屋根の下のベース弾き #7
1 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/09/28(水) 23:06

同じ海板の続きです。
よろしくお願いいたします。

ttp://mseek.nendo.net/wood/1018614026.html(最初)

ttp://mseek.nendo.net/sea/1020511804.html(その次)

ttp://mseek.nendo.net/sea/1026291110.html(パート2)

ttp://mseek.nendo.net/sea/1032237720.html(パート3)

ttp://mseek.nendo.net/sea/1040300502.html(パート4)

ttp://mseek.nendo.net/sea/1049203127.html(パート5)

ttp://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/test/read.cgi/water/1078667258/(パート6)

(倉庫行きになりましたらこちらになる予定です→ttp://mseek.nendo.net/sea/1078667258.html)
2 名前:早春賦 投稿日:2005/09/28(水) 23:07
「「ゆきーがとけてかわーとなって
ながれていきーます
つくしのこが はずーかしげに
かおーをだーします」」

「「もーすぐはーるですね
ちょっときどってみませんか」」

ある木曜日。
犬を連れた後藤と柴田が、並んで堤防を歩いていた。
後藤の犬の散歩バイトにたまたま大学そばで会った柴田が付き合い、
ちょっと天気が良かったので歌なんか歌ってみた。

『おしゃーれをしておとーこのこが でかけていきーます
みずーをけーってカエールのこが およいでいきーます』

「え、その部分知らない」
柴田が後藤の横顔をとっさに見る。
後藤は得意げにフンフン鼻歌で続ける。
「やー、すごいねー。
ごっちん、ナニモノ?」
「ただのごとーさあ」
「ただのごとーって」
柴田はおかしくて笑う。
3 名前:早春賦 投稿日:2005/09/28(水) 23:08
「今日はありがとうだねえ。
たく、いちーちゃん犬バイトに付き合ってくれるってゆったのにさあ。
使えないったら」
「『使えない』とか言ってるよ…」
柴田は冷や汗をかきつつ笑う。
「いやいや、あたしも梨華ちゃんとこのあと落ち合うしさあ。
なんか犬を連れたごっちんってのもたまにはオツかなあと」
「んあ」
後藤は可笑しくてんあんあ笑った。

「「もーすぐはーるですねえ
ちょっときどってみませんか」」

さっきの箇所をまた繰り返して歌って堤防を下って行き、連れの犬も合わせるように吠えた。
4 名前:早春賦 投稿日:2005/09/28(水) 23:08
「あのさあ、ごっちん」
「んあ?」
「ごっちんは市井さんのこと」
「ハゲだと思ってるよ」
「それは知ってる」
「あ、そう?」
『んじゃ、なに?』と後藤が続けようとした時、
『お〜い』と堤防の下から件の人物が現れた。
「んあ!今頃現れても遅いんだよ!」
後藤はえらい剣幕で拳骨を振り回す。
「容赦ないねえ」
隣で柴田はそっと笑う。
「悪ィ悪ィ」
市井は悪びれずヘラヘラ堤防を駆け上がってくる。
「いちーちゃんは今日は罰として『テレビで巨乳タレントが出ても絶対見ちゃいけない刑』ね」
「なげーな、ヲイ」
アタシは別に乳はキョーミねえ、と市井が言う横で、後藤はすかさず、
「あ、巨乳」
とあらぬ方を指差した。
条件反射で『え、どこどこ』と首を突き出す市井。
「ばーか」
「テメ、後藤のくせに!」
「まったく乳のことしか考えてないんだから」
後藤が腕組してあきれる横で、柴田も
「それはあながち間違ってない…」
と頷いた。
5 名前:早春賦 投稿日:2005/09/28(水) 23:09
―――朝比奈女子中学

「今ぼん乳がブームなの」
テストが終わって帰り支度をしている亀井絵里の横で、道重さゆみはそんなことを言った。
前フリもなくいきなりだったので、亀井は怪訝な顔をする。
「なに?ぼん乳って」
「あいぼんの乳。略してぼん乳なの」
「ああ、加護さんのね…」
亀井は納得、というように、鞄にノートをしまう。
しかし一体いつの間にそんなブームが到来したのか。
「いつからブームになったの」
「結構前からだよ、加護さんが高校入学してすぐくらいから
『巨乳の新入生現る!』って専らの評判だったもん」
「はあ」
しかし凄い宣伝文句(?)だな、と亀井は思う。
自分はまず加護の中身を好きになった、他の子とは違うんだ。
一種、優越感のようなものを感じ、亀井は口元を押さえてニヤニヤ笑った。
「絵里、キモイの」
すかさず道重にツッコまれ、
「さゆよりマシだもん!」
亀井はむくれた。
6 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/09/28(水) 23:13
更新しました。
新スレです、またよろしくお願いいたします。
タイトルは同名の唱歌より。
「春は名のみの 風の寒さや」というアレです。



(〜^◇^)/<8レスめだよ!

从*・ 。.・)<いきなり乳乳言い過ぎなの

|´^`)<呼ばはった?

(0^〜^)/<乳カッケー!梨華乳サイコー!

( *^▽^)ノシ<ヤダもう! ←嬉しそう

新スレで初手から乳乳すみません。
というわけでよろしくです。
7 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/09/28(水) 23:19
(;〜^◇^)/<8レスってナンだよ!8スレだよ!8レスだったら
         とっくに終わってるよ!

从*・ 。.・)<吉澤さんが中澤家に着いて終わりなの

8 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/09/28(水) 23:34
・ω・<新築祝いに来ました
(0^〜^)<お前は呼んでね〜YO

・ω・<巨乳ですか‥ないよりかあった方がいいと思いますが大きすぎても‥
从#~∀~从<女は乳やない!!

・ω・<キャンディーズとピンクレディーの区別がつくまで結構かかった輩です


次回更新お待ちしております




9 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/09/28(水) 23:40
アネゴ、更新乙&新レス改め新スレおめでとうございます

ぼん乳・・・
正直、僕は乳にはそれほど興味が無いです
だからミキティが大好きです・・・殴られるな

次回の更新も待ってます
10 名前:gung 投稿日:2005/09/29(木) 00:20
どもっ、お久しぶりでございます。
そして新スレおめでとうございます。
つまらないものですがお祝いにコレ置いて行きます。

つ( `.∀´)

これからも無理なさらぬ程度に頑張ってください。
11 名前:ピクシー 投稿日:2005/09/29(木) 01:28
更新お疲れ様です。
早速引っ越し祝いにきました。

ごっちんの「んあ」が久しぶりに見れました。
平和ですねぇ・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
12 名前:はち 投稿日:2005/09/29(木) 23:16
祝!新スレ
おめでとうございます
もう押しも押されぬ長編大作ですねw

実は4くらいのときから見つけて1から読ませていただいてました
ずっとロムってたんですが・・・・
新スレをきっかけにレスさせていただきました

旧住人さんたちの話もいいですがやっぱり現住人さんや現役大学組の話は格別ですw

これからも頑張って下さい
13 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/09/29(木) 23:41
更新、新スレおめです。
僕は前に雑誌で見た紺乳の方が気になります。
れいなちゃんも、ぼんより紺だとそう思ってます。
市井ちゃんは何よりそれが、ごっちんが好きな理由の1つでしょうか?
14 名前:早春賦 投稿日:2005/10/05(水) 10:47
亀井と道重が連れ立って学校の廊下を歩いていると、図書室へ行ったのであろう、
数冊本を抱えた加護が前からやって来た。

「あ、加護さん」
亀井が声をかけると、
「よう。あ、自分ら明日ヒマ?てか、岡村先生から聞いてる?」
とふたりの方を見た。
「あ、はい。
カラオケですよね」
道重が何故か元気よく答える。
「そう。
明日テスト終わったら学食集合な。
ガキさんにもメールしといたさかい」
「はーい」
「ありがとうございます」
道重と亀井はめいめい返事し、軽く会釈する。

加護が行った後、ふたりはまた歩き出した。
「カラオケなんて久しぶりなの」
道重はご機嫌で軽くスキップする。
「さゆ、大丈夫?」
亀井が少し眉を顰めると、
「だーいじょーぶ♪
さゆ、結構上達したもん!」
全然大丈夫じゃない、亀井は心の中で呟いた。
15 名前:早春賦 投稿日:2005/10/05(水) 10:48
後藤と市井は柴田と別れた後、犬を飼い主の所に連れて行き、そのまま連れ立って渋谷に
出て行った。
「なんだこりゃ…温泉のモトがメインなんかお菓子がメインなんかわかんねーな」
ロフトの食玩などが並んだコーナーで、市井はパッケージを取り上げて呟く。
「んあ、買うの?」
「いや、買わね」
「じゃ、ごとー買おーっと」
後藤は市井から箱を取り上げてまた別のものを物色し始めた。
「あ、そーいやさー、けーちゃん明日からカオリと温泉行くんだって」
「温泉!」
市井が何故か嬉しそうにニヤける。
「んあ、なんかアレだよ、部屋が離れになってて、部屋に露天風呂ついてるよーなトコだってさ」
「うわー、えっちくさー」
「んあ、何しに行くからわかりやすすぎだあね」
「…縛ったりしてな」
市井が笑いを潜め声も潜めて人差し指を立てて、後藤に顔を寄せる。
後藤は
「やだ!もーこのヒトは!」
腕をバシバシ叩き、ちょっと赤くなった。
16 名前:早春賦 投稿日:2005/10/05(水) 10:48
その日の夕方―――

「新宿の、京王プラザ、ね」
仕事帰りの保田は、旧友の石黒彩に呼ばれて都心のシティーホテルに来ていた。
先日、場所をアヤカに聞くと、
「浮気?ダメよ、目立つトコは」
と下衆な冷やかしが返ってきたので無言で肘鉄した。

高層エレベーターに乗り、何で呼び出されたか考えてみる。
浮気のワケがないが、何でわざわざ新宿のホテルの最上階のバーなんかに呼び出すのか。
保田は渋い顔をした。

店に入ると、石黒はもう来ていて軽く手を挙げた。
「何飲む?
何でも頼んでいいから」
「あー、じゃ、ジントニック」
この後も人と会う約束があるので、保田にしては軽めのものを頼む。
「お腹は?
何か軽くつまむ?」
「いい、この後飲み会あるから」
「ああ。メールで言ってたわね。
じゃ、ナッツくらいで」
「用って何?」
単刀直入、保田は切り出した。
相変わらず迷いなく真っ直ぐだなあ、と石黒はチラッと思う。
変わりない保田をちょっと好ましく思った。
「ああ、うん。
いやね、実は圭ちゃんトコのバンドのことなんだけど」
「ウチの?」
保田は目をちょっと見開いた。
17 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/10/05(水) 10:52
更新しました。
前回の更新で柴とごまが歌ってたのはキャンディーズの「春一番」です。蛇足ですが。

レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(0^〜^)<新築祝いカッケー!

まあ、引越しそばなと食べてんか>从#~∀~从っ〔♯〕

一番乗りありがとうございます。今後ともよろしくおながいします。
キャンディーズは3人、ピンクレディーは2人と覚えておくと何かと便利です。←大雑把すぎ


>三日月ハウスさん

从VvV)<女の値打ちは乳じゃねえ!分かってんじゃん、三日月ハウスさん

はいは〜い、たんの代わりにおそばお持ちしましたー>从 ‘ 。‘)っ〔♯〕

お祝いありがとうございます。ああなるほど、だから美貴様に(ry
私も正直乳にはそんなに(ry 水着写真集とか言われてもあんまり心が揺れませんし。


>gungさん

(;〜^◇^)<うわー、すげーお祝いがきたな、ヲイ!

川o・-・)っ〔♯〕<有難く頂戴いたしますとのことです、ありがとうございます ア、オソバドウゾ

お祝いキタワァー.*・゜・*:.。..。.:*・゜(n‘.∀‘)η゜・*:.。. .。.:*・゜・*!!!!!
つまらないものなんてとんでもない、今からがっつきます。
18 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/10/05(水) 10:54
>ピクシーさん

( ´ Д `)っ〔♯〕<んあ?そうかな〜、そんな長いことたってたっけ?

( `.∀´)<まあ、お蕎麦でも食べてって頂戴

引越し祝いありがとうございます。とりあえず平和に始まりました。
やっぱり新スレでも「んあんあ」言ってる様子です。


>はちさん

川o・-・)<まあ、パート4の頃から読んで頂いてるんですか、ありがとうございます

(;〜^◇^)っ〔♯〕<しかもまだ終わる気配ねーし。あ、コレ引越しソバね

初レスありがとうございます。パート4といえば3年前の年末くらいに
立てたスレでしょうか。長いご愛読ありがとうございます。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川‘.▽‘)||<あらまあ、それも好きな理由のひとつなのー

ヽ;^∀^ノっ〔♯〕<それだけじゃねーっての ハイヨ、ソバ

新スレ祝いありがとうございます。紺乳は写真集出したときのですかね。
紺乳は離れ(ry これ以上言うと紺に殴られそうなので(ry
19 名前:ピクシー 投稿日:2005/10/05(水) 12:58
更新お疲れ様です。

あ〜、そういえば岡村先生の企みがありましたね(w
明日香編のせいで、すっかり頭の隅に追いやられてました。

何スレでもついていきますよ。
何せ、物語中では1年経ってませんしね(ニガワラ

次回更新も楽しみに待ってます。
20 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/10/05(水) 18:26
アネゴ、更新お疲れ様です

なんだか新スレそうそう急展開の予感ですね
ま、どんな展開になっても
「カッケー」の一言で乗り切っていくんでしょうけどw

次の更新も待ってます
21 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/10/05(水) 20:41
更新お疲れ様です
・ω・<彩っぺ〜どうする気なんだ〜あ〜気になる〜
从#~∀~从<うっさい!!黙って読んどけ

・ω・<なんでもいいですけど‥食玩ってオマケ付き菓子なのに
    オマケのほうがでかくなってますよね〜
    グリコ世代の俺にはあんまり理解できないっす
( `.∀´)<その割りに部屋に食玩並べてるわよねアンタ
・ω・<‥

次回更新お待ちしております


22 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/10/05(水) 23:33
ん?続きは何か言ってごらんなさい。>(((川o・-・)=○((((((;護摩さん)
確かに、一番怖い拳ですね。失礼しました。
てかアヤカ姉さん、目立たない場所ならいいんですか?(汗)
23 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/06(木) 00:46
更新おつかれ様です
ここももう7スレ目ですか・・・
それだけ彼女達の生活が「濃い」って事ですね
24 名前:早春賦 投稿日:2005/10/12(水) 20:11
―――中澤家

「ちっす」
「「あ、おかえりー」」
吉澤が帰ると、台所で梨華や泊まりに来た柴田、辻加護たちが夕食を摂っていた。
「カッケー。しょうが焼きじゃん」
「しょうがねーYOとかくだらんこと言うなよ」
裕子に先に封印され、吉澤はンガ、と口をヘンに閉じる。
「いつ来たん」
カバンを台所の外の廊下に置き、吉澤は席に着きながら柴田の方を見た。
「夕方かな。
さっきごっちんと犬、散歩させてた」
「ああ、例のバイトね」
「市井さんが付き合うって言ってたのに遅刻したから『使えない』ってごっちん怒ってた」
「クール!カッケー!」
「いやカッケーとかってより『使えない』って…」
梨華は加護と顔を寄せて頷き合う。
辻はしょうが焼きの付け合せのポテサラにがっついていた。
「師匠って殊更にいちーさんってヒトに厳しいでんな」
「厳しいっ、ってーか、アレ…ねえ」
加護の言葉に、今度は柴田と吉澤が顔を寄せて首を傾げる。
梨華は横で苦笑していた。
「ごっちんは、市井さんが大好きなんだよ、きっと」
梨華が言うと、
「ほお」
加護は感服し、隣でポテサラにむせてる辻の背中を叩いてやった。
25 名前:早春賦 投稿日:2005/10/12(水) 20:12

食事の後、柴田は居間で裕子と酒を酌み交わしていた。
「柴っちゃん、イケるクチやな〜」
「まままま、お姉様、どうぞ」
お酌してもらい、裕子はご機嫌だ。
床でDVDを三角座りで見ている梨華はその様を目の当たりにし、苦笑いした。
「イカうんめ〜!」
おつまみをもぐもぐ食べ、吉澤はイカの燻製の袋を梨華に差し出した。
梨華も手を入れ、もぐもぐ食べる。
「あ〜、いいモン食べてるのれす」
たまたま通りかかった辻は、イカを目撃し、ダッシュで梨華の元へ向かう。
後ろにいた加護はあきれたように、
「テスト近いねんで」
と忠告した。
「あいぼんも食べる?」
梨華に袋を差し出され、加護は仕方なく部屋に入って行った。
26 名前:早春賦 投稿日:2005/10/12(水) 20:12
――― 一方。新宿

「ウチのバンドのことって?」
保田が口を開くと、石黒は、
「その前に」
と苦笑した。
「なに?」
「圭ちゃん、アタシのことキライでしょ」
保田は
「は?」
と聞き返す。
「心配しなくても、カオリにちょっかい出したりしないから」
「な!アンタ人妻のくせに!」
保田ははっと我に返り、冷静に、冷静に、と自分に言い聞かせた。
「ホントに圭ちゃんはカオリが好きだねえ。
昔はあんなに女嫌いだったのに」
「カ、カオリは別に…そんなん別にしても好きなのよ」
「ほお〜。
昔の取り巻きが聞いたらなんて言うかねえ。『ムーンフェイスのケイ』がねえ」
石黒は上目遣いで見て微笑んだ。
それを見て保田はまたムッとする。
「まあまあ、そんな噛み付かなくても。
取って食いやしないから。
それでね」
石黒の携帯がブルった。
カバンから取り出し、
「あ、ゴメン。
ちょっと急用できちゃった」
「どうしたの」
「ちょっと、下の子が熱、出しちゃって」
石黒は返事しながらメールを打つ。
「そっか」
「ごめんね、自分から呼び出しといて」
「ううん、すぐ帰ってあげて」
「うん。じゃ、また。近いうちに。
また連絡するわ」
「ああ、うん」
「それじゃ」
石黒は先に席を立って店を出て行った。
保田は脱力して、溜息をついた。
27 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/10/12(水) 20:15
(〜^◇^)ノ<負けず嫌いの台所ラブマシーンでーす(by 愛エプ)

ヤグチ、中エプおめ。

更新しました。

レスのお礼です。

>ピクシーさん

从*・ 。.・)<岡村先生は張り切りすぎなの

(;・e・)<やだなあ、ナニ企んでるんだろ

大丈夫です、私もすっかり頭の隅に追いやられてましたから(ニガワラ
ヤツらはまだ1年も経ってないですが、中の人は当初まだ20代でした(ニガワラ


>三日月ハウスさん

(0^〜^)<そうさ!カッケー!

(;`.∀´)<そんな簡単に片付けていいものか…

急展開かどうかはわかりませんがこんなん出ました。
ヤスには吉と出るかそうでないのか、というところです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`.∀´)<明日から旅行だっつーのに呼び出されるし

川‘.▽‘)||<アラアラ、カオリちゃん拗ねるわよ

彩っぺ、こうしました。ヤスは気苦労が絶えません。
食玩は好きなんですが集めだすとキリないので我慢してます(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川o・-・)○<拳がうなりますね、完璧です

川‘.▽‘)||<フフッ、ヒ・ミ・ツ♪

こんこんさんに殴られるのなら本望(ry
アヤカはオトナなので冷やかしも粋なのです(本当かよ)。


>23の名無飼育さん

川o・-・)<まったく、まだ終わる気配がありませんしね

(;〜^◇^)<濃すぎるよな〜、たく

森のスレも入れると8スレ目になりました。
確かに濃い生活ですね、書いてる人間が言うのもナンですが(笑)。
28 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/10/12(水) 20:54
アネゴ、更新お疲れ様です。

忘れかけてましたが、ケメちゃんは郵便局員なんですよね。
郵政民営化が世間を賑わせていますが、彼女はどう思っているんでしょう?
ニュースを見ていてふと芽生えた疑問でした。

次の更新も待ってます。
29 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/10/12(水) 21:24
肩すかし〜ある意味放置プレイ?

・ω・<我慢できる作者さん凄いですね〜
从#~∀~从<箱から出してないのも含めてアホみたいに
        持ってるアホとは大違いや

次回更新お待ちしております
30 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/10/13(木) 02:40
お疲れ様です。
とりあえずひたすら食ってるのんさんがよかったです。
柴ちゃんどこ行ってもいい仕事してますね。
31 名前:ピクシー 投稿日:2005/10/13(木) 03:08
更新お疲れ様です。

柴っちゃんやりますな。姐さんに付き合えるとは。
のんさん、おつまみだけで・・・酒乱だし(ニガワラ

森板にスレがたってから、ずっと見てますけど・・・
気がついたらこんなに年月が。
なんか、つい数ヶ月前から読み始めたような感覚に時折陥ります。

次回更新も楽しみに待ってます。
32 名前:早春賦 投稿日:2005/10/19(水) 21:30

―――その頃。

村田めぐみこと本名・柴田めぐみは、本業のマンガを片付けつつ、
締め切りの近いエッセイにもボチボチ手を入れていた。

携帯に担当の編集者兼恋人の斉藤瞳から電話が入る。

『進んでる?』
「おう、やってるよ」
村田は顎で携帯を挟みつつ、絵筆を置いて髪をかきあげた。
『そう、良かった。
なんかあったら連絡してきて』
「うん、あのさ」
『なに?』
「声がちっとおかしいけどどしたん?
風邪?」
『いや、特になんもないわよ。
てか、自分の仕事のこと考えてね』
「ああ、うん」
村田は釈然としないものを感じつつ、
『じゃ、また』
と切られた電話に少し眉を顰めた。
33 名前:早春賦 投稿日:2005/10/19(水) 21:31
――― 一方。

保田はホテルのバーを出て、次の待ち合わせに向かった。
歩いて西新宿に向かう。


今日は同じ年に入省した同期の男性の送別会だった。
違う局に勤めているが、時々メールのやりとりはしている。
彼は保田よりひとつ上で、今年度で郵便局を辞め、この春から他府県の
県職員の採用が決まっていた。


「みんなで集まるなんて久しぶりだね」
居酒屋でまずは乾杯し、保田は今日の主役に、
「カノジョできた?」
と冷やかした。
「いや、まあ」
苦笑しつつ、彼は別の同期の女性から餞別を受け取った。
「有難く受け取ってよ、圭ちゃんとあたしで選んだんだから」
「これはどうも」
押し頂くように頂戴し、彼は包みを鞄にしまった。
34 名前:早春賦 投稿日:2005/10/19(水) 21:33
酒が進み、座がほぐれてくると、普段あまり酒癖のよくないメンバーが
「勝ち組か」
と今日の主役の青年に絡みだした。
保田は眉を顰め、もうひとりの女性は
「やめなさいよ」
と止めに入った。
「おまえは前からそうだよな、研修の時もそうだった。
なんかあったら都合よく逃げて。
勝ち組じゃねえな、逃げ組だ」
絡まれた方は特に口答えもせず、無表情でいた。
声も大きかったため、店内の他の客がチラチラと自分たちを見ている。
そろそろ追い出されるかな。
保田は店員が自分たちの方を嫌そうに見てるのを目にし、溜息をついた。
「もう今日はお開きにしようか、あんまり騒いでも他の人の迷惑になるし」
保田が伝票を持って立ち上がろうとすると、
「待てよ保田、おまえもコイツに言いたいことあんだろ」
と更にとばっちりで絡まれた。
「アタシは別に…。人それぞれの人生だし」
保田は特に彼の方も見ずに言い、
『出よう』
と半ば強引に出て行った。
35 名前:早春賦 投稿日:2005/10/19(水) 21:33
深い溜息をついて駅へ向かう。
「保田」
と後ろから声をかけられたので振り向くと、不運の彼だった。
「今日はごめんな、イヤな思いさせて。
せっかくおまえら企画してくれたのに」
「いや、いいよ。
それより、大丈夫だった?」
絡んだほうの青年は、もうひとりの女性同期が半ば強引にタクシーに
押し込み、彼だけ乗せてそのまま帰らせたということだった。
それを聞いて、保田は少し笑った。
「あの人らしいね」
「ああ、あいつらしいよ」

「保田さ」
「なに?」
「オマエ、付き合ってる男いんの?」
「いや、なんで?」
「いや、いい」
それだけ言うと、
『じゃ』
と彼は帰ってしまった。
余計すっきりしないものが残り、保田は手を振ったまま首を傾げた。
36 名前:早春賦 投稿日:2005/10/19(水) 21:36
―――翌日。


飯田と旅に出掛けた保田は、特急車内でドライビールを一缶空けて爆睡していた。
口を開けて爆睡するので、飯田は思わずみかんを皮付きのまま
丸ごと放りこんでやろうかと考えた。
駅弁に柿ピーとイカクンとドライビール。
若い女性の旅とは思えないオヤジっぷりだった。


「ホンットにオヤジなんだから」
目的地に降り立ち、飯田は少し怒っていた。
イカクンのせいで、座っていた席はややイカくさかった。
そのせいもあり、飯田はややおかんむりだった。
若い女の子の旅なのに、とかなんとかさっきから繰り返し言っている。

『あ…もう着いたん?』
先程着いた時、飯田に揺り起こされた保田は、天然丸出しな発言で
飯田をあきれさせた。
「大体圭ちゃんはねえ」
「あ、マイクロバス来たよ」
旅館からの迎えのマイクロバスを見つけ、保田は小言を言われる前に
早々に車の元へ向かった。
37 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/10/19(水) 21:46
( ピーコ)<中澤のオバチャンみたいになっちゃダメよ (^〜^;从<ハア

先日、関西ローカルでいいらさんは本当にこんなことを言われてますた。


更新しました。

レスのお礼です。

>三日月ハウスさん

ハガキは国会が配ってんじゃない!郵便局が配ってんのよ!>( `.∀´)っ□

(〜^◇^)/<当たり前だよ!

忘れられそうな設定ですが郵便局勤務です(笑)。彼女が上記のようなコトを
思ってるかどうかは定かではありませんが、本物の郵便局関係者の方は大変だなと。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`.∀´)<ああ〜、なんだろ?イライラする

(;〜^◇^)っ<落ち着けって

プレイだったのか(笑)。こういうのって後回しにされると余計イライラするかなあと(苦笑)。
食玩関係は昔、ビック○マンチョコとビッグワ○ガムでエライ目に遭ったので(苦笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川σ_σ||ノ<仕事キッチリ!早い安い!

( ´。D`)ノ<ガッツンと食べるれすよ!

柴田嬢は本当にいい仕事してくれます(笑)。オッサンですが。
辻さんは本物のほうが最近とみに痩せてきたので逆に心配です。


>ピクシーさん

从#~∀~从<ウチについてこれるとは大したモンや

川σ_σ||<ここだけのハナシ、アタシより梨華ちゃんのほうがずっと(ry

柴っちゃんは特にメチャメチャ強いワケではないですが、ノリがいいので(笑)。
のんさんはおつまみで酔いそうなイキオイです(苦笑)。

38 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/10/19(水) 22:08
アネゴ、更新お疲れ様です

『郵政民営化、食い止めできません!』by織○裕二
アネゴに影響されて考えてみますた。
センス無いな、とつくづく思いました。

何だかいろんなところで急展開の匂いがプンプンしますね。
ドキドキします。
まるでスプラッシュマウンテンの最後の長い上り坂を上がっているときのような気分です。

次の更新も待ってます。
39 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/10/19(水) 22:23
更新だ〜
番外編ですっかり忘れてたあのカップル〜
・ω・<酒の席か‥
从#~∀~从<この馬鹿大抵いらん事して店追い出されてるわ
(;`.∀´)<某チェーン店のブラックリストに乗ったとかのらないとか

・ω・<ビック○マンなつかし〜アレのおやつ食ったことないな
    いつもダチにあげてたな〜そのダチが気付いたらおデブさんに
    あれって俺が悪いのかな?

次回更新お待ちしております


40 名前:ピクシー 投稿日:2005/10/20(木) 02:34
更新お疲れ様です。

確かに、若い女性の旅行では考え付かないとりあわせ(w
自分の父の職場旅行に付いていった時の光景と同じだし(w

ビック○マン、ちょっと前に復活(?)した時、箱買いしたなぁ。
一箱にヘッドはいくつあるのか、というのを調査しました(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
41 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/10/21(金) 01:45
顎で携帯を挟みつつ、絵筆を置いて髪をかきあげた村さん萌え。(もちメガネ着用?)

川‘〜‘) 从‘〜‘) いいらさん髪を切ったら変わるんですね。
42 名前:早春賦 投稿日:2005/10/27(木) 13:09
金曜日―――。

加護たち朝比奈女子の生徒数名は、昼から駅前のカラオケルームに集結した。
一足早く卒業テストが終わった中3メンバー以外は、週明けには学年末テストである。
これも新垣たちの担任・岡村の卒業企画の陰謀(?)に付き合わされるためであった。

岡村に各メンバーの歌唱力チェックを託された加護は、リストを手に歌を聴く。
一応じゃんけんで順番は決めたが最初になった道重は『さゆは最後がいいの』と何故か辞退した。

「最初はのんが歌うれす」
辻は案外器用に液晶リモコンを操作し、自分の持ち歌を入れた。
『ぜんいんいっしょにミラコーミラコー♪』
「辻さん、案外ファンキーっちゃ」
田中がソーダ水をストローで啜りながら感想を漏らす。
「のの、歌声が意外に太い。音程等特に問題ナシ、リズム感は目を張るものがある、と」
何回か辻の歌は聴いているが、一応詳しく記す。
適当に書くと後で岡村に呼び出されて説教されるのが目に見えているからだ。
同じクラスで音楽の授業などで聴く機会もある紺野は、楽しそうにかつ遠慮がちに手拍子する。
新垣は何故か立ち上がって腕を高い位置にやり、手拍子しながらマワリだした。
43 名前:早春賦 投稿日:2005/10/27(木) 13:09
次は小川が『初めてのロックコンサート』を歌う。
「おお、猪木。エライR&Bやん」
加護が目を開く。
「そうるふるなのれす」
辻が思いっきしひらがなで言う。
『「恋人になろう」とまたないちゃいましたぁ〜』
紺野が勝手に妄想し、頬を赤らめる。
恋するお方は忙しいこっちゃ。
加護はハタで見ていて思った。

「紺野さん、全然歌ってないっちゃ。
なに歌うと?
言うて。れいな、入れると」
田中が紺野にマイクを差し出し、リモコンを手にソファに座ったままずりずり動き、移動してきた。
「え、え…!?」
紺野は赤くなりうろたえる。
「なん?
歌うの恥ずかしいっちゃか?」
紺野は黙ってコクンと頷く。
「辻さん、紺野さん、歌うまいっちゃか」
「かわいらしい歌声なのれす」
振り返って聞く田中に、辻はニヤニヤ笑う。
紺野はすでに泣きそうだ。
「あ、もしかして音痴…?」
田中が指差して『あ』という風に口を開く。
紺野はやはり黙ったままコクコク頷く。
後輩の恋の勇姿を、道重と亀井はほのぼのと見守る。
新垣はモーニング。娘の初期の歌で何を歌おうか、分厚いリストブック見ながら思案中だった。
44 名前:早春賦 投稿日:2005/10/27(木) 13:10

「一緒に歌うっちゃ。
音痴とか誰も気にせん」
半ば強引に腕を引っ張って立たせ、田中は『本気で熱いテーマソング』を手早く入れた。
紺野はオドオドと周囲を見渡し、小さなため息をついてあきらめたように歌いだす。

「田中、まあ及第点。
問題は…紺野やなあ。
声もか細いし。
今回は赤点合格ってことにしとこか」
「あいぼん、光男れすか」
「なんでやねん」

亀井が恥ずかしそうに立ち上がり、『好きな先輩』を加護をたまに見つめて歌う。
『絵里、わかりやすすぎなの』
道重は可笑しくなって少し笑った。
「この子もちょっと声、細いなあ。
まあそこそこ歌えてるからヨシとしよか」
「やっぱり光男れす」
「わしゃあんな上沼ってへんわい」

「新垣いっきま〜す♪」
お調子者の新垣は立ち上がって『恋愛レボリューション21』を軽やかに歌う。
一分のスキもない完璧なフリに、全員やや引く。
決めポーズといい、目線の配り方といい完璧だった。
加護は重々しく言い渡す。
「キミ、論外」
『な〜んでですかぁ!』
新垣がマイクを通して言うので、全員ゲタゲタ笑う。
「まあ、ガキさんも問題ナシ。
さて、ウチの番やな」
45 名前:早春賦 投稿日:2005/10/27(木) 13:12
加護は『よっこらしょ』とややオバハンくさい掛け声で立ち上がり、『ウソつきあんた』を歌った。
新垣が
「シブイ!さすが加護さん!」
と目を丸くする。
加護は新垣に向かって小さくピースした。

「加護さん、かわいらしい声っちゃ」
田中が横の紺野に声をかける。
紺野は穏やかに『そうですね』と微笑んだ。
ちなみに移動してから、田中は紺野がストローをうっかり落としたら即座に電話で新しいのを発注し、
ストローが来たら来たらで袋から出して手渡してやったり、それはもう世話を焼きまくっていた。
紺野も照れくさそうな困惑してるような様子だった。

小川はそんな様子を黙って見ていた。
「まこっちゃん、どしたん?オネム?」
新垣がふと気づいて言った。
「あ、いや、なんでもねー」
小川は笑って小さく手を振って否定する。

ラストは道重だった。
「9255番、道重さゆみ。
『赤いフリージア』を歌います」
「エライケタの番号持ってきたな」
加護と辻は顔を見合わせて頷きあった。
「シゲさんって歌、うまいん?」
加護がふと思い立って新垣にフると、
「え、あ、う…ま、まあ、その」
ある意味ナイスリアクションが返ってきた。
「ま、まあ、聴いてください」
亀井がすかさずフォローを出し、加護はイヤな予感が走る。
46 名前:早春賦 投稿日:2005/10/27(木) 13:14
                              フ     ー  
          じる   ー すー         い   リ    ジア

                    る
从*・ 。.・)<し   こ とに       わ  あ か 
         ん        

( ゜D゜)( ゜д゜)∬∬゜▽゜)川o゜∀゜)从 ゜ヮ゜)(;−e−)ノノ;*^ー^)


―――ある意味、衝撃的な歌声だった。

47 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/10/27(木) 13:22
更新しました。
さゆファンの皆様すみません(汗

从*・ 。.・)<本当に失礼なの

でだ。
カオリ大阪デナーショーが当たりました。
デナーショーというのは空き地に集めさせられて、ジャイアンシチューを食べさせられながら
『ボエ〜』と唸るのを聴く集いでしたっけ(違

( ´D`)<ちがうれすよ、やすだのオバチャンが作るカレー食べて
       バスにのるれす

川o・-・)っ□<カレー代節約のため、ワタクシめはククレカレーとサトウのごはんと
        福神漬とらっきょうは持参します


レスのお礼です。

>三日月ハウスさん

( `.∀´)<最後には水カブるわよ、そんでいつの間にか写真撮られてるわよ

(〜^◇^)<んなわきゃあない

ジェットコースター・ムービーのように展開できたらいいんですが(ニガワラ
by織○裕二の台詞、ワロタ ドリフヲタなのであのドラマで長さんを見るとつい目頭が。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(−Θ ΔΘ)<ワタシのことかな?

川‘〜‘) <カオたちかしら?どっちにしろ、放置されまくってましたよね

多分絵描きと編集者の人たちでしょうね(ニガワラ
何をしたら飲み屋のブラックリストに(w?ビック○マン本体は私も似たようなことを(ry


>ピクシーさん

ガー、ガー>( *−.∀−)っ日

川;´〜`) <トホホホ

保田さん、初手からオヤジです。柿ピーはワタクシの旅のお供です(ニガワラ
いいらさんは相方が爆睡してるので、車内で退屈だったようです。


>ひ〜ちゃんエッグさん

从‘〜‘)<ここではまだロングなんだけどね、髪切ったらこんなカンジ?

リd*^ー^)<絵里だとショートはこんな風になりますよ?

めぐみは多分、特に必要なくともここぞという時はメガネかと(本当かよ)。
いいらさんはそういやここではまだ髪が長かったです(ニガワラ
48 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/10/27(木) 16:23
アネゴ、更新お疲れ様です

誰とは言いませんが、彼女の歌にも味があります。
そう、味なのです。
下手ではなく、味があるのです!!
・・・その味に好き嫌いがあるのは否定しませんが(汗

次の更新も待ってます
49 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/27(木) 18:59
さゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううう!!!!!!
まぁ、さゆは…
0^〜^)<しょうがねーYO
从#〜∀〜从<いいよったで!生姜焼きとかずいぶん前の回なのに今更いいよったで!

個性が出てておもしろかったです。
ガキさんかっけー。
50 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/10/27(木) 20:12
更新だ〜
‥この作品にもジャ○アンリサイタルが
‥だってさゆだもんね‥まぁアレだね


・ω・<飲み屋のブラックリストなんて‥ここに書けないこと
    片っ端からやれば載るんじゃないですかね

(;`.∀´)<この馬鹿近所の某居酒屋チェーン店の
       入り口に実名で入店お断りって書かれてるわよ

次回更新待ってます
51 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/28(金) 00:08
更新お疲れ様です。
デナーショウ当選おめ。
おそらくチケットには『みわくのリタイサル』と表記されてる事でしょう。
52 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/28(金) 00:48
さゆやこんこんは今と比べれば笑い話にできるくらいちゃんと成長してますよねw
53 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/10/28(金) 01:20
更新おつです。
さゆの音痴な表現はどうするのかと思いましたが、神技を出しましたね。
さすがごまさんです。
このあと从*・ 。.・)アンコールがないことを祈ります。
しかし紺ちゃん、目だけじゃなく口まで開いてます。
54 名前:ピクシー 投稿日:2005/10/28(金) 05:36
更新お疲れ様です。

さすがぼんさん、チェックにぬかりがありませんな。
でも、さゆの歌声は衝撃的だったようだ(ニガワラ

さゆとコンコンはしっかり成長してますねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
55 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/29(土) 21:24
更新乙です。
今頃新スレに気づいた。orz
ののの突っ込み最高!
ガキさんかっけー!!
さゆ……
56 名前:早春賦 投稿日:2005/11/02(水) 10:42
―――飯田は旅館の部屋でうたた寝していた。

離れの部屋にチェックインして、しばらくしてから少し眠くなり、
座布団を枕に横になったのだ。
薄く目を開くと、縁側の柱に保田が背をつけて座り、庭を眺めていた。
飯田が電車で口をつけずに残していた缶コーヒーを開け、時々口に含んでいる。
少し行儀悪く足を伸ばし、足の位置を変える度に、ディーゼルの古着のジーンズが
畳に擦れる音がした。
飯田は薄く目を開き、寝転んだまま、半分夢みたいな気持ちで行儀悪い恋人に見入っ
ていた。
57 名前:早春賦 投稿日:2005/11/02(水) 10:44
「起きたん?」
飯田の方を見て、起きてることに気付いた保田は、コーヒー片手に笑った。
「うん。カオ、寝てたんだね」
「いつの間にかぐうぐう寝てるし」
保田は立ち上がって、飯田のそばに行き、寝乱れた髪を手で直してやる。
「最中の粉がついてる」
飯田の口の端を、保田は笑って拭ってやる。
「ヤだ。
カオ、最中食べてぐうぐう寝てたん!?
コドモじゃん!」
「だねえ」
飯田が赤くなって自分でごしごし口を拭うのを、保田は楽しそうに眺める。



「ゆうべ、遅かったじゃん。
ちゃんと帰れた?飲みだったんしょ」
「ああ、うん」
飯田は起き上がってから洋服の皺などを簡単に直し、
さっき部屋に来た時淹れて、冷めてしまったお茶を淹れ直した。
今度は保田が二つ折りにした座布団を枕にし、寝転ぶ。
「酔って絡んだりしなかった?」
飯田が冗談ぽく言うと、
「いやまあ」
と苦笑まじりで返す。
「今朝もギリギリまで寝てー。
お疲れ?」
「ああ、うん。
てか、洗濯サンキュ。
帰ってからまとめてしようと思ってたんだけど」
「いやー、カオのとまとめてしたし、それはいいんだけど」
『ハイ』と飯田は保田が寝転んでるそばの座卓に、湯飲みを置いた。
「無茶はしていいけど、無理はしないでね」
「は?」
保田は思わず、畳から少し体を浮かした。
「やんちゃはしていいけど、自分がなくなるほどの我慢はしないでってこと」
「…うん」
保田は座布団を外し、心底嬉しそうな顔で飯田の膝に頭を載せた。
58 名前:早春賦 投稿日:2005/11/02(水) 10:46
「ハイ、あーん」
ひとっ風呂浴びたふたりは浴衣に着替え、夕食までのひとときを部屋で過ごしていた。
飯田は膝枕をしてやり、蜜柑を剥いて保田に食べさせていた。
保田は珍しく、照れもせず従順だった。
飯田の膝で束の間の休暇の幸せを満喫している。
「髪の毛、伸びたね」
飯田が肩先の髪の裾を撫でると、保田はくすぐったそうな顔で笑った。
「いつも見てんのに」
「いやー、改めて見ると伸びたなーって。
伸ばしてんの?」
「女らしい魅力でメロメロにさせようってね」
「バーカ」
飯田は軽く保田のデコを叩き、『痛いよ』と苦情を言われる。


「飲み、どだった?
なんか郵便局の同期の友達とだっけ」
「ああ、うん」
保田が言葉を濁すので、
「悪酔いでもしたー?」
と飯田は自分の膝の保田の額を撫でた。
「まあ、そんな感じ」
「ふうん。
あ。彩っぺ元気だった?
昨日ちょっと会ったんでしょ」
「ああ、うん。
下の子が熱出したとかですぐ帰った」
「そっかあ。
お母さんは大変だね。
じゃ、あんまし話、してないんだ」
「うん…」
保田は昨日のことを思い出す。
うちのバンドのことだと言っていたが。
まったく思い当たるフシがないわけでもない。
そのテの申し出は今までにも何件かあった。
吉澤が入ってからは、不思議と数が減っていたが。
それは自分と市井がはっきりと意思表示してる効果だと思っていた。
59 名前:早春賦 投稿日:2005/11/02(水) 10:48
「彩っぺ、なんだったん」
飯田が考え抜いたように言う。
昨年の末にああいうことがあったので、どう言おうか困ってるようである。
それとなく察し、保田は
「人妻ってエロイよね」
とニヤニヤ笑った。
飯田はまた黙ってデコを叩いた。
今度は手加減ナシだ。
「いってー。
ちったあ手加減してよ」
膝から頭を離し、額を押さえて起き上がる。
「もうー。
知らない」
「心配しなくても、プライベートな話じゃないから」
「へ?じゃ、なに?」
「んー、うちのバンドのことだってさ」
「バンド?なんで?」
「その話に入る前に帰られちゃった」
保田は肩をすくめ、両手を広げた。
「この話はオフレコね。
まだ何も言われてないし」
「ん、おっけ」
飯田は
「あのさ」
とまた口を開いた。
「なに?」
「ゆうべ、携帯何度か鳴ってたん、知ってる?」
「へ?ああ…アタシ、お風呂入ってる時かな。
誰からか分かんないし、留守電も入ってなかったしすぐ消したけど」
「うん」
「なに〜?
浮気の心配とか?」
保田はまたニヤニヤした。
「そうじゃないけど、最近疲れて寝てる時が多いからさ。
特にゆうべはぐったりしてたから気になっただけ」
「カオリが隣で寝てくれたら疲れが取れるんだけどなあ〜♪」
保田はまた飯田の膝に甘ったれた。
「もう〜。このエロ星人」
飯田は最近大学院の方が多忙で、夜遅くまで家で作業しており、
保田のベッドでは寝ていなかった。
それでも保田が帰ると、部屋が片付いており、テーブルには夕食の用意がある。
60 名前:早春賦 投稿日:2005/11/02(水) 10:57
「4月から大変だね。
てか、今の時期の方が大変?」
飯田が耳にかかった髪を指で払ってやると、保田は
「んー。
まあ、どうにかなるっしょ」
と目を閉じた。
「あの」
「ん?」
「さっきの携帯だけどさ」
「はあ」
「かかってきた後に家電にもかかってきて、なんか男の人の声で
『保田いねーのかよ!』って怒鳴ってたの。留守電に入ってなかった?」
「いや、入ってなかった。
今朝聞いたけど」
「そっか。
ああ、なんだったんだろ」
飯田が自分の胸を押さえるので、保田は寝転んだまま彼女の腕に手を伸ばした。
「あらかた、同期の子が酔ってうちにかけてきたんでしょ。
心配しなくていいから」
「ホントに?
なんかトラブってない?」
「ああ、大丈夫」
保田は笑って否定したものの、飯田の膝で考えてると、現時点での問題などが
浮かんで来て、色々と面倒なことが起こりかけてるな、とぼんやり考えた。
これからの仕事のこと。石黒が絡んできそうなバンドのこと。家のこと。
決して本人たちは分かり合うことはないかもしれない、昨日会った同期のこと。
61 名前:早春賦 投稿日:2005/11/02(水) 10:59
考えてるうちに、ちょっと理不尽な心持になってきた。
「ああ〜!
もう!
どーしてこんなクソ忙しい時に次から次へトラブルが起こるのよ!
折角こっちは彼女と休暇取って旅行来てんのにさ!」
保田は起き上がって一通り叫ぶと、『しまった…』というように恐る恐る
飯田の方を振り返った。
『しまった…引かれた』
「あ、あの。飯田さん?」
「スッキリした?」
「ああ、うん…」
「その話、フロでも入りながらゆっくり聞こうじゃないの」
飯田はポンと肩を叩き、
『さ、保田くん。
こっちに来たまえ』
飯田は自分を部長という設定で、庭の露天風呂に向かって
オッサンのように歩き出した。
保田は笑って、
「ハイ、部長。
優しくしてくださいね」
とOL設定でノッてみる。
「ちがーう!
圭ちゃんはカオの部下の37歳の妻子持ちの課長!」
とダメ出しが出る。
「同じ会社の男同士で温泉来てんのかよ、しかも部長と課長で」
「社員旅行なの」
「ああ、ハイ…」
保田は頭をかきながら、飯田について歩き出した。
62 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/11/02(水) 11:05
从*・ 。.・)

さゆの美しい歌声に、ある意味酔い痴れてくださってありがとうございました。

更新しました。レスのお礼です。

>三日月ハウスさん

从*・ 。.・)<さゆは普通に歌ってるの

川;*^ー^) <うちのクラスの音楽の時間はある意味リサイタルですよ?

そうですよね、味ですよね。
でも冗談はさておき、あのオーディションから見たら上手くなったなーと思いますね。


>49の名無飼育さん

(0^〜^)<言っちゃったYO!

从#−∀−从<言うたん自分やでー

細かいネタまで覚えててくださって感激です(笑)。姐さんAAワロタ
ガキさんは画面など当然見ずに完コピで素晴らしい歌を聴かせてくれます。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从*・ 。.・)<ボエ〜 

川;*^ー^) <違和感ないよ、さゆ

ガキさんもフォローしきれなかったくらいのリサイタルぶりでした。
さゆ自身は「さゆの歌を無料で聴けるなんて幸せ者なの」とほざいてます(w


>51の名無飼育さん

从*・ 。.・)<デビューシングルはノビタレコードから『乙女の愛の夢』なの

(;〜^◇^)<ヤツの歌声は害虫駆除にも使われたくらいだからな

デナーショーFC枠は当選ハガキがチケ代わりとなるので思わず自分で書くところでした。>『みわくのリタイサル』
ありがとうございます、『ボエ〜』に酔い痴れてきます(違
63 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/11/02(水) 11:06
>52の名無飼育さん

川o・-・)<さゆーじあはある意味本家を超える名曲ですね

从*・ 。.・)<柴田さんには負けないの

さゆはおとめの『友情―』の冒頭で「あ、うまくなってる」と驚いた記憶が。
こんこんは何より自信がついてきたのがいいんではないかと。


>ひ〜ちゃんエッグさん

从*・ 。.・)<アンコールは残念ながら2曲までなの

川;o・-・)<わたくしとしたことが…あまりの衝撃に

紺野さんはあまりの衝撃にアヒャったまま白目を剥いてしまったようです。
アンコールはれいなあたりが阻止したとかしないとか。


>ピクシーさん

(;‘ д‘ )<いやー、ある意味武器やでアレは、しかし

川;o・-・)<はあ、わたくしも違う意味で負けました

ぼんさんはぬかりありません、ののにツッコまれようとも。
さゆの歌唱力はチェック不能だったようですが。本物の彼女らは上手くなりましたね。


>55の名無飼育さん

( *・e・)<照れるのだ

( ´D`)<あいぼんはこれから『てらだ』ってよぶれす

気付いてくださってありがとうございます(笑)。今後ともよろしくです。
ガキさんはみんなが引くくらいのスターっぷりです(笑)。
64 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/11/02(水) 19:37
アネゴ、更新お疲れ様です。

お風呂から上がった後も部長と課長のコントを継続して
『部長、まま1杯・・・』『おお、悪いね・・・』
とか、やってそうですねこの二人は。
それにしてもラブラブでええなぁ・・・

次回の更新も待ってます。
65 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/11/03(木) 01:37
更新お疲れさまです。
部長課長ですか。
( ゜皿゜)<オメーに食わせるタンメンはねえ!
て感じで。
ところでこれは新婚旅行ですか?もっとラブラブしてほしいですね。
66 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/11/03(木) 05:43
更新だ〜
今回の更新読んでると
頭の中で吉田拓郎の『旅の宿』が流れていました
川σ_σ||<君の膝枕にウットリ〜♪
・ω・<そういやFS4でメロンがカバーしてたな〜

余裕のあるカオリがどんどんいい女になってる

・ω・<気がついたら圭ちゃんがちゅ〜ねんレギュラーに
    仕事しないでテレビに噛り付いております
(;〜^◇^)<仕事しろバカ!!

次回更新お待ちしております


67 名前:ピクシー 投稿日:2005/11/03(木) 13:03
更新お疲れ様です。

女子高生軍団を見たあとだと、この二人はつくづく大人ですな。
最中の粉つけて寝るいいらさんを想像しました(w

さゆの場合は菅井先生の指導の賜物ですかねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
68 名前:早春賦 投稿日:2005/11/09(水) 20:23
紺野はカラオケの後、加護たちと別れそのまま電車で帰った。
今日は両親も妹もいないので、夕食どうしようかな、と考えながら地元の駅前を歩いていた。
『あ…そういえばこの筋に入ったことない』
ふと思い立って、いつもは通らない道を進んで行く。
「レコードショップ…ジーザス」
古いペイントの看板の、英語で書かれた店名を読み上げ、店内に思い切って入って行った。
「いらっしゃいませ…んあ」
カウンターにいた店員を見て、紺野は目を丸くする。
先方も少し眠そうな目を見開いた。
「んあ、いらっさい。
ヒサブリじゃん。ナニ以来?
あ、加護ちんのおたんじょーび会か」
その店員―――後藤は『ま、ゆっくりしてってよ』と続けた。
「お、お久しぶりです。
ア、アルバイトされてるのですか」
「んあ、そ。
なんかお探しモノ?」
「い、いえ。
こちらの通りに来たことがなかったので、ちょっと来てみたんです…びっくりしました」
「んあ、もしかしてこの辺地元?」
「は、はい」
「へえー。会わなかったのがフシギなくらいだねえ。あー、そうだ」
「は、はい?」
「このあとヒマ?」
「え、ええ」
「んじゃ、ちょい付き合って」
後藤はにひひ、と笑った。
69 名前:早春賦 投稿日:2005/11/09(水) 20:24
「店長ー、ごとー上がりまーす」
「おおう、お疲れー」
カウンターの奥に声を掛け、後藤は
『んあ、お待たせ。行こ』
と紺野を促して揃って店を後にした。

歩きながら後藤は、
「晩ごはん付き合ってほしーんだけど、だいじょぶ?」
とちょっと紺野の方を振り返った。
「あ、はい。大丈夫です。
今日は、家族が出かけてまうので」
「んあ。じゃ、ごとーオススメの店へば行きましょうぞ」
後藤はパーカーの前ポケットに両手を突っ込み、歌いながらさくさく歩く。
『いえいえ、まだまだその手には乗らないわ〜♪』
「何の歌ですか」
「昔流行った歌だよ」
「へえ、凄いですね。
いつくらいのですか?」
「ん〜、昭和?」
「範囲広すぎですよ」
紺野の指摘に、後藤は照れ笑いした。
70 名前:早春賦 投稿日:2005/11/09(水) 20:24
辿り着いた処は、定食屋だった。
「こんな処に定食屋さんがあったんですね…」
席に着きながら、紺野は物珍しそうに店内を見渡す。
「そだよ。何にする?」
「えーと…おすすめは」
「肉じゃがとか。
たいてーおいしーけどね」
「じゃ、コロッケ定食に肉じゃがつけます」
「あっは!イモばっか」
「アイデンティティーですから」
紺野がわざと真面目くさったカオで言うので、後藤はゲタゲタ笑った。
「サツマイモのレモン煮とかは?
ここのオバチャンのおすすめなんだけど」
「勿論つけます」
紺野が今度は無意味に胸を張り、自信たっぷりに答えるので後藤はまた笑った。

「おばちゃん、おあいそお願い〜」
食べ終えて小休止してから、後藤はカバンから財布を取り出し、2千円札と水色の小さな厚紙をレジに差し出した。
「全部ポイント貯まったから今日は5百円引きね。毎度おおきに」
「んあ、ごちそーさま」
紺野は店員のおばさんと後藤とのやりとりを見て、
「後藤さん、私の分―――」
と財布から札を出そうとした。
「んあ、いい。
クーポンいっぱいなったからの使ったし、大体ひとり分しかかかってないしー」
後藤は新しいクーポンをひらひらさせた。
「…すみません」
「『ゴチになりやした、アネゴ』
って言ってみ?」
「ゴ、ゴチになりや…した、アネゴ?」
「んあっあ!」
紺野が首を傾げながら、最後に疑問形つきで言うので、後藤は訳もなく大喜びだ。
後藤さん、アネゴ呼ばわりされて嬉しいのかしら、紺野はまた首を傾げた。
71 名前:早春賦 投稿日:2005/11/09(水) 20:25
――― その頃。クライム出版社編集部

編集者・斉藤瞳は電話連絡をいくつか済ますと、端末に向かった。
必要な資料を取りに、立ち上がってキャビネットへ行く。
「斉藤、手が空いたらちょっと来てくれ」
「はい」
編集長に声を掛けられたので、ファイルをいくつか抱えて、
一旦自分のデスクへ置きに行こうとする。
『あれ…』
急に目の前が暗くなり、斉藤は額を押さえて少し前に屈んだ。
「先輩?」
近くにいた後輩の女性社員が斉藤の異変に気づいて歩み寄ってくる。
斉藤はそのまま、床に倒れこんだ。
「おい、救急車呼べ!」
編集長の怒号が、夕方のオフィスに響き渡った。
72 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/11/09(水) 20:29
ステキナウタデスネ (((川o・-・) (((( ´ Д `)♪ドーセユメカマボロシー

更新しました。レスのお礼です。


>三日月ハウスさん

( ゜皿 ゜)<ヌギタマエ (`.∀´;)<いや、男の社員旅行でおかしいから


こんなことも多分やってます。↑
帯グルグルもあったりなかったりします。何しろ離れ部屋ですからね(w


>ひ〜ちゃんエッグさん

(;`.∀´)<それは次長課長…

( ゜皿 ゜)<ヤーイケイチャンツラレタツラレター

映画『酔拳』も併せて見ると楽しさいっぱいですね(違。
新婚旅行というよりは婚前旅行のようです(w 


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( `.∀´)<ホホッ、関西ローカルの深夜番組にもたまに出てるわよッ

(〜^◇^)<圭ちゃん一人暮らしのくせにマグカップばっか集めてんだろ

気がついたら毎週出てましたね(w>『っちゅ〜ねん』
実は前回『旅の宿』っぽく書こうと思ったのでレスにびっくりしました。


>ピクシーさん

从*・ 。.・)<さゆも絶対こんな大人の女になるの

川*^ー^) <無理

やすかおが出てくると急にアダルトになりますからね(w
さゆも割り箸口に挟んだり『にゃぁ〜お』もムダではなかったなと。
73 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/09(水) 22:03
更新お疲れ様です。

イモ類のテンプテーションに乗っかりまくりの紺野さんが可愛いっすね。
74 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/11/09(水) 22:27
ゴチになりやした・・・じゃなかった、更新お疲れ様です、アネゴ。

クーポンを貯めて500円引き・・・
そんな主婦的な後藤さんが素敵です。
イモばっかりの紺野さんも素敵です。

次の更新も待ってます。
75 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/11/10(木) 03:40
更新お疲れです。
ごとーさんご機嫌ですね。「んあっあ!」でわかります。
この2人だと、かなり食ったと思います。
76 名前:ピクシー 投稿日:2005/11/10(木) 05:55
更新お疲れ様です。

ごとーさん、犬の散歩以外にもバイトしてたんですねぇ。
しかも、やはりというか音楽関係。

ごとーさんとコンコンと言えば・・・
最近の某番組で見た組み合せ(笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
77 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/11/10(木) 05:55
更新お疲れですた

・ω・<アネゴって言ったら俺も奢ってもらえるんだろうか
    ‥村さん早く行くんだ!!!ボスのピンチだ!!!

ローカルの深夜番組見ました
‥ウインク見た瞬間飲んでたバーボン噴出しました

・ω・<あ〜やっぱり〜拓郎でしたか‥いいですよね〜
    アレって浅田美代子との旅行で思いついたらしいですね〜

( `.∀´)<このバカ年齢に合わない歌ばっかり聴いてるから
       へんに詳しいのよね〜

次回更新待ってます
78 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/12(土) 13:08
更新乙です。
さ、斉藤さん・・・・。
そう言えばこんこんとあいぼんへの悪質な嫌がらせの件はどうなったんだろうと思う今日この頃。
と言っても作中ではまだ一ヶ月もたってないんですもんね。
79 名前:早春賦 投稿日:2005/11/16(水) 22:19
紺野と後藤は定食屋を出た後、地元で美味しいと評判の和菓子屋に赴いた。
モチだの団子だのをデザートとしてあほほど買い込み、店の横で立ち食いしていた。

「んあ…みたらしはこのおツユがたまんないね…んっあー」
「同感です…おツユなかったらただの焼いた団子ですもんね」
「まったくだ」
ガツガツ平らげ、満腹、満腹とハラをさすり、また歩き出した。
「今日はどうもごちそうさまでした」
「んあ、苦しゅうない」
後藤はバカ殿のように言い、片手を上げた。
「いいコト教えてあげよっか」
「なんですか」
「けーちゃんとカオリは今日、ふたりっきりで温泉行ってんだよ。
個室に露天ブロついて離れだよ、離れ」
「そ、そうですか…」
いいコトなのか?と紺野は首を傾げた。
「好きなヒトいないの?」
後藤の質問に、紺野は頬を赤らめた。
「んあ、正直だねい」
後藤はニヤっと笑う。
「ご、後藤さんは?
お好きな方は?」
「ごとー?」
「ハイ」
「ごとーの好きな人はね」
後藤は続けた。
「バカでアホでスケベでハゲでタラシだけど、憎めないヤツなの」
「そうですか…」
「なーんてね」
夕陽を背にして、後藤は『バイバイ』とプラプラ手を振った。
はずみで髪飾りが落ちる。
紺野がとっさに拾うと、
「あげるぽ」
「いま…『ぽ』って言いましたね?」
後藤はまた手を振って帰って行った。
80 名前:早春賦 投稿日:2005/11/16(水) 22:25
―――その頃


『斉藤が過労で緊急入院』

斉藤の後輩社員から知らせを受けた村田は、急いで病院に向かった。
斉藤は割合早く意識を取り戻し、大人しくベッドに横たわっていた。
腕に点滴を付け、薄いピンクの入院着で長い髪は束ねて括っている。

思っていたより元気そうだったので、村田はほっとした。
だが、過労だけあって顔に生気はあまり無い。
化粧っ気の無い顔が余計やつれて見えた。

「ひと…」
村田が声を掛けようとすると、
「こんな所で何してんの!
締め切りがあった筈よ!」
斉藤の怒声が返って来る。
「ひ、ひとが入院したってき、聞いて、あたし…いてもたってもいらんなくなって。
ごめん、今すぐ帰って仕事するよ。 これ、お見舞い。
食べれそうだったら食べて」
いきなり怒鳴られたので、村田はしょげながら心配だった、と告げた。
病院のそばで買った林檎の入ったビニール袋を、ベッドのそばの小さな机に置いた。
81 名前:早春賦 投稿日:2005/11/16(水) 22:26
村田は怒鳴られて、見るからにヘコんでいる。
すごすごと病室を出ようとする。
流石に言い過ぎたと思ったのか、斉藤は
「村、小銭持ってる?」
と寂しげな背中に声を掛ける。
「え、あ、うん」
村田は振り向いて、鞄をごそごそ探って小銭入れを出した。
「下の自販機でジュース買って来てくれる?
それと何も準備ナシで入院したから何も揃ってないのよ。
コンビニあったっけ、この辺」
「あ、うん!
ジュースね、ジュース!」
「あと洗面道具とかも頼むわ。
お金、後で返す」
「うん!」
村田は一変して笑顔になる。
軽い足取りでエレベーターに向かって行った。
斉藤はやれやれ、と呟くと、村田が持って来た林檎をひとつ袋から取り上げ、
小さく微笑んだ。
82 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/11/16(水) 22:31
更新しました。
タンポポが10万HITしました。
ありがとう、ありがとうです。
これからもよろしくおながいします。

レスのお礼です。

>73の名無飼育さん

川o・)-・)゛<ええ、乗っかりまくりです モグ

( ;´ Д `)<…すんごい食いっぷりだねえ マケタヨ

気づいてくださって嬉しいです、ありがとうございます。イモ類のテンプテーション ワロタ (0^〜^)<レスセンスクール!カッケー!


>三日月ハウスさん

ヽ;^∀^ノ<オバハンか!って思うくらい各種貯めてるよな〜

( ´ Д `)<うっさいよ、ハゲ

何も奢ってませんが(笑)ありがとうございます。( ´ Д `)<んあ、クーポンは生活の知恵ですぞ
中の人は逆に片っ端から捨ててます(ニガワラ


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)<んあ、だってこんこんオモロイもん テンネンデ

川o・-・)<後藤さんも大概かと…

定食にあれこれおかずを取ってますからねえ。( ´ Д `)<うーむ、つられていつも以上に食ったよ
こんこんがあまりにもナイスリアクションで後藤さんは嬉しかったようです。


>ピクシーさん

( ´ Д `)<中古のレコード屋さんなのよ

ヽ^∀^ノ<紹介したんアタシアタシ

主にソウルミュージックの品揃いが豊富なショップです。( ´ Д `)<まだいくつかやってるよ
某番組…ハロモニ。のでしたっけ(w?


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( `.∀−)―☆<ウフ!

( ´ Д `)<昔の美代子は激しく可愛かったって中の人が言ってる


ウィンクもアレですが髪型がオバハンくさ…うわなにを(ry( ´ Д `)<奢るかどうかは『アネゴ』の言い方次第?
斉藤さんの一件はこうなりますた。


>78の名無飼育さん

ξξ “ З.“) <ハ〜イ、なあに?


( ‘ д‘ )<ホンマにアレどうなったんて、なあ中の人

お気づきの通りまだひと月たってません。川o・-・)y-~~<しょうがない作者ですね

どんだけかかってんねん、てハナシですが(ニガワラ 斉藤さんはこうなりました。
83 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/11/16(水) 23:37
アネゴ、更新お疲れ様です。

怒られてシュンとなり、優しくされて元気になる、そんな村田さん萌え。
話は変わりますが、僕も団子好きです。
みたらしもいいですが、あんこも好きです。
特に草もちとあんこの組み合わせは最強です。
熱い緑茶があれば、カンペキです。紺野さんです。

次の更新も待ってます。
84 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/11/16(水) 23:51
更新お疲れ様です

食い歩きですか‥
ごっちんとこんこんすげ〜
『ぽ』キター
さすがボス!!村さんのツボおさえてますね〜

・ω・<圭ちゃんウインク‥もう凶器ですね
    そう言えば昔の浅田美代子はマジ可愛いいって聞きました
    今じゃさんまにいじられるだけなんですけどね

次回更新お待ちしております

85 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/11/17(木) 00:03
更新おつです。
ひとちゃんの怒号は、漫画にすると村さんが壁にめり込むほど吹っ飛んだと思います。

やっぱり2人は花より団子ですかね?
後藤さん、4んあ〜に『ぽ』も出るほどご機嫌でしたね。
86 名前:73 投稿日:2005/11/17(木) 00:51
更新お疲れ様です。

さて、今回はじめて具体的な言及がなされた訳ですが。
あの人の週末の恋がカレンダーの数より多かった頃(笑)、どんな思いを抱いてたんでしょう。


よっちぃありがとう。
書いた後に顔文字劇場のごっちんの歌に気付いて、
『乗っかりまくり』じゃなく『sosorareまくり』にしときゃ良かった、と思ってました。(笑)
でもお褒めいただき嬉しいです。
ありがとうございました。
87 名前:ピクシー 投稿日:2005/11/17(木) 04:35
更新お疲れ様です。

やはりこんごまは食い倒れコンビですなぁ・・・
そこにのんさんが加われば最強?

ハロモニで正解です。
ごとーさん、初登場でご褒美ゲットしましたし。

次回更新も楽しみに待ってます。
88 名前:早春賦 投稿日:2005/11/24(木) 12:33

加護と辻はカラオケ帰りにタンポポに出向いた。
「春の新作ケーキを買いに行くれす!」
と辻は鼻息も荒い。
「ハイハイ」
加護はあきらめきった表情でついて行く。

「「「あ」」」
タンポポで辻・加護と―――朝比奈女子の生徒・岡田唯は顔を見合わせて一斉に声を上げた。
「岡パ…岡田先輩。
どないしはりましたん…ソレ、履歴書?」
岡田の手元には白い見開きの紙があった。
「ああ、うん。
あたし、ここでバイトさせてもらお思て。
募集の貼紙見て速攻持って来てん。
てか、今『岡パイ』言おう思たやろ?」
『トロトロンに見えて侮れんお人や!』
加護は心の中で驚愕する。
「バイト…のん、クビれすか?」
辻が悲しそうな顔でカウンターの奥を見る。
「おまたせー」
奥から矢口が現れた。
面接用の書類などを取りに行っていたのだ。
「やぐちさん、のん、クビなんれすか?」
「ハア?
あ!新しいバイトさんが来るからってカン違いしてんのか。
大丈夫、このおねーさんは辻のいない平日がシフト多いから。
辻は今までどーり頑張ってもらうよ」
「…よかったぁー」
辻は本気で安堵し、胸に手を当てて息を吐いた。
「じゃ、とりあえず簡単な面接ね。
履歴書は持って来てくれた?」
「ハイ、こちらに」
端の席で、矢口と岡田のアルバイト面接が始まった。
辻と加護はその間、おとなしくおひやを飲んで待った。
89 名前:早春賦 投稿日:2005/11/24(木) 12:33
梨華は柴田と買物に来ていた。
表参道の店で雑貨を見る。

「これ、どう思う?」
柴田は梨華にTシャツを見せた。
梨華は
「かわいー」
と頬をほころばせる。
「よっしゃ。
じゃ、これにすっか」
柴田はTシャツ手にうんうん頷き、レジに向かう。
「プレゼント?」
後からついて来た梨華が問うと、
「んー、ねえやんお誕生日なんよ」
柴田は財布を出しながら答えた。
「あ、3日だったね!
あたしも何か――」
梨華が言いかけると、
「『ちょっとだけよ』とかスカートチラッとかめくるほーがヤツ、喜ぶと思う」
「…柴ちゃん」
「ハイ?」
「何時代?」
「…あたしも今『しまった』と思った」
ふたりは顔を見合わせて苦笑いした。
90 名前:早春賦 投稿日:2005/11/24(木) 12:34
紺野と別れて後藤が駅に向かうと、上着の中の携帯が鳴った。
家族からだ。
「んー、そう。
バイト終わって帰るとこー。
え?今から?
うん、分かったー」
携帯を切って、後藤はそのまま実家に向かう。


実家に着くと、市井が何故か夕飯を食べていた。
「いよ!おっかえりー」
「なんでいんのさ」
「いや、たまたま家帰ったらかーちゃんに干物持ってけ言われて、
届けに来たワケよ。
で、おばさんに晩メシゴチになってんの」
後藤は渋い顔をし、どさっと鞄を下ろし、自分もテーブルについた。
「で、おかーさんは?」
「おばさん?
なんか、物置から鍋持ってくるつってた」
「鍋?」
「そ、鍋?」
「もしかして、お赤飯とか炊く用の?」
「あー、そーかもね。
オマエん家、なんかおめでてーことあったら必ずお赤飯だからな」
市井はそう言うと、『うめえなあ〜』と焼魚にがっついた。
「なに?
おめでたいことって」
「さあ。
おめー、聞いてねーの?」
「うん…帰って来いってだけ言われたから」
「あ、そうなん?」
後藤が渋い顔をして考え込む一方で、市井は相変わらず暢気に夕飯を平らげていた。
91 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/11/24(木) 12:36
更新しました。
レスのお礼です。


>三日月ハウスさん

(;‐ Δ‐)<…あゆみにも似たようなことゆわれてる

ξξ “ З.“) <アンタわがままだけど分かりやすいからねえ

村さんは案外単純なんです。てか単純のレベルが一般人と違いすぎるというか(苦笑)。
私は甘いのはアレですが、食べるなら三色団子ですかねえ。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´ Д `)<『ぽ』なんて言ってないぽ

( ‘ д‘ )<…師匠、いまの天然発言でっか?

ボスは付き合いが長いので、喜ぶことも悲しむことも完璧に把握してます。
『寺内貫太郎一家』の頃の美代子は最強です、歌もある意味最強でしたが。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ‐ Δ‐)<う〜む、どっちかつーとバズーカ砲でぶっとばされた感じ?


ξξ “ З.“) <ハイ村田さん、しばらく美少女禁止ね

入院患者とは思えないくらいの怒号っぷりだったかと。
花も団子も好きなんでしょうけど、目の前に団子があれば迷わずがっつく2人です。


>73さん

(0▼〜▼)y-~~<礼には及ばねーYO!

( ´д`)<キミ誰やねん

カレンダーの数より多かった頃(笑)もまったく無関心だったわけではなかったようです。
彼女の場合あんまりそのテのことで感情を表さないので今に至るのです。


>ピクシーさん

川o・-・)<辻さん以来の強豪でした

( ;´ Д `)<いえいえ何をおっしゃる

まだ10代のアイドルなのにあんなシブイものを食べ歩くこんこんが可笑しかったです。>『マジレス』
食い歩きにのんさんまで加わったらもっと破壊力が増すこと請け合いです。
92 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/11/24(木) 17:15
アネゴ、更新お疲れ様です。

岡パイキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
タンポポでバイトですか・・・
『ギュ〜』するんでしょうか?
セクハラされたら『ギュ〜』、バイト代が安かったら『ギュ〜』
・・・ちょっと面白そう。

次の更新も待ってます。
93 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/11/24(木) 20:42
更新キター

のんかわいいですね〜
バイト時代に店長に新人の面接を頼まれたので面接をすると
次の日に入れ替わりで私はクビになりました

お祝い赤飯ですか‥意味深げですね
( `.∀´)<馬鹿がよからぬ事考えてるわよ

・ω・ <寺内貫太郎は再放送で見ました‥最強ですね

次回更新待ってます
94 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/11/25(金) 01:35
更新おつかれです。
村さんにプレゼントですか?美少女の詰め合わせなんかどうです?

市井ちゃんはもう後藤家の一員になってる気がします。
95 名前:ピクシー 投稿日:2005/11/25(金) 01:52
更新お疲れ様です。

お、タンポポにまた看板娘の誕生か?
ますますもって常連になりたい喫茶店に・・・(笑)

マジレスでぼんさんがやったカンペ。
親(一徹)子(ひとすじ)で考える事が一緒(笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
96 名前:早春賦 投稿日:2005/11/30(水) 11:25
後藤は無言でおにぎりを握っていた。
余った赤飯をボールにあけ、黙りこくって握る。

「なにしてんの、おめー」
キッチンに市井がやって来た。
奥のリビングからはにぎやかな声が聞こえる。

今日は、弟のユウキが婚約者を連れてやって来た。
以前会ったソニンだ。
入院してたソニンの父も回復し、ユウキたちふたりの籍を入れることになったのだ。
今日は、そのお祝いのためふたりは後藤家を訪れた。

「おにぎり、作ってんの。
お赤飯が余ったから」
言葉少なに答え、後藤はまた無言で作業に励む。
「おとーとに先越されておもしろくない?マ〜キちゃぁん」
椅子に逆を向いて座り、猫撫で声でいう市井を無視し、
ひとことだけ『キモい』と呟いた。
97 名前:早春賦 投稿日:2005/11/30(水) 11:26
「ダイジョーブだぁって。
おめーにもいつか白馬の王子様が迎えに来るって」
「ごとーがほしいのはオージサマじゃないもん」
ともすれば聞き逃してしまいそうな呟きに、市井は食いついた。
目がやけに輝いているのは仕様だった。
「ごとーと」
「うん?」
「いっしょに、あるいてってくれるひと。
ヨシコからみたら梨華ちゃんみたいな。
けーちゃんから見たらカオリみたいな」
「そうかそうか」
腕組みしてうんうん感慨深げに頷き、
「おめー、また乳デカくなった?」
と余計な一言を言った。
「ふもがふもが…」
まったくムダのない動きで瞬時に後藤におにぎりを口に突っ込まれ、
市井はバタバタ息苦しさに両手を動かした。

「いっぺん死ね」
後藤は『よいしょ』とサランラップをかけた赤飯おにぎりの皿を抱え、
キッチンを立ち去った。
ひとり残された市井は、とりあえず突っ込まれたおにぎりの咀嚼に
とりかかった。
98 名前:早春賦 投稿日:2005/11/30(水) 11:26
しばらくたって、市井がまたキッチンを覗くと、後藤がテーブルに座って、
ひとり夕刊を読んでいた。
「おめー、ウチ来るか?
今日、ねーちゃんも帰ってるし」
頭を撫でられて、後藤はちょっと顔を上げて
「うん」
と頷いた。

市井家に行くと、姉は外出していた。
母だけがおり、後藤を見て、
「アラ、マキちゃん。
今日はユウキくん帰ってるんだってね。
ユウキくん、よかったわね」
と言った。
「んあ、ありがとー、おばさん。
これ、おすそわけです」
後藤はさっきのおにぎりをいくつか載せた皿を差し出した。
「あら、おいしそう。
サヤカ、アンタもよばれなさい」
「…さっきイヤってほどよばれたよ」
市井はさっきのおにぎり攻撃を思い出し、暗く笑った。
99 名前:早春賦 投稿日:2005/11/30(水) 11:27
ふたりはその後ダラダラとリビングで過ごし、
「寝るか」
と市井が立ち上がった。
「うん」
後藤も立って部屋について行く。

寝る支度を整え、市井が自分のベッドに入ろうとすると、
「おやすみ。いちーちゃん、出てっていーよ」
と後藤は市井を部屋から追い出した。
「てオイ!
コラー!内側からカギかけやがった!」
ドンドンドンドン、ドアを叩き、市井はクッションを抱えてとぼとぼと
下のソファに向かう。
100 名前:早春賦 投稿日:2005/11/30(水) 11:27
それから数時間後。

「いちーちゃん、なんでこんなトコで寝てんの?」
ねぼけまなこの後藤に、ソファで寝ていた市井はゆすり起こされた。
「…殺すぞ。
テメ、勝手にベッド奪いやがって」
市井は呪いそうな顔で寝返りを打って後藤の方を向いた。
「んあ?
そーだっけ?」
「とぼけてんのか?」
「ごめん、全然覚えてない」
「わかった、わかった…」
市井は起き上がって、後藤の両肩に手を置いた。

「おめー、なんで起きてきたん」
「トイレ、それとノドかわいたから」
「あっそ…」
ふたりは連れ立って階段を上がる。
また市井の部屋に入り、後藤は早々とベッドにもぐった。
市井は黙って顔を覗き込む。
「ホンットにスキだらけだな。
襲うぞ」
「殺すぞ」
毛布をかぶったまま答え、そのまま寝息を立て後藤は眠りについた。
「おやすみ」
毛布の上から一瞬だけ抱きしめて、市井はそのまま部屋を出て行った。
101 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/11/30(水) 11:30
更新しました。

レスのお礼です。

>三日月ハウスさん

川 ´^`)っ<矢口さん『ギュ〜』しましょか?

(;〜^◇^)<いやいい

『ギュ〜!』は人形の頭をひねるのがポイントです(違。ちなみに『スペシャルギュ〜!』もあります(違。
唯やんは矢口のケーキに惹かれてバイトを始める気になったようです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( *´D`)<安心したれす〜

(;‘д‘) <それより入れ替わりでクビて…キッツイナァ

ネタのようですが、多分実話なんでしょうね(ニガワラ
お祝いで赤飯て今日びあんまりないかなあと書いた後で思いました。よからぬネタかは分かりませんが(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

ハイ、おねえ!>川σ_σ|| っ(美)(少)(女) (‐ Δ‐;)<「美しさが少ない女性」とかいうオチじゃないだろうね?

詰め合わせですか、はごろも缶詰のようですね。
いちーちゃんは後藤家で普通に家族に混じってメシを平らげてます。で、三女にイヤがられてます。


>ピクシーさん

川*´^`)ノシ<いややわあ、看板娘なんて照れるやん

( ´D`)ノシ<おまちしてるれすよ〜

店長がまず名物な喫茶店ですからね(笑)。しかしムダに豪華な店だなと自分で書いてて思います(笑)。
ハロモニ。はその回、普通に予約録画に失敗しました(ニガワラ
102 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/11/30(水) 20:04
アネゴ、更新お疲れ様です。

ずれてるようでちゃんと合ってる二人の波長がいいですね。
そういえば、現実のユウキも結婚したそうです。
ま、どうでもいい話ですけどね。
赤飯おむすびか・・・食べたくなってきた。

次の更新も待ってます。
103 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/11/30(水) 22:50
更新キター

市井ちゃんなんかいいね〜
リアルで弟が結婚したごっちんおめでと〜う

・ω・ <赤飯は豆抜いて食います
( `.∀´)<赤飯じゃなくて赤メシって言ってるわこの馬鹿
・ω・ <ネタのようですがマジです
(;〜^◇^)<次の日行ったら店長にもういいよって言われてたよコイツ

次回更新お待ちしてます
104 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/12/01(木) 00:35
更新おつです。
ごっちん、市井ちゃんの口にストライク!
( ´ Д `)っヽ゜●゜;ノ
しかし市井ちゃん余計なこと言わなければカッコイイのにね。
そういえば、市井ちゃんは後藤家がおめでたい時はいつも赤飯だというのを知っている。
ということは、いつもおめでたい日は顔を出してるんですかね?
例えばごっちんが初めて女の子の日が…すいません。深くお詫びします。
105 名前:ピクシー 投稿日:2005/12/01(木) 05:18
更新お疲れ様です。

めでたい日には赤飯ですねぇ。
うちも余ったらおにぎりにしますねぇ。

予約録画はHDDレコーダー買って以来ぬかりないです。
おまかせ録画は本当に便利ですねぇ。
電子番組表も便利ですねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
106 名前:早春賦 投稿日:2005/12/07(水) 19:14
―――その夜。柴田家

「かーちゃーん」
柴田は梨華を連れて家に帰った。
キッチンの奥から
「うちにはかあちゃんなんていないわよ」
という柴田の母の声がする。
「へえ、すんません。ママン」
「…気持ち悪〜い」
母は眉をひそめたが、梨華を見て
「あら、いらっしゃい。久しぶりね」
と笑顔になった。
梨華も
『お邪魔いたします』
と頭を下げる。
「ママン、めぐっちは?」
「『めぐっち』ねえ…。
めぐみなら、まだ帰ってないわよ。仕事が煮詰まってんじゃない?」
「へえ?
今朝、原稿上がったからバイク便で出してから帰るってメールきたのに」
「アラ、そうなの」
親子でそう言ってると、テーブルのそばのコードレスフォンが鳴った。
「はい、柴田でございます…なんだ、めぐみか。
あ?…マジで?」
娘の電話の様子を見て、母は梨華に、
「本当にねえ、口の聞き方がなってないでしょ」
とまた眉をひそめて言った。
梨華は軽く首を振って苦笑する。
「どこの病院?
おねえ今日はどうすんの?うん」
電話の様子に、母と梨華は軽口を叩くのはやめて見入る。
「あゆみ、めぐみどしたの?」
電話が切られた後、母が言うと、
「斉藤さん、過労で入院だって。
いま、おねえが病院行ってるって」
「まあ…。
瞳ちゃん、無理してたのね、本当にめぐみったら…帰ったらうんと叱らないと」
母は『働かせすぎよ、まったく』と繰り返す。
梨華は柴田に、
「斉藤さん、具合はどうなの?」
と尋ねた。
「いんや、2、3日したらすぐ退院できるみたい。
マジ働きすぎだよね、映画の話もあったし」
「うん…」
「さ、ごはんにしましょ。
めぐみもお父さんも遅くなるみたいだし。
とりあえず食べてから考えましょう。
お母さん、めぐみが帰ったらハイキックする練習もしないと」
「…ママン、マジで?」
柴田と梨華は冷や汗をたらした。
107 名前:早春賦 投稿日:2005/12/07(水) 19:16
―――新垣家

新垣はテストを終えた解放感でのびのびし、自室でくつろいでいた。
カラオケも楽しかった。
大好きな加護の歌も聴けた。
フリ完コピの自分の歌もみんなにウケた。
「あ〜、おフロ入ろっかな」
大好きなモーニング。娘のCDをかけ、卒業まで何をして遊ぼうか考える。
そんな中、電話が鳴った。
「あ〜、田中っち?
どしたん、珍しい」
『相談したいことがあるっちゃ』
「なに?勉強教える以外だったらなんでも」
『ガキさん、紺野さんと仲いいっちゃか?』
「まあ、そこそこ」
親しくはしているが、親友というほどではない。
なんだろ、と新垣は首を傾げた。
『あの、れいな、紺野さんが好きっちゃ』
「知ってる」
新垣は思わず小さく笑った。
『協力ばしてほしか』
「は?」
『れいなと紺野さんがうまくゆくよーに、協力してくれんとね?』
「…あたしが?」
『そうっちゃ。ガキさん、しっかりしてるし頼りになるけん。このとーりたい。
うまくいったら明太子、好きなだけあげるっちゃ』
「いや、あたし明太子はそんな…」
新垣はまた首を傾げた。
どっちかというと、もんじゃ食べ放題のほうが嬉しい。
それより一番嬉しいのはモーニング。娘のライブチケではあるが。
「あ、そーゆーことならシゲさんに頼んだら?
シゲさん、新聞部で情報通だしさ。
付属高校にもカオ、利くし。
あれでけっこー有能なんだよ?」
意外にも、新垣の学年の首席は道重だった。
今回の卒業テストでも特にケアレスミスがなかったので、
トップは間違いないだろうと言われている。
108 名前:早春賦 投稿日:2005/12/07(水) 19:18
『あんひとに頼んだら、ややこしそーやから遠慮するっちゃ』
もっともなことを田中は言った。
それもそうか、と新垣は人差し指でポリポリ額を掻く。
『ガキさん、明日ヒマっちゃか?』
「ああ、まあ…」
『早速作戦を開始したいけん。
よかったら学校来て』
「は?」
『待ってるっちゃ』
「ちょ!おーい!待ってるってドコで!ちょ…!」
新垣が言う間もなく、電話は切れた。
携帯を握ったまま新垣は、
「まったく、どいつもこいつも!」
と軽くキレた。


「りーさ。
あーそーぼ」
そこへ、小川がニヤニヤしながら現れた。
「…まったく、どいつもこいつも」
さっき言ったことを繰り返して言い、新垣は椅子にどかっと座った。
「なにしてんのさ。
週明けからテストっしょ、ほら、帰って勉強勉強」
シッシ、と新垣は手で追い払うマネをする。
「アタシはイヌかよ。
いやー、気分転換に里沙ちゃんとトークでもと」
「里沙ちゃん言うな」
「り〜さちゃぁ〜ん」
小川がわざと甘ったるく呼ぶと、新垣は本気で身震いし、自分を抱きしめて
「キモイ!」
と悲鳴を上げた。
小川は更に面白がって新垣にベタベタする。
109 名前:早春賦 投稿日:2005/12/07(水) 19:19
「もー!
今度のテストで成績下がっても知んないからね!
留年するよ!」
「あ、それはだいじょーぶ。
アタシ、ちょっとずつ上がってっから」
小川はそう言ってピースした。
「マジ!?
どしたの、補習の常連だったのに!」
「フッフッフ。
マコはやればできる子なんさ」
「自分でマコ言ってる…まあ、石川さんの指導はムダではなかったと」
「紺野にも負けたくねーしなあ」
「は?紺野さんに?
てか、紺野さんにかなうと思ってんの?
図々しいにもほどがあるよ、マコっちゃん」
「わーってるって。
紺野ってひたむきじゃん?べんきょーとかにも。
だーから、アタシも負けたくねーってコト」
「ああ、なるへそ。
紺野さんを抜かしてトップになりたいんかと思ってた…あたしがバカだったよ」
さりげに失礼な発言を繰り返し、新垣は『あ〜、ビックリした』と
胸を撫で下ろした。
「気分転換が終わったら帰んなよ。
ホラ、おばさんに怒られるよ」
小川の背中を押して、新垣は出て行かせようとする。
「あー、そだ。
里沙、おめーバレンタインにチョコくれたじゃん」
「ああ、うん」
「アタシ、14日いないかもしんねーから今お返しすんな」
「はあ」
「ん」
新垣の頬にキスし、小川は帰って行った。
「…今のはなんだ」
頬を押さえたまま、新垣は床に座り込んだ。
110 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/07(水) 19:24
  ???        
(;・e・)        (((∬∬`▽´)


更新しました。レスのお礼です。


>三日月ハウスさん

ヽ^∀^ノ<まあ、長い時間一緒にいるしな

( ´ Д `)<まったく、失った時間を返してほしいよ サラッ

幼なじみだけあって、テンポや波長は誰よりも抜群です。
現実の(♂´ Д `)も式を挙げたそうですね、幸せになってほしいです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ヽ^∀^ノ<エヘヘ、ちょっとトクした感じ?

( ´ Д `)<豆抜いたらすでに赤飯では… アア、ダカラアカメシカ

たったあれだけですが、いちーちゃんにとっては格段の進歩なのです。
赤飯はごま塩をふりかけすぎていつもエライ目に遭ってます。


>ひ〜ちゃんエッグさん

ヽ^∀^ノ<アタシの勘ではDカップ以上あるな、こりゃ

( ´ Д `)っ▲゛<もう一球食らいたい?  ←準備万端

余計なことを言うのがまあいちーちゃんだと(苦笑)。
ごっちん関連に限らず後藤家に何かあるとヤツは参加してます。


>ピクシーさん

HDDレコーダーカッケー。
( ´D`)<でんしばんぐみひょうってたべられるんれすか

( T дT)<文明なんか大嫌いや

我が家は余ったらおにぎりにして更にまだ余ったのは冷凍します。
111 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/07(水) 19:33
あ。忘れてた。
全然出番なくてしかも昨日だったけど、ヤッスーおたおめ!

(〜^◇^)<25か。オバチャンだな、キャハハ

(+`.∀´)<…覚えてらっしゃい
112 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/12/07(水) 20:48
更新お疲れさまです

・ω・<ママン柴田のハイキック喰らってみたいです
川σ_σ||<ドMの言うことは忘れてください

さすが博多‥明太子やっぱりふくやですかね〜?

赤メシの塩はごま塩大量です
(〜^◇^)<高血圧へ一直線だよこの馬鹿

圭ちゃんオメ

次回更新待ってます
113 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/12/07(水) 23:32
アネゴ、更新お疲れさまでした。

家に帰るなり、村田さんにハイキックをかます柴田ママン。
やっぱりどこの家でも母親が最強なのは変わらないのか・・・
せめてママンのハイキックの威力がミルコ・クロコップ並でないことを祈ります。
それにしてもマコっちゃん・・・たらしの素質アリアリですねぇ・・・

次の更新も待ってます。
114 名前:ピクシー 投稿日:2005/12/08(木) 02:45
更新お疲れ様です。

ガキさんもまた振りまわされそうな予感?
こんまこを巡る人間関係もまた面白いですね。
シゲさんも特待生の試験受けてましたね、そういえば。

HDD、つくづく文明の利器の恩恵にあやかってます。
画質も劣化しないし・・・
二重音声も両方入ってるし・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
115 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:29
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
116 名前:早春賦 投稿日:2005/12/14(水) 09:41
新垣はほとんど寝不足のまま朝を迎えた。
小川の夕べの行動について考えていたら、眠れなくなったのだ。

「里沙。
どうしたの、赤い目して」
朝食の席で、母に声を掛けられる。
「あー、うん。
何か寝れなくって…」
「お休みなのに学校行くの?制服着込んで」
「うん、友達と約束してるから…」
田中からは昨日夜遅く、
『明日11時に学食で』
というメールがきた。
新垣はぼーっとしながらトーストをかじる。


静かな朝だ。
父は用事で朝から出ているので、母とふたりで朝食を摂っている。
新垣はサウザンドドレッシッグのかかったサラダを、
小さなフォークの先でつつき、何となくやり過ごしていた。
オレンジ色のドレッシングが、サラダの水分を含んで徐々に分離する。

「ねえ、里沙」
「んー」
「あんた、一人暮らししたいの?」
「なんで?」
急に母にフラれて、ぎょっとする。
「前、中澤さんってお宅で下宿したいって言ってたじゃない」
「あ、そっか」
そっかも何も自分で言い出したことである。
新垣はそれを思い出して照れ笑いした。
「あの後、パパと話したんだけどね」
「うん」
「里沙の好きにさせたらどうだろうって、もう高校生なんだし」
「え…」
「パパからも話があると思うけど、この先どうしたいのか、
ちゃんと考えて自分で結論を出しなさいね、いつでもいいから」
「ママ…」
新垣は蚊の鳴くような声を出し、うつむいた。
「見捨てるんじゃないわよ。この家にいたいんならそれも良し、
一人暮らしがしたいのなら部屋を探して引っ越しするのも良し。
困ったことがあったらいつでも相談しなさい」
「うん」
新垣はちょっと泣きそうになった。
117 名前:早春賦 投稿日:2005/12/14(水) 09:42
早めに学校に行き、ぶらりと図書室に立ち寄ってみる。
「あ、ガキさん」
派遣で来ている司書の人にドアの前で声を掛けられ、
「あ、こんにち…じゃなかった、おはようございます」
と軽く頭を下げた。
司書の女性は小さく笑って
「おはよう。
あ、ガキさんの好きそーな本入ったからまた借りに来てよ」
と中に入って行った。
入れ替わりに、加護が出てくる。
「おうっ、びっくししたー」
「加護さん…おはようございます」
「よう。
てか、自分どしたん?
テスト終わったのに登校?エライなー」
小脇に本を抱え、加護は優しく笑う。
「いえ、田中っちに呼ばれて…加護さんは」
「紺野に呼ばれてべんきょーかい。
つーか、ヤツがウチから何を学ぶっちゅーねん」
「すごいですね
ふたりとも成績優秀なのに」
「いやまあ、ねえ」
ふたりで立ち話していると、付属中学の制服を着て、
トミー・フェブラリーっぽいオサレメガネをかけた小柄な生徒が、
「里沙ちゃん!里沙ちゃん!」
と駆け寄ってきた。
「ちょ、ま…うぇっ!『里沙ちゃん』て!」
メガネの生徒は一向に構う様子もなく新垣にがっついた。
加護はやや引いている。
「今日の里沙ちゃんは里沙ちゃん率高いよね」
「里沙ちゃん率…」
がっつかれてテンパってる新垣の横で、加護は苦笑いして小首を傾げる。
メガネは更に続ける。
「最近のガキさんは『ガキさん』っていうより『里沙ちゃん』だよね」
「どう違うねん…」
流石の加護もやや引きつつ遠慮がちにツッコむ。
「ちょ!『里沙ちゃん』ってマジキモイから!」
「じゃあまたね、里沙ちゃん」
メガネの生徒はぶんぶん手を振って付属高校の校舎に小走りで向かった。
「…なあ、ナニ、アレ?」
「分かりません…同じ学年でD組の子なんですけど」
新垣はちょっとぜーぜー言っていた。
118 名前:早春賦 投稿日:2005/12/14(水) 09:42
ふたりはその後、食堂に行き、ちょっと早めの昼食を摂った。
加護はきつねうどん、新垣はカレーを頼む。
「加護さんって、きつねうどん、好きですよね」
「関西人の魂やからな」
「そうっすか」
新垣は可笑しくて少し笑う。
「うどんは東京のはどうですか」
「おつゆ濃い」
丼を傾け、おつゆを飲みつつ加護は答えた。
「ほほお」
「でも、ここのはイケる。
一番好きなんは、実家のやけどなあ」
流石に『マザコン』と思われるかな、と思い、加護は『お母ちゃんの』と付け加えるのをよした。
「加護さんのお母さんは料理上手なんですねえ」
新垣はほんわかした気持ちになり、にこにこする。
ちなみに少し離れた席では、さっきのメガネが新垣に熱い視線を送っていた。
「オカンのやてゆーてへんやん」
加護は少し赤くなり、丼を置く。
「へへっ」
新垣は加護が可愛くて笑う。
119 名前:早春賦 投稿日:2005/12/14(水) 09:43
「で、ガキさん」
「はい?」
「田中になんで呼ばれたん?ヤンキーになんの?」
「なんでですか。てか、田中っちヤンキーじゃないですから。
ただ服装がヤンキーな女子ですよ」
「ほお」
「いや、あの、まあ。
個人的なことです…それより」
「ふん?」
「加護さん、この受かって上京する時ってやっぱ不安でした?
前にちょっと話してくれたじゃないですか」
「うん。
まあ、不安ってより『なんで東京なんか行かなアカンねん!』って怒りのほうがスゴかった。
実際、下宿してからも、中澤さんとか梨華ちゃんとか、手ェ焼いたと思うワ」
「へえ」
「のんがおったから、ここまでこれてんけどなあ」
「―――ほお!」
新垣は微かな呟きを聞き逃さず、思わず腰を浮かして立ち上がりそうになった。
加護はまた赤くなり、その顔を丼で隠しておつゆを啜る。
しかし耳まで赤かったので、ムダな行動だった。
「ガキさんはあ?
なんや一人暮らしでもすんのお?
ついに中澤さん家下宿計画発動?」
「いや…今朝、ママに」
新垣は今朝、母に言われたことをそのまま加護に伝えた。
一通り聞いた加護は、
「えらい信頼されてんなあ。
フツー、そこまでされへんでえ」
と感心するように言った。
「で、どうしたいん?
まだそこまで決めてない?」
「はあ…ゆっくり考えようと」
「まあ、それでエエんちゃう?
悪い、ウチ時間やから行くわ」
「あ、はい」
ポンと新垣の肩を叩き、加護はうどんの器の載ったお盆を持って行ってしまった。
加護の後姿を見送りつつ、入り口に目をやると、
少し離れたところで田中が手を振っていた。
120 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/14(水) 09:46
更新しました。

レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川母σ_σ||<覚悟はいいですか?

川;σ_σ||<やめなよ母ちゃん

ドMですか(ニガワラ。流石期待を裏切りませんね(何のだ)。
れいなは実家から定期的に故郷の味を宅配で送ってもらってます。


>三日月ハウスさん

(((;−Θ ΔΘ)))<オカンのハイキック…ガクブル

(;^▽^)<大丈夫ですかー? ホンキデオビエテル…

オカン、いや、ママンというのは恐らく史上最強の生物かと(ニガワラ
マコは天然でするから余計タチ悪いんですよ(ニガワラ


>ピクシーさん

(;−e−)<あー。ひと月くらい山に篭りたいカンジ?

从*・ 。.・)<さゆは可愛いだけじゃなくて勉強もばっちしなの

但しさゆはぼんさんと張るくらい運動音痴なんですが(ニガワラ
ガキさんはお人好しなので色んな困った人たちに振り回されてます。


>115の名無飼育さん

(0^〜^0)<投票カッケー

( ^▽^)<イベント楽しみです〜

確認しました。わざわざ知らせてくださってありがとうございます。
大変でしょうけど、頑張ってくださいね。

121 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/12/14(水) 23:50
アネゴ、更新お疲れ様です。

天然のマコに振り回されて、睡眠時間が削られるガキさんがなんとなく愛おしいです。
前髪を切ったあたりから、現実のガキさんの推し度が急速に高まりました。
トミー・フェブラリー風のメガネ、ちょっとワラタ。
千奈美にドレッシングはシンプルなフレンチが好きです。

次の更新も待ってます。
122 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/12/14(水) 23:57
更新お疲れ様です

人気者ガキさんいいですね〜
・ω・ <関東のうどんはホンマに食えたものではありませんでした
     あいぼんが認める学食のうどん食いてー
( `.∀´)<この馬鹿東京土産に関東版のカップうどん箱買いして配ったのよ
川σ_σ||<その後友人にボコボコにされたんだけどね

ママン‥いつでも蹴ってください

次回更新お待ちしています
123 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/15(木) 01:20
ガキさんママの最後の言葉にちょっと心うたれました
何気ない言葉ですし親は皆こう思ってるんでしょうけど
実際言葉にして子供に伝えることが大事なんですよね
ガキさんやら柴ちゃんむらっちの親を見てると自分も色々考えたりします

もうちょっと親孝行しないとなぁ・・・
124 名前:ピクシー 投稿日:2005/12/15(木) 04:48
更新お疲れ様です。

ガキさん、どうすることやら?
ぼんさんとコンコンも切磋琢磨してますなぁ。

関東人からすると、逆に関西のものは難無く食べれますね。
西の友人と「餅の形」で議論した事もありました(苦笑)
自分はどっちでもいいんですが、実家は四角であります。

次回更新も楽しみに待ってます。
125 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/15(木) 22:50
更新乙です。
自分は里沙ちゃんよりガキさんの方が好きです。なんせここのキャラで一番好きなのガキさんなんで。
最近読み直して気づいた屋根の下のベース弾きトリビア
ガキさんは、ののさん以外でゆういいつ



初対面からぼんさんに受け入れられていたキャラである。
ちなみに私は関西風の出しのきしめんが好きです。
あのふるふるした食感がたまりません。


126 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/16(金) 21:50
あいぼんずいぶん可愛くなったな〜
127 名前:早春賦 投稿日:2005/12/21(水) 21:11
田中は手を振って、新垣のいたテーブルへ近づいてきた。
「ガキさん、お待たせっちゃ」
「いや、そんな待ってないよ。
加護さんとごはん食べてたし」
「そうっちゃか。
あ、なんかジュースでも飲むと?
休みやのに来てもうたから、れいなおごるけん」
田中がそう言いながら鞄からごそごそ財布を取り出すのを見て、新垣は、この子も悪い子じゃないんだよなあと考える。
「何する?」
「あ、じゃ、ココア。冷たいの」
「わかった、買うてくると」
田中はパタパタ走って自販機へ向かった。
128 名前:早春賦 投稿日:2005/12/21(水) 21:12

席に戻って来た田中が、
「話があるけん」
とまず切り出した。
「なに?」
新垣は思わず身構える。
「ガキさん、小川さんの彼女になってほしいと」
道端でいきなりウィッキーさんに声をかけられても、新垣はこんなに驚かなかっただろう。
「は…は、あ?」
しばらくしてやっと、これだけ言えた。
「いや、れいな、紺野さんが好きっちゃ。
で、紺野さんは小川さんが好き。
小川さんがガキさんと付き合えば紺野さん、小川さんのことば、あきらめてくれると」
「…ちょおっと待てぇ〜」
新垣は地の底から何か出てくるような声を出し、田中の肩を掴んだ。
「そんなあっさり単純にうまくゆくわけないでしょー!」
至極当然なことを言い、新垣は肩から大きく溜息をつき、ココアをごくりと飲んだ。
「なんで?
ガキさん、小川さんと近所やし仲いいっちゃ」
「それとこれとは別だってば」
『それに』
と新垣は続けた。
「なん?」
「…シゲさん、マコっちゃんが好きなんだよ」
「あ、そうか」
別に悪びれず、田中は『今思い出した』というように頷いた。
129 名前:早春賦 投稿日:2005/12/21(水) 21:12
「だからこのハナシにはノレない。
ココア代も返す。
ホラ、くだんないこと考えてるヒマあったらべんきょーしなべんきょー。
ホラ、さっさと帰る」
シッシというように手を振って、新垣は田中を追い払う。
「ガ〜キさあん!」
「うるさいよ。
もー子供は帰って本でも読んでなさい」
自分も子供だが新垣は年上ぶって腰に手を当てて言った。
「…どーしてもダメっちゃか?」
しかし田中は引き下がらない。
「当たり前じゃん。
まずあたし別にマコっちゃんなんとも思ってないし」
「キライっちゃか?」
「いや好きだけど、友達としてっつーか」
「どう違うっちゃ」
「どうって…そんなこと言われてもなあ」
新垣は困った顔をし、ポリポリ頬を掻いた。
「れいなは紺野さんが丸ごと欲しいっちゃ」
「ほ…!?」
欲しい、という単語に新垣は驚愕する。
「だから好きなん」
椅子に置いた鞄を肩から提げ、田中はずんずん歩いて行ってしまった。
迷いのない言動に、不覚にも新垣はちょっと『カッコイイ』と思ってしまった。
130 名前:早春賦 投稿日:2005/12/21(水) 21:13
―――その頃。紺野は

近くの図書館のグループ学習室で、加護とテスト勉強をしていた。
学年末テストなので宗教学の授業も試験科目に加わっている。
まずはウォーミングアップに、その授業のテストのヤマを張り合った。
「コレ、絶対出んな。
イエスのオトンの名前」
「ヨセフですね。穴埋めか何かで出題される可能性大ですね」
「せやな。
あとは…」
互いのノートとテキストをチェックしながら予想し合う。


「あ、そうそう。
これも」
紺野はノートの、ポストイットを貼ったページをめくり、
「ココ、まず出ると見て間違いないでしょう」
と聖書のある一節を指した。
「ああ、せやせや。
スクールモットーにまでなってんねんからなあ」
加護も自分のを見ながら頷いた。
「『人にしてもらいたいと思うことはなんでも、あなたがたも人にしなさい』か」
そう呟いた後、加護は
「自分がしてほしいからって、人もしてほしいって思てるとは限らんやん」
ケッと吐き捨てるように言った。
「まったくあなたは」
紺野は眉を顰める。
「いいですか。
今のこと、ぜーったい宗教学の先生に言っちゃダメですよ。
泣かれますよ、おとなしくて穏やかな先生なのに」
「へいへい、わかりましたよ」
「返事は『はい』」
紺野は頬を膨らませ、人差し指を立てた。
加護は唖然とし、思わず、
「はい」
と反射的に返事してしまった。
「よろしい」
紺野は頷き、
「じゃ、次はそろそろ数学いきましょう。
テストは2日めですけど」
とノートを広げた。
加護はペースにのせられっぱなしで、『とほほ、あいぼん様もカタなしや』と心の中で嘆いたのだった。
131 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/21(水) 21:22
更新しました。

朝比奈のスクールモットーは新約聖書「マタイによる福音書」7章12節からの
引用です。

川o・-・)<まあ、加護さんがおっしゃるのも一理ありますけどね

川o・-・)<あ、ちなみに我が校はカトリック系のミッションスクールです。
      スクールモットーは新約からの引用ですが、旧約も新約も関係なく
      この言葉を胸に学校生活を送ってほしいという、創設者の方の
      願いがこめられているそうです

川o・-・)<では、レスのお礼です。寒いですが皆様お風邪などお召しになりませんよう


>三日月ハウスさん

( ^д^)<ガキさんかわいなったよな〜


( *−e−)ノシ<も、やだ!やめてくださいよ!

髪を下ろすようになるちょっと前(眉を整えだしたあたり)からガキさんは確変が始まったと思います。
ちなみに当方ドレッシングは青じそが好きです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从 ´ ヮ`)<ガキさんいい人っちゃ

从*・ 。.・) <かわいさではさゆのが上だけど、人気はガキさんには負けるの

ぼんさん認定の学食うどんは全国から集う朝比奈の生徒から熱い支持を受けてます。
以前東京土産にペヤングを友人にやったらボコられました。


>123の名無飼育さん

( ‘ д‘ )<エエお母さんやん。大事にせなアカンでえ

( *・e・)<ウン ママニハマケルノダ

我が家はお互いあんまり言葉にしませんが双方土産などをよく買って態度で表してます(ニガワラ
親孝行ってのは親孝行について考えた時がもう親孝行だと( ^▽^)<誰かが言ってた
132 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/21(水) 21:22
>ピクシーさん

( ;−e−)<むー、どうしたものか

川o・-・)<加護さんと勉強するとよい刺激になりますよ

ぼんとこんは、元々出来るのに更にお互い努力しております。
関東はやっぱお餅は四角なんですね。私はお雑煮だけは丸餅であってほしいです。


>125の名無飼育さん

(;*−e−)<里沙ちゃんはさすがに決まり悪いのだ

从*・ 。.・) <この中でガキさんが一番って通なの

ガキさんが一番って方は初めてです、ありがとうございます。
確かに初対面でもガキさん怒鳴られたりしてないですね(笑)。きしめん、ウマソー


>126の名無飼育さん

( *^д^)<いややわあ、照れるやん

( ´D`)<いましゅんじに「とうぜんやん」おもったれしょ?

ここのも大分ビジュアルも他人への態度(笑)も可愛くなってますかね。
本物も随分女らしくなったなあと、ここのところ感心してます。(参照:この前の「どっちの料理ショー」)
133 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/21(水) 21:23
前回更新分で訂正です。

>>116
誤:新垣はサウザンドドレッシッグのかかったサラダを、

正:新垣はサウザンドドレッシングのかかったサラダを、


>>119
誤:「加護さん、この受かって上京する時ってやっぱ不安でした?
前にちょっと話してくれたじゃないですか」

正:「加護さん、この学校受かって上京する時ってやっぱ不安でした?
前にちょっと話してくれたじゃないですか」
134 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/12/22(木) 00:01
更新乙です

「れいなは紺野さんが丸ごと欲しいっちゃ」
‥コレすんごい台詞ですね
・ω・<こんな言葉言われてみたいっちゃ!!

从#~∀~#从<聖書といえばこのバカ学生時代校門前で配られた
        聖書古本屋に売りに行った帰りに
        車に撥ねられたらしいで
・ω・<悪いことは出来ませんね

次回更新お待ちしてます
135 名前:三日月ハウス 投稿日:2005/12/22(木) 00:26
アネゴ、更新お疲れ様です。

マイペースれいにゃ、いいですねぇ・・・
やっぱり猫はマイペースで気まぐれなんでしょうか?
そして、あいぼんをしっかりコントロールする紺野さん、さすがです。
ホッペを膨らます紺野さんが可愛くて萌え死にそうです。

次の更新も待ってます。
136 名前:ピクシー 投稿日:2005/12/22(木) 03:43
更新お疲れ様です。

宗教学ですか。
ぼんさんは同じ倫理でも哲学の方が得意そう・・・

お雑煮も四角ですねぇ・・・
まぁ、自分的には柔らかければOKですが(苦笑)
鏡餅はともかく、それ以外で丸餅を未だ見た事も、食した事もないです。

次回更新も楽しみに待ってます。
137 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2005/12/23(金) 14:48
更新おつれす。
川;^-^)<あの〜、絵理誕生日なのに唯一名前すら出てこないんですけど。

なんかれいながかわいいっすね。从*´ ヮ`)
そんなれいなにアドバイスを。
明太子をエサに罠をはり、川o・-・)が拾ったところに上から網を…
138 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/28(水) 01:16
更新乙です。
そうっすか?通っすか?
リアルではガキさんオタではないんですが(もちろん嫌いではありませんよ)
ここのキャラでは一番好きです。つぎにぼんさんそのつぎがいちちゃんです。
139 名前:早春賦 投稿日:2005/12/28(水) 08:52
村田めぐみは昨夜遅く帰宅し、母と妹に斉藤の件で小言を言われ、
多少うんざりしながら眠りについた。
今朝11時過ぎに目を覚ましてキッチンに行くと、妹がコーヒーを飲んで、
母は雑誌を読んでいた。

「…おはよ」
「「おはよ」」
二人揃って手短に挨拶し、また顔を下げる。
「ああ、うん。昨日は、どーも」
まだ頭がすっきりしないのか、村田はよく分からない挨拶をし、ストン、と
椅子に座った。
「おねえ、飲む?」
妹が自分のマグを差し出してやる。
「ああ、うん。
ちょっとだけ」
「今日も、瞳ちゃんのとこ行くの?」
母に言われ、
「うん、カオだけ見に行く…心配だし」
最後に本音を足して村田はボソボソ答え、妹のコーヒーをずずっと飲んだ。

「めぐみ、ちょっと来なさい」
父の声がして、女性陣は全員顔を上げた。
「なんだい、父」
村田が席を立つと、父は黙って手に持っていた雑誌を広げた。
女性陣は顔を突き合わせて雑誌を見る。
「あら〜…」
母がまず声を上げる。
「ぶ…ぶははは!」
妹がたまらず笑い声を上げた。
「めぐみ、これは君なのか?」
その中で、父は一人険しい顔をして雑誌のグラビアモデルを指差した。
記事には、いかにもな格好をした女性が
『村田めぐみ公認SMクラブ嬢・MELON(21)』と
グラビアつきで紹介されていた。
村田はあっけにとられたまま、無言で記事を見つめている。
140 名前:早春賦 投稿日:2005/12/28(水) 08:55
「めぐみ、君は…」
父が口を開こうとすると、
「なワケないじゃん、大体おねえがこんなねえ」
妹が記事を指差して、母と顔を見合わせてゲラゲラ笑う。
「そうそ、それにしても似てるわねえ。目のトコ、なんだっけ?
アイマスク?してるけど」
「おねえっぽく見せてるだけど全然似てないじゃん。
大体おねえがこんなに巨乳なワケないし」
村田は記事に呆然としながらも、妹をどつくのは忘れなかった。
「この記事は君は知ってたのか」
父に問われ、
「いや…初めて見た」
と本人は戸惑いながら答える。
「このモデルさんは知り合いかい」
「前…マンガ描いた時、取材先のそのテのクラブにいた…ちょっと話したけど」
「君の公認って書いてあるな」
「『MELON』って源氏名にしていいかって言われたから
冗談でいいよ、って言ったけど…」
あ〜あ。
妹は心底あきれたように言った。
「利用されてんじゃん」
「まあ、そういうことになるね」
村田は溜息をついて雑誌を閉じた。
「それにしてもあなた、こんな雑誌どこで?」
空気を変えようと思ったのか、母は矛先を変える。
父は流石に少しうろたえ、
「い、いや。
今朝、散歩ついでにコンビニに寄ったら、若い男の子が立ち読みしてて、
このページを見てたから」
「普段買ってないでしょうね」
「勿論」
「お父さん、必死すぎ。
別にエロ雑誌じゃないんだから」
「それにしても大きい胸ねえ。こーんな」
母は自分の胸を盛り上げるような感じで両手を添え、感想を述べる。
「いや〜。このヒトも寄せて上げてが必死っぽいけど」
妹がニヤニヤする横で、村田はテーブルに置かれた雑誌を手に取り、
無言で表紙を眺めていた。

141 名前:早春賦 投稿日:2005/12/28(水) 08:56
昼過ぎに支度して、村田は斉藤の見舞いに出かけた。
『迂闊な言動は慎みなさい』
父にはただ一言だけ注意された。
妹にはただ、『バスト育成器買ってやろうか』とだけ言われた。
妹をただどついて、玄関を出た。

「いい天気だねー」
病室に入ると、ベッドの斉藤は、窓から入る日差しに眩しそうに目を細め、
うーんと伸びをした。
「これ、誰かお見舞いに来たの?」
ベッドの脇の真新しい本などを目にし、村田は言った。
「うん、編集部のみんながね、ついさっきまでいた」
村田は他の雑誌の下になってる、朝実家で見た雑誌を見つけた。
村田の視線に気づき、斉藤は
「…見た?」
とだけ言った。
「ああ、うん。
今朝、実家で。
オトンがコンビニで見つけたとかでわざわざ買って帰って来てた」
「そっか。
あたしがいま、こんなんだから、代わりに他の子に事実確認頼んだから」
「うん…」
返事し、村田は
「こんなことが積み重なって、瞳にムリさせたんだね」
と問題の雑誌に手を伸ばす。
「よくわかってんじゃん」
明るく答え、斉藤は
「あんたはどこまでもウエに上がって行きな。
アタシはずっと見守ってるから」
と頭を撫でた。
村田はただただ涙が止まらなかった。
142 名前:早春賦 投稿日:2005/12/28(水) 08:57
斉藤に膝枕され、村田は泣きじゃくった。
「入院患者になんてことさすのよ」
と斉藤は苦笑し、
「誕生日もあるのに、何もできなくて悪いわねえ」
とまた頭を撫でた。
『何が欲しい?』
と聞かれ、
「別に、何も…」
村田はむっくり頭を上げ、
「いっぺんでいいから、名前で呼んでほしい」
と答えた。
「は?」
「『めぐみ』って」
「すんごい初期の頃呼んだ記憶が」
「あれは大学入って知り合った頃じゃん。
しかも『めぐみちゃん』」
「何か悪い?」
「他人行儀感アリアリだったし。
だから『めぐみ』」
斉藤はしばし考え、
「お風呂入っていい?
ゆうべ、なんだかんだで入ってないし。
今日、先生に入っていいよって言われたから」
ベッドから起き上がった。
「あ、逃げた」
「アンタも入る?
すんごい泣き顔でぐしゃぐしゃだよ」
村田は顔をこすって、斉藤について病室についてるシャワールームに入って行った。
143 名前:早春賦 投稿日:2005/12/28(水) 08:58
「今日びの病院はこんないいシャワーついてんだね」
「そのかわり高く取られたわよ。まあ、保険下りそうだからよかったものの」
ふたりで話をしながらシャワーを浴びる。
斉藤は村田の髪を洗ってやり、泡を流した。
「ほっそいカラダして。
ちゃんと食べてんの?」
揶揄するように言い、ウエストのくびれの箇所にシャワーヘッドを向け湯をかけた。
「食べてるよ、周りにうるさく言うヤツが多いし」
「みんな心配してんのよ、感謝しなよ」
「うん…」
斉藤の首に腕を回し、首筋に小さくキスをする。
壁際にいた斉藤は黙って村田の腰に手を回し、自分と位置を変わるよう、
それとなく促す。
「脚、広げて」
それだけ言うと、斉藤は村田の足元に跪き、蕾に舌を這わせた。
濡れた髪を乱し、村田は密室の中声を堪えた。
144 名前:早春賦 投稿日:2005/12/28(水) 09:00
「…村、村」
聞き慣れた声に、村田ははっと目を覚ました。
もう日が暮れ、斉藤に揺り起こされていたようだ。
「もう晩御飯だから。
食べてくでしょ?」
斉藤は丁寧に畳まれた村田の服を手渡し、着るように促した。
村田はベッドでまだすっきりしない頭を押さえ、のろのろ着替えだした。


シャワールームで、ベッドで。
何度も名前を呼ばれて、絶頂に導かれた。
斉藤がいつの間にか整えたのだろう。
乱れたシーツも、濡れてしまった自分の下肢も、跡が残っていなかった。


斉藤に『ココ、量が多いのよ』と分けてもらった夕食を摂り、帰宅する。
病院前でタクシーを拾って家路に着く。
 

通り過ぎていく夜景を見ながら、村田はさまざまなことを考える。


『好きすぎて、どうにかなっちゃいそうだ』

いつの間にか泣き出し、村田はこそっと鼻を啜った。
「お姉さん、誰か亡くなられたの?」
運転手に聞かれ、咄嗟に
「あ、はい」
と反射的に答えてしまった。
場所が場所だけに、そう思われても仕方ない。
「まだ若いんだから元気だしなね」
「はい」
村田は泣き笑いしながら、家路に着いた。
145 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/28(水) 09:05
更新しました。
恐らくこれが年内最後の更新になると思います。
今日の忘年会が早く終わったら夜にもう一度更新したいのですが。
もし更新がなかったら、「ああ、帰れなかったんだな」と思ってください(苦笑)。

本年もご愛読ありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。
では、よいお年を。

(^▽^)ノシ(0^〜^0)ノシ


で。
唯やんおたおめ!
これからも美勇伝盛り上げていってください。
そして「キュッ!」もよろしく。

     
川 *´^`)゛<しゃあないなあ、期待には応えななあ モゾモゾ

(;^▽^)<美勇伝クビにしますよー ←天使コス着用


で。
ベース弾きは村さんが主役ではありません。( ‐ Δ‐)<エ、そうなにょ?
146 名前:ごまべーぐる 投稿日:2005/12/28(水) 09:08
レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从*´ ヮ`)<えー、だって基本っちゃろ? デレデレ

( ・e・)<田中くん、顔がしまりないのだ

確かに読み返してみたらすごい台詞ですね(苦笑)。中学生のくせに。
私は廃品回収に出したら後日チャリごとひっくり返りましたねえ。>聖書


>三日月ハウスさん

川;o・-・)<本当にあの行動はネコですねえ

(;−e−)<ネコだけあって人間のいうことをまるで聞かないのだ

ほっぺを膨らませても、相手がぼんさんなのであんまり効能はなかったようです(笑)。
れいなはネコのようにそこらの人間関係を引っ掻き回してます。


>ピクシーさん

( ‘ д‘ )<大体処女で子供が産めるかっちゅーねん

(;´D`)<まずソコれすか

ぼんさんはツッコみながらきっと聖書に目を通してるをオモワレ
大学に上がったらきっと一般教養で哲学取るでしょうね。


>ひ〜ちゃんエッグさん

从*・ 。.・) <絵里、中の人普通に忘れてたんだって

川;*^ー^)<え〜!?

すいません、亀誕生日普通に忘れてました(苦笑)。
アドバイスありがとうございます、ベタでステキです。


>138の名無飼育さん

( ^д^)ノシ<いやいや兄さん(姉さんかもしれんけど)通でっせ

( *−e−)ノシ<もー!恥ずかしいからやめてくださいよ〜

通だと思いますよ(笑)。
そのランキングがすでに渋いです。ありがとうございます。
147 名前:ひーちゃんエッグ 投稿日:2005/12/28(水) 23:15
お疲れレス
過労で入院中なのに、あんなことしていいのか?と真面目に考えてしまいました。
次はれいながコンコンを明太子で釣り上げられるか楽しみです。
川o・ー・)<わたしゃ魚ですか。
今年もたくさん楽しませていただき、ありがとうございました。
148 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2005/12/29(木) 00:04
更新お疲れ様です

〆に相応しい村さんBOSSの‥
・ω・<ニヤニヤしながら読んでしまいました
从#~∀~#从<あ〜キショイ!!

聖書の罰は怖いですね

来年も作者さんの意向無視してどこまでもついて行きます
たちの悪い背後霊だと思ってください

これからもがんばってください
149 名前:ピクシー 投稿日:2005/12/29(木) 03:19
更新お疲れ様です。

村さんもホント有名になりましたねぇ。
こういう事に利用されるくらいに。

まだ今晩どうなるかはわかりませんが・・・
とりあえず、よいお年を・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
150 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/03(火) 12:47
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくおながいします。

ということで今年初のレスのお礼です。

>ひーちゃんエッグさん

川o・-・)<わたくしを釣り上げるのなら他のエサのが効果的かと

( ´D`)<イモとかイモとかモチとか

私もネタを考えながら普通に思いました。>あんなこと
こちらこそ駄文を読んで頂いてありがとうございました。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ‐ Δ‐)<この2005年という年のしめくくりにふさわしいオチだの

ξξ;− З.−)<…オチに使われるくらいならするんじゃなかった 

でもここではまだ2003年な罠。
こちらこそありがとうございます。イヤがられながらも書いていきます(苦笑)。


>ピクシーさん

( ‐ Δ‐)<むー。エロ方面にしか利用されないのはなぜぇ?

川σ_σ|| <そりゃあ当人がエロ(ry

こういう事にばかり利用され、流石の村さんもとほほだとオモワレ
帰れたのですが疲れて寝てしまいました(苦笑)。今年、てか、昨年もありがとうございました。
151 名前:3年B組岡村先生 投稿日:2006/01/03(火) 12:48
川*^ー^) 从*・ 。.・) <<3年B組!

( ・e・)ノ<岡村先生!なのだ!

曝ク;´ ヮ`)<生徒少なっ


〔その1・手のひらを太陽に〕


((川o・-・)<岡村先生のクラスはとても個性的でユニークですね。
       わたくしも高3になったらクラスを受け持ってもらいたいです

((( ;´D`) <のん、去年受け持ってもらったれすけど、いや、ある意味苦労したれす

((川o・-・)<左様ですか。例えばどんな事が?

((( ;´D`) <卒業式でのんたちのクラス、送られる側なのになぜか余興をやったれす

((川o^-^)<フフッ、言ってましたね。楽しかったですか?

( ´D`)<へい、とてもいい思い出れす

((川o・-・)<今年もあるといいですね

      
    …>|

聞いたぞ
聞いたぞー>|



NA:かくて今年も卒業式SPが行われる運びとなった。
152 名前:3年B組岡村先生 投稿日:2006/01/03(火) 12:50
川*^ー^) 从*・ 。.・) ( ・e・)<<<3年B組!

( ‐ Δ‐)ノ<岡村先生!だにぇ!

曝ク;´ ヮ`)<アンタ誰と!?


〔その2・個人授業〕

・定期テストの補習中…

<コラー!道重!鏡をしまえー!

           ♪〜
聞いてない→从*・ 。.・) っ□

<では、長篠の戦いのとこ、ガキさん

( ・e・)<鉄砲、騎馬隊、長篠の戦いが始まったのだ!

<大河ドラマのナレーションやないねんから!

<…まったくオマエらは

<…

<(…使えるな)

NA:何に使うというのか。とにかくネタには貪欲な岡村であった

153 名前:3年B組岡村先生 投稿日:2006/01/03(火) 12:52
川*^ー^) 从*・ 。.・) ( ・e・)<<<3年B組!

(〜^◇^)ノ<キャハハハ、岡村かよ!

从;´ ヮ`)<…タイトルコールくらいはちゃんと言うてほしか


〔その3・卒業写真のあの人は〕

(0^〜^)っ□<梨華ちゃん、カッワイ〜 (^▽^*)<ヤダもう〜

( ‘д‘)<何?卒アル?

( ^▽^)<うん、ちょっとね。ヒサブリに見ようかなあって。
       ひとみちゃんも見たいっていうし

(0^〜^)<おおう、このちっちゃいオッチャンが岡村センセーだね

    ギャハハハハ!
( ^▽^)( ^д^)←『ちっちゃいオッチャン』がちょっとツボだった

( ^▽^)っ□<あ、そーそ。矢口さんの卒業写真もあるんだよ。
         あたし、一緒に撮ったの コレ


ジャーン

高3→∬〜`◇´)(^▽^)←高1



…>(;^〜^)( ´д`)っ□

( ´D`)<パーマヘアーなのれす

( ;‘д‘)<ソコなん?てか、ナニがあったん? テカキミイツノマニ?

( ;^▽^)っ□<あたしもよく分かんないけどヤンキーっぽく撮りたかったんだって。
          あ、もう1枚ある


∬〜`◇´)ノシ(   ;)←岡村先生


(;^〜^)<…カツアゲ?

( ;^▽^)<式の最後にお礼参りってシチュで撮ろうってフザけて撮ったんだけど…

( ;´д`)<アカン、アカンで〜、これは!シャレになってへん



( ´D`)<ヤグチさんヤンキーなんれすか (^▽^;)<多分違うとは思う(否定はできないけど)
154 名前:3年B組岡村先生 投稿日:2006/01/03(火) 12:55
(〜^◇^)<オチのナレーション忘れんなっつーの

(〜^◇^)<『NA:失敗パーマが眩しいヤグチだった』だと
       うっせーっつーの

(;^▽^)<卒業式前に急にかけてきましたよね〜

155 名前:ピクシー 投稿日:2006/01/04(水) 02:53
更新お疲れ様です。
今年も楽しく読ませていただきます。

そういえば、まだ岡村先生の企みが進行中でしたね。
ヤグ・・・お礼参りって(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます
156 名前:早春賦 投稿日:2006/01/04(水) 15:22
加護との勉強を終えて家に戻った紺野に、福井の高橋愛から連絡があった。

『あさ美ちゃーん。元気にしとるがしか?』
携帯越しに聞こえる声は相変わらず訛っている。
何だか安心し、紺野は笑って
「うん、元気だよ」
と答えた。
『あんなあ、あさ美ちゃんのおばさんにはもうお願いしたんやけど』
「うん?」
『あっし、テスト休みに宝塚観に行くからあさ美ちゃん家、泊めてもらえんやろか』
「…へ?」
『東京まで観に行くから、泊めてもらえんやろかなあって。
あ、あさ美ちゃんの分のチケットもあるやよ〜。
な、久しぶりに観に行こう!』
紺野はとても困った。
高橋が泊まるのは全然構わないが、紺野は宝塚にまるで興味がなかった。
『何であんな化粧濃いんだろ』
とか
『何であんなに羽根しょってるんだろ』
とか
『何で女の人が男の人の役をするんだろ』
とか、かなり初歩的な段階でいつも疑問に思っていた。
三つ目にいたっては『ソコかよ』的な疑問であった。
「はあ、いいよ。
観に行こっか」
自分でも分かる生返事をすると、
『やった!
あ、あっしチケ3枚取ったからあさ美ちゃん誰か友達誘えばいいがし。
えっと、日にちは…』
高橋は早口で用件を言うと、
『じゃ、テスト頑張るがし』
と勝手にシメて電話を切ってしまった。
「宝塚か…」
紺野は自分の携帯を切って、溜息をついた。
157 名前:早春賦 投稿日:2006/01/04(水) 15:22
『川;o・-・)<宝塚一緒に観に行きませんか?
       人助けだと思ってお願いします』

「何や、この泣き入ったメールは」
加護は勉強の合間に受信したメールを見てみた。
「ヅカねえ…」
頭を傾げながら返信する。

『( ‘ д‘ )<悪い、ウチ、あの羽根とかコテコテの化粧ニガテやねん。
         オカンと昔何回か見てんけどなあ           』

すぐ様、

『川oT-T)』

と顔文字だけのメールがくる。

『(;´д`)<辻さんに聞いたろか?』

『川oT-T)<お願いします』

とのやりとりがあった後、

「おーい、辻さんよー」
と階段下に向かって加護が叫ぶと、
「ここにいるれす」
と背後から辻が出て来た。
「ヒッ!」
「なんれすか。
ヒトをオバケみたいに」
「いやね、紺野さんから」
と加護はさっきのメールを見せた。
「はあ、たからづかれすか」
「あの、有楽町んとこでやってるヤツやろ?」
「興味がなくはないれすけど、のん、お芝居観ると眠くなるんれすよ。
だから、ほかのひとのがいーれす、きっと」
辻はそう言うと、自分の携帯を操作し、紺野に

『(;´D`)<ごめんね、のん、お芝居ニガテなんだー。
        また誘ってね               』

と返事する。

『川oT-T)<分かりました、他の人を当たります。
       お騒がせしました、おやすみなさい     』

とややあってメールが来た。
158 名前:早春賦 投稿日:2006/01/04(水) 15:23
「いっけんらくちゃくれす」
辻はもぐもぐチョコレートを食べながら加護の部屋に入って勝手にベッドに寝転ぶ。
「コラー!
ナニ勝手にくつろぎくさっとんねん!
テスト前やろ、自分!」
加護は座った椅子を回転させ、叫ぶ。
「一服れすよ。
あいぼんもどうれすか?」
「なに食っとんの、自分?」
辻が差し出す袋には、派手な色の個別包装のチョコがあった。
包みを剥がすと、ソレとすぐ分かる香りがプンとした。
どうやらチョコが溶けて中のリキュールも溶け出しているようだ。
「…ナニ食ってんの、自分」
呆れ果てて、加護はもう一度問うた。
「チョコれす」
「ごっつ酒くさいんやけど」
「リキュール入りれすからねえ」
「何個食たん?」
「10個れす」
「―――オマエはまごうことなきアホや!」
加護は辻の手からチョコの袋を取り上げ、
「ソコで休んで酔いを醒ませ!」
と命令調で人差し指を突きつけた。
「めいれいするんれすか」
「じゃ、お願いしますよ、辻さん。
おとなしゅうしてなはれ」
と今度は懇願に入った。
「あいぼんもいっぷくするれす」
辻は酔ってるので楽しそうだ。
ケラケラ笑って自分のカットソーに手を掛けた。
「コラー!」
「あついれす」
「あついからて脱ぐなー!」
「いちいち大声出さなくたってわかってるれすよ。
もう、ばかあいぼん」
「ウチがばかあいぼんならオマエはあほののじゃ!」
「深夜なのにめいわくれすよ」
辻は立ち上がって、机の加護に近づいた。
「ん…うう」
辻は立ったまま、椅子に座る加護に口づける。
『…ヤバイ。
酒くさいのに、めっちゃキモチええ…うわ、溶けそ』
加護は理性と戦うのを放棄し、辻の口づけに従う。
159 名前:早春賦 投稿日:2006/01/04(水) 15:23
『…え?』

加護は自分が引っ繰り返ったような気がした。
気がつくと、辻が上から嬉しそうに自分の顔を覗き込んでいる。
頭の中を整理し、辻にベッドに仰向けに寝かされたのだと把握した。


「…あいぼん、赤ちゃんみたいな匂いがするれす」
「…キサマはめっちゃ酒くさいけどなあ」
辻は柔らかな匂いのする元へ頬を寄せた。
「やわらかいれす」
「…贅沢なヤツや。
このあいぼん様の乳にタダで頬ずりしやがって」
「あいぼん、だいすきれす」
「…口説いてんの?」


加護はこの状況をどうしたものかしばらく考えた。
しばらくたって、心地よさそうな寝息がすうすう聞こえてきた。
「…重い」
加護は幸せそうな寝顔にはあっと情けなさそうな表情になった。
160 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/04(水) 15:25
更新しました。

ちなみに愛さんが行きたがってるのは雪組公演です。

レスのお礼です。

>ピクシーさん

(;〜^◇^)ノシ<冗談だって、冗談!

(;^▽^)<岡村先生がノってくれたから良かったようなものの

そうです、例の企みはまだ進行中です(ニガワラ
写真はノリで撮ったのですがシャレにならない一枚だった模様です。
こちらこそ今年もよろしくお願いします。
161 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/01/04(水) 19:10
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
AAも楽しく見せていただきました

こんこん困ってますね〜
誰誘うんだろ
・ω・<宝塚と言えば自分も辻さんと一緒です
起きてられません

‥加護パイですか‥ニヤニヤ
    キショイねん
 ──=从#`∀´从⊃))TωT)

次回更新お待ちしています



162 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/04(水) 23:17
ヅカはなぁ、あの意味不明なコテコテさに内心ツッコミ入れながら面白おかしく見てナンボやでぇ
とか正月早々、昼にベルばら、夜はエルダーとハシゴした馬鹿が言ってみるテスツ
3人の顔合わせが楽しみれす
163 名前:ひーちゃんエッグ 投稿日:2006/01/05(木) 00:05
あけおめ、ことよろ、行進おつです。
いやん!のんさんえっちぃくて、もえたのれす〜。
岡村先生によって、一気にスターダムにのったのはガキさんである。「〜なのだ!」って、当時の岡女で『この子こんなにおもしろかったのか!』と驚きました。
164 名前:ピクシー 投稿日:2006/01/05(木) 04:35
更新お疲れ様です。

相変わらずぼんさんも色々大変ですねぇ。
コンコン、果たして誰を捕まえるのか?

自分もヅカはコンコン、ぼんさんと同じ感想ですねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
165 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/07(土) 00:12
あけおめことよろです。
更新乙です。
久々にあの人の登場ですね。一波乱あるんでしょうか?
進みそうで進まない彼女達の関係も気になるところです。
166 名前:早春賦 投稿日:2006/01/11(水) 22:44
―――中澤家

吉澤と梨華は、2階の梨華の部屋で何をするでもなく過ごしていた。
時計の針が9時半を回った頃、吉澤の携帯が鳴った。
「えと…この着うたは…ミキティだ」
「え、美貴ちゃん?」
「ん、。あ、もしもし?
ウチだけど、どしたん?」
電話の向こうの藤本美貴は、
『ごめんね、よっちゃんさん。
あの、今大丈夫?』
と普段より元気のなさそうな声だった。
「おおよ、どしたん」
『あの、あのね』
「うん?」
『美貴、ちょっとよっちゃんさんと梨華ちゃんにハナシ聞いてもらいたくて』
「うん」
『実はちょっと…』
「あややとケンカしたん?」
『うん…』
梨華は電話の様子から、
『美貴ちゃん、どうかしたの?』と小声で吉澤に話しかけた。
「ミキティ、いまドコいんの?」
『新宿』
「は?新宿?」
『うん、ちょ…ケンカしてちょっとむしゃくしゃしてさ。
アタマ冷やそうと思ってとりあえず電車に乗ったのね』
「はあ」
吉澤は梨華に、
「このシトいま新宿いるんだとよ。
あややとケンカしたみてー」
と報告する。
梨華は『替わって』と手を伸ばし、
「もしもし、美貴ちゃん?梨華です」
と電話に出た。
167 名前:早春賦 投稿日:2006/01/11(水) 22:45
藤本は雑居ビルのエレベーターの下で手を振っていた。
吉澤と梨華は新宿の漫画喫茶にいるという藤本を迎えに、ふたりで出て来たのだった。
「ごめんね、無理言って」
藤本はまず、ふたりに頭を下げた。
「いや、ソレはいいけどさ。
オンナノコがひとりで夜の新宿ってあぶないっしょ」
吉澤の言うことに、梨華も頷く。
「とりあえずウチおいでよ。
何にもないけど、寝るところくらいはあるから」
「ありがとう、梨華ちゃん」
藤本は梨華に抱きついた。
「コラ、どさくさにまぎれて抱きつくなっつーの」
吉澤のマジ加減に、ふたりは笑った。

―――中澤家

「はい、たくさん食べてね」
夕食もまだという藤本のために、梨華はラーメンを炊いてやった。
ギョーザと半人前のチャーハンも、どんどん藤本の細い体に収まっていく。
吉澤は頬杖をついて、横で唖然とその様を見ていた。
「…よっく食うねえ」
「ごめん、美貴、オナカすいてて」
「あ、や、ソレはいーんだけどさ。
何で体型に比例しないんかなと」
「美貴ちゃん痩せてるよね」
梨華も『羨ましい』と続けた。
「ううん、美貴、オナカは結構ポッコリ出てるよ」
『ホラ』と藤本は体を前に突き出した。
「美貴ちゃんはお肉が好きなんだっけ」
「うん、肉なら1日3食365日イケるよ!」
藤本は笑顔だった。
吉澤はそれを聞いてちょっとげんなりした。
168 名前:早春賦 投稿日:2006/01/11(水) 22:46
梨華の部屋に集合し、ベッドの下に客用の布団を敷いてから、
肝心の本題に入る。
藤本は、
「亜弥ちゃんが美貴の言うことに聞く耳持ってくれなくて」
と始める。

藤本の話ではこうだった。
藤本は短大を出てからの進路を考え、悩んだ結果、今の短大に隣接する
4大に編入学することを決意した。
その旨を恋人の松浦亜弥に話すと、松浦は自分も4大に進むと言い出した。
美貴と一緒にいたいからとかそういうのじゃダメだ、もっと進路を真面目に
考えないと、と藤本が言ったことがきっかけでふたりは大喧嘩になったのだ。
169 名前:早春賦 投稿日:2006/01/11(水) 22:46
「亜弥ちゃんが美貴と一緒にいたいと思ってくれてることは嬉しいの」
敷き布団の上で三角座りし、藤本はぽつんと言った。
「でも、それじゃ亜弥ちゃんの将来のためにならないし…」
「いや、それでいいと思うよ」
藤本が言い終わらないうちに、吉澤は頷いて言った。
「大体アイツワガママだしさー。
もーソロソロ進路を真面目に考えさせる時が来たと、幼馴染としてはさ、
思うワケよ」
「うん」
梨華も頷いて、ふと思い立ったように、
「亜弥ちゃんは?いまどうしてるの?」
「や、地元の駅前の喫茶店で大喧嘩してから、分かんない。
美貴、電話しても拒否られてんのか出てくんないし。
メール送っても返事来ないし。
家にかけても誰も出ないし」
聞くが早いか、吉澤は自分の携帯を上着のポケットから取り出し電話をかけた。
「もしもしー、ひーちゃんですよー、てオイ!切るなよ!」
吉澤は眉間に皺を寄せ、
「とりあえず、電話はつながりました。
ひーちゃんも拒否られております」
と電話を切った。
「ごめんね…よっちゃんさん」
「ううん…いつものことだし」
ふたりは冷や汗をたらしながら頭を下げ合う。


「オンナノコどーしでハナシしたいからよっちゃんさん梨華ちゃん借りるね」
と吉澤は梨華ルームを追い出されてしまった。
「ひーちゃんも女子なんですが」
「ああ、そうだね」
藤本は悪びれず言い、悲しそうな吉澤を残しドアを閉めた。
ドアの向こうで梨華が苦笑しながら『おやすみ』と言っているのが見えた。
170 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/11(水) 22:49
更新しました。
ヒサブリにお肉大好きなアノ方の登場。

レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川;o・-・)<う〜ん、考えに考えてあの人にしようかと…

( ´D`)<前おかーさんたちと観に行って、のん爆睡したれす

宝塚観に行ってショーで打ってる迷惑な客は私です(苦笑)。
加護パイ…素敵ですね。裕子にならブッとばされても(ry


>162の名無飼育さん

(;〜^◇^)<ベルばら観てエルダーかよ!濃ゆっ!

川’ー’)<あさ美ちゃん、誰連れて来るか楽しみやわあ

新年からまた濃ゆいですね(笑)。宝塚から厚生年金までの移動も大変でしょうに。

中の人はベルばらは観たことありません。ヅカヲタなのに(苦笑)。


>ひーちゃんエッグさん

( ・e・)ノ<我輩イジられまくりだったのだ!

( *´D`)<いやん、えっちぃなんててれるれすよ〜

普通『始まった』とかで切るのに『始まったのだ』ですからねえ(苦笑)。
ガキさんは本人が意識しないトコで面白いんですよ。狙うとダメなタイプですね。


>ピクシーさん

( ;´д`)<ホンマ苦労するわあ

川o・-・)<とりあえず…あの方に声をかけてみようかと

ヅカはその妙さをツッコみながら観るのもまたアジです。
ぼんさんは毒舌なくせに妙にお人好しだから巻き込まれるんですよ。


>165の名無飼育さん

川’ー’)<お待たせしたやよー、やっと出番や

( ´д`)<…進んでるんかなあ?

ヒサブリの彼女にはミニ台風くらい期待したいかと(笑)。
彼女たちの関係は例えるならチーターの『三百六十五歩のマーチ』です(古っ)。




川o・-・)<ちなみにヅカヲタなのに「ベルばら」を観たことがないというのは、
      劇団四季ヲタなら「キャッツ観たことないわあ」、
      モーヲタなら「え?ラブマってどんな歌?」って
      言ってるようなモンです。基本形のようなものですかね
171 名前:ピクシー 投稿日:2006/01/12(木) 01:47
更新お疲れ様です。

久しぶりにポコティもといミキティ登場ですね。
本当に各所で人間関係のやりとりがありますね。

ぼんさん、確かにお人よしですからねぇ・・・
「困った時のあいぼんさん」になりつつありますねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
172 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/01/12(木) 02:50
更新お疲れ様です

ポコ‥ミキティいいですね〜
わがままアヤヤ‥どうなるんでそう

ヅカで打てる作者さんに惚れそうです

・ω・<妄想では毎日姐さんにどつかれてます
    だからお前キショイねん
 ──=从#`∀´从⊃))TωT

次回更新待ちしています


173 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/12(木) 21:49
更新乙です。
え?ミキティ女の子チームなん?わたしはてっきり・・・いや、なんでもありません。
そう言えばなちまり、あいのの、アヤミカ?はみんな女の子チームですね。(ぼんも最近女の子っぽくなりましたし。相変わらず口は悪いけど)
174 名前:名無飼育@162 投稿日:2006/01/14(土) 16:56
更新お疲れ様です
ワガママというか一途というか…人の心は複雑ですね

正月のハシゴ、厚年はムラとウチとの間にあるので移動は苦にならないものの
ベルばら立見だったしエルダは当初、参戦予定はなかったため体力配分が少々…
まぁミチャーソのライブだけで息切れするくらいですから モウ ワカクナイワ...orz

ベルばら未経験のヅカファソというのは案外、少なくないようです
まぁ言うなれば、ゆーちゃん娘。時代を見たことないとかソロの帝シラネとか
タンポポ?プッチ?太シス?ミニモニ?グッモーニン?トウモロコシ?とか戸惑うヲタのようなものかと
因みに自分はベルばらTVで見て大笑いしたのがヅカに首つっこんだキッカケですた
175 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/01/16(月) 23:51
更新おつです。
そういえば美貴様は、この物語の中でいつからよっちゃんさんて呼ぶくらい親密になったんだろう?
あややは確かにワガママでドラマのオチもつい言っちゃったりします。
176 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/17(火) 00:22
更新乙です。
そうですか、ののぼんの関係は3歩進んで2歩下がるんですね。
いちごまとどちらがより先に薦めるか楽しみです。
たんも大変ですね。あやや見たいな子と付き合ったことありますが、そうとうな忍耐力が必要でした。
がんばれたん!負けるなたん!
177 名前:早春賦 投稿日:2006/01/18(水) 21:42
吉澤が部屋を出て行った後、梨華と藤本は顔を見合わせて微笑んだ。
梨華はベッド、藤本は布団に入る。
「よっちゃんさんに悪いことしたかな」
「明日謝っておくよ」
梨華は苦笑した。
「ねえ、梨華ちゃん」
「ん?」
「あたしね」
「うん」
「よっちゃんさんのこと好きだけど、一方でちょいキライ、までいかないけど嫉妬かな?してると思う」
「…どうして?」
梨華は枕からちょっと頭を上げた。
「亜弥ちゃんさ、昔よっちゃんさんのこと、好きだったから」
今は美貴のこと見ててくれてるけどね、藤本は続けた。
「…うん。そんな気はしてた」
梨華はまた枕に頭を沈め、少し息を吐いた。
「なんか亜弥ちゃんがなんでよっちゃんさん、好きになったかすげーわかるんだけどね。
わかるからムカつくっつーか」
「うん」
梨華は少し笑った。
「ごめん、梨華ちゃんにこんなハナシすること自体ヘンだね」
藤本は頭をかいて苦笑いする。
「美貴ちゃんは、正直だね」
「まあ、ソレが美貴の長所っつーか?」
「疑問形なの?」
「梨華ちゃんにツッコまれたよ」
藤本は笑う。
178 名前:早春賦 投稿日:2006/01/18(水) 21:43

「なんか」
「うん」
「よっちゃんさんに嫉妬してんのに、よっちゃんさんに頼ってハナシ聞いてもらうっつーのも矛盾だよね。
美貴、正直電話かける時迷ったんだけどね」
「ううん」
梨華はまた頭を上げて首を振った。
「それも人間なんだよ。
ひとりの人間に、ひとつだけの心があるとは限らないもの」
藤本は感心したように、
「すっげ。
梨華ちゃんナニゲに頭イイ?」
正直な感想を漏らした。
「ああ、なんかソレ聞いたら安心した。
おやすみ」
藤本は嬉しそうに掛け布団を肩まで掛け直した。
「おやすみ、美貴ちゃん」
梨華はベッドサイドのランプを消して、自分も眠りについた。
「よっちゃんさんも、梨華ちゃんもイイやつだね。
なんでよっちゃんさんが梨華ちゃん選んだんか、わかる気がする」
暗闇の中で突然言われ、梨華はちょっとぎょっとして、少したって
「ありがとう」
と笑いながら言った。
179 名前:早春賦 投稿日:2006/01/18(水) 21:43
―――翌朝。


「は〜あ。
なんで部屋の主が隅に追いやられなアカンねん」
自室から、加護が出てきた。
ゆうべは爆睡した辻にベッドを占領され、仕方なく床に客用の布団を敷いて寝た。
「あいぼん、おはよう」
洗面所で顔を洗っていた梨華が気づいて声をかける。
横には藤本がいる。
「おお、おはようさん。
ん?そちらのおねえさんは、梨華ちゃんの友達?」
いつ来たんや、全然気付かんかった、と思いながら加護はじっと藤本の顔を見た。
「うん、あのね。
ひとみちゃんの幼馴染の彼女さんで藤本美貴さん」
「よろしく、加護亜依です」
「カワイイね〜、お人形さんみたい」
藤本はご機嫌で加護に抱きつく。
「うっわ。
照れますやん、そんなん」
ま、ウチがラブリーキュートなんはデフォやけどな。
加護はそう言って無意味に胸を反らした。
「あはは、おもしろい子だね」
加護の頭を撫でて、藤本は、
「じゃ、美貴、お布団直してくるね。
えっと、1階だっけ?」
「あ、うん」
藤本は傍らの布団を持ち上げて、よいしょと階段を下りて行った。
「乳全然ないねーちゃんやな」
と加護。
「言っちゃダメ!」
梨華は慌てて小声で叱責し、シーッ!と人差し指を立てた。
180 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/18(水) 21:50
更新しました。

いしかーさん一日早いけどおたおめ!
ますますエロく、ますますキショく。

(;^▽^)<誕生日くらいほめてくださいよー

デナーショーで見たあの妙なピンクのドレスが忘れられません。

(;^▽^)<…もーいいでーす

レスのお礼です。

>ピクシーさん

( ;´д`)<おかしい、ウチはこんなはずじゃあ…

川;VvV)<亜弥ちゃんにオナカをやたら触られるなあ

美貴様はよっちゃんさんと梨華ちゃんに懐いているんです。川*VvV)
特によっちゃんさんはあややの幼馴染なんで彼女のことをよく分かるだろうと。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川;VvV)<いいよ、ポコティって言っても。自分で自覚あるし

从` 。´)<ワガママじゃないもん、正直なだけだもん

松浦さんは現在自宅で頭から湯気出して怒ってます。
妄想で姐さんに毎日どつかれるんですか…いいな。(;^◇^)<そうか?


>173の名無飼育さん

川;VvV)<い、いちおー女子のつもりだけど?

从‘ 。‘)<たんはこー見えて甘えたちゃんだから…

両方女子チームのカポーは大体ご指摘の通りですね。(〜^◇^)<オイラも女子チームだしー
ぼんさんは関西でも地域によっては特に口が悪くなくフツー、の部類に入ったりします(苦笑)。
181 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/18(水) 21:51
>名無飼育@162さん

从‘ 。‘)<そうそう、一途なの

川;VvV)<…え?

相手が爆発しない限り別にワガママでもいいんでわ、と( ^▽^)<誰かが言ってた
ヅカに興味を持ったきっかけは主に生オケと舞台装置ですかねえ。

>ひ〜ちゃんエッグさん

从‘ 。‘)<違うもん、たまたま言っちゃっただけだもん

(0^〜^)<秋に遊んだ時くらいに呼ばれるようになったYO!

美貴様は頼りがいのあるよっちゃんさんに懐いてそう呼ぶようになりますた。川VvV)<自然に呼んでるねえ
ここの松浦さんは悪気なくドラマや映画のオチを言います(ニガワラ


>176の名無飼育さん

( ´D`)<あいぼんのしあわせはあるいてこないから自分であるいてゆくんれすよね

( TдT)<…なんか理不尽に泣けるのはなんでやろね 

時に3歩進んで10歩下がってる気がしなくもないですが、いちごまよりかは(ニガワラ ヽT∀Tノ
松浦さんタイプとですか、それは凄いですね。私は普通にムリです。
182 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/18(水) 21:52
で、ついでにヤグおめ!

(;〜^◇^)/<ついでかよ!
183 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/01/19(木) 00:13
更新お疲れ様です

・ω・ <好きな人の過去って気にしないようにしても
     気になりますね
( `.∀´)<このバカ胃に穴あくまで悩んだのよ

のんは寝相悪そうですね

梨華ちゃんヤグ誕生日おめでと

( `◇´)<このアホもついこないだ四半世紀迎えたらしいわ

次回更新お待ちしております
184 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/01/19(木) 00:57
更新おつです。
そういえば最近は中高校生チームと村田さんで、久ぶりにひ〜ちゃん登場ですよね。
愛ちゃんも出てきそうだし、私個人的にナッチと愛ちゃんの訛り対談を聞いてみたいものです。

おたおめ梨華ちゃんにピンクのネクタイを(0^〜^)っ◆
ネクタイを贈ることは好きな人を束縛したい意味も入ってるとか。
あ、ちっちゃいのもおめでとう。
185 名前:ピクシー 投稿日:2006/01/19(木) 03:00
更新お疲れ様です。

ぼんさんとミキティの初コンタクトですね。
ツッコミキャラ同士だけに、今後の絡みに注目。

ヤグ&いしかーさん誕生日おめでとうございます。
そして6期のみなさん、加入3周年おめでとうございます。

次回更新も楽しみに待ってます。
186 名前:ごまべーぐる@今日は告知のみ 投稿日:2006/01/19(木) 15:46
ttp://jbbs.livedoor.jp/music/12231/


ここにいくと( ^▽^)と某ちっちゃいひとの生誕記念短編が読めたり
読めなかったりします。
187 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/20(金) 01:32
更新乙です!
ぼんさんミキティの前で意味なく胸なんか張っちゃいけません!
なんて思ってると追い討ちをかけるようなきっつい独り言(w
188 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/01/25(水) 17:36
更新お疲れ様です。
もう1月も終わりますが、今年もよろしくお願いします(遅

個人的にCPは梨華美貴が好きです。
個人的に胸が小さいのは別に気になりません。
だから、ミキティが大好きです・・・前にも言いましたね、これ

短編も読みました。
後藤先輩も読みました。
後藤先輩、可愛いです、萌えです。萌え萌えです。

次の更新も待ってます。
189 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/25(水) 20:00
ぼんさんの関西弁は普通なのか・・・
( ゜皿 ゜)<カオハアンナカンサイベンツカウノハカワチノオサーンノウタダケカトオモテタヨ
190 名前:早春賦 投稿日:2006/01/25(水) 22:48
梨華は藤本を連れ、喫茶タンポポへ出掛けた。
「ごめんねー、パンもなかったね」
「ううん、美貴がいきなし来るからだよ」
朝食に食べるものが何もなく、タンポポへモーニングを食べに行く事にしたのだ。
吉澤は、
「ひーちゃんは労働してきます」
と『うまい棒』をかじってバイトに出掛けた。
「よっちゃんさん、朝ごはん『うまい棒』ってアレ絶対体に悪いよ」
「うん、今日はたまたまなんだけどね。お昼までもつかしら」
お昼はちゃんと食べてね、とメールを送ろうと考えながら梨華はタンポポのドアを開けた。
「いらっしゃいませえ」
トロンとした声が聞こえてきた。
岡田唯が黄色いエプロンをしてテーブルを拭いていた。
「あ、石川さあん。
おはようございますう」
「おはよう、バイト始めたんだね」
「ええ、使ってもらうことになりましてん」
ほな、と言い、岡田はカウンターに引っ込んだ。
矢口が入れ替えに水を運んでくる。
「いらっしゃーい。
お、石川の友達?」
「あ、はい。
藤本美貴です。どうも」
「美貴ちゃん、ここの店長さんの矢口さん。
あたしの高校の先輩でもあるの」
「ちっちゃいっすね」
「いきなしかよっ」
矢口は可笑しそうにキャハハハ笑う。
「んじゃま、ごゆっくり」
ふたりは矢口が行ってからゆっくりメニューを決め、オーダーした後のんびりと世間話をした。
「や、可愛い店だね。
梨華ちゃん、好きそー」
アーリーアメリカン調の店内を見渡し、藤本は感想を漏らす。
「でしょでしょ?
ここ、コーヒーが!」
「うん?」
「特においしいの!」
オバチャンのように、梨華は手招きする。
というか、オバチャンそのものだった。
案の定藤本も『オバチャン!』とツッコみゲラゲラ笑う。
191 名前:早春賦 投稿日:2006/01/25(水) 22:49
「岡田さん、家近いんだっけ」
梨華が声を掛けると、岡田は一瞬きょとんとし、
「ああ、家が、ってより、大学に近いんですわ」
「ああ、そっかそっか。
大変だね」
「ええまあ。卒業式までヒマですしねえ」
岡田はおっとり答えた。

新しい客が入ってくる。
「いらっしゃいませえ」
岡田はすっ飛んで行った。
「コーヒー。ホットで」
席に着く前にその女性客は言い、ちょっと店内を見渡した。
「コーヒーだけでよろしいですか?」
「うん」
「はい。あ、おタバコお吸いになるんですね。
灰皿お持ちしますね」
女性の上着のポケットからマルボロの赤いパッケージが見え、
岡田はカウンターへ灰皿を取りに戻る。
192 名前:早春賦 投稿日:2006/01/25(水) 22:49
梨華と藤本は窓際の席で楽しそうに話しながら朝食を摂る。
「あの」
矢口がそばを通ると、さっきの女性が声を掛けた。
「はい?」
「あの。この辺に交番ないですか」
「交番?
ああ、駅前にありますけど」
どうかされたんですか、と矢口が続けると、
「あ、いえ。
道を…尋ねたくて」
「道ですか。
どちらに行かれるんですか」
「あ、『中澤ハイツ』ってトコなんですけど」
「あ、中澤ハイツね。
よかったら地図書きましょうか。
すぐソコなんですけど」
「すみません…」
矢口がメモに地図を書いてる間、女性はチラッと岡田の方を見た。
視線が合った岡田は二カッと笑う。
女性はすぐフイッと視線を戻した。
『中澤ハイツ』と耳にした梨華はちょっと興味ありげに女性の方を見る。
「あ、あの」
女性は梨華の方を振り向いた。
「何か?」
「どなたかのお知り合いの方ですか。
あ、私、中澤ハイツの管理人の家族の者なんです」
「ああ。
いや、保田さんの…知人です」
「え、けーちゃん?
けーちゃん今日、温泉行ってるんじゃ?」
と矢口。
「え、今日はもう帰ってるんじゃ?」
梨華が首を傾げてると、女性は、
「じゃ、出直した方がいいようですね」
と受け取ったメモを手に、
「ごちそうさま」
と代金を置いて出て行った。
「あ、お客さ〜ん!
いま電話掛けて聞いて…!」
「「行っちゃったよ」」
矢口と藤本の声がカブる。
ふたりはしばし見つめ合い、頷いてバシ!っと手を叩いた。
193 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/25(水) 22:53
更新しました。

(〜^◇^)∩゛∩(VvV川


レスのお礼です。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川 ‘〜‘)||<そうだよねえ、カオだって圭ちゃんの過去は気になるもん

( ´D`)<のんは寝相悪くねーのれす、ただベッドで大の字になりすぎるだけれす


その過去があるから今のその人がいるって思っても、割り切れないのが人間ですね(苦笑)。
四半世紀ですか、本当にお若いんですね。おめでとうございます。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( *^▽^)っ◆ <ありがとうございまーす!

(;〜^◇^) <あ、あ…どうもっす(『のも』?)

ひ〜ちゃんそういえばすごいヒサブリでしたね(苦笑)。主役なのに。
ネクタイを贈る意味、聞いたことあります。受け取る男性からすると結構重いようです(苦笑)。


>ピクシーさん

( ‘д‘)<いやー、ほんまツッコミのキレのエエねーちゃんやわ

川VvV)<ま、北の大地が育んだってカンジ?

両方ツッコミだとボケが欲しくなりますよね(笑)。あ、周りがボケだらけだからいいのか。
そうか、6期が入ってもうそんなになるんですね。オーデ特番のさゆーじあは忘れられません。


194 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/01/25(水) 22:54
>187の名無飼育さん

あ、ごめーん。つい>( ^д^ )>゛←無意味な胸反らし

川TvT)<いい、美貴負けない…

ぼんさんその時は無意識だったようですが、これからは意識してやるとオモワレ
美貴様は胸の割には腹部がうわ何をす(ry


>三日月ハウスさん

从‘ 。‘)>゛<たーん、気落ちしちゃダメだよ?

川;VvV)<う、うん。てか、亜弥ちゃん何で無意味にムネ強調してんの?

りかみきヲタなのですか。最近出てきたCPですよね。
美貴様は胸うんぬんよりはあの冷ややかな目が個人的に好きです。

>後藤先輩
( ´ Д `)<ごとーはあのスレではキャラつくってるぽ 
後藤先輩に言及してくださった5人目の方です。ありがとうございます(笑)。


>189の名無飼育さん

(;´D`)<そうれすよねえ、たまにオッサンみたいれす

(;‘ д‘ )<それにしても飯田さん『河内のオッサンの唄』て…ソコツッコンデエエノ?

ぼんさんは『おいワレ』とかは言わないけど、
確かに言われてみれば時々オッサンくさい事言ってますね(笑)。
195 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/25(水) 23:13
更新おつっす!
うぉ、だれだ?誰が来たんだ?
196 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/01/25(水) 23:16
アネゴ、更新お疲れ様です。

朝飯のうまい棒を口に入れ、職場に駆けていくよっちゃん。
男だねぃ・・・
僕は最近、何も食べずに大学に行くことが多いです。
身体に悪いことは分かってるんですけど、食欲より睡眠欲のほうが勝っちゃうんですよねぇ・・・
いしかーさんが朝飯作ってくれたら起きるんだけどなぁ・・・(妄想乙

次の更新も待ってます。
197 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/01/26(木) 00:29
更新おつです。
唯やんは、文章を読むと京都訛りのようですが、出身は大阪なんですね。
にしても、从‘ 。‘)にキレられ( ‘д‘)に突っ込まれ、後に川´^`)と会う。
ここまで美貴様に巨乳をぶつけるのか。と思いました。
198 名前:ピクシー 投稿日:2006/01/26(木) 04:43
更新お疲れ様です。

あ、ヤグもツッコミキャラだった。
やはりツッコミ同士で気があうのかな?

さゆーじあ鮮烈でしたねぇ(苦笑)
でも、何より菅井先生が印象的でした。

次回更新も楽しみに待ってます。
199 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/01/26(木) 05:56
更新お疲れさまです
おば梨華いいですね〜
圭ちゃん絡みの女の人
気になりますね〜

・ω・ <割り切れたらどんなに楽なんでそう‥
( `.∀´)<‥胃薬常用してるのよねこのバカ

( `◇´)<このバカ若いのは年齢だけ中身推定56歳くらいやで〜

次回更新お待ちしております
200 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/31(火) 21:14
唯やんが片手をテーブルについてふいたらテーブルいがいの場所が
キュッ!キュッ!っていいそうなんですが(w
201 名前:早春賦 投稿日:2006/02/01(水) 19:46
「てか、ダレ?今の?」
矢口は藤本から手を離した後、小首を傾げた。
「保田さんのお友達でしょうか」
梨華も矢口に続ける。
「オイラたちも知んねー知り合いっつーことはだ」
「はぁ、ヤスダさんってヒトの浮気相手ですか」
「オーイ!」
岡田がかぶせたボケに矢口は古典的に手を伸ばしてツッコむ。
「岡田ちゃんなかなかハイグレードなボケをかますな」
「なかなかやり手ですね」
藤本は腕を組んで頷く。
「いやあ、そんなん」
岡田は照れて片手を後頭部にやった。

「アレ?」
その頃。
バイト中の吉澤の携帯に着信があった。
松浦からだ。
「友達からかい」
横で伝票の整理をしてた安倍が顔を上げずに言った。
「あ、や。
幼馴染からっす」
「急ぎの用かい」
「いえ…休憩んときにかけるっす」
吉澤はパタンと携帯を閉じる。
「5分ね」
やはり顔を上げずに安倍は言った。
「は?」
吉澤はきょとんとしたがちょっとして気付き、
「あーざっす!」
と外に出た。
202 名前:早春賦 投稿日:2006/02/01(水) 19:47

「ひーちゃんですよ」
『なんですぐ出ないのよ!』
松浦の剣幕に吉澤はちょっとたじろぐ。
「バ、バイト中なんだよ!
てか、オマエなんだよ!
ゆうべメチャ感じわりーぞ!」
『みきたんドコ?』
謝罪は一切なく、松浦は簡潔かつちょっと冷ややかに言う。
「あ〜?
ミキティならゆうべコッチ来た。
つーかさあ、ハナシくらい聞いたれよ」
『コッチってひーちゃんの下宿?』
「おおよ。
てか、オマエさあ」
『分かった』
吉澤の言葉を遮るように電話は切られた。

『今から車で行きます。
着いたら連絡する』

仕事に戻った吉澤にしばらくしてメールが届いた。
203 名前:早春賦 投稿日:2006/02/01(水) 19:48
「やー、矢口さんごちそーさまっした」
「おう、また来いよー」
石川と藤本はタンポポをそろそろ出ようと立ち上がった。
藤本は矢口とやたら気が合い、焼肉好きトークも弾んだのだった。
「ナンカ矢口さんってキレたら銭湯の煙突登るよーなカンジっすね」
「どんなカンジなんだよ!」
笑いながらツッコみ、
「ありがとうね〜」
と矢口は店の外まで見送った。


―――中澤家

「ふああ〜あ。
二度寝してもた」
加護はまだ半分寝ている辻をベッドからどかし、あれからまた寝たのだった。
流石に腹が減り、下に下りて行く。
辻は毛布にくるまったまま、加護のベッドの下に転がっている。

「おや」
「おう、おはようさん」
旅支度の平家が玄関にいた。
大きなスーツケース持参だった。
「平家さん、またどっか行かはるんですか」
「ああ、仕事でな。
今度は韓国」
「へえ、大変やね。
あ、中澤さんに会いに来たん?」
「ああ、うん。
いやね、もう時間ないからウチそろそろ行くわ。
外でタクシー待たしてるし」
「そう?
気をつけて」
「姐さんによろしゅうになあ」
加護の頭をぽんぽん軽く叩いて平家は出て行った。
「おーい!みちよー!」
加護がバナナを台所から取ってきて食べていると、裕子がどたどた走ってやって来た。
「おや、タッチの差。
平家さん、今出ましたで」
「なに!?」
「『姐さんによろしく』って。
なんか用事ありましたん?」
「あ、うん…エエねん、別に…な」
裕子は困ったように笑う。
「ふうん。
あ、食べはります?」
加護はニヤニヤしてバナナを近づけた。
死ぬほど嫌いなものを近づけられ、裕子は
「…ギャー!」
痛ましい悲鳴を上げた。
204 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/02/01(水) 19:53
更新しました。

川o・-・)<飼育大賞に投票してくださった方、ありがとうございました。
      この場をお借りしてお礼申し上げます。

( ´。D`)っ□<アイスあげるれす

(;‘ д‘ )<辻さんソレ食べさしですがな

( ´ Д `)<んあ〜、ありがとうだぽ〜

お礼に保田さんの添い寝か今夜保田さんが夢枕に立ってうなされる権を差し上げます。
返却は不可です。 

レスのお礼です。

>195の名無飼育さん

川 ´^`)<あんなあ、こういうヒトが…

(;〜^◇^) /<まだ言うな!

どうぞお楽しみに(笑)。


>三日月ハウスさん

(0^。〜^)<いんやー、のんにもらったんさあ

(;・´ー`)<よっちゃん、口のハタ拭くべさ

私は保田さんのカラ入りのスクランブルでいいです(苦笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川VvV)<ハテ?そういえばやたらとデカイ胸をよく見た気が…

(;〜^◇^)<エ、今気づいた?

ぶつけるのは愛ゆえです(嘘です)。


>ピクシーさん

(〜^◇^)<や、なんか通ずるってカンジ?

川VvV)<焼肉好きに悪いヤツはいねーよ

周りがボケだらけで何かと共通点も多いとオモワレ


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;^▽^)っ゛<エー?オバチャンじゃないですよー

(〜^◇^)<いやいや、その手つきがオバチャンだから

ヤス絡みの女性はまたいずれ…。


>200の名無飼育さん

あ〜、ホンマジャマでしゃあないわキュッ!>川 ´^`)っ□゛

(;^▽^)<岡田さん岡田さん!

唯やんは気を遣ってバイトの時はあんまり胸の開いたものを着ないようにしてます(笑)。
205 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/02/02(木) 01:41
更新お疲れ様です。
安倍さんには何でもお見通しのようです。
206 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/02/02(木) 05:39
更新お疲れ様です

岡パイはいいボケもってますね〜
・ω・<みっちゃん‥韓国ついて行っていいですか?
( `.∀´)<働きなさいよ!!
裕子にバナナ‥あいぼん殴られなくてよかったね
ふと‥アイさがの催眠術でバナナを好きになろうを思い出しました

次回更新待ってます
207 名前:ピクシー 投稿日:2006/02/02(木) 08:29
更新お疲れ様です。

久しぶりになっち登場?
ってか、あやや怖いです・・・
ぼんさんも、なんという危険な行為を(w

次回更新も楽しみに待ってます。
208 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/02/02(木) 12:37
アネゴ、更新お疲れ様です。

ツッコミ二人、ボケ一人、黒一人。
なかなか豪華なカルテットですね。
特に黒は他のお笑いにはいない役割ですから貴重ですね、レアですね。

それにしても、バナナってそんなに嫌いになれるものでしょうか?
結構、好きなんですけどね。

次の更新も待ってます。
209 名前:早春賦 投稿日:2006/02/08(水) 22:33
ochi#DarkCyan  早春賦  ごまべーぐる

―――喫茶タンポポ

「あのお、矢口さん」
梨華たちが帰って少し経った後、岡田は遠慮がちに何かを差し出した。
「ん、なに?」
カウンターの矢口は顔を上げる。
「いまね、レジの横のゴミ箱で見つけたんですけどお」
岡田はくしゃくしゃの紙を開いた。
中にはライターがある。
「なんだこりゃ」
受け取って、矢口はまじまじと見る。
「いらんからほかしたんですかねえ」
「にしちゃもったいなくないか?」
矢口はライターを裏返し、
「お、何か彫ってある。
イニシャルかな」
「ほんまですかあ」
岡田も首を伸ばしてライターを見る。
「矢口!」
ベルを鳴らしてドアが開く。
保田が息も絶え絶えに現れた。
「お、圭ちゃん」
「ちょっと。着信あったんだけどアンタワンギリした?」
「あ、わりーわりー。
ちょいと立て込んでてね」
「何か用だったの?」
「うん、実はさ」
保田は矢口の手元を見る。
次の瞬間大きく目を見開いた。
210 名前:早春賦 投稿日:2006/02/08(水) 22:33
「ちょ…このライター!」
「あ?
いやさー、レジんとこのゴミ箱に捨ててあったんだとさ。
ね、岡田ちゃん」
「はいー。
あ、お客さんのですか?」
「ううん、違うけど。
…若い女の子が来なかった?」
「あ、そうそう。
電話の用はソレなんよ。
いやさ、圭ちゃん訪ねて中澤ハイツの場所探してる子がいたんだけど…」
「どんな子だった!?」
矢口が最後まで言い終わらないうちに、保田はかぶせて言った。
珍しく焦りが見えた。
「え?
フツーの子。なんかボーイッシュ?ての?」
「そうですねえ。女子校でモテそうなカンジですねえ」
岡田も頷く。
「どっち行った?」
「え、分かんない。
圭ちゃん温泉行ってるカモってオイラとたまたま来てたイシカワとで言ったら、
『出直したほうがいいですね』ってすぐ帰っちまったし…引き止めた方がよかった?」
「ううん、ありがとう。
あ、このライター、預かってもいい?」
「あ、うん。
そのヒトので間違いないワケ?」
「…うん、間違いない」
保田は受け取って目を伏せた。
矢口と岡田は不思議そうに顔を見合わせるのだった。
211 名前:早春賦 投稿日:2006/02/08(水) 22:34
夕方。

バイトが上がった吉澤の元に、松浦からメールが来る。
車で近くまで来ているとのことだった。
返事を打ってから、中澤家にいる梨華と藤本に電話して駅まで来るように伝えた。

ふたりはすぐにやって来た。
3人で松浦の車を駅のロータリーで待つ。
「ごめんね、梨華ちゃんもよっちゃんさんも。
ヘンなこと頼んで」
藤本はまた頭を下げた。
「いんやー、気にすんなって。
涙は心のアセって言うじゃねーか」
「いや美貴泣いてないし」
謝りながらもツッコミは忘れない藤本だった。

車がやって来る。
ちょっとありえないくらいのピンクだった。
梨華は反射的に『カワイイ…』と呟く。
その呟きに藤本は『エエエエー!?』と引き、吉澤は『マジで!?』と目をまん丸にした。
「乗って」
ミラーを降ろし、松浦は短く言った。
「んじゃ、オイラたちはここで…」
吉澤が言うと、
「ひーちゃんたちも」
と松浦は有無を言わさぬ口調で付け足した。
212 名前:早春賦 投稿日:2006/02/08(水) 22:34
「てか、ドコ行くのよ」
後部座席で吉澤は呟く。
横で梨華は『そうだね』と窓の外を見る。
助手席の藤本は一瞬振り向き、ふたりに手を合わせて少し頭も下げ謝るポーズをした。
「みきたん」
「はははは、はい!」
藤本は恋人の呼びかけにビビリながら返事する。
「正直に答えて」
「はい」
「あたしの事、どう思ってるの?」
「大事な恋人だと思ってるよ」
「じゃ、どうしてよ」
「どうしてって…」
「あたしはあたしなりに進路を考えて四大に行くって決めたのにさ。
みきたん怒鳴るし」
「いや美貴怒鳴ってないし」
「怒鳴った」
「…ハイ」
後部座席のふたりは心から藤本にいたわりの視線を送る。
「なんかあたしのコト、考えなしのオンナだと思ってなくない?」
「いや、そんなコト」
「そう?」
「うん」
松浦はカーステレオをつけた。
大音量で椎名林檎の『罪と罰』が流れる。
「おめー、林檎、好きなん?」
吉澤は『おや』というように問う。
「そうだよ、知らなかった?」
「うん、初耳初耳」
「…すっごい音だね」
梨華が言うと、吉澤は
「ちょいボリューム絞って。
音デカすぎ」
すぐ様伝えた。
「うん、ごめん」
松浦が操作して適度な音量になると、梨華は「ありがとう」と松浦と吉澤に小さく頭を下げた。
213 名前:早春賦 投稿日:2006/02/08(水) 22:34

「つーかさ、幼馴染でも知んねーコトってあるんだな」
吉澤はそう言って頭の後ろに組んだ両手をやり、我が家のように足を広げる。
「そうだね」
藤本が口に出して同意し、梨華は黙って頷いた。
松浦は何も言わない。
「ましてコイビトなんてもっとわかんないんじゃね?」
「ひーちゃんに言われたくない」
「しどい!」
松浦の容赦ない一言に吉澤はパーカーの袖口を噛む振りをし、さめざめと泣く。
梨華は苦笑して吉澤の頭を撫でてやる。
「みきたん」
「ん?」
「あたしが、大人しく恋人についていくタマだと思う?」
吉澤は『自分で言ってるよ…』と呟く。
横で梨華は『シーッ!』と人差し指を立てた。
「ううん」
藤本は首を振った。

「そういう亜弥ちゃんだから、美貴、好きになったの」
214 名前:早春賦 投稿日:2006/02/08(水) 22:34

「じゃ、ひーちゃん元気でね。
梨華ちゃんも、ありがとう」
吉澤たちはとりあえず新宿で降ろしてもらった。
とりあえず、松浦たちは埼玉に帰る。
特別何か話したわけではないが、ケンカも一応鎮火したようだ。

松浦は梨華だけ呼び、
「ね、ひーちゃんって優しい?」
といたずらっぽく聞いた。
「うん、すごく」
梨華は笑顔で答える。

車が出た後、
「りーかちゃーん。
ウチ、すんげーハラへったー」
吉澤は自分のハラを押さえた。
「何か食べて帰る?」
梨華は優しく笑う。
「都会は怖いから地元で」
「そうしよっか」
吉澤のひとことに笑いながら、梨華は
「行こ」
と手を引っ張って駅の方へ歩き出した。
215 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/02/08(水) 22:39
更新しました。
レス209の冒頭の関係ない箇所はうっかりコピペです。
無視してください(汗

ヽ^∀^ノ<穴があったら入れ、イヤイヤ入りたい?

(;0^〜^)<なんで疑問形なんスか

(;〜^◇^)<ツッコミどころ満載だな、オイ

個人的に、ショッチンとミチャーソがんがれ。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

(;・´ー`)<いやだってよっちゃん分かり易いべさ

(0^〜^)<そうッスか?

安倍さんも鋭いんでしょうけど、その前にこの人がわかりやすすぎだと(笑)。
この店は日常がこんな感じです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;‘ д‘ )<ぶちこそせんかったけどマジ泣きしてはったワ

(;`◇´)<ついて来んのはエエけど…自費やで?

唯やんはちょっと侮れないボケです。
アイさがの企画、確か姐さん催眠術かかってもバナナを拒否ってたんじゃ(笑)。

>ピクシーさん

从;` 。´)<もー!怖くないもん!ストレートなだけだもん!

(;0^〜^)<ソレがこえーっての!

安倍さんかなりヒサブリの登場です。
ぼんさんは命知らずです、しかも確信犯ですからねえ(ニガワラ


>三日月ハウスさん

(;〜^◇^)<黒て!新しいお笑いだな、オイ!

从;#~∀~从<バナナが好きなんは歌のさっちゃんくらいでエエんや!


黒ワロタ このメンバーで新しいお笑いユニットキボン
バナナは水分が少なくてねっとりしてるところがどうも…。
216 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/09(木) 01:07
更新乙です。遅くなりましたが、
2005シイク大勝ロングラン部門2位おめでとうございました!

謎の女だれなんでしょうね〜?
以前いちちゃんごっちんとすれ違った人と同一人物なんでしょうか?
また、かおりんを巻き込んで一波乱おきるのかな? 

 あつ、それから二日遅れだけど、あいぼんおたおめ!
愛してんで〜!
217 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/02/09(木) 01:43
更新お疲れ様です

圭ちゃんの慌て具合が気になる‥
ありえないピンク‥どんなピンクだろう
・ω・<ついていっていいなら自腹でも何でも
    何ならみっちゃんの分も出しますよ
(〜^◇^)<アホ
みっちゃんの一件で意気消沈でしたが
ココに来ると元気が出ました

次回更新お待ちしてます
218 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/02/09(木) 02:15
更新おつです。
あやや姫は林檎様が大好きでしたね。
なんかあやや姫の『本能』を感じますた。
从#` 。´)<「き〜まぐぅれぇをゆるして〜♪」(鋭い眼つき)
美貴様はともかくなぜか、ひ〜様と梨華姫も巻き添えに。
219 名前:ピクシー 投稿日:2006/02/09(木) 05:58
更新お疲れ様です。

ピンクの車ですか。たまに見ますね。
○ィットとかヴィッ○とかラ○ンとか。まっピンクという程ではないですが。
自分もあややに『本能』を感じました。

次回更新も楽しみに待ってます。
220 名前:早春賦 投稿日:2006/02/15(水) 14:55
後藤は臨時の深夜バイトを終え、中澤ハイツからちょっと離れた
スーパー銭湯へやって来た。
愛用のケロリンの黄色い桶も持参で完璧だった。

「んあ」
思いがけない人を見つける。
飯田と思わしき人物が、前に屈んで長い髪を苦心している様子で洗っていた。
脚も長いので、銭湯の小さな椅子に腰掛けて髪を洗うのが一苦労のようだ。
「お、おう、お」
鏡に映った人物を見て、飯田は気づいたようだった。
顔を上げたので泡がボタボタッと落ちてくる。
「んあ、おっす」
桶を抱えて後藤は右手を上げた。
「よお。
あ、隣座る?」
「んあ、お邪魔するよ」
後藤は腰掛けを引きずって来て、飯田の隣で体を洗い始める。
飯田は髪に泡をつけたまま、後藤の胸部に見とれる。
「なに?」
飯田の視線に気付き、後藤は苦笑した。
「いやあー…でっけーおっぱいだなーって」
飯田はしげしげと眺め、嘆息の息をつく。
「カオリだっておっきいじゃん」
「いや後藤ほどないし…。
はあ…。もっと牛乳飲めばよかったのかな」
牛乳嫌いの加護ちゃんは一体、というようなことを後藤は考えたが、
あえて黙った。
221 名前:早春賦 投稿日:2006/02/15(水) 14:55
「圭ちゃんも牛乳ギライのくせに巨乳なんだよね!ムキー!」
飯田の怒りに、後藤は笑った。
ムキー!とちょっとマネしてみた。
「カオリ、普通にムネ、キレイじゃん。
谷間がなんとも…」
「いやあ〜…谷間があってもね、え」
「圭ちゃんなんか大喜びですりすりしてんじゃないの?」
「ああ、うん…そうなんだけど」
ひてーしないし、と後藤は喜んで手を叩いて笑う。
222 名前:早春賦 投稿日:2006/02/15(水) 14:56

ふたりは並んでジェットバスに浸かる。
示し合わせたように頭にタオルを載せる。
「ババンババンバンバン」
「ハア〜ビバビバ」
少し離れたところにいた中年女性は可笑しそうにふたりを見て笑った。
「笑われたよ」
「カオリがおかしーからだよ」
「うっわ。カオのせい?」
「うん」
後藤はくすくす笑う。
「なんかカオリとオフロって初めてだねい」
「ああ、そうだねー」
「んあ、カオリとあんまおでかけとかしたことないかも」
「そう?」
「んあ」
後藤は頭のタオルを外し、
「カオリって」
「ん?」
「たまに、ごとーのことキライだよね。
ソレってやっぱけーちゃんがらみ?」
と普通に言った。
飯田は一瞬黙って、
「ああ…う〜ん、どうだろ?
いやー、キライ?ではないんだけど、たまに圭ちゃんにムカつくことはある。
後藤に対してどうこうってのじゃないんだ。
でも、やっぱ態度に出てたんかなー。ごめんね」
「ああ、いや。
ごとーはいーんだけど。
でもアレですよ」
「ん?」
「けーちゃんが唯一でれでれする女はカオリってことですぞ」
飯田はあっけにとられたあと、じわじわと可笑しくなってきて笑った。
223 名前:早春賦 投稿日:2006/02/15(水) 14:57

ふたりは風呂から上がり、脱衣所でいそいそと着替えた。
「カオリ、どやって来たん?クルマ?」
「いや、徒歩」
「徒歩?帰りどうするつもりだったん?
湯冷めするよ、まだちょい寒いのに」
流石の後藤も少し目を見開いた。
「いや、それならそれで家帰ってまたオフロ入って…よいしょ」
背中に手を回して飯田はホックを止めようとする。
「よいしょって。
カオリ、オバチャン」
苦心してる様子なので、後藤はナニゲに止めてやる。
「んあ、サイズ合ってないんじゃ」
後藤はもう一度飯田の背中と胸部を見た。
「うん、そろそろ買い替えないと」
「けーちゃん悩殺するよーなの買って迫るの?」
後藤がニヤニヤすると、
「あ、ソレはもう何度かやった」
事も無げに返ってきて、後藤は
「あ…そ」
ちょっとつまんなかった。


飯田にサイダーを奢ってもらい、原付の後ろに彼女を乗せて後藤は家路につく。
「んあ、しっかりつかまってて」
「おっしゃ!」
飯田のスカートの裾をたなびかせて、バイクは一路中澤ハイツに向かった。
224 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/02/15(水) 15:06
更新しました。

            ホカホカ  
               ∬
川 *‘〜‘)||Gカップ? (´ Д ` )ンア、ソンナニネーッツノ


レスのお礼です。

>216の名無飼育さん

(0^〜^)ノシ<ありがとう〜!

(*^▽^)ノシ<恐縮で〜す!

謎の人の正体はまた後日。
2位に普通にびっくりしました。どうもありがとうございます。

( *^д^ )<おおきになあ、ウチも愛してんでェ〜!


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从#~∀~从<ウチの分もな

(;`◇´)<なんでやねん

ミチャーソの一件は流石に自分もヘコみました。
車の色は絵の具を塗ったくったような恥ずかしいピンクとオモワレ


>ひ〜ちゃんエッグさん

川*VvV)<亜弥ちゃん林檎モノマネカワイイ…(デレデレ)

(;0^〜^)<バカップルがここにもいるYO!

松浦さんの声で『本能』って逆に聞いてみたいかも(笑)。
本物の林檎とあやや姫はメル友ってのがまたオツですねえ。


>ピクシーさん

(〜^◇^)<イシカワ、自分の車持てたらピンクにするだろ?

( *^▽^)<勿論です!

車検の時の代車なのか、コワモテのオッチャンがどピンクのキティーちゃんカーに
乗ってるのを見たことあります。
松浦さんの『本能』、こんな感じになりますた。
225 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/15(水) 23:10
更新乙です。
 ここは相変わらずほのぼのしてていいですよね。
226 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/02/16(木) 00:31
更新おつです。
いいらさんに言わせると、のんさんは存在自体世界平和で、ごっちんは存在自体憎めないんだと思います。
ほんと#7になってから乳ちち言いすぎですね。
デカイ、デカイ、美貴様小さい。デカイ、デカイ、美貴様小さい。と…
川#VvV)<うるさい!

ピンクの車なら伊東さんがCMしてるMダのDミオ、スターダストピンクが梨華ちゃんに一番合ってるかと。
227 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/02/16(木) 00:39
更新お疲れ様です
お風呂いいですね〜
( `.∀´)<このバカスーパー銭湯大好きなのよ

・ω・<構いません姉さんの分も出しますよ
( `.∀´)<このバカ歯止め利かないわよ

次回更新お待ちしております
228 名前:ピクシー 投稿日:2006/02/16(木) 16:07
更新お疲れ様です。

ごっちん、完璧な銭湯道具ですな。
いいらさんみたいに足長いと、確かにあの椅子はキツイ。

あぁ・・・自分も温泉行きたくなってきた・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
229 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/21(火) 10:11
いつも楽しく読ませて頂いております。
ごっちん銭湯キットワロタ

ところで作者さんはオパーイ星人なのですかw?
昔から度々それ系のネタが登場するので。
230 名前:早春賦 投稿日:2006/02/23(木) 16:00
―――朝比奈女子高校

今日から学年末テストが始まった。
加護は一足早く登校し、土曜の晩の出来事を気にかけながらも直前の復習に集中する。
辻は暢気なもので、昨日丸一日部屋でぼーっと過ごし、今日もギリギリまで寝て寝坊しかけた。
『ほんまにあのスカタンは…』
最早保護者のような気持ちで、加護は答案見直しの合間にちらっと辻の事を考える。
「だーいじょーぶれすよ!のの、平常点いいれすから」
辻は朝、教室に入る別れ際にそんな事を言っていた。

―――その頃。中澤家

裕子は箪笥を開け、何やら探っていた。
「なにやってんの、裕ちゃん?」
洗濯物を干し終えた梨華が、籠を抱えて部屋をひょいっと覗き込んだ。
「いやな、着物を」
「着物?
また珍しい。お友達のお茶席にまた呼ばれたの?」
「いや、そうやないけど」
珍しく口ごもりながら、裕子は
「昼、なんにする?」
誤魔化すように笑った。


『みちよです。
もう寝てるんかな。また電話します』

携帯の留守電をまた聞き返し、裕子はため息をついた。
231 名前:早春賦 投稿日:2006/02/23(木) 16:00
―――朝比奈女子高校

テストが終わり、学食に生徒が集まり出す。
加護は何となく辻と喋りたくない気分だったので、たまたま居合わせた田中と話をする。
辻は特に気にも留めず紺野たちと喋っていた。
「こんにちはなの」
テストが終わったはずの道重が現れる。
隣にひょろっとした少女がいた。
「よお、シゲさん。
なんやの、もうテスト休みちゃうん」
加護は席から鞄をどけ、座る場所を空けてやった。
「家庭教師なの」
「は?
バイトしてんの?」
「違うの。さゆ、小春ちゃんの教育係だから勉強見てあげてるの」
コハル、と呼ばれた少女がポニーテールのしっぽを揺らし、軽く会釈した。
「なんや、後輩さん?」
加護が言う一方、田中は
「あ、いつもマジレスに来おる子やん」
と顔を上げた。
「マジレス?」
加護が首を傾げると、
「マジック・レストラン。この学校の手品同好会の名前なの。
れいなちゃんはそこのメンバーなの」
と道重は補足解説する。
「このガッコはよう分からん部活が多いな。て、うっとこもやけど」
加護がぶつぶつ言う横で、田中は
「よう知っとうと」
と感心したように道重を見る。
「さゆが知らないことはなんにもないの。
チアの合間に手品に夢中だって、あと紺野さんも」
道重が確信犯のようにニヤっと笑う。
ちょっと離れた席で辻と喋っていた紺野は気づいてぎょっとする。
「ば…!何言うとう!」
田中が赤くなってわたわたしてると、道重は久住の手を握り、
「行こ、お昼買いに行くの」
とおかずが並んだカウンターの方に行った。

食器を返しに行くついでに加護は何となく道重たちを見る。
「わー、明太子スパゲッティーだ」
大好物を目の前にして道重が目を輝かせていると久住も目を輝かせさっと皿を取った。
残りはたったひとつだった。
「教育しすぎたの」
愛弟子が嬉しそうにパスタを確保する横で、道重はちょっと悲しそうに加護の顔を見た。
232 名前:早春賦 投稿日:2006/02/23(木) 16:01
温泉から帰って以来、飯田とはよろしくやっているが、
保田には色々気がかりなことがあった。
同期の事やバンドもそうだが、日曜にタンポポに来た女性の足取りを追っていた。

夕べ遅く母に電話し、
「あの子、今日来たらしいわ。
母さん知ってた?」
と訴えた。
母は
「あら、入れ違いだったの。
じゃ、直接行ってあげなさいよ。
住所と電話番号言うわね」
と女性の住所を口頭で伝えた。
仕事をしてる時はともかく、ちょっとひと息ついた時間などにどうしても気にしてしまう。
昼休みに困った挙句、保田は思い切って電話をかけた。
233 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/02/23(木) 16:06
更新しました。
海板での最後の更新です。
次の更新の時はもう空板と統合して水板になってますね。
管理人さん、作業お疲れ様です。
そして板が変わってもよろしくお願いいたします。

レスのお礼です。

>225の名無飼育さん

( ´ Д `)<けーちゃんがチョコムダにたくさん持って帰って来たりしたらバイオレンスだよね?


川 ;‘〜‘)||<だぁってー、ありえないくらいの数なんだよ?

それぞれ色々あったりしますが、どうにかほのぼのなようです。
和んで頂けたのなら幸いです。ありがとうございます。

>ひ〜ちゃんエッグさん

从*・ 。.・) <さゆだって乳は負けないもん!

川;o・-・)<道重さん、別に何も勝負してませんよ

ごっちんはトクなキャラだと思います。よく寝てますけど(苦笑)。
その色って限定で出して即完売になったヤツですよね。>Dミオ


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;´ Д `)<カオリお風呂で交信するからコワイよ

( ゜皿 ゜)<ガガ…ンナコタアナイ

このスーパー銭湯はいししばも時々おでかけする所だったりします。
姐さんの分まで出してたらいくらあっても足りませんよ(笑)?


>ピクシーさん

(;゜皿 ゜)<アシ…イタイ

( ´ Д `)<んあ、帰ってけーちゃんに揉んでもらいなよ ツイデニベツナトコモ

後藤さんはマイケロリンにちゃんと名前も記入してます。
私も書いてて温泉に行きたくなりました(苦笑)。


>229の名無飼育さん

( ´ Д `)<んあ、ケロリンはいいよ。ちと重いけど

( ^▽^)<ごっちん、名前も書いてなかった?

後藤さんは銭湯愛好家なので、キットも完璧です。
>オパーイ星人

( 護摩)<…

( 護摩)ノ<チチヨリハ、ケツーーーーーッッッ!!!!

乳も捨てがたいですが背中から腰にかけてが(苦笑)。
234 名前:登場人物紹介 投稿日:2006/02/23(木) 16:43
リo´ゥ`リ:久住小春(13)。新潟県出身。朝比奈女子中学1年。
      道重の後輩で道重が何故か教育係を務める。
      あだなは何故かミラクルさんというのがある。
235 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/23(木) 20:33
更新乙です。
ぼんさんスカタンって・・・タイム○カンシリーズを思い出しました。w
小春もなかなかなようで今後が楽しみです。
あと唯やん曰く圭ちゃんの浮気相手も気になります。
236 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/02/23(木) 23:50
アネゴ、更新お疲れ様です。

小春ちゃん、満を持しての登場ですね!
クッスミ、クッスミ!!
ところでレインボーピンクの重ピンクとこはっピンクの破壊力は恐ろしいです、いろんな意味で。
聞いた後、しばらく起き上がれませんでした。
保田さんのセクシービーム並みの破壊力でした。

次の更新も待ってます。
237 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/02/24(金) 02:11
更新おつです。
さゆ、相変わらずかき回すのがうまいです。
れいな、とりあえずタラスパをさゆに食わせて黙らせろ。という感じですか。

リo´ゥ`リ<ここで呪文を…う〜ミラクル!はい、あなたが選んだのはこのカードです。
こんな感じですか?(マジレス同好会)
238 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/02/24(金) 05:43
更新お疲れ様です

・ω・<着物?‥ドキドキ
( `.∀´)<この馬鹿和装フェチなのよ

・ω・<あ〜気になる〜ヤスママまで知ってるなんて〜
从#~∀~#从<落ち着け馬鹿!!


239 名前:ピクシー 投稿日:2006/02/24(金) 06:12
更新お疲れ様です。

おぉ、ミラクルさん登場ですね。
シゲさんは相変わらず底が知れない(苦笑)

昨日温泉行ってきました。
やっぱ、ゆっくり足を伸ばせる風呂は最高です。

次回更新も楽しみに待ってます。
240 名前:Laugh 投稿日:2006/02/24(金) 19:45
更新お疲れ様です。

そして初カキコです。
#4から#5を書かれているときぐらいに
初めて知ったんですが、それ以来ずっと読ませてもらっています。
この作品の本当にどこかにありそうなパラレル感が最高です。

個人的には紺野さん推しなので、宝塚がどうなるかに気になっています。
長々と失礼しました(平伏)
板が統合されて初の次回更新も楽しみにしています。
241 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/24(金) 22:17
統合初かきこ
上の方にあるんでこの方がごまさんが落ち着くかなぁっておせっかい
242 名前:早春賦 投稿日:2006/03/01(水) 16:24
思い切って電話をかけたものの、先方の電話はすぐ留守電に切り替わった。
保田は何となくそうなることを予感してたので、
『圭です。また連絡します』
とだけメッセージを入れて切った。
面倒な会議よりある意味精神的に疲れ、携帯を切ってから
「はあ」
と小さく息をついた。

帰宅後。

夕食の後、キッチンのテーブルで、タンポポで預かったオイルライターを点けたり消したりしていじっていた。
飯田は後片付けをしながらその様子を見ていた。
「はい、コーヒー」
「あ、サンキュ」
テーブルにウェッジウッドのカップが置かれ、保田は顔を上げた。
「ここんとこ、ずーっと触ってるね」
「あ。うん…」
飯田は『さてと』と自分も席に着いた。
「随分高そーなライターだね。
年代もの?」
「うん…そう」
保田はまた火を点けた。
「カオ、こういうのはよく分かんないだけど、男モノ?」
「いや…メンズとは限んないけど。
うん、使ってたのは男の人だよ」
「そう」
「ああ、女の子が使ってた、って言ったほうがいいんかな」
「?」
「本当はアタシか弟のものになるかもしれなかったんだけどね」
保田はそう言ってまた火を点けた。
243 名前:早春賦 投稿日:2006/03/01(水) 16:25
翌日。

朝比奈女子中学。

2年C組のテスト1コマ目は保健体育だった。
朝のSHRの後、テストまでまだ時間があるので、生徒はめいめい見直ししたりしていた。
田中れいなは一応ノートに目を通したりしていたが、昨日の道重の発言による紺野の表情をちょっと気にしていた。

「テストの監督、ダレ来んだろ」
「稲葉じゃね?次、ホケンだし」
他のクラスメイトがそう言ってると、白衣姿の養護教諭・稲葉がガラッと戸を開けて入ってきた。
「イナバウアー!」
稲葉が教壇の前でいきなり上体を反らし、クラス中、試験中より静まりかえった。
「あれ?他のクラスではバカウケやってんけどなあ」
稲葉は体を元に戻し、ちょっと焦って冷や汗をかきクラス中を見渡す。
「イナバウアーは上体を反らすことそのものではありません。
足の形とかです、ポイントは」
ひとりの生徒が冷静に指摘する。ちなみに彼女はフィギュア同好会所属だった。
「中途半端はよくないっちゃ」
田中も訳が分からないままツッコむ。
「どっちかっつーと、いきなり教壇のって『100人のっても大丈夫!』のが面白かったよね」
落研の次期部長からもダメ出しが出る。
「うわ、勉強なりましたわ。
おおきに、姐さんら」
ネタは受けなかったが、稲葉の最後の一言には惜しみない拍手と笑いが寄せられた。
244 名前:早春賦 投稿日:2006/03/01(水) 16:25
2コマめのテスト後、稲葉は廊下で3年B組担任の岡村と顔を合わせる。
「よう、お疲れ」
「はあ、どうも。
岡村先生もどっかのクラス見てたんですか」
「いや、俺は今日は違う用事や。
なんや、自分ネタが受けんかったらしいな」
「ええ!?
誰ですか!?」
情報化社会の迅速さに稲葉は驚愕する。
「C組の田中が言うとったで。
なんやイナバウアー言うてブリッジみたいなことしとったって」
「はあ…ハハハ」
稲葉は笑って誤魔化そうとする。
「C組は笑いにシビアなんや。
3Bでウケたからてアカンで、それは」
岡村にまでダメ出しされ、稲葉は『ウチの本業ってなんやっけ?』とちょっと遠い目で天井を見つめた。
「3Bはゲラの亀井がおるから瞬殺で笑てもて、みんなつられて笑いおるんや。
まあ、ガキさんはオモロなかったらニコリともせんけどな」
「はあ」
今更そんな対策を聞かされても、と思いながらも稲葉は神妙に頷く。
「じゃまたな。芸の道は厳しいで」
『だからウチの本業は』と思いながら稲葉は岡村を廊下で見送った。
245 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/01(水) 16:28
更新しました。
統合初更新。
ちなみにフィギュア同好会の生徒は恩田さんヲタです。

レスのお礼です。


>235の名無飼育さん

( `д´)/<今週のびっくりどっきりメカはっし〜ん!て、違うがな!

(;´D`)<ひとりボケひとりツッコミれすか、合理的れすねえ

ぼんさんは語彙が微妙に古いんです(笑)。
ミラクルさん人気ですねえ。保田さんの関係者の彼女はまた徐々に。


>三日月ハウスさん

从*・ 。.・)<さゆよりかわいくなるのは許さないの

(;‘д‘)<姐さん心狭いこと言うてはりますなあ

小春大人気だなあ。未だに「国生さゆりだなあ」と私は思ってますが。
重ピンクとこはっピンクはプリピン以来の衝撃でした。ライブではこのコンビがいい感じらしいです。


>ひ〜ちゃんエッグさん

从*・ 。.・)<かき回してないの、適当に言っただけなの

(;´д`)<タチ悪ッ

さゆはたとえパスタ食いながらでも爆弾発言するとオモワレ
小春は「マジレス」の定期公演にしょっちゅう現れる常連です。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ^▽^)<わが姉ながら着物姿がちょっとセクシーなんて思っちゃったりして

(〜^◇^)<いや、あの長襦袢姿はマジでいいよな

かいつまんで言うならヤスママも知ってる秘密の関係(笑)?
「着物」ではなく「和装」フェチって自称してらっしゃる辺りが通ですね(笑)。


>ピクシーさん

从*・ 。.・)<そうなの、かわいい上に底が知れないの

(;‘д‘)<ソコ喜ぶトコなん?

小春の反響にちょっとびっくりしました。やっぱ人気なんですね。
よく考えてみれば濃ゆい師弟コンビですねえ(笑)。温泉いいですねえ。ウラヤマー


>Laughさん

川*・-・)<まあ。そんな長い間読んで頂いてるのですか、大変有難いです

(0^〜^)<こんこん推しなんだね、こんこんメチャ可愛いよね!

初レスありがとうございます。長のご愛読本当にありがとうございます。
フツーの人のフツーの話っぽくなればと考えてるのでそう言って頂けて嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。


>241の名無飼育さん

( ^▽^)<ありがとうございまーす!

(0^〜^)<気配りカッケー!

いえいえお節介なんて。
どうもありがとうございます、上にあったのを今初めて知りました(笑)。

246 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/03/02(木) 00:00
ミキティといったら藤本美貴に決まってるだろ!!!!!!!!!!!!!!!

・・・はっ!!すいません、取り乱しました。
アネゴ、更新お疲れ様です。

だんだんこんがらがっていた謎が解かれてきたようですね。
まぁ、まだまだ全体像は見えませんが。

それにしても・・・保健体育ハァハァ・・・
・・・はっ!!すいません、また取り乱しました。
笑いを追求するあっちゅん、カッケー!

次の更新も待ってます。
247 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/03/02(木) 00:13
更新おつれす。
ほんと亀ちゃんはいつもにこやかで好きです。
梨華ちゃんも自分で話しながらすごく笑います。ただ回りは凍り付いてることが多いですが。
248 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/03/02(木) 01:01
更新お疲れ様です

あ〜謎が謎を呼ぶ‥
どうなる圭ちゃん

・ω・ <イナバウアー!笑いました
( `◇´)<このアホ家でイナバウアーやって
       腰打って後頭部にタンコブ作ってたわ

・ω・ <肌襦袢‥名前だけでもエロス

次回更新お待ちしております
249 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/02(木) 01:03
更新乙カレスマ
イナバウアーは普通に面白いと思います。
250 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/02(木) 01:04
更新乙です。
やっぱりこのネタきましたね。私も荒川選手を見るたびいつもあっちゃん思い出してました(笑)。
それにしても、今朝TVで取り上げられたばかりのイナバウアーのよくある勘違いまで取り込んでるとは脱帽です。
251 名前:ピクシー 投稿日:2006/03/03(金) 02:33
更新お疲れ様です。

3Bの時の反応が目に浮かびます。
確かに亀ちゃんは導火線になりそう。

イナバウアー、すっかり流行語ですねぇ。
元々荒川選手の得意技だったのですが、トリノで一気に注目されましたね。
背中をそらすのは「レイバック・イナバウアー」ってやつですね。

次回更新も楽しみに待ってます。
252 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/04(土) 11:56
更新お疲れ様です。
今回の更新、あっちゅのイナバウアーももちろん面白かったのですが、
一番爆笑したのが、フィギュア同好会の生徒ですた。
推しが村主でも中野でもなく恩田ってとこに作者さんのセンスを感じます。
なにげにギャグにシビアなガキさんもカッケー。

次回も楽しみにしています。
253 名前:早春賦 投稿日:2006/03/08(水) 12:33
田中はテスト後、学食でたまたま会った新垣とうどんを啜っていた。
「田中っち、テストどうだった?」
「んー、まあまあっちゃ」
と適当に答える。
「ガキさん、テスト休みなのに遊びに行かんと?」
「平日から遊び呆けてたらママに叱られるもん。
家にいても退屈だしさあ」
「へえー」
何て事のない会話を交わし、田中はふと、新垣の髪型に目を留めた。
「パイナップルみたいっちゃ」
田中は少し笑って、新垣の縛った髪に触れる。
「コーラ、食事中にひとの髪に触らない!」
新垣も満更ではないように笑う。
「ガキさんかわいくなったっちゃ。
てか、前、高校のセンパイに告られたってマジ?」
「あー…うん。
もう、ね。いいのよ、それは」
新垣はちょっと思い出したくないようで、俯いてうどんを啜った。
「マジかわいくなったってー。
れいな、紺野さんがおらんかったらガキさんいってたかもしれん」
田中が頬杖をついてニヤニヤすると、新垣は
「上級生をからかうなっつーの」
苦笑して田中の額を人差し指で押した。
254 名前:早春賦 投稿日:2006/03/08(水) 12:33
食事を終えて、田中がひとり裏庭を歩いていると、
「こんにちはなの」
「…ああ、こんちは」
あまり関わりを持ちたくない相手と会ってしまった。
「あんた、ヒマっちゃね。
テスト終わったのに毎日学校来おる」
「寮にいても退屈なの」
道重さゆみはそう言って『うーん』と手を上に組んで伸びをした。
昨日は結構暖かかったが、今日は冬の寒さが戻ったのか少し冷えた。
「そんなら実家に帰ったら?」
「実家はお姉ちゃんがテスト終わるの待って帰るの」
「ふうん」
大して興味もなく返事した後、
『そういえば』
と田中は昨日のことを思い出した。
「あんた、昨日なん?あれ?
紺野さん困ってたっちゃ」
「ああ、あれね」
道重もさほど興味ないようで、また伸びをする。
「いけなかった?」
罪悪感はみじんもないようである。
田中は
「余計なこと言わんでほしいっちゃ」
眉間に皺を寄せた。
「…なん?」
道重がじっと自分の顔を覗き込むので、田中はちょっと後ずさりする。
道重は注意深く顔を寄せ、田中の頬から何かを取った。
「睫毛、ついてたの」
人差し指を見せ、道重は言った。
田中はちょっとあっけにとられていたが、
「あ、ああ。
ありがとうっちゃ…」
とりあえず礼を言う。
それよりも。
道重の黒い髪から反則なくらいシャンプーのいい香りがして、ちょっとどぎまぎしてしまった。
「れいなちゃんはシャンプーのいい匂いがするの」
自分の心を透かして見たような発言に、田中はぎょっとする。
「もっとそういうところを紺野さんにアピールすればいいの」
「は、はあ…」
道重は指先から睫毛を落とし、
「じゃ、またね」
小さく手を振って行ってしまった。
残された田中は呆然とし、
「…帰って勉強しよ」
ややあってとぼとぼと引き返した。
255 名前:早春賦 投稿日:2006/03/08(水) 12:34
紺野あさ美は昼食を終え、帰ろうとしたところ、携帯にメールが届いているのに気付いた。

『言った通りにしてるよね?
もしトップになったらただでおかないから』

不思議と、恐怖だとかそういう感情は湧かなかった。
文面をもう一度読み、そのまま携帯をブレザーのポケットにしまおうとする。

「あ、紺野さん」
声ですぐ分かった。
田中れいなだ。
田中は小走りに自分に近づいてきた。
「どうしたと…?」
紺野の様子が少しおかしいので、田中は顔を覗き込んだ。
「なんでもありません」
「また何かあったっちゃか?」
「いえ、別に…」
「言うっちゃ、れいな何でも聞くと」
「いいですったら」
普段冷静な紺野も流石にムキになり、携帯を持ったまま、田中を少し押した。
弾みで携帯が落ちる。
「あ…」
田中が拾い上げる。
受信フォルダをそのまま開いてたので、さっきのメールの文面を見られてしまう。
「…元気出すっちゃ」
田中はどう言ったらいいか分からず、携帯についた砂や塵を軽く払い、紺野に手渡した。
「…紺野さん?」
紺野は立ったまま、顔も上げたまま静かに泣いていた。
「…絶対許さんっちゃ」
田中は自分でも頭に血が上るのを感じる。
「ソレ、ちゃんと保護かけるっちゃ。
なんかあった時、証拠にするっちゃ」
田中が自分をなだめるように、顔を見て言う。
紺野は手の甲で涙を拭いながら黙って頷いた。
256 名前:早春賦 投稿日:2006/03/08(水) 12:34
「オマエら、どうし…」
小川麻琴はその様子を見て、言葉に詰まる。
紺野が田中に慰められながらぼろぼろ泣いている。
「どしたん?」
小川は二人の顔を交互に見て田中に聞いた。
「話していいっちゃか…?」
田中に言われ、紺野は黙って頷く。

おおよその話を聞いて、小川は
「なんで言わなかったんだよ」
紺野の腕を掴んだ。
「やめるっちゃ、紺野さんにも事情が…」
田中が止めに入る。
冷静に考えると周囲に言えなかった紺野の気持ちも何となく分かるが、
何故か田中だけ事情を知っていた事に小川は苛立った。
今紺野を庇ってる事も、小川の怒りを増大させた。
「れいなが勝手に協力するって言ったっちゃ!
紺野さんは悪くなかと!
だから紺野さんを責めるのはよすっちゃ!」
「誰も紺野に怒ってねえ!」
「怒ってるっちゃ!」
「やめてください!」
紺野はついに爆発する。
「わたしが悪いんです、やめてください…」
紺野に泣かれ、ふたりは黙ってしまう。
「…田中さんは、悪くないんです。
だから、田中さんを…悪く思わないで」
紺野が赤い目をして、涙を拭ってるのを見て。
小川は
「…何だよ。田中、田中って」
踵を返して行ってしまう。

『さっきはゴメン。
あたしもどうかしてた』

1時間後、紺野の携帯に小川からメールが届く。
紺野は家に帰らず、何となく違う駅に降り立った。
257 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/08(水) 12:42
……>川oT-T) (´ ヮ`;从オロオロ

更新しました。

レイバック・イナバウアーをやる時は足を開いて体の力を抜いてやりましょう。

ヽ(;`.∀´)ノ<体が曲がんないわよッ


レスのお礼です。

>三日月ハウスさん

(0^〜^0)<バカヤロコンニャロオメー!ミキティーはうちの藤本の方が先だろ!バカヤロコンニャロオメー!

川*VvV)<ありがとうよっちゃんさん!

新聞に「ミキティ」とあって即「乱闘事件」と思うリーダー萌え(爆)。
謎は徐々に出してるのですが、私の頭の中でこんがらがらないように気をつけます(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ・e・)<ていうかよく自分ウケしてるよね

川*^ー^)っフ<えー、そんなのツライスっすよ〜 キャハ!

ふたりとも自分ウケ人種ですよねえ(苦笑)。安倍さんも説明不足系自分ウケだし(笑)。
亀井のギャグは本当に寒くてクセになってきます、危険です(苦笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ノ(;`w´) ノ<やっぱりイナバウアー!

( ´D`)ノ<100人のっても大丈夫!れす

ああ、今日本中で恐らく同じ被害に遭ってる人のおひとりだ(苦笑)。どうぞ気をつけて下さいね。
保田さんナゾも徐々にほぐしていく予定です。( ´D`)<たぶん


>249の名無飼育さん

从*・ 。.・) <面白いけど3年早かったの

(;`w´) <フィギュア選手権のビデオを最近見たモンやさかい

今だったらほぼ全員反射で大ウケだと思います(笑)。
楽しんで頂けたのなら幸いです。ありがとうございます。


>250の名無飼育さん

ノ(;`w´) ノ<ウッ…イナバ、ウア…

(;`.∀´)<トシなんだからムリしない方が…

今や荒川さん本人曰く「私より有名になった」イナバウアー。
褒めて頂いて素直に嬉しいです(笑)、ありがとうございます。
あっちゅは絶対イベントかライブでマネしてくれると確信しています(笑)。


>ピクシーさん

从*・ 。.・) <そうなの、つい絵里につられちゃうの

川*^ー^)<バカヤロコンニャロオメー!「CMのあとすぐ!」って全然すぐじゃねーじゃねーか!バカヤロコンニャロオメー!

イナバウアーってどっちかっつーとマニアックな技だったんですけどね(苦笑)。
3Bは案外笑いのハードルが低いクラスなのです、ガキさんを除いては。


>252の名無飼育さん

( ・e・)<中途半端な笑いはダメなのだ!

(* 恩田命)ノ<ありがとうございます!

よかった、恩田さん分かってくれる人がいて(笑)。笑って頂いて嬉しいです、どうもです。
ガキさんは笑いにシビアです、ガキさんを笑わせたら朝比奈の教師として一人前なのです(違)。





258 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/08(水) 19:33
更新乙です。
そ、そうだった。この話は三年前だった。受けないはずだ(笑)。

 久しぶりにこんちゃんの事件にも動きがありましたね。
ぼんさんの事件とも絡んでるのか、別口なのかも気になるところ。
 それにしても真っ直ぐであついれいな、いいですね。
 次回も楽しみにしてます。
259 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/03/08(水) 22:26
アネゴ、更新お疲れ様です。

正直言って、どんな事件があったのか忘れてきてます。
紺野さんの事件が書かれたのっていつでしたっけ?
ええっと・・・3ヶ月前?半年前?
最初から読み返そうかな・・・

次の更新も待ってます。
260 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/03/09(木) 00:44
更新おつかれさまです。
直球でこんこんにぶつかるれいな。なんとなく自分の想いに気づき始めた?マコ。
こんこんをめぐる2つの想いがどうなってしまうのか?
田中っちを見守る心優しき塾長ガキさん。好奇心でひっかきまわす、ナルのさゆ。
こんこんを中心にどんな展開が待っているのか?楽しみでなりません。
…あれ?誰か1人また忘れてるような…ま、いいか。
川*^ー^)<ワクワク。出番まだかな?
261 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/03/09(木) 05:39
更新お疲れ様です

れいないいですね〜直球勝負
ってか変化球知らなさそう

・ω・ <周りにもイナバウアー被害者数人
( `.∀´)<アホばっかり

次回更新お待ちしております
262 名前:ピクシー 投稿日:2006/03/09(木) 06:17
更新お疲れ様です。

コンコンを巡る情勢が動きそうな予感。
っていうか、ようやく解決に向かいそうな感じ?

確かにマニアックですよね。人名が由来なのに。
同じ人名でも体操の「モリスエ」「コールマン」とかはメジャーですが。

次回更新も楽しみに待ってます。
263 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/09(木) 19:53
>>259 2004年7月19日
#6の316
264 名前:Laugh 投稿日:2006/03/14(火) 23:32
動き出しそうな謎と三角関係ですが、
3人が3人とも、「らしい」行動を取ってるなぁと思いました。
ここからの感情の変化などなど、とても楽しみです。
しかし、人から妬まれるほどのモノがあるってすごいなと、
単純に思いました。

追伸・・・前回の更新の話で余談ですが、
恩田さんのジャンプは綺麗で高いですよね。
265 名前:早春賦 投稿日:2006/03/15(水) 15:29
喫茶タンポポでは後藤や梨華がたむろって、吉澤たちが来るのを待っていた。

「んあ、遅いね、ヨシコ」
後藤はさも退屈そうに言い、ストローの袋を弄び適当に括っていた。
「んあ、んあ」
次第にマジになり、職人のような器用さでムダに細工の効いた紙細工を作成する。
梨華はジュースを飲みながら、微笑んでその様子を見ていた。
「ごっちんは、器用だね」
「んあ、そーっすか?」
「そーっすよ」
「いちーちゃんよりは、マシだと思う」
『あげる』と後藤は梨華にさっきの紙細工を差し出した。
作った途端興味を失くしたのだ。
「ありがとう」と受け取り、梨華は大切そうに鞄にしまった。
「よお。お待たせ」
そこへ市井がやって来る。
「誰も待ってないよ」
後藤は事も無げに言い、ジュースに口をつける。
梨華は横で苦笑する。
「まあ、そう言うなよ」
市井はめげずにニヤニヤし、席に着く。
『お、巨乳のバイトさんが入ったな』
抜け目なくカウンターで片づけをする岡田をチェックし、市井は一瞬、
後藤の侮蔑の視線を浴びる。
「うお、たまんねーな、ヲイ」
視線を浴びた市井はブルルッと震えるフリをし、自分を抱きしめた。
「梨華ちゃん、きょーゴハンどうすんの?」
そんな市井は無視して、後藤は言った。
「うん、食べてくるって言ってあるよ」
「そっかあ」
市井は運ばれて来たおひやを飲みつつ、交互に梨華と後藤の顔を見た。
「おめーはホントに梨華ちゃん大好きっ子だな」
市井は苦笑した。
「気安く『梨華ちゃん』呼ばないでよ、いちーちゃんの分際で」
「何でオマエが呼び方指図する!?てか、アタシて一体?」
「いちーちゃんごときがナマイキだよ〜」
梨華を抱き締め、『べえ〜!』と後藤は舌を出す。
抱き締められた梨華はちょっと固まって笑う。
266 名前:早春賦 投稿日:2006/03/15(水) 15:32
吉澤とアヤカもやって来て、やっとこさ本来の集まりになる。
今日の議題はキュービックの古いファンの結婚式についてだった。
長い付き合いのあるキュービックに披露宴での生演奏を依頼して来たので、
それをどうするか話し合う為に集まった。
保田は今日は仕事が終わってから合流する予定だ。

「やっぱ『てんとう虫のサンバ』っしょ」
「いやいや、た〜か〜さ〜ごや〜ってヤツだろ」
「バカだね、やっぱ」
話し合いが一向に進まない頃、保田がやって来た。
「ごめん、遅れて」
「遅れたバツにおごりね」
「はあ?」
笑いながら保田は岡田に『コーヒー、ホットで』とオーダーする。

「んあ」
後藤の携帯が鳴る。
「ちょいシツレイ…んあ、おかーさん?ん、どしたん?」
後藤はちょっと席を離れて母と話していた。
最初は普通だったが、段々様子が変わってくる。
アヤカにバカ話をフリながらも、市井はその様子を見ていた。
「ん、分かった。じゃ、今日帰るよ」
後藤は携帯を切って、戻ってきた。
「どした?」
保田が座ったまま見上げると、
「んあ、ゴメン。ごとー、用事出来たから帰るわ。
また進展あったら知らせて」
「おばさん何かあったんか」
市井が言うと、後藤はじっと顔を見て、
「おとーさんの…見つかったって、遺品とか」
言葉を選ぶように区切って返した。
一同は言葉を失くして、後藤の顔を見る。
「そっか、じゃ、アタシも行くかな」
市井が立ち上がろうとすると、
「んあ、ごとーひとりでだいじょーぶ。
ごめんね」
手で制し、後藤は500円玉をテーブルに置いて店を出て行った。
267 名前:早春賦 投稿日:2006/03/15(水) 15:36
後藤が出て行った後、市井に一斉に視線が注がれる。
「えーっと…みんな説明待ってる?」
市井はわざとおちゃらけるように頭を掻いた。
「いえ…ごっちん、お父さんのハナシは全然しないから、
何か事情があるんだろうなとは思ってました」
吉澤は低く呟いた。
「アタシも付き合いは長いけど、詳しい事は全然知らない。
亡くなられた、とだけはこの子から聞いてたけど」
市井の顔を見て、保田も続ける。
アヤカも黙って頷いた。
「ん〜、アイツの親父さん、報道カメラマンだったんだけど、
撮影中ヘリが山で墜落して死んだのよ。
アイツが小5ん時だったかね。
それからお袋さんが女手ひとつで育てたんだけど。
まあ、アイツん家は上にねーちゃん二人いるし、
どうにか育ったわけよ…ん?イシカワ、どしたん?」
市井が梨華に目を向ける。
吉澤が慌てて振り向くと、梨華は
「あたし…父の日の時、たまたまごっちんとデパート行って、
『ごっちんはお父さんに何あげるの』って何にも知らずに…。
ごっちん、困ったように笑って、『ごとーは親不幸だねー、あげてないし』って…」
俯いて少し震えていた。
吉澤は背中をさすってやる。
「まあ、大丈夫よ。
アイツ、アンタのこと気に入ってるし。
アイツ、アンタのメシ山盛り食うでしょ?」
「はい」
「アイツは我侭だから気に入らないと食わないから」
市井は苦笑した。
268 名前:早春賦 投稿日:2006/03/15(水) 15:42
―――その頃。

紺野は喫茶タンポポのある商店街の入り口で立ち止まっていた。
家にはすぐ帰りたくない。
かと言って行くところもない。
保田に会いたくなり、何となく、この街に来てしまった。
「…はあ、なにやってんだろ、わたし」
誰に言うとでもないように言うと、紺野は
「…ここまで来ちゃったし」
とタンポポへ向かって歩き出した。

「お、いらっしゃーい。ひさしぶりー」
矢口の声に、キュービックのメンバーたちは振り向いた。
紺野は注目の的になり、一瞬たじろぐ。
「紺野…どしたん?」
保田が言うと、
「お、この子が紺野ちゃんかー。
なるほど、圭ちゃんがスキそー」
余計な事を言った市井はアヤカに笑顔で叩かれる。
「み、みなさま…こ、こんばんは」
保田に手招きされた紺野は、おずおずしながら席に向かう。
『な、何かすごい集団だ…』
ある意味、不良グループに向かうような勇気を紺野は感じた。
女性の美形グループなのだが、かなりハクがあった。
普段のほほんと穏やかそうな吉澤ですら、この中に混じるとかなり凄かった。
「こんばんは、紺野ちゃん」
梨華に笑顔で挨拶され、紺野は正直『オアシスだ』とほっとする。
「紺野ー、テスト中じゃないのー?」
保田が紺野にメニューを手渡してやりニヤニヤする。
紺野は少し考え込んで、決心したように携帯の例のメールを見せた。
保田は黙って携帯を操作し、
「これ以外は?
何かあった?」
と言葉短に言った。
「い、いえ…」
「そう。
後で送るわ、流石にテスト中にこの時間まで出歩くのはマズイしね」
『クルマ取ってくるからその間ジュース飲んでな』
そう言って保田はよっこらしょ、と腰を上げた。
269 名前:早春賦 投稿日:2006/03/15(水) 15:48
「悪いわね、カオリを途中で拾って行くから遠回りになるけど」
「いえ、とんでもないです」
保田は車で紺野を送ることにした。
携帯に飯田から『迎えに来てー、荷物多くて死にそー』とメールがあったので
一緒に向かうことにする。
「ちょっといかがわしい通りに入るけど、近道だから。いい?」
「あ、ハイ」
保田の言う通り、ラブホテルの眩いサインが紺野の目に入る。
「あの…」
「ん?」
「せ、先生は…」
「うん」
何となく予想はつくが、保田は少し笑って紺野の次の言葉を待った。
「カ、カオリさんと、こういう…」
「行くよ、たまに」
「そ、そうですか…」
紺野は頬を赤くして、両手で押さえて俯く。
「オトナになって自分のお金を自由に使えるようになったら、バンバン行きな」
「バ、バンバンって…」
紺野は『もう、先生…』とまた赤くなった。


―――小川はその頃、必死で紺野の行方を追っていた。

携帯は繋がらず、自宅に電話をかけても、『図書館で勉強して帰るって言ってましたが』と
彼女の母に言われた。

『あさ美ちゃんなら、タンポポで一緒だってさっき梨華ちゃんから電話あったれす』
辻に電話でそう聞いて、小川は速攻向かった。


「…どこいんだよお〜」
目当てのタンポポにはすでにいなかった。
膝に両手をついて、小川は荒い息を吐く。
紺野には何の非もないのに、彼女に酷い事を言ってしまった。
今すぐ、会って謝りたかった。

隣の駅周辺まで行った時、小川は信じられないものを見る。

ホテル街から、助手席に座った紺野と見覚えのある女性が運転する車が出てきた。
270 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/15(水) 15:51
更新しました。
レスのお礼です。

>258の名無飼育さん

( ´ Д `)<んあ、1年8ヶ月ぶりの動き?

川;o・-・)<うーむ、月日の過ぎるのは早いものですね

久しぶりにもほどがありました(苦笑)。お待たせしてすみません。
れいなは良くも悪くもまっすぐです、誰より熱いし。


>三日月ハウスさん

川;o・-・)<えーと、>>263の名無飼育さんが書いてくださった通りです

(;‘ д‘ )<ウチのはどうなったーん?

半年どころか1年8ヶ月ばかし経ってました(爆)。スマソ
そりゃあ私も今年33になるはずですわ(苦笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川;*^ー^)<絵里は放置?

从*・ 。.・) <好奇心じゃないもん、ちょっと興味があっただけだもん

直球でぶつかるとぶつけられた相手も相当痛いと(ry
さゆはひとり気まぐれを貫いてます。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从*´ ヮ`)<れ、れいなは好きな人にはまっすぐったい デレデレ

从*・ 。.・) <顔にしまりがないの

直球ばかり放っていると、相手に当たった時が痛いと逝ってみるテスト
某番組で「あなたの周りのイナバウアー」とかいう企画やってますね(苦笑)。


>ピクシーさん

从*・ 。.・) <紺野さんの件の年に荒川さんがワールドで優勝して、それから2年経ってるの

(;`w´)<どういう例示やの、ソレ


今回の五輪で一気に有名になりますたね、イナバウアー(苦笑)。
解決に向けて一歩進んだとオモワレ


>263の名無飼育さん

(;`w´)<おお!わざわざ探してくれはったん!?

从;#~∀~从<おおきになあ

わざわざありがとうございます。
お礼にアイスとヤスを差し上げます。っ□(;`.∀´)<アイスと同格なの!?


>Laughさん

从*・ 。.・) <なんにせよ、じれったいの。れいなちゃん押し倒すの!

从;´ ヮ`)<……

最後に爆発タイプが一番手に負えな(ry 少しずつ動いております。
ええ、恩田さんのジャンプは見てて清清しいです(笑)。
271 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/15(水) 15:53
・本当のスケ番


何の因果かマッポの手先!ナンチャッテ>( ^▽^)っ--------------@

      ガツッ
あいたっ>(;^▽^)゛@--------------⊃

( T▽T)と(^〜^;)

(;‘ д‘ )<梨華ちゃんは期待をほんま裏切らへんなあ

( ´D`)<のん、ビデオで見たことあるのれす。
       ヒロインが『てめーら、ゆるせねー』とか悪者に言うんれすよ 

(;´д` )<アンタが言うとのどかでエエねえ

        シュッ
( ´D`)っ=−□<こういうのもあるのれす。敵に座布団みたいなの投げるのれす

−=□゛(;´д` ))<あたっ


(;´D`)<あ、ごめんれす

(;0^〜^)<ナ、ナイスコントロール!カッケー!

(; `д´)っ□<くっそー!ムカつくー!


ワーワー!

ナニスンジャボケー!

ザブトンカッケー!

モウヒトミチャン!


从 #~∀~从<……


从#+~∀~从ノ<ええ加減にせえ!おまえら!しばくぞ!


(;‘ д‘ )ノ□ (0^〜^0)ノノ (^▽^)( ´。D`)っ○ ←うまい棒


(;´д` )<(…さすが本物は違う)
272 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/15(水) 15:57
―――飲みで盛り上がって「古今東西」

お題:萌える女王様台詞

一回戦決勝

パンパン

川‘.▽‘)||<「そういうのがいいんだ」  (^〜^0;)アヤカサンツエー

パンパン  
     キムラサンフダンイッテルッショ?
ヽ^∀^ノ<「お前ごときが100年早いのよ」  ( ´ Д `)ZZZ…

パンパン
      ナワケナイデショ
川‘.▽‘)||<「そこへお座り」    (`.∀´;)y~~ シャレニナッテナイシ ←早々と負けた人


優勝:木村さん


三回戦

お題:同上

パンパン

(;0^〜^0;)<じょ、ジョオウサマとおヨビ?  (`.∀´;)ソレユッタ ←やっぱり早々と負けた人

パンパン
      カムナヨ
ヽ;^∀^ノ<「下僕風情が!」      (`.∀´;)アンタガユウナ

パンパン

川‘.▽‘)||<「靴をお舐め」        (゜.∀゜;)キター!!!

パン

( ´ Д `)<「…」           (`.∀´ )y~~ ドシタ?

パン

( ` Д ´)<「死ぬまでこの私に奉仕するのよ!」



川‘.▽‘)||ヽ^∀^ノ( `.∀´)(0^〜^0)


川;‘.▽‘)||ヽ;^∀^ノ( ;`.∀´)(;0^〜^0)<<<<(…一番シャレになってない)


総合優勝:木村さん(2勝1敗)


同じ頃―――

パンパン

(; ^▽^)<じょ、ジョオウサマとお呼び?  川σ_σ||ソレユッタユッタ (`_´;) ←ナニゲに強い人

273 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/03/16(木) 01:26
更新おつれす。
あーあ、また話がややこしくなっちゃった。圭ちゃん、帰ったらカオリンから袋叩きね。

そっか強いということは、マサオさんそういうのが好きで、いつも言ってるんだ。
274 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/03/16(木) 05:40
更新お疲れ様です

父ごっちんの秘密明らかに‥
( `◇´)<父ごっちんってなんやねん
・ω・<‥なんとなく

頑張れマコ

・ω・<アヤカに罵られたい
( `.∀´)<どMがそそられてるみたいね

次回更新待ってます
275 名前:ピクシー 投稿日:2006/03/16(木) 13:59
更新お疲れ様です。

いちーちゃん抜け目ないっす(苦笑)
ごっちん父の話も出てきて・・・どうなることやら。

アヤカが確かに一番適役(?)かも。
ごっちんのヤツもシャレになってない(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
276 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/03/16(木) 21:31
アネゴ、更新お疲れ様です。

また、紺野さんとおがーさんの関係が嵐の予感で・・・
さらにその相手が圭ちゃんだからなぁ・・・余計にたちが悪いw(爆

僕は多分Mじゃないんで女王様とかそういうプレイに興味は無いんですが、アネゴにだったら言われたいかも(核爆
そういうことで『この薄汚いブタめっ!!!』と言ってください。
・・・僕はMじゃないですよ?(クドイ

次の更新も待ってます。
277 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/20(月) 12:17
更新乙です。
あの吉澤より弱いヤスワロス
何気に総合優勝の木村さんテラワロス
マコがんがれマコ

次回も楽しみにしてます。
278 名前:263 投稿日:2006/03/21(火) 16:51
更新乙です。
いえいえ、時々読み返すもんで、だいたいの場所は分かってたんで
探すって程でもなかったですよ。
 アイスとヤスありがたくいただきます。
 ヤスとは飲み比べでもしながら、女の子のくどき方でも
レクチャーしていただこうかななんて。
279 名前:早春賦 投稿日:2006/03/22(水) 17:59
―――その夜。

「ねーさーん、ただいまー」
中澤家に韓国帰りの平家がやって来る。
空港から直接来たのでスーツケース持参だった。
「あ…おかえり。お疲れさん」
裕子は台所からエプロンで手を拭いて出てくる。
「…どしたん?」
様子がおかしいので、平家はわざと笑って尋ねる。
「あ、うん…」
「綺麗に頭整えて。
見合いでもすんの?」
平家が冗談で言うと、裕子は黙った。
流石におかしく思い、
「もしかしたら…シャレになってへんかった?」
スーツケースを置いて、平家は頭を掻いた。
280 名前:早春賦 投稿日:2006/03/22(水) 18:00
―――加護は階段の陰から、ふたりの様子を見ていた。

平家は、
「なんでもっと早く言わへんの」
責めてはいないが、普段より一層冷静な口調だったので部外者の加護でさえ聞いてて怖かった。
「だって…言えるか?」
裕子は俯いて、
『自分、さっさと空港行ってもうたがな』
と今更な言い訳をする。
「じゃ、電話すればエエやん」
「…掛けても留守電やったがな」
裕子が俯いたまま答えると、平家はくしゃくしゃっと頭を掻いて、
「…掛け直さんかったんは悪かったわ。
でもな」
「中澤さ〜ん、晩ごはんまだれすかあ?」
そこへ辻が現れる。
『うわ!空気読めや!』
加護は思わず出て行きそうになる。
「あ、うん。
スマン、もうできてるから。
先、食べ」
「は〜い」
辻は重い空気など気付かず台所に入って行く。
加護はその暢気さに、心からある意味憧れて溜息を吐いた。
281 名前:早春賦 投稿日:2006/03/22(水) 18:00
加護は夕食の後、梨華に電話を掛けた。
繋がらない。
『はあ、よっちゃんとイチャついてんのかもしれへんなあ。
それこそ、ウチが空気読めへん女になるわ。
やめとこやめとこ』
諦めて、明日のテスト勉強を始めた。


『明日11時。
赤坂プリンスロビー』
裕子の字で、居間の電話のそばにメモが貼られていた。
傍には、和箪笥から出した着物があった。
282 名前:早春賦 投稿日:2006/03/22(水) 18:01
―――その頃。

吉澤は梨華と駅前の商店街にいた。
タンポポは閉店したので、スタバに移動する。
「梨華ちゃん」
「ん?」
梨華は顔を上げた。
「あの…ごっちんの、こと」
「うん」
「大丈夫?」
梨華はじっと吉澤の顔を見て、
「うん、大丈夫」
と答える。
「ひとみちゃんは?」
「あ、うん。
だい、じょうぶ?」
「疑問形なの?」
梨華は小さく笑う。


どう言えばいいのか。
やるせないような、ひっかかるものがふたりの間に残る。
それをどう伝えればいいのか。
梨華と吉澤は考えあぐねていた。


ふたりは黙って手を繋いで歩く。
体を重ねたら解消するわけでもない。
それでも、肌に触れずにはいられなかった。
ふたりとも、独特のけばけばしいネオンは元より苦手だった。
黙って手を繋いで、やけに明るい灯りの中へ入って行った。
283 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/22(水) 18:02
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

ノ(;`_´)ノ<い、いや、そんなあばばばば!

川σ_σ||<たま〜に、すっごい意地悪だよ?

そうですね、帰ったらいいらさんにお仕置きしてもらいましょう(笑)。
マサオさんはナニゲに適性があります、そこに柴もメロメロです(違。

>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川‘.▽‘)||<覚悟はいいですか?

( ;`.∀´)<アンタが言うとシャレになんないってば!

父ごっちんのネタはこれから出していきます。
木村さんに罵られたいですか、私は蔑まれ(ry/違)。


>ピクシーさん

( ´ Д `)<ほんっと乳レーダーでもついてんじゃない?

ヽ^∀^ノ<なわけねーだろ

いちーちゃんのレーダーに反応した模様です。>岡田さん
ああいうのは木村さんが一番しっくりきますね、やっぱり(何がだ)。


>三日月ハウスさん

(;護摩)<こ、こ、のう、薄汚い…ブタ?

( ;`.∀´)<噛みすぎ噛みすぎ!

滑舌が悪いので私にはムリです(苦笑)。
おがこんはまたもや大嵐です。ヤスは確かにシャレになってませんね(苦笑)。


>277の名無飼育さん

(;0^〜^0;)<ヤスダさんに勝ってもビミョーっす

∬∬T▽T)ノ<ありがとうー、がんがるぜ!

あの吉澤より弱い保田さんはかなり問題アリかと(違。
木村さんは無敵です。マコには突っ走ってもらいましょう。


>263さん

(♯`.∀´)っ□<ホホッ!飲み比べなら負けないわよッ

(〜^◇^)/<もう飲んでるのかよッ!

いえ、本当に助かりました。ありがとうございます。読み返しカッケー(笑)!
保田さんは酔うと武勇伝を語りだすことがあるので頑張ってください(笑)。
284 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/22(水) 21:20
更新乙です。
あらあらまた一波乱ありそうで。
平和なのはいしよしとなちまりぐらいでしょうか。
次回も楽しみにしております。
285 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/03/23(木) 00:14
更新おつれす。
それでものんさんは、ご飯を食べずにはいられなかったのれす。
ぼんさん、一緒に食ってやってくれ。
286 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/03/23(木) 05:39
更新お疲れ様です

‥みっちゃんどうするんだろう
・ω・ <超気になる‥赤プリ‥
暢気なのの‥かわいいな〜

次回更新お待ちしています
287 名前:ピクシー 投稿日:2006/03/23(木) 10:34
更新お疲れ様です。

のんさんの天賦の才能発揮ですか。
空気を読まなくても許されるって、いいですねぇ。

スポフェスにてコンコンが活躍したようで。
ここのコンコンにも良い事がありますように・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
288 名前:早春賦 投稿日:2006/03/29(水) 11:38
吉澤と梨華は日付が変わる頃帰宅した。
玄関が開く音を聞きつけた加護は、自室から出て来る。
「おかえり」
どたどたと足音を立てて階段を下りてくる。
「あいぼん、まだ起きてたの?」
梨華は『早く寝なきゃダメよ』と母親のようなことを言う。
「オカンみたいなことエエて。
なあ、それよりちょっと」
梨華の袖を引いて、廊下に連れて行こうとする。
それを見て、吉澤は
「ウチ、先部屋行ってるから」
気を利かして階段を上がって行った。
「梨華ちゃん、なんやシャンプーくさいな」
加護の指摘に、ぎょっとしつつ、
「そ、そう?」
と微笑んで誤魔化す。
「まあ、エエわ。
それよりなあ」
と加護はさっきの出来事を話す。
「お見合い?」
梨華はちょっと目は丸くしたが、さほど驚いていない様子だった。
289 名前:早春賦 投稿日:2006/03/29(水) 11:38
「そう。梨華ちゃん、知ってたん?」
「ううん…明日するってのは初耳だったけど。
いつかあるだろうなとは思ってた」
『あのおばさんのことだから』
と梨華は小さくため息を吐く。
「おばさんって。親戚?」
「うん、裕ちゃんのお母さんの遠縁のおばさんなんだけどね。
あ、あたしとは血のつながりは全然ないし、裕ちゃんとも遠縁だから血はつながってないんだけどね」
「へえ。結婚の世話したがるん好きなオバサンってやつかあ」
「うん、まあ。
それにしても」
裕ちゃん、なんで黙ってんのかしら。
いつ決まったのか知らないけど。
梨華は独り言のようにつぶやいた。
「さあなあ。
はあ、ウチもそろそろ寝よかな」
「そうね。
おやすみなさい」
「梨華ちゃん」
「ん?」
「シャンプーくさいうえに、キスマークだらけやで」
「……」
梨華は赤くなって、加護が階段を上がるのを見届けた。
290 名前:早春賦 投稿日:2006/03/29(水) 11:39
市井はキュービックのメンバーと別れた後、後藤の実家に向かった。
後藤は風呂に入っていたので、市井はリビングで夕刊読みつつ待つ。
やがて、頭をバスタオルで拭きながら、ジャージ姿の後藤が現れた。
「来てたの」
「おう」
返事だけして、新聞をめくる。
「みんな、心配してたぜ。
特にイシカワ」
「梨華ちゃん?」
「おう」
「そっか」
後藤はそれだけ言い、冷蔵庫から牛乳パックを出しコップに注いだ。
「アタシ、カフェオレな」
「わかった」
後藤の返事に、市井はぎょっとする。
「おめえ、熱でもあるんじゃねーの?」
「うるさいなー。
文句言うんだったらあげないよ」
ペットボトルの低糖コーヒーも取り出し、市井オーダーのカフェオレを作ってやる。
「ほれ」
「あ、あ…どうも」
コップを手渡して、後藤はごくごくと自分の牛乳を飲み干す。
口を拭い、もう1杯注いだ。
291 名前:早春賦 投稿日:2006/03/29(水) 11:39
「なあ」
「なに」
「おばさんにきーたんだけどさ」
「うん」
「明日、遺品届けに来てくれるんだってな。おじさんの部下だった人」
「そうだよ」
「吉澤とか呼んでい?」
また口を拭って、後藤は市井を見つめた。
「来るかな」
「来るさ」
「ふうん。ごとーはどっちでもいいよ」
『じゃ』と言い、市井の頭にバスタオルをのせて後藤はリビングを出て行った。

『明日10時に○○駅集合遅刻厳禁ね(はあと)』
市井はキュービックのメンバーにこんなメールを送った。
292 名前:早春賦 投稿日:2006/03/29(水) 11:40
翌日。

仕事で来られない保田を除いたキュービックメンバーと、梨華が後藤家にやって来た。
「んあ、来たの」
後藤はまったくの普段着で、対照的にブラックフォーマルな一同に目を丸くする。
「やっぱ…ヘンだった?」
アヤカは吉澤たちと顔を見合わせて苦笑いした。
「んあ、ま、どぞ」
後藤は最後尾にいた市井に、目で
『おせっかい』と合図した。

後藤の父の部下だという男性が、しばし経った後にやって来る。
「御無沙汰しております、この度は突然申し訳ありません」
と玄関先で後藤の母に頭を下げる。

「お坊さんなんだね」
リビングの奥の部屋でキュービック一同は待っていた。
来客をチラッと見た吉澤は、そう言った。
「いや、元々は親父さんのアシスタントだったんだけど、事故の後会社辞めてお坊さんなったとかなんとか」
市井は勝手に淹れてきた茶を口に含み、
『出がしらだ』
と顔をしかめる。
「たった一人生き残ったのが気がかりだったみてーよ」
市井がそう言う横で、他のメンバーはキッチンでお茶の支度をしている後藤の横顔を見ていた。
293 名前:早春賦 投稿日:2006/03/29(水) 11:46
男性は、遺品をすべて置いて帰った。
事故現場の山に登り、後藤の父や同乗者の遺品を可能な限り回収したらしい。
自身も重症を負った腕をついて、母に頭を下げた。
後藤も何度も丁重に頭を下げられ、その度言葉少なに下げる。

見送った後家に入って来て、リビングで遺品を広げた。
市井が腰を上げて部屋から出て来る。
赤い、端が殆ど焼き焦げた布きれのようなものを後藤は手に取った。
「このバンダナ…」
ごとーがおとーさんに、お守りって渡した。
後藤は誰に言うとでもないように呟いた。
奥の部屋から、吉澤たちは黙ってふたりの姿を見つめる。
後藤は布を持って庭に出た。
「おい、ドコ行くの」
後藤は市井の問いかけには答えず、ガーデニング用のスコップを手にし、庭の隅の木の根元を掘り出す。
市井は『ああ』という顔をし、後藤の傍に行ってしゃがみ込んだ。
「おとーさん」
後藤は手のひらから穴に布を落とす。
「帰ってきたんだよ」
庭に続く窓に佇んだまま、吉澤たちは何とも言えない気持ちでそれを見ていた。
294 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/03/29(水) 11:47
更新しました。

レスのお礼です。


>284の名無飼育さん

从;#~∀~从<ハア、一難去ってまた一難か

(;`◇´)<アンタが言うぃな

またもや一波乱です。大人の事情というヤツです。
そうですね、いしよし、なちまりくらいですね(苦笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´。D`)<あいぼん、おにくおいしーれすねえ

(;´д`)<…せやねえ

のんさんは空気読む読まないの前に無視してそうです(苦笑)。
ぼんさんはあきれながらともにメシを食ってあげてました。


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`◇´)<ホンマになあ〜、かなんわあ

( ´D`)<赤プリのケーキっておいしいんれすか?

ののさんには大人の事情など通用しません(苦笑)。
みっちゃんはまた次回以降、お楽しみに。


>ピクシーさん

川o・-・)ノ<1500メートル走クイーンの座は誰にも渡しません!

(;‘ д‘ )<その前にオガワさんつかまえときぃなあ

ののさんは天然ですからねえ(苦笑)。神様からのプレゼントです。
本当に羨ましいですよね(苦笑)。>空気を読まなくても許される


295 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/29(水) 19:32
更新乙です。
 ぼんさんの突っ込みに笑い、いちちゃんのボケに突っ込み
最後のごっちんで泣きました。
 次回も楽しみにしてます。
296 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/03/29(水) 22:24
更新お疲れ様です

抜け目のないあいぼんの分析素晴らしい
形見ってッ見るだけでいろんなものが
こみ上げてきますね
( `◇´)<こんな事言っとるけど
       このアホ形見よく無くしとんで〜

余談ですが大阪のハロモニが洒落にならない件
困りましたね

次回更新お待ちしております

297 名前:ピクシー 投稿日:2006/03/30(木) 02:34
更新お疲れ様です。

ごっちん、泣けるなぁ・・・
年月が経ってるだけに、より一層・・・

私の生息地はそろそろ桜が見頃。
そういえば、この物語も最初は花見でしたねぇ・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
298 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/04/02(日) 01:06
更新おつれす。
( ´D`)<よっすぃと梨華ちゃん、赤いアザだらけなのれす。激しいケンカはよくないのれす。
ぼんさんはするどいなあ。のんさんにいっぱいつけたからかなあ?
299 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:14
後藤は実家を後にし、ひとりで中澤ハイツに戻った。

「んあ、忘れてた」
昨日平家あての宅配を預かっていたのを思い出し、すぐ平家宅に届けに行く。
「みっちゃーん。ごとーだよー」
すぐ返事はなく、しばらく経って
「―――何や」
憔悴しきった平家が出て来た。
「ん、んあ。
宅配…預かって、る」
「ソコ置いといて。
ありがとう」
しかめっ面をし、平家はすぐドアを閉めようとする。
どうやら一瞬外の眩しさに手を翳したようだ。
「いんやー。重いからごとー運んだげるよ」
「ええて」
「んあ」
勝手に中に入り、後藤は上がり口の処に箱を置く。
「おおきに。
食べるモンやったら後でお裾分けするさかい」
「んあ。
なになに?
えーっと…ザッカって書いてある」
平家は溜息をついて、
「オカンからや。
食べ物があるかは分からんで」
引き出しから鋏を取り出して来た。
300 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:15

「んあ、へーけさん。昼ゴハン食べた?」
「まだや」
朝も食べてへん。
平家はキッチンの椅子にだらしなく座り、小さく呟いた。
「んあ、ごとーもまだなんだ〜。
なんか食べる?」
「ウチはエエ。
あんた勝手に食べ」
冷蔵庫のモン、好きに使ってええから。
平家は冷蔵庫を適当に指差した。
「んじゃ、カオリも呼ぶね」
携帯を上着から取り出し、
「みっちゃん家に集合」
と召集をかける。

飯田はたまたま何も予定がなく、自宅にいた。
「なんか…家の中、暗い」
平家宅に上がり込んで、飯田はキョロキョロ見渡す。
「んあ、いらっさーい。
チャーハンでい?」
「あ、ああ。うん…」
チャーハンを炒める後藤に近づき、飯田は、
「みっちゃん、どしたん?」
小声で囁いた。
「んあ、分からぬ。カオリ、エビ好き?」
「うん、スキ。
てか、みっちゃんやさぐれてなくない?」
「イカは?」
「スキ。
いやいや、具はともかくとして…」
「ホタテ」
「うん…じゃなくてー」
飯田はちらっと椅子に座り込んでる平家の方を見た。
何を見るでもなく、ただ座っていた。
301 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:15
海鮮チャーハンになってしまったチャーハンを後藤と飯田は黙々と食べる。
飯田は食べながら、自分の分に手をつけない平家を時々ちらっと見る。
「食べないの?」
飯田が思い切って声をかけると、
「あんた食べ」
平家のくぐもった声が返って来た。
『…入居してからこんなに死んでるみっちゃん初めて見た』
飯田は恐怖を感じ、反面何も気にしない様子でぱくぱく食べてる後藤をちょっと尊敬する。

「んあ、DVD見よ、DVD」
後藤は自宅から取ってきたDVDを掲げて言う。
のんきにDVDなど見てていいのか、とも思ったが、飯田は
「…うん」
と従う。
「♪アッタマテッカテ〜カ」
ご機嫌で後藤はDVDをセットする。
「いっぺんドラをデカイ液晶テレビで見てみたかったんだ〜」
お馴染みの丸い青いヤツが現れ、後藤は歓声を上げた。

『仕事終わったらすぐみっちゃん家に来て。
カオひとりじゃ自信ない』

飯田からナゾのメールが届き、保田は首を傾げた。
302 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:16
保田が
「こんちは」
と平家宅を訪れると、リビングで飯田と後藤がドラえもんを合唱していた。
何の集いだ、と保田はちょっと引く。
「みっちゃんは?」
「おフロ入ってる」
飯田がちょっと振り向いて答える。
テレビの画面には源さんの入浴シーンが大写しになる。
「んあ、ここで野比のヤツが来るんだよ」
「あー!言っちゃダメ〜!」
なんなんだ、コイツらは。
保田はあきれつつも、
「アンタら、晩ごはんは?」
出前でも取ろうかと声をかけた。

出前を取る必要はなく、キッチンにはあほほど酒のつまみがあった。
すべて後藤が作ったものだった。
「まあ…今日の飲みは困らないわね」
保田は苦笑する。
「それにしてもみっちゃん長風呂ね」
のぼせてるんじゃ?
保田が様子を見に行こうかと腰を上げると、
「んあ、さっきごとーが手、洗いに行ったらオフロつかって本、読んでた」
「まあ、それなら…」
「けーちゃん、ノゾキしようと思ったんでしょ」
「なわけないでしょ」
保田は心底脱力した。
303 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:16
しばらくして、バスローブを着た平家がフラリと現れる。
「お邪魔してるわよッ」
保田が言うと、それには答えず、
「アンタらな、トイレ行くフリして覗くんやめてくれる?」
平家はイヤそうに言った。
「覗くなんて」
飯田が口ごもると、
「けーちゃんは覗こうとしてたけどね」
後藤がクリティカルヒットな事を言い、ニヤニヤした。
「ま、エエわ。
おやすみ」
「え、もう寝るの?
早くない?」
保田が驚きの声を上げる。
宵っ張りの平家からは考えられない就寝時間だった。
「具合でも悪いの?」
「んあ、そんなら長風呂してる時点でへたばってるって。
さ、ゴハンですよ」
あ、ついでに酒ですよ、と後藤は付け足した。
「残すのはおかーさん許しませんよ?」
後藤はニンマリ笑った。
304 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:16
酒が入ると少し気が緩んだのか、平家は昨日、今日あったことをポツポツ保田に話し出した。
キッチンではふたりが語り、リビングでは後藤と飯田が洋画のDVDを見ている。
優等生の青年が、不倫をして更に浮気相手の娘とも恋仲になるというストーリーだった。

ラストを見て、後藤は
「んあ、まあ、良かったんじゃない?」
とスルメを齧りつつ適当な感想を漏らす。
「後藤は?
こういう恋したい?」
「んあ、別に」
「そう」
「カオリは〜?
なんかアタシをさらって逃げてとか考えてそー」
指摘され、飯田は頬を赤らめる。
「逃げたトコでどうなるモンでもないし」
またスルメを齧る後藤。
今まで見たどの後藤よりも、大人びた横顔だった。
飯田は甘いカクテルを口に含み、
「そうだね」
と微笑んだ。
305 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:17
「何してんのかしらね、あのコらは」
キッチンで、保田は飲みながらリビングのふたりを怪訝そうに見る。
「懐かしい歌やな」
平家は小さく笑って、さっきの映画主題歌を口ずさむ。
「サイモンとガーファンクルだっけ」
「そうや。
若い頃はよう聴いたモンや」
「今も若いじゃん」
保田はグラスを手にして笑う。
「アンタはどうや。
カオリに一緒に逃げてって言われたら逃げるんか」
みっちゃんらしくない聞き方だな、と保田はちょっと思ったが、
「その時による。
なるべく逃げずにすむようにそれまで努力する」
と答えた。
「アンタはエエ子やな」
髪をかき上げ、平家は苦笑する。
いつの間にか、リビングのふたりもキッチンに来ていた。
「あの子が」
平家が口を開く。
「一瞬でもウチの事を忘れて他の男の事考えてるて思たら、それだけで頭が焼き切れそうや」
306 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:18


後藤はキッチンに篭り、黙々とつまみを作成する。
「さっきから何やってんの、あの子は」
リビングに移動した保田は、キッチンの後藤を首を伸ばして見る。
平家は酔ったのかソファーにつっぷして寝てしまった。
「いや、なんか『勝つにはまずハラごしらえからだ』とかなんとか言って、
昼からちょくちょくちょくちょく、色々作ってる」
飯田も困惑の表情だ。
「んあ、ニシンが炊けた」
「ニ、ニシン?」
飯田と保田は少し呆然とする。
「身欠きニシン。スーパーで半額だったの」
ソバにも合うでよ、と後藤はできたてのニシンそばを差し出した。
307 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:21
後藤もしばらく経って、寝てしまった。
飯田は保田と、酔い覚ましに散歩に出る。
「はあ、なんか妙な一日だった」
飯田は伸びをする。
途中の自販機で買ったオレンジジュースがひんやりと心地よかった。
保田も缶コーヒーを開け、
「後藤が元気そうでとりあえず良かったわ」
「え、どして?」
飯田に昨日今日あった事を簡単に話す。
「はあ、そうだったんだ」
そういえば、おかしなテンションだったかも。
飯田は『悪いことしたかな』と呟いた。
「それにしても驚いた」
「ん?」
「みっちゃんって、情熱的なんだなって。普段結構クールだから」
「だからあれだけの歌が歌えるのかもね」
保田が言うと、飯田も頷いた。

車のクラクションが近くで鳴る。
見覚えのある車だ。
「よっ」
市井はサイドガラスを下げ、
「後藤のヤツは生きてる?」
といつものニヤけた顔で言った。
「ああ、うん。
一応元気よ。
てか、アンタ」
それだけの為に来たの?
保田が全部言い終わらないうちに、
「じゃ、まったね〜♪
カオリちゃん、けーちゃんに夜道で襲われないようにね♪」
「あはは、またね」
保田は『なんだかよ』という顔になり、飯田は走り去る車に笑顔で手を振る。
「まったくウチのバンドときたら」
保田は苦笑して、ポケットからタバコを取り出す。
「遠回りして帰ろ、デートしようよ」
「ん」
飯田に促され、保田は銜えタバコで手を差し出した。
308 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:22
後藤はふたりで苦労して飯田宅に運ぶ。
後藤の家の鍵が見当たらなかったのだ。
平家には毛布をかけ、保田たちはそれぞれの家に帰ろうとする。

「あれ…?」
「ん?どしたん」
飯田は玄関から、ハイツの外を見る。
「ほら、あれ。
裕ちゃんじゃない?」
「あ、ホントだ」
「…うまくいくかな」
「大丈夫でしょ」
保田はおやすみ、と言い、自分の家の鍵をポケットから出す。
「帰るの?」
「帰るよ」
「…カオ、行っていい?」
「…いいけど?」
「今夜は、うんと優しくして」
「……」

保田の家のドアが閉まる。
それぞれの夜が更けていく。
309 名前:早春賦 投稿日:2006/04/05(水) 13:23

―――平家は柔らかい手を感じ、目を覚ました。
目を開けると、着物姿の裕子が傍にいた。
「…酒くさ」
裕子は顔をしかめる。
「夢みたいやな。
まだ夢の続きかな」
「なに寝ぼけてんねん。
寝るんなら布団行け」
「…夢みたいに綺麗や」
裕子の袖に手を伸ばす。

「…夢かどうかはコレ見て言え」
裕子は自分の帯に手をかけた。
310 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/04/05(水) 13:24
更新しました。

レスのお礼です。

>295の名無飼育さん

ヽ^∀^ノ<エ、あたしボケたっけ?

( ´ Д `)<ボケ以外のナニモノでもないよ

突っ込んで頂いてありがとうございます(笑)。
そして泣いて頂いてありがとうございます、ごっちん今回も登場です。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ^▽^)<中の人なんてお父さんの形見の時計放置してますよー

( ´ Д `)<まったくもってバチ当たりだね

ぼんさんはこういうことに関しては異常に勘が働くので(笑)。
ハロモニ、水曜の朝10時て誰が見んねんて時間設定ですよね(苦笑)。


>ピクシーさん

( ´ Д `)<桜が咲いたとオモタラ雨が降り

( ´D`)<まあ、晴れでも雨でも花見弁当をがっつくれす

ごっちん父はもう10年近く経っております。
そうです、最初は花見でした。異常に桜の開花が早かった年です。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)<わが弟子もオトナになったぽね

ヽ^∀^ノ<後藤先輩になってるぞ

ぼんさんはこのテのことに関しては異常にエキスパートというか(苦笑)。
のんさんのんさん、それはケンカというよりはある意味プロレス(ry
311 名前:ピクシー 投稿日:2006/04/06(木) 06:56
更新お疲れ様です。

中澤ハイツ全員集合ですな。
ごっちんの料理の腕は相変わらずですねぇ。

私の酒のつまみと言えば・・・
スモークチーズが好きですねぇ。
カクテルでも日本酒でもおやつでも食べちゃいます。

次回更新も楽しみに待ってます。
312 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/04/06(木) 21:28
更新お疲れ様です

中澤ハイツ軍団総動員で平家宅を襲撃の巻
なんとなく読みながらそんな副題をつけてみました

・ω・<ムラムラ‥夢のプレイ
( `.∀´)<和装フェチがまた妄想膨らましてるわよ

アレですね‥
テレビ大阪は主婦や老人をヲタ化させようとしてるんですね

次回更新お待ちしております
313 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/04/09(日) 23:27
更新おつかれぽ。
冬ソナ部に続いて、ごとーさん部長のドラえもん部でもできるんでしょうか?
ん?『どらえもん』で変換したらちゃんと『ドラ』がカタカナになった!
314 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/04/12(水) 11:13
本日はレスのお礼から。

>ピクシーさん

( ´ Д `)っ□<ハイ、ドゾー。ごとー特製だよ

本日はスモークチーズサービスです。
後藤さんは資格がないのが惜しいシェフっぷりです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`.∀´)<ん〜、さすがに和装プレイはサービスできないわねえ

なので本日は。っ从#~∀~#从 ゆゆサービスです。
なんかホントに襲撃って感じの訪問でしたね(苦笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)っ□<『どらえもん』、と。あ、ホントだ。あ、サービスにアイスね

本当に一発でドラえもん、と出ました。
ドラ部は多分地味に今日も活動されていることと思われます。


本日で飼育デビュー4周年だったりするのでヒソーリ短編をば。
315 名前:Quartet 投稿日:2006/04/12(水) 11:14
※このおはなしは吉澤ひとみがまだ『CUBIC-CROSS』に入部する前の出来事です。
つまり森板の頃に遡ります。

アヤカも加えた仮新生ライブを終えた『CUBIC-CROSS』一同、
打ち上げの居酒屋で今度は吉澤捕縛、いや捕獲について作戦を練っていた。
316 名前:Quartet 投稿日:2006/04/12(水) 11:14

「どーよ、あのヨシコちゃんは」
と市井。
「ビジュアルはいいわね、ちょっとまだ垢抜けないけど。
磨き甲斐ありそ♪」
アヤカはウフフと微笑む。
何故か野球のミットをぱしっと叩くような手つきだった。
「おやおや。
お姉様がヤル気になってるわ」
保田はくわえ煙草でニヤっと笑った。
「んあ、まあ、あの音をきーてくれてたらわかると思うんですけど」
後藤が切り出す。
「いいっしょ?」
「「「イイ!」」」
全員一致だった。
「しかしアレだな、音は人間を表すっつーか」
市井にアヤカも微笑んで同意した。
「愚直なまでに骨太ね。
アヤカと影響し合ってもっと面白い音が出せるでしょ」
保田が先日後藤から受け取ったMDをピラピラと仰ぐように動かす。
たまらない、というようについ綻んでしまう口元を押さえた。
「まあ、フツーにカワイコちゃんだし」
「え、アレは男キャラだろ」
市井が顔を上げた。
「バッカね〜。
アレは中身は乙女よ。マジ賭ける。100円賭けてもいいわ」
「…圭ちゃん」
唯一の社会人メンバーの割には金額がセコイ。
全員の顔がそう言っていた。
317 名前:Quartet 投稿日:2006/04/12(水) 11:14

後日。
たまたま中澤家で梨華と会った保田は、
「ね?吉澤をバンドに誘おうと思うんだけどどう思う?」
と意見を聞いてみた。
保田の隣で後藤は大福を黙々と食していた。
「え、ええ…?」
梨華の脳内には、ステージで汗のしぶきを散らし、ガンガンベースを弾いて客席から歓声を受ける吉澤がいた。
梨華は夢見るような瞳になり、遠くにいってしまう。
「…イシカワさ〜ん?」
保田が手のひらを目の前でパラパラ動かしても、梨華はまだイッちゃってた。
口元には笑みさえ浮かんでいる。
「決まりだね」
もこもこと口を動かし、後藤は大福を更に手を取った。

ある土曜日。
喫茶タンポポでモーニングを食べていた保田。
後藤から『ヨシコ発見』というメールを受け取る。
「…アタシの出番ね」
携帯片手に保田はニヤリと笑う。
すぐ近くで辻と加護が抱き合って怯えていた。

中澤ハイツ住民共同所有の原チャリにまたがり、保田は母校の大学に急いだ。
後から「もー!カオリが使おうと思ったのにー!」と飯田に言われたが。
318 名前:Quartet 投稿日:2006/04/12(水) 11:14
アヤカを除くメンバー一同で校門で待ち構え、吉澤を捕獲する。
アヤカには先に保田が予約したスタジオに行ってもらった。
「オホホ!観念なさい!」
吉澤は泣きそうな顔になり、
「エ、エ?」
と3人の顔を見渡す。
「ウチが足引っ張ることになるっす」
とかなんとか、グズグズ言っている。
「足を引っ張られたんなら自力でもなんでもまた上がればいいだけのハナシ。
さ、さ。スタジオへ」
口の上手い市井がだまくらかしたり、後藤がアツイ説教をしたりしてどうにかスタジオに連れ込む。

アヤカの6弦ベースを使わせ、スタジオで入部テストを行う。
予想通り、吉澤のセンスとテクニックはこのバンドに合っていた。
何より、ベースが好きでたまらない、というのが本人の表情から伝わってきた。

「今日からウチらはカルテットじゃなくなるわね」
保田がスタジオを出る時笑って言った。
「ごとーなんかいちーちゃんとペアだったときあるんだよ」
後藤が不味いものを食べたような表情で言う。
なんか文句あんのか、アタシのギターまで勝手に使いやがって!と市井は拳を振り上げるマネをする。
「あの」
吉澤に全員注目する。

「―――ウチ、ロックが大好きっす!」
吉澤は迷いなく言い切った。
319 名前:ごまべーぐる@みなさんいつもありがとうです 投稿日:2006/04/12(水) 11:18
更新しました。
お時間のある時に森板の終わりらへんと海板パート1の最初らへんと併せて
読んで頂けると幸いです。

さて。
気がついたら4年でした。
管理人さん、読んでくださってる皆さん、いつもありがとうございます。
正直ここまで書けるとは思ってませんでした。
飽きっぽいし。
ひとえに皆さんのおかげです。
これからもよろしくお願いしたします。
 
ごま拝
320 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/12(水) 19:13
更新乙です。
そして飼育デビュー4周年おめでとうございます。
いや、懐かしいですね+。
確かこの時のんとぼんが初タンポポで、初ケメ子だったんですよね。
昔の話を別の視点で読めるのはなんか嬉しいですね。
これからも読み続けるんでがんばってください。
321 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/04/13(木) 00:46
飼育デビュー4周年おめでとうございます。
デュオヽ^∀^ノ( ´ Д `)
トリオヽ^∀^ノ( ´ Д `)( `.∀´)
カルテットヽ^∀^ノ( ´ Д `)( `.∀´)川‘.▽‘)||
クインテットヽ^∀^ノ( ´ Д `)( `.∀´)川‘.▽‘)||(0^〜^0)
ダブルユー(‘ д‘ )( ´D`)

いい顔ぶれですよね。これからもがんばってくらさい。梨華ちゃん妄想でイケるなんて幸せやねえ。
322 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/04/13(木) 04:16
更新お疲れ様です

4周年ですか
梨華ちゃんの妄想能力
凄い

・ω・<ごまさん‥え〜どこまでもついてゆく所存です
( `.∀´)<保田大明神よりしぶといわよこの馬鹿

次回更新お待ちしております
323 名前:ピクシー 投稿日:2006/04/13(木) 10:57
更新お疲れ様です。

4周年おめでとうございます。
そして、同時によしざーさん誕生日おめでとうございます。

早いですねぇ・・・もう4周年ですか。
よしざーさんもまだ高校生で、6・7期もいなかった頃ですねぇ。
ごとーさんもまだ娘。にいました。
あの頃は、まさかよしざーさんがフットサルするとは思いませんでした。

自分も年を取り、引っ越しも2回しました。
でも、この物語中では、ようやく1年。
このマターリと進む時間が良いですね。
これからも、ベース弾きワールドを楽しませていただきます。

次回更新も楽しみに待ってます。
324 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/04/19(水) 12:54
今日はレスのお礼からです。

>320の名無飼育さん

( ‘ д‘ )<ウチら初ケメ子は中澤家でスキヤキ食った時やねん

( ´D`)<きょうふのひとときれしたね

(+`.∀´)<うっさいよ!

ありがとうございます。これからもよろしくおながいします。
なんか書いてて懐かしかったです(笑)。そうです、ぼんのんは初タンポポでした。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(;´ Д `)<梨華ちゃん…イッチャってたねえ

( `.∀´)<グフフ、それこそ幸せそうにね!

( *>▽<)ノシ<やだもう!

ありがとうございます。いしかーさんは幸せ者です(笑)。
始めた頃はまさかオールプッチバンドになるとは思いもよりませんでした。


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( *^▽^)<も、妄想なんて… ←言うてるそばから妄想

( `.∀´)<ホホッ。ついてこれるならついてきてごらんなさい!

(〜^◇^)<いやいや、圭ちゃんについてくわけじゃないから

ありがとうございます。ついてきてください(笑)。
更新に気をとられハロモニ。の辻ツアーを見忘れたのは内緒です。
くっ…!


>ピクシーさん

(0^〜^0)ノシ<あーりがと〜!

( ´D`)<のんもズボンのボタンがポンってとんだ頃なのれす

( `.∀´)<中の人なんてもう33よッ!

ありがとうございます。いや、始めた頃はギリで20代だったのに(苦笑)。
マッタリしすぎてどうやねん、て感じですがどうぞ何かとひとつよろしくです。


んじゃ、>>309のつづきです。
325 名前:早春賦 投稿日:2006/04/19(水) 12:55
後藤が朝早く目を覚ますと、いつもとは違う香りに包まれて眠ってるとこに気づいた。
「ん、んあ」
この香りは…。
しばし考えて、
「…みっちゃん家にいたんじゃ」
頭を掻きながら、何で飯田の家にいるのか思いをめぐらせた。

「おはよー…」
「あ、ごっちん起きた?」
『ごっちん?』と一瞬思ったが、後藤は普通に「おはよ」と飯田に挨拶する。
飯田はエプロンをつけて朝食の支度中だった。
皿に盛られた、ふわふわのおいしそうなスクランブルエッグが目に入る。
「けーちゃんは…?」
「自分ちで支度中」
「ほお」
そんなことを言ってると、保田が
「おはよー」
とやって来た。
すでに仕事モードだ。
「圭ちゃん、コーヒー注いで」
「おおよ」
ふたりの様子を無言で見て、後藤は、
『なんか…ヤった翌朝の両親、ってカンジ』
との感想を抱く。
『ごとーはそのコドモ?イヤン』
勝手に照れて、後藤は保田の不審そうな視線もものともせず、
大きなマグで赤い顔を隠しつつコーヒーを飲んだ。
326 名前:早春賦 投稿日:2006/04/19(水) 12:55
中澤家では―――。

「おはよ…」
梨華が降りて行くと、裕子が
「おう、おはようさん」
いつものように、朝食の支度をしていた。
「え、えっと…」
「なんや」
「平家さん家に行ったんじゃ…」
「行ったで」
味噌汁の味見をしつつ、事も無げに答える。
「お見合いは…」
「断るつもりや。
義理でやっただけや」
「そ、そう…」
取り付く島もないくらい、裕子は黙々と支度する。

辻や加護も降りて来て、朝食となる。
吉澤は一番最後にぼさぼさの頭で現れた。
「エエ頭やね」
裕子は寝癖頭に苦笑する。
「ニューファッションです」
吉澤は納豆を頬張りつつ答える。
「梨華、何とかしたり」
「う、うん」
『なんとかって、どうすればいいいんだろ』と思いながらも梨華は頷く。
327 名前:早春賦 投稿日:2006/04/19(水) 12:56
梨華は自室で吉澤の寝癖をドライヤーを駆使して直してやる。
「ひとみちゃん、パツキンの根元、黒い…」
「それがジャパネスク・パツキン!オーイエー!」
吉澤は朝からテンション高かった。
彼女に髪をいじってもらってご機嫌なのだ。
「これでいいかな」
「おお、いっすいっす。
出先で会う人ごとに『梨華ちゃんに寝癖直してもらった』って自慢するよ」
「それはちょっと…」
一番に被害に遭うのは今日バイトだしなっちさんだろうな、と梨華は考えた。
「んじゃ、出かけてくるよ、ハニー」
梨華の頬にキスして、吉澤は上着を羽織った。
頬を押さえて、梨華は
「ん。行ってらっしゃい」
と負けじとキスし返した。
328 名前:早春賦 投稿日:2006/04/19(水) 12:56
その頃。

「めぐみー、ちょっとゴロゴロしてないであっち行ってよ」
柴田家では、姉・めぐみが居間でゴロゴロして掃除機をかけている母に嫌がられていた。
「手伝わないんなら部屋でおとなしくしてなさい」
「ういーっす」
ボリボリ頭をかき、自室へ向かう。

妹は留守で遊び相手がいないため、ベッドに寝っ転がってヒマをつぶす。
斉藤は月曜に無事退院したが、それ以降連絡がない。
彼女のことだから、入院してた間により溜まってしまった仕事を片付けるのに手一杯なのだろう。
その原因を作ってるのは自分だが。

彼女の肉体的、精神的疲労の元凶である事に苦悩しなくはないが。
ちょっとは連絡くらいくれてもいいのでは、と村田は思った。
大体、電話一本寄こさず勝手に退院してたし。

「これでは恋する乙女ではないか」
今更な独り言を言い、村田は鳴らない携帯を握り締めた。
329 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/04/19(水) 12:56
更新しました。
330 名前:ピクシー 投稿日:2006/04/20(木) 02:35
更新お疲れ様です。

よしざーさんテンション高いですねぇ。
なっちに自慢する姿が目に浮かびます。

なっちと言えば・・・
コ○・コー○のGAB○のCMやってますね。
自販機で見たら、150円もしてビックリしました。

次回更新も楽しみに待ってます。
331 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/04/20(木) 05:44
更新お疲れ様です

圭ちゃんとカオリの子‥
・ω・<‥想像つきませんが相当濃いんだろうな
(〜^◇^)<オメーの方が濃いいよ

‥ハロモニ俺も録画忘れてましたorz
次回更新待っております
332 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/04/21(金) 00:11
更新おつかれっす。
ひ〜ちゃんよかったね。
パツキンといえば、逆に染めてないのはミラクルさん以外に、さゆみんはずっと黒いアジアン・ビューティーだったと思います。
333 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/22(土) 00:05
更新乙です。
 そうかそうでしたね。ぼんとのんの初ケメ子はすき焼きのときでしたね。
ぼんがすねてて、ケメ子にたいしてノーリアクションだったんで印象薄かったです(笑)
 そう言えばバンド、オールプッチなんですよね。
 このさいだからまこをバンドに・・・って無理か(笑)
334 名前:早春賦 投稿日:2006/04/26(水) 09:46
―――朝比奈女子中学

今日は付属中学の3年生は登校日だった。
先日の卒業テストが返却される。
3年B組の岡村のクラスでも、ひとりひとり名前が呼ばれ答案用紙が渡された。

「さて」
全員に返却された後、岡村は教卓に両手をついて切り出す。
「みんな、中学最後のテストよく頑張った。
B組は全員そのまま付属高校に上がるから、特に悲しいお別れというものはないかもしれない。
しかしだな…」
『また長説教が始まったよ…』
生徒全員の顔がそういっていた。
道重は手鏡をしきりに覗き込み、前髪を直していた。
新垣は机の中でメールを打つ。
担任岡村はムダにアツイ為、長説教中に自分で泣き出すことがあった。
今日もそうで、後半部分は何を言っているか分からなかった。
「以上です。
先生からはそれだけです」
拍手がまばらに起こる。
新垣も一応手を叩いた。
335 名前:早春賦 投稿日:2006/04/26(水) 09:47
「さて、あとは。
嬉しいお知らせです」
「「え〜?なになに〜?」」
さっきとは打って変わってクラスが食いついてくる。
「知りたいか?」
岡村が教卓から身を乗り出してニヤッと笑う。
生徒がウンウンをわくわくして頷く。
「教えない」
「「―――エー!!!」」
クラス中から大ブーイング。
さすがの岡村も慌てた。
「わ、分かった分かった!
実はな」
コホン、と咳払いし、岡村はネクタイを締め直した。
「今年の卒業式で、ガキさんが卒業生代表で答辞を読む事になりました!」
「「やったー!」」
「え!ちょ!ま!え!?ウソ〜!?」
かなりの昭和風リアクション炸裂で、当の新垣は席でうろたえている。
「な、なんでなんであたし!?
ああいうのは、フツー首席のヒトとかが読むんでしょお!」
「でもガキさんが選ばれたんだからいいんでしょお!」
岡村が言い返す。
岡村の口調に、他の生徒はゲタゲタ笑う。
「そういうわけで、ガキさんは頑張って答辞を書いてきて本番でキメてください。
では、解散!」
336 名前:早春賦 投稿日:2006/04/26(水) 09:47
HRが終わった後、新垣は早速岡村の元にダッシュで
「あたしムリです!」
と訴えに行く。
「今更ムリですう〜。
もう昨日の学年会で決まっちゃったもんね!」
大人気なくやり返す岡村。
「そういうわけで原稿用紙渡すので2枚くらいにまとめてきて。
あ、2枚オーバーしてもいいから。ちょっとなら」
抜け目なく原稿用紙を手渡し、岡村は
『じゃ、ガキさん期待してるよ』
と満面の笑みで新垣の肩を叩いた。

「ガキさんすご〜い!」
いつの間にか亀井が来ていて、ニコニコして言った。
「はぁ」
新垣はさっきの岡村とのやりとりでどっと疲れ肩を落とした。
「ガキさんなら仕方ないの。
可愛さでは断然さゆだけど、人望はガキさんのが上なの。
その辺りは素直に認めるの」
道重も祝福ムードだった。
「というか、本来なら成績のいいアンタらが読むモンでしょうが」
新垣はふたりを見た。
「え〜」
「そうかなあ」
ふたりは顔を見合わせて首を傾げた。
「別にこの学校、卒業式は毎年首席の生徒って決まってないしねえ。
入学式の新入生代表挨拶は首席の生徒だけど」
「さゆもやったの」
「あ、そーだったねー」
ふたりは思い出話を語り、何だか楽しそうだ。
新垣は更にどっと疲れ、荷物をまとめて教室を出た。
337 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/04/26(水) 09:51
更新しました。
一応光男結婚オメ。
レスのお礼です。

>ピクシーさん

ヽ(0^〜^0)ノ<イエーイ!

(;・´ー`)<よっちゃんもうわかったべさ

(; ^▽^)<すみません、なっちさん…

さすがの安倍さんも引くくらいだったかた思われます。
GAB○は値段もさることながら「コーヒーにGAB○て…」て理由で手を出すのをためらっております。


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´ Д `)<きっとアレだよ、ふたりを足して2で割らないカンジだよ

(;`.∀´)<その前に生まれねーっつーの

川 *‘〜‘)||<(…圭ちゃんの子ども)

案外キャラの立たない、薄い子が生まれるかもしれません(笑)。親が濃すぎて。
ハロモニ、水曜放映ってのにまだ慣れませんよね。またもや撮り逃しました。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(0^〜^)ノ<うっす!よかったっす!

从*・ 。.・) <さゆは手を加える必要がないくらい可愛いからいいの

从;´ ヮ`)<……

ひーちゃんは大喜びだった模様です。
さゆは事務所から茶髪禁止令でも出てんのかと思うくらいずっと黒髪を通してますよね。


>333の名無飼育さん

(0^〜^)ノ∬∬´▽`)ノ川‘.▽‘)|| ノ<WOWOW!公園を歩きたい〜♪

作中ではムリなのでせめてAAで(笑)。
拗ねてはいたものの、心中「濃ゆいオバチャンやな」とは思ったようです。>ぼん
338 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/04/27(木) 00:01
こーしんお疲れさまです。
卒業式はガキさんが胴上げされそうな気がするのれす。
        ヽ(((;・e・)))ノ 
从*・ 。.・) ノ从*´ ヮ`)ノヽ(^ー^*川 <ワッショイ!ワッショイ!
まあ、ガキさんがんばって。あ!亀ちゃん超ひさぶりに登場!
339 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/04/27(木) 00:19
更新お疲れ様です

仕事から帰って
今日のハロモニみてアンニュイに過ごしてました

・ω・ <ガキさんのリアクションは
ドリフのお決まりリアクションくらい古びてますね
どんな答辞書いてくれるんでしょうか
( `◇´)<このアホ送辞と答辞の違いがいまいちわかってへんらしいわ

次回更新お待ちしております
340 名前:ピクシー 投稿日:2006/04/27(木) 05:56
更新お疲れ様です。

おぉ、ガキさんに大役が。
自分の経験では、生徒会長(≠首席)がやってました。

光男さんもついに。
そうなるといよいよ、なかざーさんが・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
341 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/02(火) 21:42
更新乙です。
 ガキさんがんば!
 そろそろ岡村先生の計画も発動するころでしょうか?
 やっぱりまこのバンド加入は無理ですよね〜(笑)
ってかまことこんこん・・・。
342 名前:早春賦 投稿日:2006/05/03(水) 13:23
その頃。

柴田妹は
「ただいまー」
とバイトから帰って来た。
この日は朝、ベーカリーショップを併設している、カフェのシフトを入れていた。
掛け持ちで色々バイトしているのだ。

「あらおかえりなさい。
お昼は?」
母は、居間で仕事をしていた。
「んー、まだ。
なんかある?」
「この前お土産でもらったラーメンセットがまだあるわよ。
それでよかったら食べなさい」
「うん。めぐみは?」
「お姉ちゃん」
「めぐちんは?」
「なんか部屋で寝てんじゃない?
静かだし」
「はあ」
柴田妹は姉の部屋へ急襲する。
姉は、ベッドでうつぶせになっていた。
しかも携帯を握り締めたまま、爆睡している。
「めーぐーみー!」
体を揺すって、名前を呼ぶ。
「めぐみ、朝よ。起・き・て(はあと)」
語尾にハートをつけて耳元で囁くと、姉は、
「ヒィ!」
という悲鳴を上げ、文字通り飛び上がるように起きた。
「キショイよ!」
髪の乱れを直し、姉は妹を
「あっちいけ!」
と腕を押して遠ざけた。
「なによー。
おねえがハラへってやしないかと心配で見に来たのにさー」
そうやりあってると、
「めぐみ!あゆみ!ちょっと来なさい!」
キッチンから、母の怒声が響いた。
姉妹は顔を見合わせ、
「…何かした?」
「オマエだろ?」
とまだ判明してない罪をなすり合う。
343 名前:早春賦 投稿日:2006/05/03(水) 13:24
「正直に言いなさい。
あなたたちのどっちがお母さんのどん兵衛食べたの?」
『どん兵衛かよ!』
キッチンで、姉妹は母に同時に心の中でツッコんだ。
「あたしじゃないし。
あたし、いまさっきバイトから帰って来たトコだし」
「あたしじゃありませーん。
あゆみ、正直に言えよ。
オマエだろ?」
「なんでー。
おねえこそ勝手に食ったんでしょー。
ホラ、弁償して買って来なさいよ」
「はあ?
ワケわかんね」
姉妹が言い合ってるうちに、母の堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減にしなさい!
あれは関西のお友達がわざわざ送ってくだすった関西のどん兵衛なのよ!
もういいわ。しばらくどっか行きなさい」
「「…はぁーい」」
姉妹は揃って返事し、家を出た。
344 名前:早春賦 投稿日:2006/05/03(水) 13:24
しょうがないので、姉妹で外食することにする。
外はとてもいい天気だった。
「おねえのせいだかんね」
「なんでよ。
あゆみが正直に言わないからっしょ」
「本当に食べてないもん!」
「あたしもだよ!」
言い合ってるうちに、
「「もしかして…父?」」
という考えが姉妹の中に生じる。
試しに、
『母のどん兵衛食べました?』
というメールを妹の携帯から父宛に送信する。
5分ほど経って、
『食べたよ。何かまずいことでも?』
と返事がやって来た。
『母、どん兵衛食われて猛烈に機嫌悪し。
帰りは気をつけたし』
と姉が素早く打って送信する。
返事は来なかった。
家に帰ってからのことを恐れてガクブルなのかもしれない。

「どん兵衛は帰りに買ってくとして、うちらはラーメンでも食い行く?」
姉の提案に、妹は笑顔で腕を組んできて賛同を示した。
345 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/05/03(水) 13:25
更新しました。

( 護摩)y-~~

( 護摩)y-~~<おまいら岡女の英語ボロクソ悪かったくせに語学留学に大学進学だと?

( 護摩)y-~~<英語できねーくせに100年早えーんだよ

( 護摩)y-~~<フッ。まあ、いい。自分の道をどこまでも行きな


レスのお礼です。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(;・e・)<今から不安でしょうがないのだ

从*` ヮ´)ノ<れいな、先頭切ってするっちゃ!

されるかどうかはともかく、物凄く賑やかな卒業式になることは確かです。
そうです、亀井は物凄く久しぶりにひっそり登場です(笑)。


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;・e・)<我輩もよく分かってないのだ

从*・ 。.・) <送辞は在校生、答辞はこの場合送辞に対しての答礼として卒業生が読むの

ガキさんのことだからきっとテンパった答辞になることと思われます。
なんつーか、ガキさんには上からタライが落ちてくるようなコントをやってほしいですね。


>ピクシーさん

川*^ー^)<絵里、ガキさんちょっと好きだから嬉しいの

从*・ 。.・) <噂では中学の生徒の中で一番人気だから決まったらしいの

そういや、そういうのって大抵生徒会長の役目ですよね。
私の大学では学籍番号が一番だからってので連れが選ばれてました。

>341の名無飼育さん

(;・e・)ノ<な、なにを頑張ればいいのかわからないが頑張るのだ!

从*・ 。.・) <ガキさんテンパりすぎなの

『オカムーランド・プロジェクト』(ネタとして非常に古いか)は着々と進行中です。
マコとこんこんは驚くというより、唖然としました。
346 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/05/04(木) 00:57
更新お疲れ様です

いつ見てもこの姉妹はアレですね
・ω・<今回こそママンのハイキック炸裂ですか?
( `◇´)<相変わらずどMですわ

さゆ‥ありがとうまた一つ違いのわかる男になれたよ
余談ですが
東京に転勤になった友人に送る中元歳暮はどん兵衛ワンケースです
友人談『東京のうどんは食えん』らしいです

次回更新お待ちしております

347 名前:ピクシー 投稿日:2006/05/04(木) 05:13
更新お疲れ様です。

姉妹仲良くお食事とはいいですね。
バイトたくさんやって、ライブ参戦費用を稼いでるわけですね。

どん兵衛が関東仕様と関西仕様があるのは有名ですよね。
自分は関東仕様しか食べた事ないです。
今度関西とかに旅に行ったら、コンビニとかでどん兵衛買ってみようかな?

次回更新も楽しみに待ってます。
348 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/05/04(木) 23:19
更新おつかれれす。
え〜おかあさん。どんべえを食べたのは姉でも妹でもないとしたら?
そ〜です。犯人は父です。
離婚だけはかんべんしてあげてください。
349 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/09(火) 22:23
更新乙です。
どん兵衛でそこまで切れる柴母に萌えです。
私は関西VERしか食べたことありませんがどう違うか気になります。
私は名古屋にすんでいるんですが、そう言えば関東VERと
関西VERの境界線はどのあたりなんでしょうね?
 次回更新も楽しみにしてます。
350 名前:早春賦 投稿日:2006/05/10(水) 09:46
―――朝比奈女子中学

新垣がごはんでも食べて帰ろうかなと学食に目をやってると、
「ガキさ〜ん!」
田中れいなが走ってやって来た。
「聞いたっちゃ、ガキさん卒業式で答辞読むと?」
「よっく知ってんね〜」
「れいな、在校生代表で送辞読むっちゃ!
ウチらふたりで頑張るっちゃ」
「お、おう」
つられて、返事してしまう。
「じゃ、れいなもう行くと」
「ああ、うん。
また」
手を振って見送って。
「…はぁ。
帰って書かないと」
締め切りの迫った作家のような顔で、新垣はとぼとぼと歩き出した。
351 名前:早春賦 投稿日:2006/05/10(水) 09:46

「あら」
田中が体育館の裏を通って自転車置き場への近道をしていると、本を抱えた道重さゆみに出くわした。
「ちっす」
田中は手短に挨拶し、さっさと通り過ぎようとする。
「れいなちゃん、送辞読むんだって?
頑張ってね」
「あーざっす」
「なんで体育会系なの?」
「そんなことないっす」
明日もテストがあるので、さっさと帰りたい。
帰ってすぐ勉強するわけではないが、できるだけ、この少女とは関わりたくない。
田中は一目散に歩き出した。
「感じ悪いの」
道重はぷっと頬を膨らませた。
「なんね、あんた?
小川さんに構ってもうとったらエエんじゃろ?」
「その言い方イヤなの。可愛くないの」
「別にかわいくなくてええけん。
じゃ、れいな帰るっちゃ」
「かわいくないと紺野さんに嫌われるかも〜」
道重は歌うように言った。
田中はムカっとする。
自分でも、怒っているのが分かった。
「カンケーなかと、あんたには」
「関係なくもないかも。
紺野さんは小川さんが好きだし」
フフッと、道重は笑う。
ちょっと上目遣いで、田中を見た。
小悪魔、という単語が田中の頭に浮かぶ。
352 名前:早春賦 投稿日:2006/05/10(水) 09:47
「紺野さんがれいなちゃんを好きになるようにアドバイスしてあげようか」
「またと?
もーええっちゃ!」
田中が脇に抱えてた鞄を右手で持ち直し、肩の後ろにやった。
うんざり、といった表情を浮かべる。
道重はこっち、と手招きするように視線を送り、顔を近づける。
田中は仕方なく、道重と一緒に体育館の入り口下の石段に腰掛けた。
「れいなちゃんは」
「なんね」
「キスしたことある?」
田中は開いた口が塞がらなかった。
「はぁ?
それとれ、れいなが紺野さん、好いとうことのどういう…」
「ないんだね」
「なんも言ってないっちゃ」
道重は一瞬、不思議な表情をした、と田中は思った。
桜色の唇が視界にやたらと入ると思ったら、ふんわりと柔らかいものが触れた。
それがキスだと理解するのに、かなり時間を要した。
353 名前:早春賦 投稿日:2006/05/10(水) 09:47
「…ちょ」
「ごちそうさまなの」
道重は自分の唇をぺろっと舐めた。
「…な」
「これで堂々と紺野さんに迫れるの」
田中は脳で今の出来事を懸命に整理しようとする。
しかし。
「…ん」
後頭部に自分のでない手が触れたと思ったら、また口元ににさっきの感触が。
道重は何度も角度を変え、もっと深く、口づけた。
田中はやっと我に返り、道重の肩を押して抵抗する。
「ふ…んん!」
更に、自分の太股に柔らかい手が伸びてきた。
キスされてることより、田中はそっちにぎょっとする。
「な、なにする…っちゃ」
やっと唇を離し、田中は息も絶え絶えに言葉を発す。
セーラーの襟元にさっきの柔らかい手が伸び、首筋をなぞられる。
ヒィッ!と首をすくめて短い悲鳴を上げる。
「色っぽくないの」
道重はつまんなさそうに言う。
「き、気色悪いっちゃ!」
「え?気持ちよくない?」
「キショイキショイ!」
田中は心底イヤそうに体をすくめる。
「でも、紺野さんと付き合うことになったらこういうことするの」
田中は、あ、という顔をする。
道重は一瞬、優しい目をした。
「だかられいなちゃん頑張るの」
「い、意味不明っちゃ!」
道重はくすくす笑ってもう一度田中の首筋を人差し指でなぞった。
354 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/05/10(水) 09:49
更新しました。

上級生に翻弄されるれいなの巻(違


レスのお礼です。

>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん


川;σ_σ|| <アレらしいよ

( Θ△Θ)<うむ、アレか

もうアレとしか言い様のないアレっぷりですよね(ニガワラ
東京のはまずおつゆにびっくりしますよね。あげもまあ、ゴツイことで。


>ピクシーさん

( ´D`)<かんさいのどんべーはこぶだしがきいてるのれす

( ‘ д‘ )<東京のは、カツオがきいてるよな〜

ライブ参戦費用のほか、一部学費なども稼いでるようです。
三重県の一部地域は聞いた話ではコンビニによって、関東・関西バージョン置いてる店が分かれるようです。
ローソン→関西バージョン、サークルKサンクス→関東バージョンとか。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(;父Θ△Θ)<離婚はされないでしょうが、ハイキックされる危険性が…

川+母σ_σ|| <んま〜、失礼しちゃう。夫を蹴るわけないじゃない!

古畑がいるな(笑)。
父は本当に悪気なく食べた模様です。きっと夜のお預けを食らう…ゲフンゲフン。


>349の名無飼育さん

( Θ△Θ)<うむ、流石あゆみの母

川;σ_σ|| /<その前にアンタのオカンだろ!

理不尽な母に萌えてくださってありがとうございます(笑)。
どん兵衛、一番の違いはおつゆですね。あとはきつねだとあげです。関東のはゴツめです。
個人的には東海とか信越あたりが境界線ではと思ってます。
355 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/11(木) 00:48
更新ありがとうございます。毎度楽しみに読ませてもらってます。
さて、尽きないどん兵衛論議ですが、自分は愛知県寄りの三重県ですが、ここら辺はで売ってるのは関西味のものです。
10年位前に関東味のどん兵衛を初めて食べた時、味の違いに物凄く驚いたおぼえが・・・。結局、どうしても食べ切れなかったです。
反対に東京生活15年の義弟は関東味しか受け付けなくなったと言ってました。実は今年のお正月の義弟夫婦帰省の折、我が家でアツく
どん兵衛論議が展開されてました。関東人の義妹は関西味、食べられないそうです。
356 名前:ピクシー 投稿日:2006/05/11(木) 05:07
更新お疲れ様です。

れいな、可愛がられてますねぇ。
しかし送辞がれいなで、答辞がガキさんとは・・・

どん兵衛情報どうもです。
まさに三重県とか旅先候補にあったので、良い情報いただきました。
カツオとコブの違いとはいえ、実際食べてみないと違和感がわからないでしょうね。

次回更新も楽しみに待ってます。
357 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/11(木) 09:38
どん兵衛というかうどんの関西関東は以前何かの番組で境目を探すという特集で
確か関ヶ原が境目とか言ってましたね

どん兵衛もそれにならってたよーな気がします
358 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/05/12(金) 00:46
こうしんおつかれっす。
さゆ、こちらこそ「ごちそうさまなの」。
さゆ小悪魔全開の巻き。おもしろかったれす。(違?)
359 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/05/13(土) 00:22
更新お疲れ様です

体育会系れいなに送られる締め切り前の作家ガキさん
・ω・ <‥なんか見てみたい

さゆの小悪魔化はそうとうですな〜

・ω・ <どん兵衛は関西風味以外認めません
( `◇´)<知らんがな

次回更新お待ちしております

360 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/16(火) 22:16
更新乙です。
さゆ!!!
好きな子意外にそんなことしちゃいけません!!!
性にたいして希薄すぎです!!!
な〜んて思う私はオサーンでしょうか?
次回更新も楽しみにしてます。
361 名前:早春賦 投稿日:2006/05/17(水) 19:25
柴田姉妹が家に戻ると、編集者の斉藤瞳が玄関のあがり口で仁王立ちして待っていた。
「―――ヒッ!」
姉・めぐみは思わず、悲鳴を上げてしまう。
「探したわよ〜、村田センセイ。
ドコ、ほっつき歩いてたんですか〜?」
目の奥底が笑っていない笑顔が怖い。
斉藤の背後から
「アラ、帰ったの」
と母が顔を覗かせる。
「ごめんなさいごめんなさい!
アノ原稿はギリギリで出しました!
許して許して!
残りは死ぬ気で終わらせます!」
柴田姉は土下座し、頭を下げまくる。
妹は唖然とし、引きまくる。
普段暴君な姉がここまで頭を下げる図というのを見慣れないせいもあった。
『ああ、やっぱカカア天下なんだなー』
妹はヘンなとこで納得する。
「なーんてね。
まだ余裕はあるからいいわよ。
いや、用事は例のカオリちゃんとヤスダさんのよ」
「ああ、アレね」
姉はポン、と手を叩いた。
「言われたとーり、例の日にあのホテル押さえたから。
感謝してよね」
サッとメモを出し、斉藤は手渡した。
「さっすが。
有能だねー。
ホレボレしちゃう」
『ん?ナニゲにノロけた?』
姉の様子に、妹は首を傾げる。
斉藤はそれには答えず、
「あのふたりの都合に合わせてるから。
さて、アタシから連絡しようか?」
「あ、あたしがするわ。
えーっと、社会人は働いてる時間か」
姉は飯田の携帯に電話をかける。
しかし、バイトなのか留守電にすぐ切り替わった。
「おや、留守電だ。
あー。もしもしー?
切るよ」
メッセージを聞いて、妹と斉藤はズッコける。
なんのための留守電だ。
ふたりは同時にツッコんだ。

『村田センセイからカオの携帯に留守電入ってたよ。
なんか、『あー、もしもしー。切るよ』だって。なんだろ?』
保田は飯田のメールを見て、首を傾げた。
362 名前:早春賦 投稿日:2006/05/17(水) 19:25
保田が家に帰ると、飯田がキッチンで夕食の支度をしていた。
昼間の意味不明のメールについて質問する。
「『切るよ』って言われてもねえ」
飯田に言われ、保田は
「そうだね」
と苦笑して返す。
支度を手伝ってふたりで夕食を摂ってると、今度は保田の携帯に村田から電話があった。
ちなみに村田用の着うたは『レインボーマンのテーマ』だった。
特に意味はない。
『あー。保田くんの携帯かね』
「はい、どうもご無沙汰しております」
保田は苦笑して挨拶する。
『いま、エッチ中?』
「してたら出ませんよ」
保田も負けてはいない。
勝ったところで何もないが。
『む、なかなかやりおる。
あ、ちょっとひとみん!携帯取り上げ…』
という声に続き、
『保田さん?
こんばんは、斉藤です』
にこやかな斉藤の声に引き継がれた。
『瞳ー!
あたしが話してるのにー』
『うるさい!アンタはマンガでも描いてなさい!
あ、ごめんなさいねー。うるさくして』
「い、いいえ」
保田は斉藤の声の大きさに圧倒されたが、
「ご用件はなんでしょう」
と切り出した。
『ええ、例のモデルの件だけどね。
この前メールしてもらった日に決まったから』
「あ、そうなんですか。
どうもありがとうございます」
『場所はー、パークハイアット!
愛し合うふたりのためにー、スイートを取りましたー』
村田が横から割り込んでるようで、斉藤にぱしっと叩かれているっぽい音が直後に聞こえた。
「そんな高いホテル、いいんですか?」
保田の言葉に、飯田も反応して近づいて来る。
『いいのいいの。
いざとなったらコイツの印税使っちまったらいいんだし』
『えー』
『うるさい!』
またゴン!という音が聞こえた。
『とにかく、詳しいことはまたメールをお送りいたします。
それでは、当日はよろしくお願いいたします』
「はい。こちらこそよろしくお願いいたします」
『いい?
ダイエットしようとか余計なコト考えちゃダメだよ?』
割り込みの村田の言葉に、
「あ、圭ちゃん最近ビール控えてます。
こっそり腹筋なんかしてるし」
とやっぱり割り込みの飯田が密告する。
『ナニ〜!?
いいか!1ミリでも乳を縮ませてみろ!
―――揉むぞ!』
今度は、バシン!ゴン!という、痛ましい音が響いた―――。
363 名前:早春賦 投稿日:2006/05/17(水) 19:26
『それでは、おやすみなさい』
斉藤のにこやかな声で締められた電話を切り、保田と飯田は村田の身を案じつつ携帯を切った。

「楽しみだね」
笑顔の飯田の言葉に、保田は
「ん〜」
と浮かない顔をする。
「楽しみじゃない?」
「なんか…アンタのハダカを見せるってのが」
「自分のハダカ見せるのはいいの?」
飯田が苦笑すると、
「まあ、アンタの見られるよりは」
と保田は言う。
「カオだって圭ちゃんのハダカ見られるのヤダよー」
「そう?」
「圭ちゃんの巨乳はカオのだもん」
「なんだかなー」
「だから、くれぐれもヘンに痩せないでね」
「乳だけかよ」
「いや、乳以外も。ケツも」
「ケツ言うな」
「ヒップ?」
「そうじゃなくてー」
保田は頭を抱え、
『さっきはゴメーン。
よいか、くれぐれも乳とケツをしぼませるでないぞ!』
という届いたばかりの村田メールにもげんなりした。
364 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/05/17(水) 19:28
更新しました。
どん兵衛スキスキ板はここでつか?(違

レスのお礼です。

>355の名無飼育さん

川 ´^`)<やっぱり大阪のうどんはホッとするわあ

(〜^◇^)<関東のだってウマイぜい!

レスから察するに初レスの方でしょうか。どうもありがとうございます。アツイ一家にどん兵衛を。っフ
私はどん兵衛関東バージョンは食べれたのですが、東京の立ち食いそばは半分以上残しそっと店を出ました(苦笑)。


>ピクシーさん

从*・ 。.・) <可愛がりがいがあるの

从;´ ヮ`)<……

可愛がられたというか、イジめられたというか(苦笑)。
コブだしの方があっさりですかねえ。ただ、ごま家は関西のクセにかなり濃い味付けの家庭なんですよ(苦笑)。


>357の名無飼育さん

( ´D`)ノ<のん、せきがはらでてんかをとるのれす

( ´д`)<もー家康がとっとるっちゅーねん

ああ、やっぱ分かれ目は関が原なんだ(笑)。情報ありがとうございます。
お礼にさゆからどん兵衛(関西バージョン)をどうぞ。从*・ 。.・) っフ


>ひ〜ちゃんエッグさん

从*・ 。.・) <どういたしましてなの

从;´ ヮ`)<れいなは全然面白くないっちゃ

天然でもなく確信犯小悪魔ですけどね(苦笑)。よりタチの悪い(苦笑)。
楽しんで頂けたのなら何よりです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从*・ 。.・) <小悪魔…悪くないの

ノシ(;・e・)ノシ<ウオー!我輩の答辞よりタイヘンなことになってるのだ!

ガキさんは多分見送られながらフラフラになって帰って行ったかと(笑)。
さゆは末恐ろしい娘なのです(苦笑)。自覚がある分、余計タチが悪いというか。


>360の名無飼育さん

从*・ 。.・) <好きうんぬんじゃないの、教育・指導なの

从;´ ヮ`)<…開いた口がふさがらんっちゃ

好きでもないのにこういうことをしでかすのがまたさゆというか(苦笑)。
かいつまんでいうと、確信犯ですね(苦笑)。
365 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/05/17(水) 21:49
更新お疲れ様です

・ω・<ビバ!!ムラメ!!!
( `◇´)<うっさい!!
斉藤さんの激しい突っ込み素敵です

レインボーマンって‥やっぱり愛の戦士ですか‥
( `.∀´)<バカがたま〜に仕事しながら死ね死ね団のうた口ずさんでるのよ

次回更新お待ちしております

366 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/05/17(水) 23:18
更新お疲れれす。
全員でムラタを取り押さえろ!
圭ちゃんの巨乳はカオのだもん。
梨華ちゃんの巨乳はひ〜ちゃんのだもん。
ぼんさんの巨乳はのののだもん。
最後がちょっと読みにくいかもしれません。
367 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/18(木) 00:32
(〜^◇^)<キャハハ、なっちの巨乳はおいらのだよっ

从*・ 。.・) <さゆの巨乳は小川さんのなの

从*・ 。.・) <そして紺野さんの巨乳はれいなちゃんのなの

从;´ ヮ`)<あんた何言うとると!

更新おつです。
むらさん最高です。
自分は間違い電話した留守電に「すいません間違えました」と入れたことはあります(苦笑)
次回も楽しみにしてます。
368 名前:ピクシー 投稿日:2006/05/18(木) 04:45
更新お疲れ様です。

村さんいいですねぇ。
カカア天下なのも、なんとなく想像つきます。

あまり人の留守電にメッセージは入れませんねぇ。
自分のにもあまり入ってないですけど(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
369 名前:早春賦 投稿日:2006/05/24(水) 19:34
翌日。

柴田あゆみは昨夜は恋人の大谷雅恵の家に行き、そのままお泊りした。
朝からベッドでいちゃらいちゃらして過ごす。

「春だねー」
「春だのー」
気候がよくなって、少し暖かさ過剰になってきた毛布を足元にずらし、ふたりはほぼ全裸で重なり合っていた。
「マーシーの乳も色づく季節となってまいりました」
「どんな季節だよ」
大谷はゲラゲラ笑って自分の上にいる柴田の髪を指で梳いてやる。
「マサオー」
「んー」
「あったかくなったし、どっかおでかけしようよ」
「ああ、そうだね」
大谷はここで何故か間を置いて寂しそうに笑った。
すかさずそこに気付き、柴田は
「なに?おでかけイヤ?」
と体を起こす。
「いや、そんなんじゃなくて…」
「なんか隠し事してる?」
「いや、その、別に」
「マサオって隠し事するといつもにもまして噛むんだよ。知ってる?」
ふたりは起き上がって、ベッドサイドに腰掛けて向き合う。
「何でも言って。女でもできたの?」
「違う。それに隠し事なんて何一つしてない」
大谷はまっすぐ柴田を見る。
この目が好きになったんだな、と柴田は出会った頃を思い出した。
「じゃ、なんで…」
「機会を見て、話すから…」
柴田は黙った。
「帰る」
立ち上がって、床に落ちていたシャツを拾い上げ腕を通す。
大谷は止めなかった。
『なんか言え。ばか』
柴田は身支度を整え、家を出る。
ドアを閉め、アパートの階段を音を立てて降りていく。
370 名前:早春賦 投稿日:2006/05/24(水) 19:34
「あゆみ!」
階段を降り切ったところで、大谷が全裸に毛布を巻きつけた状態で家から飛び出してくる。
柴田は流石にぎょっとして
「ば、ばか!」
と階段下から叫ぶ。
「あたしの好きなのはあゆみだから!」
「わ、分かった!てか、なんでそのカッコ…!
服くらい着なさいよ!」
「だって、急がないとあゆみが行っちゃうし…」
「もう!」
柴田は階段を駆け上がって行く。

ふたりは家に入り、大谷はとりあえず服を着た。
柴田は黙って、腕を組んで立っていた。
「あゆみ」
返事をせず、顔だけ上げる。
「あの、ごめん」
「別に。
あたしも大人げなかった。ちょっとムッてきて」
「いや、あたしが悪…」
大谷が全部言い切らないうちに、柴田は胸倉を掴み、
「どうしてそうなの!」
と責める。
「え、ええ?」
「原因はあたしにもあるのよ!」
「そ、そうか…な?」
どうしてコイツはこうなんだろ、そこに惚れたんだけど、これで世の中渡っていけんのかな、
様々な考えが柴田の頭をめぐる。
「とりあえず、今日のところは帰る」
「う、うん」
「じゃ、またね」
今度は静かに部屋を出た。
アパートの裏を回って、柴田は大谷の部屋の窓を見上げる。
「あゆみ!」
窓から、大谷が叫ぶ。
「アタシが一番好きなのは、あゆみだから!」
柴田は何も答えなかった。

『知ってるよ、ばか』

小石を蹴りながら、駅へ向かった。
371 名前:早春賦 投稿日:2006/05/24(水) 19:35

―――朝比奈女子中学

田中れいなはテストを終え、答案を集めてる時、
「れいな、どしたん?
具合でも悪いん?」
と隣の席の生徒に話しかけられた。
「何でもなかと」
言葉少なに答え、少し俯く。
「まあ、今日でテスト終わりだし、家でゆっくり休んだら?」
「うん、ありがと」
そっと自分の唇に指で触れる。
昨日の甘い感触を指で反芻し、カッとなり途中でごしごし拳で擦った。


その頃。付属高校では―――

「待っていたぞお前たち!」
帰ろうとした辻加護たちの前に、付属中学3年B組担任の岡村が立ちはだかった。
「うっわ!なんやの、今から楽しいホリデーやっちゅうのに!」
加護は背の低い岡村の前で背伸びし、
「ラクラク向こうの景色見えるワ」
とかなり失礼なことを言う。
「加護ー!」
案の定、彼は怒った。
「加護さん、失礼ですよ」
一緒にいた紺野がそっと窘める。
「失礼言うなー!紺野!失礼って言うお前も失礼だー!」
「す、すみません」
岡村の剣幕に、紺野はたじろいだ。
「で、なんですのん。
ウチら、これから原宿なと繰り出そうと…」
「は、原宿!!」
加護が言い切らないうちに、岡村は目をカッと見開く。
傍目には、ヘン顔をしてるオッサンだった。
「原宿が何か?」
紺野が首を傾げると、
「のんたち、クレープ食べに行くんれす〜♪」
辻が楽しそうに続ける。
「原宿でクレープってお前らいつの時代の修学旅行生だ!」
『『『ソコかよ!』』』
3人は同時に心の中でツッコんだ。
「とにかく許さん!
今日から『卒業生を送る会』の練習って決まった!」
「「え〜」」
辻加護はブーブー言う。
紺野は言葉に出していないが、ちょっと唇を尖らした。
「とにかく来い!
来ないとお前ら全員留年だ!」
「「「マジで!?」」」
今度は、紺野も言葉に出した。
372 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/05/24(水) 19:39
川o・3・) 唇を尖らした紺野さんの図。

更新しました。

レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ‐ Δ‐)<ひとみんは※ミスロリータに似てるお

ξξ “ З.“)<似てねーっての

保田さんもあまりのムラさんのキャラの濃さについレインボーマンを充てたようです。
死ね死ね団キター!!(爆・AA略)。世界の地図から消しちまえ(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ‐ Δ‐)<ま、世界中の美女の乳はムラタめのものだから

ξξ “ З.“)<ほうお、大きく出たじゃない

取り押さえても懲りないのでムリです。>ムラタ
『ののの』って確かに言いにくいですね(ニガワラ 噛むし。


>367の名無飼育さん

从*´ ヮ`)<きょ、巨乳…

从*・ 。.・) ∩<このへんにれいなちゃんの妄想が広がってるの

ムラさんは今日も飛ばしてます(ニガワラ 乳乳言うてますし。
私は留守電だったらまず切ります、照れ屋なので(ニガワラ


>ピクシーさん

( ‐ Δ‐)<ひとみんのケツはデカイからなかなか尻に敷かれるのも…

ξξ “ З.“)<ハ〜イ、その続きは?(目が笑ってない完璧な笑顔)

この組み合わせだと必然的に斉藤さんのカカア天下ですね(ニガワラ
電話で喋るのが嫌いなので、電話自体滅多に私は掛けません。


※ミス・ロリータ

実写版「レインボーマン」に出てきた敵方の女幹部の名。
のちにサイボーグとなる。斉藤さんとは似ても似つきません。
373 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/05/24(水) 23:27
( ‐ Δ‐)<や〜い、ば〜か、ば〜か!
と、博士が助手をイジる。に千円。
川o・3・) 唇を尖らした紺野さんの図を、れいなはキスを迫る図と勘違いする。に三千円。
こうしんおつかれさんれす。
374 名前:ピクシー 投稿日:2006/05/25(木) 04:13
更新お疲れ様です。

忘れそうになる頃にやってくる岡村先生の企み。
ぼんさん達、応援団に続いての面倒事(?)ですね。

自分も電話嫌いです。
少なくとも携帯に知らない番号からきたら、原則無視しますし。
重要な事なら伝言に入れといてくれるはず、という考えで。

次回更新も楽しみに待ってます。
375 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/05/25(木) 23:58
更新お疲れ様です

・ω・ <マサオ〜!!!!!
無性に叫びたくなりました
( `.∀´)<うっさい!!

岡村先生企画はとにかく生徒を巻き込んでますね〜

死ね死ね団の歌は放送禁止用語満載ですな
ミスロリータ斉藤さん‥無きにしも非ずって感じですね

次回更新お待ちしてます

376 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/28(日) 21:06
たまにはバンド演奏聞きたひ・・・・ボソ
377 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/30(火) 23:07
久しぶりにののさんのいんちきロックが聞きたひ・・・・ボソ
378 名前:sage 投稿日:2006/05/30(火) 23:22
おがこんの恋の行方が気になりまふ・・・
379 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/30(火) 23:24
↑すみません
間違えてアゲちゃいました・・・ごめんなさい
380 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/30(火) 23:27
381 名前:早春賦 投稿日:2006/05/31(水) 14:44
「れいなー」
田中れいなは帰ろうとしたところを、同級生に声をかけられる。
「なん?」
「岡村先生が探してたよー。『田中、出て来い!』ってなんか図書館でバラバラ本のページめくってた」
「…帰るっちゃ」
鞄を抱え直し、田中はコソコソ歩き出す。
「見つけたの」
「―――ゲッ!」
そこへ現れた道重さゆみ。
「『卒業生を送る会』の練習に参加するの」
「イ、イヤや!
なんでテスト終わったばっかやのに!」
「なんでもいいから来るの」
道重に手首を掴まれ、田中はムリヤリ連れて行かれた。

382 名前:早春賦 投稿日:2006/05/31(水) 14:44
「その前にちょっと話があるの」
学校の裏に連れて行かれ、田中は急に話を切り出される。
「なん?」
昨日のことだろうか、と田中は考える。
「さゆとは普通に接してほしいの」
ビンゴ。
田中は特に感慨もなく、相手の次の言葉を待った。
「別に。
あんたがおかしいだけっちゃ」
「今朝すれ違った時無視したの」
「は?」
田中はぽかんとする。
記憶を手繰り、そういや、友達と歩いてる時道重らしき姿を見かけたような気がする、と思い返す。
「気付かんかっただけや。
無視したんは悪かった」
「怒ってるの?」
道重が何の表情もなく言った。
田中は訳もなくカッとする。
「お、怒るに決まっとうが!
勝手に、キ、キスばしおって!」
「ハラが立つなら仕返しすればいいじゃない」
「はぁ!?」
「ホラ、仕返ししなさいよ」
道重がぐいっと前に出る。
彼女とは随分身長差がある。
小柄な田中は、それだけで気圧されそうになる。
『負けるか!』
道重の二の腕あたりを掴み、唇を合わせた。
精一杯の攻撃だった。
「キスは…こうするの」
コドモなの、と付け足し、道重は田中の唇に緩く自分のを滑らせる。
田中は攻撃モードなので、乱雑にただ遮二無二唇をぶつけてくる。
「ん…」
昨日と同じように、田中の小さな頭を手で支えてやる。
田中は真っ赤な顔で唇の甘さに耐えている。
383 名前:早春賦 投稿日:2006/05/31(水) 14:45
「…信じられんっちゃ」
唇が離れたあと、自分のを涙目で拭い、田中は呟いた。
恥ずかしさと悔しさで更に真っ赤になる。
「あんた、ドコでこんなコト覚えたと?」
「別にいいじゃない、ドコだって」
つまらなさそうに、道重は答えた。
「恋人、おるん?」
「今はいない」
「誰?」
「多分、れいなちゃんが知らない人」
「誰や?」
「知りたがりなの」
道重は苦笑し、
「さゆの、2年先輩だった人」
とだけ言った。
「お、同じ学校?」
「そうだよ。
寮で一緒だったの」
「え?
てか、今もこの学校におると?」
「今は家族ごと海外に住んでる。
中学出たら、この学園を出て行っちゃった」
『自動的に失恋?』
そう言って、道重は足元の小石を蹴った。
「なん、ソレ?
あ、遊ばれたとか?」
「失礼なの。
ちゃんと本気で恋愛したの」
「それに同じ寮の先輩って…」
「その先輩に気に入られて、よくしてもらったの」
『よくしてもらった』のくだりに、田中は食い付く。
「よ、よく…!」
「この寮では昔からよくあることだよ。
上級生と下級生が仲良くなって、自然に恋仲になって。
よくある話なの」
田中の脳内では、下級生が上級生の部屋に呼び出され、とても文字にはできないようなことを教わる光景が流れる。
「れいなちゃんのえっち」
ズバリ指摘され、田中は真っ赤な顔でぶんぶん首を振る。
「恋に上級生も下級生もないの。
さゆは、単にあの人と同じトコに立ちたかっただけだよ」
「どういうことと?」
「れいなちゃんにも、いつか分かるの」
フッと、道重が微笑んだ。
それは今まで見たことがないくらい、大人びた微笑だった。
384 名前:早春賦 投稿日:2006/05/31(水) 14:45
「さ、早く行くの」
さっさと道重が歩き出そうとするのを見て、
「ちょっと待つと!」
田中は我に返り、怒鳴った。
「なに?
早く行かないと遅れるの」
「どうゆうことや!
何で二度もキスすると!?」
「2回目はれいなちゃんからなの」
指摘され、ウッと田中は詰まる。
「まあ、挑発したのはさゆだけどね」
「自分で分かってるんやったら…!」
「もーうるさいなー。行くよ」
唇で蓋をして黙らせ、道重はすたすた歩き出した。
「コ、コラー!待つと!!」
「早く来るの」
田中はまた唇を拭い、ダッシュした。


385 名前:早春賦 投稿日:2006/05/31(水) 14:46
「全員しゅうごうー。
集まったな」
体育館での各生徒の顔を見て、付属中学3年B組担任・岡村は満足そうに頷く。
楽しそうな岡村とは裏腹に、生徒は全員むすっとしていた。
「なんだお前たち。
楽しくないのか?」
「意味わかんないしー」
小川は制服のスカートで体育座り、という格好で更に背を少し丸め、
自分の体育館シューズの爪先をいじって文句を言う。
「そうですよ…今日から、いえ、今日でテストは終わりなのに」
対照的に足を横に少し曲げた女の子座りで、紺野はおっとり答える。
「甘い!甘いぞお前ら!」
「「「えー」」」
全員のブーイングもなんのその、ひとりジャージ姿(緑で白のサイドラインつき)で
大張り切りな岡村はホワイトボードを引っ張って来て、
「では今からダンスのフォーメーションの説明を始める!」
と胸を張った。
「てか、あのジャージ、ヤバくね?」
小川が横の紺野に意見を求めると、昭和のドラマやマンガよろしく、
小川の所にチョークが飛んだ。ホワイトボードなのに。
「ちょ!ぶつかるって!」
反射神経のいい小川は、とっさに避けた。
チョークは遥か後方まで飛び、落下した箇所に白い跡を残した。
「ムダ口を叩くな!
このジャージは先生の血と汗と涙の結晶でできとるんだ!」
「キタネー」
懲りずに言い、小川はまたもやチョーク投げをお見舞いされた。
386 名前:早春賦 投稿日:2006/05/31(水) 14:47
チームリーダーを岡村から発表され、任命された加護は
「…イヤすぎる」
とげんなり呟いた。
「それでは今度の練習は明日の昼2時からここだ!
今度は全員ジャージ持参だ!遅れるなよ!」
一方的に解散を言い渡され、全員ノロノロ立ち上がる。
岡村は、
「あ、加護。
チームリーダーとして全員のまとめ役をしっかりやるように。頼んだぞ」
「あーい」
「返事は『ハイ!』だ!」
「ハイ!軍曹殿!!」
ヤケクソで、加護は敬礼つきで答えた。
岡村は案外気をよくし、また満足そうに出て行った。
「てか、マジでワケわからんしー。
あ、そや。シゲさん」
「はいなの」
「…田中はんが後ろでガンたれてはりますけどー」
加護は冷や汗をたらしつつ報告する。
「気にしなくていいの」
「いや、気になるし」
「そう?
れいなちゃーん」
道重が笑顔で振り向くと、田中はプイッとそっぽを向いた。
「コレはアレやろかいね。
いま流行りの『ツンデレ』ってヤツかいね」
「いまどき『ツンデレ』なんて流行んないの。
れいなちゃんは時代遅れなの」
道重はわざと田中の方を見ずに言う。
加護があわわ、となってると、田中はふたりに一瞥をくれただけで、
そのまま出て行った。
「絵里、帰ろ?」
「うん、ちょっと待って」
道重は亀井を誘って帰って行く。
「あいぼーん。
帰りにでっかいパフェ食べるれす〜」
「…ホンマに食うことばっかやね、キミは」
『前途多難』
加護は、はあっと溜息をついた。
387 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/05/31(水) 14:48
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

知らない!>川σ_σ+|| (`_´;)オオロオロ

イジるというか、イジメられるというかね(苦笑)。紺野さん、そのAAだとイマイチ色気が(略)。
しかし左向きだと難しい柴田顔文字よ。


>ピクシーさん

(;〜^◇^)<なんかヤな予感

(;^▽^)<ですよね

上記のふたりにも忍び寄る岡村先生の企みの影。
ぼんさんはなんだかんだでマジメなのでイヤイヤながらも参加して仕切るかと(苦笑)。 


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`_´)<な、なんでしょう

( ‐ Δ‐)<律儀に返事してるお

岡村先生企画は巻き込まれなくても巻き込まれるモンなんです(苦笑)。
レインボーマン実写版自体が放送禁(略)。女幹部のひとりが塩沢ときだったなんて知りませんよ(棒。


>376の名無飼育さん

>たまにはバンド演奏聞きたひ・・・・ボソ

( ´ Д `)<だってさ。どーすんの?

(;護摩)<す、すんません。そのうち…

そのうちっていつやねん、ってハナシですが(苦笑)。
本当にすみません、今しばらくお待ちください(汗)


>377の名無飼育さん

>久しぶりにののさんのいんちきロックが聞きたひ・・・・ボソ

( ´д`)<やとさ

( ´D`)ノ<のんのあつい、そうるふるなたましいをこめてうたうのれす!
       きょくは『おれはジャイアンさまだ!』

あ、『おれはジャイアン』だとロックじゃない(汗。
いんちきロックワロタ。また辻さんに歌っていただきます。


>378さん

川;o・-・)<わ、わたくしも大変気になるところであります

(;^▽^)<紺野ちゃんも大変だね

作者も気になるところです(ヲイ)。
お待たせしております、しばしお待ちください。ageたことはどうぞお気になさらず。


>380の名無飼育さん

( `.∀´)<まあ、さりげない方ね。本文ナシなんて恥ずかしがり屋!(はあと

(;〜^◇^)<圭ちゃんキモイから

お気遣いありがとうございます。
388 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/06/01(木) 00:52
こうしんおつれす。
れいなちゃん、さゆのワナにはまっちゃったの。
まあそれはさておき、でっかいパフェを食いに行くのに、もちろんコンさんもいきますよね?
389 名前:ピクシー 投稿日:2006/06/01(木) 02:58
更新お疲れ様です。

やはりぼんさんに面倒事が(苦笑)
ヤグ&いしかーさんの役割も気になる所。
さゆれなの今後にも注目・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
390 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/06/01(木) 22:32
更新お疲れ様です

アイボンが冷汗たらす
れいなのガンはおもいっきり怖そうですね
( `.∀´)<このバカガンたれて歩いて
       ヤクザにぶん殴られてたわよ

今テレビ見てたらののが餡子食ってました
こっちのののさんも甘いものには目がなさそうですね〜

次回更新お待ちしております
391 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/06(火) 15:50
今時流行んない『ツンデレ』が分んない自分は・・・(汗)
392 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/07(水) 13:55
重さんの返事「はいなの」っていいね。なんか好き
ね、重さん
393 名前:早春賦 投稿日:2006/06/21(水) 10:09
加護たちは体育館から引き上げるとダラダラと学食へ行き、
ぐだぐだとポテチなどをつまみながら愚痴りだした。
「マジでワケわからんしー。
てか、イマドキあのジャージて」
加護はやはり岡村の時代錯誤な、ある意味ファッショナブルな
白いサイドライン入りジャージ(緑)について触れた。
「ヤバイよな」
小川も頷いた。
「キャハハ、絵里もあんなジャージ着ようかなー」
「絵里、フツーに持ってそうなの」
とゲラゲラ笑いながら先程亀井と道重は帰って行った。
紺野はある生徒の顔をチラチラ見つつ、もじもじしていた。
「あ、あの」
やがて控えめに切り出す。
「なに?」
加護と小川が顔を上げる。
小川はポテチを口につまみながらだったので、声は出さなかった。
ワンテンポ遅れて田中がハッと顔を上げる。
「あ、あの、小川さん」
「ん?」
「来週とか…お暇ですか」
「うん。別になんも用事ねーけど」
「その…わ、わたくしの幼馴染が今度東京に来るんですね」
「うん」
「い、一緒に宝塚を観に行こうと言ってくれてるんですが。
チケットが3枚あるそうなんで」
「へえ、オモロそうだな」
小川の反応は意外だった。
加護がチラリと視線を走らせる。
「でも、いいのか?
ほか、トモダチとか誘えば…」
「みんな『宝塚』で引いてしまって…」
紺野が寂しそうに笑う。
辻は横でははは、と苦笑した。
小川はふむ、と自分の顎を少し撫でた。
「いいよ、行こう。
せっかく、誘ってくれたんだしな」
「は、はい!」
紺野は天にも昇りそうな気持ちになる。
頬を紅潮させ、
「で、そ、それで。日にちですが」
と自分の鞄からスケジュールブックを取り出してめくる。
「おう。いつよ?」
小川も自分の携帯を制服のポケットから取り出す。
田中は冷めた気持ちで、その様子を見ていた。
394 名前:早春賦 投稿日:2006/06/21(水) 10:13
細胞の隅々まで、苛立つことがある。

田中れいなは、やり場のない気持ちを持て余しながら渋谷の雑踏へ出て行った。
紺野は自分を誘ってくれなかった。
それだけならともかく。
小川があっさり誘いに乗ったのも気に食わない。

こめかみが痛む。
頭の芯まで、ズキズキする。
田中は鞄から痛み止めの錠剤を取り出し、駅の売店で買ったジュースで飲み下した。


月のものが近いのだろうか。
朝から何だかちょっとしたことで苛々する。
何かバランスが崩れてるような、不安定なものを抱え、田中は歩いて行く。


自分の容量では収まりきれないことばかり起こる。
学食をこっそり出て、自転車を学校に置き去りにし、ひとり電車に乗った。
道重、小川、紺野。
道重、紺野。
道重。
そこまで考えて、眉間に皺を寄せる。
甘すぎるキス。
復讐のつもりの、より甘いキス。
分かりかねる思惑。
思い人に見せる、あの子の楽しそうな、幸せそうな口端。

自分の小さい頭では、破裂しそうだった。
395 名前:早春賦 投稿日:2006/06/21(水) 10:15
雑踏の中、ギターと歌声が聞こえてきた。
よくいるストリートミュージシャンだろうか。
故里の福岡にもいた。

田中は小さい頃、母に連れられてデパートに行った帰り、
街頭でギターの弾き語りをする男を見た。
純粋にいい歌だ、と思い、ハーフパンツのポケットからごそごそ
なけなしの小遣いを取り出し、男に差し出した。
男は苦笑いし、母も『しまいなさい』と苦笑いした。
あの人はただ好きでやっていて、お金が欲しいというのではない、と
母が後で教えてくれた。
そんなことを思い出し、ぼーっと演奏に聴き入った。


弾いてるのは20代はじめくらいの一見性別の分からない、
金髪の小柄な人物だった。
田中はギターのことは分からないが、高そうなギターだということは分かった。
そして、並のテクニックではないということも。
「いよう、お嬢ちゃん」
いきなり声を掛けられて、ハッと我に返る。
ギタリストは、ピックを弦に挟み、ストラップを肩から抜いた。
「どうしたい、シケたツラして。
可愛いカオが台無しだよ」
割に小奇麗な顔を崩し、ニヤニヤ笑った。
女だったっちゃか、田中は謎が解けた気がした。
「ん?
恋の悩みかな?
おじちゃんが聞いてあげようか?」
「いいっちゃ」
田中はそっけなく答えた。
「そんなキミに歌を捧げよう。
こんな夜にはピッタリだ」
再びギターを抱え直し、歌い出す。
396 名前:早春賦 投稿日:2006/06/21(水) 10:19
聴かせてくれた曲は、田中も聴いたことがあった。
その曲の歌い手は自分と同じ九州の出身で、田中の父もたまに歌っていた。

「私の恋はいつも
巡り巡って ふりだしよ
いつまでたっても恋の矢は
あなたの胸には
ささらない」

不思議な声だった。
格段いい声でもなく、特別上手いわけでもない。
それでも、不思議と耳に残る。
田中も小さな声で呟くように歌った。

気がついたら、自分の周りに人だかりができていた。
田中はちょっとギョッとし、立ち去ろうかどうか考える。
ギタリストは道べたに腰を下ろし、自分をニヤニヤ見上げた。
「あ、ありがとうっちゃ。
えーっと…お礼いるっちゃか?」
「いえいえお礼なんて」
大仰に芝居がかった仕草で手を振ってみせる。
「ラーメンでも食い行く?
ふるさとの味には負けるだろうけどね」
「?」
「九州の子だろ?」
「う、うん」
よっしゃ、決まり、とそのギタリストが自分の膝を叩いて腰を上げると、
田中のそばの人だかりから、足音もなく誰か割って入ってきた。
「およ」
ギタリストが顔を上げた。
「何してんのさ」
その割って入ってきた女性は恐ろしく綺麗で、恐ろしく眠そうだった。
いや、ギタリストに物凄くガンをたれてるのだが、どこか眠そうなのは
タレ目のせいかも、と傍観者と化した田中はこっそり考えた。
「中学生相手にナンパ?」
「ナンパなんてそんな。
ただ渋谷をこんな時間までうろつく悩み多き少女のためにだなー、
励ましに歌をだな」
「朝比奈のコ?」
女性は一切ギタリストの言い訳を聞かず、田中にちょっと視線をやった。
「は、はい。
わかるっちゃか?」
「トモダチ通ってるし。
確かにチューガクセーが渋谷にいる時間じゃないね。
駅まで送るよ」
女性の申し出に、田中はちょっと俯く。
「まっすぐ家に帰りたくない年頃なんだよ」
ギタリストの意見に、女性はキッと睨みつける。
「ま、ま。ラーメンでも食い行こうぜ」
ギタリストはヘラリと笑った。
397 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/06/21(水) 10:23
更新しました。

風邪で高熱→こじらして持病の気管支炎悪化→咳き込みすぎて肋骨に微妙にヒビ→マズー(AA略

という過程を経て、しばらく仕事以外でパソコン触るのを控えてますた。申し訳。


从#~∀~从<実は黙ってたけどな、ウチがホンマは19やねん

( ´D`)<のんが33さいなんれすよ

奇跡の三十路裕子と奇跡の19のんさん、誕生日おめ。


レスのお礼です。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川o・-・)<当然メンバーに入ってますよね?

特に誘わなくとも普通にメンバーに入っていそうです。


>ピクシーさん

(;‘ д‘ )<ホンマにかなわんわあ

なんでしょう、面倒を背負う体質なんですかね(苦笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´D`)<あんこはすすってナンボれす

のんさん、袋ごといってましたね(苦笑)。もう本物は19なのに。


>391の名無飼育さん

>ツンデレ

川o・-・)<普段はツンケンしてるのに、ふたりきりになるとデレデレする女子のことをさすそうです

ハロプロだとちょうどれいなが該当しますかね。


>392の名無飼育さん

从*・ 。.・)<そうなの、さゆはみんなに愛されるの

作ってるんかどうか微妙なキャラですが、書いててシゲさんは楽しいです(笑)。
398 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/21(水) 22:27
更新乙です。
しばらく更新がなかったので心配しておりました。
もうお体、大丈夫ですか?ご自愛なさってくださいね。
れいな・・・がんばれ!

こんこん、ツンデレの解説ありがとう。なるほどあとハロプロだとよっすぃーもそんな感じでしょうか?
ちょっとちがうかな?
次回も楽しみにしてます。


399 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/06/21(水) 23:01
更新お疲れ様です

とにかくご無事で何より
体調だけは気をつけてください

俺も昔れいなと同じ事してママンにぶん殴られました
( `.∀´)<とにかく馬鹿なのよコレ

あと一言
・ω・<長渕サイコー

次回更新お待ちしております

400 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/06/21(水) 23:49
やった400GET
更新おつれす。
いち〜ちゃん、中学生はさすがにマズいんじゃあ?
ごと〜さん、最近すっごいキレイれす。
401 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/06/21(水) 23:49
アネゴ、更新お疲れ様です。

あと遅れましたが・・・本当に本当に遅れましたがリクありがとうございました。
本当に遅れてすいません。
本当にすいません。
お詫びといってはなんですが、道重さんの手作りお弁当食べます。
それで勘弁してください・・・

さて・・・
朝比奈とバンドのつながりが深まってきましたな。
そうしてドンドン圭ちゃんというくもの巣に絡めとられる犠牲者が増えるんですね・・・(爆

次の更新も待ってます。
お身体に気をつけて・・・
402 名前:ピクシー 投稿日:2006/06/22(木) 04:14
更新お疲れ様です。

こんまこも一歩前進?
でも、れいなの胸中は複雑ですね。

お身体お大事にです。
そういえば、ちょっと前に話題になってたどんべーですが、
ついに念願の西日本版を購入・食しました。
やはり味が微妙に違いますね。自分は普通に西のでもいけます。

次回更新も楽しみに待ってます。
403 名前:和尚 投稿日:2006/06/22(木) 23:04
    オダイジニシテクダサイ
( ´ Д `)つ[お見舞い]
404 名前:早春賦 投稿日:2006/06/28(水) 16:14
―――朝比奈女子高校

「でっかいパフェ!でっかいパフェ!」
辻は校門を出て、楽しそうに行進風に歩いて行く。
それに続く加護、紺野、小川。
「オマエの脳内は100パー食うことやろ?」
加護がげんなり呟く。
「でっかいパフェでっかいパフェ」
紺野は辻に合わせ、ささやかにでも心底楽しそうに歌う。
「オマエら、帰るん?」
小川が言うと、3人は顔を見合わせた。
「どうするれすか、あいぼん。
今から原宿はしんどくないれすか」
「うん、たるい。
タンポポで間に合わせとくかあ」
矢口が聞いたらちょっとおかんむりなことを加護は言う。
「わたくしも行ってもよろしいですか。
タンポポでパフェを一回食べてみたかったんですよ」
と紺野。
「うめーの?タンポポのパフェって」
「やぐちさんのチョコパはせかいいちなのれす」
「じゃ、行く」
成り行きで、4人はタンポポへ向かう。
405 名前:早春賦 投稿日:2006/06/28(水) 16:15
「へいらっしゃい!」
まるで寿司屋のように矢口が迎える。
「お。お揃いだね!」
矢口は小川を見て、
「ん?前に1回、ウチに来てくれた?」
と声をかける。
「は、はい。
確か…去年の夏くらい?」
と小川は答えた。
「ああ、そうやったな」
それを聞いて加護が苦笑いする。
「やぐちさんは1回来たお客さんは忘れないのれす。すごいのれす」
辻がえっへん、と胸を張ると、
「よせやい」
と矢口は笑って照れて手を振り、
「ま、ま。
空いてるトコ座ってよ」
と4人を促した。


「アラ」
4人がパフェにがっついてるところに、保田と飯田がやって来る。
切らしたコーヒー豆を買いに行くついでにお茶でも、と来店したのだ。
「保田先生」
紺野は口のはたについたパフェのクリームを拭いながら腰を浮かす。
「ああ、座ってな。
ええっと、オガワさん、だっけ?久しぶりね」
保田が声をかける。
途端に小川の表情が硬くなった。
穏やかな保田と対照的に、小川は、
「…お久しぶりです」
眉間に皺を寄せて呟いた。
保田たちは4人の隣のテーブルに座り、女子高生たちの食いっぷりを微笑ましく見守る。
小川は険しい表情でチラッと保田を見ていた。
406 名前:早春賦 投稿日:2006/06/28(水) 16:16
「あさ美ちゃん、またクリームついてるのれす」
「え、どこですか」
「ほっぺのちょっと下れす。
あ、そこじゃないのれす」
「鏡で見てみますね」
紺野は鞄から小さな手鏡を取り出し、クリームを確認する。
それを見て保田は、
「その鏡…まだ使ってたんだ」
何か懐かしそうに目を細めた。
「あ、はい。
使ってます」
紺野も嬉しそうに目を細める。
ふたりは顔を見合わせて笑った。
「ナニナニ?」
飯田が冷やかすように首を突っ込んでくる。
「あ、いえ。
保田先生が昔、ディズニーランドに行かれて、お土産に買って来て下さったんです」
紺野はミニーの絵の描いたピンク色の手鏡を飯田に見せた。
「あー、昔明日香とかと行った時の?
なつかしーねー」
「そうよ、アンタが帰りにナビ間違えて」
「もー、その話はいいじゃんー」
保田と飯田のふたりがはしゃいでいると、小川が、
「仲いいんだ、保田さんと」
じっと紺野を見た。
「え、ええ。
良くしていただいてます、昔から」
「ハッハ。
大したことはしてないけどね」
保田が口を挟むと、
「アンタ、ロリコンなんですか」
小川が真っ直ぐ保田を見て言った。
一同は唖然となる。
加護は心の中で『オイオイオイ』と呟いた。
保田は苦笑しながら、
「いやー、アタシはどっちかというと、このおねーさんみたいな、オトナの女がタイプなんだけど」
後半飯田を見ながら、一応誠実に答えた。
「小川さん、先生に失礼です」
紺野が珍しく、責める口調になる。
「スミマセン」
小川はボソッと謝って、
「じゃ、帰る」
自分のパフェ代を置いて、店を出て行った。
「圭ちゃんロリコンだったの?」
「なワケないでしょ」
「カオ、セーラー服とか着たほうがい?」
「怒るよ」
保田は飯田に答えながら、
「アンタも大変だね」
苦笑しつつ紺野を見た。
407 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/06/28(水) 16:18
( 護摩)<アバラが痛いぜ、ヘヘイヘイ

( 護摩)<お見舞いのお言葉ありがとうございます

( 護摩)<おかげさまで大分よくなったとです


更新しました。
レスのお礼です。

>398の名無飼育さん

从;`ヮ´)<が、がんばるっちゃ

从*・ 。.・) <がんばりが空回りしないように気をつけるの

アバラはちと痛いですがもう大分いいです、どうもありがとうございます。
よっちゃんはツンデレ説、新説ですね。実際どうかはともかく深いキャラだと思います。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( `.∀´)<大丈夫よ、ガリガリ君なんか食ってるくらいだから

从*・ 。.・) <栄養つけすぎて逆に太ったの

ママン、最強だよママン。
長渕の例の歌は最初女性歌手に提供するという話もあったそうです。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)<ちゅうがくせーどころか全女性の敵だよ敵

ヽ^∀^ノ<んまあ、シツレイしちゃう!(ヤス口調)

後藤さん、ハタチ過ぎてセクシー衣装でもなお丸出し(ry
さすがにいちーちゃんでも中学生は食指が動かない模様です(苦笑)。


>三日月ハウスさん

从*・ 。.・) <もしかしておいしくなかった?

川;*^ー^)<今頃気づいたんですか!?

お久しぶりです。お見舞いどうもです。お詫びでもシゲさんの弁当はやめたほうがいいのでは(苦笑)。
ヤスは蜘蛛なんですね(爆)。絡みとられて餌食となり、そうして(ry


>ピクシーさん

从*・ 。.・) <中の人は逆に関東バージョンが食べたくなったそうなの

( ´ Д `)<チュウガクセーは悩み多き時期だねい

中学生ですからね、悩みも多い多感な時期なんです。お見舞いのお言葉もどうもです。
どん兵衛関西バージョン、お気に召したようでなによりです。私はあのアゲが好きです。


>和尚さん

( 護摩)っ[お見舞い]

ショッチンありがとうショッチン。
アバラの痛みも少し和らいだ気がするよ。

408 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/06/28(水) 20:28
アネゴ、更新お疲れ様です。

い、飯田さんのセーラー服!?
ハァ━━━━━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━━━━━━ン!!!!

あ、危ない・・・
危うく気絶しそうに・・・
それはちょっと刺激が強すぎますって。
さすがの圭ちゃんもイチコロでしょう。
・・・ん?圭ちゃん?
圭ちゃんのセーラー服・・・
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!


次回の更新も待ってます。
409 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/06/29(木) 00:31
( ´D`)川o・ー・)<<でっかいパーフェ!でっかいパーフェ!
この二人が並ぶと、どれだけ食うんでしょう?
「カオ、セーラー服とか着たほうがい?」
これは、ごまさんの願望も入ってるに、でっかいパフェ一つ。
410 名前:ピクシー 投稿日:2006/06/29(木) 00:48
更新お疲れ様です。

久しぶりのタンポポの場面ですなぁ。
明日香の名前とか出てきたりして、懐かしい。

いいらさんのセーラー服・・・
セーラー服と聞くと、ピ〜スを思い出します。
裸エプもといキンキラ衣装もよかったですが、セーラーの方が好きだったり。

次回更新も楽しみに待ってます。
411 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/06/29(木) 05:59
更新お疲れ様です

・ω・<カオリのセーラー‥
( ・e・)<馬鹿が妄想の世界に旅立ったのだ

例の歌と言えばオーデションで南海キャンディーズの
しずちゃんが歌ったらしいですね

アバラは息するのも咳するのも痛いし
さらしみたいなギプスまかれたり
いい思い出がありません
とにかく無理は禁物ですよ

次回更新お待ちしております

412 名前:早春賦 投稿日:2006/07/12(水) 15:53
―――喫茶タンポポ

「なんや、猪木のヤツ。
先帰りおってからに」
タンポポを出て、加護はぼそっと呟いた。
「あいぼん、まこっちゃんのことすきなんれすか」
「ハァ?意味わからんし」
加護は私物の鞄を肩から掛け直し、辻の方を振り返った。
「まこっちゃんのしんぱいをしてるれす」
「それとこれとは別でしょーが」
「でも心配をしてることは否定しなかったですね」
紺野の指摘に加護はムスッとする。
「保田先生はお帰りになるんですか」
それには構わず、紺野は保田たちのほうを見た。
「ああ、うん。
アンタはどうするの?中澤家にお泊り?」
保田が言うと、紺野たち3人は顔を見合わせた。
「ウチは別にえーで」
「のんはだいかんげいれす」
「じゃ、お邪魔します」
紺野はにこやかに肩に掛けてる鞄の持ち手を握った。
413 名前:早春賦 投稿日:2006/07/12(水) 15:53
―――中澤家

「中澤はーん」
「なんやー」
「今日ひとり追加れすー」
「誰や」
「紺野です。ご無沙汰しております」
「おう。久しぶりやな」
裕子は台所から顔を覗かせた。
「鍋でちょうど良かったわ。
んもー、今度から早めに言うてやー」
「へい、すんませんれす」
裕子は苦笑して辻の頭をがしがし撫でると、また夕食の支度に戻った。

「ちょっと誰か、肉買うて来てんか。
ひとり追加やったら足りひんわ。
アンタ、よう食べるやろ?」
裕子に言われ、紺野は恥らいつつ
「ハイ」
と返事する。
「のん、おつかい行くれす。
チャリ借りるれす」
「ほな行って来てんか。
お金渡すワ」
「がってんれす」
辻が出かけた後、加護と紺野は居間でお茶を飲みつつ制服のままくつろいでいた。
「中澤さんは、さっぱりしたお方ですね」
「怒らしたら怖いで」
加護はふざけて指でツノを立てるマネをする。
「何をして怒らしたんですか」
紺野はちょっと笑った。
「別に。
のんと悪さしたとか、くだらんこっちゃ」
「まあ、あなたも案外イタズラっ子ですねえ」
「別に率先してやってへんでえ」
「どうだか」
紺野はフフン、というように笑う。
「自分、変わったなあ」
言い返さず、加護はしみじみ言う。
「何がですか」
「いや、いい意味でワルなったゆうか」
「悪くなったんですか?
じゃ、全然よくないですよ」
「いや、今のは言葉のアヤいうか。
いい子ちゃん度が減ったいうか」
「さっきから全然フォローになってませんよ」
紺野はカップを持ったままクスクス笑う。
「ホラ、そういうトコや。
変わったワ〜、自分」
「ほうほう」
とぼけた風に笑い、紺野は『あなたこそ変わりましたよ、加護さん』と心の中で言った。
414 名前:早春賦 投稿日:2006/07/12(水) 15:54
――― 一方。渋谷では。

「ごちそうさまっちゃ!」
田中れいなはラーメン鉢をテーブルに置いて手を合わせた。
「おいしかった?」
田中が街角で出くわしたギタリスト――― 市井紗耶香は優しげな視線を向ける。
「うん」
本当は地元の博多の方が麺もスープも最高なのだが、そこは黙った。
「東京は水がね」
市井の連れの『美人のおねーさん』(田中命名)の『ごとーさん』はちょっとだけ眉をしかめた。
『あ、れいなが言おうとしてることわかるっちゃか』
田中は感心したように『ごとーさん』を見る。
『美人のおねーさん』は名乗るとき『ごとー』とだけ言った。
多分『後藤』とかそんな名前なんだろう、と田中は思った。
「東京生まれのオマエが言うな」
「いいじゃん、別に」
「トーキョーは何を飲んでも食べても水がまずいよ」
『ごとーさん』は一応店員を気遣ってぼそぼそ言った。
「さて、帰るとすっか。
ごとー、払っといて」
「はぁ!?」
「ごめんね、カネ下ろすの忘れてた。
後で返すから立て替えといて」
『ごとーさん』は一瞬何か言いたげに口を動かしていたが、すぐに『ハァッ』とため息をつき、財布の中身を確認した。
『いちーさん、カッコ悪いっちゃ』
田中もちょっとイヤそうに見る。
「あ、れいなの分…」
田中が慌てて自分の鞄から財布を出そうとすると、
「いーよ。
後でまとめてこのアホに返してもらうから」
『ごとーさん』はサラッと言い放った。
415 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/07/12(水) 15:55
川 *‘〜‘)||<みんなセーラー服大好きなの

ノ(;`.∀´)ノ<アンタが着るとシャレにならないから!


更新しました。
レスのお礼です。


>三日月ハウスさん

(;`.∀´)<ちょっと!どういう意味!?

( ゜皿 ゜)<モジドオリ

飯田さんのセーラーはしゃれにならない上に違うものに(苦笑)。
ヤスも鼻血噴いて倒れるかと(ry 


>ひ〜ちゃんエッグさん

( 護摩)<ワタクシめはどっちかつーと喪服(未亡人限定)が…

(;〜^◇^)/<ソッチか!

制服よりは喪服が(ry
この前のハロモニ。でもこんののはさくらんぼをがっつり食ってましたね(笑)。


>ピクシーさん

(〜^◇^)<オイラも着よっかな、裸エプ

(;・´ー`)<ダ、ダメだべさ!

私もピ〜スはセーラーバージョンが好きです。
そういやタンポポの場面はかなり書いてなかったですね(今頃かよ)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ゜皿 ゜)<セーラーキテイイ?

(;`.∀´)<やめれ

どうもありがとうございます。大分経過はいいです。
いいらさんは自分のエロ加減が分かってるからタチ悪いんです(苦笑)。
416 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/12(水) 23:16
更新乙です。
こんこんの言う通りですね〜。
最初からするとぼんと梨華ちゃんはかなり成長しましたよね。
そう言えばぼんにかまう梨華ちゃんずいぶん見てないですね。
417 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/07/12(水) 23:41
更新お疲れ様です

・ω・<ビバ!!セーラー服
(;`.∀´)<あ〜バカ丸出し
ぼんさんはいい感じで変化してますな
中澤式化学変化ですかね?

しかし市井ちゃんはちゃんと金返すのだろうか?
まぁごっちんの事だからちゃんと取立てすると思うけど‥
取り立て方法が気になる

次回更新お待ちしております

418 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/07/13(木) 00:00
<自分変わったなあ。
<『あなたこそ変わりましたよ、加護さん』

( ´D`)<のん、おつかい行くれす。

(;‘ д‘ )<…変わらへんなあ。
川o・ー・)<辻さんは変わらないでいいですよ。

お金が足りないカッコ悪いいちーちゃんも変わりませんなあ。
更新お疲れです。
419 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/07/13(木) 02:22
アネゴ、更新お疲れ様です。

ごとーさん、カッケー!!!
もう一生付いていきたい。
いや、むしろ憑いていきたい(おい
それに比べて、金髪のギタリスト・・・
ダメダメだなぁ・・・

次の更新も待ってます。
420 名前:ピクシー 投稿日:2006/07/13(木) 15:03
更新お疲れ様です。

この二人は相変わらず・・・(苦笑)
ごとーさん、しっかりと絞りとるんでしょうね・・・(苦笑)

未亡人で喪服といえば、管理人さん。
竹箒とヒヨコエプロンも似合う、あの方が思い浮かびます。

次回更新も楽しみに待ってます。
421 名前:早春賦 投稿日:2006/07/19(水) 11:14

後藤と市井は自分のことを『れいな』と言う少女を駅まで送った後、
行きつけのバーへ向かった。
『家まで送ってくよ。ドコよ?』
市井の申し出に、少女は、
「いいっちゃ。おばちゃんに迎えに来てもらうっちゃ」
と九州訛りで答えた。
「あのお」
別れ際、少女は遠慮がちに聞いた。
「なに?」
市井が顔を寄せると、
「ふたりは、付き合ってるっちゃか?」
「うん!」
「ゲッ」
ふたりは同時にそれぞれの回答を寄せた。
「いやー、かわいかったなー。
いいねー、セーラー服は」
市井はいつものバーボンを飲みながらニヤニヤする。
後藤は眉間に皺を寄せ、
「そうだね」
とだけ答えた。
何も言わず、後藤は小部屋に消える。
「ああ、便所か」
市井はひとりごとのように言い、近くにいたふたり連れの男女の
女性のほうにイヤな顔をされる。
やがて後藤が出て来て、
「遅かったな、下痢か?」
デリカシーも何もない発言をする。
後藤はさっきよりもイヤそうな顔をし、
「オンナノコの日なの」
小声で叱責するように言い、睨みつけた。
「おや。じゃ、帰るか?」
タバコの火を消し、市井なりに気遣う。
「んー、そうだね。
あんまし飲む気分でもないし」
後藤は長い髪をかきあげた。
「じゃ、出るぞ」
無言で頷いて、後藤は後に続いた。
422 名前:早春賦 投稿日:2006/07/19(水) 11:15
市井の家に向かう。
小雨が降り出した。
傘を持ってないふたりは見事に濡れてしまった。
後藤は玄関に置かれた椅子に座り、市井から受け取ったタオルで髪を拭う。
「良かったな、濡れたのちょっとだけで」
「うん」
「靴、脱いであがれよ」
「脱ぐの手伝ってよ」
後藤は自分の脚をすっと前に出す。
「なんでこんなめんどくさいモン履くんだ」
ぶつぶつ言いながら、市井は後藤の前に座り込み、編み上げのロングブーツの紐をほどいていく。
「…なに、してんのさ」
後藤は虚ろに呟く。
市井は靴は脱がせず、後藤の腿に舌を走らせた。
「おまえが好きだよ」
「知ってる」
素っ気無い答えに小さく笑う。
423 名前:早春賦 投稿日:2006/07/19(水) 11:15
「…ちょうちょだ」
「は?」
後藤の指差すほうに、迷い込んだのかモンシロチョウが羽根を小さく震わせていた。
「どんくさいヤツだな」
市井が指で摘み上げると、
「逃がしてあげて。野生のものは野生に還すのがいちばんだよ」
後ろで声がした。
「こんな狂った自然にか」
「お願い」
市井はそれには答えず、玄関を開け、足音を響かせて何処かに行った。
すぐ戻って来、
「言われたとーりにしたぞ、お姫様。
いや、女王様か。
たく、このアタシに靴なんぞ脱がせやがって」
しゃがみこんで、続きのようにもう片方の靴の紐をほどきにかかる。
顔を上げ、その長い髪に触れる。
白い喉元に、指を這わせた。
424 名前:早春賦 投稿日:2006/07/19(水) 11:16
「綺麗な蝶々は」
顎に指をかけ、市井は言った。
「追いかけてるウチが華なのかもな」
「…なに言ってるのさ」
「簡単に」
更に耳元に触れた。
「自分のモノになっちまったら、面白くもなんともねえ」
自嘲気味に笑う市井の腕に、後藤は自分の指を添えた。
「知ってるか?」
「何を」
「一目惚れだってな」
「うん」


「知ってたよ」
彼女は長い睫毛を伏せた。
425 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/07/19(水) 11:19
更新しました。

レスのお礼です。

>416の名無飼育さん

あいぼ〜ん>( *^▽^)(;‘ д‘ )<いや相変わらず構われとるから

そうですね、ぼんさんといしかーさんが一番の成長を遂げてますね。
みんなもちょっとずつですが成長してるんです。


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ウラウラ!早く下ろしな!>( ´ Д `)ヽ;^∀^ノ<わあったって

銀行のATMでこんな風に取り立てられてるとオモワレ
ぼんは本当に初期から較べると丸くなりましたね。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川 *‘〜‘)||<のんちゃんは変わらないでいてほしいの

( *´D`)<てへっ

いちーちゃんは相変わらずです(苦笑)。財布の中は500円弱だった模様。
こんこんは勇気が出てきましたかね。


>三日月ハウスさん

ヽ^∀^ノ<ヒュー!カッケー!アタシ一生ついてゆきたいカンジ?

( ´ Д `)<ごめんだね(サラリ)

ギタリストはダメダメです(苦笑)。財布を確認してから食いに行けってハナシですが。
ごとーさんは渋々払いました。


>ピクシーさん

( ´ Д `)<んあ、勿論だね

ヽ;^∀^ノ<一日遅れたら利子だと

まあ、相変わらずなふたりです(苦笑)。
それはあれですな、4号室にうさんくさいあのお方が住んでるあの漫画ですな。
426 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/19(水) 12:18
長いことこのお話を読ませていただいてきましたが、一番ドキドキしたかも。
427 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/07/19(水) 21:04
アネゴ、更新お疲れ様です。

こ、この展開は・・・まさか!?
まさかの展開!?
まさかまさかのまさ(ry←しつこい

次の更新は、特に楽しみに待ってます。
428 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/19(水) 22:41
うぉぉぉぉーーーー!!!!!!
急展開!!!
 あ、取り乱しました。更新乙です。
そうですね、みんな結構成長してますよね。
若いメンバーはもちろん、裕ちゃんや圭ちゃんも
かわりましたもんね。
次回も楽しみにしてます。
429 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/20(木) 00:37
ヘタレ担当がヘタレじゃなくなってる!
何が起こったんだ〜
430 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/07/20(木) 01:06
更新お疲れ様です

・ω・<市井ちゃん気合じゃ!!
( `.∀´)<‥あ〜バカ

この二人の春がついに‥
あ〜気になる

次回更新お待ちしております
431 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/07/20(木) 02:09
2人の急展開も気になりますが私は

421<後藤と市井は自分のことを『れいな』と言う少女を駅まで送った後、
行きつけのバーへ向かった。

私への返事<財布の中は500円弱だった模様。

それでバーに行ったら当然姫に出してもらうわけで、今回のいちーちゃんの借金は4、5000円てとこですか?
432 名前:ピクシー 投稿日:2006/07/20(木) 03:59
更新お疲れ様です。

自分も展開にビックリですが・・・
いちーさん、借金増やすと後が大変ですよ?(苦笑)

4号室の方は、最後まで謎ばかりでしたねぇ。
中澤家とハイツも、かなり個性的なメンバーではありますが。

次回更新も楽しみに待ってます。
433 名前:名無しかもーんな! 投稿日:2006/07/21(金) 17:39
長いことROM専でしたがこの展開に
へたれ推進委員会の雑用係としては
レスすべきだろうと勝手に思って書いちゃったw

いちいちゃんはそんなカコイイことしちゃいかんよw
434 名前:名無しかもーんな! 投稿日:2006/07/21(金) 17:41
しかもアセッてageちまいました
ごめんなさいm(..)m
435 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/21(金) 19:44
作者さんochi更新されているみたいだし
一応落としておきますよ。
436 名前:早春賦 投稿日:2006/07/26(水) 19:30
―――中澤家

「ただいまー」
家庭教師のバイトから、梨華が帰って来た。
傘を閉じて、
「アラ。誰か来てるのね」
と普段はないきちんと揃えられたローファーを見て言った。
「おかえり、梨華ちゃん」
加護が台所から出て来る。
「ただいま。お友達来てるの?」
「このヒト」
加護は指で自分の両目尻をうんと下げた。
「ああ、紺野ちゃんね」
「ちょっ!さらっとヒドくないですか?」
後から出て来た紺野が顔を膨らませて怒る。
「この方がエエ?」
今度は頬を膨らませて唇を尖らせ、フグのマネをする加護。
「もうお〜!加護さ〜ん!」
紺野はばしっと加護の背中を叩く。
437 名前:早春賦 投稿日:2006/07/26(水) 19:30
「おかえり。雨降ってたか?」
「うん。
…無言で食べてるね」
梨華が言うように、辻と吉澤は競うようにひたすら鍋に集中していた。
裕子は苦笑して、
「アンタも早よ食べ。
しまいに肉なくなんで」
と促した。
「お。
梨華ちゃんおかえり」
吉澤が顔を上げた。
「…いま気付いたの?」
苦笑する梨華。
吉澤は
「のの!オイラのしめじ取るなよ!」
とそれどころではない。
「しめじくらいで。
ケツの穴のちいせえ男なのれす」
「ウチは女っだつーの」
「じょせいならしとやかに譲るのが粋ってモンれす」
「オマエはなんだっつーの」
低レベルのケンカに、戻ってきた加護があきれて頬杖ついて見る。
紺野はんなことお構いなしに黙々とまた摂取に取り掛かった。
438 名前:早春賦 投稿日:2006/07/26(水) 19:30

「今日ね、何かマコっちゃん元気なくて。
3人とも何か知らない?」
食後に居間で皆でくつろいでいる時、梨華は加護たちにフッた。
3人は顔を見合わせる。
辻は口の端から『ハッピーターン』を覗かせていた。
「ん。
いやー、なんちゅうかね。
あのアゴも青春?っちゅーかね」
「ふうん。そうなんだ」
加護のよく分からない説明でも、梨華は神妙に頷いた。
「ナニナニ?
恋バナか?
カァ〜ッ!青春やな〜!
裕ちゃんそんなん好っきゃで〜!」
それまで家計簿をつけていた裕子が笑顔で割り込んで来る。
「中澤はんはヤングの会話に入って来るん好っきゃからな〜」
「なんぞ言うたか?」
満面の笑顔のまま加護の方を向く裕子だった…。
梨華たちは底知れぬ恐怖を感じるのだった。
439 名前:早春賦 投稿日:2006/07/26(水) 19:31
「こんばんは〜」
平家がやって来た。
「姐さ〜ん。
言うてたヤツ持ってきたでー」
「ご苦労。
帰ってエエで」
「エエ!?
ウチ、ごはん食べてへんのに!?
食べさせてくれる言うたや〜ん」
平家は半泣きだった。
「うっさい。
おまえは鍋の底のしめじでも食うとけ」
「あの、平家さん。
ラーメンでいい?
インスタントだけど」
梨華が後ろから割り込んでくる。
「うっう…。
梨華ちゃんはエエ子やな。
構へん構へん。
有難く戴くわ」
『誰かさんとは大違いやわ』
うっかり呟いてしまった平家は裕子にしばかれた。
440 名前:早春賦 投稿日:2006/07/26(水) 19:31
「おや。若い子ぉが揃て」
平家が居間を見て言うと、
「うっさい!」
裕子が更にどついてきた。
「なんで殴る!?
何も言うてへんがな」
ふたりが漫才のような息の合ったところを見せていると、
「アハハ、プロみてー」
無邪気に吉澤が笑った。
ハッピーターンはふた袋めが開けられた。
「ご無沙汰しております。
平家さん」
煎餅を咀嚼しつつ紺野が礼儀正しく挨拶する。
「おお、紺野ちゃんやっけか。
なんや自分かいらしなって」
「イヤですわ、そういうこと仰らないでください」
ツボったのか、加護は辻に向かってくねくねしながら『イヤですわ』とやってみせる。
「なあ、平家さん、中澤さんと仲直りしたん?」
いきなり核心を突く加護。
平家はいつものポーカーフェイスを崩さず、
「やて。
どう?姐さん」
と裕子の方を見る。
「なんでウチにフるんや!?」
裕子は関西人リアクションで慌てる。
「別に…ケンカもしてへんし」
「ほう」
ニヤニヤする加護。
平家も頬杖突いて薄く笑い、裕子の方を見る。
裕子は赤くなり、
「なんやねん!
オマエら!
ソコ、笑いすぎじゃ!」
吉澤がぽかりと殴られる。
「イッテー!
中澤さんバカ力っす!」
「もう〜。
裕ちゃん、ひとみちゃん殴らないで〜」
ちょうどラーメンを持って来た梨華が眉をハの字に下げる。
「庇いカッケー!」
「ハッピーターンもうないれす…」
「オマエ、ホンマ空気読まへんな」
「ないですか。
では、おばあちゃんのぽたぽた焼きでも…」
「ありがとうれす」

他所とは違い、中澤家の夜は平和に過ぎて行った。
441 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/07/26(水) 19:33
更新しました。

レスのお礼です。

>426の名無飼育さん

ヽ*^∀^ノ<…アタシもドキドキしたよ

( ´ Д `)<いちーちゃんキモッ

そうですか。
反応の多さに私が一番驚きました(笑)。


>三日月ハウスさん

ヽ*^∀^ノ<こ、この展開は…

( ´ Д `)<今回ウチら出番(ry

すみません、今回は別な方たちが(ry
まさかのまさかのまさ(ryになればいいですねえ。←他人事


>428の名無飼育さん

川 ‘〜‘)||<圭ちゃんはぁ、スィートになったかな?

(〜^◇^)<そりゃカオリにだろ

お気を確かに(笑)。
すみません、今回はこんな風に(ry 


>429の名無飼育さん

( ´ Д `)<なんかちょっとカッコイイじゃないのよ

ヽ*^∀^ノ<み、見直したか?

ヘタレなクセにね(笑)。
本当に何が起こったんだか(笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ヽ*T∀Tノ<ついに!?

( ´ Д `)<さてね(サラリ)

すみません、春になるかどうかは(ry
今回はこんな風になりますた。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)<カネないくせに『飲みに行くぜ』ってバカじゃね?

ヽ*^∀^ノ<ご、ごめんな

そうですね、そんなモンです。>借金
ふたりの急展開は(ry


>ピクシー さん

( ´ Д `)<ホントに金銭感覚ないね〜

ヽ*^∀^ノ<オ、オマエがしっかりしてるからな

ラーメンだけにしとけばいいのにね(苦笑)。
中澤家関連は全員キャラ立ち過ぎです(笑)。


>名無しかもーんな!さん

( ´ Д `)<ヘタレのクセに生意気だよね

ヽ;^∀^ノ<ダ、ダメなん?

いつ雑用係に(笑)。
ageたことはお気になさらず。


>435の名無飼育さん

( `.∀´)<アラ!親切ね!

( ´D`)っ□<アイスあげるれす

どうもありがとうございます。
ヤスの熱い接吻ももれなくついてきます(笑)。

442 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/26(水) 23:16
更新乙です。
あいぼんとこんこんのじゃれあい、ののとよっすぃーのバトル
一番子供のような姐さん
このほのぼの雰囲気がたまりません。
そして無性にハッピーターンが食べたくなりました。
次回更新も楽しみにしてます。
443 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/07/27(木) 00:01
アネゴ、更新お疲れ様です。

『他所とは違い、中澤家の夜は平和に過ぎて行った』
まったくですなww
ここはいつでもまったりした食う気が・・・いや、空気が流れててホッとします。
まったりもいいんですけど、あの二人の続きを!!
早く・・・早く・・・!!
焦らしプレイもいいですけど、我慢は身体に良くないそうなので・・・

次の更新も待ってます。
444 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/07/27(木) 00:40
おつかれれす。
ぼんさん、やっぱりフグの方がわかりやすいです。
卒業記念にデビュー当時の画をよく見ますが、ほんとこんこんは可愛くなりました。
445 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/07/27(木) 00:47
更新お疲れ様です

・ω・ <みっちゃ〜ん
( `.∀´)<うるさい馬鹿
中澤家にいるみっちゃんが好きでたまりません

平和っていいですな〜

次回更新お待ちしております
446 名前:ピクシー 投稿日:2006/07/28(金) 03:03
更新お疲れ様です。

平和ですねぇ。
みっちゃん、頑張って・・・

夏だけど、数人で鍋つつきたくなってきました(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
447 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/30(日) 12:25
更新乙です。
いつもながら中澤姐さんの台詞とかがGJです。
本当に本人が喋ってそうな感じというか。
他の登場人物も台詞が自然でいつも感心しております。
448 名前:早春賦 投稿日:2006/08/02(水) 09:45
中澤家にお泊りになり、風呂上りの紺野が居間で髪を拭いているところへ、
電話が掛かってくる。
『ごめんね、こんな遅くに』
と保田は前置きした。
「いえ。
どうかされました?」
『あ、ううん。
小川さんのことなんだけど…』
紺野はちょっと眉を顰め、
「ああ、はい。小川さんですね」
『あの子、明らかに勘違いしてるよ、ね?』
「いいんです、放っておけば」
紺野はちょっと語気を強める。
雑誌を読んでいた平家や裕子もちょっと顔を上げた。
辻はまだぽたぽた焼きを食べていた。
『大丈夫なの?
何かヤキモチ妬いてるっぽいけど』
ニブチンのけーちゃんがわかるんだー、と後ろから明らかに飯田と分かる声がする。
カオリうるさい、と携帯をちょっと離し小言を言う声もした。
449 名前:早春賦 投稿日:2006/08/02(水) 09:46
「先生にあんなこと言うんですから。
ちょっと頭を冷やしてもらいます」
『手厳しいねえ。
アタシは別にいいんだけどさ』
保田は苦笑した。
「尻に敷きそーでない?」
ちょっと離れたとこで吉澤は梨華に囁いた。
「かもね」
梨華も小声で答える。
「アンタひとのこと言えんがな」
誰に言うとでもなく、加護は呟いた。



―――その頃。市井のマンションでは。

シーツに横たわる彼女を見て、市井は素直に綺麗だと思った。
照れも意地もなく、真っ白な気持ちで滑らかな肌に手を伸ばす。
450 名前:早春賦 投稿日:2006/08/02(水) 09:46
「手加減してよ。言ったと思うけどオンナノコの」
最後まで言わせず、
「分かってる」
首筋に口付けた。
「オマエ、アタシのこと好きか?」
「さあ」
「そうか」
彼女の長い髪が行方を阻むようにシーツに広がった。
まとめて掬い、枕元へやった。
「慣れてるね」
天井を見つめ、彼女は言った。
「オマエの為に慣らしたんかもな」
「意味分かんない」
ボタンを外す指の震えが悟られていないか少し気になった。
「バッカみたい」
天井を見つめたまま、彼女は言った。
「何が」
「バカみたい」
答えず、彼女は繰り返した。


丸い膨らみに手を伸ばし、先端を赤子のようにしゃぶる。
自分に手を伸ばさず、シーツを掴むのに少しムッとした。
こんな感情、他の女には持てなかった。
自分を掴もうがシーツを掴もうがお構いなしだった。

後藤、愛してるよ。
荒い息の中に混ぜ込んで言ったら、
「バカみたい」
とだけ返って来た。
451 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/02(水) 09:49
更新しました。
レスのお礼です。

>442の名無飼育さん

( `◇´)<一番ガキくさいよな

从 #~∀~从<やかましわ!

姐さんは実年齢はともかく(あわわ)、気は若いんです(苦笑)。
ハッピーターン、いいですよね。
当方、ぽたぽた焼きといい、亀○製菓の回し者かってくらい、あのメーカーのお煎餅が好きなんです(笑)。


>三日月ハウスさん

ヽ;T∀Tノ<じ、じらすな!

(;´ Д `)っ□<とりあえず鼻血拭きなよ

「まったりとした食う気」は主に辻さんに流れてますね(笑)。
色んな人に「焦らすな!」とせっつかれてる今日この頃です(苦笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川o・-・)ノ<わたくしはいつ如何なる時でも完璧です!

昔もまあ可愛かったですが、確かにこの世界で垢抜けましたね。

>ぼんさん、やっぱりフグの方がわかりやすいです。

( ‘д‘)<せやな、タレ目は他にもおるし


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( `◇´)<ああ、よっこらしょ ←ソファーにふんぞり返ってる

从 #~∀~从<我が家かい!

みっちゃん何だかんだであの家でくつろぐん好きなんです。
そういや本物みっちゃんはアルバム出すんですよね。


>ピクシーさん

( `◇´)<おおきになあ〜、頑張るわ

( ‘д‘)<夏の鍋ってのもオツやで。あっついけどなぁ〜

平家さんももう姐さんに虐げられ慣れしてるというか(苦笑)。
この時期だとキムチ鍋なんかでダラダラ汗だくで食べるのもまたアジです。


>447の名無飼育さん

从 #~∀~从<いや嬉しいわぁ、おおきになあ!

(0^〜^)<自然カッケー!

そう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます。
当方関西人なのですが、実は関西弁書くのが一番難しいんですよ。
細かいニュアンスを字にすると伝わりにくいというか。
452 名前:和尚 投稿日:2006/08/02(水) 21:16
(  Д )    ゚ ゚
最後の展開に目が出ちゃいました。
453 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/08/02(水) 23:24
(o‘д‘)<更新おつかれです。
ためしてみました。市井ちゃんとごっちんが気になるところですが。
とりあえず…のんさんが食い終わるまで待ちましょう。
腹を立ててるこんこんにもお一つ分けてやってくれ。
454 名前:ピクシー 投稿日:2006/08/03(木) 03:29
更新お疲れ様です。

ぼんさんのさりげない呟き・・・
このさりげなさが良いっす。

当方も亀○製菓好きです。
特に、柿の種はここのやつしか食べない徹底っぷりです。

次回更新も楽しみに待ってます。
455 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/08/03(木) 05:45
更新お疲れ様です

いやもう‥なんてコメントすればいいんでそうか
とりあえず
・ω・<ビバ市井ちゃん!!!!
从#~∀~#从<だまっとれボケ!!

本物みっちゃんのCDはもう出てたりして
( `.∀´)<アホが朝から晩まで聞いてるわよ
次回更新お待ちしております
456 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/08/03(木) 21:59
アネゴ、更新お疲れ様です

『好きよ、好きすぎて意味がわかんない
好きすぎて バカみたい』ってやつですか?
それにしても・・・
やっぱりベッドシーンは照れます。
自分はまだまだお子ちゃまです

次の更新も待ってます。
457 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/09(水) 16:52
更新前にレスのお礼です。

>和尚さん

オイラも負けないYO!>(0 〜 )  ゚ ゚

意外に多い「焦らすな!」コールに私も目が出ちゃいました。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( o´D`) <のんもつけてみたれす

怒ってるこんこんに分けたら猛然と食い出すに1億ヤスス。


>ピクシーさん

川*^ー^)<やっぱり『亀』ってつくからいいいのかな ウヘヘヘ

あのメーカーの柿の種はピーナッツの割合率もすばらすいですね。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ヽT∀Tノ<ビ、ビバ!アタシ!

いやまあ、いちーちゃん精一杯って感じです(苦笑)。 


>三日月ハウスさん

( ゜皿 ゜)<フトンデヤッテモベッドシーン

例の歌の意味かどうかは今後に期待(?)です。



本日は番外編です。夏休みだから。
大人なので夏休みありませんが番外編です。
ヤス大学4年、いしかーさん高3の設定で。
ではでは。
458 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/09(水) 16:53
「待ってたわよ、イシカワッ!」

ある夏の朝、梨華がコンビニから戻ると、下宿人の保田圭が車を家の前に
横付けて仁王立ちしていた。
ちなみにサングラス着用である。
「…なにしてるんですか、保田さん」
「問答無用。さ、乗るのよッ!」
「て、エエ〜〜〜!?」
梨華は車に押し込まれ、そのまま連れて行かれた。

「どこに行くんですか?」
助手席の梨華は眉をハの字に下げ、圭に問う。
「ホホッ、千葉のナイスな避暑地よッ」
「千葉ぁ?」
「んま!アンタ、千葉をバカにしたわねッ」
「バカにはしてないですけどぉ〜…」
梨華は困ったように窓の外に目を向ける。
「なんてね。
いやね、ウチの両親がいま海外に行っててさあ。
母親から家の掃除と風通し頼まれてるのよ」
「え。
じゃ、保田さんの実家に?」
「そ。
なんもないけど案外いいトコよ」
圭はサングラスを頭に上げてウィンクした。
お約束で梨華は『オエッ!』とリアクションする。
これまたお約束で梨華は圭にはたかれた。
「というか保田さん」
「何?」
「あたし、裕ちゃんに何にも言わずに出て来てるんですけど」
「ホホッ、裕ちゃんのお許しなら事前に頂いてるわよッ。
『ああ、アイツほどっこも行っとらんと勉強ばっかしとるからな。
息抜きにエエわ、よろしゅう頼むでェー』だってさ」
圭は物凄く下手な関西弁で言った。
「てか、朝からどこ行ってたのよ」
「コンビニです、消しゴムを買いに」
梨華は手に持ったビニール袋を見せた。がさがさ、音が鳴る。
「はぁ。消しゴム」
圭は呆れた様に笑う。
459 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/09(水) 16:53
途中インターチェンジに寄り休憩をする。
梨華はソフトクリームを奢ってもらった。
「すみません、何か色々」
「ホホッ、遠慮は禁物よ」
「保田さん、夏休みなのにどっか行かないんですか。
ここんとこ、出掛けても大学かバイトじゃないですか」
「まあ、一応就活中の学生だからね」
苦笑いして、圭は紙コップのアイスコーヒーを口にする。
「だからまあ、手近な実家に帰って息抜き?」
「へえ、というかあたしまでいいんですか?」
「アンタも息抜きが必要よ。
まったく、若いのに毎日毎日家に篭って勉強して!
夏なのよ!弾けなさい!!」
「あの、あたしも受験生…」
梨華が恐る恐る切り出すと、
「さ!行くわよ!」
キリキリ立ち上がり、圭はずんずん出て行った。
梨華もイキオイに引っ張られ、ついて出た。
460 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/09(水) 16:54
大型店舗のスーパーで食材を買い込み、また圭の実家を目指す。
初めて行く圭の実家は、本人の言う通り、家自体はそんなに大きくなかった。
しかし敷地が広い。
食材を冷蔵庫に詰め、家中の窓を開け放して風通しする。
少し休憩して、圭は
「散歩がてらにちょっとご近所回るから」
と言い、紙の手提げを持って少し先を歩いて行った。
圭は回る家回る家、いちいち物腰低く挨拶する。
そして手土産を渡す。
梨華はちょっと離れたところから感心してそれを見ていた。
「ふう。これでオワリ」
最後の家を訪問し終え、圭は額の汗を拭った。
「すごいですねえ。
保田さん、マメですねえ」
「別に。
田舎じゃフツーだから」
圭は苦笑いする。
「ウチは本家じゃないけどね、色々うるさいのよ。そういうの」
「へえ」
461 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/09(水) 16:54
散歩から戻ると、
「さ!キリキリ掃除するわよ!」
と圭は腕まくりし始めた。
「アイアイサー!」
と梨華も敬礼する。
「わあ、保田さんお嬢様ですねえ。
グランドピアノがある〜」
「いちいち蓋開けて見ないの」
「立派なステレオですねえ。
おいくらぐらいで?」
「宮尾すすむかアンタは」
「わあ!テレビが物凄く薄い!!」
「いちいちリアクションデカイねえ、アンタ」
「パソコンまである!何ですか、コレ。
やけに丸っこくないですか?
蛍光色だし」
「ああ、そこはあんまし触んないで。弟のだから」
「保田さんの弟さんってまだ高校生ですよね。
高校生がこんなの持ってんですか!
それにしても立派なキッチンで!
冷蔵庫が物凄く大きくないですか?」
「…今日からアンタをヨネスケ・イシカワって呼ぶわよ?」
圭は雑巾片手にげんなりと呟いた。
462 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/09(水) 16:55
庭の草むしり、洗車なども終え、夕食の支度を始める。
「先フロ入っといで。
草むしりで泥だらけになったっしょ」
支度を手伝う気マンマンな梨華を制して圭は言った。
「いいえ!
よそ様のお宅で先にお風呂を頂くなんて」
「いいからいいから。
あ、お風呂も掃除しといたから」
「そうですか?」
「あ、着替えか」
圭はしまった、という顔をし、
「待ってな」
と自分の部屋に向かった。

圭の中学時代のパジャマを借り、梨華は浴室から戻って来た。
「サイズよかった?」
「はい。
あの、いいんですか?
新品のパンツまで出して頂いて」
「いいっていいって。
どうせお母さんが通販で買ってそのままにしてたヤツなんだから」
「そうですか。
物凄くピンクなんですが一瞬保田さんのシュミかな、と思いました」
余計な事を言った梨華は圭にはたかれた。
463 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/09(水) 16:59
更新しました。
続きます。

ヤス弟のパソはこの頃あった蛍光色のimacです。
464 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/08/09(水) 21:20
アネゴ、更新お疲れ様です

よかった・・・ピンクのパンツがお母さんの趣味で・・・
やっぱりヤススは、黒の紐パ(ry
でも、ピンクのパンツを履くお母さん・・・
若いねっ!!!!(爆

次の更新も待ってます
465 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/08/09(水) 22:55
更新お疲れ様です

・ω・<宮尾ススムとヨネスケ見事にツボに嵌りました
( ^▽^)/ハイ

( `.∀´)<昔3軒隣までヨネスケが乗り込んで来たのよ
        このバカオカンと二人で待ってたけど‥もう既に撤収してたのよ

作者さんも暑さに気をつけて頑張ってください

次回更新お待ちしております


466 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/08/10(木) 00:04
川o`)-´)っ○ガツガツ
( ;´D`)<あさ美ちゃん荒れてるのれす。あの日れすか?

更新お疲れ様です。
しかし、ヤスの表現が圭になってるのに少し違和感が。その圭の好きな色は確か赤ですが、
ということは…あまり考えると呪われそうなんでこの辺で。
467 名前:ピクシー 投稿日:2006/08/14(月) 00:18
更新お疲れ様です。

おぉ、番外編。
そうそう、夏休みこそ出掛けないと。

自分もさっきまで4泊5日で、広島&名古屋に行ってました。
夜のつまみの柿の種も亀○製菓のやつだけ食ってましたよ。
ご当地グルメも結構食べてたりして・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
468 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/16(水) 10:34
更新前にレスのお礼です。


>三日月ハウスさん

( `.∀´)<アラ?アタシだってピンクくらい…

(;^▽^)<そ、それ以上は言わないでくださ〜い

紐パ(ryはさておき、黒があるのは確実だろうと(ry
いしかーさんでも履けるくらいのものですからねえ、そりゃあお母さん若い(ry


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`.∀´)<遠慮がちな割にはヘンなとこチェックしてんのよねー

( ^▽^)<お風呂がこれまた広くって!

いしかーさん、おとなしい割には下世話なんです(苦笑)。
ヨネスケニアミスワロタ あとちょっとだったのに(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( `.∀´)<「KEI」って呼んでいいわよ(はあと)

(;^▽^)<オ、オェッ!

やっぱ違和感ありますか(笑)。>圭
圭の好きな色は赤です。家中赤だらけだとか。そうなると身に着けるものも(ry


>ピクシーさん

く( `.∀´)<そう!夏こそ出掛けないと! ←物凄いセクシービキニ

( T▽T)<勘弁してくださーい

広島と名古屋ですか。物凄く県を跨いでますね(笑)。
そうですよ、夏は遊べるうちに遊んどかないと(笑)。


前回ヤスの学年を「大学4年」と書いてましたが「3年」の間違いでした。
ナチュラルに間違えてました。すみません(汗)。
( `.∀´)<まったくダサイわねッ


では『最後の夏休み』後編です。
469 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/16(水) 10:35
夕食は座敷で食べた。
ホットプレートでガンガン肉を焼き、ふたりはたらふく胃に収めた。
「ふう。お腹いっぱいですね」
梨華は満腹の腹をさする。
「まだまだスイカがあるわよ」
「あ、そうだった!」
梨華の様子に圭は目を細めて笑った。

470 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/16(水) 10:36
縁側に座り、ふたりは夕涼みした。
梨華は少し脚をぶらぶらさせた。
「こんな広いお庭、手入れだけでも大変そうですねえ」
「お母さんがよくこぼしてる。
お金がかかるって」
圭は梨華の問いに苦笑しつつ答える。
「いやー、ホントに素晴らしいお家で!」
梨華はまだ宮尾すすむが若干入っていた。
「お世辞はいいわよ」
圭はまた苦笑した。
ハイ、と線香花火を手渡してやる。
「アレ?いつの間に買ったんですか」
「スーパーで買っといた」
「迂闊でした。いつカゴに入れたのかも気付きませんでした」
「まあ、いいじゃん。
夏はやっぱコレでしょ」
自分が普段使ってるライターで圭は梨華の花火に火を点けてやる。
ふたりはしばらく無言だった。
「保田さん」
沈黙を破ったのは梨華だ。
471 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/16(水) 10:37
「ん」
「飯田さん、誘わなかったんですか」
「あの子はいま実家に帰ってるわよ」
圭は顔を上げてちょっと梨華を不思議そうに見た。
「そうですか」
「どうして」
「ううん、どうしてわたしなんだろ、って思って」
「迷惑だった?」
「いいえ。
気を遣ってくださったのかなって」
この夏、先に亡くなった妻を追うように、裕子と梨華の父が他界した。
梨華は受験生なのもあって殆ど何処にも行かず、夏休みはずっと家で勉強していたのだ。
『アイツあんなに家におって、体くさりおんで』
ある夜、圭が遅く帰った時の夕食時に裕子が冗談まじりに言ったのを受けて、
圭は『じゃ、アタシの実家に連れてっていい?』と提案した。
梨華はその場にはいなかったが、何となく裕子と圭の気持ちに気付いていた。
「まあ、ね。
アタシ掃除苦手だし手伝ってもらおうかなって」
来年はアタシも4年だしね、最後の夏休みよ。
圭は小声で囁くように続けた。
「保田さん」
「は」
「ありがとうございます」
圭はそれには答えず、
「スイカ切ってくるわ」
と腰を上げた。
472 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/16(水) 10:37
翌朝座敷で圭が目を覚ますと、隣で寝ていた梨華の布団は綺麗に畳まれていた。
「…まだ7時前じゃん。何やってんだろ、あの子」
布団の中から壁時計を見上げて、眠気が覚めきってない顔で目をこすった。
「おはよーございまーす!」
ふと庭を見ると、梨華が箒で掃いていた。
「…アンタ朝からナニやってんの」
「お掃除ですよー。
あ、いま朝ごはん作りますからね」
「…アンタ、客じゃん」
圭は心底脱力した。
473 名前:最後の夏休み 投稿日:2006/08/16(水) 10:38
朝食後布団を干し、ふたりは手分けして座敷を掃除した。
「まあー、立派なお仏壇ですね!」
圭が仏壇を掃除する後ろで梨華は大仰に驚いて見せた。
「イシカワ、オバチャン」
「いやいやいやー。どこもかしこもナイスなご趣味が」
笑いながら、圭はふとあることを思いつく。
「海、行こっか?
地元の子しか来ないけど」
「海ですか」
「そう。水着はないけどね。
泳がなくても水遊びくらいなら」


車に乗り込み、圭の実家を後にする。
圭の言う通り、浜には地元の子どもしかいない。
海はきつい太陽の光を照り返す。
子どものように波打ち際ではしゃぐ梨華の様子を、圭は車のドアにもたれて
しばらく見ていた。
474 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/16(水) 10:38
更新しました。
475 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/08/17(木) 02:53
お圭さんおつです。
梨華ちゃん、また真っ黒に焼けちゃうんだろうな。
そういえば、カオリンの出番が最近ないんで元気でしょうか?
476 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/08/17(木) 21:53
更新お疲れ様です

もうこうなってくると
家政婦市原悦子ですな

( `.∀´)<こいつビデオにとるくらいアレが好きなのよ

ヨネスケ事件の日は見たことのない料理が並んでました

次回更新お待ちしております
477 名前:ピクシー 投稿日:2006/08/18(金) 05:09
更新お疲れ様です。

夏といえば海ですが・・・
海なんて行ったら、いしかーさんが・・・敢えて言うまい(苦笑)

広島ではほとんど何も食えず。
名古屋では名物は一通り食べたかと。
あと名古屋のモーニングも堪能して参りました。

次回更新も楽しみに待ってます。
478 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/08/18(金) 14:52
アネゴ、更新お疲れ様です。

なんだ、海なのに水着は無いのか・・・チェッ(殴
冗談です・・・いや半分本気です。(どっちだよ

波打ち際ではしゃぐ梨華ちゃん・・・
白い砂浜、青い海、黒い肌・・・いいですねぇ、見たいわぁ・・・
・・・圭ちゃんは遠慮するねっ!(撲殺

あ、そういえば、リボンの騎士の初日観てきたんですけどね
妖艶な魔女に心乱されましたよ。
王子様もステキでした。
そんな超簡易レポでした。

次の更新も待ってます。
479 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/23(水) 17:20
更新前にレスのお礼です。
普通に書き忘れていたのですが、番外編は前回で終わりです。


>ひ〜ちゃんエッグさん

意味ワカンネし絶対ダメ>(;`.∀´)っ川 ‘〜‘)||<元気なの、元気だから超ビキニになるの

いいらさんはまったりヤグチとカキ氷でも食ってることでしょう(多分)。
いしかーさんの日焼けはもう運命だと(苦笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

|▽^)  煤i;`.∀´)<な、何か感じるわ!


ビデオに撮るくらいお好きなんですか(笑)。私は猫の「はるみちゃん」が妙に好きです。
いしかーさん、あの家政婦にまでなったらもうコンボですね(違)。


>ピクシーさん
           コンガリ
ただいま、裕ちゃん>(黒^▽^) 从~∀~#;从<お、おう。おかえり…(うわっ!焦げとる焦げとる!)

いしかーさん、受験生とは思えないくらい香ばしくなったかと(苦笑)。
名古屋のモーニングは和食だと朝から赤だしの味噌汁が出てきたりしますよね。


>三日月ハウスさん

マジ泣き→やめてくださーい>( T▽T)っ゛( `.∀´)<ホホッ、なんなら貝殻ビキニでも

なんなら特別にヤスのセクシーショットでも(笑)。
やはり舞台の某美貴様は妖艶であられましたか、期待を裏切りませんね(誰のや)。


では本編に戻ります。
>>450のつづきです。
480 名前:早春賦 投稿日:2006/08/23(水) 17:21
田中れいなはその夜、伯母に家の最寄り駅まで迎えに来てもらった。
「アラ、自転車はどうしたの」
朝、自転車で出て行ったのを知ってる伯母は田中を見るなり言った。
「学校に置いて来たと」
田中は俯き加減で答える。
「おっちゃんは?
もう帰っとうと?」
「今日は会社の人と飲みに行くから遅くなるって。
ごはんは食べたの?」
「うん。ラーメン食べた」
答えた端から田中は、
「…やっぱ、お腹空いたと」
ぼそっと言った。
「帰りにコンビニで明日の朝のパンとか買うから荷物持ってよ」
「うん。おばちゃん、ゼリーも買って」
「朝からゼリー?」
「今日の晩食べると」
伯母は笑って小柄な田中の頭をぐしゃぐしゃ撫でた。
481 名前:早春賦 投稿日:2006/08/23(水) 17:21
―――その頃。

閉店間際の喫茶タンポポへ安倍がやって来る。
店の外で小柄な男が張っているのを不思議そうに見る。
「あの」
声を掛けると、男は飛び上がり後ろへ下がった。
「この店に、何か用ですか」
「なななな、なんですか、あなたは!」
『それはこっちの台詞だべさ』と心の中で呟き、安倍は
「お客さんだべか?
早く入んないと閉まるべさ」
と次は地元の訛り全開で言った。
「オーイ矢口ー」
男の腕を引っ張り、安倍は店のドアを開けた。
「ゲ!岡村!」
男の顔を見るなり、閉店準備をしていた矢口はしょっぱい顔をした。
「オイコラ!仮にも恩師になんて挨拶だ!」
「あれまあ〜、矢口の先生だべか!
あ、ホントにちっちゃいべさ…」
安倍はひとりウケをし、口元を押さえて笑いをこらえる。
「あなたもいったいなんですか!」
岡村は安倍の方をちょっと怒って振り返る。
「す、すみません。
いや、お噂はかねがね矢口から聞いてるべさ。
あ、あたしはこの近くで楽器店をやってる安倍といいます。
矢口の友人です」
「それはそれは。
どうも、矢口の高校時代の担任の岡村と申します」
「で、何の用?」
矢口はトレイ片手にしょっぱい顔のまま切り出した。
「これを届けに来た」
岡村は紀伊国屋書店のでかい紙袋を差し出した。
矢口は訝しげに中身を取り出す。
482 名前:早春賦 投稿日:2006/08/23(水) 17:22
「ビデオ?」
「そうだ、去年の卒業生を送る会のダンスレッスンと本番の模様を映したビデオだ!」
「へえ〜、本格的だねえ」
横から安倍がのんびり口を挟む。
「そしてこれが今年のダンスのフォーメーションだ!
矢口!おまえは社会人だから学生チームよりは時間がない!
だから月曜の合同練習の時までに完璧にマスターしろ!」
「ムリ!」
「できる!
おまえはやればできるんだ!」
「熱血だねえ」
またもや安倍。勝手にお茶を淹れてのんびり啜っていた。
「だー!
時間がないって分かるならなんでオイラをメンツに入れるのさ!」
ちっちゃい体でキレる矢口。
それを迎え撃つちっちゃいオッサン。
「おまえしかできないことがこの世にはあるんだ!
わかるか矢口!」
「ハァ?意味わかんねーし!」
「うんうん、そうだべ。みんなそうやって生きてるんだべ」
安倍は次はどこからか煎餅を見つけ出しお茶のお供に頷きながら齧る。
483 名前:早春賦 投稿日:2006/08/23(水) 17:22
矢口がちっちゃいオッサンとケンカしてる頃、中澤家では。

「あ、忘れてた」
加護が居間を抜け出し、自室に走って行った。
「あ、アレですかね?」
紺野も思い出して横の辻を見た。
「あれってなんれすか」
辻は本気で分かっていなかった。
「あれですよ、今日岡村先生に渡された…」
紺野がそう言うのと加護が戻って来たのはほぼ同時だった。
「ごめんなー、梨華ちゃん。
コレ、岡村せんせーに梨華ちゃんに渡してくれって言われててすっかり忘れててん」
三省堂の袋を加護は差し出した。
「何だろ?本?」
梨華が中を探ると、ビデオテープと紙の束が出て来た。
「『ダンスレッスン、2002年卒業生を送る会、その他』…」
「『その他』がスゲー気になる」
吉澤は興味津々な様子で梨華の手元のビデオテープを覗き込む。
「なんや去年の送る会の本番の時と、ダンスレッスン撮影したやつが入ってんねんて。
それ見て明日までに流れ掴んどけて」
「明日!?」
梨華は目を丸くした。
明日母校に来るようには言われているが、それはまったく初耳だ。
「ビデオ長いのかしら…。
120分のテープみたいだけどもし3倍でフルで入ってたら…」
梨華はビデオ片手に途端に暗い顔になる。
「ウチも付き合うよ。
明日バイトねーし」
「ありがとう、ひとみちゃん」
「早速見るれす。
あ、しちょー用にポテチを準備するれす」
「…アンタ、さっきせいだいせんべい食ったがな」
加護は心底イヤそうに言った。
「ほな、大人はもう寝るわ。
おやすみ」
裕子に続いて、平家も立ち上がった。
「へーけしゃんもいっしょにねるれすか?」
辻の邪気のないひとことに、平家は、
「大人には普通に寝るのと別なスイミンが必要やねん」
ニヤっと笑って裕子に小突かれながら出て行った。
484 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/23(水) 17:22
更新しました。
485 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/23(水) 23:56
更新乙です。
れいなかわいい!
なっちマイペースでいい!
のんさん貴方って人は・・・
のんさんあなたはぼんさんとねないれすか?
486 名前:あお 投稿日:2006/08/24(木) 00:07
やっとリアルタイムに追い付きました。ここまで長かった……面白いからさらさら読めるんですけどね。

ここのれいにゃが本当に大好きです。一途で可愛い。
487 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/08/24(木) 01:00
ほんとのほほんとしてかわいいなあナッチは。と読んでて思いました。
あ、のんさんポテチは『カル○ー』『プリ○グルス』と、どっちにしましょう?
わたくしは両メーカーともシンプルな塩味がすきれす。
488 名前:ピクシー 投稿日:2006/08/24(木) 10:27
更新お疲れ様です。

久しぶりのなっち登場ですね。
いよいよ岡村先生の企画も本格化の気配・・・

名古屋のモーニングは和食だとそうですね。
自分はビジネスホテルでしたが、
無料でパン&おにぎり、ヨーグルト、サラダ、ジュースが食べ放題でした。
のんさんとコンコンには天国のような(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
489 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/08/24(木) 22:35
更新お疲れまです

ま猫のはるみちゃんの名前が出てくるなんて‥相当通ですね

・ω・<ウヘヘ‥別のスイミン
( ・e・)<またどこかへ旅立ったのだ

岡村企画は相変わらず迷惑そうですね

次回更新お待ちしております

490 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/08/27(日) 23:31
アネゴ、更新お疲れさまです

ビデオ渡されて、次の日までに覚えて来いとかどこのアイドルですかwww
それにしてもちっちゃいおっさんとちっちゃい女のケンカワロタww
身体は小学生、負けん気は大人!って感じですか?

次の更新も待ってます
491 名前:早春賦 投稿日:2006/08/30(水) 23:06
―――同じ晩。中澤ハイツ

「ん。繋がらない」
保田は後藤に電話を掛けていた。
電源を切ってる様子はなく、やがて留守電に切り替わった。
「アラ。こんな夜更けにラブコール?」
風呂上りの飯田はバスタオルで頭を拭きながら近づいて来る。
「バーカ。
後藤にバンドの業務連絡で掛けてんのよ」
「ごっちんか。ラブコールだね」
「違うとゆーに」
飯田はひとり納得し、うんうん頷いた。
保田はそんな飯田を横目に、もう一度掛け直してすぐ切った。
「今日は紗耶香と会うとか言ってたけど」
「ほお。逢い引きですか」
「多分ね」
保田はニヤリと笑った。
「あ。そーそ。
明日香から手紙来てたわよ」
『ハイ』と保田はテーブルの封筒を飯田に差し出した。
「おお。カオんとこにも来てたよ。
律儀だねえ」
受け取って、飯田は『読んでいい?』と問う。
「なになに。
…あ、春に一回日本帰って来るって。
カオのには書いてなかったけど」
「いつ届いたん?」
「えーっと…1週間ほど前かな」
「アンタのを出した後で決まったんじゃない?」
「そっか」
納得し、飯田は手紙を折り畳む。
492 名前:早春賦 投稿日:2006/08/30(水) 23:06
「カオねえ」
「うん?」
「昔、明日香に『圭ちゃんのこと好きならどうして好きって直接言わないの?』って言われたことあるんだ」
照れくさそうに、飯田は切り出した。
保田は小さく笑う。
「『カオリの行動、あたしには意味不明だよ』と言われましてー」
「理論派だからね、あの子は」
腕組みして保田はうんうん頷く。
「しかしどんな風に変わってるかねー、あの子も」
「うん、楽しみだね」
手紙を指先で挟んで、保田は
「もう3月か」
と呟いた。


―――ふたたび中澤家

「ホイ!ホイ!」
梨華はダンスレッスンビデオを見ながら、「恋愛レボリューション21」の決めポーズを懸命にマネしていた。
傍目にはギャグだが、本人は大真面目だった。
「ぎゃっはっは!梨華ちゃん頼むわー。あんまし笑かさんといてぇやあ!」
加護は笑い転げてついには絨毯をばしばし叩いた。
吉澤も笑いをこらえてタレ目の目尻にうっすら涙を滲ませていた。
辻と紺野も微笑ましくチョコフレークを食べながら見守っている。
というか、食ってばっかだった。
「もー、あいぼん。あんまり笑わないでよう」
梨華は眉をハの字に下げ、額の汗を拭った。
「だって、だってなあ!
ぎゃはは!」
ハラいたいー、とのたまい、加護はついに涙を流した。
「加護さん大ウケですねえ」
「あいぼんのこころのきんせんに触れたのれす、きっと」
「琴線の使い方間違ってるし」
笑い転げながらも指摘は忘れない加護。
493 名前:早春賦 投稿日:2006/08/30(水) 23:07
「さて、おめーらもう寝るべ。
オコチャマは寝る時間だべ?」
吉澤がまとめようとすると、高校生組は一斉に
「「「えー!」」」
とブーイングを飛ばした。
「アレやできっと。
ウチらをおん出して、自分は梨華ちゃんにヤラしいことすんねんできっと!」
ご近所のオバチャンよろしく、加護は辻や紺野とヒシヒソ話する。
「んま〜!最近のお若い方ははれんちなのれす!」
「風紀上問題がありますわ!」
紺野までこの小芝居にノる始末だった。
吉澤は床に座ったまま梨華と顔を見合わせ、苦笑した。


―――その頃。裕子と平家は

「なあて」
「なんやねん」
裕子は顔をしかめて寝返りを打つ。
「いい?」
「何がや」
「いやー、姐さん明日も早いやろうしてね」
「明日は誰も朝メシ予約してへん」
背中越しの返事を聞くや否や、平家は裕子のパジャマの中に手を入れた。
「コラ!何しとんねん!」
流石の裕子も振り返って平家をどついた。
「なあ」
「何や」
「たまにはさ、もっとこう〜、色っぽく抵抗するとかやなー」
冗談めかして平家が言うと、
「知るか」
裕子はもう一発どついてまた寝返り打って頭から布団を被った。
494 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/08/30(水) 23:10
更新しました。

さて、弊サイト『喫茶タンポポ』が知らん間に閉鎖された模様です。
管理人である友人に只今確認中です。
詳細が分かり次第お知らせいたします。
ご迷惑をお掛けいたしまして大変申し訳ありません。


ではレスのお礼です。

>485の名無飼育さん

从*`ヮ´)<よ、よすっちゃ。照れると

( ´D`)<?あいぼんとねることもあるれすよ? ←あんまり意味分かってない

れいなは一途で安倍さんは変わらずマイペースです(笑)。
のんさんはあんまり意味分からずにへーけしゃんの台詞に「ふーん」となってるかと(苦笑)。 


>あおさん

煤i〜^◇^)<もしかしたら最初から読んだの!?

煤i `.∀´)<ちょっと!ソレだったらスゴイわよ!?

何処かでお見かけしたHNなのですが、以前レス頂いた方でしょうか?初レスの方でしたらすみません。
れいなを気に入って頂いてありがとうございます。从*`ヮ´)<がんばると!


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´D`)<のんは『ナビ○コ』がいいれす

(;´д` )<せっかく聞いてくれてはんのに答えになってへんがな

安倍さんはかなりマイペースであらせられます(苦笑)。岡村先生もビックリです。
あ、私は『湖○屋』が好きです(違。


>ピクシーさん

煤i *´D`)<た、食べほーだいなんて天国なのれす!


(;´д` )<その前にホテル泊まらなアカンねんでー。聞いてる?

岡村先生はかなり本気です、ええ、迷惑なくらい…。安倍さんそういやヒサブリだった(苦笑)。
ののこんがそんなホテル泊まったらスゴイことなりますねえ(苦笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ・e・)<野村昭子演じる会長さんも好きなのだ、金にはがめついところが素敵やん?

川o・-・)<あのドラマ、今は設定を借りてるだけですけど第一回放映分は実は松本清張原作なんですね

別のスイミンシーンを出してみましたが色気もクソもないのはきっと気のせいです(苦笑)。
岡村企画は岡村本人以外は迷惑以外の何物でもありません。


>三日月ハウスさん

(;T▽T)<覚えられないよー!

(;0^〜^)っ<だ、ダイジョブだから!モチツケ

いまどきどこのAS○YANですか、ってハナシですよね(苦笑)。
ちっちゃいオッサンとちっちゃいヤグのケンカ、岡女の修学旅行で見て以来ファンなんです(笑)。

495 名前:ぱせり 投稿日:2006/08/30(水) 23:55
更新お疲れ様です。
いよいよ明日香が本編登場ですか?楽しみです。
それにしても中澤家はまったりでいいですね。
いじられる梨華ちゃん最高です!
次回も楽しみにしてます。
496 名前:ぱせり 投稿日:2006/08/30(水) 23:55
すみません、あげちゃいました。
落として起きます。
497 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/30(水) 23:56
( `.∀´)<落とすわよ
498 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/08/31(木) 00:43
こうしんおつれす。
食ってばっかでこそ、のんさんとこんさんれす!
あ、のんさん。ガッタスがサッカーのヤマ○キ・ナビ○コカップのイメージキャラとかなったら、
『チ○プスター』『リ○ツ』などナビ○コのお菓子が食い放題れすよ。
499 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/08/31(木) 03:09
更新お疲れ様です

会長は最高ですね
渡る世間のタキさんとはまた違う味がありますね
って言うか作者さん相当通じゃないですか

・ω・<ナイススイミン
( `.∀´)<馬鹿の想像は無限大だから問題ないわよ

梨華ちゃんガンバレ

次回更新お待ちしております
500 名前:ピクシー 投稿日:2006/08/31(木) 05:21
更新お疲れ様です。

ぼんさん、ツボに完全にハマッたようで(笑)
しかしツッコミを忘れないあたり流石です。

ビジネスホテルだったので、5000円以下でしたねぇ。
食べ放題といっても、市販品や契約業者からのもの(パンとか袋に入ってた)でしたが。
それでも嬉しい事ではありますけど。ビバ名古屋!

次回更新も楽しみに待ってます。
501 名前:あお 投稿日:2006/09/05(火) 01:10
お疲れ様です。
はい、最初から読ませていただきました。だいぶ小分けにして読みましたけどねw
レスは今までしたこと無いのではないかと。恐らくごまべーぐるさんが読まれている他の作品とかにレスしていたのではないでしょうかね。

れいにゃ、頑張れー!
502 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/06(水) 11:39
アネゴ、更新お疲れ様です

最近の若いもんははれんちです
梨華ちゃんのボンテージとかボンテージとかボンテージとか
あれを見る全国の男子の身にもなってもらいたい!
嬉しすぎるじゃないですか!!
ね?アネゴもそう思うでしょ?

次の更新も待ってます。
503 名前:早春賦 投稿日:2006/09/06(水) 22:22
―――中澤家

「オマエ、あほやろ?」
軽く3ラウンドを終えた後、裕子は枕にすがって何ともなさそうな平家を
恨めしそうに見た。
「え?ちょっと激しすぎた?」
平家はベッドの縁に座り、冷蔵庫から取って来たミネラルウォーターを飲んでいる。
「ちょっとどころや…」
裕子はぐったりと仰向けになる。
点けっぱなしだった灯りに顔をしかめ、目元を手の甲で覆う。
「水、飲む?」
差し出されたボトルを無言で引っ手繰るように受け取り、
ごくごくと喉を鳴らしつつ裕子は飲み干した。
504 名前:早春賦 投稿日:2006/09/06(水) 22:23
「大人は破廉恥や」
居間で突然加護はそんなことを言い出した。
吉澤に『もう寝ろ』と言われながらも勿論言う事などてんで聞かず、高校生3人は夜更かししていた。
「はれんちってなんれすか。電池の親戚れすか」
「恥知らず、とかそういう意味ですよ」
紺野は優しく諭すように教えてやる。
「おとなは恥知らずなんれすか」
辻はきょとんとする。
「せや。
イヤやわあ、今日だけで2組も同じ屋根の下で破廉恥や」
「いみふめいなのれす」
「加護さんったら…」
紺野は困惑しながら頬を少し赤らめた。
「まだなんもしてねーぞー」
居間のドアを開けて吉澤がにょっと顔を出した。
「よっちゃん。
なんや、梨華ちゃんとヨロシクやっとんやないんかい」
「上でダンスレッスンだべ。
ウチはちょい茶ァ取りに来た」
「へえ。
頑張りや」
「おおよ。
こんこんもおやすみな〜」
「あ、はい。
おやすみなさい」
手を振って、吉澤はドアを閉めた。
505 名前:早春賦 投稿日:2006/09/06(水) 22:23
―――保田宅

ベッドに入っても、保田は天井を見つめ、ぼんやりしていた。
飯田は関心のない振りを装いながらも、じっと隣の恋人を見ている。
「ねえ」
突然保田が口を開いた。
「アンタ、いつからアタシのこと好きなん?」
「は」
「いや、大体でいいからさ」
「ん〜とね…」
飯田は指折りしつつ、
「コインランドリーでたまたま会った時にはもう圭ちゃん見てドッキドキしてた」
「いつよ」
保田は苦笑する。
「だぁかぁらぁ〜。
カオが上京してきた年!」
飯田は答えながらむくれた。
「あ!夏か!」
「6月だよ!6月!」
「アンタ家の洗濯機が壊れて」
「そうそう。
裕ちゃん家の乾燥機もおかしくなって、圭ちゃんも来てたじゃん」
「ああ、そっか」
なるほど、なるほど、と言いながら保田はニヤケた頬がなかなか元に戻らない。
「なにさ、急に」
「いや、何となくね。何となく」
何となくよ、と保田は口の中でもう一度繰り返した。
「じゃ、圭ちゃんはいつからカオのこと好きなんだ?」
「いやまあ、それは」
「何年何月何日何時何分何秒、地球が何回廻った時ですかあ」
「…そういうトコ言うところ」
「違いますう、好きなトコじゃなくていつ好きになったかですう」
小学生の男子口調で飯田は詰め寄る。
「ムッカつく〜」
保田は笑いながら飯田の頬を両方むにっと掴んだ。
「気がついたらよ」
「ズルイ〜」
「それじゃダメかい?」
「ダメ。
おやすみ」
否定した割には飯田はあっさりと寝返りを打って布団をかぶった。
506 名前:早春賦 投稿日:2006/09/06(水) 22:24

「あ、ねえ、圭ちゃん」
急に布団を剥いで振り返ったので流石の保田もびっくりする。
「な、なに?」
「圭ちゃん、セーラー服、好き?」
「…は?」
「それともブレザー派?」
「…もう寝てよ」
「ねえってばぁ〜」
布団をすっぽりかぶった保田を、飯田は揺する。

「圭ちゃん、ブルマと体操服とかは好き?」
「…ぶつよ?」

「ねえ、スクール水着は?」
「…お願いですから寝てください」

飯田の尋問はまだ続く。
507 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/09/06(水) 22:25
更新しました。

サイトの件ですが
管理人から返事が来ました。
詳細は下記のブログに書きましたのでおながいします。

ttp://blog.goo.ne.jp/googoma_1973

それでしばらくは、下記の避難所をベースにすることにしました。
今後ともよろしくお願いいたします。

ttp://jbbs.livedoor.jp/music/12231/
508 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/09/06(水) 22:26
レスのお礼です。


>ぱせりさん

(〜^◇^)<いつ出てくっかなあ

( `.∀´)<そうね、のんびり待つとしましょうか

初レスの方でしょうか、ありがとうございます。どうぞよろしくおながいします。
明日香登場はまだ先ですね(多分)。ageたことはお気になさらず。 


>497の名無飼育さん

从 #~3~从<ありがとうなー、圭坊。チューしたろ、チュー!

お気遣い頂いてありがとうございます。姐さんから熱いチスを(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

煤i *´D`)<そ、そうなのれす!の、のん、ナビ○コのかいちょーしゃんに直訴してくるのれす!

( TдT)<やめなはれ、辻はん

ああ、そうだ。ナビ○コだったらナビ○コ菓子食い放題ですねえ(笑)。
リ○ツパーティーし放題ですよ、まったく。食ってこそこんののでしょう(笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´D`)<ないすすいみん

( ´д`)<イミ分からんと言うとるやろ?

渡る世間はたまにしか見ませんが、タキさんもいいアジだしてますね。
いしかーさんはムダに張り切り屋だからきっとやり遂げることでしょう。


>ピクシーさん

( ;^д^;)<いや、もう。梨華ちゃんサイコーやで!

(;^▽^)<ていうかあいぼん、涙まで流さなくったって

ツボハマリまくりでもツッコミセンサーは鋭く働くぼんさんなのです。
名古屋は普通の喫茶店でも他県では見られないメニューありますねえ、餡子入りコーヒーとか(笑)。


>あおさん

(;〜^◇^)<すっげ〜!

从*`ヮ´)っ□<お疲れっちゃ。ジュース差し入れっちゃ

ああ、別のスレでですか。アレかな(笑)。斉藤さんがやたらとセクシーダイナマイな(ry
最初から読んで頂いたとは。感激です。これからもよろしくおながいします。


>三日月ハウスさん


( ´D`)<ぼんてーじとかぼんてーじとかぼんれすはむとか

(;〜^◇^)<最後が明らかにおかしいぞ、オイ

そうですよね、いしかーさんにボンテージなんて狙いすぎですよね。例えて言うなら紺野大先生のメイド服くらいに(爆)。
「全国の男子の身にもなってもらいたい! 」と仰りながら私に同意を求めてるのに笑いました(笑)。
509 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/06(水) 23:45
更新お疲れ様です。
> 初レスの方でしょうか
 
いえ、実は以前から時々名無しでレスさせていただいてました。
今回はたまたま自スレの更新直後に読んだもので、
名前消し忘れたり、sage入れ忘れたりしたんです(苦笑)。
 それにしてもよっちゃん、まだって・・・これから・・・
イヤやわあ、大人って破廉恥や!
次回も楽しみにしてます。

>497さん、お手数おかけしてすみませんでした。
510 名前:ピクシー 投稿日:2006/09/07(木) 04:59
更新お疲れ様です。

大人って破廉恥・・・
そ〜いえば、その頃タンポポにも大人が1組(苦笑)

名古屋は本当に面白いですねぇ。
今度は、大阪じゃないけど、食い倒れ覚悟で行ってみたいものです。

次回更新も楽しみに待ってます。
511 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/07(木) 16:29
アネゴ、更新お疲れ様です

カオリのセーラー服・・・
カオリのブレザー・・・
カオリの体操服とブルマ・・・
犯罪の匂いがプンプンしますねっ!!(爆
さらに紺野大先生のメイド服・・・
さすが、アネゴ!いい趣味してます!!
もう一生ついていきます!!!

次の更新も待ってます
512 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/09/07(木) 20:39
更新お疲れ様です

・ω・<破廉恥!!破廉恥!!
从#~∀~#从<うっさい!!お前の存在が破廉恥じゃ!!


ののたんの乾電池ツボです

カオリはいったいどこを目指してるんですね?

次回更新お待ちしております
513 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/09/09(土) 01:36
「圭ちゃん、セーラー服、好き?」
「圭ちゃん、ブルマと体操服とかは好き?」
「ねえ、スクール水着は?」
これは全部ごまさんが着せたい好きなものでは?
あ、のんさんお中元にボンレスハムをどうぞ。…『ぼん』( ’д’)『れす』( ´D`)
ハム…辻加護ハムですね。(違)
514 名前:早春賦 投稿日:2006/09/10(日) 15:11
―――同じ夜。柴田家

「母、ちょっといい?」
台所のテーブルでで家計簿をつけてる母の処へ、柴田姉がやって来る。
「なに?仕事は済んだの?」
「ああ、うん。
1本上げた。
あのさ」
「何?」
「あゆみが帰って来てからおかしいんだけど」
「あの子がおかしいのはいつものことでしょ」
それもそうだな、と姉は一瞬納得しそうになるが
「いやいやいや。
確かにおかしーのはいつもだけど、ソレとは別に」
「ほっとけばいいでしょ。
どうせマサオちゃんとケンカしたんでしょ。
というか、あの子が勝手に怒ってマサオちゃんを困らせてんでしょ、どうせ」
何だ、分かってんじゃん、と姉はちょっと母を見直す。
しかしそう確定される妹って一体、との思いもよぎる。
515 名前:早春賦 投稿日:2006/09/10(日) 15:12
「母はマサオが好きだねえ」
しみじみ姉は言う。
「あの子はいい子よ。
だって、『あの』あゆみと付き合えるのよ?」
「まあ…ね」
「それだけでも感謝しなくちゃ」
「つーか、母、結構マサオタイプっしょ?」
ニヤニヤしながら母を肘鉄すると、母はちょっと赤くなって苦笑しつつ
「大人をからかうんじゃないの」
と娘を叩き返した。


大谷とケンカ別れして帰ってから、柴田は部屋に篭っていた。
携帯を開くと、
『さっきはゴメン。
あたしが悪かった。
いつでもいいから電話して』
と大谷からメールが来ていた。
何度も何度も文面を読み、苦い顔をして携帯を閉じた。
516 名前:早春賦 投稿日:2006/09/10(日) 15:12
「あーゆみー。
姉ちゃんとあーそーぼー」
下の階からデカイ声がする。
『バカ姉…』
ベッドにつっぷして、妹は聞こえないフリをする。
「あーゆみー。
メシを作れー」
更に無視。
「あーゆみー。
お隣さんがアンタの風に飛んだ洗濯物を届けに来てくれたよー。
うわ、なにこの派手な紐パン」
ダッシュして下に下りる。
「ちょっと!
紐パンなんか出してないわよ!」
即抗議すると、
「だーまされたー。
やーいやーい」
『バカ姉』が嬉しそうに『引っかかった引っかかった』と繰り返す。
横で母も楽しそうに『引っかかった引っかかった』と口ずさんだ。
「ケーキでも食べな。ホレ」
無造作に、姉は有名なケーキ屋の箱を開けて広げる。
こっくりと頷き、妹はちょっと泣きそうな顔でモンブランを食べる。
「めぐみ、わざわざ自由が丘まで行って買って来たのよ」
母が妹にこそっと耳打ちする。
姉は知らん振りをして自分はロールケーキをつまんだ。
517 名前:ごまべーぐる@仕事の都合で今週は早目に更新 投稿日:2006/09/10(日) 15:13
更新しました。

レスのお礼です。

>509の名無飼育さん

( ‘д‘)<なあ、破廉恥やなあ!

(;0^〜^)< う、うっせ!

ああ、そうでしたか。どうもありがとございます。
ホントに『まだ』ってじゃあコレからかよ、って感じですよね(苦笑)。


>ピクシーさん

(〜^◇^)<ん?オイラたちのこと?

(*/ー\)<いやもう!破廉恥だべさ!

顔を隠すと安倍さんだと分かりにくい罠(苦笑)。
どうでもいいネタですが名古屋はフィギュア王国だったりもします。


>三日月ハウスさん

(;〜^◇^)<カオリのスクール水着とかってフツーに犯罪だよな

(;`.∀´)<…うん

いやー、私のシュミではないんですけどね(苦笑)。
どっちかとゆーと私はカオリのキャリアウーマン風スーツの方が(ry


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;〜^◇^)<ドコ目指してんの?

川 *‘〜‘)||<カオリ帝国?

大丈夫です、私もこんなん書いてる破廉恥野郎ですから(苦笑)。
カオリの目指すトコについてったら身の破滅(ry


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´)。D`)<ハムうめーのれす!ありがとうれす

( ‘д‘)<ハムか…そんな時代もあったな シミジミ

カオリに着せたいのはどっちかっつーとスリット入った黒のソワレとか(違
セーラーとかはさほど関心ないです(苦笑)。
518 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/09/10(日) 15:14
・お隣さん


(((( ´ Д `)<♪おーばーけーのポストに〜てがみーをいーれりゃ〜 ←バイトから帰宅


( ´ Д `)<今日もよく働いた。メシでも作るか

( ´ Д `)ゴソゴソ

( ´ Д `)<ん、んあ。味醂がない… カリルカ

( ´ Д `)<(…待てよ)

( ´ Д `) 金曜夜10時半

( ´ Д `) 週末

( ´ Д `) 雨


( ´ Д `)っ ガラッ   ←窓を開けた

( ´ Д `)←上の階の明かりを見ている

( ´ Д `)←隣の窓の明かりを確認

( ´ Д `)<…煮物にしようかと思ったけど、カレーにすっか コンニャクイリダケド
519 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/09/10(日) 15:17
・プライベートスクール

―――朝比奈学園付属中学高校寮。道重の部屋

川*^ー^)<さゆって中学から実家出て寮生活なんだ。偉いね  ←遊びに来ている。床でクッション抱えてる

从*・ 。.・) <そんなことないの。1年の時とかは先輩によくしてもらったの

川*^ー^)<へえ、いいね。そういうのって。寮ならではってカンジだね

从*・ 。.・) <オトナにもしてもらったの

柏;*^ー^)<へえ。て、え!?

从*・ 。.・) <反応がワンテンポ遅いの

川*;^ー^)<オ、オトナにしてもらったって…やっぱりアレっすか

从*・ 。.・) <アレ以外何があるの

川*;^ー^)<い、いや…アハハハハ ←乾いた笑い



从*・ 。.・) <絵里はどうなの (^ー^*;川<い、いやまあ。ウヘヘヘ
520 名前:あお 投稿日:2006/09/10(日) 21:44
見てない内に更新が二回も!
毎度お疲れ様です。個人的に柴田家の雰囲気が大好きです。

むむ?斎藤さんがやたらとセクスィーなアレとは??やたらとビンボーなアレですか?w

れいにゃジュース……
ハァ―――;´Д`―――ン
521 名前:ピクシー 投稿日:2006/09/11(月) 06:09
更新お疲れ様です。

母良い味出してます。
そして、ごっちんのさりげない気配りも最高です。

フィギュアと言えば、ナ○ちゃん人形ですか?
デカかったですねぇ。
滑る方でも、強いイメージが。

次回更新も楽しみに待ってます。
522 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/09/11(月) 21:10
更新お疲れ様です

・ω・<うへへ〜柴田ママン萌え
( `◇´)<ネジがまたぶっ飛んだで〜

どこかで鬼太郎の〜♪

昼飯君のおかげで鬼太郎が見たくなる今日この頃


次回更新お待ちしています

523 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/09/11(月) 23:44
川*;^ー^)<い、いや…アハハハハ ←乾いた笑い
从*・ 。.・) <絵里はどうなの (^ー^*;川<い、いやまあ。ウヘヘヘ
この亀ちゃんの笑い方好きです。わたしは亀ヲタかもしれません。
あと質問が2つあるんれすけど『味醂』って何?と思ったけど適当に調味料を打ったら『みりん』でヒットしました。
で、あと一つは
( ´ Д `)窓を開け、上の階の明かりを見て、隣の窓の明かりを確認
( ´ Д `)<…煮物にしようかと思ったけど、カレーにすっか 
( ´D`)<なんで借りに行かなかったんれすか?
いじょう、こどものぎもんれした。
524 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/12(火) 00:34
毎日本間に楽しみにしています!★
もう3回以上読み直しました。
いちーちゃんとごっちんの夜が気になって仕方ありません。
525 名前:早春賦 投稿日:2006/09/20(水) 19:56
―――再び柴田家

「ケーキ食ったらまた部屋に篭りやがった」
姉はあきれたように妹が上がって行った階段を見る。
「でも喜んで食べてたでしょ」
母がテーブルでパソコンを打ちながらそれとなくフォローする。
「むう。ねーちゃんが遊んでやるというのに」
ぷっと頬を膨らませ、姉は椅子にどかっと行儀悪く座った。
「お行儀悪いわよ」
「すんません」
ちょっと頭を下げて座り直す。
そこへ父が帰って来る。
「おや、帰ってたんだね」
娘の顔を見て、父は感想を漏らす。
「ただいま。
ケーキ食べる?」
さっき買って来たケーキの残りを箱ごと見せる。
「ごはんの後でよばれるとするよ。あゆみは?」
「マサオとケンカして部屋でベソかいてる」
父は何故か長女の顔を怪訝な表情で見た。
「なに?」
「いや、君がまた何か余計なことをしたのかと…」
「失敬な」
姉はちょっと本気で怒って席を立つ。
「めぐみ、あゆみにお父さん帰って来たから降りて来なさいって言って来て」
「うへーい」
ダラダラと返事し、姉はガスガス階段を上がって行った。
526 名前:早春賦 投稿日:2006/09/20(水) 19:56
「おい、父ちゃん帰って来たから降りて来い」
妹の部屋のドアを叩くと、姉は遠慮なく開けた。
妹は抜け殻のように、椅子に座っていた。
『怖っ』
姉は一瞬引きそうになったが、
「降りて来いよ。
晩飯はビーフシチューだぜ」
と何とかエサで釣ろうとする。
「…いらない」
「ハァ〜。
…あのさ」
「なに」
「別にいいんだけど、メシの時間くらい家族に顔見せろよ。
ねーちゃんが言いたいのはそんだけだ。
で、あのケーキは高かったぞ。かなりな、高かったぞ。
そんだけだ。
あ、今夜のシチューの肉はねーちゃんが新宿のデパ地下で昨日買って来た黒毛和牛だ。
高かったぞ、かなりな、高かったぞ。そんだけだ」
「…バカじゃね?」
「なんだとー!!!」
姉は噴火し、妹の胸倉を掴みにかかる。
「このこの!
おまいが喜ぶかと思って買って来てやったのに!
ねーちゃん泣くぞ!
泣くぞ!
いいのか!?」
胸倉を掴まれゆさゆさと揺すられ、妹は一瞬姉を強い目で見つめボロボロ泣き出す。
527 名前:早春賦 投稿日:2006/09/20(水) 19:56
「あ〜、も〜。
アンタが泣くのキライなんだよ…手に負えないし」
困った顔をしつつも、姉は妹を抱き締めてやる。
「マサオ、きっとアタシがキライなんだ」
「バカなことを。
あんだけ自分のオンナにメロメロなヤツ知らないよ」
言いながら、背中をさすってやる。
「もういらないんだ」
「なわけないっしょ。
もしそーならねーちゃん殴ってやるから。
泣くな。な?」
「うん、うん」
妹は姉の胸に顔をうずめ、大泣きした。
528 名前:早春賦 投稿日:2006/09/20(水) 19:57
「こんばんは〜」
夜遅く、編集者の斉藤瞳が柴田家にやって来る。
「おや、いらっしゃい」
父が玄関のドアを開けてやる。
「夜分失礼します。
めぐみさんはご在宅ですか」
「ああ、キッチンにいるよ。
あゆみとごはん食べてる。
君もまだなら一緒に」
「すみません、失礼します」
斉藤はキッチンににこやかに入って行く。
だが、キッチンの光景を見て、その笑顔が凍りつく。
あゆみが物凄く泣き腫らしたと思われる顔で、ガツガツシチューを食べていた。
その横で、自分の恋人でもあるめぐみが、「ファイ!後1杯で新記録達成!」
と何やらけしかけている。
「…何事?」
斉藤はボソッといたってクールに呟いた。
「失恋記念日」
「は?」
「マサオに振られるかもしれない記念日だから」
「『かもしれない』って…。
かいつまんで言うとケンカ?」
斉藤は戸惑いつつ、父に勧められた椅子に礼を言って腰掛けた。
「で、お姉さんのアンタは何をけしかけてんの?」
「あゆみが元気になるように、シチューを山盛り食わせてる」
姉は真顔で答えた。
「はあ」
斉藤はただそれだけしか言えず、泣きながらシチュー食べる妹とけしかける姉を交互に見つめた。
529 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/09/20(水) 19:58
更新しました。

レスのお礼です。


>あおさん

川;σ_σ|| <住んでる人間もヘンだよね、あたし以外

( ‐ Δ‐)<筆頭が何を言うか

柴田家は異常に人気です(笑)。
アレとはコーヒーな姉妹が出てくるアレです(笑)。


>ピクシーさん

川母σ_σ|| <恐れ入ります

( ‐ Δ‐)<母、人気だな、母。このあたしを差し置いて

ああ、巨大人形もありましたね(笑)。
名古屋は伊藤みどりの時代から滑るのも凄い地域です。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

∬∬`▽´)<♪ヘヘヘイ、ヘヘヘイ、ヘイヘイヘイ

从*・ 。.・) <小川さん、ツボ入りすぎなの

ママン、ファン多いな(笑)。
娘メンバー(特にマコ)、昼飯くん好きすぎですよね(笑)。

>ひ〜ちゃんエッグさん

( *´ Д `)<いやごとーの口からはそんな

( `◇´)<借りに来たらエエのに、遠慮せんかて

オトナの事情です(笑)。
亀ちゃんはよく『ウヘヘヘ』って笑ってますよね(笑)。


>524の名無飼育さん

( ´ Д `)<ホントどうなったんかね〜

川 *‘〜‘)||<ごっつぁん、カオにだけ教えて教えて?

初レスの方でしょうか。ありがとうございます。
3回以上も読み返して頂いたんですか!嬉しいです、ありがとうございます。
530 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/09/20(水) 22:02
更新お疲れ様です

なんですか?このメロンスペシャル(マサオを除く)
嬉しすぎるじゃないっすか!!
・ω・<イカれた姉妹愛最高
( ´D`)<アホは一人っ子なので兄弟に憧れてるのれす
从#~∀~#从<昔親に兄弟がほしいって
         言ったらあんた捨てていいなら作ったるって言われてんて

次回更新お待ちしております
531 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/09/21(木) 01:01
更新おつかれさまです。
いや〜いいお姉さんですなあ。
とりあえずマサオ、さっさと柴ちゃんとこに行け!
532 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/09/21(木) 22:49
更新乙です。
村さん最高です。
533 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/22(金) 00:29
アネゴ、更新お疲れ様です

村田さん・・・そんな、泣くほど高かったんですか・・・
妹重い・・・じゃなかった思いですねぇ
うちだったらそんな高い肉、いらないって言ったら
即、他の家族に喰われちゃいそうですけどww

あ、ビーフシツー食べたくなってきた

次の更新も待ってます
534 名前:早春賦 投稿日:2006/09/23(土) 16:08
―――柴田家

食べるだけ食べたら、妹はフラフラとキッチンを出て行った。
「まったくお皿も洗わないで」
母はちょっとあきれたように言い、シンクに置かれた皿を食器洗い機に入れた。
「瞳ちゃん、おかわりは」
まだ食事中の斉藤に、母はちょっと振り向いて声を掛ける。
「あ、いえ。
もうお腹いっぱいです。ごちそうさまです」
「デザートにめぐみが買って来たケーキといちごがあるけど」
「ありがとうございます」
斉藤はにこやかに頭を下げた。
「シチューおいしいね。
すごくいいお肉じゃない?」
横で食べるのを見ていた姉に、斉藤は言った。
「この子が何考えてんだか昨日新宿だか銀座だかのデパ地下で買って来たのよ」
母はちょっと苦笑しつつ口を挟む。
「失礼なー。
家族にエエもん食わそうという心を分かってないね」
姉は案の定むくれる。
「はいはいすみませんねー、ありがとうございます、めぐみさま」
母は物凄く棒読みで言い、通りすがりに娘のケツをバシンと叩いた。
535 名前:早春賦 投稿日:2006/09/23(土) 16:09
「こんばんは…」
か細い声に、キッチンにいた斉藤はハッとなる。
「マサオくん?」
椅子から立ち上がってドアから覗くと、応対に出た姉が
「今日のところは帰りな」
と厳しい顔をしていた。
「どうしてもダメですか?」
大谷は姉をすがるように見つめた。
「ダメじゃないけど」
姉は続ける。
「ドッチも今日のところはひとりでアタマ冷やしたほーがいーと思うのよ、
姉としては」
536 名前:早春賦 投稿日:2006/09/23(土) 16:09
『たまにはマトモなこと言うじゃない』
斉藤は心の中で思わず感心した。
「でも…」
大谷がまだ尚も何か言いそうになると、
「アタシはね」
姉は相手の肩をぐっと掴んだ。
その細い腕の何処に、というくらい強い力だった。
「あゆみを泣かしたヤツを許したことがないのよね」
斉藤は村田の微かな笑いを見て思わずゾッとした。
「知ってます」
負けじと、大谷は強い目で見返す。
「今日のところは帰ります」
解放され、大谷は自分の肩を庇うように腕をやった。
537 名前:早春賦 投稿日:2006/09/23(土) 16:10
「いいの?」
真夜中のベッドで、斉藤は恋人に問うた。
あの後、引っ張られるように部屋に連れ込まれ、激しい愛撫を受けた。
「何が」
「マサオくん」
「うん」
「可哀想じゃん」
「可哀想?」
「うん…アンタ、怖かった、さっき」
ベッドの上で膝を抱え、斉藤は呟いた。
「優しく言ったつもりだったんだけどなー」
村田はあくまでとぼけるように言った。
538 名前:早春賦 投稿日:2006/09/23(土) 16:11
めぐみは仕事をしてる時など、狂気を感じることがある。
そこに惹かれてる自分も否定できない。
斉藤は思いを巡らせた。

「コッチおいでよ」
少し距離を置いて座ってる斉藤を抱き寄せて、村田はベッドに引き込んだ。
「脚、広げて」
羽根のように軽い彼女の存在を感じながら、斉藤は目を閉じた。
539 名前:ごまべーぐる@今回は諸事情により早めに更新 投稿日:2006/09/23(土) 16:12
更新しました。
レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ‐ Δ‐)<マサオはハブでいいんだ、ハブで

煤i; `_´)<ションナ!?

確かにメロンSP(マサオ除く)ですね(笑)。言われてから気付きました。
私はオカンに同じ要求をしたら「じゃあどっかで買うてきて」とサラリと言われました。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(; `_´)<ハハハハ、ハイ

川+σ_σ|| <遅いのよアンタ!

いい姉ちゃんですが、実際こんな姉いたらちょっとイヤかも(苦笑)。
マサオがどう出るかですねー。まあ、村さんがいるから大丈夫でしょうけど(笑)。



>532の名無飼育さん

(* ‐ Δ‐)<最高なんて照れるにょ

川;σ_σ|| <いいの?最高なんて言っていいの!?

言っちゃいましたね(笑)。この先一生ムラさんナシではいられなくなりますよ(笑)。
それは冗談ですが、自分の書いてるキャラを最高と言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。


>三日月ハウスさん

( T ΔT)<そりゃもうあぁた、清水の舞台から飛び降りてまた飛び上がるくらい、オゥオゥ

川;σ_σ|| <ウソをつけ

妹、このまま姉に唆されてガッツいてたら本当に「妹重い」になりそうな悪寒(笑)。
私までビーフシツー食べたくなってきました(笑)。
540 名前:ピクシー 投稿日:2006/09/24(日) 01:57
更新お疲れ様です。

姉さん、良い姉さんだよ・・・
はたしてこの先どうなる事やら・・・

あぁ、滑る方もスゴイですね。
ミキティとか・・・(ボソ)

次回更新も楽しみに待ってます。
541 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/09/25(月) 00:17
こうしんおつかれです。
こんなマジな村さん初めて見たなあ。
いつもは美少女のケツを追っかけてるのに。
542 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/09/25(月) 02:31
更新お疲れ様です

メロンSP(マサオ相変わらずハブ)
嬉しすぎます

・ω・<村さん怖すぎ
( `.∀´)<ニヤニヤしてるあんたのほうが怖いわ

アレですねとことん妹想いな変な姉ああ素敵だ

作者さんもサラッと流されたんですね

次回更新お待ちしております
543 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/09/27(水) 02:15
アネゴ、更新お疲れ様です。

いつも怖い人がちょっと可愛いことをすると
3割増しぐらいで可愛く見えるのと同じように
いつも怖くない人が怖いと3割増しで怖いですね。

村さん怖い・・・ 。・゚・(ノД`)・゚・。

次の更新も待ってます。
544 名前:早春賦 投稿日:2006/10/03(火) 19:40
―――中澤家

「おーるとぎゃざーおーるつぎゃざー、ら、らぶれぼりゅーしょん…ぜ、ぜーはー」

梨華の部屋で、吉澤は力尽きて床に手をついた。
ダンスレッスンで全力を使い切ったのだ。
梨華も
「も、もうダメ…」
床に崩れ落ちるように座り、傍らのベッドにどたっと上半身を預けた。
「梨華ちゃん、寝るべ」
「そ、そうだね」
『なんや、もう寝るんかい』
ドアの外で、加護の声がする。
吉澤は、
「ゴルァ!」
とドアを叩き返す。
すぐにそれぞれ微妙に違う足音が数人分、走り去って行った。
「アイツらは〜。
さてはこんこんまでのぞき?」
吉澤はドアをいまいましそうに見つめた。
梨華はベッドに上半身だけ預け、欲も得もない、というように
寝息を立て始めた。
「ておい!梨華ちゃん!器用な寝方しすぎ!布団入んなって」
吉澤は梨華をゆすった。
「おやすみ…ひとみちゃん」
もう完全に、梨華は夢の世界だ。
「もう〜」
吉澤は仕方なく、梨華をベッドに寝かせ、布団を掛ける。
どうしようか考えた後、彼女のベッドに潜り込んで隣で寝息を立てた。
545 名前:早春賦 投稿日:2006/10/03(火) 19:40
翌朝。

雨は止んだ。
しかし完全には晴れず、青空の向こうには薄い雲が千切れるように流れていた。
546 名前:早春賦 投稿日:2006/10/03(火) 19:42
―――中澤家

「おはよーごぜーます」
吉澤が一番に朝食に現れた。
「あ、いっけね。
今日、土曜だった」
テヘ、というように頭に手をやり、冷蔵庫を開けて卵などを出した。
今日は土曜なので朝食の予約をしなかった。
必然的に自炊となる。

「るるるんるん」
鼻歌混じりで、玉子焼きを調理する。
ついでに梨華や加護たちのも焼いた。
「よう、おはようさん」
そこへ平家がやって来る。
「あ、平家さん。
おはよーござーます。
メシ、食います?」
「足りるか?
あのちびっこらのもかなり要るやろ」
「ああ〜、そっか。
ビミョーっすね…」
「ウチはあとで姐さんに作ってもらうからエエわ」
「カッケー!」
平家が艶然と笑うと、吉澤は卵を返しながら『カッケー!』を連発した。
547 名前:早春賦 投稿日:2006/10/03(火) 19:44
「おはようございます」
「おはよーれす」
「おはようさん」
高校生たちが次々やって来る。
「あ!よっちゃん朝メシなんか作ってんの!」
加護が驚きの声を上げる。
「フフフン、ひとみ様のスペシャル玉子焼きだべ」
「何キャラれすか」
「わ〜、おいしそうです…」
紺野が控えめに発言し、心底嬉しそうに微笑む。
「おはよう、ひとみちゃん」
梨華が気がつくと台所に入って来ていた。
「おはよっす」
コンロに向かったまま、彼女とおはようのキスを交わす。
「ギャー!見てられへんわ!」
加護が大袈裟に顔をしかめる。
「素敵です…」
紺野が控えめに恥じらった。
「うまそーなのれす。
とっとと食うのれす、冷めたらまじーのれす」
んなことはお構いなしに、辻はテーブルに向かう。

天気は微妙だが、朝の陽射しが賑やかな食卓に差し込んでいた。
548 名前:ごまべーぐる@今週も前のめり更新 投稿日:2006/10/03(火) 19:50
ツイテルベ(0^〜^)っ(´D。` )


更新しました。


レスのお礼です。

>ピクシーさん

( ‐ Δ‐)<うむ、世界で一番偉い姉なのだ

川;T_T|| <…ワケもなく泣けてくるのはなんでだろ?

いい姉ちゃんですが実際いたら苦労するかと(ry
滑る方のミキティー。ああ、巨乳の方ですね、うわなにをす(ry


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ‐ Δ‐)<おや、あたしはいつだってマジだよ。本気と書いて『マジ』と読むくらい

(  T_T)<姉上様、目が怖いです、マジで ←注:大谷さん

美少女に萌えてるだけではないのですが、やっぱり日常の大半は美少女に萌えてるのです。>村さん
あゆみ絡みのことには結構冷静に怖いねーちゃんなのです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(; T_T)←ハブ

( ‐ Δ‐)<某映画でも出る早々爆発だしのぉ〜

とことん間違った方向に妹思いな姉です。
別な時にもトライしたら「じゃあどっかでもうてきて」ですた。>妹か弟要請


>三日月ハウスさん

( ‐ Δ‐)へへ゛<そーら、怖いか怖いか〜

川;σ_σ|| <ただのバカな人だよ、それじゃ

掃除をいつもサボるヤツがたまに掃除したら物凄く褒められるようなものですね(違)。
村さんは底知れず怖い面もあります、いつもすっとぼけてますが。
549 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/03(火) 19:57
更新乙です。
長いこと読んでてはじめてのリアルタイムでした。
よっちゃん、男の料理っすね(違)
それにしてもさすがはののさんですね(笑)
中澤家はほのぼのしてて大好きです。
次の更新も楽しみに待ってます。
550 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/10/04(水) 23:04
更新お疲れさまです

・ω・<みっちゃんの朝飯はなんだろう
( `.∀´)<このバカ気になってしょうがないらしわよ

マサオ爆破是非見たいんで足運ぼうと思ってます

次回更新お待ちしております
551 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/10/05(木) 00:07
ツイテルベ(0^〜^)っ(´D。` )
これかわいくて好きです。
しかし卵いくついるんだろう?
552 名前:ピクシー 投稿日:2006/10/05(木) 01:01
更新お疲れ様です。

平和な朝ですねぇ。
休日の朝とかは、こうして迎えたいものですねぇ。

いまや各方面にいる「ミキティ」ですが・・・
自分もよっちゃんと同じ反応します。
最初は本家・元祖を思い浮かべますねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
553 名前:あお 投稿日:2006/10/05(木) 14:05
更新お疲れ様です。

よっちぃと梨華ちゃんカップル、さり気なくて良いですねー。ほわほわ。

コーヒー姉妹、わからないです。。。きっと読んでいないかシナプスが不具合起こしてるかだと思います。気になるー。
554 名前:早春賦 投稿日:2006/10/11(水) 21:29
―――市井宅

後藤は無表情で、テーブルに向かっていた。
その斜向かいで市井は彼女の顔色を伺うようにしていた。


後藤はキッチンのテーブルで化粧をし、パウダーの蓋をぱちんと閉じた。
「コ、コーヒー飲むか?」
市井が立ち上がる。
「いらない」
「メシはムリだけどコーヒーくらい…」
「いい。もう帰るから」
「じゃ、じゃ、送ってく」
「いいよ」
「なあ」
後藤はここで初めて市井の顔を見た。

555 名前:早春賦 投稿日:2006/10/11(水) 21:30
「怒ってんのか?」
「別に」
「じゃ、なんで」
「別にってんじゃん」
後藤はテーブルの下に置いた鞄を持ち上げ、踵を返した。
「オマエには」
市井は少し間を置き、
「本気だからな」
叩きつけるように言った。
「は?」
「『は?』じゃねえ。ちゃんとアタシを見ろ」
「青春ドラマかなんかの見すぎじゃないの?」
「ガキの頃からオマエだけ見てきたんだ!」
「知ってる」
「知ってんならじゃあどうし」
市井が最後まで言わないうちに
「知ってるよ」
後藤はドアを閉めて出て行った。
556 名前:早春賦 投稿日:2006/10/11(水) 21:31


雲は千切れるように流れていた。
風も少し出ている。
3月とは言え、ひんやりとした空気が、肌を撫でた。
557 名前:早春賦 投稿日:2006/10/11(水) 21:33
吉澤の提案で、高校生たちは川原のグランドまでフットサルをしに行った。
梨華はグランドまで下りたが、自信がないのでコートの外で応援する。
たまたま保田と散歩してて通りかかった飯田もゲームに加わった。


「アンタはしないの?」
保田は隣に座ってる辻に声をかける。
ふたりは堤防に座って、雨上がりで泥だらけな試合を観戦していた。
「おなか痛くなったのれす…」
辻は軽く腹部を押さえる。
「ああ〜、食べすぎだな〜」
保田はニヤリと笑う。
「違うれす…」
辻は消え入りそうな声で答える。
保田は小さく微笑み、自分が首に巻いていたマフラーを辻に差し出した。
「お尻に敷きな。
女の子は腰を冷やしたらダメなんだよ」
「オバチャン寒くないのれすか」
「アタシはいいから。ホレ」
「ありがとうれす…」
辻はマフラーを受け取り、下に敷いた。
558 名前:早春賦 投稿日:2006/10/11(水) 21:34
「オバチャンを」
「うん」
「なんでいいらさんがすきなのか、ちょっとわかったれす」
「そっか」
小さく笑い、保田は自分がかぶっていたキャスケットを辻にかぶせ、
その頭をぽんぽん軽く叩いた。
コートでは、飯田が高校生相手にマジになり、スカートのままボールを
蹴っ飛ばしていた。
559 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/10/11(水) 21:37
更新しました。

     ワーワー
ノ( ゜皿 ゜)ノ   (((0^〜^)(・-・o川)) (´д`;))) ←微妙についていけてない


レスのお礼です。

>549の名無飼育さん

( *´D`)<りあるたいむはずかしーのれす

川o・-・)<その上長きに渡って読んで頂いているとは!

リアルタイムは嬉しい反面何か照れますね(笑)。どうもありがとうございます。
よっちゃんの料理はかなり豪快です(笑)。結構味はいいって設定で書いてます。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( `◇´)y-~~<朝飯?姐さんに決まっとるがな

从;#~∀~)<…ようも素ゥでそないなこと言えんな

「卵ばっかりでパンがあらへんがな!」で結局タンポポに行ったに違いないに1万ヤスス。
先に見に行った友人(非ヲタ)も「あの爆破シーンの子可愛いよね」と言ってました。>某映画


>ひ〜ちゃんエッグさん

(0^〜^)<ん?ざっとひとパック半くらい

从;#~∀~)<しかもほとんどマイ卵やんなあ

よっちゃんは常時2パックくらいはマイ卵を冷蔵庫に入れてます。
当然ながら作った大半は辻さんの胃袋へ。>玉子焼き


>ピクシーさん

(;0^〜^)<ののがうるさくてのんびりできねえ

( ´D`)<ばかっぷるのかたわれにいわれたくねーのれす

平和ですが相当うるさいかと(苦笑)。特に辻さんとか辻さんとか辻さんとか。
私も『ミキティ』と聞いたらまず貧乳の方をうわなにを(ry


>あおさん

( ‘ д‘ )<さり気なくバカップルやんなあ

川*・-・)<それはそれで素敵やん?

さり気なくイチャつけるくらい大人になったようです。>バカップル
コーヒー姉妹は読み返して頂いたらきっと「ああ」と分かるかと思います。
560 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/10/12(木) 00:06
「なんでいいらさんがすきなのか、ちょっとわかったれす」
( ゜皿 ゜)ノワーワー
ただ、本気になるとなぜこの顔になる謎はわからないのれす。
ぼんさん、がんばれ!
更新おつかれでした。
561 名前:ピクシー 投稿日:2006/10/12(木) 04:38
更新お疲れ様です。

またまた平和ですねぇ。
そういう言葉がピッタリです。

ぼんさん、微妙に・・・?(苦笑)
一方でコンコンは運動も完璧ですね。

次回更新も楽しみに待ってます。

562 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/10/12(木) 23:23
更新お疲れ様です

・ω・<俺もフットサル参加した〜い
( ゜皿 ゜)<歩いてるだけで職質される奴が戯言を!!

卵祭りに乱入に500ケメコ

先に某映画見に行った友人曰くマサオ最強!!!
俺も早く見に行きたいものです

次回更新お待ちしております
563 名前:早春賦 投稿日:2006/10/17(火) 16:21
フットサルは白熱してなかなか終わりそうにないので、辻は保田を促して
散歩に出た。


「辻、アンタ背、伸びたんじゃない?」
隣に並んだ辻のつむじを見て、保田は感想を漏らす。
「へいっ、なんかジーパンが丈が短いのれす」
「ああ、ちょっと丈直した方がいいかもね」
辻の足元の、中途半端な丈の裾に目をやり、保田は言った。


「いい天気なのれす」
「晴れてきたね」
「へいっ」


「♪毎日ちょっぴり背が伸びて〜」
「♪きのうのズボンはぁ〜、もうはーけーなーい」
ふたりは手をつないでその手をぶらぶら揺らして歩いて行き、
グランドにいるメンバーにつないでない方の手を振った。
564 名前:早春賦 投稿日:2006/10/17(火) 16:21
「…カオリ、家に直行してフロね」
泥だらけの飯田を見て、保田は冷静に言い放つ。
「うえ〜。ここまで汚れるとは」
顔にもついた泥を手の甲で拭い、飯田はしかめっ面をした。
「…ひとみちゃんもお風呂入った方がいいよ」
コートの外で応援してた梨華も吉澤のどろんこ姿を見て言った。
「もー。だからウチはイヤや言うたんやー」
今更なグチを言い、加護は中澤家に向かってさくさく歩き出す。
「アハハ、あさ美ちゃんどろんこれす。
中澤しゃんに頼んでお風呂沸かしてもらうれす」
「はい…相すみません」
紺野も恥ずかしそうに肩先で泥だらけの顔を拭う。
565 名前:早春賦 投稿日:2006/10/17(火) 16:22
―――中澤家

泥んこな連中がまとめて風呂に入っている時、ちょうど昼時となった。
「紺野ちゃん、お昼食べて帰るかしらね」
居間の時計を見て、梨華が言った。
「言わなくてもがっつり食べると思うれす」
辻は深く頷く。
「サンドイッチでいいかしらね。
ひとみちゃんの卵借りて、と」
「パンあらへんで」
新聞を読んでいた裕子が口を挟んだ。
「じゃ、おにぎりおにぎり…」
いそいそと梨華は台所へ行った。

「ごっつぁんです!」
吉澤の言い方に、梨華は苦笑する。
風呂から上がった連中は、ガツガツとおにぎりを頬張った。
無論辻もガツガツいった。
「…よう食うな」
唯一、加護がやや引いてその様を見ていた。
「ひとみちゃん、夕方から練習でしょ。
あたしも2時から朝比奈行かなきゃいけないから」
「ああ、そうだったそうだった。
一緒に出るべ」
吉澤のほっぺについたご飯粒を取ってやり、梨華は自分の口に放り込んだ。
『自然だわ…』
それを見て紺野はうっとりする。
うっとりしてるスキに一番好物の具が入っているおにぎりを辻にとられた。
566 名前:早春賦 投稿日:2006/10/17(火) 16:22
―――保田宅

フロ上がりの飯田に、
「じゃ、アタシはバンドの練習に出るから」
と保田は告げた。
「待って待って〜。
カオもカテキョだから一緒に出るぅ〜」
飯田は慌ててバスタオルで髪をぐしゃぐしゃに拭いた。
「アンタまだ時間あるっしょ。
アタシも急がないからゆっくりでいいよ」
保田は苦笑する。
飯田はそれでも大慌てになり、
「ね?カオ、今日グレーのあの服がいいかな?
それともピンクのアレがい?」
と意見を仰ぐ。
「どっちも可愛いよ」
「てきとー。
マジメに答えてよお」
「じゃ、グレー」
「分かった」
長身がばたばた家から出て行く姿を見て、保田は小さく笑った。
567 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/10/17(火) 16:24
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´D`)<なんでなんれすかオバチャン

(;`.∀´)<さあねえ

いいらさん我を忘れてると思います(笑)。
あんだけ運動神経いい人たちが集まったらそらああのぼんさんは(ry


>ピクシーさん

(;´д`)<ウチは嫌や言うたんやけどな

(;0^〜^)<おまい結構ノリノリだったぜぃ?

こんこんは文武両道です。大喰らいですが。
ぼんさんは頭脳は僅差でこんこんに勝つのですが運動は(ry


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(0^〜^)ノ<おおよ!入って来いよ〜!

(;´д`)<その間ウチは休ませてもらうワ

そういやこの頃はガッタスもなかったなと書いてて懐かしかったです。
最近は職場で「スケバン刑事観に行かへん?」と勧誘してます。
568 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/10/17(火) 22:54
更新おつかれです。
紺野さんが、一番好物の具が入っているおにぎりを辻さんにとられた時、辻さんのほっぺをつかんで出させたかったに明太子おにぎりとツナマヨおにぎり。
569 名前:ピクシー 投稿日:2006/10/18(水) 03:57
更新お疲れ様です。

平和な時間も終わり、激動の日々へ?

ぼんさん運動神経はともかく、ダンスは出きると。
企画物の団長もといリーダーですし。

次回更新も楽しみに待ってます。
570 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/20(金) 15:53
不思議だ素敵だ幸せだ
571 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/10/21(土) 00:28
更新お疲れ様です

・ω・<吉澤夫妻萌え
从#~∀~#从<キショイ!!

ついに岡村企画発動ですな
どうなるんだろう

先日友人にマサオ爆破見に行かない?って言ったら
誰やねんそれで片付けられました

次回更新お待ちしております
572 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/10/27(金) 12:43
どろんこ3人組のドタバタお風呂みてみたいw
573 名前:早春賦 投稿日:2006/11/01(水) 16:42
―――朝比奈学園

体育館に付属中学3−B担任・岡村の陰謀に巻き込まれた生徒たちが集まった。
OGの梨華は恥ずかしそうに隅っこに寄っている。
「よーし、みんな集まったな!」
そこへ現れた岡村。
今日は意外にもアディダスのカッコイイジャージだった。
「せんせー、カッコイイ!」
道重の黄色い声が上がる。
「ヒューッ!」
小川もすかさず茶化す。
岡村も悪い気はしないらしく笑顔である。
梨華はちょっと離れたところからにこやかに見守っていた。
「ん?来たな、石川!」
「ハイ、イシカワ来ました!」
元気よく手を上げる梨華。
「石川前へ。
よーし転校生を紹介する」
「転校生にしちゃトシが微妙…」
小川は小声で隣の紺野に囁き、またもや岡村からチョーク投げをお見舞される。
574 名前:早春賦 投稿日:2006/11/01(水) 16:43
「この度我がチームに参加してくれることになった、卒業生の石川梨華さんです!
みんな、拍手ー!」
岡村が煽ると、一同は体育座りでパチパチ拍手する。
「石川梨華です、一生懸命頑張りますので皆さんよろしくお願いします」
梨華がはにかみながら挨拶すると、道重が
「美人なの」
と早くもライバル視する。
「でもさゆの方がかわいいの」
「まあ〜、梨華ちゃんはフツーにべっぴんさんやからな。
まあ、ウチには敵わんけどな〜」
髪をなびかせて加護が言う。
『世の中ナルだらけなのれす…』
自分の容姿にはあまり関心のない、というか自分は可愛いとあんまり分かってない辻は心の中で思う。

練習が始まってみると、皆梨華の姿に唖然とする。
無駄に凄過ぎるダンスに、一同目が点。
「よーし石川いいぞー」
「ハイ!」
褒めると伸びるというか更に無駄に凄くなる梨華。
岡村に褒められ、満面の笑み。
無駄にキレのいいダンスで一同を驚かせた。
575 名前:早春賦 投稿日:2006/11/01(水) 16:43
「石川さん、凄いの」
練習後、道重は梨華にててっと駆け寄って行った。
「綺麗なだけじゃなくてダンスも上手いの」
ベタ褒めされ、梨華は赤くなる。
「絵里と同じニオイがするの」
亀井は幸薄く微笑んだ。
どういうことだろ、と首を傾げながらも梨華も幸薄く微笑み返す。
『うわ!幸薄っ!』
加護はふたりが微笑む様を見てやや引いた。

「なあ」
一同がぞろぞろと着替えに向かう中、小川は紺野に声を掛けた。
「何ですか」
紺野はちょっと振り向く。
「怒ってんのか?」
紺野は何も言わずロッカールームへ歩いて行く。
「なあってば」
「別に何も怒ってません」
「その…紺野のせんせーのコト、悪く言ったのは悪かったよ。
せんせーにも謝っといてくれよ」
「ご自分で」
ここで、紺野は振り返った。
「謝ってください。悪いと思ってらっしゃるのなら」
「はははは、はい…」
普段おとなしい紺野の迫力に、小川はすっかり腰が抜けたようになる。

一方。
「石川さんメアド教えてほしいの」
「あ、絵里もー!」
梨華はすっかり道重と亀井に懐かれていた。
576 名前:早春賦 投稿日:2006/11/01(水) 16:44
―――中澤家

「ん…」
昼寝から目が覚めた裕子は軽く伸びをした。
昼食の後、ついうとうとしてしまった。
梨華たちが出掛けたのも知らない。
「お目覚めか、お姫さん」
平家が上から顔を覗き込んで、軽く顎に手をやってキスをする。
横たわってる足元ではなく、頭の方に平家はいたので、不安定な姿勢だった。
「ふあ〜あ…ガキどもも出掛けおったさかい、ウトウトしてもたわ」
起き上がって欠伸をし、
『いつ来てん?』
と平家を見た。
昼前に用事があると一旦ハイツに帰って行ったのだ。
「梨華ちゃんらが出掛けるちょっと前、ほとんど入れ違いや」
「よっぽどウチのそばにおりたいんやな」
「うん」
「て、マジメに答えんなや」
眉を顰め、裕子は体に掛かっていた毛布を払いのけ、
「茶ァでも入れるわ」
と腰を上げた。


―――喫茶タンポポ

ランチタイムの慌しいひとときが済んでちょっと落ち着いた頃。
矢口はメモ片手に、ステップを踏んでいた。
「矢口さん、ファンキーですねえ」
アルバイトの岡田はのんびりと感想を述べる。
「そう?」
「なんやごっつクールですわ」
「ありがとね」
手短に礼を言い、矢口はちっこい体を左右に揺らしていた。
577 名前:早春賦 投稿日:2006/11/01(水) 16:44

その頃。
渋谷のスタジオに、CUBICの連中は集合していた。
吉澤は周辺コンビニで買った、500ミリパックのリプトン紅茶を
ストローで大事そうに飲んで、譜面を見ている。
保田は黙々とiPodで曲を聞いて音取りをしていた。
アヤカは携帯でメールを打っている。
そんな中、市井ひとりがそわそわと落ち着きない。
「何そわそわしてんの」
携帯を打ちながらアヤカが声を掛ける。
「あ、う…何でもない」
アヤカはチラッと市井の方を見たが、すぐに視線を戻した。
吉澤は
「ぷっはぁ〜…紅茶ウメー」
とマイペースだ。
「アンタ、後藤と昨日会ってた?」
ふと思い出したように、保田が言った。
物凄い速度で、市井が振り返る。
市井の形相に、何の気なしに言った保田はぎょっとする。
「どしたのよ」
「いや…なんでもない」
途端に肩を落とす市井。
「あ、ごっちん来た」
吉澤の声に、市井はまたもや凄い反射神経でドアの方を見る。
後藤がいつものようにプラッと現れた。
「ごめん、遅くなって」
「いえいえー。2分遅刻なんだから上出来よ。
さ、時間もったいないから早速やるわよ!」
保田の声に、一同はスタンバイする。
578 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/11/01(水) 16:46
更新しました。
レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

川o・-・)<さ、辻さん出してください

(;´)。D`)<ム、ムリなのれふ モグモグ

のんさん相手に油断は禁物です。油断するなよ?(by 岡村先生)


>ピクシーさん

从;*・ 。.・) <美人の石川さん登場でさゆ的には激動なの

川;*^ー^)<さゆってホントナルだよねー

ぼんさんダンスセンスは何故かいいんですよね。 


>570の名無飼育さん

( `.∀´)<三十路がいるわね ♪ララララ〜ラララ〜ララララ〜

( ´D`)<オバチャンヒトのこといえねーのれす

郵便局が出てくるシリーズが妙に好きです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ‘ д‘ )<バカップルにアテられぱなっしや

( ´D`)<こどものきょういくにわりーのれす

誰やねんそれで片付けられるマサオ萌え(違 


>572の名無飼育さん

(0^〜^0)<せくしー入浴シーンだべ?

(;´д`)<そんなエエもんやあらへん

吉澤さんが主に騒ぐそれはうるさいフロかと(苦笑)。
579 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/01(水) 20:30
更新乙です。
無駄に声の高く、無駄に黒い梨華ちゃんの、無駄にすごすぎるダンスにワラタ
なんか増えてるような気もするけどいっかw
580 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/11/01(水) 23:13
更新おつです。
あれ?ガキさんと田中っちはメンバーに入ってないんですか?
581 名前:ピクシー 投稿日:2006/11/02(木) 07:54
更新お疲れ様です。

光景が目に浮かびます。
また平和な日々から動き始める?
ヤグの今後にも注目ですな。

次回更新も楽しみに待ってます。
582 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/11/02(木) 19:52
アネゴ、更新お疲れ様です。

何なんでしょうね、この石川さんの『懐かれオーラ』は。
実際の石川さんも出してますよね。
全身から出てるそのオーラが石川さんの一番の魅力なんじゃないかな、と思った秋の夜です。

次の更新も待ってます。
583 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/11/03(金) 00:38
更新お疲れ様です

・ω・<懐かれ梨華ちゃん萌え
(0^〜^)<キモイYO!!

やっぱり
みっちゃんと裕子のほのぼのは最高ですな
ふとアイさがを見たくなりました

次回更新お待ちしております
584 名前:早春賦 投稿日:2006/11/08(水) 10:45
練習中も市井はチラチラと後藤の方を気にしていた。
本人的には『気にすまい、気にすまい』と心を鎮めてるのだが、逆に意識する始末だった。
「ホホッ、紗耶香。
アタシ練習中も見とれるほどいいオンナ?」
それとなく保田が指摘する。
「ブッ…バカ!
誰が圭ちゃんなんか!!」
市井は顔を真っ赤にして怒る。
「んま!
『なんか』で悪かったわね!」
保田はスティック片手にキーッとなった。
「5分休憩する?
紗耶香もあんま調子よくないよーだし」
アヤカがそれとなく振った。
吉澤も頷く。
「時間もったいなくない?
続けよーよ」
と後藤。
アヤカと吉澤は顔を見合わせた。
「ん、ま。
紗耶香、続ける?」
保田が言うと、
「…ああ」
市井は俯き加減で口を開いた。
585 名前:早春賦 投稿日:2006/11/08(水) 10:45

「どーしたってゆーの、今日は」
練習後、立ち寄ったパブでアヤカは市井を詰問していた。
吉澤は特に予定もないのでふたりに付き合っている。
後藤は『バイト』と言って帰ってしまった。
保田も『用がある』と早々とスタジオを後にした。

吉澤は黙ってビールをちびちびやりながらふたりを見ていた。
「別になんもねーよ…」
うんざり、というように市井は答える。
テーブルに顔を伏せて髪を乱雑にかきむしった。
「乱暴に掻くと髪に悪いッス」
吉澤がやっと口を開いた。
やっと言ったひとことがコレだった。
市井も流石に顔を上げて吉澤を見、アヤカは苦笑して髪をかきあげた。
「よしざわ〜!」
市井が抱きつく。
「な、なんスか」
抱きつかれた吉澤はちょっと引いている。
「アタシはオマエが大っスキだぞ〜」
「えええええ〜」
本気で嫌がってる吉澤。
アヤカを見ると、大人びた笑みを浮かべていた。
仕方なく、吉澤はアヤカに向かってピースしてみせた。
「それくらいごっちんにも言えたらねえ」
いきなり核心を突くアヤカ。
市井はどんよりと沈んでしまった。
「あ…いちーさんが沼の底に沈んでいく」
「引き上げちゃダメよ、よっちゃん」
ずぶずぶ沈んでいく市井をよそに、ふたりは失礼なことを言う。

「自力で」
『這い上がらなきゃね』
そう言ってアヤカはビールを呷った。
586 名前:早春賦 投稿日:2006/11/08(水) 10:46
『从*・ 。.・)<石川さん今日はおつかれさま☆
        さゆ、石川さんとお友達になれてうれしいの。
        うさちゃんピ〜スで明日もがんばるゾ!』


『川*^ー^)<今日はしんどかったですね〜。また明日がんばりましょう。
        ところで…絵里って暗いですか〜(笑)?
        
        あ、石川さんのジャージかわいかったです〜』

家の玄関をくぐる前に梨華が携帯を開くと、道重と亀井から早速メールが届いていた。
梨華は微笑んで、すぐ返事を打った。

「おかえり」
裕子が台所から顔を覗かせた。
平家は天ぷら作りを手伝わされていた。
割烹着(白)に三角巾(白)でボールの中の衣をかき混ぜている。
「柴っちゃん来てんで」
「え?柴ちゃん?」
「おう。
居間に通しといた」
「うん」
梨華が行った後、平家は裕子に
「あほ!かき混ぜすぎや!」
と怒られていた。
587 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/11/08(水) 10:47
更新しました。
レスのお礼です。

>579の名無飼育さん

(;^▽^)<な、なんか増えてるような…

(〜^◇^)<気のせい気のせい

本物も師匠( `.∀´)譲りでムダにキレがいいんですよね(笑)。
なんか増えてる部分ワロタ  


>ひ〜ちゃんエッグさん

从;`ヮ´)<れいなたちハブ?

(;−e−)<単に台詞がなかったのだ

(笑)。ちゃんとメンバーに入っています。
単に台詞が回って来なかっただけです(苦笑)。


>ピクシーさん

川 ´^`)<カッコよろしな〜

(〜^◇^)<サーンキュー

普通にうるさい現場だとは思います(笑)。
ヤグは合流の日に備えて自主トレに励んでいます。


>三日月ハウスさん

从*・ 。.・) (*^▽^*)(^ー^*川

AAにするとこんな感じですかね。
本物も綺麗なだけじゃなくて優しそうだから懐かれるんでしょうね。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川o・-・)<石川さんのお優しい人柄が滲み出ているのでしょう

(0^〜^)<さすがオイラのハニーだYO

石川さんモテモテです。
アイさがと聞いて罰ゲームで携帯を海中にドボンされたみっちゃんを思い出しました。
588 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/11/08(水) 23:39
<平家は天ぷら作りを手伝わされていた。

みっちゃん、またこき使われているんですか?
何年たっても変わんないですね。それがいいとこでもあるんですが。
こうしんおつかれれす。
589 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/09(木) 01:53
ああグルテンが作用。
おとつい職場の若い奴に姐さんと全く同じ事言うたなあ。
590 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/11/09(木) 16:04
アネゴ、更新お疲れ様です。

いちーちゃんは無事に這い上がってこられるんでしょうか?
底無し沼の予感がひしひしと・・・ww

ところでアネゴはメールに顔文字とか絵文字を使うんだろうか?
圭ちゃんの顔文字は多用してそうだな・・・
そんなことを思った、秋の夕暮れです。

次の更新も待ってます。
591 名前:ピクシー 投稿日:2006/11/10(金) 04:56
更新お疲れ様です。

いちーさん、ファイト。
そして平家さんの格好、完璧です。
いしかーさんはすっかり懐かれちゃったようで。

次回更新も楽しみに待ってます。
592 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/11/10(金) 22:36
更新お疲れ様です

手伝わされてるのに怒られるみっちゃん
・ω・<萌え

アイさがの最終回ですな
結局全員ドボン喰らってましたね

「せめてパカパカだけ閉じて!!!」
忘れられないせりふです

次回更新お待ちしております
593 名前:早春賦 投稿日:2006/11/15(水) 16:39
―――中澤家

梨華が居間に入って行くと、柴田はこたつに入ってぼんやりテレビを見ていた。
「あ、おかえりー」
いつもの口調だが、柴田の目はうつろだった。
「…どしたの?」
流石の梨華も怪訝に思い、こたつに足を入れる。
「ああ、うん…。
いや、家にいても気が塞いじゃってさ。
物は相談なんだけど、2、3日泊めてくんないかなあ」
「それはいいけど…おうちのひとに言って来た?」
「オカンには言って来た」
「まあ、それなら…」
そこで居間のドアが開く。
「天ぷら揚がったでー。
冷めんウチに食べ」
裕子が言うと、柴田は
「すみません、お姉さん」
と頭を下げた。
「あの、裕ちゃん」
「なんや」
「柴ちゃん、2、3日泊まってもいい?」
「おう。
ほら、早よせな裕ちゃんイカ全部食べてまうでー」
裕子は笑って言った。
594 名前:早春賦 投稿日:2006/11/15(水) 16:40

「美味しい…」
柴田は素直に感想を漏らした。
「心をこめて衣作った甲斐あったわあ」
平家は割烹着(白)の袖で涙を拭うフリをする。
「なんやねんオマエ。かき混ぜすぎてガッチガチの衣作るトコやったやないかい」
と裕子は容赦ない。
梨華と柴田は小さく笑う。
「平家さん、格好が本格的というか…」
柴田の指摘通り、平家はまだ割烹着(白)に三角巾(白)だった。
「給食のオバチャンみたい」
柴田の指摘に平家は本気でヘコむ。
「はっは。
アンタほどその格好似合うアーティストおらへんで。
なあ、みちよ」
「へえ、おおきに…」
『給食のオバチャンオバチャン…』
平家の頭の中でぐるぐる回る。
595 名前:早春賦 投稿日:2006/11/15(水) 16:40
「後片付けします」
と柴田が志願したので、梨華とふたり皿洗いをする。
「梨華ちゃん」
洗うのとゆすぎ担当の柴田が、隣で布巾片手にスタンバイしてる梨華に声をかける。
「んー」
「ごめんね」
「なにが」
梨華は小さく笑った。
「いや、連絡もナシにいきなり押しかけて泊めてくれって」
「気にしないの」
「ありがとう」
梨華はそれには返事せず、笑って洗いあがった皿を受け取った。
596 名前:早春賦 投稿日:2006/11/15(水) 16:40
『もしもし?』
柴田が風呂に入っている間に、梨華の携帯に柴田の姉から電話があった。
「あ、めぐみさん。
ご無沙汰してます」
『ごめんね。
うちのオカンから聞いたんだけど、あの者、梨華ちゃんのお家でご厄介になってるんだって?』
敢えて名前を言わないのは照れなのかただふざけてるのか。
梨華は少し考えあぐねた。
「はい、2、3日うちにいるって言ってます。
すみません、本当はこちらから連絡すべきでしたね」
『あーいいのいいの。
アレが悪いんだし。
梨華ちゃんが謝ることはないよ。
美少女は存在自体が罪なんだから』
意味不明なことを言い、柴田姉はひとりで何度も『そう、罪だ』と満足げに頷いた。
「何か柴ちゃんに伝言などは…」
『いや別にないよ。
元気そうならそれで』
「フフッ」
『なに?』
「やっぱりお姉さんですね。
柴ちゃんのこと大事なんですね」
『一番スキなのは梨華ちゃんだよ』
「アハハ、ありがとうございますー」
『軽く流された…』
トホホ、と柴田姉は音声にも出して呟いた。
597 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/11/15(水) 16:42
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

(;`◇´)<ハァ、人使い荒いったら

从 #~∀~)<わざわざコッチ見て汗拭うんやめい!

ええ、こき使われてます(笑)。
みっちゃんにはそれが喜びなのです(違)。


>589の名無飼育さん

从 #~∀~)<せやせや、かき混ぜすぎるとガチガチの衣になんねん

(;`◇´)<そんなら早よ言うてえなあ

粉っぽさが残るくらいでいいんですよね。
これで職場のお若い方もサクサクの天ぷらマスターに(笑)。


>三日月ハウスさん

(;0^〜^)<沼に沈むのをただ見守るしかできねっす

(;^▽^)<中の人の携帯は痛いヲタ仕様ですよ〜

例:『だーやす』と入れたらこの通り→( `.∀´)y-~~
いちーちゃんはまだ沈んでるとかいないとか。


>ピクシーさん

从 #~∀~)<いやー、ホンマ似合うでー

(;`◇´)<ごめん、嬉しない

食堂とかにいる妙齢のおねいちゃんをイメージしたのですが(苦笑)。
いしかーさん、中学生にもモテモテです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(;`◇´)<ホンマや、手伝うとるのに理不尽な

从 #~∀~)<次はツユやで

理不尽ながらも渋々手伝うのがいい子なのです。
ああ、そんなこと言ってましたね(笑)。>「せめてパカパカだけ閉じて!!!」
598 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/11/15(水) 23:13
更新おつかれです。
<『一番スキなのは梨華ちゃんだよ』
ああ、村さんまたぶっとばされるなあ。
599 名前:ピクシー 投稿日:2006/11/16(木) 04:43
更新お疲れ様です。

村さん、ドンマイ!
平家さん、ドンマイ!
さてこの先どうなることやら・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
600 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/11/18(土) 00:26
更新お疲れ様です

・ω・<イカ天まだ残ってますか?
みっちゃん=給食のおばちゃん
そら凹むやろな〜

村さんはどこまでも村さんですな
妹想いな美少女フェチ
どこまでも最高です

次回更新お待ちしてます
601 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/19(日) 18:25
更新乙です。
いしかーさん、そこの切り替えしは「斉藤さんじゃないんですか?」が正解ですよw
602 名前:早春賦 投稿日:2006/11/22(水) 11:12
電話を切って、梨華は柴田用の布団を自室に用意した。
そこへ頭にバスタオルを巻いた柴田がやって来る。
「ごめん、シャンプーとかまで借りて」
「いいのいいの。
それより、お布団これでいいかしら。寒くない?」
「ん、充分。ありがとう」
梨華はそうそう、と
「お姉さん、電話してきたよ」
と続けた。
「おねえが?」
タオルで頭を拭きながら柴田は顔をしかめる。
「なんか言ってた?」
「ううん。
『元気そうならそれでいい』って」
「そう…」
柴田の複雑そうな表情を横で見て、
「お姉さん、本気なのかふざけてるのか、それともアーティスト独特の感性だからか
凡人のあたしにはたまに理解しかねることもあるけど、柴ちゃんは愛されてるねえ」
「あの、梨華ちゃん。
ヤツの意味不明さは家族のアタシにも理解できないんだけど」
「お姉さんの愛は海より深いよ」
「意味不明さが海より深いと思うんだけど…」
柴田はブツブツ言い、ごしごしタオルで頭をこすった。
603 名前:早春賦 投稿日:2006/11/22(水) 11:12
―――その頃

喫茶タンポポ。
閉店作業を終えた矢口と岡田は、一息ついていた。
「お疲れさん。
上がっていいよ」
「はい、おおきにです。
ほな、お先です〜」
のんびり言い、岡田は店のドアを押した。
「あ」
岡田のタレ目に、見覚えのある姿が映る。
『あーっとえーっとえーっと。
誰やったやろ、この前確かに見てんけどなあ』
岡田が脳内データバンクを駆使して記憶を手繰ってると、その姿がふっと角を曲がっ
てしまった。
「あ!待って待ってー!」
岡田が叫んで手を伸ばして小走りに追いかけようとすると、タンポポから
「なにやってんの、岡田ちゃん」
矢口が怪訝そうに出て来た。
「あ、矢口さん。
いや、この前来たお客さんがいたんですわ」
「誰?」
「ほらアレ、ライター捨てていかはった人おったやないですか。
なんや『中澤ハイツどこですか』聞いといてさっさと帰ってもうた人」
「…ああ!」
矢口もポン、と手を叩いた。
「圭ちゃんの知り合いの!」
「そう、浮気相手疑惑のヒト」
「いやいや、ソレアンタだけだし」
「そうですかあ?」
岡田はきょとんとする。
「まあ、どーゆー知り合いか知んないけどさあ。
ヤグチも知らないってことはコッチ出てくる前の連れとかかもね」
「元カノですかあ」
「あくまでアンタソコこだわんのね」
矢口が言うと、岡田は悪びれずニカッと笑った。
604 名前:早春賦 投稿日:2006/11/22(水) 11:14
紺野が家に帰ると、母から
「これ、届いてたわよ」
と母から封筒を手渡される。
書留のようだった。
「誰だろ…ああ、愛ちゃん」
パソコンで宛先を印字された封筒を裏返すと、差出人は高橋になっていた。

『川*’ー’)<久しぶりやの〜。
       宝塚のチケ、あさ美ちゃんと友達の分と送るわあ。
       ところであんたぁ、この前貸したDVD早く返してやあ』

「…ごめん、愛ちゃん」
便箋の最後の文面に謝ると、紺野は小川に『友達からチケットが届きました』と
メールを打った。




「う〜…気持ちワリ」
吉澤は中澤家の最寄り駅周辺を胃の辺りを押さえながら歩いていた。
どうも悪酔いをしたようで、さっきからむかつきが止まらない。
「うんまいビールだったんだけどなあ。
うーむ、アヤカさんがいたからよかったようなものの…」
あの後は、結局市井の『過去にしでかした後藤への仕打ち回顧』オンパレード大会に
なってしまい、聞いてる方がげんなりし、体の方も作用したのか悪酔いする始末。
酒は楽しく飲みたい。
吉澤は
「1月は正月で酒が飲めるぞー、カッケー」
胸焼けに苦しみながらフラフラと家路に着いた。
605 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/11/22(水) 11:16
更新しました。
さて。
今から仕事に行かなければいけないので、
レスはまた後日改めてさせて頂きます。スマソ
606 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/11/23(木) 11:57
おはようございます、というかこんにちは。
さてレスのお礼です。
遅れてスマソ

>ひ〜ちゃんエッグさん

(;#) Δ‐)<もうぶっとばされてますが何か?オーイテ

ξξ #“ З.“)<たく、油断もスキもない

大抵の美少女には囁いてると思われます。
まあ、挨拶代わりのようなモンでしょう(笑)。


>ピクシーさん

( ‐ Δ‐)ノ<あんがとあんがと。しかしナニを頑張ればいいのだ?

ξξ “ З.“)<とりあえずアンタはマンガ描いてなさい

平家さんはドンマイですが、村さんが頑張ったらそれは(ry
さてこの先どうなることやら(おまいが言うなってハナシですね)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

从 #~∀~)っ□<残ってんで、食べ

(;`◇´)<給食のオバチャンとは…ソウキタカッテカンジヤワ

ええ、村さんはどこまでも村さんです。
美少女と漫画とたまに妹とさいとーさんのことしか考えてません。


>601の名無飼育さん

あ、そうだった>(;^▽^)>  川σ_σ;|| <『あ、そうだった』じゃないよ

冗談で切り返せるくらい大人になった模様です(笑)。>いしかーさん
しかも流してますしね(苦笑)。
607 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/11/23(木) 21:50
川*’ー’)<ところであんたぁ、この前貸したDVD早く返してやあ

ごまさんのお気に入りのフレーズですね。
でも実際は、こんこんはガキさんみたいに遅く返すことはないでしょう。
やっぱりマコと行くんですねこんこん。
608 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/11/24(金) 00:56
更新乙です。
確かに楽しく飲まないと悪酔いしますよね。
それにしてもよっちゃんの帰り道・・・おっさんみたい・・・
609 名前:ピクシー 投稿日:2006/11/24(金) 06:00
更新お疲れ様です。

コンコン何気に借りてたのね・・・
寧ろ強引に貸された感じ?(苦笑)

酒は楽しく呑みたいですねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
610 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/11/24(金) 21:31
更新お疲れ様です

・ω・ <イカイカ〜♪

岡πの関西弁はこってりって感じがしてたまりません

( ^▽^)<アホがよっちゃんみたいに
        歌いながら帰宅していたら職質されてたよ

次回更新お待ちしております

611 名前:早春賦 投稿日:2006/11/29(水) 19:18
「カッケー」
帰宅後、吉澤は居間で寝巻き姿の柴田を認めると、彼女独自の歓迎を表した。
「相変わらずワケわかんないヒトだね。
おかえり」
柴田は苦笑する。
「てか、酒くさいよ。
顔色もヘンだし」
「う…」
吉澤が呻くと、
「ギャー!
ここでリバースは――!」
柴田は人差し指を洗面所の方へ指し、『ソコへ行け』というジェスチャーを
咄嗟に出した。
612 名前:早春賦 投稿日:2006/11/29(水) 19:20
3分後、妙に爽やかな表情の吉澤が廊下を軽やかに歩いて居間に戻って来る。
「なにごと?
さっき、ひとみちゃんが猛ダッシュで廊下走って行ったけど」
紅茶の載ったトレイを持った梨華が、居間に入って来る。
「あ、梨華ちゃん」
柴田が苦笑する。
「ひとみは生まれ変わったのです。
ホラ、身も心も軽やか〜」
吉澤は腕を広げ、鳥のように羽ばたくマネをする。
「はあ」
梨華も苦笑して、
「ひとみちゃんも紅茶飲む?」
とすすめた。
「うっぷ…流石に紅茶は。
スンマセン」
吉澤は心底すまなさそうに頭を下げる。
柴田も
「そうそう。
いまそんなカフェイン強いモノ飲んだらエライことになるよ。
水にしな、水に」
とフォローする。
「冷蔵庫に確かスポドリが…」
わざと地を這うような声を出し、吉澤は台所まで取りに行った。
613 名前:早春賦 投稿日:2006/11/29(水) 19:21
「バカだよね」
開口一番、柴田は笑いながら言った。
梨華も苦笑する。
「でも、憎めないバカというか」
「うん」
「梨華ちゃんは幸せだねえ」
しみじみと柴田は言う。
「あの明るさはヒトを幸せにするね」
「うん」
梨華は目を伏せた。
「や、ぶっちゃけここんとこ気持ちが沈んでたんだけど、ココ来て救われたよ。
あのアホなヒトの無軌道な笑いも見れたし」
「ハハ」
「ありがとう、梨華ちゃん」
ふたりが友情を温めていると、
「無軌道ってなんですか〜」
スポドリ片手にさめざめと泣くフリをしながら吉澤が戻って来た。
「いたの」
柴田がちょっと目を見開く。
「ひーちゃんも仲間に入れて〜」
「ひーちゃんだって。キショ!」
柴田が笑いながら言うと、吉澤は
「なんだよお」
とむくれた。
その様を、梨華は苦笑いして見守っていた。
614 名前:早春賦 投稿日:2006/11/29(水) 19:22
「ところでぼんさんとのんさんはまだ帰ってないべか?」
吉澤が言うと、
「あ、夕方に『遅くなる』って電話あったよ」
梨華が思い出したように答えた。
「ワルだな。
きっと、イケないことするんだわさ」
「ドコのヒトよ?」
柴田のツッコミをものともせず、
「激励メールおーくろっと♪」
吉澤は楽しげに、メールを打ち始めた。
615 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/11/29(水) 19:24
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

川o・-・)<愛ちゃん本人ではなく、ガキさんの愛ちゃんマネで聞きたいそうです

(;^▽^)<ただのマニアだね

娘。って結構借りたものそのまんまですよね(苦笑)。飯田さんとか飯田さんとか飯田さんとか(ry
ヅカツアーメンツは哀さんこんこんマコです。


>608の名無飼育さん

(0^〜^0)ノ<酒が飲める飲めるぞ〜!

川;σ_σ||<ただのオッサンだね、ホント

そうです、楽しくない酒は後で悪酔いしてヘコむだけです(苦笑)。
よしざーさんは青ざめた顔でかつ呑気に歌ってた模様。


>ピクシーさん

川;o・-・)っ〔宝塚〕<はぁ。『とりあえず見るだけでエエ』と押し付け、いえ貸してもらいました

川 ’ー’)<面白かったかぁ〜?

ご想像通り、あーもうーもなく強制貸し出しです(苦笑)。
酒は楽しく呑みたいです(下戸ですが)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川 ´^`)<そうですかぁ〜?こってりなんやぁ〜

(;〜^◇^)<ウン。もう、オリ○ーソース並にこってり

唯やんはトロンとしてますからねえ(笑)。字であの感じ出すの難しいんですよ。
えーっと。職質されない程度に楽しくお帰りください(笑)。
616 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/11/29(水) 23:11
更新お疲れです。
っ□<ひ〜ちゃんウコンでもどうぞ。
しかし、のんさんとぼんさんさては…食べ歩きだな!(違?)
617 名前:ピクシー 投稿日:2006/11/30(木) 03:58
更新お疲れ様です。

ぼんさんとのんさんにどんな激励を・・・

酒の後にカフェインはキツイなぁ。
翌朝とかならいいんですけど・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
618 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/11/30(木) 21:34
更新お疲れ様です
・ω・<ボンののは悪い子だな〜
 ↑
補導歴多数あり
(〜^◇^)<お前が言うな!!

リバース後のすきーり感は最高です
柴ちゃんの毒舌は最高ですな

護摩さんの大阪弁の使いまわしいつも感服してます

次回更新お待ちしております

619 名前:早春賦 投稿日:2006/12/03(日) 14:51
『(0^〜^0)<ぼんさんやってるやってる〜?
         よっちゃんも絶好調だぜい!』


加護は自分の携帯を、溜息をついてパタンと閉じた。
能天気なバカメールに、脱力してしまう。
「なにが『やってるやってる?』じゃ。
ジミーかオマエは」
ブツブツ言いながら、シャワーの水音がする方に目をやる。
620 名前:早春賦 投稿日:2006/12/03(日) 14:52
どうしてこういうことになったのか。
加護は今日の出来事を振り返る。


朝比奈でダンスレッスンの後、辻と渋谷に出た。
ラブホ街のそばを通りかかり、
「ここって、えっちなホテルがあることろれすよね」
辻はいつものように邪気のない発言をした。
「アンタ、意味分かってんの?」
「バカにしないで」
語尾に『れす』無しで辻は語調を荒げた。
「のんだってどういうことするトコか分かってるれす」
でもやっぱりすぐ続けた抗議には『れす』がついた。
「入るれす」
「…へ?」
「入ってみるれす」
621 名前:早春賦 投稿日:2006/12/03(日) 14:53
ここまで思い出し、加護は遠い目をする。

ベッドに腰掛け、バスルームからの水音に何故だか冷めた気持ちになる。
『アイツはホンマに〜。
しかしアレやね、ベッドは回らんのやね』
いつの時代のことなのか。
加護は、
「て、ウチはナニ昭和なコト言うてんねーん」
と自分でツッコんだ。
「今から別な意味のツッコミが、て!イヤやわ〜、あいぼんさんたらおげぇふぃ〜ん!」
こんなときにまで小芝居好きな自分に、加護はげんなりした。
622 名前:早春賦 投稿日:2006/12/03(日) 14:55
バスローブを纏って、辻が出て来る。
意外に、落ち着いた表情だった。
「あいぼんも入るれす」
「へえ」
丁稚のように返事し、加護はそそくさとバスルームに消えた。


「しかし、アレやね…」
『案外フツーやな』
どんな風呂を想像していたのか、加護は案外普通なバスルームに
ちょっと安堵し、ちょっと気落ちした。
「アメニティー揃いすぎ」
ずらりと並んだアメニティーの類に、ダメ出しをする。
「ここぉろの〜、そぉこ〜まで、しびれるよぅな〜」
洗面台の鏡の前で、拳マイクで、オマエはいくつだ、というような歌謡曲を
ひとくさり唸る。
「て、フロやフロや!
ウ、ウチはアガッてへんからな!
のんごときにナメられてたまるかい!」
決意を新たにし、加護はざっとカットソーを頭から抜いた。
623 名前:ごまべーぐる@前のめり更新 投稿日:2006/12/03(日) 14:57
更新しました。

レスのお礼です。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(;0^〜^)っ□<あんがとです。しかし、ウコンって飲んだ後も効果アリ?

( ´ Д `)<んあ〜。弟子たちはある意味食べ歩きだねい

まあ、色んな意味で食べてますね。主にどちらかはまだ(ry
ウコンありがとうございますです。

>ピクシーさん

>ぼんさんとのんさんにどんな激励を・・・

(*^〜^)<ウフッ

川;σ_σ||/<恥じらうなよ!

お酒の後はカフェインはヤバスです。
まあ、よしざーさんはバカな激励をしてます(苦笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ;TдT)<もうもう、無軌道な青春や!

(0^〜^0)ノ<盗んだバイクで走り出す!カッケー! 

リバース後は世界がやけに気だるく爽やかですね(苦笑)。
大阪弁が妙にアヤシイ大阪人ですがどうもです。
624 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/04(月) 00:43
更新乙です
ぼんさん変なテンションになってますねwわくわく
625 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/12/04(月) 01:09
更新おつれす。
しかし、これは予想外だ!(某携帯のCM)
のんさんが「れす」を1文だけでもつかなかった。(そこかよ!)
626 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/04(月) 01:51
う、うわわわわ
えっとえっとえっと・・・・
更新待ってます。
いえ、そうじゃなくって・・・あの・・・更新お疲れ様です。
えっと、い、いよいよですか!?
えっとえっとえっと・・・とりあえず待ってます。
627 名前:ピクシー 投稿日:2006/12/04(月) 03:27
更新お疲れ様です。

姐さん、お見事な書き方ですね(感心)
さてさてどうなることやら・・・楽しみ。

ウコン飲んだ後に、それでもリバースした人を見ましたが・・・
色が濃かったです(苦笑)

次回更新も楽しみに待ってます。
628 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/04(月) 17:19
アネゴ、更新お疲れ様です

つ、ついに辻加護も・・・(ゴクリ・・・
でも結局、何事も無く終わりそうな気がしないでもない・・・
相手は辻さんですからね。
しかし『のんの19』を見る限り、辻さんの
『みりょくてきなぼでー』に僕は少しクラッとしてしまいました。

次の更新も待ってます。
629 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/04(月) 17:21
すいません・・・上げちまいました・・・
お詫びに切腹・・・は痛そうなので
お腹いっぱいお菓子食べます(お詫びになってない
630 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/12/04(月) 21:01
更新お疲れ様です

・ω・<あ〜もう15の夜とか
    そんな類じゃないじゃないですか!!
( `◇´)<…アホがてんぱってるで〜

从#~∀~#从<こいつなんか大阪弁どころか日本語も怪しいで〜

次回更新お待ちしております

631 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/07(木) 23:43
更新乙です。
ぼんさんの古すぎる情報はどこから?w
632 名前:早春賦 投稿日:2006/12/13(水) 15:55
「都会では 自殺する 若者が 増えている」
保田は小声で囁くように歌った。
「えーっと何の歌だっけ。
雨降ってんのに傘がないって歌だよね」
飯田がちょっとピントがズレたことを言い、保田は小さく笑って
「『傘がない』よ。陽水の」
窓の外を見た。
633 名前:早春賦 投稿日:2006/12/13(水) 15:55
「せっかく来てくれたのに雨なの」
部屋のカーテンを少し開けて、道重さゆみは顔をしかめた。
夕刻からあやしくなりだした空は、見る見るうちに雨雲が立ち籠め、冷たい雨を降らした。

亀井絵里は朝比奈でのダンスレッスン後、寮生である道重の部屋に泊りがけで遊びに来ていた。
当の亀井は大して気にせず、
「まあま。雨には雨の楽しみがあるよ」
とケラケラ笑った。
「そうだね。
あ、絵里。お風呂早く入るの。
早く入らないと今日はシャワーだけになっちゃうの」
「それは一大事だね」
亀井は自分の着替えを持って
「じゃ、入って来るね」
と部屋を出て行った。
634 名前:早春賦 投稿日:2006/12/13(水) 15:56
「寒いれす」
辻は微かに呟いた。
「そら、こんなカッコしてたらなあ」
加護は事も無げに言った。
相手のバスローブを脱がせ、床に落とした。
自分が大人やったら、『ぬくめたろ』とか言えんのになあ。
相手の肌に掌を滑らせながら加護は思う。
「あの」
「なんや」
「どっちれすか」
「は?」
「だから、あいぼんどっちなんれすか」
加護は本気で分からなかった。
「どっちって何がや」
「だーかーらー」
辻はしびれを切らし、
「えっちするほうか、されるほうかれす!」
と怒鳴った。
635 名前:早春賦 投稿日:2006/12/13(水) 15:56
「あめあめふれふれかあさんが〜、じゃのめでおむかえうれしいな〜」
風呂上りの亀井は、頭にバスタオルを巻いて、窓枠に手をついてご機嫌で歌っていた。
「絵里、風邪引くの」
同じく亀井の後に風呂に入った道重は、ドライヤーを出してきて髪を乾かすように促した。
「大丈夫だよ〜。だって、もう春だもん」
ウヘヘヘ、と亀井は笑った。
636 名前:早春賦 投稿日:2006/12/13(水) 15:56
「問題は 今日の雨 傘がない」
「傘がないと大変だねえ。
当時はコンビニなんてないだろうし」
飯田のやはりピントのズレたコメントに、保田は苦笑した。
「あ、その人友達とかいなかったのかな。
友達に電話して借りるとか」
「そうだねえ」
保田は窓の外を見て笑った。
637 名前:早春賦 投稿日:2006/12/13(水) 15:57
「そんなん決まっとるんかい」
加護は口を尖らした。
「いや、決まってはいないれしょうけど…」
辻は口籠る。
「したいほうがヤったらええんちゃうんかい」
「それでいいんれすか」
「おお」
辻は加護の両腕に手を回し、
「じゃ、寝てくらさい」
と言った。



雨はまだ降り続く。
微かにやって来た春が追いやられるように、冷たい雨が地面を濡らした。
638 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/12/13(水) 16:01
ハヤクカワカスノ 从;*・ 。.・)っ□  川*^ー^) ♪ピッチピッチチャップチャップ

更新しました。

レスのお礼です。

>624の名無飼育さん

( ´D`)<おかしなテンションなのれす

(;TдT)<オマエにだけは言われたないわい!

ええ、相当おかしなテンションだったと思います(笑)。


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´D`)<のんだって「れす」をつけないときがあるのれす

( ‘ д‘ )<なあ、いまの、素? 

「社員が全員スパイだった」くらいの予想外になれば、と思います(違)。


>626の名無飼育さん

(;‘ д‘ )っ<お、落ち着いとくんなはれ

( ´。D`)っ□<うまい棒でもたべるのれす

いよいよですかねえ(笑)。えーと、お待たせしました。

>ピクシーさん

( ;´д`)<うーむ、恐るべしウコン

( ´D`)<ためしてみてーのれす

お見事になればいいんですが(苦笑)。でも嬉しいです、どうもです。


>三日月ハウスさん

(;‘ д‘ )<…ゴクリ

( ´D`)<あいぼん鼻息あれーのえす

『のんの19』、表紙だけでもかなりですよね。
ageたことはどうぞお気になさらず。すぐochiにしてくださってありがとうございます。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´D`)<どっちかっつーと「ぎょうぎよくまじめなんてくそくらえとおもった」?

( ;´д`)<だからちゃうて

青春真っ只中なふたりです(違)。私も負けないくらい日本語アヤしいです(違)。


>631の名無飼育さん

( ´D`)<どこかられすか?

(;‘ д‘ )<い、いや、同級生が…

おマセさんな同級生から聞きかじった情報だと思われます。
639 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/12/13(水) 16:07
訂正です。


>>620
誤:「ここって、えっちなホテルがあることろれすよね」

正:「ここって、えっちなホテルがあるところれすよね」


テンパりすぎだよ、ヲレorz
640 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/13(水) 22:26
うわわわわ、まだ引っ張りますか!?
十日もドキドキわくわくソワソワして待ってたのにー!!!(笑)
いかんいかん、のんさんにもらったうまい棒で落ち着きます。



改めまして、更新お疲れ様です。
のんさんに主導権握られたぼんさんがどんな態度を見せるか楽しみです。
641 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/12/13(水) 23:19
更新おつです。
亀ちゃんマイペースでかわいいなあ。
めずらしくさゆが振り回されてる感じがします。
642 名前:ピクシー 投稿日:2006/12/14(木) 06:02
更新お疲れ様です。

さゆえりといい、ぼんののといい・・・
まだまだ目が離せませんね。

いやいや見事な書き方ですよ〜。
最初から「れす無しのんさん」ならともかく・・・
「れす有りのんさん」の新たな使い方を発見した気分です。

次回更新も楽しみに待ってます。
643 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/12/15(金) 22:41
更新お疲れさまです
・ω・<ののたんののたんののたん…
( `.∀´)<バカが現実逃避始めちゃったわ

( `◇´)<バカは『自由になりたくないかい?』らしいわ

ビバ青春!!!

次回更新お待ちしております
644 名前:早春賦 投稿日:2006/12/16(土) 13:01
「はあ、ほんま寒いわあ」
岡田唯は喫茶タンポポのバイトを終え、家路に就いていた。
折からの雨は強い降りになり、頭上の赤い傘へ規則的に叩きつけた。
「角のコンビニ、もう肉まんとか売ってへんかなあ」
温かいものが欲しくなり、ふと独り言ちた。
「う〜…さむ」
指先を擦り合わせ、コンビニへと向かう。
「あ…」
さっき見失った後姿を暗闇に見つけた。
「あ、ちょっとちょっと!待って待って!」
慌てて後を追うが、また追いつけなかった。
「きゃあ!」
弾みで転んでしまう。
「いったぁ〜。最悪やあ」
擦り剥いた膝を左手でさすり、右手で傘を拾い上げる。
「もう〜。ちょっとくらい待ってくれたかてええやん!」
ひとりむくれて、そのまま駅へ向かった。
645 名前:早春賦 投稿日:2006/12/16(土) 13:01
道重と亀井は、寮の部屋で季節外れの怪談を披露し合っていた。
「そのとき店の親父は言った。
『開くの12時〜』」
道重がおどろおどろしくオチを言うと、亀井の笑いツボが全開し、クッションを抱えてケラケラ笑い出した。
「さゆ、ブサイクだって」
きゃははは、とけたたたましい声が部屋に響く。
「さゆはいつ如何なる時でも可愛いもん」
お約束で道重はむくれる。
646 名前:早春賦 投稿日:2006/12/16(土) 13:02
「ちょっと待てやぁ!」
加護は赤い顔をして怒り、辻の肩を押し返した。
「なんれすか、したいほうがやったらええってあいぼんゆったれす」
「問題はソコちゃう!」
「じゃ、なに?」
加護は自分のバスローブの乱れた襟元を合わせ、
「こんなことしてもたら」


「もう元には戻れへんねんぞ」

647 名前:早春賦 投稿日:2006/12/16(土) 13:02
「梨華ちゃん」
梨華の部屋のドアを開け、吉澤はちょいちょい、と手招きした。
床に敷いた布団に入り、柴田はもう眠りに着いていた。
「どうしたの」
柴田を起こさないように気を使い、梨華はそっと出て行く。
「柴っちゃん、どしたん。
なんかいつもとよーすちげーけど」
梨華はちょっと感心したように吉澤を見、
「気付いてたんだね」
と褒めた。
「や、毒舌なんはいつもだけどさあ。
元気ねーっつか」
「大丈夫だよ。
もうちょっとしたら元気になると思う。
マサオさんとのケンカが原因みたいだけど」
「おやおや」
「めぐみさんからも電話あったし、柴ちゃんは愛されてるよ、うん」
「まあね。
てか、あそこのねーちゃん、かなりスゴイよね」
まるでご近所の人みたいに言う吉澤に、梨華はこらえきれず口元を押さえて笑う。
「スゴイって?」
「や、キテるというか」
『あ、カワイイ子への接し方?もスゲー』
吉澤は追加で続けた。
「ちょっとした喋ったことねーけど、なんか熱い視線を送られてたよーな?」
吉澤はそれが何を意味するものなのか、いまいち分かってなかった。
梨華は首を傾げる吉澤に、苦笑した。
このひとは自分の美貌を分かってないんだろうな。
それが手に取るように分かり、梨華は
『なんでかね〜』
とまだ言っている吉澤に温かい眼差しを向けた。
648 名前:早春賦 投稿日:2006/12/16(土) 13:03
「絵里、もう寝るの」
「はあい、お母さん」
「さゆは世界一可愛いお母さんになるの」
「さゆはめっちゃブリブリな服とか着せそーだねえ。
男の子が生まれたらどうするの?」
「ブリブリな男の子の服を着せるの」
事も無げに、道重は言い放った。
649 名前:早春賦 投稿日:2006/12/16(土) 13:03
「それでもええんか?」
辻の体の下で、加護は強い目で相手を見た。
「元に戻るってなんれすか。
あいぼんとののは、ともだちれす」
「ともだちがこんな破廉恥なことするかい!」
「なにがいけないんれすか」
「友達に戻れへんのかもしれへんねんぞ!」

「それでも…!」
加護の言葉は強い口づけで遮られた。

夜は長い。
肌を擦る音と、シーツの衣擦れの音が室内に響いた。
650 名前:ごまべーぐる@年末なので前のめり更新 投稿日:2006/12/16(土) 13:07
更新しました。

从*・ 。.・)<アクノ12ジー (^ー^*;川 ←笑いをこらえてる


レスのお礼です。


>640の名無飼育さん

(;´д`)っ□<すんまへんなあ、まあ、ジュースでも

( ´。D`)<うまい棒はほんとおいしーれすねえ

えーっと、落ち着きましたか(笑)?
さあ、ぼんさんはどういう態度を見せたでしょう?


>ひ〜ちゃんエッグさん

从;*´ 。.`)<絵里にはついてけないの

川;*^ー^) <キミが言うな

今回もマイペースかもしれませんね。
さゆえりだと案外さゆが振り回され役かもしれません。


>ピクシーさん

( ´D`)<れすはのんの、あいでんててーれす

(;´д`)<ボケるんならきちっとぼけ

目が離せないように書けたら、と思います。
新たな使い方になってましたかねえ(苦笑)。どうもです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´D`)<さかりのついたけもののように まちはとてもでんじゃらす

(;´д`)<ツッコミどころ満載やけど何もようゆえんわ

ののたん、突っ走るばかりです(苦笑)。
私は何より、本物ののさんの、写真集表紙の谷間に驚きですた。
651 名前:ピクシー 投稿日:2006/12/17(日) 07:43
更新お疲れ様です。

長〜い夜は続きますなぁ。
その他の組み合わせが何してるかも気になるところですが。

今回もまた趣向をこらしてますねぇ。
年末になってますます冴えてますね、姐さん。

次回更新も楽しみに待ってます。
652 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/17(日) 12:35
更新乙です。
いやはやごまさんは悪い遊びを覚えてしまわれたようで・・・
いちごまの件と言い、あいののの件と言い読者をいじめすぎですw
次回更新も楽しみにしてます。
653 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/12/18(月) 23:50
更新お疲れ様です

・ω・<…ののたんののたん
( `◇´)<まだ壊れてるわ

ご存知でしたか…って言うかでんじゃらすとかもう超えてますな
村さんはどこまでも熱視線!!!!

次回更新お待ちしております
654 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/20(水) 11:17
ついにあいぼんとののが―…!
毎回じらされますw
いちごまも気になりますww
一体どんな…?(笑)
元には戻れないものですかね(ノДT)

次回楽しみにしてますね

こんこん慶応おめでとうございます。
655 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/12/20(水) 22:37
更新お疲れさまです。
のんさんとぼんさん、柴ちゃんとマサオの互いの想いが…
そんな中、まったく関係ない重と亀のアホな時間がとてもほほえましく感じます。
656 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/22(金) 00:13
更新乙です。
今まで恋愛に一番縁遠かったののさんがシラフの時にこんなことするなんて・・・
しかもこの期に及んでともだちだなんて・・・
ののさんの本心はどこにあるか心配です。
657 名前:三日月ハウス 投稿日:2006/12/22(金) 02:08
アネゴ、更新お疲れ様です

ついに一線を越えてしまうんですね・・・
あの頃の二人にはもう戻れないんですね・・・
それにしても、さゆたちがしてるのは怪談話じゃなくて小噺ですよね?w

サンタさんにいしかーさんと美貴様の写真集をお願いしてる冬の夜。
次の更新も待ってます。
658 名前:早春賦 投稿日:2006/12/27(水) 16:42
「あ…うぅん」
加護は天井を見つめ、辻の指の動きを頭の中で反芻する。
彼女の子供のような指は、加護の肌を幾度も滑っていく。
「…あいぼん」
加護は何故か子供の頃、風邪で熱を出して寝込んだ事を思い出した。
火照った頬、ぼおっとする頭。
濡れタオルを額に載せて、ただひたすら天井を見つめた事。
辻の背中に手をやりながら記憶を手繰った。

何の香りなのか。
自分のなのか。辻のものなのか。
辻の項に唇を寄せる。
混じり合った自分たちの匂い。
熱い体から匂い立つように香った。
659 名前:早春賦 投稿日:2006/12/27(水) 16:42
辻が加護の下肢に手を伸ばす。
加護は反射的に手をはねよけようとする。
それにも構わず、子供のような指が再度触れた。

「あいぼん…すきだよ」
「…う」
「のんのこと、すき?」
「ねえ、すきってゆってよ」
答える余裕がない。
加護は口を開こうとするも、触れた指が生む快楽に飲み込まれていた。
「あいぼん」
そういや彼女は一度も自分の下の名前をちゃんと呼んだことがないな。
加護は薄れる意識の中でそう思った。
660 名前:早春賦 投稿日:2006/12/27(水) 16:43
雨の降る音が耳に残る。
道重さゆみはベッドでうとうとしつつ、隣で眠る亀井絵里のことを考えていた。
「う…げほっえほっ」
急に亀井が胸を押さえながら咳き込み出した。
「絵里?」
咳が続くので、背中をさすってやる。
「大丈夫?」
「だ、だいじょう…う、げほっ」
明らかに苦しそうだ。
「絵里、風邪なの?」
「ちが…多分、発作…」
「発作?」
「絵里、喘息なの…」
苦しい呼吸の中で、亀井が答える。
「喘息?」
「うん…昔からこうなの」
答えた後、亀井はまた咳き込んだ。
道重はまた背中をさすってやった。
「最近、ほとんど出ないから油断してた…」
亀井は苦しいのか、眦にうっすら涙が浮かんでいた。
道重は黙ってそれも指先で拭いてやる。
「今日は急に冷えたからだと思う」
「喋っちゃダメ」
道重は重ねるように言った。
「じっとしてるの」
道重に言われ、亀井はちょっとほっとした気持ちになった。
それでも尚咳は続く。
661 名前:早春賦 投稿日:2006/12/27(水) 16:44
亀井の呼吸が落ち着く。
しばらく背中をさすっていた道重は、起き上がって一旦ベッドから下り、布団を掛け直してやった。
自分も布団に入る。
「アイちゃん…」
小さな呟きに、道重は穏やかになった横顔へ視線をやった。

「…おやすみ、絵里」
道重は寝顔に呟いた。
662 名前:ごまべーぐる 投稿日:2006/12/27(水) 16:52
…>从*・ 。.・)  (−ー−*川

更新しました。
おそらくこれが年内最後の更新です。
今年1年『ベース弾き』をご愛読頂いてありがとうございました。
来年もよろしくおながいします。

(0^〜^0)<オイラ、モチ死ぬほど食うYO、梨華ちゃん

(;^▽^)<おなかこわさないでね

では今年最後のレスのお礼です。

>ピクシーさん

( ´D`)<なかのひとはしごとのしめではなぢふきそーれす

(;‘ д‘ )<ウ、ウチかて鼻血噴きそうやでしかし

年末になってますます鼻血噴きそうなスケジュールですが、誉めて頂いて幸いです。
長〜い夜はこうなりますた。いやはや。


>652の名無飼育さん

(0^〜^0)<悪い遊びカッケー!

ヽ;^∀^ノ<カッケーはいいけどオマエ意味分かってんの?

いちごまの時も散々個人的に言われました(笑)。いやー、焦らすつもりはないんですが(苦笑)。
いじめすぎましたか(苦笑)。すみません(笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g さん

( * ‐ Δ‐)<ムフッ

( ・e・)ノ<でーんじゃらす!なのだ!

友人に尾崎ヲタがいましてイヤでも覚えました(苦笑)。いつ遊びに行っても『卒業』とかが流れてたり。
村さんは美形には常に熱視線を送ってます。


>654の名無飼育さん

川本・-・)<どうもありがとうございます

川偽・-・)<わたくしもここの話では獣医を目指しております

本物が慶応に受かったことに軽く驚きますた。あんな短期間で高卒認定試験まで受けて。
焦らしてしまってすみません(苦笑)。元に戻れるのかどうか…。


>ひ〜ちゃんエッグさん

从*・ 。.・) <アホな時間って言われたの

川*^ー^)<ウン。普通にアホだと思うよ。

まったく関係ないアホな時間も入れて清涼剤的役割を(笑)。
さゆと亀のシーンは結構楽しく書いてます。どうしてもお笑いに走ってしまう悲しい性です(苦笑)。


>656の名無飼育さん

川o・-・)<恋にオクテな方ほど大胆なのかもしれませんね

(0^〜^0)<オクテカッケー!

今まで酔った時ばっかでしたからね(苦笑)。>のんさん、ぼんさんに迫るの巻
ともだち、と言ってしまう、のんさんの本心や如何に…。


>三日月ハウスさん

川*^ー^)<さゆのはあほあほ話なの

从*・ 。.・) <ちゃんとオチもつけたもん

『青い血』なども披露した模様。>怪談という名の小噺
サンタさんには『とにかく風邪を治してくだせえ』と夢のないことをお願いしました(苦笑)。


663 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2006/12/27(水) 22:46
今年もお疲れ様でした。
<さゆと亀のシーンは結構楽しく書いてます。
ええ、なんとなくわかりますよ。
ほんとに亀かわいい!来年も亀に期待しています。
664 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/28(木) 00:11
更新乙です。
ののさん、なかなか激しそうですね(笑)
亀ちゃん・・・
そう言えばすっかり忘れてましたが、亀ちゃんの思い人は彼女でしたね。
なんかあいのので浮かれてたのが少し申し訳ないです。

ごまさん、今年も一年お疲れ様でした。
来年も楽しみに読まさせていただきます。
それでは良いお年を。
665 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2006/12/28(木) 00:35
更新お疲れ様です
( `◇´)<相変わらずアホは放心状態やで
・ω・<ののたんののたんののたん…
亀にはいい恋愛をしていただきたいココロより願っております

しかしどこにも迷惑なファンはいるんですね俺も同じクチです

さて今年もう終わりですね…本当に1年楽しませていただきました
来年もストーキングさせていただきますのでよろしくお願いします
来年もよろしくお願いします
666 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/28(木) 00:49
今年1年お疲れ様でした。
来年もついていきます。
あいのののシーンは省略されなさそうで期待してます(笑)
それでは よいお年を!★
667 名前:ピクシー 投稿日:2006/12/28(木) 06:24
更新お疲れ様です。

焦らす、焦らすなぁ!(笑)

今年もお疲れ様でした。
来年も期待しております。

来年の更新も楽しみに待ってます。
よいお年を♪
668 名前:( ´D`) 投稿日:2006/12/31(日) 04:35
のんとあいぼんは年越しエッチなのれす。てへてへ
669 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/01(月) 23:35
あいののの絡みを脳内再生してみたら、
なぜか二人とも靴下履いてた。
シャワー浴びてんのに。
670 名前:ごまべーぐる@2007年だよ 投稿日:2007/01/03(水) 13:26
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
正月から壊れるヲレん家テレビナイス。

ってことで、今年初めてのレスのお礼です。


>ひ〜ちゃんエッグさん

川*^ー^)<かわいいって言われちゃった♪ありがとうございますぅ〜

从*・ 。.・) <でも一番はさゆなの

さゆと亀は組み合わせ的にとんちんかんな処があってオモロイというか(笑)。
れいなも入れてあげて、ってくらい仲いいし(苦笑)。今年もよろしくおながいします。


>664の名無飼育さん

川;*^ー^)<忘れられがちだけどあの人です

从;*・ 。.・) <辻さんってば、可愛い顔してやるの

忘れられがちなのはワタクシめのせいです(苦笑)。のんさん…(笑)。
こちらこそありがとうございます。よろしくおながいします。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川*^ー^)<エヘッ。ありがとうございますぅ〜

从*・ 。.・) <さゆも応援するの。でも一番可愛いの座は譲らないの

亀は書き出した時、リアルにここまで可笑しい子だとは知らず(苦笑)。
結構愛着持ってネタを考えてます。こちらこそよろしくです(笑)。


>666の名無飼育さん

川;*^ー^)<しょ、省略されないんだって!さゆ!

从;*・ 。.・) <落ち着くの

どこまで書いたら省略じゃないのかが果たしてナゾですが(爆)。
どうもありがとうございます。今年もよろしくです。


>ピクシーさん

川*^ー^)<焦らす、焦らすなぁ〜♪

从*・ 。.・) <単にマネしてるだけなの。シカモタノシソウニ

焦らす、焦らすなぁ(爆)!頑張って焦らします(笑)。
どうもです。では今年もよろしくおながいいたします。


>( ´D`)さん

川;*^ー^)<と、年越しえっち!?

从;・ 。.・) <絵里、鼻息が荒いの

いいなー、のんさん。ヲレなんか正月から初ぽんこつテレビだよ(違)。
今年もよろしくだよ、のんさん。


>669の名無飼育さん

川;*^ー^)<く、靴下着用がエロイの

从*・ 。.・) <絵里、また鼻息が(ry

靴下着用ってイメージを何か起こさせるんでしょうね、ぼんさんとのんさんは(笑)。
どっちかつーとガーターのが有難い中の人ですが今年もよろしくおながいします。
671 名前:1 投稿日:2007/01/03(水) 13:29
『SHIP! TO THE FUTURE』


从*` ヮ´)从*・ 。.・) ノノ*^ー^)川=´┴`)ノリo´ゥ`リ 川*’ー’)从*VvV)ノシ


みんなに見送られ。

長いこと乗ってた船を降りた。

これからはウチひとりでこの小船を漕いで行く。

(;0^〜^)っ/
672 名前:2 投稿日:2007/01/03(水) 13:29
しばらく行くと。

(0^〜^) 


お〜い!釣れますかYO〜?>(0^〜^)           (〜^◇^)っ=


(0^〜^)                   (^◇^〜)<キャハハ!まあボチボチだな!


また少し行くと。

(0^〜^) 


精が出ますだYO!>(0^〜^)         =と(‘〜‘*川<それほどでもないの
673 名前:3 投稿日:2007/01/03(水) 13:34
                             ZZZ…   
オコッチルナYO〜(;0^〜^)               ( ´ Д `)っ=
                              
                              ギャハハハハ
アエテナニモイウマイ(;0^〜^)            从#~∀~从っ▼□と(`.∀´#) 

                        クイスギレスヨ   オマエガユウナ!
ケンカスルホドナカイイYO(タブン)(;0^〜^)         (;´D`)(‘ д‘ +)


アイカワラズダナア(;0^〜^)        △と(・-・o川<鰯は魚偏に「弱」と書きますが、なかなかどうして侮れない魚です。    
                            DHAは勿論の事、中性脂肪に効果的なEPAが豊富に(ry
             
(((^〜^0;)バイナラ                    \(´▽`∬∬<吉澤さ〜ん!
674 名前:4 投稿日:2007/01/03(水) 13:35
そうしてしばらく進んで行った。
旅は悪くない。
そう思っていた処へ。


煤i^〜^0)                         よっちゃ〜ん!>



(0^〜^)                     ゛\(^▽^ ) 
                         


(0^〜^)<今行くYO!


一番会いたかった人に会えた。
もしもこんな事があるのなら、旅は悪くない。
675 名前:5 投稿日:2007/01/03(水) 13:37
(0^〜^0) パチッ


朝、とても爽やかに目覚めた。
夢の中の出来事だったけど。
こんな旅なら悪くない。
そう思えた。
676 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/01/03(水) 14:40
(;0^〜^)<おまいガキさん忘れてね?  煤i護摩;)<あ!

ガキさんスマン。心の底からスマン(泣)。 
677 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/01/03(水) 14:43
(;護摩)っ〔護摩今年の目標:そそっかしいところを改善する〕

|c| ・e・)<無理
678 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/01/04(木) 02:01
あけましておめでとうございます。今年もひとつよろしく。
護摩さんの今年の目標:そそっかしいところを改善する(ガキさんを忘れない)
(((^〜^0;)バイナラ                  \(´▽`∬∬<吉澤さ〜ん!
おおっ!なぜ逃げる?ひー。あと、お母さんは?
(・´ー`)<ガキさんと同じ扱いだべ。
しかし、新旧メンバーいろんなおもしろい人たちがいますね。
679 名前:ピクシー 投稿日:2007/01/06(土) 10:33
大分遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

新年早々、ニュースでしたねぇ。

自分も「あれ?おかーさんは?」と・・・

本編の更新もお待ちしております。
680 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/01/06(土) 22:30
あけましておめでとうございます

( ´D`)<…もうあけ過ぎれす
・ω・<よしこ〜
( `◇´)<アホはつい最近知ったらしいわ

次回更新お待ちしております

681 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/01/08(月) 21:55
遅ればせながらあけおめです。
今年も更新楽しみにして下ります。
寒いですがどうぞご自愛下さい。
682 名前:早春賦 投稿日:2007/01/24(水) 15:24
夜半からの雨は明け方になっても降り続いていた。

ふと目を覚ました道重は、隣の亀井を起こさないように起き上がってカーテンを細く開けた。
グレーに染まった空は鬱々と雨を降らす。
小さく溜息を吐いてカーテンを閉め、またベッドに戻った。
軋むマットの音か、微かな振動でか。
亀井が薄く目を開いた。
「おはよ」
小さく、亀井は呟いた。
「まだ寝てるの」
言い聞かすように言い、道重は布団を掛けてやった。
683 名前:早春賦 投稿日:2007/01/24(水) 15:25
「オイッチニ、サンシ」
物凄く早く目覚めた吉澤は、部屋で体操をしていた。
「バイトまで物凄く時間あるしー。カッケー」
時間を持て余し、ベッドにゴロンと横になる。

「お」
ふと思い立ち、そーっと梨華の部屋に行く。
「おはようございます」
小声で誰ともなく囁く。
ご丁寧に、ジャケットまで着用していた。
「今朝は、東京都にお住まいの、素人の石川梨華さんのお部屋に来ています。
お友達のやはり素人の柴田あゆみさんもご一緒です。でわ」
こそっとドアを開ける。
簡単にドアは開いた。
ドアノブにハンガートラップはかかっていなかった。
「かわいらしいお部屋です。
う〜ん、女の子のにほひ」
「何やってんの?」
柴田の声がし、吉澤はぎょっとする。
「ウヲ!起きてたん!?」
「朝からなにバカなことやってんの?
梨華ちゃんにチクるよ?」
「うわ!
言いつけるでもなくチクる!カッケー!」
「はぁ〜。
朝からバカな現場に遭遇したよ」
いたって寝起きの悪い柴田は、腫れぼったい顔で頭を掻いた。
684 名前:早春賦 投稿日:2007/01/24(水) 15:25
「よく寝れたかい?べいべー」
「誰がべいべーよ。
いやー、梨華はやっぱほどよい体温でいい、」
最後まで言い終わらぬうちに柴田は吉澤に軽くヘッドロックされる。
「ぐ、ぐるじ…じょ、冗談す、吉澤のアニキ」
「ならよろしい」
ニッコリ笑って吉澤は解放してやる。
「…なに?」
不安そうに、梨華は目覚めた。
寝起きなのに、眉はしっかりハの字に下がっている。
物音に起きたら柴田が吉澤にヘッドロックされていた。
訳が分からない。
685 名前:早春賦 投稿日:2007/01/24(水) 15:25
「いやー、吉澤のアニキはヤキモチやきでさー」
「ヤキモチカッケー!」
朝から吉澤は拳を上げて吼える。
朝っぱらからテンション高かった。
「ヤキモチ?」
梨華は首を傾げる。
「『リカの体温はエエ塩梅や』って言ったらアニキにヘッドロックされてさあ」
柴田はニヤニヤした。
ついでに梨華を腕で『コノコノ!』と小突く。
「それでなの。
起きたら柴ちゃんがひとみちゃんにヘッドロックされてたからびっくりしたわあ」
「いやびっくりしたなら止めろよ」
柴田は苦笑した。
吉澤はそれを見てゲラゲラ笑った。
686 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/01/24(水) 15:27
更新しました。
仕事の関係で遅くなってすみませんです(汗)。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

(;・´ー`)<エライ扱いだべさ

( ・e・)<まったくです

やっぱおかーさん入れないとダメですか(笑)。
まあ、すっとこどっこいなヲレですが今年もよろすこです。


>ピクシーさん

(;・´ー`)<とほほだべ

( ・e・)<マザーシップを抜かすとは(ry

またもやおかーさんすみません(苦笑)。
今年もどうぞよろしくおながいします。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´D`)<気にすることねーのれす

( `◇´)<このあほなんか(以下略

年明けから仕事が忙しくて鼻血など出してましたが(苦笑)。
今年もどうぞよろしくおながいします。


>681の名無飼育さん

( ´D`)<ありがとうなのれす!

( ^▽^)<読んでくださってありがとうございます!

そう言って頂けてとても嬉しいです。
本年もどうぞよろしくおながいします。

687 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/01/25(木) 00:41
更新お疲れ様です。
ところで、何で柴田さんここにいるんだっけ?
と、急いで読み返しました。
よっちゃん、ほんと早起きで寝起きドッキリにはひっかからなそう。
688 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/01/25(木) 01:23
アネゴ、更新お疲れ様です。

ほどよい体温・・・ いいなぁ・・・(何が?
一人暮らしなので、人肌が恋しい季節です。
アネゴ、僕と添い寝してくれませんか?


ブゲッ 。・゚・(Д`(⊂(゚Д゚ つ⌒

次の更新も待ってます。
689 名前:ピクシー 投稿日:2007/01/25(木) 03:37
更新お疲れ様です。

残りの面々が気になりますな。

今年も楽しく読ませていただきます。

次回更新も楽しみに待ってます。
690 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/01/25(木) 22:27
更新お疲れ様です

・ω・<ヨシコの寝起きレポート出張ありませんか?
( `◇´)<アホの戯言やで

( ´D`)<アホは酒飲んで寝てばっかりれしたよ

次回更新お待ちしております

691 名前:早春賦 投稿日:2007/02/21(水) 20:45
「朝ごはんなの」
道重さゆみは、折畳みテーブルに置いた買物袋からがさがさと袋入りのパンを取り出した。
「あ、チョコチップだ」
亀井は頬を綻ばした。
「おなかに案外たまるし重宝するの」
スティック状のパンを袋から取り出し、1本ずつ食べる。
熱い紅茶を淹れ、静かな朝のひとときを過ごした。
692 名前:早春賦 投稿日:2007/02/21(水) 20:46
「ね、絵里」
「なあに」
声を掛けたものの、道重は思い直し、
「何でも…ない」
言うのをやめた。
『アイちゃんって、加護さん?』
聞いたところでどうなるというのか。
道重は目を伏せた。
「さゆ、ヘンなのー」
案の定、亀井はケラケラ笑う。
自分も調子を合わせて笑いながら、道重は加護の事を考えた。
693 名前:早春賦 投稿日:2007/02/21(水) 20:46
「加護ちゃんたち、結局帰って来なかったね」
朝食の席で、柴田はパンを千切りながら言った。
ご飯もパンも中途半端な量しか余ってなく、吉澤たち3人はそれぞれ分け合って食べていた。
吉澤は分け前のご飯に納豆をぐいぐいかけ、かっこんでいる。
「あいぼんから『すんません、今日は帰れません』ってメールきてたんだけど、うーん」
梨華は鮭をほぐしつつ、眉をハの字に下げる。
それを聞いて柴田が頭上に電球が光るような表情で、
「オオ!ついに!!」
『でかした!』とくす玉を割るジェスチャーを行う。
ついでに見えないテープカットも執り行われた。
横で見ていた吉澤はお祝いに見えないハトも飛ばした。
「いやー、あいぼんとののちゃんに限って…」
梨華が苦笑しながら言うと、
「なに言ってんのアンタ!」
急に柴田がガタンと立ち上がった。
吉澤はびっくりしてでかいリアクションで座ったまま横に『わあ!』と飛び退く。
「アンタ、知らん間にそこのすっとこどっこいと寝てたじゃない!
まったく油断ならぬわ!」
『す、すっとこどっこい?』
ウチ?とすっとこどっこいは自分を指差した。
「寝てたなんて…もう、柴ちゃんったら」
一方、梨華は赤くなってモゴモゴ言葉を濁した。
694 名前:早春賦 投稿日:2007/02/21(水) 20:46
『ふたりは大人の階段をダッシュで駆け上がったに違いない』
柴田と吉澤、そして渋々梨華もその意見に同意した。
「胴上げしようぜい、カッケー!」
吉澤は『ワッショイ!ワッショイ!』と胴上げするフリをした。
「あんたは平和でいいねえ」
柴田が苦笑するような和んでるような、微妙な笑みを浮かべた。
「おーとこはまつりを!そうさ!イエー!」
吉澤は見えない祭りにひとりで勝手に繰り出してしまった。
サブちゃんの歌を歌いながら階段を上っていく。

梨華と柴田は顔を見合わせて笑った。
695 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/02/21(水) 21:00
更新しました。
遅くなりまして大変申し訳ありません(汗。
職場で今年度末に仕事を辞める人大量発生と発覚→引継ぎうんぬん→仕事てんこもり→
一方、うちのオカン倒れおった→看病→やっぱり仕事てんこもり→書くヒマねー

てなワケで今に至ります。本当にすみません。
さて、4月いっぱいくらいまで、少なくとも今の仕事の正式な相方と
直属の上司が決まるまで全然仕事の方が落ち着かないと思います。
更新もかなり飛び飛びとなりますがご了承ください。
ご迷惑をおかけいたします(深々)。

( `.∀´)<このスカタンは『自分が100人ほしい』って言ってるわッ

川 ´^`)<え〜?あんなんが100人てイヤですわ〜

(;護摩)<オイコラ


レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

( ‘ д‘ )<うそーん、結構このヒト爆睡しとんで 

( *^〜^)<バラしちゃイヤン 

どっきりには引っかからないでしょうけど、結構普段は寝てますね(苦笑)。
普段の朝食には大抵最後に現れますし。


>三日月ハウスさん

( 護摩)y- <ヲレは至極寝相が悪いぜ

(;〜^◇^)<おまいは誰だよ!しかもそれチョコだな!

いしかーさんのほどよい体温が頂戴できたら私はもう、うわなにを(ry
吉澤のクセに贅沢だ、とは柴田さん談です(笑)。 


>ピクシーさん

川o・-・)<わたくし出番がありませんねえ

( ´ Д `)<んあ、ごとーも残りの面々?シカシヒマダ

本当に登場人物多い話だな、と1年に1回くらいは思います(苦笑)。
どうぞよろしければお付き合いくださいまし。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(0^〜^0)<おはよ〜ございます(超小声)

川;o・-・)<で、どちらへ出張なさってるのですか?

どことも知れない処へ出張させました(違)。
何か今年の正月って印象薄かったですねえ、楽しみにしてたテレビ視聴はテレビ壊れたし(苦笑)。
696 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/21(水) 21:11
更新乙です。
待ってましたよ〜。
お元気そうでなによりでした。
こちらはまったり待っておりますので、
無理なさらずがんばってください。
697 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/02/21(水) 22:00
更新お疲れ様です

・ω・<ご無事でなにより
( ´ Д `)<こいつ護摩さんの
        心配より中澤家の心配してたぽ

大阪の隅っこで待ってるよヨシコ

いつまでもついていきますので
くれぐれも無理はしないでください
698 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/02/22(木) 00:00
「さゆ、ヘンなのー」
って、さゆ一番変な人に言われちゃいましたね。
699 名前:ピクシー 投稿日:2007/02/22(木) 01:54
更新お疲れ様です。

いいコンビですな、よししば。
ごっちんも気になりますな。

自分のペースで頑張って下さい。
無理をするのはよくないですよ。
マイペース、マイペース・・・

次回更新も楽しみにまったりと待ってます。
700 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/02/22(木) 01:56
更新、お疲れ様です。
お仕事はもっとお疲れ様です。

すっとこどっこい・・・
う〜ん、ピッタリじゃないか!!

大人の階段をダッシュで駆け上がった二人が
急ぎすぎて途中で派手に転んでないことを祈ります。

次回の更新も楽しみに待ってます。
でも、お身体に気をつけて無理をなさらぬように。
701 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/26(月) 18:35
いちごまジラさないでよぉ(;_;)
702 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/02/28(水) 00:56
更新乙です。
あいののが帰ってきた時、梨花ちゃんは、よっちゃんはどう接するのか、
それに二人はどんな反応を返すのか、楽しみです。
703 名前:早春賦 投稿日:2007/04/18(水) 18:00
雲の切れ間から薄っすら、くすんだオレンジの太陽が覗く。
雨は上がった。
しかし今ひとつすっきり晴れない。
バイトに向かう吉澤は掌を上に向け、空を見上げた。

「なんかこう〜、すっきり晴れてくんねーんだよなー。カッケくねー」

独り言を言い、スニーカーの底をキュッキュッいわせ、濡れた舗道を進んでいく。
704 名前:早春賦 投稿日:2007/04/18(水) 18:01
「悪いね、手伝ってもらっちゃって」
吉澤が出掛けた後、梨華と柴田は家の掃除をしていた。
梨華は古風に白い三角巾を頭につけていた。
「いえいえ、お世話になっておりますから」
柴田は掃除機を止めて笑う。
「アンタら、昼どうすんの」
洗濯を終えた裕子が勝手口から入って来る。
「柴ちゃん、どうする?」
梨華が柴田の顔を見た。
「梨華ちゃん、高校までダンスレッスン行くんでしょ。時間は?」
「うん、お昼食べてからでも大丈夫」
「ほな、ラーメンでも作るか。みちよ」
台所でさやいんげんの筋を剥かされている平家を、裕子は振り返った。
「へいへい。
炊いたらよろしいんやな」
あきらめたようにわざとらしい溜息をつき、裕子にどつかれる。
「痛いなー、もー」
「うっさい!黙って炊け!」
「おお、怖」
ふたりのやりとりを見て、柴田は、
「…平家さんって、『世界の歌姫』だよね?確か有名な批評家がそう言って…」
梨華にこそっと耳打ちする。
「平家さんは平家さんだよ」
梨華は晴れがましい表情で微笑んだ。
705 名前:早春賦 投稿日:2007/04/18(水) 18:01
柴田は梨華に付き合って、朝比奈までダンスレッスンを見に行った。
「ム、キミは誰だ」
隅で見ていたのに、早速体育館に入って来た岡村にイジられる。
「あ、あの。
石川さんの友人です。彼女と同じ大学なんです。あ、柴田と申します。突然すみません」
「なに!?石川の友達!?」
「いちゃいけないんですか?」
梨華は笑いをこらえながら、少し膨れてみせた。
「よかったな、石川」
岡村は穏やかな顔で梨華の肩を軽く叩いた。
周囲に何故か拍手が起こる。
道重がいち早く空気を読んで真っ先にやりだしたのだ。
亀井は横目でちらっとその道重の横顔を見た。
「ちょ、やめてくださいよ。
そんなわたしに友達ができたくらいで」
梨華は真っ赤になってぶんぶん右手を振る。
しかし決して嫌がってはいない。
調子に乗って柴田は梨華の肩に腕を回した。
無意味に胸を張る。
周囲は更に拍手が高まった。
柴田の横で梨華は赤くなって頭をかいた。
706 名前:早春賦 投稿日:2007/04/18(水) 18:02
しかし。
「コラー!辻!加護ー!オマエらフォーメーションを無視すんなー!」
まるで顔を合わせようとしないふたりに、岡村がしびれを切らして声を上げた。
「ウチはちゃんとやってます。辻さんが悪いんやないですか」
加護が言うと、
「のんはちゃんとやってるれす。加護しゃんがどんくさいだけれす」
と辻。
ふたりの空気に、周囲は固まってしまう。
「ど、どうしたんだ?アイツら?」
小川は横の紺野にこそっと耳打ちする。
「さ、さあ…」
紺野も首を傾げる。
「ケンカかな。
でも、アイツらあんなさっむいケンカ今まで…」
「コラー!小川ー!」
「だからチョーク飛ばすなって!」
小川は間髪入れずに飛んできたチョークをキャッチし、岡村に投げ返した。
見事なフォームに小さく拍手が起こる。
「ウム、いい肩だ」
プロ野球のスカウトマンのように、柴田は壁際に立って腕組みし頷いた。
707 名前:早春賦 投稿日:2007/04/18(水) 18:02
練習後、小川は
「よ、何か食いに行かね?」
と紺野に声を掛けた。
「あ、そうですね。
辻さんたちも…声は掛けにくいですね」
紺野は苦笑し、肩をすくめる。
「今日はとりあえずウチらだけで行かね?
アイツらなんかこえーし」
小川の屈託のない言い方に、紺野はちょっと和んだ。


「おっやつ♪おっやつ♪」
スニーカーの靴紐を腰掛けて結びながら、小川は適当な節をつけた歌を歌う。
「そのスニーカー…カッコいいですね」
NIKEの爪先を見つめながら、紺野は言った。
「お?分かる?
小遣い貯めて買ったんだ〜♪」
小川は顔を上げ、得意げに鼻を人差し指でこすった。
昨日まであんなに腹を立てていたのに、今日小川の顔を見たら、怒りが薄れていたのが自分で分かる。
ダメージジーンズを履いた足を、がばっと広げて座る小川を見て、紺野は我知れず微笑んだ。
「小川さん…女性がそんなに足を広げて座るのは…」
「お?あ、わりーわりー」
顔を下げて自分の足元あたりを見、悪びれず小川は笑った。

「そんな靴…何処で売ってるんですか」
「あ?渋谷だけど行く?」
「え、ああ、はい…」
「デート♪」
満面の笑みで、小川は腕を組んできた。
一瞬躊躇した後、紺野は苦笑いし、
「ええ、デートですね」
小川の腕を取った。
708 名前:ごまべーぐる@気がついたら5周年 投稿日:2007/04/18(水) 18:06
更新しました。
いや、気がついたら飼育デビュー5周年過ぎてました(汗)。
管理人さん、いつもありがとうございます。
そして読んでくださってる皆様どうもありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。

レスのお礼です。
遅くなってすみません(汗)。
今回は本物が22歳になったばかりのアノ方に。


>696の名無飼育さん

(;0^〜^)<お待たせだYO!

とりあえず元気でやっております。
どうもありがとうございます、マターリやっていきます。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(0^〜^0)<大阪行ったらタコ焼き食いてー!

どこまでいけるかわかりませんが、ついてきてください(苦笑)。
どうもありがとうございます。


>ひ〜ちゃんエッグさん

(0^〜^)<あ、そういや、オイラさゆとここで面識ねーや

言われちゃいましたね(苦笑)。
でもさゆって意外に(失礼)クレバーなんですよね。


>ピクシーさん

(*^〜^)<いいコンビ…ムフッ

無茶はしてても無理はしてないつもりだったんすが(苦笑)。
どうもありがとうございます、まったりいきます。


>三日月ハウスさん

(0^〜^0)<すっとこどっこいカッケー!

仕事はまあ、どうにかやってます(苦笑)。
どうもありがとうございます、飼育もどうにかがんがります(笑)。


>701の名無飼育さん

(0^〜^0)<ホントに焦らし過ぎだ!って市井さんが言ってたYO!

すみません(汗)。
これからの市井ちゃんの頑張り(?)にご期待ください。


>702の名無飼育さん

(0^〜^)<リアクション、リアクションと

すみません、お待たせしました(汗)。
さて、どんな反応を返すでしょうか(笑)?
709 名前:sage 投稿日:2007/04/18(水) 22:10
更新おつかれさまです。5周年おめでとうございます。
ガキさん、れいな、またサボリか。セリフも行動も一行も出てこない。

710 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/04/18(水) 22:12
すいません。間違いました。
711 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/04/19(木) 21:46
更新お疲れ様ですあとデビュー五周年おめでとうございまする

柴ちゃんなら健全なスカウトしてくれそうな予感


・ω・ <ヨシコたこ焼きでもお好みでもなんでも食わしてやる!!
从#~∀~#从<味の保証はあれへんで〜

次回更新ターリお待ちしております

712 名前:三日月ハウス 投稿日:2007/04/21(土) 02:16
アネゴ、更新お疲れ様です。

あれ?
もしかして、本当に大人の階段ダッシュで駆け上がって
派手に転んじゃった・・・?
急ぐとダメですね、やっぱり。

次の更新も待ってます。
お身体にお気をつけて、頑張ってください。
713 名前:ピクシー 投稿日:2007/04/21(土) 04:09
更新お疲れ様です。

大人の階段のぼる〜・・・
某グループの歌が思いうかびますな。

5年ですか・・・
月日は本当にあっという間に過ぎていきますねぇ。
のんさんも気が付けば大人ですからねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
714 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/11(金) 00:20
> のんさんも気が付けば大人
まったくね〜・・・ 
715 名前:ごまべーぐる@遅いけど5周年ありがとう記念 投稿日:2007/05/12(土) 14:05
まずはレスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

从;´ヮ`)<また放置っちゃ

(;−e−)<最早言うべきことはないのだ

ちゃんと参加してたのですが、バカ作者によって放置されてますた(苦笑)。
お祝いありがとうございます。これからもよろしくおながいします。


>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

(0^〜^0)<エ!?作ってくれんの!?ヤホーイ!

川σ_σ||<ま、アタシの腕にかかればどんな球児でもオトすね

なんか相当うさんくさいスカウトをしそうですが(苦笑)。>柴
なんか気がついたら5年経ってますた。お祝いありがとうございます。


>三日月ハウスさん

(;´ Д `)<んあ、弟子が心配だよ

川 ;‘〜‘)||<のののの、のんちゃんは!?どうなったの!?

君はまだシンデレラさ、どころか結構イタイ目に遭ったかもしれません。
段階踏まないとダメですね(苦笑)。ありがとうございます、頑張ります。


>ピクシーさん

( ゜皿 ゜)<ショウジョダッタトナツカシク オモウヒガクルノサ

(;`.∀´)<ものっそい棒読みだねえ

気が付いたら5年ですた。ほんまに月日は百代の過客にして、ですわ。
アノ歌が某アニメのEDテーマだったなんて誰も覚えてないでしょうね(苦笑)。


>714の名無飼育さん

(0`〜´)/<ゆるさーん!

( T▽T)っ<あなたやめて!トメ子止めます!

すいません、書きたかっただけです。
ヲタのななめ上をいくというかいやはや(苦笑)。てか、三十路のことを考えてや(ry
从#~∀~#从<なんぞいうたか?
716 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/05/12(土) 14:07
飼育デビュー5周年ありがとう企画ってことで。
まずは先日卒業したアノひとのネタからです。
717 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/05/12(土) 14:08
『卒業式』


川o・-・) わたしの誕生日は、いつも誰かが去っていく
718 名前:2 投稿日:2007/05/12(土) 14:09

〔さいたまスーパーアリーナ〕


川o・-・)ノ゛ヲイ、ヲイ! ←打ってる


川o・-・) モーニングを卒業して、そろそろ一年

川o・-・) 今日で吉澤さんが卒業する
719 名前:3 投稿日:2007/05/12(土) 14:10
わたしが卒業する時。


(0^〜^)<こんこん合格したら女子大生になんだなー。女子大生カッケー (・-・o川<また遊んでくださいね

(0^〜^0)<おう!あたぼうよ!てか、仲間じゃん、うちら


川o・-・) あのひとことがすごく嬉しかった。吉澤さんの言うことはシンプルだけど、すごく説得力がある


(0^〜^0)ノシ ←何度も全方位に手を振ってる


川o・-・) あなたはいま、輝いてますよ


川o・-・) 宝石みたいです。キラキラしてます
720 名前:4 投稿日:2007/05/12(土) 14:10
( `.∀´)保田さん

( ^▽^)石川さん


そして吉澤さん 

(0^〜^0)


ありがとう。あなたたちはわたしのモーニング娘。という宝石箱の宝物でした

川o・-・) 

川o・-・) でも



川川川 o) 誕生日とかに去って行かれるのは、ちょっと寂しいもんなんですよ
721 名前:5 投稿日:2007/05/12(土) 14:11
その数日前。


〔さいたまスーパーアリーナ〕



(0^〜^0)<……


ホホッ、やっぱり来てたわね!>( `.∀´)(^〜^0)メッカッチャッタ


( ´ Д `)ノシ オオーイ

( `.∀´)<あ、後藤だ。あの子も来てたのね

(0^〜^0)<ウチらはプッチだからね、考えてるこたあ一緒なんよきっと

( `.∀´)<アラ、言うようになったじゃない。さすがね

( ´ Д `)<んあ、ごとーも来たよー。メシでも行く?

( `.∀´)<ホホッ、そうね。後藤に合わせてお子ちゃまメシでも

( ` Д´)<まーたコドモ扱いする〜!ごとー今年で22なんだよ!セクシーなんだよ!アダルトなんだよ!!

(0^〜^0)アダルトカッケー  (`.∀´ )ヤレヤレ

(0^〜^0)<行こ行こ。圭ちゃんのおごり (`.∀´;)<え?
722 名前:6 投稿日:2007/05/12(土) 14:12
( ´ Д `)<んあ…


( ´ Д `)けーちゃんとヨシコはここからはじまったんだ

( ´ Д `)ごとーも横アリではじまったんだなあ


( ´ Д `)べつべつのみちを歩いてても、きっとどっかでつながってるよね



(0^〜^)( `.∀´)<後藤ー、なにしてんのー?おいてくわよー

( ´ Д `)ノ<んあ、いまいく



( ´ Д `)すべては、ここからだよ
723 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/05/12(土) 14:15
では次は5周年記念短編。
タイトルは『グラスホッパー』

724 名前:グラスホッパー 投稿日:2007/05/12(土) 14:15
〔本日棚卸しにつき休業いたします〕


( ´ Д `)<んあ…
725 名前:グラスホッパー 投稿日:2007/05/12(土) 14:16
「まいったな」

アベ楽器店にギターの弦を買いに来た後藤は、店頭の貼り紙を見てぽりぽり頭をかいた。
そういや、数日前に吉澤から「棚卸しだよ、ヘヘイヘイ」と聞いていた気がする。
「んあ、クッキーあるし差し入れでもしちゃるか」
キャンバス生地のバッグから覗く細長いクッキーの箱に視線を下ろし、後藤は店内に入って行った。

「こんちー」
後藤が声を掛けると、弦コーナーの棚の足元で、もそっと何か動いた。
「んひゃ」
後藤は思わず奇声を上げる。
「ああ〜…ごっちん」
すでに憔悴しきった声だった。
「んあ、どしたんさ」
「疲れた…」
吉澤はその場にヤンキー座りした。
自分の膝に顔を埋める。
「よっちゃーん。どのくらい進んだべさ」
奥から安倍の声がする。
「弦終わりましたー」
「休憩するべさ。タンポポに電話して好きなもん注文していいっしょ」
「ゴチっす」
奥で作業してた安倍が出て来て、
「いやー、なっちもクタクタっしょ」
と朗らかに言う。
そこで後藤に目を留める。
安倍の目がキラッと輝いた。
「ごっちん、今日ヒマだべか?」
「う…ヒマっちゃあヒマ」
瞬時にすべてを悟ったが、後藤は明るく、
「ごとー、棚卸しって忘れててさあ、弦買い来てさー、」
「弦あげるから手伝って」
全部言い終わらないうちに、安倍はなっちスマイル全開で後藤の手を握った。
726 名前:グラスホッパー 投稿日:2007/05/12(土) 14:17
後藤もタンポポで好きなものを頼んでいいと言われ、ハンバーグをオーダーした。
吉澤は卵サンドセット、安倍はカレーセットを頼んだ。
「よお!精が出るねえ」
配達に来た矢口は、ちっちゃい体で安倍に「このこの!」というようにふざけて体当たりし、
『ちょっと!ヤグチやめるべさ』と笑わせた。


「つーか、今日中に終わんの?コレ」
店内を見渡し、後藤は言う。
安倍と吉澤は顔を見合わせ、暗く笑った。
「あー、わーった。
アタマカズ?揃えたらどーにかなるっしょ」
後藤は鞄から携帯を出して掛け、
「来い」
とだけ一言言った。
流石のふたりもぎょっとする。
「はあ?いいじゃん、そんなの。
なっちんとこね、はい」
電話を切ったのを見て、安倍は、
「紗耶香?」
と言った。
「んあ、アヤカちゃんとかも連れてくるよーにゆったから」
今のでどうアヤカさん道連れとハナシが成立したんだろ。
吉澤は頭を捻った。
727 名前:グラスホッパー 投稿日:2007/05/12(土) 14:17

小一時間ほどして、市井とアヤカがやって来た。
「アベさ〜ん。
確か去年もアタシお手伝いしたよな気がすんですけどお」
市井はわざと朗らかに言い、そのへんに鞄を置いた。
アヤカはおもむろにエプロンを取り出し、黙々と身に着けた。
「ホラ、文句言わずにやる。
アヤカちゃんを見習いな。マイエプまでしてヤル気まんまんじゃん」
後藤に言われ、市井は苦笑して安倍の方を向き直り、
「どっからやりゃいいの?」
と尋ねた。

後藤の勧誘(?)が功を奏し、結構さくさくと進んだ。
足りなくなったゴミ袋やガムテを買出しに行くついでに、アヤカは
「飲み物買って来ようか?」
と言う。
「おー、アタシも行くよ」
市井が立ち上がろうとすると、後藤は
「ダメ」
と禁止令を出す。
「なんで!?」
「いちーちゃんはダメ。
トンズラするかのーせいあるから。ごとーの横でおとなしく数えてな」
「なんかごっちんオトコ前だねえ」
安倍がのんびり笑った。
アヤカもちょっと苦笑したが、後藤の隣でしゃがみこんで、ブツブツ言いながら作業する市井の横顔が
満更でもなさそうだったので、
「じゃ、みんなドリンクとか追加ないね」
と出て行った。
728 名前:グラスホッパー 投稿日:2007/05/12(土) 14:18
「さいごのいっこ…」
吉澤がフラフラな声で宣言し、
「おわりやした…」
疲れ切った声で報告した。
時刻は8時少し前だった。
ここで拍手が起こる。
「みんなお疲れだねー。ありがとう」
安倍が笑顔で頭を下げると、
「こんばんはー」
「あ、ケメ子だ」
反射的に吉澤が言う。
疲れてても、保田の声には反応する吉澤だった。
「だーれがケメ子ですってー?
そんな子にはビールあげないわよッ」
仕事帰りの保田はコンビニの袋からよく冷えた缶ビールを差し出して、
吉澤のこめかみに軽くあてた。


保田差し入れのビールで乾杯する。
そこへ。
「なっちー」
ちっちゃいのがこそっと戸から顔を見せる。
「あれー?終わったんー?
去年紗耶香とふたりで泣きながら夜中までやってたじゃん」
「おお、ヤグチわが友よ!」
ご機嫌の市井はすでに酔いが回り、矢口を抱き寄せて頬にブチューッと
キスしようとする。当然ながら安倍に笑顔ではたかれる。

「ね、ごっちん」
酒宴が進む頃、アヤカは後藤に、
「ごっちんはサヤカをひとりじめすんの好きだね」
と意味深に微笑んでみせた。
「んあ?
いちーちゃんのものはごとーのもの。
ごとーのものはごとーのもの」
「サヤカにもちょっとくらいひとりじめさせてあげないと」
「んあ…」
後藤はそれっきり何も言わなかった。
ふとふたりが視線を移すと、吉澤が椅子に座ったまま爆睡し、
保田が矢口にセクハラをかましてやはり安倍に微笑みながらどつかれていた。
729 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/05/12(土) 14:21
終わりです。
タイトルは特に本文とは関係ありません。
そもそも英語で『バッタ』だし(苦笑)。
そういう名前のカクテルがありまして、綺麗なグリーンです。
ご興味がありましたらドゾ

ttp://www.suntory.co.jp/cgi-bin/wnb/cktl.pl?ID=grasshopper


ではでは。
これからもよろしくおながいします。

(0^〜^)ノシ ( ^▽^)ノシ 
730 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/05/13(日) 00:01
更新お疲れ様です。
ポンちゃんの誕生日ってほんと娘の卒業シーズンですよね。ポンちゃん元気で勉強してるかな?
あ、遅くなったけど誕生日おめ。もう二十歳なんだね。
川川川 o) しかしこの後姿はせつない…

安倍さんかわいい。その天使の笑顔なら棚卸でも何でも手伝っちゃいます。
いいなあケメ子と市井ちゃん。その笑顔で何発もどつかれたいです。
731 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/05/13(日) 00:16
更新って言うか五周年企画お疲れ様です

こう考えるとごっちんはジャイアンを
通り越してキングの座にいるんですね

あとケメコさんは…ある意味清涼剤ですな

( ´ Д `)<アホはグラスホッパーで
        一番に思い出したのが白塗りのっぽさんだったらしいよ
・ω・ <みっちゃんに次いで…ののたん
从#~∀~#从<…みっちゃんから始まったwパンチが効いてるみたいやわ

次回更新お待ちしております
732 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/05/13(日) 02:02
更新乙です。
ここは平和でかえって・・・ry。

グラスホッパーはおいしいのれす。
はっきりいってチョコミントなのれす。
わたしにとってはデザートなのれす。
でものみすぎたあとにはあますぎてきけんなのれす。

次回も楽しみにしてます。
733 名前:ピクシー 投稿日:2007/05/14(月) 16:18
更新お疲れ様です。

グラスホッパーって聞くと・・・
最初に思い浮かんだのは海外のサッカーチーム(苦笑)

いや、まさかあんなタイムリーなレスをするとは(苦笑)
某アニメは漫画なら全部読んだです。
この歌たま〜に妙に聴きたくなるんですよねぇ。

次回更新も楽しみに待ってます。
734 名前:早春賦 投稿日:2007/05/30(水) 16:56
小川と紺野は渋谷に出た。

「はぁ、案外ないモンだな」
小川のスニーカーのモデルを探しに渋谷に繰り出したが、なかなか見つからない。
「人気のモデルなんでしょうね」
紺野は雑踏を見つめながら呟いた。
「んー、店のねーちゃんもそう言ってた気が」
信号を渡る時、小川は何の気なく紺野の手を握った。
紺野は一瞬ためらったが、成り行きに任すことにする。

「何食う?」
「そうですね…」
「このヘン、かぼちゃウマイ店あるってかーちゃん言ってたけど」
「行きましょう」
紺野は力強く頷いた。
735 名前:早春賦 投稿日:2007/05/30(水) 16:56
パンプキンムースなど、かぼちゃを使ったスイーツが売り物のカフェに入る。
少し時分を過ぎたカフェは、それでも日曜の為賑わいを見せていた。
お茶を飲みつつ窓から街を見つめる。
自分たちのような、高校生と思しき少女たちがはしゃいでいる。

「小川さん」
「ん?」
「小川さんは」
『好きなひと、いるんですか』
紺野はここまで言って、肝心なことばは呑み込んだ。
聞いてどうするのか。
自分が傷つく結果になるだけかもしれないのに。
紺野は自嘲気味に笑った。
「紺野ってさ」
「はい」
「好きなヤツ、いんの?」
想定外の質問に、紺野はぐっと詰まりそうになる。
まさか逆に聞かれるとは。
背中にただただ緊張の汗が流れた。
736 名前:早春賦 投稿日:2007/05/30(水) 16:57
「あ、悪ィ」
小川が苦笑する。
「タカハシさんだっけ?
そのヒトに恋人いたって分かってそんな経ってないのに、アタシ無神経だったな。悪い。ごめんな」
紺野は黙って首を振るしかできなかった。
自分に勇気があれば。
紺野はそっと溜息をつく。
あなたの好みの女の子だったら。
あなたくらい、勇気があれば。
あなたみたいに…。
延々と考え、紺野はまた自己嫌悪に陥る。
『どうしてあたしってこんな意気地が無いんだろ。
せっかく小川さんと一緒にいるのに。
小川さん、困っちゃうわ』
小川はただ不思議そうに紺野を見ていた。
そして、
「アタシ、置いてけぼり?」
と苦笑する。
737 名前:早春賦 投稿日:2007/05/30(水) 16:57
「へ…へ?」
紺野がぎょっとして顔を上げると、
「いや、紺野、ナンカ妄想してたっぽいから」
「妄想なんて…ただ、小川さんが」
「はい?」
「小川さんが…あたしといて面白いのかなって」
「いやー、飽きないねえ」
グラスを手に取って、小川はくすくす笑った。
「興味深いよ」
「そう…ですか」
紺野は俯き加減になる。
「ヘンだし」
「…小川さんに言われたくないです」
「つーか、アタシ、さっきとか」
「はあ」
「マチナカで、紺野と一緒にいるから、ヤローとかから『いいなー』って目線をメッチャくらったんだけど。
自慢?」
小川は屈託無く笑う。
楽しそうに続ける。
「ジョシコーセーみたいなコたちからも、あんなカワイイ子連れてるーって。
いやー、鼻が高いよ」
鼻の下を自慢げにこすり、えっへんと胸を反らす。
「それは…きっと小川さんじゃなくてあたしに対する羨望かと。
きっと小川さんがカワイイって言われてたんですよ」
「ちげーよー。
紺野が言われてたんだって。
あのふわふわの髪でほっぺたカワイイ子、って言ってるヤツいたんだぜ?
自信持てよ」
738 名前:早春賦 投稿日:2007/05/30(水) 16:58
自信。
自分の迷いを一言で言い表された気がして、紺野は目を見開いた。
「おめーはカワイイって」
「……」
「や、アタシが保障するって」
しかし。
ソノ気もないのに、そこまでかわいいって。
罪作りなひとだなあ。
紺野はそっと笑う。
「やーっと笑った」
「はい?」
「なんか紺野ヘコんでたみたいだからさー。
なんかしんどいんか?」
「いえ…」
「そっか。
悩みがあるんなら言えよ。
アタシでよかったら聞くからさー」
「ええ」
温かい紅茶の、カップを掌で包んで紺野は頷いた。
739 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/05/30(水) 16:59
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

(・´ー`)○゛<覚悟をするべさ

(;〜^◇^)<超笑顔!こえー!

5期で入ったあの子ももう20なわけで。必然的にマコまでハタチか…。∬∬本´▽`)<何ですか〜?
安倍さんのお手伝いをするともれなく深夜までは必至、というオプションつきです。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´ Д `)<んあ、中の人はタミヤのラジコンを思い出すんだって〜

そうだ、ノッポさんの持ち歌(でいいのか?)でもありましたね。

( 護摩)<ののたんに次いで美貴様…
从#~∀~#从<…加護ちゃんから始まったコンボが効いたらしいわ


>732の名無飼育さん

(0^〜^)っ□<まま、とりあえず飲みなされ

( ゜皿 ゜)っ□<カオデヨカッタラオアイテスルノ

ここ最近の激動(?)を目の当りにするとこんな暢気でいいのか?という気もするのですが(苦笑)。
デザートなのですか。>グラスホッパー 私はグラスの底から1cmで酔いましたが何か(笑)?


>ピクシーさん

(0^〜^)<スイスのチームだね >グラスホッパー

( 護摩)<今回もまた色んな意味で(ry

あれからまた激震があった罠(苦笑)。美貴様、その相手は(ry
某アニメの主題歌はたまにひとりカラオケでボソボソ歌っております。
740 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/05/31(木) 10:40
更新お疲れ様です。
ポンちゃんかわいい。マコ、うらやましいぞコノヤロー!
741 名前:ピクシー 投稿日:2007/06/01(金) 06:50
更新お疲れ様です。

やはりカボチャですか(笑)

流石姐御、博識ですねぇ。
美貴様の事は自分もビックリ。
氷山の一角・・・?

次回更新も楽しみに待ってます。
742 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/06/02(土) 12:30
更新お疲れ様です

コンマコは癒されるな〜

ラジコンナツカシス!!

・ω・ <…
从#~∀~#从<もう言葉も出んらしいわ

次回更新お待ちしております

743 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/03(日) 16:01
初めまして。
や、やっと現行に追いついた…
でも全然飽きないっす。すごいっす。
これからもがんがってくださいです。
744 名前:早春賦 投稿日:2007/06/27(水) 17:15
一方。朝比奈では。

練習後、
「ちょっとちょっと!」
『ののちゃん、あいぼん!』
と梨華はふたりを呼び止めた。
「なんや」
加護は険しい顔で振り向く。
梨華は一瞬『うわ』と引いた。
横にいた柴田も『おぅお』というリアクションをする。
「どうしたっていうの?
ふたりとも今日ヘン…」
辻加護のただならぬ雰囲気について、梨華は言及した。
加護はフン、と鼻を鳴らし、
「さあな」
とにべもない。
辻にいたっては呼び止められて立ち止まりはしたものの、顔を向けもしない。
745 名前:早春賦 投稿日:2007/06/27(水) 17:15
「ゆうべなんかあったんか〜?
熱い一夜とか?」
柴田が冗談でニヤニヤして言うと、
「柴田はんには関係あらへん」
加護がピシャリと言い放った。
「あ…そ」
冗談で言ったつもりの柴田はちょっとたじろぐ。
「もう、柴ちゃんは…」
梨華は眉を下げて困った顔をし、
「ののちゃん、大丈夫?」
そっぽを向いたままの辻に声をかけた。
「別に。
大丈夫だから」
そっぽを向いたまま、辻は答えた。
そのまま歩き出す。
746 名前:早春賦 投稿日:2007/06/27(水) 17:16
「待たんかい!」
「嫌れす」
ふたりとも物凄い早足で校門をくぐって行った。
「…辻ちゃんが『れす』って一瞬言わなかった」
「ソコ?」
梨華ですらツッコむ柴田のボケだった。
「てか、ケンカしても一緒に帰んだね」
柴田は可笑しそうに小さく笑う。
「ウチらも帰ろうよ。
お姉さんも今日はいないんだよね」
「あ、うん。
柴ちゃんゴハンどうする?」
「いや、一瞬実家帰るわ」
「へ?」
梨華は思わずぽかんとした。
「なーんか。一晩経ったらアタマすっきりしたっつーか。
闘ってくる」
その場でファイティングポーズをとり、柴田はシュシュッと拳を突き出した。
「そう…」
例の如く、梨華は眉をハの字に下げる。
「そんな顔すんなよ、ハニー。
大丈夫、勝ってくるさ」
柴田は笑って梨華の頭をくしゃくしゃ撫でた。
747 名前:早春賦 投稿日:2007/06/27(水) 17:16
柴田と駅で別れ、梨華はひとり電車に乗った。
途中、吉澤からメールがくる。
『(0^〜^0)<いよう!マイスイートハニー。元気かい?
練習お疲れ〜。今日はなかざーさんもいねーし、ウチらと柴っちゃん3人でメシでも行かね?』

柴田が家に帰った旨のメールを送ると、

『(0^〜^0)<駅で落ち合おう。ウチ、今日はもうバイト上がったから』

と返事がきた。
748 名前:早春賦 投稿日:2007/06/27(水) 17:16
「柴っちゃん帰ったってマジ?」
中澤家の最寄り駅で待っていた吉澤は、梨華に労いの言葉を掛けた後続けた。
「うん、『闘ってくる』って」
「ハハ、カッケー」
吉澤はカラカラと笑う。
「大丈夫かしら」
「大丈夫っしょ」
そう言って吉澤は梨華の手をとって繋いだ。

「よく降るね」
空を見上げて吉澤は言う。
吉澤の赤い傘(中古雑貨店で300円で購入)越しに、梨華は低い空を見た。
「なに食う?」
「んー、なんかあったかいものがいいな。
ひとみちゃんは?」
「ウチも。
どよ?ラーメンとか行く?」
「いいね」
意見が一致し、ふたりは商店街を歩いて行った。
749 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/06/27(水) 17:17
更新しました。
レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

川* ・-・)<かわいいなんて…そんな本当のこと仰らないでください

∬∬;`▽´)/<オイ!

ちょっとずつだけど進化してるこんこんですた。
リアルの女子大生になったこんこんを見るのが楽しみで仕方ありません。


>ピクシーさん

川o・)-・)<カボチャのないそんな世の中なんて モグ

∬∬`)▽´)<ポイズン てちげーよ シカシウメーナ

やはりふたりはカボチャです(笑)。
前回は美貴様、今回はこんこんガッタス限定復帰ですた。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川o・-・)<ま、このわたくしと小川さんですからね

∬∬;`▽´)<妙に態度でけーのは気のせいか?

おがこん、すんごいヒサブリに書いた気が(笑)。
こんこん復帰ですが、今回は素直にめでたいかなと。


>743の名無飼育さん

川o・-・)<初めまして。わたくしのためにありがとうございます

∬∬;`▽´)<いやいや、おめーだけじゃねーって

初レスありがとうございます。っ日<暑いから麦茶でも
どうもお疲れ様ですた。ムダに長いんでなんだか嬉しいような面目ないような(苦笑)。
これからもよろしくおながいします。
750 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/06/27(水) 21:38
更新お疲れ様です
・ω・<柴ちゃんパンチなの?ママンはキック娘はパンチ…
( ´ Д `)<んあ?格闘一家?

こっちのののさんもおとなになりつつありますね

コンコン復帰は素直に喜んでます…やっぱり清涼剤だ

次回更新お待ちしております
751 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/06/28(木) 08:04
更新おつかれです。
柴ちゃんの意見に同感れす。
れすを言わないのんさんなんてポイズン
て何で今、反町?マコのノリツッコミがおもろい。
752 名前:ピクシー 投稿日:2007/06/29(金) 14:07
更新お疲れ様です。

「れす」は一種のアイデンティティ(苦笑)

コンコン復帰もビックリですねぇ。
マコは?

次回更新も楽しみに待ってます。
753 名前:Unknown 投稿日:2007/07/09(月) 20:20
Hello
Preved Acuna Matata!
754 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/09(月) 21:18
すいやせん 落とします
755 名前:早春賦 投稿日:2007/09/05(水) 14:00
梨華と吉澤は商店街の外れにあるラーメン屋に向かって歩いて行った。

『あそこテレビあるからよくね?』
という吉澤の意見を通した。
「ひとみちゃん、あの店行ったことあるの?」
爪先で小さく雨の雫を払いながら梨華が言う。
「いんや、ねえべ。
てか、マエ、いつも通りかかって気にはなってたんだよね…」
吉澤も同じように雫を払いながら独り言のように呟く。
「おじさんとおばさん、ふたりでやってるんだけどキャラに圧倒されるから」
梨華は小さく笑った。
756 名前:早春賦 投稿日:2007/09/05(水) 14:00

「いらっしゃーい」
店の戸を開けると、迎えたのは、岡村先生だったら『化粧の仕方間違うてまっせ』とでも言いそうな厚化粧のオバチャンだった。
「あら、中澤さんとこの梨華ちゃんやないの。久しぶりやね〜。お姉さんも元気でやってはる?」
「はい、元気にしております」
梨華は笑いを噛み締めながら、空席を目で探した。
吉澤はオバチャンに軽く会釈し、梨華について行く。
厨房の中では、店主が欠伸しつつ東スポを広げていた。
757 名前:早春賦 投稿日:2007/09/05(水) 14:00
「梨華ちゃん、常連なん?」
おひやが運ばれてめいめい注文した後、吉澤は梨華にこそっと囁いた。
「うん、子供の時よく家族でね。
お父さん、ここの酢豚好きだったし」
「へえ。
お、タンメンなんかもあるんだ、カッケー」
吉澤が一昔風のメニューに感心していると、おもむろにオバチャンが現れ、
「若い子がおるんやさかい、賑やかな番組の方がエエな」
と壁際、天井の近くに板をつけて設置されたテレビの方を向いた。
「よいしょー」
オバチャンは椅子に上がり、リモコンでなく、持参した孫の手でチャンネルを替えた。
その光景を見て吉澤は水にむせそうになる。
「めちゃイケでええか?」
オバチャンが椅子に載ったまま振り返って問うので、梨華は、
「はい。ありがとうございます」
とまたもや笑いをこらえつつ返した。
「そーれ。
ラーメンと味噌ー、ギョーザ上がったでー」
厨房から怒鳴るような声がし、オバチャンは
「ほいさー」
と椅子から降り、厨房へ向かう。
758 名前:早春賦 投稿日:2007/09/05(水) 14:01
たわいもない話をしながら、梨華たちはラーメンをすする。
「味噌、うんめー」
「そう?ひとみちゃん、ギョーザもういっこ食べていいよ」
「ゴチっす」
そうこうしてると、天井のそばのテレビが消えた。
「あれ?」
吉澤が首を傾げてると、またもやオバチャンがどこからともなく現れ、
「もー、またかいな。
ちょっと映り悪いけど、コッチ見ててんか」
と棚のような家具の上に置かれた、ガチャガチャと回すチャンネル式のテレビをつけた。
「すっげ…レトロー」
瞬間画面がついたと思ったら、ザーザーと画像が乱れる。
「しゃあないなー。
それ!」
オバチャンが手刀を作り、テレビに空手チョップをかました。
吉澤はラーメンにむせそうになる。
「それ!」
梨華は小さく、オバチャンとかけ声を合わせた。
「あ!戻った!!」
オバチャンの空手チョップ効果で、テレビは鮮明に復活した。
759 名前:早春賦 投稿日:2007/09/05(水) 14:01
「今日はオバチャンに持ってかれた1日だったね」
店を出た後、吉澤は笑いを噛み締めつつ言った。
帰り際、ふたりはオバチャンに『アメちゃん食べ』とそれぞれ飴をもらった。
「特にあの空手チョップ!カッケー!」
自分も手刀を作り、
『チョップ!チョップ!』
と繰り返す。
梨華はちょっとふたつ折れになって笑った。
傘を抱えて、濡れないように気を配る。
「何でテレビ2台もあるんだろ、って思ってたんだけど空手チョップ用だったんだね」
「いやー、あたしが知る限りもう10年はずーっとアレだけど…」
「マジで?」
吉澤が梨華の方を見て笑う。
その横顔を見て、梨華は綺麗だな、と思った。
760 名前:早春賦 投稿日:2007/09/05(水) 14:02
「梨華ちゃんの周りにいる人は幸せだね」
不意に、吉澤はこんなことを言った。
「どうして?」
梨華は立ち止まる。
「周りがあったかくなるよ」
「そんな…」
梨華がためらってると、
「ずーっとずーっと、あったかい梨華ちゃんといたい」
吉澤は梨華の小さな手を握った。
「…ひとみちゃん」
「一緒にいよ?」
「…うん!」
梨華は泣き笑いでせわしく顔を拭った。


「あたし、雨の日って好きじゃなかったけど」
道すがら、梨華が言った。
「これから、うんと好きになると思う。
ひとみちゃんが、今日、この日に大切なことを言ってくれたって思い出す度」
「うん」


「雨の日も悪くないね」
「うん、悪くない」
吉澤は、改めてその小さな手を取った。
761 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/09/05(水) 14:03
更新しました。
仕事で長い間来れずにすみませんでした。
大変お待たせしました。


レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

川;σ_σ|| <いや、うちで最強なのは母だけどね…

川* ・-・)<清涼剤なんて…本当のことおっしゃらないでください

柴母は敵に回すと危険です(違)。
のんさんに続き、いいらさんまでが…(苦笑)。ののかおは奇跡(爆)!


>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´D`)<ぽいずんってたべれるんれすか

(; ´д`)<食えるモンなら食ってみ? ワシャトメンワ…

今だからあえて反町(違)。
柴もツッコむくらいの反響だったようです(本当かよ)。


>ピクシーさん

( ´D`)<れすをいわないのんなんて、おおぐいじゃないギャルそねしゃんみたいなモンれす

川*^ー^)<適当じゃない絵里みたいなものですよ?

やっぱアイデンティティでしょうね(苦笑)。>( ´D`)<れす
こんこん、音楽ガッタスまで入ってますよね。マコは目撃情報はよく聞くんですが。


>754の名無飼育さん

( ´D`)っ日<おつかれさまれす。麦茶どうぞれす

ありがとうございます。
762 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/09/06(木) 21:30
更新お疲れ様です
お仕事大変そうですねご無理なさらないように

学生時代に通ってた中華屋がこんなんでした
ただ…自分は店主に嫌われてましたけど…
( `◇´)<こいつ嫌われてるから毎回チャーシューピンはねされてたで

みっちゃんののさんに続きいいらさんまで…
裕子は無かった事になってるような…

次回更新お待ちしております
763 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/09/07(金) 23:24
更新お疲れす。
759の最後の「吉澤が梨華の方を見て笑う。
その横顔を見て、梨華は綺麗だな、と思った。」
が、なんかよかったです。ここでaikoの「横顔」をリクエスト。
梨華ちゃんの心境みたいな感じです。
久々のいしよしに原点を見た感じがしました。
764 名前:ピクシー 投稿日:2007/09/11(火) 07:30
更新お疲れ様です。

空手チョップカッケー!
自分の先輩が学生時代に使っていたテレビも、そうでした。
両手で叩く、でしたけど・・・コツがあるらしく持ち主以外には直せなかったです。

のんびりマイペースで書いてください。
自分も最近忙しかったので、更新チェックが遅れた・・・

次回更新も楽しみに待ってます。
765 名前:早春賦 投稿日:2007/09/19(水) 16:07
柴田家。

「よう、帰ったか、ガチャピン」

柴田が家に帰ると、姉が腕組みして下駄箱そばの壁にもたれかかっていた。
「ガチャピン禁止」
特に気にせず、柴田は靴を脱いで上がる。
「梨華ちゃんとお姉さんにちゃんとお礼言った?」
「うん」
「じゃ、よしとしよう」
「めぐみー。
洗濯物中に入れなさーい」
上の階から母の声がして、姉は
「おう」
と返事し
「メシ食え」
ちらっとだけ振り返って階段を上がって行った。
766 名前:早春賦 投稿日:2007/09/19(水) 16:07
柴田がキッチンに入って行くと、母は特に変わった様子は見せずに、
「シチューだからあっためて食べなさい」
とだけ言った。
「またシチュー!?」
「嫌なら食べなくていいのよ」
いつものように軽口を叩き合い、付け合せのパンをバスケットに盛り、
「食べたら片付けといてね」
とさっさと出て行った。
「あ、小玉スイカをもらったから切って食べなさい」
思い出したように部屋を出しなにそれだけ言う。
「シチューにスイカっすか!?」
鍋のクリームシチューを皿に盛り、スイカに包丁を入れ、食卓に着く。
「クリームシチューにスイカ…合わねー合わねー」
独り言を呟き、シチューに匙を入れる。
「…おいし」
ちょっと泣きたくなって、鼻を啜った。
767 名前:早春賦 投稿日:2007/09/19(水) 16:08

冷たい雨が地面を濡らす。

保田はカーテンを開けて空模様を見ていた。
「また降って来たね」
保田の家で夕食の支度をしていた飯田は、特に窓も見ず言った。
「んあ、見てないのに分かんの」
後藤はソファに座り、クッションを膝に抱えている。
「圭ちゃんがぼーっとしてるから」
飯田はそう返す。
「はあ、スゴイね」
後藤と遊びに来ていたアヤカは、素直に漏らした。
「圭ちゃんは分かりやすいもん」
飯田はお盆を抱え、フッと笑う。
768 名前:早春賦 投稿日:2007/09/19(水) 16:09
「肉じゃがと焼き魚って最強じゃない?」
後藤はごはんをもりもり食べて彼女なりの褒め言葉を発す。
「うん、おいし…」
アヤカも上品な箸遣いで鯵をほぐす。
「よっく食べるわね、アンタたち」
保田は地酒を飲みつつ、その様子を見ていた。
「だって、カオリのごはんおいしーもん」
後藤の感想は素直だった。
「フフ、それ以上褒めても何も出ないよ」
微笑みながら、飯田は後藤が差し出した茶碗に、また山盛りごはんを盛ってやった。

そんな中、電話が鳴った。

『保田先生?』
「あ、紺野じゃん。どしたん、家電に掛けてくるって珍しい…」
『先生の携帯、つながらなくって…』
紺野の声は切羽詰っていた。
「あ、バッテリー切れたかな?
どしたん?」
『小川さんが…』
紺野は早くも泣き声になった。
769 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/09/19(水) 16:13
更新しました。

レスのお礼です。

>懐妊菊門○ .ω. ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´ Д `)<んあ、あのラーメン屋はけっこーいいぽ

(;〜^◇^)<てかオバチャンかなり強烈だよな オッチャンモ

『最近のラーメン屋はなんであんまテレビないんだろ』という筆者の心の叫びです(違)。
裕子はそっとしといてあげましょう 从#~∀~#从<なんやと?
ありがとうございます、女性週刊誌に記事にされた裕子を祝福(?)しつつがんがります。(何を?)


>ひ〜ちゃんエッグさん

(0^〜^0)<正面ダメ?

(;^▽^)<そうじゃなくて…

いしよしの原点ですか。それは考えなかったなあ。
仕事の合間にちょくちょくとネタを考えて最後に色っぽいシーン入れとくか、という流れでして(苦笑)。
ありがとうございます、今後もがんがっていしよしってみます(違)。


>ピクシーさん

( ゜皿 ゜)ノ<チョーーーーーープッ!

(;`.∀´)ノ<やめろ!テレビが壊れる!しかも液晶でやるなーーーー!!

古き良きブラウン管です(笑)。
母の実家が昭和50年代後半で白黒テレビがありまして、祖母がよくやってますた。>空手チョップ
ドモありがとうございます。がんがります。

770 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/09/19(水) 16:15
・『キャンプイン』


<ワンモアセッ!

ノ(;`.∀´)ノ<ムリ!

<コエダセ!

(;`.∀´)ノ<う、ういーす!

2日目

(;`.∀´)ノ(〜^◇^)ノ( `◇´)ノ<<ういーす! ←合同キャンプ実施

3日目

(;`.∀´)<え、チューブって使うんだ?

4日目〜6日目

( ゜皿 ゜) <コエヲダセ!コエヲダセナイヤツハウデタテ1マン72カイダ!

(;`.∀´)ノ<うっさいカオリ!   (^▽^;)←キャンプ見学

7日目

<ビクトリーーー!!!

(;`.∀´)ノ<ビ、ビク… ←もーフラフラ

川‘〜‘)||<3日目までチューブ忘れてたからもう1回ね

煤i;T.∀T)<(鬼や、鬼がおる!)
771 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/09/20(木) 00:16
更新お疲れです。
カオリズ・ブートキャンプは厳しそうですね。(笑)
しかし、なぜ1万72回?
ひさびさにAAネタがあってうれしいっす。
772 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/09/21(金) 23:43
更新お疲れ様です
メシ喰らう柴ちゃんとごっちん最高

自分ブートキャンプ
入隊10分で肩脱臼して即除隊されました

次回更新お待ちしております
773 名前:ピクシー 投稿日:2007/09/30(日) 07:18
更新お疲れ様です。

肉じゃがと焼き魚、最強です。
御飯がどんどん進みます。

ブートキャンプは未体験。
でも、ダイエットしてた頃は普通に散歩1時間、腹筋・腕立て100回とかやってました。
何より辛かったのは、食事制限だったけど。少量を30分かけて食べたり。
慣れれば普通になっちゃうんですけどね。

次回更新も楽しみに待ってます。
774 名前:早春賦 投稿日:2007/10/17(水) 16:01
『小川さんが家出したんです』


保田はハンドルを握りながら、紺野の涙混じりの震えた声を思い出す。
775 名前:早春賦 投稿日:2007/10/17(水) 16:01
紺野から連絡を受けた後、保田はアヤカと車で小川を探しに出掛けた。

「んあ、ごとーも行こうか」
「アンタはカオとここにいて。随時連絡するわ」
「おっけ。浮気しないよーにね」
「…バカ」
脱力しつつ、家を出た。

「それにしても何で家出なんて…」
保田の呟きに、
「あれくらいの年の子は」
アヤカは目を伏せ、続けた。
「自分ではどうにもならなくて、衝動的になることがあるのよ」
それには返さず、
「まずは渋谷か…」
保田はカーステレオのボリュームを絞った。
776 名前:早春賦 投稿日:2007/10/17(水) 16:01
「なんやて!猪木が家出やて!」
中澤家に後藤から連絡が行く。
ほぼ同時に紺野からも加護の携帯に電話があった。
加護は夕食を中断し、辻の方を見て、
「行くで」
とだけ言う。
辻も黙って頷いた。
梨華と吉澤は感心してその様を見ていた。
「よお。オイラたちも探しに行くべ」
「アンタらは家で待ってて。
これはな、若者の問題や」
加護に言われ、
「隠居のように言うな」
吉澤はぷっと頬を膨らませる。
「あたし、車出すわ。
任せて」
梨華の申し出に、辻と加護は顔を見合わせ、
「ほな、頼んます」
と力強く頷いた。
777 名前:早春賦 投稿日:2007/10/17(水) 16:02
「なんや、小川さんトコの奥さんから電話あったんやけど」
梨華たちが出掛けた後、平家が入れ違いのように中澤家に来た。
一旦帰って、家の事を片付けていたのだ。
「おお、いま梨華らが車出して探しに行きおったわ」
「なんや、家出やてな」
「そうらしいな」
裕子は自分も身支度し、平家に
「当然車で来たんやろ」
当然のように言った。
「あ、徒歩。
コンビニに振込み行ってその足で来たさかい」
芸能人らしからぬ発言に、裕子は
「歌手のクセにコンビニで振込みすんなや…」
と脱力した。
778 名前:早春賦 投稿日:2007/10/17(水) 16:03
「よう」
保田宅に現れた人物を見て、後藤は顔をしかめた。
「なんでいんのさ」
「まま、細かいことはいーじゃん。
てか、お姫様をお連れしましたよ、と」
市井に促されて、紺野がうだれて入ってくる。
雨に打たれたのか、前髪が少し濡れていた。
「んあ、紺ちゃん。
いちーちゃんにヘンなことされなかった?」
背中に手をやり、顔を覗き込んで後藤はいたわるように言う。
「ちょおま」
「大丈夫です」
紺野にまでそんなことを言われ、市井は憤慨する。
横で飯田は苦笑した。
「髪の毛濡れてんじゃん。こんこん、服は?」
飯田に言われ、紺野は
「大丈夫です。ちょっと急いでたので濡れたんだと思います」
小さく頷いた。
タオルを渡してやり、飯田はあったかいココアを鍋で沸かしてやる。
「んあ、こんこん。
けーちゃんに家にいるよーに言われてたのに」
後藤が言うと、紺野は
「…いても立ってもいられなくなったんです」
ココアのマグを手に、小さくだがはっきり呟いた。
「カ〜ッ。恋は少女を情熱的にするね〜。
おじちゃん、応援するよ」
市井がオッチャンのように感嘆の声を上げる。
「で、おじちゃんは何でこんこんと一緒なの」
飯田の指摘に、
「いや、吉澤からたまたま連絡来て?
で、とりあえず圭ちゃん家に来たら、ハイツの近くでこの子と会ってさー」
ヘラヘラ答える。
「何もしてないだろうね?」
後藤の凄みに、
「あ、なに?オマエ、もしかしてヤキモチ?」
空気をある意味読まないはしゃぎように、後藤は本気で肩から深い溜息をついた。
779 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/10/17(水) 16:03
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

( ゜皿 ゜)<ウデタテ100カイナンテヌルーイ!!だから1マン72カイダ!!

( ;´ Д `)<もー鬼軍曹だよね

カオリズ・ブートキャンプに入隊したら生きて帰って来れません(多分)。
あ、ホントにAAネタヒサブリでしたね。よっちゃんの卒業ネタ以来?


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´ )Д `)モグモグモグ 

川σ)_σ|| ガツガツガツ

脱臼で除隊ですか…ご愁傷様でした。うちはこの前還暦を迎えたオカンがやると聞かなくて困ってます(苦笑)。
しかし前回は食ってばっかな話ですな(苦笑)。


>ピクシーさん

( ´。 Д `)<いや〜、じゃがでメシも進むよ

川o・-・)<ム!イモと聞いては黙ってられません!

ブートキャンプはメニューの濃さもさることながら、「テンポが速すぎてついていけん」てのをよく聞きます。
肉じゃがと焼き魚、書いてて自分も食べたくなりましたよ(笑)。
780 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/10/18(木) 01:38
更新おつです。
本編の話とはまったく関係ない平家さんですが、
最近コンビニの振込みをよく利用しているんで、便利だと共感できます。
781 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/10/20(土) 00:04
更新お疲れ様です
うちのママンもバンド片手にドタドタやってるようです

みっちゃんは相変わらずかわいそうな扱いですね

・ω・<いちーちゃんKY
从#~∀~#从<お前こそ空気読め

次回更新お待ちしておるます
782 名前:ピクシー 投稿日:2007/10/27(土) 04:32
更新お疲れ様です。

いいなぁ、こういう仲間って。
幸せな仲間ですねぇ。

コンビニATMは、自分も某ネット銀行の口座で生活費用に使ってます。
24時間手数料無料ってのが嬉しいですね。

次回更新も楽しみに待ってます。
783 名前:早春賦 投稿日:2007/11/14(水) 17:46
保田宅。

時計の針だけが規則的に進む。
そんな中、後藤はのそのそと自宅に戻り、
宝物の『ドラえもん(てんとう虫コミックス版)』を持ってまた現れた。
「オマエ、何持って来たん?」
流石の市井も呆れて後藤を見る。
「ドラ」
「はあ…ドラちゃんですか」
市井が溜息混じりに苦笑すると、
「カオにも見せて」
と飯田が手を伸ばした。
784 名前:早春賦 投稿日:2007/11/14(水) 17:46
「ワハハハ、ライオン仮面、もはや、のがれることはできんぞ!」
後藤が声を押し殺して『あやうし!ライオン仮面』(てんとう虫コミックス『ドラえもん』
第3巻第1話)の『くらやみ団』になりきって声を出す。
後藤と飯田は、コミックスを使い、漫画を読み合っていた。いわゆるアテレコである。
配役は『ドラ、のび太、編集者、くらやみ団→後藤』、
『フニャコフニャ夫先生、ライオン仮面、オシシ仮面ほか→飯田』
である。
「何やってんだかね、あのヒトたちは」
市井は心底呆れたように、横目で勝手に盛り上がってる後藤たちを見る。
マイペースにも程がある。
ひとり静かな紺野を気遣うように、
「ハラ減ってない?」
と声を掛けた。
「少し…晩御飯は家で食べたんですが」
紺野は顔を上げ、少し微笑んだ。
「よーし、よーし。
この市井ちゃんが何か作ってあげましょー!
カオちゃん、おだいどこ借りるよん」
「いいよー」
「ココ、保田先生のお家…」
控えめながらも、ツッコむ紺野だった。
785 名前:早春賦 投稿日:2007/11/14(水) 17:47
うどんを湯掻く準備をしていた市井は、
「グエーッ」
という奇声に思わず反射的に振り返った。
「何事だよ!?」
後藤に目を向けると、
「オシシ仮面の断末魔の叫びだよ。
くらやみ団に火あぶりにされるの」
淡々と説明を加えた。
「ハア…ヤなシーンだな」
またキッチンに向き直り、うどん玉の袋に鋏を入れる。
「グエーッ」
またもや断末魔。
声の主は飯田だった。
「カオ、もいちどやってー」
後藤はソファーで笑い転げ、アンコールをねだる。
飯田も調子に乗って、綺麗な顔をしてるのに『グエーッ、グエーッ』繰り返した。
後藤はバカウケで、腹を抱えてついにソファーから転がり落ちた。
786 名前:早春賦 投稿日:2007/11/14(水) 17:48
「キミたち、いい加減にしたまえ。
紺ちゃんがどんな思いでこのじりじりした時間を過ごしているか…」
市井にしては正論を切り出すと、
「飯田さん」
と紺野はおっとり声を掛けた。
「は、はい?」
「オシシ仮面の叫びは『グエーッ』がよろしいかと。
やはり断末魔の叫びはこれくらいの切迫感がないと」
何かと思えば演技指導だった。
「分かりました、先生!」
飯田は『ゴホゴホ』と喉を整え、またもや、『グエーッ』と叫んだ。
後藤は転がったまま、笑い出す。『し、死ぬー』とうっすら涙さえ浮かべた。
市井は説得を諦め、大人しく葱を刻み出した。
787 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/11/14(水) 17:49
更新しました。
短いですが…。


レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)<とりあえずね、コンビニでもどこでもいーから、この前の500円

ヽ;^∀^ノ<分かったよ

当方も、通販の支払い等で活用しております。>コンビニ
いやー、みっちゃんはいい子なのでなんか出したくなるんですよ(笑)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ヽ;^∀^ノ<みっちゃんの扱いが他人だとは思えんなー

( ´ Д `)<何さ、いちーちゃんのクセに

今回は市井ちゃん以外が全員KYです(笑)。
一番の常識人だけど、おや、ある意味やっぱりKYか?


>ピクシーさん

ヽ;^∀^ノ<いいっすか?

川o・-・)<ハイ、素敵な仲間だと ア、ウドンニハオネギタクサンイレテクダサイネ

たとえ何ら役に立たなくとも(苦笑)、仲間がいたら心強いですねえ。
コンビニはATMは滅多に使わないですね。通販等の振込にフル活用です。
788 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/11/14(水) 18:52
更新お疲れ様です。
飯後のドラえもん、おもしろそうですね。
紺ちゃんの心を和ませようと…良い方たちですね。(違?)
789 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/11/15(木) 00:29
更新お疲れ様です
なんだろうこの状況でも…とりあえずKYいちーちゃん
とりあえず明日仕事終わりに古本屋でドラエもん呼んできます

・ω・<ひっそり出産…みちよスタイル
次回更新お待ちしております
790 名前:ウイング 投稿日:2007/11/15(木) 21:24
だいぶ前からなのですが、
楽しく読ませていただいています☆
これからもがんばってください!
791 名前:ピクシー 投稿日:2007/11/20(火) 03:19
更新お疲れ様です。

うわ〜・・・懐かしいネタですね。
めずらしくいちーさんが正論・・・何か起きるかも(苦笑)

通販の振り込みは、自分専らカード決済ですねぇ。
生活費入れてる某ネット銀行が近々ATM手数料有料になるそうなので、
また違うネット銀行に鞍替えを検討してます。

次回更新も楽しみに待ってます。
792 名前:早春賦 投稿日:2007/11/28(水) 12:35
市井にうどんを作ってもらった紺野は、ゆっくりゆっくり、味わっていた。
「和むねえ、可愛い女の子が物を食べてる姿は」
市井はちょっと離れた所で、頬杖をついてそれを見ていた。
「んあ、それにはどーいだね。
紺ちゃんが食べてる姿は和むよ」
「癒されるねえ」
後藤と飯田も頷く。
3人の言葉に照れた紺野はうっすら頬を染め、丼を持っておつゆを啜った。
「おいしい…です。
おつゆがいりこのダシが効いてて」
「んあ、いりこ?
讃岐でも行ったの?」
紺野の言葉に、ソファにいる後藤は、キッチンの飯田の方を見る。
「何か圭ちゃんが所持してた。
貰ったか、自分で買って忘れてんだと思う。冷蔵庫に入れっぱだったし」
「ははー、なるほど」
「たくさん食べなね」
市井が声を掛けると、紺野は丼を持ったまま頷いた。
793 名前:早春賦 投稿日:2007/11/28(水) 12:35

「マコっちゃんが行きそーなトコって渋谷?」

一方。
梨華の運転で、辻、加護たちは捜索に出ていた。
吉澤も『行く!ぜってー行く!』と車に乗り込んだ。

「猪木はハヤリもん好きやからな。行くゆーたらそのヘンやろ」
梨華の質問に、加護が自分なりの推測を交えて答える。
「マコっちゃんはよく渋谷に買物に行ってるれす」
辻も同様に答えた。
「やっぱ若人はそのヘンに行くべ?」
隠居扱いするなと膨れた割には、じじむさい単語を交えて吉澤が口を挟む。
「若人てアンタ」
天性のツッコミ加護が、ソコにすかさず反応した。
「センター街とか行ってみる?」
梨華の提案に、3人は頷いた。
794 名前:早春賦 投稿日:2007/11/28(水) 12:36
その頃。裕子と平家は。

中澤家から一旦、ハイツの駐車場に行き、裕子にブーブー文句を言われながら
平家が車を出して来た。

「お待ちどうさん。出してきましたで」
助手席に座り、裕子は
「遅い」
と早速文句を言う。
「まあ、許してえな。
アシになりますさかい」
平家はしれっと流すと、アクセルを踏み込んだ。
795 名前:早春賦 投稿日:2007/11/28(水) 12:37
中央道から首都高に入り、新宿に向かう。
「しかし」
裕子が口を開く。
「何で家出やなんて」
「さてね。
年頃の娘やさかいなあ」
平家がいつものように、のらりくらりと答える。
「ちったあマジメに考えい」
裕子が口を尖らす。
「まあ、奥さんが言うてはったけど、自分の姉妹にキツイこと言われたようやで」
「きょうだい?」
「そ。姉ちゃんと妹がおんねん」
「へえ、三姉妹かいな」
裕子はちょっと考え、
「あれ?あの家はそのマコっちゃんと両親しかおらんかったような…」
「父親の仕事の都合とマコっちゃんの進学で3人でだけ上京してんねん。
姉と妹は地元に残って学校通ってる。
上の姉ちゃんは大学生で、学校通いながら妹の面倒見てるようや」
「へえ。
なんやお父さんが大学の先生やいうんは、梨華から聞いとったけどなあ」
「ドイツ文学の先生や」
「へえー。あんた、よう知っとんなあ。
関心ないフリして」
「まあ、あそこの奥さんと仲エエしな。
たまにお茶飲んでグチ聞いたりしてるけど」
平家が苦笑する。
平家は小川の母とワインスクールで知り合い、それ以来親しくしている。
梨華が小川の家庭教師をするようになったのも、平家が小川の母に相談されたのがきっかけだった。
「あんな天真爛漫そうな子ォでも、深い悩みがあんねんなぁ」
「だからや」
裕子の言葉に、平家が短く返した。
796 名前:ごまべーぐる 投稿日:2007/11/28(水) 12:38
更新しました。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん

( ´ Д `)<ドラえも〜ん!

( ゜皿 ゜)<グエーッ ←※紺野先生のダメ出し後の『グエーッ』

こんなんで少女の心が和むのか果たして謎ですが(苦笑)。
とりあえず、後藤さんのドラは紺野先生のお墨付きです(違)。


>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

( ´ Д `)<KYKY

ヽ;^∀^ノ<うっせ(つーか、ナニ?この空間)

どのような状況でもKYなのがいちーちゃんスタイル。
みっちゃん出産を知ったのは確かメロンブログの斉藤さんの回ですた。


>ウイングさん

(0^〜^0)<初レスの方かな?ありがとうだYO!

( ^▽^)<これからもよろしくお願いしまーす!

初レスの方でしょうか。どうもありがとうございます。
長い間読んで頂いてるのでしょうか。これからもがんがります。


>ピクシーさん

ヽ;^∀^ノ<んまー、失礼しちゃう

( ´ Д `)<まさしく何か起きるよ、KYだから

いちーちゃんが正論言う時に限ってロクなことがないですからね(苦笑)。
この回のドラは最高傑作のひとつだと勝手に思ってます(笑)。
797 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2007/11/29(木) 00:28
更新おつかれです。
久々に4期全員そろってなんか勝手にうれしくなってます。
車って、梨華ちゃんのイメージから勝手に予測するとNISSANのピンクのオッティですか?
にしてもマコはどこに?
798 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/29(木) 02:23
んあぁ、いりこだしかぁ。
今年の夏はあほほど喰うたなあ。
大量の煮干をスピードカッターで粉砕して。
発注ミスで余った桜海老をかき揚げにして。
加○吉の冷凍さぬきうどんを茹で。
評判良かったので調子に乗ってちょくちょくまかないに出しました。
799 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2007/11/30(金) 00:05
更新お疲れ様です
4期が乗ってる車…
なぜか人生ゲームのコマが頭に浮かびました
優雅なみっちゃん想像できん
・ω・<いりこ(゚д゚)ウマー
( ´ Д `)<アホはいりこをそのまま食ってるぽ
次回更新もお待ちしております
800 名前:早春賦 投稿日:2008/01/14(月) 13:30

渋谷に着いた吉澤たちは、車の中から見覚えのある少女を認めた。
一番最初に吉澤が気付く。
「あれ、ガキさんじゃね?」
OGの梨華たちと見に行った、朝比奈の体育祭などで会ったりして面識はあった。
それ以外にも、辻加護によく見せてもらう、仲間と撮った写真に新垣がかなりの確率で写っていた。

「おやガキさん。何しとんや、こんな時間に」
加護が首を伸ばして外を見ようとする。
新垣は傘をさして、寒そうに携帯を弄っていた。
「のん、呼んでくるれす」
辻は即座にドアを開けて、ダッシュで向かった。
辻が駆けて行き、靴が道路の雨水を撥ねる、ぱしゃぱしゃという音が響く。
801 名前:早春賦 投稿日:2008/01/14(月) 13:31
「こん…ばんは」
辻に連れられ、新垣が車内に入って来る。後部座席へ腰を下ろした。
「おっす」
吉澤が軽く手を上げた。
新垣は寒いのか、青い顔をしていた。
軽く頭を下げる。
「どうしたのガキさん、こんな時間に」
梨華が運転席から振り返った。
「マコっちゃんが…」
次の瞬間携帯を握り締め、新垣は一粒涙を零した。
802 名前:早春賦 投稿日:2008/01/14(月) 13:31
「どないしたんや、猪木が。
いや、ウチらもぶっちゃけアイツ探しとんねんけどなあ」
加護がいきなりぶっちゃける。
「オマエ、ぶっちゃけすぎだよ」
吉澤が呟いた。
「マコっちゃん、アタシのせいで…」
「へ?何したん?」
加護が言う横で、辻は震えだした新垣の背中をさすってやった。
803 名前:早春賦 投稿日:2008/01/14(月) 13:33
新垣の話ではこうだった。
夜、新垣の部屋にふらっと小川が現れ、様子がおかしかったので何があったのか聞いた。
里沙はいいよな、みたいなこと言い、いきなりきつく抱き締めてキスしようとした。
抵抗した新垣が言った言葉にいたく傷ついて、そのまま部屋から出て行ったとのことだった。


「あたしが…『やめて、気持ち悪い』って言ったらマコっちゃん、
すっごく傷ついた目、して…今まであんな顔、見たことな…」
泣きながら言うので、新垣はむせてしまった。
辻が背中を軽く叩いてやる。
「んー…確かに気持ち悪いはキッツイかもなー」
「あいぼん」
梨華が嗜めた。
「マコっちゃん、あたしのせいで家出して…」
新垣が怯えたようにか細い声で呟くと、
「いやー、ガキさんの部屋来た時から既におかしかったんでしょ。
ガキさんが言うたことは特に家出の原因とは…」
加護なりにフォローするが、逆に車内の空気が重くなってしまう。
『しもた…ウチ、めっちゃ空気読めてへんヤツや』
心の中で反省していたら、
「それなら、一緒に探そ?
ガキさんのお母さんにもちゃんと連絡して。ね?」
年長らしく、梨華が提案した。
804 名前:ごまべーぐる& ◆vm0lJV6jPs 投稿日:2008/01/14(月) 13:35
あけおめ、ことよろです(汗)。
更新遅くなってすみません。
つーか、短くてすみません(汗)。

レスのお礼です。

>ひ〜ちゃんエッグさん。

あ、本当に4期全員はヒサブリですね。
いしかーさんが運転してるのは姉のシーマ(白)です。

>798の名無飼育さん

なんか字で見ただけで(゚д゚)ウマーなまかないですね。
今度作ってみます。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

ほんとそんな感じですね(笑)>人生ゲームのコマ
みっちゃんは地味にセレブです(多分)。

805 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2008/01/14(月) 21:52
更新お疲れ様です
ついでにあけおめです

・ω・<梨華ちゃんはお姉さんだな〜って思いました
( `◇´)<一人っ子やから姉が欲しいらしいわ
次回更新おまちしております
806 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2008/01/14(月) 23:34
更新お疲れ様です。
あけおめことよろです。
姉のシーマですか。エンジンが改造してある。(違?)
807 名前:早春賦 投稿日:2008/01/23(水) 15:37
冷たい雨が、目の前を通り過ぎる。

小川は、花壇の縁に座り、ぼんやりと夜空を見上げていた。
東京は新潟より寒くない筈なのに、殊に今夜の雨は冷えた。
雨がこんなに冷たいものだとは、今まで気付かずにいた。


一方。平家と裕子は。
一旦コンビニの駐車場に車を停め、平家は小川の母に連絡をした。
携帯を切り、少し休憩を取る。
「冷えるな、まったく」
身震いをし、裕子は自分の腕をさする。
「『あっためて(はあと)』とでも言うたらこの缶コーヒーやるわ」
缶コーヒーを掲げてニヤニヤ言う平家に、
「オマエいっぺん死ね」
裕子はどついてそっぽを向く。
「ホンマプライド高いな、ウチのお姫サンは」
短いキスをし、平家は
「行くで」
とエンジンをかけた。
808 名前:早春賦 投稿日:2008/01/23(水) 15:38
目の前を、様々な人が通り過ぎて行く。

どうしてこうなったのか。
小川ははっきりしない頭で考えた。


今日は、新潟から姉と妹が出て来ていた。
明日来るとのことだったが、予定を早めて今日の夕方に東京の家にやって来た。
それを知らずにいた小川は、遅く帰宅し、まず妹から『ウチらが来るの知ってて遊んでばかりいて』と嫌味を言われた。
『お姉ちゃんたちが来てるから、早く帰ってきなさい』
母が掛けた電話に、たまたま出られなかった為、小川は遅く帰った。



『都会では自殺する 若者が増えている』

「そんな陰気な歌消してよ」
ラジオからたまたま流れた歌に、保田は眉をしかめる。
「あれ?圭ちゃん、この歌好きじゃなかったっけ」
アヤカは他の局に変えた。
「こんな雨の中聞いてたら、本気で気が滅入ってきた」
「ふうん」

『問題は 今日の雨 傘がない』
809 名前:早春賦 投稿日:2008/01/23(水) 15:39
「さみーのれす」
辻はそう言いつつ、ポケットからごそごそチョコを出した。
「ガキさんも食べるれすか」
「いや…わたしは」
「そうれすか」
カラフルな糖衣がけのチョコを、辻はぽいぽい自分の口に放り込む。
車内は一気に甘い匂いが漂った。
「この車、チョコくさい」
加護が顔をしかめる。
「あいぼんもチョコくさくなるれす」
辻が差し出すチョコを、加護は自分の腕で顔をガードし、
「ウチはいまダイエットしてんねん」
と決意表明した。
「ほお〜。あいぼんさんはダイエット」
「しばくで」
「…しばいてから言わないでくだせえよ」
吉澤は自分の頭をさする。
「…マコっちゃん、こんな寒いのに何処に」
新垣が呟いた。
「あたしのせいだ…」
「ガキさん」
新垣の声がまた涙に滲みだしたので、梨華は
「ガキさんは、自分が悪いことをしたと思ってる?」
新垣は素直に首を縦に振った。
「それは、違うよ」
「どうして…」
「正しくはないかもしれないけど、その時キスしてたらもっとマコっちゃんを傷つけてたかもしれない。
必要じゃないものって、ないんだよ」
「あたしは、私生児なんだ」
梨華の唐突な発言に、既に知ってる吉澤、辻加護も目を見開く。
「え…」
新垣は戸惑いの表情を見せた。
「うちの姉さんも異母姉妹なんだけど私生児で、でも幸い、あたしも姉さんも、とりあえず身内からは『必要のない子』とか
言われずに済んだの。祝福される誕生ではなかったんだけどね。
なんか、今回の事とは直接関係なくてあれだけど、でも」

「世の中に、必要でないものってないんだよ」
810 名前:早春賦 投稿日:2008/01/23(水) 15:42
あまりの寒さに、缶入りのココアを買った。
口に含むとその時だけ寒さが紛れたが、その場しのぎでしかない。
小川は、
「寒…」
と空を仰いだ。


「姉ちゃんから『姉妹で一番の出来損ない』言われたんが相当堪えたみたいやで」

平家が言うと、裕子は
「そうか…」
と小さく頷き、目を閉じた。
「そんでお隣行った思たら、おらんようになってんて」
「なあ」
「なに?」
「ウチは、あんたの邪魔になってへんか」
「何言うてんの」
平家は苦笑する。
「うちこそ、姐さんの邪魔になってへんか」
「……」
「あの、嘘でも『なってへん』言うてほしいな、こんな時は」

『行かなくちゃ 君に会いに行かなくちゃ』

「なんや辛気臭い歌やな。ホラ、信号変わったで」
「陽水もカタなしやな」
ラジオから流れる歌に、平家は小さく笑った。


『行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ
 雨に濡れて行かなくちゃ 傘がない』
811 名前:ごまべーぐる 投稿日:2008/01/23(水) 15:47
更新しました。
本当に雨で寒いです。大雪の地域もあるようで。
皆さん、風邪など引かれぬよう。


レスのお礼です。

>懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619gさん

本物のいしかーさんも次女なのにお姉さん気質なトコありますからね。

>ひ〜ちゃんエッグさん

それではヤン車(ry 一応いじってないようです(笑)。
812 名前:ひ〜ちゃんエッグ 投稿日:2008/01/23(水) 22:29
更新おつかれさまです。
のんさん、M治かM永のチョコを持ってそうだな。(笑)
んで、平家さんめっちゃドMですね。姐さんの返しをわかってて聞いてるだろみたいな。
813 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2008/01/23(水) 22:42
更新お疲れ様です
・ω・<傘がないは心もようや愛は君の次くらいに好きです
( `.∀´)<このバカ陽水やら拓郎好きなのよ
のんさんはマーブル派ですか…

次回更新お待ちしております
814 名前:梨乃 投稿日:2008/03/12(水) 21:07
更新ぉ疲れ様です。
結構前から楽しく見させてもらってます♪
これからも頑張って下さぃ☆
次回更新ぉ待ちしてぉります。
815 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/16(月) 21:05
永遠に待ってます
816 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/28(月) 07:48
ずっと待ってます
817 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/28(月) 18:51
ageないように。

818 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:12
加護の携帯にメールが入る。
「誰や」
携帯を開くと、同級生からだった。
『おとーさんと車で新宿来てんだけど、なんかマコらしき子を見たんだけど』
メールを確認して、加護は送り主に慌てて直接電話を掛けた。
「小川を見たて!?何処や!」
『や…新宿の西口?
高速バスとかの乗り場あんじゃん?』
相手は加護の勢いに面食らいながらも答えてくれた。
「何時くらい?」
『ついさっき…15分前、くらいかなー。
ビックカメラの方に向かってフラフラ歩いてたっけど』
「ビックカメラてドコやーー!!」
加護が叫ぶ横で、
「ハルクの中だよ。わーった、今から行こう」
案外冷静に吉澤が提案した。
「詳しいんですね、吉澤さん」
新垣が感心する。
「よく保田さんに荷物持ちであの辺連れてかれってから」
『安さバクハツさく〜らや』と、ビックカメラの方に向かって行ったというのに、
ライバル店の歌を口ずさむ吉澤だった。
819 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:13
そこへ保田から電話がくる。
『吉澤!いまアンタたち何処にいるの?』
「や、渋谷っす。
なんかぼんのクラスメートってコから情報あって、小川サンらしきコが新宿にいたって」
『新宿?どこ?』
「西口にビックカメラあるじゃないっすか。
ハルクの中に入ってる。
ソッチの方向かって行ったらしいっす。
今から15分くらい前らしいっす」
『吉澤アンタ、使えるコね〜。
チュウしちゃう!』
「や、キモイんでいっす」
保田は電話の向こうでキレていたが、すぐ
『近くまで来てるから行くわ』
と告げた。
820 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:13
「関西までは…」
小川はバスの時刻表を確認して溜息をつく。
関西の方に出る夜行バスは、発車時刻が過ぎていた。
「彼女、ひとり?」
振り向くと、男の二人連れがいた。
「や…違います」
すぐ分かる嘘をつき、小川は首を振る。
「夜行バスもう出ちゃったでしょ。
オレらとカラオケでも行って時間潰さん?」
「いいです」
そばをすり抜けて、慌てて退散しようとすると、腕を掴まれた。
「ちょ!何すんですか〜」
小川が腕をねじってほどこうとする。
もうひとりが
「どうせひとりなんだろ?
楽しくヤろうぜ」
彼女の肩を強引に押さえ込み、連れて行こうとした。
「待ちなさいよ」
3人が顔を上げると、迫力のある美人がいた。
腕組して仁王立ちしている。
「なんだよ」
「そのコ、こっちに渡してくんない?」
「ハア?」
男が女の顔を見上げる。
「よお、コッチでもよくね?」
男は連れの方を向き、ニヤニヤ笑った。
その女―アヤカは、
「新宿で遊んでて、アタシを知らないとはね」
静かに微笑んだ。
821 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:14
「アンタだけは敵に回したくないわ」
車中で、保田はげんなり呟いた。
あの後、アヤカが自分の名を名乗ると、男たちは脱兎のごとく逃げ出した。
「アンタのバックってどーなってんの」
「別に、あたしは清く正しく生きてるわよ」
アヤカは澄ましてハンドルを握る。
「さて」
保田は後部座席の方を振り向いた。
「帰る前に着替えたほーがいいわね」
シートにぽつねんと腰を下ろす小川は、
「…降ろしてください」
ぽつんと呟いた。
「小川さん」
保田は続けた。
「あなたがアタシの事を嫌いなのは知ってる。
でもねえ、こんな雨の中、こんな物騒な所に今の状態のあなたを放っておけないわよ。
知り合いとしても、一人の大人としても」
「麻琴ちゃん」
アヤカは優しく語り掛けるように、
「うちに美味しいスィーツがあるんだけど食べに来ない?」
ミラー越しに微笑んでみせた。
822 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:15
「これなんてどうかしら」
自分のマンションに小川を連れて来たアヤカは、まずバスを使わせ、次に着替えを用意した。
小川の足元には既に洋服の小山が出来ている。
さっきからアヤカは小川に着せようと、あれこれ自前の服をクローゼットから引っ張って来ている。
今はアニエスのカットソーをバスローブ姿の小川の前に当て、殆ど着せ替え人形だ。
少し離れたところで保田は苦笑しつつ見ていた。
「それで…いいです」
小川はぼそっと呟き、受け取ってバスルームに引っ込んだ。
823 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:16
「圭ちゃん嫌われてるわねー」
ティーポットのお茶をカップに淹れてやりながら、アヤカはにんまり笑った。
「何したの?
無理矢理ホテルに連れ込んだとか?
ダメよ、女子高生は」
「なワケないでしょ」
「そうよね、カオリちゃんに呪われるもんね」
『シャレになってないし』
保田は呟くと、
「別に。
アタシの教え子に関して、ちょっとした誤解があったのよ」
「教え子の方に手を出したのかー」
「ぶつよ?」
そこへ着替えた小川が現れた。
「麻琴ちゃん、座って」
アヤカは小川を座らせ、ケーキをすすめた。
小川はしばらく黙ってケーキを食べていたが、
「保田さん」
保田の方に顔を向けた。
「なに?」
「紺野のコト、どー思ってんスか」
ストレートに、切り込んだ。
「大事な教え子よ。
そうね、妹みたいっていうのが一番近いかもね」
「妹に手を出すんスか」
「ちょっと待って」
保田は小川の睨みに冷や汗をかきながらも、
「あなた何か勘違いしてるわ。
紺野とは元家庭教師と元教え子って関係以外何物でもないわ」
否定した。
824 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:17
「嘘ばっか。
見たんスよ、紺野と車でラブホに行くところ」
「圭ちゃん、ホント?」
「オマエも嬉しそうに聞くな、てか、小川さん」
「なんスか」
「それは勘違いよ」
保田は事情を淡々と説明した。
紺野を送る途中、車で近道をし、ラブホ街を通っただけだと。
誤解は解けたものの、小川はまだ釈然としない表情をしている。
「紺野のちっちゃい頃から知ってんスよね?」
「まあ、ちっちゃい時といっても、あの子が小5の時からアメリカに一旦行くまでしか見てないし」
「なんか…なんか」
「ヤキモチ?」
保田に指摘され、小川はかっと赤くなる。
「紺野が好きなのね」
「ち…!」
「大丈夫、アタシはちゃんと恋人いるし、紺野はそういう対象として見てないから」
「圭ちゃんは軽く変態だけどロリじゃないから安心して」
アヤカが横からいらんことを言う。
「オマエはだーってろ。
小川さん、とりあえず」
「家に帰ろ?」
小川は顔は強張っていたものの、
「ハイ」
割合、素直に頷いた。
825 名前:早春賦 投稿日:2008/08/05(火) 20:20
小川発見のニュースはすぐに伝えられた。
保田からメールを受けた吉澤は、
「帰るべ」
と新垣の頭を撫でた。
「マコっちゃんは―!」
「無事発見されたって。
今保田さんたちがうちに送ってるって」
「よかった…よかった」
新垣はほっとして泣き出す。
辻は優しい目で見つめ、背中を撫でてやる。
「しっかし、今日はほんま寒いワ。
春やゆーのに」
加護が自分を抱きしめ、ぶるっと震えるフリをした。
「じゃ、帰ったらあっためてあげるれす」
「「「え」」」
辻の発言に、車内が固まってしまった。
加護はただただ俯いてその場をやり過ごそうとした。

保田から電話を受けた飯田は、後藤たちとハイタッチした。
「イエーイ!」
紺野もほっとして嬉し涙を流す。
「イエーイ!よかったなー、紺ちゃん!」
紺野も微笑んでハイタッチの輪に加わった。


裕子と平家も連絡を受けて、中澤家に向かって車を走らせていた。
「なあ」
「なんや」
「ラーメン食べたい。
姐さんの手製の」
「太るで」
「太ってもエエ。
チャーシュー入れてな。ゆで卵も」
「注文多いな、みちよのクセに」
平家は苦笑して、車を走らせた。
826 名前:ごまべーぐる 投稿日:2008/08/05(火) 20:21
お待たせしました。
827 名前:匿名匿名希望 投稿日:2008/08/05(火) 22:12
お待ちしておりました。更新お疲れ様です。
828 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/06(水) 19:04
更新ありがとうございます!
アヤカ何者……ww
829 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/06(水) 22:57
どうやってあっためるんですか?どうやってあっためるんですか?
830 名前:懐妊菊門○ ・ω・ ○薔薇族 ◆homOXY619g 投稿日:2008/08/08(金) 00:39
更新お疲れ様です

・ω・<待ったかいがあった
( `◇´)<よかったよかった
リアルでアヤカが離〜結婚の流れににかなりへこんでました
あと大阪人にはさくらやがなんなのかわかりませんでした

次回更新お待ちしております
831 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/22(土) 05:26
今年も後ひと月ちょい、今年の紅白はどうなりますかネ〜
待ってます
832 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/26(金) 11:41
ここまで長々と書き続けてて放棄?
833 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/26(金) 14:40
あんた何様か知らないけどずいぶんな物言いだな
834 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/27(土) 00:23
>>833
貴方の言い方も十分失礼
835 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/28(日) 01:12
待ってますよ。
836 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/28(日) 14:17
>>834
もちろん、832に対してそういうつもりで書き込んだんで

まぁ、作者さんは現状モチベーションが上がらないという事みたいなんで
待ちたい人はあまり期待しすぎずに待つしかない
837 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/29(月) 00:01
そういう事は作者自身が責任持って報告するもんだろ
でしゃばったマネすんな
838 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/29(月) 05:08
>>837
荒らすな
839 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/29(月) 08:09
むしろ出しゃばってるのは>>837

840 名前:早春賦 投稿日:2009/04/11(土) 17:01

翌日。
ダンスレッスンに現れた小川を見て、全員アッと息を呑んだ。
「――コラー!小川ー!」
呆然としていた岡村はすぐ我に返り、
「その金髪はなんやーー!!」
すぐ生徒指導にかかる。
「えー?
ウチはおかーさんがアメリカ人なんでーす!」
小川は笑って逃げる。
「何処かで聞いたよーな言い訳…」
梨華は少し苦笑いした。
「よかった…マコっちゃん元気そうで」
新垣が微笑んで、逃げる小川と追いかける岡村ふたりを見守る横で、
「あ、また金髪が現れたの」
道重が言った。
「ちーっす。
おはよっす」
ジャージ姿の矢口が登場した。
「コラー!ヤグチー!」
声を聞いた途端、岡村は凄い形相で怒り出す。
「ハァ?
現れた途端説教?
ナニソレ?
てか、時間どーり来てんだけど」
「開始10分前なの。充分なの」
道重が体育館の壁時計を見てフォローする。
「そーだよねー」
フォローしてもらった矢口は、道重に好意の笑顔を向ける。
「ちっちゃい…」
矢口を見て、亀井はいつもの笑顔で呟いた。
「どいつもこいつもマッキンキンに染めやがって!」
岡村がブチ切れた。
「マッキンキンだって!何色?」
アハハと一同が笑う。
「おまえら!
――ま、いい。
ヤグチ、前へ」
「はーい!
ヤグチマリでえ〜す!
ココのソツギョーセイってヤツ?
チューガクは姉妹校のヨコハマだったんだけどー、コーコーはココだったんだー。
イッショケンメイ頑張るのでヨロシク!」
最後に敬礼してチャラい自己紹介を終えた矢口を見て、
「ギャルが来た…」
まず亀井が呟いた
841 名前:早春賦 投稿日:2009/04/11(土) 17:02
「あ、ソコのイシカワとは幼馴染ってヤツ?
イシカワってマジキショイけどマジいいヤツだからヨロシクな」
「ちょっとー、ヤグチさあ〜ん!」
「ちょっとー、ヤグチさあ〜ん!」
梨華の真似をし、矢口がくねくねキショく言う。
「なんか…スゴイのきたね」
亀井と道重は頷きあった。

「ヤグチさんって聞いたことあるの…。
いつも学年で5番以内で全国模試もイイ線いってたとかなんとか」
練習が終了してロッカールームで着替えている時、道重は亀井に言った。
「へえ。
そういえば、絵里も名前だけは聞いたことあるよ。ウワサとか」
『付属高校に金髪のちっちゃいのがいる』
『いつも岡村をブチ切れさせている』
『ヤンキーらしいが勉強は出来る』
思いつくまま、亀井は列挙した。
噂ではなく、ほぼ事実だった。
ただ、矢口はギャルなだけでいわゆるヤンキーではなかった。
「なんで石川さんと仲いいんだろね。
石川さん、おとなしそーなのに」
亀井が首を傾げる。
「いや、石川さんは結構ハジけてるというかキテるというか」
今日のダンスレッスンも、ふたりはかなり目立って踊っていた。
特に矢口は初参加だが、誰よりも正確にステップを踏んでいた。
そして手抜きが一切ない。
そこは岡村も満足げに頷いていた。
842 名前:早春賦 投稿日:2009/04/11(土) 17:03
「あ、ふたりともちょっとちょっと」
梨華がロッカールームの入り口から手招きして、亀井たちを呼んだ。
ふたりともまさしく今、梨華の噂話をしていたので『ひゃっ!』という顔をする。
「な、なんですか〜?」
亀井が冷や汗を流しつつ、笑みを浮かべた。
「あのね、矢口さんが差し入れ持って来てくれたの。
みんなで食べよ?」
梨華が花のようにふんわり笑った。
亀井と道重は顔を見合わせ、照れくさそうに微笑んだ。

「「「いっただきま〜す!」」」
学食で、メンバー全員で合掌して早速差し入れに手を伸ばす。
辻は尚の事、紺野も普段見られないスピーディーさでサンドイッチを頬張った。
「紺野が…別人や」
加護がその素早さに思わず呟いた。
「おいしいの。
矢口さん天才なの」
間に挟んだパテからバンズまで手作りのハンバーガーを口にし、道重は満足げに何度も頷く。
「マジ?
ありがとな。
えっと、シゲさんだっけ」
「さゆでもいいの」
「さゆ?
なんか可愛いな」
矢口が口元を綻ばすと、
「え〜?
さゆって呼ぶのは絵里だけの特権だよお!」
おにぎりを手にしたまま、亀井がくねくねと抗議の声を上げる。
「キャハハハハ!オマエらデキてんの?」
「絵里はさゆのなの」
道重が真顔で言うので、矢口は更にウケる。
その横で梨華はにこにこ見守っていた。
小川は口の端にごはんつぶをつけてしまい、新垣に取ってもらっていた。

843 名前:早春賦 投稿日:2009/04/11(土) 17:04
「あ、おったおった。
矢口さあ〜ん!」
学食の入り口辺りで、聞き覚えのあるおっとりした声がした。
矢口が振り返ると、岡田がぶんぶん手を振っていた。
なにやら大きな袋を持っている。
「おー、来たん?」
「はぁい。今日矢口さん来る言うてはったからちょうどよかったですわ。
みな、来てますねんね。
ちょうどよかったわあ」
岡田のほか、背の高い女の子と小柄な女の子が一緒だった。
背の高い方は物凄く大きなスポーツバックを肩から提げていた。
「あ、石川さんこんにちはぁ」
「こんにちは」
奥の席にいた梨華も軽く頭を下げる。
「あんなぁ、みんなに差し入れ持って来てんやんかあ」
テーブルの真ん中に、岡田は『よいしょ』と手に持っていた袋を置いた。
「これは、先輩からですか?」
加護が岡田の方を見て問う。
「ううん、うちら付属高校3年有志でカンパして、卒業生を送る会に出る子ぉらに
お菓子とか練習ん時食べてもらおって話なってなあ。
で、うちが代表して買出し行って来てん。
リンリンもここ置き」
「ハイ」
リンリンと呼ばれた少女は、お茶やジュースのペットボトルの入った袋をテーブルに置いた。
「あ、紹介するわ。
この子、中国からの留学生でリンリンいうねん。うちとおんなじクラスやねん。
うちらリンリン呼んどるけど、本名なんやっけ?」
「銭 琳(チェン・リン)デス」
岡田の天然っぷりにリンリンは若干苦笑して答える。
「で、こっちがジュンジュン。大学の子ぉや」
ジュンジュンと呼ばれた方は、スポーツバックからおもむろにバナナを取り出し、
「オマエ、バナナ食ウカ?」
目の前にいた新垣にバナナを差し出した。
「は?へ?バナナです、か?」
初対面の女性にいきなりバナナを勧められ、さすがの新垣も面食らう。
「バナナハ体ニイイゾ。食エ」
そう言うと、自らそれを証明するようにバナナを1本房からむしり、皮を剥いて食べだした。
「あ、ジュンジュンはバナナが好物やねん。
な、ジュンジュン」
「バナナ、素晴ラシイ。
バナナ、世界一」
「さい…ですか」
新垣は目の前に置かれたバナナの房を、まじまじと見つめた。
844 名前:早春賦 投稿日:2009/04/11(土) 17:06
「ジュンジュンカラハ、バナナ差シ入レダ」
予めオチが予想できていたのか、辻と紺野は顔を見合わせて頷き合った。
「ヒトリヒトツナ」
ああ、ひとり1本なんだ。
誰もがそう納得してめいめい礼を述べる。
ところが。
「オマエ、チッチャイナ。
特別ニフタツヤル」
田中の手に、バナナがふた房どかどかと載せられた。
「ちょ(笑)。
れいな、こんな食べれんけど」
田中とのやりとりを見て、一同『ひとつって…ひと房だったんだ』と軽く驚愕。
「んー…部屋に置いといてみんなで食べるか」
裕子の目の前では絶対食べられないので(献立にやむを得ずバナナを入れる場合、裕子は鼻をつまんで食事の支度をする)、
梨華は辻加護とともに頷いた。

「先輩、こんないっぱいすみません。
これだけ持って来てくれはるのも大変やったでしょ」
加護が岡田たちを気遣うと、
「あ、大丈夫。
今日はうちが車出したから」
「え!?
岡田ちゃん免許持ってんの!?」
矢口が思わずガタンと立ち上がって叫んだ。
「いややわぁ、矢口さん。
うち、バイトの面接の時、履歴書にそう書きましたやん」
「そ、そだったね…」
また席に着き、『いやぁ〜…』と小声で呟く矢口。
「ほな、みな食べてなあ。
石川さんも食べてくださいねぇ」
「ありがとう、岡田ちゃん」
「リンリンさんとジュンジュンさんもおおきに」
加護が礼を述べると、
「バッチリデース!」
加護の方を見て、リンリンはよく分からないキメポーズをとった。
一方、ジュンジュンは。
「田中、オマエ体細スギル。バナナ食エ」
『バナナ健康説』を田中に説いていた。
『(田中ぁ?)』と呼び捨てにされた事に軽くキレながらも、田中は案外素直にジュンジュンの話を聞いていた。

845 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/04/11(土) 17:07
お待たせしました。
846 名前:登場人物紹介 投稿日:2009/04/11(土) 17:09
川´・_o・) :ジュンジュン。本名は李 純(リー・チュン)。中国湖南省出身。朝比奈女子大1年で中国からの留学生。
       主食はバナナ。房単位で普段から持ち歩いている。気は優しくて力持ちらしい(岡田談)。
       
川*^A^) :リンリン。本名は銭 琳(チェン・リン)。中国浙江省出身。付属高校3年でやはり中国から留学している。
      岡田と同じクラスで、主に岡田から妙な日本語を指導されている。好きな言葉は「バッチリデース」。


―――朝比奈女子大学留学生会館。

川 ´^`)<中高の寮の部屋が空いてへんかったから、コッチ入ったんや。なんにせよ、よかったなあ ←遊びに来た

川*^A^)<ハイ。リンリン、中途半端ナ時期ニ留学デ来マシタカラ。ア、紹介シマス。ジュンジュンデース

川´・_o・)<岡田カ?ヨロシクナ、ジュンジュンダ

川;´^`)<へ、へえ。よろしゅうに。(いきなり岡田…)

川´・_o・)<『すんごい巨乳だね、岡田さんって』←母国語で言ってる

川;*^A^)<『もー、失礼だよー!』←母国語で諌めてる

川;´^`)<(なんか知らんけど、うちに関するコト言うとるんやろうなー)←意外に鋭い
847 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/04/12(日) 22:24
新キャラきてたー!
待ってました。更新すごく嬉しいです。
更新直後に言うのも何ですが、次の更新期待して待ってます。
848 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/04/13(月) 00:26
新入りを見事に組み込んでしまう技に脱帽です
ヤグチさん酷いw
849 名前:早春賦 投稿日:2009/04/15(水) 20:26
数多くの差し入れを堪能し、ダラダラ学食でメンバーが喋っていると、田中がカバンを手にし、
「ごめん、れいな帰るっちゃ」
と立ち上がった。
「おー。
お疲れっしたー。またな」
矢口に手を振り、踵を返して田中は学食を出た。

実はさっきから、寒気がしてしょうがなかった。
今日は比較的天気がいいのに、ゾクゾクする。

「顔色が悪いの」
田中はぎょっとして振り返った。
道重が感情の読めない表情で、いつの間にか後ろにいた。
「あ、あんた。
ついてきてたっちゃか」
「差し入れを食べてた時から、元気がないから気になってたの」
「へえ」
田中は素直に感服する。
「熱は?
ここのところ、おかしな天候だったから、今日はあったかくして寝るの」
「うん。ありがとうっちゃ」
それじゃ、とひとこと言い、田中は自転車置き場まで歩いて行った。
850 名前:早春賦 投稿日:2009/04/15(水) 20:28
翌日。

田中は体調不良の為、ダンスレッスンを欠席した。
電話越しに死にそうな声だったと岡村は心配そうに言った。

「紺野さん」
練習後、道重は紺野に声をかけた。
「なに?」
「れいなちゃん家、どこか知りませんか」
「あ、それなら」
紺野は前に行った記憶をたどり、
「学校のそばから…この方面に行くバスに乗ってここで降りて」
とカバンからメモを出し、バス停からの地図を書いて説明した。
「ナカムラさんというお宅です。
ご親戚のお家で下宿してらっしゃるそうです」
「ありがとうなの」
メモを受け取り、道重は
「また明日なの」
と、学校を後にした。
851 名前:早春賦 投稿日:2009/04/15(水) 20:34
一方。

田中は荒い息で、ぼおっと天井を見上げていた。
『みんなに迷惑かけたっちゃ』
食欲もなく、昼に伯母に作ってもらったおかゆも殆ど残した。
熱で潤んだ目を細め、部屋の中を見る。



「ごめんください」
道重がインターホンを押すと、すぐ女性の返事があった。
「朝比奈女子中学3年の道重と申します。
れいなちゃんの具合が悪いと伺いましたので、お見舞いに参りました」
「あらあらまあまあ」
ドアを開けて出てきた田中の伯母は、道重を見て
「わざわざごめんなさいね。
さあ、上がって」
と促した。

「おばさま、これお見舞いです」
道重は学校近くの駅前の果物屋で買った、林檎の袋を伯母に差し出した。
「まあ、ありがとう」
「れいなちゃんの具合どうですか?」
「昨日、『しんどい』って言って帰って来てねえ、晩御飯は食べたんだけどずっと寝てて。
今朝様子見に行ったら熱出しててねえ」
伯母はそう言い、
「先に上がってて。
れいなの部屋、階段上がって左だから」
階段を示した。
「はい。ありがとうございます」
852 名前:早春賦 投稿日:2009/04/15(水) 20:45
よく磨かれた階段の手摺を掴み、道重は田中を起こさないよう、
足音を潜めて上がって行く。
静かにドアを開け、田中を認めた。

「あんたか」
いつものように憎まれ口を叩かず、田中はベッドで荒い息を吐いた。
「すごい熱なの」
すっと白い手が田中の額に触れた。
ひんやりする、と田中は心の中で思い目を細める。
「れいなー。
道重さんがリンゴ持って来てくださったけど」
階下から伯母の声がし、田中は
「ありがとうっちゃ」
ちょっと体を起こして道重に礼を言った。
「寝てるの」
道重は横になる様促す。


「どうぞ。ごめんなさいね、何もないけど」
伯母がお茶を持って来た。
「おばさま、ありがとうございます」
道重は行儀よく頭を下げ、お盆を受け取った。
「持って来てくれたので悪いけど、リンゴ剥いたから。
あと、イチゴね」
お茶請けにビスケットでも、と伯母はお盆の上の小さな鉢を指した。
「わあ、こんなにたくさん。
ありがとうございます」
道重は微笑んだ。
「れいな、あんたも食べれそう?道重さんのリンゴ、擂ったけど」
お盆には、擂った林檎の皿もあった。
「ん…ヤクルトも飲みたいっちゃ」
「はいはい」
伯母が苦笑して下に降りて行くと、
「はい」
擂った林檎を皿からスプーンでひとさじ掬い、道重は田中の口元に持って行った。
「自分で食べれるっちゃ」
「いいの。食べるの」
もそもそ礼を言い、田中は起き上がってリンゴを食べる。
「食欲は?」
「あんまないっちゃ。
昼もおかゆ残したと」
「フルーツのがいいの?」
「うん」
田中は髪も汗を含んでぼさぼさだった。
乱れた髪を直してやり、熱で赤い頬に触れ、
「こんなにだるそうで、可哀想なの」
道重は呟いた。
「大丈夫っちゃ。
寝とったら治る」
「うん」
「あんたも食べると。
れいなばっか食べとったら、れいな、おばちゃんに怒られるけん」
それを聞いて道重はフフッと笑った。
853 名前:早春賦 投稿日:2009/04/15(水) 20:48
林檎を食べ終え、田中はまた横になった。
心なしか、少し元気になったように見える。
また、道重の腕が伸びた。
「ついてるの」
田中の口元についていた林檎を拭ってやる。
「…あんたの手、気持ちいいっちゃ」
目を閉じて、田中は言う。
道重は黙って、田中の口を覆うように、そっと掌をのせた。
すぐに離す。
「…ひんやりしとう」
よほど気持ちいいのか、田中の口元が綻んだ。
「…早くよくなるの」
そう呟いて、道重は田中の唇に人差し指を走らせた。



―――道重が寮に帰ると、1階のロビーで
「おかえり〜!」
私服姿の亀井がソファに座り手を振っていた。
「なにしてるの?」
「うん、今日家に帰ったらさー。
お手伝いのカメさんに部屋が汚いって絵里、叱られちゃってー。
カメさん、本気でブチ切れちゃって、絵里、ちょっと家にいづらいから今日も泊めてくんないかなぁ?」
お手伝いさんに本気でブチ切れられる部屋ってどんなだろ。
道重はちょっと引いた。
「なにもねー、ちょっと食べかけのお菓子と服を床に置いてただけなのにねー」
亀井は悪びれず、途中のコンビニで買って来たカフェオレをストローで啜る。
「それ、置いてたんじゃなくて脱ぎ散らかしてたんじゃ」
「え〜?次すぐに着れるように置いてただけだよお」
亀井の笑顔はムダに輝いていた。
道重はそれ以上何も言わず、
「さゆ、マンガの整理するから手伝ってなの」
一緒に部屋に来るよう促した
854 名前:早春賦 投稿日:2009/04/15(水) 20:51
「さゆ、今日どこ行ってたの?」
階段を上がり、3階にある道重の部屋に向かうまで、亀井は興味津々に後ろから覗き込む。
「別に。れいなちゃんのお見舞いなの」
「へ…っえー」
亀井は目を見張った。
「なに?」
「さゆ、ああいうヤンキーっぽい子って苦手なんじゃ」
「別に、れいなちゃんは格好が派手なだけでヤンキーとかじゃないの。
あの武器みたいなアクセは正直どうかと思うけど」
田中がよく学校にして来て、生徒指導のターゲットとなっている、
ゴツめのブレスレットなどについて道重は言及する。
「ね、ね。
絵里、れーなちゃんいっていいかな?」
「はぁ?」
「冗談だよ、ジョ・ウ・ダ・ン!」
道重を『このこの〜』と肘で小突き、亀井はニヤニヤした。
855 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/04/15(水) 20:52
更新しました。
856 名前:早春賦 投稿日:2009/04/21(火) 21:06
その頃。

飯田は、銀座のホテルに来ていた。
ホテルのティールームでアヤカ、アヤカの母と一緒だった。
アヤカに誘われ、今日は東宝劇場で宝塚観劇だ。
「カオリ、宝塚って観たことないんで楽しみです」
紅茶のカップを手にし、飯田は微笑んだ。
「ホンット綺麗ねー、カオリちゃん」
アヤカの母は嬉しそうだ。
横でアヤカは苦笑する。
自分の母が美人大好きっ子だと知ってるからだ。
木村親子を目の前にして、飯田ははにかんだ。

同じ頃。

「ふうーん。
そのタカハシさんと有楽町で待ち合わせなん?」
小川は、横にいる紺野に再確認する。
彼女たちも、今日は宝塚観劇だった。
「ええ。
愛ちゃん、用事があってうちに寄らずに直接劇場に行くって言うんで。
あ、いた」
「あさ美ちゃ〜ん!」
東宝劇場の前で、くしゃくしゃの笑顔で高橋が手を振っていた。
857 名前:早春賦 投稿日:2009/04/21(火) 21:11
「あーし、星組はほとんど見たことないんやよ〜」
いきなり福井訛り全開で、躊躇せず話し掛けてくる高橋に、
小川は最初の2〜3分は目をぱちくりさせて驚いていたが、
すぐ馴染んだようだった。
3人は劇場に入り、早速席に着き開演を待っていた。

「へえ。
アタシもうんとちっちゃい頃、何組か忘れたけどじーちゃんと観に来たよーな」
「ほーか。
あんたぁ、どこの子ぉやの?」
「あ、アタシ?
新潟だよ。
去年、とーさんたちと東京出て来たんだよ」
「新潟か!
米がうまいんやろ、あこ!」
高橋は屈託なく笑う。
ふたりの間に挟まれて、紺野は困ったような笑いを浮かべる。
小川と高橋は紺野を挟んで、それぞれ左右の席に座っていた。
高橋は小川の方に向かって身を乗り出し、手を叩いて笑っている。
小川も高橋の方を向いていた。
『席…あたし端のほうがよかったんじゃ』
自分を間に挟んで盛り上がるふたりに、紺野はちょっと背もたれの方に身を引き、
苦笑していた。

「『レビュー・アラベスク』ってなんだろな…」
芝居が終わり、ショーが始まるまでの休憩時間、小川は高橋から借りたプログラムを見て呟いた。
高橋は売店に行くと言って出て行った。
「お芝居、面白かったですか?」
「つけマツゲすげーな」
決して感想になってないひとことに、紺野はおろか、紺野の隣にいた女性も笑ってしまう。
「す、すみません」
紺野が慌てて頭を下げると、その女性はにこやかに会釈した。
858 名前:早春賦 投稿日:2009/04/21(火) 21:13
高橋が戻ってくるのと入れ替わりに、小川が
「アタシもちょっと行って来るわ」
と出て行った。
高橋はくすくす笑って腰を下ろし、
「マコって面白い子ぉやね」
「うん。
すごいね、初対面なのに気、合って」
「あさ美ちゃんの好きな子ぉってあの子やろ?」
紺野は目を見開いた。
「あーしから早よう卒業しぃや」
高橋はそれだけ言うと、舞台を見つめた。
859 名前:早春賦 投稿日:2009/04/21(火) 21:19
「「「あれ」」」
終演後、劇場前で飯田、木村親子、紺野たちが顔を合わせた。
「来てたの?」
飯田は、一番面識のある紺野のそばに寄った。
「マコっちゃん、元気?」
アヤカは小川に気付き、にこやかに声をかける。
「あ、はい。
どうも…」
先日世話になったばかりなので、小川はやや緊張しつつ頭を下げる。
「誰?」
高橋はいきなり長身の美人が現れたので、紺野にこそっと尋ねる。
「保田先生の…お友達」
「あ、カオ、カノジョって紹介されても全然へーきだよ?」
飯田がざっくばらんな発言をし、紺野は驚き、一方高橋は好感を持ちつつ
興味津々に目の前の長身な美人を見た。
「ちょうどいいわ。
もしよかったら夕食一緒にいかが?」
アヤカの母が提案した。


「て、帝国ホテルってものすご高いんやろ!?」
いきなり敷居の高いホテルレストランに連れて行かれ、高橋は小声で隣の紺野に訴える。
「うん…」
紺野もおろおろしている。
小川はひとり、口を開けて天井のシャンデリアを見上げていた。
「心配しなくていいよ。
今日はうちの母の奢りだから」
アヤカは優雅に微笑む。
「で、でも…」
紺野が言うと、
「高校生はそんな事気にしないの」
アヤカの母も微笑んだ。
奢りだからこそ、かえって気を遣う。
木村親子以外、冷や汗をたらした。
「カ、カオリは自分で出します。大人なので」
飯田も慣れない空気にガチンガチンになって答える。
「何言ってんの。
今日無理言って来てもらったのに。
ホラ、お肉にする?
好きなもの食べなさい」
「は、はひっ!」
飯田の噛みっぷりに、みんな笑った。
860 名前:早春賦 投稿日:2009/04/21(火) 21:25
―――朝比奈女子中高の寮では。

「ふぅ。
やっと片付いたの」
道重は段ボール箱にガムテを貼り終え、額の汗を拭った。
実家に送る荷物をまとめていたのだ。
ベッドでは亀井が寝そべって、マンガを読んでいた。
「軽くムカつくの」
道重はベッドにチラリと視線をやり、感想を漏らした。
『絵里、手伝っちゃうよ?』と張り切っていたが、ものの10分で飽き、
ベッドでグダグダしだしたのだ。

「絵里ちゃん眠い〜。
このマンガ、字、多いし〜」
ぐずぐず言って、マンガを閉じて寝ようとする。
「コラもー絵里〜!
ごはん食べ行くよ」
「絵里ちゃん明日の朝食べる〜…」
「起きないと襲うの」
「さゆならいいよ〜…」
「絶対ヤだ。
ホラホラ起きる!」
掛け布団を引っぺがし、それでもなお布団にしがみついてる亀井を
床にごろごろ転がした。

「もー。
絵里いきなり来るから何も用意してないしー」
今日は寮食も休みなので、道重は夕食をカップラーメンで済ます気でいたのだ。
さすがに訪ねて来た友人にそれはさせられないので、仕方なく夕食を調達に出掛ける。
「ウヘヘヘヘ、ごめんごめん」
亀井は悪びれず、ヘラヘラ笑った。
861 名前:早春賦 投稿日:2009/04/21(火) 21:30
「あのさ」
コンビニに向かう道すがら、亀井がぽつんと呟いた。
「なに?」
「絵里、今日来て迷惑じゃなかった?」
あれだけ人の部屋でゴロゴロしといて今更何を言うか。
道重はあきれたように笑い、
「そういう事言う前に、さゆの手伝いをするの」
尤もなことを言った。
「さゆ」
「ん〜?」
「えへへ、なんでもない」
亀井は嬉しそうに、ビルのショーウィンドーに目をやった。
862 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/04/21(火) 21:31
更新しました。
863 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/04/22(水) 23:47
更新乙です。
いいらさんw
864 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:44
その夜。紺野宅リビングにて。

「まったく…愛ちゃんったら」
風呂上りの高橋にペットボトルのスポドリを渡して、紺野は眉を顰めた。
宝塚観劇後、入ったレストランで、高橋は飯田に
『カノジョがおるってどんな感じですか〜?』
『週に何回くらいですか〜?』
とか、散々聞きまくっていたのだ。
特にふたつめの質問は、紺野以外大爆笑だった。
「なに怒っとるん?」
バスタオルで濡れた髪を拭い、高橋はスポドリに口をつける。
「世の中にはこういうことに触れられたくない人もいるんだから」
紺野が珍しく主張する。
高橋はがしがしと頭を拭き、しばし紺野の顔を見る。
「あさ美ちゃんは、守りに入りすぎや。
まだ若いんやから、もっと攻め、何事も」
「いや、いまそういう話してるんじゃなくて…」
「あーしは隠さん。
だから、飯田さんみたいな人は尊敬するわ」
「…愛ちゃん」
「ところで、マコはあさ美ちゃんの気持ち知っとるんか?」
いきなり話題を転換するな、と思いつつ、紺野は
「い、いや、どうだろう」
と首を傾げた。
「あーし、取り持ったろか?」
高橋はニヤニヤしながら、自分が髪を拭いていたバスタオルを、紺野の頭にかけた。
紺野は案の定、真っ赤になる。
「あーしが思うに、マコはあんたのこと嫌いやないよ」
「なんで分かんの」
「それは秘密や」
タオルの上から紺野の頭をぽんぽん軽く叩き、
「おやすみ」
ちょっと笑ってリビングを出て行った。
865 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:46
―――中澤家。

吉澤がバイトから帰ると、裕子と梨華が居間でテレビを見ながら、
黙々と甘栗を剥いて食べていた。
結構食べたのだろう。
テーブルの上に広げた新聞紙には、剥いた皮が積み重なっていた。
吉澤は開いたドアの外から、しばし黙って、その光景を見ていた。

『やっぱ…姉妹(きょうだい)だなあ』
ふたりが甘栗食べるのを見て、吉澤は思う。
顔は似てないけど、同じ空気がある。
梨華が剥きにくそうにしていたら、裕子が黙って取り上げて、
剥いてから渡してやっている。

「ん、おかえり」
裕子が廊下の吉澤に気付いた。
「おかえりなさい、ひとみちゃん」
「…ただいま」
「アンタも食べるか?」
裕子が手のひらの皮付きの栗を見せるように言う。
「ありがとっす。
手ぇ洗ってくるっす」
「たくさんあるからね」
梨華は言ったあと、栗をちょっと喉につまらせてしまい、
むせて裕子にバンバン背中を叩かれた。
866 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:48
一方。道重と亀井は。

「あー、さゆの体あったかい♪」
「絵里、キモイ」
ふたりでひとつのベッドに入り、テレビを見ていた。
「てか、寄りすぎだから」
「だってー、この部屋寒いもん」
「寒いのは絵里のダジャレだから」
「も〜!」
ケラケラ笑いつつ、亀井は道重の腕を叩く。

しばらく経って、
「ねー、絵里さー」
道重は、ここのところ疑問に思っていた事を口にする。
「なに?」
「絵里って加護さん、好きなんだよね」
「ん」
亀井は嬉しそうにはにかんだ。
『うっわ。ぶちかわい。
さゆみが男ならホレてる』
道重はつい見とれてしまったが、すぐ思い直し、
「なんか、この前『アイちゃん』とか寝言?
なんかそんな事言ってたんだけど、それって加護さんのこと?」
亀井の顔が見る見るうちに赤くなる。
亀井は自分の頬を押さえ、
「ひゃ〜…絵里、そんなこと言ったの?」
「言った言った」
「うん…まあ、さゆだから言うね…」
867 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:50
亀井が言うには、こうだった。


亀井は幼少時、体が弱く、しばしば奈良郊外の伯父宅に、
療養も兼ねて遊びに行っていた。
当時、亀井の伯父は京都の大学で教鞭を執っていた。
税理士である加護の父と共通の知人がいた関係で、
しばらく加護の父に納税書類の作成などを頼んでいたのだ。

たまたま伯父に連れられて行った加護の父の事務所で、3歳の亀井は加護と出会う。


『なまえなんてゆーの?』
伯父の後ろに隠れて恥ずかしがる亀井に、加護が声を掛けた。
『…えり』
『えりちゃんか。
うち、あいゆーねん』

亀井はその年の夏、ずっと奈良で過ごし、加護としょっちゅう遊んだ。
楽しくて、楽しくてしょうがなかった。
東京に帰る日、大泣きして周りの大人を困らせるくらいに。
体が弱かったから、東京では友達なんていなかった。
『むりせんでええでー。
えりちゃんができることしょーや』
体が弱い自分に、加護はよく言っていた。

伯父はほどなく東京に移り、加護と遊んだのも、その夏が最後だった。
『住所や電話番号を聞いておく』
子供にそんな知恵もなく、伯父も仕事の忙しさに紛れて加護の父と音信不通になった為、
いつしか記憶の中に沈みこんでいった。
『苗字は加護』『お父さんが税理士』『アイちゃん』
辛うじて覚えていたのはこれだけ。
だから去年、加護がこの学園に入って来た時、すぐ思い出せなかった。
868 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:52
「全然変わってなかったけど、さすがにすぐ気付かなかった。
あんなに好きだったのに。
絵里、薄情だよね」
話し終えた亀井は、自嘲気味に笑った。
「加護さんは覚えてないんだけどね…」
亀井は淋しそうに笑う。
「絵里の、初恋なんだね」
「ん」
亀井は小さく頷いた。
「でも、絵里がこんなに覚えてるのに、なんで加護さんは」
道重は頭を傾げた。
「無理ないよ」
亀井は弱々しく笑って、溜息をついた。
「もう10年以上も前だもの」
869 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:56
同じ頃。新垣宅。

新垣は自室で今日のダンスレッスンの復習をしていた。
音楽を止め、テーブルの上に置いてる携帯に目をやった。
「田中っち…大丈夫かな」
紺野に聞いた話では、どうも道重が見舞いに行ったようだが、
それ以後道重が何も言って来ないので病状も分からない。
「んー…熱出して寝てるんならメールも迷惑だよね」
携帯をいったん手にしたが、そのまま置いた。
そこへ、
「タ〜カラヅ〜カ〜♪」
「…来た」
新垣は敢えて顔を合わさず呟いた。
「ヤッホー!ピーマコで〜す!」
「…もう寝なよ」
「いや〜、ヅカはすげえよ!
ホレ、こ〜んな風にラインダンスで脚、上げんだぜ!」
口でジャンジャカ言いながら、小川は腰に手を当て人様の家で脚を振り上げた。
「はあ、楽しかったんだね。
良かったね、ホラ、話は明日聞いてあげるから今日はもう帰って寝なよ」
「なんだよ、里沙ぁ〜!」
新垣に押し出され、小川はドアのそばでむくれ顔で振り返る。
「もーあたし眠いんだから」
「ちょっとくらい付き合えよ〜。
今日すんごかったんだぜ!
石川さんの知り合いの、アヤカさんって人のおかーさんにメシおごってもらってさー」
「はいはい」
「帝国ホテルで食ったんだぜ!帝国ホテル!」
「うっわ。
軽くムカつく」
「で、芝居もすんごくてさー。
ホラ、男役と女役がこんな風に」
ぐいっと顔を近づけ、小川は新垣の腰を抱いた。
新垣は怪訝な顔をしていたが、俯いて
「…もう帰んなよ。
おやすみ」
小川の腕をほどいて、低い声で呟いた。
新垣の異変を感じ、
「お、おう。
おやすみ…」
さすがの小川も、そそくさと退散する。
870 名前:早春賦 投稿日:2009/04/25(土) 13:57
「…ばか」
新垣は目の下を強くこすった。

気付くのが遅すぎた。
単に、お隣さんだったから。
単に、人のいい友達だったから。
「マコっちゃんのばか」
新垣はうんと泣いて、もうこれっきりにしようと誓った。
871 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/04/25(土) 13:58
更新しました。
872 名前:tama 投稿日:2009/04/25(土) 16:25
初レスです。

今までずっとROMってましたが、久々に見たら
まさかの大量交信にビビッて思わずレスしちゃいました。

正直半分諦めていたので、交信再開嬉しいです。
これからも頑張ってください。
873 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:40
「…突然呼び出さないでくれる?」
保田は顔をしかめてウォッカを呷った。

新宿の西口の飲み屋街。
『仕事が終わったら来てくれない?』
携帯に届いた石黒のメールに顔をしかめつつも、疲れた体を引きずってやって来た。

「まあまあ。そんな顔しないでよ」
石黒は苦笑いして、自分もジントニックを口にする。
「で、なに?」
「オーディションの資料」
石黒は鞄から、パンフレットを取り出した。
「は?」
「というのは表向きで、実は―」
874 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:41

「――後藤を?」
「そう。ウチの旦那とそのスタッフが、ライブで後藤さんを見てすんごい気に入っちゃってねー」
うんうん頷き、石黒はまたグラスに口をつけた。
「おかわり」
気がつくと、彼女のグラスは空だった。
保田はオーディション資料のパンフをテーブルに置いたまま、視線を下にやる。
「あの娘は華があるわ。
ただ黙って立ってるだけでもね。
勿体ないって思わない?」


「圭ちゃんはどうせ今の仕事を捨ててプロになろうなんて頭はないでしょう?」
無言のままの保田に、石黒は構わず畳み掛ける。
「まあ、本当はバンドごとスカウトしたいところなんだけど」
ふと思いついたように、
「ああ、そうだ。あのベースの子、なんて言ったっけ」
「吉澤」
「そう、吉澤さんね。
あの子も」
「あの子もなに?」
「バンドのサポートメンバーに誘いたいんだけど」



「とりあえず、話したからね」
特に長居せず、返事は後日ということで別れた。
875 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:43
石黒の夫は、プロのミュージシャンだ。
5月に彼がスタッフとして関わっているオーディションがある。
それにとりあえずバンドとして出場してくれとのことだった。
順位はともかく、業界関係者が一堂に会する席であの後藤真希を見せたい。


実質、後藤のみのスカウトだった。
可能なら、吉澤も。



『あの娘は華があるわ。
ただ黙って立ってるだけでもね。
勿体ないって思わない?』


帰りの電車で扉にもたれかかり、保田は酔いの回った意識で、石黒の言葉を思い出す。
「…まいったなあ」
誰にというわけでもなく、呟いた。
876 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:44
翌日。

「…おはよー」
朝比奈の体育館に、新垣は普段通り現れた。
「おはよー、ガキさん」
すでに来ていた道重と亀井が、雑談を中断し、笑顔を見せる。
「おはよ、早いじゃん」
新垣もいつもの通り微笑む。
「てかさー、聞いてよガキさーん。
絵里ってば昨日いきなり寮に泊まりに来るしー」
「うっわ。マジで?」
「マジマジ。
なんか部屋を汚してお手伝いさん怒らせたんだって」
「それヤバイよー、亀井ちゃーん」
ふたりにイジられ、亀井は照れ笑いする。
いつもの風景。
いつもの仲間。
新垣は『そう、これでいいんだ』と自分の心に言い聞かす。
普段どおり。
普段どおりでいいんだ。
道重のトークに笑いながら、言い聞かす。
877 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:46
「ね、ガキさん」
道重の亀井イジリネタが一段落ついて道重が席を外したとき、亀井は新垣の腕を取った。
「なに?」
「ちょ、ちょっと来て」
そのまま引っ張られ、舞台裏まで連れて行かれる。

「どうしたの亀井ちゃん」
「んー、ガキさん元気ないから気になって」
新垣の顔が強張った。
「な…」
「なに言ってんのー!」
新垣は笑い出す。
「無理しなくていいよ」
新垣の笑い声が、亀井の真顔で消えた。
「そんな真っ赤な目で、バレてないって思った?
ただの夜更かしとかなら絵里、気にしないけどさ」
今日のガキさん、テンションおかしいし。
亀井は続けた。
そう言いながら俯いて、靴の爪先を床に擦り付け、ゴム底特有の音を鳴らした。
「なんでも…ない」
「ふうん」
「なんでもないから」
あくまで言い張る新垣に、亀井は不機嫌そうな顔を見せ、
「まあ、そう言うんなら」
アヒル口を尖らせた。
878 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:47
「あ、里沙ぁー!」
練習が始まる前、小川は戻って来た新垣に手を振った。
「オマエ、なんで先行くんだよぉー!」
一緒に行こうって思ったなのにー。
小川は軽く拗ねて見せた。
新垣はちょっと顔をそらし、
「ご、ごめん。
今日、早く目が覚めちゃって。
このまま寝るのもったいないから早く来たの」
「ふうん。
そっか」
特に気にせず、小川は紺野に
「よお。昨日、面白かったなー」
と声を掛けた。

「お」
小川は、紺野の横に立ってにこにこしている高橋に笑顔を向ける。
「愛ちゃん、来たん?」
「うん。
あさ美ちゃんが通とる学校、1回見たかったがし。
一緒に来てん」
「ご、ごめんね小川さん。
愛ちゃん、どうしてもって言うから」
紺野は慌てて頭を下げる。
「いや、アタシに謝られても」
小川は可笑しそうに笑う。
「まあ、いんじゃね?
岡村センセー、そゆの気にせんっしょ?」
「せやせや」
カラカラ笑う高橋に、紺野は『もー…』と横目で軽く睨んだ。
879 名前:早春賦 投稿日:2009/05/04(月) 21:48
「おはよ。
そちらの人はどなた?」
加護がやって来た。
一緒に来た梨華も、高橋を見て、『初めまして』と微笑んだ。
「わたしの友人で高橋愛さんです。
アメリカの中学で一緒だったんです」
「ああ、どうも」
「愛ちゃん、久しぶりれす」
以前オーストラリアで会い面識のある辻が、加護の声で気付いて手を振る。
「ああ、辻ちゃん!
元気やったかの?」
「相変わらず訛ってるれすね」
辻が笑顔を見せ、高橋も笑い、
「訛ってへんがし」
と訛りながら返す。

その風景を目にし、新垣は無表情で壁に視線をやった。
「ねえ」
亀井が気付いて声を掛ける。
「なに?」
さっきの事があるので、新垣は内心ちょっとめんどくさいなと思いつつ返した。
「小川さんばっか見てない?」
「…そう?」
「うん」
「気のせいでしょ」
「そう」
それ以上干渉せず、亀井は道重のところに行った。
880 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/04(月) 21:49
更新しました。
881 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/04(月) 22:04
『懐かしのメロディーの巻』


川´・_o・) <ワタシノバナナハヨイバナナ〜♪(人形のモリ○ゲ風に)

川;´^`)<誰が教えたん、そんな歌

川´・_o・) <ジュンジュンノ取ッテル授業ノ教授ダ

川;´^`)<(ロクなこと教えんなー、教授のクセに)

川*^A^)<日本、面白イ歌ガ多イデスネ!リンリン、イッパイ覚エマシタ

川;´^`)<念のため言うとくけど、ジュンジュン歌てんの、替え歌やで。
      しかも小学男子レベルのな モトネタハフツウノドウヨウヤデ

川*^A^)<ドウイウ意味デスカ

川;´^`)

川´・_o・) ワクワク

川*^A^)ワクワク

川;´^`)

川;´^`)<…岡村先生に聞き
882 名前:早春賦 投稿日:2009/05/07(木) 23:05
新垣が俯いてやり過ごしていると、自分の前に人の気配を感じた。
顔を上げると、先程のタカハシという少女が立っていた。
新垣がきょとんとしてると、
「あんたぁ〜、可愛らしいなあ!
名前なんていうんや?」
高橋はいきなり新垣の頬を両手で挟んだ。
「え…。
新垣…里沙ですけど?」
「リサちゃんいうんか。
どんな字書くん?」
「『り』は里、『さ』はサンズイに少ないって字です」
「里沙ちゃんか。
なあ、彼女おるん?」
高橋の発言に、そばでスポドリを飲んでいた紺野が思い切り噴いた。
「ちょ、愛ちゃん!」
「え…どうしてですか?」
頬をホールドされたまま、新垣は『とりあえず逃げたい…』と考える。
「なあ、あーしと付き合わん?」
「ちょ、ちょっとちょっとちょっと!」
流石に紺野が止めに入った。
「なんやのあさ美ちゃん」
「愛ちゃん彼女いるじゃない!
ちょ、とりえずガキさんを離してあげてよ」
「え〜」
高橋は不服そうに新垣を解放する。
新垣は心底ホッとし、紺野に感謝の視線を送った。
「も〜!
愛ちゃん、恋人いるのに!」
紺野に小言を言われ、
「え?
あーし、今フリーやで?」
と、高橋は小首を傾げた。
「え?」
「フラれてん。浮気されて」
「…そう」
「やから、里沙ちゃん。あーしと付き合わへん?」
少し離れたところに移動した新垣の方を振り向き、高橋は笑顔を見せる。
「え、えっとー…」
新垣は眉を下げ、
「あたし…そういうのはちょっと」
883 名前:早春賦 投稿日:2009/05/07(木) 23:06
「なんや、女は嫌か?」
「というか…」
「ガキさんはみんなのアイドルなの。
高橋さんがいくら美人でもダメなの」
道重がさり気にフォローに入る。
新垣の腕を掴んで、完璧な笑顔を高橋に向けた。
「ほうか。
まあ、ええわ。
絶対あーしを好きになるようにするわ」
「……なに、あの自信」
ぼそっと、亀井が呟いた。



「田中は今日も欠席です。
みんなも風邪には気をつけろよ」
練習の前のミーティングで、岡村は全員に告げた。
「えー、今日は紺野の友達が来てるんだったな」
「すみません、先生。急に」
紺野がすまなさそうに頭を下げる。
高橋はちょっと離れた壁際に立ち、ミーティングの様子を見ていた。
884 名前:早春賦 投稿日:2009/05/07(木) 23:08
練習が始まると、高橋は離れたところで、メンバーを見つつ、軽くステップを踏んでいた。
踊るのは好きなので、つい体が動く。
「…なに、あの子。
メッチャ上手い」
道重が唖然とする。
「すごいのれす…軽く踊ってるだけなのに」
「なあ、高橋さんってバレエとかやってた?」
加護が紺野の方を見る。
「ええ、アメリカにいる時もレッスンに通ってました」
「へえ。どーりで」
高橋のしなやかに伸びる指先を見て、加護は頷く。
「すごいね、愛ちゃんって」
梨華も高橋の方を見て、目を見張った。
885 名前:早春賦 投稿日:2009/05/07(木) 23:11
休憩時間になると、高橋は新垣のそばを独占した。
壁際に並んで、体育座りしている。
「あんた、ほんま小顔やな〜」
嬉しそうに、また高橋は新垣の頬を両手で挟んだ。
そのままむにむにする。
「愛ちゃん…ガキさんイヤがってるよ」
紺野が言うと、
「なに?
里沙ちゃん、あーしに触られるんイヤか?」
「いえ…イヤっていうか…」
「ガキさん、行こ」
突然亀井が割って入り、新垣の腕を掴んだ。
全員、ぽかんと亀井を見上げる。
「あ、ちょ。
亀井ちゃん、痛いよ」
「行くよ」
ぶすっとし、亀井はそのまま新垣を引っ張って行った。
「ところでマコ、今度のヅカの公演やけどな」
「え?アタシ観に行くの確定?」
小川はいきなりのご指名と話題転換にちょっと引いた。



「絵里、あのひと嫌い」
その日の帰り道、亀井は隣の道重にぼそっと言った。
「え?
愛ちゃん、美人じゃない。
早口すぎて若干何言ってるか分かんないけど、いいヒトっぽいし」
「…なんかヤだ」
「あー。
絵里、今日一日、メチャ機嫌悪かったもんねー」
今日を振り返り、道重は腕組みをしてうんうん頷いた。
「ねえ、ガキさんどーすんのかな。
愛ちゃんに抱きつかれてたけど」
「さあね」
「ガキさん、モテるよねー。
特に髪切ってから。
眉もいじりだしたし」
まあ、さゆの方が可愛いけどね。
道重は当然付け加えた。
「ガキさん、かわいそう」
亀井はちょっと俯いた。
「なんで?
愛ちゃん、美人なのに?」
「なんでもいいの。
とにかく絵里、あのひととはあんま喋りたくない」
「そう」
道重は親友の様子に小首を傾げた。
886 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/07(木) 23:16
更新しました。
887 名前:早春賦 投稿日:2009/05/08(金) 15:31
その後。
寮に向かう道と駅に向かう道とで、亀井と道重が別れる時、
「あ、さゆみ、ジャージの上忘れた!」
自分の鞄を探って道重が声を上げた。
「もー。
何やってんの、さゆ」
亀井が呆れた声を出す。
「さゆ、取りに戻るの。
絵里、先に帰ってて」
「うん。
また明日ね」
亀井は適当に手を振って、駅に向かって歩き出した。


その頃。朝比奈中高学食。

「まったく、ちょっと愛ちゃん分かってる?」
学食で、紺野は今日一日の高橋の言動を責めていた。
早く言えば説教だ。
「あー、別にええやん。
あーしが誰にホレようと」
高橋は椅子に座り、面倒くさそうに返した。
「ガキさん、イヤがってたでしょー!」
「そっかな。
里沙のヤツ、満更でもなさそーに見えたけど」
紙コップのコーラを飲みつつ、小川は口を挟む。
当の新垣は、いつもは練習が終わったらダラダラ喋っているのに、
今日は早々に帰ってしまった。
「ちょっと小川さん!」
紺野が振り返って声を荒げると、
「んー、なんか今日里沙が女に見えた」
小川はそう言い、『もう残ってねえな』とコップの中を覗く。
「普段はなんやと?」
加護がぼそっとツッコんだ。
「や?
愛ちゃんに言い寄られてる時、オンナのカオして戸惑ってたっつーか」
「ああー…ガキさんもオンナノコってことれすね」
「元々可愛いもんね」
辻と梨華は頷き合った。
「や、そーなんだけど…うーん、なんてーか」
小川が空の紙コップを弄びながら、言いたいことがまとまらず顔をしかめていると、
「つまり、ガキさんが普段見せない顔を見て、マコっちゃん自身ちょっと戸惑ったってことかしら」
梨華がかわりにまとめ、
「そうそうそう!
やっぱ石川センセーアッタマいいなー!」
小川はぐしゃぐしゃの紙コップを持って立ち上がり、無邪気に喜んだ。
888 名前:早春賦 投稿日:2009/05/08(金) 15:33
「とにかくー、あさ美ちゃん協力してくれるかの?」
高橋は満面の笑みで、親友の手を握った。
「は?」
「あーしと里沙ちゃんうまくゆくよーに」
「な、なんで?
や、ヤダよ」
「なんでやー」
「アタシよかったら協力しよっか?
お隣さんだし」
小川が口を挟む。
高橋が更にぱっと顔を輝かせる。
「ほんまか、マコ!
あんた、ええ子やな〜!」
「ハハハハ、まかせなさい!」
小川は腰に手を当て、反対の手で無意味にVサインをした。


「…大変なことになったの」
なりゆきを自販機の陰から見守っていた道重は、
『絵里がいなくてよかったの…。
神様、女心をてんで分かってないけど、多少は空気読めるの』
と全然神を褒めずに心の中で呟いた。

「ところで、このピンクいジャージ、シゲさんのだよな」
向こうのテーブルで、小川が仲間に掲げて見せてるジャージを物陰から見つめ、
「…いまこのタイミングで取りに行けないの」
道重は色んな意味で困っていた。
889 名前:早春賦 投稿日:2009/05/08(金) 15:36
同じ頃。

「行く…行かない。
行く…」
会社の有休取って、大谷が柴田姉のマンションの前でウロウロしていた。
「…マサオくん?」
「ひゃぁぁぁぁ!」
大谷が驚きのあまり奇声を上げて腰を抜かすと、声を掛けてきた女――斉藤瞳は
「何やってんの?」
可笑しそうに笑い、大谷が立ち上がるのに手を貸した。
「え、あ…その」
「村に用かしら?」
「は、はい。
ちょっと…ご相談が」
「まあ、立ち話もなんだし」
斉藤が促し、大谷はぺこぺこしながらついて行った。

「なんだ、マサオか」
大谷を一目見るなり、柴田の姉――村田めぐみは『なんだ』呼ばわりで出迎えた。
「で、なんかアタシに用?
スウェーデンに行く金なら用立ててやんないよ」
「なに、スウェーデンって」
斉藤がふたりの顔を交互に見る。
「…知ってたんですか」
「一応アート系の学校を出てるからね。で、こういう商売してるし。
情報はいくらでも入ってくるワケよ」
村田がそこまで言うと、斉藤も『あ』という顔になり、
「M社の!デザインコンクールか!」
「すごいじゃない!マサオくん!」
斉藤が素直に祝福すると、大谷は困ったように笑い、
「…実は」
と切り出した。

大谷は昨年秋、インテリアのデザインコンクールに応募し、今回それが最優秀賞に選ばれ、
スウェーデンでデザインの勉強をする機会を得た。
しかし恋人の柴田に言い出せず、悩んだ挙句、村田のマンションを訪れたのだ。

890 名前:早春賦 投稿日:2009/05/08(金) 15:37
「別にー。
アンタの人生だし、アタシは知ったこっちゃないよ」
突き放すように言い、村田は自分の分のコーヒーを淹れる。
「ちょっと、村。
もう少し言い方ってものが」
村田よりは情に脆い斉藤が、
「それで、会社の方はなんて言ってるの?」
それとなく話題転換する。
「いえ…クビになりました」
「はぁ?」
「元々、辞めようと思ってました。
実は、社内で色々あって」
村田は立ったままコーヒーを淹れ、顔だけ傾けていた。
かなりしかめっ面だ。
「まあ、働いてたら色々あるけど、何があったの?」
「言っていいですか」
「うん、イヤじゃなかったら言いな」
斉藤はやけに親身だった。
「実は、同じ会社の先輩に、お客さんからのアタシ宛の電話を伝言伝えてもらえなかったり、
図面にわざとコーヒーこぼされたり」
「あー…」
「フッ」
村田が鼻で嗤うのを、斉藤は目で咎めた。
「ショボイ会社だわね」
「コラ、村!」
「いえ…ホントにショボイと思ってます」
「ふうん。
で、今はもう辞めたの?」
「いえ、25日付けで辞めることになりまして。
今は有休消化中です」
「ふうん。
良かったね」
村田が興味なさそうに髪をかき上げる。
891 名前:早春賦 投稿日:2009/05/08(金) 15:39
「ちょっと、クビんなってんのに良かったはないでしょー!」
「そんなショボイ会社で身が粉になるくらい働いて、本当に粉にならなくて良かったじゃない」
「…呆れた。
お勤めした事もない人間がエラそーに」
「いえ、なんかすっきりしました。
めぐみさんにそう言ってもらえて」
それが嘘ではないように、大谷の表情はどこか吹っ切れていた。
「まあ、無事クビになって、とりあえず留学できて。
万々歳じゃん」
「ちょっと。
聞いてる?あゆみちゃんに言えなくて悩んでるって」
「スウェーデンってフリーセックスの国だよねえ」
「フリーセックスの概念間違ってるから」
「なんなら連れて行ったら?
いつも手元に置いときたいんなら」
村田が言うと、
「…連れて行けるのなら、連れて行きたいです」
大谷は俯いた。
村田はしばらく考え、
「…アンタがもひとつパッとしない理由がいま分かったよ。
アタシがその会社の先輩とやらでもイジメてるかもね」
「ええ、分かってます」
大谷が顔を上げる。
強い視線に村田は『へえ』とちょっと感心する。
「まあ、あゆみうんちゃらはアタシは別にどーでもいいよ。
言うなら勝手に言いな」
「はい。すみませんでした」
頭を下げて、大谷は
「帰ります」
と出て行った。

「もー!アンタはホントに!」
「あれくらいでメゲるんならよその国でなんかやってけないでしょ」
斉藤の小言をよそに、村田はコーヒーを啜る。
「確かにそうだけど!」
「まあ、どーにかなるでしょ」
カップの底を覗き、村田はスプーンでコーヒーの残りカスを掻き回した。
892 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/08(金) 15:42
更新しました。

前回更新分の訂正です。

>882 4-5行目
「あんたぁ〜、可愛らしいなあ!
名前なんていうんや?」

「あんたぁ〜、可愛らしい顔しとるなあ!
名前なんていうんや?」
             
>882 22-23行目
「愛ちゃん彼女いるじゃない!
ちょ、とりえずガキさんを離してあげてよ」

「愛ちゃん彼女いるじゃない!
ちょ、とりあえずガキさんを離してあげてよ」
893 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:42
その晩。
保田が仕事から帰ろうとすると、同期の男性職員から携帯メールが届く。
以前同期の集まりの飲み会で、退職する同期に喧嘩を売り、トラブルを起こした人物だった。
相談があるので、明日会ってほしいとのことだった。
面倒くさいな、と思ったが保田は溜息をつきつつ、了解の返信を送った。


その頃、村田は――。

自宅で斉藤との打ち合わせを終え、軽く飲んでいた。
夕方の大谷の様子が気になる斉藤は、それとなく、
「ね、フォローの電話とかしなくていいの?」
「したいんならすれば」
取り付く島もない村田の態度。
斉藤は、
「あゆみちゃんの事でもあるのに。
大事な妹なんでしょ?」
村田は黙って、バルコニーに面した窓の前に立った。
「あゆみは、妹じゃないよ」
「―――え」
「捨て子だよ」
「ちょっと…それ」
「アタシが子供の時、母親と朝ゴミ捨てに行ったら、ゴミ置き場に赤ん坊だったあの子がいたの」
黒いゴミ袋に、まるでゴミみたいにね。
村田は続けた。
894 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:44
「明らかに異常な泣き声がしたから母親が気付いて、どうにかあの子は助かった」
斉藤は、何を言っていいか分からず、ただただ窓辺の村田の横顔を見た。
「警察が身元を確認したら、まあうちの遠縁の子供だったんだけどね」
「…え」
「うちの父方の親戚に、その頃女の赤ちゃんが生まれてね。
アタシも両親と病院まで見に行ったのを覚えてるよ」
そこまで言って、村田は少し笑った。
「その3ヵ月後には、ゴミ扱いだからね」
「…あゆみちゃんの本当の親御さんは今」
「知らない。
どうも父親の虐待がひどくて、母親が捨てたらしいからね。
その母親も行方不明だし。父親もね」
また雨が降り出したのか。
外から微かな音が聞こえた。
「まあ、少なくとも遠縁の我が家の近くに捨てたのは、まだ人間としての情があったってことかしらね」
「…あゆみちゃんは」
知ってるの?
斉藤は小さく呟いた。
「…言い出せずにいるよ、未だに。
アタシも、親も」
「本当のことを言って、あの子が妹でなくなるのが怖いのかもね」
自嘲気味の笑いを含んだ一言に、斉藤ははっと何かに気付く。
「村…アンタ、あの子のこと」
「飲もうか、今夜は」
何も答えず、村田は微笑んでワインボトルを掲げた。
895 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:45
翌朝。

「おっはよ〜♪」
病み上がりの田中が、元気よく、チャリで朝比奈に現れた。
「あ、先生おはよーっちゃ!」
「コラー田中ー!
学校の敷地内は自転車運転禁止だ!」
挨拶されて気付いた岡村が、すかさず注意する。
「まあまあ、カタイこと言わんと。ニヒヒ」
岡村の肩をぽんと叩き、田中はそのまま立ちこぎで去った。
「まったくもう…」
ブツブツ言いながら、岡村は校舎に入って行く。

「あ、れいなちゃん。具合良くなったの?」
既に体育館に来ていた梨華が、田中を見つけて声をかける。
「ありがとうっちゃ。
れいな、ばり元気っちゃ」
「よかったー。無理しちゃダメよ?」
「うん」
ふと、亀井と話していた道重と目が合う。
道重は特に何も言わず、微笑んだだけだった。
896 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:48
『あれ?
なんか人間かんけービミョウ?』
練習を開始して、田中はすぐ気付いた。
壁際に体育座りしている、アイという少女の方を、新垣が妙に気にしている。
『わたしの古い友達です』
練習前、紺野から友人だと紹介され、田中は一応高橋に頭を下げた。
『なんかあのアイって子のこと、ガキさんやけに気にしてると?』
「わ!」
田中は亀井とぶつかって、床に転がってしまった。
「ててて…」
腰を押さえていると、
「ごめん」
亀井が手を伸ばし、起き上がるのを手伝ってくれる。
「おーい、大丈夫かー?」
岡村の声に、
「「はーい」」
ふたりは揃って返事した。

亀井の様子もおかしかった。
やけに新垣と高橋の方を気にしてる。
さっきぶつかったのは、亀井さんがそうやってよそ見をしていたからだな。
田中は納得した。

897 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:50
ビミョウな練習を終え、昼休憩となる。
全員体育館で弁当などを広げた。
「あ、会長〜!」
体育館に、中学の制服を着た少女がやって来た。
「なん?みっつぃ〜やん」
「愛佳、田中さんの練習見に来ましたー」
「へえ。ええよ、見てき」
「ありがとうございます〜」
『愛佳もここでお弁当食べていいですか?』と断り、
その少女――光井愛佳は可愛らしい弁当包みのバンダナを広げた。
「光井ちょっと待て!」
そこですかさず岡村の生徒指導。
「はあ、なんですか。岡村先生」
光井がきょとんと顔を上げる。
「学校に鮒寿司を持って来るなー!
てか、弁当に鮒寿司を入れるな(爆)!」
光井の弁当からは、物凄い鮒寿司の香りが漂っていた。
唖然とするメンバーもいたが、加護と亀井は興味津々だった。
「あきませんか。
実家から送ってきたんですけど」
「部屋で食え!」
「はぁい」
光井は返事して弁当箱の蓋を閉めた。
「自分、滋賀の子?」
加護がうずうずして声を掛ける。
何より、学校の弁当に鮒寿司を持って来るという特異性に目をつけたのだった。
「ええ。
加護さんは奈良出身ですよね」
「下宿してんの?」
「いえ。
うっとこ実家、お寺なんですけど、父が『東京で修行して来い』言うて上京しましてん。
幸いこの学校、寮がありますさかい、そこにおりますねん」
「へえ。
シゲさんと同じ寮生なんや」
「道重先輩にはようしてもうてます」
『道重先輩に』『よくしてもらってる』
田中の脳にピンポイントで届き、飲んでいた缶のココアを噴く。
「どないしたん」
加護が怪訝な顔をする。
「い、いや…なんでもないっちゃ」
「ウヘヘヘヘー。れーなちゃんがえっちなこと想像してますよ〜?」
亀井がニヤニヤする。
「な!違うっちゃ!」
自分の顔についたココアをハンドタオルで拭って、田中は真っ赤になって反論した。
「エロれーな!れーな!」
「呼び捨てっちゃか!」
亀井に向かって、田中は拳を上げるフリをした。
898 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:53
練習後、一同はやはり学食へ繰り出した。
今日は練習が早く終わり、おやつを食べようということになった。

「オマエ、リンリンニ何スルダ!」
「小春何もしてないよ!」
「嘘ツケ!オマエワザトブツカッタ!」
「違うってば!」

「…あの声は」
田中は、学食の真ん中辺りで騒いでる少女たちの一団を認める。
「な、なに?」
梨華も唖然と見ている。

「謝レ!リンリンニ謝レ!」
「やだ!小春悪くないもん!」
「マダソナイナ事言ウカ!」

言い合ってる少女ふたり――久住小春とジュンジュンを囲んで、リンリンと岡田唯はおろおろしていた。
特にリンリンは、自分が原因でこうなったので、泣きそうだった。
「ジュンジュン…モウヤメテ。
リンリン悪カッタ。コノ人、悪クナイ」
ジュンジュンの袖を引っ張り、リンリンが止めた。

「リンリン黙ッテル!」
瞬殺され、リンリンはたじろいだ。

「あれ…同じクラスの久住さんですわ」
光井が田中に言った。
「へえ。あの子と同じクラスっちゃか」
「ええ。えらいことになってますな…」
心配そうに、クラスメートを見つめた。
899 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:55
「どうしたの、岡田ちゃん」
梨華に声を掛けられ、岡田は
「ああ、石川さん。
いえね、この中学の子ぉがリンリンにぶつかったってジュンジュンが言うて…」
「小春だよ。久住小春」
久住はぶすっと名乗った。
「そう」
梨華は思案し、ジュンジュンに向かって、中国語で事情を聞きだした。
日本人の女性に中国語で話しかけられ、ジュンジュンは最初目を丸くしたが、
すぐに母国語で説明した。
「え…石川さん、中国語ペラペラ?」
紺野がその様子を見て目を見開く。
梨華とジュンジュンの会話はところどころ、英語も混じった。
そこへリンリンも説明に加わる。
「なに?
なに言ってっかわかんね」
小川が顔をしかめる。
「英語部分は分かります。
えーっと…『リンリンさんが、落としたポテチの袋をしゃがんで拾おうとしたら、
久住さんが歩いて来て、足元にいたリンリンさんに気付かず、こけた』とかなんとか」
「なんだ、どっちもどっちじゃん。
両成敗?」
「まあ…そうですね」
最初こそ興奮していたジュンジュンだったが、梨華に事情を説明してやや冷静さを取り戻したのか、
「悪カッタ。ジュンジュン、ツイカーットナッタ」
素直に、久住に頭を下げた。
「いいよお〜。小春もぼーっと歩いてたのが悪かったもん。
ごめんね、リンリンさん」
「イエ、ワタシ、ドンクサイノガ悪カッタデス」
「まあ、よかったよかった」
岡田も、ほっとする。
900 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 22:58
「ごめんなさいね」
テーブルに戻ってきた梨華に、
「石川さん、すごいっちゃ!」
田中が感嘆の声を上げる。
「美人でダンスも上手くて外国語もペラペラなの。
さゆ、負けてられないの」
勝ってどうするのか。
道重は、闘志に燃えた。
「あの人すんごい早口やけど分かったん?」
加護の疑問に、
「んー。
確かに興奮してたのか、早口だったから、頼んでちょっとテンポ落としてもらったよ」
梨華がちょっと笑って言った。
「多分、湖南の子だね」
「え?分かるんれすか?」
辻が言うと、
「日本語でも、標準語喋っても微妙にイントネーション違う場合があるでしょ。
そんな感じ」
「つーか、それで出身地予想するセンセーがすげーよ」
「当タリダ。ジュンジュン、湖南カラ来タ」
気がつくと、ジュンジュンがパフェの載ったお盆を持ってやって来た。
「石川サン、サッキアリガトウ。
コレ、オ礼ダ」
「ええ、いいのに」
「リンリンモ半分オ金出シマシタ」
リンリンもジュンジュンの後ろからひょいっと顔を出した。
「なんか悪いね」
「リンリン、オ金イラナイダ。
後デ返ス」
「何デデスカ!?」
ふたりは母国語で言い合いを始めた。
「ああー、もう〜。
ケンカしないの!」
梨華が止めに入り、
「もう〜。
かなわんわ〜、この人ら」
岡田もやって来て、タレ目を更に下げて困り果てていた。
901 名前:早春賦 投稿日:2009/05/09(土) 23:00
「な、なんて言ってんの?」
小川の問いに、
「『年上の言う事を聞け』
『それなら普段から年上らしくしろ』」
梨華の解説に、
「ぶふっ」
小川はコーラを噴いて笑った。


「マッタク、リンリン言ウ事聞カナイ」
リンリンが席を外した後、ジュンジュンがそう呟いた。
「なあて」
岡田が敢えて疑問に思っていた事を問う。
「何ダ」
「ジュンジュン、リンリンの事好きなん?」
返答するより早いか、ジュンジュンの頬が一気に赤くなった。
その場にいた全員がニヤニヤする。
「バ、バカ言ウナ岡田!
リンリン、可愛イケド、ソンナジュンジュンミタイナデカイバナナズキデ軽ク変態ナノガリンリン好キナンテ」
途中で大変なカミングアウトが混じっていたものの、ジュンジュンは大きな体に似合わず、もじもじしだした。
「『軽く変態』って…具体的に何するんだろね」
久住が隣の光井にそっと尋ねる。
「わかりまへん。
大人の世界はめくるめく秘密があるんですわ、きっと」
「そっかぁ…そうだね」
中1コンビ(春から中2)は頷き合った。
902 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/09(土) 23:04
更新しました。

またもや間違い発見。失礼しました。


訂正です。

>878 4行目

一緒に行こうって思ったなのにー。→ 一緒に行こうって思ったのにー。
903 名前:登場人物紹介 投稿日:2009/05/09(土) 23:08
川=´┴`):光井愛佳。朝比奈女子大学付属中学1年生。滋賀県出身。
      実家はお寺。田中会メンバーでもあり、トゥルトゥルの田中を陰ながら応援している。
      
      
アウアウ
川;´┴`)<(ハア。東京来て盲腸なるなんてな)←急性虫垂炎で即入院、手術

从*` ヮ´)<愛佳ー。具合はどうっちゃか? オミマイニキタッチャヨ

柏=´┴`)<会長!

れいなからは花っちゃ>从*` ヮ´)っ<※

川*´┴`)<ありがとうございます〜

从*` ヮ´)っ由<れいなのおばちゃんからはクッキーっちゃ。食べられるようなら食べると

川*´┴`)<あの愉快なおばさまですね。すみません〜。お礼をお伝えください

从*` ヮ´)<ね…愛佳

川=´┴`)<なんですか?

从*` ヮ´)<盲腸の手術って…剃るっちゃよね?

川;´┴`)<(何聞いてんねんやろ、このヒトは)まあ…盲腸に限らず、お腹らへんを切るような手術は、
       剃ると思いますけどねえ

从*` ヮ´) パアァァァァ ←物凄く嬉しそう

从*` ヮ´)<愛佳!力落とさんと頑張るったい!れいな、力になるとよ!

川;´┴`)<はぁ、おおきに(愛佳なんでこんなヒト好きになったんやろ?)
904 名前:早春賦 投稿日:2009/05/10(日) 23:16
「里沙ちゃん」
学食を出た後、高橋は新垣に近づいて行った。
「な、なに?愛ちゃん」
『愛ちゃん?』
そばで聞いていた紺野は、名前の呼び方に違和感を覚える。
「今日のステップはよかったでぇ〜!」
「あ、ありがとう。
愛ちゃんが教えてくれたおかげだよ」
「え?
そんな事…」
「あさ美ちゃんが朝着替えに行っとる間、ちょっとふたりでレッスンしたがし」
「へえ…」



―――その日の朝。

新垣は一番早く来て、体育館で音楽を流し、昨日出来なかった振りの復習をしていた。
高橋はしばらく黙ってその様子を見ていた。
高橋に気付かないくらい、新垣は真剣だった。
やがて、CDラジカセを止め、
「あ〜…なんでできないんだろ」
新垣は顔をしかめ、ぺたりと座り込んだ。
「もういっぺんやってみ」
「え…?高橋さん…」
「里沙ちゃん、音を使い切る前に次の振り入ってるやろ。
だからあのターンがうまくいかへんのや」
「…見てたの?」
「うん。
さ、やってみ」
CDの再生ボタンを押し、踊るように促す。
言われた通り、新垣は心持ち少し待ってターンした。
「せや!
できたやん!」
「う、うん。
ありがとう、高橋さん」
「愛でええで。
『高橋さん』なんて他人行儀や」
「愛…ちゃん?」
「ま、ええか」
くしゃくしゃと笑って、高橋は新垣の頭を撫でた。
新垣もつられて笑顔を見せた。
905 名前:早春賦 投稿日:2009/05/10(日) 23:18
―――学食を出て、駅までの帰り道。

「愛ちゃんってホントダンス上手いね。
バレエやってたんだって?」
新垣が言うと、
「もうやめたけどな」
高橋は照れくさそうに鼻をこすった。
「ね、愛ちゃんって歌は?
カラオケとか行く?」
「あーし合唱部や。
カラオケは友達とたまに歌いに行くがし」
「そうなんだ」
紺野はそばで聞いていて、妙な心持ちになる。
『ガキさん…愛ちゃんに興味を持ち出してる?』
新垣の楽しそうな横顔を見て、紺野は何とも言えない気持ちになった。
906 名前:早春賦 投稿日:2009/05/10(日) 23:23
田中れいなは、ロッカールームへ忘れ物を取りに行き、紺野が今日使っていたタオルを見つける。
机の上に、それはひっそり置かれていた。
「あ…紺野さんのタオル」
左右を見渡して、誰もいないのを確認してから、そっとタオルを頬に押し当てる。
「幸せっちゃ…」
「お楽しみ中のところ申し訳ないの」
ガラッと窓が開き、道重が現れた。
「―――ひぃ!」
猫が逆毛を立てるように、田中は飛び上がって驚く。
「な、なん!?」
「さゆみ、そこにうさちゃんの絵の書いたメモを忘れたの。
取ってほしいの」
道重の指示する場所を見ると、確かにうさぎメモがあった。
「なん、これ?」
「ネタ帳なの」
「へ?」
「さゆみ、『すべりしらず』ってペンネームで投稿するのが趣味なの」
「ふ、ふうん…」
「ところで、コレ」
道重は、傍らからおもむろに缶ジュースを取り出した。
「なん?ジュースっちゃか」
しかも飲みさしやし、と田中はそれを受け取る。
「紺野さんが飲んでたジュースなの」
「へ?」
「ここでそのジュースを飲んでたんだけど、岡村先生が呼んでるって辻さんに連れられて出て、
そのままここに置き忘れたの」
「で?」
「今ならそのジュース500円なの。お買い得なの」
「…いっぺん死ね」
田中は道重に缶を押し付け、部屋を出て行った。
907 名前:早春賦 投稿日:2009/05/10(日) 23:25
「会長〜!」
自転車置き場に田中が向かうと、光井が手を振っていた。
久住小春も一緒だった。
「うっす。
愛佳、まだ帰らんと?」
「久住さんと喋ってたらこんな時間になりました」
「ねえ、田中さんなんで会長なの?」
久住の問いに『よくぞ聞いてくれました』と光井は胸を張る。
「我らが田中さんは朝比奈が誇る『田中会』の会長ですねん」
「へえー。なにするの、『田中会』って」
「そうっちゃね、渋谷に服、見に行ったり」
「おうちでおしゃべりしたり、ゲームしたり色々ですねえ」
「楽しそう!小春も入るよ『田中会』!入るよ!」
きゃあきゃあと騒ぎ、久住は飛び上がった。
「よーし!今日から小春は『田中会』ナンバー2っちゃ!」
「わーい!小春ナンバー2!ナンバー2!」
「よかったですねえ、久住さん」
「じゃ、また明日っちゃ。れいな帰ると」
サドルに跨り、岡村にまた『敷地内で立ちこぎするなー!』と怒られながら
田中は帰って行った。

「はあ、田中さん今日初めていっぱい喋ったけど、可愛い人だね」
久住が言うと、
「ええ、そうでっしゃろ?
愛佳の自慢ですねん」
光井はまた胸を張った。
「あっはっは!みっつぃ〜、自分のものみたいに!」
久住は『ん?』という顔をし、
「あ、もしかして好きとか?」
「私の魅力に気付かへん鈍感な会長ですねん」
光井は澄まして言った。
908 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/10(日) 23:27
更新しました。
909 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/11(月) 17:33
密かに更新されているの楽しみにしていますw
他のメンバーの恋の行方もどうなるのかなー
910 名前:早春賦 投稿日:2009/05/11(月) 23:08
その夜。

新宿の伊勢丹に、吉澤はアヤカのお供でついてきていた。
アヤカが母におつかいを頼まれ、ヒマなので吉澤も同行した。

「ごめんね、よっちゃん。
付き合わせて」
母に頼まれた洋服の受け取りを済ませ、アヤカは『行こうか』と促した。
「いえいえ、いっす。
ウチ今日ヒマっすから」
エスカレーターで降り、吉澤は、
「いんやー。
やっぱアヤカさんすげーっすね」
「何が?」
「店員さん、エスカレーターんとこまで見送ってお辞儀してましたよ」
「ああ、ママがお得意様だからよ」
アヤカは事も無げに答える。
「おうちに外商部のヒトが来たりするんすか」
「いやー、どうだろ。
ママはあんまそういうの好きじゃないから」
「へえ、そっすか」
「それよりー、今度うち遊びに来てよ。
ライブの写真見て、ママよっちゃんに会いたがってるし」
「へ?ウチっすか?」
吉澤は可笑しそうに笑い、エスカレーターを降りた。
「ママは可愛い子が好きだからね」
アヤカもつられて微笑んだ。
911 名前:早春賦 投稿日:2009/05/11(月) 23:09
「よっちゃん、どっか寄るトコある?」
「あー、ヨドバシかビックカメラいっすか?
iPod見よっかなって」
「いいよ、行こっか」
西口の方に歩いて行き、アヤカはふと足を止める。
「どしたんすか?」
「うん、何でもない」
また歩き出した時、
「アヤカ?」
自分を呼ぶ声に、アヤカはゆっくり振り向く。
「久しぶり」
「うん」
アヤカは、声を掛けて来た人物に微笑んで見せた。
大きなスポーツバックを肩に提げた、かなり背の高い人だった。
『こ、これは…昔の恋人的展開?』
吉澤はどきどきして展開を見守る。
「キュービックの吉澤さんだよね。
この前の対バン見たよ」
「あ…ども。
や、初めまして。
あ、対バン見てくだすったんなら二度目まして?」
自分が声を掛けられるとは思ってなかった吉澤は、へこへこ頭を下げる。
「じゃ、またね」
「うん」
その人が去った後、吉澤はうずうずし、
「あ、あのお…」
「ん?
前付き合ってたヒトだよ?」
想定内の質問だったので、アヤカはあっさり白状した。
「元カレっすか」
「カノ」
アヤカは可笑しそうに吹き出す。
「や…すんません」
かなりガタイのいい女性で、髪もかなり短かったので、吉澤は普通に男性だと認識してしまった。
「でも、アヤカさんのカノの中では珍しいタイプでは?」
美形なのはアヤカ好みだが、見るからにスポーツマンタイプでボーイッシュなので、吉澤は言った。
「ああ、そうね。
言われてみれば」
「いつくらいのカノですか?」
「んー、2年近く前?」
「ほお」
「さ、行こうか」
また促して、アヤカは歩き出した。
912 名前:早春賦 投稿日:2009/05/11(月) 23:15
保田も新宿の西口に来ていた。
同期の男性に呼び出され、仕事の後出て来た。
喫茶店で待ち合わせ、保田はコーヒーが冷めるまでに用件が終わればいいがと願う。

「だからあいつはああいうヤツなんだよ」
彼は、県職員の採用が決まった同期の悪口を散々言い、保田はうんざりしていた。
かれこれ1時間。
飯田の夕食が恋しくなった。
「特に用事がないんならいいかしら。
あたし、ちょっとこの後用事あって」
保田がそう言うと、彼は決まり悪そうに、口ごもりながら、
「…男か?」
と切り出した。
「ううん、女友達」
「そっか…そうか」
「なにが言いたいの?」
保田にしては珍しく、語調を強めた。
いい加減、店から出たかった。
奢りだとは言われたが、彼の分も支払って出て行きたいくらいだった。
彼はしきりに額の汗を拭い、
「…なんでもない」
と俯いた。


嘘をついて出て来たのを、さすがに悪く思ったが、
『まあ…帰ったらカオリがいるのは確かだし、あながち嘘でもないか』
そう思い直し家路に着く。

「まだタンポポ開いてるかしら」
コーヒーの豆を買って帰ろうと思い、腕時計を確認して『喫茶タンポポ』を目指す。

913 名前:早春賦 投稿日:2009/05/11(月) 23:16
「こんばんわーっす」
吉澤は、アヤカと別れて『喫茶タンポポ』を訪れた。
「おお、よっすぃ〜。
どしたん?」
閉店間際のタンポポはもう他に客がおらず、矢口は閉店準備を始めていた。
「や、中澤さんから『コーヒー買って来て』てメール来たんでー」
「おう。いつものブレンドでい?」
「あざーっす。100グラムお願いします」
「おうよ」
矢口がカウンターに入り、豆を量る。
「こんばんはぁ」
おっとりした声に目を向けると、エプロンをつけた岡田がにこにこしていた。
「あ、ども。
えっと、岡田さんだっけか」
「岡田唯ですう。
どうぞご贔屓に」
「あ、ども。
吉澤っす」
何となく握手をしていると、不意にドアが開いた。
「あ、すみません。
もうラストオーダー過ぎちゃって…」
矢口が言うと、岡田がすかさず、
「あ、この前のお客さん!」
気付くが早いか駆け寄って来た。
「ああ!
お客さん、この前ライターを!えっと…」
矢口がわたわたしてると、
「あのライター、もう捨てました?」
その女性が、岡田の方を見て言った。
ショートカットがボーイッシュな印象を受けるが、男顔という訳ではなかった。
「いえ、ヤスダさんっていう常連さんが持って帰らはって…」
「そそ、圭ちゃんがなんか事情知ってるっぽいんで。
あ、なんなら圭ちゃんに電話…」
「ならいいです」
素っ気無く返し、女性は店を出た。
「わー、待って待って!」
矢口がちっちゃい体をフルに動かして出口までダッシュし引きとめようとする。
「ヤグチー、ごめん、いつもの豆ちょうだい」
聞きなれた声に、一同一瞬動きが止まる。
「圭ちゃん!」
「どしたん、ヤグチ」
「あの!あの!ライターのお客さん!
来たんだよさっき!追いかけて!今なら間に合う!」
保田の顔色が変わる。
礼すら言わず、急いで出て行った。
914 名前:早春賦 投稿日:2009/05/11(月) 23:20
目的の人物は、あっさり見つかった。
タンポポのすぐそばで、携帯を弄っていたからだ。
ショートカットの女性を認め、
「…絵梨香」
保田が呆然と立ち尽くす。
『絵梨香』と呼ばれた女性は黙って笑った。
どこか、嘲るような笑みだった。
気になった矢口は、保田を追って来ていた。
保田は手を振り上げた。
矢口が『あ!』と思うより早く、保田の平手が飛ぶ。
もう一度。更にもう一度。
彼女は倒れてしまった。
保田は殴りながら泣いている。
「立ちなさいよ!」
誰もかつて、こんな激しい保田を見たことがない。
矢口など、一瞬止めるのも忘れて呆然としてしまう。
「わわわわ、圭ちゃん!」
はっと我に返り、矢口は保田の腕を掴む。
「おじいちゃんがどんな気持ちで、アンタにあのライターを渡したか分かってるの!?」
体格差で矢口が簡単に振り払われそうなので、吉澤も店から出て来て止めに入る。
岡田も『あきませんて!』と、エプロンのまま店から出て来た。
「保田さん、ダメっす!暴力はダメっす!」
「そ、そうだよ圭ちゃん!ね?話し合お?」
ふたりが必死になだめ、保田はようやっと、静かに腕を下ろした。
「…バカみたい」
『絵梨香』は静かに呟くと、踵を返して駅の方に歩き出した。

夜の闇に、吸い込まれていきそうだった。
915 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/11(月) 23:23
更新しました。

ヤスの同期の男性がうんぬんのくだりは、このスレの >33 らへんをご覧ください。
916 名前:登場人物紹介 投稿日:2009/05/11(月) 23:27
从,,` ロ ´):三好絵梨香(20)。北海道出身。
       保田の古い知り合い。どうも保田と過去に因縁があるらしい。
917 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/11(月) 23:59
『Thanks,Mam』の巻


川;*^ー^)<あー、どうしよどうしよ。お小遣い使いすぎて、母の日のプレゼント買うお金がないよ〜 ←小学生時代。当時よりテキトー

((川*^ー^)←とりあえずスーパーに出掛ける

柏*^ー^)<あ!

〔ご自由にお持ち帰りください〕←セルフでカーネーション設置


おかーさーん!ハイ、これ!>川*^ー^)っ<※            アラ、アンタお小遣いないのに買ってくれたの?>


( ・e・)<お母さんにお花をあげた後、この手帳をサプライズであげてびっくりさせたいんです ←たまたま立ち寄った花屋

はい、お母さんコレ>( ・e・)っ<※                             ありがとう、里沙>

これ、ゴミだから捨てといて>( ・e・)っ□ ←この中に手帳がある           アラ…これどうしたの!?>

(*・e・)<(サプライズ成功なのだ)
918 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 15:26
保田が帰った後、矢口達3人は呆然と立ち尽くしていた。
特に矢口と吉澤は、まだ先程の保田の姿にショックを受けていた。
「矢口さん…、うち、片付けしますね」
「ん、あ。ごめん」
岡田の声で我に返り、矢口は店に入ろうとする。
「あ…飯田さん」
吉澤の声に、矢口は振り返る。
飯田が、近くの電柱のそばにいた。
「カオリ…」
矢口が声を掛けると、
「飯田さん、今の…」
重ねるように吉澤が問う。
「…うん。
全部見てた。
圭ちゃん、帰りが遅いから『タンポポ』寄ってんのかなって思って迎えに来たんだけど」
飯田はぐすっと啜り上げ、袖で涙を拭った。
「うん、カオ、帰るね」
ひとしきり顔を拭うと、飯田は明るく笑った。
「圭ちゃん、多分殴った事後悔して、家で傷ついて泣いてると思うから、カオ、行くよ」
「…うん。またな、カオリ」
矢口は静かに頷いた。
919 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 15:27
吉澤はそのまま『タンポポ』に残り、閉店作業を終えた矢口にコーヒーを淹れてもらった。
「すんません…」
「うん、いいよ。
今日は特別だかんね」
矢口もカウンターの吉澤の横に座り、自分のコーヒーに口をつける。
岡田もテーブル席に腰を下ろし、ふたりの様子を見ていた。
「なんか…長い一日でしたね。いや、特別なんもしてないんだけど」
「ああ、マジ長かった」
矢口は『かぁ〜、キツかったー!』と言いつつ、自分の肩を揉む。
「保田さん…あんな激しいトコ見たことねっす」
「ああ、オイラもだよ。付き合いなげーけど」
岡田はふたりの会話を聞きつつ、テーブルの一輪挿しのミニローズを指先で軽くつついていた。
「あのエリカとかって人、保田さんにボコられて、顔も相当腫れはったんやないですかね」
岡田の意見に、矢口が顔を上げる。
「ああ…怪我大丈夫かな」
「女の人ですしね」
吉澤も頷いた。

吉澤と岡田は、一緒に『タンポポ』を出た。
「駅まで送ってくよ」
吉澤の申し出に、
「すんません〜。吉澤さん、ジェントルマンですねえ」
岡田がおっとり礼を言う。
「ウチは女だっつの」
吉澤は笑い、岡田と並んで歩き始める。
「あのですねえ」
「ん?」
「吉澤さんは、石川さんと付き合ってはるんですかあ?」
ストレートな問いに、吉澤は赤くなる。
「ん、いや、まあ」
「ええですねえ。
うちもそういう人ほしいわあ」
「岡田ちゃん、付き合ってる人いないの?」
「ええ、まあ。
お茶飲みに行ったり、ちょっと遊びに行ったりとかはあるんですけどねえ。
もひとつぱっとせんというか」
岡田は困ったように首を傾げた。
「あきませんわ」
「あきまへんか」
吉澤は可笑しそうに合わせた。
「ええ、あきまへん」
岡田もタレ目を細めて笑う。

「ほな、送ってくれておおきに。
気をつけて帰ってくださいねえ」
「岡田ちゃんも」
駅で別れ、吉澤はまた中澤家に向かって歩き出した。
920 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 15:29
紺野宅では。

「もー、愛ちゃん分かってる?」
新垣に関する紺野の説教をよそに、高橋は
「月組と花組、どっちがいいがし?」
家から持参したヅカDVDのジャケを掲げ、今から見せる気マンマンだった。
「いや…月組とか花組とかじゃなくってね」
『あ〜、もう…』と紺野は頭を抱える。
「雪組のがええか?」
「…何でもいいよ」
「せやったら、宙(そら)組の『エリザベート』見るがし。
ずんこさんの立ち姿はうっとりするやよー」
「…ずんこさんでもなんでもいいけどさ、あたしの話、少しは聞いてくれてる?」
「里沙ちゃんにちょっかい出すな言うんやろ?」
DVDをセットしつつ、高橋は答える。
『なんだ、聞いてんじゃん』と思いつつ、
「分かってるんなら…」
紺野が最後まで言い切らないうちに高橋は
「イヤじゃ」
と返す。
『”じゃ”?』と多少引きつつも、紺野は反対しようと顔を上げた。
「あさ美ちゃんの言う事でも聞かん。
こればっかりはの」
高橋の強い瞳に、紺野は負けそうになる。
だが、ぐいっと顔を上げ、
「言う事を聞けとは言わないよ。
でも、ガキさん、まだ中学生なんだよ?
浮いた噂を殆ど聞かない子だし、まして愛ちゃんみたいに積極的な人にいきなり言い寄られて、
なんかあって恋愛嫌いとかになったらどうすんの…て、何?」
高橋がじっと自分の顔を見つめているので、紺野は怪訝な表情で聞き返す。
「あさ美ちゃん、変わったの」
「そ、そう?」
「アメリカおる時、言いたい事言えんでベソかいとったのに」
高橋は懐かしそうに目を細め、
「もうあーしが庇っとった女の子はおらんの」
寂しそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。
「と、とにかく、明日からはもう少しおとなしくしてね、愛ちゃん」
「あーい。
あー、余計な説教するから、前半のエエとこ見れんかったがし。
もっかい戻るでー。最初っからや」
リモコンを操作する高橋に、紺野はさっきの事も忘れ、心底がっかりした。
921 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 15:34
少し時間は遡りその日の夕方。


「あれ?」
学校内の図書室に残っていた道重は、待ち合わせ場所に亀井が現れないので、
その辺りをぶらぶらしていた。
途中、体育館の灯りに気付いて中を覗き込む。
曲を掛け、一心不乱に田中が踊っていた。
同じところを何回も何回も。
真剣な表情に、つい見入ってしまう。
「はぁ…ばり疲れた」
少しして、田中は床に仰向けに寝て、はぁはぁ荒い息を吐いた。
「お疲れ」
道重がしゃがんで差し出したペットボトルに、ふと気付く。
「なん?まだおったとか」
「そっちこそ。陰で努力してるんだね」
「別に。れいな、二日も休んだけん、遅れを戻すっちゃ」
「ふふっ」
「飲んでいいっちゃか?」
受け取ったお茶のペットボトルを見て、一応聞いてみる。
「まだ未開封なの」
「ぼったくり料金で売りつけたりせんとか?」
さっきの事があるので、開けた飲み口に口をつけて、田中はニヤニヤする。
道重は笑いながら腕を叩いた。


「こんな時間まで残っとったとか」
体育館の壁時計は、もうすぐ6時になろうとしていた。
「うん、絵里と待ち合わせしてるんだけど、まだ来ないの」
待ち合わせ時間10分も過ぎてるのに。
道重は呟いた。
「トイレでも行ってるんじゃなかと?」
「そうね」
922 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 15:36
その頃。

「ウヘヘ、遅れてしまいましたよ?」
亀井は友人のいる美術部の部室で爆睡から目が覚め、
急いで道重との待ち合わせ場所に向かっていた。
「あー、さゆ怒ってるだろうなー」
寝癖のついた頭をかき、ダッシュで向かう。
「あ、まじやばい。
もうじき6時だよー」
腕時計を確かめ焦る。
ばたばたと廊下を走り、保健室のそばを過ぎようとする。
『…え』
違和感のある、壁の掲示物に一瞬目を留める。
「な…」
『卒業生を送る会は即刻中止にしろ』
貼紙の内容に亀井が呆然としていると、隣にある貼紙にも気付いた。
「『加護亜依と紺野あさ美を即刻退学にしろ』…。
何これ…」
亀井の制服の胸ポケットの携帯が鳴る。
道重からメールが来たようだ。
慌てて出そうとし、うっかり落としてしまう。
「あ〜、もう…!」
廊下に落とした携帯をしゃがんで拾おうとし、ふと少し離れた柱から影が出てるのに気付く。
「…誰?」
恐る恐る声を掛け、少しずつ歩み寄って行く。
「きゃっ!」
突然柱の陰から現れた人物に押され、亀井は倒れた。
「いった…何すん、の…」
起き上がろうとし、相手の顔をはっきり見てしまう。
「…あなた」
相手はもう一度亀井を倒し、走り出した。
「ちょ!待って…!」
慌てて走り出そうとし、亀井は胸の辺りに物凄い違和感を覚え、
突然咳き込み出す。
「ぐ…げほっ…」
『何でこんな時に…もう〜!』
自分の胸をさすってしばらくやり過ごそうとするが一向に咳がやまない。
それどころかひどくなっている。
「な、なんや。
どないしたんや」
咳き込む声に気付き、保健室から養護教諭の稲葉が出て来た。
「なんでも…ないです」
ぜいぜい言いながら、亀井はうずくまる。
「何でもない事ないやろ。
喘息か?」
稲葉に背中をさすられながら
「はい…」
亀井はふっと目の前が遠くなり、
「…ちょ!しっかりしー!」
意識をなくした。
923 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/14(木) 15:37
更新しました。
924 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/14(木) 16:41
※補足です。

宝塚宙組『エリザベート』1998年10月−12月公演(宝塚大劇場にて。東宝劇場は翌年2月から3月に公演)
(DVD発売は2002年9月)
主演は姿月(しづき)あさと。
文中の『ずんこ』は姿月さんの愛称です。
925 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:29
「絵里マジで遅いのー。メールしてんのにスルー?」
「ほんま遅いっちゃね…」

体育館の前の階段で、道重と田中は座って待っていた。
「あれ?」
田中が視線を校門の方にやり、ちょっと腰を浮かす。
「あれ、救急車とちゃうん?」
「ホントだ。誰かケガでもしたのかな」
救急隊員が担架を押して、ばたばたと校内に入って行く。
ふたりは、隊員が入って行った校舎を見ていた。
やがて1分も経たずに、担架が運び出される。
担架に乗せられた人物を見てぎょっとする。
「―――絵里!」
「な!?どうしたと!?」
亀井は青ざめた顔で、担架に横たわっていた。
「アンタら、この子の友達か?」
顔を上がると、養護教諭の稲葉がいた。
「は、はい」
道重が慌てて返事すると、
「来るか?
喘息の激しい発作で倒れてん」
稲葉は救急車の方を指して言った。
「行きます!」
「れいなも行くっちゃ!」
慌てて救急車に乗り込み、病院へ向かった。
926 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:34
「ちょうどいてくれて助かったわ。
今日、岡村先生もたまたま先帰ってもうてな」
病院に着いてから、稲葉はそう漏らした。
3人は救急室の前で待っていた。
「亀井さんとこの電話は、これでええねんな?」
メモに書かれた番号を道重に見せると、
「はい…。
ただ、この時間だとおうちの人がいるか微妙です」
「共稼ぎのお宅なんか?」
「はい、お母さんも会社をやってるとか聞いたことあります。
あ、お手伝いさんだったらまだいるかも」
「亀井さんの携帯借りて、お母さんの携帯番号探し出してかけたらよか」
田中の提案に、
「勝手に借りていいのかしら」
「非常時やし。しょうがないっちゃ」
「じゃ、まあ。
おうち掛けて誰もおらんかったら田中案を採用しよか」
稲葉の意見にふたりは頷いた。


「田中案採用やな…」
救急室の前にある公衆電話を耳に当て、稲葉が言う。
「え、ウソ!
カメさんもいないの?」
「あかん、誰も出んわ」
『絵里がここにいたら、「電話をかけても出んわ、ウヘヘへ」って絶対言うだろな』
道重はついそんな事を考えてしまった。
927 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:36
亀井の制服のポケットから携帯を借用し、亀井の母の番号を探し出す。
「えーっと、アドレス帳から探せばいいっちゃか」
「履歴を見た方が早いの」
道重は田中から携帯を受け取り、器用に操作して
「発信に『お母さん』ってのがあったから、多分これなの」
稲葉にそれを渡した。
「その『詳細』っていうの押したら番号も出てくるの」
「すんませんなあ…勝手に使て。
あ、もしもし亀井絵里さんのお母様でしょうか。
はい、わたくし朝比奈学園の養護教諭の稲葉と申します。
お嬢さんが学校で喘息の発作で倒れられまして、はい。
今、救急車で…」
稲葉が携帯片手に番号を見ながら、わざわざ公衆電話から掛けてるのを見て、
「せんせー、律儀やな…」
田中は呟いた。
横で道重も頷く。


亀井の母はすぐやって来た。
控え目ながら、中学生ふたりが見ても『高そう』と分かるスーツを着ていた。
「うちの娘が、すみません」
まず稲葉に頭を下げ、
「道重さんもごめんなさいね」
一度家に遊びに行って、面識のある道重に頭を下げた。
「あなたも、絵里のお友達かしら」
自分だと気付いた田中は、
「あ、はい。
一年下の田中っていいます」
「さゆみと絵里ちゃんの共通のお友達なんです」
道重の紹介にちょっと首を傾げるところはあったが、田中は敢えて何も言わなかった。
928 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:39
「お母さんに後見てもうてあたしはとりあえず一旦帰るけどな、あんたらはどうする?」
稲葉に言われて、ふたりはもう8時過ぎてる事を知った。
亀井は救急室から、病室へと移っていた。
「もう少しいます…」
道重の言う事に、田中も黙って頷く。
「そうか。
ここからやったらバスで帰れるけど、田中はえっと…親戚の家で下宿やったかいな」
「はい。
電話したら、誰か迎えに来てくれると思うけん」
『あんたも一緒に帰るといいと』
横の道重に言うと、道重は『うん』と頷いた。


少しして、亀井の意識が戻った。
亀井の母に呼ばれて、ふたりは病室に入った。
「ウヘヘヘヘ、倒れちゃいましたよ?」
亀井のニヤケ顔を見て、道重は『もう〜』と軽く怒る。
ただ、ニヤケてはいるが見るからにぐったりしてるので、
それ以上何も言わなかった。
「ごめんね」
ふっと亀井の顔から笑みが消えた。
心細そうな表情なので、
「何も心配せんでよか。
ゆっくり休むと」
田中はそう言って掛け布団を掛けなおしてやった。
「田中さんは、博多の子なの?」
亀井の母の問いに、
「あ、はい。
チアやりたくて朝比奈に入りました。東京に親戚がおるけん、そこでお世話になってます」
「そう」
亀井の母が優しく微笑む。
929 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:40
「ね、お母さん。
ちょっと出ててもらえるかな」
亀井が急にそんな事を言い出して、3人は怪訝な顔をする。
「だーいじょーぶ。
絵里、もう発作治まったからー」
母は少し渋ったが、『何かあったらすぐ呼びなさいよ』と出て行った。
「なん?
わざわざお母さん出てもうて」
「あのね」
亀井があまり真面目な顔をするので、
「どうしたの、絵里」
道重は嫌な胸騒ぎがした。
「絵里、見たの」
「何を?」
「加護さんに中傷めいた内容の貼り紙、前にしてたでしょ。
その犯人かもしれない人、見たの」
「え…」
ふたりは呆然とする。
「なん?証拠でも…」
「絵里、今日保健室の前通ったら、『卒業生を送る会を中止にしろ』とか
加護さんと紺野さんを退学にしろ、って貼り紙してあったの」
「な…」
紺野の名前が出て来て、田中は目の前が真っ白になる。
「それで、絵里はその犯人かもしれない人の顔見たの?」
「うん。
あのね…高校の1年E組の…」
930 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:42
道重と田中は、俯いて病院を後にした。

あの後、また亀井に発作が出て、いても何も出来ない上、
時間も時間なので帰ることになった。
亀井は苦しそうに咳き込みながら、『ごめんね』とそれでも微笑み謝った。
亀井の母からは、『今日はごめんなさいね』とタクシーチケットを貰った。
初めて見る紙に、ふたりはちょっと目を丸くした。

「…お金持ちっていうのは本当っちゃね」
れいな、こんなん初めて見たと。
田中は道重の手のチケットを見て呟いた。
「亀井さんはお母さん似っちゃね」
「…うん」
道重があんまり静かなので、田中は逆に心配になる。
「どうしたと?
いつもなら、れいなをバカにしおるのに、あんたらしゅうない」
道重は何も言わず黙っていた。

タクシーに乗り込み、『朝比奈学園の中高の寮まで行ってください』と田中が運転手に告げる。
「こっからだったら、れいなちゃん家の方が近いよ」
「よか。あ、行ってください」
「どうしたの」
走り出して、道重は呟いた。
「なんか、あんたが心配っちゃ」
「貼り紙を貼られた紺野さんのが心配じゃないの?」
「それも心配っちゃけど…」
田中は言い淀み、
「とりあえず、この状態のあんたをひとりにするのは心配っちゃ」
と続けた。
931 名前:早春賦 投稿日:2009/05/14(木) 21:44
田中は伯母に連絡し、寮に泊まることになった。
「どうぞ。狭いけど」
ベッドのスペースを半分空けてやり、道重は横になった。
「なあ」
「ん?」
「あんた、亀井さんが言うとったヤツ、知っとる?」
「あんまり知らない。
ハマ校から来た人だから」
『ハマ校』とは、横浜にある朝比奈の姉妹校だった。
正式名称は『横浜朝比奈女子学園』だが、略して『ハマ校』と呼ばれている。
東京にある本校は幼稚園から大学までエスカレーター式だが、横浜の姉妹校は中学と高校のみだった。
亀井の言っていた人物は、成績優秀な為、高校から本校に編入していた。
道重も殆ど面識がなかった。
「そないに勉強できるのに、なして?」
「邪魔なのかもね」
天井を見つめたまま、道重は言った。
「え?」
「常にトップの人がいたら、邪魔だと思うのかも」
「加護さんと…紺野さんっちゃか」
それには答えず、道重は、
「電気消すね…」
ベッドサイドのランプも消した。

「にしても、卒業生を送る会をやめろって…」
「もう寝て」
「…ごめん」
田中は慌てて謝り、壁際に寝返りを打った。
『ふう…えらい一日やったっちゃ』
ふと暗闇に目を凝らすと、道重の方の布団が震えているのに気付いた。
「…絵里」
嗚咽も漏れている。
枕を抱え込み、道重は泣いていた。
「あんなに苦しそうなのに、…な、なにもできない」
田中はそっと背中を撫でてやり、
「…元気出すっちゃ」
掠れた声で囁いた。
932 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/14(木) 21:45
更新しました。
933 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 11:40
翌朝。

寮の部屋で静かに朝食を摂り、田中と道重は学校へ向かった。
「あ、ふたりとも」
体育館に入ると梨華がいた。
「今日、練習中止だって」
声を潜めて告げた。
『やっぱり』
田中と道重は黙って頷き合う。
「なんか、あたしも朝来たら岡村先生に中止だって言われて…」
梨華は眉をハの字に下げた。
「…とりあえず学食行かん?石川さん」
田中に促され、梨華は頷いた。

「なんか…ふたりともあまり驚いてないように見えるんだけど、気のせい?」
学食への道すがら、梨華がそんな事を言った。
道重と田中は思わず顔を見合わせる。
「前もって知ってたの?中止のこと」
「さすが石川さんなの。さゆが見込んだだけあるの」
何をっちゃ、と田中は小声でツッコんだ。
934 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 11:45
学食へ入ると、真ん中のテーブル辺りに新垣たちがいた。
「おっはよ〜…」
全員テンションが低い。
「なん?今日の中止のことみんな知っとうか?」
「さっき来た時、岡村先生に聞いた。
なんか…亀井ちゃん入院したってマジ?」
新垣に聞かれ、
「昨日救急車で学校から運ばれたの。喘息の発作なの」
道重が腰掛けながら答えた。
「そっか…。
てか、さゆみん、その場にいたの?」
「運ばれる時、稲葉先生に『一緒に来るか?』って言ってもらったから、
れいなちゃんと行ったの」
「うん…。
大丈夫かな、亀井ちゃん」
「さっき岡村センセー、すんげー勢いでガッコ出て行ったよな」
小川が思い出したように言うと、
「亀井ちゃんの病院に行くって言ってた。
お見舞い行きたいけど…行ったら迷惑かな」
新垣は困ったように少し俯いた。
「んー…どうだろう。
昨日もさゆたち帰る時、咳き込んでたし」
全員が困っていると、田中がふと
「あれ…紺野さんと加護さんは?辻さんも?
帰ったと?」
「それが…」
梨華がまた眉を下げる。
「あいぼん、朝早く学校から電話あって出掛けてったの。
何の用事かは分からないけど」
道重と田中は、確信したように目配せした。
「あさ美ちゃんも、なんやよー分からんけど、バタバタ出て行きおったやよー」
高橋が言うと、
「じゃ、愛ちゃん今日ひとりで学校来たの?」
新垣は目を丸くした。
「駅まではひとりで来たで。
ひとりで他校生が勝手に入ったら怪しまれるで、駅で里沙ちゃんとマコ待っとったがし」
「ああ…ごめん。
メール送ってくれたら時間合わせたのに」
新垣は素直に謝る。
「石川さんと辻ちゃんにたまたま会うたから、連れてきてもうたんや。
てか、あーし里沙ちゃんのメアド知らん」
「ああ…そっか。
じゃ」
新垣は自分の携帯を鞄から取り出し、高橋に見せた。
道重はその様子をちらっと見て、
『絵里…こっちも結構大変なことになってるよ』
と胸の内で呟いた。
935 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 11:48
「まったく、ムカつくのれす」
プンスカ怒りながら、席を外していた辻が戻って来た。
「いないと思ったら…どこに行ってたの?」
梨華が辻に座るよう促すと、
「のん、会議室の前で張ってたのれす」
「会議室?」
小川がきょとんとする。
「あいぼんとあさ美ちゃん、朝から会議室に呼び出されて、じ、じじょー…?」
「事情聴取?」
梨華のフォローに、辻が無意味に胸を張り、
「そうそう。
じじょーチャーシューれす」
「聴取」
道重がぼそっとツッコんだ。
「のんが会議室を覗いてたら、中から急に先生が出て来て怒られたのれす」
「…それは怒られると」
田中は猫目を物凄く細めて呟いた。
「で、何であのふたり呼び出しくらってんの?」
小川が切り出すと、
「…言うと?」
田中はちらっと道重の方を見た。
道重は黙って頷く。


道重と田中は、昨日のいきさつを説明した。
保健室の前の貼り紙の事。
亀井が、怪しい人物の顔を見た事。
936 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 11:56
ただ、道重は故意にその人物の名前を出すのは伏せた。
まだ犯人だと確定できない事と、更に同じ1年E組である小川の事と、
考えての事だった。


「絵里、発作で苦しかったのに、その人の事教えてくれたの」
「てか、大丈夫なんか。亀井ちゃん」
「多分すぐ退院できると思うの。絵里のお母さんがさゆたち、帰り際に言ってたの」
「いや、体もだけどさ、ハンニンらしきヤツのカオ、見たんだろ?」
小川に言われ、田中は
「あ」
と小さく声を上げた。
「今は病院いるからいっけど」
「分かりました。
絵里を絶対ひとりにしないようにするの」
道重は強く頷く。
「そうだね、誰かひとりは必ずついてた方が」
新垣も頷いた。
937 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:00
「は〜、やれやれ」
約1時間後、学食に加護と紺野のふたりがぐったりした顔で現れた。
「お疲れ…コーラ飲むか?」
小川が差し出す紙コップを受け取り、
「おおきに…あ〜、ウマ」
加護が心の底からうまそうな声を上げる。
紺野は無言だったが、疲労の色が浮かんでいた。
「あさ美ちゃん、大丈夫がしか?
ほら、お茶」
「…ありがとう」
烏龍茶のペットボトルを高橋から受け取って、心底ぐったりしたように腰掛けた。
「チョ、チョコ食べると?
れいな、持って来とるけん」
田中が慌てて、鞄からマーブルチョコの筒を取り出す。
「すみません、田中さん」
疲れていても、礼儀正しい紺野だった。
「おめーら、やっと解放されたんだな。お疲れ」
小川が労いの言葉を掛けると、ふたりは揃って首を振った。
「え?ちげーの?」
「昼から親呼び出しで再説教や。
今の間にメシ食って来いやと」
加護のうんざり顔の説明に、紺野もうんざり顔で頷いた。
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん」
「うわっ!」
加護が飛び上がるくらい驚く。
加護の父が、よそゆきのスーツ姿で立っていた。
「お父ちゃん!もう来たん!?」
「今度は何やらかしたんじゃい、このごんたくれが!」
加護父はゲンコツを娘のつむじに当て、ぐりぐりした。
「加護さんのお父さんっちゃか…こ、こんにちは」
田中が口火を切ると、一同は加護親子のテンションに若干引きつつ、
『こんにちは…』と遠慮がちに頭を下げた。
「このごんたくれのお友達やな。
どうも、うちのアホ娘が世話になって」
「ごんたくれ言うな」
「だーっとけ」
加護父と加護のやりとりに、一同はちょっと笑った。
「えーっと…うちの亜依と揃て呼び出しくらった子ぉて」
「わたしです」
紺野はそっと手を上げた。
「あんたか。
紺野さんやったかいな」
「はい。
おじ様、今日は奈良からですよね。
お疲れ様です」
「ほんまお疲れ様やわ。
このアホ娘のせいでな」
加護父は娘のお団子頭をぴろーんと引っ張った。
「アホ娘ちゃうわ!
うちかてワケ分からん理由で呼び出しくらっとんねん!」
「オレかて朝っぱらからワケ分からん理由で奈良から呼び出し食らっとんねん」
親子の応酬に、笑ってる場合ではないのだが、みんなそっと笑った。
938 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:03
「おっちゃんもチョコもうてエエか?
朝早よう呼ばれてな、ハラ減ったわ」
「あ、はい。
どうぞ」
田中はマーブルの筒を加護父に渡した。
「おっちゃん、パンもあるけど食べると?」
田中は菓子パンの袋を加護父に差し出した。
「おや、あんた九州の子ぉか。
おっちゃん、朝メシもロクに食ってへんからな。よばれるわ」
礼を言い、加護父はパンの袋を開けた。


「加護父、マッチョでカッコいいの」
加護親子と紺野が再び会議室へ向かうと、道重が呟いた。
「え?あんた、ああいうのがタイプっちゃか?」
「あいぼんのお父さんは、税理士さんれすよ」
辻からの情報に、
「税理士…ますますタイプなの」
道重は目を輝かせた。
「あんたのタイプ…正直分からんと」
田中の呟きに、新垣は強く頷いた。

939 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:04
「しかし、なんでこんな無意味な貼り紙をするかね」
小川の呟きに、
「…貼り紙だけじゃないの」
道重が言った。
「え?シゲさん、何か知ってるんか?」
「学校の裏サイトに、それ以上の事が書いてあるの」
「裏サイト?なんじゃそりゃ?」
「なんかのホームページと?」
小川と田中のふたりが揃ってポカンとする。
「ふたりともあんまりネットしないんだ」
新垣の問いに、ふたり顔を見合わせる。
「ガキさんは見たことあるの?」
「1回だけね」
「田中、おめー、ネットすんの?」
「れいな、機械オンチやけん、携帯がやっとと」
「…あー」
「なん?心底『やっぱりね』みたいな目で見んでくれるとか?」
道重を軽く睨み、田中は『ネットがなくても生きていけるけん』と強がった。
「で、その裏サイトがどうしたがし?」
高橋が言うと、
「その裏サイトっていま見れるとか?
てか、携帯から見おるんか?」
田中が自分の携帯を弄ろうとする。
「―――見ちゃダメ!」
普段の道重からは考えられないくらい、必死の形相で止めた。
「な、なん…?
パケ代のことなら心配せんでも…」
携帯を手に、田中はぎょっとする。
「見ない方がいい」
新垣も言った。
「え?
別に、学校に関する事が書いとうだけやろ?」
「…それならいいけどね。
知らないのなら、ずっと知らない方がいい」
「はぁ?
れなだけハブかい?」
「まあまあ」
年長の高橋が止めに入る。
「石川さん、どう思うがし?」
高橋に意見を求められ、梨華は
「そのテのものは、手を出さない方がいいよ」
優しい言い方ではあったが、大人として止めた。
「なん?
別に大した事ないやろ…あ、あった」
検索して、すぐヒットしたようだった。
道重が『バカ…』と呟く。
940 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:07
数分後。

田中は携帯片手に泣き出した。
「れな…れな、なんもしとらんのに」
泣きじゃくる田中の背中を、新垣がさすってやる。
朝比奈の裏サイトには、田中の悪口が散々書かれていた。
道重と新垣が止めたのは、それを知っているからだった。
「誰や…こんなん書きおるん」
「だから見るなって言ったの」
道重が『もう〜』と田中の手から、携帯を取り上げる。
ボタンを操作して、最初の待ち受け画面に戻した。
待ち受けは、この前のダンスレッスンでみんなで撮った写真だった。
それを見て、道重は何とも言えない気持ちになった。
「…ひでえな」
自分の携帯で、小川は件のサイトを確認し、呟いた。
「のんの事も書いてるのれす。
あいぼんとえっちしたとかなんとか」
「はぁ!?」
「この下れす」
辻に指示され、小川は画面をスクロールさせる。
「またこんなジジツムコンな」
「事実れす」
「…え」
「あいぼんと、ホテル行ったれす」
いきなりの告白に、一同シーンとなる。
941 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:08
「えっと…辻ちゃんと加護ちゃんは、付き合ってるがしか?」
高橋が頭の中を整理しつつ問うと、
「付き合ってるとかは分かんないれすけど、えっちはしたれす」
一同更にシーン。
梨華は物凄く遠い目になり、『いつの間に…』と呟く。
「え、えっと…。
てか、なんで、それを知ってる人が」
誰も知らなかったら、書き込みとかない筈だし。
新垣が冷や汗たらしつつ尋ねると、
「事実がどうであれ、勝手にそういうのを書き込む人がいるの。
さゆみがブスとか。けしからんの」
道重の具体例にちょっと首を傾げたが、新垣は
「まあ、どうかと思うよね。こういうの」
「ガキさんは何で知ったの、このサイト」
「あー、クラスの女の子たちが見て騒いでたんで、ちょっと見たって感じかなー。
それから見てないけど」
「里沙ちゃんは?
里沙ちゃんはこういうの書き込んでへんか?」
「へ、あたし?
いや、興味もないし、書き込む気もないけど」
「良かったがし。それでこそ、あーしの里沙ちゃんや」
高橋は嬉しそうに新垣を抱きしめた。
昨夜の紺野との約束は、ちっとも守られていない。
「ちょ、愛ちゃん。
苦し…」
「れいなちゃん?大丈夫…」
梨華が田中の顔を心配そうに覗き込むと、
「…許せんっちゃ。
こんなサイトぶっ飛ばしちゃる!」
椅子から立ち上がり、テーブルをばん!と叩いた。
「具体的にどうするの。
仮に閉鎖に追い込んでも、また時間置いて同じようなのが出来る可能性があるの」
道重の言う事も尤もだった。
「あんた、こげな事書かれてハラ立たんとか!?
『道重ブス』とか『さゆデブ』とか」
「…そこまで見たの」
「いや、れいなよりある意味多いと」
「まあ、ハラは立つけど死ぬ訳でもないし」
「れなは許さんっちゃ!」
田中と道重の温度差のある言い合いに、他のメンバーはハラハラして成り行きを見守った。
942 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:11
昼過ぎに、田中と道重は並んで学校を出た。
「さゆ、絵里のお見舞い行くけど、どうする?」
「ん、行くと」
ふたりは病院に向かうルートのバス停に向かって歩く。
「さっき、ごめんね」
田中の顔を見ずに、道重は言った。
「構わんと。
あんたが止めてくれおったのに、れいなが勝手に見たのが悪いっちゃ」
「うん」
道重はそっと田中と手を繋いだ。
「なん?
仲良しみたいっちゃ」
田中がニヒヒと笑った。
「友達なの」
道重も照れくさそうに笑う。
943 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:13
「あ、さゆ〜!」
亀井は思いの他、元気そうだった。
誰かのお見舞いなのか、ベッドから起き上がりマンゴープリンなんか食べていた。
「れーなちゃんもありがとうね」
「れな、ついでみたいやん」
田中は笑って、『元気そうでよかったと』と続けた。
「お見舞いなの」
道重は、途中のコンビニで買った『花とゆめ』を差し出した。
「あ〜、ありがとう!
もー、携帯も使用禁止だから絵里退屈だったの」
「ゆうべ苦しんでた人とは思えんっちゃ」
「あー、夜中はしんどかったけどねえ。
明け方なったら薬も効いてきてぐっすり寝れたよ」
病室のドアが開いた。
亀井の母よりは上くらいの、こざっぱりした格好の女性が入って来た。
「あれまあ、絵里ちゃん。
お友達がお見舞いに来てくれたのね」
「こんにちは、カメさん」
『こん人がカメさんか…』
道重が挨拶するのを横目に、田中はじっと亀井家のお手伝いさんのカメさん(51)を見つめた。
「さゆみちゃんと…」
「田中れいなっす。
亀井さんの一年下の後輩っす」
いたって体育会系な挨拶をする。
「え〜、絵里でいいよお」
「そう?」
「じゃ、マンゴープリン食べてもらおうかしらね。
何か飲み物も買って来ないと。
絵里ちゃん、しんどかったら呼びなさいね」
「はあい」
カメさんが出て行った後、
「あん人が噂のカメさんか…」
田中が呟いた。
「やだ、カメさん噂になってるの?」
亀井はケラケラ笑う。
「いや、昨日電話で絵里の家ん人呼び出す時、さゆが『カメさんも出掛けてる!』とかなんとか言いおるから」
「まとめて呼び捨てなの」
「え?」
「いま、『さゆ』って言ったよね?」
「え、あかんかったと?」
「別にいいの」
道重は無表情だったが、とりあえず許可が下りて田中はホッとする。
ふたりを見て、亀井はいつも以上にニヤニヤし、
「いい雰囲気ですね〜、おふたりさん♪」
『ヒューヒュー!』と茶化した。
「は、ハァ?
なんで、さゆなんかと!?」
「『なんか』なんて失礼なの」
「ご、ごめん」
「れーなちゃんは尻に敷かれるタイプっと」
「掌にメモするフリすんのやめてくれんと?」
944 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 12:19
カメさんが戻って来、『家の用事もあるから一旦帰りますよ?』と病室を出て行った。
ごゆっくりと言われ、田中と道重は頭を下げた。
「ああ、そうだ。絵里」
道重は思い出したように言った。
「ん?」
「今日、加護さんと紺野さん、呼び出された」
「…そっか」
「ダンスレッスンも中止になったと」
「朝、岡村先生来たんでしょ?」
「うん、面会時間じゃなかったから、カメさんにお見舞いだけ渡して帰ったみたい」
さっきのマンゴープリンがそうだよ、と亀井は傍らの空容器を指した。
「あんまり長居すると絵里疲れるから、さゆ達そろそろ失礼するの」
「あ、そうっちゃね。退院したらまた知らせると」
「えー、帰っちゃうのー」
道重の袖を握って亀井がダダをこねてると、
「…すみませ〜ん」
ドアの隙間から、こそっと新垣が顔を覗かせた。
「あ、ガ〜キさ〜ん!」
亀井がベッドからぶんぶん手を振る。
「あ、うん。
元気そうでよかった。
あ、コレ。
みんなからお手紙ね。
じゃ、帰るよ」
「え!?
ガキさんまで!?
てか、面会時間10秒!?」
「ゆうべ発作起こしたんでしょーが。
てか、さっきナースステーションで容態聞いて、起きれてるっていうから来たのよ」
ダメだったら手紙だけ預けて帰るつもりだった、と新垣は言った。
「ちょうどよかったの。
一緒に帰るの」
「そだね、帰ろ」
「まなな、絵里。
しっかり養生すると」
「…え〜」
さびしんぼ亀井は、ちょっとぶすくれた。
945 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/15(金) 12:19
更新しました。
946 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 21:14
「差し入れに来たのに、会長いはらへんかったな〜」
光井愛佳は、手作りの巻き寿司(図案は何故かカタツムリ)の入ったバスケットを覗き込み、
体育館のそばで独り言ちていた。
昨夜、田中が3年の道重と寮に入って来るところを見てたので、
朝一番に寮で渡しておけばよかったと後悔する。
「結構作って来たから、愛佳こないに食べられへんわ〜」
光井が困っていると、同級生の久住小春が何だか楽しそうにスキップして現れた。
「あ、ちょうどええ人が。
おーい、久住さーん」
「あ、みっつぃ!
どうしたの?」
久住は光井に気付いてこちらに向かって来た。
「ええ。
愛佳、田中さんにお弁当差し入れしよ思て持って来たんですけど、
体育館誰もいまへんねん。学食にもおらんし」
「へえ?
今日休みとかじゃない?」
「ん〜…せやのかな〜」
ふたりで話していると、高校の校舎から大学の留学生、ジュンジュンこと李純が出て来た。
レザーのバッグを肩から提げ、颯爽と歩いている。
「あ、あれジュンジュンだよ。
おーい、ジュンジュン!」
「敬称無視かいな」
光井の言う事など気にせず、久住はぶんぶん手を振った。
「ドウシタダ」
顔見知りなので、ジュンジュンはちょっと笑顔を見せた。
「ジュンジュン、何してんの?」
敬称略な事を特に気にせず、ジュンジュンは
「ジュンジュン、中高ノ図書室デ春休ミバイトシテルダ」
と答えた。
「そうですのん。
愛佳、昨日図書室行ったのに気付きませんでしたわ」
「図書室ノ奥ノ作業場ニ篭ッテデータ入レテルカラ、無理ナイダ」
「ジュンジュンさん、パソコン使わはるんですねえ。すご〜い」
「すご〜い」
よく分かってない久住も声を上げる。
「あ、せや、ジュンジュンさん。
お腹空いてはらしませんか」
「腹ペコダ」
「これ、ようさん作ったんで、よかったら食べてください」
光井はバスケットから巻き寿司を出し、ラップにくるんだそれを更にビニール袋に入れて手渡した。
「ウマソウダ。イイノカ、ジュンジュン貰ッテ」
「ええですええです」
「小春も食べたいよ〜」
「久住さんの分もありますさかい。食堂でも行きましょ」
「ジュンジュンモ行クダ。
学食デリンリン、待ッテル」
947 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 21:17
道すがら、3人は色々話をする。
「ジュンジュン、何でバイトしてんの?」
久住の問いに
「留学、オ金カカル。
自分ノ身ノ周リノオ金クライ、自分デ稼グダ」
「ジュンジュンえら〜い!」
久住が屈託なく拍手し、光井も
「親孝行の鑑ですな」
と頷く。
「ソレト」
ジュンジュンは、やけにもじもじしだす。
「なになに?」
光井も口に出さなかったが、興味津々に久住と顔を寄せる。
「ジュンジュン、今度リンリントディズニーランド行ク約束シタダ」
「ええですね〜。これからもっとぬくくなりますし、きっと楽しいですよ」
愛佳もディズニーランドでポップコーンとか食べたいですわ〜、と光井はふにゃっと笑った。
「アー、楽シミダ。
イッパイ遊ンデ、日ガ暮レル時、観覧車フタリデ乗ルダ」
ニコニコして聞いていた光井が、『ん?』という顔になる。
「あの…ジュンジュンさん」
「ナンダ」
「残念なお知らせなんやけど…ディズニーリゾートってランドもシーも、観覧車あらしませんねん」
「―――マジデカ!?」
ジュンジュンは元々大きな目を見開いた。
「あ、小春聞いたことある。
なんかー、ディズニーランドって夢の国だから、中で遊んでる時、外の世界が見えちゃいけないんだって。
観覧車って高いトコ行くから外、見えるじゃん?
だから作んないんだって」
「…ソウナノカ」
ジュンジュンはガッカリ感を全身で漂わせ、肩を落とす。
「久住さんの言う通りですねん。
やから、とりあえずディズニーランド行かはって、別な時に観覧車ある遊園地探して行かはったらええですやん」
「光井、オマエ賢イナ」
「そうだよ、みっつぃ、小春のクラスで一番なんだよ、トップなんだよ」
自分の事のように、久住は威張った。
光井は『やめてんか』と照れて手を振る。
「久住ハ何番ダ?」
「小春?
んーとね、ビリから二番!」
全然悪びれず、久住は『イエーイ!』とピースした。
948 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 21:24
学食へ向かうと、ジュンジュンと同じく留学生のリンリンこと銭琳が、
お茶を飲んで手を振っていた。
「待ッタカ?」
「ウウン、オ疲レ様デス」
中学コンビにもリンリンは、
「コンニチハ」
と律儀に笑顔を見せる。
「今日ダンスレッスン、取リヤメナッタヨ」
リンリンの発言に、光井は
「え!?」
と目を丸くする。
「リンリン、ステージスタッフノ会議ジャナカッタノカ」
ジュンジュンが言うと、
「ソレモナカッタ…」
リンリンが笑いつつもちょっと俯いた。
リンリンは、他の付属高校3年生とともに、『卒業生を送る会』のスタッフとして
参加している。
彼女の様子がおかしいので、ジュンジュンは母国語で何か囁き、肩を抱き寄せた。
「うお!オトナだね!オトナの世界だね!」
久住は目を輝かせて興奮する。
「久住さんは長生きしまっせ」
「そう?
あ、実家がお寺だとそーゆーの分かんの?」
「いえ、一般論ですわ」
中学生がこんな会話を交わしていると、
「確定ジャナイケド…今度ノ卒業生ヲ送ル会、中止ニナルカモシレマセン」
リンリンは光井たちにそう告げた。
「えー!?マジでー!?」
久住と違い、大声こそ出さなかったが、光井も衝撃を受ける。
「な、なんで!?」
「詳シクハ言エマセン…ゴメンナサイ」
リンリンはすまさなそうに頭を下げる。
「いえ、気にせんといてください。
リンリンさんのせいやないですし」
「そうだよ〜!
きっと校長が悪いんだよ!」
「確定ですかいな」
「ソウダゾ、リンリン。
気ニスルナ、モウ帰ロウ」
彼女を促し、ジュンジュンは席から立った。
「モウ帰ルダ。
オ寿司、アリガトウダ」
「いえ…お気をつけて」
ふたりはしょんぼりしつつ、留学生コンビを見送る。
ジュンジュンはリンリンの肩を抱いて、出て行った。
「普通にカップルじゃん」
「いやまあ、分かりませんけど…にしても、愛佳、すんごい楽しみにしてたんやけど」
「小春もだよ。
はあ、なんでだろ?予算?」
「ん〜…せやったら、最初から計画立てまへんやろ」
中学コンビは首を傾げるのだった。
949 名前:早春賦 投稿日:2009/05/15(金) 21:27
―――朝比奈学園中高寮。

風呂から上がり、頭にバスタオルを巻いてロビーの傍を歩いていた光井は、
「ただいまー」
帰宅した道重を捉まえ、
「ちょ、ちょっと先輩来てください!」
腕を取って引っ張って行こうとする。
「な、なに?」
下駄箱の近くで慌てて靴を脱ぎ、道重は光井について行った。
連れて行かれた洗濯室では、ごうごう音を立てて洗濯機が回っていた。
「なあに?
さゆ、お風呂入りたいの」
「す、すんません。すぐすみますさかい。
あのですねえ」
「うん」
「『卒業生を送る会』が中止になるかもってマジですか?」
道重の表情が強張る。
「誰から聞いたの?」
「い、いえ。
噂なんですけど」
『これはリンリンさんの名前を出さない方がいいな』
光井は道重の表情を見て、そう悟った。
「余計な事を、言いふらさないの。
さゆから言うのはそれだけ」
「はあ…すみません。
あ、あと」
「まだあるの?」
「ゆうべ田中さん、来はりましたよね」
さっきの強張った表情とは違い、道重の顔は若干朱が差したようになる。
「うん、来たよ」
「いや、道重さんと仲ええんや〜って思て」
「友達なの」
「そうなんですか。
すみません、ヘンな事聞いて」
「ううん。じゃ」
先に洗濯室を出て行く道重の横顔が、光井には気のせいか赤らめて見えた。
950 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/15(金) 21:30
更新しました。
951 名前:早春賦 投稿日:2009/05/18(月) 23:17
―――その夜。中澤家。

梨華は、溜息をついて居間のテレビを見ていた。
昼間の事に気が行って、テレビの内容は全然頭に入っていない。
「どしたん、梨華ちゃん」
吉澤がやって来て、床にあったリモコンを拾ってテーブルの上に置いた。
「いえね…」
梨華は、今日一日の怒涛のような出来事を話す。
辻加護がいつの間にか大人の階段をダッシュで駆け上がっていた事。
『卒業生を送る会』がピンチな事。
田中が泣いた事。
母校がどうも大変な事になっている事。
『送る会』のメンバーの亀井が緊急入院した事。
話が加護と紺野が保護者コミで呼び出された事に差し掛かった時、
「そーいやー。
ぼんのとーさん、今日来たんだっけ」
「うん、ひとみちゃんが帰って来るのとちょうど入れ違いで帰られたけどね」
「へえ」
「明日も先生と話し合いだって、あいぼんのお父さん」
梨華はまた溜息をついた。
「なんか、わかんねーけど、ややっこしそーだなー」
「…うん」
「てか、ぼんのとーさん、こっちに泊まらんの?」
娘の部屋に泊まるのでは?という吉澤の疑問に、
「うん、裕ちゃんもそう言って引き止めたんだけど、うちが女所帯だし、
ホテルで溜まってる仕事も片付けるからって言って」
「そっか。大変だね」
奈良から時間を割いて来るのだけでも大変だが、夜は仕事を片付けて、
翌朝また娘の学校へ。
社会人経験のない、学生のふたりが考えても気の毒だった。
952 名前:早春賦 投稿日:2009/05/18(月) 23:23
―――その頃。クライム出版編集部。

「斉藤、ちょっと来てくれ」
「はい」
編集長に呼ばれた斉藤瞳は、資料を自分の机に置いて上司の所へ寄った。
「はい?」
「4階に異動だ」
「は?」
「6月からウチで新しい雑誌を立ち上げる。俺とそこへ移れ」
「え、異動の話って…」
「荷物まとめておけ」
「え…でも、北海道に行くかもしれないって言われましたが」
「新雑誌のメインに村田を持って来る。お前以外の、誰が面倒見るんだ」

斉藤はしばらく唖然としていたが、
「…何からまとめようかしらね」
早々と自分のデスクに戻り片付け始めた。


片付けが一段落ついた頃、斉藤は村田に電話を入れた。
先日の事があって少し躊躇はしたが、仕事に関する事なので思い切って掛けた。
『何?』
仕事中なのか、そっけない返事だった。
「異動が決まったわよ」
『…何処?』
「今のビルの4階」
『…マジ?』
「しばらくは、東京にいる事になりそうよ」
『うん』
「よろしくお願いしますよ、村田先生」
『分かりました』
半分マンガに気を取られているのが、携帯越しの声でも分かった。
電話を切って、斉藤は長い息をつく。

『…ちっとも優しくなんかないし、この世で一番愛してくれる訳でもないし。
義理の妹にしか気持ちはないし。
恋人としても生涯の伴侶としてもホント最低だけど』
『アンタのマンガをこの世で一番理解できるのは、このあたしだと思う』
斉藤は書類を揃え、しばし感慨に耽った。
953 名前:早春賦 投稿日:2009/05/18(月) 23:26
一方。

村田は実家にいた。
斉藤からの電話を切り、今手掛けてる原稿に視線を戻す。
『アンタ、あゆみちゃんが好きなのね』
自分たちが義理の姉妹だと話した夜、斉藤は眠りに就く前にそんな事を漏らした。
ひどい恋人だと自分で思う。
どうして斉藤は自分を好きなのか。
たまに疑問には思うが、自分なりに彼女の気持ちは受け止めてるつもりだ。

眼鏡を外してレンズを洋服の袖で磨いていると、下でインターホンの音が聞こえた。
「なんだ、こんな時間に客か?」
階段の上から顔を覗かせると、妹がリビングから出て来て、ドアを開けた。
「ごめん、こんな時間に」
客は、大谷だった。
村田の表情が変わる。
「あ、めぐみさん。
いらしたんですね」
大谷と視線が合い、
「ワタシ、メグミジャナイヨ」
と、うさんくさい発音で喋った。
「おねえ。
ちょっと来て」
妹がまじめくさった顔で言うので、仕方なく降りて行く。
楽しい集いではなさそうなのは、明らかだった。

リビングに入ると、既にお茶の支度がしてあった。
カップも来客用だ。
大谷は予め、来る事を知らせていたようだった。
「すみません、お忙しいのに」
まず大谷が頭を下げる。
「仕事中なので、手短にしてもらえると有難いけどね」
「は、はい」
「で、なに?話って」
妹が切り出そうとすると、
「てか、マサオのアパート行けば?あんたたち」
「え?わざわざ来てもらったのに?」
「マサオもアウェーよりホームのが話しやすいっしょ」
姉の意図がもうひとつ分からず、妹は恋人の顔を見る。
「…そうしようか」
大谷は、立ち上がった。
「すみません、あゆみを借ります」
「どうぞ」
「ちょ!ちょっと待ってよ!」
慌てて靴を履き、妹は恋人の後をついて行く。
確かな歩みで、大谷は暗闇を振り返らず歩いて行った。
それをキッチンの窓から見て、
「…長い夜になりそうだな」
村田は小さく呟いた。
954 名前:早春賦 投稿日:2009/05/18(月) 23:28
大谷のアパートに着いて。
柴田は茶の間の座布団に三角座りをして、膝を抱えていた。
「…あゆみ」
大谷がゆっくり口を開く。
「なに?
もうあたしの事、嫌いになった?」
大谷は首を振る。
「あたしが…あゆみに嫌われるかもしれない」
「なにソレ」
柴田は眉を顰めた。
「あたし…スウェーデンにデザインの勉強しに行くよ。
来月向こうに行くから。2年は帰って来ない」
柴田は顔を合わせないまま、三角座りしている。
やがて、
「30分時間をちょうだい」
スラッと寝室に続く襖を開けて入って行った。


30分待てと言われたが、大谷は1分で開けた。
暗闇の中で顔を上げ、柴田は
「早いよ!
30分…待てって言った、でしょ!」
泣きじゃくりながら、大谷の胸を叩く。
「30分も待てないくせに、2年も行けんの!?」
「あゆみの泣いてる声聞いてて、我慢できっかよ」
「バカー!」
ドンドン、ドンドン胸を叩き、柴田はわあわあ大泣きする。
955 名前:早春賦 投稿日:2009/05/18(月) 23:31
翌朝。

始発電車が出る頃、柴田は家に戻った。
泣き腫らした顔で、ドアを開ける。
「おかえり」
姉が待っていた。
「…あゆみちゃん」
たまたま原稿を取りに来ていた斉藤も、ただ事ではない様子に気付いたようだった。
「おねえ、知ってたの?」
姉は無言で頷いた。
「どうして…」
「あたしが言ったところで、しょうがないじゃん。
行くのはマサオなんだから」
「う…うえ」
妹が泣き出しそうになるので、斉藤は背中をさすってやる。
「行かせてやんなよ。
こんなチャンス、もう二度とないよ?
それともアンタ、自分の我侭で恋人の人生潰すよーな、つまらん女なの?」
「…村」
姉はそれだけ言うと、階段を上がって行った。
斉藤は自分の胸で泣きじゃくる妹をなだめながら、『…困ったことになったな』と考えた。
956 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/18(月) 23:33
更新しました。
957 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 00:36
柴田が大谷のアパートにいる頃―――。

市井は後藤がバイトしてる、クラブ風焼き鳥屋に現れた。
カウンターで後藤が、客のリクエストで掛けたレコードを片付けていると、
「はぁい(はあと)、真希ちゃぁん!」
後藤は心底寒々しくなり、なるべく目を合わさないように作業に集中した。
「て、オイ!
無視かよ!」
「んあ〜、ご注文どーぞ」
心から面倒くさそうに告げると、
「いつもの」
市井はニヤケ顔でオーダー。
後藤はカウンターの奥に引っ込み、ごそごそしていたと思うと、
「どーぞ」
とミルクをなみなみついだデュラレックスのグラスを、どんと市井の前に置いた。
「て、オイ!」
「お酒は体に悪いよ〜?」
「タバコを吸いながら言うな。
てか、食い物屋で店員がタバコってありえねえ」
「しょーがないじゃん、そゆのがウリの店なんだから」
BGMには、市井ですらよく分からない、マニアックなレゲエが掛かっている。
「リクあったら、聞くよ?」
と、後藤なりの優しさを見せる。
「いや、リクはいいけどな、終わったら付き合って」
「なんで?」
「いや、ちょっと相談。圭ちゃん関係で」
「んあ」
了解、という意味の『んあ』だった。
958 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 00:42
「で、何さ。
相談って」

深夜の3時過ぎに後藤のバイトが上がり、ふたりは朝7時までやってる飲み屋に移動した。
「お前、こんな時間まで働いてんの?てか、電車動いてねーだろこんな時間」
「電車動くまで時間潰してから帰ってる」
「へー」
後藤はホットのゆず酒を注文し、ちびちび飲んでいた。
「けーちゃん、なんかあったの?」
後藤が本題に触れると、
「ん、いや。
なんかさー、ここんとこ圭ちゃんヘンで」
「けーちゃんがヘンなのは前からじゃん」
物凄く失礼なことを言い、後藤は市井のビールを勝手に飲む。
「いや、お前、『エリカ』って知ってる?」
「いちーちゃんの昔のオンナ?」
「いや、アタシが付き合ってたのは『エリナ』…て、そうじゃなくてー」
市井がノリツッコミをした。
「『ミヨシエリカ』ってオンナ、知んね?」
フルネームを市井が告げた途端、後藤の表情が変わる。
「もしかして…みーよ?」
「おま、知ってんの?」
「いちーちゃん、覚えてないの?
みーよっていたじゃん、うちらの学校…小学校なん…年だったかなー。
ホラ、解体クラブってうさんくさいクラブあったじゃん」
「あー…あったなー」
市井もやっと思い出したようで、遠くを見つめるような目をする。
「なんかあの子そこでビデオデッキとか分解してさー。
いつの間にか転校して来て、いつの間にかいなくなってたじゃん、みーよ」
「あー」
「いちーちゃんにちょっと似てたよ」
そこまで言って、後藤は『あ』という顔をする。
「いた!
この前!」
「な、なに?」
市井は後藤の様子にちょっと引いてしまう。
「ホラー、いちーちゃんがどんくさくて、アンプ部室に置きっぱでうちらガッコに取りに行ったことあったじゃん」
「どんくさいは余計だ」
「そん時、ぶつかった人!
みーよだよ!アレ絶対!」
「ほうお〜」
「みーよ、東京に戻って来たんだよ!」
「じゃ、ソレまで何処行ってたん?」
「分からぬ」
「へ?」
「でも、なんか確か…北海道?か行ったってせんせーゆってたよ」
「ふうん」
「で、みーよがどしたん?」
「ん?いやねー、どーも圭ちゃんがそのみーよちゃんと関係あるようで、
アタシ圭ちゃんのおかーさんに電話した時、それとなく聞きだしたのよ」
「そんな事してたの」
「ああ、カオリちゃんに先電話して、みーよちゃんの事聞いてね」
「ふうん」
「で、なんとみーよちゃんは昔、千葉に住んでたそーです。
しかも圭ちゃんの実家そば」
「え」
後藤は無表情でびっくりする。
長い付き合いの市井だからこそ心得ている表情で、目が若干揺らぐのだった。
959 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 00:45
「まあ、時期的に、うちらのガッコに転校して来る前っぽいけど、小4くらいまでいたらしーです」
「そう…」
「ネグレストって知ってる?」
市井に言われ、
「無視?」
後藤は顔を上げた。
「まあ、本来の意味はそうだけど、いわゆる『虐待』ってヤツ」
市井が何を言わんとしてるのか何となく掴めてきて、後藤は目を伏せた。
「ひどいモンだよな、育ち盛りの子供に親がロクにメシ食わさないって」
「うん…」
「千葉に住んでた時、近所だった圭ちゃんのお母さんが見るに見かねて、
みーよにメシ食わせたり、面倒見てたんだって」
「なんで東京に来たの?」
「さあな。
親の都合じゃねーの?」
「…みーよ、今どうしてんの?」
「それがですね」
市井はぴっと人差し指を上げた。
「なんと、今度うちらの大学を受けるそーです」
後藤は目を丸くした。
普段からは考えられないくらい驚きすぎなので、
「ちょ、オマエ驚きすぎだから」
と市井に笑われる。
「受験?それはまた…」
「いやねー、みーよちゃんがロクな生活を送ってないので、
圭ちゃんのお母さんが勧めたそうです」
「ロクな生活って…」
「一応自分でコンピュータ関連の職業って言ってるらしーけど、
実質ハッカー紛いの事で生計を立ててるようで」
「ああ…」
後藤の『ああ…』がどういう意味合いを込めてるのか、市井には薄ら分かった。
納得とか、過去の友人(尤も、そう思っていたのは後藤だけだが)が
そんな道へ進んだ事への呻きなど、様々な物が込められていた。
「けーちゃんのおかーさんは、足を洗わせよーとしてんの?」
「まあ、そうでしょうね」
「すごいね、けーちゃんのおかーさん」
「ああ。
圭ちゃんがああいう風に育ったのが分かるっつーか」
ふと目の前のグラスを見ると、ゆず酒が殆ど残っていなかったので、市井は
「おかわりするか?
今日は奢ってやるぞ」
優しい声を出した。
「…うん」
後藤は少し笑って、
「すいませーん」
と店員を呼んだ。
960 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 00:50
その日の朝。

朝比奈でのダンスレッスンは中止のまま、進展がなかった。
梨華は辻ととりあえず学校に行ったが、やはり中止だと先に来ていた新垣に告げられ、
「そっか…」と肩を落とした。
高橋は今日も紺野が先に行った為、新垣、小川と連絡を取ってここに来た。


「2日連チャンで説教て。
あさ美ちゃん可哀相がし」
行くところがないので仕方なく立ち寄った学食で。
高橋が少し怒ったような顔で言うと、
「あいぼんも、おじさんと朝っぱらから呼び出しれす」
辻が続けた。
「ちーす」
田中が学食に現れる。
「おはようなの」
道重も一緒だった。
「あれ?
ふたり一緒に来たん?」
新垣が不思議そうな顔をすると、
「ば!た、たまたまやし!」
「そうなの。たまたまなの」
焦る田中に対して、ひとつ年上の余裕か、道重は割合冷静に答えた。
「なんだおめーら、最近仲いっな」
頬杖をついて、小川がニヤニヤふたりを見る。
「な、なに言うとう。
たまたま寮に泊めてもうたり、たまたま絵里のお見舞い一緒に行ったりしただけっちゃ」
「たまたまが多いがし」
高橋に言われて田中は『あ!』という顔をする。
「れいなちゃんは、いいお友達なの」
道重コメントに新垣は
「へえー」
と反応する。
「さゆは、リードしてくれる人が好きなの」
「エッチをか?」
高橋の素の質問に、新垣は赤くなり無言でバシンと高橋の腕を叩いた。
「里沙ちゃん痛いがし」
涙目で高橋は自分の腕をさする。
「もう〜何言ってんのこのヒトは!」
「ああ〜、よかったがし。
ここにあさ美ちゃんおったら、絶対『晩ゴハン抜き!』って言うがし」
「じゃ、アタシがかわりに言うよ。
愛ちゃん、晩ゴハン抜き!」
「え〜!?
ちょ、里沙ちゃん!」
ふたりの掛け合いを見て、田中は道重に
「なん?
あのふたり、やけに仲良くないっちゃか?」
と耳打ちする。
「うん…」
道重は、戸惑いつつも頷いた。
961 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 00:54
一方。

「困った事になりましたね…」
「ああ…」
加護と紺野は、顔をしかめながら、会議室を出て玄関に続く廊下を歩いていた。
「いや、参りましたな」
「ええ」
加護の父と紺野の両親も、そんな会話を交わす。
「加護さんのお宅は、奥様がいま」
「ええ、5月に産まれる予定ですねん」
「まあ、大変ですね」
保護者たちの会話を、娘たちはちらっと振り返って聞く。
「お母様は、大丈夫ですか?
お父様がずっと東京にいらして」
「奈良の実家の近くに親戚もおるし大丈夫や」
「そうですか」
娘たちの会話に、
「で。
キミたち、どうするの?」
加護の父が、わざと標準語アクセントで話し掛ける。

加護と紺野が保護者つきで呼び出されたのは、学園からの横浜校編入の勧めだった。
本校でこれだけトラブルがあるのだから、思い切って姉妹校に編入してはどうか。
教職員や理事達の意見に、呼び出された一同はぽかんとした。
『今なら4月の新学期に間に合うように手配する』
『編入に必要な諸経費も今なら相談に乗る』
畳み掛けるような商談を思い出し、
「『今なら』『今なら』て。
うちの娘はテレビ通販のおまけかっちゅーねん」
加護の父のうんざり顔の言葉に、紺野はぷっと吹き出す。

「しかし、あれですな」
加護の父が切り出す。
「この学校、正直、経営やばいんとちゃいますやろか」
ああ、と紺野の父も納得する。
「確かに。
今年からまた学費も上がるようで」
「え…そうなの?」
紺野が言うと、加護は『親御さんにはやっぱタメ口やねんな』とヘンなところで納得する。
「まあ、心配すんな。
俺が何とかしたる」
娘の頭をわしゃわしゃと撫で、加護父は
『行きましょか』と紺野の両親を促した。
962 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 01:00
光井愛佳は久住小春を誘って、学校の図書室を訪れていた。

図書室奥の書庫が開いたかと思うと、ぬっと長身の女性が現れる。
ジュンジュンだった。
「おわ!?ジュンジュンさん」
「オッス」
ジュンジュンは、頭にペイズリー柄の赤いバンダナ、
無印で買ったっぽいベージュのエプロン、軍手、マスクとフル装備だった。
笑いながら、マスクを外す。
「まあ、かなりの装備ですね」
「書庫ノ作業ハ汚レルカラナ。コレクライハ必要ダ」
ジュンジュンの手には雑巾とハタキもある。
ふたりが話してる横で、久住は書架から取り出したマンガを読んでいた。
ジュンジュンが作業に戻ったので、光井は久住の横でマンガを選ぶ。
一冊のマンガに手をかけ、じっと見つめているので、久住は
「借りるの?」
と声を掛ける。
「いえ、愛佳ね、『犬夜叉』の26巻と『グッドモーニング・コール』4巻予約してますねんけど、
前に借りてる人が延滞してはって、なっかなか来ませんねん」
「へ、へえ〜…」
ふっと顔を逸らして久住は『やっべ〜…』と心の中で言った。
気がつくと、光井が何かブツブツ言っている。
「な、なに?」
「延滞してるヤツに呪いかけてますねん。早よ返せて」
『こ、怖!』
久住は危うく手にしてるマンガを落としそうになる。
『て、てかお寺の娘が呪いなんかかけていいの!?
そんなたかだかマンガくらいで!』
該当するマンガを延滞してる張本人――久住はびくびくしながらマンガを書架に戻す。
「あ、久住さん…」
司書の先生に声を掛けられ、久住は
「は、はひっ!」
と声を裏返させる。
「…予約してる本、入ったわよ」
同じマンガの延滞者と次の予約者、セットで目に入ったので、
さすがに空気を読んでくれ、先生は苦笑しつつ別な用件を切り出した。
「久住さん、何予約してましたん?」
光井がおっとり声を掛ける。
「ハ、ハリー・ポッター!」
「ええですねえ」
久住はカウンターで本の貸し出し手続きをしてもらい、先生に微苦笑込みで
「あっちも…お願いね」
とそっと囁かれる。
963 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 01:08
のそっとジュンジュンが奥の作業場からブックトラックを押して
開架ゾーンに現れ、本の配架を始める。
光井と久住がその様子を見ていると、ジュンジュンが配架する横で、
片っ端から本をわざと並び替える生徒がいた。
書架に向かって左端から1巻、2巻、3巻と並んでる本を、
右から1巻、2巻、3巻と並び替えるような地味な悪戯だった。
ジュンジュンはムッとし、片っ端から並べ直す。
直す端からまた並び替え。
上巻・中巻・下巻とあれば下・中・上。
『ガガガガガ!』『カカカカカ!』
効果音にするとこうだった。
地味な攻防は続く。

「な、なんだろアレ…」
久住はその攻防を見て冷や汗を垂らす。
「さあ…一種のラブ・アプローチとかやおまへんか?」
該当の生徒は、心なしか生き生きしている。
やがて生徒は飽きたのか、別の書架へ移動した。
「勝ッタ」
ジュンジュンはニッと笑い、楽しそうに配架を再開する。
「あの人、なんですのん」
光井はそっとジュンジュンに尋ねた。
「アイツ、イツモソウダ。
ジュンジュンノ仕事邪魔スル」
「…鉄板ですな」
光井が呟いていると、ふたりがいる書架の裏側から
『ギャー』という悲鳴が響いた。
ジュンジュンは飛んでいってその悲鳴の主を助けてやる。
さっきの地味な悪戯の生徒だった。
別の書架で上の方の段にある文学全集を地味に並び替えしてるうちに、
本がまとめて上から降ってきたのだった。
落下を免れた本は書架の右端から1巻、2巻と地味に嫌な配列となっている。
「あ〜あ…そないな事するから」
光井が呆れていると、ジュンジュンが本をどかして、
その生徒が起き上がるのを手伝ってやった。
「大丈夫カ?ケガナイカ?」
顔の近くで笑顔込みで言われ、生徒はぽっと赤くなる。
「…ますます惚れさせたね」
いつの間にか横にいた久住の言葉に、光井は頷く。
「本ヲ戻スノ手伝ッテクレ」
ジュンジュンに言われ、生徒は従順に手伝いを始める。
「…手なずけたね」
「…ええ」
ふたりはゆるい笑顔でその様を見ていた。
964 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 01:16
「あれ?」
別の書架に行こうとし、久住が立ち止まる。
「あれ、にぃーがきさんだよ」
久住の言うとおり、新垣と高橋が廊下を歩いているのが窓から見えた。
「ほんまでんな。高橋さんでしたっけ、一緒におる人」
「うん、紺野さんの友達だよね」


「学校案内してくれるなんて嬉しいがし」
高橋は嬉しそうに笑う。
ふたりは学食を出て、ヒマなので図書室へ向かう事にした。
「いやー、愛ちゃんずーっと体育館か学食だったから、
ロクに校内見てないっしょ。ここが図書室だよ」
中に入ると、ジュンジュンが書架の整理をしていた。
「オオウ、ニガキ、元気カ?」
「ジュンジュンさん!?何してんですか?」
「バイトダ」
「バイトっすか…」
「マブイギャル連レテンナ、ニガキ」
マブイギャル、という単語がツボに入り、高橋は『アヒャヒャヒャ!』と笑う。
「あの、そういう日本語誰に習ったんですか?」
「川´・_o・)σ< 川 ´^`) 」
「||c|;-e-)|<…あ〜」
新垣は納得、という顔をし、
「行こ、愛ちゃん。
愛ちゃんの好きな歴史の本、こっちにあるよ」
と高橋を促した。
「ジュンジュンさん、バイト頑張ってください」
「オウ。デートカ、ニガキ。ヤケルナ」
「は?友達を学校の中案内してるだけですけど」
「学校デートカ、青春ダナ」
「ひゃっひゃっひゃ!ジュンジュンさん最高やわ」
また高橋のツボに入り、笑いすぎて司書の先生に注意された。
965 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 01:34
「愛ちゃん、歴史上の人で尊敬する人とかっている?」
「あーし?中大兄皇子や」
「マジでー?」
歴史の資料が並んだ書架の所で、ふたりは楽しそうだった。

―――光井と久住は、『家政婦は見た!』のように物陰からふたりの様子を覗き見ていた。


「僅か滞在20分で、色んなドラマがありましたな」
光井が言うと、
「ええ、まったく」
久住は深く頷く。
光井たちが図書室を出て行こうとすると、件の地味な悪戯の生徒が
ジュンジュンの後ろに回り、
「残念おっぱい!」
と胸部を両手で掴んでいた。
「オマエ何スルダ!」
ジュンジュンの怒号が響く。
光井と久住はゆるく微笑み合い、そっと図書室を後にした。
966 名前:早春賦 投稿日:2009/05/19(火) 01:37
新垣が高橋とぶらぶら本を探していると、
「あ、あれガキさんじゃん」
斜向かいの書架から、誰かの声がした。
友人かと思い新垣が顔を上げる。
他のクラスの、顔見知りではあるがさほど親しい子ではなかった。
「なんかガキさんが一緒に連れてる子、キレイくない?」
とその子の連れの少女が言った。
高橋も聞こえてるが、特にスルーしている。
「ガキさんもさー、髪切ったりしてっけど、全然色気ないよねー」
「言えてるー。オンナっ気ゼロっていうか」
談笑に混じる自分の噂話に、新垣は寂しそうに笑う。
「…里沙ちゃん?」
高橋に顔を覗き込まれ、
「あ、うん。
ごめん、行こうか」
と我に返って明るく微笑んだ。


「気にする事ないがし」
図書室を出て、高橋は開口一番言った。
「なに?」
「15やそこらでオンナっ気ぷんぷんしとったら、気色悪いわ」
高橋がうへー、という表情で言うので、新垣は思わず吹き出した。
「なんやー、なんで笑うがしー」
「アハハ、だってー」
愛ちゃんヘン顔するしー。
新垣がきゃはははと笑ってると、
「笑っとる方がいいやよ」
高橋の大人びた微笑みに、新垣はちょっと目を奪われた。
967 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/19(火) 01:37
更新しました。
968 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/19(火) 23:27
愛ガキがいい感じだ(*´Д`)
969 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:40
「いやいやいや」
学食で小川がバン!とテーブル叩いて立ち上がった。
「こんなトコでダラダラしてても始まんね!
てか、どっか練習できるトコ借りてやんね?」
「気持ちは分かるけど、一体どこで?」
梨華は言ってからしばし考え、
「あ…」
「センセー、どっか知ってんの!?」
梨華の表情に、小川は身を乗り出して食いついた。
「のん、何となく分かるれす」
辻がニッと笑う。
「え、ドコドコ?」
小川の勢いに、少し離れた席で話していた田中と道重も話をやめて梨華たちを見た。
「公園なんだけどね」
梨華がニッコリ笑うと、辻は
「だよねー」
と同意した。

『リサちゃん、早く帰って来て〜(はあと)
イシカワせんせーが話あんだって』
高橋を伴って学校案内に出掛けた新垣に、小川はこんなメールを送った。
約10分後、新垣が高橋と帰って来る。
「なに?
あの気色悪いメール」
開口一番、新垣は小川に顔をしかめて見せた。
「『リサちゃん』って」
新垣は物凄く嫌そうな顔をする。
「んだよー。
愛ちゃんが呼ぶのはイヤがんねークセにー」
「マコっちゃんは明らかにキショがらせようとしてるからヤなの。
で、石川さん。お話ってなんですか?」
「あのね、マコっちゃんが言ってるんだけど、ダンスレッスン、
この学校で出来ないんなら、自主練しないかって」
「ああ、自主練」
新垣が納得、という顔で頷く。
「で、あたしの家の近所に大きな公園があるんだけど…どうかしら?」
「その話、ノッたで」
「勿論参加させて頂きます」
ようやっと説教から解放された加護と紺野が学食に現れる。
「オマエら、やっと帰れんの?」
「おお、後は天に運を任すわ。
善は急げや、行こ、梨華ちゃん」
加護が珍しくやる気になっている。
隣で辻はちょっと目を見張った。
970 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:41
梨華は今日、辻を乗せて車で来ていた。
朝比奈の近くのコインパーキングに止めていたのだ。
公園の場所を知ってる辻・加護と、ジャンケンして新垣と高橋が電車で向かう事になる。
「石川さん、運転上手なの」
後部座席の道重が褒める。
「コーナリングがスムーズっちゃ」
道重の隣に座ってる田中も頷く。
「ひゃー!寒ぅ!」
助手席の小川が嬉しそうに窓を開ける。皆のブーイングを浴びた。
「しかし…岡村先生に無断でやってもいいものでしょうか?」
紺野の疑問に、
「ええんちゃう?岡村やし?」
田中がバッサリ斬った。


公園で電車組と合流し、練習を始める。
夕方6時過ぎからやっていたら、いつの間にか矢口が来ていた。
「てかオマエらー、オイラ仲間外れかよー」
「やぐっつぁん!」
田中が矢口に駆け寄る。
「おう、れいな。
メールありがとな」
「え、矢口さん、田中ちゃんとメル友なんですか?」
石川の問いに、
「ああ。
てか、亀井ちゃん入院したんだって?」
「あ、もうすぐ退院できそーってメールきたの」
道重情報に、矢口は
「そっか、よかった」
と安心する。

「矢口さん、店は?」
「岡田ちゃんとみっちゃんに任せて来た。
てか、れいなにメールで『公園でやる』って聞いてソワソワしてたら
みっちゃんに『行って来い』って言われてさー」
「そうですか、それなら…」
梨華と矢口が会話していたら、
「あーし、曲かけやるやよー」
と高橋が志願してきた。
「どれからやるがし?」
高橋がラジカセをベンチに置き尋ねると、
「よっしゃ!最初からな!」
矢口が拳を突き上げた。
971 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:43
それから途中休憩を挟み、みっちり練習は行われた。

8時半を過ぎた頃矢口は
「閉めの作業あっから、とりあえず戻るわ」
と『お疲れー』と帰って行った。
「お店やってると、大変っちゃね」
田中の呟きに、
「れいなちゃん、いつの間に矢口さんとメアド教え合ってたの?」
よほど気になるのか、梨華が尋ねて来る。
「ああ、この前やぐっつぁんが朝比奈来た時やけん。
なん?気になると」
「いやー、気が合ったのかなーって…」
梨華が何となく、首を傾げてると、
「そろそろわたし、失礼します」
紺野が腕時計を見て声を掛けて来た。
「ああ、帰ろっか」
小川は新垣と高橋の方を見た。
「駅まで送ってあげる」
梨華が大人の気遣いを見せている中、
「あんた、どうすると?」
「寮が今日9時門限だから、微妙なの」
田中と道重が話し合っていた。
「よかったら、ふたり今日あたしの家に泊まる?」
梨華が声を掛けると、ふたりは
「え、あ…いいと?」
「ありがとうなの」
戸惑いと喜び、様々なものを見せて返事した。

辻加護が田中と道重を連れて帰り、その間梨華は、小川たちを車で送ってやる。
「あ、愛ちゃん。
この後予定ある?」
小川の問いに、
「へ?別にないやよ?」
高橋がきょとんとして返事する。
「あ、紺野。
ちょっと愛ちゃん、この後借りてい?
里沙も一緒な」
高橋と新垣は怪訝な表情をしつつ、
「う、うん…」
と頷く。
「愛ちゃん、あんまり遅くなったら…」
紺野が言うと、
「あ、もしアレだったらアタシん家泊まってもらっていーし」
小川が明るい顔で提案する。
「…いいんですか?」
小川の勧めに、若干渋々ながら紺野は同意した。
そのやりとりをルームミラー越しに見て、梨華ハンドル握りつつ
「青春ね」
と微笑んだ。
972 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:43
紺野たちを送って、梨華は帰宅する。
既に道重と田中は居間でお茶を飲んでいた。
辻加護はふたりを待たせて、風呂に入っていた。
「おかえり。
えらい、若いお客さんで」
オマエの友達にしてはと、裕子が居間のふたりを指して笑った。
「うん、道重ちゃんが朝比奈の寮生だからね、門限とかあるし」
「おかえりなさいなの」
「お茶とお菓子よばれてるっちゃ」
ふたりは居間から廊下の梨華に挨拶した。
「石川さんのお姉さん、すっごく美人なの。
美人姉妹なの」
道重が頬を紅潮させて、やや興奮気味に言う。
裕子は、
「褒めてもなんも出んで」
と照れながらも、
「コレも食べ」
とピーナッツ煎餅を出してやる。
「こんばんはー」
玄関先で、飯田の声がした。
「ごめんなー。
この前石川に貸したマンガ、急に必要になってさー」
「ああ、それなら今ありますから取って来ます。
居間ででも待っててください」
「ああ、サンキュ」
梨華が2階の自室に取りに行ってる間、飯田は居間に入って行った。
「お、辻加護の友達?」
見慣れない子たちがいるので、飯田が微笑みかけると、
「美人なの!」
道重が急に立ち上がって、飯田の前に立った。
「あ、ありがと」
飯田が笑って礼を言うと、
「でもさゆの方が可愛いの」
飯田は微笑みつつも、頭に『???』と浮かぶ。
「でもお姉さん、美形なの」
「ど、どうも…」
「さゆ、お姉さん引いてるっちゃ」
田中が座ったままふたりのいるドアの方を向き、助け舟を出す。
「あなたたちは、辻加護のお友達?」
「朝比奈の後輩っちゃ。
田中れいなです、付属中の2年っす」
「同じく道重さゆみなの。
中学3年なの」
「い、飯田圭織でございます。
中澤ハイツの住人で、美大におります」
道重に抱きつかれ、飯田は面食らってヘンな自己紹介をする。
「美人はいい匂いがするの」
「…変態っちゃ」
田中はぼそっと呟いた。
973 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:45
飯田がマンガを返してもらい、帰宅したのと入れ替わりに、吉澤が帰って来る。
「ちーす」
風呂から上がった辻加護から客が来ていると聞き、居間のドアを開け、にょにょっと顔を出した。
「今度は王子様なの!」
道重、絶好調。
頬を赤らめ、ドラマティックに立ち上がった。
食べていたピーナッツ煎餅がぽろりと落ちる。
田中は慌てて煎餅を拾った。
「よお。ワンバンコワンバンコ」
「王子様なのに気さくなの!」
道重目線では、吉澤の周りに大昔の少女マンガ風にバラと点描が飛んでいた。
しかし実際の吉澤は、よく分からない聞いたこともないようなメーカーのヘンなパーカーに、駅前のスーパーで買った特価1580円のジーパンだった。
しかも靴下にデカイ穴が開いていた。
「ひとみちゃん…靴下」
梨華の指摘に、吉澤は
「穴カッケー!」
と叫ぶ。
田中は目が点になり、しょっぱい顔になる。
「王子様なのに靴下に穴!
飾らないの!」
道重はひとり盛り上がる。
「飾らなすぎや」
加護があっちゃーという顔でツッコむと、
「よっちゃん、またそれ履いてるれすか?この前捨てる、そろそろ捨てるって言ってたのれす」
辻が頭にバスタオルを巻いてひょいっと顔を出した。
974 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:46
「お風呂よばれましたなの」
道重は廊下ですれ違った裕子に、頭を下げる。
「おう。
ゆっくり休みや、何もあらへんけどな」
「ありがとうございます」
襖を開けて、仏間に入って行く。
田中が布団の上に座り、イヤホンで音楽を聴いていた。
ふたりは何処で寝るか梨華たちと審議した結果、一番広い仏間に布団を敷いて寝ることになった。
「よう」
田中はイヤホンを外し、布団から道重を見上げた。
「先に寝てていいって言ったのに」
道重は自分の布団に入り、横になった。
「いや、人ん家やから寝れんと」
「案外デリケートなんだ」
フフッと笑って、道重は
「電気消すね?」
と蛍光灯の紐に手を伸ばした。

静かな時間が流れ、ふたりはたまたま手を伸ばしたら、相手の手に触れたのでなんとなく繋いでみた。
照れくささに、田中がこらえきれず笑う。
道重は膨れるフリをして、やっぱり笑う。
「立派な仏壇やね」
寝たまま頭を少し上げ、暗闇の中にある黒檀の仏壇を見て、田中が呟く。
「うん…」
道重は眠いのか、生返事のように言う。
「あんた、もう眠いとか?」
「起きてるよ」
「寝てよかよ」
田中はおかしそうに言い、布団を掛け直してやった。
「おやすみ。
れいなも寝ると」
田中が布団にもぞもぞ潜ると、ややあって、顔に何かくすぐったい感触があった。
髪の毛だと気付いた時には、道重の顔が上にあり、彼女が自分のさらさら流れる髪を押さえていた。
道重の唇が田中のそれにそっと触れる。
「…仏様の前でこんな事して、バチが当たるの」
「…本当っちゃ」
田中は小さく呟き、道重の髪に触れた。
手を繋ぎ、ふたりはそのまま眠りについた。
975 名前:早春賦 投稿日:2009/05/20(水) 23:49
一方。

梨華に自宅近くの公園で降ろしてもらい、小川は高橋と新垣を目の前に立っていた。
「なによ、マコっちゃん。ハナシって」
アタシもー眠いんだけどー。
新垣が冗談めかして言う。
高橋は何となくイヤな予感がしていた。
「いや、悪ィ。
あのさ、里沙」
小川が切り出そうとすると、
「マコ!やめ!」
と高橋が慌てて止める。
「なんで?
愛ちゃん、もう明日帰っちまうんだろ?
時間ねーし、ちょうどいいじゃん」
「なに…?」
話が見えない新垣が、顔をしかめて言う。
「何も今日、今やなくてもいいがし!」
「愛ちゃんも、どうしたの?」
新垣が高橋の顔を見る。
高橋は、気まずそうだった。
「里沙」
「はい?」
「オマエ、愛ちゃんと付き合えよ」
新垣の顔から、表情がなくなる。
高橋は慌てて、新垣の顔を覗き込んだ。
「な、なんで…」
ようやっと言葉が出て来て、新垣が小刻みに震えだす。
「なんで、マコっちゃんがあたしにそれを言う、の…?」
「里沙ちゃん!」
「どした…里沙?」
「―――バカー!!」
思い切り叫んで、新垣は公園を飛び出して行った。
「ちょ里沙!?」
「―――アホ!アホマコ!」
小川に向かって叫び、高橋は慌てて新垣の後を追った。
976 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/20(水) 23:52
更新しました。

ダンスレッスンをした公園は、花見したりぼんが家出したりしてるアノ公園です。
977 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 16:33
「里沙ちゃん!待つがし!」
駅で、高橋はやっと新垣に追いついた。
膝に手を置き、
「あんた…足、早やすぎやわ」
荒い息で言った。
「どうして…」
新垣は泣き顔だったので、高橋に見えないように逸らした。
手の甲で涙を拭い、鼻を啜る。
「好きな子ぉを放っとけんやろ、こんな時間に」
新垣を促し、
「おなか空いてへんか?
なんか食べよ?」
と煌々と灯りがついたファーストフードの店に連れて行った。


「落ち着いたかの?」
向かいで黙々とハンバーガーを食べる新垣に、高橋は笑顔を見せる。
新垣は黙って頷いた。
「それ食べたら帰るがし」
高橋の言葉に、新垣は首を振る。
「なんでや」
「家に、帰りたくない…」
高橋が眉を顰める。
「い、家に帰ったら、絶対マコっちゃん待ってるもん…。
あたしが泣いたの気にして、あたしが帰るまで、絶対部屋で待ってる」
新垣は涙声になり、手の甲で目元を拭う。
高橋は難しい顔をし、
「そこまで分かってて。
ひどい子やね、あんたは」
突きつけるように言った。
新垣はまたぼろぼろ泣き出した。


「あーしと来るか?」
しばしあって、高橋が言った。
「え…?」
「家に帰りたないんなら、あーしと来るか?」
高橋の言葉に、新垣は
「…うん」
と頷いた。
978 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 16:41
連れて来られた場所は、赤羽のビジネスホテルだった。

「愛ちゃん…こんなトコ知ってんだ」
ロビーで新垣がきょろきょろ辺りを見渡して呟く。
「ヅカ見に来る時、友達とよう使うがし」
「へえ」
高橋は宿泊者カードに名前を書き込み、支払いを済ませた。
「あ、お金…」
「後でええ。
寝巻き、ソコにあんのひとつ取り。
枕と」
言われた通りカウンター前の棚からパジャマと枕を手に取り、
新垣は高橋とエレベーターに乗り込んだ。

「愛ちゃん、トシ、ごまかして書いてなかった?」
エレベーターの中での新垣の問いに、
「…見とったんか」
高橋が顔をしかめる。


部屋に入ると、
「わあ」
新垣が歓声を上げた。
「二段ベッドだ!」
広めのベッドの枕元上に、垂直の方向に梯子つきのロフトベッドがあった。
「運よく取れたがし。
キャンセルがあったんやと」
無邪気にはしゃぐ新垣に苦笑しながら、高橋は自分のヒップバッグを机の上に降ろした。
「お風呂、先入っといで」
「…え。愛ちゃん、先、入んなよ」
「あーしは後でええ」
「…うん」
高橋の様子に戸惑いつつ、新垣はパジャマを持ってバスルームに入った。


シャワーを浴びながら、新垣は
『愛ちゃん…あたしの事、コドモだと思ってるだろうな』
と考える。
昼間、図書室で知り合いの子に言われた事をフォローしてくれた事。
さっき公園で、小川が自分に言おうとしたのを止めてくれようとした事。
すぐ追いかけて来てくれた事。
ぼんやり考え、新垣は
「…どうしたいんだろ、あたし」
と小さく声に出した。
979 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 16:43
新垣と入れ替わりに、高橋はバスルームに消えた。
新垣は待ってる時間を持て余すのでテレビをつけてみる。
ベッドの上に三角座りし、膝の上に顎をのせ、リモコンで次々番組を替える。
ようやっとテレビ東京のスポーツ番組に落ち着いた頃、高橋が出て来る。
「あ、上がったの?」
「ええ湯やった」
言い方がオッサンくさいので、新垣はリモコン手に吹き出す。
「やだー、オヤジー」
「…ちょ、やめてや。
ただでさえ、女子高生連れてるオヤジの気持ちが分かるような気分やから、
自分で押し止めとるがし」
「え?」
「いや…コッチの話。
なあ、里沙ちゃんて」
「なに?」
「あんた、ついて来たはええけど、どういう事か分かっとるか?」
高橋の問いに、
「…子どもじゃないもん。
それくらい分かるよ」
新垣はふっと俯いて答えた。
「ええのんか?」
「いいよ」
ふたりはしばし見合った。
980 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 16:45

静かだな。
高橋に脱がされながら、新垣はそんな事を考えた。
丈の長いワンピースタイプのパジャマは、ボタンを外すとあっけなく相手に胸をさらした。
高橋は慣れてるのだろう。
新垣の長い髪を枕元にまとめ、肩や首筋に愛撫を始める。
「綺麗やで…」
枕元の灯りを消してほしいと、新垣は少し顔をそらし、きつく目を閉じて思った。
胸に手をあてがわれ、震えが走る。
「や…」
「可愛い胸やな…」
囁くように言い、高橋は先端を咥えようとする。
「…イヤ!」
高橋の肩を強く押し、新垣は身を捩った。
「…里沙ちゃん?」
「いやだ…いやだよお」
新垣は身を起こし、泣き出した。
高橋は呆然としていたが、
「…ごめん、ごめんな」
抱き寄せて、頭を撫でた。
981 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 16:48
「…ごめんね、愛ちゃん」

しばらくたって、高橋に腕枕をしてもらっている時、新垣が言った。
「気にすることないがし」
あの後、パジャマのボタンも留めてもらい、子供をあやすように慰めてもらった。
「里沙ちゃんがまだ中学生やいうこと、あーしもっと配慮すればよかったんや」
「あ、あたしが悪いんだよ!」
「違う。
これは年上の責任や」
言葉は厳しいが、高橋の瞳は優しかった。

「愛ちゃん…こういう事しよって思ってたんなら、どうしてビジネスホテル…」
「あーし、ラブホは好かん」
「行ったことあるんだ。慣れてんだね…」
新垣が言うと、高橋は少し慌てたように
「あのな、里沙ちゃん。
あーしもう17やで?」
「…17でもちょっと早いと思う」
「そうかー」

「エッチイコールラブホって都会の子ぉは凄いやよ」
「…17で『ラブホは好かん』って言ってるほーが凄いと思う」
高橋の腕枕をそっと外し、新垣が寝返りを打った。
「あんな、里沙ちゃん」
「なに?」
新垣は顔だけ高橋の方に向けた。
「あんた、大人になったらもっとべっぴんさんなるわ」
「なに、急に」
高橋が真面目な顔で言うので、新垣はちょっと笑って高橋の方に向き直る。
「あんたは自分が女らしくないのを気にしとるようやけど、
少なくともあーしをそそるくらいは色気あるがし」
「は、はあ」
「まだ早かったんや」
高橋がまた優しい瞳になる。
「え、えっと…」
「あーしじゃ、役不足やった」
「え…」

「もう寝。
今日はもう何もせんがし」
「…うん」
新垣は目を閉じた。
瞼の裏が赤くなったが、すぐに眠りに落ちた。
982 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 16:53
翌朝。

高橋と新垣はホテルを後にした。
新垣は自分の分は支払うと粘ったが、高橋は『いい』と突っぱねた。
「好きな子ぉに何もあげれんかったんやし、これくらいはさせるやよ」
高橋は寂しそうに笑う。
「愛ちゃん…」
あたし、振られたってこと?
新垣は真っ直ぐ高橋の方を見た。
「違う。
あーしがフラれたんや」
「……」
「年上やのに、気を配ってやれんかった。
恋人として失格や」
「それは、あたしのせい…」
新垣が最後まで言い終わらないうちに、高橋は新垣の顎に手をやりキスをした。
「愛ちゃん…」
「さ、早よう行きシンデレラ。
王子様がそこまでガラスの靴を持って迎えに来とるがし」
朝の光が、優しく微笑む高橋の背後から差していた。
それはとても眩しい光景で。
大人になっても、いまのこの人を覚えていよう。
新垣は思った。
「ありがとう、愛ちゃん。
あたし、ちょっとだけ愛ちゃんのこと好きになった!」
泣きそうなのを我慢し、新垣は笑顔で手を振って走って行った。

「やれやれ。
ちょっとだけがしか」
彼女の姿が見えなくなるまで手を振り、高橋は苦笑しつつ呟いた。
「さーて。
あーしも行くがしか」
頭をかいて、踵を返す。
「…とりあえず、あさ美ちゃん怒っとるやろな。
あれから連絡せんかったし」

「…ヅカもしばらく控えなな」
ホテル代が痛かったらしく、独り言ちて、高橋は朝の光を手を翳して眩しく見上げた。
983 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/22(金) 16:55
更新しました。
984 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 21:51
その日の午後。

「ウヘヘヘヘ、退院ですよ?」
亀井は嬉々として、病室の荷物をまとめていた。
検査の結果、退院が決まり、今日帰れることになった。
母や、お手伝いのカメさんも来てくれている。
「アラ、あらあらまあ」
病室の外で、ゴミを捨てに部屋を出ているカメさんの声がする。
亀井はドアからひょいっと顔を覗かせた。
「…高橋さん」
「退院やてな。おめでとう」
高橋は笑顔を見せ、手にしていた花を亀井に手渡した。
「ちょうど良かったわ。退院祝いや」
「…どうして?」
花を受け取りつつも、亀井は少し怪訝な顔をする。
「今日福井に帰るがし。さよならを言いに来たやよ」
「え…」
亀井の母はその様子を見ていたが、
「下の喫茶店にでも行ってお話しして来たら?
お父さん、まだ迎えに来ないし」
と娘たちを促した。

「お花、ありがとう」
喫茶店で、運ばれて来たレモンティーに口をつけ、亀井はとりあえず礼を述べた。
「水はやったらあかんよ」
「へ?」
亀井はきょとんとする。
「プリザーブドやし」
「ニセモノって、こと?」
「まあ、生花を染めたりしとるから、本物とはちょっと違うな」
高橋は自分もコーヒーに口をつけ、くすくす笑う。
「そうなんだ…すごい、本物みたい」
傍らの、ひまわりを中心にしたアレンジメントを見つめつつ、亀井は感心する。
「あんた、喘息やって聞いたがし。
生花はやめといた」
さりげない気遣いに、亀井はちょっと自分が恥ずかしくなった。
そもそも、ずっと自分に対して態度が悪かった人間の見舞いに来てくれたことにも、
申し訳なくなった。
「あんた、あーしのこと嫌いやろ?」
苦笑しつつ、高橋は言った。
「き、嫌いじゃない、です」
ただ…と亀井がもごもご口ごもっていると、
「安心し。
あーし、里沙ちゃんとはアカンかったから」
「え?」
「少なくとも、あーしは里沙ちゃんの運命の相手やなかったって事や」
コーヒーに砂糖を足し、高橋は
「甘いがし」
と顔をしかめた。
「里沙ちゃんにあーしがちょっかい出しとったんが気に入らんかったんやろ?」
「……はい」
「正直やな」
ふっと笑い、高橋は自分の分のコーヒー代をテーブルに置いた。
「ごちそう様。先行くわ。
新幹線の時間があるがし」
「あ、ここは絵里が」
「構へん。
ライバルに貸しは作りたないし」
「へ?」
「いや、こっちの話。
じゃ、お母さんたちによろしくやよ」
店を出て行こうとして、高橋は
「あ、ひまわりの花言葉知っとるがしか?」
思い出したように言った。
「い、いえ」
亀井がふるふる首を振ると、高橋はニッと笑い、
「帰ってネットででも調べるといいがし」
と今度こそ出て行った。
985 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 22:03
その頃。

「てか、なんで見舞いに行かなアカンの」
「知らん仲でもないやろ。つーか、オマエ、いつからそんな薄情な娘なってん」
「うえー」
加護が父に引っ張られて、亀井の病室に向かっていた。
亀井は高橋が帰ってから病室に戻り、母たちと話していた。
「「あ」」
病室に入って来た加護と、亀井の声がカブる。
「加護さん…」
「よ、よう。元気?」
加護は緊張しつつ、片手を上げる。
「おじさまも」
「ああ、入院したて聞いてな。
おっちゃん、学校の用でたまたま東京来てたさかい」
「すみません、ほんとにわざわざ」
娘と一緒に、亀井の母が頭を下げる。
カメさんは『何かお飲み物を』と部屋を出て行った。
「奥さんも久しぶりですな。
旦那さんもおかわりなく」
「ええ、元気にしております。
それにしても、亜依ちゃんと同じ学校だったなんてね」
亀井の母が懐かしそうに目を細めるので、加護はきょとんという顔をする。
「え、亀井さんのお母さん、うちの事、知ってはるんですか?」
「何言うてんねん、おまえ。
ガキの頃、せんど遊んだやないか」
加護の父はまた娘のつむじにげんこつをぐりぐりさせた。
「無理ないですよ、昔のことですから」
亀井は苦笑し、加護を見た。
「え…」
「エリちゃんや。覚えてへんのんか」
「あ…」
加護の記憶が少しずつ蘇る。
遠い夏。自分のあとをこけながら追いかけてくる、ショートカットの女の子。
「え、ええええ!?」
「…やっと思い出したようやな。
ほんま勉強は出来んのに、肝心なことを忘れおる。
お父ちゃん、悲しいワ」
加護父は大げさに、涙を拭って見せた。
986 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 22:06
「ごめん…本当に忘れてた」
大人たちが病室で会話してる間、加護と亀井はロビーに移動した。
加護は申し訳なさそうに頭を下げる。
「もう、いいの」
「…え?」
「もう、過去の事なんだって、改めて思った」
亀井はサバサバした表情で言った。
「ずっと、好きだったの」
「……」
「でも、もういい。
絵里もう、あの頃の泣いてばっかしいる、弱い子じゃないもん」
「ありがとう」
不意に礼を言われ、加護は
「礼やなんて…ずっと忘れてたくらいやなのに」
「辻さんと、仲良くね」
「え…」
「知ってるよ、もうラブラブなんだって」
亀井に言われ、加護は頭をかく。
「別に…のんとは付き合ってるとか」
「でも、好きなんでしょ?」
「ま、まあ…」
「絵里のこと忘れてて、他の女のコにうつつを抜かしてたくらいだから、
うまくいかないと絵里、怒りますよ?」
ヘラヘラ笑い、亀井は
『あくしゅ』
と手を差し出した。
「これからもよろしく、センパイ」
「は、はあ」
「じゃ、戻りましょう。
そろそろうちのお父さん、迎えに来る頃だし」
握手の手を離して、加護は
『これは…ウチ、振られた事になんの?』
と少し困惑していた。
987 名前:早春賦 投稿日:2009/05/22(金) 22:17
『無事退院(はあと)
お見舞い来てくれてありがとね。
月曜に学校行くから!』

父が運転し、迎えに来てくれた車の中で、亀井は道重たちにこんなメールを打った。
ふと新垣に送ろうとし、
『ガキさん…高橋さんが「ダメだった」って言ってたけど、何があったんだろ?』
少し考えてやめた。

「ひまわり、ひまわり、と」
亀井は帰宅して早速、自室のノートパソコンでひまわりの花言葉を検索してみる。
「『あこがれ、私の目はあなただけを見つめる、崇拝、熱愛』…」

「…何を言いたかったんだろ、高橋さん」
亀井は首を傾げ、最後の方にあった『いつわりの富』『にせ金貨』という項目を見て
「失敬な」
と呟いた。
988 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/22(金) 22:25
更新しました。

前々回と前回分の訂正です。

>974

7行目

田中が布団の上に座り、イヤホンで音楽を聴いていた。 →田中が布団の上に座り、MDで音楽を聴いていた。

>984

下から11行目

ライバルに貸しは作りたないし →ライバルに借りは作りたないし
989 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2009/05/23(土) 22:44
いつもコッソリ拝見してました。実に面白い!
次回も楽しみにしています。
990 名前:早春賦 投稿日:2009/05/24(日) 03:09
その日の夕方。

三好絵梨香は、自宅マンションで仕事の依頼人に連絡を取り、作業に取り掛かっていた。
滅多に鳴らないインターフォンが鳴る。
元より知り合いなどおらず、来るといえば仕事に関する資料が宅配で届くくらいだ。
もっとも、それも添付つきのメールで済まされる事が殆どだが。
「はい?」
三好は一応用心しつつ、応対する。
テレビインターフォンの画面には、とろんとした目つきの少女が映っていた。
エプロンをし、何やら紙袋を持っている。
「…どなた?」
この前の喫茶店の店員だとすぐ分かったが、一応問うてみる。
『はあい、すんませ〜ん。
喫茶タンポポですけどお、出前に参りましたぁ』
聞いてると苛々しそうな喋り方だった。
「頼んでません」
そう言って切ろうとすると、
『え〜。
千葉の保田さんて方から、頼まれましてん。
三好さんに配達してくれて』
「…保田?」
『はあ、女の方でしたわ』
「…分かった」
オートロックを解除し、中に入れてやる。


991 名前:早春賦 投稿日:2009/05/24(日) 03:11
「あなた、あのタンポポとかいう店の人ね」
「へえ、アルバイトの岡田っていいます〜。
よろしゅうに」
三好宅に上がった岡田は、
「ええマンションですねえ」
と好ましそうに室内を見渡す。
「家の感想はいいから。
その出前置いて早く帰って来んない?
いくら?」
「あ、お代は保田さんから頂いてますぅ」
岡田は紙袋からがさがさ何か取り出しつつ答えた。
「…何をおっぱじめる気?」
「キッチンお借りしますねえ」
三好の質問には答えず、岡田は勝手にキッチンに入って行った。

―――10分後。

「…おたくの喫茶店は、出張して料理するの?」
リビングのカウンターテーブルに置かれた、サンドイッチの皿を目の前にして、三好は皮肉っぽく言う。
「いえ〜。料理てほどのことはしてませんし〜」
岡田は悪びれず、ニカッと笑う。
岡田はタッパーにハムや野菜、スクランブルエッグなどを詰めて来て、
一斤分の食パンをスライスしつつ、サンドイッチを作成したのだった。
「はい、ぬくいうちに飲んでくださいねえ」
ホットミルクの入ったマグカップもテーブルに載せ、勧める。
「千葉の保田さんからの依頼って言ってたけど…」
「ええ、言いましたよ」
岡田は顔を上げた。
「千葉のご出身で、そこの中澤ハイツに住んではる、保田さんからの依頼ですわあ」
三好の顔色が変わる。
「あんた…騙して」
「いえ、保田さんにこう言え言われましてねえ。
そう言うたらなんや保田さんのお母さんからや思て、勘違いして入れてくれはるやろて」
「…帰って!」
「ほな、おおきにい。
また明日来まっさあ」
「来なくていい!」
岡田は靴を履き、『バイナラ』とドアの隙間から手を振って帰った。
992 名前:早春賦 投稿日:2009/05/24(日) 03:13
―――喫茶タンポポ。

「ただいまあ」
出前を終えた岡田は、のんびり言いつつ帰って来た。
「お、岡田ちゃんど、どだった!?」
気が気でなかった矢口は、カウンターからダッシュして出て来る。
「へえ、ミッション68パーセントくらい成功ですわ」
『イエーイ!』と岡田はピースする。
「ろ、ろくじゅうはちぱー?」
「保田さんからの差し入れやバラしたら、激怒してはりましたわ」
手を叩いて思い出したようにウケる岡田。
「あんた、ダメじゃん。それ言っちゃ…」
矢口はヘナヘナと崩れ落ちる。
「ええ、でも。
勘付いたようでしたよ、頭エエひとですねえ」
「…はあ」
矢口は大きく溜息を吐いた。
「てか圭ちゃん、先払いで1週間出前してくれって…。
何考えてんだろ?」
「自分のカノジョの体調が心配なんやないですか?」
「いや、元でも現でもないよ、あのヒトは」
「分かるんですか?」
「オイラ圭ちゃんのカノ史だったら、ちょっとした年表書けるもん、年表!」
無意味に威張る矢口。
「へえ、じゃ、645年は何がありましたん?」
「645年はぁ、圭ちゃんが蘇我入鹿を暗殺して、大化の改新と呼ばれる子を持ったんだよ、てちげーよ」
そもそも誰も生まれてねーだろが、と矢口は岡田にビシッとツッコんだ。
「関東人にツッコまれるのもオツですわぁ〜」
「関東人て」


再び三好のマンション―――。
PCに向かっていると、携帯が鳴りほぼワンコールで三好は取った。
「はい?」
『例のヤツ、進んでる?』
電話の向こうの声に、三好は皮肉めいた笑みを浮かべる。
「困りますね。
こっちは、子供の遊びでやってるわけじゃないんですよ」
『…いくら欲しいの?』
「相場は100万だって言いましたよね?」
『あれくらいの仕事に?』
「10万でやれって、子供のおつかいじゃないんですよ。
まったく話になりませんね、それじゃ」
相手が何か言い立ててるのを無視して、三好は一方的に切った。
993 名前:早春賦 投稿日:2009/05/24(日) 03:17
翌日。

「なー。
なんでれいなら、登校しないかんと?」
この日は、付属高校と付属中3年以外は普通に授業があった。
短縮して通常6時間目まであるところを、5時間目までではあったが。
田中れいなはブツブツ言いながら、校門をくぐる。
この日はおかしな雲行きだったので、自転車は避けバスでやって来た。
「会長、おはようございます」
1年下の光井愛佳が挨拶して来た。
「お、愛佳か。
おはようっちゃ」
「田中サン、光井サン、オハヨウゴザイマス。
バッチリデス」
気がつくと、リンリンがジャージ姿でにこやかに挨拶して来た。
「あ、リンリンさんっちゃか」
「田中、光井サン、オハヨウダ」
同じようにジャージ姿のジュンジュンも一緒だ。
「ちょ(笑)。
愛佳だけ『さん』づけて(笑)。おかしいやろ!れな確かに年下やけど!」
「田中ハ田中ダ」
物凄く根拠のない事を自信たっぷりに言い、ジュンジュンは
「ジャアナ。
頑張ッテ学ブダ」
と田中のちっこい頭をわしわし撫でてリンリンと去って行った。
「なん?
れな、田中呼ばわりかい」
「あはは、気に入られてますねえ」
光井は朗らかに言った。
予鈴が鳴る。
「あ、そろそろ行くっちゃ」
8時20分の予鈴が鳴ったので、田中は光井を促す。
「あ、そうですね。行きましょか」
ふたりが下駄箱へ向かって進もうとすると、校門に物凄い勢いで久住小春が走り込んで来た。
口にはトーストだった。
「こ、小春!?」
「あ、たなはひゃん。
おひゃよーごじゃまふ」
「とりあえずトースト食べなはれ(笑)。
つーか、愛佳リアルでトーストくわえて登校するひと、初めて見ましたわ」
光井は『ひゃ〜!おかし!』と腹を抱えて笑い出す。
「すごくない?
小春起きたの7時59分なのに超ヨユーで間に合ったんだよ!」
「いくら隣町でひと駅やからてあきまへんで」
下駄箱に一緒に向かいながら、光井がたしなめる。
「でも本鈴の前には来れたじゃん!」
「すごかね〜…てか、小春の制服、トーストのくずだらけっちゃ」
「ああ!?」
久住は制服のフロント部を頭を下げて確認し、デカイ声を上げる。
光井は
「使いなはれ。それで掃い」
と鞄からタオルハンカチを出して渡してやった。
ふたりのやりとりを笑って見ていた田中だったが、高校の下駄箱に、人がいるのに気付く。
『あれ?今日は高校、授業ないはずやけど…』
2年C組の所に近づいたかと思うと、下駄箱に赤いスプレーを噴きかけ、素早く去って行った。
「な…!」
「うわ!なにあれ!?」
「誰や!!バチ当たりな!」
久住たちも気付いたようで、憤慨する。
「れな追いかけると!
あんたらは授業行き!」
「ちょ!田中さーん!」
「会長!」
ふたりが止めるのも聞かず、田中は走り出していた。
994 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/24(日) 03:19
更新しました。
995 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/25(月) 00:42
新スレです。

ttp://m-seek.net/test/read.cgi/water/1243177672

よろしくおながいします。

スレが少し余ったので、昔書いてストックしたまんまだった短編を。
ベース弾き設定で、カメ目線です。
996 名前:ごきげんな放課後 投稿日:2009/05/25(月) 00:43
ごきげんな放課後

放課後ののーんびりした時間が絵里は好き。
仲いい子とおしゃべりしたり、寄り道してマックとか行く相談したり。
今日もさゆと、『コックリさんは実在するか』というテーマについて語り合っていた。
「ヤバイよねー、コックリさん」
「うん、マジヤバイ」
横で学級日誌書いてた日直のガキさんが、
「…ヤバイのはアンタたちだから」
と呟いてるのは無視。
「ねー、さゆー。
この後どっか行くー?」
「えー、マックとかー?」
「んー、マック飽きたよー」
「えー、じゃ、アイスとか?」
別に購買でパンとか買って、中庭のベンチとかで食べてもいいんだけど。
放課後はなんか特別なことしたいじゃん?
997 名前:ごきげんな放課後 投稿日:2009/05/25(月) 00:43
「ねー、ガキさぁん。
いい店知んない?」
「あはははは!
聞き方オッサンだから!」
ガキさんに言われて、絵里は片手でおちょこをぐいっと傾けるフリ。
「んー、駅んとこのラーメンはー?」
「ラーメンはちょーっと重いかなー」
「注文多いねえ」
ガキさんは苦笑いしながら、それでも考えてくれる。
さっすが。
「あー、じゃ。
てごろにミスドは?
今100円セールやってるよ」
「んー、ミスドにする?」
さゆが言うから、
「しゃーない。
ガキさんのカオ立てて、ミスドにすっか」
って絵里言ったら、
「誰目線よ!
てか、上からだから!」
ガキさんがまた笑い出した。
998 名前:ごきげんな放課後 投稿日:2009/05/25(月) 00:46
さゆが窓の外を見てたら、
「あれ?加護さん走ってるよ?」
ガキさんとグラウンドを見たら、体操服姿の加護さんが走ってた。
「もー!ウチが何したていうねん!」
「コラー加護ー!
体育サボったバツじゃー!」
岡村先生がメガホンで怒鳴りながら、加護さんが走るのを見張ってる。
「つーか何やってんだろね、岡村先生。
担任でもないのに」
ガキさんの言う事に、絵里たちは頷いた。
「もーやってられへんわー!」
「真面目に走れー!」
岡村先生がまた怒鳴ると、加護さんは今度欽ちゃん走りを始めた。
絵里たち、笑い崩れちゃったよ。
さすが、関西人。
グラウンドで部活してる子たちもオナカかかえて笑ってる。
999 名前:ごきげんな放課後 投稿日:2009/05/25(月) 00:48
「じゃ、行こか、さゆ。
ガキさんも来るー?」
「えー、いいの?」
「特別ですよ、特別?」
「なにソレー?」
ガキさんは笑いながら、日誌を閉じた。
「ちょっと日誌出してくるー。
下駄箱んとこで待ってて」
「早くねー」
「ダッシュねー」
「アンタら息揃いすぎだからー」
ガキさん文句言いつつ笑ってる。
さゆと手をつないで、下駄箱に向かう。
ミスド行ったら何食べよ。
エンゼルクリーム残ってたらいいな。
そう言うとさゆは、
「さゆ、フレンチクルーラーにするから半分こしよ?」
と可愛く笑った。

日誌を出してきたガキさんが手を振ってぱたぱた走ってくる。
今日はお天気いいし。
うん、放課後は悪くない。

fin
1000 名前:ごまべーぐる 投稿日:2009/05/25(月) 00:52
川*’ー’)<1000なら里沙ちゃんはあーしのやよー

リo´ゥ`リ<阻止!

从;´ ヮ`)<なんで小春が止めると?
1001 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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