10 茉麻の玉手箱
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:29
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10 茉麻の玉手箱
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:29
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海辺の村に、茉麻という名の女の子が住んでいました。
茉麻は体が大きく、力も強く、たいへん心優しい女の子でした。
ある日、茉麻が浜辺を歩いていると、数人の子供たちが何かを取り囲んで騒いでいるのが
目に入りました。
近所でも性悪と評判の小春ちゃんと、その取り巻きの千奈美ちゃんと雅ちゃんです。
「みんなー、何してるのー? わたしも仲間に入れてよぉ」
そう言って茉麻がドスドス駆け寄っていくと、小春ちゃんたちは、
「わー、怪力まあさが来たぞー」
「うどのたいぼくー」
「でくのぼぉー」
と言いながら、散り散りになって逃げて行きました。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:30
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さっきまで3人が集まっていた場所には、傷だらけの亀が丸くなっていました。
茉麻が甲羅をつんつん突つくと、亀はその甲羅から、頭と手足をぴょこっと出しました。
「わっ、生きてた」
「うへへ、こりゃまた大きなお嬢さんで。 ありがとうございます、助かりました」
「え? 何のことですか?」
「実はわたくし、さっきの糞ガキどもにちょっかい出されてまして。 そこをあなたが助けて
下さったんです、うへへへへ」
「はぁ、そうなんですか」
「お礼と言ってはなんですが、あなたを竜宮城へご招待いたしましょう」
「え、ほんとに?」
「どうしてこの亀が嘘を申し上げましょうか、いや、そんなはずはない。 なんつって。
うへへ、反語ですよ反語。 さぁ、私の背中に乗って下さい」
茉麻は展開の速さにどきどきしながら、言われた通り、亀の背中に飛び乗りました。
「ぐえっ! お、重‥‥いや、なかなか発育の良い娘さんですね」
「よく言われます」
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:31
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茉麻を乗せた亀は海の中へと潜り、ひぃひぃ言いながら泳いでいきます。
茉麻は亀の甲羅にしがみつき、ぎゅっと目を瞑って鼻をつまんでいましたが、2分ほど
経つと、息が苦しくなり始めました。
「ぐぼ、ぐぼぼぼ」
「お嬢さん、普通に息をしても大丈夫ですよ」
「へ? ‥‥あ、ほんとだ。 海の中なのに、どうして?」
「さぁ、どうしてでしょうね。 私にもさっぱり」
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:31
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○ O o 。○ O o 。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:31
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竜宮城に着くと、茉麻は丁重に歓迎されました。
きらびやかな衣装を纏った美女たちが歌いながら舞い踊り、最高級のマグロの刺身と
鯛料理が、茉麻の腹を満たします。
手厚くもてなされて、茉麻はたいへん満足しました。
中でも1番派手な衣装を着た小さな女性が、茉麻に話しかけてきました。
「やぐやぐまりまり、きゃはははは」
「うちの亀を助けてくれてありがとう、とヤグ姫様はおっしゃっています」
さっきの亀が、ヤグ姫の言葉の通訳をしてくれました。
「やぐやぐ、すごいすごーいやぐきゃはは」
ヤグ姫はそう言って、真っ白な箱を取り出し、茉麻に手渡しました。
「この箱をあなたに授けますが、決して開けてはなりません、とおっしゃっています」
亀が訳しました。
開けられない箱なんか貰ったって意味ないよ、と茉麻は心の中で憤慨しましたが、建前上、
喜んだふりをしてそれを受け取りました。
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:32
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そういえば、どれくらいの時間が経ったのでしょうか。
そろそろ帰らなければなりません。
帰りが遅くなると、お母さんに叱られてしまいます。
茉麻は遠慮がちに立ち上がって言いました。
「えっと、あんまり長居するのも悪いんで、私そろそろ帰ります」
「やぐぅ‥‥」
「残念だ、とヤグ姫様はおっしゃっています」
亀が訳しました。
茉麻はヤグ姫や竜宮城の人たちにお礼を言って、また亀の背中に乗って陸へと帰って
行きました。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:32
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○ O o 。○ O o 。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:33
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「さて、この箱どうしようかな」
陸に上がった茉麻は、白い箱を目の前にして考え込んでいました。
正直言ってこんな面倒くさいものは要らないのですが、せっかく貰ったものを捨てるわけ
にもいきません。
ここに帰ってくる途中、あの亀が言っていたことを思い出しました。
「いいこと教えてあげますね。 ここだけの話、その箱って開けるとおばあちゃんに
なっちゃうんですよ、うへへ」
「えっ、そうなの?」
「そーそー。 ま、開けなきゃいいだけなんですけど」
「ヤグ姫様はどうしてそんな危険なものを私にくれたんですか?」
「さぁ、どうしてでしょうね。 私にはさっぱり」
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:33
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そっか、開けなきゃいいだけの話なんだ。
茉麻はとりあえず箱を叩いてみました。
コンコン。
何の変哲もない普通の音がします。
太陽の光に透かして見てみました。
何も見えません。
砂浜に軽く放り投げてみました。
何も起こりません。
箱の上に座ってみました。
その時です。
ぐしゃっ、ぷしゅーーーっ。
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:34
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尻もちをついた茉麻は、目をぱちくりさせました。
お尻の下を見ると、白い箱はぺしゃんこに潰れています。
「あ、やば」
慌てて自分の顔や手を確認しましたが、肌はぴちぴち、皺ひとつ無く、若々しいままです。
「あれ‥‥?」
茉麻はぽんっと手を打ちました。
「そっか! だって開けたわけじゃないもんね! 勝手に潰れただけだもんね!」
茉麻はぺしゃんこの箱を一瞥して、
「‥‥ま、壊れちゃったもんは仕方ないか」
箱の残骸を浜辺に放置したまま、走って家に帰りました。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:34
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○ O o 。○ O o 。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:34
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数日後、浜辺で拾ったティッシュペーパー(らしきもの)で鼻をかんだ小春ちゃんが突然
老け込むという、不思議な事件が起こりました。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:35
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- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:35
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: ノノハヽ
: ノリo´ゥ`リ :.
.: /∪ つ┓:
: し''`J: ┃
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/29(土) 11:36
- ずれた
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