20　しあわせのかたち

1 名前：20　しあわせのかたち 投稿日：2006/05/05(金) 21:12 ID:dMx2NPUA

眩しいほどの白。
その上に精巧な彫刻のように飾られた生クリーム。銀のフォークを
差し入れれば柔らかく崩れ、甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
生クリームを掬い取り、口に運ぶ。砂糖と油脂、栗の香りが口の中
いっぱいに広がろうとしたけれど、あたしの意志がそうさせない。
これはモンブランのクリームじゃない。煙だ。霞だ。無味乾燥の意
味のない物質だ。
だからあたしは、いくらでもこんなもの、食べられるはずなんだ。
フォークでクリームを削る。
口の中に放り込む。
味わうこともなく、嚥下する。
いつかのミニモニ。のＰＶみたいだと思った。
こんなことをしても何も変わらないのは分かってる。けれど。

あたしはそれをやめることが、できなかった。

2 名前：20　しあわせのかたち 投稿日：2006/05/05(金) 21:13 ID:dMx2NPUA

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