陽 光

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/27(日) 17:57
徒然なるままに書いていきます。
カップリングとかはまだ未定です。
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/27(日) 17:58



こんなサミシイヒトのまっくろ

あなたに想いを
    あなた思う――――

幸せで笑っていてほしい

ゆるやかな流れ 涙流して

言葉にならないため息…

ねじれてた気持ちと一緒に
  
飾らない言葉で伝える

あなたに 幸あれ  



3 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/27(日) 17:58

1.光合成

4 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 17:59


♪〜♪〜〜♪〜♪

仕事中に携帯が鳴る。マナーモードにし忘れたことに気付き、
社員に軽く目で謝りながら席をはずす。

「もっし〜?なっちぃ?」
「……誰にかけてんの。」

電話の主は、なっちこと安倍なつみと違って大学に進学した
旧友、矢口真里。頑張って勉強して、この辺では
割と有名なM大学に入学したのは、もう三年生も前のこと。

「今晩開いてるぅ?」
「また合コン?いい加減なっち飽きてきたよ。」
「違う違う、二人で飲みに行こうって言おうとしたの。」
「いいけど。じゃあいつものとこに…。」
「いいとこ見つけたんだよ、六時に時計台の前ね。」
「おっけー。」

彼女は半分彼氏を求めてM大を目指したんじゃないかっていうくらい
合コンをやっている。携帯を切ると自分のデスクに戻った。
つけっぱなしのパソコンがスクリーン・セーバーに変わっていた。
P.M5:10と表示された文字がクルクル回っている。

5 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:00


「安倍さん、彼氏ですかぁ?」
「いや、違う。友達と飲みに行こうって話。」

同僚で案外仲の良い里田まいは、いつもこうやって
安倍を冷やかしてくる。彼女も北海道出身とあって、
結構気が合う。んもぅ、いるわけないべさ、彼氏なんて!

安倍の仕事は雑誌の編集。自分で記事を書く仕事に尽きたくて、
この会社に入った。大学に行っていたほうが学歴だなんだと
有利になるのに、と知ったのは入ってから。最初は雑用だったけど、
今はもう取材にも同行させてもらっている。

「ていうか、明日取材ですよね?」
「………ぁ。」
「程々にしてくださいね、お酒。」
「……わかったべさ。」

6 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:02


一応、明日取材するロックバンドの簡単なプロフィールと、
ファンサイトで小ネタを仕入れた。取材するのは今話題の
ロックグループ、『B&G』である。

「なに、ボーカルの子は…ひぇ〜、この顔で19歳?」

コピーした資料にはプロフィールと顔写真が。
パソコンには『B&G』非公式ファンサイトのホームページが
開かれていて、男女4人組が映っている。資料の写真より
ずっといい感じの表情をしていた。

「安倍さん、パソコンに話しかけないでくださいね。」
「………。」

近くにいた社員がニヤニヤしながら呟いた。
安倍は赤面しながらも掲示板を覗く。


7 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:02



名前 管理人 [14:03]
 
 >アッキー様
 初代のB&Gが懐かしいですね。やっぱりダブルボーカル
 じゃまずかったんでしょうか…。個人的にMakiの歌も
 好きだったんですけど…。


名前 名無し鴨 [14:05]

 今度の東京公演超楽しみ!ボーカルのMikiが
 超カッコよくて最高です(^▽^)
 でもドラムのAtsushiと付き合ってるって噂が…。
 
p.s 初代のB&Gですか?全然知りませんでした。
    Makiさんの歌、聞いてみたいですね。 


8 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:04


「初代…?」

貰った資料にも、先程見た別のファンサイトにも、「初代」
なんて言葉は出てこなかった。一応資料の裏にメモをして、
時計を見る。ここから時計台までは歩いて二十分くらいかかる。
そろそろだろう、とファンサイトを
お気に入りに追加して、パソコンの電源を切った。
矢口の紹介する店はいつも安倍の好みのお店なのでちょっと
期待しながら、帰り支度を始めた。



二十分後、余裕を持って待ち合わせ場所に着いた安倍だったが、
すでに矢口は時計台の段差に座ってぼんやりしていた。

9 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:06


「お待たせ、矢口。」
「お〜なっち、デキル女に見えるよ。」
「失礼だべ。」

声をかけるとこっちを振り向いて、笑顔を返される。
仕事帰りにあうと、いつも言われるセリフだ。
ちょっと早いけど、といいながら矢口は携帯を取り出した。

「他に誰か来るの?」
「違う違う、迎えに来てもらうんだよ。」
「えっ?誰に?」
「お店の人。超可愛いよ。ごっつぁんっていうんだけど。」
「年下?」
「確か18って…。」
「未成年だべさ!!」

なんちゅう店に連れて行くんだ、といいかけたところで、
矢口が予定を変えるわけもなく数分後時計台の公園前に
予定通り車が到着。

10 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:11


「やぐっつぁん、人を簡単にパシらないでよね。」
「いいじゃん、ごっつぁんどうせ途中出勤でしょ。」

運転席から顔を出した少女は童顔の安倍よりも大人っぽく
キリッとしていた。夕日が彼女のかけている薄茶色の
サングラスに当たってなんとなくカッコよかった。

「あぁ、この人?え〜っと…たまごっちじゃなくて…。」
「なっちです!」
「ぶはははは、ごっつぁん最高〜!」

つられて笑う少女の笑顔が印象に残った。
後ろの席に座らせてもらうと、車内に今朝編集部の先輩から
聞いといて、と渡された『B&G』の新曲が流れていた。

「あ、これ…。」
「知り合いがB&Gの関係者にいてね。ていうかやぐっつぁん、
 ファンなんだっけ?」
「めっちゃ大ファンだよ!」

だったらパソコンで調べなくても矢口に聞けばよかったんだ、
と後悔する安倍は、ロック系には全然興味がなく一から調べるのに
かなり苦労していたのだった。


11 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:12

12 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/27(日) 18:13

13 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/27(日) 18:13
今日はこの辺で。更新終了いたします。
14 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 19:37

ごっつぁんこと後藤真希は車を出した。
セミロングで綺麗な茶色の髪が似合う女の子だった。

「てゆーかさ、車ですぐじゃん。タクシー拾えよ。」
「いいじゃん、どうせ寝てたんでしょ。それにお金かかるし。」
「んはははは。確かに寝てたけどさ〜。」

車にはナビもテレビも付いていたが、使っていなさそうだった。
外の景色がすべるように駆け抜けていく。見かけはごく普通の車だけど、
乗り心地が抜群だな、と安倍は思う。

信号待ちになり、思い出したように後藤が言った。

「そういえばやぐっつぁん、表のほうにも顔出してく?お腹空くんじゃない、
 ウチの店主食とか出さないよ。」
「あ〜…どうしよっかなぁ。なっちは?お腹すいた?」

表ってなんだろう、と一人で考えていると矢口に体を揺すられた。
急に話を振られてちょっと戸惑いながらも一応答える。

15 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 19:40

「まだ6時過ぎだもん、お腹空いてないよ。」
「え〜、でもごっつぁんとこ主食ないんだもん。ね、表行こう。
 決定〜!じゃあごっつぁんよろしく!」
「聞いた意味ないじゃん、それじゃあ。」

二人の会話に突っ込みながら再び車を動かす。
少しずつ町にも灯りが点いてきた。サラリーマン達も、チラホラ。
後藤は言われたとおり通称「表」の居酒屋「ごとぉ」で車を停めた。

「ここって…。」
「うん、あたしのお母さんがやってるお店。んじゃあまた後でね。」

安倍が驚いている間にも、後藤はさっさといなくなってしまった。
矢口に押されるようにして居酒屋「ごとぉ」にはいる。

16 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 19:41


「いらっしゃい。」
「ナマ一つ、冷奴…でいい?…じゃ冷奴も二つ。」

席に座ると矢口がテキパキと注文をした。店内は木造で昔ながらの
雰囲気が漂っている。カラオケがあるわけでもないが、カウンターには
古い小型のテレビがあり、丁度洋画のビデオが流れていた。
そのテレビの上には、『このテレビに限り、ナイターお断り』と書かれていた。

よく店内を見渡すともう一台テレビが奥のほうに取り付けられていた。
ちょっと大き目の、それでも古い黒色のテレビだった。ナイターでは
巨人−阪神戦がやっている。ノーアウト満塁、ピッチャー林。

「お待たせしました。」

生ビールが冷奴とともにやってきた。グラスはご丁寧に二個。
さっそく矢口がビンを開ける。

17 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 19:41


「じゃあ猛暑到来を祝って…。」
「嫌だよ、祝えないよ。」
「…じゃあなっちのスーツ姿に祝って乾杯!」
「酔ってんじゃないの、すでに?」

ブツブツいいながらも楽しそうに乾杯をする。ビールをゴクリと飲んだところで、
安倍は矢口に尋ねた。

「ねぇ、表って何?」
「んー…こっちが表、ごっつぁんのお店が裏だよ。」
「説明になってないべ。」

冷奴に夢中な矢口に質問したなっちが馬鹿だったよ、と呟くと、
自分も冷奴を食べ始めた。

「こっちは居酒屋。で、あっちはバーなの。しかもここのお店で
 気に入られれば合言葉一つで未成年でもあっちで飲めちゃう…
 だから通称「裏」なのね。」
「へ〜…。」

18 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 19:42

感心したようにいう安倍に矢口は相変わらず純粋だな、と安心する。
実はここ最近、安倍の出版社で出している雑誌がブレークして
次から次へと仕事が入ってきている。それを知った矢口は息抜きもかねて
飲みに誘ったのだ。

「最近どうよ、なっち。」
「別に…楽しいよ、好きな仕事だし。」

グイッとグラスのビールを飲むと、安倍は店員に声をかける。

「すいません、肉じゃがあります?」
「ありますよ、少々お待ちください。」

カウンターに消える店員を見つめながら、安倍は呟いた。

「明日、『B&G』のインタビューだし。」
「えぇっ!?」

19 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 19:58


身を乗り出す矢口に、体を仰け反らせながら答える。
言わなきゃよかったかな、と後悔しながら。

「だって、今度ニューシングル出すっしょ、それのインタビュー。あ、でも
 来月にはファーストアルバムも出るし…。」
「サイン貰ってきてよ!」
「そういうのは駄目なの!」

運ばれてきた肉じゃがを食べる安倍は、心底幸せそうで、見ている側も
つい笑顔になってしまうほど。連れてきてよかったな、と矢口は安心した。

「ちくしょう、一気に五点差かよ!」

20 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 20:00

その男の罵声にナイターの方を見ると、林が大炎上、一挙五点を取られてしまった。
猛虎襲来。堀内がピッチャー交代を告げ、林はトボトボマウンドを降りた。

「嫌ぁん、マサくん、なんで降板しちゃうのぉ?」

その辺のアイドルよりも可愛らしい容姿に、可愛らしい声。
矢口はどこかで聞いた声だな、と思いつつも、その林が降板した後の
阪神を応援する姿は見ててなんだか寒かった。

後藤の母でもある店長はその女の子を愛しげに見つめて笑い、
カウンター横のテレビでやっている洋画劇場にまた視線を戻した。
接客とかしなくていいのかな、と思ったが、カウンターの客もおそらく
洋画目当てでカウンターに座ったのだろう、テレビを食い入るように
見つめていた。

21 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 20:01


「…そろそろ、ごっつぁんとこ行く?」
「んぇ?何時?」
「八時過ぎ。」
「行こっか。」

お勘定を済ませ、二人は居酒屋「ごとぉ」を出た。店を出る頃には
すっかり安倍も居酒屋「ごとぉ」が好きになっていた。


22 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 20:01

23 名前:1.光合成 投稿日:2004/06/29(火) 20:01

24 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/29(火) 20:03
>>19 最後の行の前に空白の時間がっ…(汗。
   少し時間が経ってから、と脳内変換していただければ
   幸いです。

更新終了。です
25 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/30(水) 22:59
居酒屋「ごとぉ」いいっすねw
面白そう。これからに期待してます。
作者さんがんばってください。
26 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:00
>>25 名無飼育さん
 あったら入ってみたいですね。でもまだ全然未成年なんで
 むりかなぁ…(笑。
 >これからに期待してます。
 メチャメチャうれしかったです。またふらっとでも読みに
 来て頂ければ光栄です。
27 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:00

店を出るとすぐに、後藤の店である『プルミエ・アムール』に
向かって歩き始めた。わりと駅近くにある居酒屋「ごとぉ」の
アットホーム的な雰囲気と違い、ちょっと路地に入ったところにある
『プルミエ・アムール』は典型的なバーの雰囲気をかもし出していた。

一階は洋酒・日本酒などの販売をやっていて、三階は張り紙には
『プレイ・ルーム』と書かれていた。要するにビルの二階にある
店なのだが、そのビル全体が『プルミエ・アムール』なのではと思うくらい
存在感がる、ということだ。

「なんか、いいのかな、なっちがこんなとこ来て。」
「意味わかんないよ。オイラ達もう二十歳過ぎてんだし、いいんじゃない?」
「違うよ、なんか場違いじゃない?」
「んなことないって。入るよ。」

ドアを押してはいると、適度に落とされた照明の中に長いカウンターが
浮かび上がり、若い女性のバーテンダーが立っていた。白シャツに、
黒の蝶タイとベスト。バーテンダーの正装である。

28 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:01


「いらっしゃいませ。」

女性のバーテンダー・後藤はまるで他人のように声をかけた後、

「なんにするー?」

と気の抜けるような声で二人に聞いた。緊張していた安倍の体が
フニャっとなり、それに気付いた矢口が言った。

「ね、場違いなのはむしろごっつぁんでしょ?」
「……そうだね。」

脱力系な後藤の声に、先ほどのクールな声色とのギャップの差を
激しく感じた。

(ある意味犯罪だべ…。)

と、思う。
29 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:02


カウンターの端に座ると、丁度後藤はウォッカのオン・ザ・ロックを
作っているところだった。店内を見渡すと、カウンターの後ろには
奥から小テーブルと椅子のセットが幾つかと、こちらを向いた大きな
長いソファアとロングテーブルがあり、また肘のせクッション付きの
ソファアが二個テーブルを挟んで向かい合っているし、入りり口の
すぐ近くには新幹線の個室のように仕切りが設けられている席があった。

お客は結構入っている。奥の部屋にも何人か入れるらしい。

「何飲む?まさかやぐっつぁんたちもオン・ザ・ロックとか言わないよね?
 野蛮なの飲まないでよ〜…イメージ的に、だけど。」

と、アイス・ピックで氷を割りながら言った。
近くに座っている帽子をかぶった女が、それに抗議した。

30 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:03


「野蛮って何?客に対して失礼じゃないの?まったく、ごっちんは
 もうちょっと口をつつしめ!」
「は〜い。で、やぐっつぁんたちは…あぁ、んじゃジントニックでいいね?」

文句を言っていた女にホラ、とウォッカの入ったグラスを渡すと、
再びこちらを向いた。後藤の胸には、銀のバケツにワインボトルが
入っている洒落たバッジが付いていた。

後藤はポンと開けたトニックウォーターを惜しげもなくジンと氷の
タンブラーにトクトクと注いでいる。

「ごっちん、それ終わったらマンハッタン頂戴。」
「え〜…もう飲んだのぉ?」

出来上がったジントニックを二人の前のカウンターに置き、
ウォッカのオン・ザ・ロックを注文した女がすでに次の注文を
始めた。

31 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:04


「うん、おいしい。」

あまりカクテルを飲んだことがなさそうな二人に合わせて少し
キレが控えめなジントニックはとてもおいしかった。安倍は
初めて飲むジントニックを明日の取材のことを考えながら
ゆっくりと飲んだ。

「マンハッタンね。チェリーは一つ?二つ?」
「…一つでいいよ。」
「またまた〜ミキティは豪華なのがいいでしょ。グラス大きいのにして
 あげるから。ね。」
「一言多いよ。美貴はそんなに高飛車な女に見えるわけ?」
「んはははは。」

その会話を聞いた矢口は、あっ!と声をあげた。
同時に後藤とマンハッタンの女はしまった、という顔をした。

32 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:04


「どこかで聞いた声だと思ったら、『B&G』のボーカル、藤本美貴
 じゃん!うわ、なんかイメージどおり…。」
「……ごっちんの馬鹿。」
「だってミキティだって美貴は〜とか言ったじゃん。ホレ、できたよ。」

ピンに刺した真っ赤なチェリーが二つ沈むだけで、本当に豪華で
ロマンチックだ。

「やっぐっつぁん、なっち、あんま人に言わないでね。」

後藤は軽くウィンクしながら口元に人差し指をあてシー、っとポーズを
とる。それを聞いて、安倍は思わず取材のことを言いそうになり、
でもプライベートだから仕事の話はよそう、と思いとどまった。

「(自分が芸能人だったら嫌だもんなぁ。)」

矢口もそれは同じらしく、たまたま相席したという感じでしばらく
楽しく飲んでいた。



33 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/04(日) 19:05

34 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/04(日) 19:05

35 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/04(日) 19:08
更新終了。タイトル入れ忘れててショックです。
ちなみにお酒の知識が乏しいのでお酒に関して
間違っていたらごめんなさいm(_ _)m
36 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/07(水) 01:33
タイトルに惹かれました
おもしろそう!作者さんがんばってください。
37 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/10(土) 23:05
お気に入りに追加・・・と。
38 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2004/07/15(木) 21:54
作者さま
はじめまして。
面白くて一気に読んでしまいました。
更新も楽しみに待ってます!
PS:娘。小説の保存もさせていただいているのですが、もしよろしければ保存させてください。
   よろしくお願いします。
   当方のHPは[ http://kuni0416.hp.infoseek.co.jp/text/index.html ]です。
39 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/16(金) 11:37

「じゃあ、美貴はそろそろごっちん家に行こうかな。」

藤本がそう言い出したのは、午後十一時。まだお客は残っている。
安倍は自分も取材があるしなぁ、と席を立った。隣の矢口はまだお店に
居たそうだったけど、この際無視させてもらう。何しろ、居酒屋「ごとぉ」でビールを
少々とはいえ中ジョッキ飲み、『プルミエ・アムール』ではジントニック、ライチトニック、
シルバーブレッドと様々な種類のカクテルを計五杯も空けた。案外矢口は
お酒に強いのだ。

その藤本の言葉に、後ろのソファで飲んでいるサラリーマン注文の
ブラッディー・マリーを作っていた後藤が驚いたように言った。

「え、泊まってくの?」
「ダメ?こっからだとタクシーですぐだし。」
「…別にいいけどさ。あたし、帰んの明け方だけどいいの?」
「へーきへーき。どうせ取材は午後からだし、ぐっすり寝れるよ。じゃ、美貴
 先に寝てるからね。矢口さん達も、おやすみなさーい。」
「オゥ、じゃあなミキティ!」

すっかり意気投合した矢口と藤本。そしてまったりしたムードで安倍と
後藤は仲良くおしゃべり。会計を済まし、すっかり楽しい時間を過ごした
安倍は後藤の方を向いて言った。

40 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/16(金) 11:37


「じゃあ、ごっつぁんまたね。」
「うん、今度は一人できなよ。」

ニコニコ笑う後藤は名刺を差し出した。名刺には、

東京都XXX市○○区△△町□□駅前中央通り店
『プルミエ・アムール』

店長  後藤真希
電話番号 090-XXXX−XXXX
eメールアドレス ×××@……

と明記されていた。安倍は思わず、「え?店長?!未成年なのに、ありえないべさ!」
と声に出して言ってしまった。それを聞いて後藤はあはっ、と笑う。

「やぐっつぁんに言われたとおり、なっちって面白いんだね。今度来る時メールでも
 くれたら迎えにいってあげるよ。今日楽しませてくれたお礼。……やぐっつぁんは
 昔からしてあげてるけど。」

そういうとじゃあね、と手を振ってカウンターの中へ戻っていった。
安倍も矢口も十分に満足して店を出る。夜風が酔いを醒ましてくれる。
タクシーを待ちながら、安倍は東京の星空を見上げた。

41 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/16(金) 11:39



太陽は出ていないけれど、星は出ている。

故郷の北海道に比べればネオンが光って星は目立たない。

でも、なっちの太陽は、この星空なんだべさ。

こうやって矢口と飲みに行って星空を見て充電完了

植物は昼間だけど、なっちは夜に光合成

さぁ、明日からも頑張ろう

今日の光合成は、大満足。


       
42 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/16(金) 11:39

43 名前:1.光合成 投稿日:2004/07/16(金) 11:39

44 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/16(金) 11:54

いっぱいレスが付いてて作者大感激です。
ありがとうございます。

>36 名無飼育さん
>タイトルに惹かれました
私もこのタイトル好きなんです。安倍さんのエッセイのタイトル
で安倍さんにぴったりだなぁ、と思いまして。
>おもしろそう
期待に応えられるよう、頑張ります!

>>37 名無飼育さん
>お気に入りに追加・・・と。
 嬉しいお言葉ありがとうございます。 
 最高の褒め言葉ですね(^▽^)

>>38 ななしのよっすぃ〜 様
 なんと!ななしのよっすぃ〜様ではないですか!
HP拝見させていただいてます。
 >面白くて一気に読んでしまいました
 あ り が と う ご ざ い ま す !

p.s HPの件ですが、載せてもらっていいんですか?
   全然OKです。というか載せてください(笑)
    
 
45 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/16(金) 11:56
超短いですが、一旦切ります。終わりじゃないですよ(笑)
引き続き徒然なるままに書いていきますんで、よろしく
おねがいします。
46 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/16(金) 17:23
とりあえず更新乙です。
お気に入りに登録&ななしのよっすぃ〜さんにこの作品を紹介した
犯人ですw
つれづれなるままにがんばってください。
47 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2004/07/17(土) 00:29
作者さま
更新、お疲れ様です&HPを見に来ていただいてありがとうございます。
さっそく次の更新を楽しみに待ちながら保存作業に入らせていただきます。
48 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2004/07/20(火) 11:46
作者さま
保存作業、終了しました。
背景の色や文字色などご希望がありましたらお知らせください。
では。また。
49 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:29


さようなら会えなくなるけど寂しくなんかないよ

そのうちきっと大きな声で笑える日が来るから

動き出した僕の夢

高い山越えて

星になれたらいいな



50 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:29

1.5 光合成
51 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:30



「んっ…んんっ……あっ…」

暗闇の中から聞こえてくる、いやらしいクチュクチュという音と、
女の喘ぎ声。女は必死にシーツを掴んで快感の波に逆らおうとする。
無理だとわかっていても、彼女と少しでも長く一つになっていたかった。
彼女の指先が触れるたび、女は体をビクッと震わせる。

まるで全身が性感帯になったかのように、体をぶるぶると震わせ、
トロンとした目で彼女の首に巻きつき、言った。

「美貴は、ごっちんのこと、誰よりも好きだから。愛してる。」
「あたしも…好きだよ、美貴。愛してる。」

「ぁああっ!ふっ、あっああっ―――!!」

急に耳元で優しく、甘く囁かれ女―――藤本はイッた。
久しぶりの行為で藤本はいつもより早く達してしまい、
もっと、と後藤を求めるようにギュッと抱きついた。
薄れ行く意識の中、彼女――後藤が優しく唇に自分のを重ねて
また囁いた。


「ずっと、傍にいるから。ゆっくり、おやすみ?」

藤本の瞼が下り、寝てしまったことを確認すると、後藤は自分も
寝ることにした。なにしろ、夜中の仕事をしてきた後藤にとって、
自分がその行為を「する」方であっても疲れてしまうのだ。

「おやすみ、ミキティ…」

呼び名も元に戻して、自分も体をベッドに預けた。

52 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:30



「ごっちん、起きてよ!」
「ん〜…?」
「せっかくのオフなんだから一緒に出かけようよぉ…。」

ファンがこんな藤本の姿を見たらなんていうだろうか。
熱狂的なファンにも、普通のファンにも、「藤本美貴」は
軽ヤンとしてイメージされがちである。

「え?オフなの、今日?」
「言ったじゃん!」

後藤はダルイ体を起こして、目をこする。
―――ヤバイ、昨日の疲れが取れてない…
ズシッと重い体に藤本が飛びついてきた。当然支えきれずに
一緒に後ろへ倒れた。

53 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:31


「寝起きのごっちん、可愛い」
「そぉ?」

それよりも早くどいてよ、と言わんばかりに藤本を見上げている。
でも確か今日は取材があるって昨日…体を起こしながら後藤は
着替えている藤本に聞いた。

「あれ、取材は…?」
「だから、半日暇なの。」
「は?半日?」
「午後から取材だから。それまで、出かけようよ。」

枕元の時計は朝の七時を表示している。眠い筈だ、昨日アレをし終えた
のが確か明け方の四時過ぎ。つまり三時間弱しか寝れていないのだから。
藤本は取材とかライヴとかで変則的な生活には慣れているが、後藤としては
朝晩逆転している以外はちゃんと睡眠もとっていたし、三時間の睡眠には
耐えられない。

54 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:32


「……そういうのはさ、早く言おうね。」
「だって、言う前にごっちん始めちゃったから!」
「……(それもそうだな)」

仕方なくベッドから出てGパンに黒のTシャツを着て朝食を作り始める。
その間藤本はシャワーを浴びる。目玉焼きの形に卵をフライパンにのせ、
まだ白身が透明のうちにハムをのせる。

焼いている間に手早くパンをトースターで焼き、フライパンで出来た
目玉焼きをこんがり焼けたパンにのせて出来上がり。めんどくさいときは
いつもこのメニュー。目玉焼きののったパンと、ソーセージ+ポテトサラダ。
もちろんポテトサラダは残り物。

「「いただきます」」

二人で朝食を食べていると、藤本の携帯がなった。
マネージャーかららしく、ごめん、と言いながら寝室に入っていった。
仕方なくテレビのワイドショーを見ながら自分で作った朝食を食べる後藤。

55 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:32


『昨夜XXX市△△町で起きたホーム飛び降り自殺未遂事件ですが、巷では
 「スーパー・グレート・チキン・レース」と呼ばれ暴走族や不良グループ
 などが肝試しに行うものであることがわかりました。』

「…グレートチキンかよ。」

呆れたように呟いてパンをかじった。レポーターの女性は駅のホームで
少し興奮気味にしゃべっている。その後ろではテレビに映りたがっている
通学途中の学生がピースしたり変顔したり…。

「ごめんね、なんか取材忘れてないか確認の電話だった。」
「ミキティ前すっぽかしたもんね。」
「ウルサイなぁ、あれは急に変更したのがいけないんだよ。」
「そうでした、そうでした」

朝食を食べ終えると藤本が片付け、後藤がシャワーを浴びる。
食器を片付けているとシャワー上がりの後藤が藤本に抱きついてきた。

56 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/07/31(土) 12:33


「今日はどこ行くの?」
「え、別に決めてないけど。」
「なんだよぉ、ごとーをこんな朝早くに起こしといて…。」
「なに、ごっちん急に甘えてきて。…可愛いからいいけど。」

自分のことを間延びした声で「ごとー」と呼ぶときは甘えている証拠。
もともと後藤は年上の人には甘えたがるところがあった。

「だってさ、一緒にいても仕事優先じゃん?ごとー、ホントにミキティに
 愛されてんのかなぁ?」
「何言ってんの。ごっちんだってそうでしょ。あたしだって仕事よりごっちん
 だけど…でも『B&G』はさ…ね?わかるでしょ?」
「ぅん…。」

仕事中や自分を攻めているときとは180度違う後藤のギャップが
藤本は好きだった。クール&ビューティ、だけどちょぴりキュートもあって
まさに藤本の理想の女性だった。なにより、その甘えは自分にしか
見せないのでちょっとした優越感を感じる。

「これ片付けたら、今日はHPWスタジオ近くの○○冒険王行こうよ。」
「マジ?ミキティばれちゃうよ?」
「大丈夫、美貴悲しいけど案外バレないから。」
「んじゃ仕度してるね。」

後藤は藤本から離れると寝室の隣にある部屋に消えていった。


57 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/31(土) 12:37
>>51-52の間に間を空けるの忘れてた…。
>>52は朝です。すいません。
58 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/31(土) 12:48
46 名無飼育さん
 紹介人キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
 本当にありがとうございました(感涙。
 これからも徒然なるままにがんばります。

47,48 ななしのよっすぃ〜 様
  保存、ありがとうございます。あの、一つだけ気になって
 いるんですが、矢口さん達が居酒屋を出てすぐ藤本さんが
 バーを出る場面に飛んでいるんですが…。
 これからもよろしくおねがいします。
59 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/31(土) 12:49


( ´Д`)<クール&ビューティーだけどちょっぴりキュートもね♪
60 名前:46 投稿日:2004/07/31(土) 21:28
更新乙です。
人の更新を確認するとストックないのに更新したくなってくる・・・悪い癖です。
クール&ビューティーだけどちょっぴりキュートって表現ナイスですw
61 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2004/08/01(日) 08:12
作者様
ありがとうございます。さっそく訂正しました。
こちらこそ、失礼いたしました<m(__)m>
今後ともよろしくお願いいたします。
62 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 18:21

藤本が片付けを終えて寝室に向かうと、後藤は誰かに電話をしていた。
盗み聞きするつもりはなかったが、後藤の声が聞こえてくる。
まるで藤本に聞かれたくないかのような小声で会話している。

「だから、薬は取りに行ったから。」
『………』
「は?違うよ、嘘じゃないって。ちゃんと飲んでる。」
『………』
「わかってる。ねぇ、それより本当に治るの?」
『………』
「嫌だよ、こんな薬飲んでるのに…。」
『………』
「なら、いいけど。じゃあ出掛けるから。またね。」

携帯を切ると、ハァ、とため息をついて、ベッドに腰掛ける。
治らない病気じゃないのに、なんで一年も経ってるのに治らないんだろうか。
電話相手の医者…保田は腕は確かだし、自分も言われたことをちゃんと
やっている。気落ちしていると、ふいに後ろから抱きしめられた。
63 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:22


「あ……」
「なーに情けない声だしてんの?行くよ、お○場冒険王!」
「もう片付け終わったんだ?」
「ごっちんの為にチャっチャと終わらせましたよ〜だ。」

藤本は笑いながらクローゼットを開けた。後藤の家にはもう、藤本の衣類や
生活用品が並んでいた。

「ちゃんと洗ったの〜?」
「失礼だね。ホラ、行くよ。」

二人はマンションを出て後藤の車に乗り込んだ。乗り込むとすぐに、
藤本がMDをかける。しかしその手前で後藤に止められた。

「?どうしたの、ごっちん。」
「それ、『B&G』のアルバムの試作品だからさ。ミキティ、仕事の話しちゃうでしょ?
 ごとーそういうの、嫌なんだよね。ただでさえ街中で流れてるんだからいいじゃん?
 ミキティ疲れるでしょ?」
「ありがと。でもなんか曲聴きたいな。」
「あ、灰皿のとこMD入れになってるから、適当にかけていいよ。」
「……滅茶苦茶だね、車の使い方。」
「だって使わないし。」

エンジンをかけて車を出した。流れてきたのは、Mr.Children の「君がいた夏」だった。
藤本は窓を開けて気持ちよさそうに目を細めた。
64 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:23


「気持ちいい〜やっぱドライブっていいね〜」
「そう?」
「だってさぁ〜やっぱシャバだね。」
「んはは、まるでカンカン帰りのヤンキーですな。」



また夏が終わるもうサヨナラだね

時は二人を引き離していく

おもちゃの時計の針を戻しても

なにも変らない Оh I Will Miss you



後藤は何も言わないでいたが、藤本は苦笑して言った。

65 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:24


「今聞く歌じゃないよね、これ。」

何も言わず後藤も運転しながら苦笑い。藤本はMDのケースを見て
曲を変えた。流れてきたのは、Mr.Children の「抱きしめたい」だ。
後藤は驚いて藤本を見たが、藤本は笑っているだけだった。

この曲は、『B&G』のベースRikaが後藤と付き合っていたときに
よく聴いていた歌だった。まだみんなで北海道にいた頃の話だが。
もちろん藤本はそのことを知っていたし、別になんとも思ってはいない
と思っていたのに。この曲を聴いていたのは二人の時だけだったはず…

「どうかした?」
「いや、べつに。」

封鎖がどうとかいう虹色の橋を眺めていた藤本は後藤の視線に
気付いた。その笑顔に曇りはなく、悪戯の意味もこもっていなかった
ことに安心し、「なんでもない」と運転を続けた。

お○場冒険王に到着すると、後藤はエンジンを切りMDを止めた。
シートベルトを外して降りようとした時、藤本に手を引かれ、抱きしめられた。
助手席にいた藤本に引き寄せられた後藤は自然と膝枕されている姿勢になる。

66 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:24


「ごっちん…?」
「ん?」
「美貴のこと、一番に想ってるよね?」
「もちろんだよ。」
「じゃあ、なんで…」

薬って何?

治るってなにが?

言ってしまいたいのに、今朝一瞬でも彼女は気まずい顔をしたくせに、
ケロリとした顔をして藤本を見ている。憎たらしいくらい可愛い顔で藤本を
見上げている。

「どっか悪いの?」
「はぁ?」

心底不思議そうに、わけわかんないよ的な表情で藤本を見つめる。

67 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:25


「なんでもない。」
「そ?」

あの二つの映画のように、『キャプテン、マイ、キャプテン、その言葉は本当なのでしょうか。
素直に受け入れてもいいのでしょうか。』と問いかけてみる勇気もなかった。
もちろん後藤は笑って頷くに決まってる。『じゃあなんで、薬って何?治るってなんなの?』
と聞けば、言葉を濁らせて曖昧な答えが返ってくるのだろう。

「それより、映画見に行こうよ。ホラ、なんとかキッズが出てるヤツ。」

Rikaのことを聞かれるのだと思っていた後藤は、「どっか悪いの?」という藤本の
言葉の意味がわからなかった。確かにものすごく眠いけど、なんで今?
さっき散々言ったのに。

「ミキティ、年下好みなんだね。」
「なっ、ち、違うよ!」

笑いながらサングラスをかけて車から出た。キーをかけて藤本に寄り添うようにして
駐車場を出る。

「年下っぽく甘えさせて頂きます、美貴お姉サマ。」
「だから違うってば。ていうか大して年かわんないじゃん」

68 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:25



藤本は後藤の隠し事が気になって

後藤は藤本のRikaへの気持ちが気になって

笑顔の裏ではお互いをお互いに見合っていた

二人の光合成は不安定


69 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:25

70 名前:1.5 光合成 投稿日:2004/08/07(土) 18:25

71 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 18:26
1.5 光合成 終了
72 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:31


2.葉緑体

73 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:31


♪〜♪〜〜♪〜♪

携帯の着メロが、起きる時間を告げる。昨日のお酒が抜けきれないまま、
朝がきてしまった。こんなこともあろうかと早めにセットされた目覚まし時計が、
安倍の几帳面な性格を物語っている。

ベッドから起き上がると、隣には矢口。別に二人はそういう仲でもないし、
そういう気もない。ただ、矢口が帰宅途中で酔っ払って事故にあったりしないように、
安倍の家に泊めてあげたのだった。

「矢口、大学今日何時から?」
「ん〜午後からぁ…。」
「なっちは仕事があるから、起きるね。朝ごはん、おいてくからね。」
「ありがと」

そういうと安倍のいなくなった上布団をグイッと引き寄せてすっぽり隠れてしまう。
もう、といいながら安倍はシャワーをしにバスルームへ向かった。
北海道の愛犬メロンの映っている安倍の携帯は10:15を表示していた。
ここから取材場所であるHPWスタジオまでの距離は、タクシーで十分、
歩いて二十分の距離。待ち合わせ時間は正午ぴったりなので、
安倍はゆっくりシャワーを浴びる。
74 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:33


―――「やっぐっつぁん、なっち、あんま人に言わないでね。」


昨日後藤が言った言葉を思い出して、あのウィンクした表情を
思い出す。子どものような無邪気な笑顔でもなく、強張った笑顔でもなく、
裏のある、サディストの笑顔。今思い出すと、ゾクッとする。

まるで図ったかのような仕草。でもそんなはずはない。藤本のことをバラそう
なんて思っていたはずがない。だって二人は自分達が来る前から楽しそうに
話していたし、そんなはずは…。

バスルームからあがると、キッチンに立って朝食を作り始める。
料理は一人暮らしを始める前から得意で、和食洋食どちらも自身がある。

75 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:34


♪〜〜♪〜♪〜〜♪

『ゴジラ・メインテーマ』が部屋に響き渡る。目玉焼きを焼いていた手を止め、
火を消してからリビングのテーブルにある携帯を手に取る。
電話だ。相手は、婦警の…

「もしもし?裕ちゃん?」
「ぉーなっちかぁ。元気にしとる?」
「うん、元気。どうしたの、朝から電話なんて珍しいね。」
「事件や。確か今日、午後からこっち(〇〇町城南高校前発出所)に
 来るいうてたけど、もしかしたらウチおらんかもしれん。」
「そっか…でも『働く女性たち』の取材は〆切まだ先だし、いいよ、
 空いてる時で。」
「すまんなぁ。」
「大丈夫。じゃあ、また。」

これで一つ午後の予定が消えた。安倍は携帯をパタンと閉じるとまた
テーブルの上に置き調理に取り掛かる。

76 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:34





77 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:34


「じゃあ、矢口、遅れないようにするんだよ?」
「んーわかったー」
「朝ごはんはテーブルの上にあるから。鍵もね。ポストに入れておくんだよ。」
「はぁ〜い…」

眠そうに答える矢口に大丈夫かなと心配しつつ家を出た。
タクシーをあらかじめ呼んでおいたので、マンションの下でタクシーを待つ。
昨日のレポートを鞄から取り出し、質問事項などをもう一度再確認した。
何枚かめくったあと、パッと表紙を見た。『取材事項明記』と書かれた文字の
下に、「初代のB&G、maki」と書いてある。

そういえば昨日非公式ホームページに書き込みがあった。
初代のボーカル、makiの話が出ていたのだ。知らないファンもいたようで、
もう一度確かめてみよう、と鞄の中からノートパソコンを出した。

「おまちどお様です。」

ラーメン屋さんみたいな声をかけられ、タクシーが到着したことに気がつく。
後ろの席の端っこにもたれるように座り、パソコンを携帯と繋いだ。

78 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:36


「HPWスタジオまで。」
「はい。」

タクシーは走り出した。ひざの上に乗せたパソコンで昨日のホームページを
検索する。BBSを開き、投稿部分を見て思わず声をあげた。
昨日まではちゃんと書かれていたのに、今日はなんか変なマークが付いている。

名前 ( ´Д`) [( ´Д`)]

( ´Д`)

が初代の話題が出ていた辺りに投稿されていて、安倍は意味がわからず
首をひねった。荒しかとも思ったのだが、それにしては集中的過ぎる。
とりあえず関わらないほうがよさそうだ、と解釈してパソコンを閉じた。
サンシャイン大通りを抜ければ、見えてくる「HPWスタジオ」。

昨日会った藤本はビックリするだろうけど、変に緊張しないし返ってよかったかも。
とのんきなことを考えているうちにタクシーは目的地へとたどり着いた。
79 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:36


スタジオに着くと、私服の藤本とバッタリロビーで会った。紺のジャケットに白の
Tシャツ、青いジーンズ。つい先ほどまでゴーイング○リー号やらなにやらで
遊び放題だった藤本の髪の毛は風によってハネ放題。

「あれ、なんで安倍さんがいるんですか?」

案の定驚いた顔をする藤本。安倍は苦笑いしながら自分の職業を明かす。
そして念のために昨日のことは記事にしないし、プライベートで会っても記事に
なんかしないから安心して、と言った。

「なんだ、そうだったんだ。でも安倍さんみたいな人があの「ワンダフル・ミュージック」の
 掲載に関わってるなんて以外だな。」
「そう?」
「だって今一番注目されてる雑誌ですよ?流行の最先端と安倍さんは…
 ねぇ…?」

丁度ベースのRikaが到着して、安倍はあいさつをする。Rikaも、スタッフパスを
付けている安倍を見て一礼した。

80 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:37

「おはようございます。」
「おはようございます。」

今時の子にしてはしっかり挨拶するんだなぁ、と感心しながらもどこかで
聞いたことのあるアニメ声に首をかしげていた。綺麗な黒髪、健康的な自黒、
可愛らしいアニメ声…。

「あ!」

そういえば昨日居酒屋「ごとぉ」で野球観戦をしていた女の子にそっくりだ。
今目の前にいる子に、昨日のぶりっ子振りがよく似合う。思わず声をあげ、
口に手をやる。

「どうかしました?」

Rikaは驚いたように身を引き、藤本のほうへ寄った。それでも声だけは
相変わらずのアニメ声である。あまりの驚きっぷりに驚いた安倍は慌てて
頭を下げる。

81 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:38


「すいません、昨日居酒屋で見かけたので。」
「?え、ごっちんのお店?」
「居酒屋「ごとぉ」の方で野球見てましたよね?」
「……見てたんですか、あれ。」

照れながらいう彼女の仕草はまさに昨日の彼女だった。帰り際、矢口が
「あの子の応援、見てて寒かったよね。」といったのは内緒にしておこう。
きっとこの子はショックで寝込んでしまうかもしれない。というのも、昨日の
応援している姿を見た、というだけで顔を真っ赤にして「見ないでくださいよ〜」
とか言いながら手の甲で顔を冷やしていたからだ。

「じゃあ、なっちは打ち合わせがあるからいくけど、ミキティ二日酔とかしてない?
 大丈夫?昨日あれだけ飲んでたけど。」
「あれぐらいじゃ酔いませんよ。ちゃんと仕事のことも考えて飲んでますからね。」

フッと冷たく笑った。初対面の時はこの笑い方が嫌だった。
嫌なカンジ、と思ったが彼女はふと笑みがこぼれる時、こらえようとするために
鼻で笑ったような笑いになる。だからもう多少は慣れていた。
藤本や石川などは言ってみれば芸能人であって、見た目やちょっとした
態度でイメージをつけられてしまう。

82 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:38


「人は、見た目じゃないべさ。」
「なんですか、急に。」
「あ、いや…」

そそくさと安倍はその場を立ち去り、スタッフルームへ打ち合わせに走っていった。


83 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/08/07(土) 18:38

84 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 18:39
更新終了。今回は第二部もちょいと更新しました。
85 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 18:40
すいません、レス返しはまた今度。レスしていただいた方、
ありがとうございました。
86 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/07(土) 20:59
更新乙です。
そろそろ動きがありそうですね。
87 名前:名無し読者 投稿日:2004/08/20(金) 16:19
続きが気になります。
楽しみに待ってます。
88 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/21(火) 13:45
面白そうなの発見!
更新待ってますよ!
89 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/08(金) 00:14
更新期待待ち
90 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/09(土) 16:29
>>60 46 様
 私もそうですよ(w。『クール&ビューティー…』は
 【99の後藤真希】より抜粋しました。

>>61 ななしのよっすぃ〜 様
 ありがとうございます。
 こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

>>86 名無飼育さん 様
 じわりじわり…次回くらいから新たな登場人物
 とともに二人は(ry。まだナイショです。ていうか、
 書きあがってません。構想だけです。

>>87名無し読者 様
 遅くなってすいません。楽しみにしていただき、
 感謝です。

>>88 名無飼育さん 様
 おぉ、うれしいお言葉です。
 ようやくの更新、申し訳ありません。

>>89 名無飼育さん 様
 お待たせしました、すいません。

皆様、一ヶ月以上も更新があき、まことにすいません。
それでも待っていてくださる方がいてとても嬉しいです。
本当にありがとうございます。
91 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:29

スタッフルームには、里田がすでに待機していた。
のほほんとお茶を飲んでいる様子に、思わず噴出す安倍。

「なんだべ、くつろいじゃって。」
「あ、おはようございます。昨日友達と飲んじゃって。あ、あたしって二日酔い
 気持ち悪くなるんじゃなくて眠くなるんですよ。で、緑茶で目を覚まそうかと…。」

昨日自分に注意しておいて、と苦笑い。

「緑茶じゃなくて、コーヒーにすれば?」
「それがコーヒー飲もうとしたんですけど、すきっ腹にはマズいですから…。」
「え、なんも食べてないの!?」
「だから二日酔いで眠かったんですよ…。」

里田はそういうとオニギリを取り出し、ゆっくり食べ始めた。
資料を持ちながら食べている姿は忙しいOLのようだった。

「そういえば安倍さん、昨日飲んでたんですよね?」
「うんまぁ…。」
「なんでそんな普通な顔してるんですか?」
「まいちゃんが今日のこと考えろっていったんでしょ(笑」

そうでしたっけ?と首をかしげてお茶をすする里田の様子を見て、
まだ眠気が取れていないのだと悟った。…まだまだだべさ。
92 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:32


何人かスタッフが集まってきた。集合時間になり、担当部長が
入ってくる。あいさつをすませ、即座に話が始まった。

「じゃあ今日の流れを説明します。まず今からスタジオに行って
 写真撮影の様子のレポを…是永、お願い。で、そのあと一応
 段取りを説明してインタビューへ…安倍と里田、オッケー?」
「「はい。」」
「すぐにその後テレビの歌収録があるから、長引かないように。
 密着取材…とまではいかないがまぁその収録現場にも同行の
 許可が取れたから村上、邪魔にならん程度にな。」
「はい。」
「いいか?週刊誌と違ってウチは特ダネが欲しいわけじゃない。
 あるにこしたことはないが、印象を良くしなきゃダメだ。
 売れてるからといっておごるなよ…是永、何してるちゃんと聞け。」

安倍が是永をみると携帯をいじっていた。慌てて携帯を閉じ、

「すいません…」

と呟いた。
93 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:32








94 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:33


「安倍さん、今夜一緒に飲みません?」
「お、めずらしいね、まいちゃん。」

打ち合わせが終わり、スタジオに向かう途中、里田が先を歩く安倍に寄り添ってきた。
首から提げているスタッフパスが大きくひらめいている。
腕を絡めてくる時は、いつも何かねだる時の里田のクセだった。


「でも、大丈夫なの?まいちゃん、酔ってたじゃない、さっきまで。」
「眠いだけですって。酔いは覚めてますよ。」

まっすぐにのびた広い廊下を歩いていくと、たくさんのスタッフが
今夜の生番組のリハーサルで忙しそうにクルクル走っていた。
お笑いブームにのった番組で、視聴率も高い。

「よっしゃ、なっちがいいお店連れてったげるべさ!」
「本当ですかぁ!?いや〜楽しみだなぁ…」
 
実はかなり酒癖の悪い里田。もちろん酔ってる本人は気付いてないし、
一緒に飲んだことない安倍も知ってるわけがないので、数時間後の悪夢など
知るよしもなかった。

95 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:34


スタジオに入ると、すでに写真撮影のスタンバイがされていて、あとは
B&Gのメンバーが来るのを待つのみのようだった。
セットは、今回の新曲にあわせてクールな感じ。

「ほぁ〜カッコいい…。なっち緊張してきたよ〜!」
「安倍さんが写るわけじゃないんでそんな緊張しないでくださいよ。」
「そりゃそうなんだけど…。」

撮影用の機材も、セットも、その場に居るスタッフでさえカッコよく見える
安倍はいつも持参しているMYカメラでスタジオをパシャパシャ撮っていた。

「「おはようございま〜す」」

はっと振り向くと友人矢口が大ファンだというドラムのAtsushiと、そして
ギターのTakashiがスーツ姿でスタジオ入りしてきた。
それに続いて後ろからこれまたキャリアウーマンっぽく着こなした藤本と
石川があいさつ&談笑しながら入ってきた。

「じゃーまず全員の写真撮りますんで。」

ADの声に「お願いします」と4人が口をそろえて、セットの中へ入っていく。
その間安倍はずっと暇なので(担当は是永)いつもならペアの人ともう一回
原稿確認、そして終了予定ちょっと前まで見学というパターンなのだが、
今回は初めから食い入るように藤本の姿を見ていた。

96 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:35


クルクルとポーズを変えていく藤本。その姿に安倍は見惚れたように釘付け。
個人写真の撮影ではクールにキメる藤本の姿に、なぜが昨日の後藤の
カクテルを作る姿が目に浮かぶ。

『なんにするー?』

『うん、今度は一人できなよ。』

『やぐっつぁん、人を簡単にパシらないでよね。』

なぜだか自分でも説明できないけれど、後藤のことを唐突に思い
出した。確か昨日、藤本はごっつぁん家に泊まるって…。
夜中に?帰り遅くなるってなにを心配するの?

「いいね〜もうちょっと顔上げて〜ハイ、オッケー!!」

カメラマンの声にはっとすると、既に三人目の撮影が終わり、
四人目に突入しようとしているところだった。

「あ、なにしてんですか安倍さん!行きますよ、もうすぐ
 終わっちゃいますから、撮影。」
「お、そうだった…」

安倍は慌てて取材する部屋へと向かった。


97 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:36

98 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:37


インタビューが始まり、安倍は用意していた質問を始めた。
最初はデビューのきっかけ、名前の由来などを聞いていたが
そのうち「初期メンバー」について思いきって聞いてみようかと思い始めた。
皆白々しいくらいMakiについて触れない。

「そういえば、今度アルバム出すんですよ。」

インタビューが佳境に入ったところで藤本が急に言った。

「デビューして丸一年になるんですよ、もうすぐ。だからそろそろ
 アルバムをドーンと出したいなって…最初は美貴のワガママだったんですけど
 なんかそのまま「いいね〜」とか周りの人に言ってもらって…」

―――聞きどころは?

M「じゃあ安倍さんに免じて(笑)特別に。最後の二曲、あ、
 全十五曲なんですけどね、『横浜蜃気楼』と『くちづけのその後』は
 シークレットゲストの方が歌ってるんですよ。ちなみに、
 美貴がギター、梨華ちゃんベース、Atsushiがドラムで。
 Takashiは何もしてません(笑)」
T「サボってるみたいに言うなよ。仕方ないじゃん、お前がボーカル降格
 しちゃってギターやるとかいうんだから(笑」
M「(降格)してない、してない。今回だけ。」
R「しかも『くちづけのその後』って癒し系だよね。」
A「そうだな、Mikiには歌えないよな。」
M「ひどい!」

99 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:37

―――だ、誰ですか?ボーカルは…?

M「だからシークレットゲストなんですよ。シークレット、秘密です。」

―――それはそうですけど。

R「もしかしたら、本人の了解を得られたらですけど、ライヴに登場…とかね。」
M「今回の収録だって、本人嫌がってましたから。」
A「無理矢理…や、最後はMikiが説得させて。」
M「ね(笑」

―――え、もしかして一般人?!

R「そうですよ〜芸能人だったら名前あまり伏せないでしょ。」

―――それが、二曲も?
M「ボーナストラック?みたいな感じで。 」

―――新曲の『浪漫 〜MY DEAR BOY〜』も入ってるんですね。

R「豪華ですよね、ある意味。アルバム曲もいい感じですよ。」
M「お気に入りですね。」
100 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:37




101 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:37

取材を終え、スタッフ控え室でちょっとした雑務をしていると、
藤本がやってきた。新曲の衣装である黒のパンツにノースリーブの
ジャケット。

「あれ?歌収録は?」
「休憩時間なんです。それより今夜空いてます?」
「あ〜ごっつぁんとこにさっきなっちと一緒に居た子と飲みに行こうって…
 一緒でもいいならなっちは大歓迎だけど…。」
「オッケーですよ。じゃあ梨華ちゃんと九時過ぎには行きますから。」
「え、あ、うん。」

そういって藤本は鼻歌を歌いながら出て行った。


梨華ちゃんってあの阪神ファンの…インタビュー中も下手したら

タイガース選手名鑑(かつて優勝した年の)が作れるのではというくらい

喋っていた梨華ちゃんか…。なっち、身がもたないべさ。

102 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:38


103 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/10/09(土) 16:38

104 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/09(土) 16:38
更新終了
105 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:40


♪〜〜♪〜♪〜♪

「もしもし?」
『あ、まっつー?今、暇?てかどこにいる?』
「え、今?家だけど…。まだご飯食べてない…。」
『じゃああと十分ぐらいでそっち行くから、出かける準備しといて。』
「なんで?」
『いいから。絶対だよ。』

それだけいうと、彼女――愛しのごっちんは電話を切ってしまった。
待ってよ。今日ガッタスの試合だったんでしょ?結果は?ていうか
こんな夜にどこ行くのよ。

なんて思っていても、体は正直で。クローゼットの前までスイスイ歩いていく。
心なしか、ちょっとウキウキしながら。だってごっちんとはガッタスの練習とか
ハローのライブ、イベントでしか会えない。今日だって、行きたかったのに。
練習にろくに出れなくて、呼ばれなかった。まぁ仕事があったんだけどね。

一応今日は寒いので上着を取り出しリビングに戻る。
すると、目にする写真。キッチンとリビングの間にあるカウンターみたいな
台に、布巾の隣にある写真たて。
106 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:40


「ごっちん…会いたいよ…早く…早く来て…。」

春のコンサートに内緒で来てくれた時に楽屋で取った写真。
顔を寄せ合ってピースしている。満面の笑みだ。
この前冒険王で会って以来だから、まだちょっとしか経ってない。
でもね、でもねごっちん。

「会いたいんだよぉーーーー!!」
「叫ばなくていいから。ごとーも会いたかったよ。じゃ、行こう。」
「へ?」


いつの間にか後ろに立っているごっちん。ちょっと照れてるのか頬を紅くして、
でもなんか急いでるみたいに。

「な、い、いつから?」
「その写真、抱きしめた辺りかな?」
「ならさっさと声かけてよ!バカ!」

そういってごっちんを引っ張るアタシ。変なとこ見られちゃった…。
だって写真抱きしめてるなんて…そういうの、嫌いなんじゃないかな。
ごっちん束縛されるのは嫌いだって言ってたし…。
107 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:40

「タクシーでちょっとだから。」

そういうと待っていたタクシーに乗り込み、

「じゃあ運転手さん、さっき言ってたところまで。」
「あいよ。」

車が動き出す。ごっちんはなんだか真剣な顔して外をみている。
でも手はぎゅっと握ってくれてて、大事にされてるんだなぁって思った。
行き先もわからないまま、おおきな建物の前にタクシーが止まる。

「お譲ちゃん頑張りな。」
「や、そういうんじゃないですって…。」

タクシー代を払うと、ごっちんは紅くなりながら運転手さんにいう。

「行こう。」
「ごっちん、ここって…」

建物を見上げると、大きな十字架のマーク。これって…


108 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:40
「そ、教会だよ。寒いから中入ろうよ。」
「え、いいの、勝手に?」
「わかりゃしないよ。」

いやだめでしょ普通に。冷静にツッコミながらもごっちんの言動の意味が
わからず黙ってついていく。教会のドアを開けて、入ろうとした時だった。

「まっつー…んにゃ、亜弥ちゃん。」
「は、はい?」
「目を瞑ってください。」
「え、こんな中途半端なとこで?」
「うん。」

言われたとおり、目を瞑る。
ごっちんに腕を絡めながらあるく形になり、ちょっと恥ずかしかった。
だって、ここはいわゆる一つのバージンロードってヤツですよ?

「目、開けて。」
「ぅん。」

ふっとあけると、目の前には神父様…え?隣をみると、笑ってるごっちん。
振り返ると…

109 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:41


「あ、みんな!なんでいんの!?」

みきたんをはじめとするガッタスのメンバーや、ハローのメンバーが私服だけど
きちんと座ってヒューヒューなんていいながらこっちを見ている。

「な、なんなのごっちん?」
「フフフ、見てわかんない?」

そういって神父様…もとい、よっすぃ〜はゴホン、といってこっちを見ている。
え、え?これって…もしかして…

ごっちんは優しい笑顔から真剣な顔になって

みんなからかうのをやめて

よっすぃ〜は身を乗り出してこっちをみている



これは…期待しても、いいのかな?

110 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:41

「形だけでいいんだ。亜弥ちゃん、あたしと結婚してください。」


ごっちんのその言葉は、今まで言われたどんな愛のささやきよりも甘く、

アタシを幸せにするものだった。

嬉しくて、涙が止まらない。

「え、いやだった…?」

急に泣き始めたあたしに心配そうに顔を覗き込んでくるごっちん。
あたしは首を横に振って答えた。

「形だけじゃなくていいから…ごっちんと…ずっと一緒にいたい…。」

泣き顔を見られたくなくて、ごっちんに抱きつく。ごっちんは優しく
抱きしめてくれた。

「亜弥ちゃんも、もう十八になったし。本当は誕生日にしたかったんだけど、
 スケジュールがね。それに、ガッタス初優勝を決めてからにしようって…。」

耳元でごっちんが言った。その声は安堵した様子で…あたしがそのプロポーズ、
断るとでも思ってたのかな?
111 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:42


「オホン!幸せなところ申し訳ないんですがね、こうれいのアレ、やってくださいよ。」
「「は?」」

見事にハモるアタシとごっちん。こうれいのって…え?

「誓いのチューに決まってんじゃん!」

後ろからみきたんがいう。いやいや、だってみんな見てるし…第一、ごっちん
顔真っ赤だし。てかみんなの前で結婚式やるって考えてたならわかるでしょ!

「ち、誓いってうちらなんも誓ってないよ?!そんなみんなの前で…」
「バカ!そんなこといったら…」

よっすぃ〜はごっちんの発言に大きく頷き、

「じゃあ、誓ってもらいましょうかね。」

と言った。
112 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:42

「アナタは一生この女性を愛することを誓いますか?」
「あれ、よっすぃ〜なんか違くなぁい?」
「いいの!誓うの?誓わないの?」
「ち、誓います…」

ごっちんは激しく頷きながら半強制的に誓った。

「アナタは生涯この女性を愛することを誓いますか?」
「誓います!!」

そういうと隣にいるごっちんに腕を絡めた。

「では、誓いのちゅーをしてください。」

よっすい〜は早くそれが言いたかったみたい。ごっちんは明らかにうろたえて
「しなきゃだめ?」と可愛らしくよっすぃ〜に言った。いつもならこれで許しちゃう
よっすぃ〜だけど、こればかりはだめみたい。

「わかったよ。」

そういってあたしのほうを向いて、肩に手を置いてあたしを引き寄せ、
あたしの唇に自分のを重ねた。恥ずかしがってすぐに離すと思っていたのに、
ぐっとあたしを引き寄せて腕の中に閉じ込めながら、キスを続けた。
113 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:42

「あ…」

急に唇を放したと思ったら、こっちまで恥ずかしくなるくらいに真っ赤になって
呟いた。

「ずっと恥ずかしくてあんまり言ってなかったけど、ハッキリ言います。
 あたしは、亜弥ちゃんが好きだから。誰よりも、大切にしてみせる。」


ごっちんってばいつもみんなの前ではキスしようとしない。

甘えてくるくせに、抱きしめてくれるくせに、チューは絶対しないんだ。

「好きだよ」って言葉だって、あんまり言ってくれなかった。

でも、今回ので帳消し。

「あたしもだよ、ごっちん。」

もう一度抱き合うと、みんなが拍手してくれた。ヒューヒュー、なんて
からかったりしても、みんな祝福してくれた。

114 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:43

その後、お台場カップの賞金を使ってハローのこれたメンバーで
焼肉を食べに行った。


「亜弥ちゃん、ごめんね、急にこんなことして。」
「ううん、いいの、嬉しいから。」

焼肉を食べた帰り、ごっちんは家まで送ってくれた。

あたし達だけの、秘密の結婚式。

でも仲間達が祝福してくれて、協力してくれて。


みんな、ありがと。

ごっちん、愛してます。

115 名前:短編・あなたのとりこ 投稿日:2004/10/09(土) 16:44


END
116 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/09(土) 16:47
某スレで書いたあやごま。実はこのスレを立てるよりも前から、
松浦さんの誕生日にこれを書き上げて載せたいと思ってました。
ですが中途半端になってしまい、付け加え後からUPしたものです。

ごっちん編、いまだに終わってないです。いつか機会があれば…
117 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/09(土) 21:10
久々の更新キター 待ってりゃいいこともあるもんだ
乙です。展開が読めないので期待です。
118 名前:名無し読者 投稿日:2004/10/12(火) 11:38
待ってましたー
短編もいい感じですよー
119 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/17(水) 12:09
更新待ってます
120 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/16(木) 13:09
作者さん、生存報告だけでも
121 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/21(火) 22:33

>>117 名無し飼育さん 様
すいません待たせていて…。でも読んでくださってありがとうございます。
冬休みに入ったのでできるだけ早く更新しようと思います。

>>118 名無し読者 様
  お待たせしましたーm(_)m
  短編、ごっちん編を(カッコよく言えば)執筆中です。

>>119 名無し飼育さん 様
  本当にすいません。お待たせしました。

>>120 名無し飼育さん 様
 い、生きてます!!携帯は月の半分で使えなくなっちゃいましたが(笑)
 頑張ります。
  
122 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/21(火) 22:34



123 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/21(火) 22:35

「あ、ごっちんに電話するんなら六時ぐらいにしてあげてくださいね。
 多分、まだ寝てると思います。」
「あ、そう?」

いくら朝晩逆転しているからとはいえ、既に夕方の四時。
相当な睡眠時間である。呆れていると、藤本はテーブルに置かれた
安倍の取材道具と、『取材事項明記』のプリントを手にとって
見ていた。

慌てて取り返そうとしたが、既に遅かった。ちょっとした悪戯が大好きな
藤本の目に留まったのは、取材道具であるレコーダー。
嬉々としてスイッチを入れ何をするのかと思えば…

「あーあーテス、テス、テス…藤本美貴です。」
「いや、マイクじゃないべ」

即座につっこまれ、藤本はレコーダーをいじり始めた。

124 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/21(火) 22:38


「ていうかこれ、ちっちゃいですね〜。」
「まぁね、会議用とかのレコーダーだから。ちゃんとしたのは
 まいちゃん…もう片方のインタビュアーが持ってたでしょ?」
「ふふふ、壊しちゃえ〜。」
「だ、だめだべさ!仕事のなんだから!」
「むきになんないでくださいよ〜。」

笑いながら安倍にレコーダーを返すと、今度はプリントに目をやった。
藤本の体温が一瞬で冷めたかのように、笑顔が固まっていた。
しだいに瞳が不安げに揺れ、何かを懐かしむような、でも悲しげな
笑顔へと変っていった。

「ミキティ?」
「……普通、『取材事項明記』なんて書きませんよ。」
「え?」

安倍が顔を覗こうとした瞬間、ぱっと表情を変えた。
いつもの笑顔に戻りながら、藤本はこれこれ、と指で文字をさした。

「大体の原稿は書いちゃってから取材するんじゃないんですか?
 取材事項、なんて校外学習の質問じゃないんだから。」
「そ、そうかな?でもまぁ原稿いつ書くかなんて人それぞれだから。」
「安倍さんはやっぱりマイペースですよね。じゃ、そろそろ次の仕事が…
 あ、皆さんお疲れ様でした〜。」

部屋にいたスタッフにも一礼してから藤本は去っていった。
125 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/21(火) 22:39

「あ、じゃあ私も会社戻ります。お疲れ様でした〜。」
「お疲れ様〜。」

つられるようにして部屋を出ると、丁度衣装を着てスタジオに向かう
途中の石川に会った。

「あ、お疲れ様です。」

可愛らしいあのアニメ声でニコッと挨拶され、安倍も慌てて挨拶をする。
それにしてもやっぱり、この子に阪神は…に、似合わないというか…。
慌てて走っていく石川を見送りながら、またしてもそう思うのであった。

126 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/21(火) 22:39

127 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/21(火) 22:39

128 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/21(火) 22:43
少なっ!!更新終了です。なんか久々過ぎて
いつも以上に文がおかしい気がする…。いつもおかしいんですけどね。
次回からはできればトロピカルな彼女と完璧な彼女が登場できればと
思います。

本当に長い間すいませんでした。
129 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/22(水) 12:41
更新キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
つづき楽しみにしてます。
130 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/22(水) 16:49
キテターーーー!!!
乙です!
トロピカル&完璧くるー!
131 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/23(木) 20:21
>>129 名無し読者 様
さっそくのレスキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
続き、こんな感じです。ぶっちゃけなっち視点初なので
書きにくかったり(笑)これからもよろしくお願いしますね。

>>130 名無し飼育さん 様
( ´Д`)<キテマース!!
甲です!(激違。ありがとうございます。
完璧さんは間接的ですけど…
川0・−・)ノ<ジーッ
はい、すいません。
132 名前:2.葉緑体 投稿日:2004/12/23(木) 20:24

帰り仕度を済ませ、タクシーに乗り込む。
安倍はその日の仕事はその日に片付けてしまいたい派なので
ノートパソコンを開き、原稿を打ち始めた。

でも、これから書き上げて、デスクに見せて…

「の、飲みに行けるかなぁ…?」

早く仕上げたいという意気込みは偉いのだが、
安倍は行動が遅い。

ま、がんばるさ!

だって仕事が好きだから!
133 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/23(木) 20:25

2 葉緑体 終了
134 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:26
夕方になって、いくらか涼しくなってきた。
藤本と遊んだ帰り、後藤は帰って寝る気にもなれず
仕方なしに店で使う食材を調達しにデパートに来ていた。

夜行性な後藤はサングラスをかけ、黒のTシャツにジャケット、
そしてGパン。自然と目線が集まってしまうのでサングラスを
外し、胸のところにひっかけようとして…前にいる少女に気が付いた。

「?」
「あー、やっぱりゆきのさんだぁ!」
「は?」
「もう、今日は亜弥が夕食の当番だって言ったじゃん。」
「??」

な、なんだって?

あたしのこと言ってるの…?

そりゃあそうか…あたしをみてるしねぇ。
135 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:27


「どうしたの、ゆきのさん?」
「いや、あの、あたしゆきのじゃないんだけども…。」
「えぇっ!?」

後藤に絡めかけた腕をぱっと抜き、「亜弥」は驚いた声をあげる。
後藤もその声の大きさにびっくりしてめをパチクリさせた。

「だってどうみたって…ゆきのさんだよ〜。」
「人違いだよ。あたしは後藤真希。ゆきのなんて知らな…。」

「亜弥」を見て、後藤は固まった。

――この子、普通の高校生じゃない――

両目で瞳の色が違う。カラコンでごまかしてるけど、
きっとこの子はあたしやゆきのと同じ………あ。

136 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:27
「原島、ゆきの…。」
「ゆきのさんを知ってるの?っていうか、姉妹?」

「亜弥」はニコニコしながら尋ねてきた。
周りの客が、こっちを見てヒソヒソ喋っている。なんか、イライラする。

「それは、こっちのセリフ。あんた、ゆきのを知ってるの?」
「知ってるよ?だって、あたしを育ててくれたの、ゆきのさんだもん。」

「亜弥」は後藤の手をとり、歩き始めた。

「ちょ…」
「ね、時間ある?ゆきのさんのこと、知ってるんでしょ?
 じゃあ、うち来なよ!」
「はぃ?」
「んで、夕飯作って!」
「いやいやいや…。」

強引にデパートから出され、駐車場へ。
出てすぐを右に曲がると、三階建ての駐車場。

137 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:28
「歩きですか?」
「車だけど…じゃなくって!あたし、仕事があるんだけど!」
「昼間からデパートにいて何が仕事ですか?夜のお仕事?
 え、ヤダ同業?」

一気にまくし立てられ、後藤はポカンとしていた。
腕を引っ張りながら「亜弥」はバイク置き場(駐輪場)に連れて行く。
可愛らしいスクーターの前で、満面の笑みを浮かべる。

「ごとーは、バーテンダーだよ?」

あまりにも行動的というか積極的な「亜弥」に驚きながら、
間抜けな声で答えた。聞いているのかいないのか、「亜弥」は
ヘルメットをかぶり、

「んじゃ、着いてきて。あ、そうそう、ケータイ、預かってるから。」

とだけサラッと言うと、バイクにエンジンを入れた。

138 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:28
「え?携帯?あれ?え?え??」

後藤は慌ててジャケットのポケットに手を入れるが、手は空をつかんだ。
諦めたように車に乗り込み、「亜弥」の後を着いていった。


「じゃーん!マイ・ホーム!」
「あぁ、家ここなんだ?」

車を停めて見上げると、大きなマンションが建っている。
入り口の前にはミニ公園があり、子供達が遊んでいる。

「ゆきのさん、まだ仕事だから。まぁ上がってってよ。」

ニコニコしながらロビーを通過して、ボタンを押す。
ロックが解除され自動ドアが開いた。

139 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:29
「携帯。」
「まだダメ〜。」
「………。」

後藤は生まれて初めて同性を殴りたいと思った。
エレベーターに乗り込むと、後藤はむっつりして階数表示を見ていた。
そんな後藤を、ニコニコしながら見つめる「亜弥」。

あ〜なんで来ちゃったんだよ〜…

あの場でとっ捕まえて奪い返せばよかった。

仕事までに間に合いそうにないし。

どんどんイライラしてきて、後藤は「亜弥」のほうを向いた。

140 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:29
「ねぇ。」
「なぁに?」
「あたし別に、ゆきののこと拉致られてまで知りたいと思わないから。
 携帯返して、あたしを帰らせてよ。」
「イヤダ。」
「………(怒。」

後藤は「亜弥」に近づいて、ギュッと抱きしめた。

「ほぇ?」

状況が飲み込めない「亜弥」。
そのまま気にせず手を腰に回して…

スルッ

「あぁ!」
「フン、ポケットから見えてたんだよ、あたしの携帯ストラップ。」

そういうと、自分のGパンのポケットにしまった。
丁度、エレベーターが止まる。
141 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:29


「亜弥」は後藤の腕を掴んでエレベーターから引きずり降ろした。
そのようすを見て、後藤は小さく笑った。

「逃げないから。寂しいんでしょ?」
「むっ…!」

反論しようとしたが、言い返せない。
事実、「亜弥」は寂しかったから。

家に着くと、表札には「松浦亜弥」&「原島ゆきの」と可愛らしく
書かれていた。おそらくこのこが書いたんだろう。
…松浦っていうんだ。
そういえばこの子は自己紹介さえ自分にしなかったな。

リビングに案内され、ソファに腰をおろした。
ガラステーブルの上にのった、写真立てを手に取った。

142 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:30
「右の、後藤…さん?に似てる人が、ゆきのさんだよ。」
「…ごっちん、でいいよ。みんなそう呼ぶし。」

まじまじとゆきのを見つめ、昔を思い出す。

「写真、見る?あたし、超可愛いよ。」
「………。」

お前を見るわけじゃないんだよ!

と心の中だけで叫んだ。
最近のものらしく、自分と本当にそっくりなゆきのと松浦、そして…

143 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:30
「あ…」
「この子、紺ちゃん…っていうんだけど、バイト仲間なんだ。
 紺ちゃんもあたしみたいにあるひとに養われてるって言ってた。」
「そ、そうなんだ…。」
「もしかして、紺ちゃんも知ってるの?」
「いや。目がおっきいなぁって思っただけ。」
「ま、いーや。じゃあゆきのさんの話、してよ。」

コーヒーを飲みながら、松浦は子供みたいにねだった。

「はいはい。」

後藤は松浦と向かい合うように座りなおし、話し始めた。
144 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:30

145 名前:2.5 遺伝子 投稿日:2004/12/23(木) 20:31

146 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/23(木) 20:31
更新終了。あ、あせりすぎてめちゃくちゃです…
147 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/23(木) 20:35
リアルタイムきたー!
こんな早く次がお目にかかれるとは思いませんでした、乙です。
148 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/21(金) 17:47
続きが気になる・・・。
149 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/06(日) 16:00
続きが気になる・・・。
更新待ってます!
150 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 17:23
>>147リアルタイムいたー!
  こちらこそ、こんなに早くレスしていただけるとは
  思ってなかったです。
>>148-149ごめんなさい、の一言に尽きますね。

151 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 17:33
作者です。待っていてくださる皆様、本当に申し訳ないです。
年末年始から短編などのアイデアは浮かぶものの、
いざ文章に直すとなると手が止まり…。
加えて、少しずつ下がり始めているハロプロ熱。
のちーらさんのコンサ決定にダウン、
後藤さんだけ春コンなしにダウン、
そしてとどめはやはり例の「金曜日」&名古屋会場限定での
ライブDVD発売…。

どんどんと急降下していますが、とりあえず超短編でも
なんでも書き溜めてupできたらいいなと思います。

ので復帰はいつになるかわかりませんが、短編だけでも
近日中に書きたいと思います。ごめんなさい。
152 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/21(月) 23:22
まったり待ってます。
153 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/13(水) 13:33
待ってます
154 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/30(月) 17:51
待ってるよー
155 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/19(火) 23:15
マターリ マターリ 無理しないでくださいね☆待つのは大好きです↑

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