03 ふたりだからひとり
- 1 名前:03 ふたりだからひとり 投稿日:2004/12/24(金) 00:14
- 03 ふたりだからひとり
- 2 名前:03 ふたりだからひとり 投稿日:2004/12/24(金) 00:15
- 振られると分かっていて「好き」と言っているのに「ごめん」と言われるとまるで君の方が悪いように聞こえるから不思議だよね。
だからなのかな。
そう言われてもまだ後少し好きでいたいと思ってしまう。
私はどうも君に振られ慣れしてしまっている気がしてならない。
「で、めぐちゃん。話って何?
呼び出してだんまりじゃ困るんだけど」
「あ、うん…」
「電話とかメールじゃ駄目なんでしょ?
そう言ったのはめぐちゃんだよ」
「…いや、それは私じゃない、と思う…」
「そうだっけ。じゃあそれはいいよ」
何だやっぱり私以外にもいるんだなぁ、クリスマスを前に柴田くんに告白しようって人。
- 3 名前:03 ふたりだからひとり 投稿日:2004/12/24(金) 00:15
- 「…せめて食べるか話すかしよーよ、ね?」
「…そうだね」
たしかに。
睨まれてるだけじゃせっかく出てきたオムライスが可哀想だしね…。
「食べさせてあげようか?」
お箸を左手に持ち替えて、あいた右手がスプーンに伸ばされようとしている。
顔が笑っていた。
いつから私はこんなに柴田くんに弱くなっていたんだろう。
「…自分で食べれます」
視線を落としてスプーンを取る。
私は今きっと柴田くんの言うところの、面白い顔をしているんだと思う。
デミグラスソースの味しかしないオムライスをかき込んでそれを誤魔化した。
君がこれで誤魔化されるような人じゃないって知っていたけど、自分を誤魔化せればそれでいいやと思ったから手を止めなかった。
- 4 名前:03 ふたりだからひとり 投稿日:2004/12/24(金) 00:15
- 「そろそろ話してくれないかなー?と」
隣りの席にいたカップルが席を立ったのを見送りながら柴田くんはそう言う。
飽きてきたのか苛つき始めたのか、さっきからコップをゆすってお茶に渦を作っている。
「うん…」
氷の溶けてしまった水を体の中に流し込む。
「半年、いやもっと前かな、にも言ったけど」
「うん」
「私、君が好きなんだ」
「…うん」
こういう時、告白され慣れてる人の顔って特徴あるなぁと思う。
あまり表情が変わらない。
「そーゆー話かなぁとは思ってたんだ、実は」
「だろーね」
「ん、でも。
前も言ったと思うんだけど」
指先に視線を落とす。
恋人さんから貰ったんだろう指輪が、柴田くんは自分のモノなんだってやたら主張してきている。
前から付き合っている人がいるって知ってた。
まだ続いてるのかどうかは知らなかったけど、続いているんだろうなとは思ってた。
今更驚く事じゃない。悲しむ事じゃない。
- 5 名前:03 ふたりだからひとり 投稿日:2004/12/24(金) 00:15
- 「そーゆー事だから。無理です」
「うん、ありがと」
ああ、それは利くかも。
「ごめん」じゃなくて「無理」って言うのは。
それは私が悪いんだって気分になるよ。
うん、いい選択肢だわ、ほんとに。
「…めぐちゃん」
呼びかけられて顔を上げると、柴田くんの顔がぼやけて見えていた。
困った顔してるんだと思う。
何故って。
私が今にも泣きそうだから。
もしかしたらもう泣いているのかもしれない。
「ん…だいじょぉぶ」
だいじょーぶ。
君に振られるのには慣れてるから。
だいじょーぶ。
「ごめん…先帰るから」
千円札を一枚置いて私は逃げた。
痛いとか辛いとか苦しいとかそういうんじゃなくて。
ただ泣きたかった。
君を想って泣きたかった。
- 6 名前:03 ふたりだからひとり 投稿日:2004/12/24(金) 00:16
- 了
- 7 名前:Max 投稿日:Over Max Thread
- このスレッドは最大記事数を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
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