8 心行くまま短編 。(リミックス)
- 1 名前:8 心行くまま短編 。(リミックス) 投稿日:2009/05/30(土) 11:13
- 8 心行くまま短編 。(リミックス)
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:14
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ふわふわとした、白い空間。
周りは何もなくて。
寒いとか、暑いとか。
そういうのも良く分からない。
くるり、まわってみる。
周りは同じ景色で、まわったんだかまわっていないんだか。
そもそも、自分の体があるのかすら。
ただ、意識がそこに浮遊してる感覚。
「・・・デジャブだ」
嫌な予感しかしない。
いつだったろうこの感覚。
今ならばすぐに分かる。
これは夢だ。
そして。
「ぁ〜〜〜〜〜〜〜・・・」
はるか後方から何やら雄叫びというか奇声が聞こえる。
だんだんと近づいてくる。
声。
と、気配。
「いやっほー!!皆さん、お・ま・た・せ♥おっと久々過ぎてハートマークの出し方不安だぞっ★」
「・・・出たよ」
本人には聞こえないくらいの呟きをうんざりと口の中でこぼす。
振り返らなくたって分かる。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:15
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「元気勇気桃色吐息!どーもーチャーミー石川でーすっ!!」
いっえーい!と物凄いテンションで、登場から自己紹介まで一気に駆け抜ける。ひとりで。
「ハイっ。と、いうわけでやって参りました、チャーミー石川プレゼンツ、あなたの夢を叶えまsyo」
「夢でしょ?」
「えっ・・・」
振り返り様に出端を挫く。
してやったりだ。
目に見えてきょどってる。
ごとーはたぶんこの人以上にこの人を知ってるんだ。
突発的出来事に弱い。
アドリブが利かない。
ちょっとでも突っ込めば、進行に支障をきたす。
(最近はそうでもないけど)
表情が、キャラクタの定まる前のあの頃を思い出させてちょっとかわいい。
「ごとー知ってる。これは夢で、梨華ちゃんはチャーミーで、そんでコスプレしてごとーを楽しませてくれるんでしょ?楽しくないけど。」
「うう相変わらずさらっとクールね真希ちゃんたら・・・」
胸元を押さえてよろめく。
リアクションに逃げるようになったのか。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:16
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「でも知ってる!それは真希ちゃんなりの照れ隠しだって!」
「・・・」
「知ってるの、ホントはチャーミーのこと大好きだって!」
「・・・」
「・・・うん!大丈夫!最近チャーミー分かってきた!無反応も反応なんだってこと!!」
なんたるポジティブシンキング。
ごとーの知らないところで進化してるらしい。
進化?退化?
「まぁいいや、今日はなに?もうコスプレはいいよ、おなかいっぱい。」
「・・・誤解のないように言っておくけれど真希ちゃん。前回のあれはコスプレではなくて、あくまで真希ちゃんの願望をね、」
「あんな願望ごとーにはないってば。」
前回。
そう、あれはごとーが娘。の楽屋に忍び込んで昼寝してるとき。
この人は唐突に夢の中に現れて、ごとーの願望を叶えると言う名目で好き勝手にコスプレを始めたのだ。
セーラー、ナースと言う王道から、果てはウサ耳と言う変態チックなものまで。
別にごとーには梨華ちゃんを、ましてチャーミー石川さんを着せ替えたい願望など無いのに。
その後、自分の絶叫で目覚めたごとーを待っていたのは、娘。メンのからかいの嵐だった。
「まあ確かにあれはチャーミーの趣味8割だったかもしれないわ。」
「やっぱりか。つか10割だろ」
「いや、2割は確実に真希ちゃんの願望だったけどでも大半チャーミーが楽しんだ感は否めない。反省した!」
無理矢理次につなげる力技トーク。
嫌な予感再び。
「いやいや反省しなくっていいからもう帰って下さい・・・」
「そういうわけには参りませんお客様は神様です!というわけでいきましょう!」
「やだやだやだ客じゃないし大人しく寝かせとい」
「あの頃キミは若かった!レッツリメイク!カムバック文麿様!『ハロモニバスくるリターンズ』!!」
「はぁ?・・・何それなんか意味あるの?」
「はいポーン!」
掛け声と共に「ぽわん」と間抜けな音がして、気付けばごとーは。
ごとーは学ラン姿だ。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:16
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「・・・ええ〜・・・」
「真希ちゃんさすが男前だわ・・・相変わらずの美少年ぶりだわ。川端とか太宰とか絶対似合うわ・・・」
「もうさぁ、どうでもいいけど何で文麿展開なの・・・?」
抵抗することに疲労感を覚え始める。
こうなると、もうこの人には逆らえないのは経験で知ってる。
マシンガントークが返ってくるかと身構えれば、チャーミーさんは意外と寂しそうに笑っただけだった。
「はいポーン!!」
で、もういっかい呪文(?)を唱えると、今度はチャーミーさんが制服姿にチェンジ。
・・・
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・ごめんなさい、さすがにここは何かコメントをちょうだい真希ちゃん」
「いやぁ、まぁ可愛いけど・・・」
「やっぱり良いわ、その先の言葉が私には分かる。」
あ、フライング。
「・・・っしょうがないじゃない!だってチャーミーも年はとるの!自然の摂理!!」
「なにも言ってないよ・・・」
「目が言ってる!年増の制服なんか見たくないって!その目が!文麿様の目がぁぁ!!」
わぁぁあんと泣き出すチャーミーさん。
いいように流されてる気がする。
だけど展開的にもう一歩、押しが足らない。
梨華ちゃんとはまた違う、甲高い声を想像した途端に「ぽわん」と例の音がした。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:17
- 「ヘキサg・・・って、あれ・・・?」
「やぐっ・・・!!」
召還までしやがる!
「えっあれ文麿だ!わぁーごっつぁん久しぶりー!!なになにどうしたの!」
「いて、痛いいたいやぐっつぁん」
召還されたやぐっつぁんはそれはそれは素早い順応力で再会を喜んでくれる。
ばしばし引っ叩かれて、それじゃ反応がおばちゃんだよとごとーが笑うと、楽しそうにきゃらきゃらと笑った。
本人は気付いてないのだろうが、やぐっつぁんも制服姿なのだ。
・・・梨華ちゃんより違和感が無いと言ったら、ふたりとも怒るだろうか。
「あれー梨華ちゃんまでいる!なに、ははーんそういうことか。もう仕方ないなぁ」
なぜか嬉しそうに咳払いをして、やぐっつぁんは叫ぶ。
「まぁったく梨華ちゃんはわっかんないなぁー!」
一押しされてしまった。
押されてしまえば仕方が無いのだ。
縮こまる梨華ちゃん(まあ正確にはチャーミーだが)の背中を前にして、だって、言わないわけにはいかないじゃないか。
「・・・僕には分かる」
声を作って歩み寄れば、すんなりと次の台詞が出るから不思議だ。
「あなたのその涙の意味が。僕には分かる・・・」
「文麿様・・・」
「悲しみとはつらい言葉だ。
しかし誰かがそばにいてこの気持ちを分かち合ってくれたら、耐えられる。
Shirley Holzer Jeffrey 」
どこの誰だか知らない人間のポエムがスラスラと出てくるあたり、ああ夢だなぁと実感する。
その瞬間にぐにゃりと周りの空気が歪む。
何がと言われると説明の仕様がないが、何かから遠のく感覚。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:18
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あ。ごとー起きるんだ。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:19
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と、思ったら一気にぐわーっといろいろが白くなって、気付けば目の前には見慣れた自分の部屋があった。
夢が途切れてからしばらく眠ったような気がする。
すぐに目覚めた気もする。
徐々に徐々に意識がハッキリしてきて、口元に苦笑が浮かんだ。
「文麿か」
寝転がったまま呟いた自分の声が、予想外に寂しそうだったことに驚く。
大所帯で騒がしかった頃を懐かしむのなら、もっと前のはずなのに。
冷静に過去を振り返れるようになったということなら、それは後藤にとって屈辱だ。
『あの頃は楽しかった』などと思い返すことは、過去に負けているようで悔しかった。
同時に、思い出を素直に懐かしめないでいることを勿体無いとも思う。
だから夢の中で一度だけチャーミー石川が寂しく笑ったのは、きっと自分自身の思いの表れだ。
「・・・にしてもチャーミーって・・・」
わざわざ無意識に夢に引っ張り出してきたのがよりによってチャーミー石川とは。
当時後藤は絡みづらさに辟易したこともあったというのに。
嫌な、というと少し違うが、マイナスイメージの方が強く記憶に残るというのは仕方の無いことなのだろかう。
それすら懐かしみながら、後藤はベッドに転がしてあるリモコンでテレビをつける。
昼近い長い生放送の番組には、ちょうど矢口が出演していて、懐かしい顔にまたも笑みが浮かんだ。
『今日、ってかホントついさっきなんですけどー、私そこで寝ちゃって』
『だめじゃん!本番前本番前!』
『あはは、そうなんですけどぉ!いや、なんかホント、ガッっと持ってかれるように寝ちゃって』
『うんうん、』
『そう、で、短時間に夢まで見たんです。』
『アッハハ!え、器用だねー。なにそれ酷いね。夢まで見た。どんな夢?』
『なんかぁ、後藤真希ちゃんと石川梨華ちゃんがいて、』
『おお、元メンバーだ。最近会ったの?』
『や、会ってないんでぇ、なんで急に夢みたのかなーって・・・しかもなんかコントのカッコしてて・・・・・・』
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:20
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・・・あれ?
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:20
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- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:20
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- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/30(土) 11:20
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