12　レコーディングスタジオ

1 名前：レコーディングスタジオ 投稿日：2004/12/24(金) 01:04

12　レコーデングスタジオ

2 名前：レコーディングスタジオ 投稿日：2004/12/24(金) 01:04

　レコーディングでの待ち時間の過ごし方はそれぞれ異なる。
　精神統一して集中力を高める人は稀だけれど、
　それぞれがそれぞれのペースで自分の出番を待つ。
　そんな時間、私はお菓子を食べる。
　今日買ってきたのは「ダース」、チョコレートだった。

　箱を開けて一つ頬張る。

　「美味しい〜」

　何を食べてもこの一言を口から吐き出している気がしてならないが気のせいだろう。

3 名前：レコーディングスタジオ 投稿日：2004/12/24(金) 01:06

　一口目のチョコレートの美味を堪能している私の元に、
　同期のあさ美ちゃんが寄ってきた。

　「まこっちゃん、一個ちょうだい」
　「いいよぉ」

　一つ拾い上げて渡すと、あさ美ちゃんはパクッと口に入れた。
　すぐに幸せそうな表情になると「ありがとう」とだけ言って去っていった。
　いいことをしたな、そう思ったら愛ちゃんと里沙ちゃんも私の元に訪れた。
　大丈夫、言わなくても分かってるから。
　手渡しすると二人とも嬉しそうに食べて、礼をいってくれた。

4 名前：レコーディングスタジオ 投稿日：2004/12/24(金) 01:08

　「あ、絵里にも小川さんください！」
　「さゆも！」
　「れいなも！！」
　「はいはい、分かったから並びなさいって」

　３人を一列に並ばせると、順番にチョコを配る。
　お礼を言ってくれる瞬間に快感を覚え、私はすごくいい気分になっていた。

　「麻琴。俺にもくれよ」
　「はいはい」
　「私もい〜い？」

　吉澤さんと、普段なら共食いだ、と思っていた石川さんにもさっと配る。
　そしてまたもお礼の一言。
　気持ちいい。

5 名前：レコーディングスタジオ 投稿日：2004/12/24(金) 01:10

　ブースから飯田さんが出てきた。疲れた、一仕事終えた表情をしている。

　「お一ついかがですか？」
　「ああ、小川ありがと」

　飯田さんはすぐに受け取ると口に放り込み、美味しい、と呟いて椅子に座った。

　「麻琴―、美貴にもー」

　横から手が伸びる。
　どうやらさっきまで雑誌を読んでいたらしい。
　膝の上でペースを取っている。どうぞ、と渡すと、

　「サンキュー」

　笑顔が返ってきた。

　ガチャッ

　ドアが開き、矢口さんが入ってきた。
　矢口さんだけあげてないな、仲間はずれはよくない。
　私はくれとすら言われていないのにチョコを渡すと、

　「おお？小川どうした？」

　なんて困った顔をしたけれど食べてくれた。

　さて、全員配り終えた所で、ゆっくり残りを食べましょうか。

6 名前：レコーディングスタジオ 投稿日：2004/12/24(金) 01:13

　「――ってない？！」

　もうない？！なんで？！なんで？！

　「あ」

　ダース＝１２個だったっけ。
　私達モーニング娘。も１２人。
　１２人（１２個）で一つのものになる。一緒だ。
　すごいなぁ〜。

　って驚いてみてもチョコレートは帰ってくるはずもなく。

　「はぁ……」
　「小川ー」
　「はーい」

　出番が来たらしい。私はすぐに立ち上がると、ブースの中に入った。　
　あげてしまったチョコは惜しかったけれど、こんな日もいいかな、と思えた。
　

7 名前：Ｍａｘ 投稿日：Over Max Thread

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