59 ぼえおていあの飼猫

1 名前:59 ぼえおていあの飼猫 投稿日:2004/12/27(月) 03:01
59 ぼえおていあの飼猫
2 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/27(月) 03:07
どこかの山奥に、あるいは若しかしたら人里に
街にかもしれない、暗渠にかもしれない、人の身体の奥まで
心の奥底まで見透かせる不気味な猫がいるという。

そんな話を何処かの誰かから聞いたれいなは
とたん飼い猫の絵里とさゆみが不気味に思えてきた。

冬も極まって雪が降る晩。
れいなは一人で家でお留守番をしていた。

「あんた達は普通の猫だよね?」

猫達はコタツの布団の上に寝そべって興味なさげに
ひたすらに身体を寄せ合ってじゃれている。

「おい」

れいながさゆみの頭をこつんとゲンコツで叩くと、さゆみは
さも迷惑そうにれいなを一瞥して、それからまた絵里の
柔らかい首筋に頭を寄せた。
3 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/27(月) 03:09



「絵里ぃ、れいなが苛める」

れいなはギョッとして身を竦めた。
二匹はそんなれいなを横目で見ると
クスクスと笑い出した。

「さゆ、れいなが怖がってるじゃん」
絵里が笑いながら言う。

「れいなってびびりだよね。普段偉そうにしてるくせに」

「あはは、そうだね。いばりんぼでそのくせ
 寂しがりやでね」

「そんなだから友達少ないの」

「ぷ、くく。ダメだよさゆ、気にしてるんだから、くく」

そう言って絵里がさゆみの口元をぺろりと舐める。
さゆみは擽ったそうに絵里の鼻先を舐め返す。

れいなはただ怖くてみじろぎも出来ず、二匹を見ていた。
4 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/27(月) 03:10

「こないだ大好きな藤本くんに思いっきり怒鳴りつけてさぁ
 そんですっごい険悪になっちゃったことあったよね」

「あったね、うはっ。それで未だに藤本くんと口きけないんだよね」

「変なとこで意地っ張りだねぇ。お母さんにも反抗するし」

「ねぇ、れいなって子供ね」
そう言って二匹がれいなに視線を寄せる。

「ぷっ、あはははは。ほんと、いつになったらおっきくなるんだろうね」

れいなは蒼ざめた顔で、セーターの上から自分の胸を抱きしめた。
悪夢なら早く覚めて欲しい。切に願った。

二匹はそんなれいなを見て、とうとうツボにきてしまったらしく
大笑いしだした。

あはっ、あははははははは
5 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/27(月) 03:11

れいなさいこー、きゃははははははは

あーっはははははははおっかしー

はははははははははははははははははははははは

はははははははははははははははははは

はははははははは


6 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/27(月) 03:11



「れいな、起きなさい」

いつの間にか家に帰ってきていた家族に揺すぶられて
れいなは眼を覚ました。
どうやらコタツで寝てしまっていたようだった。


全身にぐっしょりと汗をかいている。
それが分かると、恐ろしい夢の内容がみるみる思い出された。
れいなは慌てて二匹の猫の方を見た。
二匹は寄り添って寝ていた。
そっと絵里の頭を撫でると、ふにゃあ、と寝ぼけた声を出して
またさゆみの胸に顔を埋めた。

れいなはほっと胸を撫で下ろした。
二匹は縮こまって可愛らしく寝ていた。

――れいな、荷物運ぶの手伝って頂戴
お母さんが向こうから呼んだ。

「あ、うん…」

れいなはコタツから抜け出してそちらにいった。

――あ、ありがとう。今日は何だか素直ね
――そんなことない、と思う…
――今年はちゃんと年賀状書きなさいよ
――うん
――それから…


外で降り続いていた雪は深々と静かで
どうやら積もりそうだった。

絵里は一度頭を起こすと
クスリと笑ってまたさゆみの胸に顔を埋めた。

終わり
7 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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