精一杯の笑顔で笑い、歌い、そしてお互いに励ましあった日々…。例え作られた笑顔で
あっても、精一杯の誠意と優しさだった…。あの頃、私達は幸せのまん中に居たんだ…。
あれから2年…、私達は戦慄のまん中…、闇世界のまん中………………。
安倍・矢口・飯田「わぁっっ!!!!!!!」
後藤「ぅわっ!!!!!、もーー、脅かさないでよぉ。」
深い眠りについていた後藤はようやく起きた…。最近眠くて眠くて…、やけに眠いよ。
保田「ほら、仕事入ったよ!裕ちゃん、、っと、中澤さんから作戦の説明があるから、来な!」
後藤「うぅ…、はぁい…。」
モーニング娘。解散から2年、後藤は16歳になっていた。普通の学校生活に戻ろうと
していた後藤に再び声を掛けたのは元マネージャー、和田薫であった。
後藤は和田の手腕を信じ、ついていった。しかし、華やかな世界から一転、新たな職場は……、闇世界。
暗殺集団「マギャロ」、和田をトップに中澤、安倍、矢口、飯田、保田、後藤で構成された
暗殺のプロフェッショナル集団だ。しかし…、後藤は思う。
今の私を見たら、紗耶香は何て思うのかな…。、と、ぼ〜っと考えている後藤に中澤…。
中澤「後藤!、作戦説明だ。命を危険にさらす仕事なんだよ。真面目に聞け!」
後藤「は、はい!」
矢口「ぉお〜、恐い〜。」
中澤は矢口をじろっとにらむ。矢口はそしらぬ顔で髪に手をやった
中澤「今回の任務説明をする。ターゲットは麻薬密輸組織「パレオ」と繋がりの
ある『クワイ』、売人だ。そこから組織全体を暴き、組織の殲滅。ここまでが指令だ。」
保田「へぇ…、依頼人はいつもの?」
飯田「警察〜、でしょ?私達は警察専属の殺し屋、プロフェッショナル!!」
安倍「麻薬組織はねぇ…。検討はついてる。でも相手にするのは相当ヤバイ組織…、
私達の仕事は、そういうのを皆殺しにしろ、ってね。すんごいリスキーな役回り。」
後藤「そんな大きな仕事…、たった5人でできるの…?」
中澤「これまでにない大規模な仕事だ。警察は私達5人に全てを任した。それは私達の
これまでの実績からなる圧倒的な信頼だ。、気を引き締めろ。歯向かうや」
矢口「歯向かう奴は、殺れ!!♪」
中澤「そうだ。…殺れ。、じゃ、これから詳しい作戦の説明をする。」
作戦名「the grave」矢口が裏で出回る麻薬売買の売人『クワイ』へ電話にて接触。
受け取りの待ち合わせ(相手指定)にて『クワイ』と合流。受け取りの瞬間を
遠距離レンズで保田が撮影。物証を確保。
矢口は場所を離れ、そこからは中澤、飯田の追跡。別に用意したワゴン内で後藤、矢口、
保田は『クワイ』待機場所の電波の盗聴、盗聴機は「マギャロ特別仕様」を中澤、飯田が
設置、ワゴンへ帰還。盗聴により場所がわれ次第、『クワイ』追跡開始。おって作戦説明。
中澤「以上だ。銃は各自忘れずに持っておけ。質問は?」
保田「作戦開始時間は?」
飯田「これから矢口とごはん食べに行くんだけどぉ…。」
中澤「40分後、9時20分だ。」
後藤「40分後!?わぁ、化粧化粧…。」
保田「16は化粧なんかいいんだよー。ナチュラルなんだから。」
後藤「ダメだよぉー…。」
安倍「なぁんだ…、今日はあたし、出番なしかぁ。」
中澤「各自用事は済ませときな。以上、解散!」
この指令が、「マギャロ」最後の仕事になろうとは、誰も思わなかった……。
矢口「そう、16なんですけど〜。え、うんお触りあり♪、SEXは、え?う〜ん、」
中澤は固い表情で本部の廊下を歩いていた…、と、矢口が緑の電話で話し込んでいる。…、
またや…。いい年したおやじと性交渉で金を…。中澤は矢口の前に立ち、電話を無理矢理
取り上げて切った。
中澤「真里…、何やってたの?」
矢口「え〜、別になんだっていいじゃん…。プライベートはほっといてよ…。うざい。」
パシィ…!
矢口「、いった…。」
中澤「…あ…、ごめん。でも…」
矢口「裕ちゃん変わったよね!?、2年前まではすごい優しかった!ホントに!!」
中澤「……。」
中澤は矢口に背を向けて和田の部屋へ向かって歩き出した…。
矢口「裕ちゃん!あたし前の裕ちゃん大好きだったよ!!」
矢口は鼻にかかった涙声で言った。中澤は無視して歩き続ける…。2年前から
気づいていた。真里のあたしに対する気持ちにも…、今、真里がその寂しさに
「援助」という形で他の男に偽りの愛を求めている事も…。しかし…。
和田「中澤…、お前には可哀想な思いをさせてる。すまん。しかし…。」
中澤「…、分かってますよ。私あの子達大好きだもん。だから…、だから、ね…?」
和田「ああ…、生死を賭けた危険な世界だ。中澤、お前が厳しく教育しなきゃな…。」
と、保田がノックをして部屋へ入ってきた。
保田「裕ちゃん…。分かってる。分かってるよ…。」
その瞬間、中澤の中で張り詰めた物がはじけた…。中澤は保田の胸に飛び込み、
人目もはばからず泣いた…。保田は強く抱きしめる。
中澤「ぅう…ぅ、ごめんね……ごめん…。」
保田は抱きしめた。きつくきつく抱きしめた。、それを黙って見つめる和田の目には、
底知れぬ何かが渦巻いていた……。
中澤「…、9時20分。作戦開始だ。矢口、『クワイ』に電話を。」
矢口「…はい。「the grave」開始します…。」
矢口は人気も無い、路上の電話ボックスにて作戦を開始した。外のワゴン内では
保田、後藤、安倍、飯田が待機。中澤が矢口に通信機で指令を送っていた。
トゥルルル…トゥルルル……
矢口「…出ろ出ろ…。」
ピ…「、品は?新しいの入ってんぜぇ…。」
矢口「新しいの…?」
…「こいつは変えちまう…、生まれ変わりの魔法の粉さぁ…。」
矢口「欲しぃよぉ…、それが欲しい…。お金はあるから…。」
飯田「ふふ…、真里キレてるよ。」
後藤「超セクシー!だね。」
…「新宿駅近くのミニストップの隣り、小さい路地にあるたばこ屋「のむら」に来い。」
矢口「はいぃ…、もう欲しくてたまんな…、切れてるし。」
飯田「ぷっ…、ふふふ…やりすぎ真里。」
中澤「保田。聞いたな、新宿駅近くのミニストップ付近まで走らせて。」
保田「了解〜。」
ガバッ!
安倍「…なに……。」
安倍は時計を見た。時刻は10:28分…。軽い睡眠に入りかけた安倍は、嫌な胸騒ぎを
感じて目を覚ました…。
中澤「後藤、起きな!、矢口!」
後藤「…ぁ、うん…。」
また紗耶香の夢…、ふぅ。、なんであの時…、紗耶香を分かってあげられなかった…。
中澤「よし…、作戦再開。真里、行きな。」
保田「じゃ、あたし受け取りの現場抑えるから…、後ろのレンズとって。」
飯田「ほい、レンズ。」
矢口はふてくされた顔で毛布から出てくると、ワゴンの外へ出てたばこ屋へ向かった…。
飯田「あれ、矢口お金持ってったのー?」
後藤「あ…、私が渡してくる。」
後藤「おーい!、お金お金…。」
矢口「…いいね後藤は…。」
後藤「え…。」
真里はお金を真希の手から掴み取ると、まだ不機嫌な様子でたばこ屋へ向かった…。
細く、暗い路地を張り詰めた思いで歩いていると…、あった。たばこ屋…。
矢口「さっき電話した矢口ですけどぉ…。」
老爺「セブンスターでええかい…?、」
気の優しそうな老人だ…。ホントにここなの?
老爺「ほいセブンスター…、2万になります…。」
老爺の目つきが豹変した。矢口は箱の中身を確認すると…普通のタバコだ…。
老爺「0.6グラム詰めてある…。吸うだけでいい。…、お嬢ちゃん、本当に一人だろうな…」
矢口「一人だよ…。じゃね♪おじいちゃん。」
保田は近くのマンション屋上で受け渡しの一部始終を撮り終えた。
と、路地を出た矢口の後をつける一人の男が見えた…。不信な動きに出ないかの見張りだろう。抜かり無い。
保田は無線機を取り出すと、真里のイヤホンに声を送った。
保田「一人男がつけてる。駅に入って適当に巻きな。それからワゴンに帰還。いいね。」
矢口「了〜解…。」
矢口は駅の雑踏へと消えていく…。時刻は10:36分。既に圧倒的戦慄は忍び寄っていた…。
ガシャァ…!
安倍「侵入者…!?」
ガラスの割れる音だ…。なつみはガンケースの中からD44を取りだし、弾を込めた…。
12発…、これで充分だよね…。、和田は30分ほど前に出かけた。このビルに残るのは
私だけ…。部屋の電気を消し、気配を殺し、銃を構え、ドアの脇にしゃがみこんだ…。
安倍「…よりによって暗殺組織のビルに忍び込むなんて…、可哀想〜…。」
…シュ…パタ…シュ………
服の擦れる音…、足音が近い…。なつみは意を決してドアノブを回した…。そして
素早く銃を相手に構えた!…、え…?
安倍「あれ…、なんでここに…。」
瞬間であった、安倍がひるんだ隙に後ろ手に隠し持っていたショットガンを………
ドォォォン…………!!!!
なつみは後ろにのけぞり、倒れた。右肩が燃えるように熱い…。撃たれた…、撃たれた…!!
カシャン…。
ショットガンのリロード音だ…。なつみは仰向けに転がり、右肩をかばいながら走った。
手すりにもたれながら、階段を上る…。居ないのは分かっているが、和田の部屋へ必死に
歩いていた。、
カァン…カァン…カァン…
安倍「はぁ…ぅ…、はぁ…はぁ…。」
階段を上る音だ…。和田の部屋に逃げ込み、大きな木製の机の裏になつみは隠れた…。
あまりのショックに涙がボロボロと頬を伝って流れていく…。、恐いよ…。みんな…!
なつみは恐怖に震えていた。私を撃った奴…。黒い皮ジャン、黒い皮パン、サングラス…。
一見ギャングのような服装。しかし…、あれは紛れもなく…あの子は………。
なつみは気配を感じ、ふと上を見た………。
安倍「………ぁ…………………」
飯田「ねぇ!今の…、たばこ屋から出てった奴…。」
中澤「案外簡単に出てきたねェ…、恐らく『クワイ』だ。飯田、行くよ。」
飯田「イエッサー!」
と同時に矢口がワゴンへ戻ってきた。圭織はにやけながら、
飯田「おつかれ〜。」
矢口「あ〜、もう最悪…。しっつこかったぁ…。」」
中澤「後は任して…、ゆっくり休んどきな。」
矢口「あぁ、、うん…。」
2人は30M近く離れた場所から追跡を始めた…。遠目から見たところ若い男のようだ。
たばこ屋の老爺とは別人だろう。大きいバッグを持っているのを見るとコンビニで
買い物とは訳が違うだろう。、ワゴンも二人の後を追ってゆっくりと動き始める。時刻は10:50分
女「……。」
ビルから出てきた金髪の女はハーレーに跨り、ショットガンをバイクの銃納入ケースに
収めると、キーを入れた…。TWIN―CAM 88Bエンジンが唸りをあげる…。
そして内ポケットから「マギャロ」本部で見つけた「the Grave」作戦資料を取り出した。
…新宿駅…。、女はハンドルを握り、ハーレーは猛然と走り始めた…。時刻は10:55分、
漆黒の暗雲は公道を走る黙示録的な戦慄の「黒」を映し出していた…………。
飯田「あ…、車に乗ったよ…。裕ちゃん、ワゴンに戻ろう。」
中澤「そうだね…。、さぁ、どこまで行くのか…。」
チッ・チッ・チッ・チッ・・
保田「あぁもう…。信号に捕まっちゃったよ…。」
後藤「もう結構走ってるよね…。どこまで行くんだろ…。」
保田「ふぅ…、圭織、ちょっと運転変わって。」
飯田「ええ、免許持ってないよぉ。」
保田「先週取ったの知ってるよ!ほら変わって!」
飯田「ちぇっ。事故っても知らないよー!」
白いカルタスは工場地帯地帯のような場所へ入った…。通行人の姿はもうほとんど
見受けられない。、圭織は感じた。何か…、何か変だ…。メンバーは張り詰めた空気で
銃を取りだし、中澤は弾を込めている。
中澤「もう少し距離を取って追いかけな…。人通りも無いし、ばれるかも。」
飯田「うん…、あれ、入った。入ったよ!何かの工場かな…。」
後藤「ふぅー、出番だ出番…。あれ私のグロックは…?」
中澤「各自装備の確認、ベストの装着は忘れるなよ。さぁ、行くよ!」
和田は都内、世界でも最先端の機械技術を誇る「ヒューマノイド社」研究室にいた…。
和田の額には大量の汗が滲む。和田の関係網にこの会社の開発部長がいたのは最大の幸運であった…。
今、目の前には一人の少女が眠ったように冷たい鋼鉄のイスにもたれている。
和田「紗耶香…、もう一度あいつらに力を貸してやってくれ…。」
和田が今回の任務の標的、麻薬組織「パレオ」の工場から紗耶香を見つけたのは8日前の事であった。
闇世界で生きる和田にとって麻薬組織との繋がりは至極自然な事であった。
幹部の一人は言った。「面白い物を見せてやる…。」通された部屋、そこにいたのは…、
特殊な鋼鉄の骨格、極めて精密な人工の皮膚で覆われたターミネーターが『2人』…。
それは紛れもなく、2年前共に同じ芸能界で生きた『2人』…、『市井紗耶香』、『石黒彩』であった。
和田は懐からM9を取り出し、狂ったように男の顔面を撃った、撃ちまくった。
あまりの事態から我に帰った和田は少しでも生存確率の高い方、体重の軽い方の紗耶香を
肩で抱えてその場を脱出した…。幸い組織の人間との遭遇は無く、和田は赤いポルシェに紗耶香を乗せ、
「ヒューマノイド」社へ向かった…。そして、紗耶香の頭に一つのプログラムを埋め込んだ。
…「マギャロ工作員の完全死守」、そのただ一つである…。、なぜか?
警察は「マギャロ」に不信感を抱いていた。精密な機構を持ち、証拠などをつかみにくい
麻薬組織等は、専属の殺し屋集団「マギャロ」への依頼で、有無を言わさず皆殺しに…。
警察は専属の依頼先を変え、情報が漏れる事を恐れ「マギャロ」を指名手配した…。
和田「もう用なし、か…。」
「マギャロ」は「パレオ」、「警察」の2つに追われている…。そして…今回の作戦、
麻薬組織「パレオ」殲滅作戦、「the grave」の資料を作りあげたのは…。
そう、依頼人は警察ではない。「和田薫」だ。、その時であった…。
ガチャ……!
ドガガガガガガガガガァ……!!!
和田はM9の引き金を引く事の無いまま、倒れた…。薄れゆく意識の中で和田は思った。
地獄で…もう一度中澤と飲み比べしてぇもんだ……。
男「あったぞ…、T−802『カイン』だ…!!」
男「運び出すぞ!急げ!!」
全身を黒いゴムの戦闘服、顔にガスマスクのような物を着けた男が4人…。眠ったように
動かない紗耶香に手を掛けようと……、!!!!
ガシッ…
紗耶香の手が男の手を掴んだ…。和田の手は起動システムに伸びていた…。
男「う、ぐ、ぁあーーーーーー!!!ちぎれる……!!」
男「くそ…!撃て!撃つんだ!!」
紗耶香は男の首を右手で掴みへし折ると、和田の手からM9を手に取った…。紗耶香の
冷徹な鋼鉄の眼球は正確に戦闘員の額を捕らえていた…。
飯田「工場の中に入ったよ…。」
中澤「よし、私と飯田が先に行く。後の3人は私が合図を送ったらついてきな…。」
保田「了解、気をつけてよ…。」
二人は壁沿いに、開いている工場のシャッターから中を見渡した…。、誰もいない。
中澤は手を挙げ、3人に合図を送った…。、その瞬間であった。
カシャッ!カシャ、カシャァ…!
警察のトラックが銃を持つ5人を眩しいほどに照らし出した…。
警官「警察だ!銃を棄てろ!!」
15〜6人いるだろうか。銃を構えているのは4人ほどだ…。
中澤「ふ…、あたし達の依頼先は、あんた達だよ…。上に連絡取ってみな…!」
警官「お前達は指名手配されている!銃を棄てろ!」
後藤「指名手配…?」
矢口「何ソレ…。、まさか…。」
…、その頃新宿では…。
石黒「…この5人を見たか?」
矢口が麻薬を受け取った「たばこ屋」に、『T−801「アベル」』、石黒彩は5人の
写真を見せ、言った。
老爺「さっき来たなぁ…。、工場へ向かったわ…。」
彩は何も言わずにその場を去ると、ハーレーに跨った。、と…3人の男が…。
男「よぉ…、良いバイク乗ってるなぁ…。」
男「へっへ…。」
ガッ…!
男「あぐぅ…、う…、がぁ…。」
彩は男の顔面を左手で掴むと、力を込めた。顔が不自然にきしみ、血管が浮き彫りになる。
男「何だこの女…、化け物かよ…!」
男「おい離せよ!頼むから!!」
石黒は無表情に手を離すと、エンジンは唸りをあげハーレーは猛スピードで走り出した…。
目標はマギャロ工作員、残り5人の殺害…。ただ一つ…。
紗耶香「………。」
頭蓋骨を貫かれた「パレオ」工作員の死体が無造作に転がっている。
紗耶香は男の身につけていた特別なゴム製の戦闘服に着替えると、男達の持っていた
ライフル「COLT M4 A1」を手に取る…。特別にカスタムされた強力なタイプだ。
そして和田のM9を懐に入れる…。これから向かう場所…「マギャロ」本部。奴は必ず
ここに向かうはずだ。『T−801「アベル」』、…イシグロ アヤ……。時刻は11:20分。
警官「これが最後の警告だ!!銃を、棄てろ!!!」
矢口「…もう逃げ場はないね…。」
中澤「…T、U、Vで行くよ…。」
後藤「ふぅ…。」
中澤「…T、U、V!!!」
ガァン!ガンガン!ガァン!……
瞬間5人は素早い動きで5方向に散った。真正面に突っ込んだ飯田の「イーグル」は
一瞬で銃を持つ警官のひざを貫く…。
警官「な…!!」
中澤は一気に塀を越え、道路に飛び出すとワゴンに乗り込みキーを入れた…。
他のメンバーも続々とワゴンに飛び込む…。そしてワゴンは走り出した…。
矢口「、後藤は!?」
保田「バカ…、いたいた!飛び乗れ後藤!」
遅れた後藤は、警官を振りきって走るワゴンのドアめがけて飛び込んだ…!!
ドサァッ……。
後藤「はぁ…はぁ…、もうやだぁ…。」
飯田「ほら泣くなぁ…、私も泣きそうじゃん…。」
中澤「追っ手は?」
保田「…ほとんどのタイヤ撃ちぬいといたから…。」
矢口「さっすが…。かっこいぃ〜。」
中澤「、どういう事…?なんで警察が…。」
ワゴンは目的無く公道を走る…。車内には張り詰めた空気が流れる…、と、真里が…。
飯田「…本部に戻ろうよ。和田さんとなっちが…。」
中澤「…、ダメだ。警察の手が既に回ってる可能性が高い…。他の5人まで危険に…。」
矢口「…裕ちゃんなんで?なっちと和田さんはどうなってもいいの!?」
後藤「…ぅ…うぅ…ぅ…。」
保田「………。」
保田は泣き止まない真希に腕を回し、髪を撫でてあげる…。真希はふと思い出す…。
…紗耶香……、会いたいよ………。
保田「裕ちゃん…近くまで行って、危険そうなら引き返そう。でも、もしかしたら…。」
飯田「ね、行こう…?
中澤「…。」
矢口「裕ちゃん……。」
中澤「…裕ちゃんじゃない…リーダーって呼びな。…進路を「マギャロ」本部に変更する。
必ず救い出すよ……!!」
矢口「、裕ちゃん……。」
ワゴンは進路を変え、本部に向かって走り続ける…。、時刻は11:45分。本部までは、15分、
というところだろうか。ミラーを見ると、皆疲れた様子で黙り込んでいる。作戦開始から既に2時間が
経過していた。、ハンドルを握り、中澤は思った。警察から指名手配…、
私達は棄てられたって事だね…。でも…この子達は命を掛けてでも護る。相手が警察だろうと何だろうと、
この子達だけは……!!、と、ワゴンは大型のハーレーとすれ違う…。
中澤「…、ねぇ。」
保田「なに、どうしたの?」
中澤「後ろのバイク…、Uターンして私達の後ろに…。」
中澤はドアの脇のミラーを見ながら言った。、あのバイク…様子が変だ…。、その瞬間…!!
ドオォォォン…………!!!!
後藤「わ…!!何!?」
飯田「変なバイクがついてきてるよ…!!」
保田「ショットガン…。、リーダー!!もっとスピード上げて!!」
中澤「これで限界だよ!!、くそ!」
矢口はワゴンの脇に立て掛けられているライフル「APS−2」に手を掛けた…!
そして脇のブラックミラーを開ける…!
矢口「わぁぁぁぁ!!」
ドガガガッガガガガ………!!!!
カァン…ビシィ…!!、チュン…!!
石黒「………。」
彩は片手でショットガンを手軽く一回転させると、カシャッという音と共にリロードした。
ドオォォォォン………!!!
ゴガァァン…!!
飯田「うっわ!、へこんだ……。」
中澤「くぅ…、まだついてきてるの…!?」
矢口「弾は当たってるはずなのに…!!」
保田「このぉ…!!」
保田は窓を開け、グレネードを構えた…、そして…。
シュポォン………、、カァン、カン、カン……。
石黒「………!!」
ッドオオオォォォォォォォン……!!!!!!!
爆発の衝撃でハーレーもろとも彩はガードレールまで吹き飛ばされた……。ワゴンとの
距離は徐々に遠ざかっていく…。
保田「、はぁ…はぁ…、何アイツ…。あれも警察…?」
後藤「暗くて顔はよく分からなかったけど…あの人……。」
飯田「え?、」
矢口「もうやだよ…、何なの今日は…。」
中澤「ふぅ、、もう着くよ…!」
……………………辺りは炎が燃え盛っている……。
石黒「………。」
彩はショットガンを拾い上げると、ハーレーを立ち上げた…。故障は無い。炎を抜け再び
ハーレーは走り出した…。
後藤「…ドアのガラスが割れてる…。」
保田「警察はまだのようだね…。、、急ぐよ!」
飯田「なっち…!」
2人は本部から少し離れた位置にワゴンで待機していた。、固まるのは危険だ…。
中澤と矢口は銃を構え、周りを警戒する…。
ガチャ…、
3人は仮眠室に入る。とくに荒らされた形跡は無い…。
飯田「…なっち…、いない…。」
保田「どこに…。」
後藤「ねぇ、弾のケースが…。」
保田「誰かと交戦した可能性が高いね…。」
仮眠室を出ると、上の階を調べるべく階段へ3人は向かう…、と。
飯田「なにこれ…!」
階段に血が…、上り階段へと血痕は続いている…。、
後藤「なっち…急がなきゃ!」
保田「後藤!あんま離れちゃダメだよ…!」
血痕を追って、3人は顔面蒼白で和田の部屋へのドアを開ける…、と。
飯田「、ぁ……」
後藤「なっち……!!」
保田は心臓を撃ち抜かれたなつみの脈を取った…。生きているわけがない…。しかし…。
保田「死んでる…。」
飯田「ぅ…、なんで…。」
後藤「………。」
なつみは青白い顔で目を閉じたまま…、胸は血まみれで机に横たわっていた…。
カァン…カァン…カァン…
階段を上る音が聞こえる…。圭はこみ上げてくる激しい怒りを抑え、持ち前の冷静な
判断で2人に指示を出す…。
保田「…誰か来る…。銃を持って!行くよ!!」
ガチャ……
先にドアを出た二人は銃を構え…、愕然とした。
後藤「……あ…。」
飯田「そんな…。」
階段を上がってきたのは…、石黒彩…。、その瞬間!
ドォォォン………!!!!
飯田はわき腹を抑え、倒れた……。抑えた両手が血で染まる…。。
保田「………」
後藤「……え…」
カシャン…
彩は再びショットガンをリロードした。、その銃口を後藤に向ける…。
2人はあまりのショックに声が出ない…、その瞬間、後ろを振り返ると…、もう一人いる!
紗耶香「伏せろ。」
後藤「……!!!!」
ドオォォォォン!!!、カシャ、ドオォォォン!!!!、カシャン………
彩は紗耶香の放ったショットガン「レミントン」の銃弾を2発食らい、後ろへ吹っ飛んだ。
紗耶香「…逃げろ……。」
後藤「ぁ…紗耶…香…?…」
保田「くぅ…、、後藤行くよ!!」
保田は重症の圭織を抱え、真希の手を引いて紗耶香の現れた方向へ向かって走りだす…。
後藤は信じられない、とう表情で走ってすれ違う瞬間、紗耶香の目を見た…。、紗耶香は
感情の感じられない、無表情な瞳で彩を「破壊」すべくレミントンを構え、歩き出した…。
中澤「圭…!、皆無事だね!?」
保田「いや…。」
本部から出てきた3人は顔面蒼白で信じられない、という表情だ…。
矢口「…圭織!!!」
保田「出血がひどい…、ヤバイよ…!!」
中澤「早く乗って!、ワゴン走らすよ!!」
後藤「待って…待って!!!紗耶香が…!!」
ガシ……
紗耶香は両手で彩の首を掴むと、凄まじい力で彩を下り階段へ放り投げた…!!彩は階段を転げ落ちた…。
紗耶香はまだ攻撃の手を緩めない。階段を降りると、再びショットガンを彩の顔面に向けた。、と…。
ガッ…
石黒「……。」
紗耶香「……!」
彩はショットガンの銃口を掴むと、右手ではじき飛ばした…。そして…紗耶香の手を両手で掴み、ビルの窓へ向けて叩きつける…!!
ガシャァァァン……、ドガァ…!!
紗耶香はビルの3階から突き落とされた…、しかし、冷徹な視線を上に向けたまま
紗耶香は再び立ちあがる…。、そこへワゴンが猛スピードでブレーキを掛けた…。
後藤「紗耶香!!、乗って!!」
市井「……。」
紗耶香を乗せてワゴンは走り出した、本部がどんどん遠ざかる…。真里は横たわる
圭織のわき腹をタオルで必死に抑えている…。
中澤「…聞きたい事はたくさんあるよ…、でも今は圭織の手当てが先だね…。」
後藤「…もぅ…分からないよ…、カオリまで……。」
保田「病院に行かなきゃ…。」
真希は紗耶香を見る。、慰めてはくれない…。紗耶香は後ろから追っ手がこないか、
ただ黙って一方向を見つめていた…。、ワゴンは一昼夜、高速を走り続けた…。
メンバーはその間一睡もしない。、いや、できなかった。、と、ワゴンは人の気配も無い
空き地へと止まった……。、時刻は6時14分。
矢口「…圭織…。」
保田「……。」
病院を見つけた頃には既に手遅れであった。、既に息は無く、青白い顔で横たわっている…。
中澤「私が掘って埋めておくから…、みんな睡眠をとりな…。」
後藤「…。」
矢口「、できないよ…、圭織が死んだんだよ!?ゆっくり寝られる訳ないよ!!」
中澤「私達は追われている…!!、これから何が起こるかわからない。今は休むんだよ…。」
保田「、そうだね…。、裕ちゃん、あたしも手伝うよ。」
二人は近くの倉庫に歩き、転がるスコップを手に取った…。、と、
市井「私がやる。仮眠を取っておけ…。見張っておく。」
中澤「…。」
保田「紗耶香…。」
5人はワゴンでそれぞれ仮眠を取る…。ただ、後藤は寝つけない。…、空いた窓の外から
ただ公道を見張り、たたずむ紗耶香を見つめていた…。
後藤「紗耶香…。」
後藤は皆を起こさないよう、静かにワゴンを出ると紗耶香のそばへ歩いていった…。
市井「…どうした?睡眠は取らないのか…?」
後藤「もう充分寝たから…、最近眠くて…真希がどこでも寝られるの、紗耶香は知ってるでしょ…?」
市井「…。」
後藤「…あは…、分かってる…。覚えてないよね…。」
市井「…サヤ、カ…、とは何だ?私に与えられたコードネームは「カイン」だ…。」
後藤「、違うよ!あなたは紗耶香!!、カインじゃない!紗耶香だよ…!!」
市井「…分かった…。サヤカ…、だ。」
後藤「…ぅん……。」
市井「…目が、痛いのか…?」
後藤「…え…?」
市井「目から…。」
後藤「…涙…。人間はね、体が痛いときだけじゃないの。心が痛くて、嬉しくて…、
そんな時にも涙がでるんだよ……。」
市井「…ココロが、痛いのか?」
後藤「…うぅん…、わかんない。悲しいのかな…、嬉しいのかな…、あは…。」
真希は涙を拭うと、紗耶香が去った後のモーニング娘。自分の事…。悲しかった事、
嬉しかった事…、メンバー達との、そして紗耶香との楽しい思いで…。精一杯の笑顔で、
何時間も話し続けた…。、紗耶香はただ黙って公道を見つめ、真希の問いかけに頷いた…。
何時間も、何時間も文句一つ言わず、真希の一生懸命な言葉に頷いている…。
真希は思った。、こんな時なのに…、こんなに楽しい時間はどれくらいぶりだろう…。
中澤「まず一つ…。、本部にいた安倍と和田さんは?」
市井「和田は私の起動直前に「パレオ」工作員にやられた。安倍は…。」
保田「殺されてた…。」
中澤「…そう……、紗耶香。あなたがやったの?」
市井「私ではない。恐らく「アベル」だ…。」
中澤「アベル…?」
後藤「彩だよ…。紗耶香と同じ…。」
市井「、「T−801『アベル』」、フラナガン社が作り上げたヒト型決戦兵器…、
『ターミネーター』の第一号機だ。皮膚は人工細胞を移植し、完全にヒトと変わらない
皮質を持ち、骨格は特殊な合金で固められている…。、そして、それは私も同様だ。」
矢口「なんで紗耶香と彩っぺが…。」
市井「…ヒトだった当時の記憶は無い。」
後藤「、許せないよ……!!2人をこんなふうにしたのは…「パレオ」…。」
中澤「そして…、フラナガン社だね…。」
保田「これから紗耶香と彩みたいな被害者がどんどん出てくるって言うの?」
市井「……人類の脅威となりうる。」
後藤「止めなきゃ……。そんなの許せない…!!、裕ちゃん!?」」
中澤「目標はフラナガン社…、そして、2人をこんなにした「パレオ」だね…。」
保田「和田さんが溜めた武器倉庫があるよ。全てをブチ壊すには、手持ちじゃ武器が足りないね…。」
中澤「よし…、警察の手が回らないうちに行くよ…!!」
亡き飯田の墓前で手を合わせると、ワゴンは5人を乗せ、再び東京へ進路を取り、
走り出す。、和田が死んだ…。なつみが死んだ…。圭織が死んだ…。、5人の孤独な
戦いは始まった…。時刻は10:26分…、たった5人に全ては託された。それは、人類の
存亡を賭けた戦いの始まりでもあった…。
石黒「……。」
「マギャロ」本部ビルは10数人の警官がビル内を捜索。、なつみの死体を発見した…。
警察はこれも「マギャロ」工作員の手による物だと決め、一層の警戒を強めていた…。
その後景を背に、彩は「ある男」の自宅へ向かい、再びハーレーを走らせる…。
中澤「……。」
武器倉庫へ向かい、ワゴンは以前走り続けていた。中澤が運転席だ…。
矢口「…裕ちゃん…?」
中澤「ぁ…、え、何?」
矢口「、…ううん…、何でもない…。」
中澤は裾で鼻の辺りを大きく拭うと、手をハンドルに戻した…。、泣いている。
保田「運転変わろうか…。」
中澤「大丈夫だから。」
矢口「……。」
市井「……ココロが、痛いのか?」
後藤「……。」
命を掛けた世界で、徹底して厳しいリーダーを演じる事の宿命を背負ってきた。
しかし、私は守る事ができなかった…。、皆、死んだ。殺された…。私は……。、
皆、中澤の心中を悟り、それ以上声を掛けない。
後藤「…紗耶香、まだ一度も笑ってくれないね…。」
市井「、笑う…、私に感情を表現するプログラムは無い。」
後藤「そんなのダメだよ…。「笑顔」っていうのは凄い大切な事なんだよ。
どんなにつらい時にだって、大切な人の笑顔を見るとみーんな吹き飛んじゃうよ!!」
市井「……。」
後藤「うーん…、ほら、圭ちゃん!笑顔造ってみて?」
保田「ん…、こう…?」
市井「………。」
紗耶香は圭の頬の筋肉の動きなどを読み取り、無理矢理に笑顔を造った。
後藤「あはは!、ちょっと違うよぉ。目が笑ってないもん!」
矢口「ほら、こう、こうだよ…。」
市井「………。」
後藤「おぉーー!、かわいいー!!凄い可愛いよ紗耶香!」
市井「……。」
保田「…ふぅ……。」
保田は思った…、やっぱりこの子には紗耶香が必要だ…。たとえターミネーターで
あろうとも、この二人は強い何かで結びついている…。、人を殺すためだけに造られた
殺人兵器がこうして一人の少女の心を癒している…。、記憶を失い、ターミネーターに
なってまだ紗耶香は後藤を護り続け、私達を護り続ける…。無機質な表情で、後藤達と
戯れる紗耶香…。保田は彩の事を思うと胸が締めつけられる思いになった。、許せない…。
辻「いいか、希美…。彼らは人と同じ学習機能を持ち、人間の出来そうも無い事も何でも
できちゃうんだ。、うん、そうだな、凶悪犯罪も彼らがいれば皆大丈夫なんだよ。」
希美「へぇ…、『ターミネーター』ってすごいんだねぇ。パパ頑張って!」
母「ふふ…、ねぇ。そのお仕事が終わったら、皆でどこか遊びにいきましょう?」
希美「わぁ…、パパ!?」
辻「…よし!どこでも連れてってやるぞ!考えておきなさい。」
希美「やったぁーーー!!、えっとねぇ…、どこかな、どこかなぁ…。」
人の込み合う高級住宅地から一歩離れ、周りを緑で囲まれた広い敷地。、
大きな庭はプールを備え付けてあり、非常に立派な豪邸だ…。「フラナガン社」開発部長。、辻光久…。
そう、「ヒト型決戦兵器『ターミネーター』開発計画」の企画考案者、張本人である…。
中澤「辻光久…。、そいつが『ターミネーター』の考案者…。」
午後3時6分、ワゴンは各企業の倉庫が密集する保管所に辿りついた。2088番倉庫には
和田があらゆるルートから仕入れた銃兵器が保管されている…。
市井「…そうだ。、ターミネーターの開発指揮を取っている。今現在もだ…。」
保田「そいつをあぶりだすしか手はないね…。辻の住所は分かる?」
市井「…あらゆる開発データなどは全て頭に詰まっている。自己修復のための情報や、
開発に携わった者の住所までな…。」
紗耶香は左頭部を人差し指で指しながら言った。故障などの修理は自身で行えるよう、
精密な開発プログラムが施されている…。
保田「決まりね…、じゃ、私近くまでガソリン入れてくるから。」
中澤「よし、紗耶香。働いてもらうよ!持ってけそうなの全部詰め込もう。」
市井「…了解。」
カチャ…ギイィーーー………。
矢口「うっわぁ…。」
後藤「凄い…。何この数…。」
矢口「あ…、裕ちゃんこっちこっち!」
4人はほこり臭く、狭い武器庫に足を入れた。、中澤と紗耶香はあちこち銃を手に持ち、
調べ始める…。矢口と後藤は銃の知識はほとんど無いので、倉庫の外に出てしゃがみ込む。
中澤「すごいね…、ショットガンからライフル、ガトリングガンに…。」
あらゆる兵器を揃えてある…。他にも最も強力なタイプのプラスチック爆弾、それに…、
ランチャー着きのグレネードから催涙弾まで…、和田さんもよくこれだけ集めたもんだ…。
市井「…最高の品揃えだ。」
紗耶香は先程覚えた笑顔を造りながら中澤に言った。、中澤は思わず吹き出す。
中澤「ふっ…あはは…、最高のスマイルだよ。」
後藤「あはは、ねぇ、お腹空いたね。、コンビニ行ってなんか買ってくるよ。、紗耶香!」
矢口「あ、あたしハムサンド。圭ちゃんは何でも好きだから、ね。」
中澤「私も何でもいいよ。」
後藤「うん、分かった。、よーい…ドン!」
真希は紗耶香の手を引くと、走り出した。…天気は眩しいくらいの晴天だ。
これから壮絶な戦いが起こるとはとても思えない、雲一つ無い清んだ空…。
矢口「ねぇ裕ちゃん…。」
中澤「、なに…?」
矢口「、うん………。」
中澤「ねぇ真里…。」
矢口「、なに…?」
中澤「この戦いが終わったらさ、2人で美味しいものでも食べに行こか。、美味しい
イタメシの店知ってるんだ。…、この世界から足洗ってさ。」
矢口「…裕ちゃん…。」
中澤「…ダメ?」
矢口「…あ、う〜ん、どーしよっかなーー!どーしてもってゆーんなら、考えてみても〜。」
中澤「ふっ…、調子に乗るな!コラ!」
4時13分…、大量の武器を詰め込み、ワゴンは走り出した…。目的地は「辻光久」邸、
目標は力ずくでも開発を辞めさせる事、そして、作戦資料、資材の完全破壊…。
恐らく、この計画には「パレオ」も関わっている。「ヒト型決戦兵器」…、人類に脅威が蔓延する
その前に、何としても阻止せねばならない。、そして…、殺されていった和田さん…、
なっち、圭織…、紗耶香、彩の無念を晴らすべくワゴンは再び進路を東京に取り、走る…。
……9時22分………、「辻光久」邸……
中澤「…行くよ…。」
保田「よし…。」
矢口「……。」
5人は木製の柵を超えると、壁を伝い部屋の死角へと回り込んだ。邸内には明りが見える…。
紗耶香は進んで先頭に立つと…、ライフルを縦に振りかざす……!!
ガシャァァァァン……!!!
辻「…何だ…!!」
母「…!!、何…!?」
希美「、あっちのリビングだよ…。ガラスが…。」
5人はガラスを破り、カギを開けると中へ進入した…。
中澤「あたしが先に行くよ…。」
後藤「裕ちゃん…。」
辻「…あ…、誰だ…!!ひ…!」
辻はこちらのリビングにやってきた…。、中澤は大型ライフル「PSG−1」を天井に
向けると…。
ドガガガガガァ……!!!!!
カシャ、!
ライフルを辻に向け、構える…。後からやってきた辻の妻と希美は5人を見て辻の後ろに
隠れる…。
保田「辻…光久さんですか…?」
辻「そ…、そうだ…何だ…、何が要求だ!?、私達が何をしたっていうんだ!」
矢口「……。」
中澤「何をしたって……?」
ガシィ…!
中澤は辻の胸ぐらを強く押し上げた…。
中澤「お前は人殺しだよ……。」
矢口「裕ちゃん…!」
希美「…パパ…、うぅ…。」
中澤「……ちっ……。」
中澤は辻の背中に隠れ、怯える希美を見つけると、手を離した…。
保田「…ターミネーター…。知ってるね…。」
辻「タ…ターミネーターは、、私の考案したプロジェクトだ…、それが…。」
後藤「紗耶香…、見せてあげて。」
市井「……。」
紗耶香はコンクリートの壁目掛けて拳を……!!
ゴガァァ…ガン…カァン……。
母「キャァァ…!!」
辻「あ…、ぅ…、。」
コンクリートの壁は粉々になり、破片が落ちる…。紗耶香の瞳の中のアイセンサーが赤く
光る…。
市井「ターミネーター…、T−802、「カイン」だ……。」
5人はリビングでこれまでの経緯を…、詳しく、時間を掛けて説明した…。母親は希美を連れて別部屋で相手をしている…。
辻「…君達の言う事は大体、分かったよ…。だが…おかしい。ターミネーターが
ヒト型決戦兵器だと…?、プロジェクトは人類との共存、犯罪撲滅、というスローガンで
開発を進めているはずだ…。」
中澤「…殺されなければ分かんないの…?」
後藤「…裕ちゃん待って…。」
辻「それに、なぜここに「カイン」が…。、完成した試作品のターミネーターは…、そうだ、
「コロムビア財団」へ難民救済の用途で寄付したはずだぞ…。」
矢口「コロムビア財団…?」
辻「世界の難民救済の為の法人財団だよ…。」
中澤「そこへ寄付したんだね!?」
保田「じゃ、紗耶香は…、「人間の時の」この子はどこから…!?」
辻「あ…、あぁ、コロムビア財団から…、研究している金属の骨格のサイズに合う、
保存状態の良い死体を親の了解を得て、という事だったはず…。」
後藤「裕ちゃん…、「パレオ」は…。」
中澤「…辻さん…、この子は殺されて、実験材料にあなたの所に運ばれた。」
辻「な…、私は何も聞いていない…!」
矢口「、上の連中はコロムビア財団…、うぅん…、「パレオ」と組んで…。」
中澤「ふっ…、あなた…、いいように利用されてるね…。」
後藤「辻さん…、ターミネーターの開発計画の中止…、いや、資料、資材の完全破壊。
手伝ってくれますよね…?」
辻「…、分かった…。、家にあるものから、この計画、全てを葬ろう…。」
保田「それから…コロムビア財団への地図をよこして。」
辻「フラナガン社へ行くんじゃないのか?」
後藤「私達には…、先にやらなきゃいけない事があるの。、ね…。」
市井「……。」
コロムビア財団への進入…、紗耶香と彩を殺し、ターミネーターの資材として提供した
張本人…、皆を殺した諸悪の根源「パレオ」に決着をつける。そして、恐らく大多数の
機動隊が集中するだろう…。、それを振りきれば、フラナガン社での戦いも楽にいける…。
皆、胸中は同じであった。、と、中澤はライフルを首に掛け、立ちあがった…。
希美「、え…、え…?何ぃ…?」
中澤「よっ……。、人質、ターミネーターの開発者を全面から信用する事はできないからね。」
中澤は希美を抱きかかえると、紗耶香に渡した…。
希美「…ぅう…。」
市井「……。」
紗耶香は睨みつけるような表情の無い目で、希美を抱きかかえる。
後藤「ぁ…、紗耶香、笑顔笑顔…!」
市井「……。」(ニコッ)
辻「…ターミネーターが…、笑った…。」
保田「、ふっ…、。」
…ジャリ…、ギィ…ギィ…ギィ…、カシャン、ギィ……
矢口「…ん……。」
後藤「…誰か来た…?」
中澤「…外へ逃げて!」
市井「…奴だ……!」
来た…!、石黒彩、いや、彼女は「アベル」…!!、と、ショットガンを構える…。
ドオォォォォン………!!!!
紗耶香は後藤と希美の前に大の字に立ち、背中に弾丸を食らう…、振りかえると…!
ドガァ……!!!
紗耶香は彩の腹に強烈な蹴りを入れる…、彩はキッチンの方へ吹っ飛ぶ……!!
辻と希美を含めた6人は庭を走り抜け、ワゴンへ乗り込む…。
保田「ほら早く…!」
辻「彼女は…アベルなのか…。」
中澤「あんたが作ったんだよ…、あんたがね…!!」
希美「、ぅう、恐いよ……。」
後藤「紗耶香…、早く戻ってきてよ…!」
紗耶香は倒れた彩の胸ぐらを掴むと、さらに奥へブン投げる……!
ドガシャァ……!!!、カァン…カン…
紗耶香の瞳が赤く光り、筋肉が凝縮する…。パワーコントロールされ凄まじい腕力が
引き出される…。、さらに彩の首を掴もうとする紗耶香に…、
ガシィ……!
石黒「……。」
紗耶香「…!!」
紗耶香は左手で胸のポケットからM9を取り出す…、
ガァン!ガァンガァン!!
ガシ…
彩は胸に銃弾を食らいながら左手も掴む…、と…!!
ゴガァ……!!
強烈な頭突き…、紗耶香は後ろへのけぞる…。さらに彩はショットガンを構える…。
その眼は、かつて共に泣き、笑いあった友を見る眼では無い…。ただ、紗耶香を
「破壊」すべく、ショットガンを構える…。
ドォォォン!!!カシャ…、ドオォォン…!!!!、カシャ、ドォォン……!!!
後藤「紗耶香ぁ!、」
中澤「ダメだよ!、行ったら殺されるよ…。」
後藤「でもぉ…、ぅ…、え…。」
矢口「絶対戻ってくるよ…!」
特殊なゴム製の戦闘服の胸部は破れ、小さな電磁波が散っている…。
破れた人工の肉体から見える胸部のセラミックがうっすらと血に滲んでいる。、床に倒れた紗耶香の眼は光りを
失い、ピクリとも動かない…。
石黒「……。」
彩は見向きもせずに歩き出す。ワゴンへ向かって…。
保田「まさか…、紗耶香…。」
辻「……。」
中澤「…、あっ!、真希!?」
真希はライフル「APS−2」を持ち、ワゴンから抜け出すと邸内へ走り出す…。
後藤「、ぁ…。」
石黒「……。」
真希が室内に足を踏み入れようとしたその瞬間…、彩がショットガンを構えて現れる…!
中澤「真希!!、逃げ……」
ドオォォォォン………!!!!!
後藤「……ぅ…、紗耶香ぁ…。」
気配に気ずき、一瞬後ろを振り返った彩は右顔面をショットガンで撃ちぬかれ、前のめりに倒れた…。
その後ろには…、「レミントン」を持ち、ニヤッと笑顔を造る紗耶香…。、
真希「、ぅ…、あは…、こう言うんだよ。、it loves the front!(お前を愛してるよ)」
市井「……。」
紗耶香は、右頬の肉体が剥げてセラミックの頭部が覗く「アベル」を見て言った。
市井「…it lobes the front…。」
…、0時10分…。
ガラァ……、
中澤「着いたよ…、フラナガン社だ。私達は「コロムビア財団」本社へ向かう…。
あんたは私達が入りやすいように、社員を返すなり手筈を整えておきな。」
辻「…ああ…。」
保田「恐らく警官隊も集結するだろうね…。、用が済んだら警官隊を振りきって、
必ずここへ来るよ…。」
後藤「うん、絶対、ね…。」
辻「分かった。検討を祈るよ…。、…希美…ごめんな、お父さん頑張るから…。」
希美「、ぅん…。」
市井「…行くぞ…。奴が追ってくるかもしれない。」
矢口「、だね…。行こう!」
…私達はコロムビア社、いや…彩を、紗耶香を、皆を殺した諸悪の根源…「パレオ」本部へ向かっている…。
それは、亡き親友達の為に、生きている親友達の命をも危険にさらす事なのだ…。
しかし…、やらなければならない。もうあれから…、モーニング娘。解散から2年が経った…。
その時その瞬間からこうなる事は宿命であったのか…。こうなる事を
予測できたのならば、私は生きたいとは思わない…。しかし、私は生きている…。、
くそったれな宿命との戦いだ。、私達は必ず「生きて」帰ってくる…!!中澤はハンドルを
強く握り、一層スピードを上げた…。
石黒「……。」
彩は再び立ちあがった…。、手を右頬に当てると…右の額から頬骨の辺りの肉が剥げている。
鋼鉄の眼球は血に濡れた紅い光りを放ち、彩は外へと向かい歩き出した…。
警備員「…、あ、辻開発部長…。どうしました?こんな時間に。」
辻「あぁ…、いや、まだ誰か残ってるか?」
警備員「いえ…、もう誰もいないと思いますが…。」
辻「うん、そうか…。ちょっと用があるんだ。第2ロックまで開けてくれないかな。」
警備員「あ、はい。大変ですねぇ、ご苦労様です…。」
30代後半の屈強なガードマンは手元のセキュリティーシステムを手馴れた様子で操作し、
ロックを開ける…。、これから自分はとんでもない事をやろうとしている。そう思うと辻の
額からは冷や汗が滲み出る…。ロックが解除されると、辻は開発室へと向かった…。
…0時55分……
後藤「ここが…、「パレオ」の…。」
矢口「希美ちゃん、いい?絶対にワゴンから外に出ちゃダメだよ。」
希美「はい…、出ないよ…。、みんな頑張って…、お父さんを助けてあげて!」
真里は何も言わずに今にも泣き出しそうな希美を抱きしめる…。
保田「随分立派なビルだけど、表向きは財団法人だよ…、相手も派手な装備はないね。」
中澤「和田さんと、あの子達の弔い合戦だ…。各自装備の確認、行くよ…!」
市井「……。」
楽しかったあの頃を思い出す。しかし、泣いている暇は無いのだ。戦わなければならない。
強力な武器を詰め込んだリュックを持ち、宿命の戦いに決着をつけるべくメンバーは歩き出した。、
広大な面積に20階以上はある巨大な高層ビル…。5人は正面ドアの前に立つ…。
警備員「…ん…?おい、何だあの…。」
警備員「え?、あぁ…。」
ガーーーーー………
警備員「ちょっと…、誰」
市井「……。」
ドガガガガッガガガガガ…………!!!!!
警備員「ぅおぁ…!!!」
中澤「…。」
カシャン…、ガァン!ガァン…!!
中澤が放った弾丸は2人の警備員の足に命中し、倒れた…。
警備員「あ…ぅう…、助け、て…。」
矢口「この2人、そこの部屋に隠そう。紗耶香、手伝って!」
市井「了解…。」
その瞬間…、警備員が警報装置に手をかけ…、
ガシ…、
後藤「足痛いんでしょ?あたしが押してあ・げ・る!」
カチ…、……ウウゥウゥゥゥウウウゥン………。
警備員は必死で逃げだす…、機動隊が来るのは時間の問題だ…。
5人はロビーを走りぬけるとエレベーターの前に立つ…、しかしランプは16階を点滅させている。
保田「10分もすれば機動隊が来るよ…、急ごう!」
中澤「くそ…、このエレベーター…!」
市井「階段の方が早い。行くぞ。」
矢口「ちぇっ…!」
5人は階段を走り、最上階を目指す…。その頃既に機動隊は動き出していた…。
警官「武器の装備は確認したか!?相手は強力な銃兵器を持っている!抜かるなよ!」
警官「銃の使用許可が出ている!相手は殺人集団だ、構わず撃ち殺せ!!」
ジ、ジー…ジジ…場所は、都内「コロムビア財団」本社…ジ…指名手配犯「マギャロ」
工作員…が進入した模様…ジィ…銃兵器を装備しており、機動隊の出動を要請する…。
、機動隊は無線を受け、コロムビア財団本社へ向かう…。サイレン音が響き渡る…。
石黒「……。」
彩はヘルメットを被り、機動隊の黒いワゴンの流れに沿ってハーレーは公道を走る…。
…コロムビア財団本社へ向かって…。
ギィ……ガチャ…………
最上階…、展望の良いこの階は社長室だけでスペースを取っている…。
裕子は木製の立派なドアのノブを回す…、今、一つの戦いに決着が着こうとしていた…。外は激しいサイレン音…
後藤「そんな…、誰もいない…。」
保田「まさか…。」
恐ろしく広い。社長室は前面が見晴らしの良いガラスで覆われている。今はシャッターが
降りており、サイレン音のみが聞こえる…。中澤はリモコンを取り、スイッチを押した…。
ガーーーーーーーーーーー………
矢口「…ぁ…、外、見て…。」
保田「ふ…、はめられたね…。」
外には大量の機動隊がライフルを持ち、このビルを完全包囲している…。それに混じって
紗耶香と同じ「パレオ」の戦闘服が見える…。、警察とのルートも…。警察はパレオがどんな組織か知っていて…、5人を殺す為に協力を…。
機動隊「各自、一斉に!構えーーーー!!!」
カチャ…カチャカチャ…カチャ……!
中澤「ふ…、彩の目か何かにカメラが内臓されてたんだよ…。こちらの作戦は筒抜けね。」
市井「…後ろに下がれ…。」
後藤「え…。」
カシュ…カシン…、
紗耶香はグレネードに弾を込めると…
保田「危ない…、下がって!」
シュポン…、ドオオオォオォォォォォン……………!!!!!
ガシャァァァン…パリィィィン……、ガシャァ……!!!!!
後藤「、く……。」
市井「……。」
前面の巨大なガラスに大きな穴が開く…、炎の回る正面に紗耶香は立った…。そして、
ガトリングガンを構える…。
後藤「紗耶香…!、みんな…、悪い人じゃなくて…ただ動かされてるの!、殺さないで…!」
市井「……。」
紗耶香は後ろを振り返ると、ニヤッ笑い、団子ピースを作る…。真希に教わったのだ。
中澤「ビルにも侵入してきてる…!私たちもやるよ!!フラナガン社への進路を作る!!」
矢口「了解!」
紗耶香は大ガラスの風穴の正面に立つと、下を見下ろす…。、そして、トリガーを…、
チュイイィン……、ドッドドドッドドドドドドドドッドッド……!!!!!!
機動隊「くっ…!うわぁ!、何てもん構えてやがる…!!」
パトカーの窓、ドアに無数の穴が開き、吹き飛ぶ…!!警官隊はパトカーやワゴンの陰に
隠れ、銃を構える…!
機動隊「撃て!撃てぇーーーー!!」
ズガガガガガ……ガガガガ!!!!ガガガガガガ………!!!!
バシュ…、チュン…カァン……!、バリィン……!!
市井「……。」
警官隊の放つ銃弾が紗耶香の胸、腕…頬にめり込む…!紗耶香は少し、後ろに仰け反ると、
グレネードにバックから取り出した麻痺弾を詰め込む…。、と、その瞬間…。
ガチャ……、ドカカカッカカカッカカカ………!!!!
パレオの戦闘員が現れ、銃を乱射する…。
保田「く…、伏せて…!」
矢口「ぁ、う!…、は…。」
真里は不意に現れた銃弾を交わしきれず…、背中は血に染まり、倒れる…。
中澤「くぅ……!!」
後藤「わぁーーーー!!!」
ドォォォン!!ドン!!ドオォォォン……ドォオォォォン……!!!
真希と裕子は正確に戦闘員3人の心臓を捕らえた…、しかし……!!
矢口「ぁ…はは…、痛いよ…。」
中澤「真里…!」
真里の目からは、ショックからか涙が溢れ出す…。
保田「早く、応急処置を…。」
矢口「ダメだよ…!、ぅ、そんな時間、ない…。」
中澤「真里!」
矢口は何とか立ちあがり、バックの中からロープと、何かを取り出す…。その表情は
苦痛に歪む…。と、柱にきつくロープを結んだ…。瞬間…ロープをつたい、下へ降りる…。
市井「……。」
中澤「真里ぃ!!」
警官隊「射撃、止めーーーーー!!!」
真里は徐々に、徐々に壁をつたい下へ降りて行く…。、と、真里が言う…。
矢口「…さよなら…、みんな…。」
保田「真里…。」
中澤「、何する気なの…、戻ってきてよ…!命令だ!戻って来い……!!」
矢口「あはは…、イタメシ…食べたかったよ…。、、、じゃね……。」
後藤「真里ちゃん…!」
市井「……。」
真里は下へ着地すると、警官隊の正面へ向かって歩き出した…。機動隊は銃を構え、
その動向を見ている…。、と、警官隊の真中へ行くと、一人の隊員に声を掛ける…。
矢口「はぁ…、はぁ、、…悲しいけど…。」
隊員「…な…何だ……。」
矢口「私と……。」
隊員「…ぁ、、」
隊員は真里が手に何か持っている事に気ずく…。それは……。
矢口「これ…戦いなんだよね……裕ちゃん…。」
隊員「逃げろオォォォォォォオォ!!!!!」
カチン、、ド…………ゴゴゴオオォォォ…………………!!!!!!!!!!!!!!!!
中澤「、真里………、う…くぅ…!!!!」
市井「……!!」
激しい爆風…!!強力なプラスチック爆弾は警官隊を巻き込み大爆発を起こす…、辺りは
炎に包まれる…!!、さらに、紗耶香は下へ向かって麻痺弾を撃ち込む……。
シュポン………、カラァン…、カァン、カァン…、シュポァ………
市井「…、麻痺弾を撃ち込んだ。ガスマスクをつけろ…。フラナガン社へ行くんだ…。」
後藤「、紗耶香は!?」
市井「……。」
3人は大ガラスの前に達、紗耶香の視線の先…、炎の中を突っ切る一台のハーレーを見た…。
炎の中で漆黒のヘルメットを取る…。右の額はセラミックが顔をのぞかせ、凄まじい形相で高層ビル、大ガラスの前に立つ4人を見上げる…。
中澤「、来た…。」
保田「くっ……。」
市井「「奴」を食いとめる…。」
保田「…、私も残るよ…。警官隊もまだ残ってる…。」
中澤「分かった…。真希、ガスマスクつけて…、行くよ。」
後藤「紗耶香…、彩っぺを「救って」あげて…。」
頬を涙で濡らし、真希が言う…。、紗耶香は、ボロボロに破けたハンドグローブを外し、
その手で真希の涙を拭う…。、その後景はあの頃を思い出させる…。
後藤「、紗耶、香…。」
市井「…ココロが痛いのか…?」
後藤「…うぅん…、痛くないよ!、みんな死んだ…。強くならなきゃ…、もう泣かない…!」
保田「真希…。」
後藤「約束して。「生きて」私達の前に戻ってきて…。、これは、その時に返してもらう…!」
真希は、紗耶香にキーホルダーを渡す…。それは…「青プーコ」、2年前、泣いてばかりの
真希と紗耶香で交換した色違いの「プーコ」…。
市井「分かった…。行け…。」
中澤「真希、急ぐよ…!!、圭、紗耶香…、頼むよ!」
裕子と真希はガスマスクを装着すると、真里が降りたロープをつたい、降下していく…。
チィィィン…、ガーーーーーー………
エレベーターが開く音…。間違い無い。「アベル」だ………!紗耶香はショットガンを拾い、
弾を込める…。最後の戦いが始まろうとしていた……。
保田「来たね…!」
市井「……。」
大破したパトカー…、ワゴン…、倒れる機動隊員、警官隊…。炎を抜け、2人はワゴンへ
戻った…。、裕子はキーを入れ、エンジンを掛ける…。脇に見える炎は、真里の最期を
裕子に思い出させた…、中澤は涙を堪え、ワゴンを飛ばす…。時刻は1時48分…。
希望「ぅ、お姉ちゃぁん…。、生きてた…。」
中澤「まだ…、死ねないよ…。」
後藤「…、もうすぐ、終わる…!」
ダァンダァン!!ダァン!ダァン!!ダァン!!
ビシィ……、カン!カァン……
保田「く…ビクともしない…!!」
石黒「……。」
ガシィ…
保田「あ…ぅ…く…。」
彩は圭の首を片手で持ち上げる…、鋼鉄の眼球が赤い光りを放つ……。
ドオォォォン……!!!!カシャ、ドオォォォン……!!!!!
彩は足を撃ちぬかれ、態勢を崩す…。振り向き様に圭を紗耶香目掛けてブン投げる…!!
、衝突し、倒れる2人に「デザートイーグル」を構え……
ガァン!!ガァンガァン…!!!!
保田「ぅ…あ…!」
石黒「……。」
圭は背中に1発銃弾を食らう…。、紗耶香は立ちあがると強烈な右フック……!彩は顔面に
食らいながらも手を掴むと、大ガラス目掛けて投げ飛ばす……、と、紗耶香が手を
離さない…、逆に紗耶香も彩の手をブン回し……
ガシャァァアァン……!!!!!
2人は大ガラスを突き破り、16階から落下する……。
ドゴオォォン…、ガァン……!!!
ワゴンのボンネットの上に落ち、炎の燃え盛る地面に弾き飛ばされる……。、
紗耶香は再び立ちあがり、攻撃の手を緩めない…、倒れた彩の首を掴み馬乗りすると、ライフルを取りだし顔面に向ける…!!
市井「……。」
石黒「…!!!」
ドガガガガッガッガガガガッガ……!!!!!!
彩の顔面はボロクソになり、衝撃で電磁波が弾けとぶ…!!と、彩は右手で紗耶香の首を
掴み、逆に馬乗りの態勢に持ち込むと両膝で紗耶香の肩を抑え、パワーコントロールを
最大まで引き上げて、顔面をもの凄い勢いで殴る!殴る!殴る…!!
紗耶香の頭部に内臓されている視点モニターがブレを起こし、彩の顔が乱れて見える…!!立ちあがると、
紗耶香の手を引き起こし、顔面に強烈な蹴りを入れる…。
ゴガァッ…!!!
吹っ飛ばされる紗耶香…。、倒れた態勢で、何とか近くに転がるライフルに手を伸ばす…。
それを目で追いながら、彩は近くに転がるテント用の鉄パイプを手に取った…。
石黒「……。」
ガッ…!ギシ…ギリィ…、ガシュン!!…ギィ……
彩は大きく振りかぶると、四角く鋭い鉄パイプを紗耶香の伸びた左腕に突きたてる…!!
市井「…!!」
貫通した左腕のパイプで紗耶香を持ち上げる…、と…!!紗耶香は不自然な態勢で
倒れ込む…、腕を貫通したパイプでねじ回している…!
ギリ…ギギ、ギィ…バギィ…!!!、ギシィ…ゴギィン……!ブチィ…!!
石黒「……。」
市井「……!」
左腕をねじ切った……。頭部を蹴られた衝撃でバランサーがイカレる…。ふらつく紗耶香に、再び鉄パイプを何発も、何発も殴打する…!!
そして……
ドッ…、ガギィ…ギシ…、ゴリィ……
紗耶香の腹部に鉄パイプを突き刺す…。彩同様に左頭部から頬に掛けて肉が剥がれ落ちた
紗耶香の眼が暗く点滅している…。片腕で懸命に突き刺されるパイプを抜こうとする…。
しかし…、
ゴギィ…ギィィイ…ドガァア!!
ワゴンに串刺しにされ、身動きが取れない……。、さらに、彩はショットガンを紗耶香の
肉が剥げた鋼鉄の眼球に押し当てる……。紗耶香は懸命に力を振り絞り、片手でパイプを
抜こうとしている…。
石黒「…fall to the hell…。(地獄に落ちろ)」
市井「…」
ドオォォォン…!!!!カシャ、ドオォォォォォン……!!!!、
後藤「……!!」
真希は嫌な予感を感じ、最高速で走るワゴンの中で後ろを振り返った………。
希美「どぅしたの…?」
後藤「、うぅん…。」
中澤「…真里……。」
保田「う…、紗耶、、香……。」
大ガラスの前で倒れ込み、戦いを見ていた圭は紗耶香の「死」を確認した……。
石黒「………。」
市井「…。」
眼の光が消え、「カイン」の大破を確認した彩は、燃え盛る炎の中、紗耶香に背を向けて
歩き出す…。、ヘリポートへ向かって……。
石黒「……。」
彩はヘリのガラスを突き破り、ロックを外すとヘリに乗り込む…。
キーを壊しエンジンを掛けると轟音と共にヘリは浮遊する…。目的地は「フラナガン社」だ……。
保田「はぁ…はぁ…、く…、行か、なきゃ……。」
圭はフラナガン社へ向けて飛び立つヘリを横目に立ちあがり、ロープを降りる…。
このままでは確実に裕ちゃん、真希…みんな殺される…。行かなきゃ…!
市井「……」
紗耶香の眼に再び紅い光りが点滅する…。片目は撃ちぬかれ、左後頭部からは幾本もの
ケーブルが千切れ、見え隠れする…。左腕は丁度間接の辺りから下はちぎりとられた…。
胸は破れ、セラミックはボロボロに傷ついている…。、非常電源が入る…。紗耶香の右目に
再び光りが戻り、右腕でパイプを掴むとワゴンと串刺しにされたパイプを、引きぬく……。
ギィ…ギ…ギ、ギィ…ギュギィ……、カラァン…カラン……
ボロボロになりながらも再び紗耶香はショットガン「レミントン」を手に取り、ふらついた足取りで警察のワゴンに…、
16階から落下した際に足のチューナーがイカレたようだ。と、圭が苦しそうにこちらへ向かって歩いてくる…。
保田「私も…乗るよ、急ごう…。」
市井「…了解…。」
紗耶香は片腕でハンドルを握ると、ワゴンは走り出す……。
裕ちゃん「急ぐよ…、開発室だ!」
後藤「うん…!」
二人はライフルを首に掛け、プラスチック爆弾を詰め込んだバックを持って走り出した…。
ビルの7階に明りが見える…。、間違い無い。あそこが……。、2人はロビーを横切り、
エレベーターに乗り込む…。
石黒「……。」
凄まじい轟音と共にヘリは「フラナガン社」へと向かい低空で飛行中だ…、後10分…
というところか…。
辻「、来たか!、早かったな…、ロックは全て開けておいた!」
後藤「…機械の腕…、頭…たくさんあるよ…。」
中澤「PCから資料から全て中央に集めて!!プラスチックで一気に爆破する!」
辻「あぁ…。」
と、辻は一枚のチップを机の前に置くと…、ハンマーを振りかざした…。
後藤「…辻さん…。」
辻「こいつが…人類を脅かす殺人兵器…?俺を騙しやがって…くそ…くそぉおぉぉ!!!」
中澤「……。」
ドガァァァァァ…………!!!!
ターミネーターの核とも言えるAIチップは破壊された…。、これ1枚に長い歳月と苦労が
詰め込まれていた。まさに今、「ターミネーター」が滅ぼうとしていた…。
辻「さぁプラスチック爆弾をよこしてくれ…、設置しよう…。」
中澤「奴がくるかもしれない…急ぐよ!」
後藤「、そんな…、返ってくるのは紗耶香だよ!」
ガガガ…、バサァッ…、ガシャァン……
3人は着々と資料、資材を開発室の中央へ集めプラスチック爆弾の設置を進めている…。
と、辻がこちらへ向かって近ずいてくる飛行物体に気ずく…、あれは……
辻「…ぉい…、なんだあれは……。」
中澤「…なに……」
後藤「…ヘリ…まさか……、」
辻「こっちへ向けて突っ込んでくるぞ!!」
中澤「くっ…!!逃げて!!!!」
辻「うおぉぉ……!!!!」
ドッゴオォォォォオ………!!!!ガシャァァァアン…!!!!!!、ゴオォォォ……
ヘリは開発室へ突っ込み、大爆発を起こす…!!3人は机の裏に隠れ爆炎をしのぐ……
中澤「くぅ……!!」
後藤「、ぅ…、なに…。」
…、炎の中から…何かが動くのが見える…。こちらへ向かって歩き出す…。
石黒「……。」
辻「う、ぁ…アベル……。」
後藤「そんな……。」
中澤「……!!」
ドガガッガガガガガッガガガガガ………!!!!!!
裕子は圧倒的危機感の中、無我夢中でライフル「APS−2」を乱射する…!弾が鋼鉄に当たる、無機質な音が開発室に響く…。、と、、
ガッガガ…カチン…カチ……、
弾切れだ……。
中澤「くそ…!」
石黒「…it was regrettable……(残念でした)」
彩は炎が回り、滾るような爆炎の中でショットガンを構える…!セラミックの合金には
炎が移り、、え…?
後藤「紗耶香ぁ!!!」
市井「…it was regrettable…!(残念でした)」
石黒「…!!」
紗耶香は背後から彩を目掛けて炸裂弾を装填したグレネードを構える……、彩は後を
振りかえりショットガンを構……
ドッッゴオオオォォォン…………!!!!!!!!!!
彩の左胸を炸裂弾がブチ抜く…!!!激しい衝撃に彩は吹っ飛び、倒れる……。
紗耶香も振り向きざまに食らったショットガンを足に受け、既に膝は完全にイカれ、
立ちあがる事ができずに倒れる……。、裕子達は走り寄り…。
中澤「…紗耶香…、ボロボロじゃないの…。」
後藤「…ぅ…ぇ…、立って…、逃げよう…?」
保田「く…、早く…爆弾はセットしたね…。また警官隊が来るよ…。」
辻「よし…早……、」
石黒「……。」
彩の放った銃弾は辻の心臓を貫く…、弾切れの銃を棄てると、彩は這いずりながらこちらへ迫ってくる…。
作戦の遂行の為ならば、首だけになっても追い続ける……。
中澤「くそ…辻…!」
市井「…逃げろ…。」
後藤「何言ってるの!?紗耶香も早く…!」
市井「まだ残っている…。」
中澤「……。」
紗耶香は自分の頭と彩の頭を指差すと、ニヤッと笑う…。
後藤「そん、なぁ……。」
市井「…これ…返す、よ…。」
紗耶香は2年前、自分が真希にあげた「青プーコ」をボロボロの手の上にのせて
差し出した…、いや、もう一つのっている……。「赤プーコ」、真希が2年前に紗耶香に
渡したキーホルダー…。
紗耶香 ほいタオル。、ほらぁ、泣くな!あ、そうだ、真希にいいものあげようか?
真希 ぇ…いる…。
紗耶香 じゃ〜ん!青プーコのキーホルダー!可愛いっしょ?
真希 あ…、私もプレゼントある…。これ。
紗耶香 …あ、赤プーコ…、どうしよ。
真希 ふふ…あはは…、交換しよ!!
紗耶香 ふっ、よし!大切にするよ、ねぇプーコ?
真希 ずっと持っててよ…。
紗耶香 うん。死んでも離さないぞー!
死んでも離さない…。真希の堪えていた涙が一気に溢れ出した…。立ちあがれない、
ボロボロの紗耶香を抱きしめる…。
後藤「紗耶香…、赤プーコ…。持っててくれたの……?」
市井「…分からない…。…私には感情が無い、泣く事は出来ないけれど…、
マキの…、ココロの痛みが分かった気がするよ…。」
後藤「さやかぁ……。」
保田「早く…!」
中澤「…紗耶香…。」
泣き叫ぶ真希を横に、中澤はあの日の事を思い出す…。
真希 こんなのもういらないよ…! カシャァ…!
なつみ …。
裕子 紗耶香…。これでええんやな…?
紗耶香 …裕ちゃん…、真希を…護ってあげて…。あの子泣き虫で…、わがままで…、
みんなイライラする事も多いかもしんないけど…お願い…。心の綺麗な子なんだ…。
優しく包んであげて……。、あと、お菓子食べ過ぎないように!!ってね。
中澤は変わり果てた紗耶香の手と、きつく握手を交わすと…再び泣き叫ぶ真希の腹を
殴る…。真希は失神して倒れ込む…。、それを抱えると…、中澤はプラスチック爆弾の
スイッチを押し、部屋を出た…。、30秒で全ては消し飛ぶ……!
市井「……。」
紗耶香は這いつくばり中澤達の後を追おうとする彩を後から羽交い締めにすると、
彩の耳元でこう呟いた…。
市井「it loves the front……、Good-by…(お前を愛してる……、さよなら…)」
石黒「………!!」
…………ドッッ…ゴゴゴゴゴオオォォォォォ………!!!!!!!!!!!!!!!
自らの肉体が滅び行く中、紗耶香は炎に包まれ微笑みを浮かべる…。ジ・エンド…
全ては爆炎と共に滅び行く…………………。
…時刻は2時30分…、ワゴンは崩壊したフラナガン社をバックに公道を走る…。
後には圭、まだ目が覚めない真希…、疲れて眠る辻の娘、希美には後で父親の死を
伝えなければならない…、そして私はハンドルを握っている…。およそ30時間…。
永遠に感じた30時間、戦いは終わった…。今はとにかく、眠りたい…。
1ヶ月後…
圭「あ、真希…。」
真希「買ってきたよ!こんなにコスモスいっぱい!」
圭「よし、みんなに配るかな。」
真希「うん。」
あの戦いから1ヶ月…。ヒト型決戦兵器「ターミネーター」の事件は世に広まる事無く、
「パレオ」の圧力により私達の存在も闇に葬られ、指名手配は解かれていた…。
しかし、もうそんな事はどうでもいいのだ。私達はこれから幸せに生きていくんだ…。
それが、死んだみんなの、紗耶香の願いだろう…。
裕子「みんな、ごめんなぁ!遅れたわ…。」
真希「遅いよー裕ちゃん!」
裕子「わぁ、、きれいなひまわり畑やね…。」
真希「…うん。」
大きなひまわり畑に死んだみんなのお墓を作った…。真希は最後のコスモスの花束を、
紗耶香の墓前に置く…。、赤と青のプーコのキーホルダーも…。
圭「真希…。いいの?それ…。紗耶香の大事な思いでじゃん…。」
真希「うん、もういらないの…。」
裕子「……。」
真希「紗耶香…、私ね、今、受験勉強してるんだ…。普通の暮らしに戻って、友達
つくって…彼氏も欲しいし…。、もう紗耶香が居なくても寂しくなんかないんだ…。
…でもね…でも…。」
なつみ でもなーにー?
圭織 もー!じれったいよー!
真希「ぁ…、みんな…。」
紗耶香 …あはは、真希は私が居なきゃ泣いてばっかで…一人で何か出来る訳ないよ…。
矢口 あははは…、そうだねぇー?、真希?
真希「う…、私は一人で大丈夫だよ!、もう泣かないし!お菓子だって食べる量は毎日1袋に決めたんだもん!」
紗耶香 …うん…、…そっか…。
矢口 ……。
彩 真希…、がんばれよ…。
和田 おめぇホントに泣かねぇんだろうなー?
真希「彩っぺ…、和田さんも…。」
紗耶香 …もう行かなきゃ…。、ありがとね。コスモスの花束…。
真希「…うん…。あたし…、皆の事…紗耶香の事忘れないから…。バイバイ!」
紗耶香 ……雨が降りそう…、早く行きな……。
紗耶香は「あの頃」と同じ、優しい笑みを浮かべると、背を向けて歩き始めた…。
不思議ともう涙は出ない…。、死んで、機械人間になってまで自分達を守ろうと戦った
最愛の親友を、私は忘れない…。、こんな子と出会う事は、もう2度とないだろう…。
裕子「真希、真希どうしたの!?、いきなり一人で…。」
圭「なになに…?」
真希「…ぁ…、うぅん…、何でもないよ!」
裕子「…そう…、じゃ、イタメシでも食べて帰ろっか!」
真希「やった!」
真里 ゆーぅちゃん!
中澤「…え…?」
真里 そろそろ相手探しなよぉ〜!
中澤「…ふ…。」
真里 …えへ…、んじゃね!
圭「ん?どうかした?」
中澤「…ふふ…、べつに…。、お見合いでもしよっかなー!」
真希「うそ!?、あ、、雨降ってきた…急ご!」
…………爽やかな風が吹きぬける……、3人は2年ぶりにこの空気を感じる…。
華やかな衣装をまとい、励ましあったあの頃…。悔しかった事、嬉しかった事、
悲しかった事…、その全てが…全てが……、楽しい時はあっという間に過ぎ去り…、
みんな死んだ…、けど…、今は明るい未来が見える……。、ひまわり畑に花束を…。