ルームシェア
- 1 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:02
- お初させてもらいます。
吉澤さんと藤本さんと高橋さんと紺野さんと小川さんと新垣さんと亀井さんと道重さんと田中さんが、一緒に暮らしたらというお話です。
読みづらいかもしれませんが御了承ください。
- 2 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:02
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- 3 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:02
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ただいまの時刻、お昼の1時を過ぎたばかり。
愛はでっかいトランクにボストンバックを2個も体に巻きつけて、とあるマンションの玄関ホールにいる。
ジーンズのポケットから新品の鍵を取り出す。
今日からここで暮らすことになったらしい。彼女の顔はなにか緊張を隠せないようだ。
「あれ?・・・扉、開かんやん」
玄関の自動ドアのまん前に立っているのに、扉は一向に開いてくれない。
ふと右側を見ると、いろんなボタンに鍵穴が付いていた。ということは・・・。
「あ、これ・・・もしかして鍵挿せば開くってことかぁ?」
・・・と、1人で言っても誰も応えてはくれないのだが呟く。そして解決。
開いたドアが閉まらないうちにさっと中へ入る。
でもそこでまた急に不安が過ぎってしまうのだ。なぜなら、愛は今日からここで暮らすのだが、1人で暮らすわけではないのだ。
知らない誰かと折半して、これからを暮らすことになったらしい。
そう、ルームシェアというやつだ。愛は見知らぬ誰かと暮らすことに不安なのだった。
- 4 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:03
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「え、あーしの部屋って・・・最上階やん」
不安な心境でフラフラ歩くと、待ち構えているエレベーター。
とりあえず乗って自分の部屋の階を押そうとしたのだが、2101は21階の1号室なので、エレベーターに表示されている数字は21までだった。ということは最上階だったのだ。
「ってかやっぱり怪しい話やったんやろか」
人間、不安を感じると大概妄想するのは悪い方向へ向いてしまいがちで、あいにく愛もネガティブ発想を得意とする娘だった。
どんどん不安と恐怖に体中が染まっていながらも、エレベーターは目的地へ進んでいく。
―ピン―
なんともあっさりした音で扉が開いた。愛はもう完全な挙動不審な人間になっており、ビクビクしながら自分の部屋となるドアを探したのだが。
「つーかここの階、この部屋しかないやん」
- 5 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:03
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もちろん目の前には愛の部屋となるドアが佇んでいる。呟いた愛の声は少し響いて、自分で驚いてしまった。
このドアを開けたら、人がいるかもしれない。もしかしたら男かもしれない。いや、この話自体が嘘で、本当は風俗で働かされるか、レイプされるのかもしれない。というネガティブな人間が妄想するにはピッタリなことを愛も考えていた。
なぜなら愛は、ここに誰が何人くるのかということを何も知らないのだ。
愛が知っていることは、今までこの部屋は誰にも使われなかったということ。それは家賃があまりにも高すぎるから。なので何人かで折半して暮らせばいいと、大家さんが思いついたらしい。それをインターネットで募集していたのを愛の母親が見つけたのだ。審査のために履歴書を送ったら、住んでもいいと返事がきて、今に至るということ。
ちなみに家賃は一ヶ月たったの2万円。駅まで3分、池袋、新宿、渋谷、品川、東京駅が一本で行けるという、まぁ山手線沿いのありえない物件なのだ。
「あ、あーし・・・入ってもええんやろか」
あなたが入らないで誰が入るというのだろうか。まぁでも不安がる気持ちはしょうがない。
ふぅと深呼吸して、いざ扉に手をやるが鍵が掛かって開かない。
気を取り直して鍵を開け、扉を開けるとそこは、まだ誰もいないようで靴が1つもなかった。
部屋を一面グルっと見回すと、まず玄関から正面に広いリビング。その左右に寝室らしき部屋が二つずつあった。
中を覗いてみたいがあいにく勇気がない愛にはできなかった。
「とりあえず・・・待つしかないんか」
- 6 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:03
-
そうなのだ。この部屋には1人で住むわけではないので、相方らしき人物の登場を待つしかない。
だがどんなやつなのかも分からないので、ゆっくり寛ぐこともできない。
そうして10分が経ったころ、エレベーターがこの階までやってきた証拠に音が鳴った。もちろんそこでもまたびっくりしてしまう愛なのだ。
誰かがドアの鍵を開けている。さっき愛が鍵を掛け直したのではなく、自動で鍵が掛かるのだ。
もし気が合わなかったらどうしようという不安が体中をグルグルと渦巻く。
小さくキィっとなったドアから顔を覗かせた人は・・・・・・・・・美人さんだった。
「あ、はじめまして。吉澤です。吉澤ひとみ」
端正な顔立ちに目を大きくさせていたら向こうから自己紹介されて、またビックリ。
でもいつまでも驚いていられないので愛も自己紹介をする。
「どど、どうもはじめましてぇ・・・たたっ高橋愛です」
自分が言ったのに、あまりにも情けなかった。どもりすぎだよ。
吉澤さんという人は優しく微笑んで、「上がっていい?」と言ってきたので、少し笑えた。
「吉澤さんのおうちじゃないですかー」
「いやさ、なんかズカズカ行ったら悪いかなと思ってさー」
- 7 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:04
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なんだかこの吉澤さんって人、すっごいサバサバしてる人かもしれない。
だって話しやすくて人当たりもよさそう。なんて瞬時に判断してしまった。
リビングにはもうテーブルとソファーが置いてあり、カーペットまである。キッチンには冷蔵庫もあって、コンロもポットもあるが、包丁など鍋やフライパン、食器などはない。
ただリビングにはでっかいテレビが置いてあった。
「なんかさ、他にも誰か来そうじゃない?」
「あー、だって2時まで来いって言われましたね」
「そうそう。ってかあと何人くるんだろ」
とっても話しやすい吉澤さんと、取り止めのない話をしていたら、5分後には藤本美貴さん、その3分後に小川麻琴さん、というようにだんだんゾロゾロと集まってきたのが新垣里沙さん、紺野あさみさん、亀井絵里さん、道重さゆみさん、田中れいなさんという人達だった。総勢9人。
この9人で今日からこの部屋で暮らすことになったらしい。
「ねー、なんか紙が置いてあんだけどー」
キッチンの方から声がして振り向くとそこは藤本美貴さん。
少し大きめの声でその紙を読む。
「今日からこの部屋へ住む藤本、吉澤、高橋、紺野、小川、新垣、亀井、道重、田中。ここの大家の中澤や。今日はあいにく急用で行かれへんくて悪いが、仲良うやってや。部屋割りは、藤本吉澤が左の奥、高橋紺野小川が左の手前、新垣亀井が右の手前、道重田中が右の奥や。初日早々喧嘩されても困るからな、勝手に決めさしてもろたわ。だってさ」
- 8 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:04
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当たり前のようにシーンとなる部屋。どんな理由でこの部屋割りなのか疑問なのだ。
だがいつまでもリビングに9人分の荷物を置いておくわけにもいかないので、みんなよそよそしいながらも荷物を片付けて、またリビングに戻ってくる。
「・・・まずさ、自己紹介とかしようよ」
少し明るめに言ったのは当然吉澤さんだった。
「いいよー。んじゃ美貴から。名前は藤本美貴。年は21歳。誕生日は2月。出身は北海道。カフェで働いてまーす。はい次っ!」
その隣に座っていた吉澤さんに振る藤本さん。
どうやら時計周りでいくらしい。
「はーい。吉澤ひとみでーす。年は20歳。誕生日は4月。出身は埼玉。引越しの仕事してまーす。はいどうぞ」
吉澤さんは優しく笑顔で次の人に回す。
「あ、どうも。小川麻琴でーす。えっと18歳で10月生まれ。出身は新潟。ガソリンスタンドで働いてまーす」
というように、一通り自己紹介が終わった。
他の人たちは、高橋愛、19歳の9月生まれ。大学2年生。福井。
紺野あさ美、18歳で小川麻琴と同い年の5月生まれ。大学1年生。北海道。
新垣里沙、17歳の10月生まれ。高校3年生。神奈川。
亀井絵里、17歳で新垣里沙と同い年の12月生まれ。高校3年生。東京。
道重さゆみ、16歳の7月生まれ。高校2年生。山口。
田中れいな、16歳で道重さゆみと同い年の11月生まれ。高校2年生。福岡。
とまぁこんな感じだ。
- 9 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:05
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そんなことは頭の片隅に入れておいて、9人のおしゃべりタイムは始まってしまう。
そう例えば、どこの学校だとか、仕事場はどこだとか色々。
そうこうしているうちに仲良くなってきたので勝手にニックネームまでもが誕生してしまったのだ。
「あ、ってかさミキティ。夜の飯どーする?」
「あー、そうだね。つかなんもないじゃん」
コンロとポットと冷蔵庫はあるが、他に何もないので買いに行かなければならない。
包丁やら食器やら鍋やらフライパンなど必要だし、風呂に入るには自分専用のシャンプーやリンスが欲しい。ボディソープは別に兼用でも構わないのだがそれも今はない。
意外とないものづくしなので年上2人が必要なものをメモに取り、全員で買い物にいくことになった。
行く先はやっぱり東急ハンズ。みんなバラバラになったりしないで、一階から欲しいものをカゴに詰めていく。
かなりの量、かなりの金額になるのだが自分の分は自分で買うし、みんなそれなりに親から相当なお小遣いをちゃんと頂戴してきていた。
「包丁とかさ、そーゆーのはうちらで買ってやるかミキティ」
「そだね。一応社会人だし」
なんとまぁ優しい大人がここに。確かに包丁などの台所用品も折半するべきなのだろうが、まだ高校生もいる中、そんなことさせるのはなんだかちょっと格好悪い気がして、お茶碗以外は大人2人で買ってあげることに。
でもお茶碗はきっと人それぞれの趣味があるだろうから、そこまでは手をかけないけれど。
「ふぅ。んじゃ帰ろうか」
「「「「「はーいっ!!!」」」」」
- 10 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:05
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結構今日一日だけでもかなりの手痛い出費なんだが、でもなんか楽しくて。修学旅行にでもきているかのような気分なったのは、桜が咲き始めただからだろうか。もう少ししたらみんなで花見に行こうとおもった吉澤さんだった。
「あれ?結局ご飯ないじゃん」
家に着いて、買った荷物を片付けてひと段落しようとしたら、藤本さんの鋭いツッコミ。
結局またみんなでご飯の材料買いに近くのスーパーへ。もちろん大人2人の割り勘で。
まぁでも後日、小川さん以外の子どもチームの親から毎月食費が送られてくるのだが。
小川さんは働いているので、ちゃんと自分で払うんです。
「明日の朝って何がいい?」
「美貴はご飯だなー」
「あたしはパンがいいー」
そこはやっぱり9人もいるもんだから意見は分かれる。ここでひとつに纏めたら簡単なのだが、無理をすることもないのでお好きなようにさせる。
調味料やふりかけ、米、パン、ジャム、卵、ハム、レタス、キュウリ、ニンジン・・・など色々適当に買って、スーパーを後にする。
今日のご飯はカレーのようだ。もちろん甘口。
作る人は藤本さんと吉澤さん。さっき買ったマイエプを着ける。
「なんかさ、お母さんになった気分」
「・・・あたしも同じこと考えてた」
- 11 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:05
-
なんとかできたカレーを食べて、2人が皿を洗ってる間に若い娘から風呂に入り、全員風呂から上がったので、大人2人の時間が始まる。手には缶チューハイ。こっそり買っていたのだった。
「ミキティっていつまで休み?」
「あぁ、あさってまで有給もらったの」
「そうなんだ。あたしもそうだよ。忙しいのにって文句言われたけど」
「あはは。美貴もそうだったよ。4月はなにかと忙しいんだよね」
「そうそう。仕事始まったら残業だな絶対」
「そんときはこの娘達にご飯作ってもらおうよ」
本当は大人2人が子ども達の面倒を見てやりたいのだが、いかんせん2人は働いているのでそうもいかない。
まぁでもいい娘達なので、そこは任せることにする。
明日になったら、掃除当番なども決めなければいけない。いつもは親に頼ってばかりだった子どもチームも、もう自分達でやらなければいけないのだ。
「さぁーて、うちらそろそろ寝るけどお前らあんまり夜更かしすんなよー」
もうすっかり中身のない缶チューハイ片手に立ち上がり、そう告げた吉澤さん。
なにも言わないけどすっごく眠そうな藤本さん。
2人は缶を片付けると、歯を磨いてそのまま部屋に行ってしまった。
- 12 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:06
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「あー、んじゃうちらも寝るかぁ」
そう言い出したのは麻琴だった。本当はまだまだ尽きないおしゃべりをしていたいのだが、明日もやらなければいけないことだらけなので、そうもいかない。
ほかのみんなも麻琴の言うことに反論はせず、おのおの部屋に戻ることにした。
「ってかさ、あーしらだけなんで3人なんやろ」
「ねー。でもさ、麻琴は働いてるけど高校生が4人もいるし、年近い娘が一緒になってるから仕方ないんじゃない?」
「まぁ9人もいるんだしねー」
愛ちゃんが3人部屋の不満を漏らしたが、仕方のないことだし、別に嫌だとも思わないのでいいのだが。
だがこの部屋、他の部屋よりも幾分大きいのだ。他の部屋は両サイドにベッドが置いてあり、真ん中にかわいい机がある。壁際にはパソコンも置いてあるし、学習デスクも用意されている。リビングには敵わないけれども、普通にテレビも置いてある。
だがこの3人部屋は少し変わっていて、1人がロフトになっているのだ。他はテレビもあるし、パソコンもある。クローゼットなんかも全部屋常備されているし、かわいい机だってある。ベランダに関しては、この階全体が家なのでベランダも全て繋がっている。
「さて、明日起きれないと吉澤さんに叩き起こされそうだから、もう寝よ」
「そうだねー、じゃもう電気消すよー。おやすみー」
「寝過ごしたら起こしてなー、おやすみー」
ロフトを選んだのは愛ちゃんだった。別にコンコンはロフトに興味がなかったし、麻琴は仕事で朝早いときや遅くなったときに物音を立てないようにしたくて選ばなかった。
よって、ロフトが愛ちゃん、ドアに近いほうのベッドに麻琴、反対側にコンコンということになったのだ。
- 13 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:06
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「あのーガキさん」
「なによぉ、どしたの亀?」
ここはガキさんと絵里ちゃんの部屋。2人ともまだ高校生なので制服がクローゼットにしまってある。
どうやら絵里ちゃんが電気を消そうとしたガキさんに話しかけたようだ。
「明日なんだけどー、絵里絶対起きれないから起こして」
「はぁっ!?なんでよ、自分で起きなさい」
「無理無理無理っ!!」
「もー、・・・分かった。起こしてあげるからもう寝なさい」
「はぁーい。ガキさんおやすみー」
「おやすみー」
この2人の会話はなぜかいつもガキさんのほうがしっかりしている。絵里ちゃんはいっつもふにゃふにゃ笑ったり、適当な行動、発言をするので、ガキさんがそれをしっかり突っ込んでくれるのだ。
ガキさんは学校を転校することになったのだが、絵里ちゃんと同じ学校だったのだ。
というか、学校はさゆみちゃんとれいなとも同じなんだけれど。絵里ちゃんだけ元からの生徒で、3人は転校生ということになる。
「さゆ、どっちのベッド使うと?」
「んー、あっちのほうが日当たりよさそう」
「んじゃあっち使ってよかよ」
「ホントーっ!?ありがとれいなー」
れいなは優しさなのか、さゆみちゃんにベッドを選ばせてあげたのだった。
もう早く寝たかったので、すぐにでも電気を消そうとしたのだが。
「明日さ、早く起きたほうがまだ寝てる人起こそうね」
「あー、そうやねー」
「れいな、おやすみー」
「さゆ、おやすみー」
やっぱりどの部屋も言うことにさほど変わりはなかったらしい。
一応今日が初めてなんだし、明日自分だけ寝坊するということだけは避けたいのだ。
草木も眠る丑三つ時、彼女達も立派に爆睡していたのだった。
- 14 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:07
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- 15 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:07
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「う〜んっ!あーよく寝た」
そう小さく呟いたのは麻琴だった。今の時間は朝の7時。
本当は彼女、もっと早起きする習性がついているのだが、疲れが出たのかこの時間に目覚めた。
だがあいにく他の2人はまだ夢の中にいるらしく、スヤスヤと寝息が聞こえる。
まだ起こすのは可哀想だと思い、音を立てずにリビングへ行った。
顔も洗って歯も磨いてスッキリしたのでテレビをつける。
すると、8時くらいになってようやくみんなが起きてきたのだ。
「まこっちん、起きてたんだー。おはよー」
「おはよー」
「なんだよ、麻琴って朝強ぇのかよ」
「そうみたいですねー」
「ってかさ、ご飯作ってよ」
ということでみんなが顔を洗っている間に、麻琴が朝ごはんをつくることに。
べつになにかやることもなかったので、快く承知してキッチンに向かう。
麻琴が昨日買った青いマイエプをしてハムエッグやサラダ、スープなどを作る。
顔を洗って目が覚めたのか他の子どもチームも手伝ってくれている。
- 16 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:07
-
「ってかさ、パンの人は?」
「ジャムとかあるし、マーガリンもあるじゃん」
「そっか。サラダもあるしねー」
まぁ朝だし、そんな手の込んだものを作っても食べられないので、簡単なものを作った。
みんながそろったところで朝ごはんになる。
食べ終わった食器を片付けて、今日の予定をみんなで話し合う。
「あのさー、掃除当番とか決めようぜー」
「さんせーいっ!!」
「んじゃあね、風呂掃除とリビング、キッチンの掃除。トイレだなー。やっぱこれは曜日で、部屋ごとに決めていくか」
「いいよー。じゃあ明日うちらが掃除するから、一日おきでやろうよ」
子どもチームはみんな吉澤さんと藤本さんの会話を聞いているだけしかできなかった。
結局、明日は藤本吉澤、一日おきなので明々後日が愛あさ美麻琴・・・ということになったのだ。
あとは、新垣亀井、道重田中というようになり、忘れては困るのでカレンダーに掃除当番の印をつけたのをリビングに貼り付けたのだ。
「んじゃあさ、今日もスーパーによって昼飯の材料買ってきて、少し自分の荷物片付けようか」
「「「「「はーい」」」」」
今日のお昼はオムライスがいいとコンコンが言ってきたので、それにすることに。
9人での買い物はカートにカゴを2個も使ってしまうほどの量になってしまう。さすがにこれが毎日続くとなると、結構キツいのだがしょうがないのでみんなで手分けして荷物を持つ。
なんでまたこんな大家族になってしまったのだ。まぁ楽しいのだが。
- 17 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:08
-
「ってかさ、服とかクローゼットに仕舞ったらさ、もうやることないよね」
「うちら社会人だし。あんまり必要なものってないしね」
昼前にはもうすでに荷物の片付けが終わってしまった吉澤さんと藤本さん。
社会人だし、という理由よりかは2人が部屋に物を置かない主義なだけなのだが。
ということで何もすることがないので他の部屋の様子をみると、まだ忙しそうだった。
「ちょ、愛ちゃん。教材どこ仕舞おうか?」
「あー、そうやね。ラックとか必要かもしれん」
「パソコンの傍にスペースあるから、あとで買ってこようよ」
愛ちゃんとコンコンと麻琴の部屋を見に行ったら、なんだかゴチャゴチャしていて大変そうだった。
3人もいるからなのかどうかは別として、同居人の気を遣いながらの荷物整理なので、適当に置けない分があちらこちらに散乱しているのだ。学生も2人いるせいか、教材が結構あって床に積み重ねられている。
「コーラー、かぁめー!」
「なにー?どしたのガキさん」
「あんたこっちにまで荷物持ってこないでよーっ!片付けらんないでしょーがぁ」
「あ、あはは。ごめんガキさん」
「ってか亀、それ片付いてないから」
今度はガキさんと絵里ちゃんの部屋を見に行った。なんだか喧嘩しているらしい。
そもそもこの2人は性格が間逆で、ガキさんが几帳面、絵里ちゃんが適当なのだ。確かにガキさんの言うとおり、絵里ちゃんの片付け方はただ右から左に持っていってるだけで、ちっとも片付いていない。
- 18 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:08
-
「ねぇねぇ、れいな。これ可愛くない?」
「あー可愛い、可愛い。ってか早ぅ片付けんしゃい」
「さゆみの鏡はここに置くの」
「さゆの鏡はでかすぎ。それじゃ勉強できんやん」
最後はさゆみちゃんとれいなの部屋。ガキさんと絵里ちゃんのような喧嘩はしていないが、さゆみちゃんはちっとも進んでいないようだ。
れいなはコツコツ片付けてはいるのでだいぶ整理できたが、さゆみちゃんがまったく片付けようとしないので、少しキツめの言葉を投げつつも手伝ってあげる、優しいやつだった。
「はぁ、なんかまだまだ掛かりそうだね」
「乙女は大変なんだよ」
「よっちゃんはもうおっさんだもんね」
「そーゆーミキティこそ親父じゃん」
全部屋の様子を窺った2人は、どの部屋もまだまだ終わりそうもないことを悟ったのだった。
どうしてパパっと終わらせられないのだろうかと思ったのだが、この2人の手際がよすぎるだけの話で、普通の女の子ならばあのぐらい時間が掛かっても当たり前で、部屋を可愛くしたいと思うのは普通のことなのだ。
- 19 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:08
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「さてよっちゃん」
「んー?」
「ご飯なんだけどさ」
「・・・2人で作ろっか」
一時間後、吉澤さんと藤本さんが作ってくれたオムライスをみんなで食べることになった。
その後、吉澤さんと藤本さんがお昼寝している間にも他の部屋では荷物整理がされていたのだった。
たたき起こされた2人が次見たときは、どの部屋もきれいに整理整頓されて、普通の部屋らしくなっていた。
- 20 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:09
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- 21 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:09
-
「あ、うちら明日から仕事だから」
「あたしも仕事だー」
「なんだ麻琴もか」
9人揃っての夜ご飯を食べているときに吉澤さんがみんなに言う。そしたら麻琴も明日から仕事だとのこと。
ということは社会人組はみんな明日からお仕事に行くのだ。
また明日から仕事の日々。ちょっと、いやかなり憂鬱になるがそこは仕方ない。
でも学校組はまだ春休みなので明日も今日と大して変わらない。宿題はしなければいけないけれど。
「美貴は明日8時起きだなー」
「あ、あたしもー。麻琴は?」
「あたしは7時起きー」
口に物いっぱい溜め込みながら言う麻琴なのだが、元から早起きなのだからどうせ7時前におきてしまっているというオチ。
しかもみんなはまだ寝ているので静かにしなければいけないのだ。
「明日は夜ご飯、どーしよっか」
「あーしが作るでぇ。任しといてや」
「んじゃあたしも手伝う」
ということで明日の夜ご飯は愛ちゃんとガキさんが作ってくれることになった。
社会人の3人は明日が連休明けで疲れると困るので少し早めに寝ることにした。
- 22 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:09
-
- 23 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:10
-
「おー、麻琴。もう行くのか?」
「んー。少し早めに出て行こうかなーと思って」
吉澤さんが顔を洗い終わったばかりでタオルを首にぶら下げていたら、玄関で靴を履いてる麻琴の姿がみえた。
なんでも初めてここから行くので、余裕をもっていくらしい。
すると藤本さんも同じようにタオルをぶら下げてやってきた。
「疲れが出ると思うけど、頑張ってこいよー」
「うん。ありがとー」
「おう。いってらっしゃーい」
「いってきまーす」
麻琴が出て行って、ドアが閉まると2人顔を見合わせる。
「なんかこういう生活もいいね」
「そうだね。なんかあったかくない?」
「超あったか家族」
朝から人情に浸っていたら、あっという間に今度は自分達がでていく時間になってしまった。
昨夜、余裕をもって早く寝たのにまったく意味がないことに。
結局2人はパンを齧って慌てふためきながら仕事に出かけていきましたとさ。
- 24 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:10
-
- 25 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/12(水) 00:12
- とまぁ、こんな感じで今日は更新終了w
終わりが見えないこのお話
いったいいつまで続くんだろーww
- 26 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/12(水) 00:13
- リアルタイム!w
凄い読んでて面白そうでした!
続きが待ち遠しいです♪
後、凄いほのぼのとしてていい感じですね
- 27 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/12(水) 11:02
- 面白そうです
続き楽しみにしてます
- 28 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/13(木) 22:54
- いい!あなた天才www
- 29 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/14(金) 01:23
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- 30 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/14(金) 01:24
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藤本美貴 21歳 2月生まれ 北海道出身 カフェ勤務
吉澤ひとみ 20歳 4月生まれ 埼玉出身 引越し業
高橋愛 19歳 9月生まれ 福井出身 大学2年生
紺野あさ美 18歳 5月生まれ 北海道出身 大学1年生
小川麻琴 18歳 10月生まれ 新潟出身 ガソリンスタンド勤務
新垣里沙 17歳 10月生まれ 神奈川出身 高校3年生
亀井絵里 17歳 12月生まれ 東京出身 高校3年生
道重さゆみ 16歳 7月生まれ 山口出身 高校2年生
田中れいな 16歳 11月生まれ 福岡出身 高校2年生
- 31 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:25
-
少しずつだがここの生活にも慣れてきた頃。社会人の3人はもう仕事には引っ越す前からやっていたので、仕事での悩みなどはなく、安泰した生活を送れていたのだが。
どうやら学生チームはそうもいかないみたい。なぜなら新学期が始まるからだ。
絵里ちゃん以外はみんな転校生or編入生になる。しかも大家の中澤さんが履歴書で仕組んだのか不明だが、愛ちゃんとコンコンは同じ大学。絵里ちゃんとガキさん、さゆみちゃん、れいなも同じ高校なのだ。
愛ちゃんとコンコンは学年が違うが、絵里ちゃんとガキさんは同じクラスで、さゆみちゃんとれいなも同じクラスだし、一体中澤さんはどんだけ得体の知れない人なのかちょっと不思議なとこだ。
「さゆー、明日学校やん。制服出しといたほうがいいっちゃない?」
「うん。あっ!あれってれいなの制服?」
「当たり前やろ」
「えー、さゆみも着れるかなー?」
「さゆおっきいけん。無理やろ」
「れいなひどーい」
どうやらさゆみちゃんがれいなの制服を着ようとしたのだが、あっさり切り捨てられたようだ。
確かにさゆみちゃんはちょっと身長が高いし、れいなは小さいし。そんなれいなの制服をさゆみちゃんが着れるわけもなくて。
明日からは誰も知らないクラスでの学校生活が始まるというのに、大した緊張感もないこの2人。
まぁ、そんなことで一々慌てる2人でもないのだが。しかも同じクラスだし、やっぱり安心しているのだろう。
- 32 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:25
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「ねぇ亀、2年生のころと同じクラスなの?」
「うん、そうだよー」
「へー、じゃあ亀の友達紹介してよー」
「えへへ・・・」
同じ時間、ガキさんと絵里ちゃんでの会話。
クラスが変わっていないという絵里ちゃんに、友達がいないガキさんは紹介してと言ったのだが、絵里ちゃんはほんの少し苦味のある笑みをしていた。なんだか少し照れているような、拒否感のあるような、そんな笑い方。
ガキさんはそんな絵里ちゃんの笑顔を見て、ちょっと気付いてしまったみたい。だからすぐに全然違う話をして、この空気を変えてしまった。どうせ、明日になればすぐ分かる。
「亀、宿題やったんでしょーねー?」
「うへへ。まだ終わってなーい」
「ってする気ないじゃん」
「ガキさんはいいよねー。宿題終わらせちゃってさー」
「・・・教えてあげるから終わらせなさい」
「やったーっ!!」
別にこの娘、普通に明るい娘なんだけどなー。とガキさんは心の中で思った。
だからこそ、ガキさんの予感は外れて欲しいと願ったのだ。
- 33 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:25
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「大学の道ってさ、この地図どおりでいいわけ?」
「いいんじゃない?パソコンでプリントしたやつだし」
3人部屋での愛ちゃんの発言に、すかさずコンコンが返してあげる。
明日初めて行く大学なので、下手に迷って遅刻などしたくないのだ。それに大学内も広いだろうし。
ちょっとだけ電車に乗って、そこの駅から大して離れていないので、迷うこともないのだろうが、行ったことのない2人からすればそんなことは分からないので、今は不安なのだ。
「ってか大丈夫だよ。なんならあたし着いていこうか?」
「麻琴、明日仕事は?」
「うん、ないよー」
ということで明日は麻琴が着いてきてくれるらしい。でも麻琴だってその大学は知らないのだから意味はない。だけれど人は多いほうがなぜか安心感は沸く。
大学だし私服で行くので、今日のうちから明日の着ていく服を用意する。あーだの、こーだの少し気合入れすぎな感じもするのだがいかんせん、乙女心は複雑にできているらしい。
- 34 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:26
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「はぁ・・・、みんなして部屋に閉じこもってリビングにきやしねぇ」
「でも静かだしいいじゃん」
「まぁねー。あ、梅酒でも飲むか」
「いいねー」
ひっろーいリビングにポツンと2人だけ。みんな明日の準備とかで部屋にいるのだ。
藤本さんの言うとおり、静かなのは吉澤さんも好きなほうなのでこーゆーのもいいのだが、あまりにも広いリビングに2人はなんだかちょっと寂しい。そう思春期の娘を持つお父さんのような気持ち。
だからなのか寝るまでのあとちょっとの時間、2人でこっそり寝酒を楽しむのであった。
- 35 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:26
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- 36 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:26
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「だぁーっ!!寝坊したーっ!!!」
部屋から飛び出すように走ってきたれいな。その部屋のドアからのんびり出てきたさゆみちゃん。
2人は中々起きてこなくて、心配で部屋を覗きにきたガキさんにたたき起こされたのだ。
「おいおい、うるせーぞ朝から」
「ホントだよ。これから労働に行くこっちの身にもなれ」
そこには朝だからこそテンションの低い吉澤さんと藤本さんがいたのだった。
切り捨てられるような冷たいセリフを浴びせられたれいなだが、一々構っていられるほど暇ではない。
「れいなとさゆのご飯は用意してあるからさー、早く顔洗ってきな」
「まこっちゃんは優しかねー」
「さゆみまだ眠いの」
朝からドタバタ五月蝿いが、こーゆーのがこれから毎日続くのかと思うと少し辛い。
でも朝からバタバタして慌しいのもなんだか嫌じゃない。むしろこれも楽しい。
騒ぐだけ騒いで、あっという間にいなくなった高校生組。れいなの髪には少しだけ寝癖が残っていた。
残ったのは5人だけ。これだけでも普通に家族並みだが。
大学の2人はまだちょっと時間がある。だって別にクラスなどあってないようなものだし、自己紹介をしなきゃいけないわけでもない。編入手続きを終わらせればもうそこの大学の生徒なのだ。
- 37 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:27
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「うちらもう出るけど、戸締りよろしく」
「帰るときメールするから」
「うん。美貴ちゃん吉澤さんいってらっしゃーい」
まだのんびり支度をしている2人をよそに、麻琴は吉澤さんと藤本さんの見送りをする。
なんだかお母さんになった気分だった。実際はあの2人のほうがお母さんみたいなのだが。
「さて、行きますかー」
「うん?もう行くの?」
「なんや、麻琴いかんの?」
「行くよー」
吉澤さんと藤本さんが出て行って30分ぐらいしたころ、大学生の2人も出かける準備万端だ。
ばっちりメイクして、お洒落も完璧で。初日がこんな気合入れすぎて、これから毎日どーするんだろうと麻琴は心の中で思ったが、口には当然出せなかった。
「なんや、簡単やったな。あれじゃん」
「そうだねー。案外近かったし」
「あはは。あたし来た意味なかったじゃーん」
大学の最寄駅からはすぐそこの距離だったのですぐ分かって安心した。
だがやっぱり麻琴が着いてきた意味がなかったのだが、分かりきってたことなので別にどうでもよい。
改札を出て、2人とは別れたあと、麻琴はまた電車に乗った。
- 38 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:27
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「確かここらへんって聞いてたんだけど・・・あっ!あった」
そのまま麻琴は家に帰ろうとせず、渋谷に向かったのだった。
麻琴が歩いて行く先には、藤本さんが働いているというカフェがあった。
「いらっしゃいませー・・・って麻琴じゃん」
「やぁ美貴ちゃん」
「あの2人ちゃんと行けた?」
「うん、行けたよ。すぐそこだったし」
「そっか、良かった。まぁ座れよ」
「・・・・・・怖いしー」
藤本さんに2人がちゃんと行けた旨を伝えると、座れと促される。
まぁここで帰るつもりもなかったし、どうせお茶していくつもりだったので素直に席に着く。
メニューを開くと、なんでも好きなの奢ってやると言われた。
「えぇーっ!でもそんなことしたら店長に怒られるんじゃない?」
「バカ、麻琴これ見ろ」
藤本さんが指差したのは藤本さんの小さな左胸。うわー、あたしよりもちっちゃーいじゃなくって、その左胸に着いてるプレートには『店長 藤本』と書かれてあった。もちろん藤本さんの手書きだったのだが。
- 39 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:28
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「あれ?美貴ちゃん店長だったの?」
「そうだよ、言ってなかったっけ?」
「初耳だしー。んじゃこれとこれ」
「オッケー。カフェオレにバナナタルトね」
麻琴の注文を聞くと、ポンっと頭を優しく撫でて店の奥に消えていった。
そんな藤本さんを格好いいと思った麻琴は、ぽけーっとその姿を追うしかなかった。
「ほら、持ってきてやったぞ」
「ほぁ?早いねー」
「ま、今はそんな忙しくねーし。ほい、おまけ」
「うっわっ!やべー超うれしー」
藤本さんが持ってきたのはカフェオレにバナナタルトとチョコレートケーキもついていた。
これが全部奢りだというのだから食いしん坊の麻琴は喜んでしょうがない。しかもとてもおいしそうに食べてくれるもんだから、藤本さんも嬉しいのだ。
「これさ、コンコンに言ったら絶対羨ましがるよね」
「あー、そうだねー。別にあの家の娘ならいつきても奢ってやるよ」
「美貴ちゃん太っ腹じゃーん」
「当たり前だろ。美貴は店長なんだから」
ふふんと鼻で自慢しといて、ゆっくりしてけよ。と言い、仕事に戻った藤本さん。
最後までバッチシ決めてくれるもんだから、麻琴はかなり尊敬してしまった。
家ではグータラだし、寝起きは最悪だしと軽ヤン全開な藤本さんなのだが、仕事となるとやっぱりキリッとしていて、どうにもこーにも格好良すぎたのだった。
他の店員さんに指示したり、お客さんへの接客の仕方などテキパキとこなしている。人望も厚いようだが、そんなこと麻琴は既に分かっている。藤本さんはとっても優しい人なのだ。
- 40 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:28
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「美貴ちゃーん。ご馳走様でしたー」
「おう。なんだもう帰んの?」
「うん。これから忙しくなるだろうし」
「そっか。まだ家帰らないでしょ?」
「そうだね。買い物したいし」
「んじゃ気ぃつけてね。また遊びにこいよ」
「うんっ!ありがと美貴ちゃん」
やっぱりやさしい藤本さんでした。麻琴はお礼を言って店を出て、そのままセンター街をブラつく。
109に行って服をたくさん買ったので、ちょっと今月はもう贅沢できない感じだ。
まぁでも給料が入れば、また余裕ができるのでそれまでの我慢。
ちょっと遅めのお昼ご飯を食べて、誰もいない家に帰ってテレビを見ていた。
- 41 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:28
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- 42 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:29
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「ここの先、まっすぐ行くと遠回りになるんだよねー」
「へぇ、そうなんだ」
「うん。ここを左に曲がると一番の近道になるよ」
「ふむふむ」
今日は絵里ちゃんが道を教えながらの登校。なんでも他の3人はまったく知らないし。
電車には乗らなくて、まぁ徒歩20分くらいのとこにある高校。
今日は絵里ちゃんが教えてくれてるけど、これから毎日一緒の登校なんだし無理矢理覚える必要もないので、れいなとさゆみちゃんはまったく聞いてない。だがガキさんはいつだって真剣なのだ。
「ほら、ここが職員室だよ」
「ありがとー亀」
「じゃ絵里、もう教室行くね」
「うん。またね」
職員室の前で3人と別れた絵里ちゃんは、誰に話しかけられるでもなく教室へ向かっていた。
その様子をみていた3人はおのおの感づいたようだった。
もしかして絵里ちゃんは友達がいないのだろうか。
「でもれいな達もう友達やん」
「家族に近いけどね」
「そうそう。れいなとさゆ、もう行きな」
「うん。ガキさん頑張ってねー」
時間もないし、2人を追いやるように職員室に入れたガキさん。といっても自分も入らなければいけないのだが。
れいなとさゆみちゃんは2年生の先生方が集まるとこへ行ったようだ。ガキさんはその隣の3年生の先生が集まるとこへ行き、名前を言ったのだ。
- 43 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:29
-
「あのー、新垣里沙ですけどー・・・」
「あぁ、転校生ね。んじゃ一緒にHR行こう」
「は、はい・・・」
ガキさんはチラッとれいなとさゆみちゃんを見た。とてもかったるそうに歩くれいなに、鞄からでっかい鏡を取り出して前髪を気にするさゆみちゃんがそこにいたのだった。
まぁ、あれならきっと大丈夫だろうなー、なんて思ったガキさんであった。
「はーい。席に着いてー。転校生紹介するよー」
一気に騒がしくなる教室。どうやら誰も知らなかったようだ。ガキさんのドラマチック脳内では、そんなの既に知ってたぜっ!待ってました転校生っ!!みたいなのを期待していたのだが。
いや、実際そんなことはどーでもよかったのだ。一番気になってたのは、あの絵里ちゃんに友達がいないんじゃないかってことだけ。
「じゃあ、自己紹介して」
「あ、あぁ・・・はい。横浜からきました。新垣里沙ですっ!よろしくぅー」
ガキさんの自己紹介はどっかのアイドルみたいで、黄色い声援が飛び交う。あいにくここは女子高なので、男子生徒はいないため、ガキさんがモテモテになる日はまだこない。
だが今の挨拶は好印象を植えつけられたみたいだ。そのかわりにいつの間にかガキさんへの質問タイム。
「ねぇねぇ、どこら辺に住んでるのー?」
「あのねー、○×駅のすぐ近くのマンション」
「えぇっ!あそこって高級マンションじゃんっ!!ひょっとして金持ちとか?」
「いやいや。そーじゃなくって、あそこの最上階にみんなでルームシェアしてんの。生まれも育ちも違う人ばっかなんだけどね、そこに亀も住んでるよ。部屋も一緒だし」
「え・・・亀井も?」
- 44 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:30
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一気に冷める教室。みんなの視線の先には、俯いたままの絵里ちゃん。さっきからずっとガキさんの顔も見ず、ずっと下を向いたままなのだ。ガキさんは少し悲しくなった。何が悲しいって、自分の話を聞いてくれない絵里ちゃんにじゃなくって、やっぱり自分の勘が当たってしまったことに、悲しかったのだ。
「亀はさー、とても明るい娘だよ。学校ではどーか知らないけれど。でもすっごく明るい娘。いつでも笑ってるし、ワケ分かんない話したり、ギャグ言ったり。同じ部屋なんだけど、亀のとこだけ汚いんだよ」
「えぇーっ!!亀井ってあんなに大人しそうなのに部屋汚いんだー」
「ってか大人しくないよ?亀はいっつも五月蝿いもん」
少しずつだけれど、ガキさんが絵里ちゃんのことをみんなに教えてあげる。
すると意外だったのか、絵里ちゃんのことについてクラスメイトが聞いてくるようになった。例えば普段はどんな話をしているのかとか、私服はどんなだとか、色々聞いてくるけれど、ガキさんは知っているだけ絵里ちゃんのことを教えてあげる。
少しずつでいい。絵里ちゃんの本当の素顔を知ってもらいたかった。
「へぇ〜、亀井ってけっこうおもしろいやつなんだねー」
「うん。そうだよ。適当だけど、毎日亀がいるから楽しいもん」
「なんか意外だなー。いっつも独りで友達とかいなかったしさー」
「いるじゃん、ここに。ね、亀?」
自分の素顔をガキさんにバラされて恥ずかしく、耳まで真っ赤にして俯いていた絵里ちゃんは、ガキさんの呼びかけにゆっくりと顔を向けた。
やっと絵里ちゃんの顔が見れたガキさんは、少し安心した。でも違う。こんな顔じゃない。
ガキさんが絵里ちゃんに呼びかけたせいで、クラスメイトはみんな絵里ちゃんのほうを見ている。
こんなんじゃない。絵里ちゃんの本当の素顔はこんなもんじゃないんだ。
- 45 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:30
-
「あたしはもう亀の友達だよねー?」
真っ赤だった絵里ちゃんの顔。それがさらに真っ赤に染まっていく。もう体中真っ赤かもしれない。
ガキさんの言葉が届いた証拠だ。ほらほら、絵里ちゃんの唇がふにゃふにゃになっていく。だんだんと笑顔になっていく。
そうだ、これなんだ。ガキさんが毎日見ているこの満面の笑み。これをガキさんはクラスメイトに見せてやりたかったのだ。
どうだ、絵里ちゃんはこんなにも可愛い笑顔を持っているんだコノヤロー。
「ガキさん・・・・・・暴露しすぎーウヘヘ」
絵里ちゃんの第一声は暴露しすぎという忠告、むしろ警告だった。
それに爆笑するクラスメイト。してやったりのガキさん。
まだ絵里ちゃんは恥ずかしいみたいで顔はほんのりピンクだけれど、とても嬉しそうでなにより。
このままじゃ纏まらないと、やっと気付いた担任がこれからを言う。
「んじゃー今日は授業ないから、今から席替えするぞー。面倒だから勝手に好きなとこ座ってー」
一瞬だけ静かになった教室だがまた騒々しいものに。
席を決めるために生徒はあっちゃこっちゃに動き回る。それにぶつからないように絵里ちゃんのとこに行くガキさん。
絵里ちゃんの傍にきた瞬間に、もぉ・・・と腕を軽く叩かれた。
でもちゃんとお礼も言われたのだった。ガキさんありがとう。と言ってくれた。
「亀、一番後ろの窓側いこーよ、ほら」
「うぇえっ!?・・・ちょ、ガキさん」
絵里ちゃんの腕をむんずりと掴み、引っ張り窓際の一番後ろへと席を確保する。
今まで誰かとこんなことしたことないのだろう絵里ちゃんは、とっても嬉しそうに笑顔を見せてくれる。
そんな絵里ちゃんを見て、ガキさんも心から嬉しくなったのだ。
- 46 名前:新学期 投稿日:2007/09/14(金) 01:31
-
「亀は絶対授業中とか居眠りしそうだし、起こしてあげるから」
「とかなんとかいって、ホントはガキさんだって・・・」
「しーまーせーんー。あたしマジメだもーん」
それから10分くらいたつと、クラスのみんなも自分の席を確保できたようで、席替え終了となる。
すると今度は、宿題を提出しなければいけないのだが、昨日までできていなかった絵里ちゃんはガキさんに教えられてやっとできた宿題を、忘れてきてしまったのだ。
「あんたちゃんと鞄に入れなさいって言ったでしょーがぁ」
「うぅ・・・忘れちゃったぁ」
「あたしはちゃんと・・・ってあれ?」
どうやらガキさんもちゃっかり忘れてきてしまったようだ。
2人とも昨日のことを思い出す。昨夜、宿題ができていないと言う絵里ちゃんに、教えてあげるためガキさんは鞄から宿題を出し、それを見ながら絵里ちゃんにあれこれ教えてあげていたのだ。そして、明日起きれないと困るからと、机に宿題を出したまま眠りについたのだ。そして朝かられいなの寝坊事件があって慌しく家を出たのだ。
「はぁ・・・れいなを起こす前に気付くべきだったかぁ・・・」
「いや、きっと寝坊したれいなが悪いんだよ。あとでお菓子買ってもらおっと」
「そんなんで解決すんのかよーってもともと亀がー・・・」
「それはナシだよガキさーん」
そんなこんなでガキさんには初めての学校ももうおわりを告げる。
今日は1年生の入学式が午後からあるため、午前中で2、3年生は終わりなのだ。
れいなとさゆみちゃんにメールで校門に集合させて、また4人で仲良く家へと帰っていったのだった。
やっぱり部屋では絵里ちゃんのところだけ汚く、机には2人の宿題が開いたまま置いてあったとさ。
- 47 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/14(金) 01:31
-
- 48 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/14(金) 01:38
-
レスです
>>26 名無飼育さん
ありがとうございます。
まさか投下中に見られていたとはww
>>27 名無飼育さん
ありがとうございます。
妄想だけはたくさん思いつくんですけどねw
>>28 名無飼育さん
ありがとうございます。
天才なんてそんなww実際こんなのがあったらいいなと思っただけですがなw
読んでくださったみなさま、ありがとうございます。
誤字脱字などありますが、見逃してやってくださいw
あと、基本sageで行きたいのでご了承くださいな。
- 49 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/14(金) 02:49
- sage更新ですか!勿体ないけど作者さんの方針ならしょうがないか。
うん亀ちゃんってこんな感じするね、ガキさんGJ。
- 50 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/14(金) 09:43
- なにこの神設定
萌え氏しちゃうYO
- 51 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/15(土) 02:02
- なにこれ
好きすぎる
作者さん素敵な話をありがとう
- 52 名前:名無しさん 投稿日:2007/09/15(土) 15:58
- やべっマジヤベェ
最強だよ作者殿
- 53 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/15(土) 21:29
-
- 54 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:29
-
「田中れいなでーす。よろしくお願いしまーす」
「ヤンキーみたーい」
「なわけないやろー」
ここは2年生のクラス。自己紹介をしたれいなをヤンキー呼ばわり。
でもウケは取れているので、れいなはきっと問題がない。となると、さゆみちゃんは・・・。
「はいっ!道重さゆみですっ!世界で一番可愛い女の子ですっ!!」
「・・・・・・・・・」
「つかマジこんな感じでいいから。ちょっと壊れキャラやけん、さゆ」
「ちょっとれいな酷い」
「ってか普段はもっと普通に喋っとーやん」
「さゆみはいつも可愛いもんっ!」
「はいはい」
さゆみちゃんとれいなのやり取りに爆笑するクラスメイト。
さゆみちゃんが自己紹介したときは確かにれいなだけでなくクラス全体がドン引きしていたのだが、れいなの返し方を聞くと『言い返しができる作り物キャラ』なんだと分かり、一安心しているクラスメイト。たまに極稀にいる『言い返しができない本気でぶっ飛んだ娘』だったらどうしようと思っていたとこだったのだ。
「まぁこんな奴らやけど、仲良くしてねー」
「れいな仲良くする気なさそうに聞こえるよ」
「何言うと?さゆのバカちん」
「れいなカワイクない」
- 55 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:30
-
何か言うたび喧嘩に聞こえるのだが、これが2人の間では普通だったりするのだ。
暴言を言われてもまったく気にしないし、すぐ忘れるとこが2人のいいところだし。
そんなこんなでこの2人は宿題も忘れずに提出すると、簡単なHRを終わらせ、メールで呼び出された校門へと急ぐのだった。
「ほら、さゆ。2人待っとるかもしれんけん。急ぐっちゃ」
「ちょっと待ってよ、れいなー」
ガキさんと絵里ちゃんは、れいなとさゆみちゃんが校門についてから10分後にやってきたのだった。
どうやら宿題を忘れたからほんの少し絞られてきたらしい。
なんでかやっぱりれいなのせいにしたがる絵里ちゃん。朝にドタバタ騒ぐからだと言ってくるのだ。
「ってか絵里やって占い普通に見とったやん」
「分かってないなーれいなは。占いは大事じゃんっ!」
「その時間に思い出せば宿題忘れんかったやろーが」
「いーやっ!!占いは大事っ!見逃したら運勢最悪になるもん」
絵里ちゃんの言っていることに律儀に反論するれいな。
確かに絵里ちゃんは占いを見ていた。しかもボーッと。もう完璧に宿題のことなんて頭から消え去り、自分の星座のとこだけに集中していた。だがしかしっ!絵里ちゃんの星座は10位だった。たいして良くない。ってか悪い。
もう宿題のことはどーでもいいじゃんとガキさんが言うまで2人は言い争っていた。
その間のさゆみちゃんはずっと鏡を見ながら歩いていた。何度かぶつかりそうになりながら。
途中にファミレスに入り、昼食を採るだけのはずが、帰るときは3時を過ぎていたのだ。ほんっとお喋り大好きなんだからこの娘達は。
「「「「たっだいま〜っ!!!!」」」」
4人は玄関のドアを開けるなり、大きな声でただいまと言ったのだが反応がない。
でもリビングにはテレビが付いている。ということは誰かいるのだ。それが麻琴だというのは玄関にあった靴でもう分かっている。なのに反応がない。しかも姿までもがない。
- 56 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:30
-
「あっれぇ?まこっちんトイレかなー?」
「え、でも入っとらんよ」
「じゃあ部屋にいるとか」
「リビングのテレビ付けっぱなのに?」
4人でどこにいるか探しながらリビングに到着。麻琴はソファーで寝ていたのだった。
クッションを抱っこしながら横になって眠っている。その姿を制服4人が囲む。でも麻琴はまだ起きない。
その寝顔が可愛いもの好きのさゆみちゃんにヒットしたので、こっそり寝顔を写メしたのだ。
「きっと仕事で疲れてんだよ。寝かせてあげよっか」
「そうだねー。さ、着替えよーっと」
4人は行きとは違い、忍者もお手上げな程の忍び足でおのおの部屋に帰っていった。
制服は着替えてちゃんとハンガーに掛けたガキさん。
絵里ちゃんはそこら辺に放り投げたが、すぐさまガキさんに注意されしぶしぶハンガーに掛けた絵里ちゃん。
開けっ放しのクローゼットの真ん中に、おっきい制服とちっちゃい制服をハンガーに掛けるさゆみちゃんとれいな。
「・・・しょっと」
絵里ちゃんはそのままさゆみちゃんとれいなの部屋に遊びにいったのだが、ガキさんはまたリビングに戻ってきた。
麻琴が寝やすいようにとテレビを消し、自分の毛布を麻琴に掛けてあげたのだ。まさに女神。ビーナスガキさん。
そして優しく微笑み、自分もさゆみちゃんとれいなの部屋に行ったのだった。
「くぁ・・・あーよく寝た」
突然ムクッと起き上がり、麻琴はリビングの時計を見た。もうすぐ夕方5時。
まだ高校生組は帰ってきてないのかな?と思ったところで、自分に掛けられた毛布に気付く。
「これ、ガキさんのじゃん」
自分が寝てるから起こさないだけじゃなく、気付けばテレビまで消してくれて尚且つ毛布まで掛けてくれただなんて、さりげない優しさに心がキュンキュンしちゃう麻琴。今すぐ感謝の言葉を述べに行こうではないか。
ガキさんの毛布をキレイに畳んで左腕に持つ。そして2人の部屋に行こうと思ったら、なんだか賑やかな声が向こうの部屋からわんさか聞こえてくる。
そうか。さゆみちゃんとれいなの部屋にいるんだ。
- 57 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:31
-
「ごめーん。入るよー」
「あっ!まこっちん起きたんだー。おはよー」
「おはよーってかマジありがとねー、これ」
「あぁ別に全然いいってー」
賑やかだったところに突然お邪魔しちゃって悪かったかな、と思うのも束の間、麻琴は引っ張られるように話の中へ連れ込まれてしまったのだ。
今まで何を話していて、こんなに盛り上がっていたのだろうか。
「もうすぐ、吉澤さんの誕生日なんだけど、サプライズしちゃおーよ」
「さっきから良い案が浮かんでこんけん。まこっちゃん何かない?」
「吉澤さんはさゆみの王子様なの」
すっごい企んでやりたいって顔の絵里ちゃんと、いい案を本気でさがしているれいなに意味不明なさゆみちゃん。
麻琴もなにか必死で考えるが、なかなかピンとくるものがない。何か吉澤さんを感動させられるサプライズが見つからないだろうかと5人で悩む。そのうち大学生の愛ちゃんとコンコンも帰ってきて、今度は7人で悩む。
「あーし思うんやけど」
「意見は挙手制でお願いします」
「はい、ガキさん」
「どーぞ愛ちゃん」
「こーゆーときは美貴ちゃんに聞こうよ」
じゃあ今までの時間はなんだったんだと揉め始めるが、初めての誕生日なんだしみんなで考えて、楽しいサプライズにしようということで、藤本さんの帰りを待つ。
その間に麻琴へメールで、『今から2人で帰るからー』ときたので、ご飯を作って待つ。
今日の献立は麻婆豆腐にチャーハンだ。とってもおいしそうにできたようだ。ということは作ったのはさゆみちゃんじゃないということ。ガキさんと絵里ちゃんが作ったのだ。
- 58 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:31
-
「たでーまー」
「ただいまー。あ、良い匂いするー」
2人が帰ってくるなり7人とも犬のようにドタドタ走って玄関へ。おかえりなさいというと、2人は微笑んでくれた。
それに調子に乗ったさゆみちゃんが『ご飯にする?お風呂にする?それともぉ・・・』とお決まりのセリフを言うが、誰にも突っ込んでもらえずショックな顔を鏡で確かめていた。でも可愛いから大丈夫らしい。
「うぉっ!ちょーうまそーっ!!」
「もう食べていいの?」
「「「「「「「食べよ、食べよー」」」」」」」
9人でいただきますを言って食べる。麻婆豆腐はでっかいお皿にドスーンといるので、食べたいだけ別のお皿に盛ってから食べるのが礼儀だが、そんなことをこの家でしていると洗う食器が増えて面倒も増える。よってでっかいお皿からそのまま口に運んでいくのだ。
「ってか早い。よっちゃんと麻琴、食うの早すぎ」
「えっ!?まだ食べるけど?」
「そうそう。まだ食べ終わってないから美貴ちゃん」
チャーハンは人数分しかなかったので、おかわりができないのだが、麻婆豆腐ならまだいっぱいある。
吉澤さんと麻琴がバクバク食べたので、全員完食することができた。とてもおいしかった。
こういう風に、この家ではご飯が次の日に残る、なんてことはない。9人もいれば毎回完食で、毎回ご飯をつくらねばならないのだが、致し方ないかなと絵里ちゃんが偉そうに言っていた。
「ふぃ〜食った、食った」
「ねー。ってかさ美貴今まで1人暮らししてたころ、こーやって家でご飯とかあんまり食べたことなかったなー」
「それあたしも。外食ばっかだったもん」
「こーゆーのってさ、すっごい贅沢だと思う、美貴の中で」
「うん、そうだね。当たり前だけど大事な事だよなー」
吉澤さんと藤本さんがなかなかいいことを言っていたのだが、今まで食器洗いをしていた子どもチームが戻ってくるなり、お風呂を沸かしたから吉澤さん入って来いと促す。
一番風呂は好きな吉澤さんだが沸かしてもらったのはなんか悪いし、先に入っていいよと一番風呂の権利を譲るのだが頑なに断ってくるので、お言葉に甘えてお風呂に入りに行ったのだ。
これで最低30分は上がってこない。今のうちと言わんばかりに、藤本さんの周りに群がる7人。
- 59 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:32
-
「来週、吉澤さんの誕生日やけん。なんかしたいんやけど、藤本さん良い考えない?」
「え?なに急に」
「誕生日にサプライズしよーと思って」
「・・・なんだよ、そーゆーことか」
「何が?」
「いやさ、なんで美貴に風呂入れって言わないんだろーって思ってさ」
別に吉澤さんは入浴中なので声は絶対届かないはずなのに、小声で会議を開く8人。
藤本さんが言った何気ない一言が、サプライズ企画へと昇格したのでその実行について話し合うのだ。もちろん小声で。
「じゃあ美貴が今日みたいに一緒に帰ってくるよ」
「そうそう。それで部屋を真っ暗にさせて、ケーキのろうそくだけ火が灯ってるの」
「ケーキは学生組が当日必死でつくらなあかんやん」
「じゃ、じゃあ部屋の飾りつけは?」
「明日ハンズにでも行って買ってくればいいじゃん」
「ってか美貴ちゃん、何にもしないじゃんかよー」
「するするっ!!ん〜・・・あ、美貴その日休みだわ・・・」
ということで藤本さんは丸一日休みだったことを思い出して、つい言ってしまったのだった。
シフトでは本当に休みになっていたので、カフェの店長でもある藤本さんがケーキをつくることになった。部屋の飾りつけは明日にでも材料を買ってきて、みんなでバレないようにコツコツ作っていくことに。
「え、でも部屋の飾りつけとかも当日にやんなきゃじゃん」
「あら、美貴ちゃん大変だねー」
「ふっざけんなっ!てめーら当日ダッシュで帰って来い」
当然飾りつけは学生チームが担当することに。藤本さんが休みでケーキをつくるので、迎えに行けないため麻琴が吉澤さんのお迎えに行って一緒に帰ってくるのだ。一応これで作戦は完璧のはず。
「・・・誕生日プレゼントはないの?」
「あ、忘れてた」
「そうだそうだ。どーしよっか」
吉澤さんをビックリさせたくて作戦を練っていたのに、誕生日プレゼントなしとか違う意味でビックリだから。
そんなことはさせられないと、また悩み始める8人。すると浴室のドアが開いたのだった。
- 60 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:32
-
「うぉーい、上がったよっ!みんな早く入っちゃえー」
「やべっ!いいか、タオルでいいよもう。よっちゃんだけじゃなくって、みんなでお揃いのバスタオル」
「あ、それ可愛いっ!!みんな色違いとかでさ」
「そうっ!!んじゃ決定ね」
「ん?何の話してんの?」
「えっ!?いや風呂の順番だよ。時間足りないからさ、美貴達で入ってくるよ」
「あ、そう。早く入ってきなー」
「うんうん。いくぞお前ら」
藤本さんにむんずと首根っこ掴まれたガキさんと絵里ちゃん。9人もいると一人ひとりで入浴では時間が掛かってしまうため、こうして複数で入ることは珍しくない。
しかもさっきの提案をもっと詳しく話し合えるし、一石二鳥だ。
「さっきの話なんだけどさ、洗濯して畳むときとかに面倒なんだよ」
「あー確かにね」
「そう。色だと分かりやすいじゃん。あ、これ誰のだとかって」
「うん、いいじゃん。で?色は?」
「虹色でいいんじゃない?」
「でもそれ7色」
「じゃああとはご自由に」
お風呂では藤本さんとガキさんが浸かっている。絵里ちゃんは先に体やら髪やら洗っているので、2人の会話に入ることができない。よって2人で話し合い、決定したのだ。
ガキさんはお風呂から上がって、寝る前に子どもチーム全員にお伝えすることになった。
「じゃ、じゃあいつ買いに行く?」
「明日ハンズで飾りつけの買い物するし、ついでに買いにいこうよ」
- 61 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:33
-
今は日付が変わるか変わらないか際どい時間帯。吉澤さんと藤本さんは明日も仕事なため、もう夢の中。
それを確かめると7人でリビングに集まり、ガキさんがさっきのお風呂のことを伝える。
「で、色なんだけど吉澤さんは紫、ミキティは赤、愛ちゃんは黄色、コンコンはピンク・・・」
「さゆみもピンクがいいの」
「じゃ、じゃあさ、さゆはパッションピンクでいいじゃん」
「やったー!」
「さゆうるさい」
「そんでまこっちんが青であたしは黄緑、亀はオレンジ、れいなが水色で決まりね」
決まったタオルの色を忘れないようにしてメモに取り、お開きとなった。
ガキさんは重大なそのメモを鞄にちゃんと仕舞い、宿題も詰め込んでベッドに入った。
これで明日は忘れ物なんか絶対にないんだかんねっ!
- 62 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:33
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- 63 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:33
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「「「「いってきまーすっ!!!!」」」」
朝からも五月蝿い高校組が学校へ一足先に行ったのだ。それからしばらくして昨日は休みだった麻琴も仕事へ行く。
少しだけ静かになったところで藤本さんと吉澤さんも仕事へと行った。
残ったのは愛ちゃんとコンコンだけになった。
「いやー一気にみんないなくなるんだねー」
「そうやねー。すっごい今静かやでぇ」
毎日朝はなにかとドタバタしているで、一番五月蝿いのが朝かもしれない。
やっとゆっくりできると思いきや、2人も大学があるのでもう出なければ行けない時間。
「さてと、行きますか」
「あいよー」
朝の10時を過ぎると、今までが嘘のように誰もいなくなるこの家。
いつもは壊れるぞと吉澤さんと藤本さんが怒るくらい賑やかなこの家も、誰もいなくなれば物音すらしなくなる始末。
一番寂しいのは誰もいなくなったこの静かな家なのかもしれない。
- 64 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:33
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- 65 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:34
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「さぁーてっ!帰るぞ亀ー」
「がってんでぃっ!」
今日からはちゃんと最後まで授業があるので、もう3時きっかり。掃除当番はまだ回ってこないし、れいなとさゆみちゃんも校門に向かっているかもしれない。ダッシュで帰る準備をして、絵里ちゃんと教室を出ようとしたのだが。
「ねぇねぇ、ガキさんに亀ちゃん」
「「ふぇえっ!?」」
ドアまであと半歩。2人はクラスメイト数名に引きとめられたのだ。
昨日のガキさんの件以来、クラスメイトはガキさんと絵里ちゃんに興味深々なので、遊びに行こうと誘ってくれたのだった。
いやまぁタイミングが悪い。絵里ちゃんにはガキさん以外の人とお友達になれるチャンスだし、ガキさんもまた同じで予定さえなければその誘いに乗るのだが、今日はそうもいかない。
一緒に暮らしている人の誕生日が近いからみんなでサプライズを企画している。今日はこれからその買出しにいかなければいけない旨を伝えたのだ。
「そっかー。残念だけど楽しそうだし、成功したら教えてね」
「うん、ほんとごめんねー。また今度こっちから誘うからー。ね、亀?」
「ぉ、おおうっ!!ささ、誘う誘うー」
「亀、もっと普通でいいの。それどもりすぎだから。じゃ、みんなバイバーイ」
「バイバーイ」
クラスメイトに今度はこっちから誘うと約束し、別れの言葉を伝えるとダッシュで教室を出る2人。
案の定そこらへんにいた先生に廊下を走るなと怒られたが、そんなの知ったこっちゃない。
しかも一番急ぎたいガキさんよりも絵里ちゃんのほうが足が速い。ガキさんの視界では絵里ちゃんはもうマッチ棒だ。
やっとこさ着いたガキさんが肩で息をしているのに、絵里ちゃんは先に着いていたので涼しい顔。なんかムカつく。
そんな2人をちょこっとだけ待っていたさゆみちゃんとれいなはもう待てない様子。
「じゃ、行くよー」
「うぇええっ!?ちょ、まだ苦し…」
「いいから急ぐの」
- 66 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:34
-
まだ苦しいガキさんの両腕を抱えて歩き始める絵里ちゃんとさゆみちゃん。その隣でれいなが楽しそうにしている。
一旦家に帰り、着替えてから電車に乗りハンズに向かう。何を買おうか決めていなかったので、4人はまたここでも悩む。
悩みすぎて変装グッズに手を出そうとしていたくらいだ。
「ちょ、ちょーっと亀ー」
「もういいじゃん、こーゆーので」
「よくないでしょーがぁっ!こんなの探しにきたんじゃないのっ」
もう探すのも飽きてきちゃった絵里ちゃんだけど、ここはぐっと我慢して真剣に探す。
折り紙を買って、でっかいパネルも買って、どっかのアイドルの団扇の縁に付いてるようなキラキラしてるやつもいろんな種類を買って、いろんなマーカーも買って飾りつけの材料は終了。今度はタオルを買いに行く。
「ねぇねぇ、どんなやつがいいかな?」
「これでいいっちゃろ」
れいなが選んだのはバスタオルにフェイスタオルがセットだけれど、結構安くてリーズナブル。
色は9人分が丁度あったし、大きめのバスタオルで可愛くさゆみちゃんが気に入ったので購入することに。
みんな2セット分買い、吉澤さんの紫だけ包装してもらい、大きな紙袋3つも渡されたので絵里ちゃんとガキさんで持つ。
これで4人は両手が塞がってしまうほどの大荷物の中電車に乗り、家の最寄り駅で降りたところで愛ちゃんとコンコンに偶然出くわしたのだった。
「げ!?やだなー、この状況・・・」
「なぁに言ってんの愛ちゃん!ほら持ちなさい」
「頑張れー愛ちゃん」
「こらー。コンコンもっ!」
ということで6人で荷物を持ち、吉澤さんにばれないようにと一番部屋が大きい3人の部屋にそれを仕舞ったのだ。あとは社会人組が帰ってくるまでにご飯を作る愛ちゃんとコンコン。折り紙を小さく均等に切り、輪っかにしながらそれを繋げていく作業を4人でしていたのだった。
「たでーまー」
- 67 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:35
-
この変わった言い方をするのは1人しかいない。吉澤さんだ。
ヤバい、もう帰ってきた。まだご飯はできてないのはいいとして、4人がリビングにいないのは結構不自然すぎる。と思った愛ちゃんはダッシュで3人部屋に行き、部屋から出てくるように促す。
「あ、吉澤さん。おかえりなさーい」
「きょ、今日は早かったのね。オホホ」
部屋から出てくるなり帰ってきた吉澤さんとバッチリ目が合ってしまった4人は、隠していることがバレないように平然を装ったつもりなのだが、演技が下手な為、棒読みにキモい笑いと散々だ。
だが鈍感な吉澤さんはそんなことを不審にも思わず、ただいまと言うと着替えに自分の部屋に戻っていったのだった。
「今のってセーフ?」
「・・・かもね」
「ま、とりあえず中断ですな」
「そうですな」
4人はそのままキッチンに行ってご飯を作るのを手伝ってあげました。
その間、吉澤さんは夕方のニュースをでっかいテレビでみながら胡坐をかいていましたとさ。
- 68 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:35
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- 69 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:36
-
吉澤さんの誕生日は明日になりました。もう飾りつけもなんとか終わりを迎えそうで、吉澤さんがお風呂に入っている間に8人で3人部屋に閉じこもり、仕上げに向かうのだった。
折り紙はクシャクシャにならないようにでっかいビニール袋に入れて麻琴のベッドに置き、パネルはもう書けたし飾りつけも終わったのでコンコンのベッドの下に隠しておく。
あとは壁に飾る、紙で作る花だ。ほら入学式とかでよくみるあれ。
なんだけれど、どうもうまくいかない。花ビラの開きがキレイにできないのだ。
「つかさ、このやり方であってんの?」
「なに言ってんのミキティ。あたし幼稚園で作ってたんだよコレ」
「ってか過去すぎるし。しかも自慢するほどうまくできてないから」
ガキさんと藤本さんのやり取りを隣で聞いていたコンコンだが、彼女が一番キレイにできていた。
他はうまくできないようで、不思議なお花畑で部屋中わんさか、メルヘン世界に。
でも完成させるとすぐにそれを仕舞って完璧のはずなんだけど・・・。
「おぉーい。みんなしてまだ起きてんのかー」
ノックがした瞬間8人フリーズ。でもドアを開けずに吉澤さんは話し始めたので、気を取り直した8人がバタバタと証拠隠滅に精を注ぐ。麻琴のベッドには折り紙でつくった飾りがたんまり入っているのでそれにブァサッっと布団を被せ、コンコンのベッドの下にはパネルが隠されてあるので見えないように布団を引き擦るし、お花畑を見られては元も子もないと鷲?みでビニール袋に詰め込む。
もうすでに遅い気がしてならないけれど、不審がられないように藤本さんが吉澤さんにやっと返す。
「いやー亀ちゃんが悩み事打ち明けるからさー」
「えっ!?なんで絵里?」
「しっ!・・・黙れそして合わせろ」
「・・・分かりました美貴様」
藤本さんの声を聞いた吉澤さんは、絵里ちゃんが悩んでいると言われ、そうなの?入るよーと断りを入れて、ゆっくり入ってきたのだが、なんだか不自然な部屋が目に入る。麻琴なんてベッドにダイブしてるし、コンコンは布団引き摺り降ろした上に座っているし、藤本さんと絵里ちゃんの体がやけにピッタリくっついているし、基本みんなの両腕が背中に回されている。
それに8人もいるとすごくギュウギュウに感じたし、どうしてリビングで話さなかったのか気になったが、深くは考えない性格の吉澤さんだった。
- 70 名前:誕生日はサプライズで 投稿日:2007/09/15(土) 21:36
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「亀ちゃん悩んでるの?」
「でも解決したんだよね。亀ちゃんが痩せればいいってことで」
「・・・よくは分かんないけど別に痩せなくてもいいんじゃない?」
「だってさ、亀ちゃん」
「そーだよねー、さっすが吉澤さーん」
「・・・あたしもう寝るけど、夜更かしすんなよー」
「んじゃ美貴ももう寝ようかなー」
「「そんじゃあおやすみー」」
「「「「おやすみなさーいっ!!」」」」
吉澤さんが不審に思わないように、藤本さんもその後をついて自分の部屋に戻っていった。
まるで嵐が去ったかのようにぐったりする7人。みんなで顔を見合わせ、でっかいため息をついた。
「バレて、ないよね?」
「大丈夫じゃない?ってか絵里太ってないしー」
「明日にでも美貴ちゃんに聞いてみれば?『絵里、太ってる?』って」
「うぅ・・・き、聞けない・・・」
「ま、いいよそんなの。とりあえず今日は解散しよ」
「「「さんせーいっ!!」」」
少しして4人が部屋に帰ってから、麻琴は布団を剥がして唖然としたのだ。なぜなら麻琴がダイブしたおかげで折り紙の入ったビニール袋が大分潰れていたのだ。麻琴ウマイっ。いやいやダジャレを言っている場合ではない。
恐る恐る袋から出しているところを2人に見られ、状況を説明すると、2人も一緒に直してくれたのだった。
そんなことはまったく知らない4人はもうすでに夢の中で吉澤さんを一足先にお祝いしていたのだった。
- 71 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/15(土) 21:37
-
- 72 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/15(土) 21:43
- >>49 名無飼育さん
ありがとうございます。
いやいや、自己満炸裂なのでageちゃうと恥ずかしいじゃないですかw
>>50 名無飼育さん
ありがとうございます。
萌え氏しちゃってYO
>>51 名無飼育さん
ありがとうございます。
そんな…テレちゃうぞwこれからも読んでやってください。
>>52 名無しさん
ありがとうございます。
マジかよ最強かよ、調子乗るぞコノヤロー
ゴメンナサイ生意気言いましたw
- 73 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/15(土) 21:43
- さ、次回はいつになるかなw
- 74 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/15(土) 22:39
- あーやっぱりこの作品和みます(*´Д`)
みんなで協力してどうなるのか続きゆっくりお待ちしてますw
- 75 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/16(日) 00:51
- うん、楽しいね。
- 76 名前:名無しさん 投稿日:2007/09/16(日) 06:52
- 調子のっても構わないくらいの作品っすよ
まだまだ色んなサプライズ待ってます
- 77 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/22(土) 18:52
- なんか自然に笑顔になっちゃいますね(^-^)/
ぜひ続きが読みたいですZ
期待作に間違いないッスよ
- 78 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/23(日) 04:11
- すごい微笑ましい、気持ち良い雰囲気ですね
期待です!頑張ってください!
- 79 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/09/29(土) 23:18
- まだかな??
- 80 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/30(日) 00:45
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- 81 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:46
-
今日はやってきましたっ!吉澤さんのお誕生日っ!!
まだ陽が出てまもないころ、麻琴はむくっと起きた。そして寝ている2人を起こさないように部屋から出て、リビングのソファーにどかっと座った。
音を小さくしてテレビをつける。この家は防音なのでリビングの音は各部屋に漏れないようになっているのだが、そこはやっぱり常識として音は控えめに。
そのままテレビを見るわけではなく、でっかいあくびをしながら顔を洗いに洗面所へ向かう。
麻琴がさっぱりしてリビングに戻ってくると、すっごく眠そうな藤本さんがソファーに倒れていた。
「ちょ、どーしたの美貴ちゃん」
「おぁよ・・・」
「おはよ・・・ってか今日休みなんでしょ?」
「・・・うん」
「じゃ、なんでこんな早く・・・」
「・・・みんなのご飯作ろうと思ってさ」
なんと藤本さんは自分が休みだから、今日の朝ごはんは自分が作ってやろうと思ったのだった。
なんとか早起きしたのはいいが、眠気がなくなったわけではないので相当辛そう。
そのまま寝かせてあげたいと麻琴は思ったのだが、藤本さんの心意気と自分が楽できるというダブルメリットにやられて、無理矢理担ぎながら洗面所へ連れて行った。
「あースッキリ。さて飯でも作ってやるかー」
「ありがとね、美貴ちゃん」
「麻琴は仕事行く準備でもしてな」
「ほいほーい」
- 82 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:46
-
藤本さんがご飯を作っている間に、麻琴は着替えて鞄もリビングに持ってきて準備万端。するとだんだんぞろぞろとみんなが起きだしてきたのだった。もちろん吉澤さんも。
「うーっす」
「おめでとう吉澤さん21歳」
「あ、覚えてたんか。ありがとうな麻琴」
まだ起きたばっかで覚醒しきれてなかった吉澤さんに、麻琴が祝福の言葉を捧げると他のメンバーも飛びつくようにおめでとうと吉澤さんに抱きつく。朝から吉澤さんはモテモテ。でもちょっと迷惑。
「わーかったから。早く飯にしよーぜ」
「もうできてるぞー」
「えっ!?ミキティ起きてたの?」
「あたりめーだろ」
「マジかよー。超静かに部屋から出てきたのにー」
藤本さんがまだ寝ているだろうからと、確かめもしないで静かに部屋から出てきた無意味な吉澤さんも顔を洗ってスッキリしたところで、みんなで朝ごはんになる。
今日のメニューはコーンスープにフレンチトースト、シーザーサラダとデザートにイチゴヨーグルト。
全部藤本さんの手作りなので、とってもおいしい。みんなしてうまいうまいと食べていたらあっという間になくなってしまったのだ。ペロッと平らげたお皿をみると、すごく嬉しくなった藤本さん。
- 83 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:47
-
「後片付けは美貴がやるから、早く支度しろお前ら」
「いやでも芸能ニュースが・・・」
「亀ちゃんは寝癖ひどいからダメ」
毎朝のことなのだが、洗面所を誰かが占領して小さな喧嘩になったり、櫛がないだのアイロンよこせだの騒がしいことキリがない。メイクをしていれば大事なアイメイクのときに限って誰かがぶつかってきて大失敗になり、ギャーギャーと五月蝿い乙女達。
やっとこさいなくなった高校生組のおかげでかなり静かになったと思えば吉澤さんがお出かけする時間。
「今日はよっちゃん何時ころ終わりそう?」
「いつも通りじゃないかな」
「そっかー。んじゃ麻琴を迎えに行かせるから」
「え、なんで?」
「一日くらいお姫様になりなよー」
「その相手が麻琴かよー」
危うく吉澤さんが拒否しそうになったのだが、それも軽い冗談で。麻琴が迎えに行くということは承諾してもらえたし、それを麻琴にも伝えて、絶対忘れるなと言い聞かせる藤本さん。肝に銘じて仕事に行った麻琴。
それから少しして大学生組もいなくなり、藤本さん1人になった。
とても静かな家に1人でいることは前までは当たり前だったのだが、今はもう当たり前のようには思えなくなった。慣れているはずなのに、なんだか寂しくて、つまらなくて。
でもこのままではいられないと気を取り直し、ケーキ作りを始める。
「ってか仕事じゃねーのに仕事してるとか・・・」
ぶつぶつ文句を言ってしまうのは彼女の口癖。でも別に嫌とかではないのだ。ついなんでも文句を言いたくなる性格で、本心で言っているわけではない。だから今もテキパキとスポンジ作りに励む。
ふんふん鼻歌なんか歌っちゃってるこの姿を見たら、絵里ちゃんあたりは藤本さんが熱でも出したのかと心配でもするくらいにちょっとご機嫌だったりする。
きっと吉澤さんだけじゃなく、食いしん坊なあの娘達も喜んでくれるだろうな。みんなでケーキ囲んで写真とか撮っちゃうんだろうなとか色々と妄想しつつ、ケーキを作る。
- 84 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:47
-
「あー、疲れた」
キレイにできたスポンジを半分に切ってイチゴをのせて黄桃ものせて、またスポンジを被せて。今度は生クリームを塗ったくってやらなければいけない。普段からこれも仕事のひとつとしてやっているだけあって手際がいい。
デコレーションだってお茶の子さいさい。チョコのプレートに『よっちゃん21才おめでとー』と書いて乗せると、ケーキを冷やそうと冷蔵庫を開けた。
「おいおい・・・スペースねぇぞ」
冷蔵庫の中には、毎回完食してしまうのでいつもたくさんの食料が入っている。今日もまたたくさんの量が入っていた。
朝ごはんをつくるときにも冷蔵庫を開けたのだが、気付かなかったようだ。
どうしようかと考えるも、整理してスペースを空けるのが一番だと思い、実践する。
「このギフト用ハムとか意味分かんないし」
冷蔵庫と格闘すること15分。その間にも冷蔵庫からはエコじゃない、温度あげないでもらえますー?早く閉めてくださいと怒り気味にピーピーと音が鳴っていたが、そこは完全にシカト決め込み、やっとのことでケーキが入れるスペースを確保した藤本さん。
「ぐぁー疲れたってのー」
時計をみたらもう2時すぎ。スポンジに時間をくったし、デコレーションも頑張ったので、もうとっくにお昼は過ぎてしまっていたのだ。だが生クリームとかイチゴとか摘み食いをしていたので、あまりお腹が減っていなかった。
でも夜ご飯までは時間があるし、どうしようかと考えていたら重大なことに気付いた。
「夜の飯、誰が作るの?・・・えっ!?パーティじゃないの?」
- 85 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:48
-
と、誰もいないので返事も当然ない。でもとても気になる疑問なのだ。
藤本さんが冷静に客観的に考えた結果、今からスーパーに買い物に行って食材を買い、また藤本さん自身が作るということが一番正解な気がしたのだ。とても面倒だし、疲れるのだがしょうがない。
自分で考えても自分がやったほうがいいと思うんだからしょうがない。
もともと猫背な背中が若干いつもより丸くなってしまいながらも、近くのスーパーでカートをガラガラいわせながら食材を選んでいたのだった。
「「「「ただいまーっ!!!!」」」」
「はい、おかえり。手洗って着替えて集合。3分以内」
「えぇーっ!?」
「今帰ってきたばっかやん」
「残り2分50秒」
藤本さんの有無を言わせない言葉を浴びせられ、バタバタと手を洗いにいく4人。
れいなが先だの、いや絵里だの、そこは可愛いさゆみが先だの、コーラー喧嘩しないだの、帰ってくるなりギャンスカ五月蝿い4人だが、今までずっと1人だった藤本さんからすれば賑やかが戻ってきたので楽しい。
そんな藤本さんの内心を知らない4人は本当に3分以内に着替えて、藤本さんの周りに集合。
「美貴様、集合いたしました」
「ごくろう。さぁ手伝え」
「さゆみお料理できな〜い」
「じゃあ飾りつけやって、亀ちゃんと」
ということで、身長の高いさゆみちゃんと絵里ちゃんが飾りつけ担当に。れいなとガキさんは藤本さんと一緒にご飯を作る。
いつもとは違うパーティ用なので、チーズをサイコロみたいに切ったり、ピザを作ったり、りんごをうさちゃんにしたりとなかなかいい出来になった。
- 86 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:48
-
「飾りつけ終わったよー」
「よし。んじゃよっちゃん帰ってきたら、部屋暗くしてさ、よっちゃんが電気つけた瞬間にクラッカーを・・・って、クラッカーは?」
「あ・・・あはは・・・ないや」
「うん。買ってきて」
まぁ初めてのお誕生日会なんだし、ミスが多いのは仕方がない。
片手に財布を持って、携帯をポケットに仕舞ったさゆみちゃんと絵里ちゃんは時間が迫っていることもあり、すぐに家を飛び出していった。その際に、美貴様、亀井道重いってまいりますっ!とふざけた言葉が聞こえたが、軽くスルー。
「ってか飲み物とかも買ってこさせよーぜ」
「あ!それいいっ!!」
藤本さんの思いつきとは到底思えず、前もって既に企んでいたかのような発言にまんまと引っ掛かったさゆみちゃんと絵里ちゃんは、帰ってきたときにジュースやらお菓子やらで大荷物だったのだ。
そしてご飯もいい具合にできており、さっきみつけたギフト用ハムもすっかり料理の一部になっていて、とてもおいしそう。
さすがにもう忘れていることはないはずなので、他の人が帰ってくるのを今か今かと待つ。
すると大学生のコンコンと愛ちゃんが帰ってきた。
「「ただいまー」」
「おかえりー。今日ちょっと遅くない?」
「そうそう、これ買ってきたの」
「でっかいブルーシートがし」
「・・・へ?」
「明日は土曜日だし、花見しよーと思って」
「そっかー、それはいいねー」
2人は花見をしたくて買ってきたらしいのだが、本当にでっかいブルーシートだ。でもこのぐらいなければ9人も座れないし、そこでご飯なんか食べれないだろう。
だが今日は吉澤さんの誕生日。2人には手を洗って着替えてきてもらい、みんなで吉澤さんと麻琴の帰りを待つ。
ぎりぎりまで電気を付けていればいいのだが、気が早いのかもう既に真っ暗で隣の人が誰かも分からない始末。
- 87 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:49
-
「ちょっと誰か麻琴に状況聞いてよ」
「あ、じゃああたしが聞くよー。メールで」
自分では面倒なので、誰かにやらせようと思った藤本さん。そしたら結構近くで声がして、携帯を開いた明かりでガキさんだと分かった。ガキさんはパパッとメールを送信し、3分くらいすると返事が返ってきた。
「『もうすぐマンションつくよー。ちゃんと吉澤さんもいるからー』だって」
「よっしゃ。いい?入ってきて電気つけて明るくなったら、みんなでおめでとーって言うんだからね」
「「「「「はーいっ!!」」」」」
そのままみんな黙って待っていると、エレベーターがここの階に止まった音がしたのだ。来た来た、吉澤さんが帰ってきたのだ。みんなのテンションが上がる。暗くて分かりにくいがもそもそとクラッカーを持って準備をしている。
すると玄関のドアがゆっくりと開いたのだ。
「あれ?みんないねーのか?」
「どっかに出かけてるんじゃないかな」
「ってか真っ暗でわかんねー。電気は・・・っとこれか」
パチッと電気をつけた吉澤さんの目に入ってきたのは、綺麗に飾られた部屋だった。リビングの真ん中にはでっかいプレートで誕生日おめでとーと書かれている。いつもはシンプルなリビングも今日は折り紙で作られた飾りが、華やかではないけれど賑やかにしてくれている。
吉澤さんはビックリしてしまい、目を大きくしたままフリーズ。
- 88 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:49
-
「「「「「誕生日おめでとーっ!!!」」」」」
いきなり大声でおめでとうと言われ、クラッカーもパンパン鳴っているのだが、まだ吉澤さんはフリーズしていた。
だってこんなに手の込んだことを、自分の知らない間にしてくれていたなんて想像していなかった。
今日だって誕生日なのは自分だけで、みんなはいつもと変わらない一日だと思っていた。でも違ったのだ。こんなにみんながお祝いしてくれている。こんなに嬉しいことがあっただろうか。
「ちょ、よっちゃん。驚くのは後にして手ぇ洗ってきな、麻琴も」
「え、ってかどーしたのコレ?」
「いいからいいから。ほら吉澤さん行こ」
1人テンパる吉澤さんだが、麻琴に引っ張られ手を洗い着替えを済ましてリビングに行く。
するとテーブルの上には豪華な料理がところ狭しと置いてある。
「じゃ、まずみんなでご飯を食べましょーか」
藤本さんがそう言ったので、みんなでいただきますをしてご飯になる。
ピザだのサラダだのポテトだのスパゲッティだのいっぱい並んでいる。もう食いしん坊でしかも今までずっと我慢していた娘達は、食べるスピードが違う。しかもおいしいもんだから欲張っちゃって喉を詰まらせる麻琴の背中をトントンしてあげる愛ちゃん。れいなの食べかけを勝手に食べちゃって知らん振りする絵里ちゃん。
みんなが楽しそうだと吉澤さんは思った。今日は自分の誕生日だけれど、みんなも自分の誕生日みたいに楽しそうにしている。
吉澤さんの知らない間に一生懸命頑張ったんだから、ちょっとうるさ過ぎるけれども今日は何も言わないでおこうと心に決めたのだ。
「さぁて、料理も綺麗になくなったことだし・・・あれ持ってきてー」
「はいはーい」
愛ちゃんとコンコンと麻琴が部屋に戻り、持ってきたものはプレゼントだった。
吉澤さんにおめでとうと言い渡すと、とても嬉しそうにしながら包装を取っていく。中身を見たら大きなバスタオルだったのだ。濃い目の紫で、触り心地もいい。きっとマイクロファイバーだ。
- 89 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:50
-
「うぉっ!小さいのも付いてんじゃん。ありがとー」
「ってかみんなでお揃いだよ」
絵里ちゃんがそう言うと、どこに隠し持っていたのか分からないがみんな自分のバスタオルを掲げた。それは虹よりは少し多いけれどみんなそれぞれ違う色をしていた。
今日からはこのバスタオルを使おう。フェイスタオルもみんなお揃い。お揃いだけれど色は違う。
今の9人にピッタシだと思う。自分の色があればもう迷うことはない。・・・お風呂のときだけなんだけれども。
「そうか洗濯のときねー、確かに面倒だったね」
「そうそう。これならもう大丈夫だし」
吉澤さんになぜバスタオルにしたのか説明する藤本さん。するとやはり納得してくれた。
確かに畳むときや、いざお風呂に入ろうとしたときに自分のが分かりにくいときがあったりするのだ。似ている模様だとなおさら困ったし、だからといって自分のものには名前を書くとかそんな小学生でもあるまいしーと悩んでいたのだった。
でも今日からは大丈夫。間違って誰かの使ったりすることもないだろう。
「はーい、ケーキだよー」
「ぉおっ!!マジでかっ!?」
プレゼントを今日から使うので風呂場の近くに片付けて置いてきたら、愛ちゃんがケーキを持ってきたのだ。
チャッカマンで火をつけて、リビングの電気を消し真っ暗にさせる。
吉澤さんのために8人はHappyBirthdayと歌う。最後まで歌い終わって、今度は吉澤さんがみんなに一言言う。
「今日は本当にありがと。すっげぇ嬉しい」
そういうと一気に火を消した。また真っ暗になったところで、電気のスイッチのところにいたガキさんが部屋を明るくしてくれた。
このケーキは藤本さんの手作りだと聞かされると、吉澤さんはまた嬉しくなった。
こどものようにテーブルに身を乗り出し、携帯でもデジカメでもパシャパシャと写真を撮っていた。
みんなもそれを真似するかのように写真を撮り、思い出として残していたのだった。
- 90 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:50
-
「すげーなミキティ。こんなん作れるなんて」
「ってか毎日作ってますからー」
少し照れたような藤本さんだが、まんざらでもなさそう。
その傍ではさっきご飯を食べたばかりなのに、子どもチームはもうケーキが食べたくて仕方なさそう。
早くとせがまれて、藤本さんはケーキを均等に切っていく。
でも9等分はできないので10等分で切る。
「ヤバい、超うまいやん」
「ほんとだーっ!おいしー」
「美貴ちゃん毎日作ってよー」
「い・や・だ」
ものの5分もしないうちにケーキはみんなの胃の中へ。残っているのはコンコンが食べている分と、あと一切れ。
こども達に緊張が走る。この残った分を一体どうするのだろうか。
やっぱり吉澤さんが食べることになるのだろうか。
「この余ったやつはみんなで喧嘩しないように食べなさい」
「んじゃ美貴とよっちゃん風呂入ってくる」
なんと年上2人から食べてもいいとお許しが出たのだ。さっそく一口ずつ頂こうではないかっ!
吉澤さんから言われたとおり、喧嘩をしないで食べることができた。
お皿を片付けてリビングに戻るが、まだ2人はあがってこない。
ここはこども達だけでリビングを片付けしましょうか。
「なぁ、これとってー」
「いいよ愛ちゃん。さゆみがやるー」
「ちょ、亀っ!あんた踏んでるっつの」
「ありゃ?・・・うへへ、ごめんガキさん」
7人でドタバタ片付けていると、お風呂から上がってきた二人。
綺麗になってるリビングをみて、子ども達を褒めてあげたのだ。
- 91 名前:記念の瞬間 投稿日:2007/09/30(日) 00:51
-
「よーし。みんなも風呂入ってきな」
「明日は休みだからって夜更かしすんなよー」
誕生パーティーをしていたので、意外と時間はもう遅い。2人は明日も仕事なので、もう自分の部屋に戻ってしまった。
そして子どもチームもひとしきりお風呂に入ると、麻琴も明日仕事があるということで先に寝てしまった。
残ったのは学生チーム。夜更かしするなと言われたものの、土日は休みなためまだ起きていたい。
それぞれパジャマのままリビングでお喋りを開始する。
「明日は花見しよっせ」
「そうだった。今日ブルーシート買ってきたんだったね」
「じゃあ明日はうちらでお弁当作ろっか」
「「「「いいねぇっ!!」」」」
じゃあさ、おにぎりは・・・などと夜中なのにも関らず、キャーキャーはしゃぐ子ども達。
明日は仕事に行く藤本さんと吉澤さんと麻琴が帰ってくる夜になったら、ちょっと遅いけれども花見をしよう。吉澤さんも前にみんなでしたいと言っていたし。
結局それからも話が盛り上がってしまって夜更かしをしてしまい、次の日の朝は仕事に行く3人以外誰も起きてきませんでしたとさ。
- 92 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/30(日) 00:51
-
- 93 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/30(日) 01:07
-
ふぅ、更新終了w
ってかageちまった・・・
さてレス返し
>>74 名無飼育さん
ありがとうございます
和んでくれましたかーwそいつぁよかったww
ゆっくり待っててくださいなw
>>75 名無飼育さん
ありがとうございます
そんな照れるやんww
>>76 名無しさん
ありがとうございます
じゃあ調子ノリまくっちゃうゾww
サプライズばっか思いつくけど書くのは大変だコリャww
>>77 名無飼育さん
ありがとうございます
笑顔YESヌードだしなww
そんな期待されると恥ずかしいおwww
>>78 名無飼育さん
ありがとうございます
現リーダーがアットホームなのを目指してるって言ってたしねw
期待に応えるようガンガルwww
79 名無飼育さん
ありがとうございます
お待たせいたしやしたーww
やっとでけたぞー
- 94 名前:おたんこなす 投稿日:2007/09/30(日) 01:10
-
さて、次のネタでも考える☆カナw
- 95 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2007/10/02(火) 13:01
- 読んでるうちにのほほんとした気分になりました
次回更新をお待ちしてます。
- 96 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/10/02(火) 15:41
- 頑張ってください!
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2007/10/27(土) 23:01
- この雰囲気好きです。
次回更新お待ちしてます。
- 98 名前:おたんこなす 投稿日:2007/10/31(水) 01:01
-
- 99 名前:おたんこなす 投稿日:2007/10/31(水) 01:02
-
「ちょっと愛ちゃんっ!!」
「・・・・・・んふー・・・」
ここは3人部屋。なかなか起きて来ない愛ちゃんとコンコンを起こしているガキさんだが、どうやらまだ夢の中に在宅らしい。パジャマがめくれて背中がベロッと出ているじゃあないか。
一緒に絵里ちゃんもコンコンを起こしている。コンコンはあっさり起きてくれた。
だがガキさんの目の前には、可愛い寝顔の愛ちゃんのままだ。
「だめだ。こりゃ起きないね、完全に爆睡中だよ」
「・・・ってか愛ちゃんって『んふー』って言うんだ・・・」
「まだ寝かせてたら?そのうち勝手に起きてくるよ」
コンコンが寝かせてろと言うので、ガキさんと絵里ちゃん、コンコンも一緒にリビングへ出て行く。
顔を洗ってスッキリしたコンコンは、お腹が空いたらしくご飯を作っている。
隣ではれいなが手伝ってくれて、楽勝のようだ。
その間に、今日はガキさんと絵里ちゃんが掃除当番なので、家中の掃除をし始める。
お風呂の掃除を絵里ちゃんがやって、トイレの掃除をガキさんがやって、リビングの掃除もキッチンの掃除も終わらせると今度は、各部屋に掃除機をかけねばならない。
3人部屋だけを除いて全て掛け終わる。残ったのは3人部屋のみ。
「こいつめ・・・まだ寝ているとは。やってしまえ、亀っ!」
「ラジャーっ!!」
絵里ちゃんはガキさんのお許しが出たので、まだ寝ている愛ちゃんをそっちのけで掃除機を掛け始める。
結構音が五月蝿いので布団の中にもぐってしまった愛ちゃん。
その動作にガキさんの堪忍袋もついにキレてしまった。
「コーラーっ!!愛ちゃんっ!いつまで寝てんのっ!!」
「・・・・・・・・・」
「・・・いい加減にしろーっ!!!」
- 100 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:03
-
ガキさんは愛ちゃんの布団をブァサッとひっぺ返してしまい、愛ちゃんは体を縮こませているが遮るものがなくなってしまったので、しぶしぶ起きる。
ボサボサの頭をガシガシ掻きながらベッドに座って朝のあいさつをする。
「・・・おはよ。ガキ、亀」
「ちょ、そんな呼び捨てとか」
「しかも今はもうお昼だから。早く顔洗って、もうご飯もできるから」
「用意がいいやん」
「あんたが寝ぼすけなだけだろーがぁっ!!」
やっとのことで愛ちゃんを叩き起こすことに成功し、部屋の掃除も終わった。あとはリビングに行けばきっとお昼ご飯もできているはずだ。
そして6人でお昼ご飯を食べ、まったりリビングで寛いでいるともう夕方4時になろうとしていた。
そういえば今日はお花見をしようと計画していたのだった。
「今日は花見するんやろ?用意しよっせ」
「そうだったー。さてと、ご飯でも炊きますかー」
「んじゃー冷蔵庫にあるもので何か簡単に作っちゃお」
お花見のお弁当を作るためにキッチンへ行く愛ちゃん、コンコン、ガキさん。
からあげを揚げたり、タコさんウィンナーを作ったり、卵焼きのつもりがスクランブルエッグになったりと、そこそこ順調にお弁当を作っていく。ご飯が炊けたころには、それまで洗濯物を干していた絵里ちゃん、さゆみちゃん、れいなも加わり、一緒におにぎりを作る。
今まで料理はなんにもできなかったさゆみちゃんだが、この暮らしを始めてからは少しずつだが料理を覚えていたのだった。
「さてと、できたことだし出掛ける準備でもしますか」
- 101 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:03
-
ガキさんの一言で、みんなそれぞれ着替えたりメイクしている。
ちいさな揉め事があちらこちらで起こっているが、全く動じずに黙々と準備するコンコン。
やっとみんな準備ができて、家を出る頃にはもう辺りは暗くなっていた。
お仕事組の3人に連絡をすると、家の近くの公園で花見をすることになった。時間はバラバラだが急いで向かうということなので、こっちはこっちで場所取りをすることに。
「のぉ、あっちのほうが広いやん」
「でも愛ちゃん、あっち桜の木ないじゃん」
「あら。気付かんかったがしー」
「まったく・・・。どこみてんのさ」
やっとこさ見つけた場所でブルーシートと広げていると、仕事から帰ってきた3人も合流できた。
とりあえず乾杯しようとジュースを紙コップに注いでいく。
なのに二十歳越えの2人は、受け取ろうとしない。
「いや、うちらはコレ」
「ビールじゃん。いつ買ってきたの?」
「さっきだよ。そこにコンビニあったでしょ」
「あぁ、そっか・・・」
そして乾杯をして、大きなお弁当も広げてみんなで食べる。
ライトアップされた夜桜はとても綺麗だけど、何か恐怖も感じたりする。
でもそんなの気にしないでお弁当を平らげる9人。吉澤さんと藤本さんはビールをがぶがぶ飲んでいたせいで、もう既にどっかのおっさん状態。
藤本さんが買ってきた袋の中には、ビール以外にも酎ハイが入っていたのだ。
一応この9人では吉澤さんと藤本さんは保護者の役目になっているのだが、もうおっさんのように変貌してしまったため、子ども達はここぞとばかりに悪ふざけをし始めた。
- 102 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:03
-
「ねぇ、ガキさん。これ飲みなよー」
「おっ!?亀のくせに気ぃ利くじゃーん」
「うへへ。ほらほら愛ちゃんもー」
「あらー、いいんかぁ?ありがとー」
今はいけない娘の絵里ちゃんは、酎ハイを注いだコップをガキさんと愛ちゃんに渡す。
その隣ではさゆみちゃんとれいなも同じことをコンコンと麻琴にしていた。
そしてお馬鹿な4人は何も知らないで、揃って一気飲みをしてしまうのだった。
「あ、コレおいしいじゃん。亀も飲みなよー」
「へ?・・・い、いいよ。ガキさんと愛ちゃんにあげたんだし・・・」
「ほら絵里の分がしー」
「いや、だから絵里はー」
これが酎ハイだと知らないもんだから、普段はマジメなガキさんと愛ちゃんに勧められて困る絵里ちゃん。
まだ2人は1杯を飲んですぐだし、酔ってはいなさそう。というか全然気付かないもんだから、2杯目にいこうとしているのを横目にさゆみちゃんとれいなの様子を窺う絵里ちゃん。
「ち、違うっちゃっ!さゆと絵里がやろって言うから・・・」
「あー、れいなだけ逃げようとしないでよねー。れいなだってノリノリだったじゃーん」
「罰として2人は一缶一気してもらおうかーコンコン」
「いいねー。はい、一気っ!一気っ!」
そして絵里ちゃんの視線の先には、一缶本当に一気飲みしている2人がいたのだった。
あれは度数高めだから止めようねって言っていた酎ハイだった。でも炭酸なのによく頑張って飲んでいる。
しかも一気飲みは確か禁止されていると、誰かに入れ知恵された気がした絵里ちゃん。
そしてまたガキさんと愛ちゃんに視線を向けると、2人は勝手に話していた。飲みながら楽しそうに。
なんだか顔が赤くなり始めているような気もするが、酔ってきたのだろうか。
絵里ちゃんの前には差し出されたままの酎ハイ。
「絵里だけ飲まないのはKYだよね・・・」
それから絵里ちゃんの記憶が途切れたのは言うまでもない。
- 103 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:04
-
- 104 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:04
-
次の朝、絵里ちゃんは自分のベッドで目が覚めた。がしかし、体が言うことを利かない。
頭も痛いし、トイレに行きたい。フッラフラになりながら部屋を出ると、仕事に行く藤本さんと吉澤さんがいたのだった。
当然昨日のことで怒られると身構えていたんだが。
「まったく、あれくらいでヘバってんじゃねーぞ亀」
「流石にみんな運ぶのは重かったなー」
「え、みんな潰れたの?もしかして」
「コンコンと麻琴は酔ってたけど、そこまでじゃなかったよ。問題はお前ら」
「いやー、あははー。すいませーん」
2人が仕事に出かけるのを見送って、トイレに入る。
ふと昨日のことを思い出そうとするが、頭が痛くて断念する。でも吉澤さんと藤本さんと、コンコンと麻琴が酔いつぶれたらしい自分達を運んでくれたみたいだ。
トイレから帰ってきても誰も起きようとしない。麻琴は今日も仕事で、先に家を出て行ったそうだ。
それにしても頭が痛い。ガンガンだぜ。そうだ、薬箱から二日酔いの薬を出して飲もう。
「キャベジン・・・これか」
液体のはまずそうだから粉のやつにして、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。ペットボトルのキャップには油性マジックで大きく『亀』の文字が書かれている。
薬を飲んだのはいいが、粉でも不味くて今にも吐き出したい絵里ちゃん。
いやいやここで我慢しなくてどーすると自分に言い聞かせ、部屋に戻る。
気持ち良さそうに寝ているガキさんがそこにはいた。
「可哀想に・・・後で絵里と同じことになっちゃうんだろーなー」
ボソッと一言呟き、また眠りに入った絵里ちゃん。
2時間後目覚めたときにはグロッキーなガキさんと愛ちゃん、れいなとさゆみちゃんがリビングで薬箱を漁っていたのだった。
- 105 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:04
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- 106 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:05
-
「はぁ・・・、帰ろうよーれいな」
「うん・・・」
「今日は絵里達、クラスの友達とカラオケだってー」
「あ・・・そうなんや。さゆ、どーする?」
「どーするもなにもないじゃん」
「そっか・・・そうやね」
「帰ろうよ」
「うん」
なんだかいつもは五月蝿いと怒られるくらいなのに、今日はかなり静かなれいなとさゆみちゃん。
ガキさんと絵里ちゃんがいないせいか、帰り道もほとんど会話がなく家にたどり着いた。
だがあいにく部屋も同じなので、沈んだ空気は一向に消えない。
別に仲が悪いわけではない。体育では2人揃ってビリになるくらい仲が良い。
でも今日はなんだか元気がないみたいだ。2人は今日学校から貰ったプリントと片手に、実家へと電話をし始めた。
30分くらいすると2人の電話が終わり、顔を見合わせる。
「さゆ、どーやったと?」
「ううん。ダメだってさ」
「れいなもダメやったとよ」
2人はガキさんと絵里ちゃんが帰ってきたときでも元気がなかったのだ。
愛ちゃんとコンコンがお土産買ってきて帰ってきたときも元気がなかった。
みんな揃ってご飯を食べて、リビングで寛いでいるのにそこには現れず、さっさとお風呂に入って部屋に閉じこもってしまったのだ。
流石にみんなは2人のことが気になってしまう。喧嘩したわけではなさそうだが、なんであんなに元気がないのか心配している。
「ちょっとよっちゃん」
「んー?」
「話きいてきてよ」
「別にいいんだけどさ、2人は話したくないんじゃないかなーって」
「それもあるかもしんないけどさー」
「やっぱ母さんだし、気になるの?」
「お父さんだって心配そうな顔してるじゃないっ!」
- 107 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:05
-
最後のほうはコントみたいになっておちゃらけてはいるものの、2人が部屋に閉じこもってしまっているのは本当に心配で、どうにかできないかと悩んでいる藤本さんと吉澤さん。
そこにトコトコとお風呂から上がってきたガキさんと絵里ちゃんも加わる。
なにやら学校のことで話しているらしい。
「亀、早くお母さんに連絡しないとー」
「そーゆーガキさんはもうしたのー?」
「したに決まってるでしょーっ!」
「絵里は別に授業参観なんかしたくないもーん」
ガキさんと絵里ちゃんの会話を横で聞いていた二人は、授業参観という言葉を耳にした瞬間、顔を見合わせリビングを飛び出していったのだった。あっけにとられたガキさんと絵里ちゃんは、濡れた髪を拭くことすらできずにいた。
吉澤さんと藤本さんはもちろんさゆみちゃんとれいなの部屋に向かっていく。
ノックをして部屋に入ると、2人は黙ったままテレビを見ていたのだった。
「授業参観あるんだって?重さん、れいな」
「「・・・うん」」
「親御さん来れないんでしょ?」
「さゆみん家のお母さんは用事があるからって」
「れいなのママも。それに向こうには弟がおるけん」
「いつあるんだっけ?プリント見せて」
吉澤さんはれいなの手からプリントをとり、日時を確かめる。再来週の水曜日か。
そこで吉澤さんは考えたのだった。再来週の水曜日なら、今から上司に言っておけば休めないことはない。
よし、そうしようじゃないか。可愛い子ども達のためだっ!
- 108 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:06
-
「母さんっ!再来週の水曜日は有給とってでも休もうじゃないかっ!」
「ちょ、何?どーしたのさ」
「子ども達の授業参観だよ、母さんっ!母さんはこの可愛い子ども達の成長を見たくないのか!?」
「・・・分かったわ、お父さんっ!行きましょうっ!!お父さんのお気に入りのあのスーツ、今からクリーニングに出しておかなきゃねっ」
「うむ、頼むぞ母さん」
「お母さんはあのスーツ着ていこうかしら」
「そうだな。母さんはあれが一番似合っているぞ」
「嫌だわ、お父さんったら」
「今更照れることないじゃないかー」
そう言いながら部屋を出て行った藤本さんと吉澤さん。どうやら本気で行く気らしいのだ。
2人がコントをしている間、さゆみちゃんとれいなは一言も発することができず、ただ驚くことしかできなかったのだ。
やがて気を取り直し、部屋を飛び出して吉澤さんと藤本さんに来なくてもいいと伝えたのだが、全く聞いてくれない。
「いいか、父さんに遠慮することはないんだぞ」
「そうよ、あなた達。しっかり勉強してお父さんとお母さんに恥かかせないようにして頂戴」
「「・・・はぁ・・・」」
え、何ソレ?どーゆーこと?みたいな顔をしているガキさんと絵里ちゃんに、事情を話すさゆみちゃん。
絵里ちゃんもガキさんもその日は本当のお母さんがきてくれるそうだ。その後には簡単な三者面談があるらしいので、そこで進路を決めようと思っているらしい。
実はさゆみちゃんとれいなも三者面談をすることになっていたのだが、吉澤さんと藤本さんがいる。
でもまだ2年生だし、明確な答えは出さなくてもいいのだが。でも恥ずかしい。
まだれいなは藤本さんと吉澤さんに抗議しているが、その図は本当に親子のようだ。
- 109 名前:お父さんとお母さん 投稿日:2007/10/31(水) 01:06
-
「もう腹をくくるんだ、さゆっ!」
「絵里は人事だからそんなこと言えるんだよーっ!!」
そして授業参観当日、教室に入ってきたさゆみちゃんとれいなの憂鬱っぷりに圧倒され、端っこでヒソヒソざわつくクラスメイトの姿がちらほら見受けられたのだった。
5、6時間目が授業参観なので、昼休みになると急にソワソワしたり机に突っ伏したりとやけに落ち着かないさゆみちゃんとれいなだった。
もうすぐ授業が始まる。もうすぐ、お父さんとお母さんがやってくる。
- 110 名前:おたんこなす 投稿日:2007/10/31(水) 01:07
-
- 111 名前:おたんこなす 投稿日:2007/10/31(水) 01:13
-
更新終了
長らくお待たせしまいました
さてレス返し
>>95 名無し募集中。。。さん
ありがとうございます
のほほんしかない☆カナw
こんなんくらいが精一杯だお
>>96 名無飼育さん
ありがとうございます
ガンガルおw
ちょっと間があいたけど勘弁してほしいお
>>97 名無し読者さん
ありがとうございます
毎回レスくださってサンクスれすw
随分おまたせしてしまったお
またガンガルお
- 112 名前:おたんこなす 投稿日:2007/10/31(水) 01:15
-
なるべく急いで次の仕上げるんれす
- 113 名前:名無し読者@97 投稿日:2007/11/03(土) 00:50
- じつは>>97がここでは初レスなんですがw
今回も小ネタ満載有難うございます。さゆれなのことも実際の生活ではありえる話ですよね。
個人的には愛さんがツボでしたが、次回の年長コンビが楽しみです。
次回更新楽しみにしてます。
- 114 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/07(水) 08:29
- よっちゃんのミキティの夫婦の会話がウケましたwww
頑張って下さい★
- 115 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/07(水) 08:29
- よっちゃんのミキティの夫婦の会話がウケましたwww
頑張って下さい★
- 116 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/07(水) 18:48
-
- 117 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/11/22(木) 19:51
- 授業参観楽しみ〜
- 118 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/27(木) 23:41
- 参観日ガ早く来ないかなぁっと、ちょくちょくお邪魔してます(⌒〜⌒)
- 119 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/01/21(月) 09:44
- 参観日…
- 120 名前:おたんこなす 投稿日:2008/01/31(木) 21:25
-
- 121 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:26
-
チャイムが鳴り、教室には生徒がゾロゾロと戻ってきた。その中には昼休み中散々騒いだれいなとさゆみちゃんも混じっていたのだった。すると先生も教室の中に入ってきて、授業となる。
次の授業は現代国語のようだ。教科書を出していると起立と言われた。
礼をして座る瞬間にれいなは後ろを見たんだが、あの2人はまだ来ていないようだ。他のお母さん達はぞくぞくと集まり始めているが。
隣のさゆみちゃんにそのことを伝える。2人は隣同士で、しかも一番後ろの席だ。
「まだ来とらんみたいやけん」
「そう・・・ってか本当にくるのかなー?」
「さぁ。来るやろ絶対」
「だよねー。今日は仕事休み取ってたし」
そうして無駄口を叩いていると、いつの間にか始まっていた授業。でもいつもマジメになんて聞いちゃいない2人にはどうでもいいことで、大事なのはあの二人がいつ来るのかということ。そして絶対恥ずかしい思いをするということがとてつもなく嫌なのだ。
すると、普段から聞きなれている声が廊下から聞こえてきてしまったのだ。
「ちょ、ミキティ。こっちじゃね?」
「あー、そうだそうだ。ってか階段キツいっつーの」
思わずドキッとしてしまって顔を見合わせるれいなとさゆみちゃん。
2人の心拍数はきっと120は軽く超えていただろう。そのくらいドキドキしていた。なぜなら2人は今年の春に転校してきたばっかりで、友達はできたがなんせ地元じゃない。冗談がどのくらいまで通じるかなど分からないのだ。
廊下から聞こえてくる声がだんだん大きくなってくる。やっぱりここに近づいてくる。
「こっから入っていいのかな?」
「いやいやいや。こっちは前だから、普通は後ろから入るだろ」
「そっかそっか。もう少しで恥かくとこだったぜ」
もう全部丸聞こえ。教室のみんなも同じようで生徒も親からもクスクス笑い声が聞こえてくる。
先生さえも何事かと授業を進めながらも気にしているようだ。
吉澤さんは恥をかかずに済んだと勘違いしているが、既に恥をかかされた2人がいるということを今は誰も知らないのだ。さゆみちゃんとれいなは一緒にため息をついてしまった。
その瞬間、教室の後ろのドアが開いたのだった。
- 122 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:26
-
「・・・・・・あれ?なんでみんなこっち見てんの?」
「やっぱり無理があったからとか?」
もう先生の授業なんてどこ吹く風。一気にざわつくクラスメイト。先生は「静かにー」と言ってくれているが、それに倣っているのはさゆみちゃんとれいなのみ。そりゃそうだ、だって授業参観とは親御さんが見に来るものであって、吉澤さんや藤本さんのような若い母親など高校生が子どもの場合、有り得ないのだ。
クラスメイトはてっきり誰かのお姉ちゃんがきたもんだと思っているようだ。
「なんだよ、れいなと重さんって後ろかよ」
「ちゃんと勉強してんのかー」
吉澤さんと藤本さんは2人の席の後ろに立って机を覗き見するかのようにしている。
それにはさすがに我慢できなかったらしく、さゆみちゃんとれいなは抗議をする。
「ちょ、もう・・・恥ずかしいけん。静かにー」
「吉澤さんと藤本さん浮きすぎだって。みんな見てるの」
小声でそう伝えて、なんとかおとなしくしてもらうことはできたのだが、クラスメイトとその母親達がそうもいかないみたいだ。なぜならこの4人とも名字が違うからだ。さゆみちゃんがご丁寧に吉澤さん藤本さんと言ったおかげでこの疑問が生まれてしまったようだ。
あまりの煩さに、先生はいったん落ち着かせようと頭を使ったのだ。
「あー、静かにー。田中と道重は一緒に暮らしてるんだよな?今日来ていただいた方もそうなのか?」
「はーい。そーでーす」
「ちょ、吉澤さんってば」
- 123 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:27
-
クラスメイトのみんなは2人、いや4人の事情を知っていたのだが、教室の後ろを陣取っている母親達は知っている者と知らない者がいるらしく、教室はヒソヒソと話し声が止まない。先生もそれにはお手上げのようで、もう誰が聞いているのか分からないが勝手に授業を再開してしまった。
「やっぱミキティの白いスーツが眩しすぎたから目立ったんだよ」
「そこは否定し辛いけど、よっちゃんの格好もホストみたいだからってのもある」
さゆみちゃんとれいなの後ろで浮いている2人は、教室の異様な雰囲気は自分達に原因があると勘付いたらしく、お互いのせいにしようとしているのだがさゆみちゃんとれいなからすればどちらかがとかじゃなく、2人に原因があるのだ。
とりあえずいつも聞いていない授業だけど今は聞いている振りをしようとノートにペンを走らせる。
「ねぇねぇ、重さん。その漢字読めない」
「あ、美貴も」
さっきまでお互いのせいにし合っていたのにもう飽きたのか、今度は教科書の漢字が読めないと言ってくる。
だからさゆみちゃんは、「2人は別に読めなくてもいいから、静かにするの。シーっ!」と言って2人を静かにさせる。さすがにそろそろ黙ろうと2人も大人しくして授業を見ている。
そうしてもう5分で授業が終わろうとしているとき、吉澤さんはふとあることに気付いたのだ。そっと藤本さんに耳打ちをする。
「れいな、寝てる」
「本当だ。起こせ」
「・・・ラジャー」
スーッとれいなの後ろに近づいた吉澤さん。れいなの顔は見れないが頭がコクコクと船を漕いでいるのが容易く確認できた。そして藤本さんに目配せをしてから、れいなにチョップをお見舞いしてやったのだ。
いきなり激痛が走ったれいなは寝起きということもあってガバッっと振り向き、吉澤さんに抗議したのだ。
- 124 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:27
-
「いたっ!なんするとーっ!!」
「寝てるから起こしてやったんだよ」
もう教室中大爆笑。あとちょっとで授業が終わるのに、また騒がしくなり先生も呆れ顔。
でもクラスメイトはこのまま騒げばあとちょっとの授業も潰れると頭の片隅でしっかり計算し、ここぞとばかりにれいなへ食い付いてくる。
「またれいな寝てたのかよー」
「う、うるさかっ!5時間目はしょうがなかよ・・・」
「いっつも寝てるくせにー」
クラスメイトから責めれるも、顔真っ赤にしてるへたれいな。
その後ろでは50過ぎの親父のように眉間に皺を寄せている吉澤さんがいた。
「・・・れいな。お前、いつも寝てるのか」
「い、いえ、寝てません」
「嘘だー、れいなはいつも寝てるの」
「なっ!・・・や、やってさゆも寝とるやん」
「あはは。重さんもじゃん」
笑う藤本さんは綺麗だけど、隣ではまだ眉間に皺を寄せたままの吉澤さん。でも格好いいのは内緒なの。
吉澤さんは深呼吸をして、さゆみちゃんとれいなの顔を交互に見ながら言った。
「父さんはお前達をそんな風に育てた覚えはないっ!!!」
―キーンコーンカーンコーン・・・―
「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」
「・・・それが言いたかっただけでしょ、よっちゃん」
「・・・うん」
吉澤さんの一言で教室の空気がなんとも取れない感じになってしまったことは、このクラスで一番バカな菅谷さんも気付いたくらいだった。だがこんなこと日常茶飯事のれいなとさゆみちゃんは気付けなかったのだ。
「あれ?もう先生いないの」
「そ、そーみたいやね・・・」
- 125 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:28
-
教室の空気が変に凍り付いてるのに全く気付かず、4人だけの世界に入る。
いつの間にかいなくなってしまった先生から後で怒られるのがなんとなく想像ついて、明日から学校に行きたくないと思ったれいなだったが、吉澤さんと藤本さんを廊下に引っ張り出してまずは反省会をする。
次の時間も授業参観なのだから、次こそは大人しくしてもらいたいのだ。もう恥はかきたくない。
「ちょ、ちょーっ!2人ともっ!!」
「なんだよ、いきなり。しかも腕引っ張りすぎ」
「そうそう。ちょっと痛いし」
「めっちゃ注目浴びとったやんっ!静かにって言ってもしてくれんかったしー」
「えーでもあの煩さはうちらだけ静かにしてもどーせ変わんないって」
「そうだよ。なんならパパママって呼んでくれても良かったのに」
「・・・はぁ。もういいけん。次も授業あるけん、どーすると?」
そしたら吉澤さんと藤本さんはガキさんと絵里ちゃんの授業も見たいと言い出した。それにれいなは激しく賛成し、2人を3年生の教室に案内しようとした。だってそうすればもう恥をかかなくていいし。
なのに2人は教室にいるさゆみちゃんの方へ行ったのだ。さゆみちゃんは何をしているかと言うと、机並みにでっかい鏡を出して自分に見惚れている最中だったのだ。そんな鏡がどこに仕舞っているのかは秘密にしておこう。
「重さーん。これからガキさんと亀ちゃんとこ行ってくるけどー」
「はぁーい。お気をつけてー」
「放課後になったら迎えにくるから、三者面談終わったらクレープ食べに行こうね」
「本当にっ!?やったーっ!!絶対だからねー藤本さーん」
「いいよー。よっちゃんが奢ってくれるからー」
「ちょ、誰もそんなこと言ってないし」
この4人の普通らしき会話を初めて聞けたクラスメイトは、心の底から羨ましく思える会話だったのだ。
本当の家族じゃないのに一緒に暮らしていて、しかもこんなに仲良くしていて。自分の家は普通すぎるし、兄弟とも両親ともここまでの関係ではないから、羨ましいの一言なのだ。自分の家もこんな関係だったらよかったのにと思うクラスメイトはほとんどだった。
そうこうしているうちにれいなと吉澤さんと藤本さんは3年生の校舎に行ってしまったが、送り届けてそのまま帰ってきたのか、れいながもう戻ってきたのだ。
- 126 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:28
-
「あ、れいなー。なんか早いね。もう戻ってくるなんて」
「やって、もうすぐ授業始まるやん」
「そうだったっ!!次って英語だよっ!宿題してなかったーっっ!!」
「ちょ、さゆっ!なんでもっと早く言わんとっ!!」
2人がもめ始めたころには丁度チャイムが鳴り、結局2人は宿題をすることができませんでしたとさ。
そのころ3年生の校舎では吉澤さんと藤本さんがガキさんと絵里ちゃんの教室に入るとこだったのだ。
教室の後ろのドアを静かに開けたのに、みんながまたざわめき始めてきた。さすがにここではガキさんと絵里ちゃんの母親がどこかで見ているのだから、ちょっとここでは空気を読むことにして教室を出たのだ。
「なんかうちらってどこ行っても駄目みたいだね」
「まぁね。こんな母親なんていないし」
「あーぁ、ガキさんなんて目ん玉飛び出してたぜ?」
「亀ちゃんはサァーって血の気引いてたよ、軽く」
廊下でさっきあったことを小声で話していたら、教室のドアが開いて誰かが出てきたのだった。
それはガキさんの母親と絵里ちゃんの母親だったのだ。話を聞くとどうやら自分の娘の反応が他のクラスメイトと違ったので、一緒に暮らしている人達じゃないかと思い、こっそり出てきたのだった。
教室の前の廊下では声が響くし、誰もいない階段に移動することにした。
「遅れて申し訳ございません。私が吉澤ひとみです。いつもお世話になってます」
「私が藤本美貴です。お世話になってます」
「いえいえ、こちらこそ宜しくねー。私は里沙の母です」
「私は絵里の母よ。いつも迷惑かけてごめんなさいねー」
- 127 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:29
-
いえいえ、とんでもございません。今はしっかりしてる風に見せてますけど、いつもは年齢関係なく部屋の中でギャーギャー騒いでますよー。あははー。2人とも素直でいい娘ですし、他のみんなとも仲良くやってますから何も心配いりませんよー。むしろこっちが頼ってばっかりでたまにパシっちゃ・・・あ、あはは。ま、まぁ楽しくやってますよー。
なんてことを話していたら、あと授業が20分で終わってしまう時間になってしまったようだ。このまま2人の様子を見ないままではもったいないということで、吉澤さんと藤本さんとガキママ絵里ママともにこっそり教室に入って行った。
静かに入ったつもりなのに、雰囲気が違うせいかまたみんなに注目されてしまったが、ここは3年生の教室。さっきの2年生よりかは大人なのか、はたまた興味がなくなったのか、すぐに静かになったのだ。
なのに、ガキさんと絵里ちゃんがこちらを見る視線には、「おまえら外で何話してたんだよ」というメッセージ付きだったのは誰が見ても分かるくらいだった。
それには変顔で返した吉澤さんもそのあとは最後まで大人しくして、何事もなく今日の授業は全て終わったのだ。すぐに放課後になったので、ガキさんと絵里ちゃんには軽く挨拶だけしてまた2年生の教室に戻ってきたのだ。
どうやらガキさんも絵里ちゃんも三者面談が終わったら、各々の家に戻り一晩泊まるらしいのだ。久しぶりの家族の団欒を邪魔するわけにもいかず、クレープには4人で行くことになった。
「さて、れいなと重さんとこに戻りますかね」
「そーだね」
2年生の教室に戻ってくると、なにやらクラスメイトがまだ結構教室に残っていた。三者面談があるし、放課後になったばかりだからだろうと思っていたのだが、どうやら違っていたようだ。
吉澤さんと藤本さんが教室に入ってくるなり、クラスメイトがキャーキャー言って近づいてきたのだ。綺麗だの格好いいだの言ってくれるのは嬉しいが、正直ちょっと困る。それにれいなとさゆみちゃんは自分の席に座って漫画を読んだり鏡を見ていて、こちらに全く興味を持ってくれてなく、吉澤さんはちょっと寂しかった。
「おーい、れいなー。もうすぐ始まるんだろー」
「そーみたいですねー」
「なんか冷たいなー。重さーん」
「クレープ食べたら忘れると思うの」
なんとかクラスメイトをひっぺ返して2人の傍によるも、れいなはまだむすっとしていた。きっと吉澤さんと藤本さんをクラスメイトに取られた気がして面白くなかったんだね。でもそんなれいなも吉澤さんと藤本さんがしつこく話しかけてきてくれるもんだから、すぐに機嫌が直っちゃってこの後の予定を決めていた。
- 128 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:29
-
「れいなとさゆはすぐに始まるけん。どっちがくると?」
「え、そーだなー。四者面談しよーぜ」
「それがいいっ!2人の進路知りたいしね」
「でもなんか恥ずかしいやん・・・」
「でももうこれ以上に恥ずかしいこともないと思うの」
「そ、それもそうやね・・・はぁ・・・」
そうして話していると先生が教室に戻ってきて、四者面談の始まりとなる。一番目がれいなで次がさゆみちゃん。
なんかちょっと先生が困った顔をしていたので、助け舟を出した藤本さん。
「あの、れいなは転校してきたばかりですけど、うまくやっていますか?」
「ちょっ!いきなり何聞くとー」
「だって大事なことだし」
「あはは。そうですね、田中さんも道重さんもクラスメイトとは仲良くやっていますよ。いつもみんなと楽しく話しているところを拝見しています」
「恥ずかしか・・・」
「そうですか。それはよかったです。この娘は勘違いされやすい娘なので」
「そんなん言わんでよかやん」
「まぁまぁ。田中さんはこれからの進路は決まっていますか?」
「あー・・・、まだはっきりとは決まってないんやけど、進学しよーかなーとは思ってます」
「そうですか。それは両親にもちゃんと言ってるんですか?」
「いやー・・・、まだです。はい」
「なんだよ、れいな。まだ言ってないのかよ」
「だって・・・。でも言うけん、ちゃんと」
そんなこんなでれいなの四者面談は終了となった。その間、吉澤さんは一言も話さなかったのだった。
れいなはれいなで、これからのことを考え始めなければいけない時期になったなーと思い、ちょっと複雑になったようだ。
藤本さんは特にそんなに何も思わなかったらしい。れいなが両親にちゃんと言うと言ってくれたし。
「さゆみは、進学します」
「そうですか。学部とか明確にしてますか?」
「いや、まだはっきりとは決めていないですけど、進学したいんです」
「へ〜、重さんはしっかりしてるねー。れいなとは大違いだー」
「れいなは何て言ったの?」
「それは後で本人に聞きなよ」
- 129 名前:授業参観 投稿日:2008/01/31(木) 21:30
-
さゆみちゃんも進学するらしい。明確には決まっていないと言っていたが、小さい子どもが大好きだと前に言っていた。もしかしたらそっちのほうへ行くのかもしれない。
でもまだ時間はたっぷりあるし、他にもやりたいことが出てくるかもしれない。今は何にでもなれる。そんなちょっと前のころの自分をふと思い出して、少し懐かしく、少し羨ましくなった藤本さんと吉澤さんだった。
「早くクレープ食べにいこー」
「あ、そうだったね。よっちゃんよろしくー」
「うげ・・・。なんであたしが・・・別にいいけど」
「れいなはチョコと生クリームと・・・」
大事な話をした後だし、そりゃ腹も減る。みんなの大好きな甘いものならなおさらだ。
ちょっと電車に乗って原宿に出てクレープを食べたのだ。さゆみちゃんだけ2つも食べたのは成長期ということにしておく。
その後も4人で初めてプリクラを撮った。イケメン1人に社長秘書1人に可愛い高校生2人。それはそれはなんとも不思議な光景だったのだ。
そんなプリクラも次の日教室でクラスメイトに見せたらあっという間になくなってしまったのだけれども。
そんないろんなことがあった授業参観日の夜、いつもはみんなと一緒に騒いでいるガキさんと絵里ちゃんは、今日はどこにもいなかった。今頃家族でおいしいものでも食べてるかもしれない。
なんだかそれを思うと寂しくなったさゆみちゃん。自分も家族が恋しくないわけではないのだが、今は2人がいないことがちょっと寂しい。早く明日になっていっぱいお喋りしたいと1人願ったのだった。
- 130 名前:おたんこなす 投稿日:2008/01/31(木) 21:30
-
- 131 名前:おたんこなす 投稿日:2008/01/31(木) 21:40
- お久しぶりです。
大変長らくお待たせいたしましたー
さて、レス返し
>>113 名無し読者@97さん
ありがとうございます。
あれ、そうでしたっけ?wいやー勘違いっしたww
今後もよろしくお願いします。
>>114 名無飼育さん
ありがとうございます。
ウケてもらって嬉しいですー。この2人には今後も何かと頑張ってもらいますのでww
>>117 名無飼育さん
ありがとうございます。
やっと来ました。授業参観がwwおせーってのw
>>118 名無飼育さん
ありがとうございます。
ちょくちょく来ていただいてありがとうです。
なかなか授業参観が出来なくてすいませんでしたー
これからもちょくちょくよろしくお願いします
>>119 名無飼育さん
ありがとうございます。
やっとですww自分でもビックリするくらい長すぎました、すいません
イベントはこれからも目白押しで張り切っていきます!
- 132 名前:おたんこなす 投稿日:2008/01/31(木) 21:40
- さて、次はガキさんと絵里ちゃんのお話☆カナ
- 133 名前:名無しさん 投稿日:2008/02/01(金) 18:48
- 早く更新されないかとずっと待ってました。
こういうお話好きです。
次のお話、期待して待ってます。
- 134 名前:名無し読者 投稿日:2008/02/01(金) 21:10
- 作者さん、お待ちしてました。更新乙です。
何か、古きよき時代の家族像が見えてきますね。
毎回そうですが登場人物同士のやりとりが素敵です。
2人のスーツ姿は「笑顔yesヌード」のジャケ写のイメージでしょうか?
次回更新を楽しみにしています。
- 135 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/05/14(水) 23:16
- 待ってます!
- 136 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/06/17(火) 10:01
- いつまでもお待ちしてます。
- 137 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/07(月) 19:40
- 生存報告でもいいので待ってます。
- 138 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 00:58
-
- 139 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 00:59
-
「ちょっと絵里ー、最近はどうなの?学校で」
久しぶりの家族の団欒で、楽しそうに話しているとふいに絵里ママが一言。
楽しく笑い声が響いていたけど、その一言でみんなが静かになった。そんな家族の顔をぐるっと見てから、ふにゃっといつものような笑顔で絵里ちゃんは話す。
「楽しいよ。変わったもん、絵里」
「そう。それはよかったわ」
「だってねーお母さん、聞いてよー。ガキさんが始めての日にさー、・・・」
そこから絵里ちゃんのマシンガントークが始まり、全然纏まってない話を30分くらいされて疲れたけれど、久しぶりに娘の話を聞けて心底嬉しいお父さんとお母さんだったのだ。ただ妹はそんな姉が煩くて、早く話が終わればいいのにと思っていたのだが。
そしてやっと長い話も終わり、明日も平日だから仕事もあれば学校もある。久しぶりの娘の話をもっと聞きたいが、明日のことを考えるとそうもいかない。またいつか絵里ちゃんが帰ってきたときにでも聞こうじゃないか。
「絵里、明日遅刻しないように早くお風呂に入って寝なさい」
「はぁーい」
絵里ママにそう言われたのでお風呂場に着替えをもって向かう。そこで服を脱いで全裸になったときに、いつもと違うことに気付いたのだ。
『あれ・・・、そういえば絵里、1人でお風呂に入るの久しぶりかも
そうだよ。だっていつもガキさんとかさゆとかれいなとか・・・』
洗面所の大きな鏡には、いつもとなんら変わらない全裸の自分。だけどいつもと違うのはその周りにいるはずの仲間達。お風呂に入るときも一緒で寝るまで騒いでいる、いつもの仲間がやっぱり今日はいない。
すごく寂しさを感じてお母さんを大声で呼びたくなったが、それはちょっと子どもすぎると思い1人でお風呂に入っていったのだった。でもお風呂場に置いてあるおもちゃの水鉄砲もない、アヒルもいない。普通のお風呂。それに自分は何年間も慣れ親しんだはずなのに、ちょっと変わった生活が始まってそれが楽しすぎて。
「絵里のお家もここなのになー」
でもなんだか違う、とは声に出せなかった。絵里ちゃんだってたまには空気も読める。
実家のお風呂だもん、ここに傷があるとか、ここが欠けてるとか、そーゆーのは変わってなくて。
実家は何一つ変わってないのだ。変わったのはもちろん絵里ちゃんだけ。
なんだか大人になった気がした。
「お母さーん、絵里もう寝るよー」
「明日遅刻しないようにちゃんと目覚ましセットしなさいよー」
「はぁーい」
お風呂からすんなりあがって、絵里ママがりんごを剥いてくれてたのでそれを食べて、いつもよりちょっと早めに久しぶりのお布団にくるまったのだった。でもやっぱりなんか違ってて、普段はのび太くんも真っ青なほどすぐ眠れる絵里ちゃんなのに、今日だけは何度も寝返りを打って寝付けずにいたのだった。
- 140 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 00:59
-
- 141 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 00:59
-
「いやでも楽しいよ?里沙は」
「そう?ならいいけど・・・疲れたらいつでも帰ってきなさいよ」
「まぁ夏休みになったらまた帰るつもりだったし」
どうやらガキさんのお家は超ブルジョアだったらしく、リビングなんかもルームシェアしているあのマンションよりもただっ広い。短距離走ができそうなくらいだ。
夕食には『新垣家風もんじゃ』をいっぱい食べて、今はデザートにジェラートみたいな。スイーツではない、ガキさんはブルジョアなのだ。
広いリビングのテレビでは妹がゲームをしている。まだまだ反抗期なのか、お姉ちゃんが帰ってきてもなんとなくそっけない感じでいる。本当は嬉しいくせに。
ふと久しぶりの我が家をぐるっと見回す。なんだか不思議な感じだ。もしかしたら絵里ちゃんも同じことを感じているかもしれない。明日学校で会ったら聞いてみようか。いやでもなんだか明日学校で会うこと自体、なんだか気恥ずかしい。
本当に友達みたいじゃないか。いや友達なんだけど、どっちかっていうと家族に近い存在。絵里ちゃんだけじゃなく、あの9人は家族なんだ。
ここよりはちょっと狭いあのリビングだけど、それでも広いリビングにいつもドタバタ騒いで怒られて、飲んだくれているみんなが、ここにはいないのだ。
思い出はこの家のほうが沢山あるけれど、一番新しい思い出はここにはない。
うん。もう早く寝て、明日は遅刻をしないようにしよう。
「ママー。里沙もう寝るよー」
「パパにも挨拶して寝るのよ。おやすみ里沙」
「うん、おやすみー。パパー・・・」
- 142 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 01:00
-
- 143 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 01:00
-
「おーい。こんなところで寝てたら風邪引くぞ」
吉澤さんが声を掛けたのだが、リビングでぐっすり眠ってしまっているさゆみちゃん。
テーブルに突っ伏したまま、どうやら熟睡してしまっているらしい。
藤本さんも肩を揺すってみたけれども反応はなし。
「だめだこりゃ。起きないね、どーする?」
「引っ叩いてみる?」
「亀ちゃんにだったらできるけど重さんには無理」
「あー、分かる分かる」
もうみんな各部屋に戻ってしまっているので、リビングにはこの3人しかいない。
じゃあれいなを呼ぼうと思って部屋を覗いたら、もう布団を足で挟んで寝てしまっている。これでれいなを起こしたら不機嫌になってしまい、余計に面倒なことになる。
そこで吉澤さんは考えた。ここで放っておいて明日さゆみちゃんが風邪を引いてしまったら可哀想だ。でも起こすこともできないし、それも可哀想。ではさゆみちゃんを抱きかかえて部屋まで運んであげるしかないのか。
「よし。あたしがギックリ腰になったら後はよろしく」
「重さんの部屋のドア開けとくね」
「って聞いてねーしー」
- 144 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 01:01
-
吉澤さんはさゆみちゃんを抱えて、カッチョ良くお姫様抱っこをしたのだ。一瞬ヤバイかな?とか、見た目より・・・なんてことを思ってしまったが、顔には出さないイケメンで貫き通したのだった。
部屋のドアは藤本さんに開けてもらい、電気は点けるとさゆみちゃんもれいなも起きてしまいそうだったので点けないでおいた。そしてさゆみちゃんのベッドに彼女を寝かせ、お布団も掛けてあげてから部屋を出たのだった。
「ふぅ。寝る前にいい運動したぜ」
「ちょっと顔真っ赤だよ。重かったの?」
「いや別に。明日の腰が心配なくらいだよ」
「重かったんじゃん」
吉澤さんと藤本さんは自分達の部屋に戻り、明日の仕事の準備をしてそのまま眠りについたのだ。
吉澤さんはふと今日の出来事を思い出した。
さゆみちゃんとれいなの授業参観に行って、ちょっと注目を浴びてしまったなーとか。そのままガキさんと絵里ちゃんのクラスにも顔を出したんだなーとか。ガキママ絵里ママにも会ったんだよなーとか。その後藤本さんとさゆみちゃんとれいなとクレープ食べてプリクラまで撮ったなーとか。
そういえば、今日はちょっとみんな静かだったな。なんて吉澤さんは思う。そうか、ガキさんと絵里ちゃんがいなかったからか。
そこまで振り返ってストップした。もう寝よう。
明日の夜には2人が帰ってくるんだ。
そのときに今日のお話でも聞こうじゃないか。
そして吉澤さんは夢の世界に旅立ったのだった。
・・・実はこっそり起きていたさゆみちゃんのことを今は誰も知る由がなかった。
その次の日の朝、やけに上機嫌なさゆみちゃんをみんな不審がってはいたが。
- 145 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 01:01
-
- 146 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 01:08
- ちょっとだけですが更新しましたw
>>133 名無しさん
ありがとうございます
こんな企画あったらいいですよね^^
>>134 名無し読者さん
ありがとうございます
ジャケ写を見て始めたようなお話なんです実はw
>>135 名無飼育さん
ありがとうございます
お待たせしましたーっ^^
>>136 名無飼育さん
ありがとうございます
本当にお待たせしましたスイマセン
>>137 名無飼育さん
ありがとうございます
やっと書くことができました。ちょっとだけですがw
才能がないんで書き続けることが難しいんですorz
これからも頭の片隅で待って頂ければ嬉しいです^^
- 147 名前:おたんこなす 投稿日:2008/07/20(日) 01:10
- もっと頑張らねば・・・
でももう設定が古いorz
- 148 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/07/21(月) 00:02
- 更新キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
設定が新しくても胸がときめかないと更新を待とうとは思わないし、
古くても、いいものはいいものだと思います。自分は待ってた1人ですが。
それと藤本さん、カメになんという扱いをw いや好きなんだけど(ヲイ)
- 149 名前:壱 投稿日:2008/08/14(木) 19:07
- 設定古くてもokですよ!!
みきよしならなんでも…σ(´∀`*)笑
みきよし夫婦は最高です!
9人もNiceチョイスですよ(/∀`q*)
- 150 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/14(木) 22:38
- ageるなよ
何がみきよしだ
キモ
- 151 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/16(土) 22:54
- やめろよ
- 152 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/16(土) 22:54
- そういうこと言うの
- 153 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/16(土) 23:03
- 自分もそう思うけど
だからってあげないことー
- 154 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/17(日) 11:02
- なんだそれ
- 155 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/17(日) 15:47
- だからageるなってば
- 156 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/23(土) 10:18
- あのさ・・・キモいから
- 157 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/23(土) 14:04
- みきよし(藁
- 158 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/23(土) 14:50
- ochi
- 159 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/25(月) 15:22
- 从 v )
- 160 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/08/25(月) 21:36
- 堕ち
- 161 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/26(金) 00:52
- 大好きなので…
続き…
ぷり〜ず(≧ε≦)
- 162 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/26(金) 19:00
- 川*'∀')
- 163 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/26(金) 19:17
-
- 164 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/09/30(火) 03:53
- こういう設定も…
あると思います!!!
- 165 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/09(木) 02:48
- みきよしの大人コンビメインも読んでみたいね☆
- 166 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/10/20(月) 18:11
- そろそろ。
どうでしょうか?
- 167 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:39
- えー、諸事情によりまたも大変放置してしまいました。
そして設定していたメンバーで書き続けるとこが私情ですが困難になってしまいましたので、今のメンバーで無理矢理書いてみることにしました。
ですので、ここからは今のメンバーがメインになります。
内容はルームシェアのままです。
某屋根スレみたいになってしまいます。
嫌な方はご遠慮下さい。
あと荒らしもやめていただければと思います。
- 168 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:40
-
- 169 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:40
- あれから3年の月日が経った。一緒に住んでいた彼女達にも変化があった。
藤本さんや吉澤さん、小川さんや紺野さんはまた新しい生活を求めてこのルームシェアから旅立って行ったのだった。
そういう悲しいことだけではなく、嬉しいこともあったことは確かだ。
久住小春が入居してきて、そのあと光井愛佳が、そのあとにジュンジュン、リンリンが入居してきた。
この久住小春という人間はとんでもなく煩い奴で、ガキさんは毎日楽しそうだったりする。
光井愛佳はこのガキさんよりも常識人で、いつもさりげなくまとめ役になっていたりする。
ジュンジュンはいつもバナナを食べている。
リンリンはきっと誰よりもいい娘である。
そんなハチャメチャな入れ替わりをしてもう一年と半年くらいたったらしい。
みんな仲良く毎日騒がしく楽しそうに暮らしている。
ちなみに愛ちゃんはもう22歳。最後のキャンパスライフを送っている。
ガキさんは20歳。こちらも大学生。
絵里ちゃんは19歳。大学もガキさんと一緒なのは言うまでもない。
さゆみちゃんは19歳。大学1年生だ。
れいなも19歳。5人仲良く同じ大学なのだ。
小春は16歳。高校一年生。
愛佳は15歳。高校一年生。クラスは小春と一緒。
ジュンジュンは20歳。一応留学生らしい。
リンリンは17歳。高校2年生らしい。
- 170 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:41
-
「コラー!いつまでテレビ見てんのっ!遅刻するでしょーがぁ」
「ちょ、新垣さん!今小春星占い・・・」
「いいから早く学校行きなさーい!」
「ちぇ・・・みっつぃー、行こう。って、みっつぃーは?」
「さっき靴履いて出ていきよった」
「みっつぃーひどーいっ!!」
「コラー!早く行きなさい!」
「ひぇー、行ってきまーす!」
「あれ?リンリンは?」
「先に行ったよ。みっつぃーと」
「あの2人はしっかりしてるのに小春は全く・・・」
「ガキさんがしっかりしてるから甘えてるんだよ」
「何それー」
今日もまた朝からドタバタ大騒ぎのこの家も、小春がいなくなったとたんに静かになる。
れいなやさゆみちゃんや絵里ちゃんは、小春は子どもだなーなんて思っているけど、自分達も高校生のころはそうやって年上の人間に迷惑をかけていたのだ。
そのことを全く分かっていない上、未だにガキさんには迷惑かけっぱなしだったりする。
その隣ではジュンジュンがバナナを今日も食べている。
「さてっと。今日は講義もないし」
「家のお掃除でもしますかー?」
「え・・・絵里は寝る気マンマンだったけど」
「亀。少しは睡眠時間減らしなさい。本当に亀にでもなるつもり?」
「・・・はぁーい」
- 171 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:42
-
ガキさんと絵里ちゃんが今日はお掃除をしてくれるらしい。他はみんなもう学校に出かけてしまって、みんなは夕方にならないと帰ってこない。
そういえばもう12月だ。街はクリスマスの雰囲気が漂っている。
うん。掃除が終わったらガキさんとお台場に行きたいな。なんて絵里ちゃんは一人ニヤニヤ。
傍から見ると本当にキモいだけの絵里ちゃんは半分ほったらかしにして掃除を始めるガキさん。
「さぁーてあたしはお風呂から掃除しよっと」
「じゃあ絵里はリビングするよー」
「コタツで寝てたら承知しないよ?」
「・・・う、うん」
そしてガキさんがお風呂のタイルをゴシゴシとブラシで擦っている。洗剤で床が泡だっている。
そこで一人、すっ転んでしまったのは内緒にしといてくれ。
広い浴槽も使っているときは贅沢を感じるのに、掃除のときはちょっと大変。
でもみんなに喜んでもらいたいから一生懸命キレイにしているガキさんはきっといい奥さんになる。
そしてリビング担当の絵里ちゃんはというと。
「あ、こんなところに100円みっけ」
掃除機をかけながら100円を拾って一人喜んでいた。
さっき風呂場から大きな音がしたけど大丈夫かな?なんて思っていたら、今度はテレビの下からきら☆レボのCDが出てきた。
これはきっとれいなのものだろう。つい最近まで「ないっ!」って騒いでいたから。
おっと窓やテーブル、テレビもキレイに拭いておかないとガキさんに怒られる。
「ちょっとのことでも見逃してはくれないんだから」
絵里ちゃんが呟いた瞬間、講義中の愛ちゃんが盛大にくしゃみをしたとかなんとか。
そして午前中に家の全ての掃除を終わらせ、お昼ご飯をどうするかお話していたら、それまですっかり忘れていたガキさんと渋谷へ行こうとしていたことを思い出した。
どうせだからお昼ご飯も渋谷で済ませたい。
- 172 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:42
-
「ガキさん、渋谷行こう」
「お、亀にしては珍しいじゃない」
早速アウトドアなガキさんも乗り気になり、2人で支度をしている。
そうそう、説明が遅れてしまったが、部屋が別々になったのだ。
愛ちゃんとガキさん。
絵里ちゃんとさゆみちゃんとれいな。
小春と愛佳。
ジュンジュンとリンリン。
今はこの部屋割りになっている。
なので2人リビングでお化粧をしているとテレビのCMでピザーラが流れた。
「絵里ね、真ん中の娘が好き」
「え、何?マスカラの途中なんですけど」
「ガキさんは?」
「あたしは左かなー」
「今日の夜ご飯はピザ頼もっか?ガキさん」
「たまにはいいよねー」
そして支度も終え、電車に揺られて渋谷に着いた。
街は本当にクリスマス一色。まるで毎日がクリスマスのようだ。
まだ昼間だからイルミネーションはないけど、飾りがゴージャスで眩しい。
- 173 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:43
-
「もうクリスマスかー」
「その前に絵里の誕生日ー」
「あ、そうだねー。亀、なんか欲しいものある?」
「んー・・・」
「・・・適当に探しておくよ」
「心が篭ってないー」
ちょっとふくれっ面の絵里ちゃんの腕を引っ張って、ランチがおいしそうなお店に入る。
良かった、そんなに混んでいない。店員さんに勧められて席に座る。
何にしようか悩んでいるガキさんの向かいで絵里ちゃんはハンバーグランチに決定。
ガキさんは悩んで悩んでスープパスタに決定とか。
今年の絵里ちゃんの誕生日、みんなで何をプレゼントしよう。
そればっかり頭の中でグルグルJUMPしていたガキさんなのであった。
そしてガキさんと絵里ちゃんが家に着いたころ、高校生組が帰ってきた。
「ただいまー!」
「小春ー、靴はちゃんと揃えなさい!」
「ただいまー」
「おかえりみっつぃー」
「タダイマ帰リマシタ」
「リンリンもおかえりー。みんなちゃんと手洗いうがいするんだよ」
「・・・ガキさん本当にお母さんだね」
「亀も少しはしっかりしなさい!」
うへへーとごまかしながら絵里ちゃんはリビングへ逃げる。テレビをつけて新聞を見た。
なにか面白い番組あるかなーと覗きこんでいたら、小春がやってきた。
片手にバナナがある。ジュンジュンに後で怒られるぞと思ったが口には出さない絵里ちゃんは鬼。
「亀井さんも食べます?」
「絵里は今お腹いっぱいだからいーよ。小春食べな?」
「じゃあいただきまーす!」
知らないぞ。共犯にはなりたくないし。なんて心の中で思った絵里ちゃんであった。
- 174 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:44
-
「今日の夜ご飯なんだけどさー」
「わぁーい!」
「小春、まだ何も言ってない。・・・あのさピザ頼もうと思ってるんだけど」
「新垣さんあのCM見はったんでしょ」
「いや最初は亀が言ったんだけどね」
「やったー!ピザ大好きー!!」
「バッチリデース!」
「じゃあ小春ピザのために今からお腹減らさないと!」
「どこ行くん?」
「スーパー!」
「なんでやねんっ!」
そうか、バナナを買ってくる気だな。と気付いたのはもちろん絵里ちゃんだけ。
ついでに今食べたバナナも消化するとかなんてずる賢い奴だ。
そんな小春のずる賢さよりもいいことを絵里ちゃんは思いついた。
ピコーンピコピコピコーン。ふへへ、小春め手助けしてやるぜ。
小春が家を出て行って10分したころ、絵里ちゃんはガキさんに言った。
「ねぇガキさん。小春にジュース買って来て貰おうよ」
「あー、そうだねー。でも重いしなー・・・」
「大丈夫だよ。お腹減らしに行ったようなもんだし」
(亀井さんってたまに鬼になるよな)
「じゃああたしが電話しとく」
「ガキさんよろしくー」
(自分でせーへんのかいっ!)
そして小春が出て行った40分後、フラフラになりながらジュースを抱えて帰ってきたのだった。
もちろんバナナも忘れずに買ってきたのでジュンジュンはその後、怒るどころか小春を労いさえしたのだった。
その日、みんな帰ってきてからピザパーティーを開いてとっても楽しかったようだ。
ただ、さゆみちゃんだけみんなより多く食べていたことは神様しかきっと知らない。
- 175 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:45
-
みんな騒ぎ疲れて片付けは明日にしようと各部屋でおやすみタイムの中、静かに片付けていたジュンジュンとリンリンだった。
日本にきて、仲良くしてくれる仲間がいることが2人には救いの1つでもあるのだ。
お隣の国でも海を越えないと帰れない。ホームシックになりそうになるときだって当然ある。
でもそんなときでもいつも明るい仲間がジュンジュンとリンリンにはいる。
さゆみちゃんと同じ、私の居場所はここなんだ!と2人もそう思っている。
忘れちゃいけない感謝の気持ち。ジュンジュンとリンリンの心の中にはちゃんとある。
「ん?何してん?」
「ワォ!起コシテシマイマシタカ」
「いや、トイレ行くつもりやったんやけど・・・」
「ソレナラドーゾ」
「トイレ行ったら愛佳も手伝う!」
「アリガトゴザイマス」
お礼なんていらんやん。みんなで散らかしたんやし。ほんま優しい奴らやな。
夜中にトイレ行きたくなって起きたらこっそり片付けている2人。明日みんなをびっくりさせるつもりなんだろうか。
いや違う。あの2人はそんなことしない。明日みんなびっくりしてもきっと知らない振りをするんだろう。
「こんな寒い季節でも心はいくらでも暖かくなるんやなー」
「何ブツブツ言ッテルノ?」
「さ、早う片付けちゃお!」
「シー。ミナサン起キテシマイマスヨ」
次の日、キレイになっているリビングをみて問い詰められたリンリンは
「アワテンボウノサンタサンガヤッテキマシタ!」
とかなんとかワケの分からないことを叫んでいたので、愛佳もそれに合わせてあげたのだった。
ジュンジュンは眠そうに今日もバナナを食べていた。
- 176 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:53
-
レス返しです
>>148 名無飼育さん
ありがとうございます。
きっとこれを読んで下さる皆様のご期待を裏切ってしまった結果になってしまいました。
大変申し訳ございません。
もしよろしければこれからも是非読んでやって下さい。
>>149 壱さん
ありがとうございます。
吉澤さんや藤本さんがまたこれからもちょくちょく出していきたいです。
大変申し訳ございません。
荒らしは止めましょう
レス返しがしづらいですw
- 177 名前:おたんこなす 投稿日:2008/12/06(土) 22:59
- あ、お台場から渋谷に変わってるw
- 178 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/07(日) 01:15
- 更新きてたぁ!嬉しいです!!
ママガキさんパワー大発揮ですねw
- 179 名前:名無飼育さん 投稿日:2008/12/09(火) 23:40
- 更新お待ちしてましたよ。この空気好きです。
某屋根スレも見てますが、もしかしてあっちで書いてますか?
- 180 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/11(月) 20:24
- りにゅ〜あるされてる(≧∇≦)
どうなって行くんやろ…
- 181 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/10/10(土) 10:11
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終わりなのかな?
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