04 サンタコス

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:38
04 サンタコス
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:39
南半球に浮かぶ小島に、ダ・ジャーレ帝国という小さな国家がある。
それは20年ほど前に日本から独立したばかりで、高飛びだぜとばかりに一年中あたたかい地域に
大移動したもののぽつんと他国から切り離された存在になってしまっていた。
楽しいことが大好きな女帝としてはつまらないことである。その現状を打破するため、もっと
他の国と交流しよう、もっと異文化コミュニケーションをしようと女帝は思い立った。

というわけで、女帝である徳永千奈美は外交政策に頭を悩ませていた。

「なんか良い案ないかなー。ねえ、愛理なんかない?」
「そうですねえ……」

弱冠13歳にして国一番の識者である鈴木愛理は、頼りない女帝のためにさまざまな文献をたどる。
今は12月である。暦は日本のものを使っていた。愛理が「まるわかり! 日本の行事」という
全ページカラー印刷の書物を捲っていると、目に留まるものがあった。
そのページを開いて千奈美に見せる。

「これなんかどうでしょう。子どもに大人気のようです」
「どれどれ……すごっ! めっちゃ子ども群がってるし!」
「子どもの人気を得れば、我が国に興味を持つ大人も増えるはずです」
「さすが愛理、頭良いねー」
「そんなことないです〜」

まんざらでもない様子で愛理がくねくねする。じっと目を輝かせて
千奈美は「クリスマス」のページに見入っていた。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:39
見慣れない茶色い体躯の動物が写っている写真を千奈美が指差して尋ねる。

「これなに? 鹿?」
「それはトナカイです。そりを引きます」
「ふーん、トナカイ……となかい」

千奈美が何度も呟く。喉が渇いたので愛理は最初に出された紅茶を飲もうとティーカップを
手にしたが、すでにカップは空になっていた。ソーサーに置きなおすと、ちょうど給仕が
ポットを持ってやって来たところで、熱い紅茶を注いでくれた。

「おかわりハイどーぞ!」

元気のいい給仕の名は岡井千聖。小さな身体でちょこまかと一生懸命に仕事をする姿が
印象に残る人物である。千奈美のカップにも紅茶を注ぎ、「なにやってるのー?」と手元を覗き込んだ。
なんともアットホームな国だ。千聖に気がついた千奈美は嬉しそうにぱんっと手を叩いた。

「千聖って名字は岡井だよね。岡井、おかい、トナカイ!」
「は?」

千聖は間の抜けた返事をする。
またか、と愛理は気にもとめず紅茶に息を吹きかける。
猫舌の愛理には湯気の立つ紅茶はつらい。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:39
女帝、千奈美は大の駄洒落好きである。そして女帝の命令は絶対でもあった。

「千聖、トナカイのかっこして!」
「えー! やだよ!」
「命令だよ!」
「ぶーぶー」

かわいそうに面倒なことに巻き込まれて、と思いながら愛理はようやく紅茶に口をつける。

「あ、でもトナカイだけじゃなー。やっぱこの赤い服の……」
「サンタですね」

愛理が注釈する。

「サンタっておじいさんなんだね」
「若い女性がその格好をするのも一部では人気がありますけどね」
「そっか。じゃあ愛理がサンタね」
「え?」

おいしい紅茶に気を取られて余計なことを言ってしまったことに愛理は気がつく。
しまった、と思ったときには遅かった。すでに千奈美は国一番の仕立て屋に電話を掛けて、
衣装を作るようにいいつけていた。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:40




「似合ってるよ、愛理」
「千聖もね。ていうかこれスカート短くない?」
「いいんじゃないの。暑いじゃん」

仕立て屋の持ってきた特注の衣装を試着した。愛理のスカートの丈はミニ。そしてかろうじて半袖。
ここは南の国だが、日本には四季があって今は冬という寒い季節だと説明しても千聖は
よくわかっていないようだった。生まれたときからここで暮らしているのだから仕方がないことではある。

「じゃあグアム行こうよ」
「だめよ千聖。忘れたの?」
「なにを」
「私たち……日本語しか喋れないじゃない」
「おお!」

ぽんと手をうって千聖が納得する。
トナカイの着ぐるみのせいで手を叩いても本当にぽん、としか音がしない。
こんなのと一緒に日本まで行くのか、と思うと愛理は先が思いやられた。

千奈美の指令でサンタとトナカイに扮した二人は日本へ行くことになった。
名目は外交。ちょっと行ってきてダ・ジャーレ帝国の名前を売ってこいとのことである。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:40
「おっ! すごい愛理似合ってるよー。ちょーかわいい!」

奥からやってきた千奈美が愛理を猛烈に褒めた。そこまで褒められるとさすがに
悪い気はしなくて愛理ははにかむ。周囲の人々も口々にかわいいね、と言った。

「小春だって似合うよー! 小春のほうが絶対絶対かわいいよー!」

愛理が特注サンタ衣装を試着してから、ずっとむすっとしていた仕立て屋の娘が突然騒ぎ出した。
「久住洋装店」の看板娘兼アイドルの久住小春である。小さな国なのでアイドルも兼業だった。
人手が足りないのでやむをえない。

「小春もサンタ着たい!」
「じゃあ代わりましょうよ」
「いいの!?」

この好機を逃すものかと愛理が小春に提案し、それに小春も乗ずる。
だがそれを許さない者がいた。千奈美である。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:40
「ダメーッ!」

ちっ、聞こえない程度に愛理は舌打ちする。いーじゃんいーじゃんと小春が不満そうに叫ぶ。
ちょっと考えてから、楽しそうに千奈美が言った。

「愛理はそれ着ないとダメ! でも喧嘩もダメだから、小春ちゃんも着ればいいじゃん。
それで外交すればいいじゃーん!」
「やった!」

小春が飛び跳ねて喜んだ。愛理はうなだれた。
こんな思いつきだけで行動していてこの国は大丈夫なのか、と愛理は心配になる。
日本に行って、気にいったらそのまま移住しようかなと思った。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:41

   □ ■ □

9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:41
日本までは飛行機を乗り継いできた。
信じられないことにミニスカサンタとトナカイの着ぐるみのままである。
更に信じがたいことには小春が先頭で「ダ・ジャーレ帝国御一行」と書いた看板を
持って歩いたことである。他人の振りをしたかったがこの衣装では到底無理な話だった。

日本に着いての感想は、まず第一に寒い。
空港から一歩外に出ると真冬の乾燥した風が容赦なく吹き付ける。
トナカイの着ぐるみは露出している部分が顔だけなのでそうでもないかもしれないが、
ミニスカサンタはそうもいかない。千聖は「ほんとに寒いんだね」と感心したように
言っていたが愛理と小春にとってはこの寒さは死活問題だった。単なる文章上の表現ではなく
本当にこれでは生きるか死ぬかの瀬戸際。急いで最寄の店でコートを買った。
ダ・ジャーレ帝国の通貨も円なので両替の必要はない。

昼時だったのでファミリーレストランで昼食を摂った。
じろじろと店員も客も三人を見てくるので、愛理は恥ずかしくて顔を伏せたが
千聖は気にしていない。小春はにこやかに手を振っていた。
さすがアイドルと言うべきところだろうか。

食事を終え、人心地ついたところで「日本に着いてから開けろ」と言われていた
二つの段ボール箱のうちの一つを開けた。中に入っているのは大使館への地図か
それとも内閣総理大臣への手紙かとドキドキしながら愛理が慎重に開封したが、
中には棒つきキャンディがぎっしりと詰まっていた。
訝しんでもう一方を見てみるとそちらも中身はキャンディで、メモが一枚、その上に載っている。
まさかと思ってキャンディの上に載っているメモを読み上げる。

「中身を教えたら食べてしまうと思ったので秘密にしてみました。これを日本のよい子に配ってね!」
「へーお菓子で好感度アップか。やるじゃん」
「ね、一個食べていい?」

小春が感心した様子で頷き、千聖がオレンジのキャンディをつまんでキラキラした目で訴えかけてくる。
やっぱり移住しよう、亡命でもいいと愛理は思った。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:42




「めりくりー!」
「キャンディどうぞー」
「ダ・ジャーレ帝国産でーす甘いよー」

国名を叫んだらダメだってば、愛理が千聖に注意する。すると首を傾げられた。
今の日本人は産地に敏感でよく知りもしない国で作ったものなど食べたがらない、と説明したら
「そっかー」と頷いて国名は言わなくなった。当初の目的である宣伝から離れていっているが、
愛理はもう気にしないことにした。寒くてそれどころではない。コートを着ればいいのはわかっているが、
小春が「なんのための衣装だよ!」と暴れたのでそういうわけにもいかない。
配らずにばっくれたかったが、捨てるのはさすがに良心が痛む。

寒空の下でサンタとトナカイに扮した少女たちがキャンディを配っているのはちょっと目を引く光景だった。
12月24日の渋谷はカップルで賑わっていたが、一人で歩く人や家族連れもちらほらと見かけられる。
そんな中、愛理の視界の隅で小春が一人の少女に噛み付いていた。

「ほら、お前もらえよ!」
「いらんわ!」
「いーから持っていけって」
「いらんっつとるやん……なんやそんな格好して風俗か」
「まあ、フーゾクですっていやらしい」
「やらしくないわ。その服装がやらしいねん」
「そういう目で見るのがいやらしい。怖い! どうしよう襲われる!」
「誰が襲うか!」

黒髪ショートカットの少女が小春と言いあっている。元気だなあと思いつつ愛理は止めに入った。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:42
「もーやめなって」
「だってこいつムカツク!」
「お騒がせしてすみません、これキャンディですお詫びにどうぞ」
「あ、どうも」
「なんで愛理からはもらうんだよ! 小春のも受け取れよ!」
「お前うさんくさいねん」
「くさくないし、いい匂いだし!」
「そういう意味違うわ、こら近づくな」
「うりうり」
「やめろバカ!」

あんまり騒ぐと迷惑になるよと愛理がオロオロしていると誰かに肩を叩かれた。
振り返ると制服を着た婦人警官が立っていてどきりとする。
さっと見せられた警察手帳には「保田圭」と名前が印字されていた。
やたらとギラギラしたオーラを纏っていて、なんというか、恐い。

「君たちなにしてるの?」
「いえなにも」
「もう遅いから早く帰りなさい。親御さん心配するでしょ」
「はい」

親は南国に居ますとは言わなかった。子どもだけで来ていることがバレたら保護されかねない。
飛行機のチケットが財政的に三人分で精一杯だったのだ。

「あと勝手に路上で物を配っちゃダメだから。没収ね」
「はーい」

配る手間が省けたので、愛理はほくそえんだ。
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:43
警官が立ち去ってからも少女と小春はまだやかましく言い立てていた。

「ねえクリスマスイブだけど一人なの? 彼氏とか……あっいないんだぁ〜」
「先週引っ越してきたばっかりや、いるわけないやろ」
「苦しい言い訳」
「言い訳違うわ。滋賀では光井愛佳といえばモテモテみっつぃーってな」
「本当にモテる人は自分で言わないよね」
「ん、悔しかった?」
「ばーかばーかみっつぃーのばーか」
「馬鹿って言うほうが馬鹿」
「あ! 今みっつぃーが小春のこと馬鹿って言った! 馬鹿だ!」
「もうええわ……帰る」

疲れたようにため息を吐いて、愛佳は立ち去る。しっしっと小春が追い払う仕草をした。
もう配るものもないので愛理はコートを着込む。

「小春たちも帰ろうよー疲れたよー」
「今日どこに泊まるの?」

小春と千聖が口々に言う。
迂闊だった。今夜宿泊すべきホテルを押さえていなかったことに愛理はようやく気がついた。
千奈美が手配してくれたとは思えないし、子どもだけで泊めろと言っても追い返されるかもしれない。

それ以前にお金がない。
愛理が気づかないことに千奈美が気がつくわけもなく、つまり宿泊費をもらっていなかった。
今、持っているものは、千円札が数枚、三人分の帰りの航空券と中身を配り終えて空になった段ボール箱一つ。
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:43
愛理は持ち前の頭脳を高速回転させて結論をはじき出した。

「さっきの人捕まえて来て!」
「ええ、なんで?」
「いいから!」

小春と千聖が駆けて行って愛佳をとっ捕まえてくる。

「なんやねん、まだなんかあるんかい」

憤然とした愛佳を前に、愛理は小春と千聖に耳打ちをした。
今夜泊まるところがないこと、所持金もわずかなこと、泣き落としでもなんでもいいから
愛佳の家に泊めてもらえるように交渉しよういう内容だ。事態は深刻だった。
野宿などすればこの薄着だと間違いなく凍死してしまう。
それゆえ交渉には慎重さが要求される。
小春が真っ先に言葉を発した。

「みっつぃー、今夜泊めろ!」
「嫌じゃ!」

交渉は決裂した。
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:43




「……着いてくるなよ」
「泊めろー泊めろー」

電車に乗り、それなりに田舎まで来てしまった。引き返したところで宿泊費はないから
こうなったら持久戦である。うんざりした様子で愛佳はさっさと歩く。三人もその後に続く。

ブロロロと原付の音が背後からして、四人は道路の端に寄った。
そのまま追い抜かれると思ったら、愛佳の横で原付は停まる。
正式な名称はわからないが着物のようなものを身に纏った男性がヘルメットを脱いだ。

「愛佳、お友達かい?」
「おじさん誰?」

愛佳が答えるより早く無遠慮に小春が尋ねると、愛佳の父です、と男性は微笑んだ。
いかにも人が良さそうである。

「友達じゃな」
「小春たち愛佳ちゃんの友達です! でも今夜寝るところがなくて……グスン」

否定しようとした愛佳を遮って小春が泣きまねをする。
愛理も一緒になってしくしくと訴えかける。千聖はきょとんとしている。

「それなら我が家においでください。部屋なら余っていますから」
「おとーさん……」

まさに鶴の一声だった。
愛佳も強くは言えないようで口をもごもごさせている。
助かった、愛理は安堵の息をつく。

「そちらのワンちゃんは吼えないかな?」
「トナカイです!」

状況がわかっていない千聖は元気に訂正した。
15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:43




「みっつぃー、部屋狭いんだけど」
「当たり前や、四人もいたら狭いに決まってる」

でんと大きな寺に寄り添うようにして建っているため、一見小さく見えるが実はデカイ一戸建て。
表札には「光井」とあった。それが愛佳の名字なのだろう。
その一室である愛佳の部屋に布団を敷き詰めて四人で転がっていた。
空き部屋はあるものの、そこには暖房がついていなかったからである。

愛佳の父は住職らしい。だからあんな服装だったのかと愛理は合点がいく。
突然の宿泊客にも愛佳の両親は優しく、快く食事や風呂を提供してくれた。
どうということのない親子のやり取りを見て、愛理はふと自分の両親を思い出した。

あたたかい寝床も確保できてダ・ジャーレ帝国御一行は大満足。対する愛佳はいかにも不機嫌。
ふかふかの客用布団にうつ伏せになり、大きな枕を抱えて愛理が提案する。

「もう寝よう。明日の朝は早いから」
「何時に出発すんねん?」
「えっと、4時起きでー」
「早っ! 小春無理だよ!」
「大丈夫や、殴って起こしてやる」
「その前にみっつぃーを殴る」
「なんなら今すぐ殴ってやろか?」
「トランプしようよ! ダウトダウト!」
16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:44
相変わらず話を聞いていない千聖が返事も待たずにトランプを配り出す。

「ダウトってどうやんの?」
「みっつぃーってダウトも知らないの? プッ」

愛佳と小春がまた言い争いを始めそうになったので、愛理がそれをなだめてルールを説明する。

「まず順番を決めて、手札を裏側にして番号順に出し合う。で、番号順でない偽札と思った時に
ダウトと声をかけて、偽札であったら出した人が、偽札でない場合はダウトをかけた人が場札をとるの。
それで、早く札をなくした者が勝ち」
「つまり、嘘だと思ったらダウトって言えばいい?」
「そう」

愛佳は理解が速かった。みんなこうだったらいいのになあと愛理は思う。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:44
ゲームを始めると、思いのほか真剣になって、時折「ダウト」と言う以外は誰も言葉を発しない。
しばらく続けると場にかなり札が溜まり、これを手にしたらきっと負けだ、と全員に緊張感が走った。
順が巡り、小春がそろそろと札を出して、それを愛佳が「ダウト」と指摘する。

「もー! なんで小春の時ばっかダウトって言うのさ!」
「いや別になんとなく」

小春が場の札をかき集めて手札にする。
数が多く手間取っている間に、愛佳が小春に話しかけた。

「なあ、サンタなのにプレゼントはくれんの?」
「だから飴やろうとしたのにさー、受け取らなかったのそっちじゃん」
「あんなのいらんわ」
「じゃあなんか歌ってやろうか? 小春、アイドルだし」
「ダウト!」
「本当だし! みっつぃーが間違った! このカードやる!」
「お前……」

もーいいよつまんない、と小春が愛佳に手札を押し付けた。
そのまま小春が布団に寝転がったので、三人は肩をすくめてゲームを終わることにした。
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:44

   □ ■ □
 
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:45
「ねえ、怒られないかなあ」
「ばれないし大丈夫だって」

千聖と小春が話しているのを愛理は横目で見る。
満足げに息をつき、旅客機のシートに深く腰掛けて目を閉じた。

朝早く、三人は愛佳が目覚める前に光井邸を後にした。
枕元にプレゼントを置いてきたが、喜んでくれるだろうか。

段ボール箱に入れたミニスカサンタ衣装二着とトナカイの着ぐるみがもらって嬉しいものとは思わないが、
勝手にクローゼットから服をもらってきたので愛理たちにそれらは不要になったし、一夜の記念ということで。
頂戴した服は愛理の好みではなかったが、サンタ衣装よりはあたたかいし常識的だった。

愛理たちを乗せた飛行機はあと数時間で、ダ・ジャーレ帝国に到着する。
生まれ育った国の人々は、それなりに変な人が多い。
けれど、愛理は日本に居るよりそちらに帰りたくなった。
いざ離れてみると家族が恋しくなるということに気がついたから。

帰ったらまず両親に会いたい。それと弟と飼っている犬たちにも。
ほどよい暖房が心地よく、愛理は穏やかな気持ちでまどろんだ。




20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:45
end
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:45

22 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/12/25(火) 20:45


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