a constellation of motes
- 1 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/17(水) 23:35
- 今回、初めて小説もどきを書きました。
ゆっくりと月一更新目標で。
一作目は時期ものなので、これだけは週一更新目標で行きます。
CPはマイナーばかり。というか、異色作?
お手柔らかにお願いします。
- 2 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/17(水) 23:37
- まずは最下層で。
二日以内に載せ始めます。
では。
- 3 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/19(金) 23:51
- 『ひと夏の騒動』
- 4 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/19(金) 23:54
- ―8月初め―
この頃、みんなの様子がおかしい。
なんで集合の一時間前に揃ってるの?
- 5 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/19(金) 23:57
- そんなことを思いつつ、楽屋のドアを開けた。
「おはようございま〜す…」
「あさ美ちゃん、おはよっ!」
「ぽんちゃん、おはようっ!」
次々にみんなの挨拶が聞こえる。
…今日も全員揃っているらしい。
でも、今日は何かいつもと違うような?
いつもより、何だろ?
こっち見てる?
楽屋全体がそわそわしているような雰囲気。ピリピリしてる。
ばっちりと目が合った愛ちゃんに原因を聞いてみることにした。
「ねぇ、愛ちゃん。何かあったの?」
「あ、あのね、あさ…」
ガチャ
「あ、紺野さん、おはようございますっ!」
- 6 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:02
- 愛ちゃんが何か言いかけたところで、
新メンバーの久住小春ちゃんが楽屋に入ってきた。
飲み物を買いに自販機に行っていたらしい。
手にはペットボトルを持っている。
こんなに早く来て、感心なことだと思う。
元気いっぱいな久住ちゃんを見て
鬱屈な楽屋の空気から救われた気分になった私は
自然と笑顔になりながら久住ちゃんに挨拶を返す。
「久住ちゃん、おはよう。」
すがすがしくて、さわやか。
うん、これこそ朝にふさわしい感じだ。
そう思ってにこにこ笑っていると、久住ちゃんも笑った。
「…紺野さんって、不思議な人ですね。」
いや、なんでいきなりそんな結論がでるの?
私にはそのほうが不思議だよ。
- 7 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:09
- 「あ、紺野さん、手に持っているものはなんですか?」
唐突に久住ちゃんの話題が変わった。
ついて行くのも一苦労。
でもなんか打ち解られている感じもするからうれしいな。
「これね?これはできたての私の写真集。
来る途中マネージャーさんから一冊だけもらったの」
「そうなんですか〜?是非、見たいですっ!」
わたし、その写真集の表紙書いたんですよ〜と
目をきらきらさせながら言う。
そっか、娘になったばかりだもんね。
メンバーの写真集が珍しいんだろう。
学校にいた頃には友達が写真集を出すなんてこと、ないだろうし。
- 8 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:10
- 「う〜ん、恥ずかしいから一人で見るなら…いいよ」
「でも、ここじゃ皆さんいるから読めない…」
「…じゃあ、それ、あげる。私、くす…」
「ほんとですかっ!」
「う、うん…」
私、久住ちゃんの書いた表紙もらっちゃったしね、と言う前に遮られた。
「じゃあ、サインもしてくださいっ!」
「うん、わかった」
私はカバンからペンを取り出して、サインしていく。
K、a、s、a、、
「“小春へ”っていれてくださいっ」
「“小春ちゃんへ”?」
「いえ、“小春へ”でお願いしますっ」
「うん、わかった」
ふふっ、ほほえましいなぁ。
目に映るものすべてが新鮮なんだね。
私もこういう時期、あったなぁ。
m、i。
小、春、へ。
よし、できた。
- 9 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:11
- 「はい、久住ちゃん」
「ありがとうございますっ!一生大切にしますっ!」
おおげさだなぁ。
「ふふっ、ありがと。
お世辞でも久住ちゃんにそう言ってもらえると私もうれしいよ」
「お世辞なんかじゃありませんっ!」
頭をふるふるする姿がなんか犬みたい。
かわい〜。
「あ、紺野さん。わたしのことこれから“小春”って呼んで下さい!」
「え?」
「“久住”より“小春”って紺野さんに呼んで欲しくて…」
顔、真っ赤だ。
「小春、ちゃん?」
「いえ…」
わずかに首を振る。
あ、そっか、さっきも言ってたけど呼び捨てがいいのか。
- 10 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:12
- 「……小春?」
「はいっ!!」
満面の笑みだ。元気いいなぁ。
これからもその調子でがんばってね?
ここは先輩として何かしてあげたいな…
そうだ。
「小春、今日一緒にごはん食べに行かない?」
「行きたいですっ!」
「なにがいい?」
「明太子スパがいいです!」
おぉ〜すぐに決まった。
私じゃ、好きなものがたくさんありすぎてすぐに決まんないのに。
そんなに、明太子スパが
「好きなんだね。」
小春に、にこっと笑いかける。
- 11 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:13
- 「はいっ。わたし、芸能人として藤本さんと吉澤さんが大好きですけど、
別の意味で紺野さんのことが一番好きですっ!」
「???……ありがと?」
明太子スパのことを訊いたのに…
美貴ちゃん?吉澤さん?私?
好きって言われたんだから、とりあえず、ありがとだよね?
でも、別の意味って、どんな意味?
…それより、どうしたの、小春?
目、潤んでるよ?
耳まで真っ赤で、息も荒い?
風邪引いた?
- 12 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:15
- 「どうしたの、小春?」
自分で考えてもしょうがないし、
本人に確認したほうが確実だし、訊いてみた。
すると、赤さが増したようだ。
顔を覗き込む。
頬に手を当ててみる。
熱い。
額に手を当ててみる。
熱い。
今度は額に額を当ててみる。
熱い。
「小春、風邪?」
「違いますっ!大丈夫ですっ!
のどが渇いたんで、飲み物買ってきますっ!」
「さっき、買ってきたんじゃ…」
バタンッ
パタパタパタ
- 13 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/20(土) 00:24
- 言い終わる前に勢い良くドアを開け、
私の写真集を持って走っていってしまった。
ペットボトルを机の上に残して。
ん〜、小春は芸能界入ったばかりで
きっと悩みが多い時期なんだよね。
たくさん悩むといいと思うよ。
その分人生が楽しくなるから。
人生七転び八起き。
小春、がんばれ。
紺野ならいつでも相談に乗るよ。
- 14 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/20(土) 00:30
- ひとまず終わる。
書いてみて思った。小説書く人ってすごいな、と。
一応今回のCPは久×紺。
マイナーというよりはそういう概念が無いと思う。
無駄に続きます。
CPは違うものになって行きます。
それでは。
- 15 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 02:59
- くいくいっ
感傷に浸っていると、服のすそが引っ張られた。
ん?何だろ?
あ、愛ちゃん…
ごめん、話しかけたまま忘れてた…
「あさ美ちゃん、もう無いの?」
すごい仏頂面で訊いてくる。
…怒ってる?
…というか
「何が?」
話の主語がわかんなかった。
「だ〜か〜ら〜、あさ美ちゃんの写真集っ!」
「ふぇ?無いよ?あれ見本だし、あと2、3日しないと…」
「……そっか……」
あ、愛ちゃん、暗っ。
がくーっていう表現がぴったし。
- 16 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:00
- 「え〜?あさ美ちゃん写真集無いの?同期の絆をもっと大切にしてよ」
「ま、まこっちゃん?」
「なんで同期のわたしに一番にくれないの?
一冊目の写真集、最初にサイン頼んだの、わたしだよ?」
「ま、まめ…?」
写真集は同期に最初にあげなきゃダメらしい…。
そういえば愛ちゃんのも、まこっちゃんのも、まめのも本人用見本を最初にもらった気が…。
「……はい、すぐ持ってきます…」
……無言で力いっぱい頷かないで欲しい…
「こんこん、写真集はね、メンバーに配るためにあるんだよ。」
「紺ちゃん!美貴たち北海道出身同士だし、カントリーでも一緒だし、仲良いし…。
当然すぐくれるよね!?」
「は、はぁ…持ってきます……」
吉澤さんはなんか小さい子にでも諭すような言い方してますけど、
それってなんか違いませんか?
美貴ちゃんには有無を言わせない何かがあった。
- 17 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:00
- それより気になるのは…
チラッ
そっちのほうに目を向けてみる。
うわぁ……なんか……
亀ちゃんは真顔で小学生のように手をぴんと伸ばして挙げている……
シゲさんは悲しそう……
田中ちゃんにいたっては、なみだ目?
こう言えばいいのかな?
「……すぐに全員分持ってきます……」
ニコッ
……亀ちゃんの笑顔が眩しい。
これであってたみたい。
でも、シゲさんと田中ちゃんは……
- 18 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:02
- 「ねぇ、どうしたの?シゲさん、たな…」
「なんで!?」
……かちゃん。
言い終わる前に叫ばれた。
こっちが“なんで?”だよ。
田中ちゃん、見かけによらず、人の話は最後まで聞くタイプじゃんか。
「なんでぽんちゃん、れいなって呼んでくれんと!?
れな、いつもぽんちゃんって呼びよるんに…
ぽんちゃんは、れいなって呼んでって言った始めの頃しか呼んでくれんかった…」
涙がぽろぽろこぼれてる。
「ごめん、田中ちゃん……いや、れいな。」
そう言ってれいなを抱き締める。
「……ぽんちゃ〜ん…」
泣きながら私の胸に顔をうずめる。
そんなに気にしてたんだ…
ごめんね?
これからはちゃんと呼ぶから。
そんな想いを込めてれいなに微笑みかける。
するとれいなに笑顔がもどった。
ホッと一息つく。
涙の跡が少し気になるけど、もう大丈夫だろう。
- 19 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:03
- 指の腹でれいなの頬を拭う。
「ぽんちゃん……」
腰にまわされたれいなの腕の力が強くなり、潤んだ目で見上げてくる。
さっきとは違う、熱のこもったような瞳で。
「れ、れい……うわぁっ!?」
れいなに呼びかけた途端、背中に衝撃が。
……だれ?
犯人は不可解な表情をしていた片割れのシゲさんだった。
しっかりと私のお腹の上で腕を組んでぎゅうぎゅうと抱き締めてくる。
おでこを肩に押しつけたっきり、まったく動かそうとしない。
「シゲさん……?」
呼んでも反応しない。
「どうしたの?」
…ちょっと時間がかかりそうだ。
「ちょっとれいな、いい?」
れいなはしぶしぶ体を離してくれた。
- 20 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:05
- 振り向こうとしても、振り向けない。
とりあえず、もう一度呼びかけてみる。
「シゲさ〜ん?」
応答なし。
「…言いたいことあるなら、言って?」
どうしても口を開こうとしない。
おなかの上にまわされた手は交互に指が組み込まれていて外れそうにもない。
力尽くは、かわいそうだし。
ならば
「……さゆ?」
ぴくっ
あ、反応した。いけそうだ。
- 21 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:08
- 「さゆ、話して?」
できるだけやさしい声を出す。
「さゆ?」
「……」
「さ〜ゆ〜」
少し腕を揺さぶる。
「………明太子スパゲッティ」
「え?」
「明太子スパゲッティ、さゆみも食べたい。」
あ〜わかった。明太子スパゲッティね。
娘に入ったときから言ってたもんね?
晩ご飯明太子スパゲッティだったら、
もうなまらがんばる、死ぬほどがんばる、
お菓子も我慢するとかなんとかかんとかって。
そうだよね、他の人が自分の好きなもの食べて、
自分が食べられないなんてかなしいよね?
私もまこっちゃんだけカボチャプリン食べてたら悲しいもん。
あ〜、納得。
- 22 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:10
- 逃げないから、と腕をたたいて離してもらう。
さゆの手を片方ずつ繋ぎうつむいている顔を覗き込む。
「…さゆも一緒に、行く?」
「はいっ!」
……いい返事だ。
良かった。これで無事解決。
ポンポンと少し私より背の高いさゆの頭を撫でていると
「こんのさぁ〜ん。わたしも連れってってくださいよ〜」
いきなり後ろから亀子の声が…
がばっ
「ちょっ、亀子っくるしっ」
羽交い絞めじゃん、これ…
肺が圧迫されて、息がしにくい…
とにかく、苦しい…
- 23 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:11
- 「は、なしてってばっ亀子っ」
「絵・里・です。」
「絵里っ離してっマジ苦しいっ」
「い・や・で・す。」
なんでっ!?ちゃんと絵里って呼んだじゃん!
「今度、二人でどこか行きましょう?」
約束してくれるまで離しません。と、
普段のトーンで宣言する。
「約束するっ、約束するから離して!」
「わかりました〜」
パッと開放され、ようやく酸素が体中に行き届く。
「じゃ、今度の一日オフ、空けておきますから。」
えっ、一日!?食事だけじゃなくて!?
「さゆ、トイレ行こっか」
ガチャ、パタン
反論させる隙も与えず、絵里はさゆを連れて外へ出ていってしまった…
- 24 名前:紺野さんの思想@ 投稿日:2005/08/24(水) 03:11
- ガチャ
「あ、写真集楽しみにしてますね〜じゃ。」
パタン
閉めたドアをまた開けて、そこから顔を出し、にこにこ笑顔で言い逃げした。
今日はなんか疲れた…
もう、帰りたい…
はぁ、それにしても計8冊か…重そう……
そんなことを考えていたら
「…あさ美ちゃん、あーし、2冊ね…」
「えぇ!?しゃ、写真集!?」
「うん、2冊ちょうだい…」
「わ、わかった…」
わかったから、さ。愛ちゃん。
…椅子の上で体育座りはしない方がいいよ…
なんか、なんか怖いから……
- 25 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/24(水) 03:19
- 二回目、終了。
書き忘れたがこのスレのCPは紺野さん絡みです。
今回は6期×紺野さんメイン。
こんなカンジに節操なしにやっていきます。
次回は影の主役さんの視点になります。
- 26 名前:(@´∇`@) 投稿日:2005/08/24(水) 03:36
- あさ美ちゃん………
ガンバレヽ(´口`)ノ
- 27 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/25(木) 01:48
- モテ紺は珍しいですね
6期と紺野の絡みはラジオとかで聞いてても結構好きなのに小説だとなぜか
あまり無いんですよね・・・
- 28 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/27(土) 23:35
- <<26 (@´∇`@)さん
見て下さってありがとうございます!
見てくれたということだけで嬉しいです。
この先も見てもらえるように文章力が欲しいです。
精進します。
<<27 名無飼育さん
そうですよね、六期と紺野さんという組み合わせも珍しいですよね〜
でも出会う作品はいいものばかりで、ますます好きになります。
もっと書いて欲しいですね…
今回の更新です。
- 29 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/27(土) 23:36
-
あさ美ちゃんが“アレ”を手に持って来たとき、長かった戦いが終わったと思った。
- 30 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/27(土) 23:37
- ―1週間前―
あーしはある目的があって、集合の二時間前に来ていた。
いつも集合時間より早く来ているメンバーはいる。
―1週間前―
あーしはある目的があって、集合の二時間前に来ていた。
いつも集合時間より早く来ているメンバーはいる。
しかし、それでもせいぜい40分前くらいだ。
だから一番乗りだと思っていた。
加えて、今日は話し合いが中心だ。
なおさら一番乗りだと思っていた。
しかしそんなに現実は甘くはなかった。
ガチャ
「………」
パタン
楽屋のドアを開けて、また閉めた。
目の錯覚だと思った。
もう一度覗いて見る。
- 31 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/27(土) 23:38
- ……見間違いではなさそうだ。
あさ美ちゃんと久住ちゃんを除いたメンバーが揃っていた。
立っていてもしょうがないので、とりあえず入る。
「…おはよ〜ございま〜す…」
「……愛ちゃん、おはよ。」
「…おはよ。」
一応、あいさつをしながら入ってきたものの、
返ってくる声が暗い。
いつもはさわがしいはずの楽屋が静まっている。
なぜ、こんな時間に?
考えてみた。
自主練をしている様子もなく、会話を楽しむわけでもなく、
手持ち無沙汰に雑誌などを読んでいる。
まさか…
あーしと同じ理由?
ピンときた。
そうだとしたら説明がつく。
- 32 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/27(土) 23:39
- 「愛ちゃん、ひょっとして…」
「…うん。」
あーしの思考を読み取ったのか、麻琴が尋ねてくる。
会話という会話ではなかったが、すぐにわかった。
推測でしかなかったものが確信に近いものへ変わる。
みんな考えることは同じなんだなぁ。
なぜかしみじみとしてしまった。
「よし、みんな来たから、ミーティングしよう。」
吉澤さんが微妙な空気を無理矢理打ち消すかのように提案した。
もちろん、本当のミーティングではない。
メンバーのうち、二人足りないのだから。
八人で足りるミーティング。
それは、今回の行動の理由に対するものだろう。
- 33 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/27(土) 23:39
- 部屋の中心に輪になって集まる。
「…こんなに早く来た理由は?」
「それは……」
「えっと……」
みんな顔を見渡し、もごもごと不明瞭な声を出すだけだ。
やはりまだ、みんながあーしと同じ理由だと信じたくない。
みんなも同じ気持ちなんだろう。
最後の悪あがき。
影が落ちる。
「 。」
そんな中、藤本さんがきっぱりと言い切った。
彼女の性格的にこの空気が耐えられなかったのだろう。
気まずいフインキから抜け出せてホッとした反面、
やっぱりか…と落胆せずにはいられない。
確信が事実となった。
皆、一様にため息をつき
これからのことを話し合った。
- 34 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/27(土) 23:40
- わたしですっ!とか、もしかして自信ないの?とか
微妙な言い争いが続いた結果、
本人に自分からその話題を振らないこと、抜け駆けしないこと、
誰が勝ってもひがまないことが決められた。
絶対に負けん!
わけもわからないままに事態は進んで行ったが、
目的を果たすため、そう決意した。
- 35 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/27(土) 23:50
- 短いですが、いったん切ります。
<<30
普通に間違えました。
読んでくれる人がいたら、最初の3行は無視でお願いします。
バレバレなのにひたすら隠します。
指示語で、空白でごまかします。
次の更新は今の視点での繰り返しです。
- 36 名前:(@´∇`@) 投稿日:2005/08/28(日) 05:56
- ひ…秘密会議…Σ(´д`!?
- 37 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/31(水) 13:44
- <<36 (@´∇`@)さん
秘密会議。いい響きっすね。
してたら、おもしろいですよね。
本当は<<は逆にしなければならないが、
個性と思うことにしてこの後もこれで統一します。
更新です。
- 38 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:46
- ―8月初め―
あの会議から一週間ほど経った。
みんな依然としてものすごく早く仕事場に来ている。
もちろん、あの時のように座っているだけではなくて、自主練している人が多い。
なにより1番変わったことは新メンバーの久住小春ちゃんが誰よりも早く来て練習していることだ。
そんな久住ちゃんにシゲさんが教えてあげている。
教育係になってから頼もしくなったように思える。
そんな関係が少しうらやましい。
少し苦戦しているようなので、あーしも一緒に教えてあげることにした。
そうこうしているうちに集合の一時間前になった。
あのコは自主練はレッスンの後にすることが多いけど、
努力家だし、この頃メンバーが早く来ていることを知っているし、
実際ここ1週間、このくらいの時間に来ている。
だからもうそろそろ来るだろう、そう予想して久住ちゃんとシゲさんに休憩をとろう、と言った。
シゲさんもそのことに気付いたのか、賛成してくれた。
久住ちゃんは水分補給のために外へ出て行った。
- 39 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:46
- イスに座って周りを見てみるとメンバー全員が休憩に入っている。
考えることは同じ。
でも、負けることはできない。
今日こそ“アレ”を持って来る気がする。
勝負は一瞬だ。
ガチャ
「おはようございま〜す…」
来たっ
しかも手にはアレを持っている。
「あさ美ちゃん、おはよっ!」
よし、一番に言えた!
つかみはオッケー!
このままいっきに……
ゾクッ
みんなの視線が突き刺さる。
背中に冷や汗が……
眼が”抜け駆け禁止!!”と訴えかけてくる。
…でも、関係ない。
それはあさ美ちゃんが持ってくるまでの約束のはずだ。
気を取り直して話しかけようとする。
- 40 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:47
- ……話しかけられない……
目の前にアレがあると思うと……動けん……
もうちょっとで手が届きそうなのにっ!!
自分の中で色んな思いが葛藤する。
…ジレンマていうヤツ?
いや、自己分析してる場合じゃない。
そんな間に他の人に取られる!
そんなの絶対ヤダッ!
そう思って顔を上げたらばっちりとあさ美ちゃんと目が合った。
話しけないとっ!
……できん……
だめや…キンチョーする……
- 41 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:47
- 「ねぇ、愛ちゃん。何かあったの?」
あさ美ちゃんから話かけてきた。
チャンス!
「あ、あのね…」
どもってしもた。
「あさ…」美ちゃん。
ガチャ
「あ、紺野さん、おはようございますっ!」
なにが起こったか、ようわからん。
……久住ちゃん?
久住ちゃんとあさ美ちゃんが笑い合ってる。
…まぁ、久住ちゃんはその点でライバルじゃないから、ええわ。
でも、できることなら、もうちょっと待ってほしかったなぁ〜
とにかく、仕切り直しやね。
勝負はこの後、誰が最初にあさ美ちゃんとしゃべるか、だ。
- 42 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:48
- 「あ、紺野さん、手に持っているものはなんですか?」
……ん?
なんだか話がアヤシイ方向に……
「これね?これはできたての私の写真集。
来る途中マネージャーさんから一冊だけもらったの」
「そうなんですか〜?是非、見たいですっ!」
ダメや!あーしが一番に見るんや!
あさ美ちゃんも断って!
「う〜ん、恥ずかしいから一人で見るなら…いいよ」
「でも、ここじゃ皆さんいるから読めない…」
「…じゃあ、それ、あげる。」
「ほんとですかっ!」
「う、うん…」
え?え?なにこれ?状況が理解できん。
もしかしてあーし今、眠ってる?
そーかそーか。
これは夢や。
こんな夢見たくないし、正夢になって欲しくないし、そろそろ起きようか。
ん〜〜〜。
……起きれん。
- 43 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:49
- あさ美ちゃんが写真集にサインしている。
開いた目がふさがらない。
口もふさがらない。
というか、パクパクしてる。
ふふっ、あさ美ちゃんの金魚のマネみたい。
……現実逃避してもムダだ。
視界に入るものが、それをジャマする。
本人達はもちろん、
吉澤さん、目開きすぎ。
藤本さんの、へぇ!?って顔、久しぶりに見た。
っていうか、麻琴口開きすぎやっ!
そうこうしてるうちにも2人の話はどんどん進んで行く。
- 44 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 13:51
- 「紺野さん。わたしのことこれから“小春”って呼んで下さい!」
「え?」
「“久住”より“小春”って紺野さんに呼んで欲しくて…」
「小春、ちゃん?」
「いえ…」
「……小春?」
「はいっ!!」
ダメやって!
あさ美ちゃんが呼び捨てするの、似合わんて。
そんな特別扱いみたいなのしたらダメやって。
あさ美ちゃんが呼び捨てするのは、みうなと、ときどき麻琴だけやもん。
そんな……あーしもあさ美ちゃんに”愛”って呼ばれてみたい……
- 45 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/08/31(水) 14:11
- でも、これで呼び捨てにされるのは3・4人?
一人だけのもの、なんかないかな?
年上なのに呼び捨てするのはかなり特別っぽいけど、みうな呼ばれてるし…
あ、“高橋”!?
メンバーでも名字で呼ぶ人いるけど、全部さん付け、ちゃん付けしてるし。
キッズでも呼び捨てしないもんね。
でも……呼ばれ、たくない……
名字は他人行儀すぎる。
どんどん遠ざかるカンジ…
どうしたらええやろ。
特別で、近づくカンジ……
あ、あーしが”あさ美”って呼び捨てするのはどうかな。
かなりいいんじゃない?
大抵のひとは“紺ちゃん”“こんこん”って言うし。
五期メン+のんつぁん、かーちゃんは仕事以外は“あさ美ちゃん”って呼ぶけど呼び捨てはおらん。
よしっ、これからは”あさ美”で。
いや……今度から”あさ美”って呼ぼ。
- 46 名前:ペーパー 投稿日:2005/08/31(水) 14:15
- 一応、更新終了です。
かなり中途半端でおわりますね。
区切り方、わかんないんです。
他の作者さんを見習いたい。
あと休みが終わるのでこれからは本当に週一更新です。
不言実行な人になりたいです。
- 47 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/09/07(水) 00:51
-
などと密かに決意をしていたら
「小春、今日一緒にごはん食べに行かない?」
あさ美ちゃん、何言ってるんやー!
今日も一緒にごはん食べようと思ってたのに……
阻止すべし。
……ことわれ〜、ことわれ〜
久住ちゃんに念を送る。
「行きたいですっ!」
「なにがいい?」
「明太子スパがいいです!」
届かんかった。
- 48 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/09/07(水) 00:51
- 「好きなんだね。」
「はいっ。わたし、芸能人として藤本さんと吉澤さんが大好きですけど、
別の意味で紺野さんのことが一番好きですっ!」
「???……ありがと?」
ちっがーう!違うよ、あさ美ちゃん!
意味取り違えてる。
ここはありがとうじゃないよ!
ごめんなさい、だよ!
それにしても久住ちゃんやるなぁ。
もう告白とは……
まぁ、そんなんで気付くわけないよ。
何人がそのぼけぼけの前に敗れ去ったか。
何回、あーしがあさ美ちゃんに告って失敗したか……
甘いね。甘すぎるよ。
……ってか、久住ちゃんもあさ美ちゃん狙い!?
だめだめだめ。
もう何人ライバルがいると思ってんの!
これ以上増えるのはやめて欲しい…
第一シゲさん教育しすぎなんよ、好きな人まで教育する必要なんてない…
- 49 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/09/07(水) 00:52
- そんなこと考えてたら…
「どうしたの、小春?」
ちょ、ちょっと〜!?あさ美ちゃん!?
何やってんの――!?
頬に、額に手を当て、
しまいには額に額を当てている。
どっかのマンガじゃあるまいし……ありえんやろ?
現実、そんなことする人おらんよ。
いるとしたら感化されたバカップルだけや。
というか、するならあーしにしてよ!!
2人の方向を睨む。
- 50 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/09/07(水) 00:53
- 「小春、風邪?」
「違いますっ!大丈夫ですっ!
のどが渇いたんで、飲み物買ってきますっ!」
「さっき、買ってきたんじゃ…」
バタンッ
パタパタパタ
久住ちゃんは走り去った。
…しかもあさ美ちゃんの写真集を持って。
なんとかして久住ちゃんにあさ美ちゃんの写真集、見して貰おうと思とったんに…
最初にもらえなかったばかりか、見ることもできなかった…
なんやろ…無欲の勝利なんかなぁ……
ひょっとすると今日の運勢最悪?
や、そんなことない。
朝の占いは二位だった。けして悪くはない。むしろ良い方。
もしかして久住ちゃんが一位?
……そうかもしれない。
あさ美ちゃんの写真集もらえるなんて、うらやましすぎるぅっ!
おんなじ星座・血液型のシゲさんにも注意しとかんないかんな……
- 51 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/07(水) 01:01
- 更新です。
話が進んでない&代わり映えしない内容…
というわけで
この話はあと2.3回で終わりますが
次回は心機一転、短編を載せようかと思います。
- 52 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/15(木) 03:46
- 短編なんですが、すこし長くなったので2回に分けます。
日がずれた&水・土曜のリズムが崩れたことに凹みました…。
今回の更新です。
- 53 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/15(木) 03:51
- 『Play with Asami』(仮)
- 54 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 03:53
- 「紺野さん、相談があるんですけど…」
恋人の愛ちゃんと話していたら久住ちゃんがいきなり話しかけてきた。
いつもの笑顔ではなく、強張った顔だったから深刻なことだろうと思ってすぐうなずいた。
「ほんとですかぁ〜」
ほっとしたような笑顔がこぼれて、私も少し安心した。
「じゃあ仕事終わったらここで一人で待っててください!」
「今日予定あるんだけど…」
とてもとても大切な…
「だから、今からじゃダメ?」
「そんなに時間は取らせませんから!」
仕事終わったらここに一人でいてくださいね〜!
と、しげさんと亀ちゃんの所に走っていった。
- 55 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 03:54
- 「ごめんね、愛ちゃん…」
「…あたしの方が先に約束してたのに〜」
もうっ、今日が何の日かわかってるの?
と、少しふくれた愛ちゃん。
私たちも娘になったばかりの頃は、先輩によく相談してた。
歌のこと、ダンスのこと、トークのこと、これからのこと…
それがどんなに大切なことか。
愛ちゃんならわかってくれるよね?
愛ちゃんの頬に手の甲で触れてなだめる。
すると、ふぅ、と息を吐いて、
「早く帰ってきてね?」
その言葉とともに、ほっぺにキスされた。
- 56 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 03:56
- 仕事が終わって
待ち合わせに来たのはなぜかれいな。
「さぁ、行きましょうか!」
「れいな!?…久住ちゃんは!?」
私、久住ちゃんと約束あるんだけど…
「いいから、いいから!」
強く手を握られ、連れ去られた。
- 57 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 03:56
-
どこ行くの、と訊いても、まぁまぁ、とごまかされ、
そのうちに、なんか、見たことのあるホテルに来た。
コンサートのとき使うような…。
ぼ〜っとしてたら、れいながいつのまにかキーを持っていた。
そのままエレベーターに向かう。
「たのしみですね。」
なにが?
れいなが鼻歌を歌いながらボタンを押す。
あれ?なんか上の方の階?
- 58 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 03:58
- 「ねぇ、久住ちゃんは?」
もう一度訊いてみた。
すると、何言ってるのかわからないというように一瞬きょとんとした顔をして
その後に、あぁ、と納得したような声を出した。
「それなら、後でわかりますよ」
さらりと言い切った。
しかも、ウインク付き。
…6期の子達ってサービス精神満載だなぁ。
着いた部屋は。
ビジネスマンが使うってカンジの1ルームタイプなんかじゃなくて。
なんか、OLさんたちが有給休暇に息抜きとしてすっごい贅沢して取る部屋みたい。
スイートルームレベルではないにしろ、かなり値が張りそう…。
「こんな部屋、どうしたの?」
高いよね?ここ。
ぐるぐる部屋を見回しながら訊いてみた。
あ、結構眺め、いい感じ。見える限りではバスルームも高級っぽい。
なんかハワイのホテルに似てるかも…
- 59 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 03:59
- れいなが、ぷっと吹き出した。
「…なんで笑うの?」
ちょっと睨んでみた。
「ごめんごめん!だって、ぽんちゃんさっきから質問ばっかなんだもん!」
あ〜わらえる〜、と他人事のように笑いまくる。
れいなのせいじゃんか!!
なんも説明されないままにここまで連れて来られてさ…
もう、わけわかんないよ。
ひとしきり笑い終わって、今度はきょろきょろしだした。
お〜とか、へぇ〜とかつぶやいてる。
「どうしたの?」
「や、なんか、こんな部屋、取ってたんだなぁと思ってw」
へ?れいなが取ったんじゃなかったの?
予約してたんだから、ある程度はどんなんなのかわかるよねぇ?
…違う人が予約したのかな。
- 60 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 04:00
- 「せっかくだし、使いません?」
奥のベッドルームを指しながら言われる。
それって、そういうこと?
顔が一瞬で赤くなる。
「ちょ、だめっ!私には愛ちゃんがいるから!!」
れいながにやにやして私をみつめてる。
「冗談ですよ、冗談。」
ぽんちゃんには“愛ちゃん”がいますもんねぇ〜
そうからかって、イヒヒっといたずらっこのように笑う。
勢いがあった分、恥ずかしさが募る。
穴ではないけど、ちらっと見えた少しの隙間に、亀ちゃんのように挟まりたいと思った。
- 61 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 04:00
- いま思い出したとばかりに脈絡なく何かをカバンから取り出して、
「あ、これ、高橋さんに渡してください」
見ないでくださいね?
含み笑いをしながら渡された。
なんだぁ?
「じゃ、これでれな、帰りますけど、気をつけてくださいね?」
ぽんちゃん、騙されやすいから。
「なっ!?そんなことないもん!」
あわてて否定する。
それが逆に肯定しているようで少しへこんだ。
冷静に否定すればよかった…。
「さっきも騙されたくせに〜w」
調子に乗ったのか、軽く抱きつかれながら、からかわれる。
こんな場所で言われたら勘違いするに決まってるじゃない!
- 62 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 04:01
- 頭をぐりぐり押し付けられる。
「もうっ!年上をからかって楽しいの!?」
「…ぽんちゃんは〜年上って感じしないし〜」
それに見てるだけでもたのしいよ?
さらに追加されて、またへこむ。
…私って二学年下のコに年上扱いされてないの〜!?
でも、あいぼんものんちゃんも同じくらいに思われてるだろうし、
私の二学年上の石川さんもときどき大人げないって言うか、
しげさんと同い年のコに見えるときあるし。
…けどあの2人は本当はびくっりするほどしっかりしてるときあるし、
石川さんは下のコへの気遣いとか、さすが大人なんだなぁ〜って思うことがある。
- 63 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 04:01
- ……私、だけ、なのかなぁ?
まめは私よりしっかりしてるし、まこっちゃんも…
あ!いた!!もうひとり!愛ちゃん!
だって、私より年上なのに年下みたいだもん!
甘えん坊だし…
唯一年の差を感じたといえば、去年の愛ちゃんが18歳で、私が17歳で、
夜の仕事が一緒にできなかったとき。
それは実際問題であって、精神年齢ではない。
しかも、今年は私も18歳になったからできるようになった。
…よかった〜ひとりじゃない。
「ぽ〜んちゃん?」
れいなの呼びかけにはっとする。
また、ぼ〜っとしてたみたいだ。
ちょっと曖昧に笑ってごまかした。
「だから、騙されるんだよ?」
「騙されてません〜」
「さっきのも意味、わかってないでしょ」
ふぇ?
「冗談がジョーダン。」
じゃ、高橋さんによろしく〜
最後に真顔から笑顔に変えて言い逃げしていった。
- 64 名前:P−A 投稿日:2005/09/15(木) 04:02
- 冗談が冗談……ということは、本気?
かっと顔が熱くなる。
うわぁ、どうしよう…
愛ちゃんは、どうしたらいいと思う…?
ん?愛ちゃん?
「ちょっと待って、れいな〜!!」
叫んでみても、もういない人には届かない。
「久住ちゃんはどこ?…早く帰りたいのに…」
れいながいなくなった今、質問に答えてくれる人がいない。
愛ちゃんが家で待ってるのに……
でも、久住ちゃんの相談も大切で……
二つの心がせめぎ合う。葛藤が生じる。
もう、どうすればいいの〜?
- 65 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/15(木) 04:06
- 切ります。
- 66 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:47
- ピンポーン
久住ちゃんに電話してみようか、愛ちゃんに事情を話しておこうか、悩んでいたとき。
そんなとき、部屋の呼び出し音が鳴った。
れいなが帰ってきたのかな、そう思ってすぐドアを開けた。
来たのは……
「紺ちゃーんw」
美貴ちゃんだった。
「ってか、誰か確認しないでドア開けたらダメだよ」
ヘンな人だったらどうするの。危ないでしょ?
しかめ面で説教される。
でも、心配してくれてるから言ってくれてるってわかるから全然怖くない。
「ありがと。」
素直にそう言って抱きついてみる。
「ん。」
背中をぽんぽんってたたかれる。
テレビとかで怖い怖い言われることあるけど、
私は美貴ちゃんをそう思ったことなんてほとんどない。
というか、意外に乙女な人だと思う。
そばにいると安心できてお姉ちゃんのようだ。
ハローには、そんな包容力のある人が多いと思う。
- 67 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:48
- 何で居るのか、とかそういうことは置いといて、
面前の問題を相談することにした。
「ねぇ、美貴ちゃん。どっちがいいと思う?」
これまでの事情を話して、美貴ちゃんに意見を求めた。
久住ちゃんか、愛ちゃん。どっちに電話しよう?
「お風呂。」
「は?」
「だからお風呂入りなよ。」
ぐいぐい肩を押される。
「でん…「電話は後でもできるでしょ?」」
それを言うならシャワーだって後でもできる。
というか、今しなければならない理由がワカラナイ。
「2人に電話すればいいじゃん。」
なんで1人にしか、電話できないと思ってんの?
あぁ、そっかぁw
2人に電話すればいいのかw
気付かなかった。美貴ちゃん、あったま、いーw
- 68 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:48
- 「じゃ、今2人に電話するね?」
「いや、だから今からお風呂だって言ってるじゃん。」
「ちょっ、えっ!?」
脇の下から両腕をさし入れられ、ズルズルとバスルームの前まで引きずられた。
「ちゃちゃ〜と、入ってきなよ。
…それとも、美貴と一緒に入る?」
サービスするよ〜?
「いやっ結構ですっ!!」
ばたんっ
ものすごい勢いでバスルームに入る。
顔が、ものすっご、熱い。
すると外から笑い声が聞こえてきた。
……もしかしてからかわれた?
ひとまずまわりを見てみると、浴槽にお湯が入れてあった。
しかもジャグジー付き。
さすがってカンジ。
……いったいこの部屋っていくらなんだろう…
考えるのが怖くなってきた…
…美貴ちゃんに訊いてみよっかな…
- 69 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:51
- 「ねぇ美貴ちゃん…」
「ん〜なに〜?」
ドアからひょこっと顔を出して応えてくれる。
「あ、やっぱり一緒に入りたくなってきた?」
もう、しょ〜がないなぁ〜
ってスタスタと近づいてくる。
さっきカギ閉めとけば良かった…
「ちょ、美貴ちゃん!?」
「ん〜?」
「恥ずかしいからやめてっ!」
美貴ちゃんは慣れてるから平気かもしれないけど……
顔が赤くなってる、絶対。
あ、美貴ちゃん止まってる。
「………カワイイ。」
と思ったら、急にぎゅっと抱き締められた。
なんか気持ちいいから私も美貴ちゃんの背中に腕をまわしてみた。
- 70 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:51
- しばらくして
「じゃぁ、脱がせて、あ・げ・るw」
一緒に入るのはやめてあげるから、ね?
って、なんかキャラ違いますよ!?藤本さん!?
「なんでそうなるんですか!!」
「だって、美貴の仕事だし〜?」
「仕事ってなんですか、仕事って!?」
「こんな反応、初々しくていいんだよねぇ〜」
さらりと無視された。
どんどん脱がされて、最後にほいってバスタオルを渡される。
…バスタオル、いま使わないんですけど…。
裸の私に対する、武士の情けってヤツですか……?(泣)
受け取ってすばやく体に巻く。
かなり強い視線を感じる…
「もういいですから出てって下さい!」
「あー、はいはい」
しぶしぶながらも出て行ってくれた。
- 71 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:52
- 深いため息をつきながら、頬を押さえてうずくまる。
手から自分の高めの体温を感じる。
み、見られた…
そりゃ、着替えとかで見られることはあるよ?
でも、状況が違う。
愛ちゃん以外の人に、こんなの、恥ずかしすぎる!
ま、愛ちゃんには違う意味で恥ずかしいけど…。
……って、愛ちゃん!?
忘れてたっ早く連絡しないとっ!
「美貴ちゃん!携帯取って!」
あくまで見られたくないため顔だけ出して頼む。
「い〜やw」
とりあってくれない。
しょうがない。恥ずかしいけど…
バスタオル一枚でバスルームからケータイを取りに行った。
- 72 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:52
- 「だ〜め。お風呂は入ってからw」
取り上げられた。
なんとかして奪おうとするけど、バスタオルが落ちそうでうまく動けない。
「紺ちゃん、そんなに美貴と入りたいの?」
目が光ったような気がした。
携帯を諦めて急いで戻る。
「あ、ゆっくり入ってねー!
ちゃんと洗わないと、もう一回美貴と入ってもらうからー!」
…なにか聞こえたから、カギをしっかり閉めて、いつもと同じような感じで入った。
内心は焦りが生まれていて、気が気じゃなかった。
なんか、今日だけで体重が減ったと思う。
これで小顔になれればいいんだけど…
- 73 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:53
-
======
一応入り終わって、バスタオルで体を拭く。
ドライヤーが置いてあるけど、使うのは後にしよう。
お風呂に入るのが約束だから髪を乾かしてなくても文句は言えないはずだ。
そんなことよりも先にふたりに電話したい。
おこってるかなぁ〜?…それともあきれてる?
やだな、きらわれたくない。
もう、泣きたくなる。
そして、はた、と気付く。
服がない!!
こういうホテルに置いてありそうなバスローブはもちろん、
着てきた服までもない。
…美貴ちゃん?
美貴ちゃんしかありえない。
はめられた…
- 74 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:54
- 仕方なく濡れてしまったバスタオルを巻き、
美貴ちゃんを探そうとドアから顔を出すと…
「お〜あさ美ちゃん」
「ちょっと来て?」
そこにいたのは、美貴ちゃんではなくて、まめとまこっちゃん。
なんでいるの?
しかも呼んでるし…
服着てないから行きたくないんだけど…
「あさ美ちゃ〜ん?」
ためらっているとまめが近づいてきて私をバスルームからひっぱり出す。
タオルが取れそうになる。
「お〜ぅ、せくしぃ〜」
「あさ美ちゃんのろしゅつきょ〜うw」
って“露出狂”!?
「違うから!ぜったい違うから!今のはまめがわるいんだよ!」
「なんで〜?」
「どう考えたってそうじゃんか!」
「まぁまぁ。」
まぁまぁって何よ!
元はといえばまこっちゃんが露出狂って言い出したのが元凶でしょ!?
……そんな、のほほんとしてると、こっちまで気が抜けちゃうよ…
ま、いっか。
- 75 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:54
- 「あさ美ちゃん、髪濡れてるよ。わたしドライヤー取ってくる」
って、まめがバスルームに走っていった。
まめって小さいことによく気付くよね。働き者だし。
五期の中で一番下なのに一番しっかりしてるって言われるのも納得できる。
「ねぇ、私の携帯どこにあるか知らない?」
さっきからあたりを見まわしているけど、私の携帯らしきものは見えない。
だからなんか紙袋をガサガサしてるまこっちゃんに質問してみた。
「あ〜それなら美貴ちゃんが持ってる。」
「…で、美貴ちゃんはどこ?」
「帰った。」
「帰った〜!?」
「うん。」
「私の携帯はどうなるの?」
「明日、会ったら返すって。」
「はぁ〜?」
明日は仕事は午後からである。
イコール、今どころか、いつふたりに連絡できるかさえも不明。
- 76 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:55
- 「まこっちゃん、携帯貸して!」
「なんで?」
「久住ちゃんと愛ちゃんに電話する!」
「それなら、大丈夫だよ〜」
いつのまにか、まめが背後に立っていて驚いた。
「それよりドライヤーしよ〜」
「なんで大丈夫なの!?」
「久住ちゃんはなんか解決したっていってたし〜」
「愛ちゃんは!?」
「わたしたちで連絡しておいたよ、ね〜」
「ね〜」
まめとまこっちゃんが顔を見合わせて首をかくっと曲げる。
「はやく言ってよ〜…」
「ごめんごめん。」
軽く言われた。
- 77 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:56
- ふぅ。ま、いっか。
心配事がこれでなくなったし。
はやく帰ろ〜っと。
「じゃ、まめ、まこっちゃん、私、帰るね?」
連絡が行ったとはいえ、愛ちゃんを待たせていることに変わりはない。
だから、さっさと帰りたかった。
でも、大切なことを忘れていた。
「そのかっこで帰るの?」
「うぇぇ!?あぁあ!!」
気付いて赤面した。
そう、私はバスタオル一枚の裸同然の状態だったのだ。
ライブの衣装でものすごく薄いものとかを着るけど、意識がまったく違う。
あれは服であり、これはただの一枚の布。
そんな姿でふたりの前にいたなんてっ!
顔から火が出そうだ。
- 78 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:56
- 「わたし、髪、乾かしてあげる〜」
「それより服余分なの持ってない?」
恥ずかしいし、はやく帰らなきゃ。
「ブローしないとクセ毛が悪化するかもよ〜」
まこっちゃんが意地悪そうな顔をして言う。
「そ、そうなのかなぁ?」
「それに、女の子の、ぇ〜と、そう、たしなみだよ」
…珍しい言葉つかうなぁ。
「愛ちゃんもストレートのほうが好きだよ、きっと。」
そうなのかなぁ?
…ふたりでいるとき、よく髪さわってくるからそうなのかも。
「じゃあ、まめ、ドライヤー貸して?」
「やったげるよ。」
「いや、いいよ。自分でやるよ。」
「エンリョしないでいいよ〜」
「遠慮じゃないよ!」
まめからドライヤーを奪おうとする。
タオルを手で押さえながら逃げるまめを追いかける。
- 79 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 14:57
- 「あさ美ちゃん、えろ〜ぃ」
「な、え、えろ!?」
ずっと私たちを見てたまこっちゃんがそんなことを言う。
「隙間から脚見えまくりだよ。スリットみたいに。」
「うぇ!?」
あわててその場に座り込む。
「な〜に慌ててんのwいつも似たようなカッコしてるじゃんw」
もし、そうだとしても、人に言われると恥ずかしいのっ!!
「もう観念してがきさんにやってもらえば?」
……そうだね。もう疲れたよ。抵抗する気力もなくなってきたよ…。
なんか今日はみんなにほとんど同じパターンで遊ばれてる気がする……
気のせいかなぁ…?
「ほら、あさ美ちゃん。前座って!」
ドライヤーをセットしたまめが呼んでる。
ふらふらとまめのいるソファに座る。
- 80 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:00
- カチッ。コ――
どうやらマイナスイオンのヤツらしい。
片側に寄せていた髪をほぐされる。
まめの指が髪の間をすべる。
……キモチイイ。
「まこっちゃん、わたしのカバンからタオルとって〜」
「ん。」
ふたりがなんか話してる。
クシで髪を梳かれる。
ひっぱれる感覚がなんとも心地いい。
いつまでもされていたいと思ってしまうほどに……。
すこし眠たくなってきた……
「あさ美ちゃん、気持ちいい〜?」
まめに尋ねられる。
だから素直に答えた。
「…ぅん。キモチイイ……」
ふと、まめの手が止まる。
カチッ
コトッ
ドライヤーの音が止まったと思ったら、次は机に置いたような音がした。
- 81 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:00
- どうしたのかと思った瞬間、耳をなめられた。
「ひゃ!?何すんの、まめ!?」
「………」
両腕で抱き締められ、今度は首筋に息がかかる。
「……んぅ……」
髪をどけられ、うなじと背中にキスされた。
「がきさん、それぐらいにしておきなよ〜」
ぽん、とまめの肩をたたきながらまこっちゃん。
た、助かった〜。
「愛ちゃんに怒られるし、ぬけがけ禁止。」
「ん、ごめん、つい……イーニオイしてさ……」
「ま、しょうがないか、こんな状況じゃねぇ。」
「だよねぇ?しかも、あさ美ちゃん“キモチイイ”って言ったんだよ?」
「そりゃあさ美ちゃんがワルイわ。」
え!?私が悪者!?
「だからあさ美ちゃん。愛ちゃんには言わないでね?」
「……言わないけど」
「よかった〜」
ほっと息を吐くまめ。
納得いかないけど、言ったら私が愛ちゃんに“浮気者”って責められちゃう。
- 82 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:01
- 「ま、とりあえずドライヤー終わったよ」
「ありがと。…あ、服どうしよ…」
そういえば、服がない。
わけもわからないまま連れて来られたため、携帯と財布ぐらいしか持ってきてなかった。
ということは、バッグに入っていたダンスレッスン用のジャージも着れない。
〜〜美貴ちゃんの、ばか。
「ふふふ、心配しなさんなって。まこっちゃ〜ん?」
「はいはい、アレでしょ?」
まめとまこっちゃんの奇妙な連携で紙袋を渡される。
「さぁ、これに着替えてくださぁ〜い」
中身は服らしい…
……イヤな予感がする。
ニヤニヤと笑いながら言われる。
「ほら、はやくぅ〜」
なかなか着替えようとしない私を急かす。
「なに、わたしたちの前で着替えたいの?」
や〜ん、あさ美ちゃんのえっちぃ、とかなんとか。
「そんなわけないじゃない!!」
ていうか、あったんなら初めから出してよ!!
- 83 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:03
- ちょっと抗議しようとしてたら、
まめがいきなり真剣な顔をして手を胸の辺りに構える。
「…何やってんの?まめ…」
「…………ふぅ。」
私を無視して深呼吸を一回。精神統一?
足を前にスライドさせ、右手を後ろに下げ、投げた!?
ボウリング!?
フォームといい、足の開き具合といい、ボウリングとしか言いようが無いジェスチャー。
「あ〜〜〜……」
まめが崩れ落ちる。
…いい演技するなぁ。本当に悔しそう。
「あ〜ぁ、溝に落ちちゃった。」
まこっちゃんのつぶやきが聞こえる。
…どうせジェスチャーなんだからストライクにすればいいのに。
「がきさんの仇!」
つぎはまこっちゃんがやるらしい。
やる気がからだ全体から滲み出てる。
構えて、投げた。
…ナイスフォーム。
「っしゃ〜!」
腰のところで力強くガッツポーズ。
「まこっちゃん、ナイスカバー!ナイススペア!!」
まめがそんなまこっちゃんに声をかける。
- 84 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:04
- 「…………」
何してるんだろう、この人達。
ハイタッチで盛り上がるふたりを他所にバスルームに行って、紙袋を開ける。
………
「何コレ!?」
一瞬呆けてしまった。
全速力でふたりの元に戻る。
「まめ、まこっちゃん!!」
「な〜に〜?」
「あ、着させて欲しいとか?」
「ひとりで着替えれないんだよ、たぶん。」
お子ちゃまでちゅねぇ〜
って違うからまこっちゃん!!
「こんなの着れないよ!!」
「え〜ちゃんとサイズ合ってると思ったんだけどな〜?」
そういう意味じゃないよ、まめ!
「違うよ〜がきさん。あさ美ちゃんは“着たくない”って言いたいんじゃない?」
「あ、そうなの?」
「そ・う・な・の!」
- 85 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:05
- いったいどこで買ってきたのよ、こんなの。
出てきたのは白い服の上下に、黒い下着。
それはいいとしても…
ガ、ガーターとか普通買わないよ!
うちら一応アイドルなんだよ?こんなの着れない!
「いいじゃん。着ちゃいなよ。」
「まこっちゃん!?」
「あさ美ちゃんはさ〜仕事で着ろって言われても着ないわけ?」
「し、仕事とコレとは関係ないもん!」
「でも仕事だったら着ちゃうんでしょ?なら、着ちゃえばいいじゃん。」
これも一種の仕事だよ。
「いつも美の向上心を持たないとね。」
「そういうんなら、まこっちゃんが着てよ!!」
- 86 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:05
- まこっちゃんがこれを着て、私がまこっちゃんのを着れば…
そう思ってまこっちゃんの服を引っ張ると…
「イヤ〜ンw」
私から逃げる体制をとりながらセクシーポーズしてくる。…器用だ。
「がきさん、助けて〜w」
「そんなにまこっちゃんの裸が見たいの?」
「あさ美のス・ケ・ベw」
今度はスケベかよっ!
…私、さっきから言われ放題……
まこっちゃん、そんなに体くねらせないで……力抜ける……はぁ…
「ほら、あさ美ちゃん着替えちゃいなよ。ガーターは付けなくていいからさ」
「…なんでそんなの買ってきてたの?」
「あさ美ちゃんに黒のガーターって似合いそうじゃない?」
「一度生で見てみたかったんだ〜」
……ちょっと夢とか見すぎなんじゃないの?
「あさ美ちゃんなら着てくれるっかなぁ〜って思ってw」
「この前、セクシーエイト歌ってたじゃん。」
…セクシーナイトだから。
それ、シャッフル名だよ、まめ。
- 87 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:06
- もうそんなふたりは放っておいてバスルームで着替える。
ガーターなくても、あんまりこれ、着けたくないなぁ……
オトナなカンジの黒で、模様が妙に細かくて、かつ大胆なカットライン(?)だし…
なんか、モロに勝負下着ってカンジ……
あ、でも、このスカート、カワイイ。
私、プリーツたくさん付いてるヤツ、好き。
上もふわふわなカンジで露出も高すぎずで、私好み。
……なかなかやるじゃん。
とりあえず着替えてバスルームを出る。
「まめ、まこっちゃん、服、ありがと。助かっちゃった」
ふたりにお礼を言って、すこしほほえむ。
「おー、あさ美ちゃん似合うー!」
「うちらの見立てバッチシだね!」
「あ、ありがと…」
そう、褒められると悪い気はしない。というか、照れる。
「あんまり近くでほめないでよ……」
「あっさ美ちゃん、かっわいー!」
「これなら愛ちゃんも喜ぶよ。」
「ってか、こわれるんじゃない?」
…ん?愛ちゃん?
あっ!もう、こんな時間!?
- 88 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:06
- 「じゃ!私急ぐから!まこっちゃん、まめバイバイ!」
帰ろうとしたらまこっちゃんに腕をがしっと掴まれた。
「あわてなさんなって。」
「もうすぐだから。」
なにが?
ピンポーン
「あ、来た。」
「「こんばんは〜さゆ&えりで〜すw」」
Wのマネをしながらさゆと亀ちゃんが入ってきた。
なにがたのしいのかニヤニヤしてる。
「後はふたりにまかせた〜」
「じゃあ、バイバ〜イ」
そしてまめとまこっちゃんが帰っていった。
- 89 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:06
- 「あ、紺野さんかわいいかっこしてますねw」
「かわいいですよw」
…うれしいけど、このふたりに言われるとなんかコワイ……
「それでですねぇ〜絵里たちは最後の仕上げに来たわけですよw」
「ちょっと紺野さん、失礼しま〜すw」
さゆに手を引かれて鏡の前に座らされ、髪をいじられる。
こっちの方が高橋さん、好きそうじゃない?とか、
絶対こっちの方が好きだって〜、とか。
あーじゃない、こーじゃないと試行錯誤されて、やっとひとつのものに落ち着いた。
亀ちゃんがシャンパンらしきもの机の上に置いて、
箱からホールのショートケーキを取り出した。
「紺野さんはいちご嫌いですよね?
いちごだけ高橋さんに食べてもらってくださいw」
……なんかわかってきた。
- 90 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:07
- 「…愛ちゃんはいつぐらいに来るの?」
「あ、わかっちゃいました?」
そりゃわかるよ。ってか、
「なんでみんな最初から言ってくれないの?」
説明されてたら、悩まなくてよかったのに…
私にも準備ってものが……渡すもの持ってきてないよ…
「それは紺野さんのキャラですよw」
「紺野さんはからかいたくなっちゃうんですよw」
「「ね〜w」」
そんなとこまで息合せなくてもいいから…
「もう……」
「まぁまぁ」
「結構探すの大変だったんですよ〜」
シャンメリーっていうんですか?シャンパン?ま、どっちでもいいや。
それ、一応高橋さんと紺野さん未成年だしアルコールはいけないと思って…
クリスマスの時期でもないし…手に入れるの難しかったんですから〜
って、全然大変じゃなさそうに笑いながら言う。
- 91 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:07
- 「これだけわたしたちが頑張ったんですから、ちゃんと成功させてくださいね?」
「後は紺野さんにかかってるんですから。」
「…うん。」
……ひとりのためにこれだけ一生懸命になれる人達が仲間で本当に良かった。
私って本当に幸せ者だ。
こんな仲間たちに出会えて。…愛ちゃんに出会えて。
「でも、私、プレゼント持ってきてない…」
ふたりとも一瞬ぽかん、とした後、
「大丈夫ですよw」
「絵里たちが“最高のプレゼント”用意しましたからw」
かなりベタですけど…って、笑う。
「でも、紺野さん、ちょっと天然すぎますねぇ〜」
「さっき、わかった風なこと言ってたのにねぇ〜」
ねぇ〜、の部分で顔を見合わせてコミカルな表情をする。
- 92 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:08
- 「ぃやっ亀ちゃんとさゆには言われたくないっ!」
美貴ちゃんとかなら、まだしも……
「いや〜今のは〜ヤバイですよ〜」
…亀ちゃんの、その、のびのびな語尾の方がヤバイって。
「紺野さんを天然女王に認定しま〜す!」
はい、パチパチパチ〜って口で言いながら手をたたく。
さゆは自分が天然女王になったのを人に押し付けたいだけじゃん!
だって、手叩くんなら、パチパチって言わなくてもいいじゃん!
そいうのが天然って言うんだよ!
美勇伝の唯ちゃんと一緒に天然女王やっててよ!
- 93 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:08
- 「さてと、オチがついたとこで…」
今のオチっ!?オチなの!?それでいいの!?
…このふたりといると私ってツッコミなんだ…。ちょっと感動……。
…考えてみると、私今日ずっとツッコミじゃない?
これから娘。の数少ないツッコミになろうかな?
「さあ、一緒に言ってください。」
「いきますよ?」
「へ?」
「「今日もかわいい!!」」
さゆと亀ちゃんが私に向かっていつものポーズ。
「………」
「なにぼ〜っとしてるんですか〜」
「紺野さんもやるんですよ?」
「へぇ!?」
「こういうのは気合が肝心なんです」
「さんっはいっ!」
「今日も、かわいい……」
「あっまーいっ!だめですっだめだめですっ!」
「これも高橋さんのためですよっ!」
「さあ、もう1回っ!」
「………」
- 94 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:10
- ……なんだかんだと15分ほどやらされ、
「まあまあですね」
そういう言葉とともに、やっと解放された。
「あと、これ…」
さゆが私の首に何かを巻きつける。
「白か黒か赤かピンクか迷ったんですけど…」
「結局黒にしてみました〜」
「似合ってますよw」
- 95 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:10
- ピンポーン
「あ、来たみたい。」
「“いっせーの”でやるよ」
「「いっせーのっ」」
ちゅ
ふたりから同時にほっぺにキスされた。
「高橋さんに絵里たちの分、あげてくださいw」
「じゃ、帰りますね?」
「しつれいいたされますぅ〜、さゆみん行くよっ!」
「はぃ、エリックさんw」
仲良く手を繋いで走っていった。
なんなんだろう、あのふたり。
- 96 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:10
- まあ、いいや。
今日ずっと会いたかったあの人がドアの前にいるような気がするし。
どんな顔をしてるのかな?
怒った顔?困った顔?それとも驚いた顔?
まず、ふたりを隔てるものを取り払おう。
微笑んで、あやまって、じゃれあって、すこしキスしたりなんかして。
そして、笑いたくなるような、泣きたくなるような、素敵で忘れられない、そんな、夜にしよう。
そのために私はいま、扉を開く……
- 97 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:11
-
- 98 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:12
- ======
楽屋でずっとあさ美ちゃんを待っとった。
でも、いくら待っても来る気配がない。
…約束、忘れて、ひとりで帰ったんやろうか…、と考えてみたりしたが、
カバンが置いたままになっているので、それはない。
1時間経って、いくらなんでも変だと思って電話をかけた。
『〜〜電源が切られているか……』
出ない。というか、電源切ってるの?
なんか、あやしい……
♪〜〜♪〜〜
そんなとき、吉澤さんからメ−ルが来た。
【高橋の誕生日パーティ、ホテルでやるから。
今こんこんは準備に忙しいからカバン預かってて。
遅くまでやる予定だから今のうちに風呂に入っておくこと。
明日の用意しておいた方がいい。
二時間後に、そこに置いてある服着て、ここに集合!
準備できるまで来るなよw】
…なぁんだ、そうなんか。あさ美ちゃん準備しとったんか。
それならそうと言ってくれれば良かったのに…
- 99 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:13
- みんなで祝ってくれるのは、もちろん嬉しい。
……でも、ふたりで祝おうってずいぶん前から約束してたのに…。
今年のあさ美ちゃんの誕生日もなんだかんだ忙しくてふたりきりになれんかったし…
…石川さんの卒業ライブやったんやから、しょうがないとは思うけど…。
すこし、寂しいな……
もしかして、嫌、やった?
あーしと、一緒におるの、嫌んなった?
…他に好きな人でも、できた?
もし、そうだとしたら、あたし、どうすればいい……?
ペチッ
軽く頬をたたいた。
マイナスな方向ばかり考えていても仕方ない。
……大丈夫な、はずだ。
今日も“好きや”って言ったら、“私も”って返してくれたし、みんなに隠れてキスもした。
ほかに好きな人おったら、あさ美ちゃんにそんなことできるはずない。
たぶん、ただみんなで祝おうとしてくれているんだろう。
- 100 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:14
- 「よしっ!」
せっかくみんなで祝ってくれるんだから、精一杯楽しもう!
そう思うと、だんだん楽しみになってきた。
今日のあたしと明日のあたしでガラリと変わるということはない。
ただ、年齢がひとつ増えるだけだ。
でも、やっぱり仲間に祝ってもらえるのは、なんかうれしい。
これはあたしがみんなを大好きだってことだよね?
そんなみんなと一緒にいられて、しあわせや!
行く準備をしようとしてメールに付いていた地図を見る。
ここなら、行くのにさほど時間がかからないので、時間に余裕がある。
だから、メールに書いてある通り支度することにした。
- 101 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:14
- ======
いったん家に帰って、お風呂に入った。
そして頃合いをみて、楽屋に置いてあった紙袋の中の洋服を着る。
入っていた洋服は白のシャツと黒のプリーツスカートとネクタイ。
それとなく大人っぽくて、いいカンジ。
ちょっと英国風で、キャンパスが似合う感じ。
…メガネかけてみたら、どうやろ?
部屋からメガネを持ってきてかけてみる。
うっわー、似合う〜、自分。
…これで亜弥ちゃんに“幼い”って言わせんっ!
ひそかに今CMで大学生を演じている松浦亜弥がうらやましかったのだ。
つまり対抗心を持っていた。
それが、この格好をしてみて加速した。
…亜弥ちゃんには、負けんよっ!
時計を見るともうそろそろ、というところ。
さすがにそのままはマズイので少し変装をして家を出た。
- 102 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:18
- ======
「新垣様、いい仕事してますねぇ〜」
「小川様こそ〜」
「いやいやいや〜それほどでも〜」
「見せるだけが技じゃないし〜」
「わざと隠すのもいいよね〜」
「ていうか、気付いてないよね!」
「うん、絶対気付いてないw」
「黒の上に白着たら透けるって忘れてるって、あのヒト!」
「もう、丸見え〜ってカンジなのにね〜」
「ふつうに見えるより、えろいし。」
「あの人、無意識にエロをたれ流すもんね」
「無意識だからこそ…ねぇ?」
「ヤバイんだよねぇ〜」
指定されたホテルに着くとふたりがそんな話をしてた。
「お〜ぃ、なにやっとるんや〜」
「愛ちゃん!!」
「いや、こっちの話〜w」
「なんやって、気になるやろ〜?」
「ま、部屋行ってみればわかるよw」
「じゃあね〜」
「ばいば〜い」
「って、帰るの!?」
「うん、帰る〜」
「あたしのパーティしてくれるんじゃなかったの!?」
「それも、部屋いったらわかるからw じゃ!」
ほんとに帰ってしもた……なんやろ?あのふたり。
- 103 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:18
- ======
とりあえず、言われた通り指定された部屋の前まで来た。
こんなとき扉を開けたらクラッカー鳴らしたりするよね…
呼び鈴を押すのにちょっと緊張した。
ピンポーン
……ん?
ちょっと待ってみたが人が来る気配がしない。
……おかしいなぁ。
ロックかかってないかも、と思ってドアノブに手をかける。
開かないなぁ……
- 104 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:19
- もう一回鳴らそうとしたとき、突然扉が開いた。
ガチャッ
ぅわっ
いきなり出てきたふたりにぶつかりそうになった…。
「あ、高橋さん!」
「いいプレゼント用意しましたから期待しててくださいねw」
「おたのしみにぃ〜v」
走る亀井ちゃんにひっぱられながら、
笑顔でずっと“おたのしみにぃ〜”と手を振りながら、遠ざかっていくしげさん。
って、あんた達も帰るんかいっ!
…あーしの誕生日を祝ってくれる人はおらんのか〜!
- 105 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:19
- ガチャ
「あ……」
そんな、すこし落ち込んでたときに現れたのは……
全身真っ白で、首に黒いリボンを付けているその人に
導かれるように、誘われるようにして、あたしは部屋の中へ……
- 106 名前:P−A 投稿日:2005/09/23(金) 15:19
- あきらめかけてた…もう無理だと思っていた…キミと過ごす夜。
19歳になる瞬間、キミといられて幸せだった。
19歳になって、一番に見れたのがキミでよかった。
キミはプレゼントを持って来てないと嘆いていたけれど。
誕生日はまだ続いているし、
みんながくれたものが、なによりもの……
- 107 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/23(金) 15:21
- 『Present for Ai』〜完〜
- 108 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/23(金) 15:47
- 一応(?)終わりです。
高橋さんの誕生日が主題なのに、
目立につくのは、藤紺・新紺。ごめんよ、高橋さん。
夜編も書こうと思ったけど、なんか内容が中学生っぽくって。
年齢的に、大一と高三にはとても…
書くものがだんだんと、ところてん式にずれてきている…
『ひと夏の騒動』は高橋さんの誕生日前に、
『P−A』は高橋さんの誕生日イブに載せようとしてたのに…
後藤さんの誕生日になっちゃいました…
“石の上にも三年”精神で、練習し続けて駄文を成長させよう計画が…
今は中道もいいなぁと思いつつ、マイナーCP推奨中。
本当は今日、あやごまを書こうとしてたと思いつつ、
紺系・道系・松系CP推奨中。
- 109 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/23(金) 15:54
- 訂正
<<108 L3
目立につくのは → 目立つのは or 目につくのは
若輩者っすね…
流れが急すぎる&好みに走りすぎた…精進します…
- 110 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/24(土) 02:24
- 更新お疲れ様です。
いいですね。とても面白いです!
高紺けっこう好きなんですよ。
出来たら、夜編も是非読んでみたいです。
- 111 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/30(金) 22:42
- <<110 名無飼育さん
こんな文、読んでくれて有難うございまっす!
数少ないお客様には丁重なおもてなしを!!
というわけで、夜編書いてみました。
本当は二回で載せる予定でしたが、
こんなので待たせてもしょうがないので一回で終えます。
ちなみにずっと9月13日の設定です。
次回からも2・3回分をまとめて週1で投下したいと思います。
- 112 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/30(金) 22:42
-
『at Asami’s own Pace』
- 113 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:43
-
突然現れたあさ美ちゃん……
その微笑みに誘われるようにして、部屋に入った。
- 114 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:44
- ずっと逢えなかった分を補いでもするかのように、そっと抱き締める。
「あ、愛ちゃん?」
戸惑う声にほっとする。…あさ美ちゃんだと実感する。
仕事が終わってから三時間ほどしか経ってないのに、三ヶ月も逢えなかったような気持ちになっていた。
……仕事のせいで何日間も逢えなかったときもあったにもかかわらず。
そのときよりも、なぜか顔が見れたことがうれしかった。
なんでかな?
さっきまではそんなこと思ってなかったのに……。
あさ美ちゃんに触れたとたん、そう思った。
あったかい。いいにおい。きもちいい。
「愛ちゃんっ」
照れているようで、腰にまわした手をはずされそうになる。
ぎゅっと腰を抱き寄せて、もっと密着する。
頬に顔をすり寄せて囁く。
「もうちょっと……」
このままでいさせて……。
- 115 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:44
- あさ美ちゃんの手があたしの背中にまわる。
頬から伝わる熱が心地よい。
いつもの感覚に、安堵する。
すこし顔を離して、額と額を合わせる。
あさ美ちゃんの腕も腰にまわった。
…瞳がすこし潤んでる。
ふたり、じっと見つめ合って。
こうすることが必然であるかのように、唇を寄せる。
「あさ美ちゃん……」
「愛ちゃん…」
軽くキスしたあとに、またじっと見つめ合いながら名前を呼ぶ。
ふいに視線をはずされる。
「あさ美ちゃん?」
もうちょっとこうしてたかったのに…
「…パーティしよう?」
手を引かれて中に入る。
- 116 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:45
- 「みんなは?」
周りを見渡してみて疑問に思ったことを口にしてみた。
誰もいない。
そういえば、あさ美ちゃんはさっきの行為をあまり拒まなかった。
いつも人のいる場所でちょっとでもそんなことをしたら絶対に抵抗するのに。
くっつくだけでもダメなときもある。
メンバーの前ぐらいいいじゃん、と思いつつも我慢する。
人のラブシーン見せられるのもあまり気持ちのいいものではないとも思うし、
やっぱりあさ美ちゃんに嫌われたくないから。
見えないところでやればいいし。
…と言うことは、みんないないってこと?
「…たぶん、私だけなんだと思うけど……」
「たぶん?」
「なんか私もわかんないの…」
「なんで?」
「いきなりここに連れて来られて…愛ちゃんは?」
まめとまこっちゃんから連絡きたんでしょ?って。
「え?ちがうよ?二時間前に吉澤さんからだよ。」
あさ美ちゃんが急にがくっとうなだれる。
「どうしたの!?」
「…二時間前…お風呂入ってたときだ…」
完全に騙された……最初っから計画的犯行だったんだ…
と、なんか少し物騒なことをつぶやいてため息をつく。
「あさ美ちゃん?」
「…なんでもない。」
- 117 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:46
- 「そういえば、久住ちゃんは?相談どうだったの?」
気になっていたことを訊いた。
「そのことなんだけど…久住ちゃん来なかったの…」
「はぁ!?なんそれ!?」
そのせいであさ美ちゃんと過ごせなくなりそうだったのに!
「ちょ、ちょっと落ち着いてよ!」
少し声が大きくなったあたしをあさ美ちゃんがなだめる。
「…そこから計画だったの…」
それで、れいなに連れられてここまで来たの。
「メンバー全員でふたりで過ごせるようにしてくれたんじゃないのかな?」
なんかうれしいね、あははって笑うあさ美ちゃん。
かわいい。
「えーと、まあ、結局はふたりきりってこと?」
「うん、そういうことだね。」
だからさ、パーティしようよ。
- 118 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:46
- グラスを用意してボトルをあけ、その中にそそぐ。
「こんなん、飲んじゃっていいの?」
「これ、アルコールは入ってないんだって。」
だから飲んでも大丈夫だよ〜
「そっかぁ。」
あさ美ちゃんがケーキにローソクをさしている。
ひとつずつ火を付けていく。
19本。
「あたし、19歳ってもっと大人だと思ってた…」
「私も……小学生のとき18歳って大人だと思ってた…」
「じゃぁ、小学生からみたらあたしたちって大人なんじゃない?」
「…そうかもね」
くすっと笑ってそう言うあさ美ちゃんが妙に大人っぽく見えてドキッとした。
「あさ美ちゃん…」
頬にちゅっとする。
「いきなり、しないでよ…」
やけどするよって言う。
たぶん照れ隠しだろう。
…かわいい。
「だって…ねぇ?」
スルスルと移動してしゃがみこんでいるあさ美ちゃんの後ろから抱きつく。
「で、電気消してくるっ!」
逃げられた。
- 119 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:47
- ……んうぇ!?
あ、あさ美ちゃん、なんて格好しとるんやっ!
あさ美ちゃんが立った瞬間、眩暈がした。
何かがちらりと見えそうな超ミニスカ。
それの端が、ぴょんっと跳ねた。
そこから伸びるすんなりとした足がまぶしい。
いままで気付かんかった…こんなの着とるなんて……
だめや……ついつい脚の方に目がいってしまう……
むだな脂肪が一切なくて…うっすらと筋肉がついてるのが見える……
…キレイな脚……陸上やっとたらこんな脚になれるんやろか……
にしても、今日は黒か……意外と大胆やね…
- 120 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:47
- ふっと電気が消された。
集中しとった意識が視界を失うことで、いったん途切れる。
…あーしはなに考えとるんやっ!
ふるふると頭を振って、よこしまな考えを落とそうとする。
すると白くぼや〜っと見えるあさ美ちゃんから声をかけられる。
「愛ちゃん?何してんの?」
「や?なんもないよ」
へんな愛ちゃん、って言って笑う。
…あさ美ちゃんのせいやろ。そんなもん着てからに。
こっちの身にもなって欲しいわ。
- 121 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:48
- 「ほんとは愛ちゃんの誕生日、明日なのにね。」
「いいんじゃない?クリスマスだってイブだし。」
「そうだね。」
話題が逸れたので、ひとまず安心。
あさ美ちゃんがあたしの隣に腰を下ろす。
ローソクの明かりであさ美ちゃんの横顔が浮かび上がる。
オレンジとも赤とも、どちらともつかない明かりがあたし達を照らす。
「ほら、愛ちゃん、火、消さないと。」
「え〜、あさ美ちゃん、アレ歌ってよ〜」
誕生日にはアレを歌わなきゃ〜
おねだりするみたいに腕を揺すると、特別だからね、と恥ずかしそうに歌ってくれる。
…かわいい。ほんとに、このコが恋人でうれしい。
「ハッピバ〜スデイ、ディ〜ア、あ〜いちゃ〜ん」
ハッピバ〜スデイ、トュ〜ユ〜…
「愛ちゃん、19歳おめでとう!」
その声とともに一気にローソクの火を吹き消す。
一息で全部消せた。なんかイイコトありそう…。
- 122 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:49
- 「ごめんね?いまプレゼント持ってきてないの…」
「ううん、いいよ、いきなり連れて来られたんでしょ?仕方ないよ。」
それよりケーキ食べよ?
今度はあたしが電気を付けに行く。
「ちょっと待って…」
くい、と服を引っ張られる。
「これ、亀ちゃんとさゆから…」
顔をあさ美ちゃんに向けた瞬間、頬にやわらかい感触が、2回。
「あと、私から……」
プレゼントのお詫びに…
って、一瞬だけど、確実に唇にキスしてくれた。
「ちゃんと家にプレゼント置いてあるからね?」
代わりじゃないし、こんなので許してもらおうとか、してないよ?
とか、まったく見当外れなことを言う。
あさ美ちゃんからキスしてくれることなんてほとんどないから、…すっごい、うれしい。
顔。熱いわ。
- 123 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:49
- 「………。」
なんか、したくなっちゃったというか〜しなきゃいけないかな〜と思って、なんて。
まだまだ(たぶん)真っ赤な顔でイイワケし続けるあさ美ちゃん。
そんなあさ美ちゃんの座っているとこの両側に手をついて。
顔を近づけて言う。
「足りん……。」
「え?」
「もっと……。」
じっと見つめる。あさ美ちゃんが耳まで赤くなっているのがわかる。
ためらっているのがわかる。
あさ美ちゃんはいったん目を伏せたと思うと目を開き、
今度はぎゅっと目をつむって、ぶつかるようにキスしてきた。
…我慢できん。
目を開けたあさ美ちゃんに今度は自分から。
部屋の中はしばらく吐息だけで満たされた。
- 124 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:49
-
- 125 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:50
- 「……電気つけてくる」
ずっと続くかと思われるような、そんな時間。
その時間を止めて、周りの世界の時間に溶け込む。紛れ込む。
力が抜けてしまったあさ美ちゃんを抱き止めて。
息が乱れてるあさ美ちゃんに、あーしの気持ちが乱されて。
だけど、本当に我慢できんくなりそうだったから切り上げた。
…ほんとは、もっとあさ美ちゃんを感じていたかった……
でも、せっかくみんなが用意してくれたものを無駄にしてはいけない。
電気をつけて明るい部屋の中であさ美ちゃんの隣に座る。
すると、自然と視界に入って来てしまうモノが…。
また短いスカートから覗く脚に目を奪われる。
……だめやって!せっかくさっき、押しとどめたのに!
あわてて視線を上昇させる。
- 126 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:50
- 「あっ!」
今度は声も上げてしまった。
「どうしたの?」
あさ美ちゃんが不思議がって訊いてくる。
……どうしたも、こうしたも……
また、そんな人を挑発するようなん着て――!!
なんでそんなん着とるんや――!!
あーしに襲ってほしいんか――!!
………
……ちょっと壊れすぎました。反省。
しかし…ちょっと頑張りすぎやしませんか?ねぇ、紺野さん。
上はかわいいカンジの白だった。なんか抱きしめたいカンジの…。
それは、いい。純粋にかわいい。
…問題は、その、下っていうか、中身っていうか、なんというか……
……ばっちり透けてますよ、紺野さん。黒い下着が…。
- 127 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:51
- 「愛ちゃん?」
どうしたの、と下から覗き込まれる。
考え事してたからビックリした。
その角度はちょっと心臓に悪い…。
「きょ、今日の服、か、かわいいね…」
苦し紛れ。
「愛ちゃんのもかわいいよ?」
大人っぽいカンジもするけど、って照れながら返してくれる。
「買ったの?」
「いや、たぶん、プレゼントだと思うけど…」
「私はなんかまこっちゃんとまめに着せられたの……」
……あのふたりのせいか〜さっき言ってたのはこのことか……
- 128 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:51
- 「…しかも、ふたりでなんかヘンなコントやるし……」
「……顔赤いよ?なんか、あった…?」
さっきと比べて確実に赤くなってる。
コントがそんなにおもしろかったのかな?
でも、あのふたり、いつも漫才してるようなもんだし…。
「あ、や、なんでもないっ!」
そう言って首を振るけど…。
「あさ美ちゃん、言って?」
気になるもんは、気になる。
あさ美ちゃんに関わることなら尚更。
あさ美ちゃんの手を片方ずつ持ち、目を覗き込んで答えを促す。
「…ガー、……」
「ガー?」
「愛ちゃん、早く食べようよっ!」
…逃げられた。
ま、いっか。
- 129 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:52
- 「では、改めまして「乾杯っ!」」
「この飲み物、なつかしぃ〜」
「亀子とさゆが頑張って探したらしいよw」
「へぇ〜」
みんなに感謝だね。
…ちょっとぬるいのはナイショ。
いろんなものをちょっとずつ食べて、最後にメインのケーキを切る。
「ケーキ、ロウソクの跡でぼこぼこだねw」
「ダコダコダコ〜w」
「それはなすびでしょw」
「ダコダコ Yeah! ダコダコ Yo!」
「も〜なにやってんのw」
笑いながらケーキを分ける。
「ん、うま。」
すごくスタンダードなショートケーキで、フツーにうまい。
余計なものがなくてスポンジの甘さが際立つ?みたいな?
- 130 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:52
- 「はい、愛ちゃん、あーん」
ケーキの味を楽しんでると、あさ美ちゃんがあたしに向かってフォークを差し出す。
「えぇ!?あさ美ちゃん、おなか痛いん!?」
あさ美ちゃんがそんなことするなんて……
どちらかといえば、あーしがあさ美ちゃんにすることの方が多いのに…
「わたし、いちご、ダメだから……」
たしかにフォークの先にあるのはいちご。…納得。
「亀子が愛ちゃんに食べてもらえって…」
亀井ちゃん、ナイスアドバイス。
ありがたくいただきます。
ぱく。
めっちゃ、うまい。
- 131 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:53
- 「そういえばさ、亀子たちが言ってたんだけど…」
カチャ
フォークを置く音。
あさ美ちゃんは食べるのを終えたようだ。
「ん、なに?」
「私が“プレゼント持ってきてない”っていったら“用意した”って。」
「なにを?」
「“最高のプレゼント”……」
そんなのどこにあるのかな〜とあさ美ちゃんきょろきょろ周りを見渡す。
「聞いてもおしえてくれなかったの…」
「わかんないなぁ…あさ美ちゃん、ほかになんか言ってなかった?」
「う〜ん…天然…」
「天然!?なにそれ!?」
「わかんなかったら、そう言われた…」
な〜んだ、あさ美ちゃんのことか。
ということは、わかって当然の物ってことか…
- 132 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:53
- 「あとは〜ベタ。」
「ベタ…?」
「なんか、かなりベタなものらしいよ〜」
「………。」
この状況で、プレゼントでベタなものっていえば……。
…あーし、わかったかもしれん。
あさ美ちゃんをちらりと見る。
……いま、証拠も見つけた。
たしかに“それ”やったら“最高”で“あさ美ちゃんが天然”で“かなりベタ”だ。
「ん?愛ちゃん、顔赤いけど、どした?」
あさ美ちゃんが不思議顔で訊いてくる。
あさ美ちゃんがわかったら、絶対、顔、赤くなるって。
でも、それだけじゃすまないかもね。
…言っちゃおうかな。
- 133 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:54
- 「あさ美ちゃん、プレゼントあったよ。」
「愛ちゃんわかったの?すご〜いw」
「目立つとこにあるよ。」
「わかんない……教えて?」
あさ美ちゃんを立たせて、窓の方まで連れて行く。
「ここから見えるよ。」
「…この夜景?」
きれ〜、これならプレゼントにもなるよ〜。
確かにキレイやけど……ロマンチストやね。
- 134 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:54
- まだ気付かないあさ美ちゃんの後ろから抱きつく。
「もっといいもの。」
「え〜わっかんないよ…ヒントは?」
「目印ついてる。」
「え、どこに?」
「ここに。」
あさ美ちゃんの首に巻きついているものを人差し指を内側から引っ掛ける。
見えるでしょ、窓に映った自分の首にあるリボンが。
もう、いい加減わかったでしょ、なにがプレゼントか。
ほら、耳が赤くなってる。
つんつん、とそこを指でつついてみる。
「ず、ずいぶん、ベタ、だね……」
「うん。でも“最高”だね。」
耳朶をひっぱり、口にはさむ。
「で、あさ美ちゃんは?」
「え?なに?」
「くれるの?くれないの?」
今度はお腹に両腕をまわして後ろからリボンをくわえる。
やっぱり、みんなの許可あっても、本人の承諾も必要だよね
- 135 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:54
-
「……もらってください。」
- 136 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:55
-
- 137 名前:A-P 投稿日:2005/09/30(金) 22:55
- 記念すべき夜に、大切なキミが、傍にいる。
それだけでもうれしいのに、抑えられない気持ちがキミを求めつづける。
そんなワガママな願いにも、応えてくれる。
キミが好きで、キミが好きでいてくれて、幸せだよ?
好き、好き、大好き。
そして、たぶん……愛してる。
- 138 名前:ペーパー 投稿日:2005/09/30(金) 22:57
-
『at Ai’s Pleasure』〜完〜
- 139 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:36
-
『passion』
- 140 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:37
-
こんな日になるなんて思ってもみなかった。
キミがそんなこと言うなんて。
生まれてきて良かった、とそう思える日になった。
- 141 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:38
-
“もらってください”
確かに、そう、聞こえた。
一瞬、聞き間違えかと思った。
でも、あさ美ちゃんの体の熱さと、まわした腕に重ねられた手が真実だと物語る。
あさ美ちゃんは恥ずかしがり屋だから“うん”とか“いいよ”とかと頷くだけだと思ってた。
「……愛ちゃん?」
黙ったままのあーしを不審に思ったのか、俯いていた頭を上げて、肩越しに覗き込んでくる。
……顔、真っ赤やね。たぶん、あーしもやろうけど。
急に現実味を帯びてきて、うれしさが込み上げる。
「ん、苦しいよ、愛ちゃん…」
知らず知らずのうちに抱き締めている腕に力が入っていたようだ。
…だってうれしいんやもん、しょうがないやろ?
「ねぇ、もう1回言って?」
腕の力を緩めて、体の向きをこちらに変えて頼んでみる。
「……や…」
顔を背けられる。
首筋に顔を埋めてねだる。
「ねぇ、もぅ一回…」
背中部分の服をぎゅっと掴まれる。
「……… 。」
…小さかったけど、確かに、聞こえた。
- 142 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:39
- 「ねぇ、こっち向いて?」
いまだに顔を背けるあさ美ちゃんに話しかける。
いやいやと首を振るあさ美ちゃん。
こうなったら、強行手段。
いったん、あさ美ちゃんの背中から腕を離して、両手で顔をはさんでこちらに向ける。
あさ美ちゃんの腕があーしの背中にあるから、できたワザ。
だから、まだあたしたちは密着してる。
「………」
「……………」
赤い顔のまま、じっと見つめ合う。
傍から見れば、何しとるんやろ、この人たちって感じだと思う。
でも、あーし達にとっては幸せな、幸せすぎる時間。
「……好きや。」
「…私も。」
抱き付かれて、あさ美ちゃんの腕があーしの首にまわる。
すこし足をスライドさせて、ガラスに両手をつける。
あさ美ちゃんの肩越しに見える夜景が綺麗すぎて飲み込まれてしまいそうだから。
ふたりとも落ちてしまいそうだから。
だから、あさ美ちゃんの顔に口唇寄せて、目を閉じた。
- 143 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:39
-
「……ん…」
「…んっ……はぁっ…」
無我夢中でお互いを求め合う。
もう我慢する必要もないし、したくもない。
目をすこし開けてみる。
いつのまにか体がガラスに寄りかかっている。
あさ美ちゃんとあーしの距離はゼロに近い。
肩にあさ美ちゃんの手が添えられている。
…あーしが見てるなんて思ってないんやろうな。
きゅっと目をつむっているあさ美ちゃんを見て、そう思う。
…愛しいって、こういうことなんかな。
「…っ……あさ美ちゃん、移動しよ?」
キスを止めるのはイヤだけど、もうこのままではつらいから。
理性がきくうちに…。
そうしても、流れは止まらないという、根拠のない自信もある。
だから、そう言った。
あさ美ちゃんは一度息を整えて、あーしの手を握った。
あさ美ちゃんと手を繋いで、隣りを歩く。
前でもなくて、後ろでもなくて、隣り。
このバランスがあーしを安心させる。
…いつのまに、こんなに、好きになったんだろう。
- 144 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:40
-
「………。」
ベッドのあるところまで来て、沈黙。
手を繋いで立ったまま。
…いつまでたっても、慣れない。この雰囲気には。
…いつだって、どきどきしてる。
実はこんな風になるのもいやじゃない。
むしろ、好きだ。
なんか、あたしたち、らしくて。
伝わってるかな、この気持ち。
好きで好きでたまらないっていう気持ち。
その瞬間きゅっと力が込められた指先。
その手を握り返す。
…偶然以外の何物でもないだろうけど、それが答えだと思った。
自惚れと言われてもいい。
あさ美ちゃんもあーしと同じ気持ちなんや。
そう、受け取った。
- 145 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:40
-
ベッドの端に腰を下ろす。
「来て。」
手を繋いだまま、立っているあさ美ちゃんの目をじっと見つめる。
…躊躇ってるなぁ。
あさ美ちゃんから、こっちに来てほしい。
…その方があーしがあさ美ちゃんに求められている感じがするから。
…あーしばかりがあさ美ちゃんを求めているような気がしてるから。
証明してほしい、あーしへの愛を。
…ねぇ、来てよ。
この想いが一方通行じゃないって、証明してよ。
あさ美ちゃんがゆっくりと近付いて、あーしの腕にすっぽり収まる。
足と足との間に立っているから、あーしの頭の位置にあさ美ちゃんの胸がある。
そしてそのまま、ふんわりと頭を抱えられる。
あーしもあさ美ちゃんの腰に手をまわす。
ぎゅっと抱き締めあう。
「あさ美ちゃん、あたしのことすっごい好きやろ?」
「……愛ちゃんの、いじわる…」
「へへっ…」
すこし拗ねた口調のあさ美ちゃんに思わず笑ってしまう。
もぅ…、なんて呟いてるけど、わかってるよ?
あたしのそーゆーとこも好きだってコト。
一方通行ではないと確信したあたしは、とことん強気。
なに言われても平気。
なに言っても、照れ隠しにしか思えない。
そんなあさ美ちゃんがかわいくて、下から覗き込むようにキスをした。
- 146 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:41
- * * *
「来て。」
ベッドに腰掛けた愛ちゃんが私にそう言った。
どうしよう……
なんか自分から行くのは、自分の意思だから……
雰囲気に流されたとか、言い訳できない…
あからさまに私が愛ちゃんを求めてるみたいで無性に恥ずかしい……
鏡のように夜のガラスに映る私と愛ちゃんに覚悟を決めたはずなのに……
…もう一人の私が邪魔をする……
愛ちゃんが、ずっとこっちを見てる…
この目に弱いんだよなぁ。
……もう、いいや。自分に素直になろう。
- 147 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:41
-
愛ちゃんの前に立って、頭を抱き締める。
すると愛ちゃん腕も背中にまわってきて……
あったかくて、気持ちいい。
なんで人の体温ってこんなに気持ちいいんだろう?
「あさ美ちゃん、あたしのことすっごい好きやろ?」
!?
この人ってばなんてこと言うんだろう。
恥ずかしいこと訊かないでよ。
反則だよ、それは。
……そんなの、当たり前じゃない……
「愛ちゃんの、いじわる…」
「へへっ…」
なんか悔しかったから返事をしないで、憎まれ口をたたいた。
だけど、愛ちゃんはへらへらしてて…
「もぅ…愛ちゃんのばか…」
最悪なことに、それもなんか可愛く見えちゃって……
……愛ちゃんが、好きすぎて、困る。
- 148 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:42
-
「……ん…っ…」
いつのまにか口が塞がれていて…
私が上で、愛ちゃんが下。
そのはずなのに、何かを奪われているような感覚。
唇を強く押し付けられていて、息がしにくい。
背中にある愛ちゃんの腕を支点にして、上体が反れていく。
体勢がさすがにきつくなってきて、愛ちゃんの腕にしがみつく。
「………っ!?」
立ってられないと思ったとき、口が塞がったまま、ベッドに体を引き寄せられた。
驚いて目を開けるなり愛ちゃんと目が合う。
…見られてるっ!
バッっと体を離す。
だけど、私が愛ちゃんの上に乗っかってるから少ししか離れられない。
「逃げないでよ…」
うぅ……
愛ちゃんも起き上がって、私の腕を掴み、みつめてくる。
強い眼差し。…私が愛ちゃんを意識するきっかけとなった、眼差し。
目が離せない。
歌っているときの真剣な表情に似てる…。
その大人っぽい顔にぐっとくる。
逃げたくても逃げられないし、逃げたくもない。
…愛ちゃんに捕まえられていたい。
- 149 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:42
-
……あ――っもうっ、何考えてるんだろう、私。
いまの誰っ?…私じゃないみたい…。
恥ずかしすぎるよっ。私、かなり恥ずかしい人だよ。
……じゃ、今日の私は別人ってことで。
なんせ、私がプレゼント…らしいし…
別人とでも思ってなきゃ恥ずかしくてやってられない。
…でも、自分に素直になってるだけだから。
ほんのすこし表現しているだけだから。
勘違いしないでよ。愛ちゃん。
今日は特別だけど、この想いは特別じゃないってこと。
この想いはいつも心の中にあることだから。
だから、勘違いしないで。
「あさ美ちゃん?」
紺野あさ美。行きますっ!
「……好き。」
愛ちゃんの首に抱きついて耳元でささやく。
ありったけの勇気を振り絞って伝えるから。
せめて、今だけは顔を見ないで。
顔を見てしまうと恥ずかしすぎてゴマかしてしまいそうだから。
そんなのしたくない。
等身大のあなたと私でいたいから。
- 150 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:42
- * * *
「好き。」
「愛ちゃんだけが、好き。」
「他の人は見ないで。」
「私だけを見て。」
「離さないで。」
「私を捕まえていて。」
あさ美ちゃんがぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
いつもは聞けない、束縛するような言葉。強い言葉。
頭にがんがんと反響して…返事することもままならない。
何も考えられなくなっていく…
体が、心臓が、どくどくして……麻薬みたい…
言葉が途切れ、あさ美ちゃんが顔をあげる。
うるうるとした瞳でみつめられて。
そして、言う。
「…あなたの愛をください。」
……麻薬、というよりも…
- 151 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:43
- * * *
…言っちゃった。とうとう、言っちゃった。
愛ちゃん、固まってる…。
もしかして、ひいちゃった…?
私がこんなこと思ってるだなんて…言うだなんて。
思ってもみなかったことなんだろう。
…ねぇ、なんか言ってよ。
不安になるじゃない。
ちゅっ
不意に頭を引き寄せられ、キスされた。
とりあえず嫌われたわけじゃないようで一安心。
おとなしく目を閉じて、愛ちゃんに身をゆだねる。
息つくひまも与えられず、何回もついばむようなキス。
愛ちゃんの服の裾をつかむ。
……苦しい。
息苦しかった胸を助けるかのようにこじ開けられる口唇。
なまあたたかい感触がして…すこしヘンな感覚。
いつもより激しく、口内を探られる。
でも、痛くはない。随所随所にいたわりが感じられる。
…頭がぼ〜っとしてくる。
- 152 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:43
-
「………んっ…」
服の裾から愛ちゃんの手が侵入してきた。
そのまま、背中全体を撫でまわされる。
…なんか、手がやさしくって、あったかくって……泣けてくる。
実際に涙がこぼれたわけじゃないけど、泣きたくなった。
いったん体を離されて、服を脱がされる。
ベッドに向かい合って座ってる状態だから、
上はすぐ脱げたけど…下は脱がしづらそう。
だから、愛ちゃんの肩に手を置いて膝立ちになった。
…そして完全に下着姿になった。
「愛ちゃんも…」
「ん…」
私だけって言うのはずるい。
愛ちゃんはさっさと自分の服を脱いでいく。
脱いだ服はベッドのそばに申し訳程度に畳んでおいた。
- 153 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:44
-
「愛ちゃんが白って珍しいね。」
ベッドにころがって、すこし疑問に思ったことを言った。
仕事以外ではカラフルな色が多い。かわいいやつとか。
「今日の服、白だったし…」
そっか…
「あさ美ちゃんは黒だね。」
…そんなにまじまじと見られるとはずかしいんですけど…
「…まぁ、知ってたけど。」
「…え?」
知ってたって……なんで?
私も黒って結構珍しいんですけど…
「あさ美ちゃんも服、白だったじゃん…」
言いながら私の上に移動。
そしてささやく。
“透けてたよ。”…って、愛ちゃん!?
気付いてたんなら言ってよ!
- 154 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:47
-
「……っ……は…」
すこし文句言ってやろうとしたら、待ち構えてたように口をふさがれる。
だんだんと口付ける場所が下に移動してきて…
首筋を跡がつかない程度に吸われる。
愛ちゃんの手のひらの上で転がされているみたい。
かなわない。
もう、こうなっては何も言えない。
考えられない。
オアソビも、もう、おしまい。
あとは本能に身をまかせるだけ。
でも、本能だけではないことを示したいから
愛ちゃんの首に腕をまわす。
- 155 名前:A⇔P- 投稿日:2005/10/15(土) 23:49
- ねぇ、愛ちゃん。
プレゼント渡したあとに“おめでと”って言うから。
必ず言うから聞いててよ。
それまで、全力でプレゼントあげるから。
…そのかわり、私を愛して?
――――――
――――
――
- 156 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/15(土) 23:50
-
『aphrodisiac』
- 157 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/15(土) 23:51
-
- 158 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/15(土) 23:52
-
『ひと夏の騒動』〜続き〜
- 159 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:56
- なにはともあれ確認。
呆然と扉を見ているあさ美ちゃんの服を引っ張る。
「あさ美ちゃん、もう無いの?」
もう一番目じゃなくてもいいから欲しい。
「何が?」
もぅ、そんなの決まってるでしょ!?
なんでわかんないの?
この頃みんなおかしかったのは、そのせいなんだから。
まぁ、そんなあさ美ちゃんだから好きなんだけどね。
たまには気付いてくれてもいいじゃんって思わないこともない。
「だ〜か〜ら〜、あさ美ちゃんの写真集っ!」
「ふぇ?無いよ?あれ見本だし、あと2、3日しないと…」
「……そっか……」
そういえば、さっき1冊しかないって言ってたもんね……
世間はそんなに甘くない、か……よく言ったもんだなぁ。
はぁ……2、3日かぁ……
……ちらっと見えた表紙、エロかったなぁ……
落ち込むしかないわぁ……
- 160 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:57
- 「え〜?あさ美ちゃん写真集無いの?同期の絆をもっと大切にしてよ」
「ま、まこっちゃん?」
「なんで同期のわたしに一番にくれないの?
一冊目の写真集、最初にサイン頼んだの、わたしだよ?」
「ま、まめ…?」
よく言った!!
ナイス!
そうだよ、同期を大切にしてよ!
あーしはちゃんと4冊とも一番にあさ美ちゃんにあげたんに!
麻琴とがきさんの比じゃないやよ!
くれんってことは……やっぱり片思いなんかなぁ……
「……はい、すぐ持ってきます…」
これから、がんばろう……
- 161 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:57
- 「こんこん、写真集はね、メンバーに配るためにあるんだよ。」
「紺ちゃん!美貴たち北海道出身同士だし、カントリーでも一緒だし、仲良いし…。
当然すぐくれるよね!?」
「は、はぁ…持ってきます……」
ガッタス、ユニットつながり、いいなぁ……
あーし結構足速いし、だめかなぁ…
あ、でも連帯責任のとき失敗したし、無理なんかなぁ…
ユニットはつんくさん次第やし…
あーしとあさ美ちゃん、おんなじユニットになったの、さくら組ぐらいやし…
なんか正反対って言われるし…
いいなぁ……
…ん、亀井ちゃん?
なんなん、それ。ちょっと、こわっ。
授業参観でお母さんの前で張り切る小学生っぽい…
「……すぐに全員分持ってきます……」
あさ美ちゃんがそういうと亀井ちゃんは笑顔で手を下ろした。
…あれはあさ美ちゃんへの主張やったんか。
…手強いライバルになりそうや。
- 162 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:58
- あさ美ちゃんはなんか困ってるみたい。
するとれいなとさゆに話しかけた。
「ねぇ、どうしたの?シゲさん、たな…」
「なんで!?」
「なんでぽんちゃん、れいなって呼んでくれんと!?
れな、いつもぽんちゃんって呼びよるんに…
ぽんちゃんは、れいなって呼んでって言った始めの頃しか呼んでくれんかった…」
「ごめん、田中ちゃん……いや、れいな。」
「……ぽんちゃ〜ん…」
あ〜!!
なに抱き付いてんの!!
胸に顔をうずめんなーっ!!
そんなうらやましいこと、すんな!!
そうこうしてるうちにあさ美ちゃんはれいなの涙を拭う。
なんかイイフインキ…
なんのまんがですか!?
こんな天然タラシ、ありえない!
だれか止めて〜!!
- 163 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:58
- 「うわぁっ!?」
あさ美ちゃんのその声に我に返る。
あさ美ちゃんはいつのまにかれいなとさゆにサンドイッチされていた。
そんなんしたら息苦しくなるって!
だから抱きつくんはあーしだけでいいんやって!!
…はよ離せま!!
…はっ
つい、感情的になってもうて言い方がキツくなってしもた。
…ごめんね、れいな、さゆ。
いつのまにかあさ美ちゃんかられいなが離れて、さゆだけになっとる。
あさ美ちゃんにぴったりとくっついて…
まるで友達とけんかした後、お母さんにひっついてぐずってる幼稚園児みたいや。
「…言いたいことあるなら、言って?」
あさ美ちゃん、本当にお母さんみたいや。
…こういうお母さん、欲しいかも…。
…ぃやっ、訂正。
お母さんが欲しいんじゃない。
やっぱり欲しいのは、あさ美ちゃんの恋人の座。
誰にも渡したくない。
- 164 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:58
- 「明太子スパゲッティ、さゆみも食べたい。」
どうやら、さゆはあさ美ちゃんと一緒に食べたかったみたいや。
「…さゆも一緒に、行く?」
「はいっ!」
ふたりとも笑顔でいい感じ。ほほえましい。
……後であーしも外食に加わらせてもらおう。
「こんのさぁ〜ん。わたしも連れってってくださいよ〜」
そんな光景をぶち壊す声が…
がばっ
「ちょっ、亀子っくるしっ」
後ろからまわした腕を胸の上でクロスして肩を掴んでいる。
うっわっ。苦しそう…。
- 165 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/15(土) 23:59
- 「は、なしてってばっ亀子っ」
「絵・里・です。」
「絵里っ離してっマジ苦しいっ」
「い・や・で・す。」
「今度、二人でどこか行きましょう?」
約束してくれるまで離しません。と……
あきらかに脅迫じゃん!
あさ美ちゃんを助けてください!
吉澤さん、藤本さん、中澤さ〜ん!
…だめや、中澤さんはだめや。
…こうなったら、安倍さ〜ん!!
「約束するっ、約束するから離して!」
「わかりました〜」
「じゃ、今度の一日オフ、空けておきますから。」
急速に話が進んでゆく…。
あさ美ちゃんの次のオフ、とられた。
……次の次のオフっていつやったけ?
…遠い。遠すぎる。
すっかり落ち込んでしまって立つ気力もない。
椅子に座る。
それだけでは足りずに足を抱え込む。
「はぁ……」
自然にため息が出てきてしまった。
もう、だめや。やる気、出ん。
- 166 名前:高橋さんの思索@ 投稿日:2005/10/16(日) 00:01
-
「あ、写真集楽しみにしてますね〜じゃ。」
あ、写真集!あさ美ちゃんの写真集あるじゃん!
それ見たら、やる気出るわ!
……でも、ないんやった……
せめて……
「…あさ美ちゃん、あーし、2冊ね…」
「えぇ!?しゃ、写真集!?」
「うん、2冊ちょうだい…」
「わ、わかった…」
観賞用と保存用。必要だよね?
確保はできたけど、現物がないんじゃ……
結局、そのままテンションは上がらず、仕事が終わり。
そして家に帰ってから気付いた。
外食に参加するのを忘れてたことを。
また落ち込んだ。
しょうがないから“明日、一緒にごはん食べにいこうよ”とメールしておいた。
今日の教訓。
とにかく人より先に行動。
そして久住と亀井に要注意、と。
- 167 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/16(日) 00:01
- …ハロモニ劇場なんですけど、
道→高⇔紺というよりも、高⇔紺←道の方を考えてしまう…。
っていうか、そっちの方が(自分的に)おもしろい。
さすが紺系CP好き……紺Dの性なんですかねぇ…。
そこでの高橋さんは妙に生き生きしてますね。
発声の仕方から違う。さすが宝塚好き。かなり嬉しそうでなによりです。
何気に紺野さん、相手役、五期制覇です。
高橋さん→薮小路彦麻呂&紺野あさ美(高校生)
小川さん→みたらしだんご&袋小路あん子etc
新垣さん→新垣里沙&紺野あさ美(幼稚園児)
というカンジで。
今回は先週さぼったので、二回分載せました。
それにしても『ひと夏の騒動』の高橋さん暗いな…。
口に出して行動すればいいと思う。
…がんばれ。
ついでに最初の方、名前失敗。
つづりとかも、失敗してたら、恥ずかしいな…。
そんなときは無視してください。
- 168 名前:110 投稿日:2005/10/17(月) 17:17
- 更新お疲れ様です。
夜編どうもありがとうございました!
しかも、その続きまで。
もう読みながらニヤニヤしてしまいましたよ。
ごちそうさまでした。
次回も楽しみにしてます。
- 169 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/22(土) 04:42
- <<168 110さん
こちらこそ、読んで頂いてありがとうございます!
夜編は続きというか、1つのモノを区切っちゃっただけなんです!(ぇ
ほんとはもう一回分あるんですよ…(蛇足感溢れるものが…)
順番が前後して読みにくいと思うので、
あとでアンカー付けてまとめときます。
ここは少人数学級みたいなもんなので
どんどん要望には応えていければな、と思います!
また、違う短編ですが、今日の更新です。
がきさん、おたおめっ!(遅っ
- 170 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/22(土) 04:43
-
『じれったい×3』
- 171 名前:Aチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:45
-
「ねぇ、まめ……どうしよう…」
あさ美ちゃんの、深刻な顔と声。
重大な問題でも起こったような、そんなカンジ。
困ったことがあるなら、いくらでも助けてあげる。
…私にとって大切な人だから。
だけど……
全然、深刻でも重大でもなんでもない。
あさ美ちゃんにとってはそうかもしれないが、
他の人にとっては、ささいなことだ。
…どっちのお弁当を食べようか、だなんて。
…今日はミキティと同じ仕事じゃないから。
決めてくれる人がいないから。
悩んでる時間がもったいないぐらい、悩んでいる。
- 172 名前:Aチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:46
- 「う〜、どっちにしよう〜〜、まめ決めて〜」
あ〜あ、涙目で眉間にシワなんか寄せちゃてさ。
…おもしろい。
ぐりぐりと人差し指で眉間を押す。
「や〜、もぅ!やめてよ〜」
マジ、おもしろ〜い。かわい〜い。
「まめ!本気で怒るよ!」
押し続けているとあさ美ちゃんが声をあげる。
…怒ったあさ美ちゃんも見てみたいと思ったけど。
ちょっとかわいそうだな、と思って、やめてあげた。
「もぅ、まめ〜」
「ほら、あさ美ちゃん!差し入れあるよ!」
なんか、小言を言われそうだったから、話をずらす。
それに、差し入れ食べたら満足するんでしょ?
そして結局、全部食べちゃうんでしょ?
…それにあさ美ちゃんが小言を言うのはなんか違う。
私があさ美ちゃんを世話するんだから。
- 173 名前:Aチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:48
- 「…ん〜〜……おいしぃ〜…」
あさ美ちゃんが差し入れのたこ焼きを食べている。
…もちろん、4等分して。
今世界でいちばん幸せって顔してさ。
ほらね。お弁当のこと忘れちゃった。
…あさ美ちゃんのこと、一番理解してるのは私なんだから。
「こんこ〜ん、また4等分してる〜」
見ててじれった〜い、と吉澤さんが言う。
しょうがないじゃないですか。
それがこんこんであり、あさ美ちゃんなんですから。
個性です、個性。
みんなおんなじだと、つまらない。
違うから、互いに惹かれあったりする。
そういうのがたのしいんですよ、人生は。
- 174 名前:Aチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:48
-
「あさ美ちゃん、私にもたこ焼きちょうだい?」
差し出されたたこ焼きを私は一口で食べた。
…お弁当は両方とって私とはんぶんこして食べた。
- 175 名前:Bチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:49
-
* * *
「…う〜ん」
今日の夕食は愛ちゃん、あさ美ちゃん、まこっちゃん、私。
いわゆる五期メンバーで近くのファミレスに来ている。
今日も今日とて、あさ美ちゃんはメニューとにらめっこ。
「あさ美ちゃ〜ん、早くしてよ〜」
まこっちゃんはお腹が空いてるみたいで。
じれったいという感じにあさ美ちゃんのわき腹をつついて急かしている。
…迷ってる姿もかわいいのに。
まこっちゃんまだまだだね。
私のようにそんな姿も楽しめるようにならなきゃね。
- 176 名前:Bチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:50
- 「もうちょっと待って〜」
あ〜これもいいな〜、あ、これも。
秋になったから、イモ・クリ・カボチャ類がたくさん出てて大変だ。
かなり悩んでいるようだから、助言してあげることにした。
「これ、この前来たとき“次来たらこれ食べる〜”って言ってなかったっけ?」
メニューを指差しながら、顔を覗き込む。
「…あ、言ってた!じゃあ、これ頼む!」
パッと顔が明るくなるのがわかる。
ありがと〜里沙ちゃん、なんて珍しく名前で呼んでくれて、なんか照れる。
- 177 名前:Bチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:50
-
「それにしても、よくおぼえてたね〜」
「…あさ美ちゃんのことだし…。」
「………?」
もう、鈍感なんだから。
…ま、チャンスはいくらでもあるし…とりあえず…
「…次、来たときも教えてあげるよ。」
にっこり微笑んで。
あさ美ちゃんに意思表示。周りの二人に宣戦布告。
あさ美ちゃんのはてな顔。二人のあせった顔。
これからが、楽しみだ。
…五期、バンザイ。
- 178 名前:Cチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:51
-
* * *
「ねぇ、これも入れていい?」
さっきから、うろちょろうろちょろ。
キッチンとテーブルを行ったり来たり。
じっとしてることがない。
冷蔵庫覗いて、しまいにはおかしも取り出して。
…作るの、たこ焼きだよね?
「なんでもいいから…じっとしてて?」
せっかくあさ美ちゃんの家に来てるのに、何もしないのは…なんか、ね。
私をほったらかしにしないでよ。さみしいじゃん。
- 179 名前:Cチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:52
- やっと戻ってきたあさ美ちゃん。
具材は、たこ、チーズ、もち、チョコ(?)。その他いろいろ。
なんだ、そりゃ。
「チョコ?」
「いや、なんかあったから…」
おいしいかもしれないよ?
…とりあえず、作ろっと。
「いくぞ、こんこん!」
「おぅ!」
どりゃっと豪快に生地を流し込む。
…すこし、はみ出てしまった。
ごまかすように、具材をばばっと入れる。
………。
- 180 名前:Cチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:53
-
「これ、なに?」
「…新垣流。」
勢い良く&大量に入れたから、ますます生地があふれちゃって…。
隣と隣の境目がなく、一枚のホットケーキのように見える。
なんとか切り離そうとあさ美ちゃんが一生懸命つつく。
…やっ、そうじゃないってばっ!
ここをあーして、こうやるんだよっ!
見ていて代わってやりたくなるほど、めちゃくちゃにやるあさ美ちゃん。
手つきがかなり、あやしい。
それでも手出ししないのは、おもしろいから。かわいいから。
…もうちょっと、観察してよ〜っと。
- 181 名前:Cチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:54
- …あさ美ちゃんを見てるうちに、だんだん気持ちが変化してきた。
たこ焼きをみつめる、熱い眼差し。
上気したほっぺ。
生地の付いた指をなめる舌。
それがあまりおいしくなかったようで、しかめる顔。
本人は無意識だろうけど、すべてが色っぽく見えちゃって……
触れられないのが、もどかしくて……じれったい。
自分の欲求に素直になってみる。
焼くのに集中してるあさ美ちゃんの椅子の後ろに立って、
「失礼しま〜す……」
申し訳程度に、小さな声で断りながらあさ美ちゃんと椅子の背もたれの間に滑り込む。
……あさ美ちゃんはこの行動に気付いてないようだ……さすがだね……。
- 182 名前:Cチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:55
-
半ば呆れつつ、あさ美ちゃんのお腹に腕をまわす。
「ん……?」
やっと気付いたようだ。
…もっと早く気付こうよ…他の人にもされてないか心配なんですけど…。
「何やってんの?人の後ろで…」
「気にしないで。」
「いつのまに…。どうやってやったの?」
「魔法。」
「まほう?」
「そう、魔法。」
…お母さんが魔女だから、私も魔女。なんてね。
言いながら、私はひそかに行動している。
あさ美ちゃんの意識がこっちに向いたのをいいことに、自分のとりたい体勢を作る。
あさ美ちゃんの腰を軽く持ち上げ、腰を少し浮かすように促し、
そのうちにあさ美ちゃんを跨いでいた足を閉じる。
そして腰をつかんで、その上に乗せた。
…満足。
- 183 名前:Cチーム 投稿日:2005/10/22(土) 04:59
-
「まめ、ちょっと焼きにくいよ〜」
文句を言いつつもピックを離さない。
「あ、焼けちゃったみたい焼けちゃったみたい」
「ほんとだ〜」
興味をそらすためにそう指摘すると、一気に顔が華やぐ。
うれしそうにいい焼き加減のたこ焼きをつつく。
もぅ、色気より食い気なんだから〜。
あさ美ちゃんの頭の中はそうみたい。
でも、あさ美ちゃん自体は…色気の方が多いよね。
「あさ美ちゃん、またもんじゃ行こうね?」
「…?……うん!!」
いまはまだ、無理かもしれないけど。
いつか、私といる時の方が食べてる時よりもいい笑顔にしてみせるから。
…私をもっと好きにならせてみせるから。
覚悟してなよね。
“相思相愛がいい あなたと同じだけ好きがいい”
そんな風になれるといいな。
- 184 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/22(土) 04:59
-
『じれったい×3』
- 185 名前:ペーパー 投稿日:2005/10/22(土) 05:25
-
というわけで新垣さんおたおめ小説でした。(内容は誕生日関係ないけど…)
新紺ではなぜ膝に乗るとき、体○の軽い新垣さんが下なんでしょう?
そこが、たまらなく素晴らしいですけど…
小紺、小高、高新の時代が来たから、
次は高紺、新紺の時代になるいいな…(あと小新)
紺野さんを運ぶ新垣さん、素敵すぎる…
モーチャンで道重さんナイスパスっ!
真実は高→紺⇔道だったのか…
あと文麿さん(後藤さん)の持ってるシュークリーム(?)は
紺野さんを釣るためのものだと思う。(違
冗談はこのぐらいにして、
小説の中身・文章ともに精進します。では。
- 186 名前:名無し飼育 投稿日:2005/10/30(日) 03:10
- 高紺がいっぱい!!!
いあー、一番好きなCPであまりなかったのですっごく嬉しいです。
モテ紺も(・∀・)イイ!!
続きますます、楽しみです。
- 187 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/08(火) 06:43
-
『pupa』
- 188 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:45
-
――――――
――――
――
小さな波と大きな波に何度かさらわれて。
体の限界を感じ始めたすぐ後に大きな波がまた来て。
さらわれた後に愛ちゃんが這い上がってきて。
そっとキスされて抱きとめられた。
力が入っていた腹筋とつま先が一気に弛緩する。
そして違う場所も意識して徐々に力を抜いていく。
そのまま愛ちゃんの首筋に頭をうめて、しばらく余韻にひたる。
愛ちゃんの重みが心地よい。
限界までもがわかるほどに知り尽くされていることが、はずかしいようなうれしいような、複雑な気持ち。
はやすぎる鼓動を刻む胸と荒げる息を整えようとする。
…なかなか静まらない。
- 189 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:46
-
涙のにじむ目尻。それを拭う口唇。
脱力感。力の入らないカラダ。
浮遊感。朦朧とした意識の中で漂う。
幸福感。私の中は愛ちゃんで満たされている。
愛ちゃんの首の後ろで手を組んで、体中に落とされる口付けを甘んじて受ける。
最中、見えないところに、ひとつだけ付けられたキスマーク。…噛み跡。
真ん中から少し左にずれたところにつけられたそれは…ちょうど心臓の位置。
…なかなか痕が付きにくくて…少し強く噛まれた。
心臓さえも愛ちゃんに握られているような気がした…。
今の私は、すべて、愛ちゃん次第…。
そこにもくちづけられ、ピリッと体に電流がはしる。
優しく、優しく。触れてくる。
小さなさざ波が私をくすぐる。
意識が、ふ、と途切れてしまいそう。
これでは、いつまでたっても静まらない。
だから、ぎゅっと抱き締めて強制的に止めさせた。
- 190 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:47
-
「……おめでと。」
やっと整え終わった後、言おうと決めていた言葉を紡ぐ。
すると、くしゃっとなるぐらいの笑顔で返してくれる。
さっきまでの人と同一人物だとは思えない。けど…
…そんな笑顔見るとこっちの方までうれしくなっちゃうよ。
「…今までで、いちばん最高なプレゼントだったよ?」
耳元でささやかれる。
ちょっとというか、かなり恥ずかしい。
………からかっちゃえ。
仕返しとばかりにイタズラごころが芽生える。
「じゃあ、私からのプレゼント、いらないの?」
愛ちゃんのためにせっかく選んできたのに……
と、悲しそうなフリをする。
さっきまでの行為で涙目になっていたから効果てきめん。
- 191 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:48
-
「う、あ、えっと…それはそれで欲しいってか…」
目をきょろきょろさせる。
そんな仕草にくすっと笑みが零れる。
「うそだよっ」
舌をぺろっと出す。
「…だましたな〜?」
愛ちゃんはコワイ顔を作るけど、一瞬で崩れる。
笑顔で抱きついてくるから、受け止める。
「…愛ちゃん、おも〜い」
はなれてよって、すこし素っ気ない風に言う。
もちろん、フリ。
「いやや〜」
愛ちゃんも照れ隠しだとわかってるのか、離れようとしない。
…そりゃわかるだろう。
“はなれて”と言いながらも、しっかりと腕は背中にまわってるんだから。
…私にかかる、愛ちゃんの重みも幸せを感じさせるものでしかない。
- 192 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:49
-
「…もうそろそろ、寝ない?」
しばらく無言で抱き合って。
ずっとこうしていたい気持ちもないことはないんだけど…。
明日の仕事は午後からといっても、そうのんびりしてられるものではない。
準備をしなければならないし、体内時計もずらしてはいけない。
仕事中に眠い顔などしてはいけない。
シャワーも浴びたいところだけど、もうそんな気力は残っていない。
「ん、わかった。」
そう返事したとともに、なぜか私の視界がぐるっと回った。
愛ちゃんの位置は私の上から横に移ったけど、腕はそのまま。
私を抱きしめたままで。
愛ちゃんは相変わらず私の目の前にいる。
ただ横倒しになっただけみたいだ。
- 193 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:51
-
「? 愛ちゃん、はなして?」
いつもだったらパジャマを着直してから手を繋いで寝る。
だから今度は普通に“はなして”と言った。
「いやや〜」
またおんなじ答えをいう。
いや、さっきと意味違うから。
じゃれてるんじゃないよ?
「そんなんじゃ服着れないよ…」
「今日はこのままで寝よ?」
お得意の甘えが始まった…。
「あさ美ちゃんとくっついて寝たい…」
今日は誕生日だもん…、と言う。
……可愛く言ってもだめ。
朝起きたとき、恥ずかしすぎる。
冷静な状態でのこの姿は、たぶん私には耐えられない。
誕生日だし、一度くらいならいいかな、とも思うけど…。
一回許してしまったら今後もずるずると続いてしまう可能性が高い。
そんなの、無理。
ここは心を鬼にして……
「…風邪引いちゃうから…」
そう言って、私を拘束する腕をどかした。
意外と簡単だったので拍子抜けした。
正直、助かった。
ここで妨害されてたら抵抗できなかった。
いつもの私だったら腕力では勝てる自信があるけど…
今の私では愛ちゃんに確実に負けてしまう。
とにかく、助かった。
起き上がってシーツで体を隠しながら服を拾おうとする。
すこし動くだけで伴う倦怠感。
- 194 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:52
-
だけど……
…甘かった。
私の愛ちゃんに対する認識が甘すぎた。
あれ、と思った瞬間には、視界いっぱいの白。
「あさ美ちゃん……」
耳の思いっきり近くで愛ちゃんの声がする。
というよりも、直接脳まで響くカンジ。
…ゾクッとする。
いろいろな状況から察するに、
どうやら、うつぶせにさせれて覆い被されているみたい。
腰の位置に重さを感じる。
…結論。脱出不可能。
- 195 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:52
-
「……服、シワになるよ?」
せっかくの服、台無しにしちゃっていいの?、と。
ささやかれる度、自分の体が震えるのがわかる。
言葉が頭の中で、組み立てられない。
ただの“音”としてしか認識されない。
“振動”が私を狂わせる。
熱い吐息が鎮火したはずの熱を呼び覚ます。
「どうしても、いやなんなら……」
しょうがないけど…ねぇ?
あ・さ・美・ちゃん?
はっとして一気に自我を取り戻す。
…ものすごいイヤな予感がする…。
- 196 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:54
-
「まだリボン付いてるってことは“未開封”ってことだよね。」
ケーキの箱は、ケーキが主役だけど、
“包装”外さなきゃ、目的のものまで辿り着かないよね?
口唇で耳の後ろからうなじにかけてなぞられて……
服を脱いでも、外さなかったリボンを弄ばれる。
「プレゼント、もらわなきゃ、ね?」
ヤバイ…。ものすっごく、ヤバイ。
あっきからなんども繰り返される“ね?”の羅列が異常に怖い…。
只でさえ今、体に力が入らないのに、この状態でされたら…。
津波に襲われた町は壊滅状態。
あらゆるものが流されて、静寂が漂う町。
鬱屈とした空気が押し出されて清浄な空気があたりに満ちる。
過ぎ去った波に気を緩めた後。油断した時。
その町に再び津波が襲いかかったとしたら…?
答えは、簡単。
絶体絶命。
考えるだけでも冷や汗が。
- 197 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:55
-
「…“開封”する必要があるみたいやね。」
背骨をつつつ、となぞられて。
凪の海に雨が落ち、波紋が集まって、波になる。
そして、リボンに手がかかり……
…そんなの、絶対ムリっ!!
「っ〜〜〜」
必死に制止の声を投げかけるけれども。
シーツに阻まれて、くぐもった声にしかならない。
- 198 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:55
-
「なに?聞こえんのやけど?」
手をいったん止めて、体を裏返されて、顔を覗き込まれる。
…意地の悪い笑み。
「…っ!このまんまで寝たいっ!」
「…そう?……残念だなぁ…」
どこかにやにやしながら、そんなことを言う。
いえいえ、どこにも残念なことなんてありませんっ!
改めて後ろから抱きつかれて、お腹に手がまわされる。
そのまま一つの枕に二人の頭を埋める。
そのまま寝ることになったようで、ほっと一安心。
そっちの方がまだ、大丈夫。
…続きをされるよりも、正面から抱きつかれるよりも。
- 199 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:56
-
愛ちゃんにはめられた感じが否めないけど。
下手に刺激してもっと大変なことになったら、目も当てられません。
…こんなとき、被害は最小限で抑えるに限ります。
……早く寝ましょう。
今の格好と体勢を頭から無理やり押し出し、強制的に目を閉じる。
…急に眠気が襲ってきた。
愛ちゃんの体温が私を眠りの世界へと誘う。
「あさ美ちゃん、おやすみ…」
「……おやすみ…」
愛ちゃんの優しい声をきっかけに意識が途切れた……
――
――――
――――――
- 200 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:56
- ――――――
――――
――
…ここ、どこだろう……
一度は言ってみたかった、記憶喪失者のような台詞を思い浮かべながら目を覚ます。
すると、お腹や背中にあるぬくもりに気が付いた。
――…愛ちゃん?
顔だけ動かして後ろを見ると、思った通り愛ちゃんで。
昨日のことを思い出し、恥ずかしさが込み上げる。
――…ひとりで赤面して、バカみたい…。
そう思いつつもお腹の上で繋がれている愛ちゃんの手に私の手を重ね合わせる。
――……幸せ。
- 201 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:57
-
まだ寝てる愛ちゃんをなるべく起こさないようにして、体を反転させる。
「……ん…」
すこし愛ちゃんは身じろぎしたけど、起きるような気配はない。
おでこにおでこをくっつけて。ひとりで幸せ堪能中。
なんとなく愛ちゃんの顔を観察したりなんかして。
目を閉じてる愛ちゃんはいつもよりも大人っぽくて。
それでいて、あどけなさを感じる。
――どっちなのよ、あんた…。
声には出さず、問いかけてみたり。
加入した当初よりは随分大人びたけど、世間一般においては幼い顔つき。
…不思議な感覚。
―愛ちゃんが目を覚ます間の暇つぶし。
早く起きて欲しいけど、起きたら起きたでもったいないような気がして。
起こさずに、愛ちゃんが自然に目を覚ますまで待つことにした。
- 202 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:58
-
朝起きたら、愛ちゃんがいた。
こんなに幸せでいいのだろうか。
なんだか愛ちゃんの誕生日じゃなくて私の誕生日みたい…。
目を閉じて、愛ちゃんの体温を感じながら、感慨に耽る。
すると口唇に何かの感触。
「……愛ちゃん?」
起きたの?
「ん〜…あさ美ちゃん、おはよ。」
片手で目を擦りながらのあいさつ。
おはよう、と応えつつ、そんなことよりも。
「…今、キスした?」
「そこにあさ美ちゃんの顔があったから。」
……あなたは登山家ですか…?
…愛ちゃんに出会ってから人生が変わったような気がする。
愛ちゃんの独特なペースに引き込まれる。…惹き込まれる。
今では愛ちゃんのいない世界を考えられないくらい。
多分、それなりにやっていけるとは思う。
けど、何かが足りない、そんな風に感じるだろう。
…それぐらい、依存してる。
- 203 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 06:58
-
「……もうそろそろ起きる?」
心にもないことを言ってみる。
「…やだ。もうちょっと。」
「……しょがないなぁ…」
しぶしぶ受け入れる、フリをする。
…本当は私もこのままでいたいのに。
その一言を愛ちゃんに言わせる自分。…ずるいなぁ。
愛ちゃんがぎゅっと抱き締めてくれる。
直接肌と肌が触れ合って、気持ちいい。
………あ。
自然すぎて、違和感がなさすぎて、気付かなかった。
…いつもと違って、服を着ていないことを。
もっと恥ずかしく感じるものだと思っていたのに。
愛ちゃんとこうしていることが当たり前のことのように思えて。
胸はどきどきしてるけど、安心してる私がいる。
- 204 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:00
-
「…まだ時間あるから、ね?」
そんな真剣にじっとみつめられたら…
断ることなんて選択肢にさえ現れない。
言外に含まれた意味を即座に理解して。
私もぎゅっと抱き締め返して。
言葉にしないで伝える。応える。
言葉は使わない。言葉は要らない。
今の私達の間にとって、余計で無粋なものでしかない。
言葉にすると、ゆがんでしまう。
伝えるまでに、伝わるまでに、ワンクッション置かれる。
送り手と受け手の間に、理解の差が生じる。違いが生まれる。
…私とあなたの間に隙間ができる。
そんなもの、いらない。
- 205 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:00
-
私も一生懸命伝えるから。
あなたの言いたいこと、感じとるから。
今のふたりにとっては、たやすいはずだから。
だから…
言葉にする前に感じて。
直接感じて。
こころで感じて。
…飾りのない、私の、そのままを感じて。
――――
――――――――
――――
- 206 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:02
-
「……好き…。」
ことの終わった、熱がまだ残っているベッドの上で。
自然に昨日の続きのような言葉が口から漏れた。
「あたしも、好き。」
愛ちゃんも笑って応えてくれる。
首筋に顔を埋めて、こっちからも抱き締め返す。
…ゆっくりとした時間が流れている。
* * *
とろとろとしていたら、また眠気が……
今日の仕事は午後とはいえ、さすがに今から寝たらヤバイだろう。
…お風呂にでも入るかな…。
- 207 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:03
-
「愛ちゃん?私お風呂入ってくるね。」
「んじゃ、あーしも入る。」
「へ?」
今日の愛ちゃんはなんかヘンなことばかり言う。
…誕生日だからかな?
「ひとりづつ入るより、一緒に入った方が経済的だよ。」
「……愛ちゃん、お風呂の水は料金に含まれないよ?」
安いホテルの備え付けジュースじゃあるまいし…。
「なに言ってんの、あさ美ちゃん。アタリマエじゃん。」
だよね〜。愛ちゃんでもそれぐらいは知ってるよね。
「あーしがいいたいのは地球的なこと。」
「……地球的?」
規模がでかいな…。いきなり何言い出すんだか…。
- 208 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:03
-
「あさ美ちゃん、“エコ”しないでいいの?」
「……!!」
前から私たちが呼びかけてる、エコ。
それを本人達がやらなくて、どうするんだ…。
そんなんでは誰もエコなんてしてくれるわけがない。
ヘビースモーカーの人に“タバコは体に悪いからやめろ”と言われるのと同じだ。
…愛ちゃんはこれに気付いてたんだね。
だから、あんなにも必死に…。
…ありがとう。大切なことに気付いたよ…。
「あさ美ちゃん、ほら行くよ。」
「…うん。」
- 209 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:04
-
* * *
お風呂は私の必死の主張で背中合わせで入った。
体を洗っているとき、愛ちゃんの視線を感じたけど、へんな空気までには至らなかった。
…愛ちゃんと一緒入ってるというのが、なんか、くすぐったくて……
女同士なんだから一緒に入ることぐらい、意識するのはおかしいと思うけど…。
意識してしまうのは、愛ちゃんだから…愛ちゃんが好きだから……。
そんな風に思えちゃって、それだけでうれしさを感じた。
だから…たまにはいいかな、と思った。
お風呂から上がってバスタオルを体に巻いたけど…いかんせん、着替えがない。
昨日の服を着て、すぐに家に帰って着替えるしかないのかな…。
- 210 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:04
-
「愛ちゃん、どこ行くの?」
「ん〜……」
そんな中、愛ちゃんが不審な動きを…
クローゼットの中を覗き込んでる、のかな?
「あ、あったあった。あさ美ちゃん、ほいっ」
何かを投げ渡される。……服?
愛ちゃんはさっさと身に着けていく。
「ほら、あさ美ちゃんなにしとるん?着替えんと。」
「……なんでこんなものあるの?」
「ん?知らん。」
「……へ?」
「れいなからのカードに書いてあった」
全部入ってるからって〜、と笑いながら愛ちゃん。
- 211 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:05
-
“全部?”と思ってクローゼットの方を見るといろんな物が見えた。
バスローブやら、なんやらかんやら。
――こんな近くにあったなんて…。
灯台下暗し、という諺が頭に浮かんだ。
――昨日、まめとまこにバスタオル姿、見られなくて済んだのに!
いらない恥ずかしさを味わった。
「あさ美ちゃん、左足上げて?」
すこし沈んでいると、下の方から愛ちゃんの声が…。
言われた通り、足を上げかけて……勢いよくあとずさる。
「……何やってるの?」
「何って…見た通り着替えさせてあげとるんやろ?」
いつまでたっても服着ないし〜
- 212 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:06
-
「っ、自分で着るからっ!」
「…そう?」
愛ちゃんがいつのまにか持っていた服を返してもらう。
…手に持ってた下着も奪い取る。
なんか残念そうな愛ちゃん。
でもこれだけは、なにがなんでも譲れない。
服を着させられるなんて……
脱がされるよりも、一緒にお風呂入るよりも、断然恥ずかしいっ!
ライブの合間並みにすばやく着替える。
そんなこんなで、ホテルを出る準備が終わった。
これから仕事に行く準備をしに、別々で自分の家に帰らなければならない。
ずっと愛ちゃんと一緒にいたから……
「離れたくない……」
…考えてたことが口から出てしまった。
- 213 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:07
-
愛ちゃんは軽くキスしてくれて。
「…そういえば、あさ美ちゃんのカバン、あーしの家にあるよ?」
ジャージは貸してあげるから、あさ美ちゃん家に行くのやめて一緒に行こう。
「あたし準備してあるから、ゆっくりできるよ?」
願ってもない提案に、一も二もなく乗っかる。
「それとさ……今日の夜もあたしの家に来るよね?」
「プレゼント、私の家にあるんだけど…」
「…プレゼントよりも、あさ美ちゃんに一緒にいてほしいなぁ…」
「……うん。」
「あ、でもあたしがあさ美ちゃん家行けばいいのか」
プレゼントもあるし、一緒にいられるし、一石二鳥〜
- 214 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:08
-
リボンを触られて。
「夜になったら外してあげるねw」
「…今、外しちゃダメ?」
「だ〜めw 今日一日はあさ美ちゃんはあーしのものって印なんだからw」
ま、今日だけじゃないけどね〜
「じゃ、行こっか」
笑いながら、私の手を取って、歩き出す。…愛ちゃんの家へ。
タイムラグですこし開いてしまった距離を縮めて。
前を歩いていた愛ちゃんの隣りになる。
愛ちゃんは仕事に“頂点はない”って言ってたけど。
私達の関係にも“頂点はない”って思ってもいいかな?
私達は手を取り合って、今という名の未来へ歩き出す。
- 215 名前:−P⇔A 投稿日:2005/11/08(火) 07:09
-
あなたはときにいじわるで、私を困らせる。
あなたは突拍子もないことをして、私を驚かせる。
でも。だからこそ。
あなたといると自分でも知らなかった自分を見つける。
あなたには私を惹き寄せる、不思議な力がある。
ときどき、擦れ違っちゃうこともあるけど…それ以上にあなたといるとしあわせだから。
あなたとゆったりとした時間を過ごしたい…あなたの傍にいるだけでしあわせだから。
陽だまりでころがる猫のように………いつまでも、あなたと過ごせたらいいな……
- 216 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/08(火) 07:10
-
『suntrap×catnap』
『AP』 〜完〜
- 217 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/08(火) 07:13
- 参考までに。「効果てきめん」は「効果覿面」と書きます。
<<186 名無し飼育さん
続きを待っていられたようで……本当、すみませんっ!
前回から二週間以上経っての更新でした。
高紺はあまりないですよね〜マイナーなのかな…。
結構絡み少ない方だと思いますけど、その分、少しでも絡みあったら嬉しいですよね〜
…たぶん、それがマイナー好きの醍醐味だと思います。
小川さんの小説が全く思いつかなかったので、結局、あきらめることにしました。
一人称はひとつかふたつ、主に使うものを決めておいて、そのときの雰囲気で変えてます。
他の人の呼び方についても、しかり。
それにしても、自分のことを名で呼ぶとき、五期は上(名字)で六期が下(名前)で分かれてるのがおもしろいと思う。
来週は急がしいので更新することはないでしょう(ぇ
- 218 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/08(火) 07:14
- まとめです。
『AP』
>>53-156
>>187-216
コンセプトはだんだん高橋さんに感化される紺野さん。
長くなったから切り落とした話を拾い直した結果、やっぱり長くなった。
もう11月なのに…。反省。
題名は二回目からこじつけです。
<結局『AP』ってなんですかね?
从*・ 。.・)<a.m.p.m.
<……おあとがよろしいようで…。
- 219 名前:110 投稿日:2005/11/09(水) 23:13
- 更新お疲れ様です。
『AP』とてもよかったです!
甘いですねぇ。高紺好きにはたまらないです。
でも、前回の新紺もよかったですよぉ!
次回も楽しみにしています。これからも頑張って下さい。
- 220 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:13
-
==========
あの日から二日後の朝、私は廊下を歩いていた。
たくさんの写真集を抱えて。
ちょっと、というか、かなり重い…。
少しずつ持って来ようかな、とも思った。
しかし、そんなことをしたらあの日の二の舞になりそうで怖かった…
昨日も「まだなの?」って訊かれたし。
今回はしっかり10人分(8人+愛ちゃん用A+私用)を持って来た。
文句は言えないはずだ。
これだけ頑張ったのだから、もうあんなことにはならないだろう。
というか、なってもらっては困る。
ま、これで、無事解決。
いつもの生活に戻れる。
荷物は重いながらも、気持ちと足取りは昨日より軽かった。
- 221 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:14
-
「じ〜〜〜」
そのとき、強い視線を感じた。
というよりも
「ヘンな声出さないで下さいよ、安倍さん。なにしてるんですか?」
「いや〜ばれちゃったwさすが才女!」
「関係ないです。」
誰でも気付きますよ。
そんな声出して、曲がり角から顔だけ出してれば。
「紺ちゃん、それ写真集だよね?」
「あ……」
「なっち、もうすぐ誕生日なんだけどなぁ〜…」
安倍さんっそんな子供みたいに石を蹴るマネとかしないで下さいっ!
ちらっと私を見上げてくる。
なんですか、そのアヤシイ目は!
…あまりにも、わかりやすすぎる催促。
見てる方が恥ずかしいです!
もう、何歳なんですか!?
わかりましたから!
私の分あげますからっ!!
- 222 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:15
-
「安倍さん!もしよかったら私の写真集受け取ってください!」
「あ、ありがと〜」
「…当然、プレゼントは別にありますから…」
「うふふ〜。だから紺ちゃん大好き。えへ。」
なんか、安倍さんにやけてるし、浮かれてる?
なんだろ、その“うふ”とか“えへ”とか…。
「あさ美ちゃんも成長したよね〜」
「はぁ」
「いつも前髪ぐちゃぐちゃだった、あのあさ美ちゃんがね〜」
「はぁ」
なっち、いっつも直してあげてたもんね〜
と、前髪をいじられながら言われる。
……しかもいつのまにか呼び方変わってるんですけど。
- 223 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:15
-
「なんか表紙もえろいべさ〜。服、着てないの?」
「ちゃんと着てますっ!」
いきなりへんなことを……
「もう、安倍さんなんて知りません!」
写真集9冊抱えて、足早に去る。
「あさ美ちゃん、じゃあね〜」
……憎めない人だ。
- 224 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:16
-
* * *
また歩き続けていると…
「じ〜〜〜」
さっきとおんなじことしてる人がいるよ…
…北海道の人はそうしなければならない、とか?
いや、私と美貴ちゃんはこんなことしない。
…オリメン同士の何か?
いや、中澤さんはこんなことしない。
…2日差のミラクル?みらくる久住。
もう、気付かなかった振りで通り過ぎようかな?
…できればそうしたいけど。
そんなこと私にはできない。
挨拶をしないことは私の礼儀に反する。
というか挨拶をできない人は芸能界、いや社会で生きていけない。
…いいこと思いついた。
挨拶だけして笑顔で通り過ぎよう。これだ。
- 225 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:17
-
「あ、飯田さん、おはようございま〜す!」
今気付いたという風に、いつもよりも大きい声+さわやかさUPでにこやかに挨拶する。
…完っ璧。
「ん、紺野おはよ。カオにはわかる。」
ぴくっ
突然、目がカッと見開いたから、思わず体が反応してしまった。
アタ−レ飯田?
- 226 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:18
-
「紺野、カオに渡すもの、あるでしょ。」
「…ものとは…」
「それ。写真集。まさかなっちに渡して、カオに渡さないなんてあるわけないよね?」
「う……」
「カオの方が誕生日早いのに……」
「うぅ……」
…愛ちゃん。二冊もいらないよね?
もしもいるなら、また今度持ってくるから。
…愛ちゃんよりも、飯田さんの方が、コワイ。
私には今が大事なの。
「飯田さん!これ、お受け取りになって下さい!」
「いいの〜?わるいね〜」
「いいえ!飯田さんに受け取ってもらえて嬉しいです!」
「そう?…紺野、娘。のセクシーになりなさい。」
「ふぇ?」
「カオにはわかる。紺野はセクシー担当よ!」
「いや、さゆがやるって……」
言ってましたけど…
「二人でやればいいじゃない。」
「はぁ」
「二人の“みだら”担当、楽しみにしてるわ」
「は、はぁ」
「新曲の脚とすそさばき、よかった!じゃ。」
- 227 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:18
-
飯田さんは“セ〜クシ・ア〜ィラァ〜ン”とか歌いながら、
16だか18だか知らないけどビートを刻んで去っていった。
…飯田さん、色っぽいじれったいの衣装、すごく似合いそう。
それにしても、なんだったんだろう。
…飯田さんってやっぱりわかんない。
でも、尊敬してる人。
ま、とりあえず楽屋は目の前。
もう、今日は仕事の前に疲れた…。
でも、愛ちゃん、どうしよう。
……逃げよっかな…。
- 228 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:19
-
==========
今日も朝からそわそわしてる。
なぜなら、あさ美ちゃんが今日写真集を持ってこれるようなことを言っていたから。
…そう、昨日は外食にあさ美ちゃんを誘うことに成功した。
一度した失敗は二度としません!
でも。
食事中だったにもかかわらず、あさ美ちゃんの顔がこわばっていたのが不思議だった。
――…体調、悪かったんかなぁ…?
- 229 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:20
-
がちゃ
「おはようございまーす……」
来たっ!
「あさ美ちゃん、おはよっ!」
「…愛ちゃん、朝から元気いいね、」
「あさ美ちゃんは元気ないね。…どしたの?」
…というか、なんか、疲れとらん?
「……ちょっと、ね…」
言葉を濁して、ははは、と力のない声。
――心配してしまうやろ?そんな顔してたら…。
なんとか、元気出してもらおうと思って、明るい話題を探す。
……ぉぅ。イイカンジのものが目の前にあるじゃん!
あーしならハイテンションまで一気に上がるねっ!
というか、今上がった!
- 230 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:20
-
「あさ美ちゃん、写真集……」
「あ!みんなに渡してくるっ!」
言葉の途中で駆けていってしまった…
走るほどに元気になったんかな…なら、いいんやけど…。
…目の前に居たんだから、そのままあたしに渡してよ!
こころなしか、顔が引きつってあたしから逃げていくように見えたのは気のせい…?
――…まぁ、二冊もらえるから、いっか。
そう考えることによって、自分を慰めた。
- 231 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:21
-
* * *
「…………。」
あさ美ちゃんが、おらん。
みんなに写真集渡しとるなぁ〜と思って見てて。
全員に配り終わって、“次はやっとあーしの番や”と思っとったら。
…忽然と姿を消しおった。
どこにおるんや〜〜〜!
あーしだけもらってないやよ、あさ美ちゃんっ!
- 232 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:22
-
…仕方がない。ほかの人に今だけ、見せてもらおう…。
「まこと〜写真集見せ…」
「ないよ」
言い終わるまえに、断られた…。
「がきさ〜ん!写真しゅ…」
「これはわたしのだから。」
「…はい。すいません。」
「しげさ〜ん」
「亀井ちゃ〜ん」
「田中ちゃ〜ん」
「吉澤さ〜ん」
- 233 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:23
-
みんなに声をかけたけど。……悉く、断られた。
…最後の手段。
「藤も…」
「さわんなよ。」
「さわってません」
瞬殺。名前を呼ぶことも許されなかった。
……ちょっと本気で怖かった。
結局、あさ美ちゃんはレッスンの始まる直前に帰ってきて。
あたしは写真集をもらえなかった…。
- 234 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:24
-
* * *
レッスンが終わって。
早速、あさ美ちゃんに声をかける。
「あさ美ちゃん、写真集…」
「汗かいちゃったから着替えたらね」
走っていった。
いつもは他の人よりもゆっくりなのに…。
――本気で避けられてる?
いやいや、そんなことはないと心の中で言い聞かせつつ、………かなり、へこんだ。
あさ美ちゃんに嫌われたら……どうすればいいんや〜〜!!
- 235 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:24
-
* * *
「なぁ、あさ美ちゃん……」
なんで避けているのか訊きたくて、すごい勢いで帰る準備をしてるあさ美ちゃんに声をかける。
ビクッ!!
…すこし肩に触れただけなのに、かなり驚かれた。
おそるおそるこちらを振り向いて、冷や汗を流しているようなあさ美ちゃん。
――あたし、なんかしたっけ?
ひどい怯えように、泣きたくなった。
- 236 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:25
-
「あ、愛ちゃん、な、何かな?」
「………なんで…」
「…え?」
「……なんで、あたしのこと、避けるの…?」
あさ美ちゃんは一瞬固まって…
「い、いやだな〜、避けてなんかないよ〜」
手を横に振りながら、そう、否定するけど…
…完全に目が泳いでる。…アヤシイ。
「…あーしのこと、嫌いになったん?」
「そんなわけないよ!」
「…じゃあ、何なん?」
ぅー、ぁー、などと、うめいてるあさ美ちゃん。
言いにくいことなんかな…?
- 237 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:26
-
「愛ちゃんの分、一冊しかないのっ!」
ごめんねっ!はい!と勢いを付けて写真集を渡される。
「あっありがと…」
「それだけだから!お疲れ様でしたーっ!」
…風のように去って行った。
……もしかしなくても…避けられてたのは…
「…これが原因……?」
はぁ…
ため息が出る。
写真集がないことよりも、あさ美ちゃんに避けられることの方が堪えるのに…。
- 238 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:26
-
思いっきり、脱力。
二冊目がないことぐらい、なんや〜!
あさ美ちゃんに避けられることに比べたら、なんでもない。
あさ美ちゃんもさ〜…なんでわかんないかな〜
写真集が欲しいのは、あさ美ちゃんが好きだからやろ。
勘違いしないでほしい。
…あさ美ちゃんがいないと、始まらないのに。
ダメ元でもう1回、気持ち伝えてみようかな?
自分でも写真集に固執しすぎていたことに、反省。
本よりも、あさ美ちゃんの方が、大事。
優先順位なんか確認するまでもないけど。
- 239 名前:高橋さんの思索B 投稿日:2005/11/23(水) 16:27
-
それに、二冊目は…
「自分で買うから、ええんよ。」
せっかくだから、もらった写真集を見るため、さっさと帰った。
* * *
「………?……あ〜っ!ないっ!!」
- 240 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:28
-
==========
…うわ〜、なんか精神的に疲れた〜…
安倍さんと飯田さんに写真集をあげたのはいいんだけど…
それのせいで愛ちゃんの二冊目がなくなっちゃって…。
…こわかった〜。
この前の愛ちゃん、なんかおかしかったし、二冊目なかったら怒られると思って。
愛ちゃんから隠れるためにメロンさんとかカントリーの楽屋行ったりして。
レッスン始まる直前にギリギリ戻ったんだけど…。
帰りに愛ちゃんに問い詰められて…。
しかも、涙目だったのっ!
- 241 名前:紺野さんの受難B 投稿日:2005/11/23(水) 16:29
-
だから、焦っちゃって焦っちゃって。
すっごい罪悪感が襲ってきて。
…わるいこと、しちゃったなぁ〜って。
一冊だけでも渡して置けばよかったって。
“避けちゃって、ほんとごめんねっ!?”ってカンジだったの…。
でも、その反面、怖かったの。
また、なんか、言われるんじゃないかって。
だから、目が合わせられなかった。
そして、そのまま、家に帰って来ちゃった。
いつもの愛ちゃんに戻ってほしい。
…いつもの愛ちゃんが好きだから、だから、お願いだから、元に戻って?
明日はいつもの愛ちゃんでありますように…。
ちょっとした祈りを込めながら、私は眠りについた…。
- 242 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:29
-
* * *
「ふぁ〜、よく寝た〜」
昨日の疲れのせいか、ぐっすり眠れた。
いつもよりも気分がすっきりしている。
「あっ、携帯…」
いつもは枕元に置いて寝る携帯が、テーブルの上に放ってあった。
それほどまでに昨日疲れてたのかと思うと、
なにはともあれ、メールチェック。
- 243 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:31
-
「ふぁ!?」
愛ちゃんだけで、7件!?
しかも
【あさ美ちゃん!?】
【寝てるの!?】
などと、似たようなものばかり。
メールしてるときならまだしも。
…送り合ってないときの6件って、多くない…?
しかも、電話も2回かかってきてるし…。
…なにがあったんだろ?
そんなに鳴っていたのに起きなかった自分にちょっと呆れながら。
用件が気になって、愛ちゃんに電話をかける。
- 244 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:31
-
起きてるかな?起きてるよね?
…えぃっ!
ワンコールで繋がった。
起きてたんだ…よかった。
「もしもし、愛ちゃん?」
『あさ美ちゃん!!』
「おはよ〜」
『DVD!!』
「へ?」
『写真集のDVDがなかったの!!』
…用件はこれ?
「……何もそれぐらいで…」
慌てることじゃないよ。
製本の不備かな?
- 245 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:32
-
「たかが、10分ぐらいでしょ?」
『10分を笑うものは、10分に泣く!』
…そんな大袈裟な。
まぁ、たしかに時間は大切だけど。
『10分あったら、カップラーメン作って食べれるんだよ!?』
7分も食べる時間が。
…そりゃたいへんだ。でも。
「私、よく食べるの5分のやつだし、あと5分で食べきれないよ?」
…食べるのも遅いしね〜。
『そんなことはどうでもいいの!!』
…怒られた。
『とりあえず、DVD持ってきて!!』
「は、はい…。」
- 246 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:33
-
* * *
事務所の人に愛ちゃんのDVDと私用の写真集を貰いに行ったら、
“ほかの人にも配れ”と大量の写真集(台車付き)まで貰ってしまった。
…どうしろっていうの?
とりあえず楽屋まで行くことにして。
会った人に渡そう、とそう思った。
- 247 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:33
-
「あさ美ちゃん!」
おぉ、ちょうどいいところに…
近寄ってきた愛ちゃんにDVDを渡す。
「なにこれ?」
袋に入れてあったからわかんなかったみたい。
「DVDだよ」
「ありがと〜」
そう言うと満面の笑み。
……ん?
最近のヘンな愛ちゃんじゃない、みたい…?
はぁ〜…よかった〜…。
- 248 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:34
-
「…ねぇ、あさ美ちゃん?」
「ん?」
「ちょっと、話があるんだけど…」
すこし言いにくそうに、そう窺ってくる。
「いいよ〜」
「じゃ、話せるとこ行こう。」
「…今は無理かも…。」
足元に異様な存在感を醸しだしているソレを指差す。
「これ、配らなきゃいけなくて…」
「…手伝おっか?」
「ううん、いいよ。」
ありがたいけど、ひとりでもできるし。
わざわざ愛ちゃんの手を借りるほどではない。
- 249 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:35
-
「…じゃあ、楽屋で待ってるから。」
「うん、なるべく早く行くよ。」
愛ちゃんと手を振って別れる。
よしっ。愛ちゃんを待たせてることだし、早く終わらせないとね。
* * *
ガラガラガラ…
そのまま歩いていると…第一村人(?)発見!!
- 250 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:36
-
「なんや、けったいなもん持ってんな〜」
苦笑いしながら近付いてくる中澤さん。
…そう、中澤さん。
「おはようございますっ!」
「おはよ〜」
「これが噂の写真集か?」
「…まあ、写真集ですけど……」
“噂の”って何?
「…今、皆さんに配ってるんで、受け取ってください」
「お〜、ありがとな〜。どれどれ…。」
- 251 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:37
-
中澤さんがその場で見てくれる。
宣伝じゃないからそんなことしなくていいのに…。
「宣伝ん時に間に合わんかったから、今見るんや。」
「はぁ…。」
…心を読まれた?
黙々と見られる。
いつものように見てくださいよ!
“ぅわぁ”とか“きゃー”とか、そんな反応してくださいよ!
…ちょっと、それに憧れてたんです。
でもそんなマジマジと見られると…なんか恥ずかしいです。
- 252 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:37
-
「…成長したな。」
一通り見た後、頭を撫でられる。
「ほな、これ、ちゃんと頂いとくわ」
「…はい」
後ろ向きに片手をあげて去っていく。
…大人の女性だな〜。
将来はこんな女性になれるかな〜?
思うだけはタダ、と高い目標を掲げてみる。
よしっ!がんばろっと。
とりあえず、やるべきことをしようと、また歩き出した。
- 253 名前:高橋さんの思索C 投稿日:2005/11/23(水) 16:38
-
==========
…遅いなぁ〜。
あさ美ちゃんと会ってから30分ぐらい経っていた。
…遅い…。
まぁ、集合時間まで、まだたっぷりと時間はあるんだけどね。
…みんなが来る前にふたりきりで話したいことがあるから。
誰かがいると邪魔される可能性が高い。
だから、早くかえってきてほしいんだけど…。
…やっぱり、手伝えばよかったかな…。
あの量は、いくらなんでもねぇ。
…たぶん、ハロプロ全体ぐらいの量はあったな…。
………。
また誰かに捕まっているかもしれず、
心配でちょっと見に行くことにした。
- 254 名前:高橋さんの思索C 投稿日:2005/11/23(水) 16:39
-
* * *
おぉ、いた。
楽屋を出てみると、すぐそこにあさ美ちゃんがいた。
台車はもうなく、手には数冊の写真集。
あたしに気付いてないみたい。
「あさ…」
「紺ちゃん!!」
呼びかけようとしたら、村田さんが来て、あさ美ちゃんは後ろを向いてしまった。
仕方なく、そのまま壁によしかかって待つ。
顔は見えないけど、なんか楽しそう。
えぇ!?なにやってんの!?
いきなり耳を触って触られて…ピアス?
それより、顔近い、顔近いっ!!離れて!
- 255 名前:高橋さんの思索C 投稿日:2005/11/23(水) 16:40
-
メロンさんの中では柴田さんだけ注意しとけばいいと思っとったのは間違いみたいや。
…そういえば、ハロプロアワーでは村田さんと、
ガッタスでは斎藤さんと仲良くなったみたいやし、
サイボーグ柴田でもメロンさんと共演しとったし、要注意やな。
てか、この気持ちが伝われば、もうこんなにやきもきしなくて済む?
…ん〜〜、頑張る。
昨日から決めとったけど、気合を入れ直した。
失敗した前回と同じことしてたら、意味がない。
また失敗するのがオチだ。
だから、まずはインパクト。
前、考えた、名前を呼び捨て。これでいこう。
あ、あさ…あさ、美。あ、さ美。あさ美。あさ美。
よっしゃ、完璧。
- 256 名前:高橋さんの思索C 投稿日:2005/11/23(水) 16:40
-
村田さんと話し終わったあさ美ちゃんに大きい声で呼びかける。
「あっあ、あさ美っ!!」
…どもった。でも、勢いはよし。
このままの調子でいくぞ!!
「話があるから、こっち来て!!」
- 257 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:41
-
==========
村田さんと笑顔で別れて、ふっと息を吐く。
あと二冊か…。
ハロプロの人で渡していない人は、もういないだろう。
考えてみても、思いつかない。
ベリーズやキッズの子達も近寄って来てくれて、あっという間に捌けた。
ハロプロコンの練習だったからかな?かなりの人がいて助かった。
…だからこそ、あんなたくさんの写真集渡されたのかな?
- 258 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:41
-
でも、あっという間っていっても、量が量だから、結構時間がかかってる。
…愛ちゃん、待たせちゃったなぁ〜。
あと二冊だから、愛ちゃんと私用でいっか。
なんでかわからないけど、愛ちゃん、二冊欲しいって言ってたもんなぁ〜。
カバンに写真集をしまう。
大谷さんが“用があるからついでにやってくる”と言ってくれたので、
台車をわざわざ返しに行く必要もなく、あとは楽屋に行くだけ。
…頑張ったなぁ〜。
自分で自分を褒めてみた。
- 259 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:42
-
「あっあ、あさ美っ!!」
「あ、愛ちゃん」
「話があるから、こっち来て!!」
いま、終わったよ〜と言う暇もなく、
突然現れた愛ちゃんにぐいと腕を引っ張られ、楽屋へ連れて行かれる。
…あ〜、愛ちゃん、耳、真っ赤。
……ってか
「あ、“あさ美”?」
呼び捨てなの?
あんまり呼ばれたことないから……なんか新鮮。
- 260 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:43
-
部屋に到着して。
ずっと前を向いていた愛ちゃんがこちらを振り返る。
…お〜、顔も真っ赤だ〜。
「あ、あのねっ、あさ美ちゃんっ!」
「な、なに!?」
勢いを勢いで返してしまう。
あ、呼び方戻ってる〜…すこし、寂しいような…
「いやっ、あさ美っ」
…また変わった〜。
ま、どっちでもいいけど。
- 261 名前:紺野さんの受難C 投稿日:2005/11/23(水) 16:43
-
肩をがしっと掴まれる。
「うおぅ…」
たまらず、声がこぼれる。
「あーしっ、あさ美のことがっ…!!」
――――――
――――――
――――――
- 262 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 16:44
-
『ひと夏の騒動』 〜終わり〜
- 263 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 16:45
-
あの北海道のふたりのところは8月に書いたものです。(古っ
高橋さんの「あーし」「〜やよ」「〜からに」「〜んや」は
本人が使っていなくても、なんか使いやすいです。
…なんでやろ。
来週も来れないので、大量更新。
今回のハロモニを踏まえて、もう一個行きます。
<<219 110さん
読んで下さって有難うございます!
感想を頂けて、読者様に感謝感動です!
こんなに遅くなってすみません!
高紺に新紺。マイナーですけど、好きなんです。
あなたもかなりの通ですね(笑)
いつも“これぐらいなら自分でも書ける!”と小説を書く人が増えるといいな、と
思いながら書いてます(笑)
- 264 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 16:48
-
まとめです。
『ひと夏の騒動』
>>3-50
>>158-166
>>220-262
コンセプトは紺野さん中心(笑)ですw…そのまんまで芸ないな。
たぶん、高橋さん編→紺野さん編で読むほうが、まだマシだと思います。
これだけは週一で載せようとしていましたが…できず、無念。
これからは宣言どおり月一目標で。
<このお話は…
( ^▽^)<内容が無いようw
从VvV)<……。
<(はっ、いかん!ここはもっと寒いギャグを言って怒りの矛先を変えねば……)
<…内容が無いようには見えないようw
从VvV)<………。
<……。すみませ…
リd*^ー^)<パンダの給食はパ〜ンだw
<……オモシローイ、アハハハハ。…ダッ(逃
- 265 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 16:52
-
『scan』
- 266 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:52
-
ハロモニ収録後のスタジオ。
「紺ちゃん、めっちゃ笑ったよ〜」
「ほんと、おもしろかったよ〜」
今回のターゲットだったあさ美ちゃんをいじる藤本さんと麻琴。
「もぅ…、忘れてよ〜」
恥ずかしかったんだから、と照れながら藤本さんの肩を叩く、あさ美ちゃん。
顔、真っ赤や〜。
結構、力が入っているにもかかわらず、
それすらもかわいいという風に笑い続けるふたり。
- 267 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:53
-
「だいじょーぶだって〜気にす…」
「そうですよ〜気にすることなんかないですよ〜」
おっ。亀井ちゃん、乱入っすか?
「紺ちゃん、かわいかった〜」
「“がんばれ”って録画だって分かってても応援しちゃったもん」
「ぽんちゃんはほんとに可愛かった!」
興奮したようにしゃべりまくる亀井ちゃん、がきさん、れいな。
対照的に、割り込まれて、ちょっとむっとする麻琴と藤本さん。
「…いま、美貴達が話してたんですけど〜」
「藤本さん達、ひとつも紺ちゃんのこと分かってなかったじゃないですか〜w」
笑顔でさらりと言い切る亀井ちゃん。
…今、なんか、ぐさっときたわ〜。
ほら、藤本さん達も黙ってる。
- 268 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:53
-
…だって、わからんかってんもん。
せめて一問でも当てとればなぁ〜。
あさ美ちゃんにアピールできたんに…。
「…亀ちゃん達だって、ケーキ事件わかんなかったじゃん!」
「マヨネーズだったじゃんか!」
おぉ。ふたりの反撃。
「…うむむむむ。」
三人もうなってる。
「でも、そっちはゼロじゃん!」
「こっちは一問正解だもんね〜!」
…そこをつかれると、イタイ。
- 269 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:54
-
「まぁまぁまぁ、慌てなさんなって。」
吉澤さ〜ん。いいところに。
やっぱりリーダーは頼りになります!
「こんこん、困ってるじゃん」
あさ美ちゃんを見ると、眉毛が垂れてるし、目も垂れ…これは元からか。
“まだ、どっきりの最中?”みたいな顔してる。
「だから、ここは平和的に…」
そうや、みんなで話せばいいんやよ。
「全問正解のさゆ達が紺野さんと話しま〜すw」
そうそう、みんなで……えぇ!?
それでいいのか!?
吉澤さんを見ると…さゆと久住ちゃんと一緒ににこにこしてた。
もしかして吉澤さんも最初っから、こう言おうとしてた?
……なきにしもあらず。
- 270 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:55
-
「そういうのはクイズで決めることじゃないと思いますっ!」
「私達が紺野さんのこと、一番理解してるからしょうがないんです。」
「こんなので理解してるかどうかわかるわけないじゃんっ!」
お〜お〜。戦いがどんどんヒートアップしていく…。
…熱いな〜。ここは避難すべし。
あたふたしているあさ美ちゃんをじっとみつめて。
こっちに気付いたと同時に楽屋の方を指差す。
…準備完了。
一足先に廊下に出る。
後からあさ美ちゃんが来た。
手を握って、楽屋に戻るように促す。
- 271 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:56
-
「ありがと。」
「ん〜ん。」
楽屋に来て、イスに腰掛けた後。
ほっとしたような顔で言うあさ美ちゃんに首を振ってみせる。
事実、なんもしてないし。
「ごめんね?一問も当てられなくて…」
「ううん、いいよ、それぐらい」
「でもさ〜ずっと一緒にいたのに…」
「…わかんないなら、これからも一緒にいてよ。」
予測なんかしなくても、傍にいればいいよ。
実際に見て、感じればいいじゃない。
…だから、いいの。
- 272 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:57
-
赤い顔で一息で言い切る。
そこで声の調子を変える。
「それよりも、あれが流されると思うと……恥ずかしい〜」
あのテープ抹消した〜い、とか呟くあさ美ちゃん。
「だいじょーぶ、かわいかった。」
「……愛ちゃんが、そう言うなら、いいや。」
えへへ、と赤い顔で笑う。
……かわいい。
- 273 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:57
-
「……ちゅーしよっか…」
目をみつめながら、手をぎゅっと握り締める。
「……や〜。」
流れを壊すようにふいと顔を背けるあさ美ちゃん。
「…なんで?」
今の雰囲気でおあずけはないやろ〜?
「だって…」
一回そこで止まって含み笑い。
…なんや?
- 274 名前:〜konno〜 投稿日:2005/11/23(水) 16:58
-
「…だって、の続きは?」
「だって愛ちゃん激辛せんべい食べたじゃん!!」
私、辛いの苦手だも〜ん!
と、罪のなさそうな笑顔で言う。
…学校でワルだったってホントじゃないの?
まったく、もぅ。人のこころ、もてあそびやがって…。
「歯ぁ磨いてくるから、そこで待ってろ!!」
…だから、あたしは宣言して、走り出した。
- 275 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 16:59
-
『scan』 〜終わり〜
- 276 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 17:02
-
高橋さん、ブレスケア持ってないの?の巻でしたw
こういう紺野さんも高橋さんも結構好きだ。
でも書くのは恥ずかしい。
更新終了。
- 277 名前:ペーパー 投稿日:2005/11/23(水) 17:06
- 訂正です。
<<242
それほどまでに昨日疲れてたのかと思うと、
↓
それほどまでに昨日疲れてたのかと思うと……
些細なことなんですけどね。
本当は文章が入っていたけれど思いだせないからこれでw
- 278 名前:さかなや 投稿日:2005/11/24(木) 22:50
- いい感じですねー。
大好きです、こういうの。
- 279 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 04:12
- 突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
- 280 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/31(土) 02:40
- さっき発見して一気に読ませていただきました!
いいですね〜モテモテの紺野さんw
- 281 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/01(日) 18:17
- なんだかほんわかした雰囲気でとても読みやすいです。
愛ちゃん以外の人もアタックしたことあるのか気になってしまいました。
あと、愛ちゃんのアタックの結果も気になります。
続きを楽しみにしてます。
- 282 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/01(日) 23:43
-
『思い込み』
- 283 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:44
-
ある日の放課後、あさ美ちゃんに相談があると言われたので、教室で待っている。
あさ美ちゃんは今週は生物室の掃除当番だから終わるのが遅い。
あそこの先生、うるさいもんな〜。
事実、教室の掃除が終わってからかなりの時間が経っている。
とりあえず、何もすることがないので雑誌でも見よ。
…あ、ここのパフェ、おいしそ〜。
「まこっちゃん、おまたせっ!」
待った?なんて、小首を傾げてくる。
男の人とか、あさ美ちゃんを好きな人になら、効くと思うけど。
わたしには効きませ〜ん!
…すこし、効いたけどね。ほんとに、すこし…。
わたしにする暇あったら、愛ちゃんにでもやってきなさ〜い!
「待った。もう、待ちまくり。」
「ごめんね〜今度何か奢るから〜」
ちょっと怒った振りしたら、簡単に乗っかった。
やりぃ。儲けた。
- 284 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:46
-
あさ美ちゃんがわたしの前の席を回転させて、そこに座る。
まぁ、いじめるのも可哀相だし相談でも乗ってやるか。
ぱたん、と雑誌を閉じる。
「で、何があったの?」
「……。」
言い難そうなカンジなのでじっと待ってあげる。
「………。」
言っちゃえよ〜言っちゃえよ〜。
一度は相談しようと思ったんだろ?
誰かに聞いて欲しいと思ったんだろ?
…言って、すっきりしちゃいなよ!
- 285 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:46
-
「……昨日愛ちゃんに告白された…」
な〜んだ。そんなことか。
深刻な顔してるから、どんな重大な事かと思ったら…。
前々から愛ちゃんの気持ちに気付いてたから、“やっと”という思いの方が強い。
というか、周りにはバレバレで気付いてないのはあさ美ちゃんぐらいだったよ?
「で?どう言われたの?」
ずっと見守ってきたんだから、聞く権利ぐらいはある、と勝手に判断。
とういうか、フツーに気になる。
「え、と…、“好きです”って、“付き合いたい”って言われた。」
「…ふ〜ん」
あんだけ待たせといて、案外直球だね。
あさ美ちゃんもそれでわかったみたいだし?ま、いいんだけど。
赤い顔からして、うまくいったのだろう。
傍から見ていても、両想いなことは丸分かりだったんだから当然だろうけど。
気付いてないのは本人達だけで。
だからこそ、気を揉んだのだけれど。
- 286 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:47
-
…逆に考えると、なんでここまで時間かかったんだか。
さっさと告っちゃえばよかったのに…。
くっつくまでにどんだけ時間かかってんだか。
その時間がもったいないじゃん。
…そのぶん、見てて楽しめたけど。
「それで、なんて答えたの?」
「…“少し考えさせて”って言った…」
「はぁ?」
なんじゃそりゃ。
それだけ顔真っ赤にしておいて、それはないでしょ。
というか、あさ美ちゃん、愛ちゃんのこと好きだったんじゃないの?
- 287 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:47
-
「あさ美ちゃん、愛ちゃんのこと好きじゃないの?」
疑問を質問へ変える。
「ん〜、好き、だけど…」
「だけど?」
「たぶん、恋じゃない…」
「はぁ?」
また、この人は変なこと言って…。
あんたたちのは、見るからに恋でしょーが!!
…しょーがない、ここはふたりの友達として一肌脱ぎますか?
愛ちゃん、報酬はカボチャプリンでよろっ!
- 288 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:48
-
誘導尋問開始〜。
「前、愛ちゃんが風邪で休んでたとき、どう思ってたの?」
ちょっと不機嫌で、心配で寂しそうで、泣き出しそうな顔してさ。
放課後すぐに愛ちゃんのお見舞い行ったじゃん。
わたし達ほったらかしてさ。
「ん〜とねぇ…」
確か前の日一緒に愛ちゃんと遊んでたの…だからかな…
“なんで愛ちゃん体調悪かったのに言ってくれなかったの!?”って思って…
それと気付けなかった自分が悔しくて……
愛ちゃんの姿が見えないのがなんとなく悲しくて…
“愛ちゃん大丈夫かな”と思ったらいてもたってもいられなくて…
愛ちゃんの家まで走って行っちゃった…
「へ〜」
これもう、確信してもいいじゃない?
…おもしろいから、もうちょっと聞いてみるか。
- 289 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:48
-
「愛ちゃんがほかの人と付き合ってたら?」
「…いや〜。」
あら、結構はっきりしてんのね。
いつものあさ美ちゃんだったら、即答はできないはず。
本当は自分でも気持ち分かってるんじゃないの?
「愛ちゃんとキスするのは?」
「…いや、じゃ、なかった。」
これは結構重要。恋愛対象になれるか、なれないか。
よかったね、愛ちゃん。クリアしてるぞ〜!
……ん?“なかった”?過去形?
さては…
「愛ちゃんとしたことあるの?」
「……っ!?」
真っ赤になって口を両手で押さえる。
そんな様子を見ていると自然とにやけてくる。
- 290 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:49
-
「いつ〜?いつ〜?いつ〜?」
愛ちゃんも結構やるじゃん。
うわっ、からかうのすっげー楽しい。
どうしよう、くせになりそう。
興味もあるから一石二鳥!
「…昨日もした…」
「“も”!?」
“も”ですってよ、聞きました奥さん!
初めてじゃないってことですよ!
「………時々してる…」
うわぁ。言っちゃった。聞いちゃった。
- 291 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:49
-
「…なんでさ、恋じゃないと思うの?」
そんだけ思ってれば、十分恋だとわたしは思うんですけど。
…なんか聞くだけでも甘くて、砂吐きそう。
乙女チックに冒されてるわ、この人達。
「恋だったら、どきどきするんでしょ?」
私、まだ恋してないみたい。
だって聞こえないもん。どきどきって音。
「音!?」
音ってなに、音って。
もしかしてこの人は恋すると本当にどきどき“鳴る”とか思ってんの!?
ウルトラマンのカラータイマーの“ピコーンピコーン”のみたいに、
恋したら“ドキドキ”鳴るとか思ってんのか!?・
…思ってるんだな?
顔をちらっと見るとすこし怯えたような顔。
…はい、このコ、重傷。
不治の病ならぬ、無知の病。
“無知”って言う表現も微妙だな…。
…このメルヘン娘がーっ!!
愛ちゃんが手こずるのもしょうがないね…。
- 292 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:50
-
…またまた手助けしちゃいましょうか。
あ〜あ、わたしって、やっさし〜!
「わたし、“ドキドキする”って一つの心情表現だと思うんだ…」
「…心情表現?」
「“この人といると落ち着かない”とか“どうしても気になっちゃう”とか…」
少し脈拍が変化しちゃうようなときのことを擬音化したものだと思う…。
ま、本当に心臓の音が大きく聞こえるぐらい緊張しちゃう場合もあるけどね。
「……?」
って、何語っちゃってるんだ、わたし。はずかし〜。
あさ美ちゃんはまだ、納得してない様子。
…あさ美ちゃんに分かりやすい例えを思いついた。
「帰りに寄り道してパフェ食べに行こうって言ったら、わくわくするでしょ?」
「うん。」
「それって、体の中で“わくわく”って音鳴ってる?」
「ううん、鳴ってない。……あ…。」
「でしょ?それとどきどきはおんなじだよ。」
「恋って一種の思い込みでしょ?」
「………。」
「“この人といるとドキドキする”って思い込む。」
「…それだったら、勘違いじゃないの?」
「勘違いでもよくない?好きな人だったら…」
「………。」
「というか、“勘違いでもいい”って思えるのが“恋”だよ、きっと。」
な〜に言ってんだ〜、わたし。
- 293 名前:Consultant−OGAWA 投稿日:2006/01/01(日) 23:50
-
「……。私、愛ちゃんに、恋、してるかも…。」
愛ちゃんだったら、“勘違い”でもいいや…。
「気付いたら伝えて来いっ!」
それでなくても待たせてんだから。
あ、さっそくメール打ってる。
携帯取り出すの早いね〜。
「愛ちゃん、今、帰ってる途中だって〜」
「それなら、家に行けっ!」
「聞いてみる!」
いい笑顔しちゃってさ〜これで恋してないって言ったら詐欺だね。
「オッケーだって!じゃ、行ってくる!」
「おぅ、いってらっしゃい!」
すっきりした顔してるなぁ〜。
自覚したら、積極的になっちゃって、まぁ。変わり身の早いこと。
わたし、いいことしたな〜。
そんなわたしにもいいことがおきますよ〜に!
じゃ、明日の報告をじっくりと待ちますか。
世の中、ラブ&ピース!
- 294 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/01(日) 23:51
-
『思い込み』
- 295 名前:後日談〜愛の家〜 投稿日:2006/01/01(日) 23:52
-
川o・-・)<愛ちゃん、キスして?
川*’ー’川<…いいの?
川o・-・)<…愛ちゃんが、いやじゃないなら。
川’ー’川<いやなわけない!…するよ?
川o・-・)<…うん。
川*’ー’川<…ん…。
川o・-・)<………。
川*’ー’川<あさ美ちゃん?
川o・-・)<(…これが、どきどきかぁ…)
川’ー’川<…あさ美ちゃん?
川o・-・)<…好きです。
川*’ー’川<…ほんと!?
川o・-・)<愛ちゃんが、好き!
川*’ー’川<あたしも、あさ美ちゃんが好きやっ!
強制終了。
- 296 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/01(日) 23:52
-
一つ一つの間になにもないのも寂しいので毎回後書きか顔文字書きます。
初アンリアル。学校。
とりあえず、紺野さんありえな〜い。
ありえなさすぎる。ありえないのが、娘。小説なのです。(激しく違っ!
後書きが一番書きやすいことに気付いた。
- 297 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/01(日) 23:53
-
『予想外』
- 298 名前:sideA 投稿日:2006/01/01(日) 23:54
-
「ぽんちゃん!!」
れいなが最近かなり懐いてくれている。
今日も会うなり笑顔で近寄ってきて、抱きつかれた。
……それはいい。それはいいんだけど。
ソファに押し倒されている、この状況は…なんか、違いませんか?
- 299 名前:sideA 投稿日:2006/01/01(日) 23:54
-
「ぽ〜んちゃんw」
ネコがのどを鳴らすように、首筋に顔を埋めてくる。
「ちょ、く、くすぐったいってば…」
ハローの人はスキンシップが激しいから少しは慣れてはいるものの。
…こんなの、初めてで、どうしたらいいか、わかんない。
- 300 名前:sideA 投稿日:2006/01/01(日) 23:55
-
「れーなっ!!」
「なに?」
名前を呼ぶと、きょとんと返す。
「ストップ!!」
「え〜〜…もうちょっと。」
今度は全体重を乗せてきた。
…どうしても離れたがらない。
そんなれいなに簡単な質問をぶつけてみた。
- 301 名前:sideA 投稿日:2006/01/01(日) 23:55
-
「…なんでこんなにくっつきたがるの?」
「そんなん、決まっとるやん。」
――れなが、ぽんちゃんのこと、好いとるからです。
最後の方は、耳元で囁かれた。
ぅわぁ…。
もう、やだやだやだ。はずかしいっはずかしいっ!
どっかに隠れたい!人のいない所に行きたい!
……もう、恥ずかしすぎて、死にそう。
- 302 名前:sideA 投稿日:2006/01/01(日) 23:56
-
とにかくここから逃げ出したくて、上にいるれいなをどかそうと必死に腕を突っ張る。
だけど、うまくいかなくて。
さらに、れいながすり寄ってくる。
顔とは言わず、体の上の方に熱が集まってるのがわかる。
顔も熱いし、耳も熱い。
私の顔に、れいなの顔が近付いてきて…
ダメッ!もう耐えられないっ!
“まんがの読みすぎやない?”
頭が真っ白になりかけたとき、いきなり、そんな言葉が思い浮かんだ。
れいなの呆れた顔と声。
これと同じ状況にすれば、れいなは止まるはず。
たしか、この言葉を引き出したのは……
- 303 名前:sideA 投稿日:2006/01/01(日) 23:56
-
「れいな、愛してる。」
ぽかん。
れいなの顔を見てみると、そんな表現がぴったりな顔してた。
その隙にれいなの下から抜け出す。
そして楽屋を飛び出し、廊下を走り抜ける。
とりあえず、風の当たる冷たいところへ行かないと!
- 304 名前:sideR 投稿日:2006/01/01(日) 23:57
-
==========
――れいな、愛してる。
あのヒトの口から、紡がれた言葉。
こんなこと言われたら、百年の恋も冷める。
…そう、思ってた。
想像してたのとは、なんか違う。
なんでかな?
うれしいと思ってる。もっと聞きたいと思ってる。
ぽんちゃんは意味を込めて言ってないとわかっているのに。
だからかな?
本気で言わせたいと思ってる。意味を持たせたいと思ってる。
- 305 名前:sideR 投稿日:2006/01/01(日) 23:57
-
おかしい。おかしい。想像と全然違う。
さらに、深みに嵌っている気がする。
なんでやろ。わからん。
わからんことは考えたくないんに。
つい、考えてしまう。
……もしかして。
ぽんちゃんやった、から、かな?
れなは思っている以上に、ぽんちゃんのこと好きなんかもしれん。
…想像もつかないぐらいに。
まだ心臓がどきどき言ってる。
昔、恋だと思っていたものは、まだまだ恋からは遠かったのかもしれない。
だって、昔のが恋やとすると、今のこれは何なん?
今の感情も、成長していく気がするし。
これが恋やと思わんと、その次が説明できん。
- 306 名前:sideR 投稿日:2006/01/01(日) 23:57
-
――ぽんちゃん…
名前をつぶやくだけで、なんか落ち着かない。
…れなをここまでにした責任を取ってもらわんと!
さっきのはちょっと“順番抜かし”だったけど。
今度は、ちゃんと段階踏んでいくから。
いつか、本当の意味で言わせてみせる。
まずは“愛”の前の“恋”から始めてみましょうか。
“愛してる”の前に“好き”、“好き”の前の“気になる”。
“気になる”はクリアしてると思うし、
そこから“好き”まで持っていくのがれなの力の見せ所。
- 307 名前:sideR 投稿日:2006/01/01(日) 23:58
-
「よしっ、いっちょやりますか!」
風のように走っていったぽんちゃんを探し始めた。
- 308 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/01(日) 23:58
-
『予想外』
- 309 名前:後日談〜廊下〜 投稿日:2006/01/01(日) 23:59
-
从 ´ ヮ`)<ぽんちゃんっ!見ーけっ!
川;o・-・)<(…恥ずかしいっ!ひとりにして!)
トコトコ…从 ´ ヮ`)
…ダッ…!―=三 川;o・-・)ツ
从;´ ヮ`)<足、速っ!
- 310 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:01
-
一年前の“娘。のから騒ぎ”が元ネタ。
つーか、ここの紺野さんずるすぎるなぁ。
話が急展開過ぎますね…
ありえん、ありえん。
- 311 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:02
-
『ready?』
- 312 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:02
-
毎朝、早起きして学校に向かう。
早く起きるのは苦手だけれど、もう慣れてしまった。
そのまま、玄関に行くのではなく、校舎から少し離れた場所へ向かう。
素っ気無い感じの建物の中へ入って行く。
…そう、ここが、私の所属する弓道部の部室。
- 313 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:03
-
「あ、おはようございま〜す!」
「おはよう。」
今、元気に挨拶したのが、弓道部のマネージャー、亀井絵里。
一年生なんだけど、他にマネージャーがいないから、いつも忙しい。
上級生相手にも後込みしない。部長でさえも、頭が上がらない。
私は密かに“マネージャー最強説”を唱えている。
それに、仕事熱心だ。…今も。
「絵里?こんなに早く来なくてもいいんだよ?」
私が来てるのは自主練をするためであり、部活で定められているわけではない。
しかも本当は危ないから顧問がいないときは練習してはいけないことになっている。
だけど、ある理由があって学校側から私には許可が下りている。
…だから、実際に朝練をするのは私だけ。
準備くらい自分でできるし、私だけのために朝早く来てもらうのは忍びない。
だから、いつも絵里にはみんなと同じ時間に来ればいい、と言うんだけど…。
- 314 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:03
-
「せんぱいが頑張ってるのに、私が来ないわけないじゃないですか〜!」
せんぱいの分からず屋〜!
いつも、いっつもおんなじこと言って〜!
これまた同じこと言って返す、絵里に苦笑い。
そして、部屋がほのかに暖かいことに気付く。
「絵里、ありがとう…」
「…昨日も聞きました〜」
もうちょっと違ったこと言ってくださいよ〜愛の告白とか〜。
と言って頬を膨らます。
だって、そう言いたくなるんだもん。しょうがない。
着替えるとき寒くないように、とのちょっとした気遣いがあったかい。
でも、少し顔赤いよ?照れ隠しだってバレバレ。
「ほら、なんのために早く来たんですかっ!」
てきぱき練習しないと意味がないですよー!
と私を促す。
いそいで制服から弓道着に変える。
それだけで、なぜか気が引き締まる気がする。
だから、いつも練習は弓道着でする。
面倒だと思われそうだけど、それだけのメリットがある。
慣れてしまえば、結構簡単だしね。
- 315 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:04
-
準備もできたことだし、行きますか。
…と、その前に。
絵里の首に私のマフラーを巻く。
「寒いから…。」
「えへへ、ありがとうございますw」
絵里は私の練習に付いて来てくれるのだが、弓道場に行くまでと弓道場は寒い。
だから、マフラーとかは巻いていた方がよい。
そう言っているのだが、部屋はあったかいから、マフラーを外してしまうらしい。
それを見かねて私は自分のマフラーを巻いてしまう。
そんなことが続いて、習慣になってしまった。
「先輩も寒いですよね?」
いつもの決まり文句とともに、手を繋いでくる。
これも習慣。
絵里の方が部屋に先に来ているので絵里の手はあったかい。
ここで「絵里の手が冷たくなるから…」と言って遠慮すると
機嫌を損ねるのがわかっているので、そんなことはしない。
- 316 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:04
-
弓道場まで一緒に歩いているとき、絵里はいつも楽しそう。
すこし疑問に思う。
「絵里は練習見てるだけで楽しいの?」
選手なら見るのは練習になるけど…。
マネージャーが見ても、意味あるのかなぁ…。
「先輩のは楽しいし、嬉しいし、好きですよ〜」
特に構えがキレイで、寒さも忘れちゃうほどですっ!
白く息を吐きながら、そう答える。
「そっか…」
そう言われると、なんか嬉しいな…。
私は弓道で最も大切なのは姿勢だと思っている。
矢を射るときに構えの姿勢がしっかりしていないと、矢がぶれてしまう。
だから必ず私は矢を持たずに構えの確認をしてから練習に入る。
基本というものがあるのは、それが必要不可欠なものであるからだ。
それを”きれい”だと言われるのは、…お世辞だとしても、うれしい。
こうして、いつもと変わらない一日が始まる。
- 317 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:04
-
* * *
4限目が終わって、私の大好きな時間になった。
「…あっ…」
「あさ美ちゃん、どうしたの?」
話しかけてきたのは、クラスメイトのまこっちゃん。
手には、お弁当。一緒に食べようと寄ってきたみたいだ。
だけど…
「…お弁当、忘れてきた…」
「あちゃ〜」
かばんの中を探すけど…。
こんな日に限って、財布とか持ってきてない…。
購買にも行けないよ…。
あるのは、飴ぐらい。昨日、干し芋残しとけば良かった…。
- 318 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:05
-
「しょ〜がないな〜」
と言って、まこっちゃんがチョコレートをくれる。
…すこしはお腹の足しになりそうだ。
「ありがとう。」
心を込めて、お礼を言う。
だけど…これだけじゃ絶対部活まで持たないよ…。
「ほら、そんな顔しないで!私のお弁当も少しあげるから!」
気持ちが顔に出ていたのか、そう言ってくれるけど…。
「ダメだよ!」
まこっちゃんの分が減って、まこっちゃんも足りなくなる。
「あさ美ちゃん、弓道部のエースでしょ?」
そんな人が部活中お腹鳴ったら、やばくない?
三年生のお姉さま方も、一年生のお嬢さん方が悲しむよ?
「そういうまこっちゃんだって、ソフトボール部のエースのくせに!」
それに、私こういうキャラだって、みんなわかってるもん!
- 319 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:06
-
ふたりとも一歩も譲らずに言い合ってると…
「あさ美ちゃ〜ん!」
…愛ちゃん?
入り口の前に愛ちゃんがいる。
愛ちゃんは私のひとつ年上の幼馴染み。
その、愛ちゃんが教室に来るのは珍しい。
愛ちゃんは三年生で、私が二年生だから余程のことがない限り、教室にくることはない。
…なんだろ?
疑問に思っていると、だんだん近付いてくる。
「はい、あさ美ちゃん、忘れ物!」
「あ…。ありがとう!」
渡されたものは、見覚えのある、お弁当。…私のお弁当。
「今朝、あさ美ちゃんのお母さんに会って、学校に届けに行くって言ってたから…」
そのまま預かって、あたしが届けに来たんよ〜
にこにこ笑って、マシンガントーク。
「う、申し訳ありませぬ…。」
「なんだ、その言い方〜」
自然とそんな言い方になっちゃったんだって!
…本当に申し訳ないと思ってるし、感謝してるんだよ?
ただ、こんな言い方になるのは幼馴染みだから。
…気を許しちゃってるからなんだと思う。
- 320 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:06
-
「愛ちゃん、それなら朝渡せばよかったんじゃないの?」
…そう言えば、そうだね。まこっちゃんの言う通りだ。
朝、渡せば、愛ちゃんが昼食食べ始めるのが遅くなる必要がなかったんじゃ?
「んふふ〜、じゃ〜ん!」
愛ちゃんが笑って、またもや見覚えのある、お弁当を出す。
…これは、愛ちゃんのだ。
「渡すついでに一緒に食べようと思ってw」
いくらあたしでも、二年生の教室は入りにくいからね!
いい口実があって良かった!
うんうん、と満足顔で頷くのはいいけど…
「さっき、大きい声で私のこと呼ばなかった?」
目立ちたくないなら、すぐにここに来たら良かったのに…。
「あれは、アピールw」
それはそれ、これはこれ。害虫駆除は徹底しないとね。
さらっと言い切って、机をくっつけ始める。
私もマイペースだけど、愛ちゃんも違う風にマイペースだよね…。
まぁ、慣れてるからいいけど。
それより、楽しいランチタイム!
空腹も免れたわけだし、おいしくいただきましょ〜!
- 321 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:07
-
* * *
三人で楽しくお弁当を食べ終わった後。
愛ちゃんがココアを奢ってくれるというので、ふたりで自販機のところへ行く。
まこっちゃんは次の英語の予習が終わってないからお留守番。
それにしても、教室は暖かいけど廊下は寒い。
ぴったりと愛ちゃんにくっついて暖をとる。
…やっぱり、人の体温ってあったか〜い。
「…そんなに、くっついとったら歩けんやざ。」
…だよね。さすがに、これは歩けないよね…。
愛ちゃんの背中からお腹に腕を回して肩にあごを乗せていた。
これで歩いたら、愛ちゃんにずるずる引っ張られる形になる。
…ムリだよな〜。仕方なく体を離す。
……んぅ、さむい。
「…そんな、がっかりせんでも…。」
ほら、と言って腕を深く絡めてくる。ついでに、指先も。
…おぅ、さっきよりさむくない〜。
- 322 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:07
-
「家に帰ったら、もっとくっついてもいいから。」
……?
家の中は暖かいから、くっつく必要ないよ?
あれ、愛ちゃん、顔赤い?
こころなしか、愛ちゃんの体温が熱くなったような気がした。
だから、もっと手をぎゅっと握り締めてほっぺとほっぺをくっつけた。
…やっぱり、あったかい。んなぁ〜。
「せ、せんぱい!?」
「絵里?」
素っ頓狂な声が聞こえて振り返ると、そこには絵里がいた。
「絵里も飲み物買いに来たの?」
「……はい…。」
返事はあるけど、なんか元気がない。
…どうしたの?俯いちゃって、さ。…らしくないよ?
- 323 名前:【〜冬〜Asami】 投稿日:2006/01/02(月) 00:08
-
「……絵…」
もう一度名前を呼ぼうとしたとき、思わず声が止まる。
一瞬、キッとこちらを睨んだかと思うと、すぐに顔が崩れて。
さっと身をひるがえして、去っていってしまった。
「ちょっ…、絵里!?」
咄嗟に追いかけようとする。
あんな顔を見るのは初めてで…。
…あんなに悲しそうで、今にも泣き出してしまいそうな顔は。
ぎゅっ。
ふと、手に、違和感。
「愛ちゃん…私、行かなきゃ…、だから……」
離して、とは、言えなかった。言うことができなかった。
「…行かないで……」
泣きそうな顔をした、と思ったら、向きを変え、正面から抱き締められる。
…私には、この手を、振り払うことなど、できない。
――――――
――――
――
- 324 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:08
-
===============
* * *
紺野、あさ美、先輩。
陸上部に入ると決めていたはずなのに。
絶対、運動部に入るなら、選手だと決めていたのに。
部活紹介で見かけた、あの、先輩が忘れられない。
- 325 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:09
-
入学した初めのオリエンテーション。
新入生がどの部活に入ろうか、品定め。
ま、私は陸上部に決めてるから、関係ないけど。
少しでも、興味を持ってもらおうと、部活も色々な策を披露する。
紹介の人に見た目の良い人を選んだり、話で引き込んだり。
ソフトボール部の部活紹介がすっごい面白くて、みんなが大爆笑。
笑いが静まらないまま、その人が入ってきた。
止まらないはずの笑いがすっと引いて、みんながその人に見入る。
ほんわかとした弓道着姿のふたり組。
その、すこし背の低い方の人に目が釘付けになる。
すると、いきなり背の低い方の人が…
「まこっちゃんって、おもしろいよね〜…」
さっきの赤いユニホームの人の友達だかなんだか知らないけど、
しみじみと語るその姿に、つい笑いが込み上げる。
マイク持ってることに気付いてないで、素でしゃべってる。
この人、天然だっ!
- 326 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:09
-
「紺ちゃん、今は弓道部の紹介だよ〜」
背の高い方の人のツッコミ(?)ものんびりしていて、なんか笑える。
その通りであるはずなのに、なんか場違い。そう感じさせる。
その人の言葉で気付いたのか、はっとしたように姿勢を正す。
そのリアクションも、どこかおかしい。
…ていうか、かわいい。
って、同性、しかも、年上に何言ってんだ、私。
しっかりしろ、私。
「弓道部です。」
いきなりまじめ顔になった、背の高い方の人が喋りだす。
「この学校の弓道部は結構強く、インターハイ上位の人もいます。」
へ〜、こんなにほんわかしてる部でも、そういう人がいるんだ〜。すごいな〜。
「それがこの人…」
「紺野あさ美です。」
背の低い方の人がぺこりとお辞儀をする。
へっ!?この人がっ!?部のマスコットとかじゃなくて!?
周りの人々もそう思ったようで、ざわざわとし始める。
- 327 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:10
-
「そして、この人が部長の…」
ざわめきをものともせず、引き続き、“紺野あさ美”先輩が話す。
「みうなです。」
背の高い方の人がお辞儀をする。
ふたりの平常心から、冗談ではないことを知る。
下の名前だけかよっ!っていう初歩のツッコミも忘れる程に衝撃的。
「弓道に興味がある人なら誰でも大歓迎です。」
部長さんが少し笑って、ちらりと紺野先輩を見る。
びくっと紺野先輩が反応する。
…なんだぁ?
「この人すごいんですよ〜」
部長さんが紺野先輩を指差す。
「紺ちゃんの入部動機はなんだったっけ?」
「…こ、こんなの打ち合わせに入ってないよ〜」
「ほ〜ら〜、言っちゃいなよ〜」
内輪揉めが始まっちゃった。
でも、興味が湧いてくる。
「言わないとダメ?」
ちょっぴりなみだ目で部長さんに訴える。
…紺野先輩、やっぱりかわいい。
私なら、絶対許しちゃうな。
- 328 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:10
-
「だ〜め。正直に言いなさい。」
「……。」
部長さんには効かなかったみたい。
じっと見詰め合ってたけど、ついに紺野先輩が顔を伏せた。
……おっ、あきらめたっぽい。
「…部活紹介のときに試合後、焼肉が食べれるって聞いたからですっ!」
………。
会場中がシーンとした。
部長さんが、突然吹き出す。
すると、笑いが他にも伝染して…、会場中が笑いに包まれる。
インハイの人が、焼肉に釣られたって…。
ヤバイ、このひと、ヤバすぎるっ!完全に私のツボだっ!
顔を真っ赤にしながら、笑いの止まらない部長さんの肩をペシペシ叩く。
やば〜、かわいい。
「もうすぐ時間ですよ〜」
司会の人が口をはさむ。
だけど、声が震えていて、笑っているのが丸分かり。
- 329 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:11
-
「というわけで、なんでもいいので興味のある人は見学に来てください!」
「マネージャーが三年生しかいないので、マネも募集中です!」
「では、最後に…、紺ちゃんよろしく。」
「うん。」
横から他の弓道部らしき人が俵っぽいものを運んでくる。
紺野先輩が弓を持って、その前に立つ。
紺野先輩が深呼吸すると、ピンと空気が張り詰める。
周りも静まり返って、遠くにいる人の息遣いまで聞こえそう。
紺野先輩が顔を上げると、さっきまでのほんわかとした顔がうそのようなきりっとした面持ち。
弓を引く動作が流れてるような所作で、音もなく、キレイ。
そして、音もないのに、風が吹きぬけたような気がした。
前を見据える目がきらきらと光を放っている。
一瞬のはずなのに長く思える時間の後、…矢を射る。
豪快な音を立てて、矢は目標に突き刺さった。
紺野先輩がそれを確認した後で、姿勢を正し、こちらに向かってお辞儀する。
「はぁ…」
それを見届け後、ため息が出て、息を詰めて見惚れていたことにようやく気が付いた。
周りのみんなも一様に息を吐き、同じであったことを知る。
- 330 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:11
-
「今回は危険だったので近距離からやりましたけど、本当はもっと遠くからやります。」
「弓道は本当に楽しいので、是非遊びに来てくださいね!」
「「以上、弓道部でした!」」
そう言った後、割れんばかりの拍手が起こった。
それは、これまでのどの部活よりも大きく、
まだ部活紹介は半分の部活しか終わってないのに、
これ以上の拍手はもらえないだろうと思えるものだった。
退場するとき、部長さんがよくやった、とでも言うように紺野先輩の頭を撫でる。
えへへ、というように照れた紺野先輩の横顔に、なんか、きゅん、とした。
そして、私の心の中には、“紺野あさ美先輩”だけが残った。
- 331 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:12
-
* * *
昼休み、中学での陸上部の先輩から、誘いを受けたけど…曖昧な返事でやり過ごした。
別に弓道部に入ろうと思っているわけではない。
…だが、紺野先輩が気になる。
その意味を確かめようと、弓道部を一回見に行こう、と決めた。
放課後、早速弓道部の見学に行った。
予想通り、見学者が異常に多い。
- 332 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:12
-
――あ、紺野先輩……。
ほんわかとした雰囲気はどこへやら。
きりっとした面持ちでまっすぐ前を見据えている。
紺野先輩の周りだけ、空気が凍ったように動かない。
ピン、と空気が張りつめる音までもが聞こえてきそうだ。
――時が止まる。
そこから放たれた矢は、まっすぐに遠く離れた的に当たる。
当たるというよりも、吸い込まれていったように見えた。
…まるで、的が矢を望んでいるかのように。
矢を放った後も紺野先輩は身じろぎさえもしない。
感情のないような目を前方に向けるだけ。
その、静と動が尋常ではない余情を生み出す。
何かがストン、と心の中に落ちてきた。
私は、この人の側にいたい。
側にいて、支えたい。
次の瞬間には私は弓道部のマネージャーになることを決めていた。
- 333 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:12
-
* * *
その日の部活の練習が終わって、弓道部の部室に足を運ぶ。
コンコン
「は〜い」
戸をノックして、出てきたのは、紺野先輩。
いきなりのことに、頭が混乱する。
「んうぇ!?あ、あの!?」
「……落ち着いて?」
紺野先輩がにこっと笑って、なだめてくれるけど。
…そんな風に笑われたら、もっとどきどきするじゃないですか〜っ!
「きゅ、弓道部のマネージャーになりたいんですっ!」
「……部活入部は来週だよ?」
慌てつつ言ってしまったことに、首を傾げながらの冷静なツッコミが入る。
…そう、この学校には部活一斉入部の日があるのだが、それは来週だ。
- 334 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:13
-
「すごいね〜こんな時間まで残ってるなんて」
もう、部活見学終了から2時間以上経ってるよ?
そんなに、弓道部に入りたかったの?
「はいっ!それはもうっ!」
「じゃあ、いいよ。まだ本当は駄目だけど、マネージャー決定!」
「はいっ!」
やった〜!心の中でガッツポーズ!
「ちょっと、中入ろっか」
紺野先輩が部室の中に入れてくれる。
「みうな〜、熱心な面白いマネージャーできた〜」
「え〜、もう?早いね〜なんでだろ〜?」
紺野先輩が呼びかけると、ひょこっと顔を出す部長さん。
「んじゃあ、まず自己紹介ね?」
不思議に思っても、何も聞かないのね…。ま、いっか。
- 335 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:13
-
「私は亀井絵里ですっ」
「じゃあ、絵里だね。」
「絵里、ね。…ん、覚えた。」
「私は……」
「ふたりとも知ってます!みうな先輩と紺野先輩ですよね?」
「あ、紺ちゃんのこと、紺野先輩じゃなくて、下の名前で呼んでね?」
「そう呼ぶのが部のしきたりだから。」
じゃあ、みうな先輩と、あさ美先輩か…。
ん、待てよ?
「なんで、みうな先輩は”紺ちゃん”って呼んでいるんですか?」
確か、そう呼んでいたはず…。
「紺ちゃんと私は特別仲がいいから〜」
「…そうなんですか?」
言った後に気付いたけど、“そうなんですか?”って、ちょっとじゃなく、かなり失礼だよね…。
- 336 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:14
-
「…まぁ、間違ってはないけど。小学校からの友達だから…」
「”紺ちゃん”歴が長いから“あさ美”って感じがしないんだよね〜」
三つ子の魂百まで?あはははは〜
…これってこんな風に使うんだっけ?
よくわかんな〜い!あはははは〜
私にもよくわかんない漫才は置いといて。
そうなると、自然に湧いてくるひとつの疑問。
「…学年違うのに、どうやって知り合ったんですか?」
「紺ちゃんの幼馴染みが私と友達で〜」
「ずっと一緒に遊んでたから、自然とみうなとも遊ぶようになって…」
「フツーに年の差とか関係なかったよね〜」
「だってふたりとも私より子供っぽいんだもん〜」
「言えてる〜紺ちゃんのが年上っぽいかも〜」
ふたりだけの会話になっちゃったよ〜。
小学校からの知り合いなら十分幼馴染の範囲じゃん。
すこし、疎外感…。ずるい〜。い〜な〜あさ美先輩と幼馴染みなんて…。
私も先輩と幼馴染みになりた〜い!
- 337 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:14
-
そう考えている内にもどんどん会話は進んでいく。
「中学は何部だったの〜?」
「陸上部で短距離やってました。」
「うっわ!奇遇だね!私も陸上部!中距離と長距離!」
「私も陸上部だったんだよ〜」
「そう!このコ、長距離でいいとこまでいってたんだよ〜」
な・の・に!焼肉に釣られっちゃたんだよ〜!
信じらんな〜い!
とあさ美先輩の頭をぐちゃぐちゃにするみうな先輩。
「そういえば、ずっと紺ちゃんと同じ部活じゃん、私!」
「ま、そうなるね。」
「紺ちゃん、もしかして…」
「…なによ。」
「私のこと追っかけてるの〜?」
私のことそんなに好き〜?困ったな〜。
「違うから。」
容赦ないツッコミ。おぉ、意外。
あさ美先輩、ツッコミされるタイプみたいなのに。
…それだけ、仲が良いってことね…。
- 338 名前:【〜春〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:15
-
そんなこんなで、無事、弓道部のマネージャーになることができた。
…先輩に、一歩、近付くことができた。
――今までにないくらい、気になる人ができた、そんな高一の春。
…なんで、マネージャーがひとりしか入らなかったかって?
そんなの決まってるじゃないですかっ!
絵里の努力による賜物ですよw
…何をしたかって?
そんなの聞かないでくださいよっ!
企業秘密ですw
とにかく、そうやって、私と先輩の物語は続いていくんです。
- 339 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:15
-
* * *
三年生が引退して、一・二年生だけの部活になった。
今まであさ美先輩は、みうな先輩とふたりで朝と部活後、自主練をしていた。
(私が部室にいってふたりしかいなかったのはそのせい)
ふたりは学校側から多大な期待をされていて。
自主練してもいいという特別措置がなされていたらしい。
だけど、みうな先輩が引退してしまって、今自主練をしているのはあさ美先輩だけ。
だから……私と先輩のふたりきり。
私にとって、特別な時間。
そんな時間が、とても幸せ。
- 340 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:16
-
朝早く起き、暗くて寒い部室に電気を付けて、部屋を温める。
…そんなことが、楽しく、愛しく思えるなんて。
私、重症だよね。
先輩と過ごす一時に、こんなに、胸、躍らせてる。
…おっと。忘れてた。マフラー外しとかないと。
これは結構大事なポイント。
…ま、すぐに外に出るんだけどね。
これには秘密がある。
- 341 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:16
-
…あ、来た。
「おはようございま〜す!」
「おはよう。」
できる限り元気に挨拶すると、先輩はにっこりと返してくれる。
この笑顔だけで、朝早く起きた価値があると思う。
「絵里?こんなに早く来なくてもいいんだよ?」
すこし思案顔になったと思ったら…。
また、これだ〜!
いつになったらわかってくれるんですか!
学習能力、発揮してくださいよ!
私から、この時間を奪う気ですか!?
そんなの、いくら先輩でも許しませんっ!
- 342 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:16
-
「せんぱいが頑張ってるのに、私が来ないわけないじゃないですか〜!」
「せんぱいの分からず屋〜!」
「いつも、いっつもおんなじこと言って〜!」
息をつく暇がないぐらいに、訴える。
だけど、先輩は苦笑い。
…わかってるんですよ?
先輩が私のためを思って言ってくれていることも。
だけど、私が嫌なんです。
先輩との時間を失くしたくないんです。
先輩の手伝いがしたいんです。
だから、私から、この仕事を奪わないで下さい…。
- 343 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:17
-
すると、先輩は部屋が暖かいことに気付いたのであろう。
「絵里、ありがとう…」
そんなことを言う。
「昨日も聞きました〜」
こういうのはいつ聞いても、なんかうれしい。
すこし照れて、うやむやにする。
でも。
「もうちょっと違ったこと言ってくださいよ〜愛の告白とか〜。」
誤魔化しついでに、本音をすこし入れてみる。
…もっと言って欲しいこともある。
…こんなにアピールしてるのに、先輩はスルー。
ちょっと〜、先輩ちゃんと聞いてるんですか?
もぅっ!先輩ったらっ!
「ほら、なんのために早く来たんですかっ!」
てきぱき練習しないと意味がないですよー!
と先輩を促す。
- 344 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:17
-
先輩が着替える間、私は一緒に弓道場に行くために先輩を待つ。
えへへ。実はこれが一番の楽しみ。
弓道場までいつも先輩は手を繋いでくれる。
それが、先輩と近くにいる実感がして、うれしい。
そして……
「寒いから…。」
「えへへ、ありがとうございますw」
準備の終わった先輩が私の首にマフラーを巻いてくれる。
これを最初されたとき、かなりびっくりした。
…これが、さっき私がマフラーを外した理由。
やみつきです。
「先輩も寒いですよね?」
そう、言って、先輩と手を繋ぐ。
習慣でも、愛しい。習慣になれたことが、愛しい。
先輩が嫌がってないことはわかるから。
なに言っても、離しませんよ?
- 345 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:18
-
「絵里は練習見てるだけで楽しいの?」
歩いている途中、先輩が尋ねてくる。
「先輩のは楽しいし、嬉しいし、好きですよ〜」
これは、本当。
マネージャーになるきっかけでもある。
練習を見ているうちに弓道自体も好きになったけど。
先輩のは何度見ても、飽きない。
「特に構えがキレイで、寒さも忘れちゃうほどですっ!」
寒さも忘れるとは言い過ぎかもしれないけど。
欲目なしでも、先輩が一番キレイで。
見ているだけで心が洗われる気がする。
「そっか……」
そう言って、微笑む先輩は……
今すぐ消えてしまいそうに儚げで、魅力的だった。
こうして、いつもと変わらない一日が始まる。
- 346 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:18
-
* * *
お昼を食べて、あったかい紅茶を飲みたくなって、自販機の元へ。
自販機は一階の食堂の横にしかない。
わざわざ寒いところにいかないと、あったかい飲み物がないのは不便だ。
まだ、各階に一個ぐらいあれば、こんなに長く寒い思いをしなくて済むのに…。
――なんだろ?
もう少しで自販機、というところで人溜まりが。
ある方向をちらちらと見ながら、ひそひそと話し合っている。
そのひそひそが重なり合って、ざわざわと言ってもいいほどになっている。
――…あ〜、また人気のある人達でもいるのかな?
この学校では、芸能人並みに人気のある人達がいる。
三年生で言うなら、松浦先輩やら、高橋先輩やら、みうな先輩やら。
もちろん…あさ美先輩も。
自分で言うのもなんだけど、私だって。
…この学校の人は、結構暇人が多いらしい。
このぐらいの騒ぎは、日常茶飯事。驚くことではない。
- 347 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:19
-
――この騒ぎだったら、ふたりはいるな。
その先輩方はそれぞれ仲が良くて、しょっちゅう一緒にいる。
複数でいると一人でいるときと比べて騒ぎが倍増する。
――あ、やっぱり…。
中心を見てみると、そこにはふたつの人影。
ひとりがもうひとりの後ろから覆い被さっている。
“仲良い〜カワイイ〜”
周りの人々のささやきが自然と耳に入ってくる。
…たしかに、微笑ましい。
仔猫がじゃれてるみたい。
注目の的の後ろの人が、もうひとりから離れる。
- 348 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:19
-
――え……?
離れる際にちらりと、顔が見えた。
今、仲が良さそうに寄り添ったのは……
恋人のように頬を寄せたのは……
あの後姿は……
「せ、せんぱい!?」
――あさ美先輩、だ――……
- 349 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:20
-
「絵里?」
私が変な声を出したにもかかわらず、先輩は平常心。
焦る素振りもない。
ふたりは寄り添っているのが“自然”過ぎて。
日常の絵の中に入り込んでて。
まるで“いつものことだから今更慌てるようなことではない”と言わんばかりで。
「絵里も飲み物買いに来たの?」
「……はい…。」
あさ美先輩は普通に、ごく普通に、会話を続けていく。
このふたりの間に私は入り込めないのかな…。
…でも、私はあさ美先輩の気持ちが欲しい。
あさ美先輩を振り向かせたい。
どの人よりも、私で頭をいっぱいにさせたい。
…もちろん、いま、先輩の側にいる人よりも。
- 350 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:20
-
キッと目線を上に向ける。
先輩と腕を組んでいる人と視線が交錯する。
その人は最初からこちらを睨んでいたようだ。
一瞬の睨み合い。
…この人も、先輩のこと、好きなんだ。
二人の握り締めあった手が、私を怯ませる。
…ヤバイ、ちょっと、泣きそう。
「ちょっ…、絵里!?」
その場から逃げるとき、先輩の慌てた声が聞こえた…
…また、ざわめきが大きくなったような気がした。
* * *
なぜか、弓道場まで走ってきてしまった。
目じりに滲んだ水分を指で撥ね退け、思案する。
あの人は、確か、先輩の幼馴染みの高橋愛先輩。
かなりの強敵だ。
…負けられない、負けたくない、負けない。
絶対、勝つ。
- 351 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:21
-
考えに耽っていた私の元に先輩が来た。
…私より、かなり遅れてやってきた先輩。
遅れた原因はたぶん、高橋先輩。
高橋先輩のスタートの位置は私より前にある。
――ならば……
「先輩。好きです。」
――先にスタートするまで。
「…えっと、私、その……」
「わかってます。」
あなたが私を意識していないことぐらい。
でも、誰も意識してないですよね?…高橋先輩でさえ。
あんなにくっついていたことが、なによりもの証拠。
それはライバルに一歩越されてることも意味するけど、スタートされてないことも意味する。
そうですよね?先輩。
- 352 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:21
-
「私、本気です。」
徐々に先輩の顔が赤くなってゆく。
…これが、スタートの合図。
スタートダッシュもうまくいった。
しかし、油断するのはまだ早い。
敵なのは……高橋先輩。
あさ美先輩をどちらが先に捉えるか。
高橋先輩との一騎打ち。
- 353 名前:【〜冬〜Eri】 投稿日:2006/01/02(月) 00:22
-
スタートの合図はされたばかり。
だけど、スタートダッシュは私の勝ち。
先に私が飛び出した。
スタートさせたのは私だけど。
強敵には、これぐらいしないと。
負けるつもりは、さらさら無い。
このまま加速して、勝つつもり。
あさ美先輩、高橋先輩、用意はいいですか?
- 354 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:22
-
『ready?』
- 355 名前:後日談〜授業終了後〜 投稿日:2006/01/02(月) 00:23
-
川’ー’川<あさ美ちゃん!今度の試合、見に行くね!
川o・-・)<ありがとう。
ノノ*^ー^)<高橋先輩はチアリーディング部じゃないですか〜、部外者は来ないでください!
川’ー’川<チア部だからこそ、応援に行くんです〜!
ノノ*^ー^)<弓道に応援合戦なんてありませ〜ん!
川’ー’川<応援は応援合戦に限りません〜!
ノノ*^ー^)<それに高橋先輩、引退したんじゃないですか〜?
川’ー’川<幼馴染としてあさ美ちゃんだけを応援するんです〜!
ノノ*^ー^)<気が散るんでやめてくださ〜い!
川;o・-・)<や、そんなことないから!ふたりともけんかはやめてっ!
川’ー’川<そうやろ〜?(これであさ美ちゃんの…)
ノノ*^ー^)<…チッ。
川;o・-・)<絵里っ!?
ノノ*^ー^)<なんでもないで〜すw
- 356 名前:後日談〜部活終了後〜 投稿日:2006/01/02(月) 00:23
-
ノノ*^ー^)<せんぱ〜い!
川o・-・)<なぁに?
ノノ*^ー^)<教えて欲しいことがあるんですよ〜!
川o・-・)<いいよ、なんでも訊いて。
ノノ*^ー^)<袴とかってどうやって着るんですか?
川o・-・)<フツーにだよ。
ノノ*^ー^)<…そんなんじゃ、わかりませんよ…。(天然だなぁ…)
川o・-・)<んじゃ、こっち来て?
実際に袴を見せつつ丁寧にミニ講習会(?)を開く。
=説明略=
ノノ*^ー^)<…じゃぁ、脱ぐときは?(ニヤリ)
川o・-・)<まず…
=説明略=
ノノ*^ー^)<よくわかりました〜!ありがとうございました!
川o・-・)<どういたしまして。…けど、なんか役に立つの?
ノノ*^ー^)<すっごい役に立ちますよ〜。
川o・-・)<絵里、マネだから着る必要ないよね?
ノノ*^ー^)<私は着ませんよ?
川o・-・)<……?(…じゃあ、なんで?)
ノノ*^ー^)<…フフフ。(…かわいいなぁ)
川o・-・)<…教えて?
ノノ*^ー^)<後々、わかりますよ〜(否が応でもね…)
- 357 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:32
-
魔女っ子美勇伝の設定をこっそり拝借。
部長を誰にしようかと思って、最初にみうなさんを考え、ツッコミできんないかもと断念。
その次に加護さんが浮かんだが、なんとなく止めた。やっぱりみうなさんにしましたw
運動部は本当に”マネージャー政権”だと思います。
とりあえず、亀井さんに”紺野先輩、あさ美先輩、せんぱい”と呼ばせてみたかっただけの話。
たぶんこの学校の人たちは高橋さんと亀井さん、どちらが勝つか賭けをするでしょう(ぇ?
なんせ、暇人ですからw
ここの紺野さんは弓道で精神修行してますから、あまり動じることはありません。
100m走で、7秒前にスタートすれば、オリンピック選手にだって勝てます。
タイムが15秒の人でも、8秒で走ってしまえるわけです。(何か違っ
亀井さんが早めにフライングで走り出した様です。
しかし、亀井さんが100m走に対して高橋さんは50m走の様です。
さて、どちらが勝つのでしょうか。
- 358 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:33
-
『お大事に』
- 359 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:34
-
「………?」
朝、寝苦しさを感じて起きてみると、喉に違和感が。
「…あ゛〜…」
声を出してみると、案の定、声が変。
というよりも、ただそれだけで喉が痛い。
すっぱいカンジもする。
幸か不幸か、今日はダンスレッスン。
マスクをして、歌うのは最小限に抑えればどうにかなるだろう。
そう思って、体を起こそうとする。
「っ!?…………」
…起き上がれない。ヤバイ。
上半身を起こそうとした瞬間に眩暈がした。
感じていなかっただけで、熱もあるのかもしれない。
あ、寝苦しかったのはそのせいか。
…まず、おかあさんでも呼ぶか。
【風邪ひいちゃたみたい。体温計持ってきて。】
同じ家にいるはずのおかあさんにメールを打つ。
……つくづく、携帯って便利だなって思う。
- 360 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:34
-
「あさ美?大丈夫?」
予想したよりも早く、おかあさんが到着。
声をあまり出したくないのでだるい腕でバッテンを作る。
そして、おかあさんが持ってきてくれた体温計でさっと体温を測る。
ピピッ
耳に当てると一瞬で判断が出される。
…世の中、便利になったもんだ。
【38.7】
おお〜、38度7分。結構きてますね〜。
- 361 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:35
-
「あさ美。今日は休みなさい。」
…できるなら休みたくないんだけどな〜。
「ほら、そんな顔しないの。」
今日無理して倒れて、明日も体調悪かったらどうするの?
誰かに移しても“ごめん”じゃ済まないのよ?
おとなしく、寝てなさい。
は〜い。
返事の代わりに手を振る。
マネージャーさんにメールを送って、もう一度眠りについた。
- 362 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:37
-
――――――
――――
――
あつ…熱い、熱い、熱い。
うなされるほどの熱に耐え切れなくなり、目を覚ます。
汗で背中に服が、額には前髪が張り付いている。
近くにある携帯で時間を確かめるとお昼を疾うに過ぎていた。
…私がご飯を食べないなんて。
やっぱり熱があるんだな〜と妙に納得する。
ペットボトルが置いてあった。
おかあさんがおいてくれたんだろう。
ご丁寧にストローまで付いていて、喉が痛い私には有難い。
そして、水分補給をして、また寝た。
- 363 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:37
-
――――――
――――
――
「あ、い、ちゃん?」
寝苦しかったのがうそみたいに幸せな夢を見た。
あなたが隣にいて、笑ってる。
あなたのぬくもりにつつまれて…。
見ている間も“今、夢を見てるんだ”とわかってた。
でも…
やさしく、でも、ひんやりとしたものを額に。
あたたかいものを唇に感じて。
…それが愛ちゃんのような気がして。
名前を呼びながら目を覚ました。
でも、そこに愛ちゃんはいなかった。
- 364 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:38
-
うっすらとはいえないぐらいにかいた汗。
落ち着かない呼吸。
どこまでも同一の色の天井。
動かない空気。
…いつもは落ち着けるはずの自分の部屋。
なのに、今の私には静かすぎる。…寂しすぎる。
心のカケラをどこかに置いてきてしまったかのように。
今朝よりも軽くなった身体。
だけど、まだまだ本調子とは言えない。
体が弱っていると心細くなるって本当だったんだ。
そんな、知りたくないことを知る。
…こんなの、知らなくて良かったのに。
こんなことなら、起きなければ良かった。
寝たままなら、そばに愛ちゃんがいないことを知らずに済んだのに。
いつもそばにいるはずの、あなたがいない。
あなたへの想いの深さを実感する。
こんなにもあなたに依存してる。
…あなたに会いたい。
- 365 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:38
-
寂しさを紛らわせようと枕元に置いた携帯を手に取る。
そして、すこし肌寒い感じがしてふとんを頭から被った。
そこにはメンバーからのたくさんのお見舞いメール。
それと……
【仕事終わった。今から行く】
簡潔すぎる愛ちゃんからのメッセージ。
だめっ。そんなことしたら風邪移っちゃう!
…絶対にさせられない。
うれしさとともに、ストップをかける理性。
着信履歴の一番上にある名前を選択する。
- 366 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:39
-
『…もしもし』
十数秒経ってから繋がった電話。
「来ないで…」
『……なんで?』
「なんででも……」
『いや。行くから。熱あるんやろ?』
「…熱、下がっちゃったの。」
だから、愛ちゃん来ても、意味ないよ?
…下がったとまではいえないけど。
まだ、38度はあるだろうけど。
こうでも言わなくちゃ、愛ちゃん来ちゃう。
- 367 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:40
-
『…じゃあ、あさ美ちゃんの顔見に行く。』
「だめっ!」
『…あーしと会いたくないの?』
「会いたいけど…」
言った後で気付いた。
ここで“会いたくない”って言えば、それで済んだのに…。
…でも、言いたくもなかった。
言ったら愛ちゃんへの想いも否定されそうで…怖かった。
- 368 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:41
-
『熱下がって、今起きとるんやろ?』
「そうだけど…」
『なら、いいじゃん。』
「だめったら、だめっ」
『……… …』
愛ちゃんがぼそっと何かつぶやいた。
けど、聞こえなかった。
「愛ちゃん、なんて言ったの?」
『……ここ、すこし寒いんやけど……』
「…ちゃんと暖かいところに行って」
それが原因で風邪を引いたら大変。
この電話の意味がなくなってしまう。
- 369 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:41
-
『わかった〜』
ガチャ。
「うそつき。」
さっきまで熱あったのに、いきなり下がるワケないやろ〜?
携帯を片手に、ばっちりと寝る用意が整った愛ちゃんがずかずかと部屋に入ってくる。
「マネージャーさんから連絡あって、リビング行っとったら…」
その間に起きるんやもんな〜
その言葉に、慌ててメールを見ると着信時刻は一時間以上も前を示していた。
私の額に手を当てて。
「…ほら、まだ熱いじゃん。もう一回寝よ?」
愛ちゃんがふとんをめくって、自分も入ってこようとする。
そこを素早く閉じる。
- 370 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:42
-
「…なあ、布団の中、入れて?」
結構寒いんやけど…。
「愛ちゃん、別の所で寝てよ…」
風邪、移るといけないから…
「今更じゃん。」
強引に隙間をあけられ、滑り込まれる。
「さっきまで一緒に寝てたんだよ?」
気付いてなかったの?
…あの夢で感じてたぬくもりは、現実の愛ちゃんのだったの?
本当は傍にいて欲しいし、行かないで欲しい。
だから…
- 371 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:43
-
「これだけは約束して…」
「なに?」
「…風邪引いちゃダメ。」
「……了解。」
「…もし引いたら、1週間おあずけ。」
「なにを!?」
「…なんだろうね?」
「うぅ……」
「…引かないんでしょ?」
自信がないなら、別々で寝て。
…それとも、別れたい?
- 372 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:44
-
「…絶対、引かん。」
意地でも引かん。なにがなんでも、引かん。
いやに真剣な顔をしてつぶやく愛ちゃんに笑みがこぼれる。
“別れる”なんて本当は冗談でも言いたくない。
…でも、それほどに愛ちゃんに風邪を引いて欲しくない。
「じゃ、おやすみ〜」
「…おやすみ…」
頭を撫でられて、そのまま抱き締められる。
汗がちょっと気になったけど、いつもみたいなもんだし、いっか。
私はスッと眠りに落ちた…。
- 373 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:45
-
――――――
――――
――
「…んん?」
おでこを撫でられる感触に目が覚めた。
「おはよっ!」
「…おはよ…」
「熱、下がったみたいやね〜」
うれしそうに、こつんとおでこをくっつけてくる。
あーしも風邪引いてないみたいやし〜?
そう言って、ぐりぐりとおでこを押し付けてくる。
- 374 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:45
-
「ほらだいじょーぶやった」
「……ばか。」
なおもうれしそうにする愛ちゃんが、小憎らしい。
移る可能性の方が高いんだよ?
それなのに……ばか。
「なんやと〜!?」
「ばかだからだよ、風邪ひかないのは。」
「……なら、ばかでもいいや。」
おかげで、あさ美ちゃんとこーしとれるし〜。
思いっきり抱きついてくる。
「…ばか。」
ほんとはうれしかったよ?
…会いたかった。
私素直じゃないなぁ〜って思うけど、なんか言えない。
…だから、“好き”と言う代わりに“ばか”と言う。
……愛ちゃんの、ばか。
- 375 名前:【at Asami’s room】 投稿日:2006/01/02(月) 00:46
-
「にへへへへ〜」
「なに笑ってんの、愛ちゃん…」
「だって……」
あさ美ちゃんの“ばか”は“好き”って意味やろ?
そんなことぐらい、知っとるんやから。
あーしも大好き〜って、さらに腕に力を込めてくる。
もう、ほんとに……
「愛ちゃんの、ばか…」
- 376 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:47
-
『お大事に』
- 377 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:51
- 今回は、妙にばか正直な高橋さんと天邪鬼な紺野さんでした。
それと風邪を引いてるのにもかかわらず、思考がゆっくりな紺野さん。
それにしても。
短編書いてる間に違う短編が書きたくなるのはどうにかして欲しい。
書きかけが溜まってゆくばかりだ。
そういうのが30個以上ある。
それが未熟者の証拠なんでしょうね…(泣)
次は超短編。
( ^▽^)<アーチーチーアーチー
从 ´ ヮ`)<やけどすればいいのに。
(; ^▽^)<……え?(ダレガ?)
从 ´ ヮ`)<アハハ。
- 378 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:52
-
『いん いんぐりっしゅ。』
- 379 名前:ゆーあーうぇるかむ。 投稿日:2006/01/02(月) 00:52
-
「…んぅ、……は、ぁ…」
「……んむ…」
「……愛ちゃんってキスするの、すきだよねー…」
「ん、や?あさ美ちゃんが好きなんよ〜」
「…ばか。」
「You are welcome!」
「…だから、その使い方、間違ってると思う…」
「んうぇ?合ってるよ?」
「なんか違う…。」
「……そんなことよりもさ、もっとしよ?」
「…うん…」
- 380 名前:どんうぉーりぃ。 投稿日:2006/01/02(月) 00:53
-
「…っ、明日も、仕事あるよっ」
「……ん〜…」
「はや、く…、寝ないと、寝不足…」
「だいじょ〜ぶ〜」
「あ、い、ちゃん!から、だ、こわすってっ!」
「Don’t worry!」
(……もう、何言ってもムダだ…)
「…やさしくね?」
「まかせて!」
- 381 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:54
-
『in English』
- 382 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:55
-
超短編というか、ネタ?ネタとも言えないな…。
高橋さんの“英語で遊ぼう”でした!
……なんだこりゃ。
超雑談。
高紺ならテレビの台本でもうれしい。(ハロモニ、ハロ劇etc.)
実は岡女の体育祭完全版で高紺にはまった。
番組側の思惑にまんまと引っかかっちゃったw
逆に、どうぞ、引っかけてください?みたいなw
- 383 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 00:56
-
『illumination』
- 384 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 00:57
-
クリスマスの時期になると、毎年、あさ美ちゃんとイルミネーションを見に行く。
今年も例外ではなく……
「キレイだね〜」
「…うん、キレイ…」
あさ美ちゃんとふたりで来てる。
…五期の四人で来るはずだったけど。
結局ふたりは置いてきた。
と言うと聞こえが悪いので、四人で来る前に先にふたりで来ただけ。
だって、これはわたしたちには恒例の欠かせないデートなんだもん。
しょうがない。
- 385 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 00:59
-
キラキラに飾り付けられた街をあさ美ちゃんと手を握って歩く。
光の加減で頬に陰影ができる。
……言っちゃおうかな?あの言葉を。
たぶん、引かれる可能性が三割。
恥ずかしがる可能性が五割。
うれしがる可能性が一割。
予測不能が一割。
あさ美ちゃんの性格からして、こんぐらいかな?
……言っちゃおうかな?甘い言葉を。
――……言っちゃおう。
「キレイだね」
「キレイだね…」
…こっち振り向いた。
このタイミングで…。
- 386 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 00:59
-
「あさ美ちゃんの方が、イルミネーションよりもキレイだよ。」
言う恥ずかしさよりも、好奇心が勝った。
…あさ美ちゃんのリアクションが見たかった。
固まったままのあさ美ちゃん。
じっと見つめていると、ぶわっと赤さが顔、耳、至る所に伝染した。
…すげー。
ある意味、イルミネーションよりもすげー。
…イルミネーションも形無しじゃん。
「…ちょ、ちょっと、まめっぽくないね…」
「……わたしもそう思った…。」
「フツーでいいんだよ、フツーで。」
「…嫌だった?」
「んなことないっ!」
でも、見ないで言われた方がよかったな〜。
なんて、またまたビミョウなこと言ってくれちゃう。
気を取り直して、またイルミネーションに見入る。
- 387 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 00:59
-
「ねぇ、まめ…」
「…ん〜なに〜?」
目をイルミネーションに向けたまま、生返事。
「里沙ちゃんも、イルミネーションより、キレイだよ。」
周りの音が消えて、あさ美ちゃんの声だけが、わたしの耳まで届いた。
…実際言われると、恥ずかしい〜!
あ〜、寒い!寒い!寒い!体中、かゆ〜い!
- 388 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 01:00
-
「ふふふ〜、仕返し〜」
「でも、ふたりでキレイキレイ言い合って、アホみたいじゃない?」
「…違うよ、バカなんだよ。」
「そうか〜バカか〜」
「そう、これがほんとのバカップ…っ!」
不穏なことを言い始めた、口をふさぐ。
……もちろん、手で。
外で、キスなんかできません。
曲がりなりにも、芸能人なんですから。
女の子同士で付き合ってるってバレたら、大変。
「そんなこと言ったらダメだよ!」
言葉には力があるんだから!本当になっちゃうでしょ!?
そう諭し、手をあさ美ちゃんの口から外す。
「…言ってみたかったんだもん。」
あさ美ちゃんは、拗ねたように口を尖らせて…。
…そんな、かわいく、言っても、ダメ、なん、だから。
- 389 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 01:00
-
ちゅっ
ほんとに、ほんとに、軽くだけど、ついあさ美ちゃんにキス、しちゃった。
「…ま、まめ……」
あさ美ちゃんが一気に赤くなる。
つられて、わたしも赤くなる。
「これぐらいのキスなら友情の範囲内だよ」
見られても大丈夫!と自分でもわけのわからない言い訳をしてみる。
「…このキスは友情のキスだったの?」
あさ美ちゃんもあさ美ちゃんで、ツッコミの角度が違う。
- 390 名前:Christmas Season 投稿日:2006/01/02(月) 01:01
-
「そんなわけないでしょっ!」
そのまま誤解されるのは、癪なんで、思いっきり否定しておく。
そう言うとあさ美ちゃんは密着してきて…。
また、あさ美ちゃんとわたしの心の距離が縮まった。
女の子はたまには甘すぎる言葉も必要なんです。
ただし、使いすぎには要注意!
- 391 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:01
-
『illumination』
- 392 名前:in the same time×in the car 投稿日:2006/01/02(月) 01:02
-
从#~∀~从<チッ!どいつもこいつもイチャイチャしやがって!
(;`.∀´)<まぁ、まぁ。落ち着いて…。
(●´ー`)<ジ―。
从#~∀~从<落ち着いてられるかっちゅ〜ねんっ!
(;`.∀´)<……ダヨネ。
(●´ー`)<…ジ――。
从#~∀~从<…いま、なんか言うたか?
(;`.∀´)<…いや、なにも。
(●´ー`)<……ジ――――。
(;`.∀´)<…なっち。さっきから何見てんの?
(●´ー`)<…外にいるカップル。
(;`.∀´)<やめなさいっ!
(●´ー`)<…いやね?めったに見られるもんじゃないから…。
(;`.∀´)<いいからやめなさいっ!
(●´ー`)<(軽く無視)……あ、がきさんとこんこんだ。
( `.∀´)<へ!?どこどこ!?
从 ~∀~从<…あ、いたっ!
(●´ー`)<………あっちゅーしたっ!
从;~∀~从<……。
(;`.∀´)<…後輩のラブシーン見るのって…なんかキマズイわね…。
(●´ー`)<…ふたりはいつの間に、こんな関係に…。
从;~∀~;从<あのふたりまでにも、先越された〜っ!(涙)
(●´ー`)<…ゆうちゃん、今日は付き合うよ…。
( `.∀´)<……もちろん、白子付きで…。
- 393 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:04
-
甘い言葉よりも、甘い言葉を言ってくれようとする心がうれしいですよね。
クリスマスSPで辻加護同様、符号が一致する新紺。
ふたりでやればいいじゃ〜ん?みたいな?
最高のシチュエーションの紺野さんのところで大きく頷く新垣さんに目がいきました。
あと、(たぶん台本だけど)高紺が散りばめられててうれしかった。
今年は高紺と新紺がはやりますよ〜に!(テキトー
あと、今自分の注目は新道亀の三角関係。マイナー一直線!
つぎのハロモニスケートは新紺は経験あるんで大丈夫でしょう!
紺野さんとこの四人なら誰と組んでもイイです!(ナニガ?
まあ、つまり新紺、亀紺、石紺、中紺が好きってこと。(は?
……それより、バレー楽しみ〜!
- 394 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:05
-
『ミラクルは見た。』
- 395 名前:an open secret 投稿日:2006/01/02(月) 01:06
-
あれ?
高橋さんと紺野さんがいない…。
どうしたんだろう?もうすぐ始まるのに…。
あの二人の組合せは内心、珍しいなぁと思いつつ、色んな所を探す。
あ、いた……。
二人はソファーで一緒に座っていた。
声がかけられない。
耳元でお互いに囁いてクスクス笑い合ってるだけなんだけど、なんか、雰囲気が……。
…なぜか赤面してしまう。
いつもは一緒にいない印象があるからこそ、親密な素振りがいかがわしい。
…ヤらしい。
アヤシゲなカヲリがする。
…気になる。
――…ずっと見ていたい。
- 396 名前:an open secret 投稿日:2006/01/02(月) 01:07
-
「へ〜小春もなんだ〜」
近くから声が聞こえてビクッと肩が震える。
目の前のものに集中してて気付かなかった。
「よしっ……ムグッ」
音を発した途端に口をふさがれる。
「シーッ、静かに。これからがイイトコロなんだから。」
「子供は黙って見てなさい。」
吉澤さんと藤本さんの声に振り向くと、そこには全員の姿が。
誰もが好奇心に輝いた目をして、二人を食い入るようにして見てる。
みなさんもしてるので心置きなく私もその行為に没頭する。
――……あ〜親密に見えたのは手のせいか…。
体はぴったりとくっついて、さらに紺野さんの膝の上で指を絡ませていた。
そんな感じで観察しながら分析していった。
- 397 名前:an open secret 投稿日:2006/01/02(月) 01:08
-
――あ……。
いきなり高橋さんが動いたと思ったら……紺野さんにキスした。
――うわぁ……。
それはさながら昔の映画のワンシーンのようで。
“キスしてる”というような恥ずかしさを感じさせず、
純粋に“もっと見たい”という気持ちを刺激するものだった。
そんな高橋さんの不意打ちに紺野さんは顔を真っ赤にさせて。
ふたりは見つめ合い、またキスをする。
それを皮切りにして、見つめてはキス、見つめてはキス、キス、キス、キス、と段々間隔が狭くなってくる。
そしてキスも浅いものから徐々に深いものに…。
- 398 名前:an open secret 投稿日:2006/01/02(月) 01:09
-
――……いやぁ…。
見てはいけないと思いつつ、その光景から目が離せない。
勝手に目が見入ってしまう。
二人から漏れる吐息がナヤマシイ。
その音だけが室内に響き、私の心を痺れさせる。
いつのまにかお互いの体に回されている腕。
特に紺野さんの、高橋さんの背中の洋服を掴む手が、
息を漏らす度、ピクピク反応して、なんか、いやらしい。
指先がビリッと痺れる感じ。
そして、ついに紺野さんは高橋さんにソファーへ押し倒されてしまった。
「…あさ美ちゃん…」
「愛ちゃん…」
上がってしまった呼吸を整えて、名前を呼び合い、また見つめ合う。
そして、二人の顔がどんどん近付き――
- 399 名前:an open secret 投稿日:2006/01/02(月) 01:10
-
「はい、そこまでー。」
お仕事あるから、続きは帰ってからね?
もう少しで、というトコロで吉澤さんのストップが入る。
「「っ!?」」
二人は突然の乱入者に声にならない声を出して驚く。
「やっ!ちょっ、なに見てるんですか〜っ!」
紺野さんから体を離し顔を真っ赤にして抗議する高橋さん。
それとは対照的に起き上がってはいるものの、
押し倒されたときに上着を脱がされた半脱ぎの状態のまま固まっている紺野さん。
――あ、壊れた。
紺野さんがやかんが沸騰するように真っ赤になって、ソファーに倒れた。
「あ、あさ美ちゃん!?」
高橋さんのよく通る声が響き、高橋さんが紺野さんを抱きかかえるのが見えた。
- 400 名前:an open secret 投稿日:2006/01/02(月) 01:11
-
――……もうちょっとだったのに…。
途中で止められたことを残念に思う自分がいた。
そこで私の肩をポン、とたたく人が…。
「大丈夫だよ、小春ちゃん。」
小川さんだ…。
「何回でも見るチャンスはあるから。」
やっぱり何度見てもいいね〜あの二人は。
…小川さん(みんな?)は常連らしい。
吉澤さんとかも手慣れてたし、たぶん、そうなんだろう。
“もう一度見たい”
単純にそう思った。
おねぇちゃん。
小春は、あるメンバーの秘密の関係に嵌まってしまったようです…。
- 401 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:11
-
『ミラクルは見た。』
- 402 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:13
-
題名は”家政婦は見た”、最後は“ホテル”のノリでw
他の人の視点の高紺を一回書いてみたかった。
<<279 名無飼育さん
全部の板に書き込まれたようで…お疲れ様です。
<<280 名無飼育さん
モテモテの紺野さんはここのコンセプトですからw
『a constellation of motes』というのは
「a CONstellation of MOTEs」→「CON MOTE」→「モテ紺」という意味からも付けました。
はっきり言って、自分も綴り書けませんw(オイッ
…いつか言おうと思ってた。
というか、誰かに気付いて欲しかった。(ムリ
<<281 名無飼育さん
“ほんわかした雰囲気”とか“読みやすい”とか言われたのは初めてです。
ありがとうございます。
結果というのは『ひと夏の騒動』のことですか?
264のメール欄にヒントがあります。
たぶん、また紺野さんをめぐって熾烈な争いが起こるのでしょう。(ヒトゴト
- 403 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:14
-
新年が明ける前に更新しようと
29日、30日とようやく完全休みだったので書いていたのですが、
31日爆睡して、駄目でした。すみません。
そして、タイムリーなレスがあったので申し訳なく思い、
最後の久住さんを追加しました。
これで今回の更新を終了します。
自分、受験生なんで、これからパソコン断ちします。少なくても一ヶ月。
待ってろよ、セ○ター試験!!
…というわけで、次の更新は二ヵ月後ぐらいかもしれないです
今度は更新情報で載ったとき、ふらりと立ち寄ってもらえれば、幸いです。
では、失礼します。
- 404 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/02(月) 01:29
- 「モテ紺」というコンセプトがいいですね
片方が限定されてないから色んな人との話が楽しめます
一粒で2度どころか何度もおいしい感じですw
- 405 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 01:56
-
しまった!抜かしてた!
<<278 さかなやさん
読んで下さって、ありがとうがざいます!
こういうの、好きですか。自分も好きです。
だけど、自分の文章は…なんとも言い難いですね。
今回、失礼致しました。
高橋さんの顔文字は川*’ー’川より川*’ー’)の方がよかったかな、と少し思った。
短編が一気に来ると、なんか暑苦しいですね。
1週間に1つ読んだら、次までにちょうどいいかな、と考えて、
自分だったら、絶対できない、と思った。
それでは本当に失礼します。
- 406 名前:ペーパー 投稿日:2006/01/02(月) 02:04
-
あぁ、気付かない間にレスされていた。orz
有言不実行ですね。不言実行を目指していたのに…。
<<404 名無飼育さん
そのお言葉、不肖私めには大変もったいないお言葉です。
こちらの方が1レスで何度おいしいか。
読んでくれたとわかる上に、その感想、
そして、次へのやる気、セ○ターへのやる気etcがでますよ!
ありがとうございました!
読んでくれた皆々様、ありがとうございました!
(今度こそ)失礼します。
- 407 名前:110 投稿日:2006/01/22(日) 06:36
- 今回もとても楽しませてもらいました。
っていうか、スレタイにそんな意味があったんですねぇw
これからも楽しみにしています。
セ○ター試験頑張ってください!
- 408 名前:名無し飼育 投稿日:2006/02/05(日) 23:36
- 久しぶりに見にきたら大量更新が!!
「an open secret」がニヤニヤしながら見てしまいました(w
イヤー、やっぱ高紺は良いですねぇ。
同じことを密かに自分もいつも思っていました(ww
また次回作楽しみにしてます!
- 409 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/06(月) 19:20
- いい話書くなぁと思ったら同級生…
受験も小説も頑張って
- 410 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 16:55
-
『feel』
- 411 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 16:56
-
今日は、まめとれいなと亀ちゃんと私で雑誌のインタビューを受けていた。
バレンタイン特集だから、告白とかそういう話が多く出てきた。
他のメンバーの意外な考えが聞けて、ちょっと興味深かった。
「ちょっと。紺野さん。来てください。」
「…はい。」
インタビューが終わった後、真剣な顔をした、亀ちゃんに呼ばれた。
最近は「紺ちゃん」と呼んでくれているはずなのに、わざわざ「紺野さん」と呼ばれた。
その真意がわからなくて、ついつい敬語を使ってしまった。
そそくさと亀ちゃんのそばに寄っていく。
…部屋の隅で、ふたり固まる様子は、近寄りがたい雰囲気がありそう。
- 412 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 16:57
-
「…なに考えてるんですか?」
「いや〜、なにも?」
「……ま、いいですけど。」
関係ないことを考えていたことがバレバレだったみたいだ。
「浮気しちゃ、ダメです。」
「…へ?」
「絶対、いけません。」
「はぁ。」
いきなり、何を言い出すかと思えば……。
一応、あいづちは打ったけど…。
私、浮気なんてしてないよ。
「私、浮気してないよ?」
「浮気です」
間髪入れずに、答えられる。
「……いや、してな「浮気」」
今度は言い終えることさえできなかった。
も〜、なんなのさ?
- 413 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 16:58
-
亀ちゃんが俯いてぽつりぽつりと話し出す。
「…れいなと、手ぇ繋ぐし」
「それは…」
「れいな絶対狙ってましたよ。」
「………。」
そんなこと言われても…。
「れいなとは理想のシチュエーションを話してただけで…」
「…………。」
まだ、納得してくれてないみたい。
じゃあ…行動で示すしかないか…。
「手、出して。」
「……。」
「両手上げて?」
「……?」
出された手を顔の横で片方づつ指を絡めながら握る。
- 414 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 16:58
-
「これじゃ、だめ?」
この服じゃ、ポケットないから。
ポケットに入れない分、両手。
なんか、不格好だけど。気持ちは伝わるはず。
亀ちゃんが更なる課題を出す。
「がきさんと見詰め合うし」
なんであそこで見詰め合うんですか?
誤解されてもしかたないですよ。
…紺野さんは絵里の彼女ですよね?
「まめとは…」
なんて言ったらいいんだろう…わかんない…。
- 415 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 16:59
-
「紺野さん、こっち向いてください。」
言われた通りに、目線を合わせる。
「好きです。」
「っ!」
見詰められて。言われて。
耐え切れなくて、顔を思いっきり背ける。
「逃げないでください。」
がきさんとはやってたじゃないですか。ずるいです。
「…そんなこと、言われても…」
言う方も、言われる方も、さっきとは気持ちが違う。
- 416 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:02
-
でも、せっかく、言ってくれたんだもん。応えなきゃ。
意を決して、顔を上げる。
「………。」
「……。」
亀ちゃんはいまだに真剣な顔で。
私の顔は、明らかにほてってきてて。
…やっぱり、耐え切れない。
「絵里が、好き。」
顔が見えないように手を離して、抱きつく。
すると、絵里もぎゅっと力を込めて抱きしめてくれた。
「なんで、絵里のこと言ってくれなかったんですか?」
耳のすぐそばで声が聞こえる。
「…どういう意味?」
「“愛を感じるとき”の話ですよ」
北海道の話なんかしちゃって。
いや、絵里だって北海道好きですよ?
でも、他のふたりもちゃんとメンバーの話したじゃないですか。
絵里の話、してほしかったです。
私から愛、感じないんですか?
- 417 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:03
-
あ〜あれか。
……だって――…
「はずかしいじゃん…」
だって、インタビューだから、雑誌に載るんだよ?
いろんな人に見られるんだよ?
半永久的に残るんだよ?
「……っ、」
突然、目の横にくちづけられる。
顔をそちらに向けたら、瞼にも唇が落ちてきて。
だんだんとくちづける場所が下に移ってゆく。
そして最後の仕上げとでもいうように、それが私の唇の上にも落ちた。
あたたかい、カンジが、した。
やさしすぎる、キス、だった。
- 418 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:04
-
十分すぎる時間が過ぎ去った後。
「…絵里からの愛、感じましたか?」
頬がカッとなる。
絵里は私の反応を楽しんでいて。
私も紺野さんの愛、感じました〜、ってにやにやしてる。
――もう、くやし〜っ!
恥ずかしがるってことは、もっと必要なのかな〜と思って。
私も紺野さんの愛、感じたかったし〜。
言葉なら一方通行でも、行動ならふたりとも感じれますもんね。
一石二鳥ってやつです。
そう、ケロリと言ってのける、絵里が小憎らしくなってくると同時に愛しく思う。
『可愛さ余って憎さ100倍』をちょっとアレンジして、
『憎さ余って愛しさ100倍』ってカンジかな。
無限ループ。
それは増え続けて、止まらない。
- 419 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:06
-
「じゃあ、鍵くださいね?」
「…なんの鍵?」
話がいきなり飛ぶからよくわかんなかった。
「チョコレート。」
ますますわかんなくなった。
時期的にバレタインなのはわかるけど。
「ロッカーです。ロッカー。」
しょうがないから駅のロッカーで許してあげます。
そこにチョコレート入れてびっくりさせてくれるんですよね?
って、なんでそんなに偉そうなの?
…意味はわかったけど。
- 420 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:07
-
「くれますよね?」
きらきらとした目でこっちを見てくる。
――そんな目で見られたら…
「…チョコレートが入ってるってわかってたら、ドッキリさせられないじゃない」
だから、意味な〜い。しらないも〜ん。
しかも、なんで私が絵里にチョコあげることを前提にしてるの?
あげるなんて言ったっけ?
と、そっぽを向く。
――いじわるしたくなる。
- 421 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:07
-
「えぇ〜?」
絵里はちゃんと紺野さんに朝一番に渡しますからっ!
だから紺野さんもちゃんとくださいよ〜っ!
必死になってる絵里がなんか可愛い。
「ちょっと笑わないでくださいよ〜」
ごめん。でも、今は止められない。
だって、おもしろすぎる。
「も〜、紺野さぁ〜ん!」
絵里、泣きそう。あはは。
あげないとは言ってないのに。
ここで絵里を置いて帰るのも一興かも。
思いついたら即実行。
絵里の腕の中を抜け出して…。
- 422 名前:toast pieces of rice cake 投稿日:2006/02/15(水) 17:08
-
「なんで逃げるんですかぁ〜!」
急に走り出した私を絵里が追ってくる。
絵里の方が短距離速いし、追いつかれるのは時間の問題。
でも、そんな一生懸命にならなくても大丈夫だよ。
だって、私が絵里を好きなことに変わりはないから。
- 423 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:09
-
今回から一番最初のメール欄にCP表記することにしました。(できる限り)
これで苦手なものは避けられると思います。
テレビジョンで軽く田紺と新紺があったので、あえて亀紺で。
自分はそういうひねくれた傾向にあります。
バレンタインを忘れていて、13日に下に載せるふたつを載せようとしてたとき、
【チョコ買った?】ってメールが来て、やっと気付きました。
…悲しきかな、受験生。
バレンタイン当日じゃないのは、やっぱりひねくr(ry
紺野さん、いじめっ子?
紺野さんは亀井さんにちゃんとチョコを渡すはずです。(ハズ?
…わざと一日遅らせたり?(笑)
リd*^ー^)<はい、紺野さん、チョコレートです!受け取ってください!
川o・-・)<あっ、ありがと〜。
リd*^ー^)<で、紺野さんは?
川o・ー・)<…忘れてきた。
リd;*^ー^)<えぇ〜!?
おしまい。
次は
>>311-356 『ready?』
の番外編(続編?)だったりする。
- 424 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:10
-
『Lady。』
- 425 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:11
-
高校生活最後の夏。
部活も終わって、勉強尽くし。
いいかげん、勉強にも飽きてきた。
なんで日曜の午前に勉強してるんだろう。
日曜ってさ、思いっきし昼まで寝たり、部活したりする日なんじゃないの?
…え?『違う』?
ま、あたしの中ではそうなってんの。
あ〜なんかおもしろいことないかな〜って。
ほかのこと考えながら、机の上にテキスト広げてる。
こんなん勉強しとらんのと同じやって。
…休憩しよっと。
そう自分の中で呟きながら、シャーペンを机の上に投げ、そのまま机に突っ伏す。
- 426 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:11
-
ピンポーン。
誰だろ。こんな時間に。
ま、お母さんが出るだろうと姿勢はそのまんま。
なにやら話し声が聞こえ、トタトタと階段を上る音がする。
――それだけで誰が来たかわかった。
控えめなノック音。
「――愛ちゃーん?」
あたしの部屋の戸を静かに開けて、覗いてくる。
「…寝てるの?」
机に突っ伏したまんまのあたしの体勢を勘違いしたのか、そう問いかけてくる。
いや、寝てる人に訊いても応えてくれないから。
心の中でツッコミ。
ま〜、寝てない人には有効か。現にあたし起きてるし。
そう思い直す。
- 427 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:12
-
その人はもう完全にあたしは寝てると判断したのか、なにやらゴソゴソし始める。
ピピッ
あたしの耳に何かの電子音が届く。
どうやら、エアコンの温度設定を上げたようだ。
ベッドから何か持ってきてあたしに掛ける。
風邪を引かないように、ですか。
随分と気が利きますね。
でも、あたしには必要ないんだよね〜。
日頃のし返し、だろうか。
あたしの隣に座ってあたしの頬をつつこうとした、その手を捕まえる。
- 428 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:12
-
「え!?ちょっ、寝てたんじゃないの!?」
「寝てた。」
「うそだ、愛ちゃんの寝起きこんなんじゃない!」
「こんなときもあります〜」
「…ほんとに?」
「ま、起きてたけど。」
「……寝たふり?」
「うん。」
その言葉にふにゃ〜と崩れ落ちるあさ美ちゃん。
――そう、あさ美ちゃん。
あたしに人を通すとき、あたしにお母さんが声をかけないはずがない。
ましてや、勉強中。
そんな特別扱いを受けるのはあさ美ちゃんしかいない。
- 429 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:13
-
ふつう、そんな簡単に勉強してる受験生の部屋に入れるか〜?
……お母さん、あさ美ちゃんに甘いもんな〜。
まぁ、あさ美ちゃんのお母さんはあたしに甘いから、いっか。
お母さんもあさ美ちゃんが邪魔しないことをわかってるだろうし。
逆にあさ美ちゃんがいた方があたしが頑張れるってこともわかってる。
母はなんでもお見通し〜ってか?
…軽くプライバシーの侵害やわ。
「愛ちゃん?」
「おはぁ!?」
目の前にあさ美ちゃんの顔が。
…いくらなんでも、近すぎやって。
そんなに近寄ってきてくれるなんて。
気持ち抑えられないよ。いいの?
- 430 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:13
-
「腕。」
「……ん?」
見るとあたしの腕がしっかりとあさ美ちゃんの腰にまわってた。
対してあさ美ちゃんはあたしの肩に手を置いてるだけ。
無意識のうちに行動していたらしい。
…え?…ということは、なに?さっきのはあたしが引き寄せてたの?
……あさ美ちゃんからじゃないのか。
…ちょっとがっくりきたよ、今。…はぁ。
「あ、私アイス持ってきたんだ〜」
愛ちゃん食べるでしょ?と力を緩めたあたしから離れて机の横に置いたコンビニの袋をあさる。
――あ、しまった。
その後姿を見て後悔する。
たとえあたしからだったとしても、しっかりと抱き締めとけば良かった。
あー、もったいないことした…。
そのままぼーっとしていると、はい、とアイスを渡される。
夏らしく、果物が入った、かき氷を思わせる氷菓。
その外装を破って、口の中に放り込む。
一気に冷たさがあたしを襲う。
アイスを口に咥えたまま、なんの気なしにあさ美ちゃんを眺める。
- 431 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:13
-
ストレートに下ろされた髪。
細身のジーンズに黒のキャミ。
ヒモにすこしでも触れたら、結び目が解けそう。
いつもよりも軽装ってわけじゃないけど、明らかにあぶないカッコ。
いくら家が近所だからって無防備すぎじゃない?
夏には変な輩が多いから、気を付けないと。
――…あれから、もう、一年経つのか…。
夏のにおいを感じて、自然と去年の夏が思い出された。
- 432 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:14
-
* * *
「え!?ほんとに!?」
あさ美ちゃんから知らされたことに、かなり驚いて大きな声を出してしまった。
声を出さずにうなずくあさ美ちゃんとは対照的だ。
って、ほんとにインターハイ出場!?
あたしたちの学校の弓道部は結構強いらしいから、一年生で団体の選抜に入っていることすら驚いたのに。
団体で出場決めるわ、個人ででも出場するわ、もう、どうなってんの?
それに、そんな大事なことなら、決まった時点で携帯で教えてよ!
なんであたしの部屋で話してるんだろ?
「…一年生でそれって、かなりすごくない?」
まだ、入ったばかりなカンジなのに…。
「…よくわかんないけど、先生はイメージトレーニングの効果だって言ってた。」
去年、陸上部引退して暇だったから愛ちゃんと一緒にみうな見に弓道部行ってたでしょ?
弓道は見るのも稽古の内なんだって。
私が弓道に興味持ったのもそれがきっかけだしね。
- 433 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:14
-
「あ、もちろん、みうなもだよ。」
みうなが優勝したから。お祝いしないとね〜。
ふたりでインターハイか。なんかうれしいね。
あさ美ちゃんはそう言ってにこにこ笑ってる。
大事なこと言わなかったり、さっきからのんびりのほほんしてるけど。
つまり、あさ美ちゃんはみうなに負けちゃったんでしょ?
「…負けて悔しくないの?」
「うーんとね……悔しくないわけじゃないけどね」
弓道してるときは、なんか私が私じゃない気がして。
心がスッと落ち着いて、世界が止まったように感じるの。
勝ち負けとか、関係なくなっちゃうんだよ。
あさ美はうっすらと微笑んでいた。
- 434 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:19
-
静かにそう語る紺野を見て、高橋は心臓がひとつ大きく波打った気がした。
言っていることもそうだけど。
なによりもそう語る雰囲気がひどく大人びていて。
なぜか距離感を感じた。
いつものあさ美ちゃんのようでいて、いつものあさ美ちゃんじゃなかった。
すべてあさ美ちゃんの全てを知っていると思っていたのに。
あたしの知らないあさ美ちゃんが、そこにいた。
――なんや、コレ……ドキドキが止まらんのやけど……
ひとつ年下の幼なじみ女の子がひどく大人に見えた。
…恋を意識しだしたのは、この時から。
- 435 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:19
-
* * *
残り3分の1のアイスをガリッと噛んで。
回想が終わってから、また目の前にいるあさ美を見る。
…今度はかすかに想いを込めて。
暑い外から来たためか、汗が滲んでいるあさ美。
細い肩に頼りなくかかる、キャミソールのヒモ。
首筋から伝う汗に、なぜか見とれてしまった。
アイスを食べ終わっても、棒をがじがじ噛みながらぼ〜っとあさ美を見つめる。
まだ、あさ美は半分も食べ終わってない。
とけちゃうよ。
――――いろんなものが。
- 436 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:22
-
「ほら、愛ちゃん!」
アイス食べ終わったんなら、休憩は終わり!
受験生に夏休みなんて、ないのっ!
――…あんたが原因じゃん。
頭では反論しつつも、体は勝手に従っている。
……かなわないなぁ。
- 437 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:23
-
「私帰るね。」
高橋がほんとに勉強しようとしているのを見て、
勉強の邪魔しちゃ悪いし、とそそくさと立ち去ろうとするあさ美。
「帰んなくていいよ。」
まだ、アイスも食べかけじゃん。
戸惑うあさ美ちゃんを手で引き止めて。
「それとも、ここにいるの退屈?」
「…ううん、そんなことないよ。」
「じゃあ、いてよ。」
「……うん。」
- 438 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:23
-
あたしにとって、あさ美ちゃんは、諸刃の剣。
あさ美ちゃんのせいで余計なことを考えちゃうときもあるけど、
あさ美ちゃんのおかげでやる気が出てくることもある。
今は“そばにいてほしい”という気持ちが強い。
出て行かれたら、気持ちがしぼんでしまいそう。
…そばにいてくれるだけで頑張れる気がする。
あさ美ちゃんにへんな姿を見せられない。
どうせ思うのなら、良く思われたいし。
気合を入れて、勉強を再開した。
- 439 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:23
-
* * *
あたしが勉強を一段落終えた後。
アイスを食べ終わったあさ美ちゃんは、いつのまにかあたしのベッドで寝ていた。
…かわい。
ぷにぷにとほっぺをつつく。
「ん、やぁ……」
手を払いのけられる。
いつもこんなことばっかするから、あさ美ちゃんも仕返ししてこようとしてたんだけど……
…やっぱ、やめられないよね!
だって、おもしろいもん!
めげずにもう一度、ほっぺに手を当てる。
……柔らかいわぁ〜。癒される〜。
また勉強を頑張る力が補充できたような気がする。
おっと、遊んでる場合じゃなかった。
ついつい夢中になって本来の目的を忘れてた。
そもそも、そのために勉強をストップしたんだから。
…おそるべし、ほっぺの魔力!
- 440 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:24
-
…冗談は置いといて、まず、あさ美ちゃんを起こさないと。
「起きて〜」
ゆさゆさと体を揺らす。
「ん…、起きてる……」
と今度は寝返りをうって、うつ伏せになる。
いや全然起きてないから!
「あさ美ちゃ〜ん、お昼の時間だよ〜」
お昼ごはん一緒に食べようよ〜
そう言うと、さっきまでが嘘のように、むくっと起き上がって。
「ごはん?どこ…?」
「下にあるから。」
さ、階段降りましょうね〜
まるで小さい子に言い聞かせるように。
うん、とあさ美ちゃんも素直にうなずく。
- 441 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:24
-
寝起きのあさ美ちゃんはいつもより子供っぽくて。
いつもと立場が逆転できてうれしい。
あさ美ちゃんの方が年下なのに、いつも年上っぽいの、ずるくない?
あたしだって年上らしくしたいときもある。
てゆーか、寝ぼけてるあさ美ちゃんかわい〜。
寝ぼけて階段から落ちたらダメだから、と口実をつけて手を引いて降りる。
…手を繋いで降りたほうが危ない気がするけど。
出てきた食べ物を目にして顔が輝く、あさ美ちゃんを見て思う。
いつか、あたしを好きにならせてみせると。
焦らずに、ゆっくりと進んでゆこうと。
- 442 名前:〜夏〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:25
-
* * *
あの夏は、単なるきっかけにすぎないなかったけど。
確かに、記憶に残る夏であった。
長年の関係は、ちょっとやそっとじゃ変えられないのか、
あさ美ちゃんとあたしはそれ以上つかず離れず、
幼馴染みの関係を抜けられないまま、季節を越えていった。
そして、その日を迎える――…
* * *
- 443 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:26
-
『Lady。』
- 444 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:27
-
あ〜CP投票、みう紺と村紺と里紺入れればよかったなぁ…。
あさ紺も結構好きですね。……全部マイナーすぎる(?)けど。
みんなが“紺野あさ美はピンク”や“白”と発言する中、
“茶色”と答えた姿(声?)にビビビッっと何かが刺激されました(ナニ。
それとフットサルのとき、マジかっこよすぎる。是永さんもかっこいい。
スポーツできる(頑張る)ひとはかっこいいですよね。
前回の更新は実は主役の誕生日順だったりした。
小川さんから亀井さんまで。
さらに続く。(同じ設定です)
- 445 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:27
-
『Ready!』
- 446 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:28
-
あたしはこの戦いに勝たなければならない。
――どうしても。
- 447 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:29
-
* * *
半ば強引にあさ美ちゃんとお弁当を食べることに成功した後。
ふたりでココアを買いに並んで歩く。
廊下は教室と違って空気が冷たい。
寒がりでくっつきたがりのあさ美ちゃんは人目を憚らずに密着してくる。
それで少しはあったかくなったのか、至極満足げな顔をする。
その顔がかわいいし、あたしだって寒いし、その気持ちはわかるけど……
本当はくっつけてうれしいし、このままでいたいんだけど……
「そんなに、くっついとったら歩けんやざ。」
そう言うと、あさ美ちゃんはしぶしぶ体を離す。
なんか目もうるうるってきてて。
…もっとかまってあげたくなる。
なんでもしてあげたくなる。
- 448 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:29
-
――そんな顔しんといてよ〜…。その顔に昔から弱いんやって。
「…そんな、がっかりせんでも…。」
ほら、と腕を深く絡め、指先ごとあたしの体温で包む。
これなら、そこまで寒くないし、歩けるやろ?
ついでに顔を覗き込むと安心しきった顔。
見てるこっちまであったかくなるわ。
それに……
「家に帰ったら、もっとくっついてもいいから。」
…ややぁ、言ってしまった。
つい、ぽろっと。本音をこぼしてしまった。
これ聞いてあさ美ちゃんはどう思ったんやろ。
…あたしは家でまったりとあさ美ちゃんとくっつきたいんだけど。
- 449 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:30
-
あぁ!なに考えてるんだろ!もう恥ずかし!家に帰りたい!
…あ、いや?今のは早く帰ってくっつきたいって意味で言ったんじゃないですよ?
この場から逃げ出したいという純粋な思いです。
……あれ?誰に言い訳しとるんやろ?
いろいろ思ってるうちにますます体温が上昇したっぽい。
その上昇した体温を得ようとするかのように、
さらにあさ美ちゃんがくっついてくる。
そんなんしたらもっと体温上がってしまうやんか〜!
廊下は寒いはずなのに、暑い。
冬なのに、暑い。
…心は春みたいにあたたかい。
――…幸せ。
- 450 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:30
-
「せ、せんぱい!?」
そこに、ゆったりとした雰囲気を壊す、声。
なぜだか振り返る、あさ美ちゃん。
あたしはあさ美ちゃんとの時間を邪魔されて軽く不機嫌になる。
「絵里?」
どうやら声を出した人はあさ美ちゃんの知り合いみたい…。
聞いたことのある、名前。
それに見たこともある。
呼び方からしてかなり親しい関係のようだ。
下の名前で呼んでるから、弓道部かな…。
記憶の中から探し出す。
……わかった。
よくあさ美ちゃんの話から出てくる、弓道部のマネージャーの亀井絵里。
そのコに間違いないと思った。
- 451 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:30
-
いつも話を聞いている限り、その子もあさ美ちゃんに好意を持っていると感じてた。
でも、自分の敵ではないとも思っていたから、なんの歯牙にもかけなかった。
……どうやら、思い違いのようだ。
このコからは秘めている意志がありそうだ。
…あさ美ちゃんに寄せる想いの強さが。
これから強敵になりそうなそのコをじっと見る。
するとそのコもキッと目線を向けてきた。
視線が交錯する。
一瞬の睨み合い。
…まるであさ美ちゃんへの想いの強さをはかり合うかのように。
- 452 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:31
-
――なかなかやるじゃん…。
今度ははっきりとあさ美ちゃんを好きなことが伝わってきた。
でも、あさ美ちゃんだけは譲れない。
そのコはにらみあった後、さっと身をひるがえして、去っていった。
「ちょっ…、絵里!?」
追いかけようとするあさ美ちゃん。
離れてほしくなくて。
ましてや、あのコが理由。
そのことが耐えられなくて。
ぎゅっ。
あさ美ちゃんの手を握る。
- 453 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:31
-
「愛ちゃん…私、行かなきゃ…、だから……」
あさ美ちゃんは何か言ってるけど。
「…行かないで……」
このぬくもりがあの子に取られてしまいそうで、コワイ。
感情のままに。
あさ美ちゃんの向きを変え、正面から抱き締める。
…あたしは、この手を、離さない。
- 454 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:31
-
――――――
――――
――
「……――ちゃん?愛ちゃん?」
しばらくして背中をぽんぽんと叩かれる。
「…なに?」
すこしつっけんどんに返す。
「もうすぐお昼休み終わっちゃうよ?」
だから教室に帰ろ?
そう言って身体と身体の間にわずかな隙間を作られる。
まだこうしていたくてその隙間を埋める。
- 455 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:32
-
「…もう…」
つぶやきだけであさ美ちゃんの困った様子が覗える。
困らせるのは悪い気がして、自分から身体を離す。
「帰ろっか…」
そう言うと手を繋いでわざわざあたしの教室まで送ってくれた。
教室に行くまでの間、今までにないかんじの沈黙。
いつもだったら話さなくても、こんなに重たく感じないのに。
「ん、ありがと。」
じゃあ、と言ってあさ美ちゃんが歩く方向はあさ美ちゃんの教室とは違う方向。
行き先はわかっている。
その背中に。
「食事終わったら……」
…今日は時間指定したほうがいいかな。
「…八時くらいになったら、あたしの部屋に来て!」
あさ美ちゃんは振り返って、うん、と頷く。
- 456 名前:〜冬〜Ai 投稿日:2006/02/15(水) 17:32
-
たぶん、この後、あの子を探しに行くのだろう。
結局あたしを置いていってしまうあさ美ちゃん。
そんなあさ美ちゃんなんか、きらい。
だいきらいだよ。
…でも、好き。
- 457 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:33
-
『Ready!』
- 458 名前:桃色片想い@カラオケ 投稿日:2006/02/15(水) 17:33
-
从‘ 。‘从<<迷うなぁ〜♪
川;o・-・)<……。
从‘ 。‘从<<亀ちゃんなの?愛ちゃんなの?どっちが好きなの〜?
川;o・-・)<……う〜ん…
从‘ 。‘从<<そっんな風になっちゃうのはあややが好きだからよ〜♪
川;o・-・)<…そうなのっ!?
从‘ 。‘从<……とりあえず、デートしてみる?
- 459 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:35
-
松紺にも挑戦してみたw…なんてなorz
続き書くとすれば、高紺か亀紺、どっちにしようか…。どちらにすべきか。
本当は最初亀井さんと紺野さんしか出さない予定だったのに…。
高橋さんが乗っ取りました。もう主役3人でいいやっ!
「予定は未定」という言葉が身に染みる〜♪
…とりあえず、老若男女問わず、脚が細長い人のジーンズって素敵ですよね!
ちなみにブラックのスリムがお気に入りです。(ゴマカシ
- 460 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:37
-
とりあえず、小まとめ。
『れでぃ』
>>311-354 『Ready?』
紺野視点(冬)+亀井視点(春・冬)
>>424-443 『Lady。』
高橋視点(夏)
>>445-457 『Ready!』
高橋視点(冬)
>>355 おまけ高紺亀
>>356 おまけ亀紺
>>458 おまけ松紺?(高紺亀)
『Ready?』は「ready?」と表記していたんですけど、
それだと『Lady。』が「lady。」となってわかりにくいので変更しました。
統計的に見て、あと残っているのは、「秋」と回数的には「紺野視点」。
でも、たぶん、「冬」で、違った題名にします。「れでぃ」ネタはもう尽きた(笑)
…計画性のない人なんです。
- 461 名前:ペーパー 投稿日:2006/02/15(水) 17:38
-
<<407 110さん
毎回、ありがとうございます!
スレタイは、むしろそれがメインの意味です(ぇ?
あとは「constellation→星座の、集まり」・「mote→欠片、ほこり」なので
意訳して『ガラクタの集まり』(この駄文…)と
『輝く星のカケラ、輝く星の集まり』(それでも輝く彼女達。)といったカンジです。
…ん〜、セ○ターは…(苦笑)
<<408 名無し飼育さん
「an open secret」は、こうだったらいいな〜と書きました。
だからですかね?たぶん、最短時間で終わりました。
同じことを思ってらしたようで良かったです。
今回の更新は高紺と言っていいのか、謎です。高紺(亀)?
<<409 名無飼育さん
…おだてても、なにも出てきませんよ?
出てくるのは、どうしようもない小説(作文?)だけです。
同級生ですか?奇遇ですね!(使い方違う…)
あなたもいろいろ頑張って下さい!
ちなみに、いつもは中学生に戻った気分で書いてます。作文を(笑)
まず場面が浮かんできて、それを繋ぎ合わせているので、文章が区切れ区切れなのです。
だから、いきなり話の展開が飛んだり。しょっちゅうです。
……精進します。
読んだ方、お疲れさまでした!
次は三月の終わり頃にでも。
- 462 名前:(@´∇`@) 投稿日:2006/02/28(火) 01:55
- ( ´v`)<お久しぶりれす
のんなのれす(チガウ
気になりますねぇ
川‘ー‘川<あさ美ちゃん!!
ノノ*^ー^)<あさ美先輩!!
川‘ー‘川ノノ*^ー^)<どっち!?
川o・-・)<えぇっと………
- 463 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:12
-
『友達未満?』
- 464 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:13
-
今、恋人の家で、他愛もないことを話している
……はず、なんだけど。
「昨日、まこっちゃんと食べに行ったんだけど〜」
「うん」
「…それで、そこのかぼちゃのデザートがすっごいおいしくて〜」
「うんうん」
「……また行こうね〜って話してたんだけど〜…」
「うんうんうん」
「…………愛ちゃん、聞いてる?」
「うん、聞いてるよ。」
本人はそう言ってるけど、さっきから「うん」ばっかり。
聞いてるって感じはなくて、ただ私を見てる感じ。
- 465 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:14
-
――最近私が話してるばっかりで、愛ちゃんの話を聞いてないような気がする。
昔は宝塚の話とか、すごい勢いで語ってたのに。
…止めようとしても止まらないぐらいに。
…今でも、まめとかまこっちゃんとかには、楽しそうに語ってるくせに。
話してくれないと寂しい。
私にだって、聞く用意ぐらいあるよ。
「…愛ちゃんは、何か話したいこと、ない?」
「ん〜…特にない。」
…やっぱり。
私と話してても、つまんない?
恋人の私は、友達以下ですか?
…話す価値も無い人ですか?
それとも“恋人”はただの“カンチガイ”?
- 466 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:14
-
「…私と話すの、つまんない?」
直球、ど真ん中。
ピッチャーとバッター。
ボールの行方は。
ストライク?ボール?ホームラン?
まっすぐだから、ボールの確率は低い、はず。
他にも色々とあるけど、思いつかない。
…どっち?
「ん〜…つまんなくはない」
…ファール、っぽい。
ピッチャーにボールが戻ってこない。
…変化球が好きな人かな?
- 467 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:14
-
「愛ちゃんのお話、なんか聞きたいなぁ〜」
カーブでもシュートでもいい。
なんでもいいから、変化球。
「んや、いいよ〜。あさ美ちゃん、話したいことあるんやろ?」
ボール。大きく外した。
または、変化球は素人がやっても曲がらなかった。
「ほら、あさ美ちゃん、話して?」
愛ちゃんは話す気が、ないみたい。
- 468 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:15
-
「…まめとかまこっちゃんには話すくせに!」
こうなったら。
変化球だけど、変化球ぽくない。
チェンジアップ、ど真ん中。
ある意味最も打ちやすく、打ちにくい球。
「…やきもち?」
やきもち焼いたんか〜、そっかそっか。
うんうん、納得したように頷いて。
…めっちゃうれしそうなんですけど。
- 469 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:15
-
「なによ、私と話したくないんでしょ?」
友達以下なんだよね?
…ちょっと、いや、かなり、可愛くない言い方をしてしまった。
だけど。
「そんなことない」
ぎゅっと抱き締めてくれる。
- 470 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:15
-
「わたしは、あさ美ちゃんの話、あんまり聞いてないよ。」
「……。」
「でも、見てる。あさ美ちゃんのこと。」
「……?」
「話の内容とかじゃなくて、話し方とか、目とか…見てるだけでいい。」
「………」
「それにあさ美ちゃんと話したくないんじゃなくて、話さないの。」
「……よく、わかんない。」
話したくないから、話さないんじゃないの?
「ん〜とね、わたしは話すと周りが見えなくなるの。」
「…知ってる。」
「だから、あさ美ちゃんといるときは話さないようにしてるの。」
あさ美ちゃんをできる限り、感じてたいから。
友達みたいに、話さなくてもいい。
あさ美ちゃんは、友達じゃなくて、恋人だから。
「……よくわかんない。」
- 471 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:16
-
よくわかんないけど。
愛ちゃんが私のことを特別に思っていてくれているのはなんとなくわかる。
愛ちゃんはバッターじゃなくて、キャッチャーだったらしい。
ボールは全部、グラブに捕られていた。
スリーストライク。
バッターアウト。
ゲームセット!
- 472 名前:九回表 投稿日:2006/03/24(金) 17:16
-
『友達未満?』
- 473 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:17
-
「九回表」はなんとなく。
「裏」でも良かったけど、後攻の二点リードみたいな?はい、テキトー。
話すのが楽しいから、好きってわけじゃないときもある。
友達でも、恋人でも、家族でも。誰でも、何でも。
なぜ好きだか、わからない。
わからないからこそ、好き。
そういうのもいいんじゃない?
ま、そんな感じです。
自分でも何を書きたかったか意味不明です。
- 474 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:17
-
※『ひと夏の騒動』の設定を軽く受け継いでいます…。
『韓国へ行こう!』
- 475 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:18
-
あさ美がある企画の商品で韓国旅行をもらっていた。
しかも、『 二 泊 三 日 』の。
あさ美とふたりきりで二泊三日なんて……もう……ゆめ?
- 476 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:18
-
いつもはみんなの邪魔が入って、うまくいかないけど。
…そう、夏に告白しようとしたときも。
タイミングを狙っていたかのように亀井ちゃんとさゆが入って来て。
それを境に続々とみんながやって来て、結局、あさ美に告白できずにいた。
…たぶん、覗いてたんだと思う。
それで、告白する瞬間を見計らって入って来たんだ。
考えてみれば、ハローのみんながもう来てたのに、娘メンバーだけが来てないのはおかしかった。
…そう考えた方が辻褄が合う。
- 477 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:19
-
だけど、二日間ふたりきりならば、それはない。
ふたりきりだから邪魔は入らないし、いい雰囲気になったりもして?
……や〜ん、あーしってば大胆?なんて。
だけど、あたしは浮かれすぎて、忘れていた。
あたしと同じようにあさ美との韓国旅行を狙っている輩がたくさんいることを。
* * *
- 478 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:19
-
スポーツフェスティバルの後は打ち上げで。
盛り上がったまま、それとなく解散してしまった。
その翌日、あさ美に韓国旅行の話をしようと近付く。
「あさ美、おはよ〜」
「愛ちゃん、おはよう。」
自然ににこっと笑うあさ美。
それを見て、あたしも自然と笑顔になる。
この頃、以前よりもあさ美があたしに気を許してくれているような気がする。
見つめあうと、空気がふわふわっとなって、ほんわかっとなって。
ふたりの空気ができるようになったと思う。
本当は見えないはずだけど、見えるんじゃないかとさえ、思う。
なんとなく、いい雰囲気。
- 479 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:19
-
えへへ、という感じにずっと見つめ合ってると、時間が経つにつれ、
そのことを不思議に思ったのか、ん?と首を傾げてくる。
…かわいい〜。
「あのね、あさ…」
「ぽんちゃ〜ん!」
いきなり突撃してきたれいなにあさ美を奪われる。
自分で運動が不得意だと言うようには……見えないね、今は。
わけわかんないスピードでどっかに消えていった。
……そうだ、忘れてた。
邪魔ばっか気にしていたけど。
邪魔されるのは、みんながあたしとあさ美の仲を上手くいかせたくないからで。
それはあさ美が好きだからで。
…あさ美を好きなひとはたくさんいる。
当然、あさ美とふたりきりで韓国行きたい人もたくさんいる。
……競争率、高っ!
- 480 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:20
-
頭の中で計算してみる。
え〜っと…。
ライバルはたくさんるけど…、たぶん可能性が高いのは「メンバー」だろう。
だから、「娘。」だけで考えてみる。
「娘。」以外は省く。…「ガッタス」とか考えられなくもないけど。
楽屋を見回すと。
麻琴と久住ちゃんと藤本さんはさっきから吉澤さんの周りをうろうろしてる。
……温泉狙いか。
…あっ、いま藤本さんが吉澤さんの膝から久住ちゃん下ろした。
ま、いつもの楽屋の光景だね。
これで、まず、9人中4人脱落。
…強敵の藤本さんがいなくてほっと一安心。
残りはがきさん、亀井ちゃん、さゆ、れいな、あたし。
さゆはそこまで一生懸命にはならないだろう。
れいなは積極性があるから、ちょっとこわい。
ダークホースはがきさん。
何気にいつもいいポジションとってるんだよね。
…そして亀ちゃん。
この子は…何考えてるのかぜんっぜんっわっかんない!
…要注意人物。
- 481 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:20
-
考えてると、れいなに連れ去られたあさ美が帰ってきた。
そのとき。れいなも一緒に帰ってきたけど…。
……うわっ、暗っ!
声もかけられないほどに深く沈んでいた。
「本場の焼肉食べたいよな〜」
チラチラッとあさ美を見ながら、藤本さんが言った。
…わかりやす過ぎ。
でも。
さっき、吉澤さんにも一緒に温泉行かない?と誘ってませんでしたか?
…ふたりともなんて、欲張り過ぎです!
「大丈夫だよ、美貴ちゃん。」
にこっとあさ美。
目が輝く、「娘。副リーダー」かつ「ガッタス副キャプテン」。
…まさかっ!あさ美、藤本さんと一緒に行くつもり!?
いやーっ!やめてーっ!
- 482 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:20
-
「いつか食べる機会あるよ。」
そのあさ美の言葉を聞き、がっくりとうなだれる藤本さん。
…だろうな、遠回しに一緒には行かない、と言われてるようなもんだし。
周りを見ると、麻琴も沈んでた。
たぶん、吉澤さんに断られたんだろう。藤本さんも。
藤本さんが立ち直れてないうちに、また久住ちゃんが吉澤さんの膝に乗りだした。
吉澤さん、温泉行く相手、決まっとったんかな。
ちょっと、興味あるし、後で聞いてこよ。
…二回も断られた藤本さんはかわいそうだけど。
ある意味、当然だよね。
二兎を追うものは一兎をも得ず。
あたしの韓国行きの可能性が高くなったので、あたしはうれしい。
ライバル、ひとり減った〜!
- 483 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:20
-
…と思ったら、あさ美とさゆと亀ちゃんがいない。
がきさんはいつのまにか沈んでるし。
…砕け散った後か。
沈んでるがきさんとまことを放って置くのも忍びないので、
お互いにふたりで慰めれるようにまとめて置いておいた。
何はともあれ、三人を探しに楽屋を出る。
あれだけ、断っているのだから、あさ美はもう一緒に行く人を決めている可能性は高い。
残りは三人。単純に考えれば三分の一の確率。
…だけど。
これはあたしの欲目かもしれないけど。
あたしの確率は確実に二分の一を越えていると思う。
- 484 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:21
-
そうこうしてるうちにさゆと亀ちゃんを発見。
俯きがちに歩いてくるふたり。
「あさ美は?」
「…自販機の前のソファにいます。」
ふたりの雰囲気から結果がわかる。
…今はそっとしておいてあげよう。
「…紺野さんは手強いですよ。」
「……私の作戦、失敗しました…。」
亀ちゃんの作戦ってなにさ!?
こわっ!……めっちゃ気になる。
せいぜい頑張って下さい、という微妙な応援をもらい、ふたりと別れる。
勝利は目前。
どうしようもなく、気が逸る。
だけど、不自然じゃないように、ゆっくりと目的地へと向かう。
- 485 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:21
-
いた。
「あさ美!」
名前を呼ぶとこちらに振り向いて、ほんわかとした声であたしの名前を呼んでくれる。
「愛ちゃん、どうしたの?」
「…隣、座ってい?」
いいよ〜、と快い返事。
では早速本題へ。
「あのさ…」
「ん?」
「か、かんっ…」
やっば!言葉になってない!
…カントリー娘。紺野と藤本(モーニング娘。)の活動?
今はガッタスがそんな感じかな〜。
変な風に解釈したあさ美が勝手にうんうん頷いてる。
や〜!違うんだって〜!
- 486 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:21
-
「韓国!」
「あ〜、そういえば野球勝ったよね〜日本。」
ニュースでやってた〜王監督だよね〜。
またちが〜うっ!
さっきまでさゆと亀ちゃんとかと話してたんじゃないの?
なんで間違うことできるの!?
「韓国旅行!」
「…あ〜、私がもらったやつ?」
「そうそう!」
「それがどうしたの?」
もうまったく鈍いなぁ〜!普通これだけ言ったら気付くって!
…まぁ、それがあさ美なんだけど。
- 487 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:22
-
「あたし、あさ美と一緒に韓国旅行行きたいな〜、と思って!」
よしっ!言った!
これなら、いくらあさ美でもわかるだろう。
「…あれ?愛ちゃんに言ってなかったっけ?」
おかあさんにあげたの。
たぶん、おとうさんと一緒に行くんじゃない?
…そういえば愛ちゃんに言うの忘れてたかも。
二日間もスケジュールとか空けれないしね〜、と言うあさ美の声が遠くに聞こえる。
- 488 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:22
-
「………。」
「…愛ちゃん?」
うなだれたあたしに、大丈夫?という声がかかる。
全然大丈夫じゃない〜…。
首を横に振る。
「そんなに韓国行きたかった?」
譲れば良かった?ごめんね?
と謝ってくるあさ美に、ううん、と首を振る。
あさ美は、じゃあ、なんで?と聞いてくる。
「…あさ美と一緒にいたかったの。」
そう言うと、あさ美は少し考え込んで。
- 489 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:22
-
「…うち、来る?」
おかあさん旅行の間いないから、うち空いてるし。
私ひとりで寂しいし。泊まりに来てよ。
ね?と首をかしげるあさ美に。
思いっきり、抱きついてやった。
- 490 名前:高橋さんの思案 投稿日:2006/03/24(金) 17:23
-
* * *
韓国じゃないけど。
そんなこと、前もなかったわけじゃないけど。
二日も連続でお泊り。
ふたりきり。
どきどき。
確実に前より関係が進んでいる気がした。
この調子で恋人になれるように突っ走りますっ!
ちなみに吉澤さんは里田さんとアヤカさんと三人(一人分割り勘)で温泉に行くらしい。
- 491 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:24
-
『韓国へ行こう!』
改め
『お泊りへ行こう!』
- 492 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:25
-
韓国旅行は紺野さんの中では終わった話だったので気付かなかったらしい。
…どんな理由だよ!
ミュージカルは亜弥愛でも楽しみにしておこう。
キッズでは熊井さん、清水さん、夏焼さん、有原さんが気になるねぇ。
自分、CPはDDでは決してないけど、HPはDDなんですよね〜。
『わっきゃない(Z)』とか『白いTOKYO』とかいい曲だと思いません?
メロンさんの『夏』とか『香水』とか他にもたくさんいい曲あるある。
…『レインボーピンク』もいいよねっ!…所詮DD。
今回の更新は後1個載せます。
変ですが、ここでレス返ししておきます。
>>462 (@´∇`@)さん
辻さん、おひさしぶりです!(違う?)
どっちですかね?
…自分もわかりません。
次回はたぶんそれの続きだと思われます。
- 493 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:26
-
後悔先に立たず、ということで、最初に後悔しておきます…。
まさかの、初めての、暗い・ダーク系です。
「誰もが通る道」と自分を叱咤して書きます。
だけど最後の方が上手く行かないので後回しします。(←ダメな人)
よって後編はほんの少ししかありません…。
では、どうぞ。
- 494 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/24(金) 17:26
-
『何度も……』
- 495 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:27
-
何度も ささやいた 言葉
何度も 交わした 口接け
何度も 重ねた 身体
何度も 伝えた 想い
でも
――何度 ささやいても ささやき足りなかった
―――何度 交わしても 交わし足りなかった
――何度 重ねても 重ね足りなかった
―――何度 伝えても 伝えきれなかった
そんなの当たり前
――言葉では、表現し尽くせないから。
―――離れている方が、不自然だから。
――キミを、手離したくないから。
―――自分でも、持て余しているから。
- 496 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:28
-
溢れる感情を抑えきれない。
キミがふとした瞬間に、知らない子に見えるときがあるから。
今いるキミは、次の瞬間には知らないキミになっている。
キミは変わっていくから。
今のキミも、新しいキミも欲しい。
感じていたい。
触れていたい。
確かめていたい。
独占したい。
こんなのあたしの身勝手なワガママだってわかってた。
でも、キミはあたしの傍にいてくれた。
だから、思ってもみなかったんだ。
キミがあたしの傍にいないなんて。
- 497 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:28
-
* * *
暗い、あたしの部屋。
かすかに射す月の光だけが目に何かを映し出させる。
ベッドの上には愛しい人。
かたく閉じられた瞳。
まだ、赤みの残る頬。
眠っているようにしか見えない。
でも…
段々と白くなっていく、顔。
上下していない、胸。
- 498 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:28
-
わかってる。
それらがあたしとキミとの世界を隔てている。
冷たい横顔。
一層、濃くなる境界線。
いつもとは違うキミの様子にどうしたらいいのかわからなくなる。
- 499 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:29
-
――ねぇ、どうしたの?
―――しゃべってよ
――笑った顔をみせて
―――あさ美ちゃん
呼びかけようとしても、声にならなくて。
呼びかけようとする言葉も、ちぐはぐで。
世界に一人残されたような孤独感があたしを襲う。
- 500 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:29
-
ねぇ、あさ美ちゃん。
なんであたしを置いていくの?
キミいない世界なんかに興味はない。
ねぇ、あさ美ちゃん。
あたしもそっちにつれていってよ。
あさ美ちゃんとの思い出が走馬灯のように駆け巡った。
- 501 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:30
-
* * *
出会った時は思いもしなかったんだ。
こんなに大切な存在になるなんて……。
* * *
気付いたら、目で追ってた。
いちいち行動がおかしいなぁ。
どうしたらそんな風におもしろくなれるの?
“おもしろさのコツを掴めっ”ってノリで。
でも、保田さんとか吉澤さんとか麻琴とかもおもしろいと思っていたけど、
じっとみつめたりはしなかった。
- 502 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:30
-
ふとした仕草がかわいい、とか
なんか小動物みたい、とか
関係ない事ばっかり思っちゃって
自分で何してるんだろう、って考えた。
今思えばそんなのはタテマエだったんだから
違和感があったのはアタリマエで。
その頃からあさ美ちゃんを意識してたのかと思うとヘンなカンジ。
- 503 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:31
-
* * *
これが恋だって気付いたのは
出会って一年たった頃かな?
はっきり“これが恋だ”と気付いたんじゃなく
いつのまにか、じわじわと“これが恋なんだ”って。
麻琴に抱きついている姿を。
ガキさんに餌付けられている姿を見て。
石川さんに“梨華ちゃん”と呼ばされているのを。
柴田さんに甘えているのを聞いて。
もやもやってした。
“もっとこっち来てよ”
なんでこんなこと思うんだろうって考えたら。
これが嫉妬ってヤツかな。
まぁ、友情にも嫉妬ってあるよね。
そんなふうに片付けた。
- 504 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:31
-
でも、あさ美ちゃんがあたしの家に泊まりに来て。
ひとつのベッドで手を繋ぎながら寝たとき。
思ったんだ。
離したくない。
このまま時間が止まればいいのに。
それからは。
おかしい。
女同士。
不道徳。
色々考えたけど、気付いた想いは
もう止まれなくて。
キミに思い切って突っ込んだ。
- 505 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:31
-
…それなりの覚悟はしてた。
というよりも、悪い展開しか頭に浮かばなくて。
だけど、あたしの予想に反して。
キミは突っ込んだあたしを受け止めてくれるどころか、そのまま包み込んでくれて。
うれしくってうれしくって。
涙がとまんなかった。
キミはいきなり泣き出したあたしにおろおろして。
だけど、しっかりと抱き締めてくれたよね。
だから、もっと涙が溢れてきたんだ。
- 506 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:32
-
それからはふたりとも「付き合っている」ということを意識しすぎて。
ぎこちなくなったり。
なかなか先に進めなかったり。
いろいろあったね。
そのときは真剣に悩んでた。
だけど、どこか楽しんでいる自分もいた。
そして、時が経つにつれ、愛しい記憶となった。
だけど。
今思えば。
こんなことになるのなら。
もっとキミと過ごせばよかったかもしれない。
- 507 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:32
-
* * *
「ねぇ……。」
呼びかけても、返事はない。
本当は、わかってる。
だけど…諦めきれない。
…諦めきれるものじゃない。
「…あさ美ちゃん?」
起きてってば。
そのおっきい目を開けて、あたしに笑って見せてよ。
- 508 名前:前編 投稿日:2006/03/24(金) 17:33
-
「――ねぇってば…」
あたしの声に涙が混じっても、当然、あさ美ちゃんの目が開くことはない。
どうすることもできなくなったあたしは。
あさ美ちゃんの頭の両サイドに手を付けて。
キミの口唇に、口唇寄せて。
ふたつを重ね合わせ、ふたりの世界を繋げる――――
――今、キミを迎えに行く――
〜続く〜
- 509 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:09
-
口唇めがけて落とした口接け。
しかし、口接けが落ちた先は、なぜか頬。
「…………。」
もう一度。
今度は反対側の頬に落ちた。
「………。」
……やっぱりね。
- 510 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:10
-
「あさ美ちゃん、好きだよ。」
顔を近づけたままそう言うと、頬がピクッと動いた。
…初めからわかってたけどね。
「あさ美ちゃんは、あたしのこと、嫌いなの?」
今度はピクピクっと動いた。
――もう少し、だな……。
- 511 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:10
-
「あさ美ちゃんが寝てるわけないじゃん。」
「………。」
「あさ美ちゃんがこんな寝相いいわけないもん。」
あさ美ちゃん、寝相悪いもんね〜。
「ちょっ…っ!」
その言葉に反応したあさ美ちゃん。
その油断した隙に、すばやく口付ける。
出かけた言葉をくるむように。
丁寧に。
ようやく開いたあさ美ちゃんの目をみつめながら。
あさ美ちゃんの抵抗も包むように。
手を絡める。
- 512 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:10
-
しばらくして。
やっとあさ美ちゃんの力が抜けたのを感じて。
ふさいでいた口を離し、そのままぎゅっと抱き締める。
ついでに、大好きだよ、と耳元でささやいて。
「…私、もう、無理なの。限界なの。疲れたの。」
「全然無理じゃない。全然大丈夫。」
「…愛ちゃんの変態。すけべ。ばか。えっち。」
「……そうかもしんない。」
「ちょっとは否定してっ!」
顔を赤くしながら必死になってるあさ美ちゃん。
だけど…。
- 513 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:11
-
明日はお休みだから、寝坊しても大丈夫。
そう考えたあたし。
のんびりしていたあさ美ちゃんをいきなりベッドに連れ込んで。
…ひさしぶりだから、抑えが効かなくて。
だから、あさ美ちゃんはいつもよりもきつかったみたい。
だけど、あたしはまだしようとしていて。
そんなあたしの相手を避けるために、寝たフリをしていたあさ美ちゃん。
…これで否定できるほど、ばかじゃない。
「でも、それはあたしのせいじゃない。」
「………へ?」
「あさ美ちゃんが悪い。」
「……!何言ってんの!?」
「じゃなきゃ、こんなに夢中になるなんてありえんもん。」
- 514 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:11
-
あさ美ちゃんが誘ってるから。
こんなにも、夢中。
あたしの「好き」という気持ちが、あさ美ちゃんの「好き」という気持ちに反応して。
さらにあたしの中の「好き」という気持ちが育つ。
その気持ちを無視することはあってはいけないことだと思う。
その気持ちに正直に行動したら、自然とそうなってたわけで。
体を合わせることはいけないことじゃないと思う。
体を合わせることは悪いことじゃないと思う。
- 515 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:12
-
何度も ささやいた 言葉
何度も 交わした 口接け
何度も 重ねた 身体
何度も 伝えた 想い
でも
――何度 ささやいても ささやき足りなかった
―――何度 交わしても 交わし足りなかった
――何度 重ねても 重ね足りなかった
―――何度 伝えても 伝えきれなかった
そんなの当たり前
――言葉では、表現し尽くせないから。
―――離れている方が、不自然だから。
――キミを、手離したくないから。
―――自分でも、持て余しているから。
いつでも、感じていたい。
いつでも、触れていたい。
いつでも、確かめていたい。
いつでも、独占したい。
- 516 名前:後編 投稿日:2006/03/31(金) 05:12
-
だから、もう一度ささやく。
「大好きだよ――」
その言葉に真っ赤になる、キミ。
何度も、聞いているはずなのに。
それ以上のことだって、何度もしているはずなのに。
そんなキミが愛しい。
そんなキミを失わないためなら。
何度でも、ささやくよ――。
『何度も…』〜終〜
- 517 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/31(金) 05:13
-
ダークと言えば、ダーク。書いた人もダーク(腹黒)。
…出来心で書いた。反省は特にしてない。
…最初に後悔しておいて良かった!
起承転結を使ってみたかっただけ。
…結構わかってた人が多いと思う。
『大阪 恋の歌』のリリース時期に考えてた。(書いてはなかった。)
恋愛はひとりではできない。
ひとりではなく、ふたりでするものだ。
自分がいて、相手がいて、初めて成り立つものなのである。
って、なんか聞いたことありません?
- 518 名前:not セクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:14
-
『not セクシー』
先日、メンバーの中で一番「SEXY」なのは誰か、というアンケートがあった。
ほとんどの人達が「吉澤さん」を指名していた。
これは大いに納得できる結果。
だけど、ひとつ疑問に思ったことがある。
なんで紺野さんにはひとつも入ってないんだろう?
私は藤本さんに入れたけど、紺野さんにもひとつぐらいは入ってると思ってた。
今回の新曲での衣装でも、一番足出してないし…。
- 519 名前:not セクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:15
-
…う〜ん、わかんない。
他の人が出した結果を、私が考えても仕方がない。
ということで。
私の教育係の道重さんに聞いてみた。
「小春ちゃんにはまだ早いよ」
聞いてみたが、この通り、灰色回答。
そう言われても、気になるものは気になる。
それに、その言葉から逆に、“理由がある”ことを確信できた。
「…私だけ仲間外れにするんですか?」
道重さんの体を精一杯揺らす。
「…見てみれば、わかるよ」
言葉を濁された。
- 520 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:15
-
他の人に聞いても、同じような答え。
しょうがないから、道重さんの言う通り紺野さんを観察してみることにした。
紺野さんの衣装は、「セクシーボーイ」のジャケ写と同じ衣装。
黄色くて、メンバーで一番脚が隠されてる、例の衣装。
んー……。
「……。」
はぁー……。
「……。」
むー…。
「あのー…。」
おっ。話しかけられた。
「なんですか、紺野さん?」
「え?いや、久住ちゃんが用があるんじゃないの?」
そんなにじっと見られると照れるんだけど、って紺野さん。
そうやって赤くなる紺野さんがかわいい。
もうこの世界になって結構経つはずなのに。
そんなことで照れるなんて、かわいい。
- 521 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:16
-
もしかして、道重さんはこのことを言いたかったのかな?
紺野さんは「セクシー」というより「かわいい」ってことなのかな?
…ん〜、いまいち納得できない。
「かわいい」のはわかる。
わかるけど……、「セクシー」ではないことはないと思う。
う〜ん…。
考えれば考えるほど、わかんなくなっていく。
誰か教えてくれないかなぁ…。
- 522 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:16
-
そこにいた新垣さんと話し始めた紺野さんから目を離して、周りを見渡す。
あっ、高橋さん、暇そう!
机に顎を乗せていかにも寝そうな体勢を取っている。
でも、全然眠たくなさそうで。意識ははっきりしてるみたい。
だから、教えてもらおうと、高橋さんに近寄る。
なぜか、こころなしか顔が赤い?
熱でもあるのだろうか。
だからそんな体勢なのだろうか。
すこし心配になって、もうちょっと近付いた。
すると、高橋さんがどこか一点を見ていることに気付いた。
見ているのは……紺野さん?
紺野さんが動くたびに、高橋さんの視線も動く。
- 523 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:16
-
私が疑問に思っていたことと何か関係があるのかもしれない。
興味を引かれ、注意深く、視線を追っていく。
……えっ!?
高橋さんの視線は意外なところに辿り着いた。
私が全然予想していなかったところに。
…紺野さんの腰。
もしかして高橋さんが赤くなっていたのは、これが原因?
風邪とかじゃなくて?
…ええぇ!?なんで?
不思議に思いつつ。
でも、これで答えがわかるかもしれない。
そう思って、私も高橋さんに倣って紺野さんの腰に注目してみる。
- 524 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:17
-
「………。」
じ〜っと。
高橋さんに負けないぐらい、見つめる。
…あっ。
紺野さんが身じろぎしたと同時に…。
衣装のキャミソールがめくれて…。
おなかがチラッと見えた。
縦にうっすらと入った線。
顔に似合わず、鍛えられた腹筋。
だけど。
白くて、すべすべしてそう――
はっと気付くと、なぜか紺野さんに見入ってしまっていた。
アブナイアブナイ。
- 525 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:17
-
もう一度、紺野さんを見る。
さっきはこちらに対して、ななめだったけど。
今度は後ろ向き。
あっ。
背中が……――
くっきりと見えるきれいなへこみ。
なぞってみたい――
はっと気付くと、またなぜか紺野さんに見入ってしまっていた。
アブナイアブナイアブナイ。
- 526 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:17
-
そして、高橋さんを見ると、こころなしか嬉しそう。
…高橋さんと私の目が合う。
高橋さんはいきなり立って、紺野さんに駆け寄った。
自分のコートを持って。
そして、紺野さんに掛ける。
「寒いから」とでも言ってるようだ。
自分は見るのはいいけど、他の人に見られるのはイヤなんですか。
……そうですか。
高橋さんも紺野さんのコートを掛けてもらったみたいで。
ふたりして微笑み合う。
紺野さんも笑顔。
高橋さんも笑顔。
みんな、笑顔。
それでいいじゃないか。
なにも問題はない。
そう、思った。
- 527 名前:notセクシー 投稿日:2006/03/31(金) 05:18
-
でも、疑問に思っていたことがわかった。
……紺野さんは「セクシー」ではない。
「セクシー」と言うよりも、「えろい」んだ。
最近、学校で習った英語で表現してみる。
…She is not much so sexy as erotic!
謎はすべて解けたっ!
『not セクシー』
- 528 名前:セクシー番外 投稿日:2006/03/31(金) 05:19
-
从*・ 。.・从<巷でうわさの…
d从*・ 。.・从b<セクシーポーズ☆
||c|;・e・)<…そこ「ボーイ」じゃないの?
从*・ 。.・从<だって、セクシーなのは「ボーイ」じゃなくて「さゆ」ですもん☆
||c|;・e・)<…あ、そぉ…。
いくらなんでもこんなことはしないだろう、と思った。
これを考えた後にメイキングを見た。
…現実は上を行っていた。
bリd*^ー^)d<セクシーガール☆
从*・ 。.・从<私のネタでぇす
リd*^ー^)<違うでしょ
从*・ 。.・从<違うでしょ
…参りました。
- 529 名前:セクシー番外 投稿日:2006/03/31(金) 05:19
-
…出来心で書いた。
久住さんと高橋さんにへんな役を押し付けたのは申し訳ないと思う。
あとは今も反省してないと思う。(笑)
久住さんはかなり推せますね。
久道、久吉ぐらいが好きです。
高橋さんと紺野さんより、大人っぽい顔立ちだと思う。
というか、そのふたりは童顔でs(ry
なんか久吉の「にょきっき」で思い出したけど、
「うえうえ」ポーズって、さゆえりテレパシーの「どじょうが出てきて」に似てるなぁ…。
メイキングの愛紺、良かった!
今回のコンサートに『恋は発想〜』(←愛紺的見所)があって良かった!
- 530 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:21
-
『ある日の騒動』
※『ひと夏の騒動』の続き
前回の反省を活かして。
今回は写真集を全員分まとめて一緒に持ってきた。
今回の写真集はハワイで撮影したもので、コンセプトは『海外に短期留学した女の子』らしい。
ラジオで美貴ちゃんに「すっごい短期だよね」とつっこまれたけど。
みんながいないのは寂しかったけど。
いろんな挑戦をしてみたりして、結構楽しく過ごせた。
……おいしかったなぁ〜、あのアイス…。
ぼけっ〜としてたら。
いつのまにかみんなが写真集開いてて。
まだ、写真集だけ見てくれればいいものの。
なぜか、みんな私と写真集を交互に見る。
…しかも、にやにやという擬音語がぴったりな顔をして。
- 531 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:22
-
「うぅ……。」
恥ずかしい恥ずかしい。
撮影の方がまだ恥ずかしくなかった。
いつも一緒にいる人達に見られるってのは、とんでもなく恥ずかしい。
しかも、何気に囲まれていて。
……逃げられない。
「ねぇ、これ、なにしてんの?」
「ねぇこんこん、おすすめは?」
ねぇねぇねぇって。
……みんな、わざと聞いてるよね。
「いいねぇ〜」
「ぅわっなんて格好してんの!」
「こ〜んのさん!このポーズしてくださいっ!」
「ぽんちゃん、かわい〜」
「こんこん、いいよ、これ」
「スカートみじけーな!」
- 532 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:22
-
「うぅ〜……」
私をからかうためだってわかってるのに。
私がいちいち反応するからおもしろがるとわかっているのに。
つとめて無表情にしてみようとしても。
赤くなるのは止められなくて。
しかも、無表情にもなりきれてない。
それを指摘されて、もっと恥ずかしい思いをする。
こんなこと、他の人が写真集出したとき、しなかったよね?
なんで、私だけ、こんな目に遭うの〜っ!?
……差別?差別されてるの、私?
お願いだから、平等に接してください!
- 533 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:22
-
「ねぇ、側転は?」
どこにあんの、って思い出したように美貴ちゃん。
「うわっそんなのあるのっ!?」
「え、どこ?」
「そんなことしたんですか!?」
……みんな、反応しすぎ。
「したんだよねぇ〜?」
しかも水着で、って俯く私をわざわざ覗き込んで聞いてくる美貴ちゃん。
あ〜顔が赤くなってる〜、って私をからかう。
美貴ちゃんの顔をぐいっと手で押しやっても。
手のひらの上から美貴ちゃんの顔がにやにやしてるのがわかる。
……もぅ、やだ〜!
「ん〜せっかく本人いるんだから生でみたいよね〜」
「そうだね。今ここでして見せてくんない?」
「っ!?」
ほら、とわざわざスペースを開けてくれる。
にやにやにやにや。
みんな、私を見てる。
……もう、耐え切れないっ!
- 534 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:23
-
楽屋を出ようとしたら。
ふいに誰かに引き寄せられ、抱き締められて。
「あさ美……。」
聞こえてきた声に安心して身をまかせる。
「大丈夫だから……。」
落ち着いて、とでも言うようにぽんぽん背中をたたかれる。
肩口に顔を埋めて、みんなの視線を遮断する。
甘えるように背中の布をぎゅっとつかむ。
さっきもひとりだけ、加わってなかった愛ちゃん。
なぜかあの夏から私の名前を呼び捨てするようになった愛ちゃん。
その愛ちゃんに、いつ頃からか絶対的な安心感を覚えるようになった。
- 535 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:23
-
いつも一緒に行動しているのはまこっちゃんが多いんだけど。
最後の最後で思い浮かぶのは愛ちゃん。
どんなときでも助けてくれる。裏切らない。引き上げてくれる。
…そう、感じるようになった。
そして、愛ちゃんも私のこと、そう思ってくれていたら……。
…なんて、思うようになって。
なんでだろって考えてもはっきりとした答えは出てこなくて。
曖昧な感じがもどかしくて。
だけどなぜか心地よくもあって。
ふとした瞬間に、愛ちゃんのことを考えている自分がいる。
愛ちゃんのこと、考えると、なぜかあたたかい気持ちになる。
- 536 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:23
-
この感情はよくわからない。
この気持ちはよくわからない。
けど。だからこそ。
愛ちゃんにそのまま、伝えてみようかな?
私がわからないこと、愛ちゃんに言ってもしかたないかもしれないけど。
愛ちゃんがどう思うか、わからないけど。
伝えてみたいと思っている自分がいる。
――この不思議な気持ちを。
わかるのなら、教えてほしい。
わからないのなら、わからなくていい。
わかってもわからなくても、そのまま受け取ってほしい。
ただ、伝えたいだけ。
すごい自分勝手だと思うけど。
……伝えたい。
「ねぇ、愛ちゃん――……」
『ある日の騒動』〜終わり〜
- 537 名前:紺野さんの思考 投稿日:2006/03/31(金) 05:24
-
良かったね、高橋さん!って感じですw
周りの人達はしょーがねぇな〜って見守ってる感じです。
写真集と一緒に紺野さんも見れば楽しみが二倍どころか何倍にも広がる、と思う。
側転と聞いて、なぜか山吹色ジャージの辻さんがした側転を思い出してしまったw
久住さんのソロ写真集は五期の『5』と六期の『ハロハロ!』と同じ意味合いだと思う。
七期は1人だから…同期がいないのは大変だと思うけど、がんばってほしいですね。
…でも、もう結構馴染んでますよね〜。
川o・-・)<紺野のアロハロ!
今日発売!
ノリo´ゥ`リ<くっすみ写真集!
( ´ Д`)<ごとーのアロハロ。
も絶賛発売中!……久住さんの顔文字、まだ慣れないなぁ…。
- 538 名前:ペーパー 投稿日:2006/03/31(金) 05:28
- >>529
>>537
名前欄間違えました。…恥ずかしい。
反省しろ、と言われたみたいです…。
今回の更新を終わります!
- 539 名前:名無飼育 投稿日:2006/04/06(木) 17:23
- わーこのスレで高紺に目覚めましたよw
紺総受けなスレもずっと探してたのでうれしいです。
川o・-・)<天性のM女ですから
これからも更新待ってますー
- 540 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 16:10
-
>>460の完結編。
どうしても結末が選べないので、各自で選んでことにしました。
アンカーがずれないか、心配ですけど…。
ずれていたら各自で調整お願いします!(傍迷惑)
* * *
その日の部活が終わって絵里に食事に誘われた。
だけど、愛ちゃんとの約束が…。
それからの行動は?
断ってすぐ家に帰る。
>>541-561
絵里とご飯を一緒に食べに行く。
>>562-589
少し、これからのことを考えたいので、冷たい風を当たりに学校を散策する。
>>591-609
では、どうぞ。
- 541 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 16:11
-
『Go!』
- 542 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:12
-
「先輩。」
「……なに?」
あの告白を聞いてからというもの。
絵里の言動にいちいち緊張してしまう。
いまも、ほら。
いつも以上に反応が遅れてしまう。
「この後、一緒に食べに行きません?」
「…ごめん、ちょっと用事あるから…」
愛ちゃんの家に行かなきゃいけないから…。
と、自分で考えてみるけど。
愛ちゃんとの約束は八時なんだから、本当は行けるはず。
だけど、断ってしまうのは……なぜ?
「そうですか……」
…本当に悲しそうな顔をする。
……胸が痛い。
- 543 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:12
-
ごはんを食べてから。
愛ちゃんの家に行ったけど。
自分でもわかるぐらいに上の空で。
愛ちゃんはなにかを察してくれたのか、頭を撫でてくれた。
その後、とりとめもない話をして自分の家に帰った。
* * *
その日以来、ずっと絵里を避ける日が続いてる。
前は毎日やり取りしていたメールも、しなくなった。
部活では必然と顔を合わせてしまうものの、必要最低限の会話ぐらいしかしない。
フツーに絵里が話しかけようとしてきても、逃げてしまう。
…絵里が傷付いている気配が伝わってくるのにもかかわらず。
自分最低、って何度も思った。
……だけど、変えられない。
うやむやになったまま。
絵里とちゃんと話すことができないままに試合の日が近付いていった。
* * *
- 544 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:13
-
試合当日の朝。
控え室、兼、更衣室で、着替えて試合前に最後の集中。
「ぶちょ〜」
私を呼ぶ声が聞こえる。
…そう、なぜか私は弓道部の部長になっていた。
世代交代のときに、みうなが指名したから。
……あのこに悪気はないのは十分わかってる。
だってあのこは天然だから。
それでみんなが悪ノリして反対1賛成多数で、部長が私になってしまった。
初めは私に部長が務まるとは思ってなかった。
でも、今ではいい経験になったと思う。
それ以来、からかいの意味を込めて「部長(ぶちょー)」と呼ばれるようになった。
慣れるまでが大変だった。
…同級生の子がそう呼ぶもんだから。
下級生にまで広まっちゃって。
…ついに、部活中に「ぶちょー」と呼ばない子はひとりになってしまった。
……それはあの子なんだけど……。
- 545 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:13
-
「ぶちょ〜、聞いてますか〜?」
「あ〜…」
聞いてなかった、とは言いにくい。
「もう一回言いますね?」
さすが弓道部員。
伊達に一緒に部活をやってきたわけじゃない。
亀に連絡取れないんですけど〜、って。
「えぇ!?」
あの子、何してんの!?
いくら小さい試合だっていっても。
…いつも遅刻しないあの子が、集合時間になっても来ないと思ったら!
携帯も通じないなんて!
…おかしい、……おかしすぎる。
なにか抜けられない用事があって電話に出れないのかもしれない。
……それだったら、まだいい。
…もし、事故にでも遭っていたら?
- 546 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:13
-
「ぶちょー、どうしたんですか?」
顔色悪いですよ?体調悪いんですか?
と後輩が覗ってくる。
「ん?なんでもないよ?」
後輩に心配をかけまいと平静を装って返事をする。
「ならいいんですけど…」
後輩はなんとなく納得してない様子。
「それじゃ、亀から連絡あったらよろしくおねがいしますね?」
と、後輩は首をかしげながらも更衣室を出て行った。
パタンと音がした瞬間に、近場にある、椅子にどさっと腰を下ろした。
さっき、自分で考えたことに、ぞっとした。
指の感覚がない。
手を見てみると、なぜか震えている。
片方の手で、もう片方の手を掴んでも、震えが大きくなるばかりで、一向に止まる気配がない。
……絵里っ!
- 547 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:14
-
「おはようございま〜す!」
心の中で、考えないようにしていた名前を叫んだとき、能天気な声が響いた。
…絵里だ。
「どこに行ってたの!」
連絡もしないで……本当に心配したんだからね!
絵里がいないとダメなんだから。
弓道部のマネージャーは絵里ひとりなんだから。
「美容院行ってきて、髪切って染めてみました!」
私の通ってる美容院、開くの遅くて。
ちょっと遅刻しちゃいました〜。
っていうか、似合ってません?
自分では結構気に入ってるんですけど。
“髪は女の命”ってよく言うじゃないですか。
髪型とか変えたら、運命も変わるような気がしません?
先輩と私と……。
先輩このごろ私のこと避けてるような気がして。
気合の入れなおしの意味も込めて、この髪型にしてみたんです。
だけど。
さっそく、効果があったみたいです。
- 548 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:14
-
「さっきの言葉、なんか告白されてるみたいでした」
私がいないとダメ、とか。
えへへ、うれしいな〜、と全然反省の色が見えない。
「そう思ってもいいよ」
いいから、私の側にいなさい。
なんか相手をするのが妙に疲れてなげやりに応える。
その言葉に、絵里はにやりと笑って。
「先輩、知ってます?」
何事も、認めたら負け、なんですよ?
へらへら顔のままなのに、なんか意味深。
なんとなく、わけもなく、不安になる。
- 549 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:14
-
「これで先輩は私の物です。」
急に引き寄せられて。
腕の中に閉じ込められる。
私、物じゃないし、と思いつつ、なぜか胸がどきどき。
「ぶちょ〜行きますよ〜?」
更衣室の外から声がする。
そういえば、もうそろそろ試合の時間…。
「ほら先輩、呼ばれてますよ」
そう言って私の背中を押す。
…なんか名残惜しい。
- 550 名前:【TYPE:E】 投稿日:2006/04/30(日) 16:15
-
「あ、先輩、忘れ物です」
「え?……ん…」
「じゃ、頑張って下さい」
にこにこ手を振る絵里。
忘れ物と称された、掠めるような口付け。
感覚もなにもなかったのに。
ほんとに味もなにもなかったのに。
…体がほのかに熱を持ってきたような気がする。
「試合前に私を動揺させるなんて、いい度胸してるじゃない…」
本気には本気で返さないと、ね。
ようやく私の心が見えた気がする。
――本当はあの真剣な目を見たときから、堕とされていたのかもしれない。
- 551 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 16:16
-
『Go!』
- 552 名前:後日談〜帰り〜 投稿日:2006/04/30(日) 16:17
-
リd*^ー^)<本当は似合ってると思ってるでしょ?
川o・-・)<…………。
リd*^ー^)<素直じゃないな〜。でも、そんなとこも大好きですよ?
川o・-・)<……似合ってるっ!
リd*^ー^)<…素直な先輩も大好きです!
川:o・-・)<……。
考えすぎだよ紺野さん、の巻。
- 553 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 16:22
-
さっそくレスアンカー間違えたよ、の巻。orz
十の位を数え間違えた。
即興で561まで亀紺AAネタを考えてみる…。
- 554 名前:後日談 投稿日:2006/04/30(日) 17:24
-
「先輩、今日メールしません?」
「毎日してるじゃん。」
「どっちが最後まで起きてるか勝負で!」
「いいけど…。」
「メールを返さなくなったら、その人の負けです。」
「…負けたら?」
「う〜ん、そうですねぇ〜。」
「……?」
「勝った人のわがままを一日言うこときく、とかどうですか?」
「ま、大抵そういうもんだよね。いいよ。」
「……(ニヤリ)」
「……?」
いつものことだが、絵里の考えは読めない。
- 555 名前:後日談 投稿日:2006/04/30(日) 17:25
-
―その日の夜―
「あ、絵里からだ…。」
【先輩好きです!】
「……。【…ありがとう。】」
【先輩は?】
「…【私も。】」
【ちゃんと言ってください】
「…【…好きだよ。】」
【名前入りでお願いします】
「…【絵里が好き。】」
【照れますね〜】
「【絵里がさせたんでしょ?】」
【でも、なによりもうれしいですよ?】
「【…ばか】」
- 556 名前:後日談 投稿日:2006/04/30(日) 17:25
-
―2時ぐらい―
「ちょっと眠たくなってきた…。」
【先輩、寝たら罰ゲームですよ。】
「…どこかで私を見てるの?…【なんでわかるの?】」
【先輩のことですから!】
「……なんだそりゃ。」
やっぱり不思議なコ。
―3時ぐらい―
「あ〜、ねむい…。」
〜〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪
ビクッ
『寝ちゃ、だめですよ〜』
「……、今すっごい目ぇ覚めた。」
『人間しゃべると起きれますからね〜』
「…もう、起きたから電話切っていい?」
『せっかくですから、もうちょっと話しましょ〜』
「…そだね。」
- 557 名前:後日談 投稿日:2006/04/30(日) 17:25
-
―4時ぐらい―
【もうそろそろ寝てもいいですよ】
「…なんで、いきなり、そんなこと。【今まで、ずっと私のこと起こしてきたくせに】っと。」
【…夜を一緒に過ごしてみたかったんですよ。】
「……。【ば〜か。】」
【いつか、本当に一緒に過ごしてくれません?】
「……。【…いつか、ね。】」
【本当ですか!?】
「【…うん。】」
【やった〜!】
「……。【ばか。】」
【えへへ】
「……。【じゃぁ、もう寝ていい?もう目的は達成したんでしょ?】」
【はい!いいですよ!おやすみなさい!】
「【おやすみ】」
【先輩、大好きです!】
「……ほんとに、もぅ…。…絵里、おやすみ。」
私はそのまま、眠りに落ちた。
- 558 名前:後日談 投稿日:2006/04/30(日) 17:26
-
―次の朝―
「先輩、おはようございま〜す!」
「おはよ。」
「えへへ、先輩みてください!」
なぜか見覚えのある文字列。
【絵里が好き。】
「ちょっ!」
「保護してますよ、ちゃんと!」
偉いでしょ、褒めて?
と、言わんばかりの絵里の携帯を奪おうとする。
「消して!」
「だめです〜これは私のですから!」
結局その後、メールを消すことはできなかった。
- 559 名前:後日談 投稿日:2006/04/30(日) 17:26
-
「あ、それと先輩。」
「なに?」
まだ何かあるのかと警戒を強める。
「先輩先に寝ましたよね?」
ほら、最後のメール私ですもん!
だから、今日一日私のわがまま聞いてくださいね?
って、えぇ!?
「寝ていいって言ったじゃん!」
「勝負は終わってなかったんです。」
誰がやめると言ったんですか。
……今日は“いつか”ですね〜。
はめられたことにすこしむかっとする。
と同時に疑問がひとつ。
今日は五日じゃない。今日は……
そこまで考えてはっと気付く。
絵里がにやにやしてる。
「私の家でいいですか?」
理不尽なことをされてるのに、結局受け入れてしまうのは
私が絵里のことを好きだからなのかな――?
実は自分でもよくわかっていない。
- 560 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:28
-
最初はAAだったけど、やめました。
目がちかちかしました。
というか内容が……やばいね。
とりあえず、穴埋め完了!
- 561 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:30
-
これからのは結末が違うので、連続で読む人は注意です。
意識を切り替えることをお勧めします。
- 562 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:32
-
『Girl』
- 563 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:32
-
アナタの前ではただの女の子になってしまう…。
私、オトナになったつもりになっていた。
それは勘違いだったみたい。
…少なくともアナタの前では…。
- 564 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:33
-
===============
あさ美ちゃんの弓道部の後輩で、亀井、絵里。
雰囲気でわかった。
――あの娘もあさ美ちゃんを好きだって。
…悪いけど、これだけは譲れない。
あさ美ちゃんが昼休みの後、どうなったのか。
気になって気になって。
亀井ちゃんも弓道部だし。
これでは勉強も手につかない。
なんとか、勉強をしようしたけど、頭には入らなかった。
- 565 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:33
-
* * *
八時よりもすこし早い時刻に、ようやく待ちに待ったあさ美ちゃんが来た。
いつもとは違う雰囲気のあさ美ちゃん。
慣れ親しんだはずのあたしの部屋なのに、居心地が悪そう。
いつのまにかあさ美ちゃん専用になってしまっているクッションを胸に抱いて。
あたしと目を合わせようとしない。
「…亀井ちゃんと、なにか、あった?」
知りたくて仕方なかったことを、直球で訊く。
さりげなさを装いつつも、自分でも不自然だとわかってしまう。
- 566 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:34
-
「……告白された…」
まっすぐな質問に、知りたかった答えがぽつりと返ってきた。
あぁ、やっぱり。
予想は的中した。
…なんとなく予感はしていた。
あさ美ちゃんとの関係は、焦らないつもりだったけど。
いつまでも、待つつもりだったけど。
…こうなったら、もう、無理。
あさ美ちゃんに、あたしの想いを伝えなければ。
伝えなければ、後悔してしまうに違いない。
想いを言葉にしなければ、伝わらない。
そんな思いが、あたしを突き動かす。
- 567 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:34
-
「ごめん、充電…」
脈絡無く、そう言って、あさ美ちゃんに抱きつく。
落ち込んだときや、元気が欲しいとき。
いつもこうやってあさ美ちゃんから力をもらう。
あさ美ちゃんが落ち込んでるときは、あたしが力をあげる。
…それが当たり前だった。
想いを告げるには、すこし、エネルギーが要る。
あさ美ちゃんに告白するための力をあさ美ちゃんから蓄える。
…力の補充先と、力の消費先が同じなのが、皮肉だ。
でも、それが一番の方法だから。
- 568 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:34
-
息を吸って吐いて吸って吐いて。
それを何度か繰り返した後。
息を止めて、あさ美ちゃんの心臓の音を聞く。
――いつもよりも、速い、かな?
でも、あさ美ちゃんのぬくもりに安心する。
――よし、充電完了。
もう一度深呼吸して。
あさ美ちゃんからすこし離れる。
じっとあさ美ちゃんの目を見つめて……。
「あたしも、あさ美ちゃんのこと――…」
- 569 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:35
-
===============
愛ちゃんの部屋に行く前。
絵里に誘われて、夕食を一緒に食べに行った。
食べ終わったのは七時前で。
約束は、八時だったから、全然余裕で。
――だけど、なぜか、愛ちゃんへの罪悪感があった。
絵里には今日、告白というものをされたけど。
はずかしくて、うれしくもあったけど。
全然、実感が湧かなくて。
自分にまだ、恋は早いのかもしれない、と思った。
だから、絵里には普通に接することができた。
普段通りの私の態度に、絵里の方が拍子抜けしてしまうぐらい。
――だけど、なぜか、愛ちゃんへの罪悪感が止まらなかった。
手持ち無沙汰にお気に入りのクッションをいじる。
――なんか、気まずい。
- 570 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:35
-
「…亀井ちゃんと、なにか、あった?」
愛ちゃんにはなぜか訊かれたくなかったこと。
それが愛ちゃんの口から漏れる。
私も不自然だけど、愛ちゃんも不自然なカンジ。
「……告白された…」
とっさに口から言葉が出る。
それは幸か不幸か、一番わかりやすくて一番言いたくなかった真実だった。
言ってしまった後に、後悔する。
そしてまたクッションをいじる。
- 571 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:36
-
「ごめん、充電…」
説明もなにも言わずに抱きついてくる愛ちゃん。
なにかあったとき、私たちはこうしてきた。
こうすると、なぜか元気になれる気がしてた。
こうすると、なぜか落ち着く気がしてた。
それなのに。
手をどこに置けばいいのか、迷う。
――いつもだったら、どうだったっけ?
いつもだったら、なにも考えずに手を背中にまわしていたと思う。
だけど。
躊躇ってしまうのは、なぜ――…?
- 572 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:36
-
愛ちゃんが私の胸に顔をうずめてくる。
いつもは気にしないことなのに、気になっちゃう――。
少し、自分の鼓動が速まった気がした。
…私、どきどき、してるの、かな?
――わからない…。
そうこうしてるうちに愛ちゃんが深い呼吸をして。
私からすこし離れる。
…愛ちゃんが離れてくれて、正直ほっとした。
――心臓がなんかおかしい…。
- 573 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:36
-
だけど。
愛ちゃんはそのまま離れていくと思ったら。
そのまんまの距離でじっと私の目を見つめて来て……。
その瞳に。
絡めとられて。
まるで、金縛りにあったみたいに。
身体が、動かない――。
- 574 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:37
-
「あたしも、あさ美ちゃんのこと、好きなんだよ。」
………え?
「…わかった?」
顔を赤くして、伏し目がちに私を窺ってくる愛ちゃん。
…え〜っと、…なんだっけ?
「……わかったってなにが?」
――…私、なに言ってるんだろう…。
ちゃんと聞いていたはずなのに、そう返してしまった。
「好きだよ!」
問い返すと、愛ちゃんの自棄になったように言葉を投げつける。
- 575 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:38
-
……って。
「…えぇ!?」
「だから、あたし、あさ美ちゃんが――」
「うわぁ!」
愛ちゃんが続きを言おうとした口を、とっさに手でふさぐ。
それでも一旦止まった愛ちゃんの口がまたもごもご動いて、かすかに聞こえる。
…体温が、かっと上がった気がする。
愛ちゃんの言葉が、わからない。
…いや、言葉の意味的には、わかる。
だけど……。
- 576 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:38
-
愛ちゃんが私の手を口から外して。
さっきと違う、なにかが吹っ切れたような顔をして。
なぜかすっきりとした顔で。
ごく自然な動作で、私を抱き寄せようとしてくる。
ばっ
「あれ?」
体が勝手に……。
愛ちゃんがひっついてくるのはいつものことなのに……。
体が勝手に愛ちゃんから離れた。
- 577 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:38
-
「どしたん?」
それを不思議に思ったのか愛ちゃんが私の顔を覗き込んで来て……。
「…あれ?」
なんか、顔が、熱い……。
そう言うと。
なぜか愛ちゃんは、笑顔で。
仕切りなおしのように、また愛ちゃんが私を抱き寄せた。
まだ、なにがなんだかよくわかってない私を。
今度は私も逃げることはなく、そのまま抱き締められた。
- 578 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:39
-
「…あたしのこと、意識しちゃったんじゃない?」
「っ、んなことないっ!」
思ったよりも大きな声が出て自分でもびっくり。
ふーん、と愛ちゃんはなぜかにやにやしてる。
……否定してるのに。
その日は、なかなか愛ちゃんが離してくれなかった。
- 579 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:39
-
* * *
あの日から、なんとなく一緒に過ごして。
そんなことは、昔から変わらないはずなのに。
でも。
今までとは、なんか違った。
空気が、感覚が。
今までとは、全然、違った。
そして。
だんだんと部活の試合がある日が近付いてきた。
私は、愛ちゃんに、どうしても、言わなきゃいけない、ことがある。
どうしても、伝えなきゃいけない、ことがある。
だから。
今日、愛ちゃんの部屋に来た。
- 580 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:40
-
「あさ美ちゃん、何?話したいことって。」
ベッドに寝転がりながら私に問いかける愛ちゃん。
その間にもベッドサイドに座っている私の腰に腕をまわしてくる。
「うん、あのね…」
唐突だとは、思う。
かなり自分勝手だとも、思う。
愛ちゃんは、怒るかもしれない。
だけど、言わなきゃ。
- 581 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:40
-
「すこし、愛ちゃんと、距離を、置きたいの…。」
…言っちゃった。
今から落ちる雷に耐えるために、ぎゅっとこぶしを握る。
目もつむる。
だけど。
なかなか雷が落ちてこなくて。
薄目を開けて愛ちゃんをうかがう。
「…なんで?」
私の予想に反して。
愛ちゃんは結構平静で。
その理由を訊いてくる。
だから、正直に答える。
- 582 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:40
-
「愛ちゃんがいると、こころが乱されるの……」
そう。愛ちゃんがいるときだけ。
試合に余計な雑念入ると困るから。
だからさ、そういうことしないでくれると助かる。
上半身を起こして、私の握り締めたこぶしを手でほぐそうとしている愛ちゃんに言う。
ほぐし終わったと思ったら、そのまま両方の手を取られる。
- 583 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:41
-
愛ちゃんは私の言葉に、ふ〜ん、と相槌を打った後。
なぜかにやりと笑って。
「おまじないしてあげるよ」
ころん、と転がされる。
「ちょ、ちょっとっ!?」
今、言ったばっかりなのにっ!
「あたしに、こういうことされると、どきどきするんやろ?」
だから、こういうのに慣れとけば、試合も平気になるんじゃない?
- 584 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:41
-
指を絡めとられて。
「あ、愛ちゃっ!」
「黙って。」
そのまま、顔を近付けられ……。
――もう、心臓、止まんない――
- 585 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:41
-
「あ〜、あさ美ちゃん真っ赤や〜!」
目の焦点が合わないぐらいの近さで、寸止め。
愛ちゃんの、全開の笑顔。
――してやられた…。
…これぐらいで、動揺するなんて。
精神修行が足りないな、自分。
今後はもっと精神面を鍛えようと……
- 586 名前:【TYPE:A】 投稿日:2006/04/30(日) 17:42
-
「もっとどきどきすることしてあげるよ。」
……思ったけど、そうはいかないらしい。
だって、愛ちゃんが真剣にそう言っている姿に、こんなにも、こころ、乱されている。
果たして、私が愛ちゃんに何をされても平気になれる日が来るのだろうか。
……いや、来ないような気がする。
まず、打倒、高橋愛。
……かな?
- 587 名前:奇跡の香りダンス。@カラオケ 投稿日:2006/04/30(日) 17:43
-
从‘ 。‘从<<もったいぶらない DESTINY 遊び仲間でも♪
从‘ 。‘从<<たった10分足らずで奇跡の恋となる♪
川*’ー’)<だってさ。
川o・-・)<ふ〜ん。それにしても、松浦さん、歌うまいね〜。本物っぽい。
川*’ー’)<あたしたちも、奇跡の恋、してみたくない?
川o・-・)<…もう、してるじゃん。
川*’ー’)<えへへ!あさ美ちゃん、大好き!
川o・-・)<…私も。
从‘ 。‘从<<DO THE LOVE♪
川*’ー’)<あさ美ちゃんへの愛が溢れとるよ〜。受け取って〜。
川;o・-・)<今っ!?
川*’ー’)<もちろん!……ん〜…
川;o・-・)<あ、愛ちゃっ!?……ん、…。
川*’ー’)<ごちそうさま〜。
- 588 名前:奇跡の香りダンス。@カラオケ 投稿日:2006/04/30(日) 17:43
-
从‘ 。‘从<<止まらない♪ 愛はもう止めちゃいけない♪
川*’ー’)<亜弥ちゃんもそう言っとるし〜。
川;o・-・)<止めてくださいっ!!
川*’ー’)<誰にもこの愛は止められないやよ〜。
川;o・-・)<ちょっ、こんなとこで脱がさないでっ!
从‘ 。‘从<<止まらない♪ それはもうどこにも行かない♪
川*’ー’)<相変わらず、きれいな肌やな〜。
川;o・-・)<松浦さ〜んっ!!歌ってないで助けてくださいっ!
从‘ 。‘从<……無理。愛ちゃんは止めちゃいけないから。
川;o・-・)<その愛じゃな〜いっ!!
川*’ー’)<愛情もあるよ〜。
从‘ 。‘从<……高橋愛の紺野あさ美への愛情表現を止めてはいけない。
川;o・-・)<なに一人で悟ってるんですか〜っ!?
川*’ー’)<真理やな。もう、諦めよ?
川;o・-・)<人前はいや〜!!
从‘ 。‘从<<OH YEAH! VERY PRETTY DANCE♪
- 589 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:45
-
ずっと紺野さんを想ってきた高橋さんに、
恋愛初心者の紺野さんが敵うはずがない、とw
相変わらず、最後のAAはばかっぽいな、と!
…弓道はそんなに簡単なものではありません。
フィクションです。どうかご容赦くださいませ。
- 590 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:46
-
次のは、前のものを読んでいても、そんなに違和感なく読めるかもしれません。
- 591 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:48
-
『Go Girl』
- 592 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:49
-
部活が終わって。
何も考えなくていい時間が終わった。
…っ!?
今、私、弓道を現実逃避するための道具にしてた!?
…自分の思考に、自己嫌悪。
頭の中がぐるぐるとして。
落ち着かない。
途中、絵里に食事に誘われたけど。
申し訳ないながらも、断った。
…今は、なにもしたくない。
- 593 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:49
-
制服に着替え終わったあと。
少しでも頭を落ち着かせようと、外へ風に当たりに行く。
無駄に広い校舎のまわりを散策。
ひんやりとした風が心地よい。
こんがらがった思考を解きほぐしてくれるように感じる。
よく通ったはずの道にも、見たことがない古びた倉庫があったり。
いろいろな発見があった。
日頃、どれだけ自分が周りを見てなかったのか、よくわかる。
そうしているうちになんだか気分は落ち着いてきた。
- 594 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:50
-
「おい、紺野〜!」
いま、なにしてんだぁ〜?
そんなとこで〜!こっち来いよ!
不意に呼びかけられる。
二階の窓から身を乗り出している、ちっちゃい人は。
「あ〜、今おいらのこと、小さいとか思っただろ!」
…惜しい。
“小さい”じゃなくて“ちっちゃい”、だ。
微妙なニュアンスの違いがあるんですよ。
担任の矢口先生。
わかりやすい数学の授業と個性で人気。
生徒からは“やぐっつぁん”などの愛称で呼ばれていて、私は“矢口さん”を好んで使っている。
赤い眼鏡を掛けているけどあれは伊達じゃないかと、もっぱらの噂。
身長に関係することには過敏な反応を示す。
生徒たちはスキンシップとしてそれをからかい、
矢口さんもそれをわかっているのか、笑いながら小突きに来るのがいつものパターン。
- 595 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:50
-
「そんなとこでぼ〜っとしてないで早くこっち来いよ」
呼ばれるままにすばやく玄関を通り抜け、矢口さんの元へ行く。
そこで待っていたのは。
――はめられた…
「ま、とりあえず手伝って」
ノートの山と、それを指差す笑顔の矢口さん。
――…でも、暇だから、いっか。
- 596 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:50
-
顧問をしているバスケ部の練習が終わったのであろう。
いつものスーツ姿ではなく、さわやかなジャージ姿。
なのに、どことなくオシャレなカンジなのがすごいと思う。
「ノート多いですね」
確実に60冊は越える。
とりあえず3分の2ぐらい持つ。
すると矢口さんが私から多い分を取って半分半分にする。
「ん〜、4クラス分だからねぇ」
「え!?…それにしては少なくないですか?」
160冊は、どう考えてもない。
- 597 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:50
-
「紺野〜、全員が全員提出すると思うか?」
「……思いません」
「だろ〜?」
困っちゃうよな〜。
やる必要があると思うから提出してもらうんだけど、意味ねぇ〜。
「提出してないやつにペナルティでも出そっかな」
紺野は何がいいと思う?
って聞かれても困りますって!!
私は出したはずだからペナルティを受けることはない。
だけど、だからこそみんなに恨まれそう
「…あ、そうだ。答え写したり、提出してなくてもした奴とかもいるだろうから、小テストにしよっかな?」
ぅわっ、それ、いい考えっ!おいらって天才〜!
一人で言って一人で納得してる矢口さん。
…ごめん、みんな。私に矢口さんは止められない。
- 598 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:51
-
そうこうしてるうちに矢口さん担当の生徒課に着いた。
「おぅ。ありがとな、紺野。お礼にコーヒー入れちゃる。」
待ってろ。と言ってカップの用意をし始める矢口さん。
その背中に話しかける。
「コーヒーより、紅茶がいいです。」
「…紺野って見かけよりも………。」
「見かけよりも…、なんですか?図々しい、とかですか?」
いーじゃないですか、だって今は紅茶の気分なんですもん。
どうせなら、飲みたい人に飲まれた方がコーヒーも紅茶も嬉しいはずです。
そう言った後、じっと矢口さんに見つめられる。
「……なんですか?」
「…いや、なんでもない。」
「……。」
「ほんとになんでもないって。」
あやしい。
- 599 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:51
-
「…紺野は悩みなさそうでいいよな〜」
「いや、私にだって悩みくらいありますよ…」
「どうせ、今日の夕食なんだろう〜、ぐらいだろ?」
「違います。」
話を逸らそうとした矢口さん。
だけど、私にはその話のほうがくるしいものだった。
今まで考えたこともないぐらい。
さっきまでずっと悩んでいた。
矢口さんの存在に思考が逸れていってたけど。
解決はしていない。
- 600 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:51
-
「…なんか悩みでもあるのか?」
さっと親しみやすいお姉さんから、頼りになる教師の顔になって尋ねられる。
「わかんないんです…」
わかんないとこもわかんない。
なんで悩んでるのかもわかんない。
もう、なにもかもが。
わかんない。
「…体育館、覗いてみろよ。」
もしかしたら何かわかるかもしれねぃぜぃ?
ふたりの間で沈黙がおりた後。
矢口さんがぼそっとつぶやいた。
矢口さんの助言の意味はまったくわからないけど。
せっかく言ってくれたのだから、体育館に行ってみることにした。
紅茶を飲み終わったので、矢口さんに紅茶のお礼を行って、体育館に行った。
- 601 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:52
-
==================
紺野の遠ざかる足音が室内に響く。
――なんで、あんな顔するんだよ…。
さっきの紺野の顔が脳裏に浮かぶ。
本当に苦しそうで。
辛そうで。
見てるこっちが苦しく辛くなりそうな顔で。
できるなら、代わってやりたいと思った。
なにがあっても助けてやりたいと思った。
その悩みごと、包んでやりたいと思った。
でも。
「もしあのまま相談乗ってたら…」
――悩みの種増やすだけだったしな。
何かに、気付かない振りをした。
- 602 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:52
-
==================
こんな時間。
大抵の部活は終わったはずなのに、体育館から音がする。
そこに見慣れた人が…。
「まこっちゃんっ!」
「お〜、あさ美ちゃん、どした?」
まこっちゃんが制服姿で体育館の前にいた。
「私はなんでもないけど…。まこっちゃんこそ、何してるの?」
「ん〜?がきさんを迎えに行く途中なんだ〜」
がきさんはまこっちゃんの幼馴染みでバスケ部の一年生。
まこっちゃんを通じて知り合って、私も結構仲がいい。
正式には新垣里沙だが、私は“まめ”と呼んでいる。
- 603 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:53
-
「ほら……」
まこっちゃんが体育館のいかにも重たそうな扉を開けると、ひとりの制服の女の子。
なぜかそのままのカッコでバスケをしている。
…まめ、じゃん。
「がきさん、いつも着替え終わってからも私が来るまでの間、シュートしてんだよね〜」
たまにはがきさんが私を迎えに来てくれてもいいじゃ〜ん!
まこっちゃんは文句を言いつつも、そんなこと慣れてるから平気〜、という感じの顔。
まこっちゃんが靴を脱いで、そのまま体育館に入っていく。
私もそれに倣って付いていく。
「まめ〜」
私が呼びかけると、まめが振り向いた。
「おぉぅ、あさ美ちゃんじゃ〜ん!」
…今日も独特なリアクションが効いている。
「めずらしいね〜あさ美ちゃんが来るの。」
まめになぜかわからないけど、ぽふぽふと頭を撫でられる。
「なんかこのコね〜付いてきたの!」
まこっちゃんにも、撫でられる。
両側から撫でられて、なんかヘンな気分。
- 604 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:53
-
「じゃ、帰ろっか。」
しばらく撫でてたら満足したようで。
まこっちゃんがそう切り出した。
「うん、帰ろ〜」
まめも壁に立て掛けてあったカバンを手に取り、帰ろうとしている。
「………?」
まめはなぜかボールを持ったままで。
片付けないのかな?
「まめ、ボール片付けないでいいの?」
「あさ美ちゃん違うよ。これ、がきさんのだから。」
「うん、マイボール!」
家から持ってきてるんだよね!
まめはにっこにこしてうれしそう。
へー、そうなんだ〜。
- 605 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:54
-
「あ。あさ美ちゃんもシュートを打ってみる?」
はい、と言ってボールを渡される。
どうせだから、打ってみる。
シュッ
ボールはちゃんとゴールの方へ向かっていった。
だけど、リングに当たり、そのまま跳ね返ってきた。
もう一度やってみる。
さっきよりも膝の感覚を柔らかくして。
しっかりとリングを見据える。
シュッ
ボールは放物線を描きながら飛んでいく。
今度はボードにもリングにもノータッチでボールはリングの中へ吸い込まれていった。
- 606 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:54
-
「「ナイッシュー!」」
出迎えてくれるふたりと、ハイタッチ。
…シュートを打って。
何かがわかったような気がする。
考える暇もない、その一瞬に。
すとん、と心が落ち着いた。
きっと、そんなにむずかしく考える必要はなかったのだ。
私にわかることを。
自分の範囲で。
やればいい。
無理する必要はない。
つまりは、そういうことだったのだ。
- 607 名前:【TYPE:Z】 投稿日:2006/04/30(日) 17:54
-
「お?そんなにシュート入ったのがうれしかったの?」
自分の考えがまとまってうれしくて顔に出てしまったらしい。
まこっちゃんがぐりぐり私を小突いてくる。
「はいはい、そんなことしてないで帰るよ〜」
まめが私の手を引っ張って体育館を出る。
「ちょっと待ってよ〜」
まこっちゃんが情けない声を出して追いかけてくる。
その声に、自然と笑顔がこぼれてくる。
――うん、大丈夫。もう、私は、悩まない。
私なりに、これからの道をつくっていく――。
- 608 名前:帰り道 投稿日:2006/04/30(日) 17:55
-
( ‘д‘)<あしゃこー!(後ろからど〜ん!)
川o・-・)<お〜!あいぼん!
( ‘д‘)<なにしてんの〜!
( ´D`)<ひまなら、今からのんたちと一緒にカラオケに行こうぜ〜!
川o・∀・)<行く行く〜!まめとまこっちゃんも行こうよ〜!
||c|;・e・)<元気だね〜…。
∬;´▽`)<軽くキレてるよ…。なんで…?
- 609 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:55
-
『Go Girl』
- 610 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:56
-
これで今回の更新は終わりです。
このあと、番外編がありますが、それは次の更新で。(長っ)
今回の題名の付け方。
「Ready?」だったら「Go!」か「Fight!」だよな…と考えた。
じゃあ、「Lady!」だったら何がいいかな、と思い、
普通に考えたら「Gentleman」か…合わないな。じゃあ、「Girl」?
え?ちょっと待って!
『Go Girl』?
すっげー偶然。もぅ、決まりでいっか。(タンジュン
じゃあ、まとめタイトルは『恋のヴィクトリー』ね。あぁ、すんなり決まっちゃった。ラッキー。
というわけです。
- 611 名前:ペーパー 投稿日:2006/04/30(日) 17:57
-
この度、紺野さんと小川さんが卒業するようで。
たんくさんの人が筆を置く中、私は敢えて突っ走りたいと思います。(天邪鬼ですから)
ネタが古くなってたり、他の人と設定がかぶったりして封印したものや、
夏休みに書こうとしていた中編(…皮肉にも大学生活もの)など。
思い切って、一気に放出したいと思います。
時期や季節的に無理のあるものが多いですが、脳内補完(整理)してもらえるとうれしいです。
予定。
7月23日まで(できれば)週一で更新。
プラス夏休みも頑張ってみる。
夏休みが終わると同時に、ふたりと同じく学業専念(?)。
…漢検準一級の勉強でもしてみようかな?
<<539
…恐縮です。
どのCPが目当てだったのか気になったりw(リサーチ)
新しい高紺作品はこのさき増えにくいかもしれませんが、
倉庫にもすばらしい作品があるので見てみてくださいね。
- 612 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/01(月) 09:57
- >>611
こう言っては語弊があるかもしれませんがとても頼もしく感じます
飼育にすがる訳では無いですが帰ってくるまで(帰ってくると信じて)ここの世界だけでも
彼女達を見ていたいですから
- 613 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/02(火) 21:01
- 待っていました!
高紺好きなんで、これからも書いてくれるっていうのが嬉しいです。
モテ紺も良いですがやっぱり高紺がいい(w
- 614 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/16(火) 20:11
- キタ━(゚∀゚)━!!
密にお待ちしてました!
今後も高紺が読めるんですね。
作者さんの作品好きなので、次の作品も楽しみです。
- 615 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/17(水) 20:39
-
『Amazing Place』
※『AP』の続き?
- 616 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:40
-
五月六日。
明日はあたしの大切な人の誕生日。
ライブ先はいつもより比較的東京に近いけど。
やっぱり家までは遠いからホテルにお泊まり。
ひとりにひとつ与えられた部屋。
そこにあさ美ちゃんを呼んで。
みんなには悪いけど、おめでとうメールで邪魔されないように携帯をマナーモードにしてもらった。
…仕事柄マナーモードはいつもサイレントだ。
つまりバイブもなし。
さっきからあさ美ちゃんの携帯が頻繁に光ってる。
……まだ、明日になるには早いんですけど?
みなさん、気が早すぎませんか…?
だけど、気にしない。
無視無視。
…っていうか、今日ぐらいいいでしょ?
勝手に自己完結。
去年はバタバタして、あさ美ちゃんの誕生日はふたりでゆっくり過ごせなかった。
だから、今年は前回の分も取り戻せるぐらい、一緒にまったり過ごしたい。
…そんなことを考えた。
自分でも結構控えめな願いだと思うんですけど。
…これぐらいは、叶えてくれても罰は当たらないはず。
- 617 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:40
-
ふたり、ぼすっとベッドに腰掛ける。
それとなく、手を繋ぐ。
すると、自然によぎる、「明日」のこと。
「明日」があさ美ちゃんの誕生日であると共に、
この10人では娘。の最後のコンサートがある日でもある。
喜ばしい一面、しんみりしちゃう。
…そんな簡単に割り切れるほど、大人じゃない。
モーニング娘。に一緒に入って、一緒に過ごしてきたふたりが居なくなる。
やっぱり、信じられない。
受け入れられない。
頭ではわかってる。
だけど、心は追いつかない。
今日は笑顔で過ごそうとしてたのに。
…目から、水滴が、こぼれる。
- 618 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:40
-
「な〜に、泣いてんの?」
あさ美ちゃんらしくない、軽いカンジの声。
雰囲気を少しでも明るくしようとしているのかもしれない。
だけど、そのカンジが逆にあたしの涙腺を緩める。
そんなあたしを見て、あさ美ちゃんがあたしの頭を撫でてくる。
…泣かないで、とでも言う風に。
――なんで、そんなに、落ち着いてるのさ…。
他にも言いたいことがある。
…行かないで、と、本当は言いたい。
でも、言いたくない。
あさ美ちゃんの、意志を邪魔することになるから。
- 619 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:41
-
でも。
本当に、怖いのは。
…あたしが引き止めても、あさ美ちゃんがあたしを置いて行ってしまうこと。
気にもかけずに、なんでもないかのように、関係ないかのように、置いていくこと。
気にもかけないことはないと思うけど。
あさ美ちゃんが、あたしが止めたとしても行ってしまうことは、確か。
……絶対にそんなことはないと思うけど、引き留まってくれたらくれたで、どうしたらいいかわかんないし。
自分がスッキリしたいからって、言って、あさ美ちゃんを困らせたくないし。
そう、思うと、声に出すこともできない。
なぜか、あさ美ちゃんは卒業をあたしに告げてからというもの。
少なくともあたしの前では泣いていない。
あさ美ちゃんがあたしと一緒に泣いてくれたら、すこしはスッキリするかもしれないのに。
ちょっとした恨み言もいいやすいのに。
ひとり取り残された気分。
ますます泣きたくなる。
…あさ美ちゃんの、ばか〜!
心の中で、あさ美ちゃんに悪態をつきながら。
ふと、あることを思い出す。
- 620 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:42
-
――…そうだ、あさ美ちゃんは泣かない子だった。
いつも目が潤んでて、少しでもつついたら泣き出しそうな顔をしてるから。
近頃、連帯責任やフットサルのことで泣いている姿をよく見かけていたから忘れてたけど。
あさ美ちゃんはオーディションの合宿で、一回も泣かなかったし、家にも電話しなかった。
自分で「薄情な子」って言ってしまうぐらいに。
初めてのミュージカルで不安で泣く3人を尻目に寝てたし。
あと、ずっと泣き止まないあたしを慰めてくれたり。
…あさ美ちゃんは主役であたしよりプレッシャーが凄かったはずなのに。
……そんな子だった。
- 621 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:42
-
「あさ美ちゃん、よく泣くようになったね……」
泣いている自分と、泣いてないあさ美ちゃん。
そんなあたしが言うのは変だけど。
今、状況的に立場は逆だけど、思わずその言葉が口から出た。
「…そうだね」
対するあさ美ちゃんも違和感なく、その言葉に応じる。
昔を懐かしむような遠い目をして。
- 622 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:43
-
――涙もろくなったのは、ある意味愛ちゃんのせいかもね。
大切なものが増えすぎた、とあさ美ちゃんが言う。
…なんで、あたしのせいなの?
そう思いつつも。
あさ美ちゃんがいつもよりもさらに優しい顔をしていて。
…尋ねることができない。
怒ることを知らないような顔を見て、思う。
いつまでも、側に居てほしいと思う。
一日中、くっついていなくてもいい。
いるだけで、いい。
一緒な空間にいて、その存在を確かめていたい。
そんな、ささいなことが、できなくなる。
- 623 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:43
-
――やっぱり、卒業をやめるなんて、できないよね…?
そんなことを考えながら、あさ美ちゃんの顔を窺う。
すると、あたしの考えていたことがわかったのか。
「もう、決めたの――」
しっかりとあたしに目を合わせて。
そう言う、あさ美ちゃんの目は驚くほど真剣だった。
- 624 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:43
-
あさ美ちゃんは優柔不断のくせに、頑固だから。
自分が決めたことは、誰が何と言っても覆さない子だから。
あさ美ちゃんが、そう、決めたんなら。
これは終わりじゃなく、新たな出発だから。
泣く必要はどこにもない。
でも、やっぱり卒業式では泣いちゃうかもしれないけど。
精一杯、送り出すよ。
あさ美ちゃんも、泣いてもいいよ。
胸を貸すから。
安心してよ。
- 625 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:44
-
それに、あさ美ちゃんは夏までいる。
今から泣いてちゃいけない。
卒業まで、もう泣かない。
それに明日はあさ美ちゃんの誕生日。
喜ばしい日なんだから。
年に一回しかないんだから。
あさ美ちゃんと一緒にいられる、残り少ない貴重な時間なんだから。
気持ちを切り替えて。
わたし達の、忘れられない日に、しようよ。
涙を指で跳ね飛ばして。
抱き締めていてくれたあさ美ちゃんを逆に抱き締め返す。
あさ美ちゃんと微笑み合う。
段々と顔を近づけていって。
その前に、今の気持ちを一言。
- 626 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:44
-
「あさ美ちゃん、大好…」
ぴんぽーん
無視。
……続行。
ぴんぽーん!
…無視。
ちょっと!今いいトコなんだから、邪魔しないで!
ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん!
だぁ〜っ!あぁ、もぉっ!うるさい!
あさ美ちゃんも、目を開けちゃったじゃんか!
…今までの雰囲気、台無し。
- 627 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:45
-
「ここにいるのはわかってるんだぞー!」
「おとなしく投降しなさい!」
「ぽんちゃんの独占禁止!」
「高橋さんだけずるいですよ!」
「紺野さ〜ん!」
そんなこんなで。
結局全員登場。
はぁ〜……。
せっかくだからふたりっきりにしてあげようとか、そういう考えはないの!?
……まぁ、あさ美ちゃんは喜んでるし、あさ美ちゃんの誕生日だし、いっか。
……ほんとは、もうちょっと前か、後にしてほしかったんだけど。
っていうか、ホテルに帰る前にプレゼントとか渡せばよかったんじゃないの?
考えるたびに消しては現れる不満にどうしようもなくなる。
さて、いつになったら、ふたりきりになれるのか。
高橋の考えは、そのことだけに集中していった。
- 628 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:45
-
================
――……全員集まるとさすがに狭いな〜。
高橋が一人悔しがる中。
紺野は他人事のように呑気なことを考えていた。
「やっぱり誕生日はこれでしょ?」
古典的だけど、って照れたように吉澤さんが花束をくれる。
「うわぁ〜、ありがとうございます!」
前が見えなくなるぐらいに大きな花束をもらってうれしくなる。
それを皮切りに次々とプレゼントを渡してくれるメンバー達。
香水だとか、アクセサリーだとか大人っぽいものや、
「やっぱりぽんちゃんは食べ物でしょ!」って、れいなはまた大量の食べ物をくれたり。
プレゼントでも、みんな個性が出てておもしろい。
やっぱり、モーニング娘。になって良かったな、って改めて思う。
ならなくちゃ、みんなに出会うことはなかった。
…大切なみんなに、大切に思われて、紺野は果報者です!
- 629 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:45
-
「もうひとつ、プレゼントあるんだよ」
いっぱいのプレゼントに囲まれてほくほくしていた私のところに、美貴ちゃんの声。
なんだろう、と首を傾げていると。
吉澤さんが。
「…なんか照れるな」
そんなことを言いながら花束のメッセージカードにキスした。
……いや、こっちも照れますから。
続いては小春ちゃん。
「誕生日おめでとうございます!」
俗に言う、投げキス。
…なんか、かわいらしいね。
美貴ちゃんは、おもむろに私に近づいてきて。
「うちらってさ、おでこ広いよね」
前髪を持ち上げられて、軽く音を立てて。
してやったりってカンジの、にやりとした顔がすごい似合ってる。
- 630 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:46
-
まことは、私の手を取って軽く口付ける。
「最後まで、よろしく。」
その後、ぎゅ〜っと抱き締めあう。
…うん、よろしくね。
さゆはほっぺに。
「…負けませんから。」
……何に?
なぜか目に涙が溜まっていたから、訊けなかった。
れいなは背伸びして私のまぶたに。
「ぽんちゃん、大好きっ!」
…もっと低い位置にすればいいのに。
「いいのっ!ここにしたかったの!」
私の心の声が聞こえたみたいで、そう返してくる。
…もう、かわいいな〜、れいなは。
- 631 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:46
-
まめは、わざわざ私の髪を耳にかけて。
「…大好きだから。」
耳にキスする。
…うん、私も大好きだよ。
絵里はいきなり抱きついてきて。
「…………。」
無言で首に口唇を寄せてきた。
……っ!
「あんたがやるとなんかやらしーのっ!」
愛ちゃんが絵里から私を引き剥がした。
そのまま、愛ちゃんの腕の中に閉じ込められる私。
…なんか、愛ちゃん、ぴりぴりしてる。
野生の動物みたいに警戒心まるだし、みたいな?
…どうしたんだろ?
- 632 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:46
-
================
もぅ、我慢ならんっ!
いくら、あさ美ちゃんの誕生日やからって!
どう考えても、やりすぎじゃないですか!
あさ美ちゃんもあさ美ちゃんで、簡単に受け入れすぎ!
ちょっとはイヤがってよ!
「まあまあ、愛ちゃん落ち着いて」
そんなんで落ち着けるなら、警察も法律もいらんのじゃ〜!
あたしを窘めようとするがきさんに唸り返す。
「ほんとは明日の予定だったんだけどね」
明日ぐらい、ふたりで過ごしたいでしょ?
だから、今日に繰り上げたんだよ。
吉澤さんの言葉にうれしく思うと同時に、脱力。
…そう思うんなら、もうちょっとタイミング計ってくださいよ…。
- 633 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:47
-
「残してやったんだから、さっさとやれ」
藤本さんの不機嫌な声に一瞬頭の上にはてなが飛ぶ。
……何言っとるん?
そう思って、藤本さんの視線を追う。
…あさ美ちゃん?
あさ美ちゃんもわけがわからないようで、首を傾げてる。
もしかして、藤本さん、まだあさ美ちゃんのこと狙っとるん?
だめ、あさ美ちゃんはあげないから。あたしのやから。
とりあえず、藤本さんから隠すようにあさ美ちゃんをあたしの背中の方に移動させる。
そして、むぅ、と口を尖らせていると。
- 634 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:47
-
「ほら、さっさとやれよ。」
さっきよりも格段に不機嫌な声。
その声と共に、体を反転させられて。
ずずずいっとあさ美ちゃんの前に押し出される。
――え〜と、その〜…つまり?……そういうこと?
さっきみんながしていたことを、思い出す。
それを、残っていることろにする、ということ、なんかな?
あと、残っているところは――…
いまだにきょとんとしているあさ美ちゃんをちらりと見る。
――…やっぱり、あそこだよね――…
なんとなく後に引けないってカンジ。
…引きたいわけでもないけど。
……なんか照れる。
- 635 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:48
-
みんなの前で、ってねぇ〜…。
あさ美ちゃん、まだわかってないみたいだし…。
もしかしたら、人前だからって拒否られるかもしんない。
そういうこと、極端にイヤがるし。
あっ、そうだ!
拒否られないようにすればいいんだ!
「あさ美ちゃん…」
「な……ぅわぁっ!」
ちょい、あさ美ちゃんの腕を引っ張ってベッドの上に導く。
そのまま、あさ美ちゃんの上にのしかかって。
その残っている部分に……
- 636 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:48
-
ぱっかーん!
…殴られた。
今のリーダーと副リーダーは、体育会系だな〜。
スリッパでそんな音が出せるなんて…。
…ちょっと怖っ!
「ばっか、やりすぎだって!」
「本気でしようとするやつがいるかーっ!」
「…あの〜、小春ちゃんもいるんで〜…」
というわけで、やり直し。
- 637 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:48
-
もういくらなんでもあさ美ちゃんでも気付いたようで。
「…軽くね、軽く」
なんて言っちゃって。
平常心を装ってるつもりだろうけど。
顔の赤さは隠せない。
…そんなかわいく言われちゃうと止まれなくなっちゃうんですけど?
なんとか自制して、そっと顔を近付けていく。
…あと、数センチ。
触れようとした瞬間。
- 638 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:49
-
パーンっ!×8
破裂音。
「「「「「「「「ハッピーバースデー!!」」」」」」」」
「ずらかるぞ!」
吉澤さんの号令(?)で部屋を脱兎のごとく出て行くメンバー達。
どたばたとかなりうるさい騒音。
その音が消えて、逆に静けさが際立った。
静まり返る、部屋。
- 639 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:49
-
呆然としたままのあたし達。
至近距離で目をぱちくりぱちくり。
いまだになにがなんだかわかってない。
そのままで見つめ合っていると。
自然と零れでてくる笑み。
クスクス笑いが止まらない。
…みんなには本当に驚かされてばっかりだ。
目を閉じているときに、クラッカー鳴らすなんて、驚くしかないじゃん。
あさ美ちゃん、みんなに愛されてるね。
こんなに誕生日を祝ってもらえるなんて。
あたしだけの紺野あさ美じゃなくて、みんなの紺野あさ美なんだね。
……嫉妬する気にもなんないや。
って思っても、ちょっとすねてしまうのはしょうがない。
- 640 名前:AP 投稿日:2006/05/17(水) 20:49
-
「…愛ちゃんはしてくれないの?」
あさ美ちゃんの言葉。
…あさ美ちゃんはあたしの機嫌を直すのも得意みたい。
機嫌を取ろうとしての言葉じゃないってこともわかってるから。
本当にうれしく思う。
「そんなわけないじゃん。」
目を閉じて、あさ美ちゃんの口唇に、静かにキスをした。
――あさ美ちゃん、19歳の誕生日、おめでとう!
- 641 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/17(水) 20:50
-
『Amazing Place』
- 642 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/17(水) 20:50
-
自分のおたおめ小説は遅れる、という法則。(イラネ)
こんさゆとこんまめ来てるな〜っと思ってたので(4月中旬)、あえて高紺。
自分の中の男前な人ランキング
一位松浦さん。んで、道重さん、石川さん、紺野さん。
…ん?おかしいですか?でも、そんな感じです(笑)
みごとにピンク好きばっかだな!
- 643 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/17(水) 20:51
-
<<612 名無飼育さん
( ^▽^)<こんなやつを頼もしく思っちゃいけないって誰かが言ってたw
…その通りです。現に更新遅れてますし。
とりあえず、夏休み終了まで頑張りますよ〜。
目標はこのスレを1000まで埋めること!
<<613 名無飼育さん
モテ紺よりも高紺っと。(脳内インプット中)
今回の更新は最初モテ紺要素が強めだったので、高紺多めに変更してみました!
というよりも、高紺用の短編を繋いだだけですが。
そのまま、短編で高紺書いた方が良かったのかもしれませんね…。
(繋ぎ合わせる為に少し削ったので)短編の方が高紺率が高かったはず…。すみません!
まあ、どうせたいしたことないんですけどw
自分、実は昔はまんがとかで「誰かがモテる」ことがすっごいイヤでした(ぇ
ありえないじゃん、みたいな?
でも、初めてモテでもいいかな〜と思ったのが紺野さんでした、と。
そういうわけです。(どんなわけ?)
- 644 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/17(水) 20:52
-
<<614 名無飼育さん
…結構思ったよりも高紺好きな人いるんですねぇ。知りませんでした。
次回更新は「弓道の続き」か「ハロ劇のパロ」の予定ですよ〜。
…予告することによって、自分を追い詰めてみるw
その次はどれにするか決めてません!(ネタだけはたくさんある。文章力はない。)
…おだてても、なにも(ry…(二回目)
どうせだから(?)残り三ヶ月くらいはage更新で。
川o・-・)<つんくさんのこだわりなんですよ
川o・-・)<アゲアゲじゃなくてウエウエだよって
从*VvV)<…んふふっ
(;0^〜^)<(つんくさんってこんこんにはそんな話し方なんだ……会話緩っ!)
- 645 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/17(水) 20:54
- リアル更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
えっと、個人的にはモテ紺が好きですw
いや、単なる嗜好の問題なんでモテ紺でも高紺でも
作者さんのご自由に書いて下さい!
- 646 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/17(水) 21:05
- キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
いやぁ、モテ紺も好きですが高紺が好きな人ですw
だってあの雰囲気がエロイんですもん!(自分の中で
作者さんの作品好きですんで、気軽に書いてくださいー!
でも高紺も時々(w
- 647 名前:110 投稿日:2006/05/23(火) 21:03
- お久しぶりです。最近忙しくてなかなかこれなくてすみません。
ありきたりなことしか言えなくて申し訳ないですが
もう、最高です!!!
ペーパーさんのモテ紺が好きです。でも高紺はもっっと好きです。
これからも応援してます!
- 648 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 16:45
-
『告白大作戦?』
※弓道の番外編
- 649 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:45
-
やっと私は高校一年生になった。
もちろん、高校は家から一番近い、愛ちゃんやみうなが通っている高校。
ふたりがいるから、ってわけじゃないけど。
高校を決めるときのひとつの要因にはなっていた気がする。
みうなが話す高校の先生もおもしろそうな先生ばっかりだったし。
愛ちゃんが話す学校行事も楽しそうだったし。
実際行ってきた文化祭は楽しかった。
ふたりの影響があったことは否めない。
ま、いろいろな要素があって、この高校に進むことを決めた。
* * *
暦の上ではもうとっくに春になっているはずなのに。
なんでこんなにも寒いのか。
春のぽかぽか陽気が恋しい。
そんな春の日。
- 650 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:46
-
今日も仲良し三人組で遊んでる。
遊んでると言っても、外は雨だから私の家でのんびりしてるだけ。
雨の日の外出も楽しいけど。
たまには、みんなでのんびりするのもいいよね。
部屋に出しっぱなしのこたつに三人でまったり。
愛ちゃんとは初めて会った日が思い出せないくらい昔から、ずっと一緒にいるし。
みうなとも結構長い付き合いをしてる。
このふたりといると、空気が馴染んでいて。
ふたりといると、ほっとする。
ま、つまりはふたりが大好きってこと。
このまま、ずっと一緒にいれればいいな〜…。
- 651 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:46
-
「あさ美ちゃんは、部活決めた?」
愛ちゃんがなんの前触れなしに話しかけてきた。
「ん〜…、どこに入ろうか、まだ迷ってるんだよね〜…」
中学のときは陸上だったしな〜高校も陸上かな〜
でも、弓道部も楽しそうだったし〜
去年の夏休みに、受験の息抜きと称して三人で遊ぶことになったんだけど。
午前中、みうなは部活があったから、愛ちゃんとふたりで差し入れがてら迎えにいって。
待っている最中、愛ちゃんとふたりで部活を見学してた。
そのとき弓道、いいな〜っと思ったんだけど…。
やっぱり陸上も好きだしな〜。
- 652 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:46
-
「じゃあ、チア入らない?」
う〜ん、と考えてると愛ちゃんの声。
そういえば愛ちゃんはチアリーダー部だったなぁ…。
練習してるとこ見たことあるけど…。
…確かに楽しそうだったけど。
私的には陸上か弓道の方がいいかなぁ。
「とりあえず、チアの部活紹介しっかり見てね」
うん、そだね。
部活紹介見てから決めればいっか。
このあと、みうながうさぎのぬいぐるみで私を襲ってきて。
私も反撃してると、愛ちゃんも参戦してきて。
しっちゃかめっちゃかな争いになった。
…とりあえず、うさぎの鳴き声は「がう〜」じゃないと思う。
- 653 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:47
-
* * *
そんなこんなで部活紹介の日がやってきた。
席順はクラスの列にいればどこでもいいらしい。
入学式のときに仲良くなったまこっちゃん(フルネームは小川麻琴)と隣で一緒に見る。
まこっちゃんは見た目から元気少女って感じで。
話してみるとつくづくおもしろい人だな〜っと思った。
「あさ美ちゃんは何に入るの?」
「う〜ん、実はあんまり決まってないんだよね〜…」
とりあえず、身体動かしたいから運動部かな…。
話を聞いていると、まこっちゃんはもうソフトボール部に入ることを決めているらしい。
…なんか似合いそう。
経験はないけど、一度やってみたかったらしい。
ちなみに中学は水泳部だったのこと。
…私も新しい分野に手を伸ばしてみようかな…。
- 654 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:48
-
「陸上部お願いします」
そう思っている間にも司会のアナウンスで部活紹介が進んでいく。
次は陸上部らしい。
ジャージ姿の人とユニフォーム姿の人。
まだ春なのに……かなり寒そう…。
…たぶん、じゃんけんとかで負けたんじゃないかな、と思う。
どっちがユニフォームを着るかって。
…改めて見ると、陸上部のユニフォームって結構短いな〜。
腕も足もすっごい出てるし…。
私、あんなの中学のとき着てたんだ…。
なんかしみじみとした。
そんなことを考えていると。
- 655 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:48
-
「紺野さん、お待ちしています!」
紹介が終わって去り際に突然ユニフォーム姿の人が叫んだ
「…『こんの』って誰?」
そんな呟きがそこかしこから聞こえてくる。
――…もしかなくても、私のことかな?
クラスメイトからはちらちらと目線を寄越される。
…私が『紺野』であることを知っているから。
「あさ美ちゃんの知り合い?」
「…いや、たぶん違う…」
中学のとき、陸上部で結構いい線までいったからかな?
なぜか、そういう情報が渡っているらしい。
…他にそういう人いなかったのかな?
……謎だ。
- 656 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:49
-
「次はチアリーディング部お願いします。」
その声に、ふと我に返る。
愛ちゃんにも言われたし、ちゃんと見ておかないと。
そう思って前を見ると……
――あ、愛ちゃん!?
出てきたふたり組みに、あっけにとられる。
愛ちゃんと松浦さんじゃん!
…だから、愛ちゃんしっかり見ててって言ってたんだ…。
――自分が出るから。
…納得した。
- 657 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:49
-
あの先輩たち、かわいい〜、という囁きがそこかしこから聞こえてくる。
ざわざわと騒がしく、止まるような気配がない。
にこにこにこにこ。
それにもかかわらず、営業用と思われる笑顔を撒き散らしながら手を振る松浦さんと愛ちゃん。
――このふたりが部活紹介に選ばれたのも、納得できる。
「あさ美ちゃん!」
「あっ!紺ちゃん!やっほ〜!」
私を見つけるなり、満面の笑顔で手を振ってくる。
自分達がどんなに目立っているかわかんないのだろうか。
…たぶん、そうだろうな…。
ふたりとも注目浴びるのに慣れてそうだし…。
というか、これだけの人数の中、すぐ見つけるなんてすごいな〜…。
しかも、まっすぐにこっちを向いて手を振ってくるから。
クラスメイト以外からもたくさんの視線を感じる。
……うぅ〜…。
- 658 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:49
-
「…知り合いだよね?」
「……幼馴染みです…」
さすがに、これは恥ずかしいよ、愛ちゃ〜ん……
ふたりで馬飛びとか軽くハイキックしている途中にも、こっちにはアイコンタクト。
一回なにかが終わる度に、熱視線。
……そんなに見つめないでください。
終わってからもなかなかその場を離れず、
「あさ美ちゃ〜ん!待ってるよ〜!」
愛ちゃんは叫びながら松浦さんに引きずられていった。
「いや、熱烈だね〜」
…恥ずかしい。
あ、耳真っ赤〜。
なんて、耳を引っ張ってくる。
「…やめてよ〜。」
抵抗する声が、自分でも、弱弱しく聞こえた…。
- 659 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:49
-
「弓道部お願いします」
弓道部?
そうだった。私、弓道部の紹介も見たいんだった!見なきゃ!
って、……みうな?
気分を入れ替えて前を見ると。
……なぜか、みうながそこにいた。
――あ〜、みうなも紹介に借り出されてたんだ〜。
愛ちゃんのときよりも、落ち着いて状況判断する。
となりの人は部長さんらしい。
――みうな、弓道部の中で一番袴姿似合ってたもんね〜。
身内(?)の欲目だろうがなんだろうがどうでもいい。
そう思って納得する。
- 660 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:50
-
――…やっぱり、弓道かな〜。
ふたりが話すのを聞いているとほんわかな感じの雰囲気が伝わってくる。
元から弓道にすこし興味があったのもあるけど。
……なんか、弓道部に傾いてきた。
「で、試合の後は、かならず焼肉なんですよね〜」
「そうそう!」
……え?今、みうななんて言った?
「弓道って結構お腹空くんで〜」
「先生がおごってくれるんです!」
……………。
- 661 名前:【〜春〜Asami】 投稿日:2006/05/28(日) 16:50
-
* * *
「まこっちゃん、私、弓道部に入る。」
部活紹介が終わったあとに、私はそう宣言していた。
「そうか〜、がんばれよ〜」
「うん。」
陸上部が残念がっていたとか。
高橋が口惜しがっていたとか。
実は事前にみうなと部長が口裏合わせをしていたとか。
……定かではない。
- 662 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 16:51
-
『焼肉大作戦!』
- 663 名前:お泊り会@みうなの家 投稿日:2006/05/28(日) 16:51
-
μ’ ヮ’μ<愛ちゃん!
川 ’ー’)<なに?
μ’ ヮ’μ<愛ちゃん用のネグリジェ買っといたから着てね!
川;’ー’)<…え?
μ’ ヮ’μ<私も着るから!
川;’ー’)<……あさ美ちゃんのは?
川*’ー’)<(どうせならあさ美ちゃんのも見たい!)
川o・-・)<大丈夫、私は元から持ってるから。
川;’ー’)<…え?(なんで持っとるん…?)
μ’ ヮ’μ<これでネグリジェーズの完成!
紺野さんはネグリジェを愛用していたという発言がある。
…意外〜。
あと、紺野さんはお泊りマニアだと思う。
ついでに、スキンシップも大好きだよね!
- 664 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 16:52
-
本当の勝因は「焼肉」じゃなくて「名前を出さなかったこと」だと思う。
部活の(ブラック?)リストは本当にあります。
2年生になって勧誘するときに見せてもらいました。
選抜の経験有り、とか、身長とか書いてあってびっくりした!
今までやってなかった部活に入るのは結構緊張しますよね。
周りは小学校や中学からやってる人ばっかりだし。
…ま、その分、燃えますけど!みんなに追いついてやる、とw
- 665 名前:恋ING@カラオケ 投稿日:2006/05/28(日) 16:53
-
μ’ ヮ’μ<紺ちゃ〜ん、カラオケにでも行かない?
川o・-・)<行く〜。
μ’ ヮ’μ<他に誰誘う〜?
川o・-・)<う〜ん…
* * *
結局、なぜかこの4人に…。
ノノ*^ー^)<この4人でカラオケ来るのは初めてですね〜
川 ’ー’)<(亀井ちゃん抜かして)3人でならよく来るけどな。
ノノ*^ー^)<…けんか売ってます?
μ;’ ヮ’μ<紺ちゃん、何歌うっ!?(二人とも仲良くしてっ)
川o・-・)<ん〜何にしよっかな〜(まずはポテトでしょ〜)
μ;’ ヮ’μ<紺ちゃんっ!それメニューっ!
* * *
ノノ*^ー^)<あさ美先輩、次何歌います?
川*’ー’)<あさ美ちゃん、いつものヤツがいいな。歌ってよ。
ノノ*^ー^)<(む〜。私が先輩に訊いてるのに…)
川o・-・)<わかった〜。
- 666 名前:恋ING@カラオケ 投稿日:2006/05/28(日) 16:54
-
♪〜〜♪〜〜♪〜〜
川o・-・)<<どんな風に呼べば良いのか〜♪
川o・-・)<<好きな人もできなくて〜グルメ気取ってた時期もあった〜♪
川*’ー’)<(そうなんか〜…わたしはいつでもOKやよ…)
川o・-・)<<いつまでも二人でいたい〜♪
ノノ*^ー^)<(…そう言われると照れますよ〜)
川o・-・)<<愛する人に夢中〜♪
μ’ ヮ’μ<(紺ちゃんの愛する人って誰だろ〜?)
川o・-・)<<恋愛進行形〜♪
川*’ー’)<いい曲だよな。(わたしたちのことみたいで…)
ノノ*^ー^)<今度来たときは絵里のために歌ってくださ〜い!
μ’ ヮ’μ<で、紺ちゃんの愛する人って誰なの?
川*’ー’)<(…どきどき)
ノノ*^ー^)<(ドキドキ)
川o・-・)<…みうな?
『恋のヴィクトリー』〜終〜
「恋ING」(恋アイエヌジー)をずっと「恋イング」だと思ってた、自分に乾杯!(完敗?
- 667 名前:まとめ 投稿日:2006/05/28(日) 16:59
- 『恋のヴィクトリー』
>>311-354 『Ready?』
>>445-457 『Ready!』
>>424-443 『Lady。』
>>451-551 『Go!』【Story Type:E】
>>356
>>552
>>554-559
>>562-586 『Girl』【Story Type:A】
>>587-588
>>591-607 『Go Girl』【Story Type:Z】
>>608
>>355
>>458
>>648-662 『焼肉大作戦!』
>>663
>>665-666 『恋ING』
長っ!
- 668 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 17:00
-
『a process of elimination』
- 669 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:00
-
今、個人の撮影で楽屋に人があまりいない。
いるにはいるんだけど。
…亀井さんと道重さんが。
いつもはなにかと私をかまってくれるふたりだけど、今はふたりで話すのに夢中みたい。
正直言って、かなりヒマ。
あ〜、はやく誰か帰ってこないかな〜?
- 670 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:01
-
なにか暇つぶしでもないかと楽屋を見渡すと…。
紺野さんの(なぜかいつも楽屋に写真集と共に常備されている)DVDのパッケージの裏が見えた。
【音声特典 紺野あさ美・新垣里沙 オーディオコメンタリー】
そう記されている。
「なんでオーディオコメンタリーの相手が新垣さんだったんだろう…?」
暇つぶしに。
ちょっと本気出して考えてみた。
- 671 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:01
-
たぶん、モーニング娘。のメンバーが妥当だろう。
いつも仕事を一緒にしているということが大切だと思うから。
そして……最初に自分を除外しておく。
…私はまだ紺野さんと気軽に軽口をたたけるような関係には至っていない。
……なりたいとは思うけど。
…暇だし、どうせならひとりずつ考えてみるか。
「吉澤さんと藤本さんは……」
このふたりは想像に難くない。
DVDよりも紺野さんをいじるのに夢中になってしまうと思う。
私の憧れのふたりであるけれども。
そういう面があるのも事実。
…あのラジオの二の舞になること必至。
「小川さんは…」
紺野さんとふたりでいるとなぜか食べ物の話になりそう。
たぶん仕事だということも忘れてしまうにちがいない。
で、今度行く食べ物屋さんを決めてしまうのだろう。
それはそれで、癒されると思うけど…。
なにか、趣旨が間違っている。
- 672 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:01
-
ここまでは、簡単に予想できる。
だけど、これからがちょっと難しい。
――ん〜…。
「亀井さんは……」
「絵里はニヤニヤというかニタニタして、コメント忘れるでしょー?」
それにかわいーって言い過ぎて、全部おんなじ話になりそう。
独り言だったはずの言葉になぜか合いの手が入った。
…さっきまで亀井さんといちゃついていた(?)道重さんがこっちに来た。
- 673 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:02
-
「…亀井さんはいいんですか?」
「だいじょうぶ、はさんできたから。」
道重さんの目線を追うと…。
なぜかロッカーと壁の間に亀井さんが…。
うれしそう……。
笑顔がサイコーに輝いている…。
見てはいかないものを見てしまったような気分だ、
――……見なかったことにしよう。
我ながら賢明な判断だったと思う。
だけど。
人とは、忘れてはいけないことを忘れ、忘れたいことに限って忘れられないものだ。
……なんて人間とは不便なものなんだろう。
私は不条理さを感じた。
- 674 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:02
-
それを誤魔化すためにさっきの続きを考えてみることにした。
「田中さんは…」
私より、同期である道重さんの方がわかると思い、聞いてみた。
「れいなはね〜…」
興奮しすぎて方言出まくって何言ってるかわかんなくなるんじゃない?
ま、私はわかるけど。
それにぽんちゃんぽんちゃんうるさくなるでしょ。
…なんか想像できるような気がする。
- 675 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:03
-
「…道重さんは?」
聞かなくてもわかるような気がするけど。
一応本人に聞いてみる。
「決まってるでしょ。」
ご丁寧に顔の横に鏡を持ってきて……。
「よしっ、今日も…っ!」
「やっぱ、いいです。」
いつも一緒にいるからかなりの耐性がついたようで。
道重さんが言い切る前に遮れた。
…なんか満足感。
でも、道重さんは余裕なかんじで。
私がなんだろって思うと。
片目をぱちぱちっとウインク。
「道重さんってほんとにかわいいですね!」
…あぁ〜、言っちゃった〜。
言った途端に気付いた。
……乗せられちゃったよ〜。
ふと、道重さんを見ると、楽しそうに笑っている。
……そんな笑顔してくれるなら、どんだけでも言っちゃいます!
- 676 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:03
-
「これでわかったでしょ?」
後はわかりやすい人ばっかりだもんね。
道重さんの言葉に頷きかけて、ふと気付く。
…あれ?あとひとりだけわかんないひとがいる…。
残るは新垣さんを除くとひとりだけ…。
「…高橋さんは?」
…さっぱりわかんない。
そりゃ紺野さんと高橋さんの話すスピードは違いすぎるかもしれないけど…。
それもひとつの味ですよね?
…う〜ん、わかんない。
「小春ちゃん、なに言ってるの?」
いっちばん、わかりやすいじゃない。
って言われても…わからないんだもん。
- 677 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:04
-
「…もぅ、しょうがないなぁ〜」
ちょっとついて来て、と道重さんが言うので。
「今日はこっちかなぁ?」
なにかひとりごとをいいながら楽屋を出て行く道重さん。
目的地は複数候補があるらしい。
その後ろに黙ってついて行く。
着いた場所は……。
「……非常階段?」
なぜこんなところに…。
普段あまり使わないし、今日は天気がよくないし、第一危ない。
「たぶん、いると思うんだけど……」
こっち、と手招きされて側に近寄る。
「何がいるんですか?」
そう聞くと、道重さんに静かにね、と言われ、口をつぐむ。
- 678 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:04
-
「だから……そのふたりでしょ?」
高橋さんと紺野さん、らしい。
なんだろう?
そのふたりが一緒にいると思うと、…なぜかどきどきする。
一番仲が良いと思われる人がそれぞれいるふたり。
そのふたりが一緒にいると……背徳感のようなものを感じる。
それに、非常階段。
その言い知れない感じのシチュエーションが、ますます…。
――私をぞくぞくさせる。
- 679 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:04
-
「ちょっと小春ちゃんは待ってて」
まだ小春ちゃんが見れない状態かもしれないから。
小声でそう言って、扉を開ける道重さん。
そこから、首を出して覗き込んでる。
私は待ちきれず、その横から顔を出す。
「あっ、ダメだってっ!」
道重さんの制止は間に合わず、私は視界にふたりを映し出した。
- 680 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:05
-
見えたのは。
ぐったりと高橋さんにもたれ掛かっている紺野さん。
「……ばか。」
「だって、好きなんやもん。」
そっと紺野さんの目尻に口付ける高橋さん。
言葉では責めているはずの紺野さんも。
なぜか、高橋さんの口唇を甘んじて受け止めていて。
そこはかとなく、立ち入れないような雰囲気が流れていた。
ふたりだけの世界、というものを具現化したような。
こっちまでその空気が伝わってきて、耳の後ろがぞわぞわする。
血が逆流する感じって、このことかもしれない。
- 681 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:05
-
「よかった…終わった後だ…」
道重さんはほっと息を吐いていた。
…何が?
とつっこみたいけど、やめておいた。
なんか、つっこんだらいけない気がした。
「どう?小春ちゃん、わかる?」
道重さんと一緒にこっそりと扉の隙間からふたりを窺う。
一度落ち着くと。
さっきは見えなかったものが見えてくる。
まだ、ひんやりとした空気が寒いくらいなのに、なぜかうっすらとかいている汗。
衣装から私服になっているふたり。
服のシワ。
しっかり抱き締める腕と対照的に、力なく添えるだけになっている腕。
外からは死角になっている場所。
…ふたりの表情。
- 682 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:06
-
「わかる、ような、気が、します…」
……こんなの、世間には、出せない…っ!
出したら、どうなるのか。
興味がないわけではないけど。
これは封印しておいた方が良さそうだ…。
…その分、私が……。
というわけで、じっくり見ておくことにする。
というか、私が個人的に見たいだけなんだけど。
ギィ…
「ぅおっ!?」
もう少しちゃんと見ようとすると、少し開いてた扉が全開になった。
- 683 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:06
-
「…っ!?」
「…………。」
その物音にビクッと反応する紺野さんと、ゆっくりとこちらを見遣る高橋さん。
「…なに?」
いつもと違う静かな物言いが、めっさ怖いです、高橋さん!
「行って、小春ちゃん!」
扉が開いた瞬間、見える範囲から飛び退った道重さんにぐいっと押し出される。
「あの〜高橋さん、紺野さん…」
「はいぃっ!」
…紺野さん、声裏返り過ぎですから。
「もうそろそろ全員撮影おわりますよ。」
口から出任せにしては、結構いい線いってるかも?
「…じゃあ、あたしらもうちょっとしたら行くから。」
「…わかりました〜。」
ここは、素直に引き下がる。
…何されるかわかんないから。
扉をすばやく閉めて、ほっと息をつく。
- 684 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:07
-
「ごめんね、小春ちゃん…」
私これで、見つかるの7回目なんだ…。
見つかったらさすがに、もう……。
でも、小春ちゃんなら、高橋さんも許してくれると思って!
軽々しく言ってくれちゃって。
こっちは冷や冷やだったんですからね!
そう表面上は取り繕っておいたけど。
…6回も見つかってるのか、と思う同時に、見つかってないのは何回なのか気になった。
……あとで、他の場所も教えてもらおう。
- 685 名前:久住さんちの小春ちゃん 投稿日:2006/05/28(日) 17:07
-
今日、わかったこと。
オーディオコメンタリーは新垣さんが適任。
高橋さんと紺野さんの組み合わせは厳禁。
道重さんは常習犯。
う〜ん、こんな感じかな?
今日はこれぐらいで終わりまっす!
- 686 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 17:08
-
『a process of elimination』
- 687 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 17:08
-
タイトル決めに困ったら、とりあえず英語にしとけ、という手抜き加減w
というわけで、マイナーCP好きなんですよね〜。
だから、ずっと自分の中の三大王道(邪道?)は高紺、さゆえり、あやごまだったんですけど、
最近、さゆえり、あやごまは危ういですね。
本人達が仲良すぎなんで(笑)
新しいマイナーCPを発掘しないと!(笑)
ってわけで、さゆれな、さゆがき(!)、
あやりか(!)、あやしば(!?)、みうあや(!?)とかも結構好きですよ〜。
松浦さんはハロプロ外でもいけるw
从‘ 。‘从<「あやりか」を漢字で表記すると…
(0^〜^)<オーケー牧場!
( ^▽^)<ってわけだ!
- 688 名前:ペーパー 投稿日:2006/05/28(日) 17:09
-
<<645 名無飼育さん
ミラレチャッテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!?
なんか、恥ずかしいです…(笑)
今は結構モテ紺好きですよ?自ら書くほどに(笑)
自由に書きすぎて、載せる順番とかめちゃくちゃです(笑)
次のモテ紺は……アレですw(ナニ
<<646 名無飼育さん
キチャッタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!?
って、こちらの方も?恥ずかし(笑)
大抵モテ紺書くときは高紺メインですから、大丈夫です!(ナニガ?
自分もあの雰囲気はアレだと思いますw
高紺は時々ってもんじゃないですよ?
考えてるのはほとんど高紺ですw
というか高紺が一番考えやすかったりしますw
<<647 110さん
自分も週一で頑張るとか、言いながら十一更新ですから(←意味違う
褒めすぎですから!ダメです!甘やかさないでください!(笑)
…でも、お世辞でも嬉しいものですね(照)
高紺ですね?了解です!
応援ありがとうございます!
モテ紺と高紺なんですね〜。
毎回どっちか入れときましょう!
で、他のやつは抱き合わせ商法で…(ぇ?
更新終わります!
- 689 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/05/29(月) 21:09
- 見つけた━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
646ですw
作者さんも雰囲気わかってくれますか!w嬉しいですw
この間のコンの時もあの雰囲気にやられました(*´Д`)
ってか、何やってたんですかw
そこの実況を是非!!w
- 690 名前:ペーパー 投稿日:2006/06/19(月) 20:25
-
<<689 名無飼育さん
見つけられた━━━━━━(;゚∀゚)━━━━━━!!?
わからいでか>あの雰囲気
それで、コンで何があったんです?(興味深々)
実況…、何を想像したんです?
その想像を『作者フリー〜』へ、らいと・だうん、ぷりーず?w
…と書いて小説の執筆を促し、自分も密かにパロディの後に更新しようとしていたんですが、
これ以上話の順番が前後するのはさすがに忍びないと思い、先に書くことにしました。
途中で雰囲気が変わったり、わけわかんなくなったりするので、返却可というより放置可です。
(実況でもない、久住さんでも見れる程度になったorz)
それでは、どうぞ。
- 691 名前:ペーパー 投稿日:2006/06/19(月) 20:25
-
『the deductive process』
- 692 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:26
-
「…あさ美ちゃん、行こ?」
撮影が早めに終わった私たちは。
衣装から私服に着替えて。
ほかの人が終わるまでの時間を利用して。
…時間を共有する。
愛ちゃんが差し出した手に、手を重ねて。
手をつないだまま、人気のない場所に移動する。
- 693 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:26
-
* * *
いつからだろうか。
愛ちゃんを好きになったのは。
いつからだろうか。
…ふたりでいるとき、人目を忍ぶようになったのは。
私たちの関係は、人目を避けて。
静かに、淡淡と、しかし確実に。
…はぐくまれていく。
* * *
- 694 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:27
-
人の目がないところで。
非常階段のポケットのところで、ふたり座る。
「つけてくれてるんだ……?」
「…当たり前じゃん。」
愛ちゃんが私の首元にあるものに触れてくる。
服の下に隠して置いたもの。
…愛ちゃんからもらった誕生日プレゼント。
シンプルなシルバーの指輪にチェーンを通して。
伏し目がちにそれを見る。
その触れてきた手にそっと自分の手を重ねる。
すると、愛ちゃんの手が動いて私の手をやんわりにぎる。
目線をあげるとすぐそばに愛ちゃんの顔があった。
――私達はいつのまにかくちづけていた。
- 695 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:27
-
軽く触れる。
それをずっと繰り返す。
それだけなのに、苦しくなる息。
……速まる鼓動。
短く、長く。
不規則に。
…あがる息。
「……んっ」
…口唇をぺろっとなめられた。
私も愛ちゃんにお返しする。
愛ちゃんもお返しのお返し。
また、お返ししようとすると。
タイミングよく、するっと差し込まれる舌。
先程の比にはならないくらいの息苦しさ。
なんとも言いようのない感覚。
気持ちいいともわるいとも言い難い。
だけど。
こんなに満たされた気分になるのは。
……なんでだろう――
- 696 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:28
-
* * *
口唇を離しつつも、そのままの距離を保つ。
なおも首やら顎にくちづけてくる愛ちゃん。
もういっぱいいっぱいになっている私。
止めるにも止められず。
しばらくは愛ちゃんの好きにさせておく。
いくら外からは見えない位置にいるとはいえ。
……大胆なことをしてしまった。
さっきよりは幾分、冷静になった頭でそう考える。
意識した分、さらに顔が熱くなる。
こんなことを、私がするなんて。
いつもの私では、まず考えられない。
…私の人生、愛ちゃんに狂わされっぱなしだ。
でも。
愛ちゃんなら、影響されてもいいと思う。
愛ちゃんだから、影響されたいと思う。
愛ちゃんには、影響したいと思う。
- 697 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:28
-
その相手が愛ちゃんであったのは、偶然でも必然でもなくて。
他の人と比べてとかじゃなくて。
他の可能性を消していったわけじゃなくて。
…現にそれが他の人であった可能性もあるのだし。
いろんなものを重ねていくうちに、愛ちゃんが飛び出てきちゃったっていう感じ。
他を消去してみて最後まで残ってたもの、ってわけじゃなくて。
ほかの選択肢もあるはずなのに、それを見ずに「これだ」と選んでしまった。
…問答無用に惹きつけられた。
だから、ほかの選択肢の条件が変わったとしてもそれを選ぶのは変わりない。
どれだけ、周りがひっかけ問題だとしても。
…変わりなく選ぶ。
愛ちゃんだから。
…あ〜、もう自分でも何言ってるかわかんなくなってきた。
とりあえず、私がこんなことをするのは、愛ちゃんだけ。
- 698 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:28
-
自分の思考に半ば強引に蹴りをつけて。
愛ちゃんの肩口に顔を埋める。
――…だいすき。
ぎゅっと愛ちゃんに抱き着く。
………ん?
一度気分が落ち着いて、ふと気付く。
なんか、愛ちゃんの手の動きが、妖しい。
背中、足、手を伝ってきて。
至るところでくるくるなぞるように動く。
…ぞわぞわする。
……ちょっと、やばい。
- 699 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:28
-
服のすそから進入してこようとする手を防ぐ。
やだやだやだ。
「…愛ちゃ……め…」
息が詰まってうまく言えない。
そうこうしてる内にも愛ちゃんの手が侵入してきて。
背中に温かい手が触れてくる。
愛ちゃんの体温が流れてくる。
背中がじんわりあたたまる。
かっ、と耳に熱が集中する。
……もぅ、だ…め…。
――
――――
――――――
- 700 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:29
-
==================
あたしの行動に気付いたあさ美ちゃんが抵抗しだした。
微弱なものだけど、あさ美ちゃんが受け入れてないことは確実で。
無理矢理っていうのも、いやだし。
……こんなときどうすればいいか。
…あたしは知っている。
服の上からではなく、直接あさ美ちゃんの背中を撫でる。
さするというよりは、自分の体温を分ける、という感じで。
一瞬、くすぐったそうに身をよじったあさ美ちゃん。
だけど、すぐにくてっとなり、あたしの肩に頭を乗せる。
…あさ美ちゃんはいつもそう。
背中に手を置くと、身体から力が抜ける。
…その瞬間がみょーにえろい。
- 701 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:29
-
背中に手を置いたまま見える所に口唇を寄せる。
さっきはしなかったあごの裏や首筋、耳の後ろなど至る場所に。
あさ美ちゃんがその度にぴくぴくっと反応する。
ヒラヒラした上着を少しずらして。
隠されていた肩に、素肌に、くちづけをする。
あさ美ちゃんが今までで一番大きい反応を示した。
…やばい。
背中の手で抱き締めるようにしてあさ美ちゃんの身体を固定し、反対の手を前から差し入れる。
服がめくれないように注意しながらお腹の辺りを撫でる。
すべすべしてるけど、ちょっと汗でしめってきている。
あさ美ちゃんが吐息を漏らした。
…なんでいちいちそんなえろいんだか。
……我慢できなくなる。
- 702 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:29
-
布の上から少し強く刺激して。
そのまま手を入れると、あさ美ちゃんが苦しそうだったから。
留め具だけ外して、きつそうなそこを解放する。
あらゆるところを指でなぞるように触れる。
時には優しく触れて、時には爪を立てて。
半ば、しつこいぐらいに。
しばらくすると、ひとりじゃ耐え切れなくなったのか、あさ美ちゃんがあたしの首にしがみついてきた。
――もうそろそろいいかな?
それを合図に体勢を変える。
あさ美ちゃんに、ひざをつけたままあたしの足の上に跨ってもらう。
左腕であさ美ちゃんの腰を抱き寄せて。
手探りで、邪魔なものをゆっくりと下ろしていく。
- 703 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:30
-
最初に指でやさしくなぞって。
あさ美ちゃんの反応を確かめる。
何度かそれを繰り返して。
熱に浮かされて来た頃を見計らって。
前の部分をはさみ込んだまま指を揺らす。
最も敏感なところには触らないように注意する。
…刺激が強すぎて、逆に痛いらしい。
あたしの頭をきつく抱き締めて。
はっ、とか、くっ、とか切羽詰った息を漏らすあさ美ちゃん。
その度にあたしも何かを刺激される。
…せつなくて、くるしいキモチ。
それは、抱き締められてる圧迫感だけじゃない。
- 704 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:30
-
時には押し込むように動かし、時にはばらばらに動かす。
だんだんと呼吸が浅く速くなっていくあさ美ちゃん。
…もう少しだな。
一度楽にしてあげようと断続的にすこし強く押す。
何度か強く押したある瞬間。
あたしの頭を抱く力が強くなり、あさ美ちゃんが崩れ落ちてきた――
―――――――
――――
――
- 705 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:30
-
==================
熱が集まって。
足ががくがくになって。
体全体も揺れて。
頼れる対象がほしくて。
愛ちゃんにしがみつく。
目の前がかすみ、さっきまで強張っていた体から一気に力が抜ける。
…内股に生温かいものが伝った。
自分の呼吸音がうるさい。
自分の心臓の音がうるさい。
自分の中で反響してる。
……止まって。
- 706 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:31
-
逆に、周りの音が一切聞こえない。
いつもはうるさいぐらいの人々のざわめき、車の騒音。
それが一切聞こえない。
…すこしぐらい聞こえた方が気が紛れるのに。
「…軽くイッた?」
……こんな声は聞こえなくてもいい。
いつもだったら熱が上がっただろうにな、と思いつつ。
もう最大限まで上がってしまっている体温はもう上がらず。
……とりあえず、そう言った本人に攻撃する。
「いたっ!」
…おおげさ。
軽く首筋噛んだだけじゃん。
跡もつかないようにしたのに。
- 707 名前:紺野さんちのあさ美ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:31
-
「やったな〜?」
仕返しは、愛ちゃんお得意の首筋攻撃。
くっついたり、はなれたり。
強弱をつけて、巧みに変化する。
……敵うはずがない。
終始愛ちゃんのペース。
いつのまにかふたりに隙間がないくらい、ぎゅっと密着していて。
夢中でお互いを求め合っていた。
……あとのことは、よくおぼえてない。
――
――――
――――――
- 708 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:32
-
==================
「ふぅん……っ」
あさ美ちゃんの声は鼻から抜けて、くぐもった声になっている。
必死で声を漏らさないようにしてるらしい。
……そんな風にされたら、もっと燃えるんですけど。
首へのくちづけはそのままに。
ぎゅっとあさ美ちゃんの身体ごと引き寄せる。
だんだんと位置を上げていく。
わざと逃していた熱を集めていく。
「…んはぁ」
口唇に到着して。
最初から深く深く探っていく。
激しく、むさぼるように。
でも、労わるように、気持ちが伝わるように。
……溶けていく。
- 709 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:32
-
「…行くよ?」
口唇をずらしてあさ美ちゃんにそう言って。
腰骨をなでまわしながら。
十分に準備ができているだろうそこへ、指を這わせる。
痛くないように初めは一本だけ。
入り口付近で本当に小さい円を描くように狭いそこを広げるように進めていく。
すると、あさ美ちゃんがぴくぴくっと身を捩る。
その度に汗が滴って、なんとなく扇情的。
それを口唇で拭い取って。
ゆするように指を動かす。
漏らすまいとしている声を近くで聞く。
中で曲げたり引っ掻いたり。
そのまま揺らしたりしてるうちに。
あさ美ちゃんの腰が完全に引けてきた。
足もときどき暴れるし。
…本能的に逃げたい衝動でもあるのだろうか?
左腕全体で尚も逃げてしまいそうになっている腰を抱き寄せながら。
しかめられている眉間と目頭にまたくちづけをして。
…指を増やして、一気に奥まで差し込んだ。
- 710 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:33
-
「……っ、くっ!」
身体が言うことをきかない、とでも言うように。
あさ美ちゃんの身体がびくびくはねる。
あたしの首に巻きついた腕にかなりの力がかかる。
反り返りそうになる身体を前傾姿勢にして耐えてるようだ。
はっきり言って、結構つらい。
だけど、さらに指を動かしていく。
あさ美ちゃんの感じるところを集中的に攻めていく。
激しく、情熱的に、何も考えさせないくらいに。
心配になるほど荒いあさ美ちゃんの呼吸。
でも、ここで止めてもつらいだけだろうし。
じりじりと確実に追い込んでいく。
……もうそろそろかな?
そう思ってペースを速める。
奥までしっかり行き来させる。
「――――――っ!!」
上にあるあさ美ちゃん顔へ。
無理やり首を伸ばして。
……最後の声を、口でふさいだ。
――――――
――――
―――
- 711 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:33
-
* * *
とりあえず後処理をしたあと。
背中を壁に付けて、あさ美ちゃんをだっこする。
抵抗する気力もないらしく。
力なく、ぐったりとあたしにもたれ掛かるあさ美ちゃん。
いつもは恥ずかしがって許してくれないけど。
こんなことできるのは、今だけ。…こんなときだけ。
だからその感触をじっくり堪能する。
「……ばか。」
…や〜、かわいい〜!
ほっぺ赤く染めて言う言葉じゃないよ?
…そんな憎まれ口もかわいく映る。
- 712 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:33
-
じたばたしたい衝動を抑えて。
「だって、好きなんやもん。」
そっとあさ美ちゃんの目尻に口付ける。
嫌がる気配もなく、受け止められる唇。
伏し目がちになっている表情がなんとなく色っぽい。
食べ物に目を輝かせているいつもの姿からは想像ができないくらい。
…前より、雰囲気がおとなっぽくなったね。
その原因は、あたし?
…そうだったら、うれしいな。
- 713 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:34
-
横座りで揃えられているひざをなでる。
…すこし赤くなっている。
やんわり擦ると頭を胸にぐりぐり押し付けられた。
途中、あさ美ちゃんに噛み付かれたりしたけど。
それは照れ隠しのようなもので。(厳密にはちょっと違うけど)
本気での拒絶じゃない。
今も拗ねたような顔をしているけど。
気恥ずかしさがそうさせているのだろう。
そっとあさ美ちゃんの首筋に鼻を寄せる。
するとあさ美ちゃんはあたしの肩に頭を乗せてきた。
……落ち着く。
いつまでもこうしていたいと思ってしまう。
…今のあたし達はどんな顔をしてるのだろうか。
きっと――……。
- 714 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:34
-
ギィ…
「ぅおっ!?」
突然扉の開く音とともに、奇怪な声が聞こえてきた。
「…っ!?」
…あさ美ちゃんがビクッとして息を飲む。
…………。
「…なに?」
扉の影に見えるのは。
……七期の、久住、小春ちゃん。
- 715 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:34
-
「あの〜高橋さん、紺野さん…」
「はいぃっ!?」
…………。
「もうそろそろ全員撮影おわりますよ。」
………………。
「……じゃあ、あたしらもうちょっとしたら行くから。」
「…わかりました〜。」
扉がすごい速さで閉められる。
………………。
- 716 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:35
-
…これで、何度目だろうか。
ふたりきりの時間を邪魔されたのは。
……すでに数えられないほどになっている。
仕事の前とかは仕方がないと思う。
というかこちらにも非がある。
だけど。
…どちらかの家にいるときでさえも。
電話鳴ったり、誰かが来たり。
……あーっ、もぅ!
どうにも名残惜しくて、あさ美ちゃんをぎゅっと抱き締める。
ふと、気付く。
…あさ美ちゃん顔、熱い。
顔を上げて、片手であさ美ちゃんの顔をこちらに向かせる。
…真っ赤や。
あさ美ちゃんと目が合う。
そうすることが当然のことのように口唇を寄せ合う。
もう一度しっかりと抱き締める。
- 717 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:35
-
「…見られたかな?」
あさ美ちゃんが小さな声でつぶやく。
…そりゃー、見られたでしょ。
「…たぶん。」
はっきり言うとあさ美ちゃんが恥ずかしがると思って、曖昧に返す。
「ぅー…、そうだよね…」
そう言って項垂れるあさ美ちゃん。
…なんか妙に小さくて、かわいいな。
「……愛ちゃん、何してんの?」
ん?何って、頭なでてるだけだけど?
かわいいと思ったから、したいと思ったから、行動しただけ。
それのどこが悪いん?
そう言うとあさ美ちゃんは呆気にとられた顔をして。
そのすぐ後に、また赤くなる。
もうちょっと真剣に考えて、と怒った風に言う。
…照れ隠しかな?
てか、全然怖くないし。
- 718 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:35
-
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
どうせあの様子じゃ見たとしてもキスぐらいでしょ。
そう言って頭をぽんぽんとたたく。
まだ、唸ってるあさ美ちゃん。
はいはい、と、もっと頭をなでる。
…髪がくしゃくしゃになるぐらいに。
「…愛ちゃんのばか。」
そう言いながら髪を直してるあさ美ちゃん。
えへへ、と笑ったら、もぅ…、なんて膨れてくる。
しょうがないじゃん、あたしだから。
そんなあたしを選んだのは誰?
…あさ美ちゃんでしょ?
あさ美ちゃんも、それがじゃれあいだってわかってる。
あたしだって、それがポーズだってわかってる。
そんなことがわからないくらい一緒にいないわけではない。
あさ美ちゃんもあたしもそれを楽しんでる節がある。
そうでなくちゃ、こんなにも一緒にいない。
- 719 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:36
-
「じゃ、行こっか。」
まだちょっとふらついているあさ美ちゃんの手をぎゅっと握る。
それだけで、心臓がはねるような気がする。
あたしがあさ美ちゃんにこんなにも反応してしまうのは。
――あさ美ちゃんしかいなかったから。
じゃなくて。
――あさ美ちゃんだから。
そう思いたい。
そういう意味では、あさ美ちゃんしかいなかった。
- 720 名前:高橋さんちの愛ちゃん 投稿日:2006/06/19(月) 20:36
-
これまでも、これからも。
あたしがあさ美ちゃんを選んで。
あさ美ちゃんがあたしを選んで。
お互いがお互いを必要とする。
そんな関係が続くといいな。
- 721 名前:ペーパー 投稿日:2006/06/19(月) 20:37
-
『the deductive process』
- 722 名前:ペーパー 投稿日:2006/06/19(月) 20:37
-
川o・-・)<いつも以上に頭がどんがらがっしゃん
- 723 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/06/20(火) 05:35
- どんがらがっしゃんな出来事にムハーですた
つーかしげさん、そんなの覗いちゃダメ。
ダメというか、ずるい!w
- 724 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/09(日) 18:20
-
『駅前広場にて Another Story』
※ハロ劇のパロディです。
- 725 名前:序章 投稿日:2006/07/09(日) 18:22
-
私はハロモニ学園高等部三年、紺野あさ美。
どこらへんでもいるような、なんの変哲もないただの高校生。
…何気に生徒会長だったりもするけど。
生徒会って一種の部活みたいなもんだし。
これといって記すべきものはない。
今日は急ぐような生徒会の仕事はないんだけどなんとなく生徒会室で過ごしていた。
なんとなく家に帰りたくなかった。
……はぁ。
- 726 名前:序章 投稿日:2006/07/09(日) 18:22
-
「先輩、見ましたよ〜」
ため息をついたと同時に部屋の戸が開く。
開けるなり話しかけてきたこの子は、一年生の道重さゆみ。
この子も、生徒会の書記をしていて。
生徒会で知り合ってなんとなく話すようになった。
放課後は大抵こうやって一緒にのんびり過ごす。
いつもはあと何人か人がいるんだけど、今日はふたりみたい。
自分が大好きで、いつか白馬の王子様が迎えに来ると信じている。
そのくせ結構毒舌を吐いたり、私にはいたずらばっかりしてくる。
前に居眠りをしていたときに、停電したとうそをつかれた時はほんとに参った。
だけど、この子だったらなんか許せちゃう、そんな不思議な子。
……得な役回りだよね。
- 727 名前:序章 投稿日:2006/07/09(日) 18:22
-
「先輩聞いてます?」
その言葉で意識を取り戻す。
「ごめんごめんごめん」
もう、ちゃんとしてくださいよ〜。
そんな呆れた声はもう聞き慣れてる。
「なんで教えてくれなかったんですか?」
知らない人と朝一緒に学校行くの見ましたよ〜!
あの人と付き合ってるんですか?
しかもかっこよかった!
いつのまに知り合ったんですか?
うらやましいな〜
- 728 名前:序章 投稿日:2006/07/09(日) 18:23
-
興味津々とでも言うように近寄ってくるさゆ。
さゆの言っている人は薮小路彦麻呂さまのことだろう。
でもそれより、高橋愛ちゃんと言った方が良いだろうか?
私たちの高校のとなりにある私立ナルシス高校は男装しなければならないという
かなり変わった校則があって、それに合わせて名前も付けられている。
その名前が薮小路彦麻呂であって、本名は高橋愛。
でも、私が好きになったのは、高橋愛ちゃんだと思う。
かっこいいというよりも、かわいい感じ。
わざとらしい言葉に、大げさなリアクションの彦麻呂さま。
宝塚が大好きで、「ハロモニ女子学園。」よりも「私立ナルシス高校」を選んだぐらいだから。
自分でも気に入ってるようで表情が生き生きとしている。
だけど、ふいに目が合うと照れたように笑う。
一瞬素になってる気がする。…高橋愛に。
その一瞬がすごい好き。
でも…。
- 729 名前:序章 投稿日:2006/07/09(日) 18:23
-
「わかんない…」
付き合ってるのかどうか。
ただ一緒に学校に行くだけ。
…私のこと、好きかどうかさえもわかんない。
いつも行動が仰々しくて。そんな自分に酔ってるみたい。
本当の姿じゃなくて、仮の姿しか見せてくれない。
学校の名前からしてナルシストだし。
私のことよりも自分のことの方が好きなんだ。たぶん。
「そ、そんなぁ〜…」
先輩、暗くならないで下さいよ!
大丈夫です!先輩はさゆの次くらいにかわいいですから!
なんのなぐさめにもなってないような言葉だけど。
その言葉はさゆのなかで精一杯の言葉だとわかっているのでありがたく受け取っておく。
でも。
ためいき。
- 730 名前:序章 投稿日:2006/07/09(日) 18:23
-
「先輩、いいこと考え付きました!」
すると、さゆはなにかを思いついたみたいで。
まるで、お手をした後に褒めてくれと擦り寄ってくる犬みたいに目を輝かせている。
なぜか頭を撫でたくなったので、撫でてみた。
さゆはうれしそうにわらって。
だけど。
肝心の内容を教えてくれない。
なに、と聞いても、秘密、と言ったまま、教えてくれなかった。
- 731 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:24
-
* * *
次の日、愛ちゃんとの待ち合わせ場所に行くと、刺さるような視線を感じた。
愛ちゃんは気付いてなかったみたいだけど。
…話しかけることはしなかったけど、私は気付いてた。
さゆの「いいこと」とは私たちを観察することなのだろうか。
それに、ひとつ気になったことがある。
――さゆはこんなに切ない顔ができるんだ…。
そのことに驚かされた。
直接顔を見たわけではないけど。
視線で、空気で、それが伝わってきた。
- 732 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:24
-
……さゆの見つめ方はなんだか愛ちゃんに片思いしてるように見えた。
でも、同時に疑問が浮かぶ。
――こんなにも感情が込められているのは、実際に経験してるから?
こんな風に片思いをしたことがあるのかもしれない。
そうなると考えられるのは…。
――…さゆは本当に愛ちゃんのことが好きなのかもしれない。
そうだとしたら、私は最低なことをしてる。
――その日、生徒会室には行けなかった。
- 733 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:25
-
* * *
その次の日、待ち合わせ場所に行くと、またさゆが居た。
今度は愛ちゃんも気付いたようで。
手を繋いで歩きながらも後ろを気にしていた。
何回か、振り向いては歩く、を繰り返して。
最後にさゆに愛ちゃんと繋いでいた手を切られた。
切られたときに、やっぱり――…と確信してしまった。
やっぱり、さゆは愛ちゃんを――…。
- 734 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:25
-
そう思って愛ちゃんに言うと。
愛ちゃんは「心が痛い」と言って私を置いていってしまった。
……愛ちゃんもさゆのことが気になってるのかもしれない。
愛ちゃんとさゆが付き合うことになったら――…
私はどうすればいいの――…?
- 735 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:25
-
* * *
学校でさゆに会うと、至って普通の顔をしていた。
飴、食べます?って、のんきに笑いかけてくる。
いらない、と言うと、びっくりしたように目をぱちくりさせて。
じゃあ、お腹空いたときにでも食べてください、なんて飴を3個手渡してくれた。
珍しいですね、先輩がそんなこと言うの。
お弁当食べたばっかりだからですか〜?
……はっ、もしかして、ダイエット!?
ダメです!先輩は食べなきゃ!
ダイエットするなら運動量を増やしてください!
食べる先輩を見て癒されてる人が何人いると思ってるんですかっ!?
ひとり暴走してるさゆ。
…まったわっけわっかんないこと言い出した。
- 736 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:25
-
「さゆ、本当は愛ちゃんのこと好きなんじゃないの?」
さゆの演説(?)が一段落したところで、気になっていたことを訊く。
同じ人を好きになって。
抜け駆けみたくなるのはイヤだ、だなんて。
偽善者みたいなことを言っている。
知ったところで何かが変わるわけではないのに。
さゆが愛ちゃんのことを好きだと知っても、引くつもりもないくせに。
- 737 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:26
-
「先輩、心配しなくても大丈夫ですよ」
私の心とは正反対に、さゆはからっと笑った。
取られるとでも思ったんですか〜?
…先輩ってば、かわいいなぁ〜、ってあたまを撫でてくる。
あっ、私の方がかわいいですけどっ!という言葉も忘れずに付け加えてきたけど。
…さゆはものすごくわかりやすいときもあるけど。
なにを考えてるのか全然わからないときもある。
今は後者だ。
すべてを見せているようで、その実、すべてを隠している。
笑顔でその感情を覆い隠す。
…笑顔ほど、心の中が見えないものはない。
- 738 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:28
-
…愛ちゃんだって、そう。
いつも笑顔を貼り付けて。
私に本心は見せない、わからせない。
ちらりとその破片を覗かせることがあるけど。
結局は破片。単なる一部分でしかない。
自分勝手かもしれないけど、すべてを見せてほしいって思っちゃうんだ。
「せんぱ〜い?」
だいじょうぶぅ?
子どもをからかうような口調で私の目の前でひらひら手を振る。
しょうがないですねぇ〜。
ここは私が一肌脱ぎますよ。
私に聞かせるように、大げさにため息をついて、さゆが言う。
- 739 名前:第一回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:29
-
「私に合わせてください」
絶対、後悔させませんから。
そう言ったさゆは、目に見えて自信が溢れていて。
全部任せたくなった。
自然と首を縦に振っていた。
- 740 名前:第三回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:30
-
* * *
『私が先輩たちの間に入って何か言いますから。』
『先輩はその言葉に反応してください。』
『終わったら私を追いかけて来てください。』
『集合は駅の側の公園で。』
周りには誰もいないのに、ひそひそと交わされた会話。
とりあえず、いつも通りに愛ちゃんとの待ち合わせ場所に来たけど。
…今回は、いったい何をやらかすんだろう?
- 741 名前:第三回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:31
-
あ、愛ちゃん、もう来てるや。
いつものように朝のあいさつをする。
……「彦麻呂さま」と。
「先輩、好きです!」
…え?さゆ?
いきなり聞こえてきた声。
ついでのように反転させられる体。
あ、やっぱりさゆだ。
「ずっと前から先輩のことが好きでした」
………?
昨日言ってたことってこれ?
……あ、なんか反応しなきゃ…。
「…私も好きだったの」
思いついたことを口にして、走っていったさゆを追いかける。
- 742 名前:第三回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:31
-
打ち合わせしていた通り、走って公園まで来た。
少しあがった息を整える。
冷静に考えると、大変なことをしてしまった。
今頃、愛ちゃんは私がさゆを好きだと勘違いしてるかもしれない。
あ、もしかしてそれがさゆの作戦?
そうしたときの愛ちゃんの反応を見るっていうこと?
でも…、愛ちゃんは追いかけて来なかった。
携帯に連絡も来ない。
私が誰を好きだろうと関係がない、と。
私なんか好きじゃない、と。
そう言われているようで。
- 743 名前:第三回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:31
-
…でも、それでよかったのかもしれない。
中途半端に期待してしまうぐらいなら。
いっそきっぱり諦めたほうが楽。
友達で我慢できるほど、そんなにこの想いは弱くないつもり。
だけど、今ならまだ諦められる強さ。
そう、想いが強くならないうちに。
…だから、これでよかったんだ。
- 744 名前:第三回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:32
-
「…あれ?」
そう思うのに、目から熱いものが溢れてきた。
止めようとしても、止まらない。
…だから、振られたのかもしれない。
こんなに意志薄弱だから。
自分が情けなさすぎて、たははと情けない笑いが出てくる。
…本当に、私ってどうしようもない。
「我慢しなくてもいいんですよ。」
突然体がふわっとした感触に包まれる。
後ろから抱き締められていては、顔は見えない。
だけど、さゆのやさしさを感じる。
自分で勝手に泣いてるだけだけど。
今日ぐらいは泣いてもいいかな?
明日にはいつもの私に戻るから。
私はさゆの腕の中で涙を流した。
- 745 名前:第三回目の後 投稿日:2006/07/09(日) 18:32
-
* * *
家に帰って、頭を冷やして考えた。
これまで自分から動こうとしていなかった。
ばかみたい。
なんでも他人任せなんて。
そんなの、誰も好きになってくれるわけがないじゃないか。
一回自分の想いを愛ちゃんに伝えてみよう。
……望みはないけど。
愛ちゃんには今日のことはなんでもないことなのかもしれないし。
……それはそれで悲しいけど。
まだちょっと心が落ち着いていないから、冷却期間を持たせて。
決行するのは2,3日置いて、次の土曜日に決めた。
- 746 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:33
-
* * *
次の日、待ち合わせの時間よりも早く学校へ行く。
愛ちゃんは待ち合わせに来ないだろうから。
それを見るのが辛くて。
まだ待ち合わせの時間には早いからいないんだ、と。
いつもの時間になったらいるはずだ、と。
…そう、思い込むために。
あー、なんて自分は未練がましいのだろう。
自分からやったくせに。
涙が出そうになるのを、頭を振って抑える。
- 747 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:33
-
「紺野さん…」
…幻聴がする。…愛ちゃんの声が聞こえる。
目を上げると、そこに愛ちゃんがいた。
愛ちゃんの目も赤い。
「好きです!」
紺野さんが誰を好きだとしても、僕、いやわたしは紺野さんのことが好きです!
なんでこんな時間にいるの、という質問もできないうちに。
ドサッという音がして。
ぎゅっと抱き締められる。
- 748 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:34
-
――…え?なに?
私が見ている都合のいい夢なのかもしれない、と思いつつ。
夢であったとしても後悔はしたくないと、勝手に口から言葉が出る。
「…私も、好きです…。」
空いていた腕を愛ちゃんの背中にまわした。
- 749 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:35
-
* * *
いつのまにか足元に落ちていた私の本と、愛ちゃんのかばんを拾って。
時間もあるし、ちょっと話したいということで、駅の側の公園まで来た。
ベンチに、少し距離を空けて腰掛ける。
「昨日、あのコに怒られた」
紺野さんを泣かすなって。
……さゆ…。
「…なんで?」
私に本当の自分を見せてくれなかったの?
ずっと疑問に思っていたことを訊く。
「かっこいい人が好きだと思って…」
ずっと、言動とかもかっこよくしなきゃって思ってて…
言い難そうで。
愛ちゃんの声が沈んでいって、頭も下がっていく。
- 750 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:36
-
「かっこいい人が好きなら、愛ちゃんを好きになってないから。」
文麿様の方がかっこいいじゃん。
素直に愛ちゃんが好きだと言えばいいのに。
わざと愛ちゃんをヘコませるような言葉が出る。
だけど、真実も入っている。
初めから、かっこよくないとこが好きだった。
着飾った態度が好きなわけじゃない。
- 751 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:37
-
予想通り愛ちゃんのヘコんだ姿に笑みが出る。
素を見せてくれているような気がするから。
…それに、気付いたかな?
私が初めて、“愛ちゃん”って呼んだこと。
さりげなくだけど、とっても大切な部分。
私は「薮小路彦麻呂」じゃなくて、「高橋愛」が好き。
- 752 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:37
-
だからさ…。
もっとふたりの距離を縮めるために…。
「下の名前で呼んで?」
愛ちゃん?
ほら、と促すように首を傾げてみた。
「あ、あさ美ちゃん!」
それだけでも、愛ちゃんははずかしそうに顔を赤くして。
…こっちまで、はずかしくなる。
「な、なんか、はずかしいねぇ…」
「…やねぇ。」
顔を見合わせて、照れ笑い。
- 753 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:38
-
* * *
普通の私の、普通の恋愛。
ドラマの中のような恋愛じゃないし、特別ってわけじゃないけど。
私なりに、一生懸命、恋してる。
かっこよくなくたっていいじゃない。
がむしゃらでありたいと思ってる。
ちょっと遠回りしちゃったけど。
この想いは、大切にしていきたい。
それが私の生きる道。
* * *
- 754 名前:終章 投稿日:2006/07/09(日) 18:38
-
『駅前広場にて Another Story』
- 755 名前:余談 投稿日:2006/07/09(日) 18:39
-
「あのコ、本当にあさ美ちゃんのこと好きだったんじゃないの?」
いい時間になって、もうそろそろ行こうか、と駅に向かったとき。
愛ちゃんがそんなことを言った。
…そんなわけない。
さゆは、愛ちゃんのことが好きなんだから。
そんなわけは、ない。
……よね?
- 756 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/09(日) 18:44
-
高橋さんは二年生だったのに、紺野さんは手に赤本!?三年生!?
紺野さん、年上設定か…。イイネ!
なんかハロモニ劇場で消化不良な感じがしたので脳内補完。
ついでに書いて晒してみた。
…紺野さんの性格が…、ごめんなさい!
あと半月ですか!?早いもんですね〜。
ヤバイ!ピッチ上げないと!予定してた20%も行ってない!
…これからのレポートの山とテストにビビリまくりです(笑)
- 757 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/09(日) 18:45
-
<<733-739 の名前欄は本当は「第二回目の後」です。orz
<<723 名無飼育さん
从*・ 。.・从<ずるくないです!ただの研究ですっ!
…今回はたまたま道重さんだっただけで、他の人も覗いてますよ?(ぇ
次回からは久住さんも参加のご予定で。(ぇ?
これぐらいでムハーしちゃだめです!もっと上を目指しましょう!
グッドウィルカップの布陣が最高に好みです!
結果はともかく楽しみだなぁ〜。
ワンダ紺の「ここにいるぜぇ!」での「カモンセアゲン」が弦楽器が響くような感じに聞こえて、
しかも余裕でウインクもしてたので「成長したな〜」と思ってたら、突然の卒業宣言。
いやぁ、人を驚かす天才だなw
次の更新は一週間以内が目標です!
- 758 名前:konkon 投稿日:2006/07/10(月) 12:14
- 駅前広場、まさかそのような事実があったとは・・・(汗)
あと二週間切りましたね〜。
現実はあと僅かですけどゆっくりでいいんで
更新待ってます。
- 759 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/17(月) 00:57
-
<<758 konkonさん
まぁ、そういう捉え方もできるなぁって話です。
…気楽に考えてください(汗)
温かいお言葉、ありがとうございます!
あと一週間なのに卒業ネタとか全然書いてないです(汗)
写真集ネタとかも…。
書きたいものがいっぱいあるのに時間が足りない…。文才も足りない…。
というわけで(?)、この前の駅前広場の番外編です。
- 760 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/17(月) 00:58
-
『道重異聞』
- 761 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 00:58
-
『私に合わせてください』
はっきりとそう言い切った私。
その声は客観的に判断しても自信たっぷりで。
自分で惚れ惚れするほど。
…そんな私が失敗するなんて。
- 762 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 00:59
-
本当はずっと前から先輩が私の知らない人と一緒に学校に行っているのを知っていた。
ふたりを見て、なぜか胸が苦しかった。
先輩に聞こうとしても聞けなかった。
それは、たぶん、私は一目見てあの人を好きになってしまったから。
…私が夢見ていた王子様に近いあの人。
- 763 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:00
-
憧れのあの人と、見慣れた先輩。
最初は付き合っているものだと思っていた。
付き合っていないと、先輩に聞いたとき、信じられなかった。
ふたりを見ていて、いじっかしいと思った。
付き合っていないことが不思議なくらいの雰囲気。
ただ、言葉にして伝えてないだけなんだと思う。
言葉にしなくても伝わることもあるんだけど、このふたりには言葉が必要みたい。
それこそ、どちらかが勇気を出してしまえばいいだけの話なのに。
今の関係がくずれるのが怖いから。
言い出せないでいる。
一歩踏み出せば、世界は変わるのに。
ふたりとも臆病で、ばかだ。
- 764 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:00
-
だから。
最初はあの人に好きだと言うつもりだった。
突然、先輩にライバル発言をして。
それで先輩が焦ってあの人に告白するように仕向けるはずだった。
いわゆる、あて馬ってやつ。
だけど。
直前になって「先輩が好き」と言ってしまった。
売店のおばさんに話しかけられて思わず先輩に抱きついてしまった。
…計画が狂ってしまった。
…私が憧れてたのは、好きなのは、あの人のはずなのに。
- 765 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:01
-
『またあんたかいな〜』
『もうぐちぐちぐちぐち』
『好きなら好き〜ゆって抱きつくぐらいせんとあかんで』
『ば〜んと抱きついてしまったらえ〜んや』
おばさんの声がすっと心の中に入ってきて。
「先輩、好きです!」
「ずっと前から先輩のことが好きでした」
自分でも何言ってるんだろうと思いつつ、口が勝手に言葉を紡ぎ出していた。
…先輩に後ろから抱き付いて、わざわざこっちに振り向かせて。
本当に、私、何してるんだろう。
もう自分でもどうしようもなくて、そのまま走り去った。
- 766 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:01
-
「…私も好きだったの」
走り去るときにかすかに聞こえた声。
元から小さい声が距離があったからさらに小さく聞こえて。
声とも言えない声。
だけど、私の耳にははっきりと伝わった。
うれしくも悲しくも切なくもなく。
ただ、胸の中でいろんなものが渦巻いた。
- 767 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:02
-
走るのがあまり得意ではない私は。
いつのまにか先輩に追いつかれていた。
追いつかれた時点で走るスピードを緩め、先輩と歩く。
ちょうど見えてきた公園に入る。
…追いかけて来てるなら、もうとっくに追いついてもいい時間。
……でも、あの人は来ない。
「がっこ、さぼっちゃた」
私生徒会長なのにさ、みんなに示しが付かないね。
先輩はおどけてそう言うけど…
無理して笑っているのがばればれで…
見てるこっちが痛々しい。
そんなにあの人のことが好きだったのかと思うと。
…ずきずきと、胸が痛む。
……あれ?なんで胸が痛むの?
先輩とあの人が離れてチャンスなはずのなに…。
その直接的なきっかけを作ったという罪悪感でもない。
あの人を思う先輩を見ると、胸がずきずきする。
- 768 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:02
-
「…あれ?」
先輩の目から……涙。
おかしいなぁ、なんて言いながら目元を必死に拭う先輩。
私に見られたくないのか、後ろを向いてブレザーの袖でゴシゴシ擦る。
「我慢しなくてもいいんですよ。」
先輩の後姿が頼りなくて。
…どうしようもなくて。
どう、言ったらいいのかも、わかんなくて。
先輩の手を止めるために、後ろから抱き締めた。
先輩は、静かに私の腕の中で、涙を流した。
- 769 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:03
-
* * *
「先輩、私もう、帰ります」
先輩が落ち着いた頃を見計らって。
そう、切り出す。
「…ごめ「それじゃあ、また明日〜!」
謝ろうとした先輩の言葉を遮って。
…公園を出る。
行き先は……。
- 770 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:04
-
* * *
「…君は……」
「は〜い!紺野先輩の恋人の道重でっす!」
びっくり顔のあの人。
……まぁ、誰でもそうなるだろう。
いきなり、校門の前に(誤解だけど)恋敵が待ち伏せしていたら。
しかも、朝あんなことがあったばっかりだし。
あ、この人、目が赤い。
…やっぱ、先輩のこと、好きなんじゃん。
なんで、追いかけて来なかったんだろう。
- 771 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:05
-
「先輩のこと、好きなんですよね?」
「でも、紺野さんは君が……」
「好きなのかって聞いてるんです!」
観念したようにうなずく。
じゃあ、なんで……。
「好きなら、追っかければ良かったじゃないですか!」
何、そのままにしてるんですか!
「……薮小路彦麻呂は、取り乱してはいけないんだ。」
常に美しく、華麗でいなければならない。
それがナルシス高校の掟だから。
先輩もむかつくけど、この人もむかつく。
…ほんと、くだらない。
- 772 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:05
-
「…なに私の先輩泣かしてんですか。」
掟がなんですか、先輩よりも大切なんですか。
「先輩をいじめていいのは私だけなんです。」
先輩を泣かせていいのも私だけ。
「そんな人に先輩は渡せません」
…渡さない。
「本当に私がもらっちゃいますから。」
…本気で。
- 773 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:05
-
捨てゼリフを吐いて、また走っていく。
先輩なんか、好きじゃない。
ただ、我慢できなかっただけ。
互いに想い合ってるのは明白なのに。
いつまでもぐじぐじぐじぐじしてるのが我慢できなくなっただけ。
売り言葉に買い言葉のようなもので。
こんな風に言ってしまったのは、特に意味はない。
私が好きだったのは、あの人。
だから、この胸の痛みはあの人のせい。
決して、先輩ではない。
…決して。
- 774 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:06
-
誰かと付き合うなんて、先輩にはまだ早いんだ。
だって先輩は優等生のように見えるけど。
いちいち行動がとろくて。
お菓子が大好きで、ごはんが大好きで。
いつも見ると絶対なんか食べてる。
そのくせ食べるのが遅くて。
私はいっつも食べ終わるのを待たされる。
しかも意外とケチで。
残り少ないお菓子とかくれなかったりする。
あと、意外と負けず嫌いで。
部活の試合に負けたときは影で人一倍悔しがってる。
…そんな子供っぽくて、やっかいなひと。
だから、誰かと付き合うなんて、先輩には無理。
だって、こんなこと許せるの、私ぐらいしかいない。
- 775 名前:another story 投稿日:2006/07/17(月) 01:06
-
たぶん、あの人は近いうちに先輩に会いに行く。
私がけしかけたってことになるのかな?
上手く行けばいいって想いと。
上手く行かなければいいって想いが交錯する。
ふたりは両想いなんだから、上手く行く可能性が高いのに。
上手く行かなければいいって個人的な想いが胸の中を渦巻く。
ねぇ、明日の先輩は、どんな顔してる?
- 776 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/17(月) 01:07
-
『道重異聞』
- 777 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/17(月) 01:07
-
…どっかに高紺の新作小説ないかな〜。
無性に読みたくなりました。
更新終了です。
- 778 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/17(月) 02:39
- シゲさん(ToT)
- 779 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/17(月) 03:54
- いじっかしいってw
- 780 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/22(土) 21:23
-
<<778 名無飼育さん
从*・ 。.・从<…私ってもしかして……演技派?
…まあ、最初に道重さんの設定から考えましたから、こうなることはある意味決まってたんですよねぇ…。実を言うと、主役は高橋さんでも紺野さんでもなく、道重さんでした。
<<779 名無飼育さん
…見てるとたぶん言いたくなっちゃうんですよ!たぶん。>いじっかしい。
…自分のちょっとわるい言葉遣い(口癖)が少しうつったようです。
今回はめずらしく新紺です。
話に特に意味はありません。
- 781 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/22(土) 21:23
-
『呼び方』
- 782 名前:Call me! 投稿日:2006/07/22(土) 21:24
-
「さゆ」
「れーな」
「美貴ちゃん」
この頃、こんこんが、口に出す言葉。
なにそれ。
いつもだったら、田中ちゃん、しげさん、ミキティじゃん。
…なにそれ。
最後だからってわけ?
最後ぐらい名前で呼ぼうってわけ?
……むかつく。
- 783 名前:Call me! 投稿日:2006/07/22(土) 21:24
-
まこちぃにこのことを言ってみた。
「いいじゃんそれぐらい。」
こんこんだってさ〜、何か考えてるんだよ。
困った顔をして相談に乗ってくれるまこちぃ。
まこちぃはさ、こんこんに元から下の名前で呼ばれてるから、そう思うんだよ。
…夏にまこちぃも卒業するから、そう思うんだよ。
…あ〜、なんか納得いかない。
- 784 名前:Call me! 投稿日:2006/07/22(土) 21:25
-
「まめ〜。」
誰かが、誰かを呼んでいる。
「まめ?」
…“まめ”ってだれ?…ってか、食べ物じゃない?
「ま〜め〜?………がきさん?」
……知らない。
「…怒ってる?」
怒ってる、のかな?これは?
…自分でもよくわからない。
なにかが詰まってる感じ。
飲み込もうとしても、飲み込めない。
…消化不良な感じ。
胃薬飲まなきゃ。
- 785 名前:Call me! 投稿日:2006/07/22(土) 21:25
-
なんかそう考えてる間にも。
まこちぃがあさ美ちゃんに何かを耳打ちしてる。
あさ美ちゃんがきょとんとした顔でこっちを見る。
…なに?
「里沙ちゃん?」
耳慣れない言葉が聞こえてくる。
だから過剰反応して、耳が熱持ってる。
…決して照れくさいからじゃない。
「一日一回ね」
「へ!?」
なんでそんな少ないの!?
ってか、決めなきゃいけないことなの!?
- 786 名前:Call me! 投稿日:2006/07/22(土) 21:26
-
そう言い捨てて。
ぷいっとまこちぃの方に顔を向けるあさ美ちゃん。
あさ美ちゃんの顔はこっちから見えない。
けど……なんか耳赤い?
――…もしかして。
「あさ美ちゃん?こっち向いて?」
私も“こんこん”じゃなくて“あさ美ちゃん”って呼んでみる。
律儀にちゃんと振り返ってくれるあさ美ちゃん。
――…あ〜、やっぱり…。
顔、真っ赤。
- 787 名前:Call me! 投稿日:2006/07/22(土) 21:26
-
…あさ美ちゃんも恥ずかしかったらしい。
もう、照れ屋さんなんだから…。
これからは一日のどこで言うか、注意してなきゃ。
聞き逃すかもしれないし。
それに“まめ”という呼び方も、本当はきらいじゃない。
というか、あさ美ちゃんに呼ばれるのが、好き。
…どんな名前でも。
いつのまにか、胸のもやもやがどきどきに変わっていた。
- 788 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/22(土) 21:26
-
『呼び方』
- 789 名前:ペーパー 投稿日:2006/07/22(土) 21:27
-
卒業2週間前ぐらいの設定で。
ってことで、ロスタイム突入します!
このスレでは後一か月くらい紺野さんは卒業しません!(!?)
卒業直前のものや写真集ネタ、その他諸々あるので…。
そして最後に卒業話で締めくくりたいと思います。
では、かなり短いですが、今回の更新を終了します!
- 790 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/07/23(日) 03:20
- ロスタイム大大々(ry歓迎です!
- 791 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/11(金) 01:55
-
<<790
…ロスタイムそんなに歓迎ですか?
じゃ、延長とPKもやりま(ry……冗談です!
今回はテストという口実でだらけてました。
これからはちゃんとロスした時間を取り戻せるよう、頑張ります!
- 792 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/11(金) 01:56
-
『reliable…』
- 793 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:56
-
グッドウィルカップ。
これが私にとって最後のガッタス公式戦。
決勝はトーナメントだから、負けたらそこでオシマイ。
だから、負けられない、…負けたくない。
- 794 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:57
-
ガッタスは他のチームと比べて、練習量が断然少ない。
ガッタスは歴史が長いけど、仕事があって練習時間があまり取れない。
…仕方がないことなのかもしれないけど。
だから、仕事の合間を縫って一つ一つを大切に吸収しようとしている。
でも、他のチームはどんどん練習して、ぐんぐん伸びている。
それに、今回は仕事で三人がいない。
…私にとって、無条件で頼れる人たちが。
- 795 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:57
-
私にはひとつのミスだって許されない。
……私の後ろには誰もいないのだから。
ミスがそのまま、得点になる。
みんなとのガッタスを終わらせないためには。
…たったひとつのミスだって許されない。
- 796 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:57
-
そんなことを考えながら、靴ひもを堅く結ぶ。
顔を上げて、試合に意識を集中させる。
「紺ちゃん!」
「なんですか、柴田さ、ぅ…」
むにゅ
いきなり柴田さんが私のほっぺを…。
「ほら、力抜いて…。」
力、入りすぎてる。
そんなんじゃ、取れるもんも取れないよ〜。
- 797 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:58
-
なでなで。
「くすぐったいです…柴田さん…」
なでなで。
「…紺ちゃんはさ〜……」
「なんですか?」
なでなで。
「…なんでもない。」
「言ってくださいよ…気になるじゃないですか。」
- 798 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:58
-
なでなで。
「…ん〜、や、大好きだよって言いたかっただけだよ。」
「……なっ、あっ、えっ、…ありがとうございます。」
なでなで。
「だからさ〜、一人じゃないから。」
「え?」
「…そんなに、背負い込まなくていいから。」
「……ふぇ?」
- 799 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:58
-
「ほら、みんな心配してる。」
柴田さんの言葉に、辺りを見回すと。
私を覗き込んでる顔、顔、顔。
「…行っておいで。」
背中をぽん、と押されてみんなの前に出る。
後ろを振り返ると、柴田さんは優しい顔で微笑んでいた。
「行ってきます!」
…体の力も自然と抜けて。
浮かんでくる笑顔。
- 800 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:59
-
そのまま、みんなのところへ。
「こんこん!」
即座に反応したのが、みうな。
目がなんかうるっときちゃって、抱き付こうとしたら。
むにゅ。
「……みうは?」
「えへへ〜。」
何回触っても気持ちいいねぇ〜。
むにむに、ほっぺを触り続ける。
ずっと触ってたら満足したらしく、最後にきゅっと抱き締められて開放される。
- 801 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:59
-
その後も続々やって来て。
…なぜか、ほっぺを触っていくみんな。
あさみさんはペチっという感じに触られたし。
…里田さんにはほっぺを潰されそうになった。
のんちゃんは自分のほっぺとくっ付けてきた。
後の一人は…。
「私も…」
是ちゃんも手を伸ばしてくる。
…なんか悪戯心が湧いた。
「…『こんこん』って呼んでくれたら、いいですよ?」
「……そんなぁ〜」
なんで私だけ…って「こんこん」って呼んでくれないのは、是ちゃんだけですから。
「こんこん!こんこん!」
みうな、いくらいっぱい呼んでも…。
……ま、「こんこん」って呼んでるし…。
「あ〜、みうな二回目ずるいっ!」
里田さんが叫んだ。
- 802 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 01:59
-
いつも通りの騒がしい風景。
…はっきり言って、まだ心の整理なんかついてない。
……ここを離れたくない。
だけど、私は、一人じゃない。
私には、大好きで、信頼できる仲間がいる。
それは、離れたぐらいでは揺らがない。
- 803 名前:キャプテンしばたっ 投稿日:2006/08/11(金) 02:00
-
一人でもがいてたってしょうがない。
フットサルは、一人ではなく、みんなでやるスポーツ。
フィールドの5人だけではない。
ベンチで休んでいる人だって、今いない人達だって。
…チーム全体で戦うんだ。
応援してくれる人にだって、支えられている。
私は、精一杯、頑張るだけ。
――…悔いのないように、全力を尽くそう。
- 804 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/11(金) 02:00
-
『reliable…』
- 805 名前:7月20日終了後 投稿日:2006/08/11(金) 02:01
-
――こんこん…。
||| ´_`||<本当にいいんですか?
川o・-・)<いいですよ。
||| ´_`||<では…。
( ^▽^)<ふたり、なにやってるの?
μ ’ヮ ’μ<こんこん!(むにゅ!)
从VvV)<えいっ!(むにゅ!)
(0^〜^)<じゃ、ウチも!(むにゅ。)
( ^▽^)<あ、ずるい!私も!(むにゅ〜。)
||| ´_`||<……。
- 806 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/11(金) 02:02
-
…是永さんには「こんこん」ではなく、「紺ちゃん」って呼ばせようとしてたのに!
大誤算です。…嬉しい誤算でもありますけどね。
短いし、微妙ですけど、今回の更新を終わります。
- 807 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/23(水) 10:25
-
関連話冒頭
>>3 『ひと夏の騒動』
>>474 『お泊りへ行こう!』(『韓国へ行こう!』)
>>530 『ある日の騒動』
- 808 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/23(水) 10:25
-
『真昼の騒動』
※『ひと夏の騒動』の続き
- 809 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:26
-
あさ美が気持ちを話してくれた後。
あさ美とは友達以上(?)な関係が続いている。
だけど、決定的な何かが欠けている。
…そんな気がする。
「付き合ってる」と言っていいものか、だめなものか。
…微妙なラインにある。
互いに特別に想い合ってることは確かなんだけど。
……今、一歩が踏み出せない。
- 810 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:26
-
それに、この頃、ふと思うことがある。
…あさ美、写真集、出し過ぎじゃない?
なにこのペース!?早過ぎん!?
卒業とか、いろいろ理由あるのはわかるけど!
あさ美の体が持たんやろ!?
…建て前は、そんなとこ。
あたしだって、じっくり見れないのに!
水着とか、あんな姿や、こんな姿。
他の人に見られるなんてっ!許せんっ!
…本音は、ただのバカ。
- 811 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:26
-
だって、ねぇ?
そう思っちゃうのは、しょうがなくない?
好きな人のものって、なぜか独占したくなる。
仕事とプライベートをきっちり分けれるくらい、大人ってわけでもないし。
…まだまだ、あたししか知らないあさ美、がたくさんあるわけでもないし。
付き合ってるっていう確証も、ないし。
だから、不特定多数の、顔も名前もわからない人たちに。
……嫉妬するばかり。
せめて。
一番に見せてもらいたい、というのが、ほんとのところ。
- 812 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:27
-
今朝、あさ美から新しい写真集をもらった、というメールが来た。
あさ美もあたしに一番に渡そうと思っているのだろう。
……たぶん、ね。
だから、あさ美がくれるのを、今か、今かと待つばかり。
待ち合わせ通り、集合時間の一時間半前に来てるのに。
……はい、今10分経過しました〜。
ちょっとせっかちかな、と思いつつも。
履歴からピピッとあさ美に電話。
♪〜〜〜♪〜〜〜
――ドガッ……いったぁ〜…
……なにやら、廊下から奇妙な物音が…。
それに、あの声は……。
- 813 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:27
-
楽屋を飛び出すと……。
「あ、愛ちゃ…」
あたしを見た途端、逆方向に走り出すあさ美。
…それはもう、脱兎のごとく。
……なんで逃げる!?
- 814 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:27
-
わけもわからずに、あさ美を追いかける。
短距離はあたしの方が早いし。
荷物を持ってるあさ美と、携帯を放り投げて手ぶらのあたし。
いまどっちが早いかって言われたら、あたしだろうけど。
…気を取られていた分、あさ美との距離が遠い。
曲がり角で一瞬あさ美の背中を見失う。
…次にあたしが曲がったときには、あさ美はどこにもいなかった。
- 815 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:28
-
おかしい、と思って辺りを見渡す。
視界に入るのは、いつもと変わらぬ景色ばかり。
となると、あと考えられるのは……部屋の中。
ここらへんはハロー系の楽屋でひしめき合っている。
どこかの部屋にかくまってもらっている可能性が高い。
…どこかな〜……。
メロンさんとかカントリーさんの部屋かな?
それとも大穴を狙って、飯田さんと保田さんとかの部屋?
う〜ん…。わかんないなぁ…。
出てくるまで待った方がいいかも…。
や、でもひとつずつ確かめてみる、とか?
でも……。
いろんな考えがよぎり、立ち止まっていると。
- 816 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:28
-
キィ……ポイッ…バタン
ひとつの部屋の扉が開いて、何かが押し出され、何事もなかったように閉められた。
……っていうか、あさ美だし。
扉を追いすがるように見遣るあさ美。
「…あさ美?」
その声であたしに気付いたのか。
急にがちゃがちゃとドアノブを回し出すあさ美。
どんどん、と扉をたたく。
内側から押さえられているのか、扉は開く気配がない。
- 817 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:28
-
望みがないとわかると一目散にまた駆け出す。
…そんなにあたしがら逃げたいん?
そんなの理不尽や。
あたしが何したっていうん?
理由教えてくれんな、直すこともできんし、落ち込むこともできん!
…本人に直接聞かなきゃ納得できるわけない!
- 818 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:29
-
ってことで、本気モードで追跡再開。
またあたしとあさ美の、本人達は死ぬほど真剣な追いかけっこが始まった。
途中の階段もすっとばし、息が苦しくなるのも気にしない。
全力で廊下を走り、周りの目も気にしない。
次が仕事なのに、残りの体力も気にしない。
一対一の、真剣勝負。
だんだん、距離が詰まってくる。
それは想いの強さに関係してると思う。
あさ美じゃなけりゃ追いかけたりしないし、こんなにも必死になったりしない。
だから……もう、あたしに捕まっちゃいなよ。
- 819 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:30
-
またあさ美が曲がろうとしたとき。
あさ美が角にぶつかって急停止した。
その隙に一気に追いついて、腕を掴む。
はぁ、はぁ、と息切れしながら、掴んだ腕ごと体を引き寄せる。
もう逃がさない、とでも言うように。
後ろ向きの体をこちらに向かせようと……。
「ひゃっ!」
あさ美の驚いた声が辺りに響く。
なんだなんだとこちらを振り向く通りがかりの人々。
「ご、ごめんっ!」
ばっと手を離し、悪気はなかったんだとお手上げポーズを取る。
その隙にあさ美はあたしの腕をすり抜けてしまった。
- 820 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:30
-
あさ美が走っていった後もぼけっと立ち尽くすあたし。
耳まで赤くなるのがわかる。
――…へんなとこ触っちゃった……。
わざとじゃないにしても……。
いやいや、恋人だったら許される位置!
ふざけてだったら友達でも許される位置!
気にしない気にしない!
頭からその思考を振り落とす。
- 821 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:30
-
…はっ、あさ美は!?
我に返って、バッとあさ美が去った方向を見る。
――行き止まりだ。
もう此処らへんで逃げれる場所はない。
ここから続く階段は普段は使ったらいけないし。
あとは、衣裳部屋とトイレぐらいしかない。
いよいよ正念場だ。
深呼吸して、心を落ち着かせる。
- 822 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:31
-
そこに、真正面から、きぐるみがよたよたやってきた。
あたしとすれ違うとき、ぺこっと頭を下げる。
その拍子に頭がぐらついて、両手で頭を押さえる姿が妙に愛らしい。
そして足早に去っていく。
……って逃がすかっ!
がし、ときぐるみの腕を掴む。
じたばたもがくきぐるみ。
…そこまでして逃げたいの!?
- 823 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:31
-
「…あさ美っ!」
大きな声にビクッと体が一瞬止まった。
「逃げんといて!」
避けられると悲しくなるんよ。…胸が痛くなるんよ。
心から訴えかける。
急に大人しくなったきぐるみの手をとって、楽屋まで連れて行った。
- 824 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:31
-
きぐるみの頭をがぽって取って。
中身の人の、汗でおでこに張り付いた髪を除けてやる。
「……なんでわかったの?」
「バレバレやん。」
身長、態度、歩き方。どれもあさ美っぽかったし。
決め手はカバンかな?
「あっ…」
って気付くの遅っ!
なにより…
「あたしがあさ美をわからんはずがないやろ。」
目線を逸らさせないためにあさ美の頬を包み込むと、それが一気に色づく。
- 825 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:32
-
「恥ずかしかったの…」
それでも、目を伏せて視線を背け、あさ美はつぶやいた。
愛ちゃんに写真集渡すのが…。
これを愛ちゃんに見られると思うと、恥ずかしくて…。
部屋の前まで行ったのはよかったんだけど、中に入りづらくて…。
愛ちゃんと目が合って、つい逃げちゃった…。
それで、中澤さんたちの部屋に行ったんだけど、
たまには素直になりなさい、って飯田さんに追い出されて…。
…でも、やっぱだめだ…。
恥ずかし過ぎて、死んじゃいそう…。
本当に恥ずかしそうに体をよじるあさ美。
- 826 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:32
-
「…それ、結局はみんなに見られるんだよ?」
売るものだしさ。恥ずかしいとか言ってちゃ、きりがないよ。
それに前の写真集はくれたじゃん。
そう言うとぶんぶんと首を振るあさ美。
「……愛ちゃんは、だめ…。」
…前とは、気持ちが違うし……。
真っ赤になって斜め下を見ながら、ぼそぼそと言う。
- 827 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:33
-
――…それってそれって、……つまりそういうこと?
あさ美につられて、あたしまで顔が赤くなる。
みんなじゃなくて、あたし限定。
特別だって、言われてるかんじしない?
…なんか、にやけてきちゃうよ。
- 828 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:33
-
「じゃあさ、写真集いらないから……」
両手であさ美を引き寄せて。
耳元でささやく。
―― 。
数瞬押し黙った後、こっくりとあさ美が頷いた。
おでこをこつんとつけて、お互い赤い顔でえへへと笑い合って。
そしてゆっくりとくちづけを交わした。
また、笑って抱き締め合う。
- 829 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:33
-
しばらく抱き合って、ただ体温を伝え合った。
「私なんかまぬけだね。この格好だし…。」
さすがに暑くなってきた、とあさ美がわらう。
「…かわいいけど?」
でもさ、汗すごいね、とあさ美の首から上の汗を手で拭う。
「…一緒にシャワー浴びよっか?」
いたずらっ子のように、にししとわらいかける。
- 830 名前:高橋さんの思量 投稿日:2006/08/23(水) 10:34
-
そうと決まったらさっそく、と楽屋を出た。
「やばっ」
前から久住ちゃんが来た。
「あさ美、もう一回かぶって!」
あさ美の頭に無理やりかぶせて。
「「走れ!」」
ふたり手をとって走り出した。
- 831 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/23(水) 10:34
-
『真昼の騒動』
- 832 名前:後日談 投稿日:2006/08/23(水) 10:35
-
川o・-・)<ということは、これまでの写真集も返してくれるってこと?
川*’ー’)<…それとこれとはワケが……。
川o・-・)<……愛ちゃ〜ん…。
川*’ー’)<…世界は広いっ!
川;o・-・)<ワケわかんないよ…。
結局新しい写真集もあげた紺野さんでした。
ちゃんちゃん♪
- 833 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/23(水) 10:37
-
ここの高橋さんは結構カタチにこだわるタイプらしいです(笑)
紺野さんも紺野さんでめんどくさいタイプの人ですね(笑)
このシリーズはたぶんこれで終了です。
スレが埋まらなかったら、今回分の紺野さん視点を入れます(?)
流し、たぶん要らないですよね。
時間なくてぐだぐだになってますが、今回の更新を終わります!
- 834 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/29(火) 19:09
-
前の更新読み直したら、昔読んだ小説の影響がもろに出ててヘコんだorz
最近気付いたけど、違う学年なのに同い年になる期間(三か月くらい)があるCPが好きらしい。
高紺とかね。
川o・-・)<夢を描いたテストの裏〜♪
川*’ー’)<紙ヒコーキ作って明日になげるよ♪
更新です。今更、卒業ネタその1。高紺。
…いつものわけのわからない文章です。
- 835 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/29(火) 19:09
-
『最後のわがまま』
- 836 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:09
-
五期だけで歌う『好きな先輩』のリハが終わったとき。
自分でも感じていなかった何かが切れた。
…ふっと気持ちが緩んだんだ。
十分納得したはずだったのに。
- 837 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:10
-
卒業する張本人に支えられて人のいないところまで行く。
張本人にすがって。
一頻り、気が済むまで泣いた。
あたしがこんなにもぐちゃぐちゃなのに。
張本人がまたしてもケロッとしてる。
しまいには他の人を、あたしを気遣うぐらい。
- 838 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:10
-
「…卒業すんなよ、ばか。」
いつもは使わない、乱暴な言葉遣い。
だけど、いつもより弱々しく聞こえるのは。
……声が揺れているせい。
…情けない。
―― 無理だよ。
「そこをなんとかするんじゃん!」
そんなあっさりと…。
あたしに関してなんか思うことはないんか!
- 839 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:10
-
―― やだよ。だって私が決めたんだから。
「こっの、わがままっ!」
娘。のままなら、そんな冒険しなくてもいいのに!
わざと苦しい道選んで!
そんなに行きたいんか!
自分が寄りかかっている肩を叩く。
―― うん、わがままなんだ。
飄々として言い切る張本人。
あたしがこれで納得したと思ったら間違いなんだからね!
納得できるまで離さん!
目の前におるやつに、改めてぎゅっと抱きつく。
- 840 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:11
-
―― ごめん。
「何が『ごめん』なんよ!」
結局行ってしまうくせに!
あさ美ちゃんが決めたんやん!
大体あさ美ちゃんは勝手過ぎるんよ!
このコが言う言葉言葉がいちいち気に障る。
今まで心の中でもわざと名前を出さないようにしてたのに。
つい出してしまった。
- 841 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:11
-
―― 一緒にいられなくて、ごめん。
「むっかつく!」
そう思うんなら、行くなよ!
……愛情でも同情でもなんでもいい。
…あたしから離れないでよ。
それまでの虚勢も剥がれてきて。
だんだん言葉にも力がなくなってくる。
- 842 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:11
-
…もう、ほんと……
「なんで、あたしは、こんなやつが、好きなんだよ…」
はっきり言って、欠点を探せばいっぱいある。
“良いとこは?”って訊かれても、とっさになんか出ない。
でも欠点らしきものがあっても、「そこがいいじゃん?」なんて即座に否定してしまう。
…マジで、かなり、重症だ。
本当、好きすぎて、好きすぎて、困る。
頭をこてっと前の人の肩に預ける。
- 843 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:12
-
―― ありがとう。
その言葉にまたむかついたけど。
私も大好きだよ、という言葉と抱擁に、つい絆されてしまった。
ほんっと、悔しいけど。
きっとあたしはもうこのコを許してしまった。
利己的な理由であたしを離れていくこのコを。
感覚でわかる。
布越しに、それでも伝わる体温に、しばし酔う。
ゆったりとした、心臓の音に、浸る。
- 844 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:12
-
好きだから、離れたくない。
それも、ある。
だけど。
好きだから、このコの思い通りにさせてあげたい。
そういう思いも、あるんだ。
結局、あたしはこのコに甘いんだ。
古い言葉でいうと、惚れた弱み。
…似合わないけどね。
弱点を握られたあたしには、どうすることもできない。
- 845 名前:7月23日。 投稿日:2006/08/29(火) 19:12
-
だけど。
そんなあたしの最後の抵抗。
もうカメラがあったって、かまうもんか。
人目なんて気にしない。
残り時間は、もう少ないんだ。
あさ美ちゃんが困ったって気にしてなんかやんない。
絶対絶対離れない。
あさ美ちゃんが悪いんだから。
最後の最後まで、引っ付いててやる。
それぐらい許してくれたっていいでしょ?
…そのかわり、笑顔で送ってあげるから。
- 846 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/29(火) 19:13
-
『最後のわがまま』
- 847 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/29(火) 19:13
-
「男なら泣くな。女なら尚更泣くな!」が自分の信条なので、涙を隠す人は好感が持てます。
でも、嬉し泣きとかならいいと思います。
悔し泣きも次への肥やしになるのでどんどん泣けばいいと思います。(言ってることが矛盾w)
小川さん、卒業おめでとう!小川麻琴、最高!
このスレはあと二回の更新(すべて卒業ネタ)でおしまいです。
今回の更新を終わります!お粗末さまでした!
- 848 名前:ペーパー 投稿日:2006/08/29(火) 19:14
-
川*’ー’)<つまり、隠れて泣けってことだよ!
∬´▽`)<わたしの出番は?
- 849 名前:名無し飼育 投稿日:2006/08/29(火) 23:30
- 更新キター!!
シリーズが終わっていて感激。
んでもって、卒業ネタ読んで…卒コンで抱き合ってるシーン思い出しちゃいました。・゚・(ノД`)・゚・。
このスレは後2回の更新らしいですが、作者さんの高紺好きなので今後も楽しみにしております!
- 850 名前:名無し飼育 投稿日:2006/09/21(木) 21:48
- 待っていますー!
- 851 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/23(土) 10:49
-
<<849 名無し飼育さん
更新シテミマシター!!(笑)
…はい、あれは一応終わらせないとな、と思いまして(笑)
他にも続きがあるものがありましたが、中途半端でしたのでやめました。
ありがとうございます。頑張ります!
<<850 名無し飼育さん
ぅわ、ごめんなさい!待たせてしまいました!
…ちょっとイイ年になったんで、はいどろぷれーにんぐげんしょう、とかについて学んでました!
ちゃちゃっと更新しちゃいますよ!
このスレも立ってから一年(以上)が過ぎました。
…どれだけライティングスピード遅いの!?
それは置いておいて、とりあえず、更新です。
卒業ネタその2。高紺。
- 852 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/23(土) 10:49
-
『See you again.』
- 853 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/23(土) 10:49
-
* * *
別々の道を歩み始める、あたしとあさ美ちゃん。
これまで同じ世界の中で生きていたあたしたち。
だけど、これからは、違う。
あたしたちが出した、結論は。
* * *
- 854 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/23(土) 10:50
-
「最高に、好きだった。」
普通だったら、世界一とか、愛してるとか言うんだろうな。
でも、あたしにはこれが合っていた。
「わかってる。」
私も最高に好きだったから。
いつもと変わらない、あたたかい微笑みを見せる。
ふたりとも「過去形」であるのは「過去のこと」だからじゃない。
「過去完了形」でもなくて、「現在完了形」。
- 855 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:51
-
別れたくて、別れるわけじゃない。
今だってこのコが好きだって断言できる。
だけど、このままじゃいけないと思ったから。
けじめをつけなきゃいけない、と思ったから。
こどものわがままみたいに。
好きというだけの感情で。
ずるずると関係を続けて。
それがふたりにいいとは考えられなかった。
- 856 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:52
-
生活時間も合わなくて。
実際の距離も遠くなる。
……気軽に会えなくなる。
メールをしてても。
声を聞きたくなるだけ。
電話で声を聞いても。
…ますます会いたくなるだけ。
機械越しじゃない声を聞きたくて。
実際にこの腕で抱き締めたくて。
その存在を確かめたくて。
- 857 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:52
-
我慢できないるはずがない。
…心が求めて、やまない。
もうすでにミュージカルとかでの擦れ違う仕事で身に染みていた。
それでもまだ近くにいたから大丈夫だった。
会ったら即行抱き締めてた。
重すぎる想いをぶつけてた。
だけど、今度は距離も遠くなる。
…会えなくなる。
互いの存在に依存しすぎてるからこそ。
……耐えられない。
- 858 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:53
-
遠距離恋愛なんて、できる人ってどういう人なんだろう。
オトナなコイゴコロってなんだろう。
想ってるだけで十分、って理解できない。
想ってるだけなんて、壊れちゃう。
体は遠くても、想い合ってれば大丈夫。
なんて、我慢できない。
声だって聞きたいし、抱き締めたいし、抱き締められたい。
傍にいてほしい。
相手にぶつけて、ぶつけられて。
ようやくバランスが取れる。
- 859 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:53
-
相手が幸せならそれで、なんて。
あたしには考えらんない。
好きな人に幸せになってほしいのは当然でしょ。
でも、相手はあたしがいい。
それができるのがオトナなら。
オトナになりたくない。
もう大人の年齢に近付きつつあるのに、そう思う。
別れたっていっても、心は納得してない。
形式だけの別れ。
一生の別れだとは思っていない。
- 860 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:54
-
ふたりとも互いに想い合いながら、別れる。
考えてみたら、これって最高じゃない?
これからもいろんな人に会って。
誰かと恋愛をするのかもしれない。
でも、そこで思い出すのは、あさ美ちゃん。
互いに好きなまま別れたんだから当然でしょ。
美化されてるかもしれないけど。
それでいいじゃん。
それだけ、好きだったんだよ。
…好きなんだよ。
結局はずるずる気持ちを引きずっている。
- 861 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:54
-
あさ美ちゃん。
あさ美ちゃんもそうだったらいい。
だけど、ちゃんと恋愛してほしいとも思う。
……願わくは、相手が自分であるように。
そして。
ちゃんとしっかり夢に向かって進んでほしい。
この別れが、意味のないものにならないように。
- 862 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:55
-
「最後にさ……、」
「……何?」
「……抱き締めてもいい?」
「…うん。」
ゆっくりと、包むように抱き締める。
今までの想いを込めて。
ぎゅっと抱き締めるのではなく、そっと。
あたしが好きだったあさ美ちゃんと、
あさ美ちゃんを好きだった自分を改めて感じるように。
この人を、好きで、よかった。
…好きになって、よかった。
こんなに、好きになれる人がいて、よかった。
…出会えて、よかった。
- 863 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:55
-
「……長い。」
耳元でぼそっとつぶやくあさ美ちゃん。
それは、いやな感じがまったくなくて。
少し…情事の後の、ささやく言葉に似ていた。
少し、思いついた。
「Hold on me as long as possible.」
「ん?」
「……長い私を止めて下さい。」
ぷっ、と同時に吹き出すあたしとあさ美ちゃん。
これぐらいの英文、あさ美ちゃんだってもうわかってるはず。
その証拠に……あたしを止めるどころか、ちゃんと抱き締め返してくれた。
- 864 名前:See you again. 投稿日:2006/09/23(土) 10:56
-
* * *
あたしとあさ美ちゃんはこれから別々の道を歩んでいく。
寂しくない、と言ったら嘘になるけど。
悲しくはない。
See you again.
…また、会えるから。
* * *
- 865 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/23(土) 10:57
-
「卒業後、紺野は北海道へ」ver.
ネットに繋げない状況があったので更新が遅れました。(言い訳しぃ)
…もう九月の終わりやん!卒業からちょうど2ヶ月じゃん!
高橋さんの誕生日過ぎてるやん!大学始まるって!
その分、書き溜めてたから大丈夫です☆(意味不明)
遅かったので、次に更新するはずだったモノも更新します。
このスレの最後の更新です。
紺野さん!人生を楽しんで、いっぱい遊んで、いい恋愛して、いい女になってください!
卒業ネタその3。紺野。
最後はシンプルイズベストに!
- 866 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/23(土) 10:58
-
『 * * * * * * 。』
- 867 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 10:58
-
今日で、モーニング娘。を卒業する。
- 868 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 10:59
-
知ってた?
何気に中澤さんよりモーニング娘。にいた期間が長いこと。
娘。になって約五年。
…そんなに長い時間。
楽しいことも、辛いことも、なんでも共にしてきた仲間たち。
ひとりひとりが大切で、どんなものにも比べられない。
- 869 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 10:59
-
先輩たちは、私の道標。
いつだって、背中を追いかけて追いかけて。
やっと、ひとつのことができたと思ったら、ふたつやらなきゃいけないことが増えて。
果てしない、道。
尽きることのない、道。
だって、頂点はないから。
次々に要求されることが変わる。
でも、必死になって追いかけた。
これぐらいは、と思って台本全部覚えてきたり。
声量を上げるために、アドバイス通り腹筋もしたり。
先輩もそうやってきたんだ、と思うと、頑張ることができた。
- 870 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 10:59
-
後輩たちは、私の鏡。
後輩から見た、自分はどうなのか考えてみて。
少しでも、先輩らしくしなきゃって。
自分を、磨いて、高めて。
…自分との戦い。
でもね、憧れてたんだ。
……君たちに。
どんなことがあってもへこたれなくて。明るくて。
君たちから、気付かされたことも、たくさんあった。
君たちがいるからこそ、頑張れた。
- 871 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 11:00
-
同期は、私の……なんだろうね?
この五年間、家族以上に一緒にいた。
入ったときから、どんなものも、一緒に乗り越えてきた。
愛ちゃん、麻琴、まめ。
学校の友達とは、なにかが違う。
深い、深いところのつながり。
好き。好き、大好き。
言わなくても、わかるよね?
…本当は、言葉で表したくないんだ。
だって、表現し尽せないから。
どんなに言ったって、足りないよ。
- 872 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 11:00
-
できるものなら、離れたくない。
でも、私は決めたから。
モーニング娘。が「夢」だって子も、当然いるかもしれない。
だけど、私は、もうひとつの「夢」を、見た。
その「夢」に、「娘。」を捨てるんじゃない。
「娘。」があったからこそ、その「夢」を見れたんだ。
- 873 名前:別れのとき、 投稿日:2006/09/23(土) 11:00
-
後悔はしてない。
絶対にしない。
……今も、これからも。
これは、卒業でもあり、ひとつの始まりでもある。
…大切な、大切な、私の始まり。
涙ではなく、笑顔で。
「モーニング娘。の紺野あさ美」を卒業する。
- 874 名前: 投稿日:2006/09/23(土) 11:01
-
『始まりのとき。』
- 875 名前: 投稿日:2006/09/23(土) 11:01
-
* * *
- 876 名前: 投稿日:2006/09/23(土) 11:01
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* * *
- 877 名前: 投稿日:2006/09/23(土) 11:02
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* * *
- 878 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/30(土) 23:26
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関連話冒頭
>>3 『ひと夏の騒動』
>>474 『お泊りへ行こう!』(『韓国へ行こう!』)
>>530 『ある日の騒動』
>>808 『真昼の騒動』
- 879 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/30(土) 23:26
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『誕生日の騒動』
- 880 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:27
-
ようやく想いが通じあった、あたしとあさ美。
でも、その後すぐにあさ美は娘。を卒業した。
それでも、あたしとあさ美はうまく行っている。
…あさ美はどこにいるかって?
もちろん…。
――あたしのところ。
- 881 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:28
-
いつものように、今日も仕事が終わって、家に帰る。
でも、いつもよりも、機嫌よく歌を口ずさみながら、帰途に着いた。
明日はあたしの誕生日だし。
あさ美が、あたしの帰りを待ってる。
特別にあたしだけのために時間を使ってくれるって言ってるし。
付き合ったばかりなのに、一緒に住むのは話が飛びすぎかもしれないけど。
離れたくなかったし、ふたりの時間も欲しかったし。
それに、付き合う前から友達としてお互いに泊まったりしてたから、大丈夫。
……そのときから、あんまり変わってないのも悲しいけど。
- 882 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:28
-
そんな空気になったときも何回かあったけど。
あさ美がぱっと逃げちゃう。ごまかしちゃう。
そんなとき、あたしは、まだちょっとだけ早かったかな〜、と思うと同時に落ち込む。
…そんなにあたしとすんのいやなんかな〜って。
結構長い片想いだったからだろうけど。
あせっちゃうし…、我慢できないし…。
それでいて、……なんか強く出られない。
…長い間、一方通行だった後遺症なんかな?
少しぐらい強引にいけばいいんだろうけど…。
きらわれたくない、と思うと……、ね。
いろいろ考えてるうちに、家に到着。
- 883 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:28
-
インターホンを鳴らすと。
すとととっと足音が聞こえて、がちゃっとドアが開く。
「愛ちゃん、おかえり。」
シンプルなピンクのエプロンを付けて、お出迎え。
(…娘。を卒業しても、ピンクは卒業しないようだ。)
ふんわりとしたあさ美の笑顔に、一気に癒される。
「ただいま。」
きゅっと抱きしめて、軽くくちびるを頬に触れさせる。
もう恒例となった挨拶。
あさ美はいつも、ぱっと顔を逸らしちゃうけど。
いやならあたしを迎えなければいいわけだから。
…ほんとは結構されるの好きなんじゃないかって思う。
- 884 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:29
-
「あ、ごはん、もうすぐできるからちょっと待ってね?」
すいっとあたしの腕から離れていく。
……可愛い。
付き合う前だったら確実にへこんでただろうけど。
今では、いろんな余裕も出てきて。
それが照れ隠しなんだとすぐわかる。
……だって、耳赤かったし。
くすくすと笑いながら、あさ美の後を追う。
- 885 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:29
-
いいニオイのする、キッチン。
いつもはふたりでごはんを作るけど。
あさ美が、誕生日なんだから愛ちゃんは座ってて、なんて言うから。
暇で、あさ美にちょっかいを出してみる。
すると、邪魔だって怒られた。
そこでまた笑うと、あさ美はふくれてあたしをキッチンから追い出した。
- 886 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:30
-
この一か月、いろんなあさ美を見てきた。
あたしが好きになったのは、まだ一部分でしかなかったんだね。
申し訳ないような気持ちにもなったよ。
だって、こんな魅力的な部分を見逃していたなんて。
ヘンかもしれないけど、さっき怒られてちょっとうれしかったんだ。
ほとんど怒るといったような感情を見せないあさ美。
よほどのことがあったとか。
それこそ妹とか、ほんとに気を許した人にしか見せない。
それをあたしに見せてくれたのがうれしかったんだ。
感慨に耽った後、気が付くと、ごはんを作り終わったあさ美が不思議な顔をしてあたしを見ていた。
- 887 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:30
-
その後、あさ美が作ったごはんを一緒に食べて。
先にあたしが食べ終わって、まだ食べてるあさ美を見つめる。
――最近、知ったことなんだけど。
「好きだよ、あさ美。」
「…もぅ、なに言ってんの!」
恥ずかしい人にならないでよ、愛ちゃん!
――食事中でも、あたしの声は聞こえてるらしい。
他の人の声はどうか知らないけどね♪
- 888 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:31
-
そんな穏やかなときを過ごした後。
「ほんとにこんなんで、いいの?」
そんなことを言いながら、プレゼントを渡してくれるあさ美。
「や。これが欲しかったんだって。」
そう言って、受け取る。
プレゼントは、「Sweet Days」。
欲しいものを聞かれて、即座に答えた。
欲しかったんだから、しょうがない。
…あたしたちを繋げるきっかけにもなったものだから。
あさ美のこれまでの写真集が収められていると同時に。
あたしたちの軌跡が詰まっていると言っても過言ではない。
- 889 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:31
-
そんなことを思っていると。
「…愛ちゃんは、それでいいの?」
「どういうこと?」
「…あ〜、だから……」
…それ、最初からあげるつもりだったし。
それに、それは、結局、みんなの知ってる紺野あさ美じゃん。
…だから…だから……。
そこで、何度も同じ言葉を繰り返すあさ美。
「ちょっと、待って!」
言うから!ちゃんと言うから、ちょっと待って!
赤い顔をしたあさ美が、深呼吸を何度もする。
そして、決心が固まったのか、あたしを真剣な顔で見た。
- 890 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:33
-
「…みんなの知らない、私も、欲しくない?」
え……?
…それって、つまり……?
「やっぱ、いらないか…。」
あたしの沈黙を、拒絶だと勘違いしたのか、あさ美がそんなことを言う。
- 891 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:33
-
ちがうちがう!
驚きすぎて、言葉にできなかっただけなんだって!
その言葉も、口から出せない。
せっかくあさ美が勇気を振り絞って言ってくれたのに。
対する、あたしが、なにも、できてない。
…情けない。
- 892 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:33
-
慣れないことはするもんじゃないね。
なんて、パタパタと赤い顔を手で扇ぐあさ美。
…泣きそうじゃん!そんな強がり言わなくていいって!
あさ美も言うのにすごい勇気を使ったようだった。
…そうだよね。はずかしいもんね。
できるなら、そんなこと言いたくないよね。
それを踏みにじったあたしってなんてばかなんだろう。
- 893 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:34
-
過ぎたことをどんなに考えたって、仕方がない。
今できることをしなければ。
…気持ちには、気持ちを以って応えなければならない。
一回、深く息を吸って吐いて。
「……欲しい。」
ぱたぱた動いていたあさ美の両手を握って。
じっとあさ美を見つめながら、そう告げる。
- 894 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:34
-
「前にも、言ったじゃん。」
付き合うときに。
そのまま、背中に手をまわして抱き寄せる。
いらないわけないよ。気付けよ、ばか。
…なんて、言いながら。
あたしの背中にもあさ美の手がまわった。
- 895 名前:高橋さんの思念 投稿日:2006/09/30(土) 23:34
-
* * *
これまでの、きみとの過ごした日々も、十分甘かったけど…、
それよりも、もっと甘い日々が始まった。
* * *
- 896 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/30(土) 23:35
-
『誕生日の騒動』
- 897 名前:さくら満開 投稿日:2006/09/30(土) 23:36
-
川*’ー’)<<お弁当は大盛りね〜♪
川o・-・)<……?当然じゃない?
川*’ー’)<だよねっ♪
川*’ー’)<あさ美の唐揚げ一つ多く入れといたよ♪
川o・-・)<ありがとう♪愛ちゃん大好きっ♪
川*’ー’)<……っ、あたしの分もあげるっ!
川o・-・)<ほんと?ありがと♪
川*’ー’)<どういたしまして〜♪
- 898 名前:さくら満開 投稿日:2006/09/30(土) 23:39
-
高橋誕生日「卒業後も、紺野は東京に」ver.
…ふぅ、なんとか9月中。
このシリーズはもう紺野さんの写真集がでない限り終わりです。(てか、終われ!)
いつも写真集について書いてますが、買ったことはありません!(爆弾発言?)
…その証拠に、いつも写真集の中身の描写がまったくない!(ほんとだ!)
スレの容量が余ってたので、有効(?)活用!出戻り♪
一応(?)次スレ紹介
こんがらがる。(幻板)
ttp://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/mirage/1159191785/
- 899 名前:ペーパー 投稿日:2006/09/30(土) 23:41
- 更新、終わります!
- 900 名前:名無し飼育 投稿日:2006/10/04(水) 23:50
- 待ってましたー!!!
やっぱ、ペーパーさんが書く作品良いです(*´Д`)ポワワ
写真集のネタは言われて思いましたww
次スレも引き続き楽しみにしてます!
- 901 名前:ペーパー 投稿日:2006/11/03(金) 12:39
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<<900 名無し飼育さん
ポワワしていただけて、ありがとうございますw
写真集のネタはいつ言おうか考えてましたw
実は、ハロモニも見れな(ry…地方ですから!
では、こんな駄文ですけど、まったりと見守ってて下さい!
- 902 名前:ペーパー 投稿日:2006/11/03(金) 12:41
-
>>282-295
『思い込み』(Consultant−OGAWA)と同設定。
高×紺(アンリアル)新垣視点。
- 903 名前:ペーパー 投稿日:2006/11/03(金) 12:41
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『勘違い』
- 904 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:42
-
「愛ちゃんって、私のこと、好きじゃないかもしれない…。」
ある金曜の放課後。
めずらしく、わたしの部屋で。
突然のあさ美ちゃんの衝撃発言。
あさ美ちゃんの、この言葉を聞いた瞬間に、口、ぱっかーん。
ついでに、目も、ぱっかーん
……開いたモノが閉まらないんですけど。
口と目が乾くから、冗談は止めてよね。
- 905 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:42
-
とりあえず、紅茶を飲んで咽喉を潤す。
どこをどうしたら、そうなるんだ?
あんなにわかりやすいのに。
それに、まだ、付き合い始めたばっかでしょ?
一ヶ月ぐらいだっけ?
まだまだ倦怠期にはほど遠いでしょうに。
ってか、見てるこっちがつらい。
手繋ぎとか、普通の友達同士のスキンシップでもやるけど。
…あんた達がやるとなんか雰囲気が……。
見てるこっちが、恥ずかしくなってくるっつーの!
そういうことは、自分達の家でやってよね!
- 906 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:43
-
というわけで。
見てるだけで、この子たちの気持ちがわかる。
ってか、見え見え。
だから、そんなことはないって知ってる。
……まぁ、どうせまた何かの勘違いだと思うけど。
付き合う前もごたごたしたみたいだし?
まこちぃからいろいろ聞いたんだよ。
ひとりひとりなら全然かまわないんだけど。
ふたり揃ったとき、とんでもなく、やっかいな相手となる。
…でも、どちらも大切な友達だし、一応、聞いてみようか。
- 907 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:43
-
「で?今回は何があったの?」
…あぁ、自分でも渋々な顔してるのがわかるよ。
大切な友達の悩み事は、もっと快く聞いてやりたい。
こんな顔したくないんだけど……仕方ないような気もする。
……何回も何回も、悩み事のようで、その実、のろけ話なんだから!
この気持ちがわかるのは、我が同士、まこちぃだけだ!
- 908 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:44
-
「…え〜とね……。」
前の金曜日、デートの後、私の部屋で一緒にいたら。
いつのまにか、外が暗くなってて。
帰り危ないから泊まっていけば、って言ったら。
最初は「そうしよっかな」とか言ってたんだけど。
家にいるのは私ひとりだとわかると「絶対帰るっ!」とか言い出して。
そんなに私料理下手だと思われてたのかな?
食べられないことないと思うのに。
お風呂からあがっても、一言もしゃべんなかったし。
寝るときも私に背を向けて、はしっこに寝てたし。
- 909 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:45
-
「私、愛ちゃんに嫌われちゃったのかな…。」
「………。」
…あ〜、愛ちゃんの心が手に取るようにわかるわ。
――完璧、据え膳じゃん!
でも、あさ美ちゃんは気付いてないことを愛ちゃんも知ってるから、手を出すに出せなかった、と。
自ら距離をとることで、ようやく耐えた、と。
……おつかれさまです。
しかもそれだけじゃなくて、あさ美ちゃんはまた何かしたに違いない。
だって、いつも無意識・無自覚・無差別に、人を誘惑する。
…わたしも、親友の彼女だって知ってるけど、つい惑わされる。
愛ちゃんは、よく持ち堪えたと思う。
…自分の彼女だから、制約はなかったのに。
- 910 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:45
-
あさ美ちゃんは、悲しそうな瞳で見ているけど。
…小動物系の、うるうるっとした瞳で。
それを見ると、抱き締めたくなるけど。
みなさん、騙されないでください。
この子は、小悪魔です。
外見に騙されないでください。
中身にも騙されないでください。
無自覚っていうのが、一番性質が悪いのです。
どうぞ、お気を付けくださいませ。
決して、甘やかしてはいけない。
こんな危険な子を野放しにしていてはいけない。
――だから。
- 911 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:46
-
「あさ美ちゃん、今すぐ愛ちゃんとこ行って!」
そして今日は帰ってくんな!
もう、煮られるなり焼かれるなりなんだりされちゃいなさい!
「まめ?」
「はいはい。行った行った。」
いきなりのわたしの発言に戸惑うあさ美ちゃんを、かばんを持たせて家から押し出す。
「じゃあね!」
「まめ!?」
ついでにドアも閉める。
バイバイ、とドア越しに手を振って。
あさ美ちゃんに愛ちゃんの家に行くように促した。
- 912 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:46
-
――このコの彼女に全部ゆだねることにした。
あさ美ちゃんに惑わされるのは、ひとりで十分。
愛ちゃんもそれは本望だろう。
…役得だし。
すばらしい、利害の一致。
愛ちゃん、ちゃんとあさ美ちゃんを捕まえておいてよね!
しっかりと、逃げ出さないように!
そうじゃないと、わたし達の身が持たないから!
- 913 名前:Consultant−NIIGAKI 投稿日:2006/11/03(金) 12:47
-
自分の部屋に戻って、窓からあさ美ちゃんの後姿を見送る。
これで、すべてが解決すればいい、と思いながら。
大好きなんだけど……あ〜、ほんとふたりの友達は疲れる!
どっかあの人たち、ズレてるのよね〜…。
そんなことを思いつつ、同士のまこちぃに電話するのだった。
- 914 名前:ペーパー 投稿日:2006/11/03(金) 12:47
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『勘違い』
- 915 名前:新垣>>小川@電話 投稿日:2006/11/03(金) 12:48
-
( ・e・)<まこちぃ、聞いてよ〜!またあのふたりが……!
∬;´▽`)<<それは大変だったね…。
( ・e・)<大変なんてもんじゃないよ!
∬;´▽`)<<さっきまで、あたしんとこにも愛ちゃん来てたよ…。
( ・e・)<せっかく、これからあさ美ちゃんとパンプキンパイ食べようと思ってたのに〜!
∬´▽`)<<……。(ほんとは、がきさんは…。)
( ・e・)<まこちぃ、パンプキンパイ食べに家に来ない?
∬´▽`)<<すぐ行くっ!
- 916 名前:ペーパー 投稿日:2006/11/03(金) 12:49
-
更新終了です!
- 917 名前:ペーパー 投稿日:2007/04/04(水) 22:31
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『表現差』
- 918 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:32
-
あたしの部屋で。
脈絡なく。
あさ美ちゃんが呟いた。
……あたしに背を向けて。
――え!?
「…もう一回言ってくれる……?」
なにかの聞き違い、だよね?
そう思ったとしても、普通、直接本人に、しかも恋人にそんなこといわないよね?
……あたし耳悪くなったんかなぁ?
- 919 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:32
-
信じたくなくて、訊き返すと。
あさ美ちゃんは、またおんなじことを小さく、でもはっきりと言った。
……聞き違いでもなんでもない。
『愛ちゃんといると、疲れちゃうの。』
………………。
やばい、今、すっごいブラックな気分になってきた。
ずどーん、ってきた。
- 920 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:32
-
…そうなんか……そうなんか。
あさ美ちゃん、あたしとおると疲れるんや…。
…これって、遠回しに、別れようってことなん?
さっきまで全然そんな素振りなかったやん…。
最初の頃はほんと自信なかったけど。
最近は、あさ美ちゃんに愛されとるって自惚れてもいいのかな、なんて考えとったのに…。
- 921 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:33
-
今日だって……。
そんなら、さっきのは、なんやったん?
ってか、それが原因だったり?
…しつこすぎたんかなぁ?
でも、それはあさ美ちゃんが好きだからだし…。
あさ美ちゃん、嫌やったんかなぁ?
…めっちゃ、へこむ…っていうか、陥没して裏側に突き出そうやぁ…。
……立ち直れそうにない…。
- 922 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:33
-
「…愛ちゃん?」
何も言わないあたしを不思議に思ってか、あさ美ちゃんがもぞもぞ動いてこっちを向いた。
確かにちょっと疲れてるような気もしないこともないけど。
昨日までと、さっきまでと、何も変わらない眼差し。
潤んでいて、それでいて甘く熱い眼差し。
視線が絡むと、ふ、と目を細めて笑う。
なんで笑うの?
…これが恋人に別れを告げる態度なのか?
答えは、NO、だと思う。
- 923 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:33
-
「愛ちゃん?」
それより。
問うより先に。
……ぎゅっと抱き締めていた。
「くすぐったいよ、愛ちゃん…。」
恥ずかしそうで、でも、うれしそうな声にこっちもむずむずする。
いつものように耳元に口唇を寄せると、くすぐったそうに首をすくめる。
……くぅ〜、ほんと可愛いな!
調子に乗って首筋にもう一回紅い跡を残そうとしたら、赤い顔でぺしっと軽く頭をはたかれた。
それでも鼻をすり寄せていくと…。
- 924 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:33
-
「もぅ……。」
なんか愛ちゃん犬みたい、なんて抱き締めてくれる。
ぎゅっと抱き付くと安心の温度と匂い。
…癒される度バツグンです!
「あ。そやった…。」
ついべたべたしとったら、忘れとった…。
「さっきの、どういう意味?」
あさ美ちゃんて言葉の選び方が独特やったりするから。
疲れる、っていうのも、違う意味があったり?
ってか、そうだと思いたい。
- 925 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:34
-
「あたしと別れたい……、とか?」
…でも、ちょっと探ってみたり。
ない、とは思っていても、実はドキドキ……。
「ふぇ!?違うよ〜。」
そんなわけないじゃん。
という、心にもないこと言われた風のあさ美ちゃんに、ホッ。
じゃあ、あとはどんな意味でもいいや。
どんと来い!
- 926 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:34
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あさ美ちゃんがこそっと耳元でささやく。
――愛ちゃんが好きすぎて。
一緒にいないときはいっつも愛ちゃんのこと考えちゃうし、
一緒にいるときはもっと愛ちゃんのこと考えちゃう。
そばにいてほしくて、私の名前呼んでほしくて、触ってほしくて。
苦しくて、つらくて、切なくて。
ひとりで悩んでたって仕方ないと思うけど、止まんないの。
疲れるんだけど……すっごい嬉しいの。
照れているのかあたしの肩におでこを押し付けてるあさ美ちゃん。
- 927 名前:Consultant−TAKAHASHI 投稿日:2007/04/04(水) 22:34
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「…っ、あさ美ちゃん!」
「ちょっ、くるしっ!」
やっぱ、こうでなきゃ!
あさ美ちゃんをぎゅうぎゅうと締め付ける。
…苦しいぐらいに。
あたしはあさ美ちゃんみたいに、気の利いたこと、言えないけど。
これだけは言える。
「あさ美ちゃん、大好き!」
その分、わかりやすいでしょ?
それに似合うだけの気持ちだって入ってる。
……だから、受け取ってよ。
- 928 名前:ペーパー 投稿日:2007/04/04(水) 22:34
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『表現差』
- 929 名前:おまけ? 投稿日:2007/04/04(水) 22:35
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川*’ー’)<ちゅーわけで、もう一回w
川;o・-・)<やっぱ疲れたかも…。
川*’ー’)<???
- 930 名前:ペーパー 投稿日:2007/04/04(水) 22:37
-
あと一回ぐらい載せたら容量まあまあ埋まるかな?
途中で切れるのも困りますので次で終わります。(やっとだな…)
以上です!
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