10 それはまだ、難しい

1 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:14 ID:hHqbTKfQ
10 それはまだ、難しい
2 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:15 ID:hHqbTKfQ
「約束だよ?」

そう言ってにぃっと笑ったガキさんに、あーしは黙って頷いた。
本当は特別になる予定のなかったはずの日…の次の日。

「わかってる」
「なら、いいけど」

「愛ちゃん、空気読めない子にならないでよ?」
「最初からなっとらんよ、そんなもん」

そんな軽口を叩いて、もう一度、二人で笑顔の確認をして。

行きますか。

そんな言葉を交わして、いつもより数段にぎやかな感じがする
その扉の向こう側へ。
3 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:16 ID:hHqbTKfQ
「二人とも遅いよー!」
「あ、おはようございまーす!」

メンバーたちからの挨拶に、笑顔で返す、あーしたち。
背後からパタパタと近づいてきた、その二つの足音に
あーしは少しだけ唇をかんで、振り返った。

「まこっちゃん。こんこん」
「おはよ!遅かったね、二人とも」
「愛ちゃんと廊下で会ってさぁ。喋りながら歩いてたら、なんか
いつの間にか時間経ってて。歩くの遅いんだもん、愛ちゃん」

ねー?なんて相槌を求められたから。

「いやぁ、ガキさんの方が、歩くの遅いって」
「なに言ってんの。愛ちゃんだって」
4 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:17 ID:hHqbTKfQ
「絶対に愛ちゃんのせい!」
「ガキさんやって!」

両者譲らずにらめっこ。仕方ないなぁと、まこっちゃん。
こんこんは、ただ黙って笑っているだけ。

「コンコン、麻琴。放っときな、その二人」

傍で見ていた吉澤さんが、口元に苦笑いを浮かべながら
あーしと里沙ちゃん、そして、こんこんとまこっちゃんを
見比べながら言った。

「んなことより、ほら、お菓子食べない?」
「食べます!」

あっという間にお菓子に飛びつき、あーしたちから離れた二人。
ちらりと吉澤さんの方を見ると、優しい目で笑い返してくれた。
5 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:18 ID:hHqbTKfQ
「愛ちゃん」
里沙ちゃんが言う。

「約束、だからね」
「わかってる」
「破ったら、針千本ね」
「痛いな、それ」

「愛ちゃん……」

こつん、とぶつかった、里沙ちゃんとあーしの額。
わかってるよ。わかってる。
だから、あーしは里沙ちゃんの背中に手を伸ばさない。

黙っていても、伝わり合う。

あーしたちは、そんな仲だから。
6 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:19 ID:hHqbTKfQ
本当は、泣きたくて。

悲しくて。

寂しくて。

笑顔で見送ろう。
その日が来るまで、絶対に泣かない。
最後じゃないんだから。
またいつか、会える日が来る。

だから、笑ってお祝いしよう。

“仲間”ともなんとなく違う気のする、あーしたち4人。

もう、5年の付き合い。
7 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:22 ID:hHqbTKfQ
5期の絆、なめんなよ。なーんて。

「なぁ、里沙ちゃん」
「うん?」

「後で、連れションしよーか」
「……アイドル…女の子が、そういうこと言わないの」

けど、そう言いつつも、里沙ちゃんはこく、と頷く。
額を離して見詰め合うと、里沙ちゃんが小さく吹き出した。

「なんか、変だね」
「5期だから」
「理由になってないよ、それ」
「…後で、こっそり抜けだそーな?」
「うん……」
8 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:22 ID:hHqbTKfQ
『絶対に』

そうやって、固く誓ったけど。

でも、やっぱり今はまだ。

それは、守るのが難しい約束。
9 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:23 ID:hHqbTKfQ
川o・-・) ∬´▽`∬
10 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:23 ID:hHqbTKfQ
川’ー’川 (・e・)
11 名前:10 それはまだ、難しい 投稿日:2006/05/02(火) 00:23 ID:hHqbTKfQ
川o・-・) ∬´▽`∬ 川’ー’川 (・e・)ナメンナヨ!!

Converted by dat2html.pl v0.2