14 れいなの通販生活
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:49
 
-  14 れいなの通販生活 
 
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:50
 
-   
 れいなが通販を始めたのには訳があります。 
 話せば長くなるけれど話してみます。 
  
 それまで買い物をする時は親友の絵里と街まで出かけていました。 
 一緒に出かけますが、お気に入りの店は違います。 
 絵里はまるでお嬢様が着るような服を売っている店に行きます。 
 れいなには逆立ちしても着れそうに無いかわいい服を買おうとします。 
  
 絵里がフリルのついた可愛いらしい服を長々と眺めている間、 
 れいなは隣でまるでガードマンのように黙って見ています。 
 絵里はとても楽しそうなので、その大親友のれいなにとっても楽しいけれど、 
 なんだかちょっと退屈でした。 
 「どっちが似合う?」 
 絵里が困ったような顔でくねくねしながら言うので、 
 れいなは見比べて相対的にマシなほうを選びます。 
 すると絵里はますます困った顔になって言います。 
 「れいなってセンス無いね。どこに目をつけてるの?」 
  
 結局、絵里はどちらも買います。絵里の家はお金持ちなのです。 
 一般的な家庭の田中家の経済状況ではマネ出来ません。 
  
   
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:50
 
-   
 絵里が買った後でれいなの行きたい店に向かいます。 
 絵里が買った物を当然のように持たされます。 
 「絵里は重いものが持てな〜い」なんて言うので仕方ありません。 
  
 れいなの好きな服が売っている店は裏通りにあります。 
 絵里はストリートチルドレンでも居そうな世界に眉をひそめます。 
 原色の派手な服から目をそらします。 
 れいなの好きな服を絵里は好きではないのです。 
  
 れいなはお金持ちではないので、一着の服を買うのにも真剣に吟味します。 
 後ろで絵里がイライラしているのを気にしながら。 
 「絵里。これとこれどっちがれいなに似合っちょる?」 
 絵里はくねくねしながら「わかんな〜い」と言います。 
  
 それは選べないって意味ではないのです。 
 れいなのセンスはわかんないって事なのです。 
 どっちも気に入らないのです。 
   
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:51
 
-  絵里とは合わないと思っていました。 
 それでもれいなには絵里しか居なかったのです。何が?友達が。 
 時々れいなは絵里以外に友達が欲しくて仕方ありませんでした。 
  
 れいなと絵里は互いの服の趣味が気に食わないのです。 
 ひいてはお互いが気に食わない。 
 そんな関係が長く続く訳がないと思っていました。 
  
 最初に一緒に買い物に行くのは止めようと言い出したのは絵里でした。 
 どうやら絵里には友達が出来たそうです。 
 れいな以外に一緒に買い物に行ける友達が出来たのです。 
 「だからもうれいなとは買い物に行かないから」 
 絵里はくねくねしないではっきりと言いました。 
  
   
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:51
 
-   
 れいなは考えました。 
 もうれいなは大人なのでひとりで買い物に行けます。 
 ひとりのほうが時間を気にしないで買えます。 
 本当は少し寂しい気がしていましたが 
 れいなは「わかった」とだけ答えました。 
  
 すると絵里は嬉しそうに言います。 
 「良かった。れいなの真剣に服を見る視線が気持ち悪かったから 
 一緒に買い物行くのが恥かしかったの」 
  
 その言葉でれいなはひとりで買い物に行くのも嫌になりました。 
 全てが嫌になりました。 
  
   
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:52
 
-   
 日曜日、家で寝ていました。外に出る気もなくなりました。 
 玄関まで出てみたけれどやっぱり出かける気になれません。 
 いつもなら絵里と買い物に行っていたのに。 
 よく晴れた空がなんだかムカつきました。 
  
 いまごろ絵里はれいなの知らない誰かと買い物をしている。 
 れいなはなんだか悲しくて仕方なくなりました。 
  
 家の中に戻ろうとした時でした。 
 郵便ポストに何かが入っているのに気付きました。 
 それは通販のカタログでした。 
  
   
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:53
 
-  カタログを見てれいなは驚きました。 
 れいな好みのハデな服がいっぱい載っています。 
 そのカラフルさに思わず目がチカチカするほどです。 
 ページをめくるごとに新しい世界が広がります。 
  
 「すっごい。特攻服なんてあるよ絵里・・・・・んぎ。キノコキノコ」 
 絵里は隣に居ないのです。れいなはひとりなのです。 
 その後は黙ってカタログを眺めました。 
  
 気がつくと夕方になっていました。 
 結局、安かったのでドクロの絵柄のシャツを買いました。 
 明後日には届くそうです。クレジットカードで買えるので便利です。 
 街に行かなくても好きな物を買える。なんて素晴らしい事でしょう。 
  
 「絵里なんか居なくても買い物は出来るっちゃ」 
  
   
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:53
 
-   
 それから毎日、色々なカタログが届きました。 
 服、化粧品、いちご、お肉、全部欲しいものでした。 
 ちょっとお店では買いにくい物のカタログもありました。 
 まるでれいなの欲しいものを知っているかのようです。 
 れいなは時間が許す限り好きなだけカタログを眺めて買いました。 
 でも何か物足りません。 
 まるで夜な夜な自慰でもしているかのような寂しさでいっぱいでした。 
  
 でもそれは一週間後満たされました。 
  
  
 「かわいい・・・・これ欲しか」 
 れいなは一目見た時から惹かれました。 
 通販型レンタルお手伝いさん。その中のひとりでした。 
 「さゆ」という名の女の子でした。 
  
 「誰よりもかわいい私を雇ってみませんか? 
 テトリスの腕とかわいさには自信がありま→す」 
  
 れいなは迷う事無くさゆをレンタルしました。 
 お試し期間につき今ならお安くなっているそうです。 
 翌日配送だそうですが待ちきれません。 
 れいなはわくわくして眠れませんでした。 
   
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:54
 
-   
 翌日、さゆは届きました。 
 まるでお人形さんのようにかわいい女の子でした。 
 「さゆなの」 
 「れいなです」 
 さゆはさっそく何をすれば良いのか聞いてきました。 
 意外と仕事熱心みたいです。 
  
 れいなは一緒にテトリスをして欲しいと言いました。 
 やってみました。3戦連続で完敗したので止めました。 
 れいなは意外と負けず嫌いなのです。 
 さゆと楽しくおしゃべりしました。博多ラーメンを食べました。 
 一緒に服のカタログを見てあれこれ選びました。 
 絵里よりもセンスが合いました。やっぱり絵里がおかしかったんだ。 
 揺らいでいた自分のファッションセンスに自信が戻りました。 
  
   
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:54
 
-   
 さゆはとても不思議で面白い子でした。 
 絵里なんかの何十倍も一緒に居て楽しい人です。 
  
 気がつくと夜になっていました。お布団を並べて一緒に寝ました。 
 さゆに子守唄を歌って貰いました。・・・・・イマイチでした。 
 音程が狂っているのが気になって逆に眠れなくなったのです。 
 歌唱指導をしているうちに、さゆは寝てしまったので 
 れいなは夜中ずっとさゆの寝顔を見ていました。 
 時々寝返りをうつので、お布団をかけ直してあげます。 
 本当の親友ってきっとこんな感じなんだろうな。 
 れいなは嬉しくて朝まで眠れませんでした。 
  
 目が覚めました。れいな周りを見回しました。 
 ほっとしました。夢じゃない。ちゃんとさゆは居ました。 
 「れいなに代わって新記録を出しておいたの」 
 さゆは嬉しそうにゲーム機の画面を見せてきました。 
  
   
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:55
 
-   
 素敵な朝です。 
 さゆと今日どう過ごすかを考えただけでワクワクして仕方ありません。 
 学校は休みました。さゆが居ればそんなものどうでもいいのです。 
 どうせ学校に行っても友達は居ないし楽しい事なんてありません。 
  
 今日は一緒にお風呂に入ろう。 
 こんな事もあろうかとカツラを買ってあるから大丈夫。 
 誰にもバレずにこういう物を買えるから通販は便利だ。 
 「れいななんだかとっても嬉しそう・・・・」 
 そう言ってさゆはれいなに笑いかけてくれました。 
  
 また夜になりました。お風呂に入りました。 
 さゆは思ったよりボゥボゥではありませんでした。 
 逆にれいなのを見てさゆは驚いていました。 
 ちなみにおっぱいは完敗でした。胸パットも買わなきゃ。 
  
   
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:55
 
-   
 今日のさゆは昨日よりも早く眠りました。 
 そう言えば朝から疲れているみたいでした。 
 明日はれいなが手料理をご馳走しよう。 
 さゆは肉が好きに違いない。だってれいなが肉好きだから。 
 「おやすみさゆ・・・・」 
 「・・・・・り」 
 さゆが何か言いました。寝言でしょうか? 
 「え・・・り・・・・ごめん・・・・」 
 さゆは寝ながら泣いているようでした。 
  
 絵里。今は聞きたくない名前でした。 
 れいなは耳を塞いで寝ました。 
  
   
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:56
 
-   
 「れいな!起きなさい!絵里ちゃんが来てくれたわよ!」 
 絵里が?れいなは飛び起きました。 
 きっと学校をずっと休んでいるので心配して来てくれたのでしょう。 
 「絵里・・・・心配してきてくれたんだ・・・・でもれいなにはこの子が」 
 さゆを紹介しようと振り返ると、さゆはもうれいなの隣に居ました。 
 「絵里・・・・さゆだよ」 
 「やっぱり!探したんだよ!さゆごめんね」 
 絵里は靴も脱がないで家に上がってきました。 
 西洋の悪習が絵里の常識を狂わせているのです。 
 これだから金持ちは嫌なんだ。 
  
 「もうお試しなんかじゃなくて終身雇用するからねさゆ!」 
 「ありがとう絵里。ずっと側にいるから」 
 絵里はさゆを抱きしめます。さゆも嫌がりません。 
 れいなは意味がわかりませんでした。 
  
   
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:58
 
-   
 絵里とさゆは泣きながら笑顔です。 
 手を繋いで家から出てゆきます。 
 その様子を呆気に取られて見ていましたが、 
 慌ててれいなも外に出てふたりを追いかけます。 
 このままではさゆをまるで竹島のように絵里に奪われてしまう。 
 「ちょ、ちょっとさゆはれいなの物・・・だ・・誰?」 
 「おはようございます」 
 そこには黒い服の男の人が立っていました。 
  
 「田中れいなさんですね。カード限度額オーバーですよ」 
 男は名刺を手渡してきました。通販の会社の人のようです。 
 「さ、さゆはれいなの・・・・・」 
 「すいません。お試し期間は今日までですから。 
 さゆは既に亀井さんが長期契約されました。 
 それよりも田中さん。お支払いのほうはいかがなさいますか?」 
  
 れいなはパンツを脱いで差し出したけれど 
 男は首を悲しそうに横に振った。  
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 23:59
 
-   
 数日後、れいなは通販のカタログの隅っこに載りました。 
  
 「歌には自信があります。ヤンキーではないです。 
 博多弁が出来ます。お金がいるので雇ってください」 
  
 今のところ問い合わせは無いらしいけど 
 絵里に鍛えられたので待つのには自信があります。 
  
  
  
 おわり  
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