石川「保田さーん。急にスポーツをするってどういうつもりですか?」
保田「体を鍛えることによって、基礎体力を向上させて、それを歌に生かすのよ。」
石川「意味わかんない……。やっぱこの人バカだ。」
保田「何か言った?」
石川「い、いえ、何も……。」
保田「じゃ、投げるわよ。それっ!!」
ビュンッ!!142k/h。
当然だが石川ひるんで避けた為後逸。
石川「……捕れませんよこんなの!!」
保田「ホラホラ早くボール拾ってきなさい。テニスの球に比べりゃ対した事無いでしょ。」
石川「テニスの球は手で直接捕ったりしねぇよ怪力ブス。」
保田「何か言った?」
石川「い、いえ何も……。(あとで自宅に犬の糞送ってやる)」
石川「位置について、よーい、ドン!!」
走る石川。
ダッダッダッ。ピョーン。
ダッダッダッ。ピョーン。
石川(ハァ、ハァ。ハードルを越えるのって難しいなぁ……。)
横の保田に眼をやる石川。
ダッダッダッ。ドカッ!!
ダッダッダッ。ドカッ!!
石川(全部なぎ倒しながら走ってる……。)
保田「いちいち避けてたら時間かかるわよ梨華。」
石川「……私この人の下でやっていけるのかな……?」
キン!!キンキンッ!!
保田と石川の小剣が打ち合う。
保田「やるわね梨華。」
キン!!キンッ!!
石川「保田さんこそ……。」
キンキンキンッ!!カキーン!!
石川「クッ、このままじゃラチがあかない……!」
保田「ホラホラ隙が見えてきたわよ梨華!!もう疲れたのかしら?」
キンッ!!キンッ!!
石川「クッ……!!暗黒の炎よ、その力を我へと示せ!!ヘルファイア!!」
梨華は暗黒魔法を放った。
保田の体を炎が包む。
保田「ギャーーーーーーァァァ!!」
煙に辺りが包まれる。
石川「しまった、つい……。……アレを生身の人間が食らったら……。」
煙が消えた瞬間、石川は自分の目を疑う。
少し髪が焦げただけでピンピンしている保田。
保田「もう!!反則よ梨華!!正々堂々勝負しなさい!!」
石川「……。(何で死なないんだよ。)」
スタート前
保田「私も梨華も、ピンチランナーでは走ってないからね。体力付けておかないと。」
石川「そうですね。頑張りましょう。」
5km地点
石川「ハァ、ハァ、も、もうダメ……。」
保田「もうバテたの?ヘボいわねー。もうちょっとがんばりなさい。」
10km地点
石川「……(疲れ過ぎて喋れない)」
保田「ホラホラ、そろそろペース上げるわよ!!」
ゴール地点
石川「……オェッ。グググ……。」
保田「何よたかが21kmぐらいで。」
石川(なんでこんなに速いのに走らなかったの……?やっぱりブスで人気が無いから……?)
石川「やあっ!!」
バキッ!!……53kg。
保田「ヘボいわねー。ハッ!!」
ドカッ!!……141kg。
石川「な、何なのこの人……?」
保田「あちゃー。私もまだまだ紗耶香には適わないわね……。」
石川(……んじゃ市井さんは何kgでたのよ……。)
保田「梨華、釣果はどう?」
石川「超カワイイ……?」
保田「どっかで見たボケをするなこのアホ」
BOOM!!BOOM!!
石川「あちゃー。全然当らない。よーし、こうなったら……。」
石川は手を振り上げると、不思議なかたちに空を斬り、
呪文を唱え始めた。
石川「暗黒神よ、今こそ我に力を。空間を歪め、我に片時の永遠を……クイックタイム!!」
梨華が呪文を唱えた瞬間、
ボールの動きが止まった。
いや、正確に言えば梨華の周りの空間のときが止まった。
石川「ハッ!!」
カキーン!!ジャストミート。
打ち終ると同時に、梨華の魔法が解け、
時は回りだした。ボールは打撃場の置くへと吸い込まれてゆく。
石川「……フゥ。絶好調の時って球が止まって見えるって本当なのね。」
保田「……本当に止めたんだろ」
保田「ハアッ!!」
保田がボールを投げる。
速い!!これはヘロヘロの石川には捕れない!!
石川「クイックタイム!!」
ピタッ。
時間止まる。
石川、ゆっくりとボールをキャッチ。
魔法解けて時間動く。
石川「ハッ!!」
石川投げ返す!!
石川「ウィンド!!」
ビュッ!!急激な追い風!!
球速200k/hを突破!!
保田「あべし!!」
さすがの保田も捕球できず。
石川「やったぁ!!」
石川ガッツポーズ!!
保田「……だからスポーツをやりなさいよね……グフッ。」
保田「剣道と言えば紗耶香なんだけどね……。」
石川「やるからには負けませんよ!!」
保田「ま、よろしく。」
石川「そうだ!昨日妹がやっていたゲームの魔法を試してみよう!!」
保田「……?」
石川「バイキルト!!」
石川の攻撃力が2倍になった。
石川「スカラ!!」
石川の守備力が83あがった。
石川「ピオリム!!」
石川のすばやさが112あがった。
保田「……やっぱりやめましょう……。」
石川「え?なんでですか?」
保田「言っとくけどホイミとか無しだからね。」
石川「わかってますよー。」
保田「かといってベホイミとかベホマならいいってワケでもないわよ!!」
石川「はいはい。」
保田「ケアルガもリライブも生命の水も無しよ。」
石川「いくら私でもそんなに沢山魔法知りませんよ……。」
保田「補助系魔法もダメだからね!!」
石川「しつこいなぁ……。」
石川「LOVE AGAIN あの日あの場所で♪同じ時を生きてきたね♪」
保田「随分マニアックな歌唄ってるわね……。」
石川「怯えた目をしたLOST IN THE NIGHT♪」
保田「梨華……moveは娘。にとって大敵よ……。」
石川「なんでぇ〜こんんなぁにぃかわいいぃのかぁよぉぉ」
保田「……アンタの趣味がわからない……。」
保田「これはスポーツじゃないでしょ……。」
石川「体力消耗するからいいんです!!キャー!!ハイドさーん!!」
保田「……(とはいえまんざらでもない)」
ラルクファン「あ!!モーニング娘。だ!!」
石川&保田「マズい……。」
ラルクファン「写真撮っちゃえ!!」
保田「!!事務所にバレたら怒られる!!梨華!!とり返すわよ!!」
石川「ハイ!!」
その後、石川魔法を使って写真を取り上げたり気付いた人間の記憶を消したりと、
まともにスポーツをするよりも疲れた石川と保田であった。
石川「保田さん……本当にこんな事してて歌上手くなるんですか?」
保田「さぁね。」
石川「さぁねって……。」
保田「でも確実に言えることは、ちゃんと運動さえしていればなっちみたいにはならないって事よ。」
石川「……頑張りましょう」
石川「……絶対スポーツじゃない。」
保田「体力消耗すればいいって言ったのはアナタでしょ。あ、お客さんだ。いらっしゃいませー。」
客A「ハンバーガー3個。」
保田(フン、平日特有の半額ハンバーガーだけ大量に買う若い兄ちゃんね。梨華!!)
梨華「もう……。暗黒神よ、かの者の胃袋の中身を消し去りたまえ……。」
客A「グォッ!!急に腹減った!!やっぱりダブルチーズバーガーLLセット!!」
保田「かしこまりましたー♪」
石川「……なにかが間違ってる……。」
石川「テニスなら得意なんだけどなぁ……。」
保田「フフ、温泉卓球の女王と呼ばれた私を倒せるかしら?」
石川「じゃ、こっちからサーブで……。」
石川は、ボールを高く放り上げると、
オーバーハンドから激しくラケットを振り下ろしボールを叩き付けた!!
ビコーン!!……当然アウト。
石川「あれー?おかしいなぁ……。」
保田「……おかしいのはアンタよ。」
石川「ハッ、ハッ、ハッ、ヤッ、あ!!……落としちゃった。」
保田「35回ね。じゃ、次は私。ハッ!!」
バン!!
ボールは粉々に砕け散った!!
石川「一回……と。」
保田「……。」
石川「……。そーっと、そーっと。」
保田「静かにね……。」
後藤「スピー……。きゅーん……。」
石川「よし……。」
石川がピスタチオの袋に手をやったその瞬間だった!!
後藤「!!何やってるんですか!!」
なんと、後藤は異常にすばやく起きあがると石川の手からピスタチオを奪い取った。
後藤「……変な事しないで……スピー……。」
後藤は再び眠りについた。
石川「な、何……?」
保田「おやつに関わる時だけはすぐ起きるのね……。」
保田「じゃあ、始めましょう。」
石川「ハイ……。よし、コレをこっそり……。」
石川は、保田のコップにこっそり濃硫酸を注ぎ込んだ。
保田「よーい、スタート!!」
ゴクゴクゴクゴクゴクゴク。
保田「プハーッ!!おいしかった!!」
石川「……?」
保田「あら?梨華どーしたの?全然手付けてないじゃない。こんなにおいしいのに。」
石川「……もうイヤ。」
石川「2ポイント!!」
シュ!石川の放ったシュートはキレイな弧を描いてゴールへと吸い込まれて行く。
保田「岩顔ビーム!!」
保田は、世にも恐ろしい表情でボールを睨み付けた!!
パーン!!
ボールは恐ろしさの余り砕け散った!!
保田「というワケでノーゲームね。」
石川「……。」
保田「梨華は二重跳びできる?」
石川「できますよー。」
保田「そっかー、いいなー。私できないんだよ。」
石川「じゃあ練習しましょうよ。」
保田「そうねー。」
そこへ、安倍がやってきた。
安倍「なっちにも縄跳びやらせて欲しいべさ。」
石川・保田「ダメ!!」
安倍「……?なんでだべさ?なっちもダイエットしたいべさ。」
石川・保田「とにかくダメ!!」
安倍「……ひどいべさ。そうやってみんななっちの事をいじめるべさ。」
安倍は目に涙を浮かべて去っていった。
石川「ちょっとかわいそう……。」
保田「でも仕方ないわよ。」
石川「そうですね。関東大震災を起こすわけには行きませんものね。」
保田「そうそう、地球の平和のためよ。」
石川「(ひょうきん族ネタ?この人いったいいくつなんだろ・・・)」
保田「ん?なんか言った?」
石川「いえ、なんでもないです。で、このアツアツのおでんを食べるんですか?」
保田「そう。じゃまずは石川からね。」
石川「マヒャド!」
石川「えいっえいっ」
保田「やあっ」
保田の鋭い一撃が石川の足を払う。
石川「きゃあっ、痛ったあい」
保田「何が痛ったあい、よ。これが本物の刀なら足無くなってるわよ」
石川「はあ」
保田「行くわよ、本気でかかってらっしゃい」
石川「はいっ。(ようしじゃあこのオリハルコンで...)」
石川「たあっ」
今までとはうって変わって動きの良くなった石川の剣が保田の首のあたりを
なぎ払う。
保田「何やってんの!スポーツなんだから首狙っちゃダメじゃない」
と言いながらはねられた首を拾いに行く保田。
石川「...」
その後ろ姿を見ながらこの人には一生逆らうまい、と心に誓う石川であった。
保田「石川、単品しか頼まないお客様には『ご一緒にポテトもいかがですか?』って
笑顔で言って勧めなさい、そうしたら結構買ってくれるものなのよ。」
石川「へー、そうなんですか?」
保田「あっ、お客さん。」
石川「平日特有の半額ハンバーガーだけ大量に買う若い兄ちゃんですね。」
保田「私が手本を見せるから見ておきなさい。」
保田「いらっしゃいませ〜 ご注文お決まりでしたらどうぞ。」
客B「ハンバーガー3個。」
保田「お客様、ご一緒にポテトもいかがですか?(ニタァ〜)」
客B「うっ…… 要らないです。」
保田(ちっ、買わねえのかよ)
石川(絶対に逆効果だわ)
石川「今度は柔道ですか? 本当にこんなことしてて歌上手くなるんですか?」
保田「これで歌うときに必要な精神力を身につけるのよ。」
石川「ところで保田さん。」
保田「ん、なに?」
石川「怖いくらい柔道着が似合ってますね。」
保田「ほっといてちょうだい。」
保田「じゃあ、まずは前まわり受身からいくわよ。私の後につづいてやりなさい。」
ダッダッダ ゴロッ バーン!
石川(ガメラが空を飛んでるところみたいだ)
保田「石川! 聞こえてるわよ。」
石川(や、やば……)
保田「次は乱取りよ、さあかかってきなさい!!」
石川「えっ、ちょっと待ってください。」
保田「あなたが来ないんなら私からいくわよ。オラ〜!!」
石川の襟をつかむ保田、バランスを崩した石川に保田が内股をかけようとする。
石川「(危ない! このままじゃ倒される)クイックタイム!!」
ピタッ! 時間が止まった。
石川は保田の体ををゆっくりと畳に倒した。
その瞬間魔法が解けて時間が動き出した。
バーン!!
保田「あ、あれ? 私が倒れてる。
柔道の達人に技をかけられたら無意識のうちに倒されてるって言うけどまさかあなた……」
保田から顔をそむける石川
保田「また魔法を使ったわね。」
石川(ギクッ!)
保田「バッティングは空振りばっかりでつまんなかったけど、
とまってる球ならだいじょぶだよね。楽勝楽勝」
石川「きっとそうですよ」
保田「よし。それっ(空振り)…それっ(空振り)…それっ(空振り)…
ム〜カ〜ツ〜ク!やっぱり、こんな小さい球じゃ当たりっこないよね」
石川「…そうですね」
保田「やっぱり球が大きい球技といえばボーリングでしょう!
カオリともやったことあるし、今度こそ楽勝!」
石川「ストライク狙っていきましょう」
保田「よーし、行くぞお!それっ!あれ?それっ!それっ!う〜ん、それっ」
石川「保田さん、どうしたんですか?」
保田「…指が穴から抜けなくなっちゃった。石川、引っ張って…」
石川「…はい」