08 天を織る

1 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:09 ID:FJuE7Aio

08 天を織る
2 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:12 ID:FJuE7Aio

ざざん、ざざん
寄せては返す波の音
ざざん、ざざん、ざざん
空は鋼色
一筋の光もなく
海は鉛色
荒く
海神の怒りは天にも届くほどに
荒く
荒々しく

大地は血の赤色に染まり
幾千幾万の屍が山となり
死の山の頂上に立つは
英雄にあらず
王にあらず
ましてや神々にもあらず
虚無
3 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:12 ID:FJuE7Aio

帝都には火の手が上がり
神殿は倒潰し
偶像は破壊される

鉄槌が振り下ろされ
民衆が叫ぶ
異国の戦士が叫ぶ
殺せ!
悪魔を!
殺せ!
魔女を!
殺せ!
裏切り者を!
殺せ!
殺せ!
殺せ!
4 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:13 ID:FJuE7Aio

「母よ、この世界は生きるに値するでしょうか?」
「娘よ、この世界は生きるに値しないでしょうか?」
5 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:14 ID:FJuE7Aio

風は淀み
腐り
病苦が蔓延り
人は死に
殺す
生まれるものは
絶望と憂鬱

鎮魂の歌も無く
屠られた命は

葬送されることは無く
飾られる花も無く
墓標も無く
我らが死は
蛆を肥え太らせるのみ
我らが滅びは
闇への供物
6 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:15 ID:FJuE7Aio

「糸を買ってきてください」
「糸ですか? このようなときに何を」
「私は私の仕事をしたいのです」
「いまさら何を織ろうというのです」
「空を」
青い空を
7 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:15 ID:FJuE7Aio

光よ、在れ
8 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:16 ID:FJuE7Aio

「ガーキさーん、なーにしてるんですかぁー」
「亀、うっさい」
「あー、ひっどぉーい。ぷっぷくぷー」
「ちょ、ぷっぷくぷーって」
「ガキさんがそんな冷たいから、亀はもうぷっぷくぷーですよ」
「だからそれ何語?」
「たぶん昔のギリシャ語とかですね」
「へー、そう」
「うわっ、ガキさん今流した。ガキさん今流したでしょ」
「うん、わかった、もういいから」
「ちょっとちょっとガキさーん」
「うっさい。もうホントうっさい」
 
9 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:16 ID:FJuE7Aio

空は鋼色に覆われ
海は鉛色に染まり
地は血の色に塗り潰される

人は儚く
夢は喰われ
声は枯れ
歌は死に
流れるは涙

それでも

たとえ死の陰の谷を歩もうとも
たとえ冥き夜の道に迷おうとも
その両手が創り出すものと
その踏み出す一足に
栄光と祝福よ、在れ

声よ、天に届きますように
10 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:17 ID:FJuE7Aio


 
11 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:17 ID:FJuE7Aio

 
12 名前:08 天を織る 投稿日:2007/07/03(火) 10:17 ID:FJuE7Aio
 

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