硝子の森
- 1 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 01:23
- やじうめアンリアル。
- 2 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 01:30
-
目が覚めると、私は不思議な場所にいた。
一言で言えば、森の中なんだけど。
でもその森が、普通の森じゃなくて、何て言うか。
木の幹とか、一面に広がった枝とか、空を覆う葉っぱとか、全部が透明で。
だから、葉の色が空の色に見えた。
その場にずっと立っててもしょうがないから、私は歩き出す。
知らない場所に来たら、まず行動。別に自分の意思でこんなとこ来たわけじゃないけど。
歩けば景色も変わるだろう、なんて簡単に考えてたら行けども行けども似たような景色。
でも、何となく悪い気分にはならなかった。
- 3 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 01:36
- しばらく歩くと、ようやく変化らしきものが見えてきた。
とは言っても急に森が拓けてきたとか、そういうのじゃなくて。
頬を撫でるような、優しい風が吹いた。
風が、風鈴みたいな音をさせて森の中をゆるやかに流れてく。
私の背の高さよりもやや低い枝に生えている葉に、触れてみた。
ひんやりとしていた。まるで硝子みたいだ、そう思った時のこと。
「ようこそ、あたしの森へ」
そんな声がした。
- 4 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 01:41
- 声のするほうを見ると、誰もいない。
透明な木々が、視界を遮る。
誰かが隠れてるかも、と思って木の陰を覗いたりしたけれど、人影すら見当たらない。
聞き間違えかな、と思って歩いてるとまた声が。
「まだ、あたしのことが見えないんだね」
わけがわからない。
要するに、姿の見えない誰かさんが私に声をかけているということか。
いやいやいや。
やっぱり空耳だ。
無視して先を進もうとすると、後ろから思い切り手を引っ張られた。
- 5 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 01:45
- 反動で私はしりもちをつくように後ろに倒れこんだ。
「ちょ、ちょっと何すんの!」
「だって、舞美が止まってくんないから」
はて。
姿が見えない、という最も不思議なことはとりあえずは置いといて。
何でこの見えない透明さんは私の名前を知ってるんだろう。
そうだ、とりあえず聞いてみよう。
「ねえなんで……」
「それは、舞美がここに来るべくして来たからだよ」
私が?
ああそうか夢か。夢の世界なら何でもありだもんね、とか言って。
「て言うか夢じゃないし」
もう、いちいち私の考えの先回りをしないでほしい!
- 6 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 01:52
- 「夢じゃないなら、ここはどこ!?」
すると見えない透明さんは、
「硝子の森」
とだけ言った。
確かに硝子の森と呼ぶにはぴったりの場所だと思った。
これでこの場所はわかった。硝子の森。私の夢の中の世界にしては、ロマンチック。
「だから夢じゃないっての」
「いいからいいから。で、私がここに来るべくして来たってどういうこと?」
沈黙。
姿が見えないから分からないけど、もしかしたら相手も考えてるのかもしれない。
ちりんちりん。
また風が硝子の葉を鳴らす。こういう風鈴あったら涼しげでいいよね。
そんなことを考えていると、例の透明さんが口を開いた。ように感じた。
「舞美は、探し物をするためにここへ来たんだよ」
「探し物?」
探し物は何ですか?
見つけにくいものですか?
お母さんが歌ってた気がする。それはさておき。
私の探し物って、何?
考えてたら、夢から醒めた。
「だからさあ、夢じゃないって」
うるさい。
- 7 名前:下池袋 投稿日:2007/12/02(日) 02:01
-
…
……
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…………
……………
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/03/09(日) 14:01
- 続きが気になる
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