3 Oh,What a Beautiful Morning.

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:35
3 Oh,What a Beautiful Morning.
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:36
寝てたと思った後藤が「今日は気持ちよく晴れてるねー」と突然言うので
「あ、起きてたんだ」と返すと、にへらと笑いながら「と、思うじゃないですか」と言った。
ソファーから身体を起こし「なんかさー、面白いことないのかな」と真面目ぶった顔で言うので
「面白いことなんてそうそうあるもんじゃないよ」と返事。
私は小説片手に麦茶を飲んだ。後藤は腕を組んで眉間に皺を寄せた。

ラジオから早朝のやけに張り切ったテンションのトークが垂れ流されている。
神奈川県のパンナコッタさんからのリクエストでU2のWhere Street Have No Nameです。
懐かしいですねー。DJがそう言った。後藤はまだ難しい顔をしている。
ボノが歌い始めた。爽やかだ、と私は思った。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:36
「けーちゃんはさ、私は本当に保田圭なのであろうか、とか思ったりしないの?」
「突然どうした?」
「いやーなんとなく」
「まあ、私は無いな、そういうの」
「シンプルだねー」
「シンプルとかそういう問題?」
「そういう問題だと思うよごとーは」
「そうかー」
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:37
私は席を立って窓を開け、爽やかだ、と思い、振り向き様
「やっぱそういう問題じゃないと思うんだけど」と言うと、
後藤はソファーに寝転がりながら携帯をいじくっていた。
私はまた向き直って窓を閉め、右手を伸ばしてラジオの電源を切った。
急に静かになって、部屋の空気全体が一瞬止まったかと思った。ああ今天使が通った。

「けーちゃん今何か言った?」と後藤。「何も言ってないわよ」私はそう言って椅子に掛け直し、
読みかけの小説を手に取った。ワンテンポ遅れて「ふーん」と相槌が返ってきた。

お互いにしばらく無言。「やっぱり音が無いと寂しいな」とひとり言を呟くと、
また後藤が「けーちゃん何か言った?」と訊くので
「別になんにも。ビートルズとカーペンターズどっちがいい?」
そう尋ね返すと「どっちでもいい」とのお返事。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:37
「じゃあビートルズね」
「ごとーはカーディガンズが聴きたいんだけど」
「あったっけなカーディガンズなんて」
「ないんじゃない?」
「そうかー」
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:37
私はピクシーズをかけて、もう一度窓を開けた。
日差しはすでに暑いけれども、風がなかなかいい。爽やかだ、と思った。
後藤はフンフンと鼻歌を歌いながら「これ誰の曲だっけ?」と言うので
「ピクシーズよ」と答えると「あー、知らないわー」と言いながら、また鼻歌を歌った。
知ってんじゃんかよと少し思った。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:38
「あ、よしこが今から来るってさ」
「こんな朝早くに何だって?」
「だから今から来るって」
「いや、そういうことじゃなくて、用件は?」
「知らない、よしこに訊いたら?」
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:38
後藤は私の真後ろを指差し、振り向くと吉澤が居た。
「ケメちゃんおひさ」とか何とか言って手を振るので私も笑顔で手をふりふり。
「用件は?」と尋ねると、吉澤は「ほらビールたくさん買ってきたよ」と言って
重そうに袋を上下させ、やたら無邪気に笑った。後藤がソファーから腰を上げた。
私はポケットから煙草を取り出して、テーブルの上に置いた。

灰皿を探していると後藤が「よっすぃーありがとー」と言って早速一本取った。
吉澤も「じゃあ私はロング缶っ」と言って一本取った。アサヒスーパードライ。爽やかだ。
「じゃあ私も」と言って袋に手を突っ込むともう何も入っていなかった。ちょっと悲しくなった。

吉澤は笑いながら「ごめんごめん2本しか買ってこなかったや」と
謝っているようなバカにしているような微妙なことを言い、
後藤は後藤で冷蔵庫までテクテク歩いてってビールを取り出すと
「はい、けーちゃんの分」と言ってそれを投げてよこした。サッポロ黒ラベル。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:39
「これ私が昨日買ってきた奴なんだけど」
「ん?いーんじゃないの?」
「いや、いいけどさ。ま、スーパードライ美味しくないしね、爽やかだけど」
「まあまあ、早く乾杯しようよ」
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:39
吉澤が「乾杯!乾杯!」と一人でやたら叫ぶので、私は苦笑しながらプルトップを開けた。
続いて二人も開けた。プシュッと小気味良い音がして、乾杯。
私はふと疑問に思って「何に乾杯なの?」と尋ねると、
吉澤はビールを煽って目を細めながら「三人の再会に」と言い、
後藤はプルタブをいじりながら「この部屋に」と言った。
私はちょっと愉快になって「じゃあ今日という日に」と言ってから少し照れた。
後藤と吉澤が「じゃあ今日という日に」と私の真似するのを聞きながら、
軽く右手を上げてもう一度、乾杯。
後藤が私の煙草を勝手に吸って、吉澤が私の黒ラベルを勝手に飲んだ。
なんとすばらしい朝なのだろう、爽やかだ、と私は思った。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:41
( `.∀´)
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:41
( ´ Д `)
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2009/05/28(木) 06:42
(0^〜^)

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