online
- 1 名前:Norway 投稿日:2008/02/27(水) 13:42
- Thank you sooooo much!.
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/02/27(水) 18:52
- ・
- 3 名前:遠野 投稿日:2008/03/18(火) 02:26
- このスレ、いただきます。問題がある場合は御教示ください。
もう少し書き貯めてから発進したかったのですが、
諸々の事情より始めます。読んでいただければわかる事情です。
- 4 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:27
-
ああいつかは 幸せが来るわ
そうじゃなけりゃ 不公平すぎる
- 5 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:27
-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 6 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:28
- 全くもって不公平すぎる。
理不尽なことが起きるのが当たり前、それがルールの芸能界。
そりゃよくわかっとる。
美が絶対の基準である一方、それが人気には直結しない。
どう見ても処女性を期待されてないメンバーも、デートしてればクビ。
歌もダンスもピカ一、ルックスだって飛び抜けてても文句ばっか言われる。
ちょっとくらい、うまく話せないのがなんだっちゅーの。
飯田さん、美貴ちゃん、そして自分自身の顔が巡る。
高橋愛というありふれた名前。
それに対して、道が重いとかクッスミとか石川梨華とか、
なんと華のある出来すぎた名前のメンバーばかりが集まってることか。
芸名をつけずに基本的には本名で通すハロープロジェクト、
よく自分が入れたものだと思う。
この平々凡々に突き抜けているところが却ってよかったのか。
つん公の考えることはいまだにわからない。
あーし、歌もうまいし、ダンスもできるし、バレエの基礎すらある。
あまりにも他のメンバーとは違いすぎる。
違いすぎるのだ。
- 7 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:28
- なんで自分が選ばれたのか。
オーディション合格後は、喜びとともに噛み締めていたこのことば、
加入から数年後には落胆とともにつぶやくようになった。
なんでこんな泥舟に、こんな素人集団に、あーしを入れたりしたんじゃろ。
雪が降る午前5時、東京の朝。
高橋は、コタツに入って煎餅をかじり、牛乳を飲んでいた。
垣さんにもらった5期4人おそろいのマグ。
なにかにつけてゴキゴキ言って、こうしてお揃いなんて持って
仲良しっぽいことをするのが垣さんは好きなのだった。
いかにも垣さんが選びそうな、メルヘンっぽい白地の小さなマグ。
よくわからない人形のイラストが描かれている。
普段ならスタジオのゴミ箱に即捨てるのに、
その日は垣さんがタクシーに乗るまでぴったり着いてきたから
さすがの高橋も捨てられなかった。
いつも捨ててること、気づいてるんやろか。
んなわけないか。んな繊細なわけない。
- 8 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:29
- 雪は積もるほどではなく、地面に当たっては溶けていく。
いくら努力しても積もらない。
積もるものなどあるのだろうか。
あいつはもう、こんなん捨ててるんやろな。
今日で胡麻煎餅の袋も空いた。12枚食べるのに4日かかった。
高橋は牛乳を飲み干して、マグを煎餅の空袋に入れると、
ゴミ箱にためらいなく放り込んだ。
不公平すぎる。
あーしだって。辞めたいのに。
しかし辞めたその先がないことは高橋が一番よくわかっていた。
他のメンバーのように、芸能界に執着がないわけでもなかった。
鋭い視線の先には、おたふく顔の同期の復帰記事が載った新聞があった。
あーしが自分を生かせる世界に行ける日なんて来るのだろうか?
このおたふく野郎のように。
救世主とでもなんとでも言われるがいい。
なんと言われても彼女は動じない。
神扱いされようと、未練なく、またすぐにいなくなる。
鉄の女の決心は変わらない。
ああいつかは幸せが来るわ。そうじゃなけりゃ不公平すぎる。
- 9 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:29
-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 10 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:30
-
夕日に黄昏 孤独が似合うわ
- 11 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:31
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
有能な者だけに孤独は許される。
無能であれば群れるしかない。
群れて数で無能さを相殺するしかないのだ。
「本当に老けたよね〜」「太ったんじゃない?」
喫茶店で、ファッションビルで、そして今のようにタクシー乗り場の列で、
ときおり自分の噂を耳にするとき。
いつだって「昔はよかったよね」と結論づけられる。
雪が降る午後4時。雪のせいで、夕日なんて見えない。
足を失った人たちが並ぶ列はちっとも進まない。
こんなに寒いなんて。
やっぱり寄り道なんてしないで、スタジオから直接帰ればよかった。
またこんな嫌な話聞いちゃうし。
顔見てやろ。なんだ、どっちも全然かわいくないじゃん。あんたたちのが老けてるっての。
デブ。ブス。一般人。猿顔女。
大きなティアドロップ型のサングラスのおかげで、まじまじと顔を見ることができた。
- 12 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:31
- もう世間のこんな反応には慣れていた。
今はわかってくれる人だけわかってくれればいい。
むしろ、一定数のわかってくれる人たちがずっとついてきてくれれば、
国民的アイドルでなくても、小さなライブハウスで歌うような女であってもいいのだ。
世間がそんなの許さないだろうけどね。
私はアリーナが似合う女なんだ。
だって松浦亜弥なんだから。
こうした噂は聞いて決して気持ちがいいものじゃないけど、
それでも噂をされるだけ、無能な群れとは違う。
群れの一人がどんなに太ろうと老けようとおかしなメイクをしようと、
誰も噂なんてしないから。
悪評やデマという最低限のスタートラインにすら立っていない。
無能な群れ、略してMM。
別に自分は「娘。さん」に悪意を抱いているわけではない。
競争心を伴って見下しているのともちょっと違う。
関心すら持っておらず、
「うんうんがんばってるね」といつでも温かく、
萌えさせる技術だけはキャバ嬢以上の幼児たちを眺めている。
- 13 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:32
- 携帯電話が震え出す。
「もしもしー、あやちゃん?」
「あ、たん。どうしたの」
「あのさ、今から会えない?」
暇なんだな。彼女は群れの裏ルールに反して彼氏を作り、
デートして、それが世間にばれたから謹慎中。
「ごめん、今日無理だわ」
「そっかー。いつなら空きそう?」
「ちょっとしばらくは予定立たないわ」
「んー」、忙しいんだね、と言おうとして、言い留まった空気。
「なにかあったらメールして、今ちょっと急いでるから。じゃーねー」
別に用事なんてなかった。
ようやく順番が来て、タクシーに乗り込む。
車内は暖かすぎて、冷え切った身体に鳥肌が立つ。
- 14 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:33
- たんとことさら仲良くして、自分以外のハローの子と仲良くさせないようにするのは、
孤独すぎても困る部分があるから。
囲い込んで「親友なんです」と言っておけば、
一人と仲良くするだけで済む。あんまり余計な交流はしたくない。
でも友達は選ぶ必要がある。
まず歌えない奴はいやだ。可愛くないのも自分とは並べない。
萌え系の子と仲良しごっこするのはもっと疲れる。
群れの一人っていうのも嫌。
本気で接するつもりはなくても、条件は気づくとたくさんあった。
そこにうまくはまったのが藤本美貴だった。
お互いに暗黙の了解の上、他の追随を許さないくらいに仲良しアピールをして、
これで面倒な悩みが一つなくなった。
テレビや雑誌で話題に困ったら「お友達の美貴ちゃんと買い物に行ったとき…」と
エピソードも作れるし、ハロー内のイベントでも一人じゃないし、
友人関係はもうこれで完結できる。
- 15 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:33
- たんは思っていたよりも私を好きになってくれてるみたいだけど。
心のどこかでたんのことは見下している。
確かに歌は上手いけど、本当はもっと上手くなれるはず。
でもたんは歌を上手く歌いたいという気持ちがない。
誰かに届けたいなんて思ってない。
数年後になりたい自分のビジョンもない。
その日を楽しく過ごすことしか考えていないのだ。
GAMのツアーを回ることで、より明確に自分との差を感じた。
プロ意識という点で松浦と藤本は全く分かり合えなかった。
それはお互いがソロの時代には分かち合えた向上心だった。
群れは、有能な人をも無能に変える。
たんがもしソロのままだったら、彼氏ができてもあんな不用心なことはしない。
たんがもしソロのままだったら、歌への気持ちを忘れてなかった。
たんがもしソロのままだったら、ファンがいることの意味を考えていた。
今回のスキャンダルだって、
雑誌に出る前に止めてくれと事務所へ必死で頼んだだろう。
たんは止めようともしなかった。
- 16 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:34
- 身体が温まってきたことで心にも余裕が出てきたのか、
松浦は藤本に少しだけ同情した。
珍しく積もりそうな雪を見てホームシックで感傷的になって
限界来たのかな。それで連絡してきたのかもしれない。
――群れを離れたくてあんなことしたのかな。
いや、そんな頭があるとは思えない。
だって、一人になる前にこの世界から抹殺される可能性だってあるんだから。
単にもうどうでもよかったのだろう。
この先、たんが芸能界を引退したら友達を続けるかどうか
ちょっと迷っている。
藤本がプロ意識の無さの帰結として痛い目に遭ってる今、
もし本人と会いでもしたら、
藤本のことを心のどこかで完全に拒絶し、その考えを見下していたことを
松浦は隠し通せる自信がなく、もはや隠す気も失いかけている。
- 17 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:35
- たんが芸能界引退したら。
もう友達でいるメリットもなくなる。
こんな気持ちを隠す必要もなくなる。
タクシーは松浦を、自分の男の元へと運ぶ。
雪はいつの間にか激しくなり、窓から見ると横に流れているように見えるほどだ。
藤本から連絡が来たのは、二人のツアーが終わってから初めてのことだった。
ツアー中に自分の心を見透かされたのかもしれない。
それならそれでいい。
すでに、たんと仲良くするメリットは失われている気もしないでもないから。
自分にどう連絡するか迷っている姿が目に浮かぶ。
人生で初めてってくらい暇な毎日、
きっと何度も電話をかけようとしたことだろう。
最後には迷うのが面倒になって携帯を放り投げる。
簡単に想像がつく。
たんには本当は能力があるのに。
その能力を生かそうと努力しないのは馬鹿げたことだ。
たんは馬鹿だ。
- 18 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/18(火) 02:35
- たんには孤独が似合うのに。
あの子だって私と同じように。
タクシーのラジオから、MMの新曲が流れてきた。
ふーん初めて聞いた。
自分の曲がかかっているのを偶然耳にすることは
ここ数年全くなかった。
この曲、たんがいればもっと映えたんだろう――。
たんには本当は能力があるのに。
たんには孤独が似合うのに。
あの頃の藤本に会いたい。
雪が激しくなる一方、東京、午後4時40分。
一台のタクシーが、行き先を変えて走り始めた。
- 19 名前:遠野 投稿日:2008/03/18(火) 02:36
-
今回はここまでです。
- 20 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/18(火) 04:01
- 好みな感じ
楽しみにしてます
- 21 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/19(水) 01:04
- 良いね
- 22 名前:toono 投稿日:2008/03/22(土) 19:55
- まず、訂正から。
「夕日に黄昏 孤独が似合うわ」ではなく、
「孤独『に』似合うわ」でした。
たいへん失礼いたしました。
レスをくださったお二方、ありがとうございます。
数行の文字を何度も読み返しました。
再開です。
- 23 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 19:55
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ああいつかは 幸せがくるわ
出会うための 準備する期間
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 24 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 19:56
- 「高橋、この後ちょっと残って」。
テレビ収録後のちょっとしたインタビュー。
新たにリーダーとなった自分に、そういう雑多な仕事が
振られることが増えてきた。
ま、ええけど。もともとあーしが顔みたいなもんやったし。
なんの嫌味もなく、自分を過大評価するでもなく、高橋はそう思っていた。
実際、リーダーになる以前から、
メンバーが選抜される場面ではいつも高橋愛は選ばれていた。
今日も自分たちには全く関心のないインタビュアーが、
聞いたことのない新曲について質問をひねり出してくる。
視聴者からの期待はもはやなく、音楽について語ることばも持たず、
唯一需要のあるゴシップについては質問禁止。
そんな自分たちになにかを質問をしろという方が無茶だと高橋は思っていた。
だから高橋は、どんなインタビュアーにも比較的寛容だった。
- 25 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 19:57
- 新しいリーダーとして、娘。をどんなグループにしていきたいですか?
あーしらにそんな決定権がないことはわかっとるんやろ。
新生娘。ならではの、新曲の聴かせどころはどこ?
肝心な部分は、あーししか歌っとらんのに。
そんな答えようのない質問にも、まじめな小学生のように実直に答えた。
「アットホームなグループにしたいです」
「バカ、バカって連発しているところとか、迫力が出るようにって
思いを込めて歌ってます」
「新しいグループになって、ますます歌とダンスに磨きをかけて、
これからも私たち、がんばっていきますので、
皆さんに楽しんでもらえたらいいなと思います」。
深く考えずに出てくる答えは、決して口にはしなかった。
- 26 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 19:58
- その甲斐あって、インタビューは滞りなくすぐに終わった。
いつも通りのこと。
「雪、積もってないみたいでよかったですね」
インタビュアーに、なんとなく話しかけてみた。
いつもならしないこと。
「でも、夜には積もるみたいですよ」。
帰り道気を付けてくださいね、と付け加えて彼女は、
仕事中の笑顔を崩すことなくそつなく返してくれた。
インタビューが終わると自分とは一言も口をきかずに
帰る記者が多い中、こうしてなにげない普通の会話をできたことに、
高橋は久々に自分が一人前の人間扱いされた気がした。
夜には積もるみたいですよ。
そう言った若いインタビュアーは、差し入れのマカロンを置いて
慌ただしく部屋から消えていった。
ほんとーに積もるんかいな。
積もって、そこら中めちゃめちゃんなって、
東京麻痺して、今日この後は休みにならんかな。
そしたらなにしよ。家帰って。こたつで煎餅、で、DVD。
いつもと同じやな。
- 27 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 19:58
- スタジオの窓から外を見ても、とても雪の積もる気配はない。
今、ちょうど気温の高くなる時間だからなのか、
白いかたまりは地面に打ち付けられ、あっさりと消えていく。
粉砂糖のように景気良く降っているわりには、
ちっとも地面に反映されていない。
水たまりに入って溶けて、自爆しているかのようだ。
自爆。自縛。自縛のひも。もーにんぐむすめ。
つらい連想ゲーム。
「アットホームなグループにしたいです」。
何百回と言ってれば、上のおっさんたちの会議に「アットホーム」って
言葉が出てくる日も来るんやろか。んなわけない。
「歌とダンスに磨きをかけたいです」。
練習を続けて耐えて磨かれた自分は、ほんとうに輝くようになるんやろか。
ここでは磨きをかけても何の意味もありゃせんのに。
この場所ではそういうことは必要とされとらん。
- 28 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:00
- 自分が積み上げていかなければならないものはなんなのか。
努力なんてすぐに地面に叩きつけられて、溶けてしまうのに。
「なんとなく芸能界にいる」という時間をひたすら積んでいけば、
それが未来の旅番組とか地方の営業とかにつながっていくんだろうか。
そのために今があるのだろうか。
そのために昔の自分の、曇り無い夢があったのだろうか。
東京、正午、拭えない閉塞感。
高橋にとって今このときは、夢を実現しているときでも、
夢に向かって準備している期間でもなかった。
なんのステップにもなっていない冬眠期間だった。
何年も塞がっとると、塞がっとることにも気づかんくなるもんやな。
気にならなくなるもんやな――。
高橋は、行き場のない思いにまかせてマカロンをかじる。
煎餅に比べると、あまりの歯ごたえのなさに
力の抜ける思いがした。
第一、甘い。
情けない顔で窓の外を見ると、同い年の松浦亜弥の姿があった。
- 29 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:00
- ああ、今日はもうここ出るんやな。
顔を合わせなくてよかった、とふと思う。
同い年。松浦亜弥。高橋愛。
あまりにも並ばない、いろんな意味で。
この世界でうまく自分が生かせるあやちゃん、
この場所で充分「足りている」あやちゃん。
自分の目指す方向、力量、場所が全て合致しているように見える。
最初はアイドルやりたくて、アイドルやって、
次はアーティストやりたくなって、アーティストやって。
それでも羨ましいわけじゃない。
自分は、能力がないわけじゃなく、むしろ松浦より有能だが、
その場が見つからないだけなのだ。
有能すぎるゆえに、向いている方向がほんの少し違うがゆえに、
この場では充分に輝けないだけなのだ。
自分にはこの場所じゃ「足りない」。
- 30 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:01
- でもどこなら足りるのか、それがわからない。
探しているわけじゃない、ひたすら待っているだけの期間。
いつか、いつか自分のいるべき場所が見つかるはず。
自分が積むべきものが見つかるはず。
出会いたい。
それでもただ、今は眠っていることしかできない。
高橋は、雪が積もって欲しいと願う一方で、
積もるわけない、積もってたまるか、とも思った。
積みたい、積もりたい、積もってほしい、
積もらない、積もるはずがない。
眠っていたい、起きたくない、出会いたい、
起きたい、でも起き方がわからない。
ああいつかは、幸せがくるわ。
そうは言っても、
なにが自分にとっての幸せなんだろう。
- 31 名前:toono 投稿日:2008/03/22(土) 20:02
- 迷える高橋編でした。今夜はこれにて。
- 32 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:40
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
涙は 見せない
誰にも 見せない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 33 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:40
- 別に強がっているわけじゃない。
泣かないことは簡単だ。
だって、本当につらいことは
もっと後になってやって来ると知っているんだから。
それがどんなものかはわからない。
それでも、今が一番つらいなんてわけないし、
泣くに値する現実なわけがない。
どうしてかずっとそう信じて生きてきた。
つまり小春にとって、「今」あるつらいことは、
「未来」に起きる超つらいことの予兆的できごとでしかなかった。
- 34 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:41
- 今日もつらいことなんてなかった。
仕事の終わった更衣室。お菓子の空き袋が散らばっている。
ああ、今日もまた怒られた。ああ、今日もお菓子食べちゃった。
「小春ちゃん、泣かなくて偉かったねー」。
ダンスのレッスンで集中砲火を浴びた小春へ、道重さゆみが話しかけてくる。
ほじくり返すんじゃねえと言いたくなるが、一応フォローのつもりらしい。
そういう道重さん自身も、人前では全然泣かない。
昔はしょっちゅう泣いていたと新垣が笑い話をする。
先輩ぶってるけど、新垣さんの方がよっぽど泣いてたんだろうなあ。
「家では毎日泣いてるんですよ、お風呂に入って、鏡見ると
ダーって泣けてくる」。
目の入浴みたいなもんだけどね。
本人目の前にして「泣かなくて偉かったね」なんて、
「そんなことないんですぅ」って号泣パターンを期待されてんのかな?
と一瞬思ったが、今のところ「ふぇーん」しか嘘泣きレパートリーがないのでやめた。
あのときや、そのときの涙が嘘だってばれちゃうし。
- 35 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:42
- 「ふーん、それでも偉いよね」
「うん、小春は偉い」
わー、なんか褒められてるよ。ま、確かにあたしは二人より偉い。
今度は「そんなことないですぅ」の期待を読めなかった小春は、
ただヘラヘラと笑ってその場をやり過ごした。
稽古場から外に出ると、雪が積もっていた。
でもタクシーだから関係ないもんねー。小春リッチ。
雪を乱暴に踏みしめて、ドスドスと歩いてタクシーへ乗り込んだ。
- 36 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:42
-
ダー。
風呂場のドアを閉じ、鏡を見た瞬間に滝が流れ出す。
小春の目にも涙。ダー。なんで泣いてんのかなあたし。ダー。
あー、あったかい。やっぱさすがに寒いねこっちも、雪ふると。
大量の涙を流しているうちに、なんだか悲しい気持ちにもなってくる。
悲しいよう。あたし、泣いてるよ。
気がつくと小春はしゃくりあげていた。
わーん、わーん。
鏡の中の小春は、「なんであたし最近こんなに可愛いんだろう?」と
思わせる小春と全く同じ顔で、それでもなりふり構わずに泣いていた。
わーん、わーん。
あー、あたし泣いてても可愛いわ。ってか、すごい泣きだわ。
映画出られるかも。実写がいいなあ。
よくこんなに泣けるもんだなあ、あー、おかし。
気が付くと小春は、声を上げて笑っていた。
あー、おっかし!
浴室に笑い声が響き渡っていた。
- 37 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:44
- ヒー、ヒー、お腹が痛くなるほど笑うと、百面相にも気が済んだのか、
一転してキリっとした顔に戻って小春は風呂場を後にした。
あったまった。疲れがとれた。今日も寝よ。
東京、深夜0時。
日付が変わると同時にきっかり寝るのがマイブームの久住小春は、
髪を乾かすのも半ばにして急いで寝床についた。
ああ、今日も間に合った。
別に、怒られたのが悲しくて泣いたわけじゃないもんね。
先生、小春が憎いわけじゃないし。
それでいて小春、できない子ってわけじゃないし。
やればできるから、できるようになればもう怒られない。
だから別に小春自身が怒られたわけじゃなくて、
ダンスができない小春が怒られただけなのだ。
それは全然泣くようなことじゃない。
「小春が」怒られるのに比べれば。
- 38 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/03/22(土) 20:45
- 泣かないのなんて簡単。疲れを貯めないのも簡単。
アイドルって、なってみるともてないもんだなあ。
村の学校ではよく告られたのにさ。
「ファンの皆さん」は色々買ってくれるけど、
デートに連れてってくれるわけじゃない。
家の前で待ち伏せはしても、校舎の裏にも呼び出さないし
不意打ちのメールでドキドキさせてもくれない。
もっともてると思ってたのに。おかしいなー、
どうすればいいんだろ? あれ、あたし誰にもてたいんだろ?
娘。のメンバーの誰にも共有されない悩みを抱えながら、
小春はことんと眠りに入った。
- 39 名前:toono 投稿日:2008/03/22(土) 20:45
- 今日はここまでです。今度こそ。
- 40 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/03(木) 20:31
- 面白い、クセになりますね
続き楽しみに待ってます
- 41 名前:とおの 投稿日:2008/04/19(土) 22:06
- こんな底辺スレッドを読んでくださってありがとうございます。
毎回ヒヤヒヤしながら更新していますが、
感想をいただくことがなにより励みとなっています。
今週中には更新します。
- 42 名前:とおの 投稿日:2008/04/26(土) 22:51
- ギリギリ「今週」のうちに更新します。
- 43 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:51
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
許してやるなんて
バカね バカね バカね
どうしてあの子に取られちゃうの バカね
やっぱ涙ね
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 44 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:52
- もしもし? 今? 大丈夫だよ。待ちで今暇してたよ。
どこにいるの? あ、家から?
そっかー、今日もう学校終わったんだ。お疲れ!
うん、うん。うん。今度のオフ、そうだよ水曜日!
ちゃんと焼きおにぎりの練習したからね、楽しみにしてて。
うん?
うん。
そっかー…そっか。わかった。しょうがないって。うん。いいよ。
うん、うん、じゃあまたね、はーい。
「私、モーニング娘。なんだよ。悪いけど忙しいんだよ。
オフだってダンスとか歌とか練習したいけどさ、必死の思いで空けてるんだよ」
「大学生なんて超暇じゃん。そんなサークルの女の子の
誕生パーティーなんてさあ、日にち変えてやればいいじゃん」。
言いたかったけれど言えなかった。
新垣里沙は、いつもこういうときにことばを飲み込んでしまう。
下手をすると「誕生日は年に一回しかないもんね」というフォローすら
入れかねないところだった。
一番言いたかったことばも言えなかった。
「彼女とどっちが大事なんだよ!」
- 45 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:52
- また今日もハロモニ収録か。最近ほかの仕事って言ったら、ラジオ、リハ、
ときどき雑誌の取材、ときどき声優、コンサート、コンサート、コンサート。
全盛期って本当に「全盛」だったな。
忙しくて毎日なにをしていたのか覚えていない。
今は自分自身が成長したこともあって余裕を持ってできるけど、
余裕がある分、余計なことも考える。
彼氏もできた。
「がーきさん」。
同い年だけど後輩、最近の仲良しごっこの相手、亀井絵里がくっついてくる。
今日もかわいいねー。あんたも私もどんどんけばくなる一方だね。
亀井は最近エビちゃんを意識しているらしく、アイメイクが変わった。
この子の場合、趣味が変わる理由が男なのかそれ以外なのか、すぐわかる。
- 46 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:53
- 「かめ〜。そのアイラインいいね、がっつりだね〜」
「でっしょー。もうね、止めどころがわかんなくなる」。
そう言いながら止める気なんてさらさらない様子の亀井に、
新垣は一瞬だけ思う。
ああ、なにげなく言ってみようかな、約束またすっぽかされたって。
その考えは文末までいかない間に撤回される。
いやいやいや、無理。無理だね。
うまくいってないなんて思われたくないし。
サブリーダーなんだから、彼氏いるっぽいけどうまくいってる、
うまく隠してるって皆に思われないと。
- 47 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:54
- モーニングの中では、男の話題は禁句だった。
誰もが年頃の娘を持った父親のように、直接その点を突っ込んでくることはなかった。
そして誰もが、彼氏ができても隠しこそしないが、相手の素性や
付き合いの様子を知らせることはしなかった。
全員が父親であり、全員が秘密を持った娘だった。
「男女の付き合いなんてものはこの世にはありませんよ」という
態度を取ることで、女だらけのアイドル・グループは
仕事の場としてなんとか維持されていた。
もちろん、それでも仲のよいメンバー同士だけで会えば、
「○○ちゃん、どうなってんのかなー」
「やっぱ新しくできたんじゃない?」
「▽▽のとこはもう終わったって」
「えー、まった早いね!」
などと他のメンバーの噂や憶測をしあい、
時には自分の彼氏のことをあけすけに打ち明けることもあった。
- 48 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:54
- 亀井も新垣になにもかも話していた時期もあったし、
今もそれとなく情報を流してくる。
さらに仕事の上でも、自分の立ち位置がわからないと言って
泣きながら新垣に相談してきたこともあった。
そういう風に、亀井が真剣に仕事のことを考えてくれているのが嬉しい。
頼られるのも、なんでも話してくれるのも嬉しいことだ。
でも自分のことは言いたくない。
自分は仮面をかぶったまま、相手が自分をさらけ出してくれると
なぜか新垣はほっとするのだった。
私はちゃんとサブリーダーを務められている。
グループに貢献している。
- 49 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:55
- 後輩たちよりも数倍も気を遣って収録が終わって、
あとはダンスのレッスンが夜まである。
インタビューのためにリーダーの高橋だけが数十分抜けた。
ああ、なんで私じゃないんだろ。
いつものように思うが、もう何年も考えるたびに至る結論、
「愛ちゃんだからな」と諦める。
レッスン中。ダンスを覚えるのは苦手じゃない。
むしろそこそこ早い方という自信がある。
怒られ、何度もやり直すメンバーに丁寧に教えてやる。
あーあー、またカメ間違えて覚えてる。
小春も創作ダンスになってる。
さゆみんは「間違えて覚える」域にもまだ達していない。
同じ振り付けのはずなのに、それぞれ全く違う動きをしている。
- 50 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:55
- みんな、奔放だなあ。
なんで私、こんなに何もかもにがんじがらめなのかね。
振り付け通りにしてんのに、理想の彼女っぽくしてんのに、
サブリーダーっぽくしてんのに、なんでだめなんだろ。
ふと彼氏の行いを思い出し、いっそのこと泣きたくなる。
だめだめだめ。帰って泣こう。帰って。
唇かんで、と心に決めたままレッスンが終わる。
最後に先生が「あ、そうだ、新垣ちょっと」と呼び止める。
皆は新垣を気にしながら、出口付近にたまって
スポーツドリンクを飲んでいる。
- 51 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:56
- 「なんですか?」
私は愛ちゃんじゃないから。一人だけ仕事とかじゃないから。
と思いながらも、どこか期待。
「あのさ、この前のリハのとき言い忘れたんだけど、
この曲のここ、亀井が歌うことになったから」。
時間が止まった。
- 52 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:56
- 「この曲」とは、かつて高橋と藤本のツートップが中心となって
会場を盛り上げた曲だった。
藤本なき後、高橋と新垣による、ツートップとは言えないが
「グループの頭」である二人が、客を盛り上げる曲となるはずだった。
なんで。なんで。カメなのに。納得できない。
カメは、愛ちゃんじゃない。
ダンスだって私の方がちゃんと覚えるし、声だって
合ってるのに。
口には出せなかったが、察したように先生が言う。
「新垣が悪いわけじゃないから」。
じゃあなんでだよ。
なんでだよ。
- 53 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:57
-
また、言えなかった。
- 54 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:57
-
着替え終わった後、トイレで一人で泣いていると、あろうことか亀井がやって来た。
「がきさん……泣いてるの?」
泣いてるよ。
「どうしたの? さっきの先生、なんか言われたの…」
言われたよ。
「がきさん泣いてると、絵里も悲しいよ」
なぜか亀井が泣き出した。こっちが泣きたいわ。
あんたの顔、今一番見たくない。
そう思いながら、新垣は亀井が泣いてくれたことに
不思議とほっとしていた。
あっという間に涙は止んで、亀井をなだめるのに必死になった。
結局新垣が泣いていたことなどすっかり忘れた亀井と別れ、
ようやく一人になってタクシーに乗り込む。
なんでカメなのかな……。新垣はまた考える。
- 55 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:58
- ああやって人前で悩みをさらけ出して、平気で泣ける奴が
結局は残っていくのかね。
なにを考えてるんだかさっぱりわかんないけど、
生き残ってる奴もいるけどね。
もちろん高橋である。
もうどうでもよくなってきて、ぼんやり外を眺める。
- 56 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/04/26(土) 22:58
- 携帯が鳴る。メール。
水曜日、サークルの女の子の誕生パーティーというのは本当。
でも皆でというのは嘘。二人でお祝いしたいと思っている……
といった内容が、臆面もなくつづられていた。
ふざけんじゃねえよ。
ああ、やってられない。でもこうなることも、どこかでわかってた。
やっぱり泣けるもん、泣いたもん勝ちなのかね。女って。
くだらね。
- 57 名前:とおの 投稿日:2008/04/26(土) 22:59
- 東京、午後十一時。
好き勝手に降る雪を見ていると、ますますどうでもよくなってきた。
くだらね、くだらね、くだらね。
それでもいい、愛ちゃんじゃないけど、
人前では泣けないけど、皆に自分は出さないけど、
私はそれでいい。
彼氏やパートを失っても、それでも。
涙は見せない
誰にも見せない
強がりばかりでかまわない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 58 名前:とおの 投稿日:2008/04/26(土) 23:01
- 本日は以上です。
- 59 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/15(木) 03:37
-
久しぶりに
続きが読みたい話に出会いました。
いい意味でリアルで痛い。
- 60 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/24(土) 22:48
- これ全部つながってるんですかね
- 61 名前:とおの 投稿日:2008/07/07(月) 06:02
- どなたか作者wikiに追加してくださった方ありがとうございます。
目標の一つだったので嬉しいです。
>>59
ありがとうございます。
また少しずつ更新していきたいと思います。
>>60
明確なつながりはただ一つ、「女に幸あれ」の歌にのっていることです。
あとは読者の判断におまかせします
- 62 名前:とおの 投稿日:2008/07/12(土) 21:47
- このスレッド、沈みに沈んでいますが、
再開します。
- 63 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:48
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ああ どこかで
待っててください
女に幸あれ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 64 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:48
- 恋愛至上主義ってほど、男の人にははまれない。
ましてや、結婚だけが女の幸せなんて思わない。
それでも――白馬に乗った王子様が来てくれたらいいのに。
そうすれば、この修行の日々から抜け出せる。
王子様とお姫様は永遠に仲良く一緒に暮らしましたとさ、じゃなくていい。
ぱーっと拾って走ったら、後はもうさゆみのこと、
森に捨てていってくれれば、それでいい。
道重さゆみは、ダンスレッスンのほんの10分の休憩時間、
トイレの個室にこもっていた。
いつも持ち歩いている、大きなハート型の鏡の杖の部分を
両手でぎゅっと握りしめて。
- 65 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:53
- ここから連れ出してさえくれたら、さゆみ、それ以上は望まない。
こんなに慎ましい望みなのに、なんで叶わないんだろう。
でも今のさゆみにとっては、慎ましいけど一番贅沢な望みかな。
ああ、外に出たくないな。
きらきらしたハートの中の表情が曇る。
それでも目だけはぱっちり見開いている。
眉が下がって、子犬のような、媚びた女そのもののような。
アイドルって、本人やその周囲から色んな定義されるけどさ。
垣さんなんて、よくアイドル論かましてくるけどさ。
アイドルって、ただいつだって目を見開いてることだ、とさゆみは思う。
できればうるうるとした涙目で、黒目はどこまでもつややかに。
- 66 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:54
- ダンスも歌も嫌いじゃない。むしろ好き。
歌はうまく歌えないって、もうさすがにわかっているけど、
ファンがそういう技術を求めてるんじゃないってこともよくわかってる。
ダンスだって、ファンの人たち自身が踊れればそれでいいって思ってるんだし。
自分がここにいちゃいけない、とはもう思わない。
- 67 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:55
- 娘。に入ったばかりの頃は、道重は今と同じようにトイレにこもって、
よく泣いていたものだった。
今と同じように、いやそれ以上に、レッスンに戻りたくなかった。
できれば山口に帰りたい、ともよく思っていた。
自分が娘。にいることがとてもつらかった。
最近では全くそれはなくなって、諦めにも似た感情で、
レッスンを、アイドルであることを、音痴である自分を、ダンスの覚えの悪い自分を
全て受け入れている。精神の低空飛行が道重の日常となっていた。
- 68 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:56
- 昔はむしろ、娘。というグループは「さゆみがいてもいいのかな?」という場所だった。
今では引け目を感じるような場所ではなく、ただ単に
一人の若い社会人として自分が鍛えられる場所だと感じるようになった。
レッスンは、自分がここにいてもいい存在になるための鍛練の場から、
苦手なことに挑戦する修行の場へと変化した。
いくらダンスや歌をがんばっても、娘。の中にいる自分という存在は変わらない。
自分のグループ内での位置づけも変わらない。
ただ、できないことや苦しいことを頑張れば、ここに居続けることはできる。
その修行を止めてしまえば、とたんにその世界は終わる。
上昇することではなく、ただ頑張り続けることだけが求められているのだ。
- 69 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:57
-
あとは簡単だった。
「もっと、もっと」と上にではなく、「このまま、このまま」と常に受け入れていく。
本当は歌いたい。本当は踊りたい。でも、とにかく毎日を受け入れてこなす。
だめな歌、だめなダンス。それが今の自分。これからもその自分。
そうやって道重が自分自身から離れていけばいくほど、
ここにいることは楽になった。
自分からの離脱と、環境を受け入れる方法を覚えたら、なぜか
チャンスが転がってきた。ラジオ番組に出ることが増え、
音楽番組でのトークも、ほとんどまかされるようになってきた。
そんなとき、自分でも与えられた役割をきちんと果たせているという実感がある。
娘。に入ってから、初めての感情だった。
- 70 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:58
- さゆみは、ここならできるんだなあ。
自分がなにをすればいいのか、どんな振る舞いが
求められているのか、「普通に」わかる。
むしろなんで皆があんなに頓珍漢なのか、それが逆に不思議だった。
特に、いつも羨望のまなざしで見つめていた高橋が
ひどく「わからない」のが全く理解できなかった。
うーん。愛ちゃんに教えてあげたいくらい。
でもきっとわからないんだよね、
さゆみが自分の声を思うとおりに発せないように、
自分の手足を、思い通りに動かせないように。
- 71 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 21:59
- 現状をひたすら受け入れて、がまんすること。
トークで思うままに話すこと。
自分からの離脱と、自分自身の発揮。
相反する二つのバランスの中で、道重はなんとか踏ん張っている。
ひたすら自分自身を顕示したいとは思えないし、
かといってその場がなくなれば本当に希望がない。諦め100パーセントである。
ここが自分の一生いる場とも思えないし、求められてだっていない。
それでも、もっと頑張りたいのか、今すぐやめたいのか、
どっちがいいとも言い切れないような矛盾が、毎日を取りまいている。
- 72 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 22:00
- 道重がそうした危うい日常を続けていけるのは、王子様の存在あってのことだった。
東京、午後二時、雪が積もり始めたことも知らず、
道重は鏡を見つめながらトイレの個室にこもっている。
王子様からはほど遠い姿である。
それでも道重は、世界の誰よりも強くその存在を信じていた。
- 73 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/07/12(土) 22:01
- それが男なのか女なのかもどうでもいい。
白馬じゃなくて豚でもいい。
なにかが、誰かが、さゆみをこの生活から連れ去る。
それはつんくの「イエイ!」の一言かもしれない。
いつか、その日が来るまで。
お姫様は、自分で逃げたりはしないから。
自分の脚では走れないから。道だってわからないから。
今はただ、その日が、あなたが、どこかで待っていることを信じているだけ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 74 名前:とおの 投稿日:2008/07/12(土) 22:06
-
本日は以上です。
- 75 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/13(日) 19:32
- さゆらしくてすごく良かったです
- 76 名前:とおの 投稿日:2008/09/14(日) 02:44
- >>75
ありがとうございます。
好きな分、さゆには歪んだ感情移入をしてしまっている気がしていたので、
「らしい」と感じていただけたことが嬉しいです。
もう「女に幸あれ」が出てから、一年を過ぎてしまいました。
以下で完結です。
- 77 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:45
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ああ そこまで 私が行くから
女に幸あれ 朝陽よ昇れ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 78 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:45
-
あーしは、「そこ」を探している。
どこまで行けばいいんだろう。
どこへ向かっていけばいいんだろう。
- 79 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:46
- おたふく野郎は、探して見つけた。
それはここには無いものだった。
亜弥ちゃんは、「そこ」に居続けながら、
なお次を探してそこへ向かい続ける。
亜弥ちゃんのいる場所は、常に彼女にとっての理想態でもある。
そういうところが「アイドルサイボーグ」。
美貴ちゃんは、明確な「そこ」を探しているのではない。
「ここじゃない」「ここでもない」って、消去法によってゴールを定めている。
ただ、そのストライクゾーンは広く、
「ここじゃない」という消去は最低ラインでしか行われない。
大体そのまま受け入れられる。柔軟なゴール。
- 80 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:47
- 小春は、生まれたときから「そこ」を持っている。
それは久住小春の中にしかない。
探しているように見えないわけだ。
なんらかのかたちとしてアイドル、アーティスト、大学生というものがあるのではなく、
「小春」の究極型は小春自身の心の中にある。
垣さんの「そこ」はここにしかない。
娘。の中でしか、辿り着けない。
- 81 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:47
- 絵里は、娘。が「そこ」だと信じる自分の心を疑っている。
でも、新しいゴールを設定したくないし、
やっぱりここをゴールにしたいという気持ちも強く持っている。
自分を完璧に騙すことが、ある意味ゴールになってきた。
「そこ」が真実でなくてもかまわない、それくらい彼女は大人だ。
さゆは、もう探してもいない。
絵里よりもずっとドライに、ここが自分にとって目指すべき場所
でないことを悟り、受け止めた。
そう、別に「そこ」なんて設定しなくたって、
そこまで行かなくたって、幸もあれば朝陽も昇るのだ。
未来に王子様という希望があれば。その希望は、ゴールじゃなくてもいい。
あーしは……。
- 82 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:48
- 高橋は、数センチではあるが積もり始めた雪を見ていた。
なんでこんなに、どこかへ行こうとし続けなくちゃならないんだろう。
ああ そこまで 私が行くから……
ああ そこまで……
小さな声で口ずさむ。午前二時の東京。
明日は雪が積もるかな。
- 83 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:49
- こんな歌い方じゃだめだ。
ああ、そこまで
私が行くから、
深夜ではあるが、思い切って大きな声で歌ってみた。
女に幸あれ、
朝陽よ昇れ
止まらなくなった高橋は、「女に幸あれ」を曲の頭から歌い始めた。
- 84 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:49
- 今は、あーしはこの歌を一人で通して歌うことは許されていない。
どんなにメインでも目立っても、グループの一人として歌う歌だ。
ここが自分の終の棲家ではないと感じてる。
でも他のグループで歌いたいとは思わない。
この歌は一人で歌うための歌じゃない。
そういう歌を、中学生の頃のように、みんなで歌う。
- 85 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:50
- ここは好きだ。
でも、どこかへ行かなくちゃ。
だってここは、どこかへ行く人たちが、少しの間
留まるための場所なんだから。
この歌だって好きだ。
でも一人では……。
それって、すごくつまらん。
- 86 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:50
- ああ、そうか、自分は周りにこの姿を求められているんだ。
「そこ」を探し続ける自分を。
だってここはそういう場所だから。
ここにあるのは、そういう人たちにしか歌えない歌だから。
- 87 名前:女に幸アレ 投稿日:2008/09/14(日) 02:51
- 高橋は結局、「そこ」を見つけることはできなかったが、
この雪の降る日、自分がどこにいるのかを見つけることができた。
娘。に入って約六年、
夏に出たこの歌を抱えたまま、ようやく雪の積もりそうな冬を迎えて。
- 88 名前:とおの 投稿日:2008/09/14(日) 02:53
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たくさんエクスキューズしたいです。
でも、なんとか耐えます。
こんな底に気がついて読んで下さった皆さま、
本当にありがとうございました。
コメントの一つ一つに感激していました。
次はもっと物語っぽいものを書いてみたいと思います。
- 89 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/03(金) 17:13
- 今読み終わりました
ソロメンとグループメンの違いと、娘。というシステムの特殊さと
私はもしかするとこのシステムの中でもがく人が好きで娘。を追ってるのかもしれないと思いました
次作も楽しみにしてます
- 90 名前:とおの 投稿日:2008/10/09(木) 18:03
- >>89
このまま底に沈み続けて
誰の目にも触れないのかと思っていたところに、
コメントをいただけて望外の喜びです。
私も89さんと同じように、メンバーの一人一人が好きというだけでなく、
この不思議なシステムに魅入られている気がします。
まだ読んでくださっている方がいたんだなあ。
完読ありがとうございました。
- 91 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/06(水) 05:46
- 遅ればせながら読ませていただきました
月並みな感想しか言えないけど凄く面白かったです
メンバーの思考がリアルで引き込まれました
作者さんの次回作をお待ちしています
- 92 名前:とおの 投稿日:2009/09/11(金) 03:51
- >>91
これだけ隠れたスレッドに新たに感想をいただけるとは、驚きました。
私の想像する娘。たちの頭の中を、ほかの方にも
「リアル」と思ってもらえたことがとても嬉しいです。
完読まことにありがとうございました。
- 93 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:02
-
だい、えっ、トン!
- 94 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:03
- <2頁ぶちぬき写真とともに>
『ジェーン』読者の皆さま、この筋肉雑誌になぜモーニング娘。?
と思われた方もいらっしゃるでしょう。
先月行った読者アンケートでは、読者のほとんどが
「身体を鍛え上げたい」という生粋の筋肉バカ、
ではなくアスリートであることが明らかになりました。
次いで「ダイエットをしたい」「痩せたい」という読者も
かなりの数いらっしゃるようです。
もう夏も近いし、いつまでも脂肪をまとっていられない。
そんなあなたのために、
誰も知らないけれど実はダイエットに長けているモーニング娘。と、
誰も知らない間に実はもう卒業しているOGたちに
ダイエットの極意を伺ってきました!
さあ、脂肪のジャケットを脱いで、ビキニを着よう!!
- 95 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:04
- Q1. どんなときに痩せようと決意しますか?
- 96 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:05
- 「あんまり考えたことないですね」
(Aいさん、Rささん)
うらやましい。太らない体質なのか、アイドルを演じてるのか
わかりませんが、少数意見でした。
「いつも考えてます!」「痩せようと思わない日はない」
(Aさみさん、Rいなさん他多数)
これは共感できる方が多いのではないでしょうか。
しかし、同じ意見ながら、Aさんはケータリングをてんこもり、
Rさんは昼食の時間になると席を外して食べないという差がありました。
心と体はうらはらですね。
「写真集が発売されるって決まったときですね。
やっぱりきれいな姿を残したいし」
(Mあささん、Sゆみさん、他多数)
非常に説得力のある意見です。写真集販売前には絶食するとか。
グラビアアイドルと同じですね。
撮る写真、撮る写真、腹をへこませているので、ボディラインが
不自然になるとの悩みまで相談されてしまいました。
「でも、冊数を重ねるうちに、だんだんどーでもよくなってくるんですよ」
(Eりさん)
これも説得力のある意見です。
- 97 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:05
- 「試合に支障を来したときですね。
ネットの画像や同業者のからかい?
チクショー、とは思いますけど、原動力にはならなかったみたい(笑)」
(Hとみさん)
(笑)じゃねーだろと思いますが、弊誌の姉妹紙に取り上げられるように
なったくらいですから、立派なもんです。
「太ってて醜い先輩を見たときですかね〜」
(Kはるさん)
悪気なく破壊力のある意見です。
「彼に太ったねって言われたとき」
(Mきさん、Nぞみさん、他た…)
多数じゃないです、多数じゃ。次に行きましょう。
- 98 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:06
- Q2. どんなダイエットを実行していますか?
- 99 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:07
- 「携帯いじって半身浴」「ゲームしながらお風呂」
(Aさみさん、Sょこたんさん、他最多数)
意外と普通ですね。お手軽にできるのでどのメンバーも
湯船には必ず浸かるようです。
「干しイカとか、おばあちゃんぽいものを食べてごまかす」
「梅干し食べてます」「他のメンバーに自分のお菓子を与える」
(Aいかさん、Kはるさん)
なかなか賢いやり方です。最後の意見は賢いというより
ずるがしこいですね。
こっちが痩せてくるとお菓子を与えてくるアイツ、
皆さんも気をつけましょう。
- 100 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:07
- 「ジムに通って鍛えまくり」「エステに行ってます」
「ときどき泳いでます」「ダンスレッスンと腹筋命です」
(Mいさん、Mきさん、Aいさん、Mきさん)
さすが芸能人。お金をかけてます。加圧も人気です。
どうでもいいですが、この表記だと誰か判別し難いです。
「カラオケに行って歌いまくる」「コンサート」
(Rいなさん、他多数)
これもさすが、多いです。カラオケなら真似できますね。
「天ぷらの衣をはがす」
「パンの耳しか食べないっつーか食べられないっつーか」
(番外:Mロン記念日さん)
貧しさに負け、いや、勝ってます。執念です。
次に行きましょう。
- 101 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:08
- Q3. 太って衣装が入らなかったことはありますか?
ある…70%
ない…30%
ありすぎじゃないでしょうか。
- 102 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:08
- Q4. 衣装が入らなかったとき、どうしましたか?
衣装さんに黙って、当日までに頑張ってやせた…10%
むりやり押し込んだ…60%
その他…30%
・こっそり他のメンバーの衣装と交換した(Jゅんじゅんさん)
・疲れたから帰った(Eりさん)
・卒業した(Aいさん)他
涙なしには読めません。
- 103 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:09
- Q5. 最後の質問です。これが一番痩せた! というダイエットはなんですか?
- 104 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:09
- 「絶食」「なるべく食べない」
「ちょっとしか食べない」
(Rいなさん、Mきさん他)
運動も大事ですが、摂食量を抑えるのも大事です。
「素材にこだわる」「いいものしか食べない」
(Nつみさん、Kおりさん)
食べる量だけでなく、質も大事ですね。
いつも自炊されていて、いい暮らししてやがんなと思います。
ちょっと私情が混じりましたね、次行きます。
- 105 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:10
- 走ること」「運動すること」
「ボールに恋をすること」
(Hとみさん、Aさみさん、Rかさん他)
ごもっともですが、微妙に寒い回答が混じっています。
「テレビに映ること」「売れれば自然と痩せます」
「忙しくて太ってる暇がないの」
(Mりさん、Sゆみさん、Mいさん)
他のメンバーの視線が刺さります。
「あいつに一服盛ってやる」という声も聞こえてきました。
- 106 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:11
- 「ぽっちゃりしたところが好きと言われる」
(Mあささん)
「握手会でDEBUSENって言葉を教えられた」
(Rさこさん)
ファンは厳しいですね。
「一方的に卒業を決められたこと」
(Mことさん)
事務所も厳しいですね。
- 107 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:12
- 「みんなにシカトされる」「ストレスをためること」
「胃潰瘍」「胃炎」「虫垂炎」
「センターから外される」「楽屋で大きな声でデブと言われる」
「お弁当に砂糖をかけられる」
(Aいりさん、Nつみさん、Mいみさん他)
「娘。でいたこと」
(OG多数)
メンバーが一番厳しいんですね。
結論:ギスギスした人間関係に己をおけ!
ストレス解消のために食べる、
ストレス解消のために運動する、
そんな甘っちょろいことじゃ人間痩せられない!
たとえば高校生の方は女子校へ、大学生は女子大へ。
社会人の方は人事異動のない小さな課に身をおくのがおすすめです。
年末年始の実家帰り、親戚が多ければ多いほどいいでしょう。
誰かに疎まれる、嫌われる、クビになる。
そんな経験で、さあ、脂肪から脱出しよう!!
- 108 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:12
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<10 nine me スペシャルオーディション☆エース様を探せ!!>
モーニング娘。では、第十期メンバーのオーディションを行っています。
応募資格は、22歳以下の女性、体重は問いません。……
- 109 名前:だい、えっ、トン! 投稿日:2010/05/04(火) 22:13
-
おしまい
- 110 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/06/12(土) 12:44
- 大変遅レスですがじっくり読ませていただきました。
二作品ともとても面白かったです。
今後も更新を続けて下さると嬉しいです。
- 111 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/06/12(土) 22:56
- 女に幸アレのリアルさが目にしみました
- 112 名前:とおの 投稿日:2010/07/10(土) 13:04
- >>110
ありがとうございます。
今後も更新します。励まされました。
>>111
リアルと言われると嬉しいです。
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