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カオリンクエスト4
- 1 名前:電波名無しさん 投稿日:2001年09月22日(土)09時08分08秒
- >ぼうけんをする
・・・
王様「よくぞ戻った、勇者飯田とその一行よ!辛い旅じゃろうが頑張るのだぞ!
必ず魔王を倒し、世界に平和を取り戻してくれい!!」
- 2 名前:船旅 投稿日:2001年09月22日(土)14時28分43秒
- 船着場
ヨシターケ「げんきでなー!」
りんね&あさみ「また来て下さいねー!」
石川「お世話になりましたー!」
ごま「ホントにね。」
りんね&あさみ「!!」
ナッチー「ごちそうになったべ。」
りんね&あさみ「・・・お粗末さまです(泣)。」
石川「旅立ち・・・それは別れの終りと、出会いの始まり・・・」
びゅうぅぅ
突如北風が吹き荒れる。
д<「・・・モシャス」
よっすぃーに変化するあいぼん。
д<「梨華ちゃん・・・」
石川「は、はい?(ドキドキ)」
д<「目を閉じて・・・」
石川「ええっ!(きゃー!)」
д<「さぁ、焦らさないで・・・」
石川「はい・・・(どーなるですかー?)」
ポカッ パタリ
д<「この人間低気圧が。」
りんね&あさみ「やっぱりもう来なくてもいいですぅ(涙)。」
- 3 名前:船旅 投稿日:2001年09月22日(土)14時29分24秒
- д<「準備はぬかりないな?」
辻「ばっちりれす!」
矢口「(スーツケースの中から)かもーん!」
д<「あんたは声出したらあかん!」
ナッチー「せまい感じがするべさ。」
勇者飯田「広い船だねー。」
あさ美「船はヒサブリです。」
ミカ「イイ シップデスネ。」
保田「結構きれいな船だわ。」
よっすぃー「いいのかな?」
ごま「いいんじゃないの?」
シバタ「よいしょっと。」
一同「・・・・・・・・・」
ごまの隣の座席へ着くシバタへ全員の視線が集まる。が、石川だけは目を逸らしている。
д<「・・・おんどりゃ〜」
石川「(ごめんね、シバちゃん。無力なチャーミーを許して。)」
保田「・・・シバタちゃん、チケット持ってるのかしら?」
シバタ「は、はい。(え、な、なに?)」
辻「・・・いくのれす。」
ガチャッ(スーツケースを開けた音)
矢口「おまえの席は石川の肩で十分だ。」
シバタ「ひー」
矢口「この小動物がっ!」
- 4 名前:船旅 投稿日:2001年09月22日(土)14時30分33秒
- 辻「あいぼん、これをみてくらさい。」
辻はジュースの空き瓶を置いて10メートル程距離を取る。
そして青のたてごとをかき鳴らしながら歌い始めた。
辻「こーいをするーたびむね♪ここれす!ぼんばばぼん♪」
と、歌った瞬間空き瓶は吹き飛んだ。
д<「おおなんや、今の!?」
辻「それはれすね・・・このうたをうたうと、のののまえになんかあらわれるれすよ。
それにむかってさけぶと、しょうげきはが、はっせいするれすよ。
れもこれはあいぼんのほうが、こうかあるとおもうれすよ。・・・FROMのののめも」
д<「ウチの言霊を最大限に生かすわけやな。よし、やったろうやないか。」
д<は空き瓶を先程の場所に戻して辻の横に並んだ。
辻「いくれすよ。」
そう言って辻は再びたてごとをかき鳴らす。すると辻の前にうっすらと丸い、皿状の歪みが生じる。
д<「(おお、これはたぶん魔力の増幅装置みたいなもんやな。
さしずめスピーカーってとこか。)」
辻「こーいをするーたびむね♪」
д<は歪みに近づき、叫んだ。
д<「ぼんばばぼん♪」
すると大きな衝撃とともに空き瓶は砕け散る。
д<「おおー♪」
辻「すごいれす!おもったとーりなのれす!れもこのこうかは
ほんのおぷしょんなのれす。ほんとうのこうかは・・・」
ナッチー「あの二人なにしてるんだべ?」
保田「なんか空き瓶の割れた音がしたけど・・・またイタズラかしら。
まったくあの二人は・・・」
ナッチー「あ、なんか踊ってるべ。」
あさ美「(あらあの舞・・・あんなもの知ってるなんて、見かけによらないわね。)」
- 5 名前:船旅 投稿日:2001年09月22日(土)14時31分11秒
- 一方、矢口とミカ
ミカ「ヤグチサンノ氣ハ モシカスルト エンキョリムキ カモシレマセン。」
矢口「えっ、何でそう思うの?」
ミカ「氣ヲアンテイ サセニクイノハ 氣ヲ トバスノガ トクイナヒトニ
ヨクミラレル ケイコウデス。氣ヲトバシヤスイ トイウ チョウショガ
タンショトナッテイルノデス。」
矢口「そっかー。オイラ一度氣を飛ばすのを試してみたことがあるんだけど、
思った以上に氣が出ちゃって体動かなくなっちゃったよ。」
ミカ「氣ヲ アンテイサセルコトガ デキルヨウニ ナルマデハ、
ホウシュツケイノ ワザハ ヒカエタホウガ イイデスヨ。」
矢口「うん、そうするよ。ミカちゃんは氣を飛ばすタイプ?」
ミカ「ワタシハ セッキンセンタイプデス。氣ヲトバスノハ ニガテデス。」
矢口「ミカちゃんってどうやって修行してたの?」
ミカは立ち上がって右腕にオーラをまとった。
ミカ「キホンハマルデスネ。ツギハシカク・・・」
ミカのオーラは球状から立方体へ形を変える。
ミカ「アトハ コンナモノデスネ・・・」
そして円錐状に形を変える。
矢口「おお!すごいなー。」
ミカ「ココマデ デキルヨウニナレバ キホンハ マスターシタモ ドウゼンデス。
ソシテ、イチバン ジュウヨウナノハ セイシンリョクデス。
氣ト セイシンリョクハ ミッセツナ カンケイガ アリマス。」
矢口「オイラもまだまだってことだね。」
ミカ「(ヤグチサンハ カベヲコエル キッカケサエアレバ スグニツヨクナルデショウ。
ワタシモ ウカウカ シテラレマセン。)」
- 6 名前:船旅 投稿日:2001年09月22日(土)14時31分45秒
- 勇者飯田とよっすぃー
よっすぃー「(空気が震えた・・・何だろう?声のような・・・?)」
勇者飯田「船の上でも修行するの?他のお客さんに迷惑掛かっちゃわない?」
よっすぃー「その点は心配ありませんよ。今日の修行の相手はあれです。」
と言ってよっすぃーは海を指差す。
勇者飯田「・・・よっすぃー、よっすぃーもとうとうなんか受信しちゃったの?
だめだよ?普通の人が受信なんかしちゃ。」
よっすぃー「・・・フフフ・・・ちょっとやだー飯田さん!そんなわけないでしょう!」
勇者飯田「(あれ?よっすぃーってこんなによく笑ったかな?・・・
心の迷いが吹っ切れたのかな?)・・・ねぇ、なんかあった?」
よっすぃー「ああ、そう言えばまだ話していませんでしたね・・・
四天王戦と『吉澤』のこと。」
・・・・・・
勇者飯田「そっか。決着は着いたんだね。」
よっすぃー「代わりに小湊さんと決着を着けなければいけないんですが。」
勇者飯田「じゃ、よっすぃーも修行しなきゃね。かおりに負けたら
小湊さんと勝負できなくなっちゃうよ。」
よっすぃー「フフフ、そうはいきませんよ。ともかく修行開始です。」
よっすぃーは船べりに立ち、刀を上段に構える。
よっすぃー「飯田さんには私と同じことをしてもらいます。では・・・!」
振り下ろされた刀から衝撃が走り、海に大きな傷をつける。
よっすぃー「剣の力に頼らずに海を『斬って』下さい。」
勇者飯田「えー、この剣なら余裕なのにな。でも、それだと修行にならないもんね。
うん、かおり、がんばる。」
よっすぃー「その調子です。船旅は2、3日掛かりますから、じっくり行きましょう。」
- 7 名前:船旅 投稿日:2001年09月22日(土)14時32分32秒
- 矢口「ふぃぃ」
よっすぃー「どうしたんですか?そんなに気の抜けた声出して。」
矢口「あーよっすぃー!」
・・・・・・
よっすぃー「なるほど、氣の安定ですか。氣は私の専門外ですが、瞑想して
精神力を鍛えるのが良いと思いますよ。」
座禅を組んで目を閉じるよっすぃー。それを見つめる矢口。
矢口「(凛々しいな、よっすぃー。)」
よっすぃー「・・・・・・」
矢口「(何考えてるんだろ?)」
よっすぃー「瞑想する時は何も考えるなとよく言われていますが・・・」
矢口「(・・・きれいな顔してる・・・もっとよく見てみよう。)」
よっすぃー「自分が波になったつもりで・・・」
矢口「(・・・・・・)」
よっすぃー「あるいは風になったつもりで・・・矢口さん?」
目の前には矢口が。
矢口「あ、ううん?ごめんごめん。」
よっすぃー「私が言えるのはこれぐらいですが・・・」
矢口「ん、ありがとね。早速やってみるね。」
よっすぃー「(ミカさんと試合させたのは正解・・・ですね。
以前より強さに貪欲になってる。)」
- 8 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月23日(日)05時13分04秒
- 保田「調子はどうだい?二人とも」
飯田「けっこーきつーい」
保田「そっか」
飯田が剣を振るう旅に、飛沫が立ち上がり、水面が揺れる。
それでも、何かを掴み損ねたみたいに、すぐに海水はもとに戻る。
専門外なので保田にはよくわからないが、単に精神力とかそういうもんでもないらしい。
腕の構えを保つことが難しいらしく、筋肉疲労が激しいのだと言う。
保田「ねえ、カオリ
ちょっとコイツ借りてもいい?」
よっすぃー「え?」
保田は指導をしていたよっすぃーの腕を掴み、飯田にそう確認をとる。
それぞれの顔をきっちり3回ずつ見返してから、飯田は笑って答える。
飯田「もちろんいいよ」
- 9 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月23日(日)05時13分22秒
- 二人は甲板の端まで歩き、先に保田が立ち止まる。
よっすぃー「保田さん、用件はなんですか?」
保田「別に」
そう言ってから、保田は無表情に振り返る。
保田「3日も船の中にいるなんて、ヒマだから
世間話の相手でもしてもらおうかってね」」
よっすぃー「そう、ですか、、」
思わず肩が落ち、気の抜けたように笑う。
保田「変装とかする必要ないの?」
突然の保田の台詞に、よっすぃーの顔がひきつる。
よっすぃー「なんのことですか?」
保田「幾ら月日が経とうとも、バトルマスターだってわかる人もいるだろうってこと」
よっすぃー「そんなの・・・」
言いかけて、よっすぃーは口をつぐむ。
保田「余計な心配だったかな」
ゆっくりと2歩、よっすぃーのもとに歩み寄る。
保田「故郷にもどるんですもんね
実家に戻らない理由は無い」
わざとらしくなく、それでも鈍く響く言葉。
保田「そうじゃなければ、ダーマ=サイタなんかに興味を示すはずもない」
- 10 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月23日(日)05時13分43秒
- 細められた目は、無言のよっすぃーを捕らえ続ける。
渋く目を閉じてうつむくと、荒ぶる波音が耳に響いてくる。
よっすぃー「・・・保田さん」
そう口を開き、たっぷり数秒間の間を置いて、波の静寂を待つ。
よっすぃー「とりあえず、故郷の町に戻るつもりはありません」
自分の声がひどく枯渇したように響くのを、苦々しく認識する。
保田「十中八九、顔はわれると思うよ」
そうだろう。
私は国の英雄。
その名だけが記録に残る、犬死したはずの討伐部隊長。
町に戻らずとも、国へ戻れば同じこと。
それとも、4年の時間が、人々の記憶をも風化させていようか。
よっすぃー「・・すいません。今はまだ、何も考えたくないんです」
保田「……そう…」
よっすぃー「甘え、なんでしょうね」
青春刀を手に握り締めながら、彼女は静かに笑う。
愛刀の飾り玉は、今も昔も変わらず濁り続けている。
保田「いいと思うよ」
たおやかに吹き抜ける風の後、保田は髪をかきあげる。
保田「あんたもまだ、、、少女なんだから」
- 11 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時17分39秒
- 勇者飯田「おかえり。」
剣を振り続ける飯田には、よっすぃーの表情には曇りがあること気が付かなかった。
その表情はほんの一瞬にしてかき消される。
勇者飯田「これ難しいよ。それにさ、なんか地味だね。」
よっすぃー「仕方ないですよ。修行は得てして地味なものです。でもこの技を会得すれば、
より立体的な戦い方ができるようになります。離れた位置からも攻撃が
可能ですし、弱い魔法ならばこれだけで防ぐこともできますから。」
勇者飯田「ねぇよっすぃー。ちょっとアドバイス欲しいな。」
よっすぃー「そうですねぇ。まだ余計な力が入ってますね。力みが抜ければもっと速く
振り抜けるようになりますが・・・結局はこの練習を続けるしかないですね。」
勇者飯田「後どれくらいで出来るかな?」
よっすぃー「まぁ倒れて動けなくなるぐらいまでやってもらいましょうか。」
勇者飯田「・・・涼しい顔して鬼みたいなこと言うんだね。」
辻「おにー!」
д<「おにー!」
よっすぃー「こらぁ!」
辻&д<「わー!」
二人は風のように走り去る。
勇者飯田「天下のバトルマスターも子供には勝てないかな?」
よっすぃーは微笑みを浮かべて言った。
よっすぃー「ふふ、今日は容赦しませんよ。」
- 12 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時18分46秒
- 石川「(・・・まだ・・・ううん・・・甘えかな・・・このまま・・・)」
???「・・・・ん!・・ちゃん!りかちゃん!」
石川「あ、シバちゃん、どうしたの?」
シバタ「どうしたの?って、こっちが聞きたいよ。ぼーっとしちゃって。」
石川「ごめん・・・」
シバタ「ほらぁ、またそうやって・・・」
あさ美「こんにちわ。」
シバタ「こんにちわ。」
石川「こ、こんにちわ。」
あさ美「石川さんにお話があるのですが・・・」
と、あさ美はシバタを見ながら話す。シバタは無言でその場を飛び去る。
石川「あの、お話って?」
あさ美「石川さんは僧侶なんですよね?」
石川「はい。」
あさ美「でも、シヴァの召還が可能なんですよね?」
石川「ええ・・・」
あさ美「じゃあ、どうして僧侶にこだわるんですか?」
石川「!それは・・・」
あさ美「召還なんて誰にでも出来る芸当じゃありませんよ。それなのにいつまでも僧侶に
こだわっていたら、力を完全に引き出せないばかりか、仲間の皆さんにも迷惑が
かかるんじゃないですか?魔王と戦うつもりなら・・・」
石川「そんなことわかってます!」
あさ美「!」
石川「でも、自分の中でも割り切れないんです。まだ・・・」
あさ美「・・・無理にとは言いません。でも、よく考えておいて下さい。」
あさ美は石川を残しその場を立ち去った
あさ美「(言い過ぎちゃった。これじゃただの嫉妬だよ・・・私は召還なんて出来ないから。)」
- 13 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時20分04秒
- 矢口「(瞑想中)・・・」
ミカ「(瞑想中)・・・」
矢口「・・・」
ミカ「・・・」
矢口「ああっ、もう限界!」
ミカ「ワタシノショーリデスネ!」
二人は瞑想しつつ、微量のオーラを全身から放出する修行をしていた。
矢口「やっぱり、氣の絶対量が足りないよー。」
ミカ「リョウノ モンダイデハナイト オモイマスヨ(ヤグチサンハ氣ノリョウダケナラ
ワタシヲスデニ ウワマワッテイル。キット センザイテキナモノ・・・)。」
辻&д<「・・・ぁ」
矢口「つかれたー」
辻&д<「・・ぁあ」
近づいてくる小さな二つの影。
ミカ「?」
辻&д<「わー!」
矢口「あー!もーうるさーい!」
辻「ちびっこがおこったのれす。」
д<「あんたの方がうるさい。」
矢口「おまえらもちびっこだろ!」
ミカ「ハロー!アトデアソビマショウ!」
辻&д<「おーけい!」
矢口「さっさと行けー!」
辻&д<「わー!」
- 14 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時21分06秒
- 昼寝中のゴマをモデルにスケッチするナッチーと保田。
ナッチー「じゃーん。完成!」
保田「(カリカリ)」
ナッチー「我ながらよく描けてるべさ。」
保田「(ムムム)」
ナッチー「圭ちゃん終ったかい?」
と言いながら保田のスケッチブックをのぞき込むナッチー。するとそこには・・・
ナッチー「なんだべ?これ?」
保田「何って、ゴマに決まってるでしょ・・・」
ナッチー「ギャハハハハハ!」
保田「し、失礼しちゃうわね。」
ナッチー「だってこんなハハハハハヒヒヒヒヒフフフフフ・・・・
これはなんて言う生き物なんだべか・・・ヘヘヘヘヘ」
保田「ご、ごなつよ・・・」
ナッチー「ホホホホホ・・・はい?」
保田「ごなつよ・・・」
ナッチー「ごなつよ?これはゴマじゃないのかい?それともゴマがごなつよなのかい?」
保田「う、うるさいわね。」
ナッチー「正直に言うべさ。人には得手不得手ってものがあるべ。」
と、そこへにぎやかな声が近づく。
辻&д<「わー!」
ナッチー「二人ともちょっとこっち来るべさ。」
- 15 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時22分13秒
- д<「なんや?スケッチか?」
保田のスケッチブックをムリヤリ奪い取るナッチー。
ナッチー「これ何に見える?」
辻「いぬれすか?」
д<「いや、ひげが生えとるから猫やろ。」
辻「きつねにもおひげはあるれすよ。」
ナッチー「では保田画伯、正解をどうぞ!」
保田「・・・ゴマよ。」
辻&д<「きゃははははは!!」
ナッチー「そんなに笑っちゃ失礼だべ。これはきっとピカソのタッチを模倣したものだべ!
きっと。芸術は凡人には理解できないものなんだべ!たぶん。ひーっひっひ・・・」
д<「ははははは!こりゃ傑作や!未来永劫語り継がれるで!」
辻「ちがうれすよ!わらっちゃかわいそうなのれす!きっとやすらさんのこころには
ひとにはりかいれきない、おおきなとらうまがあるんれすよ!これはやすらさんの
こころのえすおーえすなのれす!ののがかうんせらーになってあげるのれす!
てへてへてへてへてへ・・・」
д<「さー姉さんになんでも言うてみぃ?慰めたるでぇ?ははは・・・」
ナッチー「ひーっひっひっひ・・・(ゾクッ)」
д<「ひゃーっひゃっひゃ・・・(ブルッ)」
辻「はぅーあぅーひー・・・(ビクッ)」
おそるおそる振り返るとそこには鬼の形相の保田が・・・!
保田「あ・ん・た・た・ちぃぃ」
辻「ひーん!こまいぬー!」
д<「魔王の呪いやー!助けてー!」
ナッチー「なまはげー!オラは悪い子でねぇ!」
保田「失礼しちゃうわね!!!」
- 16 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時22分47秒
- ごま「ふぁぁぁあ・・・・・この絵、圭ちゃんがモデル?」
保田「失礼しちゃうわね!」
- 17 名前:魔王城 投稿日:2001年09月28日(金)11時24分22秒
- ワーダ「魔王様、洗脳完了しました。」
魔王つんく「うむ、ごくろう。」
ワーダ「それではワシも行って参ります。ひゃっひゃっひゃ・・・」
魔王つんく「うむ。・・・ところでなんか言うことないんか?俺に。」
ワーダ「へっ?」
魔王つんく「ほら、あれや!出来の悪い四天王の・・・」
ワーダ「はいはい、あ〜あ〜。」
魔王つんく「ミカ様に・・・」
ワーダ「・・・」
魔王つんく「何してん?自分。」
ワーダ「いやぁ、ひゃひゃひゃ・・・」
魔王つんく「おまえもういっぺん氏ね。」
ワーダ、いきなり再起不能
- 18 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時25分56秒
- 保田「ねぇ、よっすぃー知らない?」
勇者飯田「ごまと一緒に外に行ったよ。一緒に探そうか。」
保田「こんな星のよく見える夜に二人のいるところは・・・」
と言って保田は、屋上の展望室の屋根によじ登る。飯田もそれを追う。
保田「やっぱりここね。」
そこにはあお向けになって空を見上げるごまとよっすぃーが。
ごま「こうして空を眺めるのも久しぶりだね。」
よっすぃー「うん、復活してから色々あったからね。」
保田「昔はよく野宿したものね。」
よっすぃー「お金がなかったみたいな言い方じゃないですか?それ。」
ごま「あははっ。」
保田「ふふっ、そう言わないの。」
飯田も寝転んで空を見上げる。
勇者飯田「きれい・・・」
3人は皆、このような会話が2年前までは毎日のように続いていた出来事だと、
そして、そこには勇者さやかが居たと、誰も口には出せないでいた。
ごま「全部終ったら・・・またこうして星を見ようよ。」
- 19 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時26分53秒
- ・・・・・・
ごま「全部終ったら・・・またこうして星を見ようよ。」
勇者さやか「えー、また野宿するの?」
保田「ごまはどこでも眠れるからね。」
ごま「もーひっどーい!ちょっとよっすぃーなんか言ってよ!」
よっすぃー「まぁ、お金が掛からなくていいじゃないですか。」
ごま「それフォローになってない。」
勇者さやか「いい加減にしないとすねちゃうよ、よっすぃー。」
よっすぃー「あーさやか様だってからかったのに〜。」
勇者さやか「さやか『様』はやめなって言ってるだろ。仲間なんだからさ。」
保田「そうよ。私のこと、さん付けするのあんただけよ。圭ちゃんって呼んでよ。」
よっすぃー「ごっちんたすけてー!」
ごま「よく見ててね。こうやるんだよ。あは〜ん、さぁやさまぁ?」
勇者さやか「こ、こら、そんな目をするんじゃない!」
・・・・・・
ゴマ「きゅ〜ん・・・」
よっすぃー「ごっちん。て、もう寝てますね。」
勇者飯田「魔王が世界を支配したら、こうしていられなくなるのかな・・・」
保田「そうならないように旅をしている、違う?」
保田の言葉が終らないうちに飯田は屋根を飛び降り、船首に向かって走り出した。
そして、剣を振り下ろすと、一瞬遅れて水しぶきが飯田を包んだ。
よっすぃー「あの人ならやってくれる気がします。」
保田「そうね・・・」
- 20 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時27分49秒
- あさ美「あのー辻さん。」
辻「ぷりんならあげないれすよ。」
あさ美「・・・お話があるのですが。」
辻「なんれすか?」
あさ美「あの古代魔法はどこで覚えたんですか?」
辻「?」
あさ美「昨日踊ってましたよね?あれは古い魔法の形態の一種なんですよ。
私も見るのは初めてだったんですが。」
辻「よくわからないのれす・・・めもるれす。」
あさ美「今でこそ魔法には呪文を用いるのが主流ですが、なにも呪文でなければならない理由は
ないんです。『舞』による魔法は、今では儀式ぐらいにしか用いられることは
ありません。でもそれは形式的なものであることが多いのです。本格的な魔法として
は用いられることは非常にまれで・・・」
辻「(もうわけがわからないのれす。とりあえずうなずくれす。)」
あさ美「・・・辻さん達が踊っていたのは演舞魔法と呼ばれる古代魔法で、
演舞魔法は主に精霊や妖精に働きかけたり、召還魔法のひとつの形態・・・」
辻「(こいつ、りかちゃんなみにはなしがなげぇのれす。)」
あさ美「そのため演舞魔法は精霊魔法と呼ばれることもあります。
演舞魔法はただ踊るだけではなく『歌』と組み合わせてこそ・・・」
辻「(・・・うたはまほう??)」
あさ美「ただ戦闘中に踊るということは、大きな隙をつくることになるため
演舞魔法は衰退していったと考えられています。」
辻「(やっとおわったれすか・・・)」
- 21 名前:船旅(二日目) 投稿日:2001年09月28日(金)11時28分48秒
- あさ美「次に、話しの中でも出てきた精霊魔法ですが・・・」
辻「(・・・いつかいっぷくもってやるのれす。)」
あさ美「人間以外のものに働きかけるという点では妖精も精霊も一緒のように
思われますが、精霊への働きかけは妖精のそれとは異なります。」
辻「(ようりょうおーばーなのれす・・・)」
石川「あ、あのー」
辻「(ようりょうおーばーなのれす・・・)」
石川「あさ美ちゃん、すごいですね!若いのにそんなに知識があって・・・」
あさ美「い、石川さん!」
石川「は、はい!」
あさ美「・・・昼間はごめんなさい。あんなこと言うつもりじゃなかったんです!」
石川「ううん、いいの。私にも甘えはあったし・・・だから・・・」
辻「(ようりょうおーばーなのれす・・・)」
石川「お友達になりましょう!」
あさ美「石川さん・・・」
辻「・・・てへっ」
石川「ののちゃん?」
辻「てへへへえへへえへへえ」
あさ美「焦点があってません!ていうか寄り目!」
辻「てへてへええええてへえてへ」
石川「どうしよう?えっと・・・おししょうさまー!」
辻「ンメェェェェェェゴゲーゴゴゴゴゴ」
その後小一時間、辻は壊れっぱなしだった。
- 22 名前:ダーマ=サイタ近郊 投稿日:2001年09月30日(日)04時31分58秒
- 真己「ちっ、なんでこんな田舎なんかに・・・」
真己が不快感をあらわにする。
アミ「沙紀姉、そろそろ話してくれない?調査って何を調査するのか。」
沙紀「・・・遺跡の調査。」
アミ「そんなのって私達がする程のことですか?隠密がすることでは・・・」
沙紀「私達は与えられた任務を忠実にこなせばいい。それよりももうじき、
参謀長がお見えになる。あの方の前でそんな口はきかぬことだ。」
真己「参謀長!?」
アミ「そんな方が出張ってくるなんて、一体何があるんですか!?」
沙紀「同じことを何回も言わせるな。私達は命令に従う。それだけだ。」
アミ「・・・わかりました。」
- 23 名前:魔王城 投稿日:2001年09月30日(日)04時33分17秒
- ワーダ「全く、なんでわしがこんなガキの面倒なんか・・・」
??「・・・・・」
ワーダ「おい、お前のご主人さまは誰だ?」
??「はい、魔王つんく様です。」
目の虚ろな少女が感情なく答える。
ワーダ「わしの命令は?」
??「絶対服従です。」
ワーダ「やはりワシの洗脳は完璧じゃな、ひゃっひゃっひゃ・・・ふん。
こんな実験台にも出来んガキ・・・面倒なもの押し付けおって・・・
しかも連れて行けじゃと?全く・・・」
- 24 名前:バナナソーカ 投稿日:2001年09月30日(日)04時36分28秒
- 保田「さぁ着いたよ、起きて起きて!」
辻「おきてくらさーい!」
д<「矢口さーん!」
矢口「うーんあと5分・・・」
辻「やぐちさーん!!」
矢口「うるさーい!」
・・・・・・
一行は下船するが、街には活気がない。
勇者飯田「ここがバナナソーカ?兵隊さんだらけだね。」
石川「なんか怖い人がたくさんいますぅ・・・」
保田「一般人がほとんど見当たらないわ。」
あさ美「・・・不安がってる。」
ごま「妖精さん達が?どうしてかわかる?」
あさ美「・・・だめです、わかりません。何かに怯えているような・・・」
ごま「(この空気・・・初めてじゃない?この不快な感じ・・・)」
一行に兵士が近づいてきた。
兵士「冒険者の方ですか?」
勇者飯田「そうだよ。かおりはね、勇者なんだよ。」
兵士「ほう・・・では証を見せていただけますか?」
勇者飯田「はい、王様発行の証明書。文句ないでしょ?」
兵士「失礼しました。着いて早々申し訳ないのですが、酒場へ行ってもらえますか?
そこで詳しい話を聞いて下さい。」
- 25 名前:バナナソーカ 投稿日:2001年09月30日(日)04時38分46秒
- ミチーヨ「いらっしゃーい・・・って、あんたらかいな。いや、むしろちょうどええか・・・」
ごま「やっほー、みっちゃん元気ー?」
ミチーヨ「あ、ああ、元気やで。」
と言うミチーヨの腕には包帯が。
ごま「ねぇ、この怪我何?」
ミチーヨ「まぁ色々とな・・・」
保田「聞きたいんだけどさ、この街の物々しい雰囲気はなんなの?
一般人は見かけないし、やたらに兵士がうろついてるし。」
ミチーヨ「それ今言おうと思っとった。今、戒厳令が布かれとるんや。数日前からな。」
よっすぃー「それはただごとではありませんね。何があったんですか?
なんとなく想像は付きますが・・・」
ミチーヨ「多分知っとると思うが、ここの近くの街の人間が丸ごと消えてしもたからな。
周辺住民は外出禁止、24時間常に兵士が監視を続けとる。」
よっすぃー「未だに戒厳令が布かれているということは、原因は不明のままなんですね。」
ミチーヨ「そや。魔物やら、魔王軍やら、果てはカルト教団説まで飛び出す始末や。
現場はもちろん立ち入り禁止。国王軍に今出来るのは、
行方不明者を増やさないことぐらいやな。そこでな・・・」
保田「勇者様の出番ってわけね。」
勇者飯田「まっかせてよ!」
ミチーヨ「さすがにあんたらなら大丈夫やろか・・・実はな、冒険者が一人向かったんやけど
まだ戻らへんねん。昨日までに戻って来ることになってんけど・・・」
保田「捜索を依頼する冒険者もいないから私達に、ってこと?」
ミチーヨ「ああ、すまんな。それとその子な、かなりの腕前の持ち主や。
腕試ししてやるつもりがこのザマや。あの子でさえ戻らんとなると・・・」
д<「せやけど、この人との比較やったらようわからへん。」
辻「それはいわないやくそくなのれす。」
ミチーヨ「ウチが許可すれば外出禁止でも行動可能やし、立ち入り禁止地区への立ち入りも可能や。
ダーマ=サイタ行ってくれるか?頼む。」
勇者飯田「だってかおり勇者だもん。行かないわけにはいかないよ。」
- 26 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月03日(水)01時11分11秒
- なにやら盛り上がっている勇者らをフロアに残し、保田は奥のカウンターに入ったミチーヨを追う。
保田「・・で、、
正確な現状を教えてくれる?」
ミチーヨ「・・もちろん」
それだけ言うと、ミチーヨはシェイカーを手に取り、両手に持つ。
保田「ありがいたいんだけど、一応神官なんでね」
ミチーヨ「別に禁酒じゃないでしょ」
保田「普段はやっぱ飲めないものなの」
??「それじゃ私もらう」
その声に、ミチーヨは視線だけ動かし、保田は目を閉じる。
ミチーヨ「お嬢ちゃん、いくつよ」
ごま「酒場は酒サーブしときゃいいのよ」
そう言って小銭を投げてよこす。
ミチーヨ「そっちの方はご注文は?」
よっすぃー「結構です」
そういうと二人は保田を挟むようにしてカウンターに腰掛けた。
- 27 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月03日(水)01時11分43秒
- ごまの前に置かれたグラスに、なんたらダイキリが注がれる。
最後の一滴が滴り落ちて、ミチーヨがシェイカーをカチンと当てた次の瞬間、よっすぃーが待ちきれないように口を開いた。
よっすぃー「じゃあ国王軍はいっさい現場に入ってないんですね」
ボトルを背後の棚にゆっくりと戻してから、ミチーヨはゆっくりと返答した。
ミチーヨ「それもようわからん」
保田「傭兵認定の最高ランクを受けた酒場の店主が?」
ミチーヨ「その顔で突っ込まんといて」
肩をすくめるような仕草を見せた後、ミチーヨは顔を大きなため息をつく。
ミチーヨ「情けない話なんやけどな、あっちからの情報は全く流れてこない
おそらく兵にも流れてないんやろ」
保田「でも、それだけが酒場の情報網じゃないでしょ」
ミチーヨは天井を見上げる。
オレンジ色の4人の空間に、ごまのグラスと氷の艶やか音だけがひびく。
ミチーヨ「噂話なら、、掃いて捨てるほどあるけど、、」
- 28 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月03日(水)01時12分12秒
- ミチーヨ「誰が言い出したんやろうね
遺跡の中には財宝があるんだって」
ごま「・ざいほう・・」
ミチーヨ「遺跡にはやっかいなトリックがあって、国王軍もすぐには財宝を収められない。
神隠しの件もそれに関係があって、それを口実に国王軍は侵入を禁止していて、
でもそれは財宝を総取りするためなんだ、ってね」
よっすぃー「金の無いこの国らしい噂ですね」
ミチーヨ「ともあれ、それで結構な数の連中が国王軍を突破して中に入ろうとした」
よっすぃー「……」
ミチーヨ「ことごとく失敗してな、あまりにそうする馬鹿が増えたもんだから、
あっちも最初は管理策のつもりやったんやろな。
酒場の傭兵ランク高位の者にだけ、侵入を認めてやるようになった
もちろん、その時には財宝なんて存在、もはや誰も信じなくなってたけどな」
保田「それでなんでその酒場がこんな静かなの?」
ミチーヨ「国が中心部である東半分はスクランブルがしかれ、
多くの冒険者は休業を余儀なくされて。
それでなくても、もはや試験窓口がわりでしかないしね」
よっすぃー「試験窓口って、それでも遺跡に行く人間が・・」
ミチーヨ「どうもダーマ=サイタにダンジョンの類があるらしくてね、
国王軍が腕利きに大して賞与制度を制定したのが3日前のこと」
ごま「そのダンジョンって・・」
ミチーヨ「おそらくは、アッサヤヌの遺跡・・」
- 29 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月03日(水)01時12分41秒
- 保田「今までにどれくらいが認定を受けて中に入ったの?」
ミチーヨ「他の街のことはわからん。
ただこの街では私が認めた一人だけ」
ごま「ああ、さっき言ってた・・」
保田「酒場が冒険者の心配するなんて、どういう了見?」
ミチーヨ「・・その娘、年端のいかない少女なのよ」
よっすぃー「どうしてそんな危険な・・」
ミチーヨ「言っても聞かん娘でな。
それに・・正直、うちらも躍らされてたのかもしれん」
よっすぃー「それって・・」
保田「いいでしょ、そんなことは
兵隊が入っていようと、ガキがうろついてようと、、
それよりさ、許可証の類を用意してよ」
ミチーヨ「・・そやな」
保田の表情を確認してから、ミチーヨはひとまずほっと胸をなでおろしたのだった。
- 30 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月03日(水)01時13分35秒
- 保田「あれ?ごまは?」
紺野「ごまさんならあそこで寝てますけど・・」
見るとあざらしになったごまがカウンターのイスの上に横になっている。
小さなイスの上で寝ている様は、まるで人形が置かれているかのようで、保田は思わずため息をついてしまう。叩き起こしてやろうと保田が近づいてみると、ごまはうっすらと頬を桃色に染めていた。
正しい酒の酔い方とでも言うのだろうか。
Д<「あん?
起こさへんの?」
保田「・・今日はこのまま連れっててやることにしたから」
のの「なんでなのれすか?」
保田「たまにはね」
酔っている人間は無理に起こさないほうがいい。
酔い夢は邪魔しては悪いし、辛い夢は邪魔してはならない。
彼女のまぶたの雫を指で伸ばし、保田はみんなを追って店を出た。
- 31 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月06日(土)11時03分14秒
- 武器屋に矢口とよっすぃーがいた。
矢口「ねぇこれとこれどっちがいい?」
よっすぃー「えーと・・・(本当はどれでもいいんだけど、言えないなぁ)」
矢口が刃物を持った敵と戦えるようにとグラブを買いに来ていたが、なかなか決まらない。
?「そこの145センチのお姉さん。」
矢口の背後から声がする。
矢口「(むっ、厚底履いてるのに・・・)」
振り返るとそこにはみすぼらしいがスタイルの良い女性が。
?「これを買ってくれない?私を助けると思って・・・」
矢口「・・・ねぇ、この人大丈夫かな?」
よっすぃー「うーん、それはなんとも・・・とりあえず品物を見ましょうか。」
矢口「なにこれ?右手が赤で左手が白?」
?「それは『神の左手悪魔の右手』といって、伝説の格闘家が身に着けていた
ものらしいよ。安くしとくよ・・・はらへった。」
矢口「どうかな?」
よっすぃー「ここの武器屋より良い造りですよ。買って損はしないと思います。」
矢口「(見た目はちょっとなぁ・・・でもこの人すがるような目で見てるし・・・)
はぁ、いいですよ、買っても。」
夏「ああ、ありがとう。これでメシにありつける。紹介が遅れたね。私は旅の商人
夏まゆみ。今度会った時もよろしく。ではアディオス!」
矢口「・・・何っだったんだろう?」
よっすぃー「・・・まぁ何でも良いじゃないですか。」
- 32 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月06日(土)11時04分43秒
- ミチーヨ「圭ちゃん。」
ミチーヨは大きな封筒を投げて渡す。
ミチーヨ「この辺のマップと事件の概要、例の女の子の詳細。あんた達は戻って来るんやで。」
保田は振り返って言った。
保田「当たり前じゃない。」
保田「(どれどれ・・・西へこの距離だと半日ぐらいか。事件についてはと、
少なく見積もっても行方不明者300人以上、なるほどね。
・・・高橋愛14歳、この子ね・・・怖いもの知らずな年頃かしら。)」
勇者飯田「じゃ早速出発進行!」
矢口「え〜、さっき着いたばっかじゃんよ〜」
勇者飯田「なに言ってるべさ!3日も船旅でマターリしてたんだから。」
保田「私もかおりの意見に賛成するわ。途中で野宿することになるけど、
何が起こったのかわからないダーマ=サイタで夜を過ごすよりはいい。」
矢口「・・・夜になったら怖いな・・・道に迷ったらどーするの?」
保田はあさ美の頭を撫でながら言った。
保田「優秀なガイドがついてるから大丈夫よ。」
- 33 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月06日(土)11時05分59秒
- 誰も居ない街に背の高い女性が立っていた。
素子「遅い・・・何をしている・・・」
苛立つ素子の目の前の空間が歪む。その黒い歪みから怪しげな男と覇気のない少女が現れる。
ワーダ「まるでどこでも○アじゃな。」
素子「やっと来たか。」
ワーダ「っと参謀、まだこんなところにおったのですか。」
素子「隠密達は先に行かせてある。それにその子の能力ならばどこに居ても一緒だろ?」
ワーダ「新垣とかいいましたな。なるほどこいつは便利ですな、ひゃひゃ。」
素子は少女をみつめてつぶやいた。
素子「洗脳は好かんな。」
新垣「・・・・・・」
素子「さあ、頼むぞ。ここの地下だ。」
新垣「はい。」
新垣は両の掌を前方にかざす。すると空間が歪み、黒い穴のようなものが現れる。
素子「ワーダおまえもだ、行くぞ。」
- 34 名前:検閲所 投稿日:2001年10月07日(日)12時54分10秒
- ここはダーマ=サイタに向かって伸びる公道。
森林地帯に入る手前に、国王軍の臨時施設がおかれている。
厳戒態勢が敷かれて以降は、ここが中に入れる唯一の窓口である。
兵士「・・バナナ=ソーカのミチーヨさんの認定、と・・・」
若い兵士が何やら必要事項を書類に書き込んでいる。
保田「ちょっと聞いてもいいかしら」
兵士「はい?」
保田「今までにどれくらいのパーティーが中に入ったの?」
兵士「え〜っとですねえ・・」
彼は天井を見上げて思い出そうとした後、引き出しを開けて他の書類を捜しはじめる。
兵士「登録は・・
あなた達で8組目ですね」
よっすぃー「それは・・」
予想していたよりもわずかに多い数字だ。
保田「人数は?」
兵士「そちらの方々を加えて40を少し下回る程度でしょうか」
うちのパーティーは11名だから、7組30名弱。まあそんなもんだろう。
飯田「一人ってのは例のあのコだけ?」
兵士「例の?」
保田「高橋って、小さい女の子なんだけど・・」
兵士「ああ、彼女ですね。
えーと、ソロパーティーは彼女を含めて8組中2組ですね。」
保田「そう・・」
- 35 名前:検閲所 投稿日:2001年10月07日(日)21時30分24秒
- ダンジョンに入る前のわずかな時間、保田と飯田が何やら話し合っている。
勇者飯田「・・・でも、連れて行ったほうがまだ・・・」
保田「それはそうかもしれないね。だけど・・・・」
Д<「リーダー会議やな」
つじ「なにをはなしているんれすかね?」
矢口「うん?、おいらも気になるからきいてみるよ。」
- 36 名前:検閲所 投稿日:2001年10月07日(日)21時35分34秒
- 勇者飯田「うん、しょうがないね。それがいいかも。」
矢口「おーい、何をそんなに話し合ってるの?」
保田「あ!、矢口、丁度いいところに来た。」
保田は矢口のほうに振り返った。
矢口「な、なに?」
保田「今決めたんだけど、辻とあいぼん、それからあんたとミカは、バナナ=ソーカに戻ってくれる?
ここまで来たのになんだけどね。」
矢口「は!?、、え、ええっ!?」
予想外すぎてすぐには反応できない。
矢口「なな、何それ、どういう意味?」
勇者飯田「あの子達二人をね、ダンジョンに連れて行くのは、どうかと思うの。」
辻とあいぼんを指差す飯田。
保田「危険だからね。今までに無いほどに。ダンジョンでは下手に逃げる事すら危険だし。」
勇者飯田「大人数だと目が届かないから、迷子になっちゃうからね。。
それに、トラップがあるかもしれない。」
矢口「まあ、あの二人はそれでもいいと思うけど、、、なんでおいらまで!?」
勇者飯田「最後まで聞いてよ。で、ミカちゃんはまだ病み上がりだから休み。
矢口はあの二人の面倒見ててほしいの。」
矢口「・・だから、納得いかないのはそれだって!
子守りならミカちゃんだけだっていいじゃん。バナナ=ソーカにならみっちゃんだっているし。
ま、、まさか、せ、戦力外だなんて言わないでよ!?おいらはついて行くよ!絶対!!」
保田「うん。そんな事は言ってない。だから最後まで聞きなさいって。
実は、矢口に待機してもらうのはもう一つ目的があるの。
矢口は、私達がいない間、バナナ=ソーカに何かあった時、
もしくはダンジョンの中にいる私達に、明らかに何かあった時、動いて欲しいのよ。言わば保険。」
矢口「そ、そんな事言われてもなぁ。そんならおいらじゃなくたっていいわけじゃ、」
勇者飯田「ねぇ!」
矢口の言葉をさえぎり、肩に手を置く飯田。その表情は真剣だ。
勇者飯田「頼むよ矢口。」
矢口「うっ、、」
- 37 名前:検閲所 投稿日:2001年10月07日(日)21時41分30秒
- 矢口「というわけなんだよ。わかった?」
つじ&Д<「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
矢口「しょうがないだろっ!!おいらだって行きたいんだよ!!」
ミカ「ザンネンデスガ、、シカタアリマセン。」
矢口、辻、Д<、ミカは保田のルーラでバナナ=ソーカのミチーヨの酒場まで戻った。
飯田もついて行った。
保田「何があった時、何をするか、それはあんたの判断に任せるわ。
どんな時でも冷静に判断しなさいよ。」
矢口「わかってる。」
保田「じゃ、戻るよかおり。」
飯田は辻とあいぼんの頭に手を回し、少し大げさに別れを悲しんでいる。
勇者飯田「じゃあね。行ってくるからね。」
保田「ほらっ、早くっ!」
飯田の肩を引っ張る保田。
勇者飯田「あ、待って。矢口、この子達、よろしくね。」
飯田は本当に心配そうだ。
飯田も、一緒に行くより安全だという事がわかっていて、こうして置いていくのだが。
矢口「おう!任せておけよっ!!」
勇者飯田「じゃあね、行ってくるから。」
保田「ルーラッ!」
つじ&Д<「いってらっしゃーい」
矢口「・・・・・」
- 38 名前:検閲所 投稿日:2001年10月08日(月)00時40分50秒
- 師団長「人間7名に妖精1名、以上かな?」
矢口達を置いて戻ってきてからしばし後、いかにもエリート然とした軍人が待合室に入ってきた。
勇者飯田「はい」
師団長「よろしい
では今回の特別雇用員の主旨について説明させていただく」
彼は咳払い一つ、演説口調で概要をまくしたてはじめた。
以下はその要約である。
今回の事件に関し、市街地は国王軍が徹底的な調査を行っている。
しかしそれにも関わらず、事件に関する手がかりは、何一つ見つかっていない。
専門家の意見に従うに、この奇怪な事件の手がかりがあるのなら、まずそれは常識的なシュミレートの届く範囲ではない。
すなわち、それは同時期に発見された、ダーマ=サイタ近郊の遺跡であると。
とはいえ、それが予測の範疇を出ないことは事実である。
臣民の血税によってなりたつ軍部である以上、確証の無い危険地帯に兵を送りこむことはできない。
そこで民間の冒険者達に調査の機会を与えることで、少しでも原因究明に近づくこうというのが、特別雇用員制度の目的である。
- 39 名前:検閲所 投稿日:2001年10月08日(月)00時41分17秒
- 師団長「しかるに君達の検討を期待している。
なお、遺跡の内部で君たちメンバーが何らかの異状におかれようとも、
当局はいっさい関知しないので、そのつもりで」
勇者飯田「(・・・ってことはもしかしたら遺跡が関係ないっていう可能性もあるのかなあ・・)」
保田「(結局、国王軍は何もできないってことか。
でも、事情がだいぶわかったから、まあいいとしますか)」
よっすぃー「(この国の財政事情なら、この体制も長くは持たないでしょうね)」
ごま「・・・zzz・・」
ナッチ−「ダンジョンに入る前に、まずは何と言っても腹ごしらえだべ」
紺野「遺跡ってどんな妖精さんいると思います?」
シバタ「どうでしょうねえ」
石川「(なんかシバちゃんとあさ美ちゃんが仲いい・・)」
- 40 名前:アッサヤヌ遺跡 投稿日:2001年10月08日(月)08時49分15秒
- 素子「レミラーマ」
魔法の光が辺りを照らすと遺跡の姿が明らかになる。
素子「なんだここは・・・」
この地底の空間は100メートル程の高さ(深さ)があり、周囲は数キロはあろうかという
巨大な空間だった。所々から地上の光が差し込んでいる。
なによりもそこには目を疑うような光景が広がっていた。
周りには高層ビルが立ち並び、この遺跡が元々この地底に作られたかのような錯覚に陥る。
そもそも遺跡だと言うのが不自然なくらいだ。
ワーダ「おおこれは素晴らしいぃぃぃぃ!!!アッサヤヌなんぞ学者のたわごとじゃと
思っとったが、現代を超える科学力がここにはある!間違いない!」
素子「やれやれ・・・しかしこうも広くては探すのは骨が折れそうだな。」
ワーダ「宝があるという噂は本当じゃな!ここにある科学技術全てワシのモンじゃぁ!
ひゃーひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・笑いが止まらんわい、ひゃっひゃっひゃ・・・」
素子「(これほどの都市が歴史から姿を消すとはな・・・始めから地底に都市を建造
したとは考え難い。自ら姿を消したわけでもあるまい。となるとやはり・・・)」
新垣「・・・うわぁ」
新垣はビルを見上げて驚いたような表情を見せる。
そして素子がなにやら呪文を唱える。
素子「・・・反応なし。しらみつぶしにいくか。新垣、行くよ。」
素子は笑い続けるワーダを置き去り、最も高い建物へ向かって歩き出した。
- 41 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月10日(水)11時21分11秒
- 勇者飯田「うわぁ、何あれ?」
ダーマ=サイタを一望出来る丘まで来ると、飯田が驚きの声をあげる。そこからは
その街が魔王軍の攻撃を受けた傷跡を、はっきりと残していることが見て取れた。
街の数ヶ所に巨大なクレーターがはっきりと残っていた。
よっすぃー「ずいぶん派手にやったみたいですね。」
保田「人々に恐怖感を植え付けるためでしょうね。」
ごま「どうしたらあんなすごいもの出来るんだろう。あたしじゃあんなの無理だよ。」
石川「えぇと、じゃあ魔王軍にはごまさんにも出来ないことを出来る人がいるってことですか?」
一瞬だが一行を沈黙が包む。
ごま「・・・そういうことになるね。」
よっすぃー「今までにそんなことが出来そうな相手はいなかった・・・
一筋縄には行きそうもありませんね。」
保田「あ、もしかして・・・」
保田はミチーヨにもらった資料に目を通す。
保田「やっぱり、遺跡が発見されたのはあのクレーターだわ。」
- 42 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月10日(水)11時22分24秒
- 勇者飯田「やっぱり誰もいないね。」
一行は街を探索していたが、街の人間が行方不明になったことに結びつく手掛かりは
得られなかった。しかし、石川が何かに気付いた。
石川「あれ、何だろう?」
地面に何か粘液のようなものがあった。
石川「きゃっ、気持ち悪い〜」
紺野は妖精と対話していた。
紺野「・・・うん・・・ありがとう。」
保田「何かわかった?」
紺野「ここの妖精さん達は街の人達が消える前に、すごく嫌な予感がしたらしくて
皆ここを離れていたそうなんです。戻ってきたら誰もいなかったって
言ってました。でも何があったのかはわからないそうです・・・」
保田「そう・・・遺跡に手掛かりがあるのかしら・・・石川!飯田を呼んできて。」
石川「はいっ!」
街を歩く飯田の頭の中にある考えがよぎっていた。
勇者飯田「なんか見覚えあるような感じがする、ここ。・・・なんでだろう?」
石川「飯田さーん!お師匠さまが呼んでまーす!」
- 43 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時53分13秒
- 勇者飯田「なに?圭ちゃん」
石川に連れられて、飯田が保田達のもとに戻ってくる。
保田「あなたの意見を聞きたくて」
よっすぃー「広すぎるこの都市
ずばり、どこから探すのか」
飯田は目を閉じ、魔導師が詠唱するときのように、周りの空気を緊張させていく。
飯田「あそこ」
それだけ言うと、彼女は右手の人差し指をゆっくりと動かした。
その先にあったのは、周囲で最も高い建物。
というより、全ての高層ビルはその建物を囲むように建っているので、その中心を指したのかもしれない。
保田「やっぱり」
ごま「あからさまに怪しいもんねえ」
??「んー、自分らもあのビルに行くんかいな」
- 44 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時55分20秒
- 遺跡を覗き見ていたところを、突然背後からの男性の声に、思わず皆振り向く。
そこにいた、冒険者風の二人組に、思わずよっすぃーは鞘に手をあてる。
保田「あなた達、軍部認定の特別雇用員?」
??A「ここにいるからにはな」
??B「って言うと・・自分らもそんなんかいな」
男たちは勇者パーティーのメンバーを見回して、呆れ顔で息をつく。
??A「なんやなんや、お嬢ちゃんばっかかい」
??B「そない言うなや
今日び、魔導師のお嬢ちゃん部隊なんて、珍しくもない」
勇者飯田「それで、何のよう?」
男たちの口ぶりに、多少強張らせた声で飯田は尋ねる。
??A「いや、なんも」
??B「冒険者同士、仲良うしよう思って声かけただけなんやけど」
よっすぃー「仲良くする?
あんたたち、そんな口ぶりで、何が仲良くする、よ!」
保田「ちょっとちょっと・・」
よっすぃー「何?喧嘩売ろうってなら、買ってやるよ」
ごま「どうどう」
珍しく感情をあらわにしたよっすぃーを、ごまと保田はため息とともに、他のメンバーは驚きの表情で見つめる。
- 45 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時55分39秒
- 女だから
女なのに武術だなんて
女の武術なんて、色仕掛けしか脳のないアサシンのやることだ
子供の頃、自分の遠くで渦巻いていた嘲笑
ひねくれた羨望と受け止め、ただひたすら修練に励んでいた自分
男女の力の差なんて、大人子供の差より小さいものだった
問題にもしないで、ただただ自分の倍の背丈の男どもをなぎ倒すのを楽しんでいた
本気で気にしたことなんて、一度も無かった
自分は結果で、口だけの馬鹿どもを黙らせていた
自分は一度だって、こんな嘲笑に折れたことはない
- 46 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時56分46秒
- よっすぃー「やるの?やらないの?」
??B「何言うとんの?
僕らはんなことは一言も言っておらへんで」
彼らの声を無視するかのごとく、よっすぃーはごまと保田をふりほどく。
保田がため息交じりに呪文を詠唱しようとしたとき、黙っていた男の片方が口を開いた。
??A「しゃーない、相手したるわ
ただし、凶器無しの手合わせやで」
冒険者どうしでの手合わせというのは、それほど珍しいものではない。
交流試合とでも言うのだろうか、互いの流派を知るため、武道家同士が好んで行うのだ。
お互い傷つくまではやらないし、本気の半分ほども出さない者さえいる。
男の片方は、そう言うと持っていた剣を鞘ごと相方に渡す。
それを見て、よっすぃーは青春刀やいくつかの暗器を、カオリのほうに投げる。
受け取ったカオリは当惑してしまったが、保田とごまが何も言わないので、黙って見ることにした。
??A「俺は北川流関西派、堂本剛」
名乗られたら名乗り返すのは、どこでも同じ。
よっすぃーは不敵笑みとともに、足を踏み出す。
よっすぃー「八刹剣本流・バトルマスター吉澤」
名乗り終えた瞬間には、彼女は剛の目の前にまで移動していた。
- 47 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時57分07秒
- 昔は、こういうこともよくあった。
よっすぃーが先代の勇者のパーティーに入ったばかりの時、彼女はすぐに他の冒険者と争いをおこしていた。
時には相手を半殺しにして、時には酒場を滅茶苦茶にして。
彼女は冒険者としてのルールを何一つ知らなかった。
その実力と不釣合いなほど。
本当に些細なことで、彼女は感情をあらわにした。
剣の鞘が交わったなんて古生代の理由で、勇者さやかが止めるまもなく相手をはるかまで吹っ飛ばしたこともあった。
大神官保田は、その度に相手に回復呪文を唱え、詫びをいれるのだった。
ひとしきり暴れた後、勇者はよっすぃーに何一つ言わなかった。
ただただ、大魔導師の無言の瞳に釘刺されるばかり。
それも、昔のことだったはずだ。
少なくとも、魔王城に突入する直前には、そんな問題は全くおこしていなかったのに。
- 48 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時57分41秒
- 関西ボーヤAがあらわれた。
よっすぃーの攻撃!
奇襲とも言える攻勢だが、流石は酒場ランク高位の冒険者、そう簡単にふところは掴ませなかった。
鋭い蹴りを両手で払い、剛はよっすぃーの左手に周りこもうとする。
無論、よっすぃーもそう易々と譲りはしない。
強引に肩口を掴もうとして弾かれた左手を、もの凄いスピードでアッパーに変える。
勇者飯田「すごい・・」
自分との手合わせでは見せることの無かった、よっすぃーの肉弾戦術。
格闘家の矢口が見たら、なんと言うだろうか。
しかし流石はバトルマスター、1分を周ったあたりで剛にはっきりと一発を与える。
そのまま、体のバランスを崩させて、戦況を決定的にした。
彼は驚嘆の表情で体を起こし、よっすぃーに声をかけようとする。
敗北を認めて。
しかし、吉澤の攻撃は終わってはいなかった。
一騎に間合いをつめ、気を抜いていた剛を完全に絞める。
そのまま息をも止めないかという様相。
一度剛の身体を宙にはらい投げ、地面に落下する彼をめがけて、吉澤は渾身の一撃を放つ。
次の瞬間、かち合う二人の間に、ひとつの影が挟まり、鋭い音をたてた。
- 49 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)12時58分06秒
- 石川と紺野には、何がおこったのかわからなかった。
勇者飯田とナッチーは、かろうじて誰かの人影であろうことを認識できた。
保田とごまにも、それ以上のことははっきりとしなかった。
よっすぃーの身体が完全に躍動を止め、全員がその場の様子を確認しようとする。
地面に付した剛。
それでもしかるべき着地をしているので、それほどの傷には至っていない。
それより、よっすぃーのほうは?
彼女はひとりの男性と向かいあっていた。
よっすぃーの拳を、正面から受け止めた彼は、関西ボーヤA・Bに比べ、一回りほど体格が大きく見える。
よっすぃーが息を整える音だけが、周囲に響く。
やがて彼女は、静まりきらない呼吸を抑え、口を開こうとする。
酸素の足りない声が、地下の巨大な空間から吹いてくる風を通り抜け、乾いて響く。
よっすぃー「……………達……兄………?」
- 50 名前:ダーマ=サイタ 投稿日:2001年10月13日(土)16時44分12秒
- 関西ボーヤB「ぐっさん!」
よっすぃーに続いて、剛の相方も彼の正体に気づいたらしく、背後で声をあげる。
よっすぃー「達兄・・」
???A「生きているとは思ってたけど、こんなところで再開するなんてな」
???B「なに?達也の知り合い?」
???C「光一、何があったんだ?」
彼の仲間と思われる人間が何人か現れ、そのうち一人が足を抱えるようにしている関西ボーヤAに回復魔法をかける。
保田「すみません
うちの若いのが、出すぎたマネをして」
保田は男たちに歩み出て、謝罪する。
???D「いやまあ、こういうのは若いうちはよくあることだから・・」
・・・
遺跡の前で立ち尽くす一群
???B「とりあえず・・
店にでも入りませんか?」
彼らのひとりが廃墟となった酒場を指差す。
保田は飯田に振り向くと、彼女は小さく首を縦にふった。
- 51 名前:ダーマ=サイタ(酒場) 投稿日:2001年10月13日(土)16時44分49秒
- ダーマ=サイタ(酒場)
ついこの前まで、にぎわっていたであろう場末の酒場。
総勢13名(+妖精一名)は、各々好きな場所に落ち着いている。
あらかた自己紹介を終えて、ある程度緊張がほぐれてきた。
彼らはいずれも特別雇用員制度をクリアしたパーティーで、ここらの酒場ではそこそこ名が知れている、顔見知りのパーティーであったらしい。
そのうちの一人、山口と名乗った武道家が、よっすぃーの知り合いらしいのだが、よっすぃーは席を外しているので、詳しいことはわからない。
松岡「・・ここで一つ提案なんだけど、とりあえず一緒に行くってのはどう?」
保田「一緒に・・?」
松岡「もちろん遺跡の内部で別れるのもアリだろうし」
国分「少しでも頭数が多い方が心強いでしょう」
保田「そうねえ・・・」
- 52 名前:ダーマ=サイタ(酒場) 投稿日:2001年10月13日(土)16時45分13秒
- 保田はしばし思案した後、飯田のほうを向く。
保田「どう思う?」
飯田「いいと思うよ」
保田「そう?」
飯田「うん。だって一人でもいたほうが、心強いじゃん」
置いてきてしまった矢口達には悪いが、これは正直な意見だ。
保田は何か言いかけて、すぐにその言葉を飲み込む。
疑っていてもはじまらない。
それが冒険者のスタイルだ。
保田「それじゃ、よろしくおねがいします」
長瀬「こちらこそ」
山口「おまえらは一緒に来るか?」
話をふられた関西ボーヤの光一は、首を横にふる。
山口「賢明だな」
実力差が明確なんだったら、とりあえず先に進ませたほうが安全だ。
それが冒険者の常識的判断。
- 53 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月13日(土)16時45分48秒
- 客のいないミチーヨの酒場のフロアーを借りて、矢口とミカが稽古をしている。
稽古といっても手合わせではない。
忍耐の修行らしく、彼女らにしてみれば静かなものだ。
そのおだやかな酒場に、一人の男が駆け込んできた。
??「ミチーヨちゃん、他の奴らは?」
ミチーヨ「あら、城島さん。
みなさん、もうとっくに出かけましたよ」
城島「あちゃー
おいてかれてもうたわ〜〜」
Д<「なんやあんた、情けない声だしおってからに」
城島「んなん言うたかて、歳やて朝起きれへんのやから、しゃーないやろ」
Д<「普通は歳くうと朝がはようなるもんやないんか?」
城島「突っ込まんといてや!」
つじ「(このふたり、おなじことばをしゃべっているのれす)
- 54 名前:バナナ=ソーカ 投稿日:2001年10月13日(土)16時46分18秒
- 矢口「どうったの?」
どうやら休憩を入れたらしい矢口とミカが、奥のほうから顔をだす。
城島「きいてくれや、小さいお嬢ちゃん」
矢口「ん、小さいは余計だぞ」
城島「それがなー、かくかくしかじか。。」
矢口「ほうほう」
どうやら彼は自分のパーティーのメンバーに、置いてかれてしまったらしい
のの「それで、どこへいくよていらったのれすか?」
城島「ダーマ=サイタの遺跡なんやけど・・」
矢口「ダーマ=サイタ!」
ミカ「ミナサントオナジトコロデスネ」
矢口「それで、おっさんはこれからそこへ行くんだろ?」
城島「・・ああ、そのつもりやけど、、」
矢口はなにかたくらんでる時の表情で、にやける。
つじ「いやなよかんなのれす・・」
矢口「おいら達もそこへ行くぞー!」
ミカ「ダメデスヨ、ヤグチサン」
矢口「行くったら、行くんだー」
Д<「(ほんま、この人は言い出したら聞かん人やしなあ・・)」
- 55 名前:アッサヤヌ遺跡内部 投稿日:2001年10月13日(土)16時46分47秒
- ダーマサイタの遺跡から覗いた空間は、思ったよりも大きいものだった。
先ほどカオリが指した建物も、都市部の立派な高層ビルほどの高さである。
周りのビルもその半分ほどの高さを持ち、それらが広い空間のど真ん中にそびえ立っている。
一同は魔法を使ってゆっくりと地下を落ちていく。
最も高い建物の屋上は、本当になにも見えなかった。
一応、松岡が調べてみたらしいが、旗の掲揚台くらいしかなかったらしい。
ビルの中は全て外側から見わたせるのだが、見事なまでに何も無い。
建造中のビルのようで、明らかに違う点がある。
広いフロアーの中で、柱や壁が全くないのだ。
石川「どういう構造なんでしょう」
ごま「未知の、としか言いようがないかな」
無意識の呟きをごまに聞かれ、石川は頬を赤らめる。
ところどころにある、渡り廊下のような細い連絡路も、たんなる通路でしかない。
男性陣がところどころ外壁を破壊しているのだが、本当に中には何もないようだ。
それでもびくともしない建物。
まるでこの都市がひとつの怪物のように、破壊が虚しく跡を残す。
- 56 名前:アッサヤヌ遺跡内部 投稿日:2001年10月13日(土)16時47分16秒
- そうこうしているうちに、地下の地面に着地してしまう。
手分けして探したところ、4つある周囲の建物のうち、ひとつだけ「入口」を持った建物があったらしい。
他の建物は1階も他と同様に何もないらしく、ここは素直に「入口」から入る他ない。
紺野「これ」
長瀬「ん?」
そう言って彼女が差し出したのは、人間の髪の毛だった。
長瀬「おそらく、既に中に入ったやつらのだろうな」
中には大きめのエントランスが広がっているのだが、とくに調度品などはない。
ただ一枚、中央のパネルだけになにか模様が入っている。
菱形の中に右翼を広げた鷹が描かれている。
どうやら何かの紋章のようだ。
よっすぃー「古代アッサヤヌの紋章・・」
松岡「これなら、さっき屋上でも同じマークを見たぞ」
ごま「どれどれ、見せて見せて」
保田「ちょっと、押さないで・・」
石川「きゃっ!」
飯田「何?どうしたの?」
国分「うわー」
紺野「床が消えて・・・!」
- 57 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月13日(土)16時47分51秒
- 石川「いててて・・」
シバタ「大丈夫?」
何が起こったのか、いきなり足もとが浮いたと思ったら、まっさかまに落ちていた。
シバタ「きゃ!」
石川「どうしたの?」
シバタの嬌声に思わず見向くと、一匹の狛犬がそこにたっていた。
狛犬「石川、なにやってんの?」」
石川「え、、と、、お師匠様?」
狛犬は大きくうなづく。
石川「え、ちょっと待ってくださいね
今ペンダントを・・」
石川はあたりを探すが、ペンダントのついたそれらしきネックレスは見当たらない。
石川「お師匠様〜、みつかりませ〜ん」
狛犬「ほんと〜?よく探しなさいよ〜」
石川「そんなこと言ったって・・」
狛犬「だいたいあんたは・・」
そこまで言って、急に狛犬は黙り込む。
石川「どうしたんですか?」
狛犬「そういえば・・落ちるときに誰かにネックレスを引っ張られたような・・」
石川「えー!それじゃお師匠様はもとに戻れないじゃないですか」
狛犬「そうなるわね
ってことは、何かでてきてもあんた一人で戦うんだからね」
シバタ「普通の人なら顔を見ただけで・・」
狛犬「なんか言った?」
シバタ「いえいえ、なんにも・・」
- 58 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月13日(土)16時48分11秒
- 人間一人と妖精一人と狛犬一匹がしばらくすすむと、壁に先ほどと同じような紋章を発見する。
石川「なんでしょう、これ」
狛犬「そうねえ・・」
先ほどのものと似ているのだが、どこか違う。
よくよく思い出してみると、左右が逆に描かれている。
つまり、鷹は左翼を広げているのだ。
狛犬「なるほど・・」
石川「なにか分かったんですか?」
狛犬「ねえ、落ちたときのこと覚えている?」
石川「えーと・・」
紋章を見ようと押し合っているうちに床が消え、隣にいた保田がとっさに何か唱え、一瞬周りにいた何人かが浮き上がったと思ったら、次の瞬間には何かに流されるようにして・・・
狛犬「あれはね、風がふいたのよ」
石川「風?」
狛犬「そう。急に入口が開いたから、突風のようなものが吹いたのね」
石川「それで?」
狛犬「その時のことを覚えてない?」
石川「えーと、ちょっと・・」
シバタ「私、覚えてますよ」
- 59 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月13日(土)16時48分38秒
- シバタ「最初細い通路のようなところを飛ばされて、その後一度だけ下のまだある空間に出て」
石川「ふむふむ」
シバタ「その後また通路のような空間に流されて、そのままここに落ちてきたんです」
狛犬「どういうことか分かる?」
石川「え?」
狛犬「つまりね、あの5つの建物はそれぞれさらに地階を持っていたのよ」
石川「地下の高層ビルのそのまた地下の・・・」
狛犬「それでね、私達が最初に入った建物、中央の一番高い建物、そしてこの建物と、
私達は突風によって吹き飛ばされたの」
石川「そうだったんですか」
石川は半分以上理解しきれていない顔で、こくこくとうなづく。
シバタ「それが、この紋章と関係あるんですか?」
狛犬「これは私の見方なんだけど、この紋章はこの建物の位置を表わしているんじゃないかと思うの」
石川「どういうことですか?」
狛犬「すなわち、最初の西側の建物は鷹が向かって左の翼を
この建物は向かって右側の、左翼を広げている」
石川「右?左?」
狛犬「だからね、あの5つの建物は、それぞれなんらかの関連があるのよ」
シバタ「なるほどー」
石川「なるほどー」
狛犬「あんた・・・ひとっつも理解してないでしょ」
- 60 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月13日(土)16時49分06秒
- ナッチー「ここはどこだべか?」
周りを見渡すが、誰もいない。
名を呼んでみても、誰からも返事が返ってこない。
真っ直ぐ落下したはずなのに、他のメンバーが誰もいないのは、なぜだろう。
*保田が即座にかけた浮遊魔法は不完全なもので
*ナッチーの体重を浮かせることができなかったのである
ナッチー「とりあえず、じっとしててもはじまらないべ
あたりを調べてみるべ」
- 61 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年10月13日(土)16時49分40秒
- 長瀬「えーと、もう一度確認するけど、
俺と太一とお嬢ちゃん三人、これで以上だな」
ごま「・・・かな」
紺野「落ちたときのこと、覚えてます?」
飯田「えーとねえ・・」
保田の魔法で一瞬浮き上がったのだが、距離が離れていたためか、途中の建物で下に落ちてしまった。
風に身体が飛ばされる中で、パーティーが四方に散ったのを覚えている。
国分「とりあえず、この建物を捜索してみますか」
飯田「そうだね」
長瀬「おっし、行くぞ!」
- 62 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月13日(土)16時50分15秒
- 山口「・・・・おい・・おい、大丈夫か?・・」
遠くで聴こえていた声が段々近づいてくるようで、よっすぃーは急に目を覚ます。
よっすぃー「、、達兄?」
山口「気がついたか?」
よっすぃー「、、う、うん、、」
山口「そか、よかった」
風に飛ばされた後、鍾乳石を避けようとして一撃を放ったら、今度は違うところに飛ばされて・・
まだ少しちらちらする頭を押さえ、よっすぃーはあたりを見渡す。
よっすぃー「あれ?他のみんなは?」
山口「わかんないけど、とりあえずここに飛ばされたのは俺とお嬢だけ」
よっすぃー「その名で呼ばないで!」
思わず声を荒げるが、山口は無言でこちらを見据えている。
よっすぃー「あ、、ゴメン」
山口「いや、気にすんな
それより、なんて呼べばいいんだ?」
よっすぃー「え、、と、」
そこで言葉につまり、よっすぃーは顔を赤らめる。
山口「ひとみさん?」
よっすぃー「ぐ・・じゃあそれで」
二人は立ち上がり、とりあえず歩き始める。
よっすぃーは少し早足で前を歩いた。
- 63 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月15日(月)02時10分48秒
- 石川達一行は、廊下の真ん中で立ち止まっていた。
別に何があるというわけでもないのだが、壁面に描かれた模様に狛犬が足を止めたのだ。
シバタ「えっと、どうやら私達妖精を図版化したもののようですね・・」
高いところが見上げられない狛犬の代わりに、シバタが様子を伝える。
そう言われればそう見えないことも無いが、言われなければただの線と円にしか見えない。
狛犬「石川は何か気づいたことない?」
石川「え?」
いきなり話題をふられ、慌てて石川は聞き返す。
シバタ「何か気づいたことはないかって・・」
石川「え、と、、すいません、」
狛犬「別に謝らなくてもいいのに」
石川「あ、いえ、、はい、すいません、、、」
そう言って、石川は力なく微笑む。
狛犬「あんた、ちょっと疲れてんじゃない?」
シバタ「うん、疲れて見えるよ」
石川「そう?」
疲労感の自覚が無かったので、多少驚いた様子で反応する。
石川「そうかも、しれません。
久しぶりの長旅だったから・・・」
狛犬「そう、無理すんじゃないわよ」
そうも言ってられない状況ではあるのだが、分かっていても気休め程度の言葉をかける。
今の彼女の頭が、そこまで回っていないと察知していたから。
- 64 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月15日(月)02時11分18秒
- 石川「お師匠様・・」
狛犬「何?」
石川「ファルターフェアリーって、なんだか分かります?」
狛犬「ふぁる・・・」
シバタ「ああ、前に私が言ったあれ?」
石川「妖精学のどこらへんでやるもんだか、わかりますか?」
狛犬「妖精学?」
石川「アカデミーでどれくらい修めると、そこまでたどり着くんでしょう」
うつろな瞳のまま、石川は呟くように声を発する。
それは二人に話し掛けているというより、自身への問いかけのような口ぶり。
殺気立った横顔に、流石の狛犬も息を飲む。
狛犬「・・あんた、何言ってんの?」
シバタ「そうだよ。
あのファルターフェアリーってのだって、あんなのただの冗談って言うか、挨拶って言うか、、」
狛犬「そうそう、単なる儀礼的なもんで・・」
石川「私は知らなかった」
言い放たれた言葉は孤高の廊下にこだまし、彼女の感情が徐々に高まっていく。
狛犬「なら教えてあげるから聞きなさい。
いい?ファルターってのは魔導師系の人間が使う、神獣の退化したなんたらを呼び出す魔術のことで、
転じて本来の能力からほとんど遠ざかってしまった妖精に・・」
石川「私はそんなこと知らなかった!!!」
- 65 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月15日(月)02時11分43秒
- いきなりの石川の叫び声に、シバタは目を見開く。
師匠のほうは、彼女の精神は不安定な時があることを心得ているので、彼女の言葉をうながすようにする。
石川「私は、、私は知らなかった」
狛犬「うん」
石川「でも、、ごまさんは知ってたみたいだった」
狛犬「、、うん」
石川「私以外はみんな分かってたのに、私だけわかって」
シバタ「そんなことないよ」
狛犬「飯田や矢口だって…」
石川「彼女たちは武道家だから!」
再び高まったトーンに、喉が干上がるような感覚を覚える。
石川「私はアカデミーを出て無いし、冒険者としての経験があるわけでもないし、生命力の還元は未だに出来ないし、召還やるにしても知識が全く無いし、でも今から何かはじめるには遅すぎる年齢だし、かと言ってこのまま神官を目指すにしても自分に才能が無いのはわかってるし、でも引き止めてくれる存在がいないのもわかってるし、私は全部わかってるのに、自分の現状を把握しているはずなのに・・・」
終わりは泣き声になりながら、感情の渦の中で石川は床に膝をつく。
シバタは、狛犬が何か言葉を返すのだろうと思って、彼女のほうを見向いた。
しかし人外の外見となった彼女は口さえ開くことなく、なでる様に肩をつかむと、そのまま石川を意識の渦から払い出してしまった。
- 66 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月15日(月)02時12分15秒
- 山口「こっち戻ったのはいつ?」
よっすぃー「昨日の朝にヨコハマ港について、この国に入ったのは今日」
山口「・・戻った、ではなく、か・・・」
よっすぃー「・・・」
戻ったつもりではないのは、本心だ。
故国の事件だから関心を持ったのも事実だが、帰郷のつもりなど毛頭無かった。
安易な思考だったのだろうか。
そうだとしたら、気楽に帰れる故郷が無いのは、とても辛いことだ。
山口「・・・おーい、ひとみさん?」
よっすぃー「え?」
慣れない呼び名に、よっすぃーは驚いて振り向く。
山口「どうした?」
よっすぃー「いや、その・・」
冷静でない自分に気づき、うつむいてから言葉をつなぐ。
よっすぃー「やっぱさ、その呼び方やめてくんない?」
山口「いいけどよ、それじゃどう呼べばいい?」
よっすぃー「え、と、、」
そう言われても困ってしまう。
前の勇者によっすぃーと呼ばれて以降、多くの者がそれにならっていた。
とはいえ、自分でそれを言うのもどこかこそばゆい。
- 67 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月15日(月)02時13分19秒
- よっすぃーは沈黙を嫌うように言葉を発しようと思うが、適当なものさえ思い浮かばない。
自然、天井を見上げて、床に目を落として、背後に振り向いたり。。。
山口「師範のお嬢さんってのが一番わかり易いんだけど」
よっすぃー「それは・・」
山口「わかってる
嫌なんだろ」
先に言われては、口をつぐまざるをえない。
そうこうしてるうちに、よっすぃーにとって気まずい沈黙が続く。
山口「そうか、、、あれがあったな、、」
よっすぃー「え、何?」
相手から口を開くのを待っていたように(実際待っていたのだが)、よっすぃーは聞き返す。
山口「バトルマスター吉澤」
- 68 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月15日(月)02時13分47秒
- 声も出せずに彼のほうを向くと、彼は口元だけで笑みを浮かべていた。
無論、彼は冗談を言ったわけではない。
笑っているのは上っ面だけで、よっすぃーに向けられた視線は、彼女が逃げることを戒めている。
そのままの状態で、周囲の空気が硬化する。
すなわち、沈黙が辺りを支配する。
それが約10秒続いたあと、ようやく山口は口を開いた。
山口「おまえが死んだなんて、俺たち道場の連中はこれぽっちも信じちゃいなかった」
半ば忘れかけていた、半端に封じこめていた記憶が、引かれるように徐々に導き出されていく。
山口「次に会う時は、なんて思ってた通り、お前はいい女になってたよ」
彼が迫ってきたわけでもないのに、よっすぃーは一歩後ずさる。
山口「だけどな、負けを認めた相手に追撃をかけるなんて、
武道家として、それでいいと思ってるのか?」
とっさに言い返そうとして、顔をあげた途端、言葉が喉を通らなかった。
その一瞬に、ほぼ全ての過去の感触が、頭の中を通り抜けた。
山口「お前に、バトルマスターの名を名乗る資格があるのかよ?」
- 69 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月20日(土)07時08分15秒
- よっすぃー「な・・・」
突然の山口の言葉に、よっすぃーは眉間に皺をよせる。
苛立たしげな彼の様子に、煽られるかのように。
生暖かい地下の空気が、緊張した頬に触れる。
大きく見開いた瞳で、彼をとらえる。
するとすぐに山口は肩の力をゆるめる。
武道を心得た者同士にしかわからない、わずかの仕草にでる感情の起伏。
山口「わっ・・・るい」
大きな手を顔に運び、彼は頭をさげる。
山口「いきなりで悪かったな」
よっすぃー「いや、、」
それ以上、よっすぃーも言葉をつげない。
よっすぃー「あのさ・・」
しばしの沈黙を破り、意を決したようによっすぃーが切り出す。
山口「おまえ、道場には戻ってないだろ」
彼は待っていたかのように答える。
山口「実家、戻る気あるか?」
よっすぃー「いきなり……」
山口「戻る気あるか?」
またも声のトーンがあがる。
しかし山口もぎりぎりまで緊張を崩さない。
動向を見定めることが出来ずに、よっすぃーの思考は移行していく。
アッサヤヌの記事を読んでからも考えたことのなかった事柄。
考えたくなかったのかもしれない。
全く、矛盾したことだとは思うが。
- 70 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月20日(土)07時09分01秒
- 死んだはずの自分が、故郷に戻る。
思い出すに、人々の視線に畏怖が混じっていたように思われる。
そんな、、、今さらどの面さげて・・
よっすぃーは外していた視線を、再び山口にぶつける。
そして、深呼吸の後に噛み締めるように声にする。
よっすぃー「戻る気は、ない」
そうか、と短く一言、山口は目を細める。
目をそむけるかのように、よっすぃーは前を向き直る。
彼女が強張りつつも右足を踏み出した、その時だった。
山口「丁度一年くらい前のことだ」
その瞬間、よっすぃーは急激な喉の乾きをおぼえる。
再び目を見開き、しかしながら振り向くことができない。
弱い明かりを背に、よっすぃーは立ち尽くす。
山口「師範が亡くなられた」
- 71 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月20日(土)07時09分35秒
- ナッチー「薄暗くてどうもはっきりしないっしょ」
どうやら先に進んだ別の冒険者が光り苔を蒔いていたらしく、一応の明かりは残っているのだが、それもおぼろげでしかない。
機械があるわけでもないが、妙に無機質な建物の中を、ナッチーは探索していた。
なにかよくわからない小部屋がいくつかと、迷路のような廊下がえんえんと続いている。
ときおりトラップの跡のようなものを見かけるのだが、既に誰かが回避して進んでいる道らしく、新たなるものは無い。
ナッチー「それにしても、みんなはどこに行ったんかい」
時おりこの建物の案内図のようなものを見るのだが、それもはっきりとしない。
どうやら階段や渡り廊下などで、他の建物ともつながっているようなのだが、肝心の現在位置や事件の手がかりとなりそうな怪しい場所は見つけられない。
ナッチー「それはいいから、そろそろ飯の時間だべ」
先ほどダーマ=サイタの廃墟となた酒場で、石川のぶんの弁当を平らげたはずなのに、また空腹になってしまったらしい。
しかしながら、当然食べ物は何も無い。
ナッチー「困っちまうっしょ
食欲は人間の根源欲求だべ」
わけのわかんないことを一人ごちつつ、ナッチーは廊下を進んでいく。
- 72 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年10月21日(日)04時21分27秒
- 飯田「うわ〜」
長瀬「急げっ!」
嬌声をあげながらダンジョンの中を駆け回る一行。
背後にはオールドムービーのような球状の大岩。
10メートルほど距離をおいたところで、国分とごまが同時に雷を発して大岩の一部を破壊するが、不恰好になってもなお彼は自らを制御できずに転がり続ける。
ほぼ2秒ごとに一回転するのだが、先ほどの一撃でできたくぼみが、一回転ごとにほんの数秒のスピードダウンをもたらす。
その隙をついて長瀬が鈍い一撃を加えるが、1トンはあろうかという大岩に、さすがの腕自慢も1秒と踏みとどまることができない。
その半秒足らずの瞬間に、勇者は真正面から大岩に剣を突き立てる。
刹那、核をつかれた大岩は大破し、前方に倒れるかのようにかけらがちらばる。
ごま「お疲れ〜」
国分「ほんと」
集中がきれた勇者飯田は、息をきらせて壁に寄りかかった。
静止していない物体の核を突いて斬る。
船旅での修練が、こんなに早く役立つとは思わなかった。
もっとも、とっさに斬ることができずに、間合いをとって突き刺したのだが。
やはり実用できる域まで達するのは、容易なことではないようだ。
- 73 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年10月21日(日)04時22分04秒
- あさ美の案内で建物の中枢に近づいたのはよかったのだが、地階に下がるにつれて罠が多くなってくる。
物理的なあらゆる発想を詰め込まれた罠の数々(迫り来る壁や突き出る鋭利物など)に、勇者達5人はへとへとである。
その上、ガーゴイルに出くわすことも少なくなく、それも次第に頻度が増えているように思われる。
とはいえ今のところ勇者が苦戦するほどのガーゴイルは出てきておらず、専ら罠にのみ気を配っていればよいはず、だったのだが・・・
紺野「きゃっ!」
パーティーの最後尾を歩いていたあさ美が、急に声をあげる。
勇者飯田「大丈夫?」
見ると彼女は足を押さえながら、顔をしかめていた。
彼女の足元の床にはくぼみができており、なにやら仕掛けのようなものがはめ込んであった。
どうやらあさ美は足を引っ掛けるか何かして、歩けなくなったようだ。
ごま「ちょっと待って、今魔法を…」
回復魔法をかけるのだが、どうもよくならない。
国分「どうやら、、、呪いみたいですね」
勇者飯田「呪い?」
呪いは傷や毒に比べて治癒が難しい。
そもそも治癒という発想が違っているのだが、解呪は神官技能もしくは特殊な道具が必要となる。
簡易的な呪いであれば、魔法で解くこともできるのだが・・・
- 74 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年10月21日(日)04時22分32秒
- あさ美にかけられた呪いは、それほど深刻なものではなかったのだが、、
国分「キアリクできる?」
ごまは首を横にふる。
長瀬「ちょっとやっかいだな……」
勇者飯田「どうなの?」
ごま「このメンバーだと解呪できる人がいないんだよね」
長瀬「しょうがない、おぶってくか」
そう言うと長瀬は肩にかけていた長剣の鞘を国分に放る。
紺野「すみません・・・」
ごま「(キアリクかあ・・・アカデミー時代に授業サボってたからなあ・・)」
勇者飯田「(早く圭ちゃんと合流しなきゃ)」
¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥
一方こちらは同じ建物の中をさまよう、うたばん隊のみなさん。
中居「酒場の主人脅してまで、こんなダンジョン来ること無かったんじゃないかなあ」
石橋「なんだよー、ここにお宝があるって騒いでたのは中居君だろぉ」
中居「でもガーゴイルとか多すぎるし」
石橋「だから俺が必死に特効をしかけてるんじゃねーかよー」
上半身裸のデブ「仕掛けてきましたー」
中居「でも逃げてばっかじゃん」
石橋「だーかーらー
正面から挑んでも話になんないから、こうやって罠をだなー・・・」
中居「で、ガーゴイルに呪いって効くの?」
石橋「・・・」
- 75 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年10月21日(日)05時51分04秒
- 勇者飯田「でも、意外だね。あさ美ちゃん。ダンジョン探索のプロなのに。」
皮肉を言って責めるわけではなく、柔らかい笑顔で紺野に話しかける。
エリートで頭の切れる場面しか見ていなかった紺野を、少し身近に感じた飯田だった。
紺野「ほんとすいません。あはは、、どじっちゃいました。」
背中の上で痛みを我慢しながら笑い返す紺野。
ごま「もー、笑ってる場合じゃないって。麻痺系の呪いなんだから、そのままほっといたら足が腐るよ。」
勇者飯田「えーーっ!それは困ったねー。」
長瀬「(おいおい、だから困ってんだって、、)」
国分「(大丈夫かよ、この勇者)」
紺野「(初めてのダンジョン探索だからって、緊張してて引っかかったたなんて言えないよお。)」
- 76 名前:電波名無しさん 投稿日:2001年10月21日(日)05時53分14秒
矢口「・・・・・」
Д<「・・・・・」
つじ「・・・・・」
ミカ「・・・・・」
- 77 名前:電波名無しさん 投稿日:2001年10月21日(日)05時54分20秒
矢口「・・・準備はいい?」
ぐるりと見渡す矢口。
Д<「ええで」
辻を見るあいぼん。
つじ「いいれす(どきどき)」
あいぼんと目を合わせた後、反対隣のミカに目を移す辻。
ミカ「オーケイ」
辻と目を合わせ頷き、矢口の方へ振り向くミカ。
矢口「じゃあ、行くよ!」
- 78 名前:電波名無しさん 投稿日:2001年10月21日(日)05時55分37秒
- 矢口「ほっほっほほほ♪さしみ!」
どん、どん!(テーブルを叩く音)
Д<「ミルク!」
どん、どん!
つじ「くるま!」
どん、どん!
ミカ「マナー!」
どん、どん!
矢口「あたま!」
どん、どん!
Д<「マスク!」
どん、どん!
つじ「くらり!」
どん、どん!
ミカ「・・・リ!?クラリ!?」
矢口「はい、ミカちゃんアウトー!!」
ミカ「エ?エ??チョットマテクダサーイ!!」
つじ「またれすねー。」
ミカ「エ、ツジチャンジャ、、」
- 79 名前:げーむ 投稿日:2001年10月21日(日)05時57分57秒
- つい30分前、、
矢口「行くったらいくー!!」
暴れる矢口を両側から抑えるつじとあいぼん。
つじ「ぜったいらめれすよ!!いいらさんにまっててっていわれたんれすから!!」
辻は意外と力が強い。
矢口「くっそー!」
Д<「まぁまぁ、、そや、ここは一つゲームでもして気を紛らわそ!」
矢口「ええー?、ゲームー??なんだよ、そんなのやりたくないよ!!」
というわけで、最初こそ矢口は渋っていたが、ゲームが始まるとすっかりはまっていた。
おっさんこと城島はミチーヨに道を聞き、一人でダーマ=サイタに向かった。
ここで彼らがやっているゲームは「三文字しりとり」である。
3文字の言葉限定のしりとりで、リズムに乗ってつなげられなかったらアウトというルール。
しりとりのルールがそのまま適用されるが、同じ言葉を繰り返し用いても良いという点は違う。
「っ」や「ー」は一文字と数え、「ゃ」「ゅ」「ょ」の類は一文字とは数えない。
そして罰ゲームは、、、
- 80 名前:げーむ 投稿日:2001年10月21日(日)06時00分38秒
- ピカピカピカピカ!!
矢口「あ!」
電灯がまるで雷の鳴る日の空のように点滅する!
ミカ「キャー!」
座布団を頭に乗せ、丸くなるミカ
Д<「来るで!野武士や!!」
?「うおお!!」
ダカダカダカ!!
野武士が勢い良く部屋に走りこんでくる。
?「おらあ!!」
バンバンバン!
派手に野武士の竹刀が音を上げる。
ミカ「アーウチ、イターイ」
ドカドカドカ!!
さらに野武士はミカに蹴りをくわえた。
野武士が撤収した後、
ミカ「イッターイ」
矢口「ミカちゃんよわーい!キャハハッ」
Д<「3連敗やな。」
ミカ「チョットマッテ、ツジチャンノ、ナンナノカワカラナイデスヨ!!
クラリッテナニー??」
つじ「くらりは、くらりざかのくらりれすよ?わかんないれすか?」
Д<「わかるで。」
矢口「うん。わかるよ。」
ミカ「アア、ノボリクダリ、、、」
矢口「なんだ、やっぱわかるじゃん。ということでやっぱりミカちゃんの負け。
んじゃおいらからね。さあもう一回戦!」
- 81 名前:げーむ 投稿日:2001年10月21日(日)06時02分46秒
- 「あ、あんなあ、取り込み中のとこ悪いんやけど、ちょっとええか?」
矢口「なんだよみっちゃん?」
ミチーヨ「この役、めっちゃ心が痛むし、なんやものすっごー寂しい気分になるんやけど、、
なんか、うちとしては最もやってはいけないこと、のような、、」
矢口「なんで?適役じゃん野武士とか落ち武者とか、、」
ミチーヨ「!!(ぐさっ、、、)」
Д<「ほら始めるで!とっとと戻ってや。」
平家を押すあいぼん。とぼとぼと部屋の入り口へ戻る平家。
矢口「いくよっ!ほっほっほほほ♪、リズム!」どん、どん!
Д<「ムカデ!」どん、どん!
つじ「れんわ!」どん、どん!
ミカ「ワルツ!(↑デンワネ。オーケイ)」どん、どん!
矢口「つくし!」どん、どん!
Д<「シーツ!」どん、どん!
つじ「つくし!」どん、どん!
ミカ「シーツ!」どん、どん!
矢口「つくし!」どん、どん!
Д<「シーツ!」どん、どん!
つじ「つらら!」どん、どん!
ミカ「・・・・、ダ、、ラリ、、エエ!?」
矢口「はーい、またミカちゃんの負けねっ」
Д<「のの、ナイスキラーパスや!いえーい」
つじ「いえーい」
パアン!
ハイタッチする辻とあいぼん。
ミカ「ハ?イマノハナンダッタデスカー?」
- 82 名前:げーむ 投稿日:2001年10月21日(日)06時04分21秒
- 扉付近
ミチーヨ「終わったみたいやな。はぁ。さっきからミカちゃんばっかり殴って、なんやこっちも辛いわ。」
パチパチパチパチ
電気をつけたり消したりする平家。実は一人二役。最後に、小さい電球一つを残して他を全部落とし、
ミチーヨ「ぅぉー!」
走り込む。
ミカ「オウゴッド!!」
パンパンパン!
ミチーヨ「ふう。」
叩き終えた後、寂しそうにため息をつく平家。
矢口「っ、ちょっと、みっちゃんもう少し気合入れてやってよ!
野武士が迫力無くちゃつまんないんだからさ!」
ミチーヨ「いや、だからな、うち、妙に心が痛むねん。ぶっちゃけた話、やりたくないんやけど。。」
矢口「だめだよ、みっちゃん以外他にできそうな人いないじゃん!
それに、ここにいる間みんなが帰ってくるまでなんでも言ってって言ったでしょ?」
ミチーヨ「あいたー、余計なこと言うたな、、」
- 83 名前:げーむ 投稿日:2001年10月21日(日)06時07分05秒
- ミカ「イマノイッタイナンデスカー?ツダダ?」
Д<「はぁ?何言ってんねん、つららやで。」
つじ「つららはつらられすよ。」
とがったつららを宙に描く辻。
ミカ「オー!ツララ、、オーノー。。ニホンゴムズカシイデース!!」
矢口「じゃ、もう一回やろう!」
ミカ「・・・モー、ヤメマショウョ。」
矢口「えー!?なんでー?面白いのに!?」
ミカ「ヤグチサーン、ワタシニホンノコトバガ、ヨクワカンナインデスヨー。マタマケマース。」
矢口「ミカちゃーん負け惜しみは駄目だよ〜。」
ミカ「ンー、ジャ、リフレッシュシマショウ。セキガエシタラツヅキヤッテモイイデース!」
矢口「ええ?」
Д<「そーやな。そろそろ席替えやな。」
つじ「れすね。」
ミカ「ヤグチサンコンドココスワッテクダサーイ!ミカハソコガイイデース。」
あいぼんと辻の間を指差すミカ。
矢口「(げげっ!)い、いいけど、、、」
実はそこには座りたくなかったが言えない矢口。辻の隣に移動。
実は確信犯で辻の隣を渡したミカ。
- 84 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時03分56秒
- 席替え後
Д<「うちからでええかー?」
三人「いいよー。」
Д<「ほっほっほほほ♪、ライム!」どん、どん!
ミカ「ムース!」どん、どん!
つじ「すーぷ!」どん、どん!
矢口「プール!」どん、どん!
Д<「ルール!」どん、どん!
ミカ「ルール!」どん、どん!
つじ「るーる!」どん、どん!
矢口「ルール!」どん、どん!
Д<「ルール!」どん、どん!
ミカ「ルール!」どん、どん!
つじ「るーる!」どん、どん!
矢口「ルール!(んー?またルールかよ!)」
その後しばらく、
ルール、ルール、るーる、(中略)、るーる、ルール
矢口「(あー、なんだよ、ルールしかいわねーじゃんかよ。飽きるよー。)」
こう着状態。ルール、ルール、、、、
矢口「(あー、そういやあなんでこんなことやってるんだっけ?おいら。。。
本当だったらダーマ=サイタにいたはずなんだよなあ。)」
- 85 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時07分21秒
- ルール、ルール、るーる、、
矢口「(いやいや、今はゲームで勝つことを考えるんだっ。
るで3文字は他に、、ルビィ、ルーラ、ルーズ、ルーム、ルーペ、、ルカニとか?
意外と思いつくな。頭いいなおいら。よしっ変えちゃえ。)」
ルール、ルール、
つじ「るーる!」どん、どん!
矢口「ルビィ!」どん、どん!
Д<「イ・・・ンド!(あぶなー)」どん、どん!
矢口「(ちぇっ、)」
ミカ「ドール!」どん、どん!
矢口「(!!)」
つじ「るーる!」どんどん!
矢口「ルール!(戻ってるよ!!)」
、、ルール、るーる、ルール、、、
矢口「(また、ルールの連発かよ!、よーし、ここはまたおいらが、、)」
つじ「るぅと!」
矢口「!(え?、もう変わった?と??)」
どん、どん!
矢口「と・・(えーい、てきとーだっ!)・・・・きんっ!」どん、どん!
矢口「(ほ。なんとか、思いついた。)」
Д<「・・・・・」
しーん。
- 86 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時09分23秒
- 矢口「あれ?どうしたの?」
Д<「矢口さんアーウト!」
矢口「え?おいら?なんで?と金だよと金、しらないの?将棋で歩が裏返ったら、、」
つじ「っていうか「ん」れすよ!ん!」
矢口「ん?、とき・・・あ゛!、あーっ!しまった!!」
Д<「へっへー。勝ちー」
つじ「ののはこのげーむとくいれす。」
ミカ「ワーイ、レンパイダッシュツデース!!」
矢口「(くっそー、んだっていーじゃん。ンジャメナとかんばばラブソングとか、、
んで始まる言葉だってちゃんと、、)ボソボソ」
つじ「なんかしょうがくせいみたいなこといってるれすよ。」
Д<「しかも三文字やないで、それ。」
矢口「ちっくしょーー!!くーやーしーいー!!」
扉付近
ミチーヨ「さ、しゃーない。言われたとおりやるか。
ま、矢口は1回目だし、本人が望んでるんだからいいか。」
- 87 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時11分03秒
- ピカピカピカピカ、、、
矢口「ひえっ」
この後薄暗い中で叩かれたり蹴られたりする。わかっていても、、
矢口「こーわーいー!!」
テーブルの下に隠れる矢口。
矢口「やだよぉ!!あーー!!こぉわぁいぃよぉー!!」
Д<「怖がりすぎやっちゅうねん。」
ミチーヨ「おおお!」
平家乱入。
ミチーヨ「うらああっ!」
ドガッ!
テーブルを蹴り飛ばす平家。
Д<「おおっ!今回はなんや迫力が違うな!!」
矢口「ひいいええええ!!」
ミチーヨ「はぁあっ!」
振りかぶる平家。
ミチーヨ「(気合を入れてー)うおりゃぁああ!!」
ブォンッ!
矢口「ひっ!」
ドカーン!!
Д<「あ!」
つじ「あ!」
ミカ「ア!」
バタッ
矢口の改心の一撃。野武士を倒した。
- 88 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時12分35秒
- 矢口「ああっ!やっちゃっ、、」
つじ&Д<&ミカ「・・・・・」
矢口「・・・」
じとーっ。(周囲の目線)
矢口「あっ、、、いや、違うんだよ、ほら、なっ!!」
Д<「やぁぐぅちぃさぁん?」
つじ「らいじょうぶれすか??」
ミチーヨ「カウンターで、すい、げつに、はいっ、、、、たっ、、おぅぇ」
つじ「ちょうりゅうけんれすね。」
ピクピク、、ガクッ、、
つじ「ああ、ほんとにおちむしゃになってしまったのれす。」
ぺちぺちと平家の頬を叩く辻。
矢口「あ、や、や、だって、おいらは、ほら、わざとじゃなくて、、」
Д<「なんやいな。」
矢口「いや、その、そうだ、こんなことやって遊んでちゃ駄目だと思ってたわけよ!
だって、ほら、みんな今ごろ戦ってるんだよ?」
Д<「自分が一番ノリノリで遊んでたくせに。」
矢口「だからさ、やっぱりさ、おいら達も行こうよ!ね?
れっつごー!しゅっぱーつ!キャハハ、、」
つじ「ごーいんにはなしをそらさないれくらさい!」
矢口「留守番とかよりさ、戦力が必要だと思うんだよ!
みんな今ごろおいら達がいなくて困ってるよ。助けに行かないと、、いや。行こう!!」
立ち上がり、ガッツポーズで天井を見る矢口。
ミカ「ヒキョーデース!」
Д<「そーやそーや!」
つじ「そーらそーら!」
- 89 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時14分01秒
- 矢口「・・・・・」
時間が止まること2秒。
矢口「うるさぁあいっ!!!」
つじ&Д<&ミカ「!!」
矢口「うっさいなー!矢口はもう行くんだよっ!!」
シーーン
つじ「(ぎゃ、ぎゃくぎれれすよ!あいちゃん!)」
Д<「(大人気ないことこの上ないな、っていうかガキやな。)」
矢口「聞こえてるぞっ!お前らにガキとか言われたくなーいっ!!」
どかどかっ
突然隣の部屋に走り去る矢口。
Д<「あ!逃げるな!」
バタッガキョッ!
Д<「鍵閉めよった!ろう城する気や!」
ドンドン!
つじ「れてくるのれーす!ひきょーれすよー!!」
ミカ「ヤグチサーン!」
シーン、出てくる気配無し。
Д<「のの、こうや。」
ドンドンバンバン!!
Д<「おう!おらぁ!とっとと出て来いや、出てこんと仕舞いにゃ火いつけんぞごるぁ!!」
ガンガン!!
という感じでやった後、扉に耳をつけて中の様子を聞く辻とあいぼん。
その騒ぎで平家も立ち上がり、その部屋の前にかけつけた。
ミチーヨ「うちの店に火いつけられたらかなわん。。。うう、ぉぇっ、、」
- 90 名前:ゲーム 投稿日:2001年10月21日(日)13時15分17秒
- Д<「しっ、静かに!」
ミチーヨ「?」
つじ&Д<「・・・・・・」
部屋の中
『ギュイーーン、ガリガリ、バババババ、、チュイーン!!』
つじ&Д<「!!」
ミカ「ナニカキコエマスカー?」
つじ「ああ!あのおとれすよ!!」
Д<「こないだのっ!」
顔を見合す二人。
ミカ&ミチーヨ「??」
Д<「はぁ、ミチーヨはん、残念なお知らせなんやけど、、」
ミチーヨ「?」
Д<「ここの部屋の中の物、もう二度と無事に戻ってこないで。
や、姿を変えて、、、生まれ変わるんかな??」
ミチーヨ「何それ?」
- 91 名前:ミチーヨの酒場 投稿日:2001年10月21日(日)16時40分58秒
- 極楽加藤「記念すべき5回目を迎えたミカさんには、アカサカシティの某クラブのママから、
モルトウイスキー『山崎』が送られます」
ミチーヨ「ちょい待ち!うちは酒の持ち込みは禁止やで」
ミカ「(ヤマザキ・・・ドコカデキイタナマエデス・・・)」
- 92 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時16分08秒
- 目の端にちらつく光に、石川は意識を取り戻す。
目を開けるのだが、辺りは真っ暗で何も見えない。
ただ数筋のきらめきが彼女の周りを飛びまわるのみ。
石川「あ・・れ・・」
狛犬「ああ、気がついたの」
石川は身体をおこし、ほぼ闇と言っていい周囲を見回す。
シバタの羽のきらめき以外、ほとんどなにも見えない。
石川「お師匠さま」
狛犬「ん?」
姿を確認することはできないが、すぐ近くから彼女の声がする。
石川「えーと、さっきはどうしたんでしたっけ・・」
狛犬「どこまで覚えてるの?」
そう言われて、石川は額に手をあてて記憶の糸をたぐる。
虚しい咆哮に溺れた後、あれよと言う間に・・
石川「え、と、、」
狛犬「思い出したんならいいから」
彼女の声が冷たく響いてくる。
狛犬「先へ進みましょう」
- 93 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時16分24秒
- シバタに促され、石川は保田のカバンからたいまつを取り出し、火をつける。
下へ降りる階段をみつけて先へ進むと、そこは上階とは違った感じの造りになっていた。
石川「水がある」
地下の地下に、水がうるおっているのである。
石造りの廊下の端には排水路がしかれている。
シバタ「でも、この水もきれいみたい」
一帯この水がどこへ行くのか。
これで安定した地盤を保っているというのだから、不思議だ。
狛犬「おそらく、地下に戻る前は貯蔵庫として使われていたんでしょうね」
石川「貯蔵庫?」
狛犬「塔の中階はよく保管庫として使われるの」
石川「じゃあこの水路は?」
狛犬「おそらくは保冷用のものでしょう」
石川「保冷って・・・野菜でもしまってたんですか?」
狛犬「どうでしょうね」
そう言うと狛犬は足取りを少し早める。
狛犬「野菜庫でない限り、手がかりがあるとすればここでしょうね」
- 94 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時16分58秒
- 先頭を行く狛犬についていくと、一行は広間のような場所に出る。
地下とは思えないほど拾い空間。
部屋の中央には台座のようなものがあり、あたりを水が囲んでいた。
中央には複雑な屈折を経た日光がさしこんでおり、ちらほらと花まで見える。
シバタ「すごい・・・この植物、どれも毒素を全く持ってない」
狛犬「それだけ水の純度が高いということかしら」
台座にちかづこうと掛け橋のようになっている石段に乗ると、突然足元が浮き上がった。
慌ててシバタに様子を確認してもらい、どうやら危険ではないことがわかる。
狛犬「乗っただけで反応して浮き上がるなんて」
石川「古代遺跡にしてはハイテクですね」
狛犬「それだけじゃない
どうやってこれを動かしているかわかる?」
石川は首を横にふる。
シバタ「あれ、ですか?」
そう言ってシバタが指したのは、緑色に光る筒状の円柱だった。
台座を囲うように3つ設置されており、石川の乗った石状の板はそちらに向かっている。
狛犬「そう、でしょうね」
石川「なんなんですか?」
狛犬「おそらくは何らかの形で魔力を還元する半永久エネルギー装置」
???「その通り!!
これこそが古代アッサヤヌの高度文明の結晶!」
- 95 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時17分23秒
- 石川「誰!」
すばやく振り返ると、先ほど足元が浮き上がった掛け橋の上に、ねずみ色の肌の小男が立っていた。
石川「ワーダ博士!!」
ワーダは石川には答えず、狂的に笑いながら狛犬を見定めた。
狛犬「お久しぶりね。何年ぶりになるのかしら」
ワーダ「これはこれは大神官殿。
先の大戦以来となりましょうかな」
狛犬「あなた、いつからロボットになったの?」
ワーダ「さすがは勇者パーティーのブレーン、お気づきでしたか」
狛犬「でもあなたの印象は変わらなくてよ」
ワーダ「大神官殿も昔と全く代わらないお姿で・・」
狛犬「変身してるっつーの!!」
ワーダ「ふぉっふぉっふぉ・・
無駄口はここまででよろしいかな?
一刻も早く、この高度文明に触れたいものでね」
狛犬「石川はワーダのこと知ってるの?」
石川「はい、以前に何度か・・」
狛犬「それじゃわかってると思うけど、また変なの出してくると思うから、
後は適当に倒しといてね」
石川「え、はい、、、、って、お師匠様は戦わないんですか?」
狛犬「・・・」
狛犬保田はバギクロスを唱えた。
狛犬保田は魔法が封じられている。
石川「えええ〜!」
- 96 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時18分04秒
- すきっ腹をなんとかおさえつつ、ダンジョンをさまようナッチー。
先ほど階段を下りてから魔物も出現するようになり、にわかに辺りが怪しい雰囲気につつまれている。
ムロランシティの山を離れて以来、特殊な対人戦を除いて実戦から遠ざかっていたナッチーとしては、なかなか昔の勘が戻らない。
その上、屋外の戦闘ではないためか、いまいち天地雷鳴師としての本領が発揮できない。
♪ティルリルリルリルリルリルリル
オークがあらわれた!
オークA「ビューティフルライフ、見てませ〜ん」
オークB「(声色を変えて)松井君のバッティングはねえ・・」
オークC「こう見えても昔は少年隊と同じクラスで・・」
オークD「マイウー」
オークC「マイウー」
オークE「ジャスコカ〜〜〜〜〜〜ド!(高音の美声で)」
オークB「(再度声色を変えて)いわゆる一つの・・」
ナッチー「なんだべさ!
デブに囲まれちまったべ」
驚きつつも、動きが遅いというデブの欠点をついて、おちついて順番に倒していくナッチー。
以外にも回転の速いオークCに多少苦戦しつつも、いずれも一対一でナッチーの敵にはならない。
結局5分程の格闘で全滅させたナッチーだったのだが…
??「おい、ちょっと」
- 97 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時18分31秒
- 呼び声にナッチーが振り返ると、そこには他の奴らより若干筋肉質のデブが立っていた。
♪ティルリルリルリルリルリルリル
オークキングがあらわれた!
ナッチー「誰だべ!」
オークキング「俺の名はオーク保博元、またの名をデーブ・オーク保だ!」
ナッチー「暑苦しいからデブは嫌いだべ!」
自分のことは棚にあげて、オーク保を見上げるナッチー。
オークキングの攻撃!
オーク保「今の巨人は南朝鮮の選手を3人抱えるんだけど・・」
オークキングはオフェンシブな暴言で、ザオリクを唱えた。
オークAが生き返った!
ナッチー「なして!!?」
オーク保「ははは、デブというキャラクターゆえさ
デブであれば、暴言も一部の人間から非難されるにとどまるのだ」
わけのわからん理屈で、オーク保はふんぞりかえる。
とりあえず体勢を立て直すためにナッチーは一歩引く。
するとすかさずオークキングはザオリクを唱えた。
オーク保「21世紀枠は出場できなかった球児に失礼な制度だ!」
間の悪い発言で、オークBCDEが生き返った。
急に全てのオークが生き返り、ナッチーは巨体に囲まれてしまう。
ナッチー「ヤバイベ………」
- 98 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月25日(木)23時19分08秒
- その時だった。
急にオークAが前方に倒れる。
一瞬何事かわからなかった。
ナッチーが気づいたときには、オークキングを含めた全ての魔物たちが、ひとりの冒険者によって斬り捨てられていた。
ナッチー「助かったべ・・・って、オイ!」
???「斬る!」
冒険者とおぼしきそのサングラスの男性は、そのままナッチーに向かって斬りつけてくる。
どうやら体型からナッチーをオークと勘違いしたらしい。
ナッチー「違うっしょ!ナッチーは冒険者だべ!」
???「ん!」
彼は間違いに気づいたのか、構えていた剣を降ろす。
???「あんた・・・」
彼は低く呟きながら、ゆっくりとサングラスを外す。
彼が右耳を外そうと手を動かしたとき、ナッチーは彼の素顔を見ることになる。
二度と会うことは無いと思った人。
自分の生活を変えた、孤独を生み出した人。
そう、彼の名は・・・
オシオ「あんた、もしかしてホッカイドーの出身か?」
- 99 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月26日(金)23時12分05秒
- ナッチー「そう、、だけんど、、、」
息を飲み、ナッチーは肯定を口にする。
オシオ「懐かしいな、俺も一時期住んでたよ」
彼はサングラスを装備のナイフニップにかけると、口元を緩めてそう言った。
オシオ「どこの街?」
ナッチー「え、、」
オシオ「どこの街のご出身?」
言葉に詰まる、一瞬の間。
理解しきれない、違和感の渦。
ナッチー「・・ムロランシティ」
オシオ「悪い、なんて言った?
もう一度こっちに口向けて言ってくれない?」
ナッチーは、言われた通りにする。
オシオ「奇遇だな、俺も同じ街に住んでたことがあったよ
まあ、生まれは違うから訛りは無いんだけど」
驚きを隠せず、目を見張るナッチー。
彼はなおも言葉を続ける。
オシオ「自己紹介が遅れた
俺はオシオ・M、フリーランスの傭兵だ」
知っている。
彼の名を、ナッチーは言われる前から知っていた。
彼女に幾度となく叫ばれた、その名前。
オシオ「名前をうかがえるかな」
少し年配の冒険者のような口調で、彼は尋ねる。
それは確かに、ナッチーの名を尋ねたのだった。
- 100 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月26日(金)23時12分33秒
- ナッチー「・・・ナッチー・・」
オシオ「ナッシーか」
ナッチー「ナッチーだべ!」
ナッチーがトーンを強めると、彼は一瞬何かを思い出そうという仕草を見せた後、向き直ってこう続けた。
オシオ「ナッチー、かな?」
彼は苦笑いする。
オシオ「昔の女と同じ名前だ」
彼の口から再び自分の名前がささやかれようとは。
別れの日の祈りが、
野に入ってからの渇望が、
今のパーティーの中で安定させた憶念が、
実際のものとなろうとは。
オシオ「ナッチーであってるんだよな?」
ナッチー「、、そうだべ」
オシオ「そうかそうか
・・チとシは判別が難しいんだよ」
無愛想な声色に、びくついてナッチーはオシオを向く。
彼は微笑んだままだった。
それを見て、ナッチーは再び顔をそらす。
ナッチー「耳が悪いんかい?」
オシオ「ん、悪い。なんて言った?」
彼はナッチーの顔をのぞきこむようにして、聞き返す。
ナッチーは彼に向き直り、同じ言葉を繰り返す。
オシオ「悪いって言うかな・・」
彼は再びサングラスを手にとり、手なぐさみなのか、つるを一度開閉した後、言葉を続けた。
オシオ「聴覚はほとんどダメなんだ
兵隊さんだった時にダメにしちまった」
- 101 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月27日(土)00時20分56秒
- 師匠の訃報。それはつまり、実父の氏。
山口の告げ方が、あまりにも残酷なものに思えた。
甘えと認めたくないが、よっすぃーにはそう思えてならなかったのだ。
相変らず振り向けず、思い出される止め処なく。
山口「流行り病だった」
よっすぃー「……看取ったの?」
彼女がようやく言えたのは、聞かなくてもいいそんなこと。
山口「いや」
意に反し、山口は否定する。
山口「俺が道場に戻ったときに聞いた話だ」
そこまで言うと、彼はしばし押し黙る。
自然とよっすぃーは顧みることとなる。
家庭での父を、そして道場での師範を。
山口「死ぬ間際まで言い続けてたって…」
よっすぃーのまぶたから一滴の雫が流れ落ちた時、彼は再び口を開いた。
山口「いつかおまえが戻って来るってな」
- 102 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年10月27日(土)04時43分30秒
- ??「うーん・・・なんだろう、ここ。」
そこは本館の地上数十階部分の一見何もないフロア。そして冒険者の少女が一人。
??「地下のダンジョン抜けてきたのになんで地上に出たのかな?」
少女はこのフロアに何か違和感を覚えたものの、その正体は掴めないでいた。
フロアには自分が通ってきた転送装置以外には何もないように見える。
?「戻ろっかな・・・・・えっ、何?」
空間に歪みが生じる。同時に人の気配を感じ取る。
?「ついでだからあれ試してみようかな。」
少女は消えさり草を用いて姿を消し、気配を絶って息を潜める。
空間に穴が開き、新垣と素子が現れる。
素子「どうやら見た目と空間の構造が違ってるようだな。本来ならここは地下部分だが。」
新垣「そうですね、この辺りの空間は地上に見えても、地上にはない空間です。」
?「(私がいるのはバレてないみたい。でも何話してるのかな?)」
素子「ところで感じるか?この違和感。」
新垣「はい。ある一部の空間が閉じています。」
素子「閉じている、とは?」
新垣「簡単に言えばそこに入れないっていうことなんです。この辺りの空間自体も
そうなんですけど、外側からは見えない独立した空間がもう一つここに
あるんです。見た目にはまずわからないと思います。」
素子「そこには入ることは可能なのか?」
新垣「はい、多分できると思います。」
素子「よし、やってみてくれ。」
新垣は違和感を強く感じる地点を向いて手をかざす。やがて空間が歪む。
?「(そろそろここから離れなきゃ・・・消えさり草の効果が切れちゃう。
でも気になるなあ。)」
閉じていた空間が開かれる。そこには見たことのない類の魔方陣、
そしてその両脇には台座がある。台座の一つには刀が突き立っている。
素子「見つけたぞ・・・これで鍵はそろった。」
?「(あの子の能力、普通じゃない。それに鍵って・・・)」
少女は転送装置に近づく。しかし寸前のところで消えさり草の効果が切れてしまった。
?「(あっ!やばい!)」
素子「誰だ!?」
振り向く素子の視界には何も映らない。
素子「新垣、何か見たか?」
新垣「・・・」
新垣は無言で首を横に振る。
素子「気のせい?いや、確かに人の気配だった。」
?「あぶなかったー。あの人ものすごく強そうだったな。・・・でもちょっと戦いたいかも。」
- 103 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月27日(土)04時52分49秒
- ナッチー「そりゃ大変だったっしょ。」
つい、上の空のような返事をしてしまう。様々な思いが、頭の中を駆け巡るってるせいだ。
なんだか、泣いちゃいそうだな。やだ、久しぶりに会ったのに恥かしい。そんな顔、見せたくない。
そうだ、自分は、一日だって忘れていたことは無かったのに、この人は覚えていてくれたのか。
まだ好きでいてくれるのか。何故、生きているなら連絡してくれなかったのか。
戻ってきてくれなかったのか。この人は昔っから女癖が悪かったんだ。もしかしたらもう、別の人と、、
訊かなきゃ。いろんなこと、訊かなきゃ。。
オシオ「ナッチー、笑顔のかわいい奴だったよ。一緒にいたのは、ほんの短い間だったんだけどな。」
ナッチー「そうかい?」
荒々しくも優しい声。駄目だ。もう、我慢なんかできない。
でも、まだ、この人はナッチーが本人だって気づいてくれないんだ。
少し太ったからわかんなくなっちゃったのかな?、これから、ちょっと痩せなきゃな。
はっ、そうじゃなくて、もしかしたら耳だけじゃなく、目も、、、
それなら、まだわからないって言うのも納得、、でも、そんな、、、
オシオ「懐かしいよな。あの頃が。」
ナッチー「あっ!!」
自分の顔が崩れていくのがわかる。
優しく微笑んでオシオが続ける。
オシオ「なあ、ナッチー。」
ナッチー「オ、オシオさん!オシオさん!!会いたかったべさ!」
オシオ「ああ、俺もだ。」
ああ、言ってくれた。そうだよ、それだけ言ってくれたら、、もう。。
ナッチーはオシオに抱きついた。
- 104 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月27日(土)04時53分54秒
- ナッチー「ん〜〜〜!ん〜〜〜!!」
溢れ出す涙。
止まらない。抑えられない。
涙で汚い顔なんて見せたくないのに。出来るなら、彼が好きだといってくれた笑顔を見せたいのに。
その時、頭の後ろ側に、そっと添えられたオシオの手の温もりを感じた。
いいんだね。今は、泣いても。。
- 105 名前:ミチーヨの酒場 投稿日:2001年10月28日(日)01時38分50秒
- 2時間後
鍵が開き、矢口の手招きで部屋に入る。
ミチーヨ「ガーーーーン!!」
いや、入ったつもりだった。しかし、そこには部屋は既に無かった。扉を開けるとそこは外だった。
ミチーヨ「う、うちの新しい店が、、部屋の一つが、、、」
矢口「みっちゃんがこの店の施設は自由に使ってくれって言ってたからさ、
早速使わせてもらったよ。キャハハ、、」
ミチーヨ「言った。言ったけどさ・・・」
それ以上言葉にならない平家。
そしてその空間には、代わりに巨大な製作物。
Д<「ななな、何を?」
矢口「あのさ、さっきはごめんね。みんな。」
Д<「もうええから、それ、もったいぶらんで見せてや!」
それを聞いてにやりと笑う矢口。
例によってシーツがかぶせてあるが、今度は前回の数倍大きい。
矢口「はいっ!できましたっ!!」
バサッとシーツをめくる。
全員驚愕!!
- 106 名前:ミチーヨの酒場 投稿日:2001年10月28日(日)01時43分40秒
- 幅、高さ、奥行きが普通の2分の1くらいのサイズの自動車?が!
ワゴンとトラックの中間のような外見で、トラックよりは席が多く、
後ろに屋根の無い小さい物置があり、何か積んである。
車体はピンクを基調として派手にペイントしてある。
矢口「おいら達のサイズでぎりぎり4人乗りです。」
Д<「ジオラマ、1/2スケール?」
矢口「ちがーうってば!本物だってば!!」
Д<「えええーっ!!これ、動くん??」
矢口「はーい、もちろんです。もちのろんですよ。キャハハッ。」
つじ「ええー!」
ミカ「エエー!」
ミチーヨ「ガーーーン・・・」
まだショックから立ち直れない平家。
Д<「エンジンは?燃料は?タイヤは?ギアは?」
矢口「ま、まあその辺の細かい突っ込みは基本的に無しだっ!
大体のものはこの家から拝借した。例えば、そこのバイク。」
指差す先にはスクラップと化したバイクが一台。
ミチーヨ「ああ!」
ショックに追い討ちをかけられる平家。
- 107 名前:ミチーヨの酒場 投稿日:2001年10月28日(日)01時50分18秒
- 矢口「でも、動力はガソリンに頼らず、地球に優しいエコロな電気!
それでもおいらの計算では180馬力、最高で時速200キロ近く出るし、
1回の充電で500キロは走れる。当然充電済み。
まあ速度出し過ぎたら、車体がもつかわかんないけど。キャハハ」
Д<「ありえへんありえへん。ブルブル。」
矢口「シートにはこの部屋の椅子。ボディは窓ガラスとかロッカーとかから。」
つじ「ごういんれすねー。」
矢口「あ、あとこの部屋の壁とか置物とか使って、ABSとパワーステアリングも搭載した。
運転しやすいと思うよ。ナビはさすがに無いけどね」
Д<「壁とか置物とか、どこをどーいじったらそうなんねん??」
矢口「へへん。どうだい?おいらの自信作だよ。」
矢口は片手を車にかけながら、もう片方のすすけた手で鼻をこすって言った。
ミカ「カッコイーデス!!」
Д<「そおかな?」
矢口「さてと、んじゃおいらは行く。これに乗って。お前ら止めたってもう関係ない。
一緒に来たい人?」
ミカ「ハーイ、ワタシモイキマース!」
矢口「ミカちゃん!」
ミカ「コレ、ウンテンシュガイリマスヨネ。ワタシウンテントクイナンデスヨ!!」
矢口「う、嬉しいよおいらは。じゃ、ミカちゃんよろしくねっ!」
ミカに抱きつく矢口。
矢口「左ハンドルにしといたから。」
Д<「・・・なんや、計算ずくかい!」
つじ「おとなってきたないれすね。」
矢口「う・・おっほん!!、で、お前らはどうするんだ?」
ミカから離れて辻、あいぼんと向かい合う矢口。
- 108 名前:ミチーヨの酒場 投稿日:2001年10月28日(日)01時55分26秒
- Д<「うっ、、、な、なあのの?」
つじ「ん〜、、、ろうしましょ?いいらさんに、まっててっていわれてるんれすが、、」
矢口「あー、もう、はいはい!、来る人は来る!来ない人は来ない!はっきりしな!!」
2人「・・・・・」
矢口「んもー、、、いい、辻、ききなよ。
こないだ来たばっかりで、みんなと一緒についてったあさ美ちゃんって子、14だってよ。
一人で潜入したのだって14だか15歳の子らしいよ。あんた達いくつ?13と14だっけ?
全然かわんないじゃん。そんな凄い子達もいるのに、
役立たずみたいな扱われかたして悔しくないの??」
Д<「そんなん言われてもしゃーないやないか」
つじ「ん〜、、、
・・・・・・
いいらさん「あらあなた、わかいのにつよくてかわいいわぁ」
じゅうよんさい「まかせてください。」
いいらさん「うん、たよりにしてるよ。いっしょにがんばろ。」
・・・!!」
さっと手を挙げる辻。
つじ「いくれす!ののもいくれす!!」
Д<「えっ!?」
矢口「はい決まり!」
Д<が何か言いたそうなのを無視し、矢口は辻の手を取った。そして、横目であいぼんを見る。
矢口「で、あんたはどうすんの」
Д<「う、うちは、、、」
矢口「ふんっ、どーせ意地はってるだけなんでしょ?行かないの?ほんとに置いてくよ??」
Д<「むっ、、、罰ゲームから逃げたくせに偉そうやなー。」
矢口「なにー?、もういいって言ったじゃんかよ!」
ミカ「ヤグチサーン、ソンナイイカタシチャダメデスヨー。アイボン、イッショニイキマショ?」
つじ「ね、あいちゃんもいっしょにいこう!
(らいじょうぶれすよ。このまえふねでれんしゅうした、あれがあるじゃないれすか。)」
Д<「ん、しゃ、しゃーない。。かなぁ。」
矢口「ん?なんだ?まーいいか。来るのね。そう来なくっちゃ。」
- 109 名前:ミニモニ暴走バス 投稿日:2001年10月28日(日)02時02分31秒
- ミカが運転席に、矢口が助手席に乗り、後ろに残りの二人が乗る。
4人「じゃ、いってきまーす!!」
ミチーヨ「はい。いってらっしゃいね。。しくしく。」
笑顔いっぱいで出かける四人を泣きながら見送る平家。
フィイイイイン・・・・・
Д<「な、何やこのけったいな音?」
矢口「ああ、これエンジンじゃなくてモーターだからさ。じゃあしゅっぱーつ!!」
挿入歌
ミニモニバスは、ミニのバス♪
ミニモニバスは、おかしじゃない♪
ゴオオオッ!ヒョヒョヒョヒョヒョ・・・・
矢口「やっっほーーーい!!」
Д<「こわーっ!」
ミカ「ダイジョーブ、ミカウンテントクイデース」
時速180キロオーバーで直線を進み、150キロオーバーでカーブを曲がり、
ダーマ=サイタを目指す一行。
- 110 名前:ミニモニ暴走バス 投稿日:2001年10月28日(日)02時09分46秒
- ゴヒュウ!!
しばらく行くと、、誰かの5メートルくらい横を通り過ぎる。
Д<「あ!」
矢口「何?」
Д<「あれ、さっきのおっちゃんやん!?」
後方を見ると、とぼとぼと歩く人影。
矢口「えー、まじで?あんた、すれ違っただけでよく見えるたね?」
Д<「こう見えても動体視力には自信あんねん。昔、バッティングセンターで鍛えてん」
矢口「へー。」
Д<「しかし、まだこんなところにおったんかいな。」
つじ「あしがおそいんれすね。とりのこされてかわいそうれす。」
矢口「そうだねー、ミカちゃん、引き返して横につけて!」
ミカ「オーライ」
ギャギャギャッ!
ユーターンする車。
Д<「おーーい!おっちゃーーん!!」
城島「?」
城島が前を向くと、
Д<「おーい!」
砂煙を巻き上げて、物凄い勢いで突っ込んでくる何かが・・・
城島「ぐわ!!」
慌てて両腕で体を庇いながらのけぞる。
キュキキキキキーーーーー
城島「ぐおおおー!」
ピタッ。城島の50cm手前で止まる車。
城島「っ!・・・・・ハァ、ハァ、、、」
Д<「おーっす!」
城島「おお、いきとる。な、、なんや、ちっさいお嬢ちゃん達かいな。ひき殺されるかと思ったで。」
つじ「まだこんなところにいたんれすね。おいこしてしまったれす。」
城島「年取ると歩くのもままならん。って、うっさいほっとけ!」
- 111 名前:ミニモニ暴走バス 投稿日:2001年10月28日(日)02時13分16秒
- 矢口「おいら達も遺跡に行くことにしたんだけど、一緒に行く?
物置きしかあいてないけど。」
城島「おうそりゃ助かるわ。歩きつかれてなぁ。」
しかし車をよく見ると、
城島「・・・なんや、随分ちっぽけな車やな。ゴーカートか?」
矢口「ちぇっ!どいつもこいつも・・・そういう突っ込みはめんどくさいから無しだよ。
さあ乗った乗った!」
城島「乗る場所なんて、、」
と言いつつ後ろに上がってみる城島。
やはりそこにはわずかに立てるだけの足場しかない。
矢口「おっけー、乗ったね。そこつかまっててよ。じゃ、ミカちゃんGO!」
ミカ「オーケイ!!」
フィイイイン
城島「あ、ちょ、」
とっさに前のバーのようなものを両手で握る。
ミカ「レッツゴー!」
アクセル全開で急加速する車。
ゴッ!
城島「おわっ!」
城島の首がガクッと後ろにもってかれる。
ゴオオオオ!
吹き付ける向かい風に、なびく。髪の毛が。
城島「ぐおぉおぉ、、、髪が・・・」
城島おでこ全開。風圧と加速で首を元の位置に戻すことができない。
城島「うぉおおお!!」
後ろを向いて乗り、その必死の形相を見ているあいぼん。
Д<「ク・・プププ・・のの、あれ見てみ?はえぎわはえぎわ!」
つじ「(あ、、あいちゃん、ひとのこといえないれすよ。。)」
- 112 名前:ミニモニ暴走バス 投稿日:2001年10月28日(日)02時14分41秒
- そしてすぐ。
Д<「!?、検閲所が見えてきたで!!」
矢口「よっしゃ!ミカちゃん、アクセル全開!!」
つじ「えええーー!!?とまらないのれすか??」
矢口「中に入る手続き、うちらだけじゃたぶん出来ないんだよ。
それに、もたもたしてる暇はなーい!!前進あるのーみっ!!」
ミカ「ラジャー!」
Д<「強行突破かい!」
矢口「突っ込めー!!」
ゴォオオオ、、、
- 113 名前:検閲所 投稿日:2001年10月28日(日)02時22分04秒
- 兵士A「今日アッサヤヌに突入しようって連中は全部入っちまったし、暇だねえ。」
一人の兵士がだるそうに壁に寄りかかりながら、タバコを吸っている。
兵士B「おいおい、竜ちゃん、あからさまにサボってるとリーダーに文句言われるぞ。」
竜ちゃん「うわぁあ、あぁあ。いいじゃねーか。ジモンちゃん。ちょっとくらいさ」
まったく兵士Bの言うことを聞く気も無く、眠そうな目であくびをする兵士A。
そこに駆けつける兵士C。
ジモンちゃん「あ、リーダー」
リーダー「バカ、ちょっと、まじめにやってくれよ。竜ちゃん。頼むから。
師団長に怒られるの俺なんだからさ。給料同じなのに」
竜ちゃん「バカって言ったか?
バカだなあ。こんなのまじめにやってる方がバカなんだよ。やってらんねーんだよ。へっ!」
そっぽを向いてタバコをふかす兵士A。
そうこうしていると、、
リーダー「ん?おいおいおい、みんな、あれなんだ?」
竜ちゃん「なんか来るな。自動車か?ワゴン?」
ジモンちゃん「おいおい、聞いてないよ?今日はもう来ないんじゃなかったのか?」
リーダー「俺にいわれもわかんないよ。とにかく止めるしかないだろ。」
竜ちゃん「おーい、止まれーー!危ないぞー!!」
止まる気配なし。
竜ちゃん「はい、きかない。仕事終了。俺達のせいじゃねー」
即効で後ろを向き、その場を離脱しようとする兵士A、兵士Cに掴まれる。
リーダー「ちょっと待ててって竜ちゃん。」
続けて、誘導用の旗を振りながら叫ぶ兵士B
ジモンちゃん「おーいっ、こっから先は立ち入り禁止だあ!!」
リーダー「おい、全然止まる気配無いぞ。聞こえてないのか?やっぱ。」
ジモンちゃん「いったいどういう神経してんだ?ありゃ、、、」
竜ちゃん「で、どうすんだよリーダー?、あの暴走車、やっぱりほっとくのが一番じゃないか?」
リーダー「うーん、ここで先に進ませないのが俺たちの仕事だよな。」
竜ちゃん「わかった。そうだな。よし、お前のその自慢の筋肉で見事止めて見せろ!」
兵士Bの肩を叩き、また離脱しようとする兵士A
ジモンちゃん「おいおい、何言ってんだよ、俺だけに命令すんなよ!
3人で止めよう!俺たち3人の力を合わせればなんとかなる!」
リーダー「よし、やろう!ジモンちゃん!」
堅く手を合わせる3人、その後、3人は兵士Bを中心に並んで暴走車の前に踊り出た。
3人「ヤーーーー!!」
- 114 名前:検閲所 投稿日:2001年10月28日(日)02時28分43秒
- ォォオッ
高速で迫る暴走車、あと10秒か?5秒か?
ゴオオオオオオ!
パアンパアン!!暴走車のクラクションが鳴り響く。
リーダー「・・・・・」
ジモンちゃん「ごくり・・・・・・」
竜ちゃん「っ・・・・・」
汗が滴る兵士A
まさにぶつかるその時、
竜ちゃん「ギャーッ!!っ殺す気かーーっ!!」
あまりの勢いに、いち早く離脱するA
リーダー「うおっ!!!」
続いて制止不可能を察し、離脱するC
ジモンちゃん「今だっ!みんないくぞっ、バリケーードッ!わっしょ、え?あれ?」
身構えたまま、取り残される兵士B
ドカッ!!
ジモンちゃん「俺だけかよー!!」
叫びながら弧を描いて吹っ飛ぶ兵士B
バンッ!・・ごろごろごろ・・・ズサッ・・・・
竜ちゃん「あぶねえじゃねえかこの野郎!訴えてやる!!」
砂煙を上げて去る暴走車を睨みながら、帽子を地面に叩きつける兵士A
リーダー「竜ちゃん、もう遅いよ」
倒れた兵士Bを指差す兵士C
ジモンちゃん「・・・・」
兵士B、重傷。
- 115 名前:ミニモニ暴走バス@検閲所→アッサヤヌ 投稿日:2001年10月28日(日)02時37分15秒
- 矢口「突破ぁ!!」
つじ「・・・なんかひとひいたんじゃないれすか?」
ミカ「アア、イインジャナイノー??ミエテルノニヨケナカッタンダカラ。」
つじ「ちゃんとぶーってならしたれすしね。」
矢口「そうそう。ごめーんちゃいちゃいちゃいにーずっ!キャハハッ!」
Д<「訴えてもらおうかっ!」
城島「(こ・・このお嬢ちゃん達はんぱやないな。。)」
そしてダーマ=サイタ到達。止まらず、アッサヤヌ遺跡へ前進。
ゴガガガガガガガ
矢口「うわーーーっ!」
地下100メートルへ下る暴走車。
Д<「これ落ちてるだけちゃうんか?」
つじ「ひーーっ!」
ミカ「ダイジョーブデース!タイヤハトラレテマセン」
矢口「うん。大丈夫。ダートにも対応できるよう仕様にしてあるから、、」
Д<「・・・、もう言わんけど、どう考えても突っ込まれるようなこと、自分から言ってるで。」
ガガガ、、ガン、、ガン!!
城島「ぎゃーーー!!」
振動で振り落とされそうになる城島。
- 116 名前:ミニモニ暴走バス@アッサヤヌ 投稿日:2001年10月28日(日)02時43分50秒
- まもなく最下層到着。
城島「はぁ、はぁ、はぁ、、、」
Д<「!!、あそこに門がある!」
先ほど勇者一行もそこから入った、唯一の入口である。
矢口「よし!あれから入ろう。ミカちゃん!」
ミカ「イェス!」
ハンドルを切るミカ。
Д<「って、まだおりないのかい!」
矢口「だって、急がないと追いつけないじゃん。」
ギャギャギャ、、、バガッ!!
車に乗ったまま建物に乗り上げ、門を破って突っ込む一行。
城島「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、し、、しんどい、、、」
振り回される城島。
建物内部に入るとやや広い空間。
Д<「ストップ!!」
ミカ「!!」
キキィイイイィイ!!!
城島「ぎゃっ!」
急ブレーキで前のバーに顔をぶつける城島。
Д<「なんやいな、真中のあれ?」
矢口「何?パネル?も少しよせてみて?」
ミカが発進しようとした瞬間、、、
ミカ「ホワッツ?」
進まない、奇妙な浮遊感、、
つじ「??」
Д<「お??」
床が無い。
矢口「!!、キャーーーーー!!!」
ホールに響き渡る矢口の叫び声とともに、5人を乗せた車は落下していった。
- 117 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)02時52分22秒
- ドガッシャーーン!!!
巨大な音を立てて着地する車。
全員が一瞬の放心状態におちいる。その数秒の沈黙を破り、矢口が動き出す。
窓は一部割れたが、車体は横転もしなかったので、動けないことはない。
矢口「うっ、イタタタ、、、大丈夫?みんな、、」
ミカ「・・・・オッケー。」
つじ「・・・なんとか、、らいじょうぶれす。」
Д<「こ、、腰打ったで。いたた、、いたいがないたいがな、、けど、案外平気なもんやな。」
矢口「まあね、耐震性と強度は普通車の30倍はあるからね。」
Д<「・・・・・・」
つじ「それより、おっちゃんはろうしたんれすか?」
辻に言われてみると、後ろにつかまっていたはずの城島がいない。
矢口「うーん、薄暗くてわかんないな。とりあえずライトつけよう。」
車のライトをつける矢口。
Д<「あ、あそこに倒れとる。ついに振り落とされたんやな。かわいそうに。」
数メートル先に城島を確認。
矢口「ありゃ、なんか最初っから弱ってたし、大丈夫かな?あんた達、ちょっと行ってきて。
おいらは車が壊れてないか点検するから。ミカちゃんはこっち手伝ってね。」
3人同時に頷くと、辻とあいぼんは車から降りて城島の元へ駆け寄って行った。
矢口「ライトがつくってことは、電源は平気なはずだな。。
あとはどこにも断線とか無ければ、、」
ごちゃごちゃと車をいじる矢口。
- 118 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)02時56分40秒
- つじ「らいじょうぶれすかー?」
城島の体を起こす辻。
城島「・・・・・・・・・」
つじ「らめみたいれすね。」
Д<「おい!おっちゃん、、おっちゃん!、、何か言い残したいことは?」
城島「う、、、うう、、氏なんて。まだ俺は。」
つじ「いきかえったれす。しぶといれすね。これをたべて、げんきをらすのれす。」
辻は、自前の袋から3つ飴玉を取り出し、1つを城島の口に入れた。
つじ「とくべつにあげるのれす。あ、あいちゃんも。ののも。」
残りの1つをあいぼんに渡し、最後の1つを自分で食べた。
城島「ありがとうな。お嬢ちゃん。」
つじ「まほうのあめれすよ。かんじゃらめれす。」
Д<「あまい〜。で、どのへんが魔法なん?」
口の中で飴玉をころころ転がしながら言うあいぼん。
つじ「あめらまいっこぶんのたいりょくがかいふくするんれす。」
飴を頬に移した状態で喋る辻。
Д<「まんまやん。」
城島「ムグムグ、、まあ、なんやちょっと楽になった気がするわ。ほんまありがとな。」
- 119 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)02時59分07秒
- つじ「あーい。」
辻とあいぼんが城島を連れてきた。
矢口「あ、生きてたみたいだね。」
ミカ「ヨカッタデスネー。」
矢口「じゃ、行こうか。車は無事だった。」
全員が指定の位置に着いた
矢口「じゃ、一気に行って追いつこう。」
Д<「罠とか気をつけんでええの?」
矢口「大丈夫でしょ。たぶんみんなここに落ちてきてから先に進むんだろうから、
きっと大分先までは全部解除されてるよ。」
ガタガタガタガタ、、、
車は廊下を突き進む。周りにある小部屋はいっさい無視する。
あたりの罠も解除されているし、残っている宝箱などもありはしないだろう。
情報などはあるかもしれないが。あるかどうかもわからない真に有用な情報を探し出し、
それを解析するには時間がもったいない。
また、このパーティーにはそれを効果的にできるプロフェッショナルはいない。
- 120 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)03時03分35秒
- 大分先まで来たと思われる。
少し広くなった場所で城島が外から声をかけた。
城島「あっ、ちょっと止めてくれんか?」
キキッ
ミカ「ナンデスカー?」
矢口「どったの?」
城島「この辺、戦ったあとがあるな。ほら、そこここにオークが倒れとる。」
城島は車を降りるとオークの一匹に近づいた。
Д<「ほんまや。」
城島「まだ、そんなにたってないんやないか?」
矢口「って事は、この近くにこいつらを倒した誰かがいるってことか。」
城島「そういうことになるな。」
矢口「ふう、、やっと追いついたね。」
Д<「別人かもしらん。でもまだなんにも見えへんなあ。何もきこえへんし。」
矢口「うーん、道もここで3つに分かれてるし、どうする?」
全員がそれぞれ3つの道のどれかを眺めていると、、
つじ「・・・・あっちれす。」
矢口「!!、どうしたの突然?」
つじ「まちがいないれすよ。」
辻は向かって左側の通路を指差した。その表情は自信に満ちている。
Д<「まさかのの、(飯田はんが移ったんやないか?、、、)」
矢口「んー?、ま、、まあ、ここでこうしててもしょうがないし、ここは辻を信じて進んでみるか。」
辻の迫力におされながら、一行は左の道を選んだ。
辻は、何か胸騒ぎを感じていた。
- 121 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)03時08分52秒
- しかし、その道を進むにつれ、急に周りが暗くなった。光り苔が無い。
これより先に冒険者は進んでいないことをうかがわせる。
(レミラーマなどの術や、たいまつを使ったとも考えられるが。)
Д<「良かったなあ。車のライトがあって。」
また、今走っている場所は妙に広い廊下で、この車ならいくつも車線を作れそうなほどだ。
・・・・・・
辻とあいぼんが喋っていると、
矢口「!!、しっ!」
突然矢口が二人に黙るように命じた。
3人「??」
矢口「誰かの足音が聞こえる!」
Д<「おお確かに。のの、あたりや!すごいな。」
つじ「・・・・・」
辻は何も言わず、頷いただけで特に表情も変えない。
ミカは車を止め、ライトを動かし、周りを慎重に照らしていく。
矢口「(ドキドキ、、)」
Д<「いたっ!」
あいぼんが指をさす。全員が一斉にその方向を見ると、暗い中を奥へと走っていく者がいる。
矢口「ほんとだ!!誰?あれ!!」
Д<「あの横に広くて縦に短いシルエットは、、ナッチーや!!」
矢口「おおー、ナッチーか!!やったー!追いついた。早く行こう、ミカちゃん!!」
ミカは車を発進させ、そっちへゆっくり近づく。
つじ「れも、なんれひとりなんれしょ?」
- 122 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)03時18分46秒
- ナッチーに接近するにつれて、みなナッチーの様子が少しおかしいと思い始める。
矢口「あれ?、まって、もう一人いる?
誰かナッチーの手を引いてるんじゃないの?」
Д<「え、誰や?あんな人おったか?」
城島「俺の仲間でもないな。」
一行は不思議そうにお互い顔を見合わせる。
更に近づくと、その姿がはっきりとした。
Д<「いいい!なんやありゃ?誰や??」
なんと、木偶人形のようなものが、ナッチーの手を引いている。
矢口「パ、、パパパ、パペットマン??」
Д<「それって不思議な踊りとかするやつか?」
つじ「な、なんれぱぺっとまんなんかに、、」
矢口「そそそりゃあ、ああ、きききっと、あ、操られて、、」
Д<「落ち着いてや。」
ゴンゴン、窓を叩き、
城島「お嬢ちゃん達!ちょっとええか?前にいるあの子、やばいで。」
城島が声をかけてきた。
Д<「そうらしいわ。あの木偶に操られてんねん。」
城島「ちゃう。よう見てみ、本体はあれや。」
城島は木偶ではなく、ナッチーのほうを指差す。
ナッチーの頭の下、首のあたりに何かが動いている。
矢口「あああっ??、何あれ?きしょっ!!」
そこには、多くの触手の着いた巨大な目玉のようなものが。。
- 123 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年10月28日(日)03時28分55秒
- ミカ「ダークアイ、デスカ?」
つじ「めもめも、、えーっと、あまいいきをはき、まぬーさをつかうもんすたーれすね。」
城島「外見は似たようなもんやけど、もっと上位のモンスターや。
あれに取り付かれると、厄介やで。
マヌーサなんかみたいに、ただ幻影を見せるわけでも、メダパニみたいに混乱させるわけでもない。」
矢口「ごくっ、、」
城島「あいつは人の脳に寄生し、記憶を読み取り、
その人間の欲求と、絶対にあって欲しくないと思う出来事を交互に見せる。
っちゅうとんでもない代物や。安心と不安を繰り返し、術に深くはまっていく。
あいつに取り付かれて平静を保ってられる人間なんておらん。」
矢口「ぞーーっ、、、」
城島「ありゃ、完全に罠にかかっている。元気そうに奥へ走ってくが、氏にに走ってるだけや。
でもそれだけやないな。たぶん、あの子が連れて行かれる先に、何かあるぞ。」
矢口「どどど、どうしよ?」
Д<「とにかく、助けんと!!」
城島「それに、一刻でも早く引っぺがしてやらんと、氏は免れても、
連続して見せられる情報によっては、廃人になってしまうかもしれん。
現実にもどれないっちゅーことや。」
矢口「まじー??」
その時、ナッチーの背中の目玉が動き、
つじ「!!」
辻と目が合った。
その瞬間広い通りの脇から、次々と木偶人形が現れた。
矢口「うわーーーっ!!ミカちゃん!、バック!!」
とっさにそう言う矢口
ミカ「デキマセン!!」
矢口「ええ?なんでさ?、体制を立て直さないと、、はっ、、」
城島「こいつら全部、おとりやな。」
矢口が見たバックミラーに、さっき氏体だったはずの、オークの群れが写っていた。
- 124 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月28日(日)21時31分44秒
- 山口「その日から道場は閉められている」
よっすぃー「なんで・・」
山口「道場主が不在なんだ、当たり前だろ」
よっすぃー「師範代の人間だって何人かは・・」
山口「師範がお亡くなりになった時、師範代が誰一人道場に残ってなかった」
よっすぃー「それなら、戻ったときに達兄がなりゃあ・・」
山口「俺が戻った時点で道場が閉まって半年経っていた
離れた門弟をかき集められるほどの求心力、俺は持っちゃいないよ」
実際、そうなのだろう。
一度閉まった道場をどこぞの輩が無理やり開けても、結局がすぐにつぶれることが多い。
山口「八刹剣宗家が閉まってるんじゃ話にならないってんで、
今、宗家の看板はオクチチブの道場にいってる」
よっすぃー「チチブのやつらに奪われたの!?」
山口「奪われたんじゃない、こっちから渡したんだ。
おまえのおふくろさん自ら出向いて、頭下げたって話だよ」
よっすぃー「そんな、馬鹿なこと・・」
山口「当たり前だろ、宗家は流派の顔。
保てなければ、二番手のところに渡すのは当然。
そうでなければ、一門で野垂れ氏にだ」
厳しい言葉に、よっすぃーは顔をゆがめる。
- 125 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月28日(日)21時32分15秒
- 山口「ただ、ライバルの道場に看板が行ったのは、予想外の効果が発揮されちまってさ、
道場が開けばすぐに戻るって言ってた門弟も、若い連中を中心に他へ流れ始めちまった」
よっすぃー「他って・・」
山口「一門のほかの道場に行くなんてのはまだいいほうで、
流派替えをしたやつも少なくなかった」
よっすぃー「そんな・・・」
山口「若い連中にとっては、流派内の交流試合が外の世界の全てだからな」
そのセリフが、よっすぃーの胸につきささる。
かくいう彼女も、武道大会に出るまで、他流派の人間と手合わせしたことがなかった。
一門の中なら所詮は味方。
それさえもわからない、愚かな若者たち。
山口「お嬢、戻る気は無いか?」
よっすぃー「墓参りじゃすまさないんでしょ」
彼が本題を切り出したことに、よっすぃーは身構える。
山口「無論」
よっすぃー「私は道場を離れていたから、入門して最低10年という規定を満たして・・」
山口「誰がそんなこと気にするか!」
逃げようとしたら、遮られた。
山口「おまえはバトルマスターの称号を持つんだ
それに何より、おまえなら去った者も戻って来る」
よっすぃー「・・」
山口「師範もお前が跡目を継ぐことを、望んでいたんだろう」
- 126 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月28日(日)21時32分36秒
- 自分が戻ったからと言って、本当に道場が建て直せるだろうか。
気味悪がられるのではないか。
そんな懸念が頭にうずまく。
これらは決して杞憂などでは無いような気がする。
しかし、確かに血縁である自分が継げば、種だねの問題は解決するようにも思える。
誰も文句を言うことはできないし、何より街の中での信用度は抜群だ。
城下町や門前町でない限り、街における武道場の存在は、安心感にもつながるが、脅威にもなるのだ。
自分に求心力があるとも思えないが、少なくとも父親の威厳は継ぐことができる。
氏に目に顔を見せられなかった、自分に出来ることは何か。
また、父の氏後、八方に手をつくしたという母のこと。
あての無いこの旅。
敵も攻めあぐねているという、この状況下。
低地に流れる川のように、甘いところに移行する思考を正そうと、よっすぃーは意識的に切り替えを図る。
継ぐ、氏に目、氏後、、、、
そう考えると、父親の氏がリアルに感じられてくる。
力任せでは決して倒すことの出来なかった、あの安定した姿勢も。
母親に内緒でべーグルを買い与えてくれた時の、あの優しさも。
歌舞や茶道の教習までも強制した、あの低い声の厳しさも。
出発の前の晩、宝刀を授けてくれたあの手のぬくもりも。
よっすぃー「嘘だ」
- 127 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年10月28日(日)21時33分01秒
- 乾いた地下の空気の中を、その言葉は枯渇感とともに鈍く通り抜けた。
小さい、細い声。
それはよっすぃーの低い、プレーンな声。
彼女の言葉に、山口は目を見開く。
よっすぃー「私はそんなこと信じない」
なおも続けられた言葉。
今度ははっきりと響く。
語尾が上ずり、感情が尻尾を表わす。
武道家の勘か、それとも癖なのか、山口は右足を左の肩幅ぶん後ろまでずらす。
歩幅も重心も、視聴覚の情報を待ち構えていた。
山口「何を・・」
はっきりと、彼の言葉は発せられる。
待っていたのだろうか。
彼女は無言で数歩前に進むと、山口に振り向くと同時に、鞘から愛刀を抜いた。
父から譲り受けた、伝家の宝刀を。
よっすぃー「そんなの、魔王軍が私をパーティーから引き離そうとして作った嘘に決まってる!」
- 128 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
- ( `.∀´)ダメよ
- 129 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年11月01日(木)16時36分22秒
- 山口「じゃあなんだ」
彼は高圧的によっすぃーを見据える。
山口「俺が訪れた道場は、魔王軍の作った幻影だったとでも言うのか」
決して大きくない声。
普段の彼とさしてかわらない、やわらげな声。
よっすぃーは山口を睨んだまま、口を開かない。
数秒の沈黙。そして、、
山口「それとも、俺が魔王軍だとでも・・」
彼女は返答しなかった。
その沈黙が何をもたらすか、そんなことさえ分かっていなかったから。
いつもの軽口でないのをわかっていたのに、言葉を発さなかった。
危機感の欠如。
生死からしかそれを感じることのできない、若き戦闘マシーンの青さ。
山口「面白い」
目を見開いた彼は、そう言うと自らの長剣を鞘ごと放り投げた。
はっきりとした煽り。
血飛沫を待つ小娘の冷笑で、彼女は構えた愛刀を放る。
鞘に収められることなく宙を舞った名刀は、そのまま山口の剣の上に落ちる。
よっすぃー「齢九つを過ぎてから、私は道場で負けたことは無かった」
それは、もう1人の自分と彼女が言う、否定された人格などでは絶対にない。
彼女は凶器を手にしていないし、何より危機感を感じていない。
今、冒険者相手に殺気を漂わせているのは、紛れも無くよっすぃー自身。
- 130 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年11月01日(木)20時54分48秒
- 勇者一行は先程から真っ直ぐな一本道を十数分は歩いていたが、まだその先は見えない。
ごま「ねえ、これ行き止まりだったらどうする?」
飯田「行ってみなきゃわからないでしょ、とにかく行くの。」
ごま「ふぁーい。」
国分「あっ・・・」
国分が声を上げたのは、ごまの言った通り通路の先が
行き止まりになっていると思ったからだ。
長瀬「いや、空気が流れてる。行き止まりじゃないよ。」
ごま「隠し扉かな?」
一行は行き止まりの地点の壁を探ってみるが、何も見つからない。
ごま「少し戻った所を調べた方がいいかもね。」
紺野「・・・私にまかせてください・・・」
長瀬「おい、無理するなよ。」
紺野「大丈夫です・・・風の妖精シルフよ、汝の道標を・・・」
紺野がそうつぶやくと、今度は全員が空気の流れをはっきり感じ取れる程の風が流れた。
飯田「これって正面の方から流れてるよね?」
長瀬「ああ。でも・・・」
国分「何かあるようには見えませんね。」
ごまが壁の前に立ち詠唱する。
ごま「・・・アバカム。(これはちゃんとやらないとね)」
すると正面の壁が動き始め、上にずれて行く。そして通路の先からは扉が現れる。
ごま「えーと、守護神の間って書いてあるよ。」
飯田「これで先に進めるね・・・うーん、開かない・・・」
長瀬「どれ・・・ぬっ!」
国分「どうしたの、そんなに堅い扉なの?・・・うぉぉ(あ、開かない!)」
ごま「あたしが開けるから下がっててよ。アバカム。おりゃっ!」
長瀬「(お、おりゃっ?)」
バキッ 扉が開いた。
- 131 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年11月01日(木)20時56分24秒
- 無事に守護神の間に進むと、中には屈強な格闘家の石像が置かれていた。
全部で8体あり、4組に分かれて闘っている姿はまるで生きているかのようだ。
飯田「なんか書いてるけどかおり読めない。」
ごま「じぇろむればんな対まいくべるなるど、れいせふぉー対まーくはんと、かな?。」
国分「しりるあびでぃ対ぴーたーあーつ、あーねすとほーすと対ふらんしすこふぃりお。」
長瀬「えっ、それってよく昔話に出てくる格闘家じゃん。」
紺野「ないと言われてきたこの遺跡があるくらいですから、
実在していたとしても不思議ではないですよね。」
長瀬「そうだなあ・・・それにしてもよく出来た石像だな。」
感心する長瀬をよそに一行は先へ進む。と、突如背後の扉が閉まる。
国分「まさか!」
国分は慌てて前方の扉に駆け寄るが、上から壁が降りて扉が塞がれる。
ごま「これはちょっときついね。」
長瀬「ちいっ!数が多いな!」
石像はもはや単なる石像ではなくなっていた。石の格闘家達は一行ににじり寄る。
しかし格闘家達は顔を見合わせ、五人だけが一行に近づいてきた。
アビディ「・・・ショウブ・・・」
長瀬「なんだ?武士道心得てやがる。同じ人数なんて。」
国分「男なら引くわけにはいかないね。」
ごま「上等じゃん。」
紺野「わたし女なんですけど・・・」
飯田「ゼイタク言ってる場合じゃないよ。御好意ありがたいけど勝たせてもらうよ。」
レ・バンナ、ベルナルド、ホーストが後方から様子をうかがっている。
長瀬「(特に強そうなのが引っ込んでくれて助かるぜ。
とはいえこの五人もメチャクチャ強そうだ・・・)」
- 132 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年11月06日(火)01時00分55秒
- 矢口「さがれないなら、、突っ込む!だてに180馬力出るわけじゃないぞ!!」
Д<「またかい!」
矢口「ミカちゃんは運転に専念して!少しでも早くナッチーに追いつけるように。」
ミカ「オーケイ、デモ、テキガオオスギテ、ハンドルトラレソウデス!!」
矢口「うん、こんな時こそ、おいらの新しい武器でなんとかしてやる!!」
つじ「そんなのあったんれすか?」
矢口「おうよ。じゃーーーん!!」
Д<「なんやいな?」
そこには色違いの軍手が一組。
Д<「?」
つじ「あーっ!、わかったれす。」
そう言うと軍手を丸める辻。
つじ「こうはくまんじう」
矢口「ぶっぶーーーっ!って誰がボケろって言ったのよ?
これはっ、、神の左手悪魔の右手!れっきとした武器だよ!」
素早くそれらを装着する矢口。
つじ「すごいなまえれすね!」
Д<「恐ろしいわ。」
矢口「・・・・、でも実は、おいらも使い方知らないんだよ。」
つじ&Д<「・・・・・・」
矢口「きゃはは、、」
つじ&Д<「ばかーっ!」
- 133 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年11月06日(火)01時03分00秒
- 矢口「馬鹿とはなんだ馬鹿とは、、ぶつぶつ、、、」
城島「よし!俺の武器も出番だな!」
つじ「そういえば、おっちゃんのしょくぎょうもしらなかったれすね。」
城島「ふふふ」
Д<「自信ありげやな!いったいどんな武器を?」
城島がにやりと笑って胸に手をやると、そこのポケットから
するするする、、、
チェックのハンカチが出てくる。
Д<「な、なに?(ドキドキ)」
ひらひらとハンカチを見せた後、左手を隠したかと思うと、
ゆっくりとそれをめくる。そこには!
城島「じゃーん。」
つじ「(びくっ!)」
Д<「おおっ!!」
手品に素で驚く二人。しかしよく見ると、出てきたのは木で出来た、
矢口「パチンコかよ!!」
- 134 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年11月08日(木)00時59分40秒
- ごま「紺野、あなたにはちょっとやってもらいたいことがあるんだ。」
紺野「はい。何ですか?・・・(ごまが耳打ちする)・・・わかりました。
どのみち今の私は動き回れる状態じゃないので、フォローお願いします。」
ごま「あいよー。」
長瀬「いいか、紺野に敵を近づけるなよ。」
国分「こっちは接近戦出来るのは3人か。」
飯田「ごまは接近戦もいけるよ。」
ごま「でも長期戦にしない方が良さそうだね。動く石像が相手じゃ。」
飯田「なんか作戦でもあるの?」
ごま「ポイントは紺野だね。」
ベルナルド「レディ・・・」
そしてベルナルドが足元のゴングに拳を振り下ろす。
ガーン!
長瀬「そこまでこだわるか!」
国分「時間は無制限!行くぞ、スクルト!」
紺野「・・・ディーネよ、私の呼びかけに応えて・・・」
飯田「これが修行の成果だ、いくよーー!!」
ごま「イオラ・・・・・五連発!」
飯田は剣を振り下ろして鋭い真空波を起こす。一瞬遅れてごまのイオラが
石像の格闘家一人一人に襲い掛かる。真空波はレイ・セフォーへ!
飯田「よっしゃ!直撃!」
レイ「・・・(ニヤリ)」
続いてイオラが全員に直撃する。
レイ「・・・(ニヤリと笑いながらうなずく)」
長瀬「マジかよ!?」
他の四人はイオラに体を弾かれ体勢を崩しているが、
マーク・ハントはかまわず突っ込んでくる!
- 135 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年11月08日(木)01時00分50秒
- 長瀬「来やがれ!」
マークが長瀬に右フック!
長瀬「うお・・やべぇ」
長瀬は左腕のライトシールドでガードするが、衝撃を受けきれず体が流れてしまう。
そこへマークが拳を振り下ろそうとする。
国分「うおおお!」
その時、国分がバトルアックスをマークに叩き付けた。マークの体は吹き飛び、
壁に叩き付けられる。その衝撃で壁が崩れ、マークの体を埋める。
ごま「国分さん、見かけに寄らずパワーファイターなんだね。」
長瀬「・・・君もね。」
ごま「んじゃ、そろそろ始めようかな・・・ベギラゴン!」
飯田「さあ、私の相手は誰?」
ごまのベギラゴンがピーター、レイ、フィリオを包む。しかし、
石像の彼等は炎に怯むことなく近づいてくる。アビディは飯田へ近づく。
アビディ「シッ!」
飯田はアビディの右ハイキックを受け止めるが、その右ハイは飯田の体を
1メートル程流してしまう。アビディは追って右ストレートを繰り出す。
飯田「(右の攻撃がきたら相手の左へ回って・・・)叩く!」
飯田は体の流れたアビディに剣を叩き付けて吹き飛ばす。
飯田「よーし!」
ごま「次はあんただ!ベギラゴン!」
ごまはアビディに向かってベギラゴンを放つ。
長瀬「こいつはデカイな・・」
長瀬は非常に背が高いのだがピーター・アーツは長瀬が見上げる程の上背がある。
ピーター「シッ!シッ!」
ピーターはワンツーで長瀬をけん制する。
長瀬「(おいおい、なんて重いジャブだよ。)」
ガードする長瀬に、ピーターはワンツーを出し続ける。
長瀬「(こりゃヤバイな、腕がしびれそうだ。こっちから仕掛けないとな!)」
- 136 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年11月08日(木)01時01分55秒
- 国分「・・・・・」
フィリオ「・・・・・」
国分とフィリオは、互いに構えてにらみ合ったまま動かない。
国分「(こいつは確か一撃必殺が売り文句だった。うかつに動けないな。)」
飯田「次は誰!?」
レイ・セフォーは拳を構えたまま飯田へ近づく。
レイ「・・・(ニヤリとしながらうなずく)」
飯田「・・・(ニッ)」
飯田もレイを真似て笑顔を見せてみる。
レイ「・・・(ニヤリ)」
レイ・セフォーは一歩踏み込んで左フック!寸前のところで飯田はかわす。
飯田「(うそぉ!パンチが音立ててる!)」
レイは間髪入れずブーメランフックをボディに叩きこむ。
飯田「うっ・・・(やられる!)」
ドン!
次の瞬間、宙を舞っていたのはレイだった。
ごま「お〜間に合った。」
飯田「おえっ・・・ありがと・・・げほげほ。」
ごまの放ったイオラがレイを吹き飛ばしていた。
ごま「紺野!アレは見つかった!?」
紺野「はい!でも穴を開けないと使えませんよ!」
ごま「方向と距離は!?」
紺野「真下に20メートル強です!」
ごま「下がってなさい!」
ごまが詠唱すると、ごまの周りにいくつもの光の玉が浮かび上がる。
ごま「イオ・レイン!」
ごまは無数のイオを放ち地面に穴を開ける。
ごま「これを使うタイミングはあなたにまかせるから。いいね?」
紺野「は、はい!」
- 137 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年11月08日(木)01時02分50秒
- ガラガラガラ・・・
瓦礫に埋もれたマークが這い出てきた。
飯田「しぶといなあ〜」
マークの胸には国分の攻撃を受けた傷がはっきりと残っているが、
いかんせん石像が相手ではその程度の傷はダメージの意味を持たない。
ごま「とりあえず、ベギラゴン!」
マークは炎に包まれるが、余裕の表情。
ごま「かおり、後はまかせたよ。」
飯田「え、それだけ?」
ごま「がんばってね。」
そう言うとごまは立ち上がってきたアビディに向かって身構える。
国分「・・・・・」
フィリオ「・・・・・セイッ!」
口火を切ったのはフィリオだった。国分はフィリオのミドルキックを
ガードせずに引いてかわす。石像の攻撃をまともに受けるわけにはいかない。
国分「バギマ!」
つむじ風がフィリオの動きを捕らえる。
国分「もらった!」
国分の強烈な振り下ろしの一撃がフィリオをダウンさせる。
長瀬「そらっ!」
ピーターに前蹴りを食らわして長瀬は距離を取る。
長瀬「イオラ。」
長瀬は魔法を剣先に込める。
ピーター「シッ!」
ピーターの右ハイキックを長瀬は身をかがめてかわす。
長瀬「そこだ、電光石夏!」
斬撃とともに爆発が起こり、ピーターは床に転がる。
長瀬「やったか?」
- 138 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年11月14日(水)04時18分14秒
- 城島「よう聞け。これはな、ただのパチンコや。」
矢口「だから何だよ!」
城島「いや、だからよう聞け。玉が普通やないんや。玉に魔法を込めてある。
そういうわけでな、、、」
あいぼんとつじにもパチンコと玉を渡す。
Д<「なかなか気の利くおっちゃんやな。」
城島「普通に撃てばそれでええ。当たれば込めた魔法が発動する。
パペットマン相手ならそいつでなんとかなるやろ。」
Д<「で、何を込めたのかいな?」
城島「それは当ててからのお楽しみや。」
Д<「そういう意味でもパチンコなん?」
城島「さすがにそこまで遊び心は入れてへんって。」
矢口「モンスター共に突っ込むぞ!」
ミカ「イキマース!トツゲキー!」
つじ「のんすとっーぷ!」
Д<「どかんかい!このでく人形!」
あいぼんの撃った玉は見事パペットマンに命中!
Д<「よっしゃ!」
ドカーン!!!
すると耳をつんざくような轟音とともに大爆発が!
城島「あかん、大当たりや、、、」
Д<「う、うなー!」
辺りは爆風に包まれた、、、
つじ「けほっけほっけほっ、、、」
矢口「うう、ホコリくさい、、、」
ミカ「シカイガ ワルクテ、ウンテン デキマセーン。」
Д<「ごほっごほ、、、おっちゃんおっちゃん、何やのこれ?」
城島「多分イオナズンが入っとったんやろ。いきなり大当たりとは景気がええな。」
Д<「アホ!近くで爆発しとったらウチら氏んどったわ!
それに思いっきり遊び心入っとるガナ!このヴォケー!」
- 139 名前:魔王城 投稿日:2001年11月14日(水)04時19分39秒
- 秘書「魔王様、FJIの局長がお見えです。」
つんく「そうか。すぐ通せ。」
??「つんくちゃ〜ん、お久しぶり〜」
つんく「久しぶりやなー」
??「まさかアタシのこと忘れたんじゃないでしょうね?」
つんく「いやいやそんなことあるかいな。」
??「うれしいわ〜、それじゃ今のアタシの気持ちをダンスで表現したいと思いま〜す。」
つんく「いや、そんなモンええで。」
??「あなたに会えてよかった〜♪うれし恥ずかしOHマイハート♪」
つんく「おい。」
??「あなたに会えて、うれしいぼくの、からだのいちぶが!」
つんく「やめい。」
??「ホットホット!ホットホット!ホットホット!」
ハリセンでどつくつんく。
つんく「いつまでやっとんねん!」
藤井「もう〜久しぶりなんだからもうちょっとぐらいいいじゃない〜。
タカシショック。」
つんく「そんなことやってる場合とちゃうねん!」
単刀直入にいくで。例の『穴(ゲート)計画』再開や。」
藤井「ホントに?じゃ探し物が見つかったわけね?」
つんく「ああ、まず『穴(ゲート)』の第一の鍵、これはワシが持っとる。
そして『開門者』の資質を持つ娘が少し前に見つかった。」
藤井「あら〜すごいじゃない。『開門者』の能力を持つ人間は
数百年に一人ぐらいの割合でしか現れないんでしょ?」
つんく「ああ、今、あのオオバヤシさんと一緒にある場所にいる。
そしてその場所が、第一の鍵と対になる第二の鍵の眠る場所や。」
藤井「ちょっといい?今『オオバヤシさん』って言ったわよ。
軍の士気に関わるから『素子』って呼べって言われたでしょ?」
つんく「ん?すまんすまん。あいつは俺の部下やあれへんから、、、」
- 140 名前:魔王城 投稿日:2001年11月14日(水)04時21分05秒
- 藤井「しっ!声が大きいわよ!話の続きだけど、、、アッサヤヌ帝国ね?」
つんく「ビンゴ。あの時代には魔界と穴を開ける実験が行われとったからな。」
藤井「あら、すると既に計画は最終段階?あと一息?」
つんく「その最後の一息が大事や。おまえも行ってくれへんか?」
藤井「アタシとあなたの仲じゃない。行ってあげるわよ。
でもここからじゃ時間掛かるんじゃないの?」
つんく「その点なら心配ない。開門者の能力=空間能力とでも言うんかな、
空間と空間を繋いでどこでも移動できる。ドラ○もんもびっくりや。」
藤井「へえ〜ホンマに〜。それで『開門者』ってどんな奴?」
つんく「新垣っちゅう女の子やけど、、、」
藤井「な〜んだ、オトコじゃないんだ。」
つんく「・・・それと、、、ちょいと耳貸せ。」
藤井「何よ?」
つんく「・・・これがカタついたらミカ様を探し出して来てくれ。」
藤井「!、ちょっとそれどういうことよ!?」
二人は小声で話す。
つんく「ワーダの馬鹿たれがな、あろうことかミカ様を実験台にしよってな、、、」
藤井「最悪やわ〜。それでどうなったの?」
つんく「しばらく前にムロラン辺りでボンバー四天王が見たらしいんやけど、、、
事が事なだけに部下にミカ様を探せとは言えへんやろ。
あの方の本当の身分を知るのはごく一部の幹部だけ、、、」
藤井「結局何処にいるか分らない、ってわけね。」
つんく「恥ずかしながらな、、、まあ実際問題これ以上
人員を割くことができん、ちゅうのが本音なんやけど、、、」
藤井「ねえ、素子さんはこのこと知ってるの?」
つんく「それがな、何も言わへんねん、不思議なことに。」
藤井「知らないはずはないでしょ?あの人に限って。正確には人やないけど。」
- 141 名前:魔王城 投稿日:2001年11月14日(水)04時21分44秒
- つんく「素子が何考えとるかはわからん。でも今更言いにくいやろ?
大魔王様の耳に入る前になんとかせなあかん。」
藤井「それは急いだ方がよさそうね。」
つんく「こんなこと頼めるのは諜報機関トップのおまえだけや。
アッサヤヌ遺跡に行く名目は調査ってことにしといてな。」
つんくはテレパシーで素子に連絡を取る。
つんく「素子、聞こえるか?わしや。」
素子「いかがなさいました?魔王様。」
つんく「そっちに藤井を送りたいんや。」
素子「分かりました。しばしお待ちを。」
つんく「ところでそっちは順調に進んどるか?」
素子「・・・一つ問題があります。二つ目の鍵は見つけたのですが
ここから持ち運ぶことが出来ないのです。」
つんく「そうか、、、ともかく例の刀は見つかったんやろ?
どうするかは後で考えればええ。」
素子「分かりました。では後ほど。」
藤井「もう見つかったですって?これはホンマに急がんと。」
つんく「ああ、頼むで。」
- 142 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年11月19日(月)08時49分21秒
- 互いを見据えたまま、関節を鳴らす。
山口が腰を落ち着かせて拳を握りこんだ時、よっすぃーは左足から駆け出した。
同門の連中との手合わせは、互いの応用度の比べあいである。
特に邪魔の入らない純粋な一対一では、勝るためには次の手をよむしかない。
下段蹴りを防がれたよっすぃーは、そのまま変化させずに体勢を整える。
山口の右の拳を居合の要領でかわしながら、関節めがけてカウンターを繰り出す。
綺麗な形できまったにもかかわらず、手ごたえは小さかった。
山口に腕を掴まれることを恐れ、よっすぃーは壁際に避ける。
そのまま土壁を蹴り、加速しながら山口の左サイドに飛びかかる。
もし彼が拳や脚で返そうとも、強引に突破できる。
防御の構えを見せたら、強引にでも方を掴んで連係に持ち込める。
しかし、山口の応戦はよっすぃーの思い描いていたそのどちらでもなかった。
背中から取り出した短刀が、彼女の目の前に飛び出してきた。
あわてて彼の手元を平手で払うが、そのまま下腹に鈍い衝撃が走る。
うかつだった。
肉弾戦に突然でてきた刃物に気をとられ、彼の体の柔らかさを忘れていた。
そのまま壁に押さえ込まれる。
「動くな」
山口の低い声が響く。
「動けばこの刃、おまえ首を切り落とすぞ。
- 143 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年11月23日(金)00時10分42秒
- ワーダ「おまえらの相手なんぞこのワシがするまでもなかろうて。ほれ!」
ワーダの背後から巨大な影が現れる。
狛犬「キラーマシーン!(うげ)」
ワーダ「覚えとるようじゃな、こいつの強さは知っとるじゃろ?」
狛犬「こいつは・・・アッサヤヌ時代の代物だってわけ?」
ワーダ「そうじゃ!他の場所で発掘されたキラーマシーンは痛みが酷くて使いモンに
するのに一苦労じゃったが、ここにあるキラーマシーンは保存状態は極めて
良好!ちょちょいといじってやれば立派な魔王軍の兵隊となるんじゃ!」
狛犬「(かなりヤバイじゃない!元の姿でも相性最悪なのに
こっちは接近戦出来るのがいないじゃないの!)」
ワーダ「ワシがこの体を手に入れたのもこのキラーマシーンのおかげじゃ!
当時の技術に感謝せねばな。もっともこのワシの天才的な頭脳があればこそ、、、」
ワーダを無視して狛犬が石川に話し掛ける。
狛犬「キラーマシーンに魔法のダメージは通用しないわ。」
石川「え〜!?それじゃどうすればいいんですか!?」
狛犬「それじゃあね、、、」
ワーダ「どうじゃ?ん?風前の灯火とはよく言ったモンじゃな。安心して氏ぬがいい、
墓標には『大神官保田ここに散る!』とでも刻んでおくわい、ひゃっひゃひゃ」
狛犬「じゃ、準備はいい?」
石川「はい、、、おい、ワーダ!」
狛犬「(あちゃ、、、棒読みだわ)」
ワーダ「氏ぬ覚悟は出来たかの?」
石川&狛犬「「覚えておきなさい!」」
まるで悪党の捨て台詞のような言葉を残して二人と一匹はその場を走り去った。
ワーダ「、、、このワシの見せ場を台無しにしおって、、、行けい、キラーマシーンよ!
その力を以って奴らを血祭りにあげるのだ!、、、ふべべっ!」
キラーマシーンはワーダを踏みつけて石川達を追いかけ始めた。
ワーダ、再起不
ワーダ「まて、この程度で再起不能にはならんぞ、、、」
- 144 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年11月25日(日)03時18分52秒
- 三人?は走り続ける。
石川「はぁはぁ、、、お師匠様、あの機械は一体?」
狛犬「詳しいことはよくわからないけど、二年前戦った時と同じ奴だわ。
まさかあんなに完全な状態で残ってるなんて」
シバタ「あ、こっちの方が!」
シバタの示す方向へさらに走る。
狛犬「あいつには骨を折ったわ。禁呪クラスの魔法なら効果はあるんでしょうけど
雑魚相手に禁呪なんてそうそう使ってられなかったから。」
石川「その時はどうしたんですか?」
狛犬「昔戦った奴は、発掘されたのをワーダが修理したみたいなの。
ワーダのやることってどっか抜けてるから、バッテリー切れ起こしてね」
石川「じゃあ倒したわけではないんですか、、、」
狛犬「倒せない相手じゃないよ、、、よっすぃーがいればだけどね。
よっすぃーなら関節狙って切り落とすなんてことも出来るんだけど。
あいつ堅いからかなりの怪力じゃないと物理的なダメージにならないわ」
石川「・・・今は無い物ねだりしてる場合じゃありませんから、
私がどうにかします。」
狛犬「・・・あんたも言うようになったわね」
シバタ「危ない!」
狛犬の頬をかすめて壁に巨大なボウガンの矢が突き刺さる。
キラーマシーンが視界に姿を現す。
狛犬「ここで戦うのは分が悪いわ、、、あ!向こうのフロアなら!」
石川達は貯水池のようなフロアに逃げ込む。このフロアは吹き抜けで、
上部から滝のように水が流れ込んでいる。
狛犬「橋の上か、、、足場が悪いわよ、気を付けなさい!」
出入り口は一つしかない。石川は構えて敵を待つ。
- 145 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年11月25日(日)03時20分08秒
- キラーマシーンがゆっくりとフロアに進入する。地形を読みこんでいるらしい。
そしてボウガンを備えた左腕を構えて石川に向ける。
狛犬「来るわよ!」
石川「ほいっ!」
杖を振りかざして氷の塊を放つ。矢と氷が空中で衝突し、氷が砕け
ボウガンの矢は狙いを外れて飛んでいく。キラーマシーンは接近しながらなおも矢を放つ。
石川「ほいっ!ほいっ!」
氷によって矢は逸れていくが、近づくにつれ矢の逸れる方向が石川に近づいてくる。
狛犬「(やっぱりパワー負けするわね)」
石川「(こんな展開、前にもあったような、、、)」
狛犬「私が奴を引きつけるからその間にどうにかしなさい!」
そう言って狛犬はキラーマシーンめがけて突進する。
石川「お師匠様、、、シバちゃん、お願い!」
シバタは氷の妖精へと姿を変える。狛犬はキラーマシーンの体を駆け上り、
さらに頭部を蹴り上げる。狛犬になったことで人間の時よりも身体能力が向上しているが
キラーマシーンにダメージにダメージを与える程ではない。
石川「いきますよ〜、チャオー!」
シバタの周りに生まれた大量の氷の矢がキラーマシーンに襲いかかる。
勢いに押されキラーマシーンはのけぞって倒れる。生身の生物なら即死だろう。
狛犬「(全弾直撃、、、効いたかしら?)」
狛犬は石川のもとへ戻る。
石川「お師匠様、ありがとうございます。」
狛犬「礼を言うのはまだ早いよ。」
数秒程反応がなかったが、キラーマシーンは何事もなかったように立ち上がると
石川達めがけて突進してきた。
- 146 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年11月25日(日)03時21分04秒
- その速さは凄まじく、詠唱の暇はないと判断した狛犬は石川をくわえて
水面に飛び込んだ、、、がシバタの放つ冷気により水面が凍りついて足場となる。
石川「ふぅ、あぶないあぶない」
その重さのためにキラーマシーンは突進を止めることが出来ない。
よく見ると攻撃によって傷が出来ているが機器に損傷はない様だ。
狛犬「今のうちに足場を固めておきなさいよ。」
水上では逃げ場はない。石川は辺り一面を凍らせて足場を固める。
キラーマシーンは振り返り、目を光らせて再び突進してくる。
石川「大いなる精霊シヴァよ、その力を以って敵を打ち滅ぼせ!」
詠唱とともに足元から無数の氷の柱が伸びてキラーマシーンに襲いかかる。
柱とキラーマシーンは激しくぶつかり合いキラーマシーンは吹き飛ばされる。
同時に、その衝撃で砕けた大量の氷が石川に降り注ぐ。
石川「きゃあ、、、いった〜い、、、」
狛犬「いたたた、、、あれ?奴がいない、、、」
辺りを見回すとキラーマシーンの姿はなく機械音も聞こえない。
狛犬「どこに、、、」
その時足元を高速で赤い光がよぎる。
狛犬「まさか!」
振り返ると同時に氷を突き破ってキラーマシーンが飛び出してきた。
高く飛び上がったキラーマシーンはサーベルを持って斬りかかってくる。
狛犬「水陸両用!?」
石川「どうも〜、チャーミー石川で〜す!」
石川は目の前に氷の柱を足元から伸ばしてガードするが柱はサーベルに叩き壊され、
キラーマシーンの落ちてきた衝撃により石川達は足場ごと吹き飛ばされる。
- 147 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年11月25日(日)21時36分40秒
- よっすぃー「なんで・・・剣なんて・・」
山口「誰も武器なしでやるなんて言ってないぞ」
よっすぃー「っく・・・卑怯な!」
山口「なんとでも言え
それよりも、この状況を打破する術を考えた方がいいんじゃないか?」
右肩は完全に掴まれている。
左は二の腕を押さえ込まれ、手は山口の首にも届かない。
右足は靴ごと踏まれ、関節さえも封じられている。
左足はふとももに鈍い一撃が入ったままだ。
そして頭は壁にはりつけとなり、額と額が真正面から重なり合っている。
身体と身体が密着した、まさに超近距離戦。
- 148 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年11月25日(日)21時37分14秒
- よっすぃーは冷静に腹筋を浮かせ、下に回り込もうとする。
しかし彼女がその素振りを見せた次の瞬間、左足を押さえつけていた脚が、今度はわき腹にささる。
少しは自由が利く左手を動かすが、山口はびくともしない。
左足で壁を蹴るが、彼はびくとも動かない。
やみくもに四肢を動かすが、上半身は綺麗に押さえ込まれていて、動くことさえままならない。
脚だって、もがく以上にはならない。
その時になってはじめて気づく。
重心を移行することも、小手先で隙をつくことも出来ない。
父から教わった全ての格闘術も、野戦で鍛えた跳躍力も、居合いの経験で得た見切りのセンスも、この距離では役に立たない。
重い身体を動かすには、上回る筋力が必要だという事実。
- 149 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月02日(日)11時32分45秒
- アビディがごまに向かって右ストレートを繰り出す。
ごま「おりゃっ!」
ごまはアビディの右腕を取りカウンターで一本背負いを放つ。
ごま「あちちち、、、そういや火あぶりにしてたんだよね」
マークが飯田に向かって走り出す。
飯田「かおりの剣、頼むよ。ディアーーー」
飯田は剣を振りかざして衝撃波を起こす。真空波とは比べ物にならない程の衝撃が
マークに襲いかかる。
飯田「え、うそ、、、」
マークは衝撃波に吹き飛ばされることなくそれどころか衝撃波を打ち破ろうと
しているが、衝撃波に押されゆっくりと後ずさりしている。
ごま「むしろ好都合だね、標的が動かないのは」
ごまの右手に五本の炎が沸き起こる。
ごま「フィンガーフレアボムズ!」
五本のメラゾーマはそれぞれ石像を焦げ付かせる。
ピーター「(こんな攻撃に何の意味がある?)」
フィリオ「(俺達は石像だぜ、、、)」
マーク「(こんな魔法が通じると思っているのか?)」
レイ「(まあ、なかなか楽しませてもらったが、、、)」
アビディ「(もう、これで終わりだ!)」
メラゾーマの炎はまだ消えていないが、石像達は皆立ち上がり飯田達ににじり寄ってくる。
そしてお互いの間合いの手前まで来て立ち止まる。
ピーター「(この炎が尽きた時がおまえ達の最後だ)」
ごま「そうでもないよ、、、」
ピーターの心を読んだごまがつぶやく。炎が消え石像達が動こうとする
その寸前、紺野が詠唱を終えた。
紺野「・・・水の精霊ウンディーネよ、力を貸し給え、メイルシュトローム」
- 150 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月02日(日)11時34分30秒
- ごまが先程開けた穴からおびただしい量の水が重力に逆らって昇ってくる。
水はうねりながら石像達を包んで押し流す。
長瀬「そうか!これの為に火炎系魔法使ってたのか!」
国分「高温になったものを急激に冷やすと、、、」
ごま「割れちゃうんだよね」
水は激しく渦を巻いて石像達を藻屑のごとく弄ぶ。
紺野「ふう、、、」
やがて渦は石像達を吐き出し生き物のように引いていく。もはや石像達が戦える状態
でないことは一目瞭然だった。五人の石像達は体中がひび割れ見る影もない。
石像達はそれ以上動こうとしなかった。
飯田「第一ラウンドはかおり達の勝ちだもんね」
長瀬「ああ、でも早速第二ラウンドやるみたいだぜ」
今まで様子を見ていた三体の石像が臨戦体勢をとってじりじりと近づいてくる。
ごま「あれ?」
石像達は明らかにごまに狙いを定めていた。ごまの前に飯田、長瀬、国分が立ちはだかる。
紺野は後方で座り込んでいる。石像達が一気に間合いを詰めに掛かる。
飯田「でぃあ!」
長瀬「おりゃ!」
国分「どりゃ!」
ごま「(先手必勝!)イ、オ、ら!?」
長瀬はレ・バンナに、国分はベルナルドに一撃で吹き飛ばされ、
ホーストに飛ばされた飯田はごまに激突する。
ごま「お〜ととっと、、、」
飯田を受け止めるごま。
- 151 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月02日(日)11時36分24秒
- 飯田「ディアーーー!!」
飯田は剣を振りかざして衝撃波を起こす。他の二体より細いホーストは
衝撃波に耐えられず後方へ飛ばされるが、ベルナルドはそれに耐え、
レ・バンナは衝撃波を突き破ってごまへ突進してくる。
国分「お返しだよ、ヒャダルコ」
長瀬「食らいな!」
国分はバトルアックスにヒャダルコを、長瀬は剣にイオラを込め、
同時にレ・バンナへ詰め寄る。
国分「はっ!」
長瀬「電光石夏!」
ごまの手前で国分とレ・バンナが交わり、一瞬遅れて長瀬の剣が爆発をともなって
レ・バンナを弾き飛ばす。
長瀬「決まったな」
国分「ワイルド&マイルドなんて久々だったけどね」
ごまは衝撃波を打ち破ろうとして身動きのとれないベルナルドに近づく。
ごま「イオラ、、、撃たずにそのまま掌底!」
衝撃波と押し合う状態になっていたベルナルドにイオラの衝撃が加えられると、
いとも容易く吹き飛んでいき、そのまま壁にめり込んだ。
飯田「ん?もう一人は?」
その時飯田の背後に強い衝撃が走る。いつの間にか回り込んだホーストが
ハイキックを打っていた。蹴りは飯田の首から後頭部にかけて直撃した。
飯田はもうろうとしながら崩れ落ちる。
長瀬「そういやまだ残ってやがったな!」
国分と長瀬は一歩ずつホーストとの間合いを詰める。最初に国分が動き長瀬がそれに続く。
国分「でいや!」
長瀬「ぐはっ!」
国分を飛び越えてかわしたホーストは、そのまま長瀬に蹴りを浴びせる。
長瀬のひざが床につく。
- 152 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月02日(日)11時37分22秒
- 国分「くっ!」
国分は振り向きざまにホーストに攻撃を仕掛けるが、重い斧では思うように当たらず
逆にホーストの的確な打撃を食らってしまう。
国分「ぐっ!かはっ!う、、」
ホーストにロー、ミドル、ハイと三発続けて蹴りを受け、国分は床にうずくまる。
ごま「(狭い場所だけどやるしかない、、、)」
ごまは目を閉じて詠唱の体勢に入る。
ごま「(もう少しこっちに、、、)」
ホーストがごまに向かって走り出す。
ごま「そこだ!イ、オ、ナ」
詠唱が終わる寸前、ごまの視界にレ・バンナが飛び込んでくる。
ごま「(もう二人同時にはかわせない。だったら!)」
ごまはレ・バンナに狙いを定める。
ごま「ズン!」
ごまは攻撃範囲を一方向に絞ってイオナズンを放った。敵味方が
ばらばらの位置にいるため、ごまは本来の広範囲への攻撃にはしなかった。
レ・バンナは一瞬にして吹き飛ばされる。
攻撃を受けてないホーストがごまに近づいてハイキックを打つ。
ごま「、、、きゅ〜ん、、、」
ごまの細腕で蹴りの威力を殺し切ることは出来ず、頭部まで伝わった衝撃が
意識を断ち切る。ゴマの姿を見てホーストは不思議そうにしていたが、
思い出したように紺野に向かって歩みを進める。
紺野「(動けない、、、痛いよ、、、)」
紺野にはもう立ち上がる体力すら残っていなかった。
- 153 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月02日(日)11時38分18秒
- 紺野は氏を覚悟した。ゆっくりと近づいてくる石像、足の怪我、痛み、
意識を失った仲間、最早なす術のない状況。紺野はその時初めて
恐怖というものを理解した。わなわなと体が震え出す。
紺野「あ、、あ、、あ、、、」
助けを求めることさえ出来ない。
紺野「、、、ぐす、、、ぐす、、、」
常に冷静を装っていた紺野から涙がこぼれる。だが、ゆっくりと氏の使者は近づいてくる。
紺野「・・・、、、・・・、、、」
なんとか声を上げようとする。
紺野「い、、や、、、」
氏の使者はもう目の前だった。
紺野「いやーーーー!!」
ホーストは手を出せば届くところにいた。
紺野「、、、、、」
紺野は目を閉じ震えていた。
紺野「、、、、、」
何故か足音が遠のいていく。
紺野「、、、、?」
目を開けると立ち上がった飯田の姿があった。
飯田「かまえ、、、剣の力、、、」
飯田は剣を上段に構える。
飯田「よっすぃー、、、まだつづけるのー、、、」
どうやら飯田の意識は無いに等しいようだ。
ベルナルドは壁から抜け出しホーストと二人で飯田の前後をはさむ。
- 154 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月02日(日)11時39分31秒
- それは一瞬の出来事だった。
飯田は目にもとまらぬ速さで剣を振り下ろす。同時に発生した真空波と衝撃波は
混ざり合い、ホーストを一撃のもとに打ち砕き、文字通り崩れ落ちた。
一撃目を放った時点で飯田は振り返りベルナルドにも同じ攻撃を加えていた。
攻撃を受けた後にベルナルドの姿はなく、そこには残骸だけがあった。
ベルナルド「(今そっち逝くぜ、アンディ、、、)」
最後に残ったレ・バンナは既に体がひび割れていたが、かまうことなく
飯田に襲いかかる。飯田とレ・バンナがクロスする。一瞬何事もなかったように
感じられたが、レ・バンナは粉々になって砕け落ちる。
飯田「、、、、、」
飯田はふらふらと紺野に近づく。
紺野「、、あの、、あの、、飯田さん」
飯田「、、、、」
紺野「飯田さん?」
飯田「、、、紺野?はっ!敵はどこ!?」
紺野「、、飯田さんが倒しちゃいました、、、」
飯田「そうだっけ?まあいいか。紺野怪我ない?」
紺野「、、、、」
飯田「紺野?どこか痛いの?」
紺野「(無言で飯田に抱きつく)」
飯田「、、紺野?」
紺野「、、ひっく、ひっく、、」
飯田「、、よしよし」
- 155 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月08日(土)07時21分43秒
- 矢口「あーっ、ナッチー!!」
視界が悪い上に、ナッチーは更に奥へ進み、まったく見えなくなってしまった。
矢口「駄目だ!見失う、、、ごめん、おいら先に行くよ!!」
Д<「って、車も動けないし、どうするつもりなん?」
矢口「ふっふっふ!こんな時のために、ちゃんと準備をしておいたのさ!!」
バサッ!
矢口は荷台被せてあったシーツを勢い良く剥ぎ取った。
Д<「またこのパターンかい!」
城島「おお、これは、、、」
Д<「!!、わかったで!、ここをこう持って、えっほ、えっほ!」
それを使って穴を掘るジェスチャーをするあいぼん。
Д<「シャベル!!」
矢口「ブー!!」
つじ「あーい!、いっただっきまーす!」
矢口「ブー!!、っていうかやめなさいって!!」
ニコニコと笑顔でそれに噛み付こうとする辻を止める矢口。
ミカ「ワカッター!!キックボード?」
矢口「ピンポーン!!そう。キックボード!
もちろんただのキックボードじゃない。電動のキックボードなんだ!」
Д<「な、なんやいなそりゃ?」
矢口「ふっふっふー!今回は今までの作品とは一味違うよ!!
なんと、ブレーキも、エンジンも、スロットルも、ギアシフトもない、
ジャイロによってバランスを保ち、氷上でも転倒しない!
しかも1日中乗り回しても電気代は5ゴールドで済むという、まさに世紀の大!発!明!!」
全員「おお〜〜」
矢口「ここから帰ったら特許とるから。特許。キャハハハハ」
感嘆するみんなの表情に、機嫌がよくなる矢口。
- 156 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月08日(土)07時24分58秒
- 矢口「名前は、そうだなあ、おいらの発明だから、マリンジャーってのはどう?」
つじ「らさーい(ぼそっ)」
Д<「でもなあ、ほんまに運転できるん?」
あんまり調子の良さそうな矢口を見て不安になるあいぼん。
矢口「ん?、大丈夫だよ。これを見よ!」
矢口は肩から下げたポシェットから、
どっかの御老人の付き人の印籠のように一枚のプレートを差し出した。
そこにはごちゃごちゃと細かい文字と、3cm四方くらいの写真がくっついている。
矢口「じゃーん!、おいらは原付免許を持ってるんだよーん。」
矢口が得意げに免許を戻そうとすると、
Д<「ん??、ちょい待ち!!」
あいぼんが矢口の腕をがしっと掴んで、プレートを自分の前に引き寄せた。
矢口「な、、なんだよ??」
あいぼんはそれをまじまじと見つめた。
Д<「この写真、、、、メイク、忘れたん?」
矢口「うっ、、違うよっ!!ちょっと写りが悪かっただけ!!余計なお世話だっ!!」
矢口は慌ててあいぼんの腕を振り払い、免許証をポシェットに戻した。
その時、イオナズンで吹っ飛んだはずのパペットマンが再び起き始めた。
後ろからオークの群れも迫ってくる。
矢口「ああっ急がなきゃ!あとよろしく!」
矢口は急いでボードに足をかけると発進し、小回りを利かせてパペットマン達をよけ、煙の先に進んだ。
Д<「っていうかそもそもそれ乗るのに、原付免許は意味無い、、、」
矢口「ナッチーーー!!まってよーーー!」
- 157 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月08日(土)23時22分12秒
- 山口「動かせるところは見つかったか?」
至近距離での言葉がよっすぃーに伝わる。
そんなこと言われても、上半身は揺さぶるのがやっとだし、下半身も充分にとられている。
力でなければ跳ね返せない状況。
封鎖された町外れの地下空間のそのまた地下。
薄暗い照明の中、よっすぃーは数センチ先にある山口の顔を見つめる。
彼はあごを少しだけ動かした。
それを見て、よっすぃーにも彼が示していることが何だかわかる。
よっすぃーも、押さえ込まれた額を軸にするようにして、頭を微動させる。
山口「そう、動かせるだろ」
額を押えられた状態で動かせても、何ができるというのか。
いったい彼は何を考えているのだろうか。
答えがあるようにはとうてい思えない。
しかし、彼の瞳は真正面からよっすぃーを見据えている。
睨み返す。
歯を食い縛る。
目が合う。
そのまま数秒。
頭が傾ぐ。
10mほど離れた所に放られたままのたいまつの光。
逆方向に伸びた二つの影が、今ゆっくりと重なる。
- 158 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月08日(土)23時22分38秒
- 山口「くっ」
唇を噛み切られた山口が、重心を左半身に傾ける。
その瞬間、よっすぃーの左足が山口を蹴り上げる。
その一発を骨盤にあて、次なる一撃を山口は完全に守勢で防ぐ。
ふいに彼は壁を蹴って、後方に跳び退く。
次のよっすぃーの攻め手、彼女は足を踏み出さなかった。
互いに構えを崩し、荒い息を吐く。
山口「やりゃできるじゃねえか」
唇から流れる鮮血を、彼は右手の甲で拭う。
よっすぃー「好きじゃない、こういうの」
山口をじっと睨む。
よっすぃー「女の色仕事みたいだ」
自分の言葉に、更に体を強張らせる。
山口「そう硬くなるな。
もっと柔軟に考えろ」
再び視線がぶつかり、彼は譲らずに続ける。
山口「だいたい、俺がこの短刀を抜けば、今ごろお前の首はふっとんでいた」
逃げられない事実に、よっすぃーは苦々しさを噛み締める。
- 159 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月08日(土)23時23分18秒
- 山口「そう恐い顔すんなよ」
彼は背を向け、たいまつを拾いあげながらそう言った。
山口「ただ臨機応変にやれってことだ」
そして戻ってきて、改めて向き直る。
山口「誇りってのも大事だが、死んだらもともこもない」
よっすぃー「それって・・」
山口「師範の言葉」
急に戻ってきた実感に、息をのむ。
山口「お嬢が旅立つ前に、師範は技術の全てを教え込んでいた。
ただ、それでもお嬢が旅立った後、随分と心配されていたさ。
それは初めての旅立ちが独りってことだけじゃなく、だ。」
よっすぃー「・・・」
山口「どんな技術だって、才能があれば幼くとも習得できるかもしれない。
だけど、精神鍛錬ってはのは違う。
どうやったって、10やそこらのガキにゃ教え込めない」
よっすぃーは目を閉じる。
父が自分に伝えられなかったものがなんなのか、徐々に見えてくる。
山口「死んじゃなんねえ
そして、人の命も奪えない」
- 160 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月08日(土)23時23分56秒
- よっすぃー「武道家・・・みたいだね」
山口「お前だって、冒険者である以前に武道家だろ」
よっすぃー「だとしたら、なりきれてないのかもしれない」
山口「お嬢はまだ若い」
よっすぃー「もう若さで言い訳できる歳でもないよ」
山口「それがわかってんなら、無駄に拳は振るうな」
今ならわかる。彼が何を言っているのか。
ただ先ほどの堂本とやらとの一件だけではないことを。
それは、もう一人の自分に向けられている気もした。
山口「それにさっき思ったんだけどさ、お前は才能あると思うぞ。」
よっすぃー「は?」
山口「拳以外で事を収める才能」
よっすぃー「……それって、私に男をたらしこめって言ってんの?」
山口「別に男に限った話はしてないよ」
よっすぃー「え?」
- 161 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月08日(土)23時24分35秒
- よっすぃー「ねえ達兄、どういうこと?」
山口「さあな」
二人は再び歩き出す。
咲いながら、幼き日と同じように。
よっすぃーは兄弟子の後ろについて歩く。
山口「おや」
よっすぃー「これは・・」
山口「ワープ装置みたいなものかな」
よっすぃー「行ってみよっか」
山口「ああ」
ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅる・・・
(画面が渦を巻いて回ってると思いねえ)
・・・ちゅるちゅるちゅるちゅるちゅる
ワープした先の光景に、思わずよっすぃーは声をあげる
よっすぃー「あ!」
はたしてその時二人は何を目撃したのか!?
どうなるカオリンクエスト!!!
- 162 名前:[第12章・アッサヤヌの遺跡 ]編・冒険のしおり 投稿日:2001年12月09日(日)10時52分13秒
- ◆現状整理
狛犬保田・石川・シバタ
[東館]にてワーダ博士のキラーマシンと戦闘中
ナッチー
[西館]にて混乱のまま逃走
矢口
キックボードで一人先にナッチーを追う
アイボン・つじ・ミカ・城島
ミニモニバスで更にその後を追う。但し周囲には魔物の群れ
カオリ・ごま・紺野・国分・長瀬
[本館]にて動く石像達を打ち倒した
よっすぃー・山口
[北館]から転移装置でワープしたところ
◇今回登場したキャラクター
冒険者パーティー・トキオ >>50-54
→腕覚えの冒険者達。一行と行動をともにしている
魔王軍・ワーダ博士
→今回は新垣の洗脳を担当
◆登場が予想されるキャラクター
魔王軍隠密部隊・シェキドル >>22
→参謀長命により今回の作戦に参加
冒険者・高橋愛 >>32
→ミチーヨの認定でダンジョンの中に入る
魔王軍参謀長・大林素子 >>40 >>102
→身長185cm
開門者・新垣 >>33 >>102
→数百年に一人という才能の持ち主
魔王軍諜報機関(FJI)局長・藤井 >>139-141
→計画の詰め、そしてミカの身柄確保を命じられる
- 163 名前:[第12章・アッサヤヌの遺跡 投稿日:2001年12月09日(日)10時52分57秒
- ◇魔物の群れ
[本館]の動く石像
→計8体。勇者らによって倒される
[西館]の魔物の群れ >>96-97 >>122-123
→パペットマン・ダークアイ・オーク・オークキング
◆おそらくは伏線であろうと思われるネタ振り
「襲撃されたダーマサイタ」 >>41-42
「粘液」 >>42
「保田の無くしたペンダント」 >>57
「東館の貯蔵庫」 >>93
「第二の鍵となる刀」「穴(ゲート)計画」 >>102 >>139
◇乗り物のスペック
「ミニモニバス」 >>106-107
「キックボード・マリンジャー」 >>155-156
◆技
舞(つじ・Д<) >>4
真空波(飯田) >>72 >>154
それでは、引き続き本編をお楽しみください。
- 164 名前:魔界への鍵 投稿日:2001年12月12日(水)00時02分34秒
- 素子「魔界と人間界を人間一人の力で繋ぐなんてことは不可能だ。
だからその力を補助するために二本の刀が必要なのだ。魔王様の
所有する刀は『風刃』といって空間に穴を開けるために、
そしてここにあるのが『雷刃』といって空間に開いた穴を安定させるために
用いる。それぞれの刀には風神と雷神が宿っているという伝承があるが、、、
まあマユツバものだがな。ともかく刀に秘められた魔力は本物だ。」
藤井「昔つんくちゃんも魔界に通じる穴を作ろうとしてたけど
不完全ながらも穴が開いちゃったのは『風刃』のおかげなのね。」
素子「そうだ。魔王様は『風刃』と自身の強大な魔力で強引に魔界への穴を
開こうとなさったが、それでは完全なゲートにはならない。
この新垣の能力と『風刃』、『雷刃』。三つが揃えばそれで良いと
思っていたのだが、、、この『雷刃』が台座に刺さったまま抜けん」
藤井「、、じゃあ台座ごと持っていったら?」
素子「それも出来なかった。見てろ、、、」
素子が剣を抜き、台座へ振り下ろす。すると台座に触れる寸前
雷刃が光りなにか見えない力で弾かれる。
素子「この通りだ。ご丁寧に封印が施されている。
床ごとえぐろうとしても今見た通りになる」
藤井「、、、じゃあ『風刃』を持ってくればいいのではなくて?」
素子「それは無理だ。実際に『穴』を開けるのは満月の夜に月明かりの
元で行わなければならない。」
藤井「う〜ん、、、」
素子「遺跡の内部に封印を解除する何かがあれば良いのだが、、、」
藤井「わかりましたー調査してきまーす」
- 165 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月12日(水)00時04分53秒
・・・・・・
藤井「とは言ったものの、、、あー!カビ臭いったらありゃしないわ、ホントに」
いくつか転送装置を通って遺跡をさまよう、、、もとい調査する藤井。
「うなー!」
遠くから爆音と悲鳴が聞こえる。
藤井「女のコの悲鳴、、、ああ、なにか楽しげな予感がするわぁ、、、」
目的を忘れ悲鳴の聞こえた方へと足を進める藤井。
- 166 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月13日(木)02時47分17秒
- 山口「おいしっかりしろ!」
よっすぃー「みんな、大丈夫!?」
そこには負傷した飯田達の姿があった。ワープ装置は
一方通行用だったらしく足元には何もなかった。
山口「太一!太一!」
国分「うん、、、」
飯田「よっすぃー?」
・・・・・・
ゴマ「zzz、、、きゅぅ」
よっすぃー「大変でしたね、動く石像が相手だなんて」
飯田「うん、ごまと紺野がいなかったらやばかった」
よっすぃー「(意思のある動く石像、、?そんなの初めて聞いた、、)」
山口「もしかするとこの石像、元は人間だったのかもな」
飯田「、、、そうかも知れないね」
山口「おいおい、本気にするなよ。言ってみただけさ」
よっすぃー「それはそうと、紺野が目を覚ましませんね」
国分「この子の足の怪我、呪いによるものらしいんだ。今の俺達じゃ治療はできないよ」
よっすぃー「梨華ちゃんか保田さんがいないとだめですね」
長瀬「、、、なんか寒くないか?」
よっすぃー「この冷気、、梨華ちゃん?」
山口「この下からから伝わってくるな」
山口は先程の戦いでごまの開けた穴をのぞきこむ。どうも地下水路らしい。
国分「魔力の高まりを感じる。地下水路の流れに沿って行けば
石川さんの所にたどり着くかも」
山口「通路も見えるぞ。行ってみる価値はありそうだな」
飯田「魔力の高まり、、?戦闘中なの?」
- 167 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月13日(木)02時49分00秒
- 研究室らしき部屋の並ぶ廊下を少女が歩いていた。
??「ここは何かあるのかな?」
ドアを開け部屋に入る少女。
アミ「誰だ!」
??「ごめんなさい、存在感がなかったから誰もいないと思って、、」
真己「あ?」
??「そうじゃなくて、影が薄い、、でもなくて、、」
アミ「・・・・・・」
??「隠密だから気配がしなかったんです。勝手に入ってごめんなさい」
沙紀「、、、名乗れ」
??「高橋 愛15歳です。えーと好きな食べ物は」
真己「(ぶちっ)誰が自己紹介しろって言った!?この小娘ぇ!」
ぶちキレた真己は小刀で高橋を斬りつける。
高橋「きゃあっ!」
次の瞬間宙を舞っていたのは真己だった。受身も取れず壁に叩きつけられる。
アミ「真己!、、、鎖骨が折れてる、両方とも、、、」
沙紀「あの一瞬で三発も入れたのか、何者だ?」
高橋「冒険者ですよ」
沙紀「新米冒険者よ、生きて帰れると思うなよ」
- 168 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年12月13日(木)02時52分15秒
- キラーマシーンは再び水中へ沈む。空中に投げ出された石川も
同じく水中へと落ちていく。狛犬は水上から石川を見守る。
狛犬「石川、あんたなら出来るよ、、、」
石川「(キラーマシーンは?)」
シバタ「(向こうだよ)」
シバタの指す方向に赤い光が見える。光が一瞬強くなり石川に向かって動き出した。
石川「(来る!多分今しかチャンスはない)」
石川が杖を構え魔力高める。
キラーマシーンはスピードを上げて接近してくる。
石川「(今だ!力を貸してシバちゃん!)」
石川は高めた魔力を一気に放出し、キラーマシーンを氷漬けにする。
氷漬けになったものの勢いは完全には止まらず、
氷の塊と化したキラーマシーンが激突し石川は気を失う。
狛犬「動きがないわね、、、」
気を失った石川が水上に浮いてくると狛犬は迷わず飛び込む。
狛犬「はい、ごくろうさん」
狛犬は石川を水上に引き上げる。
ぶるるるるるる、、、
シバタ「あう、、、なんかいや」
雨に濡れた犬のごとく体を震わせる狛犬、その水をかぶって嫌がるシバタ。
ワーダがあらわれた!
ワーダ「まだじゃ!まだ終わらんぞ!」
狛犬「しっつこいわね〜」
- 169 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年12月13日(木)02時53分51秒
- ワーダ「一機だけと思うなよ、行けい!キラーマシーン100号、178号!ぐっ、へっ!」
ワーダはやはりキラーマシーンに踏みつけられる。
狛犬「起きろ!石川!、、くそ」
??「うあー!」
その時貯水池に流れ込む、上層部の水路から男が落ちてきてみずしぶきを上げる。
その男とは、、、
??「おー寒いぞ、ちくしょー」
狛犬「松岡さん!助けて!」
松岡「ん?あれは石川、、こらワン公!人間様を襲おうとはいい度胸じゃねえか!」
凄まじい勢いで松岡は狛犬に殴りかかろうとする。
狛犬「あたし保田ですよ〜」
松岡「あん?本当か?」
狛犬「お願い信じて〜」
松岡「はっはっは、こんな顔した犬がいるかっての。わかってるって」
狛犬「(、、、それってどういう意味なのよ!)、、あ!そのペンダント!」
松岡はプッチペンダントを首から下げていた。
松岡「おお、これ保田のか」
シバタ「松岡さん、後ろ!」
100号と178号がサーベルを振り下ろさんとしていた。
松岡「甘いぜ、このポンコツが!」
松岡は振り返らずに腕を交差させて掌をそれぞれ100号と178号に向ける。
松岡「はあ!」
掌が一瞬光ったと思うと爆発が起こり100号と178号は吹き飛んだ。
狛犬「おお、それは氣ですか?」
松岡「ああ。ちょっと待ってろ、すぐに片付けてやる」
- 170 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年12月13日(木)02時55分22秒
- ワーダ「すぐに片付けてやるじゃとぉ?そりゃあこっちのセリフじゃい!」
松岡「ぬうぅぅぅぉぉお」
松岡は全身に氣を漂わせ高める。そして全身をおおっていた氣は掌に凝縮された。
松岡「、、近づいてこい」
ワーダ「さあ、奴を頃せぃ!100号、178号!」
100号は空中に高く飛び上がりサーベルを構えて落ちてくる。178号は姿が見当たらない。
松岡「真夏の硬・線・破!!」
100号へ向かって右の氣弾を破裂させると衝撃が100号を貫き内部から爆発を起こさせる。
松岡「もう一匹は、ここだろ!?」
松岡は左手を肩まで引き真下の氷へ向かって氣弾を破裂させる。
氷が砕け、そして178号を衝撃が貫き178号は破壊された。
ワーダ「バ、バカな科学の結晶が一撃で、、、」
松岡「さあ、今度はおまえが相手か?」
飯田「おーい、石川ー!」
よっすぃー「あ、保田さんだ」
狛犬「ワーダさん、なにか遺言はあるかしら?」
飯田「ああっ!?あいつ!」
よっすぃー「おや、あれは、、、」
飯田&よっすぃー「ワーダ!(ですね)」
ワーダ「(マズイ、マズイですぞ!大戦時のメンバーのほとんどがそろってる上に
この男の仲間まで加わったらワシ一人じゃどうにもならんぞ!)」
ワーダコンピュータ、フル回転中。
狛犬「さあ、どうする?」
シバタ「(どうするどうする)」
ワーダ「、、、変身!」
飯田&よっすぃー「(うわあ、、、)」
ワーダは変形するとあっという間に飛び立ってしまった。
ワーダ「さらばじゃあ!ひゃっひゃっひゃっひゃっ、、、」
- 171 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年12月13日(木)02時57分11秒
- 飯田「もう、びっくりしたなあ」
よっすぃー「私もですよ。驚いてなかったらワーダを捕まえたんですが。
ところで保田さんどうしたんですか?」
狛犬「あ、そうだ。松岡さんペンダント首にかけてもらえます?」
狛犬にペンダントをかける松岡。
保田「はあ、やっと人間に戻れたわ。」
長瀬「ヒソヒソ、、、なあ、あれ顔変わってないよな」
国分「ヒソヒソ、、、うん、僕もそう思う」
保田「ベホマラー」
みんなの傷が回復した!
保田「石川ぁ、起きなさい」
ぺちぺちぺち、、、、石川は目を覚まさない。
よっすぃー「ごっちん、起きて」
ごま「んあ?」
よっすぃー「梨華ちゃん起こしてくれない?」
ごま「そしたら寝てていい?」
よっすぃー「いーよー」
ごま「うーん、起きてー梨華ちゃん」
ごまは石川の肩を激しく揺さぶる。
石川「う、ん、ん、な、な、ん、な、の、?」
保田「はい、ストップ」
ごま「あとはよろしくぅ」
ごまを止める保田。ごまは眠りにつく。
石川「あれ?お師匠様、、」
保田「とりあえず紺野を回復して」
相変わらず扱いが悪い石川であった。
山口「全員そろったか?まだ足りないような気がするけど」
長瀬「俺に太一、達也、松岡、リーダーは、、置いてきたな、そう言えば」
飯田「かおりでしょ、ごまに紺野によっすぃー、圭ちゃん、石川、シバタ、あ、ナッチー、、」
- 172 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月13日(木)05時21分23秒
- 電動キックボードでナッチーを追いかける矢口。
矢口「おおー。想像以上に良く走る。おいらって天才!キャハハ
・・・・でも、ちょっと遅いの難点だなあ。あとで直そう。」
この程度の距離で、矢口なら走ったほうが断然速いと思える、
時速約20キロでしばらく走るうち、ナッチーに追いついた。
矢口「ナッチーーー!!」
ナッチー「!!、矢口!どしたのー?こんな所まで。置き去りにされてたはずっしょ?」
矢口はナッチーに追いつくと、キックボードから降りた。
ナッチー「?」
ナッチーはそれを不思議そうに眺めた。
矢口「違うってナッチー。子守りをさせられてたの。。そんなことより、、」
矢口はパペットマンとナッチーの後ろに憑いている目玉を睨んだ。
ナッチー「あ、この人?、えへへっ。紹介するっしょ。この人がナッチーの、、」
ナッチーは顔を赤くして、嬉しそうにパペットマンの手を引いて、紹介する。
矢口「えい!!」
話の途中で、矢口は目玉に攻撃を仕掛ける。
目玉は矢口に触手を伸ばすが、
ドンッ!
矢口をとらえる事はできず、一撃でナッチーの頭から吹き飛んで、文字通り目を回した。
ナッチー「!??」
矢口「おりゃあ!」
バキ
更に矢口は、パペットマンに一撃。
操り手がいなくなったせいか、パペットマンは膝から倒れ、そのまま沈黙した。
ナッチー「ああっ!!?」
- 173 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月13日(木)05時25分45秒
- 矢口「はぁ。やったっ!!、、大丈夫?ナッチー」
敵が弱かったことに安心して、すぐさまナッチーに振り向く矢口。
ナッチー「あ、、、なして?、何てことするのさ!矢口!!
オシオさんオシオさん!?」
矢口「え?」
矢口を通り越し、壊れた木偶人形に走りよるナッチー。
矢口「洗脳が、、解けない、、、?」
ナッチー「大丈夫かい?大丈夫かい?」
動かないパペットマンを必死にゆすり、声をかける。
矢口「ナッチー!」
ナッチー「動かない。い、、今、助けるべさ!急いで圭ちゃんを探して、、」
矢口「ナッチー、待って!!違うんだ。」
矢口がナッチーの肩に手をかけようとすると、
ナッチー「・・・・何を言ってるのさ?この子は??」
ナッチーは嫌そうにそれを振り払ってパペットマンを背中に担いだ。
矢口「ナッチー、、違うんだって!、ナッチーは操られてるんだ!
良く見て!その人、オシオって人じゃない!ただの人形だよ!!
それと、あの目玉に、、見て!ナッチーの頭にくっついてたんだ。」
さっき殴り飛ばした目玉を指差す。
ナッチー「いくら矢口でも、オシオさんにこんなことした事、ナッチーは許さないべさ。
オシオさんはナッチーの大事な人なんだべ!それを、、、
でも今はオシオさんを助ける方が先っしょ。協力してくれれば、今は勘弁するっしょ。」
会話が噛み合わない。ナッチーは本当に切羽詰っている。理解できない矢口の行動と、
オシオの危機に冷静な態度を取ろうとしながら、目の奥には焦りを隠せない。
- 174 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月13日(木)05時28分43秒
- 矢口「目を覚ましてよ!!ナッチー」
矢口はナッチーの両肩をおさえ、ゆする。
ドン!
ナッチーは両手がふさがっているので肩で矢口を押し、離した。
矢口「あっ、」
矢口は尻餅をついた。
ナッチー「邪魔するなら、容赦しないっしょ!」
矢口「いてて、、」
ナッチー「矢口とは、一番気が合うと思ってたのに、
こんなことする人だとは思わなかったしょ!みそこなったべさ!!」
その言葉に、矢口は少し胸が痛んだ。
少し考えてから、パンパンと埃を払って立ち上がる。
矢口「うん、、、もういいよ!今は許さなくて。
矢口が、ナッチーをぶっ叩いて、正気に戻してやるから!!」
矢口は覚悟し、ナッチーに対して構えを取った。
ナッチー「・・・ふんっ、そんなこと言ったって、矢口はもうナッチーには勝てないべさ。
矢口とよく似てる、強ーい人にもナッチーは勝ったんだべ。」
矢口「う、、それって、、ボンバー四天王の、」
ボンバー四天王の強さは同じく四天王のルルと戦い、負けた矢口はよく知っている。
ナッチーはその四天王の一人、信田に勝ったのだ。信田は驚異的なスピードと身のこなし、
そして魔法拳を武器とする格闘家だった。気と魔法拳という違いはあるものの、
確かに格闘のタイプとしては矢口と似ている。
矢口「でも、、、今までの矢口じゃないんだぞ!
あの後も、船に乗ってるときも、ずーっと修行してたんだから!!」
ナッチー「ふふん。」
ナッチーは鼻で笑った。
矢口「な、なにさ?」
ナッチー「知ってる。」
- 175 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月13日(木)05時32分13秒
- 得意げに言うナッチー。
矢口「ええっ?」
ナッチー「知ってる。矢口が氣の修行してたって事。知ってる。
したっけ矢口こそ、ナッチーがその間ボーっとしてたと思ってるんでないかい?
ナッチーだって、実はいろいろやってたんだべさ。今までのナッチーじゃないべさ。」
矢口「くっ、、、知ってる!矢口だって!」
本当は知らない。ボーっとしてたとも思ってないけど、食べてるとこばっかり見ていたし。
ナッチー「むっ、、」
ナッチーは背中からパペットマンをおろし、ちょっと待っててと声をかけると、
自分のバッグからペットボトルを取り出した。
ナッチー「これで何するかわかるかい?」
矢口「の、飲むの?」
矢口はゴクッと喉を鳴らした。自分の喉も随分渇いている。
ナッチーはにやっと笑った。
ナッチー「やーっぱり何も分かってないべさ。」
くるくると指で回してふたを開ける。
ナッチー「こうするっしょ!」
- 176 名前:電波名無しさん 投稿日:2001年12月14日(金)02時24分40秒
- 高橋「えー!?だって、そっちが仕掛けてきたから…」
沙紀「そっちが勝手にテリトリー内に入ってきたからだ」
高橋「あ、そっか…」
一方、アミは倒れた真己の様子をうかがっている。
アミ「意識がない。外傷は見られないけど、内出血が…。命に別状はないだろうけど」
沙紀「まずはこいつを倒してからだな、真己の治療は」
高橋「…なんかもう倒されることになってる、私…」
沙紀は腰から剣を抜いて、切っ先を高橋の方へ向ける。
沙紀「覚悟しろ。あまり無駄な殺しはしたくなかったが、こうなっては仕方がない」
高橋は少々戸惑いながらも、沙紀の方に向き直る。
高橋「う〜ん…、しょうがないか。それじゃあ相手します」
そう言うと、高橋は突如右手の人差し指から気のようなうねりを作り出した。
アミ「あれは…?」
沙紀「はぁっ!」
考える前に体を動かし沙紀は高橋との距離を詰め、高橋の姿を眼前に捉える。
沙紀「もらったっ!」
キィィィン
沙紀「何…!?」
アミ「…?」
高橋「うん、間に合った」
そう言った高橋の手には、確かに持っていなかったはずの剣が握られていた。
- 177 名前:アッサヤヌ遺跡[北館](上も) 投稿日:2001年12月14日(金)02時39分13秒
- 思わぬ形で攻撃を受けられたため、沙紀は一歩退いて体勢を立て直す。
沙紀「その剣、いつの間に…」
高橋「あ…これですか?」
高橋は剣を見る。すると、突然剣が跡形もなく形をなくしてしまった。
アミ「!?」
高橋「これね、印術って言うんです。生きた古代文字、ルーンを空間上に描くことによって
それを具現化させるっていう原理らしいんですけど」
沙紀「生きた古代文字…ルーン?」
高橋「ただ文字を知ってるだけでも駄目なんですよ。空間に印を描くための儀式をしたり、
描くための魔力配分も適切じゃないといけないし、イメージも…」
沙紀「説明はどうでもいい!」
再び高橋に向かっていく沙紀。
それを見て高橋は空間にルーンを描く。と、同時に沙紀の斬撃も回避した。
そうして、高橋は沙紀の懐にもぐりこんだ状態になった。その手に握られていたのは…。
高橋「銃のルーン」
爆音と共に沙紀の体は勢いよく吹き飛び、壁に打ち付けられた。
- 178 名前:アッサヤヌ遺跡[北館](上も) 投稿日:2001年12月14日(金)02時57分52秒
- 高橋「ふぅ…」
ため息にかき消されるかのように、高橋の銃は形をなくした。
アミ「馬鹿な…」
高橋「大丈夫ですよ、銃って言っても打ち出したのは魔力だから。でも、しばらくは…」
アミの方へ歩み寄りながら、高橋は言葉を続ける。
高橋「そっちの人に放ったのは『破のルーン』です。いきなり仕掛けられたから反射で描いたんですけど…。
前のめりだったから肩や鎖骨にダメージが片寄ったみたいですね」
アミ「要するに、衝撃波というわけか…」
高橋「はい、そんなところです」
アミは立ち上がり、高橋の方を見て言った。
アミ「私とも…戦うのか?」
高橋「私だって無闇に戦いたくはないんですよ、そちらに戦う気がなければ…」
アミ「…わかった」
高橋「あなた達はどんな目的でこんな遺跡へ?」
アミ「実のところ、私には知らされていない。それに、情報を簡単に漏らせるわけがない」
高橋「そうですよね、隠密ですもんね」
真面目な顔をして頷く高橋。
アミ「…お前」
高橋「はい?」
アミ「戦い方といい、お前自体といい…不思議な奴だ。敵への対応とは思えない」
高橋「…あなたは本当に悪い人じゃない」
アミ「はぁ?」
高橋「なんとなく、ですけどね。あはは」
アミ「…」
- 179 名前:アッサヤヌ遺跡[北館] 投稿日:2001年12月14日(金)03時22分32秒
- 高橋「あ…私そろそろ行きますね。あんまり長居できないんです」
アミ「わざわざ言っていく必要があるのか?しかも自分から荒らしに来たんだろう」
高橋「そんな風に言わないでくださいよ〜、私だって戦いたくなかったのに…」
アミ「…まぁいい、とっとと行け」
高橋は回れ右をして扉に手をかける。が、突然首だけをアミを方に向き直した。
高橋「また会いましょうねっ!」
一言残すと、高橋は走り去っていった。
アミ「…なんなんだ?奴は…」
アミはしばらく呆気に取られていた。
沙紀「う…」
アミ「はっ、沙紀姉!」
沙紀「さっきの…小娘は…」
アミ「逃げていったよ。もう大丈夫」
沙紀「そうか…。それにしてもなんのつもりだ…」
アミ「全く。私にもわからないよ、奴のことが」
沙紀「そうじゃない…。これを…」
そう言って沙紀は打たれた傷を見せた。
アミ「あれ…?」
沙紀「そうだ、急所を外れている。いや、明らかにわざと外したという感じか。
まるで相手を生かそうとして戦っているかのようだな…」
アミ「(相手を生かそうとして…戦う…)」
アミの脳裏に、過去の記憶が甦ってくる。『生かすために戦う』の代名詞のような彼女の記憶。
アミ「私は奴を追う」
沙紀「な…何を無茶なことを…。第一、私達2人で傷ひとつ付けられなかった相手だぞ…」
アミ「沙紀姉は自分の体の回復に専念してて。それじゃあ」
そう言うや否や、アミは部屋を飛び出していった。
アミ「(何故だろう、また会える気がする…。奴にも、そして、彼女にも…)」
- 180 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2001年12月14日(金)22時38分20秒
- 飯田「ナッチーだけはぐれちゃったか・・」
国分「とりあえず、彼女のことは気にしてもしょうがないでしょう」
保田「そうね
それよりみんな、この水路を見て」
中央部から部屋の外まで続く水路。
そしてそれにそって続いている通路。
水は濁りなく、心地よい冷たさ。
長瀬が少しそれを口に含む。
長瀬「ごく普通の水だ」
松岡「よく水量が調節されてるもんだな」
よっすぃー「水路も綺麗に整備されてますね」
保田「おそらくは保冷された保管庫だと思うの
この階には色々と部屋がありそうだから、手分けして調べてみましょう」
飯田「何か見つけたら必ず他のメンバーを呼ぶこと
絶対に単独で突っ走らないようにね」
『はい!』
山口「(このえらい面子にしては、統率のとれたパーティーだな)」
- 181 名前:アッサヤヌ遺跡[東館]→[本館] 投稿日:2001年12月27日(木)04時04分00秒
- よっすぃー「飯田さん、石像のあった部屋の先には進んでないんですか?」
飯田「うん。戦闘直後だったし合流するのが先だと思ったから」
よっすぃー「守護神の間、動く石像。あれは侵入者を防ぐためにあるとしか
思えないんですよ。あの先に何もないとは思えないですね」
飯田「う〜ん、でもあそこまで戻るの大変だよ」
よっすぃー「じゃあ、走り込むついでに行きますね」
よっすぃーはゴマをかかえてもと来た道へ歩き出す。
山口「二人だけで行くつもりか?」
よっすぃー「、、着いてきてもいいよ」
よっすぃーは山口の方も向かず歩いたまま言った。山口はやれやれといった風な
ジェスチャーをとってよっすぃーの後を追う。
よっすぃーと山口は通路の天井に開いた穴を見上げる。この上が
先ほど飯田達が戦闘を繰り広げた守護神の間である。
よっすぃー「(さっきは降りてきただけだったけど、、、)」
よっすぃーはゴマをかかえたまま飛び上がり壁を蹴り上げながら
手を使わずに穴を昇っていく。山口も同様にして後を追う。
よっすぃー「遅いよ、達兄」
二人の差は徐々に開いていく。よっすぃーが先に守護神の間に辿り着き
次いで山口が到着すると視界にはゴマがいるだけだった。
よっすぃー「チェックメイト」
ゴマ「zzz」
よっすぃーは背後から鞘で山口の背中を突っつく。
よっすぃー「達兄、太ったんじゃない?」
山口「こんな時に冗談はよせよ」
よっすぃー「はは、怒った?」
その時砕けた石像の中から光るものが山口の目に入ってきた。
山口「こいつは鍵か。これで先に進める」
- 182 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月27日(木)04時05分57秒
- 扉を開けるともう一つ部屋があり、ワープ装置が渦を巻いていた。
よっすぃー「行くしかないよね」
何かに導かれるようによっすぃーは歩みを進める。
山口「おい、ちょっと不用意じゃ、、、あーあ、行っちゃったよ」
言うが早いかよっすぃーとゴマの姿は消えてしまった。
山口「仕方ないなあ」
ごま「、、ここどこ?」
今までとは違う空気を感じ取ったのかゴマが目を覚ます。
よっすぃー「建物の上層部みたい」
だだっ広いフロアには二つの台座と魔方陣、そして台座の一つには刀が突き立てられている。
よっすぃー「!」
- 183 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月27日(木)04時09分03秒
- ごま「どしたの?」
よっすぃーは刀へ駆け寄ってその刀身を凝視する。
よっすぃー「この稲妻を思わせる刃文、、、本当にあったんだ、『雷刃』、、かっ」
ごま「か?」
よっすぃー「っっっっっっっけ〜!」
かなり興奮した様子でよっすぃーが叫びにも似た声を上げる。
よっすぃー「上古刀に分類されないぎりぎりの古い時代に創られた古刀だよ!これ」
ごま「うんうん、よかったね〜(よくわかんないけど)」
よっすぃー「文献で雷刃の存在知ってから色々調べまくったらね、アッサヤヌ帝国首都で
創られた刀だったらしいから、本物は見られないと思ってたのに、、、」
ごま「へ〜、綺麗な刀だね〜」
よっすぃー「かっけ〜、、錆一つ付いてない、、、見てるだけじゃガマン出来ない!」
よっすぃーは刀を掴んで引き抜こうとする。しかしどんなに力を入れても刀はびくともしない。
よっすぃー「、、、抜けない、、、せーのっ!」
よっすぃーが強引に刀を引こうとすると刀が光を発し、
同時によっすぃーは何か見えない力で弾き飛ばされた。
よっすぃー「何なの〜?」
ごま「なんだろう、封印かな」
ごまは刀を掴んで引き抜く、、、何故かごまはあっさり刀を抜いてしまった。
よっすぃー「えーなんでアタシには抜けないのー」
ごま「、、、、、」
よっすぃー「ねえ、それ貸して」
ごま「、、、、、」
ごまはうつむいたまま一言も発しない。
よっすぃー「ねえってば、、、え、ごっちん!?」
- 184 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月27日(木)04時12分10秒
- 山口「やっぱこのワープ装置以外は何もないな、、、さてお嬢でも迎えに行くか」
そして山口はこの後信じられない光景を目にする。
山口「な、何やってるんだ!止めろ!」
よっすぃー「来ないで!私が何とかするから」
ごまとよっすぃーがつばぜり合いを繰り広げ、ごまの体からは殺気が溢れていた。
- 185 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月27日(木)04時13分44秒
- よっすぃー「ねえってば、、、え」
気が付くとごまは刀を振り上げよっすぃーにそれを振り落とさんとしていた。
よっすぃーは刀を抜く間もなく鞘でごまの攻撃を受け止めた。
よっすぃー「ごっちん!?」
ごま「、、、」
ごまは目が虚ろで呼びかけにも応じない。そしてごまの体から殺気が感じて取れた。
山口「な、何やってるんだ!止めろ!」
よっすぃー「来ないで!私が何とかするから」
ごまはよっすぃーの体を蹴って後方へ飛びのく。その身のこなしは長い間の
戦友であるよっすぃーでさえも見たことのないものだった。
よっすぃー「(罠だったのか、、迂闊だった。私のせいでごっちんは、、それにあの
身のこなし、、、体の能力を限界まで使ってる。長時間戦えば
体に負担が掛かる。早く終わらせないと)」
青春刀を構えごまと対峙する。ごまの姿が視界から消える。
よっすぃー「(後ろ!…いない!?)」
振り向いてもごまの姿はない。
よっすぃー「(逆か!…気配が消えた!どこ!?)」
山口「上だ!」
飛び上がったごまがよっすぃーに刀を振り下ろす。よっすぃーはとっさにしゃがんで
刀を受け止める。ごまは着地せず、またもよっすぃーの腕を蹴って飛びのく。
よっすぃー「(ホント魔法使いとは思えないパワー、いやそれよりも気配が読めないのは
、、、あの気配の殺し方は武人でなければできないはず、、、
それに無駄な動きがない、、、)」
「ほう、やるな」
よっすぃー「!?」
- 186 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2001年12月27日(木)04時15分16秒
- 男の声がよっすぃーの頭に直接語り掛けてきた。山口には聞こえていないらしい。
よっすぃー「誰だ!」
「私はおまえの目の前にいる」
よっすぃー「、、、何を、、」
「わからんか?人の姿をしてはいないがな」
よっすぃー「、、、そう、、『雷刃』、か」
雷刃の声「そうだ。私を手にしたければ私に勝って見せよ」
よっすぃー「そんなこと、、、」
雷刃の声「そうしなければこの体の主の意識は戻らんぞ。それでも良いのだな」
よっすぃー「、、ふざけるな、、」
親友の体を乗っ取られ、よっすぃーは怒りをあらわにする。そして抜刀術の構えを取る。
よっすぃー「雷刀(あんた)が体から離れたらいいんだろ」
山口「(お嬢のヤツ、キレてるな)」
よっすぃーは腰を深く落とし攻撃のタイミングをうかがう。次の瞬間よっすぃーの
姿が消える。刀と刀のぶつかり合う音が響くと同時によっすぃーが姿を現す。
よっすぃー「(そんな!本気でやったのに!)」
そのままよっすぃーとごまはつばぜり合いになり、今度はよっすぃーが間を取って離れる。
雷刃の声「ふむ。タイミング、スピード、パワー、どれをとっても申し分ない。
だがそれではただの一流の剣客に過ぎん。見本を見せてやろう」
ごまは右手で刀を持ち体の左側に刀を構え腰を落とす。
刀の鞘こそないが、それは間違いなく抜刀術の構えだった。
雷刃の声「不完全な抜刀術ではあるが、今のおまえにはこれぐらいで良かろう」
よっすぃー「、、、くそ」
悔しいが本気の抜刀術を受け止められたよっすぃーには、雷刃の言葉は
ハッタリではないことが理解できた。よっすぃーも抜刀の構えを取る。
- 187 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2001年12月27日(木)06時50分47秒
- 矢口が去った後、残りのメンバーの戦いは続いている。
Д<「撃っても撃っても蘇ってきてきりないで。」
つじ「あれからたいしたあたりもないれすし。」
城島「まいったなあ。。」
と、思ったそばから、バタバタと木偶やデブたちが倒れていく?
つじ「?!」
Д<「??、なんや?弾にザラキでもはいっとったんかいな??」
城島「いや、ちゃうな。元をたったんやな。これは。
やったのはあんたらの仕切りのねーちゃんやろ。」
つじ「おおー、やるときはやるれすね。やぐちさん。」
Д<「っしゃ、もたもたできんで!、ミカちゃん!!」
ミカ「オーケイ!ジャ、イッキニオイツキマース!」
フィイイン
一行はナッチーと矢口を追って、発進した。
- 188 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(前編) 投稿日:2001年12月27日(木)06時55分52秒
- ナッチーはおもむろにボトルを下に向けた。
ドボドボドボドボ
矢口「何それ?、、、あ!水が、、、宙に浮いてる!!!」
ナッチーの目の前に大きな水の塊が出来上がり、ぷかぷかと浮いている。
ナッチー「最近、建物の中とかばっかりで、ナッチーの真の力を活かす事が出来なかったしょ。
したっけ、こうして水を持ってきたさ。」
矢口「はー、、」
ちょっと感心して見ている矢口。
出し終わると、ナッチーはペットボトルをぽいっと投げ捨てた。
ナッチー「さ、かかってくるべさ!」
矢口「ふん!なんだいこんなもの!」
矢口は一瞬で五歩分の間合いを詰め、水の塊を叩いた。
パアン!!
シャボンが割れるように水がはじける。粉々に、、
キラキラキラキラ、、、
矢口「あっ・・・」
水は水滴よりさらに小さくなり、やがて霧の様になった。
ナッチー「かかったべさ。」
矢口の体が霧に包まれる。
矢口「え?、あ、あ、何これ?、、きしょっ!」
ナッチー「無用心だべ。もう逃げられないべさ。」
矢口「しまった!!、、えいっ、やっ!」
暴れて必死に払おうとする矢口。
ナッチー「無駄っしょ。水蒸気を払うなんて。」
矢口のこぶしは、文字通り空を切った。
矢口「なんだこれ?、くっそーっ!こんな霧がなんだっていうんだっ!」
いらつく矢口は霧を払うのを止め、その間に間合いを当初の程度に戻していたナッチーに駆け寄る。
- 189 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(前編) 投稿日:2001年12月27日(木)06時59分58秒
- 矢口「おりゃーっ!」
矢口のダッシュ上段回し蹴り。
ナッチー「稲妻よ!」
同時にナッチーは叫んでいた。霧の一部がピカッと光る。
ビビビッ
矢口「うがっ」
ナッチーに蹴りがヒットする前に矢口の体が痺れ、体制が崩れる。。
矢口「これは?、でんげ・・」
ドカン!
張り手一撃、かろうじて両腕でガードしたが、数メートル飛ばされた。
何とか崩れた体勢を整える。ナッチーは追う。
矢口「やばっ、、もっと間合いを・・」
ナッチー「えいっ!」
指をさすナッチー。光が走る。
バリバリッ・・
矢口「あうっ、、また・・・たた、、」
ナッチー「うんしょっ!」
ナッチーはひるんでいる矢口に近づくと腰のベルトを掴み、軽々と持ち上げ、
ナッチー「おりゃーーっ!」
そして勢い良く放り投げる。
ドサッ
矢口「ぐぇっ、うう・・うあ・・・」
背中をうちつけ、息が出来ない、
矢口「うう、、(いきなり大ダメージだよ。。まだこっちは一発も当ててないのに。」
と、
ガガガガ・・・
矢口「?!」
ナッチー「なんだべ??この音、、、、」
つじ「やーぐーちーさーーーん!おーーーい!!」
- 190 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(前編) 投稿日:2001年12月27日(木)07時05分39秒
- ガガガガガガガ、、キキッ、車は倒れている矢口の横に止まった。
矢口「ゲッホゲッホ、、、お前たち、、」
つじ「だいじょうぶれすか?」
ナッチー「なんだい、みんなして出てきたんだべか。車で。」
城島「やっぱり、背中に寄生しとったもんが取れとるな。」
城島は、車を珍しげに見ているナッチーの背中を見て呟いた。
ミカ「ジャ、ナンデヤグチサンハコンナメニ?」
あいぼんは城島と顔をあわせて頷き、ナッチーに声をかけた。
Д<「ナッチー、こりゃいったいどういうことなんや??」
ナッチー「ん?、矢口がひどいんだべ。だから懲らしめてるとこっしょ。」
Д<「・・・、ナッチー、その説明、全っ然わからへん。」
ナッチー「んー、なん言ったらいいんだべか?」
首をかしげる。
城島「大体わかった。要は操りがとけなかったんやな?相当混乱が進行してたんだ。」
城島は矢口の方に振り向き、言った。
ナッチー「?!、誰だべ?この人?」
矢口「うん。そうなんだけど、、、」
矢口は辻にひっぱられ、起き上がった。
Д<「ナッチー、あんた操られてたことには気づいてないんか?」
ナッチー「は?、ナッチーは操られてなんかいないさ。おかしいのは矢口っしょ!」
Д<「やっぱり。。」
ミカ「ジャア、ミンナデトリオサエテナントカ、、」
Д<「それが良さそうやな。矢口さんはもう休んでてええで。」
ナッチー「??、なんだいなんだい、、みんなしてナッチーが悪者かい??」
つじ「りゆうはあとれ。れすよ。なっちー」
辻、あいぼん、ミカ、城島はナッチーに対し、構えを取った。
ナッチー「・・・・何だっていうのかね、この子らは」
目を丸くするナッチー。
- 191 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(前編) 投稿日:2001年12月27日(木)07時11分56秒
- 4人がナッチーに飛びかかろうしたその時、
矢口「駄目っ!!、お前達は下がってて!」
矢口は声を張り上げながらあいぼんを引っ張った。他の3人も立ち止まる。
Д<「??、おっとっと、、、なんでやねん?」
矢口「一対一の、勝負だからさ。決着をつけたいんだ。だから、手を出すなっ!」
Д<「まじかいなっ!」
矢口「うん」
Д<「自分、今にも氏にそうやん!」
矢口「まだ平気。」
つじ「ほんとにらいじょうぶれすか?」
矢口「うん。。」
Д<「しゃ、しゃーないな。」
あいぼん達は、矢口の目に本気を感じ取った。
矢口「さあ、やろう!ナッチーをぶちのめすのはおいらさっ!」
ナッチー「・・・・・・・」
辻とあいぼん、ミカ、城島は車で少し離れたところに移動した。
- 192 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(前編) 投稿日:2001年12月27日(木)07時19分35秒
- 矢口「(まずは、この霧をなんとかしないと、、、視界も悪いしね。)」
矢口の周りにはまだ白い霧がまとわりついている。
矢口「(ナッチーが雷を打つ構えに入る前に、
霧が追いつけないくらい、速く、大きく、動くんだ。)」
矢口がそう思った時、ナッチーは掌を上に向け、腕を上に伸ばした。
矢口「何?、構えが違、、」
矢口はとっさにガードを固めた。
ナッチー「雨よ!!」
矢口「え?」
ザッ!!
一瞬にして水蒸気は水となり、矢口に降りかかった。
矢口「ああっ、」
服がびしょびしょになってしまう矢口。
矢口「しまった!!またひっかかった、、」
ナッチーが迫ってくる。矢口は横に避けようとするが、
ビシャビシャビシャ、、
矢口「う、動きにくい!!」
服がまとわりついて思うように動けない。
矢口は苦し紛れに拳を突き出すが、ナッチーはあっさりそれをかわし、矢口を捉える。
ナッチー「うわてなげっ!」
ドドン、
矢口「ぐぇっ」
矢口はその場に倒された。
ナッチー「うんしょっ!」
ピョン!
- 193 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(前編) 投稿日:2001年12月27日(木)07時33分27秒
- ナッチーは飛び上がり、
ドフッ!!
倒れた矢口の腹にヒップアタックを入れた。
矢口「ゲフッ」
ゴロゴロ、、
転がって横に逃げる矢口
矢口「ぐぁあああ、、、げぇぇ、、」
腹をおさえてうずくまる。
矢口「はぁ、、はぁ、、、(つよい。本気のナッチーは、、、なんて強い、、)」
ナッチー「矢口っ!いいかげんに降参するっしょ!」
矢口「くっ、そっ、、、はぁ、はぁ、、、まだまだっ」
なんとか立ち上がるが、膝が震えている。
ナッチー「矢口、強がり言うんじゃないべさ!ナッチーは、ほんとは、矢口を殴りたくなんか無いんだべ、、」
矢口「・・・・・(その、訴えかけるような目、おいらを心配してる。
いつもニコニコしてるけど、実はこういう表情もかわいいんだ。ギャップがあって余計引き立つし。
つい、その言葉に甘えたくなっちゃうよ。ずるいなぁ、、でもね、、、)
う、、うっさい!いもナッチー!かかって来い!!」
ナッチー「・・・そうかいっ、ちび矢口っ!そんなら最後まで決着つけるべさ!」
ナッチーは口を尖らせ、矢口を睨んだ。
矢口「(ナッチーのためにも、負けるわけにはいかないんだよっ!)」
観戦組
つじ「やぐちさん、まけそうれすよ」
Д<「ナッチー、強いなあ。」
つじ「なんとかんないのれすかね?」
Д<「うーん、弱点といえば、、そや、ナッチーの腹を減らせば!
って、いきいきと動いてるとこ見るとまだまだ無理そうやな。
まあ見てるんや。このまま終わる矢口さんやないで。いつもこっからやん」
- 194 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時05分04秒
- 矢口「(落ち着け。先手を取られるな!なんとか、こっちから仕掛けないと、、
今は水だ。霧じゃない。雷は使えないはずなんだ。
ちょっとくらい動きにくくても、おいらのスピードならなんとかなるはずだ。)」
矢口は氣をこぶしにこめた。
ナッチー「!、(くるっしょ!)」
矢口「あちょーっ!」
ガツッ!
両者間合外から一瞬、ナッチーは矢口の上段蹴りをガードさせられる。
ナッチー「!、(速いべさ!)」
矢口は濡れたままで接近戦を挑む。
ナッチーは、スピード差からあっさり矢口の間合いを許し、そのまま応戦する。
矢口は、ナッチーの大振りで重い一発を避け、二発入れる。
そして、つかまれることに注意する。
ナッチー「くっ、、(まだこんなに動けるのかい?)」
矢口「よしっ!、(おいらのペースだ!)超龍拳っ!」
ドカッ!!
矢口「改!!」
アッパーで相手をのけぞらせ、自分は回転上昇しながら、
ガンガン!
両足で一発ずつの回し蹴りを出して着地。
隙を減らすため考えた新連携技である。
ナッチー「あたっ、、」
矢口「(ナッチーは確かにそう簡単には倒れそうもない。
でも、ダメージは蓄積するはずなんだ!氣をこめた一発は、軽くない!!)」
ナッチー「あたたた・・」
つじ「あいぼん、やぐちさんが!!」
嬉しそうに慌てながら隣を見る辻。
Д<「おう!押してるで!いっけーー!!」
- 195 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時10分48秒
- そのまま矢口の攻勢が続く。
ナッチー「(矢口、強いべさ。)」
ナッチーの動きに、明らかに切れがなくなってくる。
矢口「(接近戦が不利だと思ったら、先に水を使える間合いに移ろうとするはずだ。
たぶん、、、もうすぐ)」
ナッチー「(らちがあかないべさ!)ハッソー」
矢口「きたっ!えい!」
矢口はナッチーの動きにあわせ、片手から気を飛ばした。
ドン!
ナッチー「!」
ナッチーの体勢が一瞬崩れた。
ナッチー「しまったべさ!」
矢口「やった!、ここだっ!」
矢口はナッチの膝を狙うローキックを構える。
矢口「(力士の弱点は総じて膝!)」
ナッチー「っ!」
同時に、ナッチーは体勢を崩しながら、何かを掴んで引っ張るようなしぐさをしていた。
矢口のローキックがあたる直前
シュワッ!
矢口「ヒッ」
一瞬矢口の体に悪寒が走った。体が硬直する。
パァアン!!
ナッチーは体勢をもち直しつつ、腕で矢口の軸足を払った。
矢口は受身も取れず、尻餅をついた。
矢口「あ・・・・あ・・れ・・??」
つじ「!!」
Д<「!?、なんや?何が起こったんや??」
つじ「ぴんちにぎゃくもろりれすよ!」
矢口「な、、、何?今の??」
ナッチー「・・・・、気化熱さ。追い詰めたと、思ったかい?」
矢口「?」
ナッチーは今、霧をまとっている。矢口の服は乾いている。
水は液体から気体へと変化する時、周りから大量に熱を吸収する。
矢口「そんなことまで、、できんのかよっ!」
- 196 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時16分55秒
- ナッチー「矢口、強かったべさ。ここまでやるとは思わなかったっしょ。
でも、ナッチーの勝ちさ。とどめ行くっしょ。」
矢口「はっ、、」
連打がくる!立ち上がらないと、、まずい、間に合わない、、もうだめ、、、
ナッチー「千連鉄砲!!」
矢口「うわ、、うわあぁああ!」
ナッチーの手が伸びる。
つじ「っ!」
辻は目をそむけた。
矢口は反射的に自分を守ろうとして手をかざした。
その瞬間
ゴッ!!
矢口「わっ!!」
ナッチー「??」
Д<「!?」
矢口はナッチーの攻撃が当たる前に後方にぶっ飛んだ。
ナッチー「ぐううう、、なんだべ??」
同じ力をナッチーも受けていた。体が前に出ない。手が出せない。
それどころか後退している。踏ん張っているナッチーがである。
矢口は10メートル以上も飛び、ごろごろと転がって止まる。
Д<「??、矢口さん!!」
つじ「!?、な、なにがあったa
- 197 名前:↑バグったんで修正 投稿日:2002年01月01日(火)03時18分25秒
- Д<「??、矢口さん!!」
つじ「!?、な、なにがあったんれすか??!」
目を戻した辻がたずねるが、もちろんあいぼんにも説明できない。
矢口「う・・・いてて、、、
連打を食らうよりはましだったけど、何が、どうして、、」
きょろきょろあたりを見渡し、下を見ると、自分の手には、神の左手、悪魔の右手、
矢口「まさか、これの力なの??」
なんとなく手を握ったり開いたりしてみるが、今の力が何だったのかはよくわからない。
- 198 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時24分46秒
- 矢口「そっか。助かったよ。凄い力だね。サンキュ。」
矢口は両手につけていた手袋それぞれにキスをし、
矢口「でも今は、これを使うときじゃないな。」
それを外した。今、使い方もよくわかっていないこれに頼っては、
勝ったとしても、なんとなくすっきりしない気がする。
ともあれ、ナッチーと大分間合が離れた。
今、次の一手に入るまでほんの少しの時間がある。
そして、おそらくは次で決着となる気がする。自分の体力が、限界だからだ。
矢口「(また、体力もゼロに近づいて、ピンチになったな。
でもおいらは、こうなった時、力が出るんだ。最後の力。
そんな危ない事に頼ってて、裕ちゃんには怒られるかもしれないけど。
それにまだ、本当は完成してないけど、今なら、きっとできるんだよ。)」
一瞬で考え、結論に至った。
矢口「(よっすぃーも、ミカちゃんも、修行に付き合ってくれてありがとうね。)」
ナッチー「はらら、、ふう。凄い力を隠してたもんだべさ。」
ナッチーは少し後退させられたところでなんとか踏みとどまって、その力をやり過ごした。
ナッチー「でもナッチーは次も真正面から勝負するさ。プライドってもんがあるっしょ。
横綱の「あたり」は1トン級だべ。はじき返せるもんならはじき返してみるっしょ!」
- 199 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時28分13秒
- Д<「・・・・・、助けに入るで!!ミカちゃん、車出して!!」
ミカ「オーライ」
つじ「れも、、てをらすなって!」
Д<「おそらく、次が決着や。」
つじ「え、れも、、」
Д<「れもやない、次、ほんまにやばいかもしれん、、」
つじ「え?、やぐちさんが、、?」
Д<「まだ矢口さんが負けるって決まってない。」
矢口の体が光りだした。
つじ「!!、・・・」
Д<「あれをやるつもりやで。」
つじ「・・・あれれすね。」
ミカ「アレハ、、」
城島「?」
そう、ミカとの対決で見せようとした、あれである。
その完成のために、今日まで修行を重ねてきた。
矢口「(正真正銘最後の奥の手。修行の成果。
氣のエネルギーを、ビームに変えて、撃つぞ。)
勝負だ!!」
ミカは急いで車を発進させた。
Д<「けど、、なるべく安全な位置確保してな。」
- 200 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時34分05秒
- ナッチーは、やっと立ち上がった矢口に向かい、やや前傾姿勢で肩をいれ、走り出す。
矢口「あああ、来たっ!(落ち着け。まだだ。
・・・・、ああーー、こういう緊張感は嫌いなんだー、、怖いー、、、)」
ナッチーの速度が上がる。
矢口「(あああ、、あれくらったらおいらどこまで吹っ飛んでくか、、
いかんいかん、落ち着け。氣をねるんだ。自分を信じるんだ!)」
吸って、はいて、呼吸を整える。
来る!4歩、3歩、
ナッチーは少しがにまたに体勢を変える!
Д<「あたる!!」
矢口「修行の成果だ!!
セクシーーーーッ!ビーーーーーームッ!!!」
矢口のつまんだ指先から、「ビーム!」といいつつ、
わっか状に広がる氣がいくつも放たれた。
ナッチー「はっ??なんだべ??、、水よ!!」
ナッチーの前に水の壁ができる。それを盾にして自分はまだあたりに行く体勢を維持する。
シュババババッ
矢口の氣は水を突き抜ける。
ナッチー「新しい、超必殺技だべ??逃げずに、押し勝つっしょ!!」
ズババババ、、、
水は完全に弾き飛び、氣はナッチーを切りつける。
ナッチーは腕を十字にし、頭を守りながら突っ込む!
矢口「!!(・・・よっすぃー、裕ちゃん、おいらは、強いよね?、強くなったよね?)」
目を見開き、さらに気合を入れなおす矢口。
矢口「どうだっ?!!」
ナッチーの勢いが徐々に殺される!
ナッチー「まだ!もう一歩!!よいしょーーーっ!!!」
ズババ、、
- 201 名前:アッサヤヌ遺跡[西館]−ナッチーvs矢口(後編) 投稿日:2002年01月01日(火)03時43分17秒
- ・・・・・・
時間が止まる。
膝を付き、氣を放出したままの体勢の矢口と、
自分を守った腕と、守りきれなかった体が切り傷だらけになっているナッチーがいる。
ナッチー「・・・・・」
矢口「・・・・」
つじ「・・・・」
Д<「・・・・・」
矢口「・・・立ってる。もう、力でないよ。
駄目だ。おいらの負けか、、、強いな。ナッチー」
ナッチー「ナ、、ナッチーのあたりが、、、とめられて、しまったべさ。。」
二人、至近距離で立ち止まっている。
ナッチー「力士は、倒れたら負けっしょ、、倒れるわけには、いかないっしょ!!」
ガシッ
ナッチーは矢口に胴に手を回した。
矢口「(ナッチー、投げ飛ばさなくても、もう倒れたら、立てないよ。
でも、これで決着だ。)」
ナッチー「うう、、勝つべ、さ、、、」
ナッチーの腕からぽたりと血が落ちた。力が抜け、、
ふらふら、、
ドッターーーン!!
2人は一緒に倒れた。
つじ「!!」
Д<「決着や!あびせ倒し!ナッチーの勝ち!」
行事の真似をして指を刺すあいぼん。
ミカは車を倒れた二人によせる。
矢口「・・・・・」
ナッチー「・・・・・・・」
つじ「あーあ、・・・ふたりとも、おきないれすよ!!」
- 202 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月06日(日)04時18分13秒
- 保田「石川」
石川「はい」
保田「ここに何しに来たか分かってるわよね?」
石川「地上の街の住人が消えた原因の調査ですよね」
保田「分かってるなら遊ぶのはその辺にしておきなさい」
記録映像管理室という部屋で保田は記録映像の洗い出し、石川は映像の
チェックをしていた。(映像は当然昔のものばかりである)
しかし石川は映像が気に入ったのか、一つの映像だけを見続けていた。
石川「だって中世のミュージカルが見られるなんて素敵じゃないですか〜」
すかさず石川の頭に映像の記録カードが飛んでくる。カードと言っても文庫本程の重さはあるが。
保田「真面目にやりなさい、真面目に」
石川「、、はい」
頭を押さえる石川を尻目に保田は何か事件の手がかりになる記録はないかと
探しつづける。ふと、封のなされたファイルを見つける。
保田「え〜と何々、極秘、、実験、、記録?」
周りのものと見比べてもこのファイルだけが厳重に保管されているのは明らかだった。
そのファイルは金庫に差し込まれたような状態で保管されており、触れようとすると
「パスワードを入力して下さい」という文字が浮かび上がった。
保田「パスワード?わかんないから後回し」
石川「お師匠様ー、これ見て下さい」
保田「何よ?これミュージカルの映像じゃない」
石川「この後を見て欲しいんです」
石川が再生ボタンを押す。
- 203 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月06日(日)04時19分10秒
- 映し出されたのはミュージカルの舞台。公演中らしく、出演者達が歌い
華麗に踊る。たくさんの人間が舞台に上がっており、クライマックスに
達していることは容易に想像がつく。その時、突然舞台と客席が暗闇に包まれ、
演奏が途絶えた。客席のざわめきが生々しく記録されている。やがて非常灯が灯り、
うっすらと会場の様子が浮かび上がる。
それは突然やってきた。何か液体状のものが人を次々と飲み込んでいく。
人々の逃げ惑う様が克明に記録されており、津波のように押し寄せたそれは
波が引くように音もなく消えて行った。一人も残すことなく。
やがて保田が口を開いた。
保田「、、、何、これは魔物?スライム?」
石川「あの〜少し気になることがあるんですけど」
無言の保田へ石川が続ける。
石川「地上でスライムの一部のような粘液を見つけたんですよ」
保田「、、、」
石川「まさかとは思うんですけど今映ってた魔物のものなんじゃ」
保田「うーん、どうだろう。その子孫にあたる魔物がこの時代に生きてる
可能性はあるわね。それにしても常識はずれな魔物ね」
- 204 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月06日(日)04時20分03秒
- 二人はさらに調べを進めた。
保田「結局手がかりになりそうなのはあのスライムだけかしら」
記録を漁ってみたがめぼしいものは他にはなかった。
保田「どう?事態は把握できた?」
石川「原因まではわかりませんけど」
保田「説明して」
石川「はい、まずこの地下都市群は元々地上にありました。でも800年程前に
突然都市ごと地下に沈んでしまいます。その直後にあの巨大スライムが
現れて片っ端から人を飲み込んでいました。」
保田は話を聞きながら部屋を調べていた。
石川「現代になって地上の町が魔王軍の激しい攻撃を受けます。
その攻撃で地盤が崩れてこの地下遺跡が発見されました。
それから少し時をおいて地上の町の人々が行方不明に
なってしまいます。あのスライムの仕業でしょうか?」
保田「推測の段階だけど今考えられる説の一つにはなるわね」
石川「もう一つ、この巨大スライムの生態について分かったことがあるんです。
このスライムは飲み込んだ獲物をすぐに消化はしないようです。獲物を
体内で生かしたまま、飲み込んだ順に消化していました」
保田「そんな映像まで残ってたの?見ていて気持ちのいいものじゃなかったでしょう」
石川「はいぃ」
力無く石川が答えた。
保田「よく調べたね。、、あのスライムが地上の町の人達を飲み込んだのなら
飲まれた人達はまだ生きてる可能性がある、、かもしれない。
こいつ、探してみようか」
- 205 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月06日(日)04時21分43秒
- 雷刃の声「行くぞ」
言い終わると同時にごまの姿が消える。
よっすぃー「(まただ!気配が感じ取れない!)」
雷刃の声「どうした?」
いつの間にかごまが目の前にいた。よっすぃーはあわてて抜刀する。
よっすぃー「くっ!」
二本の刀が甲高い音を立てて交わる。
雷刃の声「私は真っ直ぐ飛び込んだだけだぞ。その割に反応が遅いな」
よっすぃー「(なんで分からなかったの?気が付いたら間合いの中にいた)」
二人はつばぜり合いにもつれ込む。
雷刃の声「その才能故か。お主自分以上の実力の持ち主と剣を交えたことはないな?」
よっすぃー「、、、、」
雷刃の声「私も何百年かぶりに剣を振るうのだからもう少し楽しみたいものだ。
少しお主を鍛えてやろう。」
よっすぃー「なめないで!」
よっすぃーはごまを押し返す。
雷刃の声「活きがいいな。だがそうでなくてはつまらん!」
今度は一転して激しい打ち合いが繰り広げられる。はじめは互角に打ち合っていたが、
徐々にパワーで勝るごまによっすぃーは防戦一方となっていく。
よっすぃー「(このままじゃジリ貧だ)」
ごまが放った打ち下ろしをよっすぃーが紙一重でかわす。
よっすぃー「(スキ有り、ごっちんごめん)」
ごまの肩口へみね打ちを放つ。しかし一瞬のためらいのせいか、
これを受け止められてしまう。つばぜり合いになりよっすぃーの刀が
押し返される。そしてがら空きになったボディをごまが蹴り飛ばす。
- 206 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月06日(日)04時24分14秒
- よっすぃー「かはっ」
雷刃の声「ふむ。今度は手加減せんぞ」
ごまは再び抜刀術の構えを取る。同じくよっすぃーも抜刀の構えを取る。
山口「お嬢!感覚を研ぎ澄ませろ。見るんじゃない、感じろ」
よっすぃー「感じる、、?」
よっすぃーは目を閉じた。ごまが一歩を踏み出してよっすぃーの懐へ走り込む。
よっすぃー「(来る)」
よっすぃーは目を開くと同時に抜刀し、ごまの刀を完璧な形で受け止めた。
よっすぃー「(今の感覚、何か掴めた気がする)」
雷刃の声「(素晴らしい。その若さでここまでやるとは)」
よっすぃーは飛び退いて身構えた。
よっすぃー「今度はこちらから行きます」
何かを悟ったようによっすぃーが言った。
雷刃の声「(これで今の防御がマグレだったかどうか判断できる)」
コンマ何秒かの間だったが、よっすぃーは完全に姿を消した。正確に言えば
消えたのではなく存在を感じ取れない状態になったのだ。
雷刃の声「(後ろか!)」
空気の流れを感じてごまは刀を払う。
よっすぃー「こっちですよ」
よっすぃーは背後ではなく正面に現れた。ごまは返す刀で突きを放つ。
が、既にそこによっすぃーの姿はなく、元いた場所へ戻っていた。
雷刃の声「(素晴らしい!先程の防御といい今の完全な殺気の殺し方といい、
戦いの中で戦い方を学んでいくその才能!)」
よっすぃー「今何もしなかったのはさっきのお返しです」
- 207 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月06日(日)04時25分14秒
- よっすぃー「次で決めますよ」
極めて冷静に、しかし挑発するわけでもなくそう言い放った。
雷刃の声「その言葉、本気かハッタリか確かめてくれよう!」
二人は三度抜刀の構えを見せる。
山口「鳥肌?」
二人の間に流れる緊張感に山口は身震いする。
そして二人は同時に姿を消した。
雷刃(ごま)はよっすぃーの動きを見て自分の左へ回ろうとしていることを見切った。
わずかに殺気がよっすぃーから滲み出ていたからだ。
雷刃の声「(殺気を殺し切れていないな、これで終わりか)」
よっすぃーの動きを見切った雷刃(ごま)がよっすぃーを斬った。
しかし手応えはない。
雷刃の声「やられたな、残像か」
雷刃は完全に裏をかかれた。腕が伸び切ったごまの右手側からよっすぃーが抜刀する。
鋭い金属音とともに雷刃がごまの手を離れ、床に突き刺さった。
雷刃の声「やるな。殺気を殺して移動し、わずかに左へ動くと見せかけて
同時に一瞬だけ殺気を放った」
よっすぃー「そうして残像をあたかも実体であるかのように錯覚させてしまえば
勝敗は決したようなもの」
雷刃の声「ふっ、大した娘だ。約束通り私を持って行くがよい」
- 208 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月06日(日)13時54分39秒
- 雷刃の声が聞こえた直後、ごまが足元から崩れるように倒れかかる。
あわててそれをうけとめたよっすぃーに、山口が近づいてくる。
山口「ずいぶんと独り言が多かったけど、誰と話してたんだ?」
よっすぃー「聞こえてなかったの?」
山口「まあな。でも予想はつくぜ。
どうせその剣だろ」
そう言うと彼は地に落ちていた雷刃を拾う。
山口「稲妻模様の乱れ刃か。刀のことはよくわからんが相当古そうだな」
よっすぃー「ああ、伝説の名刀ってヤツだよ」
山口「その名刀が、こっちのお嬢ちゃんを操ってたわけか」
よっすぃー「みたいね」
二人がごまに目を向けると、彼女はゆっくりと目を覚ました。
ごま「おはよ」
彼女はよっすぃーの腕の中から身を起こす。
ごま「普段使わない筋肉使ったから、体中が痛いや」
よっすぃー「意識があったの?」
アキレス腱をいたわりながら伸ばすごまを見て、よっすぃーが尋ねる。
ごま「ん、まあね」
山口から雷刃を受け取り、それをたいまつの明かりにかざす。
ごま「もうちょっと長引いてたら、干渉して止めるつもりだったんだけど
私の体も限界近かったし」
- 209 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月06日(日)13時55分03秒
- 山口「ただそれじゃ、この刀はお前を主と認めなかっただろうな」
よっすぃー「主・・」
ごま「そう、よっすぃーは勝った。
これはよっすぃーのもんだよ」
ごまは微笑むと、よっすぃーに雷刃を放った。
??「ならば、お前に勝負を挑むとしようか」
突然の声に、三人は振りかえる。
山口「誰だ!」
よっすぃーもごまの前に出るようにして、青春刀を構える。
声の主は長身にマントをたなびかせた、黒髪の人物。
おそらくは女性なのだろうが、そうとは思えない程の背丈をほこっている。
そして彼女のマントから顔を覗かせている少女が一人。
??「私は魔王軍参謀長・大林素子
お前の名は」
山口「八刹剣師範代・山口達也」
素子「お前ではない!
私が聞いているのは、その雷刃の持ち主。
そう、お前の名だ!」
そう言うと素子はよっすぃーに向かって睨みつける。
よっすぃー「私は八刹剣嫡流・バトルマスター吉澤ひとみ」
- 210 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月06日(日)13時55分35秒
- 飯田「なんかみつかりました?」
長瀬「この先でワープ装置がひとつあったんだが、また片道だと困るからとりあえず戻ってきた」
松岡「そっちは?」
飯田「よっすぃーと山口さんが壁をかけあがって先へ進んだみたいなんだけど、
格闘家以外はとても登れそうもなくて」
紺野「それと保田さんが資料室みたいなのを見つけて、今、石川さんと調べものしてます」
国分「そっち手伝ったほうがいいかな?」
松岡「なんか実は俺らヒマじゃない?」
勇者飯田「(カオリ、主人公なのに・・・)」
- 211 名前:魔王城 投稿日:2002年01月06日(日)22時47分14秒
- つんく「はぁ、今度こそ計画通りにいくといいんやけども…」
魔王城でつんくがため息混じりに愚痴をこぼす。
つんく「今まで失敗してる分、今回の計画でなんとしても取り戻さんとあかん。
しかし、あの素子と藤井がおっても相手にはあの対戦の時のメンバーもいるわけやし…」
ぎぃぃぃぃ…
独り言を続けているつんくに、扉の開く音が聞こえる。
???「ただいま〜」
つんく「おう、おかえりー」
???「なんか飲み物ある?結構遠くからジョギングしてきたから疲れちゃった」
つんく「そこの机のうえに水があるやろ、コップもそこにあるのでええから」
???「へーい」
つんく「俺ものど渇いたなぁ…。ワインでも一杯やらかすか」
・・・・・・
つんく「ぶっ!!」
ワインを勢いよく吐くつんく。その目線の先に居たのは…
さやか「きったないなぁ、もう。そのワイン高そうなのにもったいない」
つんく「お前…」
さやか「いやー、出かけたまではいいもののお金なくてさ。だからここに戻ってきたわけ」
つんく「…どういう神経してるんや、お前は」
- 212 名前:魔王城 投稿日:2002年01月06日(日)23時07分45秒
- つんく「俺らと手を組んだわけやない、って言ってなかったか?」
さやか「もちろん。でも使えるものは使っておかないとね」
つんく「はは…、俺を道具扱いか。これでも一応魔王なんやけど」
さやか「私も元勇者だし」
ガキィッ!
さやかが言葉を終えた瞬間、つんくの拳がさやかに向かって繰り出される。
しかし、さやかは剣のつかでつんくの打撃を受け止めていた。
つんく「…」
さやか「いちいち剣を抜かせないでよ。それに、いま私達が争ってもいいことないよ?」
微笑みながらさやかはつんくに向かって言う。
つんく「…まぁ、そうやな…」
つんくは再び椅子にかけなおした。
さやか「そうそう、悪いけど今は協力してよ」
つんく「…(俺が動いてから背中の剣を抜いた、か…。不覚やな、見えんかった)」
さやか「あ、ひょっとして今のショックだった?わざわざ剣で止められたの」
微妙な表情の変化に気付き、さやかが指摘する。
つんく「まぁな…。俺も復活してから強くなったつもりやけど」
さやか「魔界じゃあ相手に困らなかったからね。私も大戦の時よりは絶対に強くなってるよ」
つんく「何から何まで憎らしい奴や…」
- 213 名前:魔王城 投稿日:2002年01月06日(日)23時25分12秒
- さやか「で、あんたは何してたわけ?」
つんく「お前のよく知ってるゲートを開くために俺の部下が動いてるんや」
さやか「ふ〜ん…。ひょっとしてそこに圭ちゃんとかごまとかよっすぃーが居たりする?」
つんく「そりゃそうや。俺達の計画っつーのはたいてい奴等にとっちゃ迷惑なわけやし」
さやか「まぁね、私達もそういう感じだったよ」
さやか「…だからさ、あんたは何をしてるの?」
つんく「まぁ中継みたいなもんやな。テレパシーでいくつかの部隊の操作をしとる」
さやか「へぇ〜。それじゃあさ、あっちの状況はつかめるんだ?」
突然さやかの声が興奮気味になる。
つんく「声だけやけどな」
さやか「全然OK。別に交信しなくていいから、ちょっとそれをイメージして」
つんく「構わんけど…。何するんや」
つんくは目を閉じて、テレパシーを送るイメージをする。
つんく「(イメージは素子のところでええか…。どうせ今は繋がらんみたいやし)」
さやか「ちょっと失礼」
そう言ってさやかは突然つんくの頭に手を置く。
つんく「うわっ!」
不意をつかれて驚きを声に出すつんく。しかし声を上げたときには既にさやかの手は離れていた。
さやか「うん、つかめた。さてと…」
さやかは背中の剣を抜き、それを振り上げた。そしてそのまま振り下ろす。
さやか「よっと」
その斬撃は空を切る…はずだった。
- 214 名前:魔王城 投稿日:2002年01月06日(日)23時48分54秒
- しかし、斬撃はあきらかに『何か』を斬った。空間に切れ目が存在するのだ。
つんく「へ?」
さやか「大成功!」
その切れ目は次第に広がり、ついには人の身長ほどある円ができあがった。
さやか「ビジョン」
さやかの声に合わせて、空間に生み出された円は映像を映し出した。
つんく「何がおきてるんや…」
さやか「空間操作。あんたを封じたときに使ったあれと同じ原理だよ。
これは他人の記憶を映像化する技の発展系で、テレパシーできる人がいれば
そのイメージを利用してリアルタイムの映像を見れるってわけ」
つんく「空間操作て…。もうそんなレベルやないやろ、これは」
さやか「あ、よっすぃ〜〜!ごまもいるじゃん!」
さやかの視界にはよっすぃー、ごま、あとは知らない男と長身の女が映っていた。
さやか「ほらほら、あんたも見ないと!」
つんく「…ホンマにこいつはわからん…」
つんく「素子と新垣か…。げっ!」
素子の対峙している相手、よっすぃーとごまを確認してつんくは唖然とした。
つんく「よりによってあの二人かい…。大丈夫なんか、素子は…」
そんな状況のつんくのことは全く気にせずに、さやかはつんくに問い掛ける。
さやか「ねぇ、あのでっかい女の人って魔王軍でしょ?強いの?」
つんく「ああ…。魔王軍の中でもかなりの腕前だと思うけどなぁ」
さやか「そりゃあ楽しみだぁ。あの二人、どれだけ強くなったんだろ…」
さやかは目を輝かせて映像に食い入る。
つんく「(まぁええか…。素子の力を初めて生で見るチャンスやな。
ついでにあっちのメンバーの戦力も生で見れる…。ありがたいことや)」
- 215 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月12日(土)00時43分51秒
- 素子「我々の目的はただ一つ、雷刃の入手だ
今すぐそれをこちらに渡せば、今回は見逃してやるぞ」
よっすぃー「へっ、誰が!」
素子「ふふふ、面白い。そうでなくではな」
彼女は不敵な笑みを浮かべると、新垣を下がらせた。
よっすぃーも同じように二人に示唆し、ごまはスカラだけ唱えて、二人も様子をうかがうようにしている。
素子「バトルマスターとやらの実力、見せてもらおうか」
そう言うと素子は両掌の上に、なにやら気の塊を集める。
よっすぃーも青春刀の鞘を抜いていた
素子「行くぞ!」
その次の瞬間には、素子は人の頭程になった気の塊を手に、仕掛けてきていた。
- 216 名前:アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月12日(土)00時44分15秒
- 素子の放った気弾は、よっすぃー真っ直ぐ向かうことなく、素子の上空に放たれた。
連続で次が来るかと、素子本人のほうに集中していると、彼女は驚くべき跳躍力で宙に浮いていた。
浮遊魔法ではない。まるで重力が半分しかないような、明らかな跳躍だった。
そして彼女の跳躍が最高点に達した瞬間、彼女の大きく上を向いていた手は、先ほど放った気弾を打ち付けていた。
まるで物質個体のように打ち跳ばされた気の塊は、炎の闘球児ドッヂ○平を思わせるクロワッサン型に回転しながら、よっすぃーに向かってくる。
どちらにしろ最初の一発は避けるつもりだった。
威力を見るためだけでなく、それ以降の連撃の可能性があるためだ。
よっすぃーは回転のかかったその一発を完全に見切ったつもりだった。
素子自身も視界におさめていて、既に避けた後に来るであろう次の一撃をそなえはじめていた。
ところが、完璧な間合いで避けたはずの気弾は、急に回転を強め、ほぼ90度に弾道を曲げたのだった。
山口「追撃弾!!?」
- 217 名前:魔王城 投稿日:2002年01月12日(土)00時45分00秒
- さやか「おおっ!」
洗練されたフォームで気の塊を打ち付ける素子の映像を見て、さやかは思わず声をあげる。
右手には湯のみ、左手にはせんべいを持って画面に釘付けになっている様は、、、完全に昼ドラを見る主婦である。
その時、急に映像が乱れ、映像が途絶えた。
さやか「あれ?」
つんく「あ、ちょい待ち、作戦中の他の部隊から通信が入ったわ」
さやか「もー・・せっかくいい所だったのに〜
かあさんガッカリ」
どこま本気なのか、ぶうたれているさやかを無視して、つんくはテレパシーを受信する。
沙紀『魔王様、シェキドル配属中のの荒井です』
つんく「おう、どうしとった?
なんや見つけたか?」
沙紀『い、いえ。そうではないのですが・・』
つんく「最重要のオブジェクトは見つかったで」
沙紀『本当ですか?』
つんく「ああ。ただそれを争って、今大林さんが交戦中や」
沙紀『参謀長が・・」
つんく「お前らがそこに行っても戦力にはならへんと思うけど、
あっちのパーティーに集まられると厄介なんや。
それより勇者パーティーが合流せえへんように、工作できへんか?」
沙紀『それが・・・こちらもいろいろとトラブルがありまして・・」
- 218 名前:魔王城 投稿日:2002年01月12日(土)00時46分24秒
- つんく「トラブル?」
沙紀『ええ
例の勇者一行とは別の冒険者に遭遇しまして、なんと言いますか・・
真己は浅はかに剣を抜いて負傷を、アミはそいつを追ったようで、今動けるのは私一人という…」
つんく「アホっ!何やっとるんや!
隠密がそこいらの冒険者ごとき袖にできへんで、それも自ら戦いに行くなんて、どういうことや!」
沙紀『申し訳ございません
全て私の教育が行き届いていないせいでございます』
つんく「もおええ、わかった
お前ら使えんコマはクビだ!!」
沙紀『お待ちください、魔王様
今一度ご猶予をっ」
つんく「・・・今すぐ分かれた隊員と合流せい!
処罰はその後や!
いいか、これは解雇通告も同じやからな!!」
つんく「ふう・・」
さやか「ずいぶんとお怒りだったじゃん
いいの?あんなこと言っちゃって?
人手不足なんでしょ?」
つんく「お前は黙ってろ!」
さやか「それなら早くテレパシーつなげてよ
そうしないとごま達が見れないじゃん」
つんく「・・」
黙ってつんくは再び素子に交信する。
と言っても彼女が戦闘中なので、一方的に感覚的情報を受け取るだけだが。
しかし画面上に変わらずクリアに映しだされた光景は・・
さやか「え!」
つんく「なんや!!」
- 219 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2002年01月12日(土)04時39分04秒
- 城島「これでよし、と」
矢口とナッチーに手当てを施し車に乗り込む一行。
Д<「ミカはん、行きましょ」
城島「待て」
城島が何かに気付いた。ナッチーに取りついていた目玉の魔物がうごめいている。
目玉から液体状の何かが染み出してきた。液体状のものは立体的な
動きを見せており、生物であろうことが容易に想像できた。
城島「こいつが魔物の本体か?処分しとこか。ギラ!」
魔物を完全に燃やして、城島は車に乗り込んだ。
つじ「なっちーしゃんのせいれすかね?すぴーどがあがらないのれす」
Д<「言いにくいやねんけど、それナッチーだけの責任とちゃうで」
「うおおっ!なんやねんな、これぇっ!」
その時、どこからか男の声が聞こえてきた。
Д<「なんや、今の声?」
「こっち来るな!きしょい!きしょい!」
つじ「こえがちかづいてくるのれす」
Д<「な、なんやあいつ!」
声の主が姿を現した。なんとその男、無数のスライムに追いかけられている。
しかもその数は視界を覆い尽くさんばかりである。
「ねえ!ちょっと、乗せてよー!」
男がこちらに気が付いたらしい。
城島「どうする?スピード落としたらうちらもあの魔物に追いつかれるで」
Д<「決まっとるがな、全速力で無視や!」
- 220 名前:アッサヤヌ遺跡[西館] 投稿日:2002年01月12日(土)04時40分05秒
- 「たーすけてー!」
全力で走ってくる男は徐々に車との距離を縮めてくる。
Д<「きしょっ!追いつかれる!」
つじ「おいつめられたにんげんのそこぢかられすね」
Д<「うわ、追いつかれた」
「はい、ごめんなさいね、お邪魔しますよ」
勝手に車に乗り込んでくる男。
城島「あんた一体だれやねん」
「あたしは」
くるっと一回転してポーズを決めて男が続ける。
藤井「タカシ・藤井でーす」
城島「まあ、それはいいとしてなんや?あの魔物は」
藤井「さあ、、気が付いたらあんな大群になって追いかけられてたのよ」
つじ「…ひそひそ…なんかしゃべりがおかまっぽいのれす」
Д<「…ひそひそ…言うたらあかんで。ああいうのはオカマや言われたら
ぶち切れるのがオチや」
- 221 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月12日(土)04時41分52秒
- つじ「きもちわるいのれす。すらいむがまだおいかけてくるのれす」
Д<「なんか心なしか数が増えとるような、、、」
以前としてスライムが一行を追い続けていた。やがて車の前方に登り通路が現れた。
Д<「やった!上の階に逃げ込めば奴らも追ってこられへんやろ」
車は登り道を駆け上り、全速で走りつづけた。道なりに進むと幅の広い通路に
差し掛かった。現在地と方角を示すマップが床に表示されている。
Д<「とりあえず右いこか」
さらに進むと幅の広い通路の交差点に出た。床のマップから察するに、
この地点からは東西南北のいずれにも行けるようだ。
城島「おお、水が湧いとる。飲めるかな」
目的はわからないが通路の両脇を水が流れている。それも床ではなく
人の胸ぐらいの高さを。交差点の上部から水が流れ込んでいる。
城島「ゴクッ、、この爽やかなのど越し、まるで高原の朝を思わせるような、、」
Д<「そんな表現どうでもええねん。怪我人の手当て出来る
きれいな水やいうのは良く分かったから」
矢口とナッチーはまだ眠ったままである。二人の手当てのために全員が車を降りた。
藤井「……」
ミカ「……」
藤井とミカの目が合う。
藤井「ホーーーーー!」
ミカ「アーーーーー!」
- 222 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
- ( `.∀´)ダメよ
- 223 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月12日(土)21時34分11秒
高橋「ん〜……どこに行ったらいいんだか。」
目的地がわからないので、目的地を探すために、うろうろする。
高橋「……この道、右に行ったらさっきの強そうな人がいる所かぁ……どうしようかなぁ……。あぁ、そうだ!」
突然、印を結び始めた。
そして、現れたのは棒。
高橋「どっちに行けばいいのか、教えて!『棒のルーン』!」
こけた棒は、右に向いた。
高橋「う〜ん……やっぱり、同じ場所に行くのはよくない!左に行こうっと。」
棒を消し、左に曲がり、その道を走った。
- 224 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月14日(月)01時46分10秒
- 冷たい。のどが。・・・水?
矢口「げほっ!、うっ、、あ、、、」
「お!気づいたで!」
「らいじょうぶれすか?」
辻とあいぼんの顔が目の前にある。
矢口「?、う、、お前たち、、、、おいら、、、はっ!」
Д<「まだ動いたらあかんで!」
矢口「なっちーは??」
あいぼんの静止を振り切り、矢口は立ち上がった。
自分のことはどうでもいい。ナッチーの呪いは解けたのだろうか?
あいぼんは矢口の服を引っ張り、目でナッチーの方向を示した。
矢口「あ!」
Д<「さっき、意識が戻ってん。けどな、、、」
ナッチーは隅でこっちに背を向け、膝を抱えて座りこんでいる。
Д<「一人にしてくれって・・」
と言うが早いか、矢口は駆け寄り、ナッチーの肩に手を置いていた。
- 225 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月14日(月)01時50分22秒
- 矢口「ナッチー!」
ナッチー「・・・・・」
矢口「ナッチー?、あ、あのね、、、」
ナッチー「知ってる!知ってる!!」
ナッチーは体をゆすって矢口の手を離した。
矢口がまた近づくと、
ナッチーは顔をそむけた。矢口には涙が見えた。
矢口「あ、、、」
ナッチー「ごめんね。矢口。ごめんね。。。したっけね。。」
ナッチーは両手の親指でかわるがわる目の下を拭いた。
矢口「気づいて。。。」
ナッチー「あの人は、氏んだんだべさ。知ってる。生きてるわけ、ないんだべさ。」
矢口「あ・・・・」
矢口はがしっとナッチーの肩に腕を回し、抱き寄せた。
矢口「な、なあ、ナッチー、元気出せよ!!な!
ほら、おいら達もいるし。こんな時は笑ってさ。キャハ」
ナッチー「・・・・・・」
矢口「ハハ・・・・」
掴んだナッチーの肩は、震えている。
ナッチー「・・ごめん。矢口。今は、一人にしてほしいべさ。」
矢口「ナッチー、、、」
矢口はナッチーの肩から手を離した。
でも、その場から立ち去り、一人にするわけにもいかない。
何か言いたいが、言葉が出てこない。
みんな、黙ってしまった。
- 226 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月14日(月)01時53分15秒
- ・・・・・・
つじ「・・・・」
ガタッ
Д<「あ、のの!」
辻が動いたので、あいぼんは止めようか迷い、手を伸ばしたが間に合わなかった。
辻はナッチーのほうに近づき、矢口と反対の横にちょこんとしゃがんだ。
ナッチー「?!」
ナッチーが辻に気づき、座ったまま前に進んで二人に背を向けようとすると、
辻は横から手を差し出した。
つじ「これ、あげるのれす。」
ナッチー「いらないっ。」
振り向かないナッチー。
つじ「おいしいれすよ?」
もう一度、手を強引に差し出した。
ナッチー「?、・・・・、なんだべ?」
辻は、にこっと笑って、ナッチーの手の上に握っていた物を乗せた。
つじ「これはれすね、たべると、ちょっとらけげんきがれる、まほうのあめれす。」
矢口「?、そんなの持ってんのかよ!」
つじ「とくべつに、みっつあげるのれす。」
Д<「?、なんや、さっきといっとることが違うな。」
城島「俺にくれた時と?」
- 227 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月14日(月)01時59分46秒
- ナッチー「・・・効かないよ。こんなの。」
つじ「らまされたとおもって、くちにいれるのれす!」
ナッチーは正直、口に物を入れる気分ではなく、返そうと思ったが、
ナッチー「・・・・、しょーがないなあ。」
辻の期待する目に、なんとなく逆らえなかった。
ナッチー「・・・・・(ぱく。・・・カリコリカリ、、)」
つじ「・・・・・」
矢口「(ドキドキ)」
ナッチー「はぁ〜〜、、甘〜い。」
矢口「ありゃあ。駄目?」
ナッチー「・・・でも、、ん?、うん。。」
矢口「?」
ナッチー「うん。なんかちょっとだけ、元気でた。かな?」
矢口「おお!」
つじ「(にこっ)」
ナッチー「ありがとね。つーじー。」
ナッチーにちょっと笑顔が戻った。
ナッチーは辻の頭を撫でた。
つじ「えへへっ」
矢口「やった!」
矢口はナッチーに抱きつき、ナッチーの頭にぐりぐりと頬をこすりつけた。
Д<「ふう。。便利な魔法のあめ、やな。」
城島「まったく。」
・・・・・・・・
- 228 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月14日(月)20時03分58秒
- 高橋「ん?なんだすか?これ……。」
床に散らばる液体状の物質。
剣を右腕からだし、突っついてみる。
すると、その物体が剣に絡み付いてきた。
高橋「キャー!なにこれ〜!」
剣を消す。
ゴゴゴゴゴ……
高橋「何?この音……。」
前方から、音がする……と思った瞬間、前方からたくさんのスライムが走ってきた。
高橋「キャーー!」
もと来た道を走って戻る。
高橋「ウワーー!」
ドン!
前方に突然現れた人影とぶつかる。
??「イタタタタ……だ、だれよ。」
高橋「イタタタタ……あ、あなたは……。」
アミ「あ、高橋……だったけ?ここで会ったが……。」
高橋「い、今はそれどころじゃないんです。失礼します!」
高橋は立ち上がると、すぐに走り始めた。
アミ「いったい何よ……って、うわぁぁ!」
アミもスライムの大群を見つけた。
すばやく立ち上がると、高橋と同じ方向へ走り出した。
- 229 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月15日(火)00時20分18秒
- 矢口「ところで、あの二人何やってんの?」
矢口はミカと
矢口「っていうか誰?」
藤井を指差した。
Д<「さあ。なんや知り合いだったんちゃうかな?」
二人はさっきからずっと喋っている。
藤井「あ!」
矢口「あ?」
矢口は藤井と目が合った。藤井は矢口に近づいてきた。
藤井「あ、やぐっちゃ〜ん、いつの間に起きてたの?やだぁ。大丈夫だったぁ?
あなた達の戦い、実はずーっとみせてもらったのよ。
なんか凄かったわねー。感動しちゃった。
タカシ、あなた達のこと気に入っちゃった。特にあなた。よろしくねえ。」
矢口「え?、は、はあ、そりゃどうも。矢口です。」
藤井は矢口の手を両手で持って、強引に握手した。
勢いに圧倒されて顔が引きつっている矢口。早く藤井から離れたい。
藤井「聞いたわよ〜、格闘家なんだって〜?」
しかし藤井の一方的な会話はしばらく続いた。
・・・・・・・・・
- 230 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月15日(火)00時26分21秒
- その後
矢口「で、ここはどこなの?」
みんなは、ナッチーと矢口に二人が気絶した後の経緯を説明した。
矢口「なるほど。んじゃ、ナッチーを操った例のわなで人をおびき寄せて、
そのスライムの巣にでも放り込むつもりだったのかな?」
城島「かもしれん。」
矢口「ぞ〜〜っ」
ナッチー「・・・・・」
全員が出発するために車に戻ると、荷台に乗せていた例のキックボードは車体の屋根に
縛り付けられてあり、荷台に何人か乗れるスペースが出来ていた。
矢口はナッチーと自分以外を全員車に押し込んだ。ただでさえ狭い車内はぎゅうぎゅうである。
矢口とナッチーの二人は荷台に後ろ向きに腰掛けた。ミカがカーライトのスイッチを入れ、
明らかに定員オーバーの人数を乗せ、車はゆっくりと発進する。
がたがたがたがた、、、
ナッチー「ねえねえ、ちょっと、この車、どうしたんだい?」
矢口「へへへ。おいらが作ったんだよ!天才だからね!」
ナッチー「ええ〜?、またまた〜、ほんとにぃ??」
矢口「ほんとだってば!キャハハ。みんなにも聞けばわかるし。」
ナッチー「そりゃちょっと凄いんでないかい?
えー、したっけねえ、矢口がかい?なんかなー、笑っちゃうべさ。んふふん」
矢口「ナッチーが笑ってんのなんていつもじゃん。
何がおかしいのか全っ然わかんないけどね。キャハハ」
- 231 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月15日(火)00時32分59秒
- 矢口「あ、そうだ、さっき思ってたんだけどさ、修行してたとかいって、
ペットボトルに水入れて持ってきただけじゃん。それって修行したって言わなくない?」
ナッチー「ん?、ちがうべさ。あの水、大雪山の雪解け水と摩周湖の深層水をブレンドして作ったんだべ。」
矢口「?、おお、すごーい。ってあれ?やっぱりそれも修行じゃないじゃん!」
ナッチー「違うべ違うべ!最後まできくっしょ。
したっけ、その水を使いこなすのに苦労したんだべ。」
矢口「ええっ?どこの水とかで違うの?」
ナッチー「んだべ。色とか、硬さとか、、」
矢口「はぁ?そんなのわかんねーって!キャハハ」
ナッチー「はっはー、そりゃわかんないべさ。ナッチー以外に。知ってる。あははっ」
キャハハッ
あははっ
車内、後部座席には辻、あいぼん、藤井が座っている。
Д<「もう笑って喋ってるで。なんつーか、、」
つじ「よかったれすね。」
満面の笑みで言う辻。
Д<「そ、、そやなあ。。」
ナッチー「でもさっきの戦いの後、水を回収しそこなったべさ。」
矢口「あ、そういえば。」
ナッチー「だから今そこで水を汲んできたっしょ。」
ペットボトルには新しい水がたっぷりと入っている。
矢口「でも、もったいなかったね。」
ナッチー「ん。したっけ、これもなかなかいい水みたいだべ。」
ちゃぷっとペットボトルを振って見せた。
- 232 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月15日(火)00時34分12秒
- フィーーーン
車内
Д<「そういえば、さっきあんたらが喋っててから、
ミカちゃんの口数が少ない気がするんやけど、あんたら何を喋ってたんや?」
あいぼんは藤井に尋ねた。
藤井「それはねぇ。。」
突然藤井の顔が深刻になった。
Д<「な、なんや?」
つじ「?」
藤井「ひ・み・つぅ。うふっ」
つじ「おえ〜。」
Д<「(ぶちっ)、頃したる!」
藤井「ぐえー」
藤井の首を絞めるあいぼん。
ミカ「・・・・・・」
・・・・・・・
- 233 名前:バナナソーカ 投稿日:2002年01月15日(火)00時59分18秒
- 突然場所が変わって、バナナソーカ。
勇者一行が事件の核心に近づき始めたその頃、ミチーヨは壁を埋める板を買っていた。
ミチーヨ「なんであたしゃ、こんなことしてんだろうね。。」
店を出ると、店の脇に旅人の服の様な軽装で砂埃に汚れた子供が突っ伏している。
ミチーヨ「あちゃー、行き倒れかいな。」
珍しくもないが、素通りできない性分なので、とりあえず声をかけることにする。
ミチーヨ「なあ、あんたどうしたー?あら、女の子か。」
??「・・・・・あ、ありがとうございます。頂きます。」
ミチーヨ「まだ何もあげてないけど。さっき買った缶コーヒーなら今、、」
??「ごくごく」
飲んでいる。
ミチーヨ「あれ?(いつの間に、、)」
??「ぷはー。どうもありがとう。おねーちゃん、いいこだね。」
空き缶をミチーヨに返す少女。
ミチーヨ「ぷっ、、うちのこといいこって、あんた歳いくつよ?
しかし、誰もあんたみたいな子見てほっとくなんて、世知辛い世の中やなあ。
まあ、今はちっとばかし、しゃーないねんけど。」
と、目の前に少女がいない。
ミチーヨ「!?」
??「すいませーん、たこ焼きくださーい!」
おっさん「あいよっ」
??「ちょっとおまけして!」
おっさん「?、おう、そんじゃ一個だけな。」
横の出店にいた。
??「さんきゅー」
ミチーヨ「ってなに出店で買い物してんねん!金持ってんのか!!しかも全然元気やん!!」
??「うん。お金なら持ってないけど。(パクパク、もぐもぐ)」
ミチーヨ「あ!うちの財布!いつのまに!!」
??「いいじゃん。買ってくれる気だったでしょ?」
ミチーヨ「このスリ!泥棒!返しなさい!」
ミチーヨは少女から財布を奪い取った。
中身を確認するが、たこ焼き代以外は取られていないようだ。ほっと安心。
- 234 名前:バナナソーカ 投稿日:2002年01月15日(火)01時05分41秒
- ??「泥棒っていうか、盗賊だよ。シーフ。賊と言っても、今は一匹だけどね。」
ミチーヨ「どっちでもええわい!ったく、そんな歳で物乞いのふりしてスリ?
たちが悪いんじゃないの?」
??「いいじゃん、返したし。それより、さっき今はしゃーないって、この町、なんかあったの?」
ミチーヨ「ん?、、、まあここんとこ、いろいろあってなぁ。」
ミチーヨはこのあたりで起こっていることをかいつまんで話した。
話題をすりかえられた事に気づかないミチーヨ。
??「ヤバいねー。」
少女はわりとどうでもよさそうだ。
??「んじゃありが、」
さっさと去ろうと思ったとき、ミチーヨが話を続けた。
ミチーヨ「まあ、今、頼りになるかならんかびみょ〜〜な線の勇者の一行とかな、
解決に向かってるから、何とかなるやろ。」
??「!!」
ミチーヨ「でも、しばらくは、ここは治安が悪いしみんな余裕も無いって事はわかったやろ。
あんたもそういう事やってんなら、他行くことやな。他。」
??「ねえ、勇者うんぬんって、やたら仲良さそうに。ねーちゃん、あんた何者?」
ミチーヨ「あ?うちか?、一応、この先の酒場でマスターやってる。」
??「は?!、マジで?」
ミチーヨ「まじ。」
??「お・・おーっ!やっったーーーっ!!」
小さくガッツポーズを決めている。
ミチーヨ「??、何を喜んでんねん?」
??「探してたんですよ。酒場。しかもこんな形で、
そのマスターと良い知り合いになれるなんて。ラッキー!」
ミチーヨ「良い知り合いって、人の財布かすめ取っといて、あんた、、、」
??「気にしないでくださいよ。そのへんは。
さ、立ち話もなんですし、とりあえずお店に行きましょう。」
少女はミチーヨを引っ張ってミチーヨの指した方向に歩き出した。
- 235 名前:バナナソーカ 投稿日:2002年01月15日(火)01時12分40秒
- ミチーヨ「そりゃあんたはええけどな、、急にころっと態度も変わりよって。
で、酒場に何の用や?
まさか、またその歳でうちの酒場に登録したいっていうんやないやろな?」
??「別に、登録しに来たんじゃないんですけど。。。またって事は、誰か前に来たんですね?」
ミチーヨ「う、ま、まあ。そうやけど。それじゃうちに何のよう?」
??「人探ししてるんです。その子、前に来たって子、高橋って子じゃないですか?」
ミチーヨ「?、知り合いなん?」
??「!!、よっしゃーっ!やっぱり見つかった!ここに来たんだ!」
ミチーヨ「??、あのな、あんたいったい、、」
??「あ、私、まことって言います。これからよろしくお願いします。」
まことは平家の手を取り、ぺこぺこっと頭を下げた。
ミチーヨ「ったく、世渡り上手なガキやな。ほんまに。うちはミチーヨや。みっちゃんって呼ばれてる。」
まこと「みっちゃんさんですね。」
まことは手を握ったまま、笑顔で言った。
ミチーヨ「さ、さんはええで。」
平家はちょっとたじろいだ。言葉の隅をびしばしつつかれ、疲れ気味である。
そういえば、まことといえば、魔王軍の幹部にいたような気がするが、、、
・・・・・・
まこと「(へへへっ、待ってなさいよーっ!高橋愛!!)」
- 236 名前:魔王城/アッサヤヌ遺跡[本館] 投稿日:2002年01月15日(火)21時09分58秒
- さやか「え!」
つんく「なんや!!」
††††††††††††
その時、素子から配信された映像にうつっていたのは、逃走するごま・山口と、それに引っ張られるように走っていたよっすぃーの姿だった。
素子「待てー!逃げるなー!」
素子の力走むなしく、三人は転移装置に入ってしまう。
追いついた新垣とともに後を追おうとした素子だったが、目の前で三人の消えた転移装置からは光のプールが消え去り、ただのガラクタになってしまう。
どうやらすんでの所で、ごまが魔法で装置を破壊したらしい。
素子「くっ、取り逃がしたかっ!」
††††††††††††
さやか「何逃げてんだよ〜・・パリポリ・・」
せんべいをかじりながら、さやかはのんきにお茶の間評論家となっているが、つんくからしてみればそれどころではない。
つんく「素子、聞こえるか?
わしや、つんくや。」
素子『申し訳ございません
雷刃を発見したのですが、何者かに持ち去られてしまいました』
つんく「わかっとる。その様子を見てたからな」
素子『は?』
つんく「まあそんなことはどうでもええ
それよりも雷刃を持ち去ったのは勇者一味なんや」
素子『そのようですね。ひとりがバトルマスターと名乗っていました』
つんく「合流されるとややこしいことになる
開門者の能力を使って、はよ奴等を見つけてくれ」
素子『かしこまりました』
- 237 名前:アッサヤヌ遺跡[??] 投稿日:2002年01月15日(火)21時11分19秒
- よっすぃー「達兄、なんでいきなり逃げ出したんだよ」
山口「あの姉ちゃん、かなりの実力だ
無駄に戦っても得することは無い」
よっすぃー「だからって敵前逃亡ってのは・・」
山口「冒険と試合は違う
時には逃げるが勝ちってこともある」
さすがはいくつもの巨大鬼ごっこを経験した冒険者、倫理観がはっきりしている。
- 238 名前:アッサヤヌ遺跡[??] 投稿日:2002年01月15日(火)21時12分06秒
- よっすぃー「でも相手は魔王軍だったんだよ」
ごま「今の私たちの目的は失踪事件の手がかりを探すこと
魔王軍と戦うことじゃないでしょ」
よっすぃー「ごっちんまでー」
ごま「なんにせよみんなと合流しないと
ってか、私と一緒にいたメンバーは?」
山口「東館で待機しているはずだが」
ごま「ここは・・・」
ちょうど壁に刻まれていた紋章を見ると、菱形の中の鷹は左翼を広げていた。
山口「ってことは・・・なんだ、東館じゃないか」
- 239 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月15日(火)21時13分05秒
- 国分「おっ、帰ってきた帰ってきた」
飯田「なんかあった?」
よっすぃー「なんかあったも何も、ものんすんごいのが見つかりましたよ、飯田さん」
そう言ってよっすぃーは飯田達に雷刃を見せる。
山口「なんでも名高い名刀なんだってよ」
国分「ほう」
ごま「魔王軍だっていう人がこれ欲しがってたみたいだったけど、振り切ってきちゃった」
長瀬「おっおい、これってもしかして、雷刃じゃないのか?」
よっすぃー「うん、たぶんそうだと思う」
松岡「知ってるのか?」
長瀬「いや、伝説をちょっとだけ」
紺野「伝説?」
長瀬「昔とある農村で疫病が流行して田畑の土まで全部汚染されちまった時のこと。
村人たちは山の神に少女の生贄をささげ、活路を導くよう乞いたんだと。
すると天より風神と雷神があらわれた。
まずは風神が大風をおこして密林の木々をなぎ倒した。
次に雷神が大雨を降らせて密林だった所を肥沃な土地な変えた。
そして村人たちはその土地を開墾して田畑にした、っつー昔話だよ
その時に風神と雷神が用いたのが、それぞれ風刃・雷刃と名づけられた刀なんだと」
保田「なるほど。魔王軍がうろついてたのは、そういうことだったのね」
- 240 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月15日(火)22時29分16秒
- よっすぃー「圭ちゃん!」
紺野「調べもの、終わりました?」
保田「だいたいね」
松岡「それより魔王軍がからんでくるってのは、どうしてだ?」
保田「前にも話したことがあるけど、今魔王軍が行おうとしているのは魔界との完全な通路を作ること。
そのためにあいつらは故事に登場する伝説の武器を手に入れようとしているのよ」
飯田「それって…」
保田「つまり森を切り開いた風刃で、魔界との空間を切り開き、
土がめくれあがった荒地を肥沃な土地にした雷刃で、その空間を安定させるつもりなんでしょう」
石川「その二つの武器がやつらの手に渡ったら…」
ごま「他に何か必要なものがあったとしても、
私たちの世界と魔界がつながってしまうのも時間の問題だろうね」
国分「その、もう一つの風刃ってほうはどこにあるんだ?」
保田「それが・・・」
彼女は言葉を濁してよっすぃーを見やる。
よっすぃー「おそらく先の大戦で魔王が装備していたのが、この雷刃と対になる名刀・風刃だと思われます」
山口「すでに敵の手の内か」
飯田「なんにせよ、よっすぃーが持ってるその刀を死守しなきゃてことだね」
- 241 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月15日(火)22時29分44秒
- 長瀬「で、そっちのほうも何かみつかったんだろ」
シバタ「失踪事件の原因じゃないかとおもわれるものを発見しました」
飯田「ほんと?」
保田「巨大スライムというか、ゲル状・液状・場合によっては粘液状に変化する生物。
今回の事件はこの魔物によるものだと見て、まず間違いないわ」
国分「他に情報は?」
石川「この生物は人間を飲み込んだ後、時間をかけて消化していくんです」
飯田「ってことは、今すぐそいつをたおせば、ダーマ=サイタの人たちは救われるんだね」
保田「断言はできないけど」
山口「裏をかえせば、消化が終わった後、次なる町を襲う可能性もあるってことだ」
長瀬「弱点とか、魔物としての特性なんかは?」
シバタ「さあ・・」
松岡「よし、とりあえずの目標としては更なる情報収集だな」
飯田「そして町の人たちを助け出す!」
勇者飯田の言葉に、長瀬達は顔を見合わせる。
よっすぃー「どうしたの?」
山口「場合によっては、魔物を打ち倒すことより、遺跡ごと封印したほうがいいかもしれない」
松岡「あるいは、火器でばーっとやっちゃうかだな」
飯田「それじゃ、町の人達はどうなるの?」
長瀬「方法があればもちろん救い出すつもりだが、まずは次の事件を阻止することが先決だ」
国分「正直なところ、現在までわかった情報だけでも、国からある程度の報酬は出るでしょう」
男たちの現実的な意見に、みな思わず口をつぐんでしまう。
山口「そんな顔するな
俺たちはただ俺たちにできることをするだけだ」
- 242 名前:魔王城 投稿日:2002年01月15日(火)22時30分27秒
- さやか「あー、画面が映らない
どうにかしてしてー」
つんく「素子が『開門者』の能力を使って特殊な次元空間を移動しているからやろ」
さやか「なんでもいいからさ、なんか映しといて」
つんく「はいはい……藤井のとこでええかな」
つんく「おい藤井。わしや、つんくや
そっちの状況を報告せい」
藤井『あっらー、つんくちゃん。吉報よ、吉報。
みつけたわよ、お姫様』
つんく「ほんとか?」
藤井『うん、でもまだ一応様子見つつ同行してる』
つんく「うまく連れ戻してくれ
ええか、くれぐれも傷つけるようなことにはならへんようにな」
藤井『お・ま・か・せ』
藤井とのテレバスを終えたつんくに、さやかは呟く。
さやか「知らない奴らばっかでつまんない
チャンネル変えて」
画面にうつっているのはナッチーやチビ達、そして城島と藤井自身。
ずっと魔界にいたさやかからしてみれば、確かにつまらないのだろう。
つんく「まったくお前は・・・」
こちらに顔を見せずにいるさやかを見て、魔王は短くため息をついた。
- 243 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月16日(水)21時45分02秒
- 松岡「どちらにしろまだ引き上げるわけにはいかないな」
長瀬「そうそう、待ち合わせもあることだし」
国分「今回はリーダーもいないし、ゆっくりやるか」
山口「リーダー、今ごろ何やってるかな」
松岡「さあ、噂されてくしゃみでもしてんじゃないのか」
- 244 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月16日(水)21時45分24秒
- スライムに追われて並走していた高橋とアミだったが、さすがは身軽な上に魔王軍随一の持久力を持つだけのことはある、アミは軽々と先をいってしまう。
取り残されてしまった高橋のほうはと言うと…
高橋「ちっ違うでがす
わたすは誰かさん達と違ってデ○なんかじゃなくて、ただ装備が重いだけ・・」
+*+*+*+*+
『へっくしょん!!』
つじ「くしゃみなのれす」
Д<「あかん、風邪ひいたかな」
ナッチー「ナッチーもだべ」
城島「俺も最近中年太りが・・・」
矢口「??」
- 245 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月16日(水)21時45分57秒
- しばらく高橋が走っていると、ずいぶんと天井の高いところに出た。
思わず階段がないか探すが、どうやら上が見えるだけで、上階があるわけではないようだ。
しょうがないので追いつかれる前に先に進もうと思ったとき、向こう側からアミが戻って来る。
高橋「何かあったのかな・・って、え!」
アミの後方に見えたのは、やはりスライム。
高橋「キャァーー!」
まるでマツタケを見たような叫びも虚しく、道の両側から二人をめがけてスライムの波が押し寄せてくる。
絶体絶命!
どうする高橋(&北上)!!
- 246 名前:アッサヤヌ遺跡[脚で移動中] 投稿日:2002年01月17日(木)21時23分27秒
- アミ「ちっ!」
アミの投げた短刀が一直線にスライムに向かうが、その勢いを殺すことなく吸収されてしまう。
高橋「階段が無いならしょうがない。
『鍵縄のルーン』!」
威勢よく発せられた彼女の声とともに、空間上に幾何学文字に彩られた光があらわれ、彼女の指の動きとともに徐々に具現化していく。
そして彼女の手元に現れたのは、長さ1m強の鍵縄。
アミ「って、そんな短かったら意味ないでしょ、役立たず!!」
高橋「時間がないから大きいものなんか描いてらんないの!
だいたい役立たずって、あなたのほうが・・」
そんな口論をしてる間にも、両側から確実に二人に迫り来るスライム。
『キャーーーー』
- 247 名前:アッサヤヌ遺跡[車で移動中] 投稿日:2002年01月17日(木)21時24分08秒
- Д<「さっきから変に騒がしかったり、かと思えばいきなり目つぶって黙りこくったり、
あんたあからさまに怪しいで」
藤井「そんな小さいこと気にしないで…っで、グルジグルジ……」
四の五の言わせずに再び藤井をしめるあいぼん。
城島「おいおい、あんま暴れないでくれや
ただでさえ狭いんやし」
- 248 名前:ミチーヨの酒場バナナ=ソーカ店 投稿日:2002年01月17日(木)21時24分54秒
- とりあえず酒場に帰ってきたミチーヨとまこと。
まこと「お客さんゼロじゃん
はやってないね、この店」
ミチーヨ「ここら一体、スクランブルがしかれてるからに決まっとるやろ」
まこと「かいげんれい?」
ミチーヨ「冒険者は休業か他所に行ってもうた。
うちは宿泊はやってないし、基本的に昼間は店を開けてへんの」
まこと「それじゃあさ、高橋愛も他の町へ行っちゃったの?」
ミチーヨ「彼女はダーマ=サイタに乗り込んでった」
まこと「その町ってこの近く?
酒場とか冒険者がけっこういる町?」
ミチーヨ「戒厳令がでて、進入禁止区域に指定されてるんやで。
酒場に冒険者がたまってるわけないやろ」
まこと「え、なんで?なんかあったの?」
ミチーヨ「あんた、そんなことも知らへんの?」
カウンターに身を乗り出すようにして尋ねる彼女を見て、ミチーヨはため息をついた。
どうやら、またやっかいな人間に捕まったようだ。
- 249 名前:アッサヤヌ遺跡[脚で移動中] 投稿日:2002年01月17日(木)21時48分26秒
アミ&高橋「キャーーー!」
二人ともお手上げ状態で、部屋中をばたばた走る。
すると、何か踏んだ。
カチ
高橋「ん?なんか踏んだ?」
高橋は、足元を見た。
すると、床からはしごがすごい勢いで現れた。
高橋「うわぁぁぁ!」
高橋の服が引っかかり、逆バンジーっぽく、天井付近まで。
頭に当たる寸前で、はしごは止まった。
アミ「だ、大丈夫かー?今そっち行く。」
アミがはしごを登りだす。
- 250 名前:アッサヤヌ遺跡[はしごで移動中] 投稿日:2002年01月17日(木)21時56分39秒
- 高橋「……ん?はしごが、天井にめり込んでく……。」
引っかかったままの高橋が、天井を叩く。
すると、はしごの先が当たっている所だけ、音が違った。
高橋「『銃のルーン』で撃ってみよう……。」
右手から銃を出し、天井に打ち込んだ。
すると、再びはしごが動き出す。
高橋「痛い!痛いってば!」
額が、壁とこすれる。
高橋「痛いよ〜!」
とうとう泣き出した。
アミ「あぁぁぁぁぁぁ!」
アミはすごい勢いで動き出したはしごにしがみついている。
アミ「なぁぁんんんなのぉぉぉぉ!」
勢いは、とどまる所を知らない……。
- 251 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月18日(金)23時07分19秒
- 高橋「どわぁぁ!」
天井を突き破り、暴走するはしご。
水がたまっている所でストップした。
高橋「キャーー!」
引っかかっていた服が破れて、はしごから放り出される。
そして、はしごは逆走。
ゴン!
高橋は天井にぶつかり、意識を無くした。
そして、そのまま落下。
水中に沈んだ。
アミ「イヤーーー!」
逆走しだしたはしごを、一生懸命登る。
すぐしたには、スライムの口が待っている。
アミ「いや〜!」
ボロボロ涙をこぼしながら、手足を回転させる。
ふと、アミの動きが止まった。
アミ「ん?これって、漫画で言う、あの間だよね?」
足元を見る。
はしごがない!
アミ「イヤーーー!」
スライムの口めがけて、一直線。
北上、スライムに食われる。
- 252 名前:アッサヤヌ遺跡[??] 投稿日:2002年01月19日(土)21時47分27秒
- のびるのびる、ぐんぐんのびる。
どんどんどんどん、はしごはのびる。
ビビるビビる、おおきのぼる。
れいこれいこれいこれいこ、たかちのぼる。
表面に打ち当てられたときの衝撃。
のめりこむ体。柔らかい感触。
素肌を見せていた肩口から生温かさが伝わる。
徐々に徐々に沈みゆく。
ポチョムキンは死んだよ。
ポチョムキンは殺されたよ。
( ● ´ へ ` ● )<なっちはまだ死んでないべ
( ○ ^ 〜 ^ ○ )<バランスとるからって、安倍さんと同じ横幅ですか!?
首筋まで吸い込まれようとしたとき、私の体は浮き上がった。
抱え込まれているという安堵。
見下ろすと水面のようにスライムは光る。
見上げると滝のように穴から水が流れる。
真己、あなたは今なにを考えているの?
沙紀、私たちはこれからどうなるの?
(北上アミ詩集「デビュー前だったあの頃へ」より)
- 253 名前:アッサヤヌ遺跡[南館] 投稿日:2002年01月19日(土)21時47分50秒
- アミ「ぽちょむきん〜〜〜・・・ハッ!」
悪夢からアミが目を覚ますと、あたりには二つの人影が見えた。
高橋は濡れた床に伏せっていて、もう一人の女性がこちらに気がついた。
しかし声をかけるでもなく、こちらを観察しているようだった。
見覚えのあるようなないような顔。
まだ頭が鈍っている。
高橋「・・あれ?」
どうやら彼女も目を覚ましたらしい、そしてアミと同じように目の前の女性をみあげる。
高橋「あなたが、私たちを助けてくれたんですか?」
その言葉に、意識を失う前のことを思い出す。
アミ「(そうだ、私はスライムの中に落ちて・・)」
そう思って女性のほうをよく見ると、年は自分と同じくらい、若い冒険者のようだった。
高橋「ありがとうございました
あの私、高橋愛って言います」
立ち上がってぴょこんと頭をさげる高橋から、興味無さそうに女性は視線を外す。
高橋「お名前はなんていうんですか?」
これも無視。
高橋「・・・あの、冒険者の方ですよねえ・・」
様子をうかがうようにしている高橋に、女性ははじめて口を開いた。
??「あなた達は?」
独特の声。まるでネコのような、力の抜けた声。
高橋「…え、私は一応そうです。
ソロでここに入った冒険者です」
アミは何も言わなかったが、それを気にしたのは高橋だけのようで、女性は視線を宙に浮かべていた。
そして、そのまま二人に向かってこう告げた。
??「今すぐ帰ったら?」
- 254 名前:アッサヤヌ遺跡[南館] 投稿日:2002年01月19日(土)21時48分14秒
- 高橋「え?」
??「ここはプロの仕事場だから。
涙流してるようなガキがうろつくところじゃないから」
アミも思わず立ち上がる。
??「ここは南館の3・4階あたり
そこの転移装置からこの建物の入口まで戻れるはず
行って、早く」
高橋「わ、私だって報酬もらうためにここに来てるんです
途中でヤマから退くなんてこと、できません」
??「たてつく事しかできない子供」
ため息混じりでそう言うと、女性は挑発的な目つきで高橋を睨む。
高橋もにらみ返し、幼げな笑みさえ浮かべる。
二人のやりとりを他所に、アミはずっとあたりを見回して考えていた。
どうやって自分と高橋がここにいるのか。
ここは一面水がたまっていたはず。
それが床に開いている大きな穴から見ずが下に落ちてしまって、湿気た部屋になったのだろうが、この穴は先ほどはしごで開けた時の倍以上に広がっている。
考えられるのは、あの女性が高橋を溺れさせないために、穴を広げた。
この厚さ2m近い岩の床を打ち破って。
そしてその穴から下に抜け出し、スライムに沈もうとしていた自分を助けて、上にかけあがった。
あの小さい細身が人間一人片手で抱えられるはずがないから、おそらくは脚だけを使って、ほぼ垂直の壁を3階ぶんほどかけあがった計算になる。
自分の推理に、アミは身を震わせる。
そんなことができる人間、魔王軍にも一人しか・・
高橋「私があなたに勝てたら、ガキじゃないって認めてくれます?」
- 255 名前:魔王城 投稿日:2002年01月19日(土)21時48分47秒
- 市井「あの女!」
つんく「なんでこないなところにいてるんや!」
たまたま北上の様子を見ていた二人は、高橋と対峙している女の姿を見て、思わず声をあげる。
市井「あんた、あの女までこのダンジョンに投入してたの?」
つんく「いや、俺は何も言うてない」
市井「え?だってアイツ、あんたの部下でしょ」
つんく「違うんや
確かに先の大戦での『愛のさだめ作戦』ではお前らと戦ったが、雇用契約はあの時きりだったんや」
市井「ってことは、一冒険者として乗り込んできているってことか」
つんく「そうやろうな」
謎深まる女性の正体!
はたして彼女は何者なのか!?
- 256 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月19日(土)21時49分16秒
- 長瀬「しかしこれからどこ行くよ」
飯田「この階はあらかた探しつくしちゃったし」
保田「うーん・・・そうだ!
紺野、サーチしてみてよ」
紺野「あっはい、やってみます」
彼女は目をつむると、壁に手をついて、なにやら詠唱しはじめる。
紺野「千代の間につもりたる八百万の砂々よ
今一度我の問いに答えたまえ
サーチ!みちしるべ!!」
すると紺野の手が触れた部分から、壁全体に光の波が素早くつたわり、すぐさま退いていく。
光が残ったのは、廊下を20mほど行ったところの壁の一部。
紺野「えーと、たぶんこの向こうに隠し通路か部屋かがあると思います」
保田「でかしたわ。
それじゃ力自慢にここを破壊してもら・・・」
紺野「ハッ!!」
保田が言い終わるより早く、紺野の拳が目印の光残る壁にぶちあたる。
・・ガッ・・ガラガラガラ・・
そしれあれよと言うまに壁が崩れ去ってしまった。
飯田「え!?」
よっすぃー「お手本のようにきれいな中段突き・・」
山口「武道の経験者か?」
山口の問いに、紺野は笑みとともに答える。
紺野「あ、はい。昔ちょっと通信教育で空手をやってて…」
- 257 名前:ミチーヨの酒場バナナ=ソーカ店 投稿日:2002年01月19日(土)21時49分38秒
- ミチーヨ「・・てなことがあってな、ダーマ=サイタには入ることができへんのよ」
まこと「でもアイツはそこに行ったんでしょ」
ミチーヨ「え、、まあな」
まこと「どうやって入ったの?
まさか検問所ぶっちぎったの?」
ミチーヨ「・・・・」
思わず目をそらしてしまうミチーヨ。
まこと「あー!なんか知ってるでしょ、オバサン」
ミチーヨ「オバサンやて!!私はまだ22・・・」
次の瞬間、カウンターの上で目にも見えないほどの速さで何かが動いた。
まこと「っく・・」
カウンターの引き出しに伸ばされたまことの手首を、ミチーヨがつかまえていたのだった。
ミチーヨ「情報は酒場の商売道具。そう簡単には見せられん。
悪いなあ、手癖の悪い嬢ちゃん」
- 258 名前:アッサヤヌ遺跡[南館] 投稿日:2002年01月20日(日)07時49分16秒
- ??「・・やだ。たるい」
女の反応にずっこける高橋。
??「私、待ち合わせがあるの
悪いけどそんなくだらないのに付き合ってられない」
高橋「くだらないですって!」
??「金にも何もならない無駄な争い、これ以上くだらないものがある?」
高橋「・・・」
??「わかったんなら、さっさと家に帰りなよ」
高橋「・・・ついていっちゃダメかな・・」
アミ「!」
言われた女のほうは、黙ったまま、今度は訝しげに高橋を見つめる。
??「……勝手にしたら」
高橋「やた!」
??「そのかわり、今度同じようなことがあって、いちいち助けたりはしないから
・・そっちの軽装の人もね」
アミは無言で口元をあげる。
高橋「それじゃ、お名前聞かせてくれますか?」
??「勘違いしないで
一緒に行くんじゃなくて、あなた達が勝手についてくるだけ。そうでしょ?」
- 259 名前:アッサヤヌ遺跡[南館] 投稿日:2002年01月20日(日)07時49分38秒
- 10歩程先を歩く女を追う高橋。
そして更に少し後ろをアミは歩いている。
すると、通信用の魔法石に着信が入る。
つんく『おう、シェキドルの北上か?』
アミ「魔王様!」
驚いて大きな声をあげてしまったが、先を行く二人は振り向かない。
つんく『お前の今の状況はこっちも確認してる
ええか、お前はあの女を追跡しろ』
アミ「あの女と言うと・・」
つんく『あのすごい爪とジーンズの姉ちゃんや』
アミが確認すると、確かに先頭の女性は言われた通りのファッションをしている。
アミ「はあ、しかしなぜですか?」
つんく『理由は聞くな。ともかくつけろ。
勝手な単独行動をとったんや、これを失敗したら首がとぶと思え!」
アミ「・・はい、承知いたしました」
- 260 名前:ミチーヨの酒場バナナ=ソーカ店 投稿日:2002年01月21日(月)02時39分57秒
- まこと「・・・・・」
ミチーヨ「・・・・・」
まこと「なんちゃって。」
ミチーヨ「っ!、なんちゃってやないで!」
平家は手首を取り上げたまま、キッと睨んだ。
まこと「やるねー。みっちゃんさん。わざわざ言葉でゆさぶったのに。」
きつい表情を向けられているのに、悪気も無さそうに笑顔でしゃべるまこと。
あきれて、平家は掴んだ手を離した。
ミチーヨ「ったく、本気で怒らすなや。」
まこと「さては、ただの酒場のねーちゃんじゃないね?」
ミチーヨ「マスターやって。」
平家は自分用に入れたコーヒーをすすりながら言った。
まこと「何やってたんです?その手の速さ、まさか、、同業??ってことは先輩〜?」
目をきらきらさせる。
ミチーヨ「ったく、ほんまに調子ええなあ。
まあ、遠からずやけど、盗賊と一緒にされるのは、うーん。。」
- 261 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月25日(金)04時53分31秒
- キィィィィン
前方からエンジン音が聞こえてくる。
Д<「なんやなんや」
あいぼんは窓から顔を出す。エンジン音はあっと言う間に近づき、
音を発していた何かが車の頭上スレスレを飛び去って行った。
つじ「…きのせいだとおもいたいのれす」
Д<「あのじじい、まだ生きとったんかい」
「危ないじゃろゴルァ!どこに目ぇ付けて運転しとるんじゃあ!」
空中を飛んできたじじいと呼ばれた男?は車の前まで戻ってきて
着地(そして変形)するなり因縁をつけてきた。
が、
Д<「0時の方向、全速前進」
「ひでぶっ!」
あえなく跳ね飛ばされた。
キキィィィ
城島「おいおい、なんてことすんねや」
ナッチー「構うことはないべ」
矢口「そうそう、今のうちにやっちまおうぜい」
Д<「いくぜい!野郎ども!」
「「「おう!(だべさ)」」」
跳ね飛ばされた上、突然袋叩きに遭うこの男は?
- 262 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月25日(金)04時55分07秒
- つじ「あくりょうたいさん!あくりょうたいさん!」
Д<「この給料泥棒が!」
矢口「甲斐性無しは逝って良し!」
ナッチー「この浮気者ー!」
訳の分からない罵声を浴びせられつつ男は袋叩きにされる。
Д<「ミカはん、城島はん、藤井はん、あんたらも一緒にどや?」
城島「いやあ、そのおっさんに恨みがある訳でもないし」
藤井「……」
ミカ「……」
「(ミカ?藤井?)」
ボコボコにされつつ、男はその場にいる人間に目を走らせた。
「こりゃっ!藤井!何しとるんじゃ!眺めとらんで助けんかい!」
そう言った瞬間、4人は動きを止め視線が藤井に集中する。
藤井「全く、そんなの自分でなんとかなさったら?ワーダ博士」
ワーダ「無茶言いおって、それが交通事故に遭った人間に掛ける言葉か」
矢口「どう見たってロボットじゃん」
Д<「むっ、今回はかなり頑丈やな」
ナッチー「雷お見舞いしてやれば一発だべさ」
藤井「ちょっとあんた達、つっこむポイントが違うわよ!」
矢口「仕方ないなあ。じゃあ、おまえは何者だ」
藤井「じゃあって何よ。バレてしまっては仕方ない。
アタシは魔王軍FJI局長…藤井 隆!」
- 263 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月25日(金)04時56分20秒
- つじ「ほぇ〜」
Д<「ふ〜〜ん」
藤井「(は、反応薄っ!)」
城島「そうかい、やっと事態飲み込めたわ」
矢口「でも6対2でどうしようってつもり?」
臆することなく藤井が言い放つ。
藤井「どうしようってつもりですって?それはこっちの台詞よ。アンタとアンタ」
藤井が矢口とナッチーを指差す。
藤井「さっき力を使い果たすまで戦ったばかりでしょ。それからそこのチビ達は戦力外」
今度はつじとあいぼんを指差した。
藤井「アンタ達の中で戦えるのはそこのオッサンだけじゃない」
矢口「何言ってるんだよ、ミカがいるじゃない」
ワーダ「無知とは罪!」
ナッチー「黙るべさ!ふん!」
ワーダ「ぐはっ」
ナッチーがワーダに飛び乗った。
藤井「彼女、いえ、ミカ様がかつてココナッツ四天王と呼ばれていたことをご存知かしら」
つじ&Д<&ナッチー「!!!」
藤井「あらアンタは驚かないのね」
矢口「だから何だよ。ココナッツの一人は石川の修行に付き合ったって言うじゃないか」
藤井「おっと敵のアンタ達に説明することじゃなかったわね。アタシも
アンタ達のこと嫌いじゃないから手荒な真似はしたくないのよ。
ミカ様がこちら側に戻ってくれば見逃してあげるわ」
- 264 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月25日(金)04時57分59秒
- 矢口達と藤井の間を支配する沈黙。それはすぐに打ち破られた。
ナッチー「生意気な口きく奴だべ」
矢口「見逃してあげる?」
Д<「ミカはんの素性なんか関係あらへん」
つじ「いまはなかまなのれす」
ミカ「(ミンナ、、デモ マキコムワケニハ イカナイ。コレハワタシノモンダイダカラ)」
城島「…やるんか」
ナッチー達は既に臨戦体勢を取っている。
藤井「ですって、ミカ様」
ミカ「オネガイ、ミンナ ヤメテ」
矢口「ミカちゃん?」
ミカ「(コノヒトニハ、タバニ ナッテモ キット カナワナイ)
ワタシ、マオウグンニ モドリマス。ダカラ タタカウノ ヤメテ」
つじ「みかしゃん!」
皆がミカの元に駆け寄る。
藤井「お別れの時間はあげるわ…嗚呼、友情は美しきかな」
ワーダ「ふん、勇者一味なんぞ皆頃しにしてしまえばいいものを」
藤井「無粋なことは言わないの」
つじ「みんなみみをかすのれす」
……ひそひそ話し……
ナッチー「マジ?」
ミカ「デモソレハ キケンスギマス」
つじ「かのうせいがあるなら、あきらめてはいけないのれす。
それがゆうしゃのこころえというものなのれす」
- 265 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月25日(金)05時00分06秒
- Д<「藤井はん、頼みがある」
藤井「何?できる限りのことは聞いてあげるわ」
Д<「ミカはんとのお別れに1曲踊ってもええやろか?
一つでも多く思い出残したいんや…ぐすっ」
藤井「おお、、今の言葉、胸に突き刺さったわぁ。好きにしなさい」
Д<「ぐすっ、恩に着るで!(ニヤリ)」
つじ「ふじいしゃん、みててくらさい。それではみゅーじっく、すたーとぅ!」
辻のたてごとがアラビアンな音色を奏でる。
♪ ♪.♪♪♪ ♪ ♪.♪♪♪アイヤイヤー アイヤイヤー ウッハッウッハ
ミカとД<の踊りを矢口、ナッチー、城島が真似て踊る。
藤井「うーんこういうのも良いわね〜」
時折、正拳突きのような動きを見せながら5人は踊りつづけた。
そう〜お〜ね♪
ナッチー「(おお、来たべ来たべ)」
じんせいのほーむぺえじ♪
矢口「(体に力がみなぎる!)」
こおしん♪
ミカ「(スゴイ、、)」
するわ♪
Д<「いったれ!」
矢口「真!セクスィィビィィィィム!!」
- 266 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月25日(金)05時01分45秒
- 矢口の体からまばゆい光とともに大量の氣が藤井に向かって放出された!
藤井「!…!…」
藤井が何事か言葉を発しているが真・セクシービームの衝撃がそれをかき消す。
ミカ「スゴイ、、カテルカモシレナイ」
Д<「おおお、なんちゅう恐ろしい破壊力や。
牧城で見せたのはこれだったんかいな」
ナッチー「それよりこの踊りは何だべさ?体中に力がみなぎってるべ」
つじ「『だんす・えきさいと』れす」
Д<「よう知らんが変な人に教わったんや。歌と踊りセットで効果あるらしいで」
城島「演舞魔法いうやつやな。珍しいな。舞踊の動きの中に
魔方陣を描く動作を取り入れ、歌の中に呪韻を含ませることで、
魔法のプロでなくても使用可能。それが演舞魔法」
Д<「物知りやな。さすが年の功」
つじ「こうかは『戦意高揚、攻撃力、防御力、魔力、気力、口撃力等の上昇』?
むずしくてよめないのれす」
Д<「ちょっとメモ見せい、、これののの字とちゃうな」
矢口「はあ、はあ、はあ、、」
真・セクシービームが壁という壁を貫いて巨大な穴を作り出した。
藤井は吹き飛ばされたのか姿が見当たらない。
ワーダ「あわわわ、、き、き、貴様ら不意打ちとは恥ずかしいとは思わんのか!」
Д<「たまに」
ナッチー「覚悟するべ、今度はナッチーの出番だべさ」
- 267 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月28日(月)20時57分37秒
- 飯田「あっ、階段があったよ」
国分「それよりこの部屋の奥も探してみる必要がありそうだな…」
飯田「どっち行く?」
保田「う〜ん・・・」
思案深げに階段を見つめる保田。
保田「さっき資料あさってて思ったんだけどさ、
どの映像を見ても、スライムは床から出現して壁をつたって上へ登っていた」
紺野「それって・・」
保田「そう
スライムがいるのはおそらく地下も地下。最下層でしょう」
飯田「となると、階段行くしかないね」
長瀬「・・・」
山口「あのさ」
よっすぃー「何?」
山口「今こっちでも話あったんだけど、俺らはここに残る」
飯田「え!」
松岡「俺たちの目的はスライムを倒すことじゃねえ
情報を持ち帰ることだ」
国分「正直なところ、これ以上奥に進んでも得にならない、と」
山口「ここからはそっちだけで進んでくれ」
保田「そう、残念ね」
ごま「ここまでアリガト」
長瀬「こちらこそ」
- 268 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年01月28日(月)20時58分19秒
- 男たちを部屋に残し、薄暗い階段を降りはじめる一行。
去り際に、バトルマスターは兄弟子と言葉を交わした。
よっすぃー「達兄……道場のことは・・」
山口「今はいい」
よっすぃー「え?」
山口「お前と少しの間だけでも移動しててわかった。
今は大切なことをしてるんだろ」
よっすぃー「うん、すっごく大切なこと」
山口「こっちは急ぎの用じゃない
何年後になるかはわからねえけど、道場ならまた一からはじめればいい
今は自分が大切だと信じれることをやれよ」
よっすぃー「達兄もね」
山口「もちろん」
石川「よっすぃーさぁ〜ん!どうしたんですかー?」
階段から響いてくる声に、二人は振り向く。
山口「ほら行けよ、置いてかれるぞ」
よっすぃー「ありがと」
彼女は手短に礼をすると、途中で待っていた石川とともに階段を駆け下りていった。
- 269 名前:アッサヤヌ遺跡[南館] 投稿日:2002年01月28日(月)20時59分00秒
- 奇妙なほどの静寂の中、三人はダンジョンをすすんで行く。
先頭を行く女性はもちろん、それを追う高橋とアミもお互いに喋らない。
ただ二人とも、前を行く彼女を観察しているだけ。
アームライオンがあらわれた!
アンクルホーンがあらわれた!
謎の女性のこうげき!
バシッ!アームライオンに378のダメージ!
ゲシッ!アンクルホーンに356のダメージ!
まもののむれをたおした!
彼女の素早い二刀流は、後ろの二人が剣の柄に手をかける暇を与えることすらなく、こうして出現してくるモンスターを無言のままに打ち倒していく。
二人が目を見張って彼女を見つめていると、彼女は一瞬だけ二人に顔をむけた。
そして彼女は二対の剣を掲げ、刃から滴る魔物の血を満足そうに見上げている。
その様子を見て、アミは魔王つんくの指令の意味を理解した。
アミの微かな記憶によれば、大戦中の主要作戦に関わったはずの彼女。
それぞれ“自由”“”と名づけられた二振りの剣を持つという、女豹とあだ名されたライトアーマー。
- 270 名前:訂正カコワルイ 投稿日:2002年01月28日(月)21時17分14秒
- それぞれ“自由”“愛”と名づけられた二振りの剣を持つという、女豹とあだ名されたライトアーマー。
- 271 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)04時32分46秒
- 城島「それにしてもこの『ダンス・エキサイト』って凄いな。
身体の中から力が溢れ出てくるみたいや」
つじ「てへてへ」
Д<「ホンマに凄いんはそれを教えた夏やけどね」
矢口「はあ、はあ、はあ」
ミカ「ヤグチサン、、」
矢口「ミカちゃん、後でちゃんと事情は説明してね。仲間なんだから隠し事はしないで」
ミカ「ソーリー…」
- 272 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)04時33分22秒
- ナッチー「あんた何回も何回もしつこいべ。しつこい男は嫌われるっしょ」
ワーダ「なめるんじゃないわ。今のワシは今までと一味も二味も違うぞ!」
ナッチー「それは負ける人間がやられる前に言う台詞だべさ。
それに一味違うのは今のナッチーも一緒さね」
ワーダ「ええいごちゃごちゃうるさいわ、氏ねい!」
ワーダの肩口から勢い良く何かが飛び出した。
その何かはナッチーの目の前で時間が止まったように宙に浮いている。
Д<「ミサイルや」
ナッチー「甘いっしょ」
ナッチーの手には空のペットボトルが。ナッチーの周りには薄く水が張っている。
ワーダ「こしゃくな真似を!」
ワーダはガン○ムの如く背面部から炎を噴射しつつ猛突進してきた。
ナッチー「水よ、彼の動きを封じよ!」
水がワーダを包み込むが、ワーダをそれを振り切ってナッチーへパンチを放つ。
ナッチー「むん!」
ワーダ「そらもう一丁!」
ナッチーは最初のパンチを受け止めてその手を掴み、さらにもう一方の
パンチも同様に受け止めた。二人はそのまま力比べの体勢になる。
ワーダ「どうした?勇者パーティーの力自慢じゃないのか?」
ナッチー「ぐぐぐ(このオッサン本当にちょっと強いベさ!)」
- 273 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)04時34分21秒
- 力では敵わないと判断したナッチーはワーダに水をまとわりつかせる。
ワーダ「今回は防水加工はバッチリじゃ。錆びついたりせんわ。
同じ手が何度も通じると思うなよ!」
ナッチー「そんなんじゃないべ。水よ引け!」
言葉と同時にナッチーはワーダを手前側に引っ張る。
さらに同じ方向に水が流れ、ワーダを投げ飛ばした。
ワーダ「ふん、中々やるようじゃがお遊びはこれまでじゃ」
ワーダの身体中至る所からミサイルの先端が姿を現した。
その数は半端ではない。さすがに水で防げそうにはない。
ナッチー「じゃあナッチーも奥の手使わせてもらうべさ。水よ我に力を!」
そう言うと通路の脇を流れている水が宙に浮き始める。辺りは霧に包まれたように、
いや、まるで雲の中にいるように一切の視界が遮られた。
そしてゴロゴロと雷雲の如くカミナリが光る。
つじ「なにもみえないのれす。あめもふっているのれす」
Д<「ナッチー無茶しよるな。さっきまでぶっ倒れとったのに」
城島「それだけさっきの演舞魔法が強力なんやろ」
ナッチーもワーダもお互いの姿を確認することはできない。
ワーダ「こけおどしを。ミサイルは自動追尾じゃ、
こんなものでワシの目はごまかせんぞ!食らえ!」
大量のミサイルがナッチーへ向かう。
バババババババババ
閃光を伴って無数の爆発が起こる。
Д<「何が起こっとるんや!何も見えへん!」
やがて爆発がおさまり、焦げ臭いにおいが漂ってきた。
聞こえてきたのはワーダの声だった。
ワーダ「ひゃっひゃっひゃっひゃ!どうじゃワシの力思い知ったか!」
- 274 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)04時34分55秒
- つじ「そんな、ナッチーしゃんが、、、」
口を尖らせて悲しそうな表情をする辻に、城島が優しく話し掛ける。
城島「お嬢ちゃん、諦めるのはまだ早いで。あれ見てみい」
ナッチーのいたと思しき場所から、青白い光がバリバリと音を立てている。
だんだんと視界が晴れてくるとそこには
Д<「ナッチー!」
ナッチーが青白い光の塊の中に立っていた。
ワーダ「な、な、な」
城島「さっきの爆発はあの光に遮られたみたいやな」
ナッチーを包む青白い光から時折バチバチと小さな光の塊が弾け飛ぶ。
ナッチー「準備オッケーだべ」
光は圧縮されナッチーの手に収まるほどの大きさになった。
ワーダ「(あれは雷、、電圧測定不能、、いかん!あれには耐えられん!)」
ナッチー「これがナッチーの本気だべ。裏奥義、ギガスパーク!」
- 275 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)04時35分32秒
- ワーダ「かくなる上は!」
ナッチーに背を向け逃げ出すワーダであったが、
雷の速度を上回って逃げることなどできるはずもない。
ナッチー「いけー!」
閃光が辺りを照らしたその刹那、地鳴りのような落雷音が響き渡る。
カッ ドゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォ
つじ「みみがいたいのれす」
Д<「大技使い過ぎやで、じぶんら」
落雷音が鳴り止むと、バチバチという音が聞こえてきた。
矢口「ん、何の音だろ」
音のする場所にはワーダの姿が。
ワーダの身体中がショートしたらしく火花が飛び散っている。
矢口「こっ、これは、、使える!」
矢口はワーダ(ロボット)の身体を分解し始めた。
ワーダ「なっ何を、、バッテリーギレデス、ジュウデンシテクダサイ。ウィィィン」
ワーダは電源が落ちた。
ナッチー「矢口は何してるんだべか?」
Д<「例によってアレやな」
つじ「あれれすね」
- 276 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)04時35分55秒
- Д<「なあやぐっつぁん、こいつの頭使うんか?」
矢口「いや、こんなのいらないよ」
Д<「じゃあ借りてくで。ナッチー、こいつ拷問かけるから協力してや」
ナッチー「わかったべ。ナッチーはこいつ起動させればいいんだべ?」
ナッチーが水を霧状にして電気を起こす。
バチッ
Д<「コラ、起きんかいゴルァ」
つじ「ごるぁ」
Д<「起きろ言うとるやろ」
ワーダ頭を踏みつけて凄むあいぼん。
ワーダ「な、この餓鬼」
Д<「何で魔王軍がここにおるんや?」
ワーダ「だれがお前のような餓鬼に、、」
Д<「このまま踏み潰したってもええんやで?」
ワーダ「……」
Д<「話すのがどうしてもイヤいうんならウチらの大神官の入浴シーン強制的にのぞかす」
ワーダ「わかった言う」
- 277 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)21時49分20秒
- ワーダ「ふんっ、ワシも全てを知らされているわけではないんじゃ」
Д<「ええからさっさと言え、このハゲ!!」
ワーダ「…我々の目的はとある宝刀の入手。
とはいえ、ワシの担当は単なる足止めじゃがな」
城島「ただ宝を手に入れるためだけに、一つの都市を集団誘拐したのか?」
ワーダ「は?」
つじ「しらばっくれるんじゃねえのれす!」
ミカ「ヤッパリ、ダーマ=サイタノヒトタチヲ、ツレサッタノハ!!」
ワーダ「違う違う!
あの失踪事件とやらはワシらと関係無い。
この天才の頭脳をもってしても、あんな手間のかかること・・」
矢口「魔王軍の仕業じゃなかったの!?」
城島「それと、あの藤井っちゅう男は何もんなんや?」
ワーダ「魔王軍情報局の局長をやってる男だ
まあおそらくは特別任務を受けてやってきたんじゃろうが、そこまではワシも知らん」
Д<「知ってることは全部吐いたほうが、身のためやでー」
ワーダ「いでででで・・」
- 278 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年01月30日(水)21時49分48秒
- ワーダ「そっ、そうや。いいこと教えたる!!」
Д<「ん?」
ワーダ「お前らの仲間は今東館にいるはずや」
矢口「ほんと?」
城島「俺より少し若いくらいの男連中も見なかったか?」
ワーダ「ああ、男も4人ほといたぞ」
城島「そいつらだ」
矢口「よーし、超特急で東館に向かおう!」
つじ「やぐちさん、わーだはどうしましょう?」
矢口「んなもん、そこらへんに縛り付けておきなよ」
Д<「つーこった、悪く思わんでくれやな、オッサン」
ワーダ「・・・」
矢口「ミカちゃん、車だして」
ミカ「ハ、ハイ!」
城島「やれやれ、またすし詰めか・・」
ナッチー「流石に連戦には疲れたべ」
- 279 名前:age 投稿日:2002年02月12日(火)22時17分17秒
- age
- 280 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時14分26秒
- 城島「…と行きたいところやけど、そうはいかんらしいな」
焼け付くような殺気は皆に感じられた。
藤井「熱い、熱いのよ。さっきの不意打ち良かったわ。ちょっと効いちゃったわよ〜」
ふらつきながらも藤井が歩み寄ってくる。
矢口「(なんて奴なんだよ、、)」
藤井「ああ、矢口さん、そんなにショック受けなくても大丈夫。
アタシはテンションが上がると炎を発する特異体質なのよ!」
藤井の背後から炎が燃え盛る。
Д<「それは特異体質というよりも変態やな」
藤井「話に水差さんといて!」
ミカ「ミンナ、アノヒトハ ヒトリジャ タオセナイ。イッセイニ カカラナイト」
ナッチー「もうあのおじさんふらふらだべ。なんとかなるっしょ」
藤井「それはどうかしら」
声はナッチーの背後から聞こえた。振り返るとそこに藤井の姿はない。
藤井「まあアタシの動きぐらい見切れないとねえ」
藤井は既に車の運転席に移動していた。
- 281 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時15分59秒
- 藤井「じゃあ行くわよ!」
そう言うと藤井は再び姿を消した。
城島「(何処や、、むっ!)」
ナッチー「げふっ」
矢口「う!」
矢口とナッチーが宙を舞う。倒れた二人は起き上がらない。
さらに藤井はつじとあいぼんを捕らえた。
つじ「はなすのれす!」
Д<「や、やるのかゴルァ!」
藤井「戦えない奴と子供はおねんねしてなさい」
つじ「きゅう〜」
Д<「やられたね、これ、うん。ガクッ」
二人は首に手刀を受け意識を失った。
藤井「城島さん、後はあんただけっ」
藤井が突然身を屈めた。
ミカ「シット!」
ミカが背後から飛び掛かっていた。
藤井「甘いわね」
- 282 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時17分05秒
- ・・・・・・
城島「ふっ、やるやないか、、これでもここ数年負け無しやったんやで」
城島は崩れるように倒れこんだ。
ミカと城島は二人掛かりで戦ったが、それでも相手にはならなかった。
藤井「良い勝負だったわ、、さて、ミカ様、帰りますよ」
ミカ「(ヤグチサン、コレ オカリシマス)」
ミカは『神の左手悪魔の右手』を身に付けた。
藤井「駄々コネても連れて帰りますよ、、ってナニよ、これは」
ミカの身体から爆発的に氣が発生している。
ミカ「ハア!」
ミカは自分の身体以上に大きな氣の塊を拳にまとって殴りかかった。
藤井「これは本気でやらないと連れて帰れそうにないわねっ!」
藤井は自身の身体を炎でまとって、ミカの攻撃を受け止めた。
藤井「ホォゥ!」
藤井はブ○ース・リーのような叫び声をあげミカの腹部を突き上げた。
しかし何故かミカからダメージがあるような表情は読み取れない。
読み取れるのはむしろ狂気にも似た目つきだった。
ミカ「マダマダ!」
- 283 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時18分09秒
- 藤井「仕方ない」
ガツッ
藤井のアッパーはミカの顎を完全にとらえミカは意識を失った、ハズだった。
藤井「な、何で!?」
意識を失うことなく、ミカは不気味な笑みを浮かべ猛然と反撃を仕掛けた。
あまりの手数の多さに藤井は手加減していられなくなった。
藤井「(完全に意識を断ち切らないと)
ファイアーダンス!」
藤井は次々とコンビネーション技を決め、ミカの身体が宙に浮いたところへ
自ら追いついて拳を打ち下ろした。ミカはそのまま起き上がることはなかった。
- 284 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時19分07秒
- ・・・・・・
ミカ「(カラダカラチカラガアフレル。マダタタカエル)」
ミカ「(イタミヲカンジナイ)」
ミカ「(タタカウノガタノシイ)」
ミカ「(……)」
鼓動が高鳴る。
「…け、…こを…」
ドクン
ミカ「(ナニ、、?)」
ドクン
「…け、そこをどけ、お前の役目はもう終わりだ」
鼓動が体を貫く。
ミカ「(ナニヲイッテルノ?)」
「この人間風情が!」
・・・・・・
- 285 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時21分06秒
- 藤井「もう終わりのようね。ワーダ博士は何処かしら」
ワーダ「ここじゃ」
藤井「ナニよ、その格好。○イリアン2のアンドロイドじゃあるまいし」
「さて、体慣らしといくか」
藤井は突然何者かに攻撃を受ける。
藤井「(そんな、これは、、)」
藤井は全く反撃を許されない程に打撃が加えられる。
「とどめだ」
藤井「あれー!」
ワーダ「ワシもかー!」
藤井は何者かの放った巨大な魔力の塊に吹き飛ばされた。
魔力の塊は天井を突き抜け、ダンジョンを抜け、地底を抜け、
遥か空の彼方へと消えて行った。
素子「目覚めたのか」
新垣「…?」
素子「いや、何でも無い」
- 286 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時23分20秒
- さやか「なんか動きないの?」
つんく「悪いが今はそれどころやない」
暇なさやかはソファーでお昼寝状態。対してつんくは動揺を隠せない。
つんく「あっ!なにしとんねん!」
つんくは藤井の様子を観察していた。
さやか「ん?何だ、そっちのことか」
と言いつつ、つんくの動揺振りに興味を示したのか、さやかがつんくに忍び寄る。
そして気付かれないように呪文を唱えた。
さやか「ぶつぶつ、、リーディング、、開始」
つんく「あれ?おかしいな。ミカ様ってこんなに強かったかいな」
さやか「(ミカ、様?、、なるほど、魔界のプリンセスか。ってそれはおかしいな)」
つんく「あっ、やられてもうた」
さやか「実況終わった?」
- 287 名前:アッサヤヌ遺跡[移動中] 投稿日:2002年02月12日(火)23時24分09秒
- つんく「うわぁ、、なんやねんいきなり」
突然背後から話し掛けられ激しく動揺するつんく。
さやか「あの子が魔界のプリンセスって本当なの?」
つんく「!?」
さやか「ああ、言うの忘れたけど今読心術使ってるから。
今考えてることとそれに関する記憶は読み取れるんだけど、
大雑把なことしかわかんないだよねー」
ため息をついてつんくが話し始めた。
つんく「つくづく何でもアリやな。ああ、ホンマや。魔界におったんなら
名前ぐらい知っとるやろ?」
さやか「(それが知ってる名前と違うんだよね)」
つんく「なんや、こっちの質問にはだんまりか。ずるい女やのう」
さやか「うん?まあ知ってるっちゃ知ってますねぇ。
ところであのでっかい女も魔界の出身なんだ」
つんく「素子か。そや」
さやか「あんたより手応えありそうだよね」
つんく「同意を求めるんやない」
- 288 名前:訂正カコワルイナ 投稿日:2002年02月13日(水)23時28分25秒
- >>286,>>278
アッサヤヌ遺跡[移動中]×→魔王城○
- 289 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年02月15日(金)23時11分00秒
- 石川「うっ・・・」
突如うめき声とともに顔をしかめる石川。
よっすぃー「どうしたの?梨華ちゃん」
石川「え・・・な、なんでもないから、うん・・」
よっすぃー「なんでもないって、顔色悪いよ」
石川「大丈夫だから・・・っててて・・」
よっすぃー「ほんとに大丈夫?」
石川「うん、もちろん!
そ、それより私、ちょっとお師匠さまに用があるから・・」
石川は冷や汗をかきながら、へっぴり腰で前を行く大神官においつく。
保田「どうしたの?」
石川「それが・・・(中略)・・・というわけで、どこかにありませんかね?」
保田「私が知るわけないでしょ」
石川「そんな〜(T▽T)」
保田「まったく、しょうがないわね
ちょっと紺野〜」
紺野「は〜い…」
- 290 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年02月15日(金)23時11分30秒
- 保田「…というわけで、お願いできるかしら」
紺野「やったことないけど、とりあえずやってみます」
石川「ありが・・・・ッグ・・」
保田「スカ○ロ入りそうだから早くお願い」
紺野「は、はい・・」
紺野が手を掲げると、にわかにその周りが淡い光に包まれる。
紺野「千代の間に・・・(中略)・・・
サーチ!トイレタリー!」
大声で唱えられた紺野の声に、勇者やごまも保田達に見向く。
紺野「この先、左に曲がったところにあると思います」
石川「あ、ありがと、、、
それじゃ私、先行ってるから・・」
そう言うと石川は変に背筋を伸ばして早足で歩いて行った。
よっすぃー「梨華ちゃん‥‥」
- 291 名前:アッサヤヌ遺跡[東館] 投稿日:2002年02月15日(金)23時12分04秒
- ごま「それじゃ私もちょっと行ってこようかな」
保田「どうぞ」
結局全員で石川についていき、他の何人かもトイレの中に入っている。
今、保田とごまがトイレの前で話している。
ごま「圭ちゃんはいかなくていいの?」
保田「私は準備にぬかりはないタチだから大丈夫」
ごま「って言うより尿道が…」
保田「ん、なんか言った?」
ごま「ううん、なんにも
それじゃ、私も行ってくるね」
ごまと入れ違いで、飯田が中からでてくる。
飯田「なんかね、すごい広かった」
保田「あらそう?」
飯田「普通のトイレって感じじゃなくて、ずっともっと奥のほうまでつづいてて
個室もたくさんあるんだけど、それより全体が広いって感じ?
転移装置もいくつかあったし」
保田「それじゃ広い建物のどこからでも来れる造りになってたのかも」
飯田「うん、そうかもしれない」
- 292 名前:アッサヤヌ遺跡【東館】 投稿日:2002年02月20日(水)21時41分15秒
- 保田「逆にいうとここからだと、どこにでも行けるって事よね。」
飯田「あ〜そうだよね。」
保田「……どこに出るかはわからないけど……」
よっすぃー「じゃ、私が見てこようか?」
2人を後ろからみていたよっすぃーが会話に参加する。
よっすぃー「少し行ったら、また帰ってくるからさ。」
保田「あんたは、雷刃持ってるんだから、そんな単独行動は許せないわ。」
飯田「じゃ、よっすぃーと私で行こう。他のみんなは、ここで待っててよ。
行こう、よっすぃー。」
飯田はよっすぃーの手を取り、トイレに入っていった。
保田「ちょっと……まぁ、いいか。」
保田「ていうか、誰もトイレから出てこないし……。」
- 293 名前:アッサヤヌ遺跡【東館】 投稿日:2002年02月20日(水)22時04分19秒
- よっすぃー「……どうして行く気になったんですか?」
飯田「……主人公なのに見せ場が少ないからだよ……」
よっすぃー「……。」
- 294 名前:アッサヤヌ遺跡【東館】 投稿日:2002年02月20日(水)23時34分49秒
- 紺野「あっ、なんか変な感じですね」
唐突に紺野が呟いた。
ごま「なんだろうね」
その時地面が震え出した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ごま「地震、かな?いや、違うねえ。これ」
紺野「何か他に原因があるみたいですね」
石川「?」
「きゃー!」
トイレの中から突然悲鳴が聞こえてきた。
紺野「はっ、いけない!皆さん早くここを離れて下さい!」
物静かな紺野が大きな声をあげた。
石川「なんで?」
飯田とよっすぃーがトイレから飛び出してきた。
飯田「と、とにかく急いで逃げて!」
保田「ぐずぐずしない!行くよ!」
地鳴りはどんどん大きくなる。やがて水が流れるような音が聞こえてきた。
その音が正体を現すのに時間はかからなかった。
保田「来たわね」
それはスライムの洪水だった。
- 295 名前:アッサヤヌ遺跡【東館】 投稿日:2002年02月20日(水)23時35分48秒
- 飯田が転送した先から追いかけられたのだろう。
恐ろしく巨大なスライムが接近してくる。
シバタ「階段があります!」
一行は階段を駆け登る。
飯田「やっぱり追いかけられてる!?」
スライムは重力に逆らって移動している。
紺野「いたっ!」
階段で紺野はつまづいてしまった。振り向くとスライムが口を開けて寄って来る。
すぐに紺野は走り始めたものの、スライムの接近を振りきれる速さではない。
紺野「う」
紺野には仲間の背中が遠く見える。スライムに飲みこまれる、そう思った時、
よっすぃー「ふう、間に合った」
よっすぃーは紺野を抱えて高く飛び上がった。
- 296 名前:アッサヤヌ遺跡【東館】 投稿日:2002年02月20日(水)23時36分53秒
- 石川「きゃっ」
紺野がピンチを脱したその矢先、石川が転倒してしまった。
立ち上がったが片足を引きずっている。
飯田「石川!」
飯田が振り向く。
石川「こないで飯田さん!」
飯田はかまわず石川のもとへ向かった。石川はもう飲みこまれる寸前だった。
石川「飯田さん!あっ」
飯田は石川の腕を掴んで投げ飛ばした。そして飯田はスライムに飲まれた…
保田「しまった!」
理由はわからないがスライムが突然方向を変えて移動し始めた。
よっすぃー「追いかけます!」
よっすぃーが先行してスライムを追いかけた。
保田「私達も行くよ!」
ごま「当然だよ!」
石川と紺野を見て保田が言った。
保田「アンタ達は残れ!」
- 297 名前:それぞれの思い 投稿日:2002年02月20日(水)23時38分53秒
- 紺野「(残れってことは、私って本当は足手まとい、なんでしょうか?)」
よっすぃー「クソ、勇者を守れないで何がバトルマスターだ!」
保田「勇者を目の前で失うなんて冗談じゃないわよ!」
ごま「そんなことさせないよ、絶対にね!」
つじ「…」
辻のペンダントが暖かな光を放っている。
つじ「いいら、さん?」
辻はあおのたてごとを片手に歩き出した。何かに導かれるように。
つじ「いまいくのれす」
矢口「うーん」
意識を取り戻した矢口は藤井やミカがいないことに気が付いた。
矢口「ウチら負けたんだね。なんかオイラって負けが多くない?」
- 298 名前:それぞれの思い 投稿日:2002年02月20日(水)23時39分32秒
- 飯田「(ここどこだろ)」
飯田「(ねむくて、ふわふわして、気持ちいいな)」
飯田「(みんな元気かな。つじは元気かな)」
「起きなよ」
飯田「(えっ)」
「そんな所でくたばるつもりなの?」
飯田「(そんな所って?ここは、、)」
「さあ、目を開け!」
さやか「あいつもまだまだだね」
つんく「あん?」
さやか「いや、こっちの話」
- 299 名前:真実を知る者【スライム内部】 投稿日:2002年02月20日(水)23時45分54秒
- 飯田「(何?ここ)」
意識を取り戻した飯田の目に飛び込んできたものは無数の人の姿。
飯田「(あれ、何で剣抜いてるんだろ?ま、いいか。
それよりみんな、生きてる?)」
近くにいた人間の首筋に手を当ててみる。
そこからは確かに脈が感じられる。
飯田「(ここはスライムの中だよね?息が出来るみたい)」
周りは液体であるはずだが不思議と呼吸が可能であった。
飯田「(あそこに何か居る)」
そこに居たのは巨大な竜。
飯田「(あなたはだれなの?)」
「(私の名はエミリー。
それはそうと勇者の剣の持ち主がこんな所で何をしてるの?
それに前に会った時あなたはその剣を持っていなかった)」
- 300 名前:真実を知る者【スライム内部】 投稿日:2002年02月20日(水)23時47分53秒
- 飯田「(前?)」
エミリー「(あら、覚えてないの?ちょっと記憶を読ませてもらうわ)」
飯田「(え、)」
目の前が一瞬真っ白になった。
エミリー「(あの時の衝撃で記憶が一時的に飛んでたみたいね。記憶を甦らせておいたわ。
これで私が何者かわかったでしょ?)」
飯田「(ちょっと、説明してよ。まだよくわかんない)」
エミリー「(ええとだからね)」
以下は話の要約である
・以前ココナッツ四天王が現役当時、ダーマ=サイタを襲撃した
・その際、エミリーは魔王軍側として参加していた
・それに対して(勇者の剣を手にする以前の)飯田が防衛軍側に参加していた
・襲撃の最中、このスライムが現れ、取り込まれそうになったミカを助けるために
ミカを吹き飛ばした(その巻き添えを食って飯田も吹き飛んだ)
・その代わりエミリーがスライムに取り込まれた
・エミリーを取りこんだスライムはしばらく潜伏した後再び地上に現れて街の人間を取りこんだ
(この経緯については後に語られることになる)
- 301 名前:真実を知る者【アッサヤヌ遺跡】 投稿日:2002年02月20日(水)23時53分30秒
- 「待て」
よっすぃーは立ち止まって背を向けたまま言い返した。
よっすぃー「嫌だと言ったら?」
素子「選ぶ権利がないことぐらい分るだろう?」
よっすぃーはそのまま微動だにしない。
ガキィィン
素子がよっすぃーの刀を剣で受け止めた。
素子「(残像か)本気で相手をする気になったようだな」
よっすぃー「今はあんたの相手をしてる時間はないの。後にして!」
ごまと保田の視界によっすぃーと素子、新垣の姿が。
ごま「圭ちゃん、やるよ。よっすぃーどいて!メラゾーマ!」
保田「敵!?バギクロス!」
二つの呪文は混ざり合い炎の嵐となって素子へ襲いかかる。
よっすぃーは飛び退き、素子はその場にとどまった。
新垣「ディストーション」
新垣が素子の前に立ちはだかり二人は炎に包まれたかに見えた。
保田「そんな自殺行為を!何故避けないの!?」
よっすぃー「気配は消えてない。気を付けて」
- 302 名前:真実を知る者【アッサヤヌ遺跡】 投稿日:2002年02月20日(水)23時55分24秒
- 素子達を包む炎を打ち破るように気弾が飛んできた。
よっすぃー「(避けてはいけない、斬る!)」
気弾はよっすぃーの手によって真っ二つに斬られてコントロールを失った。
保田「馬鹿な、無傷でいられるハズはないのに」
ごま「呪文を使った気配はなかった。あの豆っ子、なんかやったね」
炎の中から無傷の二人が現れた。
保田「でも今はかおりを追うのが先決」
ごま「だね。マヌーサ!」
素子は幻に包まれた。
新垣は幻に包まれた。
保田「バギマ!」
真空波が素子、新垣に襲いかかる。
素子「もう一度頼む」
新垣「またですか?ディストーション」
新垣が手をかざすとその周囲の景色が歪んだ。
真空波は避けていくというよりも捻じ曲げられて二人に届くことはない。
ごま「空間を歪曲させてる」
保田「無理に相手をすることはないわ。この隙に行きましょう!」
真空波が収まるとそこには素子と新垣だけが残っていた。
素子「追うぞ」
- 303 名前:真実を知る者【スライム内部】 投稿日:2002年02月20日(水)23時57分39秒
- エミリー「(もっと話したいことがあるけどもうすぐここを出ることになるでしょう)」
飯田「(?、、この声は)」
…あまったれんじゃーなーいわよー♪じぶんで…
どこからともなく歌声が聞こえてくる。
はっとして首にさげたペンダントに耳を押し当ててみると、
飯田「(辻!?)」
つじ「いいらさん!?たすけにきちゃいました〜すぐにだしてあげるのれす」
飯田「(辻…)」
飯田は微かに笑みを浮かべた。
エミリー「(あそこにこのスライムの核があるわ。その剣があれば斬れるはず。
さあ行って)」
飯田は言われるままにスライムの核を真っ二つに切り裂いた。
エミリー「(さあ、もうこんな所に用はない。一緒にきてもらうよ)」
飯田「(何処にいくのー?)」
辺りは光に包まれた。
- 304 名前:真実を知る者【スライム外部】 投稿日:2002年02月20日(水)23時59分40秒
- あおのたてごとかき鳴らして歌い続ける辻。
♪あーおいーあーふろーは かみなりーさーまだーぜー
♪あーまえんぼ おとこーはだめーだーめー
つじ「(ふう、ふるこーらすいきそうれすね。じかんがかかるのれす。
あれ、なんだろ?)」
スライムが輝き出して中から人が吐き出されてくる。
つじ「(もうすこしなのれす、いいらさん、まっててくらさい)」
♪きあいのはいったー(はい!はい!はい!)
♪おんなどうしー(やるときゃやるのさ)
- 305 名前:真実を知る者【スライム外部】 投稿日:2002年02月21日(木)00時00分58秒
- 次々と人々が分離してくる。
前ぶれなく、スライムの中から巨大なドラゴンが飛び出した。
「グルルルルルルルル」
その咽喉鳴りは声というより地響きといった表現が似合うほどに地面を震わせている。
つじ「ひ、ひーん!」
「辻!」
つじ「ぐすっ、いいらさん?」
ドラゴンの背中から飯田が顔を出した。
飯田「一人で来たの?矢口達も一緒でしょ?」
つじ「やぐちさんたちはたぶんちかくにいるのれす」
飯田「スライムの中の人達を助けてあげてね。かおりはね、
やらなきゃいけないことがあるから、辻はここで待ってるんだよ」
つじ「ののもいくのれす」
飯田「ホントに危ないからダメだよ。それにスライムに飲み込まれた人達を
救えるのは辻だけなんだよ。わかった?」
つじ「アーイ」
ドラゴンは飯田を乗せて飛び立った。
- 306 名前:真実を知る者【アッサヤヌ遺跡】 投稿日:2002年02月21日(木)00時02分56秒
- エミリー「(私はね、ミカを助けてあげたいの)」
飯田「助ける?」
エミリーは声に出して人間の言葉を話すことは出来ないが
テレパシーで直接飯田の頭に話し掛けている。
エミリー「(そう。あの子には強力な刷り込みがしてあって自分が人間だということが
分ってないの。自分が魔族だと思ってる。)」
飯田「何でそんなことされてるの?」
エミリー「(自力で魔界に帰って来いって命令を受けてるのよ、ミカは。
自分で『穴』を開けて戻れって。
自分が人間だと気付いたら戻る必要がなくなるでしょ?
それに記憶も消されてるし、記憶は魔界に戻ったら
戻してやるとも言われてるの)」
飯田「非道い…でも、ミカちゃんはどうしてそんなことになっちゃってるの?
魔界に戻って来いってことは、ミカちゃんが魔界から来たってことじゃない」
エミリー「(詳しい事情は後で話すわ。ミカ本人には言わないでね。
ショックなことだから)」
- 307 名前:真実を知る者【アッサヤヌ遺跡】 投稿日:2002年02月21日(木)00時05分25秒
- エミリー「(近いな)」
飯田の目に見覚えのある人物が入ってきた。
飯田「ミカちゃんじゃない?」
エミリー「(見た目はミカだけど今は違うわ。覚悟決めなさい)」
エミリーはミカの前に降り立った。
見た目はミカに違いないが感じる威圧感がまるで別人のもの。
ミカ?「よお、久しぶりじゃないか」
飯田「(言葉が、外人訛りじゃない…)」
エミリー「グルルルルルル、グアァァ!
(ああ、早速だがお前には魔界に帰ってもらおうか。ハアァァ!)」
エミリーが口を開き魔力を含んだブレスを吐き出した。
ミカ?「ぐっ、やはりお前は私の敵か」
耐えるミカの体から何かが分離し始めていた。
エミリー「(さあその体から出ていけ!魔界のプリンセス、アミーゴ!)」
ドラゴンがより一層強くブレスを吐き出した。
ミカ?「ちっ!」
ミカの体から何かが離れた。
- 308 名前:真実を知る者【アッサヤヌ遺跡】 投稿日:2002年02月21日(木)00時06分20秒
- ドラゴンのブレスが収まった後には床に伏せるミカ。
その後方には体の透けたアミーゴと呼ばれた女が。
飯田「実体、じゃない?」
アミーゴ「それで?体が分離した程度で勝ったつもりか?
体にはすぐ戻れるんだ」
エミリー「(戻る体があればの話ね)」
エミリーはアミーゴに向かって再度ブレスを吐く。
アミーゴ「遅いわ!」
アミーゴは難なくこれをかわした。
飯田「よいしょ、っと」
エミリーがアミーゴに攻撃している隙に、
飯田がミカを抱えてエミリーの背中に戻っていた。
- 309 名前:電波名無しさん 投稿日:2002年02月21日(木)22時57分16秒
- ミチーヨ「うおっ、いいところで!!」
まこと 「つづきは新スレ、ってことみたいですね」
ミチーヨ「アッサヤヌ編も佳境を向かえて、ますます面白くなってきたカオリンクエスト!」
まこと 「それではみなさん、この小川真琴も遂に参戦!のカオリンクエスト5でお会いしましょう」
ミチーヨ「みっちゃんの酒場もよろしくなー」
- 310 名前:電波名無しさん 投稿日:2002年02月21日(木)22時57分52秒
- >きろくする
・・・
おつかれさまでした。りせっとぼたんをおしたままでんげんをおきりください。
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=tane&thp=1014299790
- 311 名前:冒険のしおり 投稿日:2002年04月20日(土)21時01分12秒
- >>261-266 >>271-278 >>280-285
東館付近にて
パーティー
・矢口ミカつじД<ナッチー城島
藤井ワーダと戦闘、>>284でミカに異変、
>>285で藤井とワーダが吹き飛ばされる
>>269
南館にて
高橋、北上、謎の女
謎の女を高橋、北上が追う
>>286-287
魔王城にて
つんく、さやか
遺跡の様子を観戦中
>>267-268 >>289-293
東館にて
パーティー
・飯田ごま保田よっすぃー石川紺野シバタ
国分長瀬松岡山口と分れる
>>289トイレへ向かう
東館にて
>>294
スライム出現、東館を逃げ回る
>>296
飯田がスライムに飲みこまれる
飯田が他のメンバーとはぐれる
保田ごまよっすぃーがそれを追う
石川紺野シバタは残る
>>297
つじがどこか(東館方面)へ
ミカも行方不明
- 312 名前:冒険のしおり 投稿日:2002年04月20日(土)21時02分09秒
- 東館付近
>>298
スライムは少し離れた場所へ
スライム内部の飯田
>>299-300
スライム内部、飯田とエミリーという名のドラゴンの会話
>>301-302
スライムを追う保田ごまよっすぃー
そこに現れた素子、新垣を振り切って再びスライムを追う
>>303-304
スライムに対してあおのたてごとを使うつじ
>>305
飯田とエミリーというドラゴンがスライムから出てくる
>>306
移動する飯田とエミリー
>>307-308
場所は下の図のB地点
ミカ?とエミリーが戦闘
ミカからアミーゴ(本当の魔界のプリンセス)が分離
飯田は観戦
位置関係
東館のどこか国分長瀬山口松岡
東館石川紺野シバタ
↓
↓保田ごまよっすぃー
↓
A・スライム・つじ
↓
B・飯田エミリーミカアミーゴの遭遇地点
↓
C・矢口ナッチーД<城島
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