21 サクラサクキセツ…

1 名前:サクラサクキセツ… 投稿日:2004/12/24(金) 22:19
サクサラクキセツ…
2 名前:サクラサクキセツ… 投稿日:2004/12/24(金) 22:20
ひらひらと目の前に落ちてきた、小さくて薄ピンク色の花びら。
それを拾って、どこから来たのだろうと辺りを見回すと
数メートル先にあるクラブハウスの脇に一本の大きな桜の木が
立っていた。
もう何年も、ここを見守ってきたのであろう大きな木。
「桜…」
そう呟いた時、ふと、ブレザーのポケットに入っていた物に
手が触れる。

――桜の木の下にはね、シタイがあるんだよ!
――ウソだぁ。
――ウソじゃないもん!おじーちゃんが言ってたんだもん!
3 名前:サクラサクキセツ… 投稿日:2004/12/24(金) 22:21
拙い言葉でそんな会話を交わしたのは、一体いつの事だったか。
今となっては全く思い出せない。
ただその後、両親にその事を話すと
『桜がピンク色なのはね、死体の血を吸ってるからなんだよ。』
と言われ、しばらく桜に近寄れなかった記憶がある。
シタイ、の意味すら実はよく分かっていなかったあの頃…

――ほら、たまに、白い桜ってあるじゃない?
――見たことないよ。そんな桜…
――あるんだって!私、その桜好きなんだー

中学校の入学式の日、あまりにも退屈なものだから
そっと体育館を抜け出して散歩をしていた時に見つけた
ピンク色の桜の木の下で、寝転びながら交わした会話。
4 名前:サクラサクキセツ… 投稿日:2004/12/24(金) 22:25
――受験終わったら、一緒にお花見行きたいね。
――うん。れいなに白い桜、見せてあげたいなぁ。

私はゆっくりと桜に近付きながら、あの日の事を思い出す。
寒い冬の日、暖かい部屋で降り始めたばかりの雪を見ながら
交わした会話。
…あなたと過ごした最後の日となった会話。
机に広げた数学の参考書は一向に進まなくて。
「また明日やれば良いよね」
なんて言って、結局サボっちゃったんだよね。
…まさか、あれが最後なんて思わなかったから。
私より1年早く高校生になったあなたは、私よりずっと早く
遠くへ行ってしまった。
5 名前:サクラサクキセツ… 投稿日:2004/12/24(金) 22:26
私は桜の下に来ると、靴の先で根元に数センチの穴を掘った。
そして、そこにそっとしゃがみ込んで、ポケットから『それ』を
取り出す。少量の白い粉の入った小さな瓶。

『白い桜が好きなんだ。』

蓋を開けて瓶を逆さまにする。
サラサラと、粉が穴に落ちていく。
全て落ちた事を確認すると、私は再び穴を埋めた。

『桜がピンク色なのは、死体の血を吸っているからなんだよ。』

―――ねぇ、絵里…?

こうすれば、桜は白くなるのかな?
私に、見せてくれる?

あなたが好きだと言っていた、白い桜…
あなたが見せてあげたいと言っていた、白い桜…
6 名前:サクラサクキセツ… 投稿日:2004/12/24(金) 22:27

            〜END〜
7 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。

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