モーニング素浪人矢口先生 第二章

1 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)09時46分27秒
ソニン「現在状況を説明させていただきます」

矢口先生・市井庭八郎・お亜依・のの太郎・お梨華・吉澤五右衛門・ごま四郎
→安倍代官の屋敷での騒動の後、我が家(タンポポ長屋・プッチ長屋)へと向かう。

安倍代官・平家先生・大女の幽霊・あみーご
→あみーごに洗脳され、ごま四郎を殺そうとする。現在タンポポ長屋に潜伏中。

中澤屋・お圭・ゆゆ
→堺での商談を終え、寺田某、明石屋などから受け取った対あみーごの秘密兵器を持ち、現在商船で江戸に移動中

お彩・優跳組→京の都でお産の準備中。
りんね→明石屋の特訓を終え、どうやら江戸に向かっている模様。
アミ・衣吹→江戸に向かっているはず。(だが姿は確認できず)
あさみ→大女の幽霊に飛ばされて、現在行方不明
2 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)09時51分09秒
お圭「うぷ・・・船酔いが・・・」
ゆゆ「がめぇら!なさけないで」
中澤屋「そやそや・・・ってウチもおえぇぇぇぇぇぇ・・・」
ゆゆ「ばばぁはのみすぎや!!」
運良く?酒を運搬する商船に乗りこんだ3人組
3 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)09時57分02秒
お梨華「もうナワとかれちゃったんだ・・・うれしいけど、ちょっと寂しいな」
五右衛門「別にナワなんかなくてもいいよ。もうずっと傍にいるから」
お梨華「ひとみちゃん・・・」

お亜依「なんじゃいあのアホ共は!?イチャイチャしよってからに!!」
のの太郎「たたっきるれす!おもいっきりたたっきるのれす!!」
お梨華と五右衛門との距離を、ジリジリと縮めていくのの太郎
4 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)12時29分02秒
船酔い・酒酔いでぼろぼろの中澤屋一行、ようやく江戸湾に到着。

中澤屋「戻ってきたでぇ。これを売り捌けば大儲けや、うっひっひっひ」

突然お役人が乗り込んできた。
お役人「こりゃ、この船に中澤屋とか申す商人はおるか?」
中澤屋「お代官が迎え寄越したんかいな・・・へい、うちが中澤屋ですわ」
お役人「こりゃ、恐れ入りもせず。その方の積荷は全て召し上げ、代官所への出入り禁止、家財は没収の命が出ておるぞ。」
中澤屋「ええっ!・・そんな、手前どもは安倍代官のごひいきに預かっておりまして・・」
お役人「そのお代官様の命令じゃっ」

「お代官の命令だべ

中澤屋はご馳走してくれなかったから、荷物・店・財産は全て召し上げ
代官所御用達はぜんぶ仁っ木ー・小林屋にして、中澤屋のはぜんぶ小林屋に譲ること
ぶひ

 なっちはお代官だべ (手形)

P.S. なっちに逆らうのは老中・こむてつ様に逆らうも同然っしょ!」
5 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)12時32分14秒
中澤屋(・・・これはたしかになっちの手形・・なっち、どないしたん?
    老中・こむてつ様が噛んでんの?・・・なんや臭いなぁ)

あみーごの復活をまだ知らない中澤屋・・・金の切れ目が縁の切れ目(「ためごと」より)
6 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)13時10分03秒
矢口先生「この長屋に戻るのも久しぶりだなー」
庭八郎「ネズミとかウジャウジャしてるかもよ〜?」
矢口先生「こ、恐い事言うなよ〜・・・あれ?ごま四郎は?」
庭八郎「プッチ長屋の方見に行くってさ」
矢口先生「ふ〜ん」(ガラッ!)

あみーご(そうよ!全ての元凶はごま四郎なのよ!)
安倍代官「そうだべ!この世はなっちのものだべさ!!」
大女の幽霊「カオリはカオリでカオリなのーーー!!」
平家先生「くっくっく、横丁一の腕前を見せたるわい!!」
ネズミよりよっぽどタチの悪い奴らが住みついていたタンポポ長屋
7 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)13時20分21秒
安倍代官「むっ!よくぞなっち達を見つけたべさ。でももう遅いべ、ごま四郎の
      命は頂くべさ!!」
あみーご(ごま四郎はプッチ長屋よ・・・)
大女の幽霊「よっしゃー!突撃ーーーーー!!!」
ドタドタとプッチ長屋へ向かう安倍代官達(足音はもちろん安倍代官のもの)

庭八郎「ちっ!矢口!プッチ長屋へ急ぐわよ!」
矢口先生「おう!ごま四郎が危ない!!」
平家先生「ちょお待ちぃや。簡単に行けるとでも思うとるんか・・・ってあれ?」
入り口の前に立ち塞がった平家先生をすり抜けて行く小さな矢口先生
8 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)13時23分40秒
庭八郎「・・・みっちゃん、邪魔をするんなら斬るよ!」
平家先生「くっくっく、アンタ程度の者がアタシに敵うとでも思うとるんか?」
標準サイズの体格のため、出る事ができなかった市井庭八郎
9 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)13時32分29秒
庭八郎「そう言えばみっちゃん、ごま四郎にひどい事してくれたらしいね!」
平家先生「ひどい事?なんの事や?」
庭八郎「京にいる時ごま四郎を捨てたらしいじゃん!何考えてんのよ!!」
平家先生「ああ、その事?ええやん別に。あの怪力しか取り柄のないアホに付き合
      ってやってたんやで?アンタも師匠ならお礼くらい言うて欲しいわ」
庭八郎「・・・なんだって!?よくもそんなひどい事言えるね!!ごま四郎が聞い
     たらどんなに悲しむか・・・」
平家先生「くく・・・優しいんやな?ごま四郎の前でもそんくらい優しくしたった
      らどうや?クールな市井師匠はん?」
庭八郎「くっ!それ以上バカにするんなら二度とその薄汚い口を開けないようにし
     てやるよ!!!」
平家先生「はんっ、おもろいやん。かかってきぃや!!!」
完全に悪役の平家先生
10 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)17時10分26秒
りんね「はぁ…、やっと箱根の関所まで戻ってきたよ・・・
    もう中澤さん江戸に着いちゃってるんだろうなぁ・・・」

その時・・・

あさみ「きゃあああああああ〜!!誰かぁ〜助けてぇ〜!!」
りんね「あれは・・・あさみ?なんで空を飛んで・・・あれ!?
    ちょっと・・・こっちへ落ちてきてる・・・?やば・・・」(ダッシュ!)
あさみ「あっ!りんねちゃん!お願い、助けてぇ〜!!」(ジタバタ)
りんね「ちょ・・・なんで追いかけてくるのよ!
    そんな勢いついたの受け止められるわけないでしょ!
    こっち来ないでぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」(さらに加速)

ゴッチ〜ン!!(激突!!)

りんね、あさみ「「きゅう・・・」」
11 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)17時21分43秒
ガキーンッ!
「くくく・・・、この程度の使い手じゃあ名刀鞘火が可哀相やな」
「くっ!(つ、強い!これがみっちゃんの実力!?)」
「これが本当のアタシや!これが本当の平家みちよや!!」(ゲシッ!!)
庭八郎の腹部に思いっきり蹴りを入れる平家先生。

「ゲホッ!!」(ドンッ!)
「これでお終いや・・・。でも安心しぃや、ごま四郎もすぐにそっちに送ったるさ
  かいあの世で師弟仲良う暮らしぃや」
庭八郎の喉元に刀の切っ先を突き付ける平家先生。強い事は強いのだが、発言は完
全に悪役そのものである。
12 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)18時36分56秒
「ハァハァ・・・、確かに・・・、確かに、みっちゃんは強いよ・・・。でもね・・・」
「(なんや!?紗耶香の気がどんどん大きくなってきてる・・・)」
後ずさりする平家先生

「でもね・・・、妖魔に魂を売った者なんかに・・・
 アイツを傷つけようとするヤツに・・・やられるワケにはいかないのよ!!」
庭八郎が叫ぶと同時に、まるでスーパーサ〇ヤ人のように
金色のオーラが庭八郎の体を包み込む

「アンタ・・・長屋を離れてから一体今まで何をしてたんや・・・」
うろたえる平家先生
「かかってきなよ・・・。今までの修行の成果を見せてあげる・・・」
13 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)21時57分53秒
「師匠止めて!平家先生は・・・平家先生は妖魔に騙されてるだけなんだよ!!」
「ご、ごま四郎・・・なんでみっちゃんを庇うの?」
突然乱入し、平家先生を庇うかのように立ちはだかるごま四郎
「ちっ!なんやねんアンタは!邪魔や!どきなっ!!」(バシッ!)
「キャッ!!」
ごま四郎を突き飛ばす平家先生
「テメェ!アタシのごま四郎になにしやがんだーーーーーーーー!!!」
怒りMAXの市井庭八郎
14 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)22時14分36秒
「ごま四郎はどこだベさ!」(ズバッ!!)
「ディアーーーーーーーーー!!」(ドカッ!バキッ!)
標的のごま四郎を求め、妖刀・亜未異護とポルターガイストでプッチ長屋を破壊しまくる
安倍代官と大女の幽霊
15 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)23時05分02秒
五右衛門「ねぇ、遠くからなんか音しない?」
お梨華「きっと神様も私達2人を祝福してくれてるのよ・・・」(ギュッ!)
五右衛門「ふふ、お梨華は西洋式の祝言に憧れてるんだ。そっか、きっと聞こえて
      くるのは教会の鐘の音ね・・・」(ギュッ!!)

のの太郎「あいちゃん・・・もうげんかいれす。きるれす!」
お亜依「ウチもうさぶいぼだらけや・・・。一気にやってまえ・・・」
長屋での騒動も知らず、安倍代官の屋敷の庭でラブラブな2人
16 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)23時11分50秒
「うるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「くっ!?は、早い・・・」
平家先生に向けて、名刀鞘火を振り下ろす市井庭八郎
(効果音)ブシュッ!!
「ぐっ・・・」
肩から激しく血を流し、倒れこむ平家先生
17 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月08日(水)23時22分44秒
あみーご(このままじゃマズいわね。こうなったら・・・)
血を流し倒れている平家先生を突然煙が包み込む

あみーご(平家先生。ダメよ、もっとごま四郎に優しくしてあげなきゃ)
平家先生(なんやねんいきなり!ごま四郎さえいなくなれば昔に戻れる言うたんは
      アンタやろが!!)
あみーご(よく考えて。庭八郎はごま四郎の事になると急に冷静さを失うわ。それ
      を利用するのよ・・・)
平家先生(・・・どう言う事や?)
あみーご(さっきごま四郎はあなたを庇ったでしょ?つまりごま四郎はあなたには
      敵意を持っていないのよ)
平家先生(なるほど・・・ごま四郎をこっちに引き入れればええワケか。くくく、
      これはおもろい事になりそうやん)
あみーご(平家先生、お願いね。私はあなたに期待してるの・・・)
平家先生(期待・・・?アタシに期待してくれるんか!?・・・誰かに期待される
      なんてアタシ初めてや(グスッ)・・・よっしゃー!任せときぃ!必
      ずごま四郎をおとしてみせるで!!!)
他人に期待されると、異様な程の力を発揮する平家先生
18 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)07時42分37秒
堺からの積荷を没収され、とぼとぼと店に向かった中澤屋とゆゆ
かつての自分の店には今や「小林屋」「特製SUKIYAKI」の看板が・・・

中澤屋「なっち・・・うちはも一度あんたの力になったろう思てたのに・・むごいわぁ
    つんくさんの贈り物も取り上げられてもた・・・ん、ゆゆ、どないしたん?」
ゆゆたん「へへ、あの人のお土産、ちょっとかすめたったんや」
ゆゆの懐にはぴーまんに、ねぎに、にがうりが一つずつ
中澤屋「あんた、手癖悪いなぁ」
ゆゆたん「転んでもただでは起きへんっちゅーのは生活の智恵やで」
19 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)07時53分36秒
お役目大事で、代官屋敷へ帰京報告に向かう狛犬のお圭

五右衛門「さぁ二人だけの甘い時の始まりだよ」
お梨華「あぁよっすぃー、梨華嬉しい・・・」

お圭 「ごるぁっ!何やってんだよ!うざったいわねぇ!」(ゴン!ゴン!)
手にしていた十手であほカップルを力一杯どつく狛犬のお圭

お亜依「お〜狛犬の姐さん、ようやった」
のの太郎「のののかたなをあほのちでよごさずにすんだのれす」

長屋で君を呼ぶ声がするだろうに、色ボケの二人にクドクドと説教かますお圭
20 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)10時18分50秒
平家先生「(よっしゃ!計画実行や!)うぅ・・・ごま四郎・・・」
ごま四郎「平家先生大丈夫!?・・・師匠、ひどいよ!平家先生は洗脳されてるだ
      けなのに!!」
庭八郎「ご、ごま四郎・・・ア、アタシはアンタの為に・・・」
平家先生「(くくく、効いてるで〜)ごま四郎・・・アタシは昔のアタシに戻りた
      かっただけやのに、なんでみんな邪魔するんやろか・・・グッ」
ワザとらしく肩のキズを押さえうずくまる平家先生
ごま四郎「平家先生!!大丈夫、アタシに任せて!平家先生の邪魔をするヤツは絶
      対に許さないから!!」(ギュッ!!)
(効果音)バキッバキッバキッ!
平家先生「・」
あみーご(あちゃー、こりゃアバラの2、3本はいったわね・・・)
計画は成功したものの、肩から出血、アバラはボキボキで意識不明の平家先生
21 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)10時44分36秒
「ごま四郎、なんでみっちゃんを庇うんだよ!そいつは今まで散々アンタにひどい
 事してきたのに!!」
「なんでそんな事言うの!?師匠は平家先生の事よく知らないからそんな事が言え
 るんだよ!平家先生のいいとこ何にも知らないくせにひどい事ばっかする師匠な
 んて大嫌いだよ!!!」
『大嫌いだよ!大嫌いだよ!大嫌いだよ!大嫌いだよ!大嫌いだよ・・・』
ごま四郎の言葉が頭の中でエコーする市井庭八郎
22 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)12時30分12秒
「・・・・・・いいよ、別に・・・アンタに嫌われたって・・・
 どうせ、この騒ぎを収めたら、また私は修行の旅にでるからさ・・・
 その前に・・・やるべきことはやっとかないといけないんだよ!!」
庭八郎の体を取り巻く金色のオーラが再び勢いを増す
「はあぁ〜! プッチ流剣術 奥義! 血夜骨斗羅武 二の太刀!」
振り下ろした名刀・鞘火から平家先生めがけて衝撃波が放たれる

平家先生を抱きかかえ、庇うごま四郎
しかし、鞘火から放たれた衝撃波はごま四郎もろとも平家先生に襲いかかる

ドッカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!
23 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)12時31分37秒
衝撃波で長屋の壁は吹き飛び、埃が舞い視界を奪う
技を放った姿勢のまま動かない庭八郎

パラパラ・・・・・・

次第に視界が鮮明になってきて、その中に蹲っているごま四郎を見つけ
ホッと一息つく庭八郎。それと同時に体を覆っていた金色のオーラが消滅する

「つっ・・・・・・」
ごま四郎は自分の体と平家先生の体の無事を確認し、
平家先生をその場にそっと寝かせるとツカツカと庭八郎の側に歩み寄り、

パチ〜〜〜ン!!

庭八郎の頬を叩いた
24 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)12時32分30秒
「バカ・・・、バカバカバカ・・・!師匠の・・・市井ちゃんのバカ〜〜〜!!
 修行の旅にでも・・・どこにでも好きな所に行っちゃえ!!」
涙を流しながら叫ぶごま四郎
「・・・・・・・・・」
何も言わず、平家先生を指差す庭八郎

「ううっ・・・」
呻き声をあげる平家先生。ごま四郎は慌てて平家先生に駆け寄り抱きかかえる
「平家先生・・・」
「うん・・・?ごま四郎・・・?ウチは一体今まで何を・・・」

「プッチ流剣術 奥義 血夜骨斗羅武 二の太刀・・・
 自らの気を刀に込めて衝撃波として放ち、生身の肉体を傷つけずに
 邪悪な妖魔・呪いだけを払う奥義の中の奥義・・・
 本体の刀を持ってたら、私の実力だけじゃまだ退治できないだろうけど
 みっちゃんは操られていただけだから・・・」

それだけを言うと、庭八郎は矢口先生を追いかけ長屋の外へ出ていった
25 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)13時46分12秒
「師匠、待って!!」
「・・・みっちゃん・・・ごま四郎の事、よろしく頼むよ」
プッチ長屋の方へ走り去る市井庭八郎
「師匠・・・」
「えっ?なんなん?何の事なん?アタシなんかしたん!?・・・ぐっゲホッ!な、
 なんでこんなケガしてるん?グホッ!!ガハッ!!」
ごま四郎に抱えられたまま、ワケも分からず激しく血を吐く平家先生(先程の衝撃
の際、折れたアバラが内臓に刺さった模様)
26 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)13時58分37秒
あみーご(やっぱ落ち武者じゃダメか。もうあの2人に賭けるしかないね!)
ススススとプッチ長屋へと移動していく黒い煙

あみーご(大変よ!平家先生がごま四郎にやられたわ!)
安倍代官(殺られた!?みっちゃんが・・・ごま四郎に殺られた・・・!!?)
大女の幽霊(ごま四郎・・・今まで散々みっちゃんに世話になったくせになんてひ
       どい事を・・・カオリ絶対許さない!!!)
ちょっとした言葉のニュアンスから勘違いをし、ごま四郎に対する憎悪を増す2人

あみーご(実際にはまだ死んでないけど・・・ごま四郎にやられた事は確かよね)
自分が平家先生に致命傷を与えた事にはまったく気付いていないごま四郎
27 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)14時41分28秒
矢口先生「あっ、紗耶香!来てくれたんだ!矢口1人じゃどうしようもなかったん
      だよ!そう言えばごま四郎は?さっきタンポポ長屋の方へ走って行っ
      ちゃったんだけど・・・」
庭八郎「・・・アタシの前でその名前を出すな」
矢口先生「・・・ゴ、ゴメン紗耶香。でもなんで怒ってるの?」
庭八郎「・・・・・・」
矢口先生「・・・な、なんでもない。ゴメンね」
何故かマジギレしている庭八郎に怯える矢口先生
28 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)16時54分28秒
ふがいないばカップルにたっぷりお説教してぷっち長屋に帰ってきたお圭
(まったく、何考えてんだよ・・・??・・・紗耶香!)

お圭 「紗耶香〜!」
庭八郎「圭ちゃーん!」
互いに肩をがっちり抱き合っておいおい泣きまくる二人

矢口先生「いや〜感動的なんだけど、おいらのこともかまって欲しいな」
29 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月09日(木)22時15分22秒
ソニン「あれ?あの子達は・・・」
ユウキ「獣使いのヤツらだ。こんな所で何してるんだ?」

りんね・あさみ「「きゅ〜ん・・・」」

ソニン「のびてるわね・・・」
ユウキ「一体何があったんだ?しかも片方はなんか着ぐるみ着てるし・・・」
お彩の要望で、安倍代官の屋敷に『ここなっつ』を盗みに行く途中の優跳組
30 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)00時47分13秒
お圭「ところで何があったの・・・?プッチ長屋は崩壊してるし・・・」
庭八郎「あのね・・・(これまでの騒動をお圭に説明・・・)」
お圭「・・・大変だったね、紗耶香・・・」
庭八郎「アイツさぁ・・・普段は私のこと『師匠』って呼ぶけど、興奮した時だけ
    『市井ちゃん』って呼ぶんだよな・・・ホント、かわいいやつだよ・・・
    だけど・・・嫌われちゃった・・・『どこでも好きな所に行っちゃえ!』だって・・・
    だから・・・、この騒動を片付けたらまたすぐ旅に出るよ・・・
    もうここには戻ってこないつもり・・・ここは楽しい思い出が多すぎて辛いから・・・」
お圭「本当にそれでいいの・・・?」
庭八郎「・・・・・・」
31 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)00時48分44秒
お代官「感動のご対面はそこまでだベ!!」
お圭「お代官様!それにカオリ!」
カオリ「ごま四郎はどこにいるの?おとなしく教えてくれたら命は助けてあげる・・・」
庭八郎「悪いけど・・・ごま四郎の居場所を教えるわけにはいかないよ・・・
    どうしてもごま四郎を狙いたければ私を倒していくんだね!」
矢口先生「紗耶香、オイラも助太刀するよ!」
お圭「お代官様を敵にしたくはないけど・・・友達を見捨てることはできないよ!」
お代官「ほぉ〜、亜未異護の力を手に入れたなっち達と戦うつもりだべ・・・
    面白い・・・あの世でごま四郎の居場所を教えなかった事を後悔するベさ!!」
32 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)09時21分29秒
ソニン「早く早く!感動のご対面ですよ!!」
ユウキ「そうっすよ!出産に立ち会えなかったなんて男として最低です!!」
ブー「ちょ、ちょっと待て!俺は巡業の途中なんだよ!!」
安倍代官の屋敷から『ここなっつ』を盗み出し、ついでに巡業中の太鼓打ちを引き
連れ、京のお彩の元へと急ぐ優跳組
33 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)09時43分13秒
「くっ、ゲホッ!ご、ごま四郎・・・早く・・紗耶香んとこ行ってやりぃ・・・」
「平家先生!しゃべっちゃダメだよ!!」
「アタシが何したんかよぉ覚えてへんけど・・なんや・・みんなにひどい事したみ
 たいや・・・ゴフッ・・はよ・・・行ったりぃ・・紗耶香、待ってるで・・・」
「こんな平家先生を置いて行けないよ!ねぇ平家先生!しっかりしてよ!!死んじ
 ゃヤダよ!!」(ギュッ!!)
「ぐはっ!!」(ボキボキボキ)
心の底からごま四郎にどこかに行ってほしいと願う平家先生
34 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)13時10分03秒
大女の幽霊「ディアァァァァァ!!」(ブォン!)
矢口先生「カオリ!どうしちゃったんだよ!いつものカオリに戻ってよ!!」
大女の幽霊「うるさい!紗耶香!よくも平家先生を・・・絶対許さない!!!」
矢口先生「紗耶香!ここは矢口に任せて二人はなっちをお願い!!」
大女の幽霊「矢口、いくら仲間でもカオリの邪魔をするヤツは許さないよ!!」
矢口先生「カ、カオリ・・・」
貞子を超えた大女の幽霊の迫力に、内心かなりビビってる矢口先生
35 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)19時02分19秒
とりあえず三叉槍を構えてみる矢口先生
36 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)22時12分01秒
「ディア〜・・・って矢口ズルいよ!ちっちゃくてなかなか当たんないじゃん!」
幸か不幸かポルターガイストの標的になりにくい矢口先生
37 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月10日(金)22時43分36秒
ごま四郎「平家先生!平家先生!!」
平家先生「・・・・・」
ごま四郎「平家先生・・・お願いだよ、返事してよぉ・・・」(ガバッ!)
激しく平家先生に抱きつくごま四郎
平家先生「ぐっ・・・(誰か、早く誰か助けに来て・・・)」
そろそろ本気でご先祖様に会えそうな気がする平家先生
38 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)13時04分43秒
「なんかタンポポ長屋とプッチ長屋の方が騒がしいな・・・
 みんな帰って来たのかな・・・回診に行くついでに様子でも見に行こうかな・・・」
お出かけ準備を始める町医者明日香

平家先生にとって救いの女神になるのか!?
 
39 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)19時50分59秒
びびびびびびびびびびびび……(往復ビンタの音。水木しげる調)
ごま「お願い平家先生、ねえ目を覚まして! ねえ笑って!」
ぶんぶんぶんぶんぶんぶん……(平家先生の胸ぐらをつかんで振り回す音)
ごま「やだー! 平家先生死んじゃやだー!」
平家先生(もうあかん……あ、お花畑が見える)

周囲にはすでにカラスが集まり始めている平家先生
40 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)20時57分19秒
お圭(ぐっ、やっぱ強いわこの二人……)
市井(さすがオリジナルメンバーてわけね、でも……)
矢口先生(この二人に斬りかかるなんてこと、やっぱできるわけない……)
防戦一方で攻めに出られず焦る三人。

カオリ「でぃあー! でぃあー!」
お代官「ぶひー! ぶひー!」

ウルトラマンと怪獣の戦闘シーンを彷彿とさせるモーニング横丁。
41 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)20時58分31秒
明日香「……また派手にやっちゃってるねぇ」
患者の家でみやげにもらった黒和讃の袋を抱え、明日香登場

ごま「明日香……ちゃん」
明日香「あはは平家先生、死相が出てるね。とりあえずうちの診療所まで
    連れてくか。あ、脚の方持ってね」
ごま「みんな喧嘩してるんだけど、どうしよう……」
明日香「ん? いいよいいよほっといたら。私が横丁にいたときなんかさ、
    長屋が崩壊するくらいの喧嘩なんて毎日やってたよ。だからほら、
    近所の人なんか全然様子見に来ないでしょ?」
ごま「でも……」
明日香「大丈夫大丈夫。実際さ、平家先生以外無傷じゃん」
ごま「……それもそうね、えは」
42 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)20時59分14秒
ごま(そういえばどうして平家先生だけ大けがしてんだろ)    
明日香(久しぶりに私も参加したくなっちゃったなぁ。平家先生の手当が
    済んだらもういっぺん来ようっと)

あくまで加害者意識のないごまと、実はバトル大好きの町医者明日香
43 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)21時00分30秒
近所の町娘・杏「明日香せんせえ、焼銀軟膏の壺忘れたよお!」
明日香「あ、いっけね。黒和讃ばかり気になってて商売道具忘れちゃった。
    ああ、そんな重いもの持って走っちゃ危ないったら、
    (どたっ。ガチャン)……ほぉら! 言わんこっちゃない」

モーニング横丁に広がる銀杏の香り……
44 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月11日(土)21時01分54秒
お花畑をフワフワ歩く平家先生
平家先生「ああ、ええ天気やなぁ。めっちゃ気分ええわ」

ふと前方を見ると、大きな菩提樹の下に動物たちが集まっている。
平家先生「なんなんやろ? ちょっと寄ってみよか」

木陰には、動物たちにギターを聴かせているビジュアル系の男が一人。
平家先生「あれ? あんたもしかして……」
華月「……あんたはまだ、こんなとこに来るべきじゃない」
とん、と肩を押される平家先生

平家先生「あーれー!」
突然開いた地面の穴に真っ逆様に落ちていく平家先生
華月「市井ちゃんによろしくねぇ……」
45 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)00時22分01秒
明日香 「あぁ〜あ。焼銀軟膏、平家先生にかかっちゃったね」
ごま四郎「ぎんなん・・・ぎんなん・・・」
明日香 「ごま四郎さん?」
ごま四郎「ぎんなん・・・ぎんなん食べるぅ〜〜〜!!!」(ガブッ!!)
明日香 「あらら、こんな副作用があったのね。まだまだ改良しなきゃ」
銀杏の香りに耐えきれず、平家先生に噛みつくごま四郎

華月  「・・・アンタなんでまた戻ってきたんだ?」
平家先生「いや、アタシにもよぉわからんわ・・・」
再びお花畑に逆戻りの平家先生
46 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)00時34分52秒
平家先生「アンタえらいハイカラな格好しとるな?南蛮から来たん?」
華月  「さぁな。よく覚えてない」
平家先生「ここはええトコやな・・・。争いがのうてホンマみんな幸せそうや」
華月  「あぁ、確かにいい所だ。でもアンタがいる場所じゃない」
平家先生「そうなん?ほなアタシがいる場所ってどこなんやろ?」
華月  「さぁな。それくらい自分で探してみろよ」

ごま四郎「平家先生!平家先生!!・・・ど〜しよう、息してないよぉ〜!!」
明日香 「う〜ん。ま、みっちゃんの事だから大丈夫でしょ」
心はすでにバトルの方に傾きつつある、結構あっさりな町医者明日香
47 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)00時48分56秒
中澤屋「はぁ・・・店ものうなってもうたし、ウチらこれからどないしたらええん
     やろか?」
ゆゆ「ばばあ、元気だしてぇな。ほれ、ぴーまんくうか?」
中澤屋「ゆゆ、ありがとうな。でもぴーまんは生で食えへんねん・・・」
ゆゆ「ゆうちゃん・・・(アカン、ババア言うた事につっこまへんなんてそぉとぉ
    じゅうしょうや・・・)」
突っ込みが健康のバロメーターな中澤屋
48 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)00時58分41秒
庭八郎「(くそっ!このままじゃこっちがやられちゃう!)はあぁ!」
再び金色のオーラが体を包み込む

矢口先生(なんだぁ!?紗耶香、どんな修行をしてたんだよ!!)
大女の幽霊「ほらほら!他人の心配している暇はないよ!ディアーーー!!」
矢口先生「くそっ!カオリ、いい加減にしろ!アチョーーー!!」
襲いかかるプッチ長屋の残骸を破壊していく矢口先生
矢口先生(防御の為に壊せばカオリの武器が増えるだけ・・・これじゃあキリがない!
     かといっていつまでも避けきれるわけじゃない・・・どうすれば・・・)
49 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)01時00分03秒
庭八郎「くらえっ! プッチ流剣術 奥義! 血夜骨斗羅武 二の太刀!」
衝撃波が安倍代官を襲う!

ドカ〜〜〜〜ン!!
プッチ長屋の残骸と埃が宙に舞う

庭八郎(やった!?)
残骸と埃の中から庭八郎に向って突っ込んできて、鍔迫り合いになる庭八郎と安倍代官
安倍代官「ぶひ!なんだべ今のは!そんなんもんでこのなっちを倒すなんて無理だベさ!」
庭八郎(やっぱり本体の刀を持ってるから私の力だけじゃ無理か・・・くそっ・・・)
50 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)01時00分13秒
明日香「とりあえず治療は終わったわ。後は平家先生の気力次第・・・」
ごま四郎「・・・平家先生」
明日香「私は長屋の方を見てくる。またケガ人が出てるかもしれないしね」
ごま四郎「でも平家先生が・・・!!」
明日香「あなたがついててあげて。平家先生ならきっと大丈夫だから」
ごま四郎「うん、分かった!」
何故かニコニコし、軽く腕を振りまわしながら診療所を後にする明日香
51 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)04時34分30秒
〜表通りにて〜
中澤屋「いくんか…明日香。」
明日香「あれ。ゆうちゃん、どうしたの?」
中澤屋「なんとなく、足がむいてな…」
明日香「やっぱり長屋に未練でもある?クスッ
    みっちゃんとごま四郎はうちだよ。いってみたら。」
ゆゆ 「なぁ、ゆうちゃんいってみようや。
   (これで元気になるかも…)」
明日香「あら、ゆうちゃんの隠し子?」
中澤屋「アホなことを…いくんやったら、ほれ。」
明日香「え…この刀は…」
52 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)04時35分51秒
中澤屋「そう…あんたの刀や。そろそろあんたに必用やないか
    と思ってな。」
明日香「確か、お店は全部…」
中澤屋「ふふふ、失ったいうても全部やないで。うちが商人
   (あきんど)になった理由のひとつ、あんたの
   『唖州火』を捜し出す…ちゃんと果たしたで。」
明日香「ゆうちゃん…」
中澤屋「はよ、いってき。なんか嫌な予感がするんや。」
明日香「うん。」
中澤屋「ま、あんたが行ったら、すぐ終わるやろけどな。」
明日香「ゆうちゃん、うちで待っててよ。いってきま〜す。」
エモノも持ったし、上機嫌で駆け出す明日香。
53 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)11時25分51秒
ゆゆ「じゃまするで〜」
中澤屋「ごま四郎、久しぶりやな。元気やったか?」
ごま「・・・・・」
中澤屋「ん?どないしたんや?・・・みっちゃんなら平気やて。明日香に診てもろ
     うたんやろ?」
ごま「・・・・つーか誰?」
ごま四郎とはほとんど面識がなかったので、完全に記憶から消されている中澤屋
54 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)12時45分50秒
ぷっちもに・たんぽぽ両長屋跡にも、ぷん、と漂ってきた銀杏の香り。

あみーご(あれ? やだ、銀杏の臭いがする。……うっぷ、だめだ。
     少しの間だけ亜未異護の中で眠ってようっと。
     この二人、けっこう強いし暗示かかりやすい体質だし、
     しばらくほっといても大丈夫でしょ……)
亜未異護に吸い込まれていく、黒い煙。
55 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)12時47分02秒
お彩「はぁ〜、いろいろとお世話になりました」
武内「名前が決まったら知らせてよ」
お彩「きっと手紙出します。では、江戸で仲間たちが待ってますので……」

ガラガラガラガラ……
優跳組の牽く大八車に乗って京を去るお彩。

武内「仲間か……ええ響きやなぁ。
   OPDのみんなは今頃なにやってんねんやろ」

由紀子、ちょっぴりセンチメンタルな秋の空
56 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)13時58分06秒
次々に襲いかかる長屋の残骸

矢口先生(ダメだ・・・守ってるだけじゃこっちの体力を消耗させられるだけ・・・
     こうなったら・・・・・・・・・攻める!!!)

頭上から降り注ぐ残骸をかわし、大女の幽霊と間合いを詰める
矢口先生「カオリ、もらった!あちょ〜〜〜〜〜!!」
三叉槍の柄の部分で大女の幽霊に殴りかかるが・・・

スカッ!!

矢口先生(しまった!カオリは幽霊だったんだ!当たるわけないじゃん!)
大女の幽霊「とうとう耐えきれずに手を出したね、矢口!
      この時を待ってたの!ディアーーーーーーーーーー!!」
矢口先生と大女の幽霊めがけて辺りの残骸が襲いかかる
57 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)13時59分07秒
ドカドカドカドカドカドカ!!!

矢口先生「うわぁ〜〜〜!!」
残骸の下敷きになる矢口先生と大女の幽霊

お圭「矢口ぃ〜〜〜!!」

矢口先生を下敷きにした残骸の上に現われる大女の幽霊
大女の幽霊「紗耶香はなっちの相手をしてるみたいだから・・・次は圭ちゃんが私の相手?」
???「まだだよ・・・」
58 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)14時00分04秒
ドカン!
残骸が吹き飛び、埃の中から矢口先生登場

矢口先生「まだ終わってないよ・・・まだ・・・」
しかし、三叉槍を支えにして立っているのがやっとの状態
お圭「無茶しちゃダメだよ!アンタ、その傷で何ができるっていうのさ!」
大女の幽霊「いいよぉ、カオリは別に2人同時に相手にしても・・・」

不敵に微笑む大女の幽霊
59 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)15時55分38秒
中澤屋「みっちゃんはまだ目ぇ覚まさへんのか。・・・ところでホンマにウチの事
     覚えてへんのか?前に屋敷で会うたし、一緒に牢屋にも入ったやん!」
ごま四郎「うぅ〜ん・・・あっ!ひょっとして屋敷でお梨華にエッチなこといっぱ
      いして牢屋でもいっぱいしようとして、そんで平家先生とアタシにス
      トリップさせてた裕ちゃん!!?」
ゆゆ「・・・ばばあ、いったいなに考えて生きててん?」
中澤屋「・・・・・・」
少しだけ、自分の人生が恥ずかしくなった中澤屋
60 名前:さて、その頃長屋では… 投稿日:2000年11月12日(日)16時01分01秒
〜明日香宅〜
ごま四「あれ?その娘誰?」
平家 「裕ちゃんにソックリやなぁ、さては…」
中澤屋「隠し子とか言わんでな。かくかくしかじか…」
平家「ほぉ〜。」
ごま四「へぇ〜」
ゆゆ 「よろしくお願いしまっさ〜。」
中澤屋「…ってなわけで、もううちも只の中澤裕子になって
    もうたわ。」
平家 「……ゆうちゃん、良い機会や。長屋に戻ってこんか?」
ごま四「え?長屋にいたんですか?」
中澤屋「ああ、ごま四郎が住み着く前やったな。長屋を
    でてったんは…」
ゆゆ 「ゆうちゃん、なんで出てったん?」
中澤屋「そ、それはな…」
平家 「裕ちゃん、もうええやろ。ゆゆちゃん、ごま四郎、
    裕ちゃんもうちらの一員やってん。」
61 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時06分03秒
ガラガラガラガラガラ・・・
ユウキ「お彩さん、身体大丈夫ですか?辛くないですか?」
お彩 「大丈夫よ。そんな気にしないでね。ほんと、アンタは気が利くわね」
ユウキ「そうだ、赤ちゃんは?平気ですか?お腹すいてません?」
お彩 「(・・・ふふ、今度は年下の男の子ってのもいいかもね)」
ソニン「お彩さ〜ん、浮気はダメですよ〜」
お彩 「ギクッ!な、な、なに言ってんのよ!そんなワケないじゃない!!」
そろそろ二人目の準備に取りかかろうかなとか思ってるお彩
62 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時06分17秒
平家「うちが昔剣術大会で優勝したんはしってるな。」
ゆゆ「うち知らん。」
ごま「その後鳴かず飛ばずだったんだよね〜。」
平家「……の前に寺合宿あってんやけどそっからの付き合いや。
   裕ちゃんだけやないけどな。」
中澤「……」
平家「ほんでうちも宮仕えの身になって…悪い奴をビシビシ
   捕まえとってん。…ただな、江戸の町には悪い奴が多す

   てんな。うち一人じゃあかんかった。そん時にな、うちを
   手伝ってくれたんが、モーニング長屋の五人娘や。
   地獄の五人衆とか言われて、あっちゅう間に先を越され
   てもうたけどな。」
中澤「タンポポ長屋、プッチ長屋が出来る前やったな…
   あん頃は楽しかったわ。」
ごま「へぇ〜。」
ゆゆ「ゆうちゃん、カッコいい!」
平家「でもな、楽しい祭には終わりがあってん…」
中澤「……」

63 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時09分51秒
平家「まずは…福ちゃんやったな。医者目指す言うて、出て…
   巣立ってったんわ。あん時、お圭たちは…」
中澤「もう、おったな。モーニング長屋の八人娘でおった
   から、一人抜けても平気やって思っとったけど…
   辛かったわ実際。止めることなんか出来んかったしな…」
平家「ほんで、あやっぺが嫁入りで引退してん。」
ゆゆ「女の幸せ選んだんか。うちもはよ結婚したいわ…」
ごま「しぃっ!それ言っちゃ駄目!」
中澤「……」
ごま(あれ?突っ込み無し?どうしたんだろ…)
平家「その後やったな。圭織があんななってもうたんは…」
64 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時17分20秒
平家「カオリは…最初から幽霊とはちゃうかってん。いっつも
   元気なええ娘やった。時々、ぽ〜っとしとったかと思う
   とわけわからんこと言ってうちらを笑かしてくれてん。」
ゆゆ「電波系ってやつやん。」
ごま「今と変わんないじゃん。」
平家「…で、その圭織が…死んでもうてな…」
ごま「なんで、死んじゃったの?」
中澤「解らん、なんもわからへん。ここを飛び出してったきり
   帰ってこんかったわ。…いや帰ってきたんか、幽霊になっ
   て。ただ、封印がどうしたとか、みんなを守らなきゃって
   口走っとったんは今でも覚えとるわ…あんな必死の形相は
   初めてやったわ。」
ごま「カオリには聞いたんでしょ?幽霊の。」
平家「何も覚えて無いって…気ガついたら火葬されとったやと…」
中澤「カオリらしいわ。」
65 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時19分43秒
平家「みんなで泣いたなぁ。市井ちゃんなんか、『じゃない!
   これは圭織じゃない!』ってずっと泣きじゃくって…」
ごま「師匠…」
中澤「うちもそう思う。勘やけどな…」
平家「その後か…ゆうちゃんが、長屋を後したんわ。」
中澤「事の次第を知りたかってん。それやったら、商人が一番
   と思ってな。いろんな情報仕入れる為にな…あと、なぜ
   か質流れになってもうた『唖州火』を買い戻すっちゅう
   のもあったんやけどな。」
平家「ごほっ!ごほ…う、うちは知らんで…」
中澤「なに慌てとんの?」
平家「なんでもない、なんでもあらへん!」
何故か激しく動揺している平家先生。
66 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時23分19秒
平家「時をおなじくして、遊び人のなっちも姿を消してな。
   なぁ、ゆうちゃん。あれってやっぱ正体は…」
中澤(しぃ!言ったらあかん。あれでも隠密やったらしいで…)

〜そのころ対戦中のお代官〜
安倍「へっぷちっ!おぉっとゴメンだべさ。誰かなっちの事
   噂してるっしょ。」
67 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時26分57秒
平家「そんな中で長屋もタンポポと、プッチにわかれてな。
  ごま四郎、あんたが住み着いてん。」
ごま Zzzz…
ゆゆ くかーっ…
平家「何や…寝てもうたんか。ゆうちゃん、今やから言うん
   やけど、市井ちゃんがここ出ていったんは…」
中澤「修行とか言っとるけど、半分はうちと同じやろ…圭織
   について解らんことが多すぎや。あいつなりに思うとこ
   あったんちゃうか。」
平家「知っとったんか。…で、なんかわかったん?」
中澤「おあみって名前の娘が関係しとった…くらいやな。
   その後は金儲けに執着しとったし…本末転倒や。
   しかも肝心のカオリをあの状態じゃ。」
平家「そっか…ゆうちゃん、もう長屋には戻ってこんの?」
中澤「財産も無くなってもうたし、潮時なんかなぁ…なぁ
   みっちゃん、実はまだ少しなら隠してんのがあんねん。
   それで長屋建て直して、大家として生きていこうか?」
平家「店子が、メッチャ問題児ばっかやで。」
昔を思いだし、馬鹿話に華が咲くお局様コンビ
中澤・平家「ほっとけ!」
68 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時41分33秒
中澤屋「ところでみっちゃん、もう傷はええのん?」
平家先生「まだ動くんはちょお辛いけど平気や・・・ん?なんやこれ?」
眠っているゆゆの懐からコロリとぴーまんが転げ落ちた。
中澤屋「ああこれ?なんや妖魔を封じるなんかとか言うてたけど、ウチにはよう
     分からへんねん」
平家先生「妖魔・・・まさか!!裕ちゃん、そこの2人を頼むわ!!」
中澤屋「みっちゃん!?どこ行くねん!みっちゃん!!」
脇腹を押さえながら、ぴーまんを持ち診療所を飛び出して行く平家先生
69 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)16時55分41秒
ソニン「やっと江戸に入りましたね。あ、あそこで少し休んで行きましょうか?」
お彩「そうね。アンタ達も疲れただろうし」
『御茶処 華原』とかかれた茶店に入るお彩と優跳組

華原「いらっしゃ〜い、何にしますかぁ?」
お彩「お茶とお団子3つね」
ソニン「あれ?あそこの神棚に祭ってある刀は何ですか?茶店に珍しいですね」
華原「あれですか?もう何年前になるかな?この辺で妖魔が暴れてた事があって、
    その時その妖魔を封じてくれた方の遺品なんですよぉ」
ユウキ「妖魔が?そんな事があったんですか?」
華原「うん。大きくてとっても髪の長いお侍さんが、自分の命と引き換えに妖魔を
    退治してくれたんです。ともちゃんも、そのお侍さんに助けてもらったん
    ですよ。はい、お団子焼けましたぁ」
長屋での騒動も知らず、のんびり団子を食べているお彩と優跳組
70 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)21時56分10秒
市井「大丈夫か? 矢口!」
矢口先生「ちょっと動けないね、今は……」
お圭「なんかお代官とカオリの目が、さっきよりかは
   尋常に戻ったみたいだけど……。でもやばいね、こりゃ」

音もなくゆっくりと宙に浮き上がる長屋の瓦屋根。
カオリ「めんどくさいから、もう三人とも一気にやっちゃうよ……」
お代官「行け行けぇ。ぶひ」
71 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)21時56分56秒
矢口先生「け、圭ちゃんも紗耶香も早く逃げて!」
お圭「かっこつけてる場合か、バカ!」
市井「私いいよ、この三人でなら別にさ……」
矢口先生「圭ちゃん、紗耶香……」
ちょっと胸が熱くなった矢口先生。
72 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)21時57分44秒
カオリ「そぉれぇっ!」
日本バレーのかけ声で瓦屋根を飛ばすカオリ。

おのおのの得物を構え直す三人。
お圭(私はともかく、こいつらだけは守ってやらないと)
矢口先生(はあ……。昔の仲間に殺られるならよしとするか……)
市井(……さよなら、ごま)

三人の顔に吹き付ける、莫大な質量を伴った風圧。
思わず目を瞑る三人。
73 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)21時58分28秒
きん。
どおおおおおおおん……。

かすかな金属音が聞こえたかと思うと大地を揺るがす大音声。
夏の入道雲のように広がる砂埃。

お代官「ごほっごほっごほっ。……何も見えないべさ」
カオリ「……あっ」
74 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)21時59分24秒
そのとき一陣の突風が、砂塵の幕をなぎ払う。
ようやく開けた二人の視界に飛び込むものは、
まっ二つに裂けて地面に横たわる三丈四方もの大屋根。
そして、その間で身を寄せ合いながら立ち尽くす三人の娘。

……そしてもう一人、誰かがこちらに刀を向け立っている!
お代官「来たね……」
75 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時00分40秒
三人「あ、明日香ぁ(泣」
明日香「あはは、ちょっと調子に乗りすぎなんじゃない?
    飯田圭織に安倍なつみぃ!」
久しぶりの戦闘参加でちょっとテンションの上がり気味な町医者明日香。
76 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時01分18秒
お代官「ふん、雑魚が一人増えただけだべさ……きゃっ」
逃げる間もなくあっという間に間合いをつめられ、
『唖州火』で胸をつつかれるお代官。

明日香「ほらほら、爪が甘い。それにしても相変わらずぷにぷにしてるねぇ。
    まったくいいもんの食べ過ぎだよ、あはははは……」
そんなに喧嘩が楽しいか、町医者明日香。
77 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時02分03秒
明日香「矢口先生も大けがしてるじゃないか。えい、おしおき!」
ごつん、と『唖州火』の鍔でお代官の頭をたたく明日香。

お代官「あたっ。たたたたた……」
お代官の手から重い音を立てて落ちる妖刀亜未異護。
78 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時02分28秒
明日香「あんたもよ、カオリ! ……てあれ?」
お圭「……なんかさっきから固まったまんまだよ」
市井「口も開きっ放しだし……」
79 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時03分21秒
ガラガラガラガラ……

赤ん坊「んあっ」
ソニン「やーん、何度見てもか〜わ〜い〜い〜!」
お彩「『この世にこんないとしいものがあったのか』なんて
    ほんとパパの言うとおりよねぇ……」
ソニン「きゃー、旦那様かっこいい!」
ユウキ「あっソニン、いつの間に……」

気づくと一人で大八車を牽いていたユウキ
80 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時18分14秒
「なんだべ!いきなり出てきて何するだべか!!」
慌てて妖刀亜未異護を拾う安倍代官
「ふふ、まだやる気なの?相変わらず負けん気が強いわね」
「ふ、福ちゃん!このぴーまんであみーごを・・・」(ゼエゼエ)
傷を負いながらも必死で長屋に駆けつけた平家先生
「みっちゃん!今いいとこだから、そこら辺で大人しく座ってて!」
「へ?あ・・・はい」
そんなに喧嘩がしたいのか!?明日香。しかも言う通りに座るな!平家先生
81 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時29分23秒
ごま四郎「うぅ〜ん、むにゃむにゃ・・・いちーちゃん・・・」
中澤屋「・・・ごま四郎、強がっとってもやっぱ寂しかったんやなぁ」
ごま四郎「あは・・あはは・・・へーけせんせぇ・・・」
中澤屋「おいおい、どっちやねん!ホンマはっきりせん子やなぁ」
ごま四郎「うぅ・・・へーけせんせぇ・・・いちーちゃん・・・」
中澤屋「・・・裕ちゃん、裕ちゃん、裕ちゃん、裕ちゃん」
ごま四郎「むにゃむにゃ・・・ゆーちゃん・・・」
中澤屋「よっしゃー!大成功!!」(何故かガッツポーズ)
ゆゆ「ババア何してんねん・・・」
ヒマなので、ごま四郎で遊んでいる中澤屋
82 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時47分09秒
安倍代官「いくら福ちゃんでもこの亜未異護を持ったなっちにはかなわないべさ
     さぁ、亜未異護!ここにいるヤツらに力を見せつけるベさ!!」
あみ〜ご(もぉ〜、なんなのよ!人がせっかくいい気分で寝てたのに・・・
     げっ!福田明日香じゃん!これはちょっと2人だけじゃマズイなぁ・・・
     銀杏の匂いもマシになったみたいだし、かる〜ぅく本気を出そっかなぁ・・・)

妖刀・亜未異護から邪悪な波動が発せられると同時に安倍代官の体を妖気が包み込む
83 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)22時47分58秒
あみ〜ご(カオリ、カオリ・・・)
大女の幽霊(なぁに・・・)
あみ〜ご(私達の邪魔をするヤツが現われたの・・・
     ソイツは1人ずつじゃ勝てないかもしれない・・・
     だから・・・3人の力を合わせるの・・・いい?)
大女の幽霊(うん・・・カオリたちの目的はごま四郎を殺すこと・・・
      邪魔する者は・・・誰であろうと・・・殺す!)

妖刀・亜未異護に吸い込まれる大女の幽霊
そして、安倍代官の体を包む妖気はさらに禍禍しいものになる

安倍代官「ぶひぃ〜・・・明日香、氏ぬだべさ!!」
84 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)23時12分09秒
明日香(ええっ・・・!ちょっと、ただの喧嘩じゃなかったの・・・
    なんか、ややこしい事になっちゃってるわね・・・)
安倍代官の変貌に少し驚かされた町医者明日香
85 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月12日(日)23時13分26秒
庭八郎「圭ちゃん・・・」
お圭「なに・・・」
庭八郎「矢口のこと頼むよ・・・明日香と2人がかりならなんとかなるかもしれない・・・」
お圭「わかった・・・でも、氏ぬんじゃないよ・・・
   私はアンタをごま四郎に会わせるって決めたんだから・・・」
庭八郎「・・・・・・」
何も言わず体に金色のオーラを纏い、明日香の元に飛んでいく庭八郎

平家先生「あっ・・・ぴーまん渡しそこねてしもうた・・・」
86 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)09時45分37秒
お圭「あれ?平家先生!?アンタ死んだんじゃなかったの!!?」
平家「なんでやねん!ホンマ失礼なやっちゃなぁ・・・ぐっ、ゴフッ!走ってきた
    ら傷口・・・開いてもうた・・みたい・・や・・・」
お圭「・・・(やっぱりこの女にはごま四郎は任せられん!!)」
脇腹を押さえ吐血している平家先生を、冷めた目で見つめる狛犬のお圭
87 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)16時20分05秒
お代官「いくベさ!!」
正面から突撃する安倍代官、唖州火を鞘から抜き迎え撃つ明日香
しかし・・・
明日香(消えた!・・・右・・・違う!後ろ!!)

ガキーーン!!
鍔迫り合いになる2人
88 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)16時21分13秒
明日香(くっ!速い・・・)
お代官「ありゃりゃ・・・見破られちゃった・・・
    しばらく剣の道から離れてたから腕が鈍ってるんじゃないかと思ったけど
    そうでもないみたいだねぇ・・・じゃあ・・・これはどうだべさ!!」

長屋の残骸がふわりと浮かび、猛スピードで明日香の後方から襲いかかる

ドカッ!!
安倍代官の腹部を蹴り、上空に飛び上がり回避しようとするが
長屋の残骸はそのまま明日香を追いかける

明日香「あ゛〜っ、うっとおしい!!」
叫びながらも残骸を一瞬のうちに破壊していく
89 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)16時22分14秒
お代官「ひっかかった!」
不敵な笑みを浮かべながら明日香の背後に現われ、亜未異護を振り下ろすが・・・

スカッ!
安倍代官が切り払ったのは明日香の残した残像・・・

明日香「みくびらないでほしいなぁ・・・」
安倍代官の背後に現れる明日香
お代官「そっちこそ、なっちを甘く見てるべさ・・・」
さらに明日香の後方から現われ、突撃してくる安倍代官
明日香(うそっ!何時の間に・・・ダメ、かわしきれない!)
90 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)16時23分04秒
???「血夜骨斗羅武 一の太刀ぃ!!」
大気を切り裂きながら安倍代官に迫る衝撃波

安倍代官(これは・・・さっきのとちがうべさ!!)
亜未異護で受け止めるが威力に押し戻される

???「勘は鈍ったんじゃないの?」
明日香「邪魔しないでよ、紗耶香・・・これからそれを取り戻すところなんだから・・・」
市井「そんな悠長な事言ってられないよ・・・
   向こうは3人の力が合わさってて、今のままじゃ私達の方がかなり不利なんだから・・・」
91 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)20時31分41秒
ごま四郎「ぐーーーー・・・」
ゆゆ「すかーーー・・・」
中澤屋「すぴーーーー・・・」
仲良く診療所でお昼寝中のアホ3人
92 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)21時00分09秒
平家先生「なぁ・・・圭ちゃん・・・この中でまともに動けるんは・・・アンタだけや・・・
     これを・・・市井ちゃんと明日香に・・・渡して・・・」
お圭「なに?この緑色のモノは・・・」
平家先生「さあ・・・ウチにはようわからん・・・でも・・・市井ちゃんなら・・・
     使い方知っとるかも・・・しれん・・・」
お圭「わかった、必ず渡すよ。だから、矢口とここで・・・」
矢口先生「待って・・・オイラも行くよ・・・」
お圭「バカ!そんな傷で戦いの中に入れるわけないでしょ!」
矢口先生「へへっ・・・これでも圭ちゃんよりは戦えると思うな・・・」
お圭「ったく、止めても無駄ね・・・しょうがない・・・行くよ!」
93 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)23時41分13秒
ユウキ「お彩さんも家に送り届けちゃったし、俺達ヒマだな〜」
ソニン「そーね・・・あれ?あそこで寝てるの平家先生じゃない?」
うずくまって倒れている平家先生に駆け寄る優跳組
ソニン「平家先生、お久しぶりです。元気でしたか?」
ユウキ「あれ?ケガしてる。とりあえず焼銀軟膏をヌリヌリと・・・」
平家先生「うぅ・・・アンタら・・・っておお!もう痛ないでーー!!」
ソニン「スゴイ!さすが焼銀軟膏!!」
平家先生「やったー、もう回復やー・・・ぐっ・・・やっぱまだみたい・・・」
ユウキ「いきなり動くからだよ・・・」
死にそうになりながらも、なかなか死なない平家先生
94 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月13日(月)23時56分06秒
ソニン「そうだ平家先生。さっき立ち寄った茶店でおもしろい話を聞いたんです」
平家先生「おもしろい話?」
ユウキ「何年か前に、妖魔が暴れてた事があったらしいんですけど、その時に背が
     高くって髪の長いお侍さんが自分の命と引き換えに妖魔を封印してくれ
     たらしいんですよ」
ソニン「その時は気がつかなかったけど、ひょっとしてアタシ達が封印解いちゃっ
     た妖魔ってそれだったのかぁ〜とか思っちゃって・・・」
ユウキ「俺らもちょっとは気にしてたんすよ。悪い事しちゃったなって」
平家先生「背が高くて髪の長い侍・・・まさか・・・」
ソニン「平家先生、そのお侍さんに心当たりでもあるんですか?」
平家先生「・・・まさかなぁ〜、そんなワケないやん。さっ、ここにいても危ない
      し、とりあえず診療所行こか?」
目の前でバトルが行われているのに、あえて関わらず逃げて行くへっぽこ3人組
95 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月14日(火)00時03分48秒
平家先生「裕ちゃん、起きて起きて!」
中澤屋「うぅ〜ん?なんやねん・・・ん?アンタらは優跳組!?まさかウチを殺し
     に来たんか!!?」
平家先生「そんなワケないやん。実はな・・・」
中澤屋「なんやて!?あの妖魔を昔封印したんはカオリや言うんか!!?」
平家先生「確証はないねんけど、どうも話を聞いとるとそんな感じがすんねん・・・」
中澤屋「よっしゃ、アンタらちょお詳しい情報を仕入れてきてぇな!暗殺専門言う
     ても、いちおう情報収集くらいできるやろ?」
ソニン「はい、任せてください。ユウキ、行くよ!」(バッ!)
ユウキ「おう!」(バッ!)
久しぶりに忍びとして活動を開始した優跳組
96 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月14日(火)17時19分16秒
明日香「行くよ!」(ダッ!)
お代官へ猛スピードで突っ込んでいく

キン!キン!キン!キン!キン!キン!……
目にも止まらぬ速さの連撃で攻めるが、お代官も負けずに撃ちかえす
まさに一進一退の攻防!

市井「はああ!」
加勢しようと安倍代官の背後から迫ろうとするが・・・
お代官「あまいべさ!」
ポルターガイストで操った長屋の残骸が庭八郎の行く手を遮る

ガシャ!バキッ!ズバッ!・・・
庭八郎「くっそぉ〜・・・これじゃあキリがない・・・」
97 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月14日(火)17時40分36秒
ガキーン!ギシギシ・・・・・・
鍔迫り合いでしばらく睨み合い、跳躍して間合いをとる明日香と安倍代官

明日香「はぁはぁ・・・」
市井「明日香!」(スタッ!)
明日香「まずいなぁ・・・体力は確実に落ちちゃってるよ・・・
    診療の合間にもう少し練習しとくんだった・・・」
お代官「ぶひひ・・・もうバテちゃったのかい?
    さて・・・、そろそろ2人には死んでもらうべさ!」
98 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月14日(火)17時41分37秒
妖刀・亜未異護から邪悪な波動が発せられ、辺りを闇に包み込む

市井「マズイ・・・これじゃあ何も見えない・・・」
明日香「心眼に頼るしかないわね・・・でも・・・」
お代官(ぶひひ・・・ここは亜未異護が作り出した闇の空間・・・
    そう簡単になっち達の気配を探ることはできないべさ・・・)
99 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月14日(火)17時42分13秒
お圭「なにあれ?」
矢口先生「どうやら、あの中で3人が戦ってるみたいだね・・・」
お圭「どうする・・・って言っても答えは1つよね・・・」
矢口先生「行くよ・・・圭ちゃんが「行かない」って言ってもおいらは行く・・・」
お圭「バ〜カ、誰がそんなこと言うのよ!
   私はこれを紗耶香に渡さなきゃいけないんだからね!」

闇の空間に飛び込む矢口先生と狛犬のお圭
100 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月14日(火)22時26分15秒
ごま四郎「ぐーーーー・・・」
ゆゆ「すぴーーーー・・・」
中澤屋「すかーーーー・・・」
平家先生「うぅ・・・リストラだけは勘弁してぇな・・・」
気持ちの良さそうな寝息の響く中、一人うなされている平家先生
101 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)01時28分01秒
明日香(となりにいる紗耶香の気配すらほとんど感じられない・・・)
市井(どこから・・・どこから来る・・・)

ヒュン!

明日香「紗耶香!右!」
市井「クソッ!」
庭八郎の反応が遅れたため、防御するタイミングが僅かに遅れる

スパァ!

市井「ぐっ!・・・」
明日香「紗耶香ぁ!!」
市井「大丈夫、カスリ傷・・・なんとかギリギリでかわせた・・・」(ポタッ・・・ポタッ・・・)
庭八郎の右腕の指先から鮮血が滴り落ちる
102 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)01時29分23秒
お代官(人の心配している場合じゃないっしょ!)
明日香(後ろぉ!?)

スパッ!

市井「明日香ぁ!!」
明日香「大丈夫・・・私もギリギリなんとか・・・」
明日香の着物の右太腿部分が真っ赤に染まっていく・・・
103 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)01時30分50秒
静かに・・・、気配を感じさせず2人に近づいていく安倍代官
その手に持つ亜未異護の刀身は確実に2人の首を狙っている
お代官(さあ、最後・・・2人とも死ねぇ!!)
2人の背後に近づき、まとめてその首を落とそうと亜未異護を振り上げたその時・・・

ドカァッ!

お代官(なんだべ!?)
1本の三叉槍が安倍代官の足元に突き刺さり、慌てて闇の中に再び姿を隠す
104 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)01時32分01秒
???「危ないところだったね」(スタッ!)
明日香「矢口!」
???「ホント、私達に感謝してよね!」(スタッ!)
市井「圭ちゃん!・・・なんでこんな所に来たんだよ!」
お圭「ったく・・・それが命の恩人に言う言葉ぁ・・・
   せっかく無理して役立ちそうな物持ってきてあげたのに・・・」
懐からぴーまんを取り出し、庭八郎に手渡す
明日香「それは・・・みっちゃんが持ってた・・・」
矢口先生「どうやらそれがアイツを倒すことができるかもしれない物らしいよ・・・」
お圭「みっちゃんがアンタなら使い方わかるかもって・・・」

お代官(な〜にをブツブツ言ってるんだベ?
    ま、1人や2人増えたところでなっちの有利は変わらないけどさ)
105 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)08時44分23秒
ソニン「ここがそのお侍さんのお墓か・・・」
ユウキ「名前は彫ってないな・・・。やっぱカオリさんじゃないのかも・・・」
ソニン「あれ?あそこにある洞窟、なんか変じゃない?」
ユウキ「・・・すげー封印施されてるぞ。マジやばいって、止めとこうよ」
ソニン「ユウキ、行くわよ!!」
ユウキ「・・・はい」
封印を潜り抜け、洞窟の中に入って行く優跳組
106 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)08時52分24秒
恐る恐る洞窟の中を進んで行く優跳組
ソニン「うぅ〜寒い!ちょっとなんでこんな寒いのよ!つららできてるじゃん!」
ユウキ「この洞窟絶対おかしいよ!だってさっきまで全然寒くなかったぞ!!?」
ソニン「あっ!あそこになんかある!!・・・棺桶?」
ユウキ「なんでこんな所に棺桶が・・・?しかもこれもすげー一杯護符貼ってある」
(効果音)ビリッ!ビリッ!ビリッ!
ユウキ「お、おい!何してんだよ!こないだの失敗をもう忘れたのか!?」
ソニン「こんな所いつまでもうろうろしてたらアタシ達凍え死んじゃうよ!早く中
     確認して帰るわよ!!」
かじかむ手であっさりと封印を解いて行く優跳組
107 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)09時03分11秒
ソニン「ねぇ・・・ホントに開けるの?」
ユウキ「何言ってんだよ。ソニンが最初に開けるって言ったんだろ?」
ソニン「だって棺桶って事はさぁ・・・中身死体だよ?」
ユウキ「そ、それはそうだけど・・・。もういい!開けるぞ!!」
怯えながら棺桶の蓋を開けるとそこには・・・

ソニン「イヤァァァーー!やっぱりなんか入ってるーーー!!」
ユウキ「うぉぉぉぉーー!!死体だ死体だ死体だーーーー!!」
一気に100メートル程逃げ出した優跳組
108 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時19分58秒
市井「よし・・・!みんなの命を私に預けてくれる?」
お圭「私達はそれの使い方わからないんだから、アンタに頼るしかないでしょ!」
矢口先生「任せるよ、紗耶香!」
明日香「言っとくけど、私達にもできる事とできない事があるんだからね・・・」
市井「そんな難しいことじゃないよ。あのね・・・」(ボソボソ・・・)

明日香「・・・ハァ・・・無茶言ってくれるよ・・・」
矢口先生「そんな事言ったってやるしかないじゃん・・・」
お圭「絶対成功させてよ、しくじったら一生恨むからね!」
市井「失敗したらみんな死んでると思うけど・・・(クスッ)」
4人は庭八郎を中心に隊形を組んだ
庭八郎は鞘火を鞘に収め、抜刀術の構えをとり、両目を閉じる・・・
109 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時20分50秒
お代官(ほぉぉ、覚悟を決めたみたいだね・・・
    じゃあ4人まとめて地獄に送ってやるべさ!)

矢口先生「見えた!そこだぁ!」(ダッ!)
三叉槍を構え、真正面から安倍代官に向って行く矢口先生
矢口先生「あちゃちゃちゃちゃ・・・!」(シュシュシュシュ・・・!)
凄まじい連続突きを放つ!
(市井「いい?みんなにして欲しい事は2つ!
    1つは少しでも長く時間を稼いで欲しい・・・おそらく私の残っている力を
    全部ぶつけないとあの妖刀の妖魔を封印することはできないだろうから
    精神と力を集中する時間が欲しいの・・・」)
110 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時21分47秒
キンキンキンキンキン・・・
お代官(こんなものでなっちを倒せると思っているのなら大笑いだベさ!)
お圭「そう思ってるから、私達は最後の勝負に出たのよ!」
安倍代官の真横から突っ込んでくる狛犬のお圭
(市井「もう1つは・・・これが失敗したら封印できないから確実に成功させて!
    これ、“ぴーまん”っていうものなんだけど、あの妖刀に宿っている
    妖魔の苦手な物らしいの・・・隙をついてこれをあの刀に・・・そうすれば・・・」)
111 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時22分41秒
お代官(あ〜もう、うっとおしい!おとなしくなっちに殺されるべさ!)
ポルターガイストを全開で発動させて矢口先生と狛犬のお圭の2人を吹っ飛ばす!
矢口先生「うわぁ!」
お圭「キャッ!」

明日香「まだ終わってないよ!」
矢口先生達が吹っ飛んだのとほぼ同時に明日香が上空から現われ、
唖州火を振り下ろす!
お代官(ちょこまかとうるさいヤツらだべ!)
亜未異護を振り上げ、明日香を迎撃しようとする安倍代官
112 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時23分23秒
サクッ!

お代官(なんかヘンな物を切った感触がしたべさ・・・)
安倍代官が亜未異護の刀身を見ると、そこにはキレイな緑色の物体が刺さっていた
お代官(なんだべさ、これは?)

あみーご(これは・・・ぴーまん・・・ひぃぃぃぃぃぃ!!)
ぴーまんが一瞬光ると、安部代官の体を取り巻いていた妖気と
闇の空間を形成していた妖気がひーまんに吸い込まれていく・・・
(市井「あの妖刀の妖気は全部この中に吸収されてしまってこの空間を維持することも
    できなくなるハズ・・・そこを狙う!」)
113 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時24分55秒
闇の空間は消え去り、見なれた長屋の風景が視界に現われる
さらに、亜未異護と一体化していた大女の幽霊も解放される

お代官「ちょ・・・ちょっと、暴れないで!!」
安倍代官の手から今にも飛び出しそうな勢いで暴れる妖刀・亜未異護

矢口先生「紗耶香ぁ!!」
お圭「今よ!」
明日香「紗耶香!」

市井「これで最後よ!血夜骨斗羅武 弐の太刀ぃ!!」
これまでで最大の衝撃波が鞘火の刀身から放たれる!

お代官「しまった・・・」

ドーーーーーーーーーーン!!!!!!!
114 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)17時25分59秒
舞い上がる長屋の残骸に埃・・・その中へ駆け出す庭八郎
その目の前に現われたのは地面に倒れている安倍代官と大女の幽霊
そして、安倍代官の手から離れて転がっている妖刀・亜未異護

市井「これで・・・これで終わりよ!!」
亜未異護めがけ鞘火を振り下ろす

パキーーーーーン!

心地よい金属音を長屋中に響かせ、妖刀・亜未異護は真っ二つに破壊され、
そして、白い煙となり消えていった・・・
115 名前: 投稿日:2000年11月15日(水)17時47分29秒
遠くから見つめる4人組
???「安倍さんじゃ、あんなモンなんですね…」
???「よくがんばったんじゃないれすか?」
???「どっしーん、しかし次はあたし達が…」
???「みなさん戦い憎いやろなぁ、うちらやったら。」
放置されてた間に何が起こった?
見事な悪人顔になった、お梨華、のの太郎、吉澤、お亜依。
吉澤  「まだ、姿をみせるわけにはいかない…いくよ。」
お梨華 「うん。」
のの太郎「なんか、にんじゃがかぎまわってるようれすけど…」
お亜依 「所詮雑魚や。気にせんとこ。」
闇に消える4人組…
116 名前:その頃御茶処 華原 投稿日:2000年11月15日(水)17時49分39秒
華原「ともちゃん、おそうじ、おそうじ〜」
パタパタ…ガッシャーーン!
朋 「きゃ!いっけな〜い、刀落としちゃった。」
あわてて片付ける朋ちゃん。
華原「…だけど、この刀、刃がないのよね…あのお侍様は
   どうやってつかってたんだろう?」

霊刀『磁世雨惣』
妖魔に対抗できる唯一の剣。持ち主の霊気を刃に変換し、
実体のない妖魔に攻撃可能とした。霊気をコントロールする術をマスターすれば、誰でも使えたらしいが…
この刀の恐ろしいところは、妖魔を封印したあとに持ち主を襲う多大な負の感情である。(もともと、憎しみ、妬み等の感情だけで成り立っている妖魔を成仏、封印するのであるから当然ではあるのだが)これにより精神崩壊した者も多数いたと記録されている。
この刀の持ち主は、霊気の修行にくわえ、負の感情を寛容出来る慈悲の心を持った者が、刀から持ち手に選ばれる…そうやって継承されていたらしい。

伝説の剣客市井某さえも、拒否したこの刀、使い手をかなり選んだようである。記録に残る中では飯田圭之介(圭織)
の名前が筆頭にある。
飯田は負の感情が自分の中に流れ込んできた際、
「あっそ。…で?」と簡単に流すだけの精神力だけでなく、
普段から、精霊、妖精達からの交信を霊気として貯蓄しているため、『磁世雨惣』との愛称は最高だったという。
117 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)20時42分04秒
市井「はぁはぁ・・・・・・」
体を包み込んでいた金色のオーラが消滅すると同時に、その場に倒れる庭八郎
矢口先生「紗耶香!」
慌てて庭八郎に駆け寄る矢口先生と狛犬のお圭
お圭「明日香、早く来てぇ!」

お圭「どうなの!?紗耶香はどうなのよ!?」
明日香「・・・大丈夫、気を失ってるだけ・・・ただ、2,3日はずっと寝てるだろうけど・・・
    気を全身にまとって能力を限界まで高めてたうえに放出系の技を
    連発してたでしょ・・・普通の人間がこんな戦い方してたらすぐ死ぬけど
    気を失うだけで済むなんて・・・、かなり厳しい修行をしてた証拠ね・・・」
お圭「まったく・・・脅かさないでよね・・・(ホッ)」
118 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)20時44分04秒
明日香「それより・・・」(ギュッ!)
矢口先生「ぎゃあああああ!」
明日香「矢口、アンタの方がかなりの重症よ。全身打撲に肋骨3本骨折・・・
    これでよくあれだけ動けたわね・・・」
矢口先生「へへへ・・・、おいらこれでも主役だからね・・・」
お圭「ところで、向こうの2人は?見てきたんでしょ?」
明日香「なっちも紗耶香と同じ・・・気を失ってるだけで命に別状はないよ・・・
    カオリは・・・幽霊だからよくわからないけど大丈夫だと思う・・・
    とにかく、なっち達も含めて、みんな私の家に来てもらうよ!
    圭ちゃんだって矢口ほどじゃなくても怪我してるんだから治療しないと・・・」
お圭「アンタだって怪我してるじゃない・・・(クスッ)」
119 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)20時53分45秒
ごま四郎「ぐがが・・・」
中澤屋「すぴぴ・・・」
ゆゆ「くすんくすん」(さみしいらしい)
平家先生「ひえ〜、リストラは堪忍や・・」(うなされてるらしい)

ハードな展開などもちろん知らず居眠りのままお気楽4人組、頑張れ黄金コンビ!
120 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)21時55分06秒
一方ここは北海道某所――

そのハイレベルな容貌やテンションの高さで
全国区でも着々と知名度を上げてきている「白実組」が、
山に籠もり剣の修行に励んでいる。

ゆき「ねえ、お稽古終わったら鍾乳洞見に行かない? 鍾乳洞」
えりか「あんまりうろちょろしない方がいいって。熊に襲われるっしょ」
ゆき「きれーな鍾乳洞見つけたんだぁ。びっくりするよ、感動するよ」
ゆかり「私パス。前に行ったことあるけど奥から突然『でぃあー』て
    叫び声が聞こえちゃって慌てて外に飛び出しちゃった」
りみ「そうだよ、マタギの人も言ってたもん。
   あそこには綺麗な女神様が眠ってらっしゃるから
   むやみに入っちゃいけないって」
あや(……どうでもいいけど、みにもにからお呼びがかからないかなぁ。
   私身長142なんだけどなぁ。)
121 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)21時56分21秒
明けて翌朝
ゆゆ「ゆうちゃん、おはよ(ちゅっ)」
中澤屋「はいはい、おはよーさん(ちゅっ)」

すっかりキス癖のついたゆゆ。

ゆゆ「ごまちゃんおはよ(ちゅっ)」
ごま「ZZZ……」(反応なし)
ゆゆ「やぐちせんせえ、おはよ(ちゅっ)」
矢口先生「きゃははは、こぉいつぅ。おっは〜、ちゅっ」
ゆゆ「へいけせんせえ、おはよ(ちゅっ)」
平家先生「(ビクッ)うわぁぁぁぁぁ(どたっ)あたたたたた、傷口が」

お圭「……(ドキドキ)」
ゆゆ「……」

明日香「みんな朝ご飯よ〜、ゆゆ、お鍋運ぶの手伝ってぇ」
ゆゆ「はぁい、あすかせんせい、おはよ(ちゅっ)」
明日香「はいはい、おはよ〜(ちゅっ)」
お圭「……」
122 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)21時57分32秒
中澤屋「ずずずず……(味噌汁を啜る音)で、どうする? これから」
明日香「とりあえず、長屋を再建したほうがいいんじゃないの?」
中澤屋「それはなに? 私らみたいなもんが家に転がりこんできたもんやから
    ひっじょ〜に迷惑していると?」
明日香「うん。それもあるね」
中澤屋「……あいっかわらず正直に素で答えるなぁ。て、こらゆゆ!
    人の味噌汁に箸つっこむんやない!」
ゆゆ「うっさい、はばぁ」
中澤屋「(ぷちっ)なんやとお、こるぁ!!」
矢口先生「きゃはははは、やれやれぇ」
お圭「だぁ、もう食事中はやめなさい! やめなさいっていってんのよ!
   私もしまいにゃブチ切れるよ、コラ〜!!」
平家先生(……今や、卵焼きは今のうちゲットや!)

今までの一人暮らしが信じられないくらい、一気に賑やかになった明日香んちの食卓。
明日香「私いま幸せ……なのか……?」
123 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)22時04分44秒
お圭「……はあはあ、そういや紗耶香やお代官は?」
明日香「まだまだ(もぐもぐ)意識が戻らないね(ずるずる)。
    あんだけ激しく戦ったんだから当分あのままでしょ(ごっくん)」

やっぱりマイペースな町医者明日香。
124 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)23時07分44秒
平家先生「こら、ごま四郎。ご飯くらいみんなと一緒に食べなアカンやろ?」
ごま四郎「うぅ〜ん・・・眠いよぉ・・・」
ゆゆ「ごまはん、はよ起きなご飯なくなってまうで?」
ごま四郎「うぅ〜ん・・・それもヤダぁ・・・」
布団の中でぐずっているごま四郎
125 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)23時19分07秒
ユウキ「あー、びっくりした・・・。マジに死体入ってんじゃん・・・」
ソニン「ユウキってば何逃げてんのよ。男の子のくせに情けないな〜」
ユウキ「お前が先に逃げたじゃんか!お、俺はお前が逃げたからついてってやった
     だけだよ!!」
ソニン「ア、アタシは別に逃げてなんかいないよ!!それにユウキの方がいっぱい
     逃げてたじゃん!!」
ユウキ「何言ってんだよ!俺は逃げてないっつーの!!」
ソニン「アタシだって逃げてないわよ!!」
棺桶から100メートル程離れた地点で、不毛な言い争いを続ける優跳組
126 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月15日(水)23時59分09秒
ごま四郎「うぅ・・・お腹すいた・・・」(モソモソ)
中澤屋「ようやく起きたんか。かっかっか、やっぱ空腹には勝てへんのやな?」
ごま四郎「モグモグモグ・・・」(半分寝ている)
平家先生「あーー!アタシの卵焼きがーーー!!!」
お圭「みっちゃん残念ね。おかずもうないわよ」
ゆゆ「トロトロ食うてるからそうなんねん。ホンマ、しゃっきとせんかい!!」
ごま四郎「ご飯ちょーだい」
お圭「アンタ自分でよそおうって気はないわけね・・・」
平家先生「アタシの卵焼きがぁー!最後に食べよう思うて取っといたのにぃ!!」
明日香「みっちゃん(モグモグ)うるさい(ゴックン)」
どんな事があろうとも、マイペースであっさりな町医者明日香
127 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)00時42分12秒
お圭「そうだ!大事なこと忘れてた!」
突然立ち上がり部屋から出ていくが、すぐにたらいと手ぬぐいを持って帰ってくる
お圭「ハイ、これ!」
たらいと手ぬぐいをごま四郎に差し出すお圭
ごま四郎「へっ?なにこれ・・・お風呂?」
きょとんとして、たらいと手ぬぐいを受け取るごま四郎
128 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)00時43分38秒
お圭「違うわよ!アンタ、紗耶香の世話をしなさい!」
ごま四郎「ええっ!・・・いいよ・・・そんなこと・・・できないよ・・・
     私・・・師匠に・・・市井ちゃんに酷いこと言っちゃって・・・
     絶対に嫌われちゃってんだ・・・だから・・・市井ちゃん・・・
     私に世話なんかして欲しくないだろうし・・・」(グスグス・・・)
お圭「知ってる。紗耶香から聞いた・・・紗耶香もね、アンタに嫌われたって言ってたよ・・・
   それでその後、何て言ったと思う?この騒動を片付けたらまたすぐ旅に出るって・・・
   ここは楽しい思い出が多すぎて辛いから、ここにはもう2度と戻らないって・・・
   紗耶香のことだから目が覚めたら誰にも何も言わずに出て行っちゃうよ・・・
   アンタ、それでもいいの?全然会えなくなっても平気なの?」
ごま四郎「イヤ・・・イヤだよ・・・そんなの絶対にイヤ!!」
お圭「だったら、アンタが紗耶香の世話をちゃんとしなさい・・・
   そして今回の事やアンタの気持ちをちゃんと言うの・・・話し合うの!
   どうせ紗耶香のことだから、またすぐ旅に出ちゃうだろうけど
   それでも2度と会えなくなるよりはマシでしょ!」
ごま四郎「わかった・・・私、市井ちゃんの世話をして・・・
     市井ちゃんが目を覚ましたらいろんなこといっぱい話す!」
ドタドタと庭八郎の寝ている部屋に走っていくごま四郎
129 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)00時44分53秒
お圭「あ〜あ、まったく・・・世話のかかるヤツらだよ・・・」
明日香「でも、圭ちゃん・・・、紗耶香は病気で寝こんでるわけじゃないんだから
    たらいと手ぬぐいを渡さなくてもよかったんじゃない?」
お圭「それもそうね・・・ま、こういうので大事なのは雰囲気よ、雰囲気・・・」
130 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)06時45分42秒
そのとき、矢口先生の腰にぶら下がった瓢箪から立ち上る一筋の煙。

カオリ「卵焼き、いい匂いだねぇ」
矢口先生「あ、カオリ……。もうないよ(もぐもぐ)」
カオリ「ええ? うっそぉー?!」
お圭「あんたって子はもう……。卵焼きどころじゃないでしょ、まったく!」
カオリ「えへへ、ごめん。みんな、ほんとごめんねぇ」
平家先生「昨日のことは覚えてるんや」
カオリ「へへへぇ。少しだけ……おぼろげに」
明日香「大丈夫? 気分とか悪くない?」
カオリ「うん、大丈夫ぅ。じゃあもう中に戻るねぇ、ほんとごめ〜ん」

瓢箪に吸い込まれる大女の幽霊。
131 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)06時46分17秒
お圭「(声を潜めて)……『大丈夫ぅ』って全然大丈夫じゃなさそうだよ。
   落ち着いてカオリの姿見るの随分久しぶりだけどさ、何なのあれ?
   なんであんな薄くなってるの?」
中澤屋「なんか二重にぼやけたりしてたな」
平家先生「……」
矢口先生「うん、私も昨日から同じこと考えてた……もぐもぐ。
     なに平家先生、何か思い当たることある?」
平家先生「……あんまり大きな声では言えんねんけどな、京のあたりから
     気にはなっててん」
明日香「何が?」
平家先生「カオリのやつ、成仏しかかってるんちゃうやろか……」
矢口先生「……え?」
132 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)06時47分46秒
平家先生「……ほら京の旅の間って、うちとカオリずっと一緒やったやろ?
     なんとなく薄くなってってるなぁ、ていう感じはあったんや。
     気のせいかなとも思ってたんやけど……」
お圭「それってじゃあ、カオリが成仏しちゃうってことは……」
平家先生「うん、カオリとはもう会えんようになるっちゅうこっちゃ」
明日香「そのこと本人は知ってるの?」
平家先生「わからへん……。うちもこの話したん今が初めてや」
矢口先生「カオ……」

ゆゆ(じりじりじり……。たまごやきがなくなっても、みそしるのぐ
   ねらっちゃる……)
133 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)06時52分25秒
ユウキ「……とりあえずモーニング横丁のみんなに報告だ!」
ソニン「そ、そうよね! 私たちの任された任務は情報収集なんだし!」
二人(ダッシュ!!)

なるほど、そんな言い訳があったか優跳組。
134 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)08時35分34秒
りんね「いたた・・・」
頭を擦りながら立ち上がるりんね
あさみ「もうイヤこんな生活・・・これも脱ぐ・・・(グスグス・・・)」(ヌギヌギ・・・)
泣きながら立ち上がり、お代官の着ぐるみを脱ぐあさみ
りんね「ところで・・・なんで空から落ちてきたワケぇ?」
あさみ「わかんない・・・いきなりお代官様が部屋に入ってきて、
    気がついたらブンブン振り回されて空を飛んでたの・・・」
りんね「なんか江戸はおかしなことになってるみたいね・・・
    とりあえず、中澤さんを探そうよ・・・私達だけじゃなにもできないし・・・」
あさみ「うん・・・」

やっと気がついたりんねとあさみ
135 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)08時49分37秒
ズバババ…
轟音と閃光の中…
???「き、貴様…まさか自分の体ごと…」
???「く…こうでもしないと捕まえられなかったよ…」
???「わ、解ってるのか。そんなことをすれば…」
???「れ、霊力を上げたこの体…魂と分離…死んじゃうかも。
    …でもおあみちゃんの魂が成仏できるのなら…」
おあみ「(圭織…ありがとう、これで……)
    がぁぁぁ!認めん!認めんぞぉ!圭之介ぇ!」
飯田 「おあみちゃん…封印出来なくてゴメン。
    生まれ変わったら悪い心に支配されちゃ…駄目だよ。
    カオリは大丈夫、ちゃあんと元に戻って…」
崩れ落ちるおあみと飯田。
136 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)08時53分46秒
静まり返る中、駆け寄る一人の娘。
華原「お侍様、しっかりして!朋ちゃんの為に…」
飯田「と、朋ちゃん…ごめんね、おあみちゃんは助けられ
   なかったよ…」
華原「そんな、いいんです!あの子は成仏出来たんだから…」
飯田「き、聞いてくれるかな…あのね、カオリの体を封印する
   から…あそこだったら悪霊の類は入ってこれないから…
   だからこの刀は…朋ちゃんが持ってて…また、
   会いにくるから」
華原「お侍様…駄目だよ…死んじゃ…」
飯田「死ぬんじゃないから…泣かないの。……ねぇ、笑って…」
力尽きる飯田圭之介
華原「いやぁ〜!お侍さまぁ〜〜!」
泣き崩れる朋ちゃん。
華原「お侍様が…消える…」
光につつまれ消えてゆく飯田の亡骸。
全てが消え去った後には、決意を固めた少女が。
華原「わかりました。この刀は必ずお侍様に…」
137 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)08時57分36秒
霊体となった飯田(以下カオリ)
カオリ「ふう〜、封印も済んだし…後は長屋に戻ってみんなに
    手伝ってもらって…一人じゃ霊力足らないからなぁ…」
その時、カオリの背後から忍び寄る影…
カオリ「え?まさか、おあみちゃん!」
おあみ「あたいは成仏なんかしないよ!あんたの体を手に
    入れてみせるんだ!……くぅぅ、くそ、どっかに
    連れてかれる…成仏なんか…誰が…
    ええい!あんたのその記憶も一緒に…」
カオリ「きゃああ!」
138 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)09時02分03秒
その数刻程前、モーニング長屋にて

おあみ「はぁ、はぁ…まだだよ、まだ消えてたまるもんかい…
    圭之介は長屋の仲間に頼るハズ…
    連中の希望を消しとかないと…」
おあみの体から離脱する魂
おあみ「成仏しちまったようだね、もうひとりのあたしは…
    フン!こんな体!」
魂の抜け殻がみるみるうちに飯田へと変貌する。
おあみ「こ、これでよし…あ、後は圭之介…せめて一大刀…」

市井「あ、カオリ帰ってきたんだ。どこに行って…カオリ?」
悲痛な叫び声が長屋を駆け抜けた…
139 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)09時03分19秒
数日後

カオリ「あれ〜…みんな、泣いてるの?どうしたんだろ…」

カオリ「燃えてる…体が…あ…そっか…しんじゃったんだ…」

カオリ「やだ…光に当たると…辛いよ…あ、あの井戸に…」
140 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)09時05分23秒
そして現在、瓢箪の中

カオリ「なんか…夢みてたな…思い出せないや…」
141 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)10時08分08秒
ソニン「・・・!!」
ユウキ「どうした?ソニン」
ソニン「あの4人は確か、前に京で会った子達じゃ・・・」
ユウキ「・・・な、なんだあの妖気は!?尋常じゃないぞ!!」
ソニン「しっ!声が大きい!!・・・とりあえず平家先生の所へ急ぐわよ!」
ユウキ「ああ・・・」
何故か雇い主の中澤屋ではなく、旅を共にした平家先生の元へ報告に向かう優跳組
142 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)10時13分38秒
平家先生「はぁ〜、なんでアタシが洗濯なんかせなアカンのやろ・・・。まだケガ
      も治ってへんのに・・・」(ジャブジャブ)
ごま四郎「平家先生〜、この手ぬぐいも洗っといて〜」(ポイッ)
平家先生「投げるなっちゅーねん。なぁ、ごま四郎。みんなは?」
ごま四郎「え〜、なんかお腹いっぱいになって寝てる」
平家先生「・・・・・・」
アンタ、背中がすすけてるぜ。平家先生
143 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)10時22分02秒
ユウキ「平家先生、平家先生!大変なんです!!」
平家先生「アンタら・・・。なんか分かったんか!?」
ソニン「実はかくかくしかじかで・・・」
平家先生「なんやて!?洞窟ン中に誰かに遺体が封印されてた!?だ、誰のや?」
ユウキ「・・・」
ソニン「・・・」
ユウキ「だ、誰だったのかなぁ?」
ソニン「ちょ、ちょっと不測の事態が起きまして・・・確認はその・・・」
ごま四郎「ダメじゃん」
ユウキ「うるせーよ!少なくともお前よりは役に立ってるっての!!」
ユウキの発言に、激しく同意する平家先生
144 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)10時30分39秒
ソニン「それから実はあの4人も見かけたんですが・・・」
平家先生「あの4人て?」
ソニン「あの小さな子達と寒い町娘。それからなんとか五右衛門とか言う泥棒の4
     人組です」
平家先生「あ、そう言えば最近見かけてへんかったなぁ〜」
ソニン「そんな呑気な事言ってる場合じゃないんですよ!どうも顔つきがおかしく
     って、しかもすごい妖気を感じるんです。多分何かに操られているので
     はないかと・・・」
平家先生「な、なんやて!!?なぁ、ごま四郎聞いたか!?ごまし・・・」

ユウキ「だいたいお前家にも帰らないで何こんな所にいるんだよ!!」
ごま四郎「いーじゃん別に。アタシの勝手でしょ!!」
ユウキ「またバカな事ばっかやって平家先生に迷惑かけてんだろ!いい加減にしろ
     よな!!少しは平家先生の苦労を考えろよ!!」
ごま四郎「別に迷惑なんかかけてないもん!ね、平家先生?」
決して肯定はせず、引きつったような笑いを浮かべている平家先生
145 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)11時01分04秒
――安倍代官の屋敷にて――

「なっち、具合はどうや?」
「あっ、中澤屋。・・・なっちはどうしたんだべ?なんか頭がボーっとしててなん
 にも覚えてないべさ・・・」
「・・・・・」
「・・・ねぇ裕ちゃん!なっちは一体何をしたべか!?ねぇ!教えてよ!!」
「そんなん気にせんでもええ。なっちは・・・なっちはなんもしてへん。平気や、
 な?そんな顔せんといてぇな。裕ちゃんがついてるで、安心しぃや」
「裕ちゃん・・・ありがとう・・・」
疲労のため眠りについた安倍代官の傍にそっとついていてあげる中澤屋
146 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)17時01分32秒
ユウキ「それじゃ俺達はその4人の動向を追ってきます」(バッ!)
ソニン「平家先生達も早くこっちへ向かってください。では」(バッ!)
再び北へと向かう優跳組
平家先生「ごま四郎!みんなが起きたらさっきの話を伝えておいてぇな」
ごま四郎「なんでぇ?平家先生が言えばいいじゃん」
平家先生「あの子らが心配や。アタシは今すぐここを発つ」
ごま四郎「1人で行くの!?やめなよ、危ないしみんな心配するよ!?」
平家先生「はは・・・別に誰も心配なんかせぇへんやろ・・・。元々アタシは長屋
      の人間ちゃうんやし・・・」
ごま四郎「・・・・・・・」
平家先生「なんや冷たいなぁ〜。そんな事ないよとか言うてぇな・・・。ま、ええ
      わ。ほなごま四郎、後は頼んだで!!」(バッ!!)
ごま四郎「・・・・・・平家先生」
さすが忍者の里に生まれただけあって華麗な跳躍を見せる平家先生
147 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)17時22分29秒
某所にて
おあみ「くっ…探しあてはいいけど、結界か。味な真似を。
    …あの妖刀と一緒に現世に戻れたはいいけど、
    このままじゃ、もたない…」
のの太「・・・」
お亜依「・・・」
吉澤 「・・・」
お梨華「・・・」
おあみ「ま、時間はあるし、それ!」
4体に分かれそれぞれの体に入るおあみ。
吉澤 「こうして4つになっていれば…」
お亜依「どれか一つに、いい機会も巡ってくるやろ。」
のの太「ながやのれんちゅうをりようするのれす。」
お梨華「それは、あたしの役目ですね。」

くくく・・・と響く笑い声。もはや完全に悪役なった4人組

吉澤 「それじゃ、挨拶といこうか。嗅ぎ廻ってたやつら
    からあたし達のことも伝わっただろうし…」
のの太「りかちゃん、ちゃんとけはいはけすれすよ。」
お亜依「勘のええ連中ばっかやからなぁ。」
お梨華「まかせといて。うまく潜り込むから。」
闇に消え、長屋に向かう4人組。
148 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時11分08秒
明日香の来診も終え、再び眠りにつくお代官。
すると突然!

「でぃあ〜」

お代官「(がばっ)えっ? なになに? だれ? ……なぁんだ、カオリか」
カオリ「えへへ……おばんですぅ」
お代官「びっくりしたべ、もう〜」
カオリ「へへ。なっち少し痩せたじゃん。かわいくなったよ」
お代官「ひぁ〜、恥ずかしいこと言わないでぇ〜、ぶひ」
149 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時11分39秒
カオリ「……それにしてもあれだよね。私たちさ、
    みんなに大迷惑かけたみたいだね」
お代官「……」
カオリ「もしかしてみんなさ、カオのことキライになったんじゃないかな……」
お代官「そんなこと……ないよ。大した被害はなかったって裕ちゃんも
    言ってくれてたし。それ言い出したらなっちの方こそ……
    どしたの、カオ? みんなに何かイヤなこと言われたんだべか」
カオリ「ううん。そういうのは無いんだけど……えへへ。
    みんなといるの気まずいからさ、なっちのとこに来ちゃった。
    新しい子も横丁に入ってきたことだしさぁ、やっぱカオって
    そろそろお払い箱なのかなぁ」
お代官「……」
150 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時12分30秒
カオリ「えへへ、あ、星がきれいだね。……もうすぐ冬だね。
    冬はいいよね、星がもっときれいになるからね」
お代官「……」
カオリ「考えたらさ、なっちとも長いつきあいだよねぇ……。
    あの広い蝦夷の地でさ、お世話になった産婆さんが一緒だったって
    くらいの腐れ縁だもんね……。あそこで始めて会ったときのこと
    とか覚えてる?」
お代官「……覚えてるわけないっしょ、バカ」
カオリ「そうだよね……はははは。じゃあさ、蝦夷の予選大会で
    出会ったときのことならどう?」
お代官「はは、覚えてる覚えてる……。彩っぺがいたのも覚えてる。
    カオリ見て『うわ、でかぁ』って思ったべ」
カオリ「ひっどぉ。カオリはね、なっち見てね、『こんなちっちゃくて
    可愛い子でも、剣一本でお江戸でやっていく気なのかな』て
    思ってた……」
151 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時13分22秒
お代官「江戸に出てさ、お寺の合宿で修行してさ」
カオリ「懐かしいねぇ……そこで裕ちゃん、明日香……
    それと平家先生にも出合ったんだ……うん」
お代官「試験に落ちてからは実家に戻ったんだけど、しばらくしてから
    和田屋さんからの密命がきてさ、びっくりしたよね、あれ」
カオリ「江戸に着くとみんな集まってんだよ。何かな、て思ってたら
   『今日からお前ら5人は影の秘密戦隊、妄忍愚5だ』ていきなり
    言われちゃってさ……」
お代官「『なにそれー!』て感じだったよね、『イヤー!』て。
    明日香だけは最初からその名前気に入ってたらしいけど……」
カオリ「変な12才だったよねぇ、今考えても」
152 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時14分19秒
カオリ「はは……それでしばらくはなっちとカオで二人暮らし
    やってたんだよね……。でも途中でケンカ別れしちゃって……
    それが心残りと言えば心残りだったなぁ」
お代官「……」
カオリ「あの頃なっちのお部屋の行燈がいきなり爆発したりしてさ、
    裕ちゃんに助けに来てもらうまでずっと震えててさ……」
お代官「……」
カオリ「裕ちゃんも会ったときの印象たらすごかったねえ……。
    なになっち、泣いてんの?」
お代官「泣いてなんかないさ……」
153 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時14分48秒
お代官「……」
カオリ「人が増えたり減ったり、変な人たちにもつきまとわれたり
    いろいろあったけどさ、ひっきりなしに任務与えられて、ね、
    日本全国みんなで旅したよね。楽しかったなぁ……」
お代官「……っ」
カオリ「……」

カオリ「……やだよぉ!」
いつものように人を追い抜き、突然泣きモードに入るカオリ。
154 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)21時15分40秒
お代官「カオリ……」
カオリ「やだやだやだ……みんなと会えなくなるなんてやだ。
    みんなとの思い出がなくなっちゃうなんてもっとやだ……
    前みたいにあっという間に死んじゃうってならまだいいけど、
    こんなじわじわ『いなくなっていく』なんてつらすぎるよ……」
お代官「……カオリ、いま薄くなっちゃってるのってやっぱり……」
カオリ「うん……なんか成仏しちゃうみたい……。やっぱ死んだ人間がさ、
    いつまでもこの世にうろついてちゃだめってことなんだよね……。
    ごめんなっち、もう帰る! カオリのことはもう忘れて!」

窓から秋の夜空にと消えていく一筋の煙。

お代官「カオリ……」
155 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)22時44分51秒
〜ししょうごめんなさい
 やっぱりへいけせんせえはたよりないのでほうっておけません
 ごま〜
荷物をまとめ、夜逃げするごま四郎
156 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)22時58分53秒
平家先生「・・・なんやろ、メッチャ嫌な予感がするわ。なんや京の悪夢が蘇って
      くるような、そんな感じやわ」
(効果音)ガサガサガサガサ・・・
平家先生「あっ!あの4人はまさか・・・!!」
五右衛門「マズイ!見つかった!!こうなったら・・・あれ?平家先生じゃないで
      すか?こんな夜中にどうしたんですか?」
平家先生「あれ?・・・なんやいつも通りやん?」
お梨華「どうしたんですか?そんな変なもの見る目で見ないでくださいよー」
お亜依「みんなはどないしたん?矢口先生はきっと今夜もおねしょするさかい気ぃ
     つけた方がええで?」
のの太郎「へーけせんせぇ!ののはさみしかったれす〜〜」(激しく激突)
平家先生「うわぁっ・・・な、なんや?そんなに寂しかってんか?もう平気やで。
      お姉さんがついてるからな」
お梨華「(どう考えても平家先生がついてる方が心配よね・・・)」
お亜依「(頼りなさ大爆発やな・・・)」
のの太郎「(くっくっく、のののみりきにはだれもかなわないれす・・・)」
五右衛門「(『みりき』じゃなくて『みりょく』だよ。後で書き取りの練習ね)」
ごま四郎の予想通り、持ち前の頼りなさからすでに大ピンチの平家先生
157 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)23時07分53秒
お亜依「(のの!ちゃんと平家先生捕まえとるんやで!)」
のの太郎「(はいれす!)」
平家先生「ん?なんか言うた?」
のの太郎「なんでもないれす。・・・あ!へーけせんせぇあれみてくらさい!!」
平家先生「へ?何?」(ゴンッ!!)
お梨華「やったー!ひとみちゃんカッコイイ!!」
五右衛門「平家先生、まだまだ甘いね。そんなんだからリストラされちゃうんだよ」
ふいをつかれて頭を殴打され、気を失う平家先生
158 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)23時15分02秒
「え〜とべーぐるは持ったでしょ。それから京で買った五色豆も持ったし、あとお
 にぎりも欲しいな〜。でもご飯炊けてないし・・・うぅ〜ん、あっ!刀も持って
 かなきゃ!」
置手紙は書いたものの、まだ診療所の中でゴソゴソやってるごま四郎
159 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)23時15分20秒
あちこちで色々な問題が発生しているのに、眠り続ける市井庭八郎
伝説の剣客が深い眠りから目覚めるのは一体いつだ!?
160 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)23時32分09秒
――北海道某所、鍾乳洞――

「「最初はグー!じゃーんけーんポイ!!」」
「やったー!アタシの勝ちーー!!」
「うおぉぉぉぉぉ!このチョキがぁぁっぁぁーー!!」
「約束よユウキ。早く確認して!」
「うぅ・・・ちきしょう・・・。はぁ、見たくねぇよー・・・」
じゃんけんに負け、仕方なく棺桶の中を覗きこむユウキ
「・・・こ、この人は!!」
「ん?どうしたのユウキ?・・・カ、カオリさん!!?」
「これは死体なのか・・・?なんか、眠ってるみたいだ・・・」
「でもなんで?カオリさんって火葬されたんじゃないの?」
「わかんない・・・」
眠ったように棺桶に横たわっている大女の幽霊(本体)に驚きを隠せない優跳組
161 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月16日(木)23時44分06秒
「よいしょ!よいしょ!!」
頑張って診療所の塀をよじ登っているごま四郎。
「ごま四郎・・・どっか行っちゃうの?」
「あ、カオリ。・・・ごめんね、やっぱ平家先生ほっとけないし・・・」
「分かるよ。だってカオリもそうだったもん。なんか情けないんだよね、あの人」
「そっか、だからカオリはずっと平家先生に憑いててあげたんだ」
「うん・・・。それに平家先生の生気ももらえて結構居心地良かったし♪」
「・・・カオリも一緒に行く?そんでまた平家先生に取り憑いてさ、生気もらって
  元気になればいいじゃん」
「あはは、みっちゃん死んじゃうって」
本人の知らぬ所で勝手にとんでもない話を進めているごま四郎と大女の幽霊
162 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)18時28分14秒
眠りについたものの、どうも布団が大きくて寝苦しい矢口先生
163 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)18時29分47秒
どこかに子供用の布団はないかと、診療所内をガサガサやってる矢口先生
164 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)18時31分20秒
ふと庭で物音がしたが、猫が何かだと思い布団を探しつづける矢口先生
165 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)18時32分47秒
結局布団は見つからず深い溜息を吐く矢口先生
166 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)18時34分22秒
剣客のくせに、自分の後ろに忍び寄る4つの影にはまったく気付かない矢口先生
167 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)22時05分03秒
老中・松浦「亜未異護、あっけなかったですな?」
老中・虎無徹「あれは、ほんとの恐怖の前触れに過ぎません、くくく・・・」
老中・山崎「(楽してがばっと大儲けできる話無いかな)」

先の若年寄・つんく「お前らを信じてんでぇ・・・」:牢獄にて放置中
168 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)23時13分01秒
大女の幽霊「よし、ごま四郎!みっちゃん目指して出発しんこーーー!!」
ごま四郎 「おーー!!」
大女の幽霊「で、みっちゃんはどこにいるの?」
ごま四郎 「・・・」
大女の幽霊「・・・」
ごま四郎 「あはっ」
大女の幽霊「・・・まぁなんとかなるか!とりあえず前に進もう!!」
ごま四郎 「おーー!!」
Wボケなため、勢いしかない大女の幽霊とごま四郎
169 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月17日(金)23時16分56秒
「フグッ!!フグググググ!!?フグーー!!フググーーー!!!」
ようやく意識を取り戻したが、身体中グルグル巻きの上にさるぐつわまで噛まされ
ており、何を言っているのかさっぱり分からない平家先生
170 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)17時56分35秒
お梨華「じゃあ、あたしは連中のところにいくから。」
吉澤 「気配は絶つんだよ。」
お梨華「解ってるって…もう、心配症なんだからぁ」
吉澤 「お梨華のことだからな。」
お梨華「うふふ、嬉しい…」
吉澤 「ふふふ…」
陰美な雰囲気に陶酔中の二人

お亜依「な、なんか知らんけどな…」
のの太「みょうにたたききってやりたくなるのれす…」

乗っ取られながらも体は覚えてるようだ…
171 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)18時02分05秒
お梨華「矢口先生、矢口先生!」
矢口先生「うわ!お梨華じゃん!ど〜したの?
     ど〜やって入ってきたんだよ!」
お梨華「みんなが、みんなが…」
矢口先生「なに?なに?どおしたの?」
お梨華に気をとられ他の3つの気配に気がつかない矢口先生
172 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)18時12分48秒
矢口先生「…ってなことらしいんだけど。」
明日香「はぁ〜…またやっかいな事を…」
中澤 「よう、逃げおおせたな、お梨華。」
お梨華「もう、無我夢中で…」
お圭 「チビ共か…あいつら、結構出来るんだよねぇ…」
中澤 「お梨華の話をまとめるとこうやな…
    突然、3人が人が変わったようになり、カオリを
    殺そう…幽霊やけどな、そん為には自分らを
    封印した刀をなんとかせなあかん。
    そしてこっからが大事や…
    カオリの体を手に入れなあかん。」
矢口先生「それって、マジ…」
お圭 「信じられない…」
173 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)18時23分17秒
中澤 「信じるも信じんも無いやろ。向こうさんはそれで
    うごいとんのや。うちらも動くしかないやろ。」
ゆゆ 「ゆうちゃん、カオリどっかいってもうたで。」
お圭 「ちょっと!なんで止めなかったのよ。」
ゆゆ 「だって、だって…ふぇぇん、ゆうちゃ〜ん…」
中澤 「……済んだんはもうええわ。問題はどう、うちらが
    動くかやな。」
一同 「・・・・・」

お梨華(…聞いた?今、圭之介はこいつらとは別行動みたいよ…)
吉澤 (まさか記憶が…)
のの太(それはありえないのれす)
お亜依(しっかり情報頼むで…)

完璧に形勢不利の長屋の一行。
174 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)18時25分57秒
「フグー!フググググ!」

忍者なんだから縄抜けぐらいなんとかしろよ…の平家先生
175 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)23時08分52秒
「ねぇ・・・カオリさんどうしよっか・・・」
「でもカオリさんは幽霊だから、どう考えてもコレは死体だよな・・・」
「死体・・・あんまり触りたくないなぁ・・・」
「ああ・・・」
棺桶の周りでウロウロしている優跳組
176 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)23時15分21秒
「フググーー!!フググーー!!」
「あれ?どっかから声聞こえない?」
「気のせいだよ。さ、ごま四郎。早くみっちゃんに追いつかなきゃ!みっちゃんあ
 れでも一応忍びの訓練も受けてたみたいだし、きっとずっと先まで行っちゃった
 よ?」
「フグーーー!フググググググーーー!!!」
「・・・カオリ、平家先生いた」
「みっちゃん・・・何やってんの・・・?」
グルグルに縛られ、さるぐつわを噛まされて、草むらに転がっている平家先生
177 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月18日(土)23時20分46秒
「フグッ!フグググー!!フグフグ!!」
「あーもー何言ってんのか分かんないよ!ごま四郎、とりあえずナワほのいてあげ
 て!カオリ幽霊だから何にもできないし・・・」
「うぅ〜ん、こま結びだからうまく取れないよぉ・・・。そうだ!ナワ斬っちゃえ
 ばいいんだ!!」
「フグッ!?フググーー!!!フググフグフグフググーーー!!!!」
スラリと腰に差してある刀を抜くごま四郎。先にさるぐつわを外してやれ!
178 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月19日(日)12時31分32秒
とりあえずおっかなびっくりカオリの体を大八車に乗せ、
山の麓の診療所へ運び込むソニンとユウキ。

ハムテル「……うーん」
ソニン「どうなんですか?」
ハムテル「少なくとも生きていないという感触はない」
二階堂「どっちなんだよ」
ハムテル「……コールドスリープという感じがしないでもない」
二階堂「だよな」
漆原「わしは死んでいると思う。
   なんならこのムースポッキーを賭けてもいい」
菱沼「ていうか〜、ここって〜、獣医なのよね〜。
   でも〜この子ってさ〜、なんかすごい親近感を感じる〜。あっ……」

食べようとしていたポッキーを患畜の猫に奪われるトロい菱沼。
菱沼「あぁ、く〜や〜し〜いぃぃ。ねぇチョビ〜、取り返してきて〜」

チョビ(……エヘ?)

二階堂「……なんだかよくわかんないけど、元の場所に戻しておいたら?
    解決策が見つかるまではそれまでの状態に
    保存しておくのが一番なんじゃないかな」
ソニン「また運ぶの……?」
ユウキ(死体なのかそうでないのか、それだけでも教えてくれぇ!)

さあ山の鍾乳洞までキリキリ運ぶんだ、優跳組。
179 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月19日(日)16時15分50秒
効果音:スパッ!
ごま四郎「あっ・・・ちょっとかすっちゃった・・・あはっ」
ナワは解けたものの、自分の腕からポタポタと流れ落ちる鮮血に青ざめる平家先生
180 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月19日(日)19時04分34秒
「『あはっ』やない!アンタ、私を殺す気かぁ〜〜〜!!」
さるぐつわを外し、大声で怒鳴りまくる平家先生
181 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月19日(日)22時44分24秒
お圭「大変な事になったわね。とりあえずアタシ紗耶香起こしてくるから」
矢口「ついでにごま四郎も呼んで来てよ。紗耶香の看病で疲れてるだろうし」
庭八郎が眠っている部屋に向かうお圭

お圭「紗耶香!起きて起きて!!」
市井「うぅ・・・圭ちゃん?・・・アタシ今まで何を・・・」
お圭「あれ?ごま四郎は?そうだ紗耶香、ちゃんとお礼言っときなよ。ごま四郎、
    ずっとアンタの看病してくれてたんだから」
市井「ごま四郎が?・・・そっか」
お圭の言葉にちょこっと幸せな気持ちになる市井庭八郎
182 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月19日(日)22時49分38秒
お圭「ん?何これ・・・『ししょうごめんなさい やっぱりへいけせんせえはたよ
    りないのでほうっておけません ごま』・・・ってちょっと何よコレ!あ
    のバカ何考えてんのよ!!しかも漢字くらい書きなさい!!!」
市井「・・・・・(涙)」
先程のちょこっと幸せな気持ちから、一気にどん底へ突き落とされた市井庭八郎
183 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月19日(日)23時13分44秒
「じゃあ・・・体力も少しは回復したから・・・そろそろ行くね・・・」
ショックのあまり旅支度を始める市井庭八郎
184 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)00時25分52秒
お圭「ちょ・・・ちょっと落ちつきなさい!大変な事になってるんだって!」
市井(やっぱりごま四郎、みっちゃんの事を・・・そりゃそうだよね・・・
   何も言わずに自分のことを捨てて旅に出ちゃうようなヤツのことを
   いつまでも待っててくれるわけないよね・・・)

庭八郎を何とか引き止めようとするお圭と
お圭の言葉が聞こえないぐらい自分の思考の中に入りこみ、黙々と旅支度を続ける庭八郎
185 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)08時21分38秒
大女の幽霊「ねぇねぇみっちゃん。とりあえずカオリ取り憑いてもいい?」
平家先生「へ!?な、何言うてんの!!?」
ごま四郎「カオリなんか最近力出ないんだって。そんで前みたいに平家先生に取り
      憑けば元気になるかなぁ〜って」
平家先生「ウソ!?なんやのんソレ!!イヤや!アタシはイヤやて!!!」
取り乱す平家先生にスススと近づく大女の幽霊

大女の幽霊「よーし!カオリ元気一杯!!この調子でガンガン行こーー♪」
ごま四郎「いえ〜〜〜〜!!!」
平家先生「待って・・・ア、アタシなんや体メッチャしんどいねんけど・・・」
庭八郎の苦脳も知らず、バカ騒ぎしているごま四郎
186 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)14時58分47秒
明日香「でもね、状況は圧倒的にこっちが不利・・・
    矢口の怪我は完全回復してるわけじゃないし、私も圭ちゃんも
    矢口ほどじゃないにしても手負いの状態・・・
    紗耶香の体力がこんな短い時間でどこまで回復してるのかわからない・・・
    呪いから解放されたなっちが狙われる可能性も十分にありえる・・・
    あの子達、あれでなかなかの使い手だから下手に動けばこっちが全滅するよ・・・」
冷静に戦況を分析する明日香
中澤「動きたくても駒が足りへんか・・・さて、どうしたら・・・」
187 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)18時09分52秒
大女の幽霊「そう言えばみっちゃん、なんであんな所で縛られてたの?」
ごま四郎「・・・趣味、とか?」
平家先生「・・・・・。カオリ、聞いてぇな!実はあのちっちゃい子らが・・・」
大女の幽霊「ウソ!?なんでお梨華達がそんな事を!?なんで!!?」
ごま四郎「・・・趣味、とか?」
平家先生「・・・・・・。カオリ、それがアタシにもよぉわからへんねん!!」
ごま四郎「・・・平家先生〜無視しないでよぉ〜〜!!」
ほんのちょこっとだけでも、庭八郎の苦脳を理解してやれ!ごま四郎
188 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)20時06分06秒
バリッ!!バリバリッ!!

中澤「なんやぁ〜〜〜〜〜〜!?」
障子を破り、中澤屋に抱きつく2つの黒い影
あさみ「え〜〜〜ん!!中澤さ〜〜〜ん!!酷い目にあったんですぅ!!(涙)」
りんね「あさみが空から落ちてくるし・・・、江戸にやっと帰ってきたと思ったら
    お店がなくなってるし・・・、すっごい探したんですよぉ〜!!(涙)」

中澤屋のところに辿り着いてよかったね。りんねとあさみ
189 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)22時02分07秒
道ばたで相談中の三人。

ごま「ねえねえ、縛られると気持ちいいの?」
カオリ「ということは……う〜ん(唇をすぼめながら虚空の一点を見つめ考え中)」
平家先生「優跳組のことがごっつ気になんねんけど。
     ほっといて横丁に戻った方がええんやろか?」
ごま「ねえねえ平家先生、実は自分から進んで痛い目にあってるんじゃない?」
カオリ「でもぉ、カオリの野生の本能は、『北に行け』って命令してる」
平家先生「なんやそれ」
ごま「ねえねえ、ごまは痛いのやだけど、痛い目に会いたいっていうなら
   協力してあげてもいいんだよ……」

まだ誰にもうちあけてはいないけど、
実は最近、平家先生の悩んだり痛がったりする姿を見るたびに
なんだか変な気持ちが胸にこみ上げてくるごま四郎。
190 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)22時02分29秒
カオリ「北に行けばぁ、ちびっ子たちのことも、成仏向かってまっしぐらな
    カオリの悩みも、みんな解決しちゃうような気がする」
平家先生「気がするぅ? あんたな、たったそれだけの理由で『北』とか
     漠然としたもんに向かって進めっちゅうんかいな……(ハッ)。
     そうか……あんたの野生の本能、ずばり的中してるかもしれん。
     行くで!」
カオリ「え、なになに?」

北に向かって颯爽と走り出す平家先生
191 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)22時02分48秒
カオリ「あは、走るのはさ、やばいんじゃない?」
平家先生「あ……(へなへなへな)」
カオリ「ほらぁ。平家先生の元気はカオリが吸い取ってるんだからさぁ。
    どうする? 顔色よくないよ、平家先生。
    横丁からまだそんなに離れてないし、少し休憩してから出発する?」
平家先生「……ていうか、ぜえぜえ、あんたが肩からどいてくれたら、
     ぜえはあ、すぐ元気になんねんけどな……」
カオリ「きゃは、平家先生て冗談きつーい!」
平家先生「冗談ちゃうっちゅうねん……」

ごま(ドキドキ……。苦しがってる平家先生ってやっぱりカワイイ……。
   どうしよう私……)
192 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)22時43分35秒
「ゼエゼエ・・・ソニ〜ン、鍾乳洞はまだか〜・・・」
「ハァハァ・・・まだ〜〜・・・」
「ゼエゼエ・・・ソニ〜ン、前と後ろ代わってくれ〜・・・」
「ハァハァ・・・やだ〜〜・・・」
棺桶を大八車に乗せ、山を登っている優跳組(ユウキが後ろから押している)
193 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月20日(月)23時21分29秒
(天井裏にて――)
五右衛門「どうする?今のうちにこいつら潰しちゃおうか?戦力が落ちてる今なら
      簡単に倒せるかもよ?」
お亜依「そやな。ヘタにうろつかれても邪魔やしな・・・」
のの太郎「でもいいらさんのほんたいもしんぱいれす・・・。どうやらごまひゃん
      たちがむかってるみたいらし・・・」
一同「「「う〜〜ん・・・」」」
行くべきか行かざるべきか、時の流れを必死で読もうとする3人
194 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)07時30分06秒
沈黙の中、中澤が一番に声をだす
中澤 「うーん、うちに名案があんねん。明日香、みんなに
    伝えたってな」
明日香(裕ちゃん、昔の調子を戻してきたみたい…)
中澤 「ここで、あれやこれやと、考えとってもしゃーない」
明日香「そうだね」
中澤 「だから……」
お梨華(モーニング五人衆の壱、中澤…どうでる?)
中澤 「くるまで待つ!」
明日香・お梨華 ズテーン!
195 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)07時32分27秒
吉澤 (…こいつらに期待したのが馬鹿だったね。)
のの太(ほんたいのほうへ、いくれすか)
お亜依(こっちは梨華ちゃんだけで、ええやろ)
吉澤 (そうだね、体を取り戻されたら面倒だし……)
のの太(りかちゃん、たのんだれすよ〜)
お亜依(まかせたで〜)
北に向かう三人
お梨華(なんかだかなぁ……)
196 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)07時37分12秒
明日香「あ〜あ、てっきり責めこむって思ったんだけどなぁ」
前日のバトルから、昔の血が騒ぐ明日香。
中澤 「この状態でどないせぇっちゅうねん。
    …じゃ、明日香後は頼んだで」
明日香「あれ?どっか行くの?」
中澤 「お梨華の話聞いてへんかったんか?霊刀や、圭織が
    使う刀をなんとかせな。それはうちがなんとかするわ」
明日香「ちょっと、それならあたしも……」
中澤 「あんたは、ここに残って全員をなんとかしたって。
    怪我人ばかりじゃ、なんともならんで。それに……」
明日香「?」
中澤 「あんたと市井は妖魔とやらを倒せる唯一の人間やしな」
明日香「うん、わかった。あたしも横丁の患者さんをおいてく
    わけにはいかないし…」
ようやく動きだした長屋の一行
197 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)07時42分05秒
中澤「……でうちといくメンツはこれかい」
りんね「お供します」
あさみ「えへへへ」
ゆゆ 「うちとゆうちゃんはいっしょなんや!」
お梨華「楽しそ〜です!ピクニックみたい!」
   (アレを手に入れられたら厄介だし…)
中澤「頼りなさ爆発やな……」
とりあえず、市井の『大八車・愛の力号ぜーた』を修理して、りんね、あさみの操る馬に引かせることになった模様
りんね「とりあえず、『ν愛の力号』と名付けました」
中澤 「なんでなん?なんでそんな名前になるん?」
198 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)07時46分45秒
?? 「ちょっと、待つべさ」
出発する大八車を止めたのは…
安倍 「裕ちゃん。なっちも行くべさ」
あさみ「え、お代官様まで……」
中澤 「なっち……」
安倍 「裕ちゃん、なっちは今は安倍代官じゃないべさ、
    モーニング五人衆切り込み隊長なっちだべ。
    カオリをカオリを……」
中澤 「もぉええ、わかっとる。一緒に行こうな……」
安倍 「うん。」
りんね「さぁ!いっきますよぉ!」
199 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)07時54分11秒
?? 「ちょっとぉ、おいてけぼりとは酷いんじゃない?」
りんね「あ……」
中澤 「お、お彩…あんた、なんでここに!」
お彩 「出産後ってことで明日香に診てもらおうと思ったらさぁ
    なぁんか楽しそうなこと話してるじゃない。」
なっち「あやっぺ、出歯亀はよくないべさ。」
お彩 「なんて言おうが、一緒に行くよ。」
中澤 「あ、あんた、子供は?」
お彩 「どこぞの甲斐性無しにまかせてりゃいーのよ!」
と、有無を言わさず乗り込むお彩
お彩 「それに、裕ちゃんの探し物がどこにあるか
    知ってるもんね〜。連れてってくれないんなら
    教えてあげない」
お梨華「………」
中澤 「……勝手にせぇ。りんね、出したってな」
りんね「はい。それでは……りんねー、いっきまーす!」
いきおいよく飛び出す「ν愛の力号」
200 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)08時01分26秒
〜そのころ〜

ブー 「ああっ、オムツでしゅか〜…ちょっとまっててくだしゃいね〜…ああ、なんて愛しい…」
職を失いながらも幸せそうなブー
201 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)09時41分52秒
その頃本州の最北端では・・・

平家先生「おにーさん、おにーさん。ええ子いますで。どうやろか、この子達好き
      にしてええからちょおその船に乗せてぇな〜」
ごま四郎「おに〜さん、サ〜ビスしちゃうよぉ〜♥」
大女の幽霊「うふふ♥」
HISASHI「ガキと幽霊じゃねぇかよ・・・どうする?」
TERU「スペースも余ってるし、いいんじゃないかな。どうせ俺達も戻る所だし」
JIRO「お前に意見を求めた俺らが馬鹿だったよ・・・」
TAKURO「ま、いっか。お姉ちゃん達、ちょっと狭いけど乗っていいよ。あ、それか
      らサービスはいらないから労働してくれよ」
漁船『ぐれい』に乗りこみ、優跳組の元へ急ぐ大女の幽霊達
202 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)10時14分45秒
「はぁ・・・ごま四郎・・・」
縁側でぼんやりと庭を眺めている市井庭八郎
203 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)11時06分31秒
久しぶりに刀の手入れでもしようと思う矢口先生
204 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)11時15分08秒
しかし、刀を取り出したが・・・
あみーごとの一戦でボロボロになっていた。
「オイラも、特注刀をつくりたいなぁ〜。マルキューあたりで・・・」
主役ではない庭八郎、圭之介、明日香、あみーごがそれぞれ特注刀を持っていたので
実は羨ましかったりする主役・矢口先生
そりゃ、超軽量だけが特注じゃ淋しいぞ!頑張れ矢口先生!
205 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)18時56分49秒
矢口先生「決めた!!」
明日香「うわっ!!・・・突然叫ばないでよ、もぉ!!
    あちゃあ・・・、やっぱり薬の分量間違えちゃってるよ・・・
    改良型の焼銀軟膏の試作品第1号があとちょっとで完成したのに・・・
    また1から作り直しだよ・・・(ブツブツ・・・)」
矢口先生「明日香、おいらちょっと出かけてくる」
明日香「ちょ・・・ちょっとどこ行く気!?
    まさか裕ちゃんの後を追いかけるわけじゃないよね・・・
    言っとくけど、主治医としてそんなの認める訳にはいかないよ!」
206 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)19時00分16秒
矢口先生「あはは、違う違う。行っても足を引っ張るだけって事はおいら自身が1番わかってるって
     あのね、ちょっと新しい刀をつくりに行こうかなぁ〜と思って・・・」
明日香「う〜ん・・・しょうがないなぁ。本当はじっと寝てて欲しいんだけど・・・
    わかった、行ってもいいよ。ただし、注文したらすぐに帰ってくること!
    それが守れるのなら外出を許可してあげる!」
矢口先生「明日香、ありがと。すぐ戻ってくるよ。」
    (でもなぁ、イザという時に使うのって三叉槍なんだよね
     せっかく新しい刀をつくっても使わないんじゃ意味がないし・・・
     新しい槍をつくって、刀は今使ってるのをキレイに研いでもらった方が
     いいかもしれないなぁ・・・)
207 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)19時45分00秒
漁船『ぐれい』船上にて

平家先生「うまい!酒なんか飲むんは久しぶりやわ」
ごま四郎「あはははは!いちばんごましろー脱ぎまぁ〜〜っす!!」
酔っ払って服を脱ぎ始めるごま四郎
大女の幽霊「ご、ごま四郎!?何してんのよ!ダメ!やめなさい!!」
ごま四郎「カオリうるさぁ〜い!あははは、へーけせんせぇ〜〜」(ギュッ)
平家先生「なんやぁ?今日のごまはかわええなぁ〜。みっちゃんもギューってした
      るで〜〜。あ、酒もうないやん。カオリ〜もう1本持ってきて〜」
大女の幽霊「みっちゃん!いい加減にしないとカオ怒るよ!もう4本も空けてるじ
       ゃん!それからごま四郎も早く服着なさい!!」

JIRO「・・・誰だよ、あんな奴ら乗せたのは」
HISASHI「・・・」
TAKURO「・・・」
TERU「・・・すまん」
我が物顔でどんちゃん騒ぎを続けるアホ2人と、呑む事すらできない大女の幽霊
208 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)19時51分00秒
「ごま四郎・・・はぁ・・・心配だよ・・・」
縁側で寂しげに座っている市井庭八郎
漁船『ぐれい』での宴会を見たらどう思うだろうか・・・
209 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月21日(火)22時31分02秒
(とりあえず縁側でじっと座っててくれてるからいいけど
 なんで私が紗耶香が出ていかないように見張ってなきゃいけないのよ!!
 ごま四郎のヤツ、帰ってきたら承知しないからね、覚悟しなさい!!)
背後から庭八郎を見張りながらも、ごま四郎にガツンと1発やることを誓ったお圭
210 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)05時15分01秒
ガラガラガラ〜〜<ν愛の力号にて>

遠足気分の御一行
ゆゆ 「そうなん?なっちにおあやさんのうまれは
    いっしょなんかぁ…」
なっち「そうだべさ」
りんね「りんねもだよ〜」
あさみ「あたしも、あたしも」
お彩 「そしてカオリもね……」
お梨華「聞いてくださぁい、あたしの生まれだですねぇ……」
ゆゆ 「そうなんかぁ、うちはゆうちゃんといっしょなんやで」
一同 「やっぱり……」
中澤 「な、なんなん、あんたらその目はなんなん」
お梨華「…それでですね〜、矢口先生もですね〜……」
放置されるお梨華。そしてやっぱりそんな目で見られてた中澤。
211 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)05時19分13秒
なっち「また、帰郷したいべさ……」
お彩 「やっぱりあっちのほうが落ち着くよね」
あさみ「獣の世話が大変なんですけどね」
りんね「なぁんか、安心できるんですよねぇ」
なっち「カオリも言ってたべさ……」
お彩 「うん、なんかあったら絶対戻るって言ってた」
故郷の話に花が咲く一同、聞き入る中澤
中澤 「………!」
ゆゆ 「なぁ、ゆうちゃん、どしたん?」
中澤 「りんね、止めて!」
りんね「え?は、はい。お〜い、止まってよ〜」
停止するν愛の力号。何か重大な事に気が付いた中澤。
212 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)05時21分14秒
なっち「ゆうちゃん、どうしたのさ?」
中澤 「なぁ、今カオリがどーとか言っとったな……」
お彩 「え?ああ、なんかあったら北海道へ……」
中澤 「それや!あさみ、明日香んとこへ連絡や!」
あさみ「は、はい…おーい!燕さぁん!」
中澤 (なんで、気付かんかったんやろ…優跳組が向かった
    んも北…その後、いなくなったのが、みっちゃん、
    ごま四郎、そしてカオリ……偶然やないハズや)
ゆゆ 「ゆうちゃん、どしたん?だまりこんで…」
中澤 「あさみ!北や、カオリの故郷へ向かえと明日香に!」
あさみ「はい、わかりました。……燕さぁん、頼んだよぉ!」
お梨華(中澤裕子、五人衆あがりは伊達じゃないか……
    ま、今さら襲いけどね)
おおよそ穴だらけの推理だが、確信には近いぞ中澤
213 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)05時32分55秒
〜明日香宅にて〜
トンテンカン、トンテンカン……

お圭 「紗耶香ぁ!ちょっと休んどきなさいよぉ!」
市井 「………」
お圭 「はぁ〜…何言っても駄目か……」
明日香「ねぇ…何してんの?紗耶香は……」
お圭 「ヒマだと欝になるから、体動かしてんだってさ」
明日香「だからって、人んちの庭で大八車つくらないでよ」
214 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)10時15分30秒
蝦夷最南端の港にて――

平家先生「うぅ、二日酔いや・・・メッチャ気持ち悪い・・・頭痛い・・・記憶も
      ない・・・」
大女の幽霊「昨夜あんな飲むからでしょ!自業自得だよ!・・・そう言えばごま四
       郎は平気なの?」
ごま四郎「全然平気だよ。ちょっと記憶ないけどね〜」
平家先生「うぅ・・・(なんで・・・なんでアタシばっかり・・・)」
平家先生二日酔いの為1回休み、な大女の幽霊達
215 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)10時48分57秒
「平家先生達は今どの辺りにいるのかな?とりあえず港まで行ってみよ」
平家先生達を鍾乳洞に案内する為、港に向かうソニン

「ソニ〜ン!早く戻ってきてくれよぉ!!俺死体と2人っきりなんてヤダよ!!」
鍾乳洞の中で、棺桶の様子を見張っているユウキ
216 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)14時04分39秒
のの太郎「かわいいれす!かわいいれす!!」
海豹「きゅ〜ん」
お亜依「なぁよっすぃ〜。飼ってええやろ?な、飼ってええやろ?」
五右衛門「ダメだよ。こんな所で遊んでないで、早く飯田さんの本体の所に行かな
      きゃ!だいたい海豹なんてどうやって飼うの!?」
海豹「きゅ〜ん・・・」
五右衛門「ご、ごっちん・・・」(ギュッ!)

お亜依「・・・よっすぃ〜何しとんのやろか?海豹に抱きついとるで」
のの太郎「しかもあれはごまひゃんらないれすよ・・・」
乗っ取られていながらも、海豹に抱きつく吉澤五右衛門
217 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)14時14分01秒
大女の幽霊「キャー!何コレ!?すっごいかわいい〜〜〜!!みんな来て来て!」
海豹「きゅ〜ん?」
五右衛門「・・・ん?」
大女の幽霊「・・・」
五右衛門「・・・」
大女・五右衛門「「あーーーーーーーー!!!」」
平家先生「カオリ!どないしたんや!!?」
のの太郎「へ、へーけせんせえ!?なんでここに!!?」
ごま四郎「あっ!海豹だ。かわい〜〜」
お亜依「ごまはん・・・この状況でよぉそんなセリフが出るなぁ・・・」
海豹に導かれるかのように出会ってしまった一群
218 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)14時22分45秒
五右衛門「ちっ!ののちゃん、亜依ちゃん、逃げるよ!!」
平家先生「ちょお待ちぃや!こないだの恨み晴らさせてもらうで!!」
大女の幽霊「アンタ達の目的は何!?返答次第じゃカオ怒るよ!」
3人に向かって刀を構える平家先生と近くにあった木箱を浮かせる大女の幽霊

海豹「きゅ〜ん、きゅ〜ん」
ごま四郎「わーい、かわい〜。あはは、コロコロ転がる〜〜」
平家先生「おのれは何をしとるんじゃい!!!」
珍しくブチギレの平家先生
219 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)14時47分13秒
ガラガラガラ……。
中澤屋「……お梨華、腹へったやろ。うちのお手製弁当食べてええで」
お梨華「うわぁ、嬉しい! 中澤屋さんていい人なんですね、いただきまぁす!」
ゆゆ「うちももらお。……ふぐぉっ」
中澤屋のストレートを鳩尾に喰らうゆゆ。

中澤屋「……あんたには、こっちのをちゃんと用意してある」
ゆゆ「けほけほ……。うれし〜な〜、えへ(このくそばばぁ……)」
220 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)15時16分02秒
吉澤「……なんかやな予感がする。ちょっとだけ江戸に戻るよ」
お亜依「えええ? なんで?」
吉澤「やっぱり別行動を取ったのは間違いだったかもしれない……。
   ごめん、お梨華を連れてすぐに戻ってくるから!」

風のように去っていく吉澤五右衛門。
お梨華が中澤屋たちと出発したことなどもちろん知らない。

お亜依「……結局、梨華ちゃん優先なんやもんなー」
のの太郎「ごましゃんときゅうにかおをあわしたもんだから、
     なんかふあんをかんじたのかもしれないれすね」
221 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)15時17分28秒
武器屋に発注した帰り、たんぽぽ長屋跡でごそごそ捜し物の矢口先生。

矢口先生「おう! まだ残ってた! きゃっほー!」
残骸の下からハイビスカス・パターンのふとん(特注お子様サイズ)を
引きずり出す矢口先生。

矢口先生「たららん、らん、らん♪」
嬉しさのあまり、ふとんをなびかせ
くるくる踊り出す矢口先生。
222 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)15時40分26秒
ビキィ!!

「はぅぅ・・・傷が・・・(涙)」
その場にしゃがみこむ矢口先生。怪我人なのにはしゃぐから・・・
223 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時08分33秒
日当たりのいい昼下がりの縁先。
薬の調合に専念していた明日香がふとその手を止める。

明日香「(どうやら一人だけで戻ってきたみたいね)とりゃ!」
懐から取り出した小さな包みを庭の植え込みに投げつける明日香。
「ぼむっ!」
巻き上がるピンクの煙。

吉澤「げほっげほっげほっ……」
たまらず姿を現す吉澤。
224 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時09分51秒
明日香「あんたねー。ここは長屋と違ってカタギの人たちが
    出入りする場所なんだからさ、怪しい風体で何度も
    うろちょろするのやめてよね。営業妨害で訴えるよ」
吉澤「げへっげふっ……。貴様……。
   もしかして私たちが天井裏に潜んでいたことも……」
明日香「わからいでか。あんたはともかく、ちびっ子たちがまだまだ未熟だね。
    だいたいさ、情報を探るのに三人も天井裏に潜んでどうするよ。
    ……はぁ〜、横丁OGとしてちょっと姉さんは悲しいね」
吉澤「黙れ! けが人がたった一人で何をほざく!」
明日香「一人じゃないんだよねぇ」
225 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時10分52秒
お圭「お帰り、ひ・と・み・ちゃん」
いつの間にか背後に忍び寄り、吉澤の首筋に刀をあてている狛犬のお圭。

吉澤「くそ……。梨華ちゃんのことが心配で戻ってきたんだけど……。
   すると、さっきの相談も猿芝居だったというわけか」
矢口先生「まるっきり芝居というわけでもないよ。うちらがけが人ばっかで
     形勢不利ってのは本当のことだしさ……」
吉澤の右手には、ちっちゃくて側にいるのが気づかなかった矢口先生。
(背中にはハイビスカスの蒲団をマントのように羽織っている)
226 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時12分29秒
市井「不利なら不利で、頭使うしかないよね。あんたたち4人を
   なんとかバラバラにしてさ、一人ずつ向かっていけば
   こっちの勝算もぐっと上がるわけだから……」
左手には、戦いとなるとやっぱり切れ者に戻る市井庭八郎。
(ノコギリとかなづちを手に持つ姿が妙に恐い)

明日香「でもまあ、あんたが亜未異護を持ったなっち以上の強者だってんなら
    話はまた別なんだけどさ」
正面には、恐い目をして『唖州火』の緒を口でほどく町医者明日香。
227 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時14分06秒
四方を囲まれ、退路をすっかり断たれた吉澤。

吉澤「くっ。じゃあ梨華ちゃんはもう……」
お圭「何か魂胆があったんだろうけど、裕ちゃんたちにくっついてったわ。
   でも今頃、明日香お手製の薬でも飲まされて……」
吉澤「薬? 薬ってなに?!
   お前ら、私の梨華ちゃんに何をするつもり?」
明日香「は〜い、こちらで〜す! まんまと計略に引っかかっちゃった
    吉澤ちゃんには、ばぁつげぇ〜〜む」(DT松本風)
吉澤「は?」
228 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時15分36秒
明日香「ザ・かしわんルーレットぉ〜!」
突如流れる楽しげなBGM
矢口先生&市井&お圭「ひゅーひゅー! ぱふぱふぅ!」

『唖州火』をマイクがわりに使う明日香。
明日香「はぁい司会の焼き銀杏で〜す。ルール説明させてもらいまぁす。
    えー、こちらにかしわもちを5つ用意してこざいまぁす」
矢口先生「おいしそー」(棒読み)

明日香「吉澤ちゃんにはどれか一つを選んで頂き、一口で食べてもらいまぁす。
    ただしこの中にひとつ、憑き物を落とす秘伝の妙薬、
    いにしえの『舛汰怒・醜』が混入されておりまぁす」
市井「いやー、うそぉ」(台本丸出し)

明日香「なお成分の都合上、しゃれになんないくらいの超激辛テイストと
    なっておりますが、それだけではおもしろくないので
    開発中の焼銀軟膏βもトッピングしておりまぁす」
お圭「きゃー、恐〜い」(なげやり)
229 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)16時17分09秒
吉澤「ちょっと待って、なんで1個だけ紫に赤の水玉のかしわもちが
   混じってんの?! ハズレ丸わかりじゃん!
   ちょっとはカモフラージュして……うわ、臭いきっつう!」
明日香「は〜いご注文、水玉一丁〜」
三人「水玉一丁〜」
吉澤「ちょちょっ、ちょっと待っ、……むぐおぅぁ!!」

例の色ぼけが仇となり、遂に陥落か、吉澤五右衛門……。
230 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)23時28分49秒
大女の幽霊「コラ!辻!一体何たくらんでるのよ!!」
平家先生「五右衛門もおらんようになった今、アンタらに勝ち目はないで!!」
ごま四郎「くくく・・・早く言いなよ。この子がどうなってもいいの?」
お亜依「の、ののちゃん!ウチはええからはよ逃げてぇな!!」
平家先生「アンタは何をしてんねん!!!」
薄笑いを浮かべながら、お亜依を捕らえ首筋に刀を押しつけるごま四郎
231 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月22日(水)23時38分18秒
のの太郎「あいちゃん、かならず・・・かならずたすけにくるれす!!」(ダッ)
猛ダッシュでわき目も振らず逃げ出すのの太郎

大女の幽霊「ホントに逃げちゃったね・・・」
お亜依「何しとんじゃオラァーー!!ホンマに逃げるアホがあるかーーい!!」
ごま四郎「ガタガタうるせぇよ!てめぇの命はこのアタシが握ってんだよ!」
お亜依「ヒィィィィィ〜〜〜〜!!!」
平家先生「せやから子供脅すんはやめんかい!!」
完全に幼児誘拐犯のごま四郎。頑張れ!平家婦警さん!!
232 名前:一方、ν愛の力号では…… 投稿日:2000年11月23日(木)08時10分21秒
ガラガラガラ……

お梨華「いっただっきま〜す、パク……うっ!」
中澤特製お弁当を一口くちにした途端、端を落とすお梨華

 キキキィ〜《停止するν愛の力号》

お彩 「ちょっと、お梨華!」
中澤 「ふふふ…利いたようやな……」
なっち「裕ちゃん!何したべさ!」
あさみ「まさか……」
りんね「中澤さん……」
中澤 「ちょ、ちょっと待たんかい。実はな……」
後から合流した為、事の次第をしらない一同に説明する中澤。
233 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)08時25分10秒
お彩 「成るほどね、行き先を聞かないのは変だなーって
    思ってたんたよ……」
なっち「裕ちゃんも人が悪いべさ」
ゆゆ 「これでもうあんしんやなぁ」
あさみ「しっ!まだみたいですよ」
端を落とし、固まっていたお梨華が震え出す
お梨華「うっ……ううう……」
中澤「大丈夫や、明日香の調合した薬やで。問題あるかい」
張り詰めた緊張を和らげようとする中澤。
234 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)08時27分32秒
お梨華「うう…ま、まっっず〜い!なんですか!この味!」
りんね「飲み込む前に全て吐き出してしまいましたね……」
お梨華「中澤さぁん、もうちょっと料理なんとかしてくださぁ
    い。これじゃ貰い手ありませんよ。だいたい、へんだ
    なぁ〜って思ったんですよ料理といったら、酒のツマミ
    くらいしかつくらない中澤さんがお弁当だなんて……」
お彩 「まだ、バレてないみたいね……」
ゆゆ 「よっぽど、すごかったんやなぁ……」
中澤 「ちゃうって!明日香の薬が凄い味やねん!
    うちが味音痴やないんや!!」
本当にそうなのか?中澤
235 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)08時29分27秒
お梨華「薬?何のことです?……まさか!」
中澤 「ちぃ!こうなったらっ!!」ガバァッッ!
勢いよくお梨華に飛びかかる中澤
お梨華「な、なにを……いや〜っ!!」
お彩 「う〜ん……さすが裕ちゃんだね……」
なっち「何の問題もなくマウントポジションだべさ……」
236 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)08時31分18秒
中澤「この…お梨華!喰うんや!これはあんたの為なんやで!」
お梨華の口にムリヤリ弁当を押し込む中澤
お梨華「いやぁ!やめてくださぁい!」
中澤 「あんたを元に戻す為や!」
お梨華「ん!ん!……いやぁ!」
中澤 「はぁ、はぁ!暴れるんやない!」
お梨華「んーー!んーー!……ゴホッ!」
中澤 「うちかて、辛いんや…堪忍したってなぁ…」
お梨華「ひ、酷い……」
237 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)08時33分01秒
お彩 「なんかさ……」
りんね「声だけ聞いてると……」
あさみ「すっごく……」
ゆゆ 「ごくっ……」
なっち「裕ちゃん……」
中澤 「どや…どや!……どうなんや!」
ちょっと暴走してるぞ、中澤。
238 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)08時54分37秒
お梨華「(ダメ!このままじゃ・・・!!)」
スススとお梨華の身体から出てくる煙
おあみ(やっぱり4分割したのがマズかったわね。こうなったら・・・)

診療所――
吉澤「・・・!」
蝦夷――
お亜依「・・・!」
のの太「・・・!」
それぞれの身体からスススと出てくる煙達
239 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)09時04分33秒
おあみ(これでOK!早く圭之介の本体に向かわなきゃ・・・ん?あれは」

ソニン「平家先生達港にいなかったな〜。どこ行っちゃったんだろ?」
おあみ(くくく・・・これは使えるわ・・・」
スススとソニンに近づく煙(おあみ)
ソニン「・・・!!こ、この煙は・・・前に安倍代官達が・・・」(ガクッ)
突然倒れこむソニン。そして起きあがった時には・・・
ソニン「ふふ、大成功。さて、早く鍾乳洞に行かなきゃ・・・」
完全に悪人ツラとなり、ユウキの待つ鍾乳洞に向かうソニン
240 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)09時24分24秒
鍾乳洞にて――

ユウキ「ソニン、遅かったじゃないか。平家先生達はどうしたんだ?」
ソニン「うん、なんかまだ着いてなかったみたい。・・・ところでその棺桶は?」
ユウキ「は?何言ってんだよ。カオリさんの本体じゃん。お前大丈夫か?」
ソニン「あっ、そうだったね。ゴメン、なんかアタシ疲れてるみたい」
ユウキ「薬飲むか?前に診療所から盗み出したのがあるぞ」
ゴソゴソと懐をさぐるユウキ
ソニン「そうだね・・・飲んだ方がいいかもね・・・」
ゆっくりと刀を抜き、狙いを定めるソニン
241 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)09時30分57秒
ユウキ「薬あったぞ。これこれ・・・」
(効果音)ズバッ!!
ユウキ「ソ、ソニン・・・なんで・・・ゴフッ・・・」(バタッ)
激しく血を流しながら倒れこむユウキ
ソニン「ふふ、なんでだろうね?ばいばいユウキ、アンタはいい相棒だったよ」
倒れているユウキの背中に、トドメの一撃を突き刺すソニン
242 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)09時42分04秒
ソニン「さて、いよいよ圭之介とご対面ね。ふふふ・・・」
血の滴り落ちる刀をポイと投げ捨てると、棺桶に近づくソニン
ソニン「くくく・・・圭之介。その身体、今こそアタシのものに!!!」
スススと圭之介の身体へと入っていく煙

圭之介「やった・・・やったわ!!この身体はアタシのもの!!この世界もアタシ
     のものーー!!!」
むくりと起きあがる圭之介。長い間封印されていた名残だろうか、目の下のクマが
当社比1・5倍である。
243 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)16時01分42秒
吉澤「……あ、私……なにやってたんだろ(もぐもぐ)」
市井「ふう、正気に返ったみたいね……」
矢口先生「やったやったー! おめでとう、よっすぃ!」
明日香(でもなんか平気に食べちゃってるし……侮れん、この子)
244 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)16時02分26秒
吉澤「きゅ〜ん(ぱたん)」
明日香「あ、やっぱり……」
市井「よっしゃあ、一人目完了!」
矢口先生「ぱんざーい!」
お圭「……ていうか矢口、その格好なんなのよ。
   私さっきから笑いこらえるのに必死だったんだからね」
矢口先生「いいじゃーん、ふふーん♪」
くるくる回る矢口先生。

(ぴきっ)
矢口先生「あたた、たた、た……」
明日香「あは、とりあえずはお茶とかしわもちで乾杯ね、はい」
矢口先生「さ、さんきゅ……」
245 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)16時03分39秒
残りのかしわもちとお茶を楽しみながらマターリする4人。

市井「もぐもぐ……あ、ツバメだよ。手紙持ってるし、
   あの獣使いの子から何かの連絡じゃないの?」
明日香「なになに……『カオリの故郷に向かえ 中澤屋』?
    また人の都合も聞かず、裕ちゃんたら無茶な指示を……」
お圭「はは、変わってないねぇ。おっしゃ、早速じゃあ出発すっか」
矢口先生「ああ待って待って。おいら武器の注文してるからさ、
     明日までちょっと遅らせてよ」
市井「そだね、大八車も今夜中には出来上がるし」
明日香「じゃあ私も患者さんたちに挨拶回りしてくるかな」
246 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)16時04分44秒
4人の横には焼銀軟膏βのおかげでより美しい美白肌となって
眠り続ける吉澤五右衛門。

矢口先生「……なんか見ててムラムラしてくるねぇ」
市井「裕ちゃんがこの場にいなくてほんと良かった」
お圭(あとで私も飲んでみよう……)
247 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)16時27分44秒
圭之介「さて、うっとおしい奴らが来る前に立ち去りたいところだけど
    もしかするとばったり会っちゃうかもしれないから手ぶらじゃねぇ・・・
    さっそくこの身体の力を使わせてもらおうかなぁ・・・(ニヤリ)」
地面に魔方陣を書き、怪しげな呪文を唱える圭之介
圭之介「・・・我が元に出でよ!妖魔あみーご!」

魔方陣が光り、魔方陣の中心に竜巻が巻き起こる
それがおさまった時、魔方陣の上に禍禍しい一匹の妖魔の姿があった
248 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)16時28分27秒
圭之介「あははははは!やったわ!とうとう完全体で召喚させることができたわ!」
ユウキ「そんな・・・そいつは市井さん達が・・・倒したはずじゃあ・・・」
圭之介「あら?まだ生きてたの・・・。ま、その傷じゃあ後少しの命だろうけど・・・
    いいわ、冥土の土産に教えてあげる。あみーごは私の呪術で生み出した下級妖魔
    だから私の命令に忠実に従うんだけどね、本物の妖魔じゃないから能力はイマイチ・・・
    かといって、本物の魔界の妖魔を呼び出すと制御が難しくて結構大変なの・・・
    で、両者の欠点を補うために召喚・合成して生まれたのがこの完全体のあみーごよ!
    ここまで完璧にできたのはこの身体の秘めた能力のおかげね」
ユウキ「こ・・・これから・・・どうする・・・つもりだ・・・」
圭之介「そうねぇ・・・」

妖魔あみーごの身体が小さな光の粒子に分解されていき、
その光は圭之介の右手に集まりある物の形になる

圭之介「とりあえず、この妖刀・亜未異護でうっとおしいモーニング衆を抹殺しようかな」
249 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)18時26分33秒
のの太郎「(すごすご)てへ、あくりょうにつかれていたとはいえ
     めんぼくないのれす〜。……あれ?」
アザラシ「きゅ〜」
ごま「ほらほら、バイバイってやると手を振ってくれるんだよ。
   バイバーイ。ほら〜!」
お亜依「うわ、飼いたい飼いたい飼いたい飼いた〜い!」
カオリ「が・わ・い・いぃ〜!」

平家先生「そこまで騒ぐほどかわいいもんなんやろか……」
怒りのやり場もなく、十代のテンションの高さにただただ困惑気味の平家先生。

のの太郎「もうなかなおりしたということでいいのれすか?」
平家先生「わからへん……」
250 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)18時27分30秒
数刻の後、鍾乳洞――

チョビ(ここ、ここ……)

二階堂「あ、さっきの子たちが倒れてる。やっぱり様子を見に来て良かったな」
ハムテル「棺はからっぽだ。やっぱり死体じゃなかったということか……」

ユウキ(むくっ)
二人「うわっ」
ユウキ「あ、さきほどはどうも(ぺこり)」
二階堂「君、大丈夫? すごい傷を負ってるみたいだけど」
ユウキ「鎖かたびらを着ていたし、おまけに寒くて大厚着してたもんだから
    急所だけは防げました。あ、多少の出血多量なら平気です。
    バイオレンスな家庭に育ったし」
二階堂「多少の出血多量って……」
あたりはくるぶしまで浸る鮮血の海。
251 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月23日(木)18時28分11秒
ハムテル「……それよりも女の子の方がかなり衰弱している」
ユウキ「かなりタチの悪い妖魔に憑かれてたから。彼女のこと頼みますね。
    僕はこのことをみんなに知らせに行かないと……」

焼銀軟膏を塗り塗り、少しふらつき気味に山をおりていくユウキ。

二階堂(……とりあえずこの子をさっさと治療して、
    これからあまり関わり合いにならないようにしよう)
ハムテル「……チョビ、怖がらなくていいからこっち来なさい」

チョビ(……やーん)
252 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)00時15分56秒
のの太郎「へーけせんせぇ、ののこのあざらしかいたいれす・・・」
平家先生「・・・アカン!」
お亜依「なんでそんな事言うねん!ちゃんとウチが面倒見る!!平家先生にはなん
     も心配かけへんから!なぁええやろ?お願いや〜〜!!!」
海豹「きゅ〜・・・」
ごま四郎「ほら、この子も平家先生と一緒に居たがってるよ?ね、いいじゃん」
平家先生「・・・・・・」
大女の幽霊「ヤダヤダヤダー!飼ってくれないんだったらカオリ暴れるもん!!」
(効果音)バキ!グシャ!ゴン!ベキベキ!
平家先生「いた!いたたたた!!ええ年こいて癇癪起こすんはやめんかい!!」
ポルターガイストの強襲を受ける平家先生
253 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)00時37分32秒
大女の幽霊「もういいもん!飼ってくれないんだったら、カオリ達この子と一緒に
       出てくからね!!」
お亜依「これでさよならや!!ウチらはウチらで勝手にやらせてもらうで!!」
のの太郎「あざらししゃん、ののたちといっしょにいきましょう」
海豹「きゅ〜ん?」
大女の幽霊「じゃあね!せいぜい死なないように気をつけなっ!ほら、ごま四郎!
       行くよ!!」
ごま四郎「えっ?あ・・・・うん・・・」
2人がかりで海豹を抱えて歩くお子様達と、怒りのオーラが目に見える程涌き出て
いる大女の幽霊。どうしていいのか分からないごま四郎
254 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)00時49分38秒
「・・・な、なんやねんあの態度は!なんでアタシが怒られなアカンねん!!あー
  そうかい!行きたきゃ勝手に行ったらええねん!!もう知らんわ!!だいたい
  なんでアタシはいっつも怒られんねん!!アタシが何したっちゅーねん!!な
  んも悪い事してへんのになんでボコボコにされんねん!!(延々続く)」
今まで溜めに溜めつづけたイライラをぶちまける、時限爆弾のような平家先生
255 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)10時04分34秒
山の麓の診療所にて――

ハムテル「チョビ、悪いけど少しその子を見ていてくれ」
チョビ(・・・エヘ?)
ソニン「・・・・・」
チョビ(・・・・・)
ソニン「・・・・・」
チョビ(・・・ベロベロ)
ソニン「うぅ・・・うぅ〜ん・・・」
チョビ(・・・ベロベロベロ)
ソニン「うぅ・・うぅぅ・・・」
チョビ(ベロベロベロベロ・・・)
ハムテル「・・・うなされてるから止めなさい」
夢の中で、巨大な舌に襲われているソニン
256 名前:さて一方こちらでは…… 投稿日:2000年11月24日(金)19時59分08秒
中澤「ふう、大人しくなったな……明日香の薬のおかげや……」
石川「きゅ〜〜……」
それだけじゃないと思うぞ中澤
中澤「しっかし、お梨華って……前も手をつけたけど、
   ほんまええ娘やなぁ…ごくっ」
石川「……」
中澤「ちょ、ちょっとだけ……」
悪い癖が出る中澤。あやうしお梨華!
257 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時02分41秒
ゆゆ「ババァ!なにやってんねん!」
   バシィッ!
見事なフラミンゴ打法でケツバットのゆゆ。
(フラミンゴ打法なのがやっぱり昭和40年代生まれ)
中澤「あたっ!な、なにすんねん。」
ゆゆ「ゆうちゃん、なんかやらしいことしようとしとったろ。」
中澤「そ、そんなことあらへん!なかなかお梨華が
   目覚めんから人工呼吸をやな……」
ゆゆ「それがやらしいんや!このアホ!」
   バシバシバシッ!
中澤「あた、あた…ゆゆ、やめて〜な…」
お彩「裕ちゃん絶っ対舌入れてただろうね」
なっち・りんね・あさみ「「「うん。」」」(きっぱり
258 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時06分44秒
〜ゆゆのお仕置き終了後〜
中澤「あたたた…ところでゆゆ、さっきから何でうちを
   叩いとんの?それはなっちの刀とちゃうよな……」
お彩「さすが、気付くのは早いよね」
なっち「さすが、なっち達の指令塔だべさ」
りんね「あのですねぇ〜……」
ことの次第を説明するりんね
259 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時10分40秒
中澤 「え……そうなん?もう刀持ってきてもうたん?」
なっち「裕ちゃん、さっき言ったっしょ。
    ちょっといってくるよーって。」
お彩 「裕ちゃん……聞いてなかったでしょ。」
りんね「お楽しみだったから……」
あさみ「ねぇねぇ、りんねちゃん、『お楽しみ』ってなに?
    意味おしえてよぉ〜」
ゆゆ 「トモちゃんかわいかっでー。うちちゅーしてもうた。」

え〜、霊刀を受け取る話はあまりにも地味な話な為カットさせていただきます。
260 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時15分24秒
<お茶処 華原>
華原「ともちゃんの出番もう無いんですか〜!お侍様〜!」
261 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時19分44秒
中澤 「そ、そんなぁ〜……これからがおもろくなったんよ。
   本性をあらわにしたお梨華と、なっち&お彩の凄絶な
   バトルが始まって、西洋の魔道の血を持つお梨華に
   大苦戦。りんね&あさみはうちとゆゆ庇って、氏亡。
   二人の氏をもって、うちとゆゆの怒りのエネルギーが
   爆発。神秘奇跡の融合合体フュージョンが大成功
   『はいぱー中澤ゆうこ』になってお梨華と激突っ
    ちゅう燃える展開やったんやけど……」
お彩 「どうやって、この霊刀をカオリたちに届けるかだね」
なっち「大八車だとしんどいっしょ。なにせ海も渡んなきゃ
    なんないし」
あさみ「それなら、なんとかなりますよ。待ってくださいね」
ゆゆ 「ゆうちゃん……うちに作ってくれた弁当……」
りんね「どれどれ、パクッ……う…お梨華ちゃん、御愁傷様…」
中澤 「あんたら人の話を聞かんかいっ!」
262 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時23分45秒
あさみの呼びかけよりしばらくして一同の上空を旋回する影
ゆゆ 「なんやろ、あれ」
あさみ「あ〜来た来た!お〜い、鷹さぁん!」
お彩 「でっかい鷹だねぇ……」
りんね「それではみなさん、説明します。今飛んでいる鷹さん
    にわたし達を運んで貰います。」
一同 「ほぉ〜」
りんね「あさみ、最後よろしくね。
    ……それではりんねに続いてください。」
急降下してくる鷹
りんね「タイミングをみて……はっ!」
キャッチ!バサッバサッバサササ……
中澤 「はう、旨いもんやな…じゃあ、ゆゆ。次はお前やで。
    刀を絶対に落とすんやないで。」
ゆゆ 「まかせてな!……はっ!」キャッチ!バサバサバサ…
中澤 「次はうちな。……ほっ!」キャッチ!バサバサバサ…
お彩 「あたしも……よっ!っと」キャッチ!バサバサバサ…
なっち「よ〜し、次はなっちだべさ。……やぁ!」
キャッチ!バサバサ……バサ…バササササ……
なっち「ひゃ〜〜!」どって〜〜ん
白目をむく鷹さん(いと哀れ
あさみ「………」
なっち「………」
263 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月24日(金)20時26分46秒
<上空のりんねに>
りんね「あれ〜、鷹さん。どうしたの?安倍さんとあさみは?
    ……そう、お梨華ちゃんを診療所まで…わかった、
    みんなに伝えてくる」(旋回して全員に伝えるりんね

<ν愛の力号>
ガラガラガラ……
なっち「みんなも、酷いべさ。お梨華ちゃんをおいてけぼり
    にするなんて。なっちが気ガ付かなかったらど〜する
    んだべか。あさみちゃん、人でなしにならなくて
    よかったっしょ。」
あさみ(安倍さんが話題を必死にスリカエえようとしてる……
    コワイ、こわいよぉ、りんねちゃん……)
なっち「ちょっと、聞いてる?あさみちゃん」
お江戸に向かうあさみ、安倍、お梨華。
264 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時44分26秒
――早暁卯の刻。まだ薄暗いお江戸の町に、お寺の鐘が寂しく響く。

「も〜にんぐこぉひぃ飲もぉ〜よ〜♪ はああ……」
白い息で両手を暖めながら、武器屋に向かう矢口先生。

矢口先生(注文に行ったときは留守だったからさ、
     お弟子さんにことづけるだけで良かったけど。
     さすがにこの時刻にはいるだろうなぁ、あの人……)
どうやら白い息にはため息も混じってるようだ、矢口先生。
265 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時45分40秒
ぴうぅぅぅぅ……
折りからの突風を受けはためく矢口先生のハイビスカス・マント
(特注ふとんを自己流にアレンジ。冬季の長旅もこれで安心)

トン、テン、カン、トン、テン、カン……
目前の、ただ一つ灯りを点した店先から聞こえる鍛冶(かぬち)の音

矢口先生「いるよ……。いてるよ、あいつ……」
絶望的な眼差しで看板を見上げる矢口先生。

「武器・武術よろづ承ります  夏」
266 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時46分22秒
「はぁぁ、どっしよかなぁ……」
店先でしばらくぐるぐる回っている矢口先生。

「……だあああ! こんなもん気合いじゃあ、気合い一発じゃあ!」
五寸五分の超厚底雪駄をカポカポ言わせて店に飛び込む矢口先生。
267 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時46分53秒
矢口先生「っしゃあぁぁ! 矢口じゃこるぁ! 文句あるか……」
夏「おるぁ矢口ぃ!!」
矢口先生「はいぃぃ!」
やっぱり気合いだけでは勝てなかった矢口先生。
268 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時47分24秒
夏「ほらほら、ぼさっと突っ立ってないで矢口もすぐその子の隣りに入って!
  あ、ワン、ツー、ワン、ツー! 違う! 右腕はこう!」
矢口先生「はいぃぃ!」
けが人だというのに、飛び入りでお弟子さんたちと一緒に無理矢理
ダンスを楽しまされる矢口先生。
269 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時47分52秒
夏「スリー、フォー、スリー、フォー! て、こるぁ矢口!
  一人だけ遅れてるよ、あんた! わかってやってんの?」
矢口先生「は、はひぃ〜」
夏「ほら笑顔笑顔! 笑顔忘れない! なにやってんのあんた!」
矢口先生「……え、えへ?」
夏「気色悪い! 笑うな!」
矢口先生「ひ〜」

とりあえず厚底雪駄は脱いだ方が踊りやすいぞ、矢口先生。
270 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時48分22秒
夏「そりゃ!」
踊り倒す矢口先生に何かを投げ渡す夏先生。

矢口先生「こ、これは……」
革帯を肩に回し、六本の銀の弦をつまはじく矢口先生。

ぎゅうおうおうおうわわ〜んんんんん!!

雷鳴のような凄まじい音を浴び、四散する練習場の鏡!

夏「……そう、あんたに頼まれていた新しい武器、これぞ名付けて『象三』!」
矢口先生「ぞ、『象三』……」
271 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)06時49分08秒
ひとくちコラム 〜『象三』〜

象の形をした、とってもキュートな槍。
音楽的才能に恵まれたものが使用することにより、
より絶大な効果を発揮するとされている。
「青色七人衆」が愛用したことでも有名である。

なお、初心者でも楽しめるようにと某社が開発した
アンプ内蔵ギター『ZO−3』は、明らかにこれをモデルにしている。
(アンプが故障したときの虚脱感は筆舌に尽くしがたいものがある)

――幻冬社アウトロー文庫刊 
  田村亮子 著
  『ラブホテルの冷蔵庫くらいの高さ』より
272 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)10時16分31秒
その頃蝦夷では――

平家先生「クッソーなんでやねん!なんでやねん!!なんでやねーん!!」
???「平家先生ってば何キレてるの?珍しいわね」
平家先生「ア、アンタは・・・カオリ!?でもちゃんと足がある?なんで?」
圭之介「だって本体だもん。でも中身は違うけどね・・・」
平家先生「中身が違う!?どう言うこっちゃ!!?」
圭之介「私はおあみ・・・悪いけど圭之介の身体は私が頂いたわ」
平家先生「おあみ!?まさか・・・アンタがあの子らに憑いとった妖魔か!?」
圭之介「そうよ。ふふ・・・この刀に見覚えない?」
平家先生「こ、これは妖刀亜未異護!?なんでアンタが持ってんねん!!」
圭之介「ふふふ・・・・・」
不気味な薄笑いを浮かべている圭之介
273 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)10時40分12秒
圭之介 「ねぇ平家先生・・・」
平家先生「な、なんやねん!!近づくな!!!」
圭之介 「刀なんか降ろしてよ・・・あなたと戦う気はないの!」(バッ!)
平家先生「◎▲&○#$□▽×●!!!?」
無理矢理平家先生の唇に、自分の唇を押し付ける圭之介

ごま四郎「あぁ!?へ、平家先生何してんのよぉ〜〜〜!!!」
やっぱり心配になって戻ってきたピーピング中のごま四郎。
274 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月25日(土)10時46分38秒
平家先生「・・・・・・」(ドサッ)
圭之介 「ふふふ・・・これでOK。目覚めた時にはあなたはもう・・・」
平家先生「・・・・・・」
圭之介 「じゃあね平家先生。お江戸で待ってるわよ!」(バッ!)
風のようにその場から去って行く圭之介

ごま四郎「人が折角心配して戻ってきてあげたのに何考えてんのよ、あのバカ!マ
      ジムカツク!!」
接吻のショックで、平家先生が倒れている事には気付いていないごま四郎
275 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)20時43分49秒
矢口先生「毛ガニ食いたいかぁ!」
4人「おー!」
矢口先生「バターコーンラーメン食いたいかぁ!」
4人「おー!」
矢口先生「よっしゃあ、北海道に向けてしゅっぱあつ!」
4人「おー!」

すでに目的が変わってしまっている矢口先生一行。
276 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)20時44分31秒
吉澤「あのー」
矢口先生「なに、よっすぃ?」
吉澤「誰が大八車牽くんですか?」
矢口先生「あ……」

5人全員大八車に乗ってどうする、矢口先生。
277 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)20時53分34秒
矢口先生「いやー、おいらまだ肋骨がさぁ……」
吉澤「私も悪霊に憑かれたり、『舛汰怒・醜』を食べさせられたりして
   おなかの具合がちょっと」
明日香「……脚の傷が治ってない」
お圭「打ち傷がまだしくしくと痛む」
市井「げほげほっ。ああ……奥義を使いすぎたから十二指腸の右下辺りが……」

本当は全員そこそこの回復を遂げているのだが、大八車を牽きたくないという
ただそれだけの理由で仮病というせこい技を使う矢口先生一行。
278 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)20時54分14秒
5人「……」
無言で見つめ合う5人。

矢口先生「みっちゃんがいてくれたらねぇ」
こんなときだけものすごく頼りにされる平家先生。

明日香「……じゃあここは一つ、実力で決めようじゃないの」
市井「そうね、快気祝いの肩慣らしということで」
吉澤「私も構いませんよ」
お圭「ふふふ、腕が鳴るわね……」
5人の間にみなぎる緊張感。

5人「最初はグー! いかりや長介、頭はパー! 正義は勝ぁつ!」
付近の住民「ざわ……ざわ……ざわ……」
279 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)23時02分35秒
平家先生「・・・・・」(ムク)
突然起きあがる平家先生
ごま四郎「あっ!起きた!!ちょっと平家先生、さっきのは一体何なのよ!!」
平家先生「・・・・・」
ごま四郎「ねぇ、聞いてんの!?」
平家先生「・・・アタシは江戸城に行かなアカン」
ごま四郎「は?」
平家先生「ほな、失礼します」
ごま四郎「・・・・・???」
スタスタと江戸城に向けて歩き出した平家先生。一人残されたごま四郎
280 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)23時45分15秒
ガラガラガラ……

???「わぁ〜!とまって止まってぇ〜!」

どっかーん!

矢口 「………」
市井 「………」
明日香「………」
吉澤 「………」
お圭 「………」

あさみ「きゆ〜……た、ただいま〜……」
馬の扱いはどうやら苦手なあさみ
281 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)23時47分38秒
明日香「あ〜あ、スリ傷だらけじゃない……あら、この娘?」
お梨華「……う、うぅん…」
あさみ「中澤さんのお弁当食べてからずっとこの目を
    覚まさないんですよぉ」
矢口 「そりゃあね」
市井 「ゆうちゃんのお弁当だよ……」
お圭 「生きてるだけ感謝しなくっちゃ」
吉澤 「そうなんですか?ねぇ?」
明日香「………」
自分の作った薬の所為だとは言い切れない明日香

<そのころ上空>
中澤「ぶぇーっぷしょい!……さすがに冷えるなぁ」
282 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)23時50分25秒
<診療所内>
明日香「はい、これで終わり。お梨華はこのまま寝かせて
    おけばいいでしょ。」
あさみ「この鷹さんも、お願いします。
    白目向いちゃったんですけど」
明日香「どれどれ、獣は専門外だけど大丈夫よ。
    飛び回るのはまだ無理かもしれないけど」
あさみ「よかったね、鷹さん」
   クケーッ(鳴き声知りません
あさみの肩に留まり声を上げる鷹
283 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)23時53分58秒
お梨華の寝る布団を囲む一同
吉澤「梨華ちゃん……」
市井「ふ〜ん…なるほどね、例の刀は蝦夷に向かってるか」
お圭「これで、裕ちゃんの読みが違ってたら洒落になんないよ」
矢口「それにしてもまさか、彩っぺになっちが加わるとはね」
あさみ「あぁ!それなんですけど、安倍さん途中で
    降りちゃったんですよ」
全員「「「「「 はぁ? 」」」」」
284 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月27日(月)23時56分50秒
明日香「いったい何があったの?」
あさみ「帰り道ですね、二人の忍者を見かけたんですよ。
    多分、衣吹にアミなんですけど。二人とも江戸城に
    向かってたようなんですけど、それを見た安倍さんは、
    飛び降りておっかけていっちゃったんです……」
明日香「なんかあるかも……こっちに残る奴も必要かもね
   (まったく……なっち勘弁してよ)」
またもや余計な心配の種が出来て落胆気味の明日香
285 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)00時00分40秒
<静寂の診療所>
お梨華「う、う……」(うなされている模様
一同「「「「 ドキッッ!! 」」」」

明日香「…で、誰が残る……って」
矢口 「だぁめ!オイラが梨華ちゃん看るんだよぉ!」
市井 「あたしは長屋に関係の無い身…あたしが残るよ
   (ごま四郎よりいいかも…)」
お圭 「ちょっと、あんたたち何言ってるのよ!
    あたしがこの子の教育係だったんだからね。
    あたしが残るよ」
吉澤 「だめです!お梨華は、お梨華ちゃんはあたしが!」

事態の深刻さがいまいちつかみ切れない御一行。
286 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)09時13分11秒
江戸城にて――

圭之介「虎無徹様〜!おあみ只今戻りました〜〜!!」
虎無徹「おあみ、無事だったんだ・・・ん?その身体はなに?」
圭之介「昔私を封印した圭之介ってヤツの身体もらったんです。だって、実体ない
     とろいろ不便じゃないですか。ね、こ・む・て・つ・さ・ま♥」
虎無徹「ふふ、それもそうだね・・・では!!」(ガバッ!!)
効果音:(ガラッ)
平家先生「あわわわわわ!!な、な、何してはるんですか!!?」
虎無徹「うわぁぁ!だ、誰だお前は!?曲者だ、出会え!出会えーーー!!」
圭之介「へ、平家先生!?ちょっと来るの早すぎよ!!」
忍びの為、圭之介の数倍の速度で移動できた平家先生。見てはいけないものを見て
しまった
287 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)09時28分55秒
虎無徹「そうか、君がおあみの新しい手駒か・・・。失礼したね」
平家先生「・・・手駒?」
圭之介「(しっ!虎無徹様!平家先生はまだ自分が操られている事に気付いてない
     んです。不用意な発言はやめてください)」
平家先生「・・・?」
虎無徹「そ、そうか・・・。平家先生、よく来てくれた。君の実力はよく聞いてい
     る。是非その力をおあみに貸してやって欲しい。君には期待しているん
     だよ」
平家先生「き、期待!?こんなアタシに期待してくれはるんですか!?お任せ下さ
      い!必ずやご期待に添えて見せます!!」
虎無徹「(・・・なんでこんなに燃えてるんだ?)」
圭之介「(平家先生は『期待』って言葉に弱いんです・・・)」
何度その言葉に騙されたことか・・・平家先生
288 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)18時14分07秒
圭之介「平家先生、お願いがあるの。実は私の刀が誰かに奪われてしまったの。取
     り返してきてちょうだい」
平家先生「へ?アタシが?」
圭之介「そうよ。平家先生、期待してるわよ」
平家先生「き、期待!?任せてぇな、すぐに取り返してきたる!」
元気よく部屋を飛び出して行く平家先生
虎無徹「・・・本当に大丈夫なのか?」
圭之介「心配いりませんよ。腕は確かですから。それよりも虎無徹様、ね
虎無徹「ふふふ・・・では!!」(ガバッ!!)
平家先生「なぁ、聞き忘れたんやけどその刀ってどこにあるのん・・・ってあわわ
      わ!何してはるんですか!!?」
圭之介「いいからさっさと行け!!」
どこまでも間の悪い平家先生
289 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)21時52分59秒
そのころ蝦夷では――

カオリ「……」
のの太郎(いいらさん、ののたちのほうをみたままずっととまっているのれす)
お亜依(気にすんな。いつものことや)
アザラシ「きゅ〜」
のの太郎「……あいちゃん、さっきからあたまにあざらしかぶってるけど
     おもくないのれすか?」
お亜依「ぜんぜん」
アザラシ「きゅ〜ん!」(あったかい!)
290 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)21時53分34秒
圭之介「ふふふ、虎無徹様……」
虎無徹「おあみ……」

二人の唇が重なり合あおうとしたその瞬間。

(……いやだっ!)

圭之介「いやだ……」
虎無徹「ん? どうしたんだ、おあみ……?」
圭之介「……いやぁ!!」(ドン!)
虎無徹「ぐほべへぇっ!」
反対側の壁までもの凄い勢いで突き飛ばされる老中虎無徹。

圭之介「あ……ごめんなさい虎無徹様……。身体が勝手に……」
虎無徹「げほげへげふっ!」
口から血の糸を垂らしつつ咳き込む姿がとってもよく似合う老中虎無徹。
291 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)21時54分11秒
圭之介「ごめんなさい。この身体操るの、まだ慣れてないから……」
虎無徹「はは、そうなんだ……。そうだよね、はははははは。
    ま、蝦夷からの長旅で疲れも溜まってるでしょ。
    もう下がっていいよ」
圭之介「はい……ほんとごめんなさい……」
虎無徹「ははは、気にすることないよ、はははははは」
ずれたままのグラサンを直すこともなく手を振る老中虎無徹。
292 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)21時55分09秒
カオリ「……はあ」
のの太郎「ほっ。うごきだしたようれす」
お亜依「それよりもうちはごま四郎はんの方が心配やで。
    いつも以上にぼうっとしてもうとるからな」
カオリ「あの山……」
のの太郎「へ?」
カオリ「あの山見覚えがある……。登るよ!」
お亜依&のの太郎「えええ?!」

ごま四郎(はぁ……。平家先生……)
お亜依に手を引かれ、すっかり夢遊病状態のごま四郎。
293 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月28日(火)23時15分00秒
平家先生「刀・・・刀はどこにあるんやろか?」
華原「そこのお侍さん、よかったらお茶でも飲んで行きませんかぁ〜?」
平家先生「なぁ・・・刀知りません?」
華原「あっ、ひょっとしてお彩さん達のお知り合いですかぁ?刀だったらお彩さん
    が2、3日前にどこかに持って行きましたけど?」
平家先生「な、なんやて!!?・・・ちゅーかお彩さんて誰や?アタシの知り合い
      なんか?」
華原「え〜、お知り合いじゃないんですかぁ?ともちゃん勘違〜い♪」
あまりにも洗脳が強すぎた為、一部記憶が混乱している平家先生
294 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時20分18秒
北海道上空――

りんね「ゆゆちゃん、刀重いでしょ。持っててあげる」
ゆゆ「おおきにー」

(よし今だ……)
遠くの地から何者かがほくそ笑む。

中澤屋「(ぶるぶるぶる……いい加減さむなってきた。
    ……あかんキレてまいそうや)
    ん? なんか向こうから飛んでくるで」

人の姿らしきものが、音もなくすうっと近づいてくる……。
295 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時20分46秒
お彩「女……かな? でも、獣も使わずにどうやって飛べるんだろ」
ゆゆ「すごいなゆうちゃん、あのひとらむちゃんみたいやで」
中澤屋(まったく、次から次へと変な奴が……)
りんね「……みなさん下がってて下さい。私がひとまず相手しますから」

『磁世雨惣』を背中に回し、愛刀『雪景色』を鞘から抜くりんね。
296 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時21分36秒
顔の判別がつく程度の距離を残し、空中で停止する新参者。

中澤屋「なんや、向こうが透けて見えとるな」
お彩「霊体か幻影か……どっちにしろやっかいな相手ね」

りんね「……さあ答えなさい。あんたはいったい何……」

(りんね……私のことわすれたの……?)
寂しげに、りんねに語りかける半透明の娘。

りんね「あ……」
驚愕で限界まで見開かれるりんねの瞳。
297 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時22分04秒
りんね「……ひ」
ぶるぶると震え出すりんね。

ゆゆ「……どうしたん、りんねちゃん?」
中澤屋「なんや、あんたの知ってる人なんか?」
りんね「ひ……ろ、み……」
298 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時22分38秒
ひろみ(……りんね、会いたかった……)
両手を広げ、すべてを包み込むような暖かい笑顔で語りかけるひろみ。

りんね「ひろ……みぃ……」
涙を拭いもせず泣きじゃくるりんね。

ひろみ(ほら、こっちおいで……。その刀を持って……)
りんね「うん……」
299 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時23分15秒
中澤屋「……あかん! こら罠や、間違いない!」
お彩「だめ、りんね!」
りんねにしがみつく三人。

りんね「いやー! はなして! ひろみが、ひろみがぁ……!」

お彩「くっ、すごい力……獣使いの術が破れるかもしれないけど
   とりあえずりんねを眠らせるよ!」
中澤屋「この際しゃあないな。下はと……結構雪が積もっとるな。
    まあ落ちても助かるやろ。ゆゆ、うちにしっかりつかまっときや」
ゆゆ「うん!」(わくわく)
300 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時23分41秒
お彩「りんね、ごめん!」
りんねの水月に拳をたたき込むお彩。
りんね「んっ……」
気を失い、お彩にもたれかかるりんね。
その途端に術が切れ、慌てて飛び去っていく鷹の群。
お互いにひしと抱き合いながら、真っ逆様に落ちていく四人。
301 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)12時31分01秒
一方、江戸城の庭園――

池端にたたずむ圭之介。
かたわらの梅の木に片手を添え、何かの魔術に没頭していたようだ。

圭之介「……失敗か」
ため息とともに身体の緊張を解く圭之介。
周囲の草花にみるみる生気がよみがえっていく。

圭之介「この次こそ……」
梅の小枝に手を伸ばし、ぽきりと手折る圭之介。
302 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)17時14分11秒
「刀・・・刀はどこや・・・」
廃墟をさまようゾンビのように刀を探しつづける平家先生
303 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)18時27分31秒
北海道某所――

ユウキ「はぁ・・・平家先生達どこ行っちゃったんだろ・・・ん?あれは」
視界に入ったのは、雪の中から突き出している数本の手足
ユウキ「あ゛ーーーーー!!死体だ死体だ死体だーーー!!!」
中澤屋「誰が死体やねん!このクソガキャーー!!」(ガバッ)
ユウキ「うわぁー!山姥ーーーー!!!」
雪まみれの物体に怯え、一目散に逃げ出すユウキ

中澤屋「待たんかいコラァ!この中澤屋を山姥と間違えて無事に済むとでも思うと
     るんかーー!!?」
落下のショックもなんのその、全力でユウキを追いかける中澤屋。山姥に間違われ
るのも無理はない
304 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)18時31分07秒
数秒後――

中澤屋「はぁはぁはぁ・・・もう限界や・・・」(ガクッ)
気は若くても、体力は確実に衰えている中澤屋
305 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月29日(水)18時37分52秒
お彩「ユウキ君待ちなさい!アタシよ、アタシ!!」
ユウキ「あ、あなたはお彩さん?・・・なんでこんな所に?」
お彩「ま、いろいろあってね。ほら、アンタ達大丈夫?」
ユウキ「あ、その人は確か獣使いの・・・あれ?この子は誰なんですか?」
なんとか雪の中から這い出してきたお彩、りんね、ゆゆ

中澤屋「ゼェゼェ・・・みんな同じ雪まみれやのに・・・なんで、ウチだけ山姥に
     間違われな・・アカンねん・・・」
少し離れた所で、一人倒れている中澤屋。もう息も絶え絶えである
306 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年11月30日(木)16時50分02秒
平家先生「なぁ、どっかで刀見ぃひんかった?」
チョビ(・・・エヘ?)
山の麓の診療所まで辿りついた平家先生
307 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月01日(金)05時49分13秒
<そのころ診療所>
矢口・お圭・吉澤・市井
「あいこでしょ!…あいこでしょ!…あいこで……」

明日香「はやく決めちゃってよ……」
あさみ「鷹さぁん、はい、飛ぶ練習しよかー」
鷹   クケーッ

マターリと時は過ぎてゆく……
308 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月01日(金)13時13分11秒
ユウキ「お彩さん、大変なんです!実はカオリさんの身体がおあみとか言う妖魔に
     奪われてしまったんですよ!!」
お彩「えぇ!?ちょっとアンタ何してたのよ!ちゃんと見張ってなきゃダメでしょ
    !!」
ユウキ「だ、だってソニンがなんか操られてて、それで・・・」
お彩「言い訳しないの!まったく役に立たない子ね!!」
ユウキ「す、すいません・・・」
3人の姉に囲まれて育った為、年上には弱いユウキ
309 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月01日(金)16時49分43秒
中澤屋「彩っぺ、そんなに怒ってもどうにもならへん・・・
     そんなことよりこれからどうするか考える方が先や!」
お彩「そりゃそうだけどさ、きちんと注意する時に注意しておかないと
    こんな失敗を何度もしてたら、この子達いつか命を落とすわよ!」
中澤屋「そんなことアンタに言われんでもわかっとるわ!
     『怒るな』とは言うてない、今はそんなことしとる場合やないんや!」

ユウキ(なんか喧嘩が始まっちゃった・・・、俺のせいなのかな・・・
     あれ・・・?なんか、目の前が暗くなってきちゃったよ・・・
     いくらバイオレンスな家庭に育ったって言っても
     あれだけ出血したらさすがにヤバイか・・・)
310 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月01日(金)16時50分46秒
お彩「アンタ、なにニヤニヤしてんのよ!
    私達が何で言い争ってるのか、ちゃんとわかってるの?!」
ユウキ「わかって・・・ます・・・よ・・・」(ドサッ!)
その場に倒れるユウキ
中澤屋「ちょ・・・ユウキ、大丈夫か!」
抱きかかえる中澤屋。その手にヌルリとした感触が・・・
お彩「何てこと・・・。ここじゃ応急処置ぐらいしかできないわ・・・
    早くどこか治療できる場所に運ばないと・・・」
311 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月01日(金)21時00分37秒
矢口先生・市井庭八郎・お梨華・お圭・町医者明日香・吉澤五右衛門・あさみ
→江戸の診療所で、倒れてしまったお梨華を誰が看病するかでモメている

大女の幽霊・のの太郎・お亜依・ごま四郎
→蝦夷で海豹と共にふ〜らふら

中澤屋・お彩・ゆゆ・りんね・ユウキ
→蝦夷にていろいろ。圭之介の刀はこの一行が所持

平家先生→おあみに操られ圭之介の刀を探して山の麓の診療所(蝦夷)に
ソニン→山の麓の診療所にて療養中
安倍代官・アミ・衣吹→江戸にいるらしい
圭之介・虎無徹→江戸城にて密会中
312 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時02分44秒
16ビートを刻みながらずんずん山道を登っていくカオリ。

のの太郎「いらさーん、いらさーん、まてくらさーい!」
歩幅の差は如何ともしがたいのの太郎。

お亜依「ぜえぜえ……もう少し……ゆっくり……歩いて」
アザラシの子供を頭に乗せているうえに、
途中でやっぱり寝てしまったごまを担ぎ、
ひとりだけ遅れをとるお亜依。

アザラシ「きゅ〜……ZZZ」
ごま四郎「へいけせんせ〜……ZZZ……」
313 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時03分17秒
カオリ「ここだぁ!」

(でぃあ〜、でぃあ〜、でぃあ〜、でぃあ〜、でぃあ〜……)
カオリが入った途端、大共鳴する鍾乳洞。

のの太郎「ひ〜、いいらさ〜……」(どたっ)
共鳴音に驚いて霊体のカオリに抱きつこうとするが、
すり抜けてそのまま向こうに倒れこんでしまうのの太郎。
314 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時03分46秒
カオリ「ここだ! ここだ! ここだ!」
奥に駆けだすカオリ。
カオリ(カオ……生き返れるかも……!)

のの太郎「いてて……いらさ〜ん、まてくらさ〜い」
鼻を押さえて後を追うのの太郎。
315 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時04分21秒
鍾乳洞のいちばん奥。
夜光虫の蒼い光にぼんやりと照らし出される棺。

カオリ「やったー、残ってたぁ! ……あれ」
すでにからっぽの棺。

カオリ「はうぅ〜……」
棺の縁につかまり、へたり込むカオリ。
316 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時05分02秒
のの太郎「……いいらさん」
やっと追いついたのの太郎。

カオリ「のの……やっぱ先越されちゃってたよ……」
へこんでてもやっぱりでかいのは変わらない大女の幽霊。

のの太郎「……いいらさん、げんきだしてくらさい。
     まだひとのいたけはいがのこっているのれす。
     きっとまだこのちかくにのこっているはずなのれす……」
カオリ「うん……下りよっか。……あれ?」

棺の隅の方で何かがきらりと光る。
317 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時06分36秒
カオリ「誰も気づかなかったんだ……。よし、まだまだチャンスは残ってる!
    のの、カオから一生の頼みがあるんだけど……あ、やっぱいいや」
のの太郎「なんなんれすか、みずくさい! (ばん、と棺の縁を叩く)
     きょういくがかりのいいらさんのためなら、たとえひのなか
     みずのなか、ののはごおんにむくいるしょぞんなのれす!
     なんれもいいつけてくらさい、えっへん!」
318 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時08分55秒
カオリ「……じゃあね、この棺の中にある指輪、持っといてよ。
    んでね、カオの身体でうろついてる奴がいたら
    なんとか言いくるめてこれをつけさせるの、わかった?」
のの太郎「へい。わかったのれす。おおぶねにのったきでいてくらさい!」
カオリ「頼むよ。じゃあしばらくこの中で休むからね、ばいばーい」
のの太郎「ばいばーい」
銀の指輪に吸いこまれていく一筋の煙。
319 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月03日(日)22時10分37秒
指輪を手に取るのの太郎。

のの太郎「……はっ。ののは……もしかしてののは……
     とんでもないことをひきうけてしまったのれしょうか……」

ぴんぽ〜ん。気づくのが遅いぞ、のの太郎。
320 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月04日(月)09時11分45秒
ドンドン!ドンドン!!
中澤屋「急患や、急患!開けてぇな!!」
漆原「なんだ君は?ワシは今論文で忙しいんだ。おーい、菱沼君!」
菱沼「なんですかぁ〜?アタシ〜今〜血液検査してるんだけど〜」
中澤屋「大変なんや!この子えらい血ぃ出してて、はよ診たってぇな!!」
菱沼「診てって言われても〜、アタシ医師免許持ってないのよね〜」
中澤屋「だったらはよ医師免許持っとるヤツ呼んできてぇな!!」
菱沼「え〜と、ハムテル君は確か持ってたよね〜。あ〜確か二階堂君も〜」
中澤屋「もうどっちでもええわ!はよしてぇな!!」
菱沼「あ〜、でも2人とも獣医a釘
321 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月04日(月)09時12分19秒
ドンドン!ドンドン!!
中澤屋「急患や、急患!開けてぇな!!」
漆原「なんだ君は?ワシは今論文で忙しいんだ。おーい、菱沼君!」
菱沼「なんですかぁ〜?アタシ〜今〜血液検査してるんだけど〜」
中澤屋「大変なんや!この子えらい血ぃ出してて、はよ診たってぇな!!」
菱沼「診てって言われても〜、アタシ医師免許持ってないのよね〜」
中澤屋「だったらはよ医師免許持っとるヤツ呼んできてぇな!!」
菱沼「え〜と、ハムテル君は確か持ってたよね〜。あ〜確か二階堂君も〜」
中澤屋「もうどっちでもええわ!はよしてぇな!!」
菱沼「あ〜、でも2人とも獣医だから人間は〜・・・」
中澤屋「なんでもええからはよ呼んでこい!!!」
大阪暮らしが長かった為、京女のくせに気が短い中澤屋
322 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月04日(月)09時23分14秒
診察室にて――

二階堂「うわぁ〜、すごい血だ!!おいハムテル!どうするんだよ!!」
ハムテル「あれ?確かこの子はこの前鍾乳洞に倒れていた子じゃないか?やっぱり
      あの時行かせたのはまずかったみたいだな」
二階堂「そんなのどうでもいいだろう!早くなんとかしなきゃ!!」
ハムテル「そうだな、とりあえず輸血だ。この子の血液型は?」
中澤屋「A型です!」
ハムテル「A型と言われても・・・ここには動物の血しかない」
二階堂「・・・動物の血でもいいのかな?」
ハムテル「それはまずいだろう。菱沼さんの所に行けば・・・」
中澤屋「どうでもええからはよせんかい!!!」
北海道民はのんびりしてるって本当ですか?中澤屋
323 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月04日(月)09時32分36秒
ユウキ治療中――

中澤屋「はぁ、とりあえずは大丈夫みたいやな」
りんね「・・・・・」
ゆゆ「ねーさんどないしたんや?さっきからなんかへんやで?」
お彩「りんね、さっきの女となんかあったの・・・ん?あれは?」

平家先生「刀はどこなんかなぁ?」
チョビ(エヘ?)
平家先生「そもそもなんでアタシが刀なんか探さなアカンのやろ?」
チョビ(う〜ん・・・?)
平家先生「はぁ〜、あったかい・・・」(ギュッ!)
チョビ(イヤーン)

お彩「・・・みっちゃん?」
ゆゆ「・・・なんやイヌにだきついとるで?」
中澤屋「・・・ウチらの知らんうちに何があったんやろか?」
りんね「・・・・・」
意外な所で再会を果たした黄金コンビと愉快な仲間達
324 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月04日(月)22時48分58秒
中澤屋「お〜い、みっちゃん元気かぁ〜」
平家先生「・・・あ〜、なんや裕ちゃんか・・・」
虚ろな視線で中澤屋を見つめる平家先生
中澤屋「いきなりおらんようになったと思ったら・・・、こんな所で何してるん?」
平家先生「何してるって・・・なんでアタシこんな所におるんやろ・・・
      そうや、刀を探しに来たんや・・・でも、なんでアタシが・・・」
中澤屋(なんか様子がおかしいな・・・カオリの病気でもうつったんか?)

325 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月04日(月)22時49分37秒
その頃、江戸城・・・

圭之介「フフッ・・・まさかむこうから近づいてきてくれるとは・・・
     さあ、平家先生、あなたの出番が来たわよ・・・フフフッ・・・」
326 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月05日(火)08時57分55秒
平家先生「刀・・・刀・・・」
中澤屋「みっちゃんどないしたんや?刀がどうかしたんか?」
ゆゆ「かたなやったらじぶんのがあるやん」
平家先生「・・・ホンマや。アタシの刀ある」
お彩「ヤダ、みっちゃんてばもうボケちゃったの?」
平家先生「・・・その刀は?」
お彩「ああコレ?カオリの刀よ。なんか大事なものらしいから届けてあげようと思
    ってね。・・・ひょっとして探してる刀ってコレのこと?」
平家先生「・・・さぁ?」
中澤屋「いや、さぁって・・・自分頭大丈夫なん?」
平家先生「・・・はぁ〜、あったかい」(ギュッ)
チョビ(イヤーン)
中澤屋「・・・・・」
やはり平家先生を信用したおあみがバカだったのか!?平家先生
327 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月05日(火)09時04分14秒
その頃、江戸城にて・・・

圭之介「あぁ!平家先生ってば何してんのよ!!さっさと刀を奪いなさい!!」
効果音:バキッ!
圭之介「あっ・・・ヤバイ!虎無徹様に怒られちゃう!!」
2本目はさすがにマズいと、慌てて梅の木の枝を元に戻そうとする圭之介
328 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月06日(水)21時38分08秒
――お江戸の診療所

矢口先生「……ていうかぁ〜」
明日香「ふふ〜ん」(にやにや)
市井「こらっ圭ちゃん!」
お圭「(びくっ)な、何?」

全員「お誕生日おめでとう、圭ちゃん!」
329 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)01時31分46秒
圭之介「ああっ、もぉムカツク!!
     しょうがない・・・もう1人に頑張ってもらおうか・・・」
両目を閉じ、精神を集中させる圭之介
330 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)01時32分57秒
−山の麓の診療所−

ひろみ(りんね・・・りんね・・・)
りんね「ひろみ!?どこ?どこにいるの?」
キョロキョロ左右を見回し、ひろみの姿を探すりんね
ひろみ(今、あなたの心に直接語りかけてるの・・・)
りんね(ひろみ・・・また話ができるなんて思わなかった・・・)
涙ぐむりんね
ひろみ(私もあなたともう1度話せるなんて思ってなかったからすごく嬉しい・・・)
りんね(あのね、いっぱい話したいことがあるの・・・)
ひろみ(私ももっとあなたと話がしたい・・・でもね、そういうわけにもいかないの・・・
     私はあの世の人間だからこの世に干渉しちゃいけないの・・・だから、もう・・・)
りんね(イヤだよ・・・そんなのイヤだよ!!何か・・・何かないの?私と話し続ける方法は・・・)
ひろみ(1つだけあるわ・・・。あの刀・・・圭之介の刀を江戸城に持ってくるの・・・
     そうすれば、あなたの願いを叶えてくれる人がいるわ・・・)
りんね(・・・わかった・・・中澤さんには悪いけど、必ず刀を手に入れるわ!!)
ひろみ(待ってるわ・・・りんね・・・)
331 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時34分38秒
ここは富士山麓、鳴沢氷穴――

衣吹「ううぅっ、さむ! 老中様からのご命令とはいえ、
   なんでこんなほら穴に入んなきゃなんないのよ!」
アミ「何もかも凍ってるよぉ、寒いよぉ」
衣吹「とりあえずこのでっかい箱を持って帰ればいいのよね」
アミ「……重いよぉ」
衣吹「重いねぇ……」
アミ「手がかじかんでうまく運べないよぉ……」

衣吹&アミ(売れてやる……絶対に売れてあいつら見返してやる!)

とりあえずがんばれ、衣吹にアミ。
332 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時35分31秒
一方、衣吹とアミを追い、江戸城に入ったお代官。

お代官「あいつら、どこにいったんだべ……あ!」
圭之介の姿を見つけ、棒立ちになるお代官。

お代官「カオリ! 生き返ったんだべか!」
圭之介「……あら。お久しぶりね、安倍さん」
お代官「『安倍さん』って……。どうしたの、カオリ?」
圭之介に抱きつこうとして立ちすくむお代官

山崎「……確かに器は飯田圭之介の身体だが、
   操っているのはおあみの霊なんだよ、安倍……」

二人に歩み寄ってくる山崎、虎無徹、松浦の三老中。
333 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時36分19秒
お代官「おあみ……」

苦い苦い記憶が走馬燈のようにお代官の頭の中を駆け巡る。

新人当初から常に比較されていたこと……。
江戸城内での凄烈な出世争い……。
「ふるさと一本勝負」での大惨敗……。
亜未異護の魔力によってなすすべもなく操られていたこと……。
334 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時37分02秒
その苦い記憶をぐっと呑み込んでこらえるお代官。

お代官「……衣吹とアミを見かけなかったべか」
圭之介「ん? ……ああ、あの忍びの子たちね。
    ちょっと用ができて富士山まで行ってるわ。
    おもしろいおみやげを持ってくるはずだから、
    まあしばらく待ってなさいよ」

衣吹&アミ「ただいまぁ……」
ちょうどそこへ、人ひとりが入れるくらいの頑丈な木箱を担いで
ふらふらやってくる衣吹&アミ。
335 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時38分28秒
松浦「よし、ちょうどいいところに来た。
   ここで開いてみるか、虎無徹殿……」

軽くうなずいた後、なぜか瞳を潤ませながら封印を解く老中虎無徹。
不気味なきしみを響かせつつ暴かれる、謎の木箱。

お代官「……!! これは……」
336 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時38分53秒
お江戸の診療所――

矢口先生「(ふらふら)……それれはぁ! うぃっ……。
     圭たんのご生誕祝賀宴会の3日目突入を祝ってぇ、げふっ。
     かんぷわぁい!」
一同「かんぷわぁい!!」
お圭(……もういいっちゅーのに。いいかげん寝かしてくれ!)

おいおい、飲んでいいのはお圭だけだぞ、矢口先生。
337 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時39分26秒
市井「れは1番、市井紗耶香庭八郎!
   不器用な女なのでこれといった特技はごじゃいませんが、
   ひっく! 圭ちゃんの成人をお祝いし、
   久方ぶりに三段腹を披露させていたらきむわぁす!」
一同「やんややんやぁ!」
お圭(う……もどしそう)
お梨華「ほらほらほらぁ、れんれん減ってないっすよ、や・す・ら・さん!」
畳にこぼれるのも気にせずガンガン酒を杯に注ぐ酩酊中のお梨華。
338 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)06時39分49秒
お圭「……あんた、普段から抑圧されてるもんだから
   いったん酒が入るとやっぱり……ぐへっ!」
いきなり後ろから吉澤にスリーパーホールドをかけられるお圭。

吉澤「あはははははは、お圭さんたらもう、
   難しい言葉使ったって、ひとみれんれんわかんなぁい!
   さあ飲んれ飲んれ! ぷっ、はははははははははははははは!!」
お圭(こいつら……覚えていろ……うぷっ)

ちなみに床の間で腰のグラインドに熱中しているのは、急に昔の振り付けを
思い出して踊ってみたくなった町医者の明日香(やっぱり泥酔中)。
339 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)09時10分37秒
そのころ――

お亜依「飯田はんは指輪ん中に入ってもうたし、飯田はんみたいな格好した人探し
     出せ言うし、ウチらもうわけわからんわ」
のの太郎「はぁ・・・ねぇごまひゃん、ののたちどうしたらいいんれすか?」
ごま四郎「大丈夫だよ、アタシがついてるから」
お亜依「・・・」
のの太郎「・・・」
お亜依「うぇ〜〜ん!飯田は〜ん!お願いやから出てきてくださ〜〜い!!」
のの太郎「あ〜ん、あ〜ん!ののたちをみすてないでくら〜〜〜い!」
ごま四郎「なんでよ!!ちょっとあなた達失礼よ!!?」
何故か発言はセリフがかっている事が多いごま四郎
340 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)09時23分47秒
ごま四郎「ほら、泣いてないで行くよ!」
のの太郎「・・・どこにれすか?」
ごま四郎「ど、どこって・・・カオリの身体探しに行くに決まってんじゃん」
お亜依「せやから場所はどこに向かうか聞いてんねん」
ごま四郎「ば、場所は・・・き、北よ!女ってのは何故か北に逃げるものなの」
お亜依「ここは北やで?これ以上また北に行くんか?」
ごま四郎「うっ・・・」
のの太郎「あさはかなおんなれすね。もっとじぶんのいるばしょをはあくしておい
      てほしいれす」
ごま四郎「うぅ・・・」
お亜依「さぁ、どないすんねん!はっきり言うてもらおか!!?」
ごま四郎「・・・ふぇ〜〜ん!カオリ〜〜!!出てきてよぉ〜〜〜〜!!」
まったく役に立たないごま四郎。いい年して泣くのはやめろ!
341 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)09時24分25秒
庭八郎「・・・ごま四郎、みっちゃんのどこがいいんだろう・・・
     はぁ・・・、昔は「いち〜ちゃんいち〜ちゃん」って私の後にくっついてたくせにさ・・・」
お圭(もうそれ何回目だろ、この話・・・はぁ・・・)
庭八郎「え〜ん!!ごま四郎〜!!(涙)」
お圭(また泣き出すし・・・誰か私を助けて・・・)

吉澤「梨華ちゃ〜ん」(押し倒し!)
お梨華「いやんみんな見てるって・・・」
吉澤「いいじゃん、私達の愛の深さをみんなに知ってもらういい機会だって

矢口先生「ほら、アンタも飲みなって!!」
あさみ「きゅう〜・・・・・・」(宴会1日目からずっと酔い潰れている・・・)

明日香「・・・・・・・・・」(ひたすら踊り続けている・・・)

こんな事してていいのか、あんたら・・・
342 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)09時42分00秒
お亜依「うぇ〜〜ん!飯田は〜〜〜ん!!」
のの太郎「いいらさぁ〜〜ん!たすけてくらさぁ〜〜い!!」
ごま四郎「カオリ〜!カオリ〜〜!カオリ〜〜〜!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

ごま四郎「・・・何この音?」
お亜依「なんや上の方から聞こえてくるけど・・・」
のの太郎「うえ?そられすか?」
大女@指輪(バカッ!雪崩よ雪崩!アンタ達が大声なんか出すからだよ!早く逃げ
       て!!!)
のの太郎「ひぃぃぃぃ〜〜!!はやく、はやくにげなきゃ!!」(ダッシュ)
ごま四郎「ねぇ、なだれって何?」
お亜依「あとで教えたるさかい、はよ逃げな!!」(ダッシュ)
ボケーとしているごま四郎を抱えて逃げ出すお亜依。実は結構力持ち?
343 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)13時43分00秒
激しく雪がふぶいている雪山の中・・・

平家先生「寒い・・・心も身体も寒すぎる・・・」
チョビ(もう帰りたいんだけど・・・)
平家先生「刀はどこなんや・・・か・・たな・・・」(ドサッ)
チョビ(大丈夫?)
平家先生「うん・・・」

遠くから・・・
ゆゆ「へーけせんせー、もうごはんやからはよきぃや〜!」
チョビ(ゴハンだって)
平家先生「・・・うん、今行く」(ムクッ)
診療所の裏山でチョビに遊んでもらっていた平家先生(ちょっと鬱っぽい)
344 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)13時54分30秒
その頃・・・

ごま四郎「ぶはっ!うえぇ〜、マジ死ぬかと思った〜〜」
のの太郎「はぁ・・・いきてるってすばらしい・・・」
お亜依「おえっ・・・ホンマにもうアカンかと思うたわ」
ノソノソと雪の中から這い出してくる3人組
345 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)13時58分51秒
お亜依「あんとき飯田はんが雪崩や言うてくれへんかったらホンマやばかったわ」
ごま四郎「だよね〜、カオリありがとう」
のの太郎「いーらさん・・・・・あーーー!!!」
ごま四郎「どうしたの?」
のの太郎「ゆびわが・・・いーらさんがはいってるゆびわがないれす!!」
ごま四郎「マジ!?なくしたの!?」
お亜依「ちゅーことは飯田はんも・・・」
のの太郎「どっかいっちゃいました・・・」
ごま四郎「・・・ヤバくない、それ」
お亜依「・・・この雪ん中から指輪一個探せ言うんか?」
のの太郎「はは・・・はははは・・・」
真っ白い大地を見つめ、途方に暮れる3人組
346 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月08日(金)17時17分05秒
平家先生「寒い・・・アタシはこのまま死んでまうんやろか・・・」(ドサッ)
チョビ(もう帰る?)
平家先生「・・・まだいる」
チョビ(カゼひいちゃうよ?)
平家先生「・・・うん」

遠くから――
お彩「みっちゃーん、ごはんだよー。戻っておいでー!」
チョビ(ゴハンだって)
平家先生「・・・うん、今行く」(ムクッ)
また診療所の裏山でチョビに遊んでもらっていた平家先生(やっぱり鬱っぽい)
347 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時40分39秒
お代官「おあみ……!」
虎無徹の開けた箱の中には、
生前と変わらぬ愛らしさで眠り続けるおあみの姿。

虎無徹「私たちがなぜ、あなたにこれを見せるかおわかりですか?」
お代官「……」
あまりの展開に青ざめながら首を振るお代官。

虎無徹「これはおあみ本人も覚えていない話ですが……」
虎無徹は語る――。
圭之介とおあみの、壮絶な闘いのいきさつを……。
348 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時41分05秒
少年少女の未熟な心に忍び込んでは悪事を繰り返し、
江戸市中を恐怖のどん底に突き落とした悪霊「亜未異護」。

妄忍愚八人衆の秘技「羅武真紫印」で一本の刀に封印されたものの、
その一部がまだ、ある一人の少女の身体に取り残されたままとなっていた。

当時いち早くその事実に気付いていたのは、電波……
もとい勘の鋭い飯田圭之介のみ。
349 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時41分36秒
――本体はもう完全に封じ込めたんだしぃ、
残りカスの掃除くらいならカオ一人でも大丈夫!
みんな忙しそうだしさ、ちょっくら行ってこよっか……。

そんな軽い気持ちで、仲間に何も知らせず出発したのが
よもや命取りになろうとは、お釈迦様でも知らぬ仏の圭之介。
350 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時42分06秒
「残りカスの掃除」と考えていた圭之介にとっての大誤算は、
その少女に凄まじい魔力が秘められていたということ。
体内に蠢く亜未異護の残滓によって潜在能力を刺激された少女――
おあみは、黒魔術師としての許されぬ道を、着々と歩みつつあったのだ。
351 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時42分55秒
そして決戦――。

霊力と魔力の衝突は熾烈を極めた。
両者ともに精神が肉体から引き剥がされるほどに……。

――だがなんの前触れもなく戦いは終わる。

恐らくは互いに相手の心の記憶領域にまで
攻撃の触手を延ばしてしまったからだろう。
この激闘について、二人とも何も記憶していないことが、
すべてを物語っている。

お代官「じゃあ、横丁の近くに埋められたカオリは……?」
虎無徹「おそらく、まったくの赤の他人……。
    行き場を失ったおあみの霊は、何人もの娘たちを
    犠牲にしていったのです……」
352 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時43分35秒
虎無徹「二人の最期を見とった茶店の……こほん、娘が、こほん。
    私のよく知っている者だったので……ごほんごほん。運良く
    その話が聞けて、おあみの身体を引き取らせてもらうことができました。
    ……そして遂に今、霊力の最高の使い手と、魔力の最高の使い手の
    二人の身体を、われわれは手中に収めているというわけなのです」
お代官「それが……それがなっちと、いったいどういう関係があるんだべか?」
山崎「安倍……」
目に妖しい光を湛え、お代官の肩をたたく老中山崎、

山崎「……お前、このおあみの身体を我がものにしたくはないか?」
353 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)06時44分04秒
お代官「え? やだ、身体を我がものにするだなんて……きゃー!!
    そんなえっちな話、なっち苦手だべさ。ひぁー!!」
4人「違ーう!!」

真っ赤になった顔を両手で覆って足をバタバタさせるお代官と、
鮮やかなハモリで揃い突っ込みをする四人。
354 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)09時17分47秒
雪山にて――

平家先生「・・・今日は誰もごはんやて呼びに来てくれへんなぁ〜」
チョビ(おなかすいた・・・)
平家先生「ほな、帰ろか?・・・あれ?ここどこなん?」
チョビ(迷ったの?)
平家先生「そうみたいやな。ま、ええやん。別に迷ったからて困る事もないし」
チョビ(やーん!)
平家先生「はぁ・・・寒い・・・心も身体も・・・」(ドサッ)
チョビ(どうしたの?)
平家先生「・・・・・・」
チョビ(おきて、おきて)
平家先生「・・・・・・」
チョビ(いつもならすぐ起きるのに・・・どうしよう!どうしよう!)
倒れている平家先生の周りをうろうろしているシベリアンハスキー
355 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)09時26分02秒
ごま四郎「あぁ〜、指輪マジ見つかんねーよ〜・・・」
のの太郎「もうつかれました。ゆびわなんかどーでもいいれすよ・・・」
お亜依「飯田はんなら自分で出てくるやろ。ほっといても平気やて・・・ん?」
のの太郎「どうしたんれすか?」
お亜依「あ!あれ平家先生やん!な、なんやイヌに襲われとるで!!」
ごま四郎「マジ!?平家先生〜〜〜!!!」

チョビ(あれ?誰か来る)
ごま四郎「うらぁぁ!このバカイヌがーー!!平家先生食うんじゃねーー!!」
チョビ(イヤーン!!)
生まれつき顔が恐いため不幸な勘違いをされてしまったチョビと、そのチョビより
もよっぽど恐い顔で襲いかかるごま四郎
356 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)09時33分46秒
ごま四郎「平家先生大丈夫!?しっかりして!!」
倒れている平家先生を抱きかかえるごま四郎
平家先生「・・・・・・」
ごま四郎「平家先生・・・起きて、起きてよぉ!死んじゃヤダよぉ・・・」
ごま四郎の頬を伝い一粒の涙が平家先生の顔にポトリと落ちると・・・
平家先生「・・・・・・」(反応なし)

ごま四郎「あれ?ねぇ、普通こんな感じで目覚めるんじゃないの?」
お亜依「知らんがな」
感動の再会には程遠い平家先生。やはり庭八郎には敵わないのか!?
357 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)10時07分36秒
ごま四郎「平家先生起きて!つーかさっさと起きろ!!」(バシバシ)
平家先生「うぅ・・・」
ごま四郎「よかった!気が付いたんだ!!」
平家先生「こ、ここは・・・」
お亜依「なんや頭が混乱しとるみたいやな」
のの太郎「そういうときはショックりょーほうれすよ」(ガスッ)
平家先生「こ、ここはどこ!?私は誰!?」
ごま四郎「ちょっと!記憶喪失になっちゃったじゃん!!」
お亜依「ここは蝦夷、自分は平家先生や」
平家先生「そうか!ここは蝦夷!アタシは平家先生や!!」
ごま四郎「すりこんでどうすんだよ!!」
やっぱり感動の再会には程遠い平家先生。庭八郎は宴会中
358 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)16時17分43秒
平家先生「・・・・・・」
何かを考考え事をしている平家先生
ごま四郎「やっぱりお医者さんに診てもらった方がいいのかな?」
平家先生「そう・・・ここは蝦夷でアタシは平家先生・・・」
のの太郎「もとにもどったんれしょうか・・・?」
平家先生「ここに来たのはお彩が持ってる刀を奪うためや!!」
ガバッと立ち上がり、診療所に猛スピードで走っていく平家先生
どうやら思い出さなくてもいい事まで思い出してしまったようだ・・・
ごま四郎「ちょ・・・平家先生、どこ行くのさぁ〜!!」
お亜依「アカン・・・全然聞こえてない・・・行ってしもうた・・・」
359 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)16時27分24秒
ごま四郎「平家先生・・・」(グスッ・・・)
のの太郎「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜〜〜!!」
ごま四郎「うるさぁ〜い!!もぉ〜、突然大声で叫ばないでよ!!」
のの太郎「あざらしが・・・あざらしが・・・いないのれす・・・」
お亜依「ホンマやぁ〜〜〜!!どうしよう、雪崩で埋められてしもうたんかなぁ・・・」
ごま四郎「指輪は生き物じゃないから別にいいけど、あざらしは生き物なんだから
      ヤバイじゃない!!どうしてもっと早く気付かないのよ!!
      早く探すのよ!早く!!」
360 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)18時47分23秒
平家先生「とうっ!」
すっかりキャラが変わって、いきおいよく山の麓の診療所に飛びこむ平家先生
平家先生「お彩〜!お彩はどこや!!」
お彩「あれ、平家先生?よかった、戻ってこれたんだ。いつもの山にいなかったか
    ら心配してた・・・ちょっと、何の真似?」
スラリと腰の刀を抜き、お彩に突き付ける平家先生
361 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)18時57分48秒
平家先生「ゴチャゴチャ言わんと大人しゅうその刀を渡しぃ!」
お彩「・・・みっちゃん、何考えてんのよ。やめなさい」
平家先生「うっさいわ!ええから刀を渡せ言うてんねん!!」
お彩「・・・なんで?なんでみっちゃんにこの刀が必要なの?」
平家先生「なんでて・・・そんなん・・そんなん知らんわ!とにかくアタシは刀を
      持って帰らなアカンねん!!」
記憶に残る何かを振り切るかのように自分に言い聞かせる平家先生
平家先生「はよ渡しぃ!せやないと・・・斬る!」
お彩「・・・残念だけどこれは渡せないよ。斬りたきゃ斬ってみな!!」
平家先生「くっ・・・」
刀を突き付けるものの、何故か身体が動かない平家先生
362 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)19時16分54秒
お彩「どうしたの、斬らないの?早くしないとみんな来ちゃうよ?」
平家先生「・・・・・」
お彩「みっちゃん?何があったの?ねぇ・・・みっちゃん」
平家先生「・・・うっさいわ!わからへん、なんもわからへんねん!!」
お彩「みっちゃん!落ち着いて!!みっちゃん!!」
平家先生「ぐっ・・・あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
効果音:ズバッ!!
お彩「みっ・・ちゃん・・・・・」(ガクッ)
平家先生「これでええんや・・・これで・・・」
血の海の中、一人立ち尽くす平家先生。おもむろにお彩の懐から刀を取り出すと、
静かにその場を後にした
363 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)21時28分56秒
平家先生「誰や!!」
背後から殺気を感じ、手裏剣を投げつける平家先生

カキン!カキン!カキン!

???「さすがは平家先生・・・どうやら一筋縄ではいかないようね・・・」
愛刀『雪景色』で手裏剣を全て防ぎ、姿を現す1人の獣使い
平家先生「なんや、りんねか・・・。悪いけど先を急いでるんや・・・
      アンタの相手をしとる暇はない・・・。邪魔するんなら殺すで・・・」
りんね「別に先を急ぐ邪魔をしようってワケじゃないわ・・・
     ただ、その圭之介の刀を渡して欲しいだけ・・・」
平家先生「悪いけどそれはできんなぁ・・・
      ウチが先を急いどるんはこの刀を江戸城まで届けなアカンからや・・・」
364 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)21時29分37秒
りんね「江戸城・・・今、江戸城って言った?」
平家先生「そうや・・・。さあ、大人しくアタシを通してや!さもなくば・・・」
りんね「どうやら、行き先は同じようね・・・」
平家先生「どういうことや?」
りんね「私もある目的の為にその刀を奪って、江戸城に持っていくつもりだったの・・・
     どう奪おうか考えてたちょうどその時に平家先生が奪ってくれたから、
     それを横取りしようと思って後をつけて来たってワケ・・・
     ね、平家先生、私達協力しない?どうせすぐに中澤さん達が追いかけてくるわ・・・
     その時、1人で全員を相手にするよりも2人の方が楽でしょ・・・
     それに私の術を使えば、うまくいけば捕まらずに江戸まで行けるかもしれないし・・・」
平家先生「そうやな・・・目的が同じなら争う必要はないしな・・・」
りんね「交渉成立ね・・・。それじゃあ・・・」
そう言うとりんねは鷹を呼び出し、平家先生と共に江戸に向って飛び去って行った
365 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)21時42分38秒
中澤屋に一礼した後、部屋から出て行くハムテルと二階堂。

ゆゆ「裕ちゃ……」
中澤屋の胸に顔を埋めて泣き続けるゆゆ。

中澤屋「大丈夫、うちがついてる。大丈夫や、大丈夫……」
ゆゆの頭をなでながら、自分に言い聞かせるように
同じ言葉を繰り返す中澤屋。

夕陽を浴びた障子の影が、斜めに横切るお彩の蒲団。
すきま風に、線香の白い煙がふわりと揺れる。
366 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時05分31秒
その頃――

ごま四郎「海豹〜!出ておいで〜!!」
のの太郎「ついでにいーらさんもでてきてくらさ〜い!!」
チョビ(こっち、こっち)
ごま四郎「おっ!分かるの!?さすがイヌ、すごいね〜」
チョビ(ここ、ここ)
お亜依「よっしゃ!ののちゃん、掘るで」(ザクザク)
のの太郎「こ、これは・・・!!」
チョビ(たけのこ・・・エヘ)
お亜依「そんなモン探してどないすんねん!!どあほうが!!」
チョビ(ヤーン)
ごま四郎「とりあえず持って帰ろっか?後でお彩さんにでも煮てもらおうよ」
診療所での騒動も知らず、マターリな3人+1匹
367 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時39分23秒
「カオリなんか久々に味わったセンチメンタルな気分・・・、前にいた井戸の中思
 い出しちゃう・・・」
雪の中に埋もれている指輪(大女の幽霊)
368 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時42分49秒
顔に被せてあった白い布を取り、
お彩の唇に紅をさしてやる中澤屋。

中澤屋「子供もできたばっかりや言うのに……。
    面倒なことに自分から関わってくるんやもんなぁ……」
お彩の顔の輪郭を辿る中澤屋の手。
369 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時43分25秒
中澤屋「はは、さっきまでぬくかったけ……ど」
ぱたり、と筆を落とす中澤屋。

中澤屋「もうこんな……冷……たなって……しも、た……」
堰を切ったようにぼろぼろと溢れ出る涙。

中澤屋「お彩……!!」
お彩の身体に突っ伏す中澤屋。
370 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時45分37秒
そして江戸城――

山崎「お前の意識を、おあみの、身体の方に、移したくは、
   ないか? と聞いているんだ」
噛んで含めるように説明する老中山崎。

お代官「そ、そんなことができるんだべか?」
松浦「おあみが圭之介の身体を手にした今となっては、実にたやすいことだ」
お代官「……」
心が揺れるお代官。
371 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時46分17秒
山崎「お前の実力におあみの肉体が加われば、まさに天下無敵。
   そして圭之介の身体を持つおあみと手を組めば、もうなにも恐れるものはない。
   あの小うるさい横丁の連中も一気に叩き潰すことができる」
お代官「……」
山崎「お前にとっては屈辱かもしれないが、これもご公儀安泰のためなのだ。
   引き受けてくれるな……」

頭を抱え、考え込むお代官。
372 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時47分03秒
圭之介「悩むことないじゃないの、安倍さん。
    私みたいな細いウェストになりたかったんじゃない?
    この身体があれば年中へそ出しルックができるんだよ」
お代官「……ふん、でも胸はなっちの方があるべさ」
圭之介「な、何それ? 胸なら私にも少しくらいありますぅ!」
お代官「どこにどこに? どこにあるべや!」
圭之介「きー! むかつくぅ!」

山崎・虎無徹・松浦(帯に短し、たすきに長しとはこのことなのだよなぁ)
373 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時47分40秒
松浦「……なあ、安倍よ。もう一度頂点に立ちたくはないか?」
山崎「しかも、以前のように雑魚はついてこない。……いい話じゃないか」
虎無徹「私たちも協力を惜しみませんよ……」
圭之介「ねえ、私と一緒にこの国を支配してみない?」

拳を握りしめ、苦悶の表情を浮かべるなっち。

なっち「……なっちは」
374 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時50分07秒
お彩「……ぷっ」
中澤屋「……?」

涙とよだれと鼻水でぐしゃぐしゃの中澤屋。
そんな中澤屋をいたずらっぽい目で見返すお彩。

中澤屋「お彩……」
お彩「えへへ〜。じゃ〜ん、ふっか〜つ!!」
ばん、と蒲団をはね飛ばし、飛び出すお彩。
375 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時50分56秒
お彩「All together now!!!!」
思いっきり腰をくねらせた後、上半身のみ屈んだ姿勢で上下に揺れるお彩。

中澤屋「その恐いほど見開いた眼……。あんたまさか……」
お彩「そう、そのま・さ・か。……ぷぷぷ。じゃあさ、久しぶりに
   生の声帯使ってやってみるね、すぅぅ……」
大きく息を吸い込むお彩(?)。
慌てて耳を押さえる中澤屋とゆゆ。
376 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)22時52分35秒
お彩「でぃあ〜!!」(でぃあ〜、でぃあ〜、でぃあ〜……)←エコー。
蝦夷中にこだまするカオリ復活! のおたけび。
377 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)23時01分47秒
なっち「なっちは……なっちは……」
378 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)23時02分54秒
なっち「なっちは……妄忍愚娘のなっちだべさぁ!」

ずばあ!!

山崎「ぐべえ!」
なっちの目にも止まらぬ早業で眉間を割られる老中山崎。
379 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月09日(土)23時03分26秒
圭之介「……血迷ったか!」
さすがに顔色を失う圭之介。

山崎「くっ……そうか、長い眠りからとうとう目を覚ましたな、安倍……。
   あのかんざしにはもう操られていないのか……」
なっち「かんざし? ああ、江戸に初めて来たときもらったかんざしね。
    埋蔵金やら亜未異護やらいろいろ惑わされたけどさ、
    あんな妖しげな術のかかったもの、ネタにしてもう食っちまったべさ!」
山崎「……よかろう、これが貴様の答えだな。後悔するなよ……。
   はっはっは、なあ虎無徹殿に松浦殿。……あれ?」
圭之介「……虎無徹様?」

もうとっくに逃げ出していた老中虎無徹&松浦。
380 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月10日(日)01時16分42秒
圭之介「しょうがないわねぇ・・・。山崎様、あなたも逃げていいですよ・・・
     この反逆者は私が始末します・・・。それに、この身体の力を試すいい機会だし・・・」
山崎「そ・・・そうか、じゃあ任せたぞ、おあみ!!」
あたふたと逃げ出す老中山崎

安倍「待つだべさ!!」
山崎の後を追おうとするが圭之介に行く手を遮られる
圭之介「あなたの相手は私だって言ったでしょ・・・(ニヤリ)」
安倍「ちぃっ!」
  (あの3人を追うためにはおあみと戦わないと・・・。でも、そうなればカオリの身体が・・・)
381 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月10日(日)10時58分42秒
その頃――

りんね「ねぇ、平家先生・・・」
平家先生「なんや?」
りんね「・・・別に」
平家先生「・・・・・・」
りんね「・・・・・・」
平家先生「・・・・・・」
りんね「(沈黙がイヤ!・・・平家先生ってこういう人だっけ?)」
ものすごく重い空気の中、江戸城へと向かう2人

りんね「(はぁ・・・あさみと一緒にいた頃が懐かしいな・・・)」
382 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月10日(日)11時08分46秒
山の麓の診察室――

『でぃあ〜!でぃあ〜!でぃあ〜!!』
ユウキ「うわ!な、なんだこの声は!?・・・イテテ、身体中ぎしぎししてるよ」
ソニン「うぅ・・うぅ〜ん・・・」(うなされている)
ユウキ「ソニン!?大丈夫!?しっかりしろ!!」
ソニン「あれ、ユウキ?・・・ここは一体?・・・アタシは今まで何してたの?何
     にも覚えてない・・・」
ユウキ「別に・・・別になんにもしてないよ!よかった気がついて」
ソニン「うん・・・なんかすっごいヤな夢みてた」
ユウキ「大丈夫、なんにもないから」
ソニン「うん・・・」
ようやく目覚めた優跳組。君達の出番は残されているのか!?
383 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月10日(日)15時09分02秒
そのころ、雪に埋もれた指輪の中では・・・

彩「ううう・・・アイツに言われてこの指輪の中に入ったのはいいけど
  誰も見つけてくれないんじゃないかしら・・・
  赤ちゃんは大丈夫かなあ・・・頼むよ、みんな・・・」
384 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月10日(日)17時37分00秒
圭之介「どうしたの?早く刀を抜きなさい」
安倍代官「くっ・・・(身体さえ取り戻せれば・・・)」
圭之介「こないんならこっちから行くわよ!」(ダッ!!)
安倍代官「ヤバイべさ!!」
効果音:ガラ
平家先生「あわわわわわ!か、刀なんか振り回して何してはるんですか!!?」
安倍代官「みっちゃん!?なんでここに・・・」
圭之介「あーもう!いいところで帰ってくんじゃないわよ!!」
りんね「(平家先生・・・帰ってきたのに怒られてる。ちょっとかわいそう)」
どこまで行っても間の悪い平家先生
385 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)03時21分47秒
圭之介「ま、いいわ・・・。どうやら無事に例のモノを持ってきたみたいだし・・・」
安倍「例のモノってなんだべ!!」
そう言った直後、平家先生の手に一振りの刀が握られている事に気付くなっち
安倍「まさか、それはカオリの・・・、なんでみっちゃんが持ってるの!?」
圭之介「平家先生達は私達に協力することをを約束してくれたわ・・・
     その刀は蝦夷にいるあなたの仲間から私のために奪ってきてくれたの・・・
     お彩っていう人を斬り捨ててね・・・(ニヤリ)」
安倍「彩っぺが・・・。なんで・・・、なんで・・・。みっちゃん!りんね!どうしてそんな事を!?」
涙を流しながら悲痛な声で叫ぶなっち
386 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)03時23分21秒
平家先生、りんね「・・・・・・」
なっちの問いかけに答えず、ただ俯いている平家先生とりんね
圭之介「あはははは・・・。なんだかいい気分になってきたよ・・・
     苦痛を与えながらじわじわと嬲り殺そうと思ったけど気が変わったわ
     命だけは助けてあげる・・・。ただし・・・」
安倍「くっ・・・・・・」
刀を構え、圭之介の攻撃に備えるなっち
圭之介「はぁっ!!」
圭之介の右掌から邪悪な波動が発せられ、なっちを包み込む
その波動の流れが収まった時、なっちはその場に静かに倒れた・・・
圭之介「無限に続く地獄であなたの心は生き残れるかしら・・・(ニヤリ)」
387 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)03時27分02秒
−安倍代官の精神世界−

何もない真っ暗な闇の中で1人ぽつんと立っている
安倍(お得意の闇の空間を使った攻撃ってわけ・・・)
背後から襲いかかってくる敵の気配を察知し、刀を切り払う!
ズバッ!!
静かに倒れる黒い影
安倍(手応えありだべ!この程度でなっちを倒そうなんて甘いっしょ!)
斬り捨てた敵に近づく。しかし、そこに倒れていたのは・・・
安倍(裕ちゃん!?)
動揺を隠す事ができない。しかし、黒い影は容赦なく次々と襲いかかってくる
ズバッ!ズバッ!ズバッ!
なんとか黒い影を次々と斬り捨てていくが・・・
安倍(明日香、カオリ、彩っぺ、そんな・・・)
388 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)03時27分52秒
その後、何度も襲いかかってくる黒い影を斬り捨てていくが、
そこに倒れているのは全て妄忍愚の仲間達
しかも、1度斬り捨てたはずの仲間も何度も何度も現われ、襲いかかってくる
その度に自分の仲間達を斬り捨てていくことに・・・

安倍(いやああああああああ!!!!!)
389 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)08時40分10秒
安倍代官「いやあああああああ!!!」
りんね「ちょっと!安倍さんに何をしたんですか!?ねぇ!!」
圭之介「ふふ・・・」
りんね「平家先生!なんとかしてあげてよ!!」
平家先生「・・・・・黙っときぃ」
りんね「うっ・・・」
おもむろにりんねに刀を向ける平家先生。完全におあみの下僕である
390 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)08時48分39秒
圭之介「ふふふ、この子はまだ洗脳が足りないみたいね」
りんね「な、何!?何をするの!!?ねぇ、平家先生!!」
平家先生「・・・・・」
圭之介「大人しくして。大丈夫、痛くないから・・・」(ぶちゅ〜)
りんね「●♀$%#□▲♂#&!!!?」
平家先生の時同様、無理矢理接吻をするおあみ
りんね「・・・・・・」(ドサッ)
圭之介「これでOK。次に目覚めた時、あなたはもう私の忠実な下僕・・・」
平家先生「あわわわわ!ひ、人前で何してはるんですか!?大胆な・・・」
圭之介「あんたは黙ってなさい!違うのよ、そういう趣味ってワケじゃないの!わ
     かった!!?」
平家先生「・・・・・・」
圭之介「ちょっと!そんな目で見ないでよ!!!」
りんねを洗脳すると同時に、平家先生にあらぬ誤解を植え付けてしまったおあみ
391 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)08時57分04秒
<そのころ江戸の診療所>
診療所に突然現れた一匹の犬

もんろー  う〜、わん!わん!

吉澤 「わ〜、犬だぁ〜」
お梨華「かわいい〜」
あさみ「ちょ、ちょっとすいません。」
二人を押し退けてもんろーに駆け寄るあさみ。
もんろー  く〜〜ん
お梨華「どうしたの?あさみちゃん?」
あさみ「獣使いはイザという時のために自分を動物に監視させて
    いるんですよ。この子はりんねちゃんの……」
明日香「忍犬ってやつね…」
あさみ「よしよし、もんろー。なにかあったの?
    ……え?嘘、嘘でしょ」
矢口 「どうしたのさ」
あさみ「……」
お圭 「ちょっと、あさみどうしたのさ?」
あさみ「りんねちゃんが……」
市井 「なにかピンチに巻き込まれたんだろ」

あさみ「敵側に寝返りました……」
392 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)08時58分45秒
矢口 「あっちゃ〜……」
あさみ「平家先生と例の刀と一緒に、江戸城に向かったようです…」
お圭 「ちょっと…江戸城っていったら……」
市井 「なっちが向かったって言ってたよね」
矢口 「それにあそこにゃさ〜…」
明日香「あたし達の恩師がいるところ……
    どうやらあたし達の行き先が変わってしまったようね……」
いつの間にか、本気モードの一同。さすが……
お梨華「ねぇねぇ、犬って美味しいんですよね〜」
一同 「………」

やっぱり空気の読めないお梨華。
393 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)17時51分41秒
その頃蝦夷山中では――

のの太郎「あざらししゃ〜ん!でてきてくらさ〜い!!」
海豹「きゅ〜ん・・・」
雪の中から聞き覚えのあるか細い声が・・・
お亜依「今なんか聞こえたで!よっしゃ、この下や!!」(ザクザク)
海豹「きゅ〜ん!きゅ〜ん!」
ごま四郎「良かった、生きてたんだ!」(ギュッ)
のの太郎「しんぱいしたんれすよ」
お亜依「さ、海豹も無事見つかったことやし、ウチらも山降りよか?寒いしな」
のの太郎「はいれす!」
海豹を抱え、スタスタと山を降りて行く3人

お彩@指輪「ちょっとアタシはどうなるのよ!コラ、3人とも戻ってきなさい!」
大女の幽霊の身代わりに、指輪の中で身動きが取れないお彩
394 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)20時58分36秒
その頃、江戸城・・・

圭之介「それより、早くその刀を渡しなさいよ!!」
平家先生「ああ、忘れてましたわ・・・。」
霊刀『磁世雨惣』を圭之介に渡す平家先生
圭之介「ありがとう。どれどれ・・・」
磁世雨惣を鞘から抜き、精神集中をする圭之介。すると・・・

ブォン!!
柄の先から黒色光(刃の色は魂の質で変化)の刃が現われる

圭之介「確かに霊刀『磁世雨惣』ね・・・。」
黒色光の刃が消え、柄を鞘に戻す圭之介
平家先生(刃ないんなら鞘いらんのちゃうん?)
圭之介「そうでもないわ・・・。この鞘には別の使い方があるから・・・」
平家先生「ウチの心を読んだんですか?」
圭之介「違うわ。あなたが不思議そうな顔をしてたからそう思っただけ・・・」
平家先生「ずるっ!!」
ずっこける平家先生
395 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月11日(月)21時00分39秒
平家先生「ところで、あの2人はどうします?」
平家先生の視線の先には倒れているりんねと大きく目を開き、
頭を両手で抱えて身体をぶるぶる震わせているなっちの姿が
圭之介「りんねさんはそのうち目が覚めるだろうからそのままでいいわ
     安倍さんは・・・今はまだ頑張ってるみたいだけど、心が壊れるのは時間の問題ね・・・
     そうねぇ・・・、そこに磔台でもたてて縛りつけておいてもらおうかな
     そのうち江戸に残ってる連中がここに来るだろうから囮になってもらいましょう・・・」

そう言い残し、城内に戻る圭之介
396 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)08時43分35秒
蝦夷某所――

海豹「きゅ〜ん?」
のの「うぅ・・・あざらししゃん、ここでおわかれれす・・・」
ごま「ごめんね、一緒にいたいけどまた迷子になっちゃったら大変だし・・・」
亜依「グスッ・・・もう行こ。余計わかれづらくなる・・・」
のの「うぅ・・・うぇ〜〜〜ん!!」(ダッシュ)
亜依「ひ〜〜〜ん!!さよならや〜〜〜!!」(ダッシュ)
ごま「じゃ〜ね〜、バイバ〜イ」
海豹「きゅ〜ん(さよなら)」
泣きながら走り去るお亜依とのの太郎。実は海豹はどうでもよかったごま四郎
397 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)08時57分59秒
亜依「うぅ・・・ぐすん」
のの「うぇ〜ん、あざらししゃ〜ん・・・」
ごま「さぁ、行こう!いつまでも泣いてちゃダメだよ!」
亜依「行くってどこに行くねん」
ごま「平家先生探しに行くに決まってんじゃん!」
のの「へーけせんせえれすか・・・いちーしゃんはどうなったんれすかね〜?」
ごま「い、市井ちゃんはほら、アレだし・・・」
亜依「アレって何やねんアレって。そういやぁ前によっすぃ〜ともなんか言われと
    ったなぁ〜?」
ごま「よ、よっすぃ〜はほら、なんかアレだし・・・」
のの「だからあれってなんれすか?」
ごま「・・・」
亜依「・・・」
のの「・・・」
ごま「ユウキ元気かな〜」
亜依「ごまかすなーー!はっきりせんかい!!」
細かい部分にはあまり深く追求してほしくないごま四郎
398 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)17時32分11秒
安倍「イヤ・・・イヤぁ・・・」
もはや精神崩壊寸も時間の問題の安倍・・・
安倍「でも・・でも、負けないべさ!」
勢いよく跳ね上がり駆け出す安倍。

平家 「あ〜!逃げよった!」
圭之介「逃げるて言ったてどこに隠れるのかねぇ、くく・・」
平家 「そんな、落ち着いとってええのん?」
圭之介「大丈夫、逃げ場所なんてそうあるもんじゃないんだし・・」
悪人得意の余裕ぶっこいてる圭之介
399 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)17時54分08秒
その頃・・・

お彩「あいたたた・・・、傷が塞がってないのに無理するもんじゃないねぇ・・・
    おとなしく寝とこっ♪」
中澤屋「もう1回確認するけど・・・、アンタ・・・、カオリ・・・やなぁ・・・」
お彩「うん、そうだよ♪」
中澤屋「ちょ・・・、どういうことなん?なんでアンタが彩っぺになってんの?」
お彩「う〜ん、すっごく長くなるから簡単に説明するけど
    カオリ、指輪の中に入ってたのね。そしたら、彩っぺの魂が成仏しかかってたから
    慌てて指輪の中に呼びこんだの・・・。で、指輪の中で色々とこれまでのいきさつを聞いてさ、
    指輪の中に彩っぺがいる代わりにカオリが彩っぺの身体に入ったワケ・・・」
中澤屋「ちょお待って・・・。彩っぺの魂はまだ成仏してないっちゅうことやな!
     ということは、彩っぺが生き返る可能性がまだあるっちゅうことやな!」
お彩「裕ちゃん・・・、多分、それは無理だと思う・・・
    今の彩っぺの魂は指輪に封じ込められているだけで
    この世との繋がりはもうとっくに切れちゃってるの・・・
    だから、奇跡でも起こらない限り彩っぺが生き返る事は・・・」
400 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)17時54分53秒
中澤屋「そうかぁ・・・。やっぱり、そんなうまいこと世の中できてないかぁ・・・
     でも、その指輪がある限り彩っぺはウチらの側にいてくれる・・・
     ホンマは早い事成仏させてやった方がええんやろうけど
     今のウチらには1人でも多くの味方が必要や・・・
     『彩っぺが側にいてくれてる』ちゅう思いがウチらに力を与えてくれる!」
お彩「うん・・・。1日でも早く彩っぺが安心して成仏できるよう頑張らないと・・・」
中澤屋「せや!いつまでもクヨクヨしてられへんわ!頑張らなアカン!
     ところで・・・、その彩っぺの魂が入ってる指輪っちゅうんはどこにあるん?」
お彩「それが・・・、そのぉ・・・辻に持たせてたんだけどね・・・
    雪崩にあっちゃってさぁ・・・雪の中・・・なんだよね・・・へへへっ・・・」
中澤屋「なんやてぇ〜〜〜〜〜〜〜!!笑うとる場合ちゃうやんか!!」
お彩「一応、指輪から出てくる時にだいたいの位置は確認してきたから
    そこに行けば多分わかると思う・・・」
中澤屋「よっしゃ!指輪がどこにあるか教えて!ウチがゆゆと一緒に行って掘り出してくるから!
     その間、アンタはその傷を少しでも良くして少しでも動けるようにしとくんや!
     指輪を見つけたらすぐ江戸に帰るからな!!」
お彩「うん、霊力も傷の回復に集中させるよ!」     
401 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)18時58分45秒
−江戸城−

縁側でお茶と和菓子を楽しんでいる圭之介
平家先生「あのぉ・・・」
圭之介「あっ!ゴメン、ゴメン・・・。平家先生も食べる?」
平家先生「あっ、頂きます・・・。いや、そうじゃなくて・・・ホンマに追わんでもええんですか?」
圭之介「あっ、その事かぁ・・・。いいの、いいの、別に・・・。どうせ時間の問題よ・・・
     安倍さんにかけた術が解けるのは、私が死ぬ時か、安倍さんの心が完全に壊れた時・・・
     圭之介の身体を得てさらなる力を手に入れた私の術を自力で破るのはまず不可能ね・・・
     今はなんとか気力で抑えこんでいるみたいだけど、それも最後の悪あがき・・・
     気力が尽きたら抑えこんでいた分が一気に爆発して安倍さんに襲いかかるわ・・・
     仲間のところに辿り着いて、気を抜いた瞬間に・・・。そんな事にならなきゃいいけど・・・
     フフッ・・・フフフッ・・・」
402 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)18時59分27秒
蝦夷最南端の港、漁船『ぐれい』前にて――

ごま四郎「おにーさん達〜!お久しぶりです〜!!」
TAKURO「ゲッ!あの子はこの前の・・・」
JIRO「あの宴会女じゃねぇかよ・・・おいTERU!今回は絶対乗せんなよ!」
TERU「わかってる、ビシっと言ってやるよ」
HISASHI「おおTERU!久々に男らしいぞ!!」

TERU「おい、君達!悪いけどこの船には乗せらんないよ!他を当たってくれ」
お亜依「おうおう、偉そうな態度やん?人気が出るとそない態度変わるんか?辛い
     時代を支えてくれはった奥さんも捨ててまうんか?」
TERU「うっ・・・そ、それは・・・」
のの太郎「かわいそうれすね・・・なによりもこどもたちが・・・」
TERU「ぐっ・・・」
ごま四郎「おう兄ちゃん、乗せるのか乗せないのかはっきりしな!」
他の船員には見えないように、そっと刀をちらつかせるごま四郎
403 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月12日(火)19時06分39秒
漁船『ぐれい』船上にて――

TERU「あ、もうお茶ない?じゃ俺、淹れてくるから」
ごま四郎「お茶じゃなくてお酒くださぁ〜い!」
お亜依「なぁ、スルメある?」
のの太郎「つまみなんていりません。おしおがあればじゅうぶんれす」
お亜依「安倍代官みたいなこと言わんといてぇな」
ごま四郎「あはははは〜」
TERU「あはははは〜」

TAKURO「おい、一体ヤツの身に何が起こったんだ?」
HISASHI「笑っちゃいるけど目は死んでるぞ・・・」
JIRO「しかもアイツらまた乗ってるし・・・やっぱりヤツに交渉は無理だ・・・」
様々な思いを乗せて、漁船『ぐれい』は今日も行く
404 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月13日(水)16時34分06秒
―山の麓の診療所―

お彩「あ、2人ともケガ大丈夫?カオ心配してたんだよ」
ユウキ「・・・はぁ?」
ソニン「・・・ちょっとなんか変だよ。やばいモノでも食べたんじゃない?」
お彩「何コソコソ言ってんの?」
ユウキ「い、いや別に・・・」
ソニン「なんにも・・・」
お彩「あ〜あ、今日もいい天気!ディアーーー!!!」
怯えた目で見つめるユウキとソニンを尻目に、発声練習をしながら去っていくお彩

ユウキ「やばいってあれは!俺らが眠ってる間に何があったんだ!?」
ソニン「昔近所に住んでたヤク中のおじさんがあんな感じだったよ・・・」
ユウキ「・・・お彩さん」
405 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月13日(水)22時59分14秒
雪崩れ現場。
鍬を片手に茫然とたたずむ中澤屋とゆゆ。

ゆゆ「……こんなひろ〜いところでゆびわさがすん?」
中澤屋「(だいぶ間が空いてから)……はははは。
    カオリに場所書いてもろてるから大丈夫や」
たもとからのろのろと紙片を取り出す中澤屋。

ゆゆ「……そやね。ちずなかったらやってられんもん」
中澤屋「文字通りお彩の魂が込められてる指輪やし
    何があっても掘り出してみせたるけどな、
    やっぱ地図あるとないとでは大違いやからな。
    どれどれ……。う」
紙片を開いて凍りつく中澤屋。
406 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月13日(水)22時59分41秒
「○月×日。きょうは特に何もなかった。強いてあげれば久しぶりの生身の身
体に戻れたことがそうで、あんまり嬉しかったので大きな声で歌ってたら診療
所の人に怒られてしまったのだけど人間っていうのは嬉しいこと悲しいことが
あると心の中だけで抑え続けることができなくなってしまうものだと思う。嬉
しいことや悲しいことがあると身体を使ってその嬉しさや悲しさを表現してし
まうイキモノって気がするんだけど、いや、人間だけじゃなくって、犬も猫も
ウサギもカエルもミミズもきっとそうなんだと思う。それなのにそんなイキモ
ノの心もわからずにカオリのことを叱った診療所の人たちは人の病気を治すな
んて大事な仕事なんかとても務まるわけないと今日は一人でずっとむかついて
た。でも久しぶりにふるさとに戻ったんだし蝦夷の大自然をもう一度心に焼き
付けておこうと思って、屋根に登っていたらいっぱい雪をかぶった山々が「カ
オリ、そうやってすぐ人の言ったことを悪い方に取って怒るのは悪い癖だよ」
て言ってくれて、そっか、カオリももう大人にならなくっちゃね、てカオリも
思うようになった。診療所の人たちも他の患者さんたちのことを考えてああい
うことを言ったんだろうし、それにきっとカオリの身体のことも心配してくれ
たんだと思う。診療所の人たち、ごめんなさい。そう心の中で謝るとなんだか
すうっと気持ちが穏やかになってなんだか自分がトビウオになったような気が
した。そしたら山さんが「カオリは素直ないい子だね。ご褒美に指輪の埋もれ
ている場所を教えてあげる。本当は覚えてなんかいないんでしょ?」て言って
きて、「うん、生身の身体に戻れることが嬉しくてあわてて飛び出て来ちゃっ
たし、裕ちゃんの怒った顔が恐くてとっさに嘘ついちゃった」て答えたら山さ
んも「あの顔で怒られたら知らないことでも知ってるって言っちゃうよねぇ」
て賛成してくれた。「あのね、指輪はあの岩と杉の木のちょうど真ん中くらい
にあるよ」て教えてもらってか(省略されました。ここをクリックして下さい)

紙片を握りつぶしワナワナ震える中澤屋。

ゆゆ「ゆうちゃん……?」
中澤屋「忘れてた……カオリは電(これも省略されました)」
407 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月13日(水)23時21分35秒
―江戸城―

りんね「・・・・・・」(ムクッ)
ようやく意識を取り戻したりんね。ふと縁側を見ると人影が・・・
りんね「お、お前達は誰だ!!邪魔をするなら斬るよ!!」
圭之介「ようやく起きたのね。気分はどう?お茶でも飲む?」
平家先生「ズズーーー・・・」
りんね「な、何を言ってるの!?あなた達は誰!!?」
圭之介「細かいことはいいからお茶でも飲んでのんびりしてて。もうすぐ働いても
     らわなきゃいけないしね」
りんね「・・・はぁ」
平家先生「ズズーーー・・・」
自分が何のためにここにいるのかさっぱり分からないりんね。平家先生の時同様、
洗脳が強すぎた模様である
408 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)09時35分42秒
江戸城下町――

安倍代官「はぁはぁ・・・ダメだべさ・・頭が・・・頭が・・・」
ふらふらと走りつづける安倍代官。その顔には疲労の色が濃く浮かんでいる
(効果音)ドン!!
お亜依「おいコラ!どこ見て歩いとんのや!気ぃつけんかいボケ!!」
安倍代官「あぁ・・・お・・亜依・・・?」
のの太郎「あれ?おだいかんさまじゃないれすか。こんなところできぐーれすね」
ごま四郎「お代官様、なんか顔色悪いっすよ。どうしたんですか?」
安倍代官「会えてよかった・・・ナッチは・・ナッチは・・・」
お亜依「どないしたんや?えらい汗かいとるで?」
安倍代官「イヤ・・・やめて・・やめて・・!!」
頭を抱え、その場にうずくまる安倍代官
409 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)09時41分49秒
ごま四郎「お代官様〜?どうしちゃったんですか?」
安倍代官「はぁ・・・はぁ・・・イヤ・・イヤァァァァァ!!!」
突然ガバッと起き上がると、やみくもに刀を振り回し始める安倍代官

お亜依「な、なにさらすんじゃボケーーー!!」
ごま四郎「こわっ!この人何考えてんのぉ?」
のの太郎「やばいくすりでもやってるんれすかね?」
突然豹変した安倍代官だが、どうも反応の薄い3人組
410 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)09時55分47秒
安倍代官の精神世界――

真っ暗な闇の中、3人の人影が見える。安倍代官の身体はもう傷だらけだ
安倍代官「なんでだべ・・・なんでこんな事するだべさ!!」
ごま四郎「ガタガタうるせーな。アンタはもう用済みなんだよ」
薄笑いを浮かべながら安倍代官に刀を振り下ろすごま四郎。安倍代官の頬に、一筋
の赤い線が引かれる
安倍代官「くっ!ごま四郎!?なんで・・なんで・・・」
のの太郎「しつこいおんなはきらわれますよ。あべだいかんはもうひつようないん
      れす」
お亜依「分かるか?必要ないもんはいらんのや。おっても邪魔なだけ・・・」
(効果音)ブシュッ!!
安倍代官の腕から鮮血が滴り落ちる。苦しがっている安倍代官を、心から楽しそう
な様子で見ているごま四郎、のの太郎、お亜衣。安倍代官に逃げ場はない

安倍代官(もうダメ、このままじゃ殺される・・・。殺らなきゃ・・・殺られる・
      ・・殺らなきゃ・・・)
暗闇の中、安倍代官の目がスッと細くなる
411 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)10時11分42秒
安倍代官「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
絶叫と共に、3人に襲いかかる安倍代官

ごま四郎「ちょっとお代官様!!どうしたんですか!!?」
安倍代官「うるさい!!あぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!」
のの太郎「きゃぁ!!」(ズバッ!)
お亜依「ののちゃん!?ののちゃん!!!」
鮮血を撒き散らしながら、後方へ吹っ飛ばされるのの太郎

ごま四郎「のの太郎!?くっ・・・てめぇ、許さん!!」
久しぶりに本性をあらわし、安倍代官に向けて刀を構えるごま四郎
412 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)10時16分23秒
安倍代官「ナッチはまだ死にたくないべさ・・・ナッチは・・・ナッチは・・・」
いきなり踵を返すと、その場を走り去る安倍代官
ごま四郎「待て!逃げんなよ!!」
お亜依「ののちゃん・・・ののちゃん・・・」
のの太郎「・・・・・・」
ごま四郎「・・・とりあえず明日香さんの診療所に運ぼう!まだ助かるかもしれな
      いし!!」
お亜依「ののちゃん・・・ののちゃ・・ん・・・」
ごま四郎「立ちなよ!泣いてたってどうにもなんないじゃん!!早く!!」
お亜依「・・・はい・・」
血まみれののの太郎を担ぎ、明日香の診療所へと向かうごま四郎、お亜依。辺りに
は、おびただしい量の血が飛び散っていた
413 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)13時54分33秒
江戸城――

圭之介「ふふ、始まったみたいね・・・」
平家先生「何がですのん?」
圭之介「楽しいショータイムよ」
平家先生「はぁ?」
圭之介「・・・平家先生、ちょっと見に行こ。きっと面白い事になってるよ」
平家先生「???」
圭之介「りんね、ちょっと留守番してて。何かあったらすぐ知らせるのよ」
りんね「はい、わかりました」
圭之介「行くわよ、ついてきて」
平家先生「・・・はぁ(お茶もう一杯飲みたかったのに・・・)」
城下町へ向けて、野次馬軍団出発
414 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)20時26分53秒
−雪崩れ現場−

中澤屋「うおぉぉぉ!!指輪はどこやぁ〜〜!!」(ザクザクザク・・・)
鬼のような形相をして、鍬で雪を凄まじい勢いで掻き分けていく中澤屋
ゆゆ(ゆうちゃん、そのかおはこわい・・・こわすぎるて・・・)
そうは思っていても口には出せないゆゆ

???「きゅ〜ん」

ゆゆ「あれ?なんでこんな山の中にあざらしがおるんやろ・・・」
中澤屋が掻き分けた雪が集まっている場所にあざらしがいるのを見つけたゆゆ
ゆゆ「ま、ええか。ゆうちゃんゆきかきでいそがしいみたいやから
    うちはあざらしとあそんでよっと♪」

中澤屋「うおぉぉぉぉ!!ゆびわぁ〜〜〜!!」
415 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)20時27分32秒
ゆゆ「なぁ、なんでアンタこんなところにおるん?あざらしってうみにおるもんでないん?」
あざらし「きゅ〜ん」
ゆゆを無視して穴を掘っているあざらし
あざらし「きゅっ!?」
突然動きを止め、掘った穴の中に顔を突っ込むあざらし
ゆゆ「なんかむかつくなぁ、このあざらし・・・
    ちょお、アンタ、ひとのはなしはちゃんときかなあかんやろ!!」
あざらしを抱き上げ、自分の方に顔を向けさせるゆゆ
ゆゆ「あぁ〜〜〜〜!!」
416 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)20時28分27秒
中澤屋「なんや、もう・・・。ゆゆ、遊んどる暇があるんなら手ぇ動かし、手ぇ!!」
ゆゆ「ゆうちゃん、ゆうちゃん!!ちょっと、こっち来て、こっち!!」
中澤屋「あんなぁ、遊んでる暇はないんや!いいかげんにしいや!」
そう言いながらも、ゆゆの側に歩み寄る中澤屋
中澤屋「なんや?」
ゆゆ「あんな、ゆうちゃんがさがしてるゆびわってこれのことちゃう?」
そう言って、あざらしを中澤屋にみせるゆゆ
あざらし「きゅ〜ん」
中澤屋「そうや!これや!これ!でかした、ゆゆ!!よっしゃあ、大急ぎで江戸に帰るで!!」

探していた指輪はあざらしの口に咥えられていた
417 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)23時35分20秒
お彩「裕ちゃん、あの手紙見て怒ってるんじゃないかなぁ。
   ねえ、あんたどう思う?」
ミケ(嘘をついたんはやっぱまずかったんちゃうかな……。
   でも真心を尽くして謝りさえすれば、中澤屋さんは
   ちゃんとその気持ちを汲んでくれるお人やで……)
お彩「う〜ん、恐いなぁ……。なんだかとってもセンチメンタルな気分……」
ミケ(えぇい、いつまでもウジウジしとってうっとうしい!)

効果音「ジャキーン!」

お彩「いたたた、痛い、痛いってば……!」

診療所に遊びに来たミケにお悩み相談して引っかかれるお彩。
418 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)23時36分35秒
「海豹って結構歯するどいのね・・・。痛くはないんだけど、なんか変な気分」
海獣について、少しだけ詳しくなったお彩@指輪
419 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)23時37分20秒
鍬を振り回し、腕を組んでスキップしながら
山の麓の診療所に戻ってくる中澤屋とゆゆ。
中澤屋「ただいま、カオリ! 江戸に戻るで!」

お彩(びくっ)
チョビと抱き合い、ゴロゴロ地面を転がりながら
不安を紛らわしていたお彩。

お彩「あ……裕ちゃん、あ、あの、ごごごめんね、
   指輪の位置思い出そうとしてさ、一所懸命がんばって書いたんだけどさ、
   あのあの、あれが精一杯で……」

中澤屋「あ、ええねんええねん。指輪が見つかればもうええねん〜♪」
お彩「ええ? ほんとお? ほんとに見つかったのお? やった〜」

チョビ(良かったね……)
ミケ(ほんま世話の焼ける……)
420 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)23時38分10秒
指輪(裕ちゃ〜ん……)
中澤屋「その声は……その声は、お彩やな?」
目を輝かせて指輪に語りかける中澤屋。

指輪(カオリほど霊力はないから声だけしか出せないけどね……)
中澤屋「うん。うん……ええよ、ええよ、声だけで……。
    ああ良かった、まだ成仏してなかってんなぁ」
思わず涙ぐむ中澤屋。
421 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)23時38分35秒
指輪(カオリみたいな何考えてるかわかんない子が成仏してないのよ。
   子供産んだばかりの私が、そう簡単に成仏できるわけないじゃない……)
お彩「子供産んだばかり……そうだよねぇ、この胸すごいもんねぇ。
   カオリなんだか未知の世界……」
自分で自分の胸の感触を楽しむお彩。

指輪(こるぁ! 人の胸で遊ぶんじゃない!)
422 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月14日(木)23時40分31秒
ゆゆ「ちょっと、さわっても……いい?」
普段抱きついてる胸が胸なだけに、興味津々なゆゆ。

カオリ「いいよ、ほらっ」
ゆゆ「(ぷにっ)うわ……すご……」
カオリ「母乳も出るかもしれないねぇ〜」
ゆゆ(……ごくっ)

中澤屋「もうええ! ゆゆ、こっちおいで!」
胸の話になると不機嫌になる中澤屋。
423 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月15日(金)08時31分54秒
江戸城下町―

安倍代官「はぁはぁはぁ・・・」
圭之介「あ・べ・さん♥」
安倍代官「お、おあみ・・・!?なんでこんな所に・・・」
圭之介「ふふ・・・血のニオイがするわね。あら?この刀血まみれ。もう誰か殺っ
     ちゃったの?」
安倍代官「違うべさ!みんなが・・・みんながナッチに斬りかかってくるから、だ
      からナッチは仕方なく・・・仕方なかったんだべ!!!」
圭之介「誰を殺ったの?気持ち良かった?」
安倍代官「違うべさ・・・ナッチは悪くない・・ナッチは・・・」
堪えきれず、おあみの前から走り去る安倍代官
効果音:ドン!
平家先生「あっ、すいません・・・安倍代官?」
圭之介「ちょっと平家先生ってばどこ行ってたのよ!子供じゃないんだから迷子な
     んてやめてよね。ま、いいや。安倍さんを追いかけるわよ!」
平家先生「・・・はぁ」
やっぱりどこか鬱っぽい平家先生
424 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月15日(金)08時44分43秒
ごま四郎「はぁはぁはぁ・・・のの太郎!もうすぐだからね!!」
のの太郎「・・・・・・・」
お亜依「ののちゃん!しっかりしてぇな!!ののちゃ・・・あ、安倍代官!!?」
安倍代官「ぶひっ!?なんでここに・・・?」
お亜依「よくも・・・よくもののちゃんを!絶対許さへんで!!」
ごま四郎「お亜依ダメ!今はのの太郎を運ぶ方が先だよ・・・それにアンタじゃ敵
      わない・・・」
安倍代官「まただべ・・・またみんながナッチを殺そうとする・・・」
お亜依「何アホな事言うてんねん!自分が・・・自分がののちゃん殺したんやない
     かい!!」
安倍代官「うぅ・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ごま四郎「お亜依!逃げて!!」
もうわけが分からなくなり、お亜依に向かって刀を振り下ろす安倍代官
425 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月15日(金)09時03分28秒
屋根の上にて――

平家先生「これがショータイムですか?」
圭之介「あれ?楽しくない?かつては共に闘った仲間達が憎しみ合うのよ、最高の
     娯楽じゃない。あ、ゴメン。平家先生も元仲間だったんだよね」
平家先生「そうやったんですか。よぉ覚えてません」
圭之介「ふふ、そう・・・」
屋根の上の特等席で、見物しているおあみと平家先生
426 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月15日(金)20時36分19秒
−蝦夷−

お彩「これでいつも一緒だね、彩っぺ
右手にはめた指輪を見つめながら微笑むお彩
指輪(絶対に落とさないでよ!雪の中で1人ポツンといるのはもうイヤだからね!)

中澤屋「ええか、しっかり捕まっとくんやで!」
ゆゆ「わかっとるって。ふりおとされてけがしとうないもん。」

ソニン「私達、まだ完全回復してないんだけど・・・」
ユウキ「それより、診療所の大八車を無断拝借していいのかなぁ・・・」
文句を言いながらも大八車を引いているユウキとソニン
427 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月15日(金)20時37分14秒
ソニン「中澤さ〜ん、そんなに急いで江戸に帰らなくてもいいんじゃないですか?
     私達やお彩さんの怪我とか完全に治ってないし・・・、充分に体調を整えてからでも・・・」
中澤屋「アンタらには悪いけど、そんなこと言うとる暇ないんや!!
     彩っぺにカオリ、そしてアンタらから聞いた話を合わせて考えると
     とんでもないことになっとるみたいやからな!それに・・・」
ユウキ「それに?」
中澤屋「凄い悪い予感がするんや・・・
     こっちでこれだけいろんな事があったんや
     江戸の方ではもっと大変な事が起こってる可能性が高い・・・」
ユウキ「・・・わかりました。ソニン、全速力で江戸まで行くぞ!!」
ソニン「うん!!」
江戸に向って爆走する大八車

中澤屋(みんな、ウチらが帰るまで無事でおってや!!)     
428 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)06時53分39秒
ごま四郎「危ない!」
お亜依を押しのけ、なっちとの間に入り込むごま四郎。

ざくっ!

ごま四郎「ん……」
腕を押さえてうずくまるごま四郎。
429 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)06時54分04秒
お亜依「ごま四郎はん!」
ごま四郎「……大丈夫、かすっただけだから。
     それよりも、早くののを診療所に連れて行かなくちゃ」
お亜依「う……うん」

駆けだす二人。
それすら気にせず、何かを口走りながら暴れ続けるなっち。
430 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)06時54分47秒
(ねえ、まだ負けを認めないの? このままだとあなた、
 出会う仲間みんな傷つけちゃうよ……)

なっちの心に響くおあみの声。

「はあはあ……ふん、まだまだ……だべさ……」
肩で息をしているなっち。

(ほんと強情ねぇ……。私もそろそろこの攻撃パターンに
 飽きてきちゃったからさ、ちょっとレベルの高いのやってみるね。
 こんなのはどう……?)
431 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)06時55分53秒
さくっ、さくっ、さくっ。

闇の中を近づいてくる不気味な足音。

「……誰? 知ってる人間じゃないなら
 気兼ねなく斬るよ……」

(ふふふ……あなたが一番よく知ってる人たちよ……)

雲に隠れていた満月が、恐る恐る顔を覗かせる……。
432 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)06時56分29秒
「あ……」
透き通った月の光に照らし出される若い男と女。
見覚えのある二人の顔。
いや、忘れようにも忘れられないその面影。

「お父さん……お母さん……」
433 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)06時56分54秒
それはなっちの古い記憶の層に眠っていた、
まだ若かりし頃の父親と母親の姿。

下を向いて、大きな涙の粒をぽろぽろこぼすなっち。
「……ひどい」
434 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)11時45分34秒
効果音:ドサッ
お亜依「ごまはん!どないしたんや!しっかりしてぇな!!」
ごま四郎「アタシは大丈夫・・・ちょっと疲れちゃっただけだよ・・それよりもの
      の太郎を早く診療所に運んで・・アタシもすぐ行くから・・・」
お亜依「す、すごい血や・・何がちょおかすっただけやねん!メッチャ血ぃ出とる
     やんか!!ごまはん、ウチに掴まってぇな!ウチが運んだる!!」
ごま四郎「アタシは大丈夫だから・・・それよりのの太郎を・・・」
お亜依「でも・・・」
ごま四郎「いいから早く!!」
お亜依「・・・すぐ誰か呼んできます!せやからちょお待っててください!!」
そう言うと、のの太郎を担いで診療所へ走って行くお亜依

ごま四郎「はぁ・・・血ぃ止まんないよ。マジやばいかもね・・・」
血に染まった利き腕をぼんやりと見つめるごま四郎
435 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)11時58分14秒
明日香の診療所―

効果音:ドンドン!ドンドン!
お亜依「明日香さん!明日香さん!!開けてください!!大変なんです!!」

明日香「うぅ〜ん・・・なんか聞こえる・・・」
あさみ「・・・・・・(完全に酔い潰れている)」
お圭「うぷ・・・気持ち悪い・・・」
お梨華「あれ?誰か来たみたい。ひとみちゃんの昔の女とか♪」
吉澤「そんなわけないじゃん。だってアタシはお梨華一筋だもん
庭八郎「うへへへへ、もう飲めましぇ〜ん・・・」
連日の宴会の疲れからか、まったく反応を示さない診療所の人々

お亜依「早く!早く開けてぇな!!ののちゃんとごまはんが死んでまう!!!」
庭八郎「何!?ごま四郎!!?」
『ごま』と言う単語に反応し、玄関へ飛び出して行く庭八郎
436 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)12時08分33秒
お亜依「市井はん!ののちゃんが・・・ののちゃんが・・・!!」
庭八郎「これは・・・なんてひどい怪我。明日香!明日香!!」
明日香「何よ、なんの騒ぎ・・・のの太郎!?大変!早く中へ運んで!!紗耶香は
     すぐにお湯の用意を!早く、急がないとマズいわよ!!」
お亜依「それにごまはんがケガしてもうて・・・ウチ1人や運べへんさかい誰か来て
     下さい!!」
明日香「ごま四郎が!?・・・紗耶香、お湯はいいからお亜依と一緒に行ってあげ
     て!」
庭八郎「でも・・・ごま四郎は・・・」
明日香「何ウダウダ言ってんのよ!早くして!!」
庭八郎「わかった!お亜依、案内して!!」(ダッシュ!!)

明日香「あさみ!すぐにお湯の準備して!五右衛門とお梨華はのの太郎を診察室へ
     運んで!おらぁ!さっさとしろよ!!」
忙しくなると、何故か燃えてくる町医者明日香
437 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)12時13分19秒
江戸城下町―

平家先生「なんやろ、血が落ちとる。なんかあったんかな?」
おあみとはぐれてしまい、町中をウロウロしている平家先生(ただの迷子)
438 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)12時26分17秒
平家先生「あっ!そこの人、大丈夫ですか!!?」
前方に血まみれの物体を発見し駆け寄る平家先生
ごま四郎「・・・・・平家先生?」
平家先生「アンタは確かごま四郎・・・確か蝦夷におったはず・・・はっ!そんな
      ん言うとる場合とちゃうわ!はよ手当てせな。ちょお傷口見せて」
ごま四郎「平家先生・・・へ・・いけせんせ・・・」
様々な思いが頭を巡り、思わず涙ぐむごま四郎
平家先生「ゴメン、痛かった?まず消毒やな・・・ちょおしみるけど我慢してな」
ごま四郎「うん・・・」
持っていた焼酎で、ごま四郎の傷口をぬぐう平家先生
439 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)12時33分34秒
平家先生「とりあえずは大丈夫や。でも診療所行ってちゃんと見てもろた方がええ
      よ」
傷口に持っていたさらしをまきつけてあげる平家先生
ごま四郎「うん・・・ありがとう・・・」
平家先生「・・・・・あの、つかぬ事を伺いますけど、それ安倍代官にやられたん
      とちゃう?」
ごま四郎「・・・なんで知ってんの?」
平家先生「あの・・・安倍代官が悪いんちゃうねん。せやから、その、あんまり安
      倍代官を恨まんといてぇな」
ごま四郎「なんで平家先生がそんな事言うの!?ねぇ、なんか知ってんの!!?」
平家先生「アタシはなんも知らん!ホンマに知らんねん・・・ほな、これで」
ごま四郎「待って!平家先生、待ってよ!!!」
なにかうろたえた様子で、わたわたと逃げ出して行く平家先生
440 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)12時36分05秒
平家先生「・・・なんであんな事言うたんやろ?はぁ、なんや最近おかしいわ」
闇雲に逃げたためまた迷子になってしまった平家先生。洗脳が解けつつあるのか!?
441 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)14時28分20秒
−安倍代官の精神世界−

安倍父「なつみ、そんな辛い思いまでして戦うことはないんだよ」
安倍母「疲れたときは疲れたって言ってもいいのよ・・・
     あなただけがそんなに苦しむことないわ・・・。さあ、いらっしゃい」
両手を大きく広げ、やさしく微笑みながらなっちに語りかける両親
安倍「お父さん・・・お母さん・・・」
涙を流しながら両親に駆け寄ろうとするなっち。しかし・・・

安倍(うそ、そんな・・・。)
両親の腕の中まであと数歩というところで、両親が懐から短刀を取り出し、
安倍父「もう苦しまなくてもいいように・・・」
安倍母「私達の手で殺してあげるわ・・・」
なっちの急所を狙って真っ直ぐに短刀を突き出す両親
442 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)14時28分57秒
スパッ!スパッ!

肩と腕にかすりはしたが、なんとかギリギリのところでかわし、
素早く態勢を立て直すなっち
一方、なっちにかわされたことで態勢を崩れている両親
安倍「わああああああああ!!」

ズバッ!!ズバッ!!

静かに倒れる両親・・・。そして、がっくりと膝をつくなっち
安倍「もうイヤ!!こんなのもうイヤ〜〜〜〜!!」

中澤屋「あ〜あ、とうとう両親まで殺ってしまいおったわ・・・」
矢口先生「人でなしだね・・・。キャハハハハッ!!」
なっちのまわりを取り囲むように現われる長屋の面々

なっちの悪夢はまだ終わりそうもない・・・
443 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)22時49分06秒
その頃――

ガラガラガラガラ・・・
中澤屋「おらぁ!もっとスピードあげんかい、ボケ!!」
ソニン「はぁはぁ・・・精一杯走ってるっつーの!」
ユウキ「ぜぇぜぇ・・・ソニン、声がおっきいぞ!聞こえたらどうすんだよ!」
中澤屋「聞こえとるわボケ!!ゴチャゴチャぬかさんと急げや!!すまきにしてし
     ばき倒すでコラァ!!」
ソニン・ユウキ「「ひーー!すいませーん!!」」
馬車馬のように中澤屋に酷使される優跳組
444 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)22時58分51秒
顔を手で覆い、しゃくりあげるなっち。

(もう一押しね……。とどめにこんなのはどうかしら。
 もう斬り合いなんてしなくていいから……
 あなたはただ見てるだけでいいの……)

なっち「……?!」
445 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時00分07秒
突然、何事もなかったかのように立ち上がる、若い両親。
にやにや笑いながらそれを見ている横丁の面々。

「……何?」

眼に好色そうな光を宿したかと思うと
お互いの身体に手を伸ばし、抱き合う二人。

「何……何なの、いったい?」
446 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時00分45秒
荒い息を吐きながら、互いの唇を吸い合う二人。

「やめて……お父さん、お母さん……何してるの……?」

なっちの反応を横目で確かめながら、母親の首筋に舌を這わせる父親。
恍惚とした表情を浮かべながら、すすり泣きのような声を上げる母親。

なっち「やめて……お願いだからやめて……!」
447 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時01分21秒
(ほらほら、おもしろいのはここからよ。ちゃんと目を開けて見なさい!)

「い……いやああああああああ!!」

父親の手が母親の下半身に伸びていくのを目にした瞬間、
顔を覆って逃げ出すなっち。
448 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時01分48秒
目をつぶってがむしゃらに走り続けるなっち。

「いや……いや……いや……いや……いやぁ……!!」

(あれくらいの幻影に泣きが入ってどうすんの? 
 この次のはあなた自身が登場してね、同じことをやってくれるのよ……)

「いやぁ!!」
449 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時02分20秒
(相手役は誰がいいかしら? やっぱりお父さん?
 ふふふ、そうだ、いいこと思いついた……あなたにはやっぱりあの押)

「いやあ!!」
血を吐くような絶叫を上げるなっち。
450 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時02分55秒
「……いや! もういや!!」
立ち止まると持っていた刀を自分の方に向け、胸に狙いを定めるなっち。

「ごめん、みんな、先に行くね……」

渾身の力とともに、なっちの心臓を突き破る刀身。
451 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時18分54秒
江戸城下のとある屋根の上――

圭之介「ふふ、安倍さんももう限界かな。ま、よく頑張った方よね・・・つーか平
     家先生はどこ行っちゃったのよ!まったくいい年してウロウロしないで
     よね!はぁ・・・」
頼りない平家先生にそろそろあきれ始めているおあみ
452 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時23分56秒
「……?」
痛みも出血もなく、胸に突き刺さったままの刀。

(自害することもあるかなぁ、と思ってね……
 あなたの心臓は私の力で守らせてもらってるわ。
 簡単に死なれちゃおもしろくないもんね……)

「鬼……悪魔……」

絞り出すような声でつぶやくなっち。
453 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時24分34秒
「それじゃあ……」

いつもの笑顔を見せると左手に刀を持ちなおし、
涙の溜まった目でいとおしげに右腕を見つめるなっち。

(何をするつもり? あなた、まさか……)

「そのまさかだべ……。これ以上、人を傷つけるくらいなら……
 心を汚されるくらいなら……」
454 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時25分19秒
ぶじっ。

一瞬のためらいの後、右肘のあたりに刀を突き立てるなっち。
みるみるうちに赤い鮮血の珠が刀の先に膨れ上がり、したたり落ちていく。

(まさか……まさか……そんなこと)
455 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時25分52秒
ガラガラガラ……

お彩「……彩っぺ」
指輪(ん、何?)
お彩「やっぱ、この身体返すよ」
一同「え?」

急停止する大八車。
456 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時26分14秒
お彩「今さ、なっちが大変な目に合ってるみたい……。
   カオリ瞬間移動できるからさ、
   今すぐ助けに行ってあげなくちゃ。
   ははは……やっぱ生身の身体は移動が不便だね」

中澤屋「でもあんた……成仏しかかってるんやから
    今そんな力使ったりしたらやばいんとちゃうの……」
457 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時26分55秒
お彩「うん。霊体のままの瞬間移動はちょっときついからさ、
   指輪の中に入って行くことにする。指輪だけなら軽いしさ、
   最初だけぽんと投げてくれたら、後はなんとか
   カオリの力で江戸まで飛んでいけるから」

指輪(ほんとにいいの? せっかく生き返れたのににににに……)
びくん、と揺れるお彩の身体。

ユウキ「お彩さん?」
ソニン「……だだ大丈夫ですか?」

お彩「……あれ?」
458 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時27分28秒
指輪(何言ってんの、もともとは彩っぺの身体じゃん)

お彩「あれ? あたし……」
指輪(ぷぷぷ……彩っぺ、もう入れ替わってんだよ。変な顔してたね、今)

中澤屋「彩っぺ……お帰り!」
お彩「裕ちゃん……」
泣きながらお彩に抱きつく中澤屋。
中澤屋をしっかり抱き返し、頬ずりするお彩。
459 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時38分47秒
「んっ……く! ……はぁっ」

ぶじ……ぶじぶじぶじっ……。

腕の腱が一つ切れるたび、血管が一つ断たれるたびに、
おあみの呪縛から解き放たれる。
今まで自分のおかしてきた罪すらもすべて真っ白に浄化されていくような、
そんな至福の感覚に満ち足りた表情を浮かべるなっち……。

(まさか……まさか……まさ……)

「ん……んああぁっ!!」

体中から汗を滴らせ、刀を思いっきり横に引くなっち。
460 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時39分32秒
指輪(さあ彩っぺ……もう時間がないからさ、
   指輪を江戸に向けて思いっきり投げ飛ばして!)
お彩「ほんとに、ほんとにいいんだね……」
指輪(なっちのためだべさ、ぶひ。……さあ、お願い!)
お彩「わかった……」

中澤屋「あたしたちもすぐ追いついたるからな!」
ゆゆ「おだいかんさんのことたのんだで!」
461 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時39分42秒
江戸城下町―

お亜依「こっちです、こっち!早く!!」
庭八郎「ご、ごま四郎!・・・ごま四郎しっかりして!!」
ごま四郎「あ、市井ちゃん・・・」
庭八郎「ケガは!?ケガは大丈夫なの!?お亜依から死にそうだって聞いて・・・
     あれ?手当てしてある・・・どうして?」
ごま四郎「市井ちゃん・・・アタシもうワケわかんないよぉ・・・」
庭八郎「どうしたの、ごま四郎!?なにがあったの!!?」
ごま四郎「平家先生も安倍代官も・・・もうわかんないよ!!」
庭八郎「落ち着いてごま四郎!とりあえず明日香の診療所へ行こ。お亜依、手を貸
     して」
お亜依「はい」
取り乱しているごま四郎を2人がかりで運んで行くお亜依と庭八郎
462 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時40分11秒
……ぼとっ。

地面に転がるなっちの右腕。
463 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時41分00秒
大八車から降りて瞬時に風向きや風速を計算し、
静かに投球モーションに移るお彩。

ざっ……!

頭に届くほど、脚を高々と上げるお彩。

一同「おおおお!」
指輪(今だ!)
お彩「とおりゃあああああ!」

夜空に吸い込まれ、幾万もの星に混じってきらり☆と光るカオリの指輪。
464 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月16日(土)23時42分59秒
――もう、完全に聞こえなくなったおあみの声。

なっち(これで……これで、いいんだ……)
ふらふらと診療所に向かって歩き出すなっち。

なっち(もうこれで……)

天と地がぐるぐる回る。
赤やら青やら黄色やら、いろいろな色が洪水のように押し寄せてくる。
今まで聞いた声やら音やら歌やらが、全部いっぺんに頭の中で鳴り響く。

なっち(もう……)
棒が倒れるように、地面に崩れ落ちるなっち。
465 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)01時06分49秒
−とある民家の屋根の上−

圭之介(まさか、自分で自分の腕を切り落とすとはね・・・
     私、どうやらあなたの精神力の強さを測り違えたみたい・・・
     誉めてあげるわよ、安倍さん・・・
     でもね、精神力を限界まで使いきったうえにその酷い出血・・・
     ちょっと筋書きが変わっちゃったのが気に食わないけど
     『あなたを始末する』という目的は達成できそうだから
     結果的には私の“勝ち”ね・・・フフフッ・・・)
江戸城の方向に振り返り、屋根の上を歩き出す圭之介

圭之介(さて、城に帰って他の連中を出迎える準備をしないとね・・・
     ついでに平家先生も探し出さないと・・・全く、どこうろついてるのかしら・・・)       
466 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)07時07分36秒
「まいったな・・・、どこいったんだろ・・・。」
庭八郎の後を追って診療所を飛び出してきたもののはぐれてしまった矢口先生
「ま、その辺適当に歩いてたら見つかるよね」
467 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)09時44分49秒
明日香の診療所―

明日香「とりあえずごま四郎は大丈夫。応急処置がしてあったからね、しばらくす
     れば元通り刀も使えるようになるよ。・・・でものの太郎が」
お亜依「ののちゃんはどうなったんや!?大丈夫なんやろ?なぁ、大丈夫やろ?」
明日香「・・・わからない。傷が深すぎて内臓にまで達してるし、仮に意識が戻っ
     ても今までのように動けるかどうか・・・最悪の場合、もう目覚めない
     かも・・・」
お亜依「イヤや!!そんなんイヤや!!ののちゃん!!ののちゃん!!!」
明日香「落ち着いて!お亜依!落ち着きなさい!!」
取り乱すお亜依に、掛ける言葉が見つからない診療所の人々
468 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)09時48分00秒
のの太郎の精神世界―

のの太郎「あ、おはなれす。きれーれすね〜。あ、あっちにもある!ののはおはな
      のかんむりをつくるれす!」
お花畑をフラフラと漂っているのの太郎
469 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)09時54分17秒
のの太郎「あ!びはくのじょおう、すずきそのこれす!すごいれす、なまでみると
      ほんとにしろいれす!あ、らいともある!!」
向こう岸に鈴木その子を発見したのの太郎
470 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)11時40分48秒
ひゅ〜……ぽてっ。

指輪(いたっ)

なっちの右腕から一尺ほど離れたところに落下した、カオリ@指輪。

指輪(あ〜ん、惜しいぃ。もう少しでホールインワンだったのにぃ……)
471 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)11時42分36秒
指輪(は〜い、こっちいらっしゃ〜い、なっちの右腕ちゃ〜ん)
ぴくん、と動くなっちの右腕。

指輪(ほら、あ〜んよはじょ〜ず、あ〜んよはじょ〜ず♪)
五本の指を使って地面を這いながら、少しずつ、少しずつ、
指輪の方ににじり寄っていくなっちの右腕。
472 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)11時53分40秒
右手(ぱたっ)
あともう少し、というところで力つきるなっちの右腕。

指輪(あ〜もう、この根性無し! 元あるじを見習え、バカ!
   ……あ、ていうかぁ、カオの方から近寄ってけばいいんだよねぇ。
   そっかそっか、悪い悪い)

右手の中に転がっていき、人差し指にとすっぽりおさまる銀の指輪。
473 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)11時55分48秒
指輪(終〜了〜っと。なっちは……。ああ、あんなところに倒れてる。
   はいはい、今行くからねぇ。よいしょ、よいしょ……)

えっちらおっちら、あるじのもとへと帰っていくなっちの右腕。
474 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)12時42分42秒
城下町――迷子になり、町をさまよっている平家先生―

「・・・ここは、なんやろアタシここ知ってるで。来た事なんかないはずやのに、
 なんで知ってるんやろ・・・わからへん・・・」
長屋の残骸を前にし、一人立ち尽くす平家先生
475 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)12時53分08秒
ところ変わって明日香の診療所――

ごま四郎「うぅ・・・?」
庭八郎「ごま四郎!?よかった、気がついたんだ・・」
ごま四郎「市井ちゃん・・・?」
庭八郎「そうだよ、まったくアンタは・・・心配したんだからね」
ごま四郎「・・・そうだ!平家先生は!?(ガバッ)・・・いたっ!!」
庭八郎「まだ起きちゃダメだよ!・・・みっちゃんがどうかしたの?」
ごま四郎「・・・なんでもない。・・・そうだ、のの太郎は!?」
庭八郎「まだ眠ってる。でも大丈夫だよ、もうすぐ起きるよ・・・きっと」
ごま四郎「うん・・・」
庭八郎「ねぇごま四郎、一体何があったの?みっちゃんと安倍代官がどうとか言っ
     てたけど」
ごま四郎「・・・・・」
平家先生の名前が出たことに多少の嫉妬を覚えたが、開口一番のセリフが自分の名
前だったのでまぁいいかな、とか思っている庭八郎(ちょっと過保護気味)
476 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)13時04分53秒
ちょっと鬱っぽくなってしまった平家先生と、おかしくなってしまった安倍代官の
事をみんなに話すごま四郎

明日香「そっか・・・そんな事があったんだ」
庭八郎「みっちゃんはいいとして、安倍代官はなんでそんな事を・・・」
あさみ「お代官様はそんなひどい事をする人じゃありません!何かの・・・何かの
     間違いです!!」
お梨華「そうですよ!あの安倍さんがそんな事するなんて信じられません!だって
     あんなに優しかったのに・・・」
吉澤「・・・そう言えば矢口先生は?さっきまでいたのに」
あさみ「なんか市井さんの後を飛び出して行きましたよ。どこに行ったんでしょう
     かね?」
お圭「まったく、みんな問題ばっか起こすんだから!!」
鬱っぽくなったと言っても前からなので、大して気にはされなかった平家先生
477 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)17時55分05秒
東野英心「お嬢ちゃん、茶でも飲んでいきなさい」

お花畑にちゃぶ台を置き、茶菓子を食べている初老の男。

「……いたらくのれす。ずずー」
「父ちゃんはな」
「?」
「父ちゃんは……」
「どしたのれすか?」
「父ちゃん情けなくって涙が出らぁ!!」(ぐぁっしゃ〜ん)
「ひ〜」

お花畑でちゃぶ台をひっくり返す東野英心。
478 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)20時00分57秒
お梨華「ああああ〜!!」
お圭「何よ何なのよ、いきなり耳元で大声出して!」
お梨華「今日って明日香先生のお誕生日なんですよね、
    みんなでお祝いしてパァーッと騒ぎましょうよ!
    わたし腕によりをかけてお料理作っちゃいます!
    お酒もいっぱい注文しなくちゃ……あれ?」

周囲の白い目にとまどうお梨華。
479 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)20時01分42秒
お梨華「ごめんなさい……」
お圭「もうちょっと空気を読めるようにならないとね」
お梨華「ごめんなさい。やっぱり、未成年でお酒飲むのは
    いけないことですよね……」

ごつん、とお梨華の肩に頭をぶつけるお圭。
480 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)20時02分15秒
明日香「はは、いいよいいよ。これから長丁場なんだしさ、
    腹ごしらえもしなくっちゃね。
    梨華ちゃん、おいしい料理を期待してるから」
お梨華「……はい!!」

期待されたり誉められたりすると、
やる気を出すタイプの人間がここにも一人。
481 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)20時03分01秒
お圭「じゃあ、ついでにお酒買ってきてよ、よっすぃ」
吉澤に財布を渡すお圭。

市井「あれ? その財布……」
お圭「ん? ああこれね。矢口が置いてったやつ。
   まあいいじゃない、みんなで飲むんだし」
平然と刀の手入れを始めるお圭。

市井(鬼……悪魔……)
吉澤(ほんとにいいのかなぁ……。
   ていうかほんの小銭しか入ってないし、この財布……)
482 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)21時34分24秒
ごま四郎「・・・・・」
庭八郎「どうしたの、ごま四郎?」
ごま四郎「別に・・・ちょっと散歩してくるね」
お亜依「あ、ウチも行きます」
お梨華「2人ともごはんまでには帰ってきてくださいね〜♪」
ごま四郎「・・・・・」
お亜依「・・・・・」
神妙な顔つきで診療所を後にするごま四郎とお亜依
483 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)22時02分45秒
―江戸城下町―

お亜依「はぁ、ののちゃん大丈夫なんかな・・・ちゅーかあの人達はホンマなんや
     ねん!なんであんなに落ち着いてんねん!!」
ごま四郎「別に騒いだからってどうにもなんないよ」
お亜依「・・・すいません。なんかウチ気が立ってて・・・ところで師匠、どこに
     行きはるんですか?」
ごま四郎「ちょっと平家先生を探そうと思って」
お亜依「は?平家先生?・・・あんな人おっても何の役にも立ちませんで」
ごま四郎「それはそうだけど・・・でもあの人なんか知ってるよ。絶対知ってる。
      それに蝦夷で会った時も思ったんだけど、なんか様子も変だし」
お亜依「そうですか?いつもあんな感じやろ」
ごま四郎「そ、それはそうだけど・・・なんか違うっつーか、とにかくなんか変だ
      ったよ!」
お亜依「う〜ん、ウチは何も気付きませんでしたけどね」
ごま四郎「・・・・・なんかアタシも自信なくなってきた」
自分の直感が信じられなくなってきたごま四郎
484 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月17日(日)22時17分55秒
―明日香の診療所―

庭八郎「・・・・・」
明日香「紗耶香、どうしたの?」
庭八郎「ごま四郎はどうして行っちゃったんだろ・・・、アタシはただごま四郎が
     元気ないからみんなで盛り上がればいいって、そう思っただけなのに」
お圭「別にほんとに散歩したかっただけじゃないの?」
庭八郎「そうなのかな・・・でも・・・」
明日香「ウダウダうっさいわね。そんなに心配なら探してくればいいじゃん!」
庭八郎「・・・・・」(スタ)
突然立ち上がる庭八郎
明日香「どうしたの?やっぱついてくの?」
庭八郎「・・・縁側」
お圭「・・・あっそ」
縁側の哀愁モードに逆戻りの庭八郎
485 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月18日(月)12時47分58秒
その頃−

なっち右腕(はぁ…、なんとか傷口のところまで来れたけどこれからどうしたら・・・
       切断面をくっつけといた方がいいのかな・・・でもそれで元通りになるわけないし・・・
       それより、このままだと出血多量でなっち死んじゃうよ・・・。誰か・・・誰か・・・)
指輪に戻り、必死で電波を送るカオリ


矢口先生「あれ?誰かに呼ばれた気がする・・・こっちかな・・・。」
486 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月18日(月)13時16分32秒
なにかに導かれるように歩いていく矢口先生
(なんだろ・・・。誰かに呼ばれているような気がする・・・
 それ以外にもこっちに進めば進むほどどんどん寒気が増してくる・・・
 なんかやな感じ・・・。でも、この感じはどこかで・・・あっ!!)
倒れている人を発見し慌てて駆け寄る矢口先生

「ちょ・・・大丈夫!?ねぇ!!」
倒れている人物を抱きかかえる矢口先生
だが、血が広がっている地面と切り落とされている右腕
そしてその倒れていた人物の顔を見て矢口先生の表情は真っ青になり涙がぼろぼろこぼれた
「なっち!!ちょ・・・大丈夫なの!!ねぇ、返事してよ・・・!!」
なっちの身体を揺すって呼びかける矢口先生
487 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月18日(月)13時17分29秒
???(そんな事してる場合じゃないでしょ!!)
矢口先生「なに?誰?誰なの?」
左右をキョロキョロと見回す矢口先生。しかし、誰の姿も見えない・・・
???(なっちの右手!!指輪!!)
声の言うままになっちの右手にはめられている指輪を見つめる矢口先生
矢口先生「これはカオリがしてた・・まさか、カオリなの?
      ねぇ、どうなってるの?なんでなっちがこんなことに・・・」
指輪(そんな事言ってる場合じゃないでしょ、矢口!!
    早く、なっちを明日香のところまで運ぶのよ、早く!!)
矢口先生「くっそぉ!!どうなってんだよ、一体!!
      なっち、死ぬんじゃないよ!!今すぐ明日香のところに連れていくから!!」
右腕を拾って懐に入れ、なっちを担ぎ上げ診療所に向って走り出す矢口先生
488 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月18日(月)13時43分26秒
明日香の診療所――

ガッシャーーーン!!
明日香「何!?今の音!!」
お圭「アタシちょっと見てくるよ!!」
慌てて玄関を飛び出して行く狛犬のお圭

お圭「うわぁ〜塀バキバキだよ。一体何が突っ込んで・・・ゆ、裕ちゃん!?」
中澤屋「イテテテテ・・おいコラァ!ちゃんと前見て走らんかいボケ!!」
お彩「裕ちゃんが酔っ払ってソニンに目隠しなんかするからよ!飲むのはいいけど
    悪ふざけはやめてよね!!」
ゆゆ「ばばあ!じぶんもぉええわ!どっかいきぃ!!」
ソニン・ユウキ「「きゅ〜〜・・・・」」
お圭「・・・・・・」
おかえりなさい、中澤屋御一行様
489 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月18日(月)14時20分30秒
朝焼寺――

「なんやこの寺?・・・知ってるような知らんような。しかしえらい寂れとるな、
 なんか前はもおちょっときれいやったような・・・ん?やっぱアタシこの寺知っ
 とるんかなぁ?」
昔は栄えていたボロ寺を前に、1人たたずむ平家先生
490 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月18日(月)14時37分12秒
朝焼寺

「手礼都」に存在していたとされる寺であり、「那胃那胃」「柄 診李」という名
の住職がいた言う記録が残っているが定かではない。この「朝焼寺」の1派として
は、「妄無素」と「網異誤」が有名である。
「妄無素」と「網異誤」が分家した後は、夢ある若者を育てようと意気込んでいた
ようだが、その記録はほとんど残っていない。
しばらく前までは、市井某と言う修行者がここで雨風をしのいでいたようだ。
(民明書房刊「小林幸恵の野望」より)
491 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)00時33分11秒
−診療所・縁側−

市井(はぁ・・・。)
縁側に座り、ぼんやりと空を眺めている庭八郎
492 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)00時34分03秒
−診療所・玄関−

明日香「裕ちゃん・・・あとでちゃんと直しておいてね・・・。」
怒りのせいか、体が小刻みに震えている明日香
中澤屋「明日香ぁ〜、悪かったって。そんなおこらんといてぇ〜な」
土下座して必死に謝る中澤屋
中澤屋「そんなことより、彩っぺの体診てやってくれんか。大急ぎで」
明日香「どれどれ、どっか怪我したの?・・・・・・って何よ、これ!!
     よくこれで生きてられたわね!圭ちゃん、彩っぺ運ぶの手伝って!!」
ゆゆ「そらそうや。ついさっきまで死んでたんやから・・・。」
明日香・お圭「「はぁ!?」」
493 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)01時26分31秒
−診療所・診察室−

中澤屋「・・・・・・というわけなんや・・・」
今までの経緯を説明する中澤屋
お圭「なんかややこしいことになってるわね・・・」
明日香「ふぅ〜、とりあえずこれで大丈夫かな・・・でも、絶対に動いちゃダメだよ!!」
お彩「わかってるって・・・。私にはかわいい子供がいるから死んでられないよ!」

ゾクッ・・・

中澤屋「なんや・・・今の嫌な感じは・・・」
お圭「裕ちゃんも感じたの・・・」
明日香「ここに近づいてきてる・・・。裕ちゃん、圭ちゃん!行くよ!」
お彩「私も行く!この雰囲気は普通じゃないよ!」
明日香「彩っぺは動いちゃダメって言ったでしょ!!
     ゆゆ、あさみ!!彩っぺを絶対に動かさないで!押えつけとくのよ!!」
494 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)01時27分15秒
−診療所・縁側−

ゾクッ・・・

市井(何!?大きな妖気のカタマリが近づいてくる・・・
    でも何かおかしい・・・大きさのわりにはだんだん弱くなっていってるような・・・
    違う!消えていってるんだ!)
慌てて立ち上がり、玄関に走っていく庭八郎
495 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)01時28分02秒
−診療所・玄関−

お圭「紗耶香!!」
市井「圭ちゃん、みんな!!」
玄関で合流する4人
中澤屋「紗耶香、あんたも感じたんか?何なんや、この嫌な感じは?」
市井「私にもわかんない!妖気だっていうのはわかったんだけど、ちょっとヘンなの!」
明日香「来るよ!もうすぐ!」
身構える4人
496 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)01時28分52秒
徐々に前方から走ってくる人影が見える
それは次第に大きくなっていき、背中に人を担いでいる事もわかってくる

中澤屋「矢口!!それにあれはなっちや!!
    でも、なんで矢口の着物があんな真っ赤に染まってるんやろ・・・」
市井(どういうこと!?あの2人から妖気を感じるなんて・・・)
玄関に走り込んでなっちを床に下ろし、懐からなっちの右腕を取り出す矢口先生
矢口先生「はぁはぁ・・・明日香、なっちを早く!!」
泣き叫ぶ矢口先生。そして、床に横たわるなっちの姿を見て青ざめる4人
お圭「ちょっと・・・これ、どういうことよ!!なんでこんな・・・酷い・・・
    矢口、説明しなさい!!なんでなっちがこんなことになってんのよ!!」
泣きながら矢口先生に掴みかかるお圭
明日香「そんなのあとよ!!早く、診察室に運んで!!」
497 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)01時30分03秒
なっちを診療室に運び終え、別室でじっと待っている矢口先生達
全員の目から涙が止まることなく流れている
中澤屋「ウチの悪い予感があったってしもうた・・・」
お圭「さあ、説明してよ・・・なんでなっちがあんな事に・・・」
矢口先生「オイラもワケわかんないんだよ!!」
絶叫する矢口先生
紗耶香「あの不安定な妖気は・・・なっちの体を取り巻いていた・・・
     消えていってたからハッキリとはわからないけど・・・残っていた妖気の
     大きさから想像するにとんでもない強力な妖術をかけられてたんだと思う・・・
     おそらく精神攻撃系の・・・あの妖気は術者の残留思念みたいなもので・・・
     普通はあんなハッキリと残らないんだけど・・・」
お彩「妖気が残ってて、あんな状態になるほどの精神攻撃なんて・・・」
498 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)08時29分12秒
朝焼寺―

ごま四郎「平家先生・・・」
平家先生「アンタは確かごま四郎・・・なぁ、ここはどこなん?アタシこの場所知
      ってるんやろか?」
ごま四郎「まさか・・・平家先生!記憶がないの!?ねぇ!!」
平家先生の胸倉を掴むと、ブンブンと揺さぶるごま四郎

平家先生「わからへん・・なんもわからへんねん・・・」
ごま四郎「そんな・・・ウソ・・・」
がっくりうなだれるごま四郎
お亜依「簡単に言うと記憶喪失なんやろ?せやったら簡単や。これでどついたった
     らええねん」
平家先生「あわわわわわ!イヤや!や、やめてください!!!」
おもむろに近くにあった灯篭を持ち上げるお亜依
499 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)08時47分11秒
境内に座り、なんとか平家先生の記憶を取り戻そうとするごま四郎とお亜依

お亜依「で、どこからの記憶がないねん」
平家先生「さぁ・・・でも江戸城からの記憶はあるで!」
ごま四郎「そう言えば蝦夷にいた時も江戸城に行くとか言ってたもんね。はぁ〜、
      全然ダメじゃん。なんかいい方法ないのかな〜」
お亜依「そや!ごまはん、記憶を失う前になんや平家先生にした事ないか?それと
     おんなじ事したら思い出すかもしれへん!」
ごま四郎「平家先生にした事・・・あ、確かナワを解こうとして、そんで間違えて
      腕斬っちゃった事がある!!」
お亜依「それや!それが記憶の扉を開ける鍵なんや!!」
ごま四郎「なるほど!平家先生、ちょっと痛いかもしんないけど許してね、全ては
      平家先生の記憶を取り戻すためなの!!ふふふ」
平家先生の目を見据えると、ゆっくりと腰の刀を抜くごま四郎

平家先生「あ゛ーーーーーー!!!!」
お江戸中に響き渡る平家先生断末魔の叫び
500 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)09時01分31秒
ごま四郎「どう、平家先生?思い出した?」
平家先生「アホか!いきなり何しよんねん!!メッチャ血ぃ出とるやんか!!」
お亜依「ダメや、まだ刺激が足りひんのかもしれん。ごまはん!他になんやした事
     ないんか!?」
ごま四郎「他に・・・そう言えば昔アタシが抱きしめたらアバラが折れちゃったら
      しくて!アタシ後で明日香さんから聞いてもうびっくりしてさ〜」
お亜依「それや!それこそが記憶の扉を開ける鍵なんや!!」
平家先生「ちょお待ってぇな!さっきもそんな事言うてたやん!!」
お亜依「あれはなし!間違い!!」
平家先生「ま、間違いて・・・なんで間違いで人の腕斬んねん!!」
ごま四郎「平家先生・・・お願い許して、全ては平家先生の為なの!!!」
腕をワキワキさせながら、ゆっくりと平家先生に近づいてくるごま四郎

平家先生「あ゛ーーーーーーー!!!!」
お江戸に響き渡る平家先生断末魔の叫び
501 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)17時58分53秒
―江戸城下町―

「ん?今なんか叫び声が聞こえたような・・・気のせいかな。はぁ、それにしても
 平家先生はどこ行っちゃったのよ!まったく、もういいや帰ろ。お腹がすけば帰
 ってくるでしょ」
どこかに行ってしまった平家先生は置いといてさっさと江戸城に戻るおあみ
502 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月19日(火)18時04分20秒
―明日香の診療所―

トンテンカンテン トンテンカンテン
ユウキ「なんか中は大変そうだね〜」
ソニン「そーね」
ユウキ「確かに塀にぶつかったのは俺らだよ。でもさ〜、悪いのは中澤屋さんじゃ
     んか」
ソニン「あの人にそんな理屈通じるわけないじゃん。はぁ〜、疲れた」
中の騒動もなんのその、中澤屋の命で壊れた塀を修理している優跳組
503 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時49分59秒
――晴れ渡った青い空。
504 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時50分29秒
白い入道雲。
505 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時51分10秒
風にざわめく、とうきび畑。
506 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時51分43秒
海へと続く田舎道。
507 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時52分20秒
明るい笑い声を響かせながら、
手をつないで歩く親子連れ。

(……じゃあさ、なっちは大きくなったら何になりたいの?)

「なっちね、なっちはね……。
 日本一の剣の使い手になってね、そんで有名になってね、
 病気やいじめなんかで苦しんでいる人たちにね、
 元気をあげられるような人になるの!」

(いい夢だね……かなうといいね……)

「うん!」
508 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時53分39秒
……ナッチハ


ヒトニゲンキヲ

(……っち、なっち! 聞こえる?!)

アゲラレルヨウナ

(目ぇ覚ましてぇなぁ、なっちぃ……)

オトナニ

(腕の出血を止めるくらいなら、カオリも手伝えるよ。
 ……がんばれ、なっち)

ナル……。
509 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)00時56分58秒
ナッチハヒトニゲンキヲアゲラレルヨウナオトナニナル!

明日香「くっ、あともうちょいなんだけど……!」
一同「なっち!」

(ん……誰か呼んでる)

生と死の狭間に漂うお代官なっち。
510 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)09時13分04秒
のの太郎の精神世界―

安倍代官「誰かが・・・呼んでる?呼んでるよ!!」

のの太郎「ん?あれはあべだいかんらないれすか。なにをしてるんれすかね」
ちゃらっちゃちゃらららっちゃら♪
青江美奈「っあ〜・・・」
ちゃらっちゃちゃらららっちゃら♪
青江美奈「っあ〜、っあ〜・・・」
のの太郎「せ、せくしーな『あ〜』れす・・・だいてほーるどおんみーもまっさお
      れす・・・」
魅惑のセクシーボイスにドキドキしているのの太郎
511 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)09時30分19秒
安倍代官「行かなきゃ!ナッチは行かなきゃ!!」

のの太郎「あれ?あべだいかんいっちゃったれす。どこにいくんれすかね」
勝新太郎「玉緒、玉緒はどこだ?」
のの太郎「たまおさんれすか?たまおさんらったらからくりてれびれすよ。あいか
      わらずしゃっきんねたがおおいれすけどね」
勝新太郎「おりゃぁ!俺のせいだってのか!!?」(ブンッ!)
のの太郎「ひーー!ざとういちばーじょんれす!!」
何故か座頭市においかけられているのの太郎
512 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)13時50分59秒
「あべさ〜ん、なちさ〜ん」(どてっ)
「……ん? 誰だべか」

立ち止まるお代官。
周りを見渡しても誰もいない。

「こちれ〜す、ののたろうれ〜す。かつしんさんからにげまわっているうちに
つまずいちゃいました〜、てへ」
お花畑から、ひょこっと顔を出すのの太郎。
513 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)13時52分17秒
刀をぶんぶん振り回す座頭市を尻目に話し続ける二人。

「それよりも、大事そうに何抱えてんだべか」
「ふでぃこえふふでぃおせんせいに〜、どらえもんのえを〜
 かいてもらたのれす〜」
お代官に駆け寄るのの太郎。

「えっ、うそ? どこどこ、どこにいるの?」
「てへてへ。ちゃあんとみなさんのぶんも、もらっておいたのれす。
 あいちゃんとのののぶんは、からーのやつをとくにおねがいしたので
 とてもよかったれす。てへ」
「あ〜、いいな〜」
「てへてへ、いっしょうのたからなのれす……」

ドラえもん効果のおかげで、自分をお花畑に送り込んだ張本人にすら
屈託なく接するのの太郎。
514 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)13時53分09秒
(なっち〜、のの〜……)

お代官「あ、また誰か呼んでる。あんたも一緒に行かなきゃ」
のの太郎「え゛えええええええええええええ?!」
お代官「……予想外のリアクションだべ」
515 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)13時54分09秒
のの太郎「いやれす! ののはまだここにのこってるれす!
     ふぐにかかとおとしをならうのれす!
     じょんにはっぴー・くりすますをうたってもらうのれす!
     もりしげひさやにやねのうえでばいおりんをひいてもらうのれす!」

お代官「森重久弥はまだ死んでないべ。
    さあ、来なさい……ていうか来い!」
のの太郎「い〜や〜れ〜す〜!」

お代官に引きずられていくのの太郎。
516 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)13時55分06秒
明日香(今の私の技術では、ここまでが限界か……どうしよう)

「バンッ!!」

診療所の扉を勢いよく開けて入ってくる黒マントの男。

間 黒男「私は通りすがりのモグリの医者だ! 私にできることはないか!」
明日香「あ、ちょうどよかった! この腕をつなげてやって下さい!」
間 黒男「ふん、この程度のオペか……軽い軽い」

皮膚移植手術痕の残る顔を、ニヒルに歪めて笑う男。
517 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)13時56分08秒
間 黒男「ちょい、ちょい、ちょちょちょい……」
一同「おおおおおおお!!」

なっちのおでこにそびえ立つ右腕。

お圭「って、そんなとこに右腕つなげてどうすんのよ!」
間 黒男「……冗談だ。俺としては太陽の塔みたいでかわいいと思うが」

中澤屋「こ、こ、こ、この男……」
そばにあった机を頭上に持ち上げる中澤屋。

矢口先生「やめて裕ちゃん! 今はこの人が必要なんだから!」
市井「そうよ、ね、手術が終われば好きにしていいから、ね! ね!」
必死で中澤屋を説得する矢口先生一同。
518 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)14時31分06秒
―お花畑―

安倍代官「ほら、早く行くべ!みんなが呼んでるべさ!!」
のの太郎「ほんとれす、みんなよんでるれす」

hide「ほら早く、こっちにこいよ」
横山やすし「ここはええとこやで〜。はよきぃや〜」
のの太郎「はいれす〜〜」
安倍代官「そっちじゃないべさ!!!」
お花畑の奥の方へとフラフラ進んで行くのの太郎
519 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)14時46分39秒
(なっ・・・の・・・・・)
安倍代官「ほら、聞こえるべさ!ナッチ達の事呼んでるべさ!!」
のの太郎「う〜ん、そういわれればよんでるようにもきこえるれすけど・・もっと
      みみをすませてみるれす」

(嫌や!やめてぇなごま四郎!そんなんされたら記憶が戻るどころかホンマに死ん
 でまうて!お願いやごま四郎!もう勘弁してぇな!!!)
(ガタガタうっさいねん!ごまはん、一気にやったってください!)
(許して平家先生!全ては平家先生のためなの!!!)

のの太郎「よばれてるのはののたちらなくてごまひゃんれすよ?」
安倍代官「あれ?おかしいべ。確かにさっきまではナッチ達の事呼んでたはずなの
      に・・・。気のせいだったべか?」
誰も耳を貸さない平家先生の悲痛な叫びを聞きとってしまった2人
520 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)14時56分30秒
(あ゛ーーーーーー!!!)

安倍代官「な、なんだべさ今の声は!?」
のの太郎「なにかがあったみたいれす!いったいなにが・・・」

平家先生「うぅ・・・はっ!こ、ここはどこや!!?」
安倍代官「みっちゃん!?い、いつのまに・・・」
のの太郎「あ、へーけせんせえれす。・・・ごめんなさい、へーけせんせえのぶん
      のえをもらうのをわすれました。でもせんせえはまだそのへんにいる
      から、かいてもらうといいれすよ」
平家先生「ホンマに!?ほな探しに行こ」
無事、お花畑に到着した平家先生
521 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)15時02分36秒
―朝焼寺―

平家先生「・・・・・・」
ごま四郎「平家先生!?平家先生しっかりして!!」
お亜依「こりゃアカンで。白目むいとるしなんや口から泡と血ぃ出とるわ。そう言
     えばさっき斬った腕も血ぃドクドクやな」
ごま四郎「・・・明日香さんとこ運ぼっか」
ショック療法のやりすぎには注意しましょう、平家先生
522 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)21時20分46秒
お花畑――川の近くで、ひとり花を摘んでいる少女がいる

のの太郎「おはなのかんむりをつくってるんれすか?ののもいっしょにつくりたい
      れす」
???「うん、一緒に作ろうか。そっちの人も一緒に作ろうよ」
平家先生「アタシも作るで〜。ほれ、安倍代官も行こうや」
安倍代官「・・・・・」
平家先生「どないしたんや?花粉症かなんかなん?」
安倍代官「・・・・お・・あ・み・・・」
???「あなたは誰?なんで私の名前を知ってるの?」
平家先生「おあみって確か圭之介はんの・・・まさか、こんな子供が・・・」
おあみ「・・・???」
意外な人物との遭遇に驚きを隠せない2人と、まったく分かっていない2人
523 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)21時36分22秒
平家先生「なぁ・・・ちょお嫌な事思い出したんやけど、おあみは確かもう死んだ
      て聞いてんけど」
安倍代官「そうだべ。でも肉体は・・・くっ、そんなのひどすぎる!!」
平家先生「あの・・盛り上がっとるとこ悪いねんけど、おあみがいる言う事は、こ
      こはその・・・なんちゅーかその・・あの世なん?」
安倍代官「そう言う事になるべ」
平家先生「ウソ!アタシ死んだん!?なんで!?なんで死んだん!?ウソや!嫌や
      そんなん!!なんでや、なんでやねん!!」
安倍代官「もー!そんな事よりおあみの方が大事っしょ!平家先生うるさい!!」
平家先生「そんな・・・アタシは死んだん・・・ウソや・・・」
自らの死をようやく理解し、うろたえている平家先生
524 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月20日(水)21時47分00秒
明日香の診療所――

ごま四郎「明日香さ〜ん、急患でぇ〜っす〜」
お亜依「別に急がんでもええけど、とりあえず出てきてぇな〜」

明日香「なんなの?ちょっとこっちも取り込んで・・・みっちゃん!?ちょっとど
     うしたのよこのケガ!?すごい・・血まみれじゃん!!」
ごま四郎「はぁ、どうしたって言われても・・・ねぇ?」
お亜依「あ〜っと・・・ウチらはよぉ知らんねんけど、なんかそこら辺に倒れてた
     んや。なぁ、ごまはん?」
ごま四郎「そうそう!別にアタシ達は知らないよ!ホントに!!」
明日香「・・・まぁいいわ。紗耶香、裕ちゃん!ちょっと平家先生診察室に運んで
     くれるー?それから圭ちゃーん!このバカ2人なんか隠してるからそこ
     ら辺に縛っといてー!!」
お圭「まーかせてー!!」
ごま四郎・お亜依「「ゲッ・・・」」
うれしそうな顔でナワを振りまわしている狛犬のお圭。まさに本領発揮である
525 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)02時55分58秒
お圭「こんなメチャクチャ大変な時にアンタ達はなにやってんのよ!!」
正座の格好で身動きできないように縛られてしまったお亜依とごま四郎
お亜依「ウチらなんもしてませんて!!」
ごま四郎「そうそう、私達、悪い事してないもん!!早く縄を解いてよ!!」
お圭「はぁ・・・、迷惑かけてるって自覚がないから始末が悪い・・・
    どうせみっちゃんの怪我はアンタ達の仕業でしょ!!」
ごま四郎「だからぁ、私達なにもしてないってば!!
      もういい!!これぐらいの縄、自分でどうにかするから!!」
力づくで縄を引き千切ろうとするごま四郎。しかし・・・
ごま四郎「あれぇ!?なんで切れないの?ただの縄なのに・・・」
お圭「アンタねぇ・・・、私の本職を忘れたわけじゃないでしょうねぇ・・・
    何人もの罪人をこの手で捕まえてきたのよ・・・
    そんな簡単に逃げられるような縛り方しないわよ!
    それから・・・」(パチン!)
ごま四郎・お亜依「「ぎゃあ〜!!」」
お圭が指を鳴らすと同時に2人を縛り付けている縄がきつく締まっていく
お圭「その縄には私の“気”を通してるから普通の縄よりも何倍も強いし、
    私の思ったとおりに動くからね!さあ、おとなしく本当のことを言いなさい!
    ちゃんと本当のことを言ったら縄を解くことを考えてあげてもいいわ! 
    ただし、まだウソをつくようなら私のもう1つの得意技である
    拷問術をたっぷりと味わってもらう事になるわよ!!」
ごま四郎・お亜依「「ヒィ〜〜〜〜!!」」    
526 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)07時27分00秒
〜江戸城・座敷牢〜

つんく「あ〜あ、暇やなぁ〜。こんなん簡単に抜け出せるん
    やけどなぁ。上の方々の顔潰すわけにもいかんし…
    あ〜、暇や、暇や」
一応軟禁されてる身でありながらもマターリモードの
寺田津久守御津之信
527 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)07時31分50秒
そこに現れる二つの影
?? 「寺田様…」
?? 「お話が…」
つんく「ん、どうしたんや、衣吹、アミ。
    そうやって顔をだしたっちゅうことは……
    面倒が起きたか?」
衣吹・アミ「はい、実は……」
528 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)07時37分41秒
恩師つんくの力になる為にあえて、虎無徹側につき動向を
探っていた二人であった。
つんく「そうか、おあみが復活したか……」
衣吹 「もはや猶予はありません、一刻もはやくここを…」
つんく「なぁに、あいつらまだまだいけるで」
アミ 「しかし安倍様は右手が……」
つんく「俺が動くのは簡単や。でもな、そうしたら山崎らが
    好き勝手してまう。そうしたら涙を流すんがまた
    増えてまうんや…俺はここを動くわけにはいかん。
    ……なぁに、安倍には、俺が教えた奥義がまだあるわ。
    お前らは知らんやろうな。あいつはな……」
529 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)07時44分14秒
つんく「あいつの本当の姿は二刀流や。おあみに負けて以来、
    暗黒面に力を求めようとしてたから俺がもう一振りの方
    は没収してん。」
二人 「そんな経緯があったんですか」
つんく「おっと、長話はあかんな…じゃあ仕事や。夏のババァに
   『唐諸輿』を安倍に渡すよう手配したってな。
    今持ってる『蘇羅斗華是』とであいつも今の壁を
    のり越えれるやろ」
二人 「御意」
つんく「まて!」
二人 「なにか?」
つんく「つくづくお前らには辛い選択をさせてもうたな……
    あいつと一緒におりたかったやろ……すまん。」
二人 「お気になさらず……御免!」
声と共に姿を消す二人
530 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)07時48分27秒
〜よろずや夏〜
店先で空を見上げる夏先生
夏先生「…最近なぁんか悪寒が走るねぇ。まぁたなんかあるん
    じゃないだろうね……あ〜、あたしゃ関わりたくは
    ないんだけどねぇ、ゴタゴタのほうから飛び込んでくる
    から…おおちおち枕高くして寝れたもんじゃないよ」

    ヒュン!

夏先生「ほら飛んできた…」パシッ
飛んでくる矢文をなんなく受け取る夏先生
夏先生「危ないねぇ。まったく、こんなことすんのは
    寺田の旦那だね、どれどれ……」
531 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)07時52分16秒
夏師匠「そうかい……安倍の小娘がねぇ…『唐諸輿』を
    届けてくれって……あいかわらず人使い荒いんだから…
    …ま、いいか。ついでにあいつら鼻タレどもに稽古を
    つけてやるのも……」
面倒臭そうに腰をあげる夏師匠。しかしその目はなにげに
嬉しそうでもあった。
夏師匠「…小娘達がどんだけ腕あげたか楽しみだねぇ(わくわく)」
532 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)09時24分36秒
明日香の診療所――

お圭「で、なんでみっちゃんにあんな事したの?」
ごま四郎「別になんもしてないっつってんじゃん!!」
お亜依「そうや。ウチらはなんも知らんっちゅーねん!!」
効果音:パチン
ごま四郎・お亜依「「ぎゃ〜〜〜!!!」」
お圭「で、なんであんな事したの?」
お亜依「ウ、ウチはなんもしてへんで!ウチはな!!」
ごま四郎「ちょっと!裏切る気!!?」
ナワの痛みに耐えられず、自分だけでも助かろうとするお亜依
533 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)09時30分37秒
お圭「ふーん、なるほどね。みっちゃんが記憶喪失か・・・」
お亜依「そや!ウチらはそれを治そうとして、ほんであんな事を・・・」
お圭「わかった。お亜依、アンタは罰として優跳組の手伝いをしてきな。今表で塀
    直してるから」
ごま四郎「アタシは?」
お圭「前々から言おうと思ってたんだけど、アンタはいっつもやりすぎなのよ。し
    ばらくそこで反省してなさい!」
ごま四郎「え〜!!なんでぇ〜〜!!?」
お圭「うるさい」
効果音:パチン
ごま四郎「ぎゃ〜〜〜!!!」
日頃の行いのせいで、ナワを解いてもらえなかったごま四郎
534 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)09時44分16秒
数刻後――

ごま四郎「なんでアタシばっか怒られなきゃなんないのさ!だいたい平家先生が記
      憶喪失なんかになるから悪いんじゃん!(ブツブツ)」
庭八郎「ごま四郎、大丈夫?」
ごま四郎「あっ、市井ちゃ〜ん!聞いてよ、圭ちゃんひどいんだよ!アタシなんに
      も悪い事してないのに〜〜!!」
庭八郎「何言ってんの。どう考えても悪いのはアンタでしょ。まったく、少しは反
     省しなさい!」
ごま四郎「市井ちゃん・・・怒ってる?」
庭八郎「そ、そんな顔してないでよ。別に・・別に怒ってないよ!」
ごま四郎「じゃあ・・・ナワ解いてくれる?」
庭八郎「そ、それとこれとは話が別だよ・・・・」
ごま四郎「ね、市井ちゃん。お・ね・が・い
庭八郎「(うっ、かわいい・・・その上目使いはやめて・・・)」
まるで吸い寄せられるかのように、フラフラとナワに手をやる庭八郎

お圭「コラ紗耶香!何してんのよ!!!」
庭八郎「あっ、圭ちゃん!こ、これはその・・・」
ごま四郎「ちっ、圭ちゃんまだいたのかよ。早く番所にでも行っちゃえ」
お圭「なんか言った?」(パチン)
ごま四郎「ぎゃ〜〜〜!!聞こえてんじゃん〜〜〜!!!」
脱出作戦失敗のごま四郎
535 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)09時50分00秒
診療所縁側――

庭八郎「はぁ・・ごま四郎。アタシは無力だ・・・」
お圭からごま四郎に近づく事を禁じられた庭八郎。再び縁側の哀愁モードに突入
536 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)11時06分43秒
−診察室−

中澤屋「どや、みんなの様子は?」
明日香「う〜ん、彩っぺはまあ順調かな・・・、ちゃんと私の言う事を聞いて
     安静にしてくれてたら・・・っていう条件が付くけどね・・・
     みっちゃんも見た目よりは酷い怪我じゃなかったから
     って、これはみっちゃんの自然治癒力が普通の人より桁外れだからだけどね・・・
     そのうち目を覚ますと思うわ・・・」
中澤屋「辻はどうなんや?」
明日香「あんまり良いとは言えないね・・・。
     身体の傷の方の経過は順調なんだけどまだ意識が戻らないから・・・」
中澤屋「なっちは?」
明日香「この中で1番不安要素を抱えてるわ・・・
     右腕の縫合手術はとりあえず成功したけど、生活に支障がない程度には回復しても
     切断前と同じように動かすことはまずできないと思う・・・
     それから、出血多量で心停止になってたからその間に脳障害が起きてるかもしれないし・・・
     それに・・・、紗耶香の言ってたように精神攻撃を受けてこうなったんだとしたら・・・」
中澤屋「・・・身体の方は生きかえっても心は死んだままかもしれんちゅうことか・・・」
537 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月21日(木)22時49分11秒
497以来ソロで出て来ない矢口先生
矢口先生「オイラなぁにしてればいいのかなぁ〜?」
ひとり慌てふためいてる矢口先生

矢口先生「っていうか、オイラはこんな脇役じゃな〜い!」
・・・ごもっともである。
538 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)08時55分36秒
???「ふふ、『オイラはこんな脇役じゃない』か・・・。言うようになったね」
矢口先生「ゲッ・・・夏師匠・・・」
夏師匠「お代官に『唐諸輿』を届けに来たんだけどね、随分退屈そうじゃないか」
矢口先生「いや、オイラは・・・その、あの・・そうだ!優跳組の手伝いを・・」
夏師匠「待ちな!逃げることはないでしょ!久しぶりにアンタの腕前、見せてもら
     うよ。さ、表に出な!!」
矢口先生「ひーーーーー!!!」
口は災いの元、矢口先生
539 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)09時10分09秒
夏師匠「さ、かかってきな!」
矢口先生「じゃあとりあえずこの象三で・・・とりゃあ!!」(ブン!)
夏師匠「甘い甘い!なんだいその腰は!!もっと腰入れて!ほら、ワンツー・ワン
     ツー!はいそこでターン!遅いよ矢口!タイミングがずれてる!!」
矢口先生「くそっ、こうなったら・・・あちょーーーー!!!」(ブォン)
夏師匠「はい、踏み込みが甘ーい!ほいっ!!」
矢口先生「うわぁーーー!!」(ガッシャーン!!)
あっさりと掴まえられ、塀に投げ飛ばされる矢口先生

ソニン「そんな・・折角直ったのに・・・」
ユウキ「前よりひどく壊れてるぞ・・・」
お亜依「夏師匠・・・さすがや!!」
540 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)09時17分51秒
矢口先生「きゅ〜・・・」
夏師匠「なんだい、だらしないね。・・・ん?そこに縛られてるのはごまじゃない
     かい。そう言えばアンタともしばらく稽古してなかったね」
ごま四郎「ギクッ!!」
夏先生「ほら立って立って!さ、かかってきな!!」
ごま四郎「ひーーーー!!!」

お圭「ちょっと!ごま四郎のナワ解いたのは誰!?勝手な事ばっかするんじゃな・・・
    夏師匠!?・・・くわばらくわばら」
狛犬アンテナが反応しナワが解かれた事を知ったが、夏師匠の姿を見つけあっさり
引き下がったお圭
541 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)09時40分01秒
ごま四郎「なんでアタシがこんな事しなきゃいけないのよ。練習嫌いなのに」
夏師匠「ほら、ブツブツ言ってないでさっさと来る!」
ごま四郎「とぉ〜〜〜!!」(ブ〜ン)
夏師匠「なんだいそのへっぴり腰は!?やる気あんの!?やる気がないんだったら
     荷物まとめてさっさと田舎に帰りな!!」
ごま四郎「(むっ!田舎じゃないもん、お江戸だもん!こうなったら大技でびっく
      りさせてやる!!)」
夏師匠「ほら動きとまってるよ!人のを見て動くんじゃないくて自分でちゃんと動
     きな!!」
ごま四郎「うらぁー!夏くらえ!!青春慈醍壱・弐・参!!(バキ・ズバ・ブォン)」
夏師匠「ぐっ!なんて威力!?・・ごま、やっぱりアンタの潜在能力はすごいよ。
     ・・・でもね!折角威力があっても当たんなかったら意味ないでしょ!
     もっと稽古が必要だよ!!ほらもう1回!ワンツーワンツー!!」
ごま四郎「ひーーー!!まだやんのぉ〜〜〜!!」
まさに最強、夏師匠
542 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)09時43分02秒
ユウキ「うぅ・・・姉ちゃんまで・・・」
ソニン「もう塀の原型残ってないよ・・・」
お亜依「夏師匠・・・さすがや!!」
もう修理する気力すらなくした優跳組
543 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)10時09分41秒
青春慈醍壱・弐・参

鎌鼬の三位一体攻撃を元に開発された技である。本来は、一人目が相手を転がし、
二人目が相手を斬りつけ、そして三人目が傷口に薬を塗ると言うものであったが、
三人の仲が悪いとうまくいかないという欠点の為、全ての攻撃を一人で行うように
なった。
その昔は確かに最後に薬を塗っていたのだが、怪力を持つ剣士の「薬うまく塗れな
い」と言う一言で最後の攻撃は刀の柄で脳天を殴打するものに代わった。
当時その剣士と親交の深かった安打某は、「薬を塗れなかったのはあの馬鹿一人だ
け、何故一人の為に皆まで技を変更せねばならないのかわからなかった」と語って
いる。不条理なようでも、これが世の常であろう。
尚、名前の中に『慈』の文字が入っているのは、相手を傷つけながらも最後に薬を
塗ると言う慈愛に満ちた行為の為だが、薬を塗る事がなくなった今、この技には慈
愛の欠片も存在しない。
(民明書房刊「ちびっこ横綱ゴマキでござ〜る」より)
544 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)17時14分52秒
ごま四郎「ひ〜!!もうだめぇ〜!!」(バタッ!!)
矢口先生「・・・・・・」(気絶中)
夏師匠「なんだいなんだい!!だらしないねぇ〜!!
     アンタ達、しばらく平和だったからって修行サボってたんでしょ!!
     前よりも技のキレも悪いし、体力も落ちてるし・・・。」

お梨華「みなさ〜ん!!ご飯できましたよぉ〜!!」
吉澤「お酒もちゃんと買ってきました!!」

ごま四郎「ご飯」(ガバッ!!)
矢口先生「全く、いつまで待たせるんだよぉ!!」(ガバッ!!!)
夏師匠「メチャクチャ元気じゃん・・・」
545 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)20時03分54秒
ご飯の呼び声に駆け出す矢口先生の袖を夏が止めた

夏師匠(矢口、ちょっとあんたには、話があるわ)
矢口先生(え〜ご飯ですよ、それに忍び声でなんすか〜?)
夏師匠(すぐに終わるわ・・・あんた、例の技、練習しときなさい)
矢口先生(例のって・・・あれのこと!あれは使っちゃいけないって・・)
夏師匠(そう、禁じ手にしたわね。けど、あんたのあれが必要になるかも知れないよ)
矢口先生(・・・)
夏師匠(津久守様がそう、ほのめかしてるのよ。いい、もしもあれを使う時は、フルパワーで。躊躇するな。
    みんなを救えるのはあんたしかいないかも知れないよ)

お梨華「夏師匠に矢口先生ー、ご飯が冷めちゃいますよー」
夏&矢口先生「は〜い、今行くよ〜」
546 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)23時01分11秒
江戸城――

圭之介「ただいま〜。ねぇりんね、平家先生戻ってきた?」
りんね「平家先生ですか?さぁ、見掛けてませんけど」
カラス「クルルルル クルルルルル」
りんね「あれ?どうしたの?・・・ふんふん、ふんふん。圭之介さん大変です!平
     家先生が誰かにやられて死の淵をさまよっているそうです!!」
圭之介「はぁ?・・・あの人ホントに何考えてんのよ!!」
最初の段階で人選を間違えたかな、とか思っているおあみ
547 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)23時11分42秒
お花畑――

???(平家先生!平家先生!!)
平家先生「ん?誰やアタシを呼ぶんは?」
???(戻って来なさい、平家先生。今すぐに!そして私の為に働くのよ)
平家先生「なんやこの声・・・頭に直接響いてくるみたいや・・・」
???(私に尽くしなさい、あなたはその為に生まれたんだから)
平家先生「ぐっ・・嫌や・・頭が・・頭が・・・!!」
頭を抱え込み、うずくまる平家先生

安倍代官「みっちゃん?どうしたべさ、みっちゃん!?頭痛いべか!!?」
のの太郎「ばふぁりんのはんぶんはやさしさでできてるんれすよ」
548 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)23時18分28秒
???(平家先生、来なさい。聞こえないの?)
平家先生「・・くっ・・あぁ・・・!!」
???(あなたの事を誰よりも分かっているのは私よ。その私がこんなに頼んでい
     るのに聞けないの?)
平家先生「・・・・・・」
安倍代官「みっちゃん?どうしたべ?みっちゃん?」
平家先生「・・・アタシは、行かなアカン」
のの太郎「どこにいくんれすか?あらいちゅうらったらはんたいほうこうれすよ」
平家先生「・・・・・・」
無言で、どこかに向かい歩き出した平家先生
549 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)23時24分59秒
江戸城庭園――

池のほとりに静かに佇む圭之介。水中の錦鯉は、何故か隅の方にかたまっている。
圭之介「・・・・・ふぅ」
溜息と共に、ふいに周りの緊張が消えていく。錦鯉達も優雅に泳ぎ始めた。
圭之介「ふふ、平家先生。消えるのは早いわよ、まだ何の役にも立ってもらってな
     いんだからね。今までの分、これから働いてもらうわよ」
上空を見上げ、不敵に笑うおあみ。足元に、餌を求めた鯉が口をパクパクさせてい
る事には気付いていない。
550 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月22日(金)23時30分05秒
明日香の診療所――

明日香「はぁ、なんでみんな目を覚まさないの?やっぱりアタシの力じゃ・・・」
安倍代官「・・・・・・」
のの太郎「・・・・・・」
平家先生「・・・・・!!」(ムクリ)
明日香「・・・みっちゃん!?気がついたの?みっちゃん!!?」
平家先生「・・・・・・」
明日香「みっちゃん?ねぇどこ行くの!?みっちゃん!!」
何も見ていない目で、真っ直ぐと江戸城に向かって行く平家先生
551 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月23日(土)11時57分54秒
中澤屋「明日香ぁ〜、ご飯やでぇ〜」
明日香「あっ、裕ちゃん・・・」
中澤屋「なんやオロオロして・・・。まさか、なっち達の容態が!?」
明日香「違う・・・・みっちゃんが目を覚ましたんだけどね
     私が呼び止めるのを無視してあっという間に出て行っちゃった・・・」
中澤屋「そうか・・・、みっちゃんには色々と聞かなアカンことがあったんやけど
     まさかこんなに早よう目ぇ覚めるとは思わんかったからなぁ・・・
     目ぇ覚めたら逃げ出すことぐらいのことは予測しとかなアカンのに・・・
     ウチのミスや・・・。明日香、アンタの責任とちゃう・・・」
明日香「うん・・・」
中澤屋「クヨクヨしててもしょうがない・・・とりあえずご飯食べようや・・・
     これからまだなっち達の世話で大変やろうからちゃんと体力つけとかんと!
     アンタに倒れられたらメチャクチャ困るからなぁ」
552 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月23日(土)23時24分56秒
―江戸城―

暗い部屋の中、蝋燭の明かりのもと2人の人影が浮かんでいる
圭之介「いい、平家先生。この炎を見つめて」
平家先生「はい」
圭之介「そう、見えるでしょ。あなたの敵の姿が・・・」
平家先生「はい」
圭之介「平家先生、この人達を見つけたらあなたはどうすればいいのかわかる?」
平家先生「はい、殺します」
圭之介「ふふ、いい子ね。それでいいのよ、平家先生」
怪しげな目つきで、平家先生の頬をそっと撫でる圭之介

(襖の外から――)
りんね「どうしよう・・・アタシ見ててもいいのかな?」
何故か市原悦子のポジションにいるりんね
553 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月23日(土)23時37分13秒
―吉原『浜屋』―

おあゆ「あ、松浦様。お久しぶりですぅ。最近来てくれなかったから、あゆ寂しか
     ったんですよぉ」
松浦「すまんな。ちょっと城の方でいろいろあったもので・・・そうだ、これをや
    ろう。羅目とか言うものの入った紅だ。最近若い女達の間ではやっている
    のだろう?」
おあゆ「ありがとうございますぅ。でも松浦様自分で買ったんですかぁ〜?あはは、
     なんか笑える」
松浦「喜んでくれて何よりだ。さて、酒でも貰おうか。今夜は呑みたい気分だ」
おあゆ「はい、どーぞ」
城のゴチャゴチャは放っておき、馴染みの芸者の元へ通う老中・松浦。
554 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月23日(土)23時43分42秒
おあゆ「ねぇ松浦様、お城で何があったんですかぁ?」
松浦「なに、虎無徹殿の知り合いの娘がいろいろしておるのだ。お前が気にする事
    ではない」
おあゆ「ふぅん」
松浦「どうした?不満そうだな」
おあゆ「・・・別に。だってお城の事はもうあゆには関係ないですもん」
松浦「そうか・・・」
そっと窓の外の三日月を眺めるおあゆ。
555 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月26日(火)08時25分02秒
夏師匠「ちょいと、邪魔するよ」
中澤 「センセ…」
明日香「師匠今は誰にも…」
夏師匠「うるさい!」
どかどかと入り込んでゆく夏師匠
556 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月26日(火)08時28分00秒
安部の枕もとにそっと刀をおく夏師匠
夏師匠「やれやれ、やっかいなモンくらっちまったようだね」
明日香「もうどうしていいか……」
中澤 「明日香がこれやもんなぁ、他の町医者んとこにかつぎ
    こんでもどーしよーもないわなぁ」
夏師匠「二人ともちょっと静かにしておくれ」
安部の胸にそっと手をのせる夏師匠
明日香「師匠、いったい何をするんです?」
夏師匠「体のダメージはともかく、くらった技からは解放して
    あげないとね」
中澤 「で、どーすんです?」
夏師匠「精神をシンクロさせてみるわ。それで駄目だったら
    あきらめるしかないね」
明日香「そんな、そんなの!失敗したら二人とも…」
中澤 「明日香!」
明日香の声を中澤がさえぎる
中澤 「センセ。頼んますわ」
明日香「………」
中澤 「…でも一つだけ言うときます、失敗したら……世の中の
    誰よりもうちが勘弁しませんで、たとえセンセがどんな
    状態やろうとも」
明日香「裕ちゃん……」
拳を震わせながら頭を下げる中澤に呑まれてしまった明日香
夏師匠「中澤…アンタ言うようになったね。…ま、期待には
    応えれるようにはしてみせるつもりだよ」
557 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月26日(火)08時32分04秒
安部の心中世界

安部 「あれぇ、さっきまでののちゃんと一緒だったのに…
    それに花畑もなくなってるし…」
夏師匠「よう、ひさしぶりね」
安部 「あ〜、夏師匠!おひさしぶりだべ
    …って師匠も死んじゃったべか?」
夏師匠「…あいかわらずだね」

安部 「…でね、師匠。明日香、矢口、お圭、紗耶香の
    4人がかりなんだよ〜、勝てるわけないべさ。
    それからね〜……」
いままでの出来事をハイテンションで語り聞かせ続ける安部
安部 「……でここにいるんだべさ」
夏師匠「安部…」
それまで無言で聞き続けた夏師匠がようやく言葉を発した
夏師匠「辛かったね」
安部 「……やあだ、どうしたんだべ師匠。いつもなら
   『なにやってんだい!』とか『もっと考えて動くんだよ!』
    とか言って怒ってばっかなのに。変だよ、師匠……
    変だよ…ぐすっ…辛かった…うわぁぁ…恐かったよ〜…」
夏師匠の一言で緊張の糸が切れてしまい泣き崩れる安部

安部 「師匠……なっちは強くなりたい」
夏師匠「……お前はまだ強さをもとめるのかい?
    おあみに負けた時のように……」
安部 「そうじゃない、そうじゃない!確かにあの時も
    そう言ったけど、今は違うべさ!」
夏師匠「どう違うんだい?」
安部 「誰も傷つけることないくらい強くなりたい。
    なっちは…なっちは…」

   「なっちは戦う!もう逃げない!」
558 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月26日(火)08時34分03秒
夏師匠「そっか…それじゃ、はやいとこ帰っておいで。
    いいモン用意してるよ。それと一つお前にいっておくよ。
    目をつむるんじゃない、いかに昼間であろうと目を
    閉ざせばそこは闇。闇に身をまかせるんじゃなく、
    光をみつけるんだ。そこには必ず希望があるよ」
安部 「師匠……」
夏師匠「おっと、もう戻らなきゃね。いいかい、あんたも帰って
    くるんだよ、自力でね」
安部 「師匠!ししょ〜!なっちも連れていってよ〜」
消えてゆく夏師匠、残される安部
559 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)00時49分39秒
ごま四郎「いっただっきま〜す
市井(食欲旺盛なのは昔と変わらないね・・・)

お梨華「まだまだたくさんありますから、みなさんどんどん食べてくださいね
     あっ!お彩さんには傷を早く治してもらうために別メニューのを用意しましたから」
お彩「わるいねぇ。(・・・って、これお粥と梅干じゃん!!どこが特別なの!?)」

矢口先生「こらぁ!!それオイラのだぞ!!」
お亜依「へへん!!そんなん早い者勝ちや!!」(奪い合い)

ユウキ「なんか家にいた時より騒がしいな・・・」
ソニン「・・・・・・」(無言でひたすら食べている)

あさみ「は〜い♪もんろー、ごはんだよぉ〜♪」(餌付け中)

吉澤(お梨華ちゃんが作ってくれたゆでたまご
お圭「アンタ・・・、たまご見つめてないでさっさと食べなさいよ・・・」
560 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)00時55分04秒
明日香「師匠・・・、なっちは・・・?」
夏「私にできるだけのことはしたつもりだよ・・・。あとはあの子次第・・・」
中澤屋「そうですか・・・」
夏「アンタたちがそんな弱気でどうするの!安倍のことを信じてあげな!
   その想いが安倍をこっちに引き戻す力にもなるんだから!」
中澤屋「・・・そや、センセの言うとおりや・・・。なっちは必ず戻ってくる!
     ウチらがそれを信じてやらんと!」
明日香「そうだね・・・戻ってくる・・・、なっちは絶対に戻ってくるよ!」
561 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)12時59分49秒
−お花畑−

のの太郎「あっ、あべさんどこいってたんれすかぁ?
      きゅうにいなくならないでくらさいよぉ〜」
安倍「・・・」
のの太郎「あべさん?」
安倍「・・・ののちゃん・・・戻ろう、みんなのところへ!」
のの太郎「えぇ〜っ!!いやれす!!もっとここであそぶのれす!!」
安倍「わがままいわないでさっさとくるべさ!!」
のの太郎を担ぎ上げて歩き出すなっち
562 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)13時00分46秒
−診療所・居間−

ごま四郎「ねぇ・・・、今、『なっち』って言った?もしかしてここにいるの?」
中澤屋「おるで。今はのの太郎の隣で寝とるけどな・・・」
突然、勢いよく立ち上がり、居間を出ていくごま四郎
中澤屋「なんや、ごま四郎のヤツ・・・」
お圭「あのさ・・・、ごま四郎・・・いつになく目がマジだったんだけど・・・」
庭八郎「まさか・・・」
明日香「なっちのところに・・・」
中澤屋「アカン!!あのアホ、放っといたら何するかわからん!!
     今、なっちは絶対安静なんや!!早よ止めな!!」
慌ててごま四郎のあとを追いかける4人
563 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)13時02分11秒
−診療室−

ごま四郎「ねぇ、起きなさいよ!!聞きたいことがたくさんあるんだからぁ!!」
激しくなっちの身体を揺するごま四郎
そして、慌てて診療室に入ってくる4人の人影
明日香「やめなさい!!なっちは今動かしちゃいけないの!!」
ごま四郎「ねぇ、なんでののちゃんを切ったの!?どうして私達を殺そうとしたの!?」
明日香の忠告を無視してなっちの身体を激しく揺すり続けるごま四郎
中澤屋「アカン、全然聞いてないわ!!
     圭坊、紗耶香、ごま四郎を止めるんや!!」
庭八郎「ごま四郎、落ちつきなって!!コラッ、暴れるなぁ〜!!」
ごま四郎を羽交い締めにする庭八郎
ごま四郎「離してよ、いち〜ちゃん!!離してってば!!」
怪力で庭八郎を振りほどこうとするごま四郎
庭八郎「もぉダメッ!!押えきれないよぉ、圭ちゃん!!」
お圭「そうなるだろうと思ってちゃんと用意しといたわよ!!それっ!!」(シュルシュル!!)

再びお圭の縄で縛り付けられるごま四郎
564 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)16時55分42秒
ごま四郎「ちょっと圭ちゃんこれ解いてよ!!」
中澤屋「ええか、ごま四郎。なっちは今絶対安静なんや。無理させたらあかん!!」
ごま四郎「そんなの知らないよ!言ったでしょ、聞きたい事がたくさんあるって!
      私たちが襲われた理由とか・・・それから、平家先生がおかしくなった理由も
      きっと知ってるだろうし!!」
中澤屋「アンタの気持ちもわかるけど、今、無茶してなっち死んだらどうするつもりや!」
ごま四郎「知らないって言ってるでしょ!」
お圭「アンタ、それが仲間に対して言う言葉ぁ!!」
ごま四郎「私はもう仲間なんて思えない!!だから必要な事さえ聞けたら生きようと死のうと関係ない!!
      だって、なっちのせいで長屋はなくなるし、ののちゃんは死にかけて今も寝たままだし・・・
      なっちは疫病神よ!!本当はみんなだっていない方がいいって思ってるんでしょ!!」
中澤屋「ごま四郎、アンタいい加減にしいや!!」
そう言って、中澤屋が手を振り上げごま四郎を殴ろうとした時、

パチ〜ン!!
乾いた音が診察室中に鳴り響いた・・・
565 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)16時58分22秒
赤く染まっているごま四郎の頬・・・
お圭「紗耶香・・・」
ごま四郎「いち〜ちゃん・・・」
ごま四郎を叩いたのは師匠の市井庭八郎だった・・・

ごま四郎「なにすんのよ!!」
庭八郎「ごま四郎、いい加減にしな!!
     だいたいね、のの太郎が斬られたのにはあんたにも責任があるんだよ!」
ごま四郎「えっ・・・」
庭八郎「いいかい、矢口がなっちをここに運んできた時、なっちの身体には妖気がまとわりついていた
     それもずっと遠くに離れていてもみんながはっきりと感じ取れるぐらいの妖気がね・・・
     それなのにアンタはなっちが側にいても全然気付いてなかったんだ!
     早く気付いていればのの太郎は無事でいたかもしれないし、あんたも怪我せずにすんだかもしれない・・・」
ごま四郎「精神攻撃を受けてたってこと・・・でもそんなの受けるなっちが・・・」
庭八郎「バカッ!!言っただろ、ずっと遠くにいても感じとれるぐらいの妖気だったって!
     はっきり言って、あの攻撃を受けてまともでいるのは不可能だよ!!」
ごま四郎「そんな・・・」
566 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)16時59分01秒
明日香「でもね、なっちはそれに決して負けなかった・・・」
ごま四郎に一振りの刀を見せる明日香
明日香「これは『蘇羅斗華是』っていうなっちの刀・・・
     ここに運び込まれた時は血まみれだったんだけどね・・・
     で、この刀に付いていた血を調べてみたんだけど、のの太郎の血とあなたの血が
     付いていたことは言わなくてもわかるよね」
ごま四郎「そりゃ・・・斬られてるんだから・・・」
明日香「でね、もう1種類の血が刀に付いていたことがわかったの・・・」
ごま四郎「まさか・・・」
明日香「そう・・・なっち自身の血よ・・・」
ごま四郎「!!」
中澤屋「なっちは自分自身で右腕を切り落としたんや・・・
     誰も傷付かないですむように・・・やさしい子やからな・・・」
ごま四郎「・・・・・・」
567 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)16時59分57秒
お圭「もう解いてやってもいいかな?」
庭八郎「ゴメン、圭ちゃんしばらくそうしといてくれる・・・
     ごま四郎、そのままでしばらく頭を冷やすんだね・・・」
お圭「紗耶香がそう言うんだったらいいけど・・・」
ごま四郎を残し、診察室から出て行く4人
568 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時39分55秒
――お花畑。

おあみ「もう、行っちゃうの?」
完成した花のかんむりを手に、寂しそうにほほえむおあみ。

なっち「うん。やらなくちゃいけないことがあるから。
    ……どしたのさ、昔のかたき相手に名残惜しげだべ」
おあみ「昔のかたき……? そうだったの、知らなかった。
    女の子とおしゃべりしたの、なんだか随分久しぶりだったから。
    ここ、すごい年上の人ばっかりだし」
なっち「……」
569 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時40分32秒
おあみ「でもここはいいところだよ。いつだって暖かいし、天気いいし。
    変な人たちもいなくて静かだし……」
なっち「……あみちゃん」
おあみ「何?」
なっち「なっちと一緒に、あっちの世界に帰らないべか?」
おあみ「え……」
570 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時41分11秒
なっち「一緒に帰って、あみちゃんの悪の心の方をぶっ倒すんだべさ!」
おあみ「……」
なっち「それに、やり残したこといっぱいあるべ?
    恋とか遊びとか、勉強とか、それからいろいろ……」
おあみ「……」
571 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時41分54秒
花のかんむりをなっちの頭にかぶせるおあみ。

おあみ「せっかくだけど、やめとく」
なっち「……あみちゃん」
おあみ「お城でのこと詳しく思い出そうとすると、
    頭とかすごく痛くなるの……」
なっち「……」
おあみ「私だって戻りたい。恋とかもっとしてみたい。
    でも私が生き返ったりしたら、
    私の力を利用しようって人たちがまた現れる。
    そしたら罪のない人たちをまた泣かせることに……」
なっち「……」
おあみ「ごめんね、役に立てなくて……。
    それと私の悪の心がみんなに迷惑かけて」
なっち「ううん、謝ることないよ」
おあみ「ごめん……」
572 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時43分04秒
照れくさそうに手を差し出すなっち。

おあみ「……?」
なっち「じゃあ、元気でね……て、ここって天国だよね、ははは」
おあみ「いつでもおいで、待ってるよ。はは、ろくでもない声援だね」

笑い合い、握手する二人。

なっち「じゃあね」
おあみ「ばいば〜い」

「おろしてくらさい〜!」(じたばた)
暴れるのの太郎を小脇に抱え、お花畑を引き返すなっち。
573 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時44分03秒
お花畑を進むなっちと、運ばれていくのの太郎。

のの太郎「はなしてくらさ〜い! ののは、ののはここにいるのれす〜!」
なっち「だ〜、うるさいね、この……」

「こら辻! わがままばっかり言うんじゃないの!」

のの太郎「はっ、そのこえは……」
574 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時45分12秒
二人の目の前には、腕組みしながら仁王立ちしている大女。

なっち「……何してんの、カオ?」
カオリ「何してんのって……。
    二人ともいつまでたっても帰ってこないもんだから、
    あの世で道に迷ったんじゃないかって心配になって、
    カオが向かえに来てやったんじゃないの、ったく!」
なっち「へえ」
カオリ「へえって」
なっち「……そんなことよりもカオ、ちゃんと脚があるね」
カオリ「ふふふ〜。この世界じゃ幽霊じゃないんだよ〜」
575 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時46分12秒
のの太郎「……いいらさ〜ん!」

なっちの腕から飛び出し、カオリに飛びつくのの太郎。

カオリ「ぐほっ。なんだよ辻いきなり」
のの太郎「いちどでいいから……いちどでいいから
     いいらさんにさわってみたかったのれす……!」

カオリの胸に顔をうずめるのの太郎。
576 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月27日(水)22時47分05秒
なっち「よかったね、辻」
のの太郎「……」
カオリ「……さ、帰ろうか。みんな二人のこと待ってんだよ」

のの太郎を抱っこしたまま、なっちに涙を見られないよう
さっさと歩いていくカオリ。

花かんむりの角度をちょっと直し、笑いながら後をついていくなっち。
577 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時16分39秒
病室の中を薄暗く照らしだす、行燈の柔らかい光。
縛られたまま畳の上に転がっているごま四郎。

ごま四郎(はあぁ、あたしってなんでいつもこう……)

鼻をぐずぐず鳴らしながらまぶたを閉じるごま四郎。

ごま四郎(何も考えずに行動してしまうんだろう……)
578 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時17分11秒
ごま四郎(ごめんなっち……さっきはひどいこと言ったりして……)

畳にぽたぽた落ちていく、ごま四郎の涙。

そう言えば――

初めての仕事で忍びの大集団と対決したとき、
半べそかきながらがたがた震えていた自分を励まし、
刀を手渡してくれたのは……なっちだった。

ごま四郎(お願い……目を覚まして、なっち)

じじじっ、と音を立てて燃える行燈の油。
579 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時17分44秒
(……ほら、のの! なっちがこっち見て笑ってるじゃないの!
 いい加減もう離れなさい!)
(てへ〜。いやれす〜。もうすこしだけ、こうしているのれす〜)
(ははは、いいじゃん。なっちは構わないから続けるべさ……)

天井板の辺りから聞こえてきた声に反応し、
がばっ、と跳ね起きるごま四郎。
580 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時18分33秒
ごま四郎「なっち……のの……?」

さきほどとは違い、にこにこ笑いながら眠るのの太郎。
眉を寄せ、少し身じろぎしているなっち。

顔いっぱいに喜びが広がるごま四郎。

ごま四郎「み、みみ、みんな〜!」
足で器用に障子を開け、廊下に飛び出していくごま四郎。
581 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時19分12秒
ごま四郎「みんなぁ、なっちが、ののが……!」
足を使ってがらっと障子を開けるごま四郎。

市井「……れは1番、市井紗耶香庭八郎!
   不器用な女なのでこれといった特技はごじゃいませんが、
   圭ちゃんの十手を借りて一発芸をやってみま〜す!」
一同「やんややんやぁ!」
市井(十手を股間に当てて)「……これくらい?」
一同(腹を抱えて大爆笑)
お圭「だぁ〜紗耶香、そのネタは、
   そのネタだけはやめなさ〜い!!」

すでに宴会モード突入! の矢口先生一同。
582 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時20分00秒
ちゃか・ちゃんりん・ちゃんりん・でんでん♪

「ゆゆで〜す」
「亜依で〜す」
「いや〜なんやかんやで初対面やね。どうぞよろしゅう」
「いやいやこちらこそ。タメが増えて嬉しいわ」
「で、もう師走なんやねんけど、今年で一番心に残る出来事ゆーたら何やろね」
「そら何と言ってもうちは例の『登用試験』やね」
「ふんふん」
「何万倍もの難関をくぐり抜け、鳴り物入りで皆さんの前に登場したっちゅう訳や」
「すごいねぇ」
「……でもやっぱ売れはせんねやろなぁ、小林幸恵」
「て、自分の話しちゃうんか〜い! ちゅっ」(どつき突っ込みならぬキス突っ込み)
「うひひひっ! てつ、こち、こ!」
(バッファロー吾郎ばりのヒップアタック突っ込み返し)

一同「やんややんやぁ!」

へなへなとその場にへたり込むごま四郎。
ごま四郎(……ほんとにみんな、なっちやのののこと心配してるのか?)
583 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時57分13秒
お花畑にああったド○えもんのどこ○もドアのような扉に入ると真っ白な部屋の中だった
そして、そこには自分達が入ってきたのとは別に2つの扉が並んでいた
1つは飾りのない質素な木製の扉。もう1つは禍禍しい彫刻が彫られている黒い扉・・・
584 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)00時58分03秒
カオリ「ここは“生の世界”と“天国”、そして“地獄”・・・
     それぞれの世界への抜け道が交わる部屋・・・」
のの太郎「それにしてはさっぷうけいなへやなのれす・・・
      まるでとびらだけがそこにうかんでいるような・・・」
カオリ「そうね・・・。ここは入口だけがある空間と言ってもいいかもしれない・・・」
安倍「あのさ、もしかしてあの黒い扉は・・・」
カオリ「予想どおり地獄の入口よ・・・」
のの太郎「ひぃ〜!!こわいのれす!!おにさんがいるのれす!!」
カオリにしがみつくのの太郎
カオリ「鬼だけじゃなくて性質の悪い妖魔も住んでいて、時々“生の世界”に
     出てきて悪い事するんだよ。ま、あみ〜ごのような魔界の住人よりは
     能力が低いから、出てきてもすぐ退治できるけどね・・・」
のの太郎「いいらさん、はやくかえりましょう!!」
カオリ「そうだね・・・」
質素な木製の扉を開けるカオリ
585 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)01時00分32秒
のの太郎「はやくかえってあいちゃんとたくさんおはなしするのれす」
扉の中に入っていくのの太郎
カオリ「なっちもいこう!!みんな待ってるよ!!」
後ろを向いてなっちに呼びかけるカオリ
しかし、なっちは黒の扉をじっと見つめたまま立っていた
カオリ「なっち?」
安倍「この扉の向こうは地獄なんだよね・・・妖魔もたくさんいる・・・」
カオリ「・・・まさか変なこと考えてないでしょうね・・・」
安倍「実は・・・地獄で修行してこようかなぁなんて思っちゃったりして・・・」
カオリ「あはははは!冗談きついよ、なっち!」
笑ってみたが、扉を見つめるなっちの表情は真剣だった
586 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)01時01分54秒
カオリ「・・・あのさ、いくら魔界の住人より劣るって言っても妖魔は妖魔なんだよ!
     手加減なんか絶対にしてくれないし、私ら妖魔から結構恨まれてるから
     本気で殺しに来るよ!いい?ここでの“死”は“完全な消滅”ってこと!
     そうなったら転生だってすることができなくなるんだから!
     ねぇ、考えなおしてよ。修行ならあっちに帰ってすればいいじゃん!」
安倍「ずっと考えてたの・・・私、みんなにいっぱい迷惑かけた・・・
    長屋の事とか、ののちゃんを斬っちゃったりしたし・・・
    あっちに帰ったら今度こそおあみと決着をつけないといけない・・・
    カオリの身体を得てさらに強くなったおあみと・・・
    おあみちゃんと約束したんだ・・・。悪い心の方のおあみを倒すって・・・
    だけど、今のままじゃ勝てない・・・それどころかみんなの足手まといになる・・・」
カオリ「だからって・・・、危ないってわかっているのに行かせられないよ!」
なっち「大丈夫!なっちは必ずみんなのところに帰る!だから行かせて!お願い、カオリ!!」
587 名前:名無しチビンバ 投稿日:2000年12月28日(木)01時02分48秒
カオリ「・・・何言っても止められないね・・・
    わかった、みんなにはカオから説明しておくよ・・・」
安倍「ごめんね・・・わがまま言って・・・.」
なっちをぎゅっと強く抱きしめるカオリ
カオリ「ちゃんと無事に帰って来るんだよ・・・」
安倍「うん・・・もっと強くなってみんなの所に帰るよ!!」

そしてなっちは黒の扉を開き、その中に入っていった・・・
588 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月01日(月)00時42分17秒
市井降誕祭→新年会へとなだれ込む矢口先生一行。
589 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月02日(火)06時00分48秒
ほんのちょこっとだけ、ごま四郎からのお誕生日プレゼントを期待した市井庭八郎
590 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月02日(火)13時34分07秒
顔を真っ赤にしながら、
釣ってきたフグとイカ(リボン付き)を
市井に手渡すごま。
591 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月02日(火)14時18分18秒
(次はオイラの番だよな。何もらえるのかな?)
迫り来る誕生日にウキウキが止まらない矢口先生
592 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時02分21秒
=宴会も盛り上がってる中、明日香宅裏口=

そそくさ……
ごま四郎「あれ〜…裕ちゃんどこいくの?」
中澤 「わぁ!な、なんやごま四郎かい。い、いやな…さ、酒が
    きれてもうてん。ちょっと買い出しにな…」
ごま 「でっかい瓢箪なんかもっちゃってさ。裕ちゃん、お酒は
    程々にしといてよ」
中澤 「あ、ああ、そやな、気をつけるわ…ほなな。」
ごま 「いってらっしゃ〜い。」
中澤 「ふ〜…ごま四郎でよかったわ、紗耶香に見つかったら
    えらいことなっとな。さてと……なっちものの太郎も
    大丈夫そうやし、いっちょやったるかーい!」
月夜に吠える中澤。
593 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時06分21秒
=宴会場=
市井 「うぇ〜ん、後藤ありがと〜、ぐすぐす…嬉しいよぉ〜……」
ごま 「市井ちゃん、泣かないでよ〜」
市井 「だってだって…あたしの誕生日忘れてなかったんだも〜ん」
誕生日プレゼントをもらい大感激の市井
お圭 「あんなモン受け取って嬉しいのかしら……」
>>590参照
594 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時11分33秒
ごま 「当たり前じゃん、もう泣かないの、。ひょっとして
    市井ちゃん酔っ払ってる?」
市井 「へっへ〜よっぱらってなんかいませんよぉだ。アハハ……」
お圭 「ちょっと紗耶香、今のでもうお酒はなくなっちゃったよ。
    明日香んちの酒樽ぜんぶ空になっちゃったんだから」
ごま 「あは、それなら心配ないよ。さっき裕ちゃんがお酒買いに
    いくって出かけたから……」
市井 「裕ちゃんが?この寒い中?」
お圭 「めずらしいね〜、どうしたんだろ?」
ごま 「うん、おっきな瓢箪もって出ていったよ。」
市井 「………」
お圭 「………」
ごま四郎の台詞の「瓢箪」を聞いたとたん本気モードのお圭、市井
595 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時16分03秒
お圭 「それホント?」
ごま 「ホントだよ〜……どうしたの二人とも?」
市井 「お圭!いくよ!」
お圭 「とめなきゃ!」
風のように飛び出す二人
ごま 「ちょっと!どうしたのよ、まってよ!あたしもいく〜」
わけもわからずついてゆくごま四郎
596 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時21分39秒
=大通り=
中澤 「なんや……もう気付いたんか……」
市井 「はぁ、はぁ…あいかわらず足早いね…ごま四郎だけは
    ごまかせたかもしれないけどね(洒落じゃないよ)」
お圭 「瓢箪をかついでお出かけ……それって裕ちゃんの戦いの
    装束だったじゃん」
中澤 「いかせてな、紗耶香、圭坊。長屋の…うちの大事な連中が
    ああもコケにされてん、おあみのアホに一発ガツンと
    ブチ込んだらんと気がすまんのや……」
ごま (な、なに……この緊張感……)
597 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時27分53秒
お圭 「今までさんざん休業しておいて、よくそんなこと言えるね、
    駄目だよ!これ以上犠牲者を増やさないためにも絶対に
    いかせな……」
まくしたてるお圭に割って入る市井
市井 「…いかせない、なんて野暮な事言わないよ。だからさ、
    あたし達もつれてってよ」
お圭 「紗耶香!あんた……」
市井 「お圭…そうやって言ったからって、おとなしく
    ハイそうですか、って引き下がるタマじゃないでしょ」
お圭 「…だね。はぁ、裕ちゃんつきあうよ……懐かしい顔ぶれで
    ひと暴れしよ!」
しかし中澤の口から出た言葉は……

中澤「ことわる!あんたら足手まといや、とっとと帰りぃ!」
598 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時31分54秒
ごま 「圭ちゃんに市井ちゃんがアシデマトイ?まさか…」
困惑するごま四郎。それとは裏腹に冷静に受け止める二人
お圭 「そう言うと思ったよ……」
市井 「昔よく言われたね。でもさ、あれからどんだけ修行を
    したと思ってるんだよ」
中澤 「ほう…その成果とやら見せて貰いたいもんやな。」
身構えるお圭、市井両雄
お圭 「紗耶香…準備は?」
市井 「いつでもいいよ」
中澤 「二人がかりかい…」
市井 「まさか、卑怯者って思わないよね?」
お圭 「なにがなんでも一人でいかせるワケにはいかないんでね」

ごま 「あ、あたしも……」
ゴソゴソと準備するごま四郎
市井 「後藤!動くんじゃない!アンタは見てな!」
お圭 「あたし達がリーダーと呼んだ中澤裕子……どれほどの実力
    なのか、その目でよく見ておくといいよ…」
ごま 「……ハイ」
二人の気迫に呑まれ動けないごま四郎
599 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時34分51秒
中澤 「こっちはいつでもええで……」
気合い十分な二人にたいし、先程からとまったく変わらぬ
中澤の声が合図となった
市井 「お圭!短期戦でいくよ!」
お圭 「オッケイ!(洒落じゃないわよ!)」
二人は同時に切りかかっていった
600 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時42分52秒
〜数刻後〜
そこには、うずくまる市井、お圭の姿が…
後藤 (う、うそ……二人が全く相手になってないよ)
信じられない光景を目の当たりにしたごま四郎
中澤 「圭坊、なかなかいい動きやったで、もうちょっとで
    追い付かれるトコやったわ。ただ最後が甘かったな…
    それとエモノ落とすんは厳禁やで、いくらダメージもろても
    十手を手放すんは岡引きとして失格や」
お圭の十手をくるくる回しながらお圭に説教する中澤
お圭 「うぅ……」
きっと、きびすをかえし
中澤 「それよりも……紗耶香、なんやねん。一人でやるっちゅうて
    出ていってそのザマは。アンタは居合いの使い手やろ、
    抜いたら決めんかい、抜いた後がスキだらけやから
    そんなんなるんや!修行しなおしてきぃや!」
市井「うぅ……」

ごま 「これが…裕ちゃんの本当の姿……」
601 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時45分03秒
中澤 「ごっちん、悪いけど二人を明日香んとこまでつれて……
    なにっ!」
足元の地面から無数の縄が生き物のように這い出し中澤の
足にからみつく
お圭 「かかったね、裕ちゃん!……今よ紗耶香!
    ぶっとばしちまいな!」
市井 「ナイス!はぁ〜……」
一気に気を集中させる市井
中澤 「ほう、なかなか頑張るやん…しかし…」
市井 「血夜骨斗羅武いちの…ぐはっ!」
市井の鳩尾にヒットするお圭の十手。(もちろん中澤が投げつけた
中澤 「気を貯めるんに時間がかかってまうんも弱点やな。
    うちが喋ってる間にその位やっとかな。今みたくなにが
    起こっても即座に対応できるようにな。」
お圭 「紗耶香…あたしも、駄目…」ばたん
最後の気を使いきったお圭気絶
602 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月04日(木)21時46分45秒
中澤 「じゃあごっちん、悪いけど二人を明日香んとこまでつれて
    いったてな。手加減しとるから大丈夫やと思うけどな」
ごま 「あ、あの……」
中澤 「ぐびっ…ふ〜、久しぶりに動くと辛いわぁ〜」
瓢箪の酒を口にしつつ江戸城に向かう中澤
見送る事しか出来ないごま四郎
ごま 「裕ちゃん……信じてるよ。ちゃんと帰ってきてよ…」
603 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月05日(金)23時19分52秒
−明日香の診療所−

明日香「・・・で、裕ちゃんにボコボコにされて帰ってきたわけ?2人がかりで?
ったく、情けないなぁ・・・。私やなっちやカオリや彩っぺなら1対1でもなんとかしたよ
多分、全力でいってギリギリ引き分けにできるぐらいだろうけど・・・」
紗耶香「そりゃあ、明日香たちは裕ちゃんが最前線で戦ってた時に一緒にいたから裕ちゃんの癖とか・・・」
明日香「いいわけはしな〜い!!」(ペシッ!!(湿布を貼る音))
紗耶香「いてぇ!!・・・面目ないッス・・・」
ごま四郎「でも、裕ちゃんがあんなに強いなんて・・・」
明日香「ああ、そうか!!裕ちゃん、紗耶香たちが入ってきてからは
主に後方支援をしてたからごま四郎さんは裕ちゃんが戦ってるところって
まともに見たことないんだね」
ごま四郎「ホント、ビックリしたよ!!市井ちゃんと圭ちゃんをたった1人で倒しちゃうから!!
しかも、素手でだよ!!素手で!!」
明日香「裕ちゃんの酔拳は普通の徒手空拳使いのレベルじゃないからねぇ・・・
私らから見てもあれは化け物のレベル、人間業じゃないよ!!(笑)」

お圭「・・・・・・」(気絶中)
604 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月06日(土)02時42分33秒
矢口先生「ムクッ!」
奥で連続宴会によって潰れていた矢口先生が突然と起きる
ごま四郎「あれ?矢口先生が起きたよ。なんか様子が変・・・」
庭八郎 「ふふふ・・・ごま四郎は矢口の本気モードを知らないんだったわね
      多分矢口のことだ裕ちゃんの行動が霊感的に分かったのよ。
      今まで潰れてたふりしておあみと戦う為なにか用意してたのよ
      それは本気を出す為瞑想してたのさ・・・」

 −ピリ!
まわりに緊張感が走った
矢口先生「ゲロゲロ〜〜〜〜。」
一同  「・・・」
ただ単に気持ち悪かった為に様子がおかしかった矢口先生。
庭八郎 「・・・前言撤回(アチャ〜 それでもタンポポ試験受かった奴かよ)」
605 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時25分40秒
市井 「でもさ…戦って気が付いたんだけどさ、裕ちゃんの戦闘
    スタイルって致命的な弱点があるんじゃない?」
明日香「やっぱわかっちゃった?そ〜なんだよね……だからつんく
    さんも後方に下げたんだよ。ま、知ったからって強いの
    には変わりはないんだけどね」
ごま 「え?え?弱点?なになにそれ?」
市井 「あんた、見ててわかんなかったのかよ…ま、それも修行
    だよ。あたし達の戦いをよく思い出して考えてみな」
ごま 「ふ〜んだっ!市井ちゃんの意地悪!べ〜っだ」
市井 「ま、勝ち目があるから一人で行ったんだろうけどさ」
明日香「あたし達は邪魔をしないようにするだけ。でもさ…」
市井 「ん?」
明日香「あっちにはみっちゃんがいるのよね…」
市井 「あ…それってヤバイじゃん。こと格闘スタイルでは相性
    サイアクじゃん」
明日香「みっちゃんが気付かなきゃいいんだけどね……」

最強と言われる中澤の弱点とは!
606 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時31分17秒
ごま 「なによ、ムズカシイ話ばっかしちゃってさ!いいもん、
ヨッスィと遊んでくるもん!」
市井 「こら!ごま四郎、話聞くのも…」
明日香「まぁまぁ、正月なんだしのんびりしようよ。こっちは
なっち、あやっぺ、のの太郎が目を覚まさないと動けない
んだしさ」

お圭 「………」(気絶中
607 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時34分43秒
=別部屋〜あかりもない真っ暗な部屋〜=
ごま 「ヨッスィ〜……あれ?どこいったんだろ。
    ん、そこにいるのは、お梨華ちゃん?」
お梨華「あ…ごま四郎さん……」
ごま 「どうしたの?あかりもつけずに……
    そんなことよりヨッスィ知らない?」
お梨華「え…さ、さぁ?あ、あの宴会の片付けしなくっちゃ…」
さっと逃げるように出ていくお梨華
608 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時38分03秒
ごま 「ちょっとまて〜い…」
ずいと立ちふさがるごま四郎
お梨華「え。な、なんですか?」
ごま 「ちょっと……なんか隠してるでしょ」
市井の時といい、平家の時といい特定の人物になるとなぜか妙に
勘が冴えるごま四郎
609 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時41分45秒
お梨華「え?え?なんのこと?わたしわかんないです〜」
そのまま立ち去ろうとするお梨華

市井 「ほんと〜?」
ずいと立ちふさがる市井
お梨華「きゃあ!ホ、ホントです…わたし知りません!」
市井をかわし走り去るお梨華

明日香「隠し事はためになんないよ……」
お梨華「ひ〜!」
三人に取り囲まれついに観念したお梨華

お梨華「実は……」
610 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時46分28秒
=明日香宅庭=
お梨華「ひとみちゃん…そんないでたちでどこいくの……」
吉澤 「ん?ま、ちょっとお仕事をね……」
お梨華「まさか、お城にいくんじゃ…」
吉澤 「まぁそんなとこかな」
お梨華「駄目だよ!危ないよ。なんでそんなとこに…」
吉澤 「いったでしょ。お仕事……でもないか。盗みに行くん
    じゃないし。取り返しにいくの」
お梨華「何?なにをとられたの、ひとみちゃん!」
吉澤 「……飯田さんの体に平家先生にりんねちゃん……
    この大泥棒吉澤五右衛門から盗むとはいい度胸してるよ、
    絶対に取り返してやる!」
お梨華「………」
三人の名前を聞いてなにも言えなくなったお梨華
吉澤 「そんな顔しないで、ヤバクなったらひきかえすから」
お梨華「ホント?絶対だよ」
吉澤 「うん、お梨華と二人の約束だ」
お梨華「うん!」
吉澤 「それにあたしはほら、福田さんの薬を食べたでしょ。
    あれでしばらくは妖魔に対する抵抗力があるしね。
    大丈夫だよ」
お梨華「……待ってる。だから必ず…帰ってきて…」(涙
吉澤 「うん!じゃぁ、行ってくる!」
月夜の影を残しつつ走り去る吉澤五右衛門
611 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時50分17秒
お梨華「とゆうことが……」

明日香「あ〜、もうっ!どうしてこう……この長屋には無鉄砲馬鹿
    ばっかり住んでるのよ!き〜〜っっ!!」
ごま 「なによムカツク!ヨッスィいつのまにお梨華といい感じ
    になってんのさ!あたしってもん差し置いてさぁ!」
市井 「が〜〜ん!ごま四郎…やっぱりあんた…」

思いは様々のようである……
612 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)06時55分52秒
明日香「き〜っ!もう、本当馬鹿ばっかしなんだから!
    こら〜っ!圭ちゃん目をさませ〜!」
気絶中の保田の胸グラつかんでゆする明日香
明日香「目を覚ませってば〜!こいつら馬鹿しないように
    フン縛っちまえ〜!」
市井 「わ〜!!明日香がキれた〜っっ!」
実はこのスレ一番の苦労人明日香ツイにキれる。
ごま 「あはは、明日香ちゃんすご〜い」
もの凄いグラインドで振り回されるお圭
市井 「ごま四郎!早くあんたも止めるんだよ!
    お圭が、圭ちゃん死んじゃうよ〜」
福田診療所の夜は更けてゆく………
613 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月07日(日)07時17分38秒
平家 「う〜ん、う〜ん…」
正月早々寝込んでる平家先生

圭之介「今年もダメかも……」
614 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時52分19秒
夏師匠「福田、止めなって!」
明日香「あっ・・・夏師匠・・・」
夏師匠「中澤とあの男の子みたいな子・・・吉澤だっけ?の2人がいなくなって
     大騒ぎしてるみたいだけど、こんな時こそ落ちつかないといけないよ!」
明日香「でも・・・」
夏師匠「大丈夫、中澤もいることだし、引き際をちゃんと見極めて帰って来るさ!」
明日香(裕ちゃんだから余計に心配な部分があるんだけど・・・)
夏師匠「そんなことより、あののの太郎とかいう子、目が覚めたみたいだよ・・・」
市井「本当ですか!」
夏師匠「うん。矢口とお亜依だっけ?今は2人が側にいるよ」
615 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時53分03秒
お亜依「ののちゃん、よかった!ウチ、ごっつ心配してたんやで!」
のの太郎「あいちゃん・・・なんかながいゆめをずっとみてたようなきがするのれす・・・」
ごま四郎「ののちゃん!よかったぁ、目が覚めたんだね!
      ごめんね、私がなっちを攻撃していた妖気に気付いていればこんなことには・・・」
のの太郎に抱きつき涙を流すごま四郎
カオリ「あやまらなくていいよ、ごま四郎。この子、みんなが心配しているのに
     あっちの世界で楽しそうにずっと遊んでたんだからさ」
市井「もしかしてカオリ迎えに行ってたの?大丈夫、そんな身体に負担のかかるような事をしても・・・」
矢口先生「そうだよ!生きかえる前に魂が消滅したら意味ないじゃん!」
カオリ「カオリは大丈夫。誰かがいなくなることの方がカオリにとって1番辛い事だから・・・」
616 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時53分35秒
ごま四郎「ねぇ、なっちは?なっちは見つからなかったの?
      私、なっちの目が覚めたら謝らないといけないことがあるのに・・・」
カオリ「ちゃんと見つけたよ。辻と一緒にいたから・・・」
矢口先生「じゃあなんで・・・」
カオリ「途中までは一緒に帰ってきてたんだけどね・・・」
617 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時54分07秒
ごま四郎「ええ〜〜〜〜〜っ!!」
矢口先生「地獄に行ったってどういうことだよ!!」
カオリ「だからね、今のまま帰ってもみんなの足手まといになるからとか
     約束がなんとかかんとかって言ってて、強くなって戻ってくるって・・・」
明日香「まったく・・・なっちらしいと言えばそれまでだけど・・・」
カオリ「大丈夫だよ、なっちは絶対帰って来る!カオリと約束したんだから!」
矢口先生「ウチらにできることはなっちを信じて待つしかないってことか・・・」
618 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時54分38秒
夏師匠「いや、まだアンタたちにできることはあるよ!」
矢口先生「それは!?」
夏師匠「今、中澤が江戸城に行ってる。むこうも応戦するのに手一杯で
     こちらの邪魔はできないだろう・・・
     その間に明日香、アンタは怪我人の治療に専念して全力を出せるよう回復させる事
     他の者には私が修行をつけてあげる!今度こそ確実におあみを倒すために!
     そして、中澤たちが戻ってきて態勢をたてなおして一気に江戸城に攻め込む!」
矢口先生「はっきり言って修行は嫌だけど・・・もう誰も傷つけたくない・・・
      だから、おあみを倒さないと!師匠、お願いします!」
お亜依「ウチもやるで!ののちゃんをこんな目に合わしたヤツをどついたらんと!!」
夏師匠「よしっ!じゃあ、動ける者は庭に集合!まとめて面倒を見てあげる!」
明日香「またうちの庭使うんですか・・・またボロボロになっちゃうよ・・・」
矢口先生「よっしゃあ!みんな、やるぞぉ!」
庭へ駆け出していく矢口先生たち
619 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時55分09秒
市井「あのぉ、夏先生・・・」
夏師匠「なに?」
市井「私とごま四郎は別にしてもらえませんか?
    アイツに・・・ごま四郎に教えとかなければいけないことがあるんです・・・」
夏師匠「別にかまわないけど、アンタ、あの子に厳しく接する事できる?
     今度の戦いは本当に誰か死ぬかもしれないんだ!
     中途半端な修行はその可能性を高くするだけだよ!」
市井「そんなことわかってます!」
じっと市井の目を見つめる夏師匠
夏師匠「・・・わかったよ、アンタを信じる!!」
市井「ありがとうございます、師匠!!」
620 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時55分43秒
−朝焼寺−

ごま四郎「ねぇ〜いち〜ちゃん、こんなところまで来てなにするの?」
その問いかけに答えず黙って鳥居をくぐり境内を歩いていく市井
ごま四郎「ねぇ、いち〜ちゃんてば!」
慌てて市井を追いかけるごま四郎
市井は境内の真ん中まで進みピタリと立ち止まる。しかし、ごま四郎に背を向けたまま・・・
ごま四郎「いい加減に返事してよ!私、怒るよ!」
その時・・・
621 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時56分48秒
“ボッ!!”

髪が金色に染まり、身体を黄金のオーラが取り巻く覚醒モードになる市井
素早く後ろに振り向き、ごま四郎に向って突進する
突然の出来事に反応できないごま四郎
市井はそのままごま四郎のみぞおちに肘打ちをくらわせる!!
その勢いでそのまま後方に派手に吹っ飛ぶごま四郎

“ドカァッ!!”

鳥居に激しく激突し、そのまま倒れこむ
622 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)03時59分58秒
ごま四郎「ゲホッ、ゴホッ・・・。なんで・・・いち〜ちゃん・・・」
市井「立ちな!ごま四郎!」
ごま四郎「なんで・・・なんで・・・」
腹部を押さえ、よろよろと立ち上がるごま四郎
市井「いい?ごま四郎、アンタは2つのことをやらないといけない!!
    1つは『妖気を切り裂き、妖魔を滅する』“血夜骨斗羅武弐の太刀”を会得すること!
    先に言っておくけど、この技は“壱の太刀”みたいに簡単には会得できないよ!
    そして、もう1つ・・・これができなければ技を会得するのは無理・・・」
怯えたような目で市井を見つめるごま四郎
市井「アンタの中で眠っている力を完全に覚醒させ、自由に使えるようにすること!
    ホントは時間をかけてゆっくりと目覚めさせるんだけど時間がない・・・
    だから・・・、私はアンタを本気で殺すつもりで攻撃する!!
    死にたくなければアンタの中で眠っている力を目覚めさせるんだ!」
刀を抜いて構える市井
ごま四郎「無理だよ・・・、そんなの無理だよ!!」
市井「問答無用!!行くよ、ごま四郎!!」
623 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)06時08分50秒
=江戸城・裏門(ってどこだ?)=
堀の橋の上にたたずむ吉澤五右衛門
吉澤 「さ・て・と…やってきたはいいけど、敵もそぉとぉ、
    いい度胸してるよ……」
門番もたてず、解放してある江戸城裏門
吉澤 「罠の匂いがするけど…だからと言って他から忍び込むのも
    そぉとぉ危険だし。さて……」
しばし考えた後
吉澤 「決めた。慣れないことはしない方がよさそうだから、
    あっちの石垣に飛び移って忍び込お〜っと」
地道な吉澤五右衛門
624 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)06時10分51秒
=同刻、江戸城・表門=
同じく堀の橋の上にたたずむ中澤
中澤 「ほ〜…ええ度胸してんのやな。開けっ放しかい」
裏門と同じように開け放されている表門
中澤 「こりゃ、入り難いわ。…さて、どっち行ってもなんか
    ありそうやしな」
しばし考えた後
中澤 「ま、慣れんことはするもんやないってゆうしな。
    正面から入らせてもらいますわ」
そのまま門をくぐってゆく中澤。
625 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)06時13分26秒
=同刻・江戸城内=
平家 「ゲホッゲッホ……」
布団の中で風邪全開の平家先生
圭之介「も〜、平家先生ったらこんな大事な時になにやってんのよ。
    ホントつかえないんだから……」
平家先生の氷のうをとりかえる圭之介ことおあみ
平家 「ゲホッ…だいたいあんたがこの寒空のなか、
    罠やっちゅうて全部戸を開けっ放しにするからこんなこと
    なるんやないかい!ゲホゲホ」
圭之介「だからぁ、悪いと想ってるから、こうやって看病してん
    じゃないのさ」
平家 「あたりまえや!責任とってな!ゲホゲホッ…」
圭之介「はいはい、わかったから……やだ、氷きれちゃった。
    お〜い、りんね〜!」
りんね「は〜い、なんです……ひょっとしてまた氷取りにいくの?
    も〜!富士の裾野までいかなきゃないんだよ。
    ほんと遠いし寒いんだからね」
圭之介「ごめん!お願い、七草粥つくってまってるからさ」
平家 「ゲホゲホ…りんねちゃん勘弁な〜……」
りんね「わかったよ…いってきま〜すドロンジョ様!」
圭之介「だれがドロンジョ様よ!」

なんかこっちはこっちでマターリモードの三悪。
626 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)14時18分05秒
江戸・和田屋――

ソニン「どうしたんですか?いきなり呼び出したりして」
和田屋「うん、実はな吉原にいる芸者にこれを届けて欲しいんだ」
ユウキ「よ、吉原!?そ、そんな所に行ってもいいだなんて・・・で、でもまだ早
     いんじゃないですか!?俺まだ14だし・・でもそんな・・・いや!そ
     んな事ない!!俺も早く一人前の男に・・・」(ゴン!!)
和田屋「誰もそんな事言ってない!この手紙を届けてくるだけだ!!」
ユウキ「そ、そんな・・・」
ソニン「はいはい、落ち込んでないでさっさと行くよ」
和田屋の使いで吉原に向かう優跳組
627 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)14時23分13秒
吉原――

ユウキ「こ、ここが吉原・・・男達のパラダイス!!!」
ソニン「え〜っと、浜屋、浜屋・・・あった!あの店だ・・・ってユウキ!?」
おまみ「ボクゥ、おねぇさんと遊んでいかない?」
ユウキ「はい〜〜〜
ソニン「コラ!どこ行くのよ!!ダメでしょ!!」
後藤屋の魔の手にかかったユウキ
628 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)14時35分19秒
ソニン「まったく!何ふらふらしてんのよ!仮にも忍びの者が色仕掛けなんかに・・・
     あれっ?またいない!?」
ミル姉「新春の初コント、どうだったぁ〜?でもまだダメ。あんなのコントとは言
     えないわ。だってあなた笑ってただけじゃないの」
ユウキ「はぁ、でも僕ら芸人じゃないですし・・・」
ミル姉「そんな事言ってちゃダメ。お姉さんが手取り足取り教えてあげる
ユウキ「えっ?そんな・・・ちょっと待って!俺にも準備が・・・」
大きく『牛』と書かれた異様な店に連れこまれるユウキ

ソニン「あ、あの店は!!・・・ま、いっか。いい勉強になるかもね〜」
あっさり無視して浜屋へと向かうソニン
629 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)15時53分19秒
――江戸城 表門付近。

呑気に口笛で『上海的風』を吹きながら歩を進める中澤屋。
その時突然!

中澤屋「そこやっ!」
一切無駄のないモーションで振り向きつつ、ひょうたんを投擲する中澤屋。

こーん。

「いたたたた……」

中澤屋「あ、あんた……」
630 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)15時53分51秒
中澤屋「あんた、いつの間に……」
ひょうたんを抱えて走り寄ってくるゆゆに、茫然とした表情の中澤屋。

ゆゆ「へへへ、しんりょうじょからずっとぉ」
ひょうたんをぶつけられて赤くなったおでこをさするゆゆ。

中澤屋(診療所からここまで、うちに気配を悟らせんかったやなんて……
    この子いったい何者や……)
631 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)15時54分21秒
「……わかった。あんたの尾行の腕がすごいっちゅうのはようわかった。
 まだ門から入ったばかりのとこやから、あそこからさっさと帰り」

開いたままの表門を指さす中澤屋。

「いやや! うちとゆうちゃんはいつもいっしょなんや!」
「……なっちのケガのこと聞いたやろ。
 今度ばかりはほんまに命の保証ができへんねん。闘いになったら
 あんたのことまでは絶対気が回らん。悪いこと言わんから帰るんや!」
「うち……うち、ゆうちゃんとならしんでもええ!」
「あほ!」

ぱしっ、と乾いた音が周囲に響きわたる。
632 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)15時54分46秒
はたかれた頬を押さえることもなく、涙の浮かぶ目で中澤屋を睨みつけるゆゆと、
ゆゆの両肩に手を添えてしゃがみ込む中澤屋。

「……ええか、うちは今まで金儲けにうつつを抜かしてきたけどな、
 そんなことよりも、やり遂げなあかん仕事が最近ふたつできてもうた。
 ひとつはおあみを倒すこと。
 そしてもうひとつは、あんたを元の世界に帰らしてあげることや」
「……」
「あんたはいつまでもこんな殺伐とした世界に残ってたらあかん。
 元の世界、元の時代に戻らなあかんねや。
 その時代で、いつか、あんたが必要とされる時がやってくる。
 あんたが光り輝くような時代が巡ってくる。
 うちにはわかるんや……」
「……」
633 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)15時55分10秒
「それまでは自分の命に代えても、あんたを危ない目に合わすわけにはいかん。
 うちはそう心に決めたから……」

鼻をすすり、手で両目をこするゆゆ。

「わかったか?
 さあ診療所に戻って明日香先生のお手伝いしたるんや。
 泣きなって、ゆゆ。うちは……うちは必ず戻ってくる……」

ゆゆの赤くなったおでこと頬に、そっと口づけする中澤屋。

「ゆうちゃん……」
「このごたごたが済んだら……福知山へ一緒に帰ろうぜ」

ゆゆからひょうたんを受け取り、
霧深い江戸城の敷地内にと消えていく中澤屋。
634 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)19時32分49秒
吉原・浜屋――

ソニン「あの〜・・・誰かいませんかぁ〜・・・」
おあゆ「誰?新しい子?う〜ん、まだこのお店で働くのはちょっと早いかなぁ?童
     顔だしねぇ。もうちょっとしたらまた来てね」
ソニン「あの、そうじゃなくて・・・和田屋からこの手紙を・・・」
おあゆ「和田屋?ふ〜ん、あゆのふあんの人かなぁ?」(ガサガサ)
ソニン「あのぉ・・・」
おあゆ「・・・・・・」
ソニン「・・・どうかしたんですか?」
おあゆ「なんでもない。ありがとね、じゃ、あゆは忙しいからこれで」
ソニン「???」
とりあえず任務完了のソニン
635 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月08日(月)19時39分07秒
そっと手紙を懐にしまうと、何食わぬ顔で部屋に戻るおあゆ

松浦「どうした?誰だったんだ?」
おあゆ「ねぇ松浦様、お城って今そんなに大変なんですかぁ?」
松浦「ん?ああ、まぁたいした事ではない。後は虎無徹殿に任せれば済む事だ。俺
    達の身に危険が及ぶ事ではない」
おあゆ「そう・・・」
窓から去り行くソニンの後姿をぼんやりと眺めるおあゆ
636 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月10日(水)06時05分35秒
=江戸城・中庭=
吉澤 「なんなの…門だけじゃない。全ての戸が開けっ放し…
    そぉとぉ自信家と見えるな」
中庭に降り立つ吉澤…その時
アミ 「あんたか…」
衣吹 「帰りなよ、あんたじゃこの中に入るのは役不足だよ」
中庭の松の木の逆さにぶらさがる女忍者
吉澤 「あんた達はいつぞやの……そういやかんざしのカリが
    あったよね……」
アミ 「決着つけるかい?」
衣吹 「え?長屋の新人さん?」
吉澤 「ムカッ!それ言わないでよ!」
二人 (これでいい…この娘にはまだ中に入るのは早すぎる…)
挑発することで吉澤の身を案じる二人
637 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月10日(水)06時08分18秒
吉澤 「それじゃいくよ!たぁ!」
いきおいよく跳ね上がる吉澤
衣吹 「かかってきな!……ん、どこ?」
アミ 「衣吹!あそこ!」
二人とは反対の方向に駆け出している吉澤
吉澤 「今日の仕事は厄介なんでね。相手してらんないの」
アミ 「ちっ!」
衣吹 「なかなか冷静だね」
アミ 「追うよ!城の中に入れちゃマズイ!」
衣吹 「わかってる!」
二方向に分かれ横から挟み撃ちに出るアミ・衣吹
638 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月10日(水)06時10分33秒
カキーーンッ
二人の短刀がぶつかりあう
アミ 「速い!なんて瞬発力!」
吉澤 「あんたらが遅いの!」
衣吹 「でも…これはかわせるかぁ!」
挟み撃ちをかわされるも、タックルで飛びかかる衣吹
吉澤 「なんのぉ!」
ハイジャンプでなんなくかわす吉澤
吉澤 「あたしは盗みが専門。よける、かわすはお手のものだよ」
着地後二人を見据える吉澤
吉澤 「やりあえなくてそぉとぉ残念ね。でも今日のところは
    勘弁してね。どうしても成功させないとマズイ仕事
    な・ん・で・ね」
廊下から二人を見下ろすその姿に呑まれる女忍者
アミ 「ちょっと、甘く見てたようだね」
衣吹 「表門からも仲間が入ってきてるし…速攻で決めなきゃ
    マズそうだよ」
639 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月10日(水)06時13分18秒
吉澤 「ちょ、ちょっとまって!あたしの他にも誰かきてるの?」
アミ 「ああ、お前の仲間がな…」
吉澤 「誰?」
衣吹 「応える必要は無い!」
衣吹の声と共にとびかかる
衣吹 「とぉ!」
アミ 「はぁ!」

ガシィッ!
吉澤 「どっし〜ん!」
短刀を持つ腕を片手でそれぞれ受け止める吉澤
アミ 「どうした!よけるんじゃないのか」
吉澤 「予定変更…」
衣吹 「な、なんて力なの…」
アミ・衣吹の腕を抑えたまま吉澤が呟く
吉澤 「誰がきてるか知らないけど…このままあんたらをほうって
    おいたらそっちにいきそうだ。あたしの仕事、それは…」
ガバッ!勢いよく二人をハネ飛ばす吉澤

吉澤 「あんたら二人を叩きのめし、仲間をサポートすること!
    プッチ長屋の吉澤五右衛門、ここにまいる。
    いざ尋常に…勝負!」
640 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月10日(水)09時53分21秒
―城内―

(遠くから)カキーン・・・カキーン・・・

圭之介「ふふ、やっと獲物が迷い込んできたみたいね」
平家先生「なんやぁ〜、誰か来たんかぁ〜?ゲホゲホ」
圭之介「聞こえないの?つばぜり合いの音が聞こえるでしょ!?」
平家先生「うぅ〜、なんやメッチャだるいわぁ〜。アタシ寝るから後よろしく」
圭之介「・・・・・・」(チャキ)
無言で平家先生に向けて刀を構える圭之介

りんね「け、圭之介さん落ち着いてください!元はと言えば圭之介さんが門を全開
     にしたからじゃないですか!!ね、待ってください!!」
今まさに、命の灯火が消えようとしている平家先生
641 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月10日(水)10時30分10秒
(遠くから)ピピピピ〜ピ〜・・・ピピピピ〜ピ〜・・・

圭之介「ったく誰よこんな時に呑気に口笛なんか吹いてる馬鹿は!!」
りんね「こ、この口笛は『上海的風』!!まさか中澤さんが・・・」
平家先生「なんやこの耳障りな音は・・・はぁ〜、しんど」
圭之介「もー何寝てんのよ!熱はもうないんでしょ!?しゃきっとしなさい、しゃ
     きっと!!」
平家先生「そんな事言うても体しんどいねん。もうちょっと休ませてぇな」
圭之介「ずっと寝てたからダルいだけよ!ほら起きなさい!!」
平家先生「嫌やぁ〜!寒い寒い寒い〜〜!!」
りんね「あの・・・だから中澤さんが・・・」
圭之介「そんなのどうでもいいわよ!ほら、平家先生!起きなさい!!!」
平家先生「寒いの嫌やねん!もうええから戸閉めて暖とってぇなぁ〜〜!!」
りんね「・・・それじゃ意味ないじゃないですか」
自ら罠を仕掛けた事すら忘れかけている圭之介と平家先生
642 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月11日(木)01時18分09秒
−朝焼寺−

ごま四郎「はぁはぁ・・・」
呼吸は乱れているがしっかりと刀を両手で握り、構えるごま四郎
しかし、その体には無数の刀傷が刻まれていた
ごま四郎(どこ!?どこなの!?)
忙しなく視線を動かし、襲いかかってくる敵の姿を探す
その時、一瞬、目の前を影が横切った
ごま四郎(上っ!!)
自分の頭上へ刀を素早く突き上げるごま四郎
しかし、そこにはなにもなくただ空が見えるだけ・・・
市井「違う・・・、う〜し〜ろ・・・」
何時の間にかごま四郎の首筋に刀を当て、その背後に立っていた市井庭八郎
643 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月11日(木)01時19分11秒
市井「言っただろ・・・、目で追いかけてたら私は捕まらないって・・・」
そういうと同時に首筋に当てていた刀を自分の手元にむかってすっと引く
ごま四郎「くっ・・・」
ごま四郎の首筋からうっすらと血が滲み出す
市井「今はまだ首の皮をちょっと斬るだけで止めてるからいいけど・・・」
ごま四郎の耳にそう聞こえた瞬間、市井は目の前に立っていた
そして、ごま四郎の腹部めがけて豪快に回し蹴りをはなつ
644 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月11日(木)01時19分50秒
ドカァ!!ズザザザザザザ・・・

派手に吹っ飛び、地面を滑っていくごま四郎
ごま四郎「ゲホッ!」
咽るように咳き込むと同時にごま四郎の口から唾液と共に血が吐き出される
645 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月11日(木)01時24分10秒
ザクッ!

地面に刀を突き刺し、それを杖のように使うことでなんとか立ち上がるごま四郎
ごま四郎(全然手も足も出ない・・・。いち〜ちゃんと私の実力ってこんなに差があったの・・・
      いち〜ちゃんは息も全然乱れてないし・・・。まるで大人と赤子の喧嘩だよ・・・)
市井「アンタ、本当なら100回は確実に死んでるよ・・・。私がいない間ちゃんと修行してた?
    あまりにも隙が多すぎるし、繰り出す技全てが力任せ・・・
    あ〜あ、私もう飽きてきちゃったよ・・・、いつまで経っても進歩が見られないし・・・
    そろそろ本当に殺っちゃおうかな・・・」
市井は表情は感情が読み取れそうもない、まるで冷酷な殺人鬼のような表情で呟いた・・・
646 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月11日(木)09時40分42秒
−明日香の診療所−

のの太郎「い〜らさん、い〜らさぁん!」
明日香「のの太郎、あんまりうろうろしちゃダメでしょ。まだケガが治ってないん
     だからね」
のの太郎「あすかさん、いーらさんしりませんか?さっきからすがたがみえないん
      れすけど・・・」
明日香「そう言えば見ないわね。・・・どこ行ったんだろ?」
大女の幽霊「でぃあ〜〜〜・・・」
のの太郎「ひぃーーー!!!」
明日香「・・・カ、カオリ!?なんで井戸の中にいるのよ!!?びっくりするじゃ
     ない!!!」
大女の幽霊「なんか落ち着くの。やっぱりここがカオの居場所なんだなぁって」
明日香「・・・そ、そう。・・・のの太郎!?」
のの太郎「きゅ〜〜〜・・・」
井戸から飛び出た貞子の如き姿に気絶したのの太郎
647 名前:今回場面切り替え多すぎ 投稿日:2001年01月13日(土)07時26分41秒
=江戸城内・廊下=

中澤 「やれやれ…開けっ放しかと思ったら……しっかり細工
    しとんねんな。城ん中に外からは入れるが中からは
    結界で出られんときたもんや…さて、入ってもうたんは
    しゃーない、前に進むとするかい……」
648 名前:解り辛いかも 投稿日:2001年01月13日(土)07時29分40秒
=江戸城内・別室=

りんね「ほら!中澤さんがきちゃいましたよ!どーすんです!」
圭之介「え?いつのまに?」
りんね「さっきからいってるじゃないですか〜!」
圭之介「ふふふ…中澤か。ちともの足りないけど……
    死んでもらおうか…はぁ!」
邪気の念を一気に溜める圭之介
平家 「お〜、吉澤ちゃんがんばっとるやん。がんばれや〜」
外眺めて野次とばす平家先生
圭之介「………」
りんね「集中して!集中!」
やっぱ人選間違えたと思うぞ、圭之介ことおあみ
649 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月13日(土)07時32分15秒
=江戸城・中庭=

吉澤 「な、なんなの!」
戦いを忘れ、あっけにとられる吉澤
アミ・衣吹「はじまったか……」
江戸城の堀の水が空高くあがり城内めがけて流れ込む

ドドドドドド……

吉澤 「なんてこと…これじゃ、中は…」
650 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月13日(土)07時34分46秒
=江戸城内・廊下=

中澤 「どわ〜!なんちゅうことすんねん!あのアホ。」
流れ込んできた水からにげまどう中澤
中澤 「なんやの、これ。外には出られんし、追い付かれたら……凍死やで!」
階段を見つけ一足飛びに駆け上がる
が、追いかけるように濁流も昇ってくる
中澤 「昇ってきよる…逃げ回るしかないんかい…」
651 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月13日(土)07時38分27秒
=江戸城内・別室=

圭之介「ふふふ…」
りんね「あの〜…中澤さんがこれくらいでどーかなるとは……」
圭之介「わかってるわよ。特等席でお待ちしましょ。
    ね、平家せん……」
平家 「ガチガチガチ…ぶえーぷしょい!」
窓際にいたため、とばっちりを受けた平家先生
圭之介「………」チャキッ
りんね「わ〜!斬っちゃだめ〜!」
652 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月13日(土)07時40分49秒
=江戸城内・中澤=

最上階までのぼりつめた中澤
中澤 「ち…まだおっかけてくるんか…どーせならいい男に
    追いかけられたいもんやわ……ってヤバイな…よし!」
瓢箪の中身を口に含み辺りを見回す。
そして一つの小窓に向かい駆け出した。
中澤 (こんくらいやったら、なんとかなるやろ)

ブバァ!

口に含んだ中身を小窓に向かい吹きかけると小窓の結界が消えた
中澤 「よっしゃ!」
そのまま窓から飛びだし屋根に身を隠す中澤
653 名前:名無しチビンバ 投稿日:2001年01月13日(土)07時45分06秒
=江戸城・天守閣=

中澤 「ふ〜、なんとかやりすごしたかい。しっかし一気にこんな
    とこまで来てもうたんか…どうしたもん……」
言葉も終える前に天守閣最上部を見上げる中澤
そこには不敵にかまえる飯田圭之介の姿があった。
中澤 「カ、カオ……おあみか」
圭之介「ふふふ、お久しぶりね…どぉ?懐かしい顔を見た感想は」中澤 「悪趣味やな……イレモンだけ立派でも中身がしょーもない
    っちゅう見事な見本や」
圭之介「いつかみたく、今回はごま四郎はいないわよ、一対一で
    どこまで頑張れるか楽しみだわ」
中澤 「ふ…」
瓢箪の中身を口に含む中澤
圭之介「おっと、あたしにそれは利かないわよ。酒かと思ってたら、
    まさか南蛮渡来の『聖水』とはね……」
中澤 「ごくっ…う…あきんど長くやっとるといろいろとな、
    おもろそうなモン手に入んねん……」
654 名前:中澤の笑った顔は「川原正敏」の 投稿日:2001年01月13日(土)07時47分48秒
カコーン

中澤の手から瓢箪が落ちる。その手で指さす先には飯田圭之介、
否、おあみの姿がある。
おあみを指さし中澤が笑った。

中澤 「カオには悪いけど……おあみ、あんたの顔面に一発ブチ込む
    ためにここまできたんやで……楽しくいこうや」
655 名前:白目で牙はえた顔がイメージです 投稿日:2001年01月13日(土)07時51分15秒
=江戸城内=

平家 「エップシッ…ズズズ…」
りんね「本当は盛り上がるはずなんだけどな……」
なぜか看病役のりんね
656 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月15日(月)07時11分15秒
=江戸城・天守閣上=

おあみが邪悪な笑みをうかべ口を開く
圭之介「その前に…中澤さん、一ついいかしら。どう、こちらに
    つく気は無いかしら?」
中澤 「アホなこと言わんとき。おあみ、自分何しでかしたんか
    忘れてもうたんか?」
とりつくしまも無く即答する中澤におあみは続ける
圭之介「無理しちゃって……こっちにくれば、後からのこのこ
    入ってきた小娘の為に後ろに下げられたり、年長という
    ことで器でもないリーダーを押し付けられたり、
    そのくせ年齢でいちいち比較されたりしないわよ。
    年齢だけじゃない、そう実力とか…」
中澤 「うっさいわ!あんたに何がわかるっちゅうねん!」
657 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月15日(月)07時14分41秒
中澤の僅かな動揺をおあみは見逃なかった
圭之介「はぁ!」
安倍を無限地獄に陥れた波動が中澤目掛けて走る
中澤 「不意撃ちかい、紗耶香も見習って欲しいもんやな…ほい!」
ジャンプでかわす中澤。しかし…
圭之介「かかった……はぁ!」
中澤 「しもた!フェイクかい……がはっ!」
圭之介「中澤さん…あなたは耐えられるのかしら?」
そのまま屋根に叩きつけられた中澤。胎児のように身をまるめ
呻いている…
中澤 「あ…ああ……」
圭之介「うふふ。ねぇ、悔しいって言いなさい、恨めしいって
    言いなさいよ。そうしたらあたしが新たな力をあなたに
    あげるわ。うふふふ……」
658 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月15日(月)07時16分47秒
=江戸城内=

平家 「ゲホゲホ…なぁりんねちゃん、さっき裕ちゃんがきとる
    ってゆうとったけど…」
りんね「ええ……たった一人できてましたよ、中澤さん」
遠い目をして呟く平家先生
平家 「大丈夫やろか……」
りんね「大丈夫でしょ、おあみちゃんもまさか殺しはしないでしょ」

平家 「いや…おあみがや……」
659 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月15日(月)07時19分14秒
りんね「なんだ、平家先生しってたんですか、中澤さんの本性」
平家 「裕ちゃんとどんだけつきあってきたと思とるん…
    ってアンタもしっとるん?」
りんね「あのですね、あたし達や、優跳組は義理人情やお金で
    中澤さんトコいるんじゃないんですよ。あの人が強いから
    逆らえないんです」
平家 「じゃ、やっぱりおあみは……」
りんね「ヤバイでしょうね。……どうします?」
平家 「決まっとるやん」
刀に手を伸ばし起き上がる平家先生

平家 「さてと、こんなん望んで無かったんやけど……」
りんね「付き合いますよ。運命と諦めましょ」
660 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月16日(火)08時47分52秒
―地獄―

安倍代官「ふぅん、ここが地獄だべか・・・。針の山も血の池もないべさ。おかし
      いべ、瓦版に書いてあった『必見、地獄の歩き方!』はウソだったべ
      か?なっち信じてたのに・・・あーーー!!!あそこにいるのはジャ
      ン・レノだべ!やっぱりコーヒー飲んでるべさ!!レオン見たべ、ゴ
      ジラも見たべ!!サイン下さ〜い」
ジャン・レノ「◎$▲♂#&◇♀●▽?」
安倍代官「うぃ!うぃ!!うぃー!!」
ジャン・レノ「△&%!■○#♂△●♀■」
安倍代官「・・・ダメだべさ。なっち返事しか分かんないべ。何言ってるのかさっ
      ぱりだべさ」
地獄で言葉の壁に苦しむ安倍代官
661 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月16日(火)08時56分46秒
ジャン・レノ「■♀◎$&▽♂#」
安倍代官「ん?何だべ?あっちの方指差してるべさ・・・」
ジャン・レノ「○%◇♂◎∵▲、◇&▽$◎○●」
安倍代官「あっちにむかえって言ってるべか?あっちになっちの求めるものがある
      んだべか・・・よし!行くべ!!なっちはもう逃げないべさ!!もう
      誰も傷つけたりしないべさ!!!」
決意を新たに、前方にある暗闇へと進んで行く安倍代官

ジャン・レノ「サムライハラキィーリゲイジャガール、マイドオオキニィ」
誰から教わったのか、意味不明な日本語で見送るジャン・レノ
662 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月18日(木)20時18分08秒
ジャン・レノと別れ進む安倍代官
暗闇の中からピアノの音が・・・。

安倍代官「あ〜〜〜〜!!あれはジョン・レノンだべ!!!
    ジャン・レノの次はジョン・レノンだべ!!!」
ジョン・レノン「いまじーん おーざぴーぽー♪
       りびーんらーいふいんぴーーーす♪ゆぅふぅ〜ぅぅ♪」

地獄で有名人と巡りあう安倍代官
663 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月18日(木)20時20分41秒
安倍代官「でも、ジョンも異人さんだべ・・・言葉が分かんないっしょ」
ジョン・レノン「みーノわいふハじゃぱにーずデース。
       ニホンゴチョトワカルデース。」

怪しい日本語を駆使するジョン・レノン
664 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月19日(金)08時52分53秒
ジョン・レノン「アナタゲーシャガァール?ノォ?オッオォ〜カフキチョーラブ
         ゲッチュー」
安倍代官「・・・わかんないべ。多分日本語だと思うけどさっぱりだべさ」
ジョン・レノン「オゥ、シベヤ、シンジュゥクゥアリガトサン」
安倍代官「・・・ダメだべさ、もう頭豆腐みたいだべ」
???「よかったら通訳しましょうか?」
安倍代官「はっ!!ジョン・レノンが2人!!?な、なんで・・・」
ココリコ田中「僕はジョンじゃありません。ココリコ田中です」
ジョン・レノン「オッオー!?ユーイズミー?オーマイガッ!!」
ココリコ田中「ノンノン、アイムジャパニーズフェイマスゲイニン」
ジョン・レノン「ゲイニン!?ホワッツ!!?アキラクロサワ?」
ココリコ田中「・・・・・イエス!!!」
安倍代官「なんでイエスだべさ!!もういいべ!さっさと帰れ!!!」
ココリコ田中「そんな、安倍さんが困ってたから助けてあげたのに・・・」
ジョン・レノン「オゥ、ジャパニーズカァール、ベリィキレテナァーイ」
安倍代官「もうわけわかんないべ!もうなっちは行くべさ!さよなら!!!」
怒りをあらわにして、暗闇の向こうに消えて行く安倍代官

ココリコ田中「・・・イエスタデェー」
ジョン・レノン「・・・イエスタデェー」
665 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月19日(金)18時57分46秒
−明日香の診療所・庭−

バキッ! ドカッ! ボコッ!

夏師匠「よしっ!少し休憩しよ〜か!」
1人元気ハツラツな夏師匠

矢口先生「やっと休憩だぁ・・・」
お亜依「もぉだめ・・・」(バタッ!)
お圭「あっ!お亜依のヤツ気絶しちゃったよ・・・」
矢口先生「圭ちゃんだって、さっきまで気絶してたくせに・・・」
お圭「仕方ないでしょ・・・。祐ちゃんを止めようとして気を使い切っちゃったんだから・・・」
夏師匠のまわりでヘトヘトになって倒れている3人
666 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月19日(金)18時58分38秒
お彩「3人まとめて相手にして平然としてるなんて・・・ホント元気ですね、師匠」
縁側でお茶をすすりながら見学していたお彩
夏師匠「そんなことないさ。私にはこの子達より実戦経験がある分
     ペース配分とか力の使い方が少し巧いだけだよ」
お彩「それにしてもあの子・・・、凄い才能を秘めてるかもしれませんね・・・」
夏師匠「お亜依のことかい?私もあそこまでやるとは思わなかった・・・
     まだ真っ白な状態だからねぇ、ホント育てがいがあるよ
     さあ、どんな得物を使わせようかな・・・
     刀の使い手はたくさんいるし・・、格闘技をさせるには体が小さいか・・・
     でも、槍って感じじゃないしねぇ・・・」
お彩「そんなに悩まなくても・・・」
夏師匠「変わったところで鎖鎌とか短銃・・・、爆弾とか面白いかも・・・」
お彩「師匠・・・、だんだん顔がニヤケてきてますよ・・・」
667 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月19日(金)18時59分25秒
夏師匠「まあ、それは後で考えるとして、安倍の顔でも見てこようかな・・・」
お彩「じゃあ、私は1度家に帰ります。
    旦那に子供の世話を任せっきりにしてるし、子供にお乳もあげないとね」
668 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月19日(金)19時04分41秒
−診療所の一室−

お梨華(神様・・・、どうかひとみちゃんをお守り下さい・・・)
仏壇の前に座り、手を合わせているお梨華
夏師匠「こんな所で何してるんだい?」
そこに通りかかる夏師匠
お梨華「あっ!夏師匠・・・」
夏師匠「何をそんなに必死に祈ってたの?」
お梨華「ひとみちゃんの無事を・・・。本当は一緒に行ってひとみちゃんの力になりたい・・・
     でも・・・、私にはこうやってお祈りすることしかできない・・・
     何もできない・・・力の無い自分が凄く情けないです・・・」
夏師匠「そんなことない!アンタの存在は吉澤にとってとても大切なんだよ!
     生きて帰ってくるための目標になるし、無茶をさせない制御装置にもなる
     だから、自分に自信を持って、強く吉澤の無事を祈りなさい! 
     弱々しい祈りだと神様のところまで届かないよ!」
お梨華「はいっ!」
夏師匠「よしっ!あっ、そうそう、吉澤のための祈りで大変だろうけど、
     ついでに中澤の無事も祈ってやって!」
そう言い残し、部屋から出ていこうとする夏師匠と
再び仏壇に向って祈りを続けるお梨華
669 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月19日(金)19時09分19秒
夏師匠(しかし、今まで気がつかなくて、さっき気付いたけど
     お梨華の体を何かの力が被っていた・・・というか、あの子自身が放出してるみたい・・・
     闘気とは違う・・・妖力とか霊力には近いけど何か違う感じがする・・・
     本人も全然築いてないみたいだけど、あの子、何か特別な力を秘めてるわね・・・)
670 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月20日(土)21時06分32秒
―地獄―

安倍代官「ふぅ、もう歩きつかれたべさ・・・ん?誰かいる」
青鬼ウド「あっ!なっちだぁ!天野君天野君、やっとなっちが来たよぉ〜!!」
赤鬼天野「なっち、よく来たね。待ちくたびれたよ」
安倍代官「お、鬼!!?な、なんだべさ!なっちはもう逃げないべよ!!」
青鬼ウド「よぉ〜し!僕も負けないぞ〜〜!!」
赤鬼天野「違うだろが!お前何やってんだよ!なっち、俺らはなっちの手伝いをし
      ようと思って待ってたんだ」
安倍代官「手伝い?」
赤鬼天野「そう、さっきボスから連絡があってね、なっちが行くから助けてやって
      くれって。なっちもさっき会っただろ?缶コーヒー飲んでるフランス
      人だよ」
青鬼ウド「その通り!」
安倍代官「???」
あまり鬼にはふさわしくないキャスティングに不信感を募らせる安倍代官
671 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月20日(土)21時22分33秒
安倍代官「なんか信じらんないべ・・・」
青鬼ウド「聞いた天野君!ひどいよなっち!僕らの事信じてくれないなんて!!」
赤鬼天野「もういいよ、お前!ちょっと黙ってろよ!!」
青鬼ウド「ひどいよ天野君!天野君だけは僕の味方だと思ったのに!!」
赤鬼天野「うるせーよ!ところでなっち、君は強くなりたいんだろ?」
安倍代官「そうだべ。なっちは強い力が欲しい!みんなを守れる強さが・・・」
赤鬼天野「・・・俺はさ、強さってのは力だけじゃないと思うんだ」
安倍代官「えっ?」
赤鬼天野「確かに力も大事だよ。でも、もっと大事なのは心じゃないのかな?」
青鬼ウド「天野君かっこいーー!!」
赤鬼天野「だから黙ってろよ!あのさ、本当に強い人は、それに見合った心の強さ
      も持っている、俺はそう思うんだ」
安倍代官「・・・・・」
赤鬼天野「なっち、あの舟に乗って行くんだ。そうすれば、君はもっと強くなる。
      心も、腕もね・・・」
青鬼ウド「天野君天野君、僕らも一緒に行こうよ。一緒にペアボート乗ろうよ」
安倍代官「・・・分かったべ!なっちは行く!ありがとね」
赤鬼天野「ああ、今度会う時を楽しみにしてるよ」
決意を新たに、古ぼけた舟に乗りこむ安倍代官

青鬼ウド「ひどいよひどいよ!2人ともなんで僕を無視するんだよぉ!!」
672 名前:さて、江戸城天守閣では…… 投稿日:2001年01月21日(日)04時13分58秒
=江戸城・天守閣=
中澤 「あ…あ、あ……」
おあみ「ふふふ…あなたはどんな姿を見せてくれるのかしら?」
673 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時17分29秒
=中澤裕子の精神世界=

女  「はぁ?江戸に出る?なにいっとるん、自分の年を考えて
    からモノ喋りぃな」

うち自分の夢に挑戦したいねん!

女  「アンタなぁ、馬鹿も休み休み言い…そんなアホなん
    言ってる間あったらな…」

なんで!なんでわかってくれへんの……おかぁちゃん…
674 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時21分00秒
男  「聞いたよ…江戸に出るんだってな……お前の夢だった
    もんな…夢をつかむために……そっか頑張れよ」

ごめん、ごめんなぁ……

男  「なんて言うとでも思ってんのか!どうゆうことだよ!
    もう祝言の告知はしちまったんだぞ!お前は俺の顔潰す気
    かよ!え?お前自分さえよけりゃそれでいいのか!俺は、
    俺はなぁ……」

ごめんなさい!うちは…うちは……
675 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時23分53秒
山崎 「ようやくお前達の晴れ舞台だな。」

はい、いろいろありましたけど…出発点にたっただけですんで

山崎 「まぁ、お前には期待しとらんからな。楽にいっとけや。
    これは、あのまま返したんじゃもったいない安倍、福田の
    為の処置なんだから…実力・才能の無いやつは…
    なぁ(ニヤリ」

なんでや、なんで今そんなこと言いますのん……
676 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時28分04秒
つんく「中澤、お前最近ええ感じやん。どや、一人でやってみんか?
    おっと、もちろん孟忍愚と同時進行やで。どや?」

はい。それやったらよろこんで。

つんく「あ〜、それでな…言い難いんやけど……本隊のほうでは
    新しい3人でいこうと思ってんねん……中澤…サポート
    の方よろしくな」

ちょっと!それって!うちは、うちは孟忍愚の中澤裕子です!
なんで、なんでですのん!うちが下がる必要が?
こたえてください!

つんく「……お前が好かんからや」
677 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時32分06秒
平家 「なんや、裕ちゃんこんなトコ呼び出して……あんま居酒屋に
    顔出してっといめーじ悪うするで…」

みっちゃん…実はな……

平家 「そっか…単独の仕事の代わりにメインからはずされたんか…
    なんかヒドイ話やなぁ……」

………

平家 「なぁ、裕ちゃん……殺るか?」

だ、誰をやねん

平家 「誰でもええやん。そんな目にあわせるつんくさん、後から
    ノコノコやってきた三人、そや、今現在邪魔しよる
    なっちや明日香とかな……」

やめてな!…そんなこと言うの……やめてな…

平家 「裕ちゃん、それはムシがええ話なんとちゃうか?
    自分がのし上がる為には必要なことなんと思わん?
    だいたいな……」

み、みっちゃん……

平家 「後からヒョコっと出てきたんに美味しいトコ持ってかれたん
    はアタシのほうやで!なんなの、アンタら」

そ、それは……

平家 「それなのに、ようもまぁ、アタシに相談とは……
    イヤミなんかい!裕ちゃん!」

違う!違うねん!
678 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時34分34秒
そんな……みんなそんな風に思っとったんか……うちは、うちは……
679 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)04時35分27秒
おあみ「だいぶ、こたえてるようね。うふふ」
中澤 「う、うぅ……」
おあみ「そう、悔しいって言いなさい。あいつらが恨めしいって
    言いなさい…そうしたらあたしの下僕になれるわ。
    そんなつまらないこと忘れさせてあげる……」
中澤 「う、うぅ……」
680 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)06時26分24秒
中澤 「あ・・・・ああ・・・・」
おあみ「ほらほら、無理しないで・・・」
中澤 「あ・・・・・・アホーッ!!!」
おあみ「!?」
中澤 「・・・えげつないことしてくれるやんけ。
    まあ、なっちならともかく
    うちは洗脳されるにはちょお人生経験豊富過ぎるわ」
おあみ「・・・なるほどね。」
中澤 「って、納得すんな!
    それに、耐えられるけど、心は痛いんやで。
    おあみ。いい加減やりすぎや。うちが成仏、いや、消しさったる!」
おあみ「(・・・予想以上の力ね。ここはやはり平家先生に・・・)」
681 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)13時26分07秒
稽古疲れで爆睡してしまい、目覚めるとすでに
誕生日の翌日になっていた矢口先生。
682 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)21時38分16秒
地獄、水上――

ギーコ、ギーコ(舟を漕ぐ音)
安倍代官「ふぅ、もう随分来たけど向こう岸はまだだべか?」

ブクブクブクブク・・・
安倍代官「ひっ!な、なんだべさ!?水の中になんかいるべ!!!」

ザッパーーーン!!
安倍代官「ひぃぃぃぃぃ!!河童!?河童だべさーー!!」
ごま四郎「ひどいよお代官様。河童じゃないよ、後藤だよ」
安倍代官「ご、ごめんだべさ・・・。あんまり似てるもんだから・・・」
ごま四郎「ねぇ、やっぱアタシって魚顔なのかなぁ?これでも結構気にしてんだけ
      どねぇ〜・・・よっこいしょっと」
ずぶ濡れのまま、何食わぬ顔で舟に上がりこむごま四郎
683 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)21時53分28秒
安倍代官「ところでごま四郎はなんでこんな所にいるべか?」
ごま四郎「なんでって・・・なんでだろう、あはっ」
安倍代官「しょうがないなぁ〜。なっちは今大事なとこだから、ごま四郎は帰りな
      さい。鬼さん達がいた所まで戻ってあげるから、ね」
ごま四郎「えー、いいよ別に。お代官様どっか行くんでしょ?アタシも行くよ」
安倍代官「そう言うわけにはいかないべ。さ、戻ろ」
ごま四郎「あのさー、そんなにアタシ邪魔?」
安倍代官「何言ってるべさ、そんな事あるわけないっしょ。ね、舟に乗りたいんだ
      ったらあっちに戻ったら一緒に乗ろ?」
ごま四郎「お代官様はアタシの事嫌いなんだ・・・いいよ、別に分かってたし」
安倍代官「だから何言ってるべさ。なっちはごま四郎の事、大好きだよ」
ごま四郎「別にウソつかなくてもいいよ。つーかアタシも嫌いだし。なんでお代官
      様はすぐいい子ぶるのかなぁ?そーゆー人見てるとマジムカツク」
安倍代官「なんだ、ごま四郎はなっちの事嫌いだったんだ・・・いやぁー、なっち
      ショックだべさ」
ごま四郎「だからさ、そーゆーわざとらしい言い方がムカツクっつってんじゃん」
安倍代官「・・・・・」
困惑の色を隠せない安倍代官とは対照的に、ダルそうなごま四郎
684 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月21日(日)22時12分47秒
ごま四郎「ねぇ、なんでお代官様ってまだ江戸にいんの?」
安倍代官「えっ?」
ごま四郎「もう用ないんだから、さっさと蝦夷に帰れば?」
安倍代官「な、何言ってるべか?」
ごま四郎「だからさー、もう誰もお代官様に用なんかないんだから、さっさと田舎
      に帰れっつってんの」
安倍代官「なんで・・・なんでそんな事言うべさ!」
ごま四郎「なに怒ってんの?ホントの事じゃん。みんなだってそう思ってるよ。裕
      ちゃんとかカオリとかもそう思ってるよ」
安倍代官「ウソ!そんなのウソだべさ!!」
ごま四郎「アタシだって最初はウソだと思ってたけどさぁ、こないだ聞いちゃった
      んだ。明日香さんの診療所で2人言ってたよ?『なっちいつまで居る
      んだろう』って」
安倍代官「ウソだべ!!ウソだべそんなの!!」
ごま四郎「でもあの2人の言う事わかるよねー、だってみんなお代官様の事昔から
      よく知ってるし仲もいいじゃん?そーゆー人が落ちぶれてくのって、
      仲間として見てるのつらいんじゃないかなぁ?」
安倍代官「落ちぶれ・・・なっちは、なっちは落ちぶれてなんか・・・!!」
ごま四郎「あはは、まだいけるって思ってんの?お代官様マジ笑えるぅ〜・・・そ
      ろそろマジで現実見た方がいいんじゃないの?」
子悪魔のような笑みで安倍代官を見つめるごま四郎。何も言えない安倍代官
685 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月23日(火)05時54分50秒
=江戸城・天守閣=

拳を握りながら中澤がおあみに声をかける
中澤 「その前に一つ………聞かせてな。アンタなんでそこまでして
   カヲの体に固執しとったんかを……」
おあみ「……いいわ、教えてあげる。全てはこれの為!」

ブウォン

漆黒の刃『磁世雨惣』抜いて見せるおあみ
おあみ「あたしは虎無徹様のおかげでいろんなモノを手に入れた。
    技、名声、お金……だけど、この磁世雨惣は、あたしを選ば
    なかった……たかが刀の分際で!それがケチのつき始め……
    最後にはごま四郎には完敗するわ……いい!あたしはね、
    あんた達に負けたんじゃない!ごま四郎がいたから……
    ごま四郎さえいなけりゃ、あたしはまた頂上を目指せる…
    いや!てっぺんはあたしのモノなの!」
686 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月23日(火)05時57分30秒
中澤 「そんで、カヲの体を……」
おあみ「そうよ、悪い?この刀さえあれば、ごま四郎なんて恐れる
    ことないわ。そのために暗黒の力をモノにしたのよ。
    そしたらしゃしゃり出てきたのよ。飯田圭織が……
    あの娘なんて言ったと思う?あたしを救いたい…だってぇ、
    笑わせるじゃない。自分の命を狙ってるあたしに
    そんな言葉かけちゃってさ。お人好しねぇ…
    だからあいつはいつまでたってもあんなポジションなの…」
まるで詩うかのごとくまくしあげるおあみが、ふいに口を閉ざした
もちろん制したのは中澤

中澤 「ちょっと黙れ……」
687 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月23日(火)06時02分54秒
中澤 「カヲの顔でそんなん言わんといてんか……なんかめっちゃ
    ムカついてきたわ……」
おあみ「む、ムカついたからどうだっていうのよ」
気丈に応えてはいるがおあみの顔はあきらかに動揺していた
静かに中澤は言葉を続ける
中澤 「うちはアンタのこと正直恐かったわ……人とは思えん術を
    つかうわ、なっちにした事…あんなんまっとうな人間には
    できるこっちゃないわ……」
おあみ「ふふふ……でしょ。あたしは生まれ変わったの……」
中澤 「なに言うてんねん。てっぺん?そうやないやろ?あんたは
    あの人の側にいたかっただけやろ。あんたを持ち上げて
    くれたあの人の。笑わせるわ。あんた只の人間やないの…
    醜く歪んだだけの…」

中澤 「ただの人間やぁ!」
叫ぶと同時に中澤はおあみに猛然ととびかかっていった……
688 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月23日(火)08時13分07秒
平家 「なぁ、二人はどこにおんの?」
りんね「さぁ……」
迷子の迷子のお二人さん
689 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月24日(水)05時34分59秒
=江戸城・中庭=

そこには、成す術も無くうずくまる吉澤五右衛門の姿があった

吉澤 「ぐ……はぁ…」
アミ 「なによ、威勢のいいわりにはそんなモンだったの?」
衣吹 「あんたの潜在能力にはおどろいたけど……どうやらまだ
    実戦には慣れていないようね。」
吉澤(くぅ…只の二人がかりって思ったけど、この二人は違う……
   闘い慣れてる……)
衣吹「来ないんならこっちから行くよ」
アミ「はぁ!」
同時に吉澤に踊りかかる二人
吉澤「そ、それに…さっきから体が思うように動かないし…」
そういやそんな設定あったな……と思いでを辿る吉澤
690 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月24日(水)05時37分29秒
    カキーーンッ

とりあえず身を起こし二人の攻撃を短刀で受ける
吉澤 「はぁ、はぁ……防戦ばっかりじゃ、そぉとぉマズイよね…
    こっちも奥義全開といくよ!」
気合いを入れる吉澤を冷かな目で見るアミ・衣吹
アミ 「ふ〜ん……その奥義とやら…」
衣吹 「あたし達が破らせてもらうよ」
二人はすかさず間合いを取り身構える
吉澤 「言ってなさい。……はぁ!青春慈醍壱・弐・参!」
持っている武器は違えど後藤のそれと全く同じ技を体得していた吉澤
衣吹「甘い!」
壱の攻撃を交わされた時点で勝敗は決まった
吉澤「ぐほっ!」
鳩尾に拳を叩き込まれ崩れ落ちる吉澤
アミ「見事な技だけど……寺田津久守の技ならあたし達には
   無駄だよ、なんせあたし達は…」
衣吹「アミ!」
吉澤には聞こえてはいないのだが、アミを制する衣吹
アミ「ご、ごめん衣吹…さぁ、あんたにはしばらく眠ってもらうよ。
   こっちも忙しいんでね」
二人は吉澤に向かい構えをとった
691 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月24日(水)05時40分18秒
(……ちゃん……とみち……)

ん?誰?もう…疲れたよ……休ませてよ…

(……みちゃん……ひとみちゃん!)

まさか…お梨華ちゃん?

(お願い!ひとみちゃん…必ず帰ってきて!)

…もう!いっつもそうなんだから、たまには休ませてよね。
わかったわよ、もう。約束したもんね、必ず帰るって……

(……ついでに中澤さんも…)

………
中澤にはこの声が届いていないことを祈る吉澤五右衛門
692 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月24日(水)05時42分22秒
吉澤 「まだまだぁ!」
立ち上がる姿に驚きを隠せないアミ・衣吹
アミ 「え……」
衣吹 「ま、まだ…立てるのか?」

吉澤 (さてと…立ったのはいいけど…これからどうしようかな…
    そぉとぉピンチなのは変わってないんだよね……」
693 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月26日(金)18時23分40秒
平家先生「なぁ、錦鯉って高いんやろ?いくらくらいするんかなぁ?」
りんね「どうでもいいけど早く中澤さん探しましょうよ・・・」
庭にある池に迷い込んだ平家先生+りんね
694 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月26日(金)23時05分32秒
〜地獄〜
ごま四郎の容赦の無い言葉に黙り込む安倍代官
ふと、櫂を漕ぐ手を止めた

ごま四郎「・・・?ここに飛び込んで楽になる?
     そのほうがいいかもね〜。地上に戻っても辛いことばっかりだし」
安倍代官「・・・可哀想な子だべ」
ごま四郎「ププッ、自分を慰めようとしてるわけ〜?」
安倍代官「ごま四郎がどうしてここに堕ちてきたかは分からないべ。
     でも・・・ごま四郎も誰かに裏切られたと思い込んでるんだべ?」
ごま四郎「あ、あたしはお代官様と違うもん、みんなと仲良くやってるわよ。
     みんなソウルメイトなんだから・・・。」
安倍代官「・・・弱い子だべ」
ごま四郎「誰が?誰が弱い子なのよ!!」
見る間に涙目になっていくごま四郎
安倍代官「よしよし」
ごま四郎を抱き寄せようとする安倍代官
ごま四郎「さ、触らないでよ!!」
代官をはねのけようとするごま四郎
695 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月26日(金)23時16分22秒
安倍代官「たとえ誰かがなっちを裏切っても・・・
     なっちはみんなを信じつづけるっしょ。」
ごま四郎「・・・」
安倍代官「さあ、みんなのところに戻るべ?」

ごま四郎「あ、あたしは・・・戻れない・・・よ・・・」
ごま四郎の体に、市井庭八郎につけられた傷が浮かび上がる
ごま四郎「市井ちゃん・・・あたしのこと大好きだって・・・言ってたじゃん・・・
     大好きな人を・・・こんな風に傷つけるの?」
安倍代官「紗耶香に・・・」
ごま四郎「修行なんてウソ、どうせ弱いあたしを苛めて楽しんで・・・
     結局・・・殺すつもりなのよ・・・!」
安倍代官「弱い子だべ・・・」
ごま四郎「・・・?」
安倍代官「どうして紗耶香が本気になってるか、分かってやれないんだべ?
     紗耶香は・・・いや、なっちは教えてやれないべ。」
ごま四郎「・・・」
安倍代官「それが分からないようなら、まだまだごま四郎は弱い子だべ」

先ほどとは打って変わり、怯えた瞳で代官を見つめるごま四郎
696 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月26日(金)23時25分58秒
再び櫂を漕ぎ始めた安倍代官
無言のままのごま四郎

安倍代官「・・・光だべ」

入ってきたところと同じような扉が見える

安倍代官「・・・なっちは戻るべ」
ごま四郎「・・・」
安倍代官「戻らなきゃダメっしょ!!」
ごま四郎「でも・・・」
安倍代官「答えは自分で見つけるっしょ。」
ごま四郎「でも・・・」

ピシッ!
ごま四郎の頬を軽くはたく安倍代官
安倍代官「そんな中途半端じゃここから戻っても、どうせすぐ地獄に逆戻りだべ。」
ごま四郎「・・・」
安倍代官「強くなりたくないの?」
ごま四郎「・・・・・・なりたい」
安倍代官「じゃ、行くべ?」
ごま四郎「(コクリ)」

扉を開け、地獄を後にする安倍代官とごま四郎
697 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)00時07分33秒
平家先生「しかしアレやね。みたらし団子はタレの加減が難しいで」
りんね「平家先生、ここはどう考えても違うと思うんですけど・・・」
みたらし団子を貪り食いながら、城下町にまで迷い込んだ2人
698 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)07時51分03秒
=江戸城・天守閣=

猛然と突進してくる中澤におあみは笑いかけていた
おあみ「ふ、おもしろい…かかってらっしゃい!」
磁世雨惣を両手で構えるおあみ
中澤 「そんなに武器に頼りきってどないすんねん!」
おあみの視界から中澤が消える
「消えた?…右!」

  ガシィ!

気配を察知してすかさず拳をガードする
中澤 「ほう、そこそこは出来るやん……なら…こうや!」
そのまま左のハイキックに以降する
おあみ「なんの!…てりゃあ!」

  シュッ!

屈んでキックをかわし、下から切り上げるおあみ
中澤 「ほいっと!」
たまらず間合いを取る中澤
699 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)07時54分09秒
おあみ「ふぅ…さすが長屋のリーダーだけあるわね。
    ……片足でそこまで飛べる筋力があるなんて…」
磁世雨惣を構えなおすおあみに中澤が応える
中澤 「あんたもな…なんや真面目にやっても、そこそこなら
    いけるんとちゃう?」
おあみ「かもね……でもそこそこじゃ駄目なの」
中澤 「全てはお世話になった虎…」
ニヤニヤと笑う中澤におあみが叫ぶ
おあみ「言うなぁ!あなた、おしゃべりが過ぎるわよ…」
しかしすぐさまに我に返って
おあみ「ふ、それも作戦なのかしら?このあたしを動揺させるための……」
中澤 「さっきの仕返しや。お礼はノシ紙付きでかえしたるから覚悟
    しときや」
二人の間に緊張感が走る
おあみ「ふふふ…どうかしら。あなたの動きすばらしいわ。でも…」

おあみ「その動きについていけないことはない…
    返り討ちにしてあげるわ!」

中澤の顔は笑っていた
700 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)07時57分17秒
=城下町=

平家先生「この感じはおあみ……相手は…やっぱ裕ちゃんかい…」
りんね「ここまで感じるなんて……」
平家 「りんね、アタシいってくるわ……」
城を遠い目で眺める平家先生
りんね「そ、それじゃあたしも…」
りんねの肩にそっと手をおく平家先生
平家 「りんねちゃん…アタシは自分の気持ちに素直に動くだけや……
    アンタはどうなん?アタシに付き合う…じゃなく、りんねは
    どうしたいのか……それが大事やで」
りんね「平家先生……」
平家 「タレがほっぺについてるで、アタシもか……
    答がでたら…な。アタシは……」
夜道を風のように走り帰る平家先生
りんね「平家先生……あたし……」

りんね「お財布もってないのに……」
701 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)07時58分40秒
=江戸城・中庭=

そこにはアミ・衣吹と吉澤の睨み合いが続いている…

衣吹 (こうしている間にも…中澤様が……でもこの娘をいかせるわけにはいかないし……)

アミ (どこにおあみの耳があるかもしれないし…やっぱり眠ってもらうしかないんだけど…)

吉澤 (どーしっよかな〜〜?)

とその間を駆け抜ける平家先生

平家先生「アンタらしっかりせいや!邪念もっとった勝てる相手やないで!」

そのまま飛び上がり屋根づたいに天守閣まで登る平家先生
アミ「……」
衣吹「……」
吉澤「……」

狐に摘まれ顔の三人
702 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)10時36分40秒
―明日香の診療所―

お亜依「じゃんけんぴょん♪じゃんけんぴょん♪じゃんけんぴょん♪」
のの太郎「じゃんけんぴょん♪じゃんけんぴょん♪じゃんけんぴょん♪」
明日香「2人とも元気ね〜。夏師匠の特訓も全然こたえてないみたい」

お亜依「矢口はん!矢口はんも一緒にやろや。ほれじゃんけんぴょん♪」
のの太郎「あかあげて〜しろさげなぁ〜い♪やぐちせんせぇ、おきてくらさいよ!
      いっしょにじゃんけんぴょ〜ん♪」
明日香「・・・矢口、いいよ。寝たふりしてても。仕事以外であんな事したくない
     もんね、わかるよ・・・」
楽しげな2人とは対照的に、すさんでいるハイビスカスの布団
703 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時26分08秒
−朝焼寺−

うつ伏せに倒れているごま四郎
ごま四郎「ううっ・・・」
落としていた刀を右手で握り、立ち上がろうとするが・・・

グサッ!!

ごま四郎「あああぁぁ〜!!」
境内に響き渡るごま四郎の悲鳴
『鞘火』がごま四郎の左手を刺し貫いていた
市井「アンタ・・・のんびりと夢なんか見てたんだ・・・。
    ホント、良い度胸してるよ・・・。自分が死にかけてるのにねぇ!!」
笑顔で刺したまま刀をグリグリと揺らす事でさらに苦痛を与えようとする市井庭八郎
ごま四郎「あああああああああッ!!」
境内にさらに大きく響き渡るごま四郎の悲鳴
704 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時27分35秒
ごま四郎の左手から刀を抜き取り、そしてごま四郎の血で染まった
『鞘火』をうっとりとした目で見つめる市井庭八郎

ごま四郎「ううっ・・・」
立ち上がることもできず、右手で左手の刺された部分を押さえるごま四郎
市井「もういい・・・本当に飽きた・・・」
刀を鞘に収めてゆっくりと歩きだし、ごま四郎から距離をおいて立ち止まる
その間に刀を支えになんとか立ち上がるごま四郎
市井「これ以上は時間の無駄だね・・・。せめて、苦しまないように一瞬で殺してあげるね・・・
    っていうか、多分、死体も骨も全く残らないだろうけど・・・」
空を見上げながら呟くと、抜刀術の構えをとる
705 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時28分07秒
ごま四郎(うそ・・・そんな・・・)
ごま四郎の顔色は真っ青になり、体は恐怖でガタガタと震えだす
それほど『鞘火』に集中されていく“気”は強大だった
ごま四郎(こんなのどうにかするなんて無理だよ・・・逃げなきゃ・・・
      逃げないと本当に殺されちゃう・・・)
しかし、体は恐怖で萎縮してしまい自分の意思どおりに動かない
ごま四郎(そんな・・・なんで!?どうして動いてくれないのよ!?)
    「ねぇ・・・ウソでしょ・・・ウソって言ってよ、いち〜ちゃん!!」
市井「本気だよ・・・。そんなこと言わなくても私の顔見たらわかるでしょ・・・」
そう言った市井の表情は感情が全く読み取れない冷たい笑顔だった
706 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時28分44秒
ごま四郎「イヤだよ・・。死にたくない・・・死にたくないよ!!」
ごま四郎の目から涙が次々と流れていく
市井「大丈夫・・・。大丈夫だよ、ごま四郎・・・」
俯いて呟く市井庭八郎
市井「私・・・、これが終わったらすぐ自害して、アンタの後を追うから・・・
    それでずっとアンタの側にいてあげる・・・。だから向こうでも寂しくないよ・・・
    あっ、でも、自分のこと殺した奴なんか側にいてほしくないか・・・」
そう言って、顔を上げた市井の表情は先程までと同じ感情が全く読み取れない
冷たい笑顔だったが、その目からは涙が流れていた

市井「はぁぁ〜!!プッチ流剣術奥義!!血夜骨斗羅武 壱の太刀ぃ〜!!!」
707 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時29分13秒
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
バキバキバキ・・・

市井庭八郎の放った『血夜骨斗羅武 壱の太刀』は超特大の“気”の刃を生み出し
まるでブラック・ホールのようにまわりの物を飲み込みながらごま四郎に迫っていく
708 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時29分53秒
(いち〜ちゃん、泣いてた・・・・・・)

(ただ、弱いあたしを苛めて楽しんで・・・殺すつもりじゃなかった・・・・・・)

(ちゃんと私のこと考えてくれてたから・・・だから・・・)

(私を追って自害するって言ってた・・・・・・)

(死ぬのは私が弱いからで、いち〜ちゃんの責任じゃないのに・・・)

(色々酷いことたくさんしちゃったのに、まだ私のこと愛してくれてるの・・・?)

(ダメッ!このままじゃ、いち〜ちゃん私のせいで死んじゃう!!なんとかしなきゃ・・・なんとか・・・)

(私はどうなってもいい!!でも、いち〜ちゃんを死なせちゃいけない!!)
709 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時30分35秒
その時、ごま四郎の身体に変化が起きた!!

ごま四郎「はああああああ〜!!」
両手で刀を握りしめ、大上段で構える
と、同時にごま四郎の身体を被っていた“気”の色が金色に変化し、
そして、髪の毛も金色に変化する!

キィィィィィン・・・・・・
振り上げた刀にごま四郎の気が集中していく

ごま四郎「死なせない・・・。絶対にいち〜ちゃんを死なせるもんかぁ〜!!」
叫ぶと同時に一気に刀を振り下ろすと、迫って来る“気”の刃に負けないぐらい
超特大の強力な“気”の刃が放たれた
710 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時31分40秒
ドッカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!

2つの“気”の刃が激突した衝撃波の影響で台風の暴風域のような
強い風が吹き荒れ、大量の砂埃を巻き上げる
711 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時33分00秒
「くっ・・・・・・」
刀を持っている右腕を顔の前に持ってきて、砂埃から目を守ろうとする市井庭八郎
712 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時33分54秒
風も止み、徐々に静かになってくるが、まだ砂埃が宙を舞い視界がはっきりしないが、
ゆっくりと右腕を下ろし刀を収めると同時に全身を被っていた金色のオーラが消え、
金色の髪も元の色に戻る。そして、じっと正面を見つめる
徐々に視界がはっきりとしてくると、市井庭八郎の目に全身が金色のオーラに
包み込まれ、金色の髪を持つ1人の剣士の姿が写った
713 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月27日(土)16時35分24秒
市井「ごま四郎・・・」
ごま四郎「はぁはぁ・・・。できたよ、いち〜ちゃん・・・。
      よかった・・・。私のせいでいち〜ちゃんを殺す・・・ところ・・・」
ふらっと揺れると、金色のオーラが消え、髪の色も元に戻る
そして、ゆっくりと倒れていくごま四郎
市井「ごま四郎っ!!」
慌てて走りだし、ごま四郎が倒れる寸前で抱きかかえる市井庭八郎
そして、その場に座りこむ
市井「ごま四郎・・・」
ごま四郎は気を失ってはいたが、その表情は爽やかな笑顔だった
市井「ごめんね、ごま四郎・・・。辛かったよね・・・。痛かったよね・・・
    本当にごめんね・・・。今はゆっくり寝て力を蓄えな・・・。
    次はもっと厳しい試練になるからね・・・
    でも、私はアンタなら成し遂げてくれるって信じてる・・・」
市井の目から再び涙がこぼれた・・・
714 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月28日(日)18時36分13秒
――吉原――

ソニン「まったく、ユウキはどこふらふらしてんのよ・・・あ、出てきた」
ユウキ「映画っていいよな」
ソニン「は?」
ユウキ「やっぱり人間の最大の娯楽は映画なんだ!」
ソニン「はぁ?」
ユウキ「仕事もないし芝居小屋にでも行こう!!」
ソニン「(すっかりミル姉さんに教育されちゃったみたいね・・・)」
新曲が発売されても、やっぱり出番のない優跳組
715 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月29日(月)07時22分39秒
=江戸城・天守閣=

ボキボキボキ…と、握り締める拳が音をたてる
中澤 「さあて、一気に決めさせてもらうで」
応えるおあみも笑っていた
おあみ「そんな…もったいないこと言わないでよ。せっかく楽しく
    なってきたのに…せりゃあ!」
今度はおあみが飛びかかっていった
716 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月29日(月)07時24分36秒
=同所・中庭=

平家の邪魔が入ったものの、そこでは睨み合いが続いていた
アミ(衣吹、このままじゃ…)
衣吹(わかってる……一気に片付けて中澤様の援護にいくよ)
吉澤(うーん…どうしたら…)
717 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月29日(月)07時26分17秒
=同所・屋根=

屋根づたいに天守閣まで上る平家先生
平家先生「かぁ〜、なんでこんなにお城ってでっかいねん」

  ずるっ!

平家先生「あれ……あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ〜〜…」

足を滑らせそのまま、まっ逆さまに落ちてゆく平家先生
718 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月29日(月)07時28分24秒
=中庭=

衣吹「いくよアミ!」
アミ「おう!」
二人が動いたその時、吉澤は負けを覚悟した
吉澤「ごめん…梨華ちゃん…みんな…」

が、その時
      「あ゛ぁぁぁーーーーっ!」
アミ「ん?」
衣吹「アミ!よけて!」
すかさず身をかわす二人。そしてそのちょうどよけた箇所に落下する
平家先生

    どっしーーん!

アミ「……」
衣吹「……」
吉澤「……」

平家先生「あたた……あぁ!ゴメン、ゴメンなぁ…勝負を邪魔して
     もうて……アタシにかまわず続けたってな。ほなな!」
懲りずに上っていく平家先生

アミ「………」
衣吹「………」
吉澤(助かった…のかな、とりあえず)

再び睨み合いの三人
719 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月29日(月)07時30分26秒
おあみ「ねぇ…今、変な声しなかった?」
中澤 「さぁ……おっと、足元がお留守やで!」
おあみ「なんのぉ!……ほらほらぁ、ジッとしてると斬っちゃうわよ」
中澤 「甘い!」

バトルに夢中の中澤&おあみ
720 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月29日(月)21時55分52秒
―城下町・団子屋前―

りんね「平家先生・・・お願い、無事でいてください・・!!」
おやじ「おい、姉ちゃん」
りんね「もしも平家先生に何かあったらアタシ・・・」
おやじ「おい!聞いてんのかよ!!」
りんね「あぁ!!平家先生・・・!!!」
おやじ「なんとか先生はどうでもいいからさっさと金払わんかい!!!」
りんね「ひぃ〜ん!誰か助けてよぉ〜〜〜!!!」
団子の代金を払えず、途方に暮れるりんね
721 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月31日(水)11時35分07秒
その頃明日香の診療所では―

お亜依「クッソー!もう夏師匠の特訓なんてコリゴリや!ののちゃん、遊びに行く
     で!!」
のの太「はいれす〜!!!」
コソコソと裏口から脱出をはかるチビッコ達

夏師匠「はい、動きが遅ーい!ワンツー・ワンツー!!」
矢口・お圭「ひぃ〜〜〜〜〜!!!」
まったく気付いていない夏師匠
722 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月31日(水)11時42分25秒
数刻後・城下町―

のの太「あいちゃん・・・どうするんれすか・・・?」
お亜依「ちっ!久々やったから勘が狂ってもうたわ。これでウチらは一文無しや、
     もう恐いモンなんて何もないでーー!!!クッソーー!!」
のの太「あ、あいちゃん!おちついてくらさい!!」
チンチロリンの魔の手にかかったお亜依
723 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月31日(水)11時53分59秒
安倍代官の屋敷―

のの太「あいちゃん、こんなところでなにするつもりなんれすか?あべさんらった
     らあすかさんのとこれすよ?」
お亜依「アホ。安倍はんなんかに用はないわい!ええかののちゃん、安倍はんはあ
     あ見えても代官やで?この屋敷には金がぎょうさん置いてあるに決まっ
     とるやん!!」
のの太「それがどうしたんれすか?」
お亜依「くっくっく、ちょお拝借させてもらうねん。このお亜依様をなめたらアカ
     ンで。絶対負けた分取り返したるわい!!」
のの太「はっ・・・!そ、それはどろぼうらないれすか!!」
お亜依「借りるだけや、借りるだけ!はんっ、倍にして返したるわ!!」
とうとう犯罪に手を染めるチビッコ達

お亜依「ウチはまだ12やさかい捕まっても少女Aですむ。問題あらへん」
724 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月31日(水)16時08分12秒
数刻後、まったく金の気配のない屋敷に愛想を尽かし、とぼとぼと出てくるちびっ子ふたり

のの太郎「なんにもなかったれすね」
お亜依「まさか、安倍はんが金を全部食いもんに換えて、食い尽くしておったとはなあ・・・」
725 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年01月31日(水)16時48分59秒
───明日香の診療所───
矢口・お圭「きゅー・・・」
夏師匠「ふう、さすがにちょいと疲れたね・・・今のうちに安倍の顔でも見てくるか」
安倍代官の寝ている部屋に赴く夏師匠

夏師匠「・・・!」
安倍代官は起き上がり、目を見開いていた
夏師匠「安倍・・・あんた・・・」
安倍代官「言われたとおり、自力で帰ってきたべ」
夏師匠「そう・・・光はみつかったかい?」
目をくりくりと輝かせながらこくりとうなずく安倍代官
726 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)00時16分47秒
市井「ただいま〜」
背中にごま四郎をおぶって診療所に帰ってきた市井庭八郎
明日香「おかえり。その様子だと結構ハデにやったみたいだね」
市井「アハハ・・・。明日香、ちょっとごま四郎の手当てしてやって」
明日香「おっけぇ。診察室に運んで」
727 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)00時17分46秒
明日香「しっかし、ホント派手にやったねぇ・・・
     修行だから体中傷だらけになるのはわかるけど、ホントに刺すかぁ・・・」
市井「ごま四郎の眠っている力を引き出したかったんだ・・・
    だから、ギリギリのところまで追い込まないといけなかった・・・」
明日香「わかるけどさ、ごま四郎に嫌われても知らないよ・・・
     今、うまくいってないんでしょ、あんたたち・・・」
市井「ごま四郎に修行をつけるって決めた時に完全に嫌われる覚悟はしたよ・・・
    前の状態でおあみと戦ったら絶対に殺されるって思ったから・・・
    ごま四郎には生きていて欲しいんだ・・・その為に鬼にならなきゃいけないなら
    市井は喜んで鬼になるよ・・・。ごま四郎の事が本当に好きだから・・・」
明日香「辛いね・・・それって・・・
     ねぇ、紗耶香の気持ち、ちゃんとわかってる?」
ごま四郎の頬をムニムニと突つく明日香
ごま四郎「Zzz・・・」
728 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)00時19分10秒
明日香「はい、終わったよ」
市井「ありがと、明日香」
再びごま四郎を背中におぶう市井庭八郎
市井「じゃあ、行くよ。ごま四郎が目を覚ましたら修行の続きしないと・・・」
明日香「あんまり無茶するなよ」
机にむかい、カルテを書き始める明日香
市井「わかってるって・・・」

部屋を出る1歩手前で立ち止まる市井庭八郎
市井「明日香・・・」
明日香「うん?」
カルテを書く手を止めず、返事だけをする明日香

市井「バイバイ・・・」
そう言い残して、市井庭八郎は診察室を出ていった

カルテを書く手を止め、誰もいない扉の方を見る明日香
明日香(なんか今、紗耶香にもう2度と会えないような気がしたけど・・・
     まさかね・・・そんなことあるわけないか・・・)
729 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)06時49分26秒
=江戸城・天守閣=

おあみ「はぁ、はぁ……なかなか……いえ、マジで強いわね」
中澤 「なにいってんねん、互角やご・か・く……」
中澤は道化て応えるがおあみの顔の表情は崩れなかった。
おあみ「もう小細工は無し……中澤裕子!いざ尋常にお相手願う!」
中澤 (マズイ……おあみから慢心が消えてもうた……
    ええいそれでも勝つんはうちや!)
730 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)06時52分07秒
    フォン……

磁世雨惣の黒色の刃が一段と濃厚な漆黒と変貌した
おあみ「あなたを倒すのに防御なんて考えてたら勝てない……」
それまで暗黒フィールドをガードとして使っていた力を総て刀へと
集中させた所為である
中澤 「ほんなら、最後のひと暴れといきますかい」
中澤もこれまでに無い程の力を両の拳に入れていた
731 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)06時54分28秒
=江戸城・中腹=

平家先生「はぁはぁ…やっとここまで昇ったんか……
     まだてっぺんまでは遠いなぁ……」
上を見上げて一息いれる平家先生
気合いをいれて再び昇りはじめるが足元に……
平家 「おっと、あかんあかん、燕の巣踏みつぶすとこやったわ
    ……ごめんな、びっくりさせてもうて……」

    ビュン!

燕の巣からなにかが勢いよく飛び出す
平家 「わぁ!ちょっと、ちょっと……あやまったやん!
    かんにんしてな〜」

どうやら、りんねに仕える忍燕だった模様。燕に襲われる平家先生。
早くバトルに参加しろ。
732 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)06時57分21秒
=江戸城・天守閣=

中澤 「はぁぁ!」
おあみ「せやぁ!」
中澤の無数の連打をかいくぐり、おあみは中澤の眼前に立っていた
中澤 「そうきたかい、これでシマイやで!」
おあみ「これで決める。せりゃぁあ!」
中澤の渾身の右アッパーとおあみの全力の突きとが交差する
中澤 (あかん…貫かれてまう……)
おあみ(駄目…拳のほうが早い……)
中澤とおあみ、二人の決着は……

   ザシャァ!

中澤、おあみは…弾き飛ばされていた。そしてそこに立っていた剣客が二人に声をかけた……

平家先生「そこまでや……続きはアタシが引き受けたわ」
733 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)06時59分47秒
中澤 「みっちゃん……」
おあみ「平家先生……」
勝負を邪魔された怒りよりも、今眼前に立っている剣士に二人は圧倒されていた
気迫、風格、そしてなによりも……
おあみ「平家先生……」
中澤 「どしたん?そのカッコ」
平家 「お願いやから聞かんとって……」

燕とのイザコザでもうすでにボロボロの平家先生
734 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)22時22分52秒
―和田屋―

お亜依「でな、おあみとか言う奴がなんやゴチャゴチャやってんねん。ほんで夏師
     匠もみんなもえらい燃えとってホンマやってられへんわ」
ユウキ「大変だね」
のの太「いちーさんなんてぜったいおかしいれすよ。ごましゃんたたきのめしてた
     のしんでるんれす」
ユウキ「あぁ、それは楽しいかもな」
お亜依「ちゅーかあの人絶対Sやで?ウチの勘やと多分ごまはんもSや。だってボ
     ロボロになっとる平家はん見とる時メッチャ楽しそうやもん」
ユウキ「それは誰でも楽しいだろ?俺らも結構楽しませてもらったし」
のの太「ののもたのしーれす」
お亜依「せやなぁ。あの人はもうお約束みたいなモンやしなぁ〜」
ソニン「・・・・どうでもいいけど、そんな大変な時になにやってんのよ」
お亜依・のの太「「だってヒマなんだも〜ん♪」」

ソニン「あ、なんか今すっごい殴りたい気分・・・」
ユウキ「子供相手だしやめときなよ」
和田屋でだんらん中のチビッコ達
735 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月01日(木)23時19分39秒
――明日香の診療所――

安倍代官「お代わりだべ」
お梨華「ハイ♪お代官様」
明日香「・・・」
目覚めて早々診療所の米びつを空にする安倍代官
736 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月02日(金)18時01分01秒
―夜中・城下町―

商人A「や、やめてくれ!頼む、なんでもするから命だけは・・・!!!」
ユウキ「悪いがお前は知りすぎた。その好奇心をあの世で後悔するがいい」
ソニン「安心して。苦しまずに終わらせてあげるから・・・」
商人A「嫌だ・・・死にたくない!!やめろ!!やめてく・・・」

ザシュッ!!

お亜依「スゴイ、スゴイで!!さすが暗殺集団って感じや!!」
のの太「ひとたちできまったれすね!さすがれす!!」
ソニン「・・・お願いだから仕事にまでついてこないでよ!!」
闇のお仕事見学中のチビッコ達
737 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月03日(土)06時37分46秒
=江戸城・天守閣=

おあみ「平家先生、いいところに来たわね……って言いたいトコ
    だけど邪魔しないで!」
中澤 「そーゆーこっちゃ!」
二人は再び跳びかかっていく
    ガシィッ!
再びおあみは弾き跳ばされていた
おあみ「うぅ……はっ!」
平家の手には弾き飛ばした際におあみの手から奪った『磁世雨惣』が…

おあみ「何時の間に!返しなさい、平家先生!」
平家 「……だからちょっと待っとき」
冷たく言いはなつその姿は今までおあみの見たどの平家先生の姿でもなかった
中澤 「恐いな〜、みっちゃん」
かくいう中澤の足元には平家の腰の刀が突き刺さっている
中澤 「うちの突進をこうも簡単に止めよるなんて、流石やな」
738 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月03日(土)06時41分42秒
『磁世雨惣』を足元に置きながら平家は中澤に目を向けた
平家 「どや?裕ちゃん、懐かしいな。この感じ。緊張感バリバリや」
おあみ「なんで?あたしの言う事が……まさかっ!」
先程からの平家の態度におあみは確信した
おあみ「あたしの術が……」
してやったりと平家はおあみに片目をつむって見せる
平家 「これでも結構苦労したんやで、心閉ざして、回避すんのは。
    一時は記憶まで吹っ飛んでもうたし……」
中澤は勝利を確信した笑顔でおあみに声をかける
中澤 「おあみ……あんた、みっちゃんをナメすぎや。平家みちよ……
    うちら長屋のモン全員でかかっていっても勝てるかどうか……」
平家 「裕ちゃん、それ誉めすぎや」
屈託もなく笑顔で話す二人。
739 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月03日(土)06時45分55秒
おあみ「……大ピンチってワケね。刀も取り上げられちゃったし……」
冷静さを取り戻したおあみに目もくれず中澤が平家に喋りかける、まるで世間話でもしているかのように
中澤 「さてと、みっちゃん。アンタに後はまかせたわ。
    今まで好きにされとった恨み、とっとと晴らすがいい……」
中澤が喋り終えるのを待つまでもなく平家が応えた
平家 「ごめんごめん、裕ちゃん…さっきのちゃんと言い直すわ」

平家 「こっから先はアタシが裕ちゃんの相手や」
平家の眼光が中澤を貫いた……
740 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月03日(土)17時39分27秒
―城下・某武家屋敷―

ブシュッ!ザクッ!!スパン!!
次々と人影を切り倒していく2本の刀

のの太「あいちゃん、キリがないれすね・・・」
お亜依「気ぃ抜いたらアカンで!すぐ次が来る!!」
浪人A「うらぁぁぁぁぁぁ!!!」
お亜依「ののちゃん!?」

ズバッ!!
浪人A「ぐはっ・・・」(バタッ)
お亜依「ののちゃん、ケガないか?」
のの太「だいじょうぶれす。あいちゃんこそだいじょうぶれすか?」
ソニン「・・・だから仕事についてくんのやめてって言ってんでしょ!!!」
ユウキ「ソニン!次来るぞ!!」
血しぶきが飛び散る床の間に座って見学中のチビッコ達
741 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)07時37分55秒
=江戸城・天守閣=

平家の眼光をものともせず中澤がそっけなく応える
中澤 「ほう……ど〜ゆ〜風の吹き回しや?」
平家 「アタシが選んだ道……としか言えんわ」
おあみ「……」
『磁世雨惣』を自分の方へたぐり寄せようと集中するおあみ
平家 「おあみ!動くんやない。……裕ちゃん、どや?リミッター切った
    闘いしとうはないか?」
おあみの顔に動揺が走る
おあみ「嘘……手加減してたの」
圧倒的な強さに驚きそのままへたりこむ
おあみ「う、うそ……だ……」
742 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)07時41分05秒
中澤 「……バレとったか、流石にカオはよう殴れん……わぁ!」
言葉を終えると同時に中澤は平家に向かい跳びかかる。

   ズガガガガガ……

中澤の無数の連打を両手でガードする平家
平家 「ぐ……」
衝撃で平家の足元の瓦にヒビが入る。
中澤 「ほらほらほらぁ!」
連打を受けながらも平家は一瞬のチャンスを見逃さなかった
中澤が息を吸いこむ瞬間、平家は拳に力を込めた
平家 「がぁ!」

    ガシィ!

平家の拳をガードし元の位置まで跳ばされる中澤
743 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)07時48分24秒
痺れた両手を振りながら中澤が声を出す
中澤 「ふ〜、どうやら本気のようやな、みっちゃん」
平家 「……いつだってそうや」
うつむいて押し殺すように声を出す平家を中澤が奇異の目で見る
平家 「裕ちゃん!アンタいつもそうや!そうやってアタシにキッツイ事
    言ったりムチャクチャなことするくせに……ほんまはアタシの事
    メッチャ気遣ってくれてる!」
中澤 「……」
中澤 「なんで?何でやの?なんでもっとアタシを馬鹿にせんの?
    こんなに出遅れてもうたアタシを?なんで辛くあたらんの?」
中澤 「……うちは今でもみっちゃんのことを…」
744 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)07時50分50秒
中澤は言葉を続けられなかった。今、発している言葉事態が平家を気遣っていると自分にも思えてしまったから……
平家 「それや!なんでそうなるん!今の状況やったらどう考えても
    アタシは格下やん!なんで蔑まんの?そしたらアタシも……
    それなのに、それなのに……アタシは一体何なんや!」
平家は泣いていた。それは絶叫であった。

平家 「はぁはぁ……ゴメン取り乱してもうたわ。裕ちゃん、これが
    アタシが闘う理由の一つや。アンタらを倒して平家みちよの、
    アタシの存在の意味を知るんが!」
745 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)07時53分28秒
平家みちよの戦線布告に中澤が応える
中澤 「もはや、和解はありえへんなぁ、みっちゃん」
平家 「そうゆうこっちゃ。裕ちゃん、ここはあの時みたく本気で決着
    つけようやないの……そう、アン時その『月斗』をかけて
    熱くやりあった頃のように……」
中澤の足元の、平家の愛刀『月斗』が月の光に照らされ美しく輝く
中澤 「ははん……おもろいやんけ、乗ったで」
746 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)07時56分35秒
中澤 「只一つ言わせてな」
平家 「なんや?」
中澤は『月斗』を掴み無造作に抜いた。そうしてその刃を暫く眺めた後、中澤の発した言葉が二人の闘いの開始の合図となった

中澤 「こんな時代遅れの刀なんか別にいらんわぁ!」
『月斗』をそのまま叩きつけ足で踏みにじる

平家 「ゆ、ゆうこぉ!」

中澤 「なんや、みちよぉ!」

今闘いの幕が開いた……
747 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月05日(月)18時56分23秒
―城下・某武家屋敷―

ソニン「ハァ、ハァ・・・だいたい片付いたかな?」
ユウキ「そうだな・・・。あとはザコだ、放っておけばいい」
お亜依「いやぁ〜、久々にええモン見させてもらいましたわ」
のの太「おにむしゃがやりたくなりますね」

???「ひゃっひゃっひゃ。ご苦労だったな、お前ら」
お亜依「むっ、まだおったんかい!ラストはウチらが決めたるでーー!!」
のの太「そのとーりれす!おいしいとこだけいただくれすよ!!」
ソニン「待って!その人は・・・!!!」

ズバッ!ブシュッ!!

和田屋「グハッ・・・な、なんで俺が・・・」(バタッ)
ユウキ「わ、和田さん!?しっかりしてください!!」
のの太「あぁ・・・わださんらったんれすか・・・つい・・・」
お亜依「すんまそん・・・」
ソニン「おさるかい!!」
誤って棟梁和田屋に斬りかかったチビッコ達
748 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月06日(火)08時35分54秒
    ガキィ!

激しい衝撃と共に吹き飛ばされ屋根に叩きつけられる平家
平家 「ぐ、ぐは……」
中澤 「みっちゃん……あの頃のうちとは違うんやで。」
よろよろと起きあがる平家をよそに中澤はおあみに目を向け、その前に立つ。
そして優しく見下ろし両の拳に気合いを込める
中澤 「さぁ、これでしまいやで。うちの気叩き込んだるわ」
おあみ「…………」
まったく抗うことなくおあみは惚けている
中澤 「おあみ……これで終わりや!覚悟」
平家 「だぁ!」
飛び出してきた平家がおあみを包み込むように抱き締める

中澤 「なんで……みっちゃん!なんでそんなん庇うんや!」
749 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月06日(火)08時39分17秒
中澤とおあみの間に入った平家が声をおあみにかける
平家 「だ、大丈夫かいな?」
おあみ「平家先生……」
平家 「ええ、アンタは見とったらええのや」
中澤 「……なんでやの、みっちゃん」
平家 「………」
押し黙る平家に中澤は続ける
中澤 「教えてな、うちらに勝利するんやったら別に今やのうてもええやん……
    なんでうちの邪魔すんの……そこに惚けとる馬鹿の所為で
    なっちは……ののは……カヲは……」
涙声の中澤の問に平家は口を開いた
750 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月06日(火)08時43分21秒
平家 「裕ちゃん、アンタにはこの娘は憎い仇やもしれん。けどな、
    アタシはこの娘に何回も命を救けてもろた。それがどんなカタチであれな。」
おあみ「そ、それは平家先生は大事な手駒だから……」
平家 「アタシが風邪ひいてる時は看病してくれた……」
おあみ「そ、そりゃあとっとと死なれちゃ迷惑じゃない!」
平家 「裕ちゃん……この子もええ子や」
おあみ「や、やめてよ!なに気持ちの悪い事言ってるのよ!」
おあみの声などまるで聞こえないかのように、ゆっくりと立ち上がる
平家を中澤は見つめている
中澤 「そっか……みっちゃん、あんたそこまで……」
平家 「悪いな、裕ちゃん……」
中澤 「あんたら似た者どうしかもな」
平家 「かもな」
おあみ「何言ってるのよ!迷惑よ!」
751 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月06日(火)08時45分33秒
中澤 「似た者同士……負け犬同士仲良く傷でもナメ合っとき!」

     ゴッ!

中澤の右の鉄拳が平家の頬にヒットする
平家 「裕ちゃん、アンタの攻撃……見切ったで」
まだ頬に残る拳を見つめて平家が呟く
中澤 「そうなん?ほんなら破ってみいや!」
そのまま左のボディブローを入れる

グボッ!

平家のボディが鈍い音をたてる
おあみ「なによ!何が見切ったよ!モロにくらってるじゃない!」
しかし平家の顔は笑っていた。そして中澤は平家のそれとは対象的な顔をしていた。
752 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月06日(火)23時13分12秒
平家 「・・・裕ちゃん、ウチとアンタの相性って、どう思う?」
中澤 「相性も何もあるかいっ!ウチのほうが強い、それだけや!」
平家 「せやね。アンタのが強いわ。でも、勝つのはウチや。あんときも、今も。」
中澤 「・・・うっさいわ!いい加減倒れんかいっ!」
ドカッ!バキッ!グボ!
中澤の連続攻撃。常人なら一発一発が確実に即死級の攻撃だ。
しかし、平家は立ち上がる。顔には笑みを浮かべて。
中澤 「ハァハァ、何やねん!何で倒れへんの!?」
平家 「・・・打たれ強さと体力、ウチが裕ちゃんに確実に勝ってるトコや、そして・・・」
中澤 「・・・ええかげんにしてやっ!これで終わりや!」

ドカッ!!!
753 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月18日(日)07時06分11秒
=明日香診療所=

お圭 「明日香、どうしたの?」
明日香「あ……圭ちゃん、実は紗耶香が……」

お圭 「……そう、別にいいんじゃない」
明日香「あっ、圭ちゃん冷た〜い……」
お圭 「もういいよ、あいつはあいつで頑張ってもらわないと……
    こっちにかまってたんじゃ、なんにも出来ないよ」
明日香「そりゃそうだ」
お圭 「ところでごま四郎は……あちゃ、かわいそうに……」
明日香「ねぇ、もうボコボコ……だけどなんとかはなりそうだよ」
お圭 「……いや、紗耶香がさ」
754 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月18日(日)07時09分13秒
お圭 「ど〜せさ、『ごめん、ごめんね、後藤……』とか思いながら
    心を鬼にしてやったんだろうよ、紗耶香らしいねぇ」
明日香「やっぱり、理解るんだね、紗耶香こと……」
お圭 「ば……馬鹿!なに言ってるのよ、まったく」
明日香「くすくす」
お圭 「ん、んと……ところで裕ちゃんさ、そろそろ闘(や)ってる頃じゃない?」
明日香「だね、まぁ、ちゃんと帰ってくるだろうから心配は……」
お圭 「みっちゃんがいるんだよ」
明日香「あ、圭ちゃんも気が付いちゃった?」
明日香「まぁね。次は勝つ……とは言わないけど、負けることはないと思うよ」

お圭 「裕ちゃんの攻撃パターン、それは……」
755 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月18日(日)07時11分54秒
=同刻・江戸城天守閣=

平家「カウンターやろ……」
中澤「…………」
平家「見事、としか言えんわ。相手の力量を瞬時に読み取り、そいつが
   ギリギリかわせない事はない攻撃をしかけ、それにつられて
   カウンターあてようとしたところに、ダブルカウンター……
   こいつはきくわ……」
中澤「…………」
平家の解説になにも応えない中澤。
756 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月18日(日)07時14分47秒
平家「裕ちゃん、アンタ前にアタシに相談しにきたな。つんくの守はんに
   前線下げられてもうた……って。当たり前や、そんなんやっとっ
   たら、下げられるわ。
   危なっかしすぎる。でも裕ちゃんは……」
中澤「い、いいかげんにせんかい!」
両の手で無数の連打をあびせる中澤

    ズガガガガガ……

平家「誰うよりもみんなが傷つくのが嫌やったんやろ……自分が前に
   でる事でみんなの壁になりたかった……」

無数の乱打をあびながらも平家は淡々と言葉を続けていた
757 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月18日(日)07時17分18秒
平家「でも……」
   ガシィッ
左手で中澤の右手を止める平家
平家「……こうやって動きを止めてもうたらあとは的になるだけや」
   ゴスッ!
平家の拳が中澤の水月にヒットする。吐血する中澤。
中澤「がはぁ……」
平家「裕ちゃんの細腕じゃ……ごっちんのおかげで何時の間にかこんな
   身体になってもうたんや、感謝せにゃあかんのかな、あの子に」
中澤「はぁはぁ……」
平家「裕ちゃん、もう勝負は見えたで。」
中澤「みっちゃん……言いたいことはそんだけか?それでもな、
   それでも勝つんは……」
吐血した口を右手で拭いながら中澤が吠える

中澤「勝つんはうちやぁ!」
758 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月24日(土)08時49分24秒
−朝焼寺−

ごま四郎「う〜ん・・・」
眠りから目覚め、起き上がろうとするごま四郎
ごま四郎「イタッ・・・」
重心移動の際、体重がかかった事により左手に激痛がはしり
胸の前で右腕で左手を抱きかかえる
ごま四郎「あれっ!?手当てされてる・・・」
左手に包帯が巻かれていることに気付き慌てて全身を確認する
と同時に自分のいる場所にも気付く
ごま四郎「ここは・・・朝焼寺の中・・・?・・・いち〜ちゃんは?
      いち〜ちゃん!!いち〜ちゃん!!」
慌てて立ち上がり、外に出ていくごま四郎
759 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月24日(土)08時49分58秒
境内の真ん中に立ち、静かに空を見上げている市井庭八郎
ごま四郎「いち〜ちゃん!!」
障子を開けて市井の姿を見つけ、市井の名を叫ぶごま四郎
市井「おっ!起きたか、ごま四郎!」
ごま四郎の方に振り向き、笑顔を見せる市井庭八郎
その表情からは修行時の冷酷さは全く見えない
ごま四郎「い・・・いち〜ちゃん!!」
駆け出して市井に抱き付くごま四郎
そして、市井もしっかりとそれを受けとめる
ごま四郎「えっ・・・えぐっ・・・いち〜ちゃん・・・」
市井の腕の中で泣き出すごま四郎
市井「泣くなよ、ごま四郎・・・」
ごま四郎の頭を優しく撫でる市井庭八郎
市井(またアンタを傷つけることをしなきゃいけないのに
    ここでやさしくしたらもっとアンタは傷つくことになる・・・
    ゴメンね、ごま四郎・・・。でも、もう少しこのままで・・・)
760 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月25日(日)17時52分03秒
=江戸城・中庭=

吉澤「このままじゃなにも終わらないよ。いったい、どうしたら……はっ」
吉澤の脳裏に師匠の声が響く

夏師匠『何やってんだい!お前、後のことかんがえてんだろ。それが
    あんたのパワーを鈍らせているんだよ。駄目駄目そんなんじゃ、
    今この瞬間、敵を倒すことだけを考えるんだよ。』

(夏師匠……でももう、使える技がないんです……あの技しか……)
761 名前:吉澤回想 投稿日:2001年02月25日(日)17時54分23秒
津久守「吉澤、お前に言っておくことがある」
吉澤 「はい」
津久守「お前に教えた『青春慈醍』はな、本当の奥義ではないんや」
吉澤 「え……」
津久守「そんな、顔すんなって。最強までは言わんが、メッチャ強い技なんは
    間違い無いんやから」
吉澤 「はぁ……」
津久守「ホンマは三身一体の技なんや、『一の撃』、『二の縛』、『三の斬』
    いうて、三人で行う連続技や。最後のは本当は癒す技やったん
    やけどな、アホがまだマスターしてないねん」
吉澤 「……後二人は誰なんですか?」
津久守「まだ、言えん。だがソン時がきたら勝手にわかるやろ」
吉澤 「また、はぐらかすぅ〜」
津久守「お前の受け持つんは『一の撃』や、いいか、技に入るんは
    まったく同じタイミングでええ。ただし後のこと考えんと思いっきり
    一撃をブチ込んだれ。お前の後ろには仲間がおるんや、安心して
    まかせりゃええ。その一撃でたいがいの相手は戦闘不能になるはずや」
吉澤 「仲間って、そんな……まだ、誰だかもわからないのに……」
津久守「ふふふ。楽しみやろ」
吉澤 「絶対楽しんでるよぉ」
津久守「あははは……」
和やかなつんくの顔がキッと鋭い顔に変わった
津久守「ソン時まではこの技は封印やで。後ろに誰もおらんのや、
    リスクがでかすぎる」
吉澤 「は、はい」
762 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月25日(日)17時56分05秒
吉澤 (つんくさん……すいません、禁を解きます……)

衣吹 (こいつ、まだなにか隠し持っているの?アミ油断するんじゃないよ)

アミ(うん、わかってる)
763 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月27日(火)22時12分36秒
−朝焼寺−

ごま四郎「あ〜、おいしかった♪」
市井「相変わらずすごい食欲だね・・・」
ごま四郎「だって・・・、力使いすぎてお腹空いてたんだもん・・・
      それに『このおにぎり、いち〜ちゃんが愛情を込めて作ってくれたんだ・・・』って
      思ったらなんかうれしくなっちゃって・・・すごくおいしかった・・・
頬を赤く染め、俯きかげんで話すごま四郎
市井「・・・ありがとう・・・ごま四郎・・・」
ごま四郎と同じように頬を赤く染める市井庭八郎
ごま四郎「・・・・・・」
市井「・・・・・・」

2人とも照れてしまい、少しの間沈黙が続いた
764 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月27日(火)22時13分05秒
市井「・・・あ〜・・・」
ごま四郎「なにっ!?」
市井「修行の続き・・・しよっか・・・」
ごま四郎「・・・うん・・・」
一瞬だけ少しがっかりした表情を見せるごま四郎

市井「修行の前に言ったように次は“血夜骨斗羅武 弐の太刀”を極めてもらう・・・
    普通は心眼をしっかりと鍛えたりとかしてじっくり極めていくんだけど
    今は非常時でそんな時間の余裕はない・・・だからこれを・・・使う」
そう言って懐から金属の筒のような物を取り出す市井庭八郎
ごま四郎「なにこれ?」
市井「おあみの亜未異護の仲間みたいな物・・・。これには“にってれの藤井”
    っていう低級妖魔が封印されてるんだけど・・・、コイツを・・・私に憑依させる!」
ごま四郎「!!」
765 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月27日(火)22時13分44秒
市井「コイツは人に辛い事をしなければならないようにしむけて面白がるタチの悪い妖魔・・・
    私がコイツに憑依されたら、まずアンタに得意の精神攻撃を放って
    2度と立ち直れないようにして、そしてこの街の人々にも襲いかかるでしょうね・・・
    それを阻止するためにアンタが“血夜骨斗羅武 弐の太刀”で私ごと斬って藤井を倒す!!」
ごま四郎「そんなの・・・できない・・・」
市井「やらなきゃいけない!それぐらいわかってるはずだろ!」
ごま四郎「でも・・・でも・・・、私、弐の太刀なんて技の出し方知らないし・・・
      心眼だって得意じゃないし・・・もし失敗して壱の太刀を放ったりしたら・・・」
市井「その場合・・・、私は藤井と一緒に消滅するだろうね・・・
    『出し方を知らない』って言ったけど、アンタは1度見てるはずだよ・・・
    私はごま四郎を信じてる!きっと弐の太刀を放って私を助けてくれるって・・・」
ごま四郎「・・・できない・・・できないよ!いち〜ちゃんを斬っちゃうかもしれないんだよ!
      こんなの酷い・・・酷すぎるよ・・・」
泣き崩れるごま四郎
766 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年02月27日(火)22時14分23秒
ごま四郎「他の・・・他の方法はないの・・・?」
市井「ない・・・」
ごま四郎「イヤ!絶対にイヤ!」
泣き叫ぶごま四郎
市井「わかった・・・」
ごま四郎「じゃあ・・・」
市井を見つめるごま四郎
市井「確かに今のアンタじゃ弐の太刀は絶対に出せないだろうし、それどころか
    藤井にやられちゃってこの街の人達を危険にさらすだけだろうね・・・
    少し時間をあげるよ・・・。アンタがやらなければいけないこと
    アンタの力が何のためにあるのかじっくり考えるんだね・・・」

ごま四郎に背を向け、境内から出ていこうとする市井庭八郎
それを黙って見ていることしかできないごま四郎

市井「私は・・・私は師を斬ることを恐れて自分が今最も必要な力を
    身に付けようとしないような弱虫を弟子に持った覚えはないからね・・・」

鳥居の下でそう言い残し、市井庭八郎は朝焼寺から立ち去った
767 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月04日(日)16時57分50秒
=江戸城・中庭=

全ての雑念を払い吉澤が気合いを入れる
吉澤 「はぁぁぁ!……いくよ!」
疾風のごとく駆け出す吉澤
吉澤 「青春慈醍・壱の撃ぃぃ!」
アミ 「さっきと同じじゃ……違う!」
かわせないと瞬時に判断しガードを固めるアミ
衣吹 「アミ!」

   ゴボォォ

アミ 「ぐはぁ!」
ガードの交差した両腕を叩き折って吉澤の拳がアミに胸にヒットする
衣吹 「流石、津久守様の……だがスキがでかいよ!」
吉澤の後方に回り込み、衣吹が叫ぶ
吉澤 (あ〜あ、おわっちゃったかな……)

その時

   ドゴーン!

天守閣からすさまじい銃声が響いた
768 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月04日(日)17時01分56秒
=時は少し戻って・天守閣=

中澤 「あ……あぁぁ……」
平家に攻撃するも、全て返される中澤は既に虫の息であった。
対して平家はその強靭な体のため傷一つ負っていないのが対象的である
平家 「裕ちゃん……もう終わりや、いくらアンタが頑張ろうと……
    岩に豆鉄砲何発かまそうと……うっ」
それまで、何発殴られようとも、微動だにしなかった平家が左胸をおさえ片膝をついた
中澤 「……やっと利いてきたかい」
拳で血を拭いながら中澤がつぶやく。
平家 「な、なにが……」
平家は左胸に目をやり悟った
平家 「そっか……そういうことかい」
中澤の血で汚れた拳の痕……それは全て平家に左胸に集中していた
ゆっくりと立ち上がりながら中澤は平家に声をかけた
中澤 「雨垂れも石に穴あけるんやで。ところでみっちゃん、
    撃たれ強くなったんはええが、感度が鈍くなったんちゃう?
    あかんで女として。うちの知っとるみっちゃんはもうちょっと……」
平家 「な、何言うてんねん!やらしいのは無しやで!」
中澤の軽い冗談に顔を真っ赤にしてツッコむ平家
769 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月04日(日)17時05分24秒
お互いを見据える平家・中澤。平家がゆっくりと前に一歩進む。
平家 「お互い、残り一発勝負ってとこかな」
中澤 「そやな」
中澤が足を引きずりながら前に一歩足を前に出す。
中澤 「うちのほうに分があるように思えるんやけど……」
平家 「どうやろうな……」
お互いが一歩前に踏み出すごとに二人の気が高まってゆく
平家 「あかん……裕ちゃん、アタシ逃げ出したいわ……」
中澤 「うちなんか最初からやで……」
そして、お互いのリーチ範囲に入った時二人は歩みを止めた
770 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月04日(日)17時10分22秒
先に動いたのは平家。拳に力を込め殴りかかった
平家 「はぁぁ!」
中澤 「わかっとんかい!こんな時はな、最初に動いたもんが負けるんやで!」
平家の拳を、紙一重でかわす中澤そのまま平家の左胸……拳の痕を目掛け無数の連打を放った
平家 「ぐぐぐ……」
平家の顔が歪む。……そのまま前屈みに崩れ落ちる平家
中澤 (終わった……)
倒れ込む平家が一瞬止まる
中澤 「なに!」
そのまま反動でバック転に入る、平家の爪先が中澤の顎に突き刺ささった
中澤 「がはぁ!」
そのまま、ふきとぶ中澤。

猛忍愚のリーダー中澤裕子。彼女にはもう立ち上がる力は無かった。
771 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月07日(水)16時33分23秒
大の字に横たわる平家が中澤に声をかける
平家 「はぁ、はぁ……終わりやな……」
中澤 「……ま、まだぁ……」
よろよろと起き上がろうとする中澤
平家 「裕ちゃん、もうわかってんやろ、もう立つ力さえ残ってへんって……」
中澤 「うちは……うちは……」
それでも構えをとろうとする中澤が平家には理解できなかった。
平家 「わからず屋が……暫く動けんようにしたる!」
平家が『月斗』を手に取り中澤に向かい構えをとった

おあみ「駄目ぇ!」
772 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月07日(水)16時35分57秒
二人の間にはいったおあみが両手をひろげて制する
平家 「おあみ……」
おあみ「……駄目よ、殺しちゃ」
中澤 「…………」
おあみの以外な行動に二人はあっけにとられてしまった。
意外な奴の意外な行動……
おあみ「な、なにボケっとしてるのよ。こんな美味しい奴殺すのもったいないじゃない!
    こいつもあたしの術で……とことんまで操ってやるんだからぁ!」
おあみの声に中澤は動揺する
中澤 「やめてんか!あんたに操られるくらいなら……みっちゃん、後生やからうちを……」
平家 「裕ちゃん……わかったわ!」
『月斗』を構え平家は中澤に斬りかかる
おあみ「平家先生!」

ザシャァァ

猛然とダッシュする平家をおあみが跳ね飛ばす
平家 「がはっ」
おあみ「おとなしく、そこでみてなさいよ」
討たれ強さを誇る平家とはいえ、激しいバトルは確実に平家の体にダメージを残していた
平家 「裕ちゃん……堪忍な……」
773 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月07日(水)16時39分09秒
中澤とおあみを見つめる平家
平家 (これで……これで、ええんか?アタシは勝った……裕ちゃんも死ぬことはない……でも……)
なにか割り切れない気持ちが胸の中で高まる。これが自分の望んだ結果なのか……
『月斗』を見つめ自問自答をくりかえす。
平家 (ん?……これは……まさか……)
774 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月07日(水)16時41分01秒
中澤はおあみの腕につつまれていた。平家との死闘で抗うだけの力も無かった。
おあみ「うふふふ……いろいろあったけど結局収まる鞘に収まったって感じね……」
中澤 「い、いや……」
おあみ「大丈夫よ……殺すわけじゃ無い……」
そっとおあみの指先が中澤の首筋に触れる
中澤 「あ……あぁ……」
おあみ「どう?イイ感じでしょ」
その指先をそっと上へ這わせる
中澤 「やめて……お願いやから……」
おあみ「さっきまでとは大違いね……」
ぶるぶると震える中澤をおあみはさも楽しげに見つめる
中澤 「あ、あんたに弄ばれるくらいなら……」
おあみ「駄目よ……舌噛んじゃ。死なせはしないわ、あなも……あいつらも地獄の苦しみを味あわせてやるわ……」
中澤 「あぁ……」
おあみ「うふふ……」
指先は首筋から頬へと移動していた
中澤 「いや……いやぁ……」
おあみ「そろそろいいかしら?」
中澤 「あぁ……」
おあみの指先が動く度に中澤から声が洩れる
おあみ「うふふ……」
中澤 「や、やめて……」
おあみは中澤のおとがいを、人差し指と親指で支え自分の方へ向ける
おあみ「あなたも……いらっしゃい」
そして優しく自分の唇を中澤の唇に重ねあわせた。
中澤「!!!」
それまで虚ろだった中澤の目が大きく見開かれた
775 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)01時03分11秒
−朝焼寺−

(どうしたら・・・私はどうしたらいいの・・・・・・)
境内の真ん中でじっと座り込んでいるごま四郎

『私は・・・私は師を斬ることを恐れて自分が今最も必要な力を
  身に付けようとしないような弱虫を弟子に持った覚えはないからね・・・』
市井の最後の言葉がごま四郎の頭の中で繰り返される

(そんなこと言われてもさ・・・
  失敗したらいち〜ちゃんを殺しちゃうかもしれないのに・・・
  ううん・・・絶対失敗しちゃう・・・だから・・・できない・・・)
ごま四郎の目から涙が零れる・・・

その時・・・
『どうして紗耶香が本気になってるか、分かってやれないんだべ?
  紗耶香は・・・いや、なっちは教えてやれないべ。』
『それが分からないようなら、まだまだごま四郎は弱い子だべ』
『答えは自分で見つけるっしょ。』
『そんな中途半端じゃここから戻っても、どうせすぐ地獄に逆戻りだべ。』
『強くなりたくないの?』
夢(ごま四郎自身は地獄にいたという自覚はない・・・)での
安倍代官の言葉を思い出すごま四郎

(・・・私は・・・・・・私は・・・・・・)
776 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)02時58分15秒
―診療所―

安倍代官「さーて・・・。腹ごしらえも済んだことだし、そろそろリハビリするべか」
明日香「!」
安倍代官「なっちの刀は何処だべか?」
明日香「・・・なっち・・・右腕は・・・」
安倍代官「心配することないっしょ!!!」
夏師匠「フフフ、地獄から帰ってきたとたん、ずいぶん強気になってるじゃないか。
    これ、寺田の旦那からのお土産な。感謝しな」
安倍代官「『唐諸輿』・・・。禁を解いてくれたんだべか・・・。」
明日香「『蘇羅斗華是』はここにあるわ。一応研ぎなおして、お手入れもしといた。」
安倍代官「夏師匠、明日香、サンキューだべ。」

安倍代官始動。
777 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時10分41秒
=江戸城・天守閣=

   ぎゃぁぁぁ!

激しく苦しみ悶える……おあみの姿がそこにはあった
中澤「はぁはぁ……どや,明日香作升汰怒・醜完全版の味は。
   うちの唇は高い値段やからな、たっぷりお代は頂戴するで……」
耐え切れず圭之介の体から離脱するおあみ。

  ドッ

魂の抜けた飯田の体を中澤は受け止めやさしく頭を撫でる
おあみ(あぁぁ……どうする……どうしたら……もうあれしか……)
城内の元の体に急ぐ邪霊おあみ。そして天守閣には二人が残った。

平家 「裕ちゃん、アンタ……」

中澤裕子と平家みちよの二人が……
778 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時14分31秒
平家 「裕ちゃん!それが……それがアンタの選んだ……アタシとの決着より……
アタシよりも……カヲを……」
平家の声が響く。怒りと悲しみとやるせなさ。全てが入り交じった絶叫が。
中澤 「堪忍……堪忍な、みっちゃん……」
中澤も泣いていた。唯一わかりあえる友を傷つけてしまった、後悔の涙。
平家 「裕ちゃん……酷い、ヒドいで……『月斗』見た時わかったんや……
    裕ちゃんは本心で闘ってへんちゅうのが……」
『月斗』の輝きを鈍らせた跡。それは中澤の一滴の涙の跡

中澤 「これが……これ位しかあの子らにしてやれることないんや……」
779 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時17分48秒
涙声で中澤は続ける
中澤 「みっちゃん、こんな結末になってもうたけど……うちは手を
    ぬいたりなんかしてへん……それだけ……それだけはわかってな」
平家 「裕ちゃん……」
中澤 「『月斗』か……ええ刀やな。手に入れたかったわ……持ち主が
    メッチャ大事にしてたんもよくわかるわ。それにみっちゃん,
    あんたとも決着つけたかったし……でも……堪忍な」
飯田の体を抱き抱えゆっくりと立ち上がる中澤
平家 「裕ちゃん、アタシ、アタシ……」
中澤 「信じた道を突き進むんやで……平家みちよぉ!」
そのまま後方に堀に向かってジャンプする中澤。
平家 「裕ちゃん!その体で、カヲ担いで跳べるわけないやろ!」
780 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時20分08秒
中澤 「切り札はとっとくもんなんやで、みっちゃん!」
懐から大型の単筒を取り出す
中澤 「ユウキに頼まれて仕入れた特製単筒や!こいつで……」

  ドゴーン

平家(は、反動を利用して……)
781 名前:中澤@空中 投稿日:2001年03月08日(木)09時23分20秒
中澤(あかん……肩抜けてもうた……イッてまう……カヲは、カヲだけでも……)
飯田を抱き締め自らクッションの役に徹する中澤…
782 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時26分00秒
=そして江戸城・中庭=

衣吹 「何事?……しまった!」
一瞬の隙をつき城壁に飛び移る吉澤
吉澤 (たすかったぁ……ってあれは!)
何かに気が付いた吉澤。そのままなにも無い空中に飛び上がる。
下方で衣吹は叫ぶ
衣吹 「馬鹿な!何やってるのよ!いい標的だわ!」
吉澤目掛け手裏剣を撃つ衣吹。

シュパッ……ザクッ!

吉澤 「ぐぐ……間に合え〜!」
脇腹に手裏剣を受けながらも吉澤の気持ちは別の事に集中していた。
783 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時28分28秒
   シュタッ

手裏剣の標的になることは解っていたはずなのに飛び上がった吉澤。
彼女が城壁に着地したその時衣吹は疑問を口にした。
衣吹 「いったいなにが……それは!」
吉澤は中澤・飯田の体を優しく抱き抱え、声高らかに宣言する。
吉澤 「天下の大泥棒、プッチ長屋の吉澤五右衛門。
    中澤裕子、飯田圭之介、確かに頂戴した!それでは御免!」
784 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時29分43秒
アミ 「衣吹!」
衣吹 「いい。追わなくても。あの娘……なんだかんだでちゃんと役目を果たしやがった」
アミ 「うん……」
衣吹 「さぁ、あたし達も自分の役目に戻るよ!」
アミ 「あの〜……あたし腕折れてんですけど……」
785 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月08日(木)09時30分59秒
=天守閣=

平家(裕ちゃん……アタシの負けやわ。アタシは、ナンモ変わってへん
   かった……アノ頃と……でも、裕ちゃんは、みんなと一緒に居って
   そんなに……だれかの為に命を張る事が……仲間を信じるっちゅうことが
   出来るようになったんやな……)
『磁世雨惣』を手にして呟く
平家「どこまで出来るかしらんが……アタシも……」
786 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時52分32秒
−朝焼寺−

朝焼寺に戻ってきた市井庭八郎が最初に見たものは
少し前の自分と同じように境内の真ん中で空を見上げているごま四郎の姿だった
市井「ごま四郎…」
ごま四郎「いち〜……師匠……」
市井を見るごま四郎の表情は先程までの泣き顔ではなく、
覚悟を決めた真剣な表情をしていた
市井「……良い表情(カオ)してるよ…。覚悟は決まったみたいだね…」
ごま四郎「はい!!」
市井「よし!じゃあいくよ!」
そう言って懐から例の銀色の筒状の物体を取り出して何やら呪文を唱える市井庭八郎
やがて物体が一瞬光ると凶凶しい妖気が溢れ出し、市井の気を侵食していく
市井「あ!!」
朝焼寺に響く市井庭八郎の悲鳴
そのあまりに苦しそうな表情にごま四郎は思わず目を背ける
787 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時53分47秒
市井「ああああああああ………」
やがて悲鳴をあげなくなり、まるで糸の切れた操り人形のように
力無く立っているだけになった市井庭八郎
ごま四郎「いち〜ちゃん!?」
不安のあまり思わず市井に駆け寄ろうとするごま四郎だが
市井「だ〜れが“いち〜ちゃん”だってぇ・・・・・・」
市井の声に被さるように男の声が聞こえたことで後ずさるごま四郎
不気味な笑みを浮かべ、そして手に持っていた銀色の筒状の物体を口元にもってくる
市井@藤井「あろぉ〜はぁ〜!!いやぁ、久しぶりの外の世界ですねぇ・・・
      おや?そこにいるのは我らが宿敵・妄忍愚のごま四郎さんじゃないですか
       さて、体も鈍ってますし、準備運動がてらにあなたを倒しちゃいましょうか…
       そして、のほほんと暮らしている奴等に地獄の苦しみを与えてあげましょう」
不気味に微笑む市井@藤井
788 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時54分29秒
ごま四郎「くっ!!」
刀を抜こうとするごま四郎。だが・・・
市井@藤井「遅いですよ!必殺!“さいぱん・恐怖のばななぼーと”攻撃!!」
藤井の声と同時にごま四郎の頭に衝撃がはしる
と同時に、猛スピードで海上を走る何かに振り落とされないように
必死でしがみついている幻覚を見る
ごま四郎「きゃあああああああ!!」
頭を抱えて悲鳴をあげるごま四郎
市井@藤井「どんどんいきますよ!“上海・1人ぼっちの孤独な旅”ぃ!!」
ごま四郎が次に見た幻覚は全く知らない土地に1人で立っている自分の姿
辺りに人がいるが、ごま四郎の姿が見えないのかごま四郎にぶつかっても
無視して立ち去っていく
ごま四郎「うううっ・・・・・・」
ごま四郎の目から涙が零れる
789 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時56分21秒
市井@藤井「次は“露西亜・マズイ食い物と厳しい寒波”攻撃ぃ!!」
次の幻覚は不味いモノを食わされ、身を切り刻むような厳しい寒さの中にいる
ごま四郎「もう・・・もうやめてぇ〜!!」
次々と襲いかかる幻覚に耐え切れず絶叫するごま四郎
ごま四郎(ゴメン・・・いち〜ちゃん・・・。やっぱり無理だよ・・・
      攻撃しないといけないってわかってるんだけど
      どうやって“弐の太刀”を放ったらいいのか全然わからないよ・・・)
ごま四郎の顔が絶望に歪む
市井@藤井「もう少し楽しませてくれると思ったんですがもう限界ですか…
少し期待外れですね…。仕方ない、そろそろとどめをさしてあげますよ…」
笑いながらそう言った市井@藤井の声はごま四郎にはどこか遠くから
聞こえるように感じていた
790 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時56分52秒
ごま四郎(いち〜ちゃん……)
791 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時57分50秒
――――
――

市井『よしっ!じゃあ始めるよ!』
ごま四郎『おっけぇ〜、いち〜ちゃん
ごま四郎の後ろに立っている市井が側にあるロープを切る
“ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!”
ごま四郎に向かって4本の巨大な丸太が飛んでくる
ごま四郎『はああああ!!』
刀を抜いて走り出し、丸太に向かって飛びかかるごま四郎
“スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!”
“スタッ!”
静かに着地するごま四郎。と、同時に
“ガラン!ガラン!ガラン!ガラン!ガラン!ガラン!……”
真っ二つになり、地面に落ちていく丸太
ごま四郎『やったよ!いち〜ちゃ…』
笑顔で市井の方に振り向こうとしたその時、
792 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月11日(日)03時58分46秒
“ヒュン!……………ゴチン!!”
ごま四郎の顔面に1本の薪が直撃する
市井『あっ……!!(汗』
額から冷や汗が流れ、苦笑いをする市井庭八郎
ごま四郎『……もぉ!なにすんのさぁ!!』
涙目で市井を睨むごま四郎
市井『ゴメン、ゴメン!!まさかこんな“お約束”みたいになると思わなかったからさ…
でも、私言ったよね、目だけで目標を追いかけようとしたら駄目だって…
心の目で感じ取らないと駄目だって!』
ごま四郎『だって…、私、心眼って苦手なんだもん…』
市井『アンタ、そんなことじゃ奥義を極められないよ…
それどころか目で見切れない敵に襲われたりしたら最悪の場合死んじゃうよ…』
ごま四郎『大丈夫!その時はいち〜ちゃんが助けてくれるから
市井『あのなぁ…(汗』
ごま四郎『いつもアレの後に『アンタは私が絶対に守る!』って言ってくれるじゃん!!
それとも、あの言葉は嘘だったの…。ヒドイ…、私を弄んだんだ……』
市井『いやっ…それとこれとは別の話で……(汗』

――
――――
793 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時20分52秒
ごま四郎(心眼って苦手だけど……やるしかないっ!!)
気合を入れ直し、抜刀術の構えをとり刀に気を集中する
ごま四郎「たああああっ!!」

“ヒュン!!”
抜刀と同時に放たれた気の刃が一直線に市井@藤井に向っていくが

市井@藤井「まだそんな元気が残ってたんですねぇ…」
ニヤリと余裕の表情でかわす市井@藤井

“スパッ!!”
そのまま真っ直ぐ飛んでいった気の刃は背後にあった
鳥居を切り裂いてしまう

市井@藤井「ほぉ〜、凄い威力ですね…。直撃してたら大変なことになってましたよ…」
ちらりと倒れていく鳥居を横目で見ながら呟く市井@藤井
一方、真っ青な表情で鳥居が倒れたのを見ていたごま四郎
ごま四郎(アイツがかわしてくれなきゃ…いち〜ちゃんを殺すところだった…
心眼使わなきゃいけないってわかってるのに、無意識のうちに目に頼ってる…
このままじゃ“壱の太刀”はできても、とても“弐の太刀”なんかできない…)
794 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時22分51秒
市井@藤井「では、そろそろ廃人になってもらいましょうか…
      トドメですっ!!“日本海・荒波と船酔い”攻撃っ!!」
ごま四郎の脳に直撃したその攻撃は幻覚を見せるだけではなく
ごま四郎の平衡感覚にも影響を与えていた

ごま四郎「もう…ダメっ…うげぇ……」
とうとう耐え切れずに嘔吐してしまうごま四郎
市井@藤井「あはははは、哀れですねぇ。抵抗するのはやめて
      大人しく廃人になってしまえばこれ以上苦しまずに済みますよ…」
大声で笑う市井@藤井
795 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時26分08秒
ごま四郎(このままじゃ…私のせいで多くの人たちが苦しむことになる…
      なんとかしなきゃ…。でも、目に頼ってしまってる私に勝ち目は…)
その時、自分の腕に巻かれている包帯がごま四郎の目に飛び込んでくる
ごま四郎(見えちゃうから目に頼っちゃう…だったらいっその事…)
腕に巻かれている包帯を凄まじい勢いで解き始めるごま四郎
市井@藤井「怪我している部位を被って守っている包帯を解き始めるとは…
       とうとう頭がおかしくなってきたみたいですね…」
市井@藤井は勝利を確信し、高笑いをしながら言った

ごま四郎「…残念だけど、まだ正気だよ…。で、これはぁ…こう使うのっ!!」
そう叫ぶと、ごま四郎は解いた包帯をぐるぐると巻いて目隠しにした
796 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時27分40秒
市井@藤井「ど…どういうつもりですか…」
突然のごま四郎の行動にとまどいを隠せない市井@藤井
ごま四郎「はぁはぁ…これで私には何も見えない…目に頼らないから…
       だからこそ……アンタに勝てるっ!!」
刀を納め、抜刀術の構えをするごま四郎
市井@藤井「なんだかとても不愉快な人ですね…
        いいでしょう…。廃人になっていく過程を見る見る事が私の最高の
        楽しみなのですが…、あなたは特別に私自らの手で葬ってあげます!!」
鞘火を抜いて腰の前で構えて、ごま四郎に向かって突進する市井@藤井
市井@藤井「あああああああ!!」
797 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時30分10秒
ごま四郎(見るんじゃない……。感じるんだ…!!)

目隠しをしているので目を開いていても何も見えないが、
さらに目を閉じ、周りの音が何も聞こえないぐらい精神集中する

ごま四郎(近づいてきてる!いち〜ちゃんの暖かくて…やさしい…だけど、強い気と…
       その、いち〜ちゃんの気を消そうと攻撃しているムカツク妖気が!!)
ごま四郎「見えた!!藤井、アンタの負けよ!!」
そう叫ぶと同時に金髪の覚醒モードに変化するごま四郎

ごま四郎(いち〜ちゃんの気と同調(シンクロ)させた気を刀に集中させて……)
ごま四郎「いっけぇ〜!!血夜骨斗羅武  弐の太刀ぃ!!」
抜刀されると同時に気の刃が市井@藤井に放たれる
市井@藤井「うわああああああああ!!」
ごま四郎に向って突進していた市井@藤井はそれを回避することができない


――
――――
798 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時32分41秒
覚醒モードから普通の状態に戻り、刀を納め、目隠しにしていた包帯を解き
そして、閉じていた目をゆっくりと開くごま四郎
ごま四郎「……」
目を開いて最初に見えたのは笑顔で立っている市井の姿だった

市井「ごま四郎……」
ごま四郎「いち〜ちゃん……いち〜ちゃ〜ん!!」
市井に抱きつき、そして泣きだすごま四郎
市井もごま四郎をしっかりと受けとめ、ごま四郎の背中に両手をまわす
ごま四郎「えっ…えぐっ…。よかった…、いち〜ちゃんが無事で……」
市井「ありがと…、それから…おめでとうごま四郎…
     もうアンタは立派な剣士だよ…今のアンタなら
     “血夜骨斗羅武 弐の太刀”だけでなく、“青春慈醍壱・弐・参”も
     それから、アンタだけの必殺技もできるようになってるよ…
     もう、私が教える事は何もない……」
ごま四郎「そんなことないっ!私はまだまだ半人前だよぉ…」
799 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時36分25秒
市井「いい?ごま四郎…、人はみんな“勇気”や“愛情”とか
    “光”の力の元をちゃんと持ってる…。けど、悲しい事に
    人の心って弱くて脆いものだから“嫉妬”や“憎悪”なんかを
    根源にする“闇”の力に惑わされやすいんだ…
    そして、それは藤井たちのような妖魔を呼び寄せることになり、
    おあみのような“闇”に魂を侵された人を生み出すことになる…
    そして、多くの人に災いをもたらすことになる…
    私たちの力はそれを防ぐために…多くの人を守るために与えられたものなの…
    それを絶対に忘れないで…。絶対に私利私欲のために使っちゃダメだよ…」
ごま四郎「うん…。絶対に…絶対に使わない…!」
鼻をすすりながらも、なんとか泣き止むごま四郎

市井「よしっ!じゃあ、明日香のところに帰ろうか!みんな、待ってるよ…」
ごま四郎の両肩を持ち、くるりと回転させ、朝焼寺の出口に向かって背中を押す市井庭八郎
800 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時37分01秒
ごま四郎「もぉ〜痛いよぉ…いち〜…」
笑顔でそう言いながら市井の方に再び振り返ろうとした時

“ドサッ!!”

ごま四郎「…ちゃん…」
ごま四郎の目に飛び込んできたのは倒れている市井庭八郎の姿だった
801 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時38分21秒
ごま四郎「いち〜ちゃん!!」
慌てて市井の元にかけより抱きかかえるごま四郎
ごま四郎「なんで!?なんで!?私、やっぱり失敗しちゃったの!?」
突然の出来事にパニック状態に陥るごま四郎
目からは涙がボロボロと零れ落ちる
市井「違う…。ごま四郎…、アンタのせいじゃない…。私…、こうなる事はわかっていたから…」
苦しそうに話す市井庭八郎
ごま四郎「どういうこと!?言ってる意味がわかんないよ、いち〜ちゃん!?」
市井「はぁはぁ…、普段の状態のままで藤井を憑依させると…
    私の気の影響で藤井の能力(チカラ)が弱まるかもしれなかった…
    それじゃあ…、修行にならないでしょ…。だから、自分の気のほとんどを封印して
    普通の人よりも弱くして…、アイツが最も能力(チカラ)を使いやすい状態に…」
802 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時40分20秒
ごま四郎「その影響で…!?やっぱり私のせいじゃん!!なんでそんな無茶なことしたのさ!!」
市井「はぁはぁ……、言っただろ、アンタのせいじゃないって…。私が望んでしたことなんだから…」
次第に市井の黒髪が根元から色が白く変わっていく
ごま四郎「いち〜ちゃん!!しっかりしてよ!!ねぇ!!」
市井の手を握り、さらに市井の体を揺するごま四郎
市井「ごま四郎…生きるんだよ…!」
市井が目を閉じると同時にら涙が一粒こぼれる…
そして、髪が完全に白髪に変化する
ごま四郎「いち〜ちゃんっ!!」

そして、市井の手から力が抜け、ごま四郎の手から地面に落ちた…
803 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月16日(金)03時41分45秒
ごま四郎「いち〜ちゃん!!ねぇ、起きてよ!!いち〜ちゃん!!」
必死で市井の体を揺するごま四郎
しかし、市井からは何の反応も返ってこない

ごま四郎「酷いよ…。自分勝手だよ…。こんなの…絶対に許さないんだから…」
自分の背中に市井をのせて立ち上がり、そして覚醒モードに変化するごま四郎

ごま四郎「死なせない…。絶対にこのまま死なせたりするもんかぁ!!」

ごま四郎は大声で叫び、明日香の診療所に向って走り出した
804 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月18日(日)01時43分42秒
−明日香の診療所・庭−

矢口先生「むぅ〜・・・・・・!!」
象三を構え精神集中し
矢口先生「あちゃちゃちゃちゃちゃちゃ!!」
凄まじい連続突きを放つ矢口先生
矢口先生「・・・ふっ・・・きまった・・・・・・!」
そして、汗などかいていないのに額を拭う矢口先生
805 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月18日(日)01時44分10秒
“スコーン!!”
矢口先生「いてぇ!!」
806 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月18日(日)01時45分14秒
矢口先生「もぉ・・・!圭ちゃん、ゲタなんか投げるなよ!」
落ちているゲタを拾う矢口先生
お圭「投げたくもなるわよ・・・。アンタ、何やってんのさ!!」
矢口先生「何って・・・薪割りだけど・・・」
ゆゆ「確かにキレイに割れてるけど・・・キツツキが
    突ついたみたいに穴だらけやで・・・コレ・・・」
矢口先生が割った薪を拾ってボソッと呟くゆゆ
お圭「修行するのはいいけどさ、ちゃんと練習用の的とか人形を使いなよ
   これじゃあ、単なる資源の無駄づかいだよ・・・」
矢口先生「だって・・・、725の『きゅー・・・』からまともな出番がないんだよ・・・
      オイラ主役なのに・・・・・・」
お圭「だからって薪にやつあたりしないでよ・・・」
807 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月18日(日)01時47分08秒
お亜依&のの太「「ただいまぁ〜!!」」
お圭「あっ!アンタたち、どこに行ってたのさ!!」
お亜依「いやぁ・・・あのぉ・・・ちょっとおさんぽに・・・」
お圭「アンタ、修行の途中でいなくなったでしょ!
    夏先生、無茶苦茶怒ってたわよ・・・
    多分、後で特別レッスンね・・・覚悟しといた方がいいわよ・・・」
お亜依「それって・・・」
矢口先生「確実に死ぬ1歩手前まで“じわじわ”と“丁寧に”に痛めつけられるね・・・」
お亜依「ひぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
808 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月18日(日)01時48分49秒
のの太「あはははは!たいへんれすねぇ、あいちゃん」
矢口先生「アンタも人のこと笑ってられないよ・・・」
のの太「へっ!?どういうことれすか・・・?」
お圭「アンタも怪我人のクセに突然いなくなったでしょ
    カオリと明日香が『どこにいった〜!!』って怒ってたわよ・・・
    カオリはともかく、明日香が本気で怒ると“私より”怖いわよ・・・」
お圭の言葉に同意するように黙って何度も頷く矢口先生
のの太「ひぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
809 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月21日(水)17時18分59秒
吉澤「……た、ただ今かえりました〜」
中澤、飯田を背負って吉澤帰宅

吉澤「お亜依ものの太も泡ふいて倒れてるけど……なんかあったのかな?」
810 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月22日(木)12時45分16秒
お亜依「ああ、ひとみちゃん!」
目を覚ましよろよろと、吉澤にすがりつくお亜依
吉澤「なにがあったの?」
お亜依「じ、実は……」
夏師匠「おう、どうしたんだい?…お亜依」
お亜依「ぎゃ〜〜〜!」
一目散に逃走するお亜依

吉澤「いったい、なにがあったんだろ……」
811 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月22日(木)12時47分00秒
のの太「ああ、ひとみちゃん!」
目を覚ましよろよろと、吉澤にすがりつくのの太郎
吉澤「なにがあったの?」
のの太「じ、じつはれすね……」
明日香「あら、いったいどうしたの…ののちゃん?」
お亜依「ひぃ〜〜〜!」
一目散に逃走するのの太郎

吉澤「いったい、なにがあったんだろ……」
812 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月22日(木)12時48分29秒
夏・明日香「さて次は…ひ・と・み・ちゃ〜〜ん……」(ギロリ
吉澤「は、はい!あ、あの……」
中澤、飯田を背負ったまま硬直の吉澤
813 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月24日(土)12時52分48秒
和田屋――

ソニン「和田さん!しっかりして下さい!!」
和田屋「うぅ・・・俺はもうダメだ。ソニン・・・最期に頼みがある・・・」
ソニン「なんですか!?何でも言って下さい!!」
和田屋「あの2人を・・・俺を斬ったあの2人の首を、俺の墓前に供えてくれ・・・
     それが・・・俺への最大の供養となる・・・」
ソニン「和田さん・・・。分かりました。必ず・・・必ずや和田さんの無念を晴ら
     して参ります!!」
和田屋「頼んだぞ・・・ソニン。うっ・・ゴフッ!!」
ソニン「和田さん!和田さん!!ヤダ・・・死んじゃヤダッ!!!」

(庭先から・・・)
ユウキ「(・・・あの位の怪我で死ぬわけないのに、何盛り上がってんだろ?)」
感極まって泣き出すソニンとは対照的に、どうも冷めているユウキ
814 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月25日(日)23時50分19秒
−明日香の診療所−

明日香「・・・言いたい事がいっぱいあるけど・・・とりあえず診察室に入りな・・・。
     夏先生、裕ちゃんと・・・カオリの体を・・・」
吉澤「あっ・・・はいっ!」
夏師匠に中澤とカオリの体を預ける吉澤五右衛門
お梨華「ひとみちゃん!!」
奥から出てきて吉澤に飛びつき、力一杯抱きしめるお梨華
吉澤「梨華ちゃ・・・ぎゃあ!!」
お梨華「もぉ!!こんな酷い怪我して・・・!!すっごい心配したんだよ!!
     お願いだからもうこんな無茶なことは絶対にしないで!!」
吉澤「いや・・・あの・・・梨華ちゃん・・・すっごい嬉しいんだけど・・・
    手がメチャクチャ傷に・・・触っててスッゴイ痛い・・・(汗」
お梨華「でも、よかった・・・ちゃんと戻ってきてくれて・・・
     私のお祈りを神様が叶えてくれたのかな・・・
さらに吉澤をぎゅっと力一杯抱きしめるお梨華
吉澤「あの・・・私の話聞いて・・・る・・・?・・・きゅう・・・」
あまりの激痛に絶えきれず気絶する吉澤五右衛門

ゆゆ「あっ!死んだ!」
矢口先生「勝手に殺すなよ・・・(汗」
815 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月26日(月)00時00分04秒
お梨華「ひとみちゃん・・・?ひとみちゃん!!ねぇ、しっかりしてよ!!」
吉澤の肩を持ってぶんぶん揺するお梨華
明日香「ったく・・・しょうがないなぁ・・・。矢口ぃ、吉澤さん診察室に運んでぇ!」
矢口先生「おっけぇ!!」

明日香「それと・・・、圭ちゃん!!」  夏師匠「そうそう、保田ぁ!!」
お圭「はいぃ!!」
明日香と夏師匠に同時に呼ばれ、硬直するお圭
明日香「ののちゃんを・・・」  夏師匠「お亜依を・・・」
明日香&夏師匠「「どんな手を使ってもいいから必ず捕まえてきて(なさい)!!」
ギロリとお圭を睨みながら同じ事を言う明日香と夏師匠
お圭「わ・・・・・・わかりました・・・(汗」
あまりの迫力に夏師匠はともかく、年下の明日香にまで敬語になってしまうお圭     
816 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月26日(月)06時29分16秒
華月は目を閉じて花畑を進んでいた。
ココにちゃんとした“距離”という概念はないのだが、普段は移動しない距離だ。
彼の周りにはいつもと変わらず動物達がついてくる。
最近よくついてくる一匹の牛がいる。
華月が動物達を個体としてみることは少ない。
しかしこの牛は大きいので多少意識している。
生前は大八車を作ることが趣味だった彼にとって、牛という生き物はそれなりに関心もあった。

いやいや、そんなことはどうでもいい。
どうやら彼が今向かっている場所へもうすぐつくようだ。
一人の少女がいつものように花冠をつくって遊んでいる。
彼女はココにはめずらしい長期滞在者だ。
別に生死の間をいつまでもさまよっているわけではない。
特殊なケースとして未だに川の付近にいる。

少女「あっ、華月さん。
   ねえ、一緒に遊ぼ。遊ぼ。」

少女にとって華月はもっとも歳の近い存在だ。
とは言っても彼自信、もう相当な歳ではあるのだが。
まあそういうわけで彼女は華月になついている。

華月「今日は遊びに来たんじゃないんだ。」
少女「ふ〜ん、お仕事?」
華月「ん、まあそう。」
少女「・・あいかわらず痩せてるよね。
   腹筋して体力つけようよ。」
華月「死後の世界に個体としての成長や老化はないよ。」
少女「ええ!じゃあ私がいつも腹筋100回とかしてるのは無駄なわけ?」
華月「まあそうかな。」

彼女はココに来て自分より長い。
しかし彼女は無頓着に明るい。
自分の髪や爪がのびないことを不思議と思わなかったのだろうか。
....それもまあどうでもいいことだ。
華月は本題に入ることにした。
華月についてきた牛のほうに向いていた少女の視線をこちらに向ける。

華月「この間、一瞬戻ってたよね。」
少女「どういうこと?」
華月「体に戻ってたよね。」
少女「・・・・ああ、はい。
   あれは目の前で人が殺しあおうとしてたから。」
華月「ナルホド。記憶はあるんだ。」
少女「その、、呼び戻された時の記憶はね、あるんだ。」
華月「それは、、、、、」

華月は自分の肩にとまっていた蝶に目をやる。
少女の動作に震えがないのを見届け、口を開く。

華月「そろそろ、もう片方の心と一つに戻ってももいいんじゃないかな。
   あみちゃん。」
817 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月26日(月)07時26分16秒
=江戸城=

おあみ元の体にて復活。
おあみ「やれやれ…この体に戻ったはいいけど、こんな体じゃ……」
平家 「おあみ…抜いてみ」
ぽんと「慈世雨惣」を投げる平家先生
おあみ「なんなのよ。ど〜せ……」
ブツブツ言いながら刀を抜く

    フォン

おあみ「え?まさか……」
飯田の体の時程ではないが、霊力の刃を刀は放出している
おあみ「いったいどうして?」
平家 「カヲの体にあんだけとりついとったんや。刀も持ち主を間違えるんとちゃうか?」
笑いながら答える平家先生。
平家 (おあみのやつ、間違い無く霊力があがっとる……)
818 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年03月28日(水)07時12分45秒
〜〜表通り〜〜

りんね「はぁ〜、やっと皿洗いおわったよ、……マッタク団子3皿で
    100枚も皿洗わせやがって……」
団子屋主人「なんか言ったか?姉ちゃん」
りんね「い、いえ別に…し、失礼します!」

りんね、戦線に復帰?
819 名前:メインキャラの主なる武器(五十音順) 投稿日:2001年03月30日(金)22時36分28秒
「唖州火」(明日香)
 中澤屋が商人となった理由のひとつがこの刀の捜索であったらしい。
 この刀をわけあって平家が質屋に入れてしまったため、明日香は医師をめざすために踏ん切りがついたという。
 広刃で諸刃のこの剣は他の刀と戦闘スタイルが多少異なる。
「亜未異護」(あみーごダークサイド・前スレ958)
 武器としてよりも妖刀としての存在意義が大きい。
「大太刀」(後藤)※
 名のある刀匠による特注品ではないため正式名はない。
 その重量からこの呼称がついている。
 研ぎにだしても意味がない程錆び付いていて切れ味も悪いが、叩き斬るスタイルのごまはまるで棒のように振り回している。
「傘」(矢口先生)
 矢口先生自ら張った傘で、先が三叉槍になっている。
 プッチ長家の矢口先生宅に積まれており、主に投剣として役割をはたした。
 矢口先生は木刀は重いと言ってこれを使って剣の修行をしている。
「月斗」(平家先生)
 平家先生が登用試験の副賞として得た刀。
 長すぎず脆すぎずバランスのとれた秀刀。
 柄に彫り込まれている金箔のない真ん丸の月から「新月」の異名も持つ。
「鞘火」(市井庭八郎・前スレ397)
 作は前の老中寺田で、伝説となった彼の刀匠としての腕を見事に示す出来。
 その刀は弾丸をも弾き返し、一度火花を散らせば虹色に光ると言われる。
 寺田はこれ以降刀匠をやめて本格的に江戸城での地位を高めていったため、彼の最後の作品でもある。
「十手」(保田)
 岡っ引きである保田のサブウェポンである。
 もともと保田は先頭になって戦うタイプではなく、防戦用の武器と言える。
 これを使った市井の1発芸には多くの者が腹を抱えた。
820 名前:メインキャラの主なる武器(五十音順) 投稿日:2001年03月30日(金)22時36分57秒
「手裏剣」(平家先生・シェキドルなど)
 忍者が用いる投武器のスタンダード。
 牽制に用いることも多々ある。
「磁世雨惣」(飯田圭之介・今スレ116)
 武器本体は柄のみで、持ち主の霊力を刃とするセイバーである。
 実体のない妖魔にも攻撃可能なため、対妖魔戦唯一の武器と言われる。
 持ち主の霊力や感情によって刃の長さ・色・硬度等が変化する。
「象三」(矢口・今スレ271)
 肩掛けする珍しいタイプの武器。
 左からの打撃を主とするが、楽器としての意味をなすことが多い。
「蘇羅斗華是」(安倍代官)
 二刀流右手用の長刀。
 寺田にもう一振りを没収された後はこの刀を両手持ちの腕力で振り回していた。
 安倍はこの刀で自らの右腕を切り落とした。
「裁ち鋏」(彩)
 無論、ただの裁縫道具ではない。
 糸を使って相手の動きを制限する縛糸術の使い手の接近戦用武器。
 糸を切るのにも使用される。
「超軽量の剣」(矢口先生)
 特注品だが使い勝手よい三叉槍のおかげでサブウェポンとなった。
 鞘には車輪がつけられており、それこそが持ち主を「コロ助」とあだ名した由来である。
「月砂漠」(中澤屋)※
 中澤屋が商人時代に入手したもので、そこそこの値がはったもののようだ。
 実はもともと月斗を作った刀匠の弟子が、月斗の雁作のつもりで作成したものらしい。
 柄に彫り込まれている金箔の入った真ん丸の月から「満月」の異名も持つ。
「唐諸輿」(安倍代官)
 二刀流左手用の諸刃の剣。
 顎には唐草紋様が入っている。
 リーチが短い分出が早く、間合いをつめたり超近距離戦でその力を発揮する。
「爆薬筒」(ユウキ・中澤屋など)
 和田屋製の爆薬を入れた竹筒。
「三叉槍」(矢口先生)
 伸縮自在なので臨戦時以外でも絶対に携帯している矢口先生のメインウェポン。
 出は早いがトライデントであるため致命傷を与えるのは難しい。
「雪景色」(りんね)
 美しい顎の模様からこの名がついたという刀。
 日本刀にしてはあまり反りが入っておらず、間合いを詰めながらの戦いを前提としている。

※印は初出の名称。
保田と吉澤の主な武器に関する情報を募集中。
821 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月03日(火)10時20分50秒
〜表通り〜

のの太「ふ〜ここまでくればあんぜんなのれす」
お亜依「まったくヒヤヒヤしたで、なぁ」
逃亡中のちびっこ二人
822 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月03日(火)10時23分29秒
???「二人とも、どうしたの?」
お亜依「わぁ!だ、誰や!」
のの太「あ…りねさん」
りんね「りんねだよ、もう。どうしたの?」
お亜依「聞いてくださいよ」
のの太「実は……」
823 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月03日(火)10時29分12秒
りんね「なるほど…よりにもよって一番怒らせちゃマズイ人を怒らせちゃったんだ」
お亜依「助けてくれまへんかぁ?」
のの太「このとおりれすから〜」
りんね(……この二人を、お城に連れて返ってもな〜……ま、いっか
    おあみも平家先生もこんな子供には変な事しないでしょ)

りんね「じゃあさぁ、りんねがなんとかしてあげるよ」
お亜依「ほんまですかぁ〜」
のの太「たすかったのれす〜」

りんねがどんな状況にあるか知らずついてゆくちびっこ二人組
824 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月04日(水)11時28分11秒
お圭「ちょっと!あんた達、どこ逝こうってのよ」

そこへ狛犬のお圭登場
825 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月04日(水)11時48分58秒
りんね「あちゃ、マッズ…」
お圭 「どうゆう了見だか知らないけどど二人は置いていってもらうよ
    こっちも命かかってんでね」
りんね(ここは大人しくしたがうか…)

冷静に判断するりんね。しかし……
826 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月04日(水)11時50分26秒
のの 「あ〜!こんなところまでおってきたのれす!」
お亜依「ほんまにしっつこいなぁ!」
のの 「かえれかえれ〜、がめらぁ!」
お亜依「ガメラは子供の見方やろ!ほっといてんか」

りんねの後ろにかくれて野次飛ばすちびっこ二人。
827 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月04日(水)12時00分16秒
お圭 「味方でしょ、漢字間違えてるわよ!
    き〜〜、あんた達、ム〜カ〜ツ〜ク〜。いいわよ、腕づくで
    連れ戻してやろうじゃないの!」
りんね「ちょ、ちょっとぉ!まってくださいよ」

のの 「やれやれぇ!」
お亜依「りんねちゃんは手加減はせぇへんでぇ!」
りんねに隠れて、威勢だけはいいちびっこ二人

りんね「ちょっと、二人共!」

お圭 「いい度胸じゃないの…覚悟!」
りんね「ひ〜〜」
哀れ、りんね
828 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月05日(木)23時44分54秒
−明日香の診療所・診察室−

夏「中澤ここに寝かせるよ!」
診察台に中澤を寝かせる夏師匠
明日香「あっ、はい!
     そうそう、矢口、吉澤さん任せていいかな?
     ぱっと見た感じだと裕ちゃんの方がヤバそうだからさ!」
矢口先生「う〜ん、止血とかしてたらいいのかな?」
明日香「うん。裕ちゃんの処置が終わったらすぐに吉澤さん診るから!」
お梨華「ひとみちゃん・・・」
矢口先生「ほら!梨華ちゃん泣いてないで手伝う!
      応急処置がしっかりしてたらその分だけ助かる確率が
      高くなるんだから!」
お梨華「は・・・はいっ!」
夏「じゃあ、私は飯田の魂と身体を元に戻す作業に入るよ
   おあみが乗り移っていたせいで妖気のカスが残ってるから
   それを除去してやらないとね・・・って飯田はどこにいったのさ!」
明日香「確か、なっちと一緒にいたと思うんですけど・・・!」

コントのような表通りに比べ、ピリピリしている診療所
829 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月06日(金)17時35分34秒
=江戸城=

おあみ「平家先生……」
平家 「ん?なんや」
おあみ「な、なんでもないわよ!」
平家 「?…なんやっちゅうねん。ええか刀は使えるとは
    言っても前程やないんや。しっかり修練するんやで」
おあみ「そ、そんま暇ないわよ」
平家 「うちが時間稼いだる…」

『月斗』を握り微笑む平家先生
830 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月06日(金)17時37分22秒
おあみ「長屋に……」
平家 「ま、全員とは言わんでも何人かは足止めしたるわ」
おあみ「……」
平家 「おそらくここにやってくるんは、カヲ、矢口、お彩の
    たんぽぽ組が決着つけにくるやろ」
おあみ「それと……安倍なつみ」
平家 「……わかっとるやん、ごっちんはうちがなんとかするわ
    あんたの相手も手強いで」
おあみ「わかってるわよ!」
平家 「ほな、いってくるわ」

おあみ「まって!……平家先生」
831 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月06日(金)17時38分45秒
おあみ「お誕生日…おめでと」(ものすごい小声
真っ赤な顔でうつむいて声をかけるおあみ
832 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月06日(金)17時40分05秒
平家 「ふ…なんや、おあみもかわいいとこあるやん」
平家の顔が和む
平家 「ほんまに……ほんまに……ありがとぉなぁぁぁ!」
感動のあまり泣きくずれる平家先生。いまいち決まらないようである。
833 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月07日(土)07時33分07秒
平家先生「おあみ……」
決心を固めた顔で立ちあがる平家先生
平家先生「おあみ…なっちやゆうちゃんに使った技、つかえるか?」
おあみ「な、なによ突然…う、うん使えると思う」
平家先生「そか…じゃあ、それアタシに使ってんか」
おあみ「え?…な、なんで?」
平家先生「ええからやらんかい!」
おあみ「わ、わかったわよ……はぁ!」

   ゴォ!

安倍、中澤を苦しめた波動が平家を襲う。
平家先生「あ、あ…あぁぁぁ!」
平家の真意は?
834 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月07日(土)07時35分12秒
平家先生「あ……あぁぁ…」
悪夢が平家を襲う。おあみはそれを見守ることしかできない。
おあみ「平家先生…なんで……え?」
うずくまり体を丸めていた平家がよろよろと立ち上がる
平家先生「あ…ああ…あああ!」

   バシュウゥゥゥゥ!

轟音が響き、衝撃が辺りに舞った。
おあみ「安倍は最後まで抵抗した…中澤は跳ね返した…そして平家先生…」
そこ立つ剣士はいままでいた者とはまったく違う雰囲気を漂わせていた
平家先生「どや…これでアタシでもなんとかなるやろ」
邪悪に微笑むその姿におあみが一番驚愕していた

おあみ「暗黒の力を…取り込んじゃった……」
835 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)02時37分56秒
−診療所・診察室−

“ドカ〜ン!!”

お梨華「な、なにっ!?」
明日香「玄関の方からだけど・・・」
矢口先生「オイラ見てくるよ!梨華ちゃん、よっすぃの手当てお願い!」
お梨華「はいっ!」
836 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)02時38分44秒
−診療所・玄関−

矢口先生「ゲホゲホ・・・。なんだよ、これ!?」
扉の破片が散らばり、埃が宙を舞っている
矢口先生(気配が・・・誰かいる!!おあみの刺客!?)
徐々に視界が開けてきてくる
???「やぐっちゃん!!」
正体不明の影にがしっと肩を捕まれる矢口先生
矢口先生「ええっ!?ちょっ・・・・・・ごっちん!?」
覚醒モードになっていたため、なかなかごま四郎と認識できなかった矢口先生
837 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)02時39分19秒
矢口先生「なんか・・・どうしたのさ、その頭?」
戸惑いながらもごま四郎に話しかける矢口先生
ごま四郎「そんなことよりいち〜ちゃんが・・・、いち〜ちゃんが!!」
泣きながら矢口先生の体をバカ力でおもいっきり揺するごま四郎
矢口先生「ちょ・・・ごっちん・・・落ちつきなって!!」
その時、視界の隅に人が寝ていることに気付いた矢口先生
矢口先生「さ・・・・・・紗耶香ぁ!!」
ごま四郎の手を自分の肩から外し、市井に近づく矢口先生
838 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)02時40分17秒
矢口先生「ど・・・どうなってるんだよ、これ・・・!?」
市井の真っ白になった頭髪と精気を失った顔を見て言葉を失う矢口先生
ごま四郎「うっ・・・いち〜ちゃん・・・修行のためだからって・・・えぐっ・・・
      自分の体に・・・妖魔を・・・ぐっ・・・憑依させて・・・
      私・・・こんな事になるんなら・・・うぐっ・・・絶対に・・・させなかったのに・・・」
矢口先生「と・・・とにかく、こんなところに寝かせとけないから診察室に・・・」
ごま四郎「う・・・うん!!」
市井を診察室に運ぶ矢口先生とごま四郎
839 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)02時41分38秒
−診療所・診察室−

矢口先生「明日香!紗耶香・・・」
そう言いながら扉を開けた矢口先生が見たのは
焦りの色を浮かべた表情で作業している明日香たちの姿だった

お梨華「明日香さん!血が止まらない・・・!止血が追いつきません!
     このままじゃひとみちゃんが・・・ひとみちゃんが!!」
明日香「落ちついて!とにかく1箇所づつ丁寧に止血していくの!
     ヘタにあちこち手をつけるよりも確実にやるのよ!いい?」
お梨華「は・・・はいっ!!」
矢口先生「明日香っ!紗耶香が!」
明日香「ゴメン!今、手が離せない!!裕ちゃん、思っていたより重症で
     このまま何もしなかったら死んじゃう!!」
矢口先生「くそっ!・・・仕方ない、どこまでやれるかわからないけど・・・
      ごっちん!紗耶香は私達でなんとかするよ!」
ごま四郎「う・・・うんっ!」
840 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)05時46分18秒
診察室を覗く小さな影・・・
ゆゆ「ゆうちゃんが、ゆうちゃんが、、、」
涙を浮かべて中庭に飛び出すゆゆ。
841 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)06時32分50秒
─中澤屋の意識下─

暗くよどんだ空の下、河原をとぼとぼと歩く中澤屋。

中澤屋「はあ、、、、もう疲れてもうたな。久々に戦ったらこれや。
みっちゃんも、全然手加減せえへん。あのアホ。
おあみのアホは、、、もう一発ブン殴りたかってんけどな。
ま、なっちかカヲがぶっ飛ばしてくれるやろ。

・・・もう未練も無いな。おさらばや。
ウチが助けんでも、みんなやっていける。」

船着場が見える。「三途の川」の高札・・・。
静かに船に乗り込もうとする中澤屋。
842 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)15時26分57秒
???「待って下さいよぉ、中澤さん!」
中澤を呼び止める声
中澤「誰や!こんな場所でウチの名前呼ぶんわ?」
後ろを振り返った中澤の前に立っていたのは・・・
中澤「よっすぃやん・・・」
吉澤「へへへっ・・・どうも・・・」
恥ずかしそうに頭を掻いている吉澤五右衛門
中澤「アンタ、なんでこんなところにおるん?」
吉澤「う〜ん、話せば長くなるんですけどぉ・・・
   飯田さんの身体と平家先生にりんねさんの正気をおあみから
   取り戻そうと思って江戸城に忍び込んだんですよ」
中澤「ちょっ・・・アンタ、なんでそんな勝手なことすんねん!」
吉澤「話せばすごく長くなるんですけどぉ・・・」
843 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)15時28分15秒
中澤「・・・ふぅ〜ん、あの後、ウチとカヲを診療所まで運んでくれたんは
    アンタだったんか・・・怒ろう思ってたけどお礼言わなアカンなぁ・・・」
吉澤「そんな・・・、お礼なんて・・・。仲間を助けるのは当然のことじゃないですか・・・」
中澤「しかしまあ、アンタ、お梨華にすごいカッコつけて出てきたんやねぇ・・・
    『この大泥棒吉澤五右衛門から盗むとはいい度胸してるよ、絶対に取り返してやる!』
    なんて、普通なかなか言われへんで!!
    やっぱりアレか、好きな女の前では自分をカッコよく見せたいんか?」
先程までの真剣な表情から一変、ニヤケて五右衛門をからかう中澤
吉澤「・・・いやだなぁ・・・からかわないで下さいよ・・・」
顔を真っ赤にしてそっぽを向く吉澤五右衛門
中澤「かっかっか!テレるな、テレるな!」
大笑いする中澤
844 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)15時29分01秒
中澤「だから・・・、アンタはとっとと元の世界に戻りぃ!」
急に真剣な表情に戻って厳しい口調で言う中澤
吉澤「えっ!?」
突然のことに戸惑う吉澤五右衛門
中澤「アンタにはお梨華っていう大事な人がおるんやろ?
    お梨華、アンタがおらんようになったら凄い悲しむで・・・
    好きな子の笑顔はどんなことしても守らなアカン!」
吉澤「そんな事・・・、中澤さんに言われなくてもわかってます!
    でも・・・、私の体、もう無理みたいなんです・・・」
845 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)15時29分35秒
−診療所・診察室−

お梨華「血が・・・血が止まらないよぉ・・・
     いやだよ・・・ひとみちゃん・・・死んじゃやだよぉ!!」
とうとう耐えきれなくなり五右衛門にしがみつくお梨華
明日香「諦めちゃダメっ!止血を続けるの!」
お梨華「やだっ!ひとみちゃん死んじゃダメっ!」
明日香の声はお梨華の耳には届かないぐらい取り乱している

あさみ「うわあ、どうしたんですかコレ・・・」
診療室に入り、その光景を見て絶句するあさみ
846 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月08日(日)15時30分11秒
明日香「あっ!こんな時に何処に行ってたのよ!」
あさみ「すいません・・・!もんろーの散歩に行ってたので・・・」
明日香「ちょうどいいわ!梨華ちゃんの代わりに吉澤さんの手当てをお願い!」
あさみ「はいっ!ほら、梨華ちゃんどいて!」
あさみは吉澤にしがみつくお梨華を離そうとするが・・・
お梨華「いやぁ!ひとみちゃんと一緒にいるぅ!」
しっかりとしがみついて離れないお梨華
明日香「あさみちゃん、力づくでもいいから梨華ちゃんをどけなさい!」
あさみ「はいっ!!」
847 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月09日(月)02時30分22秒
─診療所・中庭─
お梨華「きゃあっっ!!!」
あさみ「しばらくそこにいて!お梨華ちゃん!!」
お梨華「いやあっっ!!ひとみちゃんのそばにいるの!!!」
あさみ「もんろー!!!」
もんろー「ガウッ!!!」
もんろーに組み伏せられるお梨華

お梨華「いやぁ!どいて!どきなさい!!」
848 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月09日(月)03時08分38秒
中庭に突き落とされ、もんろーに押さえつけられ、身動きの取れないお梨華。
お梨華「くすん、くすん、、、ひとみちゃん、、、」

あさみ「血が、、、止まらないです、、、」
明日香「諦めちゃダメよ!」

お梨華「・・・ひとみちゃん・・・」
お梨華の体が青白く光る

もんろー「アウッ?」
光におびえ逃げようとするもんろー
849 名前:よそうやののたろうのやすらさんたいりねさんだいよそう 投稿日:2001年04月09日(月)17時36分46秒
=大通り・団子屋=

お団子をつまみながら観戦モードにちびっこ二人
850 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月09日(月)17時39分14秒
のの 「さていよいよはじまります、りねさんばーさすやすらさんのしとうへんなのれす」

お亜依「どっちが勝つんやろうなぁ〜」

のの 「それをよそうするのがわれわれのやくめなのれす。こんかいはなびげーたーのやくよりも、よそうやとしてここにいるのれすから」

お亜依「……こんなネタまでパクッてもうて……うちら絶対怒られると思うわ。どっかの誰かから」

のの 「あいぼむ、くだらないことでうじうじかんがえないことれす。このよのなかに、ねたにしてはいけないこと、ぱくってはいけないことなんて、なにひとつだってないのれす。」

お亜依「顔文字にしてないところに元ネタに対する誠意とゆーか、書いてるやつの誇りとゆーか……たんに臆病モンなんかもしれへんけど」
851 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月09日(月)17時42分36秒
のの 「さて、こんかいのおふたりなんれすが……」

お亜依「実際にこんな展開あっても世間一般では盛り上がらんやろうなぁ、どっちもいまいちメジャーになりきれてへんし……」

のの 「いきなりいいにくいことをさらりといってきましたね、あいぼむ。それはさておき……そうなのれす、このふたりはあるいみ、きょうつうこうでくくることができるのれす」

お亜依「身体に対して顔の比率がでかいとか?」

のの 「…………おふたりはどちらかというとくろうにんたいぷなのれす。かたや『も→にんぐ』かたや『かんとり→』というちがいらけで」

お亜依「屋根裏の力持ちってやつやなぁ〜」

のの 「あえてつっこまないのれす」

お亜依「くすん……」(涙
852 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月09日(月)17時46分35秒
のの 「こんかいにおいては、ものがたりのしゅうばんにちかいこともありしれっとけっちゃくがついてしまいそうなながれなんれすが……」

お亜依「書いてる方々の心理状態はそんなもんかもしれんなぁ」

のの 「なにせ、おあみさいどには、へ→けせんせ→しかいませんのれ、ここでりねさんがいなくなるとおあみはひとりでながやのみんなをてきにしてしまいかねません」

お亜依「つんくさんや、こむてつ大魔神は何してんのやろ……」

のの 「そんな『そのたお→ぜ→きゃら』にてんかいをたのむほどのんびりはしてられないのれす。きりきりすすめるのれす」

お亜依「おら〜きりきり書かんかい〜!職人とか言われていい気になってんじゃねーよ!お前ら書いてなんぼやねん、わ〜はっはっはっは……」

のの 「こめんとはひかえておくのれす」

お亜依「………………大変お見苦しい箇所がございました。つつしんてお詫び申し上げますでございます」
853 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月09日(月)17時49分53秒
お亜依「……で、結局どっちが勝つんや?」

のの 「ここはやすらさんのあっしょうはまちがいないれしょう」

お亜依「さっきと言ってることがちゃうやん!」

のの 「いやそれはあくまで、ふたりのたたかいといういみれ、そのあとてんかいてきにりねさんゆうりなほ→こ→れはなしがすすむのれはないかと」

お亜依「まぁ、狛犬一匹いなくなっても困ることはないわな」

のの 「これはののけんかいれすのれ、じっさいはど→なるかはわかりませんけろね」

お亜依「職人のみなはん。楽しみにしてまっせ〜〜。もちろん後藤さんや安倍さん達がどーなるかも期待してますで〜」

のの 「さて、どんなけっか……いや、どんなけつろんにあいなりますことか、みなさんおたのしみ→!」

お亜依「ケツのロン!?」

のの 「くぎっていわなれくらさい……」
854 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時38分43秒
“ガキィッ!”

りんね「ちょ・・・っとぉ・・・、私の話を・・・!」
雪景色でお圭の十手を受け止めるりんね
お圭「ふぅ〜ん・・・、結構やるわね、アンタ!」
楽しそうにニヤリと笑うお圭

お亜依「おっ!始まったでぇ〜!!」
のの「りねさんのふところにとびこんで、じゅってでだけきをくわえようとした
    やすらさんでしたが、りねさんのはんのうそくろをあまくみてたみたいれす」
お亜依「でもなぁ、りんねさん『ひ〜〜』って怯えてたねんから隙だらけだったんやで!
     ひょっとして保田さんってたいしたことないんちゃう?」
855 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時39分39秒
りんね「くっ・・・!」

のの「おおっ!そんなこといってるあいだにやすらさんがりねさんのうしろに
    まわって、はがいじめにしたのれす!」
お亜依「なんか地味な展開やなぁ・・・。保田さん、いつもの仕事してるつもりなんか!?
     タダでさえ地味なんやから、こんな時に目立っとかなアカンってこと
     わかってないんかな・・・」
のの「むっ!ちょっとまってくらさい、あいぼん!りねさんのようすがへんれす!
    なんだかどんどんかおいろがまっさおになってきてます!」
お亜依「・・・ホンマや!なんでやろ!?別に保田さんが締め技かけとるわけでもないのに・・・」
856 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時40分38秒
のの「・・・あ〜〜〜っ!あいぼん、りねさんのみみもとよくみてくらさい!!」
お亜依「イキナリ大声出さんとってや・・・!耳痛いやん・・・!
     ・・・あ〜〜〜っ!保田さんがりんねさんの耳元でなんかボソボソ呟いとる!!」
のの「む〜〜〜っ!さてはやすらさんもおあみみたいにせいしんこうげきができたのでは・・・!?」
お亜依「そうなんか!?でも、おあみと比べるとえらい地味やで・・・
     まあ、保田さんらしいといえば保田さんらしいけどなぁ・・・」
857 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時41分47秒
お亜依「おっ!なんや、りんねさん保田さんの言うことにコクコク頷いとるわ・・・」
のの「もしや・・・、やすらさんはせいしんこうげきらけではなくてせんのうも・・・」
お亜依「ちゅうことはなんや、りんねさんはウチらの味方になるってことか!?」
のの「それは、ののたちのよううがあたってたらのはなしれす・・・」

お圭「でやぁ〜〜!!」

お亜依「おっ!保田さん、りんねさんをおもいっきりブン投げたで!」
のの「れも、りねさんはくうちゅうでいっかいてんしてきれいにちゃくちしたのれす・・・」
858 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時42分31秒
睨み合うお圭とりんね

のの「あっ!やすらさんがふところにてをいれたのれす!!」
お亜依「まさか・・・、やっぱり縄や!
     さては、捕縛術でりんねさんを捕まえて1人リンチしようって魂胆やな・・・!
     恐ろしいわぁ・・・」

お圭「いくよっ!はぁっ!」

のの「あっ!なげたのれす!・・・って、ぜんぜんけんとうちがいのほうこうなのれす!」
お亜依「ウチらの方に投げてどないすんねん・・・。なんか先を読んでの計算なんか・・・!?
     そうは思われへんのやけど・・・。肝心なところでヌケとるからなぁ、保田さんは・・・」
859 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時43分18秒
“ボトッ!” “ボトッ!”
お亜依とのの太郎の目の前に落ちる2本の縄

お圭「よしっ!!」“パチン”
指を鳴らして縄を操るお圭

のの「なわがうごきらして・・・えっ、こっちに・・・?」
お亜依「まさか・・・・・・。うぎゃあ!!」
“ドサッ!” “ドサッ!”
縄に縛られ、動けなくなるお亜依とのの太郎
860 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時44分37秒
のの「どういうことれすか、これは!?」
お亜依「ウチに聞かれてもわからんわ!!」
混乱しているお亜依とのの太郎
そして、2人の元にゆっくりと歩いてくるお圭
お圭「ふぅ・・・、なんとか捕獲成功ね・・・。これで師匠と明日香に殺されずにすむよ・・・
    さっ、2人とも、診療所に帰るわよっ!!」
お亜依「ちょっと待って下さい!何がどうなってんのかウチらにはさっぱり・・・!?
     ごるぁ、りんね、これはどういうことや〜!?」
のの「いやれす〜!!まだこのわかさでしにたくないのれす〜!!」
往生際の悪い2人を無視して引っ張って行く狛犬のお圭
861 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時45分12秒
りんね(ごめんね・・・。私、あの3人を敵にするなんて恐いことはしたくないの・・・)
手をヒラヒラ振って3人を見送るりんね
862 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時45分47秒
−お圭がりんねを羽交い締めしていた瞬間のりぷれい♪−

お圭「ねぇ、取り引きしない?(ぼそぼそ)」
りんね「えっ?(ぼそっ)」
お圭「私がこのままアンタを倒す事は簡単なことなんだけど、余分な体力は
    できるだけ使いたくないのよねぇ・・・
    それに、アンタだってイキナリ訳のわからない争いなんかに
    巻き込まれて怪我したくないでしょ・・・(ぼそぼそ)」
りんね「まぁ、それはそうですが・・・(ぼそぼそ)」
お圭「おとなしくあの2人を渡してくれたらこのまま見逃してあげてもいいわよ(ぼそぼそ)」
りんね「でも・・・(ぼそっ)」
863 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時46分26秒
お圭「いいのよ別に、アンタ倒してあの2人を連れて帰っても・・・
    ついでに『りんねが邪魔して大変だった』って明日香と夏師匠に言ってあげるから(ぼそぼそ)」
りんね「ええっ!?(ぼそっ)」
お圭「あの2人のことだから後で必ずアンタのお仕置きに行くよ・・・
    そしたら、アンタは私にやられたうえにあの2人に痛めつけられて・・・
    可哀想だけど命の保障はできないわね・・・」
りんね「そんなぁ・・・(ぼそっ)」
お圭「そんな損するばっかりより全然いいと思うけどなぁ・・・(ぼそぼそ)」
りんね「・・・・・・わかりました・・・(ぼそっ)」
お圭「よしっ、商談成立!でさぁ、悪いけどもうしばらく私とやりあう演技してくれない?
    あの2人、すばしっこいからなかなか捕まらないのよねぇ・・・(ぼそぼそ)」
りんね「はぁ・・・(ぼそっ)」
864 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)03時49分33秒
−再び、表通り−

りんね(あの2人には悪い事したかもしれないけど仕方ないよね・・・
     さて、もうこんなことはさっさと忘れてお城にか〜えろっと・・・)
865 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)11時44分53秒
団子屋主人「喰い逃げだぁ!ここにいた小娘二人組しらないか!?」
通行人「さっき狛犬のお圭がとっつかまえていったよ」
団子屋主人「げ……あの長屋に関わり合うとろくなことにゃならんからなぁ…チクショー!ただで喰わせちまったい……む」

866 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月13日(金)11時54分28秒
団子屋主人「あんた、モーニング長屋の平家先生だよね?」
平家先生「ああ、そうやけど…サインならかんべんしたってな。これからアタシは大事な仕事やねん」
偶然通りががった長屋に向かう平家先生
団子屋主人「あそこの者がやったことは、長屋全員の責任。とゆーことはあんたの責任ちゅーわけだ!おらぁ、金はらえぇ!」
平家先生「わぁ!な、なんやのん!アタシはお金なんてもってへんで」
団子屋主人「じゃあ、体で払ってもらおうか……」
平家先生「い、いやぁ!やめてんかぁ」
団子屋主人「おらぁ!働けぇ!皿洗えぇ!」
平家先生「ひ〜〜〜!」
強くなったはずだが、相変わらず幸が薄い平家先生

平家先生「なんで洗いモンがこんなにあんねん!」
867 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年04月25日(水)18時38分42秒
−三途の川−

中澤「あ〜、もう、つべこべ言わんととっとと帰るんや!!」
吉澤「だ〜か〜らぁ言ったじゃないですか!私の身体はもう無理みたいだって!!」
中澤「うっさい!!そんなもん気合でなんとかなる・・・いや、するんや!!」
吉澤「あぁ〜もう・・・、私のことは放っておいて下さいよ!!
    中澤さんの方こそ向こうの世界に戻ってくださいよ!!
    みんなには私なんかよりあなたの方が必要なんです!!」
中澤「アホぉ!いつまでウチを頼りにするつもりや!!
    もうみんな立派な1人前になってる・・・。もうウチがおらんでも大丈夫や!!」
吉澤「ダ〜メ〜です!!中澤さんはみんなのところに戻ってください!!」
中澤「あ〜、聞き分けのないヤツやなぁ!!」

とうとう掴み合いの喧嘩に発展してしまった中澤屋と吉澤五右衛門
868 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月07日(月)01時18分09秒
−診療所・安倍代官の病室−

“ガラッ!!”
病室の障子が勢いよく開けられる

なっち「夏師匠・・・」
夏師匠「よっと!飯田はいるかい?」
カオリ「カオリはここだよぉ♪」
安倍代官の背後から現われる飯田圭之介
そして、圭之介はいることを確認すると背負っていた圭之介の身体を
畳の上に横たわらせる夏師匠
カオリ「あっ!」
安倍代官「カオリの身体だべ・・・。どうしてここに・・・?」
夏師匠「中澤と吉澤の2人が江戸城に乗りこんで取り返してきたんだよ・・・」
カオリ「え〜っ、ホントに?!うっそ!信じられな〜い!
    でも、ここにあるんだから夢じゃなくて現実なんだよね!
    きゃ〜、うれしい〜〜〜〜っ♪」“ガタガタガタ・・・・・・”
喜びのあまり無意識にポルターガイストを引き起こしてしまう飯田圭之介
部屋の中に置いていたものが宙を飛びまわる

安倍代官「ちょ・・・、カオリ落ちつくっしょ!!」
869 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月07日(月)01時18分58秒
カオリ「えへへ・・・、ごめんね。つい嬉しくってさ・・・」
安倍代官「で、裕ちゃんとよっすぃ〜は今何してるんだべ?」
夏師匠「・・・・・・・・・」
何も答えない夏師匠
カオリ「まさか・・・」
それまでの笑顔から一転、緊張で顔を強張らせる飯田圭之介
夏師匠「・・・今、福田たちが2人の手当てをしてる・・・」
カオリ「そんな・・・、喜んでる場合じゃないよ!
    なっち、私達も診察室に行って明日香たちの手伝いをするよ!」
なっち「うん!」
勢いよく立ち上がり部屋を出ていこうとする2人

夏師匠「待ちな!」
厳しい声で2人を呼び止める夏師匠
870 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月07日(月)01時20分23秒
夏師匠「安倍は行ってもいい!ただし、飯田はここに残りな!
    おあみの妖気を除去して身体に戻るっていう大変な作業をしなきゃいけないんだから!」
カオリ「そんなの後にして下さい!カオリのために裕ちゃんと吉澤が傷ついてるんです!
    その2人のことを放っておいて身体に戻るなんてことできません!」
きっぱりと厳しい口調で言う夏師匠と夏師匠に詰め寄る圭之介
夏師匠「アンタの気持ちもわかるよ!だけど、ここはその気持ちを押さえなきゃいけない時なんだ!
    あの2人がどんな気持ちで江戸城に乗り込んで行ったか、そして、あの2人が
    最も望んでいることは何か、アンタなら分かるはずだよ!」
カオリ「でも・・・、でも・・・カオリは・・・」
泣き出しそうになる圭之介
なっち「・・・・・・カオリはここに残るっしょ!」
カオリ「えっ!?」
なっち「師匠の言うとおりだべ・・・。カオリが今1番しなきゃいけない事と
    裕ちゃんとよっすぃが望んでいることはカオリが元の身体に戻ることだべ!」
カオリ「なっち・・・」
なっち「2人のことはなっちたちに任せて!ちゃんと2人を助けるから!
    そのかわり、今度みんなが顔をそろえる時までにカオリは元の身体に
    戻っておくこと!いい?わかった?」
カオリ「・・・・・・うん!」
力強く頷く飯田圭之介。それを見て安倍代官も笑顔で頷く
なっち「じゃ、なっち行くから!」
そう言って部屋から出ていく安倍代官。その後ろ姿を見送る飯田圭之介

夏師匠「こっちも始めるよ!」
カオリ「はいっ!」
871 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月07日(月)01時22分07秒
−診療所・診察室−

明日香「これで大丈夫なハズなのに・・・なんで脈が弱くなっていくの・・・」

あさみ「一ヶ所止まったと思ったら別の場所からまた血が・・・」

矢口先生「外傷はほとんどないのに・・・どうしたら・・・」
ごま四郎「いち〜ちゃん・・・」

暗い雰囲気に包まれている診察室。その時・・・

“ガタンッ!!”

勢いよく開けられる診察室入口の障子
その場にいる全員の眼がそちらに向けられる
矢口先生「・・・・・・梨華ちゃん!?」

お梨華?「チャ〜オ〜チャーミー石川登場

そこには着物ではなくピンクの帽子とワンピースを着たお梨華が立っていた
872 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月07日(月)01時24分55秒
明日香「・・・・・・ちょっと、アンタふざけてるの!!」
怒りで手を震わせながらお梨華に掴みかかろうとする明日香
しかし・・・
チャーミー「違いますよぉチャーミーはものすごくマジメですぅ
ヒラリと明日香の手をかわして吉澤の側に近づくチャーミー

矢口先生(梨華ちゃんってあんなに機敏な動きしてたっけ?
     ・・・・・・って、うっそぉ!?浮いてるよ、梨華ちゃん!!)
チャーミーの足元が床についていないのを見て矢口先生が驚いたその時

“ピシャッ!!”

開け放たれたままの障子が誰も触っていないのに勝手に閉まった
873 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月07日(月)01時27分10秒
チャーミー「時間がないから手短に話しますね
      中澤さんがこのスレの >>261 でちょこっと言ってくれてるんですけど、
      チャーミーは“お梨華”の身体の中で眠っていた“お梨華”とは違う
もう1人の人格なんですぅ
呆然とチャーミーを見つめている診療室の一同
チャーミー「細かい説明はまたこの後ということで・・・
      待っててね、ひとみちゃんもうすぐチャーミーが助けてあげるから
吉澤五右衛門の胸に両手を置いて目を閉じるチャーミー

“パアァッ・・・”

チャーミーの体がまばゆく光り、目をゆっくり開ける
チャーミー「・・・・・・『ほいっ♪』

チャーミーが呟くと同時にそれまで体を包み込むようにしていた光が
吉澤の胸に置いている手から移っていき、吉澤の体を包み込んだ
874 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月15日(火)11時39分22秒
−三途の河−

口論中の中澤屋と吉澤五右衛門
吉澤「大体ですよ、中澤さんはセクハラしすぎなんです!」
中澤「うっさいわ、スキンシップやねん!ボディランゲージやねん!!
自分こそなんや、お梨華というもんがありながら矢口やお亜依にも手ぇつけよってからに!」
吉澤「そ、それは向こうがカマかけてきたんだし、不可抗力じゃない・・・ん?」

突如光に包まれる吉澤五右衛門

吉澤「あれ〜〜〜〜!!??これは、梨華ちゃん・・・」

入り口の方へと吸い寄せられていく吉澤五右衛門
875 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月15日(火)11時47分59秒
−診療所・診察室−

光が弱くなるのと同時に、目を覚ました吉澤五右衛門
吉澤「・・・梨華ちゃん・・・」
チャーミー「・・・ひとみちゃん・・・」

明日香「・・・信じられない・・・」
矢口先生「でも、ほんとに助かってるし、、、」

次の瞬間、着物に戻り畳の上にどすんと落ちるお梨華
お梨華「・・・あれぇ、私、どうしてたんだろう・・・なんだか、眠い・・・」
そのまま吉澤五右衛門と同じ布団で眠りについてしまうお梨華
876 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月15日(火)11時52分27秒
−三途の河−

河のほとりにひとり取り残される中澤屋

中澤「吉澤のヤツ、上手く現世にもどれたみたいやな。心配させよって。
さ〜て、そろそろ行きますか。」

舟に乗り込もうとする中澤屋、そのとき舟の中からごそごそと物音が、、、
中澤屋「な、なんやの・・・」
??「えへへ、ついてきちゃった」
中澤屋「あんた・・・ゆゆやないか!!!」
ゆゆ「ひとりで行っちゃうなんてずるいよ〜。」

どういうわけか三途の河までついて来たゆゆ
877 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月15日(火)16時18分37秒
〜長屋に続く表通り〜

平家「あ〜!手間取ってもうた…みんなを足止めせなあかんのに…ダッシュや!」
風のように駆け抜けてゆく平家先生

    ばびゅ〜〜ん

お圭「ん?いまのは……まさか!」
平家先生の姿を感じ、本気モードのスイッチが入る狛犬のお圭
お圭「あんた達!早くしなさい!」
のの「おしっこなのれす〜」
お亜依「お茶飲みすぎてもーたからなぁ。ののちゃんの次はうちなぁ」
のんきなちびっこ二人

お圭「あ〜!もうどうなっちゃうのよ!」
878 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月15日(火)23時35分08秒
−三途の河−

思いもかけないゆゆの姿に絶句する中澤屋
中澤屋「ゆゆ・・・アンタ、こんなところまでどうやって、、、」
ゆゆ「わかんない、でも、ちまみれのゆうちゃんみてたらいてもたってもいられなくなって、、、」
中澤屋「今すぐ帰りや。アンタはまだ若い。これからいっぱいええことあるやろ。」
ゆゆ「ゆうちゃんは?」
中澤屋「ウチは・・・もう行かんとあかん。アッチにな」

突然大声で怒鳴るゆゆ。
ゆゆ「ゆうちゃんのうそつきぃぃっ!!!」
中澤屋「・・・」
ゆゆ「これがおわったら、いっしょに福知山にかえるって、やくそくしたやないかぁ!!」
中澤屋「・・・」
ゆゆ「うそつき、うそつき、うそつき!!!」

泣きじゃくるゆゆと何も言えない中澤屋
879 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月15日(火)23時53分08秒
−診療所・診察室−

診療室に飛び込んでくる安倍代官
安倍代官「裕ちゃんたちの様子はどうだべ!?」
明日香「吉澤さんは落ち着いたけど、裕ちゃんと紗耶香は、、、」
あさみ「中澤さん、すごい穏やかな顔で・・・このまま」
矢口先生「おぉい、縁起でもないこというなよ〜!」
ごま四郎「いち〜ちゃ〜ん・・・」

安倍「裕ちゃんは・・・まだ迷ってるべ。矢口、明日香、もっと声をかけてあげるっしょ。」
明日香「・・・?」
安倍「まだ三途の河を渡ってないべさ。早くしないと渡ってしまうっしょ。」
矢口「・・・裕子!!しっかりしろ!!」
明日香「裕ちゃん!!」
『何かが見える』安倍代官につられて大声で中澤に呼びかける矢口先生たち
880 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月16日(水)00時09分44秒
市井庭八郎のほうに向き直る安倍代官
安倍代官「紗耶香のほうは・・・見えねえべ。黒いのに包まれちゃってるべ」
ごま四郎「いち〜ちゃん・・・」
安倍代官「解放してあげないばなんないっしょ。ごま四郎!」
ごま四郎「・・・?」
ごま四郎に向かって手を差し出す安倍代官
安倍代官「心の中まで覗いて、悪いのをやっつけてやらないとなんないべ。
ごまは強くなったべか?」
ごま四郎「・・・!」
こくりとうなずくごま四郎
安倍代官「よしっ。じゃ、行くべ」
手を取り、市井と精神をシンクロさせる安倍代官・ごま四郎
881 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月17日(木)17時47分13秒
平家先生「ああ〜!間違えて朝焼寺にきてもうた!ここやないここやないんやぁ〜!」

   ばびゅ〜〜ん

疾風のごとく走りさる平家先生。やかましいことこのうえ無し・・・
882 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月29日(火)23時40分49秒
−???−

周囲を高い岩壁に囲まれた広場
その中心には1本の巨木と1枚の石碑がある
しかし、それらは普通の物とは違うことに気付くだろう・・・

枝には1枚の葉もついてなく、表皮に少しでも触ろうものならば
ボロボロと崩れていくであろうほど生気が全く感じられない巨木

そして石碑には下半身と背中、そして両腕の肘部分までが
石碑の表面に融け込み、磔にされている1人の少女
−市井庭八郎−の姿があった
883 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月29日(火)23時41分54秒
−あんなヤツのために自分の命まで賭けるなんて・・・ホント、バカだねぇ・・・

−私は全然後悔していない!ごま四郎が幸せなら私も幸せだから・・・

−ほぉ〜、あんな尻軽オンナにどうしてそこまでできるのさ?

−ごま四郎は尻軽オンナなんかじゃない!取り消せ!

−ウソつけ!ちゃんと知ってるはずだろ。アンタが必死になって
 飯田圭之介の死の真相を調べたり、死ぬ思いをして修行をしていた間
 あの女はアンタのことなんか忘れて吉澤五右衛門や平家先生と
 イチャついて楽しんでいたことをね!!

−それは・・・私のせいだから・・・。ごま四郎に何も言わずに消えて寂しい思いをさせたから・・・
 だから・・・ごま四郎が悪いわけじゃない・・・

−あ〜あ、ホント、お人よしだよ・・・そうやってアイツにうまく利用されてたのにさ!

−そんなこと・・・

−あ〜あ、可哀想な紗耶香ちゃん
 カワイイ笑顔にコロッと騙されちゃって、自分の一途な想いを利用されてるのに
 気付いてないんだからさ

−ウルサイ!黙れ・・・!黙れ・・・!黙れえぇ!!!
 ごま四郎は・・・ごま四郎は・・・そんなヤツじゃない!!
884 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月29日(火)23時43分41秒
−うふふ・・・あれ?
 ・・・ふぅ〜ん・・・お客サンだよ、わざわざこんなところに・・・
 1人は・・・ちょっとぽっちゃりしたカワイイ系の・・・安倍なつみか・・・
 もう1人は・・・おやおや・・・ちょうど話題になっていたごま四郎だよ・・・

−な・・・なにをする気・・・?

−なぁ〜に、ちょっとアンタの想いを私が代わりにあの子に伝えてあげて
 それから・・・殺してあげる・・・うふふ

−よせっ!やめろ!

−うふふじゃあねぇ

−戻れ!戻って来いよ!
 ・・・・お願い・・・なっち、ごま四郎・・・早く私の中から出ていって・・・じゃないと・・・
885 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月29日(火)23時44分29秒
−市井庭八郎の精神世界−

ごま四郎「ここは・・・?」
安倍代官「ここは紗耶香の精神世界の表層部分だべ・・・
     ここからもっと深層部分に行って紗耶香の魂を解放するべさ!」
ごま四郎「ここがいち〜ちゃんの心の中・・・
     ねぇ、あのフワフワ浮いている丸い煙のカタマリみたいなのって何?」
目の前に浮かんでいる物体を指差してなっちに尋ねるごま四郎
安倍代官「あれは紗耶香の思い出だべ。楽しい事や悲しい事・・・たくさんの思い出だべ!」
ごま四郎「ふぅ〜ん・・・じゃあここに顔を入れたらいち〜ちゃんの思い出が見れるのかな・・・」
不思議そうに浮かぶ物体を見つめつづけるごま四郎
安倍代官「そりゃできるけどやったらダメだべさ!紗耶香にもプライバシーってもんが・・・」
ごま四郎「それっ!」(ズボッ!)
なっちの言葉を無視して頭を物体の中に入れるごま四郎
886 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年05月29日(火)23時45分15秒
安倍代官「・・・って、ああっ!ダメだって言ってるのに・・・」
しかし、すぐに物体の中から顔を出すごま四郎
どういうわけか顔が真っ赤になって、落ちつきなくモジモジしている
安倍代官「ごっちん?・・・何を見たの?」
しかし、ごま四郎はなっちの問いに答えずさらに顔を赤くする
安倍代官「紗耶香には悪いけど・・・気になるからなっちも見るっしょ!」

なっちはごま四郎が頭を入れていた物体に頭を入れようとするが
ごま四郎「ダメぇ〜〜〜!!」
叫びながら背後から羽交い締めにしてなっちの動きを止めようとするごま四郎
安倍代官「ちょっ・・・ごっちん、なっちも見たいべさ!」
ごま四郎「なっちがダメだって言ったじゃん!さっ、早くいち〜ちゃんを助けに行こっ!」
ズルズルとなっちを引きずって奥に進んで行くごま四郎

安倍代官(マイペースなごっちんがこんなに慌てて・・・一体、何を見たんだベ?)
887 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月04日(月)02時07分44秒
−診療所・診察室−

明日香「裕ちゃん!!」
矢口先生「戻ってこいよぉ、アホ裕子ぉ!!」
中澤の手をしっかり握り締め、大声で呼びかける明日香と矢口先生

あさみ「お梨華ちゃん、元に戻ったと思ったら吉澤さんの布団で一緒に寝ちゃうし・・・
    安倍さんとごま四郎さんはいつのまにか市井さんの手を握ったまま
    その隣で死んだように寝ちゃってるし・・・。一体どうなってるの・・・?
    もうワケわかんないよぉ・・・」
吉澤五右衛門たちと市井庭八郎たちの間でオロオロして半泣き状態のあさみ
888 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)16時34分52秒
−市井庭八郎の精神世界−

奥へと進んできた安倍代官とごま四郎
薄暗くもやがかかり、肌を刺すような冷たさを感じる。

ごま四郎「さっきより暗くて寒いよ・・・」
安倍代官「そろそろ、のはずなんだけども・・・」

ふと足を止め、身構える安倍代官
安倍代官「来たべ」
ごま四郎「!?」

???「うふふふ いらっしゃ〜い

安倍代官「お前が、紗耶香を閉じ込めちゃった奴だべか?」
???「あ〜ら、人聞きが悪いよ あたしも今のあの子も、
それに昔のあの子もみ〜んな一人の市井庭八郎なんだから
ごま四郎「・・・」

889 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)16時46分06秒
声の主は確かに市井庭八郎と同じ姿形をしていた。
しかし、歪んだ邪悪な表情と漏れ出る黒い妖気は明らかに市井のものではない。

安倍代官「(ごっちん、落ちつくべ。アレは紗耶香じゃなくて、妖魔の造りだした
     幻覚みたいなもんだべ)」
ごま四郎「(・・・でも・・・)」
安倍代官「(ごっちんは紗耶香に取り憑いた妖魔を退治できたんだべ?心の眼で見ればすぐ分かるべ)」
ごま四郎「(・・・分かった)」

ごま四郎と安倍代官が身構えたその時・・・

市井(黒)「そうはいかないよ!!はぁ!!!」
黒い市井の放った妖気がごま四郎を包む!

ごま四郎「んぐっ!!・・・動けない・・・」
市井(黒)「うふふふ・・・アタシは師匠だよ?アンタが妖魔封じを使うことぐらいとっくに承知してるよ
安倍代官「・・・しょうがないべ」
腰の二刀を静かに抜く安倍代官
890 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)17時02分20秒
市井(黒)「おやおや、なっちときたら、ケガが治ったばかりだというのに
     もう二刀流ですか・・・。その右腕、使えるのかな〜?」
安倍代官「・・・ごちゃごちゃ五月蝿いべ」
市井(黒)「!?」

次の瞬間には安倍代官は市井(黒)の眼前に迫り、右腕の「蘇羅斗華是」から
強烈な斬撃を繰り出していた。
市井(黒)「くうっ!!!」
辛うじて市井(黒)が斬撃をかわしたと思った瞬間、
安倍代官の左腕の「唐諸輿」は腰を薙ぎ払う!
半分ほど市井(黒)の胴を切りつけたが、黒い妖気が集中し傷口を修復する。

安倍代官「・・・掠めただけだべか」
市井(黒)「(つ、強い・・・)」
891 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)17時10分45秒
安倍代官「その黒い妖気を何とかしないといけねえべな」
市井(黒)「・・・思ったよりやるじゃん。こっちからもいくよ!」

市井(黒)は刀を腰に納めたまま距離を詰めてくる。
安倍代官「(紗耶香の得意技は居合・・・違うのは暗黒闘気を帯びているコト・・・)」
市井(黒)「はあっ!!」
目を閉じた安倍代官はいとも簡単に市井(黒)の抜刀を受け止め、「唐諸輿」で
カウンター攻撃を繰り出す!またしても妖気に包まれた市井(黒)にダメージを与えることは出来ないが、
安倍代官の優勢は明らかである。

市井(黒)「(くっ・・・このままでは埒があかない・・・)」
安倍代官「・・・お前のその妖気、吹き飛ばしてやるべ」

市井(黒)「ち、畜生・・・!」
奥のほうへ下がっていく市井(黒)
892 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)17時22分07秒
ごま四郎「くはっ!!」
妖気の縛りが解け、地面に倒れるごま四郎
安倍代官「大丈夫だべか?」
ごま四郎「・・・うん、平気・・・」

安倍代官「アイツは奥に逃げたべ。」
市井(黒)を追う安倍代官とごま四郎

---------

最深部・広場まで戻って来た市井(黒)
市井(黒)「はぁ、はぁ、はぁ・・・畜生」
市井@石碑「・・・」
市井(黒)「あいつら、思ったより手練れだね・・・特に二刀流の安倍なつみ・・・」
市井@石碑「・・・」
市井(黒)「まあいいや。お前の目の前で、あの二人を今度こそ殺してやる・・・」
市井@石碑「・・・」
893 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)17時34分56秒
遅れて広場に到達した安倍代官とごま四郎

安倍代官「ここは・・・」
ごま四郎「大きな木・・・でも、枯れそうだよ・・・」
安倍代官「あいつの姿が見えねえべ・・・」
ごま四郎「!!」

石碑を見つけ、駆け寄るごま四郎
安倍代官「ま、待つべ、ごま!!」
ごま四郎「いち〜ちゃん!!!」

ごま四郎は跪き、磔にされた市井に話し掛けるが、何の応答もない
市井@石碑「・・・」
ごま四郎「いち〜ちゃん・・・」
安倍代官「ごま!!後ろ!!!」

安倍代官の声に、咄嗟に地面に転がるごま四郎
市井(黒)「ようやく逢えてあたしに感激した?うふふふ
ごま四郎「い、いち〜ちゃんを放せ!!」
市井(黒)「あははは、それは無理な話。こいつがアンタのことをどう思ってたか、
     アタシが代わりに教えてあげるよ」
安倍代官「ごま!!そいつの言うことを聞いちゃダメだべ!!」
894 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)17時44分31秒
市井(黒)「ごま四郎ってのは剣の才能もないし、甘えん坊でどうしようもないってね・・・」
ごま四郎「・・・」
市井(黒)「おまけに浮気性の尻軽女 修行のたびに出ている間に吉澤だの、平家先生だの、
     あっちこっちに浮気しちゃって
安倍代官「ごま四郎!!罠だべ!!聞いちゃダメだべ!!」
しかし、安倍代官の声はごま四郎の耳に届かない。

ごま四郎「ウ、ウソ・・・」
市井(黒)「コイツがこんな風になったのも、アンタのせいなのさ。
     そうだろ?何でわざわざ俺達のような下級妖魔を取り憑かせたりする?
     お前を頃したかったからに決まってるじゃないか」
ごま四郎「そんな・・・」

安倍代官「・・・白状したべ」
市井(黒)の何気ない一言を聞き漏らさなかった安倍代官は、腰の二刀を構え突進する!
安倍代官「やっぱり只の下級妖魔だったべさ!!」
市井(黒)「同じ手は通用しないわよ!!」
市井(黒)は妖気を前面に押し出し、バリアを形成する。
安倍代官「くっ・・・妖気が厚すぎるべ・・・」

市井(黒)「じゃ、お前から先に氏にな・・・ごま四郎」
895 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)17時59分28秒
その時!!
市井が磔になっている石碑から光が降り注ぎ、市井(黒)の動きを一瞬止めた!
市井(黒)「何!?まだそんな力が・・・」

『ごま四郎・・・言い訳はしない。あたしは嫉妬の固まり、業の深い女。
でも・・・氏んで魂だけになっても、お前を守りつづける・・・
これはウソじゃないよ・・・。』
ごま四郎「いち〜・・・ちゃん・・・」

市井(黒)「おのれ、みんなまとめて葬ってやる!!」

安倍代官「今だべ!波浪二天流奥義、舞流有素香衣!!!」
安倍代官が二刀から繰り出す光の闘気が、市井(黒)の妖気を剥ぎ取る!!
市井(黒)「ぐはぁぁぁ!!!やめなさいよ!!」
安倍代官「ごま四郎!!本体をやっつけるべ!それはただの妖魔だべさ!!!」

目を閉じ、気を集中させるごま四郎
ごま四郎「・・・見えた!」
ごま四郎「血夜骨斗羅武  弐の太刀ぃ!!!!!!」
闘気を剥ぎ取られ、無防備状態の市井(黒)にはかわす術はなかった。
気の刃に包まれる市井(黒)・・・。
896 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)18時12分03秒
激しい閃光のあと、次にごま四郎の視界に入ってきたものは・・・
青々と茂る巨木・・・
先ほどまでの薄暗さが嘘のような暖かい日差し・・・

安倍代官「・・・よく頑張ったべ、ごま」
ごま四郎「いち〜ちゃんは?」
安倍代官「見れ」

安倍代官は石碑を指差す。そこには磔にされていた少女の姿はなかった。

ごま四郎「・・・よかった」
安倍代官「コイツはなっちが捕まえておくから」
安倍代官は腰の印籠を指差す。印籠の中には先ほどの妖魔が封じられていた。
安倍代官「前の妖魔が紗耶香に取り憑いたときに、一緒に入り込んだ奴だべ。
     確か、コイツも名前は藤井・・・」
妖魔藤井@印籠の中「ああもう!!出しなさいよ!!せっかくいいカラダを手に入れたと思ったのに!!
     ああ、狭くて暑くて、カラダが火照ってしょうがないじゃないの!!
     私のカラダはHot!Hot!!って何やらすねん!!!」

安倍代官「さ、帰るべか」
ごま四郎「・・・うん」

ごま四郎「(やっぱり、いち〜ちゃんあたしを助けてくれたんだね・・・)」
897 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)18時23分07秒
−診療所・診察室−

安倍代官「・・・うっ・・・」
ごま四郎「・・・戻って来た」
あさみ「安倍さん、ごま四郎さん!!どうしてたんですか?この大変なときに・・・」
市井庭八郎「・・・・ごま四郎」
ごま四郎「・・・いち〜ちゃん?気がついた?」
市井庭八郎「ありがとう。ごま四郎に生きてもう一度逢えるとは思わなかったよ・・・」
ごま四郎「ううん。いち〜ちゃんこそ、やっぱりあたしを助けてくれた・・・グスッ・・・」
市井「・・・あはは、泣くなよ・・・まだ終わってないんだから」
ごま四郎「うん、分かってる・・・」

あさみ「市井さん気がついた・・・もうわけわかんない〜(泣」
898 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)19時02分00秒
「波浪二天流 舞流有素香衣」

波浪二天流は江戸初期から伝わる二刀流剣術の一派だが、その流儀は
暗黒面に通じやすいとされ、習得するものは稀だったと言われる。
心技体の全てを兼ね備えたものでないと奥義を会得できずに妖魔の誘いを
受けやすくなるからであるが、奥義を極めると全ての妖魔を追い払う
光の技を身に付けることが出来る。

舞流有素香衣は波浪二天流の奥義のひとつで、流れるような剣捌きで
剣舞を舞うことにより、光の波動を生み出し暗黒闘気を吹き飛ばすという大技である。
この技で暗黒闘気を吹き飛ばしたあと、青空が広がりさらさらの風が吹くことが
のちにSALAの語源となっていることはいうまでもない。
(民明書房刊『CM降りても長者番付入りだべ』より抜粋)
899 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)21時36分26秒
−三途の河−

中澤屋「ゆゆ・・・うちはもうダメや。行かせてくれえな」
ゆゆ「いやや!!ゆうちゃんがいくならうちもいく!!」
中澤屋「・・・そないな我がまま言うたらあかん。いつか福知山に帰るのやろ?」
ゆゆ「ゆうちゃんといっしょじゃなきゃいやだ!!!」
中澤屋「でも・・・うちのカラダはもう・・・」

その時・・・遠くから声が聞こえてくる。
『戻ってこいよっ!!アホ裕子!!!』
『裕ちゃん!!!』
『裕ちゃん!戻って来るべさ!!!』

中澤屋「・・・あいつら・・・でもあかんねん。戻りたくても・・・」
河のほとりに立ち尽くす中澤屋
900 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)21時54分29秒
−診療所・二階−

夏師匠「いいかい飯田。あたしがこの残り妖気を払うから、その隙を見て
    カラダに戻りな。もうちょっとの辛抱だよ」
カオリ「は〜い。でも、どうやって妖気を払うんですか?」
夏師匠「ちょっと荒っぽいやり方だけどね・・・」

そういうと夏師匠は自らの精神を圭之介の肉体にシンクロさせる!!

カオリ「夏師匠!!」
901 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)21時59分38秒
夏師匠が圭之介の肉体に『取り憑いてから』しばらくして・・・

カオリ「妖気が消えた!!」
夏師匠が圭之介の声帯を動かして会話をはじめる。
圭之介@夏師匠「おーい飯田、聞こえるかい?とりあえず妖気は払ったけど、
アタシがカラダを出ちゃうとすぐまた入ってきちゃう。だから、アタシと入れ違いで
すぐ入っておいで。」
カオリ「でも、失敗すると師匠は元のカラダに戻れなくなっちゃいますよ?」
圭之介@夏師匠「ブツブツ言ってんじゃないよ!さっさとやるよ!!」
カオリ「は、はいっ!!」

幽霊といえども従わせる貫禄・夏師匠。
902 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)22時03分25秒
圭之介@夏師匠「今から出るからね!!タイミングを逃がすんじゃないよ!!」
カオリ「はいっ!!」

夏師匠が出ようとした瞬間、先ほど師匠によって払われた妖気が
再び圭之介の体を蝕もうと接近してくる!

カオリ「もーーーー、ジャマジャマジャマ!!カオリのカラダなんだから!!!」
カオリは妖気を退けつつ、自らの肉体を目指す!

ドカッ!!
903 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月11日(月)22時17分05秒
モクモクと昇る煙・・・
夏師匠「げふぉっ!げふぉっ!!・・・飯田?」
???「フハハハハ一足遅かったな!!このカラダ、再びこの私がのっとったぁ!!!」
夏師匠「くっ、失敗か・・・かくなる上は一緒に地獄に逝ってもらうぞ・・・」
意を決した夏師匠、刀を抜いて切りかかるが・・・

???「ストォーーーップゥッッ!!!師匠、ジョーク、ジョーク!!!」
夏師匠「なんだって?」
圭之介「嘘ですよぉ、師匠!正真正銘カオリですってば!!」
夏師匠「ふーん・・・じゃあお前しか知らないことを聞いてみようか・・・
    飯田圭之介の誕生日は?」
圭之介「波浪56年8月8日、しし座、A型、蝦夷地は室蘭でなっちと同じ産婆さんで生まれた」
夏師匠「・・・わかったわかった。ちゃんと元のカラダにもどれたね?」
圭之介「・・・師匠・・・ありがとうございます・・・」
夏師匠「礼なら取り返してくれた中澤や吉澤に言うんだね。
    はあ、あたしゃ疲れたよ。ちょいと下に行って休むわ。
    あんたもさっさと支度して、安倍や福田を手伝いな!」
圭之介「はいっ!!」
904 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月12日(火)19時59分53秒
ユウキ「・・・と、いうところでこのスレはここまで!
     復活した市井さんと自分の身体に戻る事ができた飯田さんに
     そして、三途の河の前で行くか戻るかを悩んでいる中澤さん・・・」
ソニン「この続きは『モーニング素浪人矢口先生 第三章』をお楽しみに




ユウキ「・・・そういえば、最近、僕ら出番ないねぇ・・・」
ソニン「私、新しい技を覚えたのに・・・」

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