04 カラフルライフ
- 1 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:20 ID:UbGyo.G6
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04 カラフルライフ
- 2 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:20 ID:UbGyo.G6
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「行ってきまーす」
ああ、荷物が重たくてしょうがない。
余計なものが入っていなくても十分重い。
でもまあ仕方ない。
あたしは笑って歩き出す。
いつも通る花屋で見た花が、今日もすごく鮮やかだった。
この世に自分の色しか存在しない、そんな確固たる自分を咲かせていた。
そりゃある意味すごいことなんじゃないかな。
生まれた時から答えを知っているんだから。
あたしの周りにも、そんな花みたいなやつがいっぱいいる。
- 3 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:20 ID:UbGyo.G6
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- 4 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:21 ID:UbGyo.G6
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ああ。
あいつは明らかに黒だろうな。
いや違う、見た目じゃない。見た目じゃないってば。
黒って、どんな色の上でも簡単に上書きして主張するじゃん。
そんくらい、強いじゃん。
絵を描くときとか、黒を使うのはすごくめんどくさいっていうか。
一度黒を引いたらもうその上からは何色塗ってもうっすら黒が出てきちゃうから。
それくらい強烈で、それくらい強いんだ。
どんな色に塗りたくられようと、絶対消えないんだ。あいつの自分という色は。
だから、どんな険しくて辛い道でもあいつなら大丈夫だとなんか思うし、
時にはその足跡に導かれたりもする。
- 5 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:21 ID:UbGyo.G6
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あたしの中で、あいつは黒だ。
黒っていうとイメージと違うとか怒りそうなんだけど。
あたしはそんな黒が結構好きなんだよね。
そんなことを思いながらあたしは今日も黒を塗る。
- 6 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:21 ID:UbGyo.G6
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- 7 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:21 ID:UbGyo.G6
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あいつは、赤に見えるかな。
赤、としか言いようのないほどの赤。
赤は、太陽に使ったりするじゃん。
あいつは太陽みたいに明るくもある。
でも赤は血に使ったりもする。
血のように情熱的でもある。
それに赤は炎を描くのにも欠かせない。
炎のように突かれると極端に弱い部分がある。
赤は全体的に生命的な色だなと思う。
そういう意味で、あいつにはぴったりなんじゃないかな。
いつでも本能に忠実で、わがままだけど誰より愛らしくて。
そう、ハートを描くのにも赤が必要。
愛や命の化身。
- 8 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:21 ID:UbGyo.G6
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愛がいつまでも続けばいいのに。
願ってやまない。
新しい命のためにも。
ねえ、きっと。
あたしはそんな赤を見ると妙にやる気が出て来るんだ。
そんなことを思いながらあたしは今日も赤を塗る。
- 9 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:22 ID:UbGyo.G6
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- 10 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:22 ID:UbGyo.G6
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あいつはきっと、誰よりも白だったんだ。
それはそれは自由な白。
自由だから、どんな風にも染め放題。
器用にあいつは色を塗り分けてきた。
自分で綺麗な模様を描いていたんだ。
それは、些細なすれ違い。
ボタンのかけ間違いを、繰り返してきたんだ。
いつの間にか、いつからか。
いつの間にか。
今から色を入れようと思った場所はもう誰かに塗られていて。
そんなことが、少しずつ増えてきて。
段々とそれが普通になってきて。
それが自分の色に思えてきて。
もともと塗りたかった色は何だかも忘れて。
だんだんと、わからなくなってきて。
その手は筆を落としてしまったことにさえ気がつかなくて。
いつの間にか。
- 11 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:22 ID:UbGyo.G6
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でもあたしは忘れない。
あいつの白さを、忘れたりしない。
忘れない人がいれば、忘れられることはないのだから。
あたしは白が好き。あたしはきっと、いつまでも白を忘れない。
あたしは塗るときに白だって使う。
- 12 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:23 ID:UbGyo.G6
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- 13 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:23 ID:UbGyo.G6
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ふう、と自分の姿が映るガラスに目をやると、
黒のトップスに赤いネイルに白い靴だった。
ちょっと笑えた。
あたしはこんな風にして、あいつらに囲まれている気分になった。
あいつは黒。
あいつは赤。
あいつは白。
じゃあ、あたしは?
そう考えても別に答えは出なかった。
というか別に答えを出さなくてもいい種類の疑問な気がした。
生きるとは何だとか。そんなこと考えたってどうしようもないように。
あたしにとっては、この二つは大して変わらない疑問だった。
大雑把すぎるだろうか。
- 14 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:23 ID:UbGyo.G6
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でも、もしかしたら、他の誰かにはあたしの色が見えているのかもしれないし。
それはきっと、嬉しいことだから。
あたしは今日も生きている。
確固たる自分なんて見つかんないけど、生きている。
でもそれでいい。
答えの出てる人生なんてつまらん。
今見てるあいつらだって、見える色を変えるかもしれないんだし。
それが人間の面白いところなんだから。
この道を、我が身を。
それはそれは鮮やかに。
生きる人間は、そう、何色にでも染めていけるんだから。
- 15 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:24 ID:UbGyo.G6
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「よっすぃ!」
遠くで、あたしの名前を呼ぶ声がする。
あたしはゆっくりと動き出した。
ふいに後ろを振り向いた。
今までの道が、確かにそこにあるから。
あたしは笑顔で歩き出せる。
まだ何色でもない道を、自分で作り出そう。
さ、行こう。
- 16 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:24 ID:UbGyo.G6
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「ちょっとー早くしてよ!新幹線出ちゃうでしょっ」
「あーわかったからもうキーキー言うな」
「キーキーなんていつ言ったのよ!」
「それがキーキーっていってんだよねぇ、のん」
「ねーよっちゃん。そんな怒ってたら皺増えちゃうよね」
「胎教にも悪いしねー、おーよしよし」
「よしよし、梨華ちゃん怖いねー」
「もぉー!いいから早く乗ってよ!!」
「はいはい」
「はいはい…てかさー奈良ってどこにあんの?梨華ちゃんわかるの?」
「わかるわよ、それくらいっ。ちゃんと調べてきたんだから」
「これで着けなかったら梨華ちゃんのせいだよ」
「なんでわたしのせいなのよ!」
「まあいいや。いざ奈良ー」
「いざ奈良ー」
- 17 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:25 ID:UbGyo.G6
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- 18 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:25 ID:UbGyo.G6
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( ^▽^)0´〜`) ´D`) <マジ着けるのかな…
- 19 名前:04 カラフルライフ 投稿日:2007/07/01(日) 15:25 ID:UbGyo.G6
- ( ‘д‘)<待ってるで
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