39 波の音
- 1 名前:39 波の音 投稿日:2004/12/26(日) 00:32
- 39 波の音
- 2 名前:39 波の音 投稿日:2004/12/26(日) 00:35
- 波の音が聞こえる。
打ちつける音、砕ける音。また打ちつける音、砕ける音。
波の音が聞こえる。
ベッドから起き上がり、カーテンを開ける。
窓から見える海岸。
白い泡、砕けて散った波が、闇の中でもよく見えた。
- 3 名前:39 波の音 投稿日:2004/12/26(日) 00:44
- 今日の出来はどうだったのだろう。
石川さんはほめてくれたけれどきっとまだまだなのだろうと、思う。
はじめてのコンサート参加だからといって逃げたくはないから。
――あの子はどう思っているのかな。
ふと、ふんわりした巻き毛が印象的な彼女の顔が浮かぶ。
正直含むところがないわけじゃ、ない。
一年間のレッスン、不安に覆われた月日。
その先に知らされたデビューは、つい最近オーディションに通ったばかりのあの子と一緒。
ちり、と胸を刺すものがないと言えば嘘になる。
けれど、そんなことを言っていても仕方がないから。
それに―――
- 4 名前:39 波の音 投稿日:2004/12/26(日) 00:48
- 波の音が聞こえる。
打ちつける音、砕ける音。また打ちつける音、砕ける音。
波の音が、聞こえる。
…とん、とんとん、…とん。
控えめなノックの音。
シャッ。カーテンを閉めて、ドアに向かう。
- 5 名前:39 波の音 投稿日:2004/12/26(日) 00:53
- 「…どした?ゆいやん。」
廊下に立ってるくるくる巻き毛の女の子。まくらを抱えて上目遣い。
「ホテルあんまり泊まったことあらへんから――ひとりで寝るの、怖いねん。」
参ったなぁ。
「……一緒に寝よっか。」
「ありがとぉ。」
ぱあっと、明るくなる表情。
そう。
過ぎたことを知っていても仕方がないし。
それに――どうも私はこの子が可愛くて仕方がない。
胸の奥、刺さった棘は消えそうもないけど。
この子の笑顔にいつも、負けてしまう。
- 6 名前:39 波の音 投稿日:2004/12/26(日) 00:55
- 私は天使を迎え入れ、そしてぱたんと扉を閉めた。
―――はじまりの、おしまい。
- 7 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
- このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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