A dull story
- 1 名前:K坊 投稿日:2005/10/16(日) 05:13
 
-  基本はあやみき。 
 最近はやりはあやごま、みきよし。 
 ほかのカプもするかも? 
  
 月板でただいま長編やっているので、こちらは短編で。 
  
 では。  
- 2 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 05:21
 
-   
 ―――――ごっちんって宇宙ってカンジする 
  
 どこかの誰かがどこかで言った台詞。 
 耳障りのよい声のせいか、今でも物真似できるほどおぼえてる。 
  
  
 ―――――どっしりとさぁ、度胸がすわってるというか 
  
 ゆっくりと口から息を吐き、椅子の背にもたれかかる。だるい。 
  
  
 ―――――ゴトウマキってのがしっかりとあってさ 
  
 体の重心を後ろにしたまま、顔を天井に向け、細くつぶやく。 
  
  
 「ゴトウマキってどんなのさ」 
  
   
- 3 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 05:24
 
-  少し前につぶやいたあたしの言葉に一人きりの部屋に誰も聞こえるはず 
 もなく、ただの独白に終わった。別に誰かに聞かせる訳じゃないけど。 
  
   
- 4 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 05:32
 
-   
 「ごっちん」 
  
 体をそのまま反ったままの状態でドアの方へに見やるとまっつーが立っ 
 ていた。こちらへ寄ってきてあたしの顔を覗き込むようにして笑う。 
  
 「なーにやってんの、真希ちゃん」 
  
 最近。つい最近。 
 まっつーが真希ちゃんと呼ぶのが不自然でなくなった。まっつーがあた 
 しに気を許したんだと思うし、あたしも少なからずそうだと思う。 
  
 「べーつーに。撮影までヒマだなと思ってたんだよ」 
  
 「だね。」 
  
  
   
- 5 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 05:40
 
-  あたしの顔のすぐ上にある顔を見つめる。 
  
 四年。 
  
 四年前はこんな笑い方ではなかった。そう、目が笑っていないカンジ。 
  
 まっつーがこんな笑い方をするのに四年かかった。 
 まっつーがあたしに気を許すのに四年かかった。 
  
 「いいなーまっつーは」 
  
 四年。 
  
 あたしは。 
 あたしは、四年間何か変わっただろうか。 
 モーニング娘。を卒業して、ソロになって、後浦なつみをやって、DE 
 Fなんちゃらをやって。 
  
 何も変わっていない気がする。 
 もしかしたら、まだモーニング娘。のままなのかもしれない。 
   
- 6 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 05:44
 
-  「なにがよ」 
  
 視界全体に広がる顔に現実に引き戻された。どうやら、さっきあたしが 
 つぶやいたことが気になったらしい。 
  
 「いーなーって」 
 「何が」 
 「まっつー」 
 「何で」 
 「・・・変わったから」 
 「・・・」 
 「あたしは、」 
  
 変わっていない。そんな気がする。  
- 7 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 06:03
 
-  「じゃあ、そうやって立ち止まっていなさいよ」 
  
 思わぬ厳しいお言葉に呆然としてしまった。まっつーは目が据わってい 
 た。 
  
 「その間、あたしは変わっていくから。いろんなものを見て、いろんな 
 人と出会って進化するんだよ。あんたは座っていなさいよ」 
  
 意志の強い、印象的な目差し。 
 四年前のまっつーにはありえなかった。 
  
 でも、とあたしの前髪を優しくかきあげながら、まっつーは口を開く。 
  
 「どー考えても惜しいんだよね。あんた、宇宙みたいなのに」 
  
 妙に耳障りのいい声があたしの鼓膜をくすぐる。変な気持ち良さに浸り 
 ながらあの時の台詞はまっつーだったことを思い出した。 
  
   
- 8 名前:Lead 投稿日:2005/10/16(日) 06:10
 
-  まっつーの言葉は棘がある。 
 きっと。みきてぃには甘い甘い、それこそ花の蜜のような言葉なのだろ 
 うけど、あたしにはこれくらいがちょうどいい。 
 棘の奥には優しさがあって、あたしはそれを知っている。十分だ。 
  
 「心配しなくてもあんたは変わっているよ」 
 「どんなところが」 
 「だってあんた変だし、」 
  
 いや、その「変わった」じゃないし。 
  
 ドアの向こうに話し声と足音が聞こえた。二人分。 
 まっつーはやっと顔を上げ、くしゃりと笑う。 
  
 「DEF.DIVAじゃん。最高だって。さいこう」 
  
 最高の、歌姫。 
  
 「最高の、ねぇ」 
  
 一応。最高に成り上がったことは進化したってことなのだろうか。 
  
  
 ま、いっか。 
  
  
 がちゃり 
  
 ドアが、開いた。 
  
   
- 9 名前:K坊 投稿日:2005/10/16(日) 06:14
 
-  あやごま。 
  
 こんなイメージです。 
  
  
   
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/16(日) 12:14
 
-  良い雰囲気ですね。 
 好きになりそう… 
 月板も読んできます! 
  
   
- 11 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:11
 
-  随分前にはもうすでに夏も終わり、秋も終わりに近づいている。夜の冷え込みが 
 だんだん厳しくなり、くずかごのティッシュがたまっていく。 
  
 今年も恨めしい季節がやってきた。 
  
 怖くて評判のにらみを換気のために開けていた窓に利かす。そこから秋の名残の 
 虫の音がかすかに入り込んだ。小さく、小さく。だけど、部屋には大きく、大き 
 く響いた。 
  
 寂しい、な。 
  
 ため息が出てきた。普段は気を止めない虫の声も大きく聞こえる。もし、あの子 
 がいれば、聞くことはなかっただろう。きっと。 
  
 そう思わずにはいられない季節なのかもしれない。 
  
 二度目の、ため息をついた。 
   
- 12 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:17
 
-  随分前にはもうすでに夏も終わり、秋も終わりに近づいている。夜の冷 
 え込みがだんだん厳しくなり、くずかごのティッシュがたまっていく。 
  
 今年も恨めしい季節がやってきた。 
  
 怖くて評判のにらみを換気のために開けていた窓に利かす。そこから秋 
 の名残の虫の音がかすかに入り込んだ。小さく、小さく。だけど、部屋 
 には大きく、大きく響いた。 
  
 寂しい、な。 
  
 ため息が出てきた。普段は気を止めない虫の声も大きく聞こえる。もし 
 あの子がいれば、聞くことはなかっただろう。きっと。 
  
 そう思わずにはいられない季節なのかもしれない。 
  
 二度目の、ため息をついた。 
   
- 13 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:19
 
-  メールは返ってこない。 
  
 電話も来ない。 
  
 それ以前に会ってすらない。 
  
 別に嫌われてシカトされている訳じゃない。超仕事人間の彼女は当然美 
 貴の子供じみた心境なんかよりも仕事を優先する。それは十分に知って 
 る。寂しいことなんだけど、仕方のないことだってことも十分に承知し 
 ている。 
 つまり、仕事が忙しくて、メールや電話さえも返せないという状態なんだろう。たぶん。 
  
   
- 14 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:20
 
-   
 くしゅっ。 
  
 外の空気が入り込みすぎたのか、少し冷えた気がする。 
  
  
 ――――こら、気をつけなさい。風邪引くと厄介なんだから。 
  
 虫の声とともにあの子の声が入ってきた。見渡すが、誰もいない。幻聴。 
  
 「わかってるってば」 
  
 末期だなぁ。苦笑しながら窓を閉める。虫の声が止んだ。 
   
- 15 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:24
 
-  ティッシュを二、三枚とり、鼻かむ。ずずず、とアイドルらしからぬ音 
 を綴った後、くずかごにシュート。ティッシュがまた一つたまった。 
 すっきりしたところで、どっさりと仰向けにベットに倒れこむ。 
  
  
 「きーがーつけばーいつもー」 
  
  
 寂しさから出てきた歌だった。 
 最近口ずさんでしまう曲。あの子のCMで流れて、歌った曲。 
  
  
 「あーなーたがいたー」 
  
  
 寂しいな。寂しいよ。ねぇ、会いたい。 
  
 あー!と叫べば気がいくらか済むのだろうがさすがに近所迷惑だから止 
 めた。 
  
  
 「うー」 
  
 心は落ち着かないまま。あの子に会いたくて仕方ない。眉間にしわを寄 
 せうなる。そうしていたってどうにもならないけども。 
   
- 16 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:26
 
-  反射というものはこういうときにも起こるのだろうか。 
 携帯が鳴ったのと体が動いたのはほぼ同時だった。しかも無意識。顔も 
 無意識ににやけたに違いない。 
  
  
 「もしもし!」 
 『わっ!びっくりしたぁ。ワンコで出るなんて』 
 「へへ。待ってたんだよー」 
 『へぇ。』 
  
   
  
 素っ気無い素振りを見せているけど、きっと向こうもかなりにやけてい 
 る。そう思うとますますにやけた顔になってしまう。 
   
- 17 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:27
 
-  『ねぇ、たん」 
 「ん?」 
 『ベランダに出てみなー?』 
 「え?ベランダ?」 
  
 急いで上着を引っつかみ、羽織ってさっき閉じた窓を開けて、ベランダ 
 出る。 
  
 寒い。 
  
 肌寒いっていうのだろう。なにも纏っていない顔面にぴりぴりと寒さが 
 伝わる。試しに息を吐いてみたがまだ白くは出なかった。冬にはまだ早 
 いらしい。 
  
 「出たけど―?」 
 『上、見てみ』 
 「上?」 
  
 言われるがまま、顔を上げる。  
- 18 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:28
 
-  そこには、無数の星がちりばめられていた。昼間の冷えこみのせいか、 
 澄んだ漆黒の世界には雲一つなく、星はすでに無敵だった。 
 赤、青、白、様々な色の光を放ちながら輝いている。明るく輝いている 
 星と思えば、目を凝らさないと見えないほど小さく暗い星。 
 多種多様。そんな言葉が似合うと思う。 
  
  
 「きれー」 
 『でしょ?』 
  
  
 自分のことのように自慢する彼女に苦笑しながら、北極星を見つけた。 
  
  
 『カンド―だよね』 
 「うん。カンド―。」 
  
 『あたしら、今、同じ星見てるかもしれないじゃん』 
   
- 19 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:29
 
-  今のこの瞬間、美貴たちは同じ天を見ている。 
 そんな些細でくだらないことでも嬉しさが体全身に湧いてきた。彼女の 
 甘い声が携帯越しにじんわりと伝わり、美貴の心を暖めていく。 
  
 寂しくなんかないよ。あの子がいてくれるから。 
   
- 20 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:31
 
-  『寝れそう?』 
 「え?」 
 『メール。眠れんなーいって来たケド』 
 「あ、うん。寝れそう。」 
  
 思い出した、三十分ほど前に彼女に送ったメールだ。寂しくて、寝れな 
 かった三十分前。彼女がいるとこんなに違う。 
  
  
 『そっか。いい夢見なよ。おやすみー』 
 「うん、おやすみー」 
  
  
 電話を切った後もぽかぽかと暖かい気分だった。今夜はいい夢を見れそ 
 うだ。 
   
- 21 名前:Wish upon a star 投稿日:2005/10/21(金) 16:32
 
-  ふと思いついて、また、天を見上げる。そして、目を閉じ、手と手を合 
 わせる。 
  
  
  
 亜弥ちゃんとラブラブなひとときが過ごせますよーに。 
  
  
 よい、現実を。 
   
- 22 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/26(水) 01:47
 
-  いい感じのスレ発見 
 
- 23 名前:K坊 投稿日:2005/11/24(木) 00:42
 
-  レス。 
  
 >10 名無飼育さん 様 
 レス遅れてすみませんorzありがとうございます。 
 月の方はそろそろこっそりと更新します。 
  
 >22 名無飼育さん  
 ありがとうございます。 
 最高の褒め言葉です。 
  
  
  
   
- 24 名前:K坊 投稿日:2005/11/24(木) 00:44
 
-  愛亜弥。 
  
 86年組。 
  
 通称、ハロー世代。 
   
- 25 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:45
 
-  日本の西っかわのどっかの県のどっかの市のどっか。まぁ、てきとーでいいや。 
  
 二人の少女はチャリに乗っていた。 
  
 「はぁ、ぜぇ、はぁ」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
 「ほれほれ。遅くなっとーよ。はよせな、遅刻するがし。」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
 「はぁっ、わかってるってば!ってか、あんた後ろに乗っかってるだけじゃん!」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
 「んなんわっかとるわ」 
  
 「きっぱり言うなよ!!ちょームカツク!!」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
   
- 26 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:46
 
-  正面から来る風とガチンコバトル。 
 せっかくセットしてきた髪もむちゃくちゃに。 
  
 恐ろしい速さで映り行く景色。 
 けど、そんな景色をのんびりと眺める余裕もなく。 
  
 ペダルを狂うほどこぎ回す足。 
 二人分の重さが負担してくたくたで。 
  
 加速していくスピード。 
 寝起きのだるさを吹き飛ばして。 
  
 鳴り響くチャイム。 
  
  
 ・・・え? 
  
  
 キ―――ンコ――――ンカ――――ンコ――――ン 
  
  
  
 「「キャ―――!!」」 
  
  
 ・・・遅刻した。 
   
- 27 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:47
 
-   
  
 ☆ 
  
   
- 28 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:49
 
-  松浦亜弥と愛。 
  
 双子の仲良し姉妹。 
 顔もよく似ていて、近所の飯田さんに「どちらもおさるさんみたいで可 
 愛いね」と嬉しいんだか悲しいんだかびみょーなこと言われたり、亜弥 
 が「オラウータン」愛が「サル」とお互いを呼び合ったりといった素敵 
 なエピソードが多々ある。 
 見分けの付き方は簡単で一緒の年なのに25才に見えるのが亜弥だったりする。 
  
 そんな猿顔の二人だが、はたから見ると誰もが振り向く美人で地元じゃ 
 美人姉妹と有名である。猿顔だが。 
   
- 29 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:51
 
-  「あー、もう。愛ちゃんのせいで遅れたじゃん。プラス説教だし。」 
  
 「亜弥ちゃんが悪いんやろ。こぐん遅かったから」 
  
 「あんたねぇ、ひとに乗せてもらってそれはないんじゃない?」 
  
 「だって、あーしの自転車壊されたし。亜弥ちゃんに」 
  
 先生のお叱りをきっちり受けた二人はブツクサと文句をいいながら廊下を歩き 
 教室へと向かう。 
  
 ちなみにこの会話はけんかしている訳ではない。 
   
- 30 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:53
 
-  「おっ。おはよーもんきっきーず。」 
  
 後ろを振り返る。一つの先輩であり、遅刻早退常習犯である、後藤真希 
 が二人より遅くご出勤。 
 しかもちゃっかりお説教から逃れて。 
  
 「おはよーございます。後藤さん」 
 「もんきっきーずって呼ばないでよ、ごっちん」 
  
 愛にとっては憧れのセンパイ。 
 美人で、スタイルがよく、いつもクールな表情を欠かせない完全無欠な 
 クールビューティ。 
  
 少しでも近づけれるように愛はひそかに頑張っている。 
  
  
 だが。  
- 31 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/24(木) 00:54
 
-  「ごっちーん。のどかかわいたー。ジュース買ってきて」 
  
  
 そんな憧れのセンパイも亜弥の前では完、璧、パシリ。 
  
 「あ、うん。なにがいいぽ?」 
 「なんでもいー」 
 「すぐかってくるぽ!」 
  
 しかもちきんと従っている。MとSの引力なのか、少なからず愛は後藤が 
 隠れMであることにショックを受けている。 
  
 あと、語尾の「ぽ」がわからない。 
  
 ちなみに後藤とは亜弥のおかげで知り合ったから愛からは何にも言えないのである。 
   
- 32 名前:konkon 投稿日:2005/11/25(金) 00:19
 
-  やばい、すげぇ好きな雰囲気です! 
 この調子でがんばってください♪  
- 33 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:20
 
-  「行こ、愛ちゃん」 
 「うん」 
  
 急いで後藤が去った後(もう予鈴は鳴ったのに)亜弥は愛の手を引っ張っ 
 て歩き出す。 
 亜弥の手は自転車をこいでいたせいか、冷たく、かじかんでいた。 
 愛はそっと手を握る。ひやりと冷たく気持ちいい。 
 愛の手はカイロを持っていたせいかあたたかくて気持ちいい。 
  
 「さむー」 
 「さむいねー」 
  
 何気ない会話はなんとなくあたたかい。 
 そういうものだ。きっと。 
   
- 34 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:20
 
-   
  
 ★ 
  
   
- 35 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:21
 
-  教室に着くと、授業はすでに始まっていた。 
  
 「どうする?」 
 「後ろからはいろ」 
  
 教卓から離れたドアの方へとまわり、そーっと愛は開ける。 
  
 「んで、こうなるからぁ」 
  
 少し鼻のかかった声。 
  
 やばい。美貴先生だ。恒例のミニスカも健全や。 
  
   
- 36 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:22
 
-  「ん?どかした?」 
  
 後ろから亜弥が覗く。藤本先生と確認すると、なんだ、みきたんかと呟くと堂々とドアを開けて教室に入った。 
  
 「ちょお、亜弥ちゃっ――」 
  
  
 「おっはよーございまーす!」 
 「あー。松浦姉妹じゃん。来ないと思ったら」 
 「みきたーん!!今日もきゃわいいね!」 
 「へへ、亜弥ちゃんに言われるとうれしーなぁ」 
  
 四秒ですでに二人の世界。 
 五秒目で愛はそうだった、と気付いた。 
 いつの怖い(特に目が)藤本先生も亜弥の前だと甘くなるのである。 
 一度、なにかあったのか愛が聞いてみたが、「愛ちゃんにはまだはやー 
 い」とはぐらかされた。謎だ。 
   
- 37 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:23
 
-  「おはよーみんな!!」 
  
 しばらく藤本先生といちゃついた後、亜弥がやっとクラスの皆さんに挨拶。目立ちたがり屋なのである。 
  
 「おはよーあやや!」 
 「松浦さんおはよー」 
  
 次々と返ってくる返事。 
 学園のアイドルであり、クラスのムードメイカーの成す業なのか、ほと 
 んど全員返ってくる。 
 愛はそんな亜弥の後ろにいるのが好きだった。 
  
 「あ、愛ちゃんもおはよー」 
 「あ、おはよー」 
  
 そして、自分は普通の、面白くないやつなんだと思ってた。 
   
- 38 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:24
 
-   
  
 ☆ 
  
   
- 39 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:28
 
-  休み時間。 
  
 「高橋センパーイ」 
  
 呼ばれるがまま、愛は教室の入り口を見ると、後輩の道重さゆみと亀井 
 絵里が立っていた。 
 二人は親友で、見る限りいつも一緒にいる気がするのはその証明だろう。 
 相変わらず仲がいいなぁと愛は席を立つ。 
  
 「これ、調理実習で作ったんです。よかったら食べてください!」 
  
 さゆみから綺麗にラッピングされた袋を受け取る。 
  
 「おー!ありがとー!」 
  
 さっそく開けて、一つ、つまみ食いする。 
 チョコチップクッキー。 
 少し甘いけど、おいしい。 
  
 「おいしー。これ、さゆが作ったの?」 
  
 「はい!絵理に手伝ってもらって」 
  
 さゆみは照れながら絵理に目配せすると、絵理は困ったように笑った。 
  
 かわええなぁ。 
  
 「うん、うまいうまい。よぉ、作ったなぁ。あーし、こんなんつくれんわぁ」 
  
 がしがしとさゆみと絵理をなでる。 
 二人はありがとうございます!!と答えて、手を繋いで笑いながら廊下 
 を去った。 
 そんな二人の背を見送って、愛は席に戻る。 
   
- 40 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:29
 
-  「愛ちゃんは後輩にもてるねー」 
  
 冷やかすように亜弥が近寄り、愛の机の上に座る。 
  
 「あ、亜弥ちゃんいる?」 
  
 さっきもらった袋を亜弥へ差し出す。 
  
 「いや、いーよ。愛ちゃんがもらったんでしょ?」 
  
 「でも、こんなおいしいもん、独り占めするんもったいないなぁ思って」 
  
 「ん、じゃ、一コ失礼。」 
  
 亜弥は袋からいっこつまみあげて、ぱくりと口に入れる。 
  
 「ん、グッド」 
  
 満足そうに言って、持っていたコーヒーを一口飲む。もちろん、それは真希に買わせたコーヒー。 
   
- 41 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/11/27(日) 18:29
 
-   
  
 ★ 
  
   
- 42 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:04
 
-  あいちゃーん!」 
  
 またまた入り口から愛を呼ぶ声が。 
  
 「ガキさん!!」 
  
 飛びつくように入り口に走る愛。 
  
 新垣理沙。愛の後輩兼小学校からの親友。後輩なのに愛ちゃんと呼ぶの 
 は幼い頃の影響だろう。家が近所だからだろうか。 
 その割には亜弥とはあんまり喋ったことがない。というより、避けられてると亜弥は思っている。 
  
 「・・・」 
  
 ま、いっか。 
  
 亜弥はもう一口コーヒーを飲み、愛と新垣の方へと見る。 
  
 カーン。 
  
 亜弥の頭の中にゴングが鳴った。 
   
- 43 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:06
 
-  アイ:HP100 リサ:HP100 
  
 「ガキさん、どした?」 
  
 「愛ちゃーん。じつはさぁ、歴史がわかんなくてさぁ」 
  
 「アウストラロピテクス?」 
  
 「いやいや、そんな始めの方じゃないし!!」 
   
- 44 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:07
 
-   
 ・ 
 ・ 
 ・ 
   
- 45 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:07
 
-  アイ:HP120 リサ:HP80 
  
 「あーし、中臣鎌足になりたい!!」 
  
 「なんで?」 
  
 「実の娘と結婚する!!」 
  
 「おいぃ!!」 
   
- 46 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:08
 
-   
 ・ 
 ・ 
 ・ 
   
- 47 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:08
 
-  アイ:HP140 リサ:HP60 
  
 「・・・で、ここどうなってるの?」 
  
 「・・・」 
  
 「・・・」 
  
 「・・・聞いてなかったでしょ?」 
  
 「あー、考え事しとった。」 
  
 「・・・」  
- 48 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:09
 
-   
 ・ 
 ・ 
 ・ 
   
- 49 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:09
 
-  アイ:HP160 リサ:HP40 
  
 「あーし、普通やんなぁ」 
  
 「いや、愛ちゃんは普通じゃない。」 
   
- 50 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:09
 
-   
 ・ 
 ・ 
 ・ 
   
- 51 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:10
 
-  アイ:HP180 リサ:HP20 
  
 「人間てすごいよなぁ」 
  
 「・・・」 
   
- 52 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:11
 
-  結論がないお話=永遠と続く。 
  
 新垣は今度から愛に質問するのはやめようと一つ、また賢くなった。 
 愛の結論のない話を聞きながら。 
  
  
  
   
- 53 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:11
 
-  ____________________ 
 |                   | 
 |アイは100かいふくした!      | 
 |                   | 
 |リサはちからつきた!         | 
 |                   | 
 |アヤはわらっていた!      ▼  | 
 |                   | 
 |___________________|   
                  | 
   
- 54 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:12
 
-   
  
  
  
   
- 55 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:12
 
-   
  
 『こっちの身にもなってくれよぉ』 
  
   
- 56 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:13
 
-   
  
  
  
   
- 57 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:14
 
-   
  
 ☆ 
  
   
- 58 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:19
 
-  昼休み。 
  
 「ありゃ、こんちゃんとまこっちゃんじゃん。」 
  
 「あー松浦さん」 
  
  
  
 愛と亜弥が一緒に弁当を食べていると、教室の前を紺野あさ美と小川真琴が通った。 
  
 ちなみに紺野はポテトチップスコンソメ味(¥105)を食べていた。 
   
- 59 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:19
 
-  「おーひさしぶりやのー」 
  
 「ひさしぶりだねー愛ちゃん」 
  
 小川はドアから顔を出して挨拶。 
 ちなみに紺野はえびせん(¥123)を食べていた。 
   
- 60 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:20
 
-  紺野と小川は愛の中学のときの後輩。 
 同じ部活をだったようで、仲がいい。 
 小川の奇抜なギャグセンスに惹かれて亜弥も気に入っている。 
  
 「どーしたの?こんなところに来て?」 
  
 小川の学年と亜弥の学年の階が違う。 
 小川の学年はいっこ下なのである。 
  
 「それがー辻ちゃんと遊んでいたら、窓ガラス割っちゃってー」 
  
 「へーそれで?」 
  
 小川の話に首を伸ばして聞く二人。 
 ちなみに紺野はクロワッサン(¥136)を食べていた。 
   
- 61 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:23
 
-  先生に呼び出されて怒られてたんですよー」 
  
 「あれ?じゃあ、こんちゃんじゃなくて、のんじゃないの?」 
  
 「それが、聞いてくださいよ。辻ちゃん、うまいこと先生に見つからなかったんです!! 
 そんで、あたしが全部責任取ることになっちゃって一人で職員室行くの怖いからこんちゃんに付き添ってもらうよう泣いてすがってーそれk」 
  
 「「・・・」」 
  
 She is the king of HETARE. 
  
 二人の双子に意味不明な英文が流れた。 
  
 ちなみに紺野はつゆだくおでん(¥不明)を食べていた。 
  
   
- 62 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/08(木) 16:24
 
-   
  
 ★ 
  
   
- 63 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:14
 
-  突然失礼します。 
 いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント 
 「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、 
 案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。 
 お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。 
   
- 64 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:31
 
-  放課後。 
  
 「愛ちゃん!!」 
  
 「みうな」 
  
 同じクラスのみうな。キングオブ天然。それは天然の天使と異名をもつ 
 あの伝説の安倍なつみと並ぶという。 
  
 「ちょっときて!!」 
  
 愛の手をとり、教室のそとへ連れ出す。 
   
- 65 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:31
 
-  「あれ?みうなっち?愛ちゃんどこ行くの?」 
  
 そこへ掃除から返ってきた亜弥がついていこうとするが。 
  
 「松浦さんはダメ!!」 
  
 と思いっきり右手で制された。二人は教室を出て行く。 
  
 一人残された亜弥はため息をつく。 
  
 なぜ、自分だけ、さん付け? 
  
  
 「あたし、やっぱり25歳にみえるのかなぁ?」 
  
  
 それは問題ではない。(と思う) 
   
- 66 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:32
 
-  その頃、愛は。 
  
 ぱしゃっ、かしゃっ 
  
 「うわっ、可愛い!!すごい!!」 
  
 「・・・そ、そう?」 
  
 「あ、松浦センパーイ。こっちむいてくださーい」 
  
 「う、うん」 
  
 ぱしゃっ、かしゃっ、かしゃっ 
  
 なぜか写真部の部室。数十人の写真部員が愛を撮っていく。なかには部 
 外者もいるが。そして、愛はなぜか婦警服。しかも、ミニスカの。 
   
- 67 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:33
 
-  困惑している愛にみうなが写真片手に笑う。 
  
 「うーん。本当は松浦さんも撮りたかったんだけど、あの人お金とりそうだからなぁ。しかも高額の」 
  
 「あー。」 
  
 それはわかる。亜弥はお金にうるさい。 
  
 「あ、ゴメン。今度はこっち向いて」 
  
 「あ、うん」 
   
- 68 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:34
 
-  ぱしゃっ、かしゃっ、かしゃっ、ぱしゃっ、かしゃっ 
  
 「やっぱり似てますね。愛ちゃんと松浦さん」 
  
 ぱしゃ、かしゃっ、かしゃっ 
  
 「そう、かな?そんなに?」 
  
 ぱしゃっ、かしゃっかしゃっ 
  
 「うん。猿顔なとこがとこがとくに」 
  
 「・・・」 
  
 ぱしゃっ、かしゃっ、かしゃっ 
   
- 69 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:34
 
-  「でも、全然違う。」 
  
  
 ぱしゃっ 
  
  
 「・・・ぇ」 
  
 「もうひとつ、松浦さんを撮らない理由教えてあげよっか?」 
  
  
 カメラを下げて含んだ笑みを浮かべるみうな。 
  
  
 「私、ヒールの靴とか、厚底のブーツとかはけないんですよ」 
  
  
   
- 70 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:36
 
-  出た。 
  
 出ましたよ。 
  
  
 みうなワールド。 
 キングオブ天然から繰り出される最強スタンド。ザ・ワールd 
  
  
 「でも松浦さんはそんな靴を完璧にはきこなすからカッコいいんです。 
 誰もがはけないような靴を、いとも簡単に」 
  
 愛の時間が止まっている間にみうなワールドは広がっていく。 
  
  
 緑のチーク、そんな言葉が愛によぎった。 
  
  
 「撮らないんじゃなくて、撮れないんですよ。 
 あの人が高すぎて」 
  
  
 ごめん。むりや。理解不能。 
  
  
   
- 71 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:37
 
-  増えてる・・・。 
  
  
 やっと時が動き出した後、周りを見渡すと、愛の周りにはもうすでに人 
 が殺到。愛は肩が重くなった。 
  
  
 こら、帰れんわ。 
   
- 72 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:38
 
-   
  
 ☆ 
  
   
- 73 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:38
 
-  やっと愛が教室へ帰ったのは連れ出されて随分と経っていた。 
  
 「はぁ、亜弥ちゃんおるかなぁ」 
  
 不安げに愛は教室をのぞく。 
  
  
 「・・・あ」 
  
 二人の生徒が、いた。 
 一人は言わずとも知れず姉の姿で、もう一人は。 
  
 知らない、男の、センパイ。 
  
 不穏な空気に愛はなんとも言えないほど不安になった。 
 なにか、取り残されるような、そんな。 
   
- 74 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:39
 
-  既視感。 
 前にも、こんなことが、あった? 
  
  
 今よりほんのすこし短かった髪。 
  
 クラスが違ってあまり会わない姉。 
  
 自分の机がないあまり見慣れない教室。 
  
 ドアの窓から見える光景。 
  
 見知らない少年と、 
  
 姉。 
  
   
- 75 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:39
 
-  「もういいって言ってるでしょ。さっきから」 
  
 愛ははっとして現実に戻る。 
  
 「亜弥!!ちょっ!待て!」 
  
 「さようなら」 
  
 「亜弥!!」 
  
 勢いよくドアから亜弥は出る。「きゃっ」と可愛い声がそばに聞こえた。 
  
 「愛、ちゃん」 
  
 みっともないところを見られた。愛から目をそらす。 
 ひどく泣きそうな顔だったから。 
 これ以上見られたくなくて固まって動かない愛の手をとって引っ張る。 
  
  
 「かえろ」 
   
- 76 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:40
 
-   
  
 ★ 
  
   
- 77 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:41
 
-  「なぁ、亜弥ちゃん」 
  
 「なに?」 
  
 「さっきの、カレシ?」 
  
 「もとカレ。こないだ別れた」 
  
 「ふぅん」 
  
 「・・・男ってホント、勝手―――」 
  
 吐き出すように言った亜弥の言葉は残念ながら今までそういう経験のな 
 い愛には理解できない。 
 けど、理解するのは亜弥は求めていない。ただ、聞いてあげることを求 
 めているのだと愛は確信していた。 
  
 そして、それはその通りで、亜弥は何も聞いてこない愛を心地よく感じ 
 ていた。 
   
- 78 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:41
 
-   
  
 ☆ 
  
   
- 79 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:42
 
-  校舎を出ると凛とした空気が二人を包む。 
  
 「おお、さむ」 
  
 「さむいね」 
  
 冬の日はすでに暮れていてほんの少しの明るさを遠くに残して沈んだ。 
 宵の口。 
 ダークブルーの空にぽつぽつと星が輝く。あと、月も。 
  
 「きれえ」 
  
 「きれーね」 
  
 それぞれ冬の空の感想を述べる。冬の空は澄み切っていていっそう綺麗 
 だ、とお互い思ったのは何も双子であるからではない。 
   
- 80 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:42
 
-  ふぅ、と愛がわざとらしく息を吐くとそれはきらきらと霧散していった。 
  
 「おお、息、白!!白いで!亜弥ちゃん!」 
  
 はしゃぐ愛に苦笑しながら亜弥も同じことをする。 
  
 「あー白い。そしてさむいー」 
  
 「カイロあるで」 
  
 「まじで?」 
  
 「うん」 
  
 繋いだ手と手の間にカイロを入れる。あたたかい。 
  
 「へへ、でもいーよ。自転車とってくるね」 
  
 「あ、うん。待っとく」 
  
 亜弥は走って自転車置き場に向かう。一人残る愛。 
   
- 81 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:43
 
-  「あ、松浦センパーイ。さよーならー」 
  
 後輩だろうか。 
 顔は知らないが無視するのは嫌だ。 
  
 「さよーなら」 
  
 同じように笑顔で返すと、キャーという黄色い声を出して去っていった。 
  
 何だろう。 
  
 ――――と、次々と集団がやってくる。 
  
 「愛センパイ。さようなら」 
  
 「さようなら」 
  
 「松浦センパイー!またあしたー」 
  
 さようならコールはまだまだ続く。  
- 82 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:44
 
-  律儀に一人づつ挨拶していると自転車にまたがってやってきた亜弥に呆 
 れられた。 
  
  
 「モテモテだ」 
  
 ――――と、さらに集団がやってくる。 
  
 「亜弥ちゃーん、ばいばーい!」 
  
 「あややー」 
  
 「亜弥ちゃん!今日も可愛かったよー!!」 
  
  
 ・・・。 
  
 「モテモテだ。」 
  
 愛は言い返した。亜弥はびみょ―な顔になった。 
   
- 83 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:44
 
-  「ん、さっさと乗って」 
  
 かばんを二人分かごに乗せ、愛は後ろにまたがって乗る。 
  
 「んじゃ、しゅっぱーつ」 
  
 「おー」 
  
 ペダルに力を入れる。 
 始めはふらふらしていたが、だんだん慣れて、安定していく。 
  
 「きょーこーっとっぱ!」 
  
 近づいてきた集団を抜かしていく。 
 さようならコールは後ろから聞こえた。 
   
- 84 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:45
 
-   
  
 ★ 
  
   
- 85 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:45
 
-  「亜弥ちゃん」 
  
 「んー?」 
  
 「亜弥ちゃんは、今までカレシ何人つきあったことあるん?」 
  
 「んー・・いちいち数えてないからわかんない」 
  
 「そっか」 
  
 小さく呟く愛に亜弥は何か感じ取った。 
 双子特有の共鳴なのかどうか知らない。 
  
 「なぁーに、おねーちゃんが離れてしまいそうで怖いのでちゅか?」 
  
 「・・・」 
  
 「図星なんだ」 
  
 愛は顔を赤くして亜弥の肩に顔を埋める。亜弥に見られていないのが幸いだった。 
   
- 86 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:46
 
-  「おねーちゃんは寂しいね。」 
  
 「え?」 
  
 「愛ちゃんが、どっかいくんじゃないかって、いつも心配」 
  
 「・・・え」 
  
 ありえない、愛は思った。 
  
 「ありえんて。亜弥ちゃんは学園の人気者やし、生徒にも先生にも好かれとってあーしなんか、」 
  
 「そんなことねーよぅ。あんたはあたしなんかよりずっと、信頼されてるべ」 
  
 「ありえん、ありえん」 
  
 「ありえるって。みうなっちとか亀ちゃんとか道重ちゃんだってお豆ち 
  ゃんだってさ。みーんな愛ちゃんのことが好きだよ。わかるもん」 
  
 「うーん」 
 「そうだよ。絶対。」 
   
- 87 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:47
 
-  人気者の「あやや」は松浦亜弥という自我では決してなくて。 
 言うなら偶像。 
 人々の理想。 
 つまり、アイドル。 
  
 みんなに尊敬されても、眺望されても、その分妬みとか畏敬とかでいっ 
 ぱいで。 
 そういう意味では亜弥に心を許せる友達はあまりいない。 
  
 だからこそ言える言葉だった。 
   
- 88 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:48
 
-  「そんな愛ちゃんが好きだから、あたしは絶対離れないよ。 
  勝手な男よりずーっと好き。」 
  
 「あーしも!!」 
  
 嬉しくて、愛は亜弥の腰に回していた腕の力をを強くした。亜弥はそんな妹をいっそう好きだと思った。 
  
 「どっか寄ってく?」 
  
 「あんまん食べたい」 
  
 「あーじゃ、いこっか」 
  
 亜弥は近くのコンビニへとペダルを踏んだ。 
   
- 89 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:48
 
-   
  
 ☆ 
  
   
- 90 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:49
 
-  二人の少女はチャリに乗っていた。 
  
 「はぁ、ぜぇ、はぁ」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
 「ほれほれ。遅くなっとーよ。はよせな、遅刻するがし。」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
 「はぁっ、わかってるってば!ってか、あんた自転車屋さんに修理頼まなかったの!?」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
  
 「忘れとった。キャハ。」 
  
 「笑いながら言うなよ!!ちょームカツク!!」 
  
 キコキコキコキコキィィィ―――――!! 
   
- 91 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:50
 
-  正面から来る風とガチンコバトル。 
 せっかくセットしてきた髪もむちゃくちゃに。 
  
 恐ろしい速さで映り行く景色。 
 けど、そんな景色をのんびりと眺める余裕もなく。 
  
 ペダルを狂うほどこぎ回す足。 
 二人分の重さが負担してくたくたで。 
  
 加速していくスピード。 
 寝起きのだるさを吹き飛ばして。 
  
 迫り来る校門。 
 明らかに日本人じゃない人を前に置いて。 
  
  
 ・・・え? 
   
- 92 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:51
 
-  キキィイイイイィィ―――――!! 
  
 「え?え?どゆこと?何で先生がいるの?まだ時間じゃないよね?」 
  
 「え?う、うん。あれ?・・・あ。」 
  
 「え?」 
  
  
 「時計と止まっとった」 
  
  
 ふたりは恐る恐る校門に立っている英語教師を見た。 
 笑ってる。超、笑っている。 
 不気味なほど笑っている。 
  
 超、怖い。 
  
 彼は双子の姉妹に近づき、こう言ったそうだ。 
  
 それはネイティブに。 
  
  
   
- 93 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:54
 
-   
  
 Hello,twins! 
  
   
- 94 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:54
 
-   
  
  
  
   
- 95 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:55
 
-   
  
 ちなみに二人乗りは校則違反。 
  
   
- 96 名前:Hello,twins! 投稿日:2005/12/13(火) 16:57
 
-   
  
 END 
  
   
- 97 名前:K坊 投稿日:2005/12/13(火) 17:12
 
-  >32 konkon 様 
 レスありがとうございます。 
 konkon様のkonはもしかして紺野様からきてます? 
 でしたらごめんなさいorz 
 紺野さんに食べ物与えすぎました・・・ 
  
 あとがき。 
 自己満足な小説で申し訳ない。でもたのしかったー!!(超自己満足 
 ちなみにハロプロタウンのちっこい二人の写真をエネルギーにして書きました; 
  
 長編でもないのにとぎれとぎれに更新してすみません。 
   
- 98 名前:K坊 投稿日:2005/12/13(火) 17:15
 
-  一応ageます。 
 厳しい指摘とか、感想、待っています。  
- 99 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/13(火) 18:41
 
-  この二人の組み合わせが新鮮で面白いと思いました。 
 
- 100 名前:( ´Д`) 投稿日:2005/12/27(火) 06:24
 
-  やばい、さらに亜弥愛にハマった(*´Д`) 
 
- 101 名前:snow smile 投稿日:2005/12/30(金) 19:15
 
-  なにしているんだろ、あたし。 
  
 そんな考えを頭にあたしはせっせと手袋をはめた手で雪を掻き集める。 
 溶けた氷は手袋にしみこみ、手をかすかに湿らせていた。指先はすでに感覚はなく、かじかんでいる。 
 それでもあたしはせっせと雪を掻き集めていた。 
   
- 102 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:16
 
-  隣を見ると、同じように亜弥ちゃんがせっせと雪を掻き集めている。その横顔はほんのりと赤く、真剣というより、無表情に近い。 
  
 しばらく(少しの間?)その姿をぼんやりと観察していると、視線を感づいたのか亜弥ちゃんがゆっくりとこちらを見た。 
  
 「なぁに?ごっちん」 
  
 無表情がなくなり、かわりにふわりと緩んだ顔が真っ赤な顔に浮かぶ。 
 あたしはなんだか胸あたりがくすぐったくなって、雪のかたまりに目を戻す。そして、また掻き集める。 
   
- 103 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:16
 
-  「いやぁ、なにやってんだろうな、あたしたち、と思ってさー」 
  
 がつ、がつ、 
  
 「にゃはは、なんだろーねー」 
  
 がっ、がっ、 
  
 「19と20のアイドルが、公園で、・・・雪遊び。」 
  
 がつ、がつ、 
  
  
 「でも、結構おもしろいね。」とあやや。 
 「そうかな。」とあたし。 
   
- 104 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:17
 
-  おもしろいとか、おもしろくないとかそういうのとは違う気がする。 
 ただ無心に雪を掻き集めている。 
 飽きている訳でもなく。楽しんでいる訳でもなく。 
 何となく小学生の時にやったありの研究を思い出した。 
 あの時、ただぼんやりとありの行く先を時間も忘れて見ていた気がする。 
   
- 105 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:18
 
-  「固めようか」とあたし。 
 「うん」亜弥ちゃん。 
  
 集めた雪で雪山を作り、とんとんと手の甲でたたいて丸く形作る。 
  
 「あれ、一緒にしちゃうの?」 
 「うん」 
  
 亜弥ちゃんは自分の掻き集めた雪をあたしの雪と合体させた。 
 思ったより大きくなった。亜弥ちゃんの背の半分ぐらい。 
 ということは、この二倍、亜弥ちゃんの背ぐらいにしようとしているのかな。 
   
- 106 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:18
 
-  亜弥ちゃんのほうを見ると、あたしの作った球を崩しているように見えた。 
 あたしは慌てて止めると、「いいから」と相手にされなかった。 
 亜弥ちゃんはやっぱり強い。 
  
 亜弥ちゃんに従って形作っていくうちにあたしはあることに気付いた。 
  
 「雪だるまじゃ、ないんだ。」 
 「うん」 
  
 亜弥ちゃんはなぜか得意げそうに言った。あたしの方を見ないでどんど 
 んと形づいていく。 
 亜弥ちゃんの後姿から見えた耳は赤かった。 
   
- 107 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:19
 
-  「あ、これくらいかな」 
  
 とんとんと亜弥ちゃんは雪山のてっぺんをたたく。 
 亜弥ちゃんの背の四分の三ぐらい。あたしはこれがなにかわからなかった。 
  
 仕上げ、とそう言って亜弥ちゃんは半分から少し上に雪の塊をくっつける。 
  
 「じゃーん。ゴマキペンギン。」 
 「おー」 
  
 ああ、これが作りたかった訳。成る程、見えなくもない。  
- 108 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:20
 
-  亜弥ちゃんは赤い鼻の下をこすりながら笑う。まるでこどもみたいに。 
 すると、またあたしの胸がぎゅーと締め付けられたように苦しくなって 
 熱くなった。 
 その熱い胸をあの小さな体を思いっきり抱きしめて押さえつけたくなった。 
  
 だけど、なんとなくダメな気がしてその情動を抑える。 
  
 その反動で意地悪したくなった。 
   
- 109 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:20
 
-  「でも、ペン子はくちばしないよ」とあたしは言う。事実、ない。 
 「えぇ!うそぉ!」素で驚く亜弥ちゃん。ハロモニを見ていないんだろうな。きっと。 
  
 あーあ。とふくれっつらをして亜弥ちゃんは嘆く。 
 あたしは笑う。引き笑い。この頃、笑い方も彼女に似てきた。 
  
 「あーなんで笑うの!ごっちん!」 
 「だって、まっつーの顔がお猿さんみたいだし。顔が赤くて。」 
  
 「ごっちんだって顔赤いじゃん!」 
   
- 110 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:21
 
-  亜弥ちゃんはそこらへんの雪を掻き集めてあたしに投げてきた。肩に当たる。 
  
 「ちょ、と、まっつー!」 
  
 あたしも投げる。逃げられた。 
  
 真っ白の雪に足跡がつく。ぎゅぅ、ぎゅぅ、とブーツと雪がこすりあっ 
 て鳴る。 
 見た目より雪はかたい気がする。マシュマロとかうさぎとかそんなふわ 
 ふわしたものではないと思う。 
  
 歩いていくうちに雪は薄くなって透明な氷が張り出す。 
 何人かが歩いたのだろう。足跡があった。 
   
- 111 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:22
 
-  「きゃっ」 
  
 可愛い声がしてそちらを見ると、言わんこっちゃない、亜弥ちゃんが転 
 んでいた。 
 関西人は雪がめったに降らないから滑りやすいらしい。 
 滑らない歩き方はペンギン歩きがいいとテレビでやっていた。 
  
 あたしはこの機に集めた玉を投げる。見事に頭にに的中。亜弥ちゃんの 
 頭から白がかぶさる。 
  
 「ごっちーん」 
  
 恨めしそうにあたしを見る亜弥ちゃん。 
 その顔がおもしろくてあたしは爆笑しながら手を差し伸べる。 
  
 「もー」 
  
 亜弥ちゃんは片手で雪を払ってもう一つの手であたしの手に触れる。 
   
- 112 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:23
 
-   
 触れる。 
  
 手袋と手袋が重なり合う。体温など感じられるはずなどなく厚い布と布が重なる感覚のみ。 
  
 だけど、あたしはそこを妙に意識をしてしまった。 
  
  
 だから、もうひとつ、意地悪したくなった。 
  
 「きゃぁっ」 
  
 亜弥ちゃんが重心を前に傾けた瞬間にあたしは手を引っ込めた。 
 また亜弥ちゃんが雪にしりもちをつく。 
   
- 113 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:24
 
-  「ごっちん!」 
  
 さすがにこれは怒った。あたしもやりすぎたと思う。 
  
 ふくれて亜弥ちゃんはあたしに背を向けて足を曲げて座った。 
 「ぬれるよ」とはさすがに言えなかった。 
  
 あたしはベンチまで走って(滑るのもおかまいなしに)かばんの取っ手 
 をつかむ。 
 一応ベンチの雪ははらって落としたけど、底はわずかに湿っている。 
 そんなことはどうでもいい。 
  
 また亜弥ちゃんのとこまで走る。亜弥ちゃんはひそかに怪訝そうに様子 
 をうかがっている。 
 あたしはかばんの中から取り出したものを亜弥ちゃんの頭からかぶせた。 
  
 ふわり、とやわらかい効果音がした気がした。 
   
- 114 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:24
 
-  「ごっちん?」 
 「風邪引くよ」 
  
 なんとなく気恥ずかしくなってそっぽを向く。 
 亜弥ちゃんはかぶさったものを外す。 
  
 「あ、これ」 
 「ん、マフラー。おそろいの。」 
  
 白いマフラー。 
 あたしが、亜弥ちゃんに買った初めてのおそろいのもの。 
 ある日、突然電話がかかってきて「なんか買ってきてよ」と言われて買 
 ってきたマフラー。 
  
 思い出深いんだか、よくわからない。 
  
   
- 115 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:25
 
-  「あー、そっかぁ。」 
  
 亜弥ちゃんがなつかしいそうに笑う。 
  
 あぁ、もう。なんでかな。 
  
  
 リミットが切れた。理性が途切れた。メーターが振り切った。 
  
 抱きしめたい情動はとめどなく現れて。暴走。 
 心臓あたりの苦しさは熱となって。巡回。 
 熱はエネルギーとなって。行動。 
  
 その背中をあたしは思いっきり抱きしめた。 
  
   
- 116 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:25
 
-  「うっわ!?びっくりしたー!」 
  
 亜弥ちゃんの背中は一瞬力が入ったが、すぐに受け入れてくれた。 
 あたしは少しほっとした。 
  
 目を閉じる。真っ暗だ。 
  
 あるのは手の中にある温度と、音。 
  
 とくとく、とく 
  
 心臓がバカなほど早く鳴っている。 
  
 とくとくとく、とくとく 
  
 きこえるかな?きこえてるかな?だったらはずかしいな。 
  
 とくとくとくとく、とく 
  
 だんだんと大きく早く鳴る鼓動。 
  
 とくとくとく、とくとくとく 
  
 聞こえてるんじゃぁないかな?聞こえてるんでしょ? 
  
   
- 117 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:27
 
-  さむいね」と亜弥ちゃん。 
 「あーさむいねぇ」とあたし。 
  
 本心はそうでもなかった。 
 コートとコートの重なり。ただの無機質な温度。 
  
 べつに直接触れ合っている訳でも何でもないのにあたしは暑かった。 
  
  
 「あ、そーだ」 
  
 あたしに抱きしめられたまま、亜弥ちゃんは持っていた白いマフラーを 
 懸命にあたしに掛けようとする。 
 でも、なかなか掛からないものだからからあたしは自分で首に巻きつけた。 
 そして、亜弥ちゃんは自分の首にもそのマフラーを巻きつける。 
  
 あたしと亜弥ちゃんはすっぽりと一本のマフラーにおさまった。 
  
 作業を終えた亜弥ちゃんは照れくさそうに笑った。 
 その顔は赤い。耳も赤い。 
  
 あたしはその顔に、唇に、キスした。 
  
   
- 118 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:28
 
-  自転車が一台、公園の前を通る。 
  
 雪道に用心しながらゆっくりと。 
 学生さんだろうか、驚いて固まっている。 
  
 はたからみたら、異様な光景だろう。 
 公園の真ん中あたりで、深く帽子をかぶった19と20の少女が熱く抱 
 きしめあってキスしてる。 
  
 少年は雪に滑りそうになりながら慌てて通り過ぎた。よいお年を。 
  
 「見られちゃったね」 
 「いいんじゃない?」 
  
 あたしは亜弥ちゃんを強く抱きしめる。 
   
- 119 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:28
 
-  「真希ちゃん」 
 「んぁ?」 
  
 「好き」 
  
 「あたしも、亜弥ちゃんのことが好き」  
- 120 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:29
 
-  もう一回、あたしは彼女の顔の横へと上体を動かす。 
  
 「見てるよぉ」と亜弥ちゃん。じったいなぁ。 
 「だれが?」とあたし。 
 「ゴマキペンギン」亜弥ちゃんは白の塊に指を指す。 
  
 「ペン子だよ」 
  
 あたしは笑いながらもう一度唇を重ねた。 
  
  
 なんやってるんだろ、あたしら。 
  
  
 なんて、あたしが笑ったら、彼女も笑った。 
   
- 121 名前:snow 投稿日:2005/12/30(金) 19:30
 
-     冬が寒くって本当に良かった  
                
               BUMP OF CHICKEN 『スノースマイル』 
   
- 122 名前:K坊 投稿日:2005/12/30(金) 19:34
 
-  あやごま。 
  
 あやみき、よしみきverも考えてみましたが。 
 あやみきは雪合戦してそうです。 
 よしみきは雪を食べてそうです。 
 ・・・ていうことでボツ。 
  
 あやごまはビジュアル的に好きです。 
 あやごま写真を見て思わず (;´Д` )に。 
  
 >99 名無飼育さん 様 
 ありがとうございました。 
 微妙に絡んでたりするんですよ。この二人。 
  
 >100 ( ´Д`) 様 
 はまってください(笑) 
 愛亜弥のユニットつくって欲しいです。 
   
- 123 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/08(日) 13:45
 
-  雰囲気めっちゃいいですね。 
 なんかやさしい気持ちになれた気がします 
 亜弥美貴まってます!  
- 124 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/17(火) 22:31
 
-  あやごまよかったです 
 また書いてください  
- 125 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/19(木) 00:19
 
-  亜弥美貴待ってます 
 
- 126 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/21(土) 19:00
 
-  よかったです。 
 
- 127 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/22(日) 16:21
 
-  あやみき読みたいなぁ 
 
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2006/01/31(火) 00:50
 
-  みなさんと同じで申し訳ないですが、是非基本のあやみき読みたいですm(__)m 
 
- 129 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/10(金) 23:50
 
-  おいらも早く亜弥美貴が読みたいです!! 
 まだまだ待ってますからぁ  
- 130 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/22(水) 16:27
 
-  雰囲気が好きだなぁ 
 あやごまもいいね。 
 マターリ待ってますよ。  
- 131 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:00
 
-   
  
 「吉澤さん、飲みましょう」 
  
   
- 132 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:01
 
-  今、思えば異様だった。 
  
  
 19才、つまり、未成年の後輩がチューハイとビールを一杯に詰め込んだコンビニ袋を片手に家にやってきたのだ。 
  
 さらに異様なことといえば、その後輩は自分のカノジョの元恋人であったことだ。 
  
 またまた、異様なことはその元カノは我が物顔で家に入り込んで酒を飲んでいることだ。 
  
  
 それは世間一般に見て、否、常識的にありえないのではないだろうか。 
  
   
- 133 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:02
 
-  そして、今。 
  
 「吉澤さぁん。今日はぶれーこーですからどしどし飲んでくださいね!」 
  
 松浦亜弥はすでに酔っていた。 
  
 ビールの缶を片手に吉澤のコップに注いでいく。 
 金色の液体がコップの中に広がり、泡がおくれて湧いてくる。 
  
 「あのね、松浦。無礼講ってのは上司が部下に言う言葉だから。 
 それに、まだ未成年でしょ。だめじゃん。」と呆れる吉澤。 
 「いーじゃないですかぁー!」 
  
 とがめの言葉はコンマ一秒で陽気な笑い声とともにかき消された。 
 にゃはは、と笑い声が部屋に響く。 
   
- 134 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:02
 
-  頭が痛くなった。 
  
 どうやら彼女は見た目に適わず、酒に弱いらしい。 
   
- 135 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:02
 
-   
  
 ◆ 
  
   
- 136 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:05
 
-  松浦亜弥と藤本美貴は仲が良かった。 
  
 それは仲が良いと言葉にあらわせるレベルではなく。非常に。異様に。 
 彼女らは自他が認める「親友以上恋人未満」だったし、周りも、同じように見ていた。 
  
 その関係は高校でも有名で、噂も非常によく流れていた。(またその関 
 係に異常に反応する人もいた) 
 例えば毎日お風呂に一緒に入っているだとか、キスをしただとか。 
 ―――した、とか、してない、だとか。  
- 137 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:06
 
-  吉澤から見ても、二人はいつもお互いを見ていると思う。 
 松浦は藤本のことを、藤本もまた松浦のことを。 
 いつも、異様に。 
 まるで二人は何処かで繋がっているのではないかと思うほど。 
  
 それは過去もそうだったし、今もそうだし、未来もきっとそうだ。 
   
- 138 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:06
 
-  だから、松浦と藤本が付き合っている事実に周りは特に不思議がらなか 
 った。ああ、そうなんだ。やっぱ、付き合ってたんだ。 
  
 二人は付き合ってからもいつも一緒で、最高に幸せそうだった。 
  
 当時、高二だった吉澤も、その時の二人の姿ががやけに深く脳裏に焼きついている。 
  
 気持ちを伝えあって、触れ合って、笑いあって。  
- 139 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:07
 
-   
  
 ―――それが吉澤が見た最高に幸せそうな藤本の姿だった。 
  
   
- 140 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:07
 
-  ある日。いつも二人が一緒でいる生活は一年で終わることになる。 
  
 三年であった藤本が卒業するのだ。 
  
 当時、松浦はまだ一年。吉澤は二年だった。  
- 141 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:08
 
-   
  
 ◆ 
  
   
- 142 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:08
 
-  だんだん酔いが回りはじめ、松浦の言動にだんだん変化が現れはじめた。 
 それはきっと酔いによってさらけ出される本音。 
  
 藤本美貴という世間一般に言うNGワードだって簡単に出てしまう。 
  
   
- 143 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:09
 
-  「ねーよしざわさん、たんは元気ぃー?」 
 「げんき、げんき。って会ってないの?」 
 「あー。昨日会ってましたぁー。にゃはは」 
 「・・・」 
  
 果たしてこれは酔いかどうか。 
 正直ムカツクが、その反面、仕方ないかな、と吉澤は思う。  
- 144 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:09
 
-  そりゃそうだ。 
 カレシとそのカノジョの元恋人。 
 後輩とはいえ、うまくいくのは稀だ。 
  
 ―――それに、あたしは罪を犯した。 
  
   
- 145 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:10
 
-  よしざわさん、聞いてますぅー?」 
 「聞いてるよ。全部。」 
  
 もうすでにべらぼうに酔ってる子の頭をなでる。 
  
 聞いてあげるよ。一つ残さず。あたしが松浦を傷つけただけ。  
- 146 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:10
 
-   
  
 ◆ 
  
   
- 147 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:12
 
-  三年になって。 
  
 二年である松浦はかすかに元気がないようだった。 
 移動教室でたまたま見かける姿は何となく寂しげだ。 
  
 美貴がいない。 
 それは今までに体験したことのないのだろう。。 
 しかも、松浦を見る限り、大学の時間帯と部活の時間帯が合わないのだろうか、あまり会えてないようだ。 
  
 日常が非日常に。 
 通常が異常に。 
  
 日に日に元気がなくなっていく彼女だったが、あるときからふっきれたように普通になった。 
  
 あたしは何があったか知らない。  
- 148 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:13
 
-  ところで、親友である後藤真希は松浦のことが嫌いのようだった。 
 松浦の話をすると、すぐ不機嫌になる。 
 ぶりっ子とか正反対のクールな後藤だから合わないと思っているのだろう。 
  
 吉澤はそのとき気がついていなかった。 
  
 どうして吉澤はあの二人が異常に気になっていたのか。 
  
 吉澤はそのとき気付いていなかった。 
   
- 149 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:13
 
-  その一年後、吉澤は藤本と同じ大学に行き、そこで。 
  
 ―――そこで、藤本美貴に恋をした。 
   
- 150 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:14
 
-   
  
 ◆ 
  
   
- 151 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:19
 
-  彼女は今日、アルコールを円滑油にうらみごとを言いに来たのかもしれない。 
  
 あたしは貴重な関係を壊してしまった。昔からお互いが好きでお互いだけ見合っていた純粋な関係が 
  
 それがあたしが、唯一してしまった、最大の罪。 
  
 ―――これが償いなら、潔く受けとめよう。 
   
- 152 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:20
 
-  たんはぁ、かわいくてぇ」知ってる。   「意地っ張りでぇ」知ってる。 
     
 「でも、さみしがりやさんでぇ」知ってる。 
                         「あたしにべたべたでぇ」知ってる。 
        「たまにバカっぽくてぇ」知ってる。  
                   「絵が下手でぇ」知ってる。 
     「スポーツが好きでぇ」知ってる。   
                          「焼肉が好きでぇ」知ってる。 
  
 知ってる。知ってる。知ってる。 知ってるさ。sitteruyo. 
   
- 153 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:21
 
-  もしかしたら、自分と目の前の彼女は同じぐらい美貴を知っているのかもしれないと錯覚してしまう。 
  
 でも、それはありえない。 
  
 彼女はあたしより広く、そして、深く、美貴を知っているはずだ。 
 こんな箇条書きな言葉ではこぼれ落ちてなくなってしまうものだし、 
 そしてそのこぼれ落ちたものこそが、あたしと彼女の差であって、もっとも重要なことなのだ。 
  
 ちらりと松浦を見ると床に倒れこんでへばりついていた。そりゃそうだ。 
 未成年のくせして生意気にあれだけのんだんだから。止めなかったあたしも悪いと思うけど。 
   
- 154 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:22
 
-  それであたしが毛布を掛けてやろうとする直前のことだった。 
  
  
  
 「よしざ、さん」 
 「おきてんの?」 
  
 「よしざわさん」 
 「なんだよ」 
  
  
  
 「あんな甘ったれだけどさぁ、よしざわさん、たんを、みきたんを、お願いします」 
    
- 155 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:22
 
-   
  
 ―――みきたんをおねがいします 
  
   
- 156 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:23
 
-   
  
 ああ、このこはほんとうにみきのことがすきだったんだ 
  
   
- 157 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:24
 
-  松浦はそのまま深い眠りについた。 
 すやすやとやすらかな寝息をたてているのがその証拠。 
  
 吉澤は二音の返事をした後、持っていたビールを一気に飲み干した。 
   
- 158 名前:--- 投稿日:2006/03/12(日) 10:24
 
-   
  
 ◆ 
  
   
- 159 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/03/13(月) 22:23
 
-  文章の表現が巧みで凄い 
 
- 160 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 22:54
 
-  「すいませんねぇ、突然」 
 「いいえ」 
  
 昔ながらの親友の心のない言葉に吉澤はぶっきらぼうに答える。 
 心のないというより、親しみがあるという意味で。正確には親しみすぎ 
 ているという意味で。 
  
 「うわっ」 
  
 親友、後藤真希は部屋の中のアルコールの匂いに顔をゆがめる。 
 その姿を笑いながら吉澤はカノジョさん、よく飲みますねぇとからかった。 
  
 「ほんとに」後藤は酒の匂いが充満している部屋難なく入り、松浦のもとへ近寄った。 
  
 「こら、未成年じゃん」 
  
 しゃがんで、こつんと眠る松浦の頭を軽くたたく。 
 その目は愛しいものを見つめる、優しい目。 
  
 ちょうど、あの時の美貴に重なった。 
  
 ―――わかっていた、のにな 
  
 独りぼやいて二人の姿を見つめる。 
   
- 161 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 22:55
 
-  吉澤は藤本に愛している、と言ったことがなかった。 
 その行為は罪だと思っているし、言ってはいけない事だと思っている。 
  
 もしかしたら、美貴は今、自分を愛していないんじゃないか、と誤解している。 
  
   
- 162 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 22:55
 
-  かちゃり、かちゃりとアルミの缶がこすれ合う音にはっとする。第三者である後藤が散らかった缶を集めている。 
  
 「あーいいよいいよ。後はあたしがやるから」 
  
 手で制するも、後藤は見向きもせず、そのまま缶を片付ける。 
  
 「よしこには迷惑掛けてるからいいよ」 
  
 あー、ごめんと口の中でもごもごと言ってあたしは黙って突っ立つ。 
  
 「このこと、美貴には」 
 「うん、言わない。言いたくないし」 
  
 かちゃりかちゃりという音が少しばかし、強くなっている気がした。 
  
 後藤はぐいっと松浦が飲んでいたであろうチューハイを飲んで、机に置く。 
 ガンッとアルミが机に叩きつけられる音が響く。 
  
  
 「負い目、感じてたんじゃない?」 
  
   
- 163 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 22:57
 
-  はっとして吉澤は後藤を見る。後藤はやわらかく松浦の髪を梳いていた。 
  
 「よしこが自分のせいで縛られているんじゃないか、て」 
  
  
  
 ―――みきたんをおねがいします 
  
 そうだ。あたしはいつもまつうらのことばかりきにしてた。すげーきづついたんじゃないかなとかふくしゅうされそうだなとか。ふたりのかんけいをしっているからよけいに。いやふたりのかんけいをしっているからこそ。 
  
  
 ―――みきたんをおねがいします 
  
 ほんとに。このことばはなにをいみしているのだろう。おまえいがいにまかせれるやつなんていないんじゃないか。 
 なにを。なにをだ。 
  
  
 あれ。 
 あたしはなにかわすれている。だいじななにかをわすれている。 
 なんだっけ。すげーだいじなの。だいじでだいじでしょーがないもの。 
 おいおい、これはわすれちゃいけねーだろという。あれ。 
  
 みき。 
 美貴。 
  
 しまった。あたしは美貴をわすれていた。 
  
 そうだあたしは美貴をまともにみていない。なんもみていない。あたしはいままでなにをみてたんだろ。 
  
  
 ―――ばかだ、あたしはぁ。 
   
- 164 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 23:11
 
-  「どうせ。まっつーのことばかり考えて、美貴ちゃんに愛してるとかいったことないんでしょ」 
  
 ずきりと心の中でわめいた。図星、だった。 
  
 「おひとよし」 
 「うるさーい」 
  
 「まぁそれがよしこのいいとこなんだけど」と後藤は続けて「らしくないんじゃない?」 
  
 らしくない。自分らしくない。なんだろうそれは。 
  
 「バカで、バカなほど他人を大事にしていて、バカなほどおもしろくて、バカなほどあつくて、バカなほど他人が大好きな 
 バカな吉澤よしこ。」「バカ言い過ぎ」本当に。 
  
  
 「そんなよしこだからこそ。美貴ちゃんは好きなんだよ」 
  
 その後、美貴ちゃんは選んだんだよ、と小さく言い直した。 
  
 途端に吉澤の中の何かが解けきって安らぎが生まれた。単純。 
   
- 165 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 23:11
 
-  後藤はふっと笑って続けた。 
  
 「それに、まっつーはああ見えてそんなにやわじゃないよ。 
 さすがにふられた日は大泣きだったけどね。ミキティの前は強がって泣かなかったらしいけど。」 
  
 けど、で後藤は語調を強めた。そして。 
  
  
 「けど、だいじょーぶ。あたしがいるし。」 
  
  
 たいした自信だ。脱帽だ。負けたよ、ごっちん。 
   
- 166 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 23:11
 
-  「よしこ」 
  
 帰り間際に松浦を背負った後藤は吉澤を呼んだ。 
  
 「なに」 
  
 短く返すと。 
  
  
 まわりばっかみて大切なものを忘れちゃあいけないよ、と目で言った。 
  
  
 ―――そうだ。そうだよ。その通りだよ。ごっちん。 
   
- 167 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 23:12
 
-  ドアが閉まった後、吉澤は急いで携帯を探して飛びついた。 
  
 そして、愛しい彼女の名前を探してボタンを押す。 
  
 『なに?』不機嫌なハスキー声。寝てたな、とひそかに笑う。『よっちゃん?』 
  
 「美貴」 
 「なに」 
  
  
 愛してる。 
   
- 168 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 23:13
 
-   
  
 ああ、本当に。遠かったなぁホント。恋は複雑。タイヘン。異様に。非常に。  
- 169 名前:--- 投稿日:2006/03/13(月) 23:14
 
-   
  
 『コンプリケイテッド』 
  
   
- 170 名前:K坊 投稿日:2006/03/13(月) 23:48
 
-  なんやら変な短編終了。 
 間接あやみきはだめですかね?(おそるおそる) 
  
 読書感想文で重松清さんの小説を読んでいたら自然とパクらせていた 
 だいた表現も多々ありますが。 
  
 >123 名無飼育さん 様 
 ありがたいお言葉(泣) 
 やさしい感じはきっとバンプさんのおかげでしょう。バンプちゃいこう。 
 あやみきの神様がこのごろ降臨しません。 
  
 >124 名無飼育さん 様 
 あやごまはこのごろきてますね。 
 意外に少ないので自給自足で。 
 今ブームなのは栗原千明×篠原涼子なんですが。マキアージュちゃいこう。 
  
 >125 名無飼育さん 様 
 あやみきに飢えてるかたいらっしゃると思いますが。(自分も) 
 円様に短編書いていただきたいなぁと他力本願中。あやみきちゃいこう。 
  
 >126 名無飼育さん 様 
 ありがとうございます。嬉しいです。ちゃいこう。 
  
 >127 名無飼育さん 様 
 書きたいです。あやみきちゃいこう。 
  
 >128 名無し読者 様 
 皆さんはどんなあやみきが見たいんでしょう。 
 1.あや>みき 
 2.あや=みき 
 3.あや<みき 
 私は断然1なんですが。(亜弥ヲタ) 
 まぁ、とにかくあやみきちゃいこう。 
  
 >129 名無飼育さん 様 
 あやみきちゃいこう。そういえば基本はあやみきだったな(汗) 
 あやみきかいてない;あせらずちゃんと書こうと思います。 
  
 >130 名無飼育さん 様 
 ありがとうございます。奇跡のあやごまブームなんで書きたいです。 
  
 >159 名無し飼育さん 様 
 つけあがりますよ(笑) 
  
 ・・・とりあえず、レスしましたが。 
 次もあやごまになる可能性大です。 
  
 あやみきに飢えてる方申し訳ございません(泣) 
   
- 171 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/14(火) 19:47
 
-  次は甘いあやみきが見たいなぁ〜 
 お願いします  
- 172 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/14(火) 19:56
 
-  すっごく良い作品だったと思います。 
 松浦さんはへらへらしてるけどしっかりしてて…よっちゃんは純粋だし。 
 この後日談とか期待しちゃっても(ry 
 …すいませんorz  
- 173 名前:K坊 投稿日:2006/04/10(月) 15:41
 
-  172 名無飼育さん 様 
 
- 174 名前:K坊 投稿日:2006/04/10(月) 15:46
 
-  ああ、しまった!!久しぶりすぎて失敗orz 
  
 >171 名無飼育さん様 
  
 ありがとうございます。 
 あまくないけどあやみきです。 
  
 >172 名無飼育さん 様 
 ご、ご、後日談!?考えてなかった!! 
 考えておきます・・・。 
  
 予定を外してあやみき。 
 超クソdabunです。 
   
- 175 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:47
 
-   
  
 ちゅん。ちゅん。じゅー。 
   
- 176 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:49
 
-   
 ―――朝。朝だ。ねむ。ぉ、いい匂い。何だろ。誰がつくってんだろ。 
  
  
 「たん。ご飯。」 
  
 ぁぁ、あやちゃんだ。あやちゃんの部屋だっけ。 
  
 みき「んー」 
  
 あや「寝とく?先食べとくね。」 
  
 ぎゅっ。 
  
 あや「?」 
  
 みき「おきる。まってて。」 
  
 あやちゃんは目の横にしわを二本つけてわらった。にゃはは。 
 老けて見える(らしい)このわらいかたは実は美貴好きだったりする。 
  
 あや「じゃ、待っとく。」 
  
 あやちゃんはキッチンへ。 
  
  
  
   
- 177 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:49
 
-  みきはぼやぼやした頭のまま、ソファーから出る。 
  
 それからぼさぼさの髪をそのままにしてあやちゃんのところへ行った。 
  
 みき「なにつくったの?」 
  
 あや「スクランブルエッグ」 
  
 みき「ふぅーん」 
  
 机のうえにはスクランブルエッグ、トースト、ヨーグルト(なぜか毎日でる)、コーヒー。 
  
 みき「・・・おいし」 
  
 あや「まじで?」 
  
 みき「まじで」 
  
 あや「ま、スクランブルエッグって料理のさしすせそだしね。」 
  
 みき「ちげーよ」 
   
- 178 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:50
 
-  姉妹関係?いや、親子?もしかしたら飼い主と犬かもしれない。 
  
 あやちゃんと出会ったのはちょうど半年前。 
  
 「拾われた」という表現同然だった。 
   
- 179 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:51
 
-   
  
 『あたしんち、来ない?』 
  
   
- 180 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:51
 
-  半年前の冬あたり。 
  
 みきがお金もってそうなおじさんを「接待」していた時。 
  
 ちょっとしたことが原因で口喧嘩になった。 
  
 「まった」 
  
 そこで現れたのがあやちゃんで。 
  
 あやちゃんは財布(かなり高そうなブランド)をとりだしておじさんにお金(かなりぶあつい札束)を渡した。 
  
 そして、ぼうぜんとしているみきに振り返って。 
  
 あや「あたし、まつうらあや。あなたは?」 
  
 みき「ふじもと、みき」 
  
 あや「そ、あぶなかったね。ナイフはあぶないからね。」 
  
 みき「しってたんだ」 
  
 あや「ひかってるのが見えた」 
  
 あや「出して。」 
  
 みき「ぇ?」 
  
 あや「預かっとく」 
   
- 181 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:52
 
-  しぶしぶとみきがナイフを渡すとふぅーんとそれを品を定めるように色んな角度から見て 
 あやちゃんはポケットにしまった。 
  
 あや「ところで、あんた」 
  
  
 『あたしんち、来ない?』 
  
   
- 182 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:53
 
-  そして、今の状況。 
  
 あやちゃんについての情報は次の通り。 
  
 −ぷろふぃーる− 
  
 名前 まつうら あや (亜に弥生の弥らしい。偽名?) 
  
 性別 女 (たぶん) 
  
 年齢 推定25歳 (そう言うと嬉しそうに笑われた。もっと上?) 
  
 カレシ いない (たぶん。もしかしたら外にたくさんいるかも?) 
  
 最近 伝説のイタリア料理、バーニャカウダーを探している(らしい) 
  
 性格 サバサバしてて、外見に似合わず男らしい 
  
  
 みき的印象としていえば普通じゃないぐらいしかない。 
  
 こんなに広い高級マンションに買い取ってる自体普通じゃないと思うけど。 
  
 みきも必要以上のことは言わないし、聞かれない。 
  
 だから、あやちゃんといるとラク。 
   
- 183 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:53
 
-  あや「たん、ついてるよ」 
  
 みき「ぇ?どこ。」 
  
  
 チュッ。 
  
  
 あや「とれた」 
  
 みき「ありがと」 
  
 あや「いいえー」 
   
- 184 名前:− 投稿日:2006/04/10(月) 15:54
 
-  たまに、いや結構?あやちゃんは変な行動を起こす。レズなのかな? 
  
 べつにどうでもいいけど。(飼われてるがわだし。) 
  
 気になるのはそのときのあやちゃんの目。 
  
 たまに、ごくたまに、ぞっとする(殺気みたいな?)ときがある。 
  
 みきを見ていないような、そんな。 
  
 まぁ、それもみきには関係ないことだからあやちゃんにきかない。 
  
 どうでもいいや、ってカンジ。 
  
 今日も朝が来て、ごはんが食べれた。それだけでいい。 
  
 それだけでいいんだって。 
   
- 185 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/10(月) 23:46
 
-  更新まってましたぁー!! 
 やっぱあやみきはいいですね 
  
 今回はちょっと変わった展開でかなり続きが気になります(ヘ_ヘ*) 
   
- 186 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/27(木) 17:58
 
-  あやみき期待です 
 待ってますよぉ  
- 187 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/14(日) 00:08
 
-  あやみき期待〜 
 内容もかなりおもしろそう(ヘ_ヘ*) 
 待ってますからねぇ〜  
- 188 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/31(水) 02:29
 
-  すごく興味のわく内容ですね! 
 ぜひ続きが読みたいです 
 待ってますから!!  
- 189 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/08/27(日) 18:31
 
-  ochi 
 
- 190 名前:K坊 投稿日:2006/12/14(木) 01:13
 
-  もうすこしつまらない物語を続けたいのです。 
 
- 191 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/25(月) 00:45
 
-  待ってますよ 
 
- 192 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/12/25(月) 01:41
 
-                                   
  
   
- 193 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 07:53
 
-  また、あのゆめをみた。ありえないゆめ。 
  
 勝手に脳内が実写化してしまってる。妄想。願望。 
  
 バカだね、あたしも 
 まだあんたのことすきだよ 
  
 泣いたって、なみだもでや、しない。 
  
 妄想だから。願望だから。ありえないから。 
  
 わたしをゆるして 
   
- 194 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 09:10
 
-   
 ちゅん。ちゅん。じゅー。  
   
- 195 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 09:11
 
-  ―――朝。朝だ。ねむ。ぉ、いい匂い。何だろ。誰がつくってんだろ。  
  
 あや「あ、おはよー。たん」 
 みき「あぁ、あやちゃんか」 
  
 めざましテレビがやってる。実はみきはみのさん派なんだけど。(どうでもいい)  
- 196 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 09:13
 
-  フライパンを片手にあやちゃんは朝ごはんをつくってる。 
 もう何度目だろう。その後ろ姿を見るのは。 
  
 あや「今日は、やらなきゃいけないことがあるから。一週間くらい家、空けるね。」 
  
 みき「ふーん。しごと?」 
  
 あや「ん、そんなとこ。」 
  
 みき「どんな?」 
  
   
- 197 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 09:14
 
-   
 ―――あ、しまった。 
  
   
- 198 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 09:14
 
-  踏んじゃ、ダメだ 
  
 一気に迫りくる緊張感。ヤバイ、ヤバイ、やばい、yabai 
  
 あや「・・・・・・んーかわいー女の子たちを見つけにいくのよー」 
  
 みき「ぁ、はは、なにそれー」 
  
 あや「にゃはは」  
- 199 名前:― 投稿日:2007/01/07(日) 09:16
 
-  ほっ、とひとまず息をつく。 
  
 あやちゃんの地雷はこわい。 
 踏むと、ありえない殺気みたいなものがみきに入っていくから。 
 みきを見ないから。こわい。 
  
 同時にすこしもの足りなくなる。 
 もうすこし。もうすこしでも、踏みこんでもいいんじゃないかって。 
  
 でも、それは、いけないことだ。おそらく、きっと。 
  
   
- 200 名前:K坊 投稿日:2007/01/07(日) 09:20
 
-  久々に、少しだけの更新。 
  
 レスくれた方、すみません。そして、ありがとうございます。 
  
 更新しない間、あやみきもすごいことになっているようで。 
 すごいアンド少し寂しいカンジで、見守っています。 
  
 GAMすごいですねー。 
   
- 201 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/06/14(木) 23:58
 
-  まってますよぉ 
 
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