矢口がキックをかますが、保田にすかされ、すっぽぬけた矢口自慢の
厚底が、眠りこけている後藤、弁当をがっついている市井、鏡を凝視
している飯田の頭上を越え、一人ビールをかっくらっている中澤の
あごにヒット。いたがる中澤のもとに白衣のなっちが登場。
中澤「いった〜、だれや。」
早々と楽屋をばっくれる矢口
保田「あの〜矢口です、裕ちゃん大丈夫?」
中澤「大丈夫なわけないやろ。いった〜口ひらかんわ」
その場でただうつむいている保田
なっち「裕ちゃん、なっちが見てあげるちょっとみせて」
あごをなっちの方向に向ける中澤
首をこっちに向け、なっちと目が合う中澤
中澤「ありがとう、なっちだけやわ、こんなして優しくしてくれんの」
小さく微笑むなっち
見つめ合う二人
なっち「じつはね裕ちゃん、私昔から裕ちゃんのこと・・・」
中澤「え、なに?」
なっち「うん。あのね」
保田「裕ちゃん大丈夫?」
保田をにらむ中澤
中澤「だから大丈夫じゃないっていってるやろ、早く矢口つかまえてこい」
楽屋を出る保田
中澤「そんでなんやったけ?なっち」
なっち「じつわね・・
*楽屋近くの踊り場*
踊り場のベンチで頭を抱えながら泣きそうな矢口
保田「矢口〜どこ〜」
矢口を見つける保田
保田「矢口、裕ちゃんめっちゃ怒ってるよ」
矢口「え〜本当、どうしよう、ね〜どうしたらいいかな圭ちゃん?」
ふるえが止まらない矢口
保田「素直に謝っちゃえば」
矢口「そんなことできないよ、だって裕ちゃんめっちゃ怒ってたんでしょ」
保田「そうだけど・・・」
娘に入った当初に中澤にしばかれていた過去を思い出す二人
矢口「そうだ、圭ちゃん、私決めた。」
*楽屋*
なっち「じつはね、裕ちゃんのことがすきだったの。」
中澤「なに冗談ゆうてんの、なっち」
あきれ顔の中澤
真剣な目つきのなっち
なっち「冗談なんかじゃないよ裕ちゃん。私は本当に裕ちゃんのことが好きだったの」
真顔になる中澤
なっち「本当だよ」
見つめ合う二人、静かな空気が流れる楽屋
*その静寂を破るかのように楽屋のドアが開く*
そこには片足だけ厚底をはいた矢口がすがすがしい顔で立っていた。
ドアの方を向く中澤となっち
中澤「なんや矢口、謝りにきたんか?」
無言で二人のもとに歩く矢口
中澤「なんでなんにも言わんの、矢口」
切れ気味の中澤
矢口「なっち、話があるからちょっと一緒に来て」
なっちの手を引っ張る矢口
なっち「な〜に〜矢口〜」
中澤「なんなの矢口!私に言うことあるでしょ」
矢口「ちょっと来て、はやく」
*廊下*
なっち「も〜なんなのよ〜」
矢口「・・・」
なっち「どうしたの?矢口」
うつむいている矢口をのぞき込むなっち
その瞬間なっちの唇にキスをする矢口
なっち「なにするの矢口〜」
矢口「驚かせてごめん、なっち。私決めたんだ。」
なっち「決めたってなにを」
矢口「なっちが裕ちゃんのことを好きなことは私前から知ってたよ。」
なっち「えっ?」
矢口「私、モーニング娘辞める。」
なっち「えー!なんで?!」
*廊下*
なっち「な〜に冗談言ってるの、矢口ってば」
矢口「私嬉しかったんだ〜、ラブマシーンのジャケット撮影でなっちの隣になれたの」
なっち「えっ」
矢口「嬉しかったんだ、とっても」
なっち「本当にどうしたの、矢口」
不安げな表情をする安倍
*そこにマネージャーが楽屋の方に向かってくる*
マネ「二人とも今日はお疲れ」
なっち「お疲れさまです」
マネ「ちょっと二人とも楽屋入ってくれるかな、いい話があるんだ」
なっち「矢口、変なこと言ったらだめだからね」
楽屋に入る3人
*楽屋*
マネ「みんな今日はお疲れさま。ちょっと座ってくれるかな」
それぞれ席に着くメンバー
マネ「急な話なんだけど、あるプロデューサーが今日のコンサートを見に来ててね」
中澤「えっ、誰ですか」
マネ「それはまだ言えないんだけど、ぜひ安倍をプロデュースしてみたいって言っているんだ。」
市井「え〜、つんくさんはなんて言ってるんですか」
マネ「うん、つんくも了解してる」
中澤「なっち、すごいじゃん、おめでと〜」
最初から終始うつむいている矢口
なっち「うん」
うかない顔のなっち
マネ「それとこの話には続きがあって、今回の話は安倍が一人で歌うのではなくて、
安倍自身に6人の中から一緒に歌いたいと思うメンバーを一人選んでもらって、
2人ユニットでデビューという形にしたいそうなんだ」
中澤「えーじゃーなっちが自分でユニットの相手を選べるってことですか?」
マネ「そう」
市井「い〜な〜なっちは」
マネ「あっ、それとプッチモニの三人と、飯田は今回のこの話には参加できないから」
飯田「えっどうしてですか?」
マネ「飯田はアイドルを捜せの収録があるし、プッチモニはこれからまた新曲がでると
忙しくなるから時間的にきついから」
中澤「じゃ私か矢口のどっちかやん」
市井「な〜んだ、つまんない」
マネ「あっそろそろ雑誌の取材あるから、プッチモニの三人は事務所の方に移動して」
楽屋を出ていくプッチモニの3人
*移動中の車内*
市井「ねえ圭ちゃん、なっちどっちを選ぶと思う?」
保田「やっぱ裕ちゃんじゃないかな〜」
市井「じゃ後藤はどっちだと思う」
後藤「・・・」
保田「寝ちゃったみたい」
優しい顔をして眠っている後藤
*楽屋*
飯田「私もそろそろ帰ろっかな、明日ロケがあって早いんだ」
中澤「かおりお疲れ」
飯田「お疲れさま」
マネ「裏に車来てるから」
駐車場に向かうために、楽屋を出ようとする二人
マネ「安倍さー、ここあと一時間位いられるようお願いしといたから、さっきの話
よく考えといて。ちょうど中澤も矢口もいるから、三人で話し合ってみて。」
なっち「あの、今日中に決めないとだめなんですか」
マネ「そんなことはないよ、でもなるべく早いほうがいい」
なっち「はぁ」
マネ「じゃ、一時間後くるから」
飯田「じゃね〜」
三人きりになった楽屋
中澤「プロデューサー誰やろな〜」
なっち「う〜ん」
正面に座るずっとうつむいたままの矢口を見つめ、生返事をするなっち
矢口「あの」
中澤「なに矢口」
矢口「あの、なにか飲みもの、買ってきます」
席を立つ矢口
中澤「いや、ええよビールあるし」
不安そうな表情をしてうつむく矢口
一瞬静かになる楽屋
なっち「あっ私なんか飲みたいな」
なっちの目を見て小さくうなずき楽屋を出る矢口
*二人きりとなる楽屋*
なっち「ねえ、裕ちゃん、実はさっき廊下で矢口が・・・」
廊下での矢口が娘を辞めたいと言ったことを、となりに座る中澤に話すなっち
中澤「えっ、矢口がそんなこと言ったん?」
なっち「うん、ねえどうしたらいいかな裕ちゃん」
不安げな顔で中澤を見るなっち
中澤「冗談で言ったんでないの?、からかわれてんのやなっちは」
なっち「でも、でもそんな感じじゃなかった」
中澤の左手を両手で包み込むように握り、中澤を見つめるなっち
なっちの真剣な態度に驚く中澤
中澤「わかった、わかった矢口が戻ってきたら私が聴いてみるよ」
なっち「ほんと」
ぱっと表情が明るくなるなっち
なっち「ありがとう裕ちゃん、だから裕ちゃん好き」
中澤の左のほおに軽くキスをするなっち
中澤「ふっ、なにすんのなっち」
微笑む中澤
なっち「ありがと、裕ちゃん」
中澤「かわった子やな〜」と笑いながらなっちの脇腹をくすぐる中澤
子供のように無邪気な顔ではしゃぐなっち
なっち「も〜裕ちゃんくすぐったいよ〜」
互い顔を見合わせて楽しそうに笑う二人