亀井さん中心の短編書いてもよろしいでしょうか
1 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 15:48
はじめまして、まりもという名の者です。
よく色々なところに出没しますまりもです。
ずっとロムってたのですが、書きたくてもう我慢ができなくなったのでお邪魔しました。
内容はタイトルの通り、亀井さん中心の短編でいきたいと思います。
田亀や高亀あたりが多いかと思われます。
基本的にモテ亀が大好物なので、そのようになるかと。

一応学生をやっているので、更新が遅めになるかもしれません。
駄文ですが、暖かく見守ってやってください。
よろしくお願い致しますm(__)m


では、1発目は田亀(モテ亀?)からスタートです。

2 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 15:51


「れーなぁ」
「なん?」

「大好き」

「…そりゃどうも」

「じゃなくて、ちゃんと言って」
「…す……こんぶ」

「…れいな」
「はい、すいません」

「絵里のこと好き?」
「好き、です」
「愛してる?」
「…愛しとうよ」
「ほんと?」
「ほんと」
「ほんとにほんと?」
「…ほんとにほん「だー!!!うるさい!!」
「…何さガキさん」
「あんたら二人いい加減にしてくれません!?」

「まぁまぁ、ここは大目に見てやってよ」
「愛ちゃんは黙ってて!今日という今日はアイツらにしっかり言ってやらないと」

「一体何をですかぁ」
「何をですかぁ、じゃないよ!全く…君達には恥じらいというものを持ってもらいたいね、私は」

「そ、そこは持ってますけん、ちゃんと」
「田中っちはまだいいよ、田中っちはいいけど亀は全く駄目」

3 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 20:17
 
「ガキさんひどーい!」
「酷くないよ、ちっとも酷くない」
「今のは絵里が可哀想やと思います」
「ねぇ田中っち、あなたも前だったらキモイくらい言ってたはずでしょ?正気に戻って、お願いだから」
 
「絵里は可愛いよなぁ」
「うん、そこは真面目に答えないで」
「愛ちゃん…れいなの絵里やけん、そんな風に見るんは控えてもらえると助かるっちゃけど」
 
「あ、すまん」
「田中っち正気に戻って早く。愛ちゃんも謝んなくていいから」
 
「いや、絵里が可愛いのは事実無根なんですよぉ」
「それちゃんと意味分かって言ってる?」
 
4 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 20:29
 
「何回も言ってるけど、絵里は声がやばいよね」
「あの、道重さん?」
 
「あー小春も亀井さんの声好きですねぇ」
「こっはるーう」
 
「亀井さんは寒い事言わはるところが可愛いと思います」
「…おーい」
 
「ちょ、れいなの絵里やって言っとろうが」 
「うはぁ絵里、愛されてるぅ」
 
「…」
 
 
「ねぇねぇ、ガキさんは?どう思う?絵里可愛い?」
「…もう勝手にして」
「なーんでですかぁー!絵里は可愛いか可愛くないかを聞いてるんです」
 
「もちろん、絵里は可愛いけん」
「うへへ、ほら、あとはガキさんだけですよ?」
「……可愛いんじゃないの」
 
 
「え?やっだぁーガキさん!そんなの前から知ってましたってぇ」
 
「あの、ガキさんまで絵里狙わんで下さいよ」
 
「もう本当におまえら帰れ!!!!」
 
 
5 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 20:36
おわれ
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/22(日) 20:36
 
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/22(日) 20:37
 
8 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 21:29
こんなので良いのか…不安ですが。
セリフだけでいってみました。
 
苦労人ガキさん。いつもご苦労様です。
あと、田中さんがデレデレです。
本当に大好きなんです、亀井さんのこと。 
私が書く田亀はこんな感じですが…
お気に召しませんでしたら、すみませんm(__)m
 
次も田亀いきます。
9 名前:ささやかなこと 投稿日:2008/06/22(日) 21:34
 
 
「バイトってやったことないよねぇ」
 
「…いきなり何言うと」
 
ソファーに寝転がってテレビを見ていたれいなが不思議そうに絵里を見る。
 
「いや、なんかね。ふと思った」
「…確かにれいなたち、仕事仕事やったけんね」
「うーん」
 
「何?やりたいん?」
 
そういうわけじゃないけど。
ただほんとに思っただけで。
 
「いや…そうでもない」
「はあ?訳わからん」
「…まぁ、レジはやってみたいかな」
「あー、それはれいなもかも」
 
10 名前:ささやかなこと 投稿日:2008/06/22(日) 21:38
 
れいなが笑いながら台所に向かって行く。
 
置いてけぼりなソファーが少し寂しそうに見えて、なんだかれいなの事を睨んでしまった。
窓から射す西日が眩しくて、おもわず目を細める。
 
「でも…」
「ん?」
「バイトなんかしたら絵里すぐクビにされる」
「なんで」
 
そりゃ、ねえ?
 
11 名前:ささやかなこと 投稿日:2008/06/22(日) 21:45
 
 
「バイトなんかより「れいなのことで頭いっぱいだから」」
 
…あれ?
 
「…って言わんよねって言おうとしたんやけど」
「さっすがれいな。絵里のことわかってるね」
「当たり前やろーが。絵里んこと、大好きやけんね」

予想外のれいなの言葉に顔が熱を持つ。
そんな不意打ち、ずるい。
 
「…ほぉー」
「んー?亀井さん顔赤いんやないとー?」
「いや、気のせいじゃない?」
 
…田中さんの言う通り。今顔真っ赤なんだろうな絵里。
火照ってるのが嫌でもわかる。
 
12 名前:ささやかなこと 投稿日:2008/06/22(日) 21:52
 
「絵里すぐ照れるっちゃけん。スベった時は平気なくせに」
「な、何それ。れいなだってすぐ照れるじゃん」
「自分のこと棚に上げんな」
「だかられいなもだってー」
 
こんな他愛もないやり取りが好き。
 
「冗談やろ。絵里怒らんでよー」
 
れいなが…好き。
 
「れいなぁ」
「なん?」
 
「明日バイト面接行こうね」
「…一人でどうぞ」
 
今日も絵里達、ラブラブです。
 
13 名前:ささやかなこと 投稿日:2008/06/22(日) 21:56
end
14 名前:_ 投稿日:2008/06/22(日) 21:57
 
15 名前:_ 投稿日:2008/06/22(日) 21:58
 
16 名前:まりも 投稿日:2008/06/22(日) 22:59
めっちゃホリディな田亀でした。
どちらの家かは…ご想像にお任せ致します。
ノノ*^ー^)<書き忘れたなんて口が裂けても言えませんよ?
 
田中さんの博多弁が不自然かもしれませんが…
そこはご愛敬ということで、許していただければ幸いですorz
 
続いては藤→亀いきます。
 
17 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:07
 
 
真っ暗な部屋の中、テレビの光と音がチラチラと舞う。
その光が二人の姿を明るく照らし存在を主張している。
 
ふと美貴は横に座っている絵里を見た。
 
「怖いの?」
「…怖い」
「じゃあ観なきゃいいのに」
 
 
今日は休日。
せっかくの休みだから家で映画でも…と美貴が思っていたところに、絵里が訪ねてきた。
 
どうやら彼女も仕事が休みらしい。
 
それならばと一緒に映画のビデオを借りて観ることにしたのだ。
 
18 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:10
 
何が観たいかを問うと、即答でサスペンス映画、と答えた絵里。
どちらかと言えばラブコメよりもホラー派な美貴は、その申し出を快く受け入れたのだった。
 
「…もしかして一人で観られないから今観てる?」
 
「そんなことないですよ」
「ふーん…」
 
 
19 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:13
 
観始めてからどれくらい経ったのだろう。
飲みかけの紅茶もとっくに冷めてしまっていた。
 
また美貴は絵里を見る。
絵里は依然、テレビに顔を向けたままだ。
 
 
…可愛い。
 
過去に何度も思ってきたことだった。
筋の通った鼻、長いまつ毛、切れ長の瞳、少し尖った唇。
光に照らされた横顔は、まるで絵画の様に思える程。
 
…調子に乗るから本人には絶対に言わないけれど。
 
20 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:17
 
美貴はなんだか気恥ずかしくなって、コップを手にソファーを立とうとした。
が、美貴のコップを持つ手を絵里が制する。 
「え、絵里…?」
 
「…ここにいて下さい」
 
 
―ドクン。
 
恥ずかしそうに目をそらしながら告げられたその言葉は、美貴の心拍数を上げるのには容易なものだった。
 
 
「…絵里は、卑怯だよ」
「…何でですか」
 
「…可愛すぎて…やばい」
 
ハッとして思わず口を手で覆う美貴。
言ってしまった、と少し後悔した。
 
21 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:18
 
「…ふふっ」
「な、何笑って…」
 
突然笑ったことに少し腹を立て、絵里に目をやる。
 
一瞬、
 
「っ…」
 
時が止まったかのかと思った。
 
22 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:20
 
暗がりの中、美貴の方を見て微笑みを浮かべるその姿は、まさに妖艶―。
美貴の心臓は再び激しく音を立て始める。
 
「ね、藤本さん」
 
絵里は…卑怯だ。
過去に何度そう思ったことか…
 
 
「藤本さんって絵里のこと大好きでしょ?」 
ああ…目眩がする。
 
 
23 名前:love with the* 投稿日:2008/06/22(日) 23:22
end
24 名前:_ 投稿日:2008/06/22(日) 23:27
 
25 名前:_ 投稿日:2008/06/22(日) 23:28
 
26 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/06/23(月) 01:54
みきえりキュンとしました!!
次回更新も楽しみにしてます
27 名前:まりも 投稿日:2008/06/23(月) 15:08
>>26さん
キュ、キュンとしてもらえましたか?
川σ_σ||<ミュン
すいません、違います。
ありがとうございます。
次も頑張りますm(__)m
 
続いては藤亀です。
28 名前:Which do you love? 投稿日:2008/06/23(月) 15:14
 
「絵里ってさぁ〜…」
「ん?」
「ほんと梅干し好きだよね」
 
現に今、ボリボリ食べてるし。
 
「はい好きですよぉ」
「そんなに美味しい?」
「最高ですよ、この食べ物は。世界一おいしいです」
「んな大袈裟な…」
 
梅干しよりもっと美味しいものなんて、いくらでもあるでしょ。
例えば、焼肉とか…焼肉とか、焼肉とか。
てか肉なら何でも美味しいけど。
 
29 名前:Which do you love? 投稿日:2008/06/23(月) 15:15
 
「藤本さんには梅干しの良さが分からないんですか?」
 
この塩加減が絶妙だ、とか、青い梅の方がいいんだ、とか語り始めた絵里。
ごめん、正直どうでもいい。
 
「はいはい。もう分かんないままでいいよ、美貴は」
「駄目ですってー」
 
好きになってくださいよー、と、無理強いするアヒル口。
あーあ…また尖ってきたよ。
 
30 名前:Which do you love? 投稿日:2008/06/23(月) 15:17
 
「いいってば…そんなに勧められても困るんだけど、非常に」
「だって…」
「だって、何?」
「藤本さんにも…絵里の好きなもの知ってもらいたいんだもん」
 
「…十分知ってるけど」
「じゃなくて!なんて言うか…好きなものまでもを共有したいっていうか…」
「…はぁ」
 
「とにかく!絵里は藤本さんが大好きなんです!」
 
「あぁ…ありがと」
 
31 名前:Which do you love? 投稿日:2008/06/23(月) 15:19
 
「藤本さん」
「何?」
「ニヤけてますよ、顔」
 
え、嘘。美貴的には凛々しい顔してると思ってたのに。
美貴マジかっけーとか、ちょっと思ってたのに。
 
「これじゃあ、ちまたで噂のヤンキーガールが台無しですね」
 
「何うまいこと言ってんのさ、ちくしょ…なんか腹立つ」
「殴らないでくださいよ。やったら絵里も、梅干し投げる準備しますから」
「いや、いやそれだけはやめて。服シミになるからそれだけは」
 
美貴が本気で怒れないことなんて、絵里は知ってるはず。
確信犯だからこいつはタチが悪いんだ。
 
32 名前:Which do you love? 投稿日:2008/06/23(月) 15:22
 
「藤本さん」
「はいはい」
 
「梅干しより、好きです」
「…なんか嬉しくないんだけど」
「素直になってくださいよ」
 
なんだかんだ言って、美貴は絵里に惚れちゃってるんだから仕方ない。…認めたくないけどさ。
 
それももう、肉なんて比じゃないくらい。
 
「絵里」
「はい」
 
「キモイ」
 
「…藤本さぁーん」
 
こいつには絶対、そんなこと言ってやんないけどね。
 
 
33 名前:Which do you love? 投稿日:2008/06/23(月) 15:23
end
34 名前:_ 投稿日:2008/06/23(月) 15:24
 
35 名前:_ 投稿日:2008/06/23(月) 15:27
 
36 名前:まりも 投稿日:2008/06/25(水) 11:36
藤亀でした。
この二人は書きやすいので、今後も増えていくと思われます。
 
ついついギャグちっくになってしまう…
シリアスとか苦手なんですよね。
もう冬ネタばかりが浮かんできて大変です。
季節外れもいいとこで。
 
続いては高亀です。
37 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:40
 
 
どうも、亀井絵里です。
只今、収録の空き時間でございます。
 
クーラーの程よくきいた楽屋で、メンバーは思い思いのことをしているんですが…
ある人は、鏡貸してくれだの、またある人はお菓子ちょうだいだの…
うるさいんですよ。本当に。
…まぁ、後者は絵里なんですけど。
 
そんな楽屋を見渡していると、ふと目にとまった人がいました。
頼れるリーダー、愛ちゃんです。
絵里にとっては"頼れる恋人"でもあるんですけどね。うへへへ。
 
なにやら真剣に雑誌を読んでいるみたいです。
ちょっと声かけてみようかな。
 
38 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:41
 
 
「愛ちゃーん」
 
「………」
 
「愛ちゃん?」
「………」
 
無視ですか。
いくら絵里でも無視は寂しいんですよ。
 
絵里も愛ちゃんの左隣に座って、じっと熱視線を送ってみます。
 
「…おぅーい」
「…………」
「ウッキーウッキー」
 
「……………何?」
 
あ、やっと反応してくれましたね。
 
39 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:42
 
絵里、わかりましたよ。
早く返事するのもアレだから、ちょっと遅れて返事してやろうって魂胆だったんですよね?
まったく…愛ちゃんってば策士なんだから! 
「いや、何読んでるのかなーって」
 
「…何でもいいやろ」
 
ありゃ。ちょっとご機嫌斜めですね。
一体、愛ちゃんに何があったんでしょう。
 
「どうしたんですか?何かありました?」
 
 
「……絵里って、人気なんやな」
 
 
40 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:43
 
…え?
いきなり何を言い始めるんですか、リーダー。
 
そんなの生まれた時からに決まってるじゃないですか!

…っていう冗談は置いといて。
 
 
「自分じゃ…可愛くて人気かどうかなんて、分からないですよ」
「可愛いなんて一言も言ってえんけどな」
 
「愛ちゃん!そこは突っ込んじゃダメです」 
普段はぽけぽけしてるくせに、こういうとこには気がつくんですから。愛ちゃんは。
 
…あからさまに、うざったい感じを顔で表わさないでください。
 
41 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:44
 
「…とりあえず」
「はい」
 
「あっち行っとって」
 
「愛ちゃ〜ん…」
 
冷たいよぉ。これが恋人にする態度ですか? 
いくら絵里が人気だからって……ん?
もしかして、これ、嫉妬ってやつですか?
いつもクールでぽけぽけしてる愛ちゃんが? 
 
ちょっと…いや、かなり嬉しいかも。
 
「絵里…あっち行っ、うわぁ!」
「愛ちゃぁ〜ん」
「い、いいいきなり抱き着かんでよ!」
「いいじゃないですかぁ、減るもんじゃないんだし」
「減る!!」

横から抱き着くと、愛ちゃんは耳まで真っ赤にして叫びました。
ほんとにおサルさんみたいで可愛いです。
 
42 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:46
 
「この雑誌…そういえばアンケートとりましたねぇ」
「……」
「"男だったら誰を彼女にしたい"か」
「…絵里一番人気やん」
「それはほら、絵里ちゃん超可愛いから」
「鈍器で殴るで」
「ごめん愛ちゃん、冗談です」
「よろしい」
 
確かに…何人か絵里って書いてくれてるけど…愛ちゃんも人気じゃん。
絵里だって愛ちゃんって書いたんだもん!
 
「絵里にとってはー」
「…ん?」
「愛ちゃんが一番ですよ?」
 
「…おう」
「うへへへ、愛ちゃんは?」
「…え」
 
43 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:47
 
まったく照れちゃってぇ。
なに雑誌隠してるんですか。
 
「愛ちゃんももちろん、絵里ですよね?」
「と…当然」
「じゃあ雑誌見せてくださいよぉ」
「それはちょっと…」
「愛ちゃん」
「か、勘弁して下さい」
 
つべこべ言ってる愛ちゃんを無視して、手から雑誌を抜き取る絵里。
この俊敏さは亀に真似出来ないところです。 
ページを開いて回答を確認。
えーっと、なになに…

「……れいな…?」
 
44 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:49
 
 
これは、どういうことですか。
 
愛ちゃんは絵里というものありながら、れいなを選んだわけですか。
 
「こ、これは違」
「そんなにれいながいいんですね」
「だから違」
「もう知りません。しばらくは口ききませんから」
「えり〜…」
 
なんて、愛ちゃんと口きかないなんて無理だって分かってますけど。
そこは言わなきゃKYですもん。
 
でもちょっと悔しいから、
 
「…本当の事なんて書けるわけないやろ」
って呟いてたことは、聞こえなかったことにしておいていいですよね。
 
45 名前:HWK 投稿日:2008/06/25(水) 11:51
end
46 名前:_ 投稿日:2008/06/25(水) 11:51
 
47 名前:_ 投稿日:2008/06/25(水) 11:52
 
48 名前:ミート 投稿日:2008/07/01(火) 22:41
小説楽しく読ませて頂いてます!

亀井さん絡みは大好物なので.ここのスレは自分的に神です!

いつか萌え死んでしまいそうです….


陰ながら応援してます!
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/04(金) 22:33
亀ちゃんの元彼とのキス写真や男性遍歴はショックでしたがまだまだ好きです。
これからも萌え小説よろしくお願いします。
50 名前:まりも 投稿日:2008/07/10(木) 07:36
更新遅れてしまって申し訳ないです。
テストもやっと終わったので、また更新再開したいと思います。

>>48 ミート様
嬉しいお言葉…ありがとうございます!
亀井さん絡みのスレがなさ過ぎたので、我慢出来ずに自分で立ててしまいました。
かかか神なんて!!すいませんorz
のろのろ更新ですが、飽きずに見守っていただければと思いますm(__)m

>>49 名無飼育様
あれは私も多大なダメージを…
でもそれだけ亀井さんがモテるということですよね(w
ありがとうございます!頑張ります。

51 名前:まりも 投稿日:2008/07/11(金) 23:18
久々の更新です。
遅れてしまってすみません。

と言っても、待っていてくれている方がいるのかどうか…ですがorz
また細々と書いていきたいと思います。

今回も田亀です。

52 名前:結局のところ 投稿日:2008/07/11(金) 23:24
 
7月に入って、一週間と少し。
野外を歩いているだけでも、汗が頬を伝う暑さ。
 
それは屋内でいるときも同じ事で。
 
暑いのが大嫌いなれいなは、今、最高潮に機嫌が悪い。
 
 
53 名前:結局のところ 投稿日:2008/07/11(金) 23:27
 
 
「………」
 
「「「………」」」
 
10人近くの人数がいる楽屋で、ここまで静かなのは珍しい。
そうなったのは明らかに、れいなの機嫌が悪いせいだ。
 
部屋の一番奥にある椅子に座りながら、楽屋を見渡してみる。
誰一人として目を合わせてくれない。
 
「ちょっと」
「「「………」」」
「なんでクーラーついてないとやろか」
「「「………」」」
「…シカトかいな」
 
みんなビビり過ぎやろ。
 
愛ちゃんやさゆでさえ、目線を泳がせているのだ。
その事に更に腹が立ってくる。
 
 
どうやってこのイライラを発散しようか考えていた時、楽屋のドアが開いて絵里が入ってきた。
 
54 名前:結局のところ 投稿日:2008/07/11(金) 23:29
 
 
「絵里!!」
 
さゆは叫ぶと同時に、絵里の方へ駆け出していき、神様を見るような目で絵里にすがりつく。
おまけに手なんか握ったりして。
 
今の状態のれいなに、いい度胸やないか。
どうなっても知らんとよ。
 
とか考えていたら、目の前に絵里が来ていた。
どうやら、さゆから話を聞いたらしい。
 
 
「れいな?」
「…」
「おーい!」
「…聞こえとう」
「今無視したよね?」
「…」
「絵里ちゃん悲しい」
 
悪いけど、機嫌が悪い時に絵里の相手はしていられない。

溜め息をついて携帯に目を落とす。すると、 
 
「よいしょ」
 
「………おい」
 
「ん?」
「…なんしとうと」
「見ての通りー」
 
絵里がれいなの膝の上に乗ってきた。
 
れいなに上体を預けると、満足そうに鼻歌を歌い始める。
 
55 名前:結局のところ 投稿日:2008/07/11(金) 23:29
 
「お、おい」
「なぁに」
「暑い。暑いんやけど」
「絵里もー」
「だったら離れろ」
「やだ」
「な…」
 
みんなの視線が痛い。
さっきまではチラリとも見ようとしなかったくせに。
 
「れいなぁ」
 
「な、なんよ」
「絵里、今日れいなの家行きたい」
「はっ!?」
「だめ?」
「い、いや寧ろ来…」
 
思わず本音が出そうになって、あと一歩のところで堪えた。
 
というか、みんな見過ぎだろう。
 
さゆ、ニヤニヤすんな。
 
56 名前:結局のところ 投稿日:2008/07/11(金) 23:32
 
「じゃあ行っていいでしょ?」
 
「まぁ…いや、ほら…だ、だけん」
 
「…れいな絵里のこと嫌い?」
「大好きです」
 
 
あああぁぁ。
即答してしまう自分が情けない。
 
だけどそれは紛れもない事実で、隠す事なんか無理で、仕方なくて、
って、れいなは何を言ってるんだろう。
 
もうイライラも、そんな事どうでもよくなっていた。
絵里が家に来ることしか、今のれいなの頭にはなかった。
 
 
「絵里…最強」
 
ポツリとそんなことを愛ちゃんが呟いた気がするけど、もう、駄目だ。
 
暑いのは嫌いだけど、絵里の熱さなら好きかも、と思ってしまった。
 
そんなれいなは、重度の熱中症かも…しれない。
 
 
 
57 名前:結局のところ 投稿日:2008/07/11(金) 23:32
end
58 名前:_ 投稿日:2008/07/11(金) 23:37
 
59 名前:_ 投稿日:2008/07/11(金) 23:37
 
60 名前:まりも 投稿日:2008/07/13(日) 21:27
田亀でした。

田中さんの機嫌を直せるのは、亀井さんだけということで。
私の願望も大いに含まれておりますが(w

続いても田亀、愛ちゃん視点でいきます。

61 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:34
 
 
「納得いかない!」
 
いきなり絵里が叫んだ。
何事かと思って絵里の方を見てみる。
 
何やら、れいなと雑談中らしい。
 
「仕方ないやろが」
 
喧嘩でもしてるのか、気が気ではない。
でも言い合いというより、どちらかというと絵里が拗ねて、れいなが呆れてるような感じやけど。
 
62 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:35
 
 
「絵里の方が上がいい!」

「いや、見た感じ下っぽいやん」
「見た感じとかじゃなくて、普通そうでしょ?」
「普通は絵里が下」
 
 
な、ななな何を公衆の面前で話しとるんやコイツらは。
恐ろしくでかい声でそんな会話を。
 
未成年もいるんやから、そこはシークレットにしとくべきやろ!
 
 
…って、あーし以外ほとんど未成年やった。 
63 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:36
 
 
「なんでこうなっちゃったんだろ…」
「ハマり役やん。みんな言うっちゃろ」
「えー絶対違うって言うよ」
「聞いてみればいいっちゃない?」
 
 
え、聞くんか!?
そんな勝手に上でも下でもやっとれみたいな事聞くんか!
 
なんちゅう拷問やの。
 
 
64 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:39
 
「ねぇ愛ちゃーん」
 
しかも、あーしに聞くんですか。
 
他にいんかったんか。いるやろ。
さゆとかガキさんとか、もしくは吉澤さん掴まえてくるとか!
 
 
「あのー、絵里って「待った!!」
 
「なんですか?」
「あ、あんまでかい声で言わん方がいいやろ…?」
「何がですか?」
「ほら…う、上か下かなんて」
「え、別に平気じゃないですか」
 
「いや絵里達が良くても、後輩に悪影響というか…」
「え?だって疑問なんですもん」
「やから…」
 
「もう聞きますけど、絵里ってそんなに「わあぁー!!!!」
 
 

65 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:41
 
 
 
「妹っぽく見えます?」
 
 
「………………え?」
 
妹?な、何の事?
まったく意味不明なんやけど。
 
 
「愛ちゃんどうしたと?うるさい」
「ねぇ、見えますかー?」
 
れいなが怪訝な顔をしながらやって来た。
そして絵里は、相変わらず口を尖らせている。
 
 
「い、妹って?」
 
「シンデレラの配役の事です」
「れいながお姉ちゃんで、絵里が妹役じゃないですかぁ」
「絵里がお姉ちゃんがいい、ってうるさくて」
「だって〜…」
 
「……なんや…」
 
 
66 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:46
 
そういうことやったんか。
あーしはてっきり…あっちの方かと。
 
今になって物凄い恥ずかしいんやけど…。
 
…つうか、元はと言えば、そんな言い方したコイツらが悪いんや。
 
 
「紛らわしい言い方せんとけ!!」
 
「な、なんですか、いきなり」
「愛ちゃんが怒ったー!」
 
 
火照る頬を押さえながら、ふと考えてみる。
 
そういう事やったら、絵里は確かに妹やろ。
…でもよく思い出してみ。
 
一番下の妹はあーし、その2人の妹はあーしなんやよ。
 
ってことは、一番下っぽいんはあーしなんやろか。
 
 
…みんなに聞いたろ。
 
 
67 名前:喧嘩の原因 投稿日:2008/07/13(日) 21:46
end
68 名前:_ 投稿日:2008/07/13(日) 21:47
 
69 名前:_ 投稿日:2008/07/13(日) 21:47
 
70 名前:クリ 投稿日:2008/07/13(日) 23:51
れなえり大好きです。
そして、れなえりを書いてくれるまりもさんも大好きです(≧▽≦)♪
これからも頑張ってくださいね。
71 名前:まりも 投稿日:2008/07/16(水) 00:20

>>70 クリ様
ありがとうございます(ノд`)゚・。゚
私もれなえり大好きなんですよ。
励みになります。頑張ります!
 
 
次は高亀いきます。
 
72 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:26
 
 
 
「…あっつーい」
 
「暑いな」
 
「愛ちゃん全然暑そうに見えないんですけど」
「絵里が暑がり過ぎなんやよ」
「だってー愛ちゃんの部屋暑過ぎなんですよ」
「勝手に来といて文句言わんで」
 
 
73 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:27
 
 
「首が暑いんですよ」
「確かに短いと少しはマシやけどな」
「また絵里も髪切ろうかなぁ」
「駄目」
「なんでですか」
「あーしは長い方が好き」
「じゃあ切らない」
「早いな」
「いいんですぅー」
 
 
74 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:28
 
 
 
「なんですか?」
 
「いや、なんか」
「…そんなに見ないでください」
 
「服エロい」
「…普通にTシャツなんですけど」
 
「体エロい」
 
「……オヤジ」
 
 
75 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:29
 
 
「絵里」
 
「…はい」
 
「髪、結ぶ」
「あぁ…いいですよ」
「何がいい?」
「うーん…お任せします」
「じゃあ適当に上げとくか」
 
 
76 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:30
 
 
 
「っ…ちょっと…愛ちゃん」
 
「何」
 
「結ぶ、だけ」
「…いいやろ?」
「ダメですってば」
「無理。絵里が悪い」
「なんで」
 
「誘っとる」
「そんな事…」
 
 
77 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:30
 
 
 
「絵里、好きやで」
 
「……っ、ずるい」
 
 
78 名前:ある日の休日 投稿日:2008/07/16(水) 00:32
end
79 名前:_ 投稿日:2008/07/16(水) 00:33
 
80 名前:_ 投稿日:2008/07/16(水) 00:33
 
81 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/25(月) 11:56
愛えりが好きです。がんばってください
82 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/26(火) 19:32
亀ちゃんとサユのコンビがみたいです。
亀ちゃん攻めで 髪型ショートの亀ちゃんのイメージで
83 名前:まりも 投稿日:2008/09/13(土) 17:48
お久しぶりです。まりもです。
更新遅れてしまって、大変申し訳ありません。またマイペースに更新していきたいと思います。

>>81名無飼育さん
愛えり…私も最近好きなんですw
ありがとうございます!頑張ります。

>>82名無飼育さん
リクエストありがとうございます。
シチュエーションが浮かばず…軽いスランプだったので、とても有り難いです(w
そういえば、まださゆえりは書いたことなかった…。

茶髪ショート亀井さん、ヘタレになると思いますが、許して下さいね(爆)



次は季節外れな高亀です。
84 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 17:53
 
 
 
「……ん」
 
愛は冷たい足を擦り寄せながら寝返りを打つ。
 
本当は随分と前から目が覚めていた。
しかし一回起きてしまうと、どうしても寝付けない質らしい。
 
ちらり、と時計を見る。
 
二時過ぎ…か。
今夜は特別冷える。


85 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 17:54
 
 
「……絵里は…いいよな」
 
同じように、こちらを向いて寝ている絵里にそう呟く。
が、当の本人はこっちの気もしらずに熟睡していた。
 
「…おーい絵里ー」
 
吸い込まれるように、絵里をじっと見つめる。
相変わらず端正な顔立ちだ。
5年以上一緒にいるが、見慣れたことは一度だってない。
 
「ほんとに…」
ふと手の甲で絵里の頬を撫でる。
起きる気配は微塵もない。
 
「…起きないと襲うぞ」
 
 
86 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 17:55
 
 
「…いいですよ」
 
「……はっ!?」
 
思わず飛び退く愛。
返らないと思っていた返事に目を丸くする。 
「寝てると思いました?」
絵里はそう言いながら上体を起こす。


「お、起きてたんか!?」
「襲われてもいいよ」

「……え?」

「愛ちゃんになら」

冗談とも本気ともとれるような瞳。
愛は頭の隅で、今日は絵里のペースだ、と思った。

「絵里…?」
「なーんちゃって」
絵里は口角を上げるだけの微笑みを浮かべる。
そして、寒い、と言いながらベッドから下りて窓の方へ行ってしまった。
 
 
87 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 17:56
 
 
 
絵里は時々、年相応の顔になる。
 
いつもは子供っぽくて、アホで、本当にこれが今年二十歳になる人間か、と疑いたくなるが、こういう時はまるで別人。
寧ろ自分の方が年下かという錯覚に陥ってしまう。
 
そして、そのギャップに離れられなくなるのだ。
それに悩み、嵌まっていく。
 
まるで出る術を持つことが出来ない、底無し沼のような。
もがけばもがく程、絵里という沼に嵌まってしまって、出られなくなる。
 
それだったら自分はもう頭の先まで浸かっているに違いない、と、愛は思った。
 
 
88 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 17:57
 
 
 
「愛ちゃん!」
 
突然名前を呼ばれ、声の方を見る。
すると、何故か絵里が窓の外を見てはしゃいでいた。
先程の微笑みの主はどこへ行ったのだろう。 
そう思い、愛は困ったように笑う。
 
「どしたん?」
 
「雪!」
「雪?」
寒いとは思っていたが、まさか。
絵里のはしゃぎ様からして、本当なのだろう。
愛もベッドから下りて、絵里と同じように窓際まで行く。


「おわ…ほんとや!」
「ね、凄い!」
 
しんしんと白い粉が降っている。
故郷を思い出されるその光景に、昔の記憶が蘇ってくる。
 
 
89 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:02
 
 
 
「昔…よく遊んだなぁ」
「…そうなんですか?」
「うん。雪なんてこっちじゃ珍しいもんでもないのに」
「うん」
「飽きずに毎日、遊んどった」
「へぇー…」
「懐かしいなぁ…」
 
雪を眺めながら、愛はふと同期の二人のことを考えてみる。
離れていても、大切な仲間。
 
 
「あさ美ちゃんと麻琴…元気なんかな」
 
唐突な疑問に、愛を見つめる絵里。
だが絵里は、またすぐに窓の外に視線を戻した。
 
 
90 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:03
 
 
「…最近会ってないんでしたよね」
「…うん」
 
「………」
「………」
ふと、お互いの間に沈黙が流れる。
それでもそれは嫌なものではなく、寧ろ心地が良い静寂。
愛がその空間に酔っていると、不意に絵里が口を開いた。
 
「……絵里、ね」
 
愛が絵里を見る。
言葉を発した本人は依然、窓の外を向いたままだ。
「…うん?」

「みんな大好きなんです」

「…うん」
一瞬、何を言い出すかと思ったが、自分も同じ気持ちだった故、頷いた。
それに、絵里が懸命に伝えようとしているのが分かるから。
 
 
91 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:04
 
 
「だから……先が、怖い」
 
「…先?」
「うん……」
 
なんていうか…上手く言えないけど、と絵里は続ける。
それでも愛は、なんとなく分かる気がした。 
 
「…自分だけ、置いていかれそうで?」
 
その言葉に、弾かれたように愛の方を見る絵里。
目を丸くしたまま愛を見つめる。
 
愛は、やっと自分を見てくれた、と少し嬉しくなったが、そのことは今は胸にしまっておくことにした。
 
 
92 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:04
 
 
「違う?」
「…違く…ないです」
 
少し眉を寄せて、目を伏せる絵里。
その表情があまりにも苦しそうで、助けを求めているみたいで、愛はなんだか泣きそうになった。
 
「絵里……」
「さゆも、れいなも…愛ちゃんも……いつか卒業はする。…けど」
そんな昔のことは忘れたよ、全部過去の話だよ、って。
 
これから描くであろう、新しい記憶に全てを塗り替えられてしまうのではないか、という恐れが頭をよぎる。
こんなに恐ろしいことはないのだ。
 
今考えただけでも苦しいのに、絵里は―
 
 
93 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:06
 
 
「…絵里を、ひとりにしていくんじゃないかって」
 
ふと目線を下に向けると、絵里の拳をつくった手が見える。
その手は微かに震えていた。
 
「…絵里」
そっと絵里を正面から抱き締める。
宝物を扱うかのように、大切にありったけの愛情を込めて。
 
「……」
「…大丈夫、やから」
抱き締めながら、片手で絵里の頭を撫でる。 
「……」
「あーしは…絵里を置いてなんか行かん」
 
もし絵里が立ち止まったとしたら、その隣で待っとる。
絵里が歩けなくなったんなら、喜んで背中貸すから。
 
もちろんそれは、他のメンバーも同じはずやよ。
 
 
94 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:08
 
 
「まぁ…あーしには敵わないやろうけどな」 
 
「…愛ちゃん」
「おう」
 
「…台詞クサい」
 
「なっ…人がせっかく…」
 
そこまで言って、ゆっくり絵里の肩を押し、その表情を見やる。
照れた様に、はにかんだ笑顔を向ける絵里。こんな笑顔も好きだ、と愛は再確認する。
 
「……ありがとうございます」
その言葉に首を振る。
ふと数秒、見つめ合ったら何だか可笑しくなって、ふふふ、と笑いながら額を合わせた。 
 
95 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:14
 
 
「あーあ」
「…?」
「絵里のせいで眠れんくなったわ」
 
「何ですかそれ…勝手に起きたくせに」
「あほ。…やから絵里ちゃん、責任とってな?」
 
「……絵里があほなら、愛ちゃんは…ばかですよ」
 
 
寒さも、不安も、何もかも。
綺麗に拭い去るように愛し合おう。
 
―君は決してひとりじゃないから
 
 
 
 
96 名前:at the same time 投稿日:2008/09/13(土) 18:15
end
97 名前:_ 投稿日:2008/09/13(土) 18:16
 
98 名前:_ 投稿日:2008/09/13(土) 18:16
 
99 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/14(日) 12:23
最高です!!
心が癒されますね。気長に待ち続けます
100 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/17(水) 12:50
わくわく
101 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/19(金) 01:18
どきどき
102 名前:まりも 投稿日:2008/10/03(金) 09:01
更新の方遅れてしまって申し訳ありません。
早くも軽いスランプ状態です。
从;・。.・)<ヘルミー
こんな駄作ばかり晒しているくせに偉そうな事言ってますが…自己満足ということで許して下さいorz

>>99
その言葉に私が癒されます。
ありがとうございます(ノД`)゚。
申し訳ないですが、気長にお待ちいただければ幸いです。

>>100
((((゚д゚;))))

>>101
((((゚д゚;))))


久しぶりの更新。
リクエストの亀重でいきます。
無駄に長いです。
ちなみにエロくはないです。
ヤマナシオチナシスミマセンorz

103 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:11
 
104 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:12
 
 
「いらっしゃいませー」
 
 
軽快な音楽と共に、気だるそうな声が聞こえる。
 
外は雨が降っていた為、その声はいやに馴染んで聞こえたが、さゆみは何となく気にくわなかった。
 
「…お客に対する挨拶じゃないでしょ」
 
ぽつり、と独り言を言った後に、雑誌コーナーへと向かう。
とくに買おうと思って来たわけではなく、友達を待つ間の、ただの暇潰しだ。
 
適当に雑誌を手に取り、適当にページをめくっていく。
 
 
105 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:13
 
今日は友達と待ち合わせをしていた。
 
それが地元ならよかったのだが、その友達がこっちまで来て欲しい、と言ったので、電車を乗り換えてまでここへ来たのだ。
 
だが、先程連絡を入れたら、たった今起きたばかりだと言われた。
だから、駅近くのコンビニで時間を潰していて欲しい、と。
 
前に何度かこの土地へ来たことはあったが、よく知らない場に一人ぼっちというのは心細いもの。
その上、家を出る時には降っていなかった雨までが降り出し、せっかくセットした髪や洋服が台無しになった。
 
それらの事が重なり、さゆみがイライラしているのが誰の目から見ても分かった。
 
 
お客はさゆみだけなのだろう、レジにいる店員も退屈そうだ。
 
 
106 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:13
 
 
「…はぁ」
 
自然と溜め息が出てしまう。
だって。あまりにも、つまらない。
 
別の場所に暇を潰しに行こうか、などとさゆみが考えていると。
 
 
「いらっしゃいませ!」
 
という威勢のいい声が聞こえた。
それも、真横から。
 
「っ、は…?」
驚いてその声の方向を見る。
 
 
一番最初に目がいったのは、サラサラな茶色い髪。切れ長な目。
 
その人と近距離で目が合い、随分と近くにいるのだという事を知る。
 
そしてその人は何故か、真顔でさゆみを見ていた。
ちょっと…かっこいい、とさゆみは心の中で思う。
 
107 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:14
 
「いらっしゃいませ」
 
その人は先程の挨拶をもう一度言う。
 
「ど、どうも…」
 
「お一人ですか?」
「……はっ…?」
「お友達とか待ってますか?」
 
なんなんだろう、この人は。
コンビニでナンパか何かだろうか。
そう思って、その人をまじまじと見てみると、コンビニの制服に身を包んでいた。
 
…店員?
確かに先程、いらっしゃいませと言っていたのだからそうなのだろう。
でも…店員が、ナンパ?
 
「あの…」
 
「はい?」
「えっと…」
 
その人は首をかしげて不思議そうな顔をする。
すると途端に、何か思いついたような顔になった。
 
 
108 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:15
 
「亀井。亀井っていいます」
「え…?」
「名前」
 
胸にあるプレートを向けながら、"亀井さん"は言う。
 
「…私は道重です」
 
そして不覚にも名前を名乗ってしまった。
つい、条件反射で。
 
「はい。あ、ちょっと待ってくださいね」
「…?」
 
何をするのかと思ったら、"亀井さん"は近くの洗顔用品コーナーからタオルをとり、その包装を破き始めた。
いきなりの事で、さゆみは驚く。
 
「ちょっ、ちょっと!」
「はい?」
「そ、それ…」
 
"亀井さん"は、あぁ、と言ってから、そのタオルをさゆみの頭にかけて
「風邪引いちゃいますよ?」
と、微笑んだ。
八重歯が印象的な、人懐っこい笑顔。
 
さゆみは不覚にもその笑顔に、ドキッとしてしまった。
 
109 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:18
 
「…え」
 
「それ、差し上げます」
「で、でも…」
「遠慮しないでください」
 
"亀井さん"は、そう言ってまた、ふわりと微笑む。
そんな二度目の笑顔に、さゆみは顔が熱くなるのを感じた。
 
 
「っ…し、失礼します!」
 
 
そして何故か、さゆみはコンビニを逃げる
ようにして出てきてしまった。
 
外のゴミ箱にに寄りかかるようにしてしゃがみこむ。
 
心臓に手を当ててみると、こんなに早く動くものなのかというほどドキドキしっぱなしだ。
 
そんな自分を落ち着かせる為に空を見上げてみる。
そこには先程降っていた雨はもうなかった。 
 
 
110 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:19
 
 
 
 
「…っていうことがあったの」
 
「へぇー」
 
「…ねぇちゃんと聞いてる?」
「聞いとる聞いとる」
 
さゆみは、いい加減に答える友人を睨んだ。
だが、その友人はそれにたじろぐわけではなく、面倒臭そうに携帯をいじっているだけだ。
 
「…れいなが遅れて来たくせに」
「だけん、こうやっておごってやっとるんやろうが」
 
さゆみの言ったことが気に入らなかったのか、その言葉にれいなと呼ばれたその友人は顔を上げた。
さゆみの待ち人は、一時間遅れて登場してきた、この目の前にいるれいなだ。
 
れいなが遅れてきたお詫びとして、近くの喫茶店でおごるからと言ってくれた為、さゆみは素直にその言葉に甘えることにした。
 
 
111 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:20
 
「だけど、それとこれとは話が別」
「…ケーキばっか頼みやがって」
 
 
さゆみはふと思う。
―そういえば、まだお礼も言っていなかった。
 
「…また会いたいな」
「え?」
 
「な、なによ」
れいなの目がいやにキラキラしていて、思わず身構える。
いかにも待ってましたと言わんばかりの表情に、さゆみはあまり良い予感がしなかった。
 
「今、会いたいって言わなかった?言わなかった?」
「な、なにそれ。誰のマネ?」
「は!?知らんとかいな!?上げ子やろ!」 
「揚げ…?いや知らない…」
「ほんとになんも知らんっちゃね…」
「いや、れいなが詳し過ぎるの」
「はいはい。…で?会いたいって?」
 
「あー、だから……お礼まだしてなかったし」
「で?で?」
 
れいながテーブルに乗り出して聞いてくる。いつもと違うれいなの様子に、逆に心配になってきてしまった。
 
112 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:22
 
「れいな…頭大丈夫?」
 
「なんそれ。超失礼やん」
「いや、大丈夫ならいい…」
 
れいなが少し頬を膨らませて睨む。
普段なら凄い目で睨まれるのに、やはり今日はどこかおかしい。
 
 
「…せっかく会わせてやろうと思っとったのに」
 
「…は?」
 
「だけん!会わせてやるって言っとろうが」「い、いや…行くなら一人のときに行くからいいよ」
「そうやなくて、今!」
「今?」
 
さゆみは、れいなの言いたいことがうまく理解出来ず、思わず眉間に皺を寄せる。
れいなにしては回りくどい言い方だ、と思った。
 
 
113 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:23
 
 
「絵里!」
 
突然、れいながお店の奥に向かって叫んだ。
さゆみは当然、何のことか分からず、ますます眉間に皺を寄せるばかり。
 
すると、れいなが声をかけた方から、一人の人が歩いてきた。
 
一番最初に目についたのは、サラサラな茶色い髪と切れ長な目…
 
「…って、あーっ!!」
 
ガタン、とイスが音をたてて倒れる。
周りのお客さんにも見られている。
 
だが、さゆみは今そんなことは気にしていられなかった。
 
 
114 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:25
 
「コ、コンビニの…」
 
「どうも」
 
ふわりと微笑むその人。名前は絵里というらしい。
数時間前と変わっていないその笑顔に、また頬が熱くなる。確か…
「か…めい、さん」
「はい。道重さん」
 
名前を呼ばれたことに少し鼓動が早くなるのを感じた。
だがそんな中、ふと疑問が浮かぶ。
 
 
「あ、れ…?なんでれいな知って…」
 
鳩が豆鉄砲をくらったような顔、とはこのようなことだろうか。
そんな様子のさゆみが面白かったのか、れいなは、ぷっと吹き出した。
 
「いや、絵里、同じクラス」
 
「へぇ…って…ええ!?」
 
「ほら、前にこっち来たとき。あのコンビニ寄ったことあったやろ?」
「あった…ね」
「その時に絵里いて。話しとったんやけど…気付かんかった?」
「ぜんぜん…」
 
「無理もないよ。あの時は髪まだ長かったし」
 
絵里はニコニコしながらさゆみを見ている。
…そんなに見ないで欲しい。赤い頬がバレてしまう。
 
115 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:26
 
「で、その時、さゆに一目惚れしたーって言っとったけん、また会わせてあげるって約束」
 
「…今なんて?」
「だから、会わせる約束」
「その前!」
「…さゆに一目惚れ?」
 
「…誰が?」
「絵里が」
「…誰に?」
「さゆに」
 
目の前の博多女はなんて言った?
れいなの言っていることが信用できなくて、隣にいる絵里を見る。
 
絵里ははにかんだように八重歯を覗かせて笑っていた。
 
 
「ほ…ほんと…ですか?」
 
「…はい」
 
少し照れ臭そうに鼻をかく絵里。
その行動が計算されたものではないと分かった瞬間、顔から火が出るかと思う程に熱くなった。
 
 
116 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:28
 
「あ、は…わ、私も」
「え?」
「私も…一目惚れです…」
 
気付いたらそんなことを口走っていた。
慌てて口をおさえるも、時既に遅し。
真っ赤な顔をしたさゆみに負けない程、絵里も顔を真っ赤にしていた。
 
「ほ…ほんとですか?」
 
「はい…」
 
 
「…ちょい、れいなもいるっちゃよ」
忘れられてないかと焦って、れいなは自己主張する。
だが、その言葉はさゆみと絵里の耳には入っていないようだ。
 

「じゃあ…あの…その」
 
「…はい」
 
恥ずかしそうに言葉を詰まらせる絵里。
次に発せられるであろう言葉を期待し、更に顔が赤くなる。
 
これでれいなにも借りができてしまった。
 
今度は奮発して、れいなに焼肉でもおごってあげよう、とさゆみは頭の隅で思った。
 
 
 
117 名前:突発思考 投稿日:2008/10/03(金) 09:28
end.
118 名前:_ 投稿日:2008/10/03(金) 09:29
 
119 名前:_ 投稿日:2008/10/03(金) 09:29
 
120 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/10/04(土) 01:08
最近はなかなかお目にかかれない亀ちゃんですねw
何回も読み返しました。続編も期待したい!!もちろんモテ亀でw
メンバーとかじゃなくて、知らん人にモテてる亀ちゃんが見たいんです
要望しすぎなんで、コレからは要望控えるようにしますね。すいません。
あまりにツボだったものでww長くなりすぎましたので、この辺で。。。
これからも作者さんのペースでゆっくり更新していってくださいね。
121 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/10/05(日) 11:06
さゆえりよかったです。ゆずの歌を聴きながら読みましたがいいですね。
今はもう秋ですが夏の香りがしました。更新ありがとうございます。
122 名前:まりも 投稿日:2008/10/07(火) 08:56

おはようございます。レスです。

>>120 名無し飼育さん
な、何回も!?
物凄く嬉しいですが、きっとアラが目立ってきているはずなので怖い((((゚д゚;))))
続編…考えていませんでした(爆
でもいいですね、続編。モテ亀で。
亀井さんはボケーッと歩いてるくせに道行く人に、ちょっとかっこいい人いるーみたいにチラ見されてればいいと思うw
要求どんとこいです。
寧ろ有難いので、どんどん言っていただいて構わないですよ。基本的に私もレスは長いので気になさらないで下さいw
ありがとうございます。頑張ります。


>>121 名無し飼育さん
さゆえりお気に召していただけたようで…幸いです。
これ夏から引っ張っていたネタなのでそのような感じになってしまいました。すみませんorzバレテルorz
こちらこそレスありがとうございます。

123 名前:まりも 投稿日:2008/10/09(木) 09:04
 
微エロなのです。が、本当に微妙orz
一応sageた方がいいのか迷ったのですが、こんなものsageる程のものでもないなと思い、今回はしないことにしました。
 
朝っぱらからすみませんorz
また無駄に長いです。
微エロ、藤亀でいきます。
 
124 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:04
 
125 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:10
 
 
「絵里…」

「ふ、じもとさ…っ」
 
どうしてこんなことになったのだろう、と情事の最中ふと絵里は思った。
 
火照っているのに嫌に冷静で、まるで身体と頭が別人のようだ。
 
「…可愛い」
 
「ふぁ…っん…!」
 
ただ分かることは、かつてない程の恥辱感だけ。
 
「絵里…もっと、呼んで」
「あっ…!く、ふっ」
「もっと…もっと!」
「っや…痛っ…!」
 
その叫びを聞いた美貴は、絵里の中を満たしていた手をするりと抜き出した。
あっさり止めた美貴に少し驚きながらも、手元にあったブラウスを寄せる絵里。
 
息を切らしながら、そっと美貴の表情を窺う。
 
「…………」
 
「藤本、さん……?」
 
無言のままの美貴に、怒らせてしまったかと不安になる絵里。
美貴はうつ向いたまま、何も喋ろうとしない。
 
もう一度、絵里は思い出してみる。
 
どうしてこのような事になったのか―
 
 
 

126 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:11
 
 
 
 
「じゃあ美貴混ぜておこっか?」
 
「あ、お願いしまーす」
 
キッチンで作業をしている二人。
ボウルや生クリームがテーブルの上に並んでいる。
 
翌日は絵里の誕生日。
なので、一緒にケーキを作ろうと、美貴が絵里を誘ったのだ。
 
美貴からそう言い出したりすることは滅多にないので、絵里は正直驚いた。が、嬉しかった。
家も近いわけではないのに、材料を買って持って来てくれた美貴。
 
その優しさに、絵里は自然と頬が緩んでしまう。
 
 
「ガキさんと重さん来れなくて残念だったね」
「うん……でも、藤本さんがいるからいいです」
 
「…嬉しいこと言ってくれるね」
「だってほんとのことだもーん」
 
絵里の言葉に照れる美貴が、なんだか昔に戻ったみたいで嬉しかった。
 
だがその反面、少し戸惑った。
 
忘れようとしていた想いが、また込み上げてきてしまう。
 
(こんなんじゃ…駄目なのに)
 
 
127 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:12
 
「絵里」
「…はい?」
 
「焦げてない?」
 
「……あ!」
 
すっかり忘れていた。
しゃがんでオーブンを見ると、中には見事に焦げたスポンジがある。
開けると独特の臭いが漂う。
 
「……せっかく作ったのに…」
黒くなったスポンジを眺めていたら、情けなさが押し寄せてきた。
と、同時に視界が滲んで見えなくなっていく。
 
「黒いとことれば大丈夫……って、絵里?」
 
近づいて来た美貴に泣いていることがバレてしまった。
普段なら決して泣かないのに、こんな時に限って何故か涙が溢れてくる。
 
 
128 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:13
 
「…あれ、ちょ、ちょっと待ってください…」
 
今日の自分はまるで子供のようだ。
美貴が相手だと、こうも感情のセーブがきかないものなのか。
 
「な、泣かないでよ。ほら、全然食べられるし」
同じようにしゃがんでオーブンを覗き込む美貴。
美貴が焦っているのが分かるから、それも余計に申し訳なくて、また涙が溢れてきてしまう。
 
「…っ、藤本さん…」
「………」
 
せっかく材料も買って来てくれて、一緒に作ってくれたのに。
ごめんなさい、と言おうとした瞬間、いきなり美貴に抱き締められた。
 
 
129 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:14
 
「っ…な」
「もう……勘弁して」
 
声を遮られて放たれた言葉に、少しドキリとする。
美貴に呆れられてしまったのだろうか、と後悔していたから
 
「……可愛過ぎだって」
 
一瞬、何を言われたのか理解出来なかった。 
予想外の言葉が降ってきて思考が止まる。
 
 
「…藤本さん…?」
 
「絵里…」
切なげに見つめられたと思ったら、今度は吸い付くようにキスをされた。
 
何度も何度も角度を変えて、息つく暇をも与えてくれない。
 
130 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:16
 
「っ…ん…ふ」
「…っ、ん」
 
そのまま肩を押されて、床に倒される。
とりあえず美貴の腕をつかんで抵抗してみるが、その手も簡単に床に押さえ付けられてしまう。
 
「っ、ふ……あ…」
ふと唇を離される。
 
瞬間、名残惜しそうな声を出してしまった自分に恥ずかしくなった。
 
自分を見下ろす美貴を見る。
 
美貴の表情は、怒りとも悲しみともとれない、浮いた無表情だった。
ゾクリ、と背筋に冷たいものが走った。
 
 
131 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:17
 
 
 
―そうだ、美貴が最初だったのだ。
人が変わったように絵里を求め始めたのは。 
 
「…藤本さん」
 
もう一度名前を呼ぶ。
依然、美貴はうつ向いたままだ。
 
「絵里」
「…はい」
 
「ケーキ」
 
「……え?」
 
やっと言葉を発したかと思うと、まったく予想だにしなかったものだった。
絵里だけではない。
今日の美貴も、どこかおかしい。
 
「食べたい?」
美貴の目や言葉には有無を言わせないような力がある。
その雰囲気に、絵里は誘われるように頷くしかなかった。
 
「は、い…」
 
132 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:18
 
絵里の返事を聞いたか聞かないかで、立ち上がる美貴。
美貴が何をしたいのか全く分からない絵里は、上体を起こして事の始終を見つめる。
美貴がすぐ横のテーブルから、ボウルをとり出して来た。
 
「…何、ですか…それ」
 
「これ?」
 
「…はい」
 
知っている。
先程美貴が作っていた生クリームだ。
何に使うのか、絵里はそういう意味で問いかけたのだ。
 
美貴はゆっくりとしゃがみながら、絵里と目を合わせて唇を動かす。
 
「…媚薬」
 
美貴の程良い音程の声が、怖いくらいの優しい笑みと一緒に返ってきた。
絵里は思わず息を飲む。
 
133 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:18
 
「はい」
 
「え…?」
ボウルの中の生クリームを、美貴が指にとって差し出す。
訳が分からず、美貴を見る絵里。
 
「いらないの?」
「え…いや」
「だったら美貴、食べるよ」
 
そう言いながら指の生クリームを自ら舐める美貴。
絵里を見つめたまま、その目を反らそうとしない。
 
「…っ」
 
美貴の瞳に、指に、唇に、ドキドキしてしまう。
 
ああ、まさしく――
 
 
134 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:19
 
「…絵里?」
ふと美貴の手をとる絵里。
その手を自分の方へと引き寄せる。
 
「…っん…」
美貴の指を口に含む。
舌に甘さが心地良い。
 
美貴を上目で見ると、同じように美貴も絵里を見ていた。
愛おしそうに、切なそうに。
 
「絵里……ごめん」
優しい瞳が揺れたと思ったら、涙が一筋こぼれ落ちた。
絵里はそんな美貴に驚く。
 
 
「……藤、本さん…?」
 
「な、んで…」
 
 
135 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:28
 
 
こんなに弱々しく涙する美貴を、今までに見たことがなかった。
今度は絵里が美貴を抱き締める。
 
「……何ですか…?」
 
「…なんでこんなに、好きなんだろ…っ」
 
「っ…藤本さん…」
「絵里…っ」
 
ごめん、ごめんね、と何度も謝る美貴。
自然と絵里も涙が溢れてきてしまう。
「っ藤本さ…謝らないで…ください…っ」
「ごめ、ん…」
 
136 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:29
 
「絵里も藤本さん……好き、です…っ」
 
世間では認められることのない関係。
 
そのことだけが二人の間に立ちはだかって、素直になることが出来なかった。
 
でももう、そんなことは問題ではない。
人それぞれの愛がある。
二人がお互いのことを好きで、何が悪いのだ。
 
「え、り…好き…っ」
 
美貴が絵里をよりきつく抱き寄せ、髪に指を差し込む。
 
少しでも、近くに。
そう願いながら二人はいつまでも抱き合っていた。
 
 
 
 
137 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:30
 
 
◇ ◇ ◇
 
 
138 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:30
 
 
 
 
「おはよ」

「…へ…?」
 
眩しい太陽、小鳥のさえずり、隣で微笑む愛しい人。
これ以上幸せな目覚めがあるだろうか。
 
しかし、ひとつ疑問が。
 
何故自分のベッドに美貴がいるのだろう。
 
 
「あれ…?絵里…」
「何?まさか…覚えてないとか」
「いや、覚えてます…けど」
「けど?」
どうして二人してベッドにいるのかが思い出せない。
 
「…なんで…ベッドに」
きょとん、とする美貴。
美貴の反応に少し恥ずかしくなって、思わず目を反らす。
 
139 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:31
 
「……ぶっ」
突然、美貴が吹き出した。
途端に恥ずかしくなって、つい声を荒らげてしまう。
 
「ちょっ…何で笑って…!」
「昨日は絵里寝ちゃったから」
 
すぐ寝ちゃって、美貴がベッドまで運んだんだよ、と笑いを堪えながら説明する美貴。
 
「そうですか…」
「"何かあった"かと思った?」
「っ…」
 
図星をつかれて、顔が一気に赤く染まる。
 
「まあ、その前に色んなことやっちゃったから、あんま関係ないけどね」
 
「な……」
「あははっ」
悪戯に笑う美貴。
この人は自分の魅せ方を知っているな、と絵里は思った。
 
 
140 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:31
 
 
「…あ、そうだ」
「……なんですか」
 
「誕生日おめでとう」
 
何、何なんですか。
いきなり、かっこよすぎるんですよ。
 
あなたはこんなにも絵里を喜ばせることが出来る。
いちいち美貴の言動に一喜一憂する自分。
それが何故か無性に悔しくなった。
 
 
「き、昨日は"絵里好きー!"って泣いてたくせに!」
「は?!な、何いきなり!」
「藤本さんのバカ!」
 
「そ、そんなの言ったら絵里だってすごい声出し」
「それ以上言わないでください!!」
 
141 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:32
 
美貴はそれ程までに自分を愛してくれているのだろうか。
どうやって自分を好きになってくれたのだろうか。
まだまだ疑問は沢山あるが、そんな事は今は頭の隅に追いやることにした。
 
 
「…もういっこ」
「はい」
 
「順番…違うけど、いいよね」
 
 
今、美貴が目の前で笑ってくれている。
それだけが唯一の救いだった。
 
この先どこまで行けるか分からないけれど、美貴となら何でも出来るような気がする。
 
無駄な時がないように、二人の時間を謳歌していこう。
そして、見つけられる全てのものを見つけたい。
 
 
「美貴と…付き合ってください」
 
大好きな、あなたと一緒に。
 
 
 
142 名前:愛のカタチ 投稿日:2008/10/09(木) 09:33
end
143 名前:_ 投稿日:2008/10/09(木) 09:34
 
144 名前:_ 投稿日:2008/10/09(木) 09:34
 
145 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/10/09(木) 21:02
微エロですねw
藤本さんがステキすぎますよね
亀ちゃんもカワイイ!!
自分はなんでも好きですがw
146 名前:石川県民 投稿日:2008/10/21(火) 12:17
 はじめて書き込みさせていただきます。
 実は今までROMっておりました。
 毎回素敵な小説ありがとうございます。良い亀分を補給させていただいてます。
 次回も楽しみにしてます♪
147 名前:名無し飼育さん 投稿日:2008/10/22(水) 09:37
石川県民さn発見!!
お二人とも頑張って下さいー♪
148 名前:まりも 投稿日:2009/03/15(日) 10:25
まりもです。生きています。
長い間放置してしまって申し訳ありませんでした。
スランプに突入して全く書けなくなってしまい・・・今になってしまいました。すみません。
と言いつつ、読んでくれる方がいるのか不安ですが・・・
亀更新ながらも頑張って書いていきますので、よろしくお願いしますm(__)m
 
レス返しです。
>>145 名無し飼育さん
ありがとうございます!
みきえりは6期で一番ガチな気がします。勝手に。
私もなんでも好きなんですw
>>146 石川県民さん
はじめまして。
私もあの石川県民さんに読んでいただいてるなんて夢にも思っていませんでした。
ありがとうございます!頑張ります。
>>147 名無し飼育さん
ありがとうございます!これからも頑張ります。
149 名前:まりも 投稿日:2009/03/15(日) 10:29
リハビリでさゆえりを。
本当に短い上に会話だけシリーズですが・・・どうぞm(__)m
150 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 10:33
 
151 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 10:33
 
 
「さゆー」
「なにーえりー」
「とりあえずー」
「うーん」
「さむい」
「ん?」
 
「寒いんだって!なんで窓全開なのぉ」
「さゆみは寒くないんだけどー」
「だけどーじゃないよまったく」
「だってさー雪降ってるのに寝てるなんてもったいなくない?」
 
「・・・え」
「雪ー」
 
「ちょ、なに早く言ってよ!」
「だからこうして窓開けて言ってるのに」
 
152 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 10:34
 
「わっわあっ」
「ほら慌てるから・・・危ないよ」
 
「・・・ってほんとだ」
「なにーさゆみが嘘言ったと思ったの?」
「そういうわけじゃないけどさぁ」
 
「えりりんのばーか」
「な、失敬だ」
「ばか」
「もーわかった」
「えりに嘘なんてつくわけないよさゆみは」 
「・・・嘘だね」
「嘘じゃないよ」
 
153 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 10:37
 
「・・嘘だー!!!」
 
「ちょっと、うるさいよえりー」
「うるさくしたんだもん」
 
「まったくーかわいくないなぁ」
「なっ」
「素直によろこべばいいのに」
「・・はいごめんなさいでした」
「なにそれ」
「知らなーい」
「もう照れちゃって」
「さゆうるさいよ」
 
「えりはー」
「はいはい」
「そういう素直じゃないところがよくない!」
「はいはい」
 
154 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 10:43
 
「ちょっと」
「なに?」
「ちゃんと聞いてるの?」
「聞いてない」
「えりー」
 
「さゆいっつもえりのことばかにするんだもん」
「ばかにしてないよ」
「してる」
「してない」
「してる」
「してない」
「してる」
「・・・えり」
「なに」
 
155 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 10:51
 
「1億歩ゆずってしてるとしても」
「してるんじゃん」
「なに?」
「いいえ」
 
「だから、してるとしても」
「うん」
「それは愛故なんだよ」
「・・・またそういうこと言う」
「ほんとだから」
「さゆばか」
 
「意外と恥ずかしいんだけどこういうこと言うの」
「じゃあ言わなきゃいいじゃん」
 
156 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 11:01
 
「えり」
「なに」
「かわいくない」
「はいはい」
 
「えり」
「なに」
「嘘」
「なに」
「かわいい」
「・・嘘ついたじゃん」
「嘘つかない人間なんていないんだよ」
「道重さん、さっきと言ってること違うんだけど」
「まぁ置いといてよそれは」
「ちょっと」
 
157 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 11:04
 
「ね?」
「・・・うん」
「えりは超かわいいよ?」
「うん」
「でもまぁ、さゆみの可愛さには負けるんだけどね」
 
「・・言うと思った」
「結局は自分が可愛いんだよ人って」
「さゆは異常」
「失礼な」
 
「でもそんなさゆが好きなえりはもっと異常」
「そっかー」
「ってちょっと」
「ん?」
「頑張って言ったことスルーしないでほしいんですけど」
「だってほっぺ真っ赤だから触れない方がいいのかなって」
「余計恥ずかしいよ!」
 
158 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 11:18
 
「あーもうばか」
「だから失礼」
「大好きえり」
「・・・」
「かわいい大好き」
「・・はいはい」
「またそればっかり」
「はいはいはいはい」
 
「素直じゃないところもかわいい」
「ことごとくさっきと言ってることが違うんだけど道重さん」
「気のせいじゃないかな亀井さん」
 
「ねぇ」
「ん?」
「さむい」
「窓閉めよっか」
「うん」
「・・・あ、でも」
「なに?」
「えりとさゆみの心の窓はいつも全開にしておこうね」
「意味わかんない」
「大好き」
「・・・全然意味わかんない」

end.
159 名前:SE 投稿日:2009/03/15(日) 11:20
 
160 名前:_ 投稿日:2009/03/15(日) 11:21
 
161 名前:_ 投稿日:2009/03/15(日) 11:21
 
162 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/03/16(月) 00:26
甘━━(*´Д`)━━い!!!!
リアルにありそうな会話で、情景が浮かびました!
帰って来て早々、こんな良いものを書いてくれてありがとうございます。
163 名前:まりも 投稿日:2009/04/24(金) 01:45
次は久しぶりに田亀です。
164 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:54
 
165 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:55
 
場所は楽屋。
ほんの数十分後にはコンサートが始まる、そんな時間。
メンバーが慌ただしく用意をしている中、絵里とれいなだけは立ち上がろうとしなかった。
 
一曲目の衣装を着た絵里が鏡の前で頬杖をつき、眉間にしわを寄せている。
そして、絵里から椅子二つ空けて鏡の前に座るれいな。
同じように頬杖をついているが、違うのは鏡の自分と睨めっこしているのではなく、そんな絵里の横顔を見ていること。
絵里がこんな表情をするときは、なにか悩んでいる時だとれいなは思った。
 
166 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:56
 
「絵里ー?」
「んー」
体勢はそのままで答える絵里。
少しくらいはこっち向け、と頭の中で思ったが、れいなは口に出さない。
 
「どうしたと?」
「なにがー」
「なに悩んでるんとかいな」
「…れいなよくわかったね、絵里が悩んでるって」
「まぁ…」
並みに絵里のこと見とらんけん。
と言ったら田中れいなではないだろうか。
 
言えない。
恥ずかしさ以上に言えない理由がある。
そして、いつも一人考えては口に出すことを思いとどまるのだ。
 
167 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:57
 
「…れいなには言えん」
「なにー?」
「や、なんでもなかよ」
大切な仲間、同期、メンバー。
自分の想いを告げて、今の関係を崩すわけにはいかない。
 
何も変わらずに、ずっと一緒にることができるのは"友達"にのみ許された特権。
れいなは単純に、それならばその道を選択しようと思った。
あの時は、それが一番良いことだと思っていた。
 
168 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:58
 
しかし、そう決意した直後に絵里にできた恋人という存在。
嬉々として知らされたことを覚えている。
がつん、と頭を殴られたようだった。
ただの"友達"というだけでは支えられないものがあることに気がついた時には、もう指をくわえて見ていることしか出来なくなっていた。
 
 
「あのさぁ〜」
「なん?」
絵里を見ると、依然、鏡を向いたままだった。
今日の髪型は、いつものように結んだり巻いたりしていない、ストレート。
 
169 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:59
 
「絵里ってさ」
「うん」
何も飾らなくても絵里は十分綺麗だ。
そんなことを頭の片隅で思いながら、絵里の話に相槌をうつ。
 
「名前」
「うん」
「名前」
「うん」
「名前」
「…なんよ?」
「どう?」
「…は?」
「名前、どう思う?」
 
そう言って、やっと鏡から視線を移してれいなを見た。
一体なにを言い出すんだ年上のこの人は、とれいなは思う。
 
そんな絵里の突拍子もない言葉は聞き慣れてはいるが、思考が追いつかないことも多々ある。
というより、その方が多い。
 
170 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 01:59
 
「どう、って」
「絵里って普通じゃない?」
「普通…って何が」
「みんな、愛とか小春とか、可愛いじゃん」
「まぁ可愛いけど」
「絵里は絵里、普通」
「そんなことない…って、悩んどることってまさか、それ?」
「そうだけど」
あっけらかんと告げられる。
もっと大きな悩みだと思っていたから、拍子抜けもいいところだ。
 
こんなことを本人に言ったら、自分にとっては大きなことなんだ、と怒られそうだけれど。
 
171 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:00
 
「れいなだって本名は漢字じゃん」
「まぁ」
「綺麗な名前だよね」
「そうなん?」
「そうだよ」
「…よくわからん」
 
そんな名前がよかった、と口を尖らせて言う絵里が可愛い。
「絵里だっていい名前やろ」
「いや、普通じゃん」
「嫌いなん?」
「嫌いというか〜うーん」
そう言って渋る絵里が可愛い。
 
172 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:01
 
れいなは、
「絵里が好きやなくても」
 
誰のことが好きでも、
「れいなは好きやけん」
 
大好きやけん、絵里が。
 
心の中でそう呟く。
これが今の自分の精一杯。
 
 
「ほんと?…じゃあ、絵里もやっぱり好き」
その言葉と共に、キラキラと降ってきた笑顔。
そのとき少し、ほんの少しだけ。
泣きそうだ、と思った。
 
絵里は優しすぎるほど優しい。
しかし、それは時として残酷だ。
 
173 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:02
 
突然ガチャリと音がしてドアが開く。
 
「えりいるー?」
「あ、さゆ」
ひょっこりとそこから顔を出したのはさゆみだった。
 
「…恋人を迎えに来たっちゃね」
二人に聞こえないようにれいなは呟いた。
 
絵里の恋人とは、さゆみのことだ。
 
さゆみは何も恐れずに絵里にぶつかっていった。
結果がどうなろうとも、全てを受け入れる覚悟だったんだろう。
本当にさゆみは強い人だとれいなは思った。
 
そうでなくとも、れいなが絵里でなければならないように、絵里もさゆみでなければならなかったのだけれど。
 
174 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:03
 
「そろそろ始まるよ、もうみんな行ってる」
その言葉にぐるりと楽屋を見渡すと、絵里とれいな以外のメンバーは既にいなくなっていた。
 
「れいな行こ」
絵里が振り返って催促をする。
「れいなは、ちょっと準備してから」
「じゃあ絵里たち先行ってるよ?」
「うん」
 
絵里はパタパタとさゆみの元へ走り、楽屋から出ていった。
 
175 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:04
 
側に置いてあった鞄から携帯を取り出す。
すると、携帯を持つ手に水滴が落ちた。
自分が泣いているのだと理解するまでに、しばらく時間がかかってしまった。
 
「泣きそう…やなくて泣いとるし」
 
本番がもうすぐだというのにプロ失格だ。
ははは、と少し笑ってみるが、やはり駄目だとれいなは思った。
笑っても楽しくなんてなれるわけがない。
 
176 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:05
 
この想いは一体どこへ置いてくればよいのだろうか。
 
泣いたのなんていつぶりだろう、と考える半面。
ちらりと見た絵里の後ろ姿が、頭に張り付いて消えなかった。
 
177 名前:過去の勝敗 投稿日:2009/04/24(金) 02:06
end.
178 名前:_ 投稿日:2009/04/24(金) 02:08
 
179 名前:_ 投稿日:2009/04/24(金) 02:09
 
180 名前:まりも 投稿日:2009/04/24(金) 02:14
コメントレスです
 
>>162 名無飼育さん
リアルなさゅぇりを追求してみましたw
こちらこそコメントしていただいてありがとうございます。
181 名前:まりも 投稿日:2009/04/24(金) 02:17
というかすみません。田亀じゃないですねw
道亀←田でした。
182 名前:名無し飼育さん 投稿日:2009/04/26(日) 23:46
今更ですが亀重サイコーですね!!!
続編期待しています。
亀ちゃん1推しなのでまりもさんの小説が楽しみです!

リクエストを一つ。小春との絡みも見たいなあ、なんて。
いつもはぽけぽけなのに小春の前では無意識にお姉さんになる亀ちゃんとかどうですかね?
183 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/17(日) 14:23
リクエストなんですが・・ガキ亀とか・・。
いつも通りのガキさんと絵里で。
でも,時々素直になるガキさんとか見てみたいですねー
184 名前:まりも 投稿日:2009/11/30(月) 21:00
お久しぶりですまりもです。
生きてます。
長らく更新停止していて申し訳ありませんでしたorz
色々落ち着いてきたので戻って参りましたが、今後も更新速度は亀より遅いと思います。
それでも頑張って綴っていきますので、暖かく見守ってやっていただければ幸いですorz



レス返しです。

>>182 名無し飼育さん
ありがとうございます嬉しすぎます。。。

リクエスト了解です!
亀井さんと久住さんのお話は追々書こうと思ってたんですよ〜
さすがのえりりんも小春の前ではぽけぽけ出来ませんもんねw
気長にお待ちいただければと思います。。。

>>183 名無し飼育さん
リクエストありがとうございます!
ガキカメ了解しました。
自然体な2人なら書けると思います。
こちらも申し訳ないですが、気長にお待ちください。
185 名前:まりも 投稿日:2009/11/30(月) 21:05
久しぶりに更新します。
道亀。

最近さゆえりばかりですw
186 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:12



好き。
好き。
好き。

やっぱり私。
絵里ぜんぶ、好き。



187 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:15




「うはぁ〜きもち〜」
「もう!くにゃくにゃしないでよ」


この亀井絵里という人は、しょうがない人だ。

ずっと昔からそうは思っていたけれど、最近になってとくにそう感じるようになったと思う。

今だって、突然私の部屋に押しかけてきたと思えば、いきなりマッサージして欲しいと言われた。
正直、今日は私も疲れていた。
それに明日ライブだってある。


それでもそんな絵里を部屋に通して、こうして要望に応えてる私がいたのは、きっと無意識。
きっと、私の中で絵里より優先するものなんて、ない。

それを「しょうがない」で済ませる私も私だけれど。
結局、私は絵里に甘いんだ。



188 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:17



「さゆ、もうちょっと右ー」
「はいはい」

「・・・今日さー、ちょっと張り切りすぎちゃったかも、絵里」
「夜公演とくにね」

うー、とか、あー、とか言いながら絵里は気持ち良さそうに目を瞑っている。

シーツの白に絵里の明るい髪。
整った横顔にオレンジがかかって綺麗だった。


「・・・可愛いなぁ」

「んー?」

絵里に聞こえないように呟いたつもりが、耳に入ってしまったみたいだ。
でも、言った内容までは聞こえなかったらしく、私は内心安堵した。


189 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:19

「なんでもないよ。えりりん」


なんだか、今は聞かれたくなかった。

いつもは「可愛い」なんて言葉、絵里に対しては「ありがとう」と同じくらい自然に言っている。
絵里が可愛いなんて当たり前だから。

でも何故か、今はそんな気分ではなかった。
本当になんとなく、だけれど。


190 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:22


「さゆみん」

「なに?」

今度は私が絵里に問う。
絵里は薄く目を開けて、どこか遠くを見ていた。

その姿はやっぱり可愛くて、私は素直に言ってしまいたくなる。
私は言葉の代わりに、少し強めに背中を押した。


「どっか、行こーよ」

絵里が言う。

「なに?飲み物ほしいの?」
「違くて」

いつか、遠いとこ。


無表情に近い静かな目だった。
その見覚えがある色に、私は瞼を閉じる。

191 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:25

時々、絵里は何を考えているのか分からない時がある。

ふとした休憩中だったり、楽屋だったり、収録中だったり。
そんな時の絵里は、なんだか話しかけてはいけない気がして、私はあまり好きではなかった。

私の知らない絵里の世界。
これ以上、入ってくるなと言われているようで、いつも私はその場から動けなくなる。


今の表情がそれと一致して、自然と眉間に皺が寄るのがわかった。


「・・・」

うっすらと目を開けると、横目で目線が絡む。
その瞬間、弾かれたように絵里が笑った。
それはもう、ふわふわしたマシュマロみたいな笑顔で。

192 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:27

「え?」

私は何事かと片方の眉を上げる。
それでも依然、絵里は笑い続けていた。

なんで、いきなり笑い出した?
理由を探すも、なかなか見つからず、ただ上から絵里を見ているしかない。

「さゆ」

そんな私に気付いたのか、絵里はまた横目で私の名前を呼ぶ。

――やっぱり絵里は笑ってる方が好き。
優しく緩む口元を見ながら、私はぼんやりと思った。


193 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:40


「ばぁか」

その言葉に少しムッとする。
絵里に言われたくない。
いくら心が広い私でも、それは聞き捨てならない。

なんて。
怒るなんて形だけ。
私も、絵里も。


「さゆは心配屋さんだねぇ」

よいしょ、と、絵里が仰向けになる。
私も流石にお腹には座れないから、膝で立つようにした。

さゆ。

私の名前と共に、両手を差し出された。


「いつもずっと、さゆのこと考えてる」

甘い、甘い。

「絵里は、さゆの絵里だよ。一生」

飴玉のような声が響く。

いつも何も言わなくても、絵里には分かってしまう。
普段はあんなにアホで適当なのに。
何故だろう。

194 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:46

「えーり」

「んー」

差し出された両手を取って、自分の頬に引き寄せる。
絵里の手は、あったかい。


それだけで、その言葉だけで、私がどれだけ救われるか、絵里は知らないんだ。


そして本当は、その言葉を伝えに部屋に来てくれたんだってこと、私は知らない振りをする。

私のことを知りすぎている絵里に、少しの抵抗。


それでも私は絵里に甘いから、
ありがとう。
大好き。
を一生あげる。

きっと、ずっと。



195 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:47


「さゆみも、絵里のさゆみ」

「一生?」

「一生」

「ほんと?」

「ほんと」

「絵里のこと、好き?」

「大好きだよ、ずっと」

ずっと。








end.
196 名前:甘く、 投稿日:2009/11/30(月) 21:48
end.
197 名前:_ 投稿日:2009/11/30(月) 21:50
 
198 名前:_ 投稿日:2009/11/30(月) 21:51
 
199 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/24(木) 00:12

本当にテーマどうり甘いですねぇ♪

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