13 れいなの通販生活
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:18
- 13れいなの通販生活
- 2 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:19
- れいなはきっと悪くない。
夜中ちょっとお腹が空いたからいつも通りに近くの惣菜屋へ歩いて行った。
夜中たまに、唐揚げが食べたくなった、ただそれだけだった。
いつものように380円渡していつものようにほかほかした袋を受け取った。
あんまりいい匂いがしたから中をのぞきこんだ。
いつもとちがう行動は、それだけだった。そのときだった。
声が枯れるくらいに叫んだところで恋が叶いそうにない格好をした青い自転車に
乗った見知らぬメガネ兄ちゃんにアバンストラッシュ並の衝撃を与えられたのは。
逆にれいなの声が枯れた。
唐揚げが流れ星のように宙を舞う。
それを目で追いながら、れいなの記憶は薄れていった。
- 3 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:21
- ◇◇◇
「あれ…?」
徐々に覚醒していく視界の中でまず見えたのはぶちぶちとした天井の模様。
れいなの家はもっとマトモなセンスをしている。
四方は緑色のカーテンで覆われていて周りの様子がよくわからない。起きあがっ
てそれをめくろうとすると、全身に激痛がはしった。
「うっ……」
首、左腕、左足、右足はがっちりと白いギプスで固められていた。
唯一痛みがないのは唐揚げの袋を持っていた右腕だけのようだった。
こんな状態では娘としての活動はおろか、牌の握り混みも難しいだろう。
唯一痛みがないのは唐揚げの袋を持っていた右腕だけのようだった。
こんな状態では娘としての活動はおろか、牌の握り混みも難しいだろう。
唯一無事そうなその右手にも点滴の針なんかが刺さっていたりして、れいなはか
なり大きめな、例えるなら85インチブラウン管テレビくらいのため息をついた。
- 4 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:23
- 「おぉ気ィついたんか」
僅かに自由になる視線をやるとそこにはやたらビッチリトした感じのズボンを履
いた光男がいた。
当然のようにれいなに近寄り左側に置いてあったパイプイスに腰を降ろすとれい
なの右手をとり「よし」とだけ呟いた。
全く関係ないが光男の方をみようとすると自動的に股間のむにゅりとした膨らみ
が目に入る。
固定されているため動かせない視線。
見せられたくないものを至近距離でみせつけられ苛ついているれいなに気づいて
いるのかいないのか、光男は口を開いた。
- 5 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:25
- 「田中………お前チャリにひかれたんや」
知ってる。他にあの状況でこんなスーパーぷよぷよ(かんたん)のボスみたいに
なれる状況があるなら逆に小一時間問いつめてみたい。
「つーかお前真夜中の間食とか外出とかやめろいうたやろーが!!小(ryみたいに
なりたいんか!?
それに変質者もおるんや。いろんな意味で危険がなんや。
その結果がこれや。悪いとか反省とかないんか?」
れいなは少し俯き考えた。
「……鶏」
「そっちちゃうわっ!!!!メンバーにファン、トップクの兄ちゃんにリュックサッ
クの似合う兄ちゃんや鬼Tシャツの兄ちゃんみんな泣いとんで!!こんなん紺野が
大玉に神隠しに合わされた時以来や!!」
どんと膝を殴っていちど光男は息を吐く。
- 6 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:26
- そこで光男は一端言葉を切った。
「───言うとる意味、解るな?」
れいなに背を向ける形でゆっくりと立ち上がり、腰に手を当てた。
れいなは何よりもまず目の前のプッチリ感を見ずにすむ形になったことを神に感
謝した。神に感謝、なんて初めてのことかもしれない。
空気がぴりりと区切られた空間を支配し、そして。
光男の口からでた言葉はまるでウタマル(ライムスター)のようにwhy?な言葉だった。
「お前には通販でヒトヤマあててもらおう思うとる」
- 7 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:28
- はぁ?なんゆうとんこん人。
つーか解るわけないけん。
それがれいなの最初の感想だった。
何ゆえ通販。
ほかに娘として先輩の映像を見るとか顔だけでも写真の撮影とかラジオとか。
やはり制限はされるだろうがそれなりにできる仕事はれいなにだって思い当たった。
ヒトヤマ?はがき書いて懸賞に…いやでもアイドルとして座布団3枚はきつ…い
やそれはな○びの懸賞生活で通販とは違う。通販生活…?
困惑すると本当に言葉というものはでないもので。
口をぱくぱくしているれいなに光男はみたこともないパッケージの箱を置いた。
『HelloSmile』と書かれたそれはどうやらシャンプーのようだった。
いや、マジでわらえんけん。
れいなの怪訝そうな表情をよそに光男は続けた。
- 8 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:30
- こん人なん典型的なネズミ購にはまっとーと?
てかそげなこつせんとでもこん人は十分金なんかもっとるだろうに。
れいなは思った。
「俺はこの方法でこんなに金を…」
ぴちぴちのポケットからどうやって入れていたのかと思うような量の札束をとり
出す光男。
確実にその金はれいな達が踊ったり歌(ry金なことは間違い無かったがも
はやれいなはつっこむ気すら起こらなかった。
ほぼ四肢が使えない、といっても過言ではないであろうれいなの前に有無を言わ
さず電話の子機と電話帳を置き、光男は去って行った。「警察やお前んちにはか
からんようになっとるからな」という絶望的な言葉を残して。
──こうして強制的に、れいなの通販生活は始まった。
- 9 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:31
-
「あ…あの…シャンプー…」
プツ。
「は…はじめまして少々お時間…!!」
プツ。
畜生。
当然といえば当然だが誰一人として買おう、という人は現れなかった。それどこ
ろか話すら聞いてもらえずに電話を切られる始末。
れいなは眼下に広がる段ボールの山に嘆息した。
すでに一ヶ月が経とうとしていた。
得られた情報はたくさんの電話番号と光男の股間の健康状態。
れいなはベッドの上で延々と電話をかけつづけていた。
- 10 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:33
- 「はぁ…みんななんしよーかね…」
そしてれいなはなぜ素直に光男のいいなりになっているのかとため息をついた。
それはあの男がプロデューサーであるからにほかならないからなのだろうか。
渡された番号の列の次に目を落とし、れいなはダイヤルする。
「090の──」
「おぅ、やっとるやん」
れいなはよりいっそう大きなため息で答えた。今日も元気そうな股間で。
今日もこの男は数字の束をれいなに差し出すのだろうか。
今日もこの男はいつもと同じこのいすに座るのだろうか。
今日もまた───
- 11 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:34
- れいなは数週振りに左足をもちあげてみた。
いままできづかなかったがどうやら軽い捻挫のようで変にひねらないようにギブ
スで固定してあるだけのようだった。
右足をもちあげてみる。こちらもどうやら大したことはないらしく、多少のしび
れは残るものの折れるまではいっておらず、ほぼ完治しているようだった。
この様子ならギブス付きでも歩けなくはないだろう。
続いて左手…これが一番重要だ。
れいなはひとつの番号を確認する。
そして。
光男はいつもの場所に座った。
れいなの左側に置いてあるパイプイスに。
──れいなのほうへ寄せるようにしながら。
- 12 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:35
-
左腕は案の定、痛みもなく動いた。
- 13 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:36
- ◇◇◇
「あ、もしもし、少々時間よろしいでしょうか?」
相変わらずぶちぶちとした天井。
段ボールに囲まれ電話をかける。
入ってきた人物の姿を捉えて、今日は3人契約がとれたと嬉しそうに笑う姿を、
れいなは感情無く見つめ返した。
余談だが何人めかの電話で一人ひっかかりそうになったがこちらから電話を切っ
た。恐らくあれは道重の姉だ。
話し方がよく似ていた。
れいなは年下ながら本気で彼女の将来を心配した。
- 14 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:37
- 了
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:37
- 0
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/17(日) 19:37
- 0
- 17 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
- このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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