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メイキング・オブ?「我が闘争」

脱退する市井紗耶香とそのファンに捧げます -----作者っす


   ちょっぴり「弱気」だって あるかもしれないけど
                     たんぽぽの様に 光れ

「この歌はね、私が辞める時、あんたが歌ってくれたんだよ。圭織。」
頬に感じる心地よい風が、涙を拭ってくれる。
たんぽぽの種は青い空に吸いこまれていった。

             【完】

「裕ちゃん、これって一体何なの?
一番先に読み終えた安倍が、隣に座っている中澤に尋ねる。
「さあ。私もはっきり知らんけど、没になったほうの脚本らしいで。」
没の脚本と聞いて、安倍も納得したように頷く。それはそうだろう。こんな内容が映画化できる
訳がない。しかも、主役は自分ではなく、紗耶香なのである。
「およお〜〜?!矢口死んじゃうんだ。」
矢口が何故か嬉しそうな声で叫ぶ。
「あんただけやないで。私も紗耶香もごっちんも、なっちも、みっちいも…」
「私…・。エッチなシーンいっぱいある。」
後藤の困惑した表情が赤らむ。
「それもレズだ…。」
その後藤の後ろの席の保田は、さっきからニヤニヤ笑っている。
「こっちのほうが、美味しい役じゃん。」
ごく小さな声で呟きながら。
「は〜〜〜い!!質問!」

最後部から飯田が長い手をいっぱいに上に伸ばす。
「これって、彩っぺや福ちゃんも出てくるけど、もしこっちが採用されてたら、どうなってたの?」
「そんなん、私に訊かれてもなあ…。ん?圭織、あんた何で泣いてるん?」
飯田の目が真赤になっているのに全員の視線が集まる。
「だって…。圭織はアーテイストだから、脚本を読む時はぁ、役になりきって読まないといけない
訳だし、あ、これは没の奴だけどぉ、でもそれは関係なくって、この話しの中の圭織は同じ圭織
でも、あくまで役としての圭織なんだし、だから…」
「はいはい。あんたはもう喋らんとき。」
脚本の中と同じ台詞に、全員が爆笑する。飯田だけはキョトンとしていたが…。
映画「ピンチランナー」の撮影のためのロケバスの中、偶然発見した没原稿をネタに、話しが
弾む。一人を除いては…。
市井の表情に気付いた中澤が、立ち上がってその隣に移動する。
「どないしたん?そんなに気にせんでもええやん。これ、没のやつやし。」
「ん。ありがと。」
裕ちゃんは優しい。リーダーらしく、気を配ってくれる。でも的外れなのがタマにキズかな。
そう。市井の憂鬱の原因は、この脚本の役柄のことではなかった。まだ、メンバーには言って
いない、彼女だけの悩み…。
「ほんま、この原稿書いた人、何考えてんのやろなあ。何で紗耶香が独裁者やねん?
紗耶香は普通の女のコやっちゅうねん。」
…普通の女のコか。なりたくてなった歌手なのにな。

矢口や安倍の笑い声が流れる車内の空気を背に、市井は物憂げに窓の外に目をやった。
答えはもう出ているも同じだ。みんな、ビックリするかな?
「はい、みんな!!移動するから、席にちゃんと座って!」
「は〜〜〜〜〜い!!!」
マネージャーの大きな声に、全員が返事する。
次のロケ地に向け、バスはゆっくりと動き出した。
紗耶香は普通の女のコです。自分の夢を持った女のコです。だから…。
「ごっちん、小学生みたいにウロウロせんとき」
中澤の声に顔を上げると、、立ち上がった後藤が、こちらにデジカメを向けている。
「総統閣下!笑って〜〜〜!」
「はいはい。」
16歳の少女は、悪戯っぽく笑って見せた。               おしまい


以上っす。市井は総統から16歳の女のコに戻しました。
俺の固定ハン(?)もこれをもって封印します。
これからは名無しさんです。2ちゃんに来る回数は減るでしょうが、
また、機会があったらお会いしましょう。

さようなら -----作者っす