ある所に、みちよと言う名のどこからどう見ても不幸そうな少女がいました。
みちよは、2人の血の繋がっていないお姉さんと継母に苛められる毎日を送
っていました。
保田「みちよ!まだ洗濯終わってないの!?まったく、そんなんだからCDセ
ールスも伸びないのよ!!」
平家「うぅ、すいません…ってうっさいわ!CDセールスなんて関係ないやん!」
安倍「みちよ!なっちのゴハンはまだだべか!?なっちお腹すいたべさ!!」
平家「今から作るっちゅーねん!ちょお待っててぇな!!」
中澤「みちよぉ!ちょおドンキホーテ行ってナースの制服買うてきぃや!今夜
はイメクラプレイやねんで?」
平家「おかん!そんなん自分で買うてきてぇな!アタシそんな恥ずかしい事よ
うできひんわ!!」
ある日、王様が王子様のお妃を選ぶ舞踏会を催す事になり、2人のお姉
さん達も招かれました。お姉さん達とお母さんは、みちよに大量の仕事を言
いつけて舞踏会に向かいました。
ブツブツ言いながらも、お母さん達には逆らえないみちよが宛名書きをして
いると、どこからか魔法使いのおばあさんが現れました。おばあさんは、魔法
の力でみちよを舞踏会へ連れて行ってくれると言うのです。
石川「舞踏会へ行くにはまずはドレスですね。はい、コレ。ご返却はいつにな
さいます?」
平家「ほな、当日で」
石川「では、本日の12時までにはご返却お願いします。お支払いはどうなさ
いますか?」
平家「そやなぁ〜、事務所の方にツケといてぇな」
石川「わかりました。それでは出発〜!!」
みちよは、魔法の羊に乗ってお城へと向かいました。何故か魔法使いのお
ばあさんも一緒です。
平家「なぁ、その王子っちゅーんはホンマにかっこええんかぁ?アタシ年下はイ
ヤやで?」
石川「大丈夫ですって。ソリマチとキムタクを足して2で割ったくらいカッコイイっ
て噂ですから」
辻「めぇ〜!(そうれす!実はののも狙ってたんれす!)」
平家「ホンマなん?ええで、ええで〜。アタシにもようやくチャンスが回ってきた
わ!」
石川「そうですよ!一緒に玉の輿を目指しましょう!!」
辻「めぇ〜!!(玉の輿れす〜!!)」
お城では王子が悩んでいました。舞踏会に来るのはお金持ちのお嬢様ば
かり、王子は不幸好きと言う少し変わった趣味を持っていたのです。
中澤「王子さま。どうです、ウチの娘達!メッチャかわいいでしょ?今がお買
い得やで〜!!」
保田「王子様、私は顔はマズくてもテクには自信がありますわ!1晩中でも
オッケーよ!」
安倍「なっちは食べる事なら自信があるべ!王子様!なっちがおいしそうに
食べてる姿を好きなだけ見るべさ!」
吉澤「王子、いかがですか?2人とも家柄は申し分ございませんが」
後藤「え〜、趣味じゃない。つーかさ、なんでこんなのしかいないのぉ?吉澤
ちゃんと探してきてよぉ!」
お城に着いたみちよは、お母さん達に見つからないように王子を探しまし
た。ようやく王子を見つけたみちよはびっくりしました。なんと王子は、ソリマチ、キムタクと言うよりはアクビちゃんと言う感じの幼い子供だったからです。
平家「石川!なんやねん、あの子供は!あれが王子なんかぁ!?」
石川「ほんと、私も幻滅しました。人の噂ってアテにならないものですよねぇ〜」
平家「…やってられへん。アタシもう帰るわ」
石川「えぇ!?もう帰っちゃうんですか?もうちょっといましょうよ。おいしい食べ
物もありますし」
平家「アホかい。だいたいなにが男前の王子やねん。ホンマ気ぃ持たせるだけ
持たせよって!もうええやん」
石川「あっ、あっちにバーがありますよ。お酒でも飲みません?」
平家「酒…。ほな、もうちょっとだけいようかなぁ〜?」
先程から王子はずっと不機嫌です。王子の気に入るようなお嬢様が現れ
ないからです。折角王子の為に開かれた舞踏会なのに、王子は誰とも踊ら
ずに1人ボーっと座っていました。
吉澤「王子、もう少しシャキっとしてください。このような態度では王子としての
示しがつきません」
後藤「いいよ別に〜。だってアタシ好みの人いないんだもん。はぁ〜、なんか
眠くなってきた…」
吉澤「王子!寝ちゃダメですってば!王子!!」
後藤「ねぇ吉澤〜。あのバーのトコにいる変な声の人だれ?あのアニメ声な人」
吉澤「ああ、あの方は魔法使いですよ。なんでも魔法がうまく使えないんで
破門されたとかされないとか。ま、それほど高名な方ではありませんよ」
後藤「じゃ、その隣で一升瓶ラッパ飲みしてる人はぁ〜?」
吉澤「あの方は…あまり見かけない方ですね。どこのお嬢様でしょうか?どこ
となく不幸そうな感じが…まさか王子!あの方が!?」
後藤「マジ好みだよぉ〜!!吉澤!アタシもあっちに行くから!後よろしく!!」
吉澤「王子!お待ち下さい!!王子!?」
みちよと魔法使いのおばあさんはもうかなりの量のお酒を飲んでおり、2人
の周りには何本もの一升瓶が転がっていました。王子はそんなたくさんの空き
瓶に驚きながらも、みちよに近づいていきました。
後藤「こんばんは〜!アタシ真希っていいます。お姉さんなんて名前なんで
すかぁ?」
平家「なんやアクビちゃんやん。はっ!期待ハズレもええとこやな…」
後藤「なんか言いました?それよりお姉さん名前教えてくださいよぉ〜!あと
ケイタイ番号も!メールしますから〜!」
石川「この見るからに不幸そうな人の名前は平家みちよさんですよ。王子様
と結婚しようと思ってここまで来たんですけど、王子様があまりにも期
待外れだったんで、ここでやけ酒を飲んでいるんです…ってごめんなさ
い。私には聞いてませんでしたね」
平家「石川〜!アンタ何余計な事ベラベラしゃべっとんねん!あぁ!?しか
も誰が不幸そうやねん!不幸そうやのうてアタシは不幸なんや!もう
ええっちゅーねん!もう諦めたっちゅーねん!!」
みちよのいじけた姿を見た王子はますますみちよの事が好きになりました。
ところが、そんな王子の心とはうらはらに、みちよはそろそろ帰りたくなってきま
した。家の床下に、お母さんから盗んだドンペリを隠してあった事を思いだした
からです。
平家「アタシもう帰るわ。ちょお気になる事があんねん…」
石川「えっ?でもまだ12時まで1時間くらいありますよ?いくら早く衣装を返
却しても、割引はできませんよ?」
平家「そんなんええちゅーねん。どうせアタシが払うワケちゃうからかまへんで」
後藤「えぇ〜!平家さんもう帰っちゃうんですかぁ〜!?これから楽しくなるの
にぃ〜!ねぇねぇ、アタシの部屋行きましょうよぉ!アタシのベッドすっ
ごいんですよ?ウォーターベッドですよ、ウォーターベッド!寝てみたくあ
りません!?ねぇ、いいじゃないですかぁ〜。泊まってってくださいよぉ
〜!!」
平家「悪いけど、アタシ子供に興味ないねん。ほな」
みちよは、王子を無視して帰ってしまいました。王子は慌ててみちよの後を
追いかけました。
後藤「平家さぁ〜ん!待ってくださいよぉ〜!!」
平家「なんやねん、アンタうっとおしいねん。アタシは子供に興味ないて言うた
やろ!?」
後藤「そんな事言わないでくださいよぉ…ってあぁぁぁぁぁぁ…」
平家「ちょ、大丈夫なん!?そんな勢いよく階段落ちてく人見たん初めてや
わ…」
後藤「いった〜!なんでこの階段こんな急なのよぉ〜!!」
平家「ほら、はよ立ちぃな。王子様がこんなとこでこけとったら恥ずかしいで?」
後藤「あ、ありがとうございます…」
平家「…アンタにええもんやるわ。ほれ」
後藤「なんですか、コレ?『平家物語』?」
平家「それが読めるようになったらもいっかいアタシんとこ来ぃや。そしたら相
手したるさかい」
最近、王子は勉強に夢中です。みちよからもらった平家物語を読もうと、
毎日のように辞書を片手に読書に励んでいました。
後藤「ぎおんしょ〜じゃの〜…、ねぇ、吉澤。ぎおんしょうじゃって何?」
吉澤「…………お、王子、読書もいいのですがもうあの娘のことは忘れた方
がいいのではないですか?あのような不幸そうな娘、王子にはふさわ
しくありません」
後藤「わかんないんだ?」
吉澤「………」
後藤「………」
吉澤「………」
後藤「ま、いっけどねぇ〜。アタシはこれ読んで絶対平家さんゲットするもん。
読めばいいんでしょ?意味なんか知らないよぉ〜」
ようやく平家物語を読み終えた王子は、みちよの元へと向かいました。もち
ろん、みちよと結婚する為です。
中澤「あらぁ〜、王子様!ウチの娘がお気に召したようで〜!ウチの娘には
歌舞伎町のソープ仕込みのテクがあるさかい、メチャメチャ楽しめます
よ〜?」
保田「王子様〜!とりあえず1回試してみます?」
安倍「なっちもうまいべさ!北海道の大地が育てた荒荒しいワザがあるべさ!」
後藤「いやぁ〜、そう言うんじゃなくってぇ、アタシ平家さんにプロポーズしに来
たんですけどぉ…」
中澤「あぁ!?みちよぉ!?おい、みちよ!王子様がプロポーズしに来たんやて」
平家「なんやねん、ソレ。そんなんアタシ知らんわ」
後藤「平家さん!なんでそう言う事言うんですかぁ!?平家物語読んだら
相手してくれるって言ったじゃないですかぁ〜!?」
平家「アタシそんなん言うたかな?覚えてへんわ。ちゅーかアタシ子供に興味
ないねん。安倍ちゃんか圭ちゃんにしときぃや?」
後藤「なんでぇ〜!?平家さぁ〜〜〜〜ん!!」
みちよに振られてしまった王子様は、お母さんの策略により、2人のお姉さ
んと結婚しました。みちよはと言うと、時々魔法使いのおばあさんと一緒に舞
踏会に出かけては人の良さそうな王子を騙して楽しんでいたそうです。めでた
し、めでたし。
後藤「めでたくなんかないよぉ〜!!!」
保田「後藤!往生際が悪いわよ!おとなしく私の言う事を聞きなさい!!」
安倍「ダメだべ、圭ちゃん!今夜はなっちの番だべさ!!」
中澤「みちよ、はよビデオテープ買うてきぃや。今夜は乱れるでぇ〜!!」
平家「また撮るんかい。ま、金になるからええんやけどなぁ…」
「娘。名作劇場」その2:みちよのシンデレラ――おしまい。