07 a clear tone

1 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:17 ID:qKf/FR5.
07 a clear tone
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:27 ID:qKf/FR5.



私の名前は小川麻琴。
こんこんはハロプロも辞めちゃいますけど私はハロプロには残りますから、という
名言を残した伝説の19歳だ。
その言葉に反して私は卒業の日以来ぱったりと消息を絶ってしまった。
全国数万人のマコファンが悲しむ中、口さがない人間はやれ干されただの、やれ体
のいいリストラだなどと言っていたけど真相は違っていた。

人前に出してもらえなくなったんじゃない。
人前に出られなくなったんだ。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:39 ID:qKf/FR5.



私がモーニング娘。を卒業した日の夜。
卒業の熱狂からはすでに醒めかけ、抜け殻のようになっていた。
昔のボクシング漫画で、真っ白い灰になっちゃった人がいるけどまさしくそんな感じ。
気持ちのやり場を見出せないまま、五郎さんのような顔をしてそのまま朝を迎えた。

翌朝。
日課にしてるビューティーマコチェックをしようと鏡を覗いてみたら、何と私の姿が
見えない。頭のいい私はすぐに燃え尽きすぎて透明になっちゃったんだと理解した。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:43 ID:qKf/FR5.
とりあえず、全裸で外を歩いてみる。誰も私のことに気づかなかった。
乳首に洗濯ばさみを装着しながら商店街を練り歩いてみたり、大根を挿入しながら満員電車に乗ったりと
自分が透明であることに有頂天になりながら色々なことをやってみたけれど、ふと透明じゃなかった時も
大して世間の目を集められてなかったことに気付きさめざめと泣いた。

そんなことはどうでもよくて、まずは自分の状況を誰かに伝えなきゃいけないと思った。
というわけで私は自他共に親友だと認める辻希美のいるマンションに向かった。
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:46 ID:qKf/FR5.
「あふん、たーくん気持ちいいのれす」
「のん〜ここがええのんか?なんてなー」
「あへうひえほは、股間がかいーのれす」

フライデー級のスクープを目にした私は黙ってその場を去った。

その他のハロメンも大体似たありさまだった。
どうやらハロプロで処女を守り通してるのは私だけだったらしい。
でも萩原舞ちゃんにまで先を越されてしまったのはちょっとショックだった。
6 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:51 ID:qKf/FR5.



月日は瞬く間に流れてゆく。
最初は私にジャビットくんの中の人とか二時間ドラマの死体役などの大役を
用意してくれた事務所も、私と連絡がまったくつかないことをいいことにそ
れらの仕事を全てキャンセルしてしまった。こうして私は徐々に世間から忘
れ去られていった。

このままじゃ私は何の役にも立たない透明な豚だ。
いったい何のためにオーディションで金のサンダルを履いてきたのか。
遠い新潟の空でシグナル5の残りが泣いてるような気がした。
7 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 20:57 ID:qKf/FR5.



そんなある日のこと。
もう日常茶飯事になっていた透明なことを利用したタダネカフェでネットサーフィンし
ている中、とんでもない情報を手に入れた。

その内容は、私の大親友である紺野あさ美ちゃんが金髪にしている、というものだった。

まさかあさ美ちゃん、私のことを思って・・・?
周囲が羨むド金髪と言えば私かメロンの斉藤さんだけど、私にはあさ美ちゃんが私とい
う存在を偲んで金髪にしたと直感した。
8 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:00 ID:qKf/FR5.
となれば、私は何としててもあさ美ちゃんの友情に応えなきゃいけない。
ただの透明なブタである私に唯一できること。一生懸命に考えた。そし
て、彼女のある一言を思い出した。

娘。はしょうがないけど、ガッタスはがんばりたかったなあ。

私にできることは、あさ美ちゃんをガッタスに戻すこと。
9 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:08 ID:qKf/FR5.
そのためにはガッタスにいるゴレイロを全員用なしにしなければならなかった。

まずはのんちゃん。
透明人間の特性を生かして、例の彼氏とのことをスクープ。ほどなくして彼女
はガッタスを去っていった。

次はリトルガッタスから昇格した、茉麻ちゃんと梅さん。
梅さんは運動音痴の上に屁タレと聞いてたので、私は試合中ずっと彼女の傍ら
に立ち、伯爵夫人の笑い声を聞かせ続けた。試合後、舞美ちゃんにもうキーパ
ーなんてやりたくないと打ち明けていたので大成功。
もう一人のゴレイロ候補・茉麻ちゃんは意外に強敵だった。でも姿が向こうに
見えないのを利用して、ボールが彼女に当たる瞬間にマコ・ラリアットやマコ・
ストンピングを繰り返したら泣きそうな顔をしていた。数日後ラジオで「ボー
ルって当たると痛いんだよ」と愚痴っていたのでこれも成功。

こうして、お膳立ては完了した。
10 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:13 ID:qKf/FR5.



私の目論見どおり、あさ美ちゃんはガッタスのゴレイロの穴を埋めるために事務所から緊急招聘
された。事務所から一報を貰ったときの彼女の笑顔は忘れられない。
そして。
私もこの一年間、何もせずにただ手をこまねいていたわけじゃない。
どういう原理かはわからないけれど、人に憑依するという技を覚えたのだ。これなら誰にも姿が
見えない私でも活躍ができる。
憑依できる条件として、できるだけ顔立ちが似てる人物に限る、という高いハードルがあるけれ
ど、幸いなことにその条件にぴったりの子が新しくガッタスに入ってきた。



これで一緒にまたがんばれるね、あさ美ちゃん。
11 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:19 ID:qKf/FR5.
スゥー∬´▽`)|2|;^ .^)
12 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:20 ID:qKf/FR5.
ズブズブ∬´|2|;^ .^)
13 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:21 ID:qKf/FR5.
|2|´▽`) <まのえりなですっ♪
14 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:25 ID:qKf/FR5.




15 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:25 ID:qKf/FR5.





16 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:29 ID:qKf/FR5.



今日もフットサルの朝練だ。
私おが・・・じゃなくて真野恵里菜はあさ…紺野さんと一緒にシュート
の猛練習だ。

「だいぶよくなってきたねえ恵里菜ちゃん」
「ありがとうございます!」

最初は油断するとタメ口が出そうになったけれど、今ではすっかり
後輩役が板についてきたと自負している。
今では彼女がつきっきりで私のシュートを受け止めてくれる間柄に。
となれば、聞きたいことが。
17 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:32 ID:qKf/FR5.
「あのー紺野さん」
「ん?なに?」
「わたし、すっごい尊敬してる人がいるんですよー」
「誰かな?後藤さん?それとも安倍さん?」
「いいえ、小川麻琴さんです。小川さんって、色白だし、女の子ら
しくてかわいいし、あんなにかわいいのに面白いし、何かもう甲乙
つけ難いですよね!で、紺野さんが小川さんと大親友だって聞いた
んですけど」
18 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:38 ID:qKf/FR5.
「恵里菜ちゃん」
「はい?」
「私の前でそのファニークリーチャーの名前出すのやめてくれる?」
「え、ちょ・・・」
「あいつさー、腰痛めてからブクブク太っちゃってさー。歩くたびに
ブヒブヒ鳴いてんの。あいつのあだ名知ってる?伊集院だよ?」
「伊集院って雅な名前ですねー、ってそんなわけあるか!!」
「何で恵里菜ちゃん怒ってるの?まあとにかく、あんなミートホープ
産の粗製肉なんて尊敬してたら、緑の服着せられて隅っこでシャウト
だけって面白寂しいポジションに追いやられるだけだよ。さ、またシ
ュートの練習しよっか」
19 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:42 ID:qKf/FR5.



私は花崗岩を丸く削って作った、特製ボールを鞄から取り出す。
そして、ゴールを守ってるミリバールの顔めがけて、思い切りシュートを放った。



遠くで何かが砕ける、澄んだ音がした。
20 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:43 ID:qKf/FR5.
21 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:43 ID:qKf/FR5.
22 名前:名無飼育さん 投稿日:2007/07/02(月) 21:43 ID:qKf/FR5.

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