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サーキットの娘。

○月×日 箱根 大観ドライ○イン付近

岡村「じゃあ、今からゲームをやりまーす。」
矢部「勝った人は何と・・・」
岡村「ジャジャジャジャジャジャーン、ソロデビュー決定ー!」

矢部「各自引いてもらったくじに書いてあるナンバーの車に乗ってくださーい。」
岡村「ルールとかは後で説明するでな。」
矢部「今日は特別にスピード違反も無しやでー」
岡村「ほな、スターーーーーーーートーーー!」

戸惑いながら車に乗り込こむと唐突にカーナビが喋りだした。
「細かい事はカーナビの指示に従ってな。」
「特定のステージではビリの人が失格になるでー」
「指定の場所以外で止まったら失格やで。」
「じゃ、始めるでー」

カーナビの画面が暗転し指示が浮かび上がる。
「第1ステージ箱根ターンパ○ク   ビリなら失格やで」

あれま目の前の所でねーべか?早く出なきゃ拙いっしょ。
んでも圭ちゃんの車変な格好だー、圭ちゃんにぴったりだべ。プププ
それに引き換えナッチの車はオシャレだべ、んじゃ行くべさ!

◎配車状況
安倍 キューブ
飯田 デミオ
市井 ヴィッツ
後藤 ワゴンR+
中澤 インプレッサスポーツワゴン
矢口 ロゴ
保田 ディンゴ

中澤、保田が飛び出し、その後を矢口、安倍、市井、後藤の一団が追う。
やがて1キロも下らないうちに中澤の独走態勢になった。

ソロにはなりたいけれど、事故ったら大変だからね。

って言うか、初心者にそんな飛ばせる訳がねーべ、
カオリはついて来ていない見たいだし、ナッチは安全運転で行くべさ。

コツが解ってきたよ。

「飯田さん、まだエンジンかかってーへんな。」
「マニュアルのある場所が判らへんとちゃいます?」
「助手席に座って動き出すのを待ってはるとか。」

運転経験が違うからねえ。って、あたしが歳だって事?ヤダヤダ。

鼻歌交じりに独走を続ける中澤の目が、ふとバックミラーを見る。
ピンクのヴィッツ! 紗耶香!? うそ、いつの間に!?

カーブ手前で減速する中澤を、
一気に抜き去って信じられない速度でカーブに進入する市井。

ばかっ!死ぬ気?!

ギィギャァーーーーーーーーーーーーーーーーー

ええっ? なっ、なんじゃありゃぁ?
全開のまま殆どカウンタをあてない4輪ドリフト?!!!!!

「飯田さん、まだスタートでけへんね。」
「もう皆さん半分以上行ってはるとちゃいまっか?。。。」

保田、矢口、安倍、後藤の4人は彼方前方に消えていった市井を
呆然と見送りながら一団で走行を続けていた。

カオリ来ないしナッチには負けたくない!
ナッチには負けられない、モー娘。黄色5、今度こそ!
みんな、結構真剣にやっているなあ。

真里っぺと圭ちゃん、ナッチをブロックしてる?!
くっ! 今だべさ!

コーナーでふくらんだ二台の間を突こうとする安倍と
ブロックにかかる前の二台!

結局お互いが急ブレーキを踏んで3台ともスピンし、
後藤がその脇を走り去っていった。

みんな怖いねー。

「ジャーーーーン、結果発表!」
「1位市井、2位中澤、3位後藤、4位安倍、5位保田、6位矢口」
「残念ながら失格となるのは飯田さんでーす。」

ゴール地点から次のステージの出発地点である
東名高速○路の大井松田ICに移動する間
カーナビからは飯田の声が聞こえっぱなしだった。

「どーしてー?」
「おかしいよー」
「カオリの車だけ故障してたんだよー」
「カオリ出発してないから、やり直しだよー」
うだうだ etc うだうだ etc

「飯田さん可愛そうですねー」
「走って下りた方が速かったんとちゃいます?」

カーナビの画面が暗転し指示が浮かび上がる。
「第2ステージ 東名高速○路 大井松田→名古屋」

「ほな、スタート!」

全員、やっているうちにその気になってきたので
いきなり全開である。何せガラガラの状態である。

市井、後藤、保田、矢口、安倍と一団になり
160km超で東名高速を東に急ぐ。

中澤はと言えば一人200km超でとっくの昔に皆の視界から消えていた。
皆遅いなあ、運転技術の差やろな。

「高速道路って性能が殆ど変わらないなら差がつきます?」
「適度に混んでいる状態なら差がつくんやろけどなあ。

駄目だー、性能が同じぐらいだから差がつけられないよ。
蜜柑、鰻、ういろう、きし麺、味噌煮込みうどん。。。
ところで、どうなれば勝ちなの?到着順位?
たんぽぽの為にも。

何で抜けないんだべ?車は同じ位なのに、、、
ひょっとして体重? ? 考えない様にするべさ。

あっという間に名古屋が見えてきた。

「そろそろお昼ですねー」
「皆さんにはここで昼食を取ってもらうでー」

「ジャーーーーン、結果発表!」
「1位中澤、2位市井、3位矢口、4位保田、5位後藤、6位安倍」

「はーい、ここでお昼休憩とします!」

味噌煮込みうどん。。。鰻。。。
。。。お昼は抜きだべさ。 頑張って速くなるべ。

「はい集合ー。オヤツは525円までだぞー」
「次も高速道路みたいだから頑張れよー。」

カーナビの画面が暗転し指示が浮かび上がる。
「第3ステージ 中央高速○路→河口湖   ビリなら失格やで」

中澤、安倍、矢口、保田、後藤の順で走り出していく。

一方市井はエンジンがかからない。
うっそぉ、マシぃントラブルぅ? マヂっすか?

「あれま、飯田と違って本当のマシントラブルやろな。」
「安倍は、えらい気合はいっとたなぁ。」

後藤は諏訪湖SA(鈴木あみ、じゃないよ)まで来ると車を止めた。

へへー、紗耶香さんには悪いけど休憩しよーっと。
信州そば? 馬刺し? ほうとう?
ゆず七味って美味しいんだよねー。
あー、ハーブ園があるから後で見ていこーっと。

後藤は、市井が一時間あまり遅れて出発し
メーター振り切って爆走してくるのを知るはずも無かった。

「マニュアルと首っ引き、自力でなおしてもうたで?」
「今度から機材壊れた時には市井をよぼか。」

ベンツにポルシェにフェラーリ、もの凄い形相で迫り来る
ピンクのヴィッツに、あらゆる車が何となく道を譲らされていた。

だぁあ! 何ノロノロ合流してるの、このっバカ車っ!

ぶぇ?ざやがざん?!だんで?
お土産に買ったたこ焼き片手に本線合流した瞬間
抜き去っていった紗耶香。後藤は、ただ、たこ焼きを食べるばかりであった。

一方中澤は快調だった。アップダウンの多い中央高速では
まさに独壇場だった。 だったのだ。 だったのに。

ガっ、ガソリン足りないじゃん?
途中で止まっちゃうで。。。

無念にも河口湖を目前にして
路肩に車を止め電話機を探す中澤の姿は少し寂しそうだった。

「ジャーーーーン、結果発表!」
「1位安倍、2位矢口、3位保田、4位市井」
「5位後藤と止まっちゃった中澤は失格ですー。」

「それと、ここで自分の乗る車を、
 中澤の使ってた車と希望者は交換できるでー」
「希望者が大勢おったらじゃんけんで決めてな。」

慣れているこの車のままで行くと辞退した市井以外の
三人でじゃんけんした結果、安倍が車を換えることになった。

ナッチにも運が向いてきたべさ。

「次が最終ステージやでー」
「ほな、今までの得点を発表するわ」
「1位15点、2位6点、3位3点、4位1点
 ちゅー、計算法になっとってな、
 今んとこ市井22点、安倍16点、
 矢口9点、保田4点ですー」
「じゃ、最後だから頑張ってなぁ」

カーナビの画面が暗転し指示が浮かび上がる。
「第4ステージ 富士スバルラ○ン往復   ビリなら失格やで
 注)上で杖と携帯酸素を買ってくること」

安倍が飛び出し、他の三人が一団となって続く。

ぐんぐん遠ざかる安倍を半ば呆れて見送りながら
保田は考えていた。

私が優勝するには、このステージを勝って
ナッチが3位以下、紗耶香が失格にならないと無理ね。
ナッチの車の性能を見ると望み薄かなあ。

真里っぺは紗耶香が失格になって
自分が勝てば優勝出来るんだよね。

その時、矢口が市井の方へ車を寄せるのを見て、
無意識に矢口をブロックする様にハンドルを切った保田には
抜き去っていく市井が、かすかに頭を下げた様に見えた。

ゴメンネ、真里っぺ、ごめんね。

杖よしっ! 酸素缶よしっ! すぐ下りるべさ!

箱根での市井の信じられないダウンヒルが忘れられない
安倍は一目散に駐車場を出、下り始めた。
一つ目のカーブを曲がった所で、
早くもピンクのヴィッツにすれ違った!

紗耶香だ! 何だべさ? 今の曲がり方は?
ナッチ的に見てもマジスゴだべ。
何だかよく解らないけど、とにかく無茶苦茶速。

えーっと、杖と酸素を買うのに5分ぐらいはかかるっしょ?
うーん、とにかく逃げるべ 逃げるべ

「モーニング娘。の顔」と「かあさん」
互いの意地とプライドを欠けたバトルは今結末を迎え様としていた。

進化する天才は留まる所を知らない。
その日愛車F50を駆っていたレーサー(仮称T)はこう言う

「いやぁ、後に小型車が見えたと思ったらよお。
 あそこのコーナーを流しっぱなしで、次を振り返して
 その次のヘアピンでインからスパーンっと抜かれちまった。
 不思議な動きをしてたよ、
 多分あれが伝説の神岡ターンってヤツだろうな。
 あんな事の出きるドライバーって誰なんだよ?
 しかもヴィッツだぜ?車。 たまらんよ、オレ。」逃げるっしょ 逃げるっしょ
やったべ、ゴールが見えるよ!
もう少しだべ。 って、紗耶香ぁ!!!!!!!!!!!!

安倍が前方に料金所を確認した時
バックミラーの中にピンクのヴィッツが颯爽と登場した。

「ちょっとちょっと、岡村さーん、大変ですよ。」
「うるさいなー、黙っとき。おおっ!」

圧倒的スピードでカーブから立ちあがるヴィッツ!
ゴールである料金所までの短い直線の半ばでは
わずかにリードを奪いさえした。

安倍が僅かずつ盛り返し、2台が並んだ所がゴールだった。

余談であるが、後に、この時の上がり3ハロン14.7秒は
レコードタイムであった事が発表された。

「岡村さーん、大変ですってば。」
「なんやねん?えーとこやったのに。」

「警察の方が仰山みえてますでー。」
「スピード違反OKやったとちゃいます?」
「あんなんネタに決まっとるがな。」
「賠償とかスゴイんやろかな?」
「って言うか、番組謹慎でしょ。」
「ソロデビューどころじゃありまへんな。」

ナッチの方が、ちょっと勝ってたのに。。。
ナッチのソロデビューは、まだなの?

Pカーが沢山集まってきて、とても綺麗な夜でした。。。(後藤真希談)