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怪盗やぐよし団

「へへっ、いただき!・・・・・・行くよ!よっしぃ!」
「(声が大きいですよ!)」
「(・・・やばっ。)」

あたしたちは足音を立てないようにしながら急いでもと来たルートを戻る。
「(よっしぃ、警報システムが復帰するまであとどれくらい?)」
「(あと・・・4分30秒、ですね。)」
「(じゃ、だいじょぶかな?)」

あたしたちは誰にも見つかることなくその美術館を出て、止めておいた車に乗りこんだ。
「おっけい!今日もお仕事終了!」

「紅の涙、奪われる!怪盗やぐよし団の犯行か!?」

新聞に踊るこんな活字を見て、彼女の拳は怒りで打ち震えている。
「中澤警部・・・」
「圭坊!みなまで言わんでええ!・・・また奴らか。」
「そのようです・・・」

警視庁捜査1課連続美術品盗難事件特別捜査本部。
中澤警部は乱暴にタバコをふかしながら歩き回っている。
「警部、タバコは止めたはずじゃ・・・」
「ええい!うっさいわい!うちがどんな気でいるか、あんたも分かるやろ!」
「・・・わかりました。」

「4月から始まってもう8件。しかも予告状まで送りつけとんねんで。
 今度こそ捕まえられな、うちらもヤバイことになんねんからな。・・・うーん。」
「警部、保田さん、コーヒー入りましたよ。おやつも持ってきてます!」
「あ、梨華ちゃん・・・ありがと。警部、コーヒーです。」
「ふぬー・・・」
なんだかよくわからない声を発しながら、中澤はコーヒーを手にとる。
「(奴ら、いったい何が目的なんや・・・?)」