toy box
- 1 名前:gen 投稿日:2008/03/05(水) 16:56
- キッズやら何やら、ワンダ主体
- 2 名前:涙のそのワケ 投稿日:2008/03/05(水) 16:59
-
梨沙子×雅+α
『涙のそのワケ』
- 3 名前:start line 投稿日:2008/03/05(水) 17:01
- 梨沙子が泣いた。
追いかけることができなかった。
ウチも泣いた。
立ち上がることができなかった。
スタートラインに立てていないことにやっと気付いた。
まだ遅くない。
まだ間に合う。
気休めなんかじゃなくて。
奮い立たせるため。
さぁ、ここから走り出せ。
- 4 名前:start line 投稿日:2008/03/05(水) 17:02
-
* * * * *
- 5 名前:disannouncement × cry 投稿日:2008/03/05(水) 17:05
- 掴まれた所。
触られた所。
熱を帯びるって、こういう事。
そう実感する。
- 6 名前:disannouncement × cry 投稿日:2008/03/05(水) 17:07
-
*****
久しぶりにホテルの部屋が梨沙子と一緒になった。
ウチは特に変わったところもなくて。
だからって言ったら可笑しいけど、梨沙子も普通なんだって。
何も変わりないって。
それが泣かせた理由なの?
今でもそれは分からない。
でも、そうなら…
*****
- 7 名前:disannouncement × cry 投稿日:2008/03/05(水) 17:09
-
─ガシッ!!
「…どうしたの?」
梨沙子に強く手首を掴まれ、ベッドに押し倒される。
急なことで思考が追い付かず、言葉が上手く出てこない。
「ねぇ、梨沙子…?」
名前を読んでも返事をくれない。
ウチはそんなに気が長い方じゃない。
だから、無理にでも剥がして、軽く怒鳴ることだって出来た。でも、しなかった。
- 8 名前:disannouncement × cry 投稿日:2008/03/05(水) 17:10
-
「梨沙子、怒らないからさ、離そうよ?」
それでも梨沙子は動かない。
表情すら、垂れた髪に隠れて見えない。
梨沙子に何が起こったのか。ウチには皆目見当も付かない。
それでも梨沙子が苦しんでいて。
少なからず原因がウチにあるんだろうな、くらいは感じれた。
- 9 名前:disannouncement × cry 投稿日:2008/03/05(水) 17:11
-
「…っ」
「りさ、こ…泣いてるの?」
小さく漏れた嗚咽のあとに、梨沙子の頬を伝って流れた涙は、音も無くシーツの上に落ちた。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/05(水) 17:13
-
* * * * *
- 11 名前:overlook × world 投稿日:2008/03/05(水) 17:14
-
*****
『梨沙子を見上げる』
それは拭えない身長差があるから、ごく自然なことで。
でも今見上げる梨沙子は、いつもと全然違った。
- 12 名前:overlook × world 投稿日:2008/03/05(水) 17:15
-
身長差同様、ウチらの年齢差も拭えない。
だから、ウチはどこかで梨沙子を見下し、甘やかしていた部分があった。
一概に同じとは言えないけど、皆にもそんな部分があった。
それに皆は気付かないフリ。
上手く事を運ぶ為の無意識のゲーム。
- 13 名前:overlook × world 投稿日:2008/03/05(水) 17:17
-
それから一番最初に降りたのが梨沙子。
要するに、ウチらは上手く運んでいる様に見えて、梨沙子を傷付けていただけだった。
- 14 名前:overlook × world 投稿日:2008/03/05(水) 17:19
-
「私、私そんなに鈍感じゃない。それに強くも弱くもない!!」
いつもの抵抗と違った、強い意志の籠った抵抗だった。
「みやはいつ気付いてくれるの?私の気持ちだって、みや自身の気持ちだって。何にも気付かないし、分かってないじゃん!!」
- 15 名前:overlook × world 投稿日:2008/03/05(水) 17:20
-
ウチは急に脱力して動けなかった。
いつの間にか梨沙子からも解放されて。
梨沙子が部屋を出ていくのを眺めることすらしなかった。否、出来なかった。怖くて。
解放されるときにされたキスが妙に生々しく残っている。
- 16 名前:overlook × world 投稿日:2008/03/05(水) 17:21
-
* * * * *
- 17 名前:gen 投稿日:2008/03/05(水) 17:22
-
- 18 名前:gen 投稿日:2008/03/05(水) 17:22
-
- 19 名前:gen 投稿日:2008/03/05(水) 17:26
-
とりあえず本日これまで。
初スレ立てです。未熟者です。宜しくお願い致します。
ちなみにこれは我がHPで書いたヤツです。
見たことあるなぁって人は放って置いて下さい。
見たことないなぁって人は暇潰し程度に読んで下さい。
では、逃げます。野生に帰ります。
- 20 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:15
-
* * * * *
- 21 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:16
- キリッとした顔立ちで凄く綺麗で。
それに似合わない性格がとても可愛くて。
絶対に折れないと思ってた心が格好良かった。
だけど、本当は今にも消えそうなロウソクの炎の様な弱さを隠そうとしていただけで。
側に居て、それが見えて。
見ているしかできない自分が嫌で、逃げたかった。
- 22 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:18
- *****
「みやー。何か梨沙子が気分悪いからウチと部屋代わったから。」
今日はたまたま一人部屋で。
梨沙子が訪ねてくるなんて珍しいなって思ったら、そういうこと。
ウチは梨沙子と交代して、元の梨沙子の部屋に向かった。
- 23 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:19
-
「みやー…どうした?みやも具合悪い?」
部屋に入って。ウチが見たみやはベッドに寝転がったまま、微動だにしようとしなかった。
「みやぁ…?」
「…っ、ちぃ。大丈夫…だよ。お風呂入った?」
「あぁ、入ってきた。」
「じゃあ、ウチまだだから、入るね。」
矢継ぎ早に話すみやはいつものみやじゃなくて。
その後ろ姿が何だか苦しそうで。
目もあてられない。そんな感じだった。
- 24 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:20
-
*****
佐紀ちゃんが言ってたっけ。
本当に強いのは梨沙子だって。
ももとかみやとか。しっかり自分を持ってる様に見える二人が、実は弱いんだって。
だから、側に居てあげないといけないのはこの二人なんだって。
その時、ウチには理解出来なかった。
でも、今少しだけ分かった気がした。
- 25 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:21
- 今のみや、多分。うぅん、絶対泣いてた。
涙が見えたワケじゃない。でも、直感的にそう感じた。
泣いてるところを見せないから。
見られたところで、優しい言葉を欲しがる子じゃないから。
そう自分に言い聞かせる様に心の中で反芻した。
本当はそんなみやを見捨てようとしてただけ。
「もぉ、こんなのヤだよぉ…」
ふと漏れた本音が自分が思ってたよりも冷たく感じられて、少し寒気がした。
- 26 名前:vicinity × abandon 投稿日:2008/03/09(日) 13:21
-
- 27 名前:accept × weakness 投稿日:2008/03/09(日) 13:24
-
*****
弱いって気付いたら。
それを受け入れられないほど弱かったら。
思ってるよりも動揺しちゃって、もっと窮地に立つ事になる。
だから、それを受け入れられるだけの強さを。
それを持っていなければならない。
ほんの小さな、小さなチカラを。
- 28 名前:accept × weakness 投稿日:2008/03/09(日) 13:25
-
*****
朝起きた時から。何となくいつもより目覚めが悪かっただけなのか。はたまたそれより前に夜更かしし過ぎたせいか。
何とも言えない嫌な感じがあった。
体の調子が悪いワケじゃない、それはもう頗る快調だし。
- 29 名前:accept × weakness 投稿日:2008/03/09(日) 13:27
-
ただ目の前で、人が変わったかの様にしている3人が見えた時に何となく気付いた。
いつもより憂い気な、りーちゃん。
いつもより伏し目がちな、みーやん。
全く喋らない、ちぃ。
3人に何があったのかなんて知る由もないし、知りたいとも思わないけど。
(嫌な予感が当たったな…)
「もも、それ食べないなら貰うよ。」
「あっ、すーちゃん、それはダメ。食べる。」
「だって、ももボーッとしてんだもん。」
逆にいつもと変わらないことがあると、無駄に気になる。
(絶対、今日の占い魚座はビリだ。)
「まだ眠いだけ。ちゃんと食べる。」
「もも、また夜更かししたの?ちゃんと寝ないと身長伸びないよ。」
「すーちゃん自分が大きいからってヒドイ。」
気付かないフリを続ける。
厄介なことに巻き込まれたら、自分が疲れるだけ。
- 30 名前:accept × weakness 投稿日:2008/03/09(日) 13:28
-
*****
それから、少しずつ目で3人を追いかけていた。無意識に。
ちぃは何にもなかったかの様に、それからはいつも通りで。
でも、りーちゃんとみーやんは違った。
不自然なくらいに互いを避け。不自然なくらいに独りになっていた。
(ちぃも可哀想。)
何となくだけど、少し分かった気がした。
既に巻き込まれたのがちぃ。原因はりーちゃんとみーやん。
(言っちゃ悪いけど、面倒だなぁ…)
「もも。」
「…佐紀ちゃん。」
「呆けすぎ。」
「そう?いつもと変わらないよ?」
ももの違いに分かるくらいなら、あの2人の可笑しさに気付くだろう。
「あんまり、気にしない方がいいよ。」
「んっ、何が?」
「…いいや。ほら、もう行こ。」
「あっ、佐紀ちゃん待ってー。」
(案外冷たいなぁ…)
気付いていながら皮肉なまでに普段通り。
ももはこのゲームには参加できそうにない。
- 31 名前:accept × weakness 投稿日:2008/03/09(日) 13:29
-
* * * * *
- 32 名前:gen 投稿日:2008/03/09(日) 13:32
-
りしゃみやだけど色んな人視点。
ちぃは友達思いな人。自分の事の様に捉える人。
桃は色々考えてる利己的な、でも根っからの好い人だから無視出来ない感を出したいです。
キャプテンはちょークールな仕事人にしたいです。
お腹痛いです。では、また気分がのった時に続きを。
- 33 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/09(日) 21:00
- おもしろそう。更新楽しみにしてます。
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/09(日) 23:49
- おもしろそう。期待してます。熊井ちゃんやまあさにも密かに期待。
- 35 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/10(月) 00:06
- 視点が頻繁に変わり、少し混乱してしまいましたが、面白いお話だと思います。
いらぬことかもしれませんが、少し情景描写などを入れて文を長くしてみてはどうでしょうか。
- 36 名前:gen 投稿日:2008/03/13(木) 14:34
-
- 37 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:36
-
*****
見えているから、触れない。
あの子の思いが事実とは違っているなら、そのフリをする。
それが私のルール。
至って普通で、至極冷たい。
ゲームに参加してるのは2人だけ。
私はそれを見てるだけ。
巻き込まれたら、骨まで砕ける覚悟をしなければならない。
- 38 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:39
-
*****
「もぉ、ちぃ!!疲れてる人も居るんだから静かに。」
「はぁい。ごめん、ごめん。」
移動のバスの中。
いつもの光景。
いつもの対処。
立場上の問題じゃなくて。
同じ空間に存在するから。
皆の異変に気付いてしまう。
本当はしたくない対処だってある。でも、対処するのは私の責任。
でも、それは仕事。
関与しないでいる、それは人間関係。
- 39 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:41
-
(無意識に巻き込まれる、ちぃも居るんだけど…)
みやの異変。梨沙子の異変。ちぃの我慢。
因果関係が無駄にチラつく。
(気付いた時点で、巻き込まれてるのかなぁ…)
ならば、今の時点での参加者は5人。
私、もも、ちぃ、みや、梨沙子。
でも、消極的な参加者。
吹っ掛けられたら、その時。
風が吹かないなら、凪は立たない。
- 40 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:44
- 「もも、あんまりイタズラしないでね。」
「佐紀ちゃん、してないよぉ。もぉ疲れてるから寝たいのに、ちぃが。」
「ももも、ちぃも静かに。熊井ちゃん寝てるでしょ。…みやも寝てるんだから。」
- 41 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:46
-
嘘と本当。
みやは寝てない。巧みな狸寝入り。タオルが必需品なだけある。
みやの名前を出したのは、状況確認。
反応するのは私を含め5人。
(嫌な感じ…)
状況が。私が。
利己的だって言われても構わない。
情熱的になり、身を滅ぼすか。
冷徹でいて、保身するか。
後者を選ぶ、私。
選べない、選ばないのは愚か者。
- 42 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:48
-
みやが気付くが早いか。
梨沙子が壊れるが早いか。
それまで私は動けない、動かない。
そうすることが、一番上手く運べる。
どれほど熱に当てられても。最後は冷えるのが自然の摂理。
結局は当事者に委ねられる。
だから、私はどれだけ熱い鉄になってしまおうと。
早目に打たれ、形を持った、鋭く冷たい刃になりたい。
- 43 名前:after all × chilly 投稿日:2008/03/13(木) 14:49
-
* * * * *
- 44 名前:just × admire 投稿日:2008/03/13(木) 14:49
-
あなたの横顔に、高鳴る気持ちを覚えたのはもう懐かしい昔のこと。
今はそれさえ疎ましい。
なのに、一度覚えた感情は私を動かす一因にしかなり得ない。
気付かせたいのか、気付いてほしいのか。
有耶無耶になった心は、今にも悲鳴をあげて崩れそう。
憧れが破壊衝動になったのは、あなたの中の私が見たいから。
- 45 名前:just × admire 投稿日:2008/03/13(木) 14:50
-
*****
近付かなければ、消せると思ったモノは、当たり前の様に私の中に居座っている。
離れるほど、ギシギシと軋む。
独占欲、征服欲。
決して可愛くない欲望が渦巻く。
「…ぁっ、りさ…」
聞きたくない、みやの声なんて。
だって、私のモノじゃないみやなんて、存在しなくて良いから。
だから、意識的に避ける。
避けて、避けて。みやが壊れるまで。
- 46 名前:just × admire 投稿日:2008/03/13(木) 14:51
-
*****
キスをしたのは、好きだから。
でも、それには破壊の意味も込められていた。
壊れたモノを拾って。それをまた組み立てれば。
あなたの中に私がなければ、私を組み込めるから。
小さな憧れが今では黒い黒い塊。
- 47 名前:just × admire 投稿日:2008/03/13(木) 14:52
-
泣けるなら泣いてしまいたい。
それで愛されるならば、そうしていたい。
でも、出来なくなった。
出来なくなったのは、あなたのせい。
憧れに近付きたいから。
近付いて、横に立って居たいから。
だけど、気付いた時には全然違う場所に立っていた。
思っていたよりも強い私と、見ていたよりも弱いあなた。
私の憧れは幻だったのか。
幻滅なんてしなかった。
それさえも好きだと言える。
強さなんて関係なかった。
あなただから好きになった。
- 48 名前:just × admire 投稿日:2008/03/13(木) 14:53
-
*****
黒い気持ちに蓋をしたい。
でも、蓋をした気持ちが全てを壊してしまいそうで、怖くなった。
怖くなったのに、泣かない。
癖になった強がりが歯痒くて、身体中を掻きむしりたくなった。
- 49 名前:just × admire 投稿日:2008/03/13(木) 14:54
-
* * * * *
- 50 名前:gen 投稿日:2008/03/13(木) 14:58
-
更新しました。お昼寝してないので眠いです。
今回は冷たいキャプテンと塞ぎ込むりしゃこ。
キャプテンは何と言いますか、格好良いから好きです。桃と違った人の好さと言うか…
りしゃこはもう、ポジネガマンで。ネガティブに、ストイックになることにポジティブである子で。
千奈美にHPに上げてるのは原型なだけなのでちょっと変えてたり。
まあさんとりしゃこのやりとりも加える予定。
- 51 名前:gen 投稿日:2008/03/13(木) 15:04
- 米レス
>>33さん
頑張ります。更新頑張ります。チョロチョロ読んであげて下さい。あまり面白くはないですよ。多分絶対。
>>34さん
ありがとございます。熊井ちゃんはあまりと言うか多分と言うか、絡みません。まあさんは絡ませます。やっぱりママだから。
>>35さん
何やら格好良いアドバイスありがとうございます。ペーペーの未熟者なのでアレなんで長い目で見守って下さい。だぶるがんばるでいきます。
- 52 名前:gen 投稿日:2008/03/17(月) 22:06
-
- 53 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:08
-
*****
夢を見た。
ウチはどこか分からない場所に居て。必死に何かを見つけようとしていた。
何もなくて、諦めようと思った。
でも、自分に負けたくなくて、諦めることだけは出来なかった。
もがいて、苦しんで、涙を流していた。
そこまでして、何かを探していた。
- 54 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:10
-
やっとの思いで見えたのは慣れ親しんだ背中だった。
「梨沙子っ…」
普段のウチなら泣き顔が見られたくなくて、隠す事に必死になったと思う。
今のウチにはそんなことよりも、梨沙子に追い付きたかった。
いくら頑張っても、その背中に追い付きはしなかった。
そればかりか、差はどんどん開いて行ってた。
まるでウチの声は梨沙子に届いていない。
- 55 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:10
-
刹那、無性に恐怖に駆られた。
─ウチ、動いてない。
さっきから走っていると思っていた足は、泥沼に嵌まったかの様に重くって。
渇れるまで叫んでいたと思った声は、喉でつっかえてヒューヒュー鳴らすだけだった。
─梨沙子、梨沙子っ!!
- 56 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:11
-
* * * * *
- 57 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:12
-
まるで今のウチらの関係の様な夢。
頬を抑えると、明らかに冷や汗をかいていた。
頬の冷たさは汗だけじゃなかった。
(泣いた、みたい…)
あの夜からウチは一回も梨沙子と言葉を交わしていない。
梨沙子の涙と触れた唇。
最初は憤りを感じた。何でウチがこんな思いをしてるんだって。
だから、ウチも梨沙子を避けた。
結局、ケロッとして梨沙子から話しかけてくると。そしたら、許そうと。
そう上手くはいかなかった。
だから、少し。少しだけ罪悪感を持った。
梨沙子をここまでさせたのはウチなんだって。ならば、謝らなければ。
- 58 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:12
-
けれど、スルスル抜けていく。
何度となく名前を呼んでも聞こえていないかの様に振る舞う。
追いかけようとしても巧みにかわされる。
さっきの夢はまるで現実。
- 59 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:13
-
* * * * *
- 60 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:14
-
気付いていなかった。
ウチは何にも持っていなかった。
それが弱く、怖いことだと思っていた。
何にも分かっていなかった。
何にも持ってないからこそ。
だからこそ出せるスピードがあるってことを。
だからこそ歌える歌があるってことを。
- 61 名前:vicissitudes × dream 投稿日:2008/03/17(月) 22:16
-
* * * * *
- 62 名前:withstand × grief 投稿日:2008/03/17(月) 22:17
-
*****
「いい加減にしてよ!!」
「…何が?」
怒鳴るちぃ。
何だか分からないと言う様に首を傾げる梨沙子。
(はぁ、ちぃそれじゃダメだよ…)
ちぃはただ、普通にしていたいだけなんだろう。だから、現在の状況に耐えられない。
(一番最初に見ちゃったからなぁ。)
元から仲の良いちぃとみや。
今現在、落ちる所まで落ちたと言う雰囲気を持つほど、弱っている、みや。
それを放って置けないのが、ちぃ。
- 63 名前:withstand × grief 投稿日:2008/03/17(月) 22:18
-
「何がって…」
「何も無いなら、良い?今ちょっと寝たいの。」
(りーちゃんも手強いなぁ…)
何で怒鳴られているか分かっていながら、あの態度。
(女優だねぇ。もぉにはできないよ。)
「そっ、そういうところ!!いくらさぁ、機嫌悪いかもしれないけど。態度悪すぎ。」
「…この頃調子悪いって言ったじゃん。寝たいのにそういうこと言われると、尚更嫌なんだけど。」
放っておいたら確実に取っ組み合いになるくらいの喧嘩なら、まだ良い。
このまま行ったら、ずっと理解しあおうとしない冷戦になっちゃう。
- 64 名前:withstand × grief 投稿日:2008/03/17(月) 22:18
-
(本当は関わりたくないんだけどなぁ。)
「はいはい、ちぃも、りーちゃんも。もうやめて。他の皆も困るでしょ?」
「もも…」
「りーちゃんこの前移動の時、もぉが寝ようとした時邪魔したでしょ?ちぃだって。」
話をとりあえず逸らす。形だけでも和やかなモノを作らなければ。
「もぉはあの時すっごく寝たかったの。だから、りーちゃんの今の気持ち分かるし。でも、りーちゃんだって、ちぃと同じことを、もぉにしたんだからね?」
あくまでも、自分は何にも知らないと主張するように。
「ほぅら、ごめんは?」
「「…ごめん。」」
- 65 名前:withstand × grief 投稿日:2008/03/17(月) 22:19
-
* * * * *
- 66 名前:withstand × grief 投稿日:2008/03/17(月) 22:20
-
誰もが納得行くことなんて、ほんの一握りもないかもしれない。
それならば、せめて少しでも多くの人が良くなる様にと。
耐え忍び待つ者。
耐え忍び動かす者。
それぞれの役割を持ってゲームは進む。
何回も壁にぶつかり、それでも進めようとするのなら。
絶対にエンディングまで、宝物を手に入れるまで続けなければならない。
- 67 名前:withstand × grief 投稿日:2008/03/17(月) 22:21
-
* * * * *
- 68 名前:gen 投稿日:2008/03/17(月) 22:29
- 更新
色々と新作の考えをまとめようとしている最中です。モナカ。
出会わせる二人、出会わせない二人。
出会うけど近づかない二人、出会わないけど近づく二人。
多分前者がももあいりで後者がみやりしゃになって上手く4人が絡めばいいけど、熊井ちゃんが書きたい。
あっ、みや推しです。えりりむ推しです。かんにゃ推しです。アイリも好きです。桃子は凛々しすぎで憧れます。多分皆好きです。
一番は茶友のえっちゃんです、ハロじゃないけど。
まぁ、これは次に何故か愛理を出します。愛理が好きなんで書いてる時にねじ込み、加えてかんにゃも触れて。
新作はこことHPのリンクだな。ここでみやりしゃ書いて、HPでももあいり。
最終的にれなえりを書きたくなってきたのでおさらばしまふ。
ではでは。
- 69 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/17(月) 23:01
- どうなるか想像付かないのでドキドキソワソワしながら読ませていただいてます。
HPももし差し支えなければ教えていただけないでしょうか?
- 70 名前:gen 投稿日:2008/03/23(日) 18:18
-
* * * * *
- 71 名前:virgin × dream 投稿日:2008/03/23(日) 18:19
-
初めて好きだなって思った時。
初めて手に入れたいって思った時。
初めて壊してしまいたいって思った時。
初めてばっかりで戸惑いを覚えた時。
それを、夢見たら少しだけ黒が薄まる。
- 72 名前:virgin × dream 投稿日:2008/03/23(日) 18:21
-
*****
みやが笑う顔が好きで。
私の夢の中のみやはいつも笑っていた。
それが少し恥ずかしくて。
夢の中なのに。
最初はそんな夢が嬉しかった。
現実が上手くいかないと、夢でなら上手くいくから。夢に逃げる様になった。
それはある種の習慣で。
今日だってその夢を見る。
夢が崩れたら、私も崩れそう。
お願い、夢の中ではまだ笑っていて。
そしたら、また現実で頑張れるから。
- 73 名前:virgin × dream 投稿日:2008/03/23(日) 18:22
-
本当はただあなたと接するのが怖いだけ。
ズルいなんて言えない。本当にズルいのは私だって分かってる。
明日は。いつかは。前みたいにあなたと笑えるのかな?
壊れたり、壊したり。
本当はしたくないんだよ。
だから、気付いて欲しいの。
だから、好きだと言える勇気が欲しいの。
私の願いは今日だって夢に溶ける。
それはまるでガムシロップみたいに。
私の黒が少しでも薄まる様に。
あなたに。皆に。
私の黒が伝染る前に。
- 74 名前:virgin × dream 投稿日:2008/03/23(日) 18:24
-
* * * * *
- 75 名前:sometime × somewhere 投稿日:2008/03/23(日) 18:25
-
*****
想像が崩れるんじゃなくて、新たな一面が見れたって素直に思える様になったのは、実は最近の事。
諦めて受け入れるんじゃなくて、色んな面に触れるのが純粋に楽しいと思えるから。
だって、どんなに頑張ってもまだ幼いの。
ならば、何でも楽しまなきゃ。
世界に触れて。
カラフルに触れて。
私が言えるのは、それだけ。
大それたことじゃなくて、心から。
- 76 名前:sometime × somewhere 投稿日:2008/03/23(日) 18:26
-
*****
Buono!の仕事が出来て、雅と桃ちゃんと居る時間が出来たから。
閉鎖された空間って言ったら℃-uteの皆に悪いけど、チャレンジ精神が人より強い私は、Buono!があると毎日が新しい色。
栞菜に言われたけど、人の事を少し気にしすぎちゃう私だけど、根は意外と楽観的で。
桃ちゃんから話を聞いた時は『ふーん』くらいしか反応が出来なかった。
- 77 名前:sometime × somewhere 投稿日:2008/03/23(日) 18:27
-
“みーやん、あんまり元気ないけど。愛理は深く関わらなくて良いからね。本人の問題だから。”
桃ちゃんは案外冷静だ。上手い具合に大人と子供を行き来する。
私の知らない時間の雅も知ってる桃ちゃんが言うから、そうしとこうかなって思ったけど。
でも人が無理をしているのを見るのは思いの外、辛いモノだと感じた。
- 78 名前:sometime × somewhere 投稿日:2008/03/23(日) 18:28
-
*****
雅の新しい一面を見た。
そう思った。
それは今までのどれよりも繊細で、弱く、脆く、危うく。でも、凄く綺麗だと感じた。
不謹慎な発言だけど、ある種の観察対象とでも言うのだろうか。桃ちゃんの発言が理解出来た瞬間だった。
「あんな雅初めて。」
「ふぅーん。」
「昔の方が、何か“強か”ってヤツだったかな。」
「あぁね。」
「我が道行くタイプなのに、その上を行く梨沙子に…かぁ。」
「ふふっ。愛理鋭すぎ。少しみーやんに分けてあげなよ、その観察力。」
皮肉な会話。
でも、これを越えたら。
雅が桃ちゃんの仲間入りするのかな、なんて思うとちょっと寂しかった。
- 79 名前:sometime × somewhere 投稿日:2008/03/23(日) 18:30
-
*****
ある人は、いずれ大人になるなら、急がなくて良いと言う。
またある人は、今しか出せないスピードがあるから全速力で駆け抜けたいと言う。
どっちが正しいかなんて分かんない。最後に振り返った時に『楽しかった』って思えたら、そうなんだろう。
だけど、その二つが交わる時。
私はまだ知らない。
だから、あと少しだけ。見ていようと思った。
私はまだ子供だから。
それ以外の方法が分からなかった。
- 80 名前:sometime × somewhere 投稿日:2008/03/23(日) 18:30
-
* * * * *
- 81 名前:gen 投稿日:2008/03/23(日) 18:34
- 更新
短いけれど更新
梨沙子には内面に潜って頂いて
愛理には第三者的に上手い具合に観察して頂いて
そんな愛理が℃-uteを思えば栞菜が出てこいやー!!な勢いで
この話もあとちょっと
多分恋の話じゃない
鯉より鯨の話にしたい
これ終わったら短編シリーズ挟んでりしゃみやなのかみやりしゃなのかな話をと考えてます
- 82 名前:gen 投稿日:2008/03/23(日) 18:37
- 米レス
>>69さん
読んで頂きありがとうございます
自身もソワソワしながら更新してます
HPはこの『涙のそのワケ』を全部載せたあとにメル欄にでもアドを載せようと考えています
でないとこの話が最後まであるので…
では、これからも宜しくお願いいたします
- 83 名前:gen 投稿日:2008/03/24(月) 21:46
-
* * * * *
- 84 名前:world's end × parallell 投稿日:2008/03/24(月) 21:46
-
お気に入りのグラスが割れて。そこで現実に引き戻される。
一瞬の出来事。耳馴れない音。
だけど直ぐ新しいお気に入りが出来る。
人間なんてそんなモノ。
皮肉なほどに忘れる。
でも、割れたグラスは?
人間はそれを知らない。
知ることは出来ない。
知ってしまっても気付かない。
- 85 名前:world's end × parallell 投稿日:2008/03/24(月) 21:47
-
*****
それは突然に。
思いの外、弱々しい音だった。
「夏焼、大丈夫か!!」
その声に撮影をしていたはずのみーやんに目をやる。
周りには沢山のスタッフ。
─倒れた?
今まで何ともなかったハズ。
どんなに忙しくても、手を抜かず貫く。そんなみーやんが、倒れた。
「桃ちゃん、雅が…」
「愛理…うん。」
何だか自分の中の感情が一気に抜け落ちた様に、ほんの少しの間。動けなかった。
- 86 名前:world's end × parallell 投稿日:2008/03/24(月) 21:48
-
*****
『えっ、みやが倒れた?過労?大丈夫なの?』
「うん。大丈夫って。2、3日安静にしてたらいいだけって。」
『そっか…今、病院?私たち全員で行っても邪魔だよね?私だけ行くわ。』
「うん。もぉも愛理もまだ居るから。」
『病院の場所いい?』
「えっとね…」
- 87 名前:world's end × parallell 投稿日:2008/03/24(月) 21:50
-
みーやんが弱っていたのは体じゃなくて、心。
それほどに思い、考え、悩んでいたのか。
そう思うと、傍観して楽しむようにしていた自分の酷さが浮き彫りになる。
(りーちゃん、は…)
急に不安になり、心配になる。
どこまでも卑怯だ。
でも。だからと言って。もぉは何かが出来たワケじゃない。
ここまで来たら。
こんなになったからこそ。
もぉは、ここで。ここで止まって。
見届けることしか出来ない。
最後まで。どんなゴールであれ、クリアするまで。
見届けることが、責任なんだと。
それしか出来ないって思うと。
自分はやっぱり弱くて、非力だって感じてしまって。
少しだけ、胸が痛んだ。
- 88 名前:world's end × parallell 投稿日:2008/03/24(月) 21:50
-
* * * * *
- 89 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 21:55
-
楽屋。私はソファーに座って休んでいた。
皆思い思いにしていた。
みやが倒れた。
電話をしていたキャプテンは多分そう言ったんだと思う。
正確には聞き取れなかったし、聞きづらくて。
でもその聞きづらい雰囲気からそうなんだろうなって予想出来た。
ちぃと熊井ちゃんは気付いてないみたいで二人で話してる。
電話の向こうにいるももは多分動揺しながらもしっかりと立っていると思う。
キャプテンも何だかんだで冷静な状態。
私も全てが分かるワケじゃないから、落ち着いてると思う。
- 90 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 21:56
-
ふと梨沙子が気になった。
(…聞こえちゃった、のかな。)
表には出てないけど、少し様子がおかしい。
震えている様な、泣いている様な。
「…さぁ、皆帰るよ。」
思いに耽って居たからキャプテンの声に少し驚く。
視線の先の梨沙子は多分私よりも驚いて身体をビクつかせた。
- 91 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 21:57
-
「佐紀ちゃん一緒帰ろ。」
「あぁ…私今からももの所行かなきゃだから、ごめん。」
「えぇー。ウチもしかして一人?熊井ちゃんも茉麻と帰るでしょ?」
熊井ちゃんと目が合う。
即座に目だけで会話をする。
分かってくれるのは熊井ちゃんだから。
「ん〜、いやウチも一人だよ。ちぃ一緒帰ろ。」
「やった。じゃ帰ろ。皆じゃあにー。」
「バイバーイ。」
私は苦笑いで熊井ちゃんたちに手を振る。
「あっ、私ももう行くわ。まぁさん、梨沙子バイバイ。」
「バイバイ。」
どこかぎこちない。私も、皆も。
- 92 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 21:59
-
「…ママも帰りなよ。」
「んっ、そうだね。でも梨沙子話そう、話すことあるよね?」
これは私の役割。キャプテンがまとめたモノを私は中から支えて、外から包み込む。
多分これは私の性分。
でも優しすぎる。
そう思うけれど時々凄く辛い時もある。
- 93 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 21:59
-
見てきたから分かって、だから見えてる部分しか分からない。
「梨沙子、みやと何かあった?」
「…」
下を見て何にも言わない。
言わないからこそ答えが出る。
「さっきのキャプテンの電話聞こえちゃった。みや、倒れたみたいだよ。」
「…ッ、私のせいだよ…」
涙を堪える。
内向的な梨沙子には本当はしてほしくない行為。
ギシギシと歪む音が聞こえそうで私まで辛くなる。
「梨沙子のせいじゃないよ。」
「でも…」
「梨沙子のせいじゃない。」
私にはそれしか言えない。
その方法しか分からない。
- 94 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 22:00
-
「仮に梨沙子が悪いならさ、みやは今、這いずってでも梨沙子のこと殴りに来るよ。」
私の信じるみや。
私の信じる梨沙子。
それを守りたいから。
そうあってほしいと願うから。
「それでも梨沙子が悪いって言うなら、出来る事一個だよ。」
「…」
「私は出来ないけど、梨沙子に出来る事しなよ。私が言えるのはそれだけ。」
「ママ…」
梨沙子が顔を上げた。
やっと見えた梨沙子の顔は弱いながらも、迷いが無くて。
どことなくみやに似て見えた。
それを見て私は少しだけ優しい気持ちになれた。
- 95 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 22:02
-
「帰ろっか。」
「うん。」
「私、ももに病院聞いとく。」
「…うん。」
「怖くても一人で頑張れる?」
「…分からない。けど、する。」
「それでこそ梨沙子。」
多分上手く行く。
私の役目はこれまで。
ここから先は私じゃなくて、みやの役目だよ?分かってるかな?
梨沙子泣かせたら、みやだろうと怒るかもな…
こう思うのは梨沙子のママとして。
本当はそんなこと思わない。
皆が笑える様になれば良いって思ってる。
- 96 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 22:03
-
「ママ、ありがと。」
「何が?」
「もぉ〜…別にいいもん。」
こんなに可愛い我が子を。
一人旅立たせるのは少し切なくて、でも誇らしいと思った。
そして私は私として強くなろうとしている梨沙子を素直に格好良いと思った。
- 97 名前:transparency × wrap 投稿日:2008/03/24(月) 22:03
-
* * * * *
- 98 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:06
-
面会時間もとっくに過ぎた病院の。
廊下はまるで私の心の中みたい。
寒くて、暗くて、長くて。
怖くなった所にほんの小さな灯。
全く私の心の中を実写化したかの様に見えてくる灯。
あなたの部屋から薄く漏れてくる光。
それが最後の希望の証。
- 99 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:07
-
*****
極力音を立てない様に行動した。
誰にも会わない様に。
誰にも気付かれない様に。
(愛理とももちは気付いてる、よね…)
みやの病室に入って、ベッドの左側に腰かける。
寝ているみやの顔はとても美しい。
「…みや…」
小声で名前を呼ぶと同時に涙が溢れた。
- 100 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:08
-
やっと側に居ることが出来た嬉しさ。
ここまで追い詰めてしまった罪悪感。
どちらでもあって、どちらでもない。
自己中心的な満足。
自己中心的な恐怖。
このまま、みやが起きなければ良いのに。
夜が明けずに、ずっと黒に包まれていれば良いのに。
何もかも、投げ出したい気分になった。
だから溢れた涙も拭わなかった。
いつも私の涙を拭ってくれていた事がどれだけ力強い事か分かった。
「みやぁ…」
拭った所で止まりそうにない。
もう、こんなに近くに居るみやさえ見えない。
(心の灯が、灯が消える…!!)
- 101 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:09
-
*****
「…梨沙子?梨沙子…」
「…ッ、グスッ…」
「泣き虫だなぁ。ほら、こっち寄って。」
この前、はね避けた手が。
今は暖かく触れてくる。
「目が覚めたら、梨沙子居るしさぁ。泣いてるし。本当、驚いたよ。」
最近見れなかった、優しい表情。
呆れたって感じで、溜め息吐きながら、優しくタオルで涙を拭ってくれた。
- 102 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:10
-
「もう、大丈夫。梨沙子はもう泣いてないよ。」
あなたがそう言ってくれるから。
「…うん。」
「よし、笑えてる。」
あなたがそう笑いかけてくれるから。
「…」
「どうした?」
余計に謝りづらくなって。
「…」
「言えないかぁ。うん…そっかぁ。」
黒がどんどん攻めて来て。また泣きそうになった。
- 103 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:10
-
「ほらぁ、もう。泣いちゃダメ。」
「…で、でも…」
私が頑張って出そうとした言葉は。
何とも言えない。想像出来ない。あなたの言葉に阻まれた。
「梨沙子、朝一の電車で海に行くよ。」
- 104 名前:secret × corridor 投稿日:2008/03/24(月) 22:11
-
* * * * *
- 105 名前:all might × escape 投稿日:2008/03/24(月) 22:12
-
みーやんが弱々しくも頑張るって言ったから。仕事に穴は空けないって言ったから。
すぐにもみーやんは頑張ろうとしていた。
梨沙子も真っ直ぐに進もうと、頑張ろうとしていた。
なのに…
「みやと梨沙子がいなくなった。」
「みーやんは今は病院でしょ?」
「そこから。一応メール着てたけど、意味分かんない。」
- 106 名前:all might × escape 投稿日:2008/03/24(月) 22:14
-
今日はBerryzの仕事。すーちゃんが病院の場所を聞いてきた。ママの仕事をするからって。
だから梨沙子もみーやんと一緒の可能性があるけど…
「…何て?」
「海に行くから遅れますって。でも絶対来るって。梨沙子も一緒って書いてあったけど…」
「ふ〜ん…」
最近の様子なら有り得ないって思うのに。
何でだか頭の中でみーやんが不敵に笑った。皆が惚れ惚れする、あの笑顔だった。
- 107 名前:all might × escape 投稿日:2008/03/24(月) 22:15
-
「もうっ、桃心配じゃないの?」
「消息分かってるから。佐紀ちゃん。それより、二人が来た時、ちぃを押さえてね。」
「…何で?」
「ちぃが一番みーやんの事心配してたから。梨沙子に手、あげかねない。」
「そっか…分かった。」
本当は凄く心配だった。
- 108 名前:all might × escape 投稿日:2008/03/24(月) 22:16
-
でも何でだか変な確信があった。
みーやんは多分。まだ答なんて出てないんだろうけど。
真っ直ぐ光の差す方へ行ってるんだろう。それがとても小さくても今は迷ってない。
梨沙子は真っ暗闇で一生懸命闘ってる。
負けないように、力強く。
光が差す場所を探して。
(みーやん、頼んだよ。)
今のみーやんを動かしているのは、梨沙子と向き合う衝動。
梨沙子を動かしているのは、どんどん進み続ける信念。
知らない間に色々身につけて。
でも自分ではそれに気付かない。
それが強い自分になるっていう事。
「海かぁ。もぉも行きたいなぁ。」
二人がやって来る頃には。
前よりもっと、今までで一番。
心の底から笑えるはず。
そしたら海の話でも聞きながら。
遅刻したことを怒ってやるんだ。
- 109 名前:all might × escape 投稿日:2008/03/24(月) 22:16
-
* * * * *
- 110 名前:gen 投稿日:2008/03/24(月) 22:23
- 更新
連日頑張り更新
だるいですね、とても。
今回はちょっとだけ光の射す方へ。
弱さとは違うと気付く。それは不安定なだけで、波があるだけで。実は強さなんだよ。
これが終わったら書く短編シリーズテーマは存在価値。
わたしの目、あなたの背中
わたしの背中、あなたの右手
わたしの右手、あなたの掌
わたしの掌、あなたの頬
わたしの頬、あなたの唇
わたしの唇、あなたの唇
この6個で決定してるCPは
いしよし
りしゃみや
とっくま
あいかん
です。あとはれなえり、キャプもも、やじうめ…そこらへんから選びたいです。
やじうめと言えば某所、某やじうめが今好きです。
- 111 名前:gen 投稿日:2008/03/27(木) 23:03
-
- 112 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:03
-
* * * * *
- 113 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:04
-
飛び乗った始発電車。
確かに二人で。二人しか居なかった。
みやと隣同士で電車に乗るのっていつ以来だろう。
そもそも家の方向が違う。この頃は別々の仕事も多い。
だから今、初めてみやの隣にちゃんと座った気がする。
少し歯痒くて、嬉しくて、やっぱり泣きそうだった。
- 114 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:06
-
沢山話したい事があった。
だから沢山話した。
みやは眠いのか時々欠伸をしながら、でもちゃんと相槌を打ってくれた。
だからちゃんと話した。
みやにどうしても追い付きたかった事。
どうしようも無いくらいに好きになってた事。
そこから破壊衝動が生まれた事。
みやが泣いちゃダメって言ったから泣かないって決めたのに。意志の弱い涙腺は我慢してくれなかった。
「梨沙子…ウチ、今はまだ好きとかはっきり言葉に出来ない。けどね、一個だけ。ただそれだけなら分かる事、あるよ。」
- 115 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:06
-
みやの横顔は、初めて見る雰囲気だった。
私の一番最初に思い浮かぶみやの顔は振り向く時のだった。
「ウチが右見たら、梨沙子も右見てて。梨沙子が左見たら、ウチも左見てた。」
─だから。
本当は凄く近い所に居るのに気付かない。
それは後ろ姿じゃなくて、隣に立ちたいって願う気持ちから。
「本当は最初から隣に居たんだなぁって。ウチ鈍感だから今まで気付かなかったよ。」
- 116 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:07
-
フフッと笑ったみやの笑顔が、私の中の黒に。
カチカチに固まった黒の上に。
思いっきり白をぶちまけた。
「しかも、昨日までは初めて両方ともそっぽ向いてたの。」
私は黒の上に色んな色を塗ろうと、塗り替えようと頑張ったのに無理だった。
それなのにみやは一発で、たった一つの正解の色を。しかも一瞬にして。
- 117 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:08
-
ビックリしてみやの方を見上げた。
ニコリ笑うみやの顔があった。
「で。今からはやっと向き合うの。」
みやがそう言った瞬間。ダイヤモンドが散らばったかの様に、心の白がキラキラと輝き始めた。
多分流れた涙がそう思わせたんだ。
それくらい綺麗にキラキラしていた。
- 118 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:10
-
*****
でも、みやはみやで。
シャイな所も含めて、そうなのだ。
次見た横顔はいつもより紅が濃くさしていた。
「みやぁ…」
「…んっ?」
「海に、着くね。」
「うん。」
「寒いね。」
「そだね。」
始発の時間に始まった世界に。
少し眩しい黄金が光り始めた。
本当に綺麗なモノをはじめて見た。
そんな感じがした。
凄く恥ずかしかった。
- 119 名前:first × train 投稿日:2008/03/27(木) 23:10
-
* * * * *
- 120 名前:sea × be audible 投稿日:2008/03/27(木) 23:12
-
*****
海は寒かった。
近くのコンビニでおにぎりを一個ずつ買った。
みやはキャラメルを何箱か買っていた。
多分7箱。絶対7箱。
みやと私と、待っててくれる皆の分。
海を見ながらおにぎりを食べた。
「カイロ、買っとけば良かった。寒い。」
「大体みやが海行こうって…」
「だって、来たかったんだもん。」
「あっ、仕事…」
「佐紀ちゃんにメールした。今日から行くけど、遅れるって。梨沙子を連れていくって。」
思い付きなのか。計画なのか。
分からなかったけど、みやは楽しそうにしていた。
だから、それも有りかなって思った。
- 121 名前:sea × be audible 投稿日:2008/03/27(木) 23:14
-
貝を拾った。色んな貝殻があった。
まだ開いていない貝を拾って、みやは面白そうにしていた。
ももちにあげるんだって。喜んで食べてくれそうとか言ってた。
それには賛同出来なかった。
今度は温かくなったら来ようと言った。
ゴミ拾いをして、自然保護だって。
みやはやっぱり楽しそうだった。
私も楽しかった。
沢山笑えた。
みやと居れるから。
それもあったけど。
この頃見ることが出来なかった世界に、ちゃんと所属してるんだって実感したから。
久しぶりに私として存在した気がする。
黒が見えない光の世界に。
- 122 名前:sea × be audible 投稿日:2008/03/27(木) 23:17
-
「帰ろっか。」
「うん。」
「海はやっぱりウチらの居場所じゃないよ。」
「うん。」
「皆に会いたい。」
「うん。」
もうすっかり今日になっていた。
帰りの電車では一言も喋らなかった。喋れなかった。
私たちはぐっすり眠ってしまった。
行きの電車には居なかった沢山の人の中、私たちはそれでも二人だった。
幸せな寝顔でしたか?
涙は流れて居ませんでしたか?
自問自答でそんなことを思った。
- 123 名前:sea × be audible 投稿日:2008/03/27(木) 23:18
-
駅に着いて、みやと病院に向かった。
みやのお母さんに少し怒られた。
病院の先生も看護士さんも半ば呆れながら、みやを怒った。
病院から出ると、朝より全然温かくなっていた。
隣のみやはとても大事そうにキャラメルの箱を持っていた。
あぁ、また一日が始まる。
今日からまた、菅谷梨沙子が始まるんだ。
そう思った。
ただ、みやが隣に居る。
それがゴールだと思った。
- 124 名前:sea × be audible 投稿日:2008/03/27(木) 23:18
-
* * * * *
- 125 名前:gen 投稿日:2008/03/27(木) 23:21
- 更新
次回で最後。まぁ今回で結論は3/4出てますが。
雅ちゃんが好き過ぎます。声が好き過ぎます。顔は多分桃子が一番好き。あの顔は男前だ。存在は愛理か熊井ちゃんが好き。
多分1推しは雅ちゃんになるんだろう。
では多分今月中に涙のそのワケは終了しまふ。
- 126 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/28(金) 23:50
- おぉ〜。いつの間にやら話が進んでますねー。
自分も雅ちゃん好きなんで、続きが待ち遠しい♪♪
- 127 名前:gen 投稿日:2008/03/31(月) 15:11
-
- 128 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:11
-
* * * * *
- 129 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:11
-
ゴールしたんだ。
そう感じた。
でも、実際どうなのか分からなかった。
巻き込まれた様で、違って。
関わった様で、違って。
最初から参加してなかったと言えば、そうなのかもしれない。
- 130 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:12
-
「色々とすみませんでした。」
いつものみーやんの声だけど、もっと格好良かった。
「みや、大丈夫?」
「うん、ありがと、熊井ちゃん。」
無意識のうちに思った。
みーやんは、二人はゴールしたんだと。
「これ、お詫びって言ったら変だけど…」
懐かしい、黄色い箱のキャラメル。
みーやんは何故か沢山持っていた。
多分7箱。絶対7箱。
「みや、ありがとう。」
「いえいえ、まぁさん。もっと良いものにしようと思ったんだけど。」
皆に渡していた。
皆が同じモノを持った。
- 131 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:13
-
「桃、ほら、これ。」
もぉの番だった。
黄色い箱じゃなくて、少しずっしり感じれる貝だった。
なんだかちょっと落ち込んだ。
「…もぉにキャラメルは?」
「えっ、何それ?」
「もぉもキャラメル欲しい。」
「桃は貝だよ。酒蒸しにでもしてもらって…」
「キャラメルじゃなきゃ、ヤダ。」
一緒が良かった。皆と同じが良かった。
キャラメルだからじゃない。
一緒が良かったんだ。
「冗談だって。ホラ。」
「…ありがとう。」
「うぅん、ウチこそ。色々ありがとう。」
「本当はもっとお礼してもらいたいけど。いいや。みーやんなんかすっきりゴールしたみたいだし。」
- 132 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:14
-
ふと、思った言葉が舞った。
「何それ?」
「えっ、いや…」
「ウチはやっと今からスタートだよ?スタートライン見付けるのに時間かかったから。かなりのスタートダッシュするよ?」
みーやんの顔はキラキラしていて。
もぉには凄く眩しかった。
- 133 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:15
-
*****
ユラユラ消えそうだったロウソクの火。
消えそうになった火を、新しいロウソクに灯して。
終わりは始まり。
始まれば終わりに向かい。それは新しいスタートなのかもしれない。
ふと、そう思った。
- 134 名前:business like × welfare 投稿日:2008/03/31(月) 15:17
-
* * * * *
- 135 名前:apologize × candid 投稿日:2008/03/31(月) 15:17
-
「ただいま。」
「…おかえり。」
弱さを認めたら、意外と上手くいくらしい。それが強さと言うものらしい。
「梨沙子も、ほらぁ。」
「…ゆー」
「なぁに、梨沙子。」
「えっと…ちぃ、ごめんなさい。」
しかも本当に強いモノは力を無駄に振りかざさない。だから、英雄になれるらしい。
- 136 名前:apologize × candid 投稿日:2008/03/31(月) 15:18
-
「…許さない。」
「えっ…」
「嘘。梨沙子もおかえり。」
英雄は側にお姫様を連れてやって来る。
それも無駄にお似合いに見えるから、不思議なんだ。
「ちぃもほら、キャラメル。」
「あんがとぉ。」
宝物なんか持って。
本当にみやって、凄いヤツなんだ。
悔しいくらい凄いヤツ。
- 137 名前:apologize × candid 投稿日:2008/03/31(月) 15:18
-
みやがどこか吹っ切れて。
少しどこ吹く風みたいな雰囲気が強くなった。
みやはこのゲームで何かを手に入れた。
じゃあ、ウチは?ウチらは?
そんなの知った事じゃない。でも、また他の機会に手に入れるかもしれない。
その時ウチは。みやみたいに。梨沙子みたいに。
本当の、自分らしい自分になれるのだろうか。
そんなことを考えると少し、少し前を見るのが楽しみになった。
- 138 名前:apologize × candid 投稿日:2008/03/31(月) 15:19
-
* * * * *
- 139 名前:so … 投稿日:2008/03/31(月) 15:20
-
梨沙子が言ってた。
「好きって何か凄いよね。」
「何が?」
「だって英語だったら何種類にも分かれるのに、好きなら一個でいいもん。」
LikeにLove、あと他にもあったよね。確かに凄いな。
「だから私のみやへの気持ちは“好き”なんだよ。」
「…ありがと。ならウチも梨沙子のこと好きだよ。」
「それって、ラブ?」
「さぁね。好きは好きだよ。」
- 140 名前:so … 投稿日:2008/03/31(月) 15:21
-
気持ちを分類するなんて出来ない。
それと一緒で、色んな感情から生まれる一つの行動もある。
「涙も一緒だね。」
「ふぇっ…?」
「今の何か変。」
「もぉー!!何が一緒なの?」
「涙。」
悲しくて。寂しくて。楽しくて。嬉しくて。面白くて。
どんな感情だって涙になる。
「泣きたくないって思ってもさ、涙にすることで自分の気持ちが分かるのかなって。」
「そっかぁ。みや凄いね!!」
「う〜ん。そうかなぁ?」
「私、みやのこと好きで良かったぁ。」
- 141 名前:so … 投稿日:2008/03/31(月) 15:22
-
*****
梨沙子のこと。
ウチのこと。
“好き”って言葉。
“好き”って気持ち。
流した涙。
全部が一つに集まって、キラキラ光る。
最高に綺麗になる。
- 142 名前:so … 投稿日:2008/03/31(月) 15:23
-
流れた涙。
綺麗に光れ。
糧となる素敵な気持ち、
涙のそのワケ fin
- 143 名前:gen 投稿日:2008/03/31(月) 15:24
-
- 144 名前:gen 投稿日:2008/03/31(月) 15:31
- 更新、そしてあとがきチックなモノ
一応これはこの更新でオシマイハです
ちょっと解説すると私のりしゃみやの好きなところは不透明な二人の関係性で
『恋人?姉妹?仲間?』
そう色んな解釈ができるところ
だから二人の“好き”が必ずしも一致しなくて良いと思うのです
今回はそんな感じにしたかったワケで最後に雅ちゃんに“好き”と言わせるのはどうしようか迷いました
だけど不透明な関係の二人に必要な言葉と思ったので言わせてみました
まぁ梨沙子の“好き”は限りなくloveに近く、だけどadmire要するに“憧れ”でもあると思います
まぁこれは私なりの考えなんで他の考え、解釈もありますよ
- 145 名前:gen 投稿日:2008/03/31(月) 15:33
- 米レス
>>126さん
読んで頂いてありがとうございます
今回で一応終了です
次からは他の話になりますがヨロシクお願いします
- 146 名前:gen 投稿日:2008/03/31(月) 15:35
-
えっと次回は前言ってた短編を6つくらい一気に
そして新しい話を更新していきたいです
構想は固まってあとは文にするだけというか行き当たりばったりな状況
まだ完成していないの一言で片付きます
さぁ、頑張る
だぶる頑張る
- 147 名前:gen 投稿日:2008/03/31(月) 18:49
-
色々忘れてました
HPのとか色々
色々…
- 148 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/03(木) 00:39
- この世界観がなんか好きでした。
次回も楽しみにしてます。
- 149 名前:gen 投稿日:2008/04/03(木) 23:27
-
- 150 名前:存在 〜証明と価値・わたしとあなた〜 投稿日:2008/04/03(木) 23:29
-
存在 〜証明と価値・わたしとあなた〜
- 151 名前:わたしの目、あなたの背中 投稿日:2008/04/03(木) 23:30
-
わたしの目はあなたを見付ける為にあるのなら
あなたの背中はわたしを受け止める為にあって欲しい
- 152 名前:わたしの目、あなたの背中 投稿日:2008/04/03(木) 23:30
-
朝
わたしはどんな所にあなたが居ても直ぐ見付けられる
「熊井ちゃん!!」
「って、うわっ…ちぃおはよ」
「おはよー」
「朝からちぃは元気だねぇ てか今の痛いよぉ〜」
見付けた背中に抱きつきたい
そしたら一日の幸せがやってくる感じがしてわたしは凄く嬉しいんだ
「だって熊井ちゃんが居たんだもん」
「えー、でも今のはハグじゃなくてタックルだったからウチは痛かったよ〜」
なんて凛々しい眉を下げて文句言いながらでも受け止めてくれるから
わたしの目はあなたの背中を見付けることをやめない
だからあなたの背中はわたしの為に空けておいて欲しい
- 153 名前:わたしの目、あなたの背中 投稿日:2008/04/03(木) 23:31
-
* * * * *
- 154 名前:わたしの背中、あなたの右手 投稿日:2008/04/03(木) 23:32
-
わたしの背中はあなたを受け止める為にあるのなら
あなたの右手はわたしを繋ぎ止める為にあって欲しい
- 155 名前:わたしの背中、あなたの右手 投稿日:2008/04/03(木) 23:33
-
舌足らずな話し方でわたしの名前を呼ぶあなたがいつからか凄く恋しい
「れーな、待ってよぉ〜えり迷子になるじゃん」
「えりが遅かけんいかんとよ」
「えりが遅いんじゃなくて、れーなが速いの!!」
どこに行く時だってそう
あなたの前をわたしが歩いて
わたしの後をあなたが付いてくる
「仕方ないけん、れなゆっくり歩くからちゃんと付いて来いね」
わたしがもう少しだけ大人だったら隣に居れらるのに
でも子どもだからそれができない
また歩き出そうとしたらチョイとコートを掴まれた
「ウヘヘッ!!こうしたら迷子にならない」
そう言ってあなたが笑うから
わたしの背中はあなたの為に空けておくよ
だからあなたの右手はわたし以外と繋がらないでいて欲しい
- 156 名前:わたしの背中、あなたの右手 投稿日:2008/04/03(木) 23:33
-
* * * * *
- 157 名前:わたしの右手、あなたの掌 投稿日:2008/04/03(木) 23:34
-
わたしの右手はあなたを繋ぎ止める為にあるのなら
あなたの掌はわたしを包み込む為にあって欲しい
- 158 名前:わたしの右手、あなたの掌 投稿日:2008/04/03(木) 23:35
-
コンサート前
決まって緊張してしまうわたしの右手はもう血が通っていないくらいに冷えてしまう
(ハァ…何で毎回こうかなぁ…)
何年経っても慣れない
仕方ないって思えばそれまでだから良いんだけど
「みやー」
甘えた声
同時に包まれたわたしの右手
ほんのりと伝わってくるあなたの温かさ
「もっ、梨沙子…どうかした?」
「んー、みやの手、冷たくて気持ち良いから」
気付けばいつも
隣に来て微笑んで
確信犯じゃないの?って思ってしまうくらいに自然と
「…みやの手、温かくなったよ」
だから、こんなダッサい冷え症も捨てたもんじゃないとか思ってしまう
いつもは頼りないあなたが格好よく見えるから
わたしの右手はあなたを離さないし
あなたの掌はわたしの右手を包んでいて欲しい
- 159 名前:わたしの右手、あなたの掌 投稿日:2008/04/03(木) 23:35
-
* * * * *
- 160 名前:わたしの掌、あなたの頬 投稿日:2008/04/03(木) 23:36
-
わたしの掌はあなたを包み込む為にあるのなら
あなたの頬はわたしに温もりを伝える為にあって欲しい
- 161 名前:わたしの掌、あなたの頬 投稿日:2008/04/03(木) 23:37
-
今日は撮影
辺りを見渡せばいつも元気なあなたが少しきつそうな表情
白い肌が弱々しく青く冷めている
「もも、大丈夫?」
「うっ…ちょっとだけキツいかも」
気丈に振る舞うあなたが見せる弱さはわたしの心に少しだけ哀しみを残す
自然に伸びたわたしの腕
掌で包むあなたの頬
「ありがと佐紀ちゃん…」
「うぅん 本当に大丈夫?」
「うん 佐紀ちゃんのお陰でだいぶ楽になった」
普段ならうるさいくらいの可愛さが
どうしてだろうとても儚い
「あったかい…」
わたしの掌を通してあなたの頬から伝わるモノ
それは最上級の温もりだと感じたから
わたしの掌はあなたを包み込むわ
だからあなたの頬は本当のあなたを伝えて
- 162 名前:わたしの掌、あなたの頬 投稿日:2008/04/03(木) 23:37
-
* * * * *
- 163 名前:わたしの頬、あなたの唇 投稿日:2008/04/03(木) 23:38
-
わたしの頬はあなたに温もりを伝える為にあるのなら
あなたの唇はわたしに色を教える為にあって欲しい
- 164 名前:わたしの頬、あなたの唇 投稿日:2008/04/03(木) 23:39
-
ホテルの部屋
ベッドの上
いつからだっけ?あなたはわたしの隣に居てくれる
絶対にあなたは居てくれる
「栞菜オハヨォ…」
「おはよ 愛理しっかり眠れた?」
先に起きていたのかベッドにチョコンと座って本を読んでいるあなた
ちゃんと電気つけないと目、悪くなるよ?
そんな事を思いながらわたしも隣にチョコンと座った
「ん〜…」
「愛理も起きたし、準備しよっか?」
ゴソゴソと動き出すあなた
わたしはまだ寝惚け眼
「まだ少し眠い…」
「でも早くしないといけないよ」
「ん〜でもぉ…」
何でだろ?眠いといつもは我慢しているワガママが出ちゃう
「愛理」
「ん〜」
頬に感じた柔らかい感触
「ほら、早く頑張ろ」
「…もうっ!!」
崩れないあなたの表情
でも薄い紅色
わたしとお揃いの可愛らしい紅色だから
わたしの頬はあなたに温もりをあげるから
あなたの唇はわたしに色を教えて
- 165 名前:わたしの頬、あなたの唇 投稿日:2008/04/03(木) 23:40
-
* * * * *
- 166 名前:わたしの唇、あなたの唇 投稿日:2008/04/03(木) 23:41
-
わたしの唇はあなたに色を教える為にあるのなら
あなたの唇はわたしに愛を囁く為にあって欲しい
- 167 名前:わたしの唇、あなたの唇 投稿日:2008/04/03(木) 23:41
-
偶然触れた唇と唇
そんなこと何度かあった
その中には意識的なのだってあったかも知れない
「えり…顔、赤いよ」
「…舞美だって」
他のメンバーとだってあることなのに
えりとだけはどうしてかいつになっても動揺してしまう
気付きたくない気持ち
わたしからは絶対に気付かない様にしてる
「…いいよ、もう」
「何で?」
「分かんないから」
だって…
ただの強がり
気付いて欲しい
そして教えて欲しいの、あなたの気持ち
「ウチは…好きだけどな」
「…」
「ウチは好きだよ」
皆から言われる沢山の“好き”
でも、あなたの唇から溢れる“好き”が一番好き
わたしの唇があなたに色をつけていくから
あなたの唇はそれに愛を囁いて
- 168 名前:わたしの唇、あなたの唇 投稿日:2008/04/03(木) 23:42
-
* * * * *
- 169 名前:存在 〜証明と価値・わたしとあなた〜 投稿日:2008/04/03(木) 23:43
-
存在 〜証明と価値・わたしとあなた〜
終了
- 170 名前:gen 投稿日:2008/04/03(木) 23:46
- 更新
短編お話しりとり更新しました
急遽いしよし削ってやじうめをいれました
なんと言うか気分とそれまでの流れでやじうめバージョンの方が合ってたので
今度の更新は新作になる予定
どうなるかは謎
あとHP来て下さった皆様ありがとうございます
- 171 名前:gen 投稿日:2008/04/03(木) 23:48
- 米レス
>>148さん
嬉しい言葉ありがとうございます
私の中に基盤として“つまらないショートフィルムの様な雰囲気だけ”みたいな文章にしたいという目標があるので、そう言って頂くと嬉しくて仕方ありません
これからも頑張るのでよろしくお願いします
- 172 名前:gen 投稿日:2008/04/04(金) 22:22
-
梨沙子おめでと
変わらずアフォで、それでいて無駄に可愛くあって下さい
一緒にみやびちゃんヲタ頑張ろうね
あとみるきーうぇい可愛すぎ
曲もアニメ×アイドルに乗っ取ってるし良い感じ
基本DDなんで推す気は満々でしたがきっかもさぁやも可愛いし、もちろん小春も
特にきっかはオーデ時より好きかもしれないくらいですよ、あれは可愛い
さぁやにはみやびちゃん路線で頑張ってもらいたいなぁ
小春にはいつまでもテッシュと叫んでもらいたい
明日はBuono!の新曲聞けますし、我が愛するカートの命日なんでニルの曲を聞きまくりですし
そんな環境で新作をサクサク書きますよ
今も冒頭ちょこっと書きました
長くなるのか?みたいな
とりあえず並行して桃愛理書きます、栞菜も出ます
だぶるがんばります
- 173 名前:gen 投稿日:2008/04/08(火) 21:22
-
- 174 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:24
-
さっきからずっと
元から少し突き出ている唇を
あともうちょっとだけ突き出して
完全に拗ねてますオーラを発している君
それがどれだけのモノか分かってる?
放っておけるワケないでしょ?
- 175 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:25
-
honesty
- 176 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:26
-
「梨沙子」
「…」
この上なく頑固な君
何度となく手を焼いてきたけど
それでも可愛いって思えるのは、拗ねてる君が思う以上に私は君の事が好きだから
「もういいや…」
本当はそんな事思っていない
皆は君の方が私の事を好きだって言うかもしれないけれど
多分同じくらい、否、もしかしたら私の方が君の事を好きだから
- 177 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:28
-
「…何で拗ねてるか分かってる?」
「分からない」
「でしょ?みやっていつもそうだもん」
「梨沙子もだよ」
「違うよ」
「ウチも今、拗ねてる」
君がそっぽ向くのが嫌だ
いつも私を見てくれてる君だから
私を見てくれないのは絶対に嫌だ
こんなのワガママ
君以上に子供な私
そんな私を好きで居てくれる君は案外大人
- 178 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:31
-
「みやが拗ねる意味分からない」
「だって梨沙子が拗ねてるから」
「むー…」
「ウチ、梨沙子が見てくれてないと格好良いウチで居れないじゃん」
本当に子供な私
君のせいにして
ただ素直になれないだけ
正直者で真っ直ぐな君
ひねくれ者で遠回りしちゃう私
どっちが子供でどっちが大人
多分皆は後者を知識を得た大人って言うんだろうな
でも、それは絶対に間違いだ
- 179 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:34
-
「見てるもん!!みやの事ばっか見てるもん…」
ここで嬉しいって言えたらな
私、思っている以上に君が羨ましいよ
君が純粋な子供だから好きって言えるんじゃない
「…もう、拗ねるのやめる」
やっぱり君の方が大人だ
自分の気持ちをしっかり言えるから大人なんだ
結局は君が折れてくれる
毎回同じパターンばかり
学習しない部分では二人とも子供なのかな
- 180 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:36
-
「だってやっぱり、みやの事好きだもん」
「…バーカ、本当梨沙子はガキでバカ」
「わっ、何それー…ヒドーイ!!みやヒドーイ!!」
少しでも、君に追い付きたいよ
だから、あと少しだけ我慢していて
私が君に気持ちをちゃんと言える様になるまで
絶対にそうなれる様に頑張るから
君は私の目標であって愛すべき人だから
- 181 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:38
-
だから、それまで
私が大人になる日まで
「ちゃんとウチの傍に居なよ?梨沙子一人じゃ危ないんだから」
「言われなくても居てあげますぅー」
そんな日まで
もう少しだけこのまま子供の状態を満喫させて
そんな関係も良いもんでしょ?
正直者がバカを見ない様に
私が正直者の為に正直になるよ
- 182 名前:honesty 投稿日:2008/04/08(火) 21:39
-
honesty 終了
- 183 名前:gen 投稿日:2008/04/08(火) 21:44
- 更新
新作間に合わずと言うか上手くまとまらずと言うか
なので短編みやりしゃ
雅ちゃんの好き好きベクトルを大きめにしてみました
梨沙子の誕生日プレゼント的な演出
普通梨沙子の方が好きベクトルが大きいからね
明日らへんにあいかん短編書いて
今週中に新作に入りたい所存
あいかんは愛理誕生日早めのプレゼント的にしてみたいです
- 184 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/09(水) 00:36
- 全部好きなCPです!!
最近とくに、あいかんが好きなので次の更新も楽しみにしてます!
- 185 名前:gen 投稿日:2008/04/09(水) 20:19
-
- 186 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:20
-
目的地のない魔法のバスに乗ってどこまでも行きたい
でも、目的地がないなんて、ない
猫バスだって999だって、いつかは終点がやってくる
- 187 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:21
-
inhale
- 188 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:22
-
私の隣の人の目的地は確か次の停留所
なのにグッスリ眠っている
しかも私の肩にもたれて
起こさないと、そう思うけどまだ寝顔見ていたいな…
本当はまだ一緒に居たいし、出来る事なら明日まで…
ガタッとバスが揺れる
起きちゃったかな?なんて様子を見てると、モゾモゾと動き出す
「んっ…んん〜、って寝てた、私?」
「うん、もうぐっすりと」
「肩、ありがと愛理」
まだ、ちゃんと開いていない目をこすりながら
「あぁ、降りるの次じゃん…起こしてくれて良かったのに」
そんな事言うあなたはちょっと嫌い
- 189 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:23
-
寝顔を見てたかったんじゃない
あなたの隣に居たいだけ
明日を一緒に迎えたいだけ
目的地が無かったらずっと隣に居れるのに
そう思うと、ちょっとだけ気持ちが沈んだ
「もう、愛理どうしたー?」
「なーんでもないよぉー」
強がって、おちょくった態度で応えてみるけど
気持ちを隠すのって、私得意じゃない
- 190 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:24
-
「嘘だぁ “まだまだ、ずーっと栞菜と一緒に居たいですー”って顔に書いてあるけど?」
「…!!そんなに長いこと書いて、なぃ…」
「じゃあ、何て…?」
あなたはズルい
その目で見えてないモノなんて無いくらいに、何でも見抜いている
私の気持ちだって分かっていながら、そう言うんだ
「…降りないでって、それだけ」
だけど、どんな時だって
例えイタズラしてくる時だって
その目は優しくて
私を吸い込む
- 191 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:25
-
運転手さんのアナウンス
あなたが降りる停留所
あなたとの今日にサヨナラする時間
私の小さな願望、あなたに届きましたか?
降りないで、今日はもうちょっとだけ一緒に居たいよ…
そう願って、キュッと目を瞑ったら
肩にコツンと重みが加わった
「有原栞菜さんは鈴木愛理さんの肩が気持ち良くて寝過ごしてしまったので、降りませーん」
- 192 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:28
-
ふざけた声色、目は閉じられていて
でも表情は楽しそうに笑っている
「鈴木愛理さんは有原栞菜さんの寝顔が…っか、可愛いなって思ってしまったので、起こせませーん」
「「…フフフッ」」
今度は開かれた目
見つめあって、笑って
ちょっとだけ勇気を貰う
「今日、うちに来て」
「あら、愛理が素直」
「だって…」
勇気を貰っても
本当は恥ずかしい
でも、今日はどうしても一緒に居たい
「まぁ…言われなくても偶然寝過ごした事にして、愛理の家に行くつもりだったけど」
「…本当?」
「うん、だって…」
- 193 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:29
-
「だって明日は愛理の誕生日じゃん 一緒に迎えないと」
- 194 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:30
-
やっぱりあなたの目は優しくて
それは私の願い事を叶えるには十分過ぎるほど
そんなあなたに見つめられる事が
私にとって一番の…
一番のプレゼントになるから
- 195 名前:inhale 投稿日:2008/04/09(水) 20:31
-
inhale 終了
- 196 名前:gen 投稿日:2008/04/09(水) 20:33
- 更新
予告先発大隣が大好き
早めの愛理誕生日短編を更新
14歳とか若いなぁ
桃子の16歳も若いと思うのに
とりあえず愛理は今年も優等生愛理で居て栞菜にタジタジで居てください
- 197 名前:gen 投稿日:2008/04/09(水) 20:35
- 米レス
>>184さん
あいかんは可愛いですよね
私も好きです、基本皆好きですがあいかんは特に好きです
意外と愛理が押してるのが好きです
- 198 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/10(木) 23:17
- あいかん可愛いですね〜
私は積極的な有原さんが好きですね!
次の更新も楽しみにしてます
- 199 名前:gen 投稿日:2008/04/12(土) 15:03
-
- 200 名前:クルクルヒラヒラ 投稿日:2008/04/12(土) 15:04
-
桜が散り始める頃
私は毎年あなたに少しだけ近付きます
それでもまだ近付けない部分の方が多くて
いつまで経ってもその背中を追い掛けないといけなくて
もどかしい様な、寂しい様な
風に乗った桜の花びらを
頑張って掴もうとするみたいな感覚に似ていて
簡単に掴めない、追い付けないから私はそれを続けてしまう
- 201 名前:クルクルヒラヒラ 投稿日:2008/04/12(土) 15:05
-
「あっ…」
握りしめた掌を
そっと開いたら淡いピンク
掴めた、掴んでしまった
ちょっとだけ良い予感がしました
あなたに会える様な、少しの間だけ隣を歩ける様な
- 202 名前:クルクルヒラヒラ 投稿日:2008/04/12(土) 15:06
-
良い予感が当たりました
後ろから聞こえたあなたの声
「愛理ー!!」
私は立ち止まって
あなたは私の隣に来てくれて
「朝から会えて良かったぁ…誕生日おめでとう」
あなたは息を整えながら
最初のプレゼントをくれました
- 203 名前:クルクルヒラヒラ 投稿日:2008/04/12(土) 15:07
-
立ち止まったら追い付けないから
どんな時でも立ち止まっちゃいけないって思うのに
あなたの声がしたら簡単に立ち止まっちゃう
だって、私が立ち止まる時は
あなたが立ち止まって私の隣に居てくれる時だから
「桜、そろそろ全部散りそうだね」
「うん、そうだね」
- 204 名前:クルクルヒラヒラ 投稿日:2008/04/12(土) 15:08
-
この桜が散って濃い緑の葉桜になる頃
あなたはまた進み始めます
そうしたら私もまた頑張って追い掛けます
また来年あなたに追い付いて、並んで、ちょっとだけ立ち止まれる様に
「でも良かった、愛理の誕生日に少しだけでも桜が咲いていて」
- 205 名前:クルクルヒラヒラ 投稿日:2008/04/12(土) 15:08
-
掌に残った桜の花びら、あなたに贈ろうと思います
押し花にでもして、あなたの名前にぴったりなしおりにしようと思います
あなたの誕生日に私と見た今年の桜を思い出す為に
来年もまた
再来年もまた
その先もまた
いつまでも
クルクル
ヒラヒラ
廻って
舞って
桜の花びら
- 206 名前:gen 投稿日:2008/04/12(土) 15:10
- 更新
愛理の誕生日にどうしても一個書きたかったので急遽短いのを
一応あいかんです
“しおり”を“栞”とそのまま表記するか迷いました
- 207 名前:gen 投稿日:2008/04/12(土) 15:12
- 米レス
>>198さん
あいかんいいですよ、可愛すぎですよ
栞菜は無条件に押す子なんでね、愛理にはそれにまけないで欲しいです
- 208 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/12(土) 22:49
- 桜の花びらのしおり…素敵ですね!
愛理のほうがお姉さんっぽくみえますが、栞菜のほうが一つお姉さんなんですよね〜
これからも、無邪気?な栞菜にお姉さんしてる愛理でいてください。
- 209 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:25
-
喫茶Viento
スペイン語で風って意味の喫茶店
- 210 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:26
-
街を少し外れた所にあって、近くの高校やら大学の生徒がよく訪れる
店にはマイペースな店長代理と、それを支えてあげる少し口五月蝿い店員さん
それに訛りが抜けない常連さんと、いかにも今時って感じだけど少しズレてる女子高生二人
その他も皆個性的な人ばかり集まる
そこに少しだけ
他とは違った問題が起こるのは目に見えるほど明らかで
ほら、今日もまた…
- 211 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:26
-
* * * * *
- 212 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:28
-
みんな知らない
だけど私は知っているよ
「梨沙子もこんな所に入り浸ってないで真っ直ぐ家に帰りなよ」
「あ〜、これ美味しいぃ〜」
みやが家を出て1か月
両親との大喧嘩の末、そんな結末に至った
そして今居るここは喫茶Viento
元々は二人で買い物に来た時に見つけたケーキが美味しい喫茶店
今は家出少女のみやが、住み込みでバイトをしている所
- 213 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:29
-
「もう、梨沙子っ!!」
「んぐっ…詰まった、みや、飲み物…」
みやと私は所謂幼馴染で
みやの家族も私の家族もみんな、これと言った問題も無く過ごしてきた
絵に描いた様な幸せ家族だったみやの家
だから今回のみやの家出は一番の問題で
「ほら、これ飲んだら帰ってよね」
「うん…あっ、これ持ち帰りある?」
- 214 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:30
-
原因はみやの夢
でも知っているのは私だけ
この春から高校に通い始めたみやは本当は他にしたい事があって
それは目の前にあるケーキの乗ったお皿が語ってくれる
「あのさ、ウチ真剣だから」
「分かるよ」
「だから、いくら梨沙子でも邪魔っていうか、その…」
「それも分かるよ」
多分…うぅん、絶対
私はみや以上にみやの事、分かっているつもり
- 215 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:32
-
だって、ずっと見てきたから
どんなみやも格好良くて
それでも一番格好良かったのは料理をしている時のみやだった
ここでバイトしてるって聞いた時はちょっとだけ嬉しくなった
「ほら、梨沙子…これ詰めたから、もう帰って」
「はぁ〜い」
やっぱり私それなりに分かっているつもり
だから、みやが嫌がる事をしたくない
「あっ…梨沙子」
「なぁに?」
「あのさ…ウチ、一応ちゃんとまだ高校は行ってるから、その…」
だけど、やっぱり私はみやの傍に居たくて
小さい頃から築いてきたモノはそんなに簡単に壊せなくて
「うん知ってる」
「…その言い方なんかムカつく」
「イヒヒィ〜、ちゃんと報告しとく」
「…ありがと」
それはみやも一緒みたいで
やっぱり私たちは幼馴染なんだって思った
- 216 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:33
-
「あとさ、それ…ママと…」
「分かってるよ、最初からそのつもりだもん」
いつまでも
どこまでも
私たちは幼馴染だから
この問題が解決するのがあと少しだって事はなんとなく分かった
「じゃあね、みや」
「うん、色々…ごめん」
「いーよ、みやだもん」
あと少しで
いつもの私たちに戻ります
その時にはまたケーキ、食べに来よう
- 217 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/17(木) 23:34
-
美味しいケーキはどうですか?
第1話 終了
- 218 名前:gen 投稿日:2008/04/17(木) 23:38
- 更新
更新しました
考えていた新作がまだ出来てないのでアンリアルな短編がちょっと続く感じのを更新
あとちょっとだけこれが続きます
多分れなえりとガキコハミツが来ます
やじうめも来ます
自分頑張れ
- 219 名前:gen 投稿日:2008/04/17(木) 23:41
- 米レス
>>208さん
素敵と言ってもらえて嬉しいです。とても照れます。でも何だか変色するだろうなって自分に突っ込みいれてます。
栞菜の無邪気さは可愛いですよね。愛理もタジタジになりながら隣ガッチリキープしてる所が可愛いです。
これからも頑張ります。
- 220 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/17(木) 23:48
- りしゃみやキター。 次からの小説も楽しみにしてます。
- 221 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:09
-
* * * * *
- 222 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:10
-
支えてるって勘違いしてた
本当は支えてもらっていて
落ちないようにしっかりと
- 223 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:11
-
本当に小さいけど、問題が起こったのはみやが家に帰ってくるって決まった日だった
みやが帰ってくるって言ったから
手伝ってって言われてないけど、手伝おうと思ったから
ケーキ食べさせてくれるって言ったから
学校帰りにVientoに来ていた
大分日も傾いて来て、ちょっと遅めの15時のおやつ
カウンター席に座って
みやが作ってくれた紅茶味のシフォンケーキとオレンジジュース
「美味しい〜」
「ありがと」
お世辞抜きで本当に美味しくて
やっぱり私はみやの事を応援したいなと思った
- 224 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:12
-
「うん、みやは凄い、こんなに美味しいの作れるんだもん」
「おだてても何も出ませーん」
みやが笑ってくれた
みやがあんな風に恥ずかしそうにはにかんで笑うのは本当に嬉しい時
そんな時だった
「れーなのバカッ!!」
「なんね、バカはそっちやろが」
- 225 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:13
-
店の隅
そこは常連の田中さんがいっつも居る席
田中さんはどうも店長代理の亀井さんと知り合いらしくて
仲が良いのか悪いのか、よく口喧嘩をしている
「また?」
「今日新垣さん休みだから、喧嘩してほしくなかったんだけど…」
みやは結構心配性
と言うかすっごい優しくて、負けず嫌いの癖に平和主義者
「ウチ、ちょっと止めてくるわ」
「うん、頑張れ」
いつも通りだったら仲裁が入れば、それなりに収まってたのに
ここは喫茶Viento
何が起こるか分からない
- 226 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:15
-
「だから、絵里はれーなの為にっ…!!」
「いつ、れなが頼んだとよ?絵里がする事は時々余計なんよ!!」
「もうどっちの言うことも分かるんで喧嘩は止めて下さいよ!!」
本当二人の喧嘩は凄くて
みや、大変そうだった
でも何か亀井さんの言ってる事、分かる気がする…
「…分かるなぁ、亀井さんの気持ち」
「「えっ…」」
「ちょっと梨沙子!!何言ってるの!!」
- 227 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:16
-
だって私も
みやの為に頑張って、それでもあんまり認めて貰えなくて
すっごく悲しくなる事、よくあったから
「梨沙子ちゃんは絵里の仲間!!ほられーなと雅ちゃんはどこか行けば良いじゃん!!」
「えっ、亀井さん何で私もなんですか?」
「あー、もう知らんけんね、雅ちゃん行くよ!!」
「えっ…ウチ本当に何の関係も無くないですか?」
目にも止まらぬスピードで
亀井さんは田中さんと何故かみやまで追い出した
- 228 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:18
-
二人を追い出した亀井さんは
やれやれって感じでため息をついた
でも、どこか寂しそう…
「梨沙子ちゃん…」
「はい…」
「今日、泊まってく?」
「ふぇ…?」
「いくよね?」
「あっ、はい…」
私は放っておけなくて
だからか分からないけど返事をしていた
- 229 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:19
-
あれ、今日って…
今日は確か、みやが家に帰る日
だから私はVientoに来たんだっけ
……
入れ替わりに私がVientoに住む事になりそうです…
- 230 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/18(金) 21:21
-
美味しいケーキはどうですか?
第2話 終了
- 231 名前:gen 投稿日:2008/04/18(金) 21:24
- 更新
更新しました、短いけど
とりあえず前後編チックになる第2話と第3話のうちの片っ方
天然トラブルメーカーの店長代理の絵里さんとシャイな強がりっ子れいなさん
そして巻き込まれ体質の梨沙子ちゃんと保護者の雅ちゃんが出ます
- 232 名前:gen 投稿日:2008/04/18(金) 21:25
- 米レス
>>220さん
りしゃみやキチャッターです
りしゃみやは何だか好きみたいです、私
楽しみにして下さって、ありがとうございます
頑張っていくのでよろしくお願いします
- 233 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/22(火) 15:33
- おーなんかおもしろそうっす
次の更新楽しみにしてます
- 234 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:11
-
「はい梨沙子ちゃん、これ」
「ありがとうございます」
すっかり日も暮れて
亀井さんは私に夕御飯にパスタまで作ってくれた
さっきからため息ばかりついている亀井さんは怒っているみたいで
でも、どこか寂しそう
「梨沙子ちゃんはさ…」
出されたパスタを食べていると亀井さんが話始めた
「雅ちゃんと喧嘩とかする?」
「えっと、よくします…しました」
「そっか…でも仲良いよね」
「はい、やっぱりみやの事好きだし」
この頃は忙しくてあんまり一緒に居なかったから喧嘩もできなかったけど
みやも私も負けず嫌いで譲らないから喧嘩になる事は多々あった
最終的にはみやはやっぱりお姉さんで
いつの間にかみやには色んなものを与えてもらっていた
- 235 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:12
-
「絵里もね、れーなと幼馴染で小さい頃からよく喧嘩してたんだ」
話を聞くにViento兼亀井さんの家の裏に田中さんの家があるみたいで
まるでみやと私みたいな関係
「でもさ、れーなっていつも優しくて絵里甘えてばっかりだった」
亀井さんの表情は凄く柔らかくて
田中さんは本当に優しい人なんだって、分かった
- 236 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:13
-
「絵里ね、専門学校出たら他のお店で働きたかったの」
亀井さんもみやみたいに夢があったみたい
「ここが嫌ってワケじゃないけどとりあえず出てみたかったの」
「…」
「で、雅ちゃんみたいに親と喧嘩して飛び出してやる!!ってなった時にれーながさ…」
少し思い出し笑いって言うか、思い出して微笑んだ亀井さん
私は不思議と気持ちが分かる
多分、亀井さんが田中さんを思う気持ちは私がみやを思う気持ちと似てるんだ
「“絵里が作ったもんはれーなが一番に食べるって約束しとろうが”って言ってくれたの」
「亀井さんが作るの美味しいですもんね」
「ありがと…でもさ、そうじゃなくてそれね、小さい時にした約束なんだよね…れーなずっと覚えてたんだよ」
あの単細胞のれーながだよ?
そう言った亀井さんは凄く幸せそうで
「だから絵里はれーなの為に作ろうって思ってるのに…」
「…」
私は言いたい事があるのに、何にも言えなかった
だって、こういうのはみやの方が慣れてる
私はいっつもそれを見て、何だか幸せな気分になっていた
「分かって貰いたいな…」
亀井さんの言葉は私じゃなくて、田中さんに向けられたものだった
- 237 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:13
-
* * * * *
- 238 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:16
-
Vientoを出て向かった田中さんの家は意外にもVientoの裏で
もしかして、田中さんたちもウチらみたいな関係なのかなって思った
「上がって良かよ」
「すいません…」
「やっ、れなが引っ張ってきたけん謝らんで良かよ」
綺麗に片付けられた田中さんの部屋は亀井さんの部屋とは全く違って
ウチは思わず笑ってしまった
「何笑っとるん?」
「いや、亀井さんの部屋と違うなぁと思って」
「あの部屋はまず地球じゃなか」
田中さんは何となくウチに似て見えた
亀井さんのダメな部分も知っているのに、それすら可愛く思えるんだろう
- 239 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:18
-
「失礼ですけど何で喧嘩したんですか?」
「あぁ…それなんやけどさ…」
どうもこういう事らしい
両親が旅行中だからその間田中さんはVientoで夕御飯を食べる事になってたらしい
田中さんは結構偏食で、それを知っている亀井さんは田中さん用に御飯を作っていた
だけど田中さんは時々はメニューを見て、自分で決めたのを食べたくて、それを亀井さんに言ったらしい…
そしたら、亀井さんが怒ったので田中さんもつい言い返したって所かな…
- 240 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:19
-
「結局は絵里が作ってくれとったヤツがその日食べたかったヤツやったりするけん良いっちゃけどさ、れなやって少しは迷ったりしたいんよ」
「…そう、ですよね」
何と言うか…ウチらでさえそんな理由で喧嘩しないと思う
多分梨沙子が田中さんより素直ってだけなんだけど
何だかアホらしくなってきちゃった
ウチには新垣さんみたいに上手く二人を扱えないみたいだ
- 241 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:21
-
「…あっ、ウチやっぱり帰ります」
「そっか…」
「今日帰るって言ってたし…梨沙子も連れて帰るんで、その…」
でも、二人とも好きだから
仲直り、して欲しい
だから邪魔者は消えないといけない
「あの、頑張って下さい…」
「んっ…ありがと」
ウチに出来るのはこれくらい
それでも少し大きな事をした気分になった
- 242 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:21
-
* * * * *
- 243 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:22
-
「ねぇ、みや…」
「何?」
「仲直り出来るかな…」
「出来るよ、絶対」
「そう?」
「うん…何だかんだでお互いによく分かってるんだよ」
みやは夜空を見上げてそう言った
私はちょっと照れ臭かった
亀井さんと田中さんの事だけど
多分私たちもそうだから
- 244 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:24
-
「みや、手繋いで良い?」
「ウチ荷物持ってるから無理」
「えー、右手寒いー!!」
みやはそう言って少し早く歩いて、私より一歩前に行った
だから私も早く歩いた
「持つ」
「良いよ」
「持つ」
私はみやが左手に持っていた荷物を力づくで奪って持った
「本当、梨沙子は強情」
「知らなーい」
そう言ってみやは私の右手を握ってくれた
「梨沙子だってもう中2なんだからね、今日だけだよ」
「はーい」
みやの手は温かくて、優しくて
隣に居るんだって実感した
みやの事やっぱり大好きだって思った
- 245 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:26
-
「みや、おかえり」
「…ただいま」
この後帰りが遅くなった事をパパとママに怒られたけど
みやはやっぱり夢の事を両親に話せなかったみたいだけど
今日、みやが私の隣に帰ってきました
- 246 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/04/22(火) 21:27
-
美味しいケーキはどうですか?
第3話 終了
- 247 名前:gen 投稿日:2008/04/22(火) 21:30
- 更新
更新しました
眠いです、とてつもなき
実験ばかりの生活が楽しすぎて死にそうですよ
話変わりまして从´・_l・)が好き
ハテハテェ?の言い方がバリ可愛いです
いつか書きたい子ナンバーワンになりましたよ
まだキャラ掴めてませんが
では、また今度!!
- 248 名前:gen 投稿日:2008/04/22(火) 21:32
- 米レス
>>233さん
あまり山も無ければ谷も無いような話ですが…(笑)
これからも頑張るのでヨロシクお願いいたします
- 249 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/04/24(木) 08:52
- りしゃみやだぁ〜。れなえりも登場してるし♪♪
更新楽しみにしてます。
- 250 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:37
-
楽しそうにしているあなたを見るの、大好きだよ
ただその隣に居るのが私じゃないのは嫌だ
だからいつも隣に居たいの
- 251 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:38
-
そろそろ梅雨なのかな…
今日は弱いながらも朝からずっと雨が降ったり、止んだりしている
「だるいなぁ…」
小雨だと思っていた雨が次第に強くなってるよ、絶対
Vientoに行きたいのに
みやが待ってるのに、多分…
ショートケーキ食べたいのに
みやが作ったヤツ、食べたいのに
- 252 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:40
-
「あの…」
「えっ、あっ…はいっ!!私、ですか?」
「うん。あのさ、ここら辺にVientoって喫茶店があるはずなんだけど、分かる?」
突然声をかけるなんて変な人
あれっ。でも?
…今、Vientoって言ったよね?
あのVientoだよね?
「えっと、ですね…」
「分かる?なら案内してくれたら嬉しいなぁ、とか言って。着いたら傘貸すからさ!!」
助かった!!
…けど、Vientoに何の用だろう?この辺の学校の制服じゃないみたいだし。
「あっ、知らない人になんちゃらとか言うヤツ?私は怪しい者じゃなくて…」
黒い髪、長い髪
傘さしてるのに随分濡れて見えるのは汗かなんかかな?
「…ってんだ。だからさ、行こう!!」
少し引っ張られる形で、私はその人の傘に招かれた。
- 253 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:42
-
―カランカラン
Vientoの作りは如何にも町の喫茶店って感じで。
扉だって手動だ。
「いらっしゃ…って梨沙子か。」
「むー、みや酷い。せっかく来たのに。」
「来てなんて頼んでないし、梨沙子に構ってると仕事出来ないじゃん。」
みやは家に帰ってきたけどバイトは続けている
だから、一緒に遊ぶ時間は勿論、一緒に居れるだけの時間もあんまりないから私はみやがバイトの日は大体Vientoに行く事にしてる
- 254 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:43
-
「大体梨沙子遊んでばっかいないで宿題とかしたら?」
「今日は道案内で来たんですー!!」
みやに会うのが本当の目的だけど
でも、ちゃんとこの人をVientoに連れて行くって役目があったんだもん!!
私はただ役目を果たしただけ…
それだけだもん。
- 255 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:44
-
「すいません…面接にきた矢島って言う者ですけど。梨沙子ちゃんに案内してもらって…」
「そうだもん!!私は矢島さんを連れて来たの!!」
「あっ、梨沙子が迷惑かけませんでしたか?」
…みや、この頃ちょっと私の扱いが酷い気がする
「大丈夫ですよ。」
「面接ですよね、新垣さーん。面接する方がいらっしゃいました。」
あっ、そう言えば、この矢島さんって人、面接に来たんだ…
バイトに入ったらずっとみやと一緒に居るんだよね…
これは何か新しい問題が発生しそうな気がする…
- 256 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/05(月) 20:45
-
美味しいケーキはどうですか?
第4話 終了
- 257 名前:gen 投稿日:2008/05/05(月) 20:48
- 更新
短いけれどサワリの部分を更新しました。
もう5月か…合コンも終わり、GWも終わりそうですね。
これと言って状況変化は御座いませんが、私の先輩と私の親友が付き合い始めたり、私の周りは変化しているみたいです。
あと4話はやじみや?になりそうでならないで…になる予定。
- 258 名前:gen 投稿日:2008/05/05(月) 20:49
- 米レス
>>249さん
りしゃみやです。れなえりもきてます。
れなえりは可愛く両思いと言うか何と言うか。りしゃみやはただズルズルと進みますよ(笑)
これからもよろしくです。
- 259 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/09(金) 20:28
- りしゃこ可愛いなあ
- 260 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/13(火) 12:45
- 登場人物が増えてる
これからの展開楽しみ♪
- 261 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:49
-
* * * * *
- 262 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:50
-
Vientoに向かっていた
それを今は後悔してる
あんなの見たくなかった…
- 263 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:51
-
Vientoに向かう途中にみやがいつも買い出しに来ているお店がある
いかにも街の商店って感じで、店員さんは中々のどんぶり勘定で
私は利用者ってワケじゃないのに、凄くよくしてもらって、結構かなり好きだった
「あっ、みや…」
そこの近くに来た時みやの姿を見つけた
私は当然、駆け寄って声をかけようとした
でも、しなかった…出来なかった
- 264 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:52
-
店の外でみやは矢島さんを待っていたんだ
店から出てきた矢島さん
みやはそれを見て、笑顔になった
それは私が見たことないような笑顔で
何が嫌ってワケじゃないけど
何かが嫌で、私は今までと逆方向を向こうとした
「あっ、梨沙子!!」
「みや…」
「今日も来たの?」
「けど、やっぱり帰る…」
- 265 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:53
-
どうしても、嫌だった
私の知ってるみやが全部って、有り得ないのは知ってる
でも、限りなく全部に等しくて、一番みやに近い位置に居るって思ってた
- 266 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:53
-
気付いた時には走ってた
そんなに速く走れないけど、走ってた
あれから一週間
私は一度もVientoに行っていない
- 267 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:54
-
それなりに過ごしていけるって、勝手に思ってた
でも、やっぱり無理だった
「離れるのは嫌だって知ったばっかりなのに、バカだったなぁ…」
何でだろう、みやが他の人と居るの嫌だった事なんてなかったのに
あんな笑顔のみや、見たことなかったから
多分そうなんだ
- 268 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:54
-
「会いたいよ…」
やっぱり、私にはみやしか居ない、そう思った
でも、弱虫な私の足は思う様にみやの所へは向かっていけない
傍に居てくれたのはみやで
私はそれが当たり前で甘えていただけ
そうなんだって思った
「もう会わないのかな…」
そう思うと涙が出てきて
まだ外は明るいのに、私の部屋は真っ暗で
私はそのまま眠ってしまった
- 269 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/05/19(月) 17:55
-
美味しいケーキはどうですか?
第5話 終了
- 270 名前:gen 投稿日:2008/05/19(月) 17:58
- 更新
ひっさびさの更新
この話はあと1話
でサイドストーリー矢島さん編に入って
サイドのサイドViento紹介ストーリーに入る予定です
ボーノさん可愛すぎです
この頃ボーノばかり聞いてるような、そうでもないような
ボーノメン全員出したいなぁ…
- 271 名前:gen 投稿日:2008/05/19(月) 18:00
- 米レス
>>259さん
りしゃこは可愛いです、それも半端なく
私もりしゃこはとても可愛いと思います
>>260さん
登場人物増えました
矢島さんにはそれとなく活躍して頂きます、暗躍とも言えるのでしょうか?
矢島さんの相方もこれから出ます
では、また頑張ります
- 272 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/28(水) 23:16
- りさこ〜(泣)
りーちゃんの気持ちに気付け鈍みや(怒)
- 273 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:15
-
目が覚めたら真っ暗だった
窓の隙間からチラリと覗く外も真っ暗で、あぁ本当に真っ暗なんだって実感した
- 274 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:16
-
何か部屋が変だと思った
カサカサと小さく音がする
「…何してるの?」
「んー、雑誌読んでる」
「電気つけないで?」
「だって梨沙子寝てたから」
みやが居た
みやは優しさまで不器用だ
だけどそれは確かに優しさで
自然界に唯一存在する直線って言っても良いくらい真っ直ぐだ
- 275 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:17
-
「最近、会ってないなぁって思ってさ」
「うん」
「来てみた」
「うん」
少し会話するだけなのに、これだけ難しいのは初めてだった
みやは立ち上がって電気をつけた
いきなり明るくなって眩しかったけど
久々に見るみやは、やっぱりみやで
変わってない事が嬉しくて
変わってない事が寂しかった
- 276 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:19
-
「疲れてんの?」
「特に」
「寝てたじゃん、ずっと」
「まぁ、寝てたけど」
みやは分かってない
分かってたら、何か言い訳するはずだから
「今日バイトで作ったガトーショコラ、持って来た」
「…」
でも、それもみやだから
だから、少しだけ諦めた気持ちになりそうだった
「疲れてるなら、甘いモノ食べたら良いじゃん」
「うん」
やっぱり、会話が難しくて
何か嫌だった
- 277 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:21
-
「そう言えば舞美ちゃんも梨沙子の事、心配してた」
今だけはあんまり聞きたくない名前だった
でも、みやは普通の表情で普通に言った
あの時の笑顔じゃなかった
- 278 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:22
-
「梨沙子はどうもウチになついてる様に見えたらしくてさ」
“犬だって思われてんだよ、梨沙子”なんて言ってみやは笑ってた
その笑顔は私の好きなみやの笑顔だった
正直、それを見て嬉しくなった
「失礼なヤツだ、矢島さんは」
「いや、ウチはよく観察してるって思ったけど」
私も笑ってた
真っ暗だったのは、もう遠い過去になった
- 279 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:25
-
「あっ、そう言えば舞美ちゃんってさ…」
だけど、矢島さんの話ばっかする、みやは嫌だ
「恋人が居るのか、何か怪しいんだよねぇ〜よくメールしてるし」
…
……
………それって?
- 280 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:26
-
思わず聞き返してしまった
「えっ?」
「どんな人なんだろ?ウチだったらいくら美人でも舞美ちゃんみたいなオカシナ人とは付き合えないや」
私はみやが不思議がるくらい大きくガッツポーズをした
「よしっ!!みや、ガトーショコラ食べよ!!」
「えっ、あっ、うん」
「ガトーショコラァ〜♪」
その日食べたケーキはすっごく甘くて
だけど嫌にならない甘さで
いつまでもこうして、みやの隣で食べていたいなって思った
- 281 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:28
-
あの笑顔の理由はまだ分からないけど
隣にいるあなたの笑顔が私の好きな笑顔だから
私はそれでも良いのかなって
私たちってそんなんだよねって
そう感じた
- 282 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/02(月) 06:28
-
美味しいケーキはどうですか?
第6話 終了
- 283 名前:gen 投稿日:2008/06/02(月) 06:31
- 更新
更新しました
一応一段落です
このあとは矢島さん頑張れ状態です
あとガキさん頑張れ状態です
- 284 名前:gen 投稿日:2008/06/02(月) 06:33
- 米レス
>>272さん
何で雅ちゃんって鈍いんですかね?有り得ないくらいですよね〜
それだけりさこが頑張って空回って可愛くなるから、許せる気もします
では、これからもよろしくです
- 285 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 21:57
-
たまたまから始まって
たまたまで行き詰まって
私は自らたまたまを続けている
- 286 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 21:58
-
たまたま午後から雨が降った
今朝、家を出るときに叔母さんに渡された傘は邪魔物にならないで、しっかり役目を果たす目前だ
雨のせいでいつもより早く暗くなった空
昇降口の切れそうな蛍光灯も相まって、全体的にどんよりしていた
- 287 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 21:59
-
そんな昇降口でその人、梅田さんは立っていた
クラスが一緒
集会とかがあると、背が高いからって理由で後ろに並ばされる
それくらいしか接点は無くて
だけど、知らないワケじゃない
だから、声を掛けた
「傘、ないんですか?」
「あっ、うん…」
- 288 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 22:01
-
…失敗だと、直ぐに悟った
こんな事聞いてしまったら、その横で普通に傘を差すなんて、まるで性格の悪い人みたいだ
「入ります?」
「えっ、迷惑だろうしいいよ」
はっきり言って私の負けだと思った
こんな事聞いたら、結果として入れてあげると言うモノしか出てこない
そこからは互いに何も言い出せなくて
結局、私は梅田さんを傘に入れてあげた
それは多分、最初の風が吹いた瞬間だった
- 289 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 22:03
-
こうなったら普通傘に入れてもらった方が恋に落ちるのが定説
なのにそれを覆してしまったのは私
他愛ない話をして
今まで知らなかった分の梅田さんを知った
クスクス肩を揺らしながら笑う梅田さんは女の子って感じで
何がどうかなんて分からないけど
どうしてか自分でも不思議なんだけど
私は恋に落ちていた
- 290 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 22:04
-
私は傘を持っていて
梅田さんを傘に入れて
本当に良かったと思った
多分傘を持っていた時点で私は負けだったんだ
この恋は勝負じゃないけど
私は完璧に梅田さんに負けていた
- 291 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 22:05
-
「あっ、ここで良いよ」
「家まで送るよ、近いし」
「いやぁ、今日行きたい所あるから」
「そっか、じゃあね」
梅田さんはそう言うと、雨をどうにか防ぎながら
一軒のお店に入って行った
そのお店は何よりもそこに溶け込んでいて
まるで梅田さんを吸い込む様に、そこにあった
- 292 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 22:07
-
そのお店には喫茶Vientoと書いてあった
「Vientoって、何だろう?」
私はそのお店の前を通る時、そんな事を考えていた
そこから急速に私の生活は変わって行くなんて、まだ知らなくて
Viento
正に風が吹いたなんて知らなくて
その風に背中を押されたのは、たまたまだったのかも分からない
- 293 名前:美味しいケーキはどうですか 投稿日:2008/06/13(金) 22:07
-
美味しいケーキはどうですか
第7話 終了
- 294 名前:gen 投稿日:2008/06/13(金) 22:11
- 更新
舞美さんのお話
やっぱり相手は梅田さんで
だってヤジウメ好きだから
これからの舞美さんは軽くストーカーちっくになりそう(笑)
梅田さんがVientoに入った理由は追々、と言うか次で
リシャミヤ書きたいよー
ぁぉ書きたいよーぁぉ
ぁぉ黄色書こう!!
- 295 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/14(土) 00:38
- やじうめキタ→
押しCP作者さんと全く一緒で嬉しいっす。
- 296 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:31
-
* * * * *
- 297 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:33
-
「矢島さん」
「っ、はいっ!!」
「そんなに驚かないでよ…」
少し呆れた様に笑う
そんな姿にすらドキドキしてしまう
何でこんな事になったんだろう
分からないけれど
私は梅田さんの全てが好きで仕方ないみたいで
- 298 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:35
-
「今日、放課後時間空いてる?」
「空いて、るよ…」
「じゃあさ、一緒、一緒帰ろ?」
「えっ?」
「この前のお礼、したいし」
「あっ、でも…悪いし」
「いやぁ、ウチがしたいだけだからさ!!」
そこでチャイムが鳴った
タイミングの悪さはまるで私に似ているな、なんて思った
「じゃあ、放課後!!」
「…うん!!」
梅田さんはそう言って席に戻って行った
私は少し思考が追い付かなかったけど、皆が機械的に席に戻るのを見ていると、私の身体も命令が走ったのか席に戻ろうとしていた
- 299 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:36
-
(早く、放課後にならないかな…)
本当は最初っから断るつもりなんてなかったのかもしれない
逆にそれを望んでいたと思う
ただ、二人で居るってなると何だか凄く恥ずかしい気持ちがした
- 300 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:37
-
当然と言えば当然なんだけど授業になんか集中できなくて
当然と言えば当然なんだけど時間はいつも通り過ぎていく
「行こっか?」
「うん」
真っ直ぐ、真っ直ぐ
道のりはいつもの帰り道と一緒
「ここだよ」
「Viento…」
「そっ、喫茶店なんだよ」
「この前…」
「あっ、見られてた?」
梅田さんに連れて来られたのは、この前梅田さんが入って行った喫茶店
私は梅田さんの生活の一部分を知れた様で
少しだけ嬉しかった
- 301 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:39
-
「…ごめんね、好き嫌いとか知らなくて 生クリームだめとか、あんまり居ないし…」
「うぅん、チーズケーキなら食べれるし、紅茶凄く美味しいよ」
ちょっとだけ実感する
少しずつ知っていってるけど
まだ何にも知らないってこと
「えりかちゃんって本当ダメダメだよね」
「もー、亀井さん五月蝿いです」
「だってそうじゃん、お礼のはずが迷惑かけて」
「もうっ!!ごめんね、矢島さん…」
でも梅田さんはVientoに来てから凄く楽しそうだって事
それを見た私も相当嬉しくなっている事
「そうだ、えりかちゃん」
「あっ、はい?」
「この前のヤツ、やっぱり無理っぽい?」
それは突然に
それでも確実に
私と梅田さんを近付ける話だった
- 302 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:41
-
「そっ、その話なんですけど、バイトはやっぱり、って言うか時間が…」
「え〜困ったなぁ、雅ちゃんが家に戻るんだよね〜」
「あっ、みや仲直りしたんですね」
「そう それでシフトに入れる日が減るみたいで、至急新しいバイト見つけないと、ガキさんがプンプンでさぁ〜」
「えっ、でもなぁ…」
梅田さんが難しい顔をして話を聞いているのを、私は眺めているだけだった
「そっか、えりかちゃん頭が弱いから補習が始まるって言ってたね」
「うっわ〜、亀井さんに言われるとムカつきますね」
「だって絵里はそんな経験ないもん、ちょー優秀だから」
「何か今おかしい事言いませんでした?」
梅田さん、補習あるんだ
…って事は赤点取ったのかな?
なんて悠長な事を考えていたのに、私の頭の結構深い所から
矢島舞美の親切心ってヤツが這い出て来た
「私、しましょうか?バイト」
「「えっ…?」」
「私、補習とか無いし…」
もしかしたら、親切心って思ったヤツよりも数段に
損得勘定を司る矢島舞美が強かったのかもしれない
ただ、ただ私は今よりももっと
梅田さんと仲良くなりたくて仕方なくて
少しでも共通点が欲しくてたまらなかったのかもしれない
- 303 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:43
-
「矢島さん、だったけ?本当に出来る?」
「はい 帰宅部だし大丈夫と思います」
「助かるなぁ〜!!でも一応ガキさんにも会ってもらわないといけないから、明後日にまた来れる?」
「矢島さん、嫌なら嫌って言って良いんだよ!!てか、亀井さん強引に進めないで下さいよ!!」
「梅田さん、私なら大丈夫だよ ただ…」
「ただ…?」
「私極度の方向音痴で、ここまで来れるかなぁって 正直な話、家近いハズなのにVientoがあるの知らなかったんですよね…」
「それ本当?」
「はい、本当ですよ、恥ずかしながら」
「「アハハハハッ〜!!」」
3人で笑っていた、ごく自然に
時が経つのはやっぱり当然で
それでも、それに合わせて私自身も進んでいるんだと思った
「えりかちゃんは良いとして、矢島さん、時間大丈夫??」
「あっ、そろそろ…」
「あっ、ウチ送っていくよ」
「じゃあ、矢島さん、またね」
「はい、また」
- 304 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:44
-
ここから、始まる物語
私は自然とあなたの隣を歩いていく
でも、少しだけ確信犯
そんな淡い気持ちの物語
- 305 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/06/28(土) 23:45
-
美味しいケーキはどうですか?
第8話 終了
- 306 名前:& ◆ejU.Dv0ib6 投稿日:2008/06/28(土) 23:48
- 更新
久しぶりの更新です。
待っていた方なんて居ないと思いますが、生きていますよ。
矢島さん編は一応一段落。バイト始めるまでを書きたかったんで。
いつになったら、やじうめが名前で呼び合うかは書きたいのですが。
あと、舞美のメールの相手もはっきりさせます、それは本編ですが。
だって早くりしゃみや書きたいんだもん。
では、また。
- 307 名前: & ◆ejU.Dv0ib6 投稿日:2008/06/28(土) 23:51
- 米レス
>>295さん
やじうめ来ました。やじうめは美しいです。
基本的に、キッズは王道が好きなんですよ、私は。やじうめは特に好きな方ですねー。
これからもよろしくです。
- 308 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/29(日) 19:03
- 更新だあああ!待ってましたよ!!
やじうめいいですねー、梅さん←舞美ってのも少ない気がしますんで、楽しみです
りしゃみやも頑張って下さい!
- 309 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:08
-
* * * * *
- 310 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:09
-
うちの店はおかしい
根本的におかしい
普通って言葉は存在しない
まず店長不在なところがおかしい
“じゃあ、行ってくる”
の一言で世界中を放浪しに行く人なんて、どこを探しても居そうにないのに
- 311 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:10
-
そんな店長の代理をしている私の親友もおかしい
“仕方ないなぁ、じゃあ絵里が店長だぁ”
なんて言って、店長を軽く引き受けるヤツもそう居ない
だからかどうかは分からないけど、やって来るバイト、お客、皆がおかしいなんて、そうそう無い
- 312 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:11
-
* * * * *
- 313 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:12
-
これから洗うと言うのに
綺麗にたたまれて置いてあるエプロンの持ち主
彼女の出現も中々おかしかった
“雇って下さい!!出来れば住み込みで…”
彼女がそんな事を言ってきたのは、今年になってからだった
それまでは時々来てくれるお客さんで
その時の表情はかなり切羽詰まっていて
私も働き詰めで休みが欲しかったからなのか、何も言わずに頷いていた
その時だってカメはニコニコ笑顔で、よろしくしか言わなかったけど
今となっては大事な戦力になってるから
私の判断も、カメの笑顔も未来を予測していたのかもしれない
“これがあっちで、それが…”
“3番テーブル”
“あっ、そうでした 自分ドンマイ”
…まぁ、記憶力に問題があるのは諦めるしかない
前向きに頑張ってくれてるから、見ていて微笑ましくなる
それはそれで良いかもしれない
- 314 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:13
-
タグに大きく丁寧な字で名前を書いてあるエプロンの持ち主
彼女もまたまた、おかしな子だった
時々凄く挙動不審で、頬を赤らめては、ハニかむ
少し大袈裟な仕事ぶりだけど
何一つ嫌がらないところは好感が持てる
バイトに入ろうと思った理由がイマイチ謎なのが気になる
“えっと…ガーっと決めちゃいました”
そう言って笑った顔が印象的で、やっぱり私は頷くしか出来なかった
“絵里が見込んだ子に間違いはないね♪”
なんてカメが言うもんだから、少しムカついたのは仕方ない
“いらっしゃいませ!!”
“今日も元気だね”
“取り柄ですから”
彼女とお客さんのやり取りを見ていたら清々しくなる
それはそれで良いかもしれない
- 315 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:14
-
実はアンティークの青いカップ
それを見て一目で気に入って、毎回それを指定してくるお客さん
“新垣さん聞いて下さい 小春今度〜”
“小春は、小春は?”
忙しかろうが、忙しくなかろうが
まず自分を優先したがるお客
最初は可愛い妹みたいな感じだったのが次第に煩わしくなって
今では夏に蚊がいるのが仕方ないみたいな気持ちになっている
カメとは違った意味でいつもヘラヘラしている
それでも決して嫌な気持ちにさせられた事はない
“う〜ん、やっぱり美味しいです”
こうやって素直に言われると、嬉しくならずには居られない
それはそれで良いかもしれない
- 316 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:15
-
青いカップとはペアで、これまたアンティークの黄色いカップ
それを一生懸命見ていたお客さん
“久住さん、あんま迷惑かけたらあきませんよ?”
“だ〜いじょうぶだって、ミッツィ〜”
“さいでっか?久住さんがそう言うなら、なぁ…”
少し周りに流されやすいところがあって
気が弱そうに見えて、本当は少し離れた所から友達を見守っている
この店で出会った中で、一番しっかりしている様に思える
それにあの笑顔は特上だ
何か嫌な事があっても、それを見たら癒されてしまう
まるで魔法みたいな不思議な力
やっぱりこれも少しおかしくて
でも、それはそれで良いかもしれない
- 317 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:16
-
* * * * *
- 318 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:17
-
「ガッキさ〜ん♪」
「五月蝿い…って言うかカメ、あんたまたエプロン出して…」
「持って来ました〜」
ウヘヘって笑いながら、グシャグシャになっているエプロンを差し出す彼女
「ホンット、ちゃんと9時までに出してくれないと間に合わないんだからね!!」
「ごめん、ごめん」
「ごめんは1回で良い!!」
「ごめん、ごめ…んぐっ、言っちゃダメだった」
手で口を覆いながらもまだヘラヘラしているカメ
その目が何か気付いた様に輝きだす
「でも、珍しいですよね」
「何が?」
「えっ、ガキさん気付いてないの?」
「だから、何が…っ、今日って祝日…」
壁に掛かった日捲り
その数字は真っ赤で、その後ろには2本の旗でクロスが作られている
- 319 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:17
-
「クリーニング屋休み…ってカメ、あんたも今、出しに来たって事は気付いてなかったんじゃん」
「ウヘヘ〜、でも、まぁ絵里のお陰で気付きましたよね?て言うか、働き詰めだとカレンダーとか分からなくなりません?だから、ガキさんも大丈夫ですよ♪」
そう言ったカメの顔はやっぱり笑っていて
私は今日何回目だか分からないけれど、この店はおかしいなって思っていた
そして、私も大分おかしくなっているみたいだ。
でも、それはそれで良いかもしれない
- 320 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/04(金) 21:18
-
美味しいケーキはどうですか?
第9話 終了
- 321 名前:gen 投稿日:2008/07/04(金) 21:22
- 更新
更新しました。
番外編的な、ガキさん視点です。
まぁ、時々こういうのを挟みます。
というか、前回のヤジさん視点で挿入と言うか、サワリの部分が終了していたので。
まぁ、次からは梅さんに活躍と言うか、青春していただきます。
- 322 名前:& ◆RxZuMGGJto 投稿日:2008/07/04(金) 21:25
- 米レス
>>308さん
ヤジウメー!!ですからね、ヤジーに上手い具合に攻めていただきたいんです。
梅さんにはとりあえず、のほほんとしていただけたらなぁと思っていますが。
りしゃみやもそろそろ出したいです。
- 323 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/27(日) 08:31
- がきさん目線だと今までと違った面白ろさがありますね。
続き楽しみにしてます。
- 324 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:07
-
* * * * *
- 325 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:08
-
良い方にも、悪い方にもウチは目立つ方じゃない
唯一目立つ事と言えば平均身長よりも背が高いってだけで、特に変わったところはない普通の人間で
面倒な事が嫌いでフツーに何でもこなしていた
だからと言って誰かに迷惑をかけた事も無いし、それが一番なんじゃないかなって
だけどウチが知らないところで、ウチは何かに巻き込まれる事が多い
- 326 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:09
-
* * * * *
- 327 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:11
-
夏休みに入って、補習三昧の日々で
そんなウチにとって補習後、一人でプラプラと遊ぶのはほんの束の間の休息って感じだった
「あっ、梨沙子じゃん」
「げっ、梅田えりか」
「何その反応…てか、どっか行くの?」
「みやの所」
「じゃあ乗ってく、後ろ?」
ウチにとって梨沙子は後輩
小学校の何年間かくらいしか一緒の学校には通っていないけど、何故かよく一緒にいる気がするのは多分アイツが原因だろう
- 328 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:12
-
「みや、今日Vientoに居るの?」
「うん、今日は亀井さんと新垣さんが休みだから、矢島舞美とバイト」
…矢島舞美
矢島さんはウチのクラスメイト
ちょっと前まではそこまで仲良く無くて、1週間にいっぺん話すか話さないかって感じだった
その前から存在を知っていた、というか、矢島さんはかなり有名だった
美人で勉強も出来て、運動も出来るから
「えりかちゃんはさぁ、矢島舞美と仲良いの〜?」
自転車に二人乗りをしているからか、梨沙子は普段あんまり出さないくらいの大声で質問してくる
「矢島さん?ん〜、どうだろ?一応一緒のクラスだよ」
一緒のクラス
そう、確かに一緒のクラスなのだが、どうなんだろう?仲は、良いんだろうか?
そりゃ、確かに前よりは仲が良いし、一緒に居る事も多くなった
- 329 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:14
-
「なんかさー、矢島舞美に好きな人居るらしいんだよ、みや情報によると」
「ほぉ」
「誰か知ってる?」
「ん〜、知らない」
梨沙子がこんなことを聞いてくるなんて珍しい
もしかして…
「梨沙子、もしか…」
「役に立たないなぁ、早くソイツとくっつけてみやをとられない様にしたいのに」
あぁ、そういうことか
そういえば、ウチの思い出に梨沙子がよく出て来るのは、みやに引っ付いているからだった
「いや、ウチ矢島さんに好きな人が居るなんて話初めて聞いたし、矢島さんって何かさぁ…」
何か掴み所が無いんだよね
大雑把なくせに妙なところでモジモジしたり
頼り甲斐があるのに時々すごいボケをかましたり
…要するに、ウチと違って何もかもが目立つのだ
ウチはそんな矢島さんが…
- 330 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:15
-
考えながら自転車を漕いでいると、時間って言うのはすぐに経つモノで
「ほら、着いたから降りて」
「うん、ありがと」
「よいしょ」
「何でえりかちゃんも来るの?」
「運送料貰ってないから、飲み物1杯でも奢ってもらわないと」
「カツアゲだぁ…」
「どうせ梨沙子もみやにサービスしてもらってるんでしょ」
「じゃあ、えりかちゃんは矢島舞美にサービスしてもらいなよ」
「…」
何だかモヤっとするものがウチの中にあった
それが何かは分からないけど、何だか気持ちが悪くなった
- 331 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:16
-
♪カランカラン
目の前では梨沙子が既にVientoの扉を開けていた
それを見てウチは
ウチはどうしてかその扉をくぐるのに、すごく気が重くなった
言葉にできない
今はまだ言葉にできない
でも、明らかにウチの中に何かがあった
- 332 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:17
-
* * * * *
- 333 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:18
-
「みやー!!」
「梨沙子静かに!!」
「って、言ってもお客さん居ないじゃん」
「誰か居たら、どうすんの!!」
「む〜、その時は…」
ウチがやっとの事で中に入った時にはもう梨沙子はカウンターテーブルに座っていて、みやといつもの様なやりとりをしている
「いらっしゃい…あっ、梅田さんだぁ」
矢島さんは夏の空に負けないくらいの爽やかな笑顔で出迎えてくれた
だけどウチの心はそんな風に晴れていない
- 334 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:19
-
「どーも、バイト楽しい?」
「うん、梅田さんはどう?」
「補習ばっかで大変だよー」
それでもウチは何故か普通を装ってしまう
「でも、みんな居るんでしょ?」
「もう、見飽きたよ〜」
ほら、こういう所だってウチと矢島さんは全く違う
勉強ができなくて夏休みなのに休めていないウチ
なんだかんだで優等生で充実した生活を送っている矢島さん
誰が見ても全く違うと言うだろう
- 335 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:22
-
「そう言えば、梨沙子ちゃんと仲良いの?」
「ん〜、みやの幼馴染だからね、自然と」
「そっかぁ…」
そんな凄い人がウチなんかの話を聞いて楽しいんだろうか?
「みやとは小学校から仲良いんだよね?」
「うん、小、中と委員会とか一緒だったから」
ほら、ずっとその綺麗な笑顔だ
「あっ、何か飲む?」
「あぁ、アイスティーで」
あぁ、モヤモヤする
気持ちが悪い…
- 336 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:23
-
「あー、梅田えりか!!えりかちゃん!!」
「梨沙子、なぁに?」
「さっきの、探り入れといてね!!」
「…うん、いつか」
「なぁに、それ?」
「てか、梨沙子先輩に対してフルネーム呼び捨てはしちゃダメでしょ」
「はぁ〜い」
騒がしい、鬱陶しい
バンッ!!
ウチは乱暴に矢島さんから受け取ったグラスを机に置いた
- 337 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:24
-
「ごめん、気分悪いから帰るわ」
「えっ、大丈夫?」
「うん、大丈夫だから…ごめんね」
今度は扉をくぐるのが全然辛くなかった
あぁ、出て行くからなんだ、Vientoから出て行くからなんだ
一人になれるからなんだ
帰り道、自転車に乗りながら考えた
あぁ、これは“コンプレックス”ってヤツなんだ
- 338 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/07/28(月) 18:25
-
美味しいケーキはどうですか?
第10話 終了
- 339 名前:ゲン 投稿日:2008/07/28(月) 18:29
- 更新
更新しました
多分第2部
しょっぱなから重めですが、次第に明るくなっていくので
梅さんの青春=中2病的な無力感を少しは出したくて、所謂やる気の無い梅さん的な
決してヤジさん梅さんを犬猿の仲として扱いたいのではなく、
ヤジさんのベクトルを大きくしたいので
まぁ、手鞠歌見てたら梅田が好きで仕方ないと言うのは自己認識できますよ
梅田とnkskが可愛いですよ
- 340 名前:& ◆7NhlYqBRtg 投稿日:2008/07/28(月) 18:31
- 米レス
>>323さん
誰か一人傍観者が必要だと思って
ベリキュだけだとnkskとキャプが適任だけど、ワンダメンなのでそこはガキさんかなぁと。
更新が遅いですが、これからもよろしくお願いします
- 341 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/07(木) 00:15
- 梅さ〜ん
そんなのもたなくていいのに…
あー!!続き待ってます。
- 342 名前:gen 投稿日:2008/08/08(金) 23:05
-
諸事情により更新遅れます。多分週明けには更新できるかと。
梅さんに頑張って頂く予定なんで、頑張ります。力の限り頑張ります。
もしかしたら小ネタ更新になるやもしれません。
寝ます。お休みなさい。
- 343 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:12
-
1+1=2って言う数式が
色んな人の為に、色んなパターンがあって
それが日常なんだって気がついたりもする
- 344 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:12
-
それが日常
- 345 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:13
-
「シーッ!!静かに!!」
普段、その言葉を向けられるのはえりかや舞美ではなかった
普段ならば桃子に向けられる言葉
「…今、桃寝てるから」
「「ごめんなさい…」」
だからかどうか分からないが、二人は状況についていけなかった
今日は撮影
楽屋にはえりか、舞美、そして今注意をした佐紀だけ
そう二人には見えた
しかし、佐紀は“桃が寝ている”
そう言ったのだ
- 346 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:14
-
えりかが佐紀の座っているソファーを上から覗くと、そこには言葉通り桃子が居た
小さな体を更に小さく縮ませて寝ている桃子が
「…珍しいね、桃が寝てるなんて」
「うん…最近、忙しいみたいで…仕方ないよ」
寝ている桃子を見て、佐紀はそう呟く
舞美はそれを見て、優しく微笑んでこう言った
「佐紀ちゃんって普段桃の事“五月蝿い”って怒るのにちゃんと分かってるんだね」
「…何だかんだで、桃って頑張ってるからね」
佐紀は桃子の方を見て続ける
- 347 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:15
-
「私さ、いつの間にか身長で桃の事抜いて、気持ちも体も桃より大人みたいとか思ってたけどさ、桃は凄い」
その表情は照れて居る様にも見える
「二人みたいに大きくて桃との差がある様に見えるんじゃなくて、何て言うのかな…何か“心”の差みたいなのがあるんだよね」
「“心”の差?」
「うん、私はキャプテンだから!!みたいな責任感で大人で居なきゃいけないけど、桃ってそうじゃない」
佐紀は寝ている桃子の髪を優しく撫でる
「ふざけた様な調子で桃は言うけど、本当支えてくれてるよ」
“何か、良いなぁ…”
えりかはそう思った
信頼関係を見せつけるんじゃなくて、確かに持っているんだって二人だけで理解しあっている
- 348 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:16
-
「…じゃあ、今日は特別に寝させてあげるか」
「うん、そうしてくれるとありがたい」
えりかと舞美は二人で顔を見合わせて、外へ出ていく扉へ向かった
「あっ、佐紀ちゃんも寝てて良いよ」
「うん、ウチら二人外でも歩いてくるからさ」
「…ありがと」
えりかと舞美は足音を立てない様に静かに外へ向かった
- 349 名前:& ◆hUSNpDLsC6 投稿日:2008/08/12(火) 20:16
-
* * * * *
- 350 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:17
-
廊下を歩きながら舞美はこう言う
「良いね、あの二人」
「うん…」
「私たちもさ、あんな感じになれるかなぁ?」
えりかは佐紀と桃子を思い浮かべてみる
「う〜ん、ウチらはもっと違うよ」
「えっ?」
「あの二人の関係はあの二人にしか作れないじゃん」
えりかと舞美の関係とは似て非なる
キャプテンと桃子
リーダーとえりか
そんな関係だけど、どこか違う
- 351 名前:それが日常 投稿日:2008/08/12(火) 20:17
-
「ウチらはウチらの関係があるハズだよ」
「…そっか、それもそうだね」
「うん、そうだよ」
一瞬、ハッとした様な表情になった舞美
それでも、えりかの言う事を分かって納得した様で何度か頷いた
そして、笑ってこう言った
「でも、負けてられないよ」
「うん、負けてられない」
「えり、私たちも頑張ろうね」
「うん、頑張ろう」
そう笑った舞美を見て、えりかはこんな日常を少しはありがたいモノだなと思い笑った
- 352 名前:& ◆lhDpYDSJiE 投稿日:2008/08/12(火) 20:18
-
それが日常
終了
- 353 名前:gen 投稿日:2008/08/12(火) 20:21
- 更新
更新しました
とりあえず、短編
お姉さんズをメインで、ヤジウメも絡ませつつ
やっぱりキャプももお姉さんズが好きです
コンビニでももハムを見つける度に嬉しくなります、バカです
次回更新はいつものヤツの続きを
- 354 名前:gen 投稿日:2008/08/12(火) 20:23
- 米レス
>>341さん。
ねぇ、梅さんのくせに難しく考え過ぎですよね。
今回は続きじゃなくてスミマセヌ。次回は頑張ります。
- 355 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/14(木) 23:45
- お姉ええええええええええさんズ!!しかも4!!!
作者さん分かってますねー!w
- 356 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:49
-
えりかちゃんが帰った
ただ、それだけなのに何だかあまり良い雰囲気がない
- 357 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:50
-
* * * * *
- 358 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:51
-
「…」
みやも矢島舞美も話し出さないし、私も話せる空気じゃなかった
「…追い掛ける、分からないけど謝らなきゃ」
「えっ?」
沈黙を破ったのは矢島舞美だった
矢島舞美が言った一言にみやは驚いていた
「私追い掛けるから、みやごめん、店番お願い!!」
「でっ、でも…」
「大丈夫、私足は速いから!!」
そう言った後の矢島舞美の行動は、びっくりするぐらい速くて
私は呆気に取られたまま動けなかった
「あっ、舞美ちゃん…!!」
みやが止めようとしたのも気にしないで、矢島舞美はVientoを飛び出した
- 359 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:52
-
* * * * *
- 360 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:53
-
「どっ、どうしよう…」
みやは困ってる
私も何にも出来なくて
その時だった
「ただいまー」
「あっ、亀井さん…」
「あれ、舞美ちゃんは?」
「その…」
休みを利用して出掛けていた亀井さんが帰ってきた
みやも私も泣きそうな感じで亀井さんを見つめた
「えっ、何かあった?」
「あの…」
亀井さんの柔らかい雰囲気が少し場違いで
でも、どうにも出来ない私たちは助けを求めるしか出来なかった
- 361 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:54
-
みやが亀井さんに今までの流れを説明する
「…って、ワケなんです」
「そっかぁ…」
亀井さんは少し困ったみたいだけど、いつもっ変わらないフニャってした表情で頷いた
でも、それも直ぐに崩れた
「あっ、でも…」
「どうしたんですか?」
「舞美ちゃんって凄い方向音痴とか言ってたかも」
「それって…」
亀井さんは嫌な事に直面したかの様な、そんな感じで言う
「どうしよう…」
- 362 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:56
-
亀井さんは何かを思いついたのか少しだけ表情が明るくなる
「そうだ、雅ちゃん携帯貸して」
「あっ、はい…」
みやも私も亀井さんの言葉に従うしか出来ない
「えりかちゃんに電話しよ」
「はい?」
「絵里たちはここから動けないし、えりかちゃんも出ていったばかりなら自転車だし探してくれるでしょ!!」
亀井さんの表情はコロコロ変わる
それはまるでイタズラ好きの子どもみたい
「あっ、かかった」
『もしもし、みや?』
「うへへ、絵里ちゃんだよー?」
『わっ、亀井さんかぁ…』
今の亀井さんは、さっきの矢島舞美並みに迅速な行動だった
- 363 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:58
-
「何かね、舞美ちゃんがえりかちゃん追い掛けて店を飛び出ちゃった」
『…』
「だから、探して?」
用件だけ伝わる程度の短い会話
ニコニコしている亀井さんだけど、有無を言わせないくらい怖い
えりかちゃんもココに居たらそう思うに違いない
『ウチ、関係無くないですか?』
「だから、えりかちゃんを追い掛けて出ていったの」
『矢島さんが勝手に…』
「絵里たち、手離せないから頼むね♪じゃっ」
『ちょっ、待っ…』
―ブツン
亀井さんは…凄い
頼り有るのか無いのか分からないけど
- 364 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:59
-
「はいっ、これで大丈夫!!」
「…」
亀井さんはみやに携帯を返して、一安心とでも言う様な感じで奥に入って行った
「みや…」
「…梨沙子」
残された私たちは、やっぱり何にも出来なくて
ただ、上手く行く様に願った
- 365 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/16(土) 22:59
-
美味しいケーキはどうですか?
第11話 終了
- 366 名前:gen 投稿日:2008/08/16(土) 23:01
- 更新
短いけど更新しました
眠いです。とりあえず、ココのヤジウメのテーマソング的なモノを聴きながら頑張ってます。
次回、とりあえず動け!!な状態。梅田頑張れ。
梅田好きだよ、梅田。
- 367 名前:gen 投稿日:2008/08/16(土) 23:03
- 米レス
>>355さん。
お姉さんズは強いですよね。
俄然萌えますよね。淡白な、それで居て繋がっている感がたまりません。
これからもお姉さんズは書いていく予定です。
- 368 名前:三拍子 投稿日:2008/08/16(土) 23:57
- 本当面白いです!!
作者さんの梅さんマジ大好きです。
頑張って下さいm(__)m
- 369 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/17(日) 03:32
- ↑
すみませんがsageでお願いします
- 370 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:54
-
* * * * *
- 371 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:55
-
―ツーツー
耳に当てた携帯からは通話終了した状態が分かる
突然に、唐突に
亀井さんはそんな言葉が似合う人だ
あの蕩けそうな雰囲気からは分からないくらい、突飛だ
「ウチ、逃げたハズなのに…」
手に持った携帯を眺めてそう呟く
逃げたウチを追ってる矢島さんを、ウチが追う
ちょっと考えただけでも混乱する
「別に、良いじゃん…」
少し右足に力を込めて自転車を漕ぐ
家まであと少し真っ直ぐ行けば着く
「…」
面倒な事は嫌いだ
だから、目立ちたく無い
でも、自ら蒔いた種を自ら苅るのは当たり前で
キィーっと音を立てたウチの自転車は、もう一回、街の方へ向かっていた
- 372 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:56
-
「矢島さん、方向音痴って言ってたもんなー…」
ふと、思い出す
しかも、越してきてそんなに立ってないし
ちょっとだけ罪悪感
ウチのせいで、あんな綺麗な人間が迷子になる
結構単純な造りのこの街で右往左往している矢島さん
想像してみたら、矢島さんには悪いけど可笑しくて、プッと吹き出してしまった
「はぁ〜、何でアドレス聞いてなかったんだろう…
あっ、でも飛び出して行ったなら持ってないかもな」
(…ウチ、何も知らないなぁ)
ただ、矢島舞美って言う同級生のイメージだけ大きく膨らんでいる
ボーッと考え事をしている状態で、矢島さんを探すのを忘れていた
(…まぁ、矢島さんもウチを追ってるから見掛けたら話しかけてくれるか)
結構自転車を漕いだのか、チラホラと夏休みを楽しんでいる人が増えてきた
- 373 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:56
-
「どこ行ったんだよ…」
Vientoに戻ってるなら、また電話有りそうだし
この感じだとここら辺には居なさそうだし
「はぁ…」
流石にチクチクと心が痛み始める
自分だけを考えてとった行動の結果がこのザマだ
結局、誰も良い思いをしてない
面倒しか起こっていない
- 374 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:57
-
少し街外れまで来た
ここら辺は6月までバスが来ていたけど、利用者の減少とかで路線廃止になった
だから、人がほとんど居ない
「こんな所に居ない、か…」
何となく、来てはみたものの
いくら矢島さんが方向音痴だからって、人気のない方に人探しに行く様なマネをするワケない
そう思って帰ろうとしたら、居た
もう使われていないバスの停留所のベンチ
ピンと伸びた姿勢
夏風に揺れる黒い髪
真っ直ぐと射抜く様な眼差し
…矢島さんだ
- 375 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:58
-
「…ねぇ!!」
少し躊躇った
だけど、ウチは矢島さんを呼んだ
思っていたよりも大きな声が出た
びっくりしてウチを見た矢島さんより、絶対ウチの方が驚いてるハズ
「その停留所、バス来ないよ」
「ホント?」
「うん、路線廃止になったから」
「えー…」
「乗ってく、後ろ?」
言わなきゃいけない事、聞かなきゃいけない事、他に沢山あるハズなのに
ウチはどうしても言いたくなくて
どうしても言えなくて
どうでも良いような事しか言えない
- 376 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 20:59
-
「良いの?」
「…もう遅いし、送る」
「ありがと…」
ヘヘっと笑って首を傾げた矢島さん
夕陽が射し込んで、凄くドキドキするほど綺麗で
「早く、帰ろ」
「あっ、でも…」
「みやたち心配してる」
「私、梅田さんと話す事ある」
「…帰りながら聞く」
矢島さんを前にするとどうしても逃げたくなる
多分、太陽を直視するってこんな事なんだろうって思った
「…分かった、帰ろ」
「うん」
自転車を矢島さんの前で停める
後ろに重みが加わって矢島さんが乗ったのが分かった
さっきより少し漕ぐのが重い
でも、何でかそんなに嫌じゃなかった
- 377 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 21:00
-
* * * * *
- 378 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 21:01
-
矢島さんは後ろにいるはずなのに
前から言葉がぶつかってくるみたい
「大丈夫…矢島さんは関係無いよ」
ウチは咄嗟に嘘を吐く
何でだか、辛い
「ホントに?」
「うん、ホントにちょっと気分悪くてさ」
守ろうとしているからだ
今まで見てきたウチのイメージの中の矢島さんを
「じゃあ、尚更ごめん」
「何でさ」
「私の事、結構探したでしょ?」
「あっ…」
現実を見るのが怖い
ただ、それだけなんだ
ただ、それだけが凄く大きくのしかかって来るのが嫌だった
- 379 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/08/21(木) 21:01
-
美味しいケーキはどうですか?
第12話 終了
- 380 名前:gen 投稿日:2008/08/21(木) 21:03
- 更新
更新しました
少し動きました、多分
矢島も梅田も頑張れ
大好きだ、二人とも
そして早くりしゃみやが書きたい
現在りしゃみや欠乏症
- 381 名前:gen 投稿日:2008/08/21(木) 21:05
- 米レス
>>368 三拍子さん
三拍子さんだぁ。どうもこんちわです。
自分的に梅田は明るいけどナヨそうなところが好きです。
これからも梅田で頑張ります。
>>369さん
まぁ、あまり拘らんとやっているんですが、ご忠告ありがとうございます。
助かります。
- 382 名前:gen 投稿日:2008/08/21(木) 22:26
-
>>378の最初が抜けていました。
「ごめんね」
自転車を漕ぎ始めたウチに、矢島さんはそう言った
「…何が?」
「さっき、お店から直ぐ帰ったから…私なんかダメな事したかなって」
- 383 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:33
-
『みやー!!』
笑った梨沙子の顔が好き
『もう、みやっ!!』
怒った梨沙子の顔が好き
『みやぁ〜…』
泣いた梨沙子の顔が好き
- 384 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:34
-
* * * * *
- 385 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:34
-
要するにウチは梨沙子が好きみたいで
今日まで忙しくてドッと溜まっていた疲れが出るのも気にせずに
『みやの誕生日、梨沙子にちょーだい!!』
って言う、意味の分からない梨沙子のワガママを
『良いよ、その日何もないし』
許していた
- 386 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:35
-
* * * * *
- 387 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:36
-
「ねぇ、梨沙子…」
「んっ?」
家を出た時は頭上にあったはずの太陽が
今では視界に入って来そうな位置にまで落ちていた
それくらい、ずっと歩き続けている
「どこ行くの?」
「…ん〜?んふふっ♪」
(あっ、誤魔化しやがった)
そりゃ途中で涼む為にファストフード店に入ったりはしたけど
梨沙子の目的が分からないまま、歩き続けている
- 388 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:36
-
…何となく予想は出来ていた
梨沙子はダメ元でウチの誕生日をウチと一緒に過ごしたいと言って
OKをもらった嬉しさで舞い上がってしまって、肝心要の事を忘れて今日まで来たんだ
どうせ今日の朝にでも誕生日だってことを思い出して、一瞬パニックになったものの、
とりあえずウチの所には行こう!!とか思って…今に至る、そんな感じだろう
全く計画も計算も出来ないヤツなんだ、梨沙子は
でも、ウチはそんな計算をしない天然な梨沙子も好きみたいだ
- 389 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:37
-
* * * * *
- 390 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:38
-
それでもウチは普通の人間だから、歩き続けていると疲れる
隣に居たはずの梨沙子よりちょっと後ろをトボトボと歩いている
「て言うかさぁー、梨沙子」
「何?」
「ウチの誕生日じゃん」
「うん」
「プレゼントとかは?」
疲れると不機嫌になるのは仕方ないと、ウチは思う
計算をしない梨沙子の行動を、計算出来ていたウチは
然程不満に思っていなかった事を口にしてしまうくらい、疲れていた
- 391 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:39
-
「だって、みやは私に誕生日くれたから」
「はぁっ!?」
「プレゼントは要らないかなぁ〜?って」
振り向いて言い訳しない所を見ると、悪いと思って無いんだろう
「百歩譲ってもさぁ、こんなに歩かされると、ウチだって…」
少し小言程度にチクチク言ってやろうと思ってた
でも、出来なかった
「ごめんね…でも、みやの誕生日に一緒に居たかったんだもん」
梨沙子が立ち止まった
振り向いて、首を傾げてウチを見る
- 392 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:40
-
ウチは言葉を失った
それでも、頭の中では“太陽、もうかなり落ちたな”なんて思って
意外と冷静だったのかもしれない
夕陽を背景に佇む梨沙子がどこか儚げで、凄く綺麗で
無くしまい
そう思う一心で梨沙子の手を握っていた
「うわっ、みや?」
「もう、良い」
「えっ?」
「梨沙子が居るなら…梨沙子が居るから、それで許す」
…
……
………ヤバい、恥ずかしい
- 393 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:42
-
そう思った瞬間、風が吹いた
ウチも梨沙子も風が吹いた方向を向いた
さっきよりももっと、太陽は落ちていた
「…帰ろっか」
「うん、帰ろ」
握った手はほどけていなかった
それだけで機嫌が良くなるウチは相当梨沙子が好きみたいで
梨沙子にウチの誕生日をあげて良かった
そう思った
- 394 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:43
-
* * * * *
- 395 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:44
-
結局はウチは梨沙子が好きってことで
こんな誕生日でも幸せって思えたのは
そういう事なんだろうと思った
- 396 名前:結局は、そういうこと 投稿日:2008/08/25(月) 20:45
-
結局は、そういうこと (菅×夏)
終了
- 397 名前:gen 投稿日:2008/08/25(月) 20:46
- 更新
雅ちょん誕生日おめでと
16歳なんだってね、少しは賢くなって下さい
やっぱり、ならなくっていいです。
今度はいつものヤツの続き更新します。
- 398 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/25(月) 23:50
- みや誕生日おめでとう
りさこと仲良くね〜
りしゃみや小説最高です!!
- 399 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:38
-
* * * * *
- 400 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:39
-
止まりそうな雰囲気もないまま自転車は進んで行く
話は止まった
ウチ、言わなきゃ
何か、言わなきゃ
「他にも話す事あったのに忘れちゃった」
矢島さんは申し訳なさそうに呟く
「あのさ…」
「なに?」
「ウチ、矢島さんと知り合いになった」
「ウフフ、うん」
「それで良かったと思うよ」
何が言いたいか分からないのに
ウチの不器用な気持ちは溢れ出す
「それだけで良かったんだ」
「えっと…」
「知り合いが一人増えました、それだけ」
- 401 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:39
-
傘に入れてもらった時は本当に助かったし、お礼をしたいって思ったのも確かにウチの本心だった
そこからウチのちっぽけな人生も、それに対する計算も狂ってしまった
「何て言うか…ウチの中で矢島舞美って人はもう完成してた」
「どういうこと?」
「矢島さんはウチとは離れた存在でさ、ウチに無いものばっか持ってるスーパースターで太陽みたいな存在だった
近付いたらいけないって思ってた」
近付いて、親近感が湧く
そんな事は奇跡で
本当は近付くだけ眩しくなって、自分の周りが影になる
絶対に交わらない、そんな気がしてた
「そんなこと無い!!」
「そうかも知れない」
「そうだよ」
「うん、そうだ
でも何も知らないんだよ?ウチらって…」
- 402 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:40
-
地球は太陽に近付きすぎない様に距離を保っている
手を伸ばそうとすると吸い込まれて、消えてしまう
「何でもさ、一気に進むと不安って生まれるんだよ」
「…」
「今、そんな状態なんだウチは多分」
自分の不出来を人のせいにしたいワケじゃない
ただ、そこに近付く為にウチはあと少し
ほんの少しでもいいから、しなくちゃいけない事があると思う
「…矢島さんは全く悪くない
だから、変わらずに居てよ…ウチ、頑張るから」
本当は隣に立ってみたいんだ
コンプレックスは裏返せば、憧れなんだと思う
「時間かかるだろうけどさ、ウチは自分のペースで進みたい」
「うん」
「ごめん」
「全然」
クスクスと笑った声が聞こえた
ウチなんかの事がちゃんと通じているんだろうか
そんな不安はあったけど、ウチの心にあったつっかえはチリチリと音を立てて燃えて消えた
- 403 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:41
-
* * * * *
- 404 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:41
-
梅田さんの漕ぐ自転車はまるでロケットの様にスイスイ進んだ
どんどんVientoに近付く
ふと視線をやった先に中学生らしい女の子二人が歩いていた
「もうちょっと前に会ってたらさ…」
(私たち、今は凄く仲良かったかな?)
彼女たちを見て、そう思った
それは梅田さんには聞こえていなかったみたい
「愛理と栞菜じゃん、アレ…」
「知り合い?」
「後輩…あぁほら、梨沙子の友達」
小さく手を振る梅田さん
ペコリと会釈する彼女たち
何だか梅田さんの世界は時のない世界みたいにゆったりしている
「…ウチら多分さ、あれより仲良くなれるよ」
「えっ…」
「あれ、最初は酷かったから」
「へぇ」
「あんなんに比べたら、ウチら仲良いよ」
- 405 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:42
-
梅田さんは私に何の心配もさせない様に気を遣ってくれる
(…やっぱり、好き)
自転車を漕ぐ背中を見てそう思う
私が持っていないモノ
梅田さんが持っているモノ
それを欲しいなんて思わない
ただ、見ているとウキウキしてくる
「ねぇ、梅田さん」
「んっ?」
「好き」
「…」
「好きだから」
- 406 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:43
-
自転車が止まる
梅田さんは振り向かず、前を向いたまま
「…」
「私、梅田さんが好き」
「うん」
「好き」
「…」
「本当の私ってこんな感じだよ」
少し強引で空気とか読めなくて
自分本意で結構人に迷惑をかけちゃう
梅田さんが作ってしまった理想の矢島舞美
それを壊そう
私も頑張ろう
「…行こう、みや待ってるんでしょ?」
「あっ、うん」
- 407 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:43
-
再び走り出した自転車
やっぱりロケットみたいで
「明日、私ケーキ作るんだ」
「何の?」
「チーズケーキ」
「へぇ」
「Vientoで最初に食べたケーキ」
梅田さんに教えてもらった最初の事
梅田さんに教えてもらった最初の味
「食べに来て欲しいな…とか言って」
「…補習終わって、甘いもの食べたかったら行く」
「うん」
待っててって言われたけど
少しでも早く近付きたいから
私も梅田さんの方へ歩き出そう
- 408 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/09/24(水) 13:44
-
美味しいケーキはどうですか?
第13話 終了
- 409 名前:gen 投稿日:2008/09/24(水) 13:46
- 更新
ひっさびさですね。頑張りました。頑張ります。短いですが。
これからはちょこちょこ短編はさみーの、更新して行きます。
米レス
>>398さん
りしゃことびちゃんにはこれからもアフォアフォでいてほしいですよね。
いやー、もうびちゃんの誕生日から1ヶ月とか時が経つのははやいですね。
これからも頑張ります。
- 410 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/30(火) 23:31
- 少しづつ近づいてくやじうめにドキドキです。
この二人の進展はいかに…。とか言って
- 411 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/05(日) 12:04
- 青春ですねー!
やじ→うめな感じが新鮮でいいですねー!!
途中チラッとでてきたあいかんもすごく気になります。
- 412 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 17:55
-
* * * * *
- 413 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 17:57
-
夏休みが明けて、あの一件以来、何か変わると思っていた環境はあまり変わっていない
相変わらず、えりかちゃんは矢島舞美を“矢島さん”と呼んで
矢島舞美はえりかちゃんを“梅田さん”と呼んでいる
だけど、矢島舞美…フルネームは長いから舞美ちゃんにしておこう
舞美ちゃんがバイトの時はえりかちゃんが自転車に乗せて来ているみたいだ
そして、ジュースだけ頼んで、閉店間際まで居座っている迷惑行為をしている
あと、舞美ちゃんが思いの外、天然さんな事も徐々に出てきている
紅茶と間違えてコーヒーにレモンを搾られた、あのサラリーマンは以来コーヒーを頼まなくなった
- 414 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 17:57
-
一番変わってないのは私とみやの関係だと言い切れる
私は暇さえあればVientoに行くし、その度にみやにお小言を言われる
みやが相手をしてくれないと久住さんと光井さんが構ってくれて、新垣さんに怒られる
そして、久住さんと二人でみやが悪いと文句を言って、それでも相手にされない
そんな日常に変わりはない
…ないはずなのに、みやは時々あの笑顔をする
前より頻繁に、あの笑顔をする
私はあの笑顔が嫌いだ
だって、私の知らないみやみたいだから
それに、あれを見ると一瞬全てが停止する
呼吸も、心臓も、瞬きも、思考も…
嫌いな癖に見るとドキドキしている自分がいるのを知ってしまった
それがもどかしくて嫌になる
- 415 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 17:58
-
* * * * *
- 416 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 17:58
-
「へぇ〜」
「ちょっと、私真剣なんだよ」
「分かってるって」
「て言うか、何してるの?」
昼休み、教室の窓側の愛理の席
私はその前の席を借りて、相談していた
愛理の机の上には紺色の毛糸が乗っていて、愛理は慣れた手付きで編んでいる
「マフラー、編んでるの」
「有原先輩に?」
「うん…」
愛理は少し照れ臭そうにはにかんだ
去年の今頃は有原先輩なんて嫌だ!!とか言っていたのに…
- 417 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:01
-
「へぇ〜…って違う、愛理と先輩は良いの!!私のことだ!!この頃よく分からないんだよね」
「…みやの事?それとも自分自身の事?」
「…う〜」
「そこからか…」
容姿は私の方が大人っぽいって言われるけど、こういう事に関しては愛理の方が大人っぽいと思う
「多分だよ、りーちゃんは恋をしたんだよ…」
「はぁ?」
でも、やっぱり乙女チックな所もある
そういう所も好きで、親友になれたんだと思う
「知ってると思うけど、私前から…」
「みやの事好きなんでしょ?」
「うん…」
「だけどね、また好きになったんだよ」
愛理の言った事が理解出来なくて、私は少しポカンとしてしまった
「まぁ、そのうち分かるよ…」
「そうかなぁ〜?」
- 418 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:01
-
* * * * *
- 419 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:03
-
「いらっしゃい…って、わ〜愛理久しぶりじゃん!!」
「何か甘いの食べたくて来ちゃった」
りーちゃんから相談を受けた週の土曜日、私は栞菜と二人でVientoに来ていた
一回だけ、みやが家出をしたってりーちゃんから聞いた時に来た事があった
「何があるかな?」
「今日はね、フルーツタルトと、チョコレートムースとかあるよ」
「じゃあ、それを一個ずつ下さい」
「はぁ〜い」
みやは結構手際が良くて
栞菜は一言も喋らないまま店の中を見回しているだけ
「カウンターに座ろ?」
「あっ、うん…」
- 420 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:04
-
私たちが席に座る頃に黒髪が綺麗な店員さんがグラスを運んできてくれた
「あっ…」
「えっ?」
「梅田さんの後輩だよね?」
何故だか私たちの事、知ってるみたいで
あっ、梅田さんってえりかちゃんだよね?友達なのかな?
「えりかちゃんの友達ですか?」
「うん…まぁ、友達かなぁ」
知り合いの知り合いって関係だから、話も弾むワケがなくって
少々気まずいなぁって思い始めた時に、みやがケーキを持ってきてくれた
助かったなと思いながらフォークを手に取った
- 421 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:05
-
栞菜と二人でケーキを分け合って食べる
両方甘くて美味しい
「みや、美味しいよぉ〜」
「本当?今日は亀井さんとウチで作ったんだよ」
みやは凄く嬉しそうに笑った
(あっ…)
私はそれを見て、少しだけりーちゃんの気持ちが分かった気がした
- 422 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:06
-
* * * * *
- 423 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:07
-
私がみやと知り合ったのは小学校の時
みやは凄く大人っぽい容姿なのに、随分幼い性格というか行動が多かった
私も多分りーちゃんもみやの事を年上のお姉さんって思うよりも
仲の良い親友みたいに感じていたんだと思う
次第に離れている時間も多くなっていって
それでも会えば変わらない感じで笑い合ったりして
だから、何も変わらない、変わってないって、どこかで思ってたんだ
でも、実際は私の身長だってみやに追い付いて、みやはバイトを初めて
少しずつだけど色んな事が変わって行ってるんだ
- 424 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:09
-
当然、みやは大人になる
話し方だって、行動だって、何もかもが変わって行く…
それは私だって、りーちゃんだって同じなんだけど
みやはその大人になる途中に居るんだ
そんな雰囲気を醸し出す様な不安定な笑顔をみやはする
正直、昔からのみやを知ってる人を驚かせるには十分な要因だと私は思った
しかも、ずっとみやを見続けて来たりーちゃんなら…
- 425 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:09
-
* * * * *
- 426 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:11
-
「てかさ、相変わらず栞菜は喋らないねぇ〜」
私が少し思考を巡らせていると、手が空いたみやが話しかけてきた
「ングッ…喋りますよぉ〜」
「あっ、もう落ち着いて…」
それに驚いた栞菜は食べていたタルトを詰まらせて、噎せる
「栞菜大丈夫?」
「うん大丈夫、愛理…て言うか先輩、私ちゃんと喋りますよ」
「知ってるって」
栞菜は少しだけ不機嫌になりながら、そう言った
ちょっとムキになる栞菜が珍しくて、私はそれに笑ってしまった
みやだって笑ってる、確かに笑っていた
だから小声で呟かれたみやの言葉は全く聞こえていなかった
「愛理と栞菜の関係って、何かすっごく良いよねぇ…」
- 427 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:11
-
* * * * *
- 428 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:13
-
ここで少し栞菜の話をしよう
栞菜は中学校に入ってからの知り合い
今では良きパートナーみたいな存在
…多分私の大好きな人
栞菜の印象は誰に聞いても同じ答えだった
“よく笑って、騒いでるのに、あまり喋らない”
どこか矛盾していて、どこかおかしい、そんな印象
私もそんな印象を持っていた
かなり仲良くなった今だから栞菜の声をよく聞くけれど
最初は全く喋らなかった
まぁ、それは私にも責任はあるんだけど…
でも、あんまり話したくない、関わりたくない
そんな風に思うくらい出会いは最悪だった
- 429 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/10/08(水) 18:13
-
美味しいケーキはどうですか?
第14話 終了
- 430 名前:gen 投稿日:2008/10/08(水) 18:17
- 更新
新章突入なのかなぁ
愛理と栞菜とうじょうでもgdgd感は変わらずに進めて行きます
米レス
>>410さん
本当に少しですが進んでいます
多感な時期のお二人なのでこれくらいのペースが似合うなぁとか言ってww
>>411さん
精神的には確実にやじ→うめな気がしますので
気持ちが通じ合うとうめの方が確実に表に出すタイプと思いますが
あいかんでました、あいかん
ではこれからも頑張ります
- 431 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/11(土) 17:29
- 愛栞編突入うれしいです。
てか無口な栞菜かわいいー><!
次回の更新も待ってますww
- 432 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/11(土) 17:31
- あげちゃいましたorz
すみません。。
- 433 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/05(水) 22:08
- いろんなCPが増えてうれしいです。
毎日おじゃましてます。
これからの流れを楽しみにしてます。
- 434 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:01
-
栞菜の何が嫌だったかって聞かれると
“愛想が悪かったところ”
“何にも言ってくれなかったところ”
って即答すると思う
- 435 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:02
-
* * * * *
- 436 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:03
-
最初に栞菜を見たのは中一の二学期、図書委員会で
一学期に学級委員だった私は二学期もって思っていたけど
他にもやりたい子が居たから譲って図書委員になった
- 437 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:03
-
学級委員に比べて仕事は楽だって言われたけど、学期中に二度、当番の週がある
朝、学校に着いたら図書室の空気の入れ替えと簡単な掃除
昼、ご飯を食べたら図書室で本の整理とカウンター仕事
放課後、HRが終わったらまた本の整理をして掃除
これを二人一組でやる
当番の週はほとんどが仕事に時間を取られてしまう、って一学期の委員の子が教えてくれた
委員全員の顔合わせの時にもそんな説明を聞いた
- 438 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:04
-
「じゃあ、くじ引きで当番の順番決めるからひいてー」
放課後の図書室
紙を小さく切って出来た簡素なくじ
中に書かれた番号が当番を受け持つ順番になる
私の番号は4番
引いた時に何か嫌な数字だなとか思って
「4番誰だったー」
「あっ、私…」
「クラスと名前は?」
「1-Bの鈴木です」
自分の名前を告げた後、もう一人は誰だろうと周りを見渡す
- 439 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:04
-
小さくチョコンと手をあげている人
「もう一人は…あっ、居た」
「……です」
小さな声、聞き取りづらくて
名前はボードに書き出されるまで分からなかった
1-B 鈴木 2-C 有原
でも、いつの間にか私と栞菜の名前は並んで居た
- 440 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:05
-
* * * * *
- 441 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:06
-
「あっ、お疲れー」
委員会が終わって待っててくれたりーちゃんの待っててくれる教室に帰る
ヒラヒラと手を振るりーちゃん
りーちゃんの向かいにみやが居て
みやも一緒に帰るのなんて久しぶりだなぁとか思った
- 442 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:07
-
「愛理これから暇?」
「うん、今日は何にもないよ」
「何かえりかちゃんところに大量に桃とかフルーツがきたらしくて
食べに来ない?って誘われてるんだけど」
桃…フルーツ…
聞いただけでウキウキするような単語
暇だし、みやとも久しぶりだし、食べられるし
「うん、行く…行きたい!!私も良いかなぁ?」
「愛理も誘えばってえりかちゃんが言ったから、大丈夫」
「ホント?じゃあお言葉に甘えちゃおうかなぁ〜」
「うん、じゃあ行くか」
- 443 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:07
-
* * * * *
- 444 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:08
-
えりかちゃんの家は私たちの街には似合わない高級マンション
いかにもセレブな人が住んでいますって言う雰囲気が出ている
私は結構えりかちゃんの家に行くのは楽しみで
浮かれていたらりーちゃんに
「愛理の家も十分豪邸じゃん」
って言われた
そんなことを話しながら向かっていたら
もう目の前にはえりかちゃんの家があった
- 445 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:08
-
「いらっしゃ〜い、愛理久しぶりぃ」
「へへ、久しぶり」
えりかちゃんはそんなマンションの様にセレブみたいな高飛車な感じは無くて
優しくて、綺麗で、面白くて、格好良い
私は凄く憧れていたりする
「お母さんがケーキも作ってくれたから、それも食べて」
「やった!!」
玄関にまで甘い、良い匂いがしている
ウキウキしながらリビングにお邪魔すると、先客が居た
思いがけない再会
再会と言っても互いに認識してたワケじゃなくて
ただ“あっ…さっきの人”くらいの接触だった
- 446 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/07(金) 20:10
-
美味しいケーキはどうですか?
第15話 終了
- 447 名前:gen 投稿日:2008/11/07(金) 20:11
- 更新
更新しました
短いですが、愛理と栞菜のお話も進んで行きます
あと中距離恋愛というスレで短編ばかり書いております
そちらもよろしくお願いします
- 448 名前:gen 投稿日:2008/11/07(金) 20:14
- 米レス
>>431さん
栞菜は騒がしいけど、喋ってるってイメージ無くてこんな設定に
コレからも少ししか喋らないと思いますが、見守って下さい
>>433さん
王道を雑食と言うか、推しメンが絡んでるのが好きなので…
これからも頑張るので、よろしくお願いします
- 449 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/07(金) 23:32
- 2人の馴れ初めが読めて嬉しいです
続きも楽しみにお待ちしています
- 450 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/11/09(日) 13:01
- 栞ちゃんが大人しくて面白いww
こんな状態からどうやって発展していくのか続きが楽しみです^^
- 451 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:25
-
* * * * *
- 452 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:25
-
「あー、栞菜も来てたんだ」
居間に入ってすぐ、声を上げたのはみやだった
それに続いてりーちゃんも声を上げた
「有原先輩だー」
2人はバッグを上手い具合に投げ出して
有原先輩の所へ駆け寄る
私は少し困りながら立ち止まってしまう
何で2人とも?知り合いか何か?
- 453 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:26
-
「愛理は会った事なかったっけ?」
「あー、うん…」
頭の少し上の方からえりかちゃんの声
私は振り返って見上げながら返事をする
えりかちゃんの表情はいつもと変わらずに優しそう
「有原栞菜っての、隣の家の子」
「へぇー…って言うか、委員会一緒です」
「あっ、そうなんだぁ〜」
「確か、そうです」
「じゃあ仲良くしてやって」
今まで何度かえりかちゃんの家に来たことあったのに
最近引っ越して来たばっかなのかなぁ?なんて思いながら私は居間に入った
- 454 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:27
-
居間は既に甘い匂いが漂っている
私はウキウキし始める
「ほらケーキ、早く食べよ?」
「うんっ♪」
えりかちゃんは準備をし始める
私はそれを手伝おうとえりかちゃんに続いてキッチンに向かう
みやたちは有原先輩と3人でテレビに釘付けでゲームをしてるみたい
それを見てるとえりかちゃんが言った
「ほら、愛理は来なかったじゃん、夏休みの…」
「私が旅行行ってた時の?」
「それ!!その時栞菜も居てね」
夏休みにみやたちはえりかちゃんに誘われて皆で海に行った
私はタイミング悪く、家族旅行に行っている時で
- 455 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:28
-
それにしても3人はかなり仲良くなっているみたい
みやと有原先輩がやっているゲームを見ながら、りーちゃんはワーワー騒いで
挙げ句にはみやのコントローラを取ろうとして揉めてるみたい
「バカだよねーあの2人」
「えっ…」
「本当、仲良すぎ」
えりかちゃんはなんだか嬉しそうに眺めて、棚からお皿を取り出した
私はやっぱり3人が気になってはいたけど
「はい」と手渡されたお皿を受け取って、綺麗に並べた
- 456 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:28
-
…さっきから何か不思議な気分
何でだか分からないけど、違和感がある気がする
「愛理、あのバカたち呼んで」
「うん」
だけど、私は早く食べたいって気持ちからそんな事はいいやって思って呼びに行く
「準備出来たよ」
「「わぁーい!!」」
みやとりーちゃんは本当に元気良く返事をして立ち上がる
なのに有原先輩は黙ったまま私を見た後
自分が使っていたのとみやたちが使っていたコントローラを綺麗に端に寄せてから立ち上がった
- 457 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:29
-
…あっ、何か嫌だ
本能的にそう思った
片付けるのは全然問題無い
寧ろ、みやたちもすべきだと思う
ただ、少しくらいは反応して欲しかった
何にも言わない、開けるのも面倒だと言わんばかりに口を閉ざしている
- 458 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:29
-
* * * * *
- 459 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:30
-
私たちはそれなりに楽しい時間を過ごしたんだと思う
みやとりーちゃんはどこにいても楽しめる天才だと思うし
えりかちゃんはそんな2人を見て大笑いしてるし
私だって楽しかった
でも、ここに来てからずっと有原先輩の態度を気にしてしまう
有原先輩だってえりかちゃんみたいに2人を見て笑ってる
時々はそれに混じって騒いでる
なのに、まだ1回も私は口をきいてもらってなかった
- 460 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2008/11/19(水) 22:31
-
美味しいケーキはどうですか?
第16話 終了
- 461 名前:gen 投稿日:2008/11/19(水) 22:32
- 更新
更新しました、短いですが
これからくっついていって欲しいです
- 462 名前:gen 投稿日:2008/11/19(水) 22:34
- 米レス
>>449
馴れ初めですねー。はやくイチャコラさせたいです
>>450
栞菜は何だか何をさせても可愛い気がします
これから少しずつ喋らせます
- 463 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/09(火) 23:04
-
続き楽しみに待っています。
もし、ご自身のHPなど持っていらしたら、
よかったら教えてもらえないでしょうか。
- 464 名前:gen 投稿日:2008/12/21(日) 21:23
-
>>463さん。
感想ありがとうございます。
HPはttp://pksp.jp/golden-skans/です。
亀更新ですけど、よろしくお願いします。
- 465 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/22(月) 19:51
- 463の者です。
ありがとうございます!早速行かせていただきます!
飼育のほうもHPのほうも頑張ってください。これからも応援しています。
- 466 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:01
-
* * * * *
- 467 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:01
-
「あっ、おかえり」
「…うん、ただいま」
昼休み
委員会が終わって教室に帰ってきた私はりーちゃんの隣に座って5限目の準備をしながら思い返す
…私の嫌な予感は的中した
えりかちゃんの家で会った帰りには既にそんな予感がしてた
“委員会、上手く出来るかな…”
案の定って感じだった
私が当番の週が回ってきた
有原先輩は朝からちゃんと来ていたし、仕事だってちゃんとしていた
私だってそれに倣って朝は仕事をした
- 468 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:01
-
朝だけならそれは黙々と仕事をしている真面目な姿だって思えたかもしれない
だけど昼休みもずっとだ
そして何より今日はもう金曜日
1週間一緒に仕事をしてきたのに…
私より大体先に来ている有原先輩が既にカウンター仕事をする
私は「本、並べますね?」って、一応確認してから仕事に取り掛かろうとする
有原先輩はそれに頷いた…頷くだけ
放課後なんて
無言のまま2人並んで本の整理
少し窮屈なくらいの沈黙だ
- 469 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:02
-
「ねぇ、りーちゃん」
「ん〜?」
「有原先輩ってさ…」
「面白いよね!!ウギャーって叫ぶんだよ、リアルに」
「へっ、へぇー…」
りーちゃんは今までの有原先輩の面白エピソードを話してくれる
どれも私の知らない先輩だ
「何か、私そんな所見たことないけど…」
「あー…だって先輩みや以上に人見知りっぽいもん」
「人見知り以前の問題な気がする」
「そっかなぁ?」
「うん…なんか私苦手かも」
- 470 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:02
-
簡単に判断したらいけないと思う
だけど、どう考えても私にだけ態度が違う気がする
「えー、いい人じゃん」
「りーちゃんにはそうでも、私にはそうじゃない!!」
私はりーちゃんに強くそう言い放った
りーちゃんは少しだけ首を傾げて言った
「まぁ、愛理にも仲良くなれない人はいるって事だよね」
「ホント、そうだよ!!」
りーちゃんは少し不思議で不満そうな表情をしていたけど
私はやっぱり有原先輩の事を考えると、あまり良い気分はしなかった
- 471 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:03
-
* * * * *
- 472 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:03
-
事件は放課後に起こった
どうせ有原先輩が仕事を終わらせてるだろうし、私が行っても何にも言ってくれない
私は極力、一緒にいる時間を短くしたい
だからではないけど、HRが終わってから図書室に行くのに、いつもより時間をかけた
- 473 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:04
-
図書室の鍵は思った通り既に開いていて
私はいつも通り、扉をそっと開ける
カウンターには鍵が乗っているけど、有原先輩の姿はない
返却台もカウンターの横に置いてある
当然、返却された本は棚に戻し終えてあるのか1冊も無かった
仕事は全部終わってしまったみたい
ただ鍵だけある
閉め忘れかなんかだろう
- 474 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:04
-
有原先輩にも案外抜けた所があるんだ、私はそう思って鍵を手に持った
それが失敗であり、ある意味成功だったのかもしれない
- 475 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:05
-
* * * * *
- 476 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:05
-
夜8時を過ぎた時だった
携帯電話が元気よく鳴った
久しぶりに聞くこの着信音はえりかちゃんからの電話を知らせてくれた
「もしもーし」
『今すぐ出てきて!!』
「えっ、どういう意味?」
『いいから、今ウチ、愛理の家の前居るから早く!!』
えりかちゃんは何故かすっごく焦っていて
気のせいなのかも知れないけど、声に少し怒りが混じっている様にも思った
私はとりあえず薄手のカーディガンを羽織って外に出た
- 477 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:06
-
外に出ると言われた通り自転車にまたがったえりかちゃんが居た
ポンポンと後ろの荷台を叩いて、座れの合図をする
私は何がなんだか飲み込めなくて首をかしげた
「良いから乗りなさい」
「あっ、うん…」
やっぱり、えりかちゃんは少し機嫌が悪いみたい
だから、私は話しかけづらくて
自転車が向かう所がどこか分からないまま、えりかちゃんの背中に掴まっていた
- 478 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:06
-
着いた所は学校
夜の学校なんて初めてで
しかも、何で連れて来られたか分からない私は、ビクビクしながら校門をくぐった
「栞菜が、今まで学校に居たんだって」
「えっ…」
「図書室にずっと居たって…出れなかったってさ」
えりかちゃんはそれだけ言うと黙ってしまった
私も私で何も言えなくなってしまった
- 479 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:07
-
二人して何も喋らないまま靴箱まで歩いた
そこには先生と有原先輩が居た
「先生、お久しぶりです」
「あれっ、有原の保護者…そうか、いや分かった…梅田すまんな」
「いえ」
先生はえりかちゃんと少し話すと職員室へ帰って行った
- 480 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:08
-
* * * * *
- 481 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:08
-
私は何にも言えなくて
心は罪悪感で埋めつくされそうで
本当は謝りたくて
でもタイミングが掴めない
それは私に原因があるんだけど…
でも、隣ではずっとえりかちゃんが有原先輩に怒鳴っている
「大体、栞菜はね!!分かってんの?」
「あー…うん、ごめん」
「ごめんじゃなくて、分かってんのって聞いてんの!!」
「分かってる…鈴木さん、ごめん」
えっ…何で私が謝られてるんだろう
確実に私が悪いのに…
- 482 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:08
-
だって、私がちゃんと確認しないで図書室の鍵を閉めたから、先輩は今まで学校に居たんだ
て言うか、先輩喋った…
「いやっ、あの、私が閉めたから…ごめんなさい…」
「愛理は悪くないよ、栞菜の態度が誤解招くから」
えりかちゃんはそう言って、先輩を少し強めに小突いた
先輩はその勢いで転けそうになりながら、一歩前に出る
えりかちゃんと先輩のやり取りはどこかコメディタッチで面白かった
- 483 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:09
-
* * * * *
- 484 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:09
-
「じゃあ、ウチ愛理送ってくから」
「うん」
「栞菜はちゃんとご飯食べなさい」
「うん」
えりかちゃんたちのマンションに着いて、有原先輩とはさよならをした
えりかちゃんは押していた自転車にまたがって、行きと同じように私を後ろに乗せた
私はさっきからずっと、何をしたら良いのか、何を話したら良いのか分からないままだった
とりあえず、えりかちゃんの言うがままに動いてる
- 485 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:10
-
「愛理…」
「…なぁに?」
「栞菜さ、分かりづらいと思うけど嫌なヤツじゃないから」
「…うん」
えりかちゃんは私の心の中を覗いてるんだろうかって疑問に思った
私は確かに有原先輩の事を良く思っていないし、それ以前によく分からない
「まぁ、喋らない栞菜が悪いから愛理がどう思っても仕方ないけど」
「うん」
「愛理がもし今日の事を悪いってちょっとでも思ったなら、少しだけ協力してあげて」
私はこの時全然知らなかった
私がどれだけ子供で、強がりで、何も見てなかったって事を
- 486 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/04(日) 23:11
-
美味しいケーキはどうですか?
第17話 終了
- 487 名前:gen 投稿日:2009/01/04(日) 23:13
- 更新
更新しました。
多分あと3回くらいで愛理さんと栞菜さんの話は終わります。
んで、矢島さんと梅田さんの話がきて、雅さんとりしゃこさんの話がきてケーキ終わり。
次回は短編スレの中距離恋愛の方を更新しまふ。
頑張ります。
- 488 名前:gen 投稿日:2009/01/04(日) 23:14
- 米レス
>>465さん。
応援ありがとうございます。HPの方も亀更新ですし、コチラも亀更新ですいません。
これからも頑張りますので、よろしくお願いします。
- 489 名前:三拍子 投稿日:2009/01/04(日) 23:53
- genさん!!
栞菜が可愛過ぎます!しかしながら何か事情があるようで‥‥‥。
続き待ってます(^O^)/
- 490 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/01/07(水) 21:44
- 更新お疲れ様です。
栞ちゃんかわい!保護者な梅さんもいいですねー^^
これからどうなっていくか楽しみです^^
- 491 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:21
-
* * * * *
- 492 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:21
-
「多分、明日10時くらいから栞菜外出するから、愛理暇なら着いて行ってやってよ」
「えっ…」
「まぁ、ただ一緒にいたら良いだけだからさ」
「うん…」
- 493 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:21
-
* * * * *
- 494 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:22
-
昨日、えりかちゃんから別れ際にそう言われた
私は来ない事だって出来たけど
だけど、ちゃんと謝ってないし、それだけでもしようと思って
現在、9時50分…マンションの前で有原先輩を待っている
先輩がエントランスに見えたのはほぼきっかり10時
音楽プレイヤを片手でいじりながら、小さく欠伸をしていた
先輩が私に気付く様に出来るだけ目立つ位置に立って待つ
先輩はプレイヤをバッグに片付けて顔を上げた瞬間、口を2、3度パクパクさせた
- 495 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:22
-
「おはようございます…」
「…」
私が挨拶すると、先輩はいつもと変わらない、頷く感じで頭を下げた
少し乱暴な手付きでイヤフォンを抜き取って、バッグの中に手を入れてガサガサする
そして、また口をパクパクさせて、こう続けた
「…あっ、えっと…おはよう…あっ、あー驚き、ました…」
表情はそんなに変わった様に思えなかったけど、先輩は“驚いた”って言った
私はその姿が可愛いなって思った
…今日の先輩は全然嫌じゃない
- 496 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:23
-
「あの、一緒に行ってもいいですか?」
「……」
今度は何にも言わないで、大きくコクリと2回頷いた
- 497 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:23
-
* * * * *
- 498 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:24
-
正直、どうしようか考えていた
話かけても盛り上がりそうにはないし、ちゃんと応えてもらえる自信もない
先輩はただ気持ち良さそうに歩いている
だから、私も少しだけ後ろを距離を保ったまま歩いている
商店街を少し入った所
生花店の前で先輩は立ち止まって、「花、買うんで…」と言って、振り返った
私は頷いて、先輩が花を買ってくるまで待っていた
道路を挟んで生花店の前には小さなゲームセンター
UFOキャッチャーには流行りのキャラクターのぬいぐるみ
先輩を待つ私は、特にそれが欲しいワケではなかったけどずっとそれを見ていた
- 499 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:24
-
先輩が来てからはまた会話は無くて
先輩が歩く後ろを私が歩いて、着いた所は病院だった
ナースセンターに挨拶をする時も先輩は殆んど口を開かない
だけど、看護士さんや知り合いらしい患者さんから挨拶をされたら、必ずペコリと頭を下げていた
先輩が入って行った部屋は6人部屋で
窓側のベッドまで行って、カーテンを開けた先輩は私の知らない先輩だった
「おはよ〜、お母さん」
「おはよう、栞菜」
慣れた手付きでパイプ椅子を2脚出して、少し散らかったベッド周りを片付ける
私に「座ってて」と言って、先輩は花瓶の花を入れ替えに行った
- 500 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:25
-
突然、先輩のお母様と二人きりにさせられた私は正直困っていた
と言うか、緊張と言った方が良いのかもしれない
でも、そんなの直ぐに取り払われた
「初めまして、栞菜の母です」
「初めまして、鈴木愛理です…」
先輩のお母様は、先輩からは想像つかないくらい愛想が良かった
ゆっくりとした口調ではあったけど、話が途切れる事はなかった
「栞菜が友達連れてくるのはえりかちゃん以来」
「はぁ…」
お母様から聞く先輩の話
元からそんなに喋る方じゃないとか、一人っ子で実は甘えん坊だとか
お父様は今のマンション購入直後に海外勤務になって、今は一緒に住んでいないとか
- 501 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:26
-
「あの子あんなだからねー…転校して周りに溶け込む前の大事な時期に私が入院しちゃって…
少し塞ぎがちになっちゃったのよ」
「…」
「まぁ、だからって甘やかしたくないから、栞菜にはもうちょっと喋る様になってもらいたいのよね…」
お母様はとても優しい笑顔でそう言い、窓の方を見た
日の光に照らされた横顔は“母”そのものとしか言えなかった
「お花生けたよ〜」
この時、先輩の顔は凄く可愛い笑顔だった
見たことないことなんだけど、どことなく懐かしい様なそんな笑顔だった
花瓶を置き、空いてる椅子に腰かける
ベッドに寄り掛かる感じで、座る先輩は幸せそうで
先輩って実はいい人なのかなって私は思ったりした
- 502 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:27
-
「栞菜、今日はもう帰りなさい」
それはお母様から、突然の提案だった
「愛理ちゃんだって、こんな所に一日中居たくないでしょうし、どこか連れて行ってあげなさいよ」
「あっ、私なら大丈夫…」
「遠慮しないでね?もうっ!!ホント、うちの子がバカでごめんなさいね」
「本当に私なら大丈夫なんで」
「……分かった、明日また来るね」
「行ってらっしゃい」
「行こ、鈴木さん」
そう言って立ち上がり、手を差し伸べてくる先輩に
やっぱり嫌な感じはしなかった
- 503 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:28
-
* * * * *
- 504 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:28
-
先輩は病院を出るなり、急に足を止めた
何か考え事をしている様でもあり、何にも考えてない様でもあった
「…えっとぉ〜」
「どうかしました?」
何か言いたげに、私を見る
その少し険しい表情に、私もつられて険しくなってしまう
にらめっこみたいな状態が続く
勝負に勝ったのは私で、先輩が小さく笑って吹き出す
- 505 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:29
-
「プッ…あっ、すいません…あの、行きたい所に連れて行ってあげたりしたいけど、その…」
「あぁー…私なら、大丈夫ですよ、どこでも」
先輩はそうじゃないとばかりに首を横にブルブルと振る
私はどうしたのか理解出来なくて、首を傾げそれを見る
電池が切れた様に動きを止めた先輩は、深く一回呼吸をして恥ずかしそうに話始めた
「学校と病院くらいしか行ったことなくて…何がどことか分からなくて…
っていうか、帰りたいよね?」
- 506 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:29
-
* * * * *
- 507 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:30
-
今度は私が先輩の前を歩いている
チラチラ振り返りながら先輩の様子を見ていると、
さっきとは違ってキラキラした表情をして、いろんな建物を覗いている
私は先輩と出掛ける選択肢を選んだ
昨日の事をただ謝って、帰る事も出来た
でも私は今、先輩と一緒に居る
この街について何にも知らない先輩を私が案内する事になった
申し訳なさそうに
「本屋とCD屋と、出来れば一番安く食材を買えるスーパーに行きたい…」
と言った先輩は、昨日までの先輩とはまるで別人だった
…と言うか、私が少しずつ先輩の表情の変化が分かる様になっている
それがえりかちゃんに協力してあげてって言われたからなのか
それとも他の理由なのかは分からない
- 508 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:30
-
「お昼、食べたいものありますか?」
「ん〜、何でも良いですよ」
いろんなお店を巡った
先輩はどこでも楽しそうにしていた
りーちゃんが言ってた噂の“ウギャー”って叫ぶ所も見れた
私たちは昨日までが無くて、もうずっと仲が良い友達みたいにはしゃいだ
「じゃあ、駅の近くのパン屋さんでサンドウィッチ買って、公園で食べませんか?」
先輩はニコッと笑って頷いた
私もそれを見て笑顔で頷き返した
まだ何も知らないけど
全部分かっていける様な、そんな気がした
- 509 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/01/23(金) 22:31
-
美味しいケーキはどうですか?
第18話 終了
- 510 名前:gen 投稿日:2009/01/23(金) 22:34
- 更新
更新しました
少し進展しました。
個人的にこの二人は仲良くなるきっかけさえあればかなり仲良くなる二人だと思っています。
次回は愛理ちゃん回想終わって、ケーキ食べてるところに戻ればいいじゃないと思います。
私はそう願っています。他人事の様に。
- 511 名前:gen 投稿日:2009/01/23(金) 22:37
- 米レス
>>489 三拍子さん。
栞菜にはマイペースでいて努力して頂きたいです。可愛いです、それが。
あんまり大きな事情は無いですが、思春期の子なので。こんな感じです。
>>490さん。
保護者な梅さんは私も好きです。ダメな梅さんだけど、世話焼きさんだと可愛いです。
栞菜はもう、細々と可愛いです。何が何でも可愛いです。
コレからもよろしくお願いします。
- 512 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/02/10(火) 20:42
- 何だこのありかん・・・
可愛いじゃないか
- 513 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:50
-
* * * * *
- 514 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:50
-
先輩はサンドウィッチのセットを1つだけと、パックのジュースを買っていた
私はそれに加えてミルクの入った小さなパンを2つ買った
それを見て先輩はまた驚いた様な表情をして、私の頭からつま先までをサーッと見て、一人納得した様に頷いていた
「このベンチにしましょうか」
「うん」
公園の端っこ、一番陽の当たるベンチ
そこは私が小さい頃からのお気に入りの場所で、りーちゃんやみや、えりかちゃんとも何度も来たことがある場所だった
「食べよっか」
「はい」
先輩を連れてきたのは何でだろう?
りーちゃんたちみたいな関係になりたいから?
その前に何かすることあるような…
- 515 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:51
-
「美味しいです、これ」
「でしょ?私、好きなんです」
「これお気に入りになりそうです」
でも、そんなこと気にしているのは私の方だけみたいで
先輩はさっきから目を細めて、気持ち良さそうな表情を崩さない
何か猫みたいで、可愛いなって思った
- 516 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:51
-
* * * * *
- 517 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:52
-
全部食べ終わって、私たちはずっと日光浴をしてるみたいな状態
…話すなら、今しかない
「先輩、あの…」
「あっ、時間ですか?」
「そうじゃなくて、その…昨日はごめんなさい!!」
私は頭を思い切り下げて、先輩に謝った
出来るだけ頭をあげないで、目だけを先輩の方に向ける
先輩は何だか凄く困った様な表情で、口を開いた
「えっと…鈴木さんは悪くないよ」
「でも、私がちゃんと確認したら…」
- 518 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:53
-
私はガバッと頭を上げて、先輩を見る
先輩は少しビクッとして、手と首を一緒にブンブンと振る
「えっと…何て言えば良いか分からないけど…私がこんなだから、鈴木さんがフツーです。
感じ悪いなぁって思うだろうし、良いイメージなんて持てないと思う」
…確かに、そうだ
でも、それは私がちゃんと先輩を知ろうとしなかったのも悪いと思う
第一印象だけで全部決めてしまった私も悪いと思う
「そういうの分かってる癖に、私が直さないから…だから、鈴木さんは気にしなくて良いですよ」
先輩は笑った
だけどそれは少し悲しそうだった
私はそれが凄く嫌だった
どうしてか分からないけど、凄く嫌だった
- 519 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:53
-
「でも、私が悪いです…先輩の事ちゃんと知らないのに勝手に先輩の人柄決め付けたの私だし…」
「…鈴木さんは凄いねー」
「はいっ?」
先輩は真っ直ぐに前を見据えながらそう言った
どんな事を思ってそんな事を言ったのか全く読めない
「そうやって自分の事見れるのって大人だなぁーって…」
「でも…大人だったら、先輩と最初から向き合えてますよ…」
そうだ…
私、今日先輩と一緒に居て、分かった
先輩の事が案外好きで、それがかなり好きの指数が高いみたいで
ちゃんと、もっと、向き合いたいって思ってるんだ、私…
- 520 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:54
-
「ちゃんと、向き合えてると思う」
「へっ?」
「こんなにおしゃべりしたの鈴木さんが初めてだよ…」
先輩は何だか照れ臭そうに笑って私を見た
私はそれが嬉しくて仕方なかった
「それにこれからもまだ知れる事があるって考えたら、ワクワクするよ」
「そう…ですね」
「うん」
………
……
…
- 521 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:54
-
* * * * *
- 522 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:55
-
ポロッとフォークから黄桃が机の上に落ちる
あっ、また思い出の世界に浸かってた…
「愛理だいじょぶ?」
「うん、大丈夫」
「布巾いる?」
「大丈夫」
みやってこうやっていつも優しい
みやは甘えたいって言うけど、頼りにされてる姿しか思い浮かばない
- 523 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:55
-
「そういや、栞菜高校どこにすんの?」
「うーん…えりかちゃんと一緒の所」
「あっ、じゃあ舞美ちゃんとも一緒だよ」
みやが布巾を片付けながら栞菜と話す
さっきの店員さんが“呼んだー”と言いながら出てくる
「何か栞菜が舞美ちゃんの高校受けるって話」
「へぇー、じゃあ今中3なんだ?」
「はい…」
栞菜はいきなり二人の会話に連れ込まれて、ちょっと困り顔
だいぶ人見知りしなくなったと思うけど、やっぱり栞菜は栞菜だなぁ…
- 524 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:56
-
「そうだみや!!りーちゃんはみやのとこに行きたいってよ」
「はぁ〜?てかアイツまだ受験しないじゃん」
「今から頑張って絶対受かるんだって」
「…」
みやは少し複雑な表情をして笑った
嬉しいんだろうけど、素直に喜べない
そんな感じの笑い方だった
「みや、りーちゃんはね…」
「分かってる…でも、アイツにはアイツの事を自分で決めてもらいたいから」
「そっか…」
少し沈黙が流れた
栞菜が私をチョンと叩いて、優しく笑う
私もそれに答える様に笑う
大丈夫だよ、ちゃんと分かってる、私もみやも…
- 525 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:57
-
「あのね、みや」
「うん?」
「まだまだ見た事ない事だって沢山あるから、だから…」
私はみやにもっとりーちゃんを見てもらいたい
みやの為、自分の為に頑張ってるりーちゃんの姿を
「愛理…ありがと、ウチ頑張るよ」
「うん」
みやも少しずつで良いから、素直になってもらいたいなぁって思う
私はりーちゃんもみやも大好きだから
- 526 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:57
-
「愛理ちゃんだっけ」
「はい」
舞美と呼ばれたその人が話しかけてくる
凄く優しくて、大人な口調で
「ありがとう」
「えっ?」
「難しいけど、誰かに応援されると嬉しいんだよ」
何故か舞美ちゃんにお礼を言われた
それはよく理由が分からなかったけれど、栞菜も隣で笑っていたから私は嬉しかった
- 527 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:58
-
「愛理、もう行こう」
「うん、じゃあねみやまた今度」
「うん、愛理ありがとね」
少しずつだけれど、色んな事を経験して
そして今日を積み重ねる
明日になれば今日だって昨日だけど
そういう事を私は、私たちは大事にして生きて行く
- 528 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/12(木) 21:59
-
美味しいケーキはどうですか?
第19話 終了
- 529 名前:gen 投稿日:2009/02/12(木) 22:00
- 更新
更新しました
一応愛理さんと栞菜さん編はおしまいまい
今度からはやじまさんとうめださんの話です。
頑張ります
- 530 名前:gen 投稿日:2009/02/12(木) 22:01
- 米レス
>>512さん。
栞菜は可愛いです。大好きなんです。
愛理もすきです。リアルにこの二人はポヤポヤしていて可愛いです。
- 531 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/02/15(日) 22:53
- 愛理は本当に良い子だなぁ。
次からはやじうめですか、楽しみにしてます。
- 532 名前:gen 投稿日:2009/02/22(日) 19:19
-
- 533 名前:gen 投稿日:2009/02/22(日) 19:19
-
- 534 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:19
-
* * * * *
- 535 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:20
-
「だからぁー、そうじゃなくて…」
「いやいや違うって、こうだよ…」
「ホンマ悪いんやけど、お二人さんとも違うで…」
目の前では何やらみや、久住さん、光井さんがノートを開いてワイワイ言ってる
こんな事は前にも何度かあって、それは大体テスト前に起こる
いつもは奥の陽当たり良好な席に座る久住さんと光井さんが
カウンターに座るのがテスト前の恒例行事
みやはバイト中であるにも関わらず久住さんと熱い会話をしている
それに所々突っ込む光井さんは大変そうだ
- 536 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:21
-
「みや、今お客さん少ないから、良いよずっとそっち居て」
「ホント?舞美ちゃんごめんねー」
「ううん、また忙しくなったらちゃんとしてくれたら良いよ」
私はそうみやに告げて洗い物を片付けようと思い、流し場の前に立った
その時だった、店の外でキキーッと大きな音が聞こえる
最近聞き慣れた音、梅田さんの自転車が止まる音だ
だけど、いつもに増して急いでいる様な音に私は思った
- 537 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:21
-
ガシャーンッ!!
私の予想が当たったみたいで、梅田さんはすっごく剣幕な表情で扉を乱暴に開け、入って来る
「あー、梅田さん」
「こんにちわ、梅田さん」
「やっほーえりかちゃん」
カウンターの3人はいつもの様に挨拶をするんだけど、私はどうしても出来ない
梅田さんの一挙一動がどうしても気になって、見入ってしまう
「いらっしゃい」
「あっ、えーっととりあえずお水!!」
だからと言ってバイト中だし、梅田さんはお客さんだから挨拶をする
梅田さんに言われた通りグラスに水を入れ渡すと、グイッと一気に飲み干した
- 538 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:22
-
「どーしたの、何かに追われたりした?」
ケラケラ笑ってみやが話しかける
梅田さんはギロッと一回睨んで、話し始める
何故かみやではなく、私に
「矢島さん、一生のお願い!!」
「あっ、うん何?」
梅田さんに一生のお願いとか言われたら、何回でも聞いてしまいそうだ
しかも、内容に関わらず
- 539 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:22
-
「あのね、バイトあって自分の事でも忙しいと思うんだけどさ…」
私はゴクリと喉がなる…どんなお願いをされるか、緊張が走る
みやたちも私たちを見守っている…
「ウチ、ヤバいのだからさ…」
「うっ、うん」
「家庭教師、してくれないかなぁ…なぁんて、ダメ?」
- 540 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:23
-
* * * * *
- 541 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:24
-
私は梅田さんの自転車の後ろに乗って、梅田さんの家に向かっている
バイト終わりまで、梅田さんはずーっと数学の教科書と睨めっこ
みやと久住さんがちょっかい出せないくらい、真剣な雰囲気を出していた
理由はこうだ…
中間テストが予想通りの悲惨な結果
親もいつも通りだろうと軽く叱って終わると思っていた
…が、学校から呼び出しがあり…そこからは記憶が無いって言っていた
ただ先生とお母さんに『次、赤点取ったら…』
梅田さんは話を全部聞く前に
『ウチ、次は大丈夫!!赤点なんて取らないし、取ったらなんでもする!!』
といって恐怖の三者面談を逃げ出して来たらしい
- 542 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:24
-
とは言ったものの、高校受験以来真面目に勉強した事ないし、
授業が今何をしているかも分からないらしくて、私を頼って来たみたい
「バイト忙しいのに、ごめんね」
「うぅん、あれなら亀井さんに言えばお店で勉強させてくれるよ」
「あの人にバカにされるの嫌なんだもん」
梅田さんは拗ねた口調で喋る
なんか可愛いなぁって私は笑ってしまう
- 543 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:25
-
「あー、笑ったな」
「うん、だって可愛かったんだもん」
「いやいや、ウチ真剣だよ」
シャーッと車輪の回る音を聞いていると、夜道に私たち二人しか居ない様な気分
それがくすぐったくて、嬉しくて、気持ち良くて
このままで居たいなぁとか思ってしまう
「そろそろ着くよ…ご飯多分矢島さんの分もあるから先食べてから、勉強しよう!!」
「うん、分かった」
- 544 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:25
-
これから私と梅田さんがやっと一緒にスタートに立つお話
色々あったけど、最後はいつもみたいに皆で笑って
- 545 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:26
-
美味しいケーキはどうですか?
第20話 終了
- 546 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/22(日) 19:27
- 更新
更新しました
やじうめ頑張れ編です
やじうめが好きです
頑張ります
- 547 名前:gen 投稿日:2009/02/22(日) 19:29
- 米レス
>>531さん
愛理はいい子です。と言うか、皆可愛くていい子です。
やじうめはこの中では可愛らしいお話にしたいので頑張ります。
よろしくお願いします。
- 548 名前:gen 投稿日:2009/02/22(日) 19:32
-
あと一応こちらでも
ここで載せてるヤツとかのまとめの為にサイトが出来ました。
まとめて書き直したり、書き直してなかったりしています。
ttp://nekotokappa.tobiiro.jp/simpleVC_20090215171406.html
↑になるので、よろしくお願いします。
- 549 名前:名無し飼育さん 投稿日:2009/02/22(日) 21:59
- 家庭教師舞美に期待2^^w
やじうめ続き楽しみにしてますわ!!
- 550 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:33
-
* * * * *
- 551 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:34
-
「…で、こうなるんだけど」
「ちょっ、ちょっと待って…コレ何?」
「教科書の…そう、ここの公式」
梅田さんの部屋は綺麗に片付いていて、机の上には綺麗に教科書が並べられている
ちゃんと勉強してるんじゃないかな?って思ったんだけど
使ってないから綺麗に収納されたままなんだとか
「あー、ウチ先ずそういうの覚えてないや」
「テストは公式覚えてたら大体できるよ…この公式のこの記号が何で…みたいな感じで」
「…」
梅田さんはポカーンと口を開けたまま私を見て、そのまま止まっている
どうかしたかなと思って首を傾げると、ブルンブルンと首を振って正気に戻ったみたいだ
- 552 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:34
-
「大丈夫?」
「うん、て言うか凄いねー…バイトもしててこんだけ勉強も出来るとか」
「全然だよ、もっと出来る人居るし」
「ウチ何にもしてないし、ダメダメだから尊敬する」
梅田さんが頼り無さげに笑う
すっごくそれが可愛くて、自然な感じで私は真っ直ぐ見てられなくなる
恥ずかしくなって顔を背けると、梅田さんが心配そうに声をかけてくれる
- 553 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:35
-
「あっ、もう疲れた?」
「いや、大丈夫、大丈夫」
「ホント?ウチもう無理、集中力無い」
アハハーってさっきとは違った笑い方をして梅田さんは立ち上がる
どうしたんだろ?って思うとこっちを向いて「お茶でいい?」と聞いて来たから
「うん」と頷いたら、梅田さんは部屋を出て行った
- 554 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:35
-
* * * * *
- 555 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:35
-
ぐるっと一周見回す
いくら知り合いで、友達で、片付いている部屋の中とは言え、一応好きな人の部屋だ
落ち着かないし、不審な行動をしてしまいそうだ
とりあえず、梅田さん早く帰って来てくれ!!と願う事しか出来ない
「あー、あーっ」
小さく声を出して、気を紛らわせる
どう考えても、何か恥ずかしい
出来る事なら叫びたいけど、人様の家だし、夜出しって思うとまた小声で叫ぶ事になる
- 556 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:36
-
「あーあぁー…」
「…何やってんの?」
「うわぁっ!!」
「驚き過ぎだって…はい、お茶」
絶対、今可笑しい人だって思われた…失敗したぁ
ちょっと沈みそうになっていると、クスクスと梅田さんは笑ったままだ
「いやー、矢島さん面白い」
「えー、面白くないよ」
「面白いって…そういう感じの方が話しかけやすいよ」
- 557 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:37
-
梅田さんはそう言って、マグカップを口に運んだ
少しだけど顔が赤く見えたのが、私は嬉しかった
「でも、よく天然だって言われるかな」
「う〜ん、そう思う」
「違うと思うんだけどなぁ」
それから私たちは梅田さんのお母さんが「ちょっと五月蝿いわよ!!」って注意しにくるまで、
勉強の事なんて忘れて、自分たちの話で盛り上がった
- 558 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:37
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* * * * *
- 559 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:37
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「送ってくよ」
「大丈夫だよ」
「絶対、迷子になるって」
梅田さんは何が可笑しいのか大笑いしながら私に着いて来る
ちょっと不満な私は失礼だなーとか言っているけど本当は凄く嬉しい
隣に居てくれる優しさが凄く好きだって思う
「そんでさー話し変わるんだけど土日暇?」
「お昼からバイトで終わったら日曜日は暇かなぁ」
「じゃあ、決定だ」
「何がぁ?」
「お泊まり勉強会」
- 560 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:38
-
梅田さんはお願いしますと深々と頭を下げる
私は突然の事過ぎて、事態に着いて行けてない
「矢島さんさえ良ければさ、お泊まりで勉強教えてよ」
「えっ、」
「ウチ、英語もヤバいし化学もヤバいし…って言うか、大丈夫な教科がないかなぁ〜みたいな」
片目を瞑って、お願いと私をチラ見する仕草
必死さが伝わって来るし、私は出来る限り力になってあげたいから
仕方ないなぁと言いながらも、内心大はしゃぎで頷いた
- 561 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:38
-
* * * * *
- 562 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:39
-
ガシャンとカップが音を立てる
割れては無いみたいだけど、私は多分今顔面蒼白だろう
「舞美ちゃん、大丈夫?何かあった?」
「だ、だだ…大丈夫!!何もない、うん無い!!」
今日は調子が悪過ぎる
一睡も出来なかったし、流石にそこまでやらないだろうって言うヘマばかりしている
「嘘だ、絶対なんかある」
「無いって!!」
「えー、でも今日いつもより表情固いよ」
カウンター内ではみやが、カウンターでは梨沙子が疑って来る
別に隠しておかなきゃ行けない事ではないんだけど、
この二人にはあんまり知られたくない事が今日ある
- 563 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:39
-
そうだ、今日は梅田さんの家にお泊まりをする
つまり、二人で一晩ともに過ごすのですよ
「て言うか、風邪とか調子悪いんなら休んでいいんだよ」
「調子は良いよ、良過ぎる!!」
うん、体は元気だ…元気過ぎるから困っている訳で
元気過ぎて全てに敏感になっている気がする
そんな私を見て、梨沙子がニヤリと怪しく笑った
- 564 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:40
-
「梅田えりかだぁー」
「えっ、えりかちゃん来た?」
「えっ、梅田さんもう来た?」
「なんてうっそー!!」
私は梨沙子が口にした名前にビクッとなる
梨沙子はしてやったりって顔で私を見る
みやは何にも分かっていないって顔で私と梨沙子を交互に見る
「えっ、何?なになに?」
「…もう、誰にも言わないでよ」
私は隠せないと悟って、二人に全てを話す事にした
- 565 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:41
-
* * * * *
- 566 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:41
-
「うわー、全然気付かなかった」
「みや、鈍感」
「梨沙子うっさい!!」
私の話を聞いた二人は、私の事なんか放ったままでギャーギャーと言い合っている
私はそれを顔を真っ赤にしたまま見ている
話してしまったと言う気持ちで少し放心状態なのと、
二人が普段と変わらない感じで安心しているのが混在している
「えー、でもお似合いだと思う」
「うん、ウチも舞美ちゃんとえりかちゃんなら綺麗で絵になると思うよ」
二人は急に優しい顔で私にそう言う
私はそれが嬉しくて、ちょっとだけ肩の力が抜けた気がした
- 567 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:41
-
「で、今日は家庭教師してお泊まりなんだ」
「うん、そう」
「菓子折り持った?」
「えっ?」
「だって、両親に挨拶に行く様なもんじゃん」
梨沙子は冗談じゃなくて結構本気っぽく言って来る
みやも隣でうんうんと頷いている
「私、そういうの準備してない」
「えー、ダメだなぁー」
「やっぱり、そういうの無いとダメなのかな?」
- 568 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:42
-
抜けたと思った嫌な緊張が舞い戻って来る
私、何にもそう言う事考えてなかった…
もしかして、これはヤバい事態なのかな?
「えっ、どうしよ、どうしよー?わー、梅田さんバイト終わる時間に迎えに来てくれるのに」
「ケーキ、持って行きなよ」
「えー、あー、うん」
みやは奥に入って行き「亀井さーん」って呼び出して、慌ただしくバタバタとしている
変に緊張していた私は、何にも変わらない皆のお陰で少しだけ緊張がほぐれた
- 569 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/02/28(土) 19:42
-
美味しいケーキはどうですか?
第21話 終了
- 570 名前:gen 投稿日:2009/02/28(土) 19:44
- 更新
更新しました
普通の女子高生が分からない
テスト前に勉強する女子高生は何か可愛いと思う
やじうめ、やじうめ
- 571 名前:gen 投稿日:2009/02/28(土) 19:45
- 米レス
>>549さん。
家庭教師舞美はちょっと頼りないけど、真面目で丁寧だと思います。
いろいろあって大変ですが、コレからも頑張ります。
- 572 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/03/03(火) 03:16
- かわいいと思う☆
やじうめ、すごく、好き☆
- 573 名前:名無し飼育さん 投稿日:2009/03/04(水) 12:35
- やじうめ気になる☆
舞美可愛すぎです☆
梅さん2☆
- 574 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:01
-
* * * * *
- 575 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:01
-
「やっほー」
カランカランと開いた扉
梅田さんが入って来て明るく挨拶をすると私たちはそっちを向く
私服姿の梅田さんはいつもより何倍も可愛くて
いや、いっつも可愛いんだけど、やっぱり見慣れていないから新鮮で
私は何故か一人、恥ずかしくなった
「まだ、早かった?」
「うーん、あと15分くらいかな」
梅田さんはカウンターにいつもの様に座る、私は時計を気にしながら仕事をする
そんな風にソワソワしてたら梨沙子が茶々を入れて来る
- 576 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:02
-
「矢島舞美、先に上がれば?ねぇ、みやー」
「うん、いいよ、亀井さんにも言っとくし」
素知らぬ顔をしてみやもそう言うけど、ニヤニヤしているのを上手く隠せていない
梅田さんに見えない様にみやに口を動かすだけで文句を言うと
みやは思いっきり表情を崩して笑い始める
「そう言ってくれてるなら、ウチ矢島さん借りてくよ」
「どーぞ、どーぞ、もうお好きにして下さいよ」
- 577 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:03
-
みやも梨沙子もニヤニヤと少しムカつく…
口を尖らせて弱めに睨んでも、二人は笑いっぱなし
もう、このいたずらっ子二人には何を言っても意味が無いと思う
「矢島さん、行こう」
「あっ、うん…みや、ありがと」
それでもやっぱり、私の事を応援してくれている訳で
私はそれに思いっきり甘える事しか出来ない
- 578 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:03
-
「じゃあ、着替えて来るから待ってて」
「うん、荷物あるなら言って、ウチ少しは持つから」
何だかちょっと大人びた感じに思えるのは、制服じゃないから?
原因は分からないけど、いつもとちょっと違う気がする
みやや梨沙子と話している雰囲気は普段と変わらないのに、何かが違って見える
ソワソワって心の中で何かが騒いだ
- 579 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:03
-
* * * * *
- 580 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:04
-
「荷物、案外少ないね」
「うん」
私の持って来たバッグを持って、マイペースに歩く
私は亀井さんとみやから渡されたケーキの入った箱が揺れない様に慎重に歩く
「まぁ、教科書とかウチの使えば良いし、ノートはこの前コピーしたし」
「それだけあれば大丈夫」
「う〜ん、心強い」
梅田さんはフラフラと踊る様に歩く
結構高めのヒールのパンプスなのに、かなり軽快に歩く
- 581 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:04
-
「テスト終わったらさぁ、お礼するね」
「えっ?」
「いや、休日まで付き合ってくれてるしさ、何かしないと」
「良いよ、私も勉強出来るし」
だって、私にとったら梅田さんと一緒に居る事が出来る訳だし、テストの為に復習だって出来る
何も悪い所は無いし、どう考えても良い事しかない
「いやー、でもやっぱり何かしないと」
そう言えば、梅田さんとこんなに仲良くなったのも“お礼”をするって言ったからだ
案外、義理堅いと言うか、きっちりしてる人なんだなぁって思う
多分、私が良いよって言い続けても譲りはしないだろう
- 582 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:05
-
「そっか、じゃあ私が何が良いか考えても良い」
「うん、良いよ…あっ、でもお金がかかるのは無理かも」
「うん、分かった」
「て言うか、先ずは頑張らないとなんだけどね」
ハハハって笑った梅田さんは、凄く幼く見えて
私はまた一つ梅田さんの好きな部分が増えた
- 583 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/03/27(金) 20:05
-
美味しいケーキはどうですか?
第22話 終了
- 584 名前:gen 投稿日:2009/03/27(金) 20:06
- 更新
短いですが更新しました
やじうめ、やじうめ
- 585 名前:gen 投稿日:2009/03/27(金) 20:07
- 米レス
>>572さん。
やじうめは可愛いと私も思います☆
>>573さん。
私は舞美も梅さんも可愛いと思います☆
ではまた今度合うときまで。
- 586 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/03/28(土) 01:47
- やじうめにももさきはよく見かけるけど
やじうめにりしゃみやは初めてです
面白くてかなり新鮮味がありました
続き期待してます!
- 587 名前:gen 投稿日:2009/04/02(木) 23:22
-
- 588 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:23
-
* * * * *
- 589 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:23
-
「どうぞー」
「おじゃまします…」
梅田さんが勢い良くドアを開けて招き入れてくれる
奥の方から、声が聞こえてくるからこの前みたいにお母様が居るんだろう
「そうだ、これ…」
「なぁに?」
「ケーキ、えっとね確か苺のと、アップルパイと…」
私が何があったか思い出していると、梅田さんは少し苦い顔をする
どうしたんだろう?と思うと、ハハハと笑う
- 590 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:24
-
「ウチ、苺ちょっと苦手なんだよね…」
「えっ、そうなんだ…でも大丈夫、あったの一個ずつ全部入れて来たから」
「え、じゃあ沢山ある?」
「うん」
嬉しそうな表情をしたのに、直ぐにまた困り顔になる
私はどうしたものかと思って突っ立ったまま何にも出来ない
「あー、また迷惑かけた…」
「えっ?」
「勉強見てもらうだけでもアレなのに、お土産までもらったらさー」
- 591 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:24
-
顔に手を当てて、アチャーってリアクション
みやも梨沙子も持ってけって声高に言ってたのに、迷惑だったのかぁ…
もしかして、二人に騙されたとか?
私も失敗したなーって思ってしまって、少しだけ気が重い
「まっ、食べなきゃ勿体ないから食べるんだけどねー」
「えっ、本当?」
「嘘つく必要ないじゃん、そんな事で」
「あっ、そうだよね…」
私の機嫌を伺う様に、おどけた調子でそう言う
何か、気を使わせてるみたいだ…
- 592 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:25
-
「まっ、その前にウチは勉強頑張らないとだけどねー」
そんな気はないのかもしれないけど
一回そう思ってしまうと、どうしてもそういう風にしか思えない
加えて、今まで私が良かれと思ってやってた事も、ただの迷惑行為だった様に思えて来る…
「さっ、勉強しようか」
「あっ、うん…そうだね」
梅田さんは多分いつも通り
いつも通りなんだと思うんだけど、
私の感じ方が違うのか、どうしてもそう思えない
あー、何でだろう…
少し、否かなり私の中に暗雲が立ちこめていた…
- 593 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:25
-
* * * * *
- 594 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:26
-
「あー、疲れた」
「うん、かなり頑張ったよ」
まっさらだったノートがワケの分からない様な文字で埋め尽くされている
ウチが頑張った証であり、矢島さんに対する感謝も結構な量が詰まっている
多分、ウチ一人だったら今頃新しく出た雑誌とか、漫画とか読んでいて
それも、3回は読み返していたと思う
「時間もあれだしご飯食べようか?」
「うん、そうだね」
「今日ね、矢島さんが来るからってピザ取ってもらった」
- 595 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:26
-
ウチ一人だったら、どんなだけ勉強を頑張ったとしてもいつも通りのご飯だったと思う
でも、お客様がいるし、しかもそのお客様にかなりお世話になっている
ウチだけじゃなくて、ママだって気合いが入っている
と言っても、ピザは出前だし、他のもどうもデパートで買って来たっぽい
「へぇ、じゃあ今はご家族と別に暮らしてるの」
「はい…って言っても、小さい頃からお世話になってる親戚なんで家族同然です」
矢島さんはママとも普通に話してる
ママも気に入ったみたいで、結構な上機嫌
和気藹々って言うんだろうか、矢島さんも普通に溶け込んでいる
ウチはなんとなく良かったと思いながら、箸をすすめる
- 596 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:27
-
「そんなに大変なのに勉強も出来るなんて、ねぇー」
「はいはい、どーせウチは勉強出来ませんよー」
「家の事も何にもしないし」
ウチは口答えはしてるけど、ママの言う事に納得してる
確かに矢島さんは凄い人だと思う
元から持ってた能力とかそういうのじゃなくて、
ウチだったら諦めたり、最初から手をつけない様な事にも
取り組んでると言うか、努力してるって言うのかなぁ
とりあえず、凄いと思うわけだ
- 597 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:27
-
* * * * *
- 598 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:28
-
ご飯を食べ終えて、ケーキが出て来る
矢島さんが持って来てくれたヤツだ
こっちがお世話になるって言うのに、丁寧にお土産まで持って来てくれた
そう言う所も矢島さんっぽいなって思う
「これは、矢島さんがバイトしてる所の?」
「はい」
「こんなに沢山ありがとう」
沢山のケーキを目の前にして、ウチもママも軽く興奮気味
て言うか、もうケーキが沢山ってマジやばいと思う
あー、どれ食べようって指をくわえて選ぶ
- 599 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:28
-
「えりか、あんた今度ちゃんと矢島さんにお礼しなさいよ」
「うん、分かってる…うん、ウチこれー」
ウチが取ったのはレモンパイ
甘くて、酸っぱくて、爽やかで嫌みの無い美味しさ
「んー、美味しい!!本当矢島さんありがとう!!」
「ううん、美味しかったなら良かったよ」
ウチは二口目を口に運びながらお礼を言う
矢島さんはニコって笑って、ショートケーキを食べ始める
ウチはその姿を見て、矢島さんって何だかレモンパイっぽいなーって思った
- 600 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/04/02(木) 23:29
-
美味しいケーキはどうですか?
第23話 終了
- 601 名前:gen 投稿日:2009/04/02(木) 23:30
- 更新
更新しました
頑張りました
やじうめが好きです
あー、言っちゃった、好きって言っちゃった
- 602 名前:gen 投稿日:2009/04/02(木) 23:32
- 米レス
>>586さん
やじうめにももさきだと絡み過ぎるから、二人の自主性が見れないと思ったので
なんて言ってみましたが、りしゃみやが好きだからです。
これからも頑張るのでよろしくお願いします。
それでは、また今度の更新でお会いしましょう。
- 603 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/01(金) 10:37
- 作者さんのやじうめ大好きです
次回も楽しみにしています
- 604 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:39
-
* * * * *
- 605 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:40
-
「矢島さん、先にお風呂入って来ていいよ。
ウチその間に問題解くからさ、ウチが入ってる間に矢島さんが採点して」
「うん、良いよ…でも、一番にお風呂もらって良いのかな?」
「ぜんぜーん、良いよ」
梅田さんは笑顔だ、今日はずっと
と言うよりも、この頃ずっとこうやって笑顔で居てくれる
それはスッゴク可愛いし、私的には結構癒されてる
私は梅田さんの言葉に甘えてお風呂に入った
その間に梅田さんは勉強しとくって言ってたけど、少し心配
ご飯前もずっとしてたし、それからも結構気合いを入れて頑張ってる
絶対に私より疲れてるはずなのに…
- 606 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:40
-
「はぁー、前より仲良くなれたのにな…」
お風呂場での独り言は案外響く
私はその響いた声を聞いて、モヤモヤして来る
確かに仲良くなったと思うのに、明るい気分じゃない
前は梅田さんの態度が素っ気ないと言うか、私に対して特別な部分が無かった
だから、私はがむしゃらに突き進んで来れたし、どうにかしようって気持ちが会った
だけど、今はどうなんだろう?
優しくしてくれる梅田さんにどう接して良いか分からない
「難しいなぁ…」
片思いってこんなんなんだって初めて実感する
しかも相手にバレバレの片思い
- 607 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:41
-
梅田さんが私の気持ちを知ってるからって利用する様な人じゃないって言うのは分かる
多分、前までが“ただの友達”だったのが“良い人”とか“かなり仲の良い友達”になったんだろう
だから、梅田さんの態度に変化が出るのは当たり前だ
私はそれに合わせて、気持ちや態度を変えなきゃいけないワケでもない
でも、好きだからこそ気付いちゃう部分もあって、気付いちゃいけない部分もある
私が気付いたのは、私が前より梅田さんの事が好きって事で
気付いちゃいけないのは、梅田さんの気持ち
仲の良い友達は決して愛情としての好きじゃないって事
- 608 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:41
-
* * * * *
- 609 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:42
-
「上がったよー…」
「ちょっと待って、あと少し」
お風呂から上がり梅田さんの部屋に戻る
ペンを握ったまま梅田さんは難しそうな顔
学校ではこんな表情見た事が無い
いっつも皆を明るくさせてくれる様な人で、フワフワと掴み所が無いのに
陰ではこんなに努力が出来る人なんだって思う
「よしっ、出来たー!!急いで入って来るから、何かダメな所は教えてね」
「うん、分かった」
ノートにびっしりと解かれた問題
上手ではない字だけど、一生懸命さは伝わって来る
フフフって何だか微笑ましくなって来るのに
どうしてか、私の目からは涙が出そうになった
- 610 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:43
-
* * * * *
- 611 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:44
-
「はー、上がった、採点出来た」
「うん、採点終わった…結構出来てたよ」
「マジ?あー、これで赤点免れるかな」
「うん、大丈夫だとは思うよ」
梅田さんは私の手からノートを受け取って、じっくりと見ている
採点と言っても私は先生じゃないから、基準は甘いだろうし、いまいちあやふやな所もあるけど、
梅田さんの頑張りに答えたいなって思って、私も頑張った
「あー、ここやっぱり間違えてた…おっ、でもここあってる」
梅田さんはブツブツと一人で反省中
明るい口調だけど、真剣にしてる
- 612 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:45
-
「はぁー、もっと頑張らないと」
「もう十分だよ」
「赤点とらない事も大事だけどさ、ここまで手伝ってくれる矢島さんの為にも頑張りたいんだ…」
やばい、絶対私顔赤くなったって思う
ただでさえ梅田さんの笑顔は可愛くて、それが好きな所なのに、今のは反則だ
そんな事言われちゃったら、さっきまで悩んでたのがバカらしくなる
「だから、ここからもっと頑張らないとね」
「…ねぇ、梅田さん」
「うん、何?」
「やっぱり、好き」
- 613 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:45
-
だって、結局はそこに辿り着くから
どうやって遠回りしても、全速力で近道を通っても
私は梅田さんが好きで、だからこんなにも嬉しくて、苦しくて、涙が流れるんだ
「…そっか」
「うん、そうなんだ」
「じゃあさ、後少しだけ、ほんのちょっとだけ好きで居て」
梅田さんの顔からさっきまでの笑顔が消えて急に真剣な顔になる
ドキッとするんだけど、こんな顔もするんだなーって思って嬉しくなる
暢気なわけじゃない、梅田さんの色んな一面が見れるのが嬉しいだけ
だって、それが片思いなんだって思うから
- 614 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:46
-
「ウチはやっぱりまだ好きかどうか分からないし…
でも、矢島さんといて楽しいってのはこの頃感じてて」
「大丈夫、私ずっと好きだよ梅田さんの事」
「ありがと…どういう好きか分からないけどさ、ウチも矢島さんの事きっと好きになるから」
梅田さんの視線は強く、私を射抜きそうなほどで
私の目から流れた涙は暖かく、嬉しい気持ちに溢れていた
そんな私の頭を梅田さんは撫でてくれて
涙は止まる事無く、沢山流れ出た
- 615 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/02(土) 17:47
-
美味しいケーキはどうですか?
第24話 終了
- 616 名前:gen 投稿日:2009/05/02(土) 17:48
- 更新
更新しました
二人は二人で進んで行くんだと思います。
今度はもっと早めに更新する予定になっています。
それでやじうめ編終わりです。
- 617 名前:gen 投稿日:2009/05/02(土) 17:49
- 米レス
>>603さん。
読んで頂きありがとうございます。
私自身やじうめ好きなんで、書くときは楽しく書こうと頑張っています。
コレからもよろしくお願いします。
- 618 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/03(日) 23:39
- すごい引き込まれました。
次の更新も楽しみに待ってます。
- 619 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:45
-
* * * * *
- 620 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:46
-
「やったね、良かったじゃん」
「うん、ありがとう…」
手元にあるのは今日返って来たテスト用紙
凄い良いとは言えないけど、いつものウチからしたらびっくりするほどで
先生も軽く驚いていたし、冗談なんだけどカンニング疑われた
ウチは何よりも矢島さんに感謝していた
それはもう丁寧に教えてくれたし、最後までウチの勉強に付き合ってくれた
感謝とか言うレベルじゃなくって、本当になんて言ったらいいか分からないくらいだ
「いやぁー、これで進級出来るし、補習も免れたし、ママにも怒られないよ」
「私も一緒に勉強したからから結構良かったよ」
「普段も良いじゃん、矢島さんは」
矢島さんの隣を歩きながら、ウチはこの人は本当に凄いなって思ってる
どうしてこんなに頑張って、ちゃんと結果を残していて
それでいて自慢する訳じゃないし、自然体だ
やっぱり、憧れてしまうし、少し嫉妬っぽく思ってしまう事もある
- 621 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:46
-
「あぁー、テスト終わったし、ちょー開放感」
「私も今日からまたバイトいっぱい」
「そっかー。今日もバイト?」
「今日はお休み」
それでもウチ、嫌いじゃない
多分、嫌いじゃないし、結構好きだって今は思ってる
なんだかんだでこの頃ずっと一緒にいるし
それは違和感とか皆無で、居心地が良かったりする
「あのさ、梅田さん」
「うん」
「お礼なんだけどね」
「あぁ、そう言えばそうですね」
- 622 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:47
-
お礼するって言ってたんだ、テストが上手くいったら
テストに必死だったから忘れてたけど、ウチから言い出したんだ
「考えてたんだけどさ、一個我が儘聞いてくれない?」
「内容によるかなぁ」
「難しくないよ、ただね私のこと名前で呼んで欲しいなって」
矢島さんははにかみながらそう言った
耳まで赤くなっていて、一生懸命言ったんだろうなって
それがめちゃくちゃ可愛くて、ウチは少し笑ってしまった
「そんなんで良いの?」
「それが良いなぁー、って思ったんだけど、ダメ?」
「良いよ…その、舞美にはかなりお世話になったからね」
- 623 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:48
-
ウチはフフンと笑って、矢島さんを見る
いきなりだったからかかなり戸惑っている矢島さんは
言葉になってない、何か意味の分からない事を言ってる
「わっ、わっ…わぁー!!」
「落ち着きなよ、舞美」
「また言った!!」
「名前呼んでって言ったの舞美じゃん」
ウチが舞美って言う度に意味なく叫ぶのが面白くて
私は舞美って意味なく呼び続けた
- 624 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:48
-
「舞美、まいみぃー、まーいみっ!!」
「もう、ホントやっぱダメだ、無し無しっ!!」
「えー、良いじゃんウチら友達だよ」
「…じゃあ、私梅田さんの事名前で呼ばなきゃ!!」
沈んだり、前向きになったり忙しそうな矢島さん
何かウチ面倒な事しちゃったかな?って思うんだけど
それはそれで楽しいなって思えるのは、矢島さんとだからな気がする
「梅田えりか、でしょ…えりか、えりかちゃん…」
「だいたいそんな感じで呼ばれるよ、ウチ」
「えー、何か特別が良いなー…」
- 625 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:49
-
天を仰ぎながら、人差し指を顎にあてて矢島さんはかなり真剣に考えている
ウチはその隣でブラブラと手持ち無沙汰で
それに気付かない矢島さんの横顔をずっと見つめる
「あー、もうっ!!どうしよう?」
「無理して変えなくても良いんじゃない?」
「嫌だ、変える絶対!!」
矢島さんは今までとは違って、少し子どもっぽくて頑固な一面を見せる
あぁ、こんな顔もするんだなって
あぁ、案外フツーなんだなって
- 626 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:50
-
ブツブツと呟きながら色々とウチの呼び方を考えている
ウチはさながら飼い始められた犬、はたまた猫か
どうもそんな気がしてならないんだけど
それが嫌じゃなくて、ちょっと気持ち良いなぁなんて思っていて
「そうだっ、えりは、えり」
「亀井さんみたいで嫌だ」
「うんうん、えりが良いよ、えりが」
舞美はすっごく嬉しそうに呼んで来る
その笑顔はいつもの凛として、綺麗で、大人っぽいのとは違って、
クシャッと崩れた、幼い笑顔で可愛くて仕方なかった
- 627 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:50
-
「えーりっ!!」
「嫌だって言ってるじゃん」
「えー、でも良いと思うんだけど」
「…まっ、良いよそれで。舞美がそれが良いって言うなら、それで良いよ」
フフフって笑いがこみ上げて来る
それはウチからでもあり、舞美からでもあって
それが重なり合って大きくなる
何だかそれが凄く気持ちよくって、
ウチは自然と舞美の手を握っていた
- 628 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/05/07(木) 21:51
-
美味しいケーキはどうですか?
第25話 終了
- 629 名前:gen 投稿日:2009/05/07(木) 21:52
- 更新
更新しました。
やじうめ編終わりです。
何となくこの二人の好きって形は凄く広くて深いものだと思います。
私はこの二人が好きです。
- 630 名前:gen 投稿日:2009/05/07(木) 21:53
- 米レス
>>618
そんな事を言ってもらえるととても嬉しいです。
これからも頑張って行こうと思うので、よろしくお願いします。
- 631 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/08(金) 02:37
- genさんのやじうめは爽やかで初々しくて可愛くて大好きです。
美味しいケーキはどうですか?が私が一番楽しみにしてるお話です。
次の更新も楽しみにしてます。
- 632 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 20:56
-
* * * * *
- 633 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 20:57
-
制服が少しキツくなって来たのは身長が伸びたりしたせいで
だけど、変わらないものの方が私は多い様な気がする
- 634 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 20:57
-
「もう、暑いねー」
「そうですねー」
亀井さんがフニャフニャ笑いながらキュッキュとグラスを拭いている
平日の昼間だからお客さんはまばらで
お店中に亀井さんオーラが充満している
そのせいで私もいつもに増して気合いが入らない
「矢島さんがね、パソコン買ったんだって」
「おー」
「バイト代貯めてたんだって」
「えらいですねー」
私と亀井さんは大体どうでも良い様な話をする事が多い
天気だったり、今日のケーキについてだったり
それから、田中さんの話にみやの話
- 635 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 20:58
-
「今まで携帯でメールだったから大変だったんだって」
「携帯の方が楽じゃないですかー?」
「ほら、両親と離れてくらしてるから長くなるんだって」
「あー」
コツンとテーブルにグラスが置かれる
透明なんだけどそこから覗く世界はボヤンとしていて
なんとなく面白くて、ジーッと見入ってしまう
「それに携帯にはえりかちゃんからのメールが増えてるらしいからねー
えりかちゃん専用にしたいみたいだよ」
「うわー、良いなぁ」
「梨沙子ちゃんはどう?」
「ぜーんぜん、みやってやっぱり鈍感だなーくらいですね」
- 636 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 20:59
-
そうなのだ
私の中で変わらないのは私がみやを好きって事
そして、みやが変わらずバカって事
いい加減にして欲しいなーって普通の人なら思うんだろうけど
私はなんかもう、そういう風には思わないし
結構、現状で満足してたりもしちゃうワケで
「つまんないなー、何かないの?」
「何にもないです」
「ホントに?」
「はい…ていうか、何か起こってたらこんなとこ居ませんよー、多分」
みやと私の関係が変わっていたら、どうなっているんだろう?
ふと、そんな事を考える
- 637 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 21:00
-
…上手く、想像出来ない
だって、今までもずっと一緒に居たから
一緒に遊びに行ったり、一緒にご飯食べたりなんてフツーの事で
そこに何か特別な事って加わるんだろうか?
なんて考えると、何も浮かんで来なくなる
「うわー、そんな事言っちゃうんだー」
「だって、一緒に遊びに行ったりするんじゃないかなーって」
「何、その不確かなニュアンスは」
「いやー、よく分からなくて」
亀井さんがつまらなそうに口を尖らせる
そんな顔されたって、私だって分からない
言葉をなくしてしまって、口を噤んでしまう
空調の音が少し耳障りになるくらい、静まり返ってしまう
- 638 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 21:00
-
「おつかれさまでーす」
「あっ、みや…」
沈黙を破ったのはみやで
何と言うか、まぁ…タイミングが悪いのか良いのか分からないけど
そう言う所もみやらしいとしか思えない
「えー、何か雰囲気暗くないですか?て言うか、梨沙子あんた学校は?」
「今日短縮授業だったのー」
「愛理は?」
「栞菜先輩のところ、遊びに行ったー」
みやは鞄をポンと私に放り投げて渡す
ずっしりと重くて、落としそういなるけど
落としたら怖いから必死にキャッチする
- 639 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 21:02
-
「あんたもそう言う浮いた話ないの?」
「えっ、無いよ…みやは?」
「ウチにある様に見える?」
「…分かんない、みやの事分かんないよ」
考えれば考えるだけ、みやの事は分からなくなる
ずっと近くに居たのに、分かってる事なんて少ないのかも知れない
そう思うと、急に涙が出て来そうになる
「梨沙子ちゃんどうしたの?具合悪い?顔色悪いよ」
「大丈夫です…」
「ホント?キツいなら奥で休んでて良いよ」
「うん、ウチバイト終わったらちゃんと送るし」
- 640 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 21:02
-
ただ、みやが優しいって事だけはずーっと変わらないで分かっている事で
そんな優しさのせいで、涙が一粒だけ零れ落ちた
- 641 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 21:03
-
亀井さんも気遣ってくれて、結局私はお店の奥の亀井さんの部屋で休んだ
お世辞でも綺麗とは言えない部屋なんだけど落ち着く事が出来て
私は目に涙を溜めたまま、眠ってしまった
- 642 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/06/06(土) 21:04
-
美味しいケーキはどうですか?
第26話 終了
- 643 名前:gen 投稿日:2009/06/06(土) 21:04
- 更新
短いですが更新しました。
この話の最終章です。
最後まで盛り上がらないで行きたいです。
- 644 名前:gen 投稿日:2009/06/06(土) 21:06
- 米レス
>>631さん
そう言う事を言って頂けると嬉しいです。
やじうめはやはり美しいので極力そのイメージに負けない様に頑張っています。
そろそろコレも終焉に近付いていますが、最後までよろしくお願いします。
それではまた会う日まで。
- 645 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/08/03(月) 11:20
- いやなことが続いてるけど、気分が落ち着いてからでもラストまで更新して欲しいと思います。
genさんの小説が大好きなのでよろしくお願いします。
- 646 名前:gen 投稿日:2009/09/26(土) 21:12
-
- 647 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:13
-
それはきっと年の差なんかじゃなくて
もう、誰にもどうしようもないモノなんだと思う
みやは私より先をいつも行っている
それに追いつきたくて、並びたくて私は一生懸命に走っている
それでも距離は全然縮まらない
それでも私は走り続けなくちゃいけなくて
頬を濡らす涙に気をとられてはいけない
- 648 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:13
-
それなのに、突然みやは振り向くんだ
私の方を見て優しく微笑む
それが見たくて追いかけていたわけじゃないのに
それは酷く私を幸せにするんだ
- 649 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:13
-
* * * * *
- 650 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:14
-
「梨沙子、起きた?」
「あっ…」
フワッとした匂いと暖かさに包まれる
あぁ、みやだ…って直ぐに認識する
「大丈夫?」
「うん、ちょっと疲れてただけ」
「そっか…そう言えばさ、土曜日休みになった」
「バイト?良かったね」
クルリと見渡すと少し散らかった部屋
亀井さんの部屋だって分かると、私はすぐに時計を確認する
20時って事は、かれこれ2時間以上寝てたみたいだ
- 651 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:15
-
「暇になったからさ、遊びに行かない?」
「良いの?」
「何が?」
「土曜日の休み久しぶりなのに私と遊んで」
「うん、久しぶりだから」
みやはフワリと私に笑いかける
この笑顔、最近よく見る気がする
愛理はみやが大人になったって言っていたけど
私はまだその実感もないし、やっぱりそれに慣れない
- 652 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:15
-
「どっか行きたいとこあたら言ってよ」
「みやの行きたいところ」
「あっそ…じゃあ考えとく」
みやはやっぱりあの笑顔で、何か釈然としない
それでもみやが笑っているなら良いんじゃないかな?と思う
現に、土曜日が楽しみで仕方ないし
どの服を着て行こうとか、お小遣い貰わないととか考えている
結局は、どんなに巡り巡っても私はみやでいっぱいいっぱいなんだ
「みやが行きたいところが、私の行きたいところだよ」
- 653 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:15
-
* * * * *
- 654 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:16
-
カチカチと時計の音が鳴り響く
私の部屋にちょっといつもと違う雰囲気が漂っている
「で、本当に良いの?」
「うん、だって何か気分的に遠くに行きたくはないし」
みやが平然とクッションを抱きかかえてオレンジジュースの入ったグラスを手にする
“出かけよう”なんて言い出したのはみやなのに
なぜか私は部屋を一歩も出ていないし、服だって部屋着のままだ
これって、全くお出かけじゃない気がする
- 655 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:16
-
「なんかする?今日何も無いよお菓子とかも」
「良いよ、今から考えたら」
みやは本当に時々意味が分からない
それがみやなんだけど、本当にビックリするほどにおかしい時がある
それでも、みやが私の部屋に居て、そこには当然の様に私が居る
これって結構嬉しい事だ
「て言うかさー、なんか久しぶりだから梨沙子と居るの」
「うん」
「それなら、梨沙子と2人で居られる場所が良いじゃんって思ったの」
- 656 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:17
-
みやはんーと伸びをしながら私のベッドに乗っている漫画をとる
それはみやが高校に入るまではよくあった光景
ちょっと懐かしいなんて思ってしまうけど、本当はこれが当然だったなじゃないかな?
そう思うと、今の状況って私の望んでいた状況なんじゃないかな?
そんな事がふつふつとわき上がって来る
「…みやってさ、本当にずるいよね」
「えっ、何が?」
「さぁねー、分からないなら良いよ」
「あっそ」
- 657 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:18
-
みやはやっと手に取れた漫画を読み始める
でもね、ほっぺ少し赤いよね?
照れてるの隠してるって気付かないとでも思ってるのかな
それにしてもみやは本当にずるい
みやは私の思ってること全部分かってるのかな?
そう言いたくなるくらい、嬉しいことをしてくれる
あぁ、こんなだからみやの事嫌いになれない
どんなにみやが変わっても好きなままでいられるんだ
- 658 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:18
-
* * * * *
- 659 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:18
-
「りさこー」
「んー」
「やっぱ、暇ー」
みやも私も寝転がってジーッと天井を眺めてるだけ
その体勢で既に2時間くらいが過ぎている
みやが来たのが10時だから、今は丁度お昼ご飯の時間だ
「そうだねー」
「て言うかお腹空いたー」
「私も空いたー」
「食べに行こうか、何か」
- 660 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:19
-
みやがむくっと起き上がったのを見て、私も起き上がる
顔を見合わせると何を考えているか分かってしまう
「ご飯も食べたいし、甘いものも食べたい」
「でも、遠くには行きたくないんでしょ?」
「うん、でもここ食べ物とか無いんでしょ?」
みやは笑いを堪えてる様に、目を細めて面白い事思いついた様な表情をしている
私だって、みやと大差のない様な表情をしているんだろう
- 661 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:20
-
「もうさ、ウチらこれってヤバくない?」
「ヤバいねー」
「でも、仕方ないよね」
「うん、仕方ない」
ついにみやから小さく笑い声が漏れて来る
さっきまで思ってた事はもう忘れた
みやが少し変わったみたいに私だって変わっている
- 662 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:20
-
「「Vientoに行こうか!!」」
- 663 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:20
-
* * * * *
- 664 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:21
-
ずっと昔から、変わらない気持ち、少しずつ変わる私たち
たった今、新しく生まれる気持ち、やっと繋がる私たち
まだ知らない事が沢山あって、大事に守りたい事も沢山あって
それを運ぶ風がどこからか吹いてくる
今日もその風に導かれてやって来る人たち
逆風に疲れたら少し休憩しませんか?
- 665 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:22
-
『美味しいケーキはどうですか?』
そんなうたい文句のお店には、おっちょこちょいだけど可愛い店員と
お客さんの愉快な声がいつも響いているでしょう
そこできっと見つかるでしょう
あなたの大切なものとお気に入りのケーキが…
- 666 名前:美味しいケーキはどうですか? 投稿日:2009/09/26(土) 21:22
-
美味しいケーキはどうですか?
fin
- 667 名前:gen 投稿日:2009/09/26(土) 21:24
- 更新
更新しました。
突然ですが、この話はここで一旦おしまいです。
この先、どうなるかは分かりませんが、この話のサイドストーリーもあると思います。
しかし、いまはまだ。
この話を読んでくれた人たちには感謝しています。
今度からは他の話が始まります。それまでは小話だったり、いろいろあると思うんで。
そこからまたよろしくお願いします。
それでは。
- 668 名前:gen 投稿日:2009/09/26(土) 21:26
- 米レス
>>645さん
色々ありましたねー。
ちょっと疲れましたが私は彼女たちが大好きなのに変わりは無いです。
これからは他の話になりますが、そちらもよろしくお願いします。
では、また会う日まで。
- 669 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/29(木) 02:12
- すごく好きなお話でした。寂しいです・・・
また会えますように。
- 670 名前:gen 投稿日:2009/12/16(水) 22:05
-
- 671 名前:gen 投稿日:2009/12/16(水) 22:05
-
- 672 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:06
-
夜の街で育った少女は夜へ帰った
走る事が好きな少年は走り去った
夢見がちな少女はまだ夢から覚めない
いつも笑顔を称える少年は今日も笑顔
結局みんな変わらない様で、変わっていく
そして、僕らは一人になった
- 673 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:06
-
A Day In The Life
- 674 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:06
-
昼休み明けのグラマーの先生は、あの世に片足突っ込み始めてるおじいちゃん先生
だからかどうかは知らないけれど、電子辞書の使用を禁止していて
そんな便利な文明の利器があるって言うのに
分厚くて捲りにくい辞書を使わなければならない
「えりかに貸したんだった…」
嫌いでも存在感のあるものが無いって言うのは案外寂しい事で、
ロッカーを開けて辞書が無くて、僕は一瞬戸惑った
が、直ぐに隣のクラスのえりかに貸した事を思い出す
彼女に貸したならば、催促しなければ返って来ない
取りに行こうか、そう思いながらロッカーの扉を閉めると
背後から大きな声で名前を呼ばれた
- 675 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:07
-
「シミサキー」
「んー?」
「ちょっと顔貸してー」
茶色い髪がサラサラなびいて、手入れの行き届いている事を主張している
制服だって校則と言う言葉が何か考え直さなければいけないほどで
所謂、イマドキの女子高生で僕の幼馴染である彼女、梅田えりかの隣に
人が居る事は学校ではほとんどない
そんな彼女の呼び出しに従って僕は教室を出て
廊下で所在無さげに立つ彼女の前まで行く
彼女は僕より背が高い、見上げるのが楽な位置で立ち止まる
「別に良いけど、こう言う場合はちょっと来てで大丈夫だと思う」
「えっ、そう?まぁ良いや…はい、辞書ありがと」
「どうも…」
- 676 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:07
-
えりかから返しに来るなんて、珍しい事もあるもんだと思いながら辞書を受け取る
片手で持てるが、ずっしりとしたそれは重くて
やはり近くにあると嫌悪感しか抱けない
「あのさ、シミサキ」
「他に何か貸したっけ?」
「いや、ちがくて…ウチ、さっき退学届出した」
「あぁ、そう」
脈絡の無いは英語で何て言うんだろう?
手元に辞書はあるけれど、調べる気にはならなかった
「まぁ、それだけ…シミサキ驚かせようと思ったけど、驚かないね」
「驚いたけど、驚いてない」
「何それ?」
「有り得そうだったから…今更かって驚いてるけど」
- 677 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:08
-
前からえりかは学校にあまり来る事が無かった
小学校、中学校、高校と年を取るにつれて
それはどんどん酷くなっていった
彼女の性格の問題と、学校と言う体制の問題
なんて言うありふれた理由から始まった登校拒否と言う戦争は
遂に、彼女の退学と言う決断で終止符が打たれる様だ
「ウチもよく今日まで続いたと思ってる」
「うん、受験した時から思ってた」
「アハハー」
「まっ、放課後詳しく聞く」
「うん、分かったー。て言うか、ウチもう帰るから終わったら連絡してー」
カラカラと明るい声で笑う彼女は昨日よりも可愛く見えた
- 678 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:08
-
* * * * *
- 679 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:09
-
僕とえりかの出会いは小学校5年まで遡る
彼女が転校生の僕に向かって“チビ”と言った
ソレに対して“君、アラブの人?”と尋ねた時から、僕たちは仲良くなった
思えばあの時からえりかは一人だった
彼女が一人なのは、決して彼女のせいじゃなかった
全部彼女の出自のせいだった
一つの街でも僕の住む側と、えりかの住む側は全く違う
そんな事誰かに言われるまで気付かなかったし
それを理解出来るほど賢くも、狡くもなかった
要するにえりかの住む側は歓楽街で
子どもは当然、大人だってあまり立ち入らない場所
そこで育ったえりかは生まれた時から評価が決まっていた
加えて、えりかには両親が居ない
えりかには最悪の評価の中では最上級の最悪が与えられた
- 680 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:09
-
『育ちが悪い』とか、『遊んでいる』とか周りの皆が言っていたけど、
えりかと接していてそんな風に思う事なんて一度も無かった
結局は皆、彼女の何も知らないから勝手にそんな事が言えるんだ
事実無根過ぎるそれを彼女が気にしないから
僕も全く気にする事なく過ごしてきた
ちなみに、僕の親はビックリするほど暢気なので
僕が彼女と交遊を持つ事に関して
「あら、綺麗な友達が出来たのね」と、しか言わなかった
この時は無神論者の僕が初めて神に感謝した時だった
この親の子どもに生まれて良かった、と
つまり、僕はえりかの事が好きなのだ
恋愛なのか、友情なのかと問われたらハッキリと断言出来ないけれど
多分、家族に抱くのと似た“好き”と言う感情を持っているんだと思う
それくらい、えりかは近くに居た
- 681 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:10
-
* * * * *
- 682 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:10
-
「えりか」
「おぉー、遅い、遅い」
公園のブランコに明らかに似合わない人を見つけて
少しだけ歩くスピードを上げた
制服を脱いだえりか程綺麗な人を見た事が無い
そう言い切れるほど彼女はおしゃれで、スタイルも良くて、艶やかだ
「で、いきなり何でさ?」
「この前さー、久しぶりに学校行ったの…」
- 683 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:11
-
えりかが話すにはこういう事だった
高3の2学期が始まった時点でえりかは出席日数が足りていなかった
学校としては留年してでも卒業をさせたいと言っていたが
えりかは「それなら、辞めます」と言ったらしい
普通の教師と生徒の関係ならここで慰留されるとえりかは思ったらしい
しかし、教師から出たのはため息だけで
えりかが抱いていた、淡い希望を簡単に打ち砕いた
そこで出た結論が“この学校もそんなもんか”って事で
それなら受けて立とうって気持ちで退学を決めたらしい
- 684 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:11
-
「裕子さんはOK出してんの?」
「えー、何が?」
「退学の事。」
「うん、だって辞めてママのとこで働くし」
地面を思い切り蹴り上げて、えりかはピョンと飛び降りた
運動神経皆無のえりかはよろけて、ブランコが当たりそうになる
相変わらず、見ていて飽きない
容姿の面でもそうだけど、行動が面白くて
一緒に居るだけで明るい気持ちに慣れる
「そうなんだ、じゃあ安心だね」
「うん…なんて言うか、結局あそこから出て行けないワケですよ」
「そっか…」
「自由の国ってどこにあるのさー!!」
- 685 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:11
-
手を広げて、グルグル回って笑いながら叫ぶ姿に
僕はさっきみたいに、えりかみたいに笑えない
だって、それは僕にはどうする事も出来なくて
そして、えりか自身にもどうする事も出来ないから
「とりあえずは今までの学費分返すまでは働いて」
「うん」
「その後も多分…て言うか、他に出来る事なんて無いし」
笑ったままなのに、悲しいんだって伝わってくるのは
勘違いだって自分に言い聞かせる
無力の僕に出来る事は、思い込む事だけ
今、えりかに対して感じているのは紛れも無い同情だ
「まっ、学校嫌いだし、勉強も嫌いだから、清々してるよ」
「なら、安心だ」
「でもねー、シミサキと一緒に居られなくなるのは嫌かな」
「また、冗談を…」
- 686 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:12
-
はははっと笑い合うと少しだけいつもの雰囲気に戻る
ごめん、さっきまで最悪な事思ってた
心の中で謝って、何も無かったかの様に笑う
何だか、えりかを勝手に評価していた奴らの様になってしまった気分だ
最悪だ…
「ただねー、一個心残りあるんだよね」
「んー?」
「まっ、それは乙女の秘密ってヤツですよ」
「そうですか…」
「あっ、ウチ今からバイトなんで」
「うん、いってらっしゃい」
ヒラヒラと覚束ない彼女の足取りは
まるで舞っているかの様で見入ってしまう
- 687 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:12
-
えりかと別れて、感じたのは喪失感で
これから僕は初めてえりかが隣に居ない生活を送らなければならない
- 688 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:12
-
- 689 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/16(水) 22:13
-
- 690 名前:gen 投稿日:2009/12/16(水) 22:14
- 更新
>>672-689
A Day In The Life 1
更新しました。
今回から新しいヤツです。
- 691 名前:gen 投稿日:2009/12/16(水) 22:15
- 米レス
>>669さん。
読んで頂きましてありがとうございます。
私にしては結構長く書いたので少し愛着があった作品でした。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
では。
- 692 名前:みら 投稿日:2009/12/18(金) 16:48
- アラブww吹いたww
楽しみにしてますー
- 693 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/19(土) 15:28
- やっぱ気になるところは乙女の秘密!
- 694 名前:gen 投稿日:2009/12/29(火) 00:04
- 米レス
>>692 みらさん
アラブやら中東は梅さんの特許だとじいちゃんが言ってました。
>>693さん。
まぁ、かなりありきたりな秘密だと思います。
それでは更新はじめ
- 695 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:04
-
A Day In The Life
〜2〜
- 696 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:05
-
えりかが学校を辞めて2週間くらい経った
彼女の居ない学校はいつもと変わりない
授業は味気のないものばかりだし、周りの皆も何にも気付いていないみたいだ
そのせいか、少し浮かない気分に拍車がかかる
「清水くん、あの…」
「はい、何ですか?」
「矢島くんが呼んる…」
クラスの女子の声に顔を向け、扉から覗く姿を見ると
さっきまでの浮かない気分が少し変わる
舞美はそういう不思議な力を持っていると思う
綺麗な顔をくしゃっとして笑うのを見ると
こっちも笑ってしまいたくなる
- 697 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:05
-
「久しぶり」
「おう…」
僕と舞美は妙に気があった
妙に優し過ぎる舞美と妙に冷た過ぎる僕
背反している様で根底で繋がっていた
- 698 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:06
-
* * * * *
- 699 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:06
-
出会いは高校1年の3学期、所謂バレンタインの時だった
放課後、ゴミ箱に向かっている舞美を見た時
その姿に何故か興味を持った
いつもの張り付いた様な笑顔とは違って、少し暗い表情
ゴミ箱に捨てているものははっきりと見えなかったけれど
それが何かは直ぐに分かった
チョコレート
多分、彼が貰ったものなんだろう
入学当時から騒がれていた彼なら
文字通り腐るほど貰うのは容易に想像出来た
しかし、それを何で捨てているのか理解が出来なかった
- 700 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:06
-
「何してるの?」
「わっ、えっ…」
「ごめん、突然声かけて」
舞美は手に持っていた箱をコトリと床へ落とした
そんなに動揺する必要ないのになって思いながら僕はそれを拾った
渡そうとしたけど、ポイとゴミ箱に向かって放り投げた
「あっ、ありがと…」
「ドウイタシマシテ」
「理由、聞かないの?」
あぁ、そう言えばそれもそうだ、と思う
僕は人は人だとも思うから、詮索しようとは思っていなかった
ただ、何をしているか分かれば良かった
- 701 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:07
-
「聞いた方が良いの?」
「良い様な、悪い様な…でも、君とは話してみたいって思った」
「僕と?」
「うん、二中のバスケ部のキャプテンさんでしょ、清水くんって?」
有名人に知られていると言うのは、体がムズムズすると言うのをこの時始めて知った
照れてしまいそうで、平常を保つのが難しくて
俯いた僕を見て、頷いたのだと勘違いした舞美は
嬉しそうにはにかんで笑った
「俺ね、チョコレート嫌いなの」
「はぁ」
「そんな事も知らないで好きって言われたら、疑っちゃうよね」
- 702 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:08
-
ハハハって笑いながらそう言っていたけど
ホントのじぶんを見て欲しいって言う舞美の本音だった
それならば断れば良いじゃないかと言いたかったけど、言わなかった
僕は前から本音は隠すタイプだった
そう考えると、舞美が断らないのを責める事は出来なかった
「でもさ、俺にくれてるわけだし」
「うん」
「悲しませるのは何か嫌でさ…捨てちゃえば大丈夫かな?って」
確かに言いたい事は理解出来た
単純な思考回路みたいだけれど、彼なりに考えた事なんだろう
- 703 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:08
-
「それなら、僕は学校じゃなくて家で捨てる方が良いと思うけど」
「家で捨てると家族が五月蝿いから」
「そっか、納得した」
まだ彼の何も知らない状態なのに、分かった気分になった
似ていない様で、どこか似ている
だから、僕は舞美と仲良くなれたんだろう
- 704 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:08
-
* * * * *
- 705 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:09
-
そんな矢島舞美はこの学校で一番の有名人かも知れない
所属していた陸上部では学校初の全国大会まで行った
おまけに顔が良いもんだから、女子たちは当然黄色い歓声を上げる
そんなヤツは大抵、同性には嫌われるもんなのに
明るくて、少し天然が入っているから、それも回避している
ただ、今は舞美が妙に難しい顔をして目の前に居る
さっきまでの笑顔はどこにいったのかなんて、本人しか分からないだろう
「何?」
「えりの事なんだけど」
意外と言えば意外なんだけど、その事かと思ってしまう
- 706 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:09
-
舞美は数少ない、えりかと話した事のあるやつだ
しかも、僕の目にはかなり好意的に映っていた
と言うか、舞美は確実にえりかの事を好きだと見て取れた
えりかもまんざらでもない様で、二人が一緒に居るのを見ると
僕は自然と嬉しくなっていた
ただ、舞美が仲良くしているのはえりかの事をよく知らないからで
知らない事を知った時に舞美がどうするか、分からない
舞美の事だからそんな事は絶対無いだろうけど
- 707 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:10
-
「もしかしてさ、学校辞めた?」
「もしかしなくても、それしかないでしょ」
「やっぱり佐紀は知ってたんだ」
あまり学校に来なかったえりかでも週に一度は顔を見せていた
それがぱったりと無くなれば、気付く人は気付くだろう
えりかに関わらない様にしてきた人たちばかりだから
気付いたのは今のところ舞美だけみたいだけど
それも当たり前の結果だろうと冷静に受け止めている自分が居る
「俺には言ってくれなかった」
「僕以外に言ってないと思うよ、舞美に言ってないなら」
「…佐紀、お前もしかして」
「無い、えりかは友達だから」
- 708 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:10
-
僕の言葉にホッとしたのか、やっと笑顔が見られる
舞美のえりかに対する好意って言うのは完璧にラブだ
そう、確信するとちょっと面白くなってくる
個人の自由だから、僕は何も言っていないけど
本気ならば応援したいと思っている
「もうさ、会えないのかな?」
「さぁ…」
「佐紀、えりの家知ってる?」
「うん」
「じゃあ、帰り教えてよ」
舞美は走るのが速い
だけど、真っ直ぐしか走れないから
思いついたら、直ぐに口に出してしまうみたいだ
しかも、それが無駄に全力だから
巻き込まれると、ちょっと困ってしまう
- 709 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:10
-
「今日、何かある?」
「あると言えば、あるけど…」
予備校は18時30分からだし、時間は大丈夫
だけど、何となく気が進まないと言うか、何と言うか…
「お願い!!」
手を合わせて、頭を下げる
ほとんどの人が舞美のこんな姿を見た事なかっただろう
ちょっとだけ優越感を感じてしまった
僕は何を間違えたのか、軽く「良いよ」と返事をしてしまった
例えあとで困る事になったとしても
舞美のあの笑顔を見てしまったら、
そんな事吹き飛んでしまうな、と思った
- 710 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:11
-
- 711 名前:A Day In The Life 投稿日:2009/12/29(火) 00:11
-
- 712 名前:gen 投稿日:2009/12/29(火) 00:11
- 更新
更新しました。
続きます。
- 713 名前:gen 投稿日:2009/12/29(火) 00:13
- >>695-709
A Day In The Life 〜2〜
- 714 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/12/30(水) 11:33
- 更新お疲れ様です。
これから3人がどうなるか楽しみです!
それでは良いお年を!
- 715 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/01/02(土) 12:38
- 更新ありがとうございます。
あとは、もう一人を待つばかりです。少しずつ進んでいくのを楽しみにしてます!
- 716 名前:gen 投稿日:2010/01/16(土) 22:49
- 米レス
>>714さん。
どうなんるんですかね。どうしましょうかね?
>>715さん。
少しずつ時々大暴走させつつ進めて行きます。
あけましておめでとうございます。
- 717 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:50
-
- 718 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:50
-
- 719 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:50
-
A Day In The Life
〜3〜
- 720 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:51
-
「佐紀、待った?」
「いや、ちょうど良いくらいの時間」
「そっか、じゃあ行こう」
舞美は鞄を担いで白い歯を見せる様に笑う
何がそんなに嬉しいんだろう?と思うけれど
彼の事はいつだって分からなかったから
今回も分からなくていいものだと言い聞かせた
「舞美…」
「んー?」
「いや、あとで聞く」
「んー、何だろ?」
ヘラヘラっと笑っているのに様になる
いつも皆に見せる張り付いた笑顔よりも格好良い
そんな彼に気付いているのはこの学校では僕くらいなのかな?
そう思うと妙な優越感が出てくるけど
変な気を起こしてしまったわけではない
- 721 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:51
-
「えりの家ってどこなの?」
「まだ先、もうちょっと先」
「そっかー」
えりかの家には2、3度行った事がある
家と言って良いのか分からないけど
確かにえりかはそこで暮らしているらしくて
所々にえりかの所有物が転がっていたりした
でも、それだってもう何年も前のことで場所は変わっていないみたいだけど
中がどうなったかは全く知らないし、見当もつかない
それに正直、僕の中には彼を連れて行って良いのか分からなかった
会いたいと思っているのは、えりかの事を知らないからで
知ってしまったら拒絶する可能性がある
舞美に限ってそんなことないと思いたいけれど
僕自身も、彼の事も傷付けたくないから
そういう嫌な可能性も考えてしまう
- 722 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:52
-
「舞美」
「もー、なんだよさっきから」
「えりかの事好き?」
「…なんだよ、いきなり」
ふざけていないと言う意志を声色に乗せて
舞美に負けないくらい真っ直ぐな視線で彼を見ながら言う
真剣だって感じ取ったのか、舞美はきりっとする
だけど、頬は赤みがかっていて、
答えを聞かなくても、分かってしまう
「何があっても、そう言える?」
「どういう意味?」
「さぁ…て言うか、ここ」
「えっ?」
- 723 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:53
-
細い路地に入る手前、僕たちは足を止める
ピッと腕を伸ばし、奥の方を指差す
舞美は僕の指先を追う
「ここって…」
「知ってた?なら分かるよね?」
流石の舞美もそこからの世界がどういう所か分かっているみたいで
少し表情が強張っている
「えりかの事好き?」
「…そう言う事かぁ…」
「答えは、変わった?」
「いや、変わらないよ。」
- 724 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:54
-
舞美の声が妙に響いたのは気のせいなんだろうか?
それはすごく清々しくて、上に移した視線の先の青空に似ていた
僕の役目はここまでだと、誰かが言う
「ここの一番奥。『赤い日記帳』って店があるの。そこがえりかの家だから。」
「うん。」
「僕、塾があるからここで。」
「うん。勉強頑張って」
舞美は路地の方へ向かおうと体の向きを変えた
背中が大きく感じるのは、身長差のせいでも、遠近法とかでもなくて
彼の心の大きさがそうさせているんだと、直感的に思った
えりか、もう僕は君に必要なくなるよ
- 725 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:54
-
「舞美」
「んー?」
「走れ。真っ直ぐ。最後まで!!ボケッとしてるとナンパされるぞ!!」
「分かったー!!」
えりかがどう思うか分からないけど
舞美って君の王子様なんじゃないのかなって思うよ
二人の事考えたら、理由はないけど温かくて幸せな感じになるよ
だから、ちょっとだけ舞美の事応援してる
僕が必要なくなるのは悲しいけど
結局、いつかは一人になるんだから
舞美の背中が見えなくなる
あのままのペースで走っていけるなら良いんだけど
ナンパって軽い言い方をしたけど
キャッチだったり買いだったりするから気をつけてね
と、心の中で思いながら、僕は自分の歩を進めた
- 726 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:55
-
- 727 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/16(土) 22:55
-
- 728 名前:gen 投稿日:2010/01/16(土) 22:57
- 更新
>>719-727
A Day In The Life 〜3〜
更新しました。今回は短くて、ごめんなさい。
- 729 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:38
-
- 730 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:38
-
- 731 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:39
-
A Day In The Life
〜4〜
- 732 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:39
-
おとぎ話に出てくる王子様は爽やかで格好良くて
お城から一歩出てみたら、周りに沢山の人が集まってくる
王子様はそんな皆に笑顔を振りまいて
それは更に彼の好感度を上げている
それでも王子様はそんな姿を遠くから見ている人になんて気付かない
例え、道端に咲いている花に気が付いても
路地裏の見窄らしい格好の少女になんて気付きやしない
- 733 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:39
-
* * * * *
- 734 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:40
-
矢島くんとは今まで通りだったら絶対に知り合いにすらならなかった
どう考えても彼はおとぎ話に出てくる王子様みたいな人のはずで
言っちゃ悪いけど、偽善者みたいだなって思っていた
でも、それは間違っていて
矢島くんはウチの想像を遥かに超えたホントの王子様で
ウチなんかにも笑顔を作ってくれた
シミサキとは違った感じでウチは矢島くんと仲良くなってた
それも知らないうちに、矢島くんが居るのが当たり前みたいで
初めての感覚って言うか、なんだか説明出来ない喜びがあった
あっ、これって恋なんだって分かっていた気がするけど
気付かない様に、気付かない様にって
そんな事は無理なのに諦めようって無駄に頑張ってみようとしていた
- 735 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:40
-
「……」
「へへへ、来ちゃった…とか言って」
「…」
「佐紀に聞いてさ、走ってきた」
それなのにこの王子様は何もかもおとぎ話みたいにはいかないみたいで
今は何故かウチの部屋で体操座りをして、
玄関に突っ立ったままのウチを見ている
笑い上戸のウチだから、普段だったら大爆笑しちゃう状況なんだけど
全く笑えなくって、寧ろ、絶対した事のないくらいの仏頂面をしてるはずだ
「学校辞めたって聞いたら、会いたくなって」
「あっ、うん…」
- 736 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:40
-
今日初めて矢島くんへ発した言葉が“うん”だなんて
色気ないし、味気なくて
これが恋してる乙女の言う事か!!とか思ってしまう
いや、でも、憧れの人が何故か自分の部屋にいるんだから
こんな感じになっても仕方ないんじゃなくて?
夢みたいな夢で、舞い上がってる
体がフワフワフワ〜って飛んでっちゃいそうで
テンションまで上がっちゃてる
そちらはどちら?こちらは矢島くんよ、えりか!!
テンション上がるわねー!!
- 737 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:41
-
「えっと、久しぶり」
「……帰って」
でも、ずっと舞い上がってなんていられない
だって、矢島くんは王子様で
ウチは特になんでもない端役の村人Cぐらい
いや、もしかしたらもっと目立たない役か
最悪の場合、成敗されてしまう悪役の子分かもしれない
そんなウチのところに矢島くんが来たからって、勘違いしてられない
どんなことがあってもウチはウチで
あがいたって抜け出せない沼に嵌ってしまってるんだ
「えっ?」
「帰って、邪魔。今からウチ着替えるし」
- 738 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:41
-
だから、したくなくてもしなきゃいけない事が沢山あって
それの為にウチは何か違うものを演じなくちゃいけない
いまは、ウチのためじゃなくて
矢島くんの事を思って、嫌な人にならなきゃいけない
「ごめん…でも、少しだけだから今言う」
「…」
「えりに会えなくて気付いた事があって、好きだなって。」
なんとなくどう言われるか気付いていた
自惚れとかじゃなくて、本当に何となく
こんな所まで来て、嫌味を言う人なんて今まで居なかったし
その前にこんな所にまで来てくれる人が居なかった
あっ、シミサキは来てくれたか…
- 739 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:42
-
「あっそ、それで?」
「それで?えっ、それで…それで、う〜ん?」
目の前の王子様はどうもマイペースみたいだ
ウチの事なんて居ないみたいに
自分の考えをまとめようとしていて
視線が行ったり来たりで、う〜んとうなっている
そんな姿が可愛くて、ちょっと笑いそうになってしまうけど
必死で堪えて、クールで嫌なえりかを演じる
あら、ちょっと大人な感じ?
あぁ、どうも面白可笑しい方向に進んじゃうみたいだわ
- 740 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:42
-
「好きって伝えにきただけ、うん。そう、伝えに来ただけ。」
「…」
「伝えに来ただけってのも、何か違う気がするか」
「終わったなら、帰ってくれない?」
どうしてそんなにウチの心を乱すんだろう
小さな時から、誰の隣にも普通に居る事が出来なかった
なんとなく、そういうモノなんだって受け入れて
抗う事すらしない、めんどくさがりなウチは
期待なんてしない様にしてきた
それなのに、今目の前の矢島くんに期待しちゃってる
- 741 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:43
-
「帰るよ、えりの気持ち聞いたら」
「…」
立ち上がってウチを見る瞳は何よりも強くて
怯んでしまって、負けそうになる
そんな瞳も好きで、ウチ弱いからクラって傾きそうになる
だから、目を逸らして部屋に上がる
矢島くんなんてこの部屋に居るはずもなくて
頭で勝手に作り上げた幻想なんだって思い込んで
何もなかったかの様に着替え始める
- 742 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:43
-
「わっ、ちょっ、えり待ってよ!俺、まだ居るし…その」
「何?あのね、ウチこれからこういう事好きでもない人の前でもするの」
コートを脱いで、着替え始める
精一杯の出来る限りの冷たさを持って、気丈に振る舞う
少しでもウチが汚いものだって思われなきゃ
矢島くんまで汚れてしまう気がして
好きって気持ちよりもその思いが強くて
涙が出そうなのがどうしてか分からなくなる
矢島くんには皆みたいに思われたくなかったけど
本当はウチって全然そんなんじゃないけど
卑しくて、汚いってどんな手段でも思わせなきゃいけない
- 743 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:44
-
「やだよ、そんなの」
「じゃあ、矢島くんがお金くれる?ウチそうやって生活してくんだけど?」
「無理」
「でしょ?だったら、出て行ってよ…」
「違う、俺今日財布忘れたから、お金は無理」
あっ、ダメだ…
真剣な声でそんな事言われると笑っちゃう
この王子様は本当に予想外の事しかしない
いきなり家まで来るし、好きだなんて言ってくるし、
財布忘れてなかったらお金払ってたの?
色々突っ込みたい事があるんだけど
気まぐれな王子様には通用しないだろうし
そんな事言えないくらいに笑っていて、同じくらい泣いていた
- 744 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:44
-
「えり?」
「優しくしないでよ…」
「無理、我が儘だから。欲しいものは欲しい。だから、優しくなっちゃう。」
ギュッと抱きしめられている感覚
泣き顔見られたくないし、恥ずかしいし、
何よりもかなり力強く抱きしめられて顔を上げれない
「えりの事、俺の人生に巻き込むって決めたから」
「何でウチなの?」
「好きだから。よく分からないけど、真っ直ぐにしか走れないから。」
初めてだった
泣きたくなるくらい好きな人が隣に居てくれる
誰かの温もりを感じていられる
息が出来なくなっても、幸せで笑っていられるなんて
- 745 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:45
-
もしかしたら、ウチは矢島くんにとって
気まぐれで我が儘な王子様にとって
凛と咲き誇った一輪の花だったのかも知れない
そう思うと、また涙がこぼれた
- 746 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:45
-
- 747 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/01/23(土) 23:45
-
- 748 名前:gen 投稿日:2010/01/23(土) 23:46
- 更新
A Day In The Life 〜4〜
>>731-747
更新しました。
- 749 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/01/24(日) 04:06
- お待ちしておりました。
- 750 名前:gen 投稿日:2010/03/03(水) 21:58
- 米レス
>>749さん。
ゆっくりですがちゃんと更新していくのでよろしくお願いします。
だいぶ開きましたが、更新します。
- 751 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 21:58
-
- 752 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 21:58
-
- 753 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 21:59
-
A Day In The Life
〜5〜
- 754 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 21:59
-
ドンと酷く鈍い音が耳を突く
僕はそれに少し驚いて、肩をビクつかせる
本当に乱暴な人だと思って、目の前の教師の顔を見る
そう言えば、コイツえりかに退学勧告したヤツじゃないっけ?
教育者としてどうだかって思われるよ、これじゃ
なんて思っているけど、面倒を起こすのは僕の性格上有り得ないし
今は丸く収めた方が自分のためだって言うのも簡単に分かる
「お前が嫌がる矢島を無理矢理連れて行ったんだろ?」
「違います」
「正直に言えば許すから、言ってみろ」
「彼に連れて行けと言われました」
- 755 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:00
-
この教師は舞美がえりかの家まで行った事を怒っているみたいだ
理由が分からなくもない
舞美は陸上で大学の推薦をもらっているから
悪い噂が立つ事を恐れている
本人よりも学校側が気にしてるって言うのが面白い
「嘘だろ?」
「いえ、本当です。彼、矢島くんに確認したらどうですか?」
「えっ?」
「確認せず、僕だけを責めているんですか?」
どうも、これは裏がありそうだ
教師の表情が見て取れるくらいに変わっていく
面白いけれど、極力それが顔に出ない様に努める
しかし、舞美は言いつけるわけがないし
あの時間に教師が見回りなんてしていないだろうし
どうも僕は変なストーカーが居るんだろうか?
- 756 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:00
-
「センセーっ!!なんで佐紀が怒られてるんですかー!!」
ビックリするほど良過ぎるタイミングで舞美が飛び込んでくる
どうせ、クラスの子に僕の居場所を聞いて飛んできたんだろう
思考回路まで驚くほど真っ直ぐだから
本当に飛び込んできただけだろうけど
「佐紀は何で怒られてるんですかー!!」
「舞美、声大きい」
「あっ…で、どうかしたの?」
「冤罪。先生、もう帰って良いですよね?」
「まっ、待て…矢島、お前清水に無理矢理…」
「何がですか?俺、佐紀にはお世話になりっぱなしですよ」
舞美がキョトンとした顔で教師を見てるもんだから
頑張って堪えていた笑いが少し溢れてしまった
天然には誰も敵わないなーと思うと
僕は席を立って職員室をあとにした
- 757 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:01
-
「佐紀、何があったのさ?」
「いや、特に。それよりも上機嫌デスね」
「うん、佐紀に話したい事があって…でも、5限始まるからなぁー」
「疲れたし、サボりますか」
サボると言う単語に目を輝かせて頷く舞美は
彼の犬で飼っているどの犬よりも忠犬なんじゃなかろうか?と思ってしまう
「俺、飲み物買っていくから、屋上に行ってて」
「うん、分かった」
- 758 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:01
-
* * * * *
- 759 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:01
-
ガチャリと少し錆びたドアが軋みながら開くと
冬の風が全身にビシビシとぶつかって冷たい
それでも広がる世界がクリアで綺麗で
屋上は学校でも学校じゃない場所の様に思える
「あー、佐紀ちゃーん」
だけど、この声が聞こえた瞬間
僕は直ぐさまドアを閉めてしまった
聞き間違えるわけがない
あの特徴的な声で、甘ったるく“ちゃん”付けで呼ぶヤツなんて
学校中を探してもアイツくらいしか思いつかない
- 760 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:02
-
「なんで閉めるのー!!」
「いや、体が勝手に…」
「ひどーい!!」
「ツグ氏、声大きい」
「桃って呼んでって言ってるじゃーん」
何でこの瞬間、この場所に彼女が居るのか?
そう考えたらどうも裏がある気がする
ツグ氏こと嗣永さんは学校でも一際浮いた存在だ
誰に嫌がられようとキャラを突き通すと言うか
単に空気が読めていないのか分からないけれど
皆とは良い意味でも悪い意味でも変わった存在だ
ぷりぷりとした動きに喋り方
何かを持つと立つ小指
他にも色々あるけれど、思いつく限りの事
全てにイラっときてしまったりもする
- 761 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:02
-
そんな彼女と知り合いだと思うと
僕にはもしかしたらまともな知り合いは居ないのかも知れない
あんな爽やかな舞美だって、天然な部分が爆発すると
どうも抑え切れない部分があるし
えりかだってあんなに綺麗なのにボケ担当と言う素晴らしい才能があるし
「何で居るの?」
「授業サボろうと思って…」
「この前授業料が勿体ないからサボらないって言ってた…」
「言ったっけ?」
あからさまに嘘を吐いてますみたいな雰囲気で
イラっとくると言うよりも、溜息が漏れてくるだけ
これ以上何かを追求する気も起きなくて
彼女の横を通り過ぎてベンチに腰を降ろす
- 762 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:03
-
「佐紀ーカフェオレで良いよね?」
「あー、ありがと」
「って、桃もう来てたんだー」
「舞美、シーッ!!」
走ってやってきたのか息が少し上がっている舞美に
ツグ氏は人差し指を立てて、ダメと言う合図
何となく謀られていたのは分かってたから、怒りはしないけど
やっぱり呆れてしまう
舞美とツグ氏は同じクラスで仲が良い
何人かは二人が付き合ってるんじゃないかって思ってるみたいで
僕はそれが面白いから何も言わないでいる
「佐紀、怒ってる?」
「いや、気にしてない」
「そっかー、良かった」
「それより、ツグ氏なんで居るの?」
「えー、佐紀ちゃんに会いたかったから」
- 763 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:03
-
作り笑顔だって分かる様な表情で首を傾げて可愛さアピール
そんなんで僕を騙せるって思ってるなら甘いなーって思う
すり寄ってくる様に隣に腰を降ろした彼女にデコピンをする
「痛いっ」と顰めた顔の方が可愛くて、笑ってしまう
「でも、ホントだよ?ねぇ、舞美」
「うん。メールさっき送ったのにもう居るんだよ。驚いた」
こんな変人たちを相手にしていたら僕まで変人になってしまうんじゃないかな?
でも、今はそんな心配よりもこの人たちにツッコミを入れるのが一番で
無駄な心配だな、と一人完結してしまいそうだ
「ツグ氏授業サボって良かったの?」
「うん、だって佐紀ちゃんに会う方が重要だもん」
「あっそ、もう良いや。それで舞美話って何?」
「あっ、あのねー」
ひどーいなんて僕の腕を叩くツグ氏を無視して
さっき舞美が言っていた事を思い出す
話って何だろう?舞美が僕に話す事って
あの事しかない様な気がするけど…
- 764 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:04
-
舞美が話し出そうとした瞬間、大きな音で誰かの携帯が鳴る
基本マナーモードの僕に、ツグ氏携帯、不携帯派とか言ってたし
どうも、話そうとしていた張本人、舞美の携帯みたいだ
舞美ならマナーモードにしてないドジをしてても笑って許せる
「あっ、えり?んー、今ね屋上に居るんだー…うん、佐紀と桃も居る」
どうも電話の相手はえりかみたいで、途端甘えた声になる舞美は子どもっぽ過ぎる
て言うか、二人上手く行ったって事なのかな?
僕はちょっと嬉しくなって、傍から離れ、笑顔で電話をしている舞美を見つめた
「良かったねー」
「ふぇっ?あー、舞美?」
「うん。陸上以外で熱中出来る事見つかったみたいで」
ツグ氏も僕と同じ様に舞美を見ている
その視線はどうもただならぬと言うか、そんな感じがしなくもない
- 765 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:05
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「ツグ氏、舞美の事…」
「やっだー、佐紀ちゃんヤキモチ?」
「いや、別に…でも、好きだったの?」
「んー?どうだろ。好きだった様な、違う様な。」
ツンと口を尖らせて、足をぶらつかせる彼女は
いつもの様な明るい、可愛らしい雰囲気じゃなくて、
少し儚げで綺麗だ、そう僕は思った
「舞美格好良いし、優しいし、綺麗だから好きだよ」
「んー、多分それは皆が思うだろうね」
男の僕だってツグ氏と同じ様な事思う時もある
それくらい舞美って外見の魅力は文句無しに凄いし
性格だって周りの事を考え過ぎちゃうくらい優しい
性別を超えた魅力があるのは僕がわざわざ言わなくても良いと思う
「でも、友達として好きで大事だけど、恋じゃないと思う」
「難しいね」
- 766 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:05
-
僕、女の子だったら舞美みたいなヤツ好きになるだろうけど
ツグ氏はそうじゃないみたいで、理解出来なくて首を傾げた
まぁ、僕がえりかと付き合わないのと似たモノなんだろう
「お兄ちゃんとか弟とかそんな感じ」
「あー分かる、分かります。僕的には犬デスね」
「ももそれ分かるぅー!!」
それから僕とツグ氏は舞美が電話をし終えるまで
彼が何犬かについて話し合った
結果、アホだけど忠実なレトリバーだって事になった
- 767 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:05
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- 768 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/03/03(水) 22:05
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- 769 名前:gen 投稿日:2010/03/03(水) 22:07
- 更新
A Day In The Life 〜5〜
>>753-766
更新しました。
- 770 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/05/16(日) 17:25
- さきももも出てきたし、これからの展開に期待して待ってます。
genさんのお話が大好きです。
- 771 名前:名無飼育さん 投稿日:2010/06/06(日) 18:57
- 待ってます。
- 772 名前:gen 投稿日:2010/06/06(日) 21:22
- 米レス
>>770さん
ゆっくり進みます。あまり展開しません。
大好きとか言われると照れます。
>>771さん
タイミングよく今から少し更新します。
- 773 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:22
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- 774 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:22
-
- 775 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:23
-
手がだいぶかじかむ様になってきたな、と参考書を持つ左手が言っている
歩く時にも参考書を欠かさないなんて随分真面目に思えるけど
そうでもしていないと落ち着かない様になってしまったからだろう
「佐紀ちゃん」
「あっ、ツグ氏」
「歩いてる時にそんなだと危ないよ」
ツグ氏にしてはまともな事を言う
いや、思い返してみるとツグ氏は結構まともな事を言ってる気がする
ふざけた調子に騙されやすいけど
実は頼れる人間なんじゃないかなって思ってる
「んー、でもなんか落ち着かないし」
「じゃあ、桃が手繋いであげようか?」
「結構です。」
- 776 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:23
-
褒めようと思ったらこれだからツグ氏はツグ氏なんだ
そういえばツグ氏は進路どうするんだっけ?
あんまり勉強をしているように見えないし、思えない
「ツグ氏ってさ、卒業したら」
「専門学校だよ」
「あっ、そうなんだ。」
「うん、桃勉強苦手だし、資格とりたいし」
やっぱり、結構考えている
もしかしたら、僕なんかよりもしっかり考えているんじゃないかな
「考えてるね、意外と」
「んー、そうかな?」
「僕なんてとりあえず大学に行って働けたらなーくらいだよ?」
「でも、遊ぶ為に学生でいるって人より良いと思うよ」
- 777 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:23
-
あー、加えてフォローが上手いなぁ
って、さっきから頭の中でツグ氏褒め過ぎだ
いかん、こんなんじゃイディオムが頭の中に入って来ない
人間ってやっぱり煩悩だらけなのかな?
どうも、フヤフヤといろんな事が浮かんでくる
「ありがと。ツグ氏に言われると頑張らなきゃって思える」
「でしょ!!桃は百人力だから!!」
「そうですね、ほんとにありがと」
ニコニコっていつでも笑ってるイメージ
可愛いって言われるのが好きみたいだけど
横顔とかは可愛いって言うよりも綺麗だなって思う
- 778 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:24
-
…て言うか、ホント参考書読めない
仕方ないから閉じて鞄につっこむ
ツグ氏の事ばっかり考えていて
普段だったら思わない様な事も思ってしまっている
自己嫌悪、って言うよりホントどうかしちゃってるって思って
別にツグ氏の事どうとか思ってないけど…
「だからね、佐紀ちゃん何かあったらももに言ってね?」
「…うん、分かった」
「ホント?」
「ホント」
- 779 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:25
-
些細な、ホントに小さな約束なのに
キュッと拳を作って喜ぶ姿を見てたら
いちいちめんどくさく考えるのがバカらしく思えてくる
ただ、純粋にどう思ったかって事だけで
「ツグ氏やっぱり凄いね」
「気付くの遅くない?」
「遅いかな?今初めて気付いた」
「えー、今までは?今までのももは?」
「んー、ウザイ。現在進行形で」
冗談でもこういう事言えるのはツグ氏だけで
まぁ、本音半分入ってるのはナイショだけど
それでも、彼女が居て良かったって言うのは本当だ
- 780 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:25
-
「佐紀ちゃんって酷い事ばっか言う。舞美とは違うー」
「そりゃ、舞美は天然だから」
「でも、優しいよぉ、舞美」
「悪かったね、優しくなくて」
褒めてやったと思ったらこれだ
舞美と比べられたからイライラしてるんじゃない
でも、何が嫌だったかなんてちゃんと言えないけど
ツグ氏に少しでもそう言う風に思われてた事が嫌で
少し無口になってしまう
「もぉー、そういう意味じゃないよー」
「いいよ、どんな意味でも。」
「怒った?」
「怒ってない。どうでもいい。」
- 781 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:25
-
自分ってなんだか凄くガキっぽい
それでも、イライラしてるのを隠せなくて
ツグ氏と別れるまで会話が弾まなかった
- 782 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:26
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- 783 名前:A Day In The Life 投稿日:2010/06/06(日) 21:26
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- 784 名前:gen 投稿日:2010/06/06(日) 21:27
- 更新
A Day In The Life 〜6〜
>>775-781
短いですが更新しました。
- 785 名前:名無飼育さん 投稿日:2011/06/30(木) 22:50
- 初めて読みました
次回更新楽しみに待ってます!
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