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君がいた夏
- 1 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)03時36分20秒
- みなさんの書かれた小説を読んでいるうちに、なんか書きたくなって即興で書いたものです。
ある歌を聴いていて思い浮かびました。あんまり長くないです。
登場人物は、よっすぃ〜と俺です(笑)。
よかったら最後までお付き合いください。
- 2 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)03時37分51秒
- 「あれ、今年も来てるんだ・・・」
俺は去年から海の家でバイトをしている。
近くに祖母の家があって、自転車で10分くらいのとこだ。
途中の上り坂がくせもので、緩やかに長く続く。
今年もまた坂を登らなければならないと思うと、
それだけで汗をかくというものである。
去年と同じ坂、朝日、ひまわり、
そして・・・ベンチに座って海のほうをながめるあの娘。
何度か話しかけようと思ったものの、
いかんせん、朝寝坊な俺は時間的にその余裕が無かった。
- 3 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)03時41分03秒
- 「(明日も居るのかな・・・ちょっと早起きして話しかけてみようかな)
・・・ん?・・・うぉ!?」
俺は焦げたやきそばを店長にバレないように処分しながらも、
頭の中は、明日は早起きしようということで精一杯だった。
昨晩目覚ましをいつもより15分早くセットした俺は、
いつもならまだ寝ている時間に、田舎の冷たい井戸水で顔を洗っていた。
「かーっ!田舎の朝は早い!!」
朝からハイテンションな自分がちょっと恥ずかしかった。
「あんまり早く行っても、まだいないかもな・・・」
そうは思ったもののはやる気持ちを抑えきれず、
結局すぐに出発した。
- 4 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)04時03分21秒
- こんな感じでやってこうと思います。
なにか気づいたことがあったらレスしてください。
- 5 名前:KEI 投稿日:2001年07月03日(火)16時47分18秒
- 新小説☆大歓迎ですよ。
この調子でがんばって下さい。
- 6 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)17時35分55秒
- >>KEIさん
どうも、レスありがとうございます。
なにぶん初小説なもんで、おかしなとこがあるかもしれませんが(^^;
- 7 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)17時37分03秒
- いつもなら暑さに負けてダラダラとこぐペダルも、
今日は知らず知らずのうちに足が動いてしまう。
あっという間に坂を登り終えて、ベンチについたが、
案の定あの娘はまだ来ていなかった。
「やっぱり早すぎたか。はぁ、ちょっと休憩。」
しばらく座っていると、坂の下の方から1人歩いてくるのが見えた。
その人は、いつもなら誰も座っていないベンチに人が座っているのを見つけ、
ちょっと様子をうかがっている様だった。
ベンチの横までたどり着いても、ちょっと困っている様だった。
- 8 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)17時38分34秒
- 「いつもここに座ってるよね?」
先にしゃべり出したのは俺のほうだった。
「ええ、海を見に来てるんです。」
「あっ、ごめん、邪魔だった?」
ちょっと意地悪目に言ってみた。
「いえ、・・・あの、隣座ってもいいですか?」
期待通りの答え。
「あ、いいよ。・・・名前、聞いてもいい?俺、桜井っていうんだけど。」
「吉澤、ひとみです。」
味気ない会話だったけど、俺の心は躍りに躍っていた。
「♪(ひとみちゃんか・・・いいなぁ、かわいかったなぁ)♪」
「おい桜井、鼻歌歌うのはいいけどやきそばにツバ飛ばすなよ?」
「鼻歌じゃツバは飛ばないっすよ♪」
「おまえ、なんかいいことあったのか?」
「いいえ〜、別に〜♪」
「やきそばが鉄板の上で躍っている!おぬし、腕を上げたな!」
店長は武士みたいな台詞を吐いて去っていったが、
俺の心の中はお見通しのようだった(さすが武士)。
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月03日(火)17時42分16秒
- 期待してるよ〜ん!!
でも、同じタイトル某人気小説がすでにあったりして・・・・
そっちに負けないようなおもしろい作品を書いてくれ!!!
- 10 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)18時20分09秒
- >>9さん
げ、やっぱり!
そんな気がしたんですけど・・・
題が思いつかなくてネタバレ覚悟でこの題にしたんですけどね。
本家の方が見たら気を悪くされたりして・・・
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2001年07月03日(火)18時52分33秒
- その題って歌のタイトルをもじったんでしょ?別に造語ってわけじゃないし、
本家も分家もないよ。ガンバッテ
- 12 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)23時47分24秒
- >>11さん
そう言ってもらえるとうれしいです。
実はもう全部書き終わってるんですけどね(短っ!
- 13 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)23時48分24秒
- 帰り道、
なにげにベンチの方を見ていると、見慣れた後ろ姿があった。
「おーい!」
呼びかけながらベンチに近づき、隣に座った。
「もしかして一日中座ってたの?」
「うん、おばあちゃんの家にいても退屈だし・・・」
「夏休みだけこっちに来てるんだ?俺もそうだよ。
こっから10分くらい行ったとこに泊まってるんだけど。」
今の俺には些細なことでも共通点が見つかっただけでうれしかった。
しばらく話して、また明日の朝会うことを約束した。
夕方とはいえ夏ではあるが、潮風が心地よかった。
「やべ〜!待ち合わせの時間決めるの忘れてた〜!」
俺は朝寝坊が得意技だけあって、時間を気にするタイプではなかった。
- 14 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)23時49分11秒
- とりあえずということで昨日より5分遅く目覚ましをセットしたが、
不安で結局予定より早い時間に起きてしまった。
自転車をこぎながら坂の上の方を見てみると、
すでに彼女はベンチに座っていた。
「昨日と逆だね。」
彼女は笑いながら俺に話しかけてきた。
「おはよ。」
息切れしている俺にはそう言うのが精一杯だった。
「今日バイトについてっていい?」
「ああ、いいけど何もないとこだよ?」
「いいよ、それでも。」
- 15 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)23時49分51秒
- 海の家につくと、店長がわざとらしく近寄ってきた。
「おぬし、腕を上げたのはやきそばだけではないな。」
「まだそのキャラやってたんすか。腕なんか上げてないですよ。
友達ですよ、友達。」
「またまた〜。いいのよ、隠さないでも。ワタシは何でもお見通しなんだから。」
「武士じゃなかったんですか?」
「うっ、不覚!この償いに腹を切る覚悟はできております!」
「・・・ヘラで?」
「・・・ヘラで。」
店長を向こうに行かせて、チラッと彼女の方を見てみると、
さっきのアホなやり取りを一部始終見ていたらしく、
一瞬目が合ったが、見てはいけないものを見てしまったという感じで逸らされた。
- 16 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月03日(火)23時52分34秒
- 実はもうこれで半分くらいかな。
夜中に寝付けずに書いてみたってぐらいなので、内容がかなり飛んでますね(w
- 17 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月04日(水)18時42分47秒
- 彼女はオレンジジュースを飲んでいたがしばらくして飲み終わると、店長の方に歩いていった。
「店長さん、わたしも手伝いますよ。」
「本当に?でもあんまりいい給料は払えないよ?」
「給料なんて、いいですって。」
「そうかい。桜井の彼女はやさしいなぁ。」
店長はわざと俺に聞こえるように大きな声で言いやがった。
彼女は赤くなって下を向いていたが、それは俺も同じことだった
- 18 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月04日(水)18時43分25秒
- 昼は客のピークで、俺たちは遅めの昼食をとっていた。
「んん!このやきそばオイシイ!」
「まじで?やっぱな。俺やきそばだけは自信あるんだよ。
店長曰く{やきそばが鉄板の上で躍っている}だもん。」
「あはは、そうなんだ。わたしなんかあんまり料理しないから。
あっ、でもゆで卵には自信あるよ!毎日つくってるから。」
「毎日食ってるの!?鼻血出ない?栄養とりすぎだよ〜。」
「それどういうこと?」
「あはは、特に意味はないけど〜♪」
- 19 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月04日(水)18時45分02秒
- 「結構海の家ってたいへんだね。」
「人多いでしょ?たいへんだよ、ホント。
・・・明日休みもらえたから・・・一日デートしてくれない?」
「・・・うん、いいよ。」
「どこ行こうか?って言ってもなんも無いよね、ここら辺。」
「・・・ベンチに座って、海を眺めたいな。」
「一日中?」
「うん、一日中。
わたしお弁当作ってくるよ。」
「えっ!料理しないんでしょ?」
「大丈夫だって、成せば成る!」
「・・・はい、わかりました。」
- 20 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月04日(水)18時45分44秒
- とりあえずアップっす。
- 21 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月04日(水)18時46分14秒
- あ、ageちまった!
- 22 名前:KEI 投稿日:2001年07月04日(水)20時43分18秒
- 半分ッスか!?微妙に早いような気もしますが、全然OKです。
これが終わったら第2作を書いてみてはどうですか?
続きにマジ期待です。
- 23 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月04日(水)21時57分12秒
- >>KEIさん
歌詞を参考に書いてると、どうも短くなってしまうんですよね。
第二部はいま考え中です。誰も読んでなかったら止めようと思ってたんですが(w
これからageでいってみるかな(恥ずかしいけど)
- 24 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時17分59秒
- 第一部一気にあぷしちゃいます。
- 25 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時18分43秒
- 「あっ、また時間決めるの忘れた。」
でも、もうそんなことはどうでもよかった。少しでも彼女と一緒に居ることができる、
それだけで幸せだった。
- 26 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時21分14秒
- 朝からいろんなことを話した。
学校のこと、友達のこと・・・
「そろそろお昼にしよーか、恐怖の(笑)」
「なによ、それ〜!」
「・・・あっ、でも見た目は・・・おいしそうかな?」
「でしょ?だから成せば成るんだって!」
「誰に手伝ってもらったの?」
「おばあちゃん(笑)」
「やっぱり。
おいしいよ。このゆで卵も。」
「自信あるって言ったじゃん!」
- 27 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時21分45秒
- 昼ご飯を食べたあとは、何をするでもなく、
ただボーっと海を眺めた。
いつまでも、この時が続いて欲しいと思った。
どちらからでもなく、お互いの肩にもたれかかった。
夕日がスポットライトのように二人を照らしていた。
毎日彼女は手伝いに来てくれた。
俺は、悪いなあと思いながらも、一緒に居る時間が増えてうれしかった。
店長は、看板娘だとかいって喜んでいる。
俺の中の、彼女が好きだという意識はどんどん強くなっていった。
- 28 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時23分00秒
- いつものように昼食を食べながら何でもないことを話しているはずだった。
「来年も来るよね?」
「・・・わたし、来年は遠くの大学に行くつもりなんだ。
もちろん受かったら、の話なんだけど・・・。」
「・・・そうなんだ、大丈夫だよ。
ひとみちゃんなら受かるって、絶対。」
そう言って強がるのが精一杯だった。
帰り道のいつもの坂は夕焼けで真っ赤になっていた。
彼女は坂を小走りになりながら下っていく。
「あのさぁ。」
彼女を呼び止めた。
気持ちを伝えるために。
「な〜に〜?」
でも、なんか、そんなことどうでもよくなってきた。
そんなことより一緒に居られる時間を大切にしたい。
「ちょっと待ってくれよ〜」
日に照らされたひまわりは、下を向いて夏の終わりが近いことを知らせていた。
- 29 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時24分03秒
- 翌年、彼女はあのベンチにいなかった。
そのかわりに、海の家に手紙が届いた。
おかげさまで、大学受かりました。
今年はいろいろ忙しくてそっちに行けそうもないけど、
来年は絶対行くからね!
一人暮らしで料理の腕を上げるから、お楽しみに。
吉澤ひとみ
また、彼女のいる夏がやってくる。
第1部―完―
- 30 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)00時25分46秒
- ちなみに第1部で元にした歌はMr.Childrenの「君がいた夏」です。
第2部は何にしよ〜かな〜
- 31 名前:チヨノフG 投稿日:2001年07月05日(木)10時49分04秒
- しぇーしゅんだなー
- 32 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月05日(木)17時21分36秒
- >>チヨノフGさん
しぇーしゅんですよ(w
作者がこういう青春おくれなかったもので。
で、「俺」の下の名前決めなきゃいかんのですが、どうしましょう?
誰か一押しの名前を授けてください。
いままで極力名前を出さないようにしてたんですが。
下の名前がないと、進まないんですよ(^^;
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月05日(木)18時54分48秒
- 第一候補 ○○○(w
第二候補 圭
- 34 名前:KEI 投稿日:2001年07月06日(金)01時00分55秒
- 一部、完。お疲れさまでした。
第2部は・・・。圭!!!字も一緒♪。
何か、気になって眠れないので、圭でお願いします。
本名は圭〇〇ですが・・・。
楽しみに待ってます。
- 35 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月06日(金)13時54分34秒
- >>33さん、>>KEIさん
満場一致ということで(w
じゃ、圭でいきます。
娘。のメンバーにもこんな名前の人がいたような・・・(というかいる)
- 36 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月06日(金)17時19分56秒
- 「それじゃ、また明日。あんまり遅くまで教室で遊んでるんじゃないぞ」
「起立 気をつけ さよーなら」
「(あ〜、なんか教師って向いてなかったかな〜?
スーツは息苦しいし・・・)」
俺は念願叶って教師になった。
でも理想と現実ってのは、やっぱ一致しないもんだ。
まあ何の職業もそうだろうと思うけど。
- 37 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月06日(金)17時20分44秒
- 最近は家に帰るともっぱらTVゲームばかりしている。
サッカーチームのオーナーになって、世界一のチームを作るやつだ。
「あーまたJリーグ優勝か・・・
ベッケンバウアーとクライフとペレが1つのチームにいれば
そりゃ優勝するわな・・・」
普段からサッカー好きで、このゲームを買ったころは楽しんでいたものの、
もう最近はTVゲームすら楽しめない自分がいた。
「もうこんな時間か。
・・・飯食ってねぇや。」
コンビニで買ってきたカルボナーラを食べ、
シャワーを浴びて眠りについた。
時計の針は、2時を少し回っていた。
- 38 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月06日(金)17時26分54秒
- とりあえずこんな感じで、社会人です。
- 39 名前:KEI 投稿日:2001年07月06日(金)20時19分45秒
- 第2話スタート!!!
何か、俺も彼と同じ様な。〇〇〇〇〇11というGameを最近、
全クリしまくってます・・・。
さらに、続きに興味深です。
- 40 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月06日(金)21時13分20秒
- >>KEIさん
カブってますか(w
他メンもチョイ役で出てきます(ってか生徒役で)。
年齢関係は無視していただくとありがたいです。
- 41 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)16時07分55秒
- 追われるように過ぎ去ってゆく暮らし。
こんな筈じゃなかった。
パチンコ屋から出てきた男は、
金色のマルボロを一本取り出して火をつけた。
「今日は勝ったし、朝から並んだ甲斐があったな。」
休みの日はよくパチンコに行くのだが、
この日は創立記念日で朝からモーニングの列に加わっていた。
「勝った日くらいは外で飯食うか。」
夏とはいえ、8時前にもなると日は沈みかけていた。
- 42 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)16時09分03秒
- ファミレスに独りで入るのも最初は恥ずかしかったが
最近では何とも思わなくなった。
「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください。」
マニュアル通りのいつもの言葉。
ただ1つ違っていたのは・・・
「あれ?ひとみちゃん?」
「えっ、あ、桜井君じゃない!」
「こんなとこで何やってんの?」
「バイトだよ、バイト。
久しぶりだね。今何してるの?」
「教師。高校のね。」
「そうなんだ。
・・・じゃ、まだ仕事中だから。」
「あ、もうメニュー決まってるから。
カルボナーラとアイスコーヒーね。」
「はい、ごゆっくりどうぞ〜」
- 43 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)16時10分51秒
- ちょいあぷです。
- 44 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時02分20秒
- 外は月明かりで明るく感じた。
部屋に帰ると、テレビとゲーム機の電源を入れた。
「もう一回最初っからやり直すか・・・」
目的を失ったサッカークラブのデータを消去し、
新しいデータを立ち上げた。
- 45 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時03分17秒
- 今週は勝ちまくりだった。
今日も5万勝った。
「これでしばらくは安泰だな。」
こんな日曜の夕日はなんとなくうれしい。
「・・・今日もいるかな?」
誘われるようにいつものファミレスに足を運んだ。
「ご注文がお決まりになりましたら・・・」
今日は彼女ではなかった。
去りかけた店員を呼び止め、
カルボナーラとアイスコーヒーを注文した。
「(なんだ、今日は違うのか)」
ちょっと期待していた自分が恥ずかしくなり、
食事前からタバコに火をつけた。
- 46 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時05分04秒
- フィルターの寸前まで火が迫ってきたときに、
注文の品は運ばれてきた、小さな幸せと共に。
「いつもこれ注文してるんだ。」
ちょっと遠くから彼女は皿とグラスを手に
笑顔で歩いてきた。
「カルボナーラ大好き人間だもん。
今日仕事いつ頃終わる?」
「もうすぐ終わるよ。
なんで?」
「この後飲みに行かない?」
「いいよ!久しぶりに話したいしね。
- 47 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時06分07秒
- 駅の方へ向かう道中、
彼女と他愛もない会話を続けた。
しかし、今の俺はそれがうれしかった。
久しぶりに心底安らいでいた。
「えっと・・・生中2つ。
ビール飲める?」
「うん、大丈夫。」
「・・・ホントに久しぶりだね、
2年ぶりくらい?」
「そうだね〜2年かぁ〜」
長いこと会ってないと、逆に何から話せばいいか困ってしまう。
間をつなぐようにビールが来た。
- 48 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時08分40秒
- 「とりあえず・・・何に乾杯?」
「えっ、じゃあ久しぶりの再会に乾杯。」
「「かんぱ〜い」」
「・・・ぷは〜!うめぇ!」
「オヤジじゃん、あはは」
「いーの!
結構教師ってストレス溜まるんだぜ。」
「みたいだね。
なんか、学級崩壊とかって問題になってるしね。」
「そこまではいかないんだけど、
毎日遅刻してくるやつとか・・・。
最近の若いやつは注意しても全然聞かねーんだよね。」
「やっぱりオヤジ発言じゃん!
最近の若いのは・・・って。」
気づかなかった、俺ってオヤジだったのか。
「いいの!
で、そっちはどうなの?
大学卒業したんだよね?」
- 49 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時10分48秒
- 「・・・大卒でも就職って厳しいんだよね。」
なんか、まずいことを聞いてしまった。
「・・・そうなんだ・・・。
元気出してこーよ!飲もう!ほら!」
「・・・うん。もう今日は限界超えるから!」
とりあえず表面上だけだとしても、
元気をだしてくれてよかった。
- 50 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時12分04秒
- って、そんなになるまで飲まなくてもいいのに。
「うへ〜もうだめ〜」
「おーい!歩ける?」
「だめ〜、おんぶ、おんぶして〜」
「マジで〜?家どこよ?」
・・・・・・・・・・・・
「ここ〜」
彼女は駅から幾らか離れたところまで来て指をさした。
「もう歩けるからだいじょ〜ぶ。
ど〜も、今日はありがと。
また誘ってね〜」
「おいおい、全然入り口の方に向かってないぞ〜。
しょうがねぇなあ。部屋の前までおぶってってやるよ。」
- 51 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時13分48秒
- 別に何か期待して言ったわけではなかった。
3階の部屋の前まで来た時に彼女が言った。
「疲れたでしょ〜?
コーヒーぐらいいれるから飲んでけば〜?」
「そんなんでコーヒーなんかいれられないだろ?」
「いいから〜」
なかば引きずられるように部屋に入った。
1DKのシンプルな部屋。
部屋には最低限のものしか置いてなかった。
彼女は部屋に入るなりソファーに流れ込んだ。
俺はキッチンの棚からコップを取り出し、
水を注いで彼女に差し出した。
「んぐっ、んぐっ、ぷはーっ!
かなりよくなった〜。ありがと。」
「そんじゃ、俺明日は仕事があるから
帰るわ。」
「ああ、うん。
ほんとにごめんね。
重かったでしょ?」
「ああ、重かった〜!
・・・うそうそ!
あ、携帯の番号、聞いてもいい?」
- 52 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時14分52秒
- 彼女の部屋を出たときはもう日付は変わっていた。
自分でも驚くほど落ち着いていた。
しかし、興奮はベッドに入ってからやってきた。
熱帯夜も相まってなかなか寝られず、ゲームを始めた。
ついこの間始めたばかりで、
まだまだ序盤だった。
気が付いたらカーテンの隙間から
朝日がこぼれていた。
- 53 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時16分49秒
- 徹夜明けのドライブは特別な心地よさがある。
学校に行くにはまだ時間があったので、
愛車AE-86をとばして海の見えるところまでやってきた。
窓とサンルーフを全開にした車内には
気持ちいい空気が入り込んできた。
「あら桜井先生、今日は早いんですね。」
「ええ、夏の朝は気持ちいいですね。
ラジオ体操を思い出しますよ。」
いつもは職員会議の時間ぎりぎりにやってくる俺を見つけて、
他の先生たちは珍しがっていた。
- 54 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時17分45秒
- 「・・・で、ここで余弦定理を使って、
XとYの値は何になる、矢口?」
「え〜、わかりませ〜ん。」
「・・・おまえ、金髪を直してこいって言っただろ!」
「圭ちゃんだって茶髪じゃ〜ん!」
「教師に向かって圭ちゃんって呼ぶな。」
「わかりました、『圭ちゃん』」
「おまえ、バカにしてるな?」
「あ〜わかった!
彼女以外に圭ちゃんって呼ばれたくないんだ?」
「彼女なんていね〜よ!」
「ふ〜ん、そうなんだ〜・・・」
結局X、Yの値は出ないまま授業は終了した。
「(彼女、か・・・)」
俺のつぶやきはエンジン音にかき消された。
- 55 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時19分06秒
- 「お先に失礼します。」
この日もいつもの時間に職員室を出た。
明日から修学旅行の視察で北海道に行くことになっている。
そのことを彼女にメールで送った。
『いいな〜。かに食べ放題だね。
いってらっしゃい。』
食べ物のことかい!
『晩飯食わない?』
『いいよ!って言いたいとこだけど、
今作ってるんだよね〜。
じゃあ、うちに来る?
もう1人分ぐらいすぐ作れるから。』
「(おいおい、家に呼んで手料理ごちそうか。)」
独り車の中で照れていた。
- 56 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時20分43秒
- 不意にこの前の授業中の矢口との会話が頭に浮かんだ。
「(彼女ねぇ・・・)」
彼女とは親しくなりすぎて、逆に告白の時期を逃しているように思えた。
「俺は今のままでもいいんだけどな〜
むこうもそんなそぶりは見せないし・・・」
すでに何回も会って、
飲んで話したが、彼女は仲のよい友達という感じに接してきた。
この日は結局彼女の家でごちそうになることになったが、
車を走らせながらもなぜか釈然としない気持ちになっていた。
- 57 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時22分01秒
- 「♪ピンポーン」
オートロックの玄関を通してもらい、
彼女の家のドアの前まで来た。
そういえば、ここに来るのはおぶってきたとき以来だ。
ドアが開くと、彼女がエプロン姿で出てきた。
「いらっしゃい。中入っていいよ。」
あたりまえだが、前に来たときと何も変わっていない。
変わっているのは俺が心なしかドキドキしていることぐらいか。
「もうちょっとでできるから、テレビでも見て待ってて。」
落ち着きを取り戻すためにテレビをつけたが、
それには全く目をやることもなく、
ひたすら(落ち着け、落ち着け)と念じていた。
- 58 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時23分15秒
- やっとのことで平常心を取り戻した俺は、
料理の様子をうかがいに彼女の方へ近づいていった。
とりあえず、変な匂いはしていないので安心した。
「(なんか・・・やっぱりかわいいなぁ)」
さっき、やっとのことで取り戻した平常心は
一瞬にして吹っ飛んだ。
抱きしめたくなるような後ろ姿に
俺は動揺させられた。
「できたよ〜・・うわぁ!!
なにやってんの?おどかさないでよ〜」
彼女は、本能と葛藤する俺が後ろにいることに気づかず、
振り向きざまにビックリしていた。
「食べようか・・・。」
俺はそういうのが精一杯だった。
- 59 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時23分57秒
- 「どう?おいしい?」
「ん?ああ、おいしいよ。」
「それだけ?」
「えっ、・・・塩加減が絶妙!」
「でしょ〜!自信作だもん!」
彼女は上機嫌だったが、俺は終始変なテンションのまま帰ることになった。
「今度は俺が作ってごちそうするわ。」
「え〜作れんの〜?」
「何言ってんだよ、俺料理うまいよ?」
「なんかコンビニのものばっかり食べてそう。」
「・・・それは、当たり。」
- 60 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時25分25秒
- 学校生活のハイライトと言えば、やはり修学旅行だ。
空港へ向かうバスの中は、それぞれに時間を潰していた。
トランプをする生徒、音楽を聴いている生徒、おしゃべりをしている生徒・・・。
俺はある意味職員の指定席、最前列でMDを聴いていた。
1曲目の「Kill The King」のギター・ソロが始まろうという時、
隣に1人の生徒がやってきた。
「乗り物弱いんで窓側に座ってもいいですか?」
後ろは確かにどの席も一杯。
「ああ、いいよ。」
俺が荷物をどかすと、その生徒は申し訳なさそうに座席に腰掛けた。
本当に乗り物に弱いようで、常に窓の外を眺めていた。
- 61 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時26分15秒
- 「石川、遠くの景色を見てれば気持ち悪くならないだろ?
酔い止め持ってきたから飲むか?」
「はあ、飲みます。」
俺が鞄を開けて薬とミネラルウォーターを探していると、
特徴のある声が近づいてくるのに気が付いた。
「り〜かちゃん!」
やっぱり矢口だった。
矢口と石川は対照的な性格だが仲がよかった。
矢口は俺の隣の補助席を開いて座った。
そこからしばらく、俺を挟むようにして会話が続いた。
俺はMDを聴きたかったが、矢口が何かと俺に話をふってくるので
観念して話を聞くことにした。
- 62 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時27分49秒
- 「圭ちゃんって高校生のときに彼女いた?」
「だからおまえ『圭ちゃん』って呼ぶなっつってんだろ!」
「はいはい、で、いたの?」
「いなかったな〜。」
「うそ〜!案外モテそうな感じなのに〜?」
「好きな人はいたけどね。」
「どんな人?」
「あ〜、結構かわいいよ。
少なくとも矢口よりは!」
「あ!なんてこと言うのよ〜!
で、まだその人のこと好き?」
「・・・!
おまえ、今はそれどこじゃねぇよ。
問題児が手を焼かせすぎで。」
「うわぁ〜、まだ好きなんだ〜!」
会話というよりは、矢口の質問攻めだった。
石川は話を聞いているだけで、
途中からは窓の外の景色を眺めていた。
- 63 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月07日(土)22時29分58秒
- とりあえずこんだけあぷです。
これでストックはなくなりました(w
しかし、自分で読み直してみると、これただの「俺」の日記じゃねーか。
鬱だ。
- 64 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月08日(日)01時11分12秒
- 北海道は過ごしやすい気温で、生徒も写真を撮ったりお土産を買ったりして
楽しそうだった。
ただ、石川は沈んだ表情で矢口が何か話し掛けても愛想笑いを浮かべるだけだった。
入浴時間も終わり、俺は就寝前の見回りをしていた。
女子の部屋はところどころ空室で、
そういう時はたいがいどこかの部屋に集まって話し込んでいるもんだ、
と独りで納得していた。
男子は、携帯用の麻雀をやっていた。
「おまえらな〜、他にやることないのかよ。
俺も混ぜろ。」
「マジっすか?あんまり本気にならないでくださいよ〜?」
「うるさい!教師の威厳をみせてやる!」
とりあえず1人ドボンさせて、俺は颯爽と部屋を出た
- 65 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月08日(日)01時12分41秒
- 一通り見回りを終えて自分の部屋で一息ついていると、
ドアをノックする音が聞こえた。
出てみると、矢口が立っていた。
部屋を一通り見回して他に誰もいないことを確認すると、
「やっぱ、なんでもない。」
と言って走って行ってしまった。
俺は首をひねるしかなかった。
パタパタという矢口の足音が、静かな廊下に響いていた。
部屋に戻り、タバコを吸ってテレビを見ようと思ったが、
飲み物がない事に気づき小銭を片手に部屋を出た。
廊下を見渡してみたが、何かが起こるような気配は感じられなかった。
「(ま、いいか)」
とりあえず、おおごとではなさそうだと思い、
俺はさっきのことを忘れるようにした。
「(明日聞いてみるか)」
結局なんなのか、明日になれば判る、そう思った。
しかし俺の予想に反し、その時は早く訪れた。
- 66 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月08日(日)01時14分15秒
- コーヒー片手に帰ってくると、
俺の部屋の前に誰か立っていた。
「あれ、石川?何やってんだ、早く寝ろよ。」
「先生、中に入ってもいいですか?
話があるんです。」
「(まさか苛めにあってたとか・・・そんなことわざわざ修学旅行に来てまで言わないか。
それとも男子に襲われたか?それはないか。)」
俺の脳はフル回転で答えを探した。
が、答えは見つかるわけないものだった。
- 67 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月08日(日)01時15分45秒
- 「先生、好きです。」
「はぁ?!」
「本気なんです。好きです。」
「・・・まあ落ち着け。ほら、コーヒー飲むか?」
せっかくタバコのお供に買ってきたコーヒーだったが、
今はそれどころではないことぐらいは分かった。
「いりません!
それより・・・やっぱりわたしじゃだめですか?」
「(ああ、やばい!もう泣きそうじゃねぇか!
教師が生徒を泣かしたなんてシャレにならん!)」
「やっぱり、今も好きな人がいるんですか?」
・・・俺は覚悟を決めた。
正直に言うしかない。
「ああ、いるよ。だからごめんな。
(頼む!泣かないでくれ!)」
俺の願いはむなしく砕かれた。
石川は下を向いて肩を震わせて泣き始めてしまった。
「(すべて終わった・・・
バイトさがそ。)」
- 68 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月08日(日)01時17分05秒
- しかし、顔を上げた石川は泣きながら笑いを繕っていた。
俺は一瞬『ドッキリ』かと思った。
しかしそうではなかった。
「先生の本当の気持ちが聞けてうれしいです。
わたし、応援してますから!
絶対その人と上手くいきますよ!」
「ああ、ありがとう。」
俺はハンカチを差し出して石川が落ち着くのを待った。
しばらくして石川は笑顔で出て行った、
しっかりコーヒーを飲み干して。
この出来事でやっと俺は決心した。
翌日、バスのいつもの席(最前列)に座っていると金髪の生徒がやってきた。
「なんで梨華ちゃんのことフったの!?」
「(やっぱりグルだったか!!)」
- 69 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月08日(日)02時22分15秒
- ふとしたコトから始まった
ありふれた
Love Storyですかね?
- 70 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月08日(日)13時49分58秒
- >69さん
大正解です。一箇所歌詞そのまんま使ってますからね。
あんまり露骨にならないようにしてるつもりなんですけどね(^^;
- 71 名前:69 投稿日:2001年07月09日(月)01時55分28秒
- いえいえ、あの箇所がなかったらわかりませんヨ。
曲をリピートしながら読みましたが
?は自信のなさ故ですから(w
- 72 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月09日(月)18時39分51秒
- >69さん
最後は変えるつもりです。
あの曲はどっちかというとバッド・エンディングですから(w
- 73 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月10日(火)00時26分23秒
- 修学旅行が終わると、すぐに夏休みがやってきた。
俺は補習があるので午前中は学校に行っているが、
基本的には午後は暇だ。
休みぐらい一日ゆっくりさせろとは思うが、
学校のクーラーの懐かしい感覚が心地いい。
ちょうど夏休みの登校日の気分、という感じだろうか。
今日の授業も終わり職員室に戻るとメールが届いていた。
『今日買い物付き合ってくれない?』
この文字が目に飛び込んできたと同時に、
俺の心臓の鼓動が速くなるのが分かった。
頭の中には『今日買い物』の部分が削除されて残った。
とりあえず車の中に入って一服した。
「(今日・・・だな・・・)」
なんか学生に戻った気分で滑稽だった。
俺はOKの返事を出して彼女の家に向かった。
- 74 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月10日(火)00時28分18秒
- どこに行くんだ?」
「スーパーまでおねがいしま〜す。」
「それって・・・」
「料理ごちそうしてくれるって言ったじゃん。」
(えっ!そんなこと・・・)
俺は今までの自分の言動を振り返った。
(ああ、言った気がするわ・・・)
確かに記憶の中にあった。
ただし、かなり頭の隅のほうだったが。
(料理っつったってなに作ろう?)
昔から料理はよく作っていたし、嫌いじゃなかったから
一般的なものは作れる。
それに料理の本もあるし。
- 75 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月10日(火)00時29分12秒
- 「何食いたい?」
「ベーグルとゆで卵。」
「・・・そんじゃ、さよーなら。」
「あーあー!うそ!
なんでもいいよ。一番自信のあるもの。」
・・・今更ながら母親の気持ちが分かった。
『なんでもいい』
これが一番困るんですね。
そういえば俺も『なんでもいい』って言ってたなぁ・・・
「・・・じゃ、パスタでいい?」
「ホントにパスタ好きだよね?
ファミレスでもいつも頼んでるし。」
ああ、俺も『なんでもいい』って言っときながら
出てきた物に文句言ってたわ。
俺は問答無用でスパゲッティをカゴに入れた。
こうやって二人で買い物をしてると
周りからはカップルに見られてるんだろうか。
彼女は何て思ってるんだろう。
「はっ?何?どうしたの?」
彼女と目が合ってしまったが
動揺を隠すようにすぐに目をそらしてしまった。
- 76 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月10日(火)18時27分40秒
- 最初途中から読んだもので、
なぜ名前が桜井なのかと思ってました。なるほど。
続き期待しております。
- 77 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月10日(火)18時41分27秒
- (これじゃ不審者だな)
こうして不審者と、もとい俺と彼女が乗った車は
俺のアパートに着いたのだが、
車の中での俺の言動はやはりぎこちなく、
雰囲気はカーステレオ任せであった。
と言っても、独りでマイナス思考になっているだけなのだが。
彼女の方はというと、いたって普通、というより若干テンションは高めである。
(男の部屋に入るの初めてかな?
っていうか俺は女の人をこの部屋に入れるの初めてだ・・・やばっ!)
そう、俺は学校から帰ってきてまだこの部屋に入ってないのだ。
もちろん特別掃除をしてあるわけがない。
(AVは返してあるし・・・特別ヤバイものはないな・・・
よかった。)
カギを差し込んでから回すまでにこんなに時間がかかる人間も珍しい。
不審度アップである。
ようやくカギを開けるとごく薄くタバコの臭いが染み付いた空気が溢れ出してきた。
- 78 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月10日(火)18時42分40秒
- 「ほぇ〜、男の人の部屋ってこういう感じなんだ〜。
結構キレイだね。」
俺は正直ホっとした。
ここで罵倒されたらこの後のヘコミ様はすごかっただろう。
まあ、彼女の性格上それはないとは思ったが。
彼女は俺の部屋をあちこち見回していた。
さっき安全を確認済の俺は、買い物袋から品物を冷蔵庫に移すと
麦茶を取り出してコップに注いだ。
「ギター弾けるんだ。なんか弾いてよ〜。」
彼女は壁に立てかけてあったギターに気づいて
俺にリクエストしてきた。
しかしこの部屋はお世辞にも防音設備が整っているとは
言いがたく、もうしばらくギターを弾いていなかった。
そんなこと彼女が知るわけもなく、
大きな瞳をキラキラさせてこっちを見ている。
しょうがない。
(あとでお隣さんに謝っておこう。)
俺は邦楽を聴かないため、流行の曲ぐらいは知っていても
弾くことはできない。
とりあえず彼女も一度くらい聴いたことがあるだろうということで
アンプを通さずに『Smoke On The Water』のイントロを弾いた。
「おお〜、かっけ〜!
この曲知ってるよ!なんかのCMで聴いたことある。」
またもやホっとした。
こんな精神状態では告白どころの騒ぎではない。
(もっと気楽にいかねば・・・)
そう思ったのもつかの間、彼女の次の一言で早くも
本日一回目の山場をむかえた。
- 79 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月10日(火)18時44分28秒
- >76さん
そういうことっス。下の名前は違うけど(w
タイムリーかなと思って。
早速買ってきました。
- 80 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月11日(水)18時15分15秒
- 「じゃあさ〜、歌ってみて、弾きながら。」
(嗚呼、ソレを言ってしまいますか・・・
歌だけなら邦楽も歌えるけど、弾き語りとなると・・・
ラヴバラードですか・
・・)
これは悶絶級の恥ずかしさである。
やんわりと断ってみるが・・・
「なんで〜?うたお〜よ〜」
(あ〜、俺のことなんとも思ってないのかなぁ)
自分が女々しく感じて情けなくなった。
(・・・よし!やってやろうじゃないの!)
俺は意を決して『To Be With You』歌い始めた。
歌詞も英語だからわからないだろう。
- 81 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月11日(水)18時16分19秒
- 結果・・・
「ひゅ〜!かっけ〜!
ミュージシャンみたい!
わたしにもギター教えて。」
いい方向に転んだ。よかったよかった。
彼女にギターを渡し、簡単なコードを教える。
ストラトのネックは普通の物より太く、
コードを抑えるのに苦労しているが、
それがたまらなくかわいい。
「あ〜指がツリそう〜」
「ポロ〜ン♪」
「おお、だいぶスムーズになってきたじゃん。」
「これは将来有望だね、ポロ〜ン♪」
「自分で言うな。」
- 82 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月11日(水)18時17分11秒
- 時計を見ると夜の7時前。
「そろそろ飯作るわ。」
「わたしも手伝おうか?」
「大丈夫、男の料理を食わしてやるから!」
意気込みは十分。
とはいってもパスタを茹でてソースを温めるだけである。
誰が作っても同じ味、
言い換えると、男が作っても『男の料理』の味はしないのだが。
俺がコンロの前に立つと、後ろからものすごい視線が刺さるのを感じた。
振り返ると、やはり彼女が椅子に座って
背もたれにあごをのせてこっちを見ていた。
「気になる?あっちに行ってようか?」
それもなんか寂しい。
とりあえず何か手伝ってもらうか。
「じゃあさ、冷蔵庫から野菜出して
適当にサラダ作って。」
「オッケー!」
- 83 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月11日(水)18時18分47秒
- 予想通り、別段問題もなく晩ご飯を作り終わった。
変わったことといえば、
彼女がパスタを茹でるときの塩の量に驚いていたことと、
フライパンで茹でると吹きこぼれないというアドバイスをくれたことだろうか。
盛り付けは彼女がやってくれたが、そこは女の子らしくきれいに仕上がった。
あとは、グラスに白ワインを注いで完成である。
機は熟した。
乾杯をしてワインを一口含む。
「食べないの?」
ワイングラスを持ったまま彼女の瞳を見ている俺に気づいたようだ。
俺の様子がいつもと違うことが分かったようで、
彼女もそれ以上話さなかった。
「あのさぁ、俺、ひとみちゃんが好きなんだ。
付き合ってくれない?」
その一言と同時に二人を重い空気が包む。
沈黙。
- 84 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月11日(水)18時19分27秒
- 彼女は下を向いて黙っていたが、
ついに言葉を発した。
「・・・先に言わないでよ。
私もそれを言おうと思ってたのに・・・」
そう言うと、笑顔でこっちを向いた。
俺も笑った。
「さ、食べようよ。
冷めちゃうよ?」
俺はうなずいてスパゲッティをフォークに絡めた。
いつしか、あたりを包んでいた重い空気はどこかへ消えていた。
「送ってくよ。」
「ワイン飲んだのに?」
(あ、すっかり忘れてた)
「じゃあ・・・泊まってく?」
「そのつもりでワイン飲んだんじゃなかったの?」
あら、わざとじゃないんだけど・・・
俺って下心まるだし?
- 85 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月11日(水)18時24分53秒
- ふ〜、やっとここまできた。
途中かなり鬱になったけど。
次はちょっと時間が経って同棲っす。
どうも娘。以外の人物が主人公だとそいつ視点ですすむから
「これ、娘。小説じゃね〜な」ってことになってしまう。
さて、だれかこんな駄文をよんで下さっている方がおりましたら
同棲ネタのリクエストなどしていただけるとありがたいんですが。
新しい登場人物出てきても大丈夫です(あんまり多くなければ・w)。
- 86 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月13日(金)00時36分47秒
- やがて二人は暮らし始めた。
アパートは解約してマンションを探し歩いた。
条件はこの街の中、
そして・・・海の見える部屋。
幾つか回った。きれいな部屋、広い部屋もあった。
「できれば海の見えるところがいいんですけど・・・」
そう言うと『1つだけある』という返答だった。
その部屋は特別広いわけでもなく、特別きれいなわけでもなかった。
しかし、窓の外を眺めるとそんなことはどうでもいいと思えた。
「ここ・・・いいね。」
彼女も同じことを思ったようだ。
- 87 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月13日(金)00時38分40秒
- 行き詰まり(w
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月13日(金)19時35分52秒
- 同棲にはルールが必要かと。
『夜中、ゲーム禁止!!』など(w
それがモトで、軽い衝突を……
- 89 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月13日(金)21時46分28秒
- >88さん
なるほど(w
だれも読んでないから勝手に進めようかと思ってましたが、よかったです(爆
- 90 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月14日(土)00時03分57秒
- こういう時はジョ二ーさんだけに、波に乗って気分転換(w
屋上でコーラ飲んでギター弾いて歌うのもいいかも(w
- 91 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月15日(日)00時20分23秒
- 「タンスは・・・ここでいいか。」
「じゃあこれで全部終わりだね。
あ〜、おなか減った〜。
晩ご飯どうしよう?」
引越しの荷物がやっと片付いた。
朝早くからの作業で、俺も彼女もクタクタだ。
でも、彼女が予想以上の活躍を見せてくれたおかげで、
予想よりも早く終わらせることができた。
「そばの出前頼もうか?」
今日の晩飯はそば、昨日の夜からそう決めていた。
「でた!麺好き圭ちゃん!」
「いや、そうじゃなくて・・・
引越ししたら引越しそばでしょ!」
「はは〜!ムキなってる〜!」
・・・からかわれてた。
まあ、こういう無邪気なところがいいんだけど。
なんか、彼女といると気持ち的に若返ることができる。
向こうは俺のことをどう思ってるか知らないし、
聞こうとも思わない。
- 92 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月15日(日)00時21分09秒
- そばをズルズルとすすりながら、これからのことを簡単に話し合った。
「決まりごと其の一!タバコは一日10本まで!」
「ちょっ、ちょっと待った!
なに、決まりごとって!?」
「共同生活には決まりごとが必要でしょ?
それに、口がタバコくさかったら・・・アレでしょ・・・」
(あれ?『あれ』ってキスですか!わかりました!
10本どころか禁煙します!)
とは心の中で思ったが、一応乗り気でないような表情をして、
渋々承諾したふりをした。
「其の二!」
「なんだよ、まだあるの〜?」
「ゲームは夜12時まで!」
は?と思った。
子供じゃないんだから、そんなこと自由にしてくれよって。
ただ、男の考えは恐ろしいなあとも思った。
(12時って・・・もしかしてその後はオトナの時間ってことっスか?)
口に出していえるわけもない。
俺の反論意見は全て俺のピンクの心にかき消され、
表面上は全ての決まりを飲んだことになった。
(なるほどなぁ。こういうことでベランダ族のオジサンが増えるのか。)
自分の中では妙に説得力がある意見だったが、
『俺はそうはならないぞ』と誓った。
ほかにも、
『帰りが遅くなるときは連絡する』
『朝ご飯は一緒に食べる』
など、ごくごく基本的な決まりごとが決定した。
「俺からも1つだけ決まりごと。
プライバシーを尊重すること。」
- 93 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月15日(日)00時23分20秒
- ねーちゃん!チクビ見せろ更新です(w
>>90さん
「優しい歌」でしたっけ?
いつも一年ぐらい待たされるんで楽しみです。
- 94 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月16日(月)17時32分02秒
- 蝉の鳴き声もいつの間にか聴こえなくなった。
秋とはいってもまだまだ残暑が厳しい。
学生は休みが終わるとすぐテスト、
教師は黒板の前に座って外を眺めていた。
二人暮しは何事もなく進んできた。
たしかに順調ということもできるかもしれないが・・・
テストというのは教師にとって早く帰れて楽である、
問題作りと採点を除けば。
今の時間は家に帰っても彼女はバイトでいないだろう。
コンビニでコーヒーとタバコを買って帰路についた。
- 95 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月16日(月)17時32分50秒
- カギを差し込んで回したが、カギは開かない。
「カギかかってねぇじゃん・・・」
彼女がかけ忘れていったのかと思ったが、
ドアを開けると話し声が聞こえてきた。
「はぁ?」
入りかけた足を戻し表札を確かめたが、
間違えなく自分の部屋だった。
お化け屋敷に入るような足取りで歩を進めると、
俺の知らない女性と談笑している彼女が見えた。
「あ、おかえり〜。今日早かったんだね。」
「・・・ああ、テストだったから。
友達?」
俺は人見知りで、緊張しながら言った。
「うん、大学のときの友達。
ごっちんって言うんだ。」
彼女がそう言うと、『ごっちん』は
はじめましてと挨拶をした。
俺も挨拶を返したが、
何度も言うとおり人見知りであるため、
そそくさと自分の部屋に入っていった。
- 96 名前:KEI 投稿日:2001年07月16日(月)20時32分53秒
- お久しぶりです、引っ越しが忙しく、なかなか来れませんでした。
何せ海外なもので・・・。もうかれこれ4年・・・。
おおっ!?ついに、ごっちん参戦で△関係か!?
楽しみッス。
- 97 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月16日(月)23時50分49秒
- (あー、こいつやっぱりここ間違えたか・・・)
採点をしていると、隣の部屋からぎこちないギターの音が聴こえてきた。
(・・・石川は60点っと・・・)
初めは無視して採点を続けていたが、ギターを止める気配がないのと、
変なコード進行が気になって集中できなかった。
いったん休憩をしようと缶コーヒーを開けようとすると、
俺を呼ぶ声が聴こえた。
「けいちゃ〜ん!ちょっと来て〜!」
断る理由もなく、俺は全校放送で呼び出しをくらった生徒が
職員室に入るときのように、
彼女達のいる部屋に入っていった。
- 98 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月16日(月)23時51分32秒
- 「ギター弾いてよ。」
「さっき聴いてたけど変なメロディだったな。」
俺は彼女をおちょくるように言った。
それには初対面の人がいる空気で
自分が緊張していることを隠す意味もあった。
彼女からストラトを受け取ると、
簡単な曲を弾いた。
彼女は俺の手元を見ていたが、
『ごっちん』はなぜか俺と目を合わせるように
見つめてきた。
俺はできるだけ目を合わせないようにしたが、
その抵抗も空しく失敗を告げられた。
「そんじゃ、わたしご飯作ってくるから。
ごっちんも食べてくよね?」
彼女が部屋を出て行くと、俺と『ごっちん』は
2人きりになってしまった。
- 99 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月16日(月)23時53分19秒
- 1対1で話をするのに目を合わせないほうが
逆に不自然だ。
ギターでも弾いてごまかすかと思ったら、
「あのー、ゴトーもギター弾けるんですよ。」
『ごっちん』のほうから話を展開してきた。
「あ、後藤っていうんだ。
あだなが『ごっちん』だからなんとなく
予想はついたけど。」
「あ、自己紹介してなかったですね。
後藤真希です。ごっちんでいいですよ。」
とりあえずホっとした。
初対面の人に『ごっちん』なんて
呼べるはずもなく、どうしようか困ってたとこだった。
俺も自己紹介を終えると、ごっちんにギターを手渡した。
・・・・・・
なるほど、巧い。
「巧いね!昔バンドやってたとか?」
「ホントですか?よかった〜。
チョー緊張しましたよ!
バンドはやってなかったですけど、
おねーちゃんの弾いてるのを
みようみまねでやってたんです。」
ごっちんはそう言うと、会心の笑みを浮かべた。
それまではおとなしそうな人なのかな、
と思っていたが、
なんというか、いまどきの人だった。
- 100 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月16日(月)23時55分39秒
- >KEIさん
引越しお疲れさまです。
外国での生活は大変だと思いますが、がんばってください。
▽関係になるか△関係になるか・・・作者もわかりません(w
- 101 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月17日(火)21時08分54秒
- 「ゴトーの家けっこうここから近いんですよ〜。
今度遊びに来てくださいね!」
「そうなんだ、じゃあ今度おじゃましようかな。」
「あの〜、よっすぃ〜とは結婚しないんですか?」
(は?この娘は突然なにを言い出すんだ?)
「えっ、っと、まだ何にも考えてないな〜。」
「ははは、そうなんですか〜。
じゃあ、まだゴトーが入るチャンスはあるってことですよね?」
「そうだね〜、ははは・・・」
返事とは裏腹に、頭の中は混乱を極めていた。
「冗談ですよ。よっすぃ〜と仲良くやってくださいね〜。」
俺はごっちんの表情に裏があるのを感じた。
ごっちんは、一連の会話中ずっと笑顔だった。
- 102 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月17日(火)23時17分15秒
- 「大学のときに、よっすぃ〜と
付き合ってたんですよ。」
「・・・」
「卒業して離れ離れになるからって
別れたんです。」
「・・・」
「今でも、よっすぃ〜のことが好きです。」
「・・・」
「だから、ボケっとしてると
うばっちゃいますよ〜?」
思考の停止。
一瞬、意識がトびそうになったが、
ここで向こうのペースにはまってはいけない。
「・・・で、何が言いたいわけ?」
「今言ったこと聞いてました〜?
『ライバル』宣言です。」
俺の意識がはっきりした。
ここで張り倒すこともできたが、
それでは意味がない。
正々堂々受けてやろうじゃないの。
「がんばってね。」
これが今できる精一杯の抵抗だった。
- 103 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月17日(火)23時18分35秒
- あ〜ごっちんは感じの悪い役になっちまった。
ミスったな〜(w
- 104 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)01時18分58秒
- 「ご飯できたよ〜」
ひとみの呼ぶ声が聞こえると、
ごっちんは相変わらずの笑顔でこっちを見やってから
ダイニングへと向かっていった。
さっきからごっちんの表情は変わっていないはずだが、
俺には最後の表情がやけに挑発的に見えた。
もう対決は始まっているのだ。
もともと2人用のテーブルに3人が座ると、
必然的におあつらえ向きの三角形を作ることになった。
すでに食事の用意は整っているが、
誰も手をつけようとしない。
「なに?どうしたの?」
異変に気づいたひとみがそう言うと、
みなやっと食べ始めた。
- 105 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)01時21分00秒
- やっぱり先制攻撃が大切、そう思った俺は、
コンソメスープを一口飲むと、早速言葉を発した。
「「おいしい!」」
!
かぶった!
思わずごっちんの方を向いて火花を飛ばす。
「・・・・・・」
どうやら向こうも同じことを考えていたようだ。
探りあいに気をとられて食事どころではない。
「二人ともなに意気投合してんの?ははは。」
ひとみの一言で俺はかなり落ち着いた。
(こんなとこで争ってもしょうがないし、
俺はいま付き合ってるんだよ、
なに焦ってんだか・・・)
食事を終わらせて自分の部屋に戻った。
(でもな〜・・・)
やっぱり不安は絶えない。
(大学時代に付き合ってたって・・・女だろ?)
頭をあの挑発的な笑顔がよぎる。
「ヴァー!!だめだ!
よし、採点しよう。」
いつの間にか仕事を後回しにしていたことに気づくわけもなく、
ましてや、石川よりも矢口の点数のほうがよかったことに驚くわけもなかった。
- 106 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)01時51分52秒
- 「圭ちゃん!」
職員室で昼食をとっていると頭に響く声が入り口のほうから聞こえてきた。
「だから、『圭ちゃん』はやめろって!
で、金髪はやめろ!」
「な〜に怒ってんのよ?
フられた?フられたんでしょ?」
こいつは・・・しかし、けっこう鋭いとこをついてくる。
(矢口に話してもな〜)
神にすがりたい気持ちだった俺には、
矢口に後光が差しているようにも見えた。
しかし、生徒に恋の相談をする教師って・・・
「あのさぁ、おまえ女を好きになったことある?」
「やっぱり悩みがあるんだ〜!
いいよ、矢口が相談に乗ってあげる。
そのかわり『焼肉』ね!」
俺はまんまと罠にはまった。
(あ〜、人間不信になりそう・・・)
- 107 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月18日(水)02時33分27秒
- △関係って・・・ソー来ましたかーー!!!
こういう視点って 不自然かと思ってたけど、いいですね〜。
面白くなってきたのでついカキコ。頑張ってくださいやし。
- 108 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時47分02秒
- 放課後、俺の車の前にはしっかり2人の生徒が立っていた。
(は?なんで2人?)
「遅いぞ!圭ちゃん!」
「石川の着いてきちゃいましたぁ!」
(『着いてきちゃいましたぁ!』って
まだ学校なんだから今から帰ればいいだろ)
なんて言うわけにもいかず、
しぶしぶ2人を後部座席に乗せてエンジンをかけた。
目的地に着くまで2人はなにやらメールを送ったり
電話をしたり。
「若いっていいねぇ・・・」
俺は交差点を右に曲がりながら
ポツリとつぶやいた。
- 109 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時48分15秒
- 店について注文を済ませたところで大事なことに気づいた。
「あ、晩飯食ってくるって言ってないわ。」
これを言わないと悩みがどうこういう場合ではない。
「え〜、一緒に住んでんの〜!」
驚きのあまり、矢口は他の客に聞こえるくらいの
大声で叫んだ。
「おまえ、あんまり大声で話すなって!」
ただでさえ、注文を取りに来た店員に
ジロジロ見られてたんだから、
これ以上目立って
『あのパパは女子高生2人も連れて焼肉おごってるわ』
なんて思われたらたまらない。
「おまえら、ちょっと黙っとけよ。」
そう注意するとひとみの携帯にかけた。
「あ、俺だけど。
今日飯食って帰るわ。ああ。
そんじゃ。」
- 110 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時50分27秒
- 電話が終わると間もなく肉と・・・
ビールが届いた?!
「じゃ、乾杯しよ〜!」
「ちょ、待て!
ビールなんていつ頼んだんだよ!」
「圭ちゃんがカバンの中の携帯探してるとき。」
「先生が適当に頼んどけって言うからぁ。」
矢口に続いて石川まであっけらかんと言ってのける。
「おまえら、よく制服でビール頼めるな・・・」
(あ〜・・・ばれたらクビだ・・・)
「じゃ、かんぱ〜・・・」
「ちょっと待てって!
飲むなら制服脱げ。」
制服でアルコールを飲まれてはたまらない。
即アウトだ。
しかしこの2人・・・
「いや〜ん、エッチ!」
「先生が脱げっていうなら・・・」
本気で意味がわからないのか、石川に至っては
恥ずかしそうに下を向いて顔を赤くしている。
(はぁ〜、こんなことだからあんな簡単なテストで
平均点が50点になるんだよ!)
- 111 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時51分22秒
- 2人からビールを奪い取り、一気に胃へと流し込んだ。
矢口は不機嫌そうな顔をしていたが、
俺が『女子生徒2人を連れまわして酒を飲ませた変態教師』
として3面記事をにぎわすよりは、
警察に違反切符を切られるほうがよっぽどましだ。
「で、なんだっけ・・・
女を好きになったことがあるか?だっけ?」
矢口が話を切り出した。
「矢口はね〜、ないね。
でもそういう人がいてもおかしくないよ。」
(さらっと言うね)
続いて石川も。
「好きになったらどんな人でも関係ないです!」
自信満々で答えたが、若干質問とずれている。
「で、なんでそんなこと聞くの?」
2人に事情を説明すると、
「え〜!そいつは大胆だね〜!」
肉をつまみながら矢口がそう答えた。
「俺の話ちゃんと聞いてるか?」
矢口は『もちろん』と答えたが、
俺には肉に夢中なようにしか見えなかった。
- 112 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時52分30秒
- 「圭ちゃん、最近デートしてる?」
やっと本格的に悩み相談が始まった。
ここまで来るのにどれだけ無駄な時間を費やしたことか。
「デートねぇ・・・
家でもずっと一緒だからあんまりどっかに遊びに行く
気にならないな〜」
生徒の質問にマジ返事をしてしまう教師。
「それじゃあダメだって〜」
生徒にダメ出しされる教師。
不意に石川が喋りだした。
「先生、あの・・・最近アレしてます?」
「アレ?」
「キャハハハ!梨華ちゃん何いってんの!?
ハッキリ言いなよ!
エッチでしょ!?
エ・ッ・チ」
横から矢口が通訳兼拡声器の役割を果たした。
発言の張本人は例によって下を向いて顔を赤くしている。
(こいつら・・・教室だったらチョーク投げてるぞ!・・・)
- 113 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時53分26秒
- 相談相手とは名ばかり、
実態は「教師の私生活調査&晩飯おごれ」だった。
この後も『やつら』のやり取りは続いた。
「お風呂とか一緒に入ったらどうですか?」
「や〜だ、何言ってんの〜!
梨華ちゃん実はエッチなんだ〜!」
「ちがうよ〜!もっとポジティブにいきましょうってことです!」
(・・・・・・)
「おし!もう十分食ったな?
帰るぞ!」
これ以上話を聞いても無駄だということが分かると、
なかば強引に店を出た。
2人は、無言で車を走らせる俺の様子をうかがっていた。
「圭ちゃんもしかして怒ってる?
ごめんごめん!
でも圭ちゃんなら絶対大丈夫だから自信持ちなよ〜!
ね!」
矢口の家に着くと、
そう言い残して家に入っていった。
同じように石川も、
「先生なら絶対大丈夫ですぅ!
ポジティブにいきましょう!」
と言って車を降りた。
- 114 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時54分01秒
- 2人を送っていったおかげでかなり遠回りになったが、
冷静に考え事をするには、それも悪くなかった。
(『圭ちゃんなら・・・』
『先生なら・・・』って俺は転校するお友達か!)
(自信を持って、ねぇ・・・)
(まあ悪気があったわけじゃなさそうだし)
(ポジティブにいってみるか)
家に着く頃には、酒もほとんど醒めていた。
- 115 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月18日(水)22時56分37秒
- >>107さん
よっすぃ〜があんまり出てこないのが悩みの種なんですけどね(w
- 116 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)02時00分58秒
- 「ただいま〜」
「・・・」
返事は無く、しかし部屋の明かりはついていた。
あたりを見回すと、ひとみはソファーでスヤスヤと寝息を立てていた。
そのとき俺はというと、
『ポジティブ、ポジティブ』というアニメ声が
頭の中でこだましていた。
(そういえば、最近キスしてないな・・・)
今夜の俺は暴走特急。
止めたいならスティーブン・セガールを呼んで来い。
そう決意すると、ひとみの唇にキスをした。
持っていたカバンを床に置いて、もう一度・・・
「ふぁ・・・帰ってたんだ、おかえり。」
「あ・・・起こすつもりは・・なかったんだけど・・・」
「酒くさい口でキスされたら誰だって起きるよ。」
「あっ・・・そう・・・」
暴走特急はあえなく脱線した。
幸い車内には運転手だけだったが、
運転手は心をケガし、重傷のもよう。
「だから・・・歯を磨いてこ〜い!」
- 117 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)02時01分40秒
- (なんかな〜・・・)
シャカシャカと小気味いいリズムとは裏腹に、
頭の中はモヤモヤだ。
歯を磨くと、シャワーへ向かった。
(ごっちんと張り合ってもしょうがないんだよな〜・・・)
(俺は俺なんだから・・・)
さほど良くない頭で考えること数分、
結論は一応出たようだ。
ワサワサと髪を乾かしながらリビングを通ったが、
ソファーには彼女の姿は無かった。
寝室の電気が消えていることから、
どうやらもう眠りについたようだ。
彼女を起こさないようにそっとベッドに入り、
目を閉じた。
「圭ちゃん・・・」
「え?」
寝ていると思っていたほうから声が聞こえ、
腰のあたりに抱きつかれたのが分かった。
「まだ起きてたんだ?」
「うん・・・待ってたんだよ・・・
してくれないの?・・・」
- 118 名前:謝々@89 投稿日:2001年07月19日(木)03時29分02秒
- リクに応えて下さったのに
お礼の言葉が遅れてしまいました……まめにチェックせねば!!
そのおかげで、まとめて読めたのでヨシとします(w
この展開、続きがきになる〜!?
- 119 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)22時46分40秒
- >>89さん
お礼はいいですよ。
話が思った方向に進まね〜(w
理性の俺(妄想)が違う方に進めやがる(OT〜TO)
- 120 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)23時34分21秒
- 俺は彼女の方を向くと唇を重ねた。
激しく舌を絡め互いの唾液を交換し終わると、
長くすらっと伸びた首筋に下を這わせていった。
鎖骨のくぼみを・・・
(あれ?鎖骨はまだか?
って、首ホントに長いなぁ・・・
あ?首が・・・伸びて?・・・)
「うぉ!!?」
あまりの衝撃に飛び起きてしまった。
(なんつう夢だ、ホントに・・・)
大声をあげたために、隣で寝ていた彼女も起きてしまった。
「なに?・・・どしたの?」
「いや、なんでもない・・・」
まさか『ひとみがろくろ首になってた』なんて
言えるわけもない。
とりあえず、ボーっとして落ち着くのを待った。
- 121 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)23時34分59秒
- (昨日はシャワー浴びて・・・したっけ?)
「あのさ・・・した?」
「は?なに言ってんの、もう・・・
寝るからね。おやすみ。」
床には脱ぎ捨てた2人分のパジャマが落ちていた。
「ああ・・・おやすみ。」
それを確認したあとで送れて返事をした。
(はぁ〜ノイローゼか?
なんかおかしいわ)
時計の針は4時を少し回っていた。
カーテンの下からこぼれるはずの
陽の光はまだなかった。
(あ、今日は土曜日か・・・)
ゆっくり寝られる幸福感と睡魔に身を委ね
そのまま横になって目を閉じた。
- 122 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)23時36分15秒
- 心地よい目覚めがようやく訪れた。
今度は太陽もしっかり日を照らしている。
隣で眠っているのは、
ろくろ首ではなくてひとみだった。
(はぁ〜やっと普通に戻った)
彼女のほっぺたをプ二プ二して起こそうとするが、
起きる気配はない。
しびれを切らした俺は、他の箇所も
プ二プ二しようかと思ったが、
(朝っぱらから何やってんだ)
という軽い自己嫌悪の念によって断念した。
- 123 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)23時36分47秒
- ひたすらほっぺたをプ二プ二すること2〜3分、
やっと反応があった。
「・・・フフフ・・・くすぐったい・・・やめてよ・・・
コラ〜!やめろ〜!」
「やっと起きたか。」
「やっとじゃないよ!さっきから起きてたもん。」
「何回目から?」
「え〜?3回目くらい。」
(ふ〜よかった。危うく変態扱いされるところだった)
「起きてたんなら何か言えよ。」
「おもしろそうだから黙ってた。
何にも言わなかったらどうするのかな〜って。」
「どうするのかな〜、って、どうもしないよ!」
「うそ〜!顔赤くなってるよ!?」
そういって俺の額に手をあてた。
「え?熱あるんじゃない!?」
彼女の声におもわず自分で額に手をあててみる。
「あ〜ホントだ。でも大丈夫だろ。」
「いいから寝てなさいって!今日は絶対安静!
オ〜ケ〜?」
「オ、オ〜ケ〜です・・・」
半ば彼女に押し切られる形で
俺はせっかくの休日を自宅療養に費やすこととなった。
- 124 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月19日(木)23時37分42秒
- 今日のぶんです
- 125 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時41分17秒
- 小学生のころからそうだけど、
ひどい病気じゃない限り、
おとなしく寝てられるのは2時間が限度だ。
(彼女もなにやら電話してるし・・・)
俺は久しぶりにゲーム機の電源を入れた。
ちょうどそのとき向こうから聞こえてきたのは、
「・・・病気で倒れて・・・
・・・うん、ごめんね・・・
・じゃ〜ね〜・・・」
(なに言ってんだよ・・・俺はピンピンしてるぜ)
どうやら電話が終わったらしく氷枕を持ってこっちにやってきた。
「おーい!ゲームなんてやってちゃダメだよ〜!」
「大丈夫だって、全然平気な・・おぁ!!」
セーブすることを知らない人は絶対にすぐ電源を落とす。
まあ、始めたばっかで全然進んでないからよかったけど。
- 126 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時41分59秒
- 「誰に電話してたんだよ?
誰が病気で倒れたって?」
「そ、そんなこと言ってないよ?」
こんなにわかりやすい人も珍しい。
(目が泳いでるし)
「全部聞こえてました〜!」
「ばれた?ごっちんから『遊びに来ていいか?』ってかかってきたから
断ったの。
ちょっとぐらいオーバーに言えばごっちんだってあきらめるでしょ?」
(俺に気を遣ってくれたのか・・・)
病気になったときにしか彼女の優しさに気づかない自分が情けなかった。
「今日はず〜っと看病してあげるから、しっかり治してね!
明日は就職説明会があるから・・・」
そうだった、彼女は就職活動中だ。
(今日中に治さないとやばいな)
実際のとこ、俺はたいした風邪じゃないと思ってたから、
そんなに心配してなかった。
「わかった!今日はひとみに免じて看病されます。」
「素直でよろしい!」
そう言うと台所のほうへ行ってしまった。
どうやら俺を看病したかったみたいだ。
「なんだよ、子供じゃね〜っつ〜の」
気恥ずかしさから愚痴をこぼしてみるが、
でもやっぱりうれしかった。
- 127 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時42分35秒
- 病人ってのは概して暇である。
俺も例に漏れず暇を持て余していた。
することといえば・・・彼女の観察。
いままでところどころ感じていたが、
家事をする姿はやはり女の子だ。
ふだん、昼は学校にいるから見ることはないのだが、
エプロン姿はちょっと『くる』ものがある。
そうしていると、おぼんを持ってエプロン姿の彼女が歩いてきた。
「なにジロジロ見てるの〜?」
「いや・・・いいな〜って。」
「変態!
せっかくおかゆ作ってきたのに!」
「ごめんごめん。どれ?あ〜けっこうおいしそうじゃん!」
おかゆというのは、水の分量を間違えなければ誰でも作れるものだが、
彼女の厚意を無駄にするようなことは言えない。
(食欲は普通なんだけどね・・・)
そのコメントは心の内にしまっておいた。
- 128 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時43分08秒
- おかゆはおいしかった。
そう彼女にも伝えるとうれしそうに微笑んだ。
そのあとは俺が寝てしまったために何をしてたのか分からない。
俺が起きたとき、彼女はベッドにもたれて眠っていた。
窓から差し込む夕日で彼女の顔は真っ赤だった。
そのためか、異変に気づいたのはしばらくしてからだった。
(おいおい!すごい熱じゃねぇか!)
彼女は自分の体調が悪いのをおして看病してくれたのか、
それとも俺の風邪がうつってしまったのか分からない。
ただ、立場が入れ替わっているのは明らかだった。
「おい、起きろ、起きろって!」
「・・・うん?
あ、ごめん。寝ちゃった・・・」
「そうじゃなくてすごい熱だぞ!
ベッドに入って安静にしてないと。
明日は就職説明会なんだろ?」
「圭ちゃんは大丈夫なの?」
「俺は治ったから。今はおまえのほうが大事だろ?」
「治ったんだ・・・よかった。」
俺はとりあえず、氷枕をとりかえて彼女を寝かせた。
- 129 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時43分44秒
- 「おまえな〜、調子悪いんなら無理しなくていいのに・・・」
「ごめん・・・」
「いや、謝るのは俺のほうだけどさ・・・
なんかしてほしいことない?
何か飲みたいとか・・・」
「え〜っと・・・
ギター。」
「ギター?」
「なんか弾きながら歌って。」
「・・・それでいいの?」
「それ『が』いいの。」
しばらくあっけにとられたが、
それが俺にできることなら断るわけにはいかない。
チューニングをしていると彼女が話しかけてきた。
「カラオケ行きたいね〜」
「治ったらな。」
「でも治ったら他にすることあるよ・・・」
そう言い終わると目を閉じた。
「歌うけど、寝るなよ?」
彼女は目を閉じたままうなずいた。
- 130 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時44分15秒
- 『何も語らない君の瞳の奥に愛を探しても
言葉が足りない そうぼやいてた君をふっと思い出す
今となれば
顔のわりに小さな胸や
少し鼻にかかるその声も
数え上げりゃ きりがないんだよ
愛してたのに
心変わりを責めても空しくて
“風邪が伝染るといけないから キスはしないでおこう”って言ってた
考えてみると あの頃から君の態度は違ってた
いざとなれば
毎晩君が眠りにつく頃
あいも変わらず電話かけてやる
なんて まるでその気はないけど
わからなくなるよ
男らしさって一体 どんなことだろう?
夕焼けに舞う雲
あんな風になれたならいいな
いつも考え過ぎて失敗してきたから
今となれば
嘘のつけない大きな声や
家事に向かない荒れた手のひらも
君を形成る全ての要素を
愛してたのに
心変わりを責めても君は戻らない
いつか街で偶然出会っても
今以上に綺麗になってないで
たぶん僕は忘れてしまうだろう
その温もりを
愛しき人よ さよなら
何も語らない君の瞳も いつか思い出となる
言葉にならない悲しみのトンネルを さぁくぐり抜けよう』
- 131 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時45分23秒
- 歌い終わると小さな会場に拍手が響いた。
「これ結構当てはまってるでしょ?」
意地悪く彼女に尋ねた。
「どういうこと?」
「『顔のわりに小さな胸や 少し鼻にかかるその声も』とか、
『嘘のつけない大きな声や 家事に向かない荒れた手のひらも』とか。」
「ヒド〜い!顔のわりにってどういうことよ!?」
予想通りのリアクションありがとうございます。
「でも最後は別れちゃうんだけどね・・・」
俺はあえてそう言った。
彼女は眠くなったと言って眠ってしまった、
俺の言葉を避けるかのように。
- 132 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時46分00秒
- 翌朝になっても彼女の熱は下がらなかった。
「残念だったね・・・」
俺はありふれた慰めの言葉しか思いつかなかった。
「もう就職はいいよ・・・
内定しちゃったから。」
彼女の言いたいことは分かった。
「でも採用されないかもしれないよ?」
「な〜んで?」
「うそ。
・・・・・結婚しようか?・・・」
そういい終わると彼女の唇に近づいた。
「風邪がうつっちゃうよ?」
「・・・やっぱり昨日の歌の通りだね。」
彼女が一言付け足した。
「最後のとこは違ったけどね。」
2人の唇が重なった。
―完―
- 133 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時51分35秒
- 終わりっす。
読んでくれた方々どうもありがとうございました。
>そうだった、彼女は就職活動中だ。
作者も忘れてた(w
結局ごっちんはほとんど出てこなかったし、
アマアマになってしまったし。
こりゃただの妄想になってしまった。
他の人の文を読むとかなり文章力が落ちてしまいますが、
そこはご勘弁を(w
- 134 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月20日(金)14時52分41秒
- ↑は他の人の文を読んでからこれを読むと、ってことです。
- 135 名前:KEI 投稿日:2001年07月21日(土)01時36分06秒
- いやぁ〜!もう、感動ものですよ。
自分と同じ名前だから自分が主人公になり気ってドキドキでした。
特にごっちんがでてきたとき・・・。
次作も楽しみに待っています。
- 136 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月21日(土)02時14分49秒
- あ、あれ!?終ったのですかーー!!
でも吉澤好きにはたまらん展開とラスト。良かったっす。
お疲れ様でした。 この調子で次回作も頑張って下さい。
- 137 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月21日(土)13時47分53秒
- >KEIさん、136さん
どうもありがとうございます。
実は緑に新しいの始めたんで、よかったらどうぞ。
- 138 名前:名無し読者 投稿日:2001年07月23日(月)03時26分24秒
- すっきり、爽快!!
あの曲で甘く終わらせる最後…ステキ(w
誠に御疲れ様でした。また気が向いたら、こちらもお願いします。
- 139 名前:ジョニー 投稿日:2001年07月24日(火)18時24分08秒
- >138さん
どうもありがとうございます。
ベストの歌詞カード読んでたら、『これ、よっすぃ〜じゃん!』と思ったんで。
『抱きしめたい』にしようかとも思ったんですけどね。
- 140 名前:パク@紹介人 投稿日:2001年08月01日(水)12時38分10秒
- こちらの小説を「小説紹介スレ@銀板」に紹介します。
http://www.ah.wakwak.com/cgi/hilight.cgi?dir=silver&thp=992877438&ls=25
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