4 二人掛けの真っ白なソファ
- 1 名前:4 二人掛けの真っ白なソファ 投稿日:2004/12/24(金) 00:23
- 4 二人掛けの真っ白なソファ
- 2 名前: 投稿日:2004/12/24(金) 00:24
- モーニング娘。の一番でっかいのと一番ちっちゃいのが
腰掛けたのは二人掛けの真っ白なソファ。
「かおりんこのソファってさあ、汚したら掃除大変だね」
「あー大変そうだねえ」
並んで座った二人の間には二十歳を超えた大人の距離感が自然と出来ていた。
その間隔、およそゲンコツ一個半。
腰を落ち着けた二人のうち先に動いたのはちっちゃい矢口。
よっこいしょと前方に身を乗り出して、硝子テーブルの上にあったグラスを
手に取る。特にこういうの零して染みになったらさぁ、こういうの、の中身は
レモンティだった。でっかい飯田は矢口の言葉を受けて想像する。もしこれを
零して染みになってしまったら、いっそこの真っ白なソファを別の色で
染めてしまおう。色は何がいいだろうか。
そういえば最近ぐずついた天気で青空を見ていないから、空色に染めてみよう。
ソファの白は雲に見立てて、ハンドタオルに空色を漬して只管ソファを叩けば
雲間に青空が覗く。そうだそうしよう。
「何かエロい染みに見えて勘違いされたりして、キャハハハ」
矢口はグラス片手に同意を求める視線を飯田に送った。けれど飯田はすっかり
このソファを自分の理想どおりに染め上げるアーティストな自分を妄想していて
視線を遠くの方へ飛ばしている。
聞いてねえな、矢口はがっかりした。そして思った。かおりんじゃなくて
ピロリンな彼女だったら顔真っ赤にして自分をどついたりするんだろう。
ああ、何故だかとても切なくなった。
- 3 名前: 投稿日:2004/12/24(金) 00:24
- ※
「髪の毛が落ちてる」
藤本はソファの肘掛にあった人毛を目ざとく見つけて、ふうっ、と
息を吹きかけてそれを飛ばした。隣の吉澤は神経質だね、と言った。
「そうさぁ、美貴はこれでも神経質だよ」
吉澤は特に何も言わなかったが、神経質であることを誇らしげに
訴える藤本はとりあえず何か間違ってるんじゃないかと思う。
「あ、何だこれ砂糖入ってんじゃん」
藤本が淹れてくれたコーヒーに口をつけた吉澤はあからさまに
不愉快な様を藤本に見せつけた。あー入ってた?ごめんごめん、
藤本は謝っているがどこか口先だけのように聞こえる。その証拠に、
いいじゃん一杯くらい飲んだって大した事無いじゃん、と続けた。
「砂糖入ってたら何杯でも飲んじゃうんだよ」
「我慢しなよ」
「できるけど最初が肝心なんだって!」
自分はコーヒーの砂糖を抜いたおかげで体重が減ったのに、
これがきっかけでまたブラックコーヒーが飲めなくなったら元に戻って
しまうじゃないか、吉澤は速いペースで砂糖入りコーヒーを飲みながら
藤本に抗議している。それを見た藤本はとりあえず何か間違ってるん
じゃないかと思ったがそれよりも言いたいことがあった。
「その割にはガンガン飲んでくれてるから美貴結構嬉しいんだけど」
- 4 名前: 投稿日:2004/12/24(金) 00:25
- ※
「白よりピンクのが良かったなあ」
「ピンクのソファなんてなかなか無いやろぉ」
高橋はハードカバーに視線を落としたまま隣の道重に
抑揚の無い突っ込みを入れた。
道重は、え〜、と駄々をこねるように不満の声を
漏らしたがそれ以上は特に何も言わなかった。
縦書きの文章を八行ほど追った所で、隣の空気が動いた。
次いで腰を落としていたソファのバランスが崩れた。
顔をあげたら道重が居ない。
次の瞬間片耳がパタパタいう音を捉える。道重独特の、
甘えた足音だった。音のする方を見やると、持ち込んでいた
自分の鞄の中身を物色している。
高橋はそれだけ確認すると引き続き読書の体勢に入った。
「髪飾りデコレーション!」
クリーム色した紙の上の物語に集中し始めた時、
俯いた高橋の頭上から聞こえたのはまるで何かの必殺技コール。
驚いて弾かれたように顔を上げたら色とりどりのものが
視界を次々落下していった。
- 5 名前: 投稿日:2004/12/24(金) 00:25
- 「まだまだいーっぱい可愛いのがあるよっ」
心底嬉しそうな道重がいつの間にやら正面に居て、
大きなポーチに片手を突っ込んでいる。シースルーのポーチの
向こう側には彼女の宝物である髪飾りたちの姿。
呆気に取られている間に第二陣がばら撒かれてそのうちの一つが
高橋の頭に引っ掛かった。白いリボンだった。
「……重さん」
「お姉ちゃんリボン引っ掛かってる、カワイイ」
「じゃなくて、あーあ、こんなばら撒いちゃって…」
「だって可愛くしたかったんだもん」
「それはいいけどさぁ」
ちゃんと後片付けして帰らんとあかんよ?高橋は姉と呼ばれた
手前それらしく振舞いながら言った。それを受けて道重は
「七期の子が誰かやってくれるから だいじょーぶだいじょーぶぅ♪」
と胸を張る。
その時高橋の頭に引っ掛かったリボンが、はらり、と
脱力したかのようにハードカバーの上に落ちた。
- 6 名前: 投稿日:2004/12/24(金) 00:26
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- 7 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
- このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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