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とある旅館の物語2
- 1 名前:aki 投稿日:2001年10月28日(日)20時05分33秒
- 更新してたら向こうが限界になってしまいました。
ので新しくスレ立てさせてもらいます。
「もてる〜」はもう短編じゃなくなりつつあったので「とある〜」
とは分裂させようかとも思ったのですがさすがに三つはきついので
スレの題名はこういう形にしました。
これからもよろしくお願いします。
- 2 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月28日(日)20時06分41秒
- 「こんなの・・・・やだよ・・・・」
「ん?」
「私ばっかりごっちんのこと追いかけてて・・・・。私ばっかりこんな
気持ちで・・・・・」
ついには梨華の瞳からは涙が零れ始めた。
「不公平だよ・・・・・」
「石川・・・・」
「あたしは・・・・ごっちんのペットでもいろんな意味でコンビニの弁当でも
ないの・・・・・」
「・・・・・・・・」
(コンビニの弁当?)
矢口は密かに梨華の言葉に首を傾げていた。
「恋人・・・でしょ・・・?」
「・・・・・梨華ちゃん・・・」
梨華が小さく言った時、瞳からは涙が零れていた。
- 3 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)18時59分26秒
そしてちょうどその時、途端に部屋に携帯のベルの音が鳴り響いた。
「「!!」」
突然の携帯の音に梨華と矢口は同時にびくっと反応した。
梨華は今さっきの吉澤のことがあり少しだけ前よりも大きく反応した。
「え〜っと、携帯携帯。・・・・・・ん?ごっつあんからだ。」
「!で、出ないで下さい!」
「でも・・・・・」
矢口は辛うじてまだ電話に出ていなかった。
梨華の言葉に矢口は困ってしまう。
未だ部屋に響く携帯の音。
「ごっつあん心配してるんじゃない?」
「・・・・・・・」
「いい?」
「・・・・石川が来てる事言わないでください。」
矢口が困っている事もあり梨華は俯いて拗ねるようにして言った。
まるでその姿は家出してきた子供のようで矢口は少し苦笑してしまう。
「はいはい。」
それでも矢口は真希の電話を取った。
これ以上居留守を使っても真希は携帯を切りそうになかったからだ。
- 4 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時00分18秒
- 「あい。」
「あ、もしもし?やぐっつあん出るの遅いよ〜!」
「ごめんごめん。」
言いながらちらっと梨華の様子を見てみる。
するとそっぽを向いている梨華の様子があった。
聞くつもりがないようだがどこか気になってはいるらしい。
「あのさ、梨華ちゃんそっちにいる?」
「ん〜?石川なんていないよ。」
「・・・・本当?」
「ほんとだよ。」
少し曖昧になって答えた矢口の言葉に真希は不審に思ったらしい。
梨華がいるのと約束した手前矢口は本当のことを言いたかったが嘘をつかざるえなかった。
「・・・・・そっか・・・」
矢口の言葉に真希は一気にそれを合図にしたように沈んだ口調になった。
- 5 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時01分12秒
- 「何かあったの?」
「え?あ・・・・ちょっと・・・・」
「あったんだ?」
嘘でもなんでもないと言わない真希の言葉に矢口は少し笑い尋ねた。
「・・・・・・・・」
その様子を梨華は黙って横で盗み見していた。
「結局後藤が悪いだけどね・・・・」
「・・・・・・・・」
矢口は真希にも梨華にも断らず携帯をハンズフリーの状態に切り替えた。
「後藤が梨華ちゃんのこと・・・・梨華ちゃんの気持ちのこと分かって
あげられてないからなんだよね・・・。いっつもいっつも梨華ちゃんを怒らせ
てばっかでさ・・・・」
「っ!」
梨華は携帯から漏れる真希の言葉にばっと矢口の方へ向いた。
矢口はウィンクをして驚く梨華に返事した。
- 6 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時02分26秒
- 「いい加減そんな自分に嫌気がさして来るよ。」
「・・・・・・・・」
真希は当然矢口がそうしているのもそれを梨華が聞いているとも
微塵も思わず普段どおり話し続ける。
梨華は複雑な表情でその携帯から聞こえる真希の言葉に耳を傾けていた。
「ってやぐっつあん聞いてんの!?」
「あ、ごめんごめん。聞いてんよ〜。」
すぐに矢口はハンズフリーを切り替え電話に耳を当てた。
「あ〜あ、せっかく今日は梨華ちゃんと始めての夜になるとこだったのに・・・・」
「あ、あっそ。」
矢口は真希の突然の言葉に焦った。
ハンズフリーから切り替えてたから良かったものの、やっと少しいい感じ
になった梨華の気持ちも今の真希の言葉を聞いたら逆戻りしかねないと
思ったからだ。
自分の真希への返答は梨華に聞こえているため焦りながら真希に当り障りのない
返事をする。
- 7 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時03分15秒
- 「?どしたの?」
「いや、なんでも。」
「あっそ?」
真希は少し様子の変わった矢口に首を傾げたが矢口の言葉に梨華がすぐ側に
いるとも知らず真希の中の疑問はすぐに消えた。
「でもま、がんばんなよ?不器用な女は不器用なりにさ。」
「あはっ、なにそれ。」
「それと、気持ちは思ってるだけじゃ伝わらないよ?言葉として相手に
伝えなきゃ。」
矢口は言いながらちらっと梨華の方へ盗み見た。
「・・・・・・・」
それはいろんな気持ちが入り組む複雑な表情をしていた。
- 8 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時04分09秒
- 「うん。」
「とにかく石川は矢口のとこにはいないから。」
「・・・分かった。梨華ちゃんからなんか連絡あったらすぐに電話して?」
「あいよ。」
「それじゃ、またね。」
「あいあい。」
矢口はそう言い真希との電話を切った。
「・・・・・・・」
「・・・・石川。」
未だ黙ったままで複雑な表情の梨華に矢口は声をかけた。
「後藤はさ、あいつ不器用なだけだよ。」
「・・・・・・・」
突然の矢口の行動に梨華の酔いもとっくに冷めていた。
- 9 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時04分52秒
- 「連絡だけでもしてやったら?心配してたよ?」
「・・・・だって・・・」
本当は連絡したい。
だけど自分から飛び出した手前自分からは折れにくい。
そんな梨華の気持ちは表情から容易に窺い知る事が出来た。
「意地張ってたらじょうがないでしょ?そうだ、電話が嫌ならメールでも
いいしさ。」
「・・・・・・・・」
梨華は矢口の言葉からしばらくしておもむろに携帯をバッグから
取り出した。
矢口はそんな梨華の姿にやれやれとため息をつく。
本当にだだをこねて泣く小さい子供をあやしているような感覚になったからだ。
それは梨華も同じだった。
まるで自分は家出してきた小さい子供で、矢口はそれをあやしながら困っている
大人のようだった。
これ以上だだをこねて矢口に迷惑をかけるのも悪いと思い梨華は
メールを打った。
- 10 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月29日(月)19時05分43秒
- 「・・・・・・・・」
梨華は無言でメールを打った。
わずらしいことは書かずただ要件だけを書いたメール。
内容は
「友達の家にいるので心配しないで下さい」
だった。
矢口の家にいる事は言えないのでただそう書き送信のボタンを押した。
あと少ししたら真希の携帯にそれは届くだろう。
結局梨華はその翌日のオフも矢口と過ごす事になった。
外に出かける気分ではなく家でのんびりしたかったが気分転換にと
矢口に連れられ話題の映画を見て昼食を取って帰って来た。
- 11 名前:aki 投稿日:2001年10月29日(月)19時06分17秒
- 今日はここまでです。
- 12 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月30日(火)19時39分27秒
- その後梨華は矢口の家には行かずそのまま別れると複雑な気持ちで
自分の家へと向かった。
(まだごっちん、家にいるのかな・・・・)
居たらいたで居なかったらいないで梨華はあまり考えない事にした。
考えても考えなくてもその場に居合わせればどうにか事が進むだろう。
しかし胸の中のネガティブな暗い気持ちだけは晴れる事はなかった。
さすがに電話に出ただけであんなに怒ってしまい挙句の果て途中で家を出て
1日帰らないというのは今、客観的に見るとかなりわがままのように思える。
いつもの梨華ならこんなことする分けもないが今回ばかりは限界だった。
しかも真希は矢口に連絡もして来たのに。
- 13 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月30日(火)19時40分04秒
- (謝ろう、ごっちんに・・・・・)
許してくれなくても許してくれても謝らないといけない。
悪いと思ったことは素直に謝らないといけないと小さい頃からお母さんから
聞かされていた。
(意地を張らずに自分の気持ちに素直にならなくちゃ・・・・)
梨華はあの時自分の思ったことを自分の口から伝えようと決心した。
本当は真希本人で気付いて欲しかったが。
そんなことを考えているとあっという間に目的地であるマンションにたどり着いた。
「・・・・・・・」
自分の部屋のドアを回してみる。
するとカギが掛かっていた。
- 14 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月30日(火)19時40分40秒
- 「あっ・・・・・・!!」
そんな時やっと梨華は気が付いた。
もし真希が帰ろうとしても部屋のカギを持っていない。
すると帰りたくても帰れないという事を。
梨華は急いで部屋のカギを出し開けた。
せっかくのオフを自分のせいで取ってしまったことになってしまう。
「ごっちんっ!?」
慌てて部屋の中を駆け入り名前を呼ぶ。
だけど、人の気配は微塵にも感じられなかった。
「あれ・・・・・?」
梨華は部屋の中を全て見て周ってみたがどこにも真希の姿はなかった。
辺りを見渡して部屋の中央のテーブルの所に来て見るとそこに一枚の紙が
置かれていた。
「・・・・・・・」
梨華はそれをおもむろに手に取った。
するとそこには可愛い今時な女の子風の字で自分宛ての文章が書かれていた。
- 15 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月30日(火)19時41分31秒
- 『梨華ちゃんへ。
メール読みました。
友達の家にいるなら安心なんで、ごとーはとりあえず帰ることにします。
やっぱり使ってもいいって言われても梨華ちゃんがいないと意味ないんで。
部屋のカギはかんり人さんにしめてもらいました。
それと・・・・・ごめんね
いっつも梨華ちゃんのこと泣かせてばかりでごとー本当にバカだね。
気持ち分かってあげれてなくてごめん。
あれからよーく考えてみた。
あたしってほんとーに鈍ちんでその辺にいるよーなダメ男だね。
本当はもっと伝えたいとことあるんだけどそれは今度じっさいに梨華ちゃんに
会った時にするね。
こういう形じゃなくて自分の気持ちはじぶんの言葉でりかちゃん本人に
ちゃんと伝えたいから。
それじゃ次の仕事であお―ね。
ごとーより。』
- 16 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月30日(火)19時42分13秒
- 「ごっちん・・・・・・」
それを読み終えたとき梨華の瞳からは涙が零れていた。
真希の名前をやるせない気持ちで呼ぶ。
こんなにも自分のことを考えていてくれているのに、
昨日の自分の取った行動一つ怒らないで考えていてくれて、
なのに自分はなんでこんなにわがままなんだろう。
一つ、二つと涙が真希の書いた手紙へと落ちる。
気付けばこれは真希からの初めての手紙だった。
メールじゃない、真希の字で書かれた自分宛てのたった一つの手紙。
殺風景な決められた機械の字じゃない、全てから真希が感じ取れる手紙。
持っていた紙を無造作に破き、鉛筆で書かれた彼女だけの字体。
時おり漢字がひらがなになっていたり伸ばされていたりするのにも
なぜか胸が切なくなる。
- 17 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年10月30日(火)19時42分45秒
- 「・・・・謝らなくちゃ・・・。」
梨華は手紙を胸に当てそう心に決めた。
あなたへのたくさんの気持ち、今までのこと、全て伝えなきゃ。
そして昨日の事、謝らないといけない。
『気持ちは思ってるだけじゃ伝わらない。言葉で伝えなきゃ。』
昨日の矢口の言葉が梨華の頭に蘇ってくる。
その言葉は真希に向けられたものだった。
だけど、それは横で聞いていた自分の胸にも響いた。
あなたへのこの想い、全て伝えなきゃ。
梨華は手紙を胸に抱きしめながらそう心に決めた――――――――
- 18 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)07時11分46秒
- うーん、もどかしいですねぇ
ラブラブになって欲しいな
- 19 名前:aki 投稿日:2001年10月31日(水)14時07分24秒
- 18:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
自分でも書いてて近頃もどかしくありつつあります^^;
最初書き始めようと思っていた時より切なくはならなそうです。
もうちょっと痛いぐらいにしたかったんですが・・・・。
らぶらぶになれるといいです。
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)14時34分46秒
- 遅れ馳せながら新スレおめでとうございます。
あたらしいお話も佳境ですね〜
ごまも石川も頑張れー!!
最近いろんな雑誌でいしごま隣同士で思わずニヤリです(笑
- 21 名前:aki 投稿日:2001年10月31日(水)14時49分40秒
- 20:名無し読者さん
>今ちょこっと見てみたらレスがっ!
新スレ<ありがとうございます。嬉しいです(T_T)
近頃へこみつつあったので嬉しいです。
二人とも頑張って欲しいのですが・・・・あと一山問題が待ち受けてるかも・・・。
最近〜>本当ですか〜。私もチェックしなきゃ(爆)
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2001年10月31日(水)22時56分57秒
- 新スレおめでとうございます。
ごっちんの優しさに感動しちゃいました。
雪板も読んでますので頑張って下さい!
- 23 名前:aki 投稿日:2001年10月31日(水)23時22分11秒
- 22:名無し読者さん
>レスありがとうございます(T_T)
後藤の優しさが伝わって私も嬉しいです!
雪板共々頑張ります!
- 24 名前:aki 投稿日:2001年11月01日(木)12時12分51秒
- 昨日の夜中眠い中全て書き終えました。
ので、今日の夜全て更新します。
- 25 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時21分13秒
- 翌日
いつも通り余裕を持って起きて仕事現場へと向かった。
ハロモニ収録の今日、モーニング娘。での仕事のため全員が揃う。
今から「バスがくるまで。」の収録だった。
それぞれ全員が制服を着てスタンバイする。
今日はいつもより時間に余裕があったため制服を着て本番まで少しだけ
時間があった。
梨華は髪はまだ整えず制服のままで真希を探しながらスタジオをぶらぶらしていた。
- 26 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時21分59秒
- 「お〜い、梨華ちゃ〜ん!」
「あ、矢口さん。」
後ろからの声に振り向くとそこには同じ制服を来た矢口の姿があった。
「大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です。」
「ごっつあんとは・・・・何か話でもした?」
「いえ、まだですけど・・・・謝ることに決めました。」
「お、そうなんだ!何かあったの?」
「ちょっと・・・・・」
矢口の言葉に梨華は少し照れながら答えた。
「そっかなら良かった。」
矢口は梨華の様子にそれ以上何も聞かなかった。
- 27 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時22分33秒
- 「ん?それ何?」
「あ、これは・・・・クッキーです。その・・・・ごっちんに
食べてもらおうかなって思って。」
「そっかそっか!」
梨華は今日、いつもより早めに起きて初めて「クッキー」と言うものを作ったのだ。
真希のことだけを想って作ったクッキー。
少し不恰好で上手くできなかったけど、真希に食べて欲しかった。
今まではこんなことした事もなかった。
だけど、これからはもっと・・・・もっと積極的にならなきゃ。
それも誤る事に加え、梨華は昨日一人だけの部屋で決心したのだ。
密かに今日は、いつもより気合を入れてメイクもほどこした――――
- 28 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時23分09秒
- 矢口は自分の背中をぽんと叩き「がんばれよ」と声をかけてくれた。
そんな矢口の行動に梨華の中のポジティブな精神は少しづつだが湧き上がってくる。
「よしっ!」
梨華は拳を握り気合いを入れるようにして声を出すとスタッフの人に聞いて
真希がどこにいるのかを尋ねた。
「・・・・・・・・」
梨華は楽屋へと向かっていた。
真希は一旦再び楽屋に戻ったらしい。
となると楽屋には真希一人しかいない。
謝るには絶好の時だ。
今思えば自分の気持ちをこんなに素直に真希にぶつけたのは初めてだった。
もしかしたら本当の意味での二人にとって初めての「ケンカ」だったのかもしれない。
- 29 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時23分43秒
- 梨華の胸ポケットには昨日の真希の手紙が入れられていた。
それは梨華の胸に暖かくその存在をなげかける。
そして勇気へと変わっていく。
ポケットの中には真希の手紙だけではなかった。
自分も、昨日真希に対して手紙を書いたのだ。
メールではない、梨華の字で書かれた真希だけへの手紙。
初めての手紙。
- 30 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時24分34秒
- 「ごっちん!」
梨華は楽屋にたどり着き勢いよくドアを開け放った。
が、目の前に現れたのは予想だにしなかった光景。
「り、梨華ちゃん!!」
「なっ・・・・・・」
あまりのことで声も上手く出てこない。
だってそこには綾小路文麿の格好をした男の子の制服のごっちんが
加護を畳に押し倒していたのだから。
今さっきまでの決心がぴしぴしと音を立てて微かにひびが入っていくのを
感じる。
「ち、違うの!誤解だから・・・!」
「後藤さん、加護恥ずかしい」
こちらを見る梨華に真希は必死に否定して誤解を解こうとする。
しかし、その光景からはどう否定しても無駄だし逆効果だった。
- 31 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時25分37秒
- しかも加護はそう言いながらも真希の首に手を回していく。
「ちょ、ちょっと・・・・・」
慌てているため上手く加護の手を解くことも体を起こすこともできない。
「・・・・・・・・」
その光景に梨華は何も言えずただ手をぎゅっと握り拳をわなわなと
震わしていた。
姿形からだけで言うと小学生を押し倒す男子高校生。
この情景だけでも嫌に神経を逆なでてくる。
「ち、違うから・・・・携帯を加護が・・・・」
やっと真希が体を加護から離し否定するがとっくに梨華の中では
その言葉を聞き取れる余裕はなくなっていた。
実は加護が真希の携帯のメール欄を除いていたので慌てて取り返そうと
した結果、押し倒す形になってしまったのだ。
しかしそんな事実を梨華が知る由はない。
- 32 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時26分12秒
- 「後藤さん」
「え?・・・むう!」
加護は梨華のことに気付いてはいるのだがおかまいなしで体を起こした
真希の頬に両手を添えるとぶちゅ〜となんとキスをした。
「あぁ!!」
突然のことに真希はなす術もなくされるがまま。
梨華もこれには声をあげた。
「り、梨華ちゃん・・・・」
やっと唇が離れ、真希は急いで梨華に近づこうとする。
「あ〜もっと〜!」
加護は離れてしまった後藤に向かってぶうぶうと愚痴を零すようにぼやく。
- 33 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時26分56秒
- 「あ、あの今のは・・・・・」
「・・・・・・・」
真希からは俯いているため梨華の表情が分からなかった。
しかしその手は、体は震えていた。
「もう知らない!!!」
バシンッ!!
梨華は真希の頬を右手で勢い良く叩いた。
空を切り、それは真希の頬に命中し乾いた音を響かせる。
「・・・・・・・・」
真希は叩かれ顔を横に弾かれながらも痛いとかそういう感情は生まれてこず、ただ
そんな梨華の行動に驚いていた。
- 34 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時27分38秒
- 「あぁ!梨華ちゃん後藤さんに何するのー!!」
後ろにいた加護も梨華の行動にびっくりし体を起こし真希に近づいてくる。
梨華の体は震えていた。
しかし、今さっきの震えとは全く違う物だった。
「・・・・・・・・」
梨華はしばらく呆然としていると突然楽屋を飛び出した。
「梨華ちゃん!?」
真希が叩かれ紅くなった頬を手で押さえながら急いで楽屋を出て、飛び出していった
梨華に向かって叫んだ。
遅れたように楽屋のドアの前に二つの紙が舞い降りてきた。
- 35 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時28分13秒
- 「・・・・・?」
真希はそれを拾い、手に取ってみた。
「あっ・・・・・・」
それの一つは昨日、自分が梨華宛てに書いた手紙だった。
もう一つは・・・・・
「!!」
真希はそれを見ると同時に駆け出した。
梨華に向かって。
「後藤さん!?」
「ごめん、あたし行かなきゃ・・・・!」
後ろでは加護が紅くなった頬のことを言っていたが真希にはその言葉ももう耳には
届いてなかった。
頭にあるのは梨華のことだけ。
夢中になって駆け出した。
『ごめんなさい・・・・。大好き!』
真希への手紙には、梨華の字でそう書かれていた―――――――
- 36 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時28分45秒
- 「・・・・・・・」
自分の名前を呼ぶ声が耳に届いたが梨華はそのまま走り足を止めなかった。
仕事がこれからある。
だけど今の梨華にはそんなこと考えて行動するほど割り切れるような余裕のある
大人ではなかった。
「うっ・・・・・」
溢れ出してくる涙。
その涙を拭おうとする自分の右手。
それを見て梨華はまた涙が瞳から溢れ出すのを感じる。
- 37 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時29分17秒
- 叩いてしまった。
他でもない自分のこの手で。
愛しいあの人の頬を。
「バカ・・・・・あたしのバカ!」
分かってる。
あなただって違うって否定してた。
なのに止まらないこの気持ち、感情。
無意識に近いほどの気持ちが湧き上がり気がついたらあなたに手を上げていた。
なんてことをしてしまったんだろう。
決心したばかりなのに、昨日あれほど心に決めたはずなのに。
どこまで自分はわがままなのだろう。
あなたよりも自分の方が最低だ。
なのに相手ばかり責めて。
溢れ出す涙は止め処なく流れつづける。
走っているため涙は後ろへと流れていく。
- 38 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時30分03秒
- 「はぁ・・・・はぁ・・・」
梨華は使われていないため人気のないスタジオ辺りまで来るとそのドア前で
壁に持たれかかるようにして走るのをやめた。
ほとんど走っていないのに息が切れる。
「最低なのは・・・・あたしだよ・・・・・」
溢れる涙。
悔しそうに梨華はそれを掌で拭う。
壁に持たれかかり梨華は声を殺し泣いた。
嫌でも目に映る自分の右手。
こんなにも自分に対して嫌悪感を持ったのは初めてだ。
叩く資格なんて自分にはない。
むしろ、叩かれるのは自分の方だ。
梨華はふいに左手に握られていたクッキーの入っている紙で作られた箱を見た。
- 39 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時30分50秒
- 「・・・・馬鹿みたい・・・・こんなの作ってさ・・・・」
持っている部分を強く握る。
「馬鹿みたい!」
叫ぶと同時に梨華はそれをゴミ箱へと叩きつけるように勢いよく投げ入れた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
ゴミ箱に入ると同時に中の物が中で揺れる音が届く。
「うぅ・・・・・」
梨華は顔を覆うように両手を前から添えた。
こんな自分に彼女を好きになる資格なんてない。
「ごっちん・・・・ごめんねぇ・・・・・」
やるせない気持ちで彼女の名前を呼ぶ。
「ごめんねぇ・・・・・」
伝えるはずだったこの言葉。
目の前にいつはずだったあなたの姿は・・・いない――――――
- 40 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時35分48秒
- 「梨華ちゃん!!!」
「!!」
静かな廊下に、自分の呼ぶ中で一番大好きな彼女の声が綺麗に響いた。
会いたかったはずなのに今は会いたくもなかった人、真希の姿がそこにあった。
自分を追いかけてくれたのだろうか、真希の息は同じように切れており
髪を一つにまとめていたゴムも外れいつものストレートな髪が流れていた。
「梨華ちゃんっ!」
真希は梨華の姿を見つけ、名前を呼びながらこちらの元へ近づいてくる。
「梨華ちゃ・・・・・」
「やめて!お願いだから・・・・」
触れようとする真希の手に梨華は必死に振り払う。
泣いている顔を見られないように、俯きながら。
だけどもつれ合うようになって抵抗するあたしの力も空しくごっちんの力に
あたしはなす術もなかった。
涙の流れる顔を見られてしまう。
- 41 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時36分26秒
- 「梨華ちゃん、泣いてるの!?」
「触らないで!!」
自分の肩に触れようとした真希の手を、梨華は払った。
掴まれていた腕も払い、ばっと真希から体を離した。
「・・・・・どうして・・・?」
真希の表情は梨華の今の態度に赤の他人でも分かるほどに沈んだ暗い表情になる。
「あたしは・・・・・ごっちんに好きになってもらう資格なんてないの・・・・」
梨華は必死に溢れる涙を堪えながら真希に伝える。
しかし、一旦溢れ出した涙は自分の必死な気持ちとは裏腹に溢れだそうとしてくる。
「そんなこと・・・・」
「ないの!ごっちんはこんなにあたしに優しくしてくれる。想ってくれる。
大切に・・・・してくれる。なのに・・・・あたしは何も・・・・・」
返してない。
受け取ってばかりの想い。
ずるい。
ちっとも分け与えてない。
自分の愛情は空回りするばかり。
- 42 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時37分09秒
- 「梨華ちゃん・・・・・・」
「お願いだから・・・・・こんな最低なあたしを好きにならないで・・・・・」
自分とは比較できないほどの才能を持ってるあなた。
人からも好かれ、どんなことも器用にこなすあなた。
大好きなあなた。
お願いだから・・・・
こんな自分を好きにならないで・・・・。
「・・・・・・・・」
真希が梨華の言葉に少しの間言葉を発せず黙った。
(そう・・・・お願い、あたしなんか嫌いになって・・・・・)
梨華は心の中で真希の様子に覚悟を決めた。
もっとあなたにはあなたにあった人と一緒になった方がいい。
(その方がごっちんにとってもいいんだ。)
梨華は俯いたままの真希に背を向けた。
しかしその時、
- 43 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時37分51秒
- 「!」
「お願いだから・・・・そんなこと言わないで・・・・・」
辛そうなぐらいのやるせなさの詰まった口調で真希は言いながら梨華を
後ろから抱きしめていた。
「駄目だよ・・・・あたしは・・・・・」
「好きになってもらう資格とか・・・・好きにならないでとか言わないでよ・・・・。」
真希は梨華の言葉に割り入るように、それ以上言葉を続けさせないようにして
言った。
「梨華ちゃんはぁ・・・・後藤にとって一人しかいないのぉ!・・・・誰も
代わることができない人なのぉ!!」
真希が訴えるようにして言う。
抱きしめる腕にも力を込めながら。
「でも・・・・・・」
「お願いだから・・・・・側に・・居て・・・・」
梨華は肩に湿った感触を感じた。
それが何かすぐに察し急いで真希の腕の中で真希の方へ向き直った。
- 44 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時38分24秒
- 「ごっちん・・・・・・」
「お願い・・・・・・」
そこにはやるせない表情で一杯の真希が涙を流していた。
「お願いだから・・・・・側から離れないで・・・・・・」
「あたしなんかで・・・・・・いいの?」
梨華は真希と同じように涙を流しながら尋ねた。
「梨華ちゃんしか・・・・いないよぉ・・・・・梨華ちゃん以外の人じゃ・・・
駄目なのぉ!!」
真希は言いながら梨華を再び前から強く抱きしめた。
「ごっちん・・・・・・」
抱きしめられながら梨華が涙を流しながら表情を緩ませる。
梨華は顔を真希の肩に埋めた。
自分も強く真希を抱き返す。
- 45 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時39分01秒
- 「大好き・・・・ごっちんのこと大好きだよ・・・・・」
「後藤も・・・・梨華ちゃんのこと大好きだよぉ・・・・・」
人気のない廊下で、真希と梨華は抱きしめあった。
一方的ではない愛を今、梨華は感じ取っていた。
お互いが愛情を与え、与えてもらいそれを感じて。
お互いの存在を確かめるように二人はきつく抱きしめあった。
空回りしていた愛情、それは今初めてお互いを巡り、一つになった――――――
- 46 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時39分53秒
- その後二人はぼろぼろのメイクにぼさぼさの髪、
しかも揃っての遅刻にマネージャーにこっ酷く叱られた。
でも二人にとっては全然そんなの気にならなかった。
怒られている時もずっと人知れずお互いを見て、今さっきの二人だけの
出来事に幸せそうに笑みを溢していた。
「??」
マネージャーにメンバーはそんな二人の様子に揃って首を傾げていた。
- 47 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時40分28秒
- 「お疲れ様でした〜。」
仕事も全て終わり陽も暮れ始めた夕方。
梨華は帰りの支度を済ませスタジオをぶらぶら歩いていた。
自販機売り場の前に来て梨華は紅茶のボタンを押した。
「梨華ちゃ〜ん!」
するとそこに彼女の声が響いた。
「ごっちん。」
振り向くとそこにははにかむあなたの姿があった。
- 48 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時41分36秒
- 真希は顔をほころばせながら梨華の元にやって来た。
「えへへ〜」
真希はただ梨華の顔を見ながら幸せそうににこにこしていた。
「どうしたの?」
「これ、な〜んだ?」
言いながら真希が梨華の目に前に出したもの、
梨華はそちらへとゆっくりと目を向けていく。
梨華の目に飛び込んできたもの、それは・・・・
「あーー!!!それ今さっき・・・捨てた・・・・・」
そう、
それは今さっきとっさにゴミ箱に捨ててしまったクッキーの入った紙の
手提げだった。
「これ、作ってくれたんでしょ?後藤のため。」
「・・・・うん。」
やけに嬉しそうにしている真希に梨華は少し恥ずかしくなり顔を紅くし俯いて
しまった。
ここまで喜んでくれるとは思ってもいなかった。
- 49 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時43分06秒
- 「おいしかったよ。」
「・・・・え?・・・おいしかったってもしかしてごっちん・・・・」
「うん。全部食べちゃった」
「・・・・・・・」
平気で言ってのける真希に梨華は呆然と口を開いたまま何も言えなくなってしまう。
「ゴミ箱に捨てたんだよ!?お腹壊しちゃうよ・・・・」
「だいじょーぶ。梨華ちゃんのだから。」
にこっと笑い真希は梨華に答える。
「でも・・・・・もう、ずるいよ。びっくりさせてぇ・・・・・それに・・・ごっちんが食べるところ見たかったな・・・・」
「えへへ、ごめんね。あ、そうそう。梨華ちゃんもしかして初めて?作るの?」
真希がにこにこしたまま梨華に尋ねた。
- 50 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時44分21秒
- 「う?うん。」
どこか不自然なにこにこ顔に梨華は首を傾げながら素直に答えた。
「そっかぁ。どうりで形が・・・・・」
「あ、ひどい〜!あれでも一生懸命作ったんだよ〜!」
「それにさ、分量間違えなかった?塩とかの・・・」
「え?あ、うん。ちょっと入れすぎちゃった・・・・」
「どうりで・・・・」
真希の意味深な言葉に梨華は少し沈む。
「お、おいしくなかった・・・・?」
「ううん。おいしかった。味はどうあれ。梨華ちゃんの気持ちが入ってた。」
「本当?良かった・・・・・」
ぱあっと表情が明るくなる梨華に真希は小さく微笑んだ。
- 51 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時45分22秒
- 「どうしたの?」
梨華がそんな真希の様子に首を傾げ顔を覗き込んできた。
「なんでもない」
真希はそう言うと覗き込んできた梨華の唇に軽く触れた。
「あっ・・・・・・・」
少し塩味のする優しいキスだった。
梨華は照れて顔を紅くし、真希は嬉しそうににこにこしながら
互いを見ていた。
幸せそうに微笑み合う二人。
不安なんて微塵もなかった。
今までの不器用に付き合ってた時間の分だけ、二人のこれからは
幸せに満ちていた。
もっと、もっと一杯あなたとの愛を育んでいきたい。
- 52 名前:もてる彼女を持つと苦労する。 投稿日:2001年11月01日(木)20時46分18秒
- 『好きです。あなたのことが。世界中で一番。』
梨華の手紙の裏には小さく紙の真ん中にそう書かれていた。
まるで照れるように、恥ずかしがるように書いた様子が感じ取れる
ほど気持ちの積もった手紙だった。
それからもう二度と梨華は悪夢を見なくなった。
夢のような幸せな日々を、
たくさんの時間を、二人は共有していった――――――――
その夜、二人がどうなったかは二人だけの秘密
〜Happy End〜
- 53 名前:aki 投稿日:2001年11月01日(木)20時50分45秒
- やっと終わりました。
「もてる彼女を持つと苦労する。」
どの作品もですが最初思っていたよりも長くなりました。
「とある〜」の方が読まれてない?と思ったりもしていてそんな中、
突発的に思いついた小説です。
幸せな結末になりました。
どうしても話が後藤と石川中心なので吉澤や加護がストーリーを進めていく
キャラになってしまいました。
それと本当はもっと痛いほどに石川の気持ちなど切なく書きたかったんですが
私にはこれが限界でした。
ここまでお付き合いくださった読者様、本当にありがとうございました。
「とある〜」の方はしばらくしてから再び書いていくと思います。
それでは最後に、「もてる彼女を持つと苦労する。」ご愛読ありがとうございました。
- 54 名前:Russian 投稿日:2001年11月02日(金)02時17分54秒
- 終わっちゃいましたね。『もてる彼女を持つと苦労する』。
なんだかんだ言っても最後はHappy Endになるところが、
akiさんのやさしさなんでしょうか。
幸せいっぱいのこの二人。
不器用もん同士の恋だけに、結ばれた喜びも一入です。
悪夢を見なくなった梨華ちゃんの新しい夢が少し気になります。
きっと幸せなんでしょうね。
『とある〜』も楽しみに待っています。
向こうのいしごまは、ほんとにあと一歩だから…
- 55 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月02日(金)02時28分16秒
- 幸せな結末で嬉しい限りです。
「とある〜」の続きも新作も期待してます!
- 56 名前:いたこ 投稿日:2001年11月03日(土)02時26分25秒
- ハッピーエンドで本当良かったです。
読んでて顔がにやけてしょうがなかったです。
本編の方も期待しています!
- 57 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月03日(土)03時20分11秒
- 幸せだな〜!!
読み終えて幸せな気持ちになれました。
- 58 名前:aki 投稿日:2001年11月03日(土)11時18分35秒
- レスたくさんありがとうございます(T_T)
本当にやる気と励みに源です!!
54:Russianさん
>レスありがとうございます。
終わっちゃいましたね。最初書いた「めぐる〜」の時よりかは大分
寂しさが少なくなってきました。今はどっちかっていうと達成感の方が
大きくなってます。
ハッピーエンドは書いてるこっちも幸せで読者さんも幸せになってくれて
一番言い終わり方なんですけど、今までの作品はもしかしたらハッピーエンドで
終わる事を前提で書いてたかもしれません。
今度からは切ない系やいろんな形の終わり方に挑戦したいです。
初めての感情のぶつかり合いに初めて本当の意味で分かり合い気持ちが
通じ合った二人は幸せは私も嬉しいです。
「とある〜」も頑張ります。
実は「もてる〜」に集中していて全く書き溜めてないんですけどね(^^;
55:名無し読者さん
>レスありがとうございます!
幸せっていいですね!(爆)
「とある〜」も雪も頑張ります!
- 59 名前:aki 投稿日:2001年11月03日(土)11時23分16秒
- 56:いたこさん
>レスありがとうございます。
読んでて〜>本当ですか^^書いてるとあまりないんですけど
読んでるとそうですよね。あまりにも甘いと顔を背けちゃったり・・・(w
本編ももう少し待っててください。頑張ります!
57:名無し読者さん
>レスありがとうございます^^
読み終えて〜>本当ですか!!読者さんも幸せになれるとは伝えられて
いるんだなと感じられました!嬉しいです!
「とある〜」も頑張ります〜。
今見てると「とある〜」も読まれていたんですね。
ちょっと安心です^^;
頑張りますのでしばし時間を・・・・(w
- 60 名前:aki 投稿日:2001年11月03日(土)21時27分18秒
- ちょこっと書き溜めたんで「とある〜」を再開していきます。
たぶん今の更新でまた全部使い切っちゃいそうなんですけど^^;
今回の更新に限ってsageでよろしくお願いします。
- 61 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時29分19秒
- 後藤はさっさと済ますと髪も洗面所に備え付けのドライヤーで乾かすと
比較的早く、あまりゆっくりしないでバスルームから出て来た。
「あ・・・・・・」
部屋に戻ってくるとベランダに石川の姿があった。
髪も乾かしたのか優しく吹く風に髪が綺麗に流れていた。
後藤は気付かないうちに小さく声をもらしていた。
それは、彼女の姿に。
綺麗で整っていて、自分とは正反対の女の子な彼女の横顔。
華奢でスタイルの良い体。
力を入れたらすぐに折れてしまうような細い腰。
抱きしめたい。
後藤は自然と心の中にそんな想いが込み上げているのを感じた。
彼女の全てを抱きしめたい。
そして感じたい。
「もう、限界だ・・・・・・」
後藤は小さく呟いた。
そして静かに彼女の後姿へと近づいていった。
- 62 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時30分07秒
「梨華ちゃん」
後藤はベランダの窓を開けると後ろから石川の名前を呼んだ。
「・・・・ごっちん」
石川は後藤に呼ばれ今、後藤がお風呂から出たのを知った。
振り向いてすぐそばに後藤がいて少しびっくりしていた。
「もう、出たんだ?」
「・・・・うん。」
「早いね。ってあたしが遅いのか。」
石川は軽く笑いながらベランダから部屋に戻ってきた。
今さっきまでの嫌な空気は漂っていなかったが少し気まずい雰囲気が二人の
間に流れていた。
「そんな・・・・ことないよ。」
部屋に戻ってくると同時に彼女から流れる石鹸の匂い、微かな海風の匂い。
後藤は石川の言葉に返事していたがもうぼーっとしてしまっていた。
- 63 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時30分51秒
- 「・・・・あの・・・ごめんね。今まで。」
「え?」
「その・・・・何でもないから。昼間のは・・。」
突然の言葉が何を示すのか分からなかったが次の言葉で石川が何を言っている
のかやっと後藤は理解できた。
(そういえば、ケンカしてたんだっけ・・・・)
ホテルから戻ってきて今まで、ほんの少しの時間なのに昼間のケンカの
ことなんて忘れていた。
忘れさせるほど、今の時間が後藤にとって長いものだった。
「ごめんね・・・・・」
「・・・・!!」
ぼーっとしている後藤に石川は俯きながら上目遣いで言った。
後藤の方が身長が高いためそうなってしまうのだが今の後藤にはもう
留めの一発だった。
- 64 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時31分34秒
- 自然と途切れてしまう会話。
石川は次の言葉を捜したり会話を変えるかいろいろ考えていた。
そして何か言おうとした時、
「ごっち・・・・」
「・・・・梨華ちゃん・・・」
「あっ・・・・・」
気が付いたら後藤に抱きしめられていた。
優しく、強く、そしてきついほどに。
いつもとは違う抱きしめ方、後藤の様子や雰囲気。
そして部屋に漂うムードに石川は自然とドキドキし緊張した。
「あ、あの・・・・・・」
「もう・・・限界だよ・・・・」
後藤は石川の耳の近くで囁くように言った。
石川はその意味がどういう意味なのか察し途端に顔をかぁっと紅くさせた。
- 65 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時34分56秒
- 「ご、ごっちん・・・それって・・・・・」
「梨華ちゃんが・・・・欲しいよ・・・・」
はっきりと言われたその言葉に石川は再び顔を赤らめた。
「ダメ・・・・・?」
後藤は一旦密着する体を離し向かい合うようにして石川に言った。
(そんな目で言われたら・・・・・)
石川の目を見つめる後藤の瞳はまるでお預けをされてもの欲しそうにしている
子犬のような瞳だった。
「ダメなわけ・・・・ないよ・・・・」
石川は恥ずかしくて言いながら後藤の肩に顔を埋めた。
「梨華ちゃん・・・・」
後藤は石川のその体を再び優しく抱きしめると二人はゆっくり口付けを交わした。
「ん・・・・・」
石川は目を瞑りながら恥ずかしそうに小さく声を漏らした。
そのまま唇から耳、首筋、鎖骨へと優しく口付ける。
優しくゆっくりと洋服を脱がしていく。
そして二人はそのまま一緒にベッドへと沈んでいった。
- 66 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時35分42秒
- ――――――
「梨華ちゃん・・・好きだよ・・・」
「・・・・・あ、たしも・・・ごっちんのこと・・・・」
息も絶え絶えになってしまい言葉が上手く繋がらない。
「真希って呼んでよ。」
「んっ・・・・ま、き・・・・」
「聞こえないよ?」
「あたしも・・・・真希のこと好きっ!」
「・・・・大好き・・愛してる・・・!」
「あっ・・・!!」
二人は身を重ねた。
激しく、強く、心から、お互いを求め合った。
初めて二人が一つになった夜。
初めて二人が同じ時間を共有した夜。
長い長い夜は、静かに更けていった―――――
- 67 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時37分17秒
- 「ん・・・・」
窓から差す心地のいい太陽の光、鳥のさえずる声に石川は目を覚ました。
しばらくの間まだ眠気が覚めずぼーっとしていたが目をごしごしと擦り
やっと頭の中がはっきりと鮮明になってきた。
「!」
石川は気が付いたように上半身を起こし、急いで辺りを見渡した。
ベッドの向こうには二人の衣類が脱ぎ散らかされている。
そのまま自分の体へ目をやると、
「あ・・・・・」
石川は自分の今の状態に顔を赤らめた。
一糸まとわずありのままの姿にただベッドの毛布が軽く掛けられているだけ。
そして隣には・・・・同じ姿の後藤があった。
(そうだよ・・・・あたしは昨日の夜・・・・・・)
すやすやと眠る後藤の幼くて可愛い寝顔を見つめながら石川は昨日の事を
思い出してみた。
- 68 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時38分00秒
- 「う、うわ・・・・」
石川は途端に再び顔をぼんっと赤くさせた。
微かに思い出しただけでそれ以上は恥ずかしくて思い出すことができなかった。
できないと言うより、恥ずかしくて思い出したくなかった。
しかし記憶の糸とはいたずらにも自分の理性とは裏腹に昨日の出来事を
頭の中に鮮明に流れていく。
「もう・・・・!!」
石川は頭の上に浮かぶ昨日の事をばばばと手で拭い去った。
「ふぅ・・・・・」
「ん〜?もう朝〜?」
やっと落ち着いた時、今度は後藤が目を覚ました。
「ご、ごっちん・・・」
「あれ〜?梨華ちゃん?・・・・・あ、そっかあたし達昨日・・・・・」
後藤も眠たい目を擦りながら上半身を起こした。
- 69 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時38分45秒
- 「・・・・・・・」
石川は後藤にどんな言葉を掛けていいのか分からずただ顔を紅くしながら
俯いていた。
「おはよう。梨華ちゃん。」
「お、おはよう。」
「あはっ、後藤真っ裸じゃん。」
後藤も自分の姿に今やっと気付き楽しそうに笑った。
「・・・・・・・」
石川は後藤と目を合わす事ができずただ俯きながら横に視線を向けていた。
「後藤ね〜、夢だったんだぁ。こういうの。」
「え?」
「朝、こんな感じでおはようって言うの。」
「そうだったんだ・・・」
「それにこういう状態で同じベッドで同じ朝を迎える事。」
後藤は前を向きながら言い、ベッドの毛布を体に掛けなおした。
- 70 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時39分56秒
- 「梨華ちゃんと会ってからいろんな夢を叶えてもらってる。昨日の夜いろんな
夢が叶っちゃった。」
後藤は石川に向き直りにこっと微笑みながら言った。
「ごっちん・・・・」
自然と石川も後藤の方を向いていた。
今やっとお互いの視線が交差した。
- 71 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月03日(土)21時40分50秒
- 「あ、駄目でしょ。二人の時はちゃんと真希って呼んでよ。」
「だって・・・・・・」
「今更じゃん。昨日の梨華ちゃんは一杯呼んでくれたのに・・・・」
「い、言わないでよぉ。昨日の事は・・・・」
「それにさぁ、昨日の梨華ちゃんてばすごくてさ〜後藤びっくりしちゃったよ。」
「あ〜それ以上言わないでぇ!」
からかうように言う後藤の言葉に石川は顔を紅くさせながら耳を塞いだ。
「ごめん。可愛かったから・・・・ついね」
言いながら後藤はチュッと石川の唇にキスをした。
「もう・・・・・」
やっぱり頬を紅くさせながら小さく呟き、後藤と目を合わせる。
「大好きだよ。」
二人は二度目の口付けを交わした。
幸せそうに微笑みながら、抱きしめあいながら。
恋人達の朝は幸せに包まれ夜を明けた。
- 72 名前:aki 投稿日:2001年11月03日(土)21時43分11秒
- >>60-71
更新しました。
前のスレで楽しみにしててくださいってレスしてたんですけど
なんだか力量不足って感じですね。
期待にそぐえていなければごめんなさい。
ちなみになんかこれで終わりのようですがまだ続きます。
矢口達のことも忘れてませんのでご安心を。
- 73 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月04日(日)21時06分40秒
- ラブラブになってよかったです。
次はやぐっつぁん達になるのかな?楽しみにしてます。
- 74 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月05日(月)03時21分45秒
- おお、ついに結ばれましたね。
ラブラブな二人サイコーです。
- 75 名前:aki 投稿日:2001年11月05日(月)13時47分55秒
- 73:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
めでたくラブラブになりました。
次は素朴にやぐっつあん達です。
頑張りますっ!
74:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
やっと結ばれました。今までいしごま書いてきて実際
結ばれたのは(それを書いたのは)これが初めてです(w
サイコーと言ってもらえて本当に嬉しいです^^
- 76 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)18時53分43秒
- そしてグアム到着から4日目。
「梨華ちゃん」
「わ〜すごい景色だぁ!」
一向はグアムでも一番と言ってもいいほど有名な「恋人岬」へと来ていた。
海抜123mの断崖絶壁の岬。
海に突き出た展望台から一向は青い海や町並みを眺めていた。
海から流れてくる潮風が肌に気持ち良かった。
「この岬には伝説があるんですよ〜。その昔かつてスペインがグアムを統治していた頃
首都Hagatnaにある誇り高い家族が住んでいたました。
父はスペインの貴族の出で、母は偉大なるチャモロ族の首長の娘でありました。
一家は広大な土地を所有しチャモロとスペインのどちらからも厚く尊敬されて
いたんです。
その娘は名だたる美しさで、また正直で慎み深く、そして天性の愛らしさを持っていたため、あらゆる人々が娘を称賛していました。
一家はその美しい娘をとても誇りに思っていたのです。」
恋人岬を見るメンバーの後ろでホテルの彼女が慣れた口調で説明し始めた。
- 77 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)18時55分18秒
- 「ある日父親はスペイン人の有力な船長を娘の婿に迎え入れようとしたんですねぇ。
ところがそれを知ると娘はひどく取り乱し町から逃げ出してしまったんです。
そしてグアムの北部の人目のつかない静かな海岸にたどりつきました。
月の輝くその美しい浜辺で娘はチャモロ族の貧しい若い兵士と出会いそして恋に
落ちたのです。
娘は日が沈むと浜辺の同じ場所に隠れるようにして何度も愛しい恋人に会いました。
しかしある日、娘の父と船長、そしてスペインの兵士達は恋人達をタモン湾に
そびえる崖の上まで追いつめて行きました。そしてとうとう恋人達は近づいてくる
兵士達と切り取った崖の間に取り残されてしまったのです。
若い兵士達は娘と自分にそれ以上近づかないようにと警告し娘の父は兵士達に
動かぬよう命じました。
ここからがクライマックスですよ〜。」
- 78 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)18時56分30秒
- 「すると恋人達は互いの黒髪を固く一つに結んだのです。
そしてまるでそこには二人しかいないかのように深く深く見つめあいそして最後の
口付けを交わしました。
そして険しい崖から轟々とうなりをあげる海へ向かって抱き合ったまま飛び
込んだのです!
娘の父と残された者たちはあわててが毛に駆け寄りましたが嘆きと共に深く
暗い海の底をただ見つめるだけでした。
それ以来チャモロ達はタモン湾にそびえるその突き出た崖を畏敬の念を持って見上げる
ようになりました。
その恋人達は、今でも真実の愛、生きているときも死んでしまってからも
永遠に固く結ばれた2つの魂が育む愛、の証とされています。
それ以後、その崖の頂上は恋人岬として知られるようになったのです!
いつ聞いても泣ける話ですよねぇ!!私もそんな恋人が欲しいってもんですよ〜!!!」
ここまで送迎してくれてついでにガイドまでしてくれた中澤の友達が
感情移入しまくりで話した後涙をほろりと流していた。
「あんた相変わらずやな〜。」
中澤が笑いながら彼女の頭をぽんぽんと撫でてやっていた。
- 79 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)18時57分41秒
- 「聞いた梨華ちゃん?悲しいね・・・・・って梨華ちゃん!?」
「うぅ・・・・・可哀相だよ〜・・・・・」
後藤がうんうんと頷いて隣の石川の顔を覗き込んでみると横には同じく
涙を流している石川の顔があった。
「えぇと、ハンカチハンカチ!」
「ありがとう・・・・」
後藤が慌ててくしゃくしゃだったハンカチを石川に手渡した。
すぐに涙を溢れる目を石川はそれで押さえた。
「・・・・・・・」
(梨華ちゃんって涙もろい・・・・・・)
後藤は隣で石川の新たな面を見つけていた。
- 80 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)18時58分37秒
- 「大丈夫?」
「うん、もう平気。ごめんねぇ。」
鼻の近くを紅くしながら石川は上目遣いで後藤に誤った。
「い、いいのいいの。気にしないで。」
石川の手のハンカチは涙でくしゃくしゃだった。
潤った目に上目遣いで後藤は少しくらっとした感覚を覚えた。
「可哀相だけどすごい話だよね。」
後藤が手すりから下を眺めながら言った。
下では海から波が押し寄せここにも届くほどの盛大な音を立てていた。
「うん・・・・・ってまた涙が〜・・・・」
「あはは、こっち来なよ。」
後藤は石川を側に寄せ優しく肩を抱いてあげた。
「ごっちん優しいねぇ・・・」
石川は珍しくそのまま後藤の肩に頭を乗せた。
「あはっ、梨華ちゃんにだけだよ〜」
「ごっちん・・・・」
二人の周りには目に見えるほどのハートマークが飛び交っていた。
まるでそこだけ亜熱帯のような・・・・。
- 81 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)19時00分24秒
- 「「・・・・・・・」」
矢口と吉澤はその姿を後ろから唖然として見ていた。
「なんだありゃ・・・・・梨華ちゃんまであぁなっちゃって・・・・。
ついにバカップルに突入しちゃったの?」
「昨日のケンカはどこへやら。」
眉をハの字にして吉澤と矢口はそんな二人を見ていた。
「まぁ、いいや。よっすぃー二階に行こうよ。」
「そうですね〜。」
矢口と吉澤はあまり深く考えずいつものことだと納得して展望台の二階へと
向かって行った。
- 82 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)19時01分17秒
- 「そういえばさ、ごっちん何であたしが昨日怒ってたか分かった?」
「・・・・ううん。分かんなかった・・・・っていうか分かんない。」
後藤は突然の石川の言葉に少し気まずそうに答えた。
そんな後藤に石川は小さく笑う。
「一昨日の晩・・・・その・・・ごっちんが酔ってた時、あたしに・・キスして
きたでしょ?」
石川は微かに頬を紅く染めながら石川は話し始めた。
「う、うん。」
後藤も自然とその話しには紅くなってしまう。
「あの時ね、本当はあの時・・・・昨日みたくなると思ってたの。」
「え!?」
「だから・・・・あたしはあの時「ごっちんとなら怖くない」とまで思ってたんだよ!?
なのにさぁ・・・・・」
石川は顔を横にぷいっと背けながら小さく呟くように続ける。
- 83 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)19時02分41秒
- 「それなのにさぁ・・・・ごっちんたら「ごめん!」なんて言うんだもん。
キスしてる間はあたしもぼーっとしててそのまま逃げるようにバスルームに行っ
ちゃったけど・・・・・その時もずっと「どうしようどうしよう!」とか
悩んでたのに・・・・・・」
「えぇ!?」
「えぇ!?じゃないよ!そのままごっちんもバスルームに向かって行っちゃって
その時もあたしはまだドキドキしててさぁ・・・・それなのにごっちんはやっぱり
何もしてこないし・・・・」
「だ、だって・・・・・」
石川の言葉に後藤は何も言い訳も言う事もできなくなっていた。
ただ言葉の出ない口をぱくぱくと動かす。
「そのままベッドに入ってさ・・・・それからまだ何かあるのかと思って
緊張して寝れなかったし・・・・おかげさまで二日目は寝不足だったんだよ・・・?」
石川はわざと怒っているような口調で後藤に話した。
いつもは逆の立場になっているのだが今日は隣であたふたしている後藤の姿を
見るのが楽しかった。
もう昨日のことで全て石川の中で帳消しになっているのだが。
- 84 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月06日(火)19時03分57秒
- 「ご、ごめん。だって・・・・梨華ちゃんてっきりこういう社員旅行でそんなこと
したら嫌がられるかと思ったし・・・・・」
「もう石川かなり疲れちゃいました。ごっちんなんてぷいぷい!!」
「ご、ごめんねぇ。」
首を横に振ってわざと怒ったような仕草はあからさまにからかっている風なのに
今の後藤には可愛いなんて思う余裕が無かった。
「ふふ、冗談冗談。」
「からかわないでよ〜。」
にこっと愉快そうに笑う石川に後藤は嬉しそうに微笑みながらいつものように
石川の腕に抱きついた。
- 85 名前:aki 投稿日:2001年11月06日(火)19時07分26秒
- >76-84
更新しました。
恋人岬の説明のところちょっと省きませんでした。
その方がいいかなっと思ったんで。
思ったかったらすいません^^;
- 86 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月06日(火)22時46分03秒
- やった、交信だ〜♪
ついにやっちゃったいしごまさん(w
いいなぁ〜(w
作者さんありがとう!
- 87 名前:aki 投稿日:2001年11月07日(水)19時31分38秒
- 87:名無し梨華さん
>レスありがとうございます^^
ついにやっちゃいましたね(w
ありがとうと言ってもらえて本当に嬉しいです!
こちらこそお礼をさせてください(w
- 88 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時33分30秒
- 4日目の予定は恋人岬にグアムの有名なショッピングセンターで買い物だった。
グアム内に走るおしゃれなバスに乗りそれらを回って行く。
グアムではショップ数最大を誇るマイクロネシア・モール。
シャネル、ルイ・ヴィトンなど約30店舗が集合したブランド専門店でこれほどの
規模は珍しいアーケードのタモン・サンズ・プラザ。
グアム・プレミアム・アウトレットにディーエフエス・ギャラリア・グアム。
そして近頃新しくオープンしたショッピングセンターのザ・プラザ。
去年のボーナスが少なかったためと中澤が配った突然のボーナスにみんなは
思い思いにショッピングを楽しんだ。
ショッピングは有名なところは全員で回ったが後はそれぞれが地図を片手に
バスに乗りグアムの町を駆け巡っていた。
- 89 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時34分10秒
- 当然後藤と石川は一緒に買い物をしていた。
昼食も食べて疲れるほどに買い物を楽しむと大量の袋を両手に陽が落ちてくる前に
ホテルに戻ってきた。
「重い〜。」
「後藤だって重いよ〜。」
二人は大量の袋を手に持ちなんとかホテルの部屋のドアを開けた。
後藤がそのまま駆け足で石川を追い越しベッドまで行ってどさっとそれを一斉に置く。
「あぁ〜!疲れたぁ!」
「ごっちんずるいよ〜!」
石川は後ろ手なんとか閉まりそうになるドアから入って部屋によろよろと入ってくる。
「あはは、なんか面白いよ。」
後藤はベッドに大の字で寝転がりながら愉快そうに笑った。
- 90 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時34分44秒
- 「ひどい〜!笑わないでよ〜。」
「あはっ、ごめんごめん。」
石川もやっとこさベッドにたどり着く事が出来た。
「はぁ、疲れた。」
石川もベッドの上の隅に買い物の袋を肩を横にして後藤の方に背を向けて寝転がった。
「みんな帰ってきたのかなぁ?」
「さぁ・・・・あたし達が一番かもしれないね。」
後ろから聞こえてくる後藤の言葉に石川はそのままの体勢で答える。
「・・・・・・・・」
そんな石川の後姿を後藤は黙って見た。
そして何か思いついたのか頭の上に!マークを浮かべるとそのまま静かに
近づいていった。
- 91 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時35分24秒
- 「わぁ!」
「キャッ!」
後藤はそのまま突然ベッドに手をついて横に眠る石川の体の上に被さるようにして
大きな声を出した。
いきなりの事で小さな悲鳴を上げる石川。
「びっくりしたぁ・・・・・」
「えへへ。」
顔の向きを戻して石川は目の前の後藤を見た。
いたずらそうにして後藤が微笑む。
「I LOVE YOU〜」
「わっ、ちょっと・・・」
ふざけるような口調でそのまま後藤が石川に抱きついた。
石川はいきなりの事でびっくりする。
顔を真っ直ぐに戻し、二人の視線が交差した。
- 92 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時36分30秒
- 「梨華ちゃん・・・・・」
「あ・・・・・・・」
優しく名前を囁いて、顔を近づけ唇をあわす。
最初戸惑っていた石川もすぐに後藤の首に両手を回した。
「んん・・・・・・」
しばらくの間唇をあわした後ゆっくりと顔を離した。
「夕食まで・・・いいよね?」
「ちょっと待って・・・・・」
後藤が石川に確認の言葉を尋ねるとすぐに石川からは思ってもいなかった
返事が返ってきた。
- 93 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時37分01秒
- 「たまには・・・・リードさせて」
「へ?わっ・・・・!」
突然そう言うと石川は押し倒していた後藤を逆に下にして自分が上になった。
「り、梨華ちゃん!?」
「お姉さんの言う事聞いてね?」
言うと石川はふっと後藤の耳に優しく息を吹きかけた。
「あっ・・・・・・」
いつもとはまったく正反対のお姉さん風を漂わせながら口調も変わりいつもより遥か
優しくなっていた。
- 94 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時38分20秒
- 「可愛いよぉ真希ちゃん」
「真希ちゃん!?」
呼ばれたことのない名前に後藤はびっくりして目を丸くした。
(も、もしかして・・・・・・)
梨華ちゃんってHの時になると人が変わる?
いつもの年より下の雰囲気を出してからかわれている石川は目の前にはいない。
完璧に大人な感じだ。
「ん・・・・・!」
耳たぶをどこか厭らしく舐められて声を後藤は上げてしまう。
- 95 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時39分19秒
(な、なんで〜!?もしかしてごとーより上手!?)
後藤の心の中の戸惑いも知らず石川はそのまま優しく後藤の頬を撫でる。
そして今さっきとはまったく違う二回目のキスを交わした。
「むぅ・・・・・・」
そのまま洋服のボタンは外されるは脱がされるは嫌に手が早い。
戸惑っている暇もなかった。
「り、梨華ちゃん・・・・」
思わず恥ずかしくて俯き顔を紅くしてしまう。
「大丈夫お姉さんに任せて」
「・・・・・・・・」
完璧に入ってしまっている石川にただ唖然とするしかできなかった。
カタッ
そんな時小さな音が部屋に響いた。
- 96 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時40分11秒
石川が行為を続け後藤のブラを外すのに背中に手を掛けた時、
「り、梨華ちゃん・・・ごっちん・・・・」
「「!?」」
ふいの声に二人は驚いて後ろをそのままの体勢で振り向いた。
「よ、よっすぃーーー!!!」
「矢口さん!!」
後藤と石川は続けて驚いて声を上げた。
だってそこには二人しかいないはずの部屋に呆然とする吉澤と矢口の姿があったのだから。
「り、梨華ちゃん・・・・・・」
一番吉澤が目を丸くしていた。
だってそこには後藤を押し倒す石川の姿があったから。
逆ならまだしもこれは予想だにしなかった光景だ。
- 97 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月08日(木)21時41分15秒
「キ、キャァ!!何入って来てんの二人ともぉ〜!!!」
今更のように後藤が悲鳴を上げて顔を真っ赤にして乱れていた洋服を体に
掛ける。
「ち、ちが・・・誤解だよ!!部屋のドアが少し開いてたから・・・・・」
矢口が必死に説明するが後藤の耳には入っていないようだった。
「矢口さん、よっすぃー・・・・・」
石川はどこか残念そうに二人の姿をぼーっと見つめていた。
「「ご、ごめんなさ〜いっ!!!」」
二人は慌ててその場から逃げ出した。
パタンッ
しばらくして小さく部屋のドアが閉まる音が二人に届いていた。
「「・・・・・・・・・」」
突然の来客の逃げ去った後ろ姿に二人は呆然とするしかなかった。
- 98 名前:aki 投稿日:2001年11月08日(木)21時42分57秒
- >>88-97
更新でっす。
前とは比較できないほど遅くなっちゃってすいません。
一回上げちゃいました。更新したことが分かりやすいかなっと思ったので(w
- 99 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月08日(木)23時18分16秒
- やった〜交信だぁ〜
うれしいなぁ、交信はやくて。
私は交信マイペースなので羨ましいです(w
まあ行き当たりばったりなのでそうなるんですが(w
頑張ってくださいね♪
- 100 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月09日(金)02時21分45秒
- んあ〜残念!
ごっちんをリードする梨華ちゃん見たかった…。
私はこっちの方が好み(w
- 101 名前:aki 投稿日:2001年11月09日(金)21時02分31秒
- 99:名無し梨華さん
>レスありがとうございます。
自分の事ながら本当に更新ばかりしてますね(w
これからも頑張りますよ〜。
100:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
私も書いてて残念でした^^;
この二人の場合だと私もこっちの方が好みかもしれないです(w
- 102 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月11日(日)00時07分58秒
- 「はぁ・・・・びっくりした・・・・・」
吉澤と矢口は逃げるようにして隣の自分達の部屋に戻ってきた。
実は買い物を済ませ荷物も全て部屋に置き休憩を取った後、中澤達がまだ
帰ってきていないため下に見に行こうとゆうことになったのだ。
そしてその時通りかかった後藤達の部屋が微かにショッピングのした時の
紙がドアに挟まっており開いてあったのだ。
まだ帰って来てないのかそれとも帰っているのか。
最悪閉め忘れか泥棒?なんて思って覗いてみたのだが・・・・。
「よっすぃーが入ってみようって行ったからぁ・・・・・」
矢口が頬を真っ赤にして手で冷やしながら言う。
- 103 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月11日(日)00時09分09秒
- 「だ、だって何かと思うじゃないですか。それに・・・あんなことしてるなんて
思わなかったし・・・・・」
吉澤の言葉に二人とも再び今さっきの光景を思い出し赤面してしまった。
((梨華ちゃんが『上』だったなんて・・・・))
二人とも同じ事を心の中で呟いていた。
それだけ意外だったのだ。
そんな誤解(?)を招いているなんていと知らず。
中澤達も買い物を思う存分楽しみ笑いながら帰ってきてそして夕食。
- 104 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月11日(日)00時10分59秒
- 「もう許せない〜!温厚なごとーもたまには本気で怒るよぉ!?」
後藤はそんな独り言を大きな声で叫びながら夕食を全員と長いテーブルで
共にしながらフォークを空高く上げた。
「ご、ごっちん・・・・・」
「恨むよぉ?二人とも〜!?」
「「・・・・・・・・」」
吉澤も矢口もなんて言葉を返したらいいのか分からなくて困っていた。
「ちょ、ちょっとごっちん・・・・」
「梨華ちゃんごとーは今回の旅で新しい梨華ちゃんの一面が
発見できて益々メロメロだいっ」
石川には態度を180度変えて甘えムードで隣の石川の腕に抱きつく。
- 105 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月11日(日)00時13分25秒
- 「もうそういうのは二人だけの時に言ってよぉ・・・・」
頬を紅くさせ照れながら石川が言う。
それにはまるで今さっきの大胆な『石川梨華』は全く感じさせない。
しかし前ならただ恥ずかしがるだけだが、逆に周りが恥ずかしくなるようなことを
簡単に口にしている。
明らかに、恋人である後藤にある意味似てきているかのようだ。
「あ、もしかして昨日あんた達・・・・・・」
矢口が!を閃いて言ってみた。
「やっだぁ〜!!そんなこと言えるわけないじゃんっ!ねぇ?梨華ちゃん」
「もう・・・・」
相変わらずの後藤に石川は顔を赤くさせながらただ黙々と食事を取る事に
専念してしまった。
- 106 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月11日(日)00時15分45秒
- 「はぁ・・・・・そういうことかぁ・・・・」
吉澤は少し感心するように頷いた。
後藤がはりきってたのは知ってたけど本当に実現させるとは。
言った事は実現させてしまう後藤に素直にうらやましくなってしまう。
自分とはと言えば、矢口と同じ部屋でたくさんの時間を過ごせてそれだけで
いいなんて思ってた。
確かに同じ部屋でかなり緊張したけどそんなムードにはならないし特に
矢口は石川よりその辺に関しては慎重な気がしたからだ。
「・・・・・・・・」
吉澤はちらっと矢口の横顔を盗み見た。
「!」
そんな時ちょうど矢口も自分の方を見ようとしていてバチっと目が合ってしまう。
二人は慌てて視線を外した。
- 107 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月11日(日)00時16分58秒
- そんな向かいの二人の様子に後藤は石川と話すのに夢中で全く気が付いていなかった。
「「・・・・・・・・・」」
そのまま二人は無言で食事を取っていた。
- 108 名前:aki 投稿日:2001年11月11日(日)00時18分24秒
- >>102-107
更新っす。
- 109 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月11日(日)22時22分01秒
- つ、次はよしこが勇気を出す番だ!(w
交信、お疲れ様ですぅ
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月11日(日)22時34分13秒
- おお!!
次はやぐよしか?
期待
- 111 名前:aki 投稿日:2001年11月11日(日)23時11分31秒
- 土、日とちょっと試験受けてきました。
ちょっと疲れ気味なので今日は更新しません。すいません(++)
109:名無し梨華さん
>レスありがとうございます^^
見たときレスあるとすごい嬉しいです。
次はいよいよよしこの番ですね。
これからも頑張ります〜。
110:名無し読者さん
>レスありがとうございます〜。
次は私にとって初のやぐよしです。
期待に答えられるといいです。
P.s 11日の更新は疲れ気味だったので描写も文章も大雑把に
なってしまったんですが大丈夫でしたでしょうか・・・?
これからは疲れとって気合入れてまた書いていきます。
- 112 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時19分08秒
- 夕食後。
ホテルの部屋。
「ん〜?」
後藤はホテルの部屋の壁にぴたっと耳をくっつけていた。
「?何やってるの?ごっちん。」
「しーっ・・・・」
口元に人差し指を立てて不思議がる石川に答える。
「何か聞こえるの?」
「・・・・まったくあの二人はこんなチャンスに進展しないつもり?」
「あの二人って・・・・あぁ・・・!」
後藤が耳を立てているのは隣の矢口達の部屋側だった。
石川もやっと後藤の行動がどういうことなのか分かった。
- 113 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時19分47秒
- 「ごっちんダメだよぉ!盗み聞きなんて悪趣味だよ〜!」
「悪趣味って言ったらあの二人だって人の部屋に不法侵入したもん。」
袖をひっぱってやめさせようとする石川は無視で耳を当てつづける。
「だからって・・・・・・」
「う〜ん。残念な事になんも聞こえない。」
しばらくして後藤はつまらなそうにして耳を壁から外した。
「もう・・・・・・」
そんな後藤に石川は眉を八の字にして困ったように声を漏らす。
「ん?」
後藤はすぐ横に振り向いた。
するとすぐ隣に石川がいた。
自分の行動をやめさせようと知らない間に同じベッドに上にいたのだ。
- 114 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時20分22秒
- 「・・・・・へへ〜まぁやぐっつあん達のことはいいや」
「え?」
ベッドの上で女の子座りしている石川がいた。
そんな石川に向かってぐぐっと近づいていく。
顔がすぐ近くまでの距離まで近づかれて石川は少し後ろに引いた。
「ごとー達はごとー達でいいことしよーね」
「むっ・・・・・!」
言いながら石川が返事する前に唇を奪った。
奪うようにして口付けを交わす。
(梨華ちゃんに責められるのもいいけど、やっぱりごとーが梨華ちゃんよりも
下手ってのもなぁ〜)
前とは違う奪うようにして唇を貪る。
昨日は二人にとって初めてだったしそんなに激しくしなかった。
何より気持ちが深くつながった。
- 115 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時21分00秒
- (でも、今日はごとースペシャルで・・・・・・)
「って、むむ!?」
一方的に入れてたはずの自分の舌がいつのまにやら石川のそれに絡みつかれていた。
しかもだんだん自分の中の方へ入ってくる。
「んぅ・・・・・」
完璧に石川リードに変わった口付け。
(なんでぇ!?なんでなの〜〜〜〜!!??)
だけど心の中の叫びも空しくキスが気持ち良いからどうしょもない。
石川リードの口付けにいつのまにか後藤が完璧に受けている形になっていた。
長すぎるほどのキス、部屋には淫らな音が響く。
「はぁ・・・・・」
やっと唇が離れた時は後藤の方が息が荒くなっていた。
- 116 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時21分41秒
- 「お姉さんに任せなさい」
「り、梨華ちゃん待ってぇ・・・・・あぅ・・・・・!」
後藤の言葉も空しく、目覚めてしまった石川はそのまま後藤を
ベッドへ押し倒していった。
- 117 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時22分29秒
- 「ん?」
部屋のどこからか音が聞こえて吉澤は首を傾げた。
空耳じゃない。
確かに聞こえたそれ。
恐る恐る隣の部屋に耳を近づけてみる。
『あっ・・・・・・』
「ごっちん!?」
思わずつけていた壁からとっさに離してしまう。
普通の声じゃない。
吉澤は思わず頬を紅くさせてしまう。
だってそれは・・・・・
「どしたの?」
矢口が洗面所から顔を出してくる。
- 118 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時23分05秒
- 「な、なんでもないんですっ!」
「?」
変な吉澤に首を傾げながら矢口は自分のベッドへと戻っていった。
「・・・・・あのさぁ・・・」
「は、はい?」
「ごっつあん達のことどー思う?」
「ご、ごっちんと梨華ちゃんですか?」
タイミングが良すぎたので吉澤は心の中でかなり動揺した。
「うん」と矢口がそんな吉澤に向かって頷く。
「幸せそうですよね。」
「矢口もそう思う。幸せ一杯だっていうのが見てるこっちにも羨ましくなるくらいに
伝わってくる・・・。」
「?」
少し沈んだ口調になった矢口に吉澤は首を傾げた。
- 119 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時23分50秒
- 「・・・・・突然だけどさ・・・矢口のことよっすぃーはどう思ってるの?」
「へ!?」
本当に突然の言葉で吉澤はこれでもかというくらい驚いた。
「どう思ってる?矢口の事。」
「ど、どうって・・・・可愛いし、好きですよ?」
「・・・・んじゃさぁ、抱きたいって思いはしないの?」
「へ!?」
「だってさぁ・・・・・よっすぃーなんか全然そういうこと考えてないみたいで
さ・・・・」
矢口は顔を真っ赤にしながら横に背けながら言った。
「矢口って子供っぽいしさぁ、魅力ないのかなって・・・・・・」
「そ、そんなわけないですっ!!」
「本当?」
「本当ですよ!だってあたしは・・・・・・」
そこまで言いかけて吉澤ははっとして言葉をとめた。
「・・・・・・・・」
そんな吉澤を前から見つめる矢口。
「矢口はさ、ずっとよっすぃーのこと好きって気がついた時から・・・・・」
「矢口さん・・・・・・」
矢口のそこで言葉をとめたが言いたいことは吉澤にはちゃんと伝わっていた。
二人は静かに唇を近づけていった。
もう、言葉は二人に必要なかった――――――
- 120 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時24分51秒
- そしてこちら。
自分達のおかげで矢口達が上手くいったとは露知らず。
「あぅ!・・・・そこだめぇ・・・・・」
首筋でも喉元でもない微妙なところを口付けされいつもとは全く正反対に
後藤が顔を紅くさせ拒む。
「ふふ、ならやめる?」
小さく笑いいたずらげに言う石川。
いつもの二人を感じさせない全く正反対の会話と立場。
「り、梨華ちゃんの・・・・いじ、わるっ・・・・・・!」
ボタンが外され軽く乱れされた服もあっという間に脱がされる。
石川は後藤の背中に手をやりブラも外しそのまま直に手で大きめの胸に優しく
触れた。
- 121 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時25分37秒
- 「分かってる。ごめんね。」
屈託のない微笑を浮かべ自分に謝るとぱっと目の前の石川の顔が消えた。
「やっ・・・・・・」
露になったそれに優しく口付けされそのまま舌で愛撫される。
なぜかそれは全て後藤の快感のポイントを満遍なく掴んでいて自分の出す日頃では
滅多に出さない声に恥ずかしくて紅い顔を横にしまくらの裾を強く掴む。
しばらくずっと胸を責められ続けそれが全て気持ちよくて後藤は目をぎゅっと
瞑った。
それが大好きな、愛しい彼女のものだってだけで感じてしまう自分がいる。
「はぁ・・・・・り、梨華ちゃん・・・・・」
恥ずかしくて瞑っていた瞳を開けて快感の中で必死に名前を呼んだ。
- 122 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時26分42秒
「・・・・・好きだよ。」
目は合わせないで少ししてからそう答えるとそのまま石川は手を下に
這わせていこうとする。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ・・・・・ごとーの立場は・・・・・・」
「怖いの?それとももしかして嫌・・・・?」
語尾が小さくなってしまったそれはどうやら石川には聞こえていなかったらしい。
逆に後藤の胸の中など知らず石川はまるで捨てられた子犬のようにすがるような
表情で後藤を見た。
その少し上目遣いが入った瞳がどこか色っぽくて愛しくて後藤の中で再び
胸が高鳴り始めてしまう。
- 123 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時27分23秒
- 「い、嫌なわけない・・・・けどぉ・・・・」
「どうして欲しいか・・・・言ってね、真希・・・・・・・」
「あ・・・・・・」
自分の言葉を聞く前に石川の表情はすぐに今のそれは消え去り年上のお姉さんの
ような大人な表情で後藤の手を取りそれを自分の頬から髪へと触れさせた。
優しく言うと後藤の手に口付けた。
こんなシチュエーションでそんな表情で、目で、口調で、仕草で言われたら
(ご、ごとーが下でもいいかも・・・・・・)
なんて思ってしまう。
高鳴る鼓動。
今までとは違うまた異なった物。
まるでそれは再び彼女に恋をしているかのような・・・・。
- 124 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時28分12秒
- 愛しいあなたから呼ばれた二度目の自分の名前。
それは全然初めての時とは違う物だった。
「んっ!・・・・は、早いよぉ!梨華ちゃん・・・・・!」
「じゃあどうして欲しいの?」
「そ、そんなこと言えな・・・・・い・・・・・・あっ・・・・!」
「こっちの方がいいはずだから身を委ねて。」
「うぅ・・・・・・」
恥ずかしいけど後藤は言葉通り石川に身を委ねる事にした。
もう、ごとーの全てを梨華ちゃんに惚れさせちゃってよ。
メロメロなぐらいに、溶けてしまうぐらいに、
あなたの全てを感じさせて―――――――
- 125 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)19時28分47秒
- ねぇ、いつからだろう。
こんなにもあなたのことが愛しくなったのは。
前からずっと好きだったよ?
だけど今は自分の中から溢れてしまいそうになるほどあなたが愛しい。
好きでしょうがない。
何にも手につかないぐらい?
ねぇ、感じてね
あなたの全てで私を感じて
私もあなたの全てを愛するから――――――
- 126 名前:aki 投稿日:2001年11月12日(月)19時31分02秒
- >>112-125
更新です。
石川と後藤のこんなシーン入れる予定はとりあえずなかったんですけど
サービス的に入れちゃいました(w
今日の更新の最初の方かなり手抜きで書かれてますね、
すいません。
それにしてもこういうシーンは恥ずかしいっす(爆)
大雑把に書いちゃいました。
- 127 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月12日(月)19時42分46秒
- ぐはぁ!やられました!
盗聴しあうよしごまに、いつのまにか下になっているごまに萌え(w
作者さんのいや〜んシーンは、上手くいえないけど、スキっす。
頑張ってくださいね♪
- 128 名前:aki 投稿日:2001年11月12日(月)23時07分00秒
- 127:名無し梨華さん
>レスありがとうございます。
萌えてもらえたようで嬉しいです(w
こういうシーンってダメっすねぇ、私。
下手で下手で・・・(w
今日更新したんですけどそろそろ空板一つに集中しようと思うので
今までずっと書いてました。
ので更新します。
- 129 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時08分16秒
- ―――――――
「・・・・・愛してます、矢口さん・・・・」
「矢口も・・・・・・!」
「私なんかのこと、好きになってくれて良かった・・・・」
「あっ・・・・・・!」
『愛してる』
初めてだよ?
そんなこと誰かに言われたの。
恥ずかしいけどすごく体の中から暖かくなれる。
安心できて気持ちいい。
好きになれて、
初めて『愛してる』って囁いてくれたのが、
よっすぃーで良かったって今までで一番感じた――――――
- 130 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時09分14秒
- それぞれの長い夜は更け、心地よい朝日は全ての恋人達に朝を知らせるため昇る。
「よっすぃ〜」
「矢口さん」
「梨華ちゃん」
「もう・・・・・・」
「「「・・・・・・・・・」」」
吉澤と矢口、そして石川と後藤の見ていて砂を吐きそうになるぐらいの
らぶらぶ状態に中澤、安倍、保田、飯田、そして加護辻は唖然として口に
持っていくはずのフォークとナイフをとめてしまった。
「な、なんだべこれ!?」
「あたしが聞きたいわ・・・・・」
目の前でべたべたいちゃいちゃしている四人に安倍は驚きの声を上げた。
中澤も何があったのかさっぱり分からず呆れてしまう。
- 131 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時10分45秒
- 「あ〜、これは上手くいっちゃったのかぁ。」
「何が?」
残念そうに呟く加護に不思議がる辻。
「まぁ、仲良い事はいいことじゃない?」
「でもこれは・・・・限界を超えてるって。」
いたってのんびり構えている飯田に保田はそちらにも呆れて言葉を返した。
中澤達もその保田の言葉にうんうんと頷いてしまう。
「はい矢口が食べさせたげる」
「ありがとうございます〜」
「梨華ちゃん今日も一緒に買い物しようねぇ」
「うん」
ほとんど同じ状態の四人に中澤はやれやれと微笑みながら息を吐いた。
- 132 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時11分46秒
- 「グアム一週間の旅行も、今日で最後やな・・・・・」
遠くを見ながら中澤は思い出すようにして言った。
「そうだねぇ。」
「早いような長かったような、だね。」
安倍に保田も頷いた。
思えば突然の宝くじ当選に、500万円の当選金。
突然の社員旅行に始めての海外旅行。
みんなで空港に行って飛行機乗った。
全てが初めてに近かった。
日頃の疲れを取るための特別な10人での旅。
全てが一生の思い出となるだろう。
- 133 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時13分06秒
- 少ししんみりとしてしまった気持ちから抜け出して横を見ると
そこにはいつもとまったく変わらない様子の仲間がいた。
「裕ちゃん何感傷的になってるのさ。」
「ええやんか別に。」
「年だから♪」
辻が楽しそうに笑いながら言った。
「おまえなぁ〜!!!」
怒りの形相で怒る中澤。
それに全員が一斉に楽しそうに笑う。
いつまでもこの笑い声が絶え間ない旅館を全員と続けていきたい。
笑いながら中澤はそんなことを思っていた。
- 134 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時13分47秒
- 朝食も終え、今日はグアムで最後の日。
それぞれが自由行動となり既に分かり始めてきたグアムを回ることになっていた。
明日の今ごろは飛行機に乗り日本へと向かっている。
少し寂しいけどそんな気持ちは吹き飛ばしておみやげを買うのにそれぞれ
町へと繰り出していた。
「今日で最後だねぇ。」
「そうだねー・・・・・・」
「もっと居たいよ〜!」
後藤と石川は一緒に昨日行けなかったショッピングセンターへと繰り出していた。
周りは全てアメリカチック。
日本語なんて全く存在しない。
そんな日々とも明日でさよならだ。
- 135 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時14分33秒
- 「なんか・・・・・寂しいね。」
「あはっなんかお別れするみたいじゃん。」
沈んだ口調の石川に後藤は振り向きながら言った。
「そうだけど・・・・・・」
「また来ればいいってだけでしょ?またみんなで来ればいいんだよ。」
にこっと笑い後藤が隣の石川に言う。
「後ろ見ちゃダメだよ。前を見なきゃ。ごとーと一緒に・・・・ね?」
「・・・・ごっちん・・・」
明るく言ってくれたその言葉がすごく嬉しくて、いつのまにか寂しさも
なくなっていた。
「それよりさ、お土産買おう!」
「うん!」
二人は手を繋いで広い大きなショッピングセンターへと繰り出していった。
- 136 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時17分12秒
- 「あっ!これ可愛い!」
「ん?あ、ほんとだぁ。」
お土産も充分に揃えて二人はバス停のある場所へと向かう途中だった。
そんな時石川がガラスケースの中にある指輪を指して言ったのだ。
それはシルバーの可愛くデザインされているものだった。
シンプルだけど本当に小さく描かれている細工など全てが本当に可愛かった。
「いいなぁ、欲しいな・・・・・あ、でも高い・・・・」
それをきらきらと見つめながら小さく呟いたがすぐ隣の値札を見てすぐに
沈んだ声に戻ってしまった。
「ごとーが買ってあげるよ。」
「えっ!?」
「プレゼントしてあげる。」
「ダメだよっ!これ・・・・結構高いし・・・・」
値札には150$と書かれてあった。
- 137 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時17分56秒
- 「今更じゃん。こんなに買い物してんのにさ。」
にかっと笑い後藤は両手の買い物袋を上にあげた。
「だって・・・・・」
全ての買い物はお手ごろなものが多数に少し高めの物が少しだった。
確かにこれよりも高い物は1、2点買ってはいるがどれも洋服やバッグ、などなど。
「ほら、前に梨華ちゃんがごとーにプレゼントしてくれたでしょ?・・・・・これ。」
後藤は自分の首につけられているネックレスを指で引っ掛けて洋服の中から出して
見せた。
「あの時本当に嬉しかったんだ。だから、今度はごとーにプレゼントさせてよ。」
「ごっちん・・・・・・」
それから後藤はお店の人を呼んでそれを石川にプレゼントした。
- 138 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時18分55秒
- 「はい手出して」
「あ・・・・・・」
あの時のように、後藤は逆に石川の手を取るとそれを左手の薬指につけてあげた。
「覚えてる?」
「うん、覚えてるよ・・・・」
嬉しそうに微笑みながらつけてくれた指輪を石川は見つめた。
無駄な言葉は必要いらない。
それだけで通じ合える思い出がある。
「そして・・・・実はごとーも・・・・・じゃ〜ん!!!」
「あぁ!同じ指輪・・・・・」
「お揃いの指輪買っちゃいましたぁ!」
楽しそうに笑い後藤はそれを石川の目の前に出して見せてあげた。
- 139 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時20分10秒
- 「あっ!いつのまに・・・・・」
「見つからないように買っちゃいましたね、それよりごとーにもっ」
「うん!」
石川は後藤のそれを受け取るとあの時のように手を取り、今度は左手の薬指に
それをはめてあげた。
あの時とは違う場所。
お揃いの指輪。同じ指。
- 140 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時21分05秒
- 「なんか結婚式みたい。」
幸せそうに笑いながら石川が後藤の指輪を見ながら言う。
「ごとーは梨華ちゃんとなら結婚してもいいよ。ってかしたい。」
「あはは、あたしもだよ。」
楽しそうに微笑みあい、笑いあった。
「本当だよ?嘘じゃないからね?」
「分かってる。あたしだってそうだよ。」
幸せをかみ締め二人は最高のお土産を手に、手を取り合った。
- 141 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時21分55秒
- 太陽が沈む頃、全員はある場所に集合していた。
グアムでイベントは、夕日の中をクルージングしながら夜はディナーショーだった。
「気持ちいいっ!」
風を体全体に受けて目の前の眩しいほどの紅い夕日を船から全員は見ていた。
海はおだやかでほとんど波はない。
船の後ろに目を向ければ紅い夕日に照らされた赤一色のグアムの町並みがあった。
「「グアム最高〜〜〜!!!」」
満面の笑みで加護と辻が両手を上げて騒ぐ。
「写真取ろう〜!!」
安倍が写真を取るため全員を呼んだ。
一列目に加護、辻、飯田に保田、安倍そして二列目に中澤、後藤、石川、吉澤、矢口が
並んだ。
夕日をバックにしてカメラを置き安倍がタイマーにセットして準備した。
- 142 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時23分34秒
- 「待って待ってぇ!!」
急いで列へと戻る。
カシャッ
それから約3秒後にカメラの乾いた音が通った。
いろんな表情で全部で5枚取った。
ふざけて会話し笑い在ってる仕草に全員が同じポーズの物、普通に笑って取った物に
そして最高の笑みを浮かべた物。
いつのまにか夕日は静かに海へと沈み始めていた。
- 143 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時26分14秒
- 全員が始めてのディナーショーだった。
音楽に外国の歌手のような人の歌声、美味しい料理に楽しい催し物。
時に小さく揺れる船体。
全て終わって自由時間。
空はもう海と同じくらいに深くて濃い青色をどこまでも続かせている。
そこに浮かぶのは無数の星達。
「綺麗・・・・・」
船の後ろの甲板の手すりに石川は手をかけていた。
空を仰ぐようにして星を見上げる。
「梨華ちゃ〜ん?」
「こっち〜。」
辺りを見渡しながら来る後藤に石川は手を上げて答えた。
- 144 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時26分57秒
- 「どこに行ったのか分かんなくて探しちゃった。」
「ごめんね。星を見てたの。」
石川の言葉に後藤も空を見上げてみた。
「すごい数・・・・」
「旅館から見える星も凄いけどこっちはもっと凄くてびっくりしちゃった。」
それからしばらく二人は黙って真上の空を見上げていた。
「また来ようね。いつか絶対に。」
「うん。」
「・・・・二人で一緒に、来ようね。」
「約束しよう?」
「うん、約束・・・・」
二人はそれぞれ自分の小指を絡めた。
- 145 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時27分45秒
- 『約束』
いつか二人でまた来よう。
そして今みたいに星を見ようね。
「約束、だよ?」
今がすごく幸せで、幸せなのになぜか分からないけど少し寂しくなって後藤は
石川の手を握った。
「うん」
石川は優しく微笑んで後藤に返事した。
「約束・・・・・・」
いつものように後藤は石川の腕に抱きついた。
だけどそれは少しだけいつもとは違くて、甘えるような物だけど確かめる
ようなものだった。
「大丈夫だよ・・・・」
その肩を石川は抱いてあげた。
- 146 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時28分48秒
- 幸せすぎて不安になる時ってある。
幸せすぎて怖くなってしまう。
確かめたくなる。
その幸せが本当なのかどうか。
来てから、微かに思ってたいつか来る旅の終わり。
それはやっぱり寂しくて・・・・
二人は静かに唇を合わした。
優しい胸が温かくなる口付けを。
無数の星達はそれを微笑んで見守っていた。
いつかの『約束』の時まで、ずっと待っているよと囁きかけるように。
唇が触れた直前、二人の真上の星空に一瞬小さな光が空を駆け抜けた。
『また来ようね』
願いを叶えるようにそれは本当に一瞬で空に流れていった。
- 147 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時29分25秒
- 「また来てねぇ!また案内するからぁ!!」
「あはは、分かってる。また案内してや。」
グアム最後の朝。
朝食も軽く済ませ全員は大荷物をそれぞれ抱えながらホテルの前に集まっていた。
ホテルで勤める彼女がわんわんと泣いて別れを惜しみ中澤がそれを笑いながら
抱きしめてあげていた。
空港までのホテル専用のバスが到着し全員は荷物を後ろに積み自分達も乗り込んでいった。
「またのお越しを、お待ちしております・・・・・!」
彼女は最後、堂々とホテルマンらしく頭を下げるとバスを見送った。
空港まで行く事も出来たが、最後までホテルマンとして見送ることを
決心していたのだ。
- 148 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時30分32秒
- 「またなぁ!!!」
「「ありがとうございましたぁ!」」
中澤に加護、辻を含め全員はこのグアムでお世話になった彼女にバスから顔を出し
手を力いっぱい振った。
彼女も嬉しそうに涙をこぼしながらそれに答えていた。
- 149 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時32分19秒
- 空港に着き、全員は何事もなく手早く出発の準備を済ませた。
「またね・・・・・・」
飛行機に乗り込んで、椅子からグアムを眺めながら後藤は小さく呟いた。
「ごっちん・・・・」
その様子に気付き石川が声をかける。
「なんか、偉そうなこと梨華ちゃんに言っといて最後はごとーが寂しくなって
来ちゃった。」
笑いながらもその瞳は少しだけ潤んでいた。
「なぐさめてあげる。」
「どうやって?」
「さあね」
二人は笑いあって後藤は石川の肩に頭を乗せた。
- 150 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時33分01秒
- たくさんの楽しい思い出をありがとう。
それからしばらくして、全員の乗った飛行機はグアムの地を離れていった――――
- 151 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時33分59秒
- 小休止
- 152 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時36分07秒
- 「今日も仕事かぁ。早く終わりにして梨華ちゃんとデートしたいよ。」
「こらっ、またそんなこと言って。怒られてもしらないよ?」
「おりこうさんなこと言ってよっすぃーだって本当はそうでしょ?」
あれから一ヶ月。
いつもの毎日、いつもの仕事の日々が戻り後藤と吉澤は露天風呂の掃除を
しながら話をしていた。
「まぁ、ね。」
「ほっら〜!!ね?こんな仕事してらんないっつうのっ!!」
『えぇ!これから急の団体の宿泊客さまがお越しになられる事になりました!
気ぃを抜かずにぃ!!』
「「ひっ!!」」
タイミングの良すぎる中澤の放送に後藤と吉澤は跳ね上がるようにして驚いた。
「心臓にわっる〜・・・・・」
「ここの会話って聞こえてんのかな・・・・」
「二人とも〜〜!!!団体さんだべぇ!早く掃除すませるべさぁ!」
「「あ〜い」」
安倍の声に気だるそうに二人は答えた。
そんなことがおかしくて愉快に笑いあう。
- 153 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時37分12秒
- 「のわっ!また電話だぁ!」
「中澤さん呼んでこんと〜!」
カウンターの中にいた加護と辻が慌てて忙しそうに部屋を掛けめぐる。
「「中澤さ〜ん!!!」」
「あいあい!ちょい石川あの二人ちゃんと掃除してるか見て来てくれへん?」
「分かりました。」
「裕ちゃん!洗濯機が動かない〜〜!!!」
「掃除機どこやったぁ〜??」
飯田に保田の忙しい様子の声。
「なっちぃ!どこ行ったのぉ!?」
「ここだべぇ!」
忙しそうに旅館を駆け巡る安倍を矢口が辺りを見渡して探す。
- 154 名前:とある旅館の物語 投稿日:2001年11月12日(月)23時37分46秒
- 今日もいつもと変わらない日々が過ぎていく。
それはとてもシンプルでいつもと同じような日々。
そんな毎日が本当に楽しくて幸せで嬉しい。
それぞれの胸に刻まれたグアムでの思い出。
思い出せばほら、すぐそこに溢れてくる暖かい気持ち。
旅館での全員の物語は、これからもずっと続いていきそうです。
〜End〜
- 155 名前:aki 投稿日:2001年11月12日(月)23時41分39秒
- 「とある旅館の物語」終わりましたぁ。
やっぱり掛け持ちはきついですね。
一気に集中して今日終わらせました。
「とある〜」の最初の方とこっちのスレではなぜか小説の中で
すごく月日が経っているように見えます。
出会った事で変わっていった石川とか見ると特にです。
コメディーちっくに書くのが目的だった小説なので書いてる
側も楽しく書けました。
長い間ご愛読ありがとうございました。
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2001年11月13日(火)00時49分06秒
- なんか好きなドラマが終わっちゃったみたいで寂しいな〜。
お姉さんな梨華ちゃんがとってもよかったです。
作者さんお疲れ様でした。次回作も期待しています。
- 157 名前:Russian 投稿日:2001年11月13日(火)01時08分43秒
- 最後の終わり方がとても好きです。
これからも、ワイワイガヤガヤやりながら、彼女たちは、
一歩ずつ成長していくんでしょうね。『とある旅館』の中で。
最初のスレッドと、このスレッドで結構時間がたったように感じるのは、
きっと、主人公が成長したからですよ。…そんな気がします。
掛け持ちの中、お疲れ様でした。
この作品も楽しませていただきました。ありがとうございました。
- 158 名前:ちび 投稿日:2001年11月13日(火)01時20分43秒
- >156さんの言うとおり。なんか寂しいです。
楽しく、感動しながら読んでました。
お疲れ様です。
- 159 名前:式神 投稿日:2001年11月13日(火)02時58分11秒
- akiさん、お疲れ様でした。
終わってしまうのは、とても寂しい・・・(T_T)
akiさんの書かれる『後藤さんと石川さん』の関係が
とても好きです。
今、連載中の小説もかなり好きです!!
これからも頑張って下さい!
追伸〜
『いしごま』書いてる途中です。しかし難しい・・・(w
精神的なつながりをこの二人には求めてしまうせいなのか難しいです。
- 160 名前:aki 投稿日:2001年11月13日(火)12時15分30秒
- たくさんのレス本当にありがとうございますm(__)m
なんか飽きっぽい自分が何でこんなに続いて文章書けてるのは
読者様達のたくさんのレスがあるからだと思います。
あぁ、この一瞬のために書いてるんだなって(w
いつも画面の前で頭下げてます(爆)
156:名無し読者さん
>レスありがとうございます。
お姉さんな梨華ちゃんは書いてても楽しくて可愛かったです^^
日常的な話で長くしたいと思っていた目標は達したんですけど、
私も寂しいです^^;
ここまで付き合ってくださってありがとうございました。
157:Russianさん
>ありがとうございます。
そうですね。なんかみんな最初の頃よりすっごく大きくなったな
と思います。
みんなが成長し続けられる場所ですね。旅館という場所は。
たびたびのレス本当に嬉しかったです。
長い間ありがとうございました。
- 161 名前:aki 投稿日:2001年11月13日(火)12時30分57秒
- 158:ちびさん
>レスありがとうございます。
寂しいと感じてくれて作者的にとても嬉しいです。
どの作品もなんですけど書き始める頃って全く終わりの事とか
考えてないんですよね。やっぱりどれにも終わりは来るんですけど
私も寂しいです(T_T)
作品を通していろんな感情を持って頂けたようで嬉しいです。
ありがとうございました。
- 162 名前:aki 投稿日:2001年11月13日(火)12時32分54秒
- 159:式神さん
>レスありがとうございますm(__)m
まさか式神さんからレス貰えるなんて思ってもいませんでした。
びっくりで見たとき声上げちゃいました(w
関係が〜>そうですか^^すっっごく嬉しいです(T_T)
これからは再び今書いてる一つの小説に専念したいです。
これからも頑張りますっ!
P.S おぉ!書いてらっしゃるんですか!!すっごく嬉しいです。
式神さんの書かれるいしごまを読めるなんて幸せです(w
難しいですか、確かにこの二人の繋がりってどこか精神的な
部分に視点が置かれますね。どれもそうなんですけど特に・・・。
ゆっくり頑張ってくださいっ!期待してます^^
それと、今連載中の物も時にはリアルタイムで読んでます(w
ごっちん良い子ですねぇ(T_T)というよりみんな純粋で素敵です。
よしこにがんばれとお伝えください(w
- 163 名前:aki 投稿日:2001年11月13日(火)12時34分10秒
- 『御疲れ様』の一言がとても嬉しくて一番疲れが取れます。
更新中はあまりレスがないなと思ったりもするんですがそんなこと
ないですね^^;
たくさんの方に声をかけてくださって本当に感謝です。
これからも頑張りますっ!空板もこれからもよろしくお願いします!
- 164 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月13日(火)22時24分45秒
- 終わってしまいましたか〜
大好きな作品が終わってしまうのは、少し哀しいのですが、でも最後の終わり方は、最高でした。
作者さん、ホントにありがとう!
これからも頑張ってくださいね。
- 165 名前:aki 投稿日:2001年11月14日(水)00時57分31秒
- 164:名無し梨華さん
>レスありがとうございます。
終わりました。長かったなぁって思います。
最初書き始めた頃から結構経ったなとも(w
最後の終わり方〜>ありがとうございます(T_T)嬉しいです!
これからも頑張ります^^
- 166 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月14日(水)14時45分47秒
- もし思いついたらショートショート「その後編」とか見たいっすね。
な〜んてちょこっと催促してみたり(w
- 167 名前:aki 投稿日:2001年11月14日(水)19時20分13秒
- 166:名無し梨華さん
>レスありがとうございます〜。
そうですね、書き終えた時少し考えてたんですけど実際にレスも
くれまして具体的に考えてみたんですけど良いのが浮かんだので
もう少ししたら書いてみようかと思います。
ただいつになるかは分からないです。
あまりすぐにだとつまらないかとも思いまして(w
期待しててくださいね。
- 168 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月15日(木)01時12分37秒
- >作者さん
やた!催促した甲斐あった!(w
いつまでも待ちますよぅ!
- 169 名前:aki 投稿日:2001年11月15日(木)23時56分43秒
- 168:名無し梨華さん
>レスどうもです^^
これはすべて書き終えてから一気に載せたいと思ってます。
ので、もうしばらくお待ちください。
頑張ります。
- 170 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月16日(金)00時09分42秒
- >作者さん
ん〜、マイペースで頑張ってくださいね
ちなみに僕は超マイペースですが、僕みたいにはならない方がいいです(w
- 171 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)12時43分31秒
〜The Story will be continued the coming every day〜
あれから半年。
いろんなことがありました。
うち、加護亜依の視点から語らせてもらいます。
いつもの通りよっすぃーと矢口さんはらぶらぶやし後藤さんと梨華ちゃんも
いっつもこっちが恥ずかしくなるほどいちゃいちゃしとる。
まっ、梨華ちゃんの笑顔見てるといっかって思ってるんやけどな。
それに比べののと飯田さんはいつ見てもなごやかしてて微笑ましい!
うらやましいぐらいや〜。
クリスマスも一ヶ月前からみんなで毎年飾ってる特大のクリスマスツリーを
飾り付けたんやでー!!
それからクリスマスイブもみんなでわいわいしながら過ごして、特製の料理に
七面鳥にケーキ食べてクリスマスを迎えたんや〜!
それからゆっくり白い雪が空から降ってきたん。
みんなでクリスマスソング歌いあったんや!
- 172 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)12時44分09秒
- 盛り上がってその後みんなで用意してたプレゼントを交換しあったんや〜。
その後翌日にはお母さんからクリスマスカードが届いてなぁ。
プレゼントもくれたん。
めっちゃ嬉しかったぁ
それにしてもプレゼント交換が終わったら後藤さんは梨華ちゃん連れてよっすぃーは
矢口さん連れてどっか行ってもうたん!
あれは絶対に別にプレゼント用意して交換しあったんや・・・・。
ええなぁ。
それにその後あの四人はそれぞれ帰ってこんかった。
始めてのクリスマスを二人だけで過ごしたんやな、それから朝まで・・・・・・。
何があったのかは知らんけど大体予想はつくわ・・・。
だって翌日の朝ごとーさんと梨華ちゃん幸せ一杯で二人でべたべたしながら
露天風呂に向かってたもん!
- 173 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)12時44分54秒
- まぁ、それはさておき。
それからすぐそこに海の砂浜には白い雪が綺麗に覆っててなぁ。
足跡一つついてないん!
そこにみんなで遊びにいったんや。
雪合戦したり雪だるま作ったりして楽しんだ。
辻と一緒におばちゃん狙って大笑いしてた♪
その隣の冬の海はどこか寂しげででも何でか暖かったわ。
それからあっという間に年末が来てなぁ。
仕事も忙しくなってきていつのまにか12月31日や。
大急ぎで年賀状書いてそれからみんなで大きなこたつに入って紅白歌合戦見たんやで!
こたつにはお決まりのみかんが置いてあってなぁ。
ののと一緒に食べながら見てたわ。
- 174 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)12時45分27秒
- ごとーさんと梨華ちゃんは・・・・言わんでも分かるかもしれへんけど隣同士で
べたべたしとった。
完璧に二人だけの世界に行ってしもてるからみんなもう慣れたもんで気にせず
テレビ見とった。
結局惜しいところで赤組が負けてしもてなぁ。
いっつも白組が勝ってるんや。
くやしいなぁ。
そして10・9・8・・・・と時計の針がこちこちと進んでいって
12時ちょうど!!
その時みんなで「あけましておめでとうございます」って挨拶しあったんや!
「これからもよろしくね!」って言ったんやで!
テレビではぼーんって低い音を立てて除夜の鐘が画面から流れてきたわぁ。
- 175 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)12時46分23秒
- いつもなら起きない時間まで夜更かししてその翌日?の早朝には御節料理作って
みんなで食べたんや!
お雑煮食べておもち一杯焼いたりきな粉で食べたりおいしかったぁ。
おいしかったのはいいんやけどその後はののとおこたの中でごろごろ
ぬくぬくしとったから大分体重が太ってしもた・・・・・・ってのは秘密やで?
それでなぁ!
ビッグニュースがここであんねん!
なんと!1月後半の2月近くにこの旅館に新メンバーが来たん!
二人やったんやけどなぁ、高橋愛ちゃんって子と紺野あさ美っていう子なんやぁ♪
愛ちゃんは目がぱっちりしてて黒髪のストレートであさ美ちゃんは不思議な
雰囲気を漂わす自称、他称金魚みたいな子なんや
二人とも年が近くてなんか仲良しのクラスメートが増えたみたいでののと
嬉しがってたんや
そしてその新メンバーが入ってからちょこっと時間が経って今日はなんと・・・・・
- 176 名前:aki 投稿日:2001年11月16日(金)12時52分40秒
- 一気に載せる予定だったんですけどやっぱり区切ります。
思っていたより長くなって来てしまったので(w
170:名無し梨華さん
>マイペースに頑張っていきます。
気持ち的にマイペースで力を抜いて書いていきたいです。
それと、見つけました(w
- 177 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時00分11秒
- 「きゃはっ!今日はバレンタインデー」
後藤は可愛くラッピングされているそれを胸に当てながら持ち旅館の
中をスキップで歩いていた。
「ふふふもうごとーは昨日の夜中、誰もが寝ている時間にこっそり
起きて台所で作ってたんだからぁ試食用のチョコの味はバッチリ!
さっすがあたし〜♪」
誰もいないのに一人後藤はあまり小さめとは言えない声で独り言を呟いていた。
「なにより『愛』を込めて作ったんだからねぇおいしくないはずが
ない!でもね・・・・・梨華ちゃんへの本当の『チョコ』はこれじゃない・・・・
プレゼントはあ・た・しな〜んちゃって!!もう髪だってメイク
だっていつも以上に気合入れてしたんだからぁ!きゃぁ〜!!恥ずかしい事言わ
せないでよ、もぉ!!!」
「ぐわぁ!」
一人自分だけの世界に入ってしまい独り言を大きな声で叫んでいた後藤の
横で吉澤がすごい力に飛ばされていた。
- 178 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時00分53秒
- 気付かないうちに手が出て吉澤の背中にそれがヒットし知らない間に
後藤は吉澤をすごい力で叩いていたのだ。
「ちょっと!何なのよ一体っ!!」
「あれ?よっすぃーいたの?」
「いたさっ!そんでもって吹き飛ばされたの!」
「どして?」
「ごっちんがしたんでしょ〜!」
「あ、ごめんごめん。」
やっと会話が繋がり後藤はあははと軽く笑い手を斜めにかざして謝った。
「ったくもう・・・・・」
全く分かってない後藤に説明し幾分か、吉澤の息は荒くなっていた。
相変わらずの後藤にいつものことだが呆れてしまう。
- 179 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時01分51秒
- 「今日はバレンタインデーだよ〜ん」
「知ってるよ。」
「あり?なんでそんなに冷めてんの?」
「だってあたしチョコ作るような柄じゃないもん。」
「そう?」
「後藤さん!吉澤さん!」
吉澤の言葉に後藤に首を傾げて聞き返した時、二人の名前を大きな声で呼ぶ声が
旅館に響いた。
「ん?お、紺野ちゃん。」
「それに愛ちゃん。」
二人は同時にそちらに振り向いた。
するとそこには紺野と高橋の姿があった。
- 180 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時02分31秒
- 「これ、バレンタインデーのチョコです。」
「私もです。」
高橋と紺野は続けて言うと一口サイズの大きさのチョコをラッピングしたものを
二人に差し出した。
「お、サンキュ〜♪」
「ありがとね〜。」
嬉しそうに吉澤と後藤はそれを受け取った。
「あの、石川先輩と矢口先輩ってどこにいるか知ってますか?」
「む?」
「あぁ、梨華ちゃんならまだ部屋にいるんじゃない?たぶん矢口さんも。」
「そうですか。ありがとうございます!それじゃ失礼します!」
少し眉をしかめた後藤を制し吉澤はにこっと笑い高橋に答えた。
紺野と高橋は二人にそう言い残すとそのままキャアキャアと楽しそうな
高い声を上げると向こうへ行ってしまった。
- 181 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時03分18秒
- 「みんなに配ってるみたいだね。」
「う〜ん。そうみたいだけどさぁ。あの二人・・・・・」
「ん?」
「どうやら二人とも梨華ちゃんのファンみたいなんだよねぇ。」
「まさか!」
「だってねぇ!この前なんて愛ちゃんたら梨華ちゃんとちょっとしたことで
手が触れた時恥ずかしそうに顔紅くして俯いてたもん。」
「あらら。じゃあ紺野ちゃんは?」
「紺野ちゃんも愛ちゃんと同じで優しく微笑んだ梨華ちゃん見て同じように
してた・・・・・。」
「あら〜、相変わらず梨華ちゃんもてるねぇ。」
「う゛〜・・・・・」
吉澤の言葉に後藤はなんとも言えない声を上げた。
- 182 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時03分59秒
- 「早く行かないと先越されちゃうよ?」
「後輩の前に割り込んで渡して来いっての?」
「何今更そんなこと気にしてんのさ。」
吉澤は乾いた笑いと共に後藤の背中をぱしっと叩いてあげた。
「ん〜・・・・・分かった!ごとー行ってきまーすっ!」
「あいあい、じゃあねぇ。」
走り出していった後藤の後姿に吉澤はひらひらと手を振って見送った。
辺りに誰もいなくなった旅館。
静かで冬のためひんやりしている。
「・・・・・・・・」
吉澤は辺りをきょろきょろと誰もいないことを入念にチェックすると
自分の服の中からそれを取り出した。
「あはは・・・・実はあたしも作ってたりするんだよねぇ・・・・。」
呆れ気味に言うと吉澤はその可愛くラッピングされたそれをぼーっとしばらくの
間眺めていた。
- 183 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時04分56秒
「ん!?」
目の前には既に石川の部屋のドアの前で立っている後輩二人の姿があった。
咄嗟に身を翻し横の廊下に姿を隠す。
しばらくしてコンコンっとドアをノックする音がこちらにも響いてきた。
「はぁい。・・・・・あ、高橋さんに紺野さん。」
部屋の中から声が聞こえてきてその少し経った後に石川が部屋のドアを開いて
姿を出した。
かすかに石川の声が部屋から聞こえた時二人の体が緊張しているかのように
びくっと反応していた。
「あ、あのぉ!これバレンタインのチョコです!作ったんで・・・・貰ってください!」
「ください!!」
どこか方言の抜けきれない口調が緊張のためいつもよりより多く含まれていた。
紺野も俯きながら隣で高橋と並んでチョコの入ったそれを差し出した。
明らかに後藤と吉澤の時とは違かった。
- 184 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時05分40秒
- 「え?あたしに?わぁ、ありがとう!いいの?本当に貰っちゃって。」
「「もちろんですっ!!」
二人俯いていた顔をばっと上げると同時に石川に向かって言った。
「くぅ!!梨華ちゃんたらごとー以外の他の人からチョコ貰うなんて・・・・・
・・ってあたしも貰ったか。」
その後ろで後藤は独り言をぼやいていた。
「ありがとう。すごい嬉しいよぉ。あ、ちょっと待ってぇ・・・・・・」
「「??」」
不思議がる二人を横に石川はそう言うと再び部屋の中へと戻っていった。
- 185 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時06分44秒
- 「はい、これ。余分に作っておいて良かったぁ。お返しにあげるね。」
「「?・・・・あ、ありがとうございますっ!!」」
石川は部屋から戻ってくるとラッピングされていない型に流され固まって
いるだけの小さなチョコを二人に手渡した。
突然のことにしばらくの間ぼーっとそのチョコを受け取っていた二人だがすぐに
顔を真っ赤にして深く頭を下げた。
「おいしいかどうか分からないけど・・・・・」
「そんなわけないです!!」
「おいしいに決まってます!!」
苦笑いしながら言う石川にすぐに二人は大きな声で言葉を返した。
そんな二人に少しびっくりし目を丸くしていた石川だがすぐに二人に
微笑み「ありがとう」と言うとしばらくして二人は石川の部屋から去っていった。
- 186 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時07分35秒
- 「あぁっ!!」
石川が二人にチョコを手渡した時同時に後藤が小さな悲鳴に近い叫びを上げた。
ちなみここからでは『石川が二人にチョコをあげた』という事実しか分からない。
しばらくして二人が立ち去り少し呆然と後藤はその今二人のいた部屋のドアの前まで
やって来た。
「・・・・・・・・・」
呆然としながらそのドアにコンコンと音を立ててノックする。
「は〜い?・・・あ、ごっちん!どうしたの?」
「梨華ちゃん・・・・・・」
「?」
「チョコ一番最初にごとーが貰えなかったぁ!!」
俯き加減だった顔を一気に上に上げた。
- 187 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時08分18秒
- 「へ?」
突然の言葉と今にも泣きそうにしている後藤に石川は一瞬戸惑った。
しかしすぐに何のことか気づく。
「あぁ、今さっきの?あれはただお返しにと思って・・・・・」
「梨華ちゃんがチョコ一杯用意してたなんてぇ!!」
「???」
結局後藤は大量の涙を流してしまった。
え〜んと情けない声を上げた小さな子供のように泣き始める。
昨日からはりきって作っていた分ショックが大きかったらしい。
「なんか、大きな誤解をしてるみたいなんだけど・・・・・」
「梨華ちゃんが他の人の分までチョコ用意してるなんてぇ!!」
「あの・・・・・・」
「悲しい〜〜っ!!」
聞く耳持たず更に泣き続ける後藤に石川は困ってしまった。
「!」
しかしすぐに閃いた。
するとドアの前で泣く後藤をひとまず置いて石川は一旦部屋の中へと戻っていって
しまった。
- 188 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時08分56秒
- 「放っておかれたぁ!!!」
はたからに見るとおもしろい光景だがそう叫びながら未だ後藤は泣き続ける。
「ごっちんごっちん!」
「んぁ?」
部屋の中から聞こえる自分を呼ぶ声に後藤は顔を上げた。
「来て来て。」
「?」
部屋から呼ぶその声に後藤は首を傾げながら言われたとおり部屋の中へと
歩いていった。
「梨華ちゃん?」
「はい、これ。」
部屋に顔を出した後藤に向かってすぐに石川はチェックの柄の包装紙でラッピング
されているそれを後藤に差し出した。
- 189 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時10分20秒
- 「これ・・・・・・」
「バレンタインのチョコだよ。ごっちんへの。」
「チョコ・・・・・・?」
石川の言葉に徐々に表情が明るくなっていき言葉と目の前のそれが一致
し始め一気に後藤の表情がぱあっと笑顔に戻った。
「あとね。誤解してるみたいだけどあたしはごっちんだけにしかチョコ
作ってないからね?今日の朝大変だったんだからぁ・・・・」
「チョコ!そう、あたしも作ったんだよ!」
後藤は「はい」と言って石川に手渡した。
それをしばらく石川は嬉しそうに見つめしばらくしてからゆっくりと
「ありがとう」と本当に嬉しそうに言った。
「やっぱりごっちんがくれたチョコが一番嬉しいよ。」
「ごとーもっ。」
それから二人は笑いあって部屋の中には二人の笑い声で溢れた。
- 190 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時11分44秒
- 「ふふ、ねぇ知ってる?実はね、昨日あたしも夜中台所に行って作ろうと思ったんだよ?」
「そうなの!?」
「だけどね、誰もいないと思ったら明りがついててそこにごっちんがいたんだよ。
すごく一生懸命に作っててくれてたみたいだからそのまま戻ったんだ。」
「え・・・それじゃ・・・み、見てたの・・・・・?」
「うん」
全く気付かなかったため後藤は思わず顔を赤らめてしまった。
昨日はそれはもう美味しいチョコを作ろうとチョコを作る最適温度から混ぜ方から
全て必死になってやってたのだ。
気付けば作り初めて二時間ぐらい経っていた。
しかしそれに気付かないほど集中して作っていたのだ。
まさかそれを見られていたなんて。
- 191 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時12分40秒
- 「それでぇ、あたしはそのまま部屋に戻ったけどごっちんのこと気になっちゃって
眠れなくて。隣のごっちんの部屋に戻ってくるような音が聞こえたのそれから
二時間以上経ってからだったんだもん。心配しちゃったよ。」
「うぅ・・・・恥ずかしい。」
「寝不足じゃない?大丈夫?」
「大丈夫だよー。もう梨華ちゃんは優しいんだから・・・・・」
「でも一生懸命なごっちん可愛かった」
「いじわるしないでぇ・・・・・あ、でもねプレゼントはチョコだけじゃ
ないんだよ〜。」
「え?」
後藤はそっと石川の耳に口を近づけ囁いた。
「なっ・・・・・・」
「あはっ!ほんとだよ?」
今度は石川が顔を紅く染めた。
いつものように後藤がいたずらげにそんな石川の様子に楽しそうに笑う。
- 192 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時13分19秒
- 『ごとーが梨華ちゃんへの本当のチョコだよ』
耳元で囁かれた甘い言葉に石川はしばらくの間赤面して何も言う事ができなかった。
「梨華ちゃんも同じだと嬉しいな」
「もう・・・・・・」
ふざけるように言う後藤に石川は紅くなりながらわざと怒ったように
小さく言葉を漏らす。
そしてゆっくりと唇を近づけていった。
チョコレートよりも甘いキス。
とろけないうちに食べちゃわないとね
- 193 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時14分14秒
「ふぅ。」
吉澤はラッピングされたチョコを両手に持ちぼーっと旅館の中を歩いていた。
(もう矢口さんあの二人からチョコ貰ったかな?)
生まれてこの方チョコレートなんて作ったの初めてだったりする。
いつもお店で売られている作られたチョコをお父さんにあげていた。
小学生の時はぼーっと周りの友達がチョコレートをクラスの男子にあげるのを
見ていただけだったし。
いざ作ってみたが渡すのにはなぜか緊張する。
想いも通い合った今、もはや今更と言ってもいいのに何でかこういう行事のため
か初々しさが戻ってくる。
- 194 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時15分30秒
- 「あぁ、不味かったらどうしよ。やっぱり渡すのやめよっかなぁ・・・・」
吉澤が一人ロビーで独り言を呟いている時、
「「よっすぃ〜だぁ!!」」
「「あ、吉澤先輩っ!!」」
「!?」
同時に自分の左右どちらからも大きな声で自分の名前を呼ばれた。
しかしその呼び方は全く異なる。
「石川先輩には渡せたんですけど矢口先輩が見つからないんですよ〜。」
「あ、見てください!石川先輩からお返しのチョコくれたんです!」
高橋が困ったように辺りを見渡し紺野は嬉しそうに石川から貰ったチョコを片手に
微笑んでいた。
「あ、紺ちゃんに愛ちゃんだ。」
加護と辻が二人に遅れてこちらを見て手を振りながらやって来た。
辻のその手には白いお皿が持たれていた。
- 195 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時16分22秒
- 「わ、わわわっ!」
突然の四人の登場に吉澤は急いで自分の後ろにチョコを隠した。
「矢口先輩知ってる?」
「ううん、知らない〜。ん?それより二人ともみんなにチョコ配ってんだぁ。」
「辻も亜依ちゃんと一緒に今作ってきたんだよ〜。あげる。」
辻が持っていたお皿から小さなチョコを高橋と紺野の二人に手渡した。
二人は嬉しそうに「ありがとう〜。」と言って受け取るとさっそくそれを口に放り込む。
「よっすぃーもあげるで。」
「あ、ありがとう。」
吉澤も動揺を何とか隠しつつそれをもう一つの手で受け取った。
幸い四人は楽しそうに笑いながら会話しているため自分の不審な様子には
気付かないでいてくれた。
- 196 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時17分12秒
- 「ん?なんかこれアルコールが・・・・・」
「うん、濃いかも・・・・・」
チョコを味わっていた二人が不意に顔をしかめた。
「あの、もしかしてブランデーとかの量、間違えた・・・・・・?」
「あ、ばれた?」
辻がてへっといたずらっぽく舌を出した。
「ののが間違えてうちが入れた後また入れてしもてこんなんになっちゃった」
加護も辻と同じく小さく舌を出し笑う。
四人の笑う横で吉澤もそのチョコを味わっていた。
しかしほとんどそのチョコを味わっているほどの暇がなかった。
(あぁ、どうしようかなぁ。この四人がチョコ作ってたりあげてたりすると
可愛いんだけどあたしじゃねぇ。)
とか言いつつ洋服もいつもより女の子らしく決めて髪もちゃんと整えてあったりする。
- 197 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時18分18秒
- 「よっすぃーは誰かにチョコあげないんかぁ?」
そんな時突然話が自分に振られた。
「え?あ、あたしがどうしたって?」
「先輩もチョコ誰かにあげるんですか?」
高橋が加護に続いて尋ねてくる。
「さ、さぁね。」
「もしかして矢口さんですか?」
「ぶっ!」
紺野の言葉に吉澤はこれでもかというくらいに面食らった。
- 198 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時19分04秒
- 「な、なんでそう思うの!?」
「え?だって、そのいつも一緒にいるから・・・・違うんですか?」
「あ〜、いやその・・・・・・」
違うとも言えずはっきり断言することも出来ず曖昧な返事を返す。
「あれ?何みんな集まってんの〜??」
「!!」
そんな時絶妙なタイミングで今話しになっていたその人物本人がやって来た。
- 199 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時23分31秒
- 「あ!矢口さん!」
首を傾げてやって来る矢口に高橋と紺野が気付いた。
「あの、バレンタインのチョコですっ。」
「貰ってください!」
矢口がやってくると同時に二人はすぐチョコを差し出した。
「お、サンキュ〜。あんがとね。」
矢口はそれを嬉しそうに受け取る。
「ど、どうする?」
そんな矢口の姿に吉澤は小さく自分に問い掛けていた。
「矢口さんこれも食べて〜。」
「何?加護が作ったの?」
「うちとのので作ったんやぁ。」
「・・・・なんか変なの入ってるじゃないんでしょうね?」
「ぬっ!?矢口さんのの達のことそういう風に思ってたんですか?」
「うん。」
差し出されたお皿のチョコレートをまじまじと顔をしかめながら矢口が
言った言葉に辻と加護が思わず転びそうになる。
矢口も言いながらもチョコを口に入れた。
- 200 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時24分31秒
- 「それじゃ私たちまだ渡しに行って来ます!」
「来ますっ!」
「あ、うん。それじゃね〜。」
高橋と紺野は矢口に渡すとすぐ今度は中澤や安倍達の元へと走っていってしまった。
「なんかこれお酒きついよ。」
矢口はそれを口の中でもぐもぐと食べながら二人に感想を言う。
それに加護と辻は今さっきのようにあははと笑っていた。
「ん、よっすぃー、おはよう。」
「お、おはようございます。」
食べながら矢口が吉澤の名前を呼んだ。
吉澤はチョコを両手で後ろに隠したまま視線を外しながら答えた。
- 201 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時25分18秒
- 「?」
「・・・・・・・・」
どうする?どうしよう?とずっと繰り返している吉澤は未だ悶々と考えつづけていた。
そんな様子に矢口も含め加護辻も不思議に思う。
「さっきからよっすぃーなんか変れす。」
「うじうじしてるよっすぃーはらしくないぞぉ・・・・・・ん?」
そんな時加護の目にある物が映った。
それを見た瞬間加護はにかっと笑うとすぐに隣の辻の手を取った。
「?」
「そろそろ行こう〜♪梨華ちゃんにも食べてもらお。後藤さんにも。」
意味ありげな含み笑いと共に加護は?の辻を引っ張りその場を去っていってしまった。
- 202 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時26分18秒
- 「なんだ?あの二人?」
「・・・・・・・・」
今の吉澤に二人のことを構う余裕はなかった。
胸の中ではバクバクに緊張して加護が自分の手に持たれている『それ』に気付いたなんて
思いもせずただ口を小さく開けたまま言葉が出てこないでいた。
- 203 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時27分02秒
(ん〜、困ったな・・・・・・)
矢口は困っていた。
実は自分の後ろの左手には小さめで可愛いチョコのラッピングされた箱を
持っていたからだ。
実は矢口にとってお父さん以外にチョコを作りあげるのは初めてだったりする。
どちらかと言うとシャイな自分はやっぱり今更だけど恥ずかしい。
(はいってあげるだけでいいんだよ・・・・・だけどやっぱりなぁ・・・・)
吉澤は旅館でもいろんな人から貰っている気がした。
だからどうしても自分で勝手にそれと比較してしまい躊躇ってしまう。
心の中でそう自問自答していたため目の前の吉澤のいつもと違う様子なんて
気付きもしなかった。
- 204 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時28分15秒
「んあ〜!!なんてうぶなのぉ!?」
「あの二人何してるの?」
その向こうで吉澤と矢口の様子を傍観する加護と辻。
今さっきから同じ体勢で止まっている二人に加護はくあ〜!と苛ついていた。
「さっさとあげちゃえばいいのに。何で躊躇ってんだろ。」
「あれ?加護に辻〜?」
「二人とも何してるの?」
「!?」
そんな時後ろからのんびりした口調と可愛い声の二人に名前を呼ばれた。
「あ、後藤さんに梨華ちゃん。」
隣で辻がいつもの笑みを浮かべながら「おはよ〜」なんて言って手を振っていた。
二人もそれに返事しながら?を頭の上に浮かべながらやって来た。
加護と辻は二人に見つからないように壁の横から顔を出していたのだ。
- 205 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時29分28秒
- 「何してんの?」
「あれが・・・・・・」
加護は首を傾げる後藤に情けない声を出して向こうの二人を指差した。
「ん?よっすぃーにやぐっつあん・・・・・ってよっすぃーあんなこと
言っといてチョコ用意してんじゃん。」
こちらからはどちらかというと吉澤の後姿が見える位置にあった。
後藤が吉澤のチョコに気付き至ってマイペースな口調を変えず言う。
「なんであげないんだろうね。」
石川もその隣で固まっている二人の様子に首を傾げた。
「二人とも用意してんのに今さっきからあんな感じで止まってるん。」
「あぁ、まったくあの二人は似たもの同士だねぇ。」
「矢口さんもよっすぃーも可愛い」
「・・・・・・・・」
滅多に見ないような二人の様子に石川が微笑む。
そんな石川の横顔をしばらくぼーっと眺めてすぐに後藤は黙ったままで
その腕に抱きついた。
- 206 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時30分16秒
- 「もしかして妬いた?」
「違うもん。」
楽しそうに顔を覗きながら言う石川に後藤はそっぽを向いて拗ねるように答える。
「ごっちんも可愛いんだからぁっ!」
そんな後藤に笑いながら頬を指で突付いた。
「・・・・・あのぉ、今はそっちじゃなくて。問題はあの二人なんやけど。」
「あ、ごめんね。それで何か案でもあるの?」
「そうそう、実は・・・・・」
向き直った石川と後藤の耳元に加護は小さな声で囁いた。
「お、それいいかもね。」
「うん。グッドアイディアじゃない?」
「本当?それじゃ実行しましょ〜!」
「?」
あまりよく分かっていない辻を含め四人は今加護の考えた作戦実行のため
それぞれ二手に分かれて持ち場へと向かって行った。
- 207 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時39分39秒
「え〜と、これでいいのかな?」
「うん。たぶんそれだよ。」
「よ〜し、それじゃスイッチオフ!」
バチンッ!
旅館内にそんな音が響くと同時に旅館ロビー全体の明りが消えた。
後藤と石川が向かった先、それは旅館全ての電気系統をまとめている
ブレーカー室だった。
- 208 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時40分25秒
- 「「!?」」
ロビーにいた矢口と吉澤がいきなりのことにかなり驚く。
「な、なに?」
「停電かな・・・・・?」
二人は未だチョコを渡し合わずただ世間話をぎくしゃくしながらしていた。
『え〜、停電ですっ!!泥棒が入りましたぁ!気をつけてください!』
その後すぐに辻と加護の大きな声が放送された。
「ど、泥棒?」
「ど、どどどうすんの〜?裕ちゃ〜ん?」
よく落ち着いて考えてみればあからさまな嘘だと分かるのだが今の二人は
加護と辻の考えた言葉を素直に受け取っていた。
- 209 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時41分39秒
「きゃあこわ〜い」
「・・・・こういうの好きなんだから・・・」
楽しそうに声を上げながらしがみ付いてくる後藤に石川は何も抵抗せずに
小さく呟く。
「そろそろいいんじゃない?」
「は〜い!えぇと?それじゃスイッチオンッ!」
パァッ!
「「??」」
戸惑う矢口や吉澤を構うことなく旅館の明りが一斉に付いた。
- 210 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時43分39秒
- 「何だったの?今の。」
「さぁ・・・・・」
矢口に言葉に吉澤が首を傾げた。
「・・・・・あ、それ・・・・」
「あっ!」
ふと気付けば後ろに隠していたチョコの箱が二人とも目の前に来ていた。
同時に目の前のそれに二人が気付いた。
「もしかして・・・・よっすぃーも作ってくれてたの?」
「そのまさかです・・・・・」
矢口の驚く表情に吉澤は俯きながら答えた。
どこかいつもより女の子らしい吉澤の前では矢口の方が今日だけは男の子
っぽく見えた。
- 211 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時44分15秒
- 「ほんとに!?あ、矢口も作ったんだよ〜!」
矢口がそんな吉澤の様子が可愛くてすごく嬉しかった。
「味に自信ないんですけど・・・・」
「あはは、矢口もだから大丈夫っ!」
矢口は笑いながらチョコを吉澤に渡した。
吉澤もその言葉に少し緊張が解かれ表情が和らいだ。
「なんだぁ、それなら早く渡せば良かった。」
「はぁ、緊張した。」
やっと渡せて吉澤は小さく息を吐きやっと緊張していた体が解れていくのを感じた。
- 212 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)19時45分02秒
「何や!?今の!!」
そんな時向こうから走って真剣な表情でやって来る人が一人。
「裕ちゃん。」
「中澤さん。」
二人は同時に振り向いてその人の名前を呼んだ。
「「あちゃ〜・・・・・」」
加護と辻が向こうでしまったという風に小さく声を漏らした。
「何かあったんか?電気がいきなり消えるし泥棒がなんとか・・・・・」
「さぁ?」
加護と辻の仕業とも知らず中澤は未だ真剣な表情でいる。
「「・・・・・・・」」
二人は出難くかったが腹を決め出て行くことにした。
- 213 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時11分30秒
- 「うちの仕業です〜・・・・」
「ののもです!」
「「「加護に辻!」」」
突然現れた二人に三人は驚き目を丸くした。
「つまり・・・・あんたらのいたずらやった・・・ちゅうことやな?」
「「はい・・・・・」」
「人騒がせないたずらはあかんっていつも言うてるやんかぁ・・・・」
「「ごめんなさい・・・・」」
もはや怒るより呆れている中澤に素直に言い訳もせず謝る二人。
「あれ〜?どうしたの〜?」
「「「!?」」」
そんな時向こうからまた違うマイペースな声が響いてきた。
「ごっちん!」
「梨華ちゃんも。」
何かみんなが勢ぞろいしているため後藤と石川は?と首を傾げた。
- 214 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時12分16秒
- 「あー・・・・・もしかして電気消すの間違えちゃった?」
「消す・・・・?」
「旅館全体の電気消しちゃったかも?」
「あれあんたらの仕業やったんかぁ?」
実はスイッチが二つありどちらかがロビーだけでもう一つは旅館全体のものだったのだ。
中澤がもはや呆れるのを通りこしそうになりながらも二人に向き直る。
「あぁ、あれはしょうがないんだよ。よっすぃーとやぐっつあんのためだもん。ね?」
「そうなんです・・・・・」
後藤に振られ石川は一人申し訳なさそうに中澤に弁解する。
「「!!」」
「?どういうこっちゃ。」
「あはっ、それにしてもよしこが可愛かった♪」
「わぁ!言っちゃだめぇ!!」
「ん?」
吉澤は急いで後藤の口を塞いだ。
矢口も中澤同様それに首を傾げる。
- 215 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時12分49秒
- 「まぁ、ええわ。何もないにこした事はないし。」
中澤がそれで話を終わりにしようとした時、
「停電かぁ!?泥棒かぁ!?」
「電気が消えたぁ!!!」
「ちょっと二人とも落ち着いて・・・・・」
向こうから騒がしい声二つと困っているような声一つが届いてくる。
どうやら安倍に飯田と保田らしい。
「電気が消えましたぁ!!!」
「泥棒はどこですかぁ!?」
その正反対向こうからは完璧にパニックを起こしている高橋とおろおろしている
ような口調の紺野の声が届いてきた。
- 216 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時14分00秒
- 「・・・・・なんじゃこりゃ。」
中澤は小さくため息に似た息を吐いた。
「もしかしてごっちんあの時・・・・・」
「あり?ごとーなんか間違えた?」
どうやら電気を戻す時今度はロビーだけ付けるスイッチを押してしまったらしい。
向こうでは真っ暗で明りを求めて来た5人があっちとこちらからやって来た。
「あっ!みなさ〜ん!」
「真っ暗です。」
向こうの後輩二人がこちらに気付き走ってくる。
飯田達もなんだなんだとやっと集まった所だった。
「これ作ったんですっ!」
「食べてください。」
二人はそう言い中澤達にチョコを差し出した。
- 217 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時14分50秒
- 「お、あんがと〜。まったくどっかの二人とは偉い違いやなぁ。」
それを受け取りながら中澤が二人に感心しうんうんと頷く。
「あ、うちらも作ったんですよ〜。」
「そうですよ〜。」
「作ったゆうても絶対どっか間違えてるやろ?」
「えへ」
辻がぺろっと舌を出した。
「それにしても矢口達停電したのに何でそんなに落ち着いてるべさ?」
「ちょっとね・・・・・」
チョコを受け取り口に放りながら言う安倍に矢口は何とも言えず
困ったように返事する。
「はぁ、圭織の部屋いきなり暗くなってびっくりしちゃった。」
「それからすぐに隣のあたしに部屋に叫んでやってくるんだもん。」
飯田が本当に驚いた表情で言い保田が同じようにして言いながらチョコを
受け取った。
- 218 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時15分45秒
- 「ごっちん今さっきのは絶対に言わないでよ?」
「分かってるって。」
念入りに口止めする吉澤に笑いながら答える後藤。
「チョコおいしかったです!」
「ありがとうございます。」
「あ、本当?良かったぁ。」
目をきらきらさせている高橋と丁寧に頭を下げる紺野に石川は安心したように
微笑んだ。
「ん?」
「だからやめなさいって。」
それに途端に顔をしかめる後藤に吉澤がとめるように肩に手を置く。
- 219 名前:その後の物語の続き 投稿日:2001年11月16日(金)20時17分25秒
聖バレンタインデーの今日もいろんなことがありました。
毎日いろんなことが起きてそのたびにみんなで同じ気持ちを共有してる。
なんだか私達の働く『旅館』までもが仲間のように感じ、まるで私達を
見守っていてくれているような気持ちになりました。
いつまでもみんなでたくさんの時間を共有したいな、なんて思った一日でした。
これからもずっとみんなで一緒にいようね?
The Story will be continued the coming every day.
(その物語はこれからやって来る日々ずっと続いていくでしょう。)
See You!
- 220 名前:aki 投稿日:2001年11月16日(金)20時19分57秒
- 「その後」編終わりました。
実は、上の英文自信ありません(w
辞書引いていつも頑張ってるんですけど多少のミスは多めに見てください^^;
結局一日に二回に分けて今日全て載せました。
どうでしたでしょうか?
感想頂けたら嬉しいです。
ご愛読ありがとうございましたm(__)m
- 221 名前:名無し梨華 投稿日:2001年11月16日(金)23時56分27秒
- お疲れ様でした。
いや〜途中までリアルタイムだったんですけどもねぇ(w
「ほっていかれたぁ!」と叫ぶごま萌え(w
なんちゅーか、絆が見えたその後編でした。
ほのぼの感、いいなぁ〜。
作者さんありがとう!
あっちでも頑張ってください♪
- 222 名前:aki 投稿日:2001年11月19日(月)15時12分38秒
- 221:名無し梨華さん
>レスありがとうございます。
あまりに長くなってしまって途中で時間が空いちゃいました(w
私も後藤のその叫びは書いてて可愛いなと思ってました。
なんか、その後編では後藤がすごく幼くなっているような気がします(w
あっちも頑張ります!
- 223 名前:M.ANZAI 投稿日:2001年11月20日(火)19時07分30秒
- あっ、先週読み切ったと思ったら、続きが・・・
ありがとうございます。
作者さんの書く“いしごま”を読むと心が温まります。
それに途中の「もてる〜」を読んでから先日の「ハロモニ」など
見てしまうと、舞台裏の2人が想像できてしまいます。
(2人して“志村けん”のモノマネ持ってくるあたり・・)
もうひとつの方も話が核心にせまって来てとても楽しみです。
これからのがんばって下さい。
- 224 名前:aki 投稿日:2001年11月20日(火)20時09分10秒
- 223:M.ANZAIさん
>レスありがとうございます。
心が温まるような作品が書けたことがとても作者的にも嬉しく感動です。
「もてる〜」を読んでから・・・<お、マジですか(w 上手く書けた
みたいで嬉しいです(w
空板も頑張りますよ〜。
- 225 名前:名無しさん 投稿日:2001年12月09日(日)02時00分44秒
- 面白かったです
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