声。
振り返ると同時に声が出ていた。
「りぃかちゃぁーん」
「え、のんなんで泣きそうに…」
「良いタイミングだよぅ超空気読めない梨華ちゃんとは思えない登場のタイミングだよぅ!!」
「失礼っぽいなぁ…」
苦笑しながら久しぶり、と笑う石川。
そのまま辻の横に座った。
- 27 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:34
- 「え、梨華ちゃんも待ち合わせ?」
「ん?んーん、さっき矢口さんに呼ばれて…あ、どーも、小さくて気付かなかった。」
「うん、おいらはちっさいよ…」
「…?のん、どしたの?何があったの?」
「…むー、これからあるというか…」
「?」
小さくなっている矢口を放置して、4期はコソコソと話し出した。
「なんかね、のんも急に呼びとめられて今にいたるってかんじなんだけど。」
「うん。」
「よくわかんないんだけどコーヒー6杯も飲んじゃってんの。この人。」
「え、それは胃によくないんじゃないの?」
「だよねだよね?こんな時間だよ?マズイよねぇ?」
「そりゃマズイよ。なんで止めないの?」
「アイスのユーワクには勝てなくて…」
「あっ新フレーバー!食べてみたかったんだーおいしかった?」
「おいしい!あっ、でものん的には、これの前の前の――」
「梨華ちゃん!!おいらにもっと興味を持ってよ!!人選めっちゃ誤った!!!」
あ、そっか、とへらへら笑いながら、石川が向き直る。
- 28 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:35
- 「まりっぺ元気だった?今日はなにかあったんですか?」
「んー、実は…」
「あったっていうか、これからあるんだってば。」
「ん?」
「なんかね、なちみと待ち合わせてるんだって。」
「安倍さんと?」
「うーん、というか呼び出し食らってるんだって。」
「え。それはまたどうして。」
「ねーぇ?てかなんでうちらここにいるかってのがフシギじゃない?」
「確かに。そもそもどうしてマック?」
「あ、それもそだね。もう大人なんだからー」
「そうそう、どっかお酒飲めるようなところが普通だよね?」
辻に冒頭から会話を奪われて、完全に人選ミスだと矢口はひとり落ち込みだした。
しかし石川は唐突に、さらっとズバっと核心を突く。
- 29 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:35
- 「それで?まだ安倍さんに告白してないとかそういうことですか?」
「え―――――!!」
「わ―――――!?」
辻と矢口が同時に叫ぶ。
「ちょっとちょっとそうだったの真里ちゃん!!のん全っ然知らなかったよ!?」
「えっうそ。私てっきり当時のメンバーは全員知ってると思ってたのに…」
「どぇええええ!?それはそれでっていうかおいらはどこにどう突っ込んでいいかわかんないけど、」
「なに騒いでんのさ?」
びくびくびくぅっ。
3人とも驚きで体を揺する。
矢口に至っては軽く浮いた。
- 30 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:35
- 「あ、安倍さん。こんばんは」
「あれ梨華ちゃんまでいるのかい。こんばんわー」
「なちみ!!ねぇねぇ知ってた!?なちみは知ってた!?なんと真里ちゃ」
「うわうわうわうわ!!!?」
「あ、あははははは!」
「どした?」
慌てふためく矢口はしかし残念ながら腕の長さが足りず
隣の石川が乾いた笑いと共に辻の口元を手のひらで覆った。
危うく第三者の口から矢口の長年に渡る秘めた思いが伝わってしまうところだった。
「で、着いた途端で失礼ですけど石川はちょっとお手洗い行ってきますね。」
「んー。じゃあなっちはオーダー行ってくるね。」
「はーい。」
ニコニコ笑ったままで、石川はぐいっと矢口の腕をとった。
「へ?」
「ちょっとまりっぺと話してくるから。のんは安倍さんからいろいろ聞きだすこと!」
「いろいろ?」
「とりあえず今日の呼び出しの理由は最低聞いといてメールして。じゃっ」
「らじゃー!」
「えっ、ちょ、梨華ちゃ」
「いーいのよ。まりっぺはついてくれば!」
- 31 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:36
- と、トイレに連行された矢口は一通り石川に思いのたけをぶちまけていた。
「なるほど…今まで通りの友人を通すか、ここいらで一発!とか思い悩んで早数年が過ぎ…」
「うん…」
「相も変わらず悩んでいたところへ突然に安倍さんから呼び出しがあって何事かと怯えていると。」
「まぁ要約するとそんな感じなんだけど…」
「何を怯えることがあるのか石川には正直まったくわかりません。」
「だって!急だよ!急すぎる!」
「まりっぺおかしいよ…ぶっちゃけ自意識過剰!!」
石川はどこまでもオブラートに包むということが出来なかった。
「ぐっ…!」
「だってそうでしょ?安倍さんはただ単に友達を、いいえ、ただの元メンバーを久々に呼び出しただけ!」
「……!!な、泣いても良いですか石川さん!!」
「だめ、ダメよまりっぺ!それが嫌なら今日、今日こそ積年の恨みを晴らすべきよ!」
「ううう、ぐうううう…!!」
- 32 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:37
- ファイティングポーズで矢口を激励する石川の姿はボクシングのコーチのごとく。
唆されつつある矢口も、まんざらではない反応を示していた。
「っていうか、基本的に安倍さんは気付いてなきゃおかしいと思う。」
石川のドッキリ発言に矢口は突っ込みも出来ずに静止した。
「だって普通は気付きますって。まぁのんは例外として、あのよっすぃーまで知ってたんですよ?当時。」
「よ、よよよっすぃーはホラ、だってホラ、意外と鋭いところが…」
「いいえ、あの頃はベーグルにのみ過敏に反応する子でした。その吉澤ひとみが言ってたんだよ?」
「な、なんて…」
「『安倍さんは鈍いね』って。」
矢口の脳内で、動画で再生されたその吉澤の姿。
ああ、そんなにバレバレだったのだろうかと頭を抱える。
- 33 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:37
- 「だからねまりっぺ。ここはひとつ、希望的観測を持って臨むべきだと思う。」
「…どこに希望を見出せと…」
「だって安倍さんに過剰に好意を寄せているにもかかわらず、安倍さんはまりっぺに親しくしてくれるわけで。」
「それはだって…友達だから…」
「まりっぺ、友達じゃないわ、ただの元メンバーよ!そこ間違わない!」
「ひぃ!!!」
『ただの元メンバー』の響きが痛い。
「だから落ち込まないで。そこが重要なんです。」
「ふえ?」
泣き出しそうな矢口の小さな肩を、石川がそっと抱いた。
- 34 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:38
- 「ただの元メンバーをわざわざどうして呼び出したりしますか?安倍さんはいったい今日何をまりっぺに?」
「…さぁ、話の内容までは聞いてないけど…」
「最悪のパターンとして、恋愛の相談を受けるってことが予測出来ますけど、」
「うっ!!!」
「待って、違う、だから、元メンバーポジションにそんなこと話したりはしませんよね?」
「ハッ!それはそうだよ!」
「ね?だからそれはないからそこは安心していいです。」
ホーっと素直に胸を撫で下ろす矢口を可愛いなぁと眺めながら、石川は続ける。
「普通、仕事仲間ならまぁ仕事の悩みとかそういうことを予想しますよね?」
「うん…」
「なのに、どうしてまりっぺはそんなに怯えてるの?」
「え…」
「…なにか、予感があるんですか?」
石川に正面から覗き込まれて、矢口は口ごもる。
- 35 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:38
- 「別にそんなのないんだけど…ただ、」
「ただ?」
「なんか、声がさ」
「安倍さんの?」
「んー…なっち、なんか思いつめてるっていうか、『またご飯行こうね』って、社交辞令じゃなくて…」
本気で約束を取り付けるためだけに電話をかけてきたようだったと矢口は言う。
「だからさ、別においらの気持ちがバレててキモがられてたらわざわざ呼び出しとかないじゃん?」
「確かに安倍さんの性格からいって、わざわざキモイ宣告はないかも。」
「うん…だから、おいらの気持ちがバレてる前提だとすると、それを確かめようとしてるのかと…」
「…なんのために?」
「だから…確証を持ってキモイ宣告をするために……」
静かなトイレの中に、キモイ宣告の言葉が残る。
「…な、ないと思うけどなぁ?」
「言い切れる!?言い切れる梨華ちゃん!!」
「ぐ、うぅ…そう言われちゃうと…安倍さんも天然なところがあるから…」
「でしょ!?わっかんないじゃんなっちって!!」
「う、うーん…」
- 36 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:39
- がくがくと揺すぶられながら、石川が悩む。
「あ、でも安倍さん気付いてないかもしれないじゃないですか。ホラ、天然だから。」
「さっき自分で言ったじゃんか。気付かなきゃおかしいって。」
「まあー…あ、待って、メールだ。」
「辻!?」
「辻、辻。えーと…」
ぱくんと携帯を開いて、かこかことキーを操る。
矢口も横に張り付いて画面を覗き込んだ。
そこにあった文字は。
「「ぱふぇ…?」」
- 37 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:39
-
クエスチョンマークを浮かべながらトイレ組が戻った先では、安倍と辻がきゃらきゃらと談笑していた。
気付いた辻が手を挙げて呼ぶ。
「あ、梨華ちゃん梨華ちゃーん!聞いてよなんかねー、」
「パフェをさぁ、食べさせてくれるとこがあんの、超おいしいらしんだけどねー?」
「そこが深夜限定なんだってー」
「そうそう、で、なっち食べてみたくってさぁ。矢口なら付き合ってくれるかなと思って。」
「でねぇー、じゃあ今からみんなで行こうよってことになってー」
「付き合ってくれる矢口?」
出来れば最後の言葉だけがほしかった矢口は、安倍の横にぐったりと腰を下ろした。
その向かい、辻の横に腰かけた石川も、心なしか疲労の色が見える。
石川としても、今日こそふたりがそういう関係になるかもしれないと思っていたのだ。
気付いていないのは矢口ばかりで、てっきり安倍も矢口を好きだと思っていたから。
こうなってくると安倍の真意は謎だ。
はぁ、とため息を吐いて、石川は矢口に囁いた。
- 38 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:39
- 「でもまぁ…ただの元メンバーでなかったのは…良かった、んじゃ…?」
「……友達昇格…?」
「うん。ただの元メンバーを深夜にパフェ食べには誘わない、かも。」
鈍い、鈍すぎる、安倍なつみ。
まだ気付いていなかったのか。
どっと疲れた石川の携帯が震えた。
「ん?梨華ちゃんメールかい?」
「あ、いえ、着信みたいです…ん?ごっちん?」
「えー!ごっちんも来るかなぁー!?」
嬉しそうに叫ぶ辻に、笑って石川が首を振った。
「ううん、ごっちん今お友達と遊んでると思うよ。」
「へ?」
「さっき『出てこない?』って電話があったの。もしもし?」
『さっき』?と石川以外の3人が首を傾げる先で、石川が携帯に耳を当てる。
- 39 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:40
- 「あ、ううんー、外だよ。へ?まりっぺに呼ばれてたから…え、だから友達。そう。」
「矢口矢口、梨華ちゃんは矢口のこと友達だと思ってるらしいよ!なんか照れるね!」
「照れるってなんだよ!」
「えー?面と向かって言われると照れないかい?」
「別に照れるとか…」
「クールー!なっち矢口に『友達だ』って言われたら照れるなぁー」
「えっ…!」
ただの元メンバー降格!?
友達期間は僅か2分!
うちひしがれる矢口をよそに、辻は思う。
それって意識してるからじゃん。
なんだココは時間の問題かな。と。
その時間の問題が本当に問題で、優に3年は持ち越していることを辻はわかっていない。
- 40 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:40
- 「今?ここ?マック。…あ、そうそう。え、来るの?」
「来るのー!?」
辻が嬉しそうだ。
安倍もにこにこしている。
矢口は呆けている。
「うん、でももう場所変えるっぽいよ?」
「あのねー、なっちだよー!場所はねー?」
「え?あ、そうそう、安倍さんもいるの。」
「のんも!のんもいる!」
「うんうん。4人。え、来る?ホントに?明日朝早くないの?…えっ!早!早いよそれ!?」
「あーあ、明日ごっちん早いんだってぇ」
「無理かねぇ。」
辻と安倍が落胆の声を上げる。
「いやワケわかんないよ。いいよ。また今度に…え?いややめときなってば。」
どうやら電話の向こうでごねているらしい後藤の声がかすかに聞こえていたが。
しばらく石川が説得すると、何やら諦めたように声が小さくなっていった。
- 41 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:41
- 「うん…はい。じゃあ…え?セシルマクビー?うん?良いけど…はーい、じゃあまたね。ハイ」
「来ないってー?」
残念そうに辻が窺う。
「明日5時入りなんだって。」
「あーそりゃ無理だねぇ。」
「ですよね?」
安倍も残念そうに石川に同意する。
「さっきここに向かう途中にもこれから遊ぼうって連絡あったから、明日は休みかと思ったのに…」
「ん?梨華ちゃんごっちんとよく遊ぶのかい?」
「いいえ?今日は久々に連絡があったんです。なんか真剣な声だったけど…何かあったのかな?」
- 42 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:41
-
ココもか。
ココっつか、ごっつぁんもか。
急激に後藤に親近感を覚える矢口。
そんな彼女に、コソっと隣の安倍が囁く。
「梨華ちゃんもいい加減鈍いねー?ごっつぁんも大変だぁ。」
「…ははははは」
アンタもだよ、とは、やはり言えない矢口。
今頃、携帯を投げつけんばかりに悔しがっているであろう後藤を思って矢口はひとり胸を痛める。
そして、もはや頭の中がパフェのみの眼前の3人を眺めて、後悔に暮れていた。
――後藤と語り合えばよかったと。
- 43 名前:+++思えば遠くへ来たもんだ+++ 投稿日:2009/06/21(日) 23:41
-
+++思えば遠くへ来たもんだ・終+++
- 44 名前:如月 投稿日:2009/06/21(日) 23:44
-
>>23-43
『思えば遠くへ来たもんだ』
昔もこんな内容書いたなぁと思いつつ。
書きたいことはやっぱり変わってないんですね。
と、成長のなさを露呈してみました。
- 45 名前:如月 投稿日:2009/06/21(日) 23:47
-
>>21 名無飼育さん
如月もりかまろ見たいです!!
と、クリスマスSPのビデオを漁りました。
初めて会話を交わしたとは思えない密着ぶりと後藤さんの美男子ぶりにクラクラしました。
お付き合いいただいてありがとうございます。
読んでくださった方がいらっしゃいましたら、ありがとうございます。
お目汚し失礼しました。
- 46 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/22(月) 16:35
- めっちゃ面白いです。
矢口さん辻ちゃん呼ぶのは
どう考えてもw
梨華ちゃんは意外に活躍しましたね〜。
セシルマクビーでお買い物の約束?
- 47 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/22(月) 19:44
- これはぜひデートさせてあげてください
ごっちんと矢口さんにもw
このままじゃ2人とも浮かばれませんから
- 48 名前:如月 投稿日:2009/06/22(月) 23:47
-
いしごまです。
そんなすごくないですが、雰囲気エロを目指しました。
そんなすごくないのに、それしか書いてないので内容は無いです。
- 49 名前:月光 投稿日:2009/06/22(月) 23:48
- 丸い肩を後藤の指がなぞる。
「梨華ちゃん」
首の筋に直接名前を吹きこまれるようで、その唇の動きに石川の背中が揺れた。
つるりとした肌を満遍なく撫でる。
この感触を知っているのは自分だけだと思うと、後藤は胸の中心に甘い疼きを感じた。
その疼きを消そうとして、しかし手のひらだけでは足らずに。
頬と、肩と、胸と、腹と、脚と、つま先と。
全てで石川に触れる。
背後から抱きすくめられ、石川は抵抗が出来ない。
目の前のシーツを力なく掴んだ。
こめかみに感じる後藤の唇が、1ミリずつ降りてくるのを感じる。
食べられてしまう。
イメージのまま、後藤の口内に石川の耳朶は食まれた。
- 50 名前:月光 投稿日:2009/06/22(月) 23:48
-
「! っあ」
やわらかで穏やかなそれまでの触れ方とは違う。
唐突に。
鼓膜を侵されるように、急速に攻められた。
「あ!ん、…っ」
「…くすぐったい?」
身を捩って、逃れようとする石川の身体を後藤は許さない。
「やっ、ぁん」
「やんだって。カワイイね」
- 51 名前:月光 投稿日:2009/06/22(月) 23:49
-
直接触るよりも、石川は辱められる言葉に弱いことを後藤は知っていた。
羞恥に頬から首筋から染め上げて、それらが自分の行為からだと思うと堪らない。
悪戯に触れることはこれまでにもあった。
戯れるように、ベッドの中で過ごすことはあった。
けれど、それ以上は何か石川が可哀想な気がして、後藤はいつも留まっていた。
月が明るい。
青いような黄色いような、不思議な光。
自分の下で、淫らにふるえる石川を撫でて、舐めて、抱きすくめながら後藤は思う。
思いもよらない奥まで触れられて、慌てる石川は後藤の心中を知らない。
今夜はこのまま抱いてしまおう。
- 52 名前:月光 投稿日:2009/06/22(月) 23:49
-
+++月光・ヲワリ+++
- 53 名前:如月 投稿日:2009/06/22(月) 23:51
-
>>49-52
『月光』
ムラムラしてやった。
反省はしていないが後悔はしている。
- 54 名前:如月 投稿日:2009/06/22(月) 23:55
-
>>46 名無飼育さん
なにかなんでも良いから縋りたい。
切羽詰まった矢口さんを表現してみました(言いわけ)
せしるまくびーは、久々にちょっと美味しいいしごまネタでした。
>>47 名無飼育さん
ぬあー、ありがとうございます…!
あの系統のテンションで思いつきましたら、また是非書きたいです。
なちまり書くのは何故かテンション勝負です。
お目汚しをいたしました。
お付き合いくださった方、ありがとうございます。
- 55 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/06/28(日) 00:51
- こんなこと言っていいのか分かりませんがハァハァしました。
- 56 名前:如月 投稿日:2009/08/09(日) 00:31
-
石後です。
相変わらず内容はないです。
- 57 名前:+++お洒落きっかけな夜+++ 投稿日:2009/08/09(日) 00:35
- 「梨華ちゃーん」
「なぁにー?」
シャワーを浴び、ミネラルウォーターを飲む石川に後藤が何やら声をかける。
何事かと石川が問えば。
「辻ちゃんが鼻に100円玉詰めてるよ」
ごふっ
真剣に水を吹いた。
げほごほと咽ながら、それでもなんとかテレビの前の後藤の横に座る。
「う、うそ…」
「ホント。ああ…」
「…のん!!!200円…!」
「辻ちゃん…」
脱力する二人の前で、辻は鼻の穴に100円玉を詰めて某お笑い芸人の顔真似を披露した。
「もー…いやあ!!ごっちん私の携帯どこ!?」
「さっき風呂持ってったよねぇ?」
「そうかもっ!」
- 58 名前:+++お洒落きっかけな夜+++ 投稿日:2009/08/09(日) 00:35
- 座り込んでいた体制から勢いよく走りだし、バスルームへ駆け込む。
一分と経たずに石川の騒ぐ声が後藤の耳には届いて、呆れたように笑みを浮かべる。
「抜けないねぇ、保護者根性。」
重い腰をあげるオッサンのように立ち上がり、石川が消えたバスルームへと続く。
すでにキャンキャンと声が響いていて、後藤の苦笑は深くなった。
「辻ちゃん出たの?」
「だからね、そういうことじゃなくって!…え?事務所には怒られなかった?私は怒るわよ!」
「…出たのね。」
石川の携帯に寄り添い、電話の向こうの声を拾う。
普段ならば急に狭くなる間隔に驚いて恥じる距離だが、今の石川には気にならないようだった。
「そりゃ仕事だってのは分かるの、分かってる、分かるけど!でもなんかそういうのじゃない!」
「複雑だねぇ…」
「だっ…え?よっすぃ…?メールきた?そりゃそうでしょ、そりゃ…え?」
ひたりと寄って、漏れる声を聞く。
- 59 名前:+++お洒落きっかけな夜+++ 投稿日:2009/08/09(日) 00:36
- 『よっちゃんは面白いって言ってたもー!梨華ちゃんのばかあー!』
切れた。
通話が。
石川はため息と共に既に通話を終えた携帯を閉じる。
「まぁ確かに面白いわな。」
「…おおおもしろいけど…!」
「梨華ちゃんだってワケわかんないカッコしたり羞恥プレイさせられたり色々やってんじゃん。」
「…私は羞恥プレイさせられた覚えはないけど…」
「ぴーすの裸エプロンは既に羞恥プレイだよ」
「引っ張るんだね、ごっちん…」
「衝撃的だったからね。そして覗く脇腹は刺激的だったからね。」
「もう!何が言いたいのよう!」
「色々やってきたし、これからも色々やってくわけだし、いちいち気にしてたら身が持たないんじゃない?」
後藤がクールと言われる所以はここにあると、石川は思う。
思うことをさらっと言ってしまうのだ。
素直と表現するには、後藤は美形すぎる。
しかしそれが自分を責めるつもりではないことを石川は分かっているので、特に怯むことはない。
- 60 名前:+++お洒落きっかけな夜+++ 投稿日:2009/08/09(日) 00:36
- 「そうだけど。それでも納得いかないの!」
「難しいね、ママの心理は。」
「父親は昔っから甘やかすだけなんだもん。いつだって嫌がられるのは私の役目。」
「よっすぃーは時々火に油を注ぐときさえあるからね。」
「そうなの。そ――――」
石川が不自然に言葉を切る。
4期メンバーを親子のように例えるのは、自他ともに恒例だった。
そしていつからか、そのたびに後藤がナチュラルに不機嫌になるのも恒例だった。
近頃はあまりなかった『恒例』。
ぎしりと固まった石川を見て、後藤が面白そうに笑った。
「なんか引っかかったみたいだけど…さすがにもうごとーも気にしないよ?」
大人な一言に、石川の緊張がみるみる解けた。
「そー、そうだよねー!ねー!やだなぁ私、自意識過じょ」
「愛人のポジションのがなにかと美味しいって気付いたんだ。なんか色っぽいしね。」
がっつり気にしてる。
再び固まった石川。
その頬をぷにぷにとつついて相変わらず楽しげな後藤。
- 61 名前:+++お洒落きっかけな夜+++ 投稿日:2009/08/09(日) 00:36
- 「まぁいつまでもバスルームってのも蒸し暑いし、」
何故ならホテルのユニットバスだからだ。
「そろそろ良い時間だと思いませんか奥サン?」
石川の手の中の携帯を引き抜いて、囁く。
台詞めいた言葉に、石川が照れと憤りをない交ぜにして返そうと口を開ける。
その言葉が出る前に。
「ごとーも構って。」
携帯の電源を勝手に落とされても、綺麗な仕草に許すどころか思わず見惚れてさえしまう。
石川を保護者モードから乙女モードに後藤が引き戻すのも、これもまた恒例。
懐かしさとときめきとに胸をきゅんきゅんさせられながら、それがむず痒くて石川は笑った。
「なに?」
「ん?んーん。のん、あんま似てなかったなぁって。」
「ああ、顔真似?」
「そう。」
「やっぱ鈍るもんなのかね、顔真似も。」
「する機会もあんまないだろうしね。」
咄嗟にごまかした。
後藤がごまかされたのかがまかされてくれたのかは石川には分からなかったが、なんだか幸せだと思った。
- 62 名前:+++お洒落きっかけな夜+++ 投稿日:2009/08/09(日) 00:37
-
+++お洒落きっかけな夜・おわり+++
- 63 名前:如月 投稿日:2009/08/09(日) 00:40
-
>>57-62
『お洒落きっかけな夜』
タイトルは某番組から。
辻さん…!と、如月は驚愕しました。
ろ、路線変えてくるとばかり思ってたら昔の辻さんで嬉しい限りです!(笑
- 64 名前:如月 投稿日:2009/08/09(日) 00:41
-
>>55 名無飼育さん
ありがとうございます。
いつかハァハァハァくらいまでしていただけるように頑張りたいです。
いしごまってエロいですよね。
お付き合いいただいた方、ありがとうございます。
お目汚しをいたしました。
- 65 名前:如月 投稿日:2009/08/16(日) 22:35
-
パラレルです。
というか設定をお借りしてる感じです。
ててって、てれって、て♪
- 66 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:36
- 白い足を組んで晒して、ナカザワは呆れたように笑う。
「アンタも大概懲りひんやっちゃなぁ。毎回毎回捕まりおってからにまぁ…」
「こっちの台詞ですよナカザワさん。」
その脚元に、ぴんくのドレスを汚され手首を縛られ転がされているイシカワは、
しかし圧倒的不利な状況下で怯えることをしなかった。
それは慣れと、そして必ず助けが来るという確信。
「大体ですねナカザワさん。毎回ってことは、それだけ負けてるってことで――」
「ホンマ緊張感っちゅーもんをわかってへんなイシカワ。」
「もう何度ぶっ壊されたかわかんないじゃないですか、このお城。」
「うっさい。」
「橋と、門と、…ああ、そこの壁なんてまだ直ってないじゃないですか。」
「うっさいわおとなしく捕虜しとれアンタは」
横向きに倒れていた身体をころりと転がして仰向けになり、イシカワはぼんやりと呟く。
- 67 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:37
- 「…今度天井から来てってお願いしたら、天井壊してくれるかなぁマキちゃん…」
「今度なんかあらへん!ちゅーか不吉なこと言うな!アイツの破壊癖はアンタのリクか!!」
「別にリクエストなんかしてませんよぅ」
心外だなぁと拗ねて見せて、イシカワは天井に向けて腕を伸ばした。
拘束された手首をかざす。
ゆったりととられた飾り袖が肘まで降りて、ひらひらとした頬を撫でて視界が狭くなる。
「…ナカザワさんは、優しいですね。」
「………はぁ?」
「ホントはちょっと感謝してるくらいなんです。」
「何がや。」
「毎回、人質を私にしてくれて。」
「…なんというドM発言。」
ナカザワは軽く引く。
- 68 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:38
- 「だってあの人、普段はなんか便利屋みたいなことやってて全然構ってくれないんです」
「便利屋て。大工やなかった?」
「遊ぼうって言っても忙しいとか言ってすぐハンマー持ってどっか行っちゃうし。」
「商売繁盛結構やないか」
「城からあまり出るなとかひとりでフラフラするなとか、最近口を開けばやたらお小言ばっかりだし」
「アンタがホイホイ捕まるからやろ。ウチに。」
「だから、ナカザワさんに捕まって、助けに来てもらうのが最近の唯一のデートなんです。」
「…言ってええのかわからんけど、それはデートとちゃう。」
一国の王女がふらふら花なんぞ摘んでいれば、それはお小言のひとつやふたつ仕方ない。
しかも護衛もつけず、ひとりで。
おかげで恰好のターゲットになってくれているのだから、ナカザワにとってはイシカワ様々ではあるのだが。
「だって、他に知らないもの。」
「あ?」
「ふたりで一緒にどこかへ、なんて。…マキちゃんの頭にはきっとないんだわ。」
- 69 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:38
- ふむ、とナカザワは脚を組みかえる。
どうやらイシカワは理解できていないらしい。
「甘酸っぱいなぁ…」
「カライ苦いだけです!!」
大工だか何でも屋だかで忙しいヤツが、数週間、時には数カ月かけてイシカワを助けに来る。
城の人間でもなければ、依頼されたわけでも義務でもない。
まして、正義感などというものがあるとも思えない。
その原動力の名を、ナカザワは知っている。
しかしそれを教えてやる義理もないので黙ってニヤニヤするにとどめた。
「ま、せいぜい悩んだらええねん若人。」
敵(?)ながら若者の悩むいじらしい姿は愛らしいものだ。
なにやら穏やかな心持ちに、ナカザワはすっかり忘れていた。
一時間ほど前に部下から入った連絡を。
ゴトウが門番を突破して、一階通路に侵入したと。
- 70 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:39
- ゴォン、ゴゥンと不穏な音がして、ようやくそのことを思い出す。
ハッとしたときには既に遅い。
何の準備もしていなかった。
こりゃアカンわ。と、ナカザワは胸の内で白旗を振った。
鈍いイシカワは、まだその音にさえ気付かずに変わらず駄々をこねる。
「ねぇー、というわけでナカザワさん、次はいつ頃さらってくれますか?」
「…せやな、来月あたりかな。」
毎度お約束の質問だった。
しかし、それに怒声でない答えが返ってくるなど初めてのことでイシカワは寝ころんだまま目を丸くする。
「…ナカザワさん、どうしたんです。お腹でも痛いんですか?」
「せやなぁ…腹も痛なるわな」
「だ、大丈夫ですか…?」
常らしからぬナカザワの反応に、イシカワが腹筋だけで上体を起こした。
「…毎回思うんやけど、イシカワ実はかなり強いんちゃうの…?」
「?なんのことです。」
- 71 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:39
- 素晴らしい腹筋をナカザワなりに褒めてみる。
不思議そうに小首を傾げるイシカワは、ナカザワから見ても愛らしかった。
縛られている手首も、それはそれで何か色々とそそられるものはある。が。
「ごっつぁんの逆鱗に触れるのは面倒やしなぁ。」
「はい?」
「イシカワ、ちょおこっち、紐といたるから。」
「え、いいんですか?」
「えーのえーの。今回はもうえーわ。ホレ。貸してみ。」
右手でちょい、と呼ぶと、イシカワは素直にナカザワの座るソファに上半身を預けた。
そのまま両腕を誘拐犯に差し出す。
慣れた犬のようで、ナカザワは苦笑した。
「アンタはもうちょっと危機感持ちやー」
「ナカザワさんは大丈夫ですー」
「失礼やなぁ。ええか?ウチはなぁ、この世界の頂点に立ってやなー、」
「分かってますよぅ。その足掛かりとして、とりあえずこの国を獲りたいんですよね?」
「ホンマにわかっとる?」
- 72 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:39
- 呑気な会話が流れる中、ボガァ!!!と破壊音が響く。
呆然とする二人の前で崩れ落ちる壁。
大きな瓦礫から小さな破片へ。
ガラガラと音を立てて沈んでゆく。
もぁもぁと煙が逆に落ちてくるように埃がゆっくりと落下して、見事に空いた穴が露わになる。
ナカザワはがっくりと肩を落とした。
(何故素直にドアから入ってきてくれないのだろうかこの大工は。)
燻ぶるもやの向こうに、身の丈の半分はあろうかと思われる木槌に寄りかかる繋ぎ姿。
まるでスモークの中に佇むヒーローのような完璧な登場。
片手に亀の甲羅を携えてさえいなければ。
だが仕方がないのだ。
この世界では、亀も立派な武器となる。
いささか乱れた髪と、傷だらけでぼろぼろの繋ぎが逆に男前だ。
肩で息をしているあたり、なかなかの困難を乗り越えてやってきたらしい。
ラスボス(ナカザワ)の元へ。
そして囚われの姫君の元へ。
- 73 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:40
- 「ユーウーちゃーあん…」
右手に木槌を握り直し、ゆらりと、イシカワの待ち人―――ゴトウは歩み寄る。
「いーい加減にリカちゃんに手ぇ出すのやめてくれるかな!ゴトー困っちゃうんだよね!」
「よ。儲かっとるらしいな、大工。」
「配管工ね、配・管・工!」
宿敵同士の会話とは思えない会話を交わすナカザワとゴトウ。
それを気にする風でもなくイシカワも飛び込む。
「えっ、便利屋でしょ?」
「………とにかく、帰るよリカちゃん!…いいよねユウちゃん」
「まー今回はこれくらいで勘弁したるわ。」
甲羅と木槌を放って、ゴトウは服の煤を叩き落した。
そして悠々とソファから動かないナカザワと、そのナカザワに懐いているイシカワの間に割って入る。
- 74 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:41
- 「痛いとこない?もうだから言ってるじゃん。外出るときは、ちゃんと護衛付けて…」
「だってごっついんだもん…」
「護衛なんだからごっつい方が良いんだよ。」
「えー」
「えーじゃなくて。毎回ユウちゃんなら別に良いけど、そうもいかないんだよ?」
「別に良いってなんやねん。そろって失礼な奴らやな」
「リカちゃんお姫様なんだから、狙ってる悪い奴らはいっぱいいるんだからね。」
「もうお小言はいっぱいだよぅ」
ぶーたれるイシカワは気付かない。
煤を払ってから近づき、汚れた軍手を外してから触れるゴトウの優しさに。
手首の縄を解きながらイシカワの無事を確認する手つきは、それはどう見ても。
急にバカバカしくなってナカザワは吐き捨てる様に笑った。
大体にして、繋ぎも軍手も綺麗な髪もボロボロにしてまで自分を助けにくる。
その時点でイシカワは気付くべきなのだと、ナカザワは苛立ちさえ感じ始めた。
- 75 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:41
- 相変わらず優しげな手つきでイシカワを抱き起こしてやるゴトウ。
そのまま横抱きにして、文字通りの『お姫様だっこ』状態。
それ程身長の変わらないイシカワを軽々と抱き上げ、颯爽と歩きだし、振り返る。
「じゃあねユウちゃん。」
「はいよ。」
「それじゃあナカザワさん、スケジュール空けときますからね!約束忘れないでくださいね!」
「…はいよ。」
ひらひらと手を振って見送るナカザワ。
「約束ってなに…」
「マキちゃんには関係ないの。」
遠くなっていく会話のゴトウの報われなさに、呆れてため息をついた。
「ごっつぁんもなんであんなのがええんかなぁ…」
あの二人がくっつくことを思えば、自分の世界征服の夢の方がよほど現実的だとナカザワは思うのだった。
- 76 名前:きのこと雲と青空とどかん 投稿日:2009/08/16(日) 22:41
-
+++きのこと雲と青空とどかん・クリア+++
- 77 名前:如月 投稿日:2009/08/16(日) 22:44
-
お姫様設定が書いてみたくなりました。
如月の中で、お姫様といえばこの世界。
キノコつぶしてブロック叩いてコイン出して、火を噴いたり土管入ったり、
でっかくなったりちっちゃくなったり時にタヌキになったり緑の恐竜とか出てくるやつ。
というわけでお目汚しをいたしました。
お付き合いありがとうございます。
- 78 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/17(月) 23:33
- どM発言の石川さん素敵ですw
- 79 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/18(火) 19:03
- これはwあるようでなかった設定!
楽しませていただきました
- 80 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/19(水) 22:32
- 相変わらずいしごま最高っす!
如月さんの作品は読んでてハッピーな気分になります。
- 81 名前:如月 投稿日:2009/12/12(土) 10:31
- 書きたいテーマが巧くまとまりません。
しっちゃかめっちゃかで申し訳ないですが、一応石後。
でも出てくるのは石吉のふたりです。
- 82 名前:+++オレンジ+++ 投稿日:2009/12/12(土) 10:33
-
「可愛かったなー!すごい可愛かった!あのツンが!デレて!!」
一体どこぞで覚えてきたのか。
ツンデレなどとインターネットスラングを使いながら、石川は帰路に着いてからというものそればかりだ。
幸せな空気を存分に吸ったらしく、にこにことそれは幸せそうに笑う。
その笑顔につられて、純白の頬笑みが吉澤の中でよみがえる。
途端にむずむずと疼く胸を掻きむしりながら、夕暮れの街角で吉澤は叫んだ。
「でもなんか照れくさかったなぁ!」
「照れくさい?」
突然の雄たけびに動じることなく聞き返す石川。
「いつもサバサバキャラだからー、あんなデレられるとなんか照れない?」
「あはは、そっかー。確かにちょっとくすぐったかったかなぁ。なんだろうね、あれ。」
「ねー、親とテレビ見てて急にエロ展開的なむず痒さね」
「それだ」
あはははは
こんな往来で笑いあうあたり、自分もかなり幸せに当てられてるのだと吉澤は自覚する。
- 83 名前:+++オレンジ+++ 投稿日:2009/12/12(土) 10:34
-
「でもきっとよっちゃんも似合うよ。」
「んー?」
「まっしろでふわふわミニスカ。」
「でええー?」
「似合うよ。」
まるで姉のように親のように、吉澤の花嫁姿を想像してゆったりと石川は笑った。
「私泣いちゃうかもー。よっちゃんがお嫁にいっちゃったら!」
「呼ばないから。」
「えー!?」
せめて二次会くらいは行ってもいいでしょう!?
縋る石川を爆笑でもってひきはがす。
「それ以前に今はジミ婚流行りじゃん。」
「いやいやもったいないよ、よっちゃんお着物も似合うし!」
「もー、引っ張るなぁ。なに、着たくなった?ウェディング。」
いつまでも自分の結婚式姿を妄想され、それこそむずむずと耐えきれなくなった吉澤は、話題を石川自身に振る。
きょとんと小首を傾げた石川は、うーんと唸って見せた。
- 84 名前:+++オレンジ+++ 投稿日:2009/12/12(土) 10:34
-
「ウェディングかー。まぁ綺麗だけど私白はなぁー…」
「ああ、黒が目立つから。」
「そんなばっさりいくけど。結構気にしてるんだからねー?気ぃつかってー」
「ピンクとかもあるじゃん。」
「えー、でもやっぱ着るなら純白じゃない?」
「じゃあ着物とか。」
「たしかにね。私身長もないからお着物のが良いのかな。」
「でもあれ頭につけてるほっかむりみたいなの、アレ真っ白だよね。良いの?」
「…ハッ!!でも和装ならお化粧ぬりたくるからイケるかも!!」
「あはは!!そっかそっかじゃあ梨華ちゃんの結婚式は三三九度だねー。」
三三九度って。とけらけらと笑いあってから、再び石川が「んー」と唸る。
「でもなぁ、真希ちゃんは洋式が良いって言うだろうし。」
左頬に手を添えて思い悩む石川。
まるで夕飯のおかずを考えるような自然な仕草。
- 85 名前:+++オレンジ+++ 投稿日:2009/12/12(土) 10:34
-
「お着物も絶対綺麗だけど、スタイル良いからドレスも映えるよね。」
「ごっちん?」
「うん。あ、でもでもタキシードとかはカッコ良すぎて倒れるからダメー」
「誰が?」
「私が。」
「……花嫁倒れてたらシュールだね」
「だから教会が良いって言われたら私がタキシードだな。」
ドレスか着物かのネタで、ナチュラルに後藤を隣に据える石川を吉澤は可愛いと思う。
頭を撫でてやりたいような、背中を叩いてやりたいような不思議な。
不可思議な心持ちで、吉澤は新たなネタを振ってやった。
「でもごっちんは袴も絶対似合うよ。」
- 86 名前:+++オレンジ+++ 投稿日:2009/12/12(土) 10:35
-
+++オレンジ・ヲワリ+++
- 87 名前:如月 投稿日:2009/12/12(土) 10:42
-
>>78 名無飼育さん
不遜な態度のドMを書いてみたくなりました。
この設定は好きなので、また書きたいです。
>>79 名無飼育さん
メジャーなのでネタかぶりが恐ろしいですが…(笑
設定美味しいんですよね何気に!キャラも豊富ですし!
楽しんで書きましたので、楽しんでいただければ何よりです。
ありがとうございます。
>>80 名無飼育さん
ハッピーな気分だなんて恐縮の限りです。
嬉しいなぁ…ありがとうございます。
いしごまは見ていてハッピーになれるので、その延長で如月の拙い文でもハッピーが分散してるんでしょうね!
ラッキー!
- 88 名前:如月 投稿日:2009/12/12(土) 10:43
-
というわけで短いですが、この辺で。
お付き合いありがとうございます。
お目汚し失礼いたしました。
- 89 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/14(月) 14:04
- 石川さん可愛すぎるw
- 90 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/14(月) 23:30
- にやけすぎるwいしごま最高
袴といえば石川さんのハロモニ後藤部屋での行司さん格好よかったな
- 91 名前:如月 投稿日:2010/03/27(土) 09:59
- 気付けば年度が変わらんばかり。
ご無沙汰しております。
石後ではなく、某ぱろその2です。
- 92 名前:きのこと雲と青空とどかん2 投稿日:2010/03/27(土) 10:02
- 真っ青な空を大きな雲がもふもふと流れてゆく。
背丈の低い草に背中を預け眺めるそれは幸せの象徴のようで、リカはとても好きだった。
風と水の流れる音と、木々の鳴く音だけが包んでいた空気に、小さな足音が加わる。
「…タカハシ」
リカの呟きは、足音の主の叫びに消えた。
「またそのように寝ころんでー!はしたないですよ姫!」
「げろげろ。」
「ゲロゲロ!ゲロゲロって言いました!?ゲロゲロって何です!」
どこでそんなお言葉覚えて来るんですか!
遠くから駆けてくる足音と共にお小言が明瞭になってきて、ピンク色のお姫様はゆるりと起き上った。
それを見計らって髪に背についた緑の草を、風がやんわりと払い落す。
こんなにもこの世界に大切に愛されて、何を不満に思うのだろうと息を整えながらタカハシは思う。
- 93 名前:きのこと雲と青空とどかん2 投稿日:2010/03/27(土) 10:03
- 「もー、探しましたよ」
「マキちゃんは?」
「は?」
「私いなくなって、マキちゃん心配してた?」
「いえ、ヨシザワさんが腹痛起こしたと慌ててよーすたー島へ」
「またあの子は訳わからないもの食べて…!」
「今回は食べすぎのようです」
「似たようなものよ!もうタイミング悪い!」
なんと自己中心的に世界を回す人だろう。
タカハシは頬を膨らませる主を呆然と見守った。
「…ゴトーさんに構ってほしくてお城抜け出したんですか?」
「…」
「……」
「…」
無言を肯定と受け取ってタカハシは深くため息を吐く。
- 94 名前:きのこと雲と青空とどかん2 投稿日:2010/03/27(土) 10:04
- 「全くゴトーさんもえらいお姫様に懐かれたものですね」
「タカハシ毒舌!それだけじゃないもん!」
「じゃあ何です!一人でフラフラ危ないでしょう心配させないで下さい!さっさと帰って書類にハンコついて!」
「最後本音!!」
溜まった仕事を思うとますますリカの意識は城から遠ざかる。
それと同時に浮かぶのは、腹を抱えて蹲り、うんうん唸る友人の姿。
(……マキちゃんじゃあ、手当たり次第にカプセル飲ませるだけだし)
「タカハシ、ちょっと出かけて来る」
「……私の話を全く聞いてくださってない…?」
「戻るわよ。よーすたー島経由で。回復系はマキちゃんより私のが得意だもの」
- 95 名前:きのこと雲と青空とどかん2 投稿日:2010/03/27(土) 10:04
- よいしょと立ち上がる。
ばふばふっとスカートを揺する様は、とても一国の姫君には見えなかった。
しかしその後でふわりと裾を整える辺りは育ちの良さが隠し切れていない。
粗野な行動を意識してしようとするのは、恐らく共に冒険の旅に出たくてうずうずしているからだろう。
あまりにも押さえつけすぎて、その願望を実行されたらと思うと。
タカハシはそれだけで胃腸のあたりがぎゅうと痛んだ。
それくらいならば、よーすたー島へ行くくらいは快く送り出すべきかもしれない。
「ではお乗り物をご用意しますので、」
「いいわ、歩いて行ける」
「姫!」
「〜〜〜タカハシのケチ!」
斯くも王国は平和である。
- 96 名前:きのこと雲と青空とどかん2 投稿日:2010/03/27(土) 10:05
-
きのこと雲と青空とどかん2・クリア
- 97 名前:如月 投稿日:2010/03/27(土) 10:10
-
>>89 名無飼育さん
石川さんはいつまでたっても可愛らしい我がアイドルですw
>>90 名無飼育さん
いしごまは最高です!
後藤部屋はうまいこともっと絡んでくれれば…!
当時のハロモニは色々と美味しかったんだと最近になってまた再認識してます。
- 98 名前:如月 投稿日:2010/03/27(土) 10:11
-
次は石後を書きたいです。
春はいしごまの季節。
まぁ夏秋冬みんないしごまの季節。
それではこの辺で。
お目汚し失礼しました。
- 99 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/03/27(土) 14:35
- 数ヶ月ぶりに来たら続きがきてた!
姫かわいいよ姫。無事配管工に会えたかな
- 100 名前:如月 投稿日:2010/05/09(日) 22:42
- 石後です。
石+後って感じです。
時間軸は今現在のつもりで書いてますが、お好きな時でご設定ください。
- 101 名前:+++マルゲリータ+++ 投稿日:2010/05/09(日) 22:46
- とても近い。
と、後藤はふと思う。
二人掛けのソファに並んで座る石川をぼんやりと見た。
なにせ二人掛けなので、華奢と言えど成人女性が二人座ればそれは。
近い。
けれど後藤の思う近さは物理的なものとは勿論違った。
一般的な友達とは少し違う。
知人、友人、親友と並べてみると一番近しいものは「友人」の響きか。
しかしながら己と隣の可愛らしい横顔とを、それにカテゴライズするとなると。
どこか歪な気がした。
かといって恋人かと言えばこれは全力で否定出来た。
そのような具体的で艶っぽいものは二人の間に存在しなかった。
―――ただ。
手の触れる感触であったりうっすらと漂う髪の香りであったり。
なんとも言い難い胸に詰まる甘酸っぱさがなかったとは言えない。
もやもやと燻ぶるそれを後藤は、そして石川は捨てきれずにいる。
- 102 名前:+++マルゲリータ+++ 投稿日:2010/05/09(日) 22:47
-
たとえるならばピザ生地のようなものだ。
延ばして延ばして可能な限り延ばしていたら伸びきってしまった。
隔たりはとても薄くなって、このままでは恐らくピザソースが漏れてしまうほどに。
トッピングは分からない。
シーフードか、モッツァレラか、ソーセージか友情か恋愛かそれより他の何かなのか。
薄くなって、耐えきれなくなって、ソースも何もかもぼろぼろと。
もういっそこぼれてしまった方が。
「真希ちゃん?」
のんびりとかけられた声に、後藤はゆるりと石川に意識を戻す。
それを受けて石川がきょとんと首を傾げた。
「どうかした?ぽーっとして」
「んー、夕飯ピザにしようかなって思ってた」
そんな関係。
- 103 名前:+++マルゲリータ+++ 投稿日:2010/05/09(日) 22:47
-
+++マルゲリータ・オワリ+++
- 104 名前:如月 投稿日:2010/05/09(日) 22:52
-
>>99 名無飼育さん
続き書いても良いのでしょうか!笑
色々考えててとても楽しいパロディなので、感想いただけて幸せです。
ありがとうございます。
- 105 名前:如月 投稿日:2010/05/09(日) 22:53
- とても短いくて自分でびっくりしてます。
お目汚しいたしました。
お付き合いありがとうございます。
- 106 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/05/11(火) 19:29
- なんとも言えない空気感が好きです。
あー後藤さんがいるっていう感じがする。
- 107 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/05/15(土) 16:04
- いしごまっぽい。ほんとに
そんな二人を見てはうずうず?むずむず??してた頃を思い出しました。
>>104
もちろんです!そうだったらうれしいです!
- 108 名前:如月 投稿日:2010/05/16(日) 23:19
- やっぱり石+後っぽい感じです。
なんか学パロって実はちゃんと書いたことなかったなと思って挑戦してみたら
ものの見事に玉砕した感じです。
年齢が逆転してたりするので、そういったものが苦手な方は是非避けてください。
- 109 名前:+++朝のこと(後藤先輩)+++ 投稿日:2010/05/16(日) 23:20
- 文武両道を謳う公立高校に在学しているため、一応後藤も部活動に席はある。
強制ではないといいながら、どこかしらに所属することは暗黙の了解だった。
まあ、それが必ずしも運動部でなければならないわけではないので、
「結局は建前なワケだ」
通勤通学ラッシュの駅構内。
都心を離れた田舎町とは言え、それなりに人があふれるなかで後藤は呟いた。
誰にともなく。
勿論その言葉は人ごみの中にかき消えて、朝の喧騒の一部となった。
その騒がしさの中にわざわざ身を置く理由は。
間違っても陸上部の朝練に出て体を動かすためではなく、ましてや。
ましてや始業1時間の余裕を持って登校しようなどという殊勝な心がけでは決してない。
ランダムに曲を流すイヤフォンが、5曲も流し終えれば学校に着く。
朝に弱い後藤ならば、本来まだベッドの中でもおかしくない。
学年があがってからというもの、それを押して5本も早く家を出る様になった理由が。
真新しいプリーツスカートをひらひらとさせながら、後藤の横に立った。
- 110 名前:+++朝のこと(後藤先輩)+++ 投稿日:2010/05/16(日) 23:21
-
「おはようございます、後藤先輩」
朝っぱらから爽やかだなおい。
にやつく頬を叱咤して、後藤はクールで優しい先輩像をなんとか保つ。
ゆるりと両耳からイヤフォンを外してポケットに収めた。
本当は、勢いよく抜いてしまいたいところをなんとか堪えて。
「おはよう梨華ちゃん。もう学校は慣れた?」
「噂に聞いてた通り、テニス部は厳しいですね。毎朝へとへとで授業が二の次です」
えへへと笑う姿がここまで似合う人物もそうはいないだろうと後藤は思う。
「後藤先輩は陸上部でしたよね?」
「あー、まあ幽霊部員だけどねえ」
「……あれ?だって、」
- 111 名前:+++朝のこと(後藤先輩)+++ 投稿日:2010/05/16(日) 23:21
-
石川がことりと可愛らしく小首を傾げたのを見てぎくりとする。
しまったストーキング行為がバレる。
参加してもいない朝練に託けて毎朝堂々としていたストーキング行為がバレる。
やばいやばいという単語がぐるぐるするのと同時にの脳内で思考がフル回転する。
石川の唇が「朝連は?」と問いをこぼす前にそれらしい答えを用意しなければならない。
後藤は必死だった。
その時。
『3番線のぼり電車は、緊急停止信号のため7分ほど遅れが出ております』
きた。
よくやった。
平に謝るアナウンスに、後藤は心の中で惜しみない拍手を送る。
「遅延だって」
「ハイ……そうみたいですね」
肩にかかるさらさらした髪の裾を両手で押さえる様にして、電車が来る方向を覗き込む。
律儀に確認しているのだろう。
路線を覗き込むその横で、麗しい先輩が相貌を崩していることを石川は知らない。
- 112 名前:+++朝のこと(後藤先輩)+++ 投稿日:2010/05/16(日) 23:22
-
「んー……見えないですね」
「そうだねえ」
これが同級生の吉澤の言動ならば『当たり前だろアホめ』と罵ったであろう後藤は、
しかしそれが愛らしい後輩となれば目じりを下げて頷いて見せた。
優しげな後藤の笑顔に石川も嬉しそうに微笑み、邪気なく他意なく囁く。
「でも7分、いつもより先輩とお話しできると思うと嬉しいです」
普段より僅かに近づいた距離で薫る様な石川の声は、鼓膜どころか心を直接震わせて、後藤を大層困惑させた。
- 113 名前:+++朝のこと(後藤先輩)+++ 投稿日:2010/05/16(日) 23:22
-
+++朝のこと(後藤先輩)・終わり+++
- 114 名前:如月 投稿日:2010/05/16(日) 23:33
-
>>106 名無飼育さん
わあーなんとも嬉しいお言葉を!勿体ない!
ありがとうございます、恐縮です。
すみませんこんなのしか書けず……なんかもっとこう、こう…
いしごま!THE・いしごま!!みたいのをいつか書けるようになりたいです。
>>107 名無飼育さん
うずうずむずむずとても分かります!
如月は「ぽろり、あー。ぽろり、あー」の回のはろもにでそれが溢れだしました。
というわけでお墨付き(?)をいただいたので、またきのこパロも書きたいです。
- 115 名前:如月 投稿日:2010/05/16(日) 23:33
-
>>109-113
単純に可愛いなぁって思ってる感じ、か、それともっていうラインの後藤さん。
せっかく年齢逆の設定にしたのになんかあまり雰囲気変えられず。
いやあ、文章って本当に難しいですね(そんなオチ)
お付き合いくださった方、ありがとうございます。
お目汚しいたしました。
- 116 名前:如月 投稿日:2010/05/22(土) 23:41
- 石+後
石→←後気味?
またも学パロです。
- 117 名前:+++昼のこと(石川先輩)+++ 投稿日:2010/05/22(土) 23:42
- 食券販売機。
4時限目が終わり、3台あるそれはものの見事に学生で埋まっていた。
列は長い。
石川は教室から食堂への道のりを、必要以上に穏やかな歩みで進んだ。
何故か。
食券の列の後尾に並ぶために他ならない。
日替わりランチか生姜焼き定食か。それが問題だ。
かくしてこの日も無事最後尾についた石川は、眉間に皺を寄せメニューを見比べる。
「石川先輩」
悩める石川の背後で、にこりと音がする様な笑顔。
そして眼前の食券販売機からリアルにガショリと音がする。
綺麗な指先が『わかめうどん』のボタンを押しているのを嘘だと言ってほしかった。
- 118 名前:+++昼のこと(石川先輩)+++ 投稿日:2010/05/22(土) 23:43
- 「はああああああっ!」
「また何食べるか決まらなくてぐだぐだしてたんでしょ?」
「私の日替わりランチが……!」
「さっさと決めないと。迷惑じゃないですか」
「誰にも迷惑かけないようにわざわざ最後尾!!」
それに最後尾の理由がもう一つ。
メニューの選択肢の幅が減るのだ。
売り切れで。
そうなれば悩む時間も必然的に減る。
「かけてるじゃないですか、ごとーに」
「……はい?」
怪訝そうに聞き返す石川の目の前で、出てきた食券を人差し指と中指でつまんでひらひらと遊ぶ。
わかめうどんの食券を。
- 119 名前:+++昼のこと(石川先輩)+++ 投稿日:2010/05/22(土) 23:43
-
「石川先輩いっつもお昼ぎりぎりだから、ごとーちょーお腹ぺこぺこ」
「……待っててなんて言ってない」
「可愛くないんだー。可愛いけど。まぁなんでも良いから早く食べよ」
「いやだわかめうどんー!」
「おいしいじゃんわかめ」
「おいしいとかそういう問題じゃなく気分が違うの!わかる?頭の中お肉だったわけ」
「ごとーがわかめ食べたげるよ」
「そしたら素うどんじゃない!もっとやだよ」
「違くて。ごとーのおべんとあげるよ。今日はそぼろだから肉だよー」
はい、とランチョンマットに包まれたお弁当箱を差し出される。
それは後藤が食べるにしてはいささか小ぶりで、石川の手の中におとなしくおさまった。
- 120 名前:+++昼のこと(石川先輩)+++ 投稿日:2010/05/22(土) 23:44
-
「明日は普通に歩いて屋上来てくれない?」
「屋上?締切でしょ?」
「昼休みは特例で開いてるんだよ。知らないの先輩」
「……だとしても、私学食だもん。お昼食いっぱぐれちゃう」
「……鈍いのが過ぎるんじゃないの?」
「唐突に失礼じゃない?」
「だから、お昼一緒に食べてって誘ってるんじゃん。明日は二人分作ってくるよ」
それ。
「もっと一緒にいようよ。ね」
一つ下の後輩の笑顔にクラリと来たなどと、石川は自覚さえしていない。
- 121 名前:+++昼のこと(石川先輩)+++ 投稿日:2010/05/22(土) 23:44
-
+++昼のこと(石川先輩)・終わり+++
- 122 名前:如月 投稿日:2010/05/23(日) 00:02
-
>>117-121
普通(?)の年齢差バージョンでした。
屋上でお弁当とか食べてみたかったです。
お付き合いありがとうございます。
お目汚し失礼しました。
- 123 名前:突然次回予告 投稿日:2010/05/23(日) 00:11
-
「綺麗な薔薇だね」
「ありがとう」
「全部君が面倒みてるの?」
「私にできるのは、これくらいだから」
だけど、君はきっと変わってしまうね。
いつか全て忘れて、女の人になってしまう。
「花嫁って何だよ!女の子を殴るな!」
「オンナノコ?」
「待って先輩。この人本当に何も――――」
貴女はここへ何をしに来たの?王子様を探しに?それとも、
- 124 名前:突然次回予告 投稿日:2010/05/23(日) 00:11
-
「ご存知かしらあ?今日はこれから雨になるそうよー」
「飴?」
「雨」
「編め?」
「雨!ってあんたわざとね?」
「ラッキー♪お花の水やりサボれるじゃなあい」
「だってあんた、花なんか興味あったの?」
「いやぁねえ学園の花壇の話よ」
「花壇たってなんにも咲いてないじゃないの」
「そりゃそうよ。水やりが面倒で種蒔いてないんだもの」
「それでも水やるの?」
「そおうよ、係の仕事ですもの」
「それなら雨が降ろうが水やりした方がいいんじゃなあい?」
「あ、飴」
- 125 名前:突然次回予告 投稿日:2010/05/23(日) 00:12
-
「手を引かれて出て行って、果たして君は『花嫁』でなくなったと言えるのか?」
「それが自分自身の脚で歩いたことになるのか、私には疑問だ」
永遠は紫に揺れて、私には見えない。
- 126 名前:突然次回予告 投稿日:2010/05/23(日) 00:12
-
「やめて!お願い。ここにいれば、」
「確かにここにいれば、僕は王子様になれるのかもしれない」
「けど、僕は別に王子様になりたかったわけじゃ」
「そう、だってあなたは、」
あなたは
「あなたは、女の子だもの」
「違う!そうじゃない!話を聞いて、ここを出よう!」
「“でる”?」
「変わることを、この世界を、どうか」
怖がらないで。
絶対運 命
黙
- 127 名前:如月 投稿日:2010/05/23(日) 00:15
-
次回予告っていうのは冗談ですが、某少女が革命するお話は、
石後のふたりで見てみたいなぁって当時思ってました。
当時ってふたりが娘にいた頃です。
色合いとかもぴったりで(笑
- 128 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/05/23(日) 00:50
- いいなあ、甘いなあ、かわいいなあ
鈍い石川さんサイコーっ
- 129 名前:如月 投稿日:2010/05/24(月) 00:19
-
石後です。
学パロ連作これにて終了!
いつの間に連作にしてたんだろうか。
- 130 名前:+++教室、夕暮れのこと(同級生)+++ 投稿日:2010/05/24(月) 00:20
- 「めずらしいねぇ梨華ちゃんが居残りなんて」
「ごっちーん……聞いてよ、美貴ちゃんてば先帰っちゃったの」
「ふうん」
HRが終わって幾度目かのチャイム。
それと同時に夕焼けでオレンジに照らされたドアががらりと開いて隣のクラスの後藤が姿を見せた。
窓の向こうはいっぱいに夕陽が広がっていて、逆光になって後藤からは石川が暗い。
「なんで残されてるの?」
「古典」
「……ちがうよ、科目じゃなくて」
ペタシ、パタシと上履きが擦れる音を連れて後藤が石川の影を踏む距離に入る。
おぼろげだった石川の輪郭がはっきりして、髪のきらきら揺れるのが見えた。
窓際、前から4番目。
石川の席はとても居眠りに優しい席だった。
「だって古典て眠いんだもん」
「数学よりマシじゃない?」
「古典ダントツだよぅ……」
- 131 名前:+++教室、夕暮れのこと(同級生)+++ 投稿日:2010/05/24(月) 00:20
-
はぁ、と困りきったため息を残して、石川は古典の資料に顔を埋めた。
「課題は?」
「訳。資料集だから答え載ってないの……」
おそらく眉を八の字にしている。
あまりに簡単に想像できて、後藤は少し笑った。
石川の前の席の椅子を引き、横向きに腰かける。
覗き込むように資料集を見ながら興味なさそうに後藤が問う。
「今どのへんやってるのここんち」
「んー?眠っててしらなーい」
「開き直ったし。ほら。万葉集ならうちもう終わってるから答え分かるよ」
「ほんと!?」
「早く帰ろ」
「真希ちゃん愛してる!」
喜々としてシャープペンシルを握る石川を、後藤は少し苦い気持ちで見る。
- 132 名前:+++教室、夕暮れのこと(同級生)+++ 投稿日:2010/05/24(月) 00:21
-
「どれ?」
「これ。これこれ」
「……んー、でもいくつかはやったんだね」
「だって……帰れないじゃない」
「ふぅん……えーっと、じゃあ次はー、これか。『思へども』……」
後藤の、高いような低いような不思議な声が古い言葉を読み上げるのを
橙の中で石川は何か遠くの出来ごとのようにふんわりと聞いた。
「じゃ訳ね。ごとー言うから。梨華ちゃんちゃんと書いてよ」
「おっけー!お願いします!」
「どんなに恋しく思っていたとしても、どうにもならないと分かっているのに
どうして私は、こんなにも、」
カシカシと石川のペンがノートを走る音と、普段よりもさらに穏やかな後藤の声がゆったりと流れる。
「こんなにも、出会った頃には想像も出来ないくらい、」
「……いくらい、」
- 133 名前:+++教室、夕暮れのこと(同級生)+++ 投稿日:2010/05/24(月) 00:21
- 「どうしたら良いか分からないくらい、」
「……くらい、」
「1日中、ずっと考えるくらい、」
「……くーらーい、」
「あなたのことが、」
「あーなーたーのー、こーとーが、」
「梨華ちゃんが好きです」
- 134 名前:+++教室、夕暮れのこと(同級生)+++ 投稿日:2010/05/24(月) 00:22
-
カシ、とペンが止まる。
石川の伏せられたまつ毛が一度瞬いて、後藤を見る。
資料集を追っているものとばかり思っていた後藤の視線は、まっすぐに石川を見ていた。
「……ごとーより」
ぱたむと資料集を閉じると、後藤は何事もなかったかのようにそれを置いて立ち上がった。
「それじゃ、また明日」
吹奏楽部のメロディが、運動部の活気のある声が、まるで関係ないように響く。
時折生徒の笑い声が混じるが、それも遠い。
現れた時と動揺に間の抜けた足音をさせて後藤ががらりと夕焼けのドアを開ける。
廊下に伸びた後藤の影が妙に鮮明に残って、石川は困惑する。
がらら、とドアが閉まって、再び石川の視線は夕焼けで染まった。
真希ちゃんはやっぱり脚が長いな。
そう思ってから、そうじゃないだろうと自分で突っ込みを入れた。
- 135 名前:+++教室、夕暮れのこと(同級生)+++ 投稿日:2010/05/24(月) 00:23
-
+++教室、夕暮れのこと(同級生)・終わり+++
- 136 名前:如月 投稿日:2010/05/24(月) 00:26
-
>>128 名無飼育さん
感想ありがとうございます。
如月自身は甘いのやら可愛らしいのやらを書くのが苦手なのですが、
甘くなってるととても幸いです。
甘々って難しい……!
今日久々にハロコン見たら石川さんやっぱ超可愛いですね。
- 137 名前:如月 投稿日:2010/05/24(月) 00:30
-
>>130-135
3つ書いてみて分かったことは、やっぱり石後の醍醐味は年下攻めなんだと分かりました。
あくまでも如月的にですが。
一番最後のだって、実は年下の方が絶対設定的に美味しい。
もしかするとしばらくはこういった設定パロ系が続くかもしれません。
苦手な方は、是非とも避けてやってくださいませ。
勿論設定はその都度頭に明記いたします。
では、お付き合いくださった方、ありがとうございました。
お目汚し失礼しました。
- 138 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/05/24(月) 23:58
- 梨華ちゃんの鈍感な感じがとても梨華ちゃんだー
- 139 名前:如月 投稿日:2010/06/06(日) 10:02
- 石後です。
パロじゃない!笑
6月っぽい話を書こうとしました。しました。
- 140 名前:+++空梅雨+++ 投稿日:2010/06/06(日) 10:13
- 「なんか疲れちゃった」
呟いた自分の声があまりにも弱弱しくて、石川は少し笑った。
これでは本当に疲れ切った人間の声だ。
いや、実際疲れているのだが。
疲弊した心は弱って、なんともみっともなく感じた。
胡坐をかいて洗濯物を畳む後藤の背中にすり寄るように甘える。
「マッサージでも行く?」
「真希ちゃんにしてほしーな」
「ごとーヘタだけどね」
「そんなことないよ」
肩甲骨に石川の頬のまろさを感じつつ、後藤はTシャツを空中で器用に折る。
「何して疲れたの」
「……わかんない、季節かなぁ……最近気温差すごいよね」
「そだねぇ」
- 141 名前:+++空梅雨+++ 投稿日:2010/06/06(日) 10:13
-
きちんきちんと畳まれていく洗濯物の山を横目で見つつ、石川は考える。
何をこんなに弱っているのかと。
人に寄りかかってしまうことは、本来あまり好きではない。
もっともっと自身の脚が弱くなってしまう気がする。
「……疲れちゃったな」
それなのにこぼれるため息は止まらない。
―――ああ、この人に甘やかされたいのだ。
再度頬を押しつけるようにすると、後藤が低く笑うのが分かった。
「じゃあごとーのお嫁さんにでもなる?」
「へ?」
「もう5年、いやあ、あやふや期間入れたらもっとだよ」
長いね、と驚いたように呟いた後藤は、思い出したようにふふと笑む。
「片思い入れたら7年近いのかな。すごいね」
「そのへん、いつか教えてくれるの?」
「秘密だよ。梨華ちゃんよりごとーのが先に惚れてたら癪だから」
「……なんか、なんだろうなんかむかつく」
「あはは。それで?」
「え?」
「話それたけど」
後藤が僅かに体重を背中の石川に預ける。
- 142 名前:+++空梅雨+++ 投稿日:2010/06/06(日) 10:14
- 「一応プロポーズっぽいのしちゃったわけだし、答えは?」
「……プロポーズだったの?」
「そろそろお嫁にきませんか?」
肩越しに振り返る後藤の眼差しはとても柔らかくて、石川はゆっくりと瞼を下ろす。
「……真希ちゃんのが料理得意だよ」
「ごとーがするからいーよ」
「お掃除も嫌いだし」
「そこは一緒にがんばろう」
「マッサージもつく?」
「はは、交代ね」
「ありがとー」
「んー?」
「ありがとう真希ちゃん。……もうちょっと頑張ってみるね」
良い子いい子、とあやすように後藤が肩を揺すった。
「あーあ、振られちゃったなあ」
「ふふ」
- 143 名前:+++空梅雨+++ 投稿日:2010/06/06(日) 10:14
-
+++空梅雨・終わり+++
- 144 名前:如月 投稿日:2010/06/06(日) 10:18
-
>>138 名無飼育さん
設定変えても何しても石川さんにあまり変化がないのは…
如月の中で石川さん像が確立してしまってるせいでしょうか笑
ハンアンも良いけど、石川さんも久々に見たいなぁと思うこの頃です。
- 145 名前:如月 投稿日:2010/06/06(日) 10:25
-
>>140-143
話とは全く関係ないですが。
後藤さん復帰ライブをPCの前で見たわけですが、まぁ男前でしたね!!
しかも可愛いし!
後藤さんはあれですね、髪短い方が可愛らしくなりますね。
長い方が男前な気がする。
あれか、文麿補正か。
なんにせよ7月アルバムがとても楽しみです。
というわけでお目汚し失礼しました。
お付き合いくださった方、ありがとうございます。
- 146 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/06/21(月) 00:33
- たくさん更新されてるー。
「教室、夕暮れのこと」ごっちんの告白と梨華ちゃんの反応にニヤニヤw
学生って設定は良いものですね。
「空梅雨」いしごまの雰囲気がこれぞいしごまって感じで好きです。
ごっちんの復帰ライブよかったですね!これからの活躍に期待です!
- 147 名前:如月 投稿日:2010/09/14(火) 01:50
-
石後です。
タイトルまんま、石川さんの嫉妬。
- 148 名前:+++ jealousy +++ 投稿日:2010/09/14(火) 01:54
- 「ごとうさん可愛いですよねー。さゆみ憧れちゃいます」
「待って待ってさゆ、すごく聞きなれない言葉を聞いた。なに?可愛い?さゆが他人を可愛い?」
楽屋に二人きり。
ブラウン管の向こうで歌う後藤を見て、道重が呟く。
石川は動揺を隠せない。
「かわいいじゃないですか、ごとうさん」
「や、そりゃごっちんは可愛いけど……」
きょとんと不思議そうに首を傾げてみせる道重の、その角度も計算尽くだ。
彼女の日常は全て、いかに己が可愛く周りに見られるかどうかに重きをなす。
それはもはや意識の外で、自然な仕草になっているほどだ。
それほどまでに自分自身の可愛らしさを追求する道重が他人を褒めた。
石川は驚愕した。
「どうしたの、何かあった?悩みでもあるなら聞くよ?」
「さゆみが悩むとすれば、さゆみの可愛さの理由くらいなもんです」
「さゆ、誰でもきっと壁にぶち当たるものだよ。でもね、それは必要な壁で、」
「石川さん、石川さん。だから悩んでなんかないですってば」
- 149 名前:+++ jealousy +++ 投稿日:2010/09/14(火) 01:55
- 「だっておかしいじゃない!さゆが人を可愛いだなんて!」
あり得ない事態に混乱する先輩を、後輩は涼やかに諭す。
「ああ、ごとうさん狙いとかじゃないんで安心してください。さゆみレズじゃないんで。石川さんと違って」
「……さゆ、何か大きな誤解があるようだけど」
「まあまあ、隠さなくったって良いんですよ」
「さゆが期待するようなことは何もないから」
「じゃあまあそういうことにしときます」
「是非そうしておいてほしいわ」
勝手な妄想で石川を宥める道重に、慌てた自分が馬鹿らしくなる。
悩みを聞き出そうと身を乗り出していた石川はソファに背中を預けた。
「話戻しますけど、ごとうさんはカッコイイ(可愛い)じゃないですか」
「かっこ?」
「あの人はまずカッコイイが先。とっても可愛いけど、でもやっぱりカッコイイ人です」
「……はあ」
「さゆみとは土俵が違うってこと。争う必要はありません」
だから素直に可愛いと思う。
この場にいないとはいえ、仮にも先輩に対して「争う」ときた。
- 150 名前:+++ jealousy +++ 投稿日:2010/09/14(火) 01:56
- 道重のあっけらかんとしたもの言いに、石川は呆れる。
「その自信はどーっからくるのかなー……」
「さゆみ、見る目はあると思ってるんです。他人と自分と、同じように見てるんですよ」
確かに道重は可愛い。
石川から見ても、とても可愛い。
しかもその自信あふれる言動は、さらにライブパフォーマンスでの魅力として活きている。
可愛らしさを貪欲に追求する姿は、見習う点も多いと石川は思う。
「まあ、確かにごっちんとさゆとじゃあ立ち位置が違うかぁ」
一理あるなぁと半ば感心しかけた石川に、道重が表情を整えて囁く。
「だからうっかり石川さんを可愛いと思うとすごく悔しい」
「へ?」
「分かります?さゆみと石川さんは、土俵が近いです」
「……喜ぶべきところ?」
「まさか。石川さんが注意すべきはさゆみタイプってことです」
「お話について行けないんだけども……つまり?」
戸惑う石川に、道重は笑った。
「つまり、ごとうさんがクラッとくるとすれば、」
- 151 名前:+++ jealousy +++ 投稿日:2010/09/14(火) 01:56
-
それはあまり見たことのない種類の笑顔で、石川の中に今も残っている。
バラエティに出演する道重を見て、ふと記憶がよみがえった。
「あ、重さんだー」
液晶に映し出される道重を、頬杖をついて眺める後藤。
無表情だが、笑顔に近い無表情だと石川にはわかる。
「相変わらず可愛いね」
「……うん」
「あれ?なにそれ」
「え?」
「微妙な相槌。梨華ちゃん仲悪かったっけ?」
「そんなことないよ。そりゃ可愛いよ」
気持ちむくれる石川の頬を、後藤の右手がひょいと包んだ。
「ごとーは梨華ちゃんのがタイプだから大丈夫だよ」
「……ちっともフォローになってないけど」
「あれ?」
おかしいなと嘯く後藤がとても柔らかい笑顔だったので、まぁ良いかと石川も笑った。
- 152 名前:+++ jealousy +++ 投稿日:2010/09/14(火) 01:57
-
+++ jealousy END+++
- 153 名前:如月 投稿日:2010/09/14(火) 02:08
-
>>146 名無飼育さん
あの校舎にはどれほどの夢が詰まっているのかと!
妄想がやみません!また暴走したらごめんなさい!
如月のいしごまの強烈な印象って、後藤さんが石川さんのあご掴んでる画像なんです。
たぶん如月のいしごま像って、あれが基本なんだろうなー。
なんつー基本だろう。
ですが、「これぞいしごま」とおっしゃっていただけるのなら、
如月のいしごま像と世間のいしごま像はそう離れていないと安堵しました。
感想ありがとうございます。
とてもうれしいです。
- 154 名前:如月 投稿日:2010/09/14(火) 02:10
- 出来あがってそうで出来あがってないけど、
嫉妬したりされたりし慣れてる、時間軸としては現在に近いイメージのふたり。
道重さんを見て、後藤さんがにっこり笑ったりすると、関係性が変わりそうな石後。
が、今回の石後でした。
歴代の壊れない愛が〜を見ていて、道重さん色っぽいなぁと思って書いてみました。
お付き合いいただいた方、お目汚しをいたしました。
では失礼します。
- 155 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/14(火) 10:41
- あら石川さん可愛いw
さゆいい感じの登場ですね
- 156 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/15(水) 00:30
- 面白いwさゆがその言葉を言ってる姿を想像してしまいました。
鈍感なごっちんと拗ねる梨華ちゃんが可愛い。
- 157 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/09/20(月) 00:54
- いしごま好きだあああああああああああああああ
- 158 名前:さくら 投稿日:2010/10/22(金) 06:40
- 自分ではいしごま書かないですが
如月サンのいしごまは、ほんと、大好きです!
ごっつぁんも、梨華ちゃんも自然体?なところとか。
他のメンバーとの絡みも、自然ですごくよかったです!
またのお話、期待していますねv
- 159 名前:如月 投稿日:2011/11/14(月) 23:56
-
石後です。
某くりすますなきゃろるを聴いてきゅんきゅんしました。
あ、話には何にも関係ありません。
そしていつにも増してまとまりがありません。
- 160 名前:如月 投稿日:2011/11/15(火) 00:00
-
まず今日一日を整理したいと思う。
二週間ほど前になんとなく連絡を取り合い、久々にご飯でもという流れになった。
本当になんとなくで、特にこれといった理由があったわけではない。
雑談から社交辞令的な「また今度ご飯でも」が現実になっただけの話だ。
それでも二人きりで遊ぶというのは久々だったし、気持ちが浮つきもした。
毎日顔を合わせていた頃とは違い、共通の話題は少ない。
落ち合うまでは僅かに緊張めいた心持ちになったが、会ってしまえば何のことはなかった。
大まかに決めた待ち合わせ場所に着いた後藤は、震える携帯を慌ててとる。
「もしもしもー?」
『あ、真希ちゃん?』
「おつー。もう来てるー?」
『んー。今ねえ、信号赤なの。渡ったら着くよ』
「んじゃあそっち行くね。西?東?」
『えっとね、どっち?広い方』
「広い方とか」
- 161 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:01
-
アバウトな物言いに見た目とは裏腹な大雑把さを感じつつ、変わってないなと後藤は笑う。
恐らく「広い方」であろう西口方面の交差点に向かいながら話しかける。
人が多くてざっと見渡しただけでは見つかりそうになかった。
「今日どんなかっこ?」
『はあはあしてたら変態みたいな台詞だね』
「ハアハア」
『あはは、えっとねえ、今日はたぶん普通のカッコだよ』
「ごめんもうちょっとヒントぷりーず。無理ゲーすぎる」
『むりげ?』
「具体的に」
『真希ちゃんに会うから可愛くして来たよ。んー、ニットのポンチョ着てる……』
「何色?」
『白』
「ハアハア。あ、みっけ」
- 162 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:01
-
人垣の中に石川を見つける。
ひらひらと手を振れば後藤に気が付き、小さく手を振り返しながらにこりと笑う。
久しぶりに街中で見る石川は、やはり可愛らしい造りをしていた。
ステージで見る姿は勿論きらきらしているけれど、日常の石川と二人で会うと妙に意識する。
随分と可愛い人だ。
と。
今朝の出来事をこんなにも詳細に覚えている。
目が合って携帯を両手で畳む、その仕草までも鮮明だった。
これは現実逃避か何かなのか。
いや、逃避にはなっていないのだが。
その後は冬服を物色し小物を購入してみたり後藤が石川のセンスを笑ってみたり。
要は適当に店を冷やかしているうちに良い時間となり昼食をとった。
どちらも特にプランなどなかったので、石川が気になっているというイタリアンに入った。
無難なチョイスだ。
互いのドルチェをつつき合いつつ近況を交わす。
- 163 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:02
-
「梨華ちゃんゲームとかする?」
「狩りのやつぅ?」
「んー、それだけじゃないけどぉー」
「ごっちん私がゲーム苦手なの知ってるでしょ」
「てか機械音痴ね」
「機械音痴と言えば、CD見に行っていい?」
「良いけど流れおかしくない?」
「壊しちゃったの。プレイヤー。中身全部消えちゃって」
「機械音痴め。パソコンの方には?」
「保存してないのもいっぱいあってー」
「んあー、良いよ良いよ」
レストランを出、ふらふらと何件かCDショップに入って、そのまま後藤の家に招くことになる。
石川の欲しがっているCDを後藤は持っていた。
- 164 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:02
-
「私真希ちゃんが好きだよ」
微に入り細に入り思い返しても、どこにもフラグはない。
突然に唐突に吐露された告白はしかし、後藤にそれほど衝撃を与えることはなかった。
タイミングに驚きはしたけれど。
「あー……うん、ごとーも好きだよ。あれ、ごとーとか懐かしいね」
「……うん、懐かしいね」
「えっと」
「……えっとじゃないよ、ちょっともうー……」
はぁーと大きく息を吐きながら石川が両手で顔を覆った。
「真希ちゃんが意外と天然なのは知ってたけど……」
「うん。ごめん、てか、だってさ」
- 165 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:03
-
何故いまなのだろう。
「もうこのまんまいくもんだと思ってたからさ」
少し低い後藤の声に反応して、石川が顔を俯けたままで手を外す。
「多分、もっとタイミングなら昔にあったじゃん?」
「……10年近く前?」
「別にどこってわけじゃないけど……何度かたぶんあったじゃん」
長く隣に、向かいに、前に後ろに。
互いの距離が物理的にも精神的にも今より近い時期が確かにあった。
錯覚とは言い難いくらい、あからさまに近い時期が。
そしてそれは交差するほど近くなり、実際に交わることなくゆっくりと離れていった。
- 166 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:03
- 適正な距離感だと後藤は思う。
それは石川も同じなのだと思っていた。
「梨華ちゃん?」
変わらず下を向いた石川のうなじが赤い。
目の前の人の感情と自分の感情が限りなく似たものだと、後藤は理解する。
膝の上で所在なさげな石川の小さな指に、触れようとして止めた。
「触ったら、戻れないんだろうなあ……」
ぼんやり呟いた後藤の言葉で弾かれたように顔をあげた石川の、瞳はじんわりと涙で滲んでいた。
ああ、なんか、よく見たな。
そんな顔。
そう思った途端、後藤の胸が苦しくなる。
懐かしさだとか愛しさだとか、ほんの少し寂しさも混じって隙間なく埋め尽くしてゆく。
10年近くかけて離した距離が、一瞬で無駄になってしまった。
「どきどきするね、梨華ちゃん」
「……ぜ、なんか全然そんな感じじゃ」
- 167 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:04
-
石川の指先に、今度はためらわず触れた。
緊張しているのかとても冷たい。
息を飲む音がすぐそばで聞こえる。
斯く言う後藤も、心臓が激しい音を立てている。
「触るね」
答えを待たずに正面から肩を抱き寄せた。
戯れに幾度となく抱き締めたかつての様に、石川の身体は柔らかい。
そっと力を込めると、衣擦れの音が静かな部屋で響いた。
「……あのね?」
「うん?」
「ごっちんが、んあーって言ってるの聞いてたら、なんか、好きだなって思い出したよ」
「……なんかそれも間抜けだね」
腕の中ですり寄ってくる石川がいとけなく、わけもなく後藤は泣きそうになった。
- 168 名前:+++君と僕の答え+++ 投稿日:2011/11/15(火) 00:04
-
+++君と僕の答え・オワリ+++
- 169 名前:如月 投稿日:2011/11/15(火) 00:12
-
>>155 名無飼育さん
道重さん好きです。
あの、自分大好きだけど石川さんも可愛くて好きっぷりが隠せてないとことか。
愛しいです。
ラジオのデレとか堪らなかった……
>>156 名無飼育さん
道重さんはもっと頭の回転良さ気なので申し訳ないです。
もっと、本当は賢いけど計算でちょっと抜けてるってのを計算してるのをわざとやってる
みたいな薄い黒さみたいのが出したかったです。
いしごまはいつまでも可愛いです。
>>157 名無飼育さん
うおおおおおおおおおおいしごま好きだああああああああ
>>158 さくら様
はじめまして。
>如月サンのいしごまは、ほんと、大好きです!
いやあ、はは、照れます。
いしごまの、なんとなく同級生ちっくな感じと言いますか、
ふわふわっとした空気が好きなので、自然体とのお言葉は嬉しいです。
あいがとうございました。
- 170 名前:如月 投稿日:2011/11/15(火) 00:21
-
>>160->>168
(タイトルつけ忘れ)
なんて、なんのあれもなく投稿してみたら1年越え。
びっくり。
ご無沙汰してました。
後藤さんがお休みされるということで、ちょっとどうしようかと思っていたらば
何やら月日が過ぎていました。
その間は、ミニアルバムにはあはあしたりしてました。
まさかのみゆき。
男性(というかあれは犬……)目線の後藤さん曲は大好物なので、大変美味しい。
是非是非男性曲カバーなど出してほしいとつくづく思います。
色々思いましたが、結局は全て妄想だし、と何時ぞやと同じ結論に至りましたので、
またまったりとちょこちょこ出没出来たらなと思ってます。
お付き合いいただける奇特な方は、どうぞよろしくお願いします。
それではお目汚しいたしました。
- 171 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/11/15(火) 11:24
- 心から同意します >男性目線の後藤さん曲
如月さんおかえりなさい。・゚・(ノД`)・゚・。
新作読めて嬉しかったです
ちょっと大人になったような後藤さんと石川さんの距離感が堪りません
どうかこれからも心行くまま妄想と更新のほうよろしくおねがいします(w
- 172 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/12/03(土) 20:10
- 更新きてたああああああああああああああああああ
いしごまやっぱり良いなぁドキドキする
- 173 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/01/19(木) 10:48
- 絶妙なタイミング。敢えてこのタイミング。
ほのぼのしていたり可愛かったり、やっぱりこの2人はいいですねぇ。
- 174 名前:如月 投稿日:2012/01/30(月) 00:43
- ハッピーニューいやああああああああああ1月が終わる早いこわい!
皆様良いお年をお迎えのことと思いますが如月はもうびっくりするくらいついてないです。
具体的には出てこないですがお年玉年賀状は切手シート一枚すら当たってません。
そんなわけで2012年一発目はりかみきです。
りか(←)みきくらい。
あえていしごまじゃないあたり如月らしいと思います。
※藤本さんは既婚設定なので地雷だと思われる方は避けてやってください※
- 175 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:45
-
秘密がある。
誰しも仕舞っておきたい思い出のひとつやふたつあるだろう。
時折ふと振り返ってはそのあまりの青くささに悶絶するような。
藤本の胸にもそれはあって、思い返すと指の先からむず痒くなる。
- 176 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:46
-
揺れる車内だった。
大所帯の移動車は大型で、けれど藤本と隣の石川以外にメンバーはいない。
運転席のマネージャーを除けば二人きり。
無意識に除いたその理由を藤本は未だ知らない。
勿論どの席も空いていたが、藤本は自分の隣に石川を呼んだ。
さして意味もなく、ただ音楽プレイヤーを忘れたので貸してほしかったのだ。
「じゃあ半分こね」
「えぇー?梨華ちゃんケチ。貸してよ」
「美貴ちゃんワガママ!」
「えーもー、しょうがないなぁ……じゃあ良いよ、片方で」
「可愛くない!可愛くいないよ美貴ちゃん!」
「はぁ?可愛いし」
ふざけながら二人でイヤフォンをする。
香ったユニセックスの香水が意外だった。
- 177 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:46
-
激しい曲を聞いていたり、洋楽がちらほら入っていたり、意外な選曲が楽しい。
少し持ち主の中を覗く様な感覚だった。
「……くふふ」
「なに美貴ちゃん……」
「んー、ん〜、ハァッピバースデ〜、あはははは」
「なんで笑うのー!?」
「はははは、自分の曲入れてんの梨華ちゃん」
「良いでしょ別に!この曲はなんか、初心に返る感じなの!」
「ふへへ、じゃあ今度美貴もハニーパイ入れとこ」
「もー。いいわよそうやってからかってれば」
片耳にイヤフォンをさして、あれやこれやと会話するのも楽しかった。
「あ、これ美貴も好き」
「あれ!知ってる?」
「うんアルバム持ってるよー」
「ふふ、意外だね」
「えー?そう?」
「うん。嬉しいな」
その曲は今でも藤本のお気に入りだけれど、僅かに胸が詰まるようで最近は聞いていない。
- 178 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:48
-
石川が好きだと言った、藤本ももともと好きだったアーティストの曲がしばらく続く。
音楽の趣味が被るとは思っていなかった。
初めてモノラルで聞く聞きなれた曲。
存外すっきりとした香水。
藤本の中の石川像が一部揺らぐ。
けれどだからどうということはなく、ただ流れる街をぼんやりと見ていた。
うと、と意識が浮ついたのと、左肩に重さを感じたのはほぼ同時。
ちらりと視線をやれば、石川の頭がもたれていた。
目を閉じて、特徴的な声で話していなければ、石川は美形な部類だと藤本は思う。
きりりと整って、その頬に影を落とさんばかりのまつ毛も綺麗だった。
- 179 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:48
-
また石川が揺らいだ気がして、どこか藤本は焦る。
穏やかな寝息を立てる表情は確かに愛らしいが、それだけではない。
胸の中心で、何故か心臓が大きく鳴いている。
ひざ丈のスカートの裾が少しだけ崩れて、柔らかそうな内腿が露わだった。
けれどその下に続く膝はつるりとしていてまるで幼い少女のようで、混乱する。
「……寝たの?梨華ちゃん」
呟く自分の声に、背中を押された気がした。
- 180 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:49
-
そうして一度だけ撫ぜたのだ。
頬を。
かかる髪をはらって、手のひらで包むように、撫ぜた。
- 181 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:49
-
腹部を撫でる石川の手を好きにさせながら、藤本は久々に思い返す。
やはり指の先がじわりと痒かった。
誤魔化すように携帯を手にして、何事か藤本の腹に語りかけている石川の写真を撮った。
思い出したように毒を吐く。
「ねー、音痴うつるからやめて」
「歌ってないから大丈夫でしょ!?」
笑い合っていると、急激に遠くなる。
美しい睫毛も丸い膝も。
思い出しては追いやって、そのうちに本当に記憶は薄れていくのだろう。
だが、寝顔をいつか忘れてしまっても、きっとぬくもりを忘れることはないと思う。
あたたかさも、やわらかさも。
他の誰も知らない。
例えば今後、他の誰かの手が石川の頬を包んでも、あの時の温度は藤本だけの秘密だ。
甘くしびれるような、指先だけが知っている。
- 182 名前:+++秘密+++ 投稿日:2012/01/30(月) 00:50
-
+++秘密・終わり+++
- 183 名前:如月 投稿日:2012/01/30(月) 01:02
-
>>171 名無飼育さん
ただいまです!
現れてまた消えて出てきたと思ったらりかみきでごめんなさい!
石後書いてる途中で浮かんでしまったので先に!次はいしごまです!
それにしても後藤さんの男性曲は素敵ですよね。
あのちょっと低めの声がとても良いと思うのです。
ジュリーとかとても痺れたし、某カンチの主題歌とか歌ってほしいです。
>>172 名無飼育さん
いしごま良いですよね。
Gエモで何やら絡みがあったとかないとか…?
>>173 名無飼育さん
ふたり一緒にいると、なんとなくのほほんとした空気がします。
綺麗コンビなのに。
好きですいしごま。
レス下さった方々、ありがとうございます。
本当に嬉しいです。
恐縮だなぁ…。
- 184 名前:如月 投稿日:2012/01/30(月) 01:22
-
>>175-182
りかみきで、藤本さん既婚設定です。
地雷を感じた方は是非避けてやってください。
青春をみおろす位置にいながら、時々振り回される。
みたいなことが書きたかったはず。
さて。
外部スレを以前からロムっていたのですが、自分の名前が出てびっくりしました。
如月には勿体ない事がいっぱい書いてあって嬉しかったです。
ヒエーって声に出しながら拝読いたしました。
意識して文体変えたわけではないので、ご期待に添え無いことの方が多いと思います。
「ちょwwwやっぱへたくそwww」と笑ってやってください。
では、お目汚し失礼しました。
今年もよろしくお願いします。
- 185 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/01/31(火) 19:03
- こういうりかみきもいいですね
ちょっとドキドキする
- 186 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2012/02/01(水) 23:01
- 外部スレに書き込んだ者です。
上から目線でたらたらと長い上に稚拙な文ですみません…
しがない一読者の感想としてスーっと読み流していただければ幸いです。
作風が変わろうがどのカプだろうがどこまでもいつまででもついて行きますので(w)
これからも心行くままによろしくお願い致します。
ちなみに、Gエモでの絡みというと
ラブマで隣り合って顔を見合わせたシーンがあったことと、
一部レポによるとドリムス。出演後に石川さんだけ終演ギリギリまで関係者席から後藤さんのステージを見ていたらしい、ということでしょうか。
りかみきはいつまでも初々しい感じが青春ぽいですね。
色々ごちゃごちゃとした長文レスになってしまいましたが…
とにかく、如月さんの書かれる小説が好きです!ファンです!
気長に次作のいしごま(?)をお待ちしております!
- 187 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/04/16(月) 14:18
- 淡い感じの雰囲気があって、とても好きです。
これからも色々なお話が読んでみたいです。
次作も楽しみにしています。
- 188 名前:如月 投稿日:2012/04/29(日) 22:28
- 新年度も一カ月が過ぎるのですね。
一年て早い。
石後です。
たぶん付き合ってない。
そして今回はわりとりかちゃんが攻めっぽいです。
だってしょうがないよね、後藤さん可愛いもんね。
なんだろう、両片思い……?
- 189 名前:+++誘う白+++ 投稿日:2012/04/29(日) 22:31
- うとうとしてしまった。
二人でちょっと甘いアルコールなど飲んで、そのままリビングで寝ころんだ。
少しだるい体を片腕で支え上半身だけ起こす。
隣で後藤も眠りこけていた。
室内はうっすらと青い。
月の明かりだけが静かに広がっているのは、後藤が電気を消したからだろうか。
見れば、ほんの少し髪の色が濃い様だった。
自分だけ入浴を済ませたらしい。
そっと触れてみると、見た目通りに僅かに湿っていた。
「……ちゃんと寝ればいいのに」
- 190 名前:+++誘う白+++ 投稿日:2012/04/29(日) 22:32
-
風呂を沸かして服を脱いで湯船につかって髪を洗い体を流し水気を拭い服を着て。
何故またわざわざ床に戻るのだ。
別にベッドを勝手に使ってくれても怒ったりはしない。
(浴室を勝手に使う間柄でそれもないとは思うのだが)
気おくれしたのならばソファの選択肢だってある。
というか起こしてくれればもっと良い。
誰も固い床などで好き好んで寝たりはしないのだから。
起こされた記憶はない。
意識が飛ぶほど呑んだわけでもなく、ただふわふわと眠ってしまっただけだ。
ドライヤーの音がすれば目も覚めただろう。
それさえなかったのは、意図して石川を起こさないためか。
- 191 名前:+++誘う白+++ 投稿日:2012/04/29(日) 22:33
-
そしてそれは、隣に眠るためなのだろうか。
- 192 名前:+++誘う白+++ 投稿日:2012/04/29(日) 22:35
- うっかり答えに行き着いてしまう気配がして、石川は考えるのをやめた。
暗さに目が慣れてきて、アナログ時計が2時を指していることも分かる。
ぼんやりと秒針を追いながら、「2時かあ」と無意味に呟いた。
自身のぼやけた行動に、案外酔っていることを認識して、けれどそのまましばらく時計を眺めた。
ふと、チクチクと針の音が鮮明になる。
何となくハッとして相変わらず隣で眠る後藤に視線を落とせば、すやすやと穏やかな寝息が聞こえる。
ノーメイクで目を閉じていると、10代の頃とそう変わらない幼さを残していた。
可愛いと思うそばから、ちらりと白い歯が覗く。
薄く開いた唇から零れる白は、何故だか石川の胸の中心を捕らえて離さず引き寄せた。
つるっとしたエナメル質が、何ともいけない。
「ごっちん」
胸を暴れるのは確実に欲情だ。
舐めて、その奥の舌を噛みたいと思う。
悩ましい気持ちで伸ばした手のひらは濡れた髪に触れた。
「……起きて、髪、かわかしてあげる」
そしてもう、そのたまらない歯をしまって。
- 193 名前:+++誘う白+++ 投稿日:2012/04/29(日) 22:35
-
+++誘う白・終わり+++
- 194 名前:如月 投稿日:2012/04/29(日) 22:47
-
>>185 名無飼育さん
どりむすのPVがちょっとりかみきだったのでうっかりりかみきでした。
というかお水系書いてみようと思ってたら公式できちゃったのでびっくり!
りかみきは永遠の片思いの香りがしててほしい。
>>186 名無飼育さん
こんにちは。
長文感想の方でしょうか?
読み流すだなんてとんでもない。
未読の作品の感想も楽しく拝読させていただいてました。
如月の名前まで出していただいて、恐縮ながらとても嬉しかったです。
これからも好きなように書いていくと思いますので、
お暇があれば適当に読んでやってくだされば幸いです。
遅ればせながらGエモの情報もありがとうございます。
梨華ちゃん可愛いよ梨華ちゃん。
どりむす最終公演にも飛び入りしたし、次回結成時には是非加入してもらいたいところ。
>>187 名無飼育さん
ありがとうございます。
りかみきは、いつも一生懸命無色透明をイメージしてます。
毎度うまくいきませんが。
今後もお付き合いいただければ嬉しいです。
- 195 名前:如月 投稿日:2012/04/29(日) 22:50
-
>>189-193
石後です。
なんと新年(?)一発目の石後ですね。
何か、いっぱい書いてるのに落ちがつかなくて放置、みたいなのが山積みです。
少しずつ形にしていきたいところです。
まあ落ちなんかあってもなくても稚拙なんで同じなんですが。
それではお目汚しいたしました。
お付き合いありがとうございます。
- 196 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/05/02(水) 01:22
- ドキドキしましたわ
- 197 名前:名無飼育さん 投稿日:2012/05/07(月) 09:53
- 淡白な文体でもそこはかと漂う妖艶な雰囲気…
2人並んで眠っている情景を想像するだけでもエロいですね。
いしごまが可愛すぎるからしょうがないですね。
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