青春心理2
1 名前:とりあえず名無し 投稿日:2010/09/22(水) 16:02
容量が足りなくなった為、新しくスレ立てました

2 名前:とりあえず名無し 投稿日:2010/09/22(水) 16:03
物凄くキリが悪いところで終わってしまいましたがとりあえず
続きです
3 名前:青春大通り 投稿日:2010/09/22(水) 16:03
「あ、あの・・・・・・少しだけ考える時間がほしいんだけど」
「あぁ、十分考えなさい。ただ2ヵ月後に飛行機のチケットを取る、それまでにはちゃんと
結論を出してほしい」
「分かった。即答できなくてごめんね、お父さん」
「いいさ。すぐに答えが出る問題じゃない。ちゃんと自分の中で納得が出る答えを出しなさい」
「うん、ありがとう。」



一緒に行くと言えない私を父さんは怒らなかった、ただ少し悲しそうな顔をしていたから
胸が痛んだ。
私が今にも泣きそうな顔でもしていたのか、お父さんは苦笑すると優しく頭を撫でてくれた。
頭を撫でられるなんて子どものとき以来でちょっと照れくさかったけど、でも何だか嬉しくて自然と気持ちが落ち着いていく。
そのときやっぱりお父さんってすごいなぁって思った。






学子のことは確かに心配で気になる、でもやっぱり私は家族と離れるなんてできない


4 名前:青春大通り 投稿日:2010/09/22(水) 16:05
季節は6月、梅雨入りしたせいか雨粒が窓を叩くことが多くなった。
そんな中私はアノコウタの予選を一ヵ月後に控えている為、部長として忙しい日々を
送っていた。
とりあえず引っ越すことは学校側と千駄木先生には伝えた。
私は怒られたりするかなぁと内心思っていたけど、先生は「・・・・・そうか」と一言
沈んだ声で言っただった。
予想に反してあっさりとした反応に少し拍子抜けしつつ、家庭の事情だから仕方ないと
思ってくれたのかなと勝手に良い方に考えた。




でも合唱部の部員の子達と学子にはまだ伝えられずにいた。
だから忙しくて良かったと思った。
合唱部の事を考えていれば引越しの件を考えずに済むから、でもそれはただ逃げてるだけで
いずれ皆に、学子にちゃんと言わなければいけない。
でもとりあえず引越しをするその日までは、弁天女子学院の合唱部部長として精一杯
頑張ろうと私は胸に誓った。




それからというものの本当に忙しくて、まず予選で歌う曲を選ぶのに一番時間がかかった。
でも結局は千駄木先生の押しの強さあって、ダニーボーイを原曲の英語の歌詞のまま
歌うことに決まった。
曲が決まると人選はあっさりと決まって、予想はしていたけど私とかおり、そして学子
ということになった。
それからというもの私は本当に朝から晩まで曲を練習した。


かおりの提案で朝練をすることになり朝6時に音楽室に集合、放課後は学校が閉まる7時まで音楽室に篭って練習。
そして家に帰っても私は寝るまでずっと歌って、寝る時は原曲を聞きながら寝るという
生活だった。


5 名前:青春大通り 投稿日:2010/09/22(水) 16:07
その日も放課後練習する予定だったのだけど、かおりが少し喉を痛めというので休養も
たまには必要と千駄木先生の指示もあり休みになった。
ただ突然決まったことなので学子にはその情報が伝えられなくて、私はきっと音楽室で
待ちくたびれているだろう学子の元に向かっていた。



「学子、ごめん!今日の練習中止に・・・・・・」
音楽室のドアを開けるなり私は謝ったけれど、学子が椅子に座りながら寝ていることに
気づいてすぐに声を絞った。




最近朝練続きで寝不足だったのかもしれない。
学子は椅子の背もたれに寄り掛かりながら気持ち良さそうに眠っていた。
この頃ずっと雨が続いていたのに、その日は夕方から晴れて窓の外には眩しい夕日が
輝いている。
オレンジ色の光に照らせながら眠る学子の横顔は息を呑むほど綺麗で、私はしばらくの間
馬鹿みたいに呆然とその場に立ちつくしていた。




歌う気だったかは知らないけど、CDラジカセからはダニーボーイがさっきから繰り返し
かかっている。
その懐かしいメロディーとも相まって何だか子守り歌みたいだなと思った。
ただ思ったら何だか急に寝ている学子が赤ちゃんに見えてきて、私は吹き出しそうになって
慌てて手で口を押さえた。



6 名前:青春大通り 投稿日:2010/09/22(水) 16:08
私はなるべく足音を立てないようにして学子に近づく。
目の前まで行くと私はそっと学子の髪を撫でる、するとくすぐったそうに笑う。
それからとても幸せそうな顔をして眠りにつく。
そのとき不意に学子は私がいなくなったらどうするんだろうと思った。
赤ん坊のようにくずりだして、母親を呼ぶように泣き出すのだろうか、そう思ったら胸の
奥が直接握られたようにひどく締め付けられた。



学子は歌に愛を求めていて、歌は学子を愛してくれて、でも本当は歌じゃなくて人に
愛してほしかったんだと思う。
きっと学子は人に愛を伝えたくて歌っているんだと思った。
その愛を受け取りながら私は学子を裏切ってしまうことになる。
私の決断は学子をひどく傷つける、心許した人と離れることを学子は一番嫌いだし怖いと
思っているから。



それでも私は学子を選ぶことはできない。
きっと幸せな時間は永遠じゃなくて、だからこそその時間が愛おしくて大切で、そして
辛くて悲しい未来が先に見えても進まないといけない。
時間を止められたらいいけど私は魔法使いじゃないから、私は学子を選べない。


7 名前:青春大通り 投稿日:2010/09/22(水) 16:09
気がつくと頬を涙が伝っていた。
そして思わず嗚咽が漏れそうになって手で口を塞ぐ、それでも声が押さえられなくて学子から離れようとした。
するとそれを察したように学子が目を擦りながら目を覚ました。




「ん?・・・・果菜?・・・・・・ちょ、ちょっと果菜!?泣いてるの?何かあったの?」
「うんん・・・・・・なんでも、ない」
「何でもなくないよ。だって思い切り泣いてるじゃん!」
「・・・・・・大丈夫だから」
「うん、分かった。果菜がいいならそれでいいよ」



学子は納得してないって顔をしていたけど、それ以上何も言ってこなかった。
天真爛漫でちょっと自信家で礼儀知らずで誰に対しても物怖じしない、でも学子はすごく
優しい子だった。
だから私は学子のことが大好きだった。




「学子!大好きだよ!ずっと、ずっと大好きだから!」
私は涙を拭わないまま飛びつくように学子に抱きついて叫んだ。
学子は突然のことに驚いてから少し照れて、でも最後に心の底から嬉しそうに笑う
私は「ありがとう」と心の中で呟くと少しだけ強く学子を抱き締めた。








学子には今だけを生きるより未来に向かって真っ直ぐ生きてほしい、魔法使いじゃない私は
そう祈ることしかできない


8 名前:とりあえず名無し 投稿日:2010/09/22(水) 16:09

9 名前:とりあえず名無し 投稿日:2010/09/22(水) 16:09

10 名前:とりあえず名無し 投稿日:2010/09/22(水) 16:15
これでこの話は終わりです
かなり時間がかかってしまいましたが、サンクユーでは学子がなんであんなにも
果菜に固執するのか描いてなかったのでその穴を埋めるような感じで
今回書いてみました


本当はもうちちよっと長く書く予定だったんですが、あまり蛇足的なのも何なので
この辺りで切りました
楽しんで読んでもらえたら嬉しいです


あと今回のゲキハロは正直男絡みなので難しいですが、書くとしたら
明美×依子ですかねw
まぁ何か良い話が思い浮かんだら書くと思います

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