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10人の怒れる娘達

この日、某番組の収録に向かういつもの娘達がいた・・・
「おはよ〜〜」「あれ、矢口また背縮んだの??」
「も〜〜、やだ〜〜裕ちゃん」
いつもと同じ笑い声・・・・
だが、この後驚愕の事実が待ち構えていようとは・・・
(某番組控え室)
「おはよ〜・・・な??あれ??」
「どうしたの、裕ちゃん??あれ、なんで
 つんくさんここにいるんですか??」
「あ、まあな・・・
 ちょっとみんなに話したい事があんねん。」
「なんですか??
 ・・・・またメンバー脱退とか??」

「実はな・・・・そうやねん。」
「え??裕ちゃん結婚退職??おめでと〜〜」
「アホか、真里!!
 ウチは50までここにおるで!!」
「冗談きついよ〜〜、裕ちゃん」
(ひとまず、落ち着いた10人の娘達)
「いやな、いままでオレがプロデュースしてきてな、
 全然おまえらの意向を聞かなかったからな。
 今度は君らで重大な結論を決めてみ。」
「へ??どういう事ですか??」
「今まで何年もやっててお互い不満もあるやろ??
 だから、自分らの投票で今、モーニング娘に
 必要無いメンバーを1人選び脱退させる。」
「じゃ、私達が決めるんですか??
 その・・・・1人を・・・・」
「そういう事や。じゃ後は頼むで。」
(そう言い残して控え室を去ったつんく。
 取り残された10人の娘達。)

(とりあえず話しを進める中澤。)
「で??どうするん??」
「でも・・・・・1人決めないといけないんだよね。」
「でもさ、いままでがんばった仲間じゃん!!
 そんな・・・・選べないよ!!」
(しかし、安倍の目は確実に後藤の姿を見ていた。)
「まりっぺはどう思う??」
「いや・・・私はね〜〜・・・・」
(矢口の目は12歳の2人を見ていた。
 誰とでも、友好的な彼女だが今回だけは
 勝手が違っていた。)
(ずっと黙っている飯田は・・・・
 やはり安倍を見ていた。
 それも憎悪の目で・・・・)

(年長組の中澤と保田はこの緊迫した空気を
 いち早く読んでいた。
 結局、誰が誰を味方につけるかで、このレースは決まる。
 その思惑を感じ取ったのか、2人の視線があった・・・
 そして、数秒後・・・誰にも気づかれないように2人は
 うなずいた。)
<この勝負・・・新メンバーを味方につければ大丈夫・・>
(中澤の思惑は固まった。)

(1人おろしている安倍。
 しかし、この様子が演技だと気づいているのは
 誰なのか・・・・)
<私の味方は誰?? 誰と手を組む??
 裕ちゃんと手を組むか・・・・
 比較的、みんなと友好的なのは矢口か・・・
 しかし、コイツも裏の性格があるかも・・・
 かおりと手を組むか・・・同じ同郷だし、
 喧嘩だってもう過去のことだし・・・・
 ちくしょう、こんな事ならみんなと仲良くすべきだった・・・>
(いまさらながら、自分の行動を悔やむ安倍)

(固唾を飲んで状況を見守る新メンバー。
 状況を飲み込めない石川と辻だが、他の2人は
 違っていたようだ。)
<私の教育係の矢口さんなら人望があるし、大丈夫だわ・・・
 邪魔なのは私のキャラがかぶる人・・・一体誰??>
<後藤さえ潰せばセンターは空く・・・
 あと、邪魔なのは辻だ。こいつをなんとかしないと・・
 同じ12歳でも、一歩先いかれてるしな・・・>
(そんな加護を不安そうに見つめる辻。
 彼女は加護の謀略に気付いているのだろうか・・)

(しかし、次の瞬間新メンバーを除く5人が思いついたのは
 同じ事だった。)
<後藤が抜ければセンターが空く・・・>
(しかし、その事を考えた中澤はまた、違う考えを持っていた。)
<いや、待てよ・・・
 紗耶香が抜けた今、後藤のサポートの席は誰もいない。
 そこにウチが座れば・・・注目度も・・・・>
<まだ、捨てるには勿体無いな。>
(中澤はまた迷いに入った。)

(黙って考え込む安倍)
<おそらく私がここで後藤を辞めさせようと言ったら
 ほとんどが賛成するだろう・・・
 しかし、満場一致で決めなければ後でしこりが残る。
 後藤を辞めさすのを反対するのは・・・裕ちゃんか。
 誰か他のやつに言わせるか・・・・
 今、ここで発言するのは損だ・・・>
(しばらく事の成り行きを静観する事にした安倍。)

(無言の矢口)
<今までずっと私は端だった・・・・
 2次メンバーの時だって紗耶香に負けた・・・
 タンポポだってプッチモニに負けた・・・
 今がチャンスだ・・・
 ここで後藤を追い出せば・・・・
 私がセンターに!!・・・・
 誰が後藤を辞めさせたいと発言するか・・・・
 速く誰か言えよ!!!>
(苛立つ矢口)

(この状況の中で一人余裕な様子の人がいた
・・・・・保田だ)
<裕ちゃんには脱退のウワサが絶えない・・・
そうしたら年長者はなっち・かおりと私だけ・・
この2人ではリーダーには不適任だ。
そうしたら次期リーダーは私だ・・・・
この中で唯一メンバーをまとめられる素質があるのは
私だけだ・・>
<まあ、じっくり様子見かな。
私の一票が結果を左右しそうな気がするし・・・>
(一人ほくそえむ保田)

(後藤はずっと黙りこくっていた・・・)
<たぶん、私を辞めさせたい人は多いはず・・・
 なっちは絶対にそう思っている・・・
 ここは味方になってくれる人を見つけないと。
 でも、ここで選び間違ったら致命傷になる。
 慎重に・・・・>
<かおりはなっちを辞めさせたいんだから、私の味方に
 なってくれる・・あと加護も間違いない。
 でも、この2人じゃ頼りない・・・・
 裕ちゃんか矢口か・・味方になってくれるかな・・・>
(考え込む後藤)

(この中で1番冷静なのはやはり中澤だった。
 メンバー全員の目の動きをしっかり追っていた。)
<ほとんどのヤツの狙いは後藤か・・・
 でも、ここで票を取ってもかおりは絶対に反対するしな・・
 もし、ここでウチがなっちでいこうとしたら・・・
 反対するのは・・・・いない??・・・な。>
<狙いを変えるか・・・・>
(後藤でいくか、安倍でいくか・・・・
 中澤の迷いは続いていた。)

(必死に飯田は考えていた。)
<今こそなっちを追い出すチャンスだ・・・
そしてタンポポを売り出してもらうんだわ。>
(矢口もまた、策を練っていた)
<タンポポを最優先に売り出してもらうには
今、最前線にいるメンバーは邪魔だ・・・
そしてタンポポのメンバー同士スクラム組まなきゃ・・・
そしてかおりの嫌いな奴で最前線にいるメンバー・・・
狙いは決まった・・・・>
(そして決意が決まった矢口の視線と飯田の視線が合った・・・)
<私達組もうか・・・>
<うん・・・>
<狙いはなっち・・・・>
(2人の意志は固まった・・・
そしてこの部屋の空気がゆっくりと、しかし確実に動き出した・・・)

(飯田と矢口の視線を見逃さなかったのは・・・中澤だった。)
<やっぱり狙いはなっちか・・・
でもここでウチが2人に加担してなっちを辞めさせたら・・・
タンポポの発言力が強まる・・・4人もいるしな・・・
特に矢口は要注意だ・・・裏で何考えてるのかわからんし・・・>
<まだウチも誰にするか決めてへんしな・・・
なっちに加担するのは不利だけど・・・しゃーないな。
後は誰をこちら側に引き込むかだけやな・・・
慎重に選ばんとな・・・>
(中澤の腹は決まった)

(安倍は不安だった・・・)
<どうしよう・・・誰も味方がいない・・・
ここでなっちは終わっちゃうの??
ヤダよ!!絶対そんなの!!>
(半ベソをかいていると、不意に誰かの視線を感じた・・・
誰かと思うと・・・・中澤だった。)
<心配せんでええ。ウチはなっちの味方や。
まかしとき。>
<裕ちゃん・・・・>
(込み上げてきそうな涙を必死にガマンしながら
安倍は中澤の目をしっかり見ながら、
心の奥から感謝した。)

(1人ほくそえむ保田)
<へー、裕ちゃんはなっちの味方にねー。
 けっこう不利だと思うよ・・そっち付くと。
 まあ、タンポポの2人はまったく気付いてないみたいだし・・
 あとは2人が誰を味方にするかだね・・・
 まあ、私は最後に有利になる方に付けばいいか・・・>
(1人余裕の保田)

(後藤は誰かの視線を感じていた。
 その視線の先には・・・・矢口がいた。)
<一緒に組む??>
(その視線は断る事を許さない力を帯びていた。)
(後藤は考えた・・・・)
<とりあえず、ここで味方になっておけばなっちは潰せる・・・
 だが問題はその後だ・・・
 なっちがいなくなった後、必ず矢口は私を陥れるはずだ・・・
 今、ここで味方になっていいのだろうか??・・・
 とりあえず、今はここで味方になり状況が悪くなれば
 見捨てればいいや・・・>
(後藤は意志を決め、いつもの気弱そうな目で矢口に訴えた。)
<お願いします、味方にいれてください!!矢口さん。>
<よかった!!ありがとうね、ごっちん!!>
(ふん、今だけだよ、今だけ・・・・)
(おまえの本意はわかってんだよ、ねこかぶりやがって・・・)
(お互いの本意を隠しながら、凄まじい心理戦が繰り広げられた。)

(事の成り行きを心配そうに見ている新メンバー達。
ただし、辻を除く3人は今の空気の流れを感じていた・・・)
(考え込む石川。)
<おそらく私達の教育係は私達がおとなしく付いて来ると
思っているはずだ・・・それに・・・
矢口さん・飯田さん・後藤さんはチームを組むみたいだし・・・
私が入れば4人になって強くなる・・・でも・・・・
おそらく保田さんも矢口さんの味方に・・・だから・・・
さんざんイジメてきた保田さんの味方はしない!!・・・
絶対に!!・・・たとえ不利な方についたとしても・・・・>
<となると・・・・私が味方するのは安倍さんと中澤さんか・・・>
(石川の決意は固まった。そして中澤の目をはっきりと見た。)
<石川・・・ウチらの味方になるの??>
<はい!!・・・よろしくお願いします!!>
<ウチらの方が不利だと思うよ・・・・それでもいいの??>
<はい。・・・>
<わかったわ。・・・まあ、一緒に頑張ろ。>
(石川にとって初めて保田を見返すチャンスが訪れた・・・)

(石川が意志を決めてる時も、同じ新メンバーの吉澤は
 覚悟を決めかねていた・・・)
<私の教育係の矢口さんは恐らく私が自分の意向についてくると
 思っているはず・・・だけど・・・
 あの人は八方美人だ、誰にでも同じ態度をとっている・・
 おそらく敵にだって笑顔を崩さないはずだ・・・
 私にだって本心を見せてるかどうか怪しいもんだ・・・
 おそらく私の価値が無くなったら、あの人は笑顔で私を捨てるだろう・・・
 向こうがそういう態度だったら・・・私だって覚悟がある・・・>
(そう決意した吉澤は中澤の目を見た。)
<吉澤、アンタもウチの味方になるんか??>
<はい・・・>
<よっしゃ。わかった。>
(この状況を矢口は気付いていない様子だった・・・
 肝心の教え子に愛想をつかされた事を・・・)
(当初、矢口が予想していた状況とは、まったく違った様子に
 なっていった・・・)

(1人状況を見ている加護)
<あ〜あ、私達入ってからもう脱退者ねえ〜。
 まあ、私には全然関係ないからいいけどさ・・・
 とりあえず、後藤さんは矢口さんの方につくみたいだから、
 私もそっちでいいか・・・
 あっ、ののはどうするんだろう??この子トロいからな〜〜>
(そして加護は辻の方を見た・・・)
<ののちゃ・・・なっ!?・・・・>
(他のメンバーはまったく気付いてなかったが、同じ12歳でしか
 わからない何かで、加護は辻の異常な雰囲気を感じた。)
(それほどまでに辻は思いつめた表情をしていた・・・
 少なくとも加護にはそのように見えた。)
<この子は見た目によらず強い意志持ってそうな子だ・・・>
(加護はそのように思った。そして注意深く辻を観察し始めた。)