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娘。でバトルランナー

「保田さん…中澤さんは私…私がこの手で…安倍さんも、中澤さんが…うっ」

 石川は、身体を二つに折って壁に手をつくと胃のなかのものを吐き出した。
先ほど後藤に浴びせた日清カップヌードルである。麺はほとんど消化されていなかった。元よりそれほど食べてもいない。
 内容物をあらかた吐き終えると、石川は荒い息をつきながら壁に背をつけた。その目にはかすかに涙が滲んでいる。

(どうして……どうしてこんなことに……こんなことまでして私たちは………)

 悪夢は2時間前、TV東京のスタジオのなかから始まった──

 初披露──始めて芸能人としてASAYANの舞台に立った、その場で99の矢部がとんでもないことを言い出したのだ。

 矢部はいつものように剽軽な口調で手元の紙を読み上げる。
「えっと、この11人で……おぇええっ? ちょっとこれマジっすか?」
「マジっす」
「マジよマジ。大マジ」
 中山と岡村が、矢部に先を読むように促す。矢部は複雑な表情をしながらも、それでも剽軽に読み上げた。

「ええっと──この11人で殺し合い──殺し合いをですね、してもらいます」
「殺し合い」
「殺し合い」
 中山と岡村は顔を見合わせた。
「またまたー矢部さん、嘘ばっかり」
「いや、嘘じゃないっすよ、ここ、ここに」
「またまた〜、ここは日本やで? なんで殺し合いやねん」
「いやだからここ、ここに」

「えー続けますよ。最後に残った一人が、ソロシンガーとしてデビューできると」
「なんか、むっちゃくちゃですね」
「またつんくのおっさんやろ? むちゃしよるわ」

“そーなんです!”

 石川は知らなかったが、ここで松尾貴史のナレーションがかぶっていた。

“この11人で殺し合い。殺し合いをして最後に残った人がソロシンガーとしてデビューできるんです!”

 乾いた銃声が3発、スタジオに轟いた。
 三人の司会者は、弾かれたように客席とステージを隔てる檻にぶつかり、折り重なるように倒れた。
三人は揃って眉間から勢いよく血をしぶかせていた。どろりとねばつくような赤黒い液体がじわりと床に広がっていく。

(……拳銃? このひと、なんで?)

 市井は、手の中にあったものをくるっと回転させて衣装の中にしまった。
石川はめざとく鈍く丸まった銃把らしきものを視界に納めていた。
だが、生憎、日本に暮らすほかの15歳の少女たちと同じく石川は銃器の類には詳しくなかった。
ただ手のひらにおさまるぐらいの小型のものだということは理解った。
おそらくそのことに気が付いたのは、石川を除けばほんの数人だっただろう。

「梨華……よく見ておくのよ。誰が、どんなふうに動いているのか」
 教育係として背後に立っていた保田が、石川の耳元に囁いていた。
「生き残りたいなら、注意深くなりなさい」
「……はい」
 誰が、どんなふうに動いているのか──石川は、耳が拾ってきた情報を、
言葉に分解せずに記憶した──後に石川はこの記憶を幾度となく思い出すことになる。

 幾度となく。

 ガサリ。
 かすかな衣擦れの音が、石川を現実に引き戻した。

(──だれかいる?)

「う──」

 背後。下のほうから呻くような声がする。石川は、中澤の血に濡れた鉄棒を握り直し呼吸を整える。

(大丈夫。落ち着いて行動すれば必ず生き残れる……そう、保田さんも言っていた……)

「たたた……あたま、ガンガンする……あ、梨華……あれ……?」

 先ほど中澤に殺されたはずの安倍だった。どうして──石川は混乱する。

「……収録してたよ、ね……? メディアシティで……たしか……」

 安倍は不思議そうに呟いた。とぼけているのだろうか? それとも──石川には判断がつきかねた。

 再び時間は戻る──TMC──東京メディアシティの収録スタジオ。

 超小型拳銃を懐に納めて踵を返した市井の肩を中澤が掴んだ。
「アホなことしたな、自分。どうすんねん。もう後戻りできへんで」
 振り向きざま市井は、中澤の手を払った。
「リーダー気取りはやめな。アタシの面倒ぐらいアタシでみるさ。後藤」
 どうする?といったふうに市井は顎で促した。後藤はぼうっと中澤、矢口、
安倍と視線をさまよわせたあと、パタパタと市井の元に駆け寄った。加護も後に続く。
「今度会ったときは殺し合いかもね……さよなら」
「ちょー、待ちぃな」

 中澤は、携帯電話を目の高さにかざした。

「和田さんからメールがはいってる……読むで?」

「えー、“99さんを殺ったのはまずかったですね。ヨシモトからクレームがはいってます。シャレなってません……”」
「フッ……くだらない。そんなことならもう行くよ?」
「まぁ、落ち着いて聞きぃな。“それはそうと、このゲームのルールを説明します。
まず皆さんの居場所ですが、常に衛星から補足されています。どこにいても本部では
皆さんの居場所がわかります。このことをよく覚えておいてください”」
 中澤の言葉に市井は眉間に皺を刻んだ。
「……続けて?」
「“皆さんの居場所は常にテレビ東京系ネットで24時間対応で全国に向けて放送されます。
このゲームには一般の視聴者も参加できるのです”」

 檻の向こうに隔てられた観客たちから驚きの溜息が漏れた。
(そういえば、どうして観客たちは99さんが撃たれたのに騒がないんだろう……)
 石川は素早く観客席に視線をめぐらせた。
 よくわからない。
 なにしろ、この場所に立つのは石川には始めての経験なのである。
 よくわからないなりに石川は捉えることのできるすべての情報を視野に焼き付けた。

 暗い。
 照明がやや抑え気味にされている。
 ややルーズに制服を着こなした女子高生がフロントに並んでいるが、
後ろのほうにはOLらしき人や男性の姿もあった。表情はみな暗い。観客の間を縫うように、
頭ひとつ分以上も上背のある男性が疎らに立っていた。彼らは暗い色の服を着、一様に姿勢がよく動きに無駄がない。
 恰幅が良さげに見えるのは鉄板を入れたジャケットを着込んでいるためだった。
 これでアサルトライフルでも抱えていたらグリーンベレーといっても通じたかもしれない。

(──冗談じゃないんだ──)

 石川は両手をかきあわせた。背骨がぞくっと震えた。寒い。身体の内部から熱が奪われていくようだ。

 ──自分たちはとてつもない悪意のなかにいる。

「ええと……圭織よくわからないんだけど、それってつまり──つまり、最後の一人になるまであたしたちに殺し合えってこと?」
「そうみたいやな」
「そうみたい……そうみたいやなって……裕ちゃ、なんでそんな平然としてるのさ?」

 ようやく事態を積極的に把握しはじめた飯田と安倍が、中澤に食ってかかる。

「うちに言うたかてしゃーない。アタシかて殺し合いはいややで? でも決まったことイヤ言うたかてしゃーないやん」
「そんな……」
「裕ちゃん、ねえ、もうやめようよ。きちんと言おうよ。言って圭織たちの気持ちわかってもらって、それで……」
「うちらの気持ちは関係あらへん。仕事は仕事や。決められたことを精一杯やるだけや」
「……裕ちゃん……嘘でしょ……嘘って言ってよ……」
 安倍が中澤の袖を引いた。中澤は条件反射のように安倍の肩を抱いて、すぐに突き放すようにして離れた。
「嘘やあらへん」

 石川の鋭い聴覚は、中澤が安倍に近付いた一瞬、彼女に囁いた言葉をとらえていた。
「いつでも前向きなんがうちらやったやろ」
 かすかに保田が石川の注意を促す。カメラがまわっている。

(カメラを意識してる──?)

「……リーダーは損ね……」
 保田は石川にしか聞こえないように囁いた。
「え」
「このゲーム、視聴者を味方に付けたほうの勝ちね」

 カメラ、大きく引いてスタジオを俯瞰する。
 再び松尾貴史のナレーション。

“さあ、大変なことになってまいりました。”
“今日4月12日、一歩スタジオを出たその時から早速、娘。たちの殺し合いがスタートするのです!”
“ここで視聴者のみなさんにお知らせです。”
“みなさんは町中で贔屓している娘。たちを見かけたら、どうぞ協力してください。
協力方法は自由です。貴方のお好きな方法でどんどん娘。たちを応援してください。”
“モチロン、自分の贔屓している娘。を助けるために、別の娘。を殺したって構いません!”
“生き残れるのは一人、一人きりなのです。”

 お茶の間に名流れた画面は、ご丁寧にも最寄り駅から撮影所までの地図になっていた。

***某所***
「ホンマめちゃめちゃしよるわ」
 別室でモニタを眺めていたつんくは、苦々しげに吐き捨てた。
両手には金属製の枷がはめられ、革張りのソファに繋がれている。
「こんなんせんでも大丈夫や言うねん」
「していたほうが安心するからな、上は」
 かろうじて自由の身である──両手の自由を奪われたつんくに比べて、
といった程度の意味でしかないが──タカハタは唇を歪めた。

 テレビ東京の最上階にある重役室の一室に二人は軟禁されていた。
今回の“上層部”のもってきた企画に異を唱えたためだ。

「ソロデビューってのは今までの仲間を殺してまで手に入れたいほど魅力のあるものかい?」
「そんなん、人それぞれやろ。おれはバンドでやるほうがずっとおもろいけどな。人が一人で出きることなんかタカがしれとる」
「言い直そう。彼女たちにとって、という意味だ」
「どうやろな。ソロでデビューしたとこでファンがついてこんかったら意味あらへんしな」
「だから、視聴者に最も愛された娘。がデビューすると……本当に、そんな短絡的な考えで始まったのかな、このゲームは」
「……」

 つんくは、クリスタル製のテーブルの上に大きく足を投げ出した。

「ま、なるようになるやろ……こんなことせんかったって逃げへんっちゅうねん」
「そこまでないがしろにされてるのにアンタも大概義理堅い男だな」
「大阪の下町は人情の町やからな」
「ハッ……」
********

「で、どーするよ?」

 フレームはTMCスタジオ内に戻る。
 市井は挑発するような視線で中澤を見た。中澤は思案げに首を振った。

「まず放送を見たお客さんがここに殺到してくる前にこっから出ることやな」
「同感だな。一人一人バラバラに出ることにも異論はないね?」
「あらへん。この人数じゃ目立ってしゃーないし──いや……」

 中澤は新メンバーに視線を走らせた。石川とも一瞬だけ視線が合う。値踏みするような冷たい視線だと石川は思った。

「圭坊、圭織、矢口、後藤……、教育係は担当の新人サンの面倒見たりよ?」
「OK」
「わかった…」
「いーよ!」
「…ハイ」
 市井はメンバーに背を向けて、一人はやく歩き出した。後藤と加護が慌ててあとに続く。

「スタジオから出たら、うちらは完璧敵同志やっちゅうことを忘れんときや」

 中澤の言葉に、振り向きもせず市井は片手を軽く振って応えた。

*カメラ1*
 足早に廊下を歩く市井の背中を、半ば小走りになって後藤と加護が追う。
「なにかアテでもあるんですか?」
 軽く息を切らせて、加護。
「あると言えばある──ないと言えばない──後藤。後藤はどう思う?」
「どう思うって、ええと……」
「だれが生き残ると思う? ここにいる三人以外で」
「えっ、全員……」
 後藤の答えに市井はかすかに唇を歪めた。満足そうな、困ったような表情がお茶の間に流れる。
「加護は? 加護はどう思う?」
「中澤さん、保田さん、安倍さん、石川さん、辻さんは難しいですね、生き残るのは」
 加護の言葉に、市井の目はかすかに細められる。
「……へえ? どうして」
「……勘ですよ、ただの」
 加護は、曖昧な笑みをみせた。

*カメラ2*
「移動するよ」
 ロッカールームでコギャル風なファッションに身を包んだ矢口は、小さな身体に大きな荷物を抱えて吉澤に言った。
頷いて吉澤も席を立つ。二人は階段を使って撮影所内を移動した。
「どこに行くんですか」
「とりあえず外ね、外──一般人が沢山いるところかな」
「一般人が。却って危なくないですか」
「そうかな。そうでもないよ。うちらはともかく一般人を巻き込めば殺人犯だしさ、大量殺戮兵器とか
使われちゃったら手も足も出ないけど、そういう場所なら一対一じゃん?」
「……」
「一対一ならね。割と生き残る自身はあるんだよね、あたし」
「……」
「心配しなくても、ひーちゃんの面倒はちゃんとみるし……あ、でも、やっぱ自分の命第一だから、
危ないときは自分でなんとかしてほしいんだけど」
「外はもう──無理みたいですね」
「ほあ?」
 吉澤が踊り場の窓から外を示す。矢口は窓に駆け寄って背伸びして外を見る。
 すでに数百人からの野次馬が撮影所の前でたむろしていた。
「あちゃ……やっば……」
「どーします?」
「作戦変更。上に行こ。ヘタに外に出るとカメラが……カメラ……」
「……」
 二人が気味悪げな視線を向けるのがお茶の間に流れた。
 画面は一瞬だけ乱れ、別の場面に切り替わる。

*カメラ3*
 飯田と辻は、どこか暗い部屋にいた。
「ん〜、ここでいっか」
「いいってなにがですか」
「ここ隠れてて。あとで迎えに来るから」
「隠れてって──ここに?」
 辻は気味悪げに呟いた。カメラが部屋をPANする。薄汚れた部屋だ。セットの残骸の
ようなものがいい加減に分類され押し込まれている。
「うん、そう。ええと、これとこれとこれ。これも使えるかな……」
 飯田は部屋のなかの物色を始めた。エア・ガンやナイフ、燃焼補助剤やスプレー缶などを次々とディバッグに詰めていく。
 飯田の様子を見てなにかもの問いたげになった辻の表情がお茶の間に流れた。だが、辻は質問を発することができない。
「じゃ、あとで迎えに来るから、ここにいてね? 動いちゃダメだよ?」
「行きます。一緒に」
 すかさず辻は飯田に食い下がった。飯田はきょとんと辻を見た。
「そ、そう? 危険だよ?」
「だって、迎えに来るって、つまり……生き残ったのがあたしと飯田さんだけになったときですよね?」
「……うーん、そうね、たぶんそう……」
「だったら、あたし行きます」
「そう? じゃー……危険だけど……おいで」
「はいっ」
 二人は部屋を出ていく。扉が閉まり、画面は黒くフェイドアウトする。

*カメラ4*
 誰もいない廊下。

石川「確かにここならカメラは映せませんよね」
保田「ま、無いとは言わないけど放送はできないね」

 カメラは画面の端にWCの文字を写している。

石川「……」
保田「……」
石川「……」
保田「……」
石川「……、あ。で、どうします?」
保田「そうね……。……どうしようもないんじゃない?」
石川「……そうですか」
保田「……うん」
石川「……」
保田「……」
石川「……」
保田「……」

 フェイドアウト。

*カメラ5*
 非常階段の扉を開ける中澤。あとからこわごわと顔をのぞかせる安倍。二人ともすでに私服姿である。
「ね、裕ちゃん、どうしよう……なっちもう頭の中がパニックさ」
「……」
「最後の一人になるまで、メンバーのみんなもファンも敵なんしょ? もー、なんか、なんか、わからん…
「……」
「ね、裕ちゃ…」
「なぁ、ちょー黙っててくれへん?」
「……ん」
 中澤の目は非常階段と隣のビルの非常階段との距離をはかっている。約2メートル。
こちらは剥き出しだが、向こうは鉄柵で覆われている。
「あかんか……」
 溜息を吐いて中澤は扉を閉めた。

さて。さきほどのWCのなか。

 保田と石川は筆談で今後の戦略を相談していた。
『外、一般人がたくさんいる。スタジオ外、動くのは困難』
 保田の書いた文字に石川は無言で頷く。
『カメラ…ごまかして生き残る』
 カメラと生き残るに保田は大きく丸を入れた。石川は無言で頷く。
『無言だと疑われる。なにか話して』
 保田はコツコツと書いた文字をシャープペンシルの尻で叩く。
「あ」
 始めて気が付いたように石川は言った。
「で、どうします?」
「そうね……」
 保田は上の空で答え、サラサラと紙に字を書き付ける。
『カメラを利用しよう』
「……どうしようもないんじゃない?」
「……そうですか」
 石川は保田の書いたことに首をかしげ、指で『カメラを利用しよう』の文を2回叩いて『?』と紙に書いた。
「……うん」
 保田は、暫く考えて紙に大きくこう書いた。
『演技。芝居』
「……」
「……」
「……」
「……」
 その後、無言で芝居のプランがいくつか練られた。

 石川は保田が落ち着いて事態に対処していることに安心した。うまくやれば切り抜けられるかもしれない。
それも全員で。だが、やや険しい保田の表情を見て考え直す。うまくやれば。出きるのだろうか、自分に。

 ひととおりの対処策がまとまると、保田は紙をビリビリに切り裂き、トイレに流した。

「な……っ!」
 トイレの扉が大きく開け放たれたかと思うと、足をもつれさせながら保田が飛び出した。
廊下の壁を背にした保田は左右に視線を彷徨わせたあと、ゆっくりと保田の後を追う石川を恐怖の表情で見上げた。
石川はひと呼吸すると果物ナイフを大きく振り上げた。
「保田さん、ゴメンナサイッ!」
 果物ナイフはずぶずぶと保田の腹に吸い込まれていく。衣服ににぶく血の染みが広がった。
「げぼっ……」
 保田の唇が鮮血に染まる。はねた血が石川の頬を血の朱に濡らす。
「ゴメ……許してっ……許してくださいぃ……」
「かはっ……」
 石川は保田から視線を逸らすようにした。保田は石川の頬に着いた汚れをその指で拭った。
「良いのよ……ただね、ナイフは腰ダメにして……身体ごと……身体ごと相手にぶつかりなさい。手先で人を刺そうとすると失敗するわよ」
 保田は石川の手を優しく握る。石川は、思わずナイフから手を離した。
「次の、次の本番も頑張ってね」
「……知ってたんですか!?」
「良いのよ。……最後に、最後に一つだけ言わせて……私は良い教育係だったでしょ……」
「!?」
 保田の手が力無く石川から離れる。最後の力を失ったかのように保田の首がガクリと垂れる。
「保田さん……ありがとう……貴方は何時までも私の胸の中で生きつづけるわ。ありがとう、そしてさようなら……」

******

「……ッ」
 石川が走り去ってしばらくの後、保田はゆらりと立ち上がった。
「ばかな子……とどめも刺していかないなんて……」
 ふーっ、ふーっ、ふーっ
 大きく息を吐きながら、保田は石川が去った方向に向かってゆっくりと歩き始めた。床にてんてんと血の雫が落ちる。
 その手には、彼女自身を傷つけた果物ナイフが握られていた。