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モーニング素浪人矢口先生 第参章
- 1 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月12日(火)21時17分22秒
- ユウキ「今のところこんな感じだぜ!!」
矢口先生・町医者明日香・あさみ
→診療所で中澤屋の看病中
中澤屋・ゆゆ
→三途の河を渡ろうとするところで迷っている
眠りごま四郎・安倍代官・市井庭八郎
→診療所で、市井庭八郎の精神を解放する。
飯田圭之介・夏師匠
→診療所二階にて、自分の肉体を取り戻す。
吉澤五右衛門・お梨華
→氏にかけた吉澤をお梨華が救い、診療所にて現在熟睡中
お圭・お亜依・のの太郎
→診療所を逃げ出したところをお圭にとっ捕まえられ、診療所に戻される最中
りんね→お城に戻る最中
平家先生→暗黒の力を取り込み、診療所へ乗り込む途中、いろいろと寄り道
おあみ→もとの姿にもどる。江戸城
アミ・衣吹→江戸城にて傷の療養中?
ソニン「っていうかアタシ達最近全然登場してないね」
ユウキ「自分でも把握できてないもんな」
- 2 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月12日(火)21時22分48秒
- お彩「やっぱり気になって戻って来てみたら・・・。やっぱり忘れられてる・・・。」
家に帰ってはみたものの、やはり気になって診療所に戻ってくるお彩
お彩「っていうか書いてる連中も忘れてたでしょ(怒)」
- 3 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)01時46分27秒
- −診療所・診察室−
明日香「なんで!?どうして!?見落としていることはないハズ・・・
処置は完璧なのに・・・・。どうして裕ちゃんは戻ってこないの?」
安倍代官「明日香、あきらめちゃだめだべ!」
矢口先生「いいかげんに起きろよ、裕子ぉ!
起きないともう絶対にチュウさせてやんないぞぉ!!」
ごま四郎「いち〜ちゃん・・・」
不安そうに市井庭八郎を見つめるごま四郎
市井「大丈夫・・・。裕ちゃんは・・・裕ちゃんは必ず戻ってくるよ・・・
裕ちゃんは私達のリーダーなんだから!!」
- 4 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)01時47分17秒
- “ガタンガタンガタンガタン・・・!!”
ごま四郎「何?今の音・・・」
“ドタドタドタドタ・・・!!”
市井「こっちに来るね・・・」
“ガラッ!!ピシャッ!!”
障子が勢いよく開けられる
飯田「やっほぉ飯田圭之介参上ぉ〜!!」
頭にたくさんのタンコブを作って登場した飯田圭之介
矢口先生・明日香「「カオリ!!」」
- 5 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)01時47分59秒
- 診察室に入ろうとする飯田圭之介だが・・・
“コツン、ドサッ!”
敷居に躓き、豪快に転んだ
飯田「アイタタ・・・、久しぶりの自分の身体だからうまく動かせないや・・・」
市井(あの何かが落ちる音とカオリのタンコブ・・・。さては階段から豪快に転げ落ちたね・・・)
- 6 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)19時45分17秒
- −三途の河−
突然泣き止み、しゃがみ込んだゆゆ
ゆゆ「・・・」
中澤「なんや、どないした?独りで帰る気になったんか?」
ゆゆ「・・・うん」
中澤「・・・一緒に福知山に帰ることは出来ひんけど、達者でな・・・」
ゆゆ「ちがう」
中澤「ん?」
ゆゆ「おもいだしたんや、うちがここにきたわけ」
中澤「・・・」
- 7 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)20時05分40秒
- ゆゆの体がうっすらと光を帯びる
ゆゆ「うちは、ゆうちゃんをたすけるためにやってきたんや」
中澤「ゆゆ・・・」
ゆゆ「うちは、いつでもゆうちゃんといっしょにいるから」
中澤「!あんた・・・」
ゆゆ「ゆうちゃん・・・さよなら」
ゆゆの光が激しさを増す・・・
- 8 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)20時11分45秒
- 中澤「ゆゆ!!やめい!!!早まったらアカン!!!」
ゆゆは宙に浮き、光を増していく。
ゆゆ「ゆうちゃん・・・ずっといっしょやで」
ゆゆの体は空中をグルグル回転し、やがて轟音と共に中澤の体目掛けて急降下してきた。
中澤「ゆゆ!!」
閃光・・・。
- 9 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)20時21分17秒
- −診療所・診察室−
次第にはっきりとしてくる意識。
いつもの診療所。
よく知った顔。
明日香、なっち、カオリ。
・・・矢口。
中澤「・・・」
明日香「気がついた!」
矢口「バカ裕子!!心配させやがって!!」
安倍「よかったべ・・・」
しかし、中澤の次の行動は皆の予想に反していた。
中澤「・・・ゆゆ・・・ゆゆ!!」
中澤はケガも構わず飛び起き、中庭に飛び出していく。
- 10 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)20時31分21秒
- −中庭−
隅っこでおびえているもんろー。
その脇に、倒れている小柄な少女。
少女に駆け寄り、抱き起こす中澤。
中澤「・・・ゆゆ・・・ゆゆ!!しっかりせい!!」
ゆゆ「・・・ゆうちゃん・・・ねむいよ・・・」
中澤「あんた、うちのために氏ぬことなんかないで!」
ゆゆ「・・・ちがうよ・・・かえれそうなんや・・・
ゆうちゃんといっしょじゃないのはさびしいけど・・・」
ピカッ!!ゴロゴロゴロ・・・・
二人の上空には、黒い渦巻きと青いイナヅマ。
やがて突風が吹き、二人の体を舞い上げようとする。
ゆゆ「そろそろおわかれかな・・・ゆうちゃん」
中澤「・・・」
ゆゆ「最後に“ちゅ〜”してや」
中澤は、眼に涙を溜めながら、そっとゆゆに“ちゅ〜”をした・・・。
ゆゆ「・・・ばいばい」
・・・ゆゆは渦巻きに吸い込まれていった・・・
- 11 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月17日(日)21時14分53秒
- −???−
ゆゆ「・・・うーん」
警官「おじょうちゃん。おじょうちゃん。」
ゆゆ「うーん・・・あれ?ここは・・・おとうちゃんのおはかや」
警官「ほっ、気がついたみたいやな。こんなところで寝てたらあかんで。」
ゆゆ「あれ、ゆうちゃんは・・・やぐちせんせいにおあいちゃんに・・・がめらは?」
警官「なんや、寝ぼけとんのかいな。ガメラの映画なんて今日び流行らんで。
ほら、おっちゃんが送ってやるから、うちに帰りぃ。」
ゆゆ「・・・ゆめやったんかなぁ・・・」
ふと、ポケットに手を入れるゆゆ。そこには・・・
ゆゆ「にがうり・・・」
こうして、ゆゆの『不思議な数日間』は幕を閉じた
- 12 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月18日(月)00時01分27秒
- −診療所−
中庭に座り込む中澤
中澤「・・・」
明日香「・・・声、かけらんないね」
カオリ「ゆゆちゃん、いなくなっちゃったもんね」
なっち「裕ちゃんの隠し子じゃなかったみたいだべ」
矢口「・・・」
意を決して、矢口が近づく
矢口「おいっ!!裕子!!!」
中澤「・・・」
矢口「元気出せよ!!戻って来れたんじゃないか!!」
中澤「・・・矢口ぃ」
矢口「何だよ!!」
中澤「・・・“ちゅ〜”してもええか?」
矢口「・・・コラ。オイラたちを散々心配させといてなんだよ・・・
・・・ちょっとだけだぞ・・・」
中澤「・・・ありがとな矢口・・・(ちゅっ)」
矢口「んぐっ!!ぷはっ、コラ裕子!どさくさに紛れて舌入れるんじゃねえ!!」
- 13 名前:さてこの人は… 投稿日:2001年06月18日(月)04時53分19秒
- =モーニング横町=
平家先生「のわ〜!!誰も居ぃひんの?なんで?ここは瓦礫の山なん?ここに長屋はあったはずなんや〜!!」
住人は全て明日香の家に居候していることを忘れてる平家先生
- 14 名前:そして… 投稿日:2001年06月18日(月)04時55分04秒
- =大通り=
お圭 「ちょっと!みっちゃんはどこいっちゃったのよ!」
のの 「おなかすいたのれす〜」
お亜依「ちょっと、一息つかんか、ガメラ?」
お圭 「……(我慢、ガマン)」
のの 「お?おとなしくなったのれす」
お亜依「火を吹く前兆や!気ぃつけやぁ!」
お圭 「き〜!あんた達、いいかげんにしろ〜!」
ちびっこを持て余す狛犬のお圭
- 15 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月20日(水)23時01分02秒
- −診療所近くの通り−
平家先生「ぐおー!!!足止めせなあかんのに〜!!!」
猛ダッシュする平家先生と・・・
のの太郎「いたいれす!!いたいれす!!」
お亜依「このガメラー!!縛ったまま引き摺り廻すなやー!!!」
お圭「うるさいわね!!急がないと!!!」
のの太郎・お亜依を引き摺り廻したまま爆走する狛犬のお圭・・・
そして・・・
ソニン「ようやく壁直ったね〜(泣」
ユウキ「やっと解放だよ・・・ん?ありゃ何だ?」
ドカーン!!!塗りなおしたばかりの壁に大激突する平家先生・お圭。
もちろん優跳組も巻き添え・・・。
- 16 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月20日(水)23時06分45秒
- −診療所−
ドカーン!!!
一同「!!」
塀が破壊される音に驚く一同。
矢口先生「この音は・・・また外の塀に誰かぶつかった?」
安倍代官「すごい妖気だべ・・・」
飯田圭之介「カオリ達がよく知ってる人・・・まさか・・・」
明日香「みっちゃん?・・・嘘・・・」
飛び出す一同。
- 17 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月20日(水)23時14分13秒
- −診療所・表通り−
のの太郎「きゅー・・・」
お亜依「ゴルァ、ガメラァ!!!頃す気かい!!!」
お圭「あんたたちがグズグズしてるからよ!!・・・ん?」
平家先生「アイタタタ・・・ここは?明日香の診療所やん!!・・・ん?」
平家先生「お圭!!!」
お圭「平家先生!!!」
出会ってしまった二人。
ソニン・ユウキ「むぎゅー・・・」完全KOの優跳組。
- 18 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月21日(木)03時38分44秒
- 中澤「ふん…役者はそろったようやな…」
安倍「みっちゃん……」
再び緊迫ムードの明日香宅
- 19 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月21日(木)03時40分43秒
- 平家 「で…誰がアタシの相手するんや?別に全員でもかまへんで…」
平家の声に敏感に反応する矢口先生
矢口 「言ったなぁ!おいらが!」
中澤 「うちパスなぁ。病み上がりでキッツイねん」
福田 「ああ、あたしもパスね…」
一同 「え〜〜」
福田 「だってあたしが怪我したら誰が治療すんのよ?終わったらあたしが診てあげるから安心して闘りあってね」
保田 「も〜、一番みっちゃんと対抗出来る二人なのにぃ!」
平家 「そんな、可愛い顔でおっかないこと言わんとってな、ふくちゃん…」
- 20 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月21日(木)03時44分44秒
- 安倍 「なっちもパスだべさ、いくところがあるっしょ」
中澤 「ああ、かまへんで、お城いくんやろ?」
安倍 「そうだべ、なっちがいかなきゃはじまんないっしょ」
矢口 「なっちが行くんならおいらもそっちにいく〜〜!」
安倍の腕にすがりつく矢口先生
中澤 「わかった、わかった。カオと彩っぺといってきてな…って、くっつきすぎや、あんたら!」
市井 「あたしは残る。みっちゃんとはやりあってみたかったし」
鞘火を手に取り立ち上がる市井庭八郎
あさみ「あたしもいきます!」
- 21 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月21日(木)03時46分33秒
- 中澤 「そっか、りんねもおったんやな…あさみ頼んだで、りんねを連れかえしてきてな」
あさみ「はい!」
中澤 「他にはおらんの?」
後藤 「いちーちゃんとよっすぃと一緒だもん。平家先生もいるし」
保田 「獲物が目の前に居るってのにワザワザ別のトコいくのも野暮ってもんでしょ」
のの 「りかちゃんも、ひとみちゃんもねてるのれす」
お亜依「ちゅうか、うちらいつこの縄ほどいてもらえるんやろ?」
- 22 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月21日(木)03時47分32秒
- 中澤 「ちゅう配役や、みっちゃん、なんか異存は?」
平家 「なんも無いで、そのメンツやったら…頼むで、おあみを…」
矢口 「ぶっとばしてやるぜ!」
矢口の後に安倍が続く
安倍 「必ず……救ってみせる」
平家 「頼むで……」
- 23 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月28日(木)05時10分07秒
- −江戸城−
虎無徹「やあ、おあみ。調子はどうだい?」
おあみの部屋にやってきた虎無徹
おあみ「はい・・・、大丈夫です。どうやら以前よりも霊力・妖力が増したみたいで・・・
次こそ・・・、次こそ必ず猛忍愚の連中を始末してみせます!!」
力強く宣言するおあみ。だが・・・
虎無徹「あ〜、そのことだけどね・・・、もういいよ・・・」
おあみ「えっ・・・?それは・・・どういうことですか・・・?」
虎無徹「もちろん彼女達は邪魔だから消えてもらう事に変わりはない・・・
だけど、その任務に就くのは君じゃない・・・
わかるだろう?かんざしの呪い、妖刀・亜未異護の件、
さらに飯田圭之介の身体を奪還され・・・、もう君は何度も彼女達の
抹殺に失敗している・・・。もうこれ以上君に任せられないのだよ・・・」
冷たく言い切る虎無徹
おあみ「待ってください!!お願いです、もう1度だけチャンスを・・・
お願いします、虎無徹様!!」
虎無徹「どうやらハッキリ言わないとわからないようだね・・・
もう君は僕にとって必要ない人間なんだよ・・・」
- 24 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年06月28日(木)05時10分53秒
- おあみ「ど・・・どういうことですか・・・?」
虎無徹「僕が必要としているのは僕の命令を完璧に遂行できる人間だけだ・・・
それができない人間には興味がないんだよ・・・
つまり君はもう“お払い箱”というわけだ・・・」
おあみ「そんなの・・・そんなの嘘よ!!お願いです嘘だと言って下さい!!
私はあなたにとって部下であると同時に・・・」
虎無徹の胸元にすがりつき涙を流して懇願するおあみ
虎無徹「“大切な人”・・・とでも言ってもらいたいのかな・・・
残念だがそのポジションにも君のいる余地はないのだよ・・・
近々、正室を迎える・・・といっても彼女の中にはすでに僕の子供がいる・・・
もう1度言うよ・・・君はもう必要のない人間なんだ・・・」
その言葉を聞き、虎無徹の着物を掴んでいた手を放してその場に座りこむおあみ
その表情からは生気が抜け、身体は小刻みに震えている
虎無徹「もう君と会う事はないだろう・・・」
そう言い残し部屋から出ていく虎無徹
おあみ「お願い・・・捨てないで・・・。私を捨てないで・・・。捨てないで・・・。捨てないで・・・」
部屋に1人残されたおあみはブツブツと何度も同じ言葉を呟いていた
- 25 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月05日(木)02時07分42秒
- −診療所前の通り−
たんぽぽ組・安倍代官・あさみが城へ向かう。
お彩「やれやれ、ようやく出番だよ」
あさみ「みなさん、急ぎますんで、鷹を使って空から行きましょう!!」
圭之介「・・・ううん。鷹を使わなくても大丈夫だよ・・・」
その場にいた全員が強烈な耳鳴りを感じる。
・・・キーーーーン・・・・
次の瞬間、たんぽぽ組と安倍代官・あさみの姿は消えていた。
中澤「・・・嘘やぁ・・・」
明日香「カオリ、霊力あがってる?」
平家「・・・確かにカオリの霊力はすごいが、あのカラダをおあみが使うてたからやな・・・
ま、ウチには関係無いことや。さて、はじめよか。元祖プッチよぉ・・・」
邪悪な微笑を浮かべる平家先生
- 26 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月05日(木)09時45分10秒
- −団子屋前−
何故か団子屋の前に現われたたんぽぽ組と安倍代官・あさみ
あさみ「あれ?ここはお団子屋さんですよ?」
矢口先生「カオ、間違えたのか?」
圭之介「ううん。間違えてないけど、なんかすごい思念が入ったの。お団子食べたい〜って」
安倍代官「とりあえずじゃんじゃん持ってきてくれだべ。戦いの前に腹ごしらえは欠かせないっしょ。」
一同「(やっぱり・・・)」
やっぱり食欲は止まらない安倍代官
- 27 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月11日(水)22時24分21秒
- −診療所−
平家先生「元祖プッチか・・・。伝説の剣客・市井庭八郎にその直弟子眠りごま四郎。
江戸一の腕利き岡引・狛犬のお圭。楽しませてくれんのやろな」
ごま四郎「平家先生、また妖魔に騙されてるの・・・?」
市井「・・・ううん。前に闘ったときとは妖気が違う・・・」
お圭「尋常な人間の闘気じゃない。私たちが知ってる妖魔の気とも違う」
市井「みっちゃん・・・まさか」
平家先生「なんや・・・来ないのならこっちから行くで」
「月斗」を抜き、構える平家先生
市井「速い!!!」
次の瞬間、平家先生はお圭の肩口に刀を振り下ろしていた。
十手で辛うじてブロックするお圭
- 28 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月11日(水)22時35分08秒
- 平家先生「甘いわ〜!」
刀をぶつけた十手を基点に体を上空まで振り上げ、お圭の首筋を蹴り飛ばす。
お圭「んぐっ!!!」
そのまま壁際に叩きつけられるお圭。
お圭を蹴り飛ばした平家先生はそのまま宙返りし、ごま四郎目掛け突進。
ごま四郎「ひっ!」
不用意にごま四郎が抜刀したとたん、瞬時に太刀筋を見定め一回転してかわし、
強烈な裏拳をごま四郎の顔面に叩き込む!
市井「うぉりゃーーーー!!!」
抜刀術と共に闘気の塊を平家先生目掛け放つ市井。
しかし、平家先生はニヤリと微笑むと、刀の刃を自らの正面に向けて構える。
市井「・・・?」
次の瞬間、市井の放った気は月斗により真っ二つにされ、平家先生の両脇に
逃がされてしまった。
市井「ウソ・・・」
平家先生「あかんなー。まだはじまったばかりやで?真面目にやりやー」
中澤「あの3人がまるで手を出せへんで」
明日香「みっちゃん、パワーもスピードもキレもコクもあがってる。でも・・・」
中澤「そうやな。ウチとやりあったときとは別人や・・・」
- 29 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月19日(木)15時09分05秒
- =団子屋=
お彩 「はぁ…これから大一番が待ってるってのにさぁ…」
矢口 「まぁまぁ彩っぺ、ここのお団子美味しいんだから。一緒に食べていこうよ」
カヲリ「腹が減っては戦はできぬ……おじさぁ〜ん!こっちにもちょうだい」
あさみ「ぱくぱくぱく…おししいぃ〜〜」
安倍 「もぐもぐもぐ…」(一心不乱
のんきもんが集まってしまったおあみ討伐組
- 30 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月19日(木)15時10分57秒
シュッシュシュシュ!
風を切る音に反応する一行
矢口 「ん?」
お彩 「ごあいさつだね…」
身を交わす二人。手裏劍が音を立てて柱に突き立つ。
カカカッ
カヲリ「ん……あ〜、なっち〜!あぶなぁい!」
安倍 「もぐもぐもぐ……ふん!」
カカカカッ
食べ終わった団子の串で手裏劍から身を守る安倍代官
安倍 「こんなモノ、方向をちょいと変えてはれば問題ないっしょ」
手裏劍の跳んできた方向を見据えお彩がつぶやく
お彩 「誰だい、でておいでよ……」
ガサッ…スタ
予想していたとはいえ、姿を現した者に対し5人は声を漏らした。
お彩 「う」
矢口 「あ」
カヲリ「あ〜」
安倍 「あららぁ〜」
あさみ「……りんねちゃん」
りんね「こうなることは避けたかったんだけど……みなさんのお相手させて頂きます」
りんねは『雪景色』に手をかけた…
- 31 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月27日(金)03時33分44秒
- あさみ「りんねちゃん・・・どうしても戦う気なの?」
りんね「あさみ・・・自分でもわかんないんだけど、変な気持ちなの。
最初は洗脳されてたんだけどさ・・・今はあの娘のためになりたいと思ってる・・・
心から。平家先生も同じだと思う・・・」
あさみ「だったら・・・闘うしかないか・・・」
4人に向き直るあさみ
あさみ「りんねちゃんは私が何とかします。みなさんはお城へ・・・」
お彩「でも・・・」
お彩を静止する安倍代官
安倍代官「辛い仕事だけど任せていいべか?・・・頼むべ」
あさみ「はいっ!!」
安倍代官「お城はすぐだべ!!急ぐべさ!!!」
矢口先生「おぉ!!!」
走り出す4人
りんね「そうはいきません!!」
りんねは『雪景色』を振りかざし、4人の道を塞ごうとする。そのとき!
ガシッ!!ロープが『雪景色』に絡みつく!!
りんね「犬ぞりの手綱・・・あさみ」
あさみ「りんねちゃん・・・手加減しないよ」
りんね「あたしこそ・・・」
- 32 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月29日(日)09時17分47秒
- 団子屋「・・・あんたら対決モードもいいけど、この団子代払ってくれるんだろうね・・・」
団子屋主人の只ならぬ殺気に一瞬で凍りつくりんねとあさみ。
りんね「・・・またかい」
あさみ「・・・はやくメジャーになりたいね、りんねちゃん」
- 33 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月29日(日)09時28分08秒
- 城に向かって走り出そうとしたが、もう一本団子が食べたくなって引き返す矢口先生
- 34 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月29日(日)14時00分09秒
- しかしお彩につかまり引き摺られていく矢口先生
食いしん坊キャラはなっちとカブるぞ矢口先生
- 35 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年07月31日(火)03時39分00秒
- おあみのいるお城へ向かう安倍代官一行―。
圭之介「あさみちゃん大丈夫だろうか・・・?」
安倍代官「りんねちゃんのことを一番解ってるのはあさみちゃんだ。
ツラいけど、せっかくのあさみちゃんの気持ちを無駄にしないためにも、
なっちたちは先を急ぐべさ」
お彩「あさみちゃん・・・ゴメンね・・・・・・」
言い出したら聞かない、情に厚く強情な北国生まれの女の性を、3人は誰よりも理解していた・・・。
圭之介「・・・・・・よしっ!カオリ達はとにかくお城にダッシュだべ!」
安倍・お彩「「おうっ!」」
圭之介の放つ光が、再び安倍代官とたんぽぽ組を包み込む。
次の瞬間、光の塊はおあみのいる城の方角へと飛び去っていった。
矢口「(・・・おだんご・・・)(涙)」
気持ちを切り換えろ、矢口先生!
- 36 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月12日(日)10時48分54秒
- お亜依「平家先生、圧倒的です!あの元祖プッチの3人を苦もなくあしらってんでぇ」
のの太「市井しゃんの額に汗がにじんでるのれす」
お亜依「ガメラも目を吊り上げて太刀筋を見切ろうとしてますが・・・余計怖いっちゅーねん」
のの太「あっ、ごまひゃんに平家先生が切りかかったのれす!」
ガキーン☆
のの太「・・・かろうじて受け止めたのれす」
お亜依「ちゅーか、誰か。。。。」バタバタ
のの太「はやく縄をほどいて欲しいのれす〜〜〜!」ジタバタ
- 37 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月13日(月)14時34分34秒
- −診療所−
戦闘開始からしばらく経過したが、平家先生に傷一つつけられないプッチ。
対照的に、3人の体には無数の細かい傷がつけられているが、どれも致命傷ではない。
市井「畜生・・・遊んでやがるよ」
お圭「ナメられたもんだね・・・元祖プッチも」
ごま四郎「でも、強すぎる・・・」
そのとき、市井とお圭が意を決したように互いに頷きあう。
市井「やるしかないか・・・」
- 38 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月18日(土)03時42分51秒
- 市井は急に気を開放し、覚醒モードに変化した!
市井「はあっっ!!血夜骨斗羅武・弐の太刀ィィィ!!!」
市井の放った気の刃が平家先生を襲う!
平家「ムッ!これは弐の太刀・・・マズイな・・・」
ドカーーーンッッ!!!
激しい爆発音と閃光のあと、モクモクと立ち上る煙。
しかし、その中に平家先生の姿は無かった。
平家先生「あ〜危なかった。昔のアタシなら避けられへんかったやろなあ。
なあ?紗耶香・・・ちぃ、小細工を」
抜刀し、自分の体の周りを振り回す平家先生。
あたりに、縄の切れ端が散らばる。
平家先生「お圭やな?ガキんちょを縛り上げるのとは訳が違うんやで?・・・むぅ」
- 39 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月20日(月)21時22分16秒
- 平家先生「結界、か・・・」
平家先生の足元には蜘蛛の巣のように縄の結界が張り巡らされていた。
お圭「今切った縄はただのダミーよ!本番はこれから・・・。
ちょっとでも動いたら、アタシの十手をタップリくれてやるわよ!」
平家先生「アホかいな、こんな縄さっきみたいに・・・」
刀を振り下ろす平家先生、しかし・・・。
平家先生「ほうか、光の闘気か・・・うまいこと考えるわ」
お圭「(・・・いい?結界を一気にみっちゃんに向けて収束させるから、
アンタたちは弐の太刀で一気に勝負をつけるのよ)」
市井「(オッケー・・・ごま四郎は?)」
ごま四郎「(あ、あたしも大丈夫だよ!)」
お圭「(よし・・・いくよ・・・)」
- 40 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月20日(月)21時29分27秒
- パチンッ!!お圭が指を鳴らすと、蜘蛛の巣のように張られた縄が
平家先生を包み込むように集まっていく。
お圭「よしっ!!今よ!!」
ふたり同時に覚醒モードに入る市井とごま四郎。
市井「いくよ、ごま四郎!!」
ごま四郎「・・・うん!!」
市井・ごま「「血夜骨斗羅武・弐の太刀〜〜〜〜!!!!」」
同時に放たれた、二本の闘気の刃はやがて重なり合い、
巨大な衝撃波となって平家先生を襲う!!
明日香「すごい・・・あのふたりも、パワーアップしてる・・・」
中澤「危ないで、明日香伏せろ!」
その場に伏せる中澤と明日香。
閃光が走り、数秒後に想像を絶する爆発音が響く・・・。
- 41 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月20日(月)21時31分45秒
- −江戸城−
独り部屋にうずくまるおあみ。
ハッと顔を上げる。
おあみ「・・・はっ・・・平家先生?まさか・・・」
- 42 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月20日(月)21時41分14秒
- −診療所−
衝撃により舞い上がった埃と煙が次第に晴れていく。
中澤「アイツら、無茶しよるわ・・・」
明日香「ちょっとはご近所の迷惑も考えて欲しいところね」
中澤「・・・みっちゃんの気が消えた・・・」
市井「・・・」
ごま四郎「・・・平家先生・・・」
立ち尽くす市井とごま四郎。ふたりに飛び掛るお圭。
お圭「何よっ、あんたらやったじゃないの!!
一時はどうなることかと思ったけどさ〜。
あれっ?ふたりともどうしたのよっ!」
市井「・・・まさか・・・こんなことって・・・」
ごま四郎「嘘・・・」
- 43 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年08月20日(月)21時42分51秒
- −江戸城−
おあみ「・・・あたしでももう手が付けられない・・・
怪物になってしまったの?
平家先生・・・」
- 44 名前:討伐組〜 投稿日:2001年08月22日(水)14時48分02秒
- 飯田「さ〜て、ついたよ〜。江戸城到着〜」
矢口「おだんごぉ〜…」
安倍「あいかわらず立派なお城だべさ〜」
お彩「緊張感もカケラもないこのノリ…ひさしぶりだわ…」
やっと目的地へ到着した討伐組
- 45 名前:討伐組〜 投稿日:2001年08月22日(水)14時50分16秒
- 城内にむかって歩きだす4人。
しかし飯田がたちどまり一点を見つめている。
矢口「ん〜と、なっちぃ」
安倍「ん?なに?」
矢口「んとね〜…先いっててくれる?どうやらカヲが電波受信したみたいだからさ」
安倍「あららら、一緒にいたいけどそうも言ってらんないね。いこ彩っぺ」
お彩「ん〜…あたしも一緒に残るよ、チームだしね」
安倍「…わかった。」
城内に歩き出す安倍。三人にとどかない声でつぶやく
安倍「気をつけてね…」
- 46 名前:討伐組〜 投稿日:2001年08月22日(水)14時51分48秒
- 安倍が見えなくなるのを確認して声を出す矢口先生
矢口「どこのだれだか知らないけど、出ておいでよ」
お彩「あたしらたんぽぽ組じゃ役不足ってこともないでしょ」
一点をみつめたまま呟く飯田
飯田「そこにいるんでしょ、出ておいでよ」
- 47 名前:討伐組〜 投稿日:2001年08月22日(水)14時54分05秒
- マミ「きゃ〜、御指名だよ、御指名。腕がなる〜♪」(小声
サキ「たんぽぽ組…ふふふ、うちらの初陣には問題無しの相手だね」(小声
アミ「駄目だよ。うちらで勝てる相手じゃないって!あたしの腕もまだ完治してないし」(小声
マミ「なに弱気になってんのさ!」(小声
サキ「我ら『使役人形』の名を轟かせるいいチャンスじゃん」(小声
アミ「ってゆうか、解ってくれるかなー、前に会ったことあるの…あ〜んイブキ〜、心細いよぉ〜」(小声
とりあえず身を隠し様子見の新生「使役人形組」。
- 48 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月02日(日)13時02分47秒
- −診療所−
いったん、完全に掻き消えた平家先生の妖気。
しかし、まったく別の質の妖気があたりに漂い始める・・・。
お圭「何なのよっ!これはどういうことよっ!
弐の太刀で妖気は消し去れるんじゃないのっ?」
市井「・・・こ、こんなの初めて・・・」
ごま四郎「平家先生・・・」
やがて、埃が完全に晴れ、平家先生がその姿をあらわす・・・
- 49 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月02日(日)13時25分10秒
- 平家先生「・・・どうしたこっちゃ・・・
アタシは弐の太刀の直撃を食らったんちゃうかったか・・・
何で妖気が増してんねん・・・」
中澤「・・・みっちゃん自身も、何が起こったか把握できてへんようやな」
明日香「私たちもだけどね」
- 50 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月19日(水)23時41分30秒
- 突然苦しみだす平家先生
平家先生「ぐふぁぁぁぁ・・・カラダが、カラダが熱いぃぃ・・・」
市井「・・・」
お圭「みっちゃん、声まで変わっていってる・・・」
ごま四郎「平家先生・・・」
平家先生「フフ・・・あんな簡単に暗黒の力を取り込めて、おかしい思うとったんや・・・
ぐ、ぐおああああ!!」
- 51 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月19日(水)23時56分43秒
- ドン!!
平家先生の体から妖気の波動が放出される。
平家先生「・・・頃す」
市井「・・・来る!」
お圭「ヤ、ヤバい?」
ごま四郎「平家先生じゃない!!」
平家先生「・・・『死陰』」
平家先生は構えた刀に妖気を漲らせ、お圭目掛けて斬りかかる!
市井「圭ちゃん!!!受けちゃダメ!!!」
お圭「太刀筋は見極めてるのよ!」
咄嗟に愛用の十手でがっしりと刀を受け止めるお圭。
平家先生「・・・ウフッ」
お圭「!?まさか、十手が・・・キャアアアァァァ」
平家先生の一撃が、十手ごと叩き折ってお圭の右肩に直撃!
壁際に叩きつけられるお圭。
平家先生「・・・まだ生きているか・・・しぶとい」
- 52 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月20日(木)00時48分20秒
- 平家先生「先ずは一人」
お圭に止めを刺そうとする平家先生、その兇刃を受け止める市井。
市井「勝手なマネはさせないよ・・・あ、明日香!圭ちゃんをお願い!」
平家先生「お前が先か?」
ごま四郎「市井ちゃん!」
市井「そう簡単にやられるか・・・」
- 53 名前:nozuru 投稿日:2001年09月26日(水)06時10分14秒
- ―江戸城―
おあみ「平家先生・・・」
その時おあみの意識に別の心が入り込んだ。
少女「虎無徹に捨てられてわかったでしょ・・・。」
おあみ「誰・・・?」
少女「あなたのもう一つの心・・・。」
おあみ「だいぶ前に成仏したはずのあなたが何の用?」
善おあみ「あなたはもう気付いているように平家先生は怪物になってしまって自分の精神でコントロールできなくなっているの。」
おあみ「そ、それがどうしたの・・・平家先生はただの私の手駒、どうなろうが・・・・」
善おあみ「嘘・・・あなたはもうそんなことは思ってないはず・・・平家先生はあなたの妖気を全て自分に背負わせて邪悪な心を浄化させたの。だんだん妖気が減ってきてる筈よ。それに浄化される前からあなたは平家先生に感謝しているはず・・・。」
おあみ「・・・」
善おあみ「平家先生を救うのよ。」
おあみ 「でも平家先生は私の妖気を全て手に入れてしまってしかも弐の太刀をうけてもさらに妖気が増幅しているのよ・・・もう私の力では手が付けれなくなっている・・・。」
善おあみ「だから一つに戻って私たちの霊力を使ってその磁世雨惣で妖気を消し去るの。」
おあみ「・・・・わかった。」
- 54 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月27日(木)03時56分08秒
- ???「・・・おあみちゃん」
おあみ「・・・随分速かったのね、安倍さん」
安倍代官「おかしいべ、妖気が感じられねえべさ」
おあみ「それもそのはずよ。私の妖気は平家先生が全部吸い取っちゃったから。
今の私はダシをとった後の鶏ガラみたいなもの。それでも一戦交えてみる〜?」
安倍代官「・・・今のほうがよっぽど強そうだべさ」
おあみ「・・・」
- 55 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年09月27日(木)04時13分59秒
- おあみの意識下では二つの心が葛藤を続ける
善おあみ「挑発に乗っちゃダメよ!今は平家先生を助けることが先決でしょ!」
おあみ「・・・今はアンタと一緒になれない・・・私も、安倍なつみも意地っ張りだから」
善おあみ「そんな・・・こんな無益な戦い・・・」
おあみ「無益かもしれないけど、この戦いには決着をつけなきゃいけないの。ねえ、安倍さん?」
安倍代官「・・・うん。みっちゃんも助けなきゃいけない。でも、おあみちゃんも、救わなきゃいけない」
おあみ「私のことをどう救ってくれるのか・・・戦ってみなくちゃわからない」
安倍代官「でも、今のおあみちゃんとなら、全力で戦って決着をつけることに異議は無い」
おあみ「・・・私も」
善おあみ「・・・わかったわ・・・」
お互いに最高の状態で、今最後の決戦が始まる・・・
- 56 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年11月10日(土)23時28分07秒
- 更新期待していいのかな?
- 57 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2001年11月21日(水)13時43分05秒
- おあみ「今の私では磁世雨惣を扱えない・・・刀を替えさせて貰うわ」
おあみは磁世雨惣を足元に置き、床の間に飾ってある自らの愛刀を手に取った。
おあみ「『弥求邪富』・・・これを使うのも最後ね」
こう呟き、静かに抜刀術の構えを取るおあみ。
安倍代官「無になった・・・」
おあみから気が感じられなくなるのを確認すると、
自らも気を抑え、両刀を抜き、眼を閉じる。
おあみ『(勝負は・・・)』
安倍代官『(・・・最初の一瞬!!)』
- 58 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2001年11月22日(木)00時23分39秒
- ・・・・・・ガキーーーーン・・・・・・
おあみの高速抜刀を右「蘇羅斗華是」でしっかりと受け止め、
左の「唐諸輿」を十文字に斬りつけた安倍代官。
グサッ
折れた『弥求邪富』の欠片が畳に突き刺さる。
おあみ「さよなら、ありがとう『弥求邪富』・・・」
両刀を納める安倍代官。
おあみ「・・・安倍さん、相変わらず甘ちゃんね。
抜刀を受け止められた時点で私の負け、左の小太刀で私を胴薙ぎ出来たはずよ」
安倍代官「そしたらみっちゃんを助けられる人がいなくなってしまうべ・・・
今、磁世雨惣を使わなかったのも、みっちゃんを助けるためだべ?
もう、おあみちゃんは救われてるべ、みっちゃんに・・・」
おあみ「・・・私の負けね、完全に・・・」
- 59 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月02日(水)04時11分46秒
- 安倍「さぁ、おあみちゃん。みっちゃんのところにいくべ」
やさしく、右手を差し出し安倍代官はおあみに声をかける
おあみ「あたしなんかでいいの?」
その手をとりつつおあみは疑問を声に出した。
安倍「みっちゃんもそれを望んでいるべさ」
おあみ「それじゃあ、『磁世雨惣』は飯田に還さないと…え?」
床に置かれた『磁世雨惣』がカタカタと震えていた。
安倍「かおりたちなんかあったべか?!」
- 60 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月02日(水)04時12分42秒
- 江戸城表
矢口「あ…あふぅ……」
お彩「なかなか…やるようね…」
飯田「ちょっとぉ、二人ともどうしたのさ。動きが悪いぞぉ」
使役人形組に結構苦戦中のたんぽぽ組
マミ「ちょおおっとぉぉ!あたし達大金星じゃないのぉ?」
サキ「たんぽぽ組、話ほどたいしたことなかったようね」
アミ「ちょっと油断しちゃ駄目よ。今までのパターンでいくとこの後絶対なんかあるんだから」
- 61 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月02日(水)04時13分38秒
- シュッ……ドーーン!
矢口「きゃぁ!」
爆薬の爆風に吹き飛ばされる矢口先生。
お彩「矢口!」
矢口「だ、大丈夫…」
よろよろと起き上がり笑顔で応えるが、ダメージは大きい。
飯田「わかったぁ!」
突然声をあげ飯田が立ち止まる。
マミ「隙ありぃ!」
マミの投げる手裏剣が飯田めがけて襲いかかる。
お彩「ちょっと、かおり!なにしてんのよ!……あぁぁ!」
両腕を交差してガードを固めたお彩の腕に手裏剣が突き刺さる。
傷ついた二人の見据え、飯田がぽつりと声を出した。
飯田「わかったよ、二人ともかおりを守ってくれてたんだ……」
矢口「……」
お彩「……」
- 62 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月02日(水)04時14分36秒
- 飯田「心配してくれてたんだね、かおりのこと…」
申し訳なさそうに呟く飯田に優しく二人は声をかける。
矢口「まぁね、かおは復帰したばっかだしね」
お彩「ま、仲間のよしみってやつさ」
さも当然の如くにこやかに応える二人。
飯田「いいよ二人とも、後は見ててくれれば……」
サキ「なにゴチャゴチャ喋ってんのよ!」
シュッ……ジャラッ
サキの鎖鎌が飯田の右手に絡みつく。
しかし飯田は何事も無いかのように立っていた。
自由な左手を突き出し、気を集中させる。
飯田「我が友『磁世雨惣』よ……来い!」
- 63 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月06日(日)23時33分36秒
- カタカタと音をたてた『磁世雨惣』がゆっくりと宙に浮いた。
おあみ「なに?どうしたの?」
なっち「かおりが本気だしたべさ」
ばびゅーん
静かに浮いた『磁世雨惣』が飯田の声を感知した。
それと同時に飯田目掛けて飛び立った。
おあみ「本気って……どうなってんのよ?」
- 64 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月06日(日)23時34分58秒
- 突き出した飯田の左手に『磁世雨惣』が静かに納まった。
元の主に扱われるっことを喜ぶかの如く静かに震えた。
あまりの光景に声を失った「使役人形組」のサキが声を張り上げた。
サキ「なによ!刀手にしたところで、利き腕は封じてんだよ!」
飯田が『磁世雨惣』を見つめ静かに呟き、俯いて気を集中させた。
かおり「頼むよ……はぁぁぁ!」
鞘をしっかりと手に持ち微動だにしていない。
それなのに『磁世雨惣』はカタカタと音をたてている。
よく見ると震えているのは一部分である。柄の部分のみが震えていた。
飯田の気が高まるにつれて、振動が速くなるのが判る。
そして振動が収まったその時、飯田うつむいていた顔を上げた。
かおり「いくよ」
- 65 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月06日(日)23時36分56秒
- ばびゅーーーん
『磁世雨惣』の柄が光と共に宙を舞う。
マミ「な、何?」
アミ「うっそぉ!」
サキ「ぎゃ〜!」
まるで飯田の意思に呼応しているかのように「使役人形組」を襲う
『磁世雨惣』。
矢口「いつ見てもすげぇなぁ、アレ。」
お彩「久しぶりにみたわ」
飯田「奥義『沙魔那・慰斗』……」
『磁世雨惣』の攻撃が全て完了したことを確認し、飯田は声を出した。
鞘にカシャッと音をたて収まる『磁世雨惣』。
霊気の攻撃のため身体を動かすことすら出来ない三人の絶叫が響く。
アミ・マミ・サキ「「「う、うわぁ〜〜!」」」
飯田の目が輝き鞘の『磁世雨惣』が軽く震える
飯田「ダウン!」
どっかぁぁぁんんんん!!
アミ・マミ・サキ「「「うっぎゃ〜〜!」」」
爆風でどっかに飛んでいく使役人形組
- 66 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月06日(日)23時38分21秒
- 江戸城内
おあみ「あの技は元々……」
なっち「8人必須の技だった奥義。
でもかおりは修行で一人でも使えるようになったんだべ」
おあみ「……まったく、やってらんないわよ!」
安倍の応えをかみしめ、おあみが憤りを口にする
なっち「おあみちゃん?」
おあみ「『磁世雨惣』(人のモノ)欲しがってたあたしが
バッカみたいじゃないの!覚えてなさいよ、あたし
はあんたらを倒すためもっと修行してやるんだから!」
怒りを面にだすおあみのその顔は以前のそれとは異なる表情であった。
なっち「くすっ……」
おあみ「なに笑ってんのよ!いくわよ!平家先生を救うタメに」
折れた『弥求邪富』を刀を鞘に収め、飛び出すおあみ
なっち「あ、おあみちゃん!待つべさ」
- 67 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月08日(火)16時26分14秒
- 〜明日香宅〜
一歩一歩市井に近づく平家先生を遮るため、間に割って入るごま四郎。
ごま「平家先生ぇ!駄目ぇ!」
巨大に膨れ上がった妖気がごま四郎を襲う。
市井「ごま四郎!」
ごま「きゃあああ」
ごま四郎に駆け寄る市井。しかし妖気に当てられ崩れ落ちるごま四郎。
それでも歩みを止めない平家に訴えた。
市井「平……みっちゃん…もうやめようよ……」
ふと、平家が歩みと止める。妖魔に操られぬよう気力を振り絞り市井に訴える。
平家「市井ちゃん…いや沙耶香…う、うちごと斬るんや……
- 68 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月08日(火)16時28分13秒
- 市井「え?」
市井の厳しさが消えた。平家は続ける。
平家「わかったんや…今うちの中で操っとる妖魔が…カオを…おあみを……」
唇をかみしめながら市井が叫ぶ。
市井「そ、そんな、何言ってんだよ!」
そんな市井をたしなめるように平家はにこやかに口を開く。
平家「あ、アンタはごっちんには厳しいことヌかしとんのにそんな事言ってええんか……」
平家の台詞が市井の心に突き刺さる。
市井「わ、わかってる!わかってるけど……」
やりきれない気持ちが市井を襲う。自分が犠牲になることは少しも厭わななかった。
じかし自分がその選択を迫られるとは…
葛藤から逃れるため中澤を見つめる。
中澤「沙耶香!……自分で決めるんや」
市井「……」
平家「一人でやるっちゅうんは…こんな辛い決断せなあかんちゅうことや
…沙耶香、お願いや、うちを……斬るんや」
蹲るごま四郎が市井に哀願する。
ごま「市井ちゃぁん……駄目…やめて……」
市井「……ごめんね。」
市井はごま四郎と平家に呟いた。
平家「は、早くするんや……」
ごま「だめぇぇぇぇ!」
市井「覚悟ぉ!」
市井の「鞘火」が抜刀の音よりも速く平家を襲った。
- 69 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月08日(火)16時29分36秒
- おかしな感触が『鞘火』から伝わるのを感じ市井は平家に目を向ける。
市井「嘘…届いてない?」
平家の背中から漆黒の翼が刀から守るように覆いつくしていた。
翼は生き物とは思えない感触で『鞘火』を包み込んでいた。
ごま「な、なに?」
あまりの様子にごま四郎が恐怖の声を出す。
真っ赤に燃えるような目の平家が雄叫びをあげる。それは平家のものではなかった。
平家「ガ、ガァァ!!モはやコノ身体デモ構わン!!総てヲ滅してクレル!!」
身を守っていた翼が跳ね上がり市井を襲う。
市井「がふっ!」
吹き飛ぶ市井。壁に叩きつけられ動かなくなったその姿を確認し平家が笑う。
ごま「市井ちゃぁん!」
市井を気遣うごま四郎に平家が向き直る。
平家「次ハ貴様ダ……」
ごま「あ、あぁ……」
恐怖で硬直するごま四郎。
- 70 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月08日(火)16時31分19秒
- 夏師匠「あ〜あ、完璧にのっとられたようだね」
お亜依「お、うちら自由になっとるやん!」
中澤 「ウチ、出た方がいいでしょうかね?センセ」(怒
のの太郎「ほんとれす!きがつかったのれす!」
夏師匠「これくらいでヤられるような軟な鍛え方してないよ。黙ってみてなよ」
お亜依「狛犬やられてもうたからなぁ、ほんま使えんやっちゃなぁ!」
中澤 「センセがそうおっしゃるならええんですけどね……」プルプル
お圭 「ちょっと、あんた達!そんな事言うならやってみなさいよ!
みっちゃん本気で強いんだからね!」
お亜依「知らんわ、そんなん」
のの太郎「おばちゃんももうとしれすからねぇ」
中澤「あんたら緊張感そぐんやないわぁ!」
亜依・のの・圭「「「わぁ〜、おばちゃんが怒ったぁ!」」」
夏師匠「あんたら、あいかわらずだねぇ……」
呑気に観戦モードの一同……
- 71 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月10日(木)04時39分39秒
- ごま「きゃあ!」
蹲った背中に容赦なく拳を打ち下ろす平家。
平家「ドウしタ……中澤は耐エタぞ。フフフ」
もはや妖魔の化身と化した平家は邪悪な笑みでごま四郎に笑いかける。
ごま「あ、あぁぁ……」
激痛と恐怖がごま四郎の剣技を鈍らせた。
かろうじて立ち上がり構えをとるが平家は物怖じもせずにごま四郎を見つめた。
平家「フン!」
平家の口元がわずかに上がると同時に、
背中の翼が触手に変し後藤めがけて一直線に襲い掛かった。
ぐぼっと鈍い声がごま四郎から洩れる。
そのまま吹飛び石灯籠に叩きつけられるごま四郎。
ごま四郎「ぐはぁ……」
それでも刀で身体を支えながらゆっくりと起き上がるごま四郎。
平家「フフ、まダ耐えルノカ」
なにもごま四郎は手も足も出ないわけでは無い。
たとえ相手が平家であってもなんとかしようという気持ちはあった。
無抵抗なのには理由がある。
そう、平家の死角で気を溜める市井の姿を察した故での賭けでもあった。
市井(気は溜まった。いくよ、プッチ流剣術奥義 血夜骨斗羅武 弐の太刀…)
- 72 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月10日(木)04時41分14秒
- 市井「せいやぁ!」
市井の身体が金色に輝き『鞘火』が震えた。
平家「甘イ!」
平家は市井に気がついていた。
気の放出するその瞬間に合わせ触手が市井めがけ伸びる。
市井「うわぁぁ!」
どじゅっという嫌な音が辺りに漏れる。触手に貫かれる市井。
平家「フフフ……ソウカ、一番弟子が先二逝クノハ辛いか。
ナラバ貴様かラ地獄に送っテクれるワ」
平家がニヤリと笑う。『月斗』を抜き軽く2,3回振る。
平家「剣士ノ最後ラしく刀の錆にシテやるワ」
平家は構えとり触手を収めた。その瞬間市井の姿が消えた。
平家「!!」
触手と共に市井は平家の後ろに回りこんでいた。
筋肉で触手を締め付けバックをとった市井が平家を羽交い絞めにとり叫ぶ。
市井「ご、ごま四郎今だ!あたしごとみっちゃんを!!」
平家「き、貴様、死ヌ気カァ!」
市井の溜めた気が平家の妖魔力を押さえつける。
市井「残念だったね…『血夜骨斗羅武 弐の太刀』は
妖魔専用の技なんだよ…あたしは無傷さ!」
しかしごま四郎は構えを取らなかった。市井の顔が曇る。
市井「どうしたんだよ!早く弐の太刀を!」
とりみだしたようにごま四郎が叫ぶ。
ごま「市井ちゃんの嘘つきっ!前に自分の身体に妖魔とりつかせてたじゃん!
もうぼろぼろじゃん!そんな身体で技を受けたらたとえ『弐の太刀』といえど
氏んじゃうよぉ!」
市井「最後のチャンスなんだ!そんなこと言うんじゃない!
これはみっちゃんを救う為あたしが決めたことなんだ。後藤、お願いだから!」
自分の叫びを否定しない市井が、『後藤』と呼びかける市井が、
ごま四郎の中で大きく膨らんでいた。
ごま「嫌!そんなの出来ないよ…なっちだって言ってた。あたしも誰も、誰も傷つけたくない!」
ごま四郎の一途な叫びを持て余すように市井が叫ぶ
市井「なに甘えたことを言ってんだよ!早く!あたしごとっ!」
- 73 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月10日(木)04時42分24秒
- 二人のぶつかり合いに割って入ってくる声があった。
中澤「別に甘えじゃないで……」
ごま「え?」
市井「!?」
それは静かでありながら、二人の心にしみわたるような声であった。
夏師匠「そうだよ、市井。
誰も傷つけたくない、守りたい、救いたい、その思いが大事なんだ」
夏師匠が続く。
市井「師匠…」
明日香「そうやってあたしらは強くなったんじゃないの。
そしてそれは今は道は違えど、多いに役立ってる筈よ」
ごま「明日香ちゃん…」
中澤「沙耶香、総てをしょいこむんやない、
あんたにはあんたしか出来ないことをやり抜けばええんや」
和やかな空気が広がりかけた時、市井が現在の状況を思い出し激しく頭を振る。
市井「みんなこんな状況で何言ってるのよ!」
市井につられごま四郎も我に返る。
ごま「そうだよ!市井ちゃんが、平家先生が!」
ふたりを、やれやれという目で見据える3人。
その目はこの状況をひっくり返す存在を確信していた。
- 74 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月10日(木)04時44分02秒
- ドクン
夏師匠「やれやれ……まったくいつまで寝惚けるつもりだい……」
ドクン
明日香「いい加減、目を覚ましてなんとかしなさいよ……」
ドクン
中澤「ほんまになぁ……なんとかせんかい!吉澤ぁぁ!!」
ガバァ!!
中澤の声と共に布団が跳ね上がる。
その布団が再び床に落ちる前に吉澤が市井の前に立っていた。
平家「速イッ!」
吉澤「市井さん、すいません!」
羽交い絞めに入ってる市井を力任せに剥ぎ取る
市井「ちょ、ちょっとぉ…きゃあ!」
そのまま後藤に放り投げられる市井。
ごま「よっと、ナイス、ヨッスィ!」
市井を抱き上げ明日香のの方に駆け出すごま四郎。
その姿を横目で見ながら声をかける吉澤。
吉澤「まきちゃん!…3分!それ以上は一人じゃ無理!」
ごま「オッケイ!圭ちゃぁん、準備は!早くぅ!明日香ちゃん、市井ちゃんをお願い!」
平家「礼をイウ…ヤット動けるヨウニナレタワ」
妖力を市井に中和されていた平家が身体をゆすりながら吉澤の睨む。
その視線をものともせず吉澤が吼えた。
吉澤「言ってなさい…すぐに冥府に返してあげるわ!」
- 75 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月10日(木)04時45分43秒
- ドサッ
お梨華「きゃあ!あ、あれ?そっかひとみちゃんが返ってきてから寝ちゃってたんだぁ…」
布団が落ちてきて目覚めたお梨華。
夏師匠「こっちも起きたみたいだね」
お梨華「朝ですかぁ〜朝ご飯の用意しなくっちゃぁ…」
中澤 「一生寝てて欲しかったんやけどなぁ…」
お梨華「きゃあ!なんで平家先生とひとみちゃんが戦ってるんですか!
なんで市井さん血だらけなんですか!
なんでごま四郎さん傷だらけなんですか!
なんでののちゃん、亜依ちゃんに縛り痕が残ってんですか!
なんで保田さんは放置されてるんですか!
安倍さん、飯田さん、矢口さんはどこにいるんですか!
あさみちゃんはりんねさんをつれて返ってこれるんですか!
それかそれから……」
のの 「ほんとにねてたんれすかこのあま」
中澤 「あ〜、お梨華。後で説明したるからおとなしくしとってな」
お梨華「あ、中澤さんいいとものモノマネよかったですよぉ」
中澤 「うっきぃ〜〜!」
お亜依「知らんほうがええことばっか覚えてんやな…」
- 76 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)00時25分39秒
- お江戸・某所―――天気、雨
ユウキ「大女達はおあみを追ってるし、真希ちゃん達は平家先生を助けようとし
てる・・・。くそっ!俺はどうしたらいいんだ!!和田屋からもソニン
からも逃げ出してこんな所でぐずぐずしてる・・・。平家先生を助けた
い・・・でもこんな俺が行ってもどうにもなんないだろうし・・・ちく
しょー!!俺は何やってんだよ!!!」
やり場のない怒りに耐え切れず、その場にうずくまるユウキ
お江戸・和田屋―――
ソニン「・・・ユウキ、どこ行っちゃったんだろ・・・」
和田屋「今の俺たちには待つしかできない・・・な?」
ソニン「・・・はい」
かなりリアルなピンチに陥っている優跳組
- 77 名前:( `.∀´)ダメよ 投稿日:( `.∀´)ダメよ
- ( `.∀´)ダメよ
- 78 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時21分45秒
- 走り去る後藤を庇うように吉澤は平家に飛び掛った。
吉澤「せいやぁ!」
シュシュシュッ
平家の背中の触手が分裂し、まとめて吉澤に踊りかかる。
吉澤「なんとぉ!」
吉澤の姿が一瞬かすむ。
触手は残像を襲うばかりで捕らえることが出来ない。
平家の目の前で残像が重なった刹那、強烈なアッパーが平家を襲った
ガキィ!
石を叩きつけた様な音が響いた。
それは吉澤の拳と『月斗』の鞘が起した音であった。
平家「詰めガ甘カッたナ」
吉澤を捕らえきれないと判断した瞬間妖力でガードを固めた平家。
平家「フフフ…カワスか、どうヤラオ前ヲ甘く見てイタヨウダ」
言葉を終えると同時に平家の顔がブレてみえた。
ゴッ
平家のヘッドバットが吉澤にヒットする。前のめりに崩れ落ちる吉澤。
吉澤「ぐぅ!」
平家が手にした『月斗』を逆手に持ち替え、へたり込む吉澤に突き下ろした。
吉澤「だぁ!」
地に附いた両腕に力を込め、跳ね起きる吉澤。
地に刀を突きたてた無防備な状態の平家に裏拳を叩き込む。
平家「ゴぉ!」
- 79 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時22分55秒
- ごま四郎に抱きかかえられながら市井が声を出す。
市井 「あ、明日香。お願い。し、止血だけでいいから。動けるようにして。
このままじゃ、吉澤がやられちゃう……」
明日香「……」
明日香がちらっとごま四郎に顔を向けた。
ごま 「市井ちゃんの馬鹿!」
市井「後藤……」
後藤の叱咤に市井は声を失った。
ごま 「なんで、いつもなんでそうなの?そんなにあたし達って頼り無いの?」
市井を見下ろすごま四郎。市井の頬がごま四郎の涙で濡れた。
そんなごま四郎に観念したのか、市井は自分の胸の中を後藤につげた。
市井 「…あたしはみんなを守りたい!あんた達がまだひよっこだから…
傷つく姿を見たくないんだよ……誰も、誰も……氏んでほしくない……
あの時のかおりみたいに……」
最後は涙声で聞きとれなかった。だがその声はその場の全員が市井の心中を悟った。
ごま 「いちーちゃぁん……」
市井 「……」
どうかえせばよいのか判らず名前を呼ぶしかできないごま四郎。
想いが交錯し、どうしようもなくなったその時、
場を収めることができるのは一人しかいなかった。
お圭 「さ・や・かぁ♪大丈夫だよ」
市井 「圭ちゃん……」
にっこりと微笑みかけるお圭に、涙でくしゃくしゃになった市井がようやく声を出した。
お圭 「だいたいさぁ、人の心配ばっかりしてるのあんたらしくないんだよねぇ。
あんたは自分の事だけ考えてりゃいいの」
市井 「でも……」
お圭 「あたしや、矢口が信用ならない?」
聞き分けのない子供に言ってきかせるようにお圭は市井の頭をかるくこずいた。
市井 「ううん」
頭を振って応える市井。それは滅多に見せる事のない表情であった。
再びにっこりと笑いかけて、お圭が立ち上がる。
ぴんっと縄の強度を確認し、腰の十手を握る。
そして死闘を繰り広げている吉澤に目を向ける。
お圭 「後藤。さぁ、吉澤の加勢にいくよ!」
全てを吐き出し受け入れたごま四郎。明日香に市井を托しお圭に続く。
ごま 「うん!」
二つの風が駆け抜けていった。
- 80 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時23分57秒
- 二人を目で追いながら、市井は中澤に問いかける。
市井 「裕ちゃん……もうあたしって必要ないのかな?」
中澤 「そんなわけあるかい。
ただな、人は変わっていくもんや。あの二人今はそんな時期なんかもしれんな」
市井 「なんか寂しいな……」
夏師匠「それでもね、変わらないモノはあるんだよ…思い出、気持ち、意思…
あんたのそれはみんなに伝わっているさ」
市井 「師匠…」
明日香「安心なさい、沙耶香」
市井 「明日香ぁ……」(涙
今までぎすぎすとしていた氷の山が溶けていくのを市井は感じとっていた。
- 81 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時24分47秒
- ヒュンヒュンヒュン
触手が吉澤を襲う。吉澤の残像が一つまた一つと消えてゆく。
平家「ナントか追いツケルヨウにナッたカ」
ヒュンッ
吉澤「しまった、かわせない!……けどっ!」
ガシィ
触手をかわせないと判断し腕と脇で挟み止める。
ぎりぎりと力を込めるが、次の攻撃が来る前に吉澤は動かねばならない。
吉澤「ちぃ、あたし一人じゃやっぱり駄目みたい。
……どぉせ一回禁を破ったちゃったし!あれつかわせて貰おうっと!」
吉澤の体がうっすらと輝き始める。気の高まりが平家の思考を僅かにストップさせた。
平家「な、ナンだ?」
吉澤「はぁぁ!いくよ!『青春慈醍』!!」
猛烈な勢いで吉澤が間合いを詰めた。
吉澤(足止めくらいなら出来るだろうけど、あたしもやられるだろうな……
だけど、みんながいてくれる、大丈夫!
……ごめんね、お梨華。そして…まきちゃん)
氏を賭した吉澤に一片の惑いはない。
それに呼応するかのように吉澤の拳が輝いた。
- 82 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時26分25秒
- 駆け寄るごま四郎が吉澤吉澤の変化を読み取った。
ごま「圭ちゃん!ヨッスィが!」
吉澤の技は二人が体得していたそれであることを瞬時に読み取ったお圭。
お圭「あれは…後藤!吉澤に合わせるよ!」
ごま「うん!」
風が吉澤へと続く
- 83 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時27分26秒
- 吉澤「壱の激ぃぃ!」
鉄拳を平家の左胸めがけて打ち込む。
パワー、スピード、これ以上無い程の勢いで…
ガシィ
しかし平家に左手で拳を受け止めていた。
平家「ふ、コイツの身体でなければ反応デキナカッタ。シネェ!!」
拳を捕られ吉澤は動けない。がら空きになった喉笛に『月斗』を突きいれようと振りかぶる。
シュルルルル
平家「!!」
右手に絡みつく捕り縄。平家が目線を変える。
お圭「『青春慈醍』弐の縛!」
バババッ
縄伝いにお圭の気が平家の体を突きぬける。
平家「グゥゥ!味な真似ヲ!ダガ…」
体勢を整え、吉澤を放り投げる。
平家「繋がっている以上貴様は標的ダ!」
取り縄がぴんと張ったかと思うと地面に落ちた。
疾風の如く平家が間合いを詰めた。
お圭「ふっ」
お圭が僅かな笑みを浮かべ平家の視界から消えた。
平家「!?」
背中を丸め屈み込んだお圭を踏み台にしてごま四郎が宙に舞った。
ごま 「『青春慈醍』参の斬!」
片手に持った刀を平家のわき腹目掛けてなぎ払った。
平家「ガハァ!」
ミシッと肋骨が音を上げて吹飛ぶ。
ごま「みねうちだよ……」
刀をしまいながら後藤が平家を睨む。
平家「が、ガァァ!」
よろよろと起き上がり雄叫びをあげる平家。
後藤「しつこい!いいかげん平家先生の体あきらめなさいよ!
あたし……怒っちゃってんだからね!」
みるみるうちに金色に輝きだすごま四郎。
それは市井の姿と被ってみえる。
吉澤「あ、まきちゃん……」
お圭「後藤……」
その姿に驚く一同。しかしごま四郎の変化はそれだけには留まらなかった。
- 84 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時29分03秒
- パシューーン
金色の輝きが天に向かって上る。
市井「あれは……弐の太刀の気と違う……」
きらきらと天から金色の花びらが舞う。
ごま四郎がゆっくり顔を上げる。
花びらがゆっくりごま四郎の周りを舞い始めた。
夏師匠「人にはそれぞれ合った気があるのさ。
ふむ、どうやらあれがあの娘のベストの状態みだいだね」
ごま四郎が刀を抜くと花びらが刀身に集中する。
金色に輝く刀を上段に構えごま四郎が吼えた。
ごま「やぁぁ!冥府でもどこでもいっちゃえ〜!」
刀を振り下ろすと金色の衝撃波が平家を襲った。
平家「ガァァァ!」
ごま「馬っっ鹿野郎ぉぉぉ!」
平家の体より闇が天を目掛け駆け上った……
@
- 85 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時30分17秒
- 全てを見取った市井。
市井「あれが後藤のちから……
そっか、『血夜骨斗羅武』もあいつには通過点だったんだ……」
夏師匠「そうだよ。もちろん今のだって通過点にすぎないさ」
市井「そっか……かなわないな……」
後藤の成長、素質への素直な言葉が市井から漏れた。
夏師匠「あんたにとってもね」
市井「え?」
夏師匠「あんたはあれで終わるつもりなのかい?そうじゃないだろ」
市井「……はい!見ていてください、これからのあたしを!」
市井の顔が明るくかがやく。
市井「お〜い!吉澤ぁ!」
市井「後はたのむよ!」
- 86 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月12日(土)18時31分38秒
- 中澤 「沙耶香のやつ、昔の顔にやっともどったな」
明日香「緊張感くらいの方がいいんだけどなぁ」
中澤 「あんたわ!生意気やなぁ!このこの!」
明日香「きゃぁ〜!(笑)」
のの 「ふ〜、めでたしめでたしなのれす」
お亜依「大団円やなぁ〜」
お梨華「……」
夏師匠「ん?どうしたんだい、お梨華」
お梨華「……あのですね」
全員 「ふむ」
お梨華「ひとみちゃんはなんでごま四郎さんを『まきちゃん』て呼ぶんでしょう?」
全員 「……」
- 87 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月14日(月)22時01分53秒
- 平家先生「あたたた…ムッチャしよるで」
むっくりと起き上がる平家先生
ごま四郎「平家先生!」
平家にとびつくごま四郎
平家先生「ごっちん、ようやったな。ちゃんとみとったで」
頭をそっと撫でる平家先生
ごま四郎「平家先生、平家先生……」ぎゅう〜〜〜
今まで、抱きつけなかっただけに抱きつく腕に力がはいるごま四郎。
平家先生「こらこら、やめんかい(笑)」
ぎゅうぅぅ〜〜〜〜
平家先生「ぐはぁぁぁ!」
すっかりこの展開を忘れていた平家先生。
- 88 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月14日(月)22時02分33秒
- ごま四郎「やだ!平家先生、しっかりして!妖魔に取り付かれてた後遺症なの?」
平家先生「い、いや……違う……」
ごま四郎「しっかり!しっかりして!」
びびびびびびびび
平家先生(あかん、氏んでまう……)
例の往復ビンタをくらいながらようやく自分の立場を思い出した平家先生。
- 89 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月16日(水)07時28分46秒
- =江戸城 座敷牢=
「ふわぁ〜、腹減ったなぁ〜。はぁ、まためざしかい。たまにはええモンだせちゅうねん。」
相変わらずマターリの寺田津久の守
がつがつ ずずず
「味噌汁も冷めとるしなぁ。」
鉄格子に背を向け食事を続ける
「ぷはぁ!くったくった。…でなんか用でもあるんか?」
振り返りもせずつんくが言葉を発した。
「気付いていると思ったよ。」
「珍しいお客さんやで。俺を笑いにきたんか?虎無徹よ。」
- 90 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月16日(水)07時30分11秒
- 「シー……あんたがこないなとこに顔出すっちゅうくらいや、また悪巧みか?」
爪楊枝で食べかすをとりながら喋る姿には礼儀もへったくれも無かった。
「人聞きの悪いこと言わないでくれるかい、僕は君の『妄忍愚娘。』に負けない者を育てたい。
それだけの男だよ。」
「そんで用無しになったらサヨナラかい。結構なことで。」
つんくの気を真っ向から受けようとも虎無徹の態度は変わらなかった。
「はは、そう言われると返す言葉もない。」
頭を掻きながら答える虎無徹。
「僕はチャンスを与えている、それを生かせなかったら、それは本人の責任さ。」
「一回や二回でなんが判るっちゅんや。こればっかは意見の相違やな……」
- 91 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月16日(水)07時31分29秒
- 背中を向けて喋る無礼な男に両手を上げて虎無徹が応える。
「おっと、君とやり合う気なんてさらさらないよ。今日は君に報告にきたんだ。」
「なんや?負け続けたんで都落ちでもするんか?」
つんくが嫌味たらしく茶々を入れた。
「御名答!よくわかったね。」
「な……」
今までの諸行を思えば意外な答えが返ってきて、つんくは虎無徹に体を向けた。
「ははは……君がそんな顔してくれるとはね。ま、旅でもしながら次の金の卵を探すさ。
僕自身も変わりたいしね。」
そして虎無徹の眼が一瞬輝きつんくを襲う。
「それまで、君はその位置をキープしといてくれよ。」
虎無徹に眼光をモノともせず今度はつんくが軽く応た。
「そんなん知らんわ、こんなモン維持したい思ってもな、世の中に切り捨てられりゃ
後は落ちぶれるだけや。」
「それもそうだね……おっとそれじゃ僕はもういくよ。」
虎無徹が振り返り扉を潜る、つんくは最後に呼びかけた。
「おい!」
「なんだい?」
「生水にゃ気ぃ付けてな…」
「ああ、わかったよ。」
- 92 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月16日(水)07時32分23秒
- =座敷牢=
ガッシャーーん
虎無徹が去った後、二人の剣士の気に耐え切ることが出来なかった鉄格子が崩れる。
「ぷっはぁ〜!なんちゅうプレッシャーや。なにが都落ちなもんかい、対抗意識全快やんけ。」
「まぁ、そうでなくっちゃおもろうないな。ひさしぶりにこっちも動くか。
アホが長屋の新しい店子募集するとか言うとったし……」
「俺も乗ったるか。」
つんくはゆっくりと牢から踏み出した。
- 93 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月16日(水)07時33分30秒
- =江戸城 廊下=
壁に寄りかかり汗が滝のように噴出す虎無徹
「はぁ〜……僕より年下だっていうのになんて気をぶつけてくるんだ…」
「使い捨てか…ふふふ、そればっかりって事もないんだぜ、つんくよ。」
「さーて、それじゃとりあえず、」
「西に下ってみるか、大阪あたりまで……」
- 94 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月17日(木)19時53分21秒
- 〜明日香邸〜
中澤「一件落着ですな、センセ」
夏師匠「なにはともあれたいした怪我人がでなくてよかったねぇ」
平家「あぐぐぐぅぅ……涙」
涙目で首を振るが相手にされない平家先生
明日香「ほんと強力な妖魔だったけどごま四郎ががんばってくれたしね。」
市井「まったくたいした奴だよ。あんなバケモノ封印しちゃうんだから」
明日香「ホントねぇ……え?」
一瞬その場が固まった。
市井「あ!封印してねぇ!」
- 95 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月17日(木)19時54分25秒
- 平家が落ちた一帯から異様な空気が漂う。
それが妖魔の残りカスである事に気付くのにさほど時間要らなかった。
中澤「ごっちん!その場から離れるんや!」
ごま「きゃあ!平家せんせぇ!怖いよぉ!」ぎゅ〜…メキメキメキ
平家「ぐっはぁ!」
トドメをくらう平家先生
妖気が凝縮始めた。漆黒の塊が生き物のように蠢いている。
それは自分をこのような姿にしたごま四郎を敏感に察知した。
シュシュシュシュッ
闇が凝縮し触手を形作りごま四郎を襲う。
ごま「きゃあ!もう駄目!」
ごま四郎の体が恐怖で硬直する。
ゴキゴキゴキッ!
平家「かはぁ……」
既に声すらも出ない平家先生。
- 96 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月17日(木)19時55分29秒
- スパッッ……ボタボタボタ
空を切る音が起こり、触手が地に落ちた。
???「ちょっと……もう少し気を配りなさいよ。天下の『妄忍愚娘』の名が泣くわよ」
ごま「あ……」
息も絶え絶えの平家が声をあげた。
平家「お、おあみかい……」
おあみ「今更こんな事言えた義理じゃないけどね。助太刀にきたわよ。」
- 97 名前:黒い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月17日(木)21時24分26秒
- 〜明日香邸玄関〜
安倍「あ〜なんとか間に合ったべさ」
明日香「なっち!そっちは済んだの?」
安倍「見ての通りだべさ」
中澤「そっかそっか。こっちももう終わるトコや。茶でも用意するわ」
すると今度は塀の上から声が響いた
矢口「おーい、お〜〜い!」
市井「あ……やぐち」
矢口「ただいま〜!なっちヒドイよぉ!おいて帰っちゃうんだもん!」
安倍「あはは、ごめんごめん」
矢口に続いてお彩が塀をよじのぼって声をあげる。
お彩「お〜い、ただ今もどりましたぁ〜」
明日香「おかえり〜…ねぇカオは?」
飯田「いるよ〜、壁上れないんだよ。やぐちぃあやっぺぇ、手伝ってよぉ!」
塀の壁をすりぬけて飯田登場
矢口・お彩「「わっ、カオ!身体、からだ!すりぬけてる、すりぬけてるって!」」
明日香邸だよ全員集合!
- 98 名前:忘れられてる登場人物(W 投稿日:2002年01月17日(木)22時36分35秒
- −団子屋−
あさみ「りんねちゃん・・・」
りんね「何?」
あさみ「あたしたち、何で戦ってたんだっけ」
りんね「・・・忘れちゃった」
あさみ「そうだよね。忘れちゃったよね」
りんね「これ終わったら、久しぶりに蝦夷に帰ろうか。」
あさみ「いいねえ。お城は?」
りんね「なんか、もういい。もういかなくてもいいような気がするの」
主人「しっかり洗えよ!!」
二人「は〜〜〜い・・・」
決着がつかず、結局皿洗いさせられていた隠密の二人
- 99 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月19日(土)16時29分47秒
- おあみ「平家先生……」
平家先生「うぅぅ」
おあみ「いいのよ、しゃべらないで……」
平家先生「…」
平家の手をとり、おあみが静かに喋りかける。
おあみ「ヒドイ怪我ね。…ごめんねあたしの所為で……」
平家先生 プルプルプル!(違う!これはごっちんが……)
激しく首を振る平家先生
- 100 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月19日(土)16時30分59秒
- おあみ「ありがと、気遣ってくれて…
本当はあたしが救うべきだったのに……ぐすっ……ごま四郎、ありがと」
ごま四郎「いやぁ、えはは……」
おあみのひとすじの涙に、ただ笑って応えるごま四郎
おあみ「平家先生をよろしくね…」
ごま四郎「きゃ〜!いやだっ!なに言ってんだよぉ」 ぎゅっ、メキ!
平家先生 プルプルプル!(いやぁ!いやぁ!)
おあみ「くす、照れちゃって…」
おあみ「あいつはあたしが生み出した闇。落とし前はあたしがつけるわ。
あなた達、手出しは無用よ」
盛り上がってるぞ、おあみ!そして平家先生の運命は!(お気の毒様……)
- 101 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月19日(土)23時07分36秒
- おあみ「早く平家先生を!」
ごま「うん!」
おあみに言われるまでも無くごま四郎は平家を明日香の元へ抱きかかえて跳んだ。
ごま「明日香ちゃん、平家先生を早く診て!」
明日香「ちょっとまってよ、沙耶香の傷がちょっと手間取りそうなんだから」
ごま「早くしてよぉ!平家先生が氏んじゃうよ!」ぶんぶんぶん
ごま四郎に振り回される平家先生
平家(いや、あんたさえおとなしくしてくれたらええねん……泣)
市井(ううぅ、ごま四郎…あたしも傷ついてんだから心配してよぉ……泣)
ヒドイ奴だな、ごま四郎……
- 102 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月19日(土)23時09分23秒
- 明日香「う〜ん、こっちはもう少しかかりそうだから…そうだ!夏師匠にお願いして」
ごま「え?師匠に?」
夏師匠「おや、ごま四郎その反応は酷いんじゃないかい?」
明日香「そうだよ、あたしの医術も師匠仕込みなんだから」
ごま「へぇ〜そうなんだぁ、じゃあ、師匠おねがいします」
夏師匠「久しぶりの治療だけどまかせときな、死人だって行きかえらせてやるよ(笑」
平家「……(脂汗」
ごま「えははぁ、縁起悪いこと言わないでよぉ。じゃあ、お願いします、師匠」
夏師匠に抱きかかえられる平家先生
平家(なにはともあれ助かったわ……)
明日香「ちょっと、あたしより荒っぽいけどね……」(小声)
ゴキッ!ボキッ!ギギギギ!
平家「ひぎゃあああぁぁぁあぁ!」
平家先生の断末魔が響く明日香邸
- 103 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月24日(木)00時27分55秒
- ごま四郎が去ったのを確認しておあみが黒い塊に目を向けた。
おあみ「あたしが生み出した闇とは言え……見苦しいわよ」
ぽつりと呟き前に歩き出す。
シュシュシュッ!
自分への攻撃の意志を感じ取り、妖魔が攻撃を穿つ。
おあみ「無駄よ、生みの親を滅することは出来ない。そうでしょ?」
触手の攻撃はおあみをかすめる程度で致命傷を与えることは無かった。
自分を生み出したおあみへ致命傷を与える事は
自ら消滅の道を歩む……既に思考の欠片もない妖魔は本能でそれを察知していた。
おあみ「折れた『弥求邪富』でもあんたを成仏させる事位できる。
これがあたしにできるせめてもの償いよ」
塊の前で立ち止まり、おあみが構える。
おあみ「はぁぁ…せいやぁ!!」
ためらい無く『弥求邪富』を突き入れた。
キーーン……ドジュッ
おあみ「う……嘘……」
おあみの顔が蒼白になったのは『弥求邪富』が砕け散ったことでも、
触手に貫かれたことでもなかった。
おあみ「ゴメン、安倍……決着……無理みたい」
おあみ「そっか……独りじゃ寂しいか……あたしも一緒に逝くよ……」
- 104 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月24日(木)00時29分14秒
- 市井「じゃない!」
市井がおあみに叫んだ。
市井「おあみ!そいつは成仏する気なんかないよ!あんたの身体が目当てなのさ!」
おあみ「!!」
市井の声でおあみの眼が変わった。
おあみ「往生際悪い……」
ごんごんと唸るような音をあげ妖魔がおあみの身体と同化を始めた。
保田「ごま四郎!」
ごま四郎「ヨッスィ、いくよ!」
吉澤「うん!」
矢口「あんにゃろ〜!」
飯田「おあみちゃんをたすけるぞぉ!」
全員がとびかかろうとした刹那、
「大丈夫……」
優しい声が頭に響いた。
- 105 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月26日(土)23時33分27秒
- 〜三途の川岸〜
おあみ「ここは……そっか、あたし死んじゃったのか」
いつになく穏やかな気持ちでいることが不思議であった。
おあみ「最後の最後でおいしいトコ取れたし……まいっか」
もう思い残す事は無いとおあみはゆっくりと船頭の待つ渡し舟に向かおうとした。
その時
「嘘ツキ」
背後よりの声で振り向くおあみ。
おあみ「あ、あんたは…」
そこには自分の半分程の背丈の少女が上目づかいに睨んでいた。
その声がなければ立ち止まることも無かった。何も思い残す事は無かった
「嘘ツキ」
弁解するように声を張り上げるおあみ。
おあみ「な、なによ!あたしはやれる事はやったわよ!
それで届かなかったのよ!しかたないじゃない!」
「……嘘ツキ」
幼い自分が目を潤ませて訴えかける。
その事態におあみは観念したのか、頭を掻きながら応えた。
おあみ「…………わかったわよ!あんたと融合しろってんでしょ!」
「それはイヤ」
おあみ「な……」
あどけない少女に冷たく言い放たれ言葉を失うおあみ。
- 106 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月26日(土)23時34分48秒
- 「あなたは弱すぎるよ。そんな人と一緒になってもわたしが迷惑よ」
おあみ「なんですって!」
「期待してたけど無駄だったみたい、あなたはあの頃が全盛期だったようね」
おあみ「言わせてておけば……」
「何?何か間違った事でも言った?」
おあみ「今あんたが言ったことは否定はしないよ。あの頃が一番乗っていた事はね。
でもね、その後あたしがやってきた事を……否定される云われは無いんだよ!」
「いいわ、白黒ハッキリさせましょうよ」
おあみ「な……」
「あなたも自覚している全盛期のあたしよ。さぁ勝てる?」
少女が姿を変えた。そう安倍を打ち負かしたあの時の姿に……
- 107 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月26日(土)23時36分20秒
- いつの間にか二人のおあみは対峙していた。
辺りの景色が消え闇の中に立っていた。
上段に構える昔の自分。
その左手に切っ先を向け平青眼(中段)に構える今の自分。
静寂の中でおあみの意識が研ぎ澄まされてゆく
(これがあの頃のあたしか。自分で言うのも変だけど…大きく見える)
(胴ががら空き…でも……)
(動けない…動いたら負け……)
(圧倒的ね…でもね……)
(そんな、あたしに噛み付いてきた奴等がいたんだよ…)
(そいつらに出来てあたしが逃げ出したとあっちゃあ…おあみ様の名が廃るってもんだよ)
(いいわ…いらっしゃい。せめて一太刀いれてあげるわ…)
(きたぁ!)
昔の自分が渾身の力を持って脳天目掛けて振り下してくる。
普通ならば無防備な左手を払うのが常套手段なのだが
引き手が早く狙えない。おあみは紙一重の行動に出た。
刀が迫ってくる。
(目を瞑るなぁ!)
中段に構えた刀を振り上げ、眼前にある太刀を打ち落とす。
そしてそのまま自分目掛けて斬り落とした。
- 108 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月26日(土)23時37分09秒
- 「なんで止めたの?」
眼前で寸止めされた刀を見つめ昔の自分が問いかけてきた。
おあみ「あんただって言っただろ、あたしは弱いって。
今、あっちにいって妖魔に落とし前つけれるのは、あたしじゃなくってあんたなんだよ。
それにあんたの方が性格よさそうだ」
手にしていた刀を鞘に収める。すると刀が消え辺りも元の川岸へと戻った。
目の前には少女の自分がいる。
おあみ「じゃあ、よろしく頼むわよ」
自分に勝つことで、未練は無くなった。これで安心して舟に乗れる。
それがおあみの本心であった。
「イヤ」
おあみ「……ちょっと、いい加減してよ。あんた一体どうしたいのよ!」
いい加減子供、それも自分とはいえマジギレしてきたおあみ。
「強いよ!」
少女の自分が抱きついてくる。
おあみ「ちょ、ちょっと!」
その瞬間自分が透けていることに気がついた。
おあみ「!?まさか……」
「強いよ、わたし……大丈夫だよ、さぁ戻って」
おあみ「わぁ!でもあたしには得物がもうないのよ!」
「それは、まかせといて」
- 109 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月28日(月)23時11分42秒
- 〜明日香邸〜
おあみが意識を失っていることは誰の目にも見取れた。
しかし彼女は崩れることなく立っていた。
妖魔に穿たれた胸の傷が暗黒により塞がり始める。
おあみの身体ががくがくと震え始めた。
全員がそれ見つめていた。
一歩間違えれば巨大な敵の誕生を見届けることになる。
よしんばそうでなくても一人の剣士が氏ぬかもしれない。
それでも彼女等は動かなかった。
それは先程聞こえた声と
「いっちゃ駄目だべ」
「おあみちゃんは、まだ闘っているべ。その証拠にまだ刀を握ってるべさ」
安倍の声があればこその選択であった。
- 110 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月28日(月)23時12分38秒
- ぶるぶるとおあみの左手が動いた。
おあみ「フフフ・・・手間取らセやがッテ・・・」
先程平家の口から発せられた声がおあみの口から響く。
ゆっくりと左手を突き出し動作を確認するように指を一本一本動した。
おあみ「ゴマ四郎の技も覚エた・・・我はモウ無敵なり・・・」
安倍 「おあみちゃぁん!!」
安倍の叫びがこだまする。しかしおあみは邪悪な顔で応えた。
おあみ「ナンダ安倍?呼んダか?フフフ・・・グゥウ」
言葉が終ることなく苦しみだすおあみ。
安倍の顔が明るく輝いた。
安倍 「さっすがぁ」
おあみの体内から光が漏れる。一本、二本・・・無数の光を拳に込め自ら
左手を胸の傷口に押し込んだ。
おあみ「ぐぅぅぅ……」
もぞもぞとなにかを探すように指を動かす。指が動くたびに声が漏れる。
おあみ「はぁぁ……!」
そして妖魔の断片を捕まえたその時、おあみはいきおいよく引きずり出した。
おあみ「だぁ!」
左手でびちびち蠢く妖魔を見つめ呟く。
それは左手の肉塊にではなく自分に向けての言葉であった。
おあみ「せっかく戻ってきたけど、あたしに残されてる時間は短そうね」
傷口がそれを語っている。おびただしい流血。
妖力を失った自分にはそれをどうすることも出来ない。
その時光が現れた。
「そんなことないよ」
おあみ「!」
- 111 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月28日(月)23時14分07秒
- 光の中の少女を見つめるおあみ。
おあみ「あんた…」
「わたしも一緒に闘うよ」
光が二つに分れた
一つはおあみの傷口に
おあみ「!」
みるみる傷が治癒していく。傷痕すらも消えてゆく。
しかしおあみが驚いたのはもう一つの奇跡であった
おあみ「これは……」
右手に降りたもう一つの光。
砕け散り柄しか残っていない『弥求邪富』に宿った光がみるみるうちに
物質化してゆく。光が消えてゆく中、あどけない少女の声で最後のメッセージを残した。
「あなたが持つべき刀…『璃有帝』…さぁ、存分に使いなさい!」
おあみ「これがあたしの刀……それに力が漲ってる!」
左手の妖魔を上に放り投げ、右手を引き刃を支えるように左手を添えた。
落下する妖魔に狙いを定めおあみの突きが炸裂した。
おあみ「いくよ!奥義『十八萬無限大壱の型』!」
ザシャシャシャシャ!!
突き刺さる音よりも速く突き入れられる『璃有帝』
妖魔がそのまま自由落下で落ちてゆく。
しかしそれが地面に立つことは永遠に無かった。
おあみ「安倍!」
妖魔をそのまま、安倍に向かって蹴り上げるおあみ。
安倍 「まかすべさ!」
バシュウゥゥゥ……
安倍がすかさず印籠を取り出し封印する。
ここに全ての決着が付いた。
- 112 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月28日(月)23時15分06秒
- ☆☆一口コラム☆☆
奥義十八萬無限大壱の型
奥義「柄州嬰」の後、おあみが体得した最強奥義のひとつ。
多数の突きを繰り出し相手にダメージを与える。
名にある拾八は習得した時の年齢からとったもので
実際のところは十三回突きいれる技のようである。
尚、ただ突きを繰り返すだけでなく、一つ一つの太刀筋が異なっており
見極めるのは非常に困難。特に三つ目の突きにいたっては、
安倍代官を中心とした妄忍倶も一度は敗退した虎無徹直伝の太刀筋である。
民明書房刊 鈴木某著『みなさん毎日どうもありがとう』より
ちなみにおあみはその二ヵ月半後に弐の型を習得した。
だったら二ついっぺんに覚えろよ!
- 113 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年01月28日(月)23時16分15秒
- 安倍「終わったね、おあみちゃん」
全てが終わり駆け寄る安倍。しかしおあみの元にたどり着くことは出来なかった。
『璃有帝』を真っ直ぐ突き出し、全てを拒絶するかの声でおあみが声を出す。
おあみ「まだよ」
安倍 「……」
おあみ「妄忍倶娘……あんた達に今ここで試合を申し込む」
安倍 「ちょ、ちょっと」
中澤 「ほう……」
すべての過去を振り切った顔でおあみが中澤に申告する。
おあみ「場所と時間はあたしが指定した。
試合形式はそちらにおまかせするわ。別に全員でも構わないわよ」
- 114 名前:デス 投稿日:2002年10月11日(金)19時00分05秒
- うんちもれちゅう
- 115 名前:白い名無しビーム☆ 投稿日:2002年11月17日(日)22時16分28秒
- 中澤「・・・で、いつ、どこでやるんや!?」
険しい顔でおあみに訊ねる中澤。
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