04 LE VOTRE

1 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:46 ID:6jKdcrGw
04 LE VOTRE
2 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:46 ID:6jKdcrGw


あたしたちは、ひかれあう水滴のように、惑星のように

反発しあう磁石のように、肌の色のように


好きだよ、とさえ言えないでいる純情な心


不器用な言葉の裏で、いま、きみの愛を感じる

3 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:47 ID:6jKdcrGw


「――― あんた、フラフラしてるさぁ」


「あたししか見ちゃだめだよ、とか言ってい?」


4 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:47 ID:6jKdcrGw



「…は?」

急に彼女が呟く。
自身の長く伸びた髪をいじりながら、どこか見つめる先の分からない横顔。

思わず読んでいた雑誌を閉じて、視線を上げた。


「そう言われてみたいなー、って思って」

本心はどうだか怪しい笑顔でつまらなそうに応えるごっちん。
最近珍しく気に入って買ったという白いソファにだらりと座る姿は、何だか気まぐれな猫みたい。

5 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:48 ID:6jKdcrGw


「捕まえてて欲しい訳…?」

さっきまでのんびりとしすぎて活動休止中だった脳をフル回転。
見当違いな事を言わないように、彼女の機嫌を損ねないように。

「でも、それはそれで面倒だよねー」

気の抜けたような柔らかな声。
ふんわり、と笑顔の浮かぶ表情に、何となく幸せを感じてたりして。

「うん、美貴もそれは嫌」

思わず言葉に似合わない甘い声を出している自分に、次の瞬間思わず苦笑いを浮かべた。
彼女といると、何だかペースを崩される、いつもの自分のままでいられない。

6 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:48 ID:6jKdcrGw


捕まえては欲しくない。
でも、何か窮屈、こう見えて自由主義者。


ほっとかれておきたくはない。
でも、傍にいたい、こう見えて寂しがり屋。


矛盾の交差した複雑なオトメゴコロ。
理解してほしくて、されたくない。

7 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:48 ID:6jKdcrGw


「ごっちん」

ぼんやりした横顔に、言葉を投げる。
出来るだけ優しく、優しく、優しく。


彼女からこう言うことを言い出すのは、一種のシグナル。
受け取り間違いをすることは許されない。
何たって彼女のシグナルは複雑で、単純で、繊細で。


「真希ちゃん」

少しだけ振り向いた首に手を回す。
気まぐれで、少し我侭で、大好きな彼女の少しの願いを叶えてあげる。

8 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:49 ID:6jKdcrGw



「――― あんた、フラフラしてるからさ」


どんなに愛されていても、孤独な夜がある。
お互いが固体である事に悔やむ時は、熱を混ぜあおう。

寂しさを分け合って、何かを忘れるために強く抱き合って、昨日を繰り返す。
ただ、あたし達は愛した意味を忘れないで、ずっと好きでいるだけ。
君との日常の中で、偶然とも思えるような運命をほどけないように結んで、終わりをなくしたい。
そうすれば、永遠とか柄にも無く口に出せるのにな。


「心配しちゃう時とかあるけど」


微笑むようにありったけの愛をぶつけた。
示し方は不器用だけど、きっと不器用者同士の私たちなら分かるはず。


ずっと一緒にいてよ、とか、どっか行かないでよ、とか、ずっとあたしだけを見ててよ、とか
そんな、たいそれた事を言える様な立場じゃないから、この言葉で我慢するよ。


「最後にはちゃんと戻ってきてね」


その、たいそれた事を、思わないわけでもないけれど。


9 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:49 ID:6jKdcrGw



「……じゃ、離れてても場所分かるように匂いつけとかないとねー」

見つめ合った瞳と瞳。
近づく、触れる熱。頬と頬の熱が混ざり合う。


滑らかな肌の感触。
心地良い熱。
ほのかに香る甘い香水の匂い。


「――― 美貴、犬じゃないんだけど」
「それくらい分かってるよ?」

大の得意のポーカーフェイス。
心臓は、激しく音を立てる。

何でも見透かされそうな瞳に見つめられて、視線を絡め取られる。
盗まれた恋の始まりも、その瞳の奥にあるのかな。

10 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:51 ID:6jKdcrGw


「ミキティもさ、フラフラしてっからさぁー」

微笑む笑顔が胸を掴む。


「どこにも行っちゃダメだかんね?」

行く場所もないのに、此処以外何処へ行くと言うのさ。
心の壁の落書きは君への告白。
文字をなぞる。

ゆっくりと唱えた。

「LE VOTRE」

「何?それ?」

「なんだろね」

「意味わかんない」

「口が裂けても言わないから、それでいいよ」
11 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:51 ID:6jKdcrGw


縛り付けない約束。

その裏に込められた想いは
きっとあたししか知れないとか思っちゃっていいかな。


12 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:52 ID:6jKdcrGw






13 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:52 ID:6jKdcrGw






14 名前:04 LE VOTRE 投稿日:2006/04/27(木) 22:52 ID:6jKdcrGw







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