たわごと
1 名前:Hal 投稿日:2006/03/27(月) 05:24
基本1話完結っぽく、ストーリーは繋がってる感じの話を書いていこうかと思います。
あくまで基本なので全然関係ない短編が入ったり、中篇のちょっと長めの話になったりするかもしれません。
ようするに作者のやりたいようにやります!
あと批判は受け付けません。誉め言葉は甘んじて受けます。
それじゃ書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。
2 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:26
ワイワイ、ガヤガヤ

…はぁー、帰りたい。

終了式が終わり、今年度最後のクラス会の席で、1時間も経たないうちにそんなことを思っていた。
その原因は、バラバラに盛り上がるクラスメイト達のいつもより大きめの声か、右肩に感じる早くも酔いつぶれたクラスメイトの頭の重みのせいかは分からない。
3 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:27
そうそう、言い忘れてたけどあたしは藤本美貴。高2。で、いいのかな?2年は終わってもうすぐ3年生になるけど。
高校生が飲むなよとかは言わないでね。実はここクラスの子の親がやってる焼肉屋だからちょっとだけお酒も出してくれるんだ。
本当に少しだけなんだけど弱い子は十分に酔えるらしいね。(苦笑)

卒業でもないのにいちいちクラス会を開く必要があるのかって話なんだけど…うちのクラスはお祭り事が好きみたいで行事のあとや長期の休みのときなど、とにかく騒ぐ。
一応表面上は仲もいいからほとんど全員参加するしね。

美貴もほぼ毎回参加している。いや、させられてるかな。

で、今回も来てるけどあんまり乗り気じゃなかったのでテンション低めなわけです。
4 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:27
大体、式が昼には終わるってのに会が始まる時間が7時からってとこから間違ってるんだ。

美貴はいったん家に帰って昼寝でもしようと思ってたのに、梨華ちゃんに捕まって時間まで彼女の家にお邪魔することになった。

いや、いいんだけどね。自分の家帰るより梨華ちゃん家の方が近いし。雨降ってるのに傘忘れたから濡れなくて済んで助かったけどね。

…でもその代わりに梨華ちゃんの愚痴を聞くはめになったわけだけど。
5 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:29
〜回想〜

「…今日のクラス会、本当はあんまり行きたくないんだよね。」

帰り道、梨華ちゃんの傘に二人で入りながら歩いていると唐突に言い出した。
梨華ちゃんがクラスで浮いてるのは確かで、それを本人が気にしているのも知っていたがあえて聞き返す。

「ふーん。なんでさ?」

「…あんなことがあったから、やっぱ気まずいし。
クラスのみんながどう思ってるかとか考えると怖いもの…トイレ行ってる間とか教室から出たときに何か言われてるんじゃないかっていつも思う。」

予想通りの返答。
美貴はみんなが何て言ってるかも知ってるし、影で話のネタにされてることも分かっていたが、あえて遠回りに返す。

「別にトイレ行ってる間とか短い時間じゃ話に出されないんじゃない?」

「そーゆーことじゃなくて、自分が居ないとこで何言われてるか分かんないから怖いの!」
6 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:29

そりゃそうだ。そんなことは分かっている。
美貴だってクラスの子が喋ってるの聞いてると自分も言われてんだろうなって思うもん。
自分もむかつく子の愚痴とか言うし、仕方ないんだろうけどね。
それでも美貴は梨華ちゃんのこと悪く言う子がいても別に止めないし、同意もしない。
「まあねぇ。
でも美貴は梨華ちゃんのこと悪く言ってる人見たことないし、多分大丈夫だよ。」

人によって好き嫌いは分かれるし、その人にとって駄目ならそれは仕方ないんだと思う。
だから美貴はクラスメートが梨華ちゃんのことを話していても、とやかく言おうとは思わない。
けれど、そのことを梨華ちゃんに知られない為に笑顔で嘘を吐く程度のフォローはできる。
つまりそのくらいには梨華ちゃんのことが好きなんだと思う。
7 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:30

なんだかんだと同じことの繰り返しのような愚痴を聞きつつ、梨華ちゃん家に付いてから昼食をご馳走になって時間まで昼寝した。
彼女の家に来たのは3回で、彼女のベッドで寝たのも3回目だ。
8 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:31
で、焼肉屋も一緒に来たんだけど美貴は煙草吸いたいから遠慮して端の席にした。
喫煙者組はみんなそこの席に集まってたし、梨華ちゃんは煙草嫌いだからね。

乾杯の音頭のあと、黙々と肉を食らって満腹になった美貴が食後の一服をしながらボ〜と辺りを見回した。
すると案の定ひとりでチビチビ飲んでる姿があった。

どうしようか、一瞬考えてから立ち上がった。

「り〜か〜ちゃん。」

言いながら肩に手を回して横に座った。

「あ〜、美貴ちゃんだ〜。」

向こうも美貴の方にしなだれてくる。

「飲んでる?って聞かなくても分かるか〜。大丈夫?」

「ん〜、全然だいじょ〜ぶだよ〜。」

「うん。どう見ても大丈夫じゃないね。」

そんなことないも〜ん。と言いながら美貴の肩に凭れ掛かってチュウハイを飲む梨華。
9 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:31
その辺でやめといた方がいいんじゃない?と思いながらもあえて止めることはせずに、ついさっきまで聞いていた愚痴の続きを聞く。

「はいはい、そーだねー。」
いい加減な相槌を打ちながら聞き流していると、ふと梨華の話が止まったのでそちらを向いた。
梨華は持っていたグラスをテーブルの上に置いて、その手が美貴の膝辺りに触れた。

「…ごめんねこんな話ばっかして。楽しくないよね。
美貴ちゃんが聞いてくれるからついしゃべちゃって。」

「別に…このくらい全然いいけど。
美貴が梨華ちゃんと話したくて横に来たんだし。」

梨華ちゃんの話を聞いてあげたいから
梨華ちゃんが少しでも楽になるなら
美貴は梨華ちゃんのこと好きだし。

なんて言おうか迷ったけど、他の3つを言うのは違うと思った。
いま、梨華ちゃんといるのは同情だ。
それを悟られてはいけない。
依存されてはいけない。
クラスメート以上になってはいけない。

それでも、膝の上にある手に自分のそれを重ねるくらいのことはするし、今この瞬間多少の支えになるくらいはしてあげたいと思う。
10 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:32
…はぁー、やっと帰れる。

終了式が終わり、今年度最後のクラス会がお開きになってそんなことを思った。
その原因は、自分の荷物も持ってないのに二次会の相談をしている数人のクラスメイト達か、さっきまで美貴の右肩で寝ていて、服によだれをつけたクラスメイトの謝罪の声のせいかは分からない。
11 名前:クラスメイト 投稿日:2006/03/27(月) 05:32
FIN
12 名前:Hal 投稿日:2006/03/27(月) 05:37
とりあえずこんな感じで。
久しぶりに書いたもんで文章めちゃくちゃになりました。
別にりかみきのつもりじゃなかったんですが、他のメンバーが出せませんでした。
他のクラスメートは後々出してきます。
次はあやみき書こうかと。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/01(土) 00:50
あやみき期待してます
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/29(土) 01:10
あやみき待ってますよ
15 名前:Hal 投稿日:2006/05/13(土) 02:17
随分間をあけてすいません。
>>13、14様ありがとうございます。お待たせしました。
16 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:19
クラス会がお開きになり、外に出てから1年後輩の亜弥へと電話をかける。

プルルル プル ガチャ

『もしm『みきたーん!!飲み会終わったの〜?あたしのクラスもさっき終わったところ〜。』

『亜弥ちゃん声おっきい。耳痛いから。
そう、美貴も終わって帰るとこ。今どこ?誰かと一緒?』

『うん。愛ちゃんと駅に向かって歩いてる。あとクラスの子もチラホラ同じ方向に向かってるよ。』

亜弥は遅い時間なので美貴が心配しているのが分かっているから安心させる為に説明的に言う。
そして次に美貴が何を言うかも把握していた。

『じゃあ美貴も駅まで行くから待ってて、一緒に帰ろう。
あっ、一人でいちゃ駄目だよ。変な人に絡まれるといけないから!
愛ちゃんでいいから美貴が行くまで一緒に居てってお願いしといて!』

『はーい。じゃあ待ってるから早く来てね。』
17 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:20
「ってことだから。一緒にみきたん待ってよーね。」

美貴との電話を終えた亜弥は愛に向かってにっこりと言い放つ。
亜弥は美貴との会話が聞こえるように携帯電話を愛に向けていた、そして美貴も亜弥がそうしているだろうと予測して声を大きくしていた。
結果、伝言を伝えるまでもなく愛は全て把握出来てしまった。

「…一緒に待つのはええんやけど、なんか嵌められとる感じがしていやや!」

がっくりと肩を落としてつぶやく。

「まあまあ、それにどーせ愛ちゃんもガキさんが迎えにくるんでしょ〜?」
このこのー、なんて言いながら肘で愛を突付く亜弥は憎たらしいが可愛らしくて頭を撫でたくなる。
18 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:21
というか、撫でた。
よしよしとまるで小さい子にするように頭に触っていると上目遣いで見てくる。

「なによー。」

「いやー、かわえーのーと思って。」

「ふふーん。まあね。あたしに惚れると萌え死ぬぜ!」

「なんやそれ、意味分からんで。」

なんとなく分かる気もするんやけど、そんな胸はって言われると同意するのは抵抗がある。

「ふー、全くこれだから愛ちゃんは困るよ。もっとあたしのことを理解してくれなきゃ。」

「いやいや、こっちの方が困っとるがし。」

そんなアホトークをしながら時間を潰していると、ようやく美貴がやってきた。

19 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:22
「亜弥ちゃんお待たせ。
あっ、愛ちゃんも一緒に待たせちゃってごめんね。ありがとー。
こんな遅い時間に亜弥ちゃん一人で待たせることにならなくてよかったよ。」

「えーよえーよ。こんなん慣れとるし。
それにあーしかて亜弥ちゃん一人にするのは心配やったしの。」

そう、このくらいはいつものことだ。
この藤本美貴という人物は、とにかく亜弥に甘い!
亜弥の為なら周りの人間なんてへとも思わないし、使えるものは使っとけが信条である。
そして一番利用される回数が多いのが愛だった。
愛としては少々不満に思うところも無くはないが、そこはそれ。愛自身亜弥に対して甘いのだから仕方ない。
20 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:23
「そうそう。気にしなくていいよ。
それに愛ちゃんだってガキさん待ってるんだし、どーせ一緒に待つことになってたよ。」

「なーんだ、愛ちゃんは美貴じゃなくてガキさん待ちか。
それでその保護者はいつ頃お迎えに来るのかな?」

亜弥がニヤニヤしながら言うので美貴もそれに乗って愛をからかう。

「ガキさんはあーしの保護者なんかい(苦笑)
さっき近くまできとるってメールきたからそろそろ来るんやない? 」

元々ガキさんと帰る予定はなかったんやけど、亜弥ちゃんが美貴ちゃんと帰るからあーしが一人になるからってことで迎えに来てくれることになった。
にも関わらず始めから決定してたかのように言われるのは日頃からの里沙の過保護のせいだろうか。
21 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:24
「それにしても美貴たん早かったね〜。そんなにあたしに合いたかったの〜?」

「あはは、うん!電話しながらダッシュしてたもん。」
実は梨華が一緒に帰りたそうにしていたが、そんなことは気にも止めずに走り出した。
美貴にとって、亜弥以外に優しくしたとしてもそれはその場限りのこと。
アフターケアまでする気は無い!

「じゃあ帰ろっか。」

美貴は笑顔で亜弥の手を掴んで駅に向かおうとしたが、肝心の亜弥が動かなかった。

「どーしたの?」

「ダメだよみきたん。愛ちゃんが一人になっちゃうでしょ。
ガキさん来るまで一緒に待っててあげよ?」

首を傾げながらお願いする姿は可愛いが美貴は不服そうだ。
22 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:28
「えー!いいじゃんどーせすぐ来るんだし。」

「…美貴ちゃん、亜弥ちゃんのことは一人にしたら危ないって散々心配したくせにその差は何やの?」

亜弥の手を左右に揺らしながら口を尖らせる美貴に呆れながら言う。

「大丈夫大丈夫!まだ10時前だよ?駅前で人も多いし何もないって。」

「…さっきまでと言っとる事が違うがし!」

23 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:29
「そりゃ亜弥ちゃんは可愛すぎるから、常に変なやつに狙われない様に気をつけなきゃいけないからね。
愛ちゃんはしっかりしてるし多分問題ないって!」

美貴はウインクしながらグッと親指を突き立てている。
それなりに可愛らしい仕種ではあったが、思わず親指を掴んで本来曲がらない方向に捻ってやりたい衝動にかられた。

「コラみきたん!愛ちゃんだって女の子なんだから何かあったら困るでしょ!?」

「ううん。別に美貴は困らない。困るのはガキさん。つまりさっさと来ないガキさんが悪い!
ってことだから帰ろう?」
…早く亜弥ちゃんと二人っきりになりたいんだから。
とは思ってても言えないので、とりあえず悪戯で耳に息を吹きかけると亜弥はくすぐったそうに身をよじった。
24 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:30
「んもう!みきたん!!」

「ん?なーに?」

亜弥が怒ったように強めに言うが、美貴は気にならないといった感じで亜弥の顔を覗き込んでニコニコと笑っている。


「…亜弥ちゃん、あーしのことは気にせんで帰ってえーよ。」
バカップルにこれ以上目の前でイチャつかれるのもなんだし。とは口には出さなかった。

亜弥はまだ渋っていたが、美貴に手を引っ張られて駅の改札をくぐった。

二人は丁度いいタイミングで、ホームに着いた電車に乗り込んだ。
電車は、ガラガラとまでは言わないが好きな席を選べるくらいには空いていた。
25 名前:盲目 投稿日:2006/05/13(土) 02:32
「もう、美貴たんはー。もう少し愛ちゃんに優しく出来ないの?」
席に座って電車が動き出すと、咎めるように言われた。

確かに美貴は愛に対して少し冷たいところがあるのは自覚している。
今回に限らず、だ。
その理由は、愛が美貴以外で一番亜弥に近いところにいるからかもしれない。
しかしそんなこと亜弥には言わない。

「亜弥ちゃん以外の子に優しくする必要なんてないもーん。」
…美貴には亜弥以外の人間なんてどうだっていいから。
26 名前:Hal 投稿日:2006/05/13(土) 02:34
以上です。
甘々にするつもりがよく分からない感じに…
次回はもう少し早めに更新するようがんばります。
27 名前:Hal 投稿日:2007/09/17(月) 22:11
長いこと放置してすいません。
違う話ですがちょっとした学園物をかきます。
もしかしたら長くなるかも?
28 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:13
キーンコーン カーンコーン

「あーっ。地獄からの解放ーっ。」

学年末テストが無事終了して、美貴は机に突っ伏していた。

「やっと終わったわねー。テストの出来どうだった?」

そんな美貴に話しかけてきたのは小学校からの友人、石川梨華だ。

「ぼちぼちだよ。梨華ちゃんは?」

「そんなこと言って美貴ちゃんは頭いいからいいわよね。私はいつも通りそれなりのできよ…。」

そう言って落ちこむ梨華ちゃんも別に頭が悪いわけじゃないんだけど、どんなに頑張っても学年350人中の50番以内ってとこ。
その点、美貴はさほど勉強しなくても毎回10番以内に入る成績なので、毎度の事ながら恨み言を言われるのだ。
29 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:15
「だから美貴は頭良くないって、大体本当に頭良かったら早安娘学園に受かってただろうし…。」

「えっ…やっあの…その、そ、そういう意味じゃなくて…」

苦笑しながら目を伏せがちに言うと、案の定梨華ちゃんはうろたえてしどろもどろに言葉を発する。
早安娘学園ってのは、この辺りで一番頭の良い高校であり、美貴が落ちた高校。
中学の時から頭の良かった美貴は当然受かるものだと考えていたのだが、受験当日に熱を出すという、ベタな理由によって落ちた。
そのため、第2希望の波浪高校に通うことになったのだ。
もう1年近く前のことだし実際は全く気にしていないのだが、この話をすると梨華ちゃんは必ず慰めようとするので面白くてつい言ってしまう。
30 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:16
「くくくっ、冗談だって。美貴が天才だってことは美貴が一番よく知ってるし。
まあ、柴ちゃんと同じ高校に通えなかったことは残念だけどねぇ。今からでも柴ちゃんと梨華ちゃんトレード出来ないかな。」
「もうっ、美貴ちゃんの意地悪!私だって美貴ちゃんより柴ちゃんが一緒のほうがいいもんだ!」
からかう様に言うと、梨華ちゃんが正にプリプリという擬音が合う仕種で怒る。正直キショイ。
ちなみに柴ちゃんこと柴田あゆみは、早安娘学園に通う梨華ちゃんと同じく小・中学校の同級生だ。そして美貴の初恋の相手。
まあ、その辺の話はまた後で。
「はいはい。そんなことよりさっさと部活行こうよ。久しぶりに思いっきり体動かしたいよ。」
テスト週間の間は部活が休みだったので実に10日ぶりの部活だ。
「あれ、言わなかったっけ。今日フットサル部視聴覚室に集合だってさ。」
「はぁー?何で?」
「さあ?まあ良いじゃない。さっさと行こうよ。」
梨華ちゃんは荷物をまとめると、不満気な美貴を置いてさっさと集合場所へ向かう。
美貴は文句を言いつつもその後を追った。



31 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:17
ガラッ

視聴覚室の扉を開けるとそこには、人・人・人。
パッと見では数えられないほどの人が集まっていた。教室のほとんどが埋め尽くされてるって事は軽く50人はいると思う。
「…なんでこんなに人がいるわけ?」
「…フットサル部の集まりだからでしょ。うちの部、幽霊部員の吹き溜まりだから。」
答えながら梨華ちゃんもこの人の多さには驚いているようだ。
確かにうちの部は運動部の割に土日は練習がなく、顧問も試合の時くらいしかこないので幽霊部員が多いのは知ってたけど…こんなにいるんだ。
あっ、あの子同じクラスのギャルじゃん。部活一緒なんて知らなかった。
32 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:18
いつまでも入口で固まってる訳にもいかないのでとりあえず中に入ると、知ってる顔が近づいてきた。
「美貴、梨華ちゃんやっほー。すごいねー、まいこんなに部員いたなんて知らなかったー。」
「「同感。」」

話しかけてきたのは同じ中学だった里田まい。
と、言っても高校に入るまでは名前も知らなければ、話したこともなかったのだが。
初めて話をしたのは波浪高校入試の日。なんとなく3人で帰ることになったのだが、なぜか初対面なのに異様に盛り上がっていた。
この時美貴は、親しげに話しかけてくるのでてっきり梨華ちゃんの友達だと思っていたのだが、後になってその話をしたら

「えっ?美貴ちゃんが仲いいんだと思ってた。」
とのこと。

そしてまいちゃんはというと
「えー。まいは何にも考えずに話しかけてたよー。あはは。」

何がきっかけで仲良くなるかなんて分かんないもんだな、と感じた出来事だった。
33 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:18
今思えばあの時異様にテンションが高かったのは、気付かなかっただけで既に熱があったのかもしれない。なんせ翌日の本命の試験の日には39℃も熱がでたのだから。
そう考えるとあの時の自己管理の怠りが悔やまれるが、まあ今が楽しければ良しとしよう。
何はともあれ、それからは部活も一緒で気付けば仲良し3人組になっていた。


「みんな静かにせー。今からフットサル部のミーティングするでー。」

3人であれこれ話していると、いつの間にいたのか中澤先生が教卓の前に立って話し始めた。
っていうか、何で中澤さん?顧問は名前忘れたけど化学のおじいちゃん先生じゃん。

「あー、何でウチがおるのか不思議に思っとるやつもおるだろうけど、実は黒田先生は来年でこの学校を辞めるので替わりにウチがこの部の顧問になる。
毎日は無理かもしれんが練習にもなるべく顔を出すし、もちろん幽霊部員なんぞ許す気はないから全員そのつもりで。
それと、フットサル部はほとんど練習してなくて、大多数が部活にでていないということで同好会に格下げされる。」
34 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:20
ザワザワ ザワザワ

「うげっマジで?確かに全然部活出てない人はいるけど、そういう人だけ辞めさしたらいいじゃーん。
まい達は一応平日は毎日練習してるよー。」
いきなりの顧問交代と同好会への降格宣言でざわついている中、まいちゃんは納得いかないと発言する。
それにしても、このほとんどの人が部活に来てない人達を前に、堂々と辞めろって言える神経がすごいよ。
「里田お前なぁ、練習してるって言ってもこの中で頻繁に顔出しとるやつなんぞせいぜい7,8人やろ。それも部活開始時間も決まっとらんで、来たやつから各自でリフティングやらパス回しやら適当にしとるだけ。
そんなんじゃ集まって遊んどるようにしか見えんぞ。」
「ぐうぅ。」
流石にまいちゃんも図星を指されて黙ってしまった。
35 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:21
他には特に反論する人はいないようで中澤さんが話を続ける。
「同好会になって具体的に何が変わるかというと、とりあえず部費が出なくなる。
試合に出るのにも登録料が必要だし、備品も新しいボールや怪我したときのための冷却スプレー、テーピングなんかも必要やろうから自分たちで毎月部費を払ってもらう。
以上をふまえて、フットサル部を辞める者はここにある退部届けに名前を記入して教室から出て行って貰っていい。
残るものは今後のことを話すので、もうしばらく待っててくれ。」



36 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:21
最終的に残ったのは6人。

後藤真希  1年2組 経験者
藤本美貴  1年3組 未経験者
石川梨華  1年3組 未経験者
里田まい  1年6組 経験者
吉澤ひとみ 1年6組 経験者
松浦亜弥  1年8組 経験者
37 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:22

「で、結局残ったのはお前らだけか。なんや、全員1年かいな。よく今まで部が持っとったな。
全く、やる気ないなら始めから週一くらいしか活動せんような文化部いけっちゅうねん。
無駄な時間使ってまったわ。」

「中澤先生。同好会降格ってもう完全に決定なんですか?」

「そうだよ。大体うちらが練習してないっていうなら、男子フットサルの連中のほうがよっぽどやってないじゃん!」

中澤さんが口を開いたのを皮切りに亜弥ちゃん、まいちゃんが話し出す。

「ほぼ、決定やろうな。確かに男子部よりは活動しとったかもしれんが、とても真面目にやっとったとは言えん状況や。
それにあまりにも幽霊部員が多かったのも他の先生方の印象を悪くしとる。」
38 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:22
「それは、始めから部員が美貴たちだけだったら同好会にはならなかったってことですか?」

「…今すぐ降格なんてことにはなってなかったやろうな。
本来顧問がしっかり管理しとればここまで幽霊部員が増えるようなことはなかったんやろうけど。お前らには何の罪もないのに、ほんまにすまん。」

責めるような言い方になってしまった美貴の言葉に、中澤さんは自分が悪いわけでもないのに真剣に頭を下げてくれた。

「別に裕ちゃんが謝ることじゃないよ。後藤たちだってもっと真面目に練習してたら同好会にならなかったかもしれないんだし、頭上げてよ。」

「そうか、すまんなごっちん。
同好会になるゆうても、1年間真面目に活動していけばお前らが3年になるときにはまた部活に昇格することも出来る。
卒業アルバムには部として載れるように1年間がんばろうや。」
39 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:23
「ちょっと待ってください。まだ降格するのを認めたわけじゃありませんよ。
さっき『ほぼ決定』と言いましたよね。
その言い方だと、なにか同好会にならない方法があるように聞こえましたけど?」

「っ本当ですか?!」

いままで黙っていたよっちゃんがそう言うと、それに乗っかるように梨華ちゃんも声を上げた。
そして全員の目が中澤さんに向いた。

「…ウチかてお前らが練習しとるのを見たことあったから、いきなり同好会に降格は厳しすぎるやろと思ってそれなりに行動はしたんや。
しかしどうも陸上部の寺田先生が積極的に部の降格を進言しとってなぁ。こっちが何ゆうても聞く耳持たんのや。
今回のことは急に決まったことで、寺田の言い分に納得してない先生はウチの他にもおるはずや。その人らを味方につければもしかしたら…」

「なるほど。」

中澤さんの話を聞いてよっちゃんが考え込む仕種をとったので、他のメンバーはその様子を見つつ次の言葉を待つ。
40 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:23
―――――――10分経過

「よし。職員室に乗り込むか!」

「はあぁっ?なにそれ。何かもっと作戦とか考えてたんじゃないわけっ?」

考えがまとまったのか手を叩きつつよっちゃんが言った言葉に対し、コントのように手を突き出してつっこむ。

「んー、いや、いろいろ考えたんだけどさ。寺田だったらうまい事言いくるめれるっしょ。」

「あぁ。」

「まぁね。」

「馬鹿だしね。」

思い当たる節があるのかごっちん、亜弥ちゃん、美貴の順に返す。
後のみんなも何だか納得顔だ。

「ほんじゃ、行きますか。」

「「「「「オー!!!!」」」」」

こうしてよっちゃんを先頭に、いたって軽いノリで職員室に向かった。
41 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:24
――――――――――――――――

「さて、条件付きとはいえ部として続行の可能性が出てきた。」

「賞状もらうには3位以内に入らなくちゃいけないよねー。」

「…私たちが入学してからのうちの部の成績って全部1回戦負けよね。」

「後藤たちが入る前も、ここ何年かは似たようなもんだって。」

「でも美貴たちの代は経験者多いしそんなに弱くないでしょ。」

「どっちかというと強い部類に入ると思うけど、くじ運しだいってとこかな。」

順によっちゃん、まいちゃん、梨華ちゃん、ごっちん、美貴、亜弥ちゃんが言う。
42 名前:部活? 投稿日:2007/09/17(月) 22:24
はしょって悪いけど、ものすごく簡単に事は進んだ。

ほぼ誘導尋問で寺田を悪者に仕立て上げたところで、奴は失言をした。

「だ、大体毎回1回戦負けなんだから試合に出る必要ないじゃないか。試合に登録しなければ部費もかからないんだし同好会で十分だろう。」

突っ込みどころは満載だが、これ以上こんな奴と会話を続けるのも不愉快だとばかりに、よっちゃんは仕上げに入った。

「それでは、試合で勝てば部としての存続を認めていただけるんですね?」

「あ、ああ。そうだな。今度の試合で賞状を貰えたら今のまま部として続けて良い。」

「分かりました。寺田先生、今の言葉忘れないで下さいね。ここにいる先生方が証人です。それでは失礼します。」

これで部存続のために何をすればいいか明確になったわけである。
43 名前:hal 投稿日:2007/09/17(月) 22:25
続く
44 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/19(水) 16:23
続き楽しみです
頑張ってください!
45 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:37
「よーし、じゃあ10分きゅうけーい!!」
よっちゃんの掛け声でみんな練習を切り上げて休憩に入る。

「ふぃー。まさか春休みに毎日部活やることになるとは、ちょっと前までは思いもしなかったよ。」

「ハハッ、確かに。でも今の状況じゃ仕方ないわな。」

「まあねぇ…」
46 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:37




さてどんな状況かっていうと、先日の同好会格下げ事件で、何とか部を存続させるための条件が出た訳ですが。

とりあえずキャプテンを決めようということになり満場一致でよっちゃんに決定し、
それからチームプレーの練習のために基本的なポジションを決めたんだけど…

まずよっちゃんは「PIVO(ピヴォ)」
サッカーで言うFW的ポジション。
主に相手ゴール前や、最前線にポジションし、後方からの味方のボールを受けて
ポストプレーをしたり、隙をついてターンしてからシュートを打ってゴールを決める
攻撃中心で動く。相手を背負いながらのプレーが主なのでボディバランス、体を張ったプレーが要求され、また味方からのパスを受ける回数も多いので足裏などのトラップ技術、キープ能力もいる。ピボットとも呼ばれるんだって。
47 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:38
ごっちんと亜弥ちゃんは「ALA(アラ)」
攻守のバランスをとるMF的ポジションで、攻撃に守備にと精力的に動き回り、スピードとスタミナが要求される。

まいちゃんは「FIXO(フィクソ)」
ゴレイロの前でセンターバックに位置するポジションをとるプレーヤー。
守備的な役割として敵のピボットを中心に抑えるだけでなく、
攻撃の時は前線に上がりゲームをメイクしたり、ロングシュートも狙いに行く
ようするに最終守備とゲームメイクをする人。

美貴と梨華ちゃんは「GOLEIRO(ゴレイロ)」
ゴールキーパー(GK)のこと。
試合の状況により、エリアを外に出て行くプレーや、正確なスローで、攻撃にも積極的に参加する。
最後方に位置するポジションの為、味方選手を後ろからコーチングして守備のズレなどを修正させる。
48 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:39
ということになった。
ちょっと最後の守りとなるゴールキーパーが不安すぎる気はするけど、2人以外は経験者で基本的なポジションがはじめから決まってたので、どうせみんなキーパー経験がないなら攻めの戦力を減らすよりは美貴たちで何とかしてくれって話なわけだ。
まあでもフットサルではサッカーと違い、頻繁にポジションチェンジを行うのであくまで基本的なポジションということらしい。



しかし、美貴はこのポジションを簡単に引き受けたことをすぐ後の練習で後悔した。
49 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:39
「んあ、んあ、んあ、んあ、んあ、んあ、んあ、んあ、んあ、んあ………ミキティー早くボール返して〜。」

「ご、ごっちん…いつまで続けるの。」

ごっちんは美貴の手足がギリギリ届くか届かないかのところを狙って、ひたすらゴールの4角にシュートをしていき。

「………………。」シュッ

「ひいぃぃぃぃ!!」

よっちゃんが蹴ったボールは顔の横すれすれを通り、美貴は耳元で風の音を聞いた。
…よっちゃんは「そこ狙うと動けないんだよね〜。」なんて軽く言ってたけど、マジでピクリとも反応できなかったし!!

「コラー!みきたん避けるなー!!」

「あほかー!!むしろそっちが狙って蹴るな!!」

亜弥ちゃんはわざと美貴を狙ってシュートしてきて、とてもじゃないけど練習にならない。1度よけそこねてお腹に食らったときは息ができなくなった。
50 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:40
「ちょ、ちょっとマジで勘弁して、さっきから美貴ばっかやってるじゃん!
そろそろ梨華ちゃんと交代しようよ!」

いじめとしか思えないような仕打ちが20分ほど続いたところで、ギブアップの意味を込め両手を挙げて叫んだ。

「美貴、美貴、向こう見てごらん。」

よっちゃんの指差す先を見ると、まいちゃんの蹴るボールをキャーキャー悲鳴を上げながら避けている梨華ちゃんがいた。

「…あれ、使い物になるわけ?」

「んあ、無理じゃない?」

「っま、梨華ちゃんにはもとから期待してないし〜。みきたんガンバ!」

「そういうこと。だから美貴の方に3人がかりでしごいてんだろが。」

「いやいやいや!ごっちんはともかく、亜弥ちゃんとよっちゃんのは全く練習にならないから!!
むしろトラウマになるって!!」

美貴が頼むから普通に練習させてくれと必死で説得していると、

ゴスッッッ!!

音のしたほうを見てみると、梨華ちゃんが前のめりになって倒れていた。
51 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:40
「な、なに?何が起こったの?」

「いや、見てなかったから分かんない。」

「ボールが当たってもあんな倒れ方はしないよねぇ?」

「後ろから攻撃でもされないとああはならないだろ…まいちん何したの!?」

「てへっ、蹴ったボールがゴールポストに跳ね返って後頭部に当たっちゃった。
梨華ちゃん起きないから暇になっちゃった〜まいもそっち入れて〜!」

「い、いやだーーーーーー!!」

美貴の悲鳴はグラウンド中に響き渡った。
52 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:41
………

ま、まあ、そんなこんなで練習を重ねてきたわけだけど、試合は春休み中にあることが分かり、それまでに何とかチームとして形にしようってんで休み返上で部活に精を出している。


「美貴、大分うまくなったねキーパー。」

「えっ?!そ、そう?」

「うん。」

ぼんやり最近のことを思い出していたら、急によっちゃんに話しかけられてびっくりした。

休憩時間はよっちゃんと居ることが多い。
梨華ちゃんやまいちゃんといることもあるけど、あの2人は休憩中でも動き回っているので一緒にいたら休めない。
亜弥ちゃんとごっちんは同中なせいか常に二人一緒だし、大概1人でいるよっちゃんの傍にいることが自然になった。
二人ともそんなにしゃべるほうじゃないので基本的に無言か、今みたいに話してもすぐに会話がとぎれる。

梨華ちゃんとまいちゃん。
亜弥ちゃんとごっちん。
美貴とよっちゃん。
偶数だからちょうど良くペアになって、美貴たちは余りものみたいだけど、
よっちゃんの横は不思議と居心地いいんだ。
53 名前:hal 投稿日:2007/11/16(金) 20:45
続く

>>44 :名無飼育さん
ありがとうございます。励みになります。

次回は試合まで一気にいきたいと思います。
54 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/17(土) 09:20
ごっちん可愛い
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/03(月) 01:34
楽しいです
続きに期待

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