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娘。名作劇場 「マッチ売りの加護」

 ことしの一番のしまいの日、大晦日の日がやってきました。次第に風が出て
きて、雪がちらほらと降り出しました。街の通りを行く人はちらりほらりと見当
たるだけでした。
 その頃、通りをトボトボとある女の子が歩いていました。雪が降るのに、女
の子は傘もささず、靴も履いていません。
加護「クッソー!なんでウチがこんな目に会わなアカンねん!こういうんは平
    家はんが一番よう似合うてるっちゅーねん!!」
中澤「おいコラ!自分そんなみすぼらしい格好で何街中うろついてんねん!
    はよ消えぇや!!」
加護「うっさいわ、ボケ!12歳の子供と一緒に平気な顔でパラパラ踊っとる
    女に言われたないわい!!」
矢口「ちょっと何よアンタ!せっかくの大晦日にワザと貧乏振りかざして歩かな
    いでよー!目障りなんだよー!!」
加護「なんやねん!自分の厚底の方がよっぽど目障りやっちゅーねん!いつ
    か足首コキッていくで!?コキッて!!」

 このガラの悪い少女は、マッチ売りの小娘と呼ばれていました。毎日マッチ
を売りにでて、いくらかのマッチを売って、家の暮らしを助けていました。
加護「はぁー、今日は全然マッチ売れへんわぁ。こんなんやったら家に帰って
またおかんに…」
――回想スタート――
平家「加護!またマッチ売れへんかったんか!?そんなんでどないすんね
    ん!もっと頑張ってアタシ助けてくれなアカンやん!?」
加護「知らんがな!だいたい自分が全然売れへんさかいウチがこんな目に会
    うねん!ウダウダ言ってんとはよ仕事探してこんかい!!」
平家「なんやねん!その言い方は!!アタシかて頑張ってるっちゅーねん!
    アタシかてモーニング入りたいっちゅーねん!加護〜、アンタちょおつん
    くさんに身体でも売ってアタシをモーニング入れるよう言うてくれへんか
    ぁ?なぁ?なんならプッチモニでもええで?」
――回想終了――
加護「イヤや!あんなヘンタイ親父に身体売るくらいなら後藤はんにいびられ
    る方がまだマシや!!」
中澤「なんやねん、このガキまだうろうろしとったんかい!はよ消えろ言うとるや
    ろが!!」
加護「うっさいわー!人が真剣に悩んどんのを邪魔すんなや、このババアが
    ぁ!!!」

 ガラの悪い女の子はまだ街中をうろうろしています。なんとしてもマッチを売
らないと、お母さんに無理矢理ロリコン親父の元へ行かされてしまうからで
す。
加護「え〜、マッチ〜!マッチいかがっすかぁ〜!!」
石川「マッチ…ください…」
加護「おっ!お姉さん優しいねぇ〜!ところでこのマッチ何に使いはりますの
    ん?」
石川「火を…、火をつけるんです。あの女の家に…。私から彼を奪ったあの
    女の家に…」
加護「ゲッ…。お、お姉さん、放火はいけませんで!?な?警察に捕まって
    まいますよ!?」
石川「それでもいいの…。それで私の気が晴れるのなら…」
加護「…………ほ、ほな、これどうぞ…」
石川「ありがとう…。これで…これで、あの女に復讐できる…。これであの女
    に…(ブツブツ)」

 ガラの悪い女の子は、まだ街中をうろついています。たった一個売れただけ
では、ロリコン親父どころかヘタをすれば社長にまで売られてしまうかもしれな
いのです。
加護「さっきのお姉さん、大丈夫なんかなぁ?ま、ええわ。え〜、マッチ〜!
    マッチいかがっすかぁ〜!放火に最適な平家印のマッチっすよぉ
    〜!!」
飯田「ちょっとアンタ!何マッチなんか売ってるのよ!危ないじゃん!!」
加護「なんでやねん!なんでマッチが危ないねん!なんや自分営業妨害か
    ぁ?なんなら出るトコ出たってええねんで!?」
飯田「何ワケわかんない事言ってんのぉ!?カオリの身体は火気厳禁な
    の!爆発とかしちゃったらどうすんのよ!!」
加護「あぁ?爆発?なんやねん自分ヤバいクスリでもやっとるんとちゃうかぁ?
    アカン、アカン!ウチはクスリはやらへんで!!」
飯田「カオリ薬なんてやってないよ!いい?カオリはロボットなの!!今度カ
    オリの前でマッチなんか売ってたらただじゃおかないからね!!」

 ガラの悪い女の子は、まだ街中をうろうろしていました。ロリコン親父や社長
に売り飛ばされるくらいなら、ロボットなどまったく恐くはありません。
加護「しっかしようできたロボットやったなぁ〜。こりゃ森総理もIT革命とか言
    い出すワケやわ」
石川「…見つけた。あの女…。ようやく見つけた…」
加護「なんや?さっきのお姉さんやん。放火はどないしたんや?うまくいったん
    か?」
石川「あの女には家がなかったの…。でもあの女を見つけた…。あの女に火
    をつけてやる…」
加護「あの女って…。まさかアレなん?アカン!アカンで!あの人はああ見え
    て実はロボットやねん!火ぃなんかつけたらドッカンいってまうで!?」
石川「私はそれでもかまわない…。それで私の気がすむのなら…」
加護「アホかい!自分はかまわんでもウチがかまうねん!!死ぬくらいやった
    らロリコン親父にヤられた方がまだマシやねん!!」
石川「許さない…あの女、許さない…(シュッ…)」
加護「イヤや!やめてぇな!!なぁ!!なぁ!!なぁ!!!!!」
飯田「んっ?」

 ある大晦日の夜、街中に爆音が響きわたりました。それはまるで新年を祝
うかのような壮大なものでした。
保田「こちら、現場の保田です。爆発があったのは本日午後8時頃。目撃
    者の証言によると、2人の女性と子供が何やら言い争っており、その
    数秒後爆発が起こった模様です。死傷者などの詳しい状況はまだわ
    かっておりません。一旦、スタジオにお返しします」
吉澤「恐いですね〜。一体その女性達は何をしていたのでしょうか?コメンテ
    ーターの辻教授、どう思われます?」
辻「ののはよくわかんないれす。てへっ」
吉澤「そうですか。では、次のニュースです。本日、都内のパチンコ店で…」

 そう言えば、女の子にマッチを売りに行かせていたお母さんはどうなったので
しょうか?
平家「はぁ〜、爆発かぁ〜。恐いなぁ〜。アタシもいっその事爆発で死んでも
    うたらいっそ楽に…」
後藤「平家さぁ〜ん!大ニュース、大ニュース!!さっきつんくさんから電話
    があってね、タンポポに3人も空きができたから平家さんにタンポポ入ら
    ないかって!!」
平家「ホンマか!?やったー!!後藤、ありがとう!やっぱりアタシにはアンタ
    しかおらんわ!!(ギュッ)」
後藤「もぉ〜、平家さんってば。タンポポに空きができたのはアタシのおかげじ
    ゃないよぉ。でも、平家さんが喜んでくれてよかった」
 その1ヶ月後にデビューした新生タンポポは、なんとオリコン1位をかっさらっ
ていき、来年の紅白出場もほぼ内定しました。ロリコン親父つんくも、社長も
大喜びです。その後、お母さんは内縁の夫と結婚し、幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。

「娘。名作劇場」その6:マッチ売りの加護――おしまい。